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特表2024-527555インビボ神経特異的造影のための水溶性神経色素
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-25
(54)【発明の名称】インビボ神経特異的造影のための水溶性神経色素
(51)【国際特許分類】
   C07D 265/38 20060101AFI20240718BHJP
   A61K 49/00 20060101ALI20240718BHJP
   C07F 7/18 20060101ALN20240718BHJP
【FI】
C07D265/38
A61K49/00
C07F7/18 U CSP
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580741
(86)(22)【出願日】2022-07-01
(85)【翻訳文提出日】2024-02-16
(86)【国際出願番号】 US2022036015
(87)【国際公開番号】W WO2023278874
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】63/218,124
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/218,134
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.MATLAB
(71)【出願人】
【識別番号】511106053
【氏名又は名称】オレゴン・ヘルス・アンド・サイエンス・ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【弁理士】
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【弁理士】
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】ギブス サマー エル.
(72)【発明者】
【氏名】ワン レイ ジー.
(72)【発明者】
【氏名】バース コナー ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】モンターニョ アントニオ アール.
【テーマコード(参考)】
4C085
4H049
【Fターム(参考)】
4C085HH11
4C085KA27
4C085KB56
4C085LL13
4H049VN01
4H049VP11
4H049VQ21
4H049VR23
4H049VR41
4H049VU06
(57)【要約】
臨床グレードの外科手術システムを用いてリアルタイムの術中造影を可能にする、米国FDAが承認したメチレンブルー(MB)およびインドシアニングリーン(ICG)それぞれに匹敵する励起および発光プロファイルを備えた式(I)の置換8-メチル-フェノキサジン化合物の神経特異的蛍光造影剤、のライブラリが、本明細書において提供される。また、製剤開発の必要性を完全に無くし、臨床における患者への使用のための安全性プロファイルの向上、ならびに臨床応用のコスト全体の削減、という追加の利点をもたらす、水溶性が大幅に向上した700nmリード候補物質も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
の化合物であって、
式中、
R1は、-X1、-(CH2)n1-SO3 -、-(CH2)n1-N+(CH3)3、-CH2-CH2-O-X1、-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-O]n4-X1、-CH2-CH2-CH2-O-X1、および-CH2-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-CH2-O]n5-X1
の群より選択され;
R2およびR3はそれぞれ独立して、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、-(CH2)n1-SO3 -、-(CH2)n1-N+(CH3)3、-CH2-CH2-O-X1、-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-O]n2-X1、-CH2-CH2-CH2-O-X1、および-CH2-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-CH2-O]n3-X1
の群より選択され;
それぞれの場合におけるX1は独立して、C1~C6直鎖または分岐アルキル、C2~C6直鎖または分岐アルケニル、C1~C6直鎖または分岐アルキニル、および-Si(C1~C4アルキル)3の群より選択され;
n1は、1、2、3、および4の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数であり;
n2は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数であり;
n3は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数であり;
n4は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数であり;かつ
n5は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数であり;
但し、n2+n4の合計は10以下であり;
但し、n3+n5の合計は10以下であり;
但し、n2+n5の合計は10以下であり;かつ
但し、n3+n4の合計は10以下である、
前記化合物。
【請求項2】
式(II):
を有し、
式中、
R1およびR2はそれぞれ独立して、
-(CH2)n1-SO3 -、-(CH2)n1-N+(CH3)3
-CH2-CH2-O-CH3
-CH2-CH2-O-CH2-CH3
-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-O]n4-CH3
-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-O]n4-CH2-CH3
-CH2-CH2-CH2-O-CH3
-CH2-CH2-CH2-O-CH2-CH3
-CH2-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-CH2-O]n5-CH3;および
-CH2-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-CH2-O]n5-CH2-CH3
の群より選択され;
n1は、1、2、3、および4の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数であり;
n4は、1、2、3、4、5、6、7、および8の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数であり;かつ
n5は、1、2、3、4、5、6、7、および8の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数である、
請求項1記載の化合物。
【請求項3】
式(III):
を有し、
式中、
X1a、X1b、およびX1cはそれぞれ独立して、C1~C6直鎖または分岐アルキル、C2~C6直鎖または分岐アルケニル、C1~C6直鎖または分岐アルキニル、および-Si(C1~C4アルキル)3の群より選択され;かつ
n6、n7、およびn8はそれぞれ、1、2、3、4、および5の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数である、
請求項1記載の化合物。
【請求項4】
式(IV):
を有し、
式中、
X1a、X1b、およびX1cはそれぞれ独立して、C1~C6直鎖または分岐アルキル、C2~C6直鎖または分岐アルケニル、C1~C6直鎖または分岐アルキニル、および-Si(C1~C4アルキル)3の群より選択され;かつ
n6およびn7はそれぞれ、1、2、3、4、および5の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数である、
請求項1記載の化合物。
【請求項5】
式(V):
を有し、
式中、
X1aおよびX1bはそれぞれ独立して、C1~C6直鎖または分岐アルキル、C2~C6直鎖または分岐アルケニル、C1~C6直鎖または分岐アルキニル、および-Si(C1~C4アルキル)3の群より選択され;かつ
n6およびn7はそれぞれ、1、2、3、4、および5の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数である、
請求項1記載の化合物。
【請求項6】
式(VI):
を有し、
X1a、X1b、およびX1cはそれぞれ独立して、C1~C6直鎖または分岐アルキル、C2~C6直鎖または分岐アルケニル、C1~C6直鎖または分岐アルキニル、および-Si(C1~C4アルキル)3の群より選択され;かつ
n6は、1、2、3、4、および5の群より選択される整数である、
請求項1記載の化合物。
【請求項7】
式(VII):
を有し、
X1aは、C1~C6直鎖または分岐アルキル、C2~C6直鎖または分岐アルケニル、C1~C6直鎖または分岐アルキニル、および-Si(C1~C4アルキル)3の群より選択され;かつ
n6は、1、2、3、4、および5の群より選択される整数である、
請求項1記載の化合物。
【請求項8】
式(VIII):
を有し、
式中、
X1a、X1b、およびX1cはそれぞれ独立して、C1~C6直鎖または分岐アルキル、C2~C6直鎖または分岐アルケニル、C1~C6直鎖または分岐アルキニル、および-Si(C1~C4アルキル)3の群より選択され;かつ
n7およびn8はそれぞれ、1、2、3、4、および5の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数である、
請求項1記載の化合物。
【請求項9】
式(IX):
を有し、
式中、
X1a、X1b、およびX1cはそれぞれ独立して、C1~C6直鎖または分岐アルキル、C2~C6直鎖または分岐アルケニル、C1~C6直鎖または分岐アルキニル、および-Si(C1~C4アルキル)3の群より選択され;かつ
n6は、1、2、3、4、および5の群より独立して選択される整数である、
請求項1記載の化合物。
【請求項10】
式(X):
を有し、
式中、
nは2、3、4、および5より選択される整数であり;
X1はC1~C6アルキルであり;かつ
X1aおよびX1bはそれぞれ、C1~C6直鎖または分岐アルキル、C2~C6直鎖または分岐アルケニル、C1~C6直鎖または分岐アルキニル、および-Si(C1~C4アルキル)3の群より独立して選択される、
請求項1記載の化合物。
【請求項11】
の群より選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項12】
請求項1記載の化合物と、薬学的に許容される担体または賦形剤とを含む、組成物。
【請求項13】
請求項1記載の化合物と、緩衝食塩水とを含む、組成物。
【請求項14】
手術を受けている対象において手術中に神経を検出する方法であって、
a)請求項1記載の化合物を含む組成物の有効量を前記対象に手術の前または最中に全身投与して、染色された組織を形成する工程;および
b)前記対象において前記染色された組織を造影し、それによって前記対象において手術中に神経を検出する工程
を含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、神経組織を回避しかつ外科的処置からの罹患率を減少させるための画像誘導手術法において有用な神経特異的フルオロフォア化合物に関する。
【0002】
連邦政府による資金提供を受けた研究開発に関する記載
本発明は国立衛生研究所により授与された助成金R01EB021362の下で政府の支援によって行われた。政府は発明において一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
NIR領域(650~900nm)における蛍光造影は、内因性組織発色団の吸光、散乱、および自己蛍光が、局所的にすべて極小値になり、組織特異的なコントラストを加え得る黒色の背景を作り出すので、有利である。NIR領域では光子の散乱および吸光が最小限であることは蛍光造影のための光子の透過も容易になり、可視光を用いた場合では組織の深さ数百マイクロメートルまでであるのに対して、最大で数センチメートルにまで達する。1,2 画像誘導手術の観点では、NIR蛍光は、蛍光コントラストおよびNIR光の付加が術野の外観を変化させてしまうことがなく、造影剤の検出に電離放射線を必要としない、リアルタイムの非接触造影を可能にする。3,4 インビボで神経組織を染色する蛍光造影剤は限られており、これはいずれも現時点ではNIR領域で吸光も発光もしない。神経または脳に特異性を有することが示された公知のフルオロフォアは現在7つあり、これらは神経特異的ペプチドおよび6つのクラスの小分子有機フルオロフォアを含む。神経特異的ペプチドは、それらのサイズが大きいため神経内膜への結合が最小限である、主に神経上膜に結合するターゲティング配列であり、神経の周縁のみへの結合がインビボ神経造影のためのシグナル対バックグラウンド比(SBR)を低下させる。5 6つのクラスの小分子有機フルオロフォアは、わずかのスチルベン誘導体、6 クマリン類似体、7 本発明者らの研究室によって合成および特性決定された10, 11 8 ジスチリルベンゼン(DSB)誘導体のライブラリ、8,9 本発明者らの研究室によって特性決定された13スチリルピリジニウム(FM)フルオロフォア、12 オキサジンフルオロフォア、14 ならびにトリカルボシアニン(TCC)フルオロフォア15を含む。神経特異的小分子有機フルオロフォアの例は文献に記載されてきたが、NIR神経特異的コントラストをもたらすそれらの可能性は同程度ではない(表1)。スチルベン誘導体およびクマリン類似体は、青色発光を伴う紫外線(UV)励起を本質的に有しており、内因性組織発色団と大幅に重複し、神経SBRが低い。3,4 本発明者らの過去の研究では、FMフルオロフォアの神経特異性は、限定的であり、全身投与された場合には神経後根および三叉神経節のみを強調した。13 DSB誘導体のライブラリは、本発明者らの研究室によって合成され、DSBファーマコフォアの構造活性関連性を決定するために利用されてきた。10 これまで、本発明者らの200種類を超える合成DSB類似体が緑色~赤色の発光を伴うUV~青色の励起を実証しており、NIR発光に到達させるための合成的調整は可能であるが、DSBコア構造を厳密に維持しつつNIR励起することはおそらく不可能である。TCCフルオロフォアは、髄鞘形成不全および過剰髄鞘形成マウスモデルの非侵襲的脳造影に利用されており、髄鞘形成状態との蛍光の相関関係を実証している。15 しかしながら、本発明者らの研究室での予備的な蛍光造影研究では、短時間での神経特異性は示されておらず(発表した研究15で示唆されているように)、本発明者らの研究室による過去の神経特異的蛍光造影研究に用いた、より長時間での神経特異性も示されていない。11,13 赤色にシフトしたオキサジンフルオロフォアであるオキサジン4はすべてのゲッ歯類神経において全身投与後に神経特異的シグナルを実証した。14 しかしながら、それは未だNIR蛍光ではない。神経特異的造影のための改良された剤が依然として必要である。
【発明の概要】
【0004】
本発明者らは、臨床グレードの外科手術システムを用いたリアルタイムの術中造影を可能にする、米国FDA承認のメチレンブルー(MB)およびインドシアニングリーン(ICG)それぞれに匹敵する励起および発光プロファイルを備えた神経特異的蛍光造影剤、のいくつかのライブラリを作製するために、医薬品化学および最新の有機合成を用いた。さらに、本発明者らは、水溶性が大幅に向上した700nmリード候補物質の作製に成功し、これは、製剤開発の必要性を完全に無くし、臨床における患者への使用のための安全性プロファイルの向上、ならびに臨床応用のコスト全体の削減、という追加の利点をもたらした。
【0005】
1つの態様は式(I):
の化合物を提供し、
式中、
R1は、-X1、-(CH2)n1-SO3 -、-(CH2)n1-N+(CH3)3、-CH2-CH2-O-X1、-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-O]n4-X1、-CH2-CH2-CH2-O-X1、および-CH2-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-CH2-O]n5-X1
の群より選択され;
R2およびR3はそれぞれ独立して、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、-(CH2)n1-SO3 -、-(CH2)n1-N+(CH3)3、-CH2-CH2-O-X1、-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-O]n2-X1、-CH2-CH2-CH2-O-X1、および-CH2-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-CH2-O]n3-X1
の群より選択され;
それぞれの場合におけるX1は独立して、C1~C6直鎖または分岐アルキル、C2~C6直鎖または分岐アルケニル、C1~C6直鎖または分岐アルキニル、および-Si(C1~C4アルキル)3の群より選択され;
n1は、1、2、3、および4の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数であり;
