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特表2024-527551非フコシル化抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストの組み合わせを用いるがんを処置する方法
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  • 特表-非フコシル化抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストの組み合わせを用いるがんを処置する方法 図1
  • 特表-非フコシル化抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストの組み合わせを用いるがんを処置する方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-25
(54)【発明の名称】非フコシル化抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストの組み合わせを用いるがんを処置する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20240718BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240718BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20240718BHJP
   A61K 31/706 20060101ALI20240718BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240718BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20240718BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20240718BHJP
【FI】
A61K39/395 T ZNA
A61P35/00
A61P35/02
A61K39/395 Y
A61K39/395 N
A61K31/706
A61P43/00 121
A61K31/496
C12N15/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580682
(86)(22)【出願日】2022-06-28
(85)【翻訳文提出日】2023-12-28
(86)【国際出願番号】 US2022035220
(87)【国際公開番号】W WO2023278377
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】63/216,233
(32)【優先日】2021-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/318,920
(32)【優先日】2022-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】503188759
【氏名又は名称】シージェン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ディオライティ,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ガルデイ,シラ
【テーマコード(参考)】
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
4C085AA14
4C085AA27
4C085BB01
4C085BB11
4C085BB36
4C085CC23
4C085DD62
4C085EE03
4C085GG02
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC50
4C086EA16
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA66
4C086NA05
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC75
(57)【要約】
本発明は、非フコシル化抗CD70抗体をCD47アンタゴニストと組み合わせて用いて、骨髄異形成症候群(MDS)及び急性骨髄性白血病(AML)を含む骨髄悪性腫瘍などのがんを処置する方法を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象におけるがんを処置する方法であって、前記方法は、非フコシル化抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストを前記対象に投与することを含み、前記方法は、前記対象におけるがん細胞の枯渇をもたらし、前記方法は、前記対象におけるCD70+T制御性細胞(CD70+Treg)の枯渇をもたらさず、前記抗CD70抗体は、重鎖可変領域、軽鎖可変領域及びFcドメインを含み、前記重鎖可変領域は、
(i)配列番号8のアミノ酸配列を含むCDR-H1、
(ii)配列番号9のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び
(iii)配列番号10のアミノ酸配列を含むCDR-H3
を含み、前記軽鎖可変領域は、
(i)配列番号11のアミノ酸配列を含むCDR-L1、
(ii)配列番号12のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び
(iii)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-L3
を含み、前記がんは、骨髄異形成症候群(MDS)及び急性骨髄性白血病(AML)からなる群から選択される、前記方法。
【請求項2】
前記抗CD70抗体は、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記抗CD70抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記抗CD70抗体の前記Fcドメインは、抗体依存性細胞傷害(ADCC)、抗体依存性細胞貪食(ADCP)、及び補体依存性細胞傷害(CDC)のうちの1つ以上を媒介する抗体エフェクタードメインである、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記抗CD70抗体の前記Fcドメインは、ADCCを媒介する抗体エフェクタードメインである、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記抗CD70抗体の前記Fcドメインは、ヒトFcドメインである、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記抗CD70抗体は、ボルセツズマブの非フコシル化形態である、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記抗CD70抗体は、治療剤にコンジュゲートされている、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記治療剤は、化学療法剤または免疫調節剤である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記治療剤は、化学療法剤である、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記化学療法剤は、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)またはモノメチルアウリスタチンF(MMAF)である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記治療剤は、免疫調節剤である、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記方法は、抗CD70抗体の集団を投与することを含み、前記抗CD70抗体の集団における各抗体は、重鎖可変領域、軽鎖可変領域、及びFcドメインを含み、前記重鎖可変領域は、
(i)配列番号8のアミノ酸配列を含むCDR-H1、
(ii)配列番号9のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び
(iii)配列番号10のアミノ酸配列を含むCDR-H3
を含み、前記軽鎖可変領域は、
(i)配列番号11のアミノ酸配列を含むCDR-L1、
(ii)配列番号12のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び
(iii)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-L3
を含み、前記抗CD70抗体の前記集団における前記抗CD70抗体の少なくとも50%は、コアフコシル化を欠く、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記抗CD70抗体の前記集団における前記抗CD70抗体の少なくとも70%は、コアフコシル化を欠く、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記抗CD70抗体の前記集団における前記抗CD70抗体の少なくとも90%は、コアフコシル化を欠く、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記抗CD70抗体は、約1~30mg/前記対象の体重のkgの用量で投与される、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記抗CD70抗体は、約10~20mg/前記対象の体重のkgの用量で投与される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記抗CD70抗体は、約10mg/前記対象の体重のkgの用量で投与される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記抗CD70抗体は、約15mg/前記対象の体重のkgの用量で投与される、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記抗CD70抗体は、約20mg/前記対象の体重のkgの用量で投与される、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記抗CD70抗体は、約1~4週毎に1回投与される、請求項1~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記抗CD70抗体は、約2週間毎に1回投与される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記CD47アンタゴニストは、CD47とSIRPαとの間の相互作用を阻害する、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記CD47アンタゴニストは、腫瘍細胞の貪食を増加させる、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記CD47アンタゴニストは、CD47に結合する抗体、またはその抗原結合断片、及びSIRPαに結合する抗体またはその抗原結合断片、ならびにSIRPα、またはその断片、及び抗体、またはその断片を含む融合タンパク質からなる群から選択される、請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記SIRPα、またはその断片、及び抗体、またはその断片を含む融合タンパク質は、抗体のFc領域に共有結合的に連結されたSIRPα、またはその免疫グロブリンV様ドメインを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記CD47アンタゴニストは、IgG1またはIgG4抗体である、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記CD47アンタゴニストは、マグロリマブ、CC-90002、ALX148、RRx-001、TTI-622、TTI-621、及びKWAR23からなる群から選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記CD47アンタゴニストは、マグロリマブである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記CD47アンタゴニストは、1~50mg/前記対象の体重のkgの用量で投与される、請求項1~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記CD47アンタゴニストは、1~30mg/前記対象の体重のkgの用量で投与される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記CD47アンタゴニストは、1mg/前記対象の体重のkgの用量で投与される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記CD47アンタゴニストは、15mg/前記対象の体重のkgの用量で投与される、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記CD47アンタゴニストは、30mg/前記対象の体重のkgの用量で投与される、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
前記CD47アンタゴニストは、準最適用量で投与される、請求項1~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記CD47アンタゴニストは、約1~4週毎に1回投与される、請求項1~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記CD47アンタゴニストは、約1週毎に1回投与される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記CD47アンタゴニストは、約2週間毎に1回投与される、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記CD47アンタゴニストは、1回目の4週サイクルの1、4、8、11、15、及び22日目に最初に投与される、請求項1~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記CD47アンタゴニストは、第2の4週サイクルの1、8、15、及び22日目に投与される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記CD47アンタゴニストは、3回目の4週サイクルの1及び15日目に投与される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記がんは、MDSである、請求項1~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記MDSは、再発性または難治性MDSである、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記対象は、前記MDSのための先行低メチル化剤(HMA)療法後に処置失敗を経験した、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記がんは、AMLである、請求項1~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記AMLは、再発性または難治性AMLである、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記対象は、前記AMLを処置するために2つの先行処置レジメンを受けた、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記対象は、前記AMLを処置するために3つの先行処置レジメンを受けた、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記がん細胞の少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%は、CD70を発現する、請求項1~48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
前記がん細胞の少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%は、CD47を発現する、請求項1~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記非フコシル化抗CD70抗体及び前記CD47アンタゴニストを前記対象に投与することは、前記非フコシル化抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストを前記対象に投与する前のがん細胞の量と比較して少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%がん細胞の枯渇をもたらす、請求項1~50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
前記非フコシル化抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストを前記対象に投与することは、脱フコシル化抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストを前記対象に投与する前のCD70+Tregの量と比較して約20%、約10%、約9%、約8%、約7%、約6%、約5%、約4%、約3%、約2%、約1%、または約0.1%以下のCD70+Tregの枯渇をもたらす、請求項1~51のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
前記対象における1つ以上の治療効果は、ベースラインと比べて前記非フコシル化抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストの投与後に改善される、請求項1~52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
前記1つ以上の治療効果は、客観的反応率、反応の継続期間、反応までの時間、無増悪生存及び全生存からなる群から選択される、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記客観的反応率は、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%である、請求項1~54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記対象は、前記非フコシル化抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストの投与後に少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年の無増悪生存を示す、請求項1~55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
前記対象は、前記非フコシル化抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストの投与後に少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年の全生存を示す、請求項1~56のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
前記抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストに対する反応の継続期間は、前記非フコシル化抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストの投与後の少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年である、請求項1~57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
前記抗CD70抗体のための投与経路は、静脈内である、請求項1~58のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
前記CD47アンタゴニストのための投与経路は、静脈内である、請求項1~59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
前記対象は、ヒトである、請求項1~60のいずれか1項に記載の方法。
【請求項62】
アザシチジンの投与をさらに含む、請求項1~61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
前記アザシチジンは、75mg/前記対象の身体表面積のmの用量で投与される、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記アザシチジンは、4週サイクルの1~7日目に投与される、請求項62または63に記載の方法。
【請求項65】
前記アザシチジンは、4週サイクルの1~5及び8~9日目に投与される、請求項62または63に記載の方法。
【請求項66】
ベネトクラクスの投与をさらに含む、請求項1~65のいずれか1項に記載の方法。
【請求項67】
フルオロキノロンの投与をさらに含む、請求項1~66のいずれか1項に記載の方法。
【請求項68】
がんの処置のための薬学的組成物であって、前記組成物は、非フコシル化抗CD70抗体であって、前記抗CD70抗体は、重鎖可変領域、軽鎖可変領域、及びFcドメインを含み、前記重鎖可変領域は、
(i)配列番号8のアミノ酸配列を含むCDR-H1、
(ii)配列番号9のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び
(iii)配列番号10のアミノ酸配列を含むCDR-H3
を含み、前記軽鎖可変領域は、
(i)配列番号11のアミノ酸配列を含むCDR-L1、
(ii)配列番号12のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び
(iii)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-L3
を含む、前記非フコシル化抗CD70抗体、及び少なくとも1つの薬学的適合性成分を含み、前記薬学的組成物は、CD47アンタゴニストと組み合わせて使用するためのものであり、前記組成物は、請求項1~67のいずれか1項に記載の方法において使用するためのものである、前記薬学的組成物。
【請求項69】
キットであって、非フコシル化抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストであって、前記抗CD70抗体は、重鎖可変領域、軽鎖可変領域、及びFcドメインを含み、前記重鎖可変領域は、
(i)配列番号8のアミノ酸配列を含むCDR-H1、
(ii)配列番号9のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び
(iii)配列番号10のアミノ酸配列を含むCDR-H3
を含み、前記軽鎖可変領域は、
(i)配列番号11のアミノ酸配列を含むCDR-L1、
(ii)配列番号12のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び
(iii)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-L3
を含む、前記非フコシル化抗CD70抗体及びCD47アンタゴニスト、ならびに請求項1~67のいずれか1項に記載の方法において前記抗CD70抗体を使用するための指示書を含む、前記キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年6月29日に出願された米国仮特許出願番号63/216,233及び2022年3月11日に出願された米国仮特許出願番号63/318,920の利益を主張し、これらの両方は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表に対する言及
配列表は、0070-00812PC_ST25.txtを指定し、15キロバイトのサイズを有し、参照により組み込まれる。
【0003】
本発明は、非フコシル化抗CD70抗体をCD47アンタゴニストと組み合わせて用いて、骨髄異形成症候群(MDS)及び急性骨髄性白血病(AML)を含む骨髄悪性腫瘍などのがんを処置する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
CD70は、多様な正常細胞及び悪性細胞タイプによって発現する細胞膜結合及び分泌分子の腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーのメンバーである。CD70の一次アミノ酸(AA)配列は、細胞の外側に露出したそのカルボキシル末端及び細胞膜の細胞質側に見られるそのアミノ末端を有する膜貫通II型タンパク質を予測する(Bowman et al.,1994,J.Immunol.152:1756-61;Goodwin et al.,1993,Cell 73:447-56)。ヒトCD70は、20AAの細胞質ドメイン、18AAの膜貫通ドメイン、及び2つの潜在的N-結合型グリコシル化部位を有する155AAの細胞質外ドメインから構成される(Bowman et al.(上掲);Goodwin et al.(上掲))。抗CD70抗体による放射性同位体標識CD70発現細胞の特異的免疫沈降は、29kDa及び50kDaのポリペプチドをもたらす(Goodwin et al.(上掲);Hintzen et al.,1994,J.Immunol.152:1762-73)。特に構造鎖C、D、H及び1における、TNF-アルファ及びTNF-ベータに対するその相同性に基づいて、三量体構造がCD70について予測されている(Petsch et al.,1995,Mol.Immunol.32:761-72)。
【0005】
最初の免疫組織学的研究は、CD70が扁桃腺、皮膚、及び腸において胚中心B細胞及び希少T細胞上で発現することを明らかにした(Hintzen et al.,1994,Int.Immunol.6:477-80)。後に、CD70は、直近に抗原活性化されたT及びBリンパ球の細胞表面上で発現することが報告され、その発現は、抗原刺激の除去後に薄れる(Lens et al,1996,Eur.J.Immunol.26:2964-71;Lens et al.,1997,Immunology 90:38-45)。リンパ系内で、活性化ナチュラルキラー細胞(Orengo et al.,1997,Clin.Exp.Immunol.107:608-13)及びマウス成熟末梢樹状細胞(Akiba et al.,2000,J.Exp.Med.191:375-80)もまた、CD70を発現する。非リンパ系では、CD70は、胸腺髄質上皮細胞上で検出された(Hintzen et al.,1994(上掲);Hishima et al.,2000,Am.J.Surg Pathol.24:742-46)。
【0006】
CD70は、正常な非造血細胞上で発現しない。CD70発現は大抵、生理的条件下で直近に抗原活性化されたT及びB細胞に制限され、その発現は、抗原刺激が停止された場合に下方制御される。動物モデルからの証拠は、CD70が、例えば、関節リウマチ(Brugnoni et al.,1997,Immunol.Lett.55:99-104)、乾癬性関節炎(Brugnoni et al.,1997,Immunol.Lett.55:99-104)、及びループス(Oelke et al.,2004,Arthritis Rheum.50:1850-60)などの免疫学的障害に寄与し得ることを示唆している。炎症性反応におけるその潜在的役割に加えて、CD70はまた、リンパ腫B細胞、ホジキン及びリード・スタンバーグ細胞、神経起源の悪性細胞、及び多数のがんを含む多様な形質転換細胞上で発現する。研究は、急性骨髄性白血病(AML)及び骨髄異形成疾患(MDS)患者からの幹細胞が、CD70及びその受容体であるCD27の両方を発現することを示している。このリガンド-受容体対の間相互作用は、白血病芽球の生存及び増殖を促進し得る。
【0007】
哺乳動物宿主細胞において生成されたモノクローナル抗体は、グリコシル化を含む多様な翻訳後修飾を有し得る。IgG1などのモノクローナル抗体は、各重鎖(インタクト抗体当たり2つ)のアスパラギン297(Asn297)でN-結合型グリコシル化部位を有する。抗体上のAsn297に結合したグリカンは、典型的には、少量の末端シアル酸及び可変量のガラクトースを有するバイセクト型N-アセチルグルコサミン(バイセクト型GlcNAc)が極めて少ないまたは全くない複雑なバイアンテナ型構造である。グリカンはまた通常、高レベルのコアフコシル化を有する。抗体におけるコアフコシル化の低減は、Fcエフェクター機能、特にFcガンマ受容体結合及びADCC活性を改変することが示されている。この観察は、低減されたコアフコシル化を有する抗体を生成するように細胞株を操作することへの興味につながり得る。
【0008】
コアフコシル化を低減するために細胞株を操作するための方法には、遺伝子ノックアウト、遺伝子ノックイン及びRNA干渉(RNAi)が含まれる。遺伝子ノックアウトでは、FUT8をコードする遺伝子(アルファ1,6-フコシルトランスフェラーゼ酵素)が不活性化される。FUT8は、N-グリカンのAsn結合型(N-結合型)GlcNacの6位にGDP-フコースからフコシル残基の移行を触媒する。FUT8は、Asn297でN-結合型バイアンテナ型炭水化物にフコースを付加することを担う唯一の構造であると報告されている。遺伝子ノックインは、GNTIIIまたはゴルジアルファマンノシダーゼIIなどの酵素をコードする遺伝子を付加する。細胞におけるそのような酵素のレベルの増加は、モノクローナル抗体をフコシル化経路からそらし(低下したコアフコシル化をもたらす)、増加した量のバイセクト型N-アセチルグルコサミンを有することからそらす。RNAiもまた、典型的には、FUT8遺伝子発現を標的とし、低下したmRNA転写産物レベルまたは遺伝子発現の全体的なノックアウトをもたらす。
【0009】
細胞株を操作するための代替手段には、グリコシル化経路における酵素に対して作用する小分子阻害剤の使用が含まれる。阻害剤、例えば、カタノスペルミンは、グリコシル化経路において早く作用し、未熟グリカン(例えば、高レベルのマンノース)及び低いフコシル化レベルを有する抗体を生成する。そのような方法によって生成された抗体は通常、成熟抗体に関連する複雑のN-結合型グリカン構造を欠く。小分子フコースアナログは、N-結合型グリカンも有するが、低減したコアフコシル化を有する組換え抗体を生成するために使用され得る。
【0010】
インテグリン関連タンパク質(IAP)としても知られている分化47(CD47)のクラスターは、タンパク質の免疫グロブリンスーパーファミリーに属する膜貫通受容体である。CD47は、細胞上に不変的に発現し、自己認識のためのマーカーとして機能し、「ドントイートミー」シグナルとして機能することによって貪食を防止する。CD47は、トロンボスポンジン(TSP)及びシグナル制御性タンパク質-アルファ(SIRPα)を含むいくつかの他のタンパク質との相互作用を介してその効果を媒介する。食細胞上のSIRPαと標的細胞上のCD47との間の相互作用は、標的細胞が飲み込まれないことを確保することを補助する。所定のがんは、がん細胞の細胞表面上のCD47の発現を増加させることによって細胞のCD47ベースの免疫回避メカニズムを取り入れ、よって、免疫系によるクリアランスを回避する。
【0011】
CD70発現に関連するがんを処置するための改善された療法が必要とされている。本明細書では、抗CD70抗体、例えば、特に非CD70発現細胞に対する望ましくない効果を発揮せずに、CD70発現細胞に対する臨床的に有用な細胞傷害性、細胞増殖抑制性、または免疫調節性効果を発揮し得る低減したコアフコシル化を有する抗CD70抗体と、CD47に拮抗する薬剤との組み合わせを用いて、がん、例えば、CD70を発現するがんを処置する方法が提供される。特に、本明細書では、急性骨髄白血病(AML)、骨髄増殖性障害(MPDS)、骨髄異形成症候群(MDS)及び骨髄異形成/骨髄増殖性症候群(すべてがクローン性幹細胞(HSC)または前駆悪性障害である)(TIU et al.,Leukemia,vol.21(8),p:1648-57,2007)を含む骨髄悪性腫瘍を処置する方法が提供される。
【0012】
MDSは、単血球系異形成を伴うMDS、環状鉄芽球環を伴うMDS、多血球系異形成を伴うMDS、余剰の芽球を伴うMDS、孤立欠失(isolated del)(5q)を伴うMDS、及び分類不可MDSを含む複数のサブタイプを包含する(ARBER et al.,Blood,vol.127,p:2391-405,2016)。MDSは、骨髄系の1つ以上における無効な造血によって特性化される。早期MDSは大抵、過剰なアポトーシス及び造血細胞異形成を示す(CLAESSENS et al.,Blood,vol.99,p:1594-601,2002;CLASESSENS et al.,Blood,vol.105,p:4035-42,2005)。MDS患者の約3分の1では、この無効な造血は、二次AML(sAML)への進行に先行する。特定のMDSサブタイプ(ELBERT et al.,Nature,vol.451(7176),p:335-9,2008)または疾患変化(BRAUN et al.,Blood,vol.107(3),p:1156-65,2006)に関連するいくつかの分子事象が同定されているが、根底にある分子欠損は、依然として不十分に理解されている。形態学的特徴を除き、現在、早期診断及び予後に利用可能な生物学的マーカーはない。
【0013】
急性骨髄性白血病(AML)は、白血球の骨髄系の悪性腫瘍である。この鬱血形成は、処置されないままである場合、通常、数週~数ヶ月以内に致命的な血液及び骨髄疾患となる。米国において30,000人のAML及び欧州連合において47,000人のAML推定値が存在する(Mattson-Jack,2010によって確認された2010年の有病率データ)。AMLは、成人急性白血病の中で最も広まっている形態であり(約90%)、新たな白血病症例の約33%を含有する。AMLと診断された患者の年齢中央値は、67歳である。米国において、AMLは、およそ1.2%のがん死因を占める。
【0014】
AMLは、非特異的症状、例えば、体重減少、疲労、発熱及び寝汗を引き起こす。AMLは、AMLサブタイプを決定するために及び処置決定を決定するために血液検査、骨髄検査、及び実験室検査によって診断される。
【0015】
特許出願、特許公報、及び科学文献を含む本明細書において引用されるすべての参考文献は、各々の個々の参考文献が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されるかのように、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【0016】
本明細書では、対象におけるがんを処置する方法であって、方法は、非フコシル化抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストを対象に投与することを含み、方法は、対象におけるがん細胞の枯渇をもたらし、方法は、対象におけるCD70+T制御性細胞(CD70+Treg)の枯渇をもたらさず、抗CD70抗体は、重鎖可変領域、軽鎖可変領域及びFcドメインを含み、重鎖可変領域は、
(i)配列番号8のアミノ酸配列を含むCDR-H1、
(ii)配列番号9のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び
(iii)配列番号10のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含み、
軽鎖可変領域は、
(i)配列番号11のアミノ酸配列を含むCDR-L1、
(ii)配列番号12のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び
(iii)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含み、がんは、骨髄異形成症候群(MDS)及び急性骨髄性白血病(AML)からなる群から選択される、方法が提供される。いくつかの実施形態では、抗CD70抗体は、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗CD70抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗CD70抗体のFcドメインは、抗体依存性細胞傷害(ADCC)、抗体依存性細胞貪食(ADCP)、及び補体依存性細胞傷害(CDC)のうちの1つ以上を媒介する抗体エフェクタードメインである。いくつかの実施形態では、抗CD70抗体のFcドメインは、ADCCを媒介する抗体エフェクタードメインである。いくつかの実施形態では、抗CD70抗体のFcドメインは、ヒトFcドメインである。いくつかの実施形態では、抗CD70抗体は、ボルセツズマブの非フコシル化形態である。いくつかの実施形態では、抗CD70抗体は、治療剤にコンジュゲートされている。いくつかの実施形態では、治療剤は、化学療法剤または免疫調節剤である。いくつかの実施形態では、治療剤は、化学療法剤である。いくつかの実施形態では、化学療法剤は、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)またはモノメチルアウリスタチンF(MMAF)である。いくつかの実施形態では、治療剤は、免疫調節剤である。いくつかの実施形態では、方法は、抗CD70抗体の集団を投与することを含み、抗CD70抗体の集団における各抗体は、重鎖可変領域、軽鎖可変領域、及びFcドメインを含み、重鎖可変領域は、
