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特表2024-527553補助極を利用した二次バッテリのキャリアイオンローディング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-25
(54)【発明の名称】補助極を利用した二次バッテリのキャリアイオンローディング
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0583 20100101AFI20240718BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20240718BHJP
   H01M 10/054 20100101ALI20240718BHJP
   H01M 4/66 20060101ALI20240718BHJP
   H01M 50/531 20210101ALI20240718BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20240718BHJP
   H01M 50/105 20210101ALI20240718BHJP
   H01M 50/55 20210101ALI20240718BHJP
   H01M 50/557 20210101ALI20240718BHJP
   H01M 50/543 20210101ALI20240718BHJP
   H01M 50/178 20210101ALI20240718BHJP
   H01M 50/466 20210101ALI20240718BHJP
   H01M 50/46 20210101ALI20240718BHJP
【FI】
H01M10/0583
H01M10/052
H01M10/054
H01M4/66 A
H01M50/531
H01M4/38 Z
H01M50/105
H01M50/55 301
H01M50/557
H01M50/543
H01M50/178
H01M50/466
H01M50/46
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023580726
(86)(22)【出願日】2022-06-28
(85)【翻訳文提出日】2024-02-02
(86)【国際出願番号】 US2022035282
(87)【国際公開番号】W WO2023278417
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】63/216,656
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.KEVLAR
(71)【出願人】
【識別番号】323006529
【氏名又は名称】エノビクス・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Enovix Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100184343
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100112911
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】マンダラム,アディディア
(72)【発明者】
【氏名】コントレラス,リチャード ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】シャー,ニラブ エス
(72)【発明者】
【氏名】シン,ニーラム
(72)【発明者】
【氏名】ドゥヴォイリス,イリヤ
(72)【発明者】
【氏名】ラマサブラマニアン,ムラリ
(72)【発明者】
【氏名】ブザッカ,ロバート エス
(72)【発明者】
【氏名】スポットニッツ,ロバート エム
(72)【発明者】
【氏名】ムーディ,ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】バルデス,ブルーノ エイ
(72)【発明者】
【氏名】リー,キム ハン
【テーマコード(参考)】
5H011
5H017
5H021
5H029
5H043
5H050
【Fターム(参考)】
5H011AA03
5H011BB03
5H011EE04
5H017AA03
5H017CC01
5H017EE01
5H017EE05
5H021AA06
5H021BB11
5H021CC18
5H029AJ04
5H029AJ05
5H029AK01
5H029AK02
5H029AK03
5H029AK05
5H029AL01
5H029AL02
5H029AL03
5H029AL04
5H029AL06
5H029AL07
5H029AL08
5H029AL11
5H029AM03
5H029AM04
5H029AM05
5H029AM07
5H029AM12
5H029AM16
5H029BJ04
5H029DJ02
5H029DJ05
5H029DJ07
5H029HJ07
5H029HJ19
5H043AA05
5H043BA17
5H043BA18
5H043BA20
5H043CA08
5H043DA02
5H043DA22
5H043DA29
5H050AA07
5H050AA09
5H050BA15
5H050BA16
5H050BA18
5H050CA01
5H050CA02
5H050CA07
5H050CA08
5H050CA09
5H050CA11
5H050CA12
5H050CB01
5H050CB02
5H050CB03
5H050CB05
5H050CB07
5H050CB08
5H050CB09
5H050CB11
5H050DA07
5H050DA08
5H050DA20
5H050HA07
5H050HA19
(57)【要約】
補助極は、X-Y平面内に第1の主面を有する導電層を含み、導電層は、導電性であり、第1の表面積を有する。補助極は、第1のキャリアイオン供給層と、第2のキャリアイオン供給層と、を含み、各キャリアイオン供給層は、二次バッテリの電極にキャリアイオンを供給する材料を含む。第1のキャリアイオン供給層は、導電層の第1の主面の第1の領域を覆い、第2のキャリアイオン供給層は、導電層の第1の主面の第2の領域を覆う。第1及び第2の領域は、第3の領域によって分離され、第3の領域は、第1の領域及び第2の領域が実質的に平行になるように折り畳まれるように構成され、第3の領域は、折り畳み構成において第1及び第2の領域に対して実質的に垂直である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次バッテリ用の補助極であって、前記補助極は、
X-Y平面内に第1の主面を有する導電層であって、前記導電層は、導電性である材料を含み、第1の表面積を有する、導電層と、
第1のキャリアイオン供給層及び第2のキャリアイオン供給層であって、前記第1のキャリアイオン供給層及び前記第2のキャリアイオン供給層の各々は、前記二次バッテリの電極にキャリアイオンを供給する材料を含み、前記第1のキャリアイオン供給層は、前記導電層の前記第1の主面の第1の領域を覆い、前記第2のキャリアイオン供給層は、前記導電層の前記第1の主面の第2の領域を覆う、第1のキャリアイオン供給層及び第2のキャリアイオン供給層と、を備え、
前記第1の領域及び前記第2の領域は、前記第1の領域と前記第2の領域との間に延在する前記導電層の第3の領域によって分離され、前記第3の領域は、折り畳み構成において、前記第1の領域及び前記第2の領域が実質的に平行になるように、Y軸方向に沿って折り畳まれるように構成され、前記第3の領域は、前記折り畳み構成において、前記第1の領域及び前記第2の領域に対して実質的に垂直である、補助極。
【請求項2】
前記折り畳み構成において、前記第1のキャリアイオン供給層の周囲は、前記第2のキャリアイオン供給層の周囲と実質的に整列している、請求項1に記載の補助極。
【請求項3】
前記第1のキャリアイオン供給層と前記第2のキャリアイオン供給層とを合わせた表面積は、前記第3の領域の表面積よりも大きい、請求項1に記載の補助極。
【請求項4】
前記第1のキャリアイオン供給層上に配設され、前記第1のキャリアイオン供給層と同一の広がりを有する第1のセパレータ層を更に含む、請求項1に記載の補助極。
【請求項5】
前記第2のキャリアイオン供給層上に配設され、前記第2のキャリアイオン供給層と同一の広がりを有する第2のセパレータ層を更に含む、請求項4に記載の補助極。
【請求項6】
第3のセパレータ層を更に含み、前記第3のセパレータ層は、前記第1の主面の反対側の前記導電層の第2の主面上に配設されている、請求項5に記載の補助極。
【請求項7】
前記第1のセパレータ層、前記第2のセパレータ層、及び前記第3のセパレータ層は、連続している、請求項6に記載の補助極。
【請求項8】
前記第1のセパレータ層及び前記第3のセパレータ層は、前記第1のセパレータ層及び前記第3のセパレータ層の周囲の少なくとも一部分の周りで一緒に機械的に接合されている、請求項6に記載の補助極。
【請求項9】
前記第2のセパレータ層及び前記第3のセパレータ層は、前記第2のセパレータ層及び前記第3のセパレータ層の周囲の少なくとも一部分の周りで一緒に機械的に接合されている、請求項6に記載の補助極。
【請求項10】
前記導電層は、銅、アルミニウム、又は銅とアルミニウムの合金のうちの1つを含む、請求項1に記載の補助極。
【請求項11】
前記第1及び第2のキャリアイオン供給層は、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、及びカルシウムイオンのうちの1つ以上の供給源を含む、請求項1に記載の補助極。
【請求項12】
導電性である材料を含み、前記導電層の前記第3の領域内で前記導電層に結合された導電性タブを更に含む、請求項1に記載の補助極。
【請求項13】
緩衝システムであって、
互いに反対側にある主面及び電気端子を有する二次バッテリであって、前記電気端子の各々は、前記二次バッテリの正極及び負極のうちの一方に結合され、前記二次バッテリは、前記負極と前記正極との間に、前記負極及び前記正極とイオン接触する電解質が浸透している微多孔質セパレータを含み、前記負極は、陽極活性ケイ素又はその合金を含み、キャリアイオンのクーロン容量を有し、前記正極は、陰極活性材料を含み、前記キャリアイオンのクーロン容量を有し、前記負極クーロン容量は、前記正極クーロン容量を上回る、二次バッテリと、
前記二次バッテリの前記主面に接触する補助極であって、前記補助極は、
イオン透過性である材料を含む第1のセパレータ層と、
電気伝導性である材料を含み、前記第1のセパレータ層に接触する第1の表面と、前記第1の表面の反対側の第2の表面と、を有する、導電層であって、前記第2の表面は、前記導電層の第1の端部に配設された第1の領域と、前記第1の端部の反対側の前記導電層の第2の端部に配設された第2の領域と、前記第1の領域と前記第2の領域との間に配設された第3の領域と、にセグメント化されている、導電層と、
前記二次バッテリの前記正極に前記キャリアイオンを供給する材料を各々が含むキャリアイオン供給層の集団であって、前記キャリアイオン供給層のそれぞれの1つは、前記導電層の前記第1の領域及び前記第2の領域内に配設されている、キャリアイオン供給層の集団と、
イオン透過性である材料を含む第2のセパレータ層であって、前記第2のセパレータ層は、前記導電層の前記第1の領域及び前記第2の領域内の前記キャリアイオン供給層を前記二次バッテリの前記主面から分離する、第2のセパレータ層と、
導電性である材料を含む導電性タブであって、前記導電性タブは、前記導電層の前記第3の領域内で前記導電層の前記第2の表面に結合された第1の端部と、前記第1の端部より遠位にある第2の端部と、を有する、導電性タブと、を含む、補助極と、
前記補助極及び前記二次バッテリを封入するエンクロージャであって、前記電気端子及び前記導電性タブの前記第2の端部は、前記エンクロージャの周囲から電気的に延在している、エンクロージャと、を備える、緩衝システム。
【請求項14】
前記エンクロージャは、第1のエンクロージャ層と、第2のエンクロージャ層と、を備え、
前記補助極及び前記二次バッテリは、前記第1のエンクロージャ層に形成されたポーチ内に配設されている、請求項13に記載の緩衝システム。
【請求項15】
前記第2のセパレータ層を浸透する電解質を更に含む、請求項13に記載の緩衝システム。
【請求項16】
前記キャリアイオン供給層は、前記二次バッテリの前記正極のためのリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、及びカルシウムイオンのうちの1つ以上の供給源を含む、請求項13に記載の緩衝システム。
【請求項17】
補助極を使用して二次バッテリをキャリアイオンで緩衝する方法であって、前記二次バッテリは、互いに反対側にある主面及び電気端子を有し、前記電気端子の各々は、前記二次バッテリの正極及び負極のうちの一方に結合され、前記二次バッテリは、前記負極と前記正極との間に、前記負極及び前記正極とイオン接触する電解質が浸透している微多孔質セパレータを含み、前記負極は、陽極活性ケイ素又はその合金を含み、前記キャリアイオンのクーロン容量を有し、前記正極は、陰極活性材料を含み、前記キャリアイオンのクーロン容量を有し、前記負極クーロン容量は、前記正極クーロン容量を上回り、前記方法は、
補助サブアセンブリを形成するために、前記二次バッテリの前記主面と接触して前記補助極を配置することであって、前記補助極は、導電層と、前記二次バッテリの前記主面に近接している前記導電層上に配設されたキャリアイオン供給層と、前記キャリアイオン供給層と前記二次バッテリの前記主面との間に配設されたセパレータ層と、前記導電層に結合された導電性タブと、を含む、配置することと、
前記補助サブアセンブリをエンクロージャ内に設置することであって、前記二次バッテリの前記電気端子及び前記補助極の前記導電性タブは、前記エンクロージャの周囲から電気的に延在する、設置することと、
前記二次バッテリの前記電気端子にわたって電位電圧を加えることによって、前記キャリアイオンを前記正極から前記負極に移動させて、前記二次バッテリを少なくとも部分的に充電することと、
前記補助極の前記導電性タブ及び前記二次バッテリの前記電気端子のうちの1つ以上にわたって電位電圧を加えることによって、前記補助極の前記キャリアイオン供給層から前記二次バッテリの前記正極及び前記負極のうちの少なくとも1つに前記キャリアイオンを移動させることと、
前記負極が、前記キャリアイオンとして蓄積される前記正極クーロン容量の100%超を有するまで、前記二次バッテリの前記電気端子にわたって電位電圧を加えることによって、前記キャリアイオンを前記正極から前記負極に移動させて、前記二次バッテリを充電することと、を含む、方法。
【請求項18】
前記エンクロージャを開くことと、
前記二次バッテリから前記補助極を除去することと、
前記エンクロージャを再封止して前記二次バッテリを封入することと、を更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記エンクロージャは、第1のエンクロージャ層と、第2のエンクロージャ層と、を備え、
前記補助サブアセンブリを前記エンクロージャ内に設置することは、
前記補助サブアセンブリを前記第1のエンクロージャ層上に設置することと、
前記第2のエンクロージャ層を前記第1のエンクロージャ層上に設置することと、
封止線に沿って前記第1のエンクロージャ層を前記第2のエンクロージャ層に封止して、前記エンクロージャを形成することと、を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記第1のエンクロージャ層は、ポーチを含み、
前記補助サブアセンブリを前記第1のエンクロージャ層に設置することは、
前記補助サブアセンブリを前記ポーチ内に設置することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記ポーチに電解質を追加することを更に含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
対極に対してサイクルさせたときに、前記負極クーロン容量の前記正極クーロン容量に対する比は、それぞれ、約1.2:1~約5:1の範囲内にある、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
対極に対してサイクルさせたときに、前記補助極のクーロン容量の前記正極クーロン容量に対する比は、それぞれ、約2:1~約5:1の範囲内にある、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
前記負極は、陽極活性材料を含み、前記陽極活性材料は、ケイ素を含み、前記二次バッテリの充電及び放電サイクル中に前記キャリアイオンが前記負極に組み込まれるか又は前記負極から出るときの体積膨張及び収縮に適応する空隙体積分率を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項25】
前記陽極活性材料の前記空隙体積分率は、約0.1~約0.7である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記陽極活性材料は、マクロ多孔質、微多孔質、若しくはメソ多孔質の材料層、又はそれらの組み合わせを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記キャリアイオンを前記補助極の前記キャリアイオン供給層から前記二次バッテリの前記正極及び前記負極のうちの少なくとも1つに移動させることは、
前記キャリアイオンの前記正極クーロン容量の約50%を前記正極及び前記負極のうちの少なくとも1つに移動させることを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項28】
前記キャリアイオンを前記補助極の前記キャリアイオン供給層から前記二次バッテリの前記正極及び前記負極のうちの少なくとも1つに移動させることは、
前記キャリアイオンの前記正極クーロン容量の約60%を前記正極及び前記負極のうちの少なくとも1つに移動させることを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項29】
前記キャリアイオンを前記補助極の前記キャリアイオン供給層から前記二次バッテリの前記正極及び前記負極のうちの少なくとも1つに移動させることは、
前記キャリアイオンの前記正極クーロン容量の約70%を前記正極及び前記負極のうちの少なくとも1つに移動させることを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項30】
前記キャリアイオンを前記補助極の前記キャリアイオン供給層から前記二次バッテリの前記正極及び前記負極のうちの少なくとも1つに移動させることは、
前記キャリアイオンの前記正極クーロン容量の約80%を前記正極及び前記負極のうちの少なくとも1つに移動させることを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項31】
前記キャリアイオンを前記補助極の前記キャリアイオン供給層から前記二次バッテリの前記正極及び前記負極のうちの少なくとも1つに移動させることは、
前記キャリアイオンの前記正極クーロン容量の約90%を前記正極及び前記負極のうちの少なくとも1つに移動させることを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項32】
前記キャリアイオンを前記補助極の前記キャリアイオン供給層から前記二次バッテリの前記正極及び前記負極のうちの少なくとも1つに移動させることは、
前記キャリアイオンの前記正極クーロン容量の約100%を前記正極及び前記負極のうちの少なくとも1つに移動させることを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項33】
前記キャリアイオンを前記補助極の前記キャリアイオン供給層から前記二次バッテリの前記正極及び前記負極のうちの少なくとも1つに移動させることは、
前記キャリアイオンの前記正極クーロン容量の約1%~約100%を前記正極及び前記負極のうちの少なくとも1つに移動させることを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項34】
前記キャリアイオン供給層は、前記二次バッテリの前記正極のためのリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、及びカルシウムイオンのうちの1つ以上の供給源を含む、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年6月30日に出願された米国仮特許出願第63/216,656号に対する優先権を主張し、その開示は、その全体が参照により組み込まれる。
【0002】
本開示の分野は、概して、二次バッテリに関し、より具体的には、形成中又は形成後の二次バッテリのキャリアイオンローディングに関する。
【背景技術】
【0003】
ロッキングチェア型バッテリセルでは、二次バッテリの正極及び負極の両方は、リチウムなどのキャリアイオンが挿入及び抽出される材料を含む。バッテリが放電されると、キャリアイオンが負極から抽出され、正極に挿入される。バッテリが充電されると、キャリアイオンが正極から抽出され、負極に挿入される。
【0004】
ケイ素は、その高い比容量のために、陽極として炭素質材料に代わる有望な候補となっている。例えば、LiC6から形成されたグラファイト陽極は、約370ミリアンペア時/グラム(mAh/g)の比容量を有し得るが、一方、Li15Si4から形成された結晶ケイ素陽極は、約3600mAh/gの比容量を有することができ、グラファイト陽極よりも10倍近く増加する。しかしながら、Liキャリアイオンがケイ素陽極に挿入された際のケイ素の大きい体積変化(例えば、300%)に起因して、ケイ素陽極の使用は制限されてきた。この体積増加と、充電及び放電サイクルと関連するクラッキング及び微粉化とにより、ケイ素陽極の実際の使用は制限されてきた。加えて、ケイ素陽極を利用する二次バッテリの初期形成中の容量損失につながる、ケイ素陽極の不十分な初期クーロン効率(ICE)に起因して、ケイ素陽極の使用は制限されてきた。
【0005】
したがって、ケイ素系陽極を利用する二次バッテリの性能を改善すること、より具体的には、それらの不十分なICEに関してケイ素陽極が呈する問題を軽減することが望まれている。
【発明の概要】
【0006】
一態様では、二次バッテリ用の補助極は、導電層と、第1のキャリアイオン供給層と、第2のキャリアイオン供給層と、を含む。導電層は、X-Y平面内に第1の主面を有し、導電層は、導電性である材料を含み、第1の表面積を有する。第1のキャリアイオン注入層及び第2のキャリアイオン注入層の各々は、二次バッテリの電極にキャリアイオンを供給する材料を含む。第1のキャリアイオン供給層は、導電層の第1の主面の第1の領域を覆い、第2のキャリアイオン供給層は、導電層の第1の主面の第2の領域を覆う。第1の領域及び第2の領域は、第1の領域と第2の領域との間に延在する導電層の第3の領域によって分離される。第3の領域は、折り畳み構成において、第1の領域及び第2の領域が実質的に平行になるように、Y軸方向に沿って折り畳まれるように構成される。第3の領域は、折り畳み構成において第1の領域及び第2の領域に対して実質的に垂直である。
【0007】
別の態様では、緩衝システムは、二次バッテリと、補助極と、エンクロージャと、を含む。二次バッテリは、互いに反対側にある主面と、電気端子、とを有し、電気端子の各々は、二次バッテリの正極及び負極のうちの1つに結合される。二次バッテリは、負極と正極との間に微多孔質セパレータを含み、微多孔質セパレータは、負極及び正極とイオン接触する電解質で浸透される。負極は、陽極活性ケイ素又はその合金を含み、負極は、キャリアイオンのためのクーロン容量を有する。正極は、陰極活性材料を含み、正極は、キャリアイオンのクーロン容量を有する。負極クーロン容量は、正極クーロン容量を上回る。補助極は、二次バッテリの主面に接触する。補助極は、第1のセパレータ層と、導電層と、キャリアイオン供給層の集団と、第2のセパレータ層と、導電性タブと、を含む。第1のセパレータ層は、イオン透過性である材料を含む。導電層は、導電性である材料を含み、導電層は、第1のセパレータ層に接触する第1の表面と、第1の表面の反対側の第2の表面と、を有する。第2の表面は、導電層の第1の端部に配設された第1の領域と、第1の端部の反対側の導電層の第2の端部に配設された第2の領域と、第1の領域と第2の領域との間に配設された第3の領域と、にセグメント化される。キャリアイオン供給層の集団は各々、二次バッテリの正極のためのキャリアイオンを供給する材料を含む。キャリアイオン供給層のそれぞれ1つは、導電層の第1の領域及び第2の領域内に配設される。第2のセパレータ層は、イオン透過性である材料を含む。第2のセパレータ層は、導電層の第1の領域及び第2の領域内のキャリアイオン供給層を二次バッテリの主面から分離する。導電性タブは、導電性である材料を含む。導電性タブは、導電層の第3の領域内で導電層の第2の表面に結合された第1の端部と、第1の端部より遠位にある第2の端部と、を有する。エンクロージャは、電気端子及び導電性タブの第2の端部がエンクロージャの周囲から電気的に延在する状態で、補助極及び二次バッテリを封入する。
【0008】
更に別の態様では、補助極を使用してキャリアイオンで二次バッテリを緩衝する方法が提供される。二次バッテリは、互いに反対側にある主面と、電気端子と、を有する。本方法は、補助極を二次バッテリの主面と接触させて配置して、補助サブアセンブリを形成することを含む。電気端子の各々は、二次バッテリの正極及び負極のうちの1つに結合される。二次バッテリは、負極と正極との間に微多孔質セパレータを含み、微多孔質セパレータは、負極及び正極とイオン接触する電解質で浸透される。負極は、陽極活性ケイ素又はその合金を含み、負極は、キャリアイオンのためのクーロン容量を有する。正極は、陰極活性材料を含み、正極は、キャリアイオンのクーロン容量を有する。負極クーロン容量は、正極クーロン容量を上回る。補助極は、導電層と、二次バッテリの主面に近接する導電層上に配設されたキャリアイオン供給層と、キャリアイオン供給層と二次バッテリの主面との間に配設されたセパレータ層と、導電層に結合された導電性タブと、を含む。本方法は、補助サブアセンブリをエンクロージャ内に設置することを更に含み、二次バッテリの電気端子及び補助極の導電性タブは、エンクロージャの周囲から電気的に延在する。本方法はまた、二次バッテリの電気端子にわたって電位電圧を加えることによって、キャリアイオンを正極から負極に移動させて、二次バッテリを少なくとも部分的に充電することを含む。本方法は、補助極の導電性タブ及び二次バッテリの電気端子のうちの1つにわたって電位電圧を加えることによって、補助極のキャリアイオン供給層から二次バッテリの正極及び負極のうちの少なくとも1つにキャリアイオンを移動させることを更に含む。本方法は、負極が、キャリアイオンとして蓄積される正極クーロン容量の100%超を有するまで、二次バッテリの電気端子にわたって電位電圧を加えることによって、キャリアイオンを正極から負極に移動させて、二次バッテリを充電することを更に含む。
【0009】
上述の態様に関連して述べた特徴には、種々の改良が存在する。更なる特徴がまた、上述の態様に組み込まれてもよい。これらの改良及び追加の特徴は、個々に又は任意の組み合わせで存在し得る。例えば、例示される実施形態のいずれかに関連して以下で考察される種々の特徴は、単独で、又は任意の組み合わせで、前述の態様のいずれかに組み込まれてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】例示的な実施形態の二次バッテリの斜視図である。
図2図1の二次バッテリのユニットセルを描画する。
図3図2のユニットセルの陰極構造を描画する。
図4図2のユニットセルの陽極構造を描画する。
図5】例示的な実施形態の緩衝システムの斜視図を描画する。
図6図5の緩衝システムの分解図を描画する。
図7】例示的な実施形態の補助極の斜視図を描画する。
図8図7の補助極の分解図を描画する。
図9図7の補助極の組立プロセスの一段階における図7の補助極の斜視図である。
図10図7の補助極の組立プロセスの別の段階における図7の補助極の斜視図である。
図11図7の補助極に延在タブを追加する組立プロセスの更に別の段階における図7の補助極の斜視図である。
図12】緩衝システムの組立プロセスの一段階における図5の緩衝システムの斜視図である。
図13】緩衝システムの組立プロセスの別の段階における図5の緩衝システムの斜視図である。
図14】緩衝システムの組立プロセスにおける更に別の段階における図5の緩衝システムの斜視図である。
図15図14の緩衝システムの一部分の断面図である。
図16】緩衝システムの組立プロセスの更に別の段階における図5の緩衝システムの斜視図である。
図17】二次バッテリ上で緩衝プロセスを実施した後の図5の緩衝システムの斜視図である。
図18】例示的な実施形態の補助極を使用して、キャリアイオンで二次バッテリを緩衝する方法のフローチャートである。
図19図18の方法の更なる詳細を描画するフローチャートである。
図20図18の方法の更なる詳細を描画するフローチャートである。
図21図18の方法の更なる詳細を描画するフローチャートである。
【0011】
定義
本明細書で使用される「A」、「an」、及び「the」(すなわち、単数形)は、文脈が明示的に別様に示さない限り、複数参照を指す。例えば、一例では、「電極」への言及は、単一の電極及び複数の同様の電極の両方を含む。
【0012】
本明細書で使用される場合、「約」及び「およそ」は、記載される値のプラス又はマイナス10%、5%、又は1%を指す。例えば、一例では、約250マイクロメートル(μm)は、225μm~275μmを含む。更なる例として、一例では、約1,000μmは、900μm~1,100μmを含む。別途示されない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される数量(例えば、測定値、及び同様のもの)などを表す全ての数字は、「約」という用語によって全ての場合において修飾されていると理解されたい。したがって、別途逆の意味が示されない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載の数値パラメータは、近似値である。各数値パラメータは、少なくとも、報告された有意な桁の数に照らして、及び通常の丸め技法を適用することによって解釈されるべきである。
【0013】
二次バッテリの文脈において本明細書で使用される「陽極」は、二次バッテリ中の負極を指す。
【0014】
本明細書で使用される「陽極材料」又は「陽極活性」は、二次バッテリの負極として使用するのに好適な材料を意味する。
【0015】
二次バッテリに関連して本明細書で使用される「陰極」は、二次バッテリにおける正極を指す。
【0016】
本明細書で使用される「陰極材料」又は「陰極活性」は、二次バッテリの正極として使用するのに好適な材料を意味する。
【0017】
「変換化学活性材料」又は「変換化学材料」は、二次バッテリの充放電サイクル中に化学反応を起こす材料を指す。
【0018】
本明細書で使用される場合、「対極」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、二次バッテリの負極又は正極(陽極又は陰極)を指し得る。
【0019】
本明細書で使用される場合、「対極電流コレクタ」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、二次バッテリの負極電流コネクタの反対側の負又は正(陽極又は陰極)電流コレクタを指し得る。
【0020】
充電状態と放電状態との間の二次バッテリのサイクルの文脈で、本明細書で使用される「サイクル」は、充電状態又は放電状態のいずれかである第1の状態から、第1の状態の反対である第2の状態(すなわち、第1の状態が放電された場合は充電状態、又は第1の状態が充電された場合は放電状態)へのサイクルでバッテリを移動させるためにバッテリを充電及び/又は放電し、次いで、バッテリを第1の状態に戻してサイクルを完了することを指す。例えば、充電状態と放電状態との間の二次バッテリの単一のサイクルは、充電サイクルのように、バッテリを放電状態から充電状態に充電し、次いで放電状態に戻して、サイクルを完了することを含んでもよい。単一サイクルはまた、放電サイクルのように、バッテリを充電状態から放電状態に放電し、次いで充電状態に戻して充電し、サイクルを完了することを含んでもよい。
【0021】
本明細書で使用される場合、「電気化学的活性材料」は、陽極活性材料又は陰極活性材料を意味する。
【0022】
本明細書で使用される場合、「電極」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、二次バッテリの負極又は正極(陽極又は陰極)を指し得る。
【0023】
本明細書で使用される「電極電流コレクタ」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、二次バッテリの負又は正(陽極又は陰極)電流コレクタを指し得る。
【0024】
本明細書で使用される場合、「電極材料」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、陽極材料又は陰極材料を指し得る。
【0025】
本明細書で使用される場合、「電極構造」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、バッテリで使用するために適合された陽極構造(例えば、負極構造)又は陰極構造(例えば、正極構造)を指し得る。
【0026】
「容量」又は「C」は、本明細書で使用される場合、文脈上明らかにそうでない場合を除き、バッテリ(又は二重層を形成する電極構造及び対極構造の1つ以上の対を含むバッテリの下位部分)が所定の電圧において送達することができる電荷の量を指す。
【0027】
本明細書で使用される「電解質」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、バッテリで使用するように適合されたイオンの移動によって電流が運ばれる非金属の液体、ゲル、又は固体材料を指す。
【0028】
二次バッテリの状態の文脈において本明細書で使用される「充電状態」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、二次バッテリがその規定容量の少なくとも75%まで充電された状態を指す。例えば、バッテリは、その規定容量の少なくとも80%、その規定容量の少なくとも90%、更にはその規定容量の少なくとも95%、例えばその規定容量の100%まで充電されてもよい。
【0029】
負極に関連して本明細書で使用される「放電容量」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、所定の組のセル充電終了電圧限界とセル放電終了電圧限界との間のバッテリの放電動作中に、負極からの抽出及び正極への挿入に利用可能なキャリアイオンの量を意味する。
【0030】
二次バッテリの状態の文脈において本明細書で使用される「放電状態」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、二次バッテリがその規定容量の25%未満まで放電される状態を指す。例えば、バッテリは、その規定容量の20%未満、例えばその規定容量の10%未満、更にはその規定容量の5%未満、例えばその規定容量の0%まで放電されてもよい。
【0031】
電極(すなわち、正極、負極、又は補助極)に関連して本明細書で使用される「可逆的クーロン容量」は、対極との可逆的交換に利用可能なキャリアイオンについての電極の総容量を意味する。
【0032】
本明細書で使用される場合、「長手方向軸」、「横方向軸」、及び「垂直軸」は、相互に垂直な軸を指す(すなわち、各々が互いに直交する)。例えば、本明細書で使用される「長手方向軸」、「横方向軸」、及び「垂直軸」は、三次元の態様又は配向を定義するために使用されるデカルト座標系と同種である。このように、本明細書で開示される主題の要素の説明は、要素の三次元配向を記述するために使用される特定の軸に限定されない。代替的に述べると、軸は、開示の主題の三次元態様を参照するときに置き換え可能であり得る。
【0033】
本明細書で使用される「複合材料(composite material)」又は「複合材(composite)」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、2つ以上の構成材料を含む材料を指す。
【0034】
本明細書で使用される場合、「空隙率」又は「孔隙率」又は「空隙体積分率」は、材料中の空隙(すなわち、空の)空間の測定値を指し、0~1、又は0%~100%の百分率としての材料の全体積に対する空隙の体積の分率である。
【0035】
「ポリマー」は、本明細書で使用される場合、文脈上明らかにそうでない場合を除き、高分子の繰り返しサブユニットからなる物質又は材料を指し得る。
【0036】
本明細書で使用される場合、「微細構造」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、約25倍を超える倍率の光学顕微鏡によって明らかにされた材料の表面の構造を指し得る。
【0037】
本明細書で使用される場合、「微多孔質」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、約2ナノメートル未満の直径を有する細孔を含有する材料を指し得る。
【0038】
本明細書で使用される場合、「マクロ多孔質」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、約50ナノメートル超の直径を有する細孔を含有する材料を指し得る。
【0039】
本明細書で使用される「ナノスケール」又は「ナノスコピックスケール」は、約1ナノメートル~約100ナノメートルの範囲の長さスケールを有する構造を指し得る。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本開示の実施形態は、初期バッテリ形成中及び/又はその後に追加のキャリアイオンを提供する二次バッテリと電気化学的に結合された補助陽極を利用する二次バッテリにおいて、ケイ素系陽極に関連する不十分なICEの軽減又は改善などの利点を提供することができる。補助陽極の使用により、初期形成中の二次バッテリ内のキャリアイオンの初期損失が軽減され、それによって、例えば、形成後の二次バッテリの容量を増加させるという技術的利点を提供する。更に、バッテリ形成後の追加のキャリアイオンの導入により、二次反応を通して典型的に失われるキャリアイオンのサイクルベースの減少が軽減され、それによって、二次バッテリにおけるサイクルごとの容量損失を減少させるという技術的利点を提供する。更になお、バッテリ形成後の追加のキャリアイオンの導入は、陽極が追加のキャリアイオンを含むため、放電時に二次バッテリの陽極をより低い電位電圧に維持することによって二次バッテリのサイクル性能を改善する。一部の実施形態では、補助陽極は、形成後、二次バッテリから除去され、それによって、バッテリのエネルギー密度を増加させる技術的利点を提供する。
【0041】
図1は、例示的な実施形態の二次バッテリ100の斜視図であり、図2は、二次バッテリ100のためのユニットセル200を描画している。図1の二次バッテリ100は、以下で更に説明するように、二次バッテリの内部構造の一部分を示す露出した部分を有する。
【0042】
図1に例示するように、二次バッテリ100は、隣接する複数のサブユニット102を含む。各電極サブユニット102は、それぞれ、X軸、Y軸、及びZ軸の寸法を有する。X軸、Y軸、及びZ軸は、デカルト座標系と同様に、各々互いに垂直である。本明細書で使用されるとき、Z軸の各電極サブユニット102の寸法は「高さ」と称され得、X軸の寸法は「長さ」と称され得、Y軸の寸法は「幅」と称され得る。電極サブユニット102は、1つ以上ユニットセル200(図2参照)に組み合わせられてもよい。ユニットセル200の各々は、少なくとも1つの陽極活性材料層104と、少なくとも1つの陰極活性材料層106と、を含む。陽極活性材料層104及び陰極活性材料層106は、セパレータ層108によって互いに電気的に絶縁されている。本開示の好適な実施形態では、二次バッテリ100内の1~200個以上の電極サブユニット102など、任意の数の電極サブユニット102が使用され得ることを理解されたい。
