(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-25
(54)【発明の名称】生体試料分析のためのデバイスのための制御範囲
(51)【国際特許分類】
G16H 40/40 20180101AFI20240718BHJP
A61B 5/145 20060101ALI20240718BHJP
G16H 10/40 20180101ALI20240718BHJP
【FI】
G16H40/40
A61B5/145
G16H10/40
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580650
(86)(22)【出願日】2022-06-15
(85)【翻訳文提出日】2024-02-28
(86)【国際出願番号】 EP2022066376
(87)【国際公開番号】W WO2023274732
(87)【国際公開日】2023-01-05
(32)【優先日】2021-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】500554782
【氏名又は名称】ラジオメーター・メディカル・アー・ペー・エス
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100173565
【氏名又は名称】末松 亮太
(74)【代理人】
【識別番号】100195408
【氏名又は名称】武藤 陽子
(72)【発明者】
【氏名】ダマニ,ルチ・ブペンドラ
【テーマコード(参考)】
4C038
5L099
【Fターム(参考)】
4C038KK01
4C038KK04
4C038KK05
4C038KK07
4C038KK08
4C038KK10
4C038KL05
4C038KL07
4C038KL09
4C038KX01
5L099AA04
(57)【要約】
複数の遠隔医用分析装置デバイスのための制御範囲を確立するための中央システムによって実施されるコンピュータ実装の方法が開示される。本方法は、複数の医用分析装置デバイスによって既定のQC試料のセットに対して実施される複数の品質管理(QC)測定と関連付けられた複数の測定結果を獲得するステップを含む。各QC試料は、既定の標的範囲と関連付けられ、各医用分析装置デバイスは、医用分析装置デバイスのピアグループと関連付けられる。本方法は、複数のピアグループのうちの各ピアグループについて、関連付けられた標的範囲を考慮してピアグループの複数の測定結果を処理することによって、各既定のQC試料のためのピア制御範囲を決定するステップをさらに含む。さらには、本方法は、各医用分析装置デバイスについて、関連付けられたピアグループの決定したピア制御範囲に基づいて各既定のQC試料のための制御範囲を決定するステップを含む。本方法は、少なくとも1つの医用分析装置デバイスを管理するためのデバイスに、少なくとも1つの医用分析装置デバイスについての既定のQC試料のセットのための決定した制御範囲を示すデータを伝送するステップをさらに含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の遠隔医用分析装置デバイスのための制御範囲を確立するための中央システムによって実施されるコンピュータ実装の方法(S100)であって、
複数の医用分析装置デバイスによって既定のQC試料のセットに対して実施される複数の品質管理(QC)測定と関連付けられた複数の測定結果を獲得するステップ(S101)であって、各QC試料は、既定の標的範囲と関連付けられ、各医用分析装置デバイスは、医用分析装置デバイスのピアグループと関連付けられる、ステップ(S101)と、
複数のピアグループのうちの各ピアグループについて、前記関連付けられた標的範囲を考慮して前記ピアグループの前記複数の測定結果を処理するステップ(S106)によって、各既定のQC試料のためのピア制御範囲を決定するステップ(S102)と、
各医用分析装置デバイスについて、前記関連付けられたピアグループの前記決定した(S102)ピア制御範囲に基づいて、各既定のQC試料のための制御範囲を決定するステップ(S103)と、
少なくとも1つの医用分析装置デバイスを管理するためのデバイスに、前記少なくとも1つの医用分析装置デバイスについての前記既定のQC試料のセットのための前記決定した(S103)制御範囲を示すデータを伝送するステップ(S104)と、を含む、方法(S100)。
【請求項2】
前記関連付けられた標的範囲を考慮して前記複数の測定結果を処理するステップ(S106)は、
測定結果のフィルタリングされたセットを形成するために、しきい値を上回る差分値を有する任意の測定結果を破棄するステップ(S107)を含み、前記差分値は、前記測定結果と対応する既定の標的範囲との差を規定する、請求項1に記載の方法(S100)。
【請求項3】
前記関連付けられた標的値を考慮して前記複数の測定結果を処理するステップ(S106)は、
各ピアグループについて、前記測定結果のフィルタリングされたセットの統計関数に基づいて前記ピア制御範囲を決定するステップをさらに含む、請求項2に記載の方法(S100)。
【請求項4】
各ピアグループについて、前記測定結果のフィルタリングされたセットの統計関数に基づいて前記ピア制御範囲を決定するステップは、
各ピアグループについて、前記既定のQC試料のセットの各QC試料の平均測定値を決定するステップ(S108)と、
各ピアグループについて、前記決定した平均測定値および少なくとも1つの標準偏差値に基づいて各QC試料のための前記ピア制御範囲を決定するステップ(S110)と、を含む、請求項3に記載の方法(S100)。
【請求項5】
各ピアグループについて前記平均測定値を決定するステップは、
各ピアグループについて、規定の長さを有する直近の期間にわたる各QC試料の移動平均値を決定するステップ(S109)を含む、請求項4に記載の方法(S100)。
【請求項6】
対応する分析装置タイプおよび対応するQC製品タイプを有する前記医用分析装置デバイスが同じピアグループに属するように、各医用分析装置デバイスについて、各医用分析装置デバイスの分析装置タイプおよびQC製品タイプに基づいて複数のピアグループのうちの関連付けられたピアグループを決定するステップ(S105)をさらに含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法(S100)。
【請求項7】
各医用分析装置デバイスについて、各既定のQC試料のための前記制御範囲を決定するステップ(S103)は、
各対応するピア制御範囲、前記対応するピア制御範囲を決定するために使用される測定試料の数、および前記関連付けられたピアグループに含まれる医用分析装置デバイスの数に基づいて、各制御範囲を計算するステップ(S103)を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法(S100)。
【請求項8】
処理システムの1つまたは複数のプロセッサによって実行されるように構成される1つまたは複数のプログラムを記憶するコンピュータ可読記憶媒体であって、前記1つまたは複数のプログラムは、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法を実施するための命令を含む、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項9】