(i)配列番号8のアミノ酸配列を含むCDR-H1、
(ii)配列番号9のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び
(iii)配列番号10のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含み、
軽鎖可変領域は、
(i)配列番号11のアミノ酸配列を含むCDR-L1、
(ii)配列番号12のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び
(iii)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含み、抗CD70抗体の集団における抗CD70抗体の少なくとも50%は、コアフコシル化を欠く。いくつかの実施形態では、抗CD70抗体の集団における抗CD70抗体の少なくとも70%は、コアフコシル化を欠く。いくつかの実施形態では、抗CD70抗体の集団における抗CD70抗体の少なくとも90%は、コアフコシル化を欠く。いくつかの実施形態では、抗CD70抗体は、約1~30mg/対象の体重のkgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、抗CD70抗体は、約10~20mg/対象の体重のkgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、抗CD70抗体は、約10mg/対象の体重のkgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、抗CD70抗体は、約15mg/対象の体重のkgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、抗CD70抗体は、約20mg/対象の体重のkgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、抗CD70抗体は、約1~4週毎に1回投与される。いくつかの実施形態では、抗CD70抗体は、約2週間毎に1回投与される。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストは、CD47とSIRPαとの間の相互作用を阻害する。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストは、腫瘍細胞の貪食を増加させる。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストは、CD47に結合する抗体、またはその抗原結合断片、及びSIRPαに結合する抗体またはその抗原結合断片、ならびにSIRPα、またはその断片、及び抗体、またはその断片を含む融合タンパク質からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、SIRPα、またはその断片、及び抗体、またはその断片を含む融合タンパク質は、抗体のFc領域に共有結合的に連結されたSIRPα、またはその免疫グロブリンV様ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストは、IgG1またはIgG4抗体である。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストは、マグロリマブ、CC-90002、ALX148、RRx-001、TTI-622、TTI-621、及びKWAR23からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストは、マグロリマブである。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストは、1~50mg/対象の体重のkgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストは、1~30mg/対象の体重のkgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストは、1mg/対象の体重のkgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストは、15mg/対象の体重のkgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストは、30mg/対象の体重のkgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストは、準最適用量で投与される。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストは、約1~4週毎に1回投与される。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストは、約1週毎に1回投与される。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストは、約2週間毎に1回投与される。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストは、1回目の4週サイクルの1、4、8、11、15、及び22日目に最初に投与される。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストは、2回目の4週サイクルの1、8、15、及び22日目に投与される。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストは、3回目の4週サイクルの1及び15日目に投与される。いくつかの実施形態では、がんは、MDSである。いくつかの実施形態では、MDSは、再発性または難治性MDSである。いくつかの実施形態では、対象は、MDSのための先行低メチル化剤(HMA)療法後に処置失敗を経験した。いくつかの実施形態では、がんは、AMLである。いくつかの実施形態では、AMLは、再発性または難治性AMLである。いくつかの実施形態では、対象は、AMLを処置するために2つの先行処置レジメンを受けた。いくつかの実施形態では、対象は、AMLを処置するために3つの先行処置レジメンを受けた。いくつかの実施形態では、がん細胞の少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%は、CD70を発現する。いくつかの実施形態では、がん細胞の少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%は、CD47を発現する。いくつかの実施形態では、非フコシル化抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストを対象に投与することは、非フコシル化抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストを対象に投与する前のがん細胞の量と比較して少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%がん細胞の枯渇をもたらす。いくつかの実施形態では、非フコシル化抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストを対象に投与することは、脱フコシル化抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストを対象に投与する前のCD70+Tregの量と比較して約20%、約10%、約9%、約8%、約7%、約6%、約5%、約4%、約3%、約2%、約1%、または約0.1%以下のCD70+Tregの枯渇をもたらす。いくつかの実施形態では、対象における1つ以上の治療効果は、ベースラインと比べて非フコシル化抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストの投与後に改善される。いくつかの実施形態では、1つ以上の治療効果は、客観的反応率、反応の継続期間、反応までの時間、無増悪生存及び全生存からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、客観的反応率は、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%である。いくつかの実施形態では、対象は、非フコシル化抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストの投与後に少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年の無増悪生存を示す。いくつかの実施形態では、対象は、非フコシル化抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストの投与後に少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年の全生存を示す。いくつかの実施形態では、抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストに対する反応の継続期間は、非フコシル化抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストの投与後の少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年である。いくつかの実施形態では、抗CD70抗体のための投与経路は、静脈内である。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストのための投与経路は、静脈内である。いくつかの実施形態では、対象は、ヒトである。いくつかの実施形態では、方法は、アザシチジンの投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、アザシチジンは、75mg/対象の身体表面積のmの用量で投与される。いくつかの実施形態では、アザシチジンは、4週サイクルの1~7日目に投与される。いくつかの実施形態では、アザシチジンは、4週サイクルの1~5及び8~9日目に投与される。いくつかの実施形態では、方法は、ベネトクラクスの投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、フルオロキノロンの投与をさらに含む。
【0017】
また、本明細書では、がんの処置のための薬学的組成物であって、組成物は、非フコシル化抗CD70抗体であって、抗CD70抗体は、重鎖可変領域、軽鎖可変領域、及びFcドメインを含み、重鎖可変領域は、
(i)配列番号8のアミノ酸配列を含むCDR-H1、
(ii)配列番号9のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び
(iii)配列番号10のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含み、
軽鎖可変領域は、
(i)配列番号11のアミノ酸配列を含むCDR-L1、
(ii)配列番号12のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び
(iii)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、非フコシル化抗CD70抗体、及び少なくとも1つの薬学的適合性成分を含み、薬学的組成物は、CD47アンタゴニストと組み合わせて使用するためのものであり、組成物は、本明細書における実施形態のいずれかの方法において使用するためのものである、薬学的組成物が提供される。
【0018】
また、本明細書では、非フコシル化抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストであって、抗CD70抗体は、重鎖可変領域、軽鎖可変領域、及びFcドメインを含み、重鎖可変領域は、
(i)配列番号8のアミノ酸配列を含むCDR-H1、
(ii)配列番号9のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び
(iii)配列番号10のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含み、
軽鎖可変領域は、
(i)配列番号11のアミノ酸配列を含むCDR-L1、
(ii)配列番号12のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び
(iii)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、非フコシル化抗CD70抗体及びCD47アンタゴニスト、ならびに本明細書における実施形態のいずれかの方法において抗CD70抗体を使用するための指示書を含むキットが提供される。
【0019】
本明細書に記載される様々な実施形態の特性のうちの1つ、いくつかまたはすべてを組み合わせて、本発明の他の実施形態を形成し得ることが理解されるべきである。本発明のこれら及び他の態様は、当業者にとって明らかであろう。本発明のこれら及び他の実施形態は、以下の発明を実施するための形態によってさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】MV4-11 AML異種移植モデルにおける腫瘍成長に対するSEA-CD70単独、h5F9-G4(マグロリマブ)単独、またはh5F9-G4と組み合わせたSEA-CD70の効果を評価するグラフである。平均腫瘍体積(±SEM)は、各処置アームについて報告されている。各処置群について、データは、各群における最初の動物が腫瘍サイズ>1000mmに到達した場合に犠牲にさせられるまでプロットされている。
図2】MV411急性骨髄性白血病異種移植片マウスモデルにおける腫瘍成長に対するh5F9-G4(マグロリマブ)及びアザシチジン(Vidaza(登録商標))と組み合わせたSEA-CD70の効果を評価するグラフである。平均腫瘍体積(±SEM)は、各処置アームについて報告されている。各単一の処置群について、データは、各群における最初の動物が腫瘍サイズ>750mmに到達した場合に犠牲にさせられるまでプロットされている。
【発明を実施するための形態】
【0021】
I.定義
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的及び科学的用語は、記載される方法及び組成物に関する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。商標名が本明細書で使用される場合、出願人は、商標名の製品配合物、ジェネリック薬、及び商標名の製品の活性薬学的成分(複数可)を独立して含むことを意図している。本明細書で使用される場合、以下の用語及び語句は、別途特定されない限り、それらに帰する意味を有する。
【0022】
本明細書で使用される用語「及び/または」は、2つの特定された特徴または成分の各々が、他方の有無にかかわらず具体的に開示されていると解釈されたい。よって、本明細書における「A及び/またはB」などの語句において使用される用語「及び/または」は、「A及びB」、「AまたはB」、「A」(単独)、及び「B」(単独)を含むことが意図される。同様に、「A、B、及び/またはC」などの語句において使用される用語「及び/または」は、次の態様:A、B、及びC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;A及びC;A及びB;B及びC;A(単独);B(単独);ならびにC(単独)の各々を包含することが意図される。
【0023】
本明細書に記載の本発明の態様及び実施形態は、態様及び実施形態を「含む」こと、態様及び実施形態「からなる」こと、ならびに態様及び実施形態「から本質的になる」ことを含むことが理解される。
【0024】
単位、接頭辞、及び記号は、それらの国際単位系(SI)の認められた形態で示される。数値範囲は、その範囲を定義する数を含む。本明細書で提供される見出しは、本開示の様々な態様を制限するものではなく、明細書全体を参照することによって理解され得る。したがって、以下で直ちに定義される用語は、その全体が本明細書への参照によってより十分に定義される。
【0025】
用語「CD70結合剤」及び「抗CD70結合剤」は、本明細書で使用される場合、抗CD70抗体、抗CD70抗体の誘導体もしくは断片、またはCD70に結合する他の薬剤を意味し、CD70結合抗体、またはその誘導体の少なくとも1つのCDRまたは可変領域を含む。
【0026】
用語「CD47」は、本明細書で使用される場合、多様な正常細胞及び腫瘍細胞に普遍的に発現する膜貫通タンパク質である細胞表面抗原CD47を指す。CD47は、免疫グロブリンスーパーファミリー受容体SIRPαに対するリガンドである。CD47は、「抗原性表面決定基タンパク質OA3」、「インテグリン関連タンパク質(IAP)」及び「タンパク質MER6」とも称される。CD47という用語は、本明細書で使用される場合、CD47タンパク質のすべての多型バリアントを包含することが意図される。
【0027】
用語「SIRPα」は、本明細書で使用される場合、SHP基質1(SHPS-1)、チロシンベース活性化モチーフを有する脳Ig様分子(Bit)、CD172抗原様ファミリーメンバーA、阻害性受容体SHPS-1、マクロファージ融合受容体、MyD-1抗原、SIRPαl、SIRPα2、SIRPα3、p84、及びCD172aとしても知られている「シグナル制御性タンパク質アルファ」を指す。SIRPαは、免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーであり、マクロファージ及び樹状細胞を含む食細胞に発現する膜貫通タンパク質である。それは、CD47に対する受容体である。SIRPαという用語は、本明細書で使用される場合、SIRPαタンパク質のすべての多型バリアントを包含することが意図される。
【0028】
用語「SIRPα抗体分子融合タンパク質」は、SIRPαタンパク質またはその断片及び抗体分子を含む融合タンパク質を意味することが意図される。抗体分子は、本明細書の他の箇所で定義される全長抗体分子、例えば、全長IgG抗体であり得る。代替的には、抗体分子は、本明細書の他の箇所で定義される抗体の抗原結合断片であり得る。SIRPαタンパク質またはその断片は、抗体分子上の任意の好適な位置で抗体分子に融合され得る。例えば、SIRPαタンパク質またはその断片は、抗体分子の重鎖または軽鎖のN末端またはC末端に融合され得る。所定の実施形態では、SIRPα抗体分子融合タンパク質には、全長SIRPαタンパク質が含まれないが、その断片、特にCD47に結合することが可能な断片が含まれるであろう。例えば、SIRPα抗体分子融合タンパク質には、SIRPα免疫グロブリンV様ドメインの1つ以上のコピーが含まれ得る。
【0029】
用語「特異的に結合する」は、結合剤が、その対応する抗原と非常に選択的な様式で反応するが、多数の他の抗原(例えば、非CD70分子または非CD47分子)と反応しないことを意味する。
【0030】
本明細書で使用される場合、CD70結合剤またはCD47結合剤の文脈における用語「機能的」は、結合剤がCD70またはCD47に結合することが可能であることを示す。
【0031】
用語「阻害する」または「の阻害」は、本明細書で使用される場合、測定可能な量低減すること、または全体的に防止することを意味する。
【0032】
CD70発現細胞に対するCD70結合剤の効果の文脈における用語「枯渇する」は、CD70発現細胞の数の低減またはその排除を指す。同様に、CD47発現細胞に対するCD47結合剤の効果の文脈における用語「枯渇する」は、CD47発現細胞の数の低減またはその排除を指す。
【0033】
「インタクト抗体」及び「インタクト免疫グロブリン」は、2つの同一の軽(L)鎖及び2つの同一の重(H)鎖から構成される、典型的には約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質として本明細書で定義される。各軽鎖は、ヘテロ二量体を形成するためにジスルフィド結合によって重鎖に共有結合的に連結されている。そのヘテロ四量体は、そのようなヘテロ二量体の2つの同一の重鎖間の共有結合性ジスルフィド連結によって形成される。軽鎖及び重鎖は、ジスルフィド結合によって互いに連結されているが、2つの重鎖間のジスルフィド連結の数は、免疫グロブリン(Ig)アイソタイプによって異なる。各重鎖及び軽鎖はまた、規則的間隔の鎖内ジスルフィド架橋を有する。各重鎖は、アミノ末端で可変ドメイン(V)と、それに続く3または4つの定常ドメイン(C1、C2、C3、及び/またはC4)、ならびにC1とC2との間のヒンジ(J)領域を有する。各軽鎖は、2つのドメイン、すなわち、アミノ末端可変ドメイン(V)及びカルボキシ末端定常ドメイン(C)を有する。Vドメインは、Vドメインと非共有結合的に会合する一方で、Cドメインは一般的に、ジスルフィド結合を介してC1ドメインに共有結合的に連結されている。特定のアミノ酸残基が軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメインとの間に界面を形成すると考えられている(Chothia et al.,1985,J.Mol.Biol.186:651-663)。
【0034】
用語「超可変」は、抗体間の配列が広範に異なり、その特定の抗原決定基に対する各特定の抗体の結合及び特異性に直接的に関与する残基を含有する可変ドメイン内の所定の配列を指す。軽鎖及び重鎖可変ドメインの両方における超可変性は、相補性決定領域(CDR)または超可変ループ(HVL)として知られている3つのセグメントに集中している。CDRは、Kabat et al.,1991,In:Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,M.D.における配列比較によって定義される一方で、HVLは、Chothia and Lesk,1987,J.Mol.Biol.196:901-917によって記載されているように、可変ドメインの三次元構造に従って構造的に定義される。これらの2つの方法がCDRのわずかに異なる同一性をもたらす場合、構造的定義が好ましい。Kabat(Kabat et al.,“Sequences of proteins of immunological interest,5th ed.,Pub.No.91-3242,U.S.Dept.Health & Human Services,NIH,Bethesda,M.D.,1991)によって定義されるように、CDR-L1は、軽鎖可変ドメインにおいて、およそ残基24~34に位置し、CDR-L2は、およそ残基50~56に位置し、CDR-L3は、およそ残基89~97に位置し、重鎖可変ドメインにおいて、CDR-H1ではおよそ31~35、CDR-H2ではおよそ50~65、及びCDR-H3ではおよそ95~102に位置する。
【0035】
重鎖及び軽鎖の各々における3つのCDRは、可変性が低い傾向にある配列を含有するフレームワーク領域(FR)によって隔てられている。重鎖及び軽鎖可変ドメインのアミノ末端からカルボキシ末端まで、FR及びCDRは、順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、及びFR4で配置されている。FRの主にβ-シートの構成は、CDRを鎖の各々内で互いに、及び他方の鎖からのCDRと近接させる。得られるコンフォメーションは、抗原結合部位に寄与するが(Kabat et al.,1991,NIH Publ.No.91-3242,Vol.I,pages 647-669を参照されたい)、すべてのCDR残基が、必ずしも抗原結合に直接的に関与するわけではない。
【0036】
FR残基及びIg定常ドメインは、典型的には、抗原結合に直接的に関与しないが、抗原結合に寄与し、または抗体エフェクター機能を媒介し得る。いくつかのFR残基は、少なくとも3つの様式:エピトープへの直接的な非共有結合的結合によって、1つ以上のCDR残基と相互作用することによって、及び重鎖と軽鎖との間の界面に影響を及ぼすことによって、抗原結合に対する有意な効果を有し得る。定常ドメインは、様々なIgエフェクター機能、例えば、抗体依存性細胞傷害(ADCC)、補体依存性細胞傷害(CDC)及び/または抗体依存性細胞貪食(ADCP)における抗体の関与を媒介する。
【0037】
脊椎動物免疫グロブリンの軽鎖は、定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、2つの明確に区別されるクラスであるカッパ(k)及びラムダ(λ)に割り当てられる。これに対し、哺乳動物免疫グロブリンの重鎖は、定常ドメインの配列に従って、5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMのうちの1つに割り当てられる。IgG及びIgAは、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、及びIgA2にさらに分けられる。異なるクラスの免疫グロブリンに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれ、α、δ、ε、γ、及びμと呼ばれる。ネイティブ免疫グロブリンのクラスのサブユニット構造及び三次元構成は、よく知られている。
【0038】
用語「抗体」、「抗CD70抗体」、「ヒト化抗CD70抗体」、「バリアントヒト化抗CD70抗体」、「抗CD47抗体」、「ヒト化抗CD47抗体」、及び「バリアントヒト化抗CD47抗体」は、最も広い意味で本明細書で使用され、全長及びネイティブ抗体、モノクローナル抗体(全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多重特異的抗体(例えば、二重特異的抗体)、及び抗体またはその抗原結合断片、例えば、所望の生物学的活性、例えば、CD70結合またはCD47結合を示す抗体の可変ドメイン及び他の部分を具体的に包含する。
【0039】
用語「モノクローナル抗体」(mAb)は、実質的に均一な抗体の集団から得られた抗体を指す;すなわち、集団を構成する個々の抗体は、少量で存在し得る天然に存在する変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は、非常に特異的であり、エピトープとも称される単一の抗原決定基に対して仕向けられている。修飾語「モノクローナル」は、同一のエピトープに仕向けられた抗体の実質的に均一な集団を示し、任意の特定の方法による抗体の生成を必要とするものであると解釈されるべきではない。モノクローナル抗体は、当該技術分野で知られている任意の技術または方法論;例えば、Kohler et al.,1975,Nature 256:495によって記載されるハイブリドーマ法、または当該技術分野で知られている組換えDNA法(例えば、米国特許番号4,816,567を参照されたい)によって作製され得る。別の例では、モノクローナル抗体はまた、Clackson et al.,1991,Nature 352:624-628、及びMarks et al.,1991,J.Mol.Biol.222:581-597に記載の技術を使用してファージ抗体ライブラリから単離され得る。
【0040】
対照的に、ポリクローナル抗体の調製物における抗体は、典型的には、免疫グロブリンアイソタイプ及び/またはクラスの異種集団であり、また、多様なエピトープ特異性を示す。
【0041】
用語「キメラ」抗体は、本明細書で使用される場合、重鎖及び/または軽鎖の1つ以上の領域またはドメインにおける完全なアミノ酸配列またはその一部分が、別の種由来の、または別の免疫グロブリンクラスもしくはアイソタイプに属するモノクローナル抗体における対応する配列と同一であり、相同であり、もしくはそのバリアントである、またはコンセンサス配列由来であるモノクローナル抗体の一種である。キメラ抗体には、その親抗体の所望の生物学的活性、例えば、同じエピトープへの結合を示す限り、そのような抗体の断片が含まれる(例えば、米国特許番号4,816,567;及びMorrison et al.,1984,Proc.Natl.Acad Sci.USA 81:6851-6855を参照されたい)。キメラ抗体を生成するための方法は、当該技術分野で知られている(例えば、Morrison,1985.Science 229:1202;Oi et al.,1986,BioTechniques 4:214;Gillies et al.,1989,J.Immunol.Methods 125:191-202;米国特許番号5,807,715;4,816,567;及び4,816,397を参照されたい)。
【0042】
用語「抗体断片」、「抗CD70抗体断片」、「ヒト化抗CD70抗体断片」、「バリアントヒト化抗CD70抗体断片」、「抗CD47抗体断片」、「ヒト化抗CD47抗体断片」、及び「バリアントヒト化抗CD47抗体断片」は、可変領域または機能的能力、例えば、特異的CD70またはCD47エピトープ結合が保持された全長抗CD70抗体または抗CD47抗体の一部分を指す。抗体断片の例には、Fab、Fab’、F(ab’)、Fd、Fv、scFv及びscFv-Fc断片、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、線状抗体、一本鎖抗体、及び抗体断片から形成された他の多重特異的抗体が含まれるがこれらに限定されない。(Holliger and Hudson,2005,Nat.Biotechnol.23:1126-1136を参照されたい)。
【0043】
「一本鎖Fv」または「scFv」抗体断片は、ドメインが単一のポリペプチド鎖に存在し、かつ抗原を認識し、結合させることが可能である、抗体のV及びVドメインを含む一本鎖Fvバリアントである。scFvポリペプチドは、scFvが抗原結合のための所望の三次元構造を形成することを可能とする、VドメインとVドメインの間に位置するポリペプチドリンカーを任意に含有する(例えば、Pluckthun,1994,In The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,Vol.113,Rosenburg and Moore eds.,Springer-Verlag,New York,pp.269-315を参照されたい)。
【0044】
用語「ダイアボディ」は、2つの抗原結合部位を有する小さな抗体断片を指す。各断片は、V-VまたはV-Vポリペプチドを形成するために軽鎖可変ドメイン(V)に連結された重鎖可変ドメイン(V)を含有する。同じ鎖上の2つのドメインの間で対合を可能とするには短すぎるリンカーを使用することによって、連結されたV-Vドメインは、別の鎖の相補的ドメインと対合させられて、2つの抗原結合部位を形成する。ダイアボディは、例えば、EP404097;WO93/11161;及びHollinger et al.,1993,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444-6448においてより十分に記載されている。
【0045】
用語「線状抗体」は、抗原結合領域の対を形成するタンデムFdセグメント(V-C1-V-C1)の対を含む抗体を指す。線状抗体は、Zapata et al.,1995,Protein Eng.8(10):1057-1062に記載されているように、二重特異的または単一特異的であり得る。
【0046】
「ヒト化抗体」は、既定の抗原に結合することが可能であり、ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を実質的に有するフレームワーク領域及び非ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を実質的に有するCDR(複数可)を有する可変領域ポリペプチド鎖を含む免疫グロブリンアミノ酸配列バリアントまたはその断片を指す。
【0047】
通常、ヒト化抗体は、非ヒトである源からそれに導入された1つ以上のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基は、本明細書で「インポート」残基と称され、これは、典型的には、「インポート」抗体ドメイン、特に可変ドメインから得られる。インポート残基、配列、または抗体は、所望の親和性及び/または特異性、または本明細書で論述される他の所望の抗体生物学的活性を有する。
【0048】
通常、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的にすべてを含み、CDR領域のすべてまたは実質的にすべては、非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、フレームワーク領域のすべてまたは実質的にすべては、ヒト免疫グロブリン配列のもの、例えば、コンセンサスまたは生殖系列配列である。ヒト化抗体はまた、任意に、免疫グロブリンFcドメインの少なくとも一部分、典型的にはヒト免疫グロブリンのものを含む。例えば、抗体は、軽鎖ならびに重鎖の少なくとも可変ドメインの両方を含有し得る。抗体にはまた、適切な場合、重鎖のC1、ヒンジ(J)、C2、C3、及び/またはC4領域が含まれ得る。
【0049】
ヒト化抗体は、IgM、IgG、IgD、IgA及びIgEを含む免疫グロブリンの任意のクラス、ならびにIgG、IgG、IgG及びlgGを含む任意のアイソタイプから選択され得る。定常領域またはドメインには、例えば、ヒト化抗体が細胞傷害性活性を示すことが所望である場合、補体固定定常ドメインが含まれ得る(例えば、IgG)。そのような細胞傷害性活性が所望ではない場合、定常ドメインは、別のクラスのものであり得る(例えば、IgG)。ヒト化抗体は、複数のクラスまたはアイソタイプからの配列を含み得、所望のエフェクター機能を最適化するために特定の定常ドメインを選択することは、当該技術分野の通常の技術の範囲内である。
【0050】
ヒト化抗体のFR及びCDR領域は、親配列と正確に対応する必要はない。例えば、インポートCDRまたはコンセンサスFRは、少なくとも1つの残基の置換、挿入または欠失によって改変され得、これによりその部位におけるCDRまたはFR残基は、コンセンサスまたはインポート抗体のいずれかと対応しなくなる。そのような変異は、典型的には、広範囲ではない。通常、ヒト化抗体残基の少なくとも75%、よりしばしば少なくとも90%、ほとんどの場合95%超は、親FR及びCDR配列のものに対応することになる。
【0051】
用語「抗体エフェクター機能(複数可)」は、本明細書で使用される場合、IgのFcドメイン(複数可)によって貢献される機能を指す。そのような機能は、例えば、抗体依存性細胞傷害、抗体依存性細胞貪食または補体依存性細胞傷害であり得る。そのような機能は、例えば、食作用もしくは溶解活性を有する免疫細胞上のFc受容体へのFcエフェクタードメイン(複数可)の結合または補体系の成分へのFcエフェクタードメイン(複数可)の結合によって奏され得る。典型的には、Fc結合細胞または補体成分によって媒介される効果(複数可)は、CD70標的化細胞の阻害及び/または枯渇をもたらす。任意の特定の理論によって縛られることを意図していないが、抗体のFc領域は、Fc受容体(FcR)を発現する細胞を動員し、それらを抗体で被覆された標的細胞と並置させ得る。FcγRIII(CD16)、FcγRII(CD32)及びFcγRIII(CD64)を含む、IgGに対する表面FcRを発現する細胞は、IgG被覆細胞の破壊のためのエフェクター細胞として作用し得る。そのようなエフェクター細胞には、単球、マクロファージ、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球及び好酸球が含まれる。IgGによるFcγRの係合は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)または抗体依存性細胞貪食(ADCP)を活性化する。ADCCは、膜細孔形成タンパク質及びプロテアーゼの分泌を介してCD16エフェクター細胞によって媒介されるのに対し、貪食は、CD32及びCD64エフェクター細胞によって媒介される(Fundamental Immunology,4th ed.,Paul ed.,Lippincott-Raven,N.Y.,1997,Chapters 3,17 and 30;Uchida et al.,2004,J.Exp.Med.199:1659-69;Akewanlop et al.,2001,Cancer Res.61:4061-65;Watanabe et al.,1999,Breast Cancer Res.Treat.53:199-207を参照されたい)。ADCC及びADCPに加えて、細胞結合抗体のFc領域はまた、補体依存性細胞傷害(CDC)を誘発させるために補体古典的経路を活性化し得る。補体系のC1qは、それらが抗原と複合体化する場合、抗体のFc領域に結合する。細胞結合抗体へのC1qの結合は、C3転換酵素を生成するためにC4及びC2のタンパク質分解活性化を伴う事象のカスケードを開始させ得る。C3転換酵素によるC3bへのC3の切断は、C5b、C6、C7、C8及びC9を含む最終補体成分の活性化を可能とする。まとめると、これらのタンパク質は、抗体被覆細胞上に膜攻撃複合体細孔を形成する。これらの細孔は、細胞膜全体性を崩壊させ、標的細胞を殺傷する(Immunobiology,6th ed.,Janeway et al.,Garland Science,N.Y.,2005,Chapter 2を参照されたい)。
【0052】
用語「抗体依存性細胞傷害」、またはADCCは、抗体被覆標的細胞と溶解活性を保有する免疫細胞(エフェクター細胞とも称される)との相互作用に依存する細胞死を誘導するためのメカニズムである。そのようなエフェクター細胞には、ナチュラルキラー細胞、単球/マクロファージ及び好中球が含まれる。エフェクター細胞は、それらの抗原結合部位を介して標的細胞に結合したIgのFcエフェクタードメイン(複数可)に結合する。抗体被覆標的細胞の死は、エフェクター細胞活性の結果として生じる。
【0053】