【0043】
図1を参照すると、二次バッテリ100は、第1のバスバー110及び第2のバスバー112を含み、これらは、電極タブ114を介して、それぞれ、サブユニット102の各々の陽極活性材料層104及び陰極活性材料層106と電気的に接触している。電極タブ114は、図1の二次バッテリ100の第1の側面120上にのみ見えているが、異なる組の電極タブ114が二次バッテリの第2の側面121上に存在する。二次バッテリ100の第1の側面120上の電極タブ114は、陽極バスバーと称されることがある第1のバスバー110と電気的に結合される。二次バッテリ100(図1では見えない)の第2の側面121上の電極タブ114は、陰極バスバーと称されることがある第2のバスバー112に電気的に結合される。この実施形態では、第1のバスバー110は、導電性である二次バッテリ100の第1の電気端子124と電気的に結合される。第1のバスバー110が二次バッテリ100のための陽極バスバーを含む場合、第1の電気端子124は、二次バッテリ100のための負極端子を含む。更に、この実施形態では、第2のバスバー112は、導電性である二次バッテリ100の第2の電気端子125と電気的に結合される。第2のバスバー112が二次バッテリ100のための陰極バスバーを含む場合、第2の電気端子125は、二次バッテリ100のための正極端子を含む。
【0044】
一実施形態では、制約部と称され得るケーシング116が、二次バッテリ100のX-Y表面の一方又は両方の上に適用され得る。図1に示される実施形態では、ケーシング116は、二次バッテリ100が完全に組み立てられると、電解質の分配又は流れを容易にするための複数の穿孔118を含む。一実施形態では、ケーシング116は、SS301、SS316、440C又は440C硬質などのステンレス鋼を含む。他の実施形態では、ケーシング116は、アルミニウム(例えば、アルミニウム7075-T6、ハードH18など)、チタン(例えば、6Al-4V)、ベリリウム、ベリリウム銅(ハード)、銅(O2フリー、ハード)、ニッケル、他の金属又は金属合金、複合材料、ポリマー、セラミック(例えば、アルミナ(例えば、焼結又はCoorstek AD96)、ジルコニア(例えば、Coorstek YZTP)、イットリア安定化ジルコニア(例えば、ENrG E-Strate(登録商標)))、ガラス、強化ガラス、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)(例えば、Aptiv 1102)、炭素を有するPEEK(例えば、Victrex 90HMF40又はXycomp 1000-04)、炭素を有するポリフェニレン硫化物(PPS)(例えば、Tepex Dynalite 207)、30%のガラスを有するポリエテルケトン(PEEK)、(例えば、Victrex 90HMF40又はXycomp 1000-04)、ポリイミド(例えば、Kapton(登録商標))、E Glass Std Fabric/Epoxy、0度、E Glass UD/Epoxy、0度、Kevlar Std Fabric/Epoxy、0度、Kevlar UD/Epoxy、0度、Carbon Std Fabric/Epoxy、0度、Carbon UD/Epoxy、0度、Toyobo Zylon(登録商標)HM Fiber/Epoxy、Kevlar 49 Aramid Fiber、S Glass Fibers、Carbon Fibers、Vectran UM LCP Fibers、Dyneema、Zylon又は他の好適な材料を含む。
【0045】
一部の実施形態では、ケーシング116は、約10~約100マイクロメートル(μm)の範囲の厚さを有するシートを含む。一実施形態では、ケーシング116は、約30μmの厚さを有するステンレス鋼シート(例えば、SS316)を含む。別の実施形態では、ケーシング116は、約40μmの厚さを有するアルミニウムシート(例えば、7075-T6)を含む。別の実施形態では、ケーシング116は、約30μmの厚さを有するジルコニアシート(例えば、Coorstek YZTP)を含む。別の実施形態では、ケーシング116は、約75μmの厚さを有するEガラスUD/エポキシ0度シートを含む。別の実施形態では、ケーシング116は、>50%の充填密度で12μmの炭素繊維を含む。
【0046】
この実施形態では、二次バッテリ100は、第1の主面126と、第1の主面126の反対側の第2の主面127と、を含む。二次バッテリ100の主面126、127は、一部の実施形態では、実質的に平面であり得る。
【0047】
図1の切断線D-Dに沿って二次バッテリ100を描画する図2を参照すると、電極サブユニット102と同一又は類似であり得るユニットセル200の個々の層が示されている。ユニットセル200の各々について、一部の実施形態では、セパレータ層108は、二次バッテリにおけるセパレータとしての使用に好適なイオン透過性の微多孔質ポリマー材料である。一実施形態では、セパレータ層108は、片側又は両側がセラミック粒子でコーティングされる。この実施形態では、ユニットセル200は、中央に陽極電流コレクタ202を含み、これは、二次バッテリ100(図1参照)の側面120、121のうちの1つ上のタブ114のうちの1つを含むか、又はそれと電気的に結合されてもよい。ユニットセル200は、陽極活性材料層104と、セパレータ層108と、陰極活性材料層106と、陰極電流コレクタ204とを積層構造で更に含む。陰極電流コレクタ204は、陽極電流コレクタ202とは異なる、二次バッテリ100の側面120、121のうちの1つ上のタブ114のうちの1つを含んでもよく、又はそれと電気的に結合されてもよい。
【0048】
代替の実施形態では、陰極活性材料層106及び陽極活性材料層104の配置は、陰極活性材料層が中心に向かっており、陽極活性材料層が陰極活性材料層に対して遠位にあるように交換されてもよい。一実施形態では、ユニットセル200Aは、左から右に、連続して積層された、陽極電流コレクタ202、陽極活性材料層104、セパレータ層108、陰極活性材料層106、及び陰極電流コレクタ204を含む。代替の実施形態では、ユニットセル200Bは、左から右に連続して積層された、セパレータ層108、陰極活性材料層106の第1の層、陰極電流コレクタ204、陰極活性材料層106の第2の層、セパレータ層108、陽極活性材料層104の第1の層、陽極電流コレクタ202、陽極活性材料層104の第2の層、及びセパレータ層108を含む。
【0049】
図2では、陰極活性材料層106及び陰極電流コレクタ204を備える層状構造は、陰極構造206と称されることがあり、一方、陽極活性材料層104及び陽極電流コレクタ202を備える層状構造は、陽極構造207と称されることがある。集合的に、二次バッテリ100のための陰極構造206の集団は、二次バッテリ100の正極208と称されることがあり、二次バッテリ100のための陽極構造207の集団(陽極構造207のうちの1つのみが図2に示されている)は、二次バッテリ100の負極209と称されることがある。
【0050】
電圧差Vは、隣接する陰極構造206と陽極構造207との間に存在し、隣接する構造は、一部の実施形態では、二重層とみなされる。各二重層は、陰極構造206及び陽極構造207の構成及び構成によって決定される容量Cを有する。この実施形態では、各二重層は、約4.35ボルトの電圧差を生じる。他の実施形態では、各二重層は、約0.5ボルト、約1.0ボルト、約1.5ボルト、約2.0ボルト、約2.5ボルト、約3.0ボルト、約3.5ボルト、約4.0ボルト、4.5ボルト、約5.0ボルト、4~5ボルト、又は任意の他の好適な電圧の電圧差を有する。充電状態と放電状態との間のサイクル中、電圧は、例えば、約2.5ボルトと約4.35ボルトとの間で変動し得る。この実施形態における二重層の容量Cは、約3.5ミリアンペア時(mAh)である。他の実施形態では、二重層の容量Cは、約2mAh、5mAh未満、又は任意の他の好適な容量である。一部の実施形態では、二重層の容量Cは、最大約10mAhであり得る。
【0051】
陰極電流コレクタ204は、アルミニウム、ニッケル、コバルト、チタン、及びタングステン、又はそれらの合金、又は陰極電流コレクタ層として使用するのに好適な任意の他の材料を含み得る。概して、陰極電流コレクタ204は、少なくとも約103シーメンス/cmの導電率を有する。例えば、かかる一実施形態では、陰極電流コレクタ204は、少なくとも約104シーメンス/cmの導電率を有する。更なる例として、かかる一実施形態では、陰極電流コレクタ204は、少なくとも約105シーメンス/cmの導電率を有する。一般に、陰極電流コレクタ204は、アルミニウム、炭素、クロム、金、ニッケル、NiP、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、ケイ素及びニッケルの合金、チタン、又はそれらの組み合わせなどの金属を含み得る(A.H.Whitehead及びM.Schreiberによる「Current collectors for positive electrodes of lithium-based batteries」、Journal of the Electrochemical Society、152(11)A2105-A2113(2005)を参照されたい)。更なる例として、一実施形態では、陰極電流コレクタ204は、金又は金シリサイドなどのその合金を含む。更なる例として、一実施形態では、陰極電流コレクタ204は、ニッケル、又はニッケルシリサイドなどのその合金を含む。
【0052】
陰極活性材料層106は、インターカレーション型化学活性材料、変換化学活性材料、又はそれらの組み合わせであり得る。
【0053】
本開示で有用な例示的な変換化学材料としては、S(又はリチウム化状態のLi2S)、LiF、Fe、Cu、Ni、FeF2、FeOdF3.2d、FeF3、CoF3、CoF2、CuF2、NiF2などが挙げられるが、これらに限定されず、式中、0≦d≦0.5及び同様のものである。
【0054】
例示的な陰極活性材料層106はまた、広範囲のインターカレーション型陰極活性材料のいずれかを含む。例えば、リチウムイオンバッテリの場合、陰極活性材料は、遷移金属酸化物、遷移金属硫化物、遷移金属窒化物、リチウム遷移金属酸化物、リチウム遷移金属硫化物から選択される陰極活性材料を含み得、リチウム遷移金属窒化物は、選択的に使用され得る。これらの遷移金属酸化物、遷移金属硫化物、及び遷移金属窒化物の遷移金属元素は、dシェル又はfシェルを有する金属元素を含むことができる。かかる金属元素の具体的な例は、Sc、Y、ランタノイド、アクチノイド、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pb、Pt、Cu、Ag、及びAuである。追加の陰極活性材料としては、LiCoO2、LiNi0.5Mn1.5O4、Li(NixCoyAlz)O2、LiFePO4、Li2MnO4、V2O5、モリブデンオキシスルフィド、リン酸塩、ケイ酸塩、バナジン酸塩、硫黄、硫黄化合物、酸素(空気)、Li(NixMnyCoz)O2、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0055】
概して、陰極活性材料層106は、少なくとも約20μmの厚さを有する。例えば、一実施形態では、陰極活性材料層106は、少なくとも約40μmの厚さを有する。更なる例として、かかる一実施形態では、陰極活性材料層106は、少なくとも約60μmの厚さを有する。更なる例として、かかる一実施形態では、陰極活性材料層106は、少なくとも約100μmの厚さを有する。典型的には、陰極活性材料層106は、約90μm未満又は約70μm未満の厚さを有する。
【0056】
図3は、図2の陰極構造206のうちの1つを描画している。各陰極構造206は、長手方向軸(ACE)に沿って測定された長さ(LCE)と、幅(WCE)と、長さLCE及び幅WCEの測定方向の各々に対して垂直である方向に測定された高さ(HCE)と、を有する。
【0057】
陰極構造206の全長LCEは、二次バッテリ100及びその意図される用途に依存して変化する。しかしながら、概して、各陰極構造206は、典型的には、約5ミリメートル(mm)~約500mmの範囲の長さLCEを有する。例えば、かかる一実施形態では、各陰極構造206は、約10mm~約250mmの長さLCEを有する。更なる例として、かかる一実施形態では、各陰極構造206は、約25mm~約100mmの長さLCEを有する。一実施形態によれば、陰極構造206は、第1の長さを有する1つ以上の第1の電極部材と、第1の長さとは異なる第2の長さを有する1つ以上の第2の電極部材と、を含む。更に別の実施形態では、1つ以上の第1の電極部材及び1つ以上の第2の電極部材の異なる長さは、長手方向及び/又は横方向の軸のうちの1つ以上に沿って異なる長さを有する電極アセンブリ形状などの電極アセンブリの所定の形状に適合するように、かつ/又は二次バッテリ100の所定の性能特性を提供するように選択され得る。
【0058】
陰極構造206の幅WCEは、二次バッテリ100及びその意図される用途に依存して変化する。しかしながら、概して、陰極構造206は、典型的には、約0.01mm~2.5mmの範囲内の幅WCEを有する。例えば、一実施形態では、各陰極構造206の幅WCEは、約0.025mm~約2mmの範囲である。更なる例として、一実施形態では、各陰極構造206の幅WCEは、約0.05mm~約1mmの範囲である。一実施形態によれば、陰極構造206は、第1の幅を有する1つ以上の第1の電極部材と、第1の幅とは異なる第2の幅を有する1つ以上の第2の電極部材と、を含む。更に別の実施形態では、1つ以上の第1の電極部材及び1つ以上の第2の電極部材の異なる幅は、長手方向及び/又は横方向の軸のうちの1つ以上に沿って異なる幅を有するアセンブリなどの二次バッテリ100の所定の形状に適合するように、かつ/又は二次バッテリ100の所定の性能特性を提供するように選択され得る。
【0059】
陰極構造206の高さHCEは、二次バッテリ100及びその意図される用途に依存して変化する。しかしながら、概して、陰極構造206は、典型的には、約0.05mm~約25mmの範囲内の高さHCEを有する。例えば、一実施形態では、各陰極構造206の高さHCEは、約0.05mm~約5mmの範囲である。更なる例として、一実施形態では、各陰極構造206の高さHCEは、約0.1mm~約1mmの範囲である。一実施形態によれば、陰極構造206は、第1の高さを有する1つ以上の第1の陰極部材と、第1の高さとは異なる第2の高さを有する1つ以上の第2の陰極部材と、を含む。更に別の実施形態では、1つ以上の第1の陰極部材及び1つ以上の第2の陰極部材の異なる高さは、長手方向及び/又は横方向の軸のうちの1つ以上に沿って異なる高さを有する形状などの二次バッテリ100の所定の形状に適合するように、かつ/又は二次バッテリ100の所定の性能特性を提供するように選択され得る。
【0060】
概して、各陰極構造206は、その幅WCEよりも実質的に大きく、その高さHCEよりも実質的に大きい長さLCEを有する。例えば、一実施形態では、陰極構造206の各々について、LCEとWCE及びHCEの各々との比は、それぞれ少なくとも5:1である(すなわち、LCEとWCEとの比は、それぞれ少なくとも5:1であり、LCEとHCEとの比は、それぞれ少なくとも5:1である)。更なる例として、一実施形態では、WCE及びHCEの各々に対するLCEの比は、各陰極構造206について少なくとも10:1である。更なる例として、一実施形態では、WCE及びHCEの各々に対するLCEの比は、各陰極構造206について少なくとも15:1である。更なる例として、一実施形態では、WCE及びHCEの各々に対するLCEの比は、各陰極構造206について少なくとも20:1である。
【0061】
一実施形態では、陰極構造206の幅WCEに対する高さHCEの比は、それぞれ少なくとも0.4:1である。例えば、一実施形態では、HCE対WCEの比は、各陰極構造206について、それぞれ少なくとも2:1である。更なる例として、一実施形態では、HCE対WCEの比は、各陰極構造206について、それぞれ少なくとも10:1である。更なる例として、一実施形態では、HCE対WCEの比は、各陰極構造206について、それぞれ少なくとも20:1である。しかしながら、典型的には、HCE対WCEの比は、概して、各陰極構造206について、それぞれ1,000:1未満である。例えば、一実施形態では、HCE対WCEの比は、各陰極構造206について、それぞれ500:1未満である。更なる例として、一実施形態では、HCE対WCEの比は、それぞれ100:1未満である。更なる例として、一実施形態では、HCE対WCEの比は、それぞれ10:1未満である。更なる例として、一実施形態では、HCE対WCEの比は、各陰極構造206について、それぞれ約2:1~約100:1の範囲である。
【0062】
陽極型構造及び材料
再び図2を参照すると、ユニットセル200内の陽極電流コレクタ202は、銅、炭素、ニッケル、ステンレス鋼、コバルト、チタン、及びタングステン、並びにそれらの合金などの導電性材料、又は陽極電流コレクタ層として好適な任意の他の材料を含み得る。概して、陽極電流コレクタ202は、少なくとも約103シーメンス/cmの導電率を有する。例えば、かかる一実施形態では、陽極電流コレクタ202は、少なくとも約104シーメンス/cmの導電率を有する。更なる例として、かかる一実施形態では、陽極電流コレクタ202は、少なくとも約105シーメンス/cmの導電率を有する。
【0063】
概して、ユニットセル200内の陽極活性材料層104は、(a)ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、及びカドミウム(Cd)、(b)Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Zn、Al、Ti、Ni、Co、又はCdと他の元素との合金又は金属間化合物、(c)Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Zn、Al、Ti、Fe、Ni、Co、V、又はCdの酸化物、炭化物、窒化物、硫化物、リン化物、セレン化物、及びテルル化物、並びにそれらの混合物、複合物、又はリチウム含有複合物、(d)Snの塩及び水酸化物、(e)チタン酸リチウム、マンガン酸リチウム、アルミン酸リチウム、リチウム含有酸化チタン、リチウム遷移金属酸化物、ZnCo2O4、(f)グラファイト及び炭素の粒子、(g)リチウム金属、及び(h)それらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0064】
例示的な陽極活性材料層104としては、グラファイト及び軟質又は硬質炭素、又はグラフェン(例えば、単層又は多層カーボンナノチューブ)などの炭素材料、若しくは、リチウムをインターカレートし、又はリチウムと合金を形成することができる金属、半金属、合金、酸化物、窒化物、及び化合物の範囲のいずれかが挙げられる。陽極材料を構成することができる金属又は半金属の具体的な例としては、グラファイト、スズ、鉛、マグネシウム、アルミニウム、ホウ素、ガリウム、ケイ素、Si/C複合材料、Si/グラファイトブレンド、酸化ケイ素(SiOx)、多孔質Si、金属間Si合金、インジウム、ジルコニウム、ゲルマニウム、ビスマス、カドミウム、アンチモン、銀、亜鉛、ヒ素、ハフニウム、イットリウム、リチウム、ナトリウム、グラファイト、炭素、チタン酸リチウム、パラジウム、及びそれらの混合物が挙げられる。例示的な一実施形態では、陽極活性材料は、アルミニウム、スズ、又はケイ素、又はその酸化物、その窒化物、そのフッ化物、又はその他の合金を含む。別の例示的な実施形態では、陽極活性材料層104は、ケイ素又はその合金若しくは酸化物を含む。
【0065】
一実施形態では、陽極活性材料層104は、二次バッテリ100の充電及び放電プロセス中にリチウムイオン(又は他のキャリアイオン)が陽極活性材料層104内に組み込まれるか、又は陽極活性材料層104から出るときの体積膨張及び収縮に対応するために、著しい空隙体積分率を提供するように微細構造化される。概して、陽極活性材料層104(の各々)の空隙体積分率は、少なくとも0.1である。しかしながら、典型的には、陽極活性材料層104(の各々)の空隙体積分率は、0.8以下である。例えば、一実施形態では、陽極活性材料層104(の各々)の空隙体積分率は、約0.15~約0.75である。更なる例として、一実施形態では、陽極活性材料層104(の各々)の空隙体積分率は、約0.2~約0.7である。更なる例として、一実施形態では、陽極活性材料層104(の各々)の空隙体積分率は、約0.25~約0.6である。
【0066】
微細構造化陽極活性材料層104の組成及びそれらの形成方法に応じて、微細構造化陽極活性材料層104は、マクロ多孔質、微多孔質、若しくはメソ多孔質材料層、又は微多孔質とメソ多孔質の組み合わせ、若しくはメソ多孔質とマクロ多孔質の組み合わせなどのそれらの組み合わせを含み得る。微多孔質材料は、典型的には、10ナノメートル(nm)未満の細孔寸法、10nm未満の壁寸法、1μm~50μmの細孔深さ、及び「スポンジ状」で不規則な外観、滑らかでない壁、及び分岐した細孔によって概して特徴付けられる細孔形態によって特徴付けられる。メソ多孔質材料は、典型的には、10nm~50nmの細孔寸法、10nm~50nmの壁寸法、1μm~100μmの細孔深さ、及び幾分明確に画定された分岐細孔又は樹枝状細孔によって概して特徴付けられる細孔形態によって特徴付けられる。マクロ多孔質材料は、典型的には、50nm超の細孔寸法、50nm超の壁寸法、1μm~500μmの細孔深さ、及び種々の、直線状、分岐状、又は樹枝状、及び平滑又は粗壁であり得る細孔形態によって特徴付けられる。加えて、空隙体積は、開いた空隙又は閉じた空隙、若しくはそれらの組み合わせを含み得る。一実施形態では、空隙体積は、開いた空隙を含み、すなわち、陽極活性材料層104は、陽極活性材料層の側面に、リチウムイオン(又は他のキャリアイオン)が出入りすることができる開口部を有する空隙を含む。例えば、リチウムイオンは、陰極活性材料層106を離れた後、空隙開口部を通って陽極活性材料層104に入ることができる。別の実施形態では、空隙体積は閉じた空隙を含み、すなわち、陽極活性材料層104は、囲まれている空隙を含む。概して、開いた空隙は、キャリアイオンに対してより大きい界面表面積を提供することができ、一方、閉じた空隙は、SEI形成の影響を受けにくい傾向があり、各々がキャリアイオンの進入時に陽極活性材料層104の膨張のための余地を提供する。したがって、特定の実施形態では、陽極活性材料層104は、開いた空隙と閉じた空隙との組み合わせを含むことが好ましい。
【0067】
一実施形態では、陽極活性材料層104は、多孔質アルミニウム、スズ、若しくはケイ素、又はそれらの合金、酸化物、若しくは窒化物を含む。多孔質ケイ素層は、例えば、陽極酸化によって、エッチングによって(例えば、金、白金、銀、又は金/パラジウムなどの貴金属を単結晶ケイ素の表面に堆積させ、表面をフッ化水素酸及び過酸化水素の混合物でエッチングすることによって)、又はパターン化された化学エッチングなどの当技術分野で既知の他の方法によって形成され得る。加えて、多孔質陽極活性材料層104は、概して、少なくとも約0.1であるが0.8未満の多孔率を有し、約1μm~約100μmの厚さを有する。例えば、一実施形態では、陽極活性材料層104は、多孔質ケイ素を含み、約5μm~約100μmの厚さを有し、約0.15~約0.75の多孔率を有する。更なる例として、一実施形態では、陽極活性材料層104は、多孔質ケイ素を含み、約10μm~約80μmの厚さを有し、約0.15~約0.7の多孔率を有する。更なる例として、かかる一実施形態では、陽極活性材料層104は、多孔質ケイ素を含み、約20μm~約50μmの厚さを有し、約0.25~約0.6の多孔率を有する。更なる例として、一実施形態では、陽極活性材料層104は、多孔質ケイ素合金(ニッケルシリサイドなど)を含み、約5μm~約100μmの厚さを有し、約0.15~約0.75の多孔率を有する。
【0068】
別の実施形態では、陽極活性材料層104は、アルミニウム、スズ、若しくはケイ素、又はそれらの合金の繊維を含む。個々の繊維は、約5nm~約10,000nmの直径(厚さ寸法)と、陽極活性材料層104の厚さに概ね対応する長さとを有し得る。ケイ素の繊維(ナノワイヤ)は、例えば、化学気相堆積又は気相液体固体(VLS)成長及び固体液体固体(SLS)成長などの当技術分野で既知の他の技法によって形成され得る。加えて、陽極活性材料層104は、概して、少なくとも約0.1であるが0.8未満の多孔率を有し、約1μm~約200μmの厚さを有する。例えば、一実施形態では、陽極活性材料層104は、ケイ素ナノワイヤを含み、約5μm~約100μmの厚さ、及び約0.15~約0.75の多孔率を有する。更なる例として、一実施形態では、陽極活性材料層104は、ケイ素ナノワイヤを含み、約10μm~約80μmの厚さ、及び約0.15~約0.7の多孔率を有する。更なる例として、かかる一実施形態では、陽極活性材料層104は、ケイ素ナノワイヤを含み、約20μm~約50μmの厚さ、及び約0.25~約0.6の多孔率を有する。更なる例として、一実施形態では、陽極活性材料層104は、ケイ素合金(ニッケルシリサイドなど)のナノワイヤを含み、約5μm~約100μmの厚さ、及び約0.15~約0.75の多孔率を有する。
【0069】
更に他の実施形態では、陽極活性材料層104は、安定化リチウム金属粒子、例えば、炭酸リチウム安定化リチウム金属粉末、ケイ酸リチウム安定化リチウム金属粉末、又は安定化リチウム金属粉末若しくはインクの他の供給源からなる群から選択される粒子状リチウム材料でコーティングされる。粒子状リチウム材料は、約0.05mg/cm2~5mg/cm2、例えば、約0.1mg/cm2~4mg/cm2、又は更に約0.5mg/cm2~3mg/cm2の充填量で、リチウム粒子材料を陽極活性材料層104上に噴霧、充填、又は別様に配設することによって、陽極活性材料層104上に適用されてもよい。リチウム粒子状材料の平均粒径(D50)は、5μm~200μm、例えば、約10μm~100μm、20μm~80μm、又は更には約30μm~50μmであり得る。平均粒径(D50)は、累積体積ベースの粒径分布曲線での50%に対応する粒径として定義され得る。平均粒径(D50)は、例えば、レーザ回折法を使用して測定され得る。
【0070】
一実施形態では、陽極電流コレクタ202は、その関連する陽極活性材料層104の電気コンダクタンスよりも実質的に大きい電気コンダクタンスを有する。例えば、一実施形態では、二次バッテリ100にエネルギーを蓄積するための印加電流、又は二次バッテリ100を放電するための印加負荷があるとき、陽極電流コレクタ202の電気コンダクタンスと陽極活性材料層104の電気コンダクタンスとの比は、少なくとも100:1である。更なる例として、一部の実施形態では、二次バッテリ100内にエネルギーを蓄積するための印加電流、又は二次バッテリ100を放電するための印加負荷があるとき、陽極電流コレクタ202の電気コンダクタンスと陽極活性材料層104の電気コンダクタンスとの比は、少なくとも500:1である。更なる例として、一部の実施形態では、二次バッテリ100内にエネルギーを蓄積するための印加電流、又は二次バッテリ100を放電するための印加負荷があるとき、陽極電流コレクタ202の電気コンダクタンスと陽極活性材料層104の電気コンダクタンスとの比は、少なくとも1000:1である。更なる例として、一部の実施形態では、二次バッテリ100内にエネルギーを蓄積するための印加電流、又は二次バッテリ100を放電するための印加負荷があるとき、陽極電流コレクタ202の電気コンダクタンスと陽極活性材料層104の電気コンダクタンスとの比は、少なくとも5000:1である。更なる例として、一部の実施形態では、二次バッテリ100内にエネルギーを蓄積するための印加電流、又は二次バッテリ100を放電するための印加負荷があるとき、陽極電流コレクタ202の電気コンダクタンスと陽極活性材料層104の電気コンダクタンスとの比は、少なくとも10000:1である。
【0071】
図4は、例示的な実施形態の図2の陽極構造207のうちの1つを描画している。各陽極構造207は、電極の長手方向軸(AE)に沿って測定された長さ(LE)と、幅(WE)と、長さLE及び幅WEの測定方向の各々に直交する方向に測定された高さ(HE)と、を有する。
【0072】
陽極構造207の全長LEは、二次バッテリ100及びその意図される用途に依存して変化する。しかしながら、概して、陽極構造207は、典型的には、約5ミリメートル(mm)~約500mmの範囲の全長LEを有する。例えば、かかる一実施形態では、陽極構造207は、約10mm~約250mmの全長LEを有する。更なる例として、かかる一実施形態では、陽極構造207は、約25mm~約100mmの全長LEを有する。一実施形態によれば、陽極構造207は、第1の長さを有する1つ以上の第1の電極部材と、第1の長さとは異なる第2の長さを有する1つ以上の第2の電極部材と、を含む。更に別の実施形態では、1つ以上の第1の電極部材及び1つ以上の第2の電極部材の異なる長さは、長手方向及び/又は横方向の軸のうちの1つ以上に沿って異なる長さを有する形状などの二次バッテリ100の所定の形状に適合するように、かつ/又は二次バッテリ100の所定の性能特性を提供するように選択され得る。
【0073】
陽極構造207の幅WEは、二次バッテリ100及びその意図される用途に依存して変化する。しかしながら、概して、各陽極構造207は、典型的には、約0.01mm~2.5mmの範囲内の幅WEを有する。例えば、一実施形態では、各陽極構造207の幅WEは、約0.025mm~約2mmの範囲である。更なる例として、一実施形態では、各陽極構造207の幅WEは、約0.05mm~約1mmの範囲である。一実施形態によれば、陽極構造207は、第1の幅を有する1つ以上の第1の電極部材と、第1の幅とは異なる第2の幅を有する1つ以上の第2の電極部材と、を含む。更に別の実施形態では、1つ以上の第1の電極部材及び1つ以上の第2の電極部材の異なる幅は、長手方向及び/又は横方向の軸のうちの1つ以上に沿って異なる幅を有する形状などの二次バッテリ100の所定の形状に適合するように、かつ/又は二次バッテリ100の所定の性能特性を提供するように選択され得る。
【0074】
陽極構造207の高さHEは、二次バッテリ100及びその意図される用途に依存して変化する。しかしながら、概して、陽極構造207は、典型的には、約0.05mm~約25mmの範囲内の高さHEを有する。例えば、一実施形態では、各陽極構造207の高さHEは、約0.05mm~約5mmの範囲である。更なる例として、一実施形態では、各陽極構造207の高さHEは、約0.1mm~約1mmの範囲である。一実施形態によれば、陽極構造207は、第1の高さを有する1つ以上の第1の電極部材と、第1の高さとは異なる第2の高さを有する1つ以上の第2の電極部材と、を含む。更に別の実施形態では、1つ以上の第1の電極部材及び1つ以上の第2の電極部材の異なる高さは、長手方向及び/又は横方向の軸のうちの1つ以上に沿って異なる高さを有する形状などの二次バッテリ100の所定の形状に適合するように、かつ/又は二次バッテリ100の所定の性能特性を提供するように選択され得る。
【0075】
概して、陽極構造207は、各々、その幅WE及びその高さHEの各々よりも実質的に大きい長さLEを有する。例えば、一実施形態では、陽極構造207の各々について、LEとWE及びHEの各々との比は、それぞれ少なくとも5:1である(すなわち、LEとWEとの比は、それぞれ少なくとも5:1であり、LEとHEとの比は、それぞれ少なくとも5:1である)。更なる例として、一実施形態では、WE及びHEの各々に対するLEの比は、少なくとも10:1である。更なる例として、一実施形態では、WE及びHEの各々に対するLEの比は、少なくとも15:1である。更なる例として、一実施形態では、WE及びHEの各々に対するLEの比は、各陽極構造207について少なくとも20:1である。
【0076】
一実施形態では、陽極構造207の幅WEに対する高さHEの比は、それぞれ少なくとも0.4:1である。例えば、一実施形態では、HE対WEの比は、各陽極構造207について、それぞれ少なくとも2:1である。更なる例として、一実施形態では、HE対WEの比は、それぞれ少なくとも10:1である。更なる例として、一実施形態では、HE対WEの比は、それぞれ少なくとも20:1である。しかしながら、典型的には、HE対WEの比は、概して、それぞれ1,000:1未満である。例えば、一実施形態では、HE対WEの比は、それぞれ500:1未満である。更なる例として、一実施形態では、HE対WEの比は、それぞれ100:1未満である。更なる例として、一実施形態では、HE対WEの比は、それぞれ10:1未満である。更なる例として、一実施形態では、HE対WEの比は、各陽極構造207について、それぞれ約2:1~約100:1の範囲である。
【0077】
セパレータ構造、セパレータ材料、及び電解質
再び図2を参照すると、セパレータ層(複数可)108は、陰極構造206を陽極構造207から分離する。セパレータ層108は、電気絶縁性であるがイオン透過性のセパレータ材料から作製される。セパレータ層108は、複数の陰極構造206の各部材を複数の陽極構造207の各部材から電気的に絶縁するように適合される。各セパレータ層108は、典型的には、非水性電解質を浸透させることができる微多孔質セパレータ材料を含むことになり、例えば、一実施形態では、微多孔質セパレータ材料は、少なくとも50オングストローム(Å)、より典型的には約2,500Åの範囲の直径、及び約25%~約75%の範囲内、より典型的には約35~55%の範囲内の多孔率を有する細孔を含む。
【0078】
概して、セパレータ層108は各々少なくとも約4μmの厚さを有する。例えば、一実施形態では、セパレータ層108は、少なくとも約8μmの厚さを有する。更なる例として、かかる一実施形態では、セパレータ層108は、少なくとも約12μmの厚さを有する。更なる例として、かかる一実施形態では、セパレータ層108は、少なくとも約15μmの厚さを有する。一部の実施形態では、セパレータ層108は、最大25μm、最大50μmの厚さ、又は任意の他の好適な厚さを有する。しかしながら、典型的には、セパレータ層108は、約12μm未満又は約10μm未満の厚さを有する。
【0079】
概して、セパレータ層108の材料は、ユニットセル200の陽極活性材料層104と陰極活性材料層106との間でキャリアイオンを伝導させる能力を有する広範囲の材料から選択することができる。例えば、セパレータ層108は、液体非水性電解質を浸透させることができる微多孔質セパレータ材料を含み得る。代替的に、セパレータ層108は、ユニットセル200の陽極活性材料層104と陰極活性材料層106との間でキャリアイオンを伝導させることができるゲル又は固体電解質を含み得る。
【0080】
一実施形態では、セパレータ層108は、ポリマー系電解質を含み得る。例示的なポリマー電解質としては、PEO系ポリマー電解質、ポリマー-セラミック複合電解質、ポリマー-セラミック複合電解質、及びポリマー-セラミック複合電解質が挙げられる。
【0081】
別の実施形態では、セパレータ層108は、酸化物系電解質を含み得る。例示的な酸化物系電解質としては、チタン酸ランタンリチウム(Li0.34La0.56TiO3)、Alドープランタンジルコン酸リチウム(Li6.24La3Zr2Al0.24O11.98)、Taドープランタンジルコン酸リチウム(Li6.4La3Zr1.4Ta0.6O12)、及びリン酸アルミニウムチタンリチウム(Li1.4Al0.4Ti1.6(PO4)3)が挙げられる。
【0082】
別の実施形態では、セパレータ層108は、固体電解質を含み得る。例示的な固体電解質としては、硫化スズリチウム(Li10SnP2S12)、硫化リンリチウム(β-Li3PS4)及びヨウ化塩化リン硫黄リチウム(Li6PS5Cl0.9I0.1)などの硫化物系電解質が挙げられる。
【0083】
一部の実施形態では、セパレータ層108は、リチウム充填ガーネットなどの固体リチウムイオン伝導性セラミックを含み得る。
【0084】
一実施形態では、セパレータ層108は、粒子状材料及び結合剤を含む微多孔質セパレータ材料を含み、微多孔質セパレータ材料は、少なくとも約20体積%の気孔率(空隙率)を有する。微多孔質セパレータ材料の細孔は、少なくとも50Åの直径を有し、典型的には約250Å~約2500Åの範囲内にある。微多孔質セパレータ材料は、典型的には、約75%未満の多孔率を有する。一実施形態では、微多孔質セパレータ材料は、少なくとも約25体積%の多孔率(空隙率)を有する。一実施形態では、微多孔質セパレータ材料は、約35~55%の多孔率を有する。
【0085】
微多孔質セパレータ材料のための結合剤は、広範囲の無機材料又はポリマー材料から選択され得る。例えば、一実施形態では、結合剤は、ケイ酸塩、リン酸塩、アルミニウム酸塩、アルミノケイ酸塩、及び水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどの水酸化物からなる群から選択される有機材料である。例えば、一実施形態では、結合剤は、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロプロペンなどを含有するモノマーから誘導されるフルオロポリマーである。別の実施形態では、結合剤は、様々な分子量及び密度の範囲のいずれかを有する、ポリエチレン、ポリプロピレン、又はポリブテンなどのポリオレフィンである。別の実施形態では、結合剤は、エチレン-ジエンプロペンターポリマー、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレングリコール、ポリビニルアセテート、ポリビニルブチラール、ポリアセタール、及びポリエチレングリコールジアクリレートからなる群から選択される。別の実施形態では、結合剤は、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、スチレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、イソプレンゴム、ポリアクリルアミド、ポリビニルエーテル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、及びポリエチレンオキシドからなる群から選択される。別の実施形態では、結合剤は、アクリレート、スチレン、エポキシ、及びシリコーンからなる群から選択される。別の実施形態では、結合剤は、前述のポリマーのうちの2つ以上のコポリマー又はブレンドである。
【0086】
微多孔質セパレータ材料によって構成される微粒子材料は、幅広い材料から選択され得る。概して、かかる材料は、動作温度において比較的低い電子導電率及びイオン導電率を有し、微多孔質セパレータ材料に接触するバッテリ電極又は電流コレクタの動作電圧下で腐食しない。例えば、一実施形態では、粒子材料は、1×10-4シーメンス/cm(S/cm)未満のキャリアイオン(例えば、リチウム)の導電率を有する。更なる例として、一実施形態では、粒子材料は、1×10-5S/cm未満のキャリアイオンの導電率を有する。更なる例として、一実施形態では、粒子材料は、1×10-6S/cm未満のキャリアイオンの導電率を有する。例示的な粒子材料としては、粒子状ポリエチレン、ポリプロピレン、TiO2-ポリマー複合体、シリカエアロゲル、フュームドシリカ、シリカゲル、シリカヒドロゲル、シリカセロゲル、シリカソル、コロイド状シリカ、アルミナ、チタン、マグネシア、カオリン、タルク、珪藻土、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、又はそれらの組み合わせが挙げられる。例えば、一実施形態では、粒子材料は、TiO2、SiO2、Al2O3、GeO2、B2O3、Bi2O3、BaO、ZnO、ZrO2、BN、Si3N4、及びGe3N4などの粒子酸化物又は窒化物を含む。例えば、P.Arora and J.Zhang,“Battery Separators”Chemical Reviews 2004,104,4419-4462を参照されたい。一実施形態では、粒子状材料は、約20nm~2μm、より典型的には200nm~1.5μmの平均粒径を有する。一実施形態では、粒子状材料は、約500nm~1μmの平均粒径を有する。
【0087】
代替の実施形態では、微多孔質セパレータ材料によって構成される粒子材料は、バッテリの機能のためのイオン導電率を提供するために電解質の浸入に望ましい空隙率を維持しながら、焼結、結合、硬化などの技法によって結合され得る。