複数の遠隔医用分析装置デバイス(110)のための制御範囲を確立するための装置(201)であって、前記デバイスは、制御回路(202)を備え、前記制御回路(202)は、
複数の医用分析装置デバイス(110)によって既定のQC試料のセットに対して実施される複数の測定と関連付けられた複数の測定結果を獲得することであって、各QC試料は、既定の標的範囲と関連付けられ、各医用分析装置デバイスは、医用分析装置デバイスのピアグループと関連付けられる、獲得することと、
各ピアグループについて、前記関連付けられた標的範囲を考慮して前記ピアグループの前記複数の測定結果を処理することによって、各既定のQC試料のためのピア制御範囲を決定することと、
各医用分析装置デバイスについて、前記関連付けられたピアグループの前記決定したピア制御範囲に基づいて各既定のQC試料のための制御範囲を決定することと、
少なくとも1つの医用分析装置デバイス(110)を管理するためのデバイスに、前記少なくとも1つの医用分析装置デバイスについての前記既定のQC試料のセットのための前記決定した制御範囲を示すデータを伝送することと、
をするように構成される、装置(201)。
【請求項10】
前記医用分析装置デバイスを管理するための前記デバイスは、前記デバイスに接続される1つまたは複数の医用分析装置デバイスを監視および制御するように構成される、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記医用分析装置デバイスを管理するための前記デバイスは、1つまたは複数の医用分析装置デバイスを含む地理的場所と関連付けられる、請求項9または10に記載の装置。
【請求項12】
請求項9~11のいずれか1項に記載の装置を備える、遠隔サーバ。
【請求項13】
請求項12に記載の1つまたは複数の遠隔サーバを備える、クラウド環境。
【請求項14】
複数の医用分析装置デバイス(110)を管理するためのデバイス(101)であって、前記デバイスは、制御回路(102)を備え、前記制御回路(102)は、
前記複数の医用分析装置デバイス(110)によって既定のQC試料のセットに対して実施される複数のQC測定と関連付けられた複数の測定結果を獲得することであって、各QC試料は、既定の標的範囲と関連付けられ、各医用分析装置デバイスは、医用分析装置デバイスのピアグループと関連付けられる、獲得することと、
中央エージェント(201)に、前記獲得した複数の測定結果を示すデータを伝送することと、
前記中央エージェント(201)から、前記複数の医用分析装置デバイス(110)と関連付けられた1つまたは複数のピアグループについての前記既定のQC試料のセットのための制御範囲のセットを示すデータを受信することと、
各医用分析装置デバイス(110)について、前記受信した制御範囲のセットに基づいて、前記既定のQC試料のセットのための制御範囲を構成することと、
をするように構成される、デバイス(101)。
【請求項15】
複数の医用分析装置デバイス(110)のための制御範囲を確立するためのシステム(10)であって、
請求項9~13のいずれか1項に記載の装置(201)と、
請求項14に記載のデバイス(101)と、を備える、システム(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、臨床分析の分野、および生体試料を分析するように構成されるデバイスに関する。特に、本開示は、そのようなデバイスのための品質管理(QC)プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
臨床分析の分野では、医療従事者が試験結果および/もしくは測定結果を獲得すること、または体液の試料などの被検査物を別途分析することを可能にする多種多様な電子医用分析装置が知られている。これらの分析は、例えば、全血、血清、血漿、および尿の個別試料、組織試料、または患者から獲得される他のタイプの試料に対する生体外測定を含む。さらに、分析は、例えば、酸素(pO2)および/または二酸化炭素(pCO2)の分圧の経皮測定、ならびにまた、パルスオキシメトリ測定など、試料流に対する生体内測定を含む。一般的に、医用分析装置は、被検査物に対して、例えば、個別試料または試料流に対して、化学分析、光学分析、物理分析、または同様の分析を行うように構成されるデバイスである。そのような医用分析装置は、患者の生理的パラメータの測定など、様々な形態の臨床試験および/または分析を実施するための分析装置を含む。現代の臨床環境において、医用分析装置は広く使用されており、ますます多くの試験を中央検査室から実際のポイントオブケア(POC)へ移す傾向がある。
【0003】
さらに、現代の医用分析装置は、定期的な品質管理(QC)を必要とし、これは、患者結果をもたらす分析プロセスを監視および評価するために使用されるプロセスと理解され得る。QC目的のために医用分析装置の機能性を試験する技術は多数存在する。しかしながら、慣習は、周期的なQCプログラム/プロセスを実施することであり、そこでは、既知の標準試料のセット(制御物質、QC被検査物、またはQC試料とも称され得る)に対して測定が実施され、これらの標準試料は各々、測定結果が各QC試料について許容値の既定の範囲内に入ることを検証するために、予め決められた特徴を有する。これらの既定の範囲は、多くの場合、制御範囲と称される。
【0004】
現在、これらの制御範囲は、製造業者から(多くの場合、製造業者範囲と称される)、または周期的な内部試験から、のいずれかから獲得される。製造業者範囲における問題は、それらが多くの場合比較的広く、したがって、製造業者範囲に基づく、デバイスの正確性を試験するためのQCプログラム/プロセスは、疑わしい信頼性を有し得るということである。したがって、多くの施設は、上記の製造業者範囲よりも狭い範囲を獲得するために制御範囲を設定するため、施設のQCプログラムの一部として内部試験を採用する。
【0005】
しかしながら、各研究室のQCプログラムの一部として内部試験によって設定される制御範囲における問題は、これらのプロセスが時間のかかるものであり、手続き的に非効率的であるということである。より詳細には、制御範囲を確立するためのそのような内部試験プロセスは、研究室または医療従事者から貴重な時間を必要とするだけでなく、分析装置がその時間の間、使用不可能にされるということを結果的にもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
故に、上で論じた問題の少なくともいくつかを解決するか、または少なくとも軽減する、医用分析装置のための制御範囲を確立するための新規のソリューションが当該技術分野において必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
用語「備える/備えること」(「含む/含むこと」によって置き換え可能)は、本明細書において使用されるとき、記載した特徴、整数、ステップ、または構成要素の存在を指定するものと取られるが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、構成要素、またはそれらのグループの存在または追加を除外しないということを強調したい。本明細書で使用される場合、単数形「a(1つの)」、「an(1つの)」、および「the(その)」は、文脈が別途明示的に示さない限り、複数形も含むことが意図される。