n2は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数であり;
n3は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数であり;
n4は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数であり;かつ
n5は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数であり;
但し、n2+n4の合計は10以下であり;
但し、n3+n5の合計は10以下であり;
但し、n2+n5の合計は10以下であり;かつ
但し、n3+n4の合計は10以下である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
発明の詳細な説明
別の態様は上記の式(I)の化合物を提供し、式中、
R1は、C1~C6アルキル、-(CH2)n1-SO3 -、-(CH2)n1-N+(CH3)3、-CH2-CH2-O-X1、-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-O]n4-X1、-CH2-CH2-CH2-O-X1、および-CH2-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-CH2-O]n5-X1
の群より選択され;
かつ、可変記号R2、R3、X1、n1、n2、n3、n4、n5は、式(I)に関して上記に見られるように、但し書きを含めて、定義された通りである。
【0007】
別の態様は上記の式(I)の化合物を提供し、式中、
R1は、C1~C4アルキル、-(CH2)n1-SO3 -、-(CH2)n1-N+(CH3)3、-CH2-CH2-O-X1、-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-O]n4-X1、-CH2-CH2-CH2-O-X1、および-CH2-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-CH2-O]n5-X1
の群より選択され;
かつ、可変記号R2、R3、X1、n1、n2、n3、n4、n5は、式(I)に関して上記に見られるように、但し書きを含めて、定義された通りである。
【0008】
別の態様は上記の式(I)の化合物を提供し、式中、
R1は、-(CH2)n1-SO3 -、-(CH2)n1-N+(CH3)3、-CH2-CH2-O-X1、-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-O]n4-X1、-CH2-CH2-CH2-O-X1、および-CH2-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-CH2-O]n5-X1
の群より選択され;
かつ、可変記号R2、R3、X1、n1、n2、n3、n4、n5は、式(I)に関して上記に見られるように、但し書きを含めて、定義された通りである。
【0009】
別の態様は式(I):
の化合物を提供し、
式中、
R1は、
-X1、-(CH2)n1-SO3 -、-(CH2)n1-N+(CH3)3
-CH2-CH2-O-X1
-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-O]n4-X1
-CH2-CH2-CH2-O-X1;および
-CH2-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-CH2-O]n5-X1
の群より選択され;
R2およびR3はそれぞれ独立して、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、-(CH2)n1-SO3 -
-(CH2)n1-N+(CH3)3
-CH2-CH2-O-X1
-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-O]n2-X1
-CH2-CH2-CH2-O-X1;および
-CH2-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-CH2-O]n3-X1
の群より選択され;
それぞれの場合におけるX1は独立して、C1~C6直鎖または分岐アルキル、C2~C6直鎖または分岐アルケニル、C1~C6直鎖または分岐アルキニル、および-Si(C1~C4アルキル)3の群より選択され;
n1は、1、2、3、および4の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数であり;
n2は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数であり;
n3は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数であり;
n4は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数であり;かつ
n5は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数であり;
但し、n2+n4の合計は10以下であり;
但し、n3+n5の合計は10以下であり;
但し、n2+n5の合計は10以下であり;かつ
但し、n3+n4の合計は10以下である。
【0010】
さらなる態様は式(I)の化合物を提供し、式中、
R1は、-X1、-(CH2)n1-SO3 -、-(CH2)n1-N+(CH3)3
-CH2-CH2-O-CH3
-CH2-CH2-O-CH2-CH3
-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-O]n4-CH3
-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-O]n4-CH2-CH3
-CH2-CH2-CH2-O-CH3
-CH2-CH2-CH2-O-CH2-CH3
-CH2-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-CH2-O]n5-CH3;および
-CH2-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-CH2-O]n5-CH2-CH3
の群より選択され;
R2およびR3はそれぞれ独立して、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、-(CH2)n1-SO3 -、-(CH2)n1-N+(CH3)3
-CH2-CH2-O-CH3
-CH2-CH2-O-CH2-CH3
-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-O]n2-CH3
-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-O]n2-CH2-CH3
-CH2-CH2-CH2-O-CH3
-CH2-CH2-CH2-O-CH2-CH3
-CH2-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-CH2-O]n3-CH3;および
-CH2-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-CH2-O]n3-CH2-CH3
の群より選択され;
n1は、1、2、3、および4の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数であり;
n2は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数であり;
n3は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数であり;
n4は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数であり;かつ
n5は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数であり;
但し、n2+n4の合計は10以下であり;
但し、n3+n5の合計は10以下であり;
但し、n2+n5の合計は10以下であり;かつ
但し、n3+n4の合計は10以下である。
【0011】
さらなる態様は式(I)の化合物を提供し、式中、
R1は、-X1、-(CH2)n1-SO3 -、-(CH2)n1-N+(CH3)3
-CH2-CH2-O-CH3
-CH2-CH2-O-CH2-CH3
-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-O]n4-CH3
-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-O]n4-CH2-CH3
-CH2-CH2-CH2-O-CH3
-CH2-CH2-CH2-O-CH2-CH3
-CH2-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-CH2-O]n5-CH3;および
-CH2-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-CH2-O]n5-CH2-CH3
の群より選択され;
R2およびR3はそれぞれ独立して、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、-(CH2)n1-SO3 -、-(CH2)n1-N+(CH3)3
-CH2-CH2-O-CH3
-CH2-CH2-O-CH2-CH3
-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-O]n2-CH3
-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-O]n2-CH2-CH3
-CH2-CH2-CH2-O-CH3
-CH2-CH2-CH2-O-CH2-CH3
-CH2-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-CH2-O]n3-CH3;および
-CH2-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-CH2-O]n3-CH2-CH3
の群より選択され;
n1は、1、2、3、および4の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数であり;
n2は、1、2、3、4、5、6、7、および8の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数であり;
n3は、1、2、3、4、5、6、7、および8の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数であり;
n4は、1、2、3、4、5、6、7、および8の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数であり;かつ
n5は、1、2、3、4、5、6、7、および8の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数であり;
但し、n2+n4の合計は10以下であり;
但し、n3+n5の合計は10以下であり;
但し、n2+n5の合計は10以下であり;かつ
但し、n3+n4の合計は10以下である。
【0012】
さらなる態様は式(I)の化合物を提供し、式中、
R1は、-X1、-(CH2)n1-SO3 -、-(CH2)n1-N+(CH3)3
-CH2-CH2-O-CH3
-CH2-CH2-O-CH2-CH3
-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-O]n4-CH3
-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-O]n4-CH2-CH3
-CH2-CH2-CH2-O-CH3
-CH2-CH2-CH2-O-CH2-CH3
-CH2-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-CH2-O]n5-CH3;および
-CH2-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-CH2-O]n5-CH2-CH3
の群より選択され;
R2は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、-(CH2)n1-SO3 -、-(CH2)n1-N+(CH3)3の群より選択され;
R3は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、-(CH2)n1-SO3 -、-(CH2)n1-N+(CH3)3
-CH2-CH2-O-CH3
-CH2-CH2-O-CH2-CH3
-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-O]n2-CH3
-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-O]n2-CH2-CH3
-CH2-CH2-CH2-O-CH3
-CH2-CH2-CH2-O-CH2-CH3
-CH2-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-CH2-O]n3-CH3;および
-CH2-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-CH2-O]n3-CH2-CH3
の群より選択され;
n1は、1、2、3、および4の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数であり;
n2は、1、2、3、4、5、6、7、および8の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数であり;
n3は、1、2、3、4、5、6、7、および8の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数であり;
n4は、1、2、3、4、5、6、7、および8の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数であり;かつ
n5は、1、2、3、4、5、6、7、および8の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数であり;
但し、n2+n4の合計は10以下であり;
但し、n3+n5の合計は10以下であり;
但し、n2+n5の合計は10以下であり;かつ
但し、n3+n4の合計は10以下である。
【0013】
また別の態様は式(I)の化合物を提供し、式中、
R1、R2、およびR3はそれぞれ、-(CH2)n1-SO3 -、-(CH2)n1-N+(CH3)3
-CH2-CH2-O-CH3
-CH2-CH2-O-CH2-CH3
-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-O]n4-CH3
-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-O]n4-CH2-CH3
-CH2-CH2-CH2-O-CH3
-CH2-CH2-CH2-O-CH2-CH3
-CH2-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-CH2-O]n5-CH3;および
-CH2-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-CH2-O]n5-CH2-CH3
の群より選択され;
n1は、1、2、3、および4の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数であり;
n2は、1、2、3、4、5、6、7、および8の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数であり;
n3は、1、2、3、4、5、6、7、および8の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数であり;
n4は、1、2、3、4、5、6、7、および8の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数であり;かつ
n5は、1、2、3、4、5、6、7、および8の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数であり;
但し、n2+n4の合計は10以下であり;
但し、n3+n5の合計は10以下であり;
但し、n2+n5の合計は10以下であり;かつ
但し、n3+n4の合計は10以下である。
【0014】
異なる態様は式(I)の化合物を提供し、式中、
R1、R2、およびR3は、
-CH2-CH2-O-CH3
-CH2-CH2-O-CH2-CH3
-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-O]n4-CH3
-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-O]n4-CH2-CH3
-CH2-CH2-CH2-O-CH3
-CH2-CH2-CH2-O-CH2-CH3