【0088】
二次バッテリ100(図1参照)において、セパレータ層108の微多孔質セパレータ材料には、二次バッテリ電解質として使用するのに好適な非水性電解質が浸透している。典型的には、非水性電解質は、有機溶媒及び/又は溶媒混合物に溶解したリチウム塩及び/又は塩の混合物を含む。例示的なリチウム塩としては、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiAsF6、LiCl、及びLiBrなどの無機リチウム塩、並びにLiB(C6H5)4、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2CF3)3、LiNSO2CF3、LiNSO2CF5、LiNSO2C4F9、LiNSO2C5F11、LiNSO2C6F13、及びLiNSO2C7F15などの有機リチウム塩が挙げられる。リチウム塩を溶解するための例示的な有機溶媒としては、環状エステル、鎖エステル、環状エーテル、及び鎖エーテルが挙げられる。環状エステルの具体例としては、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ-ブチロラクトン、ビニレンカーボネート、2-メチル-γ-ブチロラクトン、アセチル-γ-ブチロラクトン、及びγ-ベレロラクトンが挙げられる。鎖エステルの具体例としては、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジブチル、炭酸ジプロピル、炭酸メチルエチル、炭酸メチルブチル、炭酸メチルプロピル、炭酸エチルブチル、炭酸エチルプロピル、炭酸ブチルプロピル、プロピオン酸アルキル、マロン酸ジアルキル、及び酢酸アルキルが挙げられる。環状エーテルの具体例としては、テトラヒドロフラン、アルキルテトラヒドロフラン、ジアルキルテトラヒドロフラン、アルコキシテトラヒドロフラン、ジアルコキシテトラヒドロフラン、1,3-ジオキソラン、アルキル-1,3-ジオキソラン、及び1,4-ジオキソランが挙げられる。鎖エーテルの具体例としては、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、ジエチルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル、及びテトラエチレングリコールジアルキルエーテルが挙げられる。
【0089】
本開示の追加の実施形態
リチウムコバルト酸化物などの陰極活性材料は、リチウム化グラファイトなどのリチウム化陽極材料と比較して、周囲空気中で比較的安定である(例えば、それらは酸化に耐える)ため、二次バッテリが組み立てられるとき、陽極と陰極との間の循環に利用可能なキャリアイオンの量は、多くの場合、最初に陰極に提供される。二次バッテリが初めて充電されるとき、キャリアイオンは陰極から抽出され、陽極に導入される。その結果、陽極電位は著しく(キャリアイオンの電位に向かって)低下し、陰極電位は上昇する(更に正になるために)。これらの電位の変化は、陰極と陽極の両方に寄生反応を生じさせることがあるが、時には陽極により深刻な寄生反応を生じさせることがある。例えば、固体電解質界面(SEI)として知られる、リチウム(又は他のキャリアイオン)及び電解質成分を含む分解生成物は、炭素陽極の表面上に容易に形成され得る。これらの表面又は被覆層は、キャリアイオン伝導体であり、陽極と電解質との間のイオン結合を確立し、反応がそれ以上進行するのを防止する。
【0090】
SEI層の形成は、陽極及び電解質を含むハーフセルシステムの安定性のために望ましいが、陰極を介してセルに導入されるキャリアイオンの一部分は、不可逆的に結合されるため、サイクル動作から、すなわち、ユーザに利用可能な容量から除去される。結果として、初期放電中に、初期充電動作中に陰極によって最初に提供されたよりも少ないキャリアイオンが陽極から陰極に戻され、不可逆的な容量損失をもたらす。各後続の充電及び放電サイクル中、陽極及び/又は陰極への機械的及び/又は電気的劣化から生じる容量損失は、サイクルごとにはるかに少なくなる傾向があるが、サイクルごとの比較的小さいキャリアイオン損失でさえ、バッテリが経年劣化するにつれて、エネルギー密度及びサイクル寿命の減少に有意に寄与する。加えて、化学的及び電気化学的劣化もまた、電極上で発生し、容量損失を引き起こす可能性がある。SEI(又は負極の機械的及び/又は電気的劣化などの別のキャリアイオン消費機構)の形成を補償するために、バッテリの形成後に補助極から追加の又は補足のキャリアイオンを供給することができる。
【0091】
概して、二次バッテリ100の正極208(例えば、二次バッテリ100内の陰極構造206の集団)は、好ましくは、負極209(例えば、二次バッテリ100内の陽極構造207の集団)の放電容量と一致する可逆的クーロン容量を有することが好ましい。別の言い方をすれば、二次バッテリ100の正極208は、負極209の放電容量に対応する可逆的クーロン容量を有するようにサイズ決定され、これは負極209の放電終止電圧の関数である。
【0092】
一部の実施形態では、二次バッテリ100の負極209(例えば、二次バッテリ100内の陽極構造207の集合的集団)は、正極208の可逆的クーロン容量を上回る可逆的クーロン容量を有するように設計される。例えば、一実施形態では、負極209の可逆的クーロン容量の正極208の可逆的クーロン容量に対する比は、それぞれ少なくとも1.2:1である。更なる例として、一実施形態では、負極209の可逆的クーロン容量の正極208の可逆的クーロン容量に対する比は、それぞれ少なくとも1.3:1である。更なる例として、一実施形態では、負極209の可逆的クーロン容量の正極208の可逆的クーロン容量に対する比は、それぞれ少なくとも2:1である。更なる例として、一実施形態では、負極209の可逆的クーロン容量の正極208の可逆的クーロン容量に対する比は、それぞれ少なくとも3:1である。更なる例として、負極209の可逆的クーロン容量の正極208の可逆的クーロン容量に対する比は、それぞれ少なくとも4:1である。更なる例として、負極209の可逆的クーロン容量の正極208の可逆的クーロン容量に対する比は、それぞれ少なくとも5:1である。有利には、負極209の過剰なクーロン容量は、サイクルの結果として負極209のサイクル寿命を減少させる負極209上の結晶相(キャリアイオンを組み込む)の形成を抑制する特定の電圧内で二次バッテリ100が可逆的に動作することを可能にする陽極活性材料の供給源を提供する。
【0093】
前述のように、初期充電/放電サイクル中のSEIの形成は、可逆的サイクリングに利用可能なキャリアイオンの量を減少させる。二次バッテリ100のサイクル中の負極209の機械的及び/又は電気的劣化は、可逆的サイクルに利用可能なキャリアイオンの量を更に減少させ得る。したがって、SEIの形成(又は負極の機械的及び/又は電気的劣化などの別のキャリアイオン消費機構)を補償するために、二次バッテリ100の形成後に補助極から追加又は補足のキャリアイオンを供給することができる。本開示の実施形態では、補助極は、形成中及び/又は形成後に、追加のキャリアイオンを二次バッテリ100の正極208及び/又は負極209に電気化学的に移動させるために使用される。一実施形態では、補助極は、最終形態の二次バッテリのエネルギー密度を向上させるために、追加のキャリアイオンを二次バッテリ100に移動させた後に除去される。
【0094】
図5は、例示的な実施形態の緩衝システム500の斜視図であり、図6は、緩衝システム500の分解図である。概して、緩衝システム500は、二次バッテリ100の初期の形成中又は形成後に一時的に組み立てることができ、緩衝システム500は、補助極502(図6参照)を使用して二次バッテリ100の正極208及び/又は負極209に追加のキャリアイオンを導入するために使用される。この実施形態では、緩衝システム500は、補助極502(図6参照)及び二次バッテリ100をエンクロージャ504の外周506内に封入するエンクロージャ504を含む。図5において、二次バッテリ100の電気端子124、125及び導電性タブ508-1のセグメントは、エンクロージャ504の外周506から延在し、補助極502及び二次バッテリ100への電気的接続を提供する。この実施形態では、エンクロージャ504は、互いに接合されてエンクロージャ504を形成する第1のエンクロージャ層510及び第2のエンクロージャ層511を含む。
【0095】
図6を参照すると、第1のエンクロージャ層510は外周512を有し、第2のエンクロージャ層511は外周513を有する。エンクロージャ層510、511の各々は、アルミニウム、ポリマー、薄膜可撓性金属などの可撓性又は半可撓性材料を含み得る。一実施形態では、エンクロージャ層510、511のうちの1つ以上は、多層アルミニウムポリマー材料、プラスチックなどを含む。別の実施形態では、エンクロージャ層510、511のうちの1つ以上は、アルミニウムなどの金属基板上に積層されたポリマー材料を含む。一実施形態では、第1のエンクロージャ層510は、二次バッテリ100の外面サイズ及び形状に一致するようにサイズ決定及び成形される、ポーチ514(例えば、くぼみ)を含む。
【0096】
補助極502は、緩衝システム500内の二次バッテリ100を部分的に取り囲み、形成後の二次バッテリ100の失われたエネルギー能力を補充する(すなわち、SEIの形成時のキャリアイオンの損失及び二次バッテリ100の第1の充電及び/又は放電サイクルにおける他のキャリアイオン損失を補償する)ためのキャリアイオンの供給源を含む。実施形態では、補助極502は、金属形態のキャリアイオンのフォイル(例えば、リチウム、マグネシウム、又はアルミニウムのフォイル)、あるいはキャリアイオン含有形態の陰極活性材料層106及び/又は陽極活性材料層104(図2参照)に使用される前述の材料のうちのいずれかを含み得る。例えば、補助極502は、リチウム化ケイ素又はリチウム化ケイ素合金を含み得る。緩衝システム500が組み立てられると、補助サブアセンブリ516(図6参照)と称され得る補助極502と二次バッテリ100との組み合わせがポーチ514に挿入され、エンクロージャ層510、511が互いに封止されて、図5に描画するような緩衝システム500が形成される。緩衝システム500の組立プロセスの具体的な詳細、及び二次バッテリ100へのキャリアイオン移動プロセス中に緩衝システム500がどのように使用されるかについては、以下でより詳細に考察される。この実施形態における補助極502は、導電性タブ508を含み、これは、例えば、製造を容易にするために、図5に描画するように、エンクロージャ504によって覆われる導電性タブ508-2と、エンクロージャによって部分的に露出される導電性タブ508-1と、にセグメント化することができる。
【0097】
図7は、本発明の一実施形態にかかる補助極502の斜視図であり、図8は、補助極の分解斜視図である。図7を参照すれば、補助極502は、導電層704及びキャリアイオン供給層706を覆うセパレータ702を備える。補助極502が図6に描画する形状に形成されると、キャリアイオン供給層706は、二次バッテリ100の主面126、127(図1参照)に近接して配置され、セパレータ702は、二次バッテリ100のケーシング116を導電層704及びキャリアイオン供給層706から絶縁する。セパレータ702は電解質を含み、この電解質は緩衝プロセス時にキャリアイオン供給層706から二次バッテリ100へのキャリアイオンの移動を容易にする。
【0098】
図8を参照すると、補助極502は、図8の下から上へ、セパレータ702、導電層704、及びキャリアイオン供給層706の集団を含む。この実施形態における補助極502は、導電性タブ508-2を更に含み、導電性タブ508-2は、導電性であり、導電層704と電気的に結合される。導電性タブ508-2は、補助極502との電気的接続を提供する。概して、補助極502は、二次バッテリ100の形成中又は形成後に、キャリアイオンをキャリアイオン供給層706から二次バッテリ100の正極208及び/又は負極209に移動させるための緩衝プロセス中に使用される。
【0099】
セパレータ702は、二次バッテリ100のセパレータ層108に関して前述した材料のいずれかを含み得る。セパレータ702には、キャリアイオン供給層706から二次バッテリ100の正極208及び/又は二次バッテリの負極209にキャリアイオンを伝導させるための媒体となる電解質が浸透されていてもよい。電解質は、二次バッテリ100に関して前述した材料のいずれかを含み得る。
【0100】
この実施形態におけるセパレータ702は、第1の表面802と、第1の表面802の反対側の第2の表面803と、を含む。セパレータ702の表面802、803は、セパレータ702の主面を形成し、図8のX-Y平面内に配設される。この実施形態におけるセパレータ702は、Y軸の方向に延在する幅804を有する。この実施形態のセパレータ702は、幅804において、第1の部分805と、第2の部分806と、にセグメント化される。一部の実施形態では、セパレータ702は、第1の部分805に対応する拳のセパレータ層702-1と、第2の部分806に対応する第2のセパレータ層702-2と、を備えることができる。
【0101】
一実施形態では、セパレータ702の幅804は約34mmである。他の実施形態では、セパレータの幅804は約30mm、約35mm、又は別の好適な値である。一部の実施形態では、セパレータ702の幅804は、約10mm~約200mmの値の範囲内、又はセパレータ702が本明細書で説明されるように機能することを可能にする何らかの他の好適な範囲内にある。
【0102】
セパレータ702は、一実施形態では、X軸の方向に延在する長さ808を有する。一実施形態では、セパレータ702の長さ808は、約72mmである。他の実施形態では、セパレータ702の長さ808は、約65mm、約70mm、約75mm、又はセパレータ702が本明細書で説明されるように機能することを可能にする何らかの他の好適な値である。一部の実施形態では、セパレータ702の長さ808は、約30mm~約200mmの値の範囲内、又はセパレータ702が本明細書で説明されるように機能することを可能にする値の何らかの他の好適な範囲内にある。
【0103】
一実施形態では、セパレータ702は、Z軸の方向に延在する厚さ810を有する。概して、厚さ810は、セパレータ702の第1の表面802からセパレータの第2の表面803まで(及び第2の表面を含む)の距離である。一実施形態では、セパレータ702の厚さ810は、約0.025mmである。他の実施形態では、セパレータ702の厚さ810は、約0.015mm、約0.02mm、約0.03mm、約0.035mm、又は何らかの他の好適な値である。一部の実施形態では、セパレータ702の厚さ810は、約0.01mm~約1.0mmの値の範囲内、又はセパレータ702が本明細書で説明されるように機能することを可能にする値の何らかの他の好適な範囲内にある。
【0104】
導電層704は導電性であり、金属、金属化フィルム、導電性材料が適用された絶縁ベース材料、又は他の何らかのタイプの導電性材料を含み得る。一部の実施形態では、導電層704は銅を含む。他の実施形態では、導電層704は、アルミニウム又は別の金属を含む。この実施形態では、導電層704は、同様に導電性である導電性タブ508-2と電気的に結合される。導電性タブ508-2は、導電層704に近接して配設された第1の端部812と、第1の端部812の反対側の導電層704の遠位に配設された第2の端部813と、を有する。導電性タブ508-2の第1の端部812は、導電層704に電気的に結合される。一部の実施形態では、導電性タブ508-2の第1の端部812は、導電層704にスポット溶接される。他の実施形態では、導電性タブ508-2の第1の端部812は、導電層704にはんだ付けされる。概して、導電性タブ508-2は、導電層への機械的接続及び電気的接続を確実にする任意の好適な手段を使用して、第1の端部812において導電層704に固着され得る。導電性タブ508-2は、必要に応じて任意のタイプの導電性材料を含み得る。一実施形態では、導電性タブ508-2は金属を含む。これらの実施形態では、導電性タブ508-2は、ニッケル、銅、アルミニウム、又は導電性タブ508-2が本明細書で説明されるように機能することを可能にする他の好適な金属若しくは金属合金を備えてもよい。
【0105】
この実施形態における導電層704は、第1の表面814と、第1の表面814の反対側の第2の表面815と、を含む。導電層704の表面814、815は、導電層704の主面を形成し、図8のX-Y平面内に配設される。この実施形態における導電層704は、Y軸の方向に延在する幅816を有する。一実施形態では、導電層704の幅816は、約15mmである。他の実施形態では、導電層704の幅816は、約10mm、約20mm、又は導電層704が本明細書で説明されるように機能することを可能にする何らかの他の好適な値である。
【0106】
一部の実施形態では、導電層704の幅816は、約5mm~約100mmの値の範囲内、又は導電層704が本明細書で説明されるように機能することを可能にする値の何らかの他の好適な範囲内にある。この実施形態における導電層704の第1の表面814は、導電層704の第1の端部820に近接して配設された第1の領域818-1と、導電層704の第2の端部821に近接して配設された第2の領域818-2と、第1の領域818-1と第2の領域818-2との間に配設された第3の領域818-3と、にセグメント化される。
【0107】
導電層704は、X軸の方向に延在する長さ822を有する。一実施形態では、導電層704の長さ822は、約70mmである。他の実施形態では、導電層704の長さ822は、約60mm、約65mm、約75mm、又は導電層704が本明細書で説明されるように機能することを可能にする何らかの他の好適な値である。一部の実施形態では、導電層704の長さ822は、約30mm~約200mmの値の範囲内、又は導電層704が本明細書で説明されるように機能することを可能にする値の何らかの他の好適な範囲内にある。
【0108】
導電層704は、Z軸の方向に延在する厚さ824を有する。概して、厚さ824は、導電層704の第1の表面814から導電層704の第2の表面815まで(及び第2の表面を含む)の距離である。一実施形態では、導電層704の厚さ824は約0.1mmである。他の実施形態では、導電層704の厚さ824は約0.005mm、約0.15mm、又は約0.2mmである。一部の実施形態では、導電層704の厚さ824は、約0.01mm~約1.0mmの値の範囲内、又は導電層704が本明細書で記載されるように機能することを可能にする厚さの任意の他の好適な範囲内にある。
【0109】
一実施形態ではキャリアイオン供給層706の集団を含むキャリアイオン供給層706は、二次バッテリ100の正極208及び/又は負極209にキャリアイオンを供給するために利用され得る、前述の任意のキャリアイオン含有材料を含む。キャリアイオン供給層706は、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、及びアルミニウムイオンのうちの1つ以上の供給源を含み得る。本実施形態では、キャリアイオン供給層706は、導電層704の第1の領域818-1及び第2の領域818-2内に配設される。一部の実施形態では、キャリアイオン供給層706は、導電層704の第3の領域818-3にも配設される。
【0110】
本実施形態のキャリアイオン供給層706は、第1の表面826と、第1の表面826の反対側の第2の表面827と、を有する。キャリアイオン供給層706の表面826、827は、キャリアイオン供給層706の主面を形成し、図8のX-Y平面に配設される。この実施形態におけるキャリアイオン供給層706は、Y軸の方向に延在する幅828を有する。一実施形態では、キャリアイオン供給層706の幅828は約15mmである。他の実施形態では、キャリアイオン供給層706の幅828は、約10mm、約20mm、又はキャリアイオン供給層706が本明細書で記載されるように機能することを可能にする何らかの他の好適な値である。一部の実施形態では、キャリアイオン供給層706の幅828は、約5mm~約100mmの値の範囲内、又はキャリアイオン供給層706が本明細書で説明されるように機能することを可能にする値の何らかの他の好適な範囲内にある。
【0111】
キャリアイオン供給層706は、一実施形態では、X軸の方向に延在する長さ830を有する。一実施形態では、キャリアイオン供給層706の長さ830は、約23mmである。他の実施形態では、キャリアイオン供給層706の長さ830は、約15mm、約20mm、約25mm、又はキャリアイオン供給層706が本明細書で説明されるように機能することを可能にする何らかの他の好適な長さである。一部の実施形態では、キャリアイオン供給層706の長さ830は、約10mm~約100mmの値の範囲内、又はキャリアイオン供給層706が本明細書で説明されるように機能することを可能にする値の何らかの他の好適な範囲内にある。
【0112】
キャリアイオン供給層706は、Z軸の方向に延在する厚さ832を有する。概して、厚さ832は、キャリアイオン供給層706の第1の表面826とキャリアイオン供給層706の第2の表面827との間の距離である。一実施形態では、キャリアイオン供給層706の厚さ832は、約0.13mmである。他の実施形態では、キャリアイオン供給層706の厚さ832は、約0.005mm、約0.15mm、又は約0.2mmである。一部の実施形態では、キャリアイオン供給層706の厚さ832は、約0.01mm~約1.0mmの値の範囲内、又はキャリアイオン供給層706が本明細書で説明されるように機能することを可能にする厚さ832の値の任意の他の好適な範囲内にある。
【0113】
この実施形態では、キャリアイオン供給層706は、第3の領域818-3に対応する距離834だけ互いに分離される。一実施形態では、距離834は、約23mmである。他の実施形態では、距離834は、約15mm、約20mm、約25mm、又は約30mmである。一部の実施形態では、距離834は、約10mm~約50mmの値の範囲内、又はキャリアイオン供給層706が本明細書で説明されるように機能することを可能にする値の任意の他の好適な範囲内にある。
【0114】
一実施形態では、キャリアイオン供給層706は、二次バッテリ100の正極208の可逆的クーロン容量の少なくとも15%を提供することができるようにサイズ決定される。例えば、かかる一実施形態では、キャリアイオン供給層706は、二次バッテリ100の正極208の可逆的クーロン容量の少なくとも30%を提供するのに十分なキャリアイオン(例えば、リチウム、マグネシウム、又はアルミニウムイオン)を含有するようにサイズ決定される。更なる例として、かかる一実施形態では、キャリアイオン供給層706は、二次バッテリ100の正極208の可逆的クーロン容量の少なくとも100%を提供するのに十分なキャリアイオンを含むようにサイズ決定される。更なる例として、かかる一実施形態では、キャリアイオン供給層706は、二次バッテリ100の正極208の可逆的クーロン容量の少なくとも200%を提供するのに十分なキャリアイオンを含むようにサイズ決定される。更なる例として、かかる一実施形態では、キャリアイオン供給層706は、二次バッテリ100の正極208の可逆的クーロン容量の少なくとも300%を提供するのに十分なキャリアイオンを含むようにサイズ決定される。更なる例として、かかる一実施形態では、キャリアイオン供給層706は、二次バッテリ100の正極208の可逆的クーロン容量の約100%~約200%を提供するのに十分なキャリアイオンを含むようにサイズ決定される。
【0115】
補助極502の組立プロセス中に、セパレータ702は、図8に示されるような幅804及び長さ808を達成するように、ストック材料から切断されてもよく、又は予め製作されてもよい。導電層704は、図8に示される幅816及び長さ822を達成するために、ストック材料から切断されてもよく、又は予め製作されてもよい。一部の実施形態では、導電層704は、図8に描画するように、導電層704に機械的かつ電気的に固着された第1の端部812を有する導電性タブ508-2を含むように予め製作される。他の実施形態では、導電性タブ508-2は、ストック材料から切断され、(例えば、第1の端部812を導電層704にスポット溶接又ははんだ付けすることによって)導電層704と機械的かつ電気的に結合される。一部の実施形態では、キャリアイオン供給層706は、ストック材料から所定のサイズに切断され、キャリアイオン供給層706の第2の表面827が導電層704の第1の表面814と接触した状態で、図8に描画される配向を達成するように、(例えば、キャリアイオン供給層706を導電層704上に冷間溶接することによって)導電層704に接合されるか、又は別様に積層される。例えば、キャリアイオン供給層706を形成するために使用される材料(例えば、リチウム)は、所定のサイズに切断されたリチウムシートのロールとしてストック形態で存在してもよい。
【0116】
他の実施形態では、導電層704は、図8に描画する配向に配置されたキャリアイオン供給層706を含むように予め製作される。この実施形態では、導電層704は、X軸の方向にセパレータ702の第1の部分805内に配設され、導電層704の第2の表面815は、セパレータ702の第1の表面802に接触する。
【0117】
図9は、補助極の製作プロセスの中間段階における補助極502の斜視図である。この段階で、導電層704は、セパレータ702の第1の部分805上に配設され、導電性タブ508-2は、導電層704に固着された第1の端部812から、セパレータ702及び導電層704から離れて第2の端部813に向かって、図9の左(Y軸方向)に延在する。セパレータ702の第1の表面802は、セパレータ702の第1の部分805内で導電層704によって覆われる一方、セパレータの第1の表面802は、セパレータ702の第2の部分806内では覆われないままである。
【0118】
補助極502の製作プロセスを継続するために、一実施形態では、セパレータ702の第2の部分806は、セパレータ702の第2の部分806内の第1の表面802が、キャリアイオン供給層706の第1の表面826と、キャリアイオン供給層706間に露出された導電層704の第1の表面814とに接触するように、図9の左に向かう矢印902の方向に(X軸に平行な軸の周りに)折り畳まれる。セパレータ702が第1のセパレータ層702-1及び第2のセパレータ層702-2を含む場合、第2のセパレータ層は、第2のセパレータ層の第1の表面802がキャリアイオン供給層706の第1の表面826及びキャリアイオン供給層706の間に露出した導電層704の第1の表面814に接触するように配置されてもよい。
【0119】
図10は、上述のようにセパレータ702の第2の部分806を折り畳んだ後の、製作プロセスの別の中間段階における補助極502の斜視図である。この段階で、セパレータ702は、導電層704及びキャリアイオン供給層706を封入し、導電性タブ508-2の第1の端部812と導電性タブ508-2の第2の端部813との間の一部分をセパレータ702によって覆われないままにしている。次いで、セパレータ702は、セパレータの外周1002の少なくとも一部分に沿ってそれ自体に接合されて、セパレータの第1の表面802(図10では見えない)に沿ってセパレータの第1の部分805及びセパレータの第2の部分806内に導電層704を封入することができる。
【0120】
一実施形態では、セパレータ702は、ホットメルトプロセス、溶接プロセス、接合プロセスなどを使用して、セパレータの外周1002の少なくとも一部分に沿って、それ自体に接合される。図10において、この段階の補助極502は、第1の側面1004と、第1の側面1004の反対側の第2の側面1005と、を含む。第1の側面1004は、導電層704の第1の端部820(図10では見えない)に近接する第1の領域818-1及び導電層704の第2の端部821(この図では見えない)に近接する第2の領域818-2においてキャリアイオン供給層706を覆う、セパレータ702の第2の表面803を含む。図10において、第1の領域818-1は、導電性タブ508-2の第1の端部812に近接しており、第2の領域818-2は、導電性タブ508-2の第1の端部812から離れて配設されている。導電性タブ508-2の第1の端部812は、導電層704の第3の領域818-3内の導電層704に電気的に結合される。一部の実施形態では、導電性タブ508は、(例えば、組立後の補助極502を描画する、図11に示されるように、導電性タブ508-1とともに)延在してもよい。
【0121】
補助極502の製作に応答して、緩衝システム500(図6及び図7参照)のための製作プロセスを実施することは、以下のように続く。図12図16は、製作プロセスの種々の段階中の緩衝システム500の斜視図である。図12を参照すると、補助極502の第2の領域818-2は、第1のエンクロージャ層510のポーチ514内に挿入され、補助極の第2の側面1005は、ポーチ514内で第1のエンクロージャ層510に向かって配設され、補助極の第1の側面1004は、ポーチ514内で第1のエンクロージャ層510から離れて配設される。補助極502の第3の領域818-3及び第1の領域818-1は、Y軸方向に沿ってポーチ514から遠ざかる方向に延在する。
【0122】
図12に描画するように、補助極502がポーチ514内で配向された状態で、二次バッテリ100は、補助極502の第2の領域818-2に対応するポーチ514内の補助極502上に配置される(図13参照)。この実施形態では、二次バッテリ100の第1の主面126(図1参照、図13では見えない)は、ポーチ514内の補助極502に接触し、二次バッテリの第2の主面127は、補助極502から離れて配設される。二次バッテリ100の電気端子124、125は、図13のY軸方向にポーチ514から離れて延在し、第1のエンクロージャ層510の外周512の外側に電気端子を配置する。緩衝システム500の製作プロセスのこの段階で、一実施形態では、電解質がポーチ514に追加される。別の実施形態では、補助極502のセパレータ702は、電解質で予め含浸される。
【0123】
二次バッテリ100がポーチ514内の補助極502の第2の領域818-2上に装填された状態で、補助極502は、補助極502の第1の領域818-1の第1の側面1004を二次バッテリ100の第2の主面127と接触させて配置するために、矢印1302の方向に折り畳まれ、その結果が図14に描画されている。この構成では、二次バッテリ100(図1参照)の両方の主面126、127は、セパレータ702(図7図11参照)と、二次バッテリ100の主面126、127の各々とキャリアイオン供給層706との間に配設された電解質とを使用して、補助極502のキャリアイオン供給層706と電気化学的に結合される。
【0124】
図15は、図14の切断線A-Aに沿った緩衝システム500の断面図である。この図では、第1のエンクロージャ層510のポーチ514における緩衝システム500の層が見えている。特に、図15は、ポーチ514内の二次バッテリ100及び補助極502の配置を例示しており、具体的には、上から下へ順に、セパレータ702、導電層704、キャリアイオン供給層706の1つ、セパレータ702、及びケーシング116における二次バッテリ100の第2の主面127が積層されている。図15は、下から上に順に積層された、第1のエンクロージャ層510、セパレータ702、導電層704、キャリアイオン供給層706のうちの1つ、セパレータ702、及びケーシング116における二次バッテリ100の第1の主面126を更に例示している。
【0125】
図15に例示されるように、二次バッテリ100がポーチ514内で補助極502によって挟まれた状態で、第2のエンクロージャ層511は、図16に描画されるように、第1のエンクロージャ層510に整列される。第2のエンクロージャ層511を第1のエンクロージャ層510に対して適切に配置した後、エンクロージャ層510、511は、封止線1602(図16に破線で表示される)に沿って封止され、エンクロージャ504を形成する。エンクロージャ層510、511は、溶接、ヒートシール、接着剤、それらの組み合わせなどによって、封止線1602に沿って封止されてもよい。別の実施形態では、エンクロージャ層510、511は、封止線1602の3つの側面に沿って封止され、その中にポケットを形成することができる。この実施形態では、二次バッテリ100をポケット内に配置することができ、その後、封止線1602の最終縁部が封止される。一実施形態では、封止線1602は、制御された温度及び圧力を封止線1602に加えて、エンクロージャ層510、511を封止線1602に沿って互いに接着又は融着させるホットプレスを使用して封止される。別の実施形態では、封止プロセス中に二次バッテリ100に真空を適用して、空気又は他のガスによって占められたあらゆる過剰な体積を排気する。封止線1602がホットプレスを受ける時間は、制御されてもよく、エンクロージャ層510、511のために選択される材料に依存する。二次バッテリ100を覆って封止すると、封止されたエンクロージャ層510、511は、緩衝システム500を形成する。封止すると、緩衝システム500は、所望の用途に応じて、液密及び/又は気密である。二次バッテリ100の電気端子124及び125並びに導電性タブ508-1は、露出されたままであり、エンクロージャ層510、511によって覆われず、後続の緩衝プロセスが二次バッテリ100に適用されることを可能にする。
【0126】
緩衝システム500のエンクロージャ504内で二次バッテリ100と補助極502(図16では見えない)のキャリアイオン供給層706とが電気化学的に結合された状態で、二次バッテリ100の初期形成中又は初期形成後に、二次バッテリ100に対してキャリアイオン緩衝プロセスが実施される。概して、このキャリアイオン緩衝プロセスは、キャリアイオンを、補助極502のキャリアイオン供給層706から、二次バッテリ100の第1の主面126及び二次バッテリ100の第2の主面127の各々に移動させる(図15参照)。概して、図15に描画するように、二次バッテリ100の両方の主面126、127から二次バッテリ100にキャリアイオンを移動させることは、より多くのキャリアイオンが二次バッテリ100の陽極及び/又は陰極にロードされるため、陽極及び/又は陰極の膨張によって発生する力を二次バッテリ100のケーシング116にわたってより均等に分散させるという技術的利点を提供する。
【0127】
二次バッテリ100を緩衝システム500に挿入する前又は後のいずれかに、二次バッテリの陰極構造206から二次バッテリの陽極構造207にキャリアイオンを移動させることによって、二次バッテリ100が(例えば、電気端子124、125を介して)充電される。充電は、二次バッテリ100の正極208がその充電終了設計電圧に達したときに中断され得る。初期充電サイクル中、SEIは、二次バッテリ100の陽極構造207の表面上に形成され得る。SEIへのキャリアイオンの損失を補償し、追加のキャリアイオンを更に提供して、副反応によりキャリアイオンが失われるサイクリング中の長期二次反応を軽減するために、二次バッテリ100の正極208及び/又は負極209は、補助極502と陰極構造206及び/又は陽極構造207とにわたって(例えば、補助極502の導電性タブ508-1及び電気端子124、125のうちの1つを介して)電圧を加えることによって補充されて、補助極502のキャリアイオン供給層706から二次バッテリ100の陰極構造206及び/又は陽極構造207にキャリアイオンを駆動することができる。補助極502から二次バッテリ100へのキャリアイオンの移動が完了すると、今度は二次バッテリ100の陰極構造206から二次バッテリの陽極構造207に移動したキャリアイオンによって、二次バッテリ100の負極209が再び充電される。
【0128】
一実施形態では、緩衝プロセス中に補助極502から二次バッテリ100に移動するキャリアイオンの量は、二次バッテリ100の正極208の可逆的クーロン容量の約50%である。他の実施形態では、緩衝プロセス中に補助極502から二次バッテリ100に移動するキャリアイオンの量は、二次バッテリ100の正極208の可逆的クーロン容量の約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%である。一部の実施形態では、補助極502から二次バッテリ100に移動するキャリアイオンの量は、二次バッテリ100の正極208の可逆的クーロン容量の約1%~約100%の値の範囲内にある。1つの特定の実施形態では、二次バッテリ100の負極209は、二次バッテリ100が充電されるときに、キャリアイオンとして蓄積される二次バッテリ100の正極208の可逆的クーロン容量の約170%を有し、二次バッテリ100が放電されるときに、キャリアイオンとして蓄積される二次バッテリ100の正極208の可逆的クーロン容量の約70%を有する。緩衝プロセス中に提供される二次バッテリ100の負極209における過剰なキャリアイオンは、初期形成時のSEIによる二次バッテリ100におけるキャリアイオンの損失を軽減するという技術的利点を提供する。更に、緩衝プロセス中に提供される二次バッテリ100の負極209における過剰なキャリアイオンは、二次バッテリ100が使用中にサイクルされるときに、二次バッテリ100内のキャリアイオンを枯渇させる副反応に起因する二次バッテリ100におけるキャリアイオンの損失を軽減するという技術的利点を提供し、これは、経時的な二次バッテリ100の容量損失を低減する。
【0129】
一部の実施形態では、補助極502から二次バッテリ100へのキャリアイオンの移動は、二次バッテリ100の初期形成と同時に(例えば、二次バッテリ100の第1の充電中に)、及び/又は初期形成後の二次バッテリ100のその後の充電中に行われてもよい。これらの実施形態では、キャリアイオンは、二次バッテリ100の正極208から二次バッテリ100の負極209に移動される。時間的遅延若しくは時間パターンと同時に、又はそれに基づいて、キャリアイオンは、補助極502から二次バッテリ100の正極208及び/又は負極209に移動する。
【0130】
更に別の実施形態では、キャリアイオンを補助極502から二次バッテリ100の正極208に移動させると同時に、キャリアイオンを二次バッテリ100の正極208から二次バッテリ100の負極209に移動させることによって、正極208にキャリアイオンを補充することができる。図6を参照すると、電圧が、二次バッテリ100の電気端子124、125にわたって加えられ、キャリアイオンを二次バッテリ100の正極208から負極209に駆動する。キャリアイオンが正極208から負極209に移動している間、補助極502の導電性タブ508-1及び二次バッテリ100の正極208にわたって電圧を加えて、キャリアイオンを補助極502から二次バッテリ100の正極208に駆動する。これにより、二次バッテリ100の正極208から負極209にキャリアイオンが移動するのと同時に、補助極502から二次バッテリ100の正極208にキャリアイオンが移動する。すなわち、キャリアイオンを二次バッテリ100の正極208から負極209に駆動するのに十分である電圧が、二次バッテリ100の正極208及び負極209にわたって維持され、同時に、キャリアイオンを補助極502から正極208に駆動するのに十分である電圧が、補助極502の導電性タブ508-1及び二次バッテリ100の正極208にわたって維持される。別の実施形態では、補助極502から二次バッテリ100の正極208へのキャリアイオンの移動の開始は、二次バッテリ100の正極208から負極209へのキャリアイオンの移動の開始と同時に始まってもよい。一実施形態では、二次バッテリ100の正極208から負極209へのキャリアイオンの移動速度は、二次バッテリ100の補助極502から正極208へのキャリアイオンの移動速度以上であり、その結果、正極208を介した二次バッテリ100の補助極502から負極209へのキャリアイオンの良好な全体的な移動速度を維持することができる。すなわち、二次バッテリ100の正極208と負極209との間、及び補助極502と正極208との間の移動の相対速度は、追加のキャリアイオンに対する正極208の全容量を上回らないように維持され得る。これにより、正極208は、補助極502から新たなキャリアイオンを受け入れ可能な状態に維持され得、その後の二次バッテリ100の負極209へのキャリアイオンの移動が可能となり得る。
【0131】
