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特表2024-527559操作されたナチュラルキラー(NK)細胞及び関連する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-25
(54)【発明の名称】操作されたナチュラルキラー(NK)細胞及び関連する方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/10 20060101AFI20240718BHJP
   C12N 5/0783 20100101ALI20240718BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20240718BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20240718BHJP
   C12N 15/867 20060101ALI20240718BHJP
   C12N 15/87 20060101ALI20240718BHJP
   C12N 15/88 20060101ALI20240718BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20240718BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240718BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240718BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20240718BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20240718BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240718BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
C12N5/10 ZNA
C12N5/0783
C12N15/62 Z
C12P21/02 A
C12N15/867 Z
C12N15/87 Z
C12N15/88 Z
A61K35/17
A61P29/00
A61P35/00
A61P35/02
A61P31/00
A61P43/00 121
A61K45/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023581006
(86)(22)【出願日】2022-06-30
(85)【翻訳文提出日】2024-02-13
(86)【国際出願番号】 US2022035884
(87)【国際公開番号】W WO2023278811
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】63/217,718
(32)【優先日】2021-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/217,722
(32)【優先日】2021-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/217,726
(32)【優先日】2021-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
2.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】524002957
【氏名又は名称】インダプタ セラピューティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【弁理士】
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【弁理士】
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】ディピエロ ガイ
(72)【発明者】
【氏名】ビグリー オースティン
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C084
4C087
【Fターム(参考)】
4B064AG02
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA01
4B065AA94X
4B065AB01
4B065BA02
4B065BB19
4B065BC50
4B065BD39
4B065CA44
4C084AA19
4C084MA02
4C084NA14
4C084ZB11
4C084ZB26
4C084ZB27
4C084ZB31
4C084ZC751
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB63
4C087NA14
(57)【要約】
本明細書では、FcRγ鎖の発現が欠損しており(g-NK細胞)、かつ組換えキメラ抗原受容体(CAR)を更に含む、操作されたナチュラルキラー(NK)細胞及びその組成物が提供される。操作されたNK細胞を含有する組成物、ならびに操作されたNK細胞を作製及び使用する方法も、本明細書において提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
FcRγ鎖の発現が欠損しており(g-NK細胞)、かつキメラ抗原受容体(CAR)をコードする異種核酸を含む、操作されたナチュラルキラー(NK)細胞。
【請求項2】
FcRγ鎖の発現が欠損しており(g-NK細胞)、かつ免疫調節物質をコードする異種核酸を含む、操作されたナチュラルキラー(NK)細胞。
【請求項3】
FcRγ鎖の発現が欠損しており(g-NK細胞)、かつキメラ抗原受容体(CAR)をコードする異種核酸と、免疫調節物質をコードする異種核酸とを含む、操作されたナチュラルキラー(NK)細胞。
【請求項4】
前記CARが、1)抗原結合ドメイン、2)可撓性リンカー、3)膜貫通領域、及び4)細胞内シグナル伝達ドメインを含む、請求項1又は請求項3に記載の操作されたNK細胞。
【請求項5】
前記抗原結合ドメインが、腫瘍抗原を標的とする、請求項4に記載の操作されたNK細胞。
【請求項6】
前記抗原結合ドメインが単鎖可変断片(scFv)である、請求項4又は請求項5に記載の操作されたNK細胞。
【請求項7】
前記細胞内シグナル伝達ドメインが、一次シグナル伝達ドメイン及び共刺激シグナル伝達ドメインを含む、請求項4~6のいずれか一項に記載の操作されたNK細胞。
【請求項8】
前記細胞内シグナル伝達ドメインが、CD3ζ、DAP10、DAP12、CD28、4-1BB、又はOX40のうちの1つ以上のシグナル伝達ドメインを含む、請求項4~7のいずれか一項に記載の操作されたNK細胞。
【請求項9】
前記細胞内シグナル伝達ドメインが、CD3ζ、DAP10、DAP12、CD28、4-1BB、又はOX40のうちの2つ以上のシグナル伝達ドメインを含む、請求項4~7のいずれか一項に記載の操作されたNK細胞。
【請求項10】
前記細胞内シグナル伝達ドメインが、CD3ζのシグナル伝達ドメインを含む一次シグナル伝達ドメインと、共刺激シグナル伝達ドメインとを含む、請求項4~9のいずれか一項に記載の操作されたNK細胞。
【請求項11】
前記共刺激シグナル伝達ドメインが、CD28又は4-1BBのシグナル伝達ドメインである、請求項10に記載の操作されたNK細胞。
【請求項12】
前記CARをコードする前記異種核酸が、前記細胞のゲノムに安定に組み込まれている、請求項1又は3~11のいずれか一項に記載の操作されたNK細胞。
【請求項13】
前記CARをコードする前記異種核酸が、一過性に発現される、請求項1又は3~11のいずれか一項に記載の操作されたNK細胞。
【請求項14】
前記免疫調節物質が免疫抑制物質である、請求項2又は請求項3に記載の操作されたNK細胞。
【請求項15】
前記免疫調節物質が免疫活性化物質である、請求項2又は請求項3に記載の操作されたNK細胞。
【請求項16】
前記免疫調節物質がサイトカインである、請求項2、3、又は15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記サイトカインが、前記操作されたNK細胞から分泌可能である、請求項16に記載の操作されたNK細胞。
【請求項18】
分泌可能な前記サイトカインが、IL-2もしくはその生物学的部分、IL-15もしくはその生物学的部分、又はIL-21もしくはその生物学的部分、又はそれらの組み合わせである、請求項17に記載の操作されたNK細胞。
【請求項19】
前記サイトカインが膜結合型である、請求項16に記載の操作されたNK細胞。
【請求項20】
前記膜結合型サイトカインが膜結合型IL-2(mbIL-2)、膜結合型IL-15(mbIL-15)、膜結合型IL-21(mbIL-21)、又はそれらの組み合わせである、請求項19に記載の操作されたNK細胞。
【請求項21】
前記免疫調節物質をコードする前記異種核酸が、前記細胞のゲノムに安定に組み込まれている、請求項2~20のいずれか一項に記載の操作されたNK細胞。
【請求項22】
前記免疫調節物質をコードする前記異種核酸が、一過性に発現される、請求項2~21のいずれか一項に記載の操作されたNK細胞。
【請求項23】
前記g-NK細胞が、CD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161negである表面表現型を有する、請求項1~22のいずれか一項に記載の操作されたNK細胞。
【請求項24】
前記g-NK細胞が、NKG2Aneg/CD161negである表面表現型を更に有する、請求項1~23のいずれか一項に記載の操作されたNK細胞。
【請求項25】
前記g-NK細胞が、更にCD38negである、請求項1~24のいずれか一項に記載の操作されたNK細胞。
【請求項26】
前記g-NK細胞が、更にCD45pos/CD3neg/CD56posである表面表現型を有する、請求項1~25のいずれか一項記載の操作されたNK細胞。
【請求項27】
前記g-NK細胞が、CD16 158V/V(V158)を含む、請求項1~26のいずれか一項に記載の操作されたNK細胞。
【請求項28】
前記g-NK細胞が、CD16 158V/Fである、請求項1~26のいずれか一項に記載の操作されたNK細胞。
【請求項29】
請求項1、3~13、又は23~28のいずれか一項に記載の操作されたg-NK細胞を複数含む、組成物。
【請求項30】
請求項2又は14~28のいずれか一項に記載の操作されたg-NK細胞を複数含む、組成物。
【請求項31】
請求項3~28のいずれか一項に記載の操作されたg-NK細胞を複数含む、組成物。
【請求項32】
前記組成物中のNK細胞もしくは総細胞の50%超又は約50%超、又は前記NK細胞もしくは総細胞の60%超又は約60%超が、g-NK細胞である、請求項29~31のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項33】
前記組成物中のNK細胞又は総細胞の70%超又は約70%超が、g-NK細胞である、請求項29~31のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項34】
前記組成物中のNK細胞又は総細胞の80%超又は約80%超が、g-NK細胞である、請求項29~31のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項35】
前記組成物中のNK細胞又は総細胞の90%超又は約90%超が、g-NK細胞である、請求項29~31のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項36】
前記組成物中のNK細胞又は総細胞の95%超又は約95%超が、g-NK細胞である、請求項29~31のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項37】
前記複数の操作されたg-NK細胞が、20%超又は約20%超、30%超又は約30%超、40%超又は約40%超、50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、又は70%超又は約70%超の、前記CARをコードする異種核酸を含むg-NK細胞を構成する、請求項29又は31~36のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項38】
総組成物が、前記CARをコードする異種核酸を含むg-NK細胞を、20%超又は約20%超、30%超又は約30%超、40%超又は約40%超、50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、又は70%超又は約70%超含む、請求項29又は31~37のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項39】
前記複数の操作されたg-NK細胞が、20%超又は約20%超、30%超又は約30%超、40%超又は約40%超、50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、又は70%超又は約70%超の、前記免疫調節物質をコードする異種核酸を含むg-NK細胞を構成する、請求項30~36のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項40】
総組成物が、前記免疫調節物質をコードする異種核酸を含むg-NK細胞を、20%超又は約20%超、30%超又は約30%超、40%超又は約40%超、50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、又は70%超又は約70%超含む、請求項30~36又は39のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項41】
前記複数の操作されたg-NK細胞が、20%超又は約20%超、30%超又は約30%超、40%超又は約40%超、50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、又は70%超又は約70%超の、前記CARをコードする異種核酸及び前記免疫調節物質をコードする異種核酸を含むg-NK細胞を構成する、請求項31~36のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項42】
総組成物が、前記CARをコードする異種核酸及び前記免疫調節物質をコードする前記異種核酸を含むg-NK細胞を、20%超又は約20%超、30%超又は約30%超、40%超又は約40%超、50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、又は70%超又は約70%超含む、請求項31~36又は41のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項43】
前記g-NK細胞の70%超又は約70%超がパーフォリンについて陽性であり、前記g-NK細胞の70%超又は約70%超がグランザイムBについて陽性である、請求項29~42のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項44】
前記g-NK細胞の80%超又は約80%超がパーフォリンについて陽性であり、前記g-NK細胞の80%超又は約80%超がグランザイムBについて陽性である、請求項29~43のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項45】
前記g-NK細胞の90%超又は約90%超がパーフォリンについて陽性であり、前記g-NK細胞の90%超又は約90%超がグランザイムBについて陽性である、請求項29~44のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項46】
前記g-NK細胞の95%超又は約95%超がパーフォリンについて陽性であり、前記g-NK細胞の95%超又は約95%超がグランザイムBについて陽性である、請求項29~45のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項47】
パーフォリンについて陽性である前記細胞のうち、前記細胞は、細胞内フローサイトメトリーによって測定した場合、すなわち平均蛍光強度(MFI)に基づいて、FcRγposである細胞によって発現されるパーフォリンの平均レベルの少なくとも2倍又は約2倍である、平均レベルのパーフォリンを発現し、かつ/又は
グランザイムBについて陽性である前記細胞のうち、前記細胞は、細胞内フローサイトメトリーによって測定した場合、すなわち平均蛍光強度(MFI)に基づいて、FcRγposである細胞によって発現されるグランザイムBの平均レベルの少なくとも2倍又は約2倍である、グランザイムBの平均レベルを発現する、請求項43~46のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項48】
前記組成物中の細胞の10%超が、任意選択でCD107a発現によって測定される、腫瘍標的細胞に対する脱顆粒が可能であり、任意選択で前記脱顆粒が、前記腫瘍標的細胞に対する抗体の非存在下で測定される、請求項29~47のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項49】
前記組成物中の細胞の10%超が、腫瘍標的細胞に対してインターフェロン-γ又はTNF-αを産生することができ、任意選択で、前記インターフェロン-γ又はTNF-αが、前記腫瘍標的細胞に対する抗体の非存在下で測定される、請求項29~48のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項50】
前記組成物中の細胞のうち、15%超又は約15%超、20%超又は約20%超、30%超又は約30%超、40%超又は約40%超、又は50%超又は約50%超が、標的抗原を発現する細胞(標的細胞)及び前記標的抗原に対する抗体(抗標的抗体)の存在下でエフェクターサイトカインを産生する、請求項29~49のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項51】
前記組成物中の総細胞のうち、又は前記組成物中のg-NK細胞のうち、30%超又は約30%超がNKG2Cについて陽性であり(NKG2Cpos)、かつ/又は50%超又は約50%超がNKG2Aについて陰性もしくは低度である(NKG2Aneg)、請求項29~50のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項52】
前記組成物中の総細胞のうち、又は前記組成物中のg-NK細胞のうち、35%超又は約35%超がNKG2Cについて陽性であり(NKG2Cpos)、かつ/又は60%超又は約60%超がNKG2Aについて陰性もしくは低度である(NKG2Aneg)、請求項29~51のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項53】
前記組成物中の総細胞のうち、又は前記組成物中のg-NK細胞のうち、40%超又は約40%超がNKG2Cについて陽性であり(NKG2Cpos)、かつ/又は70%超又は約70%超がNKG2Aについて陰性もしくは低度である(NKG2Aneg)、請求項29~52のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項54】
前記組成物中の総細胞のうち、又は前記組成物中のg-NK細胞のうち、45%超又は約45%超がNKG2Cについて陽性であり(NKG2Cpos)、かつ/又は80%超又は約80%超がNKG2Aについて陰性もしくは低度である(NKG2Aneg)、請求項29~52のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項55】
前記組成物中の総細胞のうち、又は前記組成物中のg-NK細胞のうち、50%超又は約50%超がNKG2Cについて陽性であり(NKG2Cpos)、かつ/又は85%超又は約85%超がNKG2Aについて陰性もしくは低度である(NKG2Aneg)、請求項29~52のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項56】
前記組成物中の総細胞のうち、又は前記組成物中のg-NK細胞のうち、55%超又は約55%超がNKG2Cについて陽性であり(NKG2Cpos)、かつ/又は90%超又は約90%超がNKG2Aについて陰性もしくは低度である(NKG2Aneg)、請求項29~52のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項57】
前記組成物中の総細胞のうち、又は前記組成物中のg-NK細胞のうち、60%超又は約60%超がNKG2Cについて陽性であり(NKG2Cpos)、かつ/又は95%超又は約95%超がNKG2Aについて陰性もしくは低度である(NKG2Aneg)、請求項29~52のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項58】
前記組成物中の総細胞のうち、又は前記組成物中のg-NK細胞のうち、50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、又は90%超又は約90%超がCD38negである、請求項29~57のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項59】
前記組成物中の総細胞のうち、又は前記組成物中のg-NK細胞のうち、50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、又は90%超又は約90%超が、CD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161negである、請求項29~57のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項60】
前記組成物中の総細胞のうち、又は前記組成物中のg-NK細胞のうち、50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、又は90%超又は約90%超が、NKG2Aneg/CD161negである、請求項29~57のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項61】
前記複数のg-NK細胞が、CD16 158V/V(V158)である、請求項29~60のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項62】
前記複数のg-NK細胞がCD16 158V/Fである、請求項29~60のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項63】
少なくとも10個又は少なくとも約10個の細胞を含む、請求項29~62のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項64】
前記組成物中のg-NK細胞の数が、10もしくは約10から、1012もしくは約1012個の細胞、10もしくは約10から、1011もしくは約1011個の細胞、10もしくは約10から、1010もしくは約1010個の細胞、10もしくは約10から、10もしくは約10個の細胞、10もしくは約10から、1012もしくは約1012個の細胞、10もしくは約10から、1011もしくは約1011個の細胞、10もしくは約10から、1010もしくは約1010個の細胞、1010もしくは約1010から、1012もしくは約1012個の細胞、1010もしくは約1010から、1011もしくは約1011個の細胞、又は1011もしくは約1011から、1012もしくは約1012個の細胞である、請求項29~63のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項65】
前記組成物中のg-NK細胞の数が、5×10もしくは約5×10個の細胞、1×10もしくは約1×10個の細胞、5×1010もしくは約5×1010個の細胞、又は1×1010もしくは約1×1010個の細胞である、請求項29~64のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項66】
前記組成物の体積が、50mL又は約50mLから、500mL又は約500mL、任意選択的に200mL又は約200mLである、請求項29~65のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項67】
前記組成物中の細胞が、同じ生体試料から増殖させた単一のドナー対象由来である、請求項29~66のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項68】
前記組成物が医薬組成物である、請求項29~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
薬学的に許容される賦形剤を含む、請求項29~68のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項70】
抗凍結剤を含む無血清凍結保存培地中に製剤化される、請求項29~69のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項71】
前記抗凍結剤がDMSOであり、前記凍結保存培地が5%~10%DMSO(v/v)である、請求項70に記載の組成物。
【請求項72】
前記抗凍結剤が、10%DMSO(v/v)であるか、又は約10%DMSO(v/v)である、請求項71に記載の組成物。
【請求項73】
無菌である、請求項29~72のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項74】
請求項29~73のいずれか一項に記載の組成物を含む、滅菌バッグ。
【請求項75】
凍結保存適合性バッグである、請求項74に記載の滅菌バッグ。
【請求項76】
FcRγ鎖の発現が欠損したNK細胞(g-NK細胞)に、キメラ抗原受容体(CAR)をコードする異種核酸を導入することを含む、遺伝子操作されたg-NK細胞を産生する方法。
【請求項77】
g-NK細胞に、免疫調節物質をコードする異種核酸を導入することであって、それによって、遺伝子操作されたg-NK細胞を産生する、導入すること
を含む、遺伝子操作されたg-NK細胞を産生する方法。
【請求項78】
(a)FcRγ鎖の発現が欠損しているNK細胞(g-NK細胞)に、キメラ抗原受容体(CAR)をコードする異種核酸を導入することと、
(b)g-NK細胞に、免疫調節物質をコードする異種核酸を導入することであって、それによって、遺伝子操作されたg-NK細胞を産生する、導入することと
を含む、遺伝子操作されたg-NK細胞を産生する方法であって、
ステップ(a)及び(b)が、同時に又は任意の順序で逐次的に行われる、
方法。
【請求項79】
前記CARが、1)抗原結合ドメイン、2)可撓性リンカー(スペーサー)、3)膜貫通領域、及び4)細胞内シグナル伝達ドメインを含む、請求項76又は請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記抗原結合ドメインが腫瘍抗原を標的とする、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記抗原結合ドメインが単鎖可変断片(scFv)である、請求項79又は80に記載の方法。
【請求項82】
前記細胞内シグナル伝達ドメインが、CD3ζ、DAP10、DAP12、CD28、4-1BB、又はOX40由来の1つ以上のシグナル伝達ドメインを含む、請求項79~81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記細胞内シグナル伝達ドメインが、CD3ζ、DAP10、DAP12、CD28、4-1BB、又はOX40由来の2つ以上のシグナル伝達ドメインを含む、請求項79~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
前記細胞内シグナル伝達ドメインが、CD3ζのシグナル伝達ドメインを含む一次シグナル伝達ドメインと、共刺激シグナル伝達ドメインとを含む、請求項79~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
前記共刺激シグナル伝達ドメインが、CD28又は4-1BBのシグナル伝達ドメインである、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記CARをコードする前記異種核酸が、前記g-NK細胞のゲノムへの安定な組み込みのための条件下で導入される、請求項76又は78~85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
前記CARをコードする前記異種核酸が、ウイルスベクターに含まれ、形質導入によって前記g-NK細胞に導入される、請求項76又は78~86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
前記ウイルスベクターが、レンチウイルスベクターである、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記CARをコードする前記核酸が、前記g-NK細胞における一過性発現のための条件下で導入される、請求項76又は78~85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
前記CARをコードする前記核酸が、非ウイルス送達によって導入される、請求項76、78~85、又は89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
前記CARをコードする前記核酸が、脂質ナノ粒子を介して前記g-NK細胞に導入される、請求項76、78~85、又は89~90のいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
前記CARをコードする前記核酸がDNAである、請求項76又は78~91のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
前記CARをコードする前記核酸がRNAである、請求項76、78~85、又は89~91のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
前記RNAがmRNAである、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
前記RNAが自己増幅mRNAである、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
前記核酸が、エレクトロポレーションを介して前記g-NK細胞に導入される、請求項76、78~85、又は89~95のいずれか一項に記載の方法。
【請求項97】
前記免疫調節物質が免疫抑制物質である、請求項77又は請求項78に記載の方法。
【請求項98】
前記免疫調節物質が免疫活性化物質である、請求項77又は請求項78に記載の方法。
【請求項99】
前記免疫調節物質がサイトカインである、請求項77、78、又は請求項98に記載の方法。
【請求項100】
前記サイトカインが、前記操作されたNK細胞から分泌可能である、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
分泌可能な前記サイトカインが、IL-2もしくはその生物学的に活性な部分、IL-15もしくはその生物学的に活性な部分、IL-21もしくはその生物学的に活性な部分、又はそれらの組み合わせである、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
前記サイトカインが膜結合型である、請求項99に記載の方法。
【請求項103】
膜結合型サイトカインが、膜結合型IL-2(mbIL-2)、膜結合型IL-15(mbIL-15)、又は膜結合型IL-21(mbIL-21)、又はそれらの組み合わせである、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
前記免疫調節物質をコードする前記核酸が、前記g-NK細胞のゲノムへの安定な組み込みのための条件下で導入される、請求項77~103のいずれか一項に記載の方法。
【請求項105】
免疫調節物質をコードする前記核酸が、ウイルスベクターに含まれ、形質導入によって前記g-NK細胞に導入される、請求項77~104のいずれか一項に記載の方法。
【請求項106】
前記ウイルスベクターが、レンチウイルスベクターである、請求項105に記載の方法。
【請求項107】
前記免疫調節物質をコードする前記核酸が、前記g-NK細胞における一過性発現のための条件下で導入される、請求項77~103のいずれか一項に記載の方法。
【請求項108】
前記免疫調節物質をコードする前記核酸が、非ウイルス送達によって導入される、請求項77~85、89~90、又は97~107のいずれか一項に記載の方法。
【請求項109】
前記免疫調節物質をコードする前記核酸が、脂質ナノ粒子を介して前記g-NK細胞に導入される、請求項77~85、89~91、又は97~108のいずれか一項に記載の方法。
【請求項110】
前記免疫調節物質をコードする前記核酸がDNAである、請求項77~109のいずれか一項に記載の方法。
【請求項111】
前記免疫調節物質をコードする前記核酸がRNAである、請求項77~85、89~91、又は97~109のいずれか一項に記載の方法。
【請求項112】
前記RNAがmRNAである、請求項111に記載の方法。
【請求項113】
前記RNAが自己増幅mRNAである、請求項112に記載の方法。
【請求項114】
前記免疫調節物質をコードする前記核酸が、エレクトロポレーションを介して前記g-NK細胞に導入される、請求項77~85、89~103、又は107~113のいずれか一項に記載の方法。
【請求項115】
前記CARをコードする前記核酸及び前記免疫調節物質をコードする前記核酸が、同じポリヌクレオチドからコードされ、一緒に導入される、請求項78~114のいずれか一項に記載の方法。
【請求項116】
前記CARをコードする前記核酸及び前記免疫調節物質をコードする前記核酸が、前記ポリヌクレオチド配列のマルチシストロン性エレメントによって隔てられている、請求項115に記載の方法。
【請求項117】
前記マルチシストロン性エレメントが、T2A、P2A及びF2Aからなる群から選択される自己切断ペプチドである、請求項116に記載の方法。
【請求項118】
前記CARをコードする前記核酸及び前記免疫調節物質をコードする前記核酸が、g-NK細胞について濃縮された集団を増殖させるためのエクスビボプロセス中に同時に導入される、請求項78~114のいずれか一項に記載の方法。
【請求項119】
前記g-NK細胞組成物が、
(i)CD3について陰性もしくは低度かつCD57について陽性(CD3negCD57pos)又は(ii)CD3について陰性もしくは低度かつCD56について陽性(CD3negCD56pos)のいずれかである、対象由来の生体試料から濃縮されたNK細胞
のエクスビボ増殖によって産生され、
前記濃縮されたNK細胞が、照射されたHLA-E+フィーダー細胞及び1つ以上の組換えサイトカインと共に培養される、
請求項76~118のいずれか一項記載の方法。76.前記1つ以上の組換えサイトカインが、有効量のSCF、GSK3i、FLT3、IL-2、IL-6、IL-7、IL-15、IL-12、IL-18、IL-21、IL-27、又はそれらの組み合わせから選択される、請求項75に記載の方法。
【請求項120】
前記1つ以上の組換えサイトカインが、IL-21を含む、請求項119に記載の方法。
【請求項121】
前記培養が、2つ以上の組換えサイトカインの存在下で行われ、少なくとも1つの組換えサイトカインがインターロイキン(IL)-2であり、少なくとも1つの組換えサイトカインがIL-21である、請求項119又は請求項120に記載の方法。
【請求項122】
前記導入することが、
FcRγ欠損NK(g-NK)細胞を増殖させるための方法
の間に行われ、前記方法が、
(A)ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を得ることであって、NK細胞について濃縮された前記集団が、ヒト対象由来の生体試料から選択される、得ることと、
(B)操作されたNK細胞の前記集団を、
(1)照射されたHLA-E+フィーダー細胞であって、フィーダー細胞がHLAクラスI及びHLAクラスIIを欠損しており、照射されたHLA-E+フィーダー細胞 対 濃縮されたNK細胞の比は1:10~10:1である、照射されたHLA-E+フィーダー細胞、及び
(2)前記NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカインであって、少なくとも1つの組換えサイトカインがインターロイキン(IL)-2であり、少なくとも1つの組換えサイトカインがIL-21である、前記NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカイン
と共に、培養培地中で培養することと
を含み、
前記CARをコードする前記核酸を導入することが、ステップ(A)の後、かつステップ(B)の前、間、又は後に行われ、それによって、操作されたNK細胞の集団を産生し、
前記方法が、g-NK細胞について濃縮され、かつCARで操作された細胞を含む、操作されたNK細胞の増殖させた集団を産生する、
請求項76、79~96、又は119~121のいずれか一項に記載の方法。
【請求項123】
前記導入することが、
FcRγ欠損NK細胞(g-NK)を増殖させるための方法
の間に行われ、前記方法が、
(A)ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を得ることであって、NK細胞について濃縮された前記集団が、ヒト対象由来の生体試料から選択される、得ることと、
(B)濃縮されたNK細胞の前記集団に、CARをコードする前記核酸を導入することであって、それによって、操作されたNK細胞の集団を産生する、導入することと、
(C)操作されたNK細胞の前記集団を、
(1)照射されたHLA-E+フィーダー細胞であって、フィーダー細胞がHLAクラスI及びHLAクラスIIを欠損しており、照射されたHLA-E+フィーダー細胞 対 濃縮NK細胞の比が1:10~10:1である、照射されたHLA-E+フィーダー細胞、及び
(2)前記NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカインであって、少なくとも1つの組換えサイトカインがインターロイキン(IL)-2であり、少なくとも1つの組換えサイトカインがIL-21である、前記NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカイン
と共に、培養培地中で培養することであって、それによって、NK細胞の増殖させた集団を産生する、培養することと
を含み、
前記方法が、g-NK細胞について濃縮され、かつCARで操作された細胞を含む、操作されたNK細胞の増殖させた集団を産生する、
請求項76、79~96、又は119~121のいずれか一項に記載の方法。
【請求項124】
前記導入することが、
FcRγ欠損NK細胞(g-NK)を増殖させるための方法
の間に行われ、前記方法が、
(A)ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を得ることであって、NK細胞について濃縮された前記集団が、ヒト対象由来の生体試料から選択される、得ることと、
(B)濃縮されたNK細胞の前記集団を、
(1)照射されたHLA-E+フィーダー細胞であって、フィーダー細胞がHLAクラスI及びHLAクラスIIを欠損しており、照射されたHLA-E+フィーダー細胞 対 濃縮されたNK細胞の比が1:10~10:1である、照射されたHLA-E+フィーダー細胞、及び
(2)前記NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカインであって、少なくとも1つの組換えサイトカインがインターロイキン(IL)-2であり、少なくとも1つの組換えサイトカインがIL-21である、前記NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカイン
と共に、培養培地中で培養することであって、それにより、NK細胞の増殖させた集団を産生する、培養することと、
(C)NK細胞の前記増殖させた集団のNK細胞に、CARをコードする前記核酸を導入することと
を含み、
前記方法が、g-NK細胞について濃縮され、かつCARで操作された細胞を含む、操作されたNK細胞の増殖させた集団を産生する、
請求項76、79~96、または119~121のいずれか一項に記載の方法。
【請求項125】
前記導入することが、
FcRγ欠損NK細胞(g-NK)を増殖させるための方法
の間に行われ、前記方法が、
(A)ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を得ることであって、NK細胞について濃縮された前記集団が、ヒト対象由来の生体試料から選択される、得ることと、
(B)濃縮されたNK細胞の前記集団を、前記NK細胞を増殖させるための条件下で培養培地中で培養することを含む第1の増殖を実施することであって、第1の増殖させたNK細胞集団を産生する、実施することと、
(C)前記第1の増殖させたNK細胞集団のNK細胞に、CARをコードする前記核酸を導入することであって、それによって、操作されたNK細胞の集団を産生する、導入することと、
(D)前記NK細胞の更なる増殖のための条件下で、操作されたNK細胞の前記集団を培養することを含む第2の増殖を実施することと
を含み、
前記第1の増殖及び/又は第2の増殖が、濃縮されたNK細胞の前記集団を、
(1)照射されたHLA-E+フィーダー細胞であって、フィーダー細胞がHLAクラスI及びHLAクラスIIを欠損しており、照射されたHLA-E+フィーダー細胞 対 濃縮されたNK細胞の比が1:10~10:1である、照射されたHLA-E+フィーダー細胞、及び
(2)前記NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカインであって、少なくとも1つの組換えサイトカインがインターロイキン(IL)-2であり、少なくとも1つの組換えサイトカインがIL-21である、前記NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカイン
と共に、培養培地中で培養することを含み、
前記方法が、g-NK細胞について濃縮され、かつCARで操作された細胞を含む、操作されたNK細胞の増殖させた集団を産生する、
請求項76、79~96、又は119~121のいずれか一項に記載の方法。
【請求項126】
前記導入することが、
FcRγ欠損NK(g-NK)細胞を増殖させるための方法
の間に行われ、前記方法が、
(A)ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を得ることであって、NK細胞について濃縮された前記集団が、ヒト対象由来の生体試料から選択される、得ることと、
(B)操作されたNK細胞の前記集団を、
(1)照射されたHLA-E+フィーダー細胞であって、フィーダー細胞がHLAクラスI及びHLAクラスIIを欠損しており、照射されたHLA-E+フィーダー細胞 対 濃縮されたNK細胞の比が1:10~10:1である、照射されたHLA-E+フィーダー細胞、及び
(2)前記NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカインであって、少なくとも1つの組換えサイトカインがインターロイキン(IL)-2であり、少なくとも1つの組換えサイトカインがIL-21である、前記NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカイン
と共に、培養培地中で培養することと
を含み、
前記免疫調節物質をコードする前記核酸を導入することが、ステップ(A)の後、かつステップ(B)の前、間、又は後に行われ、それによって、操作されたNK細胞の集団を産生し、
前記方法が、g-NK細胞について濃縮され、かつ免疫調節物質で操作された細胞を含む、操作されたNK細胞の増殖させた集団を産生する、
請求項77、97~114、又は119~121のいずれか一項に記載の方法。
【請求項127】
前記導入することが、
FcRγ欠損NK細胞(g-NK)を増殖させるための方法
の間に行われ、前記方法が、
(A)ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を得ることであって、NK細胞について濃縮された前記集団が、ヒト対象由来の生体試料から選択される、得ることと、
(B)濃縮されたNK細胞の前記集団に、免疫調節物質をコードする前記核酸を導入することであって、それによって、操作されたNK細胞の集団を産生する、導入することと、
(C)操作されたNK細胞の前記集団を、
(1)照射されたHLA-E+フィーダー細胞であって、フィーダー細胞がHLAクラスI及びHLAクラスIIを欠損しており、照射されたHLA-E+フィーダー細胞 対 濃縮NK細胞の比が1:10~10:1である、照射されたHLA-E+フィーダー細胞、及び
(2)前記NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカインであって、少なくとも1つの組換えサイトカインがインターロイキン(IL)-2であり、少なくとも1つの組換えサイトカインがIL-21である、前記NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカイン
と共に、培養培地中で培養することであって、それによって、NK細胞の増殖させた集団を産生する、培養することと
を含み、
前記方法が、g-NK細胞について濃縮され、かつ免疫調節物質で操作された細胞を含む、操作されたNK細胞の増殖させた集団を産生する、
請求項77、97~114、又は119~121のいずれか一項に記載の方法。
【請求項128】
前記導入することが、
FcRγ欠損NK細胞(g-NK)を増殖させるための方法
の間に行われ、前記方法が、
(A)ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を得ることであって、NK細胞について濃縮された前記集団が、ヒト対象由来の生体試料から選択される、得ることと、
(B)濃縮されたNK細胞の前記集団を、
(1)照射されたHLA-E+フィーダー細胞であって、フィーダー細胞がHLAクラスI及びHLAクラスIIを欠損しており、照射されたHLA-E+フィーダー細胞 対 濃縮されたNK細胞の比が1:10~10:1である、照射されたHLA-E+フィーダー細胞、及び
(2)前記NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカインであって、少なくとも1つの組換えサイトカインがインターロイキン(IL)-2であり、少なくとも1つの組換えサイトカインがIL-21である、前記NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカイン
と共に、培養培地中で培養することであって、それにより、NK細胞の増殖させた集団を産生する、培養することと、
(C)NK細胞の前記増殖させた集団のNK細胞に、免疫調節物質をコードする前記核酸を導入することと
を含み、
前記方法が、g-NK細胞について濃縮され、かつ免疫調節物質で操作された細胞を含む、操作されたNK細胞の増殖させた集団を産生する、
請求項77、97~114、又は119~121のいずれか一項に記載の方法。
【請求項129】
前記導入することが、
FcRγ欠損NK細胞(g-NK)を増殖させるための方法
の間に行われ、前記方法が、
(A)ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を得ることであって、NK細胞について濃縮された前記集団が、ヒト対象由来の生体試料から選択される、得ることと、
(B)濃縮されたNK細胞の前記集団を、前記NK細胞を増殖させるための条件下で培養培地中で培養することを含む第1の増殖を実施することであって、第1の増殖させたNK細胞集団を産生する、実施することと、
(C)前記第1の増殖させたNK細胞集団(免疫調節物質をコードする前記核酸)をNK細胞に導入することであって、それによって、操作されたNK細胞の集団を産生する、導入することと、
(D)前記NK細胞の更なる増殖のための条件下で、操作されたNK細胞の前記集団を培養することを含む第2の増殖を実施することと
を含み、
前記第1の増殖及び/又は第2の増殖が、濃縮されたNK細胞の前記集団を、
(1)照射されたHLA-E+フィーダー細胞であって、フィーダー細胞がHLAクラスI及びHLAクラスIIを欠損しており、照射されたHLA-E+フィーダー細胞 対 濃縮されたNK細胞の比は1:10~10:1である、照射されたHLA-E+フィーダー細胞、及び
(2)前記NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカインであって、少なくとも1つの組換えサイトカインがインターロイキン(IL)-2であり、少なくとも1つの組換えサイトカインがIL-21である、前記NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカイン
と共に、培養培地中で培養することを含み、
前記方法が、g-NK細胞について濃縮され、かつ免疫調節物質で操作された細胞を含む、操作されたNK細胞の増殖させた集団を産生する、
請求項77、97~114、又は119~121のいずれか一項に記載の方法。
【請求項130】
前記導入することが、
FcRγ欠損NK(g-NK)細胞を増殖させるための方法
の間に行われ、前記方法が、
(A)ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を得ることであって、NK細胞について濃縮された前記集団が、ヒト対象由来の生体試料から選択される、得ることと、
(B)操作されたNK細胞の前記集団を、
(1)照射されたHLA-E+フィーダー細胞であって、フィーダー細胞がHLAクラスI及びHLAクラスIIを欠損しており、照射されたHLA-E+フィーダー細胞 対 濃縮されたNK細胞の比が1:10~10:1である、照射されたHLA-E+フィーダー細胞、及び
(2)前記NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカインであって、少なくとも1つの組換えサイトカインがインターロイキン(IL)-2であり、少なくとも1つの組換えサイトカインがIL-21である、前記NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカイン
と共に、培養培地中で培養することと
を含み、
ここで、(i)前記CARをコードする前記核酸及び/又は(ii)前記免疫調節物質をコードする前記核酸を導入することが、ステップ(A)の後、かつステップ(B)の前、間、又は後に行われ、ここで、ステップ(i)及び(ii)は、同時に又は任意の順序で逐次的に行われ、それによって、操作されたNK細胞の集団を産生し、
前記方法が、g-NK細胞について濃縮され、かつCAR及び免疫調節物質で操作された細胞を含む、操作されたNK細胞の増殖させた集団を産生する、
請求項78~121のいずれか一項に記載の方法。
【請求項131】
前記導入することが、
FcRγ欠損NK細胞(g-NK)を増殖させるための方法
の間に行われ、前記方法が、
(A)ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を得ることであって、NK細胞について濃縮された前記集団が、ヒト対象由来の生体試料から選択される、得ることと、
(B)濃縮されたNK細胞の前記集団に、(i)CARをコードする前記核酸、及び(ii)免疫調節物質をコードする前記核酸を導入することであって、ステップ(i)及び(ii)が同時に又は任意の順序で逐次的に行われ、それによって、操作されたNK細胞の集団を産生する、導入することと、
(C)操作されたNK細胞の前記集団を、
(1)照射されたHLA-E+フィーダー細胞であって、フィーダー細胞がHLAクラスI及びHLAクラスIIを欠損しており、照射されたHLA-E+フィーダー細胞 対 濃縮NK細胞の比が1:10~10:1である、照射されたHLA-E+フィーダー細胞、及び
(2)前記NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカインであって、少なくとも1つの組換えサイトカインがインターロイキン(IL)-2であり、少なくとも1つの組換えサイトカインがIL-21である、前記NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカイン
と共に、培養培地中で培養することであって、それによって、NK細胞の増殖させた集団を産生する、培養することと
を含み、
前記方法が、g-NK細胞について濃縮され、かつCAR及び免疫調節物質で操作された細胞を含む、操作されたNK細胞の増殖させた集団を産生する、
請求項78~121のいずれか一項に記載の方法。
【請求項132】
前記導入することが、
FcRγ欠損NK細胞(g-NK)を増殖させるための方法
の間に行われ、前記方法が、
(A)ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を得ることであって、NK細胞について濃縮された前記集団が、ヒト対象由来の生体試料から選択される、得ることと、
(B)濃縮されたNK細胞の前記集団を、
(1)照射されたHLA-E+フィーダー細胞であって、フィーダー細胞がHLAクラスI及びHLAクラスIIを欠損しており、照射されたHLA-E+フィーダー細胞 対 濃縮されたNK細胞の比が1:10~10:1である、照射されたHLA-E+フィーダー細胞、及び
(2)前記NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカインであって、少なくとも1つの組換えサイトカインがインターロイキン(IL)-2であり、少なくとも1つの組換えサイトカインがIL-21である、前記NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカイン
と共に、培養培地中で培養することであって、それにより、NK細胞の増殖させた集団を産生する、培養することと、
(C)NK細胞の前記増殖させた集団のNK細胞に、(i)CARをコードする前記核酸、及び(ii)免疫調節物質をコードする前記核酸を導入することであって、ステップ(i)及び(ii)が同時に又は任意の順序で逐次的に行われる、導入することと
を含み、
前記方法が、g-NK細胞について濃縮され、かつCAR及び免疫調節物質で操作された細胞を含む、操作されたNK細胞の増殖させた集団を産生する、
請求項78~121のいずれか一項に記載の方法。
【請求項133】
前記導入することが、
FcRγ欠損NK細胞(g-NK)を増殖させるための方法
の間に行われ、前記方法が、
(A)ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を得ることであって、NK細胞について濃縮された前記集団が、ヒト対象由来の生体試料から選択される、得ることと、
(B)濃縮されたNK細胞の前記集団を、前記NK細胞を増殖させるための条件下で培養培地中で培養することを含む第1の増殖を実施することであって、第1の増殖させたNK細胞集団を産生する、実施することと、
(C)前記第1の増殖させたNK細胞集団のNK細胞に、(i)CARをコードする前記核酸、及び(ii)免疫調節物質をコードする前記核酸を導入することであって、ステップ(i)及び(ii)が同時に又は任意の順序で逐次的に行われ、それによって、操作されたNK細胞の集団を産生する、導入することと、
(D)前記NK細胞の更なる増殖のための条件下で、操作されたNK細胞の前記集団を培養することを含む第2の増殖を実施することと
を含み、
前記第1の増殖及び/又は第2の増殖が、濃縮されたNK細胞の前記集団を、
(1)照射されたHLA-E+フィーダー細胞であって、フィーダー細胞がHLAクラスI及びHLAクラスIIを欠損しており、照射されたHLA-E+フィーダー細胞 対 濃縮されたNK細胞の比が1:10~10:1である、照射されたHLA-E+フィーダー細胞、及び
(2)前記NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカインであって、少なくとも1つの組換えサイトカインがインターロイキン(IL)-2であり、少なくとも1つの組換えサイトカインがIL-21である、前記NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカイン
と共に、培養培地中で培養することを含み、
前記方法が、g-NK細胞について濃縮され、かつCAR及び免疫調節物質で操作された細胞を含む、操作されたNK細胞の増殖させた集団を産生する、
請求項78~121のいずれか一項に記載の方法。
【請求項134】
NK細胞について濃縮された初代ヒト細胞の前記集団が、ヒト対象由来の生体試料から、(i)CD3について陰性もしくは低度かつCD57について陽性(CD3negCD57pos)又は(ii)CD3について陰性もしくは低度かつCD56について陽性(CD3negCD56pos)のいずれかである細胞を選択することによって得られる、請求項119~133のいずれか一項記載の方法。
【請求項135】
NK細胞について濃縮された前記集団が、NKG2Cについて陽性である細胞(NKG2Cpos)について更に選択された細胞である、
NK細胞について濃縮された前記集団が、NKG2Aについて陰性又は低度である細胞(NKG2Aneg)について更に選択された細胞である、又は
NK細胞について濃縮された前記集団が、NKG2Cについて陽性かつNKG2Aについて陰性又は低度である細胞(NKG2CposNKG2Aneg)について更に選択された細胞である、
請求項134に記載の方法。
【請求項136】
前記ヒト対象が、前記対象由来の末梢血試料中のナチュラルキラー(NK)細胞の少なくとも20%又は約20%がNKG2Cについて陽性(NKG2Cpos)でありかつ前記末梢血試料中のNK細胞の少なくとも70%がNKG2Aについて陰性又は低度(NKG2Aneg)である対象である、請求項119~135のいずれか一項に記載の方法。
【請求項137】
前記対象がCMV血清陽性である、請求項119~136のいずれか一項に記載の方法。
【請求項138】
前記対象由来の前記生体試料中のNK細胞のうちのg-NK細胞の割合が、5%超又は約5%超、10%超又は約10%超、もしくは30%超又は約30%超である、請求項119~137のいずれか一項に記載の方法。
【請求項139】
濃縮されたNK細胞の前記集団中のg-NK細胞の割合が、20%もしくは約20%から、90%もしくは約90%、40%もしくは約40%から、90%もしくは約90%、又は60%もしくは約60%から、90%もしくは約90%である、請求項119~138のいずれか一項に記載の方法。
【請求項140】
NK細胞について濃縮された前記集団が、CD3について陰性又は低度かつCD57について陽性(CD3negCD57pos)である、前記生体試料から選択された細胞である、請求項119~139のいずれか一項に記載の方法。
【請求項141】
NK細胞について濃縮された前記集団が、CD3について陰性又は低度かつCD56について陽性(CD3negCD56pos)である、前記生体試料から選択された細胞である、請求項119~140のいずれか一項に記載の方法。
【請求項142】
前記2つ以上の組換えサイトカインが、有効量のSCF、GSK3i、FLT3、IL-6、IL-7、IL-15、IL-12、IL-18、IL-27、又はそれらの組み合わせを更に含む、請求項119~141のいずれか一項に記載の方法。
【請求項143】
前記組換えサイトカインが、IL-21及びIL-2である、請求項114~142のいずれか一項に記載の方法。
【請求項144】
前記組換えサイトカインが、IL-21、IL-2、及びIL-15である、請求項114~142のいずれか一項に記載の方法。
【請求項145】
組換えIL-21が、前記培養の少なくとも一部の間に、10ng/mL又は約10ng/mLから、100ng/mL又は約100ng/mLの濃度で前記培養培地に添加される、請求項114~144のいずれか一項に記載の方法。
【請求項146】
組換えIL-21が、前記培養の少なくとも一部の間に、25ng/mL又は約25ng/mLの濃度で前記培養培地に添加される、請求項114~145のいずれか一項に記載の方法。
【請求項147】
組換えIL-2が、前記培養の少なくとも一部の間に、10IU/mL又は約10IU/mLから、500IU/mL又は約500IU/mLの濃度で前記培養培地に添加される、請求項114~146のいずれか一項に記載の方法。
【請求項148】
組換えIL-2が、前記培養の少なくとも一部の間に、100IU/mL又は約100IU/mLの濃度で前記培養培地に添加される、請求項114~147のいずれか一項に記載の方法。
【請求項149】
組換えIL-2が、前記培養の少なくとも一部の間に、500IU/mL又は約500IU/mLの濃度で前記培養培地に添加される、請求項114~148のいずれか一項に記載の方法。
【請求項150】
組換えIL-15が、前記培養の少なくとも一部の間に、1ng/mL又は約1/mLから、50ng/mL又は約50ng/mLの濃度で前記培養培地に添加される、請求項114~142及び144~149のいずれか一項に記載の方法。
【請求項151】
組換えIL-15が、前記培養の少なくとも一部の間に、10ng/mL又は約10ng/mLの濃度で前記培養培地に添加される、請求項114~142及び144~148のいずれか一項に記載の方法。
【請求項152】
前記組換えサイトカインが、前記培養の開始時又はほぼ開始時に前記培養培地に添加される、請求項114~151のいずれか一項に記載の方法。
【請求項153】
前記培養中に前記培養培地を1回以上交換することを更に含み、前記培養培地の各交換時に、前記組換えサイトカインを含有する新鮮な培地が添加される、請求項114~152のいずれか一項に記載の方法。
【請求項154】
前記培養培地の前記交換が、前記培養の期間中、2又は3日毎に行われる、請求項153に記載の方法。
【請求項155】
前記培地の交換が、最大5日間の培地交換を伴わない第1の増殖の後に行われ、任意選択で、最大5日間の培地交換を伴わない第1の増殖の後に行われる、請求項153又は請求項154に記載の方法。
【請求項156】
前記ヒト対象が、CD16 158V/V NK細胞遺伝子型又はCD16 158V/F NK細胞遺伝子型を有し、任意選択で、前記生体試料が、CD16 158V/V NK細胞遺伝子型又はCD16 158V/F NK細胞遺伝子型について選択されたヒト対象に由来する、請求項114~155のいずれか一項に記載の方法。
【請求項157】
前記生体試料が、末梢血単核細胞(PBMC)であるか、又はそれを含み、任意選択で、血液試料、アフェレーシス試料又は白血球アフェレーシス試料である、請求項114~156のいずれか一項に記載の方法。
【請求項158】
前記HLA-E+フィーダー細胞が、HLA-Eで形質転換されたK562細胞(K562-HLA-E)である、請求項114~157のいずれか一項に記載の方法。
【請求項159】
前記HLA-E+フィーダー細胞が、221.AEH細胞である、請求項114~158のいずれか一項に記載の方法。
【請求項160】
照射されたHLA-E+フィーダー細胞 対 濃縮されたNK細胞の比が、1:1~5:1(両端を含む)、1:1~3:1(両端を含む)、任意選択で、2.5:1もしくは約2.5:1、又は2:1もしくは約2:1、又は約1:1である、請求項114~159のいずれか一項に記載の方法。
【請求項161】
前記培養の少なくとも一部の間に前記培養培地に添加される前記組換えサイトカインが、500IU/mLのIL-2、10ng/mLのIL-15、及び25ng/mLのIL-21である、請求項114~160のいずれか一項に記載の方法。
【請求項162】
濃縮されたNK細胞の前記集団が、2.0×10個の濃縮NK細胞もしくは約2.0×10個の濃縮NK細胞から、5.0×10個の濃縮NK細胞もしくは約5.0×10個の濃縮NK細胞、1.0×10個の濃縮NK細胞もしくは約1.0×10個の濃縮NK細胞から、1.0×10個の濃縮NK細胞もしくは約1.0×10個の濃縮NK細胞、1.0×10個の濃縮NK細胞もしくは約1.0×10個の濃縮NK細胞から、5.0×10個の濃縮NK細胞もしくは約5.0×10個の濃縮NK細胞、又は1.0×10個の濃縮NK細胞もしくは約1.0×10個の濃縮NK細胞から、約1.0×10個の濃縮NK細胞もしくは約1.0×10個の濃縮NK細胞を含み(それぞれ両端を含む)、任意選択で、濃縮されたNK細胞の前記集団が、1.0×10個の濃縮NK細胞又は約1.0×10個の濃縮NK細胞を含む、請求項114~161のいずれか一項に記載の方法。
【請求項163】
前記培養開始時の濃縮されたNK細胞の前記集団が、0.05×10個の濃縮NK細胞/mLもしくは約0.05×10個の濃縮NK細胞/mLから、1.0×10個の濃縮NK細胞/mLもしくは約1.0×10個の濃縮NK細胞/mL、又は0.05×10個の濃縮NK細胞/mLもしくは約0.05×10個の濃縮NK細胞/mLから、0.5×10個の濃縮NK細胞/mLもしくは約0.5×10個の濃縮NK細胞/mLの濃度であり、任意選択で、前記培養開始時の濃縮されたNK細胞の前記集団が、0.2×10個の濃縮NK細胞/mL又は約0.2×10個の濃縮NK細胞/mLの濃度を含む、請求項114~162のいずれか一項に記載の方法。
【請求項164】
少なくとも2.50×10もしくは少なくとも約2.50×10個のg-NK細胞、少なくとも5.00×10もしくは少なくとも約5.00×10個のg-NK細胞、少なくとも1.0×10もしくは少なくとも約1.0×10個のg-NK細胞、又は少なくとも5.0×10もしくは少なくとも約5.0×10個のg-NK細胞の増殖を前記方法が達成する時点まで、前記培養が行われる、請求項114~163のいずれか一項に記載の方法。
【請求項165】
5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、22日間、23日間、24日間、もしくは25日間、又は約5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、22日間、23日間、24日間、もしくは25日間、又は少なくとも5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、22日間、23日間、24日間、もしくは25日間、又は少なくとも約5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、22日間、23日間、24日間、もしくは25日間、前記培養が行われる、請求項114~164のいずれか一項に記載の方法。
【請求項166】
前記方法によって産生された、操作されたNK細胞の前記増殖させた集団を、収集することを更に含む、請求項114~165のいずれか一項に記載の方法。
【請求項167】
操作されたNK細胞の前記増殖させた集団を、薬学的に許容される賦形剤中に製剤化することを更に含む、請求項114~166のいずれか一項に記載の方法。
【請求項168】
操作されたNK細胞の前記増殖させた集団を、抗凍結剤を含む無血清凍結保存培地と共に製剤化することを更に含む、請求項167に記載の方法。
【請求項169】
前記抗凍結剤がDMSOであり、任意選択で前記抗凍結剤がDMSOであり、前記凍結保存培地が、5%~10%DMSO(v/v)であり、任意選択で10%DMSO(v/v)又は約10%DMSO(v/v)である、請求項168に記載の方法。
【請求項170】
前記方法によって産生された操作されたNK細胞の前記増殖させた集団の中で、前記集団の50%超がFcRγnegである、前記集団の60%超がFcRγnegである、前記集団の70%超がFcRγneg,,である、前記集団の80%超がFcRγnegである、前記集団の90%超がFcRγnegである、又は前記集団の95%超がFcRγnegである、請求項114~169のいずれか一項に記載の方法。
【請求項171】
請求項76、78~96、119~125、又は134~170のいずれか一項に記載の方法によって産生された操作されたg-NK細胞を複数含む、組成物。
【請求項172】
請求項77、97~114、119~121、126~129、又は134~170のいずれか一項に記載の方法によって産生された操作されたg-NK細胞を複数含む、組成物。
【請求項173】
請求項77~121又は130~170のいずれか一項に記載の方法によって産生された操作されたg-NK細胞を複数含む、組成物。
【請求項174】
対象における疾患又は状態を処置する方法であって、請求項29~73又は171~173のいずれか一項に記載の組成物の細胞の有効量を、それを必要とする個体に投与することを含む、方法。
【請求項175】
前記疾患又は状態が、炎症状態、感染、又はがんからなる群から選択される、請求項174に記載の方法。
【請求項176】
前記疾患又は状態が、がんであり、前記がんが、白血病、リンパ腫、又は骨髄腫である、請求項174又は請求項175に記載の方法。
【請求項177】
前記疾患又は状態が、がんであり、前記がんが、固形腫瘍を含む、請求項174又は請求項175に記載の方法。
【請求項178】
前記がんが、胃又は食道胃接合部の腺がん、膀胱がん、乳がん、脳がん、子宮頸がん、結腸直腸がん、内分泌/神経内分泌がん、頭頸部がん、消化管間質がん、骨巨細胞腫瘍、腎臓がん、肝臓がん、肺がん、神経芽細胞腫、卵巣上皮/ファロピウス管/原発性腹膜がん、膵臓がん、前立腺がん、皮膚がん、及び軟部組織がんの中から選択される、請求項177に記載の方法。
【請求項179】
前記組成物が単剤療法として投与される、請求項174~178のいずれか一項に記載の方法。
【請求項180】
前記疾患又は状態を治療するために前記個体に追加の薬剤を投与することを更に含む、請求項174~179のいずれか一項に記載の方法。
【請求項181】
前記追加の薬剤が抗体又はFc融合タンパク質である、請求項180に記載の方法。
【請求項182】
前記追加の薬剤が、モノクローナル抗体である、請求項180又は請求項181に記載の方法。
【請求項183】
前記抗体が全長抗体である、請求項181又は請求項182に記載の方法。
【請求項184】
前記抗体がIgG1抗体である、請求項181~183のいずれか一項に記載の方法。
【請求項185】
前記疾患又は状態が、がんであり、前記追加の薬剤、任意選択で前記抗体が、前記がんに関連する腫瘍抗原を認識する、請求項180~184に記載の方法。
【請求項186】
前記g-NK細胞組成物の、1×10又は約1×10から、50×10又は約50×10個の細胞を、前記個体に投与することを含む、請求項174~185のいずれか一項に記載の方法。
【請求項187】
前記g-NK細胞組成物の、1×10又は約1×10から、50×10又は約50×10個のNK細胞、任意選択で、前記g-NK細胞組成物の5×10もしくは約5×10個の細胞、前記g-NK細胞組成物の5×10もしくは約5×10個の細胞、又は前記g-NK細胞組成物の10×10もしくは約10×10個の細胞を、投与することを含む、請求項174~186のいずれか一項に記載の方法。
【請求項188】
前記対象における前記投与されたNK細胞のインビボでの増殖又は持続を促進するために外因性サイトカインサポートを投与することを更に含み、任意選択で、前記外因性サイトカインがIL-15であるか、又はIL-15を含む、請求項174~187のいずれか一項に記載の方法。
【請求項189】
前記用量のg-NK細胞の前記投与前に、前記対象がリンパ球枯渇療法を受けている、請求項174~188のいずれか一項に記載の方法。
【請求項190】
前記リンパ球枯渇療法がフルダラビン及び/又はシクロホスファミドを含む、請求項129に記載の方法。
【請求項191】
前記リンパ球枯渇療法が、フルダラビンを、前記対象の体表面積で20~40mg/m又は約20~40mg/m、任意選択で30mg/m又は約30mg/mで、毎日、2~4日間にわたって投与し、かつ/又は、シクロホスファミドを、前記対象の体表面積で200~400mg/m又は約200~400mg/m、任意選択で300mg/m又は約300mg/mで、毎日、2~4日間にわたって投与することを含む、請求項189又は請求項190に記載の方法。
【請求項192】
前記リンパ球枯渇療法が、フルダラビン及びシクロホスファミドを含む、請求項189~191のいずれか一項に記載の方法。
【請求項193】
前記リンパ球枯渇療法が、フルダラビンを前記対象の体表面積で30mg/m又は約30mg/mで毎日、及びシクロホスファミドを前記対象の体表面積で300mg/m又は約300mg/mで毎日、それぞれ2~4日間にわたって、任意選択で3日間にわたって投与することを含む、請求項189~192のいずれか一項に記載の方法。
【請求項194】
前記細胞の投与が、前記リンパ球枯渇療法の開始後2週間以内に、又は2週間もしくは約2週間で開始される、請求項189~193のいずれか一項に記載の方法。
【請求項195】
前記個体がヒトである、請求項174~194のいずれか一項に記載の方法。
【請求項196】
前記組成物中のNK細胞が、前記個体にとって同種異系である、請求項174~195のいずれか一項に記載の方法。
【請求項197】
前記組成物中の前記NK細胞が、前記対象にとって自己由来である、請求項189~195のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、「ENGINEERED NATURAL KILLER(NK)CELLS AND RELATED METHODS」と題する2021年7月1日出願の米国仮出願第63/217,718号、「ENGINEERED NATURAL KILLER(NK)CELLS AND RELATED METHODS」と題する2021年7月1日出願の米国仮出願第63/217,722号、及び「ENGINEERED NATURAL KILLER(NK)CELLS AND RELATED METHODS」と題する2021年7月1日出願の米国仮出願第63/217,726号による優先権を主張する。それらの内容は、その全体が参照により組み込まれる。
【0002】
配列表の参照による組み込み
本出願は、電子フォーマットの配列表と共に出願されている。配列表は、2022年6月30日に作成された77603_2001040_SEQLISTING.txtというタイトルのファイルとして提供され、これは69,307バイトのサイズである。配列表の電子形式の情報は、その全体が参照により組み込まれる。
【0003】
分野
本開示は、FcRγ鎖の発現が欠損しており(g-NK細胞)、組換えキメラ抗原受容体(CAR)を更に含む、操作されたナチュラルキラー(NK)細胞及びその組成物を提供する。本開示はまた、操作されたNK細胞を含有する組成物ならびに操作されたNK細胞を作製及び使用する方法を提供する。
【背景技術】
【0004】
背景
抗体に基づく療法は、がん及び他の疾患を治療するために頻繁に使用されるようになっている。抗体療法に対する応答は、典型的には、腫瘍細胞に対するこれらの抗体の直接的な阻害効果(例えば、増殖因子受容体の阻害及びその後のアポトーシスの誘導)に焦点を当ててきたが、これらの抗体のインビボ効果は、より複雑であり得、宿主免疫系に関与し得る。ナチュラルキラー(NK)細胞は、Fc受容体(CD16;FcγRIII)が抗原保有細胞に結合した抗体のFc部分に結合すると抗体依存性の細胞傷害を媒介する免疫エフェクター細胞である。NK細胞(その特定の特殊化されたサブセットを含む)は、抗体療法に対する応答を改善することを含む治療方法において使用することができる。NK細胞を含む治療的使用のための改善された方法が必要とされている。本明細書では、そのような必要性を満たす実施形態が提供される。
【発明の概要】
【0005】
概要
本明細書には、FcRγ鎖の発現が欠損しており(g-NK細胞)、組換えキメラ抗原受容体(CAR)を更に含む、操作されたナチュラルキラー(NK)細胞及びその組成物が記載される。操作されたNK細胞を含有する組成物ならびに操作されたNK細胞を作製及び使用する方法も本明細書に記載される。
【0006】
いくつかの実施形態では、FcRγ鎖の発現が欠損しており(g-NK細胞)、キメラ抗原受容体(CAR)をコードする異種核酸を含む、操作されたナチュラルキラー(NK)細胞が本明細書で提供される。
【0007】
いくつかの態様では、FcRγ鎖の発現が欠損しており(g-NK細胞)、かつ免疫調節物質をコードする異種核酸を含む、操作されたナチュラルキラー(NK)細胞が本明細書で提供される。
【0008】
いくつかの態様では、FcRγ鎖の発現が欠損しており(g-NK細胞)、キメラ抗原受容体(CAR)をコードする異種核酸と、免疫調節物質をコードする異種核酸とを含む、操作されたナチュラルキラー(NK)細胞が本明細書で提供される。
【0009】
いくつかの実施形態では、CARは、1)標的リガンド結合ドメインと、2)可撓性リンカーと、3)膜貫通領域と、4)細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗原結合ドメインは、腫瘍抗原を標的とする。他の実施形態では、抗原結合ドメインは、単鎖可変断片(scFv)である。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、一次シグナル伝達ドメイン及び共刺激シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζ、DAP10、DAP12、CD28、4-1BB、又はOX40のうちの1つ以上のシグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζ、DAP10、DAP12、CD28、4-1BB、又はOX40のうちの2つ以上のシグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζのシグナル伝達ドメインを含む一次シグナル伝達ドメインと、共刺激シグナル伝達ドメインとを含む。いくつかの実施形態では、共刺激シグナル伝達ドメインは、CD28又は4-1BBのシグナル伝達ドメインである。
【0010】
いくつかの実施形態では、CARをコードする異種核酸は、細胞のゲノムに安定に組み込まれる。いくつかの実施形態では、CARをコードする異種核酸は一過性に発現される。
【0011】
いくつかの実施形態では、免疫調節物質は免疫抑制物質である。いくつかの実施形態では、免疫調節物質は免疫活性化物質である。いくつかの実施形態では、免疫調節物質がサイトカインである。いくつかの実施形態では、サイトカインは、操作されたNK細胞から分泌可能である。いくつかの実施形態では、分泌型サイトカインは、IL-2もしくはその生物学的部分、IL-15もしくはその生物学的部分、又はIL-21もしくはその生物学的部分、又はそれらの組み合わせである。他の実施形態では、サイトカインは膜結合型である。いくつかの実施形態では、膜結合型サイトカインは、膜結合型IL-2(mbIL-2)、膜結合型IL-15(mbIL-15)、膜結合型IL-21(mbIL-21)、又はそれらの組み合わせである。
【0012】
いくつかの実施形態では、免疫調節物質をコードする異種核酸は、細胞のゲノムに安定的に組み込まれる。いくつかの実施形態では、免疫調節物質をコードする異種核酸は一過性に発現される。
【0013】
いくつかの実施形態では、g-NK細胞は、CD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161negである表面表現型を有する。いくつかの実施形態では、g-NK細胞は、NKG2Aneg/CD161negである表面表現型を更に有する。いくつかの実施形態では、g-NK細胞表面抗原は更にCD38negである。いくつかの実施形態では、g-NK細胞は、更にCD45pos/CD3neg/CD56posである表面表現型を有する。いくつかの実施形態では、g-NK細胞は、CD16 158V/V(V158)を含む。いくつかの実施形態では、g-NK細胞は、CD16 158V/Fである。
【0014】
いくつかの実施形態では、上記実施形態のいずれかに由来する操作されたg-NK細胞を複数含む組成物がある。
【0015】
いくつかの実施形態では、組成物中のNK細胞又は総細胞の50%超又は約50%超が、g-NK細胞である。いくつかの実施形態では、組成物中のNK細胞又は総細胞の60%超又は約60%超が、g-NK細胞である。いくつかの実施形態では、組成物中のNK細胞又は総細胞の70%超又は約70%超が、g-NK細胞である。いくつかの実施形態では、組成物中のNK細胞又は総細胞の80%超又は約80%超が、g-NK細胞である。いくつかの実施形態では、組成物中のNK細胞又は総細胞の90%超又は約90%超が、g-NK細胞である。いくつかの実施形態では、組成物中のNK細胞又は総細胞の95%超又は約95%超が、g-NK細胞である。
【0016】
いくつかの実施形態では、複数の操作されたg-NK細胞は、20%超又は約20%超の、CARをコードする異種核酸を含むg-NK細胞を構成する。いくつかの実施形態では、複数の操作されたg-NK細胞は、30%超又は約30%超の、CARをコードする異種核酸を含むg-NK細胞を構成する。いくつかの実施形態では、複数の操作されたg-NK細胞は、40%超又は約40%超の、CARをコードする異種核酸を含むg-NK細胞を構成する。いくつかの実施形態では、複数の操作されたg-NK細胞は、50%超又は約50%超の、CARをコードする異種核酸を含むg-NK細胞を構成する。いくつかの実施形態では、複数の操作されたg-NK細胞は、60%超又は約60%超の、CARをコードする異種核酸を含むg-NK細胞を構成する。いくつかの実施形態では、複数の操作されたg-NK細胞は、70%超又は約70%超の、CARをコードする異種核酸を含むg-NK細胞を構成する。
【0017】
いくつかの実施形態では、総組成物は、CARをコードする異種核酸を含むg-NK細胞を20%超又は約20%超含む。いくつかの実施形態では、総組成物は、CARをコードする異種核酸を含むg-NK細胞を30%超又は約30%超含む。いくつかの実施形態では、総組成物は、CARをコードする異種核酸を含むg-NK細胞を40%超又は約40%超含む。いくつかの実施形態では、総組成物は、CARをコードする異種核酸を含むg-NK細胞を50%超又は約50%超含む。いくつかの実施形態では、総組成物は、CARをコードする異種核酸を含むg-NK細胞を60%超又は約60%超含む。いくつかの実施形態では、総組成物は、CARをコードする異種核酸を含むg-NK細胞を70%超又は約70%超含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、複数の操作されたg-NK細胞は、20%超又は約20%超の、免疫調節物質をコードする異種核酸を含むg-NK細胞を構成する。いくつかの実施形態では、複数の操作されたg-NK細胞は、30%超又は約30%超の、免疫調節物質をコードする異種核酸を含むg-NK細胞を構成する。いくつかの実施形態では、複数の操作されたg-NK細胞は、40%超又は約40%超の、免疫調節物質をコードする異種核酸を含むg-NK細胞を構成する。いくつかの実施形態では、複数の操作されたg-NK細胞は、50%超又は約50%超の、免疫調節物質をコードする異種核酸を含むg-NK細胞を構成する。いくつかの実施形態では、複数の操作されたg-NK細胞は、60%超又は約60%超の、免疫調節物質をコードする異種核酸を含むg-NK細胞を構成する。いくつかの実施形態では、複数の操作されたg-NK細胞は、70%超又は約70%超の、免疫調節物質をコードする異種核酸を含むg-NK細胞を構成する。
【0019】
いくつかの実施形態では、総組成物は、免疫調節物質をコードする異種核酸を含むg-NK細胞を20%超又は約20%超含む。いくつかの実施形態では、総組成物は、免疫調節物質をコードする異種核酸を含むg-NK細胞を30%超又は約30%超含む。いくつかの実施形態では、総組成物は、免疫調節物質をコードする異種核酸を含むg-NK細胞を40%超又は約40%超含む。いくつかの実施形態では、総組成物は、免疫調節物質をコードする異種核酸を含むg-NK細胞を50%超又は約50%超含む。いくつかの実施形態では、総組成物は、免疫調節物質をコードする異種核酸を含むg-NK細胞を60%超又は約60%超含む。いくつかの実施形態では、総組成物は、免疫調節物質をコードする異種核酸を含むg-NK細胞を70%超又は約70%超含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、複数の操作されたg-NK細胞は、20%超又は約20%超の、CARをコードする異種核酸及び免疫調節物質をコードする異種核酸を含むg-NK細胞を構成する。いくつかの実施形態では、複数の操作されたg-NK細胞は、30%超又は約30%超の、CARをコードする異種核酸及び免疫調節物質をコードする異種核酸を含むg-NK細胞を構成する。いくつかの実施形態では、複数の操作されたg-NK細胞は、40%超又は約40%超の、CARをコードする異種核酸及び免疫調節物質をコードする異種核酸を含むg-NK細胞を構成する。いくつかの実施形態では、複数の操作されたg-NK細胞は、50%超又は約50%超の、CARをコードする異種核酸及び免疫調節物質をコードする異種核酸を含むg-NK細胞を構成する。いくつかの実施形態では、複数の操作されたg-NK細胞は、60%超又は約60%超の、CARをコードする異種核酸及び免疫調節物質をコードする異種核酸を含むg-NK細胞を構成する。いくつかの実施形態では、複数の操作されたg-NK細胞は、70%超又は約70%超の、CARをコードする異種核酸構成する免疫調節物質をコードする異種核酸を含むg-NK細胞を構成する。
【0021】
いくつかの実施形態では、総組成物は、CARをコードする異種核酸及び免疫調節物質をコードする異種核酸を含むg-NK細胞を20%超又は約20%超含む。いくつかの実施形態では、総組成物は、CARをコードする異種核酸及び免疫調節物質をコードする異種核酸を含むg-NK細胞を30%超又は約30%超含む。いくつかの実施形態では、総組成物は、CARをコードする異種核酸及び免疫調節物質をコードする異種核酸を含むg-NK細胞を40%超又は約40%超含む。いくつかの実施形態では、総組成物は、CARをコードする異種核酸及び免疫調節物質をコードする異種核酸を含むg-NK細胞を50%超又は約50%超含む。いくつかの実施形態では、総組成物は、CARをコードする異種核酸及び免疫調節物質をコードする異種核酸を含むg-NK細胞を60%超又は約60%超含む。いくつかの実施形態では、総組成物は、CARをコードする異種核酸及び免疫調節物質をコードする異種核酸を含むg-NK細胞を70%超又は約70%超含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、g-NK細胞の70%超又は約70%超がパーフォリンについて陽性であり、g-NK細胞の70%超又は約70%超がグランザイムBについて陽性である。いくつかの実施形態では、g-NK細胞の80%超又は約80%超がパーフォリンについて陽性であり、g-NK細胞の80%超又は約80%超がグランザイムBについて陽性である。いくつかの実施形態では、g-NK細胞の90%超又は約90%超がパーフォリンについて陽性であり、g-NK細胞の90%超又は約90%超がグランザイムBについて陽性である。いくつかの実施形態では、g-NK細胞の95%超又は約95%超がパーフォリンについて陽性であり、g-NK細胞の95%超又は約95%超がグランザイムBについて陽性である。
【0023】
いくつかの実施形態では、パーフォリンについて陽性である細胞のうち、細胞は、細胞内フローサイトメトリーによって測定した場合、すなわち平均蛍光強度(MFI)に基づいて、FcRγposである細胞によって発現されるパーフォリンの平均レベルの少なくとも2倍又は約2倍である、パーフォリンの平均レベルを発現し、かつ/又はグランザイムBについて陽性の細胞の中で、細胞は、細胞内フローサイトメトリーによって測定した場合、すなわち平均蛍光強度(MFI)に基づいて、FcRγposである細胞によって発現されるグランザイムBの平均レベルの少なくとも2倍又は約2倍である、グランザイムBの平均レベルを発現する。
【0024】
いくつかの実施形態では、組成物中の細胞の10%超が、任意選択でCD107a発現によって測定される、腫瘍標的細胞に対する脱顆粒が可能であり、任意選択で、脱顆粒は、腫瘍標的細胞に対する抗体の非存在下で測定される。いくつかの実施形態では、組成物中の細胞の10%超が、腫瘍標的細胞に対してインターフェロン-γ又はTNF-αを産生することができ、任意選択で、インターフェロン-γ又はTNF-αは、腫瘍標的細胞に対する抗体の非存在下で測定される。
【0025】
いくつかの実施形態では、組成物中の細胞のうち、15%超又は約15%超が、標的抗原及び標的抗原に対する抗体(抗標的抗体)を発現する細胞(標的細胞)の存在下でエフェクターサイトカインを産生する。いくつかの実施形態では、組成物中の細胞のうち、20%超又は約20%超が、標的抗原及び標的抗原に対する抗体(抗標的抗体)を発現する細胞(標的細胞)の存在下でエフェクターサイトカインを産生する。いくつかの実施形態では、組成物中の細胞のうち、30%超又は約30%超が、標的抗原及び標的抗原に対する抗体(抗標的抗体)を発現する細胞(標的細胞)の存在下でエフェクターサイトカインを産生する。いくつかの実施形態では、組成物中の細胞のうち、40%超又は約40%超が、標的抗原及び標的抗原に対する抗体(抗標的抗体)を発現する細胞(標的細胞)の存在下でエフェクターサイトカインを産生する。いくつかの実施形態では、組成物中の細胞のうち、50%超又は約50%超が、標的抗原及び標的抗原に対する抗体(抗標的抗体)を発現する細胞(標的細胞)の存在下でエフェクターサイトカインを産生する。
【0026】
いくつかの実施形態では、組成物中の総細胞のうち、又は組成物中のg-NK細胞のうち、30%超又は約30%超がNKG2Cについて陽性であり(NKG2Cpos)、かつ/又は50%超又は約50%超がNKG2Aについて陰性もしくは低度である(NKG2Aneg)。いくつかの実施形態では、組成物中の総細胞のうち、又は組成物中のg-NK細胞のうち、35%超又は約35%超がNKG2Cについて陽性であり(NKG2Cpos)、かつ/又は60%超又は約60%超がNKG2Aについて陰性もしくは低度である(NKG2Aneg)。組成物中の総細胞のうち、又は組成物中のg-NK細胞のうち、40%超又は約40%超がNKG2Cについて陽性であり(NKG2Cpos)、かつ/又は70%超又は約70%超がNKG2Aについて陰性もしくは低度である(NKG2Aneg)。いくつかの実施形態では、組成物中の総細胞のうち、又は組成物中のg-NK細胞のうち、45%超又は約45%超がNKG2Cについて陽性であり(NKG2Cpos)、かつ/又は80%超又は約80%超がNKG2Aについて陰性もしくは低度である(NKG2Aneg)。いくつかの実施形態では、組成物中の総細胞のうち、又は組成物中のg-NK細胞のうち、50%超又は約50%超がNKG2Cについて陽性であり(NKG2Cpos)、かつ/又は85%超又は約85%超がNKG2Aについて陰性もしくは低度である(NKG2Aneg)。いくつかの実施形態では、組成物中の総細胞のうち、又は組成物中のg-NK細胞のうち、55%超又は約55%超がNKG2Cについて陽性であり(NKG2Cpos)、かつ/又は90%超又は約90%超がNKG2Aについて陰性もしくは低度である(NKG2Aneg)。いくつかの実施形態では、組成物中の総細胞のうち、又は組成物中のg-NK細胞のうち、60%超又は約60%超がNKG2Cについて陽性であり(NKG2Cpos)、かつ/又は95%超又は約95%超がNKG2Aについて陰性もしくは低度である(NKG2Aneg)。
【0027】
いくつかの実施形態では、組成物中の総細胞のうち、又は組成物中のg-NK細胞のうち、50%超又は約50%超がCD38negである。いくつかの実施形態では、組成物中の総細胞のうち、又は組成物中のg-NK細胞のうち、60%超又は約60%超がCD38negである。いくつかの実施形態では、組成物中の総細胞のうち、又は組成物中のg-NK細胞のうち、70%超又は約70%超がCD38negである。いくつかの実施形態では、組成物中の総細胞のうち、又は組成物中のg-NK細胞のうち、80%超又は約80%超がCD38negである。いくつかの実施形態では、組成物中の総細胞のうち、又は組成物中のg-NK細胞のうち、90%超又は約90%超がCD38negである。
【0028】
いくつかの実施形態では、組成物中の総細胞のうち、又は組成物中のg-NK細胞のうち、50%超又は約50%超がCD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161negである。いくつかの実施形態では、組成物中の総細胞のうち、又は組成物中のg-NK細胞のうち、60%超又は約60%超がCD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161negである。いくつかの実施形態では、組成物中の総細胞のうち、又は組成物中のg-NK細胞のうち、70%超又は約70%超がCD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161negである。いくつかの実施形態では、組成物中の総細胞のうち、又は組成物中のg-NK細胞のうち、80%超又は約80%超がCD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161negである。いくつかの実施形態では、組成物中の総細胞のうち、又は組成物中のg-NK細胞のうち、90%超又は約90%超がCD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161negである。
【0029】
いくつかの実施形態では、組成物中の総細胞のうち、又は組成物中のg-NK細胞のうち、50%超又は約50%超がNKG2Aneg/CD161negである。いくつかの実施形態では、組成物中の総細胞のうち、又は組成物中のg-NK細胞のうち、60%超又は約60%超がNKG2Aneg/CD161negである。いくつかの実施形態では、組成物中の総細胞のうち、又は組成物中のg-NK細胞のうち、70%超又は約70%超がNKG2Aneg/CD161negである。いくつかの実施形態では、組成物中の総細胞のうち、又は組成物中のg-NK細胞のうち、80%超又は約80%超がNKG2Aneg/CD161negである。いくつかの実施形態では、組成物中の総細胞のうち、又は組成物中のg-NK細胞のうち、90%超又は約90%超がNKG2Aneg/CD161negである。
【0030】
いくつかの実施形態では、複数のg-NK細胞は、CD16 158(V/V)(V158)である。いくつかの実施形態では、複数のg-NK細胞は、CD16 158V/Fである。
【0031】
いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも又は少なくとも約10個の細胞を含む。いくつかの実施形態では、組成物中のg-NK細胞の数は、10又は約10から、1012又は約1012個の細胞である。いくつかの実施形態では、組成物中のg-NK細胞の数は、10又は約10から、1011又は約1011個の細胞である。いくつかの実施形態では、組成物中のg-NK細胞の数は、10又は約10から、1010又は約1010個の細胞である。いくつかの実施形態では、組成物中のg-NK細胞の数は、10又は約10から、10又は約10個の細胞である。いくつかの実施形態では、組成物中のg-NK細胞の数は、10又は約10から、1012又は約1012個の細胞である。いくつかの実施形態では、組成物中のg-NK細胞の数は、10又は約10から、1011又は約1011個の細胞である。いくつかの実施形態では、組成物中のg-NK細胞の数は、10又は約10から、1010又は約1010個の細胞である。いくつかの実施形態では、組成物中のg-NK細胞の数は、1010又は約1010から、1012又は約1012個の細胞である。いくつかの実施形態では、組成物中のg-NK細胞の数は、1010又は約1010から、1011又は約1011個の細胞である。いくつかの実施形態では、組成物中のg-NK細胞の数は、1011又は約1011から、1012又は約1012個の細胞である。
【0032】
いくつかの実施形態では、組成物中のg-NK細胞の数は、5×10又は約5×10個の細胞である。いくつかの実施形態では、組成物中のg-NK細胞の数は、1×10個の細胞であるか、又は約1×10個の細胞である。いくつかの実施形態では、組成物中のg-NK細胞の数は、5×1010個の細胞であるか、又は約5×1010個の細胞である。いくつかの実施形態では、組成物中のg-NK細胞の数は、1×1010個の細胞であるか、又は約1×1010個の細胞である。
【0033】
いくつかの実施形態では、組成物の体積は、50mL又は約50mLから、500mL又は約500mLである。いくつかの実施形態では、組成物の体積は、任意選択で、200mL又は約200mLである。
【0034】
いくつかの実施形態では、組成物中の細胞は、同じ生体試料から増殖させた単一のドナー対象に由来する。
【0035】
いくつかの実施形態では、組成物は医薬組成物である。いくつかの実施形態では、組成物は薬学的に許容される賦形剤を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、抗凍結剤を含む無血清凍結保存培地中に製剤化される。いくつかの実施形態では、抗凍結剤はDMSOであり、凍結保存培地は5%~10%DMSO(v/v)である。いくつかの実施形態では、抗凍結剤は、10%DMSO(v/v)もしくは約10%DMSO(v/v)である。
【0036】
いくつかの実施形態では、組成物は、無菌である。いくつかの実施形態では、組成物は冷凍保存対応バッグである。いくつかの実施形態では、バッグは凍結保存適合性バッグである。
【0037】
FcRγ鎖の発現が欠損しているNK細胞(g-NK細胞)に、キメラ抗原受容体(CAR)をコードする異種核酸を導入することを含む、遺伝子操作されたg-NK細胞を産生する方法も本明細書で提供される。
【0038】
いくつかの態様では、免疫調節物質をコードする異種核酸をg-NK細胞に導入し、それによって遺伝子操作されたg-NK細胞を産生することを含む、遺伝子操作されたg-NK細胞を産生する方法が本明細書で提供される。
【0039】
いくつかの態様では、遺伝子操作されたg-NK細胞を産生する方法であって、(a)FcRγ鎖の発現が欠損しているNK細胞(g-NK細胞)に、キメラ抗原受容体(CAR)をコードする異種核酸を導入することと、(b)g-NK細胞に、免疫調節物質をコードする異種核酸を導入し、それによって遺伝子操作されたg-NK細胞を産生することとを含み、ステップ(a)及び(b)が同時に又は任意の順序で逐次的に実施される方法が本明細書で提供される。
【0040】
いくつかの実施形態では、CARは、1)標的リガンド結合ドメインと、2)可撓性リンカー(スペーサー)と、3)膜貫通領域と、4)細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。いくつかの実施形態では、抗原結合ドメインは、腫瘍抗原を標的とする。他の実施形態では、抗原結合ドメインは、単鎖可変断片(scFv)である。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζ、DAP10、DAP12、CD28、4-1BB、又はOX40由来の1つ以上のシグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζ、DAP10、DAP12、CD28、4-1BB、又はOX40に由来する2つ以上のシグナル伝達ドメインを含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζのシグナル伝達ドメインを含む一次シグナル伝達ドメインと、共刺激シグナル伝達ドメインとを含む。いくつかの実施形態では、共刺激シグナル伝達ドメインは、CD28又は4-1BBのシグナル伝達ドメインである。
【0042】
いくつかの実施形態では、CARをコードする異種核酸は、g-NK細胞のゲノムへの安定な組み込みのための条件下で導入される。いくつかの実施形態では、CARをコードする異種核酸は、ウイルスベクターに含まれ、形質導入によってg-NK細胞に導入される。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターは、レンチウイルスベクターである。
【0043】
いくつかの実施形態では、CARをコードする核酸は、g-NK細胞における一過性発現のための条件下で導入される。いくつかの実施形態では、CARをコードする核酸は、脂質ナノ粒子を介してg-NK細胞に導入される。いくつかの実施形態では、CARをコードする核酸はDNAである。いくつかの実施形態では、CARをコードする核酸はRNAである。いくつかの実施形態では、RNAはmRNAである。いくつかの実施形態では、RNAは自己増幅mRNAである。いくつかの実施形態では、核酸は、エレクトロポレーションを介してg-NK細胞に導入される。
【0044】