-CH2-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-CH2-O]n5-CH3;および
-CH2-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-CH2-O]n5-CH2-CH3
の群より選択され;
n1は、1、2、3、および4の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数であり;
n2は、1、2、3、4、5、6、7、および8の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数であり;
n3は、1、2、3、4、5、6、7、および8の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数であり;
n4は、1、2、3、4、5、6、7、および8の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数であり;かつ
n5は、1、2、3、4、5、6、7、および8の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数であり;
但し、n2+n4の合計は10以下であり;
但し、n3+n5の合計は10以下であり;
但し、n2+n5の合計は10以下であり;かつ
但し、n3+n4の合計は10以下である。
【0015】
追加の態様は式(I)の化合物を提供し、式中、
R1は、
-CH2-CH2-O-CH3
-CH2-CH2-O-CH2-CH3
-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-O]n4-CH3
-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-O]n4-CH2-CH3
-CH2-CH2-CH2-O-CH3
-CH2-CH2-CH2-O-CH2-CH3
-CH2-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-CH2-O]n5-CH3;および
-CH2-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-CH2-O]n5-CH2-CH3
の群より選択され;
R2は、メチル、エチル、n-プロピル、およびイソプロピルの群より選択され;
R3は、メチル、エチル、n-プロピル、およびイソプロピル;
-CH2-CH2-O-CH3
-CH2-CH2-O-CH2-CH3
-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-O]n2-CH3
-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-O]n2-CH2-CH3
-CH2-CH2-CH2-O-CH3
-CH2-CH2-CH2-O-CH2-CH3
-CH2-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-CH2-O]n3-CH3;および
-CH2-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-CH2-O]n3-CH2-CH3
の群より選択され;
n1は、1、2、3、および4の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数であり;
n2は、1、2、3、4、5、6、7、および8の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数であり;
n3は、1、2、3、4、5、6、7、および8の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数であり;
n4は、1、2、3、4、5、6、7、および8の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数であり;かつ
n5は、1、2、3、4、5、6、7、および8の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数であり;
但し、n2+n4の合計は10以下であり;
但し、n3+n5の合計は10以下であり;
但し、n2+n5の合計は10以下であり;かつ
但し、n3+n4の合計は10以下である。
【0016】
追加の態様は式(I)の化合物を提供し、式中、
R1は、
-CH2-CH2-O-CH3
-CH2-CH2-O-CH2-CH3
-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-O]n4-CH3
-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-O]n4-CH2-CH3
-CH2-CH2-CH2-O-CH3
-CH2-CH2-CH2-O-CH2-CH3
-CH2-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-CH2-O]n5-CH3;および
-CH2-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-CH2-O]n5-CH2-CH3
の群より選択され;
R2およびR3はそれぞれ独立して、メチル、エチル、n-プロピル、およびイソプロピルの群より選択され;
n1は、1、2、3、および4の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数であり;
n2は、1、2、3、4、5、6、7、および8の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数であり;
n3は、1、2、3、4、5、6、7、および8の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数であり;
n4は、1、2、3、4、5、6、7、および8の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数であり;かつ
n5は、1、2、3、4、5、6、7、および8の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数であり;
但し、n2+n4の合計は10以下であり;
但し、n3+n5の合計は10以下であり;
但し、n2+n5の合計は10以下であり;かつ
但し、n3+n4の合計は10以下である。
【0017】
なお別の態様は式(II):
の化合物を提供し、
式中、
R1およびR2はそれぞれ独立して、
-(CH2)n1-SO3 -、-(CH2)n1-N+(CH3)3
-CH2-CH2-O-CH3
-CH2-CH2-O-CH2-CH3
-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-O]n4-CH3
-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-O]n4-CH2-CH3
-CH2-CH2-CH2-O-CH3
-CH2-CH2-CH2-O-CH2-CH3
-CH2-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-CH2-O]n5-CH3;および
-CH2-CH2-CH2-O-[CH2-CH2-CH2-O]n5-CH2-CH3
の群より選択され;
n1は、1、2、3、および4の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数であり;
n4は、1、2、3、4、5、6、7、および8の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数であり;かつ
n5は、1、2、3、4、5、6、7、および8の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数である。
【0018】
追加の態様は式(III):
の化合物を提供し、
式中、
X1a、X1b、およびX1cはそれぞれ独立して、C1~C6直鎖または分岐アルキル、C2~C6直鎖または分岐アルケニル、C1~C6直鎖または分岐アルキニル、および-Si(C1~C4アルキル)3の群より選択され;かつ
n6、n7、およびn8はそれぞれ、1、2、3、4、および5の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数である。
【0019】
別の態様は上記の式(III)の化合物を提供し、式中、
X1a、X1b、およびX1cはそれぞれ独立して、C1~C6直鎖または分岐アルキルの群より選択され;かつ
n6、n7、およびn8はそれぞれ、1、2、3、4、および5の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数である。
【0020】
別の態様は上記の式(III)の化合物を提供し、式中、
X1a、X1b、およびX1cはそれぞれ独立して、C1~C4直鎖または分岐アルキルの群より選択され;かつ
n6、n7、およびn8はそれぞれ、1、2、3、4、および5の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数である。
【0021】
別の態様は上記の式(III)の化合物を提供し、式中、
X1a、X1b、およびX1cはそれぞれ独立して、C1~C6直鎖または分岐アルキルの群より選択され;かつ
n6、n7、およびn8はそれぞれ、1、2、3、および4の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数である。
【0022】
別の態様は上記の式(III)の化合物を提供し、式中、
X1a、X1b、およびX1cはそれぞれ独立して、C1~C4直鎖または分岐アルキルの群より選択され;かつ
n6、n7、およびn8はそれぞれ、1、2、3、および4の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数である。
【0023】
なお別の態様は上記の式(III)の化合物を提供し、式中、
X1a、X1b、およびX1cはそれぞれ独立して、C1~C6直鎖または分岐アルキルの群より選択され;かつ
n6、n7、およびn8はそれぞれ、1、2、および3の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数である。
【0024】
なお別の態様は上記の式(III)の化合物を提供し、式中、
X1a、X1b、およびX1cはそれぞれ独立して、C1~C4直鎖または分岐アルキルの群より選択され;かつ
n6、n7、およびn8はそれぞれ、1、2、および3の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数である。
【0025】
別の態様は式(IV):
の化合物を提供し、
式中、
X1a、X1b、およびX1cはそれぞれ独立して、C1~C6直鎖または分岐アルキル、C2~C6直鎖または分岐アルケニル、C1~C6直鎖または分岐アルキニル、および-Si(C1~C4アルキル)3の群より選択され;かつ
n6およびn7はそれぞれ、1、2、3、4、および5の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数である。
【0026】
別の態様は上記の式(IV)の化合物を提供し、式中、
X1a、X1b、およびX1cはそれぞれ独立して、C1~C6直鎖または分岐アルキルの群より選択され;かつ
n6およびn7はそれぞれ、1、2、3、4、および5の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数である。
【0027】
別の態様は上記の式(IV)の化合物を提供し、式中、
X1a、X1b、およびX1cはそれぞれ独立して、C1~C4直鎖または分岐アルキルの群より選択され;かつ
n6およびn7はそれぞれ、1、2、3、4、および5の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数である。
【0028】
異なる態様は上記の式(IV)の化合物を提供し、式中、
X1a、X1b、およびX1cはそれぞれ独立して、C1~C6直鎖または分岐アルキルの群より選択され;かつ
n6およびn7はそれぞれ、1、2、3、および4の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数である。
【0029】
別の異なる態様は上記の式(IV)の化合物を提供し、式中、
X1a、X1b、およびX1cはそれぞれ独立して、C1~C4直鎖または分岐アルキルの群より選択され;かつ
n6およびn7はそれぞれ、1、2、3、および4の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数である。
【0030】
さらなる態様は上記の式(IV)の化合物を提供し、式中、
X1a、X1b、およびX1cはそれぞれ独立して、C1~C6直鎖または分岐アルキルの群より選択され;かつ
n6およびn7はそれぞれ、1、2、および3の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数である。
【0031】
なおさらなる態様は上記の式(IV)の化合物を提供し、式中、
X1a、X1b、およびX1cはそれぞれ独立して、C1~C4直鎖または分岐アルキルの群より選択され;かつ
n6およびn7はそれぞれ、1、2、および3の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数である。
【0032】
追加の態様は式(V):
の化合物を提供し、
式中、
X1aおよびX1bはそれぞれ独立して、C1~C6直鎖または分岐アルキル、C2~C6直鎖または分岐アルケニル、C1~C6直鎖または分岐アルキニル、および-Si(C1~C4アルキル)3の群より選択され;かつ
n6およびn7はそれぞれ、1、2、3、4、および5の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数である。
【0033】
別の態様は上記の式(V)の化合物を提供し、式中、
X1aおよびX1bはそれぞれ独立して、C1~C6直鎖または分岐アルキルの群より選択され;かつ
n6およびn7はそれぞれ、1、2、3、4、および5の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数である。
【0034】
別の態様は上記の式(V)の化合物を提供し、式中、
X1aおよびX1bはそれぞれ独立して、C1~C4直鎖または分岐アルキルの群より選択され;かつ
n6およびn7はそれぞれ、1、2、3、4、および5の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数である。
【0035】
別の態様は上記の式(V)の化合物を提供し、式中、
X1aおよびX1bはそれぞれ独立して、C1~C6直鎖または分岐アルキルの群より選択され;かつ
n6およびn7はそれぞれ、1、2、3、および4の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数である。
【0036】
別の態様は上記の式(V)の化合物を提供し、式中、
X1aおよびX1bはそれぞれ独立して、C1~C4直鎖または分岐アルキルの群より選択され;かつ
n6およびn7はそれぞれ、1、2、3、および4の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数である。
【0037】
別の態様は上記の式(V)の化合物を提供し、式中、
X1aおよびX1bはそれぞれ独立して、C1~C6直鎖または分岐アルキルの群より選択され;かつ
n6およびn7はそれぞれ、1、2、および3の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数である。
【0038】
別の態様は上記の式(V)の化合物を提供し、式中、
X1aおよびX1bはそれぞれ独立して、C1~C4直鎖または分岐アルキルの群より選択され;かつ
n6およびn7はそれぞれ、1、2、および3の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数である。
【0039】
追加の態様は式(VI):
の化合物を提供し、
X1a、X1b、およびX1cはそれぞれ独立して、C1~C6直鎖または分岐アルキル、C2~C6直鎖または分岐アルケニル、C1~C6直鎖または分岐アルキニル、および-Si(C1~C4アルキル)3の群より選択され;かつ
n6は、1、2、3、4、および5の群より選択される整数である。
【0040】
別の態様は上記の式(VI)の化合物を提供し、式中、
X1a、X1b、およびX1cはそれぞれ独立して、C1~C6直鎖または分岐アルキルの群より選択され;かつ
n6は、1、2、3、4、および5の群より選択される整数である。
【0041】
別の態様は上記の式(VI)の化合物を提供し、式中、
X1a、X1b、およびX1cはそれぞれ独立して、C1~C4直鎖または分岐アルキルの群より選択され;かつ
n6は、1、2、3、4、および5の群より選択される整数である。
【0042】
別の態様は上記の式(VI)の化合物を提供し、式中、
X1a、X1b、およびX1cはそれぞれ独立して、C1~C6直鎖または分岐アルキルの群より選択され;かつ
n6は、1、2、3、および4の群より選択される整数である。
【0043】
別の態様は上記の式(VI)の化合物を提供し、式中、
X1a、X1b、およびX1cはそれぞれ独立して、C1~C4直鎖または分岐アルキルの群より選択され;かつ
n6は、1、2、3、および4の群より選択される整数である。
