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特表2024-527549搬送用ロボットのスケジューリング方法、スケジューリングシステム、及びコンピュータプログラム製品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-25
(54)【発明の名称】搬送用ロボットのスケジューリング方法、スケジューリングシステム、及びコンピュータプログラム製品
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20240718BHJP
   G06Q 10/08 20240101ALI20240718BHJP
【FI】
B65G1/137 E
G06Q10/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580609
(86)(22)【出願日】2022-05-30
(85)【翻訳文提出日】2023-12-27
(86)【国際出願番号】 CN2022095917
(87)【国際公開番号】W WO2023273758
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】202110748709.X
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519232057
【氏名又は名称】霊動科技(北京)有限公司
【氏名又は名称原語表記】LINGDONG TECHNOLOGY (BEIJING) CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】C4, Beijing Shangde Intelligent Manufacturing Industrial Park,No.10 Jiancaicheg East Road, Xisanqi, Haidian District, Beijing, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】王 旭
(72)【発明者】
【氏名】辺 鉄棟
(72)【発明者】
【氏名】王 鵬飛
(72)【発明者】
【氏名】張 広鵬
【テーマコード(参考)】
3F522
5L010
【Fターム(参考)】
3F522AA02
3F522BB19
3F522BB35
3F522CC01
3F522GG46
3F522GG49
3F522LL09
3F522LL31
3F522LL57
5L010AA16
(57)【要約】
本発明は、インテリジェント物流の分野に関する。ピッキング容易度指標に従って、注文プール内の各注文にヒート値を割り当てるステップS1と、ディスパッチ要求に応答して、予め設定された条件を満たすヒート値を持つ注文を注文プールから選択するステップS2と、選択された注文に基づいて、少なくとも1台の搬送用ロボットに対するスケジューリング指令を生成するステップSと、を含む搬送用ロボットのスケジューリング方法を提供する。また、スケジューリングシステム及びコンピュータプログラム製品を提供する。スケジューリング戦略では、無秩序な注文をピッキング容易度に応じて集約し、動的に分類することにより、常に現時点で最も省力化に有利な注文を優先して取り扱うことを可能にし、全体として搬送用ロボットとピッカーの合理的なスケジューリングを実現し、ピッキング効率を向上させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送用ロボット(3)のスケジューリング方法であって、
ピッキング容易度指標に従って、注文プール内の各注文にヒート値を割り当てるステップS1と、
ディスパッチ要求に応答して、予め設定された条件を満たすヒート値を持つ注文を注文プールから選択するステップS2と、
選択された注文に基づいて、少なくとも1つの搬送用ロボット(3)に対するスケジューリング指令を生成するステップS3と、を含む、搬送用ロボット(3)のスケジューリング方法。
【請求項2】
前記ステップS3は、選択された注文に基づいて少なくとも1人のピッカー(4)に対するスケジューリング指令を生成するステップをさらに含む、請求項1に記載のスケジューリング方法。
【請求項3】
前記ピッキング容易度指標は、前記注文プール内の注文内容によって変化しない静的指標と、前記注文プール内の注文内容によって変化する動的指標とを含む、請求項1又は2に記載のスケジューリング方法。
【請求項4】
前記ステップS1は、
注文プール内の各注文に含まれる貨物のピッキング場所での統計的分布を求めるステップと、
統計的分布に基づいて一定数のピッキング場所を選別し、前記一定数のピッキング場所を基準として少なくとも1つのエリアをホットゾーンとして外側に拡張するステップと、
各注文の貨物に対応するピッキング場所のホットゾーン内の割合に基づいて前記ヒート値を決定するステップと、を含む、請求項1に記載のスケジューリング方法。
【請求項5】
前記ホットゾーンは、ピッキング場所を含む通路エリアを単位とし、異なるホットゾーンは、特に大きさ及び/又は形状が異なる、請求項4に記載のスケジューリング方法。
【請求項6】
前記統計的分布を倉庫マップに投影して視覚的なヒートマップを生成し、前記ヒートマップから最も色の濃いエリアをホットゾーンとして選択する、請求項4又は5に記載のスケジューリング方法。
【請求項7】
前記ステップS1は、注文の貨物に対応するピッキング場所の集まり度合から前記ヒート値を決定するステップを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のスケジューリング方法。
【請求項8】
前記ステップS1は、注文に含まれる貨物の数から前記ヒート値を決定するステップを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載のスケジューリング方法。
【請求項9】
割り当てられていない注文の総ヒート値が第1閾値を下回る場合、全ての割り当てられていない注文についてピッキング容易度指標、特にホットゾーンを再決定する、及び/又は
割り当てられたが未完了の全ての注文の残りの総ヒート値が第2閾値を下回る場合、未完了の注文をそれぞれ新規の注文として注文プールに戻し、注文プール内の現在の全ての注文について、ピッキング容易度指標、特にホットゾーンを再決定するステップをさらに含む、請求項1~8のいずれか1項に記載のスケジューリング方法。