用語「抗体依存性細胞貪食」、またはADCPは、抗体被覆細胞が、IgのFcエフェクタードメイン(複数可)に結合する食作用免疫細胞(例えば、マクロファージ、好中球及び樹状細胞)によって全体としてまたは部分的に内在化されるプロセスを指す。
【0054】
用語「補体依存性細胞傷害」、またはCDCは、標的結合抗体のFcエフェクタードメイン(複数可)が、標的細胞膜における孔部の形成をもたらす一連の酵素反応を活性化する細胞死を誘導するためのメカニズムを指す。典型的には、抗原-抗体複合体、例えば、抗体被覆標的細胞上のものは、補体成分C1qを結合させ、活性化し、これはひいては、標的細胞死をもたらす補体カスケードを活性化する。補体の活性化はまた、白血球上の補体受容体(例えば、CR3)を結合させることによってADCCを容易化する標的細胞表面上の補体成分の沈着をもたらし得る。
【0055】
「免疫細胞」は、本明細書で使用される場合、免疫反応の制御に関与する造血系の細胞を指す。典型的な実施形態では、免疫細胞は、Tリンパ球、Bリンパ球、NK細胞、単球/マクロファージ、または樹状細胞である。
【0056】
「エフェクター細胞」は、本明細書で使用される場合、免疫グロブリン(FcR)のFcドメインに対する表面受容体を発現する細胞を指す。例えば、FcγRIII(CD16)、FcγRII(CD32)及びFcγRIII(CD64)を含むIgGのための表面FcRを発現する細胞は、エフェクター細胞として作用し得る。そのようなエフェクター細胞には、単球、マクロファージ、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球及び好酸球が含まれる。
【0057】
「治療剤」は、がん細胞、活性化免疫細胞または他の標的細胞集団に対して細胞傷害性、細胞増殖抑制性、及び/または免疫調節性効果を発揮する薬剤である。治療剤の例には、細胞傷害剤、化学療法剤、細胞増殖抑制剤、及び免疫調節剤が含まれる。
【0058】
「細胞傷害性効果」は、標的細胞の枯渇、排除及び/または殺傷を指す。「細胞傷害剤」は、細胞に対する細胞傷害性効果を有する薬剤を指す。その用語は、放射性同位体(例えば、I131、I125、Y90、及びRe186)、化学療法剤、及び毒素、例えば、細菌、真菌、植物、または動物起源の酵素的に活性な毒素、及びその断片を含むことが意図される。そのような細胞傷害剤は、抗体、例えば、ヒト化抗CD70抗体または抗CD47抗体に接続され、例えば、抗体での療法が適応される患者を処置するために使用され得る。一実施形態では、「細胞傷害剤」には、モノクローナル抗体、例えば、本明細書に記載のヒト化抗体と組み合わせて使用される抗体が含まれる。
【0059】
「化学療法剤」は、がんの処置において有用な化学的化合物である。化学療法剤の例には、アルキル化剤、例えば、チオテパ及びシクロホスファミド(CYTOXAN(商標));アルキルスルホネート、例えば、ブスルファン、インプロスルファン、及びピポスルファン;アジリジン、例えば、ベンゾドパ、カルボコン、メツレドパ、及びウレドパ;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド、及びトリメチローロメラミンを含むエチレンイミン及びメチラメラミン;アセトゲニン(特にブラタシン及びブラタシノン);カンプトテシン(合成アナログトポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065(そのアドゼレシン、カルゼレシン、及びビゼレシン合成アナログを含む)及びその誘導体;クリプトフィシン(特にクリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン、アウリスタチン(アナログモノメチル-アウリスタチンE及びモノメチル-アウリスタチンF(例えば、2005年10月27日に公開された米国公開出願番号2005-0238649(その全体が本明細書に組み込まれる)を参照されたい)を含む);デュオカルマイシン(合成アナログKW-2189及びCBI-TMIを含む);エリュテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチイン;スポンジスタチン;ナイトロジェンマスタード、例えば、クロラムブシル、クロルナファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベムビチン、フェネステリン、プレドニマスチン;トロホスファミド、ウラシルマスタード;ニトロスウレア、例えば、カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン;抗生物質、例えば、エンジイン抗生物質(例えば、カリケアミシン、特にカリケアミシンガンマ1I及びカリケアミシンファイI1、例えば、Agnew,Chem.Intl.Ed.Engl.,33:183-186を参照されたい;ダイネマイシンAを含むダイネマイシン;ビスホスホネート、例えば、クロドロネート;エスペラミシン;ならびにネオカルジノスタチン発色団及び関連する色素タンパク質エンジイン抗生物質発色団)、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アウトラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン(商標))(モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン、及びデオキシドキソルビシンを含む)、エピルブシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、例えば、マイトマイシンC、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;代謝拮抗剤、例えば、メトトレキサート及び5-フルオロウラシル(5-FU);葉酸アナログ、例えば、デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトトレキサート;プリンアナログ、例えば、フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジンアナログ、例えば、アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン;アンドロゲン、例えば、カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗アドラナール、例えば、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸補給剤、例えば、フォリン酸;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキサート;デフォファミン;デモコルシン;ジアジコン;エフロルニチン;酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダミン;メイタンシノイド、例えば、メイタンシン及びアンサマイトシン;ミトグアゾン、ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメト;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2’,2’’-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(特にT-2毒素、ベラクリンA、ロリジンA及びアングイジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミタブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えば、パクリタキセル(TAXOL(登録商標)、Bristol-Myers Squibb Oncology,Princeton,NJ)及びドキセタキセル(TAXOTERE(登録商標)、Rhone-Poulenc Rorer,Antony,France);クロラムブシル;ゲムシタビン(Gemzar(商標));6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;白金アナログ、例えば、シスプラチン及びカルボプラチン;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン(Navelbine(商標));ノバントロン;テニポシド;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;CPT-11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイド、例えば、レチノイン酸;カペシタビン;ならびに上記のいずれかの薬学的に許容可能な塩、酸、または誘導体が含まれる。この定義にはまた、腫瘍に対するホルモン作用を制御または阻害するように作用する抗ホルモン剤、例えば、抗エストロゲン及び選択的エストロゲン受容体調節剤(SERM)(例えば、タモキシフェン(Nolvadex(商標)を含む)、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、及びトレミフェン(Fareston(商標))を含む);副腎におけるエストロゲン生成を制御する酵素アロマターゼを阻害するアロマターゼ阻害剤、例えば、4(5)-イミダゾール、アミノグルテチミド、酢酸メゲストロール(Megace(商標))、エキセメスタン、フォルメスタン、ファドロゾール、ボロゾール(Rivisor(商標))、レトロゾール(Femara(商標))、及びアナストロゾール(Arimidex(商標));及び抗アンドロゲン剤、例えば、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、リュープロリド、及びゴセレリン;ならびに上記のいずれかの薬学的に許容可能な塩、酸、または誘導体が含まれる。
【0060】
用語「プロドラッグ」は、本明細書で使用される場合、親薬物と比較して腫瘍細胞に対して細胞傷害性が低く、より活性な親形態へと酵素的に活性化または変換することが可能な薬学的に活性な物質の前駆体または誘導体形態を指す。例えば、Wilman,1986,“Prodrugs in Cancer Chemotherapy”,In Biochemical Society Transactions,14,pp.375-382,615th Meeting Belfast;及びStella et al.,1985,“Prodrugs:A Chemical Approach to Targeted Drug Delivery,In:“Directed Drug Delivery,Borchardt et al.,(ed.),pp.247-267,Humana Pressを参照されたい。有用なプロドラッグには、ホスフェート含有プロドラッグ、チオホスフェート含有プロドラッグ、スルフェート含有プロドラッグ、ペプチド含有プロドラッグ、D-アミノ酸修飾プロドラッグ、グリコシル化プロドラッグ、β-ラクタム含有プロドラッグ、任意に置換されたフェノキシアセトアミド含有プロドラッグ、及び任意に置換されたフェニルアセトアミド含有プロドラッグ、より活性な細胞傷害性遊離薬物に変換され得る5-フルオロシトシン及び他の5-フルオロウリジンプロドラッグが含まれるがこれらに限定されない。プロドラッグ形態に誘導体化され得る細胞傷害性薬物の例には、上述したそれらの化学療法剤が含まれるがこれらに限定されない。
【0061】
「細胞増殖抑制性効果」は、細胞増殖の阻害を指す。「細胞増殖抑制性薬剤」は、細胞に対する細胞増殖抑制性効果を有し、それにより特定のサブセットの細胞の成長及び/または増殖を阻害する薬剤を指す。
【0062】
用語「免疫調節性効果」は、本明細書で使用される場合、免疫学的反応の発達または維持の刺激(免疫刺激性)または阻害(免疫抑制性)を指す。阻害は、例えば、免疫細胞(例えば、TまたはBリンパ球)の排除;他の細胞の機能的能力を調節(例えば、下方制御)し得る免疫細胞の誘導または生成;免疫細胞における非反応性状態(例えば、アネルギー)の誘導;または例えば、これらの細胞によって発現するタンパク質のパターンを改変することを含む、免疫細胞の活性または機能を増加させること、低下させることまたは変化させること(例えば、所定のクラスの分子、例えば、サイトカイン、ケモカイン、成長因子、転写因子、キナーゼ、共刺激分子または他の細胞表面受容体などの生成及び/または分泌の改変)によって奏され得る。「免疫調節剤」は、細胞に対する免疫調節性効果を有する薬剤を指す。いくつかの実施形態では、免疫調節剤は、免疫反応を促進する免疫細胞に対する細胞傷害性または細胞増殖抑制性効果を有する。
【0063】
用語「標識」は、抗体に直接的にまたは間接的にコンジュゲートされた検出可能な化合物または組成物を指す。標識は、それ自体で検出可能であり(例えば、放射性同位体標識または蛍光標識)または、酵素標識の場合、検出可能である基質化合物または組成物の化学的変化を触媒し得る。標識された抗CD70抗体は、in vitro及びin vivo診断を含む様々な用途において調製及び使用され得る。
【0064】
「単離された」核酸分子は、核酸の天然源においてそれが通常関連する少なくとも1つの混入核酸分子から同定及び分離された核酸分子である。単離された核酸分子は、それが天然に見られる形態または状況のもの以外である。そのため、単離された核酸分子は、天然細胞に存在する核酸分子とは区別される。しかしながら、単離された核酸分子には、例えば、核酸分子が天然細胞の染色体位置とは異なる染色体位置にある抗体を通常発現させる細胞に含まれる核酸分子が含まれる。
【0065】
用語「コントロール配列」は、特定の宿主生物において機能可能に連結されたコード配列の発現に必要なポリヌクレオチド配列を指す。原核細胞において使用するのに好適なコントロール配列には、例えば、プロモーター、オペレーター、及びリボソーム結合部位配列が含まれる。真核コントロール配列には、プロモーター、ポリアデニル化シグナル、及びエンハンサーが含まれるがこれらに限定されない。これらのコントロール配列は、原核及び真核宿主細胞における抗CD70結合剤の発現及び生成のために利用され得る。
【0066】
核酸配列は、別の核酸配列との機能的関係性に置かれた場合、「機能可能に連結」されている。例えば、核酸プレ配列または分泌性リーダーは、ポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発現する場合、ポリペプチドをコードする核酸に機能可能に連結されている;プロモーターまたはエンハンサーは、配列の転写に影響を及ぼす場合、機能可能に連結されている;またはリボソーム結合部位は、翻訳を容易化するように配置されている場合、コード配列に機能可能に連結されている。通常、「機能可能に連結された」は、連結されているDNA配列が近接しており、分泌リーダーの場合、近接しており、リーディングフレームにあることを意味する。しかしながら、エンハンサーは、任意に近接している。連結は、好都合な制限部位でのライゲーションによって達成され得る。そのような部位が存在しない場合、合成オリゴヌクレオチドアダプターまたはリンカーが、DNA配列を連結させるために使用され得る。
【0067】
用語「ポリペプチド」は、アミノ酸のポリマー及びその同等物を指し、生成物の特定の長さを指さない;よって、「ペプチド」及び「タンパク質」は、ポリペプチドの定義に含まれる。ポリペプチドの定義にはまたは、本明細書で定義される「抗体」が含まれる。「ポリペプチド領域」は、ポリペプチドのセグメントを指し、セグメントは、例えば、1つ以上のドメインまたはモチーフを含有し得る(例えば、抗体のポリペプチド領域は、例えば、1つ以上の相補性決定領域(CDR)を含有し得る)。用語「断片」は、典型的にはポリペプチドの少なくとも20個の連続アミノ酸または少なくとも50個の連続アミノ酸を有するポリペプチドの一部分を指す。「誘導体」は、第2のポリペプチドと比べて1つ以上の非保存的または保存的アミノ酸置換を有するポリペプチドもしくはその断片;または第2の分子の共有結合によって、例えば、異種ポリペプチドの結合によって、またはグリコシル化、アセチル化、リン酸化などによって修飾されたポリペプチドもしくはその断片である。「誘導体」の定義には、例えば、アミノ酸の1つ以上のアナログ(例えば、非天然アミノ酸など)を含有するポリペプチド、非置換連結を有するポリペプチド、ならびに当該技術分野で知られている他の改変物(天然に存在するもの及び天然に存在しないものの両方)である。
【0068】
「単離された」ポリペプチドは、その天然環境の成分から同定、分離、及び/または回収されたものである。その天然環境の混入成分は、ポリペプチドの診断的または治療的使用を妨害するであろうで物質であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質性または非タンパク質性溶質を含み得る。単離されたポリペプチドには、単離された抗体、またはその断片もしくは誘導体が含まれる。「抗体」には、抗体の天然環境の少なくとも1つの成分が存在しないため、組換え細胞内でin situの抗体が含まれる。
【0069】
所定の実施形態では、抗体は、(1)抗体が、例えば、ローリー法によって決定される場合、95重量%超、他の態様では99重量%超になるまで、(2)スピニングカップ配列決定装置の使用によってN末端または内部アミノ酸配列の少なくとも15残基を得るのに十分な程度になるまで、または(3)クマシーブルー、または、好ましくは、シルバー染色を使用して還元または非還元条件下でSDS-PAGEによる均質性となるまで、精製される。
【0070】
ポリペプチドとの関連で用語「異種」は、2つのポリペプチドが異なるように、別のポリペプチドと比較して異なる源(例えば、細胞、組織、生物、または種)を意味する。典型的には、異種ポリペプチドは、異なる種からのものである。
【0071】
免疫グロブリンポリペプチドまたはその断片との関連で、「保存的置換」は、抗原への免疫グロブリンポリペプチドまたはその断片の特異的結合(例えば、Kによって測定される)を実質的に低減しない1つ以上のアミノ酸置換(すなわち、結合親和性を増加させる、結合親和性を有意に改変しない、または標準的な結合アッセイ、例えば、ELISAなどによって決定される場合、結合親和性を約40%以下、典型的には約30%以下、より典型的には約20%以下、さらにより典型的には約10%以下、または最も典型的には約5%以下低減する置換)を意味する。
【0072】
2つ以上の核酸またはポリペプチド配列との関連で、用語「同一」または「同一率」は、最大一致のために比較及びアライメントされた場合、同じであるか、または同じヌクレオチドもしくはアミノ酸残基の特定割合を有する2つ以上の配列またはサブ配列を指す。同一率を決定するために、配列は、最適な比較目的のためにアライメントされる(例えば、第2のアミノまたは核酸配列との最適なアライメントのために第1のアミノ酸または核酸配列の配列においてギャップが導入され得る)。次いで対応するアミノ酸位置またはヌクレオチド位置におけるアミノ酸残基またはヌクレオチドが比較される。第1の配列における位置が第2の配列における対応する位置と同じアミノ酸残基またはヌクレオチドによって占められている場合、そのときは分子は、その位置で同一である。2つの配列間の同一率は、配列によって共有された同一の位置の数の関数である(すなわち、%同一性=同一の位置の数/位置の総数(例えば、重複位置)x100)。いくつかの実施形態では、2つの配列は、同じ長さである。
【0073】
2つの核酸またはポリペプチドとの関連で用語「実質的に同一」は、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、または少なくとも65%の同一性;典型的には少なくとも70%または少なくとも75%の同一性;より典型的には少なくとも80%または少なくとも85%の同一性;さらにより典型的には少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%の同一性(例えば、以下に示される方法のうちの1つを使用して決定される)を有する2つ以上の配列またはサブ配列を指す。
【0074】
2つ以上のポリペプチド配列との関連で用語「類似性」または「類似率」は、以下に示される方法のうちの1つを使用して測定される場合、最大一致のために比較及びアライメントされた場合、同じであるか、または保存的に置換されたアミノ酸残基の特定割合を有する2つ以上の配列またはサブ配列を指す。例として、第1のアミノ酸配列は、第1のアミノ酸配列が、第1の配列に含有される数と同数のアミノ酸と比較した場合、または例えば、以下に示される方法のうちの1つによってアライメントされたポリペプチドのアライメントと比較した場合、第2のアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、90%、または95%同一であるか、または保存的に置換されている場合、第2のアミノ酸配列と類似するとみなされ得る。
【0075】
用語「実質的類似性」または「実質的に類似の」は、ポリペプチド配列との関連で、ポリペプチド領域が、参照配列と少なくとも70%、典型的には少なくとも80%、より典型的には少なくとも85%、または少なくとも90%または少なくとも95%の配列類似性を有する配列を有することを示している。例えば、ポリペプチドは、例えば、2つのペプチドが1つ以上の保存的置換(複数可)によって異なる場合、第2のポリペプチドと実質的に同様である。
【0076】
抗CD70抗体、またはその誘導体との関連で、抗CD70抗体の1つ以上の抗原結合領域(例えば、重鎖または軽鎖可変領域、または重鎖または軽鎖CDR)と実質的に同一のまたは実質的に類似する1つ以上のポリペプチド領域を有するタンパク質は、当該技術分野で知られているまたは本明細書で言及される様々な標準的なイムノアッセイのいずれかを使用して決定される場合、抗CD70抗体によって認識されるCD70のエピトープへの特異的結合を保持する。
【0077】
抗CD47抗体、またはその誘導体との関連で、抗CD47抗体の1つ以上の抗原結合領域(例えば、重鎖または軽鎖可変領域、または重鎖または軽鎖CDR)と実質的に同一のまたは実質的に類似する1つ以上のポリペプチド領域を有するタンパク質は、当該技術分野で知られているまたは本明細書で言及される様々な標準的なイムノアッセイのいずれかを使用して決定される場合、抗CD47抗体によって認識されるCD47のエピトープへの特異的結合を保持する。
【0078】
抗SIRPα抗体、またはその誘導体との関連で、抗SIRPα抗体の1つ以上の抗原結合領域(例えば、重鎖または軽鎖可変領域、または重鎖または軽鎖CDR)と実質的に同一のまたは実質的に類似する1つ以上のポリペプチド領域を有するタンパク質は、当該技術分野で知られているまたは本明細書で言及される様々な標準的なイムノアッセイのいずれかを使用して決定される場合、抗SIRPα抗体によって認識されるSIRPαのエピトープへの特異的結合を保持する。
【0079】
2つの配列間の同一率または類似率の決定は、数学的アルゴリズムを使用して達成され得る。2つの配列の比較のために利用される数学的アルゴリズムの好ましい非限定的な例は、Karlin and Altschul,1993,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873-5877ように改変されたKarlin and Altschul,1990,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:2264-2268のアルゴリズムである。そのようなアルゴリズムは、Altschul et al.,1990,J.Mol.Biol.215:403-410のNBLAST及びXBLASTプログラムに組み込まれる。BLASTヌクレオチド検索は、対象となるタンパク質をコードする核酸と相同なヌクレオチド配列を得るために、NBLASTプログラム、スコア=100、ワード長さ=12で実施され得る。BLASTタンパク質検索は、対象となるタンパク質と相同なアミノ酸配列を得るために、XBLASTプログラム、スコア=50、ワード長さ=3で実施され得る。比較目的のためのギャップ付きアライメントを得るために、Gapped BLASTが、Altschul et al.,1997,Nucleic Acids Res.25:3389-3402に記載されているように利用され得る。代替的には、分子間の距離的関係性を検出する反復検索を実施するためにPSI-Blastが使用され得る(上掲)。BLAST、Gapped BLAST、及びPSI-Blastプログラムを利用する場合、それぞれのプログラム(例えば、XBLAST及びNBLAST)のデフォルトパラメータが使用され得る。配列の比較のために利用される数学的アルゴリズムの別の非限定的な例は、Myers and Miller,CABIOS(1989)のアルゴリズムである。そのようなアルゴリズムは、GCG配列アライメントソフトウエアパッケージの一部であるALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれている。アミノ酸配列を比較するためにALIGNプログラムを利用する場合、PAM120加重残基表、12のギャップ長ペナルティ、及び4のギャップペナルティが使用され得る。配列分析のための追加のアルゴリズムは、当該技術分野で知られており、それには、Torellis and Robotti,1994,Comput.Appl.Biosci.10:3-5に記載されるADVANCE及びADAM;ならびにPearson and Lipman,1988,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2444-8に記載されるFASTAが含まれる。FASTA内で、ktupは、検索の感度及び速度を設定するコントロールオプションである。ktup=2の場合、比較されている2つの配列における類似する領域が、アライメントされた残基の対を調べることによって見出される;ktup=1の場合、単一のアライメントされたアミノ酸が調べられる。ktupは、タンパク質配列の場合は2または1に、またはDNA配列の場合は1~6に設定され得る。デフォルトは、ktupが指定されていない場合、タンパク質について2であり、DNAについて6である。代替的には、タンパク質配列アライメントは、Higgins et al.,1996,Methods Enzymol.266:383-402によって記載されているように、CLUSTAL Wアルゴリズムを使用して行われ得る。
【0080】
本明細書で使用される場合、表現「細胞」、「細胞株」、及び「細胞培養」は、互換的に使用され、すべてのそのような名称には、その子孫が含まれる。よって、「形質転換体」及び「形質転換細胞」には、一次対象細胞及び形質転換の数にかかわらずそれに由来する培養物が含まれる。すべての子孫は、意図的なまたは天然に存在する変異により、DNA含有量が正確に同一ではない場合があることが理解される。最初に形質転換された細胞内でスクリーニングされたものと同じ機能または生物学的活性を有する変異子孫が含まれる。明確な名称が意図される場合、それは、文脈から明らかとなる。
【0081】
処置の目的のための用語「対象」は、任意の動物、特に、ヒト、飼いならされた動物及び牧場動物、ならびに動物園、スポーツ、またはペット動物、例えば、イヌ、ウマ、ネコ、ウシなどを含む哺乳動物として分類される動物を指す。好ましくは、対象は、ヒトである。
【0082】
本明細書で使用される場合の「障害」、ならびに用語「CD70関連障害」及び「CD70関連疾患」は、本明細書に記載される抗CD70結合剤での処置から利益を受けるであろう任意の病態を指す。「CD70関連障害」及び「CD70関連疾患」は、典型的には、細胞表面上でCD70、またはその断片を発現する。これには、哺乳動物を問題となる障害に罹患させやすくするそれらの病理学的病態を含む慢性及び急性の障害または疾患が含まれる。本明細書において処置される非限定的な例または障害には、がん、骨髄悪性腫瘍、血液学的悪性腫瘍、良性及び悪性腫瘍、白血病及びリンパ悪性腫瘍、がん、ならびに炎症性、血管新生性及び免疫学的障害が含まれる。障害の具体的な例は、以下に開示されている。同様に、用語「CD47関連障害」及び「CD47関連疾患」は、本明細書に記載される抗CD47結合剤または他のCD47アンタゴニストでの処置から利益を受けるであろう任意の病態を指す。「CD47関連障害」及び「CD47関連疾患」は、典型的には、細胞表面上でCD47、またはその断片を発現する。これには、哺乳動物を問題となる障害に罹患させやすくするそれらの病理学的病態を含む慢性及び急性の障害または疾患が含まれる。本明細書において処置される非限定的な例または障害には、がん、骨髄悪性腫瘍、血液学的悪性腫瘍、良性及び悪性腫瘍、白血病及びリンパ悪性腫瘍、がん、ならびに炎症性、血管新生性及び免疫学的障害が含まれる。障害の具体的な例は、以下に開示されている。
【0083】
用語「処置」及び「療法」などは、本明細書で使用される場合、1つ以上の症状の軽減または緩和、疾患または障害の進行の退縮、減速または停止を含むがこれらに限定されない、任意の臨床的に所望のまたは有益な効果をもたらす疾患または障害のための治療的ならびに予防的、または抑制的手段を含むことを意味する。よって、例えば、処置という用語には、疾患または障害の症状の発症の前または後に薬剤を投与し、それにより疾患または障害のすべての兆候を予防または除去することが含まれる。別の例として、その用語には、疾患の症状と戦うための疾患の臨床的発症後の薬剤の投与が含まれる。さらに、発症後及び臨床的症状が進行した後の薬剤の投与は、投与が疾患または障害の臨床的パラメータ、例えば、組織傷害の程度または転移の量もしくは程度に影響を及ぼす場合、処置が疾患の改善をもたらすかどうかにかかわらず、本明細書で使用される「処置」または「療法」を含む。
【0084】
本明細書で使用される場合、用語「予防」または「予防する」は、(a)CD70を発現する及び/またはCD47を発現するがんもしくは免疫学的障害、またはその臨床的もしくは診断的症状の1つ以上の発生または発症を阻止するために、(b)CD70を発現する及び/またはCD47を発現するがんまたは免疫学的障害の発症の重症度を阻害するために、または(c)CD70を発現する及び/またはCD47を発現するがんまたは免疫学的障害の開始の可能性を低下させるために、CD70を発現する及び/またはCD47を発現するがんまたは免疫学的障害の臨床的または診断的症状の発症前の対象への抗CD70結合剤及び/またはCD47アンタゴニストへの投与(例えば、CD70を発現する及び/またはCD47を発現するがんまたは免疫学的障害にかかりやすい素因を有する、または罹患するリスクの高い個体への投与)を指す。
【0085】
用語「静脈内注入」は、およそ15分、通常はおよそ30~90分よりも長い期間にわたる動物またはヒト患者の静脈への薬剤、例えば、治療剤の導入を指す。
【0086】
用語「静脈内ボーラス」または「静脈内プッシュ」は、身体がおよそ15分以下、通常は5分以下で薬物を摂取するような動物またはヒトの静脈への薬物投与を指す。
【0087】
用語「皮下投与」は、薬物容器からの比較的遅い持続送達による、動物またはヒト患者の皮膚下での、典型的には皮膚と基礎組織との間のポケット内での薬剤、例えば、治療剤の導入を指す。皮膚を基礎組織から離れるように上方につまむことまたは引っ張ることは、ポケットを生成し得る。
【0088】
用語「パッケージ挿入物」は、そのような治療製品の使用に関する適応症、使用法、投与、禁忌及び/または警告に関する情報を含有する、治療製品の商業用パッケージに習慣的に含まれる指示書を指すために使用される。
【0089】
「リポソーム」は、哺乳動物への薬物(例えば、抗体)の送達に有用である様々なタイプの脂質、リン脂質及び/または界面活性剤から構成される小さなベシクルである。リポソームの成分は、一般的に、生物学的膜の脂質配置と同様に、二重層形成で配置される。
【0090】
用語「皮下注入」は、30分以下、または90分以下を含むがこれらに限定されない期間の薬物容器からの比較的遅い持続送達による、動物またはヒト患者の皮膚下での、好ましくは皮膚と基礎組織との間のポケット内での薬剤の導入を指す。任意に、注入は、動物またはヒト患者の皮膚下に埋め込まれる薬物送達ポンプの皮下埋込によって行われ得、ポンプは、既定の期間、例えば、30分、90分、または処置レジメンの長さにわたる期間、薬物の既定の量を送達する。
【0091】
用語「皮下ボーラス」は、動物またはヒト患者の皮膚下の薬物投与を指し、ボーラス薬物送達は、およそ15分未満;別の態様では、5分未満、さらに別の態様では、60秒未満である。またさらに別の態様では、投与は、皮膚と基礎組織との間のポケット内であり、ポケットは、皮膚を基礎組織から離れるように上方につまむことまたは引っ張ることによって生成され得る。
【0092】
用語「有効量」は、対象におけるCD70を発現する及び/またはCD47を発現するがんまたは免疫学的障害の1つ以上の臨床的または診断的症状の発生を阻害し、またはその症状を改善するために十分な抗CD70結合剤(例えば、抗体または誘導体または他の結合剤)またはCD47アンタゴニストの量を指す。有効量の薬剤は、「有効なレジメン」で本明細書に記載の方法に従って投与される。用語「有効なレジメン」は、CD70を発現する及び/またはCD47を発現するがんまたは免疫学的障害の処置または予防を達成するために適切な薬剤の量及び投薬頻度の組み合わせを指す。
【0093】
用語「治療的有効量」は、有益な患者アウトカム、例えば、細胞の成長停止効果または消失を有する治療剤の量を指すために使用される。一態様では、治療的有効量は、アポトーシス活性を有し、または細胞死を誘導することが可能である。別の態様では、治療的有効量は、例えば、疾患進行を減速させる際に有効であることが示された標的血清濃度を指す。有効性は、処置される病態に応じて、従来の方法で測定され得る。例えば、CD70及び/またはCD47を発現する細胞によって特性化される新生物疾患または障害において、有効性は、疾患進行への時間(TTP)を評価することまたは反応率(RR)を決定することによって測定され得る。
【0094】
本明細書で使用される場合、「完全反応」または「CR」は、すべての標的病変の消失を指し、「部分的反応」または「PR」は、ベースライン最長径和(SLD)を基準として、標的病変のSLDが少なくとも30%減少することを指し、「安定な疾患」または「SD」は、処置開始以降の最小SLDを基準として、PRの要件を満たす十分な標的病変の縮小がなく、かつPDの要件を満たす十分な増大がないことを指す。
【0095】
本明細書で使用される場合、「無増悪生存」または「PFS」は、治療されている疾患(例えば、がん)が悪化しない治療中及び治療後の時間の長さを指す。無増悪生存には、患者が完全応答または部分的応答を経験した時間量、及び患者が安定な疾患を経験した時間量が含まれ得る。
【0096】
本明細書で使用される場合、「全体的反応率」または「ORR」は、完全応答(CR)率及び部分的応答(PR)率の合計を指す。
【0097】
本明細書で使用される場合、「全生存」または「OS」は、特定の期間後に生存している可能性が高い群における個体の割合を指す。
【0098】
「有害事象」(AE)は、本明細書で使用される場合、医学的処置の使用に関連する、任意の好ましくなく一般に意図されていないまたは望ましくない徴候(異常な検査所見を含む)、症状、または疾患である。医学的処置は、1つ以上の関連するAEを有し得、各AEは、同じまたは異なるレベルの重症度を有し得る。「有害事象を改変する」ことが可能な方法への言及は、異なる処置レジメンの使用に関連する1つ以上のAEの発生率及び/または重症度を低下させる処置レジメンを意味する。
【0099】
「重度有害事象」または「SAE」は、本明細書で使用される場合、以下の基準のうちの1つを満たす有害事象である:
・死に至るものまたは生命を脅かすもの(重篤な有害事象の定義で使用される場合、「生命を脅かすもの」とは、その事象の時点で患者が死亡する危険性がある事象を指し、仮により重度であれば死に至ったかもしれないという事象を指すのではない。
・永続的または有意な障害/不能をもたらす
・先天性異常/出生異常を構成する
・医学的に重要であるもの、すなわち、患者を危機にさらす事象または上記に列挙される結果の1つを防ぐために医学的もしくは外科的介入を必要とし得る事象と定義される。AEが「医学的に有意である」かどうかを決定する際には医学的及び科学的判断が発揮されなければならない。
・入院患者の入院期間または既存の入院期間の延長が必要となるもの。以下を除く:1)基礎疾患の日常的な治療またはモニタリングで状態のいかなる悪化も伴わないもの、2)試験下の適応症とは無関係であり、インフォームドコンセントに署名してから悪化していない既往症に対する選択的または事前計画された治療、ならびに3)患者の全身状態のいかなる悪化もない社会的な理由及び休息介護。
【0100】
選択肢(例えば、「または」)の使用は、選択肢のうち1つ、両方、またはその任意の組み合わせのいずれかを意味することが理解されるべきである。本明細書で使用される場合、不定冠詞「a」または「an」は、記述または列挙される任意の要素の「1つ以上」を指すことが理解されるべきである。
【0101】
用語「約」または「本質的に含む」は、当業者によって決定される特定の値または組成の許容誤差範囲内にある値または組成を指し、これは、部分的に、値または組成がどのように測定または決定されるか、すなわち、測定システムの限界に依存する。例えば、「約」または「本質的に含む」は、当該技術分野における実務に従って1以内または1を超える標準偏差を意味し得る。代替的には、「約」または「本質的に含む」は、最大20%の範囲を意味し得る。さらに、特に生物学的システムまたはプロセスに関して、その用語は、最大1桁または最大5倍の値を意味し得る。特定の値または組成が本出願及び特許請求の範囲で提供される場合、別段記述されない限り、「約」または「本質的に含む」の意味は、その特定の値または組成について許容可能な誤差範囲内にあることが想定されるべきである。
【0102】
用語「薬学的に許容可能な」は、本明細書で使用される場合、連邦政府もしくは州政府の規制機関によって承認されていること、または動物における、より具体的にはヒトにおける使用について米国薬局方もしくは他の一般的に認識されている薬局方に列挙されていることを意味する。用語「薬学的適合性成分」は、抗CD70結合剤またはCD47アンタゴニストと共に投与される薬学的に許容可能な希釈剤、アジュバント、賦形剤、またはビヒクルを指す。