いくつかの実施形態では、免疫調節物質は免疫抑制物質である。いくつかの実施形態では、免疫調節物質は免疫活性化物質である。いくつかの実施形態では、免疫調節物質がサイトカインである。いくつかの実施形態では、サイトカインは、操作されたNK細胞から分泌可能である。いくつかの実施形態では、分泌可能なサイトカインは、IL-2もしくはその生物学的に活性な部分、IL-15もしくはその生物学的に活性な部分、IL-21もしくはその生物学的に活性な部分、又はそれらの組み合わせである。他の実施形態では、サイトカインは膜結合型である。いくつかの実施形態では、膜結合型サイトカインは、膜結合型IL-2(mbIL-2)、膜結合型IL-15(mbIL-15)、又は膜結合型IL-21(mbIL-21)又はそれらの組み合わせである。
【0045】
いくつかの実施形態では、免疫調節物質をコードする核酸は、g-NK細胞のゲノムへの安定した組み込みのための条件下で導入される。いくつかの実施形態では、免疫調節物質をコードする核酸は、ウイルスベクターに含まれ、形質導入によってg-NK細胞に導入される。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターは、レンチウイルスベクターである。いくつかの実施形態では、免疫調節物質をコードする核酸は、g-NK細胞における一過性発現のための条件下で導入される。いくつかの実施形態では、免疫調節物質をコードする核酸は、非ウイルス送達によって導入される。いくつかの実施形態では、免疫調節物質をコードする核酸は、脂質ナノ粒子を介してg-NK細胞に導入される。いくつかの実施形態では、免疫調節物質をコードする核酸はDNAである。いくつかの実施形態では、免疫調節物質をコードする核酸はRNAである。いくつかの実施形態では、RNAはmRNAである。いくつかの実施形態では、RNAは自己増幅RNAである。いくつかの実施形態では、免疫調節物質をコードする核酸は、エレクトロポレーションを介してg-NK細胞に導入される。
【0046】
いくつかの実施形態では、CARをコードする核酸及び免疫調節物質をコードする核酸は、同じポリヌクレオチドからコードされ、一緒に導入される。いくつかの実施形態では、CARをコードする核酸及び免疫調節物質をコードする核酸は、ポリヌクレオチド配列のマルチシストロン性エレメントによって隔てられている。いくつかの実施形態では、免疫調節物質は、T2A、P2A、及びF2Aからなる群から選択される自己切断ペプチドである。いくつかの実施形態では、CARをコードする核酸及び免疫調節物質をコードする核酸は、g-NK細胞について濃縮された集団を増殖させるためのエクスビボプロセス中に同時に導入される。
【0047】
いくつかの実施形態では、g-NK細胞組成物は、(i)CD3について陰性もしくは低度かつCD57について陽性(CD3negCD57pos)又は(ii)CD3について陰性もしくは低度かつCD56について陽性(CD3negCD56pos)のいずれかである、対象由来の生体試料から濃縮されたNK細胞のエクスビボ増殖によって産生されており、濃縮されたNK細胞は、照射されたHLA-E+フィーダー細胞及び1つ以上の組換えサイトカインと共に培養される。いくつかの実施形態では、1つ以上の組換えサイトカインは、有効量のSCF、GSK3i、FLT3、IL-2、IL-6、IL-7、IL-15、IL-12、IL-18、IL-21、IL-27、又はそれらの組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、培養は、2つ以上の組換えサイトカインの存在下で行われ、少なくとも1つの組換えサイトカインはインターロイキン(IL)-2であり、少なくとも1つの組換えサイトカインはIL-21である。いくつかの実施形態では、1つ以上の組換えサイトカインは、IL-21を含む。
【0048】
いくつかの実施形態では、導入は、FcRγ欠損NK(g-NK)細胞を増殖させるための方法の間に実施され、前記方法は、(A)ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を得ることであって、NK細胞について濃縮された集団は、ヒト対象由来の生体試料から選択される、得ることと、(B)操作されたNK細胞の集団を、(1)照射されたHLA-E+フィーダー細胞であって、フィーダー細胞がHLAクラスI及びHLAクラスIIを欠損しており、照射されたHLA-E+フィーダー細胞 対 濃縮NK細胞の比が1:10~10:1である、照射されたHLA-E+フィーダー細胞、及び(2)NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカインであって、少なくとも1つの組換えサイトカインがインターロイキン(IL)-2であり、少なくとも1つの組換えサイトカインがIL-21である、NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカインと共に、培養培地中で培養することと、を含み、ここで、CARをコードする核酸を導入することは、ステップ(A)の後、かつステップ(B)の前、間、又は後に行われ、それによって、操作されたNK細胞の集団を産生し、ここで、該方法は、g-NK細胞について濃縮され、CARで操作された細胞を含む、操作されたNK細胞の増殖集団を産生する。
【0049】
いくつかの実施形態では、導入することは、FcRγ欠損NK細胞(g-NK)を増殖させるための方法の間に実施され、前記方法は、(A)ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を得ることであって、NK細胞について濃縮された集団が、ヒト対象由来の生体試料から選択される、得ることと、(B)CARをコードする核酸を濃縮NK細胞の集団に導入し、それによって、操作されたNK細胞の集団を生成することと、(C)操作されたNK細胞の集団を、(1)照射されたHLA-E+フィーダー細胞であって、フィーダー細胞がHLAクラスI及びHLAクラスIIを欠損しており、照射されたHLA-E+フィーダー細胞 対 濃縮されたNK細胞の比が1:10~10:1である、照射されたHLA-E+フィーダー細胞、及び(2)NK細胞を増殖させるための有効量の2つ以上の組換えサイトカインであって、少なくとも1つの組換えサイトカインがインターロイキン(IL)-2であり、少なくとも1つの組換えサイトカインがIL-21である、NK細胞を増殖させるための有効量の2つ以上の組換えサイトカインと共に、培地中で培養し、それによって、増殖させたNK細胞集団を産生することと、を含み、方法は、g-NK細胞について濃縮され、CARで操作された細胞を含む、操作されたNK細胞の増殖させた集団を産生する。
【0050】
いくつかの実施形態では、導入することは、FcRγ欠損NK細胞(g-NK)を増殖させるための方法の間に実施され、前記方法は、(A)ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を得ることであって、NK細胞について濃縮された集団は、ヒト対象由来の生体試料から選択される、得ることと、(B)濃縮されたNK細胞の集団を、(1)照射されたHLA-E+フィーダー細胞であって、フィーダー細胞がHLAクラスI及びHLAクラスIIを欠損しており、照射されたHLA-E+フィーダー細胞 対 濃縮NK細胞の比が1:10~10:1である、照射されたHLA-E+フィーダー細胞、及び(2)NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカインであって、少なくとも1つの組換えサイトカインがインターロイキン(IL)-2であり、少なくとも1つの組換えサイトカインがIL-21である、NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカインと共に、培地中で培養し、それによって、増殖させたNK細胞集団を産生することと、(C)CARをコードする核酸を、NK細胞の増殖集団のNK細胞に導入することと、を含み、方法が、g-NK細胞について濃縮され、CARで操作された細胞を含む、操作されたNK細胞の増殖集団を産生する。
【0051】
いくつかの実施形態では、導入することは、FcRγ欠損NK細胞(g-NK)を増殖させるための方法の間に行われ、前記方法は、(A)ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を得ることであって、NK細胞について濃縮された集団は、ヒト対象由来の生体試料から選択される、得ることと、及び(B)濃縮されたNK細胞の集団を、NK細胞を増殖させるための条件下で培養培地中で培養することを含む第1の増殖を実施して、第1の増殖させたNK細胞集団を産生することと、(C)第1の増殖させたNK細胞集団のNK細胞に、CARをコードする核酸を導入し、それによって、操作されたNK細胞集団を産生することと、(D)NK細胞の更なる増殖のための条件下で、操作されたNK細胞の集団を培養することを含む第2の増殖を実施することとを含み、第1の増殖及び/又は第2の増殖が、濃縮されたNK細胞の集団を、(1)照射されたHLA-E+フィーダー細胞であって、フィーダー細胞がHLAクラスI及びHLAクラスIIを欠損しており、照射されたHLA-E+フィーダー細胞 対 濃縮NK細胞の比が1:10~10:1である、照射されたHLA-E+フィーダー細胞、及び(2)NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカインであって、少なくとも1つの組換えサイトカインがインターロイキン(IL)-2であり、少なくとも1つの組換えサイトカインがIL-21である、NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカインと共に、培養培地中で培養することを含み、方法は、g-NK細胞について濃縮されており、CARで操作された細胞を含む、操作されたNK細胞の増殖集団を産生する。
【0052】
いくつかの実施形態では、g-NK細胞組成物は、(i)CD3について陰性もしくは低度かつCD57について陽性(CD3negCD57pos)又は(ii)CD3について陰性もしくは低度かつCD56について陽性(CD3negCD56pos)のいずれかである、対象由来の生体試料から濃縮されたNK細胞のエクスビボ増殖によって産生されており、濃縮されたNK細胞は、照射されたHLA-E+フィーダー細胞及び1つ以上の組換えサイトカインと共に培養される。いくつかの実施形態では、1つ以上の組換えサイトカインは、有効量のSCF、GSK3i、FLT3、IL-2、IL-6、IL-7、IL-15、IL-12、IL-18、IL-21、IL-27、又はそれらの組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、培養は、2つ以上の組換えサイトカインの存在下で行われ、少なくとも1つの組換えサイトカインはインターロイキン(IL)-2であり、少なくとも1つの組換えサイトカインはIL-21である。
【0053】
いくつかの実施形態では、導入は、FcRγ欠損NK(g-NK)細胞を増殖させるための方法の間に実施され、前記方法は、(A)ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を得ることであって、NK細胞について濃縮された集団は、ヒト対象由来の生体試料から選択される、得ることと、(B)操作されたNK細胞の集団を、(1)照射されたHLA-E+フィーダー細胞であって、フィーダー細胞がHLAクラスI及びHLAクラスIIを欠損しており、照射されたHLA-E+フィーダー細胞 対 濃縮NK細胞の比が1:10~10:1である、照射されたHLA-E+フィーダー細胞及び(2)NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカインであって、少なくとも1つの組換えサイトカインがインターロイキン(IL)-2であり、少なくとも1つの組換えサイトカインがIL-21である、NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカインと共に、培養培地中で培養することと、を含み免疫調節物質を導入することが、ステップ(A)の後、かつステップ(B)の前、間、又は後に実施され、それによって、操作されたNK細胞の集団を産生し、前記方法が、g-NK細胞について濃縮され、かつ免疫調節物質で操作された細胞を含む、操作されたNK細胞の増殖集団を産生する。
【0054】
いくつかの実施形態では、導入することは、FcRγ欠損NK細胞(g-NK)を増殖させるための方法の間に実施され、前記方法は、(A)ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を得ることであって、NK細胞について濃縮された集団が、ヒト対象由来の生体試料から選択される、得ることと、(B)免疫調節物質をコードする核酸を濃縮NK細胞の集団に導入し、それによって、操作されたNK細胞の集団を生成することと、(C)操作されたNK細胞の集団を、(1)照射されたHLA-E+フィーダー細胞であって、フィーダー細胞がHLAクラスI及びHLAクラスIIを欠損しており、照射されたHLA-E+フィーダー細胞 対 濃縮されたNK細胞の比が1:10~10:1である、照射されたHLA-E+フィーダー細胞、及び(2)NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカインであって、少なくとも1つの組換えサイトカインがインターロイキン(IL)-2であり、少なくとも1つの組換えサイトカインがIL-21である、NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカインと共に、培養培地中で培養し、それによって、増殖させたNK細胞集団を産生することと、を含み、方法は、g-NK細胞について濃縮され、免疫調節物質で操作された細胞を含む、操作されたNK細胞の増殖させた集団を産生する。
【0055】
いくつかの実施形態では、導入は、FcRγ欠損NK細胞(g-NK)を増殖させるための方法の間に実施され、前記方法は、(A)ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を得ることであって、NK細胞について濃縮された集団は、ヒト対象由来の生体試料から選択される、得ることと、(B)濃縮されたNK細胞の集団を、(1)照射されたHLA-E+フィーダー細胞であって、フィーダー細胞がHLAクラスI及びHLAクラスIIを欠損しており、照射されたHLA-E+フィーダー細胞 対 濃縮されたNK細胞の比が1:10~10:1である、)照射されたHLA-E+フィーダー細胞、及び(2)NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカインであって、少なくとも1つの組換えサイトカインがインターロイキン(IL)-2であり、少なくとも1つの組換えサイトカインがIL-21である、NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカインと共に、培養培地中で培養し、それによってNK細胞の増殖させた集団を産生する、ことと、(C)増殖させたNK細胞集団のNK細胞に、免疫調節物質をコードする核酸を導入することと、を含み、方法は、g-NK細胞について濃縮され、免疫調節物質で操作された細胞を含む、操作されたNK細胞の増殖させた集団を産生する。
【0056】
いくつかの実施形態では、導入は、FcRγ欠損NK(g-NK)細胞を増殖させるための方法の間に実施され、前記方法は、(A)ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を得ることであって、NK細胞について濃縮された集団は、ヒト対象由来の生体試料から選択される、得ることと、(B)操作されたNK細胞の集団を、(1)照射されたHLA-E+フィーダー細胞であって、フィーダー細胞がHLAクラスI及びHLAクラスIIを欠損しており、照射されたHLA-E+フィーダー細胞 対 濃縮NK細胞の比が1:10~10:1である、照射されたHLA-E+フィーダー細胞、及び(2)NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカインであって、少なくとも1つの組換えサイトカインがインターロイキン(IL)-2であり、少なくとも1つの組換えサイトカインがIL-21である、NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカインと共に、培養培地中で培養することとを含み、ここで、(i)CARをコードする核酸及び/又は(ii)免疫調節物質をコードする核酸の導入は、ステップ(A)の後、かつステップ(B)の前、間、又は後に行われ、ここで、ステップ(i)及び(ii)は、同時に又は任意の順序で連続して行われ、それによって、操作されたNK細胞の集団を産生し、この方法は、g-NK細胞について濃縮され、かつCAR及び免疫調節物質で操作された細胞を含む、操作されたNK細胞の増殖させた集団を産生する。
【0057】
いくつかの実施形態では、導入することは、FcRγ欠損NK細胞(g-NK)を増殖させるための方法の間に実施され、前記方法は、(A)ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を得ることであって、NK細胞について濃縮された集団が、ヒト対象由来の生体試料から選択される、得ることと、(B)濃縮されたNK細胞の集団に、(i)CARをコードする核酸、及び(ii)免疫調節物質をコードする核酸を導入することであって、ステップ(i)及び(ii)が同時に又は任意の順序で逐次的に実施され、それによって、操作されたNK細胞の集団を産生する、導入することと、ならびに(C)操作されたNK細胞の集団を、(1)照射されたHLA-E+フィーダー細胞であって、フィーダー細胞がHLAクラスI及びHLAクラスIIを欠損しており、照射されたHLA-E+フィーダー細胞 対 濃縮されたNK細胞の比が1:10~10:1である、操作されたNK細胞の集団、及び(2)NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカインであって、少なくとも1つの組換えサイトカインがインターロイキン(IL)-2であり、少なくとも1つの組換えサイトカインがIL-21である、NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカインと共に、培養培地中で培養し、それによって、増殖させたNK細胞集団を産生することと、を含み、方法は、g-NK細胞について濃縮され、CAR及び免疫調節物質で操作された細胞を含む、操作されたNK細胞の増殖させた集団を産生する。
【0058】
いくつかの実施形態では、導入は、FcRγ欠損NK細胞(g-NK)を増殖させるための方法の間に実施され、前記方法は、(A)ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を得ることであって、NK細胞について濃縮された集団は、ヒト対象由来の生体試料から選択される、得ることと、(B)濃縮されたNK細胞の集団を、(1)照射されたHLA-E+フィーダー細胞であって、フィーダー細胞がHLAクラスI及びHLAクラスIIを欠損しており、照射されたHLA-E+フィーダー細胞 対 濃縮されたNK細胞の比が1:10~10:1である、照射されたHLA-E+フィーダー細胞、及び(2)NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカインであって、少なくとも1つの組換えサイトカインがインターロイキン(IL)-2であり、少なくとも1つの組換えサイトカインがIL-21である、NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカインと共に、培養培地中で培養し、それによって、NK細胞の増殖させた集団を産生する、ことと、(C)増殖させたNK細胞集団のNK細胞に、(i)CARをコードする核酸、及び(ii)免疫調節物質をコードする核酸を導入することと、を含み、ステップ(i)及び(ii)は同時に又は任意の順序で逐次的に行われ、方法は、g-NK細胞について濃縮され、CAR及び免疫調節物質で操作された細胞を含む、操作されたNK細胞の増殖させた集団を産生する。
【0059】
いくつかの実施形態では、導入は、FcRγ欠損NK細胞(g-NK)を増殖させるための方法の間に行われ、前記方法は、(A)ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を得ることであって、NK細胞について濃縮された集団は、ヒト対象由来の生体試料から選択される、得ることと、及び(B)濃縮されたNK細胞の集団を、NK細胞を増殖させるための条件下で培養培地中で培養することを含む第1の増殖を実施して、第1の増殖させたNK細胞集団を産生することと、(C)第1の増殖させたNK細胞集団のNK細胞に、(i)CARをコードする核酸、及び(ii)免疫調節物質をコードする核酸を導入することであって、ステップ(i)及び(ii)が同時に又は任意の順序で逐次的に行われ、それによって、操作されたNK細胞集団を産生する、導入することと、ならびに(D)NK細胞の更なる増殖のための条件下で、操作されたNK細胞集団を培養することを含む第2の増殖を実施することとを含み、第1の増殖及び/又は第2の増殖が、濃縮されたNK細胞の集団を、(1)照射されたHLA-E+フィーダー細胞であって、フィーダー細胞がHLAクラスI及びHLAクラスIIを欠損しており、照射されたHLA-E+フィーダー細胞 対 濃縮NK細胞の比が1:10~10:1である、照射されたHLA-E+フィーダー細胞、及び(2)NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカインであって、少なくとも1つの組換えサイトカインがインターロイキン(IL)-2であり、少なくとも1つの組換えサイトカインがIL-21である、NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカインと共に、培地中で培養することを含み、方法は、g-NK細胞について濃縮されており、CAR及び免疫調節物質で操作された細胞を含む、操作されたNK細胞の増殖集団を産生する。
【0060】
いくつかの実施形態では、NK細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団は、ヒト対象由来の生体試料から、(i)CD3について陰性もしくは低度かつCD57について陽性である細胞(CD3negCD57pos)、又は(ii)CD3について陰性もしくは低度かつCD56について陽性である細胞(CD3negCD56pos)のいずれかを選択することによって得られる。
【0061】
いくつかの実施形態では、NK細胞について濃縮された集団は、NKG2Cについて陽性の細胞(NKG2Cpos)について更に選択された細胞である。NK細胞について濃縮された集団は、NKG2Aについて陰性又は低発現性の細胞(NKG2Aneg)について更に選択された細胞であり、又は、NK細胞について濃縮された集団は、NKG2Cについて陽性であり、NKG2Aについて陰性又は低度の細胞(NKG2CposNKG2Aneg)について更に選択された細胞である。
【0062】
いくつかの実施形態では、ヒトは、対象由来の末梢血試料中のナチュラルキラー(NK)細胞の少なくとも20%又は約20%がNKG2Cについて陽性 (NKG2Cpos)であり、末梢血試料中のNK細胞の少なくとも70%がNKG2Aについて陰性又は低度の(NKG2Aneg)対象である。いくつかの実施形態では、対象がCMV血清陽性である。
【0063】
いくつかの実施形態では、対象由来の生体試料中のNK細胞のうちのg-NK細胞の割合は、5%超又は約5%超である。いくつかの実施形態では、対象由来の生体試料中のNK細胞のうちのg-NK細胞の割合は、10%超又は約10%超である。いくつかの実施形態では、対象由来の生体試料中のNK細胞のうちのg-NK細胞の割合は、30%超又は約30%超である。
【0064】
いくつかの実施形態では、濃縮されたNK細胞の集団中のg-NK細胞の割合は、20%又は約20%から、90%又は約90%である。いくつかの実施形態では、濃縮されたNK細胞の集団中のg-NK細胞の割合は、40%又は約40%から、90%又は約90%である。いくつかの実施形態では、濃縮されたNK細胞の集団中のg-NK細胞の割合は、60%又は約60%から、90%又は約90%である。
【0065】
いくつかの実施形態では、NK細胞について濃縮された集団は、CD3について陰性又は低度であり、CD57について陽性である、生体試料から選択された細胞である(CD3negCD57pos)。いくつかの実施形態では、NK細胞について濃縮された集団は、CD3について陰性又は低度であり、CD56について陽性である、生体試料から選択された細胞である(CD3negCD56pos)。
【0066】
いくつかの実施形態では、2つ以上の組換えサイトカインは、有効量のSCF、GSK3i、FLT3、IL-6、IL-7、IL-15、IL-12、IL-18、IL-27、又はそれらの組み合わせを更に含む。いくつかの実施形態では、組換えサイトカインは、IL-21及びIL-2を含む。いくつかの実施形態では、組換えサイトカインは、IL-21、IL-2、及びIL-15を含む。
【0067】
いくつかの実施形態では、組換えIL-21は、培養の少なくとも一部の間に、10ng/mL又は約10ng/mLから、100ng/mL又は約100ng/mLの濃度で培養培地に添加される。いくつかの実施形態では、組換えIL-21は、培養の少なくとも一部の間に、25ng/mL又は約25ng/mLの濃度で培養培地に添加される。いくつかの実施形態では、組換えIL-2は、培養の少なくとも一部の間に、10 IU/mL又は約10 IU/mLから、500 IU/mL又は約500 IU/mLの濃度で培養培地に添加される。いくつかの実施形態では、組換えIL-2は、培養の少なくとも一部の間に、100 IU/mL又は約100 IU/mLの濃度で培養培地に添加される。いくつかの実施形態では、組換えIL-2は、培養の少なくとも一部の間に、500 IU/mL又は約500 IU/mLの濃度で培養培地に添加される。いくつかの実施形態では、組換えIL-15は、培養の少なくとも一部の間に、1ng/mL~50ng/mL又は約1ng/mL~50ng/mLの濃度で培養培地に添加される。いくつかの実施形態では、組換えIL-15は、培養の少なくとも一部の間に、10ng/mL又は約10ng/mLの濃度で培養培地に添加される。
【0068】
いくつかの実施形態では、組換えサイトカインは、培養の開始時又はほぼ開始時に培養培地に添加される。いくつかの実施形態では、本方法は、培養中に培養培地を1回以上交換することを更に含み、培養培地の各交換時に、組換えサイトカインを含有する新鮮な培地が添加される。いくつかの実施形態では、培養培地の交換は、培養期間の間、2日又は3日毎に行われる。いくつかの実施形態では、培地交換は、最大5日間の培地交換を伴わない第1の増殖の後に行われ、任意選択で、最大5日間の培地交換を伴わない第1の増殖の後に行われる。
【0069】
いくつかの実施形態では、ヒト対象は、CD16 158V/V NK細胞遺伝子型又はCD16 158V/F NK細胞遺伝子型を有し、任意選択で、生体試料は、CD16 158V/V NK細胞遺伝子型又はCD16 158V/F NK細胞遺伝子型について選択されたヒト対象に由来する。
【0070】
いくつかの実施形態では、生体試料は、末梢血単核細胞(PBMC)であるか、又はそれを含み、任意選択で、血液試料、アフェレーシス試料又は白血球アフェレーシス試料である。いくつかの実施形態では、HLA-E+フィーダー細胞は、HLA-Eで形質転換されたK562細胞(K562-HLA-E)である。いくつかの実施形態では、HLA-E+フィーダー細胞は、221.AEH細胞である。
【0071】
いくつかの実施形態では、照射されたHLA-E+フィーダー細胞 対 濃縮NK細胞の比は、1:1~5:1(両端を含む)である。いくつかの実施形態では、照射されたHLA-E+フィーダー細胞 対 濃縮NK細胞の比は、1:1~3:1(両端を含む)である。いくつかの実施形態では、照射されたHLA-E+フィーダー細胞 対 濃縮されたNK細胞の比は、任意選択で、2.5:1又は約2.5:1である。いくつかの実施形態では、照射HLA-E+フィーダー細胞 対 濃縮NK細胞の比は、任意選択で、2:1であるか、又は約2:1である。いくつかの実施形態では、照射HLA-E+フィーダー細胞 対 濃縮NK細胞の比は、任意選択で、約1:1である。
【0072】
いくつかの実施形態では、培養の少なくとも一部の間に培養培地に添加される組換えサイトカインは、500 IU/mLのIL-2、10ng/mLのIL-15、及び25ng/mLのIL-21である。
【0073】
いくつかの実施形態では、濃縮されたNK細胞の集団は、両端を含めて、2.0×10個又は約2.0×10個の濃縮されたNK細胞から、5.0×10個又は約5.0×10個の濃縮されたNK細胞を含む。いくつかの実施形態では、濃縮NK細胞の集団は、両端を含めて、1.0×10個又は約1.0×10個の濃縮NK細胞から、1.0×10個又は約1.0×10個の濃縮NK細胞を含む。いくつかの実施形態では、濃縮されたNK細胞の集団は、両端を含めて、1.0×10個又は約1.0×10個の濃縮されたNK細胞から、5.0×10個又は約5.0×10個の濃縮されたNK細胞を含む。いくつかの実施形態では、濃縮されたNK細胞の集団は、両端を含めて、1.0×10個又は約1.0×10個の濃縮されたNK細胞から、1.0×10個又は約1.0×10個の濃縮されたNK細胞を含む。いくつかの実施形態では、濃縮されたNK細胞の集団は、任意選択で、1.0×10個又は約1.0×10個の濃縮されたNK細胞を含む。
【0074】
いくつかの実施形態では、培養の開始時における濃縮されたNK細胞の集団は、0.05×10個の濃縮NK細胞/mL~1.0×10個の濃縮NK細胞/mL又は約0.05×10個の濃縮NK細胞/mL~1.0×10個の濃縮NK細胞/mLの濃度であるいくつかの実施形態では、培養の開始時における濃縮されたNK細胞の集団は、0.05×10個の濃縮NK細胞/mL~0.5×10個の濃縮NK細胞/mL又は約0.05×10個の濃縮NK細胞/mL~0.5×10個の濃縮NK細胞/mLの濃度である。いくつかの実施形態では、培養開始時の濃縮NK細胞の集団は、任意選択で、0.2×10個又は約0.2×10個の濃縮NK細胞/mLの濃度である。
【0075】
いくつかの実施形態では、培養は、本方法が少なくとも2.50×10又は少なくとも約2.50×10個のg-NK細胞の増殖を達成する時点まで実施される。いくつかの実施形態では、培養は、本方法が少なくとも5.00×10又は少なくとも約5.00×10個のg-NK細胞の増殖を達成する時点まで実施される。いくつかの実施形態では、培養することは、方法が少なくとも1.0×10又は少なくとも約1.0×10個のg-NK細胞の増殖を達成する時点まで実施される。いくつかの実施形態では、培養することは、方法が少なくとも5.0×10又は少なくとも約5.0×10個のg-NK細胞の増殖を達成する時点まで実施される。
【0076】
いくつかの実施形態では、培養は、5日間又は約5日間又は少なくとも5日間又は少なくとも約5日間行われる。いくつかの実施形態では、培養は、6日間又は約6日間又は少なくとも6日間又は少なくとも約6日間行われる。いくつかの実施形態では、培養は、7日間又は約7日間又は少なくとも7日間又は少なくとも約7日間実施される。いくつかの実施形態では、培養は、8日間又は約8日間又は少なくとも8日間又は少なくとも約8日間行われる。いくつかの実施形態では、培養は、9日間又約9日間又は少なくとも9日間又は少なくとも約9日間行われる。いくつかの実施形態では、培養は、10日間又は約10日間又は少なくとも10日間又は少なくとも約10日間実施される。いくつかの実施形態では、培養は、11日間又は約11日間又は少なくとも11日間又は少なくとも約11日間行われる。いくつかの実施形態では、培養は、12日間又は約12日間又は少なくとも12日間又は少なくとも約12日間行われる。いくつかの実施形態では、培養は、13日間又は約13日間又は少なくとも13日間又は少なくとも約13日間行われる。いくつかの実施形態では、培養は、14日間又は約14日間又は少なくとも14日間又は少なくとも約14日間行われる。いくつかの実施形態では、培養は、15日間又は約15日間又は少なくとも15日間又は少なくとも約15日間行われる。いくつかの実施形態では、培養は、16日間又は約16日間又は少なくとも16日間又は少なくとも約16日間行われる。いくつかの実施形態では、培養は、17日間又は約17日間又は少なくとも17日間又は少なくとも約17日間行われる。いくつかの実施形態では、培養は、18日間又は約18日間又は少なくとも18日間又は少なくとも約18日間行われる。いくつかの実施形態では、培養は、19日間又は約19日間又は少なくとも19日間又は少なくとも約19日間行われる。いくつかの実施形態では、培養は、20日間又は約20日間又は少なくとも20日間又は少なくとも約20日間行われる。いくつかの実施形態では、培養は、21日間又は約21日間又は少なくとも21日間又は少なくとも約21日間行われる。いくつかの実施形態では、培養は、22日間又は約22日間又は少なくとも22日間又は少なくとも約22日間行われる。いくつかの実施形態では、培養は、23日間又は約23日間又は少なくとも23日間又は少なくとも約23日間行われる。いくつかの実施形態では、培養は、24日間又は約24日間又は少なくとも24日間又は少なくとも約24日間実施される。いくつかの実施形態では、培養は、25日間又は約25日間又は少なくとも25日間又は少なくとも約25日間行われる。
【0077】
いくつかの実施形態では、本方法は、本方法によって産生された操作されたNK細胞の増殖集団を収集することを更に含む。いくつかの実施形態では、方法は、操作されたNK細胞の増殖させた集団を、薬学的に許容される賦形剤中に製剤化することを更に含む。いくつかの実施形態では、本方法は、操作されたNK細胞の増殖集団を、抗凍結剤を含む無血清凍結保存培地と共に製剤化することを更に含む。いくつかの実施形態では、がんは、DMSOである。いくつかの実施形態では、抗凍結剤は任意選択でDMSOであり、凍結保存培地は5%~10%DMSO(v/v)であり、任意選択で、10%DMSO(v/v)又は約10%DMSO(v/v)である。
【0078】
いくつかの実施形態では、本方法によって産生される操作されたNK細胞の増殖集団のうち、集団の50%超がFcRγnegである。いくつかの実施形態では、本方法によって産生される操作されたNK細胞の増殖集団のうち、集団の60%超がFcRγnegである。いくつかの実施形態では、本方法によって産生される操作されたNK細胞の増殖集団のうち、集団の70%超がFcRγnegである。いくつかの実施形態では、本方法によって産生される操作されたNK細胞の増殖集団のうち、集団の80%超がFcRγnegである。いくつかの実施形態では、本方法によって産生される操作されたNK細胞の増殖集団のうち、集団の90%超がFcRγnegである。いくつかの実施形態では、本方法によって産生される操作されたNK細胞の増殖集団のうち、集団の95%超がFcRγnegである。
【0079】
いくつかの実施形態では、複数の操作されたNK細胞が、上記実施形態のいずれかに記載の方法によって産生される。
【0080】
対象における疾患又は状態を処置する方法も本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、上記実施形態のいずれか1つの組成物の細胞の有効量が、それを必要とする個体に投与される。
【0081】
いくつかの実施形態では、疾患又は状態は炎症状態である。いくつかの実施形態では、疾患又は障害は、感染症である。いくつかの実施形態では、疾患又は障害は、がんである。いくつかの実施形態では、疾患又は障害は、がんである。いくつかの実施形態では、がんは、白血病である。いくつかの実施形態では、がんは、リンパ腫である。いくつかの実施形態では、がんは、骨髄腫である。いくつかの実施形態では、疾患又は状態は、がんであり、がんは固形腫瘍を含む。
【0082】
いくつかの実施形態では、がんは胃又は胃食道接合部の腺がんである。いくつかの実施形態では、疾患は膀胱がんである。いくつかの実施形態では、疾患は乳がんである。いくつかの実施形態では、疾患は脳がんである。いくつかの実施形態では、疾患は子宮頸がんである。いくつかの実施形態では、疾患は結腸直腸がんである。いくつかの実施形態では、がんは内分泌/神経内分泌直腸がんである。いくつかの実施形態では、がんは頭頸部がんである。いくつかの実施形態では、がんは消化管間質である。いくつかの実施形態では、がんは、骨巨細胞腫瘍である。いくつかの実施形態では、疾患は腎臓がんである。いくつかの実施形態では、疾患は肝臓がんである。いくつかの実施形態では、疾患は肺がんである。いくつかの実施形態では、がんは、神経芽細胞腫である。いくつかの実施形態では、がんは、卵巣上皮/卵管/原発性腹膜がんである。いくつかの実施形態では、がんは膵臓腺がんである。いくつかの実施形態では、がんは前立腺がんである。いくつかの実施形態では、がんは皮膚がんである。いくつかの実施形態では、がんは軟部組織がんである。
【0083】
いくつかの実施形態では、組成物は単剤療法として投与される。いくつかの実施形態では、本方法は、疾患又は状態を処置するために個体に追加の薬剤を投与することを更に含む。いくつかの実施形態では、追加の薬剤は、抗体又はFc融合タンパク質である。いくつかの実施形態では、抗体はモノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は完全長の抗体である。いくつかの実施形態では、抗体はIgG1抗体である。いくつかの実施形態では、疾患又は状態は、がんであり、追加の薬剤、任意選択で抗体は、がんに関連する腫瘍抗原を認識する。いくつかの実施形態では、抗体は、がんに関連する腫瘍抗原を認識する。
【0084】
いくつかの実施形態では、本方法は、g-NK細胞組成物の、1×10又は約1×10から、50×10又は約50×10個の細胞を、個体に投与することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、1×10又は約1×10から、50×10又は約50×10個のNK細胞のg-NK細胞組成物を個体に投与することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、およそ5×10もしくは約5×10個の細胞のg-NK細胞組成物、5×10もしくは約5×10個の細胞のg-NK細胞組成物、又は10×10もしくは約10×10個の細胞のg-NK細胞組成物を個体に投与することを任意選択で含む。
【0085】
いくつかの実施形態では、本方法は、外因性サイトカインサポートを投与して、対象における投与されたNK細胞のインビボでの増殖又は持続を促進することを更に含む。いくつかの実施形態では、外因性サイトカインは、任意選択でIL-15であるか、又は任意選択でIL-15を含む。
【0086】
いくつかの実施形態では、g-NK細胞の用量の投与前に、対象はリンパ球枯渇療法を受けている。いくつかの実施形態では、療法は、フルダラビン及び/又はシクロホスファミドを含む。いくつかの実施形態では、リンパ球枯渇は、対象の体表面積で20~40mg/m又は約20~40mg/mでのフルダラビンの投与を含む。いくつかの実施形態では、リンパ球枯渇は、任意選択で、毎日、2~4日間、30mg/m又は約30mg/m、及び/又は対象の体表面積で200~400mg/m又は約200~400mg/m、任意選択で、毎日、2~4日間、300mg/m又は約300mg/mのシクロホスファミドを含む。いくつかの実施形態では、リンパ球枯渇療法は、フルダラビン及びシクロホスファミドを含む。いくつかの実施形態では、リンパ球枯渇療法は、フルダラビンを対象の体表面積で30mg/m又は約30mg/m2で毎日投与し、シクロホスファミドを対象の体表面積で300mg/m又は約300mg/mで毎日、それぞれ2~4日間、任意選択で3日間投与することを含む。
【0087】
いくつかの実施形態では、g-NK細胞の用量の投与は、リンパ球枯渇療法の開始後2週間以内に開始される。いくつかの実施形態では、g-NK細胞の用量の投与は、リンパ球枯渇療法の開始の2週間後又は約2週間後に開始される。
【0088】
いくつかの実施形態では、個体はヒトである。いくつかの実施形態では、組成物中のNK細胞は、個体にとって同種異系である。いくつかの実施形態では、組成物中のNK細胞は、対象に対して自己由来である。
【図面の簡単な説明】
【0089】
図1A図1A及び図1Bは、NK細胞培地中に含まれるIL-21あり又はなしで、221.AEH又はK562-mbIL15-41BBLフィーダー細胞の存在下で増殖させたg-NK細胞の増殖を示す。図1Aは、総NK細胞数を示す。図1Bは、増殖21日後のg-NK細胞数を示す。
図1B図1Aの説明を参照のこと。
図2A図2A及び図2Bは、221.AEH又はK562-mbIL15-41BBLフィーダー細胞の存在中で増殖させたg-NK細胞の増殖21日後のダラツムマブ及びエロツズマブ媒介性細胞傷害活性を、NK細胞培地中にIL-21を含めて又は含めずに示す。図2Aは、LP1細胞株に対するg-NK細胞の細胞傷害性を示す。図2Bは、MM.1S細胞株に対するg-NK細胞の細胞傷害性を示す。
図2B図2Aの説明を参照のこと。
図3A図3A図3Dは、221.AEH又はK562-mbIL15-41BBLフィーダー細胞の存在下で、NK細胞培地に含まれるIL-21が含まれる又は含まれない増殖させたg-NK細胞のダラツムマブ及びエロツズマブによって媒介される脱顆粒レベル(CD107apos)を示す。図3Aは、LP1細胞株に対する増殖の13日後のg-NK細胞脱顆粒レベルを示す。図3Bは、MM.1S細胞株に対する増殖の13日後のg-NK細胞脱顆粒レベルを示す。図3Cは、LP1細胞株に対する増殖21日後のg-NK細胞脱顆粒レベルを示す。図3Dは、MM.1S細胞株に対する増殖21日後のg-NK細胞脱顆粒レベルを示す。
図3B図3Aの説明を参照のこと。
図3C図3Aの説明を参照のこと。
図3D図3Aの説明を参照のこと。
図4A図4A図4Dは、NK細胞培地に含まれるIL-21あり又はなしで、221.AEH又はK562-mbIL15-41BBLフィーダー細胞の存在下で増殖させたg-NK細胞におけるパーフォリン及びグランザイムB発現のレベルを示す。図4Aは、g-NK細胞の割合としての増殖13日後のパーフォリン及びグランザイムB発現を示す。図4Bは、増殖13日後の全パーフォリン及びグランザイムB発現を示す。図4Cは、g-NK細胞の割合としての増殖21日後のパーフォリン及びグランザイムB発現を示す。図4Dは、増殖21日後の全パーフォリン及びグランザイムB発現を示す。
図4B図4Aの説明を参照のこと。
図4C図4Aの説明を参照のこと。
図4D図4Aの説明を参照のこと。
図5A図5A図5Dは、NK細胞培地に含まれるIL-21の有無にかかわらず、221.AEH又はK562-mbIL15-41BBLフィーダー細胞の存在中で増殖させたg-NK細胞のダラツムマブ及びエロツズマブ媒介性インターフェロン-γ発現レベルを示す。図5Aは、LP1細胞株に対する増殖13日後のg-NK細胞インターフェロン-γ発現レベルを示す。図5Bは、MM.1S細胞株に対する増殖13日後のg-NK細胞インターフェロン-γ発現レベルを示す。図5Cは、LP1細胞株に対する増殖21日後のg-NK細胞インターフェロン-γ発現レベルを示す。図5Dは、MM.1S細胞株に対する増殖21日後のg-NK細胞インターフェロン-γ発現レベルを示す。
図5B図5Aの説明を参照のこと。
図5C図5Aの説明を参照のこと。
図5D図5Aの説明を参照のこと。
図6A図6A図6Dは、NK細胞培地中に含まれるIL-21の有無にかかわらず、221.AEH又はK562-mbIL15-41BBLフィーダー細胞の存在において増殖したg-NK細胞のダラツムマブ及びエロツズマブ媒介性TNF-α発現レベルを示す。図6Aは、LP1細胞株に対する増殖13日後のg-NK細胞TNF-α発現レベルを示す。図6Bは、MM.1S細胞株に対する増殖13日後のg-NK細胞TNF-α発現レベルを示す。図6Cは、LP1細胞株に対する増殖21日後のg-NK細胞TNF-α発現レベルを示す。図6Dは、MM.1S細胞株に対する増殖21日後のg-NK細胞TNF-α発現レベルを示す。
図6B図6Aの説明を参照のこと。
図6C図6Aの説明を参照のこと。
図6D図6Aの説明を参照のこと。
図7】種々のサイトカイン混合物及び濃度の存在下で15日間増殖させたNK細胞のg-NK細胞増殖を示す。
図8A図8A図8Jは、様々なサイトカイン混合物及び濃度の存在下で増殖させたg-NK細胞の細胞エフェクター機能を示す。図8A及び図8Bは、様々なサイトカイン混合物及び濃度の存在において増殖させたg-NK細胞のダラツムマブ及びエロツズマブ媒介細胞傷害活性を示す。図8Aは、LP1細胞株に対するg-NK細胞の細胞傷害性を示す。図8Bは、MM.1S細胞株に対するg-NK細胞の細胞傷害性を示す。
図8B図8Aの説明を参照のこと。
図8C図8A図8Jは、様々なサイトカイン混合物及び濃度の存在下で増殖させたg-NK細胞の細胞エフェクター機能を示す。図8C及び図8Dは、様々なサイトカイン混合物及び濃度の存在下で増殖させたg-NK細胞の、ダラツムマブ及びエロツズマブによって媒介される脱顆粒レベル(CD107apos)を示す。図8Cは、LP1細胞株に対するg-NK細胞脱顆粒レベルを示す。図8Dは、MM.1S細胞株に対するg-NK細胞脱顆粒レベルを示す。
図8D図8Cの説明を参照のこと。
図8E図8A図8Jは、様々なサイトカイン混合物及び濃度の存在下で増殖させたg-NK細胞の細胞エフェクター機能を示す。図8E及び図8Fは、様々なサイトカイン混合物及び濃度の存在下で増殖させたg-NK細胞におけるパーフォリン及びグランザイムB発現のレベルを示す。図8Eは、g-NK細胞の割合としてのパーフォリン及びグランザイムB発現を示す。図8Fは、全パーフォリン及びグランザイムB発現を示す。
図8F図8Eの説明を参照のこと。
図8G図8A図8Jは、様々なサイトカイン混合物及び濃度の存在下で増殖させたg-NK細胞の細胞エフェクター機能を示す。図8G及び図8Hは、様々なサイトカイン混合物及び濃度の存在において増殖したg-NK細胞のダラツムマブ及びエロツズマブ媒介性インターフェロン-γ発現レベルを示す。図8Gは、LP1細胞株に対するg-NK細胞インターフェロン-γ発現レベルを示す。図8Hは、MM.1S細胞株に対するg-NK細胞インターフェロン-γ発現レベルを示す。
図8H図8Gの説明を参照のこと。
図8I図8A図8Jは、様々なサイトカイン混合物及び濃度の存在下で増殖させたg-NK細胞の細胞エフェクター機能を示す。図8I及び図8Jは、様々なサイトカイン混合物及び濃度の存在において増殖したg-NK細胞のダラツムマブ及びエロツズマブ媒介性TNF-α発現レベルを示す。図8Iは、LP1細胞株に対するg-NK細胞TNF-α発現レベルを示す。図8Jは、MM.1S細胞株に対するg-NK細胞TNF-α発現レベルを示す。
図8J図8Iの説明を参照のこと。
図9A図9A図9Lは、IL-21なしで増殖させたg-NK細胞と比較した、IL-21の存在下で14日間増殖させたg-NK細胞の増殖及び細胞エフェクター機能を示す(n=6)。図9A及び図9Bは、IL-21なしで増殖させたg-NK細胞と比較した、IL-21の存在下で増殖させたg-NK細胞の増殖を示す。図9Aは、増殖前後のg-NK細胞割合を示す。図9Bは、1千万個のNK細胞当たりの増殖したg-NK細胞の数を示す。値は平均±SEである。IL-21なしでのCD3neg/CD57pos+IL-21増殖対CD3neg/CD57pos増殖の比較について#p<0.001。CD3neg/CD57pos増殖対他のCMVpos増殖の比較について、^p<0.05。CMVpos増殖対CMVnegCD3neg増殖の比較についてp<0.001。
図9B図9Aの説明を参照のこと。
図9C図9A図9Lは、IL-21なしで増殖させたg-NK細胞と比較した、IL-21の存在下で14日間増殖させたg-NK細胞の増殖及び細胞エフェクター機能を示す(n=6)。図9Cは、増殖前後のg-NKの割合(CMV+ドナー(n=8)及びCMV-ドナー(n=6)からの総NK細胞の%)の比較を示す。図9Dは、CMV+及びCMVドナーからのg-NKのn倍増殖速度の比較を示す。図9Eは、CMV+ドナーについてのFcεR1γ対CD56の代表的フロープロットを提供する。図9Fは、CMV+及びCMV-ドナーのCD3-/CD56+NK細胞上のFcεR1γ発現の代表的なヒストグラムを提供する。独立試料t検定を使用して、増殖前後のCMV+ドナーとCMVドナーとの間の差を決定した(図9C及び図9D)。値は平均±SE.p<0.05、**p<0.01、***p<0.001である。
図9D図9Cの説明を参照のこと。
図9E図9Cの説明を参照のこと。
図9F図9Cの説明を参照のこと。
図9G図9A図9Lは、IL-21なしで増殖させたg-NK細胞と比較した、IL-21の存在下で14日間増殖させたg-NK細胞の増殖及び細胞エフェクター機能を示す(n=6)。図9G及び図9Hは、IL-21なしで増殖させたg-NK細胞と比較した、IL-21の存在において増殖させたg-NK細胞の増殖の14日後のダラツムマブ及びエロツズマブ媒介性細胞傷害活性を示す。図9Gは、LP1細胞株に対するg-NK細胞の細胞傷害性を示す。図9Hは、MM.1S細胞株に対するg-NK細胞の細胞傷害性を示す。値は平均±SEである。IL-21なしでのCD3neg/CD57pos+IL-21増殖対CD3neg/CD57pos増殖の比較について、p<0.05、**p<0.01、及び***p<0.001。
図9H図9Gの説明を参照のこと。
図9I図9A図9Lは、IL-21なしで増殖させたg-NK細胞と比較した、IL-21の存在下で14日間増殖させたg-NK細胞の増殖及び細胞エフェクター機能を示す(n=6)。図9I及び図9Jは、IL-21なしで増殖させたg-NK細胞と比較した、IL-21の存在下で増殖させたg-NK細胞のダラツムマブ及びエロツズマブ媒介脱顆粒レベル(CD107apos)を示す。図9Iは、LP1細胞株に対する増殖14日後のg-NK細胞脱顆粒レベルを示す。図9Jは、MM.1S細胞株に対する増殖14日後のg-NK細胞脱顆粒レベルを示す。値は平均±SEである。IL-21なしでのCD3neg/CD57pos+IL-21増殖対CD3neg/CD57pos増殖の比較について、p<0.05、**p<0.01、及び***p<0.001。
図9J図9Iの説明を参照のこと。
図9K図9A図9Lは、IL-21なしで増殖させたg-NK細胞と比較した、IL-21の存在下で14日間増殖させたg-NK細胞の増殖及び細胞エフェクター機能を示す(n=6)。図9K及び図9Lは、IL-21なしで増殖させたg-NK細胞と比較した、IL-21の存在下で増殖させたg-NK細胞におけるパーフォリン及びグランザイムB発現のレベルを示す。図9Kは、増殖の14日後のパーフォリン及びグランザイムB発現をNK細胞の割合として示す。図9Lは、増殖14日後の全パーフォリン及びグランザイムB発現を示す。値は平均±SEである。IL-21なしでのCD3neg/CD57pos+IL-21増殖対CD3neg/CD57pos増殖の比較について、p<0.05、**p<0.01、及び***p<0.001。
図9L図9Kの説明を参照のこと。
図9M】cNK細胞よりも増殖したg-NK細胞におけるパーフォリン(左)及びグランザイムB(右)のベースライン発現を示す(n=5)。エフェクターパーフォリン及びグランザイムBの発現をg-NKとcNKとの間で比較するために、独立試料t検定を使用した。値は平均±SEである。cNK細胞との統計的有意差は、***p<0.001によって示される。
図9N】g-NK及びcNK細胞についてのパーフォリン及びグランザイムB発現の代表的なヒストグラムを示す。
図9O図9O及び図9Pは、IL-21なしで増殖させたg-NK細胞と比較した、IL-21の存在において増殖させたg-NK細胞のダラツムマブ及びエロツズマブ媒介性インターフェロン-γ発現レベルを示す。図9Oは、LP1細胞株に対する増殖14日後のg-NK細胞インターフェロン-γ発現レベルを示す。図9Pは、MM.1S細胞株に対する増殖14日後のg-NK細胞インターフェロン-γ発現レベルを示す。値は平均±SEである。IL-21なしでのCD3neg/CD57pos+IL-21増殖対CD3neg/CD57pos増殖の比較について、p<0.05、**p<0.01、及び***p<0.001。
図9P図9Oの説明を参照のこと。
図9Q図9Q及び図9Rは、IL-21なしで増殖させたg-NK細胞と比較した、IL-21の存在において増殖させたg-NK細胞のダラツムマブ及びエロツズマブ媒介性TNF-α発現レベルを示す。図9Qは、LP1細胞株に対する増殖14日後のg-NK細胞TNF-α発現レベルを示す。図9Rは、MM.1S細胞株に対する増殖14日後のg-NK細胞TNF-α発現レベルを示す。値は平均±SEである。IL-21なしでのCD3neg/CD57pos+IL-21増殖対CD3neg/CD57pos増殖の比較について、p<0.05、**p<0.01、及び***p<0.001。
図9R図9Qの説明を参照のこと。
図9S】異なるドナー間のMM.1S細胞株に対するcNK細胞と比較した増殖g-NK細胞のダラツムマブ及びエロツズマブインターフェロン-γ発現レベルを示す。
図9T】異なるドナー間のMM.1S細胞株に対するcNK細胞と比較した増殖g-NK細胞のダラツムマブ及びエロツズマブ TNF-α発現レベルを示す。
図10】IL-21/抗IL-21複合体の存在下で増殖させたg-NKの増殖を示す(n=4)。値は平均±SEである。IL-21による増殖対IL-21/抗IL-21複合体による増殖の比較について、#p<0.001。
図11A図11A図11Hは、新たに濃縮されたg-NK細胞のNK細胞エフェクター機能と比較した、以前に凍結保存されたg-NK細胞のNK細胞エフェクター機能を示す(n=4)。値は平均±SEである。新たに濃縮されたg-NK細胞対以前に凍結保存されたg-NK細胞の比較について、#p<0.05。図11A及び図11Bは、新たに濃縮されたg-NK細胞と比較した、以前に凍結保存されたg-NK細胞のダラツムマブ及びエロツズマブによって媒介される脱顆粒レベル(CD107apos)を示す。図11Aは、LP1細胞株に対するg-NK細胞脱顆粒レベルを示す。図11Bは、MM.1S細胞株に対するg-NK細胞脱顆粒レベルを示す。
図11B図11Aの説明を参照のこと。
図11C図11A図11Hは、新たに濃縮されたg-NK細胞のNK細胞エフェクター機能と比較した、以前に凍結保存されたg-NK細胞のNK細胞エフェクター機能を示す(n=4)。値は平均±SEである。新たに濃縮されたg-NK細胞対以前に凍結保存されたg-NK細胞の比較について、#p<0.05。図11C及び図11Dは、新たに濃縮されたg-NK細胞と比較した、以前に凍結保存されたg-NK細胞におけるパーフォリン及びグランザイムB発現のレベルを示す。図11Cは、g-NK細胞の全パーフォリン発現を示す。図11Dは、g-NK細胞の総グランザイムB発現を示す。
図11D図11Cの説明を参照のこと。
図11E図11A図11Hは、新たに濃縮されたg-NK細胞のNK細胞エフェクター機能と比較した、以前に凍結保存されたg-NK細胞のNK細胞エフェクター機能を示す(n=4)。値は平均±SEである。新たに濃縮されたg-NK細胞対以前に凍結保存されたg-NK細胞の比較について、#p<0.05。図11E及び図11Fは、新たに濃縮されたg-NK細胞と比較した、以前に凍結保存されたg-NK細胞のダラツムマブ及びエロツズマブ媒介性インターフェロン-γ発現レベルを示す。図11Eは、LP1細胞株に対するg-NK細胞インターフェロン-γ発現レベルを示す。図11Fは、MM.1S細胞株に対するg-NK細胞インターフェロン-γ発現レベルを示す。
図11F図11Eの説明を参照のこと。
図11G図11A図11Hは、新たに濃縮されたg-NK細胞のNK細胞エフェクター機能と比較した、以前に凍結保存されたg-NK細胞のNK細胞エフェクター機能を示す(n=4)。値は平均±SEである。新たに濃縮されたg-NK細胞対以前に凍結保存されたg-NK細胞の比較について、#p<0.05。図11G及び図11Hは、新たに濃縮されたg-NK細胞と比較した、以前に凍結保存されたg-NK細胞のダラツムマブ及びエロツズマブ媒介性TNF-α発現レベルを示す。図37Gは、LP1細胞株に対するg-NK細胞TNF-α発現レベルを示す。図11Hは、MM.1S細胞株に対するg-NK細胞TNF-α発現レベルを示す。
図11H図11Gの説明を参照のこと。
図12A図12A図12Cは、1×10の増殖細胞の単回用量の注入後のNSGマウスにおけるcNK(凍結保存)及びg-NK(凍結保存又は新鮮)細胞の持続性を示す。図12Aは、注入後6、16、26、及び31日目に収集された末梢血中のcNK及びg-NK細胞の数を示す。図12Bは、注入後31日目、屠殺時の脾臓に存在するNK細胞の数を示す。図12Cは、屠殺時の骨髄中に存在するNK細胞の数を示す。3つ全てのアームについてN=3。値は平均±SEである。凍結保存cNK細胞と新鮮又は凍結保存g-NK細胞との比較について、p<0.05及び***p<0.001。
図12B図12Aの説明を参照のこと。
図12C図12Aの説明を参照のこと。
図13A図13A図13Dは、g-NK及びcNKにおけるCD20(リツキシマブの標的)、CD38(ダラツムマブの標的)、及びSLAMF7(エロツズマブの標的)の発現を示す。図13Aは、増殖g-NK細胞、非増殖NK細胞(CD3neg/CD56pos)、及びCD20を発現するMM.1S細胞の割合を示す。図13Bは、増殖g-NK細胞、非増殖NK細胞(CD3neg/CD56pos)、及びCD38を発現するMM.1S細胞の割合を示す。図13Cは、増殖g-NK細胞、非増殖NK細胞(CD3neg/CD56pos)、及びSLAMF7を発現するMM.1S細胞の割合を示す。図13Dは、増殖前後のCD38を発現するcNK及びg-NKの割合を示す。全てのアームについてN=3。
図13B図13Aの説明を参照のこと。
図13C図13Aの説明を参照のこと。
図13D図13Aの説明を参照のこと。
図13E図13Eは、増殖前後のCD38posNK細胞の平均蛍光強度(MFI)を示す(n=4)。図13Fは、cNK及びMM.1S細胞と比較したg-NK細胞のCD38発現の減少を示す代表的なヒストグラムを提供する。値は平均±SEである。#g-NK細胞対全ての他の細胞の比較についてp<0.001。図13Gは、増殖させたg-NK細胞及びcNK細胞によるダラツムマブ誘導性のフラトリサイドの比較を示す。
図13F図13Eの説明を参照のこと。
図13G図13Eの説明を参照のこと。
図14A図14A図14Fは、多発性骨髄腫のマウスモデルにおける腫瘍負荷及び生存に対するcNK及びダラツムマブ(cNK+Dara)又はg-NK及びダラツムマブ(g-NK+Dara)による処置の効果を示す。5×10ルシフェラーゼ標識MM.1Sヒト骨髄腫細胞を、雌NSGマウスの尾静脈に静脈内(I.V.)注射した。週1回、5週間の期間、増殖させたNK細胞をNSGマウスにI.V.投与し(6.0×10個の細胞/マウス)、ダラツムマブをI.P.注射した(10μg/マウス)。図14Aは、腫瘍接種後20、27、37、41、48、及び57日目における週2回のマウスのBLI画像化を示す(左)。対応する処置後の日数を図の右側に示す。色は、BLIの強度を示す(青色、最低;赤色、最高)。図14Bは、対照群及びcNK+Dara群に対するg-NK+Dara群における経時的な腫瘍BLI(光子/秒)を示す。g-NK及び対照又はcNK群の比較について、p<0.05。図14Cは、経時的な生存パーセントを示し、矢印は、cNK+Dara又はg-NK+Daraのいずれかによる治療の投与を示す。図14Dは、対照群、cNK+Dara群、及びg-NK+Dara群におけるマウスの経時的な体重変化を示す。図14Eは、cNK+Dara及びg-NK+Dara処置マウスにおける屠殺時の骨髄内に存在するCD138腫瘍細胞の数を示す。g-NK及びcNK細胞の比較について***p<0.001。値は平均±SEである。図14Fは、対照群及びcNK+Dara又はg-NK+Daraのいずれかで処置したマウスにおけるNK細胞及び腫瘍細胞の存在を解明するためのゲーティング戦略を使用した代表的なフロープロットを示す。対照群についてはN=8であり、g-NK又はcNK群についてはN=7である。
図14B図14Aの説明を参照のこと。
図14C図14Aの説明を参照のこと。
図14D図14Aの説明を参照のこと。
図14E図14Aの説明を参照のこと。
図14F図14Aの説明を参照のこと。
図14G】全ての対照、cNK+Dara、及びg-NK+Dara処置マウスについて研究全体にわたって収集された全てのBLI画像を提示する。色は、BLIの強度を示す(青色、最低;赤色、最高)。
図14H】屠殺前の対照、cNK+Dara、及びg-NK+Dara群における全てのマウスについて得られたX線画像を示す。矢印は骨折及び変形を示す。屠殺日を各マウスの下に示す。
図15A図15A図15Cは、cNK+Dara又はg-NK+Daraによる処置後のNSGマウスにおける持続性NK細胞の比較データを示す。全てのデータは、屠殺時にフローサイトメトリーを使用して検出された細胞の量を示す。図15Aは、血液中のcNK及びg-NK細胞の数を示す。図15Bは、脾臓に存在するNK細胞の数を示す。図15Cは、骨髄中に存在するNK細胞の数を示す。値は平均±SEである。g-NK及びcNK細胞の比較について***p<0.001。
図15B図15Aの説明を参照のこと。
図15C図15Aの説明を参照のこと。
図16】CD45pos/CD3neg/CD56pos/CD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161neg又はCD45pos/CD3neg/CD56pos/NKG2Aneg/CD161negのいずれかの代用細胞外表面表現型を有する細胞サブセット内のg-NK(CD45pos/CD3neg/CD56pos/ FcRγneg)の割合を示す。値は平均±標準誤差である。
図17】それぞれ異なるドナーを使用する2つの別個の実験におけるg-NK細胞によるGFP及びCD20-CARの形質導入後発現を示す。
図18】Rajiリンパ腫細胞に対するリツキシマブ(抗CD20モノクローナル抗体)の存在下又は非存在下における、CD20-CARを伴う又は伴わないg-NK細胞の効力を示す。
【発明を実施するための形態】
【0090】
詳細な説明
本明細書では、FcRγ鎖の発現が欠損しており(g-NK細胞)、組換えキメラ抗原受容体(CAR)を更に含む、操作されたナチュラルキラー(NK)細胞及びその組成物が提供される。FcRγは、FcεR1γとしても知られており、本明細書において互換的に使用される。遺伝子操作されたg-NK細胞を産生する方法であって、g-NK細胞にCARをコードする核酸を導入し、それによって遺伝子操作されたg-NK細胞を産生することを含む方法も本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、CARを操作する方法は、操作されたNK細胞におけるCARの一過性発現をもたらす。いくつかの実施形態では、CARを操作する方法は、操作されたNK細胞におけるCARの安定な発現をもたらす。
【0091】
本明細書では、FcRγ鎖の発現が欠損しており(g-NK細胞)、免疫調節物質をコードする異種核酸を更に含む、操作されたナチュラルキラー(NK)細胞及びその組成物が提供される。いくつかの実施形態では、免疫調節物質は、NK細胞の活性を増加又は改善し得る任意の薬剤であり得る。いくつかの実施形態では、免疫調節物質は、IL-15などの外因性サイトカインである。免疫調節物質をコードする核酸をg-NK細胞に導入し、それによって遺伝子操作されたg-NK細胞を産生することを含む、遺伝子操作されたg-NK細胞を産生する方法も本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、免疫調節物質(例えば、IL-15などのサイトカイン)を操作する方法は、操作されたNK細胞における免疫調節物質の一過性発現をもたらす。いくつかの実施形態では、免疫調節物質(例えば、IL-15などのサイトカイン)を操作する方法は、操作されたNK細胞における免疫調節物質の安定した発現をもたらす。
【0092】
本明細書では、組換えキメラ抗原受容体(CAR)と、免疫調節物質をコードする異種核酸とを更に含む、FcRγ鎖の発現が欠損した操作されたナチュラルキラー(NK)細胞(g-NK細胞)及びその組成物が提供される。遺伝子操作されたg-NK細胞を産生する方法であって、(a)g-NK細胞に、CARをコードする核酸を導入すること、及び(b)g-NK細胞に、免疫調節物質をコードする核酸を導入し、それによって、遺伝子操作されたg-NK細胞を産生することを含み、CARをコードする核酸を導入すること及び免疫調節物質をコードする核酸を導入することが、同時に又は任意の順序で逐次的に行われ得る、方法も本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、CAR及び免疫調節物質(例えば、IL-15などのサイトカイン)を操作する方法は、操作されたNK細胞におけるCAR及び/又は免疫調節物質の一過性発現をもたらす。いくつかの実施形態では、CAR及び免疫調節物質(例えば、IL-15などのサイトカイン)を操作する方法は、操作されたNK細胞におけるCAR及び免疫調節物質の安定した発現をもたらす。いくつかの実施形態では、CAR又は免疫調節物質の一方は、操作された細胞において一過性に発現され、CAR及び免疫調節物質の他方は、安定に発現される。
【0093】
ナチュラルキラー(NK)細胞は、サイトカイン及びケモカイン分泌を介して、ならびに細胞傷害性顆粒の放出を介して、抗ウイルス及び抗がん免疫を媒介するのに重要な自然リンパ球である(Vivier et al.Science 331(6013):44-49 (2011);Caligiuri,Blood 112(3):461-469 (2008);Roda et al.,Cancer Res.66(1):517-526(2006))。NK細胞は、リンパ球の3番目に大きな集団を構成するエフェクター細胞であり、腫瘍及び病原体感染細胞に対する宿主免疫監視にとって重要である。しかしながら、Tリンパ球及びBリンパ球とは異なり、NK細胞は、生殖系列にコードされた活性化受容体を使用し、標的認識のための限られた能力のみを有すると考えられている(Bottino et al.,Curr Top Microbiol Immunol.298:175-182 (2006));Stewart et al.,Curr Top Microbiol Immunol.298:1-21(2006))。
【0094】
NK細胞の活性化は、直接的腫瘍細胞死滅で見られるように、抗原保有細胞に結合した抗体のFc部分に結合することによって標的細胞上のリガンドへのNK細胞受容体の直接的結合を介して、又はFc受容体(CD16;また、CD16a又はFcγRIIIaとしても知られている)の架橋を介して起こり得る。活性化されると、NK細胞はサイトカイン及びケモカインを豊富に産生し、同時に強力な細胞溶解活性を示す。NK細胞は、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を介して腫瘍細胞を死滅させることができる。いくつかの場合において、ADCCは、NK細胞表面上の受容体(CD16など)が、細胞の表面に結合したIgG 1又はIgG3抗体を認識するときに誘発される。これは、パーフォリン及びグランザイムを含有する細胞質顆粒の放出を誘発し、標的細胞死をもたらす。NK細胞は、IgGでコーティングされた標的細胞を認識する活性化Fc受容体CD16を発現するため、標的認識は増殖される(Ravetch&Bolland,Annu Rev Immunol.19:275-290(2001);Lanier Nat.Immunol.9(5):495-502(2008);Bryceson&Long,Curr Opin Immunol.20(3):344-352(2008))。ADCC及び抗体依存性サイトカイン/ケモカイン産生は、主にNK細胞によって媒介される。
【0095】
CD16はまた、グリコシルホスファチジルイノシトールアンカー型(FcγRIIIB又はCD16Bとしても知られている)で存在する。本明細書におけるCD16への言及は、NK細胞上で発現され、抗体依存性応答(NK細胞媒介性ADCCなど)に関与するCD16a型への言及に関するものであり、グリコシルホスファチジルイノシトールアンカー型を指すことを意味しないことが理解される。
【0096】
CD16受容体は、アダプター、TCR-CD3複合体(CD3ζ)のζ鎖及び/又はFcRγ鎖と会合して、免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ(ITAM)を介してシグナルを伝達することができる。いくつかの態様において、CD16結合(CD16架橋)は、CD16結合アダプター鎖、FcRγ又はCD3ζの一方又は両方を通じて産生される細胞内シグナルを介してNK細胞応答を開始する。CD16の誘発は、γ又はζ鎖のリン酸化をもたらし、これが次にチロシンキナーゼ、syk及びZAP-70を動員し、シグナル伝達のカスケードを開始して、迅速かつ強力なエフェクター機能をもたらす。最もよく知られているエフェクター機能は、抗体依存性細胞傷害性のプロセスを介して近くの標的細胞を殺すための毒性タンパク質を担持する細胞質顆粒の放出である。CD16架橋はまた、サイトカイン及びケモカインの産生をもたらし、これは次に、一連の免疫応答を活性化し、組織化する。
【0097】
このサイトカイン及びケモカインの放出は、インビボでのNK細胞の抗がん活性において役割を果たし得る。NK細胞はまた、パーフォリン及びプロテアーゼ(グランザイム)を含有する小さな顆粒を細胞質中に有する。パーフォリンは、NK細胞から放出されると、標的細胞の細胞膜に孔を形成し、この孔を通じてグランザイム及び関連分子が侵入し、アポトーシスを誘導することができる。NK細胞が標的細胞の壊死ではなくアポトーシスを誘導するという事実は、ウイルス感染細胞の有意な壊死がビリオンを放出するのに対して、アポトーシスは細胞内のウイルスの破壊をもたらすことである。
【0098】
g-NK細胞としても知られる、FcRγアダプタータンパク質を欠くNK細胞の特殊化されたサブセットは、強固なADCC応答を媒介することができる(例えば、米国特許出願公開第US2013/0295044号を参照)。増加した応答についての機構は、FcRγの発現に影響を及ぼすエピジェネティック改変における変化に起因し得る。g-NK細胞は、シグナル伝達アダプターζ鎖を豊富に発現するが、シグナル伝達アダプターγ鎖の発現が欠損している。従来のNK細胞と比較して、これらのγ欠損g-NK細胞は、抗体によって活性化された場合に劇的に増強された活性を示す。例えば、g-NK細胞は、CD16の抗体媒介性架橋によって、又は抗体被覆腫瘍細胞によって活性化され得る。いくつかの態様では、g-NK細胞は、γ鎖を発現する従来のNK細胞よりも多量のサイトカイン(例えば、IFN-γ又はTNF-α)及びケモカイン(例えば、MIP-1α、MIP-1β、及びRANTES)を産生し、及び/又はより高い脱顆粒応答を示す。g-NK細胞は、ナチュラルキラー細胞細胞傷害性機構の成分であるグランザイムBの高発現を提供する。更に、g-NK細胞は、従来のNK細胞と比較して延長された寿命を有し、それらの存在は長期間維持される。いくつかの実施形態では、g-NK細胞は、機能的及び表現型的に安定である。
【0099】
いくつかの実施形態では、g-NK細胞は、従来のNK細胞、例えば、γ鎖が欠損していないNK細胞よりも、ADCC応答誘発するのに有効である。いくつかの実施形態では、g-NK細胞は、抗体の非存在下であっても従来のNK細胞よりも細胞媒介性細胞傷害を誘発するのに有効である。いくつかの場合において、ADCCは、抗がん抗体を含む治療抗体の作用機序である。いくつかの態様では、NK細胞を投与することによる細胞療法は、治療目的及び関連する目的のために抗体と併せて使用することができる。
【0100】
例えば、CD38を標的とするダラツムマブ及びSLAMF7を標的とするエロツズマブなどの特定の治療用モノクローナル抗体は、多発性骨髄腫(MM)などの疾患治療用に米国食品医薬品局によって承認されている。治療抗体の臨床応答は有望であるが、それらはしばしば理想的ではない。例えば、特にダラツムマブについては、初期臨床応答は一般的に有望であったが、本質的に全ての患者が最終的に進行性疾患を発症する。したがって、より深い寛解を推進するか、又はこれらの薬剤に対する耐性を克服するかのいずれかのための新たな戦略が大いに必要とされている。組成物を含む提供される実施形態は、これらの必要性に対処する。
【0101】
本明細書では、組換えキメラ抗原受容体(CAR)を更に含む、FcRγ鎖の発現が欠損している操作されたナチュラルキラー(NK)細胞(g-NK細胞)及びそれを含有する組成物が提供される。本明細書では、免疫調節物質をコードする異種核酸を更に含む、FcRγ鎖の発現が欠損している操作されたナチュラルキラー(NK)細胞(g-NK細胞)及びその組成物が提供される。本明細書では、組換えキメラ抗原受容体(CAR)及び免疫調節物質をコードする異種核酸を更に含む、FcRγ鎖の発現が欠損した操作されたナチュラルキラー(NK)細胞(g-NK細胞)ならびにそれを含有する組成物が提供される。g-NK細胞を操作する方法が更に提供される。いくつかの実施形態では、g-NK細胞の操作によるCAR依存抗原標的化又は操作されたg-NK細胞は、g-NK細胞サブセットの改善された親和性、細胞傷害性及び/又はサイトカイン媒介効果機能に起因して、患者に対する改善された転帰をもたらす。いくつかの実施形態では、操作されたg-NK細胞は、腫瘍又は他の病原体もしくは疾患抗原に対する治療用抗体と組み合わせて対象に投与される。いくつかの実施形態では、g-NK細胞の抗体指向性標的化は、g-NK細胞サブセットの改善された親和性、細胞傷害性及び/又はサイトカイン媒介効果機能に起因して、患者に対する改善された転帰をもたらす。
【0102】
NK細胞は、通常、抗体のFc部分がそれらのFc受容体(FcγRIIIa又はCD16a)に結合し、アダプタータンパク質CD3ζ及びFcεR1γが関与するプロセスを介して活性化及び脱顆粒を誘発する場合に活性化されるが、このような方法は、所望の標的に対する抗体の別々の投与及びNK細胞の抗体への曝露を含む。更に、従来のNK細胞上のFc受容体CD16の結合及び架橋は、CD3ζ及びFcεR1γの両方を介したシグナル伝達に関与し、これは、NK細胞におけるシグナル伝達アダプターの発現に応じたシグナル伝達の変動性をもたらし得る。最後に、NK細胞活性の活性は、細胞傷害活性を増強するために、IL-15などによるサイトカイン支援を必要とすることが多い。したがって、十分な支持サイトカインが存在しないと、応答の耐久性が制限され得る。上記因子の各々は、単独で及び一緒になって、特定のNK細胞療法の有用性を妨げてきた。
【0103】
提供される方法によって産生されるような、本明細書で提供される操作されたNK細胞及びそれを含有する組成物は、いくつかの点で改善された細胞療法を提供する。第1に、提供される方法によって産生されるような、提供されるg-NK細胞及びそれを含有する組成物は、キメラ抗原受容体(CAR)、共刺激サイトカインなどの免疫調節物質、又はキメラ抗原受容体(CAR)及び共刺激サイトカインなどの免疫調節物質を発現するように操作される。CARの発現は、g-NK細胞が、罹患した対象又は個体における標的細胞又は組織にg-NK細胞を標的化するために必要とされる別個のモノクローナル抗体なしで投与されることを可能にする。更に、サイトカインなどの外因性免疫調節物質を産生及び分泌するNK細胞の能力は、NK細胞が活性をブーストするための支持を組み込んでいることを意味する。最後に、提供されるNK細胞組成物は、従来のNK細胞又は他のサブセットについて濃縮されたNK細胞と比較して多くの利点を提供するg-NK細胞すなわち、FcεR1γを欠損するNK細胞について濃縮されている。g-NK細胞は、CMV血清陽性個体のわずか25~30%において全NK細胞の約3~10%のレベルでしか検出可能でないので、g-NK細胞は比較的稀なサブセットである。提供される方法は、g-NK細胞を増殖及び濃縮する能力において特に強固であり、したがって、インビボ使用に必要とされる十分な増殖を可能にする一方で、それらの増殖の前、間、又は後に、CAR、免疫調節物質(例えば、IL-15などのサイトカイン)、又はCAR及び免疫調節物質(例えば、IL-15などのサイトカイン)による濃縮g-NK細胞の操作にも適している方法に関する。いくつかの実施形態では、操作されたg-NK細胞は、罹患した対象又は個体における標的細胞又は組織にg-NK細胞を標的化するためのモノクローナル抗体と組み合わせて対象に投与される。提供される細胞及びそのような方法によって産生される組成物は、対象又は個体における適切な位置にg-NK細胞を標的化するそれらの能力において特に強固である。
【0104】
g-NK細胞は、末梢血中のNK細胞の割合が比較的小さいため、治療方法においてこれらの細胞を使用する能力が制限される。特に、g-NK細胞は一般的に希少な集団であるため、g-NK細胞を臨床で利用するためには、高い優先的増殖速度が必要である。NK細胞を増殖させるための他の方法は、1000倍の14日NK細胞増殖速度を達成することができるが、それらは低分化、NKG2Cneg、FcεR1γpos(FcRγpos)NK細胞を生じる(Fujisaki et al.(2009)Cancer Res.,69:4010-4017;Shah et al.(2013)PLoS One,8:e76781)。更に、本明細書において、g-NK細胞と表現型的に重複するNK細胞を増殖させるために最適化された増殖は、治療的使用を支持する量までg-NK細胞を優先的に増殖させないことが見出される。特に、g-NK細胞との表現型の重複を示すNKG2CposNK細胞が、HLA-Eトランスフェクト221.AEH細胞及び培養培地中のIL-15の包含を使用して優先的に増殖され得ることが以前に報告されている(Bigley et al.(2016)Clin.Exp.Immunol.,185:239-251)。HLA-Eを構成的に発現するそのようなHLA発現細胞との培養は、NK細胞をNKG2Cpos/NKG2Aneg表現型の方向に押し出す(NKG2CはHLA-Eの活性化受容体であり、一方、NKG2AはHLA-Eの阻害性受容体である)。このような細胞はその中にg-NKを含むので、このような方法はg-NK細胞を増殖させるのに十分であると考えられた。しかしながら、この方法は、g-NK細胞の強固な増殖を達成しない。
【0105】
本明細書に記載される方法は、これらの制限を克服する、g-NK細胞が濃縮されたNK細胞組成物を産生することができる。提供される方法は、以前の方法と比較して、HLAクラスI及びHLAクラスIIが欠損しているHLA-E+フィーダー細胞、例えば221.AEH細胞の、NK細胞に対するより大きな比を利用する。特に、以前の方法は、10:1のNK細胞対221.AEH比の比など、221.AEH細胞のより低い比を使用してきた。本明細書では、221.AEH細胞などのHLA-E発現フィーダー細胞の比率が大きいほど、全体的な増殖が大きくなり、g-NK表現型に向かってより歪められることが見出されている。いくつかの実施形態では、HLA-E+フィーダー細胞のより大きな比率、例えば221.AEH細胞は、フィーダー細胞を照射することによって可能である。いくつかの態様では、照射されたフィーダー細胞株の使用はまた、GMP適合性である方法を提供するので有利である。組換えIL-2、IL-7、IL-15、IL-12、IL-18、IL-21、IL-27、又はそれらの組み合わせのいずれかの包含はまた、増殖の間、強固な増殖を支持することが見出される。提供される方法の特定の実施形態において、少なくとも1つの組換えサイトカインは、IL-2である。いくつかの実施形態では、2つ以上の組換えサイトカインが存在し、少なくとも1つの組換えサイトカインはIL-2であり、少なくとも1つの組換えサイトカインはIL-21である。
【0106】
本明細書において提供される方法は、IL-21の存在下での増殖のためのNK細胞の培養が、NK細胞を超荷電して、サイトカイン又はパーフォリン及びグランザイムBなどのエフェクター分子を産生するという知見に基づく。本明細書の増殖プロセスによって産生されるNK細胞を含有する組成物は、高度に機能的であり、強固な増殖を示し、それらがレスキューなしで低温凍結された後であっても良好に機能する。例えば、提供されるプロセスによって産生されたNK細胞は、IL-21の存在下で増殖させた場合、強いADCC活性を示すだけでなく、抗体非依存性細胞傷害活性も示す。NK細胞は、標的抗原によるCAR又は標的抗原を認識した同時投与された抗体によるFc受容体CD16の結合後にプライミングされ、エフェクター活性の準備ができているので、抗体非依存性細胞傷害活性を含む強固な活性は、細胞がCAR、免疫調節物質、又はCAR及び免疫調節物質で更に操作される、本明細書に記載される戦略に特に適している。例えば、エフェクター分子(例えば、パーフォリン及びグランザイム)は、提供される方法によって増殖したNK細胞中に自発的に存在し、それによって、高い細胞傷害能を示す細胞を提供する。本明細書に示されるように、IL-21(例えば、IL-2、IL-15及びIL-21)を含む、提供されるプロセスによって産生されるNK細胞組成物は、IL-21を添加せずにIL-2のみを含むプロセスによって産生されるNK細胞組成物よりも高い割合のパーフォリン又はグランザイムBについて陽性であるNK細胞を示すだけでなく、それらはまた、細胞における分子の発現のより高い平均レベル又は程度を示す。更に、IL-21(例えば、IL-2、IL-15及びIL-12)を含む、本明細書で提供される方法によって産生されるNK細胞組成物はまた、標的細胞に応答して、脱顆粒ならびにより多くのIFN-γ及びTNF-αを発現する能力を含む、実質的なエフェクター活性を示すg-NK細胞組成物をもたらす。この機能的活性は、増殖したNK細胞の凍結保存及び解凍後であっても高度に保存される。細胞溶解酵素の顕著な増加、ならびにより強固な活性化表現型は、腫瘍標的のアポトーシスを誘導する増殖g-NK細胞の増強された能力を裏付ける。これらの活性は、標的抗原に対する抗体とのCD16架橋を介した結合の際に本明細書の実施例において例示される。これらの活性の多くは、CD16架橋を介した抗体との結合の際に本明細書の実施例において例示されるが、シグナル伝達もまたCD3ζを介して媒介されるので、同様の活性が、CARと標的抗原との結合の際に生じる。顕著な抗体非依存性エフェクター表現型は、CAR、免疫調節物質(例えば、サイトカイン)又は免疫調節物質(例えば、サイトカイン)を有するCARによる細胞の操作と相まって、単剤療法としてのg-NK細胞の潜在的有用性も支持する。
【0107】
更に、いくつかの実施形態では、gNK細胞は、FcRγを発現するナチュラルキラー細胞よりも有意に多い量のサイトカインを産生する。別の実施形態において、サイトカインは、インターフェロン-ガンマ(IFN-γ)、腫瘍壊死因子-α(TNF-α)、又はそれらの組み合わせである。一実施形態では、gNK細胞は、有意により多くの量のケモカインを産生する。一実施形態では、ケモカインはMIP-1α、MIP-1β又はそれらの組み合わせである。別の実施形態では、gNK細胞は、CARの係合、又は場合によってはFc受容体CD16を介した刺激を介して起こり得るような、CD3ζを介したシグナル伝達時にサイトカイン又はケモカインを産生する。
【0108】
更に、本明細書における知見はまた、IL-21の存在下で増殖させた提供されるNK細胞が、例えば、IL-21を添加せずにIL-2の存在下のみで増殖させた細胞よりも長い期間にわたって良好に持続及び増殖する能力を示す。更に、結果は、凍結保存されたg-NK細胞が、新鮮なg-NK細胞に匹敵するレベルであったことを示した。この有意に改善された持続性は、標的指向性細胞傷害性又は抗体媒介性ADCCを増強するための既製の細胞療法としての新鮮な又は凍結保存されたg-NKの潜在的有用性を強調する。多くのNK細胞療法の臨床的有用性は、限られたNK細胞持続性によって妨げられてきたので、改善された持続性のこの発見は有利である。
【0109】
増殖方法の前の細胞試料からのNK細胞の濃縮(例えば、増殖の前のCD16細胞又はCD57細胞についての濃縮による)は、CD3枯渇のみに基づいてNK細胞を最初に濃縮する方法と比較して、達成され得るg-NK細胞増殖の量を更に実質的に増加させることもまた見出される。別の実施形態では、増殖の前に行うことができる別の濃縮は、CD56についての陽性選択及びCD38についての陰性選択又は枯渇によるNK細胞の濃縮である。更なる実施形態では、増殖の前に実施することができる別の濃縮は、CD56についての陽性選択と、それに続くNKG2Anegについての陰性選択又は枯渇及びCD161negについての陰性選択又は枯渇によるNK細胞の濃縮である。別の実施形態では、増殖の前に実施することができる別の濃縮は、CD57についての陽性選択、それに続くNKG2Aについての陰性選択又は枯渇、及び/又はNKG2Cについての陽性選択によってNK細胞を濃縮することである。別の実施形態では、増殖の前に実施することができる別の濃縮は、CD56についての陽性選択、それに続くNKG2Aについての陰性選択又は枯渇、及び/又はNKG2Cについての陽性選択によってNK細胞を濃縮することである。そのような実施形態のいずれかにおいて、NKG2Cpos及び/又はNKG2AnegNK細胞の濃縮は、増殖後に実施することができる。
【0110】
そのような実施形態のいずれかにおいて、濃縮されたNK細胞は、NK細胞を含有する細胞試料から、例えば末梢血単核細胞(PBMC)から濃縮することができる。いくつかの実施形態では、細胞試料からのNK細胞の濃縮の前に、T細胞は、CD3についての陰性選択又は枯渇によって除去することができる。そのような実施形態のいずれかにおいて、濃縮されたNK細胞は、比較的高い割合のg-NK細胞を有するNK細胞(例えば、PBMC)を含有するヒト対象由来の、例えば、NK細胞の中で高い割合のg-NK細胞を有するために選択されたヒト対象由来の生体試料から濃縮することができる。そのような実施形態のいずれかにおいて、濃縮されたNK細胞は、NK細胞、例えば、PBMCを含有するヒト対象由来の生体試料から濃縮することができ、試料は、比較的高い割合のNKG2CposNK細胞(例えば、20%もしくは約20%もしくは20%超のNKG2CposNK細胞)及び/又はNKG2AnegNK細胞(例えば、70%もしくは約70%もしくは70%超のNKG2AnegNK細胞)を含有する。そのような実施形態のいずれかにおいて、濃縮されたNK細胞は、NK細胞、例えば、PBMCを含有するヒト対象由来の生体試料から濃縮することができ、試料は、比較的高い割合のNKG2CposNK細胞(例えば、20%又は約20%又はそれを超えるNKG2CposNK細胞)及びNKG2AnegNK細胞(例えば、70%又は約70%又はそれを超えるNKG2AnegNK細胞)を含有する。特定の実施形態では、試料が由来する対象は、CMV血清陽性であり、そのような対象は、その末梢血中により多くの検出可能なg-NK細胞を有する。
【0111】
まとめると、g-NK細胞を増殖させるための提供されるアプローチは、培養開始時の最初の1000万個の濃縮されたNK細胞から、10億個を超える細胞、場合によっては最大80億個以上の細胞を超えるNK細胞の増殖を達成することができる。特に、提供される方法は増殖後のg-NK細胞の機能性が維持された、又は場合によっては増加した高収率(>1000倍)増殖速度をもたらし得る。いくつかの実施形態では、提供される方法は、高レベルのパーフォリン及びグランザイムBを発現するg-NK細胞集団をもたらすことができる。更に、提供される方法は、解凍されたNK細胞のレスキューを伴う多くの既存の方法によって一般的に達成されない、以前に凍結されたNK細胞を増殖させるのに十分であることが見出される。いくつかの実施形態では、これは、増殖プロトコルの持続時間を増加させることによって達成される。いくつかの実施形態では、これは、HLA-E+フィーダー細胞対NK細胞の比を、例えば約1:1 221.AEH対NK細胞に減少させることによって達成される。いくつかの実施形態では、これは、増殖中に、組換えIL-2、IL-7、IL-15、IL-12、IL-18、IL-21、IL-27、又はそれらの組み合わせのいずれかを含めることによって達成される。特定の実施形態では、少なくとも1つの組換えサイトカインはIL-2である。いくつかの実施形態では、増殖は、少なくとも1つが組換えIL-21であり、少なくとも1つが組換えIL-2である、2つ以上の組換えサイトカインの存在下で行われる。
【0112】
本明細書に示されるように、提供される遺伝子操作されたg-NK細胞及びそれを含有する組成物(例えば、提供される方法によって産生されるもの)は、がん療法に使用することができる。いくつかの実施形態では、NK細胞の養子移入は、重度の移植片対宿主(GVHD)をもたらさず、したがって、抗体指向性NK細胞療法として抗体との組み合わせを含むそのような細胞療法は、臨床使用のために「既製の」様式で与えられ得る。いくつかの態様では、NK細胞を更に操作して、NK細胞中の個々のHLA分子を低減又は排除し、それによって、提供される細胞療法の同種異系の可能性を改善することができる。
【0113】
特許出願、特許公開、ならびに科学文献及びデータベースを含む、本明細書に引用される全ての参考文献は、各個別の参考文献が参照により組み込まれるように具体的かつ個別に示される場合と同程度に、全ての目的のために、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0114】
開示を明確にするために、限定としてではなく、詳細な説明を以下のサブセクションに分割する。本明細書で使用されるセクションの見出しは、構成上の目的のみのためであり、記載される主題を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0115】
I.定義
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての専門用語、表記法、ならびに他の技術的及び科学的用語又は専門用語は、特許請求される主題が関係する当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有することが意図される。いくつかの場合において、一般的に理解される意味を有する用語は、明確さのために、及び/又は容易な参照のために本明細書において定義され、本明細書におけるそのような定義の包含は、必ずしも、当技術分野において一般的に理解されるものに対する実質的な差異を表すと解釈されるべきではない。
【0116】
本明細書及び添付の「特許請求の範囲」で使用するとき、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈から単数であることが明確に読み取れる場合を除き、対象の複数形も含まれるものとする。したがって、例えば、「分子(a molecule)」への言及は、任意選択で2つ以上のこのような分子の組み合わせなどを含む。
【0117】
本明細書で使用される「約」という用語は、当業者に容易に知られているそれぞれの値の通常の誤差範囲を指す。本明細書における値又はパラメータの「約」への言及は、その値又はパラメータ自体を対象とする実施形態を含む(かつ、記載する)。
【0118】
本明細書に記載の本発明の態様及び実施形態は、態様及び実施形態「からなる」及び/又は「から本質的になる」を含むことを理解されたい。
【0119】
本明細書で使用される場合、「任意選択の」又は「任意選択で」は、その後に記載される事象又は状況が起こる又は起こらないこと、ならびにその記載が、前記事象又は状況が起こる場合及び起こらない場合を含むことを意味する。例えば、任意選択で置換されていてもよい基は、その基が非置換であるか、又は置換されていることを意味する。
【0120】
本明細書中で使用される場合、「抗体」とは、天然であるか、あるいは部分的又は完全に合成的(例えば、組換え的)に産生されたかにかかわらず、免疫グロブリン及び免疫グロブリン断片をいい、抗原結合部位を形成するのに十分であり、そしてアセンブルされた場合に抗原に特異的に結合する、免疫グロブリン分子の可変重鎖及び/又は軽鎖領域の少なくとも一部を含む、その任意の断片を含む。したがって、抗体は、免疫グロブリン抗原結合ドメイン(抗体結合部位)と相同又は実質的に相同である結合ドメインを有する任意のタンパク質を含む。典型的には、抗体は、最小限に、可変重鎖(V)鎖及び/又は可変軽(V)鎖の全て又は少なくとも一部を含む。一般に、V及びVの対合は一緒になって抗原結合部位を形成するが、場合によっては、単一のV又はVドメインが抗原結合に十分である。抗体はまた、定常領域の全て又は一部を含み得る。本明細書における抗体への言及は、完全長抗体及び抗原結合フラグメントを含む。本明細書では、用語「免疫グロブリン」(Ig)は、「抗体」と互換的に使用される。
【0121】
「完全長抗体」「無傷抗体」又は「全抗体」は、互換的に使用され、抗体フラグメントに対して実質的に完全な形の抗体を指す。完全長抗体は、典型的には、2つの完全長重鎖(例えば、VH-CH1-CH2-CH3又はVH-CH1-CH2-CH3-CH4)及び2つの完全長軽鎖(VL-CL)及びヒンジ領域を有する抗体であり、例えば、抗体分泌B細胞によって哺乳動物種(例えば、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類など)から産生される抗体及び合成的に産生される同じドメインを有する抗体である。具体的には、全抗体は、Fc領域を含む重鎖及び軽鎖を有するものを含む。定常ドメインは、天然配列定常ドメイン(例えば、ヒト天然配列定常ドメイン)又はそのアミノ酸配列変異体であってよい。いくつかの場合において、無傷抗体は、1つ以上のエフェクター機能を有してよい。
【0122】
「抗体フラグメント」は、無傷抗体の一部、好ましくは無傷抗体の抗原結合及び/又は可変領域を含む。抗体フラグメントとしては、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)フラグメント、Fvフラグメント、ジスルフィド結合Fvs(dsFv)、Fdフラグメント、Fd’フラグメントダイアボディ、直鎖状抗体(米国特許第5,641,870号、実施例2、Zapataet al.,Protein Eng.8(10):1057-1062[1995]を参照)、単鎖Fv(scFv)又は単鎖Fab(scFab)を含む単鎖抗体分子、上記のいずれかの抗原結合フラグメント及び抗体フラグメント由来の多重特異性抗体が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書における目的のために、抗体フラグメントは、典型的には、NK細胞の表面上のCD16に係合又は架橋するのに十分なものを含む。
【0123】
「自己」という用語は、個体自身の組織内に由来するか又は個体自身の組織から採取された細胞又は組織を指す。例えば、NK細胞の自己移入又は移植において、ドナー及びレシピエントは同じ人である。
【0124】
「同種異系」という用語は、同じ種に属するか、又は同じ種から得られるが、遺伝的に異なり、したがって場合によっては免疫学的に不適合である細胞又は組織を指す。典型的には、「同種異系」という用語は、ドナーから同じ種のレシピエントに移植される細胞を定義するために使用される。
【0125】
細胞組成物に関して「濃縮された」という用語は、対象から直接得られた又は単離された出発組成物などの同じ体積の出発組成物中の細胞型の数又は割合と比較して、細胞型又は集団の数又は割合が増加している組成物を指す。この用語は、組成物からの他の細胞、細胞型、又は集団の完全な除去を必要とせず、そのように濃縮された細胞が、濃縮された組成物中に100%で、又は100%近くでさえ存在することを必要としない。
【0126】
用語「発現」は、ポリヌクレオチドがDNA鋳型から(例えば、mRNA又は他のRNA転写物に)転写されるプロセス、及び/又は転写されたmRNAが続いてペプチド、ポリペプチド又はタンパク質に翻訳されるプロセスを指す。転写物及びコードされたポリペプチドは、集合的に「遺伝子産物」と称され得る。ポリヌクレオチドがゲノムDNAに由来する場合、発現は、真核細胞におけるmRNAのスプライシングを含み得る。
【0127】
タンパク質又は核酸に関する「異種」という用語は、細胞に形質転換又は導入されたタンパク質又は核酸を指す。いくつかの場合において、異種タンパク質又は核酸は、例えば、それが発現される細胞以外の生物又は個体に由来するため、細胞にとって外因性である。「異種」への言及は、タンパク質又は核酸が、それが導入される細胞によって天然に発現され得ることを排除しないことが理解される。異種核酸又はコードされたタンパク質は、例えば、形質導入などのウイルスベースの方法又はエレクトロポレーションもしくは脂質ナノ粒子送達などの非ウイルス送達方法を含む、核酸(例えば、異種タンパク質をコードする)を細胞に導入又は形質転換することができる様々な方法のいずれかによって、NK細胞に導入され得る。導入又は形質転換されたNK細胞は、外因性又は異種核酸を染色体外に保有し得るか、又は染色体に組み込まれ得る。細胞ゲノム及び自己複製ベクターへの組み込みは、一般に、形質転換された核酸分子の遺伝的に安定な遺伝をもたらす。形質転換された核酸を含有するNK細胞は、「遺伝子操作された」と称されるが、互換的に「組換え」又は「形質転換された」とも称され得る。
【0128】
本明細書中で使用される場合、用語「導入すること」は、インビトロ又はインビボのいずれかで細胞にDNAを導入する種々の方法を包含し、このような方法としては、形質転換、形質導入、トランスフェクション(例えば、エレクトロポレーション)、脂質送達及び感染が挙げられる。ベクターは、分子をコードするDNAを細胞に導入するのに有用である。可能なベクターとしては、プラスミドベクター及びウイルスベクターが挙げられる。ウイルスベクターとしては、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、又はアデノウイルスベクターもしくはアデノ随伴ベクターなどの他のベクターが挙げられる。脂質ナノ粒子はまた、核酸(DNA又はmRNAのいずれか)を細胞に導入するために使用され得る。
【0129】
「ポリヌクレオチド」、「ヌクレオチド配列」、「核酸」、「核酸分子」、「核酸配列」、及び「オリゴヌクレオチド」という用語は、DNA及びRNA中の一連のヌクレオチド塩基(「ヌクレオチド」とも呼ばれる)を指し、2つ以上のヌクレオチドの任意の鎖を意味する。ポリヌクレオチド、ヌクレオチド配列、核酸などは、一本鎖又は二本鎖のキメラ混合物又はそれらの誘導体もしくは改変バージョンであり得る。例えば、分子の安定性やハイブリダイゼーションパラメータなどを改善するために、塩基部分、糖部分、又はリン酸骨格を改変することができる。ヌクレオチド配列は通常、タンパク質や酵素を作るために細胞機構によって使用される情報を含むがこれに限定されない遺伝情報を担っている。これらの用語は、二本鎖又は一本鎖ゲノムDNA、RNA、任意の合成及び遺伝子操作されたポリヌクレオチド、ならびにセンス及びアンチセンスポリヌクレオチドの両方を含む。これらの用語は、改変塩基を含有する核酸も含む。
【0130】
「タンパク質」、「ペプチド」及び「ポリペプチド」という用語は、ペプチド結合を介して互いに連結されたアミノ酸の連続鎖を指すために互換的に使用される。この用語は、個々のタンパク質、一緒に会合するタンパク質の群又は複合体、ならびにこのようなタンパク質の断片又は部分、改変体、誘導体及びアナログを含む。ペプチド配列は、本明細書において、従来の表記法を使用して、左側のアミノ又はN末端から始まり、右側のカルボキシル又はC末端に進むように示される。標準的な1文字又は3文字略語を使用することができる。
【0131】
核酸(例えば、遺伝子、タンパク質をコードするゲノム領域、プロモータ)の文脈において本明細書で使用される「内因性」という用語は、その天然の位置、例えば、細胞のゲノム内にある天然の核酸又はタンパク質を指す。対照的に、核酸、例えば、発現構築物、cDNA、インデル、及び核酸ベクターの文脈において本明細書で使用される「外因性」という用語は、例えば、異種核酸の形質転換又は遺伝子編集、例えば、CRISPRベースの編集技術などの遺伝子操作技術を使用して、細胞のゲノムに人工的に導入された核酸を指す。
【0132】
「組成物」という用語は、細胞又は抗体を含む、2つ以上の産物、物質、又は化合物の任意の混合物を指す。それは、溶液、懸濁液、液体、粉末、ペースト、水性、非水性又はそれらの任意の組み合わせであってもよい。調製物は、一般に、活性成分(例えば、抗体)の生物学的活性が有効であることを可能にするような形態である。
【0133】
「薬学的に許容される担体」は、対象に対して非毒性である、有効成分以外の医薬製剤中の成分を指す。薬学的に許容される担体としては、緩衝剤、賦形剤、安定剤、又は保存剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0134】
本明細書で使用される場合、組み合わせは、2つ以上の項目間の任意の関連付けを指す。組み合わせは、2つ以上の別個の品目(例えば、2つの組成物又は2つの収集物)であり得るか、それらの混合物(例えば、2つ以上の品目の単一混合物)であり得るか、又はそれらの任意の変異であり得る。組み合わせの要素は、一般に、機能的に関連付けられるか、又は関係付けられる。
【0135】
本明細書で使用される場合、キットは、治療用途を含むがこれに限定されない目的のために、追加の薬剤などの他の要素、及び組み合わせ又はその要素の使用のための説明書を任意選択で含むパッケージ化された組み合わせである。
【0136】
本明細書で使用するとき、用語「治療」または「治療すること」は、臨床病理的過程で治療される個体又は細胞の自然経過を変更するように設計された臨床的介入を指す。治療の望ましい効果として、疾患進行率の低下、疾患状態の寛解又は緩和、及び寛解又は予後の改善が挙げられる。個体は、例えば、障害(例えば、好酸球媒介性疾患)に関連する1つ以上の症状が軽減又は排除される場合、首尾よく「処置」される。例えば、個体は、処置が、疾患に罹患している個体の生活の質の増加、疾患を処置するために必要とされる他の薬物の用量の減少、疾患の再発の頻度の減少、疾患の重症度の軽減、疾患の発症もしくは進行の遅延、及び/又は個体の生存の延長を生じる場合、首尾良く「処置」される。