【請求項10】
少なくとも1つの搬送用ロボット及び/又は少なくとも1人のピッカーに前記スケジューリング指令を送信した後、各作業エリア内のピッキング効率、残注文完了度、輻輳率、各作業エリア内の割り当て済み搬送用ロボットの数、及び/又は搬送用ロボットの数とピッカーの数との比をリアルタイムで監視し、監視結果に基づいて、少なくとも1つの搬送用ロボット及び/又は少なくとも1人のピッカーに対するスケジューリング指令を更新するステップをさらに含む、請求項2に記載のスケジューリング方法。
【請求項11】
少なくとも1つの搬送用ロボットに対するスケジューリング指令を更新することは、ピッキング経路を更新することと、を含み、及び/又は
少なくとも1人のピッカーに対するスケジューリング指令を更新することは、少なくとも1人のピッカーが現在の作業エリアから離れるように指示することを含む、請求項10に記載のスケジューリング方法。
【請求項12】
前記ステップS2は、
注文プール内の注文をヒート値の大きさでソートし、ディスパッチ要求に応答してヒート値の最も大きい注文を選択するステップを含む、請求項1~11のいずれか1項に記載のスケジューリング方法。
【請求項13】
前記ステップS3は、
選択された注文に対応するピッキングリスト及びホットゾーンの情報を、少なくとも1人のピッカーのハンドヘルド通信装置に送信し、前記少なくとも1人のピッカーがホットゾーンに向かい、ホットゾーンでピッキングを行うように案内するステップを含む、請求項4に記載のスケジューリング方法。
【請求項14】
前記ステップS3は、
追加的に、予測された個々のピッカーの歩行距離及び/又は待ち時間に基づいて、少なくとも1人のピッカーのために、現在のホットゾーン内の所定のピッキング場所への移動、現在のホットゾーン内の歩行経路、及び/又は現在のホットゾーン内の搬送用ロボットとのドッキング順序を指定し、及び/又は、
追加的に、予測されたピッカー全員の歩行距離及び/又は総待ち時間に基づいて、既に現在のホットゾーン内にいる少なくとも1人の別のピッカーを指定して、現在のホットゾーン外の所定のピッキング場所に向かうようにするステップを含む、請求項13に記載のスケジューリング方法。
【請求項15】
前記ステップS3は、
追加的に、少なくとも1つの搬送用ロボットの移動速度、少なくとも1人のピッカーのピッキング速度及び/又は移動速度、少なくとも1人のピッカーの及び/又は少なくとも1つの作業エリアの残りのピッキングタスク数に基づいて、特に搬送用ロボット及び/又はピッカーの次のピッキング場所を指示することを含むスケジューリング指令を生成するステップを含む、請求項1~14のいずれか1項に記載のスケジューリング方法。
【請求項16】
前記スケジューリング指令はピッキングモードを割り当てることを含み、特定の作業エリア、特にホットゾーン内の搬送用ロボット及びピッカーに対して非バインディングピッキングモードを割り当て、特定の作業エリア、特にホットゾーン外の搬送用ロボット及びピッカーに対してバインディングピッキングモードを割り当てる、請求項1~15のいずれか1項に記載のスケジューリング方法。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか1項に記載のスケジューリング方法を実行するためのスケジューリングシステム(1)であって、
ピッキング容易度指標に従って、注文プール内の各注文にヒート値を割り当てるように構成された分析モジュール(10)と、
ディスパッチ要求に応答して、予め設定された条件を満たすヒート値を持つ注文を注文プールから選択するように構成された選択モジュール(20)と、
選択された注文に基づいて、少なくとも1つの搬送用ロボット(3)に対するスケジューリング指令を生成するように構成されたディスパッチモジュール(30)と、を含む、スケジューリングシステム(1)。
【請求項18】
コンピュータによって実行されると、請求項1~17のいずれか1項に記載のスケジューリング方法を実施するコンピュータプログラムを含む、コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送用ロボットのスケジューリング方法、スケジューリングシステム、及びコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
電子商取引、近代的な工場などの分野の発展に伴い、物品のピッキング、搬送、保管などを行うためにインテリジェント倉庫システムがますます多く使われるようになっている。現在、インテリジェント倉庫物流分野では、ピッカーの手作業負担を軽減し、ピッキング作業の効率化を図るため、資材のピッキングや播種作業は、自律移動ロボット(英語:AMR、Autonomous Mobile Robot)と人間との協働によって行われることが一般的である。
【0003】
従来技術で知られている一般的なスケジューリングパターンでは、ほとんどの場合、注文は、注文の発送時間に基づいて順次発送されるか、又は発送前に貨物カテゴリに基づいて再編成処理され、その後、搬送用ロボットとピッカーとが「車から人へ」又は「荷から人へ」の協調的な方法でピッキング作業を行う。
【0004】
しかし、これらの手段には多くの制限がある。特に、純粋に注文順にタスクを割り当てることは簡単にできるように見えるが、タスク実行側ではルールがなく、ピッカーが長い距離を歩いたり、一定の荷台で搬送用ロボットを長時間待たされたりする場合が多く、全体として最適なピッキング効率を実現できていない。注文の順序を乱して再配置するような処理方式では、二次仕分けによる時間コストが著しく増加することは間違いない。
【0005】
このような背景から、ピッキング効率を向上させるために、注文、ロボット、及び人員の合理的なスケジューリングを目指した物流ロボットのスケジューリング方法の改善が期待されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来技術の問題の少なくとも一部を解決するために、搬送用ロボットのスケジューリング方法、スケジューリングシステム、及びコンピュータプログラム製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様によれば、