一実施形態では、任意の特定の理論によって限定されるものではないが、キャリアイオンは、二次バッテリ100の負極209の補充の一部として、補助極502から二次バッテリ100の正極208に移動される(補助極502から二次バッテリの負極209に直接移動することとは対照的に)が、その理由は、正極208が、その表面にわたってキャリアイオンをより均一に受け入れることが可能であり、したがって、キャリアイオンが、二次バッテリ100の正極208と負極209との間のその移動により均一に関与することを可能にし得るためである。
【0132】
緩衝システム500を利用して二次バッテリ100に対して緩衝プロセスが実施された後、最終的な形態の二次バッテリ100のエネルギー密度を改善するために、緩衝システム500から補助極502を除去することができる。例えば、緩衝プロセスの後、キャリアイオン供給層706(図7を参照)は、二次バッテリ100に電気化学的に移動されている導電層704から除去されていてもよい。したがって、補助極502は、この時点では不要であり得る。緩衝プロセスが行われた後にエンクロージャ504から補助極502を除去するために、エンクロージャのエンクロージャ層510、511は、図17に実線として例示される切断線1702に沿って切断されてもよく、エンクロージャ層510、511が補助極502に近接して剥離されることを可能にする。補助極502は緩衝システム500のエンクロージャ504から除去され、二次バッテリ100はポーチ514内に残される(図12参照)。次いで、エンクロージャ層510、511は、破線として例示される最終封止線1704に沿って再封止されて、二次バッテリ100を使用する前にその最終形態のエンクロージャ504を形成することができる。この再封止は、第1のエンクロージャ層510及び第2のエンクロージャ層511を一緒に封止するための前述のプロセスのいずれかを使用して実施されてもよい。
【0133】
図18は、例示的な実施形態の補助極を使用してキャリアイオンで二次バッテリを緩衝する方法1800のフローチャートであり、図19図21は、方法1800の更なる詳細を描画するフローチャートである。方法1800は、図1図17の二次バッテリ100、緩衝システム500、及び補助極502に関して説明されるが、方法1800は、示されていない他のシステムに適用されてもよい。方法1800のステップは、全てを含むものではなく、方法1800は、示されていない他のステップを含んでもよい。更に、方法1800のステップは、代替の順序で実施されてもよい。
【0134】
この実施形態では、二次バッテリ100(図1参照)は、互いに反対側にある主面126、127と、電気端子124、125と、を有する。電気端子124、125は、二次バッテリ100の正極208(例えば、図2に描画するように、二次バッテリ100内の陰極構造206の集団)及び二次バッテリ100の負極209(例えば、図2に描画するように、二次バッテリ100内の陽極構造207の集団)の一方に結合される。二次バッテリ100は、負極209と正極208との間に、負極209及び正極208とイオン接触する電解質が浸透する微多孔質セパレータ層108(図2参照)を含む。負極209は、キャリアイオンに対してクーロン容量を有する、ケイ素又はその合金などの陽極活性材料層104を含む。正極208は、キャリアイオンのクーロン容量を有する陰極活性材料層106を含み、負極209のクーロン容量は正極208のクーロン容量を上回る。
【0135】
補助極502(図6参照)は、二次バッテリ100の主面126、127と接触して配置されて補助サブアセンブリ516を形成し、補助極502は、導電層704と、二次バッテリ100の主面126、127に近接する導電層704上に配設されたキャリアイオン供給層706と、キャリアイオン供給層706と二次バッテリの主面126、127との間に配設されたセパレータ702と、導電層704に結合された導電性タブ508と、を含む(図18のステップ1802及び図12図15参照)。
【0136】
補助サブアセンブリ516は、エンクロージャ504内に設置され、二次バッテリ100の電気端子124、125及び補助極502の導電性タブ508は、エンクロージャ504の外周506から電気的に延在する(ステップ1804及び図16参照)。
【0137】
キャリアイオンは、電気端子124、125にわたって電位電圧を加えることによって、二次バッテリ100の正極208から二次バッテリ100の負極209に移動され、二次バッテリ100を少なくとも部分的に充電する(ステップ1806参照)。充電は、二次バッテリ100の正極208がその充電終了設計電圧に達したときに中断され得る。初期充電サイクル中、SEIは、二次バッテリ100の負極209の内部構造表面上に形成され得る。
【0138】
SEIへのキャリアイオンの損失を補償し、副反応によってキャリアイオンが失われるサイクリング中の長期二次反応を軽減するために追加のキャリアイオンを更に提供するために、補助極502の導電性タブ508及び二次バッテリ100の電気端子124、125のうちの1つ以上にわたって電位電圧を加えることによって、キャリアイオンが補助極502のキャリアイオン供給層706から二次バッテリ100の正極208及び/又は負極209に移動される(図16のステップ1808を参照)。概して、このキャリアイオン緩衝プロセスは、キャリアイオンを、補助極502のキャリアイオン供給層706から、二次バッテリ100の第1の主面126及び二次バッテリ100の第2の主面127の各々に移動させる(図15参照)。概して、図15に描画するように、二次バッテリ100の主面126、127の両方から二次バッテリ100にキャリアイオンを移動させることは、より多くのキャリアイオンが二次バッテリ100の陰極及び/又は陽極にロードされるため、陽極及び/又は陰極の膨張によって発生する力を二次バッテリ100のケーシング116にわたってより均等に分散させるという技術的利点を提供する。
【0139】
一実施形態では、補助極502から二次バッテリ100に移動するキャリアイオンの量は、二次バッテリ100の正極208の可逆的クーロン容量の約50%である。他の実施形態では、補助極502から二次バッテリ100に移動するキャリアイオンの量は、二次バッテリ100の正極208の可逆的クーロン容量の約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%である。一部の実施形態では、補助極502から二次バッテリ100に移動するキャリアイオンの量は、二次バッテリ100の正極208の可逆的クーロン容量の約1%~約100%の値の範囲内にある。1つの特定の実施形態では、二次バッテリ100の負極209は、二次バッテリ100が充電されるときに、キャリアイオンとして蓄積される二次バッテリ100の正極208の可逆的クーロン容量の約170%を有し、二次バッテリ100が放電されるときに、キャリアイオンとして蓄積される二次バッテリ100の正極208の可逆的クーロン容量の約70%を有する。緩衝プロセス中に提供される二次バッテリ100の負極209における過剰なキャリアイオンは、初期形成時のSEIによる二次バッテリ100におけるキャリアイオンの損失を軽減するという技術的利点を提供する。更に、緩衝プロセス中に提供される二次バッテリ100の負極209における過剰なキャリアイオンは、二次バッテリ100が使用中にサイクルされるときに、二次バッテリ100内のキャリアイオンを枯渇させる副反応に起因する二次バッテリ100におけるキャリアイオンの損失を軽減するという技術的利点を提供し、これは、経時的な二次バッテリ100の容量損失を低減する。
【0140】
一部の実施形態では、補助極502から二次バッテリ100へのキャリアイオンの移動は、二次バッテリ100の初期形成と同時に(例えば、二次バッテリ100の第1の充電中に)、及び/又は初期形成後の二次バッテリ100のその後の充電中に行われてもよい。これらの実施形態では、キャリアイオンは、二次バッテリ100の正極208から二次バッテリ100の負極209に移動される。時間的遅延若しくは時間パターンと同時に、又はそれに基づいて、キャリアイオンは、補助極502から二次バッテリ100の正極208及び/又は負極209に移動する。
【0141】
キャリアイオンは、二次バッテリ100の電気端子124、125にわたって電位電圧を加えることによって、二次バッテリ100の正極208から二次バッテリ100の負極209に再び移動され、負極209がキャリアイオンとして蓄積された正極208のクーロン容量の100%を超えるまで、二次バッテリ100を充電する(ステップ1810参照)。
【0142】
更に別の実施形態では、キャリアイオンを補助極502から二次バッテリ100の正極208に移動させると同時に、キャリアイオンを二次バッテリ100の正極208から二次バッテリ100の負極209に移動させることによって、正極208にキャリアイオンを補充することができる。図6を参照すると、電圧が、二次バッテリ100の電気端子124、125にわたって加えられ、キャリアイオンを二次バッテリ100の正極208から負極209に駆動する。キャリアイオンが正極208から負極209に移動している間、補助極502の導電性タブ508-1及び二次バッテリ100の正極208にわたって電圧を加えて、キャリアイオンを補助極502から二次バッテリ100の正極208に駆動する。これにより、二次バッテリ100の正極208から負極209にキャリアイオンが移動するのと同時に、補助極502から二次バッテリ100の正極208にキャリアイオンが移動する。すなわち、キャリアイオンを二次バッテリ100の正極208から負極209に駆動するのに十分である電圧が、二次バッテリ100の正極208及び負極209にわたって維持され、同時に、キャリアイオンを補助極502から正極208に駆動するのに十分である電圧が、補助極502の導電性タブ508-1及び二次バッテリ100の正極208にわたって維持される。別の実施形態では、補助極502から二次バッテリ100の正極208へのキャリアイオンの移動の開始は、二次バッテリ100の正極208から負極209へのキャリアイオンの移動の開始と同時に始まってもよい。一実施形態では、二次バッテリ100の正極208から負極209へのキャリアイオンの移動速度は、二次バッテリ100の補助極502から正極208へのキャリアイオンの移動速度以上であり、その結果、正極208を介した二次バッテリ100の補助極502から負極209へのキャリアイオンの良好な全体的な移動速度を維持することができる。すなわち、二次バッテリ100の正極208と負極209との間、及び補助極502と正極208との間の移動の相対速度は、追加のキャリアイオンに対する正極208の全容量を上回らないように維持され得る。これにより、正極208は、補助極502から新たなキャリアイオンを受け入れ可能な状態に維持され得、その後の二次バッテリ100の負極209へのキャリアイオンの移動が可能となり得る。
【0143】
一実施形態では、任意の特定の理論によって限定されるものではないが、キャリアイオンは、二次バッテリ100の負極209の補充の一部として、補助極502から二次バッテリ100の正極208に移動される(補助極502から二次バッテリの負極209に直接移動することとは対照的に)が、その理由は、正極208が、その表面にわたってキャリアイオンをより均一に受け入れることが可能であり、したがって、キャリアイオンが、二次バッテリ100の正極208と負極209との間のその移動により均一に関与することを可能にし得るためである。
【0144】
方法1800の一部の実施形態では、エンクロージャ504が開かれ(図19のステップ1902参照)、補助極502は、エンクロージャ504から除去される(ステップ1904参照)。エンクロージャ504から補助極502を除去することに応答して、エンクロージャは、使用のために二次バッテリ100を封入するように、その最終形態に再封止される(ステップ1906参照)。
【0145】
上で詳述されたステップ1804に関して以前に説明されたように、1つの特定の実施形態は、補助サブアセンブリ516をエンクロージャ504内に設置するが、補助サブアセンブリ516を第1のエンクロージャ層510上に設置することを含む(図20のステップ2002参照)。第2のエンクロージャ層511は、第1のエンクロージャ層510上に設置され(ステップ2004を参照)、第1のエンクロージャ層510及び第2のエンクロージャ層511は、封止線1602に沿って一緒に封止されて、エンクロージャ504を形成する(ステップ2006を参照)。
【0146】
エンクロージャ層510、511は、溶接、ヒートシール、接着剤、それらの組み合わせなどによって、封止線1602(図16参照)に沿って封止されてもよい。別の実施形態では、エンクロージャ層510、511は、封止線1602の3つの側面に沿って封止され、その中にポケットを形成することができる。この実施形態では、二次バッテリ100をポケット内に配置することができ、その後、封止線1602の最終縁部が封止される。一実施形態では、封止線1602は、制御された温度及び圧力を封止線1602に加えて、エンクロージャ層510、511を封止線1602に沿って互いに接着又は融着させるホットプレスを使用して封止される。別の実施形態では、封止プロセス中に二次バッテリ100に真空を適用して、空気又は他のガスによって占められたあらゆる過剰な体積を排気する。封止線1602がホットプレスを受ける時間は、制御されてもよく、エンクロージャ層510、511のために選択される材料に依存する。二次バッテリ100を覆って封止されると、封止されたエンクロージャ層510、511は、緩衝システム500を形成する。封止すると、緩衝システム500は、所望の用途に応じて、液密及び/又は気密である。二次バッテリ100の電気端子124、125及び導電性タブ508は、露出されたままであり、エンクロージャ層510、511によって覆われていない。
【0147】
第1のエンクロージャ層510がポーチ514を含む実施形態では、エンクロージャ504内に補助サブアセンブリ516を設置することは、最初に、ポーチ514内に補助サブアセンブリ516を配置することを含む(図21のステップ2102参照)。一部の実施形態では、(例えば、ポーチ514内に補助サブアセンブリ516を設置する前又は後のいずれかに)電解質がポーチ514に追加され、その後、第1のエンクロージャ層510及び第2のエンクロージャ層511を封止線1602に沿ってともに封止することによって、エンクロージャ504が形成される。
【0148】
本開示の実施形態は、補助極を利用して、二次バッテリの初期形成中又は初期形成後に、キャリアイオンを二次バッテリに移動させるか又は緩衝する。キャリアイオンの二次バッテリへの移動又は緩衝は、例えばSEIによる形成中のキャリアイオン損失を軽減し、それによって二次バッテリの容量を向上させるという技術的利点を提供する。更に、キャリアイオンを二次バッテリに移動又は緩衝することは、二次バッテリの負極に、二次バッテリの正極クーロン容量を超える追加のキャリアイオンを提供し、それによって、二次バッテリのサイクル寿命にわたって追加のキャリアイオンのリザーバを提供し、キャリアイオンをサイクル中の利用可能性から除去する副反応によるサイクル中のキャリアイオン損失を更に軽減する。負極における追加のキャリアイオンの結果は、1つの放電-充電サイクルから次のサイクルへの二次バッテリにおける容量損失の量を減少させ、それによってサイクル寿命中の二次バッテリの全体的な容量を向上させるという更なる技術的利点を提供する。
【0149】
以下の実施形態は、本開示の種々の態様を例示するために提供される。以下の実施形態は、限定することを意図するものではなく、したがって、本開示は、以下に具体的に提供されない他の態様及び/又は実施形態を更にサポートする。
【0150】
実施形態1:二次バッテリ用の補助極であって、イオン透過性である材料を含む第1のセパレータ層と、導電性である材料を含み、第1のセパレータ層に接触する第1の表面と、第1の表面の反対側の第2の表面と、を有する導電層であって、第2の表面は、導電層の第1の端部に配設された第1の領域と、第1の端部の反対側の導電層の第2の端部に配設された第2の領域と、第1の領域と第2の領域との間に配設された第3の領域と、にセグメント化されている、導電層と、二次バッテリの電極にキャリアイオンを供給する材料を各々が含むキャリアイオン供給層の集団であって、キャリアイオン供給層のそれぞれ1つは、導電層の第1の領域及び第2の領域内に配設されている、キャリアイオン供給層の集団と、イオン透過性である材料を含み、導電層の第1の領域及び第2の領域内のキャリアイオン供給層と接触する第2のセパレータ層と、を含む、補助極。
【0151】
実施形態2:第2のセパレータ層は、導電層の第3の領域内で導電層の第2の表面と接触している、実施形態1に記載の補助極。
【0152】
実施形態3:第1の領域、第2の領域、及び第3の領域は、導電層の長さにわたって配設されている、前述のいずれかの実施形態に記載の補助極。
【0153】
実施形態4:第1のセパレータ層及び第2のセパレータ層は、第1のセパレータ層及び第2のセパレータ層の周囲の少なくとも一部分の周りで一緒に機械的に接合されている、前述のいずれかの実施形態に記載の補助極。
【0154】
実施形態5:第1のセパレータ層及び第2のセパレータ層は、連続セパレータ材料から形成され、第1のセパレータ層は、連続セパレータ材料の第1の部分を含み、第2のセパレータ層は、連続セパレータ材料の第2の部分を含み、第2の部分は、第1の部分の上に折り畳まれて、導電層の第1の領域及び第2の領域内のキャリアイオン供給層の表面に接触する、前述のいずれかの実施形態に記載の補助極。
【0155】
実施形態6:連続セパレータ材料は、約0.01ミリメートル~約1ミリメートルの範囲の厚さを有する、実施形態5に記載の補助極。
【0156】
実施形態7:連続セパレータ材料の厚さは、約0.025ミリメートルである、実施形態6に記載の補助極。
【0157】
実施形態8:第1のセパレータ層及び第2のセパレータ層は、約0.01ミリメートル~約1ミリメートルの値の範囲内の厚さを有する、前述のいずれかの実施形態に記載の補助極。
【0158】
実施形態9:第2のセパレータ層の厚さは、約0.025ミリメートルである、前述のいずれかの実施形態に記載の補助極。
【0159】
実施形態10:導電層は、銅、アルミニウム、又は銅とアルミニウムの合金のうちの1つを含む、前述のいずれかの実施形態に記載の補助極。
【0160】
実施形態11:導電層は、銅を含む、前述のいずれかの実施形態に記載の補助極。
【0161】
実施形態12:導電層は、約0.01ミリメートル~約1ミリメートルの値の範囲内の厚さを有する、前述のいずれかの実施形態に記載の補助極。
【0162】
実施形態13:導電層は、約0.1ミリメートルの厚さを有する、前述のいずれかの実施形態に記載の補助極。
【0163】
実施形態14:キャリアイオン供給層は、約0.05ミリメートル~約1ミリメートルの値の範囲の厚さを有する、前述のいずれかの実施形態に記載の補助極。
【0164】
実施形態15:キャリアイオン供給層は、約0.15ミリメートルの厚さを有する、前述のいずれかの実施形態に記載の補助極。
【0165】
実施形態16:キャリアイオン供給層は、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、及びカルシウムイオンのうちの1つ以上の供給源を含む、前述のいずれかの実施形態に記載の補助極。
【0166】
実施形態17:キャリアイオン供給層は、リチウムイオンの供給源を提供する、前述のいずれかの実施形態に記載の補助極。
【0167】
実施形態18:キャリアイオン供給層は、導電層の第1の領域及び第2の領域内で導電層に冷間溶接される、前述のいずれかの実施形態に記載の補助極。
【0168】
実施形態19:導電性であり、導電層の第3の領域内で導電層の第2の表面に結合された材料を含む導電性タブを更に含む、前述のいずれかの実施形態に記載の補助極。
【0169】
実施形態20:導電性タブは、導電層に結合された第1の端部と、導電層から離れて突出する、第1の端部に対して遠位の第2の端部と、を含む、実施形態19に記載の補助極。
【0170】
実施形態21:導電性タブは、ニッケル、銅、及びアルミニウム、又は銅、ニッケル、及びアルミニウムの合金のうちの1つを含む、実施形態20に記載の補助極。
【0171】
実施形態22:導電性タブは、ニッケルを含む、実施形態21に記載の補助極。
【0172】
実施形態23:緩衝システムであって、互いに反対側にある主面及び電気端子を有する二次バッテリであって、電気端子の各々は、二次バッテリの正極及び負極のうちの一方に結合され、二次バッテリは、負極と正極との間に、負極及び正極とイオン接触する電解質が浸透する微多孔質セパレータを含み、負極は、陽極活性ケイ素又はその合金を含み、キャリアイオンのクーロン容量を有し、正極は、陰極活性材料を含み、キャリアイオンのクーロン容量を有し、負極クーロン容量は、正極クーロン容量を上回る、二次バッテリと、二次バッテリの主面に接触する補助極であって、補助極は、イオン透過性である材料を含む第1のセパレータ層と、電気伝導性である材料を含み、第1のセパレータ層に接触する第1の表面と、第1の表面の反対側の第2の表面と、を有する、導電層であって、第2の表面は、導電層の第1の端部に配設された第1の領域と、第1の端部の反対側の導電層の第2の端部に配設された第2の領域と、第1の領域と第2の領域との間に配設された第3の領域と、にセグメント化されている、導電層と、二次バッテリの正極にキャリアイオンを供給する材料を各々が含むキャリアイオン供給層の集団であって、キャリアイオン供給層のそれぞれの1つは、導電層の第1の領域及び第2の領域内に配設されている、キャリアイオン供給層の集団と、イオン透過性である材料を含む第2のセパレータ層であって、第2のセパレータ層は、導電層の第1の領域及び第2の領域内のキャリアイオン供給層を二次バッテリの主面から分離する、第2のセパレータ層と、導電性である材料を含む導電性タブであって、導電性タブは、導電層の第3の領域内で導電層の第2の表面に結合された第1の端部と、第1の端部より遠位にある第2の端部と、を有する、導電性タブと、を含む、補助極と、を備える、緩衝システム。緩衝システムは、補助極及び二次バッテリを封入するエンクロージャを更に備え、電気端子及び導電性タブの第2の端部は、エンクロージャの周囲から電気的に延在する。
【0173】
実施形態24:エンクロージャは、第1のエンクロージャ層及び第2のエンクロージャ層を備え、補助極及び二次バッテリは、第1のエンクロージャ層内に形成されたポーチ内に配設されている、実施形態23に記載の緩衝システム。
【0174】
実施形態25:第2のセパレータ層に浸透する電解質を更に含む、前述のいずれかの実施形態に記載の緩衝システム。
【0175】
実施形態26:キャリアイオン供給層は、二次バッテリの正極のためのリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、及びカルシウムイオンのうちの1つ以上の供給源を含む、前述のいずれかの実施形態に記載の緩衝システム。
【0176】
実施形態27:キャリアイオン供給層は、二次バッテリの正極のためのリチウムイオンの供給源を含む、前述のいずれかの実施形態に記載の緩衝システム。
【0177】
実施形態28:キャリアイオン供給層は、二次バッテリの正極のためのナトリウムイオンの供給源を含む、前述のいずれかの実施形態に記載の緩衝システム。
【0178】
実施形態29:キャリアイオン供給層は、二次バッテリの正極のためのカリウムイオンの供給源を含む、前述のいずれかの実施形態に記載の緩衝システム。
【0179】
実施形態30:キャリアイオン供給層は、二次バッテリの正極のためのマグネシウムイオンの供給源を含む、前述のいずれかの実施形態に記載の緩衝システム。
【0180】
実施形態31:キャリアイオン供給層は、二次バッテリの正極のためのアルミニウムイオンの供給源を含む、前述のいずれかの実施形態に記載の緩衝システム。
【0181】
実施形態32:キャリアイオン供給層は、二次バッテリの正極のためのカルシウムイオンの供給源を含む、前述のいずれかの実施形態に記載の緩衝システム。
【0182】
実施形態33:キャリアイオン供給層は、約0.05ミリメートル~約1ミリメートルの値の範囲の厚さを有する、前述のいずれかの実施形態に記載の緩衝システム。
【0183】
実施形態34:キャリアイオン供給層は、約0.15ミリメートルの厚さを有する、前述のいずれかの実施形態に記載の緩衝システム。
【0184】
実施形態35:第2のセパレータ層は、約0.01ミリメートル~約1ミリメートルの値の範囲の厚さを有する、前述のいずれかの実施形態に記載の緩衝システム。
【0185】
実施形態36:第2のセパレータ層の厚さは、約0.025ミリメートルである、前述のいずれかの実施形態に記載の緩衝システム。
【0186】
実施形態37:補助極を使用して二次バッテリをキャリアイオンで緩衝する方法であって、二次バッテリは、互いに反対側にある主面及び電気端子を有し、電気端子の各々は、二次バッテリの正極及び負極のうちの一方に結合され、二次バッテリは、負極と正極との間に、負極及び正極とイオン接触する電解質が浸透する微多孔質セパレータを含み、負極は、陽極活性ケイ素又はその合金を含み、キャリアイオンのクーロン容量を有し、正極は、陰極活性材料を含み、キャリアイオンのクーロン容量を有し、負極クーロン容量は、正極クーロン容量を上回り、方法は、補助サブアセンブリを形成するために、二次バッテリの主面と接触して補助極を配置することであって、補助極は、導電層と、二次バッテリの主面に近接する導電層上に配設されたキャリアイオン供給層と、キャリアイオン供給層と二次バッテリの主面との間に配設されたセパレータ層と、導電層に結合された導電性タブと、を含む、配置することと、補助サブアセンブリをエンクロージャ内に設置することであって、電気端子及び補助極の導電性タブは、エンクロージャの周囲から電気的に延在する、設置することと、二次バッテリの電気端子にわたって電位電圧を加えることによって、キャリアイオンを正極から負極に移動させて、二次バッテリを少なくとも部分的に充電することと、導電性タブ及び二次バッテリの電気端子のうちの1つ以上にわたって電位電圧を加えることによって、補助極のキャリアイオン供給層から二次バッテリの正極及び負極のうちの少なくとも1つにキャリアイオンを移動させることと、負極が、キャリアイオンとして蓄積される正極クーロン容量の100%超を有するまで、二次バッテリの電気端子にわたって電位電圧を加えることによって、キャリアイオンを正極から負極に移動させて、二次バッテリを充電することと、を含む、方法。
【0187】
実施形態38:エンクロージャを開けることと、二次バッテリから補助極を除去することと、エンクロージャを再封止して二次バッテリを封入することと、を更に含む、実施形態37に記載の方法。
【0188】
実施形態39:エンクロージャは、第1のエンクロージャ層及び第2のエンクロージャ層を備え、補助サブアセンブリをエンクロージャ内に設置することは、補助サブアセンブリを第1のエンクロージャ層上に設置することと、第2のエンクロージャ層を第1のエンクロージャ層上に設置することと、封止線に沿って第1のエンクロージャ層を第2のエンクロージャ層に封止して、エンクロージャを形成することと、を含む、前述のいずれかの実施形態に記載の方法。
【0189】
実施形態40:第1のエンクロージャ層は、ポーチを含み、補助サブアセンブリを第1のエンクロージャ層上に設置することは、補助サブアセンブリをポーチ内に設置することを含む、実施形態39に記載の方法。
【0190】
実施形態41:ポーチに電解質を追加することを更に含む、実施形態40に記載の方法。
【0191】
実施形態42:対極に対してサイクルさせたときに、負極クーロン容量の正極クーロン容量に対する比は、それぞれ少なくとも1.2:1である、前述のいずれかの実施形態に記載の方法。
【0192】
実施形態43:対極に対してサイクルさせたときに、負極クーロン容量の正極クーロン容量に対する比は、それぞれ少なくとも1.3:1である、前述のいずれかの実施形態に記載の方法。
【0193】
実施形態44:対極に対してサイクルさせたときに、負極クーロン容量の正極クーロン容量に対する比は、それぞれ少なくとも1.5:1である、前述のいずれかの実施形態に記載の方法。
【0194】
実施形態45:対極に対してサイクルさせたときに、負極クーロン容量の正極クーロン容量に対する比は、それぞれ少なくとも2:1である、前述のいずれかの実施形態に記載の方法。
【0195】
実施形態46:対極に対してサイクルさせたときに、負極クーロン容量の正極クーロン容量に対する比は、それぞれ少なくとも3:1である、前述のいずれかの実施形態に記載の方法。
【0196】
実施形態47:対極に対してサイクルさせたときに、負極クーロン容量の正極クーロン容量に対する比は、それぞれ少なくとも4:1である、前述のいずれかの実施形態に記載の方法。
【0197】
実施形態48:対極に対してサイクルさせたときに、負極クーロン容量の正極クーロン容量に対する比は、それぞれ少なくとも5:1である、前述のいずれかの実施形態に記載の方法。
【0198】
実施形態49:対極に対してサイクルさせたときに、補助極のクーロン容量の正極クーロン容量に対する比は、それぞれ少なくとも2:1である、前述のいずれかの実施形態に記載の方法。
【0199】
実施形態50:対極に対してサイクルさせたときに、補助極のクーロン容量の正極クーロン容量に対する比は、それぞれ少なくとも3:1である、前述のいずれかの実施形態に記載の方法。
【0200】
実施形態51:対極に対してサイクルさせたときに、補助極のクーロン容量の正極クーロン容量に対する比は、それぞれ少なくとも4:1である、前述のいずれかの実施形態に記載の方法。
【0201】
実施形態52:対極に対してサイクルさせたときに、補助極のクーロン容量の正極クーロン容量に対する比は、それぞれ少なくとも5:1である、前述のいずれかの実施形態に記載の方法。
【0202】
実施形態53:負極は、陽極活性材料を含み、陽極活性材料は、ケイ素を含み、二次バッテリの充電及び放電サイクル中にキャリアイオンが負極に組み込まれるか又は負極から出るときの体積膨張及び収縮に適応する空隙体積分率を含む、前述のいずれかの実施形態に記載の方法。
【0203】
実施形態54:陽極活性材料の空隙体積分率は、少なくとも0.1である、実施形態53に記載の方法。
【0204】
実施形態55:陽極活性材料の空隙体積分率は、0.8以下である、実施形態53に記載の方法。
【0205】
実施形態56:陽極活性材料の空隙体積分率は、約0.15~約0.75である、実施形態53に記載の方法。
【0206】
実施形態57:陽極活性材料の空隙体積分率は、約0.2~約0.7である、実施形態53に記載の方法。
【0207】
実施形態58:陽極活性材料の空隙体積分率は、約0.25~約0.6である、実施形態53に記載の方法。
【0208】
実施形態59:陽極活性材料は、マクロ多孔質、微多孔質、若しくはメソ多孔質の材料層、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態53に記載の方法。
【0209】
実施形態60:キャリアイオンを補助極のキャリアイオン供給層から二次バッテリの正極及び負極の少なくとも1つに移動させることは、キャリアイオンの正極クーロン容量の約50%を正極及び負極の少なくとも1つに移動させることを更に含む、前述のいずれかの実施形態に記載の方法。
【0210】
実施形態61:キャリアイオンを補助極のキャリアイオン供給層から二次バッテリの正極及び負極の少なくとも1つに移動させることは、キャリアイオンの正極クーロン容量の約55%を正極及び負極の少なくとも1つに移動させることを更に含む、前述のいずれかの実施形態に記載の方法。
【0211】
実施形態62:キャリアイオンを補助極のキャリアイオン供給層から二次バッテリの正極及び負極の少なくとも1つに移動させることは、キャリアイオンの正極クーロン容量の約60%を正極及び負極の少なくとも1つに移動させることを更に含む、前述のいずれかの実施形態に記載の方法。
【0212】
実施形態63:キャリアイオンを補助極のキャリアイオン供給層から二次バッテリの正極及び負極の少なくとも1つに移動させることは、キャリアイオンの正極クーロン容量の約65%を正極及び負極の少なくとも1つに移動させることを更に含む、前述のいずれかの実施形態に記載の方法。
【0213】
実施形態64:キャリアイオンを補助極のキャリアイオン供給層から二次バッテリの正極及び負極の少なくとも1つに移動させることは、キャリアイオンの正極クーロン容量の約70%を正極及び負極の少なくとも1つに移動させることを更に含む、前述のいずれかの実施形態に記載の方法。
【0214】
実施形態65:キャリアイオンを補助極のキャリアイオン供給層から二次バッテリの正極及び負極の少なくとも1つに移動させることは、キャリアイオンの正極クーロン容量の約75%を正極及び負極の少なくとも1つに移動させることを更に含む、前述のいずれかの実施形態に記載の方法。
【0215】
実施形態66:キャリアイオンを補助極のキャリアイオン供給層から二次バッテリの正極及び負極の少なくとも1つに移動させることは、キャリアイオンの正極クーロン容量の約80%を正極及び負極の少なくとも1つに移動させることを更に含む、前述のいずれかの実施形態に記載の方法。
【0216】
実施形態67:キャリアイオンを補助極のキャリアイオン供給層から二次バッテリの正極及び負極の少なくとも1つに移動させることは、キャリアイオンの正極クーロン容量の約85%を正極及び負極の少なくとも1つに移動させることを更に含む、前述のいずれかの実施形態に記載の方法。
【0217】
実施形態68:キャリアイオンを補助極のキャリアイオン供給層から二次バッテリの正極及び負極の少なくとも1つに移動させることは、キャリアイオンの正極クーロン容量の約90%を正極及び負極の少なくとも1つに移動させることを更に含む、前述のいずれかの実施形態に記載の方法。
【0218】
実施形態69:キャリアイオンを補助極のキャリアイオン供給層から二次バッテリの正極及び負極の少なくとも1つに移動させることは、キャリアイオンの正極クーロン容量の約95%を正極及び負極の少なくとも1つに移動させることを更に含む、前述のいずれかの実施形態に記載の方法。
【0219】
実施形態70:キャリアイオンを補助極のキャリアイオン供給層から二次バッテリの正極及び負極の少なくとも1つに移動させることは、キャリアイオンの正極クーロン容量の約100%を正極及び負極の少なくとも1つに移動させることを更に含む、前述のいずれかの実施形態に記載の方法。
【0220】
実施形態71:キャリアイオンを補助極のキャリアイオン供給層から二次バッテリの正極及び負極の少なくとも1つに移動させることは、キャリアイオンの正極クーロン容量の約1%~約100%を正極及び負極の少なくとも1つに移動させることを更に含む、前述のいずれかの実施形態に記載の方法。
【0221】
実施形態72:PEO系ポリマー電解質、ポリマー-セラミック複合電解質、ポリマー-セラミック複合電解質、及びポリマー-セラミック複合電解質のうちの1つ以上から選択されるポリマー系電解質を更に含む、前述のいずれかの実施形態に記載のセパレータ層、セパレータ材料、又は電解質。
【0222】
実施形態73:チタン酸ランタンリチウム(Li0.34La0.56TiO3)、Alドープランタンジルコン酸リチウム(Li6.24La3Zr2Al0.24O11.98)、Taドープランタンジルコン酸リチウム(Li6.4La3Zr1.4Ta0.6O12)、及びリン酸アルミニウムチタンリチウム(Li1.4Al0.4Ti1.6(PO4)3)のうちの1つ以上から選択される酸化物系電解質を更に含む、前述のいずれかの実施形態に記載のセパレータ層、セパレータ材料、又は電解質。
【0223】
実施形態74:スズリン硫化リチウム(Li10SnP2S12)、硫化リチウムリン(β-Li3PS4)、及び塩化硫化リチウム(Li6PS5Cl0.9I0.1)のうちの1つ以上から選択される固体電解質を更に含む、前述のいずれかの実施形態に記載のセパレータ層、セパレータ材料、又は電解質。
【0224】
実施形態75:固体リチウムイオン伝導性セラミックを更に含む、前述のいずれかの実施形態に記載のセパレータ層、セパレータ材料、又は電解質。
【0225】
実施形態76:LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiAsF6、LiCl、及びLiBrなどの無機リチウム塩、並びにLiB(C6H5)4、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2CF3)3、LiNSO2CF3、LiNSO2CF5、LiNSO2C4F9、LiNSO2C5F11、LiNSO2C6F13、及びLiNSO2C7F15などの有機リチウム塩のうちの1つ以上から選択される非水性電解質を更に含む、前述のいずれかの実施形態に記載のセパレータ層、セパレータ材料、又は電解質。
【0226】
実施形態77:負極は、(a)ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、及びカドミウム(Cd)、(b)Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Zn、Al、Ti、Ni、Co、又はCdと他の元素との合金又は金属間化合物、(c)Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Zn、Al、Ti、Fe、Ni、Co、V、又はCdの酸化物、炭化物、窒化物、硫化物、リン化物、セレン化物、及びテルル化物、並びにそれらの混合物、複合物、又はリチウム含有複合物、(d)Snの塩及び水酸化物、(e)チタン酸リチウム、マンガン酸リチウム、アルミン酸リチウム、リチウム含有酸化チタン、リチウム遷移金属酸化物、ZnCo2O4、(f)グラファイト及び炭素の粒子、(g)リチウム金属、及び(h)それらの組み合わせから選択される陽極活性材料を含む、前述のいずれかの実施形態に記載の二次バッテリ。
【0227】
実施形態78:負極は、グラファイト、ソフトカーボン、ハードカーボン、グラフェン、又はリチウムをインターカレートするか若しくはリチウムと合金を形成することができる一連の金属、半金属、合金、酸化物、窒化物、及び化合物のいずれかから選択される陽極活性材料を含む、前述のいずれかの実施形態に記載の二次バッテリ。
【0228】
実施形態79:負極は、スズ、鉛、マグネシウム、アルミニウム、ホウ素、ガリウム、ケイ素、Si/C複合材料、Si/グラファイトブレンド、酸化ケイ素(SiOx)、多孔質Si、金属間Si合金、インジウム、ジルコニウム、ゲルマニウム、ビスマス、カドミウム、アンチモン、銀、亜鉛、ヒ素、ハフニウム、イットリウム、リチウム、ナトリウム、グラファイト、炭素、チタン酸リチウム、パラジウム、及びそれらの混合物から選択される陽極活性材料を含む、前述のいずれかの実施形態に記載の二次バッテリ。
【0229】
実施形態80:負極は、アルミニウム、スズ、若しくはケイ素、又はそれらの酸化物、それらの窒化物、それらのフッ化物、若しくはそれらの他の合金から選択される陽極活性材料を含む、前述のいずれかの実施形態に記載の二次バッテリ。
【0230】
実施形態81:負極は、アルミニウム、スズ、若しくはケイ素、又はそれらの合金の繊維から選択される陽極活性材料を含む、前述のいずれかの実施形態に記載の二次バッテリ。
【0231】
実施形態82:負極は、安定化されたリチウムメタル粒子から選択される粒子状リチウム材料でコーティングされた陽極活性材料を含む、前述のいずれかの実施形態に記載の二次バッテリ。
【0232】
実施形態83:陰極活性材料は、インターカレーション型化学活性材料、変換化学活性材料、又はそれらの組み合わせを含む、前述のいずれかの実施形態に記載の二次バッテリ。
【0233】
実施形態84:陰極活性材料は、S、LiF、Fe、Cu、Ni、FeF2、FeOdF3.2d、FeF3、CoF3、CoF2、CuF2、NiF2のうちの1つ以上から選択される変換化学物質を含み、式中、0≦d≦0.5である、前述のいずれかの実施形態に記載の二次バッテリ。
【0234】
実施形態85:陰極活性材料は、遷移金属酸化物、遷移金属硫化物、遷移金属窒化物、リチウム遷移金属酸化物、リチウム遷移金属硫化物、及びリチウム遷移金属窒化物のうちの1つ以上を含む、前述のいずれかの実施形態に記載の二次バッテリ。
【0235】