【0008】
概して、装置またはデバイスが本明細書内で言及される場合、それは、物理的製品として理解されるものとする。物理的製品は、1つもしくは複数のコントローラ、1つもしくは複数のプロセッサ、または同様のものの形態にある制御回路など、1つまたは複数の部品を備え得る。
【0009】
いくつかの実施形態の目的は、上または他の欠点のうちの少なくともいくつかを解決もしくは軽減すること、緩和すること、または除去することである。
第1の態様は、複数の遠隔医用分析装置デバイスのための制御範囲を確立するための中央システムによって実施されるコンピュータ実装の方法である。本方法は、複数の医用分析装置デバイスによって既定のQC試料のセットに対して実施される複数の品質管理(QC)測定と関連付けられた複数の測定結果を獲得するステップを含む。各QC試料は、既定の標的範囲と関連付けられ、各医用分析装置デバイスは、医用分析装置デバイスのピアグループと関連付けられる。本方法は、複数のピアグループのうちの各ピアグループについて、関連付けられた標的範囲を考慮してピアグループの複数の測定結果を処理することによって、各既定のQC試料のためのピア制御範囲を決定するステップをさらに含む。さらには、本方法は、各医用分析装置デバイスについて、関連付けられたピアグループの決定したピア制御範囲に基づいて各既定のQC試料のための制御範囲を決定するステップを含む。本方法は、少なくとも1つの医用分析装置デバイスを管理するためのデバイスに、少なくとも1つの医用分析装置デバイスについての既定のQC試料のセットのための決定した制御範囲を示すデータを伝送するステップをさらに含む。
【0010】
いくつかの実施形態において、関連付けられた標的範囲を考慮して複数の測定結果を処理することは、測定結果のフィルタリングされたセットを形成するために、しきい値を上回る差分値を有する任意の測定結果を破棄することを含む。差分値は、測定結果と対応する既定の標的範囲との差を規定する。
【0011】
いくつかの実施形態において、関連付けられた標的範囲を考慮して複数の測定結果を処理することは、各ピアグループについて、測定結果のフィルタリングされたセットの統計関数に基づいてピア制御範囲を決定することをさらに含む。
【0012】
いくつかの実施形態において、各ピアグループについて、測定結果のフィルタリングされたセットの統計関数に基づいてピア制御範囲を決定するステップは、各ピアグループについて、既定のQC試料のセットの各QC試料の平均測定値を決定することと、各ピアグループについて、決定した平均測定値および少なくとも1つの標準偏差値に基づいて各QC試料のためのピア制御範囲を決定することと、を含む。
【0013】
いくつかの実施形態において、各ピアグループについて平均測定値を決定するステップは、各ピアグループについて、規定の長さを有する直近の期間にわたる各QC試料の移動平均値を決定することを含む。
【0014】
いくつかの実施形態において、本方法は、対応する分析装置タイプおよび対応するQC製品タイプを有する医用分析装置デバイスが同じピアグループに属するように、各医用分析装置デバイスについて、各医用分析装置デバイスの分析装置タイプおよびQC製品タイプに基づいて複数のピアグループのうちの関連付けられたピアグループを決定するステップをさらに含む。
【0015】
いくつかの実施形態において、各医用分析装置デバイスについて、各既定のQC試料のための制御範囲を決定するステップは、各対応するピア制御範囲、対応するピア制御範囲を決定するために使用される測定試料の数、および関連付けられたピアグループに含まれる医用分析装置デバイスの数に基づいて、各制御範囲を計算することを含む。
【0016】
さらに、第2の態様は、処理システムの1つまたは複数のプロセッサによって実行されるように構成される1つまたは複数のプログラムを記憶する(非一時的な)コンピュータ可読記憶媒体であり、1つまたは複数のプログラムは、本明細書に開示される実施形態の任意の1つによる方法を実施するための命令を含む。この態様では、以前に論じた第1の態様にあるものと同様の利点および好ましい特徴が存在する。
【0017】
用語「非一時的な」は、本明細書で使用される場合、伝播する電磁信号を除くコンピュータ可読記憶媒体(または「メモリ」)を説明することが意図されるが、フレーズコンピュータ可読媒体またはメモリによって包含される物理的なコンピュータ可読ストレージデバイスのタイプを別途制限することは意図されない。例えば、用語「非一時的なコンピュータ可読媒体」または「有形メモリ」は、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)を含む、情報を必ずしも永久に記憶しないストレージデバイスのタイプを包含することが意図される。非一時的な形態で有形のコンピュータアクセス可能な記憶媒体に記憶されるプログラム命令およびデータは、さらに、ネットワークおよび/またはワイヤレスリンクなどの通信媒体を介して伝達され得る電気信号、電磁信号、またはデジタル信号など、伝送媒体または信号によって伝送され得る。故に、用語「非一時的な」は、本明細書で使用される場合、データ記憶持続性(例えば、RAM対ROM)に対する制限に対立するものとして、媒体自体の制限である(すなわち、有形であり、信号ではない)。
【0018】
第3の態様は、複数の遠隔医用分析装置デバイスのための制御範囲を確立するための装置であり、該デバイスは、複数の医用分析装置デバイスによって既定のQC試料のセットに対して実施される複数の測定と関連付けられた複数の測定結果を獲得するように構成される制御回路を備える。各QC試料は、既定の標的範囲と関連付けられ、各医用分析装置デバイスは、医用分析装置デバイスのピアグループと関連付けられる。制御回路は、各ピアグループについて、関連付けられた標的範囲を考慮してピアグループの複数の測定結果を処理することによって、各既定のQC試料のためのピア制御範囲を決定するようにさらに構成される。さらには、制御回路は、各医用分析装置デバイスについて、関連付けられたピアグループの決定したピア制御範囲に基づいて各既定のQC試料のための制御範囲を決定するように構成される。制御回路は、少なくとも1つの医用分析装置デバイスを管理するためのデバイスに、少なくとも1つの医用分析装置デバイスについての既定のQC試料のセットのための決定した制御範囲を示すデータを伝送するようにさらに構成される。この態様では、以前に論じた態様にあるものと同様の利点および好ましい特徴が存在し、その逆もまた然りである。
【0019】
いくつかの実施形態において、医用分析装置デバイスを管理するためのデバイスは、デバイスに接続される1つまたは複数の医用分析装置デバイスを監視および制御するように構成される。
【0020】
いくつかの実施形態において、医用分析装置デバイスを管理するためのデバイスは、1つまたは複数の医用分析装置デバイスを含む地理的場所と関連付けられる。