【0137】
「有効量」とは、治療的又は予防的結果を含む所望の又は示された効果を達成するために必要な用量及び期間で少なくとも有効な量を指す。有効量は、1回以上の投与で投与され得る。「治療有効量」は、特定の障害の測定可能な改善をもたらすのに必要とされる細胞の少なくとも最小用量である。いくつかの実施形態では、治療有効量は、動物におけるがん、ウイルス感染、微生物感染、又は敗血症性ショックに関連する重症度、持続期間及び/又は症状を低減する組成物の量である。本明細書における治療有効量は、患者の疾患状態、年齢、性別、及び体重などの要因に応じて変動し得る。有効量はまた、治療の有益な影響が治療の毒性、つまり有害な影響を上回る量であり得る。「予防有効量」とは、所望の予防結果を達成するために必要な用量及び期間で有効な量を指す。典型的には、必ずしもそうではないが、予防的用量は、疾患の前又は疾患の初期段階で対象に使用されるので、予防的有効量は、治療的有効量未満であり得る。
【0138】
本明細書で使用される場合、「個体」又は「対象」は、哺乳動物である。処置の目的のための「哺乳動物」としては、ヒト、家畜及び農場動物、ならびに動物園、スポーツ、又はペット動物、例えばイヌ、ウマ、ウサギ、ウシ、ブタ、ハムスター、アレチネズミ、マウス、フェレット、ラット、ネコなどなどが挙げられる。いくつかの実施形態では、個体又は対象はヒトである。
【0139】
II.操作されたFc受容体ガンマ欠損ナチュラルキラー細胞(g-NK細胞)
本明細書では、抗原受容体などの異種因子を発現する、FcRγの発現が欠損した操作されたナチュラルキラー(NK)細胞(g-NK細胞)が提供され、例えば、g-NK細胞に導入されたキメラ抗原受容体(CAR)である。
【0140】
本明細書では、サイトカインなどの免疫調節物質を含む、g-NK細胞に導入された異種薬剤を発現する、FcRγの発現が欠損している操作されたナチュラルキラー(NK)細胞(g-NK細胞)が提供される。
【0141】
本明細書では、キメラ抗原受容体(CAR)などの抗原受容体、及びサイトカインなどの免疫調節物質を含む、g-NK細胞に導入された異種薬剤を発現する、FcRγの発現が欠損した操作されたナチュラルキラー(NK)細胞(g-NK細胞)が提供される。
【0142】
いくつかの実施形態では、操作されたNK細胞は、FcRγの発現が欠損しているg-NK細胞である。いくつかの形態では、NK細胞のg-NK細胞サブセットは、FcRγがNK細胞又はNK細胞の集団によって発現されるかどうかを観察することによって検出することができ、FcRγが存在しない場合、細胞はg-NKである。FcRγタンパク質は細胞内タンパク質である。したがって、いくつかの態様において、FcRγの存在又は非存在は、例えば、細胞内タンパク質が検出されることを可能にするための固定及び透過処理によって、細胞の処理後に検出され得る。
【0143】
いくつかの場合において、g-NK細胞はまた、g-NK細胞の代用マーカーである表面マーカーによって同定され得る。以下に更に記載されるように、細胞表面マーカーの特定の組み合わせが、g-NK細胞表現型(すなわち、FcRγの細胞内発現を欠くか又は欠損している細胞)と相関し、それによって、細胞を損傷しない様式でg-NK細胞を同定又は検出するための代用マーカープロフィールを提供することもまた見出される。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるg-NK細胞についての代替マーカープロファイルは、1つ以上のマーカーCD16 (CD16pos)、NKG2C(NKG2Cpos)もしくはCD57(CD57pos)の陽性表面発現に基づき、ならびに/又は1つ以上のマーカーCD7(CD7dim/neg)、CD161(CD161neg)及び/もしくはNKG2A(NKG2Aneg)の低もしくは陰性表面発現に基づく。いくつかの実施形態では、細胞は、CD45、CD3及び/又はCD56などのNK細胞の1つ以上の表面マーカーについて更に評価される。いくつかの実施形態では、g-NK細胞は、代用マーカープロファイルCD45pos/CD3neg/CD56pos/CD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161negを用いて同定、検出、濃縮及び/又は単離することができる。いくつかの実施形態では、g-NK細胞は、代用マーカープロファイルCD45pos/CD3neg/CD56pos/NKG2Aneg/CD161negを用いて同定、検出、濃縮、及び/又は単離される。いくつかの実施形態では、NKG2Cpos及び/又はNKG2Anegであるg-NK細胞は、同定され、検出され、濃縮され、及び/又は単離される。
【0144】
いくつかの実施形態では、g-NK細胞は、CD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161negである表面表現型を有する。いくつかの実施形態では、g-NK細胞は、NKG2Aneg/CD161negである表面表現型を更に有する。いくつかの実施形態では、g-NK細胞は、CD38negである表面表現型を更に有する。いくつかの実施形態では、g-NK細胞は、更にCD45pos/CD3neg/CD56posである表面表現型を有する。
【0145】
いくつかの実施形態では、g-NK細胞は、CARを発現するように操作される。いくつかの実施形態では、g-NK細胞は、免疫調節物質(例えば、外因性サイトカイン)を発現するように操作される。いくつかの実施形態では、g-NK細胞は、CAR及び免疫調節物質(例えば、外因性サイトカイン)を発現するように操作される。いくつかの実施形態では、CARは、抗原認識領域、膜貫通ドメイン、及びエンドドメインを含むエクトドメインを一般に含む融合タンパク質である。外部ドメイン(すなわち、抗原認識領域又は抗原結合ドメイン)及び膜貫通ドメインは、可撓性リンカーによって連結され得る。エンドドメインは、外部細胞刺激を細胞内に伝播する細胞内シグナル伝達ドメインを含み得る。いくつかの実施形態では、CARは、1)標的リガンド結合ドメインと、2)可撓性リンカーと、3)膜貫通領域と、4)細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。いくつかの実施形態では、CARは、標的抗原に結合し、抗原結合時に細胞傷害性を誘導する。いくつかの実施形態では、免疫調節物質は、NK細胞の免疫機能を調節することができる薬剤である。いくつかの実施形態では、免疫調節物質は、免疫活性化物質であり得る。他の実施形態では、免疫調節物質は免疫抑制物質であり得る。いくつかの実施形態では、免疫調節物質は、インターロイキン又はその機能的部分などの外因性サイトカインである。CAR及び免疫調節物質の例示的な特徴は、以下のサブセクションにおいて更に記載される。
【0146】
いくつかの実施形態では、g-NK細胞は、セクションIIIに記載されるような遺伝子編集によって更に操作され得る。
【0147】
A.抗原受容体、例えばキメラ抗原受容体
提供される実施形態において、g-NK細胞は、目的の抗原に結合する抗原受容体を発現するように遺伝子操作される。特定の実施形態では、抗原受容体は、キメラ抗原受容体(CAR)である。特定の実施形態では、抗原受容体は、T細胞受容体(TCR)である。抗原受容体は、例えば、腫瘍特異的もしくは腫瘍関連抗原又は病原体抗原に結合することができる。したがって、操作された抗原受容体、例えば、CARは、特定の抗原特異性をNK細胞に導入することが意図される組換え抗原受容体である。いくつかの実施形態では、CARなどの抗原受容体は、g-NK細胞に安定に組み込まれる。他の実施形態において、抗原受容体、例えば、CARは、g-NK細胞によって一過性に発現される。例えば、g-NK細胞は、一過性に又はゲノムに組み込まれて免疫エフェクター細胞に導入された外因性ポリヌクレオチドから発現される定義されたポリペプチド配列を有するCARを含む。提供される実施形態では、抗原受容体(例えば、CAR)を含む本明細書で提供される操作されたNK細胞を免疫療法に使用して、抗原受容体(例えば、CAR)によって認識される標的抗原を発現する疾患又は障害に関連する細胞、例えば、がん細胞を標的とし、破壊することができる。
【0148】
いくつかの実施形態では、抗原受容体はキメラ抗原受容体(CAR)である。CARは、典型的には、リーダー配列、細胞外標的化ドメイン(エクトドメインとも呼ばれ、scFvなどの抗原結合ドメイン等)、膜貫通ドメイン、及び1つ又は複数の細胞内シグナル伝達ドメインを含む核酸配列(ポリヌクレオチド)によってコードされる。いくつかの実施形態では、CARは、抗原認識ドメイン又は抗原結合、膜貫通ドメイン、及び細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞外標的化ドメイン(エクトドメイン)を含む融合タンパク質である。外部ドメイン及び膜貫通ドメインは、可撓性リンカー(スペーサーとも呼ばれる)によって連結され得る。いくつかの実施形態では、モノクローナル抗体由来の一本鎖可変断片(scFv)などの抗原結合ドメインは、標的抗原を認識する。いくつかの実施形態では、抗原結合ドメイン、例えばscFvは、スペーサーを介して膜貫通ドメインに連結又は融合されている。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)を含む。CAR融合タンパク質の活性化は、その標的のscFv(又は他の抗原結合ドメイン)による認識に応答して細胞活性化をもたらす。細胞がそのようなCARを発現する場合、それは、標的抗原を発現する標的細胞を認識し、死滅させることができる。この特性により、CAR発現細胞は、がん細胞を含むがこれに限定されない異常細胞への細胞活性の特異的標的化のための特に魅力的な薬剤となる。様々なCARが、Tリンパ球及びナチュラルキラー(NK)細胞を含む様々な免疫細胞における発現のために、腫瘍関連抗原を含む標的抗原に対して開発され、抗原を発現する標的細胞に対する細胞傷害活性を媒介しており、本明細書に開示される操作されたg-NK細胞であり得る。
【0149】
いくつかの実施形態では、リーダー配列は、本明細書に記載されるシグナルペプチド配列のいずれかであり得る。例示的なCD8αシグナルペプチドは、配列番号12に示される。例示的なGM-CSFRaシグナルペプチドを配列番号13に記載する。例示的なIgKシグナルペプチドは、配列番号14に示される。例示的なIgKシグナルペプチドは、配列番号43に示される。
【0150】
国際PCT出願PCT/US2018/024650、PCT/IB2019/000141、PCT/IB2019/000181、及び/又はPCT/US2020/020824、PCT/US2020、035752に記載されているものを含む、任意の様々なキメラ抗原受容体を、操作されたNK細胞において発現させることができる。
【0151】
いくつかの実施形態では、細胞外抗原結合ドメインは、抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、細胞外抗原結合ドメイン又は標的化ドメインは、抗体分子に由来し、CARに抗原特異性を付与する抗体分子由来の1以上の相補性決定領域(CDR)を含む。特定の実施形態では、細胞外抗原結合ドメインは、単鎖可変断片(scFv)である。いくつかの実施形態では、scFvはヒトscFvである。特定の実施形態において、scFvはヒト化scFvである。特定の実施形態では、細胞外抗原結合ドメインは、任意選択で架橋されているFabである。特定の実施形態において、細胞外結合ドメインは、F(ab’)である。特定の実施形態において、前述の分子のいずれかは、細胞外抗原結合ドメインを形成するために、異種配列との融合タンパク質に含まれていてもよい。特定の実施形態において、scFvは、抗原-Fc融合タンパク質を用いてscFvファージライブラリーをスクリーニングすることによって同定される。
【0152】
いくつかの実施形態では、scFvは、可撓性リンカーポリペプチドによって隔てられた免疫グロブリン軽鎖及び免疫グロブリン重鎖分子の可変鎖部分を含む。重鎖及び軽鎖の順序は限定されず、逆であってもよい。可撓性ポリペプチドリンカーは、重鎖及び軽鎖が互いに会合し、免疫グロブリン抗原結合ドメインを再構成することを可能にする。いくつかの実施形態では、可撓性リンカーは、配列番号56に示されるようなGSリンカーである。いくつかの実施形態では、可撓性リンカーは、配列番号55に記載されるようなWhitlowリンカーである。適切には、軽鎖可変領域は、3つのCDRを含み、重鎖可変領域は、3つのCDRを含む。好適には、抗原結合標的化ドメインにおいて使用するためのCDRは、任意の種(例えば、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ヒツジ)の抗体分子に由来し、CDR間のフレームワーク領域はヒト化されているか、又はヒトフレームワーク領域と少なくとも85%、90%、95もしくは99%同一である配列を含む。
【0153】
CARの標的化ドメインがscFvを含む場合、免疫グロブリン軽鎖及び免疫グロブリン重鎖は、様々な長さのポリペプチドリンカーによって連結される。適切には、ポリペプチドリンカーは、10アミノ酸以上の長さを含む。適切には、ポリペプチドリンカーは、10、15、20、又は25アミノ酸を超える長さを含む。適切には、ポリペプチドリンカーは、30アミノ酸以下の長さを含む。適切には、ポリペプチドリンカーは、15、20、25、又は30アミノ酸未満の長さを含む。適切には、ポリペプチドリンカーは、10~30アミノ酸長を含む。適切には、ポリペプチドリンカーは、10~25アミノ酸長を含む。適切には、ポリペプチドリンカーは、10~20アミノ酸長を含む。適切には、ポリペプチドリンカーは、10~15アミノ酸長を含む。適切には、ポリペプチドリンカーは、15~30アミノ酸長を含む。適切には、ポリペプチドリンカーは、20~30アミノ酸長を含む。適切には、ポリペプチドリンカーは、25~30アミノ酸長を含む。適切には、ポリペプチドリンカーは親水性アミノ酸を含む。適切には、ポリペプチドリンカーは親水性アミノ酸からなる。適切には、ポリペプチドリンカーはGS配列(GGGGS)を含む。GSリンカーは、リンカーの可撓性及びプロテアーゼ耐性を可能にする。適切には、GSリンカーは、ポリペプチドリンカーにおいて1、2、3、4、5、6、7、又は8回連続して反復される。
【0154】
いくつかの実施形態では、抗原は、腫瘍抗原である。特定の実施形態では、抗原は、例えば、ウイルス抗原又は細菌抗原を含む病原体抗原である。
【0155】
抗原標的化CARの細胞外抗原結合ドメイン(例えば、scFv又はその類似体)の結合は、例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、FACS分析、バイオアッセイ(例えば、増殖阻害)、又はウェスタンブロットアッセイによって確認することができる。これらのアッセイの各々は、一般に、目的の複合体に特異的な標識試薬(例えば、抗体又はscFv)を使用することによって、特定の目的のタンパク質抗体複合体の存在を検出する。例えば、scFvは、放射性標識され得、そしてラジオイムノアッセイ(RIA)において使用され得る(例えば、Weintraub,B.,Principles of Radioimmunoassays,Seventh Training Course on Radioligand Assay Techniques,The Endocrine Society,March 1986 (この内容は、参照により本明細書に組み込まれる)を参照)。放射性同位体は、ガンマカウンターもしくはシンチレーションカウンターの使用などの手段によって、又はオートラジオグラフィーによって検出することができる。特定の実施形態では、CARの細胞外抗原結合ドメインは、蛍光マーカーで標識される。蛍光マーカーの非限定的な例としては、緑色蛍光タンパク質(GFP)、青色蛍光タンパク(例えば、EBFP、EBFP2、藍銅鉱、及びmKalamal)、シアン蛍光タンパク(例えば、ECFP、セルリアン、及びCyPet)、及び黄色蛍光タンパク(例えば、YFP、シトリン、ビーナス、及びYPet)が挙げられる。
【0156】
特定の実施形態において、抗原認識受容体は、腫瘍関連抗原又は腫瘍特異的抗原に結合する。任意の適切な腫瘍関連抗原又は腫瘍特異的抗原(例えば、抗原性ペプチド)が、本明細書に記載される実施形態において使用され得る。抗原は、タンパク質、非タンパク質、ネオ抗原、翻訳後改変抗原、ペプチドMHC抗原、及び/又は過剰発現抗原であり得るが、これらに限定されない。
【0157】
例えば、腫瘍標的としては、CD38(多発性骨髄腫)、CD20(リンパ腫)、上皮成長因子受容体(EGFR;非小細胞肺がん、上皮がん、及び神経膠腫)、上皮成長因子受容体(EGFRvIII;神経膠芽腫)のバリアントIII、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2;卵巣がん、乳がん、膠芽腫、結腸がん、骨肉腫、及び髄芽腫)、メソテリン(中皮腫、卵巣がん、及び膵臓腺がん)、前立腺特異的膜抗原(PSMA;前立腺がん)、がん胎児性抗原(CEA;膵臓腺がん、乳がん、及び結腸直腸がん)、ジシアロガングリオシド 2(GD2;神経芽細胞腫及び黒色腫)、インターロイキン-13 Rα2(神経膠腫)、グリピカン-3(肝細胞がん)、炭酸脱水酵素IX(CAIX;腎細胞がん)、L1細胞接着分子(L1-CAM;神経芽細胞腫、黒色腫及び卵巣腺がん)、がん抗原125(CA 125;上皮性卵巣がん)、CD133(膠芽腫及び胆管がん)、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP;悪性胸膜中皮腫)、がん/精巣抗原1B(CTAG1B;黒色腫及び卵巣がん)、ムチン1(精嚢がん)、葉酸受容体-a(FR-a;卵巣がん)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0158】
腫瘍抗原の更なる非限定的な例としては、限定されないが、腫瘍抗原の非限定的な例としては、カルボニックアンヒドラーゼIX(CAIX)、がん胎児性抗原(CEA)、CD8、CD7、CD10、CD19、CD20、CD22、CD30、CD33、CLL1、CD34、CD38、CD41、CD44、CD49c、CD49f、CD56、CD66c、CD73、CD74、CD104、CD133、CD138、CD123、CD142、CD44V6、サイトメガロウイルス(CMV)感染細胞の抗原(例えば、細胞表面抗原)、皮膚リンパ球関連抗原(CLA;P-セレクチングリコプロテインリガンド-1(PSGL-1))、上皮グリコプロテイン-2(EGP-2)、上皮グリコプロテイン-40(EGP-40)、上皮細胞接着因子(EpCAM)、受容体チロシン-プロテインキナーゼerb-B2,3,4(erb-B2,3,4)、葉酸結合プロテイン(EBP)、胎児アセチルコリン受容体(AChR)、葉酸受容体α、ガングリオシドG2(GD2)、ガングリオシドG3(GD3)、ヒト上皮増殖因子受容体2(HER2)、ヒトテロメラーゼリバーストランスクリプターゼ(hTERT)、インターロイキン-13受容体サブユニットα-2(IL-13 Rα2)、κ-軽鎖、キナーゼ挿入ドメイン受容体(KDR)、ルイスY(LeY)、LI細胞接着分子(L1CAM)、黒色腫抗原ファミリーA、1(MAGE-A1)、ムチン16(MUC16)、ムチン1(MUC1)、メソテリン(MSLN)、ERBB2、MAGE A3、p53、マルティ、GP100、プロテイナーゼ3(PR1)、チロシナーゼ、サバイビン、hTERT、EphA2、NKG2Dリガンド、がん-睾丸抗原NY-ESO-1、がん胎児抗原(h5T4)、前立腺がん細胞抗原(PSCA)、前立腺がん特異的膜抗原(PSMA)、ROR1、テトラスパニン8(TSPAN8)、腫瘍関連グリコプロテイン72(TAG-72)、血管内皮増殖因子R2(VEGF-R2)、ウイルムス腫瘍タンパク(WT-1)、サイトカイン受容体様因子2(CRLF2)、BCMA、GPC3、NKCS1、EGF1R、EGFR-VIII、及びERBBの特殊なグリコフォーム)が含まれる。
【0159】
いくつかの実施形態では、腫瘍抗原は、CD19、ROR1、Her2、PSMA、PSCA、メソテリン(MSLN)、又はCD20である。いくつかの実施形態では、腫瘍抗原は、白血病又はリンパ腫上で発現されるCD19、CD20、CD33、MSLN、又はサイトカイン受容体様因子2(CRLF2)である。いくつかの実施形態では、CARは、Her2、EGFR、アルファ葉酸受容体、CEA、cMet、MUC2、メソテリン、又はROR1から選択される標的抗原に結合する。特定の実施形態では、標的抗原は、CD38、CD319/SLAMF-7、TNFRSF 17/BCMA、SYND1/CD138、CD229、CD47、Her2/Neu、上皮成長因子受容体(EGFR)、CD123/IL3-RA、CD19、CD20、CD22、メソテリン、EpCAM、MUC1、MUC 16、Tn抗原、NEU5GC、NeuGcGM3、GD2、CLL-1、又はHERV-Kである。いくつかの実施形態では、標的抗原は血液がん関連抗原である。例えば、標的抗原は、CD38、CD319/SLAMF-7、TNFRSF 17/BCMA、SYND1/CD138、CD229、CD47、CD123/IL3-RA、CD19、CD20、CD22、又はCLL-1であり得る。
【0160】
CARに組み込むための様々な抗原結合ドメインが知られている。1つの非限定的な例において、g-NK細胞は、CD38特異的CARで操作される(例えば、国際公開第2018/104562号を参照)。
【0161】
いくつかの実施形態では、g-NK細胞は、二重特異性CAR又は複数の異なるCARを用いて操作され、それらの親和性は、2つの異なるリガンド/抗原に対するものである。二重特異性CAR-NKは、がん細胞上の潜在的結合部位の数を増加させるために、あるいは、NK-CARに特異的なリガンドを発現する他の免疫エフェクター細胞にがん細胞を局在化させるために使用することができる。がん治療における使用のために、二重特異性CARは、標的腫瘍細胞及びエフェクター細胞、例えば、T細胞、NK細胞又はマクロファージに結合し得る。したがって、例えば、多発性骨髄腫の場合、二重特異性CARは、T細胞抗原(例えば、CD3など)及び腫瘍細胞マーカー(例えば、CD38など)に結合し得る。あるいは、二重特異性CARは、2つの別個の腫瘍細胞マーカーに結合して、標的腫瘍細胞に対するNK細胞の全体的な結合親和性を増加させ得る。これは、標的抗原の1つをダウンレギュレートすることによって、がん細胞が耐性を発達させるリスクを減少させ得る。多発性骨髄腫におけるこの場合の例は、CD38及びCS-1/SLAMF7の両方に結合するCARであろう。CARによって適切に標的化される別の腫瘍細胞マーカーは、腫瘍上の「don’t eat me」型マーカーであり、CD47によって例示される。
【0162】
いくつかの実施形態では、操作されたg-NK細胞は、同じNK細胞によって発現される二重特異性CAR又は複数のCARを含み得る。これは、NK細胞が2つの異なる抗原を同時に標的化することを可能にする。好適には、二重特異性CARは、以下の抗原:CD38、CD319/SLAMF-7、TNFRSF 17/BCMA、CD123/IL3-RA、SYND1/CD138、CD229、CD47、Her2/Neu、上皮成長因子受容体(EGFR)、CD19、CD20、CD22、メソテリン、EpCAM、MUC1、MUC16、Tn抗原、NEU5GC、NeuGcGM3、GD2、CLL-1、CD123、HERV-Kのうちのいずれか2つに対する特異性を有する。好適には、CAR NK細胞の二重特異性の性質は、腫瘍抗原及び別の免疫細胞、例えばT細胞又は樹状細胞への結合を可能にし得る。好適には、CAR NK細胞の二重特異性の性質は、PDL-1又はCD47などのチェックポイント阻害剤への結合を可能にし得る。好適には、第1のCARはCD38特異性を有し、第2のCARは、SLAMF-7、BCMA、CD138、CD229、PDL-1、又はCD47のいずれか1つに対する特異性を有する。好適には、第1のCARは、CD38に対する特異性を有し、第2のCARは、SLAMF-7、BCMA、CD138、CD229に対する特異性を有する。好適には、第1のCARはCD38に対する特異性を有し、第2のCARはSLAMF-7に対する特異性を有する。好適には、第1のCARはCD38に対する特異性を有し、第2のCARはBCMAに対する特異性を有する。好適には、第1のCARは、CD38に対する特異性を有し、第2のCARは、CD138に対する特異性を有する。好適には、第1のCARはCD38に対する特異性を有し、第2のCARはCD229に対する特異性を有する。
【0163】
いくつかの実施形態では、CARの膜貫通ドメインは、疎水性アミノ酸残基を含み、CARが操作されたNK細胞の細胞膜に固定されることを可能にする。好適には、膜貫通ドメインは、膜貫通タンパク質に由来するアミノ酸配列を含む。適切には、膜貫通ドメインは、T細胞受容体のアルファ、ベータ、又はゼータ鎖、CD27、CD28、CD3イプシロン、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、及びCD154の膜貫通ドメインに由来するアミノ酸配列を含む。好適には、CARは、CD8の膜貫通ドメインに由来するアミノ酸配列を有する膜貫通を含む。好適には、CARは、ヒトCD8αの膜貫通ドメインに由来するアミノ酸配列を有する膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CARは、配列番号61に記載のアミノ酸の配列又は配列番号61に対して少なくとも85%、90%又は95%配列同一性を示すアミノ酸の配列を有するCD8αの膜貫通ドメインを含有する。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは配列番号61に示されている。いくつかの実施形態では、好適には、CARは、CD28の膜貫通ドメインに由来するアミノ酸配列を有する膜貫通を含む。好適には、CARは、ヒトCD28の膜貫通ドメインに由来するアミノ酸配列を有する膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CARは、配列番号39に記載のアミノ酸配列又は配列番号39に対して少なくとも85%、90%又は95%配列同一性を示すアミノ酸配列を有するCD28の膜貫通ドメインを含有する。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは配列番号39に示されている。
【0164】
いくつかの実施形態では、CARは、抗原結合標的化ドメインと膜貫通ドメインとの間に位置するスペーサー領域も含むことができる。いくつかの実施形態では、スペーサー領域は親水性アミノ酸を含み、細胞表面に対する標的化ドメインの可撓性を可能にする。好適には、スペーサー領域は、5、10、15、20、25、又は30個を超えるアミノ酸を含む。適切には、スペーサー領域は、10、15、20、25、30、又は35未満のアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、スペーサー領域はヒンジ領域であり、CD8又は免疫グロブリン分子のヒンジ配列を含む。
【0165】
いくつかの実施形態では、スペーサー領域は、CD8ヒンジであるか、又はそれを含む。いくつかの実施形態では、スペーサーはヒトCD8のヒンジ領域である。いくつかの実施形態では、CARは、配列番号60に示されるアミノ酸配列、又は配列番号60に対して少なくとも85%、90%もしくは95%の配列同一性を示すアミノ酸配列を有するCD8ヒンジスペーサー配列を含む。いくつかの実施形態では、スペーサーの配列は配列番号60に記載されている。
【0166】
いくつかの実施形態では、スペーサー領域は、IgG1 Fc又はIgG4 Fcのヒンジドメインを含有する全部又は一部を含む。いくつかの実施形態では、スペーサーはIgG4 Fcスペーサーである。いくつかの実施形態では、CARは、配列番号38に示されるアミノ酸配列、又は配列番号38に対して少なくとも85%、90%もしくは95%の配列同一性を示すアミノ酸配列を有するIgG4 Fcスペーサーを含有する。いくつかの実施形態では、スペーサーの配列は配列番号38に記載されている。いくつかの実施形態では、スペーサーの配列は、IgG1 Fc又はIgG4 Fcのヒンジ部分である。いくつかの実施形態では、CARは、IgG4ヒンジスペーサーを含有する。いくつかの実施形態では、IgG4ヒンジスペーサーは、配列番号59に示されるアミノ酸の配列、又は配列番号59に対して少なくとも85%、90%もしくは95%の配列同一性を示すアミノ酸の配列を有する。いくつかの実施形態では、スペーサーの配列は配列番号59に示されている。
【0167】
いくつかの実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、CARの効力を増加させ、免疫細胞シグナル伝達に関与するタンパク質に由来する細胞内シグナル伝達ドメインを含む。好適には、1つ以上の細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ゼータ、CD28、OX-40、4-1 BB、DAP10、DAP 12、2B4(CD244)、又はそれらの任意の組み合わせに由来する細胞内シグナル伝達ドメインを含む。好適には、1つ以上の細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ゼータ、CD28、OX-40、4-lBB、DAP10、DAP 12、2B4(CD244)、又はそれらの任意の組み合わせのうちのいずれか2つに由来する細胞内シグナル伝達ドメインを含む。
【0168】
いくつかの実施形態では、CARのエンドドメインは、更に2つのシグナル伝達ドメインを含み得る。例えば、CARは、CD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメインなどの一次細胞内シグナル伝達ドメイン、及びCAR発現免疫細胞の効力を更に増強するためなど、細胞に更なるシグナルを提供するための共刺激分子由来の細胞内シグナル伝達ドメインを含み得る。したがって、いくつかの実施形態では、キメラ抗原受容体(CAR)は、1)抗原結合ドメイン、2)可撓性リンカー、3)膜貫通領域、ならびに4)CD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメインなどの第1の一次細胞内シグナル伝達ドメイン及び第2の共刺激細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達領域を含む。いくつかの実施形態では、同時刺激ドメインは、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、0X40(CD134)、CD30、CD40、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、及び/又はB7-H3同時刺激ドメインであり得る。いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、0X40(CD134)、DAP10、DAP12、ICOS、及び/又は2B4であり得る。いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、CD27、CD28、4-1BB、2B4、DAP10、DAP12、0X40、CD30、CD40、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、及び/又はB7-H3共刺激ドメインであり得る。いくつかの実施形態では、共刺激シグナル伝達ドメインはCD28のシグナル伝達ドメインである。いくつかの実施形態では、共刺激シグナル伝達ドメインは、4-1BBのシグナル伝達ドメインである。
【0169】
いくつかの実施形態では、CARは、配列番号41に記載のアミノ酸配列又は配列番号41に対して少なくとも85%、90%又は95%配列同一性を示すアミノ酸配列を有するCD3ゼータのシグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CARは、配列番号41に記載のアミノ酸配列を有するCD3ゼータのシグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CARは、配列番号50に示すアミノ酸配列又は配列番号50に対して少なくとも85%、90%又は95%配列同一性を示すアミノ酸配列を有するCD3ゼータのシグナル伝達ドメインを含有する細胞内シグナル伝達ドメインを含有する。いくつかの実施形態では、CARは、配列番号50に記載のアミノ酸配列を有するCD3ゼータのシグナル伝達ドメインを含有する細胞内シグナル伝達ドメインを含有する。
【0170】
いくつかの実施形態では、CARは、配列番号40に示すアミノ酸配列又は配列番号40に対して少なくとも85%、90%又は95%配列同一性を示すアミノ酸配列を有するCD28の共刺激シグナル伝達ドメインを含有する細胞内シグナル伝達ドメインを含有する。いくつかの実施形態では、CARは、配列番号40に記載のアミノ酸配列を有するCD28の共刺激シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CARは、配列番号52に示すアミノ酸配列又は配列番号52に対して少なくとも85%、90%又は95%配列同一性を示すアミノ酸配列を有するCD28の共刺激シグナル伝達ドメインを含有する細胞内シグナル伝達ドメインを含有する。いくつかの実施形態では、CARは、配列番号52に記載のアミノ酸配列を有するCD28の共刺激シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインを含む。
【0171】
いくつかの実施形態では、CARは、配列番号51に記載のアミノ酸配列又は配列番号51に対して少なくとも85%、90%又は95%配列同一性を示すアミノ酸配列を有する4-1BBの共刺激シグナル伝達ドメインを含有する細胞内シグナル伝達ドメインを含有する。いくつかの実施形態では、CARは、配列番号51に記載のアミノ酸配列を有する4-1BBの共刺激シグナル伝達ドメインを含有する細胞内シグナル伝達ドメインを含有する。
【0172】
いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ゼータ、CD28及び/又は4-1BBのドメインであり得る。
【0173】
好適には、CARは、CD3ゼータ及び4-1 BBに由来する少なくとも2つの細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CARは、配列番号41及び配列番号51に記載の配列を含む細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CARは、配列番号50及び配列番号51に記載の配列を含む細胞内シグナル伝達ドメインを含む。
【0174】
他の実施形態において、好適には、CARは、CD3ゼータ及びCD28に由来する少なくとも2つの細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CARは、配列番号41及び配列番号40に記載の配列を含む細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CARは、配列番号41及び配列番号52に記載の配列を含む細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CARは、配列番号50及び配列番号40に記載の配列を含む細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CARは、配列番号50及び配列番号52に記載の配列を含む細胞内シグナル伝達ドメインを含む。
【0175】
いくつかの実施形態では、抗原受容体(例えば、CAR)は、NH末端リーダー配列を有するCARをコードするポリヌクレオチドによってコードされる。リーダー配列(シグナルペプチドとしても知られている)は、発現されたCAR構築物が小胞体(ER)に入り、細胞表面を標的とすることを可能にする。リーダー配列はERにおいて切断され、成熟細胞表面CARはリーダー配列を有さない。一般に、リーダー配列の長さは5~30アミノ酸の範囲であり、疎水性アミノ酸のストレッチを含む。適切には、リーダー配列は、長さが5、10、15、20、又は25以上のアミノ酸長さを含む。適切には、リーダー配列は、10、15、20、25、又は30アミノ酸長未満を含む。適切には、リーダー配列は、任意の分泌タンパク質に由来する配列を含む。適切には、リーダー配列は、CD8αリーダー配列に由来する配列を含む。いくつかの実施形態では、好適には、リーダー配列は、IgKリーダー配列に由来する配列を含む。いくつかの実施形態では、リーダー配列は、配列番号43に記載されている。
【0176】
いくつかの実施形態では、CARは、様々な公知の操作された細胞産物のいずれかに存在するCARである。CARは、限定されないが、ABECMA登録商標、JCARH125CARVYKTI TM(NJ-68284528;Janssen/Legend)、P-BCMA-101(Poseida)、PBCAR269A(Poseida)、P-BCMAAllo1(Poseida)、Allo-715(Pfizer/Allogene)、CT053(Carsgen)、デカルト-08(デカルト)、PHE885(Novartis)、CTX120(CRISPR Therapeutics)、YESCARTA登録商標、KYMRIAH登録商標、TECARTUS登録商標、又はBREYANZI登録商標の細胞内に操作されたCARを含み得る。
【0177】
いくつかの実施形態では、CARは、市販のCAR細胞療法のCARを含む。市販のイデカビタゲンベースの療法におけるCARの非限定的な例としては、ブレクスカブタゲンオートロイセル(TECARTUS(登録商標))、アキシカブタゲンシロロイセル(YESCARTA(登録商標))、イデカビタゲン・ビクルーセル(ABECMA(登録商標))、シルタカブタゲンオートロイセル(CARVYKTI(商標))、リソカブタゲンマラロイセル(BREYANZI(登録商標))、チサゲナレキュセル(KYMRIAH(登録商標))の細胞において操作されたCARが挙げられる。
【0178】
いくつかの実施形態では、g-NK細胞は、CD19に結合するCARで操作される。分化クラスター19(CD19)は、白血病前駆細胞上で検出可能な抗原決定基である。例えば、ヒトCD19のアミノ酸配列は、UniProt/Swiss-Prot受託番号P15391として見出すことができ、ヒトCD19をコードするヌクレオチド配列は、受託番号NM_001178098で見出すことができる。CD19は、例えば、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病及び非ホジキンリンパ腫を含むほとんどのB系統がん上で発現される。それはまた、B細胞前駆体の初期マーカーでもある。例えば、Nicholson et al.Mol.Immun.34(16-17):1157-1165(1997)を参照。本明細書に開示されるCARポリペプチドにおける抗原結合細胞外ドメインは、CD19(例えば、ヒトCD19)に特異的である。いくつかの例では、抗原結合細胞外ドメインは、CD19に結合することができるscFv細胞外ドメインを含み得る。いくつかの実施形態では、抗CD19 CARは、CD19に特異的な抗CD19一本鎖可変断片(scFv)、続いて、細胞内共シグナル伝達ドメイン(例えば、CD28又は4-1BB)及びCD3ゼータシグナル伝達ドメインに融合したスペーサー及び膜貫通ドメインを含み得る。
【0179】
いくつかの実施形態では、CD19 CARの細胞外結合ドメインは、配列番号54に記載の重鎖可変領域(V)及び配列番号53に記載の軽鎖可変領域(V)を含み得る。いくつかの実施形態では、scFvにおいてVHとVLとを隔てるリンカーは、配列番号56に示されるようなGSリンカーである。いくつかの実施形態では、scFvにおいてVHとVLとを隔てるリンカーは、配列番号55に記載のWhitlowリンカーである。いくつかの実施形態では、scFvは、配列番号57に示されるアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、scFvは、配列番号58に示されるアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、スペーサーは、配列番号60に記載されるようなCD8ヒンジである。いくつかの実施形態では、スペーサーは、配列番号59に示されるようなIgG4ヒンジである。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、4-1BB共刺激シグナル伝達ドメイン及びCD3ゼータシグナル伝達ドメイン、例えば、本明細書に記載するいずれかを含有する。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD28共刺激シグナル伝達ドメイン及びCD3ゼータシグナル伝達ドメイン、例えば、本明細書に記載するいずれかを含有する。いくつかの実施形態では、CARは、上記又は記載の配列番号のいずれかに対していくつかの配列変異、例えば、それに対して少なくとも85%、90%、95%又はそれ以上の配列同一性を示し、かつCD19への結合ならびに細胞内シグナル伝達及び細胞傷害活性を保持する任意の配列を含むことが理解される。
【0180】
いくつかの実施形態では、CARは、市販のCAR細胞療法の抗CD19 CARを含む。市販の細胞ベースの治療における抗Cd19 CARの非限定的な例としては、YESCARTA登録商標、KYMRIAH登録商標、TECARTUS登録商標、又はBREYANZIの細胞において操作された抗Cd19 CARが挙げられる。
【0181】
CD20は、B-NHLなどの造血性悪性腫瘍に対する証明された治療標的であり、承認され広く使用されているモノクローナル抗体療法によって支持されている。更に、悪性B細胞上のCD19、CD20及びCD22抗原の普遍的な存在は、それらを細胞療法のための完全な標的にする。いくつかの実施形態では、CARは、CD20に結合する細胞外抗原結合ドメインを含有する。特定の実施形態において、CD20 CARは、CD20に向けられたCARを含み、ここで、CD20に向けられたCARは、単鎖Fv抗体又は抗体フラグメント(scFv)を含む。いくつかの実施形態では、抗CD20 CARは、CD20に特異的な抗CD20一本鎖可変断片(scFv)、続いて、細胞内共シグナル伝達ドメイン(例えば、CD28又は4-1BB)及びCD3ゼータシグナル伝達ドメインに融合したスペーサー及び膜貫通ドメインを含み得る。いくつかの実施形態では、CARは、抗CD20 scFv、続いてIgG4-Fcスペーサー、CD28膜貫通ドメイン、4-1BB共刺激ドメイン及びCD3ゼータシグナル伝達ドメインを含有する。いくつかの実施形態では、CARは、Rufener et al.,Cancer Immunol.Res.2016 4:509-519に記載されている Leu16 CARである。GenBank受託番号KX055828も参照)。
【0182】
いくつかの実施形態では、CD20 CARの細胞外結合ドメインは、配列番号36に示される重鎖可変領域(V)及び配列番号35に示される軽鎖可変領域(V)を含み得る。いくつかの実施形態では、scFvにおいてVHとVLとを隔てるリンカーは、配列番号56に示されるようなGSリンカーである。いくつかの実施形態では、scFvにおいてVHとVLとを隔てるリンカーは、配列番号55に記載のWhitlowリンカーである。いくつかの実施形態では、抗CD20 scFvは、配列番号37に記載されている。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、4-1BB共刺激シグナル伝達ドメイン及びCD3ゼータシグナル伝達ドメイン、例えば、本明細書に記載するいずれかを含有する。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD28共刺激シグナル伝達ドメイン及びCD3ゼータシグナル伝達ドメイン、例えば、本明細書に記載するいずれかを含有する。いくつかの実施形態では、CARは、上記又は記載の配列番号のいずれかに対していくつかの配列変異、例えば、それに対して少なくとも85%、90%、95%又はそれ以上の配列同一性を示し、かつCD38への結合ならびに細胞内シグナル伝達及び細胞傷害活性を保持する任意の配列を含むことが理解される。いくつかの実施形態では、抗CD20 CARは、配列番号37に記載のscFv及びIgG4 Fcスペーサー(例えば、配列番号38)、CD28膜貫通ドメイン(例えば、配列番号39)、CD28共刺激シグナル伝達ドメイン(例えば、配列番号40)及びCD3ゼータシグナル伝達ドメイン(例えば、配列番号41)を含む。いくつかの実施形態では、CD20 CARは、配列番号42に記載のアミノ酸配列、配列番号42に番号42に対して少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%配列同一性を示す配列を有する。いくつかの実施形態では、CD20プロモータは、配列番号42に示すヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、CARは、配列番号45に示されるポリヌクレオチド(例えばmRNA)によってコードされる。
【0183】
いくつかの実施形態では、g-NK細胞は、BCMAに結合するCARで操作される。BCMA RNAは、複数の骨髄腫細胞及び他のリンパ腫において普遍的に検出されており、BCMAタンパクは、数人の研究者によって、複数の骨髄腫患者からの形質細胞の表面上で検出されている(例えば、Novak et al.,Blood,103(2):689-694,2004;Neri et al.,Clinical Cancer Neri et al.,Clinical Cancer Research,73(19):5903-5909,2007;Bellucci et al.,Blood,105(10):3945-3950,2005;及びMoreaux et al.,Blood,703(8):3148-3157,2004。BCMAを標的化するためのCARは公知であり、米国特許第10,934,363号又はWO2018/028647に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、CARは、BCMAに結合する細胞外抗原結合ドメインを含有する。特定の実施形態では、BCMA CARは、BCMAに指向されるCARを含み、BCMAに指向されるCARは、単鎖Fv抗体又は抗体フラグメント(scFv)を含む。いくつかの実施形態では、抗BCMA CARは、BCMAに特異的な抗BCMA単鎖可変断片(scFv)と、それに続く、細胞内共シグナル伝達ドメイン(例えば、CD28又は4-1BB)及びCD3ゼータシグナル伝達ドメインに融合しているスペーサー及び膜貫通ドメインとを含み得る。
【0184】
いくつかの実施形態では、BCMA CARの細胞外結合ドメインは、Carpenter et al.,Clin.Cancer Res.19(8):2048-2060(2013)に記載されているC11D5.3、マウスモノクローナル抗体由来の scFvを含む。PCT出願公開第WO2010/104949号も参照。C11D5.3由来のscFvは、C11D5.3の重鎖可変領域 (V)及び軽鎖可変領域 (V)を含むことができる。いくつかの実施形態では、VHは配列番号63に示されるアミノ酸配列を有し、VLは配列番号62に示されるアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、scFvにおいてVHとVLとを隔てるリンカーは、配列番号56に示されるようなGSリンカーである。いくつかの実施形態では、scFvにおいてVHとVLとを隔てるリンカーは、配列番号55に記載のWhitlowリンカーである。いくつかの実施形態では、scFvは、配列番号64に記載のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、4-1BB共刺激シグナル伝達ドメイン及びCD3ゼータシグナル伝達ドメイン、例えば、本明細書に記載するいずれかを含有する。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD28共刺激シグナル伝達ドメイン及びCD3ゼータシグナル伝達ドメイン、例えば、本明細書に記載するいずれかを含有する。いくつかの実施形態では、CARは、上記又は記載の配列番号のいずれかに対していくつかの配列変異、例えば、それに対して少なくとも85%、90%、95%又はそれ以上の配列同一性を示し、BCMAへの結合ならびに細胞内シグナル伝達及び細胞傷害活性を保持する任意の配列を含むことが理解される。
【0185】
いくつかの実施形態では、BCMA CARの細胞外結合ドメインは、Carpenter et al.,Clin.Cancer Res.19(8):2048-2060(2013)及びPCT出願公開第WO2010/104949号に記載されている別のマウスモノクローナル抗体、C12A3.2 に由来する scFv を含む。いくつかの実施形態では、VHは配列番号66に示されるアミノ酸配列を有し、VLは配列番号65に示されるアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、scFvにおいてVHとVLとを隔てるリンカーは、配列番号56に示されるようなGSリンカーである。いくつかの実施形態では、scFvにおいてVHとVLとを隔てるリンカーは、配列番号55に記載のWhitlowリンカーである。いくつかの実施形態では、scFvは、配列番号67に示されるアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、4-1BB共刺激シグナル伝達ドメイン及びCD3ゼータシグナル伝達ドメイン、例えば、本明細書に記載するいずれかを含有する。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD28共刺激シグナル伝達ドメイン及びCD3ゼータシグナル伝達ドメイン、例えば、本明細書に記載するいずれかを含有する。いくつかの実施形態では、CARは、上記又は記載の配列番号のいずれかに対していくつかの配列変異、例えば、それに対して少なくとも85%、90%、95%又はそれ以上の配列同一性を示し、BCMAへの結合ならびに細胞内シグナル伝達及び細胞傷害活性を保持する任意の配列を含むことが理解される。
【0186】
いくつかの実施形態では、BCMA CARの細胞外結合ドメインは、ヒトBCMAに対して高い特異性を有するマウスモノクローナル抗体を含み、Friedman et al.,Hum.Gene Ther.29(5):585-601(2018))でBB2121と称される。PCT出願公開第WO2012163805号も参照。BB2121は、抗BCMA 02 CARとしても公知である。いくつかの実施形態では、VHは配列番号68に示されるアミノ酸配列を有し、VLは配列番号69に示されるアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、scFvにおいてVHとVLとを隔てるリンカーは、配列番号56に示されるようなGSリンカーである。いくつかの実施形態では、scFvにおいてVHとVLとを隔てるリンカーは、配列番号55に記載のWhitlowリンカーである。いくつかの実施形態では、scFvは、配列番号70に示されるアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、4-1BB共刺激シグナル伝達ドメイン及びCD3ゼータシグナル伝達ドメイン、例えば、本明細書に記載するいずれかを含有する。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD28共刺激シグナル伝達ドメイン及びCD3ゼータシグナル伝達ドメイン、例えば、本明細書に記載するいずれかを含有する。いくつかの実施形態では、CARは、上記又は記載の配列番号のいずれかに対していくつかの配列変異、例えば、それに対して少なくとも85%、90%、95%又はそれ以上の配列同一性を示し、BCMAへの結合ならびに細胞内シグナル伝達及び細胞傷害活性を保持する任意の配列を含むことが理解される。
【0187】
いくつかの実施形態では、BCMA CARの細胞外結合ドメインは、BCMAの2つのエピトープに結合できる2つの重鎖の単一可変断片(VHH)を含み、Zhao et al.,J.Hematol.Oncol.11(1):141(2018)に記載されており、LCAR-B38Mとも称される。PCT出願公開番号WO2018/028647も参照。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、4-1BB共刺激シグナル伝達ドメイン及びCD3ゼータシグナル伝達ドメイン、例えば、本明細書に記載するいずれかを含有する。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD28共刺激シグナル伝達ドメイン及びCD3ゼータシグナル伝達ドメイン、例えば、本明細書に記載するいずれかを含有する。いくつかの実施形態では、CARは、上記又は記載の配列番号のいずれかに対していくつかの配列変異、例えば、それに対して少なくとも85%、90%、95%又はそれ以上の配列同一性を示し、BCMAへの結合ならびに細胞内シグナル伝達及び細胞傷害活性を保持する任意の配列を含むことが理解される。
【0188】
いくつかの実施形態では、BCMA CARの細胞外結合ドメインは、完全ヒト重鎖可変ドメイン(FHVH)を含み、Lam et al.,Nat.FHVHCommun.11(1):283(2020)に記載されており、FHVH33とも称される。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、4-1BB共刺激シグナル伝達ドメイン及びCD3ゼータシグナル伝達ドメイン、例えば、本明細書に記載するいずれかを含有する。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD28共刺激シグナル伝達ドメイン及びCD3ゼータシグナル伝達ドメイン、例えば、本明細書に記載するいずれかを含有する。いくつかの実施形態では、CARは、上記又は記載の配列番号のいずれかに対していくつかの配列変異、例えば、それに対して少なくとも85%、90%、95%又はそれ以上の配列同一性を示し、BCMAへの結合ならびに細胞内シグナル伝達及び細胞傷害活性を保持する任意の配列を含むことが理解される。
【0189】
いくつかの実施形態では、CARは、市販のCAR細胞療法の抗BCMA CARを含む。市販の細胞ベースの療法における抗BCMA CARの非限定的な例としては、イデカビタゲン・ビクルーセ(ABECMA(登録商標))又はシルタキャブタゲンオートロイセル(CARVYKTI(商標))の細胞において操作された抗BCMA CARが挙げられる。
【0190】
環状ADPリボースヒドロラーゼとしても知られているCD38(分化抗原群38)は、多くの免疫細胞(白血球)、特にCD4+、CD8+、Bリンパ球及びナチュラルキラー細胞を含むT細胞の表面上に見出される糖タンパク質である。CD38はまた、細胞接着、シグナル伝達及びカルシウムシグナル伝達において機能する。このタンパク質についての構造情報は、UniProtKB/Swiss-Protデータベースにおいて参照番号P28907で見出すことができる。ヒトにおいて、CD38タンパク質は、第4染色体上に位置するCD38遺伝子によってコードされる。CD38は、環状ADP-リボース(cADPR)のNAD+からADP-リボースへの合成及び加水分解を触媒する多機能エクトエンザイムである。これらの反応産生物は、細胞内Ca2+の調節に必須であると考えられる。また、CD38機能の喪失は、免疫応答障害及び代謝障害に関連していた(Malavasi F.,et al.(2008).「Evolution and function of the ADP ribosyl cyclase/CD38 gene family in physiology and pathology」。Physiol.Rev.88(3):841-86)。CD38タンパク質は、HIV感染、白血病、骨髄腫、固形腫瘍、II型糖尿病及び骨代謝のマーカーである。B細胞慢性リンパ性白血病における重要な予後因子としてのCD38発現。Blood 98:181-186)。いくつかの実施形態では、抗CD38 CARは、CD38に特異的な抗CD38一本鎖可変断片(scFv)、続いて、細胞内共シグナル伝達ドメイン(例えば、CD28又は4-1BB)及びCD3ゼータシグナル伝達ドメインに融合したスペーサー及び膜貫通ドメインを含み得る。
【0191】
いくつかの実施形態では、CD38 CARの細胞外結合ドメインは、配列番号46又は配列番号47に記載の重鎖可変領域(V)及び配列番号48又は配列番号49に記載の軽鎖可変領域(V)を含み得る。いくつかの実施形態では、scFvにおいてVHとVLとを隔てるリンカーは、配列番号56に示されるようなGSリンカーである。いくつかの実施形態では、scFvにおいてVHとVLとを隔てるリンカーは、配列番号55に記載のWhitlowリンカーである。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、4-1BB共刺激シグナル伝達ドメイン及びCD3ゼータシグナル伝達ドメイン、例えば、本明細書に記載するいずれかを含有する。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD28共刺激シグナル伝達ドメイン及びCD3ゼータシグナル伝達ドメイン、例えば、本明細書に記載するいずれかを含有する。いくつかの実施形態では、CARは、上記又は記載の配列番号のいずれかに対していくつかの配列変異、例えば、それに対して少なくとも85%、90%、95%又はそれ以上の配列同一性を示し、かつCD38への結合ならびに細胞内シグナル伝達及び細胞傷害活性を保持する任意の配列を含むことが理解される。
【0192】
B.免疫調節物質(サイトカインなど)
提供される実施形態では、操作されたg-NK細胞又は複数のg-NK細胞は、外因性サイトカイン、例えばインターロイキンなどの異種免疫調節物質を発現するように操作される。いくつかの実施形態では、免疫調節物質をコードする異種核酸は、g-NK細胞のゲノムに安定的に組み込まれる。他の実施形態では、免疫調節物質をコードする異種核酸は一過性に発現される。いくつかの実施形態では、免疫調節物質は免疫抑制物質である。いくつかの実施形態では、免疫調節物質は免疫活性化物質である。いくつかの実施形態では、免疫活性物質C11D5.3C11D5.3はサイトカインである。
【0193】
提供される実施形態では、操作されたNK細胞は、異種サイトカイン又はその機能的部分を発現する。提供される実施形態によれば、NK細胞は、いくつかの実施形態では、分泌形態でサイトカインを発現するように操作され、一方、いくつかの実施形態では、サイトカインは膜結合している。いくつかの実施形態では、異種サイトカイン又はその機能的部分は、細胞から分泌可能である。いくつかの実施形態では、異種サイトカイン又はその機能的部分は、細胞の表面上の膜結合タンパク質として発現される。
【0194】
サイトカインは、細胞シグナル伝達において、特に免疫系との関連で重要な役割を果たす広範なクラスのタンパク質である。サイトカインは、免疫調節物質として、自己分泌、パラ分泌、及び内分泌シグナル伝達において役割を果たすことが示されている。サイトカインは、免疫媒介性応答を刺激する免疫活性化物質として、又は免疫媒介性応答を弱める免疫抑制物質として機能し得る。サイトカインには、ケモカイン、インターフェロン、インターロイキン、リンフォンカイン、及び腫瘍壊死因子が含まれるが、一般にホルモン又は成長因子は含まれない。
【0195】
いくつかの実施形態では、サイトカインはインターロイキンである。インターロイキンは、一般に分泌タンパク質であり、広範囲の免疫応答を媒介するシグナル分子であるサイトカイン群である。例えば、インターロイキン(IL)-2は、白血球の活性の調節において役割を果たし、一方、インターロイキン(IL)-15は、自然免疫系及び適応免疫系の両方の細胞の活性を調節することによって、微生物の侵入物及び寄生生物に対する炎症性免疫応答及び防御免疫応答の発生において主要な役割を果たす。いくつかの実施形態では、提供されるg-NK細胞を含むNK細胞の1つ以上の活性は、IL-2、IL-21及び/もしくはIL-15、又は記載される別のサイトカインによって調節される。
【0196】
サイトカインはNK細胞活性に必要であるので、典型的な方法は、外因性サイトカインサポートとしてのNK細胞療法と組み合わせて対象に外因性サイトカインを投与することを含む。しかしながら、いくつかの態様では、外因性サイトカインの投与は、特に特定のサイトカインの高用量投与で起こり得るような全身毒性のリスクをもたらし得る。提供される実施形態では、分泌可能なサイトカイン又は膜結合型サイトカインでNK細胞を操作することは、全身毒性のリスクを回避又は低減しながら、NK細胞へのサイトカインの局所的供給源を提供する。
【0197】
提供される操作された細胞のいくつかの実施形態では、インターロイキン又はその機能的部分は、g-NK細胞又はg-NK細胞の集団に導入される。いくつかの実施形態では、インターロイキンは、リンパ球、単球又はマクロファージなどの免疫細胞によって産生されるサイトカインを含む。いくつかの実施形態では、サイトカインは、NK細胞の生存、活性化及び/又は増殖の促進など、NK細胞を誘導するために使用することができる免疫活性化サイトカイン(免疫活性化物質とも呼ばれる)である。例えば、IL-15又はIL-21などの特定のサイトカインは、エクスビボ又はインビボで増殖するそれらの能力を改善することなどによって、NK細胞が老化を受けるのを防止又は低減し得る。いくつかの実施形態では、インターロイキン又はその機能的部分は、IL-2、IL-4、IL-6、IL-7、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-15、IL-18、又はIL-21のうちの1つ以上の部分ペプチド又は完全ペプチドである。いくつかの実施形態では、サイトカインは、IL-2、IL-7、IL-12、IL-15、IL-18、IL-21、Flt3-L、SCF、又はIL-7である。いくつかの実施形態では、サイトカインはIL-2又はその機能的部分である。いくつかの実施形態では、サイトカインはIL-12又はその機能的部分である。いくつかの実施形態では、サイトカインはIL-15又はその機能的部分である。いくつかの実施形態では、サイトカインはIL-21又はその機能的部分である。いくつかの実施形態では、サイトカインは、サイトカインに対するそれぞれの受容体と共に導入され得る。いくつかの実施形態では、操作された細胞に異種サイトカインを操作するステップは、サイトカインシグナル伝達を可能にし、それによって、NK細胞の細胞成長、増殖、増殖及び/又はエフェクター機能を維持又は改善するが、サイトカイン毒性のリスクは低減される。いくつかの実施形態では、導入されたサイトカイン、又は場合によってはそのそれぞれのサイトカイン受容体もまた、細胞表面上に発現される。いくつかの実施形態では、サイトカインシグナル伝達は、構成的に活性化される。いくつかの実施形態では、サイトカインシグナル伝達の活性化は誘導性である。いくつかの実施形態では、サイトカインシグナル伝達の活性化は一過性又は一時的である。
【0198】
例示的な分泌型及び膜結合型(mb)サイトカインは、例えば、米国特許出願公開番号US2017/0073638、US2020/0199532、US 2021/0024959、及びPCT特許公開番号WO2015174928、WO 2019/126748、WO 2019/191495、WO2020056045、WO2021021907、WO 2021/011919、WO 2021/062281に記載されているように公知であり、これらのいずれも、提供される操作された細胞で使用できる。
【0199】
いくつかの実施形態では、サイトカインはIL-15又はその機能的部分である。IL-15は、NK細胞の活性化及び増殖を調節するサイトカインである。いくつかの場合において、IL-15及びIL-12は、類似の生物学的活性を共有する。例えば、IL-15及びIL-2は、共通の受容体サブユニットに結合し、そして同じ受容体について競合し得る。いくつかの実施形態では、IL-15は、JAKキナーゼの活性化、ならびに転写活性化因子STAT3、STAT5、及びSTAT6のリン酸化及び活性化を誘導する。いくつかの実施形態では、IL-15は、NK細胞生存の促進、NK細胞及びT細胞の活性化及び増殖の調節、ならびに造血幹細胞からのNK細胞発生の支持などの、NK細胞の1つ以上の機能的活性を促進又は調節する。いくつかの実施形態では、機能的部分は、NK細胞生存の促進、NK細胞及びT細胞の活性化及び増殖の調節、ならびに造血幹細胞からのNK細胞発生の支持などの、全長又は成熟IL-15の1つ以上の機能を保持するIL-15の一部分(例えば、全長IL-15のアミノ酸の切断された連続配列を含有する)である。IL-15の全て又は機能的部分は、膜結合ポリペプチド及び/又は分泌ポリペプチドとして発現され得る。
【0200】
当業者によって理解されるように、種々のIL-15分子の配列は、当該分野で公知である。一態様では、IL-15は野生型IL-15である。いくつかの態様では、IL-15は、哺乳動物IL-15(例えば、ヒトインターロイキン15(IL15)、転写変異体3、mRNA、NCBI参照配列:NM_000585.4;Canis lupus familiarisインターロイキン15(IL15)、mRNA、NCBI参照配列:NM_001197188.1、Felis catusインターロイキン15(IL15)、mRNA、NCBI参照配列:NM_001009207.1)。「哺乳動物」の例としては、霊長類(例えば、ヒト)、イヌ、ネコ、げっ歯類、ブタ、反芻動物などが挙げられる。具体例としては、ヒト、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、モルモット、ラット及びマウスが挙げられる。特定の実施形態では、哺乳動物IL-15はヒトIL-15である。ヒトIL-15アミノ酸配列としては、例えば、Genbank受託番号:NR_751915.1、NP_000576.1、AAI00963.1、AAI00964.1、AAI00962.1、CAA71044.1、AAH18149.1、AAB97518.1、CAA63914.1、及びCAA63913.1が挙げられる。
【0201】
いくつかの実施形態では、操作されたNK細胞は、IL-15をコードする異種ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、IL-15ヌクレオチド配列は、配列番号9に示されるか、又は配列番号9に対して少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%、又は少なくとも98%もしくは少なくとも約98%の配列同一性を有する配列である。いくつかの実施形態では、IL-15は、シグナルペプチド配列を欠き、場合によってはプロペプチド配列も欠く成熟形態で細胞によって発現される。いくつかの実施形態では、IL-15は、配列番号2に示されるアミノ酸の配列、又は配列番号2に対して少なくとも85%又は少なくとも約85%、少なくとも90%又は少なくとも約90%、少なくとも95%又は少なくとも約95%、もしくは少なくとも98%又は少なくとも約98%の配列同一性を有する配列を有する。
【0202】
いくつかの実施形態では、IL-15分子は、例えば、ヒトIL-15アミノ酸配列に対する1つ以上のアミノ酸改変、例えば置換を有する、ヒトIL-5の変異体である。いくつかの実施形態では、IL-15変異体は、例えば、US2016/0184399に記載されているように、45位、51位、52位、又は72位に突然変異を含むか、又はそれからなる。いくつかの実施形態では、IL-15変異体は、N、S又はLからD、E、A、Y又はPのうちの1つへの置換を含むか、又はそれからなる。いくつかの実施形態では、突然変異は、L45D、L45E、S51D、L52D、N72D、N72E、N72A、N72S、N72Y、又はN72P(ヒトIL-15の配列、配列番号2に関して)から選択される。
【0203】
実施形態において、IL-15分子は、IL-15変異体、例えば、1つ以上のアミノ酸置換を有するヒトIL-15ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、IL-15分子は、72位に置換、例えば、NからDへの置換を含む。一実施形態において、IL-15分子は、アミノ酸置換N72Dが含まれる配列番号2のIL-15ポリペプチドであるか、又はそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列であり、IL-15 Rα結合活性を有する。
【0204】
いくつかの実施形態では、サイトカインはIL-2又はその機能的部分である。いくつかの実施形態では、IL-2は、IL-4、IL-7、IL-9、IL-15及びIL-21も含むサイトカインファミリーのメンバーである。IL-2は、アルファ、ベータ及びガンマと呼ばれる3つの鎖からなる受容体複合体を介してシグナル伝達する。γ鎖は、サイトカイン受容体のこのファミリーの全てのメンバーによって共有される。IL-2は、IL-15と同様に、B細胞によって産生される免疫グロブリンの産生を促進し、NK細胞の分化及び増殖を誘導する。IL-2とIL-15との間の主な差異は、適応免疫応答において見出される。例えば、IL-2は、免疫記憶の発達の基礎であるため、外来病原体に対する適応免疫に必要である。一方、IL-15は、CD8メモリーT細胞の生存を支持することによって高度に特異的なT細胞応答を維持するために必要である。IL-2の全て又は機能的部分は、膜結合ポリペプチド及び/又は分泌ポリペプチドとして発現され得る。当業者によって理解されるように、種々のIL-2分子の配列は、当該分野で公知である。一態様では、IL-2は野生型IL-2である。いくつかの態様では、IL-2は哺乳動物IL-2である。いくつかの実施形態では、個体はヒトIL-2である。
【0205】
いくつかの実施形態では、操作されたNK細胞は、IL-2をコードする異種ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、IL-2は、シグナルペプチド配列を欠き、場合によってはプロペプチド配列も欠く成熟形態で細胞によって発現される。いくつかの実施形態、IL-2は、配列番号1に示されるアミノ酸の配列、又は配列番号1に対して少なくとも85%又は少なくとも約85%、少なくとも90%又は少なくとも約90%、少なくとも95%又は少なくとも約95%、もしくは少なくとも98%又は少なくとも約98%の配列同一性を有する配列を有する。
【0206】
いくつかの実施形態では、サイトカインはIL-21又はその機能的部分である。IL-21は、IL-21受容体(IL-21 R)及び共受容体、共通γ鎖(CD132)に結合する。IL-21受容体は、NK細胞、T細胞及びB細胞上で同定されており、IL-21が造血系細胞、特にリンパ系前駆細胞及びリンパ系細胞に作用することを示している。IL-21は、細胞傷害性T細胞及びNK細胞の強力なモジュレーターであることが示されている。(Parrish-Novak,et al.Nature 408:57-63,2000;Parrish-Novak,et al.J.Leuk.Bio.72:856-863,202:Collins et al.,Immunol.Res.28:131-140,2003;Brady,et al.J.Immunol.172:2048-58,2004)。マウス研究において、IL-21は、NK細胞の成熟及びエフェクター機能を増強する(Kasaian et al.,Immunity 16:559-569,2002)。
【0207】
当業者によって理解されるように、種々のIL-21分子の配列は、当該分野で公知である。一態様では、IL-21は野生型IL-21である。いくつかの態様では、IL-21は哺乳動物IL-21である。一実施形態では、IL-21配列はヒトIL-21配列である。ヒトIL-21アミノ酸配列には、例えば、Genbank受託番号:AAU88182.1、EAX05226.1、CAI94500.1、CAJ47524.1、CAL81203.1、CAN87399.1、CAS03522.1、CAV33288.1、CBE74752.1、CBI70418.1、CBI85469.1、CBI85472.1、CBL93962.1、CCA63962.1、AAG29348.1、AAH66258.1、AAH66259.1、AAH66260.1、AAH66261.1、AAH66262.1、AAH69124.1、及びABG36529.1が含まれる。
【0208】
いくつかの実施形態では、操作されたNK細胞は、IL-21をコードする異種ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、IL-21は、シグナルペプチド配列を欠き、場合によってはプロペプチド配列も欠く成熟形態で細胞によって発現される。いくつかの実施形態では、IL-21は、配列番号3に示されるアミノ酸の配列、又は配列番号3に対して少なくとも85%又は少なくとも約85%、少なくとも90%又は少なくとも約90%、少なくとも95%又は少なくとも約95%、もしくは少なくとも98%又は少なくとも約98%の配列同一性を有する配列を有する。いくつかの実施形態では、IL-21は、配列番号4に示されるアミノ酸の配列、又は配列番号4に対して少なくとも85%又は少なくとも約85%、少なくとも90%又は少なくとも約90%、少なくとも95%又は少なくとも約95%、もしくは少なくとも98%又は少なくとも約98%の配列同一性を有する配列を有する。
【0209】
サイトカイン(例えば、IL-2、IL15、又はIL-21)アミノ酸配列は、成熟サイトカインの任意の機能的部分、例えば、成熟、IL-2、成熟、IL-15、又は成熟IL-21の任意の機能的部分を含み得る。機能的部分は、機能的部分がそれぞれのインターロイキン受容体に特異的に結合するという条件で、それが一部であるインターロイキンの隣接アミノ酸を含む任意の部分であり得る。用語「機能的部分」は、インターロイキンに関して使用される場合、インターロイキンの任意の部分又は断片をいい、この部分又は断片は、それがその一部であるインターロイキン(親インターロイキン)の生物学的活性を保持する。機能的部分は、例えば、それぞれのインターロイキン受容体に特異的に結合する能力を保持し、インターロイキンの下流標的を活性化し、及び/又は免疫細胞、例えば、NK細胞の分化、増殖(又は死)及び活性の1つ以上を親インターロイキンと同様の程度まで、同じ程度まで、もしくはより高い程度まで誘導するインターロイキンの部分を包含する。インターロイキンの機能的部分の生物学的活性は、当該分野で公知のアッセイを使用して測定され得る。親インターロイキンに関して、機能的部分は、例えば、親成熟インターロイキンのアミノ酸配列の約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、又はそれ以上を含むことができる。
【0210】
提供される実施形態によるサイトカイン又は機能性部分の範囲に含まれるのは、本明細書に記載されるインターロイキンの機能性変異体である。本明細書で使用される「機能的変異体」という用語は、親インターロイキンに対して実質的又は有意な配列同一性又は類似性を有するインターロイキンを指し、この機能的変異体は、それが変異体であるインターロイキンの生物学的活性を保持する。機能的変異体は、例えば、それぞれのインターロイキン受容体に特異的に結合する能力を保持し、インターロイキンの下流標的を活性化し、及び/又は免疫細胞、例えば、NK細胞の分化、増殖(又は死)及び活性の1つ以上を親インターロイキンと同様の程度まで、同じ程度まで、もしくはより高い程度まで誘導する、本明細書に記載されるインターロイキン(親インターロイキン)の変異体を包含する。親インターロイキンに関して、機能的変異体は、例えば、アミノ酸配列において親インターロイキンと少なくとも約80%、約90%、約95%、約99%又はそれ以上同一であり得る。
【0211】
機能的変異体は、例えば、少なくとも1つの保存的アミノ酸置換を有する親インターロイキンのアミノ酸配列を含み得る。あるいは又は更に、機能的変異体は、少なくとも1つの非保存的アミノ酸置換を有する親インターロイキンのアミノ酸配列を含むことができる。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換、例えば保存的又は非保存的アミノ酸置換は、親インターロイキン配列と比較して、機能的変異体の生物学的活性を妨害又は阻害しない。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換、例えば保存的又は非保存的アミノ酸置換は、機能的変異体の生物学的活性が親インターロイキンと比較して増加するように、機能的変異体の生物学的活性を増強し得る。
【0212】
いくつかの実施形態では、インターロイキンのアミノ酸置換は、保存的アミノ酸置換である。保存的アミノ酸置換は、当技術分野において公知であり、特定の物理的及び/又は化学的特性を有する1つのアミノ酸が、同じ又は類似の化学的又は物理的特性を有する別のアミノ酸と交換されるアミノ酸置換を含む。例えば、保存的アミノ酸置換は、別の酸性/負電荷極性アミノ酸(例えば、Asp又はGlu)に置換された酸性/負電荷極性アミノ酸、非極性側鎖を有する別のアミノ酸に置換された非極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、Ala、Gly、Val、Ile、Leu、Met、Phe、Pro、Trp、Cys、Valなど)、別の塩基性/正電荷極性アミノ酸に置換された塩基性/正電荷極性アミノ酸(例えば、Lys、His、Argなど)、別の極性側鎖を有する非荷電アミノ酸に置換された極性側鎖を有する非荷電アミノ酸(例えば、Asn、Gln、Ser、Thr、Tyrなど)、別のβ分岐側鎖を有するアミノ酸に置換されたβ分岐側鎖を有するアミノ酸(例えば、Ile、Thr、及びVal)、別の芳香族側鎖を有するアミノ酸に置換された芳香族側鎖を有するアミノ酸(例えば、His、Phe、Trp、及びTyr)などであってもよい。
【0213】
いくつかの実施形態では、サイトカイン(例えば、IL-2、IL-15、IL-21又は前述のいずれかの機能的部分)の全て又は機能的部分は、様々な方法で分泌ポリペプチドとしてg-NK細胞によって発現され得る。例えば、サイトカインの全て又は機能的部分は、NK細胞内で発現され得、そしてNK細胞から分泌され得る。いくつかの実施形態では、分泌可能なサイトカインは膜貫通ドメインを含まない。
【0214】
いくつかの実施形態では、サイトカインは、操作されたg-NK細胞から分泌可能である。いくつかの実施形態では、分泌型サイトカインは構成的に発現される。他の実施形態において、分泌可能なサイトカインは一過性に発現される。いくつかの実施形態では、分泌型サイトカインは、誘導可能なプロモータである。いくつかの実施形態では、分泌型サイトカインは、IL-2又はその機能的部分である。いくつかの実施形態では、IL-2のアミノ酸配列は、配列番号1であるか、又は配列番号1を含む。いくつかの実施形態では、分泌型サイトカインは、IL-15又はその機能的部分である。いくつかの実施形態では、IL-15のアミノ酸配列は、配列番号2であるか、又はそれを含む。いくつかの実施形態では、分泌型サイトカインは、IL-21又はその機能的部分である。いくつかの実施形態では、IL-21のアミノ酸配列は、配列番号3であるか、又は配列番号3を含む。いくつかの実施形態では、g-NK細胞は、IL-2、IL-15、及びIL-21のうちの2つ以上の組み合わせなどの、2つ以上の分泌可能なサイトカインで操作される。
【0215】
インターロイキン及び他のサイトカインは、一般に分泌されるが、それらはまた、膜結合され得る。CAR融合タンパク質と共発現される場合、免疫細胞活性化サイトカイン及びCAR融合タンパク質を標的細胞に近接して濃縮することが可能である。g-NK細胞においてCAR融合タンパク質と共発現される場合、g-NK細胞は、標的化及び殺傷能力の増加を示し、したがって、魅力的かつ有効な治療剤を表す。いくつかの場合において、膜結合型サイトカインは、標的細胞、例えば、本明細書に記載されるようなg-NK細胞と組み合わせて投与されるモノクローナル抗体によって標的化される細胞接して免疫細胞活性化サイトカインを濃縮することを可能にする。
【0216】
他の実施形態では、サイトカインは膜結合型(mb)である。いくつかの実施形態では、膜結合型サイトカインは構成的に発現される。他の実施形態において、膜結合型サイトカインは一過性に発現される。いくつかの実施形態では、膜結合型サイトカインは誘導可能なプロモータ下である。いくつかの実施形態では、膜結合型サイトカインは、膜結合型IL-2(mbIL-2)である。いくつかの実施形態では、膜結合型サイトカインは、膜結合型IL-15(mbIL-15)である。いくつかの実施形態では、膜結合型サイトカインは、膜結合型IL-21(mbIL-21)である。いくつかの実施形態では、g-NK細胞は、mbIL-2、mbIL-15、及びmbIL-21のうちの2つ以上の組み合わせなど、2つ以上の膜結合型サイトカインで操作される。膜結合型サイトカインは、本明細書に記載される任意のものなどの膜結合形態でフォーマットされたインターロイキンサイトカイン(例えば、IL-2、IL-15又はIL-21)の任意のフォーマットを含み得る。
【0217】
いくつかの実施形態では、サイトカイン(例えば、IL-2、IL-15、IL-21、又は前述のいずれかの機能的部分)の全て又は機能的部分は、g-NK細胞によって膜結合型サイトカインとして様々な方法で発現され得る。いくつかの実施形態では、サイトカイン又はその機能的部分は、当技術分野で公知の様々なリンカーのいずれかを使用して、g-NK細胞の表面(例えば、NK細胞の表面又は膜内)に直接又は間接的に(例えば、イオン性、非イオン性、共有結合)連結(例えば、コンジュゲート又は融合)することができる(Hermanson,G.,Bioconjugate Techniques,Academic Press 1996)。いくつかの態様において、サイトカインの全て又は機能的部分は、膜貫通タンパク質の全て又は一部に連結される。一態様では、NK細胞は、膜貫通タンパク質の全部又は一部に融合したサイトカインの全部又は一部を含む融合タンパク質を発現する。いくつかの実施形態では、リンカーはは、ペプチドリンカー、例えば、可撓性リンカーであり得る。いくつかの実施形態では、可撓性リンカーは、主にグリシン及びセリン残基を含む。例えば、可撓性リンカーは、G4S及びG3Sの一方又は両方の1つ以上の反復(例えば、G4S及びG3Sの約3~約15又は約5~約12の反復)を含み得る。いくつかの実施形態では、リンカーは、フューリン切断可能配列などの切断可能リンカーである。例示的なフューリン切断配列は、Duckert et al.,Protein Engineering,Design&Selection,17(1):107-112(2004)及び米国特許第8,871,906号に記載されており、これらはそれぞれ参照により本明細書に組み込まれる。
【0218】
特定の態様では、膜貫通タンパク質の部分は、膜貫通タンパク質の膜貫通ドメインの全て又は一部を含む。いくつかの実施形態では、膜貫通タンパク質は、生体膜(例えば、細胞膜などの生体膜)のリン脂質二重層などの膜に、及び/又は膜内に位置する任意のタンパク質であってもよい。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、膜内に通常存在する膜貫通タンパク質のドメイン、特にチャネル及び孔を形成するドメインである。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、膜(例えば、細胞などの小胞の膜)中で熱力学的に安定である三次元タンパク質構造である。膜貫通ドメインの例としては、単一のαヘリックス、いくつかの膜貫通αヘリックスの安定な複合体、膜貫通βバレル、グラミシジンAのβヘリックス、又は任意の他の構造が挙げられる。膜貫通ヘリックスは通常、約20アミノ酸長である。
【0219】
膜貫通タンパク質の例としては、受容体、リガンド、免疫グロブリン、グリコホリン、又はそれらの組み合わせが挙げられる。膜貫通タンパク質の具体例としては、CD8α、CD4、CD3ε、CD3γ、CD3δ、CD3ζ、CD28、CD137、FcεRIγ、T細胞受容体(TCRα及び/又はTCRβなどのTCR)、ニコチン性アセチルコリン受容体、GABA受容体、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。免疫グロブリンの具体例としては、IgG、IgA、IgM、IgE、IgD又はそれらの組み合わせが挙げられる。グリコホリンの具体例としては、グリコホリンA、グリコホリンD又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0220】
いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインはCD28膜貫通ドメインである。CD28膜貫通ドメインの例示的な配列は、配列番号10に記載される。
IEVMYPPPYLDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKPFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVR (配列番号10)
【0221】
いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインはCD8膜貫通ドメインである。CD8膜貫通ドメインの例示的な配列は、配列番号11に記載される。
TTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYC (配列番号11)
【0222】
いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインはCD4膜貫通ドメインである。CD4膜貫通ドメインの例示的な配列は、配列番号15に記載される。
MALIVLGGVAGLLLFIGLGIFF(配列番号15)
【0223】
いくつかの実施形態では、サイトカイン(例えば、IL-2、IL-15、IL-21、又は前述のいずれかの機能的部分)の全て又は機能的部分は、シグナルペプチド、リーダー配列、分泌シグナル、標識(例えば、レポーター遺伝子)、又はそれらの任意の組み合わせなどの他の成分に連結され得る。
【0224】
いくつかの実施形態では、サイトカイン(例えば、IL-2、IL-15、IL-21、又は前述のいずれかの機能的部分)の全て又は機能的部分をコードする核酸配列は、異種タンパク質由来のシグナルペプチドをコードする核酸配列で置換される。異種タンパク質は、例えば、CD8α、CD28、組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)、成長ホルモン、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、GM-CSF受容体(GM-CSFRa)、又は免疫グロブリン(例えば、IgE又はIgK)であり得る。
【0225】
いくつかの実施形態では、サイトカイン(例えば、IL-2、IL-15、IL-21又は前述のいずれかの機能的部分)の全て又は機能的部分は、CD8αのシグナルペプチドに融合される。例示的なCD8αシグナルペプチドは、配列番号12に示される。いくつかの実施形態では、サイトカイン(例えば、IL-15もしくはその機能的部分、IL-2もしくはその機能的部分、又はIL-21もしくはその機能的部分)の全て又は機能的部分は、GM-CSFRαのシグナルペプチド(配列番号13)に融合される。例示的なGM-CSFRaシグナルペプチドを配列番号13に記載する。例示的なIgKシグナルペプチドは、配列番号14に示される。例示的なIgKシグナルペプチドは、配列番号43に示される。
【0226】
いくつかの実施形態では、サイトカイン(例えば、IL-2、IL-15、IL-21又は前述のいずれかの機能的部分)の全て又は機能的部分は、CD8αのシグナルペプチド及びCD8αの膜貫通ドメインの全て又は一部に融合される。いくつかの実施形態では、異種サイトカインは、配列番号7に示される膜結合型IL-15、又は配列番号7に対して少なくとも85%又は少なくとも約85%、少なくとも90%又は少なくとも約90%、少なくとも95%又は少なくとも約95%、もしくは少なくとも98%又は少なくとも約98%の配列同一性を有する配列である。いくつかの実施形態では、異種サイトカインは、配列番号8に示される膜結合型IL-15、又は配列番号8に対して少なくとも85%又は少なくとも約85%、少なくとも90%又は少なくとも約90%、少なくとも95%又は少なくとも約95%、もしくは少なくとも98%又は少なくとも約98%の配列同一性を有する配列である。
【0227】
いくつかの実施形態では、サイトカイン(例えば、IL-2、IL-15、IL-21又は前述のいずれかの機能的部分)の全て又は機能的部分は、免疫グロブリンのFc領域に融合されて、二価サイトカインを産生する。いくつかの実施形態では、サイトカイン-Fc融合タンパク質は、膜結合型サイトカインとして発現させるために膜貫通ドメインに更に連結されていてもよい。
【0228】
いくつかの実施形態では、異種サイトカインは、配列番号5に示される膜結合型IL-15、又は配列番号5に対して少なくとも85%又は少なくとも約85%、少なくとも90%又は少なくとも約90%、少なくとも95%又は少なくとも約95%、もしくは少なくとも98%又は少なくとも約98%の配列同一性を有する配列である。
【0229】
いくつかの実施形態では、異種サイトカインは、配列番号6に示される膜結合型IL-21、又は配列番号6に対して少なくとも85%又は少なくとも約85%、少なくとも90%又は少なくとも約90%、少なくとも95%又は少なくとも約95%、もしくは少なくとも98%又は少なくとも約98%の配列同一性を有する配列である。
【0230】
いくつかの実施形態では、IL-15は、IL-15受容体アルファ(IL15RA)と共に細胞内に操作される。IL15RAは、非常に高い親和性でIL-15に特異的に結合し、他のサブユニットから独立してIL-15に結合することができる。いくつかの態様では、この特性は、IL-15が1つの細胞によって産生され、別の細胞によってエンドサイトーシスされ、次いで第3の細胞に提示されることを可能にする。いくつかの実施形態では、g-NK細胞は、異種(例えば、外因性)IL-15/IL-15Raを発現する。いくつかの実施形態では、g-NK細胞は、IL-15/IL-15R融合タンパク質で操作される。いくつかの実施形態では、g-NK細胞は、単鎖IL-15/IL-15R融合タンパク質で操作される。いくつかの実施形態では、IL-15/IL-15Raは、膜結合型IL-15.IL15Ra複合体として発現される(例えば、Imamura et al.,Blood,2014 124(7):108及びHurton LV et al..,PNAS,2016)。いくつかの実施形態では、外因性IL-15/IL-15Raは分泌可能であり、可溶性IL15Ra.IL15複合体として発現される(例えば、Mortier E et al.,JBC 2006;Bessard A,Mol.Cancer Ther.,2009、及びDesbois M,J.Immunol.,2016)。いくつかの実施形態では、提供される操作されたg-NK細胞は、膜結合型IL15/IL15Rα複合体及び可溶性(分泌可能)IL15Rα/IL15複合体を発現する。いくつかの実施形態では、操作されたg-NK細胞は、切断可能なリンカーを有するIL15.IL15Rα複合体の膜結合形態を発現する。
【0231】
C.ポリヌクレオチド
いくつかの実施形態では、提供されるキメラ抗原受容体のいずれかを含む、キメラ抗原受容体などの抗原受容体をコードする核酸配列を有するポリヌクレオチドが本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、分泌型又は膜結合型サイトカインを含むサイトカインなどの、提供される免疫調節物質のいずれかをコードする核酸配列を有するポリヌクレオチドが本明細書で提供される。
【0232】
いくつかの実施形態では、キメラ抗原受容体などの抗原受容体をコードする核酸、及び分泌型又は膜結合型サイトカインを含むサイトカインなどの免疫調節物質をコードする核酸は、別々のポリヌクレオチドとして提供される。
【0233】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、キメラ抗原受容体などの抗原受容体をコードする核酸配列、及び分泌型又は膜結合型サイトカインを含むサイトカインなどの免疫調節物質をコードする核酸を含む。したがって、いくつかの態様において、核酸配列は、同じポリヌクレオチドの一部として提供される。例えば、提供される実施形態は、操作された成分が、1つ以上のプロテアーゼ切断部位、例えば、T2A、P2A、E2A、又はF2Aなどの自己切断ペプチドを含むポリヌクレオチドによってコードされるポリヌクレオチドを含む。このような部位は、プロテイナーゼによって認識及び切断され、これは、NK細胞中に操作されたポリヌクレオチドによってコードされる様々な構成部分(例えば、サイトカイン及びCAR)の分離(及び別々の発現)をもたらし得る。結果として、実施形態に応じて、操作された成分の様々な構成部分を、単一のベクター中で、又は複数のベクターによってNK細胞に送達することができる。
【0234】
細胞、例えばg-NK細胞へのポリヌクレオチドの送達などのための、提供されるポリヌクレオチドのいずれかをコードするビヒクルも本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、ビヒクルは、ウイルスベクター又は非ウイルスベクターなどのベクターである。いくつかの実施形態では、ベクターは、ウイルスベクター(レンチウイルスベクター)である。いくつかの実施形態では、哺乳類は、ヒトである。いくつかの実施形態では、ビヒクルは脂質ナノ粒子である。ベクター又は非ベクター送達ビヒクルを含む他のビヒクルは、以下に記載される任意のものを含む当業者に公知のものを含む。
【0235】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、提供される方法に従って、g-NK細胞、又は複数のg-NK細胞を含有する組成物へと操作される。NK細胞を操作する例示的な方法を以下に記載する。
【0236】
D.異種薬剤の送達方法
遺伝子操作されたg-NK細胞を産生する方法であって、CARをコードする核酸をg-NK細胞に導入し、それによって遺伝子操作されたg-NK細胞を産生することを含む方法が、本明細書に開示される。
【0237】
遺伝子操作されたg-NK細胞を産生する方法であって、免疫調節物質(例えば、分泌型もしくは可溶性サイトカイン又は膜結合型サイトカイン)をコードする核酸をg-NK細胞に導入し、それによって遺伝子操作されたg-NK細胞を産生することを含む方法が、本明細書に開示される。
【0238】
遺伝子操作されたg-NK細胞を産生する方法であって、(a)g-NK細胞に、CARをコードする核酸を導入することと、(b)g-NK細胞に、免疫調節物質(例えば、分泌可能もしくは可溶性サイトカイン又は膜結合型サイトカイン)をコードする核酸を導入し、それによって遺伝子操作されたg-NK細胞を産生することとを含み、ステップ(a)及び(b)が、同時に又は任意の順序で逐次的に行われる、方法が、本明細書に開示される。
【0239】
g-NK細胞に導入される核酸は、ゲノムへの安定な組み込みのために、又は一過性発現のために導入され得る。安定な組み込み対一過性発現は、宿主ゲノムに効率的に組み込まれる特定の核酸の能力又は核酸の含量及びその半減期を含むがこれらに限定されない種々の因子に基づいて選択され得る。
【0240】
いくつかの実施形態では、異種薬剤(例えば、CARなどの抗原受容体及び/又は記載されるサイトカインなどの免疫調節物質)をg-NK細胞に導入することは、NK細胞の出発試料からg-NK細胞サブセットを濃縮する方法において実施され得る。いくつかの実施形態では、CARなどの抗原受容体の導入は、NK細胞の出発試料からg-NK細胞サブセットを濃縮する方法において行われてもよい。いくつかの実施形態では、サイトカインなどの免疫調節物質を導入することは、NK細胞の出発試料からg-NK細胞サブセットを濃縮する方法において実施され得る。いくつかの実施形態では、CARなどの抗原受容体、及びサイトカインなどの免疫調節物質を導入することは、NK細胞の出発試料からg-NK細胞サブセットを濃縮する方法において実施され得る。したがって、提供される方法は、FcRγ鎖が欠損しているNK細胞について選択されたg-NK細胞のみ(又はg-NK代替マーカープロファイルによって選択又は同定されたもののみ)を特異的に操作することを必要としないが、g-NK細胞が優先的に増殖又は濃縮される、又は増殖又は濃縮されたNK細胞の組成物の細胞の操作を含み得ることが理解される。したがって、g-NK細胞が濃縮された細胞の最終組成物は、異種抗原受容体(例えば、CAR)、異種免疫調節物質(例えば、IL-15もしくはIL-21などの分泌型もしくは膜結合型インターロイキン)、又は異種抗原受容体(例えば、CAR)及びサイトカイン(例えば、IL-15もしくはIL-21などの分泌型もしくは膜結合型インターロイキン)などの異種免疫調節物質が導入されたg-NK細胞を含む。g-NK細胞が濃縮された組成物を調製及び増殖するための例示的な方法は、セクションVに提供される。
【0241】
いくつかの実施形態では、異種薬剤(例えば、記載されるCARなどの抗原受容体及び/又はサイトカインなどの免疫調節物質)の導入は、セクションVに記載されるものなどの、g-NK細胞を増殖させる方法の間の任意の適切な時点で行われ得る。いくつかの実施形態では、CARなどの抗原受容体の導入は、g-NK細胞を増殖させる方法の間の任意の適切な時点で行われ得る。いくつかの実施形態では、サイトカインなどの免疫調節物質の導入は、g-NK細胞を増殖させる方法の間の任意の好適な時点で行われ得る。いくつかの実施形態では、CAR及び免疫調節物質の導入は、g-NK細胞を増殖させる方法の間の任意の好適な時点で行われ得る。いくつかの実施形態では、導入することは、対象からの細胞の選択(例えば、CD3negCD57posである細胞を選択又は濃縮すること)の後、かつNK細胞の増殖又は増殖のために選択又は濃縮された細胞をフィーダー細胞(例えば、HLA-E発現フィーダー細胞)と共にインキュベート又は培養することの前に実施される。いくつかの実施形態では、導入は、フィーダー細胞(例えば、HLA-E発現フィーダー細胞)とのインキュベーション又は培養の後、したがって、選択又は濃縮された細胞が増殖又は増殖した後に行われる。いくつかの実施形態では、導入することは、本明細書に記載される遺伝子編集のための方法を用いて、任意の順序で連続的に行われる。
【0242】
いくつかの実施形態では、セクションVに記載されるような細胞の増殖のための期間は、第1の増殖及び第2の増殖に分割される。いくつかの実施形態では、導入(例えば、ウイルス形質導入)の前に、生体試料から選択された細胞は、第1の期間、例えば、約6時間、約12時間、約18時間、約24時間、約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、約7日間、約8日間、約9日間、約10日間、約11日間、約12日間、約13日間、約14日間、約15日間、約16日間、約17日間、約18日間、約19日間、約20日間、約21日間、又はエンドポイントを含む列挙された時間の間の任意の時間、増殖のための条件下で培養される。いくつかの実施形態では、第1の増殖期間後、増殖細胞(例えば、NK細胞)に、キメラ抗原受容体などの1つ以上の異種薬剤及び/又は記載のサイトカインなどの免疫調節薬剤をコードする操作された構築物を導入する(例えば、形質導入する)。いくつかの実施形態では、第1の増殖期間の後、増殖させた細胞(例えば、NK細胞)に、キメラ抗原受容体などの1つ以上の異種薬剤をコードする操作された構築物を導入(例えば、形質導入)する。いくつかの実施形態では、第1の増殖期間の後、増殖した細胞(例えば、NK細胞)に、サイトカインなどの免疫調節物質などの1つ以上の異種薬剤をコードする操作された構築物を導入する(例えば、形質導入する)。いくつかの実施形態では、第1の増殖期間の後、増殖させた細胞(例えば、NK細胞)に、キメラ抗原受容体などの1つ以上の異種薬剤及びサイトカインなどの免疫調節物質をコードする操作された構築物を導入する(例えば、形質導入する)。導入(例えば、ウイルス形質導入)後、操作された細胞は、第2の期間、例えば、6時間又は約6時間、約12時間、約18時間、約24時間、約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、約7日間、約8日間、約9日間、約10日間、約11日間、約12日間、約13日間、約14日間、約15日間、約16日間、約17日間、約18日間、約19日間、約20日間、約21日間以上、又はエンドポイントを含む列挙された時間の間の任意の時間培養される。
【0243】