ピッキング容易度指標に従って、注文プール内の各注文にヒート値を割り当てるステップS1と、
ディスパッチ要求に応答して、予め設定された条件を満たすヒート値を持つ注文を注文プールから選択するステップS2と、
選択された注文に基づいて、少なくとも1つの搬送用ロボットに対するスケジューリング指令を生成するステップS3と、を含む、搬送用ロボットのスケジューリング方法を提供する。
【0008】
本発明では、ピッキング容易度指標は、人的効果の価値指標ともいうこともでき、全体的な手動ピッキング効率に直接関係し、ピッカーの歩行距離の長さ、移動範囲、待ち時間などの面で各注文の価値を総合的に評価することに用いられ得る。この指標を使用して評価されたヒート値は、特にピッカーにとってのさまざまな注文の扱いやすさを反映している。上記のスケジューリング戦略では、無秩序な注文をピッキング容易度に応じて集約し、動的に分類することにより、常に現時点で最も省力化に有利な注文を優先して取り扱うことを可能にし、全体として搬送用ロボットとピッカーの合理的なスケジューリングを実現し、ピッキング効率を向上させることができる。
【0009】
任意選択で、前記ステップS3は、選択された注文に基づいて少なくとも1人のピッカーに対するスケジューリング指令を生成するステップをさらに含む。
【0010】
任意選択で、ピッキング容易度指標は、注文プール内の注文内容によって変化しない静的指標と、注文プール内の注文内容によって変化する動的指標とを含む。
【0011】
ここでは、特に、以下の技術的な利点が得られる。ピッキング容易度指標が動的な成分を含むために、本来容易度が高くないと評価されていた注文が、注文プールにおける新旧注文の入れ替わりや貨物の種類、数の変動にともなってピッキング容易度の高い注文になることが可能である。このように、この動的ディスパッチ方式は、時間の経過とともに、全体的に人間の効率を最大化するディスパッチ方式を実現する。
【0012】
任意選択で、前記ステップS1は、注文プール内の各注文に含まれる貨物のピッキング場所での統計的分布を求めるステップと、統計的分布に基づいて一定数のピッキング場所を選別し、前記一定数のピッキング場所を基準として少なくとも1つのエリアをホットゾーンとして外側に拡張するステップと、各注文の貨物に対応するピッキング場所のホットゾーン内の割合に基づいて前記ヒート値を決定するステップと、を含む。
【0013】
ここで、ホットゾーンの設定は、注文プールと倉庫マップを関連付け、貨物の次元からピッキング場所の次元へのマッピングを実現し、人が集中してピッキングを行うのにどのエリアが有利かを把握することができ、これを利用して、搬送用ロボットのピッキング経路とピッカーの作業エリアをより合理的に計画することができる。
【0014】
任意選択で、前記ホットゾーンは、ピッキング場所を含む通路エリアを単位とし、異なるホットゾーンは、特に大きさ及び/又は形状が異なる。
【0015】
任意選択で、前記統計的分布を倉庫マップに投影して視覚的なヒートマップを生成し、前記ヒートマップから最も色の濃いエリアをホットゾーンとして選択する。
【0016】
ここでは、特に、以下の技術的な利点が得られる。ヒートマップを生成することにより、ホットゾーンの動的な変化や推移を可視化できる。また、人と搬送用ロボットの移動経路が各ホットゾーンと完璧に重なっているか否かもより明確に分かるようになり、大きなずれが生じた場合にはホットゾーンの大きさや形状をタイミングよく調整できるようになる。
【0017】
任意選択で、前記ステップS1は、注文の貨物に対応するピッキング場所の集まり度合から前記ヒート値を決定するステップを含む。
【0018】
ここでは、特に、以下の技術的な利点が得られる。ピッキング場所が集まれば集まるほど、貨物が近くの棚に集中的に分布することを意味し、この注文タスクを実行する際に、長い移動距離をまたぐ必要がないため、これも注文の容易度を評価する重要な要素となる。
【0019】
任意選択で、前記ステップS1は、注文に含まれる貨物の数から前記ヒート値を決定するステップを含む。
【0020】
ここでは、特に、以下の技術的な利点が得られる。注文長によってヒート値を制約することで、小さな注文が全て先に発送されることを防ぎ、ホットゾーンの頻繁な位置変更を回避する。また、小さな注文は柔軟性が高いため、主要な割り当てシェアを占有する必要はなく、ホットゾーン内のタスクの達成度が高いときや、ピッカーのタスクギャップに補間によって確認リストに追加され、それによって、全体的な効率に影響を与えることなく実行される。
【0021】
任意選択で、前記スケジューリング方法は、
割り当てられていない注文の総ヒート値が第1閾値を下回る場合、全ての割り当てられていない注文についてピッキング容易度指標、特にホットゾーンを再決定する、及び/又は
割り当てられたが未完了の全ての注文の残りの総ヒート値が第2閾値を下回る場合、未完了の注文をそれぞれ新規の注文として注文プールに戻し、注文プール内の現在の全ての注文について、ピッキング容易度指標、特にホットゾーンを再決定するステップをさらに含む。
【0022】
ここでは、特に、以下の技術的な利点が得られる。注文プール内の新たな注文がランク付けに追加されると、最初に決定された評価指標は、注文内容の変化に伴って「古く」なり、適用されなくなる可能性がある。また、完全な注文の一部は高いヒート値を反映しており、残りの部分はヒート値が高くないことも考えられる。いずれの場合も、ピッキング容易度指標を適時にリフレッシュして、計算されたヒート値を様々な段階の注文プールの状況に動的に適合させることができる。
【0023】
任意選択で、前記スケジューリング方法は、少なくとも1つの搬送用ロボット及び/又は少なくとも1人のピッカーに前記スケジューリング指令を送信した後、各作業エリア内のピッキング効率、残注文完了度、輻輳率、各作業エリア内の割り当て済み搬送用ロボットの数、及び/又は搬送用ロボットの数とピッカーの数との比をリアルタイムで監視し、監視結果に基づいて、少なくとも1つの搬送用ロボット及び/又は少なくとも1人のピッカーに対するスケジューリング指令を更新するステップをさらに含む。
【0024】
これにより、注文実行中にタスクの均衡化をリアルタイムで行うことができ、いつでもピッキング効率を最適化させることができる。
【0025】