いくつかの実施形態において、制御回路は、測定結果のフィルタリングされたセットを形成するために、しきい値を上回る差分値を有する任意の測定結果を破棄するようにさらに構成される。差分値は、測定結果と対応する既定の標的範囲との差を規定する。
【0021】
いくつかの実施形態において、制御回路は、各ピアグループについて、測定結果のフィルタリングされたセットの統計関数に基づいてピア制御範囲を決定するようにさらに構成される。
【0022】
いくつかの実施形態において、制御回路は、各ピアグループについて、既定のQC試料のセットの各QC試料の平均測定値を決定するように、および各ピアグループについて、決定した平均測定値および少なくとも1つの標準偏差値に基づいて各QC試料のためのピア制御範囲を決定するようにさらに構成される。
【0023】
いくつかの実施形態において、制御回路は、各ピアグループについて、規定の長さを有する直近の期間にわたる各QC試料の移動平均値を決定するようにさらに構成される。
いくつかの実施形態において、制御回路は、対応する分析装置タイプおよび対応するQC製品タイプを有する医用分析装置デバイスが同じピアグループに属するように、各医用分析装置デバイスについて、各医用分析装置デバイスの分析装置タイプおよびQC製品タイプに基づいて複数のピアグループのうちの関連付けられたピアグループを決定するようにさらに構成される。
【0024】
いくつかの実施形態において、制御回路は、各対応するピア制御範囲、対応するピア制御範囲を決定するために使用される測定試料の数、および関連付けられたピアグループに含まれる医用分析装置デバイスの数に基づいて、各制御範囲を計算するようにさらに構成される。
【0025】
第4の態様は、本明細書に開示される第3の態様の実施形態のいずれか1つによる装置を備える遠隔サーバである。この態様では、以前に論じた態様にあるものと同様の利点および好ましい特徴が存在し、その逆もまた然りである。
【0026】
第5の態様は、本明細書に開示される第4の態様の実施形態のいずれか1つによる1つまたは複数の遠隔サーバを備えるクラウド環境である。この態様では、以前に論じた態様にあるものと同様の利点および好ましい特徴が存在し、その逆もまた然りである。
【0027】
第6の態様は、複数の医用分析装置デバイスを管理するためのデバイスである。本装置は、複数の医用分析装置デバイスによって既定のQC試料のセットに対して実施される複数のQC測定と関連付けられた複数の測定結果を獲得するように構成される制御回路を備える。各QC試料は、既定の標的範囲と関連付けられ、各医用分析装置デバイスは、医用分析装置デバイスのピアグループと関連付けられる。制御回路は、中央エージェント(例えば、第6の態様による装置)に、獲得した複数の測定結果を示すデータを伝送するようにさらに構成される。さらには、制御回路は、中央エージェントから、複数の医用分析装置デバイスと関連付けられた1つまたは複数のピアグループについての既定のQC試料のセットのための制御範囲のセットを示すデータを受信するように構成される。制御回路は、各医用分析装置デバイスについて、受信した制御範囲のセットに基づいて、既定のQC試料のセットのための制御範囲を構成するようにさらに構成される。
【0028】
第7の態様は、複数の医用分析装置デバイスのための制御範囲を確立するためのシステムである。本システムは、第3の態様の実施形態のいずれか1つによる装置、および第6の態様の実施形態のうちのいずれか1つによるデバイスを備える。
【0029】
いくつかの実施形態の利点は、医用分析装置デバイスに、より時間効率が高くかつリソース効率の高い様式で、狭くかつ精密な制御範囲が設けられ得ることである。
いくつかの実施形態の利点は、逸脱する医用分析装置デバイスの検出が促進されることである。
【0030】
いくつかの実施形態の利点は、効果的な制御範囲が直ちに利用可能にされ得るため、新規の医用分析装置デバイスの初期化/設置が促進されることである。
さらにいくつかの実施形態の利点は、医用分析装置デバイスのグループ内の制御範囲の監視が促進されることである。
【0031】
さらにいくつかの実施形態の利点は、医用分析装置デバイスのグループ内の制御範囲の監視が、わずかにでも逸脱する医用分析装置デバイスの検出を促進することである。
さらにいくつかの実施形態の利点は、医用分析装置デバイスのグループ内の制御範囲の監視が、狭くかつ精密な制御範囲の提供を促進することである。
【0032】
本明細書に説明される実施形態のこれらのおよび他の特徴および利点は、以後説明される実施形態を参照して、以下においてさらに明確にされる。
いくつかの実施形態のさらなる目的、特徴、および利点は、添付の図面を参照して、以下の発明を実施する形態から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】いくつかの実施形態による、複数の遠隔医用分析装置デバイスのための制御範囲を確立するための中央システムによって実施されるコンピュータ実装の方法の概略フローチャート図である。
【
図2】いくつかの実施形態による、複数の遠隔医用分析装置デバイスのための制御範囲を確立するための装置を有するシステムの概略ブロック図である。
【
図3】いくつかの実施形態による、複数の遠隔医用分析装置デバイスのための制御範囲を確立するための装置を有するシステムの概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
当業者は、本明細書に説明されるステップ、サービス、および機能が、個別のハードウェア回路を使用して、プログラムされたマイクロプロセッサもしくは汎用コンピュータと連動して機能するソフトウェアを使用して、1つもしくは複数の特定用途向け集積回路(ASIC)を使用して、および/または1つもしくは複数のデジタル信号プロセッサ(DSP)を使用して実施され得るということを理解するものとする。実施形態が方法に関して説明されるとき、それはまた、1つまたは複数のプロセッサ、および1つまたは複数のプロセッサに結合される1つまたは複数のメモリにおいて具現化され得ることも理解されたく、1つまたは複数のメモリは、1つまたは複数のプロセッサによって実行されるとき本明細書に開示されるステップ、サービス、および機能を実施する1つまたは複数のプログラムを記憶する。
【0035】
本開示の実施形態は、添付の図面を参照して以後より完全に説明および例示されるものとする。しかしながら、本明細書に開示されるソリューションは、多くの異なる形態で実現され得、本明細書に明記される実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない。
【0036】
以下において、実施形態は、好適な制御範囲を計算するためにピアグループデータを利用することにより、複数の分散型医用分析装置デバイスのための狭くかつ効率的な制御範囲を確立することについて説明される。
【0037】
概して、医用分析装置デバイスが本明細書内で言及されるとき、それは、被検査物に対して、例えば、個別試料または試料流に対して、化学分析、光学分析、物理分析、または同様の分析を行うように構成されるデバイスと理解され得る。そのような医用分析装置デバイスは、患者の生理的パラメータの測定など、様々な形態の臨床試験および/または分析を実施するための分析装置を含む。
【0038】