【0044】
別の態様は上記の式(VI)の化合物を提供し、式中、
X1a、X1b、およびX1cはそれぞれ独立して、C1~C6直鎖または分岐アルキルの群より選択され;かつ
n6は1、2、および3の群より選択される整数である。
【0045】
別の態様は上記の式(VI)の化合物を提供し、式中、
X1a、X1b、およびX1cはそれぞれ独立して、C1~C4直鎖または分岐アルキルの群より選択され;かつ
n6は1、2、および3の群より選択される整数である。
【0046】
追加の態様は式(VII):
の化合物を提供し、
X1aは、C1~C6直鎖または分岐アルキル、C2~C6直鎖または分岐アルケニル、C1~C6直鎖または分岐アルキニル、および-Si(C1~C4アルキル)3の群より選択され;かつ
n6は、1、2、3、4、および5の群より選択される整数である。
【0047】
別の態様は上記の式(VII)の化合物を提供し、式中、
X1aはC1~C6直鎖または分岐アルキルであり;かつ
n6は、1、2、3、4、および5の群より選択される整数である。
【0048】
別の態様は上記の式(VII)の化合物を提供し、式中、
X1aはC1~C4直鎖または分岐アルキルであり;かつ
n6は、1、2、3、4、および5の群より選択される整数である。
【0049】
別の態様は上記の式(VII)の化合物を提供し、式中、
X1aはC1~C6直鎖または分岐アルキルであり;かつ
n6は、1、2、3、および4の群より選択される整数である。
【0050】
別の態様は上記の式(VII)の化合物を提供し、式中、
X1aはC1~C4直鎖または分岐アルキルであり;かつ
n6は、1、2、3、および4の群より選択される整数である。
【0051】
別の態様は上記の式(VII)の化合物を提供し、式中、
X1aはC1~C6直鎖または分岐アルキルであり;かつ
n6は、1、2、および3の群より選択される整数である。
【0052】
別の態様は上記の式(VII)の化合物を提供し、式中、
X1aはC1~C4直鎖または分岐アルキルであり;かつ
n6は、1、2、および3の群より選択される整数である。
【0053】
追加の態様は式(VIII):
の化合物を提供し、
式中、
X1a、X1b、およびX1cはそれぞれ独立して、C1~C6直鎖または分岐アルキル、C2~C6直鎖または分岐アルケニル、C1~C6直鎖または分岐アルキニル、および-Si(C1~C4アルキル)3の群より選択され;かつ
n7およびn8はそれぞれ、1、2、3、4、および5の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数である。
【0054】
追加の態様は上記の式(VIII)の化合物を提供し、式中、
X1a、X1b、およびX1cはそれぞれ独立して、C1~C6直鎖または分岐アルキルの群より選択され;かつ
n7およびn8はそれぞれ、1、2、3、4、および5の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数である。
【0055】
追加の態様は上記の式(VIII)の化合物を提供し、式中、
X1a、X1b、およびX1cはそれぞれ独立して、C1~C4直鎖または分岐アルキルの群より選択され;かつ
n7およびn8はそれぞれ、1、2、3、4、および5の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数である。
【0056】
別の態様は上記の式(VIII)の化合物を提供し、式中、
X1a、X1b、およびX1cはそれぞれ独立して、C1~C6直鎖または分岐アルキルの群より選択され;かつ
n7およびn8はそれぞれ、1、2、3、および4の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数である。
【0057】
別の態様は上記の式(VIII)の化合物を提供し、式中、
X1a、X1b、およびX1cはそれぞれ独立して、C1~C4直鎖または分岐アルキルの群より選択され;かつ
n7およびn8はそれぞれ、1、2、3、および4の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数である。
【0058】
さらなる態様は上記の式(VIII)の化合物を提供し、式中、
X1a、X1b、およびX1cはそれぞれ独立して、C1~C6直鎖または分岐アルキルの群より選択され;かつ
n7およびn8はそれぞれ、1、2、および3の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数である。
【0059】
さらなる態様は上記の式(VIII)の化合物を提供し、式中、
X1a、X1b、およびX1cはそれぞれ独立して、C1~C4直鎖または分岐アルキルの群より選択され;かつ
n7およびn8はそれぞれ、1、2、および3の群よりそれぞれの場合において独立して選択される整数である。
【0060】
別の態様は式(IX):
の化合物を提供し、
式中、
X1a、X1b、およびX1cはそれぞれ独立して、C1~C6直鎖または分岐アルキル、C2~C6直鎖または分岐アルケニル、C1~C6直鎖または分岐アルキニル、および-Si(C1~C4アルキル)3の群より選択され;かつ
n6は、1、2、3、4、および5の群より独立して選択される整数である。
【0061】
さらなる態様は上記の式(IX)の化合物を提供し、式中、
X1a、X1b、およびX1cはそれぞれ独立して、C1~C6直鎖または分岐アルキルの群より選択され;かつ
n6は、1、2、3、4、および5の群より独立して選択される整数である。
【0062】
さらなる態様は上記の式(IX)の化合物を提供し、式中、
X1a、X1b、およびX1cはそれぞれ独立して、C1~C4直鎖または分岐アルキルの群より選択され;かつ
n6は、1、2、3、4、および5の群より独立して選択される整数である。
【0063】
さらなる態様は上記の式(IX)の化合物を提供し、式中、
X1a、X1b、およびX1cはそれぞれ独立して、C1~C6直鎖または分岐アルキルの群より選択され;かつ
n6は、1、2、3、および4の群より独立して選択される整数である。
【0064】
さらなる態様は上記の式(IX)の化合物を提供し、式中、
X1a、X1b、およびX1cはそれぞれ独立して、C1~C4直鎖または分岐アルキルの群より選択され;かつ
n6は、1、2、3、および4の群より独立して選択される整数である。
【0065】
なおさらなる態様は上記の式(IX)の化合物を提供し、式中、
X1a、X1b、およびX1cはそれぞれ独立して、C1~C6直鎖または分岐アルキルの群より選択され;かつ
n6は、1、2、および3の群より独立して選択される整数である。
【0066】
なおさらなる態様は上記の式(IX)の化合物を提供し、式中、
X1a、X1b、およびX1cはそれぞれ独立して、C1~C4直鎖または分岐アルキルの群より選択され;かつ
n6は、1、2、および3の群より独立して選択される整数である。
【0067】
さらなる態様は式(X):
の化合物を提供し、
式中、
nは2、3、4、および5より選択される整数であり;
X1はC1~C6アルキルであり;かつ
X1aおよびX1bはそれぞれ、C1~C6直鎖または分岐アルキル、C2~C6直鎖または分岐アルケニル、C1~C6直鎖または分岐アルキニル、および-Si(C1~C4アルキル)3の群より独立して選択される。
【0068】
さらなる態様は上記の式(X)の化合物を提供し、式中、
nは2、3、4、および5より選択される整数であり;
X1はC1~C4アルキルであり;かつ
X1aおよびX1bはそれぞれ、C1~C6直鎖または分岐アルキル、C2~C6直鎖または分岐アルケニル、C1~C6直鎖または分岐アルキニル、および-Si(C1~C4アルキル)3の群より独立して選択される。
【0069】
さらなる態様は上記の式(X)の化合物を提供し、式中、
nは2、3、4、および5より選択される整数であり;
X1はC1~C2アルキルであり;かつ
X1aおよびX1bはそれぞれ、C1~C6直鎖または分岐アルキル、C2~C6直鎖または分岐アルケニル、C1~C6直鎖または分岐アルキニル、および-Si(C1~C4アルキル)3の群より独立して選択される。
【0070】
さらなる態様は上記の式(X)の化合物を提供し、式中、
nは2、3、4、および5より選択される整数であり;
X1はC2~C4アルキルであり;かつ
X1aおよびX1bはそれぞれ、C1~C6直鎖または分岐アルキル、C2~C6直鎖または分岐アルケニル、C1~C6直鎖または分岐アルキニル、および-Si(C1~C4アルキル)3の群より独立して選択される。
【0071】
さらなる態様は上記の式(X)の化合物を提供し、式中、
nは2、3、4、および5より選択される整数であり;
X1はC2~C3アルキルであり;かつ
X1aおよびX1bはそれぞれ、C1~C6直鎖または分岐アルキル、C2~C6直鎖または分岐アルケニル、C1~C6直鎖または分岐アルキニル、および-Si(C1~C4アルキル)3の群より独立して選択される。
【0072】
さらなる態様は式(XI):
の化合物を提供し、
式中、
nは2、3、4、および5より選択される整数であり;かつ
X1aおよびX1bはそれぞれ、C1~C6直鎖または分岐アルキル、C2~C6直鎖または分岐アルケニル、C1~C6直鎖または分岐アルキニル、および-Si(C1~C4アルキル)3の群より独立して選択される。
【0073】
別の態様は式(XI)の化合物を提供し、式中、
nは2、3、および4より選択される整数であり;かつ
X1aおよびX1bはそれぞれ、C1~C6直鎖または分岐アルキル、C2~C6直鎖または分岐アルケニル、C1~C6直鎖または分岐アルキニル、および-Si(C1~C4アルキル)3の群より独立して選択される。
【0074】
さらなる態様は式(XI)の化合物を提供し、式中、
nは2および3より選択される整数であり;かつ
X1aおよびX1bはそれぞれ、C1~C6直鎖または分岐アルキル、C2~C6直鎖または分岐アルケニル、C1~C6直鎖または分岐アルキニル、および-Si(C1~C4アルキル)3の群より独立して選択される。
【0075】
なおさらなる態様は式(XI)の化合物を提供し、式中、
nは2であり;かつ
X1aおよびX1bはそれぞれ、C1~C6直鎖または分岐アルキル、C2~C6直鎖または分岐アルケニル、C1~C6直鎖または分岐アルキニル、および-Si(C1~C4アルキル)3の群より独立して選択される。
【0076】
なおさらなる態様は式(XI)の化合物を提供し、式中、
nは3であり;かつ
X1aおよびX1bはそれぞれ、C1~C6直鎖または分岐アルキル、C2~C6直鎖または分岐アルケニル、C1~C6直鎖または分岐アルキニル、および-Si(C1~C4アルキル)3の群より独立して選択される。
【0077】
グループ2
別の態様は式(XI)の化合物を提供し、式中、
nは2、3、および4より選択される整数であり;かつ
X1aおよびX1bはそれぞれ、C1~C4直鎖または分岐アルキル、C2~C4直鎖または分岐アルケニル、C1~C4直鎖または分岐アルキニル、および-Si(C1~C4アルキル)3の群より独立して選択される。
【0078】
さらなる態様は式(XI)の化合物を提供し、式中、
nは2および3より選択される整数であり;かつ
X1aおよびX1bはそれぞれ、C1~C4直鎖または分岐アルキル、C2~C4直鎖または分岐アルケニル、C1~C4直鎖または分岐アルキニル、および-Si(C1~C4アルキル)3の群より独立して選択される。
【0079】
なおさらなる態様は式(XI)の化合物を提供し、式中、
nは2であり;かつ
X1aおよびX1bはそれぞれ、C1~C4直鎖または分岐アルキル、C2~C4直鎖または分岐アルケニル、C1~C4直鎖または分岐アルキニル、および-Si(C1~C4アルキル)3の群より独立して選択される。
【0080】
なおさらなる態様は式(XI)の化合物を提供し、式中、
nは3であり;かつ
X1aおよびX1bはそれぞれ、C1~C4直鎖または分岐アルキル、C2~C4直鎖または分岐アルケニル、C1~C4直鎖または分岐アルキニル、および-Si(C1~C4アルキル)3の群より独立して選択される。
【0081】
グループ3
別の態様は式(XI)の化合物を提供し、式中、
nは2、3、および4より選択される整数であり;かつ
X1aおよびX1bはそれぞれ、C1~C3直鎖または分岐アルキル、C2~C3アルケニル、C1~C3アルキニル、および-Si(C1~C3アルキル)3の群より独立して選択される。
【0082】
さらなる態様は式(XI)の化合物を提供し、式中、
nは2および3より選択される整数であり;かつ
X1aおよびX1bはそれぞれ、C1~C3直鎖または分岐アルキル、C2~C3アルケニル、C1~C3アルキニル、および-Si(C1~C3アルキル)3の群より独立して選択される。
【0083】
なおさらなる態様は式(XI)の化合物を提供し、式中、
nは2であり;かつ
X1aおよびX1bはそれぞれ、C1~C3直鎖または分岐アルキル、C2~C3、C1~C3アルキニル、および-Si(C1~C3アルキル)3の群より独立して選択される。
【0084】
なおさらなる態様は式(XI)の化合物を提供し、式中、
nは3であり;かつ
X1aおよびX1bはそれぞれ、C1~C3直鎖または分岐アルキル、C2~C3、C1~C3アルキニル、および-Si(C1~C3アルキル)3の群より独立して選択される。
【0085】
グループ4
別の態様は式(XI)の化合物を提供し、式中、
nは2、3、および4より選択される整数であり;かつ
X1aおよびX1bはそれぞれ、C1~C2アルキル、エテニル、エチニル、および-Si(C1~C3アルキル)3の群より独立して選択される。
【0086】
さらなる態様は式(XI)の化合物を提供し、式中、
nは2および3より選択される整数であり;かつ
X1aおよびX1bはそれぞれ、C1~C2アルキル、エテニル、エチニル、および-Si(C1~C3アルキル)3の群より独立して選択される。
【0087】
なおさらなる態様は式(XI)の化合物を提供し、式中、
nは2であり;かつ
X1aおよびX1bはそれぞれ、C1~C2アルキル、エテニル、エチニル、および-Si(C1~C3アルキル)3の群より独立して選択される。
【0088】
なおさらなる態様は式(XI)の化合物を提供し、式中、
nは3であり;かつ
X1aおよびX1bはそれぞれ、C1~C2アルキル、エテニル、エチニル、および-Si(C1~C3アルキル)3の群より独立して選択される。
【0089】
また別の態様は式(XII):
の化合物を提供し、
nは2、3、および4より選択される整数であり;
X1はC1~C6アルキルであり;かつ
Xは、C1~C6直鎖または分岐アルキル、C2~C6直鎖または分岐アルケニル、C1~C6直鎖または分岐アルキニル、および-Si(C1~C4アルキル)3の群より選択される。
【0090】
また別の態様は式(XIII):
の化合物を提供し、
nは2、3、および4より選択される整数であり;かつ
Xは、C1~C6直鎖または分岐アルキル、C2~C6直鎖または分岐アルケニル、C1~C6直鎖または分岐アルキニル、および-Si(C1~C4アルキル)3の群より選択される。
【0091】
別の態様は式(XIII)の化合物を提供し、式中、
nは2および3より選択される整数であり;かつ
はC1~C6直鎖または分岐アルキル、C2~C6直鎖または分岐アルケニル、C1~C6直鎖または分岐アルキニル、および-Si(C1~C4アルキル)3の群より選択される。
【0092】
別の態様は式(XIII)の化合物を提供し、式中、
nは2および3より選択される整数であり;かつ
はC1~C4直鎖または分岐アルキル、C2~C4直鎖または分岐アルケニル、C1~C4直鎖または分岐アルキニル、および-Si(C1~C4アルキル)3の群より選択される。
【0093】
別の態様は式(XIII)の化合物を提供し、式中、
nは2および3より選択される整数であり;かつ
はC1~C3直鎖または分岐アルキル、C2~C34アルケニル、C1~C3アルキニル、および-Si(C1~C4アルキル)3の群より選択される。
【0094】
別の態様は式(XIII)の化合物を提供し、式中、
nは2および3より選択される整数であり;かつ
XはC1~C3直鎖または分岐アルキルである。
【0095】
別の態様は式(XIII)の化合物を提供し、式中、
nは2であり;かつ
XはC1~C3直鎖または分岐アルキルである。
【0096】
別の態様は式(XIII)の化合物を提供し、式中、
nは3であり;かつ
XはC1~C3直鎖または分岐アルキルである。
【0097】
定義
「対象」または「患者」は任意の動物を指す。動物は哺乳類であってもよい。好適な哺乳類の例はヒトならびに非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、ヒツジ、雌ウシ、ブタ、ウマ、マウス、ラット、ウサギ、およびモルモットを含む。いくつかの態様では、対象または患者は、特に外科的処置または検査を受けているかまたはその必要のあるヒトを含む、ヒトである。
【0098】
本明細書において用いられる「神経」という用語は神経軸索の束を意味する。神経内部では、各軸索は神経内膜と呼ばれる結合組織の層に囲まれている。軸索は束と呼ばれる群にまとめられ、各束は神経周膜と呼ばれる結合組織の層に包まれている。神経全体は神経上膜と呼ばれる結合組織の層に包まれている。「神経」という用語は、任意の組織(例えば、洞房結節または房室結節)またはそれらに関連する構造(例えば、神経筋接合部)を含むように意図されている。
【0099】
本明細書における「神経特異的(nerve-specific)」または「神経特異的(nerve specific)」という用語は、神経または神経組織に引き寄せられ、神経または神経組織を周囲の細胞および/または組織と対比しかつ区別するのを補助するための蛍光造影技術で用いられ得る作用物質を指す。「神経特異性」という用語は神経特異的である作用物質の性質または活性を指す。