任意選択で、少なくとも1つの搬送用ロボットに対するスケジューリング指令を更新することは、ピッキング経路を更新することと、を含み、及び/又は
少なくとも1人のピッカーに対するスケジューリング指令を更新することは、少なくとも1人のピッカーが現在の作業エリアから離れるように指示することを含む。
【0026】
任意選択で、前記ステップS2は、注文プール内の注文をヒート値の大きさでソートし、ディスパッチ要求に応答してヒート値の最も大きい注文を選択するステップを含む。
【0027】
任意選択で、前記ステップS3は、選択された注文に対応するピッキングリスト及びホットゾーンの情報を、少なくとも1人のピッカーのハンドヘルド通信装置に送信し、少なくとも1人のピッカーがホットゾーンに向かい、ホットゾーンでピッキングを行うように案内するステップを含む。
【0028】
ここで、ホットゾーンに関する情報をピッカーに送信することにより、ピッカーはタスクが集中しているエリアを十分に把握し、搬送用ロボットによるピッキング作業を支援する際に、コアゾーンから外れないように、自らの走行経路を意識的に計画することが可能になる。
【0029】
任意選択で、前記ステップS3は、追加的に、予測された個々のピッカーの歩行距離及び/又は待ち時間に基づいて、少なくとも1人のピッカーのために、現在のホットゾーン内の所定のピッキング場所への移動、現在のホットゾーン内の歩行経路、及び/又は現在のホットゾーン内の搬送用ロボットとのドッキング順序を指定し、及び/又は、追加的に、予測されたピッカー全員の歩行距離及び/又は総待ち時間に基づいて、既に現在のホットゾーン内にいる少なくとも1人の別のピッカーを指定して、現在のホットゾーン外の所定のピッキング場所に向かうようにするステップを含む。
【0030】
ここで、ホットゾーン内での人の移動の計画を提案することにより、個々のピッカーのための個人化されたスケジューリング計画を作成することができ、それにより、個々のピッカーの歩行経路を減少させ、待ち時間を減少させることができる。また、動的なスパンスケジューリングにより、配車衝突を解消し、各作業エリア間の効率のバランスを取ることができ、ピッキング効率のグローバル最適化を図ることができる。
【0031】
任意選択で、追加的に、少なくとも1つの搬送用ロボットの移動速度、少なくとも1人のピッカーのピッキング速度及び/又は移動速度、少なくとも1人のピッカーの及び/又は少なくとも1つの作業エリアの残りのピッキングタスク数に基づいて、特に搬送用ロボット及び/又はピッカーの次のピッキング場所を指示することを含むスケジューリング指令を生成するステップを含む。
【0032】
ここでは、各候補搬送用ロボットの性能パラメータ及び各候補ピッカーの状態パラメータも考慮してスケジューリング指令を生成することで、より合理的な注文タスクの割当てを実現する。
【0033】
任意選択で、前記スケジューリング指令はピッキングモードを割り当てることを含み、特定の作業エリア、特にホットゾーン内の搬送用ロボット及びピッカーに対して非バインディングピッキングモードを割り当て、特定の作業エリア、特にホットゾーン外の搬送用ロボット及びピッカーに対してバインディングピッキングモードを割り当てる。
【0034】
ここでは、特に、以下の技術的な利点が得られる。注文が多いエリアでは、搬送用ロボットが頻繁に行き来し、人が長時間待たされることがないため、ピッカーが1人で複数の車両に対応するように、柔軟にロボットと連携してピッキングを行うことができる。注文が少ないエリアでは、人が空いていたり、長時間待たされたりする可能性が高いため、このようなエリアでは、フォローピッキングモードに変更すると有利になる。
【0035】
本発明の第2態様によれば、本発明の第1態様に記載のスケジューリング方法を実行するためのスケジューリングシステムであって、
ピッキング容易度指標に従って、注文プール内の各注文にヒート値を割り当てるように構成された分析モジュールと、
ディスパッチ要求に応答して、予め設定された条件を満たすヒート値を持つ注文を注文プールから選択するように構成された選択モジュールと、
選択された注文に基づいて、少なくとも1つの搬送用ロボットに対するスケジューリング指令を生成するように構成されたディスパッチモジュールと、を含む、スケジューリングシステムを提供する。
【0036】
本発明の第3態様によれば、コンピュータによって実行されると本発明の第1態様に記載のスケジューリング方法を実施するコンピュータプログラムを含むコンピュータプログラム製品を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
以下、本発明の原理、特徴、及び利点は、添付の図面を参照しながら本発明をより詳細に説明することによって、よりよく理解される。
図1】本発明の例示的な一実施例による搬送用ロボットのスケジューリング方法のフローチャートを示す。
図2】本発明による搬送用ロボットのスケジューリング方法の1つのステップのフローチャートを示す。
図3】本発明による搬送用ロボットのスケジューリング方法の他のステップのフローチャートを示す。
図4】本発明による搬送用ロボットのスケジューリング方法の2つのステップのフローチャートを示す。
図5】本発明の例示的な一実施例によるホットゾーン形成の概略図である。
図6】本発明によるスケジューリング方法を倉庫に適用する概略図である。
図7】本発明の例示的な一実施例によるスケジューリングシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明が解決しようとする技術的課題、技術案、及び有益な技術的効果をより明確かつ明瞭にするために、以下、図面及び複数の例示的な実施例を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。なお、本明細書に記載された具体的な実施例は、本発明を説明するために過ぎず、本発明の保護範囲を限定するためのものではない。
【0039】
図1は、本発明の例示的な一実施例による搬送用ロボットのスケジューリング方法のフローチャートを示す。
【0040】
ステップS0では、倉庫管理システム(WMS:Warehouse Management System)から注文を取得し、注文プールにインポートする。
【0041】