概して、「1つまたは複数の医用分析装置デバイスを管理するためのデバイス」が本明細書内で言及されるとき、それは、1つまたは複数の医用分析装置デバイスを備える病院または施設と関連付けられたデバイスと理解され得る。しかしながら、1つまたは複数の医用分析装置デバイスは、いくつかの地理的場所に分散され得、故に、「1つまたは複数の医用分析装置デバイスを管理するためのデバイス」はまた、もう1つの医用分析装置デバイスを備える複数の病院または施設と関連付けられ得る。「1つまたは複数の医用分析装置デバイスを管理するためのデバイス」は、1つもしくは複数の医用分析装置デバイスの概観を保つ、または1つもしくは複数の医用分析装置デバイスの状態および動作を監視するように構成される。さらには、「1つまたは複数の医用分析装置デバイスを管理するためのデバイス」は、それと関連付けられた医用分析装置デバイスにデータ(例えば、命令)を伝送するように構成される。
【0039】
図1は、複数の遠隔医用分析装置デバイスのための制御範囲を確立するための中央システム(中央エージェント)によって実施されるコンピュータ実装の方法S100の概略フローチャート図である。制御範囲は、品質管理(QC)パラメータが入るべき範囲と理解され得る。制御範囲は、特定のQC測定パラメータに特有であり、各測定パラメータは、特定のQC試料(QC標本またはQC液としても知られ得る)と関連付けられる。
【0040】
QC測定パラメータのいくつかの例としては、pH(試料のアルカリ性の酸性の尺度)、pCO2(血中の二酸化炭素の分圧(または張力))、pO2(血中の酸素の分圧(または張力))、ctHb(血中の総ヘモグロビンの濃度)、sO2(酸素飽和度)、FO2Hb(血中の総ヘモグロビンにおける酸素ヘモグロビンの割合)、FCOHb(血中の総ヘモグロビンにおける一酸化炭素ヘモグロビンの割合)、FMetHb(血中の総ヘモグロビンにおけるメトヘモグロビンの割合)、cNa+(血漿中のナトリウムイオンの濃度)、cGlu(血漿中のD-グルコースの濃度)が挙げられるが、これらに限定されない。このリストは、徹底的と解釈されるべきではなく、当業者により容易に理解されるさらなる測定パラメータを含み得る。
【0041】
続いて、本方法は、複数の医用分析装置デバイスによって既定のQC試料のセットに対して実施される複数のQC測定と関連付けられた複数の測定結果を獲得するステップS101を含む。各QC試料は、既定の標的範囲と関連付けられ、各医用分析装置デバイスは、医用分析装置デバイスのピアグループと関連付けられる。より詳細には、QC試料は、医用分析装置デバイスがその動作正確性を検証するためにQC試料に対して測定を実施するとき、結果内の測定結果が関連品質要件を満たすために入らなければならない関連標的範囲(例えば、標的値±公差値)が存在するように、注意深く制御される測定可能な性質を有する物質または試料と理解され得る。標的範囲は、例えば、QC試料の製造業者または販売業者によって設定され得る。獲得するという用語は、本明細書では、幅広く解釈されるべきであり、受信すること、取得すること、収集すること、得ること、決定すること、導出することなどを包含する。
【0042】
本方法は、複数のピアグループのうちの各ピアグループについて、関連付けられた標的範囲を考慮してピアグループの獲得S101した複数の測定結果を処理することS106によって、各既定のQC試料のためのピア制御範囲を決定するステップをさらに含む。
【0043】
一般に、医用分析装置デバイスのピアグループは、本明細書内で言及される場合、いくつかの特定の共通特徴を共有する医用分析装置デバイスのグループと理解され得る。例えば、医用分析装置デバイスのピアグループは、同じタイプ(例えば、同じモデル)の医用分析装置デバイス、および/または同じQC製品タイプを有する(すなわち、同じ供給源から生じるQC試料を使用する)医用分析装置デバイスと規定され得る。さらには、ピアグループは、地理的制約をさらに含み得る-例えば、医用分析装置デバイスが同じタイプのものであるとしても、それらが異なる国と関連付けられる(例えば、異なる国に存在する)場合、それらは、必ずしも同じピアグループに属する必要はない。
【0044】
故に、いくつかの実施形態において、方法S100は、複数の医用分析装置デバイスの各々から医用分析装置タイプおよび/またはQC製品タイプを示すデータを獲得するステップをさらに含み得る。データは、例えば、測定結果と一緒にメタデータとして伝送され得る。したがって、いくつかの実施形態において、方法S100は、対応する分析装置タイプおよび対応するQC製品タイプを有する医用分析装置デバイスが同じピアグループに属するように、各医用分析装置デバイスについて、各医用分析装置デバイスの分析装置タイプおよびQC製品タイプに基づいて複数のピアグループのうちの関連付けられたピアグループを決定するステップS105をさらに含む。
【0045】
一般に、「ピアグループの測定結果」は、ピアグループからの以前に獲得した測定結果、すなわち、1つまたは複数の以前に獲得した測定結果と理解され得る。いくつかの実施形態において、「ピアグループの測定結果」は、関連付けられたピアグループの各QC測定のための平均測定結果を含む。さらには、いくつかの実施形態において、「関連付けられたピアグループの測定結果」は、ピアグループの各QC測定のための移動平均測定結果を含む。
【0046】
さらに、測定結果の処理S106を参照すると、いくつかの実施形態において、獲得した測定結果の処理S106は、測定結果のフィルタリングされたセットを形成するために、しきい値を上回る差分値を有する任意の測定結果を破棄/フィルタリングすることS107を含み、差分値は、測定結果と対応する既定の標的範囲との差を規定する。以て、測定結果内の統計学的異常値は除去され得、決定した制御範囲の信頼性が増加され得る。
【0047】
さらには、いくつかの実施形態において、複数の測定結果の処理S106は、各ピアグループについて、測定結果のフィルタリングされたセットの少なくとも1つの統計関数に基づいてピア制御範囲を決定することをさらに含む。少なくとも1つの統計関数は、例えば、測定結果の「平均値関数」、すなわち、関数の出力が測定結果の平均値(average value)(meanとも称され得る)である関数を含み得る。統計関数は、「中央値関数」、すなわち、関数の出力が測定結果の中央値である関数を含み得る。統計関数は、「標準偏差関数」、すなわち、関数の出力が測定結果の標準偏差である関数を含み得る。
【0048】
故に、いくつかの実施形態において、各ピアグループについて、測定結果のフィルタリングされたセットの統計関数に基づいてピア制御範囲を決定するステップは、各ピアグループについて、既定のQC試料のセットの各QC試料の平均測定値を決定することS108、ならびに各ピアグループについて、決定した平均測定値および少なくとも1つの標準偏差値に基づいて各QC試料のためのピア制御範囲を決定することS110を含む。
【0049】
さらには、いくつかの実施形態において、各ピアグループについて平均測定値を決定することは、各ピアグループについて、規定の長さを有する直近の期間(例えば、2~12か月)にわたる各QC試料の移動平均値を決定することS109を含む。言い換えると、平均測定値は、6か月移動平均、5か月移動平均、または任意の他の好適な長さなど、移動平均値であり得る。