【0100】
「近赤外線」という用語または「(NIR)」という頭文字は、一般的には波長が約0.65~約1.4μm(700nm~1400nmである、近赤外スペクトルの光を指す。これは、波長が約0.78μm~約3μmである、国際標準化機構によって指定された範囲を指す場合もある。いくつかの態様では、好ましい近赤外分光法および造影(NIRS)範囲は約650nm~約950nmである。別の態様では、好ましい近赤外分光法および造影(NIRS)範囲は約650nm~約900nmである。
【0101】
いくつかの態様では、作用物質および/またはそれらを含む組成物は直接/局所投与を意図している。直接または局所投与は、本明細書においては、組織、器官、神経束、または他の身体構成要素の表面への作用物質または組成物の直接的な投与を含むと理解される。いくつかの方法では、投与は適切な化合物または組成物を用いたブラッシング、噴霧、または灌水によって達成されてもよい。
【0102】
別の態様では、作用物質および/または組成物は、静脈内注射または注入を通じてなどで、患者または対象に全身投与されてもよい。
【0103】
別の態様では、作用物質および/または組成物は、注射を通じてなどで、所望の組織または器官に局所的に投与されてもよい。
【0104】
「有効量」または「医学的有効量」という用語または同様の用語は、関連する造影技術、特に近赤外線造影技術を通じて本明細書において記載される化合物または組成物が特定され得るように、1つまたは複数の神経への結合を完了するのに十分に標的領域をカバーする、本明細書において記載される化合物または組成物の量を指す。
【0105】
本明細書における「造影」という用語は、蛍光画像誘導手術(低侵襲腹腔鏡検査または内視鏡検査技術を含む)、コンピューター支援手術または手術ナビゲーション、放射線手術または放射線療法、介入的画像診断、蛍光顕微鏡法、およびレーザー共焦点顕微鏡法に関連するものを非限定的に含む従来の医療用造影技術における蛍光化合物の使用を指す。これらの技術は約650nm~900nmの近赤外波長を含む場合がある。
【0106】
「標識」という用語は本明細書において開示される標的分子の可視化および/または検出を容易にする分子を指す。いくつかの態様では、標識は蛍光部分である。「標識する」という用語は、そのような検出を可能にするための、標的に対する標識の好結果の投与を指す。
【0107】
本明細書において用いられるように、「ロボット手術」、「ロボット支援手術」、または「コンピューター支援手術」という用語は、手術による外傷、失血、疼痛、瘢痕、および術後の患者の回復時間の量、ならびに/または手術部位での感染などの合併症を制限するように設計された、正確でフレキシブルかつ/または低侵襲のアクションで外科的処置を行うために医療機器の動きを制御するロボットシステムを伴う外科的技術を指す。ロボット手術の例は2000年に米国食品医薬品局によって承認されたda Vinci Surgical System (Intuitive Surgical, Sunnyvale, CA, USA)を用いて実施されるものを含む。
【0108】
本明細書において用いられるように「手術」または「手術方法」という用語は、物理的介入によって操作するか、変更するか、または効果をもたらすために用いられる任意の方法を指す。これらの方法は、開腹手術、内視鏡手術、腹腔鏡手術、低侵襲手術、ロボット手術や、ニューロンまたは神経に影響を与え得る任意の処置、例えば、脊椎手術の最中の開創器の設置、導電的な心臓組織または神経切除、硬膜外注射、髄腔内注射、ニューロンまたは神経ブロック、ニューロンまたは神経刺激装置などの機器の埋め込み、およびポンプの埋め込みを非限定的に含む。これらの方法は、診断目的などのために、細胞または組織試料の収集のための生検または他の侵襲的技術を含む場合もある。
【0109】
本明細書において用いられるように、「標的分子」という用語は目的の標的と会合する(例えば、結合する)任意の作用物質(例えば、ペプチド、タンパク質、核酸ポリマー、アプタマー、または小分子)を指す。目的の標的は神経細胞、または1つもしくは複数の神経細胞もしくは神経構造に関連する器官または組織であってもよい。いくつかの態様では、標的分子は、1つもしくは複数のニューロン、神経、またはそれらと関連する組織もしくは構造、すなわち、神経組織、神経系組織、神経束などを含む標的と会合する(例えば、結合する)任意の作用物質である。神経および神経関連標的は中枢神経系(CNS)の脳および脊髄ならびに末梢神経系(PNS)の神経と関連するものを含むと理解される。
【0110】
「前立腺切除術」という用語は対象の前立腺の全部または一部を除去するための外科的技術を指す。「根治的前立腺切除術」は、精嚢および近傍のリンパ節をしばしば含む、周囲の組織と共に対象の前立腺全体の除去に関係する。
【0111】
「整形外科的四肢修復」または「整形外科的四肢修復手術」という用語は対象の四肢の筋骨格系に対して実施される外科的技術を指す。これらの技術は四肢の再建手術、関節置換処置、関節修正手術、デブリードマン、骨融合、腱または靭帯修復、骨の内固定、および骨切り術を含む。
【0112】
本明細書における「フルオロフォア」という用語は、造影技術における使用のための、特に神経造影技術のための、本明細書において記載される化合物のいずれか1つを指す。具体的合成の生成物として本明細書において記載されるかまたは概説において記載される化合物のそれぞれが方法、使用、および組成物のためのフルオロフォアと見なされる。
【0113】
本明細書における概説および請求項で用いられる「1つの可変記号」または「複数の可変記号」という用語は、場合によっては、特定の群より選択され得る実体または部分を指す。そのような可変記号はR、R1、R2、n1、n2、n3、n4、n5、X1などを含む場合がある。
【0114】
本明細書において開示されかつ/またはクレームされるすべての範囲は記載のエンドポイントを包含し、独立して組み合わせることが可能である(例えば、「2から10まで」および「2~10」の範囲はエンドポイントである2および10と、すべての中間値とを包含する)。
【0115】
本明細書における方法または使用を説明する際に用いられる「手術中に」という用語は、外科的処置時またはそのような処置のための時間的に近接した準備において行われる行為を指す。
【0116】
「アルキル」という用語は直鎖または分岐炭化水素を指す。例えば、アルキル基は炭素原子を1~6個(すなわち、C1~C6アルキル)、炭素原子を1~4個(すなわち、C1~C4アルキル)、または炭素原子を1~3個(すなわち、C1~C3アルキル)有し得る。
【0117】
「アルケニル」という用語は、少なくとも1つの不飽和部位、すなわち、炭素-炭素sp2二重結合を有する、直鎖または分岐炭化水素を指す。例えば、アルケニル基は炭素原子を2~6個(すなわち、C2~C6アルケニル)または炭素原子を2~4個(すなわち、C2~C4アルケニル)有し得る。好適なC2~C4アルケニル基の例はエテニルつまりビニル(-CH=CH2)、アリル(-CH2CH=CH2)、ブト-1-エニル-CH=CH-CH2-CH3)、ブト-2-エニル(CH2-CH=CH-CH3)、ブト-3-エニル(-CH2-CH2-CH=CH)を非限定的に含む。
【0118】
使用方法
組織または器官における神経を検出する方法であって、
a)本明細書において記載されるフルオロフォアを含む組成物の有効量を組織または器官に投与して、染色された組織または染色された器官を形成する工程;および
b)染色された組織または染色された器官を造影し、それによって、染色された組織または染色された器官において手術中に神経を検出する工程
を含む、方法が提供される。
【0119】
手術を受けている対象において手術中に神経を検出する方法であって、
c)本明細書において記載されるフルオロフォアを含む組成物の有効量を対象に手術の前または最中に投与して、染色された組織を形成する工程;および
d)対象において手術を受けている染色された組織を造影し、それによって、手術を受けている対象において手術中に神経を検出する工程
を含む、方法が提供される。
【0120】
前立腺切除手術を受けている対象において手術中に神経を検出する方法であって、
e)本明細書において記載されるフルオロフォアを含む組成物の有効量を対象に前立腺切除手術の前または最中に投与して、染色された組織を形成する工程;および
f)対象において手術を受けている染色された組織を造影し、それによって、前立腺切除手術を受けている対象において手術中に神経を検出する工程
を含む、方法も提供される。
【0121】
1つの態様では、前立腺切除手術を受けている対象において手術中に海綿体神経を検出する方法であって、
g)本明細書において記載されるフルオロフォアを含む組成物の有効量を対象に前立腺切除手術の前または最中に投与して、染色された組織を形成する工程;および
h)対象において手術を受けている染色された組織を造影し、それによって、前立腺切除手術を受けている対象において手術中に海綿体神経を検出する工程
を含む、方法が提供される。
【0122】
前立腺切除手術または処置に関する本明細書における方法のそれぞれについて、手術または処置が根治的前立腺切除術である別の態様が存在する。
【0123】
上記および本明細書における方法のそれぞれについて、フルオロフォアを含む組成物が対象に全身投与される態様が存在する。
【0124】
上記および本明細書における方法のそれぞれについて、フルオロフォアを含む組成物が直接的または局所的に、すなわち直接投与または局所投与を通じて、対象に投与される態様が存在する。
【0125】
本明細書における方法のそれぞれの範囲内で、染色された組織を形成するための、本明細書において記載されるフルオロフォアを含む組成物の有効量の対象への、前立腺切除手術の前または最中の投与が、15分またはそれ未満で完了し得る、さらなる態様が存在する。またさらなる態様では、染色された組織を形成するための、本明細書において記載されるフルオロフォアを含む組成物の有効量の対象への、前立腺切除手術の前または最中の投与は、10分またはそれ未満で完了し得る。
【0126】
大脳神経膠腫症、乏突起星細胞腫、脈絡叢乳頭腫、上衣腫、星状細胞腫(毛様細胞性星状細胞腫および多形性膠芽腫)、胚芽異形成性神経上皮腫瘍、乏突起膠腫、髄芽腫、および原始神経外胚葉性腫瘍などの神経膠腫;神経節腫、神経芽細胞腫、異型奇形腫瘍、網膜芽細胞腫、および鼻腔神経芽細胞腫などの神経上皮腫性腫瘍;ならびに神経繊維腫(神経線維肉腫および神経線維腫症)、シュワン腫、神経鞘腫、聴神経鞘腫、および神経腫などの神経鞘腫瘍を含む神経組織腫瘍(新生物)を造影する方法も本明細書において提供される。
【0127】
対象における標的領域を造影する方法であって、対象における標的領域を本明細書における化合物より選択される化合物と接触させる工程、および蛍光または近赤外造影を用いて標的における化合物を検出する工程を含む、方法が提供される。
【0128】
対象における標的領域中の1つまたは複数の神経を造影する方法であって、対象における標的領域を本明細書における化合物より選択される化合物と接触させる工程、および蛍光造影を用いて標的における化合物を検出する工程を含む、方法も提供される。
【0129】
対象における標的領域中の1つまたは複数の神経を造影する方法であって、対象における標的領域を本明細書における化合物より選択される化合物と接触させる工程、および近赤外造影を用いて標的における化合物を検出する工程を含む、方法も提供される。
【0130】
医療処置時に対象における標的領域中の神経損傷を最小限にする方法であって、
a)本明細書における化合物より選択される化合物と対象における標的領域を接触させる工程;
b)蛍光造影を用いて標的領域中の化合物によって結合された1つまたは複数の神経を検出する工程;および
c)検出された1つまたは複数の神経に損傷を与え得る医療処置の作用を最小限にする工程
を含む、方法も提供される。
【0131】
上記の方法は、神経を特定し、医療処置によって引き起こされ得る外傷性、熱性、および放射性損傷を含む神経に対する損傷、または、標的領域における治療剤、麻酔薬、または麻酔の適用によって引き起こされる神経に対する損傷を最小限にするために用いられてもよい。
【0132】
いくつかの態様では、上記の方法において言及される医療処置は外科的処置である。別の態様では、医療処置は生検処置、放射線処置、または対象への麻酔薬もしくは麻酔の適用である。さらなる態様では、上記の方法における医療処置は、医療ポンプ、ステント、ペースメーカー、ポート、人工関節、弁、ネジ、ピン、プレート、ロッド、美容インプラント、神経刺激装置などを含む医療機器の挿入または埋め込みである。
【0133】
近赤外造影を用いて対象における1つまたは複数の神経を造影する際の使用のための組成物の調製における本明細書において開示される任意の化合物の使用も提供される。
【0134】
神経損傷が手術成績を損ない、手術後の生活の質に大きな影響を与える。何十年にもわたる神経温存技術の実施にもかかわらず、手術中の神経の特定および温存は依然として困難であり、成功率は外科医の経験値および技術を習得する能力と強く相関する(Walsh & Donker. The Journal of urology 128, 492-497 (1982); Ficarra et al. Eur Urol 62, 405-417 (2012); Damber & Khatami. Acta oncologica 44, 599-604 (2005))。蛍光誘導手術(FGS)は、手術中に神経および腫瘍組織などの組織を特に強調表示することによる可視化の向上に有望である。光学造影技術を用いたFGSは、組織標的蛍光プローブからの、標的組織の高感度かつ高特異性のリアルタイム広視野同定が可能である。例えば、Frangioni. Journal of clinical oncology : official journal of the American Society of Clinical Oncology 26, 4012-4021 (2008); Gibbs. Quantitative imaging in medicine and surgery 2, 177-187 (2012); Gioux et al. Molecular imaging 9, 237-255 (2010); Vahrmeijer et al. Nature reviews. Clinical oncology 10, 507-518 (2013);およびNguyen et al. Nature reviews. Cancer 13, 653-662 (2013)を参照されたい。組織発色団の吸光度、自己蛍光、および散乱が最小限である近赤外線(NIR)光学ウインドウ(650~900nmの波長)で動作するFGS技術は、黒色の背景に対してミリメートル~センチメートルの深さで標的組織を特定する能力を有する(Chance. Annals of the New York Academy of Sciences 838, 29-45 (1998); Gibbs. Quantitative imaging in medicine and surgery 2, 177-187 (2012))。
【0135】
いくつかの造影システムがFGS適用向けに開発されてきた。例えば、Lee et al. Plastic and reconstructive surgery 126, 1472-1481 (2010); Tummers et al. European journal of surgical oncology: the journal of the European Society of Surgical Oncology and the British Association of Surgical Oncology 40, 850-858 (2014); Troyan et al. Annals of surgical oncology 16, 2943-2952 (2009); Ashitate et al. Real-time simultaneous near-infrared fluorescence imaging of bile duct and arterial anatomy. The Journal of surgical research 176, 7-13 (2012); Verbeek et al. The Journal of urology 190, 574-579 (2013); Gibbs-Strauss et al. Molecular imaging 10, 91-101 (2011); Hirche et al. Surgical innovation 20, 516-523 (2013); Gotoh et al. Journal of surgical oncology 100, 75-79 (2009);およびKitagawa et al. Anticancer research 35, 6201-6205 (2015)を参照されたい;重要なことに、ロボット支援根治的前立腺切除術(RP)に頻繁に用いられるda Vinci手術ロボットにFDA承認蛍光造影チャネルを装着できる。
【0136】