ステップS1では、ピッキング容易度指標に従って、注文プール内の各注文にヒート値を割り当てる。ここで、このピッキング容易度は、ピッキング効率の向上に対する全体的な各注文の寄与度を表すために使用されるものであり、例えば、注文プール内の注文の内容によって変化しない静的指標と、注文プール内の注文の内容によって変化する動的指標とを含む。動的指標の存在により、注文プールの状態が変化する(新たな注文が追加され、古い注文が削除される)と、注文プール内の同じ注文は、異なる時間で異なるヒート値が割り当てられ、異なるピッキング容易度性を示す場合がある。
【0042】
ステップS2では、ディスパッチ要求に応答して、予め設定された条件を満たす発ヒート値を持つ注文を注文プールから選択する。ここで、ディスパッチ要求は、搬送用ロボット及び/又はピッカーからのディスパッチ要求を受信することであってもよいが、ディスパッチ要求は、アイドル状態の搬送用ロボット又はピッカーが存在することがスケジューリングプラットフォームから観察され、それによって積極的に生成されることも可能である。一例として、予め設定された条件を満たすヒート値を持つ注文を注文プールから選択するステップは、注文プール内の注文をヒート値の大きさでソートし、ディスパッチ要求に応答してヒート値の最も大きい注文を選択するステップを含む。
【0043】
ステップS3では、選択された注文に基づいて、少なくとも1台の搬送用ロボットに対するスケジューリング指令を生成する。追加的に、選択された注文に基づいて、少なくとも1人のピッカーに対するスケジューリング指令を生成してもよい。ここで、選択された注文は、例えば、まず、少なくとも1つのピッキング場所を含むピッキングシートに変換され、その後、少なくとも1つの搬送用ロボット及び少なくとも1人のピッカーにそれぞれ割り当てられる。ここで、搬送用ロボットに対するスケジューリング指令は、少なくともピッキング経路を含み、ピッカーに対するスケジューリング指令は、少なくともピッキング場所を含む。
【0044】
任意のステップS4では、注文更新がWMSから取得されたか否かを確認し、更新がある場合、注文プールに新たな注文を追加する。ここでは、新たに追加された注文は、予め定義されたピッキング容易度指標に従って、ヒート値のランク付けに参加する。
【0045】
任意のステップS5では、注文プール内の現在割り当てられていない全ての注文の総ヒート値が第1閾値を下回るか否かを確認する。
【0046】
第1閾値を下回る場合、予め設定されたピッキング容易度指標は、新たな注文が追加されるにつれて「遅れており」、現在の注文プールの状態には適用されなくなっている。この状況を改善するために、例えば、任意のステップS7において、注文プール内の全ての注文についてピッキング容易度指標を再決定し、更新されたピッキング容易度指標に従って各注文にヒート値を割り当ててもよい。
【0047】
第1閾値を下回っていない場合、任意のステップS6において、全ての割り当て済み注文のうちの未完了部分の残りの総ヒート値が第2閾値を下回るか否かの確認を継続してもよい。
【0048】
第2閾値を下回ると判定した場合、全体としては高いヒート値を有しているが、注文内ではヒート値の分布に不均一性を示している注文があることを示している。これにより、任意のステップS8において、全ての未完了注文を新規の注文として注文プールに戻し、割り当てられていない注文と未完了注文についてピッキング容易度指標を一括して再決定してもよい。
【0049】
ステップS6において、第2閾値を上回ると判定した場合、現在設定されているピッキング容易度指標が適用可能であることを示しているので、ステップS9において、既存のピッキング容易度指標を引き続き使用することができる。
【0050】
図2は、本発明による搬送用ロボットのスケジューリング方法の1つのステップのフローチャートを示す。図2に示すように、図1の方法ステップS1は、一例として、サブステップS11~S14を含み、それについて、複数の評価指標から各注文のヒート値をどのように総合的に計算するかを説明する。
【0051】
ステップS11では、ホットゾーンを構築して第1ヒート値成分を計算する。ここで、例えば、注文プール内の各注文に含まれる貨物のピッキング場所での統計的分布を求め、この統計的分布に基づいて一定数のピッキング場所を選別し、前記ピッキング場所を基準として少なくとも1つのエリアをホットゾーンとして外側に拡張してもよい。一例として、倉庫全体を複数の特定のエリアに分割し、各特定のエリア内のピッキング対象貨物場所の数又は貨物場所の累積トラバース回数が閾値を上回るか否かを確認し、上回る場合、その特定のエリアをホットゾーンとすることができる。別の例として、まず、距離が閾値未満の全てのピッキング場所を集約し、次に、集約によって形成された各特定のエリア内に含まれるピッキング対象貨物場所の数又は貨物場所の累積トラバース回数が閾値を上回るか否かを確認し、上回る場合、この特定のエリアをホットゾーンとして定義する。さらに、地理的位置及び/又はピッキング場所のホットゾーン内の割合に応じて、新たなホットゾーンを動的にマージしたり分割したりすることも考えられる。最後に、各注文の貨物に対応するピッキング場所のホットゾーン内の割合からこのヒート値成分を決定する。ここで、注文の貨物のピッキング場所のホットゾーン内の割合が高いほど、このヒート値成分は高くなる。
【0052】
一例として、このようにして決定された第1ヒート値成分は、次の式で計算され得る。
ここで、costmeanは第1ヒート値成分を表し、ninは注文の貨物の全てのホットゾーン内での貨物場所の数を表し、nは注文に含まれる貨物場所の合計数を表す。
【0053】
ステップS12では、注文の貨物に対応するピッキング場所の集まり度合から第2ヒート値成分を決定する。一例として、ピッキング場所が集まれば集まるほど、ヒート値成分が高くなる。この集まり度合は、特に、ピッキング場所が様々なホットゾーンでどの程度分散しているかによって表され得る。例えば、第2ヒート値成分は、次の式で計算され得る。
を表し、iは[1,k]に属し、niは注文の貨物のi番目のホットゾーン内での貨物場所の数を表し、nは注文に含まれる貨物場所の合計数を表す。この式により、1つの注文の貨物場所が集中するホットゾーンの数が少ないほど、ヒート値が高くなることがわかった。
【0054】