HLA-E発現フィーダー細胞ならびに/又はIL12及び/もしくはIL21などの1つ以上の刺激剤の培地への補充は、培養プロセス中の任意の時点で行うことができる。例えば、1つ以上の刺激剤は、培養開始時、例えば、時点0(例えば、培養開始時)に添加され得る。薬剤(単数又は複数)は、2回目、3回目、4回目、5回目、又はそれ以上の回数添加され得る。その後の添加は、先の添加と同じ濃度であっても、そうでなくてもよい。複数回の添加の間の間隔は、例えば、約12時間、約24時間、約36時間、約48時間、約72時間、又はそれより長い時間間隔、及び終点を含むその間の任意の時間で変動し得る。刺激剤の複数回の添加が使用される場合、第1の補足的添加の濃度は、第2の(及び/又は任意の補足的添加)と同じ又は異なる濃度であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、複数の時点にわたる刺激剤の添加は、複数の不等濃度にわたって、漸増、漸減、一定に留まる、又は変動し得る。
【0244】
いくつかの実施形態では、抗原受容体(例えば、CAR)をコードする核酸は、g-NK細胞における一過性発現のための条件下で導入される。いくつかの実施形態では、免疫調節物質(例えば、分泌型もしくは可溶性サイトカイン又は膜結合型サイトカインなどのサイトカイン)をコードする核酸は、g-NK細胞における一過性発現のための条件下で導入される。いくつかの実施形態では、抗原受容体(例えば、CAR)をコードする核酸及び免疫調節物質(例えば、分泌型もしくは可溶性サイトカイン又は膜結合型サイトカインなどのサイトカイン)をコードする核酸は、g-NK細胞における一過性発現のための条件下で導入される。いくつかの実施形態では、一過性発現のために核酸を導入するための方法は、分解される前に短期間、そのコードされた内容物を発現し得る核酸をもたらす任意の方法を含む。
【0245】
いくつかの実施形態では、抗原受容体(例えば、CAR)をコードする核酸は、g-NK細胞における安定な発現のための条件下で導入される。いくつかの実施形態では、免疫調節物質(例えば、分泌型もしくは可溶性サイトカイン又は膜結合型サイトカインなどのサイトカイン)をコードする核酸は、g-NK細胞における安定発現のための条件下で導入される。いくつかの実施形態では、抗原受容体(例えば、CAR)をコードする核酸及び免疫調節物質(例えば、分泌型もしくは可溶性サイトカイン又は膜結合型サイトカインなどのサイトカイン)をコードする核酸は、g-NK細胞における安定発現のための条件下で導入される。いくつかの実施形態では、細胞における安定な発現のために核酸を導入するための方法は、細胞のゲノムへの核酸の安定な組み込みをもたらす任意の方法を含み、その結果、それが組み込まれた細胞が分裂する場合、それは増殖され得る。
【0246】
いくつかの実施形態では、異種薬剤のうちの1つ(例えば、CARなどの抗原受容体をコードする核酸、又はサイトカインなどの免疫調節物質をコードする核酸のうちの1つ)は、細胞において一過性発現をもたらす方法によって細胞に導入され、他の異種薬剤(例えば、CARなどの抗原受容体をコードする核酸、又はサイトカインなどの免疫調節物質をコードする核酸のうちの他のもの)は、細胞において安定発現をもたらす方法によって導入される。いくつかの実施形態では、異種薬剤の両方(例えば、CARなどの抗原受容体をコードする核酸、及びサイトカインなどの免疫調節物質をコードする核酸の両方)は、細胞における一過性発現をもたらす方法によって細胞に導入される。いくつかの実施形態では、異種薬剤の両方(例えば、CARなどの抗原受容体をコードする核酸、及びサイトカインなどの免疫調節物質をコードする核酸の両方)は、細胞において安定な発現をもたらす方法によって細胞に導入される。
【0247】
ポリヌクレオチド及びそれを含有する組成物の送達方法は、当業者に公知である。細胞における一過性又は安定な発現のための適切な方法を選択することは、当業者のレベルの範囲内である。
【0248】
いくつかの実施形態では、NK細胞の操作は、細胞組成物に、異種薬剤(例えば、CAR及び/もしくはサイトカインなどの免疫調節物質)をコードするポリヌクレオチド、又は前記ポリヌクレオチドを含むベクターを形質導入することによって達成することができる。いくつかの実施形態では、NK細胞の操作は、細胞組成物に、CARなどの抗原受容体をコードするポリヌクレオチド、又は前記ポリヌクレオチドを含むベクターを形質導入することによって達成することができる。いくつかの実施形態では、NK細胞の操作は、サイトカインなどの免疫調節物質をコードするポリヌクレオチド、又は前記ポリヌクレオチドを含むベクターを細胞組成物に形質導入することによって達成することができる。いくつかの実施形態では、NK細胞の操作は、細胞組成物に、CARなどの抗原受容体及びサイトカインなどの免疫調節物質をコードするポリヌクレオチド、又は前記ポリヌクレオチドを含むベクターを形質導入することによって達成することができる。ベクターは、ウイルスベクター、例えば、レンチウイルスベクター、ガンマレトロウイルスベクター、組換えAAV、アデノウイルスベクター又は腫瘍溶解性ウイルスベクターであり得る。他の態様では、非ウイルスベクター、例えば、ナノ粒子及びリポソームもまた、異種薬剤(例えば、CAR及び/又はサイトカインなどの免疫調節物質)をコードするポリヌクレオチドのNK細胞への導入及び送達のために使用され得る。他の態様では、非ウイルスベクター、例えば、ナノ粒子及びリポソームも、CARなどの抗原受容体をコードするポリヌクレオチドをNK細胞に導入及び送達するために使用することができる。他の態様では、サイトカインなどの免疫調節物質をコードするポリヌクレオチドをNK細胞に導入及び送達するために、非ウイルスベクター、例えばナノ粒子及びリポソームを使用することもできる。他の態様では、carなどの抗原受容体及びサイトカインなどの免疫調節物質をコードするポリヌクレオチドをNK細胞に導入及び送達するために、非ウイルスベクター、例えば、ナノ粒子及びリポソームを使用することもできる。
【0249】
いくつかの実施形態では、異種薬剤(例えば、CAR及び/又はサイトカインなどの免疫調節物質)をコードするポリヌクレオチドをパッケージングするベクターを使用して、パッケージングされたポリヌクレオチドを、g-NK細胞又はg-NK細胞が濃縮された組成物もしくは細胞集団に送達することができる。いくつかの実施形態では、CARなどの抗原受容体をコードするポリヌクレオチドをパッケージングするベクターを使用して、パッケージングされたポリヌクレオチドを、g-NK細胞又はg-NK細胞が濃縮された組成物もしくは細胞集団に送達することができる。いくつかの実施形態では、サイトカインなどの免疫調節物質をコードするポリヌクレオチドをパッケージングするベクターを使用して、パッケージングされたポリヌクレオチドをg-NK細胞又はg-NK細胞が濃縮された組成物もしくは細胞集団に送達することができる。いくつかの実施形態では、CARなどの抗原受容体及びサイトカインなどの免疫調節物質をコードするポリヌクレオチドをパッケージングするベクターを使用して、パッケージングされたポリヌクレオチドをg-NK細胞又はg-NK細胞が濃縮された組成物もしくは細胞集団に送達してもよい。これらのベクターは、DNAベクター、RNAベクター、プラスミド、ウイルスベクター及び粒子を含む任意の種類のものであり得る。ウイルスベクター技術は公知であり、Sambrook et al.(2001,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,New York)に記載されている。ベクターとして有用なウイルスとしては、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、単純ヘルペスウイルスベクター、レトロウイルスベクター、腫瘍溶解性ウイルスなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0250】
一般に、ベクターは、少なくとも1つの生物で機能する複製起点、プロモータ配列、好都合な制限エンドヌクレアーゼ部位、及び1つ以上の選択可能なマーカーを含む(例えば、薬剤耐性遺伝子)。
【0251】
プロモータは、ポリヌクレオチド配列の特異的転写を開始するのに必要な、細胞の転写機構によって認識される任意のDNA配列を含んでもよい。ベクターは、ポリヌクレオチドに作動可能に連結されたネイティブ又は非ネイティブプロモータを含み得る。選択されたプロモータは、強い、弱い、構成的、誘導性、組織特異的、発生段階特異的、及び/又は生物特異的であり得る。好適なプロモータの一例は、最初期サイトメガロウイルス(CMV)プロモータ配列である。このプロモータ配列は、動作可能に連結された任意のポリヌクレオチド配列の高レベルの発現を駆動することができる強力な構成的プロモータ配列である。プロモータの別の例は、伸長増殖因子-1α(EF-1α)である。しかしながら、シミアンウイルス40(SV40)、マウス乳がんウイルス(MMTV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の長い末端反復配列(LTR)、プロモータ、鳥白血病ウイルスプロモータ、エプスタイン・バールウイルス最初期プロモータ、ラウス肉腫ウイルスプロモータ、並びにホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)プロモータ、アクチンプロモータ、ミオシンプロモータ、ヘモグロビンプロモータ、ユビキチンC(Ubc)プロモータ、ヒトU6低分子核タンパク質プロモータ、及びクレアチンキナーゼプロモータなどであるがこれらに限定されないヒト遺伝子プロモータが挙げられるが、これらに限定されない、他の構成的プロモータ配列を使用してもよい。場合によっては、限定されないが、メタロチオネインプロモータ、グルココルチコイドプロモータ、プロゲステロンプロモータ、及びテトラサイクリンプロモータなどの誘導性プロモータを使用することができる。
【0252】
例えば、エンハンサーなどの追加のプロモータエレメントは、転写開始の頻度を調節し得る。このような領域は、開始部位の10~100塩基対上流又は下流に位置し得る。いくつかの例において、2つ以上のプロモータエレメントを使用して、転写を協調的に又は独立して活性化することができる。
【0253】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、ウイルスベクターにパッケージングされ得るか、又はウイルスゲノムに組み込まれ得、ポリヌクレオチドの一過性発現又は安定発現を可能にする。ウイルスベクターは、レンチウイルスベクターを含むレトロウイルスベクターを含んでもよい。レトロウイルスベクターを構築するために、異種薬剤(例えば、CAR及び/又はサイトカインなどの免疫調節物質)をコードするポリヌクレオチド分子を、特定のウイルス配列の代わりにウイルスゲノムに挿入して、複製欠損であるウイルスを産生する。レトロウイルスベクターを構築するために、CARなどの抗原受容体をコードするポリヌクレオチド分子を、特定のウイルス配列の代わりにウイルスゲノムに挿入して、複製欠損であるウイルスを産生する。レトロウイルスベクターを構築するために、サイトカインなどの免疫調節物質をコードするポリヌクレオチド分子を、特定のウイルス配列の代わりにウイルスゲノムに挿入して、複製欠損ウイルスを作製する。レトロウイルスベクターを構築するために、CARなどの抗原受容体、及びサイトカインなどの免疫調節物質をコードするポリヌクレオチド分子を、特定のウイルス配列の代わりにウイルスゲノムに挿入して、複製欠損ウイルスを作製する。次いで、組換えウイルスベクターは、gag、pol、及びenv遺伝子を含むが、LTR及びパッケージング成分を含まないパッケージング細胞株に導入される。組換えレトロウイルス粒子は、培養培地中に分泌され、次いで収集され、任意選択で濃縮され、そして遺伝子移入のために使用される。レンチウイルスベクターは、分裂細胞及び非分裂細胞の両方に感染することができるので、特に好ましい。
【0254】
いくつかの実施形態では、異種薬剤(例えば、CAR及び/又はサイトカインなどの免疫調節物質)をコードするポリヌクレオチドは、形質導入による送達のためにウイルスベクターに組み込まれる。いくつかの実施形態では、CARなどの抗原受容体をコードするポリヌクレオチドは、形質導入による送達のためにウイルスベクターに組み込まれる。いくつかの実施形態では、サイトカインなどの免疫調節物質をコードするポリヌクレオチドは、形質導入による送達のためにウイルスベクターに組み込まれる。いくつかの実施形態では、CARなどの抗原受容体、及びサイトカインなどの免疫調節物質をコードするポリヌクレオチドは、形質導入による送達のためにウイルスベクターに組み込まれる。ウイルス形質導入は、核酸がウイルス媒介手段によって真核細胞に意図的に導入されるプロセスである。
【0255】
いくつかの実施形態では、ウイルスベクターは、レンチウイルスベクターである。レンチウイルスベクターは、送達された核酸転写物内に含まれる遺伝子の安定な発現を可能にするので、ウイルス形質導入を成功させるための特に有用な手段である。レンチウイルスベクターは、送達された核酸転写物内に含まれる遺伝子の安定な発現に必要な2つの酵素である逆転写酵素及びインテグラーゼを発現する。逆転写酵素はRNA転写物をDNAに変換し、一方、インテグラーゼはDNAを標的細胞のゲノムに挿入して組み込む。DNAがゲノムに安定に組み込まれると、それは宿主と共に分裂する。組み込まれたDNA内に含まれる目的の遺伝子は、構成的に発現され得るか、又は誘導性であり得る。宿主細胞ゲノムの一部として、それは、標的細胞における因子の宿主に依存して、活性化又は抑制を含む細胞調節に供され得る。
【0256】
レンチウイルスは、宿主ゲノムへの組込みの前にウイルスRNAゲノムのDNAへの逆転写が必要であるために名付けられた、レトロウイルス科のウイルスのサブグループである。したがって、レンチウイルスビヒクル/粒子の最も重要な特徴は、標的/宿主細胞のゲノムへのそれらの遺伝物質の組込みである。レンチウイルスのいくつかの例としては、ヒト免疫不全症ウイルス:HIV-1及びHIV-2、サル免疫不全ウイルス(SIV)、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)、ウシ免疫不全ウイルス(BIV)、ジェンブラナ病ウイルス(JDV)、ウマ伝染性貧血ウイルス(EIAV)、ウマ伝染性貧血ウイルス、ビスナ-マエディ及びヤギ関節炎脳炎ウイルス(CAEV)が挙げられる。
【0257】
典型的には、遺伝子送達ビヒクルを構成するレンチウイルス粒子は、それ自体が複製欠損である(「自己不活性化」とも呼ばれる)。レンチウイルスは、インタクトな宿主核膜を介した侵入機構によって、分裂細胞及び非分裂細胞の両方に感染することができる(Naldini L et al.Curr.Opin.Bioiecknol,1998,9:457-463)。組換えレンチウイルスビヒクル/粒子は、HIVビルレンス遺伝子を複数回弱毒化することによって産生されており、例えば、遺伝子Env、Vif、Vpr、Vpu、Nef及びTatを欠失させて、ベクターを生物学的に安全にする。対応して、レンチウイルスビヒクル(例えば、HIV1/HIV-2由来)は、非分裂細胞への導入遺伝子の効率的な送達、組込み及び長期発現を媒介し得る。
【0258】
レンチウイルス粒子は、ヒトHEK293T細胞などのプロデューサー細胞においてウイルスパッケージングエレメント及びベクターゲノム自体を共発現させることによって産生され得る。これらのエレメントは、通常、3つ(第二世代レンチウイルス系において)又は4つの別々のプラスミド(第三世代レンチウイルス系において)において提供される。プロデューサー細胞は、ウイルスのコア(すなわち、構造タンパク質)及び酵素成分、ならびにエンベロープタンパク質(パッケージング系と呼ばれる)を含むレンチウイルス成分をコードするプラスミド、ならびに標的細胞に移入される外来導入遺伝子、ビヒクル自体(移入ベクターとも呼ばれる)を含むゲノムをコードするプラスミドで同時トランスフェクトされる。一般に、プラスミド又はベクターはプロデューサー細胞株に含まれる。プラスミド/ベクターは、トランスフェクション、形質導入又は感染を介してプロデューサー細胞株に導入される。トランスフェクション、形質導入又は感染の方法は、当業者に公知である。非限定的な例として、パッケージング構築物及び移入構築物は、リン酸カルシウムトランスフェクション、リポフェクション又はエレクトロポレーションによって、一般に、優性選択マーカー(例えば、ネオミオシン(neo)、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)、グルタミンシンテターゼ又はアデノシンデアミナーゼ(ADA))と一緒に、プロデューサー細胞株に導入され得、その後、適切な薬物の存在下での選択及びクローンの単離が続く。
【0259】
プロデューサー細胞は、外来遺伝子、例えば、異種薬剤(例えば、CAR及び/又はサイトカインなどの免疫調節物質)をコードするポリヌクレオチドを含有する組換えウイルス粒子を産生する。プロデューサー細胞は、外来遺伝子、例えば、CARなどの抗原受容体をコードするポリヌクレオチドを含有する組換えウイルス粒子を産生する。プロデューサー細胞は、外来遺伝子(例えば、サイトカインのような免疫調節物質をコードするポリヌクレオチド)を含む組換えウイルス粒子を産生する。プロデューサー細胞は、外来遺伝子、例えば、CARなどの抗原受容体、及びサイトカインなどの免疫調節物質をコードするポリヌクレオチドを含有する組換えウイルス粒子を産生する。組換えウイルス粒子を培養培地から回収し、当業者によって使用される標準的な方法によって滴定する。組換えレンチウイルスビヒクルは、g-NK細胞又はg-NK細胞が濃縮された細胞の組成物もしくは集団などの標的細胞に感染させるために使用することができる。
【0260】
高力価レンチウイルス粒子を産生するために使用され得る細胞としては、HEK293T細胞、293G細胞、STAR細胞(Relander et al.Mol Ther.2005,11:452-459)、FreeStyle(商標)293 Expression System(ThermoFisher,Waltham,MA)、及び他のHEK293Tベース産生細胞株(例えば、Stewart et al.Hum Gene Ther.2011,2,2(3):357~369、Lee et al,Biotechnol Bioeng,2012,10996):1551-1560;Throm et al.Blood.2009,113(21):5104-5110)が含まれるが、これらに限定されない。
【0261】
いくつかの態様では、エンベロープタンパク質は、水疱性口内炎ウイルスGタンパク質(VSV G)又はバキュロウイルスgp64エンベロープタンパク質などの、他のウイルス由来の異種エンベロープタンパク質であってもよい。VSV-G糖タンパク質は、特に、ベシクロウイルス属に分類される種の中から選択することができる。カラジャスウイルス(CJSV)、チャンディプラウイルス(CHPV)、コカルウイルス(COCV)、イスファハンウイルス(ISFV)、マラバウイルス(MARAV)、ピリウイルス(PIRYV)、水疱性口炎Aiagoasウイルス(VSAV)、水疱性口炎インディアナウイルス(VSTV)及び水疱性口炎ニュージャージーウイルス(VSNJV)及び/又はベシクロウイルス属においてソウギョラブドウイルス、BeAn 157575ウイルス(BeAn 157575)、Botekeウイルス(BTKV)、Calchaquiウイルス(CQFV)、アメリカウナギウイルス(EVA)、グレイロッジウイルス(GLOV)、Juronaウイルス(ジュリー)、クラマスウイルス(KLAVj)、クワッタウイルス(KWAV)、ラホヤウイルス(LJV)、マパリススプリングウイルス(MSPV)、マウントElgonコウモリウイルス(MEB V)、Ferine tウイルス(PERV)、パイクフライラブドウイルス(PFRV)、ポートンウイルス(PORV)、ラジウイルス(RADIV)、コイ春ウイルス血症ウイルス(SVCV)、Tupaiaウイルス(TUPV)、潰瘍性疾患ラブドウイルス(UDRV)及びYUG Bogdanovacウイルス(YBV)として暫定的に分類される株。gp64又は他のバキュロウイルスエンベロープタンパクは、Autographa californica nucleopolyhedroviras(AcMNPV)、Anagrapha falciphera核多角体病ウイルス、Bombyx mori核多角体病ウイルス、Choristoneura fiimiferana nucleopolyhedroviras、Orgyia pseudotsugata単一カプシド核多角体病ウイルス、Epiphyas postvittana nucleopolyhedroviras、Hypharitria nucleopolyhedroviras、ガレリアメロネラ核多角体病ウイルス、Dhoriウイルス、Thogotoウイルス、Antheraea pemyi nucleopolyhedroviras又はBatkenウイルスに由来し得る。
【0262】
レンチウイルス粒子中に提供される更なるエレメントは、5’又は3’末端のいずれかのレトロウイルスLTR(長い末端反復)、レトロウイルス輸送エレメント、任意選択でレンチウイルス逆応答エレメント(RRE)、プロモータ又はその活性部分、及び遺伝子座制御領域(LCR)又はその活性部分を含み得る。他のエレメントとしては、非分裂細胞における形質導入効率を改善するための中央ポリプリントラクト(cPPT)配列、ウッドチャック肝炎ウイルス(WHP)、導入遺伝子の発現を増強し、力価を増加させる転写後調節エレメント(WPRE)が挙げられる。
【0263】
組換えレンチウイルス粒子を産生するための方法は、当業者に公知であり、例えば、米国特許第8,846,385号、同第7,745,179号、同第7,629,153号、同第7,575,924号、同第7,179,903号、及び同第6,808,905号を参照)。使用されるレンチウイルスベクターは、pLVX、pLenti、pLenti6、pLJMl、FUGW、pWPXL、pWPI、pLenti CMV puro DEST、pLJMl-EGFP、pULTRA、pInducer2Q、pHIV-EGFP、pCW57.1、pTRPE、pELPS、pRRL、及びpLionIIから選択され得るが、これらに限定されない。(米国特許第9,260,725号、同第9,068,199号、同第9,023,646号、同第8,900,858号、同第8,748,169号、同第8,709,799号、同第8,420,104号、同第8,329,462号、同第8,076,106号、同第6,013,516号、及び同第5,994、136号、国際特許公開第WO2012079000号を参照)。
【0264】
他のレトロウイルスベクターを使用して、g-NK細胞又はg-NK細胞が濃縮された細胞の組成物もしくは集団への送達のための異種薬剤(例えば、CAR及び/又はサイトカインなどの免疫調節物質)をパッケージングすることもできる。他のレトロウイルスベクターもまた、g-NK細胞又はg-NK細胞において濃縮された細胞の組成物もしくは集団への送達のために、CARなどの抗原受容体をパッケージングするために使用され得る。他のレトロウイルスベクターもまた、g-NK細胞又はg-NK細胞において濃縮された細胞の組成物もしくは集団への送達のために、免疫調節物質(例えば、サイトカイン)をパッケージングするために使用され得る。他のレトロウイルスベクターもまた、g-NK細胞又はg-NK細胞において濃縮された細胞の組成物もしくは集団への送達のために、CARなどの抗原受容体及びサイトカインなどの免疫調節物質をパッケージングするために使用され得る。レトロウイルスベクター(RV)は、標的細胞における導入遺伝子の永続的な組込みを可能にする。複雑なHIV1/2に基づくレンチウイルスベクターに加えて、単純なγ-レトロウイルスに基づくレトロウイルスベクターは、治療遺伝子を送達するために広く使用されており、広範囲の細胞型を形質導入することができる最も効率的かつ強力な遺伝子送達系の1つとして臨床的に実証されている。ガンマレトロウイルスの種の例としては、マウス白血病ウイルス(MLV)及びネコ白血病ウイルス(FeLV)が挙げられる。
【0265】
いくつかの実施形態では、マウス白血病ウイルス(MLV)などの哺乳動物ガンマレトロウイルスに由来するガンマレトロウイルスベクターは、組換えである。ガンマレトロウイルスのMLVファミリーには、エコトロピック、両栄養性、異種栄養性及び多栄養性サブファミリーが含まれる。エコトロピックウイルスは、mCAT-1受容体を用いてマウス細胞のみに感染することができる。エコトロピックウイルスの例は、モロニーMLV及びAKVである。両種指向性ウイルスは、Pit-2受容体を介してマウス、ヒト及び他の種に感染する。両種指向性ウイルスの一例は、4070Aウイルスである。異種栄養性及び多指向性ウイルスは、同じ(Xpr 1)受容体を利用するが、それらの種指向性が異なる。NZB-9-1などどの異種指向性ウイルスは、ヒト及び他の種に感染するが、マウス種には感染せず、一方、多指向性ウイルス(例えば、フォーカス形成ウイルス(MCF))は、マウス、ヒト及び他の種に感染する。
【0266】
γ-レトロウイルスベクターは、レトロウイルス構造及び酵素(gagpol)ポリタンパク質をコードするプラスミド、エンベロープ(env)タンパク質をコードするプラスミド、ならびに新たに形成されたウイルス粒子にパッケージングされる異種薬剤(例えば、CAR及び/又はサイトカインなどの免疫調節物質)をコードするポリヌクレオチドを含むベクターmRNAをコードするプラスミドを含むいくつかのプラスミドで細胞を同時トランスフェクトすることによって、パッケージング細胞において産生され得る。γ-レトロウイルスベクターは、レトロウイルス構造及び酵素(gagpol)ポリタンパク質をコードするプラスミド、エンベロープ(env)タンパク質をコードするプラスミド、ならびに新たに形成されたウイルス粒子にパッケージングされるCARなどの抗原受容体をコードするポリヌクレオチドを含むベクターmRNAをコードするプラスミドを含むいくつかのプラスミドで細胞を同時トランスフェクトすることによって、パッケージング細胞において産生され得る。γ-レトロウイルスベクターは、レトロウイルス構造及び酵素(gagpol)ポリタンパク質をコードするプラスミド、エンベロープ(env)タンパク質をコードするプラスミド、及び新たに形成されたウイルス粒子にパッケージングされるサイトカインなどの免疫調節物質をコードするポリヌクレオチドを含むベクターmRNAをコードするプラスミドを含むいくつかのプラスミドで細胞を同時トランスフェクトすることによって、パッケージング細胞において産生され得る。γ-レトロウイルスベクターは、レトロウイルス構造及び酵素(gagpol)ポリタンパク質をコードするプラスミド、エンベロープ(env)タンパク質をコードするプラスミド、ならびにCARなどの抗原受容体及び新たに形成されたウイルス粒子にパッケージングされるサイトカインなどの免疫調節物質をコードするポリヌクレオチドを含むベクターmRNAをコードするプラスミドを含むいくつかのプラスミドで細胞を同時トランスフェクトすることによって、パッケージング細胞において産生され得る。
【0267】
いくつかの態様では、組換えガンマレトロウイルスベクターは、他のウイルス由来のエンベロープタンパク質でシュードタイプ化される。エンベロープ糖タンパク質は、細胞指向性を増加/変更することができるウイルス粒子の外側脂質層に組み込まれる。例示的なエンベロープタンパク質としては、テナガザル白血病ウイルスエンベロープタンパク質(GALV)もしくは水疱性口内炎ウイルスGタンパク質(VSV-G)、又はサル内在性レトロウイルスエンベロープタンパク質、又は麻疹ウイルスH及びFタンパク質、又はヒト免疫不全ウイルスgp120エンベロープタンパク質、又はコーカルベシクロウイルスエンベロープタンパク質が挙げられる(例えば、米国特許出願公開第2012/164118号を参照)。他の態様において、エンベロープ糖タンパク質は、標的化/結合リガンドをガンマレトロウイルスベクターに組み込むように遺伝子改変されてもよく、結合リガンドとしては、ペプチドリガンド、一本鎖抗体及び成長因子が挙げられるが、これらに限定されない(Waehier et al.Nat.Rev.Genet.2007,8(8):573-587)。これらの操作された糖タンパク質は、ベクターをそれらの対応する標的部分を発現する細胞に再標的化することができる。他の態様において、「分子架橋」は、ベクターを特定の細胞に指向するために導入され得る。分子架橋は二重特異性を有する:一方の末端はウイルス糖タンパク質を認識することができ、他方の末端は標的細胞上の分子決定基に結合することができる。このような分子架橋(例えば、リガンド受容体、アビジン-ビオチン、及び化学的結合、モノクローナル抗体及び操作された融合タンパク質)は、形質導入のための標的細胞へのウイルスベクターの結合を指向し得る(Yang et al.Biotechnol Bioeng.,2008,101(2):357-368、及びMaetzig et al.Viruses,2011,3,677-713)。
【0268】
いくつかの実施形態では、組換えガンマレトロウイルスベクターは、自己不活性化(SIN)ガンマレトロウイルスベクターである。ベクターは複製不能であってもよい。SINベクターは、最初にエンハンサー/プロモータ活性を含む3’U3領域内に欠失を保有し得る。更に、5’U3領域は、サイトメガロウイルスもしくはRSVに由来する強力なプロモータ(パッケージング細胞株において必要とされる)、又は選択された内部プロモータ、及び/又はエンハンサーエレメントで置換され得る。内部プロモータの選択は、特定の目的に必要とされる遺伝子発現の特定の要件に従って行うことができる。
【0269】
いくつかの実施形態では、異種薬剤(例えば、CAR及び/又はサイトカインなどの免疫調節物質)をコードするポリヌクレオチドは、組換えウイルスゲノム内に挿入される。いくつかの実施形態では、CARなどの抗原受容体をコードするポリヌクレオチドは、組換えウイルスゲノム内に挿入される。いくつかの実施形態では、サイトカインなどの免疫調節物質をコードするポリヌクレオチドは、組換えウイルスゲノム内に挿入される。いくつかの実施形態では、CARなどの抗原受容体、及びサイトカインなどの免疫調節物質をコードするポリヌクレオチドは、組換えウイルスゲノム内に挿入される。組換えγ-レトロウイルスベクターのウイルスmRNAの他の成分は、天然に存在する配列の挿入又は除去(例えば、IRESの挿入、目的のポリペプチド又は阻害性核酸をコードする異種ポリヌクレオチドの挿入、野生型プロモータの代わりの異なるレトロウイルス又はウイルス由来のより有効なプロモータのシャッフリングなど)によって改変され得る。いくつかの例において、組換えガンマレトロウイルスベクターは、改変されたパッケージングシグナル、及び/又はプライマー結合サイト(PBS)、及び/又は5’-ロングターミナルリピート(LTR)のU 3領域における5’-エンハンサー/プロモータエレメント、及び/又は3’-LTRのUS領域において改変された3’-SINエレメントを含み得る。これらの改変は、感染の力価及び能力を増加させ得る。異種薬剤(例えば、CAR及び/又はサイトカインなどの免疫調節物質)を送達するのに適したガンマレトロウイルスベクターは、米国特許番号8,828,718、7,585,676、7,351,585、米国特許出願公開番号US2007/048285、PCT出願公開番号WO2010/113037、WO2014/121005、WO2015/056014、及び欧州特許番号EP1757702、EP1757703)に開示されているものから選択することができる。
【0270】
いくつかの実施形態では、異種薬剤(例えば、CAR及び/又はサイトカインなどの免疫調節物質)をコードするポリヌクレオチドは、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ベクター中にパッケージングされ得る。いくつかの実施形態では、CARなどの抗原受容体をコードするポリヌクレオチドは、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ベクターにパッケージングされ得る。いくつかの実施形態では、サイトカインなどの免疫調節物質をコードするポリヌクレオチドは、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ベクターにパッケージングされ得る。いくつかの実施形態では、CARなどの抗原受容体及びサイトカインなどの免疫調節物質をコードするポリヌクレオチドは、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ベクターにパッケージングされてもよい。このようなベクター又はウイルス粒子は、公知の血清型キャプシド又は血清型キャプシドの組み合わせのいずれかを利用するように設計され得る。血清型カプシドは、任意の同定されたAAV血清型及びその変異体、例えば、AAV1、AAV2、AAV2G9、AAV3、AAV4、AAV4-4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12及びAAVrh10に由来するカプシドを含み得る。いくつかの実施形態では、AAV血清型は、米国特許出願公開番号US20030138772、Pulicherla et al.Molecular Therapy.2011,19(6):1070-1078;米国特許第6,156,303号、第7,198,951号、米国特許出願公開番号US2015/0159173及びUS2014/0359799、ならびに国際特許出願公開番号WO1998/011244、WO2005/033321及びWO2014/14422に記載されている配列であってもよく、又はそれを有してもよい。
【0271】
AAVベクターは、一本鎖ベクターだけでなく、自己相補的AAVベクター(scAAV)も含む。scAAVベクターは、一緒にアニールして二本鎖ベクターゲノムを形成するDNAを含有する。第2鎖合成をスキップすることによって、scAAVは、細胞における迅速な発現を可能にする。rAAVベクターは、sf9昆虫細胞又はHEK293細胞などのヒト細胞の懸濁細胞培養において、トリプルトランスフェクションなどの当技術分野における標準的な方法によって製造することができる。
【0272】
いくつかの実施形態では、非ウイルスベースの方法を使用することができる。例えば、いくつかの態様では、ポリヌクレオチドを含むベクターは、針、エレクトロポレーション、ソノポレーション、ハイドロポレーションなどの物理的方法、化学的担体、例えば無機粒子(例えば、リン酸カルシウム、シリカ、金)及び/又は化学的方法による非ウイルス法によって細胞に移入され得る。他の態様では、カチオン性脂質、脂質ナノエマルジョン、ナノ粒子、ペプチドベースのベクター、又はポリマーベースのベクターなどの合成又は天然の生分解性薬剤を送達に使用することができる。
【0273】
いくつかの実施形態では、異種薬剤(例えば、CAR及び/又はサイトカインなどの免疫調節物質)をコードするポリヌクレオチドは、送達のためのメッセンジャーRNA(mRNA)として設計される。いくつかの実施形態では、CARなどの抗原受容体をコードするポリヌクレオチドは、送達のためのメッセンジャーRNA(mRNA)として設計される。いくつかの実施形態では、サイトカインなどの免疫調節物質をコードするポリヌクレオチドは、送達用のメッセンジャーRNA(mRNA)として設計される。いくつかの実施形態では、CARなどの抗原受容体、及びサイトカインなどの免疫調節物質をコードするポリヌクレオチドは、送達のためのメッセンジャーRNA(mRNA)として設計される。
【0274】
いくつかの実施形態では、異種薬剤(例えば、CAR及び/又はサイトカインなどの免疫調節物質)をコードするmRNAなどのポリヌクレオチドは、脂質ナノ粒子に組み込まれる。いくつかの実施形態では、CARなどの抗原受容体をコードするmRNAなどのポリヌクレオチドは、脂質ナノ粒子に組み込まれる。いくつかの実施形態では、サイトカインなどの免疫調節物質をコードするmRNAなどのポリヌクレオチドは、脂質ナノ粒子に組み込まれる。いくつかの実施形態では、CARなどの抗原受容体及びサイトカインなどの免疫調節物質をコードするmRNAなどのポリヌクレオチドは、脂質ナノ粒子に組み込まれる。いくつかの実施形態では、製剤は、少なくとも1つの脂質を含み得るナノ粒子である。脂質は、これらに限定されないが、DLin-DMA、DLin-K-DMA、98N12-5、C12-200、DLin-MC3-DMA、DLin-KC2-DMA、DODMA、PLGA、PEG、PEG-DMG及びPEG化脂質から選択され得る。別の態様では、脂質は、限定されないが、DLin-DMA、DLin-D-DMA、DLin-MC 3-DMA、DLin-KC2-DMA及びDODMAなどのカチオン性脂質であってもよい。
【0275】
脂質ナノ粒子は、mRNAを含む、カプセル化された又は会合した(例えば、複合体化された)治療剤の送達のために使用され得る。特に、いくつかのナノ粒子組成物は、メッセンジャーRNA(mRNA)、アンチセンスオリゴヌクレオチド、プラスミドDNA、マイクロRNA(miRNA)、miRNA阻害剤(antagomir/antimers)、メッセンジャーRNA干渉相補RNA(micRNA)、DNA、多価RNA、ダイサー基質RNA、相補DNA(cDNA)、及び自己増幅RNA(saRNA)を含む核酸の送達に特に有用である。例えば、米国特許第10,723,692 B2号を参照。
【0276】
したがって、本明細書において提供される方法の中には、g-NK細胞又はg-NK細胞において濃縮された細胞の組成物もしくは集団への送達のための異種薬剤(例えば、CAR及び/又はサイトカインなどの免疫調節物質)をコードするDNA、RNA、mRNA、及び自己増幅RNA(saRNA)を含む核酸の送達のための方法がある。g-NK細胞又はg-NK細胞において濃縮された細胞の組成物もしくは集団への送達のための、CARなどの抗原受容体をコードするDNA、RNA、mRNA、及び自己増幅RNA(saRNA)を含む核酸の送達のための方法も提供される。g-NK細胞又はg-NK細胞において濃縮された細胞の組成物もしくは集団への送達のための、サイトカインなどの免疫調節物質をコードするDNA、RNA、mRNA、及び自己増幅RNA(saRNA)を含む核酸の送達のための方法も提供される。g-NK細胞又はg-NK細胞が濃縮された細胞の組成物もしくは集団への送達のための、CARなどの抗原受容体及びサイトカインなどの免疫調節物質をコードするDNA、RNA、mRNA及び自己増幅RNA(saRNA)を含む核酸の送達方法も提供される。いくつかの実施形態では、異種薬剤(例えば、CAR及び/又はサイトカインなどの免疫調節物質)は、核酸、例えば、DNA、RNA、mRNA、及び自己増幅RNA(saRNA)の送達のために、脂質ナノ粒子にパッケージ化又は組み込まれる。いくつかの実施形態では、CARなどの抗原受容体は、核酸、例えば、DNA、RNA、mRNA、及び自己増幅RNA(saRNA)の送達のために、脂質ナノ粒子にパッケージ化又は組み込まれる。いくつかの実施形態では、サイトカインなどの免疫調節物質は、核酸、例えば、DNA、RNA、mRNA、及び自己増幅RNA(saRNA)の送達のために、脂質ナノ粒子にパッケージ化又は組み込まれる。いくつかの実施形態では、CARなどの抗原受容体、及びサイトカインなどの免疫調節物質は、核酸、例えば、DNA、RNA、mRNA、及び自己増幅RNA(saRNA)の送達のために、脂質ナノ粒子にパッケージングされるか、又は組み込まれる。いくつかの実施形態では、核酸は、DNAである。いくつかの実施形態では、核酸は、RNAである。いくつかの実施形態では、核酸はmRNAである。いくつかの実施形態では、核酸は自己増幅RNA(saRNA)である。
【0277】
いくつかの実施形態では、mRNAは自己増幅mRNAである。自己増幅RNA(saRNA)は、サブゲノムプロモータと共に5’及び3’保存配列エレメント(CSE)及びnsP 1~4遺伝子の存在を通じて自己増幅することができる。例えば、Bloom,van den Berg,and Arbuthnot,Gene Therapy,2021を参照。in situ翻訳に続いて、nsP1-4タンパク質はRdRp複合体を形成し、これはフレーキングCSE配列を認識し、RNA内に含まれる配列を増幅する。saRNAの標的細胞への導入は、脂質ナノ粒子送達を介して行うことができる。いくつかの実施形態では、そのような自己増幅RNAは、国際特許出願公開第WO201 1 05799号に教示されるもののいずれかの構造的特徴又は構成要素を有し得る。
【0278】
いくつかの実施形態では、提供される方法は、異種薬剤(例えば、CAR及び/又はサイトカインなどの免疫調節物質)をコードするmRNAを含む脂質ナノ粒子(LNP)の使用を含む。いくつかの実施形態では、提供される方法は、CARなどの抗原受容体をコードするmRNAを含む脂質ナノ粒子(LNP)の使用を含む。いくつかの実施形態では、提供される方法は、サイトカインなどの免疫調節物質をコードするmRNAを含む脂質ナノ粒子(LNP)の使用を含む。いくつかの実施形態では、提供される方法は、CARなどの抗原受容体及びサイトカインなどの免疫調節物質をコードするmRNAを含む脂質ナノ粒子(LNP)の使用を含む。いくつかの実施形態では、異種薬剤(例えば、CAR及び/又はサイトカインなどの免疫調節物質)をコードするmRNAは、インビトロ転写などの当技術分野で公知の方法を使用して産生され得る。いくつかの実施形態では、CARなどの抗原受容体をコードするmRNAは、インビトロ転写などの当技術分野において公知の方法を用いて産生することができる。いくつかの実施形態では、サイトカインなどの免疫調節物質をコードするmRNAは、インビトロ転写などの当技術分野で公知の方法を使用して産生することができる。いくつかの実施形態では、CARなどの抗原受容体及びサイトカインなどの免疫調節物質をコードするmRNAは、インビトロ転写などの当技術分野において公知の方法を用いて作製することができる。本方法のいくつかの実施形態では、mRNAは5’キャップを含む。いくつかの実施形態では、5’キャップは、メッセンジャーRNAなどの一次転写物の5’末端上の改変されたヌクレオチドである。いくつかの態様では、mRNAの5’キャップは、RNA安定性及び処理、mRNA代謝、核内のRNA転写物の処理及び成熟、核から細胞質へのmRNAの輸送、mRNA安定性、ならびにmRNAのタンパク質への効率的な翻訳のうちの1つ以上を改善する。いくつかの実施形態では、5’キャップは、天然に存在する5’キャップ、又はmRNAの天然に存在するキャップとは異なるものであり得る。5’キャップは、当業者に公知の任意の5’キャップであり得る。特定の実施形態では、5’キャップは、抗リバースキャップアナログ(ARCA)キャップ、7-メチル-グアノシン(7mG)キャップ、CleanCap(登録商標)アナログ、ワクシニアキャップ、及びそれらのアナログからなる群から選択される。例えば、5’キャップは、非限定的に、抗リバースキャップ類似体(ARCA)(米国特許第7074596号)、7-メチル-グアノシン、CleanCap(登録商標)類似体、例えばCap 1類似体(Trilink;San Diego,CA)を含み得、又は例えば、ワクシニアキャッピング酵素などを使用して酵素的にキャッピングされる。いくつかの実施形態では、mRNAはポリアデニル化されていてもよい。mRNAは、コードされた操作された異種薬剤(例えば、CAR及び/もしくはサイトカインなどの免疫調節物質)の発現ならびに/又はmRNA自体の安定性を増強するために、様々な5’及び3’非翻訳配列エレメントを含有し得る。mRNAは、CARなどのコードされた操作された抗原受容体の発現、及び/又はmRNA自体の安定性を増強するために、様々な5’及び3’非翻訳配列エレメントを含有し得る。mRNAは、コードされた操作された免疫調節物質(例えば、サイトカイン)の発現及び/又はmRNA自体の安定性を増強するために、種々の5’及び3’非翻訳配列エレメントを含み得る。mRNAは、CARなどのコードされた操作された抗原受容体、及びサイトカインなどの免疫調節物質の発現、ならびに/又はmRNA自体の安定性を増強するために、様々な5’及び3’非翻訳配列エレメントを含有し得る。このようなエレメントには、例えば、ウッドチャック肝炎ウイルス翻訳後調節エレメントなどの翻訳後調節エレメントが含まれ得る。
【0279】
いくつかの実施形態では、mRNAは、少なくとも1つのヌクレオシド改変を含む。mRNAは、天然に存在するヌクレオシドのヌクレオシド類似体への改変を含有し得る。当該分野で公知の任意のヌクレオシドアナログが想定される。このようなヌクレオシド類似体としては、例えば、米国特許第8,278,036号に記載されているものを挙げることができる。本方法の特定の実施形態では、ヌクレオシド改変は、ウリジンからプソイドウリジンへの改変及びウリジンからNlmethylプソイドウリジンへの改変からなる群から選択される。本方法の特定の実施形態において、ヌクレオシド改変は、ウリジンからプソイドウリジンへである。
【0280】
本方法において特に有用なLNPは、DLin-DMA(1,2-ジリノレイルオキシ-3-ジメチルアミノプロパン)、DLin-MC3-DMA(ジリノレイルメチル-4-ジメチルアミノブチラート)、DLin-KC2-DMA(2,2-ジリノレイル-4-(2-ジメチルアミノエチル)-[1,3]-ジオキソラン)、DODMA(1,2-ジオレイルオキシ-N,N-ジメチル-3-アミノプロパン)、SS-OP(ビス[2-(4-{2-[4-(シス-9オクタデセノイルオキシ)フェニルアセトキシ]エチル}ピペリジニル)エチル]ジスルフィド)、及びそれらの誘導体から選択されるカチオン性脂質を含む。DLin-MC3-DMA及びその誘導体は、例えば、WO2010144740に記載されている。DODMA及びその誘導体は、例えば、US7,745,651及びMok et al.(1999),Biochimica et Biophysica Acta,419(2):137-150に記載されている。DLin-DMA及びその誘導体は、例えば、US7,799,565に記載されている。DLin-KC2-DMA及びその誘導体は、例えば、US9,139,554に記載されている。SS-OP(NOF America Corporation,White Plains,NY)は、例えばwww.nofamerica.com/store/index.php?dispatch=products.view &product_id=962に記載されている。陽イオン性脂質の更なる非限定的な例としては、メチルピリジルジアルキル酸(MPDACA)、パルミトイル-オレオイル-ノル-アルギニン(PONA)、グアニジノ-ジアルキル酸(GUADACA)、1,2-ジ-O-オクタデセニル-3-トリメチルアンモニウムプロパン(DOTMA)、1,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(DOTAP)、ビス{2-[N-メチル-N-(α-D-トコフェロールヘミスクシネートプロピル)アミノ]エチル}ジスルフィド(SS-33/3AP05)、ビス{2-[4-(a-D-トコフェロールヘミスクシネートエチル)ピペリジル]エチル}ジスルフィド(SS33/4PE15)、ビス{2-[4-(シス-9-オクタデカジエノエートエチル)-1-ピペリジニル]エチル}ジスルフィド(SS18/4PE16)、及びビス{2-[4-(シス,シス-9,12-オクタデカジエノエートエチル)-1-ピペリジニル]エチル}ジスルフィド(SS18/4PE13)が含まれる。更なる実施形態では、脂質ナノ粒子はまた、1つ以上の非カチオン性脂質及び脂質コンジュゲートを含む。
【0281】
いくつかの実施形態では、カチオン性脂質のモル濃度は、総脂質モル濃度の約20%~約80%、約30%~約70%、約40%~約60%、約45%~約55%、又は約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、又は約80%であり、総脂質モル濃度は、カチオン性脂質、非カチオン性脂質、及び脂質複合体モル濃度の合計である。特定の実施形態では、脂質ナノ粒子は、約1~約20、約2~約16、約4~約12、約6~約10、又は約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、もしくは約20のmRNAに対するカチオン性脂質のモル比を含む。
【0282】
いくつかの実施形態では、本開示の方法で利用される脂質ナノ粒子は、少なくとも1つの非カチオン性脂質を含み得る。特定の実施形態では、非カチオン性脂質のモル濃度は、総脂質モル濃度の約20%~約80%、約30%~約70%、約40%~約70%、約40%~約60%、約46%~約50%、又は約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約48.5%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、又は約80%である。非カチオン性脂質としては、いくつかの実施形態では、リン脂質及びステロイドが挙げられる。
【0283】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の脂質ナノ粒子に有用なリン脂質としては、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)、1,2-ジデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DDPC)、1,2-ジエルコイル-sn-グリセロ-3-リン酸(ナトリウム塩)(DEPA-NA)、1,2-ジエルコイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DEPC)、1,2-ジエルコイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DEPE)、1,2-ジエルコイル-sn-グリセロ-3[ホスホ-rac-(1-グリセロール)(ナトリウム塩)(DEPG-NA)、1、2-ジリノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DLOPC)、1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-リン酸(ナトリウム塩)(DLPA-NA)、1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DLPC)、1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DLPE)、1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3[ホスホ-rac-(1-グリセロール...)(ナトリウム塩)(DLPG-NA),1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3[ホスホ-rac-(1-グリセロール)(アンモニウム塩)(DLPG-NH4)、1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホセリン(ナトリウム塩)(DLPS-NA)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-リン酸(ナトリウム塩)(DMPA-NA)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DMPC)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DMPE)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3[ホスホ-rac-(1-グリセロール)(ナトリウム塩)(DMPG-NA)、l、2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3[ホスホ-rac-(1-グリセロール)(アンモニウム塩)(DMPG-NH4),1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3[ホスホ-rac-(1-グリセロール)(ナトリウム/アンモニウム塩)(DMPG-NH4/NA)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホセリン(ナトリウム)塩)(DMPS-NA)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-リン酸(ナトリウム塩)(DOPA-NA)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3[ホスホ-rac-(1-グリセロール)(ナトリウム塩)(DOPG-NA)、l、2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホセリン(ナトリウム塩)(DOPS-NA)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-リン酸(ナトリウム塩)(DPPA-NA)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DPPE)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3[ホスホ-rac-(1-グリセロール)(ナトリウム塩)(DPPG-NA)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3[ホスホ-rac-(1-グリセロール)(アンモニウム塩)(DPPG-NH4)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホセリン(ナトリウム塩)(DPPS-NA)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-リン酸(ナトリウム塩)(DSPA-NA)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DSPE)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3[ホスホ-rac-(1-グリセロール)(ナトリウム塩)(DSPG-NA)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3[ホスホ-rac-(1-グリセロール)(アンモニウム塩)(DSPG-NH4)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホセリン(ナトリウム塩)(DSPS)-NA)、Egg-PC(EPC)、水素添加卵PC(HEPC)、水素添加大豆PC(HSPC)、1-ミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(LYSOPCMYRISTIC)、1-パルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(LYSOPCPALMITIC)、1-ステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(LYSOPCステアリック)、1-ミリストイル-2-パルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(MPPC)、1-ミリストイル-2-ステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(MSPC))、1-パルミトイル-2-ミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(PMPC)、1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(POPC)、1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(POPE)、1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3[ホスホ-rac-(1-グリセロール)](ナトリウム塩)(POPG-NA)、1-パルミトイル-2-ステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(PSPC)、1-ステアロイル-2-ミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(SMPC)、1-ステアロイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(SOPC)、及び1-ステアロイル-2-パルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(SPPC)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、リン脂質は、DSPCである。いくつかの実施形態では、リン脂質は、DOPEである。いくつかの実施形態では、リン脂質は、DOPCである。
【0284】
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子に含まれる非カチオン性脂質は、1つ以上のステロイドを含む。本明細書に記載の脂質ナノ粒子に有用なステロイドとしては、コレステロールなどのコレスタン、コール酸などのコラン、プロゲステロンなどのプレグナン、テストステロンなどのアンドロスタン、及びエストラジオールなどのエストランが挙げられるが、これらに限定されない。更なるステロイドとしては、コレステロール(ヒツジ)、コレステロール硫酸、デスモステロール-d6、コレステロール-d7、ラトステロール-d7、デスモステロール、スチグマステロール、ラノステロール、デヒドロコレステロール、ジヒドロラノステロール、チモステロール、ラトステロール、チモステロール-d5、14-デメチル-ラノステロール、14-デメチル-ラノステロール-d6、8(9)-デヒドロコレステロール、8(14)-デヒドロコレステロール、ジオスゲニン、DHEA硫酸、DHEA、ラノステオールド6、ジヒドロラノステロール-d7、カンペステロール-d6、シトステロール、ラノステロール-95、ジヒドロFF-MAS-d6、ジモステノール-d7、ジモステノール、シトスタノール、カンペスタノール、カンペステロール、7-デヒドロデスモステロール、プレグネノロン、シトステロール-d 7、ジヒドロT-MAS、δ5-アベナステロール、ブラシカステロール、ジヒドロFF-MAS、24-メチレンコレステロール、コール酸誘導体、コレステロールエステル、及びグリコシル化ステロールが挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、脂質ナノ粒子はコレステロールを含む。
【0285】
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、脂質コンジュゲートを含む。このような脂質複合体には、C8PEG2000セラミド、C16PEG2000セラミド、C8PEG5000セラミド、C16PEG5000セラミド、C8PEG750セラミド、C16PEG750セラミド等のセラミドPEG誘導体、ホスホエタノールアミンPEG誘導体、例えば、16:0PEG5000PE、14:0PEG5000PE、18:0PEG5000PE、18:1PEG5000PE、16:0PEG3000PE、14:0PEG3000PE、18:0PEG3000PE、18:1PEG3000PE、16:0PEG2000PE、14:0PEG2000PE、18:0PEG2000PE、18:1PEG2000PE16:0PEG1000PE、14:0PEG1000PE、18:0PEG1000PE、18:1PEG1000PE、16:0PEG750PE、14:0PEG750PE、18:0PEG750PE、18:1PEG750PE、16:0PEG550PE、14:0PEG550PE、18:0PEG550PE、18:1PEG550PE、16:0PEG350PE、14:0PEG350PE、18:0PEG350PE、及び18:1PEG350、ステロールPEG誘導体、例えば、Chol-PEG600、及びDMG-PEG5000、DSG-PEG5000、DPG-PEG5000、DMG-PEG3000、DSG-PEG3000、DPG-PEG3000、DMG-PEG2000、DSG-PEG2000、DPG-PEG2000、DMG-PEG1000、DSG-PEG1000、DPG-PEG1000、DMG-PEG750、DSG-PEG750、DPG-PEG750、DMG-PEG550、DSG-PEG550、DPG-PEG550、DMG-PEG350、DSG-PEG350、及びDPG-PEG350などのグリセロールPEG誘導体が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、脂質複合体は、DMG-PEGである。いくつかの実施形態では、脂質複合体は、DMG-PEG2000である。いくつかの実施形態では、脂質複合体はDMG-PEG5000である。
【0286】
例えば、選択された脂質の特徴、意図される標的細胞への送達の性質(例えば、g-NK細胞濃縮組成物)、及び送達されるmRNAの特徴に基づいて、脂質ナノ粒子を含むカチオン性脂質、非カチオン性脂質及び/又は脂質コンジュゲート、ならびにそのような脂質の互いに対する相対モル比を選択することは、当業者のレベルの範囲内である。更なる考慮事項としては、例えば、アルキル鎖の飽和、ならびに選択された脂質のサイズ、電荷、pH、pKa、融合性及び毒性が挙げられる。したがって、各個々の成分のモル比は、それに応じて調整することができる。
【0287】
本方法で使用するための脂質ナノ粒子は、当業者に公知の様々な技術によって調製することができる。核酸-脂質粒子及びそれらの調製方法は、例えば、米国特許公開第20040142025号及び同第20070042031号に開示されている。
【0288】
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、約25~約500nmの範囲内のサイズを有する。いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、約50nm~約300nm、又は約60nm~約120nmのサイズを有する。脂質ナノ粒子のサイズは、準電光散乱(QELS)によって決定でき、Bloomfield,Ann.Rev.Biophys.,10:421A150(1981)に記載されている。特定のサイズ範囲の脂質ナノ粒子の集団を産生するための様々な方法、例えば、超音波処理又はホモジナイゼーションが当技術分野において公知である。このような方法の1つが米国特許第4,737,323号に記載されている。
【0289】
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、脂質ナノ粒子をNK細胞、例えばg-NK細胞に選択的に結合させる、脂質ナノ粒子の表面に固定された免疫細胞標的化分子、例えば、標的化リガンド(例えば、抗体、scFvタンパク質、DART分子、ペプチド、アプタマーなど)を含む。
【0290】
いくつかの実施形態では、核酸の導入は、エレクトロポレーションによって行うことができる。いくつかの実施形態では、核酸は、エレクトロポレーションを介してg-NK細胞に導入される。いくつかの実施形態では、核酸は、DNAである。いくつかの実施形態では、核酸は、RNAである。いくつかの実施形態では、RNAはmRNAである。いくつかの実施形態では、RNAは三重特異性である。いくつかの実施形態では、mRNA又はsaRNAなどの核酸は、エレクトロポレーションによる送達のために脂質ナノ粒子に組み込まれる。
【0291】
III.遺伝子編集
いくつかの実施形態では、g-NK細胞は、遺伝子編集によって遺伝子操作されて、g-NK細胞による1つ以上の遺伝子の発現を変化させ(例えば、低下させ)、それによって、NK細胞の1つ以上の特性又は活性を変化させ得る。例えば、遺伝子編集のための戦略は、g-NK細胞上の標的抗原の発現に起因するフラトリサイド(自己死滅)を低減する1つ以上の戦略を含むことができる。特に免疫無防備状態のHLA適合レシピエントに注入された場合、又は場合によってはHLA不適合レシピエントにも注入された場合に、移植片対宿主病(GvHD)をもたらし得る望ましくない免疫反応性を低下させ、又は、特に腫瘍微小環境における宿主因子による免疫抑制を減少させる。いくつかの実施形態では、1つ以上の遺伝子編集戦略によって操作されたものを含む、操作されたg-NK細胞は、遺伝子編集を伴わない類似のNK細胞と比較して、増強されたNK細胞応答特性、例えば、増強された標的認識、増強されたNK細胞応答レベル及び/もしくは持続時間、改善されたNK細胞生存、遅延されたNK細胞疲弊、ならびに/又は増強された標的認識を示す。
【0292】
いくつかの実施形態では、g-NK細胞は、FcRγ鎖をコードする遺伝子を破壊又はノックアウトする遺伝子編集によって産生される。いくつかの実施形態では、NK細胞は、ヒトFcRγ鎖タンパク質の発現又は活性を低減又は排除するように遺伝子操作される。いくつかの実施形態では、遺伝子破壊は、オープンリーディングフレーム内のフレームシフト変異及び/又は未成熟終止コドンなどの、遺伝子における挿入、欠失又は変異をもたらす。FcRのノックアウト又は破壊のための方法γNK細胞における鎖は、PCT国際公開番号WO2018/148462及びLiu et al.iScience,2020;23:101709に記載されている。
【0293】
当業者は、FcRγ鎖遺伝子を破壊するための多くの適切な方法があることを理解するであろう。例えば、全遺伝子座、例えばFcRγ遺伝子座は欠失していてもよい。場合によっては、遺伝子の一部、例えばエクソン又はドメインを欠失させることも適切である。具体的には、FcRγのITAMシグナル伝達ドメインが欠失していてもよい。あるいは、提供される方法はまた、FcRγ遺伝子座、例えば不活性化突然変異などの遺伝子座に1つ以上のアミノ酸置換を導入することを含む。いくつかの実施形態では、停止コドンをFcRmγRNAなどのmRNAに導入して、FcRγシグナル伝達アダプターなどの発現遺伝子の切断型及び/又は不活化型を産生することができる。いくつかの実施形態では、FcRγシグナル伝達アダプターの発現、活性及び/又はシグナル伝達を低下させるために、FcRγ遺伝子などの遺伝子の調節エレメントを変異又は欠失させることもできる。
【0294】
いくつかの実施形態では、遺伝子破壊は、部位特異的エンドヌクレアーゼを使用して哺乳動物細胞において行うことができる。遺伝子の部位特異的欠失を可能にするエンドヌクレアーゼは、当技術分野において公知であり、TALヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、CRISPR/Cas(例えば、Cas9)、及びアルゴノートを含み得る。操作された部位特異的エンドヌクレアーゼを産生するための方法は、当該分野で公知である。部位特異的エンドヌクレアーゼは、FcRγ鎖遺伝子などの特定の遺伝子を認識及び欠失又は改変するように操作することができる。
【0295】
いくつかの実施形態では、提供されるg-NKは、g-NK細胞のゲノムを編集することによって操作される。いくつかの実施形態では、ゲノムの編集は、NK細胞の出発試料からg-NK細胞サブセットを濃縮する方法で実施され得る。したがって、提供される方法は、FcRγ鎖が欠損しているNK細胞について選択されたg-NK細胞のみ(又はg-NK代用マーカープロファイルによって選択又は同定されたもののみ)のゲノムを選択編集することを必要としないが、g-NK細胞が優先的に増殖又は濃縮される、又は増殖又は濃縮されたNK細胞の組成物の遺伝子編集を伴い得ることが理解される。したがって、g-NK細胞が濃縮された細胞の最終組成物は、異種抗原受容体(例えば、CAR)、異種サイトカイン(例えば、IL-15もしくはIL-21などの分泌型もしくは膜結合型インターロイキン)、又は異種抗原受容体及びサイトカインが導入され、遺伝子編集されたg-NK細胞を含む。g-NK細胞が濃縮された組成物を調製及び増殖するための例示的な方法は、セクションVに提供される。
【0296】
いくつかの実施形態では、ゲノムの編集は、セクションVに記載されているような、g-NK細胞を増殖させる方法中の任意の適切な時点で行われてもよい。いくつかの実施形態では、遺伝子編集は、対象からの細胞の選択(例えば、CD3negCD57pos又はCD3negCD56posである細胞の選択又は濃縮)後、NK細胞の増殖又は増殖のために、選択又は濃縮された細胞をフィーダー細胞(例えば、HLA-E発現フィーダー細胞)と共にインキュベート又は培養する前に行われる。いくつかの実施形態では、遺伝子編集は、フィーダー細胞(例えば、HLA-E発現フィーダー細胞)とのインキュベーション又は培養の後、したがって、選択又は濃縮された細胞が増殖又は増殖した後に行われる。いくつかの実施形態では、遺伝子編集は、抗原受容体(例えば、CAR)及び/又は免疫調節物質(例えば、分泌型又は膜結合型インターロイキンなどのサイトカイン、例えば、IL-15又はIL-21)を導入するための方法を用いて、任意の順序で逐次的に行われる。いくつかの実施形態では、遺伝子編集は、CARなどの抗原受容体を導入するための方法を用いて、任意の順序で逐次的に行われる。いくつかの実施形態では、遺伝子編集は、サイトカインなどの免疫調節物質を導入するための方法を用いて、任意の順序で連続的に実施される。いくつかの実施形態では、遺伝子編集は、CARなどの抗原受容体、及びサイトカインなどの免疫調節物質を導入するための方法を用いて、任意の順序で逐次的に行われる。
【0297】
標的遺伝子発現をノックアウトするための方法としては、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、Tale-エフェクタードメインヌクレアーゼ(TALEN)、及びCRIPSR/Cas系が挙げられるが、これらに限定されない。このような方法は、典型的には、例えば1つ以上のドナー配列の存在下で、ヌクレアーゼが内因性遺伝子の改変を媒介するように、1つ以上のヌクレアーゼをコードする1つ以上のポリヌクレオチドを細胞に投与することを含み、その結果、ドナーは、ヌクレアーゼによって標的化される内因性遺伝子に組み込まれる。1つ以上のドナー分子の組込みは、相同組換え修復(HDR)を介して、又は非相同末端結合(NHEJ)関連修復によって生じる。特定の実施形態において、ヌクレアーゼの1つ以上の対が使用され、このヌクレアーゼは、同じ核酸又は異なる核酸によってコードされ得る。
【0298】
いくつかの実施形態では、遺伝子編集は、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)を使用して行われる。ZFNは、FokIエンドヌクレアーゼの非特異的切断ドメイン(N)及びジンクフィンガータンパク質(ZFP)を含む融合タンパク質である。ZNFの対は、標的遺伝子中の特定の遺伝子座を認識することに関与しており、一方は改変される部位の上流の配列を認識し、他方は下流の配列を認識し、ZFNのヌクレアーゼ部分は特定の遺伝子座で切断し、標的遺伝子のノックアウトを引き起こす。遺伝子発現を減少させるためにZFNを使用する方法は、例えば、米国特許番号9,045,763、及びDurai et al.「Zinc Finger Nucleases:Custom-Designed Molecular Scissors for Genome Engineering of Plant and Mammalian cells」Nucleic Acid Research 33(18):5978-5990(2005)に開示されているように、公知であり、その開示はその全体が参照により組み込まれる。
【0299】
いくつかの実施形態では、遺伝子編集は、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALENS)を使用して行われる。TALENは、ゲノム部位の周囲に対として結合し、同じ非特異的ヌクレアーゼであるFokIに特異的部位でゲノムを切断させるが、DNAトリプレットを認識する代わりに、各ドメインが単一ヌクレオチドを認識するという点で、ZFNと類似している。遺伝子発現を減少させるためにZFNを使用する方法も公知であり、例えば、米国特許第9,005,973号、及びChristian et al.「Targeting DNA Double-Strand Breaks with TAL Effector Nucleases」Genetics 186(2):757-761(2010)に開示されており、これらの開示は、その全体が参照により組み込まれる。
【0300】
いくつかの実施形態では、遺伝子編集は、RNA誘導型ヌクレアーゼを使用して実施される。いくつかの実施形態では、RNA誘導型ヌクレアーゼは、RNA誘導型DNAエンドヌクレアーゼである。いくつかの実施形態では、RNA誘導型ヌクレアーゼは、CRISPRヌクレアーゼである。RNA誘導型ヌクレアーゼの非限定的な例としては、PCT公開第WO2020/168300号(例えば、その中の表2)に記載されている任意のものが挙げられる。いくつかの実施形態では、RNA誘導型ヌクレアーゼは、Cas9又はCas12ヌクレアーゼである。いくつかの実施形態では、RNA誘導型ヌクレアーゼは、Cpfl (Cas12a)である。いくつかの実施形態では、Cpf 1は、アシダミノコッカス属の種(Acidaminococcus sp.)Cpfl(AsCpfl)である。
【0301】
いくつかの実施形態では、遺伝子編集は、RNA誘導型ヌクレアーゼ及び誘導RNA(gRNA)を用いて行われる。これらの2つの成分は、特定の核酸配列と会合し、例えば、一本鎖切断(SSB又はニック)、二本鎖切断(DSB)及び/又は点突然変異のうちの1つ以上を行うことによって、その核酸配列中又はその周囲のDNAを編集することができる複合体を形成する。いくつかの実施形態では、gRNAは、crRNAと、任意選択で、tracrRNAとを含む。いくつかの実施形態では、RNA誘導型ヌクレアーゼ(例えば、Cas9又はCas12)及び1つ以上のgRNAは、gRNA(例えば、crRNA)の標的化(又はスペーサー)配列に相補的な特定の遺伝子座と会合し(すなわち、標的とし)、切断するリボ核タンパク質(RNP)複合体を形成する。いくつかの実施形態では、Casは、化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)由来などのCas9ヌクレアーゼである。本明細書で使用されるエンドヌクレアーゼは、合成Cas9に典型的に使用される化膿性連鎖球菌のCas9(SpCas9)に限定されないことが理解される。一態様では、Cas9は異なる細菌源に由来し得る。Cas9の置換はまた、標的特異性を増加させるために使用することができ、したがって、使用する必要があるgRNAが少なくなる。したがって、例えば、Casは、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(SaCas9)、アシダミノコッカス属の種(AsCpf1)、ラクノスピラ科(Lachnospiracase)の細菌に由来(LbCpf1)するプレボテラ(Prevotella)及びフランシセラ(Francisella)1由来(Cpf1)の、クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats)、ナイセリア・メニンギティディス(Neisseria meningitidis)(NmCas9)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)(StCas9)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)(CjCas9)、enhanced SpCas9(eSpCas9)、SpCas9-HF1、FokI-Fused dCas9、又はexpanded Cas9(xCas9)に由来し得る。更に、他のCasエンドヌクレアーゼ、例えば、CasX、CasY、Cas 14、Cas4、Csn2、Cas13a、Cas13b、Cas13c、Cas13d、C2c1、もしくはC2c3などをCas9系の代わりに、又はプライム編集を含む任意の他のタイプの操作されたCasタンパク質を使用して使用することができる。
【0302】
いくつかの実施形態では、RNA誘導型ヌクレアーゼ(例えば、Cas)及びgRNAを含有するゲノム編集システムは、特定の実施形態では、編集される細胞に導入されるタンパク質/RNA複合体(リボ核タンパク質、又はRNP)として実装される。いくつかの実施形態では、RNP複合体は、脂質又はポリマーマイクロ粒子もしくはナノ粒子、ミセル、又はリポソームなどのカプセル化剤中で細胞に導入される。特定の実施形態では、RNA誘導型ヌクレアーゼ(例えば、Cas)及びgRNAを含有するゲノム編集システムは、RNA誘導型ヌクレアーゼ及び誘導RNA成分をコードする1つ以上の核酸として実装される。例えば、特定の実施形態では、ゲノム編集システムは、そのような核酸を含む1つ以上のベクター、例えば、アデノ随伴ウイルスなどのウイルスベクターとして実装される。
【0303】
機能的用語では、RNA誘導型ヌクレアーゼは、(a)gRNAと相互作用し(例えば、との複合体)、(b)gRNAと共に、(i)gRNAの標的化ドメインに相補的な配列、及び任意選択で、(ii)「プロトスペーサー隣接モチーフ」又は「PAM」と呼ばれる追加の配列を含むDNAの標的領域と会合し、任意選択で切断又は改変するヌクレアーゼとして定義される。PAM配列は、gRNA標的化ドメイン(又は「スペーサー」)に相補的な「プロトスペーサー」配列とのその配列関係からその名称をとっている。プロトスペーサー配列と共に、PAM配列は、特定のRNA誘導型ヌクレアーゼ/gRNA組み合わせの標的領域又は配列を規定する。様々なRNA誘導型ヌクレアーゼは、PAMとプロトスペーサーとの間の異なる配列関係を必要とし得る。例えば、Cas9ヌクレアーゼは、プロトスペーサーの3’側にあるPAM配列を認識し、一方、Cpf 1は、一般に、プロトスペーサーの5’側にあるPAM配列を認識する。PAM及びプロトスペーサーの特定の配列配向を認識することに加えて、RNA誘導型ヌクレアーゼは、特定のPAM配列も認識することができる。黄色ブドウ球菌(S.aureus)Cas9は、例えば、NNGRRT又はNNGRRVのPAM配列を認識し、N残基は、gRNA標的化ドメインによって認識される領域のすぐ3’側にある。化膿性連鎖球菌(S.pyogenes)Cas9はNGG PAM配列を認識する。F.ノビシダCpf 1は、TTN PAM配列を認識する。PAM配列は、様々なRNA誘導型ヌクレアーゼについて同定されており、新規なPAM配列を同定するための戦略は、Shmakov el al,2015,Molecular Cell 60,385-397,November 5,2015に記載されている。
【0304】
特定のCasの使用は、Casエンドヌクレアーゼ(又は代替物)が標的についてスクリーニングするために使用するPAM配列を変化させ得ることが理解され、本明細書において企図される。本明細書で使用される場合、好適なPAM配列は、NGG(SpCas9 PAM)NNGRRT(SaCas9 PAM)NNNNGATT(NmCAs9 PAM)、NNNNRYAC(CjCas9 PAM)、NNAGAAW(St)、TTTV(LbCpf1 PAM及びAsCpf1 PAM)、TYCV(LbCpf1 PAM変異体及びAsCpf1 PAM変異体)、(式中、Nは任意のヌクレオチドであり得る)V=A、C、又はG、Y=C又はTであり、W=A又はT、及びR=A又はGである。
【0305】
いくつかの実施形態では、gRNAは、細胞内のゲノム配列などの標的配列へのRNA誘導型ヌクレアーゼ(例えば、Cas9又はCpf 1などのCas)の特異的会合(又は「標的化」)を促進する。gRNAは、単分子(単一のRNA分子を含み、代替的にキメラと称される)、又はモジュラー(例えば、通常、例えば、二本鎖化によって互いに関連付けられる、crispr RNA(crRNA)及びtracrRNAなどの、1つを超える、典型的には2つの別個のRNA分子を含む)であり得る。誘導RNAは、単分子であろうとモジュールであろうと、編集が望まれる細胞のゲノム中のDNA配列などの標的配列内の標的ドメインに完全に又は部分的に相補的である「標的化ドメイン」を含む。例えば、Cas9に関連して、crRNAは、標的DNAに相補的なヌクレオチド配列である標的化ドメインを提供する誘導RNAであり、Casヌクレアーゼのための結合足場として働くtracrRNAも含み得る。単一のcrRNAの誘導下で二本鎖DNA切断を誘導するCpf 1に関連して、tracrRNAは必要とされず、代わりに、crRNAは、Cpf 1認識に関与する5’-ハンドル及び相補的結合を介して標的DNA配列と相互作用する誘導セグメントを含む。標的化ドメインは、典型的には、10~30ヌクレオチド長であり、特定の実施形態では、16~24ヌクレオチド長(例えば、16、17、18、19、20、21、22、23又は24ヌクレオチド長)である。
【0306】
いくつかの実施形態では、gRNA、場合によってはcrRNAは、標的核酸配列とハイブリダイズして標的核酸配列への核酸標的化複合体の配列特異的結合を誘導するのに十分な、標的核酸配列との相補性を有する任意のポリヌクレオチド配列である。いくつかの実施形態では、相補性の程度は、適切なアラインメントアルゴリズムを使用して任意選択でアラインメントされた場合、約50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、97.5%、99%又はそれ以上であるか、又はそれより大きい。最適なアラインメントは、配列をアラインメントするための任意の適切なアルゴリズムを使用して決定することができ、その非限定的な例としては、Smith-Watermanアルゴリズム、Needleman-Wunschアルゴリズム、バローズ-Wheeler Transformに基づくアルゴリズム(例えば、バローズWheeler Aligner)、Clustal 1W、Clustal X、BLAT、及び当業者に公知の他のものが挙げられる。核酸標的化複合体の標的核酸配列への配列特異的結合を指示する誘導配列(核酸標的化誘導RNA内)の能力は、任意の好適なアッセイによって評価することができる。例えば、核酸標的化複合体を形成するのに十分な核酸標的化CRISPR系の成分は、核酸標的化複合体の成分をコードするベクターでのトランスフェクションなどによって、対応する標的核酸配列を有する宿主細胞に提供され、その後、標的核酸配列内の優先的標的化(例えば、切断)が評価され得る。同様に、標的核酸配列の切断は、標的核酸配列、試験される誘導配列及び試験誘導配列とは異なる対照誘導配列を含む核酸標的化複合体の成分を提供し、試験誘導配列反応と対照誘導配列反応との間で標的配列における結合又は切断速度を比較することによって、試験管中で評価することができる。
【0307】
gRNAを設計するための方法は、当業者に公知である(例えば、Cui et al.(2018)Interdisciplinary Sciences:Computational Life Sciences,10:455-465)、PCT公開第WO2019/010384号)。標的配列の選択及び検証ならびにオフターゲット分析のための方法は、以前に、例えば、Mali;Hsu;Fu et al.,2014 Nat biotechnol 32(3):279-84;Heigwer et al.,2014 Nat methods 11(2):122-3;Bae et al.(2014)Bioinformatics 30(10):1473-5;及びXiao A et al.(2014)Bioinformatics 30(8):1180-1182に記載された。非限定的な例として、gRNA設計は、ユーザーの標的配列に対応する潜在的な標的配列の選択を最適化するための、例えば、ゲノムにわたる総オフターゲット活性を最小化するためのソフトウェアツールの使用を含み得る。オフターゲット活性は切断に限定されないが、各オフターゲット配列における切断効率は、例えば、実験的に導出された重み付けスキームを使用して予測することができる。
【0308】
例えば、RNAヌクレオチドの標的化配列を含む誘導RNAは、DNA配列として提供される標的化ドメイン配列に対応するRNA配列を含み、これはチミジンヌクレオチドの代わりにウラシルを含有する。例えば、RNAヌクレオチドの標的化ドメイン配列を含み、チミジン分子を含むDNA配列によって記載される誘導RNAは、同じであるがチミジンの代わりにウラシルを含む対応するRNA配列の標的化ドメインを有する。当業者に明らかであるように、そのような標的化配列は、適切な誘導RNA足場、例えば、crRNA足場配列又はキメラcrRNA/tracerRNA足場配列に連結される。適切なgRNA足場配列は、当業者に公知である。例えば、Cpflの場合、好適な足場配列は、標的化ドメインの5’末端に付加された配列UA AUUU CU ACUCUU GU AG AU(配列番号16)を含む。
【0309】
いくつかの実施形態では、MM抗体を含む抗体に対する臨床的ADCC応答を増強するための努力は、NK細胞が腫瘍標的と同じで特定の抗原も発現するので困難であった。これらの抗原には、例えば、CD38及びSLAMF7が含まれる。したがって、NK細胞療法を標的抗体と組み合わせる場合(例えば、それぞれCD38及びSLAMF7を標的とするためのダラツムマブ及びエロツズマブ)、又はNK細胞が標的抗体に対して本明細書で提供されるCARを発現する場合、療法は、がんを標的とし得るだけでなく、対象のNK細胞集団を枯渇させることもできる。例えば、高いCD38発現は、特に、ダラツムマブ治療過程の初期にNK細胞の急速な枯渇をもたらし、更により完全な腫瘍根絶を潜在的に駆動し得るこの自然免疫細胞源を大幅に排除する。
【0310】
いくつかの実施形態では、NK細胞は、NK細胞によってあるレベルでも発現されることが知られているか、又は疑われる標的抗原の発現を低下させるように編集される。いくつかの実施形態では、遺伝子編集は、NK細胞によってあるレベルで発現されることが公知であるか又は疑われる標的抗原を標的とするgRNAを用いて実施される。いくつかの実施形態では、NK細胞は、CD38に対して指向されるCARを発現し、CD38発現は、NK細胞において低減又は排除される。いくつかの実施形態では、本開示で使用するためのgRNAは、CD38を標的とするgRNAである(CD38を標的とする例示的なgRNAについては、例えば、国際公開第2019/222503号、国際公開第2021/087466号及び国際公開第2021/113853号を参照)。
【0311】
いくつかの実施形態では、gRNAは、NK細胞の免疫反応性に関与する分子を標的とする。いくつかの実施形態では、操作されたg-NK細胞の表面上のHLAクラスI発現が低減される。ヒト白血球抗原(HLA)系は、ヒトにおける主要組織適合性複合体(MHC)タンパク質をコードする遺伝子複合体である。HLAクラスIタンパク質は全て、長いα鎖及び短いβ鎖、B2Mを有する。B2Mの非存在下ではほとんどHLAクラスIを発現することができず、HLAクラスIタンパク質が細胞内からペプチドを提示するためにはB2Mの発現が必要である。本開示は、B3Mの発現を低下させるように操作されたg-NK細胞を提供する。したがって、これらの細胞は、免疫監視を回避し、細胞傷害性T細胞によって付着する。いくつかの実施形態では、本開示で使用するためのgRNAは、ベータ2ミクログロブリン(B2M)を標的とするgRNAである(B2Mを標的とする例示的なgRNAについては、例えば、国際公開第2020/168300号、国際公開第2018/064694号、国際公開第2015/161276号、又は国際公開第2017/152015号を参照)。
【0312】
いくつかの実施形態では、gRNAは、NK細胞活性の免疫抑制に関与する分子を標的とする。適切には、操作されたNK細胞は、低下したチェックポイント阻害受容体機能を含むか又はチェックポイント阻害受容体機能を含まない。好適には、機能が低下しているか又は機能がないチェックポイント阻害受容体は、CD96(TACTILE)、CD152(CTLA4)、CD223(LAG-3)、CD279(PD-1)、CD328(SIGLEC7)、SIGLEC9、TIGIT、及び/又はTIM-3のうちの1つ以上又は全てを含む。好適には、NK細胞は、2つ以上のチェックポイント阻害受容体に対するチェックポイント阻害受容体機能が低下しているか、又は存在しない。好適には、2つ以上のチェックポイント阻害受容体は、CD96(TACTILE)、CD152(CTLA4)、又はCD328(SIGLEC7)又はCD279(PD-1)を含む。
【0313】
いくつかの実施形態では、本開示における使用のためのgRNAは、TIGITを標的とするgRNAである(例えば、TIGITを標的とする例示的なgRNAについては、国際公開第2020/168300号を参照)。いくつかの実施形態では、本開示において使用するためのgRNAは、PD-1を標的とするgRNAである(PD-1を標的とする例示的なgRNAについては、例えば、国際公開第2015/161276号又は国際公開第2017/152015号を参照)。
【0314】
いくつかの実施形態では、本開示で使用するためのgRNAは、アデノシンA2a受容体(ADORA2a)などのアデノシン受容体を標的とするgRNAである(ADORA2aを標的とする例示的なgRNAについては、例えば、国際公開第2020/168300号を参照)。いくつかの実施形態では、本開示において使用するためのgRNAは、TGFベータ受容体を標的とするgRNA、例えばTGFベータR 2である(例えば、TGFベータR 2を標的とする例示的なgRNAについては国際公開第2020/168300号を参照)。いくつかの実施形態では、本開示で使用するためのgRNAは、サイトカイン誘導性SH 2含有タンパク質(CISH)をコードする遺伝子を標的とするgRNAである(例えば、CISHを標的とする例示的なgRNAについては国際公開第2020/168300号を参照)。
【0315】
いくつかの実施形態では、RNA誘導型ヌクレアーゼをコードするDNA及び/又はgRNAをコードするDNAは、例えば、ベクター(例えば、ウイルスベクターもしくは非ウイルスベクター)、非ベクターベースの方法(例えば、裸のDNAもしくはDNA複合体を使用する)、又はこれらの組み合わせによって送達することができる。いくつかの実施形態では、RNA誘導型ヌクレアーゼ(例えば、Cas)及び/又はgRNAをコードする核酸は、AAVによって送達される。遺伝子編集のための核酸は、例えば、トランスフェクションもしくはエレクトロポレーションによって、裸のDNAもしくはRNAとして細胞に直接送達され得るか、又は標的細胞による取り込みを促進する分子(例えば、N-アセチルガラクトサミン)にコンジュゲートされ得る。
【0316】
いくつかの実施形態では、RNA誘導型ヌクレアーゼ及びgRNAは、リボ核タンパク質(RNP)複合体として細胞に送達される。いくつかの実施形態では、Cas及びgRNAは別々に精製され、次いでアセンブルされてRNPを形成する。いくつかの実施形態では、1つ以上のRNP複合体は、任意の順序で連続して、又は同時に細胞に送達される。いくつかの実施形態では、RNP複合体は、エレクトロポレーションによって細胞に送達される。いくつかの実施形態では、RNP複合体は、脂質ナノ粒子を使用して細胞に送達される。
【0317】
1つの非限定的な例において、RNP複合体を作製するために、crRNA及びtracrRNAを約50μM~約500μM(例えば、50、60、70、80、90,100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、35、375、400、425、450、475、又は500μM)、好ましくは100μM~約300μM濃度のl:l,2:l、又は1:2の割合で、最も好ましくは約200μMの95℃で約5分間約200μM、混合し、tracrRNA複合体(すなわち、誘導RNA)を形成することができる。crRNA:tracrRNA複合体を、次いで、約20μM~約50μM(例えば、21、22、23,24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50μM)の最終希釈のCasエンドヌクレアーゼ(例えば、Cas9など)と混合することができる。
【0318】
特定の実施形態において、セクションVに記載されるようなgNK細胞について濃縮された増殖NK細胞などのNK細胞へのRNP複合体の導入は、エレクトロポレーションによる。エレクトロポレーションは、電場を細胞に印加して細胞膜の透過性を増加させる技術である。電場の印加は、細胞膜を横切って核酸などの荷電分子を引き寄せる膜を横切る電荷勾配を引き起こす。したがって、一態様では、NK細胞を遺伝子改変する方法であって、NK細胞における標的DNA配列に特異的な誘導RNA(gRNA)を得ることと、及びb)NK細胞のゲノムDNA内の標的配列にハイブリダイズする対応するCRISPR/Cas誘導RNAと複合体化されたCasエンドヌクレアーゼ(例えば、Cas9)を含むリボ核タンパク質(RNP)複合体を、エレクトロポレーションを介して標的NK細胞に導入することを含む方法が本明細書に開示される。
【0319】
いくつかの実施形態では、NK細胞の導入(例えば、エレクトロポレーション)に続いて、ここで改変されたNK細胞は、セクションVに記載されているように、HLA発現フィーダー細胞、一般的に照射フィーダー細胞、及びサイトカイン(例えば、IL-2及びIL-21)を含む培地中で、例えば、g-NK細胞が濃縮されたNK細胞の刺激、増殖又は増殖を誘導する条件下で増殖させることができる。したがって、遺伝子操作された細胞は、照射されたフィーダー細胞を使用してエレクトロポレーション後に増殖させることができるので、生存能及び増殖能を保持する。培養期間は、RNP複合体の導入後1~14日、例えばエレクトロポレーション後(すなわち、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、又は14日)、例えば3~7日、例えば4~6日であり得ることが理解され、本明細書において企図される。いくつかの態様では、操作されたNK細胞を培養するための培地は、セクションVに記載されているような、例えば、IL-2、IL-12、IL-15、IL-18、及び/又はIL-21などのサイトカインを更に含むことができる。いくつかの実施形態では、培地は、IL-2及びIL-21を含有する。
【0320】
IV.組成物及び医薬製剤
本明細書では、操作されたg-NK細胞を含む組成物が提供される。いくつかの実施形態では、組成物の操作されたg-NK細胞は、CARを発現する。組成物は、CARを発現する複数のg-NK細胞から構成され得る。
【0321】
いくつかの実施形態では、組成物の操作されたg-NK細胞は、分泌型又は膜結合型であり得る免疫調節物質(例えば、サイトカイン)を発現する。組成物は、免疫調節物質を発現する複数のg-NK細胞から構成され得る。
【0322】
いくつかの実施形態では、組成物の操作されたg-NK細胞は、CAR又は膜結合型であり得るCAR及び免疫調節物質(例えば、サイトカイン)を発現する。組成物は、CAR及び免疫調節物質の両方を発現する複数のg-NK細胞から構成され得る。いくつかの実施形態では、操作されたNK細胞の50%超又は約50%超がg-NK細胞である。いくつかの実施形態では、操作されたNK細胞の60%超又は約60%超がg-NK細胞である。いくつかの実施形態では、操作されたNK細胞の70%超又は約70%超が、g-NK細胞である。いくつかの実施形態では、操作されたNK細胞の80%超又は約80%超が、g-NK細胞である。いくつかの実施形態では、操作されたNK細胞の90%超又は約90%超が、g-NK細胞である。いくつかの実施形態では、操作されたNK細胞の95%超又は約95%超がg-NK細胞である。
【0323】
いくつかの実施形態では、組成物は、50%超又は約50%超のg-NK細胞を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、60%超又は約60%超のg-NK細胞を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、70%超又は約70%超のg-NK細胞を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、80%超又は約80%超のg-NK細胞を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、90%超又は約90%超のg-NK細胞を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、95%超又は約95%超のg-NK細胞を含む。
【0324】
いくつかの実施形態では、組成物の複数のNK細胞は、50%超又は約50%超のg-NK細胞を構成する。いくつかの実施形態では、組成物の複数のNK細胞は、60%超又は約60%超のg-NK細胞を構成する。いくつかの実施形態では、組成物の複数のNK細胞は、70%超又は約70%超のg-NK細胞を構成する。いくつかの実施形態では、組成物の複数のNK細胞は、80%超又は約80%超のg-NK細胞を構成する。いくつかの実施形態では、組成物の複数のNK細胞は、90%超又は約90%超のg-NK細胞を構成する。いくつかの実施形態では、組成物の複数のNK細胞は、95%超又は約95%超のg-NK細胞を構成する。
【0325】
いくつかの実施形態では、組成物中の総細胞の20%超又は約20%超が、CARをコードする異種核酸を含む。いくつかの実施形態では、組成物中の総細胞の30%超又は約30%超が、CARをコードする異種核酸を含む。いくつかの実施形態では、組成物中の総細胞の40%超又は約40%超が、CARをコードする異種核酸を含む。いくつかの実施形態では、組成物中の総細胞の50%超又は約50%超が、CARをコードする異種核酸を含む。いくつかの実施形態では、組成物中の総細胞の60%超又は約60%超が、CARをコードする異種核酸を含む。いくつかの実施形態では、組成物中の総細胞の70%超又は約70%超が、CARをコードする異種核酸を含む。いくつかの実施形態では、組成物中の総細胞の80%超又は約80%超が、CARをコードする異種核酸を含む。いくつかの実施形態では、組成物中の総細胞の90%超又は約90%超が、CARをコードする異種核酸を含む。いくつかの実施形態では、組成物中の総細胞の95%超又は約95%超が、CARをコードする異種核酸を含む。
【0326】
いくつかの実施形態では、組成物中のg-NK細胞の20%超又は約20%超が、CARをコードする異種核酸を含む。いくつかの実施形態では、組成物中のg-NK細胞の30%超又は約30%超が、CARをコードする異種核酸を含む。いくつかの実施形態では、組成物中のg-NK細胞の40%超又は約40%超が、CARをコードする異種核酸を含む。いくつかの実施形態では、組成物中のg-NK細胞の50%超又は約50%超が、CARをコードする異種核酸を含む。いくつかの実施形態では、組成物中のg-NK細胞の60%超又は約60%超が、CARをコードする異種核酸を含む。いくつかの実施形態では、組成物中のg-NK細胞の70%超又は約70%超が、CARをコードする異種核酸を含む。いくつかの実施形態では、組成物中のg-NK細胞の80%超又は約80%超が、CARをコードする異種核酸を含む。いくつかの実施形態では、組成物中のg-NK細胞の90%超又は約90%超が、CARをコードする異種核酸を含む。いくつかの実施形態では、組成物中のg-NK細胞の95%超又は約95%超が、CARをコードする異種核酸を含む。
【0327】
いくつかの実施形態では、組成物中の総細胞の20%超又は約20%超が、免疫調節物質(例えば、記載されるような分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。いくつかの実施形態では、組成物中の総細胞の30%超又は約30%超が、免疫調節物質(例えば、記載されるような分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。いくつかの実施形態では、組成物中の総細胞の40%超又は約40%超が、免疫調節物質(例えば、記載されるような分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。いくつかの実施形態では、組成物中の総細胞の50%超又は約50%超が、免疫調節物質(例えば、記載されるような分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。いくつかの実施形態では、組成物中の総細胞の60%超又は約60%超が、免疫調節物質(例えば、記載されるような分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。いくつかの実施形態では、組成物中の総細胞の70%超又は約70%超が、免疫調節物質(例えば、記載されるような分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。いくつかの実施形態では、組成物中の総細胞の80%超又は約80%超が、免疫調節物質(例えば、記載されるような分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。いくつかの実施形態では、組成物中の総細胞の90%超又は約90%超が、免疫調節物質(例えば、記載の分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。いくつかの実施形態では、組成物中の総細胞の95%超又は約95%超が、免疫調節物質(例えば、記載されるような分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。
【0328】