直接投与(局所投与とも呼ばれる)は、潜在的な毒性を最小限にしかつヒトの臨床研究における当初の規制的負担を軽減するために、蛍光プローブの全身投与に対する魅力的な代替手段である。手術野内の組織を選択的に標識することによって、必要とされる用量は直接投与では全身投与よりもはるかに低い。15分間の染色プロトコール後に、全身投与と同等の神経信号対バックグラウンド比(SBR)をもたらす直接投与法が開発された。Barth & Gibbs. Theranostics 7, 573-593 (2017)。この方法論は、前立腺の周囲の神経をうまく模倣した自律神経モデルに結果よく適用された。この方法は、RP時の全身投与を介した神経の標識化が前立腺における神経から許容できない高いバックグラウンドと、隣接する膀胱内の尿において有意な蛍光信号を生成する腎臓のフルオロフォアクリアランスとをもたらすことがあるため、RPへの適用においてさらなる利点を有する。これらの外部蛍光信号の両方が、排尿および性的能力に関与する神経血管束(NVB)内の海綿体神経を特定する能力を低下させてしまうと考えられる(Barth and Summer. Theranostics (2016). Tewari et al. BJU international 98, 314-323 (2006); Patel et al. Eur Urol 61, 571-576 (2012))。おそらく最も重要なことに、直接投与法で必要な用量は全身投与の16分の1であり、体表面積によってヒトにスケーリングすると、用量はFDAへの探索的治験薬(eIND)申請下での臨床応用の要件の範囲内に入る。eIND下で行われる研究では、各患者にはマイクロドーズ(<100μg)のみが投与されるため、最小限の前臨床毒性試験が必要とされ、ファースト・イン・ヒューマン試験のコストが大幅に低減される。
【0137】
直接投与法は前臨床げっ歯動物モデルにおいて短時間染色プロトコールで高い神経特異性およびSBRをもたらした(Barth&Gibbs。Theranostics 7、573-593(2017))が、大型動物モデルにおける予備染色研究によってかなりのバックグラウンドが生じた。臨床応用を容易にするために、FDAが承認し、かつ様々な組織表面、角度、および形態を染色するための適用制御の向上を容易にする、改善された製剤化戦略が必要になると考えられる。
【0138】
いくつかのクラスの神経特異的蛍光造影プローブがFGSのために前臨床的に研究されてきた。例えば、Gibbs-Strauss et al. Molecular imaging 10, 91-101 (2011); Wu et al. Journal of medicinal chemistry 51, 6682-6688 (2008); Wang et al. The journal of histochemistry and cytochemistry : official journal of the Histochemistry Society 58, 611-621 (2010); Gibbs et al. PloS one 8, e73493 (2013); Stankoff et al. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 103, 9304-9309 (2006); Cotero et al. Molecular imaging and biology : MIB : the official publication of the Academy of Molecular Imaging 14, 708-717 (2012); Cotero et al. PloS one 10, e0130276 (2015); Bajaj et al. The journal of histochemistry and cytochemistry : official journal of the Histochemistry Society 61, 19-30 (2013); Gibbs-Strauss et al. Molecular imaging 9, 128-140 (2010); Meyers et al. The Journal of neuroscience : the official journal of the Society for Neuroscience 23, 4054-4065 (2003); Wang et al. The Journal of Neuroscience: the official journal of the Society for Neuroscience 31, 2382-2390 (2011);およびPark et al. Theranostics 4, 823-833 (2014)を参照されたい。これらのうち、オキサジンフルオロフォア(例えば、オキサジン4)は、直接および全身投与いずれの後にも神経特異性が高く、臨床応用に対して最も有望であることを実証してきた。(3-(ジエチル-l4-アザネイリデン)-N-エチル-8-メチル-3H-フェノキサジン-7-アミン)は特に有望な化合物であり、臨床研究への進展のためのリード化合物として選択された。比較例1はリアルタイム造影のための高い神経特異性および十分な蛍光シグナルを実証するために示されてきたが、過去の研究は静注用のビヒクルとして共溶媒製剤を利用して実施されてきた(Gibbs-Strauss et al. Molecular imaging 10, 91-101 (2011); Barth & Gibbs. Theranostics 7, 573-593 (2017))。共溶媒製剤は室温で<30分しか安定しておらず、5mg/mLを超える濃度を可溶化することはできず、可溶化剤としてのジメチルスルホキシドおよびコリフォールELの使用を必要とし、これはビヒクル誘発毒性の問題により臨床応用を妨げる。さらに、共溶媒製剤は液体ベースであるため、傾斜したかまたは垂直な組織表面の染色には理想的ではない。したがって、FGSのための神経特異的蛍光の直接投与および静注には、FDAの承認を得た臨床的に実行可能な製剤が必要であった。
【0139】
本明細書において開示される化合物のうちの1つまたは複数を含む製剤は神経または神経組織を造影するために用いることができる。特定の態様では、本開示の製剤を用いて対象における神経または神経組織を造影することができる。特定の態様では、神経の画像はFGS時に手術中に取得することができる。特定の態様では、FGS時の神経の可視化により、手術の最中の神経損傷の発生率を低減するように神経を温存しつつ目的の組織に対して手術を実施することが可能になる。手術が実施される領域または近傍の範囲を手術で露出させることができる。手術は、神経組織、筋肉組織、および脂肪組織などの組織を含む器官に対して実施することができる。手術は腹腔鏡下で行うことができ、これは侵襲性が最小限であり、腹部または骨盤などの対象の身体の一部に鍵穴形の切り込みを通じて挿入される細い管状の器具(腹腔鏡)の使用を含む。手術はロボットによって支援することができる。ロボット支援手術は一層の正確さ、フレキシビリティ、および制御を提供することができ、侵襲性が最小限の手術に関連していることが多い。
【0140】
特定の態様では、神経組織に直接的に適用される製剤におけるフルオロフォア濃度は40~300μg/mLの濃度範囲を含む。特定の態様では、直接的な適用のための製剤におけるフルオロフォア濃度は40μg/mL、50μg/mL、60μg/mL、70μg/mL、80μg/mL、90μg/mL、100μg/mL、110μg/mL、120μg/mL、130μg/mL、140μg/mL、150μg/mL、160μg/mL、170μg/mL、180μg/mL、190μg/mL、および200μg/mLを含む。特定の態様では、直接的な適用のための製剤におけるフルオロフォア濃度は50μg/mLである。特定の態様では、直接的な適用のための製剤におけるフルオロフォア濃度は200μg/mLである。
【0141】
本開示の製剤は神経の造影のために対象に全身的に適用することができる。特定の態様では、製剤の全身的な適用は対象への製剤の静脈内注射を含む。
【0142】
組織に直接的に適用される製剤は、直接的な適用後、所与の時間にわたり組織に浸透させることができる。特定の態様では、製剤は30秒~15分間、1~10分間、1~5分間、1分間、2分間、3分間、4分間、または5分間にわたり組織に浸透させることができる。特定の態様では、製剤は1~2分間にわたり組織に浸透させることができる。対象に全身的に適用される製剤は、造影される領域に製剤が到達することができ、造影時にそのような領域に製剤が存在するように、造影前に十分な時間投与することができる。特定の態様では、対象に全身的に適用される製剤は、対象における組織による製剤の取り込みを可能にするために造影に先立って十分な時間投与することができる。特定の態様では、製剤は造影前の30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、もしくは8時間までまたは30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、もしくは8時間未満に投与することができる。必要とされる時間は神経造影用途および投与部位に応じて異なる場合がある。特定の態様では、製剤は造影前の30分、1時間、2時間、3時間、または4時間以内に投与される。特定の態様では、製剤は造影前の2時間以内に投与される。
【0143】
直接的な適用によるフルオロフォアを含む製剤によって染色された組織は染色された組織の造影に先立って緩衝液で洗浄することができる。フルオロフォアを含む製剤によって染色された組織の洗浄は適切な緩衝液で組織をすすぎ、緩衝液を除去することを含み得る。特定の態様では、染色された組織は洗浄緩衝液により1~18回、1~10回、1~6回、1回、2回、3回、4回、5回、または6回洗浄することができる。特定の態様では、染色された組織は6回洗浄することができる。特定の態様では、洗浄緩衝液はリン酸緩衝食塩水(PBS)である。特定の態様では、染色された組織を洗浄して未結合のフルオロフォアを除去する。特定の態様では、染色された組織を洗浄することで、染色された組織を洗浄しない場合と比較して、神経信号強度および/またはシグナル対バックグラウンド比(SBR)が増加する。特定の態様では、染色された組織を洗浄することでフルオロフォアを再溶解し、神経組織へのフルオロフォアのさらなる拡散が可能になる。
【0144】
フルオロフォアを含む製剤によって染色された組織を造影することは本開示の製剤で染色された組織に光を照射することを含む。光は製剤中のフルオロフォアを励起して蛍光を発するのに十分な波長であり得る。特定の態様では、フルオロフォアを励起するための光は近赤外スペクトルにおける波長にある。特定の態様では、製剤のフルオロフォアは近赤外スペクトルにおける波長で発光する。特定の態様では、近赤外スペクトルは700nm~900nmの波長を含む。
【0145】
フルオロフォアを含む製剤によって染色された組織を造影することは、実施例に記載されるものなどの光学造影システムによって、染色された組織の蛍光画像を取得することを含む。
【0146】
特定の態様では、組織を造影することは染色された組織の蛍光画像を観察することを含む。蛍光画像は静止画像(印刷されたかまたは画面上のもの)またはビデオモニター上のリアルタイム画像を含み得る。特定の態様では、本製剤による神経の染色によって得られる神経の個々の画像は診断目的のためおよび神経位置の記述のために用いることができる。蛍光画像を観察することによって、手術チームは画像内の神経の有無を判断できる。よって、手術チームは1つまたは複数の神経の有無または位置に関する情報を用いて外科的処置をどのように実施するかを決定することができる。例えば、開示された方法を通じて得られる情報に基づいて、手術チームは、組織の領域内に神経が存在しないとの認識に基づき、特定の神経を不注意に切断するかまたは手術によって接触する可能性が低い組織中のポイントにおいて手術的な切断を実施することを決定し得る。
【0147】
得られた画像から得られた情報は、神経の末端が切断された場合には、神経の末端を繋ぎ合わせるのに役立ち得る。切断の場合、神経接合片を末端に直接的に適用して再生神経線維の出芽を促すことができる。この場合、切断された神経の末端の蛍光から見える光は神経接合片による神経の吻合を案内する標的を提供する。
【0148】
神経組織を検出するための本開示の製剤はキットとして提供することもできる。神経組織を検出するためのキットは別々の容器に(i)フルオロフォアを含む水性製剤と(ii)1つまたは複数の洗浄緩衝液とを含み得る。キットは、薬学的または生物学的製品の製造、使用、または販売を規制する政府機関によって規定された形式の通知を含み得、この通知はヒトへの投与のための製造、使用、または販売の機関による承認を反映したものである。通知は、提供された有効成分が対象に投与できることを記載している場合がある。キットはキットを用いるための追加の指示、例えば、製剤を組織に直接的に適用すること;洗浄して過剰な製剤を除去すること;対象に製剤を全身的に投与すること;フルオロフォアの可視化のために光を照射すること;組織の蛍光画像をキャプチャすること;関連する廃棄物の適切な処分;などに関する指示を含み得る。指示はキット内に提供された印字された指示の形態であってもよく、または指示はキット自体の一部に印字されていてもよい。指示はシート、パンフレット、冊子、CD-ROM、またはコンピューターで読み取り可能なデバイスの形式である場合もあれば、Webサイトなどの遠隔地にある指示への案内を提供する場合もある。特定の態様では、キットはまた、シリンジ、アンプル、管、手袋、チューブ、緩衝液などの、キットを効果的に用いるために要求される必要な実験室および/または医療用品の一部またはすべてを含んでもよい。本明細書において記載される任意のキットの内容物は変更されてもよい。
【0149】
概説
すべての試薬はSigma Aldrich、Fisher Scientific、またはTCIから購入した。特に示されていない限り、すべての市販の出発物質はさらに精製することなくそのまま用いた。分析用TLCはシリカゲル60(F254、32~63μm)を備えたMillipore ready-to-useプレート上で実施した。精製は、事前にパッキングされたシリカゲルカートリッジを用いたBiotage Isolera Flash System上か、または逆相分取HPLC(Agilent 1250 Infinity HPLC)上で実施した。
【0150】
LCMS特性決定
オキサジン化合物の質量電荷比および純度はダイオードアレイ検出器VL+を備えたAgilent6244飛行時間型LCMS上で特性決定した。試料(10uL)をC18カラム(Poroshell120、4.6×50 mm、2.7マイクロメートル)に注入し、A(H2O、0.1%FA)とB(MeCN、0.1%FA)との溶媒系により0.4mL/分にて10分間にわたりA/B=90/10~5/95さらに5分間A/B=5/95で維持して溶離した。キャピラリ電圧を4kVおよびガス温度を350℃に設定することによってポジティブイオンモードでイオンを検出した。
【0151】
UV-Vis吸収および蛍光分光法
UV-Visおよび蛍光スペクトルはマイクロプレートリーダー(Molecular Devices, Sunnyvale, CA)を備えたSpectraMax M5分光計で収集した。すべての吸光度スペクトルは参照補正した。消衰係数は吸光度対濃度についてのベールの法則プロットから計算した。相対量子収率はHITCIを参照として用いて報告する。励起発光マトリクス(EEM)はCary Eclipse蛍光分光光度計(Agilent Technologies)で5nmのステップサイズを用いて収集した。励起および発光のためのバンドパスは10nmであった。
【0152】
水溶解度の測定
各スクリーニング候補物質はクロロホルムとメタノール(同量)の1mL混合物に溶解して最終的なストック濃度を10~50mMの範囲にした。次いで溶媒を真空中で除去した後、200μLのDI水を加えた。試験試料を次いでボルテックスした後、超音波浴中で30分間超音波処理した。未溶解のペレットを13,000rpmで5分間遠心分離することによって除去した。上清をサンプリングし、水で希釈した後、マイクロプレートリーダーを備えたSpectraMax M5分光計(Molecular Devices, Sunnyvale, CA)を用いて吸光度を測定した。次いで、吸光度対濃度についてのベールの法則プロットを用いて、各スクリーニング候補物質の水溶解度を計算した。次いで各試料の水溶解度濃度単位(mM)を変換し、mg/mLとして報告した。
【0153】
実験的LogD測定
各スクリーニング候補物質を10mMの濃度でDMSOに溶解した。ストック液をサンプリング(2μL)し、1-オクタノールとPBS緩衝液(同量)の1mL混合液に加えた。次いで溶液を室温で30分間ボルテックスした後、13,000rpmで5分間遠心分離した。PBS緩衝液および1-オクタノール層を分離し、マイクロプレートリーダーを備えたSpectraMax M5分光計(Molecular Devices, Sunnyvale, CA)を用いて吸光度を測定した。次いで、吸光度対濃度についてのベールの法則プロットを用いて、各相における試料濃度を計算した。各スクリーニング候補物質の実験的LogD値は下記の式を用いて計算した。
【0154】
直接/局所投与を用いた神経特異性スクリーニング
マウス腕神経叢および坐骨神経において、これまでに発表された直接/局所投与戦略を用いて各化合物をその組織特異性についてスクリーニングした。リン酸緩衝食塩水溶液中で、神経色素ライブラリからの各化合物を125μMで製剤化した。露出させた腕神経叢または坐骨神経上で100μLのオキサジン製剤を5分間インキュベートした。フルオロフォア含有溶液を除去し、その領域を食塩水で18回灌水して、未結合のフルオロフォアをすべて除去した。620/60nm励起および700/75nm発光バンドパスフィルターを備えた特注の肉眼的造影システムを用いて、オキサジンの直接/局所投与の30分後に各染色領域の、位置合わせした蛍光およびカラー画像を収集した。特注のMatLabコードを用いて、白色光画像を用いて神経、筋肉、脂肪組織の関心領域が選択された組織特異的蛍光を分析した。次いで、位置合わせして一致させた蛍光画像上でこれらの関心領域を分析して、神経対筋肉および神経対脂肪比を評価した。