ステップS13では、注文長、すなわち注文に含まれる貨物の数から第3ヒート値成分を決定する。一例として、注文が長いほど、ヒート値成分が高くなるので、特に、ステップS11、S12での評価指標によって、長さの短い注文が誤って優先的にディスパッチされ、全体のピッキング効率を実質的に低下させることを回避することができる。したがって、第3ヒート値成分は、次の式で計算され得る。
【0055】
次に、ステップS14では、注文の総ヒート値を総合的に計算する。一例として、注文の総ヒート値は、例えば次の式で計算され得る。
ここで、上記の総ヒート値の計算方式は例示的なものであり、各ヒート値成分に重みを付与して重み付けして考慮することも考えられる。ここでは、総ヒート値を計算する具体的な式を限定することは意図していない。
【0056】
図3は、本発明による搬送用ロボットのスケジューリング方法の他のステップのフローチャートを示す。図3に示すように、図1の方法ステップS3は、例示的には、様々な要因を追加的に考慮してスケジューリング指令を生成するかを示すために、サブステップS31~S38を含む。
【0057】
ステップS31では、各候補ピッカーのユーザ画像を取得し、候補搬送用ロボットの性能指標を取得する。ここで、候補ピッカー及び候補搬送用ロボットは、特に、ディスパッチ時点でアイドルであるか、又は実行待ちの作業量が飽和していないピッカー又はロボットであると理解される。ユーザデータ画像は、例えば、移動速度、ピッキング速度、平均ピッキング効率、身体状態、現在実行中の残りのタスクの数というピッカーの能力の次元の要約統計を含む。搬送用ロボットの性能指標は、例えば、搬送用ロボットの移動速度、バージョン、知能化レベル、出荷年などを含む。
【0058】
ステップS32では、選択された注文とピッカーの能力次元及び/又はロボットの性能指標とのマッチングを行う。
【0059】
ステップS33では、前記マッチングによって、適切なターゲットピッカー及びターゲット搬送用ロボットを選択する。一例として、例えば、含まれるタスクの数が多く、ゾーンにまたがることが多い注文は、移動速度の速い搬送用ロボット及びピッキング効率の高いピッカーに優先的に割り当てられ、注文の数が少なく、ピッキング場所が集中している注文は、移動速度の遅い搬送用ロボット及びピッカーに割り当てることができる。
【0060】
ステップS34では、例えば、選択された注文がホットゾーン内のタスクであるか、ホットゾーン外のタスクであるかを確認する。
【0061】
ホットゾーン内のタスクである場合、ステップS35において、シミュレーションアルゴリズムにより、ターゲットピッカーがホットゾーン内に既に存在する搬送用ロボットにそれぞれ異なる順序でドッキングした場合に必要となる歩行距離及び/又は搬送用ロボットの待ち時間を予測する。
【0062】
その後、ステップS36では、トラバースされた最適解に基づいて、このターゲットピッカーについて、現在のホットゾーン内の所定のピッキング場所、歩行経路、及び/又はドッキング順序を指定する。
【0063】
ホットゾーン外のタスクである場合、ステップS37において、シミュレーションアルゴリズムにより、ターゲットピッカーを含むピッカー全員の歩行距離及び/又は総待ち時間を予測する。
【0064】
その後、ステップS38では、予測結果に基づいて、ターゲットピッカーのゾーンを跨ぐピッキング経路又はピッキング場所を指定し、ピッキング効率のグローバル最適化を実現する。
【0065】
図4は、本発明による搬送用ロボットのスケジューリング方法の2つのステップのフローチャートを示す。図4に示すように、図1の方法は、例示的には、ステップS3の後に、スケジューリング指令が割り当てられた後に、リアルタイム監視の結果に基づいて、割り当てられたスケジューリング指令がどのように更新されるかを説明ために、サブステップS410~S460をさらに含む。
【0066】
ステップS3においてスケジューリング指令が生成された後、例えば、ステップS410において、各ホットゾーンでのピッキング状況をリアルタイムで反映することができるデータカンバンが提供されてもよい。このようなデータカンバンには、例えば、各作業エリア内のピッキング効率、残注文完了度、輻輳率、各作業エリア内の割り当て済み搬送用ロボットの数、及び/又は搬送用ロボットの数とピッカーの数との比が含まれる。
【0067】
ステップS420では、例えば、上記のデータカンバンが提供する監視結果に基づいて、各ホットゾーン内のタスク量が均衡しているか否かを判定する。
【0068】
注文が偏在している場合、特定の高頻度作業エリアのピッカーは非常に忙しいが、低頻度作業エリアのピッカーは待ち時間が長く、移動距離が長いという状況が生じやすい。したがって、均衡していないと判定した場合、ステップS460においてスケジューリング指令を更新することができる。ここで、例えば、タスク量の多い作業エリアにはピッカーや搬送用ロボットをより多く派遣し、タスクの少ない作業エリア内のピッカーや搬送用ロボットには、作業モード(例えば、非バインディングピッキングモードからバインディングピッキングモード)を調整することができる。
【0069】
タスクの均衡性に問題がない場合、ステップS430に進み、各ホットゾーンでの輻輳率が輻輳閾値を下回るか否かを確認することができる。
【0070】
輻輳率が閾値を上回るホットゾーンがある一方で、輻輳率が閾値を大幅に下回るホットゾーンがある場合、作業エリア内の交通流密度に不均衡が生じる可能性がある。そこで、例えば、ステップS460において、スケジューリング指令を再度更新することができる。一例として、輻輳率の高い作業エリア内の搬送用ロボットのピッキング経路を更新して、他のホットゾーン内のピッキングタスクを優先的に実行するようにしてもよく、また、ホットゾーン外の追加のピッキング場所を現在のホットゾーン内のピッカーに割り当てて、現在のホットゾーンから一時的に離れるようにしてもよく、これにより、現在のホットゾーンの輻輳状況を緩和することができる。
【0071】
輻輳の問題がない場合、ステップS440において、監視結果に基づいて、各ピッカーの作業負荷の程度が均衡であるか否かを判定することもできる。
【0072】
不均衡な作業負荷は、特に、作業効率の低いピッカーや体調の悪いピッカーが、許容範囲を超える作業量を割り当てられており、一方、作業効率の高いピッカーの中には、タスクが飽和していない場合があることを意味する。したがって、この場合も、ステップS460においてスケジューリング指令を更新してもよい。一例として、過負荷の第1ピッカーに割り当てられていた注文又は注文の一部を、負荷が飽和していない第2ピッカーに転送することができ、これにより、作業負荷の程度に関する動的な均衡が達成され、全体としてより高いピッキング効率を達成するのに有利である。