【0103】
語句「薬学的に許容可能な塩」は、本明細書で使用される場合、抗CD70結合剤もしくは治療剤またはCD47アンタゴニストもしくは治療剤の薬学的に許容可能な有機または無機塩を指す。抗CD70結合剤もしくは治療剤またはCD47アンタゴニストもしくは治療剤は、少なくとも1つのアミノ基を含有し、したがって、酸付加塩は、このアミノ基または他の好適な群を伴って形成され得る。例示的な塩には、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチジン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、糖酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、pトルエンスルホン酸塩、及びパモ酸塩(すなわち、1,1’メチレンビス-(2ヒドロキシ3ナフトエート))が含まれるがこれらに限定されない。薬学的に許容可能な塩は、酢酸イオン、コハク酸イオン、または他の対イオンなどの別の分子の包含を伴い得る。対イオンは、親化合物上の電荷を安定化する任意の有機または無機部位であり得る。さらに、薬学的に許容可能な塩は、その構造における複数の荷電原子を有し得る。複数の荷電原子が薬学的に許容可能な塩の一部である例は、複数の対イオンを有し得る。これにより、薬学的に許容可能な塩は、1つ以上の荷電原子及び/または1つ以上の対イオンを有し得る。
【0104】
「薬学的に許容可能な溶媒和物」または「溶媒和物」は、1つ以上の溶媒分子及び抗CD70結合剤及び/または治療剤またはCD47アンタゴニスト及び/または治療剤の会合を指す。薬学的に許容可能な溶媒和物を形成する溶媒の例には、水、イソプロパノール、エタノール、メタノール、DMSO、酢酸エチル、酢酸、及びエタノールアミンが含まれるがこれらに限定されない。
【0105】
略語「AFP」は、ジメチルバリン-バリン-ドライソロイイン-ドラプロイン-フェニルアラニン-p-フェニレンジアミンを指す。
【0106】
略語「MMAE」は、モノメチルアウリスタチンEを指す。
【0107】
略語「AEB」は、アウリスタチンEをパラアセチル安息香酸と反応させることによって生成されるエステルを指す。
【0108】
略語「AEVB」は、アウリスタチンEをベンゾイル吉草酸と反応させることによって生成されるエステルを指す。
【0109】
略語「MMAF」は、ドバリン-バリン-ドライソロイシン-ドラプロイン-フェニルアラニンを指す。
【0110】
略語「fk」及び「phe-lys」は、リンカーフェニルアラニン-リジンを指す。
【0111】
用語「Treg」または「制御性T細胞」は、CD4+CD25及びCD8T細胞増殖及び/またはエフェクター機能を抑制する、またはそうでなければ免疫反応を下方調節するCD4T細胞を指す。特に、Tregは、ナチュラルキラー細胞、ナチュラルキラーT細胞及び他の免疫細胞によって媒介される免疫反応を下方制御し得る。
【0112】
用語「制御性T細胞機能」または「Tregの機能」は、CD4+CD25またはCD8T細胞増殖の低減またはエフェクターT細胞媒介免疫反応の低減をもたらすTregの任意の生物学的機能を指すために互換的に使用される。Treg機能は、当該技術分野で確立された技術を介して測定され得る。Treg機能を測定するための有用なin vitroアッセイの非限定的な例には、トランスウェル抑制アッセイならびにヒト末梢血または臍帯血(またはネズミ脾臓またはリンパ節)から精製された標的通常型T細胞(Tconv)及びTregが、抗CD3抗CD28被覆ビーズ(または抗原提示細胞(APC)、例えば、照射された脾細胞または精製された樹状細胞(DC)または照射されたPBMC)によって任意に活性化され、それに続いて(例えば、放射性ヌクレオチド(例えば、[H]-チミジン等)もしくは蛍光ヌクレオチドの組み込みを測定することによって、またはCayman Chemical MTT細胞増殖アッセイキットによって、またはフローサイトメトリーによる緑色蛍光色素エステルCFSEまたはセミナフタローダフルオール(Seminaphtharhodafluor)(SNARF-1)色素の希釈をモニタリングすることによって)通常型T細胞増殖をin vitro検出するin vitroアッセイが含まれる。他の一般的なアッセイは、T細胞サイトカイン反応を測定する。Treg機能の有用なin vivoアッセイには、Tregが、例えば、(1)ホメオスタシスモデル(Tregによって主に抑制される標的細胞として恒常的に増殖するナイーブCD4T細胞を使用する)、(2)炎症性腸疾患(IBD)回復モデル(Tregによって主に抑制される標的細胞としてThlT細胞(Thl7)を使用する)、(3)実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)モデル(Tregによって主に抑制される標的細胞としてThl7及びThlT細胞を使用する)、(4)B16黒色腫モデル(抗腫瘍免疫の抑制)(Tregによって主に抑制される標的細胞としてCD8T細胞を使用する)、(5)ナイーブCD4CD45RBTconv細胞がRagVマウスに移入される養子移入大腸炎における結腸炎症の抑制、及び(6)Foxp3救済モデル(Tregによって主に抑制される標的細胞としてリンパ球を使用する)を含む重要な役割を果たす疾患の動物モデルにおけるアッセイが含まれる。1つのプロトコルに従って、モデルのすべては、ドナーT細胞集団のためのマウスならびにレシピエントのためのRagl-/-またはFoxp3マウスを必要とする。様々な有用なアッセイに関するより多くの詳細については、例えば、Collison and Vignali,In Vitro Treg Suppression Assays,Chapter 2 in Regulatory T Cells:Methods and Protocols,Methods in Molecular Biology,Kassiotis and Liston eds.,Springer,2011,707:21-37;Workman et al,In Vivo Treg Suppression Assays,Chapter 9 in Regulatory T Cells:Methods and Protocols,Methods in Molecular Biology,Kassiotis and Liston eds.,Springer,2011,119-156;Takahashi et al,Int.Immunol,1998,10:1969-1980;Thornton et al,J.Exp.Med.,1998,188:287-296;Collison et al,J.Immunol,2009,182:6121-6128;Thornton and Shevach,J.Exp.Med.,1998,188:287-296;Asseman et al,J.Exp.Med.,1999,190:995-1004;Dieckmann et al,J.Exp.Med.,2001,193:1303-1310;Belkaid,Nature Reviews,2007,7:875-888;Tang and Bluestone,Nature Immunology,2008,9:239-244;Bettini and Vignali,Curr.Opin.Immunol,2009,21 :612-618;Dannull et al,J Clin Invest,2005,115(12):3623-33;Tsaknaridis,et al,J Neurosci Res.,2003,74:296-308を参照されたい。
【0113】
本明細書に記載されるように、任意の濃度範囲、パーセンテージ範囲、比率範囲、または整数範囲は、別段示されない限り、記述される範囲内の任意の整数の値を含み、適切な場合、その分数(整数の1/10及び1/100など)を含むことを理解されたい。
【0114】
本開示の様々の態様は、以下のサブセクションにおいてさらに詳細に記載される。
【0115】
II.抗CD70抗体
本発明は、抗CD70抗体、例えば、マウス抗体1F6に由来するヒト化抗体を提供する。1F6は、CD70に対するネズミ免疫グロブリンG1(IgG1)モノクローナル抗体である。1F6及びヒト化1F6バリアントは、米国特許第8,067,546号及び国際特許公開WO2006/113909に記載されている。いくつかの実施形態では、抗CD70抗体は、非フコシル化である。
【0116】
マウス1F6抗体のヒト化形態の結合親和性(すなわち、解離定数、K)は、好ましくは、ヒトCD70についてのマウス抗体1F6のものの5倍または2倍以内である。ヒト化1F6抗体は、それらの由来となったマウス抗体のように、ネイティブ形態の及び/またはチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞から組換え的に発現したヒトCD70に特異的に結合する。好ましいヒト化1F6抗体は、ヒトCD70に対する1F6のものと同じまたはそれよりも高い(すなわち、測定における誤差の範囲を超えて高い)親和性を有する(すなわち、1F6の親和性の1.1~5倍、1.1~3倍、1.5~3倍、1.7~2.3倍もしくは1.7~2.1倍または1F6の親和性の約2倍)。好ましいヒト化1F6抗体は、ヒトCD70への結合について1F6と同じエピトープに結合し、またはそれと競合する。
【0117】
いくつかの実施形態では、本発明の抗体は、動物モデルまたは臨床試験において、培養中に増殖する細胞で示されるようにがん(例えば、細胞の成長、転移及び/または生物に対する致死性)を阻害する。動物モデルは、CD70を発現するヒト腫瘍細胞株を適切な免疫不全げっ歯類株、例えば、無胸腺ヌードマウスまたはSCIDマウスに移植することによって形成され得る。これらの腫瘍細胞株は、皮下注射による固形腫瘍としてまたは静脈内注射による散在した腫瘍として免疫不全げっ歯類宿主において確立され得る。
【0118】
宿主内で確立されると、これらの腫瘍モデルは、実施例に記載されているように、抗CD70抗体、またはそのコンジュゲート形態の治療的有効性を評価するために適用され得る。
【0119】
通常、本開示の抗CD70抗体は、CD70、例えば、ヒトCD70を結合させ、悪性細胞、例えば、がん細胞に対する細胞増殖抑制性及び細胞傷害性効果を発揮する。本開示の抗CD70抗体は、好ましくはモノクローナルであり、多重特異的、ヒト、ヒト化またはキメラ抗体、一本鎖抗体、Fab断片、F(ab’)断片、Fab発現ライブラリによって生成された断片、及び上記のいずれかのCD70結合断片であり得る。いくつかの実施形態では、本開示の抗CD70抗体は、CD70を特異的に結合させる。本開示の免疫グロブリン分子は、免疫グロブリン分子の任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA及びIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2)またはサブクラスのものであり得る。
【0120】
本開示の所定の実施形態では、抗CD70抗体は、本明細書に記載される抗原結合断片(例えば、ヒト抗原結合断片)であり、Fab、Fab’及びF(ab’)、Fd、一本鎖Fv(scFv)、一本鎖抗体、ジスルフィド結合Fv(sdFv)ならびにVまたはVドメインのいずれかを含む断片を含むがこれらに限定されない。一本鎖抗体を含む抗原結合断片は、可変領域(複数可)を単独で、または次のもの:ヒンジ領域、CH1、CH2、CH3及びCLドメインの全体もしくは一部と組み合わせて含み得る。また、可変領域(複数可)と、ヒンジ領域、CH1、CH2、CH3及びCLドメインとの任意の組み合わせを含む抗原結合断片も本開示に含まれる。いくつかの実施形態では、抗CD70抗体またはその抗原結合断片は、ヒト、ネズミ(例えば、マウス及びラット)、ロバ、ヒツジ、ウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ科動物、ウマ、またはニワトリである。
【0121】
本開示の抗CD70抗体は、単一特異的、二重特異的、三重特異的またはより高い多重特異的のものであり得る。多重特異的抗体は、CD70の異なるエピトープに特異的であり得、及びCD70及び異種タンパク質の両方に特異的であり得る。例えば、PCT公開WO93/17715;WO92/08802;WO91/00360;WO92/05793;Tutt,et al.,1991,J.Immunol.147:60 69;U.S.Pat.Nos.4,474,893;4,714,681;4,925,648;5,573,920;5,601,819;Kostelny et al.,1992,J.Immunol.148:1547 1553を参照されたい。
【0122】
本開示の抗CD70抗体は、ヒト化抗体であり得る。いくつかの実施形態では、本開示の抗CD70抗体は、マウス抗体1F6のヒト化抗体であり得る。1F6のヒト化バージョンは、米国特許番号8,067,546に記載されている。ヒト化抗体は、非ヒト「ドナー」抗体からのCDRがヒト「アクセプター」抗体配列にグラフトされた遺伝子的に操作された抗体である(例えば、Queen、US5,530,101及び5,585,089;Winter、US5,225,539;Carter、US 6,407,213;Adair、US5,859,205;及びFoote、US6,881,557を参照されたい)。アクセプター抗体配列は、例えば、成熟ヒト抗体配列、そのような配列の複合体、ヒト抗体配列のコンセンサス配列、または生殖系列領域配列であり得る。重鎖のための好ましいアクセプター配列は、生殖系列VエクソンVl-2(文献においてHV1-2としても称されている)(Shin et al,1991,EMBO J.10:3641-3645)であり、ヒンジ領域(J)の場合、エクソンJ-6である(Mattila et al,1995,Eur.J.Immunol.25:2578-2582)。軽鎖の場合、好ましいアクセプター配列は、エクソンVK2-30(文献においてKV2-30としても言及されている)であり、ヒンジ領域の場合、エクソンJK-4である(Hieter et al,1982,J.Biol.Chem.257:1516-1522)。よって、ヒト化抗体は、ドナー抗体からのいくつかのまたはすべてのCDRを全体的または実質的に、ならびに存在する場合、ヒト抗体配列からの可変領域フレームワーク配列及び定常領域を全体的または実質的に有する抗体である。同様に、ヒト化重鎖は、全体的または実質的にドナー抗体重鎖からの少なくとも1つの、2つの及び通常は3つすべてのCDR、ならびに存在する場合、実質的にヒト重鎖可変領域フレームワーク及び定常領域配列からの重鎖可変領域フレームワーク配列及び重鎖定常領域を有する。同様にヒト化軽鎖は、全体的または実質的にドナー抗体軽鎖からの少なくとも1つの、2つの及び通常は3つすべてのCDR、ならびに存在する場合、実質的にヒト軽鎖可変領域フレームワーク及び定常領域配列からの軽鎖可変領域フレームワーク配列及び軽鎖定常領域を有する。ナノボディ及びdAb以外、ヒト化抗体は、ヒト化重鎖及びヒト化軽鎖を含む。ヒト化抗体におけるCDRは、対応する残基(Kabatによって定義される)の少なくとも60%、85%、90%、95%または100%がそれぞれのCDR間で同一である場合、実質的に非ヒト抗体における対応するCDRからのものである。抗体鎖の可変領域フレームワーク配列または抗体鎖の定常領域は、Kabatによって定義される対応する残基の少なくとも85%、90%、95%または100%が同一である場合、それぞれ実質的にヒト可変領域フレームワーク配列またはヒト定常領域からのものである。
【0123】
ヒト化抗体は、しばしば、マウス抗体からの6つすべてのCDR(好ましくはKabatによって定義される)を組み込んでいるが、それらはまた、マウス抗体からのすべてに満たないCDR(例えば、少なくとも3、4、または5個のCDR)を伴って作製され得る(例えば、Pascalis et al.,J.Immunol.169:3076,2002;Vajdos et al.,Journal of Molecular Biology,320:415-428,2002;Iwahashi et al.,Mol.Immunol.36:1079-1091,1999;Tamura et al,Journal of Immunology,164:1432-1441,2000)。
【0124】
ヒト可変領域フレームワーク残基からの所定のアミノ酸は、CDRコンフォメーション及び/または抗原への結合に対するそれらの可能性のある影響に基づいて置換のために選択され得る。そのような可能性のある影響の調査は、特定の位置でのアミノ酸の特徴の試験、または特定のアミノ酸の置換または変異誘発の効果の経験的観察をモデリングすることによる。
【0125】
例えば、ネズミ可変領域フレームワーク残基と選択されたヒト可変領域フレームワーク残基との間でアミノ酸が異なる場合、ヒトフレームワークアミノ酸は、アミノ酸が、
(1)抗原を直接的に非共有結合的に結合させる、
(2)CDR領域に隣接している、
(3)そうでなければCDR領域と相互作用する(例えば、CDR領域の約6A以内にある)、または
(4)重鎖と軽鎖との間の相互作用を媒介する
と合理的に予測される場合、マウス抗体からの同等のフレームワークアミノ酸によって置換され得る。
【0126】
本開示の抗CD70抗体は、それらが含む特定のCDRの観点から記載または特定され得る。所与のCDRまたはFRの正確なアミノ酸配列境界は、Kabat et al.(1991),“Sequences of Proteins of Immunological Interest,” 5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD(「Kabat」付番スキーム);Al-Lazikani et al.,(1997)JMB 273,927-948(「Chothia」付番スキーム);MacCallum et al.,J.Mol.Biol.262:732-745(1996),“Antibody-antigen interactions:Contact analysis and binding site topography,” J.Mol.Biol.262,732-745.”(「Contact」付番スキーム);Lefranc MP et al.,“IMGT unique numbering for immunoglobulin and T cell receptor variable domains and Ig superfamily V-like domains,” Dev Comp Immunol,2003 Jan;27(1):55-77(「IMGT」付番スキーム);Honegger A and Pluckthun A,“Yet another numbering scheme for immunoglobulin variable domains:an automatic modeling and analysis tool,” J Mol Biol,2001 Jun 8;309(3):657-70,(「Aho」付番スキーム);及びMartin et al.,“Modeling antibody hypervariable loops:a combined algorithm,” PNAS,1989,86(23):9268-9272,(「AbM」付番スキーム)に記載されているものを含む、多数のよく知られているスキームのいずれかを使用して容易に決定され得る。所与のCDRの境界は、同定のために使用されるスキームに応じて様々であり得る。いくつかの実施形態では、所与の抗体またはその領域(例えば、その可変領域)の「CDR」もしくは「相補性決定領域」、または個々の特定のCDR(例えば、CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3)は、上記のスキームのいずれかによって定義される1つの(または特定の)CDRを包含することが理解されるべきである。例えば、特定のCDR(例えば、CDR-H3)が所与のVまたはV領域アミノ酸配列中の対応するCDRのアミノ酸配列を含有することが記述されている場合、かかるCDRは、上記のスキームのいずれかによって定義される、可変領域内の対応するCDR(例えば、CDR-H3)の配列を有することが理解される。特定のCDRまたは複数のCDRの同定のためのスキームは、Kabat、Chothia、AbMまたはIMGT法によって定義されるCDRのように特定され得る。
【0127】
本明細書に記載の抗CD70抗体及び抗CD70抗体-薬物コンジュゲートのCDR配列は、別途特定されない限り、Kabat et al.(1991),“Sequences of Proteins of Immunological Interest,” 5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MDに記載されているようにKabat付番スキームに従う。
【0128】
本明細書に記載の抗CD70抗体のいくつかの実施形態では、重鎖可変領域CDR配列は、以下:
a)CDR-H1:NYGMN(配列番号8)、
b)CDR-H2:WINTYTGEPTYADAFKG(配列番号9)、及び
c)CDR-H3:DYGDYGMDY(配列番号10)を含む。
【0129】
本明細書に記載の抗CD70抗体のいくつかの実施形態では、軽鎖可変領域CDR配列は、以下:
a)CDR-L1:RASKSVSTSGYSFMH(配列番号11)、
b)CDR-L2:LASNLES(配列番号12)、及び
c)CDR-L3:QHSREVPWT(配列番号13)を含む。
【0130】
一態様では、本明細書では、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む抗CD70抗体であって、重鎖可変領域は、(i)配列番号8のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(ii)配列番号9のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(iii)配列番号10のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含み;軽鎖可変領域は、(i)配列番号11のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(ii)配列番号12のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(iii)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含み、抗CD70抗体のCDRは、Kabat付番スキームによって定義される、抗CD70抗体が提供される。
【0131】
一態様では、本明細書では、配列番号1の3つのCDRを含む重鎖可変領域及び配列番号2の3つのCDRを含む軽鎖可変領域を含む抗CD70抗体が提供され、抗CD70抗体のCDRは、Kabat付番スキームによって定義される。いくつかの実施形態では、抗CD70抗体は、Fcドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、抗CD70抗体は、非フコシル化である。
【0132】
本明細書に記載の抗CD70抗体は、抗体がCD70(例えば、ヒトCD70)を結合させる能力を保持する限り、任意の好適なフレームワーク可変ドメイン配列を含み得る。本明細書で使用される場合、重鎖フレームワーク領域は、「HC-FR1-FR4」と指定され、軽鎖フレームワーク領域は、「LC-FR1-FR4」と指定される。
【0133】
本明細書に記載の抗CD70抗体のいくつかの実施形態では、重鎖可変ドメインは、QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTNYGMNWVRQAPGQGLKWMGWINTYTGEPTYADAFKGRVTMTRDTSISTAYMELSRLRSDDTAVYYCARDYGDYGMDYWGQGTTVTVSS(配列番号1)のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変ドメインは、DIVMTQSPDSLAVSLGERATINCRASKSVSTSGYSFMHWYQQKPGQPPKLLIYLASNLESGVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYCQHSREVPWTFGQGTKVEIK(配列番号2)のアミノ酸配列を含む。
【0134】
本明細書に記載の抗CD70抗体のいくつかの実施形態では、重鎖可変ドメインは、QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTNYGMNWVRQAPGQGLKWMGWINTYTGEPTYADAFKGRVTMTRDTSISTAYMELSRLRSDDTAVYYCARDYGDYGMDYWGQGTTVTVSS(配列番号1)のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変ドメインは、DIVMTQSPDSLAVSLGERATINCRASKSVSTSGYSFMHWYQQKPGQPPKLLIYLASNLESGVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYCQHSREVPWTFGQGTKVEIKR(配列番号7)のアミノ酸配列を含む。
【0135】
一態様では、本明細書では、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含むまたは配列番号2のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む抗CD70抗体が提供される。いくつかの実施形態では、重鎖可変ドメインのN末端グルタミンは、ピログルタミン酸を形成するために環化される。一態様では、本明細書では、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含み、配列番号2のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む抗CD70抗体が提供される。いくつかの実施形態では、重鎖可変ドメインのN末端グルタミンは、ピログルタミン酸を形成するために環化される。
【0136】
一態様では、本明細書では、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含む、または配列番号7のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む抗CD70抗体が提供される。いくつかの実施形態では、重鎖可変ドメインのN末端グルタミンは、ピログルタミン酸を形成するために環化される。一態様では、本明細書では、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含み、配列番号7のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む抗CD70抗体が提供される。いくつかの実施形態では、重鎖可変ドメインのN末端グルタミンは、ピログルタミン酸を形成するために環化される。
【0137】
いくつかの実施形態では、本明細書では、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含む抗CD70抗体が提供される。いくつかの実施形態では、重鎖可変ドメインのN末端グルタミンは、ピログルタミン酸を形成するために環化される。所定の実施形態では、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインは、参照配列と比べて置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含有し、CD70(例えば、ヒトCD70)に結合する能力を保持する。所定の実施形態では、合計で1~10個のアミノ酸が、配列番号1において置換、挿入及び/または欠失されている。所定の実施形態では、置換、挿入、または欠失(例えば、1、2、3、4、または5アミノ酸)は、CDR外の領域において(すなわち、FRにおいて)生じる。いくつかの実施形態では、抗CD70抗体は、その配列の翻訳後修飾を含む配列番号1の重鎖可変ドメイン配列を含む。いくつかの実施形態では、重鎖可変ドメインのN末端グルタミンは、ピログルタミン酸を形成するために環化される。
【0138】
いくつかの実施形態では、本明細書では、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む抗CD70抗体が提供される。所定の実施形態では、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインは、参照配列と比べて置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含有し、CD70(例えば、ヒトCD70)に結合する能力を保持する。所定の実施形態では、合計で1~10個のアミノ酸が、配列番号2において置換、挿入及び/または欠失されている。所定の実施形態では、置換、挿入、または欠失(例えば、1、2、3、4、または5アミノ酸)が、CDRの外側の領域において(すなわち、FRにおいて)生じる。いくつかの実施形態では、抗CD70抗体は、その配列の翻訳後修飾を含む配列番号2の軽鎖可変ドメイン配列を含む。
【0139】
いくつかの実施形態では、本明細書では、配列番号7のアミノ酸配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む抗CD70抗体が提供される。所定の実施形態では、配列番号5のアミノ酸配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインは、参照配列と比べて置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含有し、CD70(例えば、ヒトCD70)に結合する能力を保持する。所定の実施形態では、合計で1~10個のアミノ酸が、配列番号7において置換、挿入及び/または欠失されている。所定の実施形態では、置換、挿入、または欠失(例えば、1、2、3、4、または5アミノ酸)が、CDRの外側の領域において(すなわち、FRにおいて)生じる。いくつかの実施形態では、抗CD70抗体は、その配列の翻訳後修飾を含む配列番号7の軽鎖可変ドメイン配列を含む。
【0140】
いくつかの実施形態では、本明細書では、アミノ酸配列QVQLVQSGAE VKKPGASVKV SCKASGYTFT NYGMNWVRQA PGQGLKWMGW INTYTGEPTY ADAFKGRVTM TRDTSISTAY MELSRLRSDD TAVYYCARDY GDYGMDYWGQ GTTVTVSSAS TKGPSVFPLA PSSKSTSGGT AALGCLVKDY FPEPVTVSWN SGALTSGVHT FPAVLQSSGL YSLSSVVTVP SSSLGTQTYI CNVNHKPSNT KVDKKVEPKS CDKTHTCPPC PAPELLGGPS VFLFPPKPKD TLMISRTPEV TCVVVDVSHE DPEVKFNWYV DGVEVHNAKT KPREEQYNST YRVVSVLTVL HQDWLNGKEY KCKVSNKALP APIEKTISKA KGQPREPQVY TLPPSRDELT KNQVSLTCLV KGFYPSDIAV EWESNGQPEN NYKTTPPVLD SDGSFFLYSK LTVDKSRWQQ GNVFSCSVMH EALHNHYTQK SLSLSPGK(配列番号3)と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖を含む抗CD70抗体が提供される。所定の実施形態では、配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖は、参照配列と比べて置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含有し、CD70(例えば、ヒトCD70)に結合する能力を保持する。所定の実施形態では、合計で1~10個のアミノ酸が、配列番号3において置換、挿入及び/または欠失されている。所定の実施形態では、置換、挿入、または欠失(例えば、1、2、3、4、または5アミノ酸)が、CDRの外側の領域において(すなわち、FRにおいて)生じる。いくつかの実施形態では、抗CD70抗体は、その配列の翻訳後修飾を含む配列番号3の重鎖配列を含む。
【0141】
いくつかの実施形態では、本明細書では、DIVMTQSPDS LAVSLGERAT INCRASKSVS TSGYSFMHWY QQKPGQPPKL LIYLASNLES GVPDRFSGSG SGTDFTLTIS SLQAEDVAVY YCQHSREVPW TFGQGTKVEI KRTVAAPSVF IFPPSDEQLK SGTASVVCLL NNFYPREAKV QWKVDNALQS GNSQESVTEQ DSKDSTYSLS STLTLSKADY EKHKVYACEV THQGLSSPVT KSFNRGEC(配列番号4)と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖を含む抗CD70抗体が提供される。所定の実施形態では、配列番号4のアミノ酸配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖は、参照配列と比べて置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含有し、CD70(例えば、ヒトCD70)に結合する能力を保持する。所定の実施形態では、合計で1~10個のアミノ酸が、配列番号4において置換、挿入及び/または欠失されている。所定の実施形態では、置換、挿入、または欠失(例えば、1、2、3、4、または5アミノ酸)が、CDRの外側の領域において(すなわち、FRにおいて)生じる。いくつかの実施形態では、抗CD70抗体は、その配列の翻訳後修飾を含む配列番号4の軽鎖配列を含む。
【0142】
いくつかの実施形態では、抗CD70抗体は、上記で提供される実施形態のいずれかのような重鎖可変ドメイン、及び上記で提供される実施形態のいずれかのような軽鎖可変ドメインを含む。一実施形態では、抗体は、配列番号1の重鎖可変ドメイン配列及び配列番号2の軽鎖可変ドメイン配列(それらの配列の翻訳後修飾を含む)を含む。いくつかの実施形態では、重鎖可変ドメインのN末端グルタミンは、ピログルタミン酸を形成するために環化される。
【0143】
いくつかの実施形態では、抗CD70抗体は、i)配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列、及びii)配列番号2のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、重鎖可変ドメインのN末端グルタミンは、ピログルタミン酸を形成するために環化される。
【0144】
いくつかの実施形態では、抗CD70抗体は、モノクローナル抗体である。
【0145】
いくつかの実施形態では、抗CD70抗体は、米国特許第8,067,546号、米国特許第8,562,987号、米国特許第9,428,585号、米国特許第9,701,752号、US2009/0148942、US2012/0045436、US2014/0178936、US2017/0022282または国際特許公開WO2006/113909に記載の抗CD70抗体の3つのCDRを含む重鎖可変領域または3つのCDRを含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗CD70抗体は、米国特許番号8,067,546、米国特許番号8,562,987、米国特許番号9,428,585、米国特許番号9,701,752、US2009/0148942、US2012/0045436、US2014/0178936、US2017/0022282または国際特許公開WO2006/113909に記載の抗CD70抗体の3つのCDRを含む重鎖可変領域または3つのCDRを含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、CDRは、Kabat付番スキームによって定義される。
【0146】
いくつかの実施形態では、抗CD70抗体は、米国特許番号8,067,546、米国特許番号8,562,987、米国特許番号9,428,585、米国特許番号9,701,752、US2009/0148942、US2012/0045436、US2014/0178936、US2017/0022282または国際特許公開WO2006/113909に記載の抗CD70抗体重鎖可変領域または軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗CD70抗体は、米国特許番号8,067,546、米国特許番号8,562,987、米国特許番号9,428,585、米国特許番号9,701,752、US2009/0148942、US2012/0045436、US2014/0178936、US2017/0022282または国際特許公開WO2006/113909に記載の抗CD70抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。
【0147】
いくつかの実施形態では、抗CD70抗体は、米国特許番号8,067,546、米国特許番号8,562,987、米国特許番号9,428,585、米国特許番号9,701,752、US2009/0148942、US2012/0045436、US2014/0178936、US2017/0022282または国際特許公開WO2006/113909に記載される、ヒト化1F6バリアントなどの抗CD70抗体である。いくつかの実施形態では、抗CD70抗体は、米国特許番号8,067,546、米国特許番号8,562,987、米国特許番号9,428,585、米国特許番号9,701,752、US2009/0148942、US2012/0045436、US2014/0178936、US2017/0022282または国際特許公開WO2006/113909に記載される、ヒト化1F6バリアントの非フコシル化形態などの抗CD70抗体である。