【0155】
全身投与を用いた神経特異性スクリーニング
マウス腕神経叢および坐骨神経において、これまでに発表された全身投与戦略を用いて各化合物をその組織特異性についてスクリーニングした。リン酸緩衝食塩水溶液中で、オキサジンライブラリからの各化合物を2mMで製剤化した。腕神経叢および坐骨神経を露出させる2時間前に100μLのオキサジン製剤を静脈内投与した。620/60nm励起および700/75nm発光バンドパスフィルターを備えた特注の肉眼的造影システムを用いて、各神経部位の位置合わせした蛍光およびカラー画像を収集した。特注のMatLabコードを用いて、白色光画像を用いて神経、筋肉、脂肪組織の関心領域が選択された組織特異的蛍光を分析した。次いで、位置合わせして一致させた蛍光画像上でこれらの関心領域を分析して、神経対筋肉および神経対脂肪比を盲検的に評価した。
【0156】
化学合成
スキーム1:
LGW16-02への合成経路。試薬および条件:a)NaH、MOMCl、DMF、0℃~室温;b)Fe、NH4Cl、90%EtOH、110℃;c)NaH、2-ブロモエチルメチルエーテル、DMF、0~80℃;d)TsCl、NaOH、THF/H2O、0℃~室温;e)NaI、アセトン、室温;f)化合物7、K2CO3、MeCN、80℃;g)EtI、Na2CO3、MeCN、80℃;h)I)2M HCl、テトラフルオロホウ酸p-ニトロベンゼンジアゾニウム、0℃;II)K2CO3、0℃;i)化合物4、HClO4、90%i-PrOH、80℃。
【0157】
4-(メトキシメトキシ)-1-メチル-2-ニトロベンゼン(2):無水DMF(25mL)中の化合物1(20.0g、131mmol)の溶液をN2下にて30分間氷浴中で撹拌した。NaH(60%、6.27g、157mmol)を上記の溶液に少しずつ加えた。溶液の温度を5℃未満に維持し、1時間撹拌した後、MOMCl(10.91mL、144mmol)を滴下した。得られた反応混合物を氷浴中でさらに1時間、次いで室温で3時間撹拌した。反応を氷浴中で冷却し、1M HCl水溶液(100mL)でクエンチした。水溶液をEtOAc(3×100mL)で抽出し、合わせた有機層を1M水性HCl(100mL)、5%LiCl(100mL)およびブライン(100mL)で洗浄した後、無水Na2SO4で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣(透明な液体、定量的)はさらに精製せずに次の工程で用いた。
【0158】
5-(メトキシメトキシ)-2-メチルアニリン(3):1Lの丸底フラスコに化合物2(25.0g、127mmol)、イオンダスト(38.9g、697mmol)、NH4Cl(4.75g、88.8mmol)および磁気撹拌棒を仕込んだ。フラスコにEtOH/H2O(9/1、500mL)の溶液を加えた。得られた懸濁液を110℃で5時間撹拌した後、室温まで冷却した。固体を真空ろ過により除去し、溶媒を減圧下で除去した。残渣を次いで飽和NaHCO3溶液(100mL)に再懸濁し、CHCl3(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層を次いで無水Na2SO4で乾燥させ、真空中で濃縮した。溶離液としてヘキサン中のEtOAcの勾配(10~40%)を用いたフラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製によって化合物3(18.9g、89%)を透明な油として得た。
【0159】
N-(2-メトキシエチル)-5-(メトキシメトキシ)-2-メチルアニリン(4):無水DMF(10mL)中の化合物3(2.0g、12.0mmol)の溶液をN2下にて30分間氷浴中で撹拌した。NaH(60%、574mg、14.4mmol)を上記の溶液に少しずつ加えた。溶液の温度を5℃未満に維持し、1時間撹拌した後、2-ブロモエチルメチルエーテル(1.35mL、14.4mmol)のDMF(10mL)溶液を滴下した。得られた反応混合物を室温で1時間、次いで80℃で5時間撹拌した。反応を次いで室温まで冷却し、DI水でクエンチした。得られた混合物を飽和NaHCO3溶液(50mL)で希釈し、EtOAc(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層を5%LiCl(50mL)およびブライン(50mL)で洗浄した後、無水Na2SO4で乾燥させ、真空中で濃縮した。溶離液としてヘキサン中のEtOAcの勾配(5~15%)を用いたフラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製によって化合物4(431mg、16%)を透明な油として得た。
【0160】
4-メチルベンゼンスルホン酸2-(2-メトキシエトキシ)エチル(6):ジエチレングリコールメチルエーテル(5g、41.6mmol)のTHF溶液(25mL)にNaOH(20%、25mL)を加えた。得られた溶液を氷浴中で冷却した後、THF(25mL)中のTsCl(9.52g、49.9mmol)を滴下した。反応混合物を0℃で2時間撹拌し、室温まで一晩温めた。反応混合物をHCl(5%)溶液に注いだ。生成物をCHCl3(4×50mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、次いで真空中で濃縮した。表題化合物が得られ(定量的)、さらに精製せずに次の工程に用いた。
【0161】
1-ヨード-2-(2-メトキシエトキシ)エタン(7):化合物6(6.2g、22.6mmol)のアセトン(60mL)溶液にNaI(5.08g、33.9mmol)を一度に加えた。反応混合物を光から遮蔽し、室温で一晩撹拌した。セライトを通した真空ろ過により固体を除去し、ロータリーエバポレーターを用いてろ液を濃縮した。残渣をEtOAc(100mL)で希釈し、DI水(100mL)で洗浄した。水相を次いでEtOAc(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層を1%NaHSO3(50mL)、ブラインで洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、次いで真空中で濃縮した。溶離液としてヘキサン中のEtOAcの勾配(2~20%)を用いたフラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製によって化合物7(3.82g、73%)を黄色の油として得た。
【0162】
3-メトキシ-N-(2-(2-メトキシエトキシ)エチル)アニリン(9):化合物8(1.0g、8.12mmol)、化合物7(1.2g、9.74mmol)、およびK2CO3(1.68g、12.2mmol)をN2下で無水MeCN(20mL)に懸濁した。反応混合物を次いで80℃まで加熱し、24時間撹拌した後、DCM(50mL)で希釈した。セライトを通した真空ろ過により固体を除去した。ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を除去し、溶離液としてヘキサン中のEtOAc(50~100%)を用いたシリカゲルによるフラッシュカラムクロマトグラフィーによって残渣を精製して化合物9(1.24g、68%)を得た。
【0163】
N-エチル-3-メトキシ-N-(2-(2-メトキシエトキシ)エチル)アニリン(10):化合物9(0.50g、2.22mmol)、EtI(0.69g、4.44mmol)、およびNa2CO3(0.35g、3.33mmol)をN2下で無水MeCN(20mL)に懸濁した。反応混合物を次いで80℃まで加熱し、24時間撹拌した後、DCM(50mL)で希釈した。セライトを通した真空ろ過により固体を除去した。ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を除去し、溶離液としてヘキサン中のEtOAcの勾配(5~20%)を用いたシリカゲルによるフラッシュカラムクロマトグラフィーによって残渣を精製して化合物10(449mg、80%)を薄茶色の油として得た。
【0164】
(E)-N-エチル-3-メトキシ-N-(2-(2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ)エチル)-4-((4-ニトロフェニル)ジアゼニル)アニリン(11):化合物10(300mg、1.18mmol)をMeOH(2mL)に溶解した。溶液を氷浴中で冷却し、次いでHCl(2M、20mL)で処理した。15分後、テトラフルオロホウ酸p-ニトロベンゼンジアゾニウム(295mg、1.24mmol)を溶液に15分かけて3回に分けて加え、次いで0℃でさらに1時間撹拌した。次いで溶液のpH値が7より高くなるまで固体Na2CO3で溶液を慎重に中和し、DCM(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、次いで真空中で濃縮した。表題化合物が得られ(定量的)、さらに精製せずに次の工程に用いた。
【0165】
(E)-N-エチル-2-(2-メトキシエトキシ)-N-(7-((2-メトキシエチル)アミノ)-8-メチル-3H-フェノキサジン-3-イリデン)エタン-1-アミニウム(LGW16-02):2ドラムバイアルに化合物4(50mg、0.22mmol)、化合物11(94mg、0.23mmol)、および磁気撹拌棒を仕込んだ。バイアルにi-PrOH/H2O(9:1、4mL)とHClO4(70%、40μL)との溶液を加えた。得られた溶液を90℃で4時間撹拌して暗青色の溶液を得、これを減圧下で濃縮した。CHCl3と0.5%のギ酸を含むMeOHとの勾配(勾配、CHCl3中2~15%MeOH)を用いたフラッシュカラムクロマトグラフィーによって残渣を精製して化合物LGW16-02(60mg、65%)を得た。
【0166】
スキーム2:LGW16-03への合成経路。試薬および条件:a)2-ブロモエチルメチルエーテル、LiI、MeCN、80℃;b)I)2M HCl、NaNO2、0℃;II)K2CO3、0℃;c)化合物4、HClO4、90%i-PrOH、80℃。
【0167】
3-メトキシ-N,N-ビス(2-メトキシエチル)アニリン(12):化合物8(1.0g、8.12mmol)、2-ブロモエチルメチルエーテル(2.31mL、24.4mmol)、LiI(761mg、5.68mmol)、およびK2CO3(2.24g、16.2mmol)をN2下で無水MeCN(20mL)に懸濁した。反応混合物を次いで80℃まで加熱し、12時間撹拌した後、2-ブロモエチルメチルエーテル(0.76mL、8.12mmol)を加えた。反応混合物をさらに12時間撹拌した後、室温まで冷却し、DCM(50mL)で希釈した。セライトを通した真空ろ過により固体を除去した。ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を除去し、溶離液としてヘキサン中のDCMの勾配(50~100%)を用いたフラッシュカラムクロマトグラフィーによって残渣を精製して、化合物12(1.62g、83%)を透明の油として得た。
【0168】
3-メトキシ-N,N-ビス(2-メトキシエチル)-4-ニトロソアニリン(13):化合物12(1.2g、5.01mmol)を氷冷の2M HCl溶液(15mL)に溶解した。茶色のNOx蒸気が観察されないように、溶液の温度を5℃未満に維持しつつ、この溶液にNaNO2(381mg、5.52mmol)を0.5時間かけて少しずつ加えた。反応混合物を氷浴中でさらに2時間撹拌した。溶液のpH値が8より高くなるまで固体K2CO3で溶液を慎重に塩基性化した。水溶液を次いでDCM(3×50mL)で抽出し、合わせた有機層をブライン(50mL)で洗浄した後、無水Na2SO4で乾燥させ、真空中で濃縮した。表題化合物を暗緑色の粘稠な油として得(1.03g、77%)、これをさらに精製せずに次の工程に用いた。
【0169】
2-メトキシ-N-(2-メトキシエチル)-N-(7-((2-メトキシエチル)アミノ)-8-メチル-3H-フェノキサジン-3-イリデン)エタン-1-アミニウム(LGW16-03):2ドラムバイアルに化合物4(50mg、0.22mmol)、化合物13(63mg、0.23mmol)、および磁気撹拌棒を仕込んだ。バイアルにi-PrOH/H2O(9:1、5mL)とHClO4(70%、50μL)との溶液を加えた。得られた溶液を90℃で3時間撹拌して暗青色の溶液を得、これを減圧下で濃縮した。CHCl3と0.5%ギ酸を含むMeOHとの勾配(勾配、CHCl3中2~15%MeOH)を用いたフラッシュカラムクロマトグラフィーによって残渣を精製して化合物LGW16-03(63mg、71%)を得た。
【0170】
スキーム3:LGW16-04への合成経路。試薬および条件:a)化合物7、K2CO3、MeCN、80℃;b)化合物11、HClO4、90%i-PrOH、80℃。
【0171】
N-(2-(2-メトキシエトキシ)エチル)-5-(メトキシメトキシ)-2-メチルアニリン(14):化合物3(1.0g、5.98mmol)、化合物7(1.65g、7.18mmol)、およびK2CO3(1.24g、8.97mmol)をN2下で無水MeCN(20mL)に懸濁した。反応混合物を次いで80℃まで加熱し、24時間撹拌した後、DCM(50mL)で希釈した。セライトを通した真空ろ過により固体を除去した。ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を除去し、溶離液としてヘキサン中のEtOAc(10~30%)を用いたシリカゲルによるフラッシュカラムクロマトグラフィーによって残渣を精製して、化合物14(1.01g、63%)を薄オレンジ色の油として得た。
【0172】
(E)-N-エチル-2-(2-メトキシエトキシ)-N-(7-((2-(2-メトキシエトキシ)エチル)アミノ)-8-メチル-3H-フェノキサジン-3-イリデン)エタン-1-アミニウム(LGW16-04):2ドラムバイアルに化合物14(50mg、0.19mol)、化合物11(78mg、0.20mmol)、および磁気撹拌棒を仕込んだ。バイアルにi-PrOH/H2O(9:1、4mL)とHClO4(70%、40μL)との溶液を加えた。得られた溶液を90℃で一晩撹拌して暗青色の溶液を得、これを減圧下で濃縮した。CHCl3と0.5%のギ酸を含むMeOHとの勾配(勾配、CHCl3中2~15%MeOH)を用いたフラッシュカラムクロマトグラフィーによって残渣を精製して化合物LGW16-04(28mg、32%)を得た。
【0173】
スキーム4:LGW16-05への合成経路。試薬および条件:a)HClO4、90%i-PrOH、80℃。
【0174】
2-メトキシ-N-(7-((2-(2-メトキシエトキシ)エチル)アミノ)-8-メチル-3H-フェノキサジン-3-イリデン)-N-(2-メトキシエチル)エタン-1-アミニウム(LGW16-05):2ドラムバイアルに化合物14(50mg、0.19mmol)、化合物13(52mg、0.20mmol)、および磁気撹拌棒を仕込んだ。バイアルにi-PrOH/H2O(9:1、4mL)とHClO4(70%、40μL)との溶液を加えた。得られた溶液を90℃で3時間撹拌して暗青色の溶液を得、これを減圧下で濃縮した。CHCl3と0.5%のギ酸を含むMeOHとの勾配(勾配、CHCl3中2~15%MeOH)を用いたフラッシュカラムクロマトグラフィーによって残渣を精製して化合物LGW16-05(49mg、59%)を得た。
【0175】
スキーム5:LGW16-07への合成経路。試薬および条件:a)Ac2O、H2O、50℃~室温;b)BH3-THF、THF、0℃~室温;c)2-ブロモエチルメチルエーテル、LiI、K2CO3、MeCN、80℃;d)I)2M HCl、テトラフルオロホウ酸p-ニトロベンゼンジアゾニウム、0℃;II)K2CO3、0℃;e)化合物14、HClO4、90%i-PrOH、80℃。
【0176】
N-(3-メトキシフェニル)アセトアミド(15):化合物8(2g、16.2mmol)を50mLのDI水に懸濁させ、これに無水酢酸(4.61mL、48.7mmol)をゆっくりと加えた。反応混合物を超音波浴に1分間入れ、次いで50℃の水浴中で10分間撹拌した。得られた溶液を室温で一晩撹拌した。反応混合物を氷浴中で冷却し、NaOH(10%)水溶液で慎重に中和した。水溶液を次いでDCM(3×50mL)で抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、次いで真空中で濃縮した。生成物を漏斗に残したまま一晩風乾し、化合物15(2.22g、83%)を薄い茶色の油として得、これを冷蔵庫内で冷却して固化させ、化合物15をさらに精製することなく次の工程に用いた。
【0177】
N-エチル-3-メトキシアニリン(16):無水THF(35mL)中の15(2.0g、12.2mmol)の溶液をN2下にて30分間氷浴中で撹拌した。上記の溶液に、溶液の温度を5℃より低く維持しながら、シリンジポンプを用いてボランテトラヒドロフラン錯体溶液(1M、35mL)を30分かけて加えた。得られた反応混合物を氷浴中に入れたまま、室温までゆっくりと温めた。24時間後、溶液を再び氷浴に入れ、ガスが発生しなくなるまでMeOHを慎重に加えることによって過剰のボラン試薬を消失させた。減圧下で溶媒を蒸発させ、溶離液としてヘキサン中のEtOAcの勾配(5~20%)を用いたシリカゲルによるフラッシュカラムクロマトグラフィーによって残渣を精製して、化合物16(1.39g、75%)を茶色の油として得た。
【0178】