【0073】
監視結果に不均衡が反映されていない場合、ステップS450において、現在のスケジューリング指令をそのままにして、ピッカーや搬送用ロボットに、割り当てられたスケジューリング指令に従ってタスクを実行し続けるように促すことができる。
【0074】
なお、この例示的な実施例は、ステップS420~S440の実行順序を限定することを意図しておらず、並行して又は他の順序で実行されてもよい。
【0075】
図5は、本発明の例示的な一実施例によるホットゾーン形成の概略図である。
【0076】
図5に示すように、倉庫50は、合計A、B、C、D、E、Fの6つの通路を含み、各通路の左右には2列の棚51があり、各列の棚51には10個のピッキング場所52が設けられている。ホットゾーンを形成することを可能にするために、まず、注文プール内の各注文に含まれる貨物のピッキング場所52での統計的分布が必要とされる。そして、この統計的分布を例えば倉庫マップに投影することにより、図5に示す視覚的なヒートマップを生成する。
【0077】
一例として、ホットゾーンを形成する閾値を5に設定してもよい。これは、例えば、1つの通路の両側に少なくとも5つの貨物場所がピッキング対象貨物場所である場合に、その通路がホットゾーンとして定義される。
【0078】
図5に示す実施例では、ピッキング対象貨物場所は暗い色で示されており、通路A~Fが順に5個、1個、0個、7個、3個、及び2個のピッキング対象貨物場所を含んでいることが分かった。このことから、上記のホットゾーンの形成基準に基づいて、通路A及びDがホットゾーンであると判断することができる。
【0079】
別の例として、棚の貨物場所ごとに、初期熱やその貨物場所をトラバースするたびの熱増分を定義することもできる。また、複数の注文の貨物が同じ貨物場所に繰り返し関与する場合、その貨物場所の初期熱は熱増分で累積される。ここでは、特に色の濃淡によって、貨物場所がピッキング対象貨物場所となる回数を表すことができ、これらのピッキング場所に色の濃淡に応じて重み付け点数を割り当てることが考えられ、それによって、ホットゾーンを決定する際に、関連する貨物場所の数だけでなく、貨物場所の繰返し率も考慮することができる。これにより、ホットゾーンのより正確な特定を実現することができる。
【0080】
図6は、本発明によるスケジューリング方法を倉庫に適用する概略図である。
【0081】
本実施例では、通路A’及びC’がホットゾーンとして決定されている。ここでは、各通路内での搬送用ロボット及びピッカーの分布を見ることができる。
【0082】
ここで、第1ホットゾーン(すなわち、通路A’)内には4台の搬送用ロボットと2人のピッカーが存在しており、当該通路内が比較的輻輳していることが分かる。一方、第2ホットゾーン(すなわち、通路C’)は、第1ホットゾーンよりも実作業量が多いが、少ない搬送用ロボット及びピッカーが割り当てられている。また、通路B’には少ない作業量(ピッキング対象貨物場所が1つのみ)が分布しているが、搬送用ロボットやピッカーが全く配置されていないことが分かった。
【0083】
この場合、第1ホットゾーン内のタスク完了状況は、例えば、データカンバンによって確認され得る。一例として、データカンバンによれば、このホットゾーン内の搬送用ロボット601のタスクの残量が少ないことが判明した場合、空きピッカーを経路B’に派遣しつつ、経路A’に配置されていた搬送用ロボット601のピッキング経路を、経路B’におけるピッキングタスクを優先的に完了させるように更新することができる。別の例として、搬送用ロボット602のピッキング対象位置は、データカンバンから、通路C’内のいくつかの貨物場所をさらに含むことが判明したので、通路A’内の輻輳を緩和するために、その搬送用ロボット602が現在のホットゾーンから離れて第2ホットゾーン(すなわち、通路C’)に向かうように、その搬送用ロボット602のピッキング経路も更新することができる。このようにリアルタイムで更新されるスケジューリング方式により、各作業エリア間のタスクの均衡化が実現され、輻輳が緩和される。
【0084】
図7は、本発明の例示的な一実施例によるスケジューリングシステムのブロック図である。
【0085】
図7に示すように、スケジューリングシステム1は、分析モジュール10を含み、分析モジュール10は、倉庫管理システム2に接続され、倉庫管理システム2から注文を受け取ることができる。対応する注文を注文プールに追加した後、分析モジュール10は、予め設定されたピッキング容易度指標に従って、注文プール内の各注文にヒート値を割り当てる。次に、分析モジュール10からこのヒート値情報が選択モジュール20に送信され、そこで、ディスパッチ要求に応答して、予め設定された条件を満たすヒート値を持つ注文が注文プールから選択される。選択モジュール20は、ディスパッチモジュール30にも接続されており、選択された注文に基づいて、ディスパッチモジュール30により、少なくとも1つの搬送用ロボット3及び少なくとも1人のピッカー4に対するスケジューリング指令が生成される。
【0086】
本明細書では、本発明の特定の実施形態が詳細に説明されているが、これらは説明の目的のために示されたものであって、本発明の範囲を限定するものであると考えるべきではない。本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、様々な代替、変更及び修正が想定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-12-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送用ロボット(3)のスケジューリング方法であって、
ピッキング容易度指標に従って、注文プール内の各注文にヒート値を割り当てるステップS1と、
ディスパッチ要求に応答して、予め設定された条件を満たすヒート値を持つ注文を注文プールから選択するステップS2と、
選択された注文に基づいて、少なくとも1つの搬送用ロボット(3)に対するスケジューリング指令を生成するステップS3と、を含む、搬送用ロボット(3)のスケジューリング方法。
【請求項2】