いくつかの実施形態では、組成物中のg-NK細胞の20%超又は約20%超が、免疫調節物質(例えば、記載される分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。いくつかの実施形態では、組成物中のg-NK細胞の30%超又は約30%超が、免疫調節物質(例えば、記載されるような分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。いくつかの実施形態では、組成物中のg-NK細胞の40%超又は約40%超が、免疫調節物質(例えば、記載される分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。いくつかの実施形態では、組成物中のg-NK細胞の50%超又は約50%超が、免疫調節物質(例えば、記載されるような分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。いくつかの実施形態では、組成物中のg-NK細胞の60%超又は約60%超が、免疫調節物質(例えば、記載される分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。いくつかの実施形態では、組成物中のg-NK細胞の70%超又は約70%超が、免疫調節物質(例えば、記載されるような分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。いくつかの実施形態では、組成物中のg-NK細胞の80%超又は約80%超が、免疫調節物質(例えば、記載される分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。いくつかの実施形態では、組成物中のg-NK細胞の90%超又は約90%超が、免疫調節物質(例えば、記載される分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。いくつかの実施形態では、組成物中のg-NK細胞の95%超又は約95%超が、免疫調節物質(例えば、記載される分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。
【0329】
いくつかの実施形態では、組成物中の総細胞の20%超又は約20%超が、CAR及び免疫調節物質(例えば、記載の分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。いくつかの実施形態では、組成物中の総細胞の30%超又は約30%超が、CAR及び免疫調節物質(例えば、記載の分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。いくつかの実施形態では、組成物中の総細胞の40%超又は約40%超が、CAR及び免疫調節物質(例えば、記載の分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。いくつかの実施形態では、組成物中の総細胞の50%超又は約50%超が、CAR及び免疫調節物質(例えば、記載の分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。いくつかの実施形態では、組成物中の総細胞の60%超又は約60%超が、CAR及び免疫調節物質(例えば、記載の分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。いくつかの実施形態では、組成物中の総細胞の70%超又は約70%超が、CAR及び免疫調節物質(例えば、記載の分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。いくつかの実施形態では、組成物中の総細胞の80%超又は約80%超が、CAR及び免疫調節物質(例えば、記載の分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。いくつかの実施形態では、組成物中の総細胞の90%超又は約90%超が、CAR及び免疫調節物質(例えば、記載の分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。いくつかの実施形態では、組成物中の総細胞の95%超又は約95%超が、CAR及び免疫調節物質(例えば、記載されるような分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。
【0330】
いくつかの実施形態では、組成物中のg-NK細胞の20%超又は約20%超が、CAR及び免疫調節物質(例えば、記載される分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、組成物中のg-NK細胞の30%超又は約30%超が、CAR及び免疫調節物質(例えば、記載される分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。いくつかの実施形態では、組成物中のg-NK細胞の40%超又は約40%超が、CAR及び免疫調節物質(例えば、記載されるような分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。いくつかの実施形態では、組成物中のg-NK細胞の50%超又は約50%超が、CAR及び免疫調節物質(例えば、記載される分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。いくつかの実施形態では、組成物中のg-NK細胞の60%超又は約60%超が、CAR及び免疫調節物質(例えば、記載される分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。いくつかの実施形態では、組成物中のg-NK細胞の70%超又は約70%超が、CAR及び免疫調節物質(例えば、記載される分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。いくつかの実施形態では、組成物中のg-NK細胞の80%超又は約80%超が、CAR及び免疫調節物質(例えば、記載される分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。いくつかの実施形態では、組成物中のg-NK細胞の90%超又は約90%超が、CAR及び免疫調節物質(例えば、記載される分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。いくつかの実施形態では、組成物中のg-NK細胞の95%超又は約95%超が、CAR及び免疫調節物質(例えば、記載される分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。
【0331】
特に、提供される組成物の中には、g-NK細胞について濃縮された細胞の組成物がある。いくつかの実施形態では、提供される方法において使用するための組成物は、提供される方法のいずれかによって産生されるものなどの増殖NK細胞であるg-NK細胞を含有する。いくつかの実施形態では、組成物は、NKG2Cpos細胞又はそのサブセットを含有する。いくつかの実施形態では、組成物は、NKG2Aneg細胞又はそのサブセットを含有する。いくつかの実施形態では、組成物は、NKG2Cpos/NKG2Aneg細胞又はそのサブセットを含有する。
【0332】
いくつかの実施形態では、組成物は、約5~99%のNKG2Cpos細胞もしくはそのサブセット、又は5%~99%(両端を含む)の任意の割合のNKG2Cpos細胞もしくはそのサブセットを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、細胞が単離された対象に天然に存在する全NK細胞又は総細胞に対するNKG2Cpos細胞又はそのサブセットの割合と比較して、全NK細胞又は総細胞に対するNKG2Cpos細胞又はそのサブセットの増加した又はより大きな割合を含むことができる。いくつかの実施形態では、割合は、少なくとも又は少なくとも約2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、150倍、200倍又はそれ以上増加する。
【0333】
いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも20%又は約20%、少なくとも30%又は少なくとも約30%、少なくとも又は少なくとも約40%、少なくとも50%又は少なくとも約50%、少なくとも60%又は少なくとも約60%、少なくとも65%又は少なくとも約65%、少なくとも70%又は少なくとも約70%、少なくとも75%又は少なくとも約75%、少なくとも80%又は少なくとも約80%、少なくとも81%又は少なくとも約81%、少なくとも82%又は少なくとも約82%、少なくとも83%又は少なくとも約83%、少なくとも84%又は少なくとも約84%、少なくとも85%又は少なくとも約85%、少なくとも86%又は少なくとも約86%、少なくとも87%又は少なくとも約87%、少なくとも88%又は少なくとも約88%、少なくとも89%又は少なくとも約89%、少なくとも90%又は少なくとも約90%、少なくとも91%又は少なくとも約91%、少なくとも92%又は少なくとも約92%、少なくとも93%又は少なくとも約93%、少なくとも94%又は少なくとも約94%、少なくとも95%又は少なくとも約95%、少なくとも96%少なくとも約96%、少なくとも97%又は少なくとも約97%、少なくとも98%又は少なくとも約98%、少なくとも99%又は少なくとも約99%、又は実質的に100%のNKG2Cpos細胞又はそのサブセットを含み得る。いくつかの実施形態では、組成物は、50%超のNKG2Cpos細胞又はそのサブセットを含む。別の実施形態において、組成物は、60%超のNKG2Cpos細胞又はそのサブセットを含む。別の実施形態において、組成物は、70%超のNKG2Cpos細胞又はそのサブセットを含む。別の実施形態において、組成物は、80%超のNKG2Cpos細胞又はそのサブセットを含む。いくつかの実施形態では、提供される組成物は、NKG2Cpos細胞又はそのサブセットが、組成物中の細胞又は組成物中のNK細胞の少なくとも60%もしくは約60%、少なくとも70%もしくは約70%、少なくとも80%もしくは約80%、少なくとも85%もしくは約85%、少なくとも90%もしくは約90%、少なくとも95%もしくは約95%又はそれ超を構成する組成物を含む。任意のそのような実施形態のいくつかでは、組成物中のNKG2Cpos細胞の50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超が、CARをコードする異種核酸を含む。任意のそのような実施形態のいくつかでは、組成物中のNKG2Cpos細胞の50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超が、免疫調節物質をコードする異種核酸(例えば、記載されるような分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)を含む。任意のそのような実施形態のいくつかでは、組成物中のNKG2Cpos細胞の50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超が、CAR及び免疫調節物質(例えば、記載されるような分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。
【0334】
いくつかの実施形態では、組成物は、両端を含めて、約5~99%のNKG2Aneg細胞もしくはそのサブセット、又は5%~99%(両端を含む)の任意の割合のNKG2Aneg細胞もしくはそのサブセットを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、細胞が単離された対象に天然に存在する全NK細胞又は総細胞に対するNKG2Aneg細胞又はそのサブセットの割合と比較して、全NK細胞又は総細胞に対するNKG2Aneg細胞又はそのサブセットの増加した又はより大きな割合を含むことができる。いくつかの実施形態では、割合は、少なくとも又は少なくとも約2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、150倍、200倍又はそれ以上増加する。
【0335】
いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも20%又は約20%、少なくとも30%又は少なくとも約30%、少なくとも40%又は少なくとも約40%、少なくとも50%又は少なくとも約50%、少なくとも60%又は少なくとも約60%、少なくとも65%又は少なくとも約65%、少なくとも70%又は少なくとも約70%、少なくとも75%又は約75%、少なくとも80%又は少なくとも約80%、少なくとも81%又は少なくとも約81%、少なくとも82%又は少なくとも約82%、少なくとも83%又は少なくとも約83%、少なくとも84%又は少なくとも約84%、少なくとも85%又は少なくとも約85%、少なくとも86%又は約86%、少なくとも87%又は少なくとも約87%、少なくとも88%又は少なくとも約88%、少なくとも89%又は少なくとも約89%、少なくとも90%又は少なくとも約90%、少なくとも91%又は少なくとも約91%、少なくとも92%又は少なくとも約92%、少なくとも93%又は約93%、少なくとも94%又は少なくとも約94%、少なくとも95%又は少なくとも約95%、少なくとも96%又は少なくとも約96%、少なくとも97%又は少なくとも約97%、少なくとも98%又は少なくとも約98%、少なくとも99%又は少なくとも約99%、又は実質的に100%のNKG2Aneg細胞又はそのサブセットを含み得る。いくつかの実施形態では、組成物は、50%を超えるNKG2Aneg細胞又はそのサブセットを含む。別の実施形態において、組成物は、60%を超えるNKG2Aneg細胞又はそのサブセットを含む。別の実施形態において、組成物は、70%を超えるNKG2Aneg細胞又はそのサブセットを含む。別の実施形態において、組成物は、80%を超えるNKG2Aneg細胞又はそのサブセットを含む。いくつかの実施形態では、提供される組成物は、NKG2Aneg細胞又はそのサブセットが、組成物中の細胞又は組成物中のNK細胞の少なくとも60%もしくは約60%、少なくとも70%もしくは約70%、少なくとも80%もしくは約80%、少なくとも85%もしくは約85%、少なくとも90%もしくは約90%、少なくとも95%もしくは約95%又はそれ超を構成するものを含む。任意のそのような実施形態のいくつかでは、組成物中のNKG2Aneg細胞の50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超が、CARをコードする異種核酸を含む。任意のそのような実施形態のいくつかでは、組成物中のNKG2Aneg細胞の50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超が、免疫調節物質をコードする異種核酸を含む(例えば、記載されるような分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)。任意のそのような実施形態のいくつかでは、組成物中のNKG2Aneg細胞の50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超が、CAR及び免疫調節物質(例えば、記載されるような分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。
【0336】
いくつかの実施形態では、組成物は、約5~99%のNKG2CposNKG2Aneg細胞もしくはそのサブセット、又は5%~99%(両端を含む)の任意の割合のNKG2CposNKG2Aneg細胞もしくはそのサブセットを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、細胞が単離された対象に天然に存在する全NK細胞又は総細胞に対するNKG2CposNKG2Aneg細胞又はそのサブセットの割合と比較して、全NK細胞又は総細胞に対するNKG2CposNKG2Aneg細胞又はそのサブセットの増大した又はより大きな割合を含み得る。いくつかの実施形態では、割合は、少なくとも又は少なくとも約2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、150倍、200倍又はそれ以上増加する。
【0337】
いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも20%もしくは約20%、少なくとも30%もしくは約30%、少なくとも40%もしくは約40%、少なくとも50%もしくは約50%、少なくとも60%もしくは約60%、少なくとも65%もしくは約65%、少なくとも70%もしくは約70%、少なくとも75%もしくは約75%、少なくとも80%もしくは約80%、少なくとも81%もしくは約81%、少なくとも82%もしくは約82%、少なくとも83%もしくは約83%、少なくとも84%もしくは約84%、少なくとも85%もしくは約85%、少なくとも86%もしくは約86%、少なくとも87%もしくは約87%、少なくとも88%もしくは約88%、少なくとも89%もしくは約89%、少なくとも90%もしくは約90%、少なくとも91%もしくは約91%、少なくとも92%もしくは約92%、少なくとも93%もしくは約93%、少なくとも94%もしくは約94%、少なくとも95%もしくは約95%、少なくとも96%もしくは約96%、少なくとも97%もしくは約97%、少なくとも98%もしくは約98%、少なくとも99%もしくは約99%、又は実質的に100%のNKG2CposNKG2Aneg細胞又はそのサブセットを含み得る。いくつかの実施形態では、組成物は、50%を超えるNKG2CposNKG2Aneg細胞又はそのサブセットを含む。別の実施形態では、組成物は、60%超のNKG2CposNKG2Aneg細胞又はそのサブセットを含む。別の実施形態では、組成物は、70%超のNKG2CposNKG2Aneg細胞又はそのサブセットを含む。別の実施形態では、組成物は、80%超のNKG2CposNKG2Aneg細胞又はそのサブセットを含む。いくつかの実施形態では、提供される組成物は、NKG2CposNKG2Aneg細胞又はそのサブセットが、組成物中の細胞又は組成物中のNK細胞の少なくと60%もしくは約60%、少なくとも70%もしくは約70%、少なくとも80%もしくは約80%、少なくとも85%もしくは約85%、少なくとも90%もしくは約90%、少なくとも95%もしくは約95%又はそれ超を構成するものを含む。任意のそのような実施形態のいくつかでは、組成物中のNKG2CposNKG2Aneg細胞の50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超が、CARをコードする異種核酸を含む。任意のそのような実施形態のいくつかでは、組成物中のNKG2CposNKG2Aneg細胞の50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超が、免疫調節物質をコードする異種核酸を含む(例えば、記載されるような分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)。任意のそのような実施形態のいくつかでは、組成物中のNKG2CposNKG2Aneg細胞の50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超が、CAR及び免疫調節物質(例えば、記載されるような分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。
【0338】
いくつかの実施形態では、組成物は、約5~99%のgNK細胞、又は5%~99%(両端を含む)の間の任意の割合のgNK細胞を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、細胞が単離された対象に天然に存在する全NK細胞又は総細胞に対するgNKの割合と比較して、全NK細胞又は総細胞に対するgNK細胞の増加した又はより大きい割合を含み得る。いくつかの実施形態では、割合は、少なくとも又は少なくとも約2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、150倍、200倍又はそれ以上増加する。
【0339】
いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも20%もしくは約20%、少なくとも30%もしくは約30%、少なくとも40%もしくは約40%、少なくとも50%もしくは約50%、少なくとも60%もしくは約60%、少なくとも65%もしくは約65%、少なくとも70%もしくは約70%、少なくとも75%もしくは約75%、少なくとも80%もしくは約80%、少なくとも81%もしくは約81%、少なくとも82%もしくは約82%、少なくとも83%もしくは約83%、少なくとも84%もしくは約84%、少なくとも85%もしくは約85%、少なくとも86%もしくは約86%、少なくとも87%もしくは約87%、少なくとも88%もしくは約88%、少なくとも89%もしくは約89%、少なくとも90%もしくは約90%、少なくとも91%もしくは約91%、少なくとも92%もしくは約92%、少なくとも93%もしくは約93%、少なくとも94%もしくは約94%、少なくとも95%もしくは約95%、少なくとも96%もしくは約96%、少なくとも97%もしくは約97%、少なくとも98%もしくは約98%、少なくとも99%もしくは約99%、又は実質的に100%のgNK細胞を含み得る。いくつかの実施形態では、組成物は、50%超のgNK細胞を含む。別の実施形態において、組成物は、70%超のgNK細胞を含む。別の実施形態において、組成物は、80%超のgNK細胞を含む。いくつかの実施形態では、提供される組成物は、gNK細胞が、組成物中の細胞又は組成物中のNK細胞の少なくとも60%もしくは約60%、少なくとも70%もしくは約70%、少なくとも80%もしくは約80%、少なくとも85%もしくは約85%、少なくとも90%もしくは約90%、少なくとも95%もしくは約95%又はそれ超を構成するものを含む。任意のそのような実施形態のいくつかでは、組成物中のgNK細胞の50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超が、CARをコードする異種核酸を含む。任意のそのような実施形態のいくつかでは、組成物中のgNK細胞の50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超が、免疫調節物質(例えば、記載されるような分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。任意のそのような実施形態のいくつかでは、組成物中のgNK細胞の50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超が、CAR及び免疫調節物質(例えば、記載されるような分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。
【0340】
いくつかの実施形態では、組成物は、ナチュラルキラー(NK)細胞サブセットの集団を含み、組成物中の細胞の少なくとも40%もしくは約40%、少なくとも50%もしくは約50%、少なくとも55%もしくは約55%、少なくとも60%もしくは約60%、少なくとも65%もしくは約65%、少なくとも70%もしくは約70%、少なくとも75%もしくは約75%、少なくとも80%もしくは約80%、少なくとも85%もしくは約85%、少なくとも90%もしくは約90%、又は少なくとも95%もしくは約95%が、CD57posであるg-NK細胞代用マーカープロファイルを有する。いくつかの実施形態では、組成物中の細胞の70%又は約70%から、90%又は約90%は、表現型CD57posを有する。いくつかの実施形態では、組成物中の細胞の少なくとも又は約72%、少なくとも又は約74%、少なくとも又は約76%、少なくとも又は約78%、少なくとも又は約80%、少なくとも又は約82%、少なくとも又は約84%、少なくとも又は約86%、少なくとも又は約88%、少なくとも又は約90%、少なくとも又は約92%、少なくとも又は約94%、少なくとも又は約96%、又は少なくとも又は約98%は、表現型CD57posを有する。提供される実施形態のいずれかの一部において、組成物中の細胞の少なくとも、又は約60%は、表現型CD57posを含む。提供される実施形態のいずれかの一部において、組成物中の細胞の少なくとも、又は約70%は、表現型CD57posを含む。いくつかの実施形態では、表現型は、表面表現型CD3negを更に含む。いくつかの実施形態では、表現型は、表面表現型CD45pos/CD3neg/CD56posを更に含む。任意のそのような実施形態のいくつかでは、組成物中のCD57pos細胞の50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超が、CARをコードする異種核酸を含む。任意のそのような実施形態のいくつかでは、組成物中のCD57pos細胞の50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超が、免疫調節物質をコードする異種核酸(例えば、記載されるような分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)を含む。いくつかの実施形態では、表現型は、表面表現型CD45pos/CD3neg/CD56posを更に含む。任意のそのような実施形態のいくつかでは、組成物中のCD57pos細胞の50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超が、CAR及び免疫調節物質(例えば、記載されるような分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。いくつかの実施形態では、表現型は、表面表現型CD45pos/CD3neg/CD56posを更に含む。任意のそのような実施形態のいくつかでは、組成物中のCD3negCD57pos細胞の50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超が、CARをコードする異種核酸を含む。任意のそのような実施形態のいくつかでは、組成物中のCD3negCD57pos細胞の50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超が、免疫調節物質(例えば、記載されるような分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。任意のそのような実施形態のいくつかでは、組成物中のCD3negCD57pos細胞の50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超が、CAR及び免疫調節物質(例えば、記載されるような分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。任意のそのような実施形態のいくつかでは、組成物中のCD57posCD45pos/CD3neg/CD56pos細胞の50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超は、CARをコードする異種核酸を含む。任意のそのような実施形態のいくつかでは、組成物中のCD57pos/CD45pos/CD3neg/CD56pos細胞の50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超が、免疫調節物質(例えば、記載されるような分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。任意のそのような実施形態のいくつかでは、組成物中のCD57pos/CD45pos/CD3neg/CD56pos細胞の50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超が、CAR及び免疫調節物質(例えば、記載される分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。提供される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、そのような表現型を有する細胞の50%超がFcRγnegであり、任意選択で50%又は約50%から、90%又は約90%がFcRγnegである。提供される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、そのような表現型を有する細胞の70%超がFcRγnegであり、任意選択で70%又は約70%から、90又は約90%がFcRγnegである。
【0341】
いくつかの実施形態では、組成物は、ナチュラルキラー(NK)細胞サブセットの集団を含み、組成物中の細胞の少なくとも40%もしくは約40%、少なくとも50%もしくは約50%、少なくとも55%もしくは約55%、少なくとも60%もしくは約60%、少なくとも65%もしくは約65%、少なくとも70%もしくは約70%、少なくとも75%もしくは約75%、少なくとも80%もしくは約80%、少なくとも85%もしくは約85%、少なくとも90%もしくは約90%、又は少なくとも95%もしくは約95%が、CD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161negであるg-NK細胞代用マーカープロファイルを有する。いくつかの実施形態では、組成物中の細胞の70%又は約70%から、90又は約90%は、表現型CD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161negを有する。いくつかの実施形態では、組成物中の細胞の少なくとも又は約72%、少なくとも又は約74%、少なくとも又は約76%、少なくとも又は約78%、少なくとも又は約80%、少なくとも又は約82%、少なくとも又は約84%、少なくとも又は約86%、少なくとも又は約88%、少なくとも又は約90%、少なくとも又は約92%、少なくとも又は約94%、少なくとも又は約96%、又は少なくとも又は約98%は、表現型CD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161negを有する。提供される実施形態のいずれかの一部において、組成物中の細胞の少なくとも、又は約60%は、表現型CD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161negを含む。提供される実施形態のいずれかの一部において、組成物中の細胞の少なくとも、又は約70%は、表現型CD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161negを含む。任意のそのような実施形態のいくつかでは、組成物中のCD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161neg細胞の50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超が、CARをコードする異種核酸を含む。任意のそのような実施形態のいくつかでは、組成物中のCD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161neg細胞の50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超は、免疫調節物質(例えば、記載される分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。任意のそのような実施形態のいくつかでは、組成物中のCD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161neg細胞の50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超は、CAR及び免疫調節物質(例えば、記載される分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。いくつかの実施形態では、表現型は、表面表現型CD3negを更に含む。いくつかの実施形態では、表現型は、表面表現型CD45pos/CD3neg/CD56posを更に含む。提供される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、そのような表現型を有する細胞の50%超がFcRγnegであり、任意選択で50%又は約50%から、90%又は約90%がFcRγnegである。提供される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、そのような表現型を有する細胞の70%超がFcRγnegであり、任意選択で70%又は約70%から、90%又は約90%がFcRγnegである。
【0342】
いくつかの実施形態では、組成物は、ナチュラルキラー(NK)細胞サブセットの集団を含み、組成物中の細胞の少なくとも40%もしくは約40%、少なくとも50%もしくは約50%、少なくとも55%もしくは約55%、少なくとも60%もしくは約60%、少なくとも65%もしくは約65%、少なくとも70%もしくは約70%、少なくとも75%もしくは約75%、少なくとも80%もしくは約80%、少なくとも85%もしくは約85%、少なくとも90%もしくは約90%、又は少なくとも95%もしくは約95%が、CD38negである表現型を有する。いくつかの実施形態では、組成物中の細胞の70%又は約70%から、90%又は約90%は、表現型CD38negを有する。いくつかの実施形態では、組成物中の細胞の少なくとも又は約72%、少なくとも又は約74%、少なくとも又は約76%、少なくとも又は約78%、少なくとも又は約80%、少なくとも又は約82%、少なくとも又は約84%、少なくとも又は約86%、少なくとも又は約88%、少なくとも又は約90%、少なくとも又は約92%、少なくとも又は約94%、少なくとも又は約96%、又は少なくとも又は約98%は、表現型CD38negを有する。提供される実施形態のいずれかの一部において、組成物中の細胞の少なくとも、又は約60%は、表現型CD38negを含む。提供される実施形態のいずれかの一部において、組成物中の細胞の少なくとも、又は約70%は、表現型CD38negを含む。いくつかの実施形態では、表現型は、表面表現型CD3negを更に含む。いくつかの実施形態では、表現型は、表面表現型CD45pos/CD3neg/CD56posを更に含む。任意のそのような実施形態のいくつかでは、組成物中のCD38neg細胞の50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超が、CAR及び免疫調節物質(例えば、記載されるような分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。任意のそのような実施形態のいくつかでは、組成物中のCD3negCD38neg細胞の50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超が、CARをコードする異種核酸を含む。任意のそのような実施形態のいくつかでは、組成物中のCD3negCD38neg細胞の50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超%超が、免疫調節物質(例えば、記載されるような分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。任意のそのような実施形態のいくつかでは、組成物中のCD38neg細胞の50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超%超が、CAR及び免疫調節物質(例えば、記載の分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。任意のそのような実施形態のいくつかでは、組成物中のCD38negCD45pos/CD3neg/CD56pos細胞の50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超が、CARをコードする異種核酸を含む。任意のそのような実施形態のいくつかでは、組成物中のCD38negCD45pos/CD3neg/CD56pos細胞の50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超が、免疫調節物質(例えば、記載される分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。任意のそのような実施形態のいくつかでは、組成物中のCD38negCD45pos/CD3neg/CD56pos細胞の50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超は、CAR及び免疫調節物質(例えば、記載される分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。提供される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、そのような表現型を有する細胞の50%超がFcRγnegであり、任意選択で50%又は約50%から、90%又は約90%がFcRγnegである。提供される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、そのような表現型を有する細胞の70%超がFcRγnegであり、任意選択で70%又は約70%から、90%又は約90%がFcRγnegである。
【0343】
いくつかの実施形態では、組成物は、ナチュラルキラー(NK)細胞サブセットの集団を含み、組成物中の細胞の少なくとも40%もしくは約40%、少なくとも50%もしくは約50%、少なくとも55%もしくは約55%、少なくとも60%もしくは約60%、少なくとも65%もしくは約65%、少なくとも70%もしくは約70%、少なくとも75%もしくは約75%、少なくとも80%もしくは約80%、少なくとも85%もしくは約85%、少なくとも90%もしくは約90%、又は少なくとも95%もしくは約95%が、CD16posである表現型を有する。いくつかの実施形態では、組成物中の細胞の70%又は約70%から、90%又は約90%は、表現型CD16posを有する。いくつかの実施形態では、組成物中の細胞の少なくとも又は約72%、少なくとも又は約74%、少なくとも又は約76%、少なくとも又は約78%、少なくとも又は約80%、少なくとも又は約82%、少なくとも又は約84%、少なくとも又は約86%、少なくとも又は約88%、少なくとも又は約90%、少なくとも又は約92%、少なくとも又は約94%、少なくとも又は約96%、又は少なくとも又は約98%は、表現型CD16posを有する。提供される実施形態のいずれかの一部において、組成物中の細胞の少なくとも、又は約60%は、表現型CD16posを含む。提供される実施形態のいずれかの一部において、組成物中の細胞の少なくとも、又は約70%は、表現型CD16posを含む。いくつかの実施形態では、表現型は、表面表現型CD3negを更に含む。いくつかの実施形態では、表現型は、表面表現型CD45pos/CD3neg/CD56posを更に含む。任意のそのような実施形態のいくつかでは、組成物中のCD16pos細胞の50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超が、CARをコードする異種核酸を含む。任意のそのような実施形態のいくつかでは、組成物中のCD16pos細胞の50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超が、免疫調節物質をコードする異種核酸(例えば、記載されるような分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)を含む。任意のそのような実施形態のいくつかでは、組成物中のCD16pos細胞の50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超超が、CAR及び免疫調節物質(例えば、記載の分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。任意のそのような実施形態のいくつかでは、組成物中のCD3negCD16pos細胞の50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超が、CARをコードする異種核酸を含む。任意のそのような実施形態のいくつかでは、組成物中のCD3negCD16pos細胞の50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超が、免疫調節物質(例えば、記載されるような分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。任意のそのような実施形態のいくつかでは、組成物中のCD3negCD16pos細胞の50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超が、CAR及び免疫調節物質(例えば、記載されるような分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。任意のそのような実施形態のいくつかでは、組成物中のCD16posCD45pos/CD3neg/CD56pos細胞の50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超は、CARをコードする異種核酸を含む。任意のそのような実施形態のいくつかでは、組成物中のCD16pos/CD45pos/CD3neg/CD56pos細胞の50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超が、免疫調節物質(例えば、記載されるような分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。任意のそのような実施形態のいくつかでは、組成物中のCD16posCD45pos/CD3neg/CD56pos細胞の50%もしくは約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超は、CAR及び免疫調節物質(例えば、記載される分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。提供される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、そのような表現型を有する細胞の50%超がFcRγnegであり、任意選択で50%又は約50%から、90%又は約90%がFcRγnegである。提供される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、そのような表現型を有する細胞の70%超がFcRγnegであり、任意選択で70%又は約70%から、90%又は約90%がFcRγnegである。
【0344】
いくつかの実施形態では、組成物は、ナチュラルキラー(NK)細胞サブセットの集団を含み、組成物中の細胞の少なくとも40%もしくは約40%、少なくとも50%もしくは約50%、少なくとも55%もしくは約55%、少なくとも60%もしくは約60%、少なくとも65%もしくは約65%、少なくとも70%もしくは約70%、少なくとも75%もしくは約75%、少なくとも80%もしくは約80%、少なくとも85%もしくは約85%、少なくとも90%もしくは約90%、又は少なくとも95%もしくは約95%が、NKG2Aneg/CD161negであるg-NK細胞代用マーカープロファイルを有する。いくつかの実施形態では、組成物中の細胞の70%又は約70%から、90%又は約90%が、表現型NKG2Aneg/CD161negを有する。いくつかの実施形態では、組成物中の細胞の少なくとも又は約72%、少なくとも又は約74%、少なくとも又は約76%、少なくとも又は約78%、少なくとも又は約80%、少なくとも又は約82%、少なくとも又は約84%、少なくとも又は約86%、少なくとも又は約88%、少なくとも又は約90%、少なくとも又は約92%、少なくとも又は約94%、少なくとも又は約96%、又は少なくとも又は約98%は、表現型NKG2Aneg/CD161negを有する。提供される実施形態のいずれかの一部において、組成物中の細胞の少なくとも、又は約60%は、表現型NKG2Aneg/CD161negを含む。提供される実施形態のいずれかの一部において、組成物中の細胞の少なくとも、又は約70%は、表現型NKG2Aneg/CD161negを含む。いくつかの実施形態では、表現型は、表面表現型CD3negを更に含む。いくつかの実施形態では、表現型は、表面表現型CD45pos/CD3neg/CD56posを更に含む。任意のそのような実施形態のいくつかでは、組成物中のNKG2Aneg/CD161neg細胞の50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超が、CARをコードする異種核酸を含む。任意のそのような実施形態のいくつかでは、組成物中のNKG2Aneg/CD161neg細胞の50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超が、サイトカインなどの免疫調節物質をコードする異種核酸を含む。任意のそのような実施形態のいくつかでは、組成物中のNKG2Aneg/CD161neg細胞の50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超が、CARなどの抗原受容体及びサイトカインなどの免疫調節物質をコードする異種核酸を含む。任意のそのような実施形態のいくつかでは、組成物中のCD3negNKG2Aneg/CD161neg細胞の50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超が、CARをコードする異種核酸を含む。任意のそのような実施形態のいくつかでは、組成物中のCD3negNKG2Aneg/CD161neg細胞の50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超が、サイトカインなどの免疫調節物質をコードする異種核酸を含む。任意のそのような実施形態のいくつかでは、組成物中のCD3negNKG2Aneg/CD161neg細胞の50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超が、CARなどの抗原受容体及びサイトカインなどの免疫調節物質をコードする異種核酸を含む。任意のそのような実施形態のいくつかでは、組成物中のNKG2Aneg/CD161neg/CD45pos/CD3neg/CD56pos細胞の50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超が、CARをコードする異種核酸を含む。任意のそのような実施形態のいくつかでは、組成物中のNKG2Aneg/CD161neg/CD45pos/CD3neg/CD56pos細胞の50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超は、サイトカインなどの免疫調節物質をコードする異種核酸を含む。任意のそのような実施形態のいくつかでは、組成物中のNKG2Aneg/CD161neg/CD45pos/CD3neg/CD56pos細胞の50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超が、CARなどの抗原受容体及びサイトカインなどの免疫調節物質をコードする異種核酸を含む。提供される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、そのような表現型を有する細胞の50%超がFcRγnegであり、任意選択で50%又は約50%から、90%又は約90%がFcRγnegである。提供される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、そのような表現型を有する細胞の70%超がFcRγnegであり、任意選択で70%又は約70%から、90%又は約90%がFcRγnegである。
【0345】
いくつかの実施形態では、組成物は、組成物中のNK細胞の50%超又は約50%超が、g-NK細胞(FcRγneg)又はその代用マーカープロファイルを発現するNK細胞である、NK細胞の集団を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、組成物中のNK細胞の55%超又は約55%超が、g-NK細胞(FcRγneg)又はその代用マーカープロファイルを発現するNK細胞である、NK細胞の集団を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、組成物中のNK細胞の60%超又は約60%超が、g-NK細胞(FcRγneg)又はその代用マーカープロファイルを発現するNK細胞である、NK細胞の集団を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、組成物中のNK細胞の65%超又は約65%超が、g-NK細胞(FcRγneg)又はその代用マーカープロファイルを発現するNK細胞である、NK細胞の集団を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、組成物中のNK細胞の70%超又は約70%超が、g-NK細胞(FcRγneg)又はその代替マーカープロファイルを発現するNK細胞である、NK細胞の集団を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、組成物中のNK細胞の75%超又は約75%超が、g-NK細胞(FcRγneg)又はその代用マーカープロファイルを発現するNK細胞である、NK細胞の集団を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、組成物中のNK細胞の80%超又は約80%超が、g-NK細胞(FcRγneg)又はその代用マーカープロファイルを発現するNK細胞である、NK細胞の集団を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、組成物中のNK細胞の85%超又は約85%超が、g-NK細胞(FcRγneg)又はその代用マーカープロファイルを発現するNK細胞である、NK細胞の集団を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、組成物中のNK細胞の90%超又は約90%超が、g-NK細胞(FcRγneg)又はその代用マーカープロファイルを発現するNK細胞である、NK細胞の集団を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、NK細胞の集団を含み、組成物中のNK細胞の95%超又は約95%超が、g-NK細胞(FcRγneg)又はその代用マーカープロファイルを発現するNK細胞である。代用マーカープロファイルは、本明細書に記載される任意のものであってよい。例えば、代用マーカープロファイルは、CD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161negであってもよい。他の例において、代用マーカープロファイルは、NKG2Aneg/CD161negであってもよい。更なる例において、g-NK細胞代用マーカープロファイルは、CD38negである。代用表面マーカープロファイルは、表現型CD45pos/CD3neg/CD56posを更に含み得る。
【0346】
いくつかの実施形態では、組成物の、又はその特定の割合、例えば、約70%超のg-NK細胞がパーフォリン及び/又はグランザイムBについて陽性である。いくつかの実施形態では、組成物中のナチュラルキラー細胞は、パーフォリン及びグランザイムBについて陽性である細胞が濃縮される。場合によっては、ナチュラルキラー細胞がパーフォリン及びグランザイム B について陽性である。パーフォリンは、NK 細胞の顆粒に含まれる孔形成細胞溶解タンパク質である。脱顆粒すると、パーフォリンは標的細胞の原形質膜に結合し、カルシウム依存性の様式でオリゴマー化して、標的細胞上に孔を形成する。グランザイムBは、ナチュラルキラー細胞及び細胞傷害性T細胞の顆粒において最も一般的に見出されるセリンプロテアーゼである。グランザイムBは、パーフォリンと共に分泌されて、標的細胞におけるアポトーシスを媒介する。パーフォリン又はグランザイムBについて陽性の細胞の数を測定する方法は、当業者に知られている。方法としては、例えば、細胞内フローサイトメトリーが挙げられる。一例では、パーフォリン又はグランザイム Bについて陽性である細胞の割合又は数は、パーフォリン及びグランザイムBに対する抗体で染色する前に、例えばMiltenyi Biotec製のInside Stain Kitを使用して、細胞の透過処理によって決定することができる。次いで、例えばフローサイトメトリーを使用して、細胞染色を分解することができる。
【0347】
いくつかの実施形態では、組成物のg-NK細胞の70%超または約70%超がパーフォリンについて陽性であり、組成物のg-NK細胞の70%約70%超がグランザイムBについて陽性である。いくつかの実施形態では、組成物のg-NK細胞の75%超又は約75%超がパーフォリンについて陽性であり、組成物のg-NK細胞の75%超又は約75%超がグランザイムBについて陽性である。実施形態では、組成物のg-NK細胞の80%超又は約80%超がパーフォリンについて陽性であり、組成物のg-NK細胞の80%超又は約80%超がグランザイムBについて陽性である。いくつかの実施形態では、組成物のg-NK細胞の85%超又は約85%超がパーフォリンについて陽性であり、組成物のg-NK細胞の85%超又は約85%超がグランザイムBについて陽性である。いくつかの実施形態では、組成物のg-NK細胞の90%超又は約90%超がパーフォリンについて陽性であり、組成物のg-NK細胞の90%超又は約90%超がグランザイムBについて陽性である。いくつかの実施形態では、組成物のg-NK細胞の95%超又は約95%超がパーフォリンについて陽性であり、組成物のg-NK細胞の95%超又は約95%超がグランザイムBについて陽性である。このような実施形態のいくつかでは、組成物中のグランザイムB及びパーフォリンについて陽性である細胞の50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超超又は約95%超は、CARをコードする異種核酸を含む。任意のそのような実施形態のいくつかでは、組成物中のグランザイムB及びパーフォリンについて陽性である細胞の50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超が、免疫調節物質(例えば、記載されるような分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。任意のそのような実施形態のいくつかでは、組成物中のグランザイムB及びパーフォリンについて陽性である細胞の50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超が、CARなどの抗原受容体と、免疫調節物質(例えば、記載されている分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。
【0348】
いくつかの実施形態、NK細胞、例えばg-NK細胞によるパーフォリン及びグランザイムBの発現レベルは、細胞内フローサイトメトリーによって測定することができ、レベルは平均蛍光強度(MFI)のレベルに基づいて測定することができる。いくつかの実施形態では、MFIに基づくパーフォリン及びグランザイムBの発現レベルは、g-NK細胞とFcRγposである細胞との間で異なる。いくつかの実施形態では、パーフォリンについて陽性である組成物のg-NK細胞は、MFIレベルに基づいて、FcRγposNK細胞によって発現されるパーフォリンの平均レベルの少なくとも2倍又は約2倍のパーフォリンの平均レベルを発現する。いくつかの実施形態では、パーフォリンについて陽性である組成物のg-NK細胞は、MFIレベルに基づいて、FcRγposNK細胞によって発現されるパーフォリンの平均レベルの少なくとも3倍又は約3倍のパーフォリンの平均レベルを発現する。いくつかの実施形態では、パーフォリンについて陽性である組成物のg-NK細胞は、MFIレベルに基づいて、FcRγposNK細胞によって発現されるパーフォリンの平均レベルの少なくとも4倍又は約4倍のパーフォリンの平均レベルを発現する。いくつかの実施形態では、グランザイムについて陽性である組成物のg-NK細胞は、MFIレベルに基づいて、FcRγposNK細胞によって発現されるグランザイムBの平均レベルの少なくとも2倍又は約2倍のグランザイムBの平均レベルを発現する。いくつかの実施形態では、グランザイムBについて陽性である組成物のg-NK細胞は、MFIレベルに基づいて、FcRγposNK細胞によって発現されるグランザイムBの平均レベルの少なくとも3倍又は約3倍のグランザイムBの平均レベルを発現する。いくつかの実施形態では、グランザイムBについて陽性である組成物のg-NK細胞は、MFIレベルに基づいて、FcRγposNK細胞によって発現されるグランザイムBの平均レベルの少なくとも4倍又は約4倍のグランザイムBの平均レベルを発現する。
【0349】
いくつかの実施形態では、組成物中の細胞の少なくとも又は約50%がFcRγ欠損NK細胞(g-NK)であり、g-NK細胞の70%超又は約70%超がパーフォリンについて陽性であり、g-NK細胞の70%超又は約70%超がグランザイムBについて陽性である。いくつかの実施形態では、g-NK細胞の80%超又は約80%超がパーフォリンについて陽性であり、g-NK細胞の80%超又は約80%超がグランザイム B について陽性である。いくつかの実施形態では、g-NK細胞の90%超又は約90%超がパーフォリンについて陽性であり、g-NK細胞の90%超又は約90%超がグランザイムBについて陽性である。g-NK細胞の95%超又は約95%超がパーフォリンについて陽性であり、g-NK細胞の95%超又は約95%超がグランザイムBについて陽性である。いくつかの実施形態では、g-NK細胞はFcRγnegである。任意のそのような実施形態のいくつかでは、組成物中のパーフォリン及びグランザイムBについて陽性である細胞の50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超が、CARをコードする異種核酸を含む。いくつかの実施形態では、g-NK細胞は、FcRγnegである。任意のそのような実施形態のいくつかでは、組成物中のパーフォリン及びグランザイムBについて陽性である細胞の50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超が、免疫調節物質(例えば、記載されているような分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。いくつかの実施形態では、g-NK細胞は、FcRγnegである。任意のそのような実施形態のいくつかでは、組成物中のパーフォリン及びグランザイムBについて陽性である細胞の50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超が、CARなどの抗原受容体と、免疫調節物質(例えば、記載されている分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。
【0350】
任意の実施形態のいくつかにおいて、パーフォリンについて陽性である細胞のうち、細胞は、細胞内フローサイトメトリーによって測定した場合、すなわち平均蛍光強度(MFI)に基づいて、FcRγposである細胞によって発現されるパーフォリンの平均レベルの少なくとも2倍又は約2倍であるパーフォリンの平均レベルを発現する。任意の実施形態の一部では、グランザイムBについて陽性である細胞のうち、細胞は、細胞内フローサイトメトリーによって測定した場合、すなわち平均蛍光強度(MFI)に基づいて、FcRγposである細胞によって発現されるグランザイムBの平均レベルの少なくとも2倍又は約2倍であるグランザイムBの平均レベルを発現する。
【0351】
いくつかの実施形態では、組成物中のナチュラルキラー細胞は、CD107A、IFNγ、及びTNF-αを発現又は産生する細胞において濃縮される。いくつかの場合において、そのような因子の発現もしくは産生、又はある程度の発現もしくは産生は、標的抗原の非存在下で起こる(すなわち、更なる刺激を伴わない組成物中の細胞に固有である)。いくつかの場合において、発現もしくは産生、又はある程度の発現もしくは産生は、標的抗原及び標的抗原に対する抗体(抗標的抗体)を発現する細胞(標的細胞)の存在下におけるようなものである。いくつかの実施形態では、例えば、標的細胞は、CD38を発現する腫瘍細胞株であってもよく、抗体は、抗CD38抗体(例えば、ダラツムマブ)である。いくつかの実施形態では、例えば、標的細胞は、CD20を発現する腫瘍細胞株であってもよく、抗体は、抗CD20抗体(例えば、リツキシマブ)である。
【0352】
任意の実施形態の一部では、組成物中の細胞の10%超は、任意選択でCD107a発現によって測定される、腫瘍標的細胞に対する脱顆粒が可能であり、任意選択で脱顆粒は、腫瘍標的細胞に対する抗体の非存在下で測定される。任意の実施形態の一部では、組成物中の細胞のうち、15%超又は約15%超、20%超又は約20%超、30%超又は約30%超、40%超又は約40%超、又は50%超又は約50%超が、標的抗原及び標的抗原に対する抗体(抗標的抗体)を発現する細胞(標的細胞)の存在下で、任意選択でCD107a発現によって測定される脱顆粒を示す。任意のそのような実施形態のいくつかでは、組成物中の細胞の10%超が更に、腫瘍標的細胞に対してインターフェロン-γ又はTNF-αを産生することができ、任意選択で、インターフェロン-γ又はTNF-αは、腫瘍標的細胞に対する抗体の非存在下で測定される。任意のそのような実施形態のいくつかでは、例えば、標的抗原及び標的抗原に対する抗体を発現する細胞の存在下又は非存在下で測定して、組成物中のCD107a陽性細胞の50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超が、CARをコードする異種核酸を含む。任意のそのような実施形態のいくつかでは、例えば、標的抗原及び標的抗原に対する抗体を発現する細胞の存在下又は非存在下で測定した場合、組成物中のCD107aについて陽性である細胞の50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超が、免疫調節物質(例えば、記載されるような分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。任意のそのような実施形態のいくつかでは、例えば、標的抗原及び標的抗原に対する抗体を発現する細胞の存在下又は非存在下で測定して、組成物中のCD107a陽性細胞の50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超が、CARなどの抗原受容体及び免疫調節物質(例えば、記載の分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。いくつかの実施形態では、組成物中の細胞のうち、15%超又は約15%超、20%超又は約20%超、30%超又は約30%超、40%超又は約40%超、又は50%超又は約50%超が、標的抗原及び標的抗原に対する抗体(抗標的抗体)を発現する細胞(標的細胞)の存在下でエフェクターサイトカインを産生する。いくつかの実施形態では、例えば、標的細胞は、CD38を発現する腫瘍細胞株であってもよく、抗体は、抗CD38抗体(例えば、ダラツムマブ)である。いくつかの実施形態では、例えば、標的細胞は、CD20を発現する腫瘍細胞株であってもよく、抗体は、抗CD20抗体(例えば、リツキシマブ)である。
【0353】
いくつかの実施形態では、組成物中の細胞の少なくとも50%又は約50%はFcRγ欠損(FcRγneg)NK細胞(g-NK)であり、ここで組成物中の細胞の15%超又は約15%超は、標的抗原及び標的抗原に対する抗体(抗標的抗体)を発現する細胞(標的細胞)の存在下でエフェクターサイトカインを産生する。いくつかの実施形態では、標的抗原及び標的抗原に対する抗体(抗標的抗体)を発現する細胞(標的細胞)の存在下で、20%超又は約20%超、30%超又は約30%超、40%超又は約40%超、又は50%超又は約50%超がエフェクターサイトカインを産生する。いくつかの実施形態では、例えば、標的細胞は、CD38を発現する腫瘍細胞株であってもよく、抗体は、抗CD38抗体(例えば、ダラツムマブ)である。いくつかの実施形態では、例えば、標的細胞は、CD20を発現する腫瘍細胞株であってもよく、抗体は、抗CD20抗体(例えば、リツキシマブ)である。任意の実施形態の一部において、エフェクターサイトカインは、IFN-γ又はTNF-αである。任意の実施形態の一部において、エフェクターサイトカインは、IFN-γ及びTNF-αである。任意のそのような実施形態のいくつかでは、例えば、標的抗原及び標的抗原に対する抗体を発現する細胞の存在下又は非存在下で測定して、組成物中の有効サイトカイン(例えば、IFN-γ又はTNF-α)を産生する細胞の50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超が、CARをコードする異種核酸を含む。任意の実施形態の一部において、エフェクターサイトカインは、IFN-γ及びTNF-αである。任意のそのような実施形態のいくつかにおいて、例えば、標的抗原及び標的抗原に対する抗体を発現する細胞の存在下又は非存在下で測定して、組成物中の効果サイトカイン(例えば、IFN-γ又はTNF-α)を産生する細胞の50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超が、免疫調節物質(例えば、記載の分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。任意の実施形態の一部において、エフェクターサイトカインは、IFN-γ及びTNF-αである。任意のそのような実施形態のいくつかでは、例えば、標的抗原及び標的抗原に対する抗体を発現する細胞の存在下又は非存在下で測定して、組成物中の効果サイトカイン(例えば、IFN-γ又はTNF-α)を産生する細胞の50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超は、CARなどの抗原受容体及び免疫調節物質(例えば、記載される分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。
【0354】
任意の実施形態の一部では、組成物中の細胞のうち、15%超又は約15%超、20%超又は約20%超、30%超又は約30%超、40%超又は約40%超、又は50%超又は約50%超が、標的抗原及び標的抗原に対する抗体(抗標的抗体)を発現する細胞(標的細胞)の存在下で、任意選択でCD107a発現によって測定される脱顆粒を示す。いくつかの実施形態では、例えば、標的細胞は、CD38を発現する腫瘍細胞株であってもよく、抗体は、抗CD38抗体(例えば、ダラツムマブ)である。いくつかの実施形態では、例えば、標的細胞は、CD20を発現する腫瘍細胞株であってもよく、抗体は、抗CD20抗体(例えば、リツキシマブ)である。
【0355】
いくつかの実施形態では、組成物中の細胞の少なくとも50%超又は約50%超はFcRγ欠損(FcRγneg)NK細胞(g-NK)であり、ここで組成物中の細胞の15%超又は約15%超は、標的抗原及び標的抗原に対する抗体(抗標的抗体)を発現する細胞(標的細胞)の存在下で、任意選択でCD107a発現によって測定される脱顆粒を示す。いくつかの実施形態では、標的抗原及び標的抗原に対する抗体(抗標的抗体)を発現する細胞(標的細胞)の存在下で、20%超又は約20%超、30%超又は約30%超、40%超又は約40%超、又は50%超又は約50%超が、任意選択でCD107a発現によって測定される脱顆粒を示す。いくつかの実施形態では、例えば、標的細胞は、CD38を発現する腫瘍細胞株であってもよく、抗体は、抗CD38抗体(例えば、ダラツムマブ)である。いくつかの実施形態では、例えば、標的細胞は、CD20を発現する腫瘍細胞株であってもよく、抗体は、抗CD20抗体(例えば、リツキシマブ)である。
【0356】
提供される実施形態のいずれかの一部において、組成物中の細胞の60%超又は約60%超は、g-NK細胞である。提供される実施形態のいずれかの一部において、組成物中の細胞の70%超又は約70%超が、g-NK細胞である。提供される実施形態のいずれかの一部において、組成物中の細胞の80%超又は約80%超が、g-NK細胞である。提供される実施形態のいずれかの一部において、組成物中の細胞の90%超又は約90%超が、g-NK細胞である。提供される実施形態のいずれかの一部において、組成物中の細胞の95%超又は約95%超が、g-NK細胞である。
【0357】
いくつかの実施形態では、g-NK細胞は、g-NK細胞代用マーカープロファイルを示す。いくつかの実施形態では、g-NK細胞代用マーカープロファイルは、CD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161negである。いくつかの実施形態では、g-NK細胞代用マーカープロファイルは、NKG2Aneg/CD161negである。いくつかの実施形態では、g-NK細胞代用マーカープロファイルは、CD38negである。いくつかの実施形態では、g-NK細胞代替表面マーカープロファイルは更に、CD45pos/CD3neg/CD56posである。
【0358】
前述の実施形態のいずれかの一部では、細胞の60%超又は約60%超がg-NK細胞である。前述の実施形態のいずれかの一部では、細胞の70%超又は約70%超がg-NK細胞である。前述の実施形態のいずれかの一部において、細胞の80%超又は約80%超が、g-NK細胞である。前述の実施形態のいずれかの一部において、細胞の90%超又は約90%超が、g-NK細胞である。前述の実施形態のいずれかの一部において、細胞の95%超又は約95%超が、g-NK細胞である。
【0359】
前述の実施形態のいずれかの一部では、細胞の80%超又は約80%超がパーフォリンについて陽性である。前述の実施形態のいずれかの一部では、細胞の90%超又は約90%超がパーフォリンについて陽性である。前述の実施形態のいずれかのいくつかでは、パーフォリンについて陽性である細胞の中で、細胞は、細胞内フローサイトメトリーによって測定した場合、すなわち平均蛍光強度(MFI)に基づいて、FcRγposである細胞によって発現されるパーフォリンの平均レベルの少なくとも2倍又は約2倍のパーフォリンの平均レベルを発現する。
【0360】
前述の実施形態のいずれかにおいて、細胞の少なくとも約80%以上がグランザイムBについて陽性である。前述の実施形態のいずれかにおいて、細胞の少なくとも約90%以上がグランザイムBについて陽性である。前述の実施形態のいずれかの一部において、グランザイムB陽性の細胞のうち、細胞は、細胞内フローサイトメトリーによって測定した場合、すなわち平均蛍光強度(MFI)に基づいて、FcRγposである細胞によって発現されるグランザイムBの平均レベルの少なくとも又は約2倍のグランザイムBの平均レベルを発現する。
【0361】
提供される実施形態のいずれかの一部において、組成物は、10又は約10から、1012又は約1012個の細胞を含む。提供される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、組成物は10もしくは約10から、1011もしくは約1011個の細胞、10もしくは約10から、1010もしくは約1010個の細胞、10もしくは約10から、10もしくは約10個の細胞、10もしくは約10から、10もしくは約10個の細胞、10もしくは約10から、10もしくは約10個の細胞、10もしくは約10から、1012もしくは約1012個の細胞、10もしくは約10から、1011もしくは約1011個の細胞、10もしくは約10から、1010もしくは約1010個の細胞、10もしくは約10から、10もしくは約10個の細胞、又は10もしくは約10から、10もしくは約10個の細胞、10もしくは約10から、1012もしくは約1012個の細胞、10もしくは約10から、1011もしくは約1011個の細胞、10もしくは約10から、1010もしくは約1010個の細胞、10もしくは約10から、10もしくは約10個の細胞、10もしくは約10から、1012もしくは約1012個の細胞、10もしくは約10から、1011もしくは約1011個の細胞、10もしくは約10から、1010もしくは約1010個の細胞、1010もしくは約1010から、1012もしくは約1012個の細胞、1010もしくは約1010から、1011もしくは約1011個の細胞、又は1011もしくは約1011から、1012もしくは約1012個の細胞を含む。
【0362】
提供される実施形態のいずれかの一部では、組成物は、少なくとも又は少なくとも約10個の細胞を含む。提供される実施形態のいずれかのいくつかにおいて組成物は、10もしくは約10から、1010もしくは約1010個の細胞、10もしくは約10から、10もしくは約10個の細胞、10個もしくは約10から、10もしくは約10個の細胞、10もしくは約10から、10もしくは約10個の細胞、10もしくは約10から、1010もしくは約1010個の細胞、10もしくは約10から、10もしくは約10個の細胞、10もしくは約10から、10もしくは約10個の細胞、10もしくは約10から、1010もしくは約1010個の細胞、10もしくは約10から、10もしくは約10個の細胞、又は10もしくは約10から、1010もしくは約1010個の細胞を含む。
【0363】
提供される実施形態のいずれかの一部では、組成物は、少なくとも又は少なくとも約10個の細胞を含む。提供される実施形態のいずれかの一部において、組成物は、少なくとも、又は約10個の細胞を含む。提供される実施形態のいずれかの一部において、組成物は、少なくとも、又は約1010個の細胞を含む。提供される実施形態のいずれかの一部において、組成物は、少なくとも、又は約1011個の細胞を含む。提供される実施形態のいずれかの一部において、組成物は、10又は約10から、1011又は約1011個の細胞を含む。提供される実施形態のいずれかの一部において、組成物は、10又は約10から、1010又は約1010個の細胞を含む。提供される実施形態のいずれかの一部において、組成物は、10又は約10から、10又は約10個の細胞を含む。提供される実施形態のいずれかの一部において、組成物は、10又は約10から、1011又は約1011個の細胞を含む。提供される実施形態のいずれかの一部において、組成物は、10又は約10から、1010又は約1010個の細胞を含む。提供される実施形態のいずれかの一部において、組成物は、1010又は約1010から、1011又は約1011個の細胞を含む。
【0364】
提供される実施形態のいずれかの一部において、組成物は、少なくとも、又は約10個のg-NK細胞を含む。提供される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、組成物は10もしくは約10から、1010もしくは約1010個のg-NK細胞、10もしくは約10から、10もしくは約10個のg-NK細胞、10もしくは約10から、10もしくは約10個のg-NK細胞、10もしくは約10から、10もしくは約10個のg-NK細胞、10もしくは約10から、1010もしくは約1010個のg-NK細胞、10もしくは約10から、10もしくは約10個のg-NK細胞、10もしくは約10から、10もしくは約10個のg-NK細胞、10もしくは約10から、1010もしくは約1010個のg-NK細胞、10もしくは約10から、10もしくは約10個のg-NK細胞、又は10もしくは約10から、1010もしくは約1010個のg-NK細胞を含む。提供される実施形態のいずれかの一部において、g-NK細胞は、FcRγnegである。提供される実施形態のいずれかの一部において、g-NK細胞は、g-NK代替表面マーカープロファイルを有する細胞である。いくつかの実施形態では、g-NK細胞代替表面マーカープロファイルは、CD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161negである。いくつかの実施形態では、g-NK細胞代替表面マーカープロファイルは、NKG2Aneg/CD161negである。提供される実施形態のいずれかの一部において、g-NK細胞又はg-NK代替マーカープロファイルを有する細胞は、表面表現型CD45pos/CD3neg/CD56posを更に含む。提供される実施形態のいずれかの一部において、g-NK細胞又はg-NK代替マーカープロファイルを有する細胞は、表面表現型CD38negを更に含む。
【0365】
提供される組成物のいずれかの特定の実施形態では、組成物中の細胞は、同じドナーに由来する。したがって、組成物は、1つ以上の異なるドナーからの細胞の混合集団を含まない。本明細書で提供されるように、増殖方法は、特定のNK細胞サブセット、特にg-NK細胞サブセット又はg-NK細胞の代替マーカーと関連するか又はそれを含むNK細胞サブセット、例えば上記のNK細胞サブセットのいずれかの500倍以上、600倍以上、700倍以上、800倍以上、900倍以上、1000倍以上又はそれ以上の高収率増殖をもたらす。任意の実施形態の一部において、増加は、1000倍又は約1000倍大きい。任意の実施形態の一部では、増加は、2000倍又は約2000倍大きい。任意の実施形態の一部では、増加は、2500倍又は約2500倍大きい。任意の実施形態の一部では、増加は、3000倍又は約3000倍大きい。任意の実施形態の一部では、増加は、5000倍又は約5000倍大きい。任意の実施形態の一部では、増加は、10000倍又は約10000倍大きい。任意の実施形態の一部では、増加は、15000倍又は約15000倍大きい。任意の実施形態の一部では、増加は、20000倍又は約20000倍大きい。任意の実施形態の一部では、増加は、25000倍又は約25000倍大きい。任意の実施形態の一部では、増加は、30000倍又は約30000倍大きい。任意の実施形態の一部では、増加は、35000倍又は約35000倍大きい。特定の実施形態では、増殖は、特定のNK細胞サブセット、特に、g-NK細胞サブセット、又はg-NK細胞代用マーカーと関連するかもしくはそれを含むNK細胞サブセット、例えば、上記のNK細胞サブセットのいずれかの数の1,000倍又は約1,000倍の増加をもたらす。特定の実施形態では、増殖は、特定のNK細胞サブセット、特に、g-NK細胞サブセット又はg-NK細胞の代用マーカーと関連するかもしくはそれを含むNK細胞サブセット、例えば、上記のNK細胞サブセットのいずれかの数の3,000倍又は約3,000倍の増加をもたらす。特定の実施形態では、増殖は、特定のNK細胞サブセット、特に、g-NK細胞サブセット又はg-NK細胞の代用マーカーと関連するかもしくはそれを含むNK細胞サブセット、例えば、上記のNK細胞サブセットのいずれかの数の35,000倍又は約35,000倍の増加をもたらす。
【0366】
いくつかの場合において、単一ドナーから得られたNK細胞の最初の供給源から提供される方法によって達成される増殖は、必要とする対象への投与のための複数の個々の用量を提供するための細胞の組成物を産生することができる。したがって、提供される方法は、同種異系の方法に特に適している。いくつかの場合において、提供される方法に従って、1人のドナーから単離されたNK細胞の開始集団からの単一増殖により、必要な対象への投与のために20回以上の個別用量又は約20回以上の個別用量が得られ、例えば、30回又は約30回の個別用量、40回の個別用量、50回の個別用量、60回の個別用量、70回の個別用量、80回の個別用量、90回の個別用量、100回の個別用量、又は前述のいずれかの値である個別用量などである。いくつかの実施形態では、個々の用量は1×10細胞/kg又は約1×10細胞/kgから、1×10細胞/kg又は約1×10細胞/kgであり、例えば、1×10細胞/kgもしくは約1×10細胞/kgから、7.5×10細胞/kgもしくは約7.5×10細胞/kg、1×10細胞/kgもしくは約1×10細胞/kgから、5×10細胞/kgもしくは約5×10細胞/kg、1×10細胞/kgもしくは約1×10細胞/kgから、2.5×10細胞/kgもしくは約2.5×10細胞/kg、1×10細胞/kgもしくは約1×10細胞/kgから、1×10細胞/kgもしくは約1×10細胞/kg、1×10細胞/kgもしくは約1×10細胞/kgから、7.5×10細胞/kgもしくは約7.5×10細胞/kg、1×10細胞/kgもしくは約1×10細胞/kgから、5×10細胞/kgもしくは約5×10細胞/kg、1×10細胞/kgもしくは約1×10細胞/kgから、2.5×10細胞/kgもしくは約2.5×10細胞/kg、2.5×10細胞/kgもしくは約2.5×10細胞/kgから、1×10細胞/kgもしくは約1×10細胞/kg、2.5×10細胞/kgもしくは約2.5×10細胞/kgから、7.5×10細胞/kgもしくは約7.5×10細胞/kg、2.5×10細胞/kgもしくは約2.5×10細胞/kgから、5×10細胞/kgもしくは約5×10細胞/kg、2.5×10細胞/kgもしくは約2.5×10細胞/kgから、2.5×10細胞/kgもしくは約2.5×10細胞/kg、2.5×10細胞/kgもしくは約2.5×10細胞/kgから、1×10細胞/kgもしくは約1×10細胞/kg、2.5×10細胞/kgもしくは約2.5×10細胞/kgから、7.5×10細胞/kgもしくは約7.5×10細胞/kg、2.5×10細胞/kgもしくは約2.5×10細胞/kgから、5×10細胞/kgもしくは約5×10細胞/kg、5×10細胞/kgもしくは約5×10細胞/kgから、1×10細胞/kgもしくは約1×10細胞/kg、5×10細胞/kgもしくは約5×10細胞/kgから、7.5×10細胞/kgもしくは約7.5×10細胞/kg、5×10細胞/kgもしくは約5×10細胞/kgから、5×10細胞/kgもしくは約5×10細胞/kg、5×10細胞/kgもしくは約5×10細胞/kgから、5×10細胞/kgもしくは約5×10細胞/kg、5×10細胞/kgもしくは約5×10細胞/kgから、2.5×10細胞/kgもしくは約2.5×10細胞/kg、5×10細胞/kgもしくは約5×10細胞/kgから、1×10細胞/kgもしくは約1×10細胞/kg、5×10細胞/kgもしくは約5×10細胞/kgから、7.5×10細胞/kgもしくは約7.5×10細胞/kg、1×10細胞/kgもしくは約1×10細胞/kgから、1×10細胞/kgもしくは約1×10細胞/kg、1×10細胞/kgもしくは約1×10細胞/kgから、7.5×10細胞/kgもしくは約7.5×10細胞/kg、1×10細胞/kgもしくは約1×10細胞/kgから、5×10細胞/kgもしくは約5×10細胞/kg、1×10細胞/kgもしくは約1×10細胞/kgから、2.5×10細胞/kgもしくは約2.5×10細胞/kg、2.5×10細胞/kgもしくは約2.5×10細胞/kgから、1×10細胞/kgもしくは約1×10細胞/kg、又は2.5×10細胞/kgもしくは約2.5×10細胞/kgから、7.5×10細胞/kgもしくは約7.5×10細胞/kg、2.5×10細胞/kgもしくは約2.5×10細胞/kgから、5×10細胞/kgもしくは約5×10細胞/kg、5×10細胞/kgもしくは約5×10細胞/kgから、1×10細胞/kgもしくは約1×10細胞/kg、5×10細胞/kgもしくは約5×10細胞/kgから、7.5×10細胞/kgもしくは約7.5×10細胞/kg、又は7.5×10細胞/kgもしくは約7.5×10細胞/kgから、1×10細胞/kgもしくは約1×10細胞/kgである。いくつかの実施形態では、個々の用量は1×10細胞/kg又は約1×10細胞/kgから、1×10細胞/kg又は約1×10細胞/kgであり、例えば、2.5×10細胞/kgもしくは約2.5×10細胞/kgから、1×10細胞/kgもしくは約1×10細胞/kg、5×10細胞/kgもしくは約5×10細胞/kgから、1×10細胞/kgもしくは約1×10細胞/kg、7.5×10細胞/kgもしくは約7.5×10細胞/kgから、1×10細胞/kgもしくは約1×10細胞/kg、1×10細胞/kgもしくは約1×10細胞/kgから、1×10細胞/kgもしくは約1×10細胞/kg、2.5×10細胞/kgもしくは約2.5×10細胞/kgから、1×10細胞/kgもしくは約1×10細胞/kg、5×10細胞/kgもしくは約5×10細胞/kgから、1×10細胞/kgもしくは約1×10細胞/kg、7.5×10細胞/kgもしくは約7.5×10細胞/kgから、1×10細胞/kgもしくは約1×10細胞/kg、1×10細胞/kgもしくは約1×10細胞/kgから、1×10細胞/kgもしくは約1×10細胞/kg、2.5×10細胞/kgもしくは約2.5×10細胞/kgから、1×10細胞/kgもしくは約1×10細胞/kg、5×10細胞/kgもしくは約5×10細胞/kgから、1×10細胞/kgもしくは約1×10細胞/kg、又は7.5×10細胞/kgもしくは約7.5×10細胞/kgから、1×10細胞/kgもしくは約1×10細胞/kgである。いくつかの実施形態では、個々の用量は、5×10又は約5×10から、10×10又は約10×10であり、例えば、5×10もしくは約5×10から、5×10もしくは約5×10、5×10もしくは約5×10から、1×10もしくは約1×10、5×10もしくは約5×10から、5×10もしくは約5×10、5×10もしくは約5×10から、1×10もしくは約1×10、1×10もしくは約1×10から、10×10もしくは約10×10、1×10もしくは約1×10から、5×10もしくは約5×10、1×10もしくは約1×10から、1×10もしくは約1×10、1×10もしくは約1×10から、5×10もしくは約5×10、5×10もしくは約5×10から、10×10もしくは約10×10、5×10もしくは約5×10から、5×10もしくは約5×10、5×10もしくは約5×10から、1×10もしくは約1×10、1×10もしくは約1×10から、10×10もしくは約10×10、1×10もしくは約1×10から、5×10もしくは約5×10、又は5×10もしくは約5×10から、10×10もしくは約10×10である。いくつかの実施形態では、個々の用量は、5×10個の細胞であるか、又は約5×10個の細胞である。いくつかの実施形態では、個々の用量は、1×10個の細胞であるか、又は約1×10個の細胞である。いくつかの実施形態では、個々の用量は、5×10個の細胞であるか、又は約5×10個の細胞である。いくつかの実施形態では、個々の用量は、1×1010個の細胞であるか、又は約1×1010個の細胞である。上記の実施形態のいずれかにおいて、用量は、上記のNK細胞サブセットのいずれかなどのg-NK細胞の代用マーカーと関連するかもしくはそれを含むg-NK細胞もしくはNK細胞サブセットの細胞数、又は上記のいずれかの生存細胞数として与えられる。上記の実施形態のいずれかにおいて、用量は、
方法によって産生された増殖細胞の組成物中の細胞の数、又は前述のいずれかの生存細胞の数として与えられる。
【0367】
組成物の中には、養子細胞療法などの投与のための医薬組成物及び製剤がある。いくつかの実施形態では、操作された細胞は、薬学的に許容される担体と共に製剤化される。
【0368】
薬学的に許容される担体は、薬学的投与に適合するすべての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤などを含むことができる(Gennaro,2000,Remington:The science and practice of pharmacy,Lippincott,Williams&Wilkins,Philadelphia,PA)。このような担体又は希釈剤の例としては、水、生理食塩水、リンガー溶液、デキストロース溶液、及び5%ヒト血清アルブミンが挙げられるが、これらに限定されない。リポソーム及び非水性ビヒクル(例えば、固定油)もまた使用され得る。補助的な活性化合物も組成物中に組み込むことができる。医薬担体は、生理食塩水、デキストロース溶液又はヒト血清アルブミンを含む溶液などの、NK細胞に適したものであるべきである。
【0369】
いくつかの実施形態では、そのような組成物のための薬学的に許容される担体又はビヒクルは、生きたNK細胞の投与を可能にするのに十分な時間にわたって維持され得るか、又は生存可能なままであり得る、任意の非毒性水溶液である。例えば、薬学的に受容可能な担体又はビヒクルは、生理食塩水溶液又は緩衝化生理食塩水溶液であり得る。薬学的に許容される担体又はビヒクルはまた、NK細胞の効率を増加させ得る様々な生体材料を含み得る。細胞ビヒクル及び担体は、例えば、多糖類を含み、例えば、メチルセルロース(M.C.Tate,D.A.Shear,S.W.Hoffman,D.G.Stein,M.C.LaPlacaBiomaterials22,1113,2001、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、キトサン(Suh J K F,Matthew H W T.Biomaterials,21,2589,2000;Lahiji A,Sohrabi A,Hungerford D S,et al.,J Biomed Mater Res,51,586,2000、それぞれの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、N-イソプロピルアクリルアミドコポリマーP(NIPAM-co-AA)(Y.H.Bae,B.Vernon,C.K.Han,S.W.Kim,J.Control.Release53,249,1998;H.Gappa,M.Baudys,J.J.Koh,S.W.Kim,Y.H.Bae,Tissue Eng.7,35,2001、それぞれの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、ならびにポリ(オキシエチレン)/ポリ(D,L-乳酸-co-グリコール酸)(B.Jeong,K.M.Lee,A.Gutowska,Y.H.An,Biomacromolecules 3,865,2002、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、P(PF-co-EG)(Suggs L J,Mikos A G.Cell Trans,8,345,1999、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、PEO/PEG(Mann B K,Gobin A S,Tsai A T,Schmedlen R H,West J L.Biomaterials,22,3045,2001;Bryant S J,Anseth K S.Biomaterials,22,619,2001、それぞれの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、PVA(Chih-Ta Lee,Po-Han Kung and Yu-Der Lee,Carbohydrate Polymers,61,348,2005、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、コラーゲン(Lee C R,Grodzinsky A J,Spector M.,Biomaterials22,3145,2001、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、アルギン酸塩(Bouhadir K Y,Alsberg E,Damm K L,Anderson K W,Mooney D J.Biotech Prog17,945,2001、Smidsrd O,Skjak-Braek G.,Trends Biotech,8,71,1990、それぞれの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0370】
いくつかの実施形態では、NKG2Cpos細胞などのNK細胞又はそのサブセットは、有効量で組成物中に存在することができる。いくつかの実施形態では、組成物は、FcRγneg細胞又はそのg-NK代用マーカープロファイルを有する細胞などの有効量のgNK細胞を含有する。細胞の有効量は、患者、ならびに疾患のタイプ、重症度及び程度に応じて変動し得る。したがって、医師は、対象の健康、疾患の程度及び重症度、ならびに他の変数を考慮した後に、有効量が何であるかを決定することができる。
【0371】
特定の実施形態では、組成物中のそのような細胞の数は、治療有効量である。いくつかの実施形態では、量は、動物におけるがん、ウイルス感染、微生物感染、又は敗血症性ショックに関連する重症度、持続期間及び/又は症状を低減する量である。いくつかの実施形態では、治療有効量は、本明細書に記載の組成物を投与された患者又は動物において、組成物を投与されていない患者(又は動物)又は患者(又は動物)群におけるがんの増殖又は拡散と比較して、少なくとも2.5%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも25%、少なくとも35%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%のがんの増殖又は拡散の低減をもたらす細胞の用量である。いくつかの実施形態では、治療有効量は、がん、ウイルス及び微生物細胞の増殖を阻害又は低減する活性をもたらす細胞傷害活性をもたらす量である。
【0372】
いくつかの実施形態では、組成物は、10もしくは約10から、1012もしくは約1012個のNKG2Cpos細胞もしくはそのサブセット、又は10もしくは約10から、10もしくは約10個のNKG2Cpos細胞もしくはそのサブセット、又は10もしくは約10から、1012もしくは約1012個のNKG2Cpos細胞もしくはそのサブセット、又は10もしくは約10から、1011もしくは約1011個のNKG2Cpos細胞もしくはそのサブセット、又は10もしくは約10から、1010もしくは約1010個のNKG2Cpos細胞もしくはそのサブセットである量のNKG2Cpos細胞又はそのサブセットを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、10個超の、又は10個もしくは約10個超のNKG2Cpos細胞又はそのサブセット、10個超の、又は10個もしくは約10個超のNKG2Cpos細胞又はそのサブセット、10個超の、又は10個もしくは約10個超のNKG2Cpos細胞又はそのサブセット、10個超の、又は約10個もしくは約10個超のNKG2Cpos細胞又はそのサブセット、10個超の、又は10個もしくは約10個超のNKG2Cpos細胞又はそのサブセット、1010個超の、又は1010個もしくは約1010個超のNKG2Cpos細胞又はそのサブセット、1011個超の、又は1011個もしくは約1011個超のNKG2Cpos細胞又はそのサブセット、又は1012個超の、又は1012個もしくは約1012個超のNKG2Cpos細胞又はそのサブセットを含む。いくつかの実施形態では、そのような量は、疾患又は状態を有する対象、例えばがん患者に投与することができる。
【0373】
いくつかの実施形態では、組成物は、10もしくは約10から、1012もしくは約1012個のg-NK細胞、10もしくは約10から、10もしくは約10個のg-NK細胞、又は10もしくは約10から、1012もしくは約1012個のg-NK細胞、10もしくは約10から、1011もしくは約1011個のg-NK細胞、又は10もしくは約10から、1010もしくは約1010個のg-NK細胞の量のg-NK細胞を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、10個超又は10個もしくは約10個超のg-NK細胞、10個超又は10個もしくは約10個超のg-NK細胞、10個超又は10個もしくは約10個超のg-NK細胞、10個超又は10個もしくは約10g個超のg-NK細胞、10個超又は10個もしくは約10個超のg-NK細胞、1010個超又は1010個もしくは約1010個超のg-NK細胞、1011個超又は1011個もしくは約1011個超のg-NK細胞、又は1012個超又は1012個もしくは約1012個超のg-NK細胞を含む。いくつかの実施形態では、そのような量は、疾患又は状態を有する対象、例えばがん患者に投与することができる。
【0374】
いくつかの実施形態では、組成物の体積は、少なくとも又は少なくとも約10mL、50mL、100mL、200mL、300mL、400mL又は500mLであり、例えば、10mL~500mL、10mL~200mL、10mL~100mL、10mL~50mL、50mL~500mL、50mL~200mL、50mL~100mL、100mL~500mL、100mL~200mL又は200mL~500mL(それぞれ両端を含む)もしくはそれらの各近似値である。いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも又は少なくとも約1×10細胞/mL、5×10細胞/mL、1×10細胞/mL、5×10細胞/mL、1×10細胞/mL、5×10細胞/mL又は1×10細胞/mLの細胞密度を有する。いくつかの実施形態では、組成物の細胞密度は、1×10細胞/mL~1×10細胞/mL、1×10細胞/mL~1×10細胞/mL、1×10細胞/mL~1×10細胞/mL、1×10細胞/mL~1×10細胞/mL、1×10細胞/mL~1×10細胞/mL、1×10細胞/mL~1×10細胞/mL、又は1×10細胞/mL~1×10細胞/mLもしくはそれらの各近似値の範囲(それぞれ両端を含む)である。
【0375】
いくつかの実施形態では、医薬組成物を含む組成物は無菌である。いくつかの実施形態では、細胞の単離、濃縮、又は培養は、エラー、使用者の取り扱い、及び/又は汚染を最小限に抑えるために、閉鎖環境又は無菌環境で、例えば無菌培養バッグ中で行われる。いくつかの実施形態では、無菌性は、例えば、滅菌濾過膜を通した濾過によって容易に達成され得る。いくつかの実施形態では、培養は、ガス透過性培養容器を使用して行われる。いくつかの実施形態では、培養は、バイオリアクターを使用して行われる。
【0376】
提供されるNK細胞を凍結保存するのに適した組成物も本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、NK細胞は、無血清凍結保存培地中で凍結保存される。いくつかの実施形態では、組成物は抗凍結剤を含む。いくつかの実施形態では、抗凍結剤は、DMSO及び/又はグリセロールであるか、又はそれを含む。いくつかの実施形態では、凍結保存培地は、5%又は約5%から、10%又は約10%のDMSO(v/v)である。いくつかの実施形態では、凍結保存培地は、5%又は約5%のDMSO(v/v)である。いくつかの実施形態では、凍結保存培地は、6%又は約6%のDMSO(v/v)である。いくつかの実施形態では、凍結保存培地は、7%又は約7%のDMSO(v/v)である。いくつかの実施形態では、凍結保存培地は、8%又は約8%のDMSO(v/v)である。いくつかの実施形態では、凍結保存培地は、9%又は約9%DMSO(v/v)である。いくつかの実施形態では、凍結保存培地は、10%又は約10%のDMSO(v/v)である。いくつかの実施形態では、凍結保存培地は、市販の凍結保存溶液(CryoStor(商標)CS10)を含有する。CryoStor(商標)CS10は、10%ジメチルスルホキシド(DMSO)を含有する凍結保存培地であるいくつかの実施形態では、凍結保存のために製剤化された組成物は、極低温などの低温で保存することができ、例えば、80℃±6.0℃又は約80℃±6.0℃などの-40℃~-150℃の温度範囲で保存することができる。
【0377】
いくつかの実施形態では、組成物は、患者への投与前に超低温で保存することができる。いくつかの実施形態では、g-NK細胞などのNK細胞サブセットを、提供される方法などに従って単離し、処理し、増殖させ、次いで、対象への投与前に超低温で保存することができる。
【0378】
小規模で超低温で保存するための典型的な方法は、例えば、米国特許第6、0168,991号に記載されている。小規模の場合、細胞は、予め冷却された5%ヒトアルブミン血清(HAS)中の低密度懸濁液(例えば、約200×106/mlの濃度)によって超低温で保存することができる。等量の20%DMSOをHAS溶液に添加することができる。混合物のアリコートをバイアルに入れ、約-80℃の超低温チャンバー内で一晩凍結することができる。
【0379】
いくつかの実施形態では、凍結保存されたNK細胞は、解凍によって投与のために調製される。いくつかの場合において、NK細胞は、解凍直後に対象に投与され得る。このような実施形態において、組成物は、いかなる更なる処理も伴わずにすぐに使用できる。他の場合において、NK細胞は、解凍後に、薬学的に許容される担体での再懸濁、活性化剤もしくは刺激剤とのインキュベーションなどによって更に処理されるか、又は対象への投与前に活性化され、洗浄され、薬学的に許容される緩衝液中に再懸濁される。
【0380】
V.ナチュラルキラー細胞サブセットを増殖させるための方法