【0148】
いくつかの実施形態では、抗CD70抗体は、抗CD70抗体ボルセツズマブの3つのCDRを含む重鎖可変領域または3つのCDRを含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗CD70抗体は、抗CD70抗体ボルセツズマブの3つのCDRを含む重鎖可変領域及び3つのCDRを含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、CDRは、Kabat付番スキームによって定義される。
【0149】
いくつかの実施形態では、抗CD70抗体は、抗CD70抗体ボルセツズマブの重鎖可変領域または軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗CD70抗体は、抗CD70抗体ボルセツズマブの重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。
【0150】
いくつかの実施形態では、抗CD70抗体は、ボルセツズマブの非フコシル化形態である。
【0151】
本発明の抗CD70抗体はまた、CD70(例えば、ヒトCD70)に対するそれらの結合親和性の観点から記載または特定され得る。好ましい結合親和性には、5x10-2M、10-2M、5x10-3M、10-3M、5x10-4M、10-4M、5x10-5M、10-5M、5x10-6M、10-6M、5x10-7M、10-7M、5x10-8M、10-8M、5x10-9M、10-9M、5x10-10M、10-10M、5x10-11M、10-11M、5x10-12M、10-12M、5x10-13M、10-13M、5x10-14M、10-14M、5x10-15M、または10-15M未満の解離定数またはKを有するものが含まれる。
【0152】
5つのクラスの免疫グロブリン:IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMが存在し、それぞれ、α、δ、ε、γ及びμと指定された重鎖を有する。γ及びαクラスは、サブクラスにさらに分けられ、例えば、ヒトは、以下のサブクラス:IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2を発現する。IgG1抗体は、アロタイプと呼ばれる複数の多型バリアントが存在し得(Jefferis and Lefranc 2009.mAbs Vol 1 Issue 4 1-7に概説されている)、そのいずれも、本明細書の実施形態の一部において使用するために好適である。ヒト集団における一般的なアロタイプバリアントは、a、f、n、zの文字またはそれらの組み合わせによって指定されるものである。本明細書の実施形態のいずれかでは、抗体は、ヒトIgG Fc領域を含む重鎖Fc領域を含み得る。さらなる実施形態では、ヒトIgG Fc領域は、ヒトIgG1を含む。
【0153】
いくつかの実施形態では、抗CD70抗体は、上記で提供される実施形態のいずれかのような重鎖可変ドメイン、及び上記で提供される実施形態のいずれかのような軽鎖可変ドメインを含む。一実施形態では、抗体は、AS TKGPSVFPLA PSSKSTSGGT AALGCLVKDY FPEPVTVSWN SGALTSGVHT FPAVLQSSGL YSLSSVVTVP SSSLGTQTYI CNVNHKPSNT KVDKKVEPKS CDKTHTCPPC PAPELLGGPS VFLFPPKPKD TLMISRTPEV TCVVVDVSHE DPEVKFNWYV DGVEVHNAKT KPREEQYNST YRVVSVLTVL HQDWLNGKEY KCKVSNKALP APIEKTISKA KGQPREPQVY TLPPSRDELT KNQVSLTCLV KGFYPSDIAV EWESNGQPEN NYKTTPPVLD SDGSFFLYSK LTVDKSRWQQ GNVFSCSVMH EALHNHYTQK SLSLSPGK(配列番号5)のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域及びTVAAPSVF IFPPSDEQLK SGTASVVCLL NNFYPREAKV QWKVDNALQS GNSQESVTEQ DSKDSTYSLS STLTLSKADY EKHKVYACEV THQGLSSPVT KSFNRGEC(配列番号6)のアミノ酸配列を含む軽鎖定常領域(それらの配列の翻訳後修飾)を含む。
【0154】
抗体にはまた、修飾された誘導体、すなわち、抗体への任意のタイプの分子の共有結合によって、共有結合が、抗体が、CD70に結合すること、または細胞に対する細胞増殖抑制性または細胞傷害性効果を発揮することを防止しないように修飾された誘導体が含まれる。例えば、限定されないが、抗体誘導体には、例えば、グリコシル化、アセチル化、PEG化、リン酸化、アミド化、既知の保護/ブロック基による誘導体化、タンパク質分解切断、細胞リガンドまたは他のタンパク質への連結などによって修飾された抗体が含まれる。多数の化学的修飾のいずれかは、特異的化学的切断、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝合成などを含むがこれらに限定されない既知の技術によって行われ得る。また、誘導体は、1つ以上の非古典的アミノ酸を含有し得る。
【0155】
CD70結合剤には、CD70を発現する標的細胞に対してADCC、ADCP及び/またはCDC反応を媒介または刺激する抗体エフェクタードメインが任意に含まれ得る。エフェクタードメイン(複数可)は、例えば、Ig分子のFcドメインまたはドメインであり得る。そのようなCD70結合剤は、CD70を発現するがん細胞に対する細胞傷害性または細胞増殖抑制性効果を発揮し、または例えば、CD70を発現するがんまたは免疫学的障害の処置において、それぞれ、活性化リンパ球または樹状細胞に対する細胞傷害性、細胞増殖抑制性、または免疫調節性効果を発揮し得る。典型的には、CD70結合剤は、細胞傷害性白血球(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、貪食細胞(例えば、マクロファージ)、及び/または血清補体成分)を動員及び/または活性化する。
【0156】
抗CD70抗体は、ヒト化抗体、一本鎖抗体、scFv、ダイアボディ、Fab、ミニボディ、scFv-Fc、Fvなどであり得る。いくつかの実施形態では、CD70抗原結合領域は、エフェクタードメイン(複数可)、例えば、免疫グロブリンのヒンジ-C2-C3ドメイン、またはエフェクター機能を有するエフェクタードメイン(複数可)の一部分または断片に接続され得る。一本鎖抗体を含む抗原結合抗体断片は、例えば、エフェクタードメインの全体または一部分(例えば、C2及び/またはC3ドメイン単独でまたはC1、ヒンジ及び/またはCドメインとの組み合わせ)と組み合わせて可変領域(複数可)を含み得る。また、抗原結合断片は、エフェクタードメインの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、抗CD70抗体は、ヒンジ-C2-C3ドメインに接続されたCD70結合可変領域を含む一本鎖抗体であり得る。
【0157】
抗CD70抗体のエフェクタードメインは、任意の好適なヒト免疫グロブリンアイソタイプからのものであり得る。例えば、ヒト免疫グロブリンがCDC及びADCC/ADCPを媒介する能力は通常、それぞれ、IgM≒IgG1≒IgG3>IgG2>IgG4及びIgG1≒IgG3>IgG2/IgM/IgG4の順である。CD70結合ポリペプチドは、所望のエフェクター機能(複数可)をもたらすために適切な定常ドメインを含む組換え融合タンパク質として発現され得る。標的細胞に結合すると、抗CD70抗体または誘導体は、抗体エフェクター機能、例えば、ADCC、CDC、及びADCPを介してin vitro及びin vivo標的細胞破壊を引き起こし得る。
【0158】
CD70結合剤は、治療剤、例えば、細胞傷害剤、細胞増殖抑制剤または免疫調節剤に任意にコンジュゲートされ得る。細胞傷害性または免疫調節性薬剤の有用なクラスには、例えば、抗チューブリン剤、アウリスタチン、DNAマイナーグルーブ結合剤、DNA複製阻害剤、アルキル化剤(例えば、白金錯体、例えば、シスプラチン、一(白金)、二(白金)及び三核白金錯体ならびにカルボプラチン)、アントラサイクリン、抗生物質、抗葉酸剤、代謝拮抗剤、化学療法増感剤、デュオカルマイシン、エトポシド、フッ素化ピリミジン、イオノフォア、レキシトロプシン、ニトロソウレア、プラチノール、予備形成化合物、プリン代謝拮抗剤、ピューロマイシン、放射線増感剤、ステロイド、タキサン、トポイソメラーゼ阻害剤、ビンカアルカロイドなどが含まれる。いくつかの典型的な実施形態では、治療剤は、細胞傷害剤である。好適な細胞傷害剤には、例えば、ドラスタチン(例えば、アウリスタチンE、AFP、MMAF、MMAE)、DNAマイナーグルーブ結合剤(例えば、エンジイン及びレキシトロプシン)、デュオカルマイシン、タキサン(例えば、パクリタキセル及びドセタキセル)、ピューロマイシン、ビンカアルカロイド、CC-1065、SN-38、トポテカン、モルホリノ-ドキソルビシン、リゾキシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、エチノマイシン、コンブレタスタチン、ネトロプシン、エポチロンA及びB、エストラムスチン、クリプトフィシン、セマドチン、メイタンシノイド、ディスコデルモライド、エリュテロビン、ならびにミトキサントロンが含まれる。特定の実施形態では、細胞傷害性または細胞増殖抑制性薬剤は、アウリスタチンE(当該技術分野でドラスタチン-10としても知られている)またはその誘導体である。典型的には、アウリスタチンE誘導体は、例えば、アウリスタチンEとケト酸との間で形成されたエステルである。例えば、アウリスタチンEは、AEB及びAEVBを生成するためにそれぞれパラアセチル安息香酸またはベンゾイル吉草酸と反応させられ得る。他の典型的なアウリスタチン誘導体には、AFP、MMAF、及びMMAEが含まれる。アウリスタチンE及びその誘導体の合成及び構造は、米国特許出願公開番号20030083263及び20050009751)、国際特許出願番号PCT/US03/24209、国際特許出願番号PCT/US02/13435、ならびに米国特許番号6,323,315;6,239,104;6,034,065;5,780,588;5,665,860;5,663,149;5,635,483;5,599,902;5,554,725;5,530,097;5,521,284;5,504,191;5,410,024;5,138,036;5,076,973;4,986,988;4,978,744;4,879,278;4,816,444;及び4,486,414に記載されている。特定の実施形態では、細胞傷害剤は、DNAマイナーグルーブ結合剤である。(例えば、米国特許番号6,130,237を参照されたい)。例えば、いくつかの実施形態では、マイナーグルーブ結合剤は、CBI化合物である。他の実施形態では、マイナーグルーブ結合剤は、エンジイン(例えば、カリケアミシン)である。抗チューブリン剤の例には、タキサン(例えば、タキソール(登録商標)(パクリタキセル)、タキソテール(登録商標)(ドセタキセル))、T67(Tularik)、ビンカアルカロイド(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、及びビノレルビン)、及びドラスタチン(例えば、アウリスタチンE、AFP、MMAF、MMAE、AEB、AEVB)が含まれるがこれらに限定されない。他の抗チューブリン剤には、例えば、バッカチン誘導体、タキサンアナログ(例えば、エポチロンA及びB)、ノコダゾール、コルヒチン及びコルシミド、エストラムスチン、クリプトフィシン、セマドチン、メイタンシノイド、コンブレスタチン、ディスコデルモライド、ならびにエリュテロビンが含まれる。いくつかの実施形態では、細胞傷害剤は、抗チューブリン剤の別の群であるメイタンシノイドである。例えば、特定の実施形態では、メイタンシノイドは、メイタンシンまたはDM-1である(ImmunoGen,Inc.;Chari et al.,1992,Cancer Res.52:127-131も参照されたい)。
【0159】
いくつかの実施形態では、抗CD70抗体は、ヒトもしくは非ヒトFc領域またはその一部分を含むキメラであり得る。例えば、抗体には、非ヒト起源、例えば、げっ歯類(例えば、マウスまたはラット)、ロバ、ヒツジ、ウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ科動物、ウマ、ニワトリまたはサル(例えば、マカク、アカゲザルなど)のFcドメインまたは部分が含まれ得る。
【0160】
抗CD70結合剤、例えば、抗体は、単一特異的、二重特異的、三重特異的、またはそれを超える多重特異性であり得る。多重特異的抗体は、CD70の異なるエピトープに特異的であり得、及び/またはCD70及び異種タンパク質の両方に特異的であり得る。(例えば、PCT公開WO93/17715、WO92/08802、WO91/00360、及びWO92/05793;Tutt et al.,1991,J.Immunol.147:60-69;米国特許番号4,474,893;4,714,681;4,925,648;5,573,920;及び5,601,819;Kostelny et al.,1992,J.Immunol.148:1547-1553を参照されたい)。本明細書に記載の方法を実施するために有用な二重特異的及び三重特異的抗体を含む多重特異的抗体は、CD70(モノクローナル抗体1F6のCDRを有する抗体を含むがこれらに限定されない)ならびにADCC、ADCP、及び/またはCDCを媒介する第2の細胞表面受容体または受容体複合体、例えば、CD16/FcγRIII、CD64/FcγRI、殺傷阻害性もしくは活性化性受容体、または補体コントロールタンパク質CD59の両方に免疫特異的に結合する抗体である。いくつかの実施形態では、第2の細胞表面分子または受容体複合体への多重特異的抗体部分の結合は、抗CD70抗体または他のCD70結合剤のエフェクター機能を増強し得る。
【0161】
抗体は、当該技術分野で知られている方法によって生成され得る。例えば、モノクローナル抗体は、例えば、ハイブリドーマ、組換え、及びファージディスプレイ技術、またはそれらの組み合わせの使用を含む、多様な技術を使用して調製され得る。ハイブリドーマ技術は、例えば、Harlow et al.,Antibodies:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press,2nd ed.,1988);及びHammerling et al.,In Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas,pp.563-681(Elsevier,N.Y.,1981)において一般的に論述されている。抗CD70抗体を作製するために使用され得るファージディスプレイ法の例には、例えば、Hoogenboom and Winter,1991,J.Mol.Biol.227:381;Marks et al.,1991,J.Mol.Biol.222:581;Quan and Carter,2002,The rise of monoclonal antibodies as therapeutics in Anti-IgE and Allergic Disease,Jardieu and Fick Jr.,eds.,Marcel Dekker,New York,NY,Chapter 20,pp.427-469;Brinkman et al.,1995,J.Immunol.Methods 182:41-50;Ames et al.,1995,J.Immunol.Methods 184:177-186;Kettleborough et al.,1994,Eur.J.Immunol.24:952-958;Persic et al.,1997,Gene 187:9-18;Burton et al.,1994,Advances in Immunology 57:191-280;PCT出願番号PCT/GB91/01134;PCT公開WO90/02809、WO91/10737、WO92/01047、WO92/18619、WO93/11236、WO95/15982、WO95/20401、及び米国特許番号5,698,426;5,223,409;5,403,484;5,580,717;5,427,908;5,750,753;5,821,047;5,571,698;5,427,908;5,516,637;5,780,225;5,658,727;5,733,743及び5,969,108(その開示は、参照により本明細書に組み込まれる)に開示されているものが含まれる。
【0162】
一本鎖抗体を生成するために使用され得る技術の例には、米国特許4,946,778及び5,258,498;Huston et al.,1991,Methods in Enzymology 203:46-88;Shu et al.,1993,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:7995-7999;及びSkerra et al.,1988,Science 240:1038-1040に記載されているものが含まれる。
【0163】
二重特異的抗体を作製するための方法は、当該技術分野で知られている。全長二重特異的抗体の従来の生成は、2つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖対(2つの鎖は異なる特異性を有する)の共発現に基づいている(例えば、Milstein et al.,1983,Nature 305:537-39を参照されたい)。免疫グロブリン重鎖及び軽鎖の無作為の仕分けにより、これらのハイブリドーマ(クアドローマ)は、10種の異なる抗体分子の潜在的混合物を生成し、その一部は正しい特異的構造を有する。同様の手順は、国際公開番号WO93/08829、及びTraunecker et al.,1991,EMBO J.10:3655-59に開示されている。
【0164】
異なるアプローチに従って、所望の結合特異性を有する抗体可変ドメイン(抗体-抗原結合部位)が免疫グロブリン定常ドメイン配列に融合される。融合は、典型的には、ヒンジ、C2、及びC3領域の少なくとも一部を含む、免疫グロブリン重鎖定常ドメインとのものである。いくつかの実施形態では、融合体には、融合体の少なくとも1つに存在する軽鎖結合に必要な部位を含有する第1の重鎖定常領域(C1)が含まれる。免疫グロブリン重鎖融合体、及び所望の場合、免疫グロブリン軽鎖をコードする配列を有する核酸は、別々の発現ベクターに挿入され、好適な宿主生物にコトランスフェクションされ得る。これにより、構築に使用される3つのポリペプチド鎖の不等比が最適収率をもたらす実施形態において、3つのポリペプチド断片の相互割合の調整において優れた柔軟性が提供される。しかしながら、等比での少なくとも2つのポリペプチド鎖の発現により高収率がもたらされる場合、またはそれらの比率が特に重要ではない場合に、2つまたは3つすべてのポリペプチド鎖のコード配列を1つの発現ベクターに挿入することが可能である。
【0165】
このアプローチの実施形態では、二重特異的抗体は、一方のアームで第1の結合特異性を有するハイブリッド免疫グロブリン重鎖、及び他方のアームでハイブリッド免疫グロブリン重鎖-軽鎖対(第2の結合特異性を提供する)を有する。二重特異的分子の一方の半分のみにおける免疫グロブリン軽鎖の存在が、分離の容易な方法を提供するので、この非対称構造は、不要な免疫グロブリン鎖の組み合わせからの所望の二重特異的化合物の分離を容易化する(例えば、国際公開番号WO94/04690(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい)。
【0166】
二重特異的抗体のさらなる論述については、例えば、Suresh et al.,1986,Methods in Enzymology 121:210;Rodrigues et al.,1993,J.Immunology 151:6954-61;Carter et al.,1992,Bio/Technology 10:163-67;Carter et al.,1995,J.Hematotherapy 4:463-70;Merchant et al.,1998,Nature Biotechnology 16:677-81を参照されたい。そのような技術を使用して、二重特異的抗体は、本明細書で定義される疾患の処置または予防において使用するために調製され得る。
【0167】
2官能性抗体はまた、欧州特許公開番号EPA0105360に記載されている。この参考文献に開示されているように、ハイブリッドまたは2官能性抗体は、生物学的に、すなわち、細胞融合技術によって、または化学的に、特に架橋剤またはジスルフィド架橋形成試薬を用いて誘導され得、完全抗体またはその断片を含み得る。そのようなハイブリッド抗体を得るための方法は、例えば、国際公開WO83/03679及び欧州特許公開番号EPA0217577これらの両方は、参照により本明細書に組み込まれる)に開示されている。
【0168】
いくつかの実施形態では、ヒトフレームワーク領域におけるフレームワーク残基は、抗原結合を改変するために、好ましくは改善するためにCDRドナー抗体からの対応する残基で置換される。これらのフレームワーク置換は、当該技術分野でよく知られている方法によって、例えば、抗原結合にとって重要なフレームワーク残基を同定するためのCDRとフレームワーク残基との相互作用のモデリング及び特定の位置で通常ではないフレームワーク残基を同定するための配列比較によって同定される。(例えば、米国特許番号5,585,089;Riechmann et al.,1988,Nature 332:323を参照されたい)。抗体は、例えば、CDRグラフト(例えば、EP0239400;PCT公開WO91/09967;米国特許番号5,225,539;5,530,101;及び5,585,089を参照されたい)、ベニアリングまたはリサーフェシング(例えば、EP0592106;EP0519596;Padlan,1991,Molecular Immunology 28(4/5):489-498;Studnicka et al.,1994,Protein Engineering 7(6):805-814;Roguska et al.,1994,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:969-973を参照されたい)、及び鎖シャッフル化(例えば、米国特許番号5,565,332を参照されたい)(これらの参考文献のすべては、参照により本明細書に組み込まれる)を含む当該技術分野で知られている多様な技術を使用してヒト化され得る。
【0169】
ヒト化モノクローナル抗体は、当該技術分野で知られている組換えDNA技術によって、例えば、国際公開番号WO87/02671;欧州特許公開番号0184187;欧州特許公開番号0171496;欧州特許公開番号0173494;国際公開番号WO86/01533;米国特許番号4,816,567;欧州特許公開番号0012023;Berter et al.,1988,Science 240:1041-43;Liu et al.,1987,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:3439-43;Liu et al.,1987,J.Immunol.139:3521-26;Sun et al.,1987,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:214-18;Nishimura et al.,1987,Cancer.Res.47:999-1005;Wood et al.,1985,Nature 314:446-449;Shaw et al.,1988,J.Natl.Cancer Inst.80:1553-59;Morrison,1985,Science 229:1202-07;Oi et al.,1986,BioTechniques 4:214;U.S.Patent No.5,225,539;Jones et al.,1986,Nature 321:552-25;Verhoeyan et al.,1988,Science 239:1534;及びBeidler et al.,1988,J.Immunol.141:4053-60(これらの各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載の方法を使用して生成され得る。
【0170】
上に示されるように、CD70結合剤は、抗CD70抗体の誘導体であり得る。通常、抗CD70抗体誘導体は、抗CD70抗体(例えば、抗原結合断片または保存的に置換されたポリペプチドを含む)及び抗CD70抗体に対して異種の少なくとも1つのポリペプチド領域または他の部位を含む。例えば、抗CD70抗体は、例えば、任意のタイプの分子の共有結合によって、修飾され得る。典型的な修飾には、例えば、グリコシル化、アセチル化、PEG化、リン酸化、アミド化、既知の保護/ブロック基による誘導体化、タンパク質分解切断、細胞リガンド(例えば、アルブミン結合分子)または他のタンパク質への連結などが含まれる。多数の化学的修飾のいずれかは、特異的化学的切断、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝合成などを含むがこれらに限定されない既知の技術によって行われ得る。
【0171】
いくつかの実施形態では、共有結合は、エフェクター機能と干渉せず、例えば、抗体誘導体が、抗原結合領域もしくはそれに由来する領域を介してCD70に特異的に結合することを防止せず、またはエフェクタードメイン(複数可)がFc受容体と特異的結合することを防止しない。
【0172】
いくつかの実施形態では、例えば、1つ以上の単量体を含む二量体などの多量体であり、各単量体には、抗体誘導体がCD70に特異的に結合する多量体(例えば、ホモ二量体)を形成するように、(i)抗CD70抗体の抗原結合領域、またはそれに由来するポリペプチド領域(例えば、1つ以上のアミノ酸の保存的置換による等)、及び(ii)多量体化(例えば、二量体化)ポリペプチド領域が含まれる。典型的な実施形態では、抗CD70抗体の抗原結合領域、またはそれに由来するポリペプチド領域は、異種タンパク質と組換え的にまたは化学的に融合され、異種タンパク質は、二量体化または多量体化ドメインを含む。免疫学的障害またはCD70を発現するがんを処置または予防する目的のための対象への抗体誘導体の投与の前に、誘導体は、ホモ二量体またはヘテロ二量体の形成を可能とする条件に供される。ヘテロ二量体は、本明細書で使用される場合、同一の二量体化ドメインを含むが異なるCD70抗原結合領域を含み、同一のCD70抗原結合領域を含むが異なる二量体化ドメインを含み、または異なるCD70抗原結合領域及び二量体化ドメインを含み得る。
【0173】
典型的な二量体化ドメインは、転写因子を起源とするものである。一実施形態では、二量体化ドメインは、基本領域ロイシンジッパー(「bZIP」)のものである(Vinson et al.,1989,Science 246:911-916を参照されたい)。有用なロイシンジッパードメインには、例えば、酵母転写因子GCN4、哺乳動物転写因子CCAAT/エンハンサー結合タンパク質C/EBP、及びがん遺伝子産物Fos及びJunにおける核形質転換のものが含まれる。(例えば、Landschultz et al.,1988,Science 240:1759-64;Baxevanis and Vinson,1993,Curr.Op.Gen.Devel.3:278-285;O’Shea et al.,1989,Science 243:538-542を参照されたい)。別の実施形態では、二量体化ドメインは、基本領域ヘリックス-ループ-ヘリックス(「bHLH」)タンパク質のものである。(例えば、Murre et al.,1989,Cell 56:777-783を参照されたい。Davis et al.,1990,Cell 60:733-746;Voronova and Baltimore,1990,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:4722-26も参照されたい)。特に有用なhHLHタンパク質は、myc、max、及びmacである。
【0174】
さらに他の実施形態では、二量体化ドメインは、免疫グロブリン定常領域、例えば、重鎖定常領域またはそのドメイン(例えば、C1ドメイン、C2ドメイン、及び/またはC3ドメイン)である。(例えば、米国特許番号5,155,027;5,336,603;5,359,046;及び5,349,053;EP 0 367 166;及びWO96/04388を参照されたい)。
【0175】
ヘテロ二量体は、FosとJunの間で(Bohmann et al.,1987,Science 238:1386-1392)、ATF/CREBファミリーのメンバー間で(Hai et al.,1989,Genes Dev.3:2083-2090)、C/EBPファミリーのメンバー間で(Cao et al.,1991,Genes Dev.5:1538-52;Williams et al.,1991,Genes Dev.5:1553-67;Roman et al.,1990,Genes Dev.4:1404-15)、ならびにbATF/CREB及びFos/Junファミリーのメンバー間で(Hai and Curran,1991,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:3720-24)形成することが知られている。そのため、CD70結合タンパク質が、異なる二量体化ドメインを含むヘテロ二量体として対象に投与される場合、前述のものの任意の組み合わせが使用され得る。
【0176】
他の実施形態では、抗CD70抗体誘導体は、第2の抗体にコンジュゲートされた抗CD70抗体(「抗体ヘテロコンジュゲート」)である(例えば、米国特許番号4,676,980を参照されたい)。本方法を実施するために有用なヘテロコンジュゲートは、CD70に結合する抗体(例えば、モノクローナル抗体1F6のCDR及び/または重鎖を有する抗体)及びADCC、貪食、及び/またはCDCを媒介する表面受容体または受容体複合体、例えば、CD16/FcgRIII、CD64/FcgRI、キラー細胞活性化もしくは阻害性受容体、または補体コントロールタンパク質CD59に結合する抗体を含む。典型的な実施形態では、第2の細胞表面分子または受容体複合体への多重特異的抗体の一部分の結合は、抗CD70抗体のエフェクター機能を増強する。他の実施形態では、抗体は、治療剤であり得る。好適な抗体治療剤は、本明細書に記載されている。
【0177】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗CD70抗体のいずれかは、非フコシル化である。
【0178】
いくつかの実施形態では、本明細書では、本明細書に記載される複数の抗CD70抗体を含む抗CD70抗体の集団であって、抗CD70抗体の集団における抗CD70抗体は、低減されたコアフコシル化を有する、集団が提供される。いくつかの実施形態では、抗CD70抗体の集団における抗体の少なくとも20%は、コアフコシル化を欠く。いくつかの実施形態では、抗CD70抗体の集団における抗体の少なくとも30%は、コアフコシル化を欠く。いくつかの実施形態では、抗CD70抗体の集団における抗体の少なくとも40%は、コアフコシル化を欠く。いくつかの実施形態では、抗CD70抗体の集団における抗体の少なくとも50%は、コアフコシル化を欠く。いくつかの実施形態では、抗CD70抗体の集団における抗体の少なくとも60%は、コアフコシル化を欠く。いくつかの実施形態では、抗CD70抗体の集団における抗体の少なくとも70%は、コアフコシル化を欠く。いくつかの実施形態では、抗CD70抗体の集団における抗体の少なくとも80%は、コアフコシル化を欠く。いくつかの実施形態では、抗CD70抗体の集団における抗体の少なくとも90%は、コアフコシル化を欠く。いくつかの実施形態では、抗CD70抗体の集団における抗体の少なくとも95%は、コアフコシル化を欠く。いくつかの実施形態では、抗CD70抗体の集団における抗体の少なくとも98%は、コアフコシル化を欠く。いくつかの実施形態では、抗CD70抗体の集団における抗体の少なくとも99%は、コアフコシル化を欠く。いくつかの実施形態では、抗CD70抗体の集団における抗体の少なくとも99.5%は、コアフコシル化を欠く。いくつかの実施形態では、抗CD70抗体の集団における抗体は、コアフコシル化を実質的に有しない(すなわち、0.5%未満である)。いくつかの実施形態では、抗CD70抗体の集団における抗体のすべては、コアフコシル化を欠く。
【0179】
米国特許番号10,196,445に記載されているように、抗体グリコシル化の修飾は、例えば、改変されたグリコシル化機構を有する宿主細胞において抗体を発現させることによって達成され得る。改変されたグリコシル化機構を有する細胞は、記載されており、本開示の組換え抗体を発現し、それにより改変されたグリコシル化を有する抗体を生成する宿主細胞として使用され得る。例えば、細胞株Ms704、Ms705、及びMs709は、これらの細胞株において発現した抗体がそれらの炭水化物上のフコースを欠くように、フコシルトランスフェラーゼ遺伝子、FUT8(α-(1,6)フコシルトランスフェラーゼを欠く(米国特許出願公開番号20040110704;Yamane-Ohnuki et al.(2004)Biotechnol.Bioeng.87:614を参照されたい)。別の例として、EP1176195はまた、機能的に崩壊したFUT8遺伝子を有する細胞株ならびに抗体のFc領域に結合するN-アセチルグルコサミンにフコースを付加するための活性をほとんどまたは全く有しない細胞株、例えば、ラット骨髄腫細胞株YB2/0(ATCC CRL1662)を記載している。PCT公開WO03/035835は、バリアントCHO細胞株Lec13を記載しており、これは、フコースをAsn(297)結合炭水化物に結合させる能力が低減しており、また、その宿主細胞において発現した抗体の低フコシル化をもたらす。Shields et al.(2002)J.Biol.Chem.277:26733も参照されたい。修飾されたグリコシル化プロファイルを有する抗体はまた、PCT公開番号WO2006/089231に記載されているように、ニワトリ卵において生成され得る。代替的には、修飾されたグリコシル化プロファイルを有する抗体は、植物細胞、例えば、レムナにおいて生成され得る。例えば、米国公開番号2012/0276086を参照されたい。PCT公開番号WO99/54342は、操作された細胞株において発現した抗体が、抗体の増加したADCC活性をもたらす増加したバイセクト型GlcNac構造を示すように、糖タンパク質修飾グリコシルトランスフェラーゼ(例えば、ベータ(1,4)-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnTIII))を発現するように操作された細胞株を記載している。Umana et al.(1999)Nat.Biotech.17:176も参照されたい。代替的には、抗体のフコース残基は、フコシダーゼ酵素を使用して切断除去され得る。例えば、酵素アルファ-L-フコシダーゼは、抗体からフコシル残基を除去する。Tarentino et al.(1975)Biochem.14:5516。低減したコアフコシル化を有する抗体は、遺伝子ノックアウト、遺伝子ノックイン、またはRNAiを使用してコアフコシル化を低減するように操作された細胞株において抗体を生成することによって調製され得る。グリコシル化経路における酵素に対して作用する小分子阻害剤もまた、低減したコアフコシル化を有する抗体を生成するために使用され得る。そのような方法は、米国特許番号8,163,551に記載されている。いくつかの実施形態では、低減したコアフコシル化を有する本明細書に記載される抗CD70抗体は、宿主細胞によって生成された抗体または抗体誘導体の複雑なN-グリコシド結合糖鎖へのフコースの組み込みを低減する有効量のフコースアナログを含む培地中で抗体を発現する宿主細胞を培養することによって生成される。米国特許番号8,163,551を参照されたい。非フコシル化抗体を生成する方法はまた、Pereira et al.(2018)MAbs 10(5):693-711に記載されている。
【0180】
いくつかの実施形態では、抗CD70抗体またはその誘導体は、競合結合を決定するための当該技術分野で知られている任意の方法(例えば、本明細書に記載のイムノアッセイなど)によって決定される場合、CD70へのmAb 1F6の結合を競合的に阻害する。典型的な実施形態では、抗体は、CD70への1F6の結合を少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、または少なくとも75%競合的に阻害する。他の実施形態では、抗体は、CD70への1F6の結合を少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%競合的に阻害する。
【0181】
抗体は、様々な既知の方法のいずれかによってCD70への特異的結合のためにアッセイされ得る。使用され得るイムノアッセイには、例えば、ウエスタンブロット、ラジオイムノアッセイ、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、「サンドイッチ」イムノアッセイ、免疫沈降アッセイ、沈降素反応、ゲル拡散沈降素反応、免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ、補体固定アッセイ、免疫放射アッセイ、蛍光イムノアッセイ、及びプロテインAイムノアッセイなどの技術を使用する競合及び非競合アッセイシステムが含まれる。そのようなアッセイは、慣用であり、当該技術分野でよく知られている。(例えば、Ausubel et al.,eds.,Short Protocols in Molecular Biology(John Wiley and Sons,Inc.,New York,4th ed.1999);Harlow and Lane,Using Antibodies:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,1999を参照されたい)。