前記ステップS3は、選択された注文に基づいて少なくとも1人のピッカー(4)に対するスケジューリング指令を生成するステップをさらに含む、請求項1に記載のスケジューリング方法。
【請求項3】
前記ピッキング容易度指標は、前記注文プール内の注文内容によって変化しない静的指標と、前記注文プール内の注文内容によって変化する動的指標とを含む、請求項に記載のスケジューリング方法。
【請求項4】
前記ステップS1は、
注文プール内の各注文に含まれる貨物のピッキング場所での統計的分布を求めるステップと、
統計的分布に基づいて一定数のピッキング場所を選別し、前記一定数のピッキング場所を基準として少なくとも1つのエリアをホットゾーンとして外側に拡張するステップと、
各注文の貨物に対応するピッキング場所のホットゾーン内の割合に基づいて前記ヒート値を決定するステップと、を含む、請求項1に記載のスケジューリング方法。
【請求項5】
前記ホットゾーンは、ピッキング場所を含む通路エリアを単位とし、異なるホットゾーンは、特に大きさ及び/又は形状が異なる、請求項4に記載のスケジューリング方法。
【請求項6】
前記統計的分布を倉庫マップに投影して視覚的なヒートマップを生成し、前記ヒートマップから最も色の濃いエリアをホットゾーンとして選択する、請求項に記載のスケジューリング方法。
【請求項7】
前記ステップS1は、注文の貨物に対応するピッキング場所の集まり度合から前記ヒート値を決定するステップを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のスケジューリング方法。
【請求項8】
前記ステップS1は、注文に含まれる貨物の数から前記ヒート値を決定するステップを含む、請求項1~のいずれか1項に記載のスケジューリング方法。
【請求項9】
割り当てられていない注文の総ヒート値が第1閾値を下回る場合、全ての割り当てられていない注文についてピッキング容易度指標、特にホットゾーンを再決定する、及び/又は
割り当てられたが未完了の全ての注文の残りの総ヒート値が第2閾値を下回る場合、未完了の注文をそれぞれ新規の注文として注文プールに戻し、注文プール内の現在の全ての注文について、ピッキング容易度指標、特にホットゾーンを再決定するステップをさらに含む、請求項1~のいずれか1項に記載のスケジューリング方法。
【請求項10】
少なくとも1つの搬送用ロボット及び/又は少なくとも1人のピッカーに前記スケジューリング指令を送信した後、各作業エリア内のピッキング効率、残注文完了度、輻輳率、各作業エリア内の割り当て済み搬送用ロボットの数、及び/又は搬送用ロボットの数とピッカーの数との比をリアルタイムで監視し、監視結果に基づいて、少なくとも1つの搬送用ロボット及び/又は少なくとも1人のピッカーに対するスケジューリング指令を更新するステップをさらに含む、請求項2に記載のスケジューリング方法。
【請求項11】
少なくとも1つの搬送用ロボットに対するスケジューリング指令を更新することは、ピッキング経路を更新することと、を含み、及び/又は
少なくとも1人のピッカーに対するスケジューリング指令を更新することは、少なくとも1人のピッカーが現在の作業エリアから離れるように指示することを含む、請求項10に記載のスケジューリング方法。
【請求項12】
前記ステップS2は、
注文プール内の注文をヒート値の大きさでソートし、ディスパッチ要求に応答してヒート値の最も大きい注文を選択するステップを含む、請求項1~のいずれか1項に記載のスケジューリング方法。
【請求項13】
前記ステップS3は、
選択された注文に対応するピッキングリスト及びホットゾーンの情報を、少なくとも1人のピッカーのハンドヘルド通信装置に送信し、前記少なくとも1人のピッカーがホットゾーンに向かい、ホットゾーンでピッキングを行うように案内するステップを含む、請求項4に記載のスケジューリング方法。
【請求項14】
前記ステップS3は、
追加的に、予測された個々のピッカーの歩行距離及び/又は待ち時間に基づいて、少なくとも1人のピッカーのために、現在のホットゾーン内の所定のピッキング場所への移動、現在のホットゾーン内の歩行経路、及び/又は現在のホットゾーン内の搬送用ロボットとのドッキング順序を指定し、及び/又は、
追加的に、予測されたピッカー全員の歩行距離及び/又は総待ち時間に基づいて、既に現在のホットゾーン内にいる少なくとも1人の別のピッカーを指定して、現在のホットゾーン外の所定のピッキング場所に向かうようにするステップを含む、請求項13に記載のスケジューリング方法。
【請求項15】
前記ステップS3は、
追加的に、少なくとも1つの搬送用ロボットの移動速度、少なくとも1人のピッカーのピッキング速度及び/又は移動速度、少なくとも1人のピッカーの及び/又は少なくとも1つの作業エリアの残りのピッキングタスク数に基づいて、特に搬送用ロボット及び/又はピッカーの次のピッキング場所を指示することを含むスケジューリング指令を生成するステップを含む、請求項1~のいずれか1項に記載のスケジューリング方法。
【請求項16】
前記スケジューリング指令はピッキングモードを割り当てることを含み、特定の作業エリア、特にホットゾーン内の搬送用ロボット及びピッカーに対して非バインディングピッキングモードを割り当て、特定の作業エリア、特にホットゾーン外の搬送用ロボット及びピッカーに対してバインディングピッキングモードを割り当てる、請求項1~のいずれか1項に記載のスケジューリング方法。
【請求項17】
請求項1~のいずれか1項に記載のスケジューリング方法を実行するためのスケジューリングシステム(1)であって、
ピッキング容易度指標に従って、注文プール内の各注文にヒート値を割り当てるように構成された分析モジュール(10)と、
ディスパッチ要求に応答して、予め設定された条件を満たすヒート値を持つ注文を注文プールから選択するように構成された選択モジュール(20)と、
選択された注文に基づいて、少なくとも1つの搬送用ロボット(3)に対するスケジューリング指令を生成するように構成されたディスパッチモジュール(30)と、を含む、スケジューリングシステム(1)。
【請求項18】
コンピュータによって実行されると、請求項1~のいずれか1項に記載のスケジューリング方法を実施するコンピュータプログラムを含む、コンピュータプログラム製品。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1
【国際調査報告】