【0050】
続いて、ピア制御範囲が一旦決定されるとS102、方法S100は、各医用分析装置デバイスについて、決定S102したピア制御範囲に基づいて各既定のQC試料のための制御範囲を決定するステップS103をさらに含む。より詳細には、制御範囲の決定S103は、各対応するピア制御範囲、対応するピア制御範囲を決定するために使用される測定試料の数、および関連付けられたピアグループに含まれる医用分析装置デバイスの数に基づいて、各制御範囲を計算することS103を含み得る。
【0051】
したがって、S103における計算された制御範囲は、製造業者範囲よりも狭くかつより効率的であるカスタマイズされた制御範囲である。さらに、方法S100は、少なくとも1つの医用分析装置デバイスを管理するためのデバイスに、少なくとも1つの医用分析装置デバイスについての既定のQC試料のセットのための決定S103した制御範囲を示すデータを伝送するステップS104を含む。故に、各医用分析装置デバイスには、医用分析装置デバイスの関連付けられたピアグループのピア制御範囲に基づく一元的に計算された制御範囲が設けられる。
【0052】
したがって、医用分析装置デバイスには、時間のかかる内部試験をQCプログラムの一部として行うことを医用分析装置デバイスに要求せずに、望ましい狭い制御範囲が設けられる。さらには、本明細書に提供されるような制御範囲は、計算された制御範囲に冗長性および信頼性を提供するピア制御範囲(いくつかの「ピア」デバイスからの測定結果に基づく)に基づく。
【0053】
代替的または追加的に、本明細書に提供されるような制御範囲は、自己学習モデル、ならびに分析装置および測定結果から獲得されるデータに基づき、分析装置および測定結果からのデータは、モデルに継続して追加され得、モデルは、カスタマイズされた制御範囲が計算され得るように訓練される。
【0054】
したがって、制御範囲は、自己学習モデル、ならびに分析装置および測定結果から獲得されるデータに基づいて継続して再確立およびカスタマイズされ得、以て、製造業者範囲のような静的な制御範囲とは対照的に動的に決定され得る。
【0055】
これらの機能を実施するための実行可能な命令は、任意選択的に、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体、または1つもしくは複数のプロセッサによる実行のために構成される他のコンピュータプログラム製品に含まれる。
【0056】
図2は、いくつかの実施形態による、複数の遠隔医用分析装置デバイス110のための制御範囲を確立するための装置201を備えるシステム10の概略ブロック図である。装置201は、複数の医用分析装置デバイスによって複数の既定のQC試料に対して実施される複数の品質管理(QC)測定と関連付けられた複数の測定結果を獲得するように構成される制御回路CTRL202を備える。各QC試料は、既定の標的範囲と関連付けられ、各医用分析装置デバイス110は、医用分析装置デバイスのピアグループ301と関連付けられる。
【0057】
さらに、制御回路CTRL202は、各ピアグループ(例えば、
図2および
図3の破線円301によって示されるような医用分析装置デバイスのピアグループ)について、関連付けられた標的範囲を考慮してピアグループの獲得した複数の測定結果を処理することによって各既定のQC試料のためのピア制御範囲を決定するように構成される。制御回路202は、複数の医用分析装置デバイスの各医用分析装置デバイスについて、関連付けられたピアグループの決定したピア制御範囲に基づいて各既定のQC試料のための制御範囲を決定するようにさらに構成される。
【0058】
制御回路202は、各医用分析装置デバイスの分析装置タイプおよびQC製品タイプを示すデータ(例えば、測定結果と関連付けられたメタデータ)を獲得するようにさらに構成され得る。このデータ(例えば、メタデータ)は、続いて、対応する分析装置タイプおよび対応するQC製品タイプを有する医用分析装置デバイスが同じピアグループに属するように、各医用分析装置デバイスについて、各医用分析装置デバイスの分析装置タイプおよびQC製品タイプに基づいて複数のピアグループのうちの関連付けられたピアグループを決定するために使用され得る。
【0059】
依然としてさらに、制御回路202は、少なくとも1つの医用分析装置デバイス110を管理するためのデバイス101に、少なくとも1つの医用分析装置デバイスについての既定のQC試料のセットのための決定した制御範囲を示すデータを伝送するように構成される。言い換えると、制御回路202は、関連付けられたピアグループのピア制御範囲に基づいて各医用分析装置デバイス110のための制御範囲のセットを決定し、続いて、決定した制御範囲のセットを医用分析装置デバイス110にプッシュする。
【0060】
いくつかの実施形態において、医用分析装置デバイスを管理するためのデバイス101は、デバイスに接続される1つまたは複数の医用分析装置デバイスを監視および制御するように構成される制御回路202を有する。故に、医用分析装置デバイスを管理するためのデバイス101は、それに関連付けられた複数の医用分析装置デバイスを監視および制御することに関与する病院情報システム(Hospital Information System:HIS)および/または研究室情報システム(Laboratory Information System:LIS)の一部であり得る。故に、いくつかの実施形態において、医用分析装置デバイスを管理するためのデバイス101は、1つまたは複数の医用分析装置デバイスを含む地理的場所と関連付けられる。それにもかかわらず、いくつかの実施形態において、本デバイスは、1つまたは複数の医用分析装置デバイスに通信可能に接続されるクラウドサービス(クラウド環境により提供される、例えば、1つまたは複数の遠隔サーバを備えるクラウドコンピューティングシステム、例えば、分散型クラウドコンピューティングリソース)の形態にあり得る(例えば、そのようなものとして実装され得る)。
【0061】
しかしながら、いくつかの実施形態において、制御回路202は、既定のQC試料のセットのための決定した制御範囲を示すデータを各医用分析装置デバイス110に直接的に伝送するように構成され得る。故に、いくつかの実施形態において、医用分析装置デバイスを管理するためのデバイス101は、例えば、複数の遠隔医用分析装置デバイス110のための制御範囲を確立するための装置201を備えるシステムの概略ブロック図である
図3に描写されるような、医用分析装置デバイス110の内部制御ユニットまたは制御回路CTRL112であり得る。
【0062】
図2に戻ると、複数の医用分析装置デバイス110を管理するためのデバイス101は、複数の医用分析装置デバイス110によって既定のQC試料のセットに対して実施される複数のQC測定と関連付けられた複数の測定結果を獲得するように構成される制御回路102を有する。複数の医用分析装置およびデバイス101は、例えば、同じ施設(例えば、病院または研究室)と関連付けられ得る。さらには、各QC試料は、既定の標的範囲と関連付けられ、各医用分析装置デバイスは、医用分析装置デバイスのピアグループと関連付けられる。
【0063】