N-エチル-3-メトキシ-N-(2-メトキシエチル)アニリン(17):化合物16(1.0g、6.61mmol)、2-ブロモエチルメチルエーテル(1.38g、9.92mmol)、LiI(620mg、4.63mmol)、およびK2CO3(1.37g、9.92mmol)をN2下で無水MeCN(20mL)に懸濁した。反応混合物を次いで80℃まで加熱し、24時間撹拌した後、2-ブロモエチルメチルエーテル(1.38g、9.92mmol)を再び加えた。反応混合物をさらに48時間撹拌した後、DCM(40mL)で希釈した。セライトを通した真空ろ過により固体を除去した。ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を除去し、溶離液としてヘキサン中のDCMの勾配(10~40%)を用いたシリカゲルによるフラッシュカラムクロマトグラフィーによって残渣を精製して、化合物17(1.17g、85%)を透明の油として得た。
【0179】
(E)-N-エチル-3-メトキシ-N-(2-メトキシエチル)-4-((4-ニトロフェニル)ジアゼニル)アニリン(18):化合物17(300mg、1.43mmol)をMeOH(2mL)に溶解した。溶液を氷浴で冷却し、次いでHCl(2M、20mL)で処理した。15分後、テトラフルオロホウ酸p-ニトロベンゼンジアゾニウム(374mg、1.58mmol)を溶液に15分かけて3回に分けて加え、次いで0℃でさらに2時間撹拌した。次いで溶液のpH値が7より高くなるまで固体Na2CO3で溶液を慎重に中和し、DCM(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、次いで真空中で濃縮した。表題化合物が得られ(定量的)、さらに精製せずに次の工程に用いた。
【0180】
(E)-N-エチル-2-メトキシ-N-(7-((2-(2-メトキシエトキシ)エチル)アミノ)-8-メチル-3H-フェノキサジン-3-イリデン)エタン-1-アミニウム(LGW16-07):2ドラムバイアルに化合物14(50mg、0.19mmol)、化合物18(70mg、0.20mmol)、および磁気撹拌棒を仕込んだ。バイアルにi-PrOH/H2O(9:1、4mL)とHClO4(70%、40μL)との溶液を加えた。得られた溶液を90℃で4時間撹拌して暗青色の溶液を得、これを減圧下で濃縮した。CHCl3と0.5%のギ酸を含むMeOHとの勾配(勾配、CHCl3中2~15%MeOH)を用いたフラッシュカラムクロマトグラフィーによって残渣を精製して化合物LGW16-07(29mg、37%)を得た。
【0181】
スキーム6:LGW16-10への合成経路。試薬および条件:a)TsCl、NaOH、THF/H2O、0℃~室温;b)NaI、アセトン、室温;c)化合物3、K2CO3、MeCN、80℃;d)NaH、MeI、THF、0℃~室温;e)I)2M HCl、NaNO2、0℃;II)K2CO3、0℃;f)化合物22、HClO4、90%i-PrOH、80℃。
【0182】
4-メチルベンゼンスルホン酸2-(2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ)エチル(20):トリエチレングリコールモノメチルエーテル(5g、30.5mmol)のTHF溶液(25mL)にNaOH(20%、25mL)を加えた。得られた溶液を氷浴中で冷却した後、THF(25mL)中のTsCl(6.97g、36.5mmol)を滴下した。反応混合物を0℃で2時間撹拌し、室温まで一晩温めた。反応混合物をHCl(5%)溶液に注いだ。生成物をCHCl3(4×50mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、次いで真空中で濃縮した。表題化合物が得られ(定量的)、さらに精製せずに次の工程に用いた。
【0183】
1-ヨード-2-(2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ)エタン(21):化合物20(1.5g、4.71mmol)のアセトン(20mL)溶液にNaI(1.06g、7.07mmol)を一度に加えた。反応混合物を光から遮蔽し、室温で一晩撹拌した。セライトを通した真空ろ過により固体を除去し、ロータリーエバポレーターを用いてろ液を濃縮した。残渣をEtOAc(50mL)で希釈し、DI水(50mL)で洗浄した。水相を次いでEtOAc(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層を1%NaHSO3(50mL)、ブラインで洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、次いで真空中で濃縮した。溶離液としてヘキサン中のEtOAc(5~30%)の勾配を用いたフラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製によって化合物21(0.92g、72%)を黄色の油として得た。
【0184】
N-(2-(2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ)エチル)-5-(メトキシメトキシ)-2-メチルアニリン(22):化合物3(1.0g、5.98mmol)、化合物21(1.97g、7.18mmol)、およびK2CO3(1.24g、8.97mmol)をN2下で無水MeCN(20mL)に懸濁した。反応混合物を次いで80℃まで加熱し、24時間撹拌した後、DCM(50mL)で希釈した。セライトを通した真空ろ過により固体を除去した。ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を除去し、溶離液としてヘキサン中のEtOAc(15~50%)を用いたシリカゲルによるフラッシュカラムクロマトグラフィーによって残渣を精製して、化合物22(1.20g、64%)を茶色の油として得た。
【0185】
N,N-ジエチル-3-メトキシアニリン(24):化合物23(5.0g、30.2mmol)をN2下で無水THF(50mL)に溶解し、30分間氷浴中で冷却した。温度を5℃より低く保ちながら、NaH(60%、3.63g、90.8mmol)を10分かけて3回に分けて溶液に加えた。10分後、MeI(7.54mL、121mmol)を反応混合物に一度に加えた。得られた懸濁液を室温までゆっくりと温め、一晩撹拌した。完了時に、反応混合物にDI水を加えて過剰のNaHを消失させた。有機層を減圧下で除去し、残渣をDCM(3×100mL)で抽出させた。合わせた有機層をブラインですすぎ、無水Na2SO4で乾燥させ、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を除去した。溶離液としてヘキサン中のDCMの勾配(50~100%)を用いたシリカゲルによるフラッシュカラムクロマトグラフィーによって残渣を精製して、化合物24(4.7g、88%)を透明な油として得た。
【0186】
N,N-ジエチル-3-メトキシ-4-ニトロソアニリン(25):化合物24(1.08g、6.02mmol)を氷冷の2M HCl溶液(15mL)に溶解した。茶色のNOx蒸気が観察されないように、上記の溶液に、溶液の温度を5℃より低く維持しながらNaNO2(457mg、6.63mmol)を1時間かけて少しずつ加えた。反応混合物をさらに2時間撹拌した。溶液のpH値が8より高くなるまで固体K2CO3で溶液を慎重に塩基性化した。その後、ブフナー漏斗を通して析出物をろ過し、少量に分けたDI水で洗浄した。生成物を漏斗に残したまま一晩風乾し、化合物25(1.05g、84%)を緑色の固体として得、これをさらに精製することなく次の工程で用いた。
【0187】
N-エチル-N-(7-((2-(2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ)エチル)アミノ)-8-メチル-3H-フェノキサジン-3-イリデン)エタンアミニウム(LGW16-10):2ドラムバイアルに化合物22(50mg、0.16mmol)、化合物25(35mg、0.17mmol)、および磁気撹拌棒を仕込んだ。バイアルにi-PrOH/H2O(9:1、3mL)およびHClO4(70%、30μL)の溶液を加えた。得られた溶液を90℃で4時間撹拌して暗青色の溶液を得、これを減圧下で濃縮した。CHCl3と0.5%のギ酸を含むMeOHとの勾配(勾配、CHCl3中2~15%MeOH)を用いたフラッシュカラムクロマトグラフィーによって残渣を精製して化合物LGW16-10(14mg、21%)を得た。
【0188】
スキーム7:LGW16-19への合成経路。試薬および条件:a)HClO4、90%i-PrOH、80℃。
【0189】
(E)-N-エチル-2-メトキシ-N-(7-((2-(2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ)エチル)アミノ)-8-メチル-3H-フェノキサジン-3-イリデン)エタン-1-アミニウム(LGW16-19):2ドラムバイアルに化合物22(50mg、0.16mmol)、化合物18(60mg、0.17mmol)、および磁気撹拌棒を仕込んだ。バイアルにi-PrOH/H2O(9:1、3mL)とHClO4(70%、30μL)との溶液を加えた。得られた溶液を90℃で4時間撹拌して暗青色の溶液を得、これを減圧下で濃縮した。CHCl3と0.5%のギ酸を含むMeOHとの勾配(勾配、CHCl3中2~15%MeOH)を用いたフラッシュカラムクロマトグラフィーによって残渣を精製して化合物LGW16-19(41mg、57%)を得た。
【0190】
スキーム8:LGW16-22への合成経路。試薬および条件;a)TsCl、NaOH、THF/H2O、0℃~室温;b)NaI、アセトン、室温;c)化合物3、K2CO3、MeCN、80℃;d)化合物25、HClO4、90%i-PrOH、80℃。
【0191】
4-メチルベンゼンスルホン酸2,5,8,11-テトラオキサトリデカン-13-イル(27):テトラエチレングリコールモノメチルエーテル36(5g、24.0mmol)のTHF溶液(25mL)にNaOH(20%、25mL)を加えた。得られた溶液を氷浴中で冷却した後、THF(25mL)中のTsCl(6.01g、28.8mmol)を滴下した。反応混合物を0℃で2時間撹拌し、室温まで一晩温めた。反応混合物をHCl(5%)溶液に注いだ。生成物をCHCl3(4×50mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、次いで真空中で濃縮した。表題化合物が得られ(定量的)、さらに精製せずに次の工程に用いた。
【0192】
13-ヨード-2,5,8,11-テトラオキサトリデカン(28):化合物27(1.3g、3.59mmol)のアセトン(15mL)溶液にNaI(0.807g、5.38mmol)を一度に加えた。反応混合物を光から遮蔽し、室温で一晩撹拌した。セライトを通した真空ろ過により固体を除去し、ロータリーエバポレーターを用いてろ液を濃縮した。残渣をEtOAc(25mL)で希釈し、DI水(25mL)で洗浄した。水相を次いでEtOAc(3×25mL)で抽出した。合わせた有機層を1%NaHSO3(25mL)、ブラインで洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、次いで真空中で濃縮した。溶離液としてヘキサン中のEtOAc(20~50%)の勾配を用いたフラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製によって化合物28(0.77g、68%)を黄色の油として得た。
【0193】
N-(5-(メトキシメトキシ)-2-メチルフェニル)-2,5,8,11-テトラオキサトリデカン-13-アミン(29):化合物3(0.35g、2.09mmol)、化合物28(0.80g、2.51mmol)、およびK2CO3(0.43g、3.14mmol)をN2下で無水MeCN(10mL)に懸濁した。反応混合物を次いで80℃まで加熱し、24時間撹拌した後、DCM(20mL)で希釈した。セライトを通した真空ろ過により固体を除去した。ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を除去し、溶離液としてヘキサン中のEtOAc(50~100%)を用いたシリカゲルによるフラッシュカラムクロマトグラフィーによって残渣を精製して化合物29(0.47g、63%)を赤色の油として得た。
【0194】
N-(7-((2,5,8,11-テトラオキサトリデカン-13-イル)アミノ)-8-メチル-3H-フェノキサジン-3-イリデン)-N-エチルエタンアミニウム(LGW16-22):2ドラムバイアルに化合物22(100mg、0.28mmol)、化合物25(61mg、0.294mmol)、および磁気撹拌棒を仕込んだ。バイアルにi-PrOH/H2O(9:1、5mL)とHClO4(70%、50μL)との溶液を加えた。得られた溶液を90℃で一晩撹拌して暗青色の溶液を得、これを減圧下で濃縮した。CHCl3と0.5%のギ酸を含むMeOHとの勾配(勾配、CHCl3中2~15%MeOH)を用いたフラッシュカラムクロマトグラフィーによって残渣を精製して化合物LGW16-22(18mg、14%)を得た。
【0195】
スキーム10:LGW16-31への合成経路。試薬および条件:a)HClO4、90%i-PrOH、80℃。
【0196】
(E)-2-メトキシ-N-(2-(2-メトキシエトキシ)エチル)-N-(7-((2-メトキシエチル)アミノ)-8-メチル-3H-フェノキサジン-3-イリデン)エタン-1-アミニウム(LGW16-31):2ドラムバイアルに化合物4(50mg、0.22mmol)、化合物32(73mg、0.23mmol)、および磁気撹拌棒を仕込んだ。バイアルにi-PrOH/H2O(9:1、3mL)とHClO4(70%、30μL)との溶液を加えた。得られた溶液を90℃で4時間撹拌して暗青色の溶液を得、これを減圧下で濃縮した。CHCl3と0.5%のギ酸を含むMeOHとの勾配(勾配、CHCl3中2~15%MeOH)を用いたフラッシュカラムクロマトグラフィーによって残渣を精製して化合物LGW16-31(48mg、49%)を得た。
【0197】
スキーム11:LGW16-29への合成経路。試薬および条件:a)LiI、2-ブロモエチルメチルエーテル、MeCN、80℃;b)化合物7、MeCN、80℃;c)I)2M HCl、NaNO2、0℃;II)K2CO3、0℃;d)HClO4、90%i-PrOH、80℃。
【0198】
3-メトキシ-N-(2-メトキシエチル)アニリン(30):化合物8(1g、8.12mmol)、2-ブロモエチルメチルエーテル(0.915mL、9.74mmol)、LiI(543mg、4.06mmol)、およびK2CO3(1.69g、12.2mmol)をN2下で無水MeCN(20mL)に懸濁した。反応混合物を次いで80℃まで加熱し、一晩撹拌した後、室温まで冷却し、DCM(50mL)で希釈した。セライトを通した真空ろ過により固体を除去した。ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を除去し、溶離液としてヘキサン中のDCMの勾配(50~100%)を用いたフラッシュカラムクロマトグラフィーによって残渣を精製して、化合物30(1.13g、73%)を透明の油として得た。
【0199】
3-メトキシ-N-(2-(2-メトキシエトキシ)エチル)-N-(2-メトキシエチル)アニリン(31):化合物30(0.68g、3.75mmol)、化合物7(1.29g、5.63mmol)、およびK2CO3(1.04g、7.50mmol)をN2下で無水MeCN(15mL)に懸濁した。反応混合物を次いで80℃まで加熱し、12時間撹拌した後、化合物7(0.43g、1.88mmol)を再び加えた。反応混合物をさらに12時間撹拌した後、室温まで冷却し、DCM(30mL)で希釈した。セライトを通した真空ろ過により固体を除去した。ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を除去し、溶離液としてヘキサン中のEtOAcの勾配(5~30%)を用いたフラッシュカラムクロマトグラフィーによって残渣を精製して、化合物31(0.82g、77%)を薄黄色の油として得た。
【0200】
3-メトキシ-N-(2-(2-メトキシエトキシ)エチル)-N-(2-メトキシエチル)-4-ニトロソアニリン(32):化合物31(0.36g、1.27mmol)を氷冷の2M HCl溶液(5mL)に溶解した。溶液の温度を5℃未満に維持しつつ、この溶液に0.5時間かけてNaNO2(106mg、1.52mmol)を少しずつ加えた。反応混合物を氷浴中でさらに2時間撹拌した。溶液のpH値が8より高くなるまで固体K2CO3で溶液を慎重に塩基性化した。水溶液を次いでDCM(3×25mL)で抽出し、合わせた有機層をブライン(25mL)で洗浄した後、無水Na2SO4で乾燥させ、真空中で濃縮した。表題化合物を暗緑色の粘稠な油として得(0.34g、85%)、これをさらに精製せずに次の工程に用いた。
【0201】
(E)-N-(7-(エチルアミノ)-8-メチル-3H-フェノキサジン-3-イリデン)-2-メトキシ-N-(2-(2-メトキシエトキシ)エチル)エタン-1-アミニウム(LGW16-29):2ドラムバイアルに化合物33(50mg、0.33mmol)、化合物32(108mg、0.35mmol)、および磁気撹拌棒を仕込んだ。バイアルにi-PrOH/H2O(9:1、3mL)とHClO4(70%、30μL)との溶液を加えた。得られた溶液を90℃で4時間撹拌して暗青色の溶液を得、これを減圧下で濃縮した。CHCl3と0.5%のギ酸を含むMeOHとの勾配(勾配、CHCl3中2~15%MeOH)を用いたフラッシュカラムクロマトグラフィーによって残渣を精製して化合物LGW16-29(80mg、58%)を得た。
【0202】
表1Aおよび1B:神経特異性と誘導体化により近赤外フルオロフォアになる可能性とを有する現在の小分子有機フルオロフォア
【表1A】
【表1B】
【0203】
参照文献
【国際調査報告】