抗原受容体(例えば、CAR)をコードする異種核酸を含む遺伝子操作されたg-NK細胞の集団又は複数を含む組成物を産生する方法も、本明細書に開示される。免疫調節物質(例えば、分泌型もしくは可溶性サイトカイン又は膜結合型サイトカインなどのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む遺伝子操作されたg-NK細胞の集団又は複数を含む組成物を産生する方法も、本明細書に開示される。抗原受容体(例えば、CAR)及び免疫調節物質(例えば、分泌型もしくは可溶性サイトカイン又は膜結合型サイトカインなどのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む遺伝子操作されたg-NK細胞の集団又は複数を含む組成物を産生する方法も、本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、本方法は、g-NK細胞、又はg-NK細胞が濃縮されたもしくはg-NK細胞を増殖させた細胞の組成物もしくは集団に、CARをコードする核酸を導入することを含む。
【0381】
免疫調節物質(例えば、分泌型もしくは可溶性サイトカイン又は膜結合型サイトカインなどのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む遺伝子操作されたg-NK細胞の集団又は複数を含む組成物を産生する方法も、本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、本方法は、g-NK細胞、又はg-NK細胞が濃縮されたもしくはg-NK細胞を増殖させた細胞の組成物もしくは集団に、免疫調節物質(例えば、分泌型もしくは可溶性サイトカイン又は膜結合型サイトカインなどのサイトカイン)をコードする核酸を導入することを含む。
【0382】
抗原受容体(例えば、CAR)及び免疫調節物質(例えば、分泌型もしくは可溶性サイトカイン又は膜結合型サイトカインなどのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む遺伝子操作されたg-NK細胞の集団又は複数を含む組成物を産生する方法も、本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、本方法は、(a)g-NK細胞、又はg-NK細胞が濃縮されたもしくはg-NK細胞を増殖させた細胞の組成物もしくは集団に、CARをコードする核酸を導入することと、(b)g-NK細胞、又はg-NK細胞が濃縮されたもしくはg-NK細胞を増殖させた細胞の組成物もしくは集団に、免疫調節物質(例えば、分泌型もしくは可溶性サイトカイン又は膜結合型サイトカインなどのサイトカイン)をコードする核酸を導入することとを含み、ステップ(a)及び(b)は、同時に又は任意の順序で逐次的に行われる。
【0383】
いくつかの実施形態では、遺伝子編集の1つ以上のステップを実施して、操作された細胞のゲノム中で遺伝子が編集されている、例えばノックアウトされている細胞を産生することもできる。いくつかの実施形態では、RNA誘導型ヌクレアーゼ、例えばRNP複合体を、g-NK細胞、又はg-NK細胞が濃縮されたもしくはそれを増殖させた細胞の組成物もしくは集団に導入することなどによる遺伝子編集のための方法は、抗原受容体(例えばCAR)をコードする異種核酸、免疫調節物質(例えばサイトカイン、例えば分泌型もしくは可溶性サイトカイン又は膜結合型サイトカイン)をコードする異種核酸、又は抗原受容体(例えばCAR)及び免疫調節物質(例えばサイトカイン、例えば分泌型もしくは可溶性サイトカイン又は膜結合型サイトカイン)をコードする異種核酸を任意の順序で導入することと同時に又は逐次的に行うことができる。
【0384】
いくつかの実施形態では、細胞を操作するステップは、対象由来の生体試料からg-NK細胞を濃縮及び増殖させるための方法に関連して行うことができる。g-NK細胞を濃縮又は増殖させるための方法は、PCT公開第WO2020/107002号又はPCT出願第2021/028504号に記載されている方法を含み得る。g-NK細胞を濃縮し、そのような細胞を優先的に増殖させるための例示的な方法は、以下に更に詳細に記載される。
【0385】
いくつかの態様では、CARをコードする核酸は、ゲノムへの安定な組み込みのために、又は一過性発現のために、g-NK細胞に導入することができる。いくつかの態様では、免疫調節物質をコードする核酸は、ゲノムへの安定な組み込みのために、又は一過性発現のために、g-NK細胞に導入することができる。いくつかの態様では、CAR及び免疫調節物質をコードする核酸は、ゲノムへの安定な組み込みのために、又は一過性発現のために、g-NK細胞に導入することができる。核酸が安定な組み込みのためにg-NK細胞に導入される場合、それは、核酸が安定に組み込まれ、操作されたNK細胞子孫において増殖されるように、操作されたNK細胞の集団を培養する前に導入され得る。いくつかの実施形態では、CARをコードしている核酸は、ゲノムに安定的に組み込まれる。いくつかの実施形態では、免疫調節物質をコードする核酸は、ゲノムに安定的に組み込まれる。いくつかの実施形態では、CAR及び免疫調節物質をコードする核酸は、ゲノムに安定的に組み込まれる。いくつかの実施形態では、核酸は、ウイルスベクターを介してg-NK細胞に導入される。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターは、レンチウイルスベクターである。
【0386】
いくつかの実施形態では、異種薬剤をNK細胞のゲノムに安定に組み込むためなど、細胞を操作するステップは、更なる増殖のための条件下で濃縮g-NK細胞を培養又はインキュベートする前に実行される。いくつかの実施形態では、NK細胞は、以下のセクションV.Aに記載されるように生体試料から単離され、次いで、セクションV.Bに記載されるような方法を使用して細胞を増殖させる前に、抗原受容体(例えば、CAR)をコードする異種核酸が導入される。いくつかの実施形態では、NK細胞は、以下のセクションV.Aに記載されるように生体試料から単離され、次いで、セクションV.Bに記載されるような方法を使用して細胞を増殖させる前に、免疫調節物質(例えば、分泌型もしくは可溶性サイトカイン又は膜結合型サイトカインなどのサイトカイン)をコードする異種核酸が導入される。いくつかの実施形態では、NK細胞は、以下のセクションV.Aに記載されるように生体試料から単離され、次いで、セクションV.Bに記載されるような方法を使用して細胞を増殖させる前に、免疫調節物質(例えば、分泌型もしくは可溶性サイトカイン又は膜結合型サイトカインなどのサイトカイン)をコードする異種核酸が導入される。いくつかの実施形態では、細胞は、CARをコードする核酸を導入することと同時に又は連続して遺伝子編集方法によって更に操作される。いくつかの実施形態では、細胞は、免疫調節物質(例えば、分泌型もしくは可溶性サイトカイン又は膜結合型サイトカインなどのサイトカイン)をコードする核酸を導入することと同時に又は連続して、遺伝子編集方法によって更に操作される。いくつかの実施形態では、細胞は、CAR及び免疫調節物質(例えば、分泌型もしくは可溶性サイトカイン又は膜結合型サイトカインなどのサイトカイン)をコードする核酸の導入と同時に又は逐次的に、遺伝子編集方法によって更に操作される。いくつかの実施形態では、細胞は、セクションV.Bに記載される増殖方法を実施する前に、遺伝子編集によって操作される。
【0387】
いくつかの実施形態では、NK細胞のゲノムへの異種薬剤の安定な組込みなどのために細胞を操作するステップは、濃縮されたg-NK細胞をそれらの更なる増殖のための条件下で培養又はインキュベートする間に行われる。例えば、NK細胞は、以下のセクションV.Aに記載されるように生体試料から単離され、次いで、セクションV.Bに記載される方法に従って第1の増殖期間に供される。第1の増殖期間は、セクションV.Bに記載されるように全増殖期間の一部であり、増殖期間の残りの部分は、第2の増殖期間を実施することによって達成される。例えば、第1の増殖期間は、約1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日又は10日間もしくはそれらの前後である。いくつかの実施形態では、第1の増殖期間の後、細胞を収集し、次いで、セクションV.Bに記載の方法を使用して、第2の増殖期間で細胞を更に増殖する前に、抗原受容体(例えば、CAR)をコードする異種核酸を導入する。いくつかの実施形態では、増殖の最初の期間の後、細胞を収集し、次いで、セクションV.Bに記載されている方法を使用して、第2増殖期の細胞を更に増殖させる前に、免疫調節物質(例えば、分泌性サイトカイン又は可溶性サイトカイン又は膜結合型サイトカインなどのサイトカイン)をコードする異種核酸を導入する。を増殖させる。いくつかの実施形態では、最初の増殖期間の後、細胞を収集し、次に、セクションV.Bに記載されている方法を使用して、第2増殖期間で細胞を更に増殖する前に、抗原受容体(例えば、CAR)及び免疫調節物質(例えば、分泌性又は可溶性サイトカイン、又は膜結合性サイトカインなどのサイトカイン)をコードする異種核酸を導入する。第2の増殖期間は、セクションV.Bに記載されている全増殖期間の一部であり、例えば、g-NK細胞が濃縮された細胞の閾値数が増殖するまでである。例えば、第2の増殖期間は、約1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日又は10日間もしくはそれらの前後である。いくつかの実施形態では、細胞は、CARをコードする核酸の導入と同時に又は連続して、遺伝子編集方法によって更に操作される。いくつかの実施形態では、細胞は、免疫調節物質(例えば、分泌型もしくは可溶性サイトカイン又は膜結合型サイトカインなどのサイトカイン)をコードする核酸を導入することと同時に又は連続して、遺伝子編集方法によって更に操作される。いくつかの実施形態では、細胞は、CAR及び免疫調節物質(例えば、分泌型もしくは可溶性サイトカイン又は膜結合型サイトカインなどのサイトカイン)をコードする核酸の導入と同時に又は逐次的に、遺伝子編集方法によって更に操作される。いくつかの実施形態では、細胞は、セクションV.Aに記載されているようにg-NK細胞を濃縮するために生体試料から細胞を単離又は選択した後、かつ第1の増殖を実施する前に、遺伝子編集によって操作される。
【0388】
他の実施形態において、CARをコードする核酸は、一過性発現のためにg-NK細胞に導入することができる。他の態様では、免疫調節物質をコードする核酸は、一過性発現のためにg-NK細胞に導入され得る。他の態様では、CAR及び免疫調節物質をコードする核酸は、一過性発現のためにg-NK細胞に導入され得る。核酸が一過性発現のためにg-NK細胞に導入される場合、一過性に発現された核酸は、十分に長い期間持続しないか、又は培養された集団の全ての細胞に十分に増殖しない可能性があるので、操作されたNK細胞の集団を培養した後に導入することができる。いくつかの実施形態では、CARをコードする核酸は、操作されたNK細胞において一過性に発現される。いくつかの実施形態では、免疫調節物質(例えば、分泌型もしくは可溶性サイトカイン又は膜結合型サイトカインなどのサイトカイン)をコードする核酸は、操作されたNK細胞において一過性に発現される。いくつかの実施形態では、CAR及び免疫調節物質(例えば、分泌型もしくは可溶性サイトカイン又は膜結合型サイトカインなどのサイトカイン)をコードする核酸は、操作されたNK細胞において一過性に発現される。いくつかの実施形態では、核酸は、ナノ粒子送達を介して導入される。いくつかの実施形態では、核酸は、エレクトロポレーションを介して導入される。
【0389】
したがって、g-NK細胞を増殖させるいくつかの方法において、濃縮されたNK細胞の集団は、CARをコードする核酸を増殖集団のNK細胞に導入する前に、増殖のための条件下で培養されるべきである。g-NK細胞を増殖させるいくつかの方法において、濃縮されたNK細胞の集団は、増殖のための条件下で培養され、その後、増殖させた集団のNK細胞に、免疫調節物質(例えば、分泌型もしくは可溶性サイトカイン又は膜結合型サイトカインなどのサイトカイン)をコードする核酸が導入されるべきである。g-NK細胞を増殖させるいくつかの方法において、濃縮されたNK細胞の集団は、CAR及び免疫調節物質(例えば、分泌型もしくは可溶性サイトカイン又は膜結合型サイトカインなどのサイトカイン)をコードする核酸を増殖集団のNK細胞に導入する前に、増殖のための条件下で培養されるべきである。これは、CAR又は免疫調節物質が一過性に(例えば、mRNAを介して)発現される状況において特に適用可能である。
【0390】
g-NK細胞が濃縮されたNK細胞の増殖のための例示的な方法は、以下のセクションV.A及びBに記載されている。いくつかの実施形態では、g-NK細胞を増殖させる方法は、(a)ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を得ることであって、NK細胞について濃縮された集団が、ヒト対象由来の生体試料から選択される、得ることと、(b)濃縮されたNK細胞の集団を、(i)照射されたHLA-E+フィーダー細胞であって、フィーダー細胞がHLAクラスI及びHLAクラスIIを欠損しており、照射されたHLA-E+フィーダー細胞 対 濃縮NK細胞の比が1:10~10:1である、照射されたHLA-E+フィーダー細胞、及び(ii)NK細胞を増殖させるための有効量の2つ以上の組換えサイトカインであって、少なくとも1つの組換えサイトカインがインターロイキン(IL)-2であり、少なくとも1つの組換えサイトカインがIL-21である、NK細胞を増殖させるための有効量の2つ以上の組換えサイトカインと共に、培地中で培養し、それによって、増殖NK細胞集団を産生することと、(c)NK細胞の増殖集団のNK細胞に、CARをコードする核酸を導入することと、を含み、方法は、CARで操作されたg-NK細胞が濃縮された操作されたNK細胞の増殖集団を産生する、方法。いくつかの実施形態では、g-NK細胞を増殖させる方法は、(a)ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を得ることであって、NK細胞について濃縮された集団が、ヒト対象由来の生体試料から選択される、得ることと、(b)濃縮されたNK細胞の集団を、(i)照射されたHLA-E+フィーダー細胞であって、フィーダー細胞がHLAクラスI及びHLAクラスIIを欠損しており、照射されたHLA-E+フィーダー細胞 対 濃縮NK細胞の比が1:10~10:1である、照射されたHLA-E+フィーダー細胞、及び(ii)NK細胞を増殖させるための有効量の2つ以上の組換えサイトカインであって、少なくとも1つの組換えサイトカインがインターロイキン(IL)-2であり、少なくとも1つの組換えサイトカインがIL-21である、NK細胞を増殖させるための有効量の2つ以上の組換えサイトカインと共に、培地中で培養し、それによって、増殖NK細胞集団を産生することと、(c)増殖させたNK細胞集団のNK細胞に、免疫調節物質(例えば、分泌型もしくは可溶性サイトカイン又は膜結合型サイトカインなどのサイトカイン)をコードする核酸を導入することと、を含み、方法は、免疫調節物質(例えば、分泌型もしくは可溶性サイトカイン又は膜結合型サイトカインなどのサイトカイン)で操作されたg-NK細胞が濃縮されている操作されたNK細胞の増殖させた集団を産生する方法。いくつかの実施形態では、g-NK細胞を増殖させる方法は、(a)ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を得ることであって、NK細胞について濃縮された集団が、ヒト対象由来の生体試料から選択される、得ることと、(b)濃縮されたNK細胞の集団を、(i)照射されたHLA-E+フィーダー細胞であって、フィーダー細胞がHLAクラスI及びHLAクラスIIを欠損しており、照射されたHLA-E+フィーダー細胞 対 濃縮NK細胞の比が1:10~10:1である、照射されたHLA-E+フィーダー細胞、及び(ii)NK細胞を増殖させるための有効量の2つ以上の組換えサイトカインであって、少なくとも1つの組換えサイトカインがインターロイキン(IL)-2であり、少なくとも1つの組換えサイトカインがIL-21である、NK細胞を増殖させるための有効量の2つ以上の組換えサイトカインと共に、培地中で培養し、それによって、増殖NK細胞集団を産生することと、(c)増殖させたNK細胞集団のNK細胞に、(i)CARをコードする核酸、及び(ii)免疫調節物質(例えば、分泌可能もしくは可溶性サイトカイン又は膜結合型サイトカインなどのサイトカイン)をコードする核酸を導入することと、を含み、ステップ(i)及び(ii)を同時に又は任意の順序で逐次的に実施し、方法は、CAR及び免疫調節物質(例えば、分泌可能もしくは可溶性サイトカイン又は膜結合型サイトカインなどのサイトカイン)で操作されたg-NK細胞が濃縮された、操作されたNK細胞の増殖させた集団を産生する。
【0391】
いくつかの実施形態では、NK細胞のゲノムへの異種薬剤の一過性発現などのために細胞を操作するステップは、濃縮g-NK細胞をそれらの更なる増殖のための条件下で培養又はインキュベートした後に実施される。いくつかの実施形態では、NK細胞は、以下のセクションV.Aに記載されるように生体試料から単離され、セクションV.Bに記載されるような方法を使用して増殖され、次いで、抗原受容体(例えば、CAR)をコードする異種核酸が導入される。いくつかの実施形態では、NK細胞は、以下のセクションV.Aに記載されるように生体試料から単離され、セクションV.Bに記載されるような方法を使用して増殖され、次いで、免疫調節物質(例えば、分泌型もしくは可溶性サイトカイン又は膜結合型サイトカインなどのサイトカイン)をコードする異種核酸が導入される。いくつかの実施形態では、NK細胞は、以下のセクションV.Aに記載されるように生体試料から単離され、セクションV.Bに記載されるような方法を使用して増殖され、次いで、抗原受容体(例えば、CAR)及び免疫調節物質(例えば、分泌型もしくは可溶性サイトカイン又は膜結合型サイトカインなどのサイトカイン)をコードする異種核酸と共に導入される。いくつかの実施形態では、細胞は、CAR及び/又は免疫調節物質(例えば、分泌型もしくは可溶性サイトカイン又は膜結合型サイトカインなどのサイトカイン)をコードする核酸の導入と同時に又は逐次的に、遺伝子編集方法によって更に操作される。いくつかの実施形態では、細胞は、セクションV.Bに記載される増殖方法を実施する前に、遺伝子編集によって操作される。
【0392】
A.g-NK細胞を濃縮するために生体試料から細胞を選択する方法
いくつかの実施形態では、操作されたg-NK細胞を含有する組成物を含むg-NK細胞組成物は、ヒト対象由来の生体試料からのNK細胞のサブセットからのエクスビボでの増殖によってg-NK細胞を濃縮するための方法を含む方法によって産生される。いくつかの実施形態では、g-NK細胞組成物を増殖及び産生するための方法は、ヒト対象由来の生体試料からのFcRγ欠損NK細胞(gNK)である細胞のサブセットを増殖させる段階を含むことができる。いくつかの実施形態では、本方法は、ヒト対象由来の生体試料からNKG2CposであるNK細胞のサブセットを増殖させることを含むことができる。いくつかの実施形態では、本方法は、ヒト対象由来の生体試料からNKG2AnegであるNK細胞のサブセットを増殖させることを含むことができる。いくつかの実施形態では、本方法は、ヒト対象由来の生体試料からナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された細胞の集団を単離する段階、ならびにg-NK細胞対象及び/又はg-NK細胞サブセットと細胞外表面マーカーが重複もしくは共有するNK細胞サブセットが優先的に増殖及び/又は増殖する条件下で細胞を培養する段階を含む。例えば、NK細胞は、フィーダー細胞を使用して、又はサイトカインの存在下で培養されて、g-NK細胞対象及び/又はg-NK細胞サブセットと重複するかもしくは細胞外表面マーカーを共有するNK細胞サブセットの増殖及び/又は増殖を増強し得る。いくつかの態様では、提供される方法はまた、NKG2Cpos及び/又はNKG2Anegである任意のNK細胞などのNK細胞の他のサブセットを増殖することができる。
【0393】
いくつかの実施形態では、試料、例えば生体試料は、NK細胞集団を含む複数の細胞集団を含有するものである。いくつかの実施形態では、生体試料は、血液細胞、例えば末梢血単核細胞であるか、又はそれを含む。いくつかの態様において、生体試料は、全血試料、アフェレーシス産物又は白血球アフェレーシス産物である。いくつかの実施形態では、試料は、末梢血単核細胞(PBMC)の試料である。したがって、提供される方法のいくつかの形態では、末梢血単核細胞(PBMC)の集団を得ることができる。NK細胞集団を含む複数の細胞集団を含有する試料は、提供される方法に従って増殖のためにNK細胞サブセットを濃縮又は選択するための細胞として使用することができる。
【0394】
いくつかの実施形態では、生体試料は、健康な対象である対象に由来する。いくつかの実施形態では、生体試料は、疾患又は状態、例えばがんを有する対象に由来する。
【0395】
いくつかの実施形態では、細胞は、試料、例えば生体試料、例えば対象、例えば特定の疾患もしくは状態を有する対象、又は細胞療法を必要とする対象、又は細胞療法が投与される対象から得られるか又は由来する試料から単離又は選択される。いくつかの態様において、対象は、ヒト、例えば、細胞が単離され、処理され、及び/又は操作される養子細胞療法などの特定の治療的介入を必要とする患者である対象である。したがって、いくつかの実施形態における細胞は、初代細胞、例えば、初代ヒト細胞である。試料には、対象から直接採取した組織、体液、及び他の試料が含まれる。生体試料は、生物学的供給源から直接得られた試料又は処理された試料であり得る。生体試料としては、体液(例えば、血液、血漿、血清、脳脊髄液、滑液、尿及び汗)、組織試料及び器官試料(これらに由来する処理試料を含む)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの態様では、試料は、血液もしくは血液由来試料であるか、又はアフェレーシスもしくは白血球アフェレーシス産物であるか、もしくはそれに由来する。
【0396】
いくつかの実施形態では、対象の循環血液由来の細胞が得られる。試料は、いくつかの態様では、NK細胞、T細胞、単球、顆粒球、B細胞、他の有核白血球、赤血球、及び/又は血小板を含むリンパ球を含有し、いくつかの態様では、赤血球及び血小板以外の細胞を含有する。いくつかの実施形態では、対象から回収された細胞を洗浄して血漿画分を除去し、後続の処理ステップに適した緩衝液又は培地中に細胞を入れてよい。いくつかの実施形態では、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で細胞を洗浄する。いくつかの実施形態では、洗浄溶液はカルシウムを含まず、及び/又はマグネシウムを含んでいなくてもよく、及び/又は全てではないが多くの二価カチオンを含んでいなくてもよい。特定の実施形態では、血液細胞試料の成分を除去し、細胞を培養培地に直接再懸濁する。いくつかの実施形態では、本方法は、密度に基づく細胞分離方法、例えば、赤血球を溶解し、Percoll又はFicoll勾配による遠心分離(例えば、Histopaque(登録商標)密度遠心分離を使用することによる)によって末梢血から白血球を調製することを含む。
【0397】
いくつかの実施形態では、生体試料は、正常な末梢血から収集された濃縮白血球搬出産物に由来する。いくつかの実施形態では、濃縮された白血球搬出産生物は、新鮮な細胞を含み得る。いくつかの実施形態では、濃縮された白血球搬出産物は、提供される方法における使用のために解凍される凍結保存試料である。
【0398】
いくつかの実施形態では、生体細胞の供給源には、5×10又は約5×10から、5×10又は約5×10個のNK細胞、g-NK細胞サブセット、又はg-NK細胞の代替マーカーに関連するか、又はそれを含むNK細胞サブセットが含まれる。いくつかの実施形態では、NK細胞の数、又は生体サンプル中の、g-NK細胞サブセット、又はg-NK細胞の代替マーカーに関連するか、又はそれを含むNK細胞サブセットは、5×10~1×10、5×10~5×10、5×10~1×10、5×10~5×10、5×10~1×10、1×10~1×10、1×10~5×10、1×10~1×10、1×10~5×10、5×10~1×10、5×10~5×10、5×10~1×10、1×10~1×10、1×10~5×10、又は5×10~1×10もしくはそれらの各近似値の範囲である。
【0399】
いくつかの実施形態では、生体試料中のNK細胞のうち、g-NK細胞、又はg-NK細胞の代替マーカーと関連するもしくはg-NK細胞の代替マーカーを含むNK細胞サブセットの割合は、3%又は約3%より大きい。いくつかの実施形態では、生体試料中のNK細胞のうち、g-NK細胞、又はg-NK細胞の代替マーカーと関連するもしくはg-NK細胞の代替マーカーを含むNK細胞サブセットの割合は、5%又は約5%超である。いくつかの実施形態では、生体試料中のNK細胞のうち、g-NK細胞、又はg-NK細胞の代替マーカーと関連するもしくはg-NK細胞の代替マーカーを含むNK細胞サブセットの割合は、10%又は約10%より大きい。いくつかの実施形態では、生体試料中のNK細胞のうち、g-NK細胞、又はg-NK細胞の代替マーカーと関連するもしくはg-NK細胞の代替マーカーを含むNK細胞サブセットの割合は、12%又は約12%より大きい。いくつかの実施形態では、生体試料中のNK細胞のうち、g-NK細胞、又はg-NK細胞の代替マーカーと関連するもしくはg-NK細胞の代替マーカーを含むNK細胞サブセットの割合は、14%又は約14%より大きい。いくつかの実施形態では、生体試料中のNK細胞のうち、g-NK細胞、又はg-NK細胞の代替マーカーと関連するもしくはg-NK細胞の代替マーカーを含むNK細胞サブセットの割合は、16%又は約16%より大きい。いくつかの実施形態では、生体試料中のNK細胞のうち、g-NK細胞、又はg-NK細胞の代替マーカーと関連するもしくはg-NK細胞の代替マーカーを含むNK細胞サブセットの割合は、18%又は約18%より大きい。いくつかの実施形態では、生体試料中のNK細胞のうち、g-NK細胞、又はg-NK細胞の代替マーカーと関連するもしくはg-NK細胞の代替マーカーを含むNK細胞サブセットの割合は、20%又は約20%より大きい。いくつかの実施形態では、生体試料中のNK細胞のうち、g-NK細胞、又はg-NK細胞の代替マーカーと関連するかもしくはそれを含むNK細胞サブセットの割合は、22%又は約22%より大きい。いくつかの実施形態では、生体試料中のNK細胞のうち、g-NK細胞、又はg-NK細胞の代替マーカーと関連するもしくはg-NK細胞の代替マーカーを含むNK細胞サブセットの割合は、24%又は約24%より大きい。いくつかの実施形態では、生体試料中のNK細胞のうち、g-NK細胞、又はg-NK細胞の代替マーカーと関連するもしくはg-NK細胞の代替マーカーを含むNK細胞サブセットの割合は、26%又は約26%より大きい。いくつかの実施形態では、生体試料中のNK細胞のうち、g-NK細胞、又はg-NK細胞の代替マーカーと関連するもしくはg-NK細胞の代替マーカーを含むNK細胞サブセットの割合は、28%又は約28%より大きい。いくつかの実施形態では、生体試料中のNK細胞のうち、g-NK細胞、又はg-NK細胞の代替マーカーと関連するもしくはg-NK細胞の代替マーカーを含むNK細胞サブセットの割合は、30%又は約30%より大きい。
【0400】
いくつかの実施形態では、生体試料中のNK細胞のうち、g-NK細胞、又はg-NK細胞の代替マーカーと関連するもしくはg-NK細胞の代替マーカーを含むNK細胞サブセットの割合が3%又は約3%を超える場合、対象が選択される。いくつかの実施形態では、生体試料中のNK細胞のうち、g-NK細胞、又はg-NK細胞の代替マーカーと関連するもしくはg-NK細胞の代替マーカーを含むNK細胞サブセットの割合が5%又は約5%を超える場合、対象が選択される。いくつかの実施形態では、生体試料中のNK細胞のうち、g-NK細胞、又はg-NK細胞の代替マーカーと関連するもしくはg-NK細胞の代替マーカーを含むNK細胞サブセットの割合が、10%又は約10%を超える場合、対象が選択される。いくつかの実施形態では、生体試料中のNK細胞のうち、g-NK細胞、又はg-NK細胞の代替マーカーと関連するかもしくはそれを含むNK細胞サブセットの割合が、12%又は約12%を超える場合、対象が選択される。いくつかの実施形態では、生体試料中のNK細胞のうち、g-NK細胞、又はg-NK細胞の代替マーカーと関連するもしくはg-NK細胞の代替マーカーを含むNK細胞サブセットの割合が、14%又は約14%を超える場合、対象が選択される。いくつかの実施形態では、生体試料中のNK細胞のうち、g-NK細胞、又はg-NK細胞の代替マーカーと関連するもしくはg-NK細胞の代替マーカーを含むNK細胞サブセットの割合が16%又は約16%を超える場合、対象が選択される。いくつかの実施形態では、生体試料中のNK細胞のうち、g-NK細胞、又はg-NK細胞の代替マーカーと関連するもしくはg-NK細胞の代替マーカーを含むNK細胞サブセットの割合が、18%又は約18%を超える場合、対象が選択される。いくつかの実施形態では、生体試料中のNK細胞のうち、g-NK細胞、又はg-NK細胞の代替マーカーと関連するもしくはg-NK細胞の代替マーカーを含むNK細胞サブセットの割合が20%又は約20%を超える場合、対象が選択される。いくつかの実施形態では、生体試料中のNK細胞のうち、g-NK細胞、又はg-NK細胞の代替マーカーと関連するかもしくはそれを含むNK細胞サブセットの割合が、22%又は約22%を超える場合、対象が選択される。いくつかの実施形態では、生体試料中のNK細胞のうち、g-NK細胞、又はg-NK細胞の代替マーカーと関連するもしくはg-NK細胞の代替マーカーを含むNK細胞サブセットの割合が24%又は約24%を超える場合、対象が選択される。いくつかの実施形態では、生体試料中のNK細胞のうち、g-NK細胞、又はg-NK細胞の代替マーカーと関連するもしくはg-NK細胞の代替マーカーを含むNK細胞サブセットの割合が26%又は約26%を超える場合、対象が選択される。いくつかの実施形態では、生体試料中のNK細胞のうち、g-NK細胞、又はg-NK細胞の代替マーカーと関連するもしくはg-NK細胞の代替マーカーを含むNK細胞サブセットの割合が28%又は約28%を超える場合、対象が選択される。いくつかの実施形態では、生体試料中のNK細胞のうち、g-NK細胞、又はg-NK細胞の代替マーカーと関連するもしくはg-NK細胞の代替マーカーを含むNK細胞サブセットの割合が、30%又は約30%を超える場合、対象が選択される。
【0401】
いくつかの実施形態では、生体試料は、CMV血清陽性である対象に由来する。CMV感染は、増強された抗ウイルス活性を示すNKG2Cを発現するNK細胞の高い画分の発生を含む、NK細胞の表現型及び機能的分化をもたらし得る。NKG2Cを発現するCMV関連NK細胞は、DNAメチル化パターンの変化及びFcRγなどのシグナル伝達分子の発現の低下を示す(Schlumsら、Immunity(2015)42:443-56)。これらのNK細胞は、従来のNK細胞サブセットと比較して、より強力な抗体依存性活性化、増殖、及び機能に関連している。場合によっては、FcRγの発現が低下したNK細胞は、一般的にはより低いレベルであるが、CMV血清反応陰性個体においても検出することができるので、生体試料は、CMV血清反応陰性である対象由来であってもよい。いくつかの場合において、生体試料は、CMV血清陽性個体由来であり得る。
【0402】
いくつかの実施形態では、対象は、NKG2Cについて陽性である末梢血試料中のNK細胞の割合に基づいて選択される。いくつかの実施形態では、対象は、末梢血試料中のNK細胞の少なくとも20%又は約20%がNKG2Cについて陽性である場合に選択される。いくつかの実施形態では、対象は、末梢血試料中のNK細胞の少なくとも25%又は約25%がNKG2Cに陽性である場合に選択される。いくつかの実施形態では、対象は、末梢血試料中のNK細胞の少なくとも30%又は約30%がNKG2Cについて陽性である場合に選択される。いくつかの実施形態では、対象は、末梢血試料中のNK細胞の少なくとも35%又は約35%がNKG2Cについて陽性である場合に選択される。いくつかの実施形態では、対象は、末梢血試料中のNK細胞の少なくとも40%又は約40%がNKG2Cについて陽性である場合に選択される。いくつかの実施形態では、対象は、末梢血試料中のNK細胞の少なくとも45%又は約45%がNKG2Cについて陽性である場合に選択される。いくつかの実施形態では、対象は、末梢血試料中のNK細胞の少なくとも50%又は約50%がNKG2Cについて陽性である場合に選択される。いくつかの実施形態では、対象は、末梢血試料中のNK細胞の少なくとも55%又は約55%がNKG2Cについて陽性である場合に選択される。いくつかの実施形態では、対象は、末梢血試料中のNK細胞の少なくとも60%又は約60%がNKG2Cについて陽性である場合に選択される。
【0403】
いくつかの実施形態では、対象は、NKG2Aについて陰性又は低発現性の末梢血試料中のNK細胞の割合に基づいて選択される。いくつかの実施形態では、末梢血試料中のNK細胞の少なくとも70%又は約70%が、NKG2Aについて陰性又は低発現性である場合に、対象が選択される。いくつかの実施形態では、末梢血試料中のNK細胞の少なくとも75%又は約75%が、NKG2Aについて陰性又は低発現性である場合に、対象が選択される。いくつかの実施形態では、末梢血試料中のNK細胞の少なくとも80%又は約80%が、NKG2Aについて陰性又は低発現性である場合、対象が選択される。いくつかの実施形態では、末梢血試料中のNK細胞の少なくとも85%又は約85%が、NKG2Aについて陰性又は低発現性である場合に、対象が選択される。いくつかの実施形態では、末梢血試料中のNK細胞の少なくとも90%又は約90%が、NKG2Aについて陰性又は低発現性である場合に、対象が選択される。
【0404】
いくつかの実施形態では、対象は、NKG2Cについて陽性である末梢血試料中のNK細胞の割合と、NKG2Aについて陰性又は低度である末梢血試料中のNK細胞の割合の両方に基づいて選択される。いくつかの実施形態では、対象は、末梢血試料中のNK細胞の少なくとも20%又は約20%がNKG2Cについて陽性であり、末梢血試料中のNK細胞の少なくとも、又は約70%がNKG2Aについて陰性であるか又は低度である場合に選択される。いくつかの実施形態では、対象は、末梢血試料中のNK細胞の少なくとも30%又は約30%がNKG2Cについて陽性であり、末梢血試料中のNK細胞の少なくとも、又は約75%がNKG2Aについて陰性であるか又は低度である場合に選択される。いくつかの実施形態では、対象は、末梢血試料中のNK細胞の少なくとも40%又は約40%がNKG2Cについて陽性であり、末梢血試料中のNK細胞の少なくとも80%又は約80%がNKG2Aについて陰性であるか又は低度である場合に選択される。いくつかの実施形態では、末梢血試料中のNK細胞の少なくとも50%又は約50%がNKG2Cについて陽性であり、末梢血試料中のNK細胞の少なくとも85%又は約85%がNKG2Aについて陰性であるか又は低度である場合、対象が選択される。いくつかの実施形態では、末梢血試料中のNK細胞の少なくとも60%又は約60%がNKG2Cについて陽性であり、かつ末梢血試料中のNK細胞の少なくとも90%又は約90%がNKG2Aについて陰性であるか又は低度である場合、対象が選択される。いくつかの実施形態では、末梢血試料中のNK細胞の少なくとも60%又は約60%がNKG2Cについて陽性であり、かつ末梢血試料中のNK細胞の少なくとも95%又は約95%がNKG2Aについて陰性であるか又は低度である場合、対象が選択される。
【0405】
いくつかの実施形態では、対象がCMV血清陽性であり、かつ対象由来の末梢血試料中のNK細胞のうち、g-NK細胞の割合が30%超又は約30%超であり、NKG2Cpos細胞の割合が20%超又は約20%超であり、かつNKG2Aneg細胞の割合が70%超又は約70%超である場合、対象は、提供される方法に従う細胞の増殖のために選択される。
【0406】
いくつかの実施形態では、対象由来のNK細胞は、CD16遺伝子のヌクレオチド526[チミジン(T)→グアニン(G)]に一塩基多型(SNP rs396991)を有し、その結果、成熟(処理)型タンパク質(F158V)において158位のフェニルアラニン(F)がバリン(V)にアミノ酸(aa)置換される。いくつかの実施形態では、NK細胞は、両方の対立遺伝子にCD16 158 V多型(本明細書では158V/Vと呼ぶ)を有する。いくつかの実施形態では、NK細胞は、単一対立遺伝子にCD16 158 V多型(本明細書では158V/Fと呼ばれる)を有する。本明細書における158 V+遺伝子型への言及は、158V/V遺伝子型及び158V/F遺伝子型の両方を指すことが理解される。CD16 F158V多型は、IgGl 抗体に対する実質的により高い親和性と関連し、より強固なNK細胞媒介性ADCC応答を開始する能力を有することが見出されている(Mellor et al.(2013)J.Journal of Hematology&Oncology,6:1;Musolino et al.(2008)Journal of Clinical Oncology,26:1789-1796及びHatjiharissi et al.(2007)Blood,110:2561-2564)。いくつかの実施形態では、CD16 158 V+/g-NK細胞の抗体指向性標的化は、CD16 158 V+/g-NK細胞サブセットの改善された親和性、細胞傷害性及び/又はサイトカイン媒介効果機能に起因して、患者に対する改善された転帰をもたらす。
【0407】
いくつかの実施形態では、提供される方法は、CD16 158V+NK細胞遺伝子型を有すると同定された対象の生体試料からNK細胞又はそのサブセットを濃縮又は単離することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、CD16 158V+NK細胞遺伝子型の存在について対象をスクリーニングすることを含む。いくつかの実施形態では、ゲノムDNAは、血液試料又は骨髄試料などの、NK細胞であるか又はNK細胞を含む対象由来の試料から抽出される。いくつかの実施形態では、試料は、血液細胞、例えば末梢血単核細胞であるか、又はそれを含む。いくつかの実施形態では、試料は、単離されたNK細胞であるか、又はそれを含む。いくつかの実施形態では、試料は健康なドナー対象からの試料である。試料からDNAを抽出するための任意の方法を用いることができる。例えば、核酸は試料、例えば、グアニジンチオシアネート-フェノール-クロロホルム抽出(Chomocyznski et al.(1987)Anal.Biochem.162:156)などの標準技術を使用した細胞から容易に単離できる。WizardゲノムDNA精製キット(Promega,Madison,WI)などの市販のキットもまた、ゲノムDNAを抽出するために容易に利用可能である。
【0408】
遺伝子型決定は、任意の適切な試料に対して行うことができる。本明細書に記載される実施形態のいずれかにおいて、遺伝子型決定反応は、例えば、パイロシークエンシング反応、DNAシークエンシング反応、MassARRAY MALDI-TOF、RFLP、対立遺伝子特異的PCR、リアルタイム対立遺伝子識別、又はマイクロアレイであり得る。いくつかの実施形態では、ゲノムDNAのRT-PCRなどのPCRに基づく技術は、多型に対する対立遺伝子特異的プライマーを使用して行われる。試料中の標的核酸配列を増幅するためのPCR法は、当該分野で公知であり、例えば、Innisら(編)に記載されている。PCRプロトコル(Academic Press,NY 1990);Taylor(1991)Polymerase chain reaction:basic principles and automation,in PCR:A Practical Approach,mCPherson et al.(eds.)IRL Press,Oxford;Saiki et al.(1986)Nature 324:163;並びに米国特許第4,683,195号、同第4,683,202号及び同第4,889,818号に記載されており、これらは全て、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0409】
158 V+多型を検出するためのプライマーは、公知であるか、又は当業者によって容易に設計され得る。e.g..国際公開PCT出願第WO2012/061814号;Kim et al.(2006)Blood,108:2720-2725;Cartron et al.(2002)Blood,99:754-758;Koene et al.(1997)Blood,90:1109-1114;Hatijiharissi et al.(2007)Blood,110:2561-2564;Somboonyosdech et al.(2012)Asian Biomedicine,6:883-889)。いくつかの実施形態では、ネステッドプライマーを使用してPCRを行い、その後、対立遺伝子特異的制限酵素消化を行うことができる。いくつかの実施形態では、第1のPCRプライマーは、5’-ATA TTT ACA GAA TGG CAC AGG -3’(配列番号17)及び5’-GAC TTG GTA CCC AGG TTG AA-3’(配列番号18)を含み、一方、第2のPCRプライマーは、5’-ATC AGA TTC GAT CCT ACT TCT GCA GGG GGC AT-3’(配列番号19)及び5’-ACG TGC TGA GCT TGA GTG ATG GTG ATG TTC AC-3’(配列番号20)であり、これは、いくつかの場合において、対立遺伝子の性質に依存して94bpの断片を産生する。いくつかの実施形態では、プライマー対は、配列番号21(CCCAACTCAA CTTCCCAGTG TGAT)及び配列番号22(GAAATCTACC TTTTCCTCTA ATAGGGCAAT)に示される塩基配列を含む。いくつかの実施形態では、プライマー対は、配列番号21(CCCAACTCAA CTTCCCAGTG TGAT)及び配列番号23(GAAATCTACC TTTTCCTCTA ATAGGGCAA)に示される塩基配列を含む。いくつかの実施形態では、プライマー対は、配列番号21(CCCAACTCAA CTTCCCAGTG TGAT)及び配列番号24(GAAATCTACC TTTTCCTCTA ATAGGGCA)に示される塩基配列を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子型判定は、以下のようなプライマー配列を使用したRNAの抽出後の定量的リアルタイムRT-PCRによって実行することができる。配列番号25に記載のCD16センス(5’-CCAAAAGCCACACTCAAAGAC-3’)及び配列番号26に記載のアンチセンス(5’-ACCCAGGTGGAAAGAATGATG-3’)及び配列番号27に記載のTaqManプローブ(5’-AACATCACCATCACTCAAGGTTTGG-3’)。
【0410】
遺伝子型決定を確認するために、対立遺伝子特異的増幅を、V対立遺伝子特異的プライマーのセット(例えば、配列番号28に示されるフォワードプライマー、5’-CTG AAG ACA CAT TTT TAC TCC CAAA-3’、及び配列番号29に記載のリバースプライマー、5’-TCC AAA AGC CAC ACT CAA AGA C-3’)、又はF対立遺伝子特異的プライマーのセット(例えば、配列番号30に記載のフォワードプライマー、5’-CTG AAG ACA CAT TTT TAC TCC CAAC-3’、及び配列番号29に記載のリバースプライマー、5’-TCC AAA AGC CAC ACT CAA AGA C-3’)で使用できる。
【0411】
CD16aのゲノム配列は、NCBIデータベースにおいてNG_009066.1で入手可能である。CD16Aの遺伝子IDは2214である。遺伝子多型を含むCD16の配列情報は、UniProt Acc番号P08637で入手可能である。CD16(F158)の配列は、配列番号31に示されている(残基F158は太字で下線が引かれている)。いくつかの実施形態では、CD16(F158)は、MWQLLLPTALLLLVSA(配列番号32)として示されるシグナルペプチドを更に含む。
【0412】
CD16 158 V+の配列(F158Vをもたらす多型)は、VAR_003960として公知であり、配列番号33に記載の配列を有する(158 V+多型は太字及び下線である)。いくつかの実施形態では、CD16(158 V+)は、MWQLLLPTALLLLVSA(配列番号32)として示されるシグナルペプチドを更に含む。
【0413】
いくつかの実施形態では、5’末端に蛍光色素標識(例えば、FAM又はVIC)ならびに3’末端にマイナーグルーブバインダー(MGB)及び非蛍光クエンチャー(NFQ)を含有する対立遺伝子特異的プローブ、ならびに非標識PCRプライマーを使用して、ゲノムデオキシリボ核酸(DNA)試料に対して一塩基多型(SNP)分析を使用して、特異的SNP標的を検出する。いくつかの実施形態では、アッセイは、プローブと会合した色素の蛍光の変化によって、SNPの存在を測定又は検出する。このような実施形態において、プローブは、2つの非標識プライマー間で標的DNAにハイブリダイズし、5’末端上の蛍光色素からのシグナルは、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)によって、その3’末端上のNFQによってクエンチされる。PCRの間、Taqポリメラーゼは、誘導として鋳型を用いて非標識プライマーを伸長し、ポリメラーゼが標識プローブに到達すると、それは、クエンチャーから色素を分離する分子を切断する。いくつかの態様では、qPCR機器は、クエンチされていない標識からの蛍光を検出することができる。例示的な試薬は、市販のSNPアッセイ、例えば、rs396991に対するコードC_25815666_10(Applied Biosystems、カタログ番号4351379、CD16におけるF158VのSNPジェノタイピング用)である。
【0414】
いくつかの実施形態では、CD16 158V(F158V)多型についてヘテロ接合性又はホモ接合性の対象が同定される。いくつかの実施形態では、CD16 158V(F158V)多型についてホモ接合性の対象が同定される。いくつかの実施形態では、NK細胞又はNK細胞サブセットは、CD16 158V多型についてヘテロ接合性又はホモ接合性であると同定された対象由来の生体試料から単離又は濃縮される。いくつかの実施形態では、NK細胞又はNK細胞サブセットは、CD16 158V多型についてホモ接合性であると同定された対象由来の生体試料から単離又は濃縮される。
【0415】
いくつかの実施形態では、本方法は、対象から単離又は取得されたPBMC集団などの生体試料からNK細胞を濃縮することを含む。いくつかの実施形態では、NK細胞について濃縮された細胞の集団は、1つ以上のナチュラルキラー細胞特異的マーカーに基づく単離又は選択によって濃縮される。特定のマーカー又は表面マーカーの組み合わせを選択することは、当業者のレベルの範囲内である。いくつかの実施形態では、表面マーカーは、以下の表面抗原CD11a、CD3、CD7、CD14、CD16、CD19、CD25、CD27、CD56、CD57、CD161、CD226、NKB1、CD62L、CD244、NKG2D、NKp30、NKp44、NKp46、NKG2A、NKG2C、KIR2DL1及び/又はKIR2DL3のいずれか1つ以上である。いくつかの実施形態では、表面マーカーは、以下の表面抗原:CD11a、CD3、CD7、CD14、CD16、CD19、CD25、CD27、CD38、CD56、CD57、CD161、CD226、NKB1、CD62L、CD244、NKG2D、NKp30、NKp44、NKp46、NKG2A、NKG2C、SLAMF7(CD319)、KIR2DL1及び/又はKIR2DL3のいずれか1つ以上である。特定の実施形態において、1つ以上の表面抗原は、CD3と、以下の表面抗原CD16、CD56又はCD57のうちの1つ以上とを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の表面抗原は、CD3、及びCD57である。いくつかの実施形態では、1つ以上の表面抗原は、CD3、CD56、及びCD16である。いくつかの実施形態では、1つ以上の表面抗原は、CD3、CD56、及びCD38である。いくつかの実施形態では、1つ以上の表面抗原は、CD3、CD56、NKG2A、及びCD161である。いくつかの実施形態では、1つ以上の表面抗原は、CD3、CD57、及びNKG2Cである。いくつかの実施形態では、1つ以上の表面抗原は、CD3、CD57、及びNKG2Aである。いくつかの実施形態では、1つ以上の表面抗原は、CD3、CD57、NKG2C、及びNKG2Aである。いくつかの実施形態では、1つ以上の表面抗原は、CD3、及びCD56である。いくつかの実施形態では、1つ以上の表面抗原は、CD3、CD56、及びNKG2Cである。いくつかの実施形態では、1つ以上の表面抗原は、CD3、CD56、及びNKG2Aである。いくつかの実施形態では、1つ以上の表面抗原は、CD3、CD56、NKG2C、及びNKG2Aである。このような表面抗原を検出するための試薬(蛍光色素結合体化抗体を含む)は公知であり、当業者に利用可能である。
【0416】
いくつかの実施形態では、提供される方法によって試料から単離又は選択などによって濃縮されるNK細胞集団は、表面マーカーなどの1つ以上の特定のマーカーについて陽性であるか(マーカー+又はマーカーpos)もしくは高レベルを発現する(マーカー)細胞、又は1つ以上のマーカーについて陰性であるかもしくは比較的低いレベルを発現する(マーカー又はマーカーneg)細胞である。したがって、細胞上又は細胞内で発現されるマーカー又はタンパク質に関する陽性、pos又は+という用語は、本明細書において互換的に使用されることが理解される。同様に、細胞上又は細胞内で発現されるマーカー又はタンパク質に関する陰性、neg又は-という用語は、本明細書において互換的に使用されることが理解される。更に、本明細書におけるマーカーnegである細胞への言及は、マーカーについて陰性である細胞、ならびに対照又はバックグラウンドレベルと比較して容易に検出可能ではないであろう低レベルなどの比較的低いレベルのマーカーを発現する細胞を指し得ることが理解される。いくつかの場合において、そのようなマーカーは、NK細胞の特定の集団上には存在しないか、又は比較的低いレベルで発現されるが、リンパ球の特定の他の集団(T細胞など)上には存在するか、又は比較的高いレベルで発現されるものである。場合によっては、そのようなマーカーは、NK細胞の特定の集団上に存在するか、又は比較的高いレベルで発現されるが、リンパ球の特定の他の集団(例えば、T細胞又はそのサブセット)上には存在しないか、又は比較的低いレベルで発現されるものである。
【0417】
いくつかの実施形態では、そのようなマーカーに基づく分離のための任意の公知の方法が使用され得る。いくつかの実施形態では、分離は、親和性又は免疫親和性に基づく分離である。例えば、いくつかの態様における単離は、例えば、そのようなマーカーに特異的に結合する抗体又は結合パートナーとのインキュベーションによる、1つ以上のマーカー、典型的には細胞表面マーカーの発現又は発現レベルに基づく細胞及び細胞集団の分離、続いて一般に洗浄ステップ、及び抗体又は結合パートナーに結合した細胞の、抗体又は結合パートナーに結合しなかった細胞からの分離を含む。いくつかの実施形態では、インキュベーションは静的(混合なし)である。いくつかの実施形態では、インキュベーションは動的である(混合を伴う)。
【0418】
このような分離ステップは、試薬に結合した細胞が更なる使用のために保持される陽性選択、及び/又は抗体もしくは結合パートナーに結合しなかった細胞が保持される陰性選択に基づき得る。いくつかの例では、両方の画分が更なる使用のために保持される。分離は、特定の細胞集団又は特定のマーカーを発現する細胞の100%濃縮又は除去をもたらす必要はない。例えば、特定の型の細胞(例えば、マーカーを発現する細胞)の陽性選択又は濃縮は、このような細胞の数又は割合を増加させることをいうが、マーカーを発現しない細胞の完全な非存在を生じる必要はない。同様に、特定の型の細胞(例えば、マーカーを発現する細胞)の陰性選択、除去、又は枯渇は、このような細胞の数又は割合を減少させることをいうが、全てのこのような細胞の完全な除去を生じる必要はない。例えば、いくつかの態様では、CD3についての陰性選択は、CD3negである細胞の集団について濃縮するが、一部の場合には、濃縮された集団中に依然として存在するCD3posである細胞のわずかな割合を含み得る、他の非選択細胞のいくらかの残留又はわずかな割合も含有し得る。一部の例では、CD57pos又はCD16pos集団のうちの1つの陽性選択は、前記集団、CD57pos又はCD16pos集団のいずれかを濃縮するが、一部の場合には、濃縮された集団中に依然として存在するCD57又はCD16集団のうちの他方を含み得る、いくらかの残りの又はわずかな割合の他の非選択細胞も含有し得る。
【0419】
いくつかの例において、複数回の分離ステップが実施され、ここで、1つのステップからの陽性又は陰性選択された画分は、別の分離ステップ(例えば、その後の陽性又は陰性選択)に供される。いくつかの例では、単一の分離ステップは、例えば、陰性選択の対象となるマーカーにそれぞれ特異的な複数の抗体又は結合パートナーと共に細胞をインキュベートすることによって、複数のマーカーを同時に発現する細胞を枯渇させることができる。同様に、種々の細胞型上で発現される複数の抗体又は結合パートナーと共に細胞をインキュベートすることによって、複数の細胞型を同時に陽性選択することができる。
【0420】
いくつかの態様では、選択は、PBMC試料由来の細胞などにおける表面抗原の1つ以上の発現に基づく陽性及び/又は陰性選択ステップを含む。いくつかの実施形態では、単離は、CD56を発現する細胞、CD16を発現する細胞もしくはCD57を発現する細胞についての陽性選択、及び/又はCD38を発現する細胞についての陰性選択、及び/又はT細胞マーカーなどの非NK細胞マーカーを発現する細胞についての陰性選択、例えば、CD3を発現する細胞についての陰性選択(CD3neg)を含む。例えば、いくつかの実施形態では、単離は、CD56を発現する細胞、CD16を発現する細胞もしくはCD57を発現する細胞についての陽性選択、及び/又はT細胞マーカーなどの非NK細胞マーカーを発現する細胞についての陰性選択、例えば、CD3を発現する細胞についての陰性選択(CD3neg)を含む。いくつかの実施形態では、単離は、CD56を発現する細胞、CD16を発現する細胞もしくはCD57を発現する細胞についての陽性選択、及び/又はCD38を発現する細胞(CD38neg)、CD161を発現する細胞(CD161neg)、NKG2Aを発現する細胞(NKG2Aneg)についての陰性選択、及び/又はCD3を発現する細胞(CD3neg)についての陰性選択を含む。いくつかの実施形態では、選択は、CD3について陰性の細胞(CD3neg)の単離を含む。
【0421】
いくつかの実施形態では、単離は、CD3を発現する細胞についての陰性選択(CD3neg)及びCD56を発現する細胞についての陽性選択(CD56pos)を含む。いくつかの実施形態では、選択は、CD38を発現する細胞についての陰性選択(CD38neg)を更に含むことができる。特定の実施形態では、単離又は選択された細胞は、CD3negCD56posCD38negである。
【0422】
いくつかの実施形態では、選択は、CD3を発現する細胞についての陰性選択(CD3neg)、CD56を発現する細胞についての陽性選択(CD56pos)、続いてNKG2Aを発現する細胞についての陰性選択(NKG2Aneg)及びCD161を発現する細胞についての陰性選択(CD161neg)を含む。特定の実施形態では、単離又は選択された細胞は、CD3negCD56posNKG2AnegCD161negである。
【0423】
いくつかの実施形態では、選択は、CD3を発現する細胞についての陰性選択(CD3neg)及びCD57を発現する細胞についての陽性選択(CD57pos)を含む。特定の実施形態では、単離又は選択された細胞は、CD3negCD57posである。
【0424】
いくつかの実施形態では、選択は、CD3を発現する細胞についての陰性選択(CD3neg)及びCD16を発現する細胞についての陽性選択(CD16pos)を含む。特定の実施形態では、単離又は選択された細胞は、CD3negCD16posである。
【0425】
いくつかの実施形態では、選択は、CD3を発現する細胞についての陰性選択(CD3neg)及びCD57を発現する細胞についての陽性選択(CD57pos)を含む。特定の実施形態では、単離又は選択された細胞は、CD3negCD57posである。例えば、NK細胞は、CD3pos細胞の枯渇(CD3pos細胞に対する陰性選択)、その後のCD57pos細胞選択によって濃縮され得、それによってCD57posNK細胞が単離及び濃縮され得る。分離は、MACS(商標)マイクロビーズを使用するなど、免疫親和性に基づく方法によって行うことができる。例えば、CD3マイクロビーズを使用して、CD3neg細胞についての陰性選択においてCD3pos細胞を枯渇させることができる。続いて、CD57マイクロビーズを、CD3細胞枯渇PBMCのCD57濃縮のために使用することができる。次いで、CD3neg/CD57pos濃縮NK細胞を、提供される方法における増殖において使用することができる。
【0426】
いくつかの実施形態では、選択は、NKG2Cを発現する細胞についての陽性選択(NKG2Cpos)及び/又は細胞NKG2Aについての陰性選択(NKG2Aneg)を更に含んでもよい。いくつかの実施形態では、選択には、CD3を発現する細胞(CD3neg)についての陰性選択、CD57を発現する細胞(CD57pos)についての陽性選択、及びNKG2Cを発現する細胞(NKG2Cpos)についての陽性選択が含まれる。特定の実施形態では、単離又は選択された細胞は、CD3negCD57posNKG2Cposである。いくつかの実施形態では、選択には、CD3を発現する細胞(CD3neg)についての陰性選択、CD57を発現する細胞(CD57pos)についての陽性選択、及びNKG2Aを発現する細胞(NKG2Aneg)についての陰性選択が含まれる。特定の実施形態では、単離又は選択された細胞は、CD3negCD57posNKG2Anegである。いくつかの実施形態では、選択には、CD3を発現する細胞(CD3neg)についての陰性選択、CD57を発現する細胞(CD57pos)についての陽性選択、NKG2Cを発現する細胞(NKG2Cpos)についての陽性選択、及びNKG2Aを発現する細胞(NKG2Aneg)についての陰性選択が含まれる。特定の実施形態では、単離又は選択された細胞は、CD3negCD57posNKG2CposNKG2Anegである。
【0427】
提供される実施形態のいずれかの一部において、選択は、CD38を発現する細胞についての陰性選択(CD38neg)を更に含むことができる。特定の実施形態では、単離又は選択された細胞は、CD3negCD57posCD38negである。特定の実施形態では、単離又は選択された細胞は、CD3negCD57posCD38negNKG2Cposである。特定の実施形態では、単離又は選択された細胞は、CD3negCD57posCD38negNKG2Anegである。特定の実施形態では、単離又は選択された細胞は、CD3negCD57posCD38negNKG2CposNKG2Anegである。
【0428】
いくつかの実施形態では、選択は、CD3を発現する細胞についての陰性選択(CD3neg)及びCD56を発現する細胞についての陽性選択(CD56pos)を含む。特定の実施形態では、単離又は選択された細胞は、CD3negCD56posである。いくつかの実施形態では、選択には、CD3を発現する細胞(CD3neg)についての陰性選択、CD56を発現する細胞(CD56pos)についての陽性選択、及びNKG2Cを発現する細胞(NKG2Cpos)についての陽性選択が含まれる。特定の実施形態では、単離又は選択された細胞は、CD3negCD56posNKG2Cposである。いくつかの実施形態では、選択には、CD3を発現する細胞(CD3neg)についての陰性選択、CD56を発現する細胞(CD56pos)についての陽性選択、及びNKG2Aを発現する細胞(NKG2Aneg)についての陰性選択が含まれる。特定の実施形態では、単離又は選択された細胞は、CD3negCD56posNKG2Anegである。いくつかの実施形態では、選択には、CD3を発現する細胞(CD3neg)についての陰性選択、CD56を発現する細胞(CD56pos)についての陽性選択、NKG2Cを発現する細胞(NKG2Cpos)についての陽性選択、及びNKG2Aを発現する細胞(NKG2Aneg)についての陰性選択が含まれる。特定の実施形態では、単離又は選択された細胞は、CD3negCD56posNKG2CposNKG2Anegである。
【0429】
提供される実施形態のいずれかの一部において、選択は、CD38を発現する細胞についての陰性選択(CD38neg)を更に含むことができる。特定の実施形態では、単離又は選択された細胞は、CD3negCD56posCD38negである。特定の実施形態では、単離又は選択された細胞は、CD3negCD56posCD38negNKG2Cposである。特定の実施形態では、単離又は選択された細胞は、CD3negCD56posCD38negNKG2Anegである。特定の実施形態では、単離又は選択された細胞は、CD3negCD56posCD38negNKG2CposNKG2Anegである。
【0430】
提供される実施形態のいずれかの一部において、g-NK細胞は、g-NK代替表面マーカープロファイルを有する細胞である。いくつかの実施形態では、g-NK細胞代替表面マーカープロファイルは、CD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161negである。いくつかの実施形態では、g-NK細胞代替表面マーカープロファイルは、NKG2Aneg/CD161negである。任意のそのような実施形態のいくつかでは、g-NK細胞代替表面マーカープロファイルはCD38negである。任意のそのような実施形態のいくつかでは、CD45pos/CD3neg/CD56posは、NK細胞についての代用表面マーカープロファイルとして使用される。任意のそのような実施形態のいくつかでは、g-NK細胞代替表面マーカープロファイルは、NK細胞代替表面マーカープロファイルを更に含む。任意のそのような実施形態のいくつかでは、g-NK細胞代替表面マーカープロファイルは、CD45pos/CD3neg/CD56posを更に含む。特定の実施形態では、g-NK細胞代替表面マーカープロファイルは、CD45pos/CD3neg/CD56pos/CD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161negを含む。他の特定の実施形態では、g-NK細胞代替表面マーカープロファイルは、CD45pos/CD3neg/CD56pos/NKG2Aneg/CD161negを含む。他の特定の実施形態では、g-NK細胞代替表面マーカープロファイルは、CD45pos/CD3neg/CD56pos/CD38negを含む。
【0431】
いくつかの実施形態では、細胞表面マーカーの発現に基づく陽性又は陰性選択などによって細胞を単離、選択及び/又は濃縮する方法は、免疫親和性に基づく選択を含むことができる。いくつかの実施形態では、免疫親和性に基づく選択は、PBMCなどの細胞を含有する試料を、1つ以上の細胞表面マーカーに特異的に結合する抗体又は結合パートナーと接触させることを含む。いくつかの実施形態では、抗体又は結合パートナーは、陽性及び/又は陰性選択のための細胞の分離を可能にするために、球体又はビーズ、例えばアガロース、磁気ビーズ又は常磁性ビーズを含むマイクロビーズ、ナノビーズなどの固体支持体又はマトリックスに結合される。いくつかの実施形態では、球体又はビーズをカラムに充填して免疫親和性クロマトグラフィーを行うことができ、ここでPBMCなどの細胞を含有する試料をカラムのマトリックスと接触させ、続いてそこから溶出又は放出させる。
【0432】
インキュベーションは、一般に、磁性粒子又はビーズに付着した抗体又は結合パートナーに特異的に結合する抗体又は結合パートナーが、試料内の細胞上に存在する場合、細胞表面分子に特異的に結合する条件下で実施される。
【0433】
いくつかの態様において、試料は磁場に置かれ、磁気応答性粒子又は磁化可能粒子が付着した細胞は磁石に引き付けられ、非標識細胞から分離される。陽性選択では、磁石に引き寄せられた細胞が保持される。陰性選択では、誘引されない細胞(非標識細胞)が保持される。いくつかの態様において、陽性選択及び陰性選択の組み合わせは、同じ選択ステップの間に行われ、ここで陽性画分及び陰性画分が保持され、そして更に処理されるか、又は更なる分離ステップに供される。
【0434】
いくつかの実施形態では、磁気応答性粒子は、その後にインキュベート及び/又は培養される細胞に付着したままである。いくつかの態様では、粒子は、患者への投与のために細胞に付着したままである。いくつかの実施形態では、磁化可能又は磁気応答性粒子は、細胞から除去される。磁化可能な粒子を細胞から除去するための方法は公知であり、例えば、競合する非標識抗体、磁化可能な粒子、又は切断可能なリンカーにコンジュゲートされた抗体などの使用を含む。いくつかの実施形態では、磁化可能な粒子は、生分解性である。
【0435】
いくつかの実施形態では、親和性に基づく選択は、磁気活性化細胞選別(MACS)(Miltenyi Biotech、Auburn、CA)によるものである。磁気活性化細胞選別(MACS)システムは、磁化粒子が付着した細胞を高純度で選択することができる。特定の実施形態において、MACSは、外部磁場の印加後に非標的種及び標的種が順次溶出されるモードで動作する。すなわち、磁化された粒子に付着した細胞は適所に保持されるが、付着していない種は溶出される。次いで、この第1の溶出ステップが完了した後、磁場内に捕捉され、溶出が防止された種は、それらが溶出及び回収され得るように、何らかの様式で解放される。特定の実施形態では、非標的細胞は標識され、不均一な細胞集団から枯渇される。
【0436】
そのような実施形態のいずれかにおいて、方法は、NK細胞又はそのサブセットを濃縮する、例えば選択及び/又は単離する前に、対象にIL-12、IL-15、IL-18、IL-2及び/又はCCL5を投与することを含む。
【0437】
B.g-NK細胞について濃縮されたNK細胞を増殖させる方法
提供される方法の実施形態において、濃縮されたNK細胞は、フィーダー細胞の存在下で、例えば、NK細胞サブセット、特にg-NK細胞サブセットの増殖及び増殖を支持する条件下で、インキュベート又は培養される。
【0438】
特定の態様では、フィーダー細胞は、NKG2Cposの増殖を刺激もしくは促進し、及び/又はNKG2Apos細胞の増殖を阻害する細胞を含む。いくつかの実施形態では、フィーダー細胞は、HLA-E又はHLA-A2シグナル配列を含有するハイブリッドHLA-Eを発現するか、又はそれでトランスフェクトされた細胞である。例えば、このようなハイブリッドの例は、MHCクラスI(例えば、HLA-A2)、プロモータ及びシグナル配列ならびにHLA-E成熟タンパク質配列を含むAEHハイブリッド遺伝子であり、これは、いくつかの場合において、HLA-E遺伝子によってコードされる成熟タンパク質と同一であるが、細胞表面上で安定に発現され得る成熟タンパク質を生じ得る(例えば、Lee et al.(1998)Journal of Immunology,160:4951-4960を参照)。いくつかの実施形態では、細胞は、HLA-A2などのMHCクラスIリーダー配列の存在下で安定化されたMHC-E分子を発現するようにトランスフェクトされたLCL 721.221、K562細胞又はRMA-S細胞である。MHCクラスI(例えば、HLA-A2)リーダー配列ペプチドの存在下で安定化された細胞表面HLA-Eを発現するように操作された細胞株は、当該分野で公知である(Lee et al.(1998)Journal of Immunology,160:4951-4960;Jakobovits et al.,Nature 2005:13-464(467);Garcia et al.(2002)Eur J.Immunol.,32:936-944)。いくつかの実施形態では、221.AEH細胞、例えば照射された221.AEH細胞は、フィーダー細胞として、又は任意の他のHLA-E発現細胞株もしくは他の点ではHLA陰性である照射されたHLA-E発現細胞株、例えばK562として使用することができる。いくつかの実施形態では、細胞株は、HLA-Eを発現するようにトランスフェクトされ得る。いくつかの実施形態では、膜結合型IL-15(K562-mb15)又は膜結合型IL-21(K562-mb21)を発現するK562細胞をフィーダー細胞として使用することができる。本明細書において提供される方法における使用のためのそのような細胞株の例は、221-AEH細胞である。
【0439】
実施形態では、HLA発現フィーダー細胞は凍結保存され、使用前に解凍される。いくつかの実施形態では、細胞が221.AEH細胞などのHLA-Eを発現するようにトランスフェクトされている場合、細胞は、本方法におけるそれらの使用の前に、例えば血清又は他の適切な血清代替物、及び選択剤を含む適切な栄養素の存在下で増殖させることができる。例えば、221.AEH細胞の場合、細胞に対する選択圧を維持して高レベルのプラスミドHLA-Eを維持するために、ハイグロマイシンB(例えば、0.1%~10%、例えば、1%又は約1%)を補充した細胞培養培地中で細胞を培養することができる。細胞は、使用するまで1×10細胞/mL~1×10細胞/mLの密度で維持することができる。
【0440】
特定の実施形態では、培養物に添加されるHLA-E発現フィーダー細胞、例えば、221.AEH細胞は、X線照射又はガンマ線照射などによって非分裂である。HLA-E発現フィーダー細胞、例えば、221.AEHは、提供される方法におけるそれらの使用の当日又は直前に照射され得る。いくつかの実施形態では、HLA-E発現フィーダー細胞は、細胞分裂を防止するために、約1000~10000rad、例えば1000~5000radの範囲のガンマ線で照射される。いくつかの実施形態では、HLA-E発現フィーダー細胞は、細胞分裂を防止するために、約10 Gy~100 Gy、例えば10~50 Gyの範囲のガンマ線で照射される。いくつかの実施形態では、細胞は100 Gyで照射される。他の実施形態では、照射はX線照射によって行われる。いくつかの実施形態では、HLA-E発現フィーダー細胞は、細胞分裂を防止するために、約10 Gy~100 Gy、例えば10~50 Gyの範囲のX線で照射される。いくつかの実施形態では、A Rad-Sure(商標)血液照射インジケータを使用して、照射の肯定的な視覚的検証を提供することができる。提供される方法の態様において、フィーダー細胞は決して除去されない。照射の結果として、NK細胞はフィーダー細胞に対して直接的に細胞傷害性となり、フィーダー細胞は培養中に死滅する。
【0441】
いくつかの実施形態では、濃縮、選択及び/又は単離されたNK細胞は、HLA-E発現フィーダー細胞(例えば、221.AEH細胞)の存在下でインキュベート又は培養され、HLA-Eフィーダー細胞(例えば、221.AEH細胞)よりも大きい、又は約1:10であるフィーダー細胞対濃縮NK細胞の比の、その照射された集団などであり、照射を受けた集団から濃縮されたNK細胞まで、例えば、そのようなフィーダー細胞 対 濃縮NK細胞の比は1:10又は約1:10又はから、10:1又は約10:1である。
【0442】
いくつかの実施形態では、HLA-Eを発現するフィーダー細胞(例えば、221.AEH細胞)、例えばその照射された集団の比は、かかるフィーダー細胞 対 濃縮NK細胞の比が1:10もしくは約1:10から、10:1もしくは約10:1、1:10もしくは約1:10から、5:1もしくは約5:1、1:10もしくは約1:10から、2.5:1もしくは約2.5:1、1:10もしくは約1:10から、1:1もしくは約1:1、1:10もしくは約1:10から、1:2.5もしくは約1:2.5、1:10もしくは約1:10から、1:5もしくは約1:5、1:5もしくは約1:5から、10:1もしくは約10:1、1:5もしくは約1:5から、5:1もしくは約5:1、1:5もしくは約1:5から、2.5:1もしくは約2.5:1、1:5もしくは約1:5から、1:1もしくは約1:1、1:5もしくは約1:5から、1:2.5もしくは約1:2.5、1:2.5もしくは約1:2.5から、10:1もしくは約10:1、1:2.5もしくは約1:2.5から、5:1もしくは約5:1、1:2.5もしくは約1:2.5から、2.5:1もしくは約2.5:1、1:2.5もしくは約1:2.5から、1:1もしくは約1:1、1:1又は約1:1から、10:1もしくは約10:1、1:1もしくは約1:1から、5:1もしくは約5:1、1:1もしくは約1:1から、3:1もしくは約3:1、1:1もしくは約1:1から、2.5:1もしくは約2.5:1、2.5:1もしくは約2.5:1から、10:1もしくは約10:1、2.5:1もしくは約2.5:1から、5:1もしくは約5:1、又は5:1もしくは約5:1から、10:1もしくは約10:1(それぞれ両端を含む)である。
【0443】
いくつかの実施形態では、HLAを発現するフィーダー細胞(例えば、221.AEH細胞)、例えばその照射された集団の比率は、このようなフィーダー細胞対濃縮されたNK細胞で、1.25:1、1.5:1、1.75:1、2.0:1、2.25:1、2:5:1、2.75:1、3.0:1、3.25:1、3.5.:1、3.75:1、4.0:1、4.25:1、4.5:1、4.75:1又は5:1又はそれらの各近似値の比率、又は上記のいずれかの値の間の任意の値である。いくつかの実施形態では、その照射集団などのHLA発現フィーダー細胞(例えば、221.AEH細胞)の比率は、そのようなフィーダー細胞対濃縮細胞で、5:1未満又は約5:1未満の比率である。いくつかの実施形態では、HLA発現フィーダー細胞(例えば、221.AEH細胞)、例えば、その照射集団の比率は、1:1~2.5:1又は約1:1~2.5:1の比率(両端を含む)である。いくつかの実施形態では、その照射集団などのHLA発現フィーダー細胞(例えば、221.AEH細胞)の比率は、2.5:1又は約2.5:1の比率である。いくつかの実施形態では、HLA発現フィーダー細胞(例えば、221.AEH細胞)、例えば、その)の比率は、2:1又は約2:1の比率である。
【0444】
いくつかの場合において、出発NK細胞集団が増殖前に凍結保存されている場合、すなわち、凍結/解凍に供されている場合、新鮮なNK細胞を使用する方法よりも低い221.AEH対NK細胞比を用いることができる。ここで、1:1という221.AEH対凍結/解凍NK細胞比は、2.5:1という221.AEH対新鮮NK細胞比を含む培養物において同等の増殖をもたらしたことが見出される。いくつかの態様では、より低い比は、より多くの細胞間接触を可能にする培養物中のより多くのNK細胞数を確実にし、これは、初期成長及び増殖の促進において役割を果たし得る。いくつかの実施形態では、試料からのNK細胞の初期濃縮集団が凍結/解凍に供された場合、2:1~1:2又は約2:1~1:2という221.AEH対凍結/解凍NK細胞比が使用される。特定の実施形態では、比は1:1である。2.5:1など、より高い221.1 AEH対凍結/解凍NK細胞比を使用することができるが、これは、所望の閾値密度又は数に到達するために、より長い培養、例えば、21日又は約21日を必要とし得ることが理解される。
【0445】
いくつかの実施形態では、NK細胞は、培養物に非分裂末梢血単核細胞(PBMC)を更に添加することによって増殖される。いくつかの態様では、非分裂フィーダー細胞は、X線照射されたPBMCフィーダー細胞を含み得る。いくつかの態様では、非分裂フィーダー細胞は、γ線照射PBMCフィーダー細胞を含むことができる。いくつかの実施形態では、PBMCは、細胞分裂を防止するために、約1000~10000rad、例えば1000~5000radの範囲のガンマ線で照射される。いくつかの実施形態では、PBMCは、細胞分裂を防止するために、約10 Gy~100 Gy、例えば10~50 Gyの範囲のガンマ線で照射される。いくつかの態様では、インキュベーションの少なくとも一部の間、照射されたフィーダー細胞は、非分裂(例えば、照射された)HLA-E発現フィーダー細胞と同時に培養培地中に存在する。いくつかの態様では、非分裂(例えば、照射)PBMCフィーダー細胞、HLA-E発現フィーダー細胞及び濃縮NK細胞は、インキュベーションの開始の日などの同日に、例えば、同時又はほぼ同時に培養物に添加される。
【0446】
いくつかの実施形態では、インキュベーション又は培養は、フィーダー細胞としての照射されたPBMCの存在下で更に行われる。いくつかの実施形態では、照射されたPBMCフィーダー細胞は、濃縮されたNK細胞が単離又は選択された対象にとって自己由来であるか、又はそれと同じ対象に由来する。特定の実施形態では、PBMCは、NK細胞を濃縮するために使用されるのと同じ生体試料、例えば全血又は白血球アフェレーシスもしくはアフェレーシス産物から得られる。一旦得られると、PBMCの一部は、上記のようなNK細胞の濃縮の前に照射のために保存される。
【0447】
いくつかの実施形態では、照射されたPBMCは、そのようなフィーダー細胞対濃縮NK細胞の比が1:10~10:1、1:10~5:1、1:10~2.5:1、1:10~1:1、1:10~1:2.5、1:10~1:5、1:5~10:1、1:5~5:1、1:5~2.5:1、1:5~1:1、1:5~1:2.5、1:2.5~10:1、1:2.5~5:1、1:2.5~2.5:1、1:2.5~1:1、1:1~10:1、1:1~5:1、1:1~2.5:1、2.5:1~10:1、2.5:1~5:1、又は5:1~10:1又はそれらの各近似値の範囲で、フィーダー細胞として存在する。
【0448】
いくつかの実施形態では、照射されたPBMCは、そのようなフィーダー細胞対濃縮NK細胞の比が1:1又は約1:1と5:1又は約5:1との間、例えば、1.25:1、1.5:1、1.75:1、2.0:1、2.25:1、2:5:1、2.75:1、3.0:1、3.25:1、3.5.:1、3.75:1、4.0:1、4.25:1、4.5:1、4.75:1又は5:1、又はそれらの各近似値、もしくは上記のいずれかの値の間の任意の値で、フィーダー細胞として存在する。いくつかの実施形態では、照射されたPBMCは、そのようなフィーダー細胞対濃縮細胞の比が5:1又は約5:1で存在する。
【0449】
特定の実施形態では、インキュベーションもしくは培養の少なくとも一部の間に、照射されたPBMCの1つ以上の細胞もしくは細胞型、例えばT細胞が活性化され、及び/又はインキュベーションもしくは培養が、PBMCフィーダー細胞の1つ以上のT細胞の活性化を刺激することができる少なくとも1つの刺激物質の存在下で行われる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの刺激性薬剤は、TCR複合体のメンバーに特異的に結合する。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の刺激剤は、CD3、任意選択でCD3イプシロンに特異的に結合する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの刺激剤は、抗CD3抗体又は抗原結合フラグメントである。例示的な抗CD3抗体としては、マウス抗ヒトCD3(OKT3)が挙げられる。
【0450】
いくつかの実施形態では、抗CD3抗体又は抗原結合フラグメントは、照射されたPBMCフィーダー細胞を含むインキュベーションの少なくとも一部の間に存在する。いくつかの実施形態では、抗CD3抗体又は抗原結合フラグメントは、照射されたPBMCと同時又はほぼ同時に培養物又はインキュベーションに添加される。例えば、抗CD3抗体又は抗原結合フラグメントは、インキュベーション又は培養の開始時又はほぼ開始時に添加される。特定の実施形態では、抗CD3抗体又は抗原結合フラグメントは、培養又はインキュベーションの過程で、例えば培養培地を交換又は洗い流すことによって除去されてもよく、又はその濃度が低減されてもよい。特定の実施形態では、交換又は洗浄後、本方法は、培養培地に抗CD3抗体又は抗原結合フラグメントを添加又は補充することを含まない。
【0451】
いくつかの実施形態では、抗CD3抗体又は抗原結合フラグメントは、10ng/mLもしくは約10ng/mLから、5μg/mLもしくは約5μg/mLの濃度で添加されるか、又は培養又はインキュベーションの少なくとも一部に存在し、例えば、10ng/mLもしくは約10ng/mLから、2μg/mLもしくは約2μg/mL、10ng/mLもしくは約10ng/mLから、1μg/mLもしくは約1μg/mL、10ng/mLもしくは約10ng/mLから、500ng/mLもしくは約500ng/mL、10ng/mLもしくは約10ng/mLから、100ng/mLもしくは約100ng/mL、10ng/mLもしくは約10ng/mLから、50ng/mLもしくは約50ng/mL、50ng/mLもしくは約50ng/mLから、5μg/mLもしくは約5μg/mL、例えば、50ng/mLもしくは約50ng/mLから、2μg/mLもしくは約2μg/mL、50ng/mLもしくは約50ng/mLから、1μg/mLもしくは約1μg/mL、50ng/mLもしくは約50ng/mLから、500ng/mLもしくは約500ng/mL、50ng/mLもしくは約50ng/mLから、100ng/mLもしくは約100ng/mL、100ng/mLもしくは約100ng/mLから、5μg/mLもしくは約5μg/mL、100ng/mLもしくは約100ng/mLから、2μg/mLもしくは約2μg/mL、100ng/mLもしくは約100ng/mLから、1μg/mLもしくは約1μg/mL、100ng/mLもしくは約100ng/mLから、500ng/mLもしくは約500ng/mL、500ng/mLもしくは約500ng/mLから、5μg/mLもしくは約5μg/mL、500ng/mLもしくは約500ng/mLから、2μg/mLもしくは約2μg/mL、500ng/mLもしくは約500ng/mLから、1μg/mLもしくは約1μg/mL、1μg/mLもしくは約1μg/mLから、5μg/mLもしくは約5μg/mL、1μg/mLもしくは約1μg/mLから、2μg/mLもしくは約2μg/mL、又は2μg/mLもしくは約2μg/mLから、5μg/mLもしくは約5μg/mL(それぞれ両端を含む)である。いくつかの実施形態では、抗CD3抗体又は抗原結合フラグメントの濃度は、10ng/mL、20ng/mL、30ng/mL、40ng/mL、50ng/mL、60ng/mL、70ng/mL、80ng/mL、90ng/mLもしくは100ng/mL、あるいはそれらの各近似値、もしくは前述のいずれかの間の任意の値である。いくつかの実施形態では、抗CD3抗体又は抗原結合フラグメントの濃度は、50ng/mL又は約50ng/mLである。
【0452】
いくつかの実施形態では、「抗体」という用語は、免疫グロブリン分子及び免疫グロブリン(Ig)分子の抗原結合部分又は断片すなわち、抗原と特異的に結合する(免疫反応する)抗原結合部位を含有する分子を指す。抗体という用語は、無傷ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体だけでなく、そのフラグメント、例えばdAb、Fab、Fab’、F(ab’)又はF(ab’)、Fv)、一本鎖(scFv)又は単一ドメイン抗体(sdAb)を含む。典型的には、「抗原結合フラグメント」は、目的の抗原の少なくとも1つのエピトープに結合する免疫グロブリン重鎖及び/又は軽鎖の少なくとも1つのCDRを含有する。これに関して、抗原結合フラグメントは、抗原に結合する抗体由来の可変重鎖(VH)及び可変軽鎖(VL)配列の1、2、3、4、5、又は6つ全てのCDR、例えば、VH及びVLを含有する抗体については一般に6つのCDR(重鎖及び軽鎖のそれぞれについては「CDR1」、「CDR2」及び「CDR3」)、又は単一可変ドメインを含有する抗体については3つのCDRを含み得る。
【0453】
「抗体フラグメント」は、無傷抗体が結合する抗原に結合するインタクトな抗体の一部を含む、無傷抗体以外の分子を指す。抗体フラグメントの例としては、Fv、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)、ダイアボディ、直鎖状抗体、可変重鎖(V)領域、scFv及び単一ドメインV単一抗体などの一本鎖抗体分子、ならびに抗体フラグメントから形成される多重特異性抗体が含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、抗体は、重鎖領域及び/又は可変軽鎖領域を含む一本鎖抗体フラグメント、例えばscFvである。
【0454】
いくつかの実施形態では、インキュベーション又は培養は、そのような濃縮されたNK細胞、例えば選択及び/又は単離されたNK細胞の存在下で、0.05×10個の濃縮NK細胞/mL又は少なくとも又は約0.05×10個の濃縮NK細胞/mL、0.1×10個の濃縮NK細胞/mL又は約0.1×10個の濃縮NK細胞/mL、0.2×10個の濃縮NK細胞/mL又は約0.2×10個の濃縮NK細胞/mL、0.5×10個の濃縮NK細胞/mLmL又は約0.5×10個の濃縮NK細胞/mL、1.0x10個の濃縮NK細胞/mL又は約1.0x10個の濃縮NK細胞/mLの濃度で開始される。提供される方法の実施形態では、インキュベーション又は培養は、0.05×10個の濃縮NK細胞/mL~1.0×10個の濃縮NK細胞/mL、例えば、0.05×10個の濃縮NK細胞/mL~0.75×10、0.05×10個の濃縮NK細胞/mL~0.5×106、0.05×10個の濃縮NK細胞/mL~0.20×10個の濃縮NK細胞/mL、0.05×10個の濃縮NK細胞/mL~0.1×10個の濃縮NK細胞/mL、0.1×10個の濃縮NK細胞/mL~1.0×10個の濃縮NK細胞/mL、0.1×10個の濃縮NK細胞/mL~0.75×10、0.1×10個の濃縮NK細胞/mL~0.5×10、0.1×10個の濃縮NK細胞/mL~0.20×10個の濃縮NK細胞/mL、0.20×10個の濃縮NK細胞/mL~1.0×10個の濃縮NK細胞/mL、0.20×10個の濃縮NK細胞/mL~0.75×10、0.20×10個の濃縮NK細胞/mL~0.5×10、0.5×10個の濃縮NK細胞/mL~1.0×10個の濃縮NK細胞、0.5×10個の濃縮NK細胞/mL~0.75×10、0.75×10個の濃縮NK細胞/mL~1.0×10個の濃縮NK細胞/mL又はそれらの各近似値の範囲(それぞれ両端を含む)の濃度で、選択及び/又は単離されたNK細胞など、前述の濃縮NK細胞の存在下で開始される。いくつかの実施形態では、インキュベーション又は培養は、そのような濃縮されたNK細胞、例えば、選択及び/又は単離されたNK細胞の存在下で、0.2×10又は約0.2×10個の濃縮NK細胞/mLの濃度で開始される。
【0455】
このような実施形態のいくつかでは、インキュベーション又は培養の開始時に添加又は存在する、セクションV.Aで上記したようにPBMCから選択又は単離されたなどの濃縮NK細胞の量は、少なくとも1×10細胞又は少なくとも約1×10細胞、少なくとも2×10又は少なくとも約2×10細胞、少なくとも3×10又は少なくとも約3×10細胞、少なくとも4×10又は少なくとも約4×10細胞、少なくとも5×10又は少なくとも約5×10細胞、少なくとも6×10又は少なくとも約6×10細胞、少なくとも7×10又は少なくとも約7×10細胞、少なくとも8×10又は少なくとも約8×10細胞、少なくとも9×10又は少なくとも約9×10細胞、少なくとも1×10又は少なくとも約1×10細胞である。特定の実施形態では、上記のようにPBMCから選択又は単離されたものなどの濃縮されたNK細胞の量は、少なくとも1×10又は少なくとも約1×10又は1×10又は約1×10細胞である。
【0456】
いくつかの実施形態では、インキュベーション又は培養の開始時に、濃縮されたNK細胞の集団(例えば、セクションV.Aで上述したように選択又は単離される)は、少なくとも又は約2.0×10個の濃縮NK細胞、少なくとも又は約3.0x10個の濃縮NK細胞、少なくとも約4.0×10個の濃縮NK細胞、少なくとも約5.0×10個の濃縮NK細胞、少なくとも又は約6.0×10個の濃縮NK細胞、少なくとも又は約7.0×10個の濃縮NK細胞、少なくとも又は約8.0×10個の濃縮NK細胞、少なくとも又は約9.0×10個の濃縮NK細胞、少なくとも又は約1.0×10個の濃縮NK細胞、少なくとも又は約5.0×10個の濃縮NK細胞、少なくとも又は約1.0×10個の濃縮NK細胞、少なくとも又は約5.0×10個の濃縮NK細胞、又は少なくとも又は約1.0×10個の濃縮NK細胞を含む。いくつかの実施形態では、濃縮されたNK細胞の集団は、少なくとも、2.0×10又は約2.0×10個の濃縮NK細胞を含む。いくつかの実施形態では、濃縮されたNK細胞の集団は、少なくとも、1.0×10又は約1.0×10個の濃縮NK細胞を含む。いくつかの実施形態では、濃縮NK細胞の集団は、少なくとも、又は約1.0×10個の濃縮NK細胞を含む。
【0457】
いくつかの実施形態では、セクションV.Aに記載されるように選択又は単離されたような、濃縮NK細胞の集団のインキュベーション又は培養の開始時に、2.0×10個の濃縮NK細胞~1.0×10個の濃縮NK細胞、2.0×10個の濃縮NK細胞~5.0×10個の濃縮NK細胞、2.0×10個の濃縮NK細胞~1.0×10個の濃縮NK細胞、2.0×10個の濃縮NK細胞~5.0×10個の濃縮NK細胞、2.0×10個の濃縮NK細胞~1.0×10個の濃縮NK細胞、2.0×10個の濃縮NK細胞~5.0×10個の濃縮NK細胞、2.0×10個の濃縮NK細胞~1.0×10個の濃縮NK細胞、1.0×10個の濃縮NK細胞~1.0×10個の濃縮NK細胞、1.0×10個の濃縮NK細胞~5.0×10個の濃縮NK細胞、1.0×10個の濃縮NK細胞~1.0×10個の濃縮NK細胞、1.0×10個の濃縮NK細胞~5.0×10個の濃縮NK細胞、1.0×10個の濃縮NK細胞~1.0×10個の濃縮NK細胞、1.0×10個の濃縮NK細胞~5.0×10個の濃縮NK細胞、5.0×10個の濃縮NK細胞~1.0×10個の濃縮NK細胞、5.0×10個の濃縮NK細胞~5.0×10個の濃縮NK細胞、5.0×10個の濃縮NK細胞~1.0×10個の濃縮NK細胞、5.0×10個の濃縮NK細胞~5.0×10個の濃縮NK細胞、5.0×10個の濃縮NK細胞~1.0×10個の濃縮NK細胞、1.0×10個の濃縮NK細胞~1.0×10個の濃縮NK細胞、1.0×10個の濃縮NK細胞~5.0×10個の濃縮NK細胞、1.0×10個の濃縮NK細胞~1.0×10個の濃縮NK細胞、1.0×10個の濃縮NK細胞~5.0×10個の濃縮NK細胞、5.0×10個の濃縮NK細胞~1.0×10個の濃縮NK細胞、5.0×10個の濃縮NK細胞~5.0×10個の濃縮NK細胞、5.0×10個の濃縮NK細胞~1.0×10個の濃縮NK細胞、1.0×10個の濃縮NK細胞~1.0×10個の濃縮NK細胞、1.0×10個の濃縮NK細胞~5.0×10個の濃縮NK細胞、又は5.0×10個の濃縮NK細胞~1.0×10個の濃縮NK細胞又はそれらの各近似値の範囲を含む。いくつかの実施形態では、培養又はインキュベーションの開始時に、濃縮NK細胞の集団は、2.0×10個の濃縮NK細胞~5.0×10個の濃縮NK細胞又はそれらの各近似値の範囲の濃縮NK細胞を含む。いくつかの実施形態では、培養又はインキュベーションの開始時に、濃縮NK細胞の集団は、1.0×10~1.0×10個又はそれらの各近似値の範囲の濃縮NK細胞を含む。いくつかの実施形態では、培養又はインキュベーションの開始時に、濃縮されたNK細胞の集団は、1.0×10~5.0×10個又はそれらの各近似値の範囲の濃縮NK細胞を含む。いくつかの実施形態では、培養又はインキュベーションの開始時に、濃縮されたNK細胞の集団は、1.0×10個の濃縮されたNK細胞~1.0×10個又はそれらの各近似値の範囲の濃縮NK細胞を含む。
【0458】
いくつかの実施形態では、培養又はインキュベーションの開始時に存在する濃縮NK細胞の集団中のg-NK細胞の割合は、20%~90%、20%~80%、20%~70%、20%~60%、20%~50%、20%~40%、20%~30%、30%~90%、30%~80%、30%~70%、30%~60%、30%~50%、30%~40%、40%~90%、40%~80%、40%~70%、40%~60%、40%~50%、50%~90%、50%~80%、50%~70%、50%~60%、60%~90%、60%~80%、60%~70%、70%~90%、70%~80%、又は80%~90%もしくはそれらの各近似値の範囲である。いくつかの実施形態では、培養又はインキュベーションの開始時における濃縮NK細胞の集団中のg-NK細胞の割合は、20%又は約20%から、90%又は約90%である。いくつかの実施形態では、培養又はインキュベーションの開始時における濃縮NK細胞の集団中のg-NK細胞の割合は、40%又は約40%から、90%又は約90%である。いくつかの実施形態では、培養又はインキュベーションの開始時における濃縮されたNK細胞の集団中のg-NK細胞の割合は、60%又は約60%から、90%又は約90%である。
【0459】
これらの実施形態のいくつかにおいて、NK細胞は、増殖因子と共に培養され得る。いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの成長因子は、SCF、GSK3i、FLT3、IL-2、IL-6、IL-7、IL-15、IL-12、IL-18及びIL-21からなる群から選択される成長因子を含む。いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの成長因子は、IL-2又はIL-7及びIL-15である。いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの成長因子は、IL-2、IL-21又はIL-7及びIL-15である。いくつかの実施形態では、成長因子は、組換えサイトカイン、例えば組換えIL-2、組換えIL-7、組換えIL-21又は組換えIL-15である。
【0460】
いくつかの実施形態では、NK細胞は、1つ以上の組換えサイトカインの存在下で培養される。いくつかの実施形態では、1つ以上の組換えサイトカインは、SCF、GSK3i、FLT3、IL-2、IL-6、IL-7、IL-15、IL-12、IL-18、IL-21、IL-27、又はそれらの組み合わせのいずれかを含む。いくつかの実施形態、1つ以上の組換えサイトカインは、IL-2、IL-7、IL-15、IL-12、IL-18、IL-21、IL-27、又はそれらの組み合わせのいずれかを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の組換えサイトカインの少なくとも1つは、IL-21である。いくつかの実施形態では、1つ以上の組換えサイトカインは、IL-2、IL-7、IL-15、IL-12、IL-18、もしくはIL-27、又はそれらの組み合わせを更に含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の組換えサイトカインの少なくとも1つは、IL-2である。いくつかの実施形態では、1つ以上の組換えサイトカインは、少なくともIL-2、及びIL-21である。いくつかの実施形態では、1つ以上の組換えサイトカインは、IL-21、及びIL-2である。いくつかの実施形態では、1つ以上の組換えサイトカインは、IL-21、IL-2、及びIL-15である。いくつかの実施形態では、1つ以上の組換えサイトカインは、IL-21、IL-12、IL-15、及びIL-18である。いくつかの実施形態では、1つ以上の組換えサイトカインは、IL-21、IL-2、Il-12、IL-15、及びIL-18である。いくつかの実施形態では、1つ以上の組換えサイトカインは、IL-21、IL-15、IL-18、及びIL-27である。いくつかの実施形態では、1つ以上の組換えサイトカインは、IL-21、IL-2、IL-15、IL-18、及びIL-27である。いくつかの実施形態では、1つ以上の組換えサイトカインは、IL-2、及びIL-15である。
【0461】
特定の実施形態において、提供される方法は、組換えIL-2の存在下での濃縮されたNK細胞及びフィーダー細胞のインキュベーション又は培養を含む。いくつかの実施形態では、インキュベーションの少なくとも一部、例えば、培養の開始時に添加され、任意選択で培養中に1回以上添加される間、組換えIL-2は、1IU/mL~500IU/mL、例えば、1IU/mL~250IU/mL、1IU/mL~100IU/mL、1IU/mL~50IU/mL、50IU/mL~500IU/mL、50IU/mL~250IU/mL、50IU/mL~100IU/mL、100IU/mL~500IU/mL、100IU/mL~250IU/mL、又は250IU/mL~500IU/mL(それぞれ両端を含む)もしくはそれらの各近似値の範囲(それぞれ両端を含む)の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、インキュベーションの少なくとも一部の間、例えば、培養の開始時に添加され、任意選択で培養中に1回以上添加される間、IL-2の濃度は、50IU/mL、60IU/mL、70IU/mL、80IU/mL、90IU/mL、100IU/mL、125IU/mL、150IU/mL、200IU/mL、もしくはそれらの各近似値、又は任意の値である上記のいずれかの間である。特定の実施形態では、培養の開始時及び任意選択で培養中に1回以上添加される組換えIL-2の濃度は、100IU/mL又は約100IU/mLである。特定の実施形態では、培養開始時及び任意選択で培養中に1回以上添加される組換えIL-2の濃度は、500IU/mLであるか、又は約500IU/mLである。
【0462】
特定の実施形態において、提供される方法は、組換えIL-21の存在下での濃縮されたNK細胞及びフィーダー細胞のインキュベーション又は培養を含む。いくつかの実施形態では、インキュベーションの少なくとも一部の間、例えば、培養の開始時に添加され、任意選択で培養中に1回以上添加される間、組換えIL-21は、1IU/mL~500IU/mL、例えば、1IU/mL~250IU/mL、1IU/mL~100IU/mL、1IU/mL~50IU/mL、50IU/mL~500IU/mL、50IU/mL~250IU/mL、50IU/mL~100IU/mL、100IU/mL~500IU/mL、100IU/mL~250IU/mL、又は250IU/mL~500IU/mLもしくはそれらの各近似値の範囲(それぞれ両端を含む)の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、インキュベーションの少なくとも一部の間、例えば、培養の開始時に添加され、任意選択で培養中に1回以上添加される間、IL-21の濃度は、50IU/mL、60IU/mL、70IU/mL、80IU/mL、90IU/mL、100IU/mL、125IU/mL、150IU/mL、200IU/mL、もしくはそれらの各近似値、又は上記のいずれかの間の任意の値である。特定の実施形態では、培養の開始時及び任意選択で培養中に1回以上添加される組換えIL-21の濃度は、100IU/mL又は約100IU/mLである。
【0463】
特定の実施形態において、提供される方法は、組換えIL-21の存在下での濃縮されたNK細胞及びフィーダー細胞のインキュベーション又は培養を含む。特定の実施形態では、培養の少なくとも一部の間の組換えIL-21の濃度、例えば、培養の開始時に添加され、任意選択で培養中に1回以上添加される組換えIL-21の濃度は、約10ng/mL~約100ng/mL、約10ng/mL~約90ng/mL、約10ng/mL~約80ng/mL、約10ng/mL~約70ng/mL、約10ng/mL~約60ng/mL、約10ng/mL~約50ng/mL、約10ng/mL~約40ng/mL、約10ng/mL~約30ng/mL、約10ng/mL~約20ng/mL、約20ng/mL~約100ng/mL、約20ng/mL~約90ng/mL、約20ng/mL~約80ng/mL、約20ng/mL~約70ng/mL、約20ng/mL~約60ng/mL、約20ng/mL~約50ng/mL、約20ng/mL~約40ng/mL、約20ng/mL~約30ng/mL、約30ng/mL~約100ng/mL、約30ng/mL~約90ng/mL、約30ng/mL~約80ng/mL、約30ng/mL~約70ng/mL、約30ng/mL~約60ng/mL、約30ng/mL~約50ng/mL、約30ng/mL~約40ng/mL、約40ng/mL~約100ng/mL、約40ng/mL~約90ng/mL、約40ng/mL~約80ng/mL、約40ng/mL~約70ng/mL、約40ng/mL~約60ng/mL、約40ng/mL~約50ng/mL、約50ng/mL~約100ng/mL、約50ng/mL~約90ng/mL、約50ng/mL~約80ng/mL、約50ng/mL~約70ng/mL、約50ng/mL~約60ng/mL、約60ng/mL~約100ng/mL、約60ng/mL~約90ng/mL、約60ng/mL~約80ng/mL、約60ng/mL~約70ng/mL、約70ng/mL~約100ng/mL、約70ng/mL~約90ng/mL、約70ng/mL~約80ng/mL、約80ng/mL~約100ng/mL、約80ng/mL~約90ng/mL、又は約90ng/mL~約100ng/mL(両端を含む)である。特定の実施形態では、例えば培養の開始時、及び任意選択で培養中に1回以上添加される、培養の少なくとも一部の組換えIL-21の濃度は、約10ng/mL~約100ng/mLである。特定の実施形態では、例えば培養の開始時、及び任意選択で培養中に1回以上添加される、培養の少なくとも一部の間の組換えIL-21の濃度は、25ng/mL又は約25ng/mLである。