さらに、制御回路102は、中央エージェント201(例えば、先に説明される装置)に、獲得した複数の測定結果を示すデータを伝送するように構成される。述べたように、制御回路102は、複数の医用分析装置デバイスの各医用分析装置デバイスの分析装置タイプおよびQC製品タイプを示すデータを伝送するようにさらに構成され得る。
【0064】
制御回路102は、中央エージェント201から、複数の医用分析装置デバイス110と関連付けられた1つまたは複数のピアグループについての既定のQC試料のセットのための制御範囲のセットを示すデータを受信するようにさらに構成される。さらに、制御回路は、複数の医用分析装置デバイスの各医用分析装置デバイスについて、受信した制御範囲のセットに基づいて、既定のQC試料のセットのための制御範囲を構成するように構成される。
【0065】
上に説明されるもの以外の実施形態が可能であり、特許請求の範囲内である。ハードウェアまたはソフトウェアによって方法を実施する、上に説明されるものとは異なる方法ステップが、本明細書に開示される実施形態の範囲内で提供され得る。故に、例示的な実施形態に従って、処理システムの1つまたは複数のプロセッサによって実行されるように構成される1つまたは複数のプログラムを記憶する非一時的なコンピュータ可読記憶媒体が提供され、1つまたは複数のプログラムは、上で論じた実施形態の任意の1つのよる方法を実施するための命令を含む。代替的に、別の例示的な実施形態に従って、クラウドコンピューティングシステムが、本明細書に提示される方法のいずれかを実施するように構成され得る。クラウドコンピューティングシステムは、1つまたは複数のコンピュータプログラム製品の制御下で本明細書に提示される方法を合同で実施する分散型クラウドコンピューティングリソースを備え得る。
【0066】
一般的に言えば、コンピュータアクセス可能な媒体は、電子、磁気、または光学媒体、例えば、バスを介してコンピュータシステムに結合されるディスクまたはCD/DVD-ROMなど、任意の有形または非一時的な記憶媒体またはメモリ媒体を含み得る。用語「有形」および「非一時的な」は、本明細書で使用される場合、伝播する電磁信号を除くコンピュータ可読記憶媒体(または「メモリ」)を説明することが意図されるが、フレーズコンピュータ可読媒体またはメモリによって包含される物理的なコンピュータ可読ストレージデバイスのタイプを別途限定することは意図されない。例えば、用語「非一時的なコンピュータ可読媒体」または「有形メモリ」は、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)を含む、情報を必ずしも永久に記憶しないストレージデバイスのタイプを包含することが意図される。非一時的な形態で有形のコンピュータアクセス可能な記憶媒体に記憶されるプログラム命令およびデータは、さらに、ネットワークおよび/またはワイヤレスリンクなどの通信媒体を介して伝達され得る電気信号、電磁信号、またはデジタル信号など、伝送媒体または信号によって伝送され得る。
【0067】
プロセッサ102、112、202(デバイスおよび装置101、110、201と関連付けられる)は、データもしくは信号処理を行うための、またはメモリ103、113、203に記憶されるコンピュータコードを実行するための任意の数のハードウェア構成要素であり得るか、またはこれを含み得る。デバイスおよび装置101、110、201は、関連付けられたメモリ103、113、203を有し、メモリ103、113、203は、本説明に説明される様々な方法を完了または促進するためのデータおよび/またはコンピュータコードを記憶するための1つまたは複数のデバイスであり得る。メモリは、揮発性メモリまたは不揮発性メモリを含み得る。メモリ103、113、203は、データベース構成要素、オブジェクトコード構成要素、スクリプト構成要素、または本説明の様々なアクティビティを支援するための任意の他のタイプの情報構造を含み得る。例示的な実施形態に従って、任意の分散型またはローカルメモリデバイスが、本説明の装置および方法と共に利用され得る。例示的な実施形態に従って、メモリ103、113、203は、プロセッサ102、112、202に通信可能に接続され(例えば、回路、または任意の他の有線、ワイヤレス、もしくはネットワーク接続を介して)、本明細書に説明される1つまたは複数のプロセスを実行するためのコンピュータコードを含む。
【0068】
通信インターフェース104、105、114、204は、好適な通信装置を用いて遠隔地(例えば、遠隔オペレータまたは制御センタ)に出力を送信する可能性を提供し得る。通信インターフェース104、105、114、204は、他の機能的な構成要素と通信するように配置され得、故に制御インターフェースとしても見られ得るが、別個の制御インターフェース(図示されない)が提供されてもよい。施設100内のローカル通信もまた、WiFi、LoRa、Zigbee、Bluetooth、または同様の中/短距離技術などのプロトコルを用いたワイヤレスタイプのものであり得る。
【0069】
したがって、説明されたソリューションのうちの一部は、1つの遠隔サーバ、または複数の遠隔サーバ、例えば、互いと通信状態にある複数のサーバ、いわゆるクラウドソリューションのいずれかで実施され得るということを理解されたい。実施形態の異なる特徴およびステップは、説明されるもの以外の組み合わせで組み合わされ得る。
【0070】
概して、本明細書で使用されるすべての用語は、異なる意味が、明白に与えられる、かつ/または使用される文脈において示唆されない限り、関連技術分野におけるそれらの通常の意味に従って解釈されるものとする。
【0071】
「備える」という言葉は、列挙されるもの以外の要素またはステップの存在を除外せず、要素に先行する「a(1つの)」または「an(1つの)」という言葉は、複数のそのような要素の存在を除外しないということに留意されたい。いかなる参照符号も、特許請求の範囲を制限しないこと、実施形態は、ハードウェアおよびソフトウェアの両方を用いて少なくとも部分的に実施され得ること、ならびにいくつかの「制御回路」、「手段」、または「ユニット」が、ハードウェアの同じアイテムによって表され得るということにさらに留意されたい。
【0072】
図は、特定の順序の方法ステップを示し得るが、ステップの順序は、描写されるものとは異なり得る。加えて、2つ以上のステップが、同時に、または部分同時発生で実施され得る。そのような変形は、選択されるソフトウェアおよびハードウェアシステム、ならびに設計者の選択に依存する。すべてのそのような変形は、開示された実施形態の範囲内である。同様に、ソフトウェア実装は、様々な接続ステップ、処理ステップ、比較ステップ、および決定ステップを達成するためにルールベース論理および他の論理を用いた標準プログラミング技術により達成され得る。上で述べ説明した実施形態は、単に例として与えられ、本開示に対する限定ではない。故に、説明された実施形態の詳細は、単に例証の目的のために提案された例にすぎないこと、および特許請求の範囲内に入るすべての変形が、そこに取り入れられることが意図されるということを理解されたい。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の遠隔医用分析装置デバイスのための制御範囲を確立するための中央システムによって実施されるコンピュータ実装の方法(S100)であって、