実施形態86:二次バッテリ用の補助極であって、補助極は、X-Y平面内に第1の主面を有する導電層であって、導電層は、導電性である材料を含み、第1の表面積を有する、導電層と、第1のキャリアイオン供給層及び第2のキャリアイオン供給層であって、第1のキャリアイオン供給層及び第2のキャリアイオン供給層の各々は、二次バッテリの電極にキャリアイオンを供給する材料を含み、第1のキャリアイオン供給層は、導電層の第1の主面の第1の領域を覆い、第2のキャリアイオン供給層は、導電層の第1の主面の第2の領域を覆う、第1のキャリアイオン供給層及び第2のキャリアイオン供給層と、を備え、第1の領域及び第2の領域は、第1の領域と第2の領域との間に延在する導電層の第3の領域によって分離され、第3の領域は、折り畳み構成において、第1の領域及び第2の領域が実質的に平行になるように、Y軸方向に沿って折り畳まれるように構成され、第3の領域は、折り畳み構成において、第1の領域及び第2の領域に対して実質的に垂直である、補助極。
【0236】
実施形態87.折り畳み構成において、第1のキャリアイオン供給層の周囲は、第2のキャリアイオン供給層の周囲と実質的に整列している、実施形態87に記載の補助極。
【0237】
実施形態88.第1のキャリアイオン供給層と第2のキャリアイオン供給層とを合わせた表面積は、第3の領域の表面積よりも大きい、前述のいずれかの実施形態に記載の補助極。
【0238】
実施形態89.第1のキャリアイオン供給層上に配設され、第1のキャリアイオン供給層と同一の広がりを有する第1のセパレータ層を更に含む、前述のいずれかの実施形態に記載の補助極。
【0239】
実施形態90.第2のキャリアイオン層上に配設され、第2のキャリアイオン層と同一の広がりを有する第2のセパレータ層を更に含む、前述のいずれかの実施形態に記載の補助極。
【0240】
実施形態91.第3のセパレータ層を更に含み、第3のセパレータ層は、第1の主面の反対側の導電層の第2の主面上に配設されている、前述のいずれかの実施形態に記載の補助極。
【0241】
実施形態92.第1のセパレータ層、第2のセパレータ層、及び第3のセパレータ層は、連続している、前述のいずれかの実施形態に記載の補助極。
【0242】
実施形態93.第1のセパレータ層及び第3のセパレータ層は、第1のセパレータ層及び第3のセパレータ層の周囲の少なくとも一部分の周りで一緒に機械的に接合されている、前述のいずれかの実施形態に記載の補助極。
【0243】
実施形態94.第2のセパレータ層及び第3のセパレータ層は、第2のセパレータ層及び第3のセパレータ層の周囲の少なくとも一部分の周りで一緒に機械的に接合されている、前述のいずれかの実施形態に記載の補助極。
【0244】
実施形態95.導電層は、銅、アルミニウム、又は銅とアルミニウムの合金のうちの1つを含む、前述のいずれかの実施形態に記載の補助極。
【0245】
実施形態96.第1及び第2のキャリアイオン供給層は、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、及びカルシウムイオンのうちの1つ以上の供給源を含む、前述のいずれかの実施形態に記載の補助極。
【0246】
実施形態97.導電性であり、導電層の第3の領域内で導電層に結合された材料を含む導電性タブを更に含む、前述のいずれかの実施形態に記載の補助極。
【0247】
この書面による明細書は、例を使用して、最良の態様を含む発明を開示し、かつ当業者が、任意のデバイス又はシステムの作製及び使用並びに任意の組み込まれた方法の実施を含む、本発明を実践することを可能にする。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、また、当業者に着想される他の例を含み得る。かかる他の例は、それらが特許請求の範囲の文字通りの言葉と異ならない構造要素を有する場合、又はそれらが特許請求の範囲の文字通りの言葉とは実質的に異ならない差を伴う均等な構造要素を含む場合、特許請求の範囲の範囲内であることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
【手続補正書】
【提出日】2023-04-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年6月30日に出願された米国仮特許出願第63/216,656号に対する優先権を主張し、その開示は、その全体が参照により組み込まれる。
【0002】
本開示の分野は、概して、二次バッテリに関し、より具体的には、形成中又は形成後の二次バッテリのキャリアイオンローディングに関する。
【背景技術】
【0003】
ロッキングチェア型バッテリセルでは、二次バッテリの正極及び負極の両方は、リチウムなどのキャリアイオンが挿入及び抽出される材料を含む。バッテリが放電されると、キャリアイオンが負極から抽出され、正極に挿入される。バッテリが充電されると、キャリアイオンが正極から抽出され、負極に挿入される。
【0004】
ケイ素は、その高い比容量のために、陽極として炭素質材料に代わる有望な候補となっている。例えば、LiCから形成されたグラファイト陽極は、約370ミリアンペア時/グラム(mAh/g)の比容量を有し得るが、一方、Li15Siから形成された結晶ケイ素陽極は、約3600mAh/gの比容量を有することができ、グラファイト陽極よりも10倍近く増加する。しかしながら、Liキャリアイオンがケイ素陽極に挿入された際のケイ素の大きい体積変化(例えば、300%)に起因して、ケイ素陽極の使用は制限されてきた。この体積増加と、充電及び放電サイクルと関連するクラッキング及び微粉化とにより、ケイ素陽極の実際の使用は制限されてきた。加えて、ケイ素陽極を利用する二次バッテリの初期形成中の容量損失につながる、ケイ素陽極の不十分な初期クーロン効率(ICE)に起因して、ケイ素陽極の使用は制限されてきた。
【0005】
したがって、ケイ素系陽極を利用する二次バッテリの性能を改善すること、より具体的には、それらの不十分なICEに関してケイ素陽極が呈する問題を軽減することが望まれている。
【発明の概要】
【0006】
一態様では、二次バッテリ用の補助極は、導電層と、第1のキャリアイオン供給層と、第2のキャリアイオン供給層と、を含む。導電層は、X-Y平面内に第1の主面を有し、導電層は、導電性である材料を含み、第1の表面積を有する。第1のキャリアイオン注入層及び第2のキャリアイオン注入層の各々は、二次バッテリの電極にキャリアイオンを供給する材料を含む。第1のキャリアイオン供給層は、導電層の第1の主面の第1の領域を覆い、第2のキャリアイオン供給層は、導電層の第1の主面の第2の領域を覆う。第1の領域及び第2の領域は、第1の領域と第2の領域との間に延在する導電層の第3の領域によって分離される。第3の領域は、折り畳み構成において、第1の領域及び第2の領域が実質的に平行になるように、Y軸方向に沿って折り畳まれるように構成される。第3の領域は、折り畳み構成において第1の領域及び第2の領域に対して実質的に垂直である。
【0007】
別の態様では、緩衝システムは、二次バッテリと、補助極と、エンクロージャと、を含む。二次バッテリは、互いに反対側にある主面と、電気端子、とを有し、電気端子の各々は、二次バッテリの正極及び負極のうちの1つに結合される。二次バッテリは、負極と正極との間に微多孔質セパレータを含み、微多孔質セパレータは、負極及び正極とイオン接触する電解質で浸透される。負極は、陽極活性ケイ素又はその合金を含み、負極は、キャリアイオンのためのクーロン容量を有する。正極は、陰極活性材料を含み、正極は、キャリアイオンのクーロン容量を有する。負極クーロン容量は、正極クーロン容量を上回る。補助極は、二次バッテリの主面に接触する。補助極は、第1のセパレータ層と、導電層と、キャリアイオン供給層の集団と、第2のセパレータ層と、導電性タブと、を含む。第1のセパレータ層は、イオン透過性である材料を含む。導電層は、導電性である材料を含み、導電層は、第1のセパレータ層に接触する第1の表面と、第1の表面の反対側の第2の表面と、を有する。第2の表面は、導電層の第1の端部に配設された第1の領域と、第1の端部の反対側の導電層の第2の端部に配設された第2の領域と、第1の領域と第2の領域との間に配設された第3の領域と、にセグメント化される。キャリアイオン供給層の集団は各々、二次バッテリの正極のためのキャリアイオンを供給する材料を含む。キャリアイオン供給層のそれぞれ1つは、導電層の第1の領域及び第2の領域内に配設される。第2のセパレータ層は、イオン透過性である材料を含む。第2のセパレータ層は、導電層の第1の領域及び第2の領域内のキャリアイオン供給層を二次バッテリの主面から分離する。導電性タブは、導電性である材料を含む。導電性タブは、導電層の第3の領域内で導電層の第2の表面に結合された第1の端部と、第1の端部より遠位にある第2の端部と、を有する。エンクロージャは、電気端子及び導電性タブの第2の端部がエンクロージャの周囲から電気的に延在する状態で、補助極及び二次バッテリを封入する。
【0008】
更に別の態様では、補助極を使用してキャリアイオンで二次バッテリを緩衝する方法が提供される。二次バッテリは、互いに反対側にある主面と、電気端子と、を有する。本方法は、補助極を二次バッテリの主面と接触させて配置して、補助サブアセンブリを形成することを含む。電気端子の各々は、二次バッテリの正極及び負極のうちの1つに結合される。二次バッテリは、負極と正極との間に微多孔質セパレータを含み、微多孔質セパレータは、負極及び正極とイオン接触する電解質で浸透される。負極は、陽極活性ケイ素又はその合金を含み、負極は、キャリアイオンのためのクーロン容量を有する。正極は、陰極活性材料を含み、正極は、キャリアイオンのクーロン容量を有する。負極クーロン容量は、正極クーロン容量を上回る。補助極は、導電層と、二次バッテリの主面に近接する導電層上に配設されたキャリアイオン供給層と、キャリアイオン供給層と二次バッテリの主面との間に配設されたセパレータ層と、導電層に結合された導電性タブと、を含む。本方法は、補助サブアセンブリをエンクロージャ内に設置することを更に含み、二次バッテリの電気端子及び補助極の導電性タブは、エンクロージャの周囲から電気的に延在する。本方法はまた、二次バッテリの電気端子にわたって電位電圧を加えることによって、キャリアイオンを正極から負極に移動させて、二次バッテリを少なくとも部分的に充電することを含む。本方法は、補助極の導電性タブ及び二次バッテリの電気端子のうちの1つにわたって電位電圧を加えることによって、補助極のキャリアイオン供給層から二次バッテリの正極及び負極のうちの少なくとも1つにキャリアイオンを移動させることを更に含む。本方法は、負極が、キャリアイオンとして蓄積される正極クーロン容量の100%超を有するまで、二次バッテリの電気端子にわたって電位電圧を加えることによって、キャリアイオンを正極から負極に移動させて、二次バッテリを充電することを更に含む。
【0009】
上述の態様に関連して述べた特徴には、種々の改良が存在する。更なる特徴がまた、上述の態様に組み込まれてもよい。これらの改良及び追加の特徴は、個々に又は任意の組み合わせで存在し得る。例えば、例示される実施形態のいずれかに関連して以下で考察される種々の特徴は、単独で、又は任意の組み合わせで、前述の態様のいずれかに組み込まれてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】例示的な実施形態の二次バッテリの斜視図である。
図2図1の二次バッテリのユニットセルを描画する。
図3図2のユニットセルの陰極構造を描画する。
図4図2のユニットセルの陽極構造を描画する。
図5】例示的な実施形態の緩衝システムの斜視図を描画する。
図6図5の緩衝システムの分解図を描画する。
図7】例示的な実施形態の補助極の斜視図を描画する。
図8図7の補助極の分解図を描画する。
図9図7の補助極の組立プロセスの一段階における図7の補助極の斜視図である。
図10図7の補助極の組立プロセスの別の段階における図7の補助極の斜視図である。
図11図7の補助極に延在タブを追加する組立プロセスの更に別の段階における図7の補助極の斜視図である。
図12】緩衝システムの組立プロセスの一段階における図5の緩衝システムの斜視図である。
図13】緩衝システムの組立プロセスの別の段階における図5の緩衝システムの斜視図である。
図14】緩衝システムの組立プロセスにおける更に別の段階における図5の緩衝システムの斜視図である。
図15図14の緩衝システムの一部分の断面図である。
図16】緩衝システムの組立プロセスの更に別の段階における図5の緩衝システムの斜視図である。
図17】二次バッテリ上で緩衝プロセスを実施した後の図5の緩衝システムの斜視図である。
図18】例示的な実施形態の補助極を使用して、キャリアイオンで二次バッテリを緩衝する方法のフローチャートである。
図19図18の方法の更なる詳細を描画するフローチャートである。
図20図18の方法の更なる詳細を描画するフローチャートである。
図21図18の方法の更なる詳細を描画するフローチャートである。
【0011】
定義
本明細書で使用される「A」、「an」、及び「the」(すなわち、単数形)は、文脈が明示的に別様に示さない限り、複数参照を指す。例えば、一例では、「電極」への言及は、単一の電極及び複数の同様の電極の両方を含む。
【0012】
本明細書で使用される場合、「約」及び「およそ」は、記載される値のプラス又はマイナス10%、5%、又は1%を指す。例えば、一例では、約250マイクロメートル(μm)は、225μm~275μmを含む。更なる例として、一例では、約1,000μmは、900μm~1,100μmを含む。別途示されない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される数量(例えば、測定値、及び同様のもの)などを表す全ての数字は、「約」という用語によって全ての場合において修飾されていると理解されたい。したがって、別途逆の意味が示されない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載の数値パラメータは、近似値である。各数値パラメータは、少なくとも、報告された有意な桁の数に照らして、及び通常の丸め技法を適用することによって解釈されるべきである。
【0013】
二次バッテリの文脈において本明細書で使用される「陽極」は、二次バッテリ中の負極を指す。
【0014】
本明細書で使用される「陽極材料」又は「陽極活性」は、二次バッテリの負極として使用するのに好適な材料を意味する。
【0015】
二次バッテリに関連して本明細書で使用される「陰極」は、二次バッテリにおける正極を指す。
【0016】
本明細書で使用される「陰極材料」又は「陰極活性」は、二次バッテリの正極として使用するのに好適な材料を意味する。
【0017】
「変換化学活性材料」又は「変換化学材料」は、二次バッテリの充放電サイクル中に化学反応を起こす材料を指す。
【0018】
本明細書で使用される場合、「対極」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、二次バッテリの負極又は正極(陽極又は陰極)を指し得る。
【0019】
本明細書で使用される場合、「対極電流コレクタ」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、二次バッテリの負極電流コネクタの反対側の負又は正(陽極又は陰極)電流コレクタを指し得る。
【0020】
充電状態と放電状態との間の二次バッテリのサイクルの文脈で、本明細書で使用される「サイクル」は、充電状態又は放電状態のいずれかである第1の状態から、第1の状態の反対である第2の状態(すなわち、第1の状態が放電された場合は充電状態、又は第1の状態が充電された場合は放電状態)へのサイクルでバッテリを移動させるためにバッテリを充電及び/又は放電し、次いで、バッテリを第1の状態に戻してサイクルを完了することを指す。例えば、充電状態と放電状態との間の二次バッテリの単一のサイクルは、充電サイクルのように、バッテリを放電状態から充電状態に充電し、次いで放電状態に戻して、サイクルを完了することを含んでもよい。単一サイクルはまた、放電サイクルのように、バッテリを充電状態から放電状態に放電し、次いで充電状態に戻して充電し、サイクルを完了することを含んでもよい。
【0021】
本明細書で使用される場合、「電気化学的活性材料」は、陽極活性材料又は陰極活性材料を意味する。
【0022】
本明細書で使用される場合、「電極」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、二次バッテリの負極又は正極(陽極又は陰極)を指し得る。
【0023】
本明細書で使用される「電極電流コレクタ」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、二次バッテリの負又は正(陽極又は陰極)電流コレクタを指し得る。
【0024】
本明細書で使用される場合、「電極材料」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、陽極材料又は陰極材料を指し得る。
【0025】
本明細書で使用される場合、「電極構造」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、バッテリで使用するために適合された陽極構造(例えば、負極構造)又は陰極構造(例えば、正極構造)を指し得る。
【0026】
「容量」又は「C」は、本明細書で使用される場合、文脈上明らかにそうでない場合を除き、バッテリ(又は二重層を形成する電極構造及び対極構造の1つ以上の対を含むバッテリの下位部分)が所定の電圧において送達することができる電荷の量を指す。
【0027】
本明細書で使用される「電解質」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、バッテリで使用するように適合されたイオンの移動によって電流が運ばれる非金属の液体、ゲル、又は固体材料を指す。
【0028】
二次バッテリの状態の文脈において本明細書で使用される「充電状態」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、二次バッテリがその規定容量の少なくとも75%まで充電された状態を指す。例えば、バッテリは、その規定容量の少なくとも80%、その規定容量の少なくとも90%、更にはその規定容量の少なくとも95%、例えばその規定容量の100%まで充電されてもよい。
【0029】
負極に関連して本明細書で使用される「放電容量」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、所定の組のセル充電終了電圧限界とセル放電終了電圧限界との間のバッテリの放電動作中に、負極からの抽出及び正極への挿入に利用可能なキャリアイオンの量を意味する。
【0030】
二次バッテリの状態の文脈において本明細書で使用される「放電状態」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、二次バッテリがその規定容量の25%未満まで放電される状態を指す。例えば、バッテリは、その規定容量の20%未満、例えばその規定容量の10%未満、更にはその規定容量の5%未満、例えばその規定容量の0%まで放電されてもよい。
【0031】
電極(すなわち、正極、負極、又は補助極)に関連して本明細書で使用される「可逆的クーロン容量」は、対極との可逆的交換に利用可能なキャリアイオンについての電極の総容量を意味する。
【0032】
本明細書で使用される場合、「長手方向軸」、「横方向軸」、及び「垂直軸」は、相互に垂直な軸を指す(すなわち、各々が互いに直交する)。例えば、本明細書で使用される「長手方向軸」、「横方向軸」、及び「垂直軸」は、三次元の態様又は配向を定義するために使用されるデカルト座標系と同種である。このように、本明細書で開示される主題の要素の説明は、要素の三次元配向を記述するために使用される特定の軸に限定されない。代替的に述べると、軸は、開示の主題の三次元態様を参照するときに置き換え可能であり得る。
【0033】
本明細書で使用される「複合材料(composite material)」又は「複合材(composite)」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、2つ以上の構成材料を含む材料を指す。
【0034】
本明細書で使用される場合、「空隙率」又は「孔隙率」又は「空隙体積分率」は、材料中の空隙(すなわち、空の)空間の測定値を指し、0~1、又は0%~100%の百分率としての材料の全体積に対する空隙の体積の分率である。
【0035】
「ポリマー」は、本明細書で使用される場合、文脈上明らかにそうでない場合を除き、高分子の繰り返しサブユニットからなる物質又は材料を指し得る。
【0036】
本明細書で使用される場合、「微細構造」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、約25倍を超える倍率の光学顕微鏡によって明らかにされた材料の表面の構造を指し得る。
【0037】
本明細書で使用される場合、「微多孔質」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、約2ナノメートル未満の直径を有する細孔を含有する材料を指し得る。
【0038】
本明細書で使用される場合、「マクロ多孔質」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、約50ナノメートル超の直径を有する細孔を含有する材料を指し得る。
【0039】
本明細書で使用される「ナノスケール」又は「ナノスコピックスケール」は、約1ナノメートル~約100ナノメートルの範囲の長さスケールを有する構造を指し得る。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本開示の実施形態は、初期バッテリ形成中及び/又はその後に追加のキャリアイオンを提供する二次バッテリと電気化学的に結合された補助陽極を利用する二次バッテリにおいて、ケイ素系陽極に関連する不十分なICEの軽減又は改善などの利点を提供することができる。補助陽極の使用により、初期形成中の二次バッテリ内のキャリアイオンの初期損失が軽減され、それによって、例えば、形成後の二次バッテリの容量を増加させるという技術的利点を提供する。更に、バッテリ形成後の追加のキャリアイオンの導入により、二次反応を通して典型的に失われるキャリアイオンのサイクルベースの減少が軽減され、それによって、二次バッテリにおけるサイクルごとの容量損失を減少させるという技術的利点を提供する。更になお、バッテリ形成後の追加のキャリアイオンの導入は、陽極が追加のキャリアイオンを含むため、放電時に二次バッテリの陽極をより低い電位電圧に維持することによって二次バッテリのサイクル性能を改善する。一部の実施形態では、補助陽極は、形成後、二次バッテリから除去され、それによって、バッテリのエネルギー密度を増加させる技術的利点を提供する。
【0041】
図1は、例示的な実施形態の二次バッテリ100の斜視図であり、図2は、二次バッテリ100のためのユニットセル200を描画している。図1の二次バッテリ100は、以下で更に説明するように、二次バッテリの内部構造の一部分を示す露出した部分を有する。
【0042】
図1に例示するように、二次バッテリ100は、隣接する複数のサブユニット102を含む。各電極サブユニット102は、それぞれ、X軸、Y軸、及びZ軸の寸法を有する。X軸、Y軸、及びZ軸は、デカルト座標系と同様に、各々互いに垂直である。本明細書で使用されるとき、Z軸の各電極サブユニット102の寸法は「高さ」と称され得、X軸の寸法は「長さ」と称され得、Y軸の寸法は「幅」と称され得る。電極サブユニット102は、1つ以上ユニットセル200(図2参照)に組み合わせられてもよい。ユニットセル200の各々は、少なくとも1つの陽極活性材料層104と、少なくとも1つの陰極活性材料層106と、を含む。陽極活性材料層104及び陰極活性材料層106は、セパレータ層108によって互いに電気的に絶縁されている。本開示の好適な実施形態では、二次バッテリ100内の1~200個以上の電極サブユニット102など、任意の数の電極サブユニット102が使用され得ることを理解されたい。
【0043】
図1を参照すると、二次バッテリ100は、第1のバスバー110及び第2のバスバー112を含み、これらは、電極タブ114を介して、それぞれ、サブユニット102の各々の陽極活性材料層104及び陰極活性材料層106と電気的に接触している。電極タブ114は、図1の二次バッテリ100の第1の側面120上にのみ見えているが、異なる組の電極タブ114が二次バッテリの第2の側面121上に存在する。二次バッテリ100の第1の側面120上の電極タブ114は、陽極バスバーと称されることがある第1のバスバー110と電気的に結合される。二次バッテリ100(図1では見えない)の第2の側面121上の電極タブ114は、陰極バスバーと称されることがある第2のバスバー112に電気的に結合される。この実施形態では、第1のバスバー110は、導電性である二次バッテリ100の第1の電気端子124と電気的に結合される。第1のバスバー110が二次バッテリ100のための陽極バスバーを含む場合、第1の電気端子124は、二次バッテリ100のための負極端子を含む。更に、この実施形態では、第2のバスバー112は、導電性である二次バッテリ100の第2の電気端子125と電気的に結合される。第2のバスバー112が二次バッテリ100のための陰極バスバーを含む場合、第2の電気端子125は、二次バッテリ100のための正極端子を含む。
【0044】
一実施形態では、制約部と称され得るケーシング116が、二次バッテリ100のX-Y表面の一方又は両方の上に適用され得る。図1に示される実施形態では、ケーシング116は、二次バッテリ100が完全に組み立てられると、電解質の分配又は流れを容易にするための複数の穿孔118を含む。一実施形態では、ケーシング116は、SS301、SS316、440C又は440C硬質などのステンレス鋼を含む。他の実施形態では、ケーシング116は、アルミニウム(例えば、アルミニウム7075-T6、ハードH18など)、チタン(例えば、6Al-4V)、ベリリウム、ベリリウム銅(ハード)、銅(Oフリー、ハード)、ニッケル、他の金属又は金属合金、複合材料、ポリマー、セラミック(例えば、アルミナ(例えば、焼結又はCoorstek AD96)、ジルコニア(例えば、Coorstek YZTP)、イットリア安定化ジルコニア(例えば、ENrG E-Strate(登録商標)))、ガラス、強化ガラス、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)(例えば、Aptiv 1102)、炭素を有するPEEK(例えば、Victrex 90HMF40又はXycomp 1000-04)、炭素を有するポリフェニレン硫化物(PPS)(例えば、Tepex Dynalite 207)、30%のガラスを有するポリエテルケトン(PEEK)、(例えば、Victrex 90HMF40又はXycomp 1000-04)、ポリイミド(例えば、Kapton(登録商標))、E Glass Std Fabric/Epoxy、0度、E Glass UD/Epoxy、0度、Kevlar Std Fabric/Epoxy、0度、Kevlar UD/Epoxy、0度、Carbon Std Fabric/Epoxy、0度、Carbon UD/Epoxy、0度、Toyobo Zylon(登録商標)HM Fiber/Epoxy、Kevlar 49 Aramid Fiber、S Glass Fibers、Carbon Fibers、Vectran UM LCP Fibers、Dyneema、Zylon又は他の好適な材料を含む。
【0045】
一部の実施形態では、ケーシング116は、約10~約100マイクロメートル(μm)の範囲の厚さを有するシートを含む。一実施形態では、ケーシング116は、約30μmの厚さを有するステンレス鋼シート(例えば、SS316)を含む。別の実施形態では、ケーシング116は、約40μmの厚さを有するアルミニウムシート(例えば、7075-T6)を含む。別の実施形態では、ケーシング116は、約30μmの厚さを有するジルコニアシート(例えば、Coorstek YZTP)を含む。別の実施形態では、ケーシング116は、約75μmの厚さを有するEガラスUD/エポキシ0度シートを含む。別の実施形態では、ケーシング116は、>50%の充填密度で12μmの炭素繊維を含む。
【0046】
この実施形態では、二次バッテリ100は、第1の主面126と、第1の主面126の反対側の第2の主面127と、を含む。二次バッテリ100の主面126、127は、一部の実施形態では、実質的に平面であり得る。
【0047】
図1の切断線D-Dに沿って二次バッテリ100を描画する図2を参照すると、電極サブユニット102と同一又は類似であり得るユニットセル200の個々の層が示されている。ユニットセル200の各々について、一部の実施形態では、セパレータ層108は、二次バッテリにおけるセパレータとしての使用に好適なイオン透過性の微多孔質ポリマー材料である。一実施形態では、セパレータ層108は、片側又は両側がセラミック粒子でコーティングされる。この実施形態では、ユニットセル200は、中央に陽極電流コレクタ202を含み、これは、二次バッテリ100(図1参照)の側面120、121のうちの1つ上のタブ114のうちの1つを含むか、又はそれと電気的に結合されてもよい。ユニットセル200は、陽極活性材料層104と、セパレータ層108と、陰極活性材料層106と、陰極電流コレクタ204とを積層構造で更に含む。陰極電流コレクタ204は、陽極電流コレクタ202とは異なる、二次バッテリ100の側面120、121のうちの1つ上のタブ114のうちの1つを含んでもよく、又はそれと電気的に結合されてもよい。
【0048】
代替の実施形態では、陰極活性材料層106及び陽極活性材料層104の配置は、陰極活性材料層が中心に向かっており、陽極活性材料層が陰極活性材料層に対して遠位にあるように交換されてもよい。一実施形態では、ユニットセル200Aは、左から右に、連続して積層された、陽極電流コレクタ202、陽極活性材料層104、セパレータ層108、陰極活性材料層106、及び陰極電流コレクタ204を含む。代替の実施形態では、ユニットセル200Bは、左から右に連続して積層された、セパレータ層108、陰極活性材料層106の第1の層、陰極電流コレクタ204、陰極活性材料層106の第2の層、セパレータ層108、陽極活性材料層104の第1の層、陽極電流コレクタ202、陽極活性材料層104の第2の層、及びセパレータ層108を含む。
【0049】
図2では、陰極活性材料層106及び陰極電流コレクタ204を備える層状構造は、陰極構造206と称されることがあり、一方、陽極活性材料層104及び陽極電流コレクタ202を備える層状構造は、陽極構造207と称されることがある。集合的に、二次バッテリ100のための陰極構造206の集団は、二次バッテリ100の正極208と称されることがあり、二次バッテリ100のための陽極構造207の集団(陽極構造207のうちの1つのみが図2に示されている)は、二次バッテリ100の負極209と称されることがある。
【0050】
電圧差Vは、隣接する陰極構造206と陽極構造207との間に存在し、隣接する構造は、一部の実施形態では、二重層とみなされる。各二重層は、陰極構造206及び陽極構造207の構成及び構成によって決定される容量Cを有する。この実施形態では、各二重層は、約4.35ボルトの電圧差を生じる。他の実施形態では、各二重層は、約0.5ボルト、約1.0ボルト、約1.5ボルト、約2.0ボルト、約2.5ボルト、約3.0ボルト、約3.5ボルト、約4.0ボルト、4.5ボルト、約5.0ボルト、4~5ボルト、又は任意の他の好適な電圧の電圧差を有する。充電状態と放電状態との間のサイクル中、電圧は、例えば、約2.5ボルトと約4.35ボルトとの間で変動し得る。この実施形態における二重層の容量Cは、約3.5ミリアンペア時(mAh)である。他の実施形態では、二重層の容量Cは、約2mAh、5mAh未満、又は任意の他の好適な容量である。一部の実施形態では、二重層の容量Cは、最大約10mAhであり得る。
【0051】
陰極電流コレクタ204は、アルミニウム、ニッケル、コバルト、チタン、及びタングステン、又はそれらの合金、又は陰極電流コレクタ層として使用するのに好適な任意の他の材料を含み得る。概して、陰極電流コレクタ204は、少なくとも約10シーメンス/cmの導電率を有する。例えば、かかる一実施形態では、陰極電流コレクタ204は、少なくとも約10シーメンス/cmの導電率を有する。更なる例として、かかる一実施形態では、陰極電流コレクタ204は、少なくとも約10シーメンス/cmの導電率を有する。一般に、陰極電流コレクタ204は、アルミニウム、炭素、クロム、金、ニッケル、NiP、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、ケイ素及びニッケルの合金、チタン、又はそれらの組み合わせなどの金属を含み得る(A.H.Whitehead及びM.Schreiberによる「Current collectors for positive electrodes of lithium-based batteries」、Journal of the Electrochemical Society、152(11)A2105-A2113(2005)を参照されたい)。更なる例として、一実施形態では、陰極電流コレクタ204は、金又は金シリサイドなどのその合金を含む。更なる例として、一実施形態では、陰極電流コレクタ204は、ニッケル、又はニッケルシリサイドなどのその合金を含む。
【0052】
陰極活性材料層106は、インターカレーション型化学活性材料、変換化学活性材料、又はそれらの組み合わせであり得る。
【0053】
本開示で有用な例示的な変換化学材料としては、S(又はリチウム化状態のLiS)、LiF、Fe、Cu、Ni、FeF、FeO3.2d、FeF、CoF、CoF、CuF、NiFなどが挙げられるが、これらに限定されず、式中、0≦d≦0.5及び同様のものである。
【0054】
例示的な陰極活性材料層106はまた、広範囲のインターカレーション型陰極活性材料のいずれかを含む。例えば、リチウムイオンバッテリの場合、陰極活性材料は、遷移金属酸化物、遷移金属硫化物、遷移金属窒化物、リチウム遷移金属酸化物、リチウム遷移金属硫化物から選択される陰極活性材料を含み得、リチウム遷移金属窒化物は、選択的に使用され得る。これらの遷移金属酸化物、遷移金属硫化物、及び遷移金属窒化物の遷移金属元素は、dシェル又はfシェルを有する金属元素を含むことができる。かかる金属元素の具体的な例は、Sc、Y、ランタノイド、アクチノイド、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pb、Pt、Cu、Ag、及びAuである。追加の陰極活性材料としては、LiCoO、LiNi0.5Mn1.5、Li(NiCoAl)O、LiFePO、LiMnO、V、モリブデンオキシスルフィド、リン酸塩、ケイ酸塩、バナジン酸塩、硫黄、硫黄化合物、酸素(空気)、Li(NiMnCo)O、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0055】
概して、陰極活性材料層106は、少なくとも約20μmの厚さを有する。例えば、一実施形態では、陰極活性材料層106は、少なくとも約40μmの厚さを有する。更なる例として、かかる一実施形態では、陰極活性材料層106は、少なくとも約60μmの厚さを有する。更なる例として、かかる一実施形態では、陰極活性材料層106は、少なくとも約100μmの厚さを有する。典型的には、陰極活性材料層106は、約90μm未満又は約70μm未満の厚さを有する。
【0056】
図3は、図2の陰極構造206のうちの1つを描画している。各陰極構造206は、長手方向軸(ACE)に沿って測定された長さ(LCE)と、幅(WCE)と、長さLCE及び幅WCEの測定方向の各々に対して垂直である方向に測定された高さ(HCE)と、を有する。
【0057】
陰極構造206の全長LCEは、二次バッテリ100及びその意図される用途に依存して変化する。しかしながら、概して、各陰極構造206は、典型的には、約5ミリメートル(mm)~約500mmの範囲の長さLCEを有する。例えば、かかる一実施形態では、各陰極構造206は、約10mm~約250mmの長さLCEを有する。更なる例として、かかる一実施形態では、各陰極構造206は、約25mm~約100mmの長さLCEを有する。一実施形態によれば、陰極構造206は、第1の長さを有する1つ以上の第1の電極部材と、第1の長さとは異なる第2の長さを有する1つ以上の第2の電極部材と、を含む。更に別の実施形態では、1つ以上の第1の電極部材及び1つ以上の第2の電極部材の異なる長さは、長手方向及び/又は横方向の軸のうちの1つ以上に沿って異なる長さを有する電極アセンブリ形状などの電極アセンブリの所定の形状に適合するように、かつ/又は二次バッテリ100の所定の性能特性を提供するように選択され得る。
【0058】
陰極構造206の幅WCEは、二次バッテリ100及びその意図される用途に依存して変化する。しかしながら、概して、陰極構造206は、典型的には、約0.01mm~2.5mmの範囲内の幅WCEを有する。例えば、一実施形態では、各陰極構造206の幅WCEは、約0.025mm~約2mmの範囲である。更なる例として、一実施形態では、各陰極構造206の幅WCEは、約0.05mm~約1mmの範囲である。一実施形態によれば、陰極構造206は、第1の幅を有する1つ以上の第1の電極部材と、第1の幅とは異なる第2の幅を有する1つ以上の第2の電極部材と、を含む。更に別の実施形態では、1つ以上の第1の電極部材及び1つ以上の第2の電極部材の異なる幅は、長手方向及び/又は横方向の軸のうちの1つ以上に沿って異なる幅を有するアセンブリなどの二次バッテリ100の所定の形状に適合するように、かつ/又は二次バッテリ100の所定の性能特性を提供するように選択され得る。
【0059】
陰極構造206の高さHCEは、二次バッテリ100及びその意図される用途に依存して変化する。しかしながら、概して、陰極構造206は、典型的には、約0.05mm~約25mmの範囲内の高さHCEを有する。例えば、一実施形態では、各陰極構造206の高さHCEは、約0.05mm~約5mmの範囲である。更なる例として、一実施形態では、各陰極構造206の高さHCEは、約0.1mm~約1mmの範囲である。一実施形態によれば、陰極構造206は、第1の高さを有する1つ以上の第1の陰極部材と、第1の高さとは異なる第2の高さを有する1つ以上の第2の陰極部材と、を含む。更に別の実施形態では、1つ以上の第1の陰極部材及び1つ以上の第2の陰極部材の異なる高さは、長手方向及び/又は横方向の軸のうちの1つ以上に沿って異なる高さを有する形状などの二次バッテリ100の所定の形状に適合するように、かつ/又は二次バッテリ100の所定の性能特性を提供するように選択され得る。
【0060】
概して、各陰極構造206は、その幅WCEよりも実質的に大きく、その高さHCEよりも実質的に大きい長さLCEを有する。例えば、一実施形態では、陰極構造206の各々について、LCEとWCE及びHCEの各々との比は、それぞれ少なくとも5:1である(すなわち、LCEとWCEとの比は、それぞれ少なくとも5:1であり、LCEとHCEとの比は、それぞれ少なくとも5:1である)。更なる例として、一実施形態では、WCE及びHCEの各々に対するLCEの比は、各陰極構造206について少なくとも10:1である。更なる例として、一実施形態では、WCE及びHCEの各々に対するLCEの比は、各陰極構造206について少なくとも15:1である。更なる例として、一実施形態では、WCE及びHCEの各々に対するLCEの比は、各陰極構造206について少なくとも20:1である。
【0061】
一実施形態では、陰極構造206の幅WCEに対する高さHCEの比は、それぞれ少なくとも0.4:1である。例えば、一実施形態では、HCE対WCEの比は、各陰極構造206について、それぞれ少なくとも2:1である。更なる例として、一実施形態では、HCE対WCEの比は、各陰極構造206について、それぞれ少なくとも10:1である。更なる例として、一実施形態では、HCE対WCEの比は、各陰極構造206について、それぞれ少なくとも20:1である。しかしながら、典型的には、HCE対WCEの比は、概して、各陰極構造206について、それぞれ1,000:1未満である。例えば、一実施形態では、HCE対WCEの比は、各陰極構造206について、それぞれ500:1未満である。更なる例として、一実施形態では、HCE対WCEの比は、それぞれ100:1未満である。更なる例として、一実施形態では、HCE対WCEの比は、それぞれ10:1未満である。更なる例として、一実施形態では、HCE対WCEの比は、各陰極構造206について、それぞれ約2:1~約100:1の範囲である。
【0062】
陽極型構造及び材料