【0182】
さらに、CD70に対する抗体の結合親和性及び抗体CD70相互作用のオフ速度は、競合結合アッセイによって決定され得る。競合結合アッセイの1つの例は、増加量の非標識CD70の存在下での標識CD70(例えば、Hまたは125I)と対象となる抗体とのインキュベート、及び標識CD70に結合した抗体の検出を含むラジオイムノアッセイである。次いでCD70に対する抗体の親和性及び結合オフ速度が、スキャッチャードプロット分析によってデータから決定され得る。第2の抗体(例えば、mAb 1F6など)との競合も、ラジオイムノアッセイを使用して決定され得る。この場合、CD70は、増加量の非標識第2の抗体の存在下で標識化合物(例えば、Hまたは125I)にコンジュゲートされた対象となる抗体とインキュベートされる。代替的には、CD70に対する抗体の結合親和性及び抗体-CD70相互作用のオン及びオフ速度は、表面プラズモン共鳴によって決定され得る。いくつかの実施形態では、抗CD70抗体またはその誘導体は、CD70発現細胞の膜に標的化され、その上に蓄積し得る。
【0183】
抗CD70抗体及びその誘導体は、タンパク質の合成のために当該技術分野で知られている方法によって、典型的には、例えば、組換え発現技術によって生成され得る。CD70に結合する抗体またはその誘導体の組換え発現は、典型的には、抗体またはその誘導体をコードする核酸を含有する発現ベクターの構築が含まれる。タンパク質分子の生成のためのベクターは、当該技術分野で知られている技術を使用して組換えDNA技術によって生成され得る。標準的な技術、例えば、Sambrook and Russell,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,3rd ed.,2001);Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,2nd ed.,1989);Short Protocols in Molecular Biology(Ausubel et al.,John Wiley and Sons,New York,4th ed.,1999);及びGlick and Pasternak,Molecular Biotechnology:Principles and Applications of Recombinant DNA(ASM Press,Washington,D.C.,2nd ed.,1998)に記載されているものが組換え核酸方法、核酸合成、細胞培養、導入遺伝子組み込み、及び組換えタンパク質発現のために使用され得る。
【0184】
例えば、抗CD70抗体の組換え発現のため、発現ベクターは、プロモーターに機能可能に連結されたその重鎖もしくは軽鎖、または重鎖もしくは軽鎖可変ドメインをコードし得る。発現ベクターには、例えば、抗体分子の定常領域をコードするヌクレオチド配列が含まれ得(例えば、PCT公開WO86/05807;PCT公開WO89/01036;及び米国特許番号5,122,464を参照されたい)、抗体の可変ドメインは、重鎖または軽鎖全体の発現のためのそのようなベクターにクローニングされ得る。発現ベクターは、従来の技術によって宿主細胞に移行させられ、次いでトランスフェクションされた細胞は、抗CD70抗体を生成するために従来の技術によって培養される。二重鎖抗体の発現のための典型的な実施形態では、重鎖及び軽鎖の両方をコードするベクターは、免疫グロブリン分子全体の発現のための宿主細胞において共発現され得る。
【0185】
多様な原核及び真核宿主発現ベクターシステムが、抗CD70抗体またはその誘導体を発現させるために利用され得る。典型的には、真核細胞、特に組換え抗CD70抗体分子全体のためのものが、組換えタンパク質の発現のために使用される。例えば、ヒトサイトメガロウイルスからの主要中間初期遺伝子プロモーター要素などのベクターと併せられた、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)などの哺乳動物細胞は、抗CD70抗体及びその誘導体のための有効な発現システムである(例えば、Foecking et al.,1986,Gene 45:101;Cockett et al.,1990,Bio/Technology 8:2を参照されたい)。
【0186】
他の宿主発現システムには、例えば、細菌細胞におけるプラスミドベースの発現システム(例えば、Ruther et al.,1983,EMBO 1,2:1791;Inouye and Inouye,1985,Nucleic Acids Res.13:3101-3109;Van Heeke and Schuster,1989,J.Biol.Chem.24:5503-5509を参照されたい);昆虫システム、例えば、Spodoptera frugiperda細胞におけるAutographa californica核多角体病ウイルス(AcNPV)発現ベクターの使用;及び哺乳動物細胞におけるウイルスベースの発現システム、例えば、アデノウイルスベースのシステム(例えば、Logan and Shenk,1984,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:355-359;Bittner et al.,1987,Methods in Enzymol.153:51-544を参照されたい)が含まれる。
【0187】
また、挿入配列の発現を調節する、または遺伝子産物を所望の特定の様式で修飾し、処理する宿主細胞株が選択され得る。適切な細胞株または宿主システムは、発現したタンパク質の正しい修飾及び処理(例えば、グリコシル化、リン酸化、及び切断)を確保するために選択され得る。この目的のため、一次転写産物及び遺伝子産物の適切な処理のための細胞機構を保有する真核宿主細胞が使用され得る。そのような哺乳動物宿主細胞には、例えば、CHO、VERO、BHK、HeLa、COS、MDCK、293、3T3、及びW138が含まれる。
【0188】
安定な発現システムは、典型的には、組換え抗CD70抗体もしくはその誘導体または他のCD70結合剤の長期の高収率生成のために使用される。例えば、抗CD70抗体またはその誘導体を安定的に発現する細胞株は、適切な発現制御要素(例えば、プロモーター及びエンハンサー配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位)及び選択マーカーによってコントロールされるDNAでの宿主細胞の形質転換と、それに続く選択培地における形質転換細胞の成長によって操作され得る。選択マーカーは、選択に対する耐性を付与し、細胞が、DNAをそれらの染色体に安定的に組み込み、フォーサイを形成するように成長することを可能とし、これはひいては細胞株内にクローニングされ、増殖され得る。例えば、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ、及びアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子(tk、hgprtまたはaprt細胞においてそれぞれ用いられ得る)を含む多数の選択システムが使用され得る。また、以下の遺伝子についての選択の基礎として代謝拮抗剤耐性が使用され得る:メトトレキサートに対する耐性を付与するdhfr;ミコフェノール酸に対する耐性を付与するgpt;アミノグリコシドG-418に対する耐性を付与するneo;及びハイグロマイシンに対する耐性を付与するhygro。組換えDNA技術の分野で一般的に知られている方法は、所望の組換えクローンを選択するために慣用的に適用され得、そのような方法は、例えば、Current Protocols in Molecular Biology(Ausubel et al.eds.,John Wiley and Sons,N.Y.,1993);Kriegler,Gene Transfer and Expression,A Laboratory Manual(Stockton Press,N.Y.,1990);Current Protocols in Human Genetics(Dracopoli et al.eds.,John Wiley and Sons,N.Y.,1994,Chapters 12 and 13);及びColberre-Garapin et al.,1981,J.Mol.Biol.150:1.に記載されている。
【0189】
抗体または誘導体の発現レベルは、ベクター増幅によって増加し得る。(例えば、Bebbington and Hentschel,The Use of Vectors Based on Gene Amplification for the Expression of Cloned Genes in Mammalian Cells in DNA Cloning,Vol.3(Academic Press,New York,1987)を一般的に参照されたい)。抗CD70抗体またはその誘導体を発現するベクターシステムにおけるマーカーが増幅可能である場合、宿主細胞培地に存在する阻害剤のレベルの増加は、阻害剤に対する耐性を付与するマーカー遺伝子の増加したコピー数を有する宿主細胞を選択する。関連する抗体遺伝子のコピー数も増加し、それにより抗体またはその誘導体の発現を増加させる(Crouse et al.,1983,Mol.Cell Biol.3:257を参照されたい)。
【0190】
抗CD70抗体が重鎖及び軽鎖の両方またはその誘導体を含む場合、宿主細胞は、2つの発現ベクター、すなわち、重鎖タンパク質をコードする第1のベクター及び軽鎖タンパク質をコードする第2のベクターで共トランスフェクションされ得る。2つのベクターは、重鎖及び軽鎖タンパク質の同等の発現を可能とする同一の選択マーカーを含有し得る。代替的には、重鎖及び軽鎖タンパク質の両方をコードし、発現させることが可能な単一のベクターが使用され得る。そのような状況では、軽鎖は、典型的には、余剰の毒性遊離重鎖を回避するために重鎖の前に配置される(Proudfoot,1986,Nature 322:52;Kohler,1980,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:2197を参照されたい)。重鎖及び軽鎖のためのコード配列は、cDNAまたはゲノムDNAを含み得る。
【0191】
抗CD70抗体またはその誘導体が(例えば、動物、化学的合成、または組換え発現によって)生成されると、それは、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換またはアフィニティークロマトグラフィー(例えば、インタクトFc領域を有する抗体の精製のためのプロテインAクロマトグラフィーなど))、遠心分離、相違溶解性によるもの、またはタンパク質の精製のための任意の他の標準的な技術によるものを含む、タンパク質の精製のための任意の好適な方法によって精製され得る。抗CD70抗体またはその誘導体は、例えば、アフィニティークロマトグラフィーによる精製を容易化するためにペプチドなどのマーカー配列に融合され得る。好適なマーカーアミノ酸配列には、例えば、ヘキサ-ヒスチジンペプチド、例えば、pQEベクターにおいて提供されるタグ(QIAGEN,Inc.,Chatsworth,CA,91311)、及びインフルエンザヘマグルチニンタンパク質に由来するエピトープに対応する「HA」タグ(Wilson et al.,1984,Cell 37:767)、及び「flag」タグが含まれる。
【0192】
抗CD70抗体またはその誘導体が生成されると、CD70を発現するがん細胞に対する細胞増殖抑制性または細胞傷害性効果またはCD70を発現する免疫細胞に対する免疫調節性効果を発揮するその能力は、以下に記載される方法によってまたは当該技術分野で知られているように決定される。
【0193】
活性化免疫細胞またはCD70を発現するがん細胞外での抗CD70抗体の活性を最小化するために、抗CD70抗体が活性化免疫細胞またはCD70を発現するがん細胞の細胞表面上で濃縮されるように、細胞膜結合型CD70に特異的に結合するが、可溶性CD70に特異的に結合しない抗体が使用され得る。
【0194】
典型的には、抗CD70抗体または誘導体は、実質的に精製される(例えば、その効果を制限するまたは不要な副作用をもたらす物質を実質的に含まない)。いくつかの実施形態では、抗CD70抗体または誘導体は、少なくとも約40%純粋、少なくとも約50%純粋、または少なくとも約60%純粋である。いくつかの実施形態では、抗CD70抗体または誘導体は、少なくとも約60~65%、65~70%、70~75%、75~80%、80~85%、85~90%、90~95%、または95~98%純粋である。いくつかの実施形態では、抗CD70抗体または誘導体は、およそ99%純粋である。
【0195】
III.CD47アンタゴニスト
本発明は、CD47アンタゴニストを提供する。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストは、CD47とSIRPαとの間の相互作用を阻害する。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストは、腫瘍細胞の貪食を増加させる。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストは、CD47の小分子阻害剤、SIRPαの小分子阻害剤、CD47に結合する抗体、またはその抗原結合断片、SIRPαに結合する抗体またはその抗原結合断片、及びSIRPα、またはその断片、及び抗体、またはその断片を含む融合タンパク質からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストは、CD47の小分子阻害剤である。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストは、SIRPαの小分子阻害剤である。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストは、CD47に結合する抗体、またはその抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストは、SIRPαに結合する抗体、またはその抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストは、SIRPα、またはその断片を含む融合タンパク質である。いくつかの実施形態では、SIRPα、またはその断片、及び抗体、またはその断片を含む融合タンパク質は、抗体のFc領域に共有結合的に連結されたSIRPα、またはその免疫グロブリンV様ドメインを含む。
【0196】
いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストは、抗体、またはその抗原結合断片である。本開示の抗体は、好ましくはモノクローナルであり、多重特異的、ヒト、ヒト化またはキメラ抗体、一本鎖抗体、Fab断片、F(ab’)断片、Fab発現ライブラリによって生成された断片、及び上記のいずれかのCD47結合断片であり得る。いくつかの実施形態では、本開示のCD47アンタゴニスト抗体は、CD47を特異的に結合させる。いくつかの実施形態では、本開示のCD47アンタゴニスト抗体は、SIRPαを特異的に結合させる。本開示の免疫グロブリン分子は、免疫グロブリン分子の任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA及びIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2)またはサブクラスのものであり得る。いくつかの実施形態では、抗体は、IgG1またはIgG4抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、IgG1抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、IgG4抗体である。本開示の所定の実施形態では、抗体は、本明細書に記載される抗原結合断片(例えば、ヒト抗原結合断片)であり、Fab、Fab’及びF(ab’)、Fd、一本鎖Fv(scFv)、一本鎖抗体、ジスルフィド結合Fv(sdFv)ならびにVまたはVドメインのいずれかを含む断片を含むがこれらに限定されない。一本鎖抗体を含む抗原結合断片は、可変領域(複数可)を単独で、または次のもの:ヒンジ領域、CH1、CH2、CH3及びCLドメインの全体もしくは一部と組み合わせて含み得る。また、可変領域(複数可)と、ヒンジ領域、CH1、CH2、CH3及びCLドメインとの任意の組み合わせを含む抗原結合断片も本開示に含まれる。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニスト抗体またはその抗原結合断片は、ヒト、ネズミ(例えば、マウス及びラット)、ロバ、ヒツジ、ウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ科動物、ウマ、またはニワトリである。
【0197】
本開示のCD47アンタゴニスト抗体は、単一特異的、二重特異的、三重特異的またはより高い多重特異的のものであり得る。多重特異的抗体は、同じ分子の異なるエピトープに特異的であり得、または異種タンパク質に特異的であり得る。例えば、PCT公開WO93/17715;WO92/08802;WO91/00360;WO92/05793;Tutt,et al.,1991,J.Immunol.147:60 69;U.S.Pat.Nos.4,474,893;4,714,681;4,925,648;5,573,920;5,601,819;Kostelny et al.,1992,J.Immunol.148:1547 1553を参照されたい。
【0198】
いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニスト抗体は、ヒト抗体である。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニスト抗体は、ヒト化抗体である。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニスト抗体は、キメラ抗体である。
【0199】
本開示のCD47アンタゴニスト抗体は、それらが含む特定のCDRの観点から記載または特定され得る。所与のCDRまたはFRの正確なアミノ酸配列境界は、Kabat et al.(1991),“Sequences of Proteins of Immunological Interest,” 5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD(「Kabat」付番スキーム);Al-Lazikani et al.,(1997)JMB 273,927-948(「Chothia」付番スキーム);MacCallum et al.,J.Mol.Biol.262:732-745(1996),“Antibody-antigen interactions:Contact analysis and binding site topography,” J.Mol.Biol.262,732-745.”(「Contact」付番スキーム);Lefranc MP et al.,“IMGT unique numbering for immunoglobulin and T cell receptor variable domains and Ig superfamily V-like domains,” Dev Comp Immunol,2003 Jan;27(1):55-77(「IMGT」付番スキーム);Honegger A and Pluckthun A,“Yet another numbering scheme for immunoglobulin variable domains:an automatic modeling and analysis tool,” J Mol Biol,2001 Jun 8;309(3):657-70,(「Aho」付番スキーム);及びMartin et al.,“Modeling antibody hypervariable loops:a combined algorithm,” PNAS,1989,86(23):9268-9272,(「AbM」付番スキーム)に記載されているものを含む、多数のよく知られているスキームのいずれかを使用して容易に決定され得る。所与のCDRの境界は、同定のために使用されるスキームに応じて様々であり得る。いくつかの実施形態では、所与の抗体またはその領域(例えば、その可変領域)の「CDR」もしくは「相補性決定領域」、または個々の特定のCDR(例えば、CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3)は、上記のスキームのいずれかによって定義される1つの(または特定の)CDRを包含することが理解されるべきである。例えば、特定のCDR(例えば、CDR-H3)が所与のVまたはV領域アミノ酸配列中の対応するCDRのアミノ酸配列を含有することが記述されている場合、かかるCDRは、上記のスキームのいずれかによって定義される、可変領域内の対応するCDR(例えば、CDR-H3)の配列を有することが理解される。特定のCDRまたは複数のCDRの同定のためのスキームは、Kabat、Chothia、AbMまたはIMGT法によって定義されるCDRのように特定され得る。
【0200】
CD47アンタゴニスト抗体のCDR配列は、別途特定されない限り、Kabat et al.(1991),“Sequences of Proteins of Immunological Interest,” 5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MDに記載されているようにKabat付番スキームに従う。
【0201】
本発明のCD47アンタゴニスト抗体はまた、それらの結合親和性(例えば、ヒトCD47またはヒトSIRPα)の観点から記載または特定され得る。好ましい結合親和性には、5x10-2M、10-2M、5x10-3M、10-3M、5x10-4M、10-4M、5x10-5M、10-5M、5x10-6M、10-6M、5x10-7M、10-7M、5x10-8M、10-8M、5x10-9M、10-9M、5x10-10M、10-10M、5x10-11M、10-11M、5x10-12M、10-12M、5x10-13M、10-13M、5x10-14M、10-14M、5x10-15M、または10-15M未満の解離定数またはKのものが含まれる。
【0202】
5つのクラスの免疫グロブリン:IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMが存在し、それぞれ、α、δ、ε、γ及びμと指定された重鎖を有する。γ及びαクラスは、サブクラスにさらに分けられ、例えば、ヒトは、以下のサブクラス:IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2を発現する。IgG1抗体は、アロタイプと呼ばれる複数の多型バリアントが存在し得(Jefferis and Lefranc 2009.mAbs Vol 1 Issue 4 1-7に概説されている)、そのいずれも、本明細書の実施形態の一部において使用するために好適である。ヒト集団における一般的なアロタイプバリアントは、a、f、n、zの文字またはそれらの組み合わせによって指定されるものである。本明細書の実施形態のいずれかでは、抗体は、ヒトIgG Fc領域を含む重鎖Fc領域を含み得る。さらなる実施形態では、ヒトIgG Fc領域は、ヒトIgG1を含む。さらなる実施形態では、ヒトIgG Fc領域は、ヒトIgG4を含む。
【0203】
抗体にはまた、修飾された誘導体、すなわち、抗体への任意のタイプの分子の共有結合によって、共有結合が、抗体が、例えば、CD47またはSIRPαに結合すること、または細胞に対する細胞増殖抑制性または細胞傷害性効果を発揮することを防止しないように修飾された誘導体が含まれる。例えば、限定されないが、抗体誘導体には、例えば、グリコシル化、アセチル化、PEG化、リン酸化、アミド化、既知の保護/ブロック基による誘導体化、タンパク質分解切断、細胞リガンドまたは他のタンパク質への連結などによって修飾された抗体が含まれる。多数の化学的修飾のいずれかは、特異的化学的切断、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝合成などを含むがこれらに限定されない既知の技術によって行われ得る。また、誘導体は、1つ以上の非古典的アミノ酸を含有し得る。
【0204】
CD47アンタゴニスト抗体には、CD47を発現する標的細胞に対してADCC、ADCP及び/またはCDC反応を媒介または刺激する抗体エフェクタードメインが任意に含まれ得る。エフェクタードメイン(複数可)は、例えば、Ig分子のFcドメインまたはドメインであり得る。そのようなCD47アンタゴニスト抗体は、CD47を発現するがん細胞に対する細胞傷害性または細胞増殖抑制性効果を発揮し、または例えば、CD47を発現するがんまたは免疫学的障害の処置において、それぞれ、活性化リンパ球または樹状細胞に対する細胞傷害性、細胞増殖抑制性、または免疫調節性効果を発揮し得る。典型的には、CD47アンタゴニスト抗体は、細胞傷害性白血球(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、貪食細胞(例えば、マクロファージ)、及び/または血清補体成分)を動員及び/または活性化する。
【0205】
本明細書に記載のCD47アンタゴニスト抗体は、抗CD70抗体について本明細書に記載される技術を使用して、標的、例えば、CD47またはSIRPαへの特異的結合について、及び結合親和性についてアッセイされ得る。
【0206】
本明細書に記載のCD47アンタゴニスト抗体は、抗CD70抗体について本明細書に記載される技術を使用して生成され得る。
【0207】
いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストは、マグロリマブ(Forty Seven,Inc.;Gilead Sciences,Inc.)、CC-90002(Celgene Corporation)、ALX148(ALX Oncology)、Vx-1004(Corvus Pharmaceutical)、NI-1701(Novimmune S.A.)、NI-1801(Novimmune S.A.)、RCT-1938(Radiation Control Technologies,Inc.)、KWAR23(WO2015138600を参照されたい)、FSI-189(Forty Seven Inc.;Gilead Sciences,Inc.(GS-0189としても知られている))、ES-004(Elpiscience)、BI765063(OSE Immunotherapeutics(OSE-172としても知られている)、ADU-1805(Aduro Biotech)、CC-95251(Celgene)、AL-008(Alector)、RRx-001(EpicentRx)、CTX-5861(Compass Therapeutics)、TTI-621(Trillium Therapeutics)、及びTTI-622(Trillium Therapeutics)からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストは、WO200140307、WO2002092784、WO2007133811、WO2009046541、WO2010083253、WO2011076781、WO2013056352、WO2015138600、WO2016179399、WO2016205042、WO2017178653、WO2018026600、WO2018057669、WO2018107058、WO2018190719、WO2018210793、WO2019023347、WO2019042470、WO2019175218、WO2019183266、WO2020013170またはWO2020068752に開示されている。
【0208】
いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストは、Hu5F9-G4及びh5F9-G4としても知られているマグロリマブである。米国特許番号9,017,675を参照されたい。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストは、マグロリマブの3つの重鎖CDR及び3つの軽鎖CDRを含む。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストは、マグロリマブの重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストは、マグロリマブのバイオシミラーである。
【0209】
いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストは、米国特許番号9,017,675に開示されている抗体である。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストは、米国特許番号9,017,675に開示されている抗体の3つの重鎖CDR及び3つの軽鎖CDRを含む。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストは、米国特許番号9,017,675に開示されている抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストは、米国特許番号9,017,675に開示されている抗体のバイオシミラーである。
【0210】
いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストは、US2019/0185561に開示されている抗体である。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストは、US2019/0185561に開示されている抗体の3つの重鎖CDR及び3つの軽鎖CDRを含む。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストは、US2019/0185561に開示されている抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストは、US2019/0185561に開示されている抗体のバイオシミラーである。
【0211】
典型的には、CD47アンタゴニストまたは誘導体は、実質的に精製される(例えば、その効果を制限するまたは不要な副作用をもたらす物質を実質的に含まない)。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストまたは誘導体は、少なくとも約40%純粋、少なくとも約50%純粋、または少なくとも約60%純粋である。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストまたは誘導体は、少なくとも約60~65%、65~70%、70~75%、75~80%、80~85%、85~90%、90~95%、または95~98%純粋である。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストまたは誘導体は、およそ99%純粋である。
【0212】
IV.処置方法
本発明は、対象におけるがん、例えば、骨髄悪性腫瘍を処置する方法であって、治療的有効量の本明細書に記載される抗CD70抗体、例えば、非フコシル化抗CD70抗体及び本明細書に記載されるCD47アンタゴニストを対象に投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、がんは、CD70を発現する。いくつかの実施形態では、がんは、CD47を発現する。いくつかの実施形態では、がんは、CD70及びCD47を発現する。骨髄悪性腫瘍には、急性骨髄白血病(AML)、骨髄増殖性障害(MPDS)、骨髄異形成症候群(MDS)及び骨髄異形成/骨髄増殖性症候群が含まれ、これらはすべて、クローン性幹細胞(HSC)または前駆悪性障害である。いくつかの実施形態では、がんは、MDSである。いくつかの実施形態では、がんは、AMLである。MDSは、単血球系異形成を伴うMDS、環状鉄芽球環を伴うMDS、多血球系異形成を伴うMDS、余剰の芽球を伴うMDS、孤立欠失(isolated del)(5q)を伴うMDS、及び分類不可MDSを含む複数のサブタイプを包含する。MDSは、骨髄系の1つ以上における無効な造血によって特性化される。早期MDSは大抵、過剰なアポトーシス及び造血細胞異形成を示す。MDS患者の約3分の1では、この無効な造血は、二次AML(sAML)への進行に先行する。AMLは、白血球の骨髄系の悪性腫瘍である。いくつかの実施形態では、方法は、非フコシル化抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストを対象に投与することを含み、抗CD70抗体は、配列番号1の3つのCDRを含む重鎖可変領域、配列番号2の3つのCDRを含む軽鎖可変領域、及びFcドメインを含み、抗CD70抗体のCDRは、Kabat付番スキームによって定義される。いくつかの実施形態では、対象に投与される抗CD70抗体の量は、治療的有効量である。いくつかの実施形態では、対象に投与される抗CD70抗体の量は、準治療的または準最適量である。いくつかの実施形態では、対象に投与されるCD47アンタゴニストの量は、治療的有効量である。いくつかの実施形態では、対象に投与されるCD47アンタゴニストの量は、準治療的または準最適量である。いくつかの実施形態では、方法は、CD47アンタゴニスト及び抗CD70抗体の集団を対象に投与することを含み、抗CD70抗体の集団における抗CD70抗体の少なくとも30%は、コアフコシル化を欠く。いくつかの実施形態では、方法は、CD47アンタゴニスト及び抗CD70抗体の集団を対象に投与することを含み、抗CD70抗体の集団における抗CD70抗体の少なくとも40%は、コアフコシル化を欠く。いくつかの実施形態では、方法は、CD47アンタゴニスト及び抗CD70抗体の集団を対象に投与することを含み、抗CD70抗体の集団における抗CD70抗体の少なくとも50%は、コアフコシル化を欠く。いくつかの実施形態では、方法は、CD47アンタゴニスト及び抗CD70抗体の集団を対象に投与することを含み、抗CD70抗体の集団における抗CD70抗体の少なくとも60%は、コアフコシル化を欠く。いくつかの実施形態では、方法は、CD47アンタゴニスト及び抗CD70抗体の集団を対象に投与することを含み、抗CD70抗体の集団における抗CD70抗体の少なくとも70%は、コアフコシル化を欠く。いくつかの実施形態では、方法は、CD47アンタゴニスト及び抗CD70抗体の集団を対象に投与することを含み、抗CD70抗体の集団における抗CD70抗体の少なくとも80%は、コアフコシル化を欠く。いくつかの実施形態では、方法は、CD47アンタゴニスト及び抗CD70抗体の集団を対象に投与することを含み、抗CD70抗体の集団における抗CD70抗体の少なくとも90%は、コアフコシル化を欠く。いくつかの実施形態では、方法は、CD47アンタゴニスト及び抗CD70抗体の集団を対象に投与することを含み、抗CD70抗体の集団における抗CD70抗体の少なくとも95%は、コアフコシル化を欠く。いくつかの実施形態では、方法は、CD47アンタゴニスト及び抗CD70抗体の集団を対象に投与することを含み、抗CD70抗体の集団における抗CD70抗体の少なくとも98%は、コアフコシル化を欠く。いくつかの実施形態では、方法は、CD47アンタゴニスト及び抗CD70抗体の集団を対象に投与することを含み、抗CD70抗体の集団における抗CD70抗体の少なくとも99%は、コアフコシル化を欠く。いくつかの実施形態では、方法は、CD47アンタゴニスト及び抗CD70抗体の集団を対象に投与することを含み、抗CD70抗体の集団における抗CD70抗体の少なくとも99.5%は、コアフコシル化を欠く。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニスト及び抗CD70抗体は、低メチル化剤(HMA)と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、HMAは、アザシチジンである。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニスト及び抗CD70抗体は、BH3模倣体と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニスト及び抗CD70抗体は、ベネトクラクス(VENCLEXTA(登録商標))と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニスト及び抗CD70抗体は、HMA及びBH3模倣体と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニスト及び抗CD70抗体は、HMA及びベネトクラクスと組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニスト及び抗CD70抗体は、アザシチジン及びBH3模倣体と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニスト及び抗CD70抗体は、アザシチジン及びベネトクラクスと組み合わせて投与される。
【0213】