【0464】
特定の実施形態では、例えば培養の開始時、及び任意選択で培養中に1回以上添加される、培養の少なくとも一部の間の組換えIL-15の濃度は、約1ng/mL~約50ng/mL、約1ng/mL~約40ng/mL、約1ng/mL~約30ng/mL、約1ng/mL~約20ng/mL、約1ng/mL~約10ng/mL、約1ng/mL~約5ng/mL、約5ng/mL~約50ng/mL、約5ng/mL~約40ng/mL、約5ng/mL~約30ng/mL、約5ng/mL~約20ng/mL、約5ng/mL~約10ng/mL、約10ng/mL~約50ng/mL、約10ng/mL~約40ng/mL、約10ng/mL~約30ng/mL、約10ng/mL~約20ng/mL、約20ng/mL~約50ng/mL、約20ng/mL~約40ng/mL、約20ng/mL~約30ng/mL、約30ng/mL~約50ng/mL、約30ng/mL~約40ng/mL、又は約40ng/mL~約50ng/mLである。特定の実施形態では、例えば培養の開始時、及び任意選択で培養中に1回以上添加される、培養の少なくとも一部の間の組換えIL-15の濃度は、約1ng/mL~約50ng/mLである。特定の実施形態では、例えば培養の開始時、及び任意選択で培養中に1回以上添加される、培養の少なくとも一部の間の組換えIL-15の濃度は、10ng/mL又は約10ng/mLである。
【0465】
特定の実施形態において、本方法は、IL-2、IL-15及びIL-21の存在下での培養を含む。提供される方法の実施形態において、例えば、培養の開始時及び任意選択で培養中に1回以上培養物に添加される組換えサイトカインの濃度は、IL-2は50IU/mL又は約50IU/mLから、500IU/mL又は約500IU/mLであり、例えば、100IU/mL又は約100IU/mLもしくは500IU/mL又は500IU/mLのIL-2、1ng/mL又は約1ng/mLから、50ng/mL又は約50ng/mLのIL-15、例えば、10ng/mLまたは約10ng/mL、及び10ng/mL又は約10ng/mLから、100ng/mL又は約100ng/mLのIL-21、例えば25ng/mL又は約25ng/mLである。特定の実施形態では、500 IU/mLのIL-2、10ng/mLのIL-15、及び25ng/mLのIL-21を、培養の少なくとも一部の間に添加し、例えば培養の開始時、及び任意選択で培養中に1回以上添加する。特定の実施形態では、100 IU/mLのIL-2、10ng/mLのIL-15、及び25ng/mLのIL-21を培養の少なくとも一部の間に添加し、例えば、例えば培養の開始時、及び任意選択で培養中に1回以上添加する。
【0466】
いくつかの実施形態では、提供される方法は、組換えIL-21の存在下での濃縮されたNK細胞及びフィーダー細胞のインキュベーション又は培養を含み、組換えIL-21は、抗IL-21抗体との複合体として添加される。いくつかの実施形態では、培養の前に、抗IL-21抗体を組換えIL-21と接触させ、それによってIL-21/抗IL-21複合体を形成し、IL-21/抗IL-21複合体を培養培地に添加する。いくつかの実施形態では、組換えIL-21と抗IL-21抗体とを接触させてIL-21/抗IL-21複合体を形成させることは、複合体の形成に適した温度及び時間を含む条件下で行われる。いくつかの実施形態では、培養は、37℃±2で30分間行われる。
【0467】
いくつかの実施形態では、抗IL-21抗体は、100ng/mL~500ng/mL、100ng/mL~400ng/mL、100ng/mL~300ng/mL、100ng/mL~200ng/mL、200ng/mL~500ng/mL、200ng/mL~400ng/mL、200ng/mL~300ng/mL、300ng/mL~500ng/mL、300ng/mL~400ng/mL、又は400ng/mL~500ng/mLもしくはそれらの各近似値の範囲の濃度で添加される。いくつかの実施形態では、抗IL-21抗体は、100ng/mL~500ng/mL又は約100ng/mL~約500ng/mLの間の濃度で添加される。いくつかの実施形態では、抗IL-21抗体は、250ng/mLの濃度で添加される。
【0468】
特定の実施形態では、抗IL-21抗体と複合体を形成するために使用される組換えIL-21の濃度は、約10ng/mL~約100ng/mL、約10ng/mL~約90ng/mL、約10ng/mL~約80ng/mL、約10ng/mL~約70ng/mL、約10ng/mL~約60ng/mL、約10ng/mL~約50ng/mL、約10ng/mL~約40ng/mL、約10ng/mL~約30ng/mL、約10ng/mL~約20ng/mL、約20ng/mL~約100ng/mL、約20ng/mL~約90ng/mL、約20ng/mL~約80ng/mL、約20ng/mL~約70ng/mL、約20ng/mL~約60ng/mL、約20ng/mL~約50ng/mL、約20ng/mL~約40ng/mL、約20ng/mL~約30ng/mL、約30ng/mL~約100ng/mL、約30ng/mL~約90ng/mL、約30ng/mL~約80ng/mL、約30ng/mL~約70ng/mL、約30ng/mL~約60ng/mL、約30ng/mL~約50ng/mL、約30ng/mL~約40ng/mL、約40ng/mL~約100ng/mL、約40ng/mL~約90ng/mL、約40ng/mL~約80ng/mL、約40ng/mL~約70ng/mL、約40ng/mL~約60ng/mL、約40ng/mL~約50ng/mL、約50ng/mL~約100ng/mL、約50ng/mL~約90ng/mL、約50ng/mL~約80ng/mL、約50ng/mL~約70ng/mL、約50ng/mL~約60ng/mL、約60ng/mL~約100ng/mL、約60ng/mL~約90ng/mL、約60ng/mL~約80ng/mL、約60ng/mL~約70ng/mL、約70ng/mL~約100ng/mL、約70ng/mL~約90ng/mL、約70ng/mL~約80ng/mL、約80ng/mL~約100ng/mL、約80ng/mL~約90ng/mL、又は約90ng/mL~約100ng/mL(両端を含む)である。特定の実施形態では、抗IL-21抗体と複合体を形成するために使用される組換えIL-21の濃度は、約10ng/mL~約100ng/mL(両端を含む)である。特定の実施形態において、抗IL-21抗体との複合体を形成するために使用される組換えIL-21の濃度は、25ng/mL又は約25ng/mLである。
【0469】
特定の実施形態では、例えば培養の開始時、及び任意選択で培養中に1回以上添加される、培養の少なくとも一部の間の組換えIL-12の濃度は、約1ng/mL~約50ng/mL、約1ng/mL~約40ng/mL、約1ng/mL~約30ng/mL、約1ng/mL~約20ng/mL、約1ng/mL~約10ng/mL、約1ng/mL~約5ng/mL、約5ng/mL~約50ng/mL、約5ng/mL~約40ng/mL、約5ng/mL~約30ng/mL、約5ng/mL~約20ng/mL、約5ng/mL~約10ng/mL、約10ng/mL~約50ng/mL、約10ng/mL~約40ng/mL、約10ng/mL~約30ng/mL、約10ng/mL~約20ng/mL、約20ng/mL~約50ng/mL、約20ng/mL~約40ng/mL、約20ng/mL~約30ng/mL、約30ng/mL~約50ng/mL、約30ng/mL~約40ng/mL、又は約40ng/mL~約50ng/mLである。特定の実施形態では、例えば培養の開始時、及び任意選択で培養中に1回以上添加される、培養の少なくとも一部の間の組換えIL-12の濃度は、約1ng/mL~約50ng/mLである。特定の実施形態では、例えば培養の開始時、及び任意選択で培養中に1回以上添加される、培養の少なくとも一部の間の組換えIL-12の濃度は、10ng/mL又は約10ng/mLである。
【0470】
特定の実施形態では、例えば培養の開始時、及び任意選択で培養中に1回以上添加される、培養の少なくとも一部の間の組換えIL-18の濃度は、約1ng/mL~約50ng/mL、約1ng/mL~約40ng/mL、約1ng/mL~約30ng/mL、約1ng/mL~約20ng/mL、約1ng/mL~約10ng/mL、約1ng/mL~約5ng/mL、約5ng/mL~約50ng/mL、約5ng/mL~約40ng/mL、約5ng/mL~約30ng/mL、約5ng/mL~約20ng/mL、約5ng/mL~約10ng/mL、約10ng/mL~約50ng/mL、約10ng/mL~約40ng/mL、約10ng/mL~約30ng/mL、約10ng/mL~約20ng/mL、約20ng/mL~約50ng/mL、約20ng/mL~約40ng/mL、約20ng/mL~約30ng/mL、約30ng/mL~約50ng/mL、約30ng/mL~約40ng/mL、又は約40ng/mL~約50ng/mLである。特定の実施形態では、例えば培養の開始時、及び任意選択で培養中に1回以上添加される、培養の少なくとも一部の間の組換えIL-18の濃度は、約1ng/mL~約50ng/mLである。特定の実施形態では、例えば培養の開始時、及び任意選択で培養中に1回以上添加される、培養の少なくとも一部の間の組換えIL-18の濃度は、10ng/mL又は約10ng/mLである。
【0471】
特定の実施形態では、例えば培養の開始時、及び任意選択で培養中に1回以上添加される、培養の少なくとも一部の間の組換えIL-27の濃度は、約1ng/mL~約50ng/mL、約1ng/mL~約40ng/mL、約1ng/mL~約30ng/mL、約1ng/mL~約20ng/mL、約1ng/mL~約10ng/mL、約1ng/mL~約5ng/mL、約5ng/mL~約50ng/mL、約5ng/mL~約40ng/mL、約5ng/mL~約30ng/mL、約5ng/mL~約20ng/mL、約5ng/mL~約10ng/mL、約10ng/mL~約50ng/mL、約10ng/mL~約40ng/mL、約10ng/mL~約30ng/mL、約10ng/mL~約20ng/mL、約20ng/mL~約50ng/mL、約20ng/mL~約40ng/mL、約20ng/mL~約30ng/mL、約30ng/mL~約50ng/mL、約30ng/mL~約40ng/mL、又は約40ng/mL~約50ng/mLである。特定の実施形態では、例えば培養の開始時、及び任意選択で培養中に1回以上添加される、培養の少なくとも一部の間の組換えIL-27の濃度は、約1ng/mL~約50ng/mLである。特定の実施形態では、例えば培養の開始時、及び任意選択で培養中に1回以上添加される、培養の少なくとも一部の間の組換えIL-27の濃度は、10ng/mL又は約10ng/mLである。
【0472】
いくつかの実施形態では、本方法は、培養培地を交換することを含み、これは、いくつかの実施形態では、細胞を洗浄することを含む。例えば、培養又はインキュベーションの少なくとも一部の間、培養培地は、毎日、1日おき、3日おき、又は週に1回など、断続的に交換又は洗い流すことができる。特定の実施形態では、培養培地は、培養開始後3日~7日以内又は約3日~7日以内、例えば、3日目、4日目、5日目、6日目もしくは7日目又は約3日目、4日目、5日目、6日目もしくは7日目に初めて交換又は洗浄される。特定の実施形態において、培養培地は、5日目の開始時又はほぼ開始時に交換又は洗い流される。例えば、培地を5日目及びその後2~3日毎に交換する。
【0473】
培養培地が除去又は洗浄されたら、それを補充する。いくつかの実施形態では、補充された培養培地は、上記のいずれかなどの1つ以上の増殖因子又はサイトカインを含む。したがって、いくつかの実施形態では、組換えIL-2、IL-15及び/又はIL-21などの1つ以上の成長因子又はサイトカインは、インキュベーション又は培養中に断続的に添加される。いくつかのそのような態様では、組換えIL-2、IL-15及び/又はIL-21などの1つ以上の成長因子又はサイトカインは、培養又はインキュベーションの開始時又はほぼ開始時に添加され、その後、培養又はインキュベーション中に断続的に、例えば、培養培地が交換又は洗浄されるたびに添加される。いくつかの実施形態では、組換えIL-2、IL-15及び/又はIL-21などの1つ以上の成長因子又はサイトカインは、0日目(インキュベーションの開始)に開始して培養物又はインキュベーションに添加され、培養培地の各交換又は洗浄時に、組換えIL-2、IL-15及び/又はIL-21などの1つ以上の成長因子又はサイトカインを培養物又はインキュベーションに補充するために更に添加される。いくつかの実施形態では、本方法は、1つ以上の増殖因子又はサイトカイン、例えば組換えIL-2、IL-15及び/又はIL-21を、インキュベーションの開始時(0日目)に、ならびにインキュベーションの期間中の培養培地の各洗浄又は交換時に、例えば培養又はインキュベーションの5日目、7日目、9日目、11日目、及び14日目又はその前後に2日又は3日もしくはそれらの付近の日に毎に添加することを含む。
【0474】
特定の実施形態では、培養は、IL-2、IL-15及びIL-21の少なくとも1つの存在下で行われ、培養培地は、IL-2、IL-15及びIL-21の少なくとも1つを含むように補充される。いくつかの実施形態では、培養は、IL-2及びIL-21の存在下で行われ、培養培地は、IL-2及びIL-21を含むように補充される。いくつかの実施形態では、培養は、IL-2及びIL-15の存在下で行われ、培養培地は、IL-2及びIL-15を含むように補充される。いくつかの実施形態では、培養は、IL-15及びIL-21の存在下で行われ、培養培地は、IL-15及びIL21を含むように補充される。いくつかの実施形態では、培養は、IL-2、IL-15及びIL-21の存在下で行われ、培養培地は、IL-2、IL-15及びIL-21を含むように補充される。いくつかの実施形態では、組換えIL-18、組換えIL-7、及び/又は組換えIL-12を含むがこれらに限定されない1つ以上の追加のサイトカインを、NK細胞の増殖に利用することができる。
【0475】
いくつかの実施形態では、補充された培養培地は、組換えIL-2などの1つ以上の増殖因子又はサイトカインを含む。したがって、いくつかの実施形態では、増殖因子又はサイトカイン、例えば組換えIL-2は、インキュベーション又は培養中に断続的に添加される。いくつかのそのような態様では、組換えIL-2などの成長因子又はサイトカインは、培養又はインキュベーションの開始時又はほぼ開始時に添加され、その後、培養又はインキュベーション中に断続的に、例えば、培養培地が交換又は洗浄されるたびに添加される。いくつかの実施形態では、増殖因子又はサイトカイン、例えば組換えIL-2は、0日目(インキュベーションの開始)に開始して培養物又はインキュベーションに添加され、培養培地の各交換又は洗浄時に、培養物又はインキュベーションに増殖因子又はサイトカイン、例えば組換えIL-2を補充するために更に添加される。いくつかの実施形態では、本方法は、インキュベーションの開始時(0日目)に、及びインキュベーションの期間中の培養培地の各洗浄又は交換時に2又は3日毎に、例えば、培養又はインキュベーションの5日目、7日目、9日目、11日目、及び14日目又はその前後に、組換えIL-2を添加することを含む。そのような実施形態のいずれかにおいて、組換えIL-2は、1IU/mL~500IU/mL、例えば、1IU/mL~250IU/mL、1IU/mL~100IU/mL、1IU/mL~50IU/mL、50IU/mL~500IU/mL、50IU/mL~250IU/mL、50IU/mL~100IU/mL、100IU/mL~500IU/mL、100IU/mL~250IU/mL、又は250IU/mL~500IU/mL、もしくはそれらの各近似値の範囲(それぞれ両端を含む)、それぞれの濃度で培養物又はインキュベーションに添加される。いくつかの実施形態では、組換えIL-2は、50IU/mL、60IU/mL、70IU/mL、80IU/mL、90IU/mL、100IU/mL、125IU/mL、150IU/mL、200IU/mL、又は上記のいずれかの間の任意の値である濃度又は約その濃度で培養物又はインキュベーションに添加される。特定の実施形態において、組換えIL-2の濃度は、100IU/mL又は約100IU/mLである。特定の実施形態において、組換えIL-2の濃度は、500IU/mLであるか、又は約500IU/mLである。
【0476】
いくつかの実施形態では、補充された培養培地は、組換えIL-21などの1つ以上の増殖因子又はサイトカインを含む。したがって、いくつかの実施形態では、増殖因子又はサイトカイン、例えば組換えIL-21は、インキュベーション又は培養中に断続的に添加される。いくつかのそのような態様では、組換えIL-21などの成長因子又はサイトカインは、培養又はインキュベーションの開始時又はほぼ開始時に添加され、その後、培養又はインキュベーション中に断続的に、例えば、培養培地が交換又は洗浄されるたびに添加される。いくつかの実施形態では、増殖因子又はサイトカイン、例えば組換えIL-21は、0日目(インキュベーションの開始)に開始して培養物又はインキュベーションに添加され、培養培地の各交換又は洗浄時に、培養物又はインキュベーションに増殖因子又はサイトカイン、例えば組換えIL-21を補充するために更に添加される。いくつかの実施形態では、本方法は、インキュベーションの開始時(0日目)に、及びインキュベーションの期間中の培養培地の各洗浄又は交換時に2又は3日毎に、例えば、培養又はインキュベーションの5日目、7日目、9日目、11日目、及び14日目又はその前後に、組換えIL-21を添加することを含む。そのような実施形態のいずれにおいても、組換えIL-21は、約10ng/mL~約100ng/mL、約10ng/mL~約90ng/mL、約10ng/mL~約80ng/mL、約10ng/mL~約70ng/mL、約10ng/mL~約60ng/mL、約10ng/mL~約50ng/mL、約10ng/mL~約40ng/mL、約10ng/mL~約30ng/mL、約10ng/mL~約20ng/mL、約20ng/mL~約100ng/mL、約20ng/mL~約90ng/mL、約20ng/mL~約80ng/mL、約20ng/mL~約70ng/mL、約20ng/mL~約60ng/mL、約20ng/mL~約50ng/mL、約20ng/mL~約40ng/mL、約20ng/mL~約30ng/mL、約30ng/mL~約100ng/mL、約30ng/mL~約90ng/mL、約30ng/mL~約80ng/mL、約30ng/mL~約70ng/mL、約30ng/mL~約60ng/mL、約30ng/mL~約50ng/mL、約30ng/mL~約40ng/mL、約40ng/mL~約100ng/mL、約40ng/mL~約90ng/mL、約40ng/mL~約80ng/mL、約40ng/mL~約70ng/mL、約40ng/mL~約60ng/mL、約40ng/mL~約50ng/mL、約50ng/mL~約100ng/mL、約50ng/mL~約90ng/mL、約50ng/mL~約80ng/mL、約50ng/mL~約70ng/mL、約50ng/mL~約60ng/mL、約60ng/mL~約100ng/mL、約60ng/mL~約90ng/mL、約60ng/mL~約80ng/mL、約60ng/mL~約70ng/mL、約70ng/mL~約100ng/mL、約70ng/mL~約90ng/mL、約70ng/mL~約80ng/mL、約80ng/mL~約100ng/mL、約80ng/mL~約90ng/mL、又は約90ng/mL~約100ng/mL(両端を含む)の濃度で培養物又はインキュベーションに添加される。特定の実施形態では、組換えIL-21は、約10ng/mL~約100ng/mL(両端を含む)の濃度で培養物又はインキュベーションに添加される。組換えIL-21は、25ng/mL又は約25ng/mLの濃度で培養物又はインキュベーションに添加する。
【0477】
いくつかの実施形態では、補充された培養培地は、抗IL-21抗体などの抗体との複合体として添加された、組換えIL-21などの1つ以上の増殖因子又はサイトカインを含む。したがって、いくつかの実施形態では、IL-21/抗IL-21抗体複合体などの複合体は、インキュベーション又は培養中に断続的に添加される。いくつかのそのような態様では、IL-21/抗IL-21抗体複合体などの複合体は、培養又はインキュベーションの開始時又はほぼ開始時に添加され、その後、培養又はインキュベーション中に断続的に、例えば、培養培地が交換又は洗浄されるたびに添加される。いくつかの実施形態では、IL-21/抗IL-21抗体複合体などの複合体は、0日目(インキュベーションの開始)に開始して培養物又はインキュベーションに添加され、培養培地の各交換又は洗浄時に、IL-21/抗IL-21抗体複合体などの複合体を培養物又はインキュベーションに補充するために更に添加される。いくつかの実施形態では、本方法は、インキュベーションの開始時(0日目)に、及びインキュベーションの期間中の培養培地の各洗浄又は交換時に2又は3日毎に、例えば、培養又はインキュベーションの5日目、7日目、9日目、11日目、及び14日目又はその前後に、IL-21/抗IL-21抗体複合体などの複合体を添加することを含む。そのような実施形態のいずれかにおいて、抗IL-21抗体を組換えIL-21と接触させ、それによってIL-21/抗IL-21複合体を形成し、IL-21/抗IL-21複合体を培養培地に添加する。そのような実施形態のいずれかにおいて、組換えIL-21と抗IL-21抗体とを接触させてIL-21/抗IL-21複合体を形成することは、複合体の形成に適した温度及び時間を含む条件下で行われる。そのような実施形態のいずれかにおいて、培養は、37℃±2で30分間行われる。そのような実施形態のいずれかにおいて、抗IL-21抗体は、100ng/mL~500ng/mL、100ng/mL~400ng/mL、100ng/mL~300ng/mL、100ng/mL~200ng/mL、200ng/mL~500ng/mL、200ng/mL~400ng/mL、200ng/mL~300ng/mL、300ng/mL~500ng/mL、300ng/mL~400ng/mL、又は400ng/mL~500ng/mL、もしくはそれらの各近似値の範囲の濃度で添加される。いくつかの実施形態では、抗IL-21抗体は、100ng/mL又は約100ng/mLから、500ng/mL又は約500ng/mLの濃度で添加される。いくつかの実施形態では、抗IL-21抗体は、250ng/mLの濃度で添加される。そのような実施形態のいずれかにおいて、抗IL-21抗体と複合体を形成するために使用される組換えIL-21の濃度は、約10ng/mL~約100ng/mL、約10ng/mL~約90ng/mL、約10ng/mL~約80ng/mL、約10ng/mL~約70ng/mL、約10ng/mL~約60ng/mL、約10ng/mL~約50ng/mL、約10ng/mL~約40ng/mL、約10ng/mL~約30ng/mL、約10ng/mL~約20ng/mL、約20ng/mL~約100ng/mL、約20ng/mL~約90ng/mL、約20ng/mL~約80ng/mL、約20ng/mL~約70ng/mL、約20ng/mL~約60ng/mL、約20ng/mL~約50ng/mL、約20ng/mL~約40ng/mL、約20ng/mL~約30ng/mL、約30ng/mL~約100ng/mL、約30ng/mL~約90ng/mL、約30ng/mL~約80ng/mL、約30ng/mL~約70ng/mL、約30ng/mL~約60ng/mL、約30ng/mL~約50ng/mL、約30ng/mL~約40ng/mL、約40ng/mL~約100ng/mL、約40ng/mL~約90ng/mL、約40ng/mL~約80ng/mL、約40ng/mL~約70ng/mL、約40ng/mL~約60ng/mL、約40ng/mL~約50ng/mL、約50ng/mL~約100ng/mL、約50ng/mL~約90ng/mL、約50ng/mL~約80ng/mL、約50ng/mL~約70ng/mL、約50ng/mL~約60ng/mL、約60ng/mL~約100ng/mL、約60ng/mL~約90ng/mL、約60ng/mL~約80ng/mL、約60ng/mL~約70ng/mL、約70ng/mL~約100ng/mL、約70ng/mL~約90ng/mL、約70ng/mL~約80ng/mL、約80ng/mL~約100ng/mL、約80ng/mL~約90ng/mL、又は約90ng/mL~約100ng/mL(両端を含む)である。特定の実施形態では、抗IL-21抗体と複合体を形成するために使用される組換えIL-21の濃度は、約10ng/mL~約100ng/mL(両端を含む)である。特定の実施形態において、抗IL-21抗体との複合体を形成するために使用される組換えIL-21の濃度は、25ng/mL又は約25ng/mLである。
【0478】
いくつかの実施形態では、補充された培養培地は、組換えIL-15などの1つ以上の増殖因子又はサイトカインを含む。したがって、いくつかの実施形態では、増殖因子又はサイトカイン、例えば組換えIL-15は、インキュベーション又は培養中に断続的に添加される。いくつかのそのような態様では、組換えIL-15などの成長因子又はサイトカインは、培養又はインキュベーションの開始時又はほぼ開始時に添加され、その後、培養又はインキュベーション中に断続的に、例えば、培養培地が交換又は洗浄されるたびに添加される。いくつかの実施形態では、増殖因子又はサイトカイン、例えば組換えIL-15は、0日目(インキュベーションの開始)に開始して培養物又はインキュベーションに添加され、培養培地の各交換又は洗浄時に、培養物又はインキュベーションに増殖因子又はサイトカイン、例えば組換えIL-15を補充するために更に添加される。いくつかの実施形態では、本方法は、インキュベーションの開始時(0日目)に、及びインキュベーションの期間中の培養培地の各洗浄又は交換時に2又は3日毎に、例えば、培養又はインキュベーションの5日目、7日目、9日目、11日目、及び14日目又はその前後に、組換えIL-15を添加することを含む。そのような実施形態のいずれかにおいて、組換えIL-15は、約1ng/mL~約50ng/mL、約1ng/mL~約40ng/mL、約1ng/mL~約30ng/mL、約1ng/mL~約20ng/mL、約1ng/mL~約10ng/mL、約1ng/mL~約5ng/mL、約5ng/mL~約50ng/mL、約5ng/mL~約40ng/mL、約5ng/mL~約30ng/mL、約5ng/mL~約20ng/mL、約5ng/mL~約10ng/mL、約10ng/mL~約50ng/mL、約10ng/mL~約40ng/mL、約10ng/mL~約30ng/mL、約10ng/mL~約20ng/mL、約20ng/mL~約50ng/mL、約20ng/mL~約40ng/mL、約20ng/mL~約30ng/mL、約30ng/mL~約50ng/mL、約30ng/mL~約40ng/mL、又は約40ng/mL~約50ng/mLの濃度で培養物又はインキュベーションに添加される。そのような実施形態のいずれかにおいて、組換えIL-15は、約1ng/mL~約50ng/mLの濃度で培養物又はインキュベーションに添加される。そのような実施形態のいずれかにおいて、組換えIL-15は、10ng/mL又は約10ng/mLの濃度で培養物又はインキュベーションに添加される。特定の実施形態では、500 IU/mLのIL-2、10ng/mLのIL-15、及び25ng/mLのIL-21を培養物又はインキュベーションに添加する。
【0479】
いくつかの実施形態では、補充された培養培地は、組換えIL-12などの1つ以上の増殖因子又はサイトカインを含む。したがって、いくつかの実施形態では、増殖因子又はサイトカイン、例えば組換えIL-12は、インキュベーション又は培養中に断続的に添加される。いくつかのそのような態様では、組換えIL-12などの成長因子又はサイトカインは、培養又はインキュベーションの開始時又はほぼ開始時に添加され、その後、培養又はインキュベーション中に断続的に、例えば、培養培地が交換又は洗浄されるたびに添加される。いくつかの実施形態では、増殖因子又はサイトカイン、例えば組換えIL-12は、0日目(インキュベーションの開始)に開始して培養物又はインキュベーションに添加され、培養培地の各交換又は洗浄時に、培養物又はインキュベーションに増殖因子又はサイトカイン、例えば組換えIL-12を補充するために更に添加される。いくつかの実施形態では、本方法は、インキュベーションの開始時(0日目)に、及びインキュベーションの期間中の培養培地の各洗浄又は交換時に2又は3日毎に、例えば、培養又はインキュベーションの5日目、7日目、9日目、11日目、及び14日目又はその前後に、組換えIL-12を添加することを含む。そのような実施形態のいずれかにおいて、組換えIL-12は、約1ng/mL~約50ng/mL、約1ng/mL~約40ng/mL、約1ng/mL~約30ng/mL、約1ng/mL~約20ng/mL、約1ng/mL~約10ng/mL、約1ng/mL~約5ng/mL、約5ng/mL~約50ng/mL、約5ng/mL~約40ng/mL、約5ng/mL~約30ng/mL、約5ng/mL~約20ng/mL、約5ng/mL~約10ng/mL、約10ng/mL~約50ng/mL、約10ng/mL~約40ng/mL、約10ng/mL~約30ng/mL、約10ng/mL~約20ng/mL、約20ng/mL~約50ng/mL、約20ng/mL~約40ng/mL、約20ng/mL~約30ng/mL、約30ng/mL~約50ng/mL、約30ng/mL~約40ng/mL、又は約40ng/mL~約50ng/mLの濃度で培養物又はインキュベーションに添加される。そのような実施形態のいずれかにおいて、組換えIL-12は、約1ng/mL~約50ng/mLの濃度で培養物又はインキュベーションに添加される。そのような実施形態のいずれかにおいて、組換えIL-12は、10ng/mL又は約10ng/mLの濃度で培養物又はインキュベーションに添加される。
【0480】
いくつかの実施形態では、補充された培養培地は、組換えIL-18などの1つ以上の増殖因子又はサイトカインを含む。したがって、いくつかの実施形態では、増殖因子又はサイトカイン、例えば組換えIL-18は、インキュベーション又は培養中に断続的に添加される。いくつかのそのような態様では、組換えIL-18などの成長因子又はサイトカインは、培養又はインキュベーションの開始時又はほぼ開始時に添加され、その後、培養又はインキュベーション中に断続的に、例えば、培養培地が交換又は洗浄されるたびに添加される。いくつかの実施形態では、増殖因子又はサイトカイン、例えば組換えIL-18は、0日目(インキュベーションの開始)に開始して培養物又はインキュベーションに添加され、培養培地の各交換又は洗浄時に、培養物又はインキュベーションに増殖因子又はサイトカイン、例えば組換えIL-18を補充するために更に添加される。いくつかの実施形態では、本方法は、インキュベーションの開始時(0日目)に、及びインキュベーションの期間中の培養培地の各洗浄又は交換時に2又は3日毎に、例えば、培養又はインキュベーションの5日目、7日目、9日目、11日目、及び14日目又はその前後に、組換えIL-18を添加することを含む。そのような実施形態のいずれかにおいて、組換えIL-18は、約1ng/mL~約50ng/mL、約1ng/mL~約40ng/mL、約1ng/mL~約30ng/mL、約1ng/mL~約20ng/mL、約1ng/mL~約10ng/mL、約1ng/mL~約5ng/mL、約5ng/mL~約50ng/mL、約5ng/mL~約40ng/mL、約5ng/mL~約30ng/mL、約5ng/mL~約20ng/mL、約5ng/mL~約10ng/mL、約10ng/mL~約50ng/mL、約10ng/mL~約40ng/mL、約10ng/mL~約30ng/mL、約10ng/mL~約20ng/mL、約20ng/mL~約50ng/mL、約20ng/mL~約40ng/mL、約20ng/mL~約30ng/mL、約30ng/mL~約50ng/mL、約30ng/mL~約40ng/mL、又は約40ng/mL~約50ng/mLの濃度で培養物又はインキュベーションに添加される。そのような実施形態のいずれかにおいて、組換えIL-18は、約1ng/mL~約50ng/mLの濃度で培養物又はインキュベーションに添加される。そのような実施形態のいずれかにおいて、組換えIL-18は、10ng/mL又は約10ng/mLの濃度で培養物又はインキュベーションに添加される。
【0481】
いくつかの実施形態では、補充された培養培地は、組換えIL-27などの1つ以上の増殖因子又はサイトカインを含む。したがって、いくつかの実施形態では、増殖因子又はサイトカイン、例えば組換えIL-27は、インキュベーション又は培養中に断続的に添加される。いくつかのそのような態様では、組換えIL-27などの成長因子又はサイトカインは、培養又はインキュベーションの開始時又はほぼ開始時に添加され、その後、培養又はインキュベーション中に断続的に、例えば、培養培地が交換又は洗浄されるたびに添加される。いくつかの実施形態では、増殖因子又はサイトカイン、例えば組換えIL-27は、0日目(インキュベーションの開始)に開始して培養物又はインキュベーションに添加され、培養培地の各交換又は洗浄時に、培養物又はインキュベーションに増殖因子又はサイトカイン、例えば組換えIL-27を補充するために更に添加される。いくつかの実施形態では、本方法は、インキュベーションの開始時(0日目)に、及びインキュベーションの期間中の培養培地の各洗浄又は交換時に2又は3日毎に、例えば、培養又はインキュベーションの5日目、7日目、9日目、11日目、及び14日目又はその前後に、組換えIL-27を添加することを含む。そのような実施形態のいずれかにおいて、組換えIL-27は、約1ng/mL~約50ng/mL、約1ng/mL~約40ng/mL、約1ng/mL~約30ng/mL、約1ng/mL~約20ng/mL、約1ng/mL~約10ng/mL、約1ng/mL~約5ng/mL、約5ng/mL~約50ng/mL、約5ng/mL~約40ng/mL、約5ng/mL~約30ng/mL、約5ng/mL~約20ng/mL、約5ng/mL~約10ng/mL、約10ng/mL~約50ng/mL、約10ng/mL~約40ng/mL、約10ng/mL~約30ng/mL、約10ng/mL~約20ng/mL、約20ng/mL~約50ng/mL、約20ng/mL~約40ng/mL、約20ng/mL~約30ng/mL、約30ng/mL~約50ng/mL、約30ng/mL~約40ng/mL、又は約40ng/mL~約50ng/mLの濃度で培養物又はインキュベーションに添加される。そのような実施形態のいずれかにおいて、組換えIL-27は、約1ng/mL~約50ng/mLの濃度で培養物又はインキュベーションに添加される。そのような実施形態のいずれかにおいて、組換えIL-27は、10ng/mL又は約10ng/mLの濃度で培養物又はインキュベーションに添加される。
【0482】
提供される方法の実施形態において、培養又はインキュベートすることは、NK細胞の維持に必要又は有用な化学的及び物理的条件(例えば、温度、ガス)を提供することを含む。NK細胞の増殖又は増殖を支持し得る化学的条件の例としては、増殖(すなわち、培養)培地中に典型的に提供される緩衝液、栄養素、血清、ビタミン及び抗生物質が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態において、NK培養培地は、10%FCSを含むMEMα、又は5%ヒト血清/LiforCell(登録商標)FBS Replacement(Lifeblood Products)を含むCellGro SCGM(Cell Genix)を含む。本発明での使用に適した他の培地としては、Glascow培地(Gibco Carlsbad Calif.)、RPMI培地(Sigma-Aldrich,St Louis MO)又はDMEM(Sigma-Aldrich,St Louis MO)が挙げられるが、これらに限定されない。多くの培養培地、例えば、MEMα(8.19μMニコチンアミド)、RPMI(8.19μMニコチンアミド)、DMEM(32.78μMニコチンアミド)及びGlascow培地(16.39μMニコチンアミド)は、ビタミンサプリメントとしてニコチンアミドを含有することに留意されたい。
【0483】
いくつかの実施形態では、細胞がヒト対象に導入(又は再導入)される用途などのために、培養は、リンパ球培養のためのAIM V(商標)無血清培地、MARROWMAX(商標)骨髄培地又は無血清幹細胞増殖培地(SCGM)(例えば、CellGenix(登録商標)GMP SCGM)などの無血清製剤を使用して行われる。このような培地処方物及び補充物は、商業的供給源から入手可能である。培養物は、最適な生存能力、増殖、機能性及び/又は生存を促進するために、アミノ酸、抗生物質、及び/又は記載されるような他の増殖因子サイトカインを補充され得る。いくつかの実施形態では、無血清培地はまた、低割合のヒト血清、例えば、0.5%~10%ヒト血清、例えば、5%又は約5%ヒト血清で補充され得る。そのような実施形態において、ヒト血清は、ヒトAB血漿由来のヒト血清(ヒトAB血清)又は自己血清であり得る。
【0484】
いくつかの実施形態では、フィーダー細胞、及び任意選択でサイトカイン(例えば、組換えIL-2又はIL-21)との培養は、ヒトNK細胞の成長又は増殖に適した温度、例えば、少なくとも約25℃、一般に少なくとも約30℃、及び一般に37℃又は約37℃を含む条件下で行われる。いくつかの実施形態では、培養は、5%CO中、37℃±2で行われる。
【0485】
提供される方法の実施形態において、培養することは、GMP条件下で行われるインキュベーションを含む。いくつかの実施形態では、インキュベーションは閉鎖系であり、これはいくつかの態様では閉鎖自動化系であってもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の組換えサイトカイン又は成長因子を含有する培養培地は、無血清培地である。いくつかの実施形態では、インキュベーションは、閉鎖自動化システムでは、無血清培地を用いて行われる。
【0486】
いくつかの実施形態では、NK細胞の増殖は、細胞増殖に適した培養容器中で行われる。いくつかの実施形態では、培養容器は、G-Rexシステム(例えば、G-Rex 10、G-Rex 10M、G-Rex 100M/100M-CS又はG-Rex 500M/500M-CS)などのガス透過性培養容器である。いくつかの実施形態では、培養容器は、閉鎖系における細胞の増殖に適したマイクロプレート、フラスコ、バッグ又は他の培養容器である。いくつかの実施形態では、増殖は、バイオリアクター内で行うことができる。いくつかの実施形態では、増殖は、細胞増殖システムを使用して、バイオリアクター(例えば、Xuri Cell Expansion System W25(GE Healthcare))などに接続したガス透過性バッグに細胞を移すことによって実施される。一実施形態では、細胞増殖システムは、約50mL、約100mL、約200mL、約300mL、約400mL、約500mL、約600mL、約700mL、約800mL、約900mL、約1L、約2L、約3L、約4L、約5L、約6L、約7L、約8L、約9L、及び約10L、又は上記のいずれかの間の任意の値である体積を有するバッグ、例えばガス透過性細胞バッグなどの培養容器を含む。いくつかの実施形態では、プロセスは自動化又は半自動化される。いくつかの態様において、増殖培養は、静的条件下で行われる。いくつかの実施形態では、増殖培養は揺動条件下で行われる。培地は、ボーラスで添加され得るか、又は灌流スケジュールで添加され得る。いくつかの実施形態では、バイオリアクターは、0.01L/分、0.05L/分、0.1L/分、0.2L/分、0.3L/分、0.4L/分、0.5L/分、1.0L/分、1.5L/分、もしくは2.0L/分、又は2.0L/分超、これらの値の近似値、又は少なくともこれらの値の定常空気流で、37℃又はその付近の温度及び5%又はその付近のCO2レベルを維持する。特定の実施形態では、培養の少なくとも一部は、290ml/日、580ml/日、及び/又は1160ml/日の速度などの灌流を用いて行われる。
【0487】
いくつかの態様では、灌流が可能な自動閉鎖増殖システムにおいて細胞を増殖させる。灌流により細胞に培地を継続的に追加して、最適な増殖速度を確実に達成できる。
【0488】
増殖方法は、閉鎖自動化システム及び無血清培地の使用を含むGMP条件下で実施することができる。いくつかの実施形態では、本方法のステップのうちのいずれか1つ以上は、閉鎖系では、又はGMP条件下で実施され得る。特定の実施形態において、全てのプロセス操作は、GMPスイートにおいて実施される。いくつかの実施形態では、閉鎖系は、細胞療法を製造、産生、又は生産するための方法の他の処理ステップのうちの1つ以上を行うために使用される。いくつかの実施形態では、処理ステップ、例えば、単離、選択及び/又は濃縮、処理、細胞の増殖に関連するインキュベーションを含む培養ステップ、ならびに製剤化ステップのうちの1つ以上又は全ては、統合又は自己完結型システムにおけるシステム、デバイス、又は装置を使用して、及び/又は自動化又はプログラム可能様式で行われる。いくつかの態様では、システム又は装置は、システム又は装置と通信するコンピュータ及び/又はコンピュータプログラムを含み、これは、ユーザが、処理、単離、操作、及び製剤化ステップの様々な態様をプログラムし、制御し、結果を評価し、及び/又は調整することを可能にする。
【0489】
提供される実施形態のいずれかの一部では、培養することは、方法が少なくとも2.50×10又は少なくとも約2.50×10個のg-NK細胞の増殖を達成する時間まで実施される。提供される実施形態のいずれかの一部では、培養することは、方法が少なくとも5.0×10又は少なくとも約5.0×10個のg-NK細胞の増殖を達成する時間まで実施される。提供される実施形態のいずれかの一部では、培養することは、方法が少なくとも1.0×10又は少なくとも約1.0×10個のg-NK細胞の増殖を達成するまで行われる。提供される実施形態のいずれかの一部では、培養することは、方法が少なくとも5.0×10又は少なくとも約5.0×10個のg-NK細胞の増殖を達成する時間まで実施される。
【0490】
提供される実施形態のいずれかの一部において、培養は、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、22日間、23日間、24日間又は25日間、又は約5日間、約6日間、約7日間、約8日間、約9日間、約10日間、約11日間、約12日間、約13日間、約15日間、約16日間、約17日間、約18日間、約19日間、約20日間、約21日間、約22日間、約23日間、約24日間又は約25日間、もしくは少なくとも上記の期間行われる。いくつかの実施形態では、培養は、14日間もしくは約14日間、又は少なくとも14日間もしくは約14日間行われる。いくつかの実施形態では、培養は、21日間もしくは約21日間、又は少なくとも21日間もしくは約21日間行われる。
【0491】
提供される実施形態のいずれかの一部において、提供される方法のいずれかによる培養又はインキュベーションは、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、22日間、23日間、24日間、又は25日間、もしくは約5日間、約6日間、約7日間、約8日間、約9日間、約10日間、約11日間、約12日間、約13日間、約14日間、約15日間、約16日間、約17日間、約18日間、約19日間、約20日間、約21日間、約22日間、約23日間、約24日間、又は約25日間、もしくは少なくとも上記の期間行われる。いくつかの実施形態では、培養は、14日間もしくは約14日間、又は少なくとも14日間もしくは約14日間行われる。いくつかの実施形態では、培養は、21日間もしくは約21日間、又は少なくとも21日間もしくは約21日間行われる。特定の実施形態では、培養開始時の濃縮されたNK細胞が、以前に凍結又は凍結保存された後に解凍されている場合、より長い培養期間が典型的に必要である。培養開始時の細胞の状態、培養開始時もしくは培養中の細胞の健康もしくは生存率、及び/又は例えば、治療目的で対象に投与される細胞の用量などの細胞の所望の適用に応じた培養終了時の閾値細胞の所望の数などの因子に応じて、細胞を培養する最適な日数を経験的に決定することは、当業者のレベルの範囲内である。
【0492】
培養の終わりに、細胞を回収する。細胞の回収は、培養終了後に培養容器から細胞を遠心分離することにより行うことができる。例えば、細胞は、約14日間の培養後に遠心分離によって回収される。細胞を回収した後、細胞を洗浄する。細胞の試料は、機能又は表現型試験のために収集することができる。機能試験又は表現型試験に使用されない任意の他の細胞は、別々に処方され得る。いくつかの場合において、細胞は、細胞の凍結保存のために抗凍結剤と共に製剤化される。
【0493】
いくつかの実施形態では、提供される方法は、単離、選択及び/又は濃縮の前又は後のいずれかに、細胞を凍結する、例えば凍結保存するためのステップを含む。いくつかの実施形態では、提供される方法は、インキュベーション及び/又は培養の前又は後のいずれかに、細胞を凍結する、例えば凍結保存するためのステップを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、抗凍結剤の存在下で細胞を凍結保存し、それによって凍結保存組成物を産生することを含む。いくつかの態様では、本方法は、インキュベートすることの前及び/又は対象に投与することの前に、抗凍結剤を低減又は除去する条件下で凍結保存組成物を洗浄することを含む。いくつかの態様では、様々な既知の凍結溶液及びパラメータのいずれかを使用することができる。いくつかの実施形態では、細胞は、最終濃度が12.5%、12.0%、11.5%、11.0%、10.5%、10.0%、9.5%、9.0%、8.5%、8.0%、7.5%、7.0%、6.5%、6.0%、5.5%、もしくは5.0%DMSO、又は1%~15%、6%~12%、5%~10%、もしくは6%~8%DMSO又はそれらの近似値である培地及び/又は溶液中で凍結、例えば、低温凍結又は低温保存される。特定の実施形態では、細胞は、最終濃度が5.0%、4.5%、4.0%、3.5%、3.0%、2.5%、2.0%、1.5%、1.25%、1.0%、0.75%、0.5%、もしくは0.25%もしくはそれらの近似値のHSA、又は0.1%~5%、0.25%~4%、0.5%~2%、もしくは1%~2%のHSAを含む培地及び/又は溶液中で凍結、例えば、低温凍結又は低温保存される。一例は、20%DMSO及び8%ヒト血清アルブミン(HSA)を含有するPBS、又は他の適切な細胞凍結培地を使用することを含む。次いで、これを培地で1:1に希釈して、DMSO及びHSAの最終濃度をそれぞれ10%及び4%とする。次いで、細胞は、一般に、毎分約1℃の速度で約-80℃まで凍結され、液体窒素貯蔵タンクの気相中で貯蔵される。いくつかの実施形態では、細胞は、抗凍結剤を含む無血清凍結保存培地中で凍結される。いくつかの実施形態では、がんは、DMSOである。いくつかの実施形態では、凍結保存培地は、5%又は約5%から、10%又は約10%のDMSO(v/v)である。いくつかの実施形態では、凍結保存培地は、5%又は約5%のDMSO(v/v)である。いくつかの実施形態では、凍結保存培地は、6%又は約6%のDMSO(v/v)である。いくつかの実施形態では、凍結保存培地は、7%又は約7%のDMSO(v/v)である。いくつかの実施形態では、凍結保存培地は、8%又は約8%のDMSO(v/v)である。いくつかの実施形態では、凍結保存培地は、9%又は約9%DMSO(v/v)である。いくつかの実施形態では、凍結保存培地は、10%又は約10%のDMSO(v/v)である。いくつかの実施形態では、凍結保存培地は、市販の凍結保存溶液(CryoStor(商標)CS10又はCS5)を含有する。CryoStor(商標)CS10は、10%ジメチルスルホキシド(DMSO)を含有する凍結保存培地である。CryoStor(商標)CS5は、5%ジメチルスルホキシド(DMSO)を含有する凍結保存培地である。いくつかの実施形態では、凍結保存培地は、プラズマライトA又はヒト血清アルブミン(HSA)などの1つ以上の追加の賦形剤を含有する。
【0494】
いくつかの実施形態では、細胞は、5×10~1×10細胞/mLの密度で凍結保存される。例えば、細胞は、5×10細胞/mL、10×10細胞/mL、15×10細胞/mL、20×10細胞/mL、25×10細胞/mL、30×10細胞/mL、40×10細胞/mL、50×10細胞/mL、60×10細胞/mL、70×10細胞/mL、80×10細胞/mL、又は約90×10細胞/mL、もしくはそれらの各近似値、又は上記のいずれかの間の任意の値の密度で凍結保存される。細胞は、凍結保存容器に適した任意の体積で凍結保存することができる。いくつかの実施形態では、細胞はバイアル中で凍結保存される。凍結保存培地の体積は、1mL又は約1mLから、50mL又は約50mL、例えば1mL~5mL又は約1mL~5mLであり得る。いくつかの実施形態では、細胞はバッグ中で凍結保存される。凍結保存培地の体積は、10mL又は約10mLから、500mL又は約500mL、例えば100mL又は約100mLから、200mL又は約200mLであり得る。採取し増殖させた細胞は、-80℃~-196℃の温度などの低温環境で凍結保存することができる。提供される方法のいずれかの一部において、方法は、培養の開始時と比較して、培養の終了時に増加した数のNKG2Cpos細胞を産生する。例えば、培養開始時と比較した培養終了時のNKG2Cpos細胞の増加は、100倍以上又は約100倍以上、200倍以上又は約200倍以上、300倍以上又は約300倍以上、400倍以上又は約400倍以上、500倍以上又は約500倍以上、600倍以上又は約600倍以上、700倍以上又は約700倍以上、又は800倍以上又は約800倍以上であり得る。任意の実施形態の一部において、増加は、1000倍又は約1000倍大きい。任意の実施形態の一部では、増加は、2000倍又は約2000倍大きい。任意の実施形態の一部では、増加は、2500倍又は約2500倍大きい。任意の実施形態の一部では、増加は、3000倍又は約3000倍大きい。任意の実施形態の一部では、増加は、5000倍又は約5000倍大きい。任意の実施形態の一部では、増加は、10000倍又は約10000倍大きい。任意の実施形態の一部では、増加は、15000倍又は約15000倍大きい。任意の実施形態の一部では、増加は、20000倍又は約20000倍大きい。任意の実施形態の一部では、増加は、25000倍又は約25000倍大きい。任意の実施形態の一部では、増加は、30000倍又は約30000倍大きい。任意の実施形態の一部では、増加は、35000倍又は約35000倍大きい。いくつかの実施形態では、提供される方法のいずれかに従った培養又はインキュベーションは、方法が少なくとも2.50×10又は約2.50×10NKG2Cpos細胞、少なくとも3.0×10又は約3.0×10NKG2Cpos細胞、少なくとも4.0×10又は約4.0×10NKG2Cpos細胞、少なくとも5.0×10又は約5.0×10NKG2Cpos細胞、少なくとも6.0×10又は約6.0×10NKG2Cpos細胞、少なくとも7.0×10又は約7.0×10NKG2Cpos細胞、少なくとも8.0×10又は約8.0×10NKG2Cpos細胞、少なくとも9.0×10又は約9.0×10NKG2Cpos細胞、少なくとも1.0×10又は約1.0×10NKG2Cpos細胞、少なくとも1.5×10又は約1.5×10NKG2Cpos細胞、少なくとも2.0×10又は約2.0×10NKG2Cpos細胞、少なくとも3.0×10又は約3.0×10NKG2Cpos細胞、少なくとも4.0×10又は約4.0×10NKG2Cpos細胞、少なくとも5.0×10又は約5.0×10NKG2Cpos細胞、少なくとも1.0×1010又は約1.0×1010NKG2Cpos細胞、少なくとも1.5×1010又は約1.5×1010NKG2Cpos細胞、少なくとも2.0×1010又は約2.0×1010NKG2Cpos細胞、少なくとも2.5×1010又は約2.5×1010NKG2Cpos細胞以上の増殖を達成する時間まで実施される。
【0495】
提供される方法のいずれかの一部において、方法は、培養の開始時と比較して、培養の終了時に増加した数のNKG2Aneg細胞を産生する。例えば、培養開始時と比較した培養終了時のNKG2Aneg細胞の増加は、100倍以上又は約100倍以上、200倍以上又は約200倍以上、300倍以上又は約300倍以上、400倍以上又は約400倍以上、500倍以上又は約500倍以上、600倍以上又は約600倍以上、700倍以上又は約700倍以上、又は800倍以上又は約800倍以上であり得る。任意の実施形態の一部において、増加は、1000倍又は約1000倍大きい。任意の実施形態の一部では、増加は、2000倍又は約2000倍大きい。任意の実施形態の一部では、増加は、3000倍又は約3000倍大きい。任意の実施形態の一部では、増加は、2500倍又は約2500倍大きい。任意の実施形態の一部では、増加は、5000倍又は約5000倍大きい。任意の実施形態の一部では、増加は、10000倍又は約10000倍大きい。任意の実施形態の一部では、増加は、15000倍又は約15000倍大きい。任意の実施形態の一部では、増加は、20000倍又は約20000倍大きい。任意の実施形態の一部では、増加は、25000倍又は約25000倍大きい。任意の実施形態の一部では、増加は、30000倍又は約30000倍大きい。任意の実施形態の一部では、増加は、35000倍又は約35000倍大きい。いくつかの実施形態では、提供される方法のいずれかに従った培養又はインキュベーションは、方法が少なくとも2.50×10又は約2.50×10NKG2Aneg細胞、少なくとも3.0×10又は約3.0×10NKG2Aneg細胞、少なくとも4.0×10又は約4.0×10NKG2Aneg細胞、少なくとも5.0×10又は約5.0×10NKG2Aneg細胞、少なくとも6.0×10又は約6.0×10NKG2Aneg細胞、少なくとも7.0×10又は約7.0×10NKG2Aneg細胞、少なくとも8.0×10又は約8.0×10NKG2Aneg細胞、少なくとも9.0×10又は約9.0×10NKG2Aneg細胞、少なくとも1.0×10又は約1.0×10NKG2Aneg細胞、少なくとも1.5×10又は約1.5×10NKG2Aneg細胞、少なくとも2.0×10又は約2.0×10NKG2Aneg細胞、少なくとも3.0×10又は約3.0×10NKG2Aneg細胞、少なくとも4.0×10又は約4.0×10NKG2Aneg細胞、少なくとも5.0×10又は約5.0×10NKG2Aneg細胞、少なくとも1.0×1010又は約1.0×1010NKG2Aneg細胞、少なくとも1.5×1010又は約1.5×1010NKG2Aneg細胞、少なくとも2.0×1010又は約2.0×1010NKG2Aneg細胞、少なくとも2.5×1010又は約2.5×1010NKG2Aneg細胞以上の増殖を達成する時間まで実施される。
【0496】
提供される方法のいずれかの一部において、本方法は、培養の開始時と比較して、培養の終了時に増加した数のNKG2CposNKG2Aneg細胞を産生する。例えば、培養開始時と比較した培養終了時のNKG2CposNKG2Aneg細胞の増加は、100倍超又は約100倍超、200倍超又は約200倍超、300倍超又は約300倍超、400倍超又は約400倍超、500倍超又は約500倍超、600倍超又は約600倍超、700倍超又は約700倍超、800倍超又は約800倍超であり得る。任意の実施形態の一部において、増加は、1000倍又は約1000倍大きい。任意の実施形態の一部では、増加は、2000倍又は約2000倍大きい。任意の実施形態の一部では、増加は、2500倍又は約2500倍大きい。任意の実施形態の一部では、増加は、3000倍又は約3000倍大きい。任意の実施形態の一部では、増加は、5000倍又は約5000倍大きい。任意の実施形態の一部では、増加は、10000倍又は約10000倍大きい。任意の実施形態の一部では、増加は、15000倍又は約15000倍大きい。任意の実施形態の一部では、増加は、20000倍又は約20000倍大きい。任意の実施形態の一部では、増加は、25000倍又は約25000倍大きい。任意の実施形態の一部では、増加は、30000倍又は約30000倍大きい。任意の実施形態の一部では、増加は、35000倍又は約35000倍大きい。いくつかの実施形態では、提供される方法のいずれかに従った培養又はインキュベーションは、方法が少なくとも2.50×10又は約2.50×10NKG2CposNKG2Aneg細胞、少なくとも3.0×10又は約3.0×10NKG2CposNKG2Aneg細胞、少なくとも4.0×10又は約4.0×10NKG2CposNKG2Aneg細胞、少なくとも5.0×10又は約5.0×10NKG2CposNKG2Aneg細胞、少なくとも6.0×10又は約6.0×10NKG2CposNKG2Aneg細胞、少なくとも7.0×10又は約7.0×10NKG2CposNKG2Aneg細胞、少なくとも8.0×10又は約8.0×10NKG2CposNKG2Aneg細胞、少なくとも9.0×10又は約9.0×10NKG2CposNKG2Aneg細胞、少なくとも1.0×10又は約1.0×10NKG2CposNKG2Aneg細胞、少なくとも1.5×10又は約1.5×10NKG2CposNKG2Aneg細胞、少なくとも2.0×10又は約2.0×10NKG2CposNKG2Aneg細胞、少なくとも3.0×10又は約3.0×10NKG2CposNKG2Aneg細胞、少なくとも4.0×10又は約4.0×10NKG2CposNKG2Aneg細胞、少なくとも5.0×10又は約5.0×10NKG2CposNKG2Aneg細胞、少なくとも1.0×1010又は約1.0×1010NKG2CposNKG2Aneg細胞、少なくとも1.5×1010又は約1.5×1010NKG2CposNKG2Aneg細胞、少なくとも2.0×1010又は約2.0×1010NKG2CposNKG2Aneg細胞、少なくとも2.5×1010又は約2.5×1010NKG2CposNKG2Aneg細胞以上の増殖を達成する時間まで実施される。
【0497】
提供される方法のいずれかの一部において、本方法は、培養の開始時と比較して、培養の終了時に増加した数のg-NK細胞を産生する。例えば、培養開始時と比較した培養終了時のg-NK細胞の増加は、100倍以上又は約100倍以上、200倍以上又は約200倍以上、300倍以上又は約300倍以上、400倍以上又は約400倍以上、500倍以上又は約500倍以上、600倍以上又は約600倍以上、700倍以上又は約700倍以上、又は800倍以上又は約800倍以上であり得る。任意の実施形態の一部において、増加は、1000倍又は約1000倍大きい。任意の実施形態の一部では、増加は、2000倍又は約2000倍大きい。任意の実施形態の一部では、増加は、2500倍又は約2500倍大きい。任意の実施形態の一部では、増加は、3000倍又は約3000倍大きい。任意の実施形態の一部では、増加は、5000倍又は約5000倍大きい。任意の実施形態の一部では、増加は、10000倍又は約10000倍大きい。任意の実施形態の一部では、増加は、15000倍又は約15000倍大きい。任意の実施形態の一部では、増加は、20000倍又は約20000倍大きい。任意の実施形態の一部では、増加は、25000倍又は約25000倍大きい。任意の実施形態の一部では、増加は、30000倍又は約30000倍大きい。任意の実施形態の一部では、増加は、35000倍又は約35000倍大きい。いくつかの実施形態では、提供される方法のいずれかに従った培養又はインキュベーションは、方法が少なくとも2.50×10又は約2.50×10個のg-NK細胞、少なくとも3.0×10又は約3.0×10個のg-NK細胞、少なくとも4.0×10又は約4.0×10個のg-NK細胞、少なくとも5.0×10又は約5.0×10個のg-NK細胞、少なくとも6.0×10又は約6.0×10個のg-NK細胞、少なくとも7.0×10又は約7.0×10個のg-NK細胞、少なくとも8.0×10又は約8.0×10個のg-NK細胞、少なくとも9.0×10又は約9.0×10個のg-NK細胞、少なくとも1.0×10又は約1.0×10個のg-NK細胞、少なくとも1.5×10又は約1.5×10個のg-NK細胞、少なくとも2.0×10又は約2.0×10個のg-NK細胞、少なくとも3.0×10又は約3.0×10個のg-NK細胞、少なくとも4.0×10又は約4.0×10個のg-NK細胞、少なくとも5.0×10又は約5.0×10個のg-NK細胞以上、少なくとも1.0×1010又は約1.0×1010個のg-NK細胞以上、少なくとも1.5×1010又は約1.5×1010個のg-NK細胞以上、少なくとも2.0×1010又は約2.0×1010個のg-NK細胞以上、少なくとも2.5×1010又は約2.5×1010個のg-NK細胞以上の増殖を達成する時間まで実施される。
【0498】
いくつかの実施形態では、提供される方法は、g-NK細胞の優先的な増殖をもたらす。いくつかの実施形態では、g-NK細胞は、NK細胞を他のリンパ球又は免疫細胞から区別し、g-NK細胞を従来のNK細胞から区別する1つ以上の様々なマーカーの表面発現の存在、非存在又はレベルによって同定される。実施形態では、表面発現は、フローサイトメトリーによって、例えば、マーカーに特異的に結合する抗体で染色し、マーカーへの抗体の結合を検出することによって決定することができる。同様の方法を実施して、細胞内マーカーの発現を評価することができるが、そのような方法は、典型的には、フローサイトメトリーによって細胞内タンパク質を検出するための染色前の固定及び透過処理のための方法を含む。いくつかの実施形態では、固定は、ホルムアルデヒド(例えば、0.01%)を使用して達成され、その後、洗浄剤(例えば、0.1%~1%洗浄剤、例えば、0.5%又は約0.5%)、例えば、Triton、NP-50、Tween 20、サポニン、ジギトニン又はLeucopermなどを使用して膜を破壊する。
【0499】
抗体及び他の結合実体を使用して、gNK細胞を同定、検出、濃縮及び/又は単離するためのマーカータンパク質の発現レベルを検出することができる。適切な抗体としては、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、断片(例えば、Fab断片)、単鎖抗体、及び特異的結合分子の他の形態が挙げられ得る。
【0500】
いくつかの実施形態では、細胞(例えば、NK細胞サブセット)は、細胞内マーカー又は表面マーカーであり得る特定のマーカーが細胞上又は細胞内に検出可能に存在する場合、特定のマーカーについて陽性(pos)である。実施形態では、表面発現は、染色が、他の点では同一の条件下でアイソタイプ適合対照を用いて同じ手順を実施して検出される染色よりも実質的に高いレベルで、及び/又はマーカーについて陽性であることが知られている細胞と実質的に同様のレベルで、もしくは場合によってはそれよりも高いレベルで、及び/又はマーカーについて陰性であることが知られている細胞よりも高いレベルで検出可能である場合、陽性である。
【0501】
いくつかの実施形態では、細胞(例えば、NK細胞サブセット)は、細胞内マーカー又は表面マーカーであり得る特定のマーカーの細胞上又は細胞内における検出可能な存在が存在しない場合、特定のマーカーについて陰性(neg)である。実施形態において、表面発現は、他の点では同一の条件下でアイソタイプ適合対照を用いて同じ手順を実施して検出される染色を実質的に上回るレベルで、及び/又はマーカーについて陽性であることが知られている細胞よりも実質的に低いレベルで、及び/又はマーカーについて陰性であることが知られている細胞と実質的に同様のレベルで、染色が検出可能でない場合、陰性である。
【0502】
いくつかの実施形態では、細胞(例えば、NK細胞サブセット)は、マーカーについて陽性であることが知られている細胞と比較して、特定のマーカーの細胞上又は細胞内での検出可能な存在のレベルがより低い場合、特定のマーカーについて低度である(lo又はmin)。実施形態では、表面発現は、フローサイトメトリーによって、例えば、マーカーに特異的に結合する抗体で染色し、マーカーへの抗体の結合を検出することによって決定することができ、染色がマーカーについて陽性であることが知られている細胞よりも低いレベルである場合、使用される方法に応じて表面又は細胞内のいずれかの発現は低い。
【0503】
いくつかの実施形態では、g-NK細胞は、NK細胞の表現型を有する細胞(例えば、CD45pos、CD3neg及び/又はCD56pos)であり、g-NK細胞サブセットを同定するか、又はそれに関連する1つ以上のマーカーを発現する。
【0504】
いくつかの実施形態では、g-NK細胞は、公開された特許出願公開第2013/0295044号又はZhang et al.(2013),190:1402-1406に記載されているように同定される。
【0505】
いくつかの実施形態では、g-NK細胞は、実質的なFcRγを発現しないが、ナチュラルキラー細胞の少なくとも1つのマーカーを発現する細胞である。FcRγ鎖(Homo sapiensのアミノ酸配列は、高親和性免疫グロブリンガンマFc受容体Iとも呼ばれ)は、NCBIデータベースにおいて受託番号NP004097.1(GI:4758344)として入手可能であり、以下に配列番号34として再現される。
MIPAVVLLLLLLVEQAAALGEPQLCYILDAILFLYGIVLT LLYCRLKIQVRKAAITSYEKSDGVYTGLSTRNQETYETLKHEKPPQ (配列番号34)。
【0506】
いくつかの実施形態では、NK細胞のg-NK細胞サブセットは、FcRγがNK細胞の集団又はNK細胞の亜集団によって発現されるかどうかを観察することによって検出することができる。いくつかの場合において、g-NK細胞は、FcRγを発現しない細胞として同定される。FcRγタンパク質は細胞内タンパク質である。従って、いくつかの態様において、FcRγの存在又は非存在は、例えば、細胞内タンパク質が検出されることを可能にするための固定及び透過処理によって、細胞の処理後に検出され得る。いくつかの実施形態では、細胞は、細胞内検出の前に、例えば細胞の固定の前に、1つ以上の表面マーカー(CD45、CD3及び/又はCD56)について更に評価される。いくつかの実施形態では、g-NK細胞は、CD45pos/CD3neg/CD56pos/FcRγnegである細胞として同定、検出、濃縮及び/又は単離される。
【0507】
いくつかの実施形態では、増殖集団中のNK細胞の50%超又は約50%超は、FcRγnegである。いくつかの実施形態では、増殖集団中のNK細胞の60%超又は約60%超は、FcRγnegである。いくつかの実施形態では、増殖集団中のNK細胞の70%超又は約70%超は、FcRγnegである。いくつかの実施形態では、増殖集団中のNK細胞の80%超又は約80%超は、FcRγnegである。いくつかの実施形態では、増殖集団中のNK細胞の90%超又は約90%超は、FcRγnegである。いくつかの実施形態では、増殖集団中のNK細胞の95%超又は約95%超は、FcRγnegである。例えば、本明細書における方法は、一般に、高純度、例えば70~90%のg-NK細胞産物をもたらす。
【0508】
いくつかの実施形態では、例えば、試料の細胞が細胞選別又は機能アッセイに供される場合など、細胞内染色を使用せずにg-NK細胞の発現を検出することが有用であり得る。FcRγの細胞内染色を可能にするための処理、例えば固定及び透過処理を使用して、実質的に純粋な細胞集団の同一性を確認することができるが、多くの場合、gNK細胞を同定、検出又は単離する際に細胞を損傷することなく検出することができる細胞表面マーカーを使用することができる。したがって、いくつかの実施形態では、g-NK細胞は、NK細胞のサブセット中のFcRγの欠如と相関する代用マーカープロファイルを使用して同定される。いくつかの実施形態では、FcRγなどの細胞内タンパク質の存在又は非存在が、細胞の特定の適用に依存して評価することが困難であるか又は不可能である場合、代用マーカープロファイルは特に有用である。
【0509】
本明細書において、細胞表面マーカーの特定の組み合わせが、g-NK細胞表現型、すなわちFcRγの細胞内発現を欠くか又は欠損している細胞と相関し、それによって、細胞を損傷しない様式でg-NK細胞を同定又は検出するための代用マーカープロファイルを提供することが見出される。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるg-NK細胞についての代替マーカープロファイルは、1つ以上のマーカーCD16(CD16pos)、NKG2C(NKG2Cpos)もしくはCD57(CD57pos)の陽性表面発現に基づき、ならびに/又は1つ以上のマーカーCD7(CD7dim/neg)、CD161(CD161neg)及び/もしくはNKG2A(NKG2Aneg)の低もしくは陰性表面発現に基づく。いくつかの実施形態では、細胞は、CD45、CD3及び/又はCD56などのNK細胞の1つ以上の表面マーカーについて更に評価される。いくつかの実施形態では、g-NK細胞は、代用マーカープロファイルCD45pos/CD3neg/CD56pos/CD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161negを用いて同定、検出、濃縮及び/又は単離することができる。いくつかの実施形態では、g-NK細胞は、代用マーカープロファイルCD45pos/CD3neg/CD56pos/NKG2Aneg/CD161negを用いて同定、検出、濃縮、及び/又は単離される。いくつかの実施形態では、NKG2Cpos及び/又はNKG2Anegであるg-NK細胞は、同定され、検出され、濃縮され、及び/又は単離される。
【0510】
いくつかの実施形態では、増殖集団中のNK細胞の30%超又は約30%超が、NKG2Cについて陽性であり、及び/又は増殖集団中のNK細胞の50%超又は約50%超が、NKG2Aについて陰性もしくは低度である。いくつかの実施形態では、増殖集団中のNK細胞の35%超又は約35%超が、NKG2Cについて陽性であり、及び/又は増殖集団中のNK細胞の60%超又は約60%超が、NKG2Aについて陰性もしくは低度である。いくつかの実施形態では、増殖集団中のNK細胞の40%超又は約40%超がNKG2Cについて陽性であり、及び/又は増殖集団中のNK細胞の70%超又は約70%超がNKG2Aについて陰性もしくは低度である。いくつかの実施形態では、増殖集団中のNK細胞の45%超又は約45%超がNKG2Cについて陽性であり、及び/又は増殖集団中のNK細胞の80%超又は約80%超がNKG2Aについて陰性もしくは低度である。いくつかの実施形態では、増殖集団中のNK細胞の50%超又は約50%超がNKG2Cについて陽性であり、及び/又は増殖集団中のNK細胞の85%超又は約85%超がNKG2Aについて陰性もしくは低度である。いくつかの実施形態では、増殖集団中のNK細胞の55%超又は約55%超がNKG2Cについて陽性であり、及び/又は増殖集団中のNK細胞の90%超又は約90%超がNKG2Aについて陰性もしくは低度である。いくつかの実施形態では、増殖集団中のNK細胞の60%超又は約60%超がNKG2Cについて陽性であり、及び/又は増殖集団中のNK細胞の95%超又は約95%超がNKG2Aについて陰性もしくは低度である。
【0511】
いくつかの実施形態では、増殖集団中のg-NK細胞の70%超又は約70%超がパーフォリンについて陽性であり、増殖集団中のg-NK細胞の70%超又は約70%超がグランザイムBについて陽性である。いくつかの実施形態では、増殖集団中のg-NK細胞の75%超又は約75%超がパーフォリンについて陽性であり、増殖集団中のg-NK細胞の75%超又は約75%超がグランザイムBについて陽性である。いくつかの実施形態では、増殖集団中のg-NK細胞の80%超又は約80%超がパーフォリンについて陽性であり、増殖集団中のg-NK細胞の80%超又は約80%超がグランザイムBについて陽性である。いくつかの実施形態では、増殖集団中のg-NK細胞の85%超又は約85%超がパーフォリンについて陽性であり、増殖集団中のg-NK細胞の85%超又は約85%超がグランザイムBについて陽性である。いくつかの実施形態では、増殖させた集団中のg-NK細胞の90%超又は約90%超がパーフォリンについて陽性であり、増殖させた集団中のg-NK細胞の90%超又は約90%超がグランザイムBについて陽性である。いくつかの実施形態では、増殖集団中のg-NK細胞の95%超又は約95%超がパーフォリンについて陽性であり、増殖集団中のg-NK細胞の95%超又は約95%超がグランザイムBについて陽性である。
【0512】
任意のそのような実施形態の一部において、増殖集団中の総細胞の20%超又は約20%超、30%超又は約30%超、40%超又は約40%超、50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超が、CARをコードする異種核酸を含む。任意のそのような実施形態のいくつかでは、増殖集団中の総細胞の20%超又は約20%超、30%超又は約30%超、40%超又は約40%超、50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超が、免疫調節物質(例えば、記載の分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。任意のそのような実施形態のいくつかでは、増殖集団中の総細胞の20%超又は約20%超、30%超又は約30%超、40%超又は約40%超、50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超が、CAR及び免疫調節物質(例えば、記載されるような分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。任意のそのような実施形態のいくつかでは、増殖集団中のg-NK細胞、又は本明細書に記載のg-NK細胞の代用マーカープロファイルを有する細胞サブセットの20%超又は約20%超、30%超又は約30%超、40%超又は約40%超、50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超が、CARをコードする異種核酸を含む。任意のそのような実施形態のいくつかでは、増殖集団におけるg-NK細胞又は本明細書に記載のg-NK細胞の代用マーカープロファイルを有する細胞サブセットの20%超又は約20%超、30%超又は約30%超、40%超又は約40%超、50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超は、免疫調節物質(例えば、記載の分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。任意のそのような実施形態のいくつかでは、増殖集団におけるg-NK細胞又は本明細書に記載のg-NK細胞の代用マーカープロファイルを有する細胞サブセットの20%超又は約20%超、30%超又は約30%超、40%超又は約40%超、50%超又は約50%超、60%超又は約60%超、70%超又は約70%超、80%超又は約80%超、90%超又は約90%超、又は95%超又は約95%超は、CAR及び免疫調節物質(例えば、記載の分泌型又は膜結合型のいずれかのサイトカイン)をコードする異種核酸を含む。
【0513】
提供される方法によって増殖させた細胞は、細胞傷害活性、脱顆粒、サイトカインを産生又は分泌する能力、及び1つ以上の細胞内又は表面表現型マーカーの発現を含むがこれらに限定されない、いくつかの機能的又は表現型活性のいずれかについて評価することができる。このような活性を評価する方法は公知であり、本明細書及び実施例に例示されている。
【0514】
いくつかの実施形態では、標的細胞に対する抗体依存性細胞傷害(ADCC)細胞傷害活性を機能性の尺度として使用することができる。ADCC細胞傷害性アッセイのために、増殖からの細胞を、標的細胞上の標的抗原に特異的な抗体の存在下又は非存在下で適切な標的細胞と共培養することができる。例えば、抗骨髄腫細胞傷害性のために、多数の多発性骨髄腫(MM)標的細胞(例えば、AM01、KMS11、KMS18、KMS34、LP1又はMM.1S)のいずれかを使用することができ、アッセイは、抗CD38抗体(例えば、ダラツムマブ)又は抗CD319抗体(例えば、エロツズマブ)を用いて行うことができる。細胞死滅は、任意の数の方法によって決定することができる。例えば、細胞をヨウ化プロピジウム(PI)で染色することができ、NK細胞、生きた標的細胞、及び死んだ標的細胞の数を、フローサイトメトリーなどによって分解することができる。
【0515】
いくつかの実施形態では、増殖集団中のg-NK細胞の10%超又は約10%超が、腫瘍細胞に対する脱顆粒が可能である。脱顆粒は、CD107Aの発現を評価することによって測定することができる。例えば、いくつかの実施形態では、増殖集団中のg-NK細胞の20%超又は約20%超が、腫瘍細胞に対する脱顆粒が可能である。いくつかの実施形態では、増殖集団中のg-NK細胞の30%超又は約30%超が、腫瘍細胞に対する脱顆粒が可能である。いくつかの実施形態では、増殖集団中のg-NK細胞の40%超又は約40%超が、腫瘍細胞に対する脱顆粒が可能である。いくつかの実施形態では、脱顆粒能は、腫瘍細胞に対する抗体の非存在下で測定される。
【0516】
いくつかの実施形態では、増殖集団中のg-NK細胞の10%超又は約10%超が、腫瘍細胞に対して、インターフェロン-ガンマ又はTNF-アルファなどのエフェクターサイトカインを産生することができる。いくつかの実施形態では、増殖集団中のg-NK細胞の20%超又は約20%超が、腫瘍細胞に対するエフェクターサイトカイン、例えば、インターフェロン-ガンマ又はTNF-アルファを産生することができる。いくつかの実施形態では、増殖集団中のg-NK細胞の30%超又は約30%超が、腫瘍細胞に対するエフェクターサイトカイン、例えば、インターフェロン-ガンマ又はTNF-アルファを産生することができる。いくつかの実施形態では、増殖集団中のg-NK細胞の40%超又は約40%超が、腫瘍細胞に対するエフェクターサイトカイン、例えば、インターフェロン-ガンマ又はTNF-アルファを産生することができる。いくつかの実施形態では、インターフェロン-γ又はTNF-αを産生する能力は、腫瘍細胞に対する抗体の非存在下で測定される。
【0517】
g-NK細胞の代用マーカープロファイルを使用することによって、細胞集団を含有する試料中のg-NK細胞を同定又は検出するための方法が本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、方法は、細胞の試料を、1つ以上のマーカーCD16、CD57、CD7、CD161、NKG2C、及び/又はNKG2Aに特異的な抗体又は抗原結合性フラグメントなどの結合分子と接触させることを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、細胞の試料を、CD45、CD3及び/又はCD56に特異的な抗体又は抗原結合フラグメントなどの結合分子と接触させることを更に含む。本方法のいくつかの実施形態では、1つ以上の結合分子を試料と同時に接触させることができる。方法のいくつかの実施形態では、1つ以上の結合分子を試料と逐次的に接触させることができる。いくつかの実施形態では、接触に続いて、方法は、1つ以上の結合分子に結合した細胞を保持するため、及び/又は未結合の結合分子を試料から分離するための条件下での1つ以上の洗浄を含むことができる。
【0518】
いくつかの実施形態では、1つ以上の結合分子、例えば抗体の各々は、マーカーについて陽性又は陰性の細胞の検出のために、標識に直接的又は間接的に付着されていてもよい。例えば、結合分子、例えば抗体は、標識にコンジュゲート、カップリング又は連結されてもよい。標識は、当業者に公知である。本明細書で企図される標識としては、蛍光色素、蛍光タンパク質、放射性同位体、発色団、金属イオン、金粒子(例えば、コロイド金粒子)、銀粒子、強い光散乱特性を有する粒子、磁性粒子(例えば、Dynabeads(登録商標)磁性ビーズなどの磁性ビーズ粒子)、ポリペプチド(例えば、FLAG(商標)タグ、ヒトインフルエンザ血球凝集素(HA)タグなど)、ペルオキシダーゼ(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ)又はホスファターゼ(例えば、アルカリホスファターゼ)などの酵素、ストレプトアビジン、ビオチン、発光化合物(例えば、化学発光基質)、オリゴヌクレオチド、特異的結合対のメンバー(例えば、リガンド及びその受容体)、ならびに結合分子、例えば、抗体に直接又は間接的に付着した場合に前記抗体を可視化又は検出するために使用される当技術分野で公知の他の標識が挙げられるが、これらに限定されない。
【0519】
表面マーカー又はタンパク質の発現レベルを評価するためのいくつかの公知の方法が、例えば、親和性に基づく方法、例えば、免疫親和性に基づく方法による検出、例えば、フローサイトメトリーによるような表面マーカーの状況において使用され得る。いくつかの実施形態では、標識はフルオロフォアであり、g-NK細胞の検出又は同定のための方法はフローサイトメトリーによる。いくつかの実施形態では、異なる標識が、マルチカラーフローサイトメトリーによって異なるマーカーの各々について使用される。
【0520】
いくつかの実施形態では、本方法は、試料を、CD45、CD3、CD56、CD57、CD7、及びCD161に特異的な結合分子と接触させることを含む。いくつかのそのような実施形態において、g-NK細胞は、g-NK細胞代用マーカープロファイルCD45pos/CD3neg/CD56pos/CD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161negを有する細胞として同定又は検出される。
【0521】
いくつかの実施形態では、本方法は、試料を、CD45、CD3、CD56、NKG2A及びCD161に特異的な結合分子と接触させることを含む。いくつかのそのような実施形態において、g-NK細胞は、g-NK細胞代用マーカープロファイルCD45pos/CD3neg/CD56pos/NKG2Aneg/CD161negを有する細胞として同定又は検出される。
【0522】
いくつかの実施形態では、提供される方法はまた、提供される方法のいずれかに従って優先的に増殖させたg-NK細胞などのg-NKを単離又は濃縮することを含み得る。いくつかのそのような実施形態において、g-NK細胞の実質的に純粋な集団、例えば、記載されるパネル又はマーカーの組み合わせのいずれかを使用して決定されるような、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、それらの近似値又はそれ以上を超えるg-NK細胞を含有する細胞集団を得ることができる。抗体及び他の結合分子は、gNK細胞の単離又は濃縮における使用のために、マーカータンパク質の発現レベルの存在又は非存在を検出するために使用され得る。いくつかの実施形態では、単離又は濃縮は、蛍光活性化細胞選別(FACs)によって行われる。そのような方法の例において、g-NK細胞は、複数の細胞表面マーカーについて細胞を染色するための上記の方法を使用してフローサイトメトリーによって同定又は検出され、染色された細胞は、g-NK細胞に関連するマーカーについて陽性又は陰性である細胞の収集のために流体流中で運ばれる。
【0523】
VI.キット及び製品
本明細書では、g-NK細胞などの特定のサブセットについて濃縮されたNK細胞を含有する提供される組成物を含む製品及びキットが提供される。いくつかの実施形態では、g-NK細胞は、CARなどの抗原受容体をコードする核酸などを用いて操作される。いくつかの実施形態では、g-NK細胞は、サイトカインなどの免疫調節物質をコードする核酸などを用いて操作される。いくつかの実施形態では、g-NK細胞は、CARなどの抗原受容体及びサイトカインなどの免疫調節物質をコードする核酸などを用いて操作される。組成物中の細胞には、抗原受容体(例えば、CAR)をコードする異種核酸を含む操作されたg-NK細胞が含まれる。組成物中の細胞には、免疫調節物質(例えば、サイトカイン)をコードする異種核酸を含む操作されたg-NK細胞がある。組成物中の細胞の中には、抗原受容体(例えば、CAR)及び免疫調節物質(例えば、サイトカイン)をコードする異種核酸を含む操作されたg-NK細胞がある。いくつかの実施形態では、組成物は、提供される方法のいずれかによって産生される。いくつかの実施形態では、キットは、提供される組成物のいずれかと、単剤療法として組成物を投与するための説明書とを含む。
【0524】
いくつかの実施形態では、提供される組成物のいずれかと追加の薬剤とを含むキットが本明細書で提供される。例示的な追加の薬剤は、本明細書に記載される任意のものを含む。いくつかの実施形態では、追加の薬剤はFcドメインを含む。いくつかの実施形態では、追加の薬剤は、Fc融合タンパク質又は抗体である。いくつかの実施形態では、追加の薬剤は、抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、ヒト抗体、ヒト化抗体、又はキメラ抗体である。いくつかのこれらの実施形態では、抗体は完全長の抗体である。例示的な抗体は、記載される任意のものを含んだ。
【0525】
キットは、任意選択で、使用説明書、デバイス及び追加の試薬(例えば、組成物の希釈及び/又は凍結乾燥タンパク質の再構成のための滅菌水又は生理食塩水溶液)などの1つ以上の構成要素、ならびに方法の実施のためのチューブ、容器及びシリンジなどの構成要素を含むことができる。いくつかの実施形態では、キットは、試料の収集、試料の調製及び処理のための試薬、ならびに/又は試料中の1つ以上の表面マーカーの量を定量化するための試薬、例えば、限定されないが、抗体などの検出試薬、緩衝液、酵素染色のための基質、クロマゲン、又はスライド、容器、マイクロタイタープレートなどの他の材料、及び任意選択で、方法を実施するための説明書を更に含むことができる。当業者は、提供される方法に従って使用され得る多くの他の可能な容器及びプレートならびに試薬を認識する。
【0526】
いくつかの実施形態では、キットは、細胞、抗体もしくは試薬、又はそれらの組成物、又は1つ以上の他の成分を包装するための包装材料を含む製品として提供することができる。例えば、キットは、容器、ボトル、チューブ、バイアル、及びキットの成分を分離又は組織化するのに適した任意の包装材料を含むことができる。1つ以上の容器は、ガラス又はプラスチックなどの様々な材料から形成されてよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の容器は、本方法において使用するための細胞又は抗体又は他の試薬を含む組成物を保持する。本明細書における製品又はキットは、別々の容器中又は同じ容器中に細胞、抗体又は試薬を含み得る。
【0527】
いくつかの実施形態では、組成物を保持する1つ以上の容器は、単回使用バイアル又は複数回使用バイアルであってもよく、これは、場合によっては、組成物の反復使用を可能にし得る。いくつかの実施形態では、製品又はキットは、適切な希釈剤を含む第2の容器を更に含み得る。製品又はキットは、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、治療剤及び/又は使用説明書を含む添付文書を含む、商業的、治療的及び使用者の観点から望ましい他の材料を更に含んでもよい。
【0528】
いくつかの実施形態では、キットは、任意選択で、説明書を含むことができる。説明書は、典型的には、細胞組成物、試薬及び/又は抗体、ならびに任意選択で、キットに含まれる他の構成要素、ならびにそのようなものを使用するための方法を説明する具体的な表現を含む。いくつかの実施形態では、説明書は、提供される実施形態のいずれかに従うような、疾患又は状態を処置するために対象に投与するための細胞組成物及び抗体を使用するための方法を示す。いくつかの実施形態では、説明書は、ラベル又は添付文書として提供され、これは容器上にあるか、又は容器に付随する。いくつかの実施形態では、説明書は、組成物の再構成及び/又は使用のための指示を示し得る。
【0529】
VII.治療方法
本明細書では、対象における疾患又は状態の治療に使用するための、本明細書に記載のいずれかを含む、提供される操作されたg-NK細胞を含むg-NK細胞組成物(操作されたg-NK細胞組成物とも呼ばれる)に関する使用のための組成物及び方法が提供される。方法及び使用は、セクションIVに記載されるもの、又はセクションIIもしくはVに記載される本明細書の方法によって産生されるものを含む、本明細書に記載される任意の組成物の使用を含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるのは、個体における状態を処置する方法であって、それを必要とする個体に、操作されたg-NK細胞を含む提供されるg-NK組成物のいずれかを投与することを含む、方法である。組成物中の細胞には、抗原受容体(例えば、CAR)をコードする異種核酸を含む操作されたg-NK細胞が含まれる。組成物中の細胞には、免疫調節物質(例えば、サイトカイン)をコードする異種核酸を含む操作されたg-NK細胞がある。組成物中の細胞の中には、抗原受容体(例えば、CAR)及び免疫調節物質(例えば、サイトカイン)をコードする異種核酸を含む操作されたg-NK細胞がある。特定の実施形態では、組成物は、本明細書で提供される方法によって産生される。そのような方法及び使用は、例えば、疾患、状態、又は障害を有する対象への治療用細胞又はそれを含有する組成物の投与を含む、治療方法及び使用を含む。いくつかの実施形態では、疾患又は障害は、腫瘍やがんである。いくつかの実施形態では、疾患又は障害は、ウイルス感染である。いくつかの実施形態では、細胞又はその薬学的組成物は、疾患又は障害の処置をもたらすのに有効な量で投与される。使用には、そのような方法及び処置における、ならびにそのような治療方法を実施するための医薬の調製における細胞又はその医薬組成物の使用が含まれる。いくつかの実施形態では、本方法は、それによって、対象における疾患又は状態又は障害を処置する。
【0530】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたg-NK細胞を含む提供されるNK細胞組成物の提供される方法及び使用のいずれかは、PCT公開第WO2020/107002号又はPCT出願第PCT/US2021/028504号に記載される方法及び使用を含み得る。
【0531】
いくつかの実施形態では、処置又は使用の方法は、提供される方法によって産生された増殖NK細胞を含む任意のそのような組成物を含む、本明細書で提供される操作されたg-NK細胞を含有する組成物などの本明細書で提供されるg-NK細胞組成物の細胞の有効量の個体への投与を含む。いくつかの実施形態では、提供される方法によって産生される任意の組成物を含む、本明細書で提供される操作されたNK細胞を含有する組成物などの、本明細書で提供されるそのようなg-NK細胞組成物の細胞が10~1012、又は10~10、又は10~1012、又は10~1011、又は10~1010もしくはそれらの近似値の範囲で、個体に投与される。いくつかの実施形態では、提供される方法によって産生される任意の組成物を含む、本明細書で提供される操作されたNK細胞を含有する組成物などの、本明細書で提供されるそのようなg-NK細胞組成物の細胞を、10個超又は約10個超、10個超又は約10個超、10個超又は約10個超、10個超又は約10個超、10個超又は約10個超、1010個超又は約1010個超、1011個超又は約1011個超、又は1012個超又は約1012個超含有する細胞用量で、個体に投与される。
【0532】
いくつかの実施形態では、治療方法又は使用は、本明細書に記載される任意の操作されたg-NK細胞組成物を含む、提供されるNK細胞組成物のいずれかの細胞の有効量を個体に投与することを含む。いくつかの実施形態では、操作されたg-NK細胞を含有する提供される組成物のいずれかに由来する、10~1012、又は10~10、又は10~1012、又は10~1011、又は10~1010もしくはそれらの近似値の範囲の細胞が、個々の対象に投与される。いくつかの実施形態では、操作されたg-NK細胞を含有する提供される組成物のいずれかからの細胞を、10個超又は約10個超、10個超又は約10個超、10個超又は約10個超、10個超又は約10個超、10個超又は約10個超、1010個超又は約1010個超、1011個超又は約1011個超、又は1012個超又は約1012個超含有する細胞用量で個体に投与される。いくつかの実施形態では、1kg当たり、操作されたg-NK細胞を含有する提供される組成物のいずれかのそのような細胞の10~1010又は約10~1010個が、対象に投与される。
【0533】
いくつかの実施形態では、操作されたg-NK細胞を含有する組成物は、所定の用量数にわたって週1回投与され得る。
【0534】
いくつかの実施形態では、所定数の週1回用量は、1回用量、2回用量、3回用量、4回用量、5回用量、6回用量、7回用量、8回用量、9回用量、10回用量、11回用量又は12回用量である。いくつかの実施形態では、週1回の用量は、4週間、6週間、8週間、10週間、12週間、16週間、20週間、24週間、28週間、32週間、36週間又はそれ以上にわたって投与される。いくつかの実施形態では、g-NK細胞組成物の週1回用量が6回投与される。いくつかの実施形態では、週1回の用量は、連続した週で投与される。
【0535】
いくつかの実施形態では、週1回の用量は、サイクリングレジメンで投与される。いくつかの実施形態では、サイクリングレジメンは、14日周期である。いくつかの実施形態では、週1回の用量は、14日周期に2回投与される。いくつかの実施形態では、14日周期は2回繰り返される。いくつかの実施形態では、14日周期は3回繰り返される。
【0536】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される操作されたg-NK細胞を含有する開示される細胞又は組成物のいずれかの有効量が、5週間の持続期間にわたって週1回対象に投与される。
【0537】
いくつかの実施形態では、操作されたg-NK細胞を含有するg-NK細胞組成物の細胞の各用量は、g-NK細胞組成物の、1×10又は約1×10から、50×10又は約50×10個の細胞であってもよい。いくつかの実施形態では、操作されたg-NK細胞を含有するg-NK細胞組成物の細胞の各用量は、g-NK細胞組成物の5×10又は約5×10個の細胞であってもよい。いくつかの実施形態では、操作されたg-NK細胞を含有するg-NK細胞組成物の細胞の各用量は、g-NK細胞組成物の5×10個の細胞であってもよく、又は約5×10個の細胞であってもよい。いくつかの実施形態では、操作されたg-NK細胞を含有するg-NK細胞組成物の細胞の各用量は、g-NK細胞組成物の10×10個の細胞であり得るか、又は約10×10の細胞であり得る。
【0538】
いくつかの実施形態では、提供される処置方法又は使用のいずれかに従った投与のための用量は、1×10細胞/kg~1×10細胞/kg、例えば1×10細胞/kg~7.5×10細胞/kg、1×10細胞/kg~5×10細胞/kg、1×10細胞/kg~2.5×10細胞/kg、1×10細胞/kg~1×10細胞/kg、1×10細胞/kg~7.5×10細胞/kg、1×10細胞/kg~5×10細胞/kg、1×10細胞/kg~2.5×10細胞/kg、2.5×10細胞/kg~1×10細胞/kg、2.5×10細胞/kg~7.5×10細胞/kg、2.5×10細胞/kg~5×10細胞/kg、2.5×10細胞/kg~2.5×10細胞/kg、2.5×10細胞/kg~1×106細胞/kg、2.5×10細胞/kg~7.5×10細胞/kg、2.5×10細胞/kg~5×10細胞/kg、5×10細胞/kg~1×107細胞/kg、5×10細胞/kg~7.5×10細胞/kg、5×10細胞/kg~5×10細胞/kg、5×10細胞/kg~2.5×106細胞/kg、5×10細胞/kg~1×10細胞/kg、5×10細胞/kg~7.5×10細胞/kg、1×10細胞/kg~1×107細胞/kg、1×10細胞/kg~7.5×10細胞/kg、1×10細胞/kg~5×10細胞/kg、1×10細胞/kg~2.5×10細胞/kg、2.5×10細胞/kg~1×10細胞/kg、2.5×10細胞/kg~7.5×10細胞/kg、2.5×10細胞/kg~5×10細胞/kg、5×10細胞/kg~1×10細胞/kg、5×10細胞/kg~7.5×10細胞/kg、又は7.5×10細胞/kg~1×107細胞/kg、もしくはそれらの各近似値の範囲である。いくつかの実施形態では、投与のための用量は、1×10細胞/kg~1×10細胞/kg、例えば、2.5×10細胞/kg~1×10細胞/kg、5×10細胞/kg~1×10細胞/kg、7.5×10細胞/kg~1×10細胞/kg、1×10細胞/kg~1×10細胞/kg、2.5×10細胞/kg~1×10細胞/kg、5×10細胞/kg~1×10細胞/kg、7.5×10細胞/kg~1×10細胞/kg、1×10細胞/kg~1×10細胞/kg、2.5×10細胞/kg~1×10細胞/kg、5×10細胞/kg~1×10細胞/kg、又は7.5×10細胞/kg~1×10細胞/kgもしくはそれらの各近似値の範囲である。
【0539】
いくつかの実施形態では、用量は、本明細書に記載されるNK細胞サブセットのいずれかなどのg-NK細胞のための代用マーカーと関連するか又はそれを含む組成物中のg-NK細胞もしくはNK細胞サブセットの数、又は前述のいずれかの生存細胞の数として与えられる。上記の実施形態のいずれかにおいて、用量は、提供されるような、例えば提供される方法によって産生されるような操作された細胞の組成物中の細胞の数、又は前述のいずれかの生存細胞の数として与えられる。
【0540】
いくつかの実施形態では、処置方法又は使用のいずれかに従った投与のための用量は、操作されたg-NK細胞を含むg-NK細胞組成物の5×10又は約5×10から、10×10又は約10×10、例えば5×10~5×10、5×10~1×10、5×10~5×10、5~×10~1×10、1×108~10×10、1×10~5×10、1×10~1×10、1×108~5×10、5×10~10×10、5×10~5×10、5×10~1×10、1×10~10×10、1×10~5×10、又は5×10~10×10、もしくはそれらの各近似値の範囲である。いくつかの実施形態では、投与のための用量は、操作されたg-NK細胞をNK細胞を含有するg-NK細胞組成物の5×10又は約5×10である。いくつかの実施形態では、投与のための用量は、操作されたg-NK細胞をNK細胞を含有するg-NK細胞組成物の細胞の1×10又は約1×10である。いくつかの実施形態では、投与のための用量は、操作されたg-NK細胞を含有するg-NK細胞組成物の5×10又は約5×10個の細胞である。いくつかの実施形態では、投与のための用量は、操作されたg-NK細胞を含有するg-NK細胞組成物の1×1010又は約1×1010個の細胞である。上記の実施形態のいずれかにおいて、用量は、提供される方法によって産生される操作された細胞の組成物中の細胞の数、又は前述のいずれかの生存細胞の数として与えられる。いくつかの実施形態では、用量は、g-NK細胞、又は本明細書に記載されるNK細胞サブセットのいずれかなどのg-NK細胞の代用マーカーと関連するかもしくはそれを含むNK細胞サブセットの数、又は前述のいずれかの生存細胞の数として与えられる。
【0541】
いくつかの実施形態では、操作されたg-NK細胞を含有する組成物の細胞の用量は、提供される方法による増殖及び/又は操作の直後に個体に投与される。他の実施形態において、操作されたg-NK細胞を含有するg-NK細胞の組成物は、例えば、上記の方法によって、投与前に保存される。例えば、NK細胞は、個体への投与前に6、12、18、又は24ヶ月を超えて保存することができる。
【0542】
いくつかの実施形態では、操作されたNK細胞及びそのサブセット、例えばg-NK細胞を含有する提供される組成物は、皮下、筋肉内、静脈内、及び/又は硬膜外投与経路などの非経口経路を含む任意の好都合な経路によって対象に投与することができる。
【0543】
特定の実施形態において、提供される組成物は、静脈内注入によって投与される。いくつかの実施形態では、10×10又は約10×10から、10×10又は約10×10個の細胞が、1mL~100mLの体積で静脈内注入によって投与される。いくつかの実施形態では、50×10又は約50×10個の細胞が投与される。いくつかの実施形態では、1×10又約1×10個の細胞が投与される。いくつかの実施形態では、5×10又約5×10個の細胞が投与される。いくつかの実施形態では、10×10又約10×10個の細胞が投与される。細胞数を投与するために注入する細胞の体積を決定することは、当業者のレベルの範囲内である。一例では、0.5×10個の細胞は、2.5×10細胞/mL又は約2.5×10細胞/mLの濃度で(例えば、200mL中に5×10個の細胞又は約5×10個の細胞で)製剤化された、解凍した凍結保存組成物などの組成物から、約20mLの体積の静脈内注入によって投与される。
【0544】
提供される操作されたg-NK細胞組成物は、腫瘍もしくは過剰増殖性障害又は微生物感染、例えばウイルス感染、酵母感染、真菌感染、原虫感染及び/もしくは細菌感染を有する個体を処置する方法において使用することができる。提供される操作されたg-NK細胞組成物は、哺乳動物、例えばヒト対象などの動物の処置のために投与することができる。
【0545】