再び図2を参照すると、ユニットセル200内の陽極電流コレクタ202は、銅、炭素、ニッケル、ステンレス鋼、コバルト、チタン、及びタングステン、並びにそれらの合金などの導電性材料、又は陽極電流コレクタ層として好適な任意の他の材料を含み得る。概して、陽極電流コレクタ202は、少なくとも約10シーメンス/cmの導電率を有する。例えば、かかる一実施形態では、陽極電流コレクタ202は、少なくとも約10シーメンス/cmの導電率を有する。更なる例として、かかる一実施形態では、陽極電流コレクタ202は、少なくとも約10シーメンス/cmの導電率を有する。
【0063】
概して、ユニットセル200内の陽極活性材料層104は、(a)ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、及びカドミウム(Cd)、(b)Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Zn、Al、Ti、Ni、Co、又はCdと他の元素との合金又は金属間化合物、(c)Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Zn、Al、Ti、Fe、Ni、Co、V、又はCdの酸化物、炭化物、窒化物、硫化物、リン化物、セレン化物、及びテルル化物、並びにそれらの混合物、複合物、又はリチウム含有複合物、(d)Snの塩及び水酸化物、(e)チタン酸リチウム、マンガン酸リチウム、アルミン酸リチウム、リチウム含有酸化チタン、リチウム遷移金属酸化物、ZnCo2O4、(f)グラファイト及び炭素の粒子、(g)リチウム金属、及び(h)それらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0064】
例示的な陽極活性材料層104としては、グラファイト及び軟質又は硬質炭素、又はグラフェン(例えば、単層又は多層カーボンナノチューブ)などの炭素材料、若しくは、リチウムをインターカレートし、又はリチウムと合金を形成することができる金属、半金属、合金、酸化物、窒化物、及び化合物の範囲のいずれかが挙げられる。陽極材料を構成することができる金属又は半金属の具体的な例としては、グラファイト、スズ、鉛、マグネシウム、アルミニウム、ホウ素、ガリウム、ケイ素、Si/C複合材料、Si/グラファイトブレンド、酸化ケイ素(SiOx)、多孔質Si、金属間Si合金、インジウム、ジルコニウム、ゲルマニウム、ビスマス、カドミウム、アンチモン、銀、亜鉛、ヒ素、ハフニウム、イットリウム、リチウム、ナトリウム、グラファイト、炭素、チタン酸リチウム、パラジウム、及びそれらの混合物が挙げられる。例示的な一実施形態では、陽極活性材料は、アルミニウム、スズ、又はケイ素、又はその酸化物、その窒化物、そのフッ化物、又はその他の合金を含む。別の例示的な実施形態では、陽極活性材料層104は、ケイ素又はその合金若しくは酸化物を含む。
【0065】
一実施形態では、陽極活性材料層104は、二次バッテリ100の充電及び放電プロセス中にリチウムイオン(又は他のキャリアイオン)が陽極活性材料層104内に組み込まれるか、又は陽極活性材料層104から出るときの体積膨張及び収縮に対応するために、著しい空隙体積分率を提供するように微細構造化される。概して、陽極活性材料層104(の各々)の空隙体積分率は、少なくとも0.1である。しかしながら、典型的には、陽極活性材料層104(の各々)の空隙体積分率は、0.8以下である。例えば、一実施形態では、陽極活性材料層104(の各々)の空隙体積分率は、約0.15~約0.75である。更なる例として、一実施形態では、陽極活性材料層104(の各々)の空隙体積分率は、約0.2~約0.7である。更なる例として、一実施形態では、陽極活性材料層104(の各々)の空隙体積分率は、約0.25~約0.6である。
【0066】
微細構造化陽極活性材料層104の組成及びそれらの形成方法に応じて、微細構造化陽極活性材料層104は、マクロ多孔質、微多孔質、若しくはメソ多孔質材料層、又は微多孔質とメソ多孔質の組み合わせ、若しくはメソ多孔質とマクロ多孔質の組み合わせなどのそれらの組み合わせを含み得る。微多孔質材料は、典型的には、10ナノメートル(nm)未満の細孔寸法、10nm未満の壁寸法、1μm~50μmの細孔深さ、及び「スポンジ状」で不規則な外観、滑らかでない壁、及び分岐した細孔によって概して特徴付けられる細孔形態によって特徴付けられる。メソ多孔質材料は、典型的には、10nm~50nmの細孔寸法、10nm~50nmの壁寸法、1μm~100μmの細孔深さ、及び幾分明確に画定された分岐細孔又は樹枝状細孔によって概して特徴付けられる細孔形態によって特徴付けられる。マクロ多孔質材料は、典型的には、50nm超の細孔寸法、50nm超の壁寸法、1μm~500μmの細孔深さ、及び種々の、直線状、分岐状、又は樹枝状、及び平滑又は粗壁であり得る細孔形態によって特徴付けられる。加えて、空隙体積は、開いた空隙又は閉じた空隙、若しくはそれらの組み合わせを含み得る。一実施形態では、空隙体積は、開いた空隙を含み、すなわち、陽極活性材料層104は、陽極活性材料層の側面に、リチウムイオン(又は他のキャリアイオン)が出入りすることができる開口部を有する空隙を含む。例えば、リチウムイオンは、陰極活性材料層106を離れた後、空隙開口部を通って陽極活性材料層104に入ることができる。別の実施形態では、空隙体積は閉じた空隙を含み、すなわち、陽極活性材料層104は、囲まれている空隙を含む。概して、開いた空隙は、キャリアイオンに対してより大きい界面表面積を提供することができ、一方、閉じた空隙は、SEI形成の影響を受けにくい傾向があり、各々がキャリアイオンの進入時に陽極活性材料層104の膨張のための余地を提供する。したがって、特定の実施形態では、陽極活性材料層104は、開いた空隙と閉じた空隙との組み合わせを含むことが好ましい。
【0067】
一実施形態では、陽極活性材料層104は、多孔質アルミニウム、スズ、若しくはケイ素、又はそれらの合金、酸化物、若しくは窒化物を含む。多孔質ケイ素層は、例えば、陽極酸化によって、エッチングによって(例えば、金、白金、銀、又は金/パラジウムなどの貴金属を単結晶ケイ素の表面に堆積させ、表面をフッ化水素酸及び過酸化水素の混合物でエッチングすることによって)、又はパターン化された化学エッチングなどの当技術分野で既知の他の方法によって形成され得る。加えて、多孔質陽極活性材料層104は、概して、少なくとも約0.1であるが0.8未満の多孔率を有し、約1μm~約100μmの厚さを有する。例えば、一実施形態では、陽極活性材料層104は、多孔質ケイ素を含み、約5μm~約100μmの厚さを有し、約0.15~約0.75の多孔率を有する。更なる例として、一実施形態では、陽極活性材料層104は、多孔質ケイ素を含み、約10μm~約80μmの厚さを有し、約0.15~約0.7の多孔率を有する。更なる例として、かかる一実施形態では、陽極活性材料層104は、多孔質ケイ素を含み、約20μm~約50μmの厚さを有し、約0.25~約0.6の多孔率を有する。更なる例として、一実施形態では、陽極活性材料層104は、多孔質ケイ素合金(ニッケルシリサイドなど)を含み、約5μm~約100μmの厚さを有し、約0.15~約0.75の多孔率を有する。
【0068】
別の実施形態では、陽極活性材料層104は、アルミニウム、スズ、若しくはケイ素、又はそれらの合金の繊維を含む。個々の繊維は、約5nm~約10,000nmの直径(厚さ寸法)と、陽極活性材料層104の厚さに概ね対応する長さとを有し得る。ケイ素の繊維(ナノワイヤ)は、例えば、化学気相堆積又は気相液体固体(VLS)成長及び固体液体固体(SLS)成長などの当技術分野で既知の他の技法によって形成され得る。加えて、陽極活性材料層104は、概して、少なくとも約0.1であるが0.8未満の多孔率を有し、約1μm~約200μmの厚さを有する。例えば、一実施形態では、陽極活性材料層104は、ケイ素ナノワイヤを含み、約5μm~約100μmの厚さ、及び約0.15~約0.75の多孔率を有する。更なる例として、一実施形態では、陽極活性材料層104は、ケイ素ナノワイヤを含み、約10μm~約80μmの厚さ、及び約0.15~約0.7の多孔率を有する。更なる例として、かかる一実施形態では、陽極活性材料層104は、ケイ素ナノワイヤを含み、約20μm~約50μmの厚さ、及び約0.25~約0.6の多孔率を有する。更なる例として、一実施形態では、陽極活性材料層104は、ケイ素合金(ニッケルシリサイドなど)のナノワイヤを含み、約5μm~約100μmの厚さ、及び約0.15~約0.75の多孔率を有する。
【0069】
更に他の実施形態では、陽極活性材料層104は、安定化リチウム金属粒子、例えば、炭酸リチウム安定化リチウム金属粉末、ケイ酸リチウム安定化リチウム金属粉末、又は安定化リチウム金属粉末若しくはインクの他の供給源からなる群から選択される粒子状リチウム材料でコーティングされる。粒子状リチウム材料は、約0.05mg/cm~5mg/cm、例えば、約0.1mg/cm~4mg/cm、又は更に約0.5mg/cm~3mg/cmの充填量で、リチウム粒子材料を陽極活性材料層104上に噴霧、充填、又は別様に配設することによって、陽極活性材料層104上に適用されてもよい。リチウム粒子状材料の平均粒径(D50)は、5μm~200μm、例えば、約10μm~100μm、20μm~80μm、又は更には約30μm~50μmであり得る。平均粒径(D50)は、累積体積ベースの粒径分布曲線での50%に対応する粒径として定義され得る。平均粒径(D50)は、例えば、レーザ回折法を使用して測定され得る。
【0070】
一実施形態では、陽極電流コレクタ202は、その関連する陽極活性材料層104の電気コンダクタンスよりも実質的に大きい電気コンダクタンスを有する。例えば、一実施形態では、二次バッテリ100にエネルギーを蓄積するための印加電流、又は二次バッテリ100を放電するための印加負荷があるとき、陽極電流コレクタ202の電気コンダクタンスと陽極活性材料層104の電気コンダクタンスとの比は、少なくとも100:1である。更なる例として、一部の実施形態では、二次バッテリ100内にエネルギーを蓄積するための印加電流、又は二次バッテリ100を放電するための印加負荷があるとき、陽極電流コレクタ202の電気コンダクタンスと陽極活性材料層104の電気コンダクタンスとの比は、少なくとも500:1である。更なる例として、一部の実施形態では、二次バッテリ100内にエネルギーを蓄積するための印加電流、又は二次バッテリ100を放電するための印加負荷があるとき、陽極電流コレクタ202の電気コンダクタンスと陽極活性材料層104の電気コンダクタンスとの比は、少なくとも1000:1である。更なる例として、一部の実施形態では、二次バッテリ100内にエネルギーを蓄積するための印加電流、又は二次バッテリ100を放電するための印加負荷があるとき、陽極電流コレクタ202の電気コンダクタンスと陽極活性材料層104の電気コンダクタンスとの比は、少なくとも5000:1である。更なる例として、一部の実施形態では、二次バッテリ100内にエネルギーを蓄積するための印加電流、又は二次バッテリ100を放電するための印加負荷があるとき、陽極電流コレクタ202の電気コンダクタンスと陽極活性材料層104の電気コンダクタンスとの比は、少なくとも10000:1である。
【0071】
図4は、例示的な実施形態の図2の陽極構造207のうちの1つを描画している。各陽極構造207は、電極の長手方向軸(A)に沿って測定された長さ(L)と、幅(W)と、長さL及び幅Wの測定方向の各々に直交する方向に測定された高さ(H)と、を有する。
【0072】
陽極構造207の全長Lは、二次バッテリ100及びその意図される用途に依存して変化する。しかしながら、概して、陽極構造207は、典型的には、約5ミリメートル(mm)~約500mmの範囲の全長Lを有する。例えば、かかる一実施形態では、陽極構造207は、約10mm~約250mmの全長Lを有する。更なる例として、かかる一実施形態では、陽極構造207は、約25mm~約100mmの全長Lを有する。一実施形態によれば、陽極構造207は、第1の長さを有する1つ以上の第1の電極部材と、第1の長さとは異なる第2の長さを有する1つ以上の第2の電極部材と、を含む。更に別の実施形態では、1つ以上の第1の電極部材及び1つ以上の第2の電極部材の異なる長さは、長手方向及び/又は横方向の軸のうちの1つ以上に沿って異なる長さを有する形状などの二次バッテリ100の所定の形状に適合するように、かつ/又は二次バッテリ100の所定の性能特性を提供するように選択され得る。
【0073】
陽極構造207の幅Wは、二次バッテリ100及びその意図される用途に依存して変化する。しかしながら、概して、各陽極構造207は、典型的には、約0.01mm~2.5mmの範囲内の幅Wを有する。例えば、一実施形態では、各陽極構造207の幅Wは、約0.025mm~約2mmの範囲である。更なる例として、一実施形態では、各陽極構造207の幅Wは、約0.05mm~約1mmの範囲である。一実施形態によれば、陽極構造207は、第1の幅を有する1つ以上の第1の電極部材と、第1の幅とは異なる第2の幅を有する1つ以上の第2の電極部材と、を含む。更に別の実施形態では、1つ以上の第1の電極部材及び1つ以上の第2の電極部材の異なる幅は、長手方向及び/又は横方向の軸のうちの1つ以上に沿って異なる幅を有する形状などの二次バッテリ100の所定の形状に適合するように、かつ/又は二次バッテリ100の所定の性能特性を提供するように選択され得る。
【0074】
陽極構造207の高さHは、二次バッテリ100及びその意図される用途に依存して変化する。しかしながら、概して、陽極構造207は、典型的には、約0.05mm~約25mmの範囲内の高さHを有する。例えば、一実施形態では、各陽極構造207の高さHは、約0.05mm~約5mmの範囲である。更なる例として、一実施形態では、各陽極構造207の高さHは、約0.1mm~約1mmの範囲である。一実施形態によれば、陽極構造207は、第1の高さを有する1つ以上の第1の電極部材と、第1の高さとは異なる第2の高さを有する1つ以上の第2の電極部材と、を含む。更に別の実施形態では、1つ以上の第1の電極部材及び1つ以上の第2の電極部材の異なる高さは、長手方向及び/又は横方向の軸のうちの1つ以上に沿って異なる高さを有する形状などの二次バッテリ100の所定の形状に適合するように、かつ/又は二次バッテリ100の所定の性能特性を提供するように選択され得る。
【0075】
概して、陽極構造207は、各々、その幅W及びその高さHの各々よりも実質的に大きい長さLを有する。例えば、一実施形態では、陽極構造207の各々について、LとW及びHの各々との比は、それぞれ少なくとも5:1である(すなわち、LとWとの比は、それぞれ少なくとも5:1であり、LとHとの比は、それぞれ少なくとも5:1である)。更なる例として、一実施形態では、W及びHの各々に対するLの比は、少なくとも10:1である。更なる例として、一実施形態では、W及びHの各々に対するLの比は、少なくとも15:1である。更なる例として、一実施形態では、W及びHの各々に対するLの比は、各陽極構造207について少なくとも20:1である。
【0076】
一実施形態では、陽極構造207の幅Wに対する高さHの比は、それぞれ少なくとも0.4:1である。例えば、一実施形態では、H対Wの比は、各陽極構造207について、それぞれ少なくとも2:1である。更なる例として、一実施形態では、H対Wの比は、それぞれ少なくとも10:1である。更なる例として、一実施形態では、H対Wの比は、それぞれ少なくとも20:1である。しかしながら、典型的には、H対Wの比は、概して、それぞれ1,000:1未満である。例えば、一実施形態では、H対Wの比は、それぞれ500:1未満である。更なる例として、一実施形態では、H対Wの比は、それぞれ100:1未満である。更なる例として、一実施形態では、H対Wの比は、それぞれ10:1未満である。更なる例として、一実施形態では、H対Wの比は、各陽極構造207について、それぞれ約2:1~約100:1の範囲である。
【0077】
セパレータ構造、セパレータ材料、及び電解質
再び図2を参照すると、セパレータ層(複数可)108は、陰極構造206を陽極構造207から分離する。セパレータ層108は、電気絶縁性であるがイオン透過性のセパレータ材料から作製される。セパレータ層108は、複数の陰極構造206の各部材を複数の陽極構造207の各部材から電気的に絶縁するように適合される。各セパレータ層108は、典型的には、非水性電解質を浸透させることができる微多孔質セパレータ材料を含むことになり、例えば、一実施形態では、微多孔質セパレータ材料は、少なくとも50オングストローム(Å)、より典型的には約2,500Åの範囲の直径、及び約25%~約75%の範囲内、より典型的には約35~55%の範囲内の多孔率を有する細孔を含む。
【0078】
概して、セパレータ層108は各々少なくとも約4μmの厚さを有する。例えば、一実施形態では、セパレータ層108は、少なくとも約8μmの厚さを有する。更なる例として、かかる一実施形態では、セパレータ層108は、少なくとも約12μmの厚さを有する。更なる例として、かかる一実施形態では、セパレータ層108は、少なくとも約15μmの厚さを有する。一部の実施形態では、セパレータ層108は、最大25μm、最大50μmの厚さ、又は任意の他の好適な厚さを有する。しかしながら、典型的には、セパレータ層108は、約12μm未満又は約10μm未満の厚さを有する。
【0079】
概して、セパレータ層108の材料は、ユニットセル200の陽極活性材料層104と陰極活性材料層106との間でキャリアイオンを伝導させる能力を有する広範囲の材料から選択することができる。例えば、セパレータ層108は、液体非水性電解質を浸透させることができる微多孔質セパレータ材料を含み得る。代替的に、セパレータ層108は、ユニットセル200の陽極活性材料層104と陰極活性材料層106との間でキャリアイオンを伝導させることができるゲル又は固体電解質を含み得る。
【0080】
一実施形態では、セパレータ層108は、ポリマー系電解質を含み得る。例示的なポリマー電解質としては、PEO系ポリマー電解質及びポリマー-セラミック複合電解質が挙げられる。
【0081】
別の実施形態では、セパレータ層108は、酸化物系電解質を含み得る。例示的な酸化物系電解質としては、チタン酸ランタンリチウム(Li0.34La0.56TiO)、Alドープランタンジルコン酸リチウム(Li6.24LaZrAl0.2411.98)、Taドープランタンジルコン酸リチウム(Li6.4LaZr1.4Ta0.612)、及びリン酸アルミニウムチタンリチウム(Li1.4Al0.4Ti1.6(PO)が挙げられる。
【0082】
別の実施形態では、セパレータ層108は、固体電解質を含み得る。例示的な固体電解質としては、硫化スズリチウム(Li10SnP12)、硫化リンリチウム(β-LiPS)及びヨウ化塩化リン硫黄リチウム(LiPSCl0.90.1)などの硫化物系電解質が挙げられる。
【0083】
一部の実施形態では、セパレータ層108は、リチウム充填ガーネットなどの固体リチウムイオン伝導性セラミックを含み得る。
【0084】
一実施形態では、セパレータ層108は、粒子状材料及び結合剤を含む微多孔質セパレータ材料を含み、微多孔質セパレータ材料は、少なくとも約20体積%の気孔率(空隙率)を有する。微多孔質セパレータ材料の細孔は、少なくとも50Åの直径を有し、典型的には約250Å~約2500Åの範囲内にある。微多孔質セパレータ材料は、典型的には、約75%未満の多孔率を有する。一実施形態では、微多孔質セパレータ材料は、少なくとも約25体積%の多孔率(空隙率)を有する。一実施形態では、微多孔質セパレータ材料は、約35~55%の多孔率を有する。
【0085】
微多孔質セパレータ材料のための結合剤は、広範囲の無機材料又はポリマー材料から選択され得る。例えば、一実施形態では、結合剤は、ケイ酸塩、リン酸塩、アルミニウム酸塩、アルミノケイ酸塩、及び水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどの水酸化物からなる群から選択される有機材料である。例えば、一実施形態では、結合剤は、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロプロペンなどを含有するモノマーから誘導されるフルオロポリマーである。別の実施形態では、結合剤は、様々な分子量及び密度の範囲のいずれかを有する、ポリエチレン、ポリプロピレン、又はポリブテンなどのポリオレフィンである。別の実施形態では、結合剤は、エチレン-ジエンプロペンターポリマー、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレングリコール、ポリビニルアセテート、ポリビニルブチラール、ポリアセタール、及びポリエチレングリコールジアクリレートからなる群から選択される。別の実施形態では、結合剤は、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、スチレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、イソプレンゴム、ポリアクリルアミド、ポリビニルエーテル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、及びポリエチレンオキシドからなる群から選択される。別の実施形態では、結合剤は、アクリレート、スチレン、エポキシ、及びシリコーンからなる群から選択される。別の実施形態では、結合剤は、前述のポリマーのうちの2つ以上のコポリマー又はブレンドである。
【0086】
微多孔質セパレータ材料によって構成される微粒子材料は、幅広い材料から選択され得る。概して、かかる材料は、動作温度において比較的低い電子導電率及びイオン導電率を有し、微多孔質セパレータ材料に接触するバッテリ電極又は電流コレクタの動作電圧下で腐食しない。例えば、一実施形態では、粒子材料は、1×10-4シーメンス/cm(S/cm)未満のキャリアイオン(例えば、リチウム)の導電率を有する。更なる例として、一実施形態では、粒子材料は、1×10-5S/cm未満のキャリアイオンの導電率を有する。更なる例として、一実施形態では、粒子材料は、1×10-6S/cm未満のキャリアイオンの導電率を有する。例示的な粒子材料としては、粒子状ポリエチレン、ポリプロピレン、TiO-ポリマー複合体、シリカエアロゲル、フュームドシリカ、シリカゲル、シリカヒドロゲル、シリカセロゲル、シリカソル、コロイド状シリカ、アルミナ、チタン、マグネシア、カオリン、タルク、珪藻土、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、又はそれらの組み合わせが挙げられる。例えば、一実施形態では、粒子材料は、TiO、SiO、Al、GeO、B、Bi、BaO、ZnO、ZrO、BN、Si、及びGe3N4などの粒子酸化物又は窒化物を含む。例えば、P.Arora and J.Zhang,“Battery Separators”Chemical Reviews 2004,104,4419-4462を参照されたい。一実施形態では、粒子状材料は、約20nm~2μm、より典型的には200nm~1.5μmの平均粒径を有する。一実施形態では、粒子状材料は、約500nm~1μmの平均粒径を有する。
【0087】
代替の実施形態では、微多孔質セパレータ材料によって構成される粒子材料は、バッテリの機能のためのイオン導電率を提供するために電解質の浸入に望ましい空隙率を維持しながら、焼結、結合、硬化などの技法によって結合され得る。
【0088】
二次バッテリ100(図1参照)において、セパレータ層108の微多孔質セパレータ材料には、二次バッテリ電解質として使用するのに好適な非水性電解質が浸透している。典型的には、非水性電解質は、有機溶媒及び/又は溶媒混合物に溶解したリチウム塩及び/又は塩の混合物を含む。例示的なリチウム塩としては、LiClO、LiBF、LiPF、LiAsF、LiCl、及びLiBrなどの無機リチウム塩、並びにLiB(C、LiN(SOCF、LiN(SOCF、LiNSOCF、LiNSOCF、LiNSO、LiNSO11、LiNSO13、及びLiNSO15などの有機リチウム塩が挙げられる。リチウム塩を溶解するための例示的な有機溶媒としては、環状エステル、鎖エステル、環状エーテル、及び鎖エーテルが挙げられる。環状エステルの具体例としては、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ-ブチロラクトン、ビニレンカーボネート、2-メチル-γ-ブチロラクトン、アセチル-γ-ブチロラクトン、及びγ-ベレロラクトンが挙げられる。鎖エステルの具体例としては、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジブチル、炭酸ジプロピル、炭酸メチルエチル、炭酸メチルブチル、炭酸メチルプロピル、炭酸エチルブチル、炭酸エチルプロピル、炭酸ブチルプロピル、プロピオン酸アルキル、マロン酸ジアルキル、及び酢酸アルキルが挙げられる。環状エーテルの具体例としては、テトラヒドロフラン、アルキルテトラヒドロフラン、ジアルキルテトラヒドロフラン、アルコキシテトラヒドロフラン、ジアルコキシテトラヒドロフラン、1,3-ジオキソラン、アルキル-1,3-ジオキソラン、及び1,4-ジオキソランが挙げられる。鎖エーテルの具体例としては、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、ジエチルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル、及びテトラエチレングリコールジアルキルエーテルが挙げられる。
【0089】
本開示の追加の実施形態
リチウムコバルト酸化物などの陰極活性材料は、リチウム化グラファイトなどのリチウム化陽極材料と比較して、周囲空気中で比較的安定である(例えば、それらは酸化に耐える)ため、二次バッテリが組み立てられるとき、陽極と陰極との間の循環に利用可能なキャリアイオンの量は、多くの場合、最初に陰極に提供される。二次バッテリが初めて充電されるとき、キャリアイオンは陰極から抽出され、陽極に導入される。その結果、陽極電位は著しく(キャリアイオンの電位に向かって)低下し、陰極電位は上昇する(更に正になるために)。これらの電位の変化は、陰極と陽極の両方に寄生反応を生じさせることがあるが、時には陽極により深刻な寄生反応を生じさせることがある。例えば、固体電解質界面(SEI)として知られる、リチウム(又は他のキャリアイオン)及び電解質成分を含む分解生成物は、炭素陽極の表面上に容易に形成され得る。これらの表面又は被覆層は、キャリアイオン伝導体であり、陽極と電解質との間のイオン結合を確立し、反応がそれ以上進行するのを防止する。
【0090】
SEI層の形成は、陽極及び電解質を含むハーフセルシステムの安定性のために望ましいが、陰極を介してセルに導入されるキャリアイオンの一部分は、不可逆的に結合されるため、サイクル動作から、すなわち、ユーザに利用可能な容量から除去される。結果として、初期放電中に、初期充電動作中に陰極によって最初に提供されたよりも少ないキャリアイオンが陽極から陰極に戻され、不可逆的な容量損失をもたらす。各後続の充電及び放電サイクル中、陽極及び/又は陰極への機械的及び/又は電気的劣化から生じる容量損失は、サイクルごとにはるかに少なくなる傾向があるが、サイクルごとの比較的小さいキャリアイオン損失でさえ、バッテリが経年劣化するにつれて、エネルギー密度及びサイクル寿命の減少に有意に寄与する。加えて、化学的及び電気化学的劣化もまた、電極上で発生し、容量損失を引き起こす可能性がある。SEI(又は負極の機械的及び/又は電気的劣化などの別のキャリアイオン消費機構)の形成を補償するために、バッテリの形成後に補助極から追加の又は補足のキャリアイオンを供給することができる。
【0091】
概して、二次バッテリ100の正極208(例えば、二次バッテリ100内の陰極構造206の集団)は、好ましくは、負極209(例えば、二次バッテリ100内の陽極構造207の集団)の放電容量と一致する可逆的クーロン容量を有することが好ましい。別の言い方をすれば、二次バッテリ100の正極208は、負極209の放電容量に対応する可逆的クーロン容量を有するようにサイズ決定され、これは負極209の放電終止電圧の関数である。
【0092】
一部の実施形態では、二次バッテリ100の負極209(例えば、二次バッテリ100内の陽極構造207の集合的集団)は、正極208の可逆的クーロン容量を上回る可逆的クーロン容量を有するように設計される。例えば、一実施形態では、負極209の可逆的クーロン容量の正極208の可逆的クーロン容量に対する比は、それぞれ少なくとも1.2:1である。更なる例として、一実施形態では、負極209の可逆的クーロン容量の正極208の可逆的クーロン容量に対する比は、それぞれ少なくとも1.3:1である。更なる例として、一実施形態では、負極209の可逆的クーロン容量の正極208の可逆的クーロン容量に対する比は、それぞれ少なくとも2:1である。更なる例として、一実施形態では、負極209の可逆的クーロン容量の正極208の可逆的クーロン容量に対する比は、それぞれ少なくとも3:1である。更なる例として、負極209の可逆的クーロン容量の正極208の可逆的クーロン容量に対する比は、それぞれ少なくとも4:1である。更なる例として、負極209の可逆的クーロン容量の正極208の可逆的クーロン容量に対する比は、それぞれ少なくとも5:1である。有利には、負極209の過剰なクーロン容量は、サイクルの結果として負極209のサイクル寿命を減少させる負極209上の結晶相(キャリアイオンを組み込む)の形成を抑制する特定の電圧内で二次バッテリ100が可逆的に動作することを可能にする陽極活性材料の供給源を提供する。
【0093】
前述のように、初期充電/放電サイクル中のSEIの形成は、可逆的サイクリングに利用可能なキャリアイオンの量を減少させる。二次バッテリ100のサイクル中の負極209の機械的及び/又は電気的劣化は、可逆的サイクルに利用可能なキャリアイオンの量を更に減少させ得る。したがって、SEIの形成(又は負極の機械的及び/又は電気的劣化などの別のキャリアイオン消費機構)を補償するために、二次バッテリ100の形成後に補助極から追加又は補足のキャリアイオンを供給することができる。本開示の実施形態では、補助極は、形成中及び/又は形成後に、追加のキャリアイオンを二次バッテリ100の正極208及び/又は負極209に電気化学的に移動させるために使用される。一実施形態では、補助極は、最終形態の二次バッテリのエネルギー密度を向上させるために、追加のキャリアイオンを二次バッテリ100に移動させた後に除去される。
【0094】
図5は、例示的な実施形態の緩衝システム500の斜視図であり、図6は、緩衝システム500の分解図である。概して、緩衝システム500は、二次バッテリ100の初期の形成中又は形成後に一時的に組み立てることができ、緩衝システム500は、補助極502(図6参照)を使用して二次バッテリ100の正極208及び/又は負極209に追加のキャリアイオンを導入するために使用される。この実施形態では、緩衝システム500は、補助極502(図6参照)及び二次バッテリ100をエンクロージャ504の外周506内に封入するエンクロージャ504を含む。図5において、二次バッテリ100の電気端子124、125及び導電性タブ508-1のセグメントは、エンクロージャ504の外周506から延在し、補助極502及び二次バッテリ100への電気的接続を提供する。この実施形態では、エンクロージャ504は、互いに接合されてエンクロージャ504を形成する第1のエンクロージャ層510及び第2のエンクロージャ層511を含む。
【0095】
図6を参照すると、第1のエンクロージャ層510は外周512を有し、第2のエンクロージャ層511は外周513を有する。エンクロージャ層510、511の各々は、アルミニウム、ポリマー、薄膜可撓性金属などの可撓性又は半可撓性材料を含み得る。一実施形態では、エンクロージャ層510、511のうちの1つ以上は、多層アルミニウムポリマー材料、プラスチックなどを含む。別の実施形態では、エンクロージャ層510、511のうちの1つ以上は、アルミニウムなどの金属基板上に積層されたポリマー材料を含む。一実施形態では、第1のエンクロージャ層510は、二次バッテリ100の外面サイズ及び形状に一致するようにサイズ決定及び成形される、ポーチ514(例えば、くぼみ)を含む。
【0096】
補助極502は、緩衝システム500内の二次バッテリ100を部分的に取り囲み、形成後の二次バッテリ100の失われたエネルギー能力を補充する(すなわち、SEIの形成時のキャリアイオンの損失及び二次バッテリ100の第1の充電及び/又は放電サイクルにおける他のキャリアイオン損失を補償する)ためのキャリアイオンの供給源を含む。実施形態では、補助極502は、金属形態のキャリアイオンのフォイル(例えば、リチウム、マグネシウム、又はアルミニウムのフォイル)、あるいはキャリアイオン含有形態の陰極活性材料層106及び/又は陽極活性材料層104(図2参照)に使用される前述の材料のうちのいずれかを含み得る。例えば、補助極502は、リチウム化ケイ素又はリチウム化ケイ素合金を含み得る。緩衝システム500が組み立てられると、補助サブアセンブリ516(図6参照)と称され得る補助極502と二次バッテリ100との組み合わせがポーチ514に挿入され、エンクロージャ層510、511が互いに封止されて、図5に描画するような緩衝システム500が形成される。緩衝システム500の組立プロセスの具体的な詳細、及び二次バッテリ100へのキャリアイオン移動プロセス中に緩衝システム500がどのように使用されるかについては、以下でより詳細に考察される。この実施形態における補助極502は、導電性タブ508を含み、これは、例えば、製造を容易にするために、図5に描画するように、エンクロージャ504によって覆われる導電性タブ508-2と、エンクロージャによって部分的に露出される導電性タブ508-1と、にセグメント化することができる。
【0097】
図7は、本発明の一実施形態にかかる補助極502の斜視図であり、図8は、補助極の分解斜視図である。図7を参照すれば、補助極502は、導電層704及びキャリアイオン供給層706を覆うセパレータ702を備える。補助極502が図6に描画する形状に形成されると、キャリアイオン供給層706は、二次バッテリ100の主面126、127(図1参照)に近接して配置され、セパレータ702は、二次バッテリ100のケーシング116を導電層704及びキャリアイオン供給層706から絶縁する。セパレータ702は電解質を含み、この電解質は緩衝プロセス時にキャリアイオン供給層706から二次バッテリ100へのキャリアイオンの移動を容易にする。
【0098】
図8を参照すると、補助極502は、図8の下から上へ、セパレータ702、導電層704、及びキャリアイオン供給層706の集団を含む。この実施形態における補助極502は、導電性タブ508-2を更に含み、導電性タブ508-2は、導電性であり、導電層704と電気的に結合される。導電性タブ508-2は、補助極502との電気的接続を提供する。概して、補助極502は、二次バッテリ100の形成中又は形成後に、キャリアイオンをキャリアイオン供給層706から二次バッテリ100の正極208及び/又は負極209に移動させるための緩衝プロセス中に使用される。
【0099】
セパレータ702は、二次バッテリ100のセパレータ層108に関して前述した材料のいずれかを含み得る。セパレータ702には、キャリアイオン供給層706から二次バッテリ100の正極208及び/又は二次バッテリの負極209にキャリアイオンを伝導させるための媒体となる電解質が浸透されていてもよい。電解質は、二次バッテリ100に関して前述した材料のいずれかを含み得る。
【0100】
この実施形態におけるセパレータ702は、第1の表面802と、第1の表面802の反対側の第2の表面803と、を含む。セパレータ702の表面802、803は、セパレータ702の主面を形成し、図8のX-Y平面内に配設される。この実施形態におけるセパレータ702は、Y軸の方向に延在する幅804を有する。この実施形態のセパレータ702は、幅804において、第1の部分805と、第2の部分806と、にセグメント化される。一部の実施形態では、セパレータ702は、第1の部分805に対応する第1のセパレータ層702-1と、第2の部分806に対応する第2のセパレータ層702-2と、を備えることができる。
【0101】
一実施形態では、セパレータ702の幅804は約34mmである。他の実施形態では、セパレータの幅804は約30mm、約35mm、又は別の好適な値である。一部の実施形態では、セパレータ702の幅804は、約10mm~約200mmの値の範囲内、又はセパレータ702が本明細書で説明されるように機能することを可能にする何らかの他の好適な範囲内にある。
【0102】
セパレータ702は、一実施形態では、X軸の方向に延在する長さ808を有する。一実施形態では、セパレータ702の長さ808は、約72mmである。他の実施形態では、セパレータ702の長さ808は、約65mm、約70mm、約75mm、又はセパレータ702が本明細書で説明されるように機能することを可能にする何らかの他の好適な値である。一部の実施形態では、セパレータ702の長さ808は、約30mm~約200mmの値の範囲内、又はセパレータ702が本明細書で説明されるように機能することを可能にする値の何らかの他の好適な範囲内にある。
【0103】
一実施形態では、セパレータ702は、Z軸の方向に延在する厚さ810を有する。概して、厚さ810は、セパレータ702の第1の表面802からセパレータの第2の表面803まで(及び第2の表面を含む)の距離である。一実施形態では、セパレータ702の厚さ810は、約0.025mmである。他の実施形態では、セパレータ702の厚さ810は、約0.015mm、約0.02mm、約0.03mm、約0.035mm、又は何らかの他の好適な値である。一部の実施形態では、セパレータ702の厚さ810は、約0.01mm~約1.0mmの値の範囲内、又はセパレータ702が本明細書で説明されるように機能することを可能にする値の何らかの他の好適な範囲内にある。
【0104】
導電層704は導電性であり、金属、金属化フィルム、導電性材料が適用された絶縁ベース材料、又は他の何らかのタイプの導電性材料を含み得る。一部の実施形態では、導電層704は銅を含む。他の実施形態では、導電層704は、アルミニウム又は別の金属を含む。この実施形態では、導電層704は、同様に導電性である導電性タブ508-2と電気的に結合される。導電性タブ508-2は、導電層704に近接して配設された第1の端部812と、第1の端部812の反対側の導電層704の遠位に配設された第2の端部813と、を有する。導電性タブ508-2の第1の端部812は、導電層704に電気的に結合される。一部の実施形態では、導電性タブ508-2の第1の端部812は、導電層704にスポット溶接される。他の実施形態では、導電性タブ508-2の第1の端部812は、導電層704にはんだ付けされる。概して、導電性タブ508-2は、導電層への機械的接続及び電気的接続を確実にする任意の好適な手段を使用して、第1の端部812において導電層704に固着され得る。導電性タブ508-2は、必要に応じて任意のタイプの導電性材料を含み得る。一実施形態では、導電性タブ508-2は金属を含む。これらの実施形態では、導電性タブ508-2は、ニッケル、銅、アルミニウム、又は導電性タブ508-2が本明細書で説明されるように機能することを可能にする他の好適な金属若しくは金属合金を備えてもよい。
【0105】
この実施形態における導電層704は、第1の表面814と、第1の表面814の反対側の第2の表面815と、を含む。導電層704の表面814、815は、導電層704の主面を形成し、図8のX-Y平面内に配設される。この実施形態における導電層704は、Y軸の方向に延在する幅816を有する。一実施形態では、導電層704の幅816は、約15mmである。他の実施形態では、導電層704の幅816は、約10mm、約20mm、又は導電層704が本明細書で説明されるように機能することを可能にする何らかの他の好適な値である。
【0106】
一部の実施形態では、導電層704の幅816は、約5mm~約100mmの値の範囲内、又は導電層704が本明細書で説明されるように機能することを可能にする値の何らかの他の好適な範囲内にある。この実施形態における導電層704の第1の表面814は、導電層704の第1の端部820に近接して配設された第1の領域818-1と、導電層704の第2の端部821に近接して配設された第2の領域818-2と、第1の領域818-1と第2の領域818-2との間に配設された第3の領域818-3と、にセグメント化される。
【0107】