いくつかの実施形態では、本明細書では、対象におけるMDSを処置する方法であって、本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストを投与することを含む、方法が提供される。いくつかの実施形態では、MDSのがん細胞は、CD70を発現する。いくつかの実施形態では、MDSのがん細胞は、CD47を発現する。いくつかの実施形態では、MDSのがん細胞は、CD70及びCD47を発現する。いくつかの実施形態では、抗CD70抗体は、非フコシル化である。いくつかの実施形態では、MDSは、再発性または難治性MDSである。いくつかの実施形態では、MDSは、再発性MDSである。いくつかの実施形態では、MDSは、難治性MDSである。いくつかの実施形態では、対象に投与される抗CD70抗体の量は、治療的有効量である。いくつかの実施形態では、対象に投与される抗CD70抗体の量は、準治療的または準最適量である。いくつかの実施形態では、対象に投与されるCD47アンタゴニストの量は、治療的有効量である。いくつかの実施形態では、対象に投与されるCD47アンタゴニストの量は、準治療的または準最適量である。いくつかの実施形態では、対象は、MDSのための先行低メチル化剤(HMA)療法後に処置失敗を経験した。HMA(脱メチル化剤としても知られている)は、DNAメチル化を阻害する薬物である。いくつかの実施形態では、HMAは、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤である。いくつかの実施形態では、HMAは、アザシチジンである。いくつかの実施形態では、HMAは、デシタビンである。
【0214】
いくつかの実施形態では、本明細書では、対象におけるAMLを処置する方法であって、本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストを投与することを含む、方法が提供される。いくつかの実施形態では、AMLのがん細胞は、CD70を発現する。いくつかの実施形態では、AMLのがん細胞は、CD47を発現する。いくつかの実施形態では、AMLのがん細胞は、CD70及びCD47を発現する。いくつかの実施形態では、抗CD70抗体は、非フコシル化である。いくつかの実施形態では、AMLは、再発性または難治性AMLである。いくつかの実施形態では、AMLは、再発性AMLである。いくつかの実施形態では、AMLは、難治性AMLである。いくつかの実施形態では、対象に投与される抗CD70抗体の量は、治療的有効量である。いくつかの実施形態では、対象に投与される抗CD70抗体の量は、準治療的または準最適量である。いくつかの実施形態では、対象に投与されるCD47アンタゴニストの量は、治療的有効量である。いくつかの実施形態では、対象に投与されるCD47アンタゴニストの量は、準治療的または準最適量である。いくつかの実施形態では、対象は、AMLを処置するために1つの先行処置レジメンを受けた。いくつかの実施形態では、対象は、AMLを処置するために2つの先行処置レジメンを受けた。いくつかの実施形態では、対象は、AMLを処置するために3つの先行処置レジメンを受けた。
【0215】
いくつかの実施形態では、対象からのがん細胞の少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%は、CD70を発現する。いくつかの実施形態では、対象からのがん細胞の少なくとも0.1%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、または少なくとも80%は、CD70を発現する。いくつかの実施形態では、CD70を発現する細胞の割合は、免疫組織化学(IHC)を使用して決定される。いくつかの実施形態では、CD70を発現する細胞の割合は、フローサイトメトリーを使用して決定される。いくつかの実施形態では、CD70を発現する細胞の割合は、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を使用して決定される。
【0216】
いくつかの実施形態では、対象からのがん細胞の少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%は、CD47を発現する。いくつかの実施形態では、対象からのがん細胞の少なくとも0.1%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、または少なくとも80%は、CD47を発現する。いくつかの実施形態では、CD47を発現する細胞の割合は、免疫組織化学(IHC)を使用して決定される。いくつかの実施形態では、CD70を発現する細胞の割合は、フローサイトメトリーを使用して決定される。いくつかの実施形態では、CD47を発現する細胞の割合は、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を使用して決定される。
【0217】
一態様では、本明細書に記載される抗CD70抗体及び本明細書に記載されるCD47アンタゴニストでがんを処置する方法は、ベースラインと比べて抗体の投与後に対象において1つ以上の治療効果の改善をもたらす。いくつかの実施形態では、1つ以上の治療効果は、客観的反応率、反応の継続期間、反応までの時間、無増悪生存、全生存、またはそれらの任意の組み合わせである。一実施形態では、1つ以上の治療効果は、安定な疾患である。一実施形態では、1つ以上の治療効果は、部分的反応である。一実施形態では、1つ以上の治療効果は、完全な反応である。一実施形態では、1つ以上の治療効果は、客観的反応率である。一実施形態では、1つ以上の治療効果は、反応の継続期間である。一実施形態では、1つ以上の治療効果は、反応までの時間である。一実施形態では、1つ以上の治療効果は、無増悪生存である。一実施形態では、1つ以上の治療効果は、全生存である。一実施形態では、1つ以上の治療効果は、がん退縮である。
【0218】
本明細書で提供される方法もしくは使用または使用のための生成物の一実施形態では、本明細書に記載される抗CD70抗体及び本明細書に記載されるCD47アンタゴニストでの処置に対する反応には、以下の基準(Cheson基準)が含まれ得る:


【表1-1】
【表1-2】
【0219】
本明細書で提供される方法もしくは使用または使用のための生成物の一実施形態では、本明細書に記載される抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストでの処置に対する反応には、以下の基準(Cheson基準)が含まれ得る:


【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表3】
【0220】
本明細書で提供される方法もしくは使用または使用のための生成物の一実施形態では、本明細書に記載される抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストでの処置の有効性は、客観的反応率を測定することによって評価される。いくつかの実施形態では、客観的反応率は、予め定義された量の腫瘍サイズ低減を最小期間で有する患者の割合である。いくつかの実施形態では、客観的反応率は、Cheson基準に基づく。一実施形態では、客観的反応率は、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%である。一実施形態では、客観的反応率は、少なくとも約20%~80%である。一実施形態では、客観的反応率は、少なくとも約30%~80%である。一実施形態では、客観的反応率は、少なくとも約40%~80%である。一実施形態では、客観的反応率は、少なくとも約50%~80%である。一実施形態では、客観的反応率は、少なくとも約60%~80%である。一実施形態では、客観的反応率は、少なくとも約70%~80%である。一実施形態では、客観的反応率は、少なくとも約80%である。一実施形態では、客観的反応率は、少なくとも約85%である。一実施形態では、客観的反応率は、少なくとも約90%である。一実施形態では、客観的反応率は、少なくとも約95%である。一実施形態では、客観的反応率は、少なくとも約98%である。一実施形態では、客観的反応率は、少なくとも約99%である。一実施形態では、客観的反応率は、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、または少なくとも80%である。一実施形態では、客観的反応率は、少なくとも20%~80%である。一実施形態では、客観的反応率は、少なくとも30%~80%である。一実施形態では、客観的反応率は、少なくとも40%~80%である。一実施形態では、客観的反応率は、少なくとも50%~80%である。一実施形態では、客観的反応率は、少なくとも60%~80%である。一実施形態では、客観的反応率は、少なくとも70%~80%である。一実施形態では、客観的反応率は、少なくとも80%である。一実施形態では、客観的反応率は、少なくとも85%である。一実施形態では、客観的反応率は、少なくとも90%である。一実施形態では、客観的反応率は、少なくとも95%である。一実施形態では、客観的反応率は、少なくとも98%である。一実施形態では、客観的反応率は、少なくとも99%である。一実施形態では、客観的反応率は、100%である。
【0221】
本明細書に記載の方法もしくは使用または使用のための生成物の一実施形態では、本明細書に記載される抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストでの処置に対する反応は、本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストの投与後に無増悪生存の時間を測定することによって評価される。いくつかの実施形態では、対象は、本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストの投与後に少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年の無増悪生存を示す。いくつかの実施形態では、対象は、本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストの投与後に少なくとも約6ヶ月の無増悪生存を示す。いくつかの実施形態では、対象は、本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストの投与後に少なくとも約1年の無増悪生存を示す。いくつかの実施形態では、対象は、本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストの投与後に少なくとも約2年の無増悪生存を示す。いくつかの実施形態では、対象は、本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストの投与後に少なくとも約3年の無増悪生存を示す。いくつかの実施形態では、対象は、本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストの投与後に少なくとも約4年の無増悪生存を示す。いくつかの実施形態では、対象は、本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストの投与後に少なくとも約5年の無増悪生存を示す。いくつかの実施形態では、対象は、本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストの投与後に少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも7ヶ月、少なくとも8ヶ月、少なくとも9ヶ月、少なくとも10ヶ月、少なくとも11ヶ月、少なくとも12ヶ月、少なくとも18ヶ月、少なくとも2年、少なくとも3年、少なくとも4年、または少なくとも5年の無増悪生存を示す。いくつかの実施形態では、対象は、本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストの投与後に少なくとも6ヶ月の無増悪生存を示す。いくつかの実施形態では、対象は、本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストの投与後に少なくとも1年の無増悪生存を示す。いくつかの実施形態では、対象は、本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストの投与後に少なくとも2年の無増悪生存を示す。いくつかの実施形態では、対象は、本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストの投与後に少なくとも3年の無増悪生存を示す。いくつかの実施形態では、対象は、本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストの投与後に少なくとも4年の無増悪生存を示す。いくつかの実施形態では、対象は、本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストの投与後に少なくとも5年の無増悪生存を示す。
【0222】
本明細書に記載の方法もしくは使用または使用のための生成物の一実施形態では、本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストでの処置に対する反応は、本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストの投与後に全生存時間を測定することによって評価される。いくつかの実施形態では、対象は、本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストの投与後に少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年の全生存を示す。いくつかの実施形態では、対象は、本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストの投与後に少なくとも約6ヶ月の全生存を示す。いくつかの実施形態では、対象は、本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストの投与後に少なくとも約1年の全生存を示す。いくつかの実施形態では、対象は、本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストの投与後に少なくとも約2年の全生存を示す。いくつかの実施形態では、対象は、本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストの投与後に少なくとも約3年の全生存を示す。いくつかの実施形態では、対象は、本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストの投与後に少なくとも約4年の全生存を示す。いくつかの実施形態では、対象は、本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストの投与後に少なくとも約5年の全生存を示す。いくつかの実施形態では、対象は、本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストの投与後に少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも7ヶ月、少なくとも8ヶ月、少なくとも9ヶ月、少なくとも10ヶ月、少なくとも11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも18ヶ月、少なくとも2年、少なくとも3年、少なくとも4年、または少なくとも5年の全生存を示す。いくつかの実施形態では、対象は、本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストの投与後に少なくとも6ヶ月の全生存を示す。いくつかの実施形態では、対象は、本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストの投与後に少なくとも1年の全生存を示す。いくつかの実施形態では、対象は、本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストの投与後に少なくとも2年の全生存を示す。いくつかの実施形態では、対象は、本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストの投与後に少なくとも3年の全生存を示す。いくつかの実施形態では、対象は、本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストの投与後に少なくとも4年の全生存を示す。いくつかの実施形態では、対象は、本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストの投与後に少なくとも5年の全生存を示す。
【0223】
本明細書に記載の方法もしくは使用または使用のための生成物の一実施形態では、本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストでの処置に対する反応は、本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストの投与後に本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストに対する反応の継続期間を測定することによって評価される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストに対する反応の継続期間は、本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストの投与後の少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストに対する反応の継続期間は、本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストの投与後の少なくとも約6ヶ月である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストに対する反応の継続期間は、本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストの投与後の少なくとも約1年である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストに対する反応の継続期間は、本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストの投与後の少なくとも約2年である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストに対する反応の継続期間は、本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストの投与後の少なくとも約3年である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストに対する反応の継続期間は、本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストの投与後の少なくとも約4年である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストに対する反応の継続期間は、本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストの投与後の少なくとも約5年である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストに対する反応の継続期間は、本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストの投与後の少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも7ヶ月、少なくとも8ヶ月、少なくとも9ヶ月、少なくとも10ヶ月、少なくとも11ヶ月、少なくとも12ヶ月、少なくとも18ヶ月、少なくとも2年、少なくとも3年、少なくとも4年、または少なくとも5年である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストに対する反応の継続期間は、本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストの投与後の少なくとも6ヶ月である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストに対する反応の継続期間は、本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストの投与後の少なくとも1年である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストに対する反応の継続期間は、本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストの投与後の少なくとも2年である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストに対する反応の継続期間は、本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストの投与後の少なくとも3年である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストに対する反応の継続期間は、本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストの投与後の少なくとも4年である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストに対する反応の継続期間は、本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストの投与後の少なくとも5年である。
【0224】
本明細書に記載の方法もしくは使用または使用のための生成物のいくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗CD70抗体、例えば、非フコシル化抗CD70抗体、及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストを対象に投与することは、対象におけるがん細胞の枯渇をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗CD70抗体、例えば、非フコシル化抗CD70抗体、及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストを投与することは、抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストを対象に投与する前のがん細胞の量と比較して少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%がん細胞の枯渇をもたらす。いくつかの実施形態では、がん細胞は、抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストを対象に投与する前のがん細胞の量と比較して少なくとも約5%枯渇する。いくつかの実施形態では、がん細胞は、抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストを対象に投与する前のがん細胞の量と比較して少なくとも約10%枯渇する。いくつかの実施形態では、がん細胞は、抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストを対象に投与する前のがん細胞の量と比較して少なくとも約20%枯渇する。いくつかの実施形態では、がん細胞は、抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストを対象に投与する前のがん細胞の量と比較して少なくとも約30%枯渇する。いくつかの実施形態では、がん細胞は、抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストを対象に投与する前のがん細胞の量と比較して少なくとも約40%枯渇する。いくつかの実施形態では、がん細胞は、抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストを対象に投与する前のがん細胞の量と比較して少なくとも約50%枯渇する。いくつかの実施形態では、がん細胞は、抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストを対象に投与する前のがん細胞の量と比較して少なくとも約60%枯渇する。いくつかの実施形態では、がん細胞は、抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストを対象に投与する前のがん細胞の量と比較して少なくとも約70%枯渇する。いくつかの実施形態では、がん細胞は、抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストを対象に投与する前のがん細胞の量と比較して少なくとも約80%枯渇する。いくつかの実施形態では、がん細胞は、抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストを対象に投与する前のがん細胞の量と比較して少なくとも約90%枯渇する。いくつかの実施形態では、がん細胞は、抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストを対象に投与する前のがん細胞の量と比較して少なくとも約95%枯渇する。いくつかの実施形態では、がん細胞は、抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストを対象に投与する前のがん細胞の量と比較して少なくとも約99%枯渇する。いくつかの実施形態では、がん細胞は、抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストを対象に投与する前のがん細胞の量と比較して約100%枯渇する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗CD70抗体、例えば、非フコシル化抗CD70抗体、及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストを投与することは、抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストを対象に投与する前のがん細胞の量と比較して少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも95%、または100%がん細胞の枯渇をもたらす。いくつかの実施形態では、がん細胞は、抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストを対象に投与する前のがん細胞の量と比較して少なくとも5%枯渇する。いくつかの実施形態では、がん細胞は、抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストを対象に投与する前のがん細胞の量と比較して少なくとも10%枯渇する。いくつかの実施形態では、がん細胞は、抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストを対象に投与する前のがん細胞の量と比較して少なくとも20%枯渇する。いくつかの実施形態では、がん細胞は、抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストを対象に投与する前のがん細胞の量と比較して少なくとも30%枯渇する。いくつかの実施形態では、がん細胞は、抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストを対象に投与する前のがん細胞の量と比較して少なくとも40%枯渇する。いくつかの実施形態では、がん細胞は、抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストを対象に投与する前のがん細胞の量と比較して少なくとも50%枯渇する。いくつかの実施形態では、がん細胞は、抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストを対象に投与する前のがん細胞の量と比較して少なくとも60%枯渇する。いくつかの実施形態では、がん細胞は、抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストを対象に投与する前のがん細胞の量と比較して少なくとも70%枯渇する。いくつかの実施形態では、がん細胞は、抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストを対象に投与する前のがん細胞の量と比較して少なくとも80%枯渇する。いくつかの実施形態では、がん細胞は、抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストを対象に投与する前のがん細胞の量と比較して少なくとも90%枯渇する。いくつかの実施形態では、がん細胞は、抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストを対象に投与する前のがん細胞の量と比較して少なくとも95%枯渇する。いくつかの実施形態では、がん細胞は、抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストを対象に投与する前のがん細胞の量と比較して少なくとも99%枯渇する。いくつかの実施形態では、がん細胞は、抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストを対象に投与する前のがん細胞の量と比較して100%枯渇する。
【0225】
本明細書に記載の方法もしくは使用または使用のための生成物のいくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗CD70抗体、例えば、非フコシル化抗CD70抗体、及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストを対象に投与することは、対象におけるCD70+T制御性細胞(CD70+Treg)の枯渇をもたらさない。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗CD70抗体、例えば、非フコシル化抗CD70抗体、及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストを投与することは、抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストを対象に投与する前のCD70+Tregの量と比較して約50%、約40%、約30%、約20%、約10%、約9%、約8%、約7%、約6%、約5%、約4%、約3%、約2%、約1%、または約0.1%以下のCD70+Tregの枯渇をもたらす。いくつかの実施形態では、CD70+Tregは、抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストを対象に投与する前のCD70+Tregの量と比較して約50%以下枯渇する。いくつかの実施形態では、CD70+Tregは、抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストを対象に投与する前のCD70+Tregの量と比較して約40%以下枯渇する。いくつかの実施形態では、CD70+Tregは、抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストを対象に投与する前のCD70+Tregの量と比較して約30%以下枯渇する。いくつかの実施形態では、CD70+Tregは、抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストを対象に投与する前のCD70+Tregの量と比較して約20%以下枯渇する。いくつかの実施形態では、CD70+Tregは、抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストを対象に投与する前のCD70+Tregの量と比較して約10%以下枯渇する。いくつかの実施形態では、CD70+Tregは、抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストを対象に投与する前のCD70+Tregの量と比較して約5%以下枯渇する。いくつかの実施形態では、CD70+Tregは、抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストを対象に投与する前のCD70+Tregの量と比較して約1%以下枯渇する。いくつかの実施形態では、CD70+Tregは、抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストを対象に投与する前のCD70+Tregの量と比較して約0.1%以下枯渇する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗CD70抗体、例えば、非フコシル化抗CD70抗体、及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストを投与することは、抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストを対象に投与する前のCD70+Tregの量と比較して50%、40%、30%、20%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、または0.1%以下のCD70+Tregの枯渇をもたらす。いくつかの実施形態では、CD70+Tregは、抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストを対象に投与する前のCD70+Tregの量と比較して50%以下枯渇する。いくつかの実施形態では、CD70+Tregは、抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストを対象に投与する前のCD70+Tregの量と比較して40%以下枯渇する。いくつかの実施形態では、CD70+Tregは、抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストを対象に投与する前のCD70+Tregの量と比較して30%以下枯渇する。いくつかの実施形態では、CD70+Tregは、抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストを対象に投与する前のCD70+Tregの量と比較して20%以下枯渇する。いくつかの実施形態では、CD70+Tregは、抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストを対象に投与する前のCD70+Tregの量と比較して10%以下枯渇する。いくつかの実施形態では、CD70+Tregは、抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストを対象に投与する前のCD70+Tregの量と比較して5%以下枯渇する。いくつかの実施形態では、CD70+Tregは、抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストを対象に投与する前のCD70+Tregの量と比較して1%以下枯渇する。いくつかの実施形態では、CD70+Tregは、抗CD70抗体及びCD47アンタゴニストを対象に投与する前のCD70+Tregの量と比較して0.1%以下枯渇する。
【0226】
いくつかの実施形態では、フコシル化抗CD70抗体は、同じ重鎖及び軽鎖アミノ酸配列を含む抗CD70抗体の非フコシル化形態よりも高い程度まで対象におけるCD70+Tregを枯渇させる。いくつかの実施形態では、フコシル化抗CD70抗体は、同じ重鎖及び軽鎖アミノ酸配列を含む抗CD70抗体の非フコシル化形態よりも高い程度まで対象におけるCD70+Tregを枯渇させ、対象は、高親和性FcγRIIIa受容体(V/V158)についてホモ接合性である。いくつかの実施形態では、フコシル化抗CD70抗体は、同じ重鎖及び軽鎖アミノ酸配列を含む抗CD70抗体の非フコシル化形態と同じ程度まで対象におけるCD70+Tregを枯渇させ、対象は、低親和性FcγRIIIa受容体(F/F 158)についてホモ接合性である。いくつかの実施形態では、対象が高親和性FcγRIIIa受容体(V/V 158)についてホモ接合性ではない場合、同じ重鎖及び軽鎖アミノ酸配列を含む抗CD70抗体のフコシル化抗CD70抗体も非フコシル化形態も、CD8T細胞を枯渇させない。いくつかの実施形態では、対象が低親和性FcγRIIIa受容体(F/F158)についてホモ接合性である場合、同じ重鎖及び軽鎖アミノ酸配列を含む抗CD70抗体のフコシル化抗CD70抗体も非フコシル化形態も、CD8T細胞を枯渇させない。
【0227】
V.細胞傷害性、細胞増殖抑制性、及び免疫調節性活性のためのアッセイ
抗体が標的細胞に対してエフェクター機能を媒介するかどうかを決定する方法は、知られている。そのような方法の例示的な例は、以下に記載されている。
【0228】