複数の医用分析装置デバイスによって既定のQC試料のセットに対して実施される複数の品質管理(QC)測定と関連付けられた複数の測定結果を獲得するステップ(S101)であって、各QC試料は、既定の標的範囲と関連付けられ、各医用分析装置デバイスは、医用分析装置デバイスのピアグループと関連付けられる、ステップ(S101)と、
複数のピアグループのうちの各ピアグループについて、前記関連付けられた標的範囲を考慮して前記ピアグループの前記複数の測定結果を処理するステップ(S106)によって、各既定のQC試料のためのピア制御範囲を決定するステップ(S102)と、
各医用分析装置デバイスについて、前記関連付けられたピアグループの前記決定した(S102)ピア制御範囲に基づいて、各既定のQC試料のための制御範囲を決定するステップ(S103)と、
少なくとも1つの医用分析装置デバイスを管理するためのデバイスに、前記少なくとも1つの医用分析装置デバイスについての前記既定のQC試料のセットのための前記決定した(S103)制御範囲を示すデータを伝送するステップ(S104)と、を含む、方法(S100)。
【請求項2】
前記関連付けられた標的範囲を考慮して前記複数の測定結果を処理するステップ(S106)は、
測定結果のフィルタリングされたセットを形成するために、しきい値を上回る差分値を有する任意の測定結果を破棄するステップ(S107)を含み、前記差分値は、前記測定結果と対応する既定の標的範囲との差を規定する、請求項1に記載の方法(S100)。
【請求項3】
前記関連付けられた標的値を考慮して前記複数の測定結果を処理するステップ(S106)は、
各ピアグループについて、前記測定結果のフィルタリングされたセットの統計関数に基づいて前記ピア制御範囲を決定するステップをさらに含む、請求項2に記載の方法(S100)。
【請求項4】
各ピアグループについて、前記測定結果のフィルタリングされたセットの統計関数に基づいて前記ピア制御範囲を決定するステップは、
各ピアグループについて、前記既定のQC試料のセットの各QC試料の平均測定値を決定するステップ(S108)と、
各ピアグループについて、前記決定した平均測定値および少なくとも1つの標準偏差値に基づいて各QC試料のための前記ピア制御範囲を決定するステップ(S110)と、を含む、請求項3に記載の方法(S100)。
【請求項5】
各ピアグループについて前記平均測定値を決定するステップは、
各ピアグループについて、規定の長さを有する直近の期間にわたる各QC試料の移動平均値を決定するステップ(S109)を含む、請求項4に記載の方法(S100)。
【請求項6】
対応する分析装置タイプおよび対応するQC製品タイプを有する前記医用分析装置デバイスが同じピアグループに属するように、各医用分析装置デバイスについて、各医用分析装置デバイスの分析装置タイプおよびQC製品タイプに基づいて複数のピアグループのうちの関連付けられたピアグループを決定するステップ(S105)をさらに含む、請求項
1に記載の方法(S100)。
【請求項7】
各医用分析装置デバイスについて、各既定のQC試料のための前記制御範囲を決定するステップ(S103)は、
各対応するピア制御範囲、前記対応するピア制御範囲を決定するために使用される測定試料の数、および前記関連付けられたピアグループに含まれる医用分析装置デバイスの数に基づいて、各制御範囲を計算するステップ(S103)を含む、請求項
1に記載の方法(S100)。
【請求項8】
処理システムの1つまたは複数のプロセッサによって実行されるように構成される1つまたは複数のプログラムを記憶するコンピュータ可読記憶媒体であって、前記1つまたは複数のプログラムは、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法を実施するための命令を含む、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項9】
複数の遠隔医用分析装置デバイス(110)のための制御範囲を確立するための装置(201)であって、前記デバイスは、制御回路(202)を備え、前記制御回路(202)は、
複数の医用分析装置デバイス(110)によって既定のQC試料のセットに対して実施される複数の測定と関連付けられた複数の測定結果を獲得することであって、各QC試料は、既定の標的範囲と関連付けられ、各医用分析装置デバイスは、医用分析装置デバイスのピアグループと関連付けられる、獲得することと、
各ピアグループについて、前記関連付けられた標的範囲を考慮して前記ピアグループの前記複数の測定結果を処理することによって、各既定のQC試料のためのピア制御範囲を決定することと、
各医用分析装置デバイスについて、前記関連付けられたピアグループの前記決定したピア制御範囲に基づいて各既定のQC試料のための制御範囲を決定することと、
少なくとも1つの医用分析装置デバイス(110)を管理するためのデバイスに、前記少なくとも1つの医用分析装置デバイスについての前記既定のQC試料のセットのための前記決定した制御範囲を示すデータを伝送することと、
をするように構成される、装置(201)。
【請求項10】
前記医用分析装置デバイスを管理するための前記デバイスは、前記デバイスに接続される1つまたは複数の医用分析装置デバイスを監視および制御するように構成される、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記医用分析装置デバイスを管理するための前記デバイスは、1つまたは複数の医用分析装置デバイスを含む地理的場所と関連付けられる、請求項
9に記載の装置。
【請求項12】
請求項9~11のいずれか1項に記載の装置を備える、遠隔サーバ。
【請求項13】
請求項12に記載の1つまたは複数の遠隔サーバを備える、クラウド環境。
【請求項14】
複数の医用分析装置デバイス(110)を管理するためのデバイス(101)であって、前記デバイスは、制御回路(102)を備え、前記制御回路(102)は、
前記複数の医用分析装置デバイス(110)によって既定のQC試料のセットに対して実施される複数のQC測定と関連付けられた複数の測定結果を獲得することであって、各QC試料は、既定の標的範囲と関連付けられ、各医用分析装置デバイスは、医用分析装置デバイスのピアグループと関連付けられる、獲得することと、
中央エージェント(201)に、前記獲得した複数の測定結果を示すデータを伝送することと、
前記中央エージェント(201)から、前記複数の医用分析装置デバイス(110)と関連付けられた1つまたは複数のピアグループについての前記既定のQC試料のセットのための制御範囲のセットを示すデータを受信することと、
各医用分析装置デバイス(110)について、前記受信した制御範囲のセットに基づいて、前記既定のQC試料のセットのための制御範囲を構成することと、
をするように構成される、デバイス(101)。
【請求項15】
複数の医用分析装置デバイス(110)のための制御範囲を確立するためのシステム(10)であって、
請求項9~1
1のいずれか1項に記載の装置(201)と、
請求項14に記載のデバイス(101)と、を備える、システム(10)。
【国際調査報告】