導電層704は、X軸の方向に延在する長さ822を有する。一実施形態では、導電層704の長さ822は、約70mmである。他の実施形態では、導電層704の長さ822は、約60mm、約65mm、約75mm、又は導電層704が本明細書で説明されるように機能することを可能にする何らかの他の好適な値である。一部の実施形態では、導電層704の長さ822は、約30mm~約200mmの値の範囲内、又は導電層704が本明細書で説明されるように機能することを可能にする値の何らかの他の好適な範囲内にある。
【0108】
導電層704は、Z軸の方向に延在する厚さ824を有する。概して、厚さ824は、導電層704の第1の表面814から導電層704の第2の表面815まで(及び第2の表面を含む)の距離である。一実施形態では、導電層704の厚さ824は約0.1mmである。他の実施形態では、導電層704の厚さ824は約0.005mm、約0.15mm、又は約0.2mmである。一部の実施形態では、導電層704の厚さ824は、約0.01mm~約1.0mmの値の範囲内、又は導電層704が本明細書で記載されるように機能することを可能にする厚さの任意の他の好適な範囲内にある。
【0109】
一実施形態ではキャリアイオン供給層706の集団を含むキャリアイオン供給層706は、二次バッテリ100の正極208及び/又は負極209にキャリアイオンを供給するために利用され得る、前述の任意のキャリアイオン含有材料を含む。キャリアイオン供給層706は、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、及びアルミニウムイオンのうちの1つ以上の供給源を含み得る。本実施形態では、キャリアイオン供給層706は、導電層704の第1の領域818-1及び第2の領域818-2内に配設される。一部の実施形態では、キャリアイオン供給層706は、導電層704の第3の領域818-3にも配設される。
【0110】
本実施形態のキャリアイオン供給層706は、第1の表面826と、第1の表面826の反対側の第2の表面827と、を有する。キャリアイオン供給層706の表面826、827は、キャリアイオン供給層706の主面を形成し、図8のX-Y平面に配設される。この実施形態におけるキャリアイオン供給層706は、Y軸の方向に延在する幅828を有する。一実施形態では、キャリアイオン供給層706の幅828は約15mmである。他の実施形態では、キャリアイオン供給層706の幅828は、約10mm、約20mm、又はキャリアイオン供給層706が本明細書で記載されるように機能することを可能にする何らかの他の好適な値である。一部の実施形態では、キャリアイオン供給層706の幅828は、約5mm~約100mmの値の範囲内、又はキャリアイオン供給層706が本明細書で説明されるように機能することを可能にする値の何らかの他の好適な範囲内にある。
【0111】
キャリアイオン供給層706は、一実施形態では、X軸の方向に延在する長さ830を有する。一実施形態では、キャリアイオン供給層706の長さ830は、約23mmである。他の実施形態では、キャリアイオン供給層706の長さ830は、約15mm、約20mm、約25mm、又はキャリアイオン供給層706が本明細書で説明されるように機能することを可能にする何らかの他の好適な長さである。一部の実施形態では、キャリアイオン供給層706の長さ830は、約10mm~約100mmの値の範囲内、又はキャリアイオン供給層706が本明細書で説明されるように機能することを可能にする値の何らかの他の好適な範囲内にある。
【0112】
キャリアイオン供給層706は、Z軸の方向に延在する厚さ832を有する。概して、厚さ832は、キャリアイオン供給層706の第1の表面826とキャリアイオン供給層706の第2の表面827との間の距離である。一実施形態では、キャリアイオン供給層706の厚さ832は、約0.13mmである。他の実施形態では、キャリアイオン供給層706の厚さ832は、約0.005mm、約0.15mm、又は約0.2mmである。一部の実施形態では、キャリアイオン供給層706の厚さ832は、約0.01mm~約1.0mmの値の範囲内、又はキャリアイオン供給層706が本明細書で説明されるように機能することを可能にする厚さ832の値の任意の他の好適な範囲内にある。
【0113】
この実施形態では、キャリアイオン供給層706は、第3の領域818-3に対応する距離834だけ互いに分離される。一実施形態では、距離834は、約23mmである。他の実施形態では、距離834は、約15mm、約20mm、約25mm、又は約30mmである。一部の実施形態では、距離834は、約10mm~約50mmの値の範囲内、又はキャリアイオン供給層706が本明細書で説明されるように機能することを可能にする値の任意の他の好適な範囲内にある。
【0114】
一実施形態では、キャリアイオン供給層706は、二次バッテリ100の正極208の可逆的クーロン容量の少なくとも15%を提供することができるようにサイズ決定される。例えば、かかる一実施形態では、キャリアイオン供給層706は、二次バッテリ100の正極208の可逆的クーロン容量の少なくとも30%を提供するのに十分なキャリアイオン(例えば、リチウム、マグネシウム、又はアルミニウムイオン)を含有するようにサイズ決定される。更なる例として、かかる一実施形態では、キャリアイオン供給層706は、二次バッテリ100の正極208の可逆的クーロン容量の少なくとも100%を提供するのに十分なキャリアイオンを含むようにサイズ決定される。更なる例として、かかる一実施形態では、キャリアイオン供給層706は、二次バッテリ100の正極208の可逆的クーロン容量の少なくとも200%を提供するのに十分なキャリアイオンを含むようにサイズ決定される。更なる例として、かかる一実施形態では、キャリアイオン供給層706は、二次バッテリ100の正極208の可逆的クーロン容量の少なくとも300%を提供するのに十分なキャリアイオンを含むようにサイズ決定される。更なる例として、かかる一実施形態では、キャリアイオン供給層706は、二次バッテリ100の正極208の可逆的クーロン容量の約100%~約200%を提供するのに十分なキャリアイオンを含むようにサイズ決定される。
【0115】
補助極502の組立プロセス中に、セパレータ702は、図8に示されるような幅804及び長さ808を達成するように、ストック材料から切断されてもよく、又は予め製作されてもよい。導電層704は、図8に示される幅816及び長さ822を達成するために、ストック材料から切断されてもよく、又は予め製作されてもよい。一部の実施形態では、導電層704は、図8に描画するように、導電層704に機械的かつ電気的に固着された第1の端部812を有する導電性タブ508-2を含むように予め製作される。他の実施形態では、導電性タブ508-2は、ストック材料から切断され、(例えば、第1の端部812を導電層704にスポット溶接又ははんだ付けすることによって)導電層704と機械的かつ電気的に結合される。一部の実施形態では、キャリアイオン供給層706は、ストック材料から所定のサイズに切断され、キャリアイオン供給層706の第2の表面827が導電層704の第1の表面814と接触した状態で、図8に描画される配向を達成するように、(例えば、キャリアイオン供給層706を導電層704上に冷間溶接することによって)導電層704に接合されるか、又は別様に積層される。例えば、キャリアイオン供給層706を形成するために使用される材料(例えば、リチウム)は、所定のサイズに切断されたリチウムシートのロールとしてストック形態で存在してもよい。
【0116】
他の実施形態では、導電層704は、図8に描画する配向に配置されたキャリアイオン供給層706を含むように予め製作される。この実施形態では、導電層704は、X軸の方向にセパレータ702の第1の部分805内に配設され、導電層704の第2の表面815は、セパレータ702の第1の表面802に接触する。
【0117】
図9は、補助極の製作プロセスの中間段階における補助極502の斜視図である。この段階で、導電層704は、セパレータ702の第1の部分805上に配設され、導電性タブ508-2は、導電層704に固着された第1の端部812から、セパレータ702及び導電層704から離れて第2の端部813に向かって、図9の左(Y軸方向)に延在する。セパレータ702の第1の表面802は、セパレータ702の第1の部分805内で導電層704によって覆われる一方、セパレータの第1の表面802は、セパレータ702の第2の部分806内では覆われないままである。
【0118】
補助極502の製作プロセスを継続するために、一実施形態では、セパレータ702の第2の部分806は、セパレータ702の第2の部分806内の第1の表面802が、キャリアイオン供給層706の第1の表面826と、キャリアイオン供給層706間に露出された導電層704の第1の表面814とに接触するように、図9の左に向かう矢印902の方向に(X軸に平行な軸の周りに)折り畳まれる。セパレータ702が第1のセパレータ層702-1及び第2のセパレータ層702-2を含む場合、第2のセパレータ層は、第2のセパレータ層の第1の表面802がキャリアイオン供給層706の第1の表面826及びキャリアイオン供給層706の間に露出した導電層704の第1の表面814に接触するように配置されてもよい。
【0119】
図10は、上述のようにセパレータ702の第2の部分806を折り畳んだ後の、製作プロセスの別の中間段階における補助極502の斜視図である。この段階で、セパレータ702は、導電層704及びキャリアイオン供給層706を封入し、導電性タブ508-2の第1の端部812と導電性タブ508-2の第2の端部813との間の一部分をセパレータ702によって覆われないままにしている。次いで、セパレータ702は、セパレータの外周1002の少なくとも一部分に沿ってそれ自体に接合されて、セパレータの第1の表面802(図10では見えない)に沿ってセパレータの第1の部分805及びセパレータの第2の部分806内に導電層704を封入することができる。
【0120】
一実施形態では、セパレータ702は、ホットメルトプロセス、溶接プロセス、接合プロセスなどを使用して、セパレータの外周1002の少なくとも一部分に沿って、それ自体に接合される。図10において、この段階の補助極502は、第1の側面1004と、第1の側面1004の反対側の第2の側面1005と、を含む。第1の側面1004は、導電層704の第1の端部820(図10では見えない)に近接する第1の領域818-1及び導電層704の第2の端部821(この図では見えない)に近接する第2の領域818-2においてキャリアイオン供給層706を覆う、セパレータ702の第2の表面803を含む。図10において、第1の領域818-1は、導電性タブ508-2の第1の端部812に近接しており、第2の領域818-2は、導電性タブ508-2の第1の端部812から離れて配設されている。導電性タブ508-2の第1の端部812は、導電層704の第3の領域818-3内の導電層704に電気的に結合される。一部の実施形態では、導電性タブ508は、(例えば、組立後の補助極502を描画する、図11に示されるように、導電性タブ508-1とともに)延在してもよい。
【0121】
補助極502の製作に応答して、緩衝システム500(図6及び図7参照)のための製作プロセスを実施することは、以下のように続く。図12図16は、製作プロセスの種々の段階中の緩衝システム500の斜視図である。図12を参照すると、補助極502の第2の領域818-2は、第1のエンクロージャ層510のポーチ514内に挿入され、補助極の第2の側面1005は、ポーチ514内で第1のエンクロージャ層510に向かって配設され、補助極の第1の側面1004は、ポーチ514内で第1のエンクロージャ層510から離れて配設される。補助極502の第3の領域818-3及び第1の領域818-1は、Y軸方向に沿ってポーチ514から遠ざかる方向に延在する。
【0122】
図12に描画するように、補助極502がポーチ514内で配向された状態で、二次バッテリ100は、補助極502の第2の領域818-2に対応するポーチ514内の補助極502上に配置される(図13参照)。この実施形態では、二次バッテリ100の第1の主面126(図1参照、図13では見えない)は、ポーチ514内の補助極502に接触し、二次バッテリの第2の主面127は、補助極502から離れて配設される。二次バッテリ100の電気端子124、125は、図13のY軸方向にポーチ514から離れて延在し、第1のエンクロージャ層510の外周512の外側に電気端子を配置する。緩衝システム500の製作プロセスのこの段階で、一実施形態では、電解質がポーチ514に追加される。別の実施形態では、補助極502のセパレータ702は、電解質で予め含浸される。
【0123】
二次バッテリ100がポーチ514内の補助極502の第2の領域818-2上に装填された状態で、補助極502は、補助極502の第1の領域818-1の第1の側面1004を二次バッテリ100の第2の主面127と接触させて配置するために、矢印1302の方向に折り畳まれ、その結果が図14に描画されている。この構成では、二次バッテリ100(図1参照)の両方の主面126、127は、セパレータ702(図7図11参照)と、二次バッテリ100の主面126、127の各々とキャリアイオン供給層706との間に配設された電解質とを使用して、補助極502のキャリアイオン供給層706と電気化学的に結合される。
【0124】
図15は、図14の切断線A-Aに沿った緩衝システム500の断面図である。この図では、第1のエンクロージャ層510のポーチ514における緩衝システム500の層が見えている。特に、図15は、ポーチ514内の二次バッテリ100及び補助極502の配置を例示しており、具体的には、上から下へ順に、セパレータ702、導電層704、キャリアイオン供給層706の1つ、セパレータ702、及びケーシング116における二次バッテリ100の第2の主面127が積層されている。図15は、下から上に順に積層された、第1のエンクロージャ層510、セパレータ702、導電層704、キャリアイオン供給層706のうちの1つ、セパレータ702、及びケーシング116における二次バッテリ100の第1の主面126を更に例示している。
【0125】
図15に例示されるように、二次バッテリ100がポーチ514内で補助極502によって挟まれた状態で、第2のエンクロージャ層511は、図16に描画されるように、第1のエンクロージャ層510に整列される。第2のエンクロージャ層511を第1のエンクロージャ層510に対して適切に配置した後、エンクロージャ層510、511は、封止線1602(図16に破線で表示される)に沿って封止され、エンクロージャ504を形成する。エンクロージャ層510、511は、溶接、ヒートシール、接着剤、それらの組み合わせなどによって、封止線1602に沿って封止されてもよい。別の実施形態では、エンクロージャ層510、511は、封止線1602の3つの側面に沿って封止され、その中にポケットを形成することができる。この実施形態では、二次バッテリ100をポケット内に配置することができ、その後、封止線1602の最終縁部が封止される。一実施形態では、封止線1602は、制御された温度及び圧力を封止線1602に加えて、エンクロージャ層510、511を封止線1602に沿って互いに接着又は融着させるホットプレスを使用して封止される。別の実施形態では、封止プロセス中に二次バッテリ100に真空を適用して、空気又は他のガスによって占められたあらゆる過剰な体積を排気する。封止線1602がホットプレスを受ける時間は、制御されてもよく、エンクロージャ層510、511のために選択される材料に依存する。二次バッテリ100を覆って封止すると、封止されたエンクロージャ層510、511は、緩衝システム500を形成する。封止すると、緩衝システム500は、所望の用途に応じて、液密及び/又は気密である。二次バッテリ100の電気端子124及び125並びに導電性タブ508-1は、露出されたままであり、エンクロージャ層510、511によって覆われず、後続の緩衝プロセスが二次バッテリ100に適用されることを可能にする。
【0126】
緩衝システム500のエンクロージャ504内で二次バッテリ100と補助極502(図16では見えない)のキャリアイオン供給層706とが電気化学的に結合された状態で、二次バッテリ100の初期形成中又は初期形成後に、二次バッテリ100に対してキャリアイオン緩衝プロセスが実施される。概して、このキャリアイオン緩衝プロセスは、キャリアイオンを、補助極502のキャリアイオン供給層706から、二次バッテリ100の第1の主面126及び二次バッテリ100の第2の主面127の各々に移動させる(図15参照)。概して、図15に描画するように、二次バッテリ100の両方の主面126、127から二次バッテリ100にキャリアイオンを移動させることは、より多くのキャリアイオンが二次バッテリ100の陽極及び/又は陰極にロードされるため、陽極及び/又は陰極の膨張によって発生する力を二次バッテリ100のケーシング116にわたってより均等に分散させるという技術的利点を提供する。
【0127】
二次バッテリ100を緩衝システム500に挿入する前又は後のいずれかに、二次バッテリの陰極構造206から二次バッテリの陽極構造207にキャリアイオンを移動させることによって、二次バッテリ100が(例えば、電気端子124、125を介して)充電される。充電は、二次バッテリ100の正極208がその充電終了設計電圧に達したときに中断され得る。初期充電サイクル中、SEIは、二次バッテリ100の陽極構造207の表面上に形成され得る。SEIへのキャリアイオンの損失を補償し、追加のキャリアイオンを更に提供して、副反応によりキャリアイオンが失われるサイクリング中の長期二次反応を軽減するために、二次バッテリ100の正極208及び/又は負極209は、補助極502と陰極構造206及び/又は陽極構造207とにわたって(例えば、補助極502の導電性タブ508-1及び電気端子124、125のうちの1つを介して)電圧を加えることによって補充されて、補助極502のキャリアイオン供給層706から二次バッテリ100の陰極構造206及び/又は陽極構造207にキャリアイオンを駆動することができる。補助極502から二次バッテリ100へのキャリアイオンの移動が完了すると、今度は二次バッテリ100の陰極構造206から二次バッテリの陽極構造207に移動したキャリアイオンによって、二次バッテリ100の負極209が再び充電される。
【0128】
一実施形態では、緩衝プロセス中に補助極502から二次バッテリ100に移動するキャリアイオンの量は、二次バッテリ100の正極208の可逆的クーロン容量の約50%である。他の実施形態では、緩衝プロセス中に補助極502から二次バッテリ100に移動するキャリアイオンの量は、二次バッテリ100の正極208の可逆的クーロン容量の約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%である。一部の実施形態では、補助極502から二次バッテリ100に移動するキャリアイオンの量は、二次バッテリ100の正極208の可逆的クーロン容量の約1%~約100%の値の範囲内にある。1つの特定の実施形態では、二次バッテリ100の負極209は、二次バッテリ100が充電されるときに、キャリアイオンとして蓄積される二次バッテリ100の正極208の可逆的クーロン容量の約170%を有し、二次バッテリ100が放電されるときに、キャリアイオンとして蓄積される二次バッテリ100の正極208の可逆的クーロン容量の約70%を有する。緩衝プロセス中に提供される二次バッテリ100の負極209における過剰なキャリアイオンは、初期形成時のSEIによる二次バッテリ100におけるキャリアイオンの損失を軽減するという技術的利点を提供する。更に、緩衝プロセス中に提供される二次バッテリ100の負極209における過剰なキャリアイオンは、二次バッテリ100が使用中にサイクルされるときに、二次バッテリ100内のキャリアイオンを枯渇させる副反応に起因する二次バッテリ100におけるキャリアイオンの損失を軽減するという技術的利点を提供し、これは、経時的な二次バッテリ100の容量損失を低減する。
【0129】
一部の実施形態では、補助極502から二次バッテリ100へのキャリアイオンの移動は、二次バッテリ100の初期形成と同時に(例えば、二次バッテリ100の第1の充電中に)、及び/又は初期形成後の二次バッテリ100のその後の充電中に行われてもよい。これらの実施形態では、キャリアイオンは、二次バッテリ100の正極208から二次バッテリ100の負極209に移動される。時間的遅延若しくは時間パターンと同時に、又はそれに基づいて、キャリアイオンは、補助極502から二次バッテリ100の正極208及び/又は負極209に移動する。
【0130】
更に別の実施形態では、キャリアイオンを補助極502から二次バッテリ100の正極208に移動させると同時に、キャリアイオンを二次バッテリ100の正極208から二次バッテリ100の負極209に移動させることによって、正極208にキャリアイオンを補充することができる。図6を参照すると、電圧が、二次バッテリ100の電気端子124、125にわたって加えられ、キャリアイオンを二次バッテリ100の正極208から負極209に駆動する。キャリアイオンが正極208から負極209に移動している間、補助極502の導電性タブ508-1及び二次バッテリ100の正極208にわたって電圧を加えて、キャリアイオンを補助極502から二次バッテリ100の正極208に駆動する。これにより、二次バッテリ100の正極208から負極209にキャリアイオンが移動するのと同時に、補助極502から二次バッテリ100の正極208にキャリアイオンが移動する。すなわち、キャリアイオンを二次バッテリ100の正極208から負極209に駆動するのに十分である電圧が、二次バッテリ100の正極208及び負極209にわたって維持され、同時に、キャリアイオンを補助極502から正極208に駆動するのに十分である電圧が、補助極502の導電性タブ508-1及び二次バッテリ100の正極208にわたって維持される。別の実施形態では、補助極502から二次バッテリ100の正極208へのキャリアイオンの移動の開始は、二次バッテリ100の正極208から負極209へのキャリアイオンの移動の開始と同時に始まってもよい。一実施形態では、二次バッテリ100の正極208から負極209へのキャリアイオンの移動速度は、二次バッテリ100の補助極502から正極208へのキャリアイオンの移動速度以上であり、その結果、正極208を介した二次バッテリ100の補助極502から負極209へのキャリアイオンの良好な全体的な移動速度を維持することができる。すなわち、二次バッテリ100の正極208と負極209との間、及び補助極502と正極208との間の移動の相対速度は、追加のキャリアイオンに対する正極208の全容量を上回らないように維持され得る。これにより、正極208は、補助極502から新たなキャリアイオンを受け入れ可能な状態に維持され得、その後の二次バッテリ100の負極209へのキャリアイオンの移動が可能となり得る。
【0131】
一実施形態では、任意の特定の理論によって限定されるものではないが、キャリアイオンは、二次バッテリ100の負極209の補充の一部として、補助極502から二次バッテリ100の正極208に移動される(補助極502から二次バッテリの負極209に直接移動することとは対照的に)が、その理由は、正極208が、その表面にわたってキャリアイオンをより均一に受け入れることが可能であり、したがって、キャリアイオンが、二次バッテリ100の正極208と負極209との間のその移動により均一に関与することを可能にし得るためである。
【0132】
緩衝システム500を利用して二次バッテリ100に対して緩衝プロセスが実施された後、最終的な形態の二次バッテリ100のエネルギー密度を改善するために、緩衝システム500から補助極502を除去することができる。例えば、緩衝プロセスの後、キャリアイオン供給層706(図7を参照)は、二次バッテリ100に電気化学的に移動されている導電層704から除去されていてもよい。したがって、補助極502は、この時点では不要であり得る。緩衝プロセスが行われた後にエンクロージャ504から補助極502を除去するために、エンクロージャのエンクロージャ層510、511は、図17に実線として例示される切断線1702に沿って切断されてもよく、エンクロージャ層510、511が補助極502に近接して剥離されることを可能にする。補助極502は緩衝システム500のエンクロージャ504から除去され、二次バッテリ100はポーチ514内に残される(図12参照)。次いで、エンクロージャ層510、511は、破線として例示される最終封止線1704に沿って再封止されて、二次バッテリ100を使用する前にその最終形態のエンクロージャ504を形成することができる。この再封止は、第1のエンクロージャ層510及び第2のエンクロージャ層511を一緒に封止するための前述のプロセスのいずれかを使用して実施されてもよい。
【0133】
図18は、例示的な実施形態の補助極を使用してキャリアイオンで二次バッテリを緩衝する方法1800のフローチャートであり、図19図21は、方法1800の更なる詳細を描画するフローチャートである。方法1800は、図1図17の二次バッテリ100、緩衝システム500、及び補助極502に関して説明されるが、方法1800は、示されていない他のシステムに適用されてもよい。方法1800のステップは、全てを含むものではなく、方法1800は、示されていない他のステップを含んでもよい。更に、方法1800のステップは、代替の順序で実施されてもよい。
【0134】
この実施形態では、二次バッテリ100(図1参照)は、互いに反対側にある主面126、127と、電気端子124、125と、を有する。電気端子124、125は、二次バッテリ100の正極208(例えば、図2に描画するように、二次バッテリ100内の陰極構造206の集団)及び二次バッテリ100の負極209(例えば、図2に描画するように、二次バッテリ100内の陽極構造207の集団)の一方に結合される。二次バッテリ100は、負極209と正極208との間に、負極209及び正極208とイオン接触する電解質が浸透する微多孔質セパレータ層108(図2参照)を含む。負極209は、キャリアイオンに対してクーロン容量を有する、ケイ素又はその合金などの陽極活性材料層104を含む。正極208は、キャリアイオンのクーロン容量を有する陰極活性材料層106を含み、負極209のクーロン容量は正極208のクーロン容量を上回る。
【0135】
補助極502(図6参照)は、二次バッテリ100の主面126、127と接触して配置されて補助サブアセンブリ516を形成し、補助極502は、導電層704と、二次バッテリ100の主面126、127に近接する導電層704上に配設されたキャリアイオン供給層706と、キャリアイオン供給層706と二次バッテリの主面126、127との間に配設されたセパレータ702と、導電層704に結合された導電性タブ508と、を含む(図18のステップ1802及び図12図15参照)。
【0136】
補助サブアセンブリ516は、エンクロージャ504内に設置され、二次バッテリ100の電気端子124、125及び補助極502の導電性タブ508は、エンクロージャ504の外周506から電気的に延在する(ステップ1804及び図16参照)。
【0137】
キャリアイオンは、電気端子124、125にわたって電位電圧を加えることによって、二次バッテリ100の正極208から二次バッテリ100の負極209に移動され、二次バッテリ100を少なくとも部分的に充電する(ステップ1806参照)。充電は、二次バッテリ100の正極208がその充電終了設計電圧に達したときに中断され得る。初期充電サイクル中、SEIは、二次バッテリ100の負極209の内部構造表面上に形成され得る。
【0138】
SEIへのキャリアイオンの損失を補償し、副反応によってキャリアイオンが失われるサイクリング中の長期二次反応を軽減するために追加のキャリアイオンを更に提供するために、補助極502の導電性タブ508及び二次バッテリ100の電気端子124、125のうちの1つ以上にわたって電位電圧を加えることによって、キャリアイオンが補助極502のキャリアイオン供給層706から二次バッテリ100の正極208及び/又は負極209に移動される(図16のステップ1808を参照)。概して、このキャリアイオン緩衝プロセスは、キャリアイオンを、補助極502のキャリアイオン供給層706から、二次バッテリ100の第1の主面126及び二次バッテリ100の第2の主面127の各々に移動させる(図15参照)。概して、図15に描画するように、二次バッテリ100の主面126、127の両方から二次バッテリ100にキャリアイオンを移動させることは、より多くのキャリアイオンが二次バッテリ100の陰極及び/又は陽極にロードされるため、陽極及び/又は陰極の膨張によって発生する力を二次バッテリ100のケーシング116にわたってより均等に分散させるという技術的利点を提供する。
【0139】
一実施形態では、補助極502から二次バッテリ100に移動するキャリアイオンの量は、二次バッテリ100の正極208の可逆的クーロン容量の約50%である。他の実施形態では、補助極502から二次バッテリ100に移動するキャリアイオンの量は、二次バッテリ100の正極208の可逆的クーロン容量の約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%である。一部の実施形態では、補助極502から二次バッテリ100に移動するキャリアイオンの量は、二次バッテリ100の正極208の可逆的クーロン容量の約1%~約100%の値の範囲内にある。1つの特定の実施形態では、二次バッテリ100の負極209は、二次バッテリ100が充電されるときに、キャリアイオンとして蓄積される二次バッテリ100の正極208の可逆的クーロン容量の約170%を有し、二次バッテリ100が放電されるときに、キャリアイオンとして蓄積される二次バッテリ100の正極208の可逆的クーロン容量の約70%を有する。緩衝プロセス中に提供される二次バッテリ100の負極209における過剰なキャリアイオンは、初期形成時のSEIによる二次バッテリ100におけるキャリアイオンの損失を軽減するという技術的利点を提供する。更に、緩衝プロセス中に提供される二次バッテリ100の負極209における過剰なキャリアイオンは、二次バッテリ100が使用中にサイクルされるときに、二次バッテリ100内のキャリアイオンを枯渇させる副反応に起因する二次バッテリ100におけるキャリアイオンの損失を軽減するという技術的利点を提供し、これは、経時的な二次バッテリ100の容量損失を低減する。
【0140】
一部の実施形態では、補助極502から二次バッテリ100へのキャリアイオンの移動は、二次バッテリ100の初期形成と同時に(例えば、二次バッテリ100の第1の充電中に)、及び/又は初期形成後の二次バッテリ100のその後の充電中に行われてもよい。これらの実施形態では、キャリアイオンは、二次バッテリ100の正極208から二次バッテリ100の負極209に移動される。時間的遅延若しくは時間パターンと同時に、又はそれに基づいて、キャリアイオンは、補助極502から二次バッテリ100の正極208及び/又は負極209に移動する。
【0141】
キャリアイオンは、二次バッテリ100の電気端子124、125にわたって電位電圧を加えることによって、二次バッテリ100の正極208から二次バッテリ100の負極209に再び移動され、負極209がキャリアイオンとして蓄積された正極208のクーロン容量の100%を超えるまで、二次バッテリ100を充電する(ステップ1810参照)。
【0142】
更に別の実施形態では、キャリアイオンを補助極502から二次バッテリ100の正極208に移動させると同時に、キャリアイオンを二次バッテリ100の正極208から二次バッテリ100の負極209に移動させることによって、正極208にキャリアイオンを補充することができる。図6を参照すると、電圧が、二次バッテリ100の電気端子124、125にわたって加えられ、キャリアイオンを二次バッテリ100の正極208から負極209に駆動する。キャリアイオンが正極208から負極209に移動している間、補助極502の導電性タブ508-1及び二次バッテリ100の正極208にわたって電圧を加えて、キャリアイオンを補助極502から二次バッテリ100の正極208に駆動する。これにより、二次バッテリ100の正極208から負極209にキャリアイオンが移動するのと同時に、補助極502から二次バッテリ100の正極208にキャリアイオンが移動する。すなわち、キャリアイオンを二次バッテリ100の正極208から負極209に駆動するのに十分である電圧が、二次バッテリ100の正極208及び負極209にわたって維持され、同時に、キャリアイオンを補助極502から正極208に駆動するのに十分である電圧が、補助極502の導電性タブ508-1及び二次バッテリ100の正極208にわたって維持される。別の実施形態では、補助極502から二次バッテリ100の正極208へのキャリアイオンの移動の開始は、二次バッテリ100の正極208から負極209へのキャリアイオンの移動の開始と同時に始まってもよい。一実施形態では、二次バッテリ100の正極208から負極209へのキャリアイオンの移動速度は、二次バッテリ100の補助極502から正極208へのキャリアイオンの移動速度以上であり、その結果、正極208を介した二次バッテリ100の補助極502から負極209へのキャリアイオンの良好な全体的な移動速度を維持することができる。すなわち、二次バッテリ100の正極208と負極209との間、及び補助極502と正極208との間の移動の相対速度は、追加のキャリアイオンに対する正極208の全容量を上回らないように維持され得る。これにより、正極208は、補助極502から新たなキャリアイオンを受け入れ可能な状態に維持され得、その後の二次バッテリ100の負極209へのキャリアイオンの移動が可能となり得る。
【0143】
一実施形態では、任意の特定の理論によって限定されるものではないが、キャリアイオンは、二次バッテリ100の負極209の補充の一部として、補助極502から二次バッテリ100の正極208に移動される(補助極502から二次バッテリの負極209に直接移動することとは対照的に)が、その理由は、正極208が、その表面にわたってキャリアイオンをより均一に受け入れることが可能であり、したがって、キャリアイオンが、二次バッテリ100の正極208と負極209との間のその移動により均一に関与することを可能にし得るためである。
【0144】
方法1800の一部の実施形態では、エンクロージャ504が開かれ(図19のステップ1902参照)、補助極502は、エンクロージャ504から除去される(ステップ1904参照)。エンクロージャ504から補助極502を除去することに応答して、エンクロージャは、使用のために二次バッテリ100を封入するように、その最終形態に再封止される(ステップ1906参照)。
【0145】
上で詳述されたステップ1804に関して以前に説明されたように、1つの特定の実施形態は、補助サブアセンブリ516をエンクロージャ504内に設置するが、補助サブアセンブリ516を第1のエンクロージャ層510上に設置することを含む(図20のステップ2002参照)。第2のエンクロージャ層511は、第1のエンクロージャ層510上に設置され(ステップ2004を参照)、第1のエンクロージャ層510及び第2のエンクロージャ層511は、封止線1602に沿って一緒に封止されて、エンクロージャ504を形成する(ステップ2006を参照)。
【0146】
エンクロージャ層510、511は、溶接、ヒートシール、接着剤、それらの組み合わせなどによって、封止線1602(図16参照)に沿って封止されてもよい。別の実施形態では、エンクロージャ層510、511は、封止線1602の3つの側面に沿って封止され、その中にポケットを形成することができる。この実施形態では、二次バッテリ100をポケット内に配置することができ、その後、封止線1602の最終縁部が封止される。一実施形態では、封止線1602は、制御された温度及び圧力を封止線1602に加えて、エンクロージャ層510、511を封止線1602に沿って互いに接着又は融着させるホットプレスを使用して封止される。別の実施形態では、封止プロセス中に二次バッテリ100に真空を適用して、空気又は他のガスによって占められたあらゆる過剰な体積を排気する。封止線1602がホットプレスを受ける時間は、制御されてもよく、エンクロージャ層510、511のために選択される材料に依存する。二次バッテリ100を覆って封止されると、封止されたエンクロージャ層510、511は、緩衝システム500を形成する。封止すると、緩衝システム500は、所望の用途に応じて、液密及び/又は気密である。二次バッテリ100の電気端子124、125及び導電性タブ508は、露出されたままであり、エンクロージャ層510、511によって覆われていない。
【0147】
第1のエンクロージャ層510がポーチ514を含む実施形態では、エンクロージャ504内に補助サブアセンブリ516を設置することは、最初に、ポーチ514内に補助サブアセンブリ516を配置することを含む(図21のステップ2102参照)。一部の実施形態では、(例えば、ポーチ514内に補助サブアセンブリ516を設置する前又は後のいずれかに)電解質がポーチ514に追加され、その後、第1のエンクロージャ層510及び第2のエンクロージャ層511を封止線1602に沿ってともに封止することによって、エンクロージャ504が形成される。
【0148】
本開示の実施形態は、補助極を利用して、二次バッテリの初期形成中又は初期形成後に、キャリアイオンを二次バッテリに移動させるか又は緩衝する。キャリアイオンの二次バッテリへの移動又は緩衝は、例えばSEIによる形成中のキャリアイオン損失を軽減し、それによって二次バッテリの容量を向上させるという技術的利点を提供する。更に、キャリアイオンを二次バッテリに移動又は緩衝することは、二次バッテリの負極に、二次バッテリの正極クーロン容量を超える追加のキャリアイオンを提供し、それによって、二次バッテリのサイクル寿命にわたって追加のキャリアイオンのリザーバを提供し、キャリアイオンをサイクル中の利用可能性から除去する副反応によるサイクル中のキャリアイオン損失を更に軽減する。負極における追加のキャリアイオンの結果は、1つの放電-充電サイクルから次のサイクルへの二次バッテリにおける容量損失の量を減少させ、それによってサイクル寿命中の二次バッテリの全体的な容量を向上させるという更なる技術的利点を提供する。
【0149】
以下の実施形態は、本開示の種々の態様を例示するために提供される。以下の実施形態は、限定することを意図するものではなく、したがって、本開示は、以下に具体的に提供されない他の態様及び/又は実施形態を更にサポートする。
【0150】
実施形態1:二次バッテリ用の補助極であって、イオン透過性である材料を含む第1のセパレータ層と、導電性である材料を含み、第1のセパレータ層に接触する第1の表面と、第1の表面の反対側の第2の表面と、を有する導電層であって、第2の表面は、導電層の第1の端部に配設された第1の領域と、第1の端部の反対側の導電層の第2の端部に配設された第2の領域と、第1の領域と第2の領域との間に配設された第3の領域と、にセグメント化されている、導電層と、二次バッテリの電極にキャリアイオンを供給する材料を各々が含むキャリアイオン供給層の集団であって、キャリアイオン供給層のそれぞれ1つは、導電層の第1の領域及び第2の領域内に配設されている、キャリアイオン供給層の集団と、イオン透過性である材料を含み、導電層の第1の領域及び第2の領域内のキャリアイオン供給層と接触する第2のセパレータ層と、を含む、補助極。
【0151】
実施形態2:第2のセパレータ層は、導電層の第3の領域内で導電層の第2の表面と接触している、実施形態1に記載の補助極。
【0152】
実施形態3:第1の領域、第2の領域、及び第3の領域は、導電層の長さにわたって配設されている、前述のいずれかの実施形態に記載の補助極。
【0153】
実施形態4:第1のセパレータ層及び第2のセパレータ層は、第1のセパレータ層及び第2のセパレータ層の周囲の少なくとも一部分の周りで一緒に機械的に接合されている、前述のいずれかの実施形態に記載の補助極。
【0154】
実施形態5:第1のセパレータ層及び第2のセパレータ層は、連続セパレータ材料から形成され、第1のセパレータ層は、連続セパレータ材料の第1の部分を含み、第2のセパレータ層は、連続セパレータ材料の第2の部分を含み、第2の部分は、第1の部分の上に折り畳まれて、導電層の第1の領域及び第2の領域内のキャリアイオン供給層の表面に接触する、前述のいずれかの実施形態に記載の補助極。
【0155】
実施形態6:連続セパレータ材料は、約0.01ミリメートル~約1ミリメートルの範囲の厚さを有する、実施形態5に記載の補助極。
【0156】