抗CD70抗体及び/またはCD47アンタゴニストが活性化免疫細胞、CD70を発現するがん細胞、及び/またはCD47を発現するがん細胞に対して抗体依存性細胞傷害を媒介するかどうかを決定するために、抗体及びエフェクター免疫細胞の存在下で標的細胞死を測定するアッセイが使用され得る。このタイプの細胞傷害性を測定するために使用されるアッセイは、エフェクター細胞及び標的特異的抗体の存在下でのインキュベート後の代謝的に標識された細胞からの51Cr放出の決定に基づき得る(例えば、Perussia and Loza,2000,Methods in Molecular Biology 121:179-92;及び“51Cr Release Assay of Antibody-Dependent Cell-Mediated Cytotoxicity(ADCC)” in Current Potocols in Immunology,Coligan et al.eds.,Wileyand Sons,1993を参照されたい)。例えば、Na 51CrOで標識され、96ウェルプレートの1ウェル当たり5,000細胞の密度で播種された活性化免疫細胞(例えば、活性化リンパ球)またはCD70を発現するがん細胞は、様々な濃度の抗CD70抗体で30分間処置され、次いで正常なヒト末梢血単核細胞(PBMC)と4時間混合され得る。標的細胞死に付随する膜破壊は、51Crを培養上清に放出し、これは収集され、細胞傷害性活性の指標として放射能についてアッセイされ得る。ADCCを測定するための他のアッセイは、非放射性標識を伴い得、または特定の酵素の誘導された放出に基づき得る。例えば、時間分解蛍光測定に基づく非放射性アッセイは、市販されている(Delphia,Perkin Elmer)。このアッセイは、細胞膜を透過し、次いで加水分解して膜不透過性親水性リガンド(TDA)を形成する蛍光増強リガンドのアセトキシメチルエステル(BATDA)を標的細胞に負荷することに基づく。標的特異的抗体及びPBMCエフェクター細胞と混合された場合、TDAは、溶解した細胞から放出され、ユーロピウムと混合された場合に高度蛍光キレートを形成するために利用可能である。時間分解蛍光光度計で測定されるシグナルは、細胞溶解の量と相関する。同様のアッセイがCD47アンタゴニストで行われ得る。
【0229】
抗CD70抗体またはCD47アンタゴニストが、活性化免疫細胞、CD70を発現するがん細胞、及び/またはCD47を発現するがん細胞に対して抗体依存性細胞貪食を媒介するかどうかを決定するために、エフェクター免疫細胞(例えば、新たに培養されたマクロファージまたは樹立されたマクロファージ様細胞株)による標的細胞内在化を測定するアッセイが使用され得る(例えば、Munn and Cheung,1990,J.Exp.Med.172:231-37;Keler et al.,2000,J.Immunol.164:5746-52;Akewanlop et al.,2001,Cancer Res.61:4061-65を参照されたい)。例えば、標的細胞は、脂溶性膜色素、例えば、PKH67(Sigma)で標識され、標的特異的抗体で被覆され、エフェクター免疫細胞と4~24時間混合され得る。次いでエフェクター細胞は、食細胞表面マーカー(例えば、CD14)に特異的な蛍光色素標識抗体で対比染色することによって同定され得、細胞は、2色フローサイトメトリーまたは蛍光顕微鏡検査によって分析され得る。二重陽性細胞は、内在化標的細胞を有するエフェクター細胞を表す。これらのアッセイのため、エフェクター細胞は、M-CSFまたはGM-CSFと5~10日間培養することによってマクロファージに分化したPBMCに由来する単球であり得る(例えば、Munn and Cheung(上掲)を参照されたい)。ATCCから利用可能なヒトマクロファージ様細胞株U937(Larrick et al.,1980,J.Immunology 125:6-12)またはTHP-1(Tsuchiya et al.,1980,Int.J.Cancer 26:171-76)は、代替的食細胞源として使用され得る。
【0230】
抗体が標的細胞に結合すると補体依存性細胞傷害を媒介するかどうかを決定する方法も知られている。同じ方法は、抗CD70抗体が活性化免疫細胞またはCD70発現がん細胞に対してCDCを媒介するかどうかを決定するために適用され得る。同じ方法はまた、CD47アンタゴニストが活性化免疫細胞またはCD47発現がん細胞に対してCDCを媒介するかどうかを決定するために適用され得る。そのような方法の例示的な例は、以下に記載されている。
【0231】
活性補体源は、正常なヒト血清であり、またはウサギを含む実験動物から精製され得る。標準的なアッセイでは、抗CD70抗体は、補体の存在下でCD70を発現する活性化免疫細胞(例えば、活性化リンパ球)またはCD70を発現するがん細胞とインキュベートされる。そのような抗CD70抗体が細胞溶解を媒介する能力は、いくつかの情報によって決定され得る。一例では、Na51CrO放出アッセイが使用される。このアッセイでは、標的細胞は、Na51CrOで標識される。組み込まれていないNa51CrOは、洗浄除去され、細胞は、96ウェルプレートにおいて好適な密度、典型的には5,000~50,000細胞/ウェルで播種される。正常な血清または精製された補体の存在下での抗CD70抗体とのインキュベートは、典型的には、37℃で2~6時間5%CO雰囲気中で継続する。細胞溶解を示す放出された放射能は、ガンマ線カウントによって培養上清のアリコートにおいて決定される。最大細胞溶解は、洗浄剤(0.5~1%のNP-40またはTriton X-100)処置によって組み込まれたNa51CrOを放出することによって決定される。自発的バックグラウンド細胞溶解は、いかなる抗CD70抗体も伴わずに補体のみが存在するウェルにおいて決定される。細胞溶解の割合は、(抗CD70抗体誘導溶解-自発的溶解)/最大細胞溶解)として計算される。第2の情報は、生存細胞による代謝色素、例えば、アラマーブルーの減少である。このアッセイでは、標的細胞は、補体と共に抗CD70抗体とインキュベートされ、上述したようにインキュベートされる。インキュベートの最後に、1/10の体積のアラマーブルー(Biosource International,Camarillo,CA)が添加される。インキュベートは、5%CO雰囲気中で37℃で最大で16時間継続される。代謝的に活性な生存細胞の指標としてのアラマーブルーの減少は、530nmでの励起及び590nmでの放出での蛍光分析によって決定される。第3の情報は、ヨウ化プロピジウム(PI)に対する細胞膜透過性である。補体活性化の形成の結果としての細胞膜における細孔の形成は、細胞内へのPIの侵入を容易化し、そこでそれは核内に拡散し、DNAを結合させる。DNAに結合すると、600nmにおけるPI蛍光が有意に増加する。抗CD70抗体及び補体での標的細胞の処置は、上述したように行われる。インキュベートの最後に、PIが5μg/mlの最終濃度まで添加される。次いで細胞懸濁液は、励起のための488nmのアルゴンレーザーを使用してフローサイトメトリーによって検査される。溶解した細胞は、600nmでの蛍光放出によって検出される。同様のアッセイがCD47アンタゴニストで行われ得る。
【0232】
VI.抗CD70抗体を含む薬学的組成物及びその投与
抗CD70抗体を含む組成物は、がん、例えば、CD70を発現するがんを有するまたは有するリスクがある対象に投与され得る。本発明は、がん、例えば、CD70を発現するがんの予防または処置のための薬品の製造における抗CD70抗体の使用をさらに提供する。用語「対象」は、本明細書で使用される場合、例えば、ヒト及び非ヒト哺乳動物、例えば、霊長類、齧歯類、及びイヌを含む、CD70結合剤が投与され得る任意の哺乳動物患者を意味する。本明細書に記載の方法を使用する処置のために具体的に意図される対象には、ヒトが含まれる。抗体は、がん、例えば、CD70を発現するがんの予防または処置において単独でまたは他の組成物と組み合わせて投与され得る。
【0233】
CD47アンタゴニストを含む組成物は、がん、例えば、CD47を発現するがんを有するまたは有するリスクがある対象に投与され得る。本発明は、がん、例えば、CD47を発現するがんの予防または処置のための薬品の製造におけるCD47アンタゴニストの使用をさらに提供する。用語「対象」は、本明細書で使用される場合、例えば、ヒト及び非ヒト哺乳動物、例えば、霊長類、齧歯類、及びイヌを含む、CD47アンタゴニストが投与され得る任意の哺乳動物患者を意味する。本明細書に記載の方法を使用する処置のために具体的に意図される対象には、ヒトが含まれる。アンタゴニストは、がん、例えば、CD47を発現するがんの予防または処置において単独でまたは他の組成物と組み合わせて投与され得る。
【0234】
様々な送達システムが知られており、抗CD70抗体またはCD47アンタゴニストを投与するために使用され得る。導入の方法には、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外、及び経口経路が含まれるがこれらに限定されない。抗CD70抗体またはCD47アンタゴニストは、例えば、注入またはボーラス注射(例えば、静脈内または皮下)によって、上皮または皮膚粘膜内層(例えば、経口粘膜、直腸及び腸粘膜など)を介する吸収によって投与され得、他の生物学的活性剤、例えば、化学療法剤と一緒に投与され得る。投与は、全身性または局所的であり得る。一実施形態では、本明細書に記載の抗CD70抗体は、非経口で投与される。一実施形態では、本明細書に記載のCD47アンタゴニストは、非経口で投与される。非経口投与は、経腸及び局所投与以外の、通常は注射による投与様式を指し、表皮内、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、腱内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、髄腔内、頭蓋内、胸郭内、硬膜外及び胸骨内注射及び注入が含まれる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗CD70抗体の投与経路は、静脈内注射または注入である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗CD70抗体の投与経路は、静脈内注入である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のCD47アンタゴニストの投与経路は、静脈内注射または注入である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のCD47アンタゴニストの投与経路は、静脈内注入である。
【0235】
特定の実施形態では、抗CD70抗体及び/またはCD47アンタゴニスト組成物は、注射によって、カテーテルによって、座剤によって、または埋込物によって投与され、埋込物は、膜、例えば、シアラスティック(sialastic)膜、または繊維を含む多孔質、非多孔質、またはゼラチン状物質のものである。典型的には、組成物を投与する場合、抗CD70抗体及び/またはCD47アンタゴニストが吸収しない物質が使用される。
【0236】
抗CD70抗体またはCD47アンタゴニストは、治療的有効量の抗体及び1つ以上の薬学的適合性成分を含む薬学的組成物として投与され得る。例えば、薬学的組成物には、典型的には、1つ以上の薬学的担体(例えば、滅菌液体、例えば、水及び油(石油、動物、植物または合成起源のもの、例えば、ピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油などを含む))が含まれる。水は、薬学的組成物が静脈内に投与される場合、より典型的な担体である。生理食塩水及び水性デキストロース及びグリセロール溶液も、液体担体として、特に注射可能な溶液のために用いられ得る。好適な薬学的賦形剤には、例えば、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、胡粉、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどが含まれる。組成物はまた、所望の場合、少量の浸潤または乳化剤、またはpH緩衝剤を含有し得る。これらの組成物は、溶液、懸濁液、エマルション、錠剤、丸剤、カプセル、粉末、持続放出製剤などの形態をとり得る。組成物は、従来の結合剤及び担体、例えば、トリグリセリドを用いて坐剤として製剤化され得る。経口製剤には、標準的な賦形剤、例えば、薬学的グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどが含まれ得る。好適な薬学的担体の例は、“Remington’s Pharmaceutical Sciences” by E.W.Martinに記載されている。そのような組成物は、患者への適切な投与のための形態を提供するように、好適な量の担体と共に、治療的有効量のタンパク質(典型的には精製された形態)を含有することになる。製剤は、投与様式に対応する。
【0237】
典型的な実施形態では、薬学的組成物は、ヒトへの静脈内投与に適した薬学的組成物として慣例の手順に従って製剤化される。典型的には、静脈内投与のための組成物は、滅菌等張性水性緩衝液中の溶液である。必要に応じて、薬学的組成物にはまた、可溶化剤及び注射部位の疼痛を和らげるためのリグノカインなどの局所麻酔剤が含まれ得る。通常、成分は、例えば、活性剤の量を示すアンプルまたはサシェなどの密封された密閉容器中の乾燥凍結乾燥粉末または無水濃縮物として単位投薬形態中で別々に供給され、または一緒に混合される。薬剤が注入によって投与される場合、それは、薬学的グレードの滅菌水または生理食塩水を含有する注入ボトルを用いて調剤され得る。薬剤が注射によって投与される場合、注射用滅菌水または生理食塩水のアンプルが、成分が投与前に混合され得るように提供され得る。
【0238】
さらに、薬学的組成物は、(a)凍結乾燥した形態の抗CD70抗体またはCD47アンタゴニストを含有する容器及び(b)注射のための薬学的に許容可能な希釈剤(例えば、滅菌水)を含有する第2の容器を含む薬学的キットとして提供され得る。薬学的に許容可能な希釈剤は、凍結乾燥した抗CD70抗体またはCD47アンタゴニストの再構成または希釈のために使用され得る。医薬品または生物学的製品の製造、使用または販売を規制する政府当局によって定められた形式の通知が、そのような容器(複数可)に任意に付属し得、この通知は、ヒトのための製造、使用または販売の当局による承認を反映する。
【0239】
がんの処置または予防において有効である抗CD70抗体及び/またはCD47アンタゴニストの量は、標準的な臨床的技術によって決定され得る。また、in vitroアッセイが、最適な投薬量範囲を特定することを補助するために任意に用いられ得る。製剤において用いられる正確な用量はまた、投与経路、及びがんのステージに依存し、実施者の判断及び各患者の状況に従って決定されるべきである。有効用量は、in vitroまたは動物モデル試験系に由来する用量反応曲線から外挿され得る。
【0240】
例えば、抗CD70抗体及び/またはCD47アンタゴニストの毒性及び治療的有効性は、LD50(集団の50%に対して致死的な用量)及びED50(集団の50%において治療的に有効な用量)を決定するための標準的な薬学的手順によって細胞培養または実験動物で決定され得る。毒性と治療効果との間の用量比は、治療指数であり、それは、比LD50/ED50として表され得る。高い治療指数を示す抗CD70抗体及び/またはCD47アンタゴニストが好ましい。抗CD70抗体が毒性副作用を示す場合、抗CD70抗体を罹患組織の部位に標的化する送達システムが、非CD70発現細胞への潜在的損傷を最小化し、それにより副作用を低減するために使用され得る。CD47アンタゴニストが毒性副作用を示す場合、CD47アンタゴニストを罹患組織の部位に標的化する送達システムが、非CD47発現細胞への潜在的損傷を最小化し、それにより副作用を低減するために使用され得る。
【0241】
細胞培養アッセイ及び動物研究から得られたデータは、ヒトにおいて使用するための投薬量の範囲を策定する際に使用され得る。抗CD70抗体またはCD47アンタゴニストの投薬量は、典型的には、毒性がほとんどまたは全くないED50を含む循環濃度の範囲内にある。投薬量は、用いられる投薬形態及び利用される投与経路に応じてこの範囲内で様々であり得る。方法において使用される抗CD70抗体またはCD47アンタゴニストのため、治療的に有効な用量は、細胞培養アッセイから最初に推定され得る。用量は、細胞培養において決定される場合、IC50(すなわち、症状の最大半数阻害を達成する試験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度範囲を達成するために動物モデルにおいて製剤化され得る。そのような情報は、ヒトにおける有用な用量をより正確に決定するために使用され得る。血漿におけるレベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィーによって測定され得る。
【0242】
通常、がんを有する患者に投与される抗CD70抗体の投薬量は、約0.1mg/kg~100mg/対象の体重のkgである。より典型的には、対象に投与される抗CD70抗体の投薬量は、0.1mg/kg~50mg/対象の体重のkg、さらにより典型的には1mg/kg~30mg/kg、1mg/kg~20mg/kg、1mg/kg~15mg/kg、1mg/kg~12mg/kg、1mg/kg~10mg/kg、または1mg/kg~7.5mg/対象の体重のkgである。いくつかの実施形態では、抗CD70抗体の用量は、約1.5mg/kgである。いくつかの実施形態では、抗CD70抗体の用量は、約5mg/kgである。いくつかの実施形態では、抗CD70抗体の用量は、約10mg/kg~約20mg/kgである。いくつかの実施形態では、抗CD70抗体の用量は、約10mg/kgである。いくつかの実施形態では、抗CD70抗体の用量は、約15mg/kgである。いくつかの実施形態では、抗CD70抗体の用量は、約20mg/kgである。通常、ヒト抗体は、外来タンパク質に対する免疫反応により、ヒト身体内で他の種からの抗体よりも長い半減期を有する。よって、ヒト化またはキメラ抗体を含む抗CD70抗体のより少ない投薬量及びより頻繁の少ない投与がしばしば可能である。
【0243】
抗CD70抗体の用量は、例えば、毎日、1週当たり1回(毎週)、1週当たり2回、1週当たり3回、1週当たり4回、1週当たり5回、隔週、毎月またはそうでなければ必要に応じて投与され得る。いくつかの実施形態では、抗CD70抗体は、約2週間毎に1回投与される。いくつかの実施形態では、抗CD70抗体は、2週間毎に1回投与される。
【0244】
いくつかの実施形態では、抗CD70抗体の投薬量は、準最適投薬量(すなわち、抗CD70抗体についてのEC50未満)に対応する。例えば、抗CD70抗体の投薬量は、治療ウインドウの最低25%、最低15%、最低10%または最低5%から選択される投薬量を含み得る。本明細書で使用される場合、用語「治療ウインドウ」は、安全かつ有効な療法を提供する身体システムにおける薬物の投薬量またはその濃度の範囲を指す。
【0245】
いくつかの実施形態では、抗CD70抗体の投薬量は、約0.05mg/kg~約1mg/kg、または約0.1mg/kg~約0.9mg/kg、または約0.15~約0.75mg/対象の体重のkgである。そのような投薬量は、1週当たり1~約15回投与され得る。各用量は、同じまたは異なる場合がある。例えば、抗CD70抗体の約0.15mg/kgの投薬量は、4日、5日、6日または7日の期間当たり1~10回投与され得る。
【0246】
通常、がんを有する患者に投与されるCD47アンタゴニストの投薬量は、約0.1mg/kg~100mg/対象の体重のkgである。より典型的には、対象に投与されるCD47アンタゴニストの投薬量は、0.1mg/kg~50mg/対象の体重のkg、さらにより典型的には1mg/kg~30mg/kg、1mg/kg~20mg/kg、1mg/kg~15mg/kg、1mg/kg~12mg/kg、1mg/kg~10mg/kg、または1mg/kg~7.5mg/対象の体重のkgである。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストの用量は、約1mg/kg~約50mg/kgである。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストの用量は、約1mg/kg~約30mg/kgである。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストの用量は、約1mg/kgである。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストの用量は、約1.5mg/kgである。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストの用量は、約5mg/kgである。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストの用量は、約10mg/kgである。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストの用量は、約15mg/kgである。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストの用量は、約20mg/kgである。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストの用量は、約30mg/kgである。通常、ヒト抗体は、外来タンパク質に対する免疫反応により、ヒト身体内で他の種からの抗体よりも長い半減期を有する。よって、ヒト化またはキメラ抗体を含む抗CD47抗体のより少ない投薬量及びより頻繁の少ない投与がしばしば可能である。
【0247】
CD47アンタゴニストの用量は、例えば、毎日、1週当たり1回(毎週)、1週当たり2回、1週当たり3回、1週当たり4回、1週当たり5回、隔週、毎月またはそうでなければ必要に応じて投与され得る。
【0248】
いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストは、1回目の4週処置サイクルの1、4、8、11、15、及び22日目に投与される。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストは、1回目の4週処置サイクルの1及び4日目に1mg/対象の体重のkgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストは、1回目の4週処置サイクルの8日目に15mg/kgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストは、1回目の4週処置サイクルの11、15及び22日目に30mg/kgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストは、2回目の4週処置サイクルの1、8、15、及び22日目に投与される。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストは、2回目の4週処置サイクルの1、8、15、及び22日目に30mg/対象の体重のkgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストは、3回目の4週処置サイクルの1及び15日目に投与される。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストは、3回目の4週処置サイクルの1及び15日目に30mg/対象の体重のkgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストは、3回目の4週処置サイクルの後に各4週処置サイクルについての1及び15日目に30mg/対象の体重のkgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、CD47は、マグロリマブである。
【0249】
いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストの投薬量は、準最適投薬量(すなわち、CD47アンタゴニストについてのEC50未満)に対応する。例えば、CD47アンタゴニストの投薬量は、治療ウインドウの最低25%、最低15%、最低10%または最低5%から選択される投薬量を含み得る。本明細書で使用される場合、用語「治療ウインドウ」は、安全かつ有効な療法を提供する身体システムにおける薬物の投薬量またはその濃度の範囲を指す。
【0250】
いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストの投薬量は、約0.05mg/kg~約1mg/kg、または約0.1mg/kg~約0.9mg/kg、または約0.15~約0.75mg/対象の体重のkgである。そのような投薬量は、1週当たり1~約15回投与され得る。各用量は、同じまたは異なる場合がある。例えば、CD47アンタゴニストの約0.15mg/kgの投薬量は、4日、5日、6日または7日の期間当たり1~10回投与され得る。
【0251】
いくつかの実施形態では、抗CD70抗体及び/またはCD47アンタゴニストを含む薬学的組成物は、治療剤(例えば、本明細書に記載のもののいずれかなどの、例えば、非コンジュゲート化細胞傷害または免疫調節剤)をさらに含み得る。抗CD70抗体及び/またはCD47アンタゴニストはまた、がん、例えば、CD70を発現する及び/またはCD47を発現するがんの処置または予防のための1つ以上の治療剤と組み合わせて共投与され得る。例えば、組み合わせ療法には、治療剤(例えば、細胞増殖抑制剤、細胞傷害剤、または免疫調節剤、例えば、コンジュゲートされていない細胞増殖抑制剤、細胞傷害剤、または免疫調節剤、例えば、がんの処置のために従来から使用されているもの)が含まれ得る。組み合わせ療法にはまた、例えば、活性化リンパ球、樹状細胞またはCD70を発現する及び/またはCD47を発現するがん細胞の表面上のCD70及び/またはCD47以外の受容体または受容体複合体を標的とする薬剤の投与が含まれ得る。そのような薬剤の例には、活性化リンパ球、樹状細胞、またはCD70を発現する及び/またはCD47を発現するがん細胞の表面でCD70またはCD47以外の分子に結合する抗体が含まれる。別の例には、そのような受容体または受容体複合体を標的とするリガンドが含まれる。典型的には、そのような抗体またはリガンドは、活性化リンパ球、樹状細胞、またはCD70を発現する及び/またはCD47を発現するがん細胞上の細胞表面受容体に結合し、活性化リンパ球、樹状細胞またはCD70を発現する及び/またはCD47を発現するがん細胞に細胞増殖抑制性または細胞傷害性シグナルを送達することによって抗CD70抗体及び/またはCD47アンタゴニストの細胞傷害性または細胞増殖抑制性効果を増強する。そのような組み合わせ投与は、疾患パラメータ(例えば、症状の重症度、症状の数、または再燃の頻度)に対する相加または相乗効果を有し得る。別の例には、低メチル化剤(HMA)が含まれる。いくつかの実施形態では、HMAは、アザシチジン(VIDAZA(登録商標))である。別の例には、BH3模倣体が含まれる。いくつかの実施形態では、BH3模倣体は、ベネトクラクス(VENCLEXTA(登録商標))である。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、抗CD70抗体、CD47アンタゴニスト、HMA、及びBH3模倣体を含む。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、抗CD70抗体、CD47アンタゴニスト、HMA、及びベネトクラクスを含む。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、抗CD70抗体、CD47アンタゴニスト、アザシチジン、及びBH3模倣体を含む。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、抗CD70抗体、CD47アンタゴニスト、アザシチジン、及びベネトクラクスを含む。組み合わせ療法にはまた、低メチル化剤(HMA)が含まれ得る。いくつかの実施形態では、HMAは、アザシチジン(VIDAZA(登録商標))である。組み合わせ療法にはまた、BH3模倣体が含まれ得る。いくつかの実施形態では、BH3模倣体は、ベネトクラクス(VENCLEXTA(登録商標))である。いくつかの実施形態では、組み合わせ療法は、抗CD70抗体、CD47アンタゴニスト、HMA、及びBH3模倣体を含む。いくつかの実施形態では、組み合わせ療法は、抗CD70抗体、CD47アンタゴニスト、HMA、及びベネトクラクスを含む。いくつかの実施形態では、組み合わせ療法は、抗CD70抗体、CD47アンタゴニスト、アザシチジン、及びBH3模倣体を含む。いくつかの実施形態では、組み合わせ療法は、抗CD70抗体、CD47アンタゴニスト、アザシチジン、及びベネトクラクスを含む。いくつかの実施形態では、アザシチジンは、75mg/対象の身体表面積のm2の用量で投与される。いくつかの実施形態では、アザシチジンは、各4週処置サイクルの1~7日目に投与される。いくつかの実施形態では、アザシチジンは、各4週処置サイクルの1~5及び8~9日目に投与される。
【0252】
いくつかの実施形態では、抗CD70抗体は、CD47アンタゴニストと同時に投与される。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストは、抗CD70抗体の前または後に、抗CD70抗体の投与の少なくとも1時間及び最大で数ヶ月、例えば、少なくとも1時間、5時間、12時間、1日、1週、1ヶ月、または3ヶ月前または後まで投与される。いくつかの実施形態では、対象は、抗CD70抗体CD47アンタゴニストの投与後にモニタリングされる。
【0253】
VII.製造品及びキット
別の態様では、本明細書に記載の抗CD70抗体及び/または本明細書に記載のCD47アンタゴニストを含む製造品またはキットが提供される。製造品またはキットは、本発明の方法における本明細書に記載の抗CD70抗体及び/または本明細書に記載のCD47アンタゴニストの使用のための指示書をさらに含み得る。よって、所定の実施形態では、製造品またはキットは、本明細書に記載の抗CD70抗体及び本明細書に記載のCD47アンタゴニストを対象に投与することを含む対象におけるがん(例えば、骨髄悪性腫瘍)を処置するための方法における本明細書に記載の抗CD70抗体及び/または本明細書に記載のCD47アンタゴニストの使用のための指示書を含む。いくつかの実施形態では、がんは、MDSである。いくつかの実施形態では、がんは、AMLである。いくつかの実施形態では、がんは、再発性または難治性がんである。いくつかの実施形態では、対象は、ヒトである。
【0254】
製造品またはキットは、容器をさらに含み得る。好適な容器には、例えば、ボトル、バイアル(例えば、二重チャンバーバイアル)、シリンジ(例えば、単一または二重チャンバーシリンジ)及び試験管が含まれる。いくつかの実施形態では、容器は、バイアルである。容器は、多様な物質、例えば、ガラスまたはプラスチックから形成され得る。容器は、製剤を保持する。
【0255】
製造品またはキットは、製剤の再構成及び/または使用のための指示を示し得る、容器上のまたはそれに付属したラベルまたはパッケージ挿入物をさらに含み得る。ラベルまたはパッケージ挿入物はさらに、製剤が、対象におけるがんを処置するための皮下、静脈内(例えば、静脈内注入)、または他の投与様式のために有用であり、またはそのために意図されることを示し得る。製剤を保持する容器は、再構成された製剤の繰り返し投与を可能とする単一使用バイアルまたは複数使用バイアルであり得る。製造品またはキットは、好適な希釈剤を含む第2の容器をさらに含み得る。製造品またはキットには、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、及び使用のための指示書を備えるパッケージ挿入物を含む、商業的、治療的、及び使用者の観点から望ましい他の材料がさらに含まれ得る。
【0256】
本明細書における製造品またはキットは任意に、さらなる薬品を含む容器をさらに含み、抗CD70抗体及び/またはCD47アンタゴニストは、第1及び/または第2の薬品を含み、製造品またはキットは、対象をさらなる薬品で有効量で処置するためのラベルまたはパッケージ挿入物上の指示書をさらに含む。いくつかの実施形態では、ラベルまたはパッケージ挿入物は、抗CD70抗体及び/またはCD47アンタゴニストが、さらなる薬品と共に順次にまたは同時に投与されることを示す。
【0257】
いくつかの実施形態では、抗CD70抗体及び/または本明細書に記載のCD47アンタゴニストは、凍結乾燥された粉末として容器に存在する。いくつかの実施形態では、凍結乾燥された粉末は、活性剤の量を示す、バイアル、アンプルまたはサシェなどの密封容器内にある。薬剤が注射によって投与される場合、注射用滅菌水または生理食塩水のアンプルは、成分が投与前に混合され得るように、例えば、任意にキットの一部として提供され得る。そのようなキットには、当業者に明らかなように、所望により、例えば、1つ以上の薬学的に許容可能な担体を有する容器、追加の容器等の様々な従来の薬学的成分のうちの1つ以上がさらに含まれ得る。投与される成分の量、投与のためのガイドライン、及び/または成分を混合するためのガイドラインを示す、挿入物としてまたはラベルとしての印刷された指示書も、キットに含められ得る。
【0258】
本発明は、以下の実施例を参照することによってより完全に理解される。しかしながら、それらは、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。本明細書に記載される実施例及び実施形態は、例示のみを目的とするものであり、それらを考慮した様々な変形または変更が当業者に想起され、本出願の趣旨及び範囲ならびに添付の特許請求の範囲内に含まれることが理解される。
【実施例
【0259】
実施例1.MV4-11 AML異種移植片マウスモデルにおける腫瘍成長に対する抗CD47抗体クローンh5F9と組み合わせたSEA-CD70(h1F6 SEA)の効果。
CD47は、自然免疫系の細胞、例えば、マクロファージ及び樹状細胞によって媒介される貪食の制御因子として機能する細胞表面タンパク質である。CD47は、これらの自然免疫細胞上の受容体であるSIRP-アルファに対するリガンドであり、SIRP-アルファはひいては貪食のための阻害性シグナルを送達する。ヒト急性骨髄性白血病(AML)細胞は、CD47を発現し、そのため、CD47に仕向けられた阻害性モノクローナル抗体は、がん細胞の貪食及び排除を可能とし得る。
【0260】
この研究では、脱フコシル化抗CD70抗体h1F6 SEA(SEA-CD70)単独、抗CD47モノクローナル抗体h5F9-G4(h5F9 hIgG4k、マグロリマブ)単独、またはh5F9 hIgG4kと組み合わせたSEA-CD70の投与に反応する腫瘍成長を、CD70を発現するAML異種移植片マウスモデルMV4-11において評価した。腫瘍成長を体積として報告し、各処置群内の動物にわたる平均として計算した(図1)。0日目にSCIDマウスに5x10e6個のMV4-11細胞を横腹に皮下で移植した。50mmの平均腫瘍サイズ(式:体積(mm)=0.5*長さ*幅(式中、長さは長い方の寸法である)を使用することによって測定した)に達したときに、マウスを1群当たり9匹のマウスの処置群に無作為化した。処置を腹腔内に与えた。ストック濃度の抗体及び化学療法剤を適切な濃度に希釈し、10μl/体重のgで動物に注射した。腫瘍の長さ及び幅、ならびに動物の重量を研究にわたって毎週2回測定し、腫瘍体積を上記の式を使用して計算した。動物を測定された腫瘍体積が約1000mmとなるまで監視し、その時に動物を安楽死させた。動物を合計で5サイクルについて4日毎(Q4dx5)にh5F9-G4を0.3及び1mg/kgの用量でまたはh1F6 SEAを10mg/kgで処置した。処置の組み合わせを摂取する動物は、各処置を単一の処置と同じ用量及びスケジュールで摂取した。経時的な腫瘍体積変化の分析は、h1F6 SEA及びh5F9-G4の組み合わせが、各々の単一の薬剤よりも高い抗腫瘍活性を引き起こすことを示している。特に、h1F6 SEAと、前臨床モデルで通常使用されるものよりも>10倍少ないh5F9-G4の準効果的用量との組み合わせは、相乗効果を示し、実験タイムライン内で腫瘍の持続可能な完全寛解を誘導する。
【0261】
実施例2.MV4-11急性骨髄性白血病マウスモデルにおける腫瘍成長に対する、抗CD47クローンhU5F9-G4、及び低メチル化剤アザシチジン(VIDAZA(登録商標))と組み合わせたSEA-CD70(h1F6 SEA)の効果。
この研究では、単一薬剤抗CD47モノクローナル抗体hu5F9-G4(hu5F9 hIgG4k、hu5F9 hIgG4カッパ、マグロリマブ)、もしくは単一の低メチル化剤アザシチジン(Vidaza(登録商標))と組み合わせた脱フコシル化抗CD70抗体h1F6 SEA(SEA-CD70)、または両方の組み合わせ(三重の組み合わせ)の投与に反応する腫瘍成長を、CD70を発現する細胞異種移植片マウスモデルMV4-11株において評価した。腫瘍成長を体積(mm)として報告し、各処置群内の動物にわたる平均として計算した(図2)。0日目にSCIDマウスに5x10e6個のMV4-11細胞を横腹に皮下で移植した。50mmの平均腫瘍サイズ(式:体積(mm)=0.5*長さ*幅(式中、長さは長い方の寸法である)を使用することによって測定した)に達したときに、マウスを1群当たり5匹のマウスの処置群に無作為化した。処置を腹腔内に与えた。ストック濃度の抗体及び化学療法剤を適切な濃度に希釈し、10μl/体重のgで動物に注射した。腫瘍の長さ及び幅、ならびに動物の重量を研究にわたって毎週2回測定し、腫瘍体積を上記の式を使用して計算した。動物を測定された腫瘍体積が約750mmとなるまで監視し、その時に動物を安楽死させた。薬物併用効果の適切な評価を可能とするために、動物をhu5F9-G4(合計3サイクルについて4日毎に0.1mg/kg(Q4dx3))、またはアザシチジン(Vidaza(登録商標))(3サイクル(合計3週)について5日連続で毎日2mg/kg(Q1dx5))の準効果的用量で処置した。h1F6-SEAは、5サイクルについて4日毎に10mg/kgで投薬した(Q5x5)。処置の組み合わせを摂取する動物は、各処置を上記で示される単一の処置と同じ用量及びスケジュールで摂取した。経時的な腫瘍体積変化の分析は、hu5F9-G4及びアザシチジン(Vidaza(登録商標))の組み合わせへのh1F6-SEAの追加が良好に忍容され、各々の可能性のある二重組み合わせ(h1F6-SEA+hu5F9-G4、h1F6-SEA+アザシチジン(Vidaza(登録商標))、またはhu5F9-G4+アザシチジン(Vidaza(登録商標)))よりも高い抗腫瘍活性を引き起こすことを示している。
図1
図2
【配列表】
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【国際調査報告】