実施形態7:連続セパレータ材料の厚さは、約0.025ミリメートルである、実施形態6に記載の補助極。
【0157】
実施形態8:第1のセパレータ層及び第2のセパレータ層は、約0.01ミリメートル~約1ミリメートルの値の範囲内の厚さを有する、前述のいずれかの実施形態に記載の補助極。
【0158】
実施形態9:第2のセパレータ層の厚さは、約0.025ミリメートルである、前述のいずれかの実施形態に記載の補助極。
【0159】
実施形態10:導電層は、銅、アルミニウム、又は銅とアルミニウムの合金のうちの1つを含む、前述のいずれかの実施形態に記載の補助極。
【0160】
実施形態11:導電層は、銅を含む、前述のいずれかの実施形態に記載の補助極。
【0161】
実施形態12:導電層は、約0.01ミリメートル~約1ミリメートルの値の範囲内の厚さを有する、前述のいずれかの実施形態に記載の補助極。
【0162】
実施形態13:導電層は、約0.1ミリメートルの厚さを有する、前述のいずれかの実施形態に記載の補助極。
【0163】
実施形態14:キャリアイオン供給層は、約0.05ミリメートル~約1ミリメートルの値の範囲の厚さを有する、前述のいずれかの実施形態に記載の補助極。
【0164】
実施形態15:キャリアイオン供給層は、約0.15ミリメートルの厚さを有する、前述のいずれかの実施形態に記載の補助極。
【0165】
実施形態16:キャリアイオン供給層は、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、及びカルシウムイオンのうちの1つ以上の供給源を含む、前述のいずれかの実施形態に記載の補助極。
【0166】
実施形態17:キャリアイオン供給層は、リチウムイオンの供給源を提供する、前述のいずれかの実施形態に記載の補助極。
【0167】
実施形態18:キャリアイオン供給層は、導電層の第1の領域及び第2の領域内で導電層に冷間溶接される、前述のいずれかの実施形態に記載の補助極。
【0168】
実施形態19:導電性であり、導電層の第3の領域内で導電層の第2の表面に結合された材料を含む導電性タブを更に含む、前述のいずれかの実施形態に記載の補助極。
【0169】
実施形態20:導電性タブは、導電層に結合された第1の端部と、導電層から離れて突出する、第1の端部に対して遠位の第2の端部と、を含む、実施形態19に記載の補助極。
【0170】
実施形態21:導電性タブは、ニッケル、銅、及びアルミニウム、又は銅、ニッケル、及びアルミニウムの合金のうちの1つを含む、実施形態20に記載の補助極。
【0171】
実施形態22:導電性タブは、ニッケルを含む、実施形態21に記載の補助極。
【0172】
実施形態23:緩衝システムであって、互いに反対側にある主面及び電気端子を有する二次バッテリであって、電気端子の各々は、二次バッテリの正極及び負極のうちの一方に結合され、二次バッテリは、負極と正極との間に、負極及び正極とイオン接触する電解質が浸透する微多孔質セパレータを含み、負極は、陽極活性ケイ素又はその合金を含み、キャリアイオンのクーロン容量を有し、正極は、陰極活性材料を含み、キャリアイオンのクーロン容量を有し、負極クーロン容量は、正極クーロン容量を上回る、二次バッテリと、二次バッテリの主面に接触する補助極であって、補助極は、イオン透過性である材料を含む第1のセパレータ層と、電気伝導性である材料を含み、第1のセパレータ層に接触する第1の表面と、第1の表面の反対側の第2の表面と、を有する、導電層であって、第2の表面は、導電層の第1の端部に配設された第1の領域と、第1の端部の反対側の導電層の第2の端部に配設された第2の領域と、第1の領域と第2の領域との間に配設された第3の領域と、にセグメント化されている、導電層と、二次バッテリの正極にキャリアイオンを供給する材料を各々が含むキャリアイオン供給層の集団であって、キャリアイオン供給層のそれぞれの1つは、導電層の第1の領域及び第2の領域内に配設されている、キャリアイオン供給層の集団と、イオン透過性である材料を含む第2のセパレータ層であって、第2のセパレータ層は、導電層の第1の領域及び第2の領域内のキャリアイオン供給層を二次バッテリの主面から分離する、第2のセパレータ層と、導電性である材料を含む導電性タブであって、導電性タブは、導電層の第3の領域内で導電層の第2の表面に結合された第1の端部と、第1の端部より遠位にある第2の端部と、を有する、導電性タブと、を含む、補助極と、を備える、緩衝システム。緩衝システムは、補助極及び二次バッテリを封入するエンクロージャを更に備え、電気端子及び導電性タブの第2の端部は、エンクロージャの周囲から電気的に延在する。
【0173】
実施形態24:エンクロージャは、第1のエンクロージャ層及び第2のエンクロージャ層を備え、補助極及び二次バッテリは、第1のエンクロージャ層内に形成されたポーチ内に配設されている、実施形態23に記載の緩衝システム。
【0174】
実施形態25:第2のセパレータ層に浸透する電解質を更に含む、前述のいずれかの実施形態に記載の緩衝システム。
【0175】
実施形態26:キャリアイオン供給層は、二次バッテリの正極のためのリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、及びカルシウムイオンのうちの1つ以上の供給源を含む、前述のいずれかの実施形態に記載の緩衝システム。
【0176】
実施形態27:キャリアイオン供給層は、二次バッテリの正極のためのリチウムイオンの供給源を含む、前述のいずれかの実施形態に記載の緩衝システム。
【0177】
実施形態28:キャリアイオン供給層は、二次バッテリの正極のためのナトリウムイオンの供給源を含む、前述のいずれかの実施形態に記載の緩衝システム。
【0178】
実施形態29:キャリアイオン供給層は、二次バッテリの正極のためのカリウムイオンの供給源を含む、前述のいずれかの実施形態に記載の緩衝システム。
【0179】
実施形態30:キャリアイオン供給層は、二次バッテリの正極のためのマグネシウムイオンの供給源を含む、前述のいずれかの実施形態に記載の緩衝システム。
【0180】
実施形態31:キャリアイオン供給層は、二次バッテリの正極のためのアルミニウムイオンの供給源を含む、前述のいずれかの実施形態に記載の緩衝システム。
【0181】
実施形態32:キャリアイオン供給層は、二次バッテリの正極のためのカルシウムイオンの供給源を含む、前述のいずれかの実施形態に記載の緩衝システム。
【0182】
実施形態33:キャリアイオン供給層は、約0.05ミリメートル~約1ミリメートルの値の範囲の厚さを有する、前述のいずれかの実施形態に記載の緩衝システム。
【0183】
実施形態34:キャリアイオン供給層は、約0.15ミリメートルの厚さを有する、前述のいずれかの実施形態に記載の緩衝システム。
【0184】
実施形態35:第2のセパレータ層は、約0.01ミリメートル~約1ミリメートルの値の範囲の厚さを有する、前述のいずれかの実施形態に記載の緩衝システム。
【0185】
実施形態36:第2のセパレータ層の厚さは、約0.025ミリメートルである、前述のいずれかの実施形態に記載の緩衝システム。
【0186】
実施形態37:補助極を使用して二次バッテリをキャリアイオンで緩衝する方法であって、二次バッテリは、互いに反対側にある主面及び電気端子を有し、電気端子の各々は、二次バッテリの正極及び負極のうちの一方に結合され、二次バッテリは、負極と正極との間に、負極及び正極とイオン接触する電解質が浸透する微多孔質セパレータを含み、負極は、陽極活性ケイ素又はその合金を含み、キャリアイオンのクーロン容量を有し、正極は、陰極活性材料を含み、キャリアイオンのクーロン容量を有し、負極クーロン容量は、正極クーロン容量を上回り、方法は、補助サブアセンブリを形成するために、二次バッテリの主面と接触して補助極を配置することであって、補助極は、導電層と、二次バッテリの主面に近接する導電層上に配設されたキャリアイオン供給層と、キャリアイオン供給層と二次バッテリの主面との間に配設されたセパレータ層と、導電層に結合された導電性タブと、を含む、配置することと、補助サブアセンブリをエンクロージャ内に設置することであって、電気端子及び補助極の導電性タブは、エンクロージャの周囲から電気的に延在する、設置することと、二次バッテリの電気端子にわたって電位電圧を加えることによって、キャリアイオンを正極から負極に移動させて、二次バッテリを少なくとも部分的に充電することと、導電性タブ及び二次バッテリの電気端子のうちの1つ以上にわたって電位電圧を加えることによって、補助極のキャリアイオン供給層から二次バッテリの正極及び負極のうちの少なくとも1つにキャリアイオンを移動させることと、負極が、キャリアイオンとして蓄積される正極クーロン容量の100%超を有するまで、二次バッテリの電気端子にわたって電位電圧を加えることによって、キャリアイオンを正極から負極に移動させて、二次バッテリを充電することと、を含む、方法。
【0187】
実施形態38:エンクロージャを開けることと、二次バッテリから補助極を除去することと、エンクロージャを再封止して二次バッテリを封入することと、を更に含む、実施形態37に記載の方法。
【0188】
実施形態39:エンクロージャは、第1のエンクロージャ層及び第2のエンクロージャ層を備え、補助サブアセンブリをエンクロージャ内に設置することは、補助サブアセンブリを第1のエンクロージャ層上に設置することと、第2のエンクロージャ層を第1のエンクロージャ層上に設置することと、封止線に沿って第1のエンクロージャ層を第2のエンクロージャ層に封止して、エンクロージャを形成することと、を含む、前述のいずれかの実施形態に記載の方法。
【0189】
実施形態40:第1のエンクロージャ層は、ポーチを含み、補助サブアセンブリを第1のエンクロージャ層上に設置することは、補助サブアセンブリをポーチ内に設置することを含む、実施形態39に記載の方法。
【0190】
実施形態41:ポーチに電解質を追加することを更に含む、実施形態40に記載の方法。
【0191】
実施形態42:対極に対してサイクルさせたときに、負極クーロン容量の正極クーロン容量に対する比は、それぞれ少なくとも1.2:1である、前述のいずれかの実施形態に記載の方法。
【0192】
実施形態43:対極に対してサイクルさせたときに、負極クーロン容量の正極クーロン容量に対する比は、それぞれ少なくとも1.3:1である、前述のいずれかの実施形態に記載の方法。
【0193】
実施形態44:対極に対してサイクルさせたときに、負極クーロン容量の正極クーロン容量に対する比は、それぞれ少なくとも1.5:1である、前述のいずれかの実施形態に記載の方法。
【0194】
実施形態45:対極に対してサイクルさせたときに、負極クーロン容量の正極クーロン容量に対する比は、それぞれ少なくとも2:1である、前述のいずれかの実施形態に記載の方法。
【0195】
実施形態46:対極に対してサイクルさせたときに、負極クーロン容量の正極クーロン容量に対する比は、それぞれ少なくとも3:1である、前述のいずれかの実施形態に記載の方法。
【0196】
実施形態47:対極に対してサイクルさせたときに、負極クーロン容量の正極クーロン容量に対する比は、それぞれ少なくとも4:1である、前述のいずれかの実施形態に記載の方法。
【0197】
実施形態48:対極に対してサイクルさせたときに、負極クーロン容量の正極クーロン容量に対する比は、それぞれ少なくとも5:1である、前述のいずれかの実施形態に記載の方法。
【0198】
実施形態49:対極に対してサイクルさせたときに、補助極のクーロン容量の正極クーロン容量に対する比は、それぞれ少なくとも2:1である、前述のいずれかの実施形態に記載の方法。
【0199】
実施形態50:対極に対してサイクルさせたときに、補助極のクーロン容量の正極クーロン容量に対する比は、それぞれ少なくとも3:1である、前述のいずれかの実施形態に記載の方法。
【0200】
実施形態51:対極に対してサイクルさせたときに、補助極のクーロン容量の正極クーロン容量に対する比は、それぞれ少なくとも4:1である、前述のいずれかの実施形態に記載の方法。
【0201】
実施形態52:対極に対してサイクルさせたときに、補助極のクーロン容量の正極クーロン容量に対する比は、それぞれ少なくとも5:1である、前述のいずれかの実施形態に記載の方法。
【0202】
実施形態53:負極は、陽極活性材料を含み、陽極活性材料は、ケイ素を含み、二次バッテリの充電及び放電サイクル中にキャリアイオンが負極に組み込まれるか又は負極から出るときの体積膨張及び収縮に適応する空隙体積分率を含む、前述のいずれかの実施形態に記載の方法。
【0203】
実施形態54:陽極活性材料の空隙体積分率は、少なくとも0.1である、実施形態53に記載の方法。
【0204】
実施形態55:陽極活性材料の空隙体積分率は、0.8以下である、実施形態53に記載の方法。
【0205】
実施形態56:陽極活性材料の空隙体積分率は、約0.15~約0.75である、実施形態53に記載の方法。
【0206】
実施形態57:陽極活性材料の空隙体積分率は、約0.2~約0.7である、実施形態53に記載の方法。
【0207】
実施形態58:陽極活性材料の空隙体積分率は、約0.25~約0.6である、実施形態53に記載の方法。
【0208】
実施形態59:陽極活性材料は、マクロ多孔質、微多孔質、若しくはメソ多孔質の材料層、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態53に記載の方法。
【0209】
実施形態60:キャリアイオンを補助極のキャリアイオン供給層から二次バッテリの正極及び負極の少なくとも1つに移動させることは、キャリアイオンの正極クーロン容量の約50%を正極及び負極の少なくとも1つに移動させることを更に含む、前述のいずれかの実施形態に記載の方法。
【0210】
実施形態61:キャリアイオンを補助極のキャリアイオン供給層から二次バッテリの正極及び負極の少なくとも1つに移動させることは、キャリアイオンの正極クーロン容量の約55%を正極及び負極の少なくとも1つに移動させることを更に含む、前述のいずれかの実施形態に記載の方法。
【0211】
実施形態62:キャリアイオンを補助極のキャリアイオン供給層から二次バッテリの正極及び負極の少なくとも1つに移動させることは、キャリアイオンの正極クーロン容量の約60%を正極及び負極の少なくとも1つに移動させることを更に含む、前述のいずれかの実施形態に記載の方法。
【0212】
実施形態63:キャリアイオンを補助極のキャリアイオン供給層から二次バッテリの正極及び負極の少なくとも1つに移動させることは、キャリアイオンの正極クーロン容量の約65%を正極及び負極の少なくとも1つに移動させることを更に含む、前述のいずれかの実施形態に記載の方法。
【0213】
実施形態64:キャリアイオンを補助極のキャリアイオン供給層から二次バッテリの正極及び負極の少なくとも1つに移動させることは、キャリアイオンの正極クーロン容量の約70%を正極及び負極の少なくとも1つに移動させることを更に含む、前述のいずれかの実施形態に記載の方法。
【0214】
実施形態65:キャリアイオンを補助極のキャリアイオン供給層から二次バッテリの正極及び負極の少なくとも1つに移動させることは、キャリアイオンの正極クーロン容量の約75%を正極及び負極の少なくとも1つに移動させることを更に含む、前述のいずれかの実施形態に記載の方法。
【0215】
実施形態66:キャリアイオンを補助極のキャリアイオン供給層から二次バッテリの正極及び負極の少なくとも1つに移動させることは、キャリアイオンの正極クーロン容量の約80%を正極及び負極の少なくとも1つに移動させることを更に含む、前述のいずれかの実施形態に記載の方法。
【0216】
実施形態67:キャリアイオンを補助極のキャリアイオン供給層から二次バッテリの正極及び負極の少なくとも1つに移動させることは、キャリアイオンの正極クーロン容量の約85%を正極及び負極の少なくとも1つに移動させることを更に含む、前述のいずれかの実施形態に記載の方法。
【0217】
実施形態68:キャリアイオンを補助極のキャリアイオン供給層から二次バッテリの正極及び負極の少なくとも1つに移動させることは、キャリアイオンの正極クーロン容量の約90%を正極及び負極の少なくとも1つに移動させることを更に含む、前述のいずれかの実施形態に記載の方法。
【0218】
実施形態69:キャリアイオンを補助極のキャリアイオン供給層から二次バッテリの正極及び負極の少なくとも1つに移動させることは、キャリアイオンの正極クーロン容量の約95%を正極及び負極の少なくとも1つに移動させることを更に含む、前述のいずれかの実施形態に記載の方法。
【0219】
実施形態70:キャリアイオンを補助極のキャリアイオン供給層から二次バッテリの正極及び負極の少なくとも1つに移動させることは、キャリアイオンの正極クーロン容量の約100%を正極及び負極の少なくとも1つに移動させることを更に含む、前述のいずれかの実施形態に記載の方法。
【0220】
実施形態71:キャリアイオンを補助極のキャリアイオン供給層から二次バッテリの正極及び負極の少なくとも1つに移動させることは、キャリアイオンの正極クーロン容量の約1%~約100%を正極及び負極の少なくとも1つに移動させることを更に含む、前述のいずれかの実施形態に記載の方法。
【0221】
実施形態72:PEO系ポリマー電解質及びポリマー-セラミック複合電解質のうちの1つ以上から選択されるポリマー系電解質を更に含む、前述のいずれかの実施形態に記載のセパレータ層、セパレータ材料、又は電解質。
【0222】
実施形態73:チタン酸ランタンリチウム(Li0.34La0.56TiO)、Alドープランタンジルコン酸リチウム(Li6.24LaZrAl0.2411.98)、Taドープランタンジルコン酸リチウム(Li6.4LaZr1.4Ta0.612)、及びリン酸アルミニウムチタンリチウム(Li1.4Al0.4Ti1.6(PO)のうちの1つ以上から選択される酸化物系電解質を更に含む、前述のいずれかの実施形態に記載のセパレータ層、セパレータ材料、又は電解質。
【0223】
実施形態74:スズリン硫化リチウム(Li10SnP12)、硫化リチウムリン(β-LiPS)、及び塩化硫化リチウム(LiPSCl0.90.1)のうちの1つ以上から選択される固体電解質を更に含む、前述のいずれかの実施形態に記載のセパレータ層、セパレータ材料、又は電解質。
【0224】
実施形態75:固体リチウムイオン伝導性セラミックを更に含む、前述のいずれかの実施形態に記載のセパレータ層、セパレータ材料、又は電解質。
【0225】
実施形態76:LiClO、LiBF、LiPF、LiAsF、LiCl、及びLiBrなどの無機リチウム塩、並びにLiB(C、LiN(SOCF、LiN(SOCF、LiNSOCF、LiNSOCF、LiNSO、LiNSO11、LiNSO13、及びLiNSO15などの有機リチウム塩のうちの1つ以上から選択される非水性電解質を更に含む、前述のいずれかの実施形態に記載のセパレータ層、セパレータ材料、又は電解質。
【0226】
実施形態77:負極は、(a)ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、及びカドミウム(Cd)、(b)Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Zn、Al、Ti、Ni、Co、又はCdと他の元素との合金又は金属間化合物、(c)Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Zn、Al、Ti、Fe、Ni、Co、V、又はCdの酸化物、炭化物、窒化物、硫化物、リン化物、セレン化物、及びテルル化物、並びにそれらの混合物、複合物、又はリチウム含有複合物、(d)Snの塩及び水酸化物、(e)チタン酸リチウム、マンガン酸リチウム、アルミン酸リチウム、リチウム含有酸化チタン、リチウム遷移金属酸化物、ZnCo2O4、(f)グラファイト及び炭素の粒子、(g)リチウム金属、及び(h)それらの組み合わせから選択される陽極活性材料を含む、前述のいずれかの実施形態に記載の二次バッテリ。
【0227】
実施形態78:負極は、グラファイト、ソフトカーボン、ハードカーボン、グラフェン、又はリチウムをインターカレートするか若しくはリチウムと合金を形成することができる一連の金属、半金属、合金、酸化物、窒化物、及び化合物のいずれかから選択される陽極活性材料を含む、前述のいずれかの実施形態に記載の二次バッテリ。
【0228】
実施形態79:負極は、スズ、鉛、マグネシウム、アルミニウム、ホウ素、ガリウム、ケイ素、Si/C複合材料、Si/グラファイトブレンド、酸化ケイ素(SiOx)、多孔質Si、金属間Si合金、インジウム、ジルコニウム、ゲルマニウム、ビスマス、カドミウム、アンチモン、銀、亜鉛、ヒ素、ハフニウム、イットリウム、リチウム、ナトリウム、グラファイト、炭素、チタン酸リチウム、パラジウム、及びそれらの混合物から選択される陽極活性材料を含む、前述のいずれかの実施形態に記載の二次バッテリ。
【0229】
実施形態80:負極は、アルミニウム、スズ、若しくはケイ素、又はそれらの酸化物、それらの窒化物、それらのフッ化物、若しくはそれらの他の合金から選択される陽極活性材料を含む、前述のいずれかの実施形態に記載の二次バッテリ。
【0230】
実施形態81:負極は、アルミニウム、スズ、若しくはケイ素、又はそれらの合金の繊維から選択される陽極活性材料を含む、前述のいずれかの実施形態に記載の二次バッテリ。
【0231】
実施形態82:負極は、安定化されたリチウムメタル粒子から選択される粒子状リチウム材料でコーティングされた陽極活性材料を含む、前述のいずれかの実施形態に記載の二次バッテリ。
【0232】
実施形態83:陰極活性材料は、インターカレーション型化学活性材料、変換化学活性材料、又はそれらの組み合わせを含む、前述のいずれかの実施形態に記載の二次バッテリ。
【0233】
実施形態84:陰極活性材料は、S、LiF、Fe、Cu、Ni、FeF、FeO3.2d、FeF、CoF、CoF、CuF、NiFのうちの1つ以上から選択される変換化学物質を含み、式中、0≦d≦0.5である、前述のいずれかの実施形態に記載の二次バッテリ。
【0234】
実施形態85:陰極活性材料は、遷移金属酸化物、遷移金属硫化物、遷移金属窒化物、リチウム遷移金属酸化物、リチウム遷移金属硫化物、及びリチウム遷移金属窒化物のうちの1つ以上を含む、前述のいずれかの実施形態に記載の二次バッテリ。
【0235】
実施形態86:二次バッテリ用の補助極であって、補助極は、X-Y平面内に第1の主面を有する導電層であって、導電層は、導電性である材料を含み、第1の表面積を有する、導電層と、第1のキャリアイオン供給層及び第2のキャリアイオン供給層であって、第1のキャリアイオン供給層及び第2のキャリアイオン供給層の各々は、二次バッテリの電極にキャリアイオンを供給する材料を含み、第1のキャリアイオン供給層は、導電層の第1の主面の第1の領域を覆い、第2のキャリアイオン供給層は、導電層の第1の主面の第2の領域を覆う、第1のキャリアイオン供給層及び第2のキャリアイオン供給層と、を備え、第1の領域及び第2の領域は、第1の領域と第2の領域との間に延在する導電層の第3の領域によって分離され、第3の領域は、折り畳み構成において、第1の領域及び第2の領域が実質的に平行になるように、Y軸方向に沿って折り畳まれるように構成され、第3の領域は、折り畳み構成において、第1の領域及び第2の領域に対して実質的に垂直である、補助極。
【0236】
実施形態87.折り畳み構成において、第1のキャリアイオン供給層の周囲は、第2のキャリアイオン供給層の周囲と実質的に整列している、実施形態87に記載の補助極。
【0237】
実施形態88.第1のキャリアイオン供給層と第2のキャリアイオン供給層とを合わせた表面積は、第3の領域の表面積よりも大きい、前述のいずれかの実施形態に記載の補助極。
【0238】
実施形態89.第1のキャリアイオン供給層上に配設され、第1のキャリアイオン供給層と同一の広がりを有する第1のセパレータ層を更に含む、前述のいずれかの実施形態に記載の補助極。
【0239】
実施形態90.第2のキャリアイオン層上に配設され、第2のキャリアイオン層と同一の広がりを有する第2のセパレータ層を更に含む、前述のいずれかの実施形態に記載の補助極。
【0240】
実施形態91.第3のセパレータ層を更に含み、第3のセパレータ層は、第1の主面の反対側の導電層の第2の主面上に配設されている、前述のいずれかの実施形態に記載の補助極。
【0241】
実施形態92.第1のセパレータ層、第2のセパレータ層、及び第3のセパレータ層は、連続している、前述のいずれかの実施形態に記載の補助極。
【0242】
実施形態93.第1のセパレータ層及び第3のセパレータ層は、第1のセパレータ層及び第3のセパレータ層の周囲の少なくとも一部分の周りで一緒に機械的に接合されている、前述のいずれかの実施形態に記載の補助極。
【0243】
実施形態94.第2のセパレータ層及び第3のセパレータ層は、第2のセパレータ層及び第3のセパレータ層の周囲の少なくとも一部分の周りで一緒に機械的に接合されている、前述のいずれかの実施形態に記載の補助極。
【0244】
実施形態95.導電層は、銅、アルミニウム、又は銅とアルミニウムの合金のうちの1つを含む、前述のいずれかの実施形態に記載の補助極。
【0245】
実施形態96.第1及び第2のキャリアイオン供給層は、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、及びカルシウムイオンのうちの1つ以上の供給源を含む、前述のいずれかの実施形態に記載の補助極。
【0246】
実施形態97.導電性であり、導電層の第3の領域内で導電層に結合された材料を含む導電性タブを更に含む、前述のいずれかの実施形態に記載の補助極。
【0247】
この書面による明細書は、例を使用して、最良の態様を含む発明を開示し、かつ当業者が、任意のデバイス又はシステムの作製及び使用並びに任意の組み込まれた方法の実施を含む、本発明を実践することを可能にする。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、また、当業者に着想される他の例を含み得る。かかる他の例は、それらが特許請求の範囲の文字通りの言葉と異ならない構造要素を有する場合、又はそれらが特許請求の範囲の文字通りの言葉とは実質的に異ならない差を伴う均等な構造要素を含む場合、特許請求の範囲の範囲内であることが意図されている。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次バッテリ用の補助極であって、前記補助極は、
X-Y平面内に第1の主面を有する導電層であって、前記導電層は、導電性である材料を含み、第1の表面積を有する、導電層と、
第1のキャリアイオン供給層及び第2のキャリアイオン供給層であって、前記第1のキャリアイオン供給層及び前記第2のキャリアイオン供給層の各々は、前記二次バッテリの電極にキャリアイオンを供給する材料を含み、前記第1のキャリアイオン供給層は、前記導電層の前記第1の主面の第1の領域を覆い、前記第2のキャリアイオン供給層は、前記導電層の前記第1の主面の第2の領域を覆う、第1のキャリアイオン供給層及び第2のキャリアイオン供給層であって
前記第1の領域及び前記第2の領域は、前記第1の領域と前記第2の領域との間に延在する前記導電層の第3の領域によって分離され、前記第3の領域は、折り畳み構成において、前記第1の領域及び前記第2の領域が実質的に平行になるように、Y軸方向に沿って折り畳まれるように構成され、前記第3の領域は、前記折り畳み構成において、前記第1の領域及び前記第2の領域に対して実質的に垂直である、第1のキャリアイオン供給層及び第2のキャリアイオン供給層と、
前記第1のキャリアイオン供給層及び前記第2のキャリアイオン供給層の上に配設されたセパレータ層と、を備える、補助極。
【請求項2】
前記折り畳み構成において、前記第1のキャリアイオン供給層の周囲は、前記第2のキャリアイオン供給層の周囲と実質的に整列している、請求項1に記載の補助極。
【請求項3】
前記第1のキャリアイオン供給層と前記第2のキャリアイオン供給層とを合わせた表面積は、前記第3の領域の表面積よりも大きい、請求項1に記載の補助極。
【請求項4】
前記セパレータ層は、前記第1のキャリアイオン供給層上に配設され、前記第1のキャリアイオン供給層と同一の広がりを有する第1のセパレータ層を含む、請求項1に記載の補助極。
【請求項5】
前記セパレータ層は、前記第2のキャリアイオン供給層上に配設され、前記第2のキャリアイオン供給層と同一の広がりを有する第2のセパレータ層を含む、請求項4に記載の補助極。
【請求項6】
第3のセパレータ層を更に含み、前記第3のセパレータ層は、前記第1の主面の反対側の前記導電層の第2の主面上に配設されている、請求項5に記載の補助極。
【請求項7】
前記第1のセパレータ層、前記第2のセパレータ層、及び前記第3のセパレータ層は、連続している、請求項6に記載の補助極。
【請求項8】
前記第1のセパレータ層及び前記第3のセパレータ層は、前記第1のセパレータ層及び前記第3のセパレータ層の周囲の少なくとも一部分の周りで一緒に機械的に接合されている、請求項6に記載の補助極。
【請求項9】
前記第2のセパレータ層及び前記第3のセパレータ層は、前記第2のセパレータ層及び前記第3のセパレータ層の周囲の少なくとも一部分の周りで一緒に機械的に接合されている、請求項6に記載の補助極。
【請求項10】
前記導電層は、銅、アルミニウム、又は銅とアルミニウムの合金のうちの1つを含む、請求項1に記載の補助極。
【請求項11】
前記第1及び第2のキャリアイオン供給層は、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、及びカルシウムイオンのうちの1つ以上の供給源を含む、請求項1に記載の補助極。
【請求項12】
導電性である材料を含み、前記導電層の前記第3の領域内で前記導電層に結合された導電性タブを更に含む、請求項1に記載の補助極。
【請求項13】
緩衝システムであって、
互いに反対側にある主面及び電気端子を有する二次バッテリであって、前記電気端子の各々は、前記二次バッテリの正極及び負極のうちの一方に結合され、前記二次バッテリは、前記負極と前記正極との間に、前記負極及び前記正極とイオン接触する電解質が浸透している微多孔質セパレータを含み、前記負極は、陽極活性ケイ素又はその合金を含み、キャリアイオンのクーロン容量を有し、前記正極は、陰極活性材料を含み、前記キャリアイオンのクーロン容量を有し、前記負極クーロン容量は、前記正極クーロン容量を上回る、二次バッテリと、
前記二次バッテリの前記主面に接触する補助極であって、前記補助極は、
イオン透過性である材料を含む第1のセパレータ層と、
電気伝導性である材料を含み、前記第1のセパレータ層に接触する第1の表面と、前記第1の表面の反対側の第2の表面と、を有する、導電層であって、前記第2の表面は、前記導電層の第1の端部に配設された第1の領域と、前記第1の端部の反対側の前記導電層の第2の端部に配設された第2の領域と、前記第1の領域と前記第2の領域との間に配設された第3の領域と、にセグメント化されている、導電層と、
前記二次バッテリの前記正極に前記キャリアイオンを供給する材料を各々が含むキャリアイオン供給層の集団であって、前記キャリアイオン供給層のそれぞれの1つは、前記導電層の前記第1の領域及び前記第2の領域内に配設されている、キャリアイオン供給層の集団と、
イオン透過性である材料を含む第2のセパレータ層であって、前記第2のセパレータ層は、前記導電層の前記第1の領域及び前記第2の領域内の前記キャリアイオン供給層を前記二次バッテリの前記主面から分離する、第2のセパレータ層と、
導電性である材料を含む導電性タブであって、前記導電性タブは、前記導電層の前記第3の領域内で前記導電層の前記第2の表面に結合された第1の端部と、前記第1の端部より遠位にある第2の端部と、を有する、導電性タブと、を含む、補助極と、
前記補助極及び前記二次バッテリを封入するエンクロージャであって、前記電気端子及び前記導電性タブの前記第2の端部は、前記エンクロージャの周囲から電気的に延在している、エンクロージャと、を備える、緩衝システム。
【請求項14】
前記エンクロージャは、第1のエンクロージャ層と、第2のエンクロージャ層と、を備え、
前記補助極及び前記二次バッテリは、前記第1のエンクロージャ層に形成されたポーチ内に配設されている、請求項13に記載の緩衝システム。
【請求項15】
前記第2のセパレータ層を浸透する電解質を更に含む、請求項13に記載の緩衝システム。
【請求項16】
前記キャリアイオン供給層は、前記二次バッテリの前記正極のためのリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、及びカルシウムイオンのうちの1つ以上の供給源を含む、請求項13に記載の緩衝システム。
【請求項17】
補助極を使用して二次バッテリをキャリアイオンで緩衝する方法であって、前記二次バッテリは、互いに反対側にある主面及び電気端子を有し、前記電気端子の各々は、前記二次バッテリの正極及び負極のうちの一方に結合され、前記二次バッテリは、前記負極と前記正極との間に、前記負極及び前記正極とイオン接触する電解質が浸透している微多孔質セパレータを含み、前記負極は、陽極活性ケイ素又はその合金を含み、前記キャリアイオンのクーロン容量を有し、前記正極は、陰極活性材料を含み、前記キャリアイオンのクーロン容量を有し、前記負極クーロン容量は、前記正極クーロン容量を上回り、前記方法は、
補助サブアセンブリを形成するために、前記二次バッテリの前記主面と接触して前記補助極を配置することであって、前記補助極は、導電層と、前記二次バッテリの前記主面に近接している前記導電層上に配設されたキャリアイオン供給層と、前記キャリアイオン供給層と前記二次バッテリの前記主面との間に配設されたセパレータ層と、前記導電層に結合された導電性タブと、を含む、配置することと、
前記補助サブアセンブリをエンクロージャ内に設置することであって、前記二次バッテリの前記電気端子及び前記補助極の前記導電性タブは、前記エンクロージャの周囲から電気的に延在する、設置することと、
前記二次バッテリの前記電気端子にわたって電位電圧を加えることによって、前記キャリアイオンを前記正極から前記負極に移動させて、前記二次バッテリを少なくとも部分的に充電することと、
前記補助極の前記導電性タブ及び前記二次バッテリの前記電気端子のうちの1つ以上にわたって電位電圧を加えることによって、前記補助極の前記キャリアイオン供給層から前記二次バッテリの前記正極及び前記負極のうちの少なくとも1つに前記キャリアイオンを移動させることと、
前記負極が、前記キャリアイオンとして蓄積される前記正極クーロン容量の100%超を有するまで、前記二次バッテリの前記電気端子にわたって電位電圧を加えることによって、前記キャリアイオンを前記正極から前記負極に移動させて、前記二次バッテリを充電することと、を含む、方法。
【請求項18】
前記エンクロージャを開くことと、
前記二次バッテリから前記補助極を除去することと、
前記エンクロージャを再封止して前記二次バッテリを封入することと、を更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記エンクロージャは、第1のエンクロージャ層と、第2のエンクロージャ層と、を備え、
前記補助サブアセンブリを前記エンクロージャ内に設置することは、
前記補助サブアセンブリを前記第1のエンクロージャ層上に設置することと、
前記第2のエンクロージャ層を前記第1のエンクロージャ層上に設置することと、
封止線に沿って前記第1のエンクロージャ層を前記第2のエンクロージャ層に封止して、前記エンクロージャを形成することと、を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記第1のエンクロージャ層は、ポーチを含み、
前記補助サブアセンブリを前記第1のエンクロージャ層に設置することは、
前記補助サブアセンブリを前記ポーチ内に設置することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記ポーチに電解質を追加することを更に含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
対極に対してサイクルさせたときに、前記負極クーロン容量の前記正極クーロン容量に対する比は、それぞれ、約1.2:1~約5:1の範囲内にある、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
対極に対してサイクルさせたときに、前記補助極のクーロン容量の前記正極クーロン容量に対する比は、それぞれ、約2:1~約5:1の範囲内にある、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
前記負極は、陽極活性材料を含み、前記陽極活性材料は、ケイ素を含み、前記二次バッテリの充電及び放電サイクル中に前記キャリアイオンが前記負極に組み込まれるか又は前記負極から出るときの体積膨張及び収縮に適応する空隙体積分率を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項25】
前記陽極活性材料の前記空隙体積分率は、約0.1~約0.7である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記陽極活性材料は、マクロ多孔質、微多孔質、若しくはメソ多孔質の材料層、又はそれらの組み合わせを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記キャリアイオンを前記補助極の前記キャリアイオン供給層から前記二次バッテリの前記正極及び前記負極のうちの少なくとも1つに移動させることは、
前記キャリアイオンの前記正極クーロン容量の約50%を前記正極及び前記負極のうちの少なくとも1つに移動させることを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項28】
前記キャリアイオンを前記補助極の前記キャリアイオン供給層から前記二次バッテリの前記正極及び前記負極のうちの少なくとも1つに移動させることは、
前記キャリアイオンの前記正極クーロン容量の約60%を前記正極及び前記負極のうちの少なくとも1つに移動させることを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項29】
前記キャリアイオンを前記補助極の前記キャリアイオン供給層から前記二次バッテリの前記正極及び前記負極のうちの少なくとも1つに移動させることは、
前記キャリアイオンの前記正極クーロン容量の約70%を前記正極及び前記負極のうちの少なくとも1つに移動させることを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項30】
前記キャリアイオンを前記補助極の前記キャリアイオン供給層から前記二次バッテリの前記正極及び前記負極のうちの少なくとも1つに移動させることは、
前記キャリアイオンの前記正極クーロン容量の約80%を前記正極及び前記負極のうちの少なくとも1つに移動させることを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項31】
前記キャリアイオンを前記補助極の前記キャリアイオン供給層から前記二次バッテリの前記正極及び前記負極のうちの少なくとも1つに移動させることは、
前記キャリアイオンの前記正極クーロン容量の約90%を前記正極及び前記負極のうちの少なくとも1つに移動させることを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項32】
前記キャリアイオンを前記補助極の前記キャリアイオン供給層から前記二次バッテリの前記正極及び前記負極のうちの少なくとも1つに移動させることは、
前記キャリアイオンの前記正極クーロン容量の約100%を前記正極及び前記負極のうちの少なくとも1つに移動させることを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項33】
前記キャリアイオンを前記補助極の前記キャリアイオン供給層から前記二次バッテリの前記正極及び前記負極のうちの少なくとも1つに移動させることは、
前記キャリアイオンの前記正極クーロン容量の約1%~約100%を前記正極及び前記負極のうちの少なくとも1つに移動させることを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項34】
前記キャリアイオン供給層は、前記二次バッテリの前記正極のためのリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、及びカルシウムイオンのうちの1つ以上の供給源を含む、請求項17に記載の方法。
【国際調査報告】