一部の例では、本方法は、血液学的悪性疾患又は固形腫瘍などの過剰増殖性障害を処置することを含む。本明細書中に記載される組成物で処置され得るがん及び増殖障害の型の例としては、限定されないが、多発性ミエローマ、白血病(例えば、骨髄芽球性、前骨髄球性、骨髄単球性、単球性、赤白血病、慢性骨髄球性(顆粒球性)白血病、及び慢性リンパ球性白血病)、リンパ種(例えば、ホジキン病及び非ホジキン病)、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、血管肉腫、内皮肉腫、ユーイング腫瘍、結腸がん、膵臓がん、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、扁平上皮がん、基底細胞がん、腺がん、腎細胞がん、肝がん、ウィルムス腫瘍、頚部がん、子宮がん、精巣腫瘍、肺がん、小細胞肺がん、膀胱がん、上皮がん、グリオーム、アストロサイトーマ、乏突起神経膠腫、メラノーマ、神経芽細胞腫、網膜芽腫、異形成及び過形成が挙げられる。がんの治療及び/又は予防としては、がんに関連する1つ以上の症状の緩和、がんの進行の阻害若しくは低減、がんの退縮の促進、及び/又は免疫応答の促進が挙げられるが、これらに限定されない。
【0546】
いくつかの例では、本方法は、体内のウイルスの存在によって引き起こされる感染症などのウイルス感染症を治療することを含む。ウイルス感染は、DNA又はRNAウイルスによって引き起こされ得、慢性又は持続性のウイルス感染を含み、これは、宿主に感染し、致死的であると証明される前に、長期間(通常、数週間、数ヶ月又は数年)にわたって宿主の細胞内で増殖することができるウイルス感染である。本発明に従って治療され得る慢性感染症を引き起こすウイルスとしては、例えば、ヒトパピローマウイルス(HPV)、単純疱疹ウイルス、及び他のヘルペスウイルス、C型肝炎・B型肝炎のウイルス、ならびに他の肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、及び麻疹ウイルスが挙げられ、これらは全て、重要な臨床疾患を生じ得る。長期の感染は、最終的に、例えば、C型肝炎ウイルス肝臓がんの場合、患者にとって致命的であり得る疾患の誘導をもたらし得る。本発明に従って治療することができる他の慢性としては、エプスタイン・バールウイルス(EBV)、ならびに他のウイルス(例えば、腫瘍に関連し得るウイルス)が挙げられる。
【0547】
本明細書に記載の組成物及び方法を用いて治療又は予防することができるウイルス感染の例としては、コロナウイルス(例えば、感染がCOVID-19であるSARS-CoV-2)、レトロウイルス(例えば、ヒトT細胞性リンパ指向性ウイルス(HTLV)I型及びII型ならびにヒト免疫不全ウイルス(HIV))、ヘルペスウイルス(例えば、単純疱疹ウイルス(HSV)I型及びII型、エプスタインバールウイルス及びサイトメガロウイルス)、アレナウイルス(例えば、ラッサ熱ウイルス)、パラミクソウイルス(例えば、モルビリウイルス、RSウイルス及びニューモウイルス)、アデノウイルス、ブニヤウイルス(例えば、ハンタウイルス)、コルナウイルス、フィロウイルス(例えば、エボラウイルス)、フラビウイルス(例えば、C型肝炎ウイルス(HBV))、オルトミクソウイルス(例えば、センダイウイルス及びインフルエンザウイルスA、B及びC)、パポバウイルス(例えば、パピローマウイルス)、ピコルナウイルス(例えば、ライノウイルス、エンテロウイルス及びA型肝炎ウイルス)、ポックスウイルス、レオウイルス(例えば、ロタウイルス)、トガウイルス(例えば、風疹ウイルス)及びラブドウイルス(例えば、狂犬病ウイルス)によって引き起こされるウイルス感染が挙げられるが、これらに限定されない。ウイルス感染の治療及び/又は予防は、前記感染に関連する1つ以上の症状の緩和、ウイルス複製の阻害、低減若しくは抑制、及び/又は免疫応答の増強を含むが、これらに限定されない。
【0548】
いくつかの実施形態では、操作されたg-NK細胞及び操作されたg-NK細胞を含有する組成物は、酵母又は細菌感染を処置する方法において使用される。酵母菌又は細菌感染の例としては、化膿性連鎖球菌、ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)、ナイセリア・ゴノレア(Neisseria gonorrhoea)、ナイセリア・メニンギティディス、コリネバクテリウム・ジフテリア(Corynebacterium diphtheriae)、クロストリジウム・ボツリナム(Clostridium botulinum)、クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)、クロストリジウム・テタニ(Clostridium tetani)、ヘモフィルス・インフルエンザ(Haemophilus influenzae)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、クレブシエラ・オザエナエ(Klebsiella ozaenae)、クレブシエラ・リノシェレロモーティス(Klebsiella rhinoscleromotis)、黄色ブドウ球菌、コレラ菌(Vibrio cholera)、大腸菌(Escherichia coli)、シュードモナス・アエルギノーザ(Pseudomonas aeruginosa)、カンピロバクター(ビブリオ)・フェタス(Campylobacter (Vibrio) fetus)、カンピロバクター・ジェジュニ、アエロモナス・ハイドロフィラ(Aeromonas hydrophila)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)、エドワージエラ・タルダ(Edwardsiella tarda)、エンテロコリチカ菌(Yersinia enterocolitica)、ペスト菌(Yersinia pestis)、仮性結核菌(Yersinia pseudotuberculosis)、シゲラ・ディセンテリア(Shigella dysenteriae)、シゲラ・フレックスネリ(Shigella flexneri)、シゲラ・ソネイ(Shigella sonnei)、サルモネラ・チフィムリウム(Salmonella typhimurium)、トレポネーマ・パリダム(Treponema pallidum)、トレポネーマ・ペルテヌエ(Treponema pertenue)、トレポネーマ・カラテニウム(Treponema carateneum)、ボレリア・ビゲネリ(Borrelia vincentii)、ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)、黄疸出血性レプトスピラ(Leptospira icterohemorrhagiae)、マイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis)、トキソプラズマ・ゴンディ(Toxoplasma gondii)、ニューモシスティス・カリニ(Pneumocystis carinii)、フランシセラ・ツラレンシス(Francisella tularensis)、ウシ流産菌(Brucella aborts)、ブタ流産菌(Brucella suis)、ヤギ流産菌(Brucella melitensis)、マイコプラズマ属の種(Mycoplasma spp.)、発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazeki)、リケッチア・ツツガムシ(Rickettsia tsutsugumushi)、クラミジア属の種(Chlamydia spp)、ヘリコバクターピロリ(Helicobacter pylori)又はそれらの組み合わせに関する感染が挙げられる。
【0549】
いくつかの実施形態では、提供される操作されたg-NK細胞及びその組成物は、疾患又は障害の処置のための単剤療法として使用することができる。
【0550】
A.併用療法
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される操作されたg-NK細胞を含有する組成物は、対象における疾患又は状態を処置するための1つ以上の他の薬剤との併用療法で投与され得る。そのような実施形態では、本明細書で提供される操作されたg-NK細胞を含有する組成物は、1つ以上の他の薬剤の投与の前に、それと同時に、又はその後に(後に)投与することができる。
【0551】
いくつかの実施形態では、提供される操作されたg-NK細胞及び組成物で対象を処置する開示される方法は、治療用モノクローナル抗体、例えば、抗腫瘍抗原又は抗がん抗体、抗ウイルス抗体又は抗細菌抗体と組み合わせることができる。
【0552】
いくつかの実施形態では、操作されたgNK細胞の細胞の用量は、抗微生物剤、抗ウイルス剤及び他の治療剤と同時に又は連続して投与することができる。いくつかの実施形態では、本方法は、化学療法剤、細胞傷害性剤、又は免疫調節物質を対象に投与することと組み合わせて行われる。
【0553】
本明細書に提供されるいくつかの実施形態では、操作されたgNK細胞又はそれを含有する組成物は、サイトカイン及び/又は増殖因子と組み合わせて個体に投与され得る。サイトカインはNK細胞活性に必要であるので、典型的な方法は、外因性サイトカインサポートとしてのNK細胞療法と組み合わせて対象に外因性サイトカインを投与することを含む。
【0554】
例示的な併用療法を以下のサブセクションに記載する。
【0555】
1.抗体の組み合わせ
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される操作されたgNK細胞を含有する組成物は、抗体又はFc含有タンパク質によって活性化された場合、又は抗体又はFc含有タンパク質と接触した場合、例えば、従来のNK細胞と比較して、増強された活性を示す。例えば、gNK細胞は、CD16の抗体媒介性架橋によって、又は抗体被覆腫瘍細胞によって活性化され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるのは、個体における状態を治療する方法であって、操作されたgNK細胞又はその組成物及び抗体を対象に投与することを含む、方法である。
【0556】
当業者は、例えば個体の特定の疾患又は状態に応じて、提供される操作されたgNK細胞及び本明細書に記載される組成物と共に対象に投与するための適切な治療用(例えば、抗がん)モノクローナル抗体を選択することができる。適切な抗体としては、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、断片(例えば、Fab断片)、単鎖抗体、及び特異的結合分子の他の形態が挙げられ得る。
【0557】
いくつかの実施形態では、抗体は、ヒト化抗体又はヒト抗体を更に含み得る。非ヒト抗体のヒト化形態は、非ヒトIgに由来する最小限の配列を含むキメラIg、Ig鎖、又は断片(Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2又は抗体の他の抗原結合部分配列など)である。いくつかの実施形態では、抗体は、Fc断片を含まない。
【0558】
一般的に、ヒト化抗体は、非ヒト源から移入された1つ以上のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基は、典型的には「移入」可変ドメインから取り込まれた「移入」残基と呼ばれることが多い。ヒト化は、齧歯類CDR又はCDR配列をヒト抗体の対応する配列に置換することによって達成される(Jones et al.,1986、J.Riechmann et al.,1988、Verhoeyenら、1988)。したがって、このような「ヒト化」抗体は、キメラ抗体(米国特許第1989号)であり、完全なものより実質的に小さいヒト可変ドメインが、非ヒト種の対応する配列により置換されている。実際には、ヒト化抗体は、典型的には、いくつかのCDR残基及び場合によりいくつかのFR残基が、げっ歯類抗体の類似部位由来の残基で置換された、ヒト抗体である。ヒト化抗体として、レシピエントの相補性決定領域(CDR)の残基が、所望の特異性、親和性及び能力を有するマウス、ラット、又はウサギなどの非ヒト種(ドナー抗体)のCDRの残基で置換されている、ヒト抗体(レシピエント抗体)が挙げられる。いくつかの例において、対応する非ヒト残基は、ヒト抗体のFvフレームワーク残基を置換する。またヒト化抗体は、レシピエント抗体又は移入されたCDR若しくはフレームワーク配列においても見られない、残基も含んでよい。一般に、ヒト化抗体は、実質的に全ての少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインを含み、CDR領域のすべてではないにしても、ほとんどが、非ヒト免疫グロブリンのものと一致し、FR領域のすべてではないにしても、ほとんどが、ヒト免疫グロブリンのものである。ヒト化抗体は、最適には、典型的にはヒト免疫グロブリンのものである、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部も含む(Jones et al.,1986;Presta,992;Riechmannet al.,1988)。
【0559】
ヒト抗体はまた、ファージディスプレイライブラリー(Hoogenboom et al.,1991)Marks et al.,1991)及びヒトmAbの調製(Boerner et al.,1991;Reisfeld and Sell,1985)を含むさまざまな技術を使用して生成することもできる。同様に、内因性抗体遺伝子が部分的又は完全に不活性化されているトランスジェニック動物にヒトIg遺伝子を導入することを利用して、ヒトAbを合成することができる。誘発時、遺伝子再配列、集合、及び抗体レパートリーなどの全ての点において、ヒトで見られるものとよく似たヒト抗体産生が観察される(1997a;1997b;1997c;1997d;1997;1997;Fishwild et al.,1996;1997;1997;2001;1996;1997;1997;1997;Lonberg and Huszar,1995;Lonbergら、1994;Marks et al.,1992;1997;1997;1997)。
【0560】
具体的には、本発明の細胞は、腫瘍関連抗原を認識する抗体を投与することによって腫瘍を標的とすることができる。当業者は、本gNK細胞が、腫瘍関連抗原を認識する多種多様な抗体と共に使用するのに適していることを理解するであろう。腫瘍関連抗原の非限定的な例としては、CD19、CD20、CD22、CD30、CD33、CD37、CD38、CD40、CD52、CD56、CD70、CD74、CD140、EpCAM、CEA、gpA33、メソテリン、α-フェトプロテイン、ムチン、PDGFR-α、TAG-72、CAIX、PSMA、葉酸結合タンパク質、散乱因子受容体キナーゼ、ガングリオシド、サイトケラチン、frizzled受容体、VEGF、VEGFR、インテグリンαVβ3、インテグリンα5β1、EGFR、EGFL7、ERBB2(HER2)、ERBB3、フィブロネクチン、HGF、HER3、LOXL2、MET、IGF1R、IGLF2、EPHA3、FR-α、ホスファチジルセリン、シンデカン1、SLAMF7(CD319)、TRAILR1、TRAILR2、RANKL、FAP、ビメンチン、又はテネイシンが挙げられる。いくつかの場合では、抗体は抗CD20抗体(例えばリツキシマブ)、抗HER2抗体(例えばセツキシマブ)、抗CD52抗体、抗EGFR抗体及び抗CD38抗体(例えばダラツムマブ)、抗SLAMF7抗体(例えばエロツズマブ)である。
【0561】
g-NK細胞を含む組成物との組み合わせ療法において提供される方法において使用することができる非限定的な抗体としては、トラスツズマブ(ハーセプチン(登録商標))、ラムシルマブ(Cyramza(登録商標))、アテゾリズマブ(Tecentriq(商標))、ニボルマブ(Opdivo(登録商標))、デュルバルマブ(Imfinzi(商標))、アベルマブ(Bavencio(登録商標))、ペンブロリズマブ(Keytruda(登録商標))、ベバシズマブ(Avastin(登録商標))、エベロリムス(Afinitor(登録商標))、ペルツズマブ(Perjeta(登録商標))、アド-トラスツズマブエムタンシン(Kadcyla(登録商標))、セツキシマブ(Erbitux(登録商標))、デノスマブ(Xgeva(登録商標))、リツキシマブ(Rituximab(登録商標))、アレムツズマブ(Campath(登録商標))、オファツムマブ(Arzerra(登録商標))、オビヌツズマブ(Gazyva(登録商標))、ネシツムマブ(Portrazza(登録商標))、イブリツモマブチウキセタン(Zevalin(登録商標))、ブレンツキシマブベドチン(Adcetris(登録商標))、シルツキシマブ(Silvant(登録商標))、ボルテゾミブ(Velcade(登録商標))、ダラツムマブ(Darzalex(商標))、エロツズマブ(Empliciti(商標))、ジヌツキシマブ(Unituxin(商標))、オララツマブ(Lartruvo(商標))、オクレリズマブ、イサツキシマブ、トルキシマ、ブリツィマ、リテムビア、リツゼナ、ヘルズマ、ルキシエンス、ABP798、カンジンティ、オジヴリー、BI695500、ノベックス(RTXM83)、トシツモマブもしくはオントルザント、又はそれらのバイオシミラーが挙げられる。例示的な抗体としては、リツキシマブ、トラスツズマブ、アレツズマブ(aletuzumab)、セルツキシマブ(certuximab)、ダラツムマブ、ベルツズマブ、オファツムマブ、ウブリツキシマブ、オカラツズマブ、又はエロツズマブが挙げられる。
【0562】
いくつかの実施形態では、抗体は、抗PD-1又は抗PD-L 1抗体であり得る。PD-1又はPD-L1を標的とする抗体としては、ニボルマブ、ペンブロリズマブ又はアテゾリズマブが挙げられるが、これらに限定されない。
【0563】
選択されたがんタイプに特異的な抗体を選択することができ、がんの治療に承認された任意の抗体が含まれる。例としては、乳がんに対するトラスツズマブ(Herceptin)、リンパ腫に対するリツキシマブ(Rituxan(登録商標))、及び頭頸部扁平上皮がんに対するセツキシマブ(Erbitux)が挙げられる。当業者は、特定の腫瘍又は疾患抗原に結合することができるFDA承認モノクローナル抗体に精通しており、そのいずれも、腫瘍又は疾患を治療するために提供される方法に従って使用することができる。
【0564】
いくつかの実施形態では、本方法は、胃又は食道胃接合部の腺がんを処置するためのものであり、抗体はトラスツズマブ(Herceptin(登録商標))又はラムシルマブ(Cyramza(登録商標))である。
【0565】
いくつかの実施形態では、本方法は、膀胱がんを処置するためのものであり、抗体はアテゾリズマブ(Tecentriq(商標))、ニボルマブ(Opdivo(登録商標))、デュルバルマブ(Imfinzi(商標))、アベルマブ(Bavencio(登録商標))、又はペンブロリズマブ(Keytruda(登録商標))である。
【0566】
いくつかの実施形態では、本方法は脳がんを治療するためのものであり、抗体はベバシズマブ(アバスチン(登録商標))である。
【0567】
いくつかの実施形態では、方法は乳がんを処置するためのものであり、抗体はトラスツズマブ(Herceptin(登録商標))である。
【0568】
いくつかの実施形態では、方法は、子宮頸がんを治療するためのものであり、抗体は、ベバシズマブ(アバスチン(登録商標))である。
【0569】
いくつかの実施形態では、本方法は、結腸直腸がんを治療するためのものであり、抗体はセツキシマブ(Cetuximab)(Erbitux(登録商標))、パニツムマブ(Panitumumab)(Vectibix(登録商標))、ベバシズマブ(Bevacizumab)(Avastin(登録商標))又はラムシルマブ(Cyramza(登録商標))である。
【0570】
いくつかの実施形態では、本方法は、内分泌/神経内分泌腫瘍を治療するためのものであり、抗体はアベルマブ(Bavencio(登録商標))である。
【0571】
いくつかの実施形態では、本方法は、頭頸部がんを治療するためのものであり、抗体はセツキシマブ(Erbitux(登録商標))、ペンブロリズマブ(Keytruda(登録商標))、ニボルマブ(Opdivo(登録商標))、トラスツズマブ又はラムシルマブである。
【0572】
いくつかの実施形態では、本方法は、骨がんを処置するためのものであり、抗体は、デノスマブ(Xgeva(登録商標))である。
【0573】
いくつかの実施形態では、本方法は、腎臓がんを治療するためのものであり、抗体は、ベバシズマブ(Avastin(登録商標))又はニボルマブ(Opdivo(登録商標))である。
【0574】
いくつかの実施形態では、本方法は、白血病を処置するためのものであり、抗体は、リツキシマブ(Rituxan(登録商標))、アレムツズマブ(Campath(登録商標))、オファツムマブ(Arzerra(登録商標))、オビヌツズマブ(Gazyva(登録商標))又はブリナツモマブ(Blincyto(登録商標))である。
【0575】
いくつかの実施形態では、本方法は、肺がん細胞を治療するためのものであり、抗体はベバシズマブ(アバスチン(登録商標))、ラムシルマブ(Cyramza(登録商標))、ニボルマブ(Opdivo(登録商標))、ネシツムマブ(Portrazza(商標))、ペンブロリズマブ(Keytruda(登録商標))又はアテゾリズマブ(Tecentriq(商標))である。
【0576】
いくつかの実施形態では、本方法は、はリンパ腫を治療するためのものであり、抗体はイブリツモマブチウキセタン(Zevalin(登録商標))、ブレンツキシマブベドチン(Adcetris(登録商標))、リツキシマブ(Rituxan(登録商標))、シルツキシマブ(Sylvant(登録商標))、オビヌツズマブ(Gazyva(登録商標))、ニボルマブ(Opdivo(登録商標))又はペンティアム(Keytruda(登録商標))である。
【0577】
いくつかの実施形態では、本方法は、複数の骨髄腫を治療するためのものであり、抗体は、ボルテゾミブ(Velcade(登録商標))、ダラツムマブ(Darzalex(商標))、又はエロツズマブ(Empliciti(商標))である。
【0578】
いくつかの実施形態では、本方法は神経芽細胞腫を治療するためのものであり、抗体はジヌツキシマブ(Unituxin(商標))である。
【0579】
いくつかの実施形態では、本方法は、卵巣上皮/卵管/原発性腹膜がんを治療するためのものであり、抗体は、ベバシズマブ(アバスチン(登録商標))である。
【0580】
いくつかの実施形態では、方法は、膵臓がんを処置するためのものであり、抗体は、セツキシマブ(Erbitux(登録商標))又はベバシズマブ(Avastin(登録商標))である。
【0581】
いくつかの実施形態では、方法は、皮膚がんを処置するためのものであり、抗体は、イピリムマブ(Yervoy(登録商標))、ペンブロリズマブ(Keytruda(登録商標))、アベルマブ(Bavencio(登録商標))又はニボルマブ(Opdivo(登録商標))である。
【0582】
いくつかの実施形態では、方法は、軟部組織肉腫を治療するためのものであり、抗体はオララツマブ(Lartruvo(商標))である。
【0583】
いくつかの実施形態では、対象は、本明細書に記載されるg-NK細胞の集団及び有効用量の二重特異性抗体を投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は第1の結合ドメイン及び第2の結合ドメインを含み、第1の結合ドメインは免疫細胞、例えばNK細胞又はマクロファージ上の表面抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、第1の結合ドメインは、NK細胞又はマクロファージ上の活性化受容体、例えばCD16(CD16a)に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、第2の結合ドメインは、腫瘍関連抗原に特異的に結合する。標的とする腫瘍関連抗原は、がんの種類に基づいて選択することができ、CD19、CD20、CD22、CD30、CD33、CD37、CD38、CD40、CD52、CD56、CD70、CD74、CD140、EpCAM、CEA、gpA33、メソテリン、α-フェトプロテイン、ムチン、PDGFR-α、TAG-72、CAIX、PSMA、葉酸結合タンパク質、散乱因子受容体キナーゼ、ガングリオシド、サイトケラチン、縮れた受容体、VEGF、VEGFR、インテグリンαVβ3、インテグリンα5β1、EGFR、EGFL7、ERBB2(HER2)、ERBB3、フィブロネクチン、HGF、HER3、LOXL2、MET、IGF1R、IGLF2、EPHA3、FR-α、ホスファチジルセリン、シンデカン1、SLAMF7(CD319)、TRAILR1、TRAILR2、RANKL、FAP、ビメンチン又はテネイシンが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、第1の結合ドメインは、CD16に特異的に結合し、第2の結合ドメインは、CD30に特異的に結合する。
【0584】
操作されたgNK細胞及び追加の薬剤は、連続して又は同時に投与され得る。いくつかの実施形態では、追加の薬剤は、gNK細胞の投与前に投与され得る。いくつかの実施形態では、追加の薬剤は、操作されたgNK細胞の投与後に投与することができる。例えば、操作されたgNK細胞は、選択されたがん型に特異的な抗体と同時に投与することができる。あるいは、操作されたgNK細胞は、選択されたがん型に特異的な抗体が投与される時間とは異なる選択された時間に投与することができる。
【0585】
特定の例において、対象は、操作されたgNK細胞を含有する集団の前、後、又は実質的に同時に、有効用量の抗体を投与される。いくつかの例において、対象は、約0.1mg/kg~約100mg/kgの抗体(例えば、約0.5~10mg/kg、約1~20mg/kg、約10~50mg/kg、約20~100mg/kg、例えば、約0.5mg/kg、約1mg/kg、約2mg/kg、約3mg/kg、約4mg/kg、約5mg/kg、約8mg/kg、約10mg/kg、約16mg/kg、約20mg/kg、約24mg/kg、約36mg/kg、約48mg/kg、約60mg/kg、約75mg/kg、又は約100mg/kg)を投与される。抗体の有効量は、特定の抗体、特定の疾患又は状態(例えば、腫瘍又は他の障害)、対象の全身状態、対象が受けている又は以前に受けた任意の追加の治療、及び他の関連因子を考慮に入れて、熟練した臨床医によって選択され得る。対象には、本明細書に記載される操作されたgNK細胞を含有する集団も投与される。抗体及び操作されたgNK細胞の集団の両方は、典型的には、非経口的に、例えば静脈内に投与される、しかし、腫瘍もしくは腫瘍の近くへの注射もしくは注入(局所投与)又は腹膜腔への投与も使用することができる。当業者は、適切な投与経路を決定することができる。
【0586】
いくつかの実施形態では、ウイルスの処置のための対象は、ウイルスに対する1つ以上の抗体ならびに本明細書に記載されるg-NK細胞の集団の有効用量を投与される。いくつかの実施形態では、1つ以上の抗体は、スパイク糖タンパク質、例えば、SARS-Cov-2のスパイク糖タンパク質に結合する抗体である。いくつかの実施形態では、対象には、本明細書に記載の操作されたg-NK細胞を含有する集団、ならびに有効用量のFc融合タンパク質、例えば組換えACE2-Fc融合タンパク質が投与される。いくつかの実施形態では、対象に、本明細書に記載のg-NK細胞の集団及びウイルスに対する抗体、例えば、SARS-Cov-2に対する抗体を含有する血清を投与する。いくつかの実施形態では、血清は、同じウイルスによって引き起こされた感染から回復している患者から収集された回復期血清である。いくつかの実施形態では、同じウイルスによって引き起こされる感染から回復している複数の患者からの回復期血清が収集され、組み合わされ、本明細書に記載される操作されたg-NK細胞を含有する集団と共に、それを必要とする対象に投与される。
【0587】
2.サイトカイン及び成長因子
本明細書に提供されるいくつかの実施形態では、操作されたgNK細胞又はそれを含有する組成物は、サイトカイン及び/又は増殖因子と組み合わせて個体に投与され得る。本明細書に提供されるいくつかの実施形態では、操作されたgNK細胞又はそれを含有する組成物は、更なる外因的に投与されるサイトカイン及び/又は増殖因子と組み合わせて個体に投与され得る。サイトカインはNK細胞活性に必要であるので、典型的な方法は、外因性サイトカインサポートとしてのNK細胞療法と組み合わせて対象に外因性サイトカインを投与することを含む。
【0588】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの成長因子又はサイトカインは、SCF、FLT3、IL-2、IL-7、IL-15、IL-12、IL-21、及びIL-27からなる群から選択される成長因子を含む。
【0589】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのサイトカインが、操作されたg-NK細胞又はその組成物の投与と組み合わせて対象に投与される。
【0590】
サイトカインは、細胞シグナル伝達において、特に免疫系との関連で重要な役割を果たす広範なクラスのタンパク質である。サイトカインは、免疫調節物質として、自己分泌、パラ分泌、及び内分泌シグナル伝達において役割を果たすことが示されている。サイトカインは、免疫媒介性応答を刺激する免疫活性化物質として、又は免疫媒介性応答を弱める免疫抑制物質として機能し得る。サイトカインには、ケモカイン、インターフェロン、インターロイキン、リンフォンカイン、及び腫瘍壊死因子が含まれるが、一般にホルモン又は成長因子は含まれない。
【0591】
いくつかの実施形態では、サイトカインはインターロイキンである。インターロイキンは、一般に分泌タンパク質であり、広範囲の免疫応答を媒介するシグナル分子であるサイトカイン群である。例えば、インターロイキン(IL)-2は、白血球の活性の調節において役割を果たし、一方、インターロイキン(IL)-15は、自然免疫系及び適応免疫系の両方の細胞の活性を調節することによって、微生物の侵入物及び寄生生物に対する炎症性免疫応答及び防御免疫応答の発生において主要な役割を果たす。いくつかの実施形態では、提供されるg-NK細胞を含むNK細胞の1つ以上の活性は、IL-2、IL-21及び/もしくはIL-15、又は記載される別のサイトカインによって調節される。
【0592】
いくつかの実施形態では、インターロイキンは、リンパ球、単球又はマクロファージなどの免疫細胞によって産生されるサイトカインを含む。いくつかの実施形態では、サイトカインは、NK細胞の生存、活性化及び/又は増殖の促進など、NK細胞を誘導するために使用することができる免疫活性化サイトカインである。例えば、IL-15又はIL-21などの特定のサイトカインは、エクスビボ又はインビボで増殖するそれらの能力を改善することなどによって、NK細胞が老化を受けるのを防止又は低減し得る。いくつかの実施形態では、インターロイキン又はその機能的部分は、IL-2、IL-4、IL-6、IL-7、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-15、IL-18、又はIL-21のうちの1つ以上の部分ペプチド又は完全ペプチドである。いくつかの実施形態では、サイトカインは、IL-2、IL-7、IL-12、IL-15、IL-18、IL-21、Flt3-L、SCF、又はIL-7である。いくつかの実施形態では、サイトカインはIL-2である。いくつかの実施形態では、サイトカインはIL-12である。いくつかの実施形態では、サイトカインはIL-15である。いくつかの実施形態では、サイトカインはIL-21である。いくつかの実施形態、サイトカインは、サイトカインに対するそれぞれの受容体と共に投与されてもよい。いくつかの実施形態では、操作されたg-NK細胞と共にサイトカインを投与することは、サイトカインシグナル伝達を可能にし、それによって、NK細胞の細胞成長、増殖、増殖及び/又はエフェクター機能を維持又は改善する。
【0593】
特定の実施形態では、組換えIL-2が対象に投与される。他の特定の実施形態では、組換えIL-15が対象に投与される。他の特定の実施形態では、組換えIL-21が対象に投与される。
【0594】
いくつかの実施形態では、サイトカインはIL-15又はその機能的部分である。IL-15は、NK細胞の活性化及び増殖を調節するサイトカインである。いくつかの場合において、IL-15及びIL-12は、類似の生物学的活性を共有する。例えば、IL-15及びIL-2は、共通の受容体サブユニットに結合し、そして同じ受容体について競合し得る。いくつかの実施形態では、IL-15は、JAKキナーゼの活性化、ならびに転写活性化剤STAT3、STAT5、及びSTAT6のリン酸化及び活性化を誘導する。いくつかの実施形態では、IL-15は、NK細胞生存の促進、NK細胞及びT細胞の活性化及び増殖の調節、ならびに造血幹細胞からのNK細胞発生の支持などの、NK細胞の1つ以上の機能的活性を促進又は調節する。いくつかの実施形態では、機能的部分は、NK細胞生存の促進、NK細胞及びT細胞の活性化及び増殖の調節、ならびに造血幹細胞からのNK細胞発生の支持などの、全長又は成熟IL-15の1つ以上の機能を保持するIL-15の一部分(例えば、全長IL-15のアミノ酸の切断された連続配列を含有する)である。IL-15の全部又は機能的部分を対象に投与することができる。
【0595】
当業者によって理解されるように、種々のIL-15分子の配列は、当該分野で公知である。一態様では、IL-15は野生型IL-15である。いくつかの態様では、IL-15は、哺乳動物IL-15(例えば、ヒトインターロイキン15(IL15)、転写変異体3、mRNA、NCBI参照配列:NM_000585.4、Canis lupus familiarisインターロイキン15(IL15)、mRNA、NCBI参照配列:NM_001197188.1、Felis catusインターロイキン15(IL15)、mRNA、NCBI参照配列:NM_001009207.1)である。「哺乳動物」の例としては、霊長類(例えば、ヒト)、イヌ、ネコ、げっ歯類、ブタ、反芻動物などが挙げられる。具体例としては、ヒト、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、モルモット、ラット及びマウスが挙げられる。特定の態様では、哺乳動物IL-15はヒトIL-15である。ヒトIL-15アミノ酸配列としては、例えば、Genbank受託番号:NR_751915.1、NP_000576.1、AAI00963.1、AAI00964.1、AAI00962.1、CAA71044.1、AAH18149.1、AAB97518.1、CAA63914.1、及びCAA63913.1が挙げられる。
【0596】
いくつかの実施形態では、IL-15ヌクレオチド配列は、配列番号9に示されるか、又は配列番号9に対して少なくとも85%又は少なくとも約85%、少なくとも90%又は少なくとも約90%、少なくとも95%又は少なくとも約95%、もしくは少なくとも98%又は少なくとも約98%の配列同一性を有する配列である。いくつかの実施形態では、IL-15は、シグナルペプチド配列を欠き、いくつかの場合にはプロペプチド配列も欠く成熟形態である。いくつかの実施形態では、IL-15は、配列番号2に示されるアミノ酸の配列、又は配列番号2に対して少なくとも85%又は少なくとも約85%、少なくとも90%又は少なくとも約90%、少なくとも95%又は少なくとも約95%、もしくは少なくとも98%又は少なくとも約98%の配列同一性を有する配列を有する。
【0597】
いくつかの実施形態では、IL-15分子は、例えば、ヒトIL-15アミノ酸配列に対する1つ以上のアミノ酸改変、例えば置換を有する、ヒトIL-5の変異体である。いくつかの実施形態では、IL-15変異体は、例えば、米国特許出願公開第2016/0184399号に記載されているように、45位、51位、52位、又は72位に突然変異を含むか、又はそれからなる。いくつかの実施形態では、IL-15変異体は、N、S又はLからD、E、A、Y又はPのうちの1つへの置換を含むか、又はそれからなる。いくつかの実施形態では、突然変異は、L45D、L45E、S51D、L52D、N72D、N72E、N72A、N72S、N72Y、又はN72P(ヒトIL-15の配列、配列番号2に関して)から選択される。
【0598】
実施形態において、IL-15分子は、IL-15変異体、例えば、1つ以上のアミノ酸置換を有するヒトIL-15ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、IL-15分子は、72位に置換、例えば、NからDへの置換を含む。一実施形態では、IL-15分子は、配列番号2のIL-15N72Dポリペプチド又はアミノ酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するアミノ酸配列であり、IL-15 Rα結合活性を有する。
【0599】
いくつかの実施形態では、IL-15は、IL-15受容体アルファ(IL15RA)と共に、例えば、IL-15受容体アルファ(IL15RA)との複合体として、又はIL-15受容体アルファ(IL15RA)との融合体として投与される。IL15RAは、非常に高い親和性でIL-15に特異的に結合し、他のサブユニットから独立してIL1-5に結合することができる。いくつかの態様では、この特性は、IL-15が1つの細胞によって産生され、別の細胞によってエンドサイトーシスされ、次いで第3の細胞に提示されることを可能にする。いくつかの実施形態では、対象は、IL-15/IL-15Raを投与される。いくつかの実施形態では、対象にIL-15/IL-15R融合タンパク質を投与する。いくつかの実施形態では、対象は、単鎖IL-15/IL-15R融合タンパク質を投与される。いくつかの実施形態では、IL-15/IL-15Raは、可溶性IL15Ra.IL15複合体である(例えば、Mortier E et al.,JBC 2006;Bessard A,Mol.Cancer Ther.,2009;及びDesbois M,J.Immunol.,2016)。
【0600】
いくつかの実施形態では、サイトカインはIL-2又はその機能的部分である。いくつかの実施形態では、IL-2は、IL-4、IL-7、IL-9、IL-15及びIL-21も含むサイトカインファミリーのメンバーである。IL-2は、アルファ、ベータ及びガンマと呼ばれる3つの鎖からなる受容体複合体を介してシグナル伝達する。γ鎖は、サイトカイン受容体のこのファミリーの全てのメンバーによって共有される。IL-2は、IL-15と同様に、B細胞によって産生される免疫グロブリンの産生を促進し、NK細胞の分化及び増殖を誘導する。IL-2とIL-15との間の主な差異は、適応免疫応答において見出される。例えば、IL-2は、免疫記憶の発達の基礎であるため、外来病原体に対する適応免疫に必要である。一方、IL-15は、CD8メモリーT細胞の生存を支持することによって高度に特異的なT細胞応答を維持するために必要である。IL-2の全て又は機能的部分は、膜結合ポリペプチド及び/又は分泌ポリペプチドとして発現され得る。当業者によって理解されるように、種々のIL-2分子の配列は、当該分野で公知である。一態様では、IL-2は野生型IL-2である。いくつかの態様では、IL-2は哺乳動物IL-2である。いくつかの実施形態では、IL-2 はヒトIL-2である。
【0601】
いくつかの実施形態では、IL-2は、シグナルペプチド配列を欠き、いくつかの場合にはプロペプチド配列も欠く成熟形態である。いくつかの実施形態、IL-2は、配列番号1に示されるアミノ酸の配列、又は配列番号1に対して少なくとも85%又は少なくとも約85%、少なくとも90%又は少なくとも約90%、少なくとも95%又は少なくとも約95%、もしくは少なくとも98%又は少なくとも約98%の配列同一性を有する配列を有する。
【0602】
いくつかの実施形態では、サイトカインはIL-21又はその機能的部分である。IL-21は、IL-21受容体(IL-21 R)及び共受容体、共通γ鎖(CD132)に結合する。IL-21受容体は、NK細胞、T細胞及びB細胞上で同定されており、IL-21が造血系細胞、特にリンパ系前駆細胞及びリンパ系細胞に作用することを示している。IL-21は、細胞傷害性T細胞及びNK細胞の強力なモジュレーターであることが示されている。(Parrish-Novak,et al.Nature 408:57-63,2000;Parrish-Novak,et al.,J.Leuk.Bio.72:856-863,202:Collins et al.,Immunol.Res.28:131-140,2003;Brady,et al.J.Immunol.172:2048-58,2004)。マウス研究において、IL-21は、NK細胞の成熟及びエフェクター機能を増強する(Kasaian et al.,Immunity 16:559-569,2002)。
【0603】
当業者によって理解されるように、種々のIL-21分子の配列は、当該分野で公知である。一態様では、IL-21は野生型IL-21である。いくつかの態様では、IL-21は哺乳動物IL-21である。一実施形態では、IL-21配列はヒトIL-21配列である。ヒトIL-21アミノ酸配列には、例えば、Genbank受託番号:AAU88182.1、EAX05226.1、CAI94500.1、CAJ47524.1、CAL81203.1、CAN87399.1、CAS03522.1、CAV33288.1、CBE74752.1、CBI70418.1、CBI85469.1、CBI85472.1、CBL93962.1、CCA63962.1、AAG29348.1、AAH66258.1、AAH66259.1、AAH66260.1、AAH66261.1、AAH66262.1、AAH69124.1、及びABG36529.1が含まれる。
【0604】
いくつかの実施形態では、IL-21は、シグナルペプチド配列を欠き、いくつかの場合にはプロペプチド配列も欠く成熟形態である。いくつかの実施形態では、IL-21は、配列番号3に示されるアミノ酸の配列、又は配列番号3に対して少なくとも85%又は少なくとも約85%、少なくとも90%又は少なくとも約90%、少なくとも95%又は少なくとも約95%、もしくは少なくとも98%又は少なくとも約98%の配列同一性を有する配列を有する。いくつかの実施形態では、IL-21は、配列番号4に示されるアミノ酸の配列、又は配列番号4に対して少なくとも85%又は少なくとも約85%、少なくとも90%又は少なくとも約90%、少なくとも95%又は少なくとも約95%、もしくは少なくとも98%又は少なくとも約98%の配列同一性を有する配列を有する。
【0605】
サイトカイン(例えば、IL-2、IL15、又はIL-21)アミノ酸配列は、成熟サイトカインの任意の機能的部分、例えば、成熟、IL-2、成熟、IL-15、又は成熟IL-15の任意の機能的部分を含み得る。機能的部分は、機能的部分がそれぞれのインターロイキン受容体に特異的に結合するという条件で、それが一部であるインターロイキンの隣接アミノ酸を含む任意の部分であり得る。用語「機能的部分」は、インターロイキンに関して使用される場合、インターロイキンの任意の部分又は断片をいい、この部分又は断片は、それがその一部であるインターロイキン(親インターロイキン)の生物学的活性を保持する。機能的部分は、例えば、それぞれのインターロイキン受容体に特異的に結合する能力を保持し、インターロイキンの下流標的を活性化し、及び/又は免疫細胞、例えば、NK細胞の分化、増殖(又は死)及び活性の1つ以上を親インターロイキンと同様の程度まで、同じ程度まで、もしくはより高い程度まで誘導するインターロイキンの部分を包含する。インターロイキンの機能的部分の生物学的活性は、当該分野で公知のアッセイを使用して測定され得る。親インターロイキンに関して、機能的部分は、例えば、親成熟インターロイキンのアミノ酸配列の約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、又はそれ以上を含むことができる。
【0606】
提供される実施形態によるサイトカイン又は機能性部分の範囲に含まれるのは、本明細書に記載されるインターロイキンの機能性変異体である。本明細書で使用される「機能的変異体」という用語は、親インターロイキンに対して実質的又は有意な配列同一性又は類似性を有するインターロイキンを指し、この機能的変異体は、それが変異体であるインターロイキンの生物学的活性を保持する。機能的変異体は、例えば、それぞれのインターロイキン受容体に特異的に結合する能力を保持し、インターロイキンの下流標的を活性化し、及び/又は免疫細胞、例えば、NK細胞の分化、増殖(又は死)及び活性の1つ以上を親インターロイキンと同様の程度まで、同じ程度まで、もしくはより高い程度まで誘導する、本明細書に記載されるインターロイキン(親インターロイキン)の変異体を包含する。親インターロイキンに関して、機能的変異体は、例えば、アミノ酸配列において親インターロイキンと少なくとも約80%、約90%、約95%、約99%又はそれ以上同一であり得る。
【0607】
機能的変異体は、例えば、少なくとも1つの保存的アミノ酸置換を有する親インターロイキンのアミノ酸配列を含み得る。あるいは又は更に、機能的変異体は、少なくとも1つの非保存的アミノ酸置換を有する親インターロイキンのアミノ酸配列を含むことができる。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換、例えば保存的又は非保存的アミノ酸置換は、親インターロイキン配列と比較して、機能的変異体の生物学的活性を妨害又は阻害しない。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換、例えば保存的又は非保存的アミノ酸置換は、機能的変異体の生物学的活性が親インターロイキンと比較して増加するように、機能的変異体の生物学的活性を増強し得る。
【0608】
いくつかの実施形態では、インターロイキンのアミノ酸置換(複数可)は、保存的アミノ酸置換である。保存的アミノ酸置換は、当技術分野において公知であり、特定の物理的及び/又は化学的特性を有する1つのアミノ酸が、同じ又は類似の化学的又は物理的特性を有する別のアミノ酸と交換されるアミノ酸置換を含む。例えば、保存的アミノ酸置換は、別の酸性/負電荷極性アミノ酸(例えば、Asp又はGlu)に置換された酸性/負電荷極性アミノ酸、非極性側鎖を有する別のアミノ酸に置換された非極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、Ala、Gly、Val、Ile、Leu、Met、Phe、Pro、Trp、Cys、Valなど)、別の塩基性/正電荷極性アミノ酸に置換された塩基性/正電荷極性アミノ酸(例えば、Lys、His、Argなど)、別の極性側鎖を有する非荷電アミノ酸に置換された極性側鎖を有する非荷電アミノ酸(例えば、Asn、Gln、Ser、Thr、Tyrなど)、別のβ分岐側鎖を有するアミノ酸に置換されたβ分岐側鎖を有するアミノ酸(例えば、Ile、Thr、及びVal)、別の芳香族側鎖を有するアミノ酸に置換された芳香族側鎖を有するアミノ酸(例えば、His、Phe、Trp、及びTyr)などであってもよい。
【0609】
いくつかの実施形態では、提供される操作されたgNK細胞組成物及びサイトカイン又は成長因子の用量は、逐次的に投与される。例えば、gNK細胞を最初に投与し、続いてサイトカイン及び/又は増殖因子を投与することができる。いくつかの実施形態では、操作されたgNK細胞を含有する細胞の用量は、サイトカイン又は増殖因子と同時に投与される。
【0610】
いくつかの実施形態では、対象は、NK細胞の生存及び/又は増殖を支持するために、1つ以上のサイトカイン(IL-2、IL15、IL-21、IL-27、及び/又はIL-12など)を投与される。サイトカインは、NK細胞の前、後、又は実質的に同時に投与することができる。いくつかの例は、サイトカインは、NK細胞の後に投与することができる。1つの具体例において、サイトカインは、NK細胞の投与の約1~8時間以内(例えば、約1~4時間、約2~6時間、約4~6時間、又は約5~8時間以内)に対象に投与される。
【0611】
3.リンパ球枯渇療法の細胞傷害性剤
いくつかの実施形態では、提供される方法はまた、操作されたg-NK細胞を含有する細胞の用量を、別の処置、例えば化学療法剤もしくは細胞傷害性剤又は他の処置と共に投与することを含み得る。
【0612】
いくつかの態様では、提供される方法は、操作されたg-NK細胞を含有するg-NK細胞組成物の投与の開始前又は開始と同時などに、1つ以上のリンパ球枯渇療法を投与することを更に含むことができる。いくつかの実施形態では、リンパ球枯渇療法は、シクロホスファミドなどのホスファミドの投与を含む。いくつかの実施形態では、リンパ球枯渇療法はフルダラビンの投与を含むことができる。
【0613】
いくつかの態様では、対象を免疫枯渇(例えば、リンパ球枯渇)療法でプレコンディショニングすることにより、養子細胞療法(ACT)の効果を改善することができる。いくつかの実施形態では、リンパ球枯渇療法は、シクロスポリン及びフルダラビンの組み合わせを含む。
【0614】
そのようなプレコンディショニングは、治療の有効性を弱める可能性がある様々な転帰のうちの1つ以上のリスクを低減する目的で実行することができる。これらは、T細胞、B細胞、NK細胞が、恒常性及び活性化サイトカイン、例えばIL-2、IL-7、及び/又はIL-15についてTILと競合する「サイトカインシンク」として知られる現象、制御性T細胞、NK細胞、又は免疫系の他の細胞によるTILの抑制、腫瘍微小環境における負の調節因子の影響を含む。Muranski et al.,Nat Clin Pract Oncol.December;3(12):668-681(2006)。
【0615】
したがって、いくつかの実施形態では、提供される方法は、対象にリンパ球枯渇療法を施す段階を更に含む。いくつかの実施形態では、方法は、細胞の用量の投与前に対象にリンパ球枯渇療法を投与する段階を含む。いくつかの実施形態では、リンパ球枯渇療法は、フルダラビン及び/又はシクロホスファミドなどの化学療法剤を含有する。いくつかの実施形態では、細胞の投与及び/又はリンパ球枯渇療法は、外来患者の分娩を介して行われる。
【0616】
いくつかの実施形態では、方法は、細胞の用量の投与前に、プレコンディショニング剤、例えばリンパ球枯渇剤又は化学療法剤、例えばシクロホスファミド、フルダラビン、又はそれらの組み合わせを対象に投与することを含む。例えば、対象は、第1の用量又は後続の用量の少なくとも2日前、例えば、少なくとも3、4、5、6、又は7日前に、プレコンディショニング剤、例えば、リンパ枯渇剤又は化学療法剤、例えば、シクロホスファミド、フルダラビン、又はそれらの組み合わせを投与され得る。いくつかの実施形態では、対象は、細胞の用量の投与の7日前以内、例えば、6、5、4、3、又は2日前以内に、プレコンディショニング剤、例えば、リンパ枯渇剤又は化学療法剤、例えば、シクロホスファミド、フルダラビン、又はそれらの組み合わせを投与される。いくつかの実施形態では、対象は、細胞の用量の投与の14日前以内、例えば、13、12、11、10、9又は8日前以内に、プレコンディショニング剤、例えば、リンパ枯渇剤又は化学療法剤、例えば、シクロホスファミド、フルダラビン、又はそれらの組み合わせを投与される。
【0617】
いくつかの実施形態では、対象は、20mg/kg~100mg/kg又は約20mg/kg~約100mg/kg、例えば40mg/kg~80mg/kg又は約40mg/kg~約80mg/kgの用量のシクロホスファミドでプレコンディショニングされる。いくつかの態様において、対象は、60mg/kg又は約60mg/kgのシクロホスファミドでプレコンディショニングされる。いくつかの実施形態では、フルダラビンは、単回用量で投与され得るか、又は複数回用量で投与され得る(例えば、毎日、1日おき、又は3日おきに与えられる)。いくつかの実施形態では、シクロホスファミドは、1日1回、1日又は2日間投与される。
【0618】
いくつかの実施形態では、リンパ球枯渇剤がフルダラビンを含む場合、対象にフルダラビンを1mg/m~100mg/m又は約1mg/m~約100mg/m、例えば10mg/m~75mg/m又は約10mg/m~約75mg/m、15mg/m~50mg/m又は約15mg/m~約50mg/m、20mg/m~30mg/m又は約20mg/m~約30mg/m、もしくは24mg/m~26mg/m又は約24mg/m~約26mg/mの用量で投与する。いくつかの例において、対象は、25mg/mのフルダラビンを投与される。いくつかの実施形態では、フルダラビンは、単回用量で投与され得るか、又は複数回用量で投与され得る(例えば、毎日、1日おき、又は3日おきに与えられる)。いくつかの実施形態では、フルダラビンは、毎日、例えば1~5日間、例えば3~5日間投与される。
【0619】
いくつかの実施形態では、リンパ球枯渇剤は、シクロホスファミド及びフルダラビンの組み合わせなどの薬剤の組み合わせを含む。したがって、薬剤の組み合わせは、上記のものなどの任意の用量又は投与スケジュールのシクロホスファミド、及び上記のものなどの任意の用量又は投与スケジュールのフルダラビンを含むことができる。例えば、いくつかの態様では、細胞の投与前に、対象に60mg/kg(約2g/m)のシクロホスファミド及び25mg/mのフルダラビンを3~5回投与する。
【0620】
いくつかの実施形態では、g-NK細胞の用量の投与前に、対象はリンパ球枯渇療法を受けている。いくつかの実施形態では、リンパ球枯渇療法は、フルダラビン及び/又はシクロホスファミドを含む。いくつかの実施形態では、リンパ球枯渇は、フルダラビンを対象の体表面積で20~40mg/mもしくは約20~約40mg/m、任意選択で、30mg/mもしくは約30mg/mで、毎日2~4日間投与すること、及び/又はシクロホスファミドを対象の体表面積で200~400mg/mもしくは約200~約400mg/m、任意選択で、300mg/mもしくは約300mg/mで、毎日2~4日間投与することを含む。
【0621】
いくつかの実施形態では、リンパ球枯渇療法はフルダラビン及びシクロホスファミドを含む。いくつかの実施形態では、リンパ球枯渇療法は、フルダラビンを対象の体表面積で30mg/m又は約30mg/mで毎日投与し、シクロホスファミドを対象の体表面積で300mg/m又は約300mg/mで毎日、それぞれ2~4日間、任意選択で3日間投与することが含まれる。
【0622】
いくつかの実施形態では、細胞の用量の注入前のプレコンディショニング剤の投与は、処置の転帰を改善する。例えば、いくつかの態様では、プレコンディショニング、例えば、リンパ枯渇剤又は化学療法剤、例えば、シクロホスファミド、フルダラビン、又はそれらの組み合わせは、用量による処置の有効性を改善するか、又は対象におけるNK細胞の持続性を増加させる。いくつかの実施形態では、プレコンディショニング処置は、無病生存期間、例えば、生存しており、細胞の投与後の所与の期間後に最小限の残存又は分子的に検出可能な疾患を示さない対象のパーセントを増加させる。いくつかの実施形態では、無病生存期間中央値までの時間が増加する。
【0623】
細胞が対象(例えば、ヒト)に投与されると、いくつかの態様における操作された細胞集団の生物学的活性は、いくつかの公知の方法のいずれかによって測定される。評価するパラメータには、例えば画像化によるインビボ、又は例えばELISA又はフローサイトメトリーによるエクスビボでの、抗原に対する操作された又は天然のT細胞又は他の免疫細胞の特異的結合が含まれる。特定の実施形態では、NK細胞の標的細胞破壊能は、例えば、Kochenderfer et al.,J.Immunotherapy32(7):689-702(2009)、及びHerman et al.J.Immunological Methods,285(1):25-40(2004)に記載されている細胞傷害性アッセイなどの、当技術分野で公知の任意の適切な方法を使用して測定することができる。特定の実施形態において、細胞の生物学的活性はまた、特定のサイトカイン又は他のエフェクター分子(例えば、CD107a、IFNγ、及びTNF)の発現及び/又は分泌をアッセイすることによって測定され得る。いくつかの態様では、生物学的活性は、腫瘍量又は腫瘍負荷の低減などの臨床転帰を評価することによって測定される。いくつかの態様では、毒性転帰、細胞の持続及び/もしくは増殖、ならびに/又は宿主免疫応答の存在もしくは非存在が評価される。
【0624】
VIII.例示的な実施形態
提供される実施形態には以下のものがある。
1.FcRγ鎖の発現が欠損しており(g-NK細胞)、キメラ抗原受容体(CAR)をコードする異種核酸を含む、操作されたナチュラルキラー(NK)細胞。
2.CARが、1)抗原結合ドメインと、2)可撓性リンカーと、3)膜貫通領域と、4)細胞内シグナル伝達ドメインと、を含む、実施形態1に記載の操作されたNK細胞。
3.抗原結合ドメインが、腫瘍抗原を標的とする、実施形態2に記載の操作されたNK細胞。
4.抗原結合ドメインが一本鎖可変断片(scFv)である、実施形態2又は3に記載の操作されたNK細胞。
5.細胞内シグナル伝達ドメインが、一次シグナル伝達ドメイン及び共刺激シグナル伝達ドメインを含む、実施形態2~4のいずれか1つに記載の操作されたNK細胞。
6.細胞内シグナル伝達ドメインが、CD3ζ、DAP10、DAP12、CD28、4-1BB、又はOX40のうちの1つ以上のシグナル伝達ドメインを含む、実施形態2~5のいずれか1つに記載の操作されたNK細胞。
7.細胞内シグナル伝達ドメインが、CD3ζ、DAP10、DAP12、CD28、4-1BB、又はOX40のうちの2つ以上のシグナル伝達ドメインを含む、実施形態2~5のいずれか1つに記載の操作されたNK細胞。
8.CARをコードする異種核酸が、細胞のゲノムに安定に組み込まれている、実施形態1~7のいずれか1つに記載の操作されたNK細胞。
9.CARをコードする異種核酸が一過性に発現される、実施形態1~7のいずれか1つに記載の操作されたNK細胞。
10.g-NK細胞が、CD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161negである表面表現型を有する、実施形態1~9のいずれか1つに記載の操作されたNK細胞。
11.g-NK細胞が、NKG2Aneg/CD161negである表面表現型を更に有する、実施形態1~10のいずれか1つに記載の操作されたNK細胞。
12.g-NK細胞が更にCD38negである、実施形態1~11のいずれか1つに記載の操作されたNK細胞。
13.g-NK細胞が、更にCD45pos/CD3neg/CD56posである表面表現型を有する、実施形態1~12のいずれか1つに記載の操作されたNK細胞。
14.g-NK細胞が、CD16 158V/V(V158)を含む、実施形態1~13のいずれか1つに記載の操作されたNK細胞。
15.g-NK細胞が、CD16 158V/Fである、実施形態1~13のいずれか1つに記載の操作されたNK細胞。
16.実施形態1~15のいずれか1つに記載の操作されたg-NK細胞を複数含む、組成物。
17.組成物中のNK細胞又は総細胞の50%超又は約50%超が、g-NK細胞である、実施形態16に記載の組成物。
18.組成物中のNK細胞又は総細胞の60%超又は約60%超が、g-NK細胞である、実施形態16に記載の組成物。
19.組成物中のNK細胞又は総細胞の70%超又は約70%超が、g-NK細胞である、実施形態16に記載の組成物。
20.組成物中のNK細胞又は総細胞の80%超又は約80%超が、g-NK細胞である、実施形態16に記載の組成物。
21.組成物中のNK細胞又は総細胞の90%超又は約90%超が、g-NK細胞である、実施形態16に記載の組成物。
22.組成物中のNK細胞又は総細胞の95%超又は約95%超が、g-NK細胞である、実施形態16に記載の組成物。
23.複数の操作されたg-NK細胞が、20%超もしくは約20%超、30%超もしくは約30%超、40%超もしくは約40%超、50%超もしくは約50%超、60%超もしくは約60%超、又は70%超もしくは約70%超の、CARをコードする異種核酸を含むg-NK細胞を構成する、実施形態16~22のいずれか1つに記載の組成物。
24.総組成物が、CARをコードする異種核酸を含むg-NK細胞を、20%超もしくは約20%超、30%超もしくは約30%超、40%超もしくは約40%超、50%超もしくは約50%超、60%超もしくは約60%超、又は70%超もしくは約70%超含む、実施形態16~23のいずれか1つに記載の組成物。
25.g-NK細胞の70%超又は約70%超がパーフォリンについて陽性であり、g-NK細胞の70%超又は約70%超がグランザイムBについて陽性である、実施形態16~24のいずれか1つに記載の組成物。
26.g-NK細胞の80%超又は約80%超がパーフォリンについて陽性であり、g-NK細胞の80%超又は約80%超がグランザイムBについて陽性である、実施形態16~25のいずれか1つに記載の組成物。
27.g-NK細胞の90%超又は約90%超がパーフォリンについて陽性であり、g-NK細胞の90%超又は約90%超がグランザイムBについて陽性である、実施形態16~26のいずれか1つに記載の組成物。
28.g-NK細胞の95%超又は約95%超がパーフォリンについて陽性であり、g-NK細胞の95%超又は約95%超がグランザイムBについて陽性である、実施形態16~27のいずれか1つに記載の組成物。
29.パーフォリンについて陽性である細胞のうち、細胞は、細胞内フローサイトメトリーによって測定した場合、すなわち平均蛍光強度(MFI)に基づいて、FcRγposである細胞によって発現されるパーフォリンの平均レベルの少なくとも2倍又は約2倍である、平均レベルのパーフォリンを発現し、かつ/又は
グランザイムBについて陽性である細胞のうち、細胞は、細胞内フローサイトメトリーによって測定した場合、すなわち平均蛍光強度(MFI)に基づいて、FcRγposである細胞によって発現されるグランザイムBの平均レベルの少なくとも2倍又は約2倍である、グランザイムBの平均レベルを発現する、実施形態25~28のいずれか1つに記載の組成物。
30.組成物中の細胞の10%超が、任意選択でCD107a発現によって測定される、腫瘍標的細胞に対する脱顆粒が可能であり、任意選択で脱顆粒が、腫瘍標的細胞に対する抗体の非存在下で測定される、実施形態16~29のいずれか1つに記載の組成物。
31.組成物中の細胞の10%超が、腫瘍標的細胞に対してインターフェロン-γ又はTNF-αを産生することができ、任意選択で、インターフェロン-γ又はTNF-αが、腫瘍標的細胞に対する抗体の非存在下で測定される、実施形態16~30のいずれか1つに記載の組成物。
32.組成物中の細胞のうち、15%超もしくは約15%超、20%超もしくは約20%超、30%超もしくは約30%超、40%超もしくは約40%超、又は50%超もしくは約50%超が、標的抗原及び標的抗原に対する抗体(抗標的抗体)を発現する細胞(標的細胞)の存在下でエフェクターサイトカインを産生する、実施形態16~31のいずれか1つに記載の組成物。
33.組成物中の総細胞のうち、又は組成物中のg-NK細胞のうち、30%超もしくは約30%超がNKG2Cについて陽性であり(NKG2Cpos)、かつ/又は50%超もしくは約50%超がNKG2Aについて陰性もしくは低度である(NKG2A neg)、実施形態16~33のいずれか1つに記載の組成物。
34.組成物中の総細胞のうち、又は組成物中のg-NK細胞のうち、35%超もしくは約35%超がNKG2Cについて陽性であり(NKG2Cpos)、かつ/又は60%超もしくは約60%超がNKG2Aについて陰性もしくは低度である(NKG2A neg)、実施形態16~33のいずれか1つに記載の組成物。
35.組成物中の総細胞のうち、又は組成物中のg-NK細胞のうち、40%超もしくは約40%超がNKG2Cについて陽性であり(NKG2Cpos)、かつ/又は70%超もしくは約70%超がNKG2Aについて陰性もしくは低度である(NKG2Aneg)、実施形態16~34のいずれか1つに記載の組成物。
36.組成物中の総細胞のうち、又は組成物中のg-NK細胞のうち、45%超もしくは約45%超がNKG2Cについて陽性であり(NKG2Cpos)、かつ/又は80%超もしくは約80%超がNKG2Aについて陰性もしくは低度である(NKG2A neg)、実施形態16~35のいずれか1つに記載の組成物。
37.組成物中の総細胞のうち、又は組成物中のg-NK細胞のうち、50%超もしくは約50%超がNKG2Cについて陽性であり(NKG2Cpos)、かつ/又は85%超もしくは約85%超がNKG2Aについて陰性もしくは低度である(NKG2A neg)、実施形態16~34のいずれか1つに記載の組成物。
38.組成物中の総細胞のうち、又は組成物中のg-NK細胞のうち、55%超もしくは約55%超が、NKG2Cについて陽性であり(NKG2C:pos)、かつ/又は90%超もしくは約90%超が、NKG2Aについて陰性もしくは低度である(NKG2A:neg)、実施形態16~34のいずれか1つに記載の組成物。
39.組成物中の総細胞のうち、又は組成物中のg-NK細胞のうち、60%超もしくは約60%超がNKG2Cについて陽性であり(NKG2Cpos)、かつ/又は95%超もしくは約95%超がNKG2Aについて陰性もしくは低度である(NKG2A neg)、実施形態16~34のいずれか1つに記載の組成物。
40.組成物中の総細胞のうち、又は組成物中のg-NK細胞のうち、50%超もしくは約50%超、60%超もしくは約60%超、70%超もしくは約70%超、80%超もしくは約80%超、又は90%超もしくは約90%超がCD38negである、実施形態16~39のいずれか1つに記載の組成物。
41.組成物中の総細胞のうち、又は組成物中のg-NK細胞のうち、50%超もしくは約50%超、60%超もしくは約60%超、70%超もしくは約70%超、80%超もしくは約80%超、又は90%超もしくは約90%超が、CD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161negである、実施形態16~39のいずれか1つに記載の組成物。
42.組成物中の総細胞のうち、又は組成物中のg-NK細胞のうち、50%超もしくは約50%超、60%超もしくは約60%超、70%超もしくは約70%超、80%超もしくは約80%超、又は90%超もしくは約90%超が、NKG2Aneg/CD161negである、実施形態16~39のいずれか1つに記載の組成物。
43.複数のg-NK細胞が、CD16 158V/V(V158)である、実施形態16~42のいずれか1つに記載の組成物。
44.複数のg-NK細胞がCD16 158V/Fである、実施形態16~42のいずれか1つに記載の組成物。
45.少なくとも又は少なくとも約10個の細胞を含む、実施形態16~44のいずれか1つに記載の組成物。
46.組成物中のg-NK細胞の数が10もしくは約10から、1012もしくは約1012個の細胞、10もしくは約10から、1011もしくは約1011個の細胞、10もしくは約10から、1010もしくは約1010個の細胞、10もしくは約10から、10もしくは約10個の細胞、10もしくは約10から、1012もしくは約1012個の細胞、10もしくは約10から、1011もしくは約1011個の細胞、10もしくは約10から、1010もしくは約1010個の細胞、1010もしくは約1010から、1012もしくは約1012個の細胞、1010もしくは約1010から、1011もしくは約1011個の細胞、又は1011もしくは約1011から、1012もしくは約1012個の細胞である、実施形態16~45のいずれか1つに記載の組成物。
47.組成物中のg-NK細胞の数が、5×10もしくは約5×10個の細胞、1×10もしくは約1×10個の細胞、5×1010もしくは約5×1010個の細胞、又は1×1010もしくは約1×1010個の細胞である、実施形態16~46のいずれか1つに記載の組成物。
48.組成物の体積が、50mL又は約50mLから、500mL又は約500mL、任意選択で200mL又は約200mLである、実施形態16~47のいずれか1つに記載の組成物。
49.組成物中の細胞が、同じ生体試料から増殖させた単一のドナー対象由来である、実施形態16~48のいずれか1つに記載の組成物。
50.組成物が医薬組成物である、実施形態16~49のいずれか1つに記載の方法。
51.薬学的に許容される賦形剤を含む、実施形態16~50のいずれか1つに記載の組成物。
52.抗凍結剤を含む無血清凍結保存培地中に製剤化される、実施形態16~51のいずれか1つに記載の組成物。
53.抗凍結剤がDMSOであり、凍結保存媒体が5%~10%DMSO(v/v)である、実施形態52に記載の組成物。
54.抗凍結剤が、10%DMSO(v/v)であるか、又は約10%DMSOである、実施形態53に記載の組成物。
55.滅菌されている、実施形態16~54のいずれか1つに記載の組成物。
56.実施形態16~55のいずれか1つに記載の組成物を含む滅菌バッグ。
57.バッグが凍結保存適合性バッグである、実施形態56に記載の滅菌バッグ。
58.FcRγ鎖の発現が欠損したNK細胞(g-NK細胞)に、キメラ抗原受容体(CAR)をコードする異種核酸を導入することを含む、遺伝子操作されたg-NK細胞を産生する方法。
59.CARが、1)抗原結合ドメイン、2)可撓性リンカー(スペーサー)、3)膜貫通領域と、4)細胞内シグナル伝達ドメインと、を含む、実施形態1に記載の操作されたNK細胞。
60.抗原結合ドメインが腫瘍抗原を標的とする、実施形態59に記載の方法。
61.抗原結合ドメインが一本鎖可変断片(scFv)である、実施形態59又は60に記載の方法。
62.細胞内シグナル伝達ドメインが、CD3ζ、DAP10、DAP12、CD28、4-1BB、又はOX40由来の1つ以上のシグナル伝達ドメインを含む、実施形態59~61のいずれか1つに記載の方法。
63.細胞内シグナル伝達ドメインが、CD28、4-1BB、又はOX40に由来する2つ以上のシグナル伝達ドメインを含む、実施形態59~62のいずれか1つに記載の方法。
64.CARをコードする異種核酸が、g-NK細胞のゲノムへの安定な組込みのための条件下で導入される、実施形態58~63のいずれか1つに記載の方法。
65.CARをコードする異種核酸が、ウイルスベクターに含まれ、形質導入によってg-NK細胞に導入される、実施形態58~64のいずれか1つに記載の方法。
66.ウイルスベクターがレンチウイルスベクターである、実施形態65に記載の方法。
67.CARをコードする核酸が、g-NK細胞における一過性発現のための条件下で導入される、実施形態58~63のいずれか1つに記載の方法。
68.CARをコードする核酸が非ウイルス送達によって導入される、実施形態58~63及び67のいずれか1つに記載の方法。
69.CARをコードする核酸が、脂質ナノ粒子を介してg-NK細胞に導入される、実施形態58~63、67及び68のいずれか1つに記載の方法。
70.CARをコードする核酸がDNAである、実施形態58~69のいずれか1つに記載の方法。
71.CARをコードする核酸がRNAである、実施形態58~63及び67~79のいずれか1つに記載の方法。
72.RNAがmRNAである、実施形態71に記載の方法。
73.RNAは自己増幅mRNAである、実施形態72に記載の方法。
74.核酸が、エレクトロポレーションを介してg-NK細胞に導入される、実施形態58~63及び67~73のいずれか1つに記載の方法。
75.g-NK細胞組成物が、
(i)CD3について陰性もしくは低度かつCD57について陽性(CD3negCD57pos)又は(ii)CD3について陰性もしくは低度かつCD56について陽性(CD3negCD56pos)のいずれかである、対象由来の生体試料から濃縮されたNK細胞
のエクスビボ増殖によって産生され、
濃縮されたNK細胞が、照射されたHLA-E+フィーダー細胞及び1つ以上の組換えサイトカインと共に培養される、
実施形態58~74のいずれか1つに記載の方法。
76.1つ以上の組換えサイトカインが、有効量のSCF、GSK3i、FLT3、IL-2、IL-6、IL-7、IL-15、IL-12、IL-18、IL-21、IL-27、又はこれらの組み合わせから選択される、実施形態75に記載の方法。
77.培養が2つ以上の組換えサイトカインの存在下で実施され、少なくとも1つの組換えサイトカインがインターロイキン(IL)-2であり、少なくとも1つの組換えサイトカインがIL-21である、実施形態75又は実施形態76の方法。
78.導入することが、
FcRγ欠損NK(g-NK)細胞を増殖させるための方法
の間に行われ、前記方法が、
(A)ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を得ることであって、NK細胞について濃縮された集団が、ヒト対象由来の生体試料から選択される、得ることと、
(B)操作されたNK細胞の集団を、
(1)照射されたHLA-E+フィーダー細胞であって、フィーダー細胞がHLAクラスI及びHLAクラスIIを欠損しており、照射されたHLA-E+フィーダー細胞 対 濃縮されたNK細胞の比が1:10~10:1である、照射されたHLA-E+フィーダー細胞、及び
(2)NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカインであって、少なくとも1つの組換えサイトカインがインターロイキン(IL)-2であり、少なくとも1つの組換えサイトカインがIL-21である、NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカイン
と共に、培地中で培養することと
を含み、
CARをコードする核酸を導入することが、ステップ(A)の後、かつステップ(B)の前、間、又は後に行われ、それによって、操作されたNK細胞の集団を産生し、及び
方法は、g-NK細胞について濃縮され、かつCARで操作された細胞を含む、操作されたNK細胞の増殖させた集団を産生する、
実施形態58~77のいずれか1つに記載の方法。
79.導入することが、
FcRγ欠損NK細胞(g-NK)を増殖させる方法
の間に行われ、前記方法が、
(A)ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を得ることであって、NK細胞について濃縮された集団が、ヒト対象由来の生体試料から選択される、得ることと、
(B)濃縮されたNK細胞の集団に、CARをコードする核酸を導入することであって、それによって、操作されたNK細胞の集団を産生する、導入することと、
(C)操作されたNK細胞の集団を、
(1)照射されたHLA-E+フィーダー細胞であって、フィーダー細胞がHLAクラスI及びHLAクラスIIを欠損しており、照射されたHLA-E+フィーダー細胞 対 濃縮NK細胞の比が1:10~10:1である、照射されたHLA-E+フィーダー細胞、及び
(2)NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカインであって、少なくとも1つの組換えサイトカインがインターロイキン(IL)-2であり、少なくとも1つの組換えサイトカインがIL-21である、NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカイン
と共に、培養培地中で培養することであって、それによって、NK細胞の増殖させた集団を産生する、培養することと
を含み、及び
方法は、g-NK細胞について濃縮され、かつCARで操作された細胞を含む、操作されたNK細胞の増殖させた集団を産生する、
実施形態58~77のいずれか1つに記載の方法。
80.導入することが、
FcRγ欠損NK細胞(g-NK)を増殖させる方法
の間に行われ、前記方法が、
(A)ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を得ることであって、NK細胞について濃縮された集団が、ヒト対象由来の生体試料から選択される、得ることと、
(B)濃縮されたNK細胞の集団を、
(1)照射されたHLA-E+フィーダー細胞であって、フィーダー細胞がHLAクラスI及びHLAクラスIIを欠損しており、照射されたHLA-E+フィーダー細胞 対 濃縮されたNK細胞の比が1:10~10:1である、照射されたHLA-E+フィーダー細胞、及び
(2)NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカインであって、少なくとも1つの組換えサイトカインがインターロイキン(IL)-2であり、少なくとも1つの組換えサイトカインがIL-21である、NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカイン
と共に、培地中で培養することであって、それにより、NK細胞の増殖させた集団を産生する、培養することと、
(C)増殖させたNK細胞集団のNK細胞に、CARをコードする核酸を導入することと
を含み、
方法は、g-NK細胞について濃縮され、CARで操作された細胞を含む、操作されたNK細胞の増殖させた集団を産生する、
実施形態58~77のいずれか1つに記載の方法。
81.導入することが、
FcRγ欠損NK細胞(g-NK)を増殖させる方法
の間に行われ、前記方法が、
(A)ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を得ることであって、NK細胞について濃縮された集団が、ヒト対象由来の生体試料から選択される、得ることと、
(B)濃縮されたNK細胞の集団を、NK細胞を増殖させるための条件下で培養培地中で培養することを含む第1の増殖を実施することであって、第1の増殖させたNK細胞集団を産生する、実施することと、
(C)第1の増殖させたNK細胞集団のNK細胞に、CARをコードする核酸を導入することであって、それによって、操作されたNK細胞集団を産生する、導入することと、
(D)NK細胞の更なる増殖のための条件下で、操作されたNK細胞の集団を培養することを含む第2の増殖を実施することと
を含み、
第1の増殖及び/又は第2の増殖は、濃縮されたNK細胞の集団を、
(1)照射されたHLA-E+フィーダー細胞であって、フィーダー細胞がHLAクラスI及びHLAクラスIIを欠損しており、照射されたHLA-E+フィーダー細胞 対 濃縮されたNK細胞の比が1:10~10:1である、照射されたHLA-E+フィーダー細胞、及び
(2)NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカインであって、少なくとも1つの組換えサイトカインがインターロイキン(IL)-2であり、少なくとも1つの組換えサイトカインがIL-21である、NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカイン
と共に、培地中で培養することを含み、
方法は、g-NK細胞について濃縮され、かつCARで操作された細胞を含む、操作されたNK細胞の増殖させた集団を産生する、
実施形態58~77のいずれか1つに記載の方法。
82.NK細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団が、ヒト対象由来の生体試料から、(i)CD3について陰性もしくは低度かつCD57について陽性(CD3negCD57pos)又は(ii)CD3について陰性もしくは低度かつCD56について陽性(CD3negCD56pos)のいずれかである細胞を選択することによって得られる、実施形態75~81のいずれか1つに記載の方法。
83.NK細胞について濃縮された集団が、NKG2Cについて陽性である細胞(NKG2Cpos)について更に選択された細胞である、
NK細胞について濃縮された集団が、NKG2Aについて陰性又は低度である細胞(NKG2Aneg)について更に選択された細胞である、又は
NK細胞について濃縮された集団が、NKG2Cについて陽性であり、NKG2Aについて陰性又は低度である細胞(NKG2CposNKG2Aneg)について更に選択された細胞である、
実施形態82に記載の方法。
84.ヒト対象が、対象由来の末梢血試料中のナチュラルキラー(NK)細胞の少なくとも20%又は約20%がNKG2Cについて陽性 (NKG2Cpos)でありかつ末梢血試料中のNK細胞の少なくとも70%がNKG2Aについて陰性又は低度である(NKG2Aneg)対象である、実施形態75~83のいずれか1つに記載の方法。
85.対象がCMV血清陽性である、実施形態75~84のいずれか1つに記載の方法。
86.対象由来の生体試料中のNK細胞のうちのg-NK細胞の割合が、5%超もしくは約5%超、10%超もしくは約10%超、又は30%超もしくは約30%超である、実施形態75~85のいずれか1つに記載の方法。
87.濃縮されたNK細胞の集団中のg-NK細胞の割合が、20%もしくは約20%から、90%もしくは約90%、40%もしくは約40%から、90%もしくは約90%、又は60%もしくは約60%から、90%もしくは約90%である、実施形態75~86のいずれか1つに記載の方法。
88.NK細胞について濃縮された集団が、CD3について陰性もしくは低度かつCD57について陽性である、生体試料から選択された細胞(CD3negCD57pos)である、実施形態75~87のいずれか1つに記載の方法。
89.NK細胞について濃縮された集団が、CD3について陰性もしくは低度かつCD56について陽性である、生体試料から選択された細胞(CD3negCD56pos)である、実施形態75~87のいずれか1つに記載の方法。
90.2つ以上の組換えサイトカインが、有効量のSCF、GSK3i、FLT3、IL-6、IL-7、IL-15、IL-12、IL-18、IL-27、又はそれらの組み合わせを更に含む、実施形態77~89のいずれか1つに記載の方法。
91.組換えサイトカインがIL-21及びIL-2である、実施形態75~89のいずれか1つに記載の方法。
92.組換えサイトカインがIL-21、IL-2、及びIL-15である、実施形態75~90のいずれか1つに記載の方法。
93.組換えIL-21が、培養の少なくとも一部の間に、10ng/mL又は約10ng/mLから、100ng/mL又は約100ng/mLの濃度で培養培地に添加される、実施形態75~92のいずれか1つに記載の方法。
94.組換えIL-21が、培養の少なくとも一部の間に、25ng/mL又は約25ng/mLの濃度で培養培地に添加される、実施形態75~93のいずれか1つに記載の方法。
95.組換えIL-2が、培養の少なくとも一部の間に、10IU/mL又は約10IU/mLから、500IU/mL又は約500IU/mLの濃度で培養培地に添加される、実施形態75~94のいずれか1つに記載の方法。
96.組換えIL-2が、培養の少なくとも一部の間に、100IU/mL又は約100IU/mLの濃度で培養培地に添加される、実施形態75~95のいずれか1つに記載の方法。
97.組換えIL-2が、培養の少なくとも一部の間に、500IU/mL又は約500IU/mLの濃度で培養培地に添加される、実施形態75~96のいずれか1つに記載の方法。
98.組換えIL-15が、培養の少なくとも一部の間に、1ng/mL又は約1ng/mLから、50ng/mL又は約50ng/mLの濃度で培養培地に添加される、実施形態75~90及び92~97のいずれか1つに記載の方法。
99.組換えIL-15が、培養の少なくとも一部の間に、10ng/mL又は約10ng/mLの濃度で培養培地に添加される、実施形態75~90及び92~97のいずれか1つに記載の方法。
100.組換えサイトカインが、培養の開始時又はほぼ開始時に培養培地に添加される、実施形態75~99のいずれか1つに記載の方法。
101.培養中に培養培地を1回以上交換することを更に含み、培養培地の各交換において、組換えサイトカインを含有する新鮮な培地が添加される、実施形態75~100のいずれか1つに記載の方法。
102.培養培地の交換が、培養の期間中、2日又は3日毎に行われる、実施形態101に記載の方法。
103.培地の交換が、最大5日間の培地交換を伴わない第1の増殖の後に行われ、任意選択で、最大5日間の培地交換を伴わない第1の増殖の後に行われる、実施形態101又は実施形態102に記載。
104.ヒト対象が、CD16 158V/V NK細胞遺伝子型又はCD16 158V/F NK細胞遺伝子型を有し、任意選択で、生体試料が、CD16 158V/V NK細胞遺伝子型又はCD16 158V/F NK細胞遺伝子型について選択されたヒト対象に由来する、実施形態75~103のいずれか1つに記載の方法。
105.生体試料が、末梢血単核細胞(PBMC)であるか、又はそれを含み、任意選択で血液試料、アフェレーシス試料又は白血球アフェレーシス試料である、実施形態75~104のいずれか1つに記載の方法。
106.HLA-E+フィーダー細胞が、HLA-Eで形質転換されたK562細胞(K562-HLA-E)である、実施形態75~105のいずれか1つに記載の方法。
107.HLA-E+フィーダー細胞が221.AEH細胞である、実施形態75~106のいずれか1つに記載の方法。
108.照射されたHLA-E+フィーダー細胞 対 濃縮されたNK細胞の比が1:1~5:1であり、1:1~3:1を含み、任意選択で、2.5:1もしくは約2.5:1、又は2:1もしくは約2:1、又は約1:1である、実施形態75~107のいずれか1つに記載の方法。
109.培養の少なくとも一部の間に培養培地に添加される組換えサイトカインが、500 IU/mLのIL-2、10ng/mLのIL-15、及び25ng/mLのIL-21である、実施形態75~108のいずれか1つに記載の方法。
110.濃縮されたNK細胞の集団が、2.0×10個の濃縮NK細胞もしくは約2.0×10個の濃縮NK細胞から、5.0×10個の濃縮NK細胞もしくは約5.0×10個の濃縮NK細胞、1.0×10個の濃縮NK細胞もしくは約1.0×10個の濃縮NK細胞から、1.0×10個の濃縮NK細胞もしくは約1.0×10個の濃縮NK細胞、1.0×10個の濃縮NK細胞もしくは約1.0×10個の濃縮NK細胞から、5.0×10個の濃縮NK細胞もしくは約5.0×10個の濃縮NK細胞、又は1.0×10個の濃縮NK細胞もしくは約1.0×10個の濃縮NK細胞から、約1.0×10個の濃縮NK細胞もしくは約1.0×10個の濃縮NK細胞を含み、(それぞれ両端を含む)、任意選択で、濃縮されたNK細胞の前記集団が、1.0×10個の濃縮NK細胞又は約1.0×10個の濃縮NK細胞を含む、実施形態75~109のいずれか1つに記載の方法。
111.培養開始時の濃縮されたNK細胞の集団は、0.05×10個の濃縮NK細胞/mLもしくは約0.05×10個の濃縮NK細胞/mLから、1.0×10個の濃縮NK細胞/mLもしくは約1.0×10個の濃縮NK細胞/mL、又は0.05×10個の濃縮NK細胞/mLもしくは約0.05×10個の濃縮NK細胞/mLから、0.5×10個の濃縮NK細胞/mLもしくは約0.5×10個の濃縮NK細胞/mLの濃度であり、任意選択で、培養開始時の濃縮されたNK細胞の集団は、0.2×10個の濃縮NK細胞/mL又は約0.2×10個の濃縮NK細胞/mLの濃度を含む、実施形態75~110のいずれか1つに記載の方法。
112.少なくとも2.50×10もしくは少なくとも約2.50×10個のg-NK細胞、少なくとも5.00×10もしくは少なくとも約5.00×10個のg-NK細胞、少なくとも1.0×10もしくは少なくとも約1.0×10個のg-NK細胞、又は少なくとも5.0×10もしくは少なくとも約5.0×108個のg-NK細胞の増殖を方法が達成する時点まで、培養が行われる、実施形態75~111のいずれか1つに記載の方法。
113.5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、22日間、23日間、24日間、もしくは25日間、又は約5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、22日間、23日間、24日間、もしくは25日間、又は少なくとも5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、22日間、23日間、24日間、もしくは25日間、又は少なくとも約5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、22日間、23日間、24日間、もしくは25日間、培養が行われる、実施形態75~112のいずれか1つに記載の方法。
114.方法によって産生された、操作されたNK細胞の増殖させた集団を、収集することを更に含む、実施形態75~113のいずれか1つに記載の方法。
115.操作されたNK細胞の増殖させた集団を、薬学的に許容される賦形剤中に製剤化することを更に含む、実施形態75~114のいずれか1つに記載の方法。
116.操作されたNK細胞の増殖させた集団を、抗凍結剤を含む無血清凍結保存培地と共に製剤化することを更に含む、実施形態115記載の方法。
117.抗凍結剤がDMSOであり、任意選択で抗凍結剤がDMSOであり、凍結保存媒体が、5%~10%DMSO(v/v)であり、任意選択で10%DMSO(v/v)又は約10%DMSO(v/v)である、実施形態116に記載の方法。
118.方法によって産生された操作されたNK細胞の増殖させた集団の中で、集団の50%超がFcRγnegである、集団の60%超がFcRγnegである、集団の70%超がFcRγnegである、集団の80%超がFcRγnegである、集団の90%超がFcRγnegである、又は集団の95%超がFcRγnegである、実施形態75~117のいずれか1つに記載の方法。
119.実施形態58~118のいずれか1つに記載の方法によって産生される複数の操作されたNK細胞を含む組成物。
120.実施形態16~55及び119のいずれか1つに記載の組成物の細胞の有効量を、それを必要とする個体に投与することを含む、対象における疾患又は状態を治療する方法。
121.疾患又は状態が、炎症状態、感染症、又はがんからなる群から選択される、実施形態120に記載の方法。
122.疾患又は状態が、がんであり、がんが、白血病、リンパ腫、又は骨髄腫である、実施形態120又は実施形態121の方法。
123.疾患又は状態が、がんであり、がんが、固形腫瘍を含む、実施形態120又は実施形態121の方法。
124.がんが、胃又は食道胃接合部の腺がん、膀胱がん、乳がん、脳がん、子宮頸がん、結腸直腸がん、内分泌/神経内分泌がん、頭頸部がん、消化管間質がん、骨巨細胞腫瘍、腎臓がん、肝臓がん、肺がん、神経芽細胞腫、卵巣上皮/ファロピウス管/原発性腹膜がん、膵臓がん、前立腺がん、皮膚がん、及び軟部組織がんの中から選択される、実施形態123に記載の方法。
125.組成物が単剤療法として投与される、実施形態120~124のいずれか1つに記載の方法。
126.g-NK細胞組成物の、1×10又は約1×10から、50×10又は約50×10個の細胞を、個体に投与することを含む、実施形態120~125のいずれか1つに記載の方法。
127.g-NK細胞組成物の、1×10又は約1×10から、50×10又は約50×10個のNK細胞、任意選択で、g-NK細胞組成物の5×10もしくは約5×10個の細胞、g-NK細胞組成物の5×10もしくは約5×10個の細胞、又はg-NK細胞組成物の10×10もしくは約10×10個の細胞を、投与することを含む、実施形態120~126のいずれか1つに記載の方法。
128.対象における投与されたNK細胞のインビボでの増殖又は持続を促進するために外因性サイトカインサポートを投与することを更に含み、任意選択で、外因性サイトカインがIL-15であるか、又はIL-15を含む、実施形態120~127のいずれか1つに記載の方法。
129.g-NK細胞の用量の投与前に、対象がリンパ球枯渇療法を受けている、実施形態120~128のいずれか1つに記載の方法。
130.リンパ枯渇療法がフルダラビン及び/又はシクロホスファミドを含む、実施形態129記載の方法。
131.リンパ球枯渇療法が、フルダラビンを、対象の体表面積で20~40mg/m又は約20~40mg/m、任意選択で30mg/m又は約30mg/mで、毎日、2~4日間にわたって投与し、かつ/又はシクロホスファミドを、対象の体表面積で200~400mg/m又は約200~400mg/m、任意選択で300mg/m又は約300mg/mで、毎日、2~4日間にわたって投与することを含む、実施形態129又は実施形態130の方法。
132.リンパ枯渇療法がフルダラビン及びシクロホスファミドを含む、実施形態129~131のいずれか1つに記載の方法。
133.リンパ枯渇療法が、フルダラビンを対象の体表面積で30mg/m又は約30mg/mで毎日、及びシクロホスファミドを対象の体表面積で300mg/m又は約300mg/mで毎日、それぞれ2~4日間にわたって、任意選択で3日間にわたって投与することを含む、実施形態129~131のいずれか1つに記載の方法。
134.細胞の投与が、リンパ球枯渇療法の開始後2週間以内に、又は2週間もしくは約2週間で開始される、実施形態129~133のいずれか1つに記載の方法。
135.個体がヒトである、実施形態120~169のいずれか1つに記載の方法。
136.組成物中のNK細胞が、個体にとって同種異系である、実施形態120~135のいずれか1つに記載の方法。
137.組成物中のNK細胞が、対象にとって自己由来である、実施形態120~136のいずれか1つに記載の方法。
【0625】
提供される実施形態には以下のものがある。
1.FcRγ鎖の発現が欠損しており(g-NK細胞)、免疫調節物質をコードする異種核酸を含む、操作されたナチュラルキラー(NK)細胞。
2.免疫調節物質が免疫抑制物質である、実施形態1に記載の操作されたNK細胞。
3.免疫調節物質が免疫活性化物質である、実施形態1に記載の操作されたNK細胞。
4.免疫調節物質がサイトカインである、実施形態1又は実施形態3に記載の操作されたNK細胞。
5.サイトカインが、操作されたNK細胞から分泌可能である、実施形態1~4のいずれか1つに記載の操作されたNK細胞。
6.分泌型サイトカインがIL-2もしくはその生物学的部分、IL-15もしくはその生物学的部分、又はIL-21もしくはその生物学的部分、又はそれらの組み合わせである。
7.サイトカインが膜結合型である、実施形態1~5のいずれか1つに記載の操作されたNK細胞。
8.膜結合型サイトカインが膜結合型IL-2(mbIL-2)、膜結合型IL-15(mbIL-15)、膜結合型IL-21(mbIL-21)、又はそれらの組み合わせである。
9.免疫調節物質をコードする異種核酸が、細胞のゲノムに安定に組み込まれている、実施形態1~8のいずれか1つに記載の操作されたNK細胞。
10.免疫調節物質をコードする異種核酸が、一過性に発現される、実施形態1~8のいずれか1つに記載の操作されたNK細胞。
11.g-NK細胞が、CD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161negである表面表現型を有する、実施形態1~10のいずれか1つに記載の操作されたNK細胞。
12.g-NK細胞が、NKG2Aneg/CD161negである表面表現型を更に有する、実施形態1~11のいずれか1つに記載の操作されたNK細胞。
13.g-NK細胞が更にCD38negである、実施形態1~12のいずれか1つに記載の操作されたNK細胞。
14.g-NK細胞が、更にCD45pos/CD3neg/CD56posである表面表現型を有する、実施形態1~13のいずれか1つに記載の操作されたNK細胞。
15.g-NK細胞が、CD16 158V/V(V158)を含む、実施形態1~14のいずれか1つに記載の操作されたNK細胞。
16.g-NK細胞が、CD16 158V/Fである、実施形態1~14のいずれか1つに記載の操作されたNK細胞。
17.実施形態1~16のいずれか1つに記載の操作されたg-NK細胞を複数含む、組成物。
18.組成物中のNK細胞又は総細胞の50%超又は約50%超が、g-NK細胞である、実施形態17に記載の組成物。
19.組成物中のNK細胞又は総細胞の60%超又は約60%超が、g-NK細胞である、実施形態17に記載の組成物。
20.組成物中のNK細胞又は総細胞の70%超又は約70%超が、g-NK細胞である、実施形態17に記載の組成物。
21.組成物中のNK細胞又は総細胞の80%超又は約80%超が、g-NK細胞である、実施形態17に記載の組成物。
22.組成物中のNK細胞又は総細胞の90%超又は約90%超が、g-NK細胞である、実施形態17に記載の組成物。
23.組成物中のNK細胞又は総細胞の95%超又は約95%超が、g-NK細胞である、実施形態17に記載の組成物。
24.複数の操作されたg-NK細胞が、20%超もしくは約20%超、30%超もしくは約30%超、40%超もしくは約40%超、50%超もしくは約50%超、60%超もしくは約60%超、又は70%超もしくは約70%超の、免疫調節物質をコードする異種核酸を含むg-NK細胞を構成する、実施形態17~23のいずれか1つに記載の組成物。
25.総組成物が、免疫調節物質をコードする異種核酸を含むg-NK細胞を、20%超もしくは約20%超、30%超もしくは約30%超、40%超もしくは約40%超、50%超もしくは約50%超、60%超もしくは約60%超、又は70%超もしくは約70%超含む、実施形態17~24のいずれか1つに記載の組成物。
26.g-NK細胞の70%超又は約70%超がパーフォリンについて陽性であり、g-NK細胞の70%超又は約70%超がグランザイムBについて陽性である、実施形態17~25のいずれか1つに記載の組成物。
27.g-NK細胞の80%超又は約80%超がパーフォリンについて陽性であり、g-NK細胞の80%超又は約80%超がグランザイムBについて陽性である、実施形態17~26のいずれか1つに記載の組成物。
28.g-NK細胞の90%超又は約90%超がパーフォリンに陽性であり、g-NK細胞の90%超又は約90%超がグランザイムBに陽性である、実施形態17~27のいずれか1つに記載の組成物。
29.g-NK細胞の95%超又は約95%超がパーフォリンについて陽性であり、g-NK細胞の95%超又は約95%超がグランザイムBについて陽性である、実施形態17~28のいずれか1つに記載の組成物。
30.パーフォリンについて陽性である細胞のうち、細胞は、細胞内フローサイトメトリーによって測定した場合、すなわち平均蛍光強度(MFI)に基づいて、FcRγposである細胞によって発現されるパーフォリンの平均レベルの少なくとも2倍又は約2倍である、平均レベルのパーフォリンを発現し、かつ/又は
グランザイムBについて陽性である細胞のうち、細胞は、細胞内フローサイトメトリーによって測定した場合、すなわち平均蛍光強度(MFI)に基づいて、FcRγposである細胞によって発現されるグランザイムBの平均レベルの少なくとも2倍又は約2倍である、グランザイムBの平均レベルを発現する、実施形態25~28のいずれか1つに記載の組成物。
31.組成物中の細胞の10%超が、任意選択でCD107a発現によって測定される、腫瘍標的細胞に対する脱顆粒が可能であり、任意選択で脱顆粒が腫瘍標的細胞に対する抗体の非存在下で測定される、実施形態17~30のいずれか1つに記載の組成物。
32.組成物中の細胞の10%超が、腫瘍標的細胞に対してインターフェロン-γ又はTNF-αを産生することができ、任意選択で、インターフェロン-γ又はTNF-αが、腫瘍標的細胞に対する抗体の非存在下で測定される、実施形態17~31のいずれか1つに記載の組成物。
33.組成物中の細胞のうち、15%超もしくは約15%超、20%超もしくは約20%超、30%超もしくは約30%超、40%超もしくは約40%超、又は50%超もしくは約50%超が、標的抗原及び標的抗原に対する抗体(抗標的抗体)を発現する細胞(標的細胞)の存在下でエフェクターサイトカインを産生する、実施形態17~33のいずれか1つに記載の組成物。
34.組成物中の総細胞のうち、又は組成物中のg-NK細胞のうち、30%超もしくは約30%超がNKG2Cについて陽性であり(NKG2C:pos)、かつ/又は50%超もしくは約50%超がNKG2Aについて陰性もしくは低度である(NKG2A:neg)、実施形態17~33のいずれか1つに記載の組成物。
35.組成物中の総細胞のうち、又は組成物中のg-NK細胞のうち、35%超もしくは約35%超がNKG2Cについて陽性であり(NKG2Cpos)、かつ/又は60%超もしくは約60%超がNKG2Aについて陰性もしくは低度である(NKG2A neg)、実施形態17~33のいずれか1つに記載の組成物。
36.組成物中の総細胞のうち、又は組成物中のg-NK細胞のうち、40%超もしくは約40%超が、NKG2Cについて陽性であり(NKG2Cpos)、かつ/又は70%超もしくは約70%超が、NKG2Aについて陰性もしくは低度である(NKG2A:neg)、実施形態17~33のいずれか1つに記載の組成物。
37.組成物中の総細胞のうち、又は組成物中のg-NK細胞のうち、45%超もしくは約45%超がNKG2Cについて陽性であり(NKG2Cpos)、かつ/又は80%超もしくは約80%超がNKG2Aについて陰性もしくは低度である(NKG2A neg)、実施形態17~33のいずれか1つに記載の組成物。
38.組成物中の総細胞のうち、又は組成物中のg-NK細胞のうち、50%超もしくは約50%超がNKG2Cについて陽性であり(NKG2Cpos)、かつ/又は85%超もしくは約85%超がNKG2Aについて陰性もしくは低度である(NKG2Aneg)、実施形態17~33のいずれか1つに記載の組成物。
39.組成物中の総細胞のうち、又は組成物中のg-NK細胞のうち、55%超もしくは約55%超がNKG2Cについて陽性であり(NKG2Cpos)、かつ/又は90%超もしくは約90%超がNKG2Aについて陰性もしくは低度である(NKG2A neg)、実施形態17~33のいずれか1つに記載の組成物。
40.組成物中の総細胞のうち、又は組成物中のg-NK細胞のうち、60%超もしくは約60%超がNKG2Cについて陽性であり(NKG2Cpos)、かつ/又は95%超もしくは約95%超がNKG2Aについて陰性もしくは低度である(NKG2A neg)、実施形態17~33のいずれか1つに記載の組成物。
41.組成物中の総細胞のうち、又は組成物中のg-NK細胞のうち、50%超もしくは約50%超、60%超もしくは約60%超、70%超もしくは約70%超、80%超もしくは約80%超、又は90%超もしくは約90%超が、CD38negである、実施形態17~40のいずれか1つに記載の組成物。
42.組成物中の総細胞のうち、又は組成物中のg-NK細胞のうち、50%超もしくは約50%超、60%超もしくは約60%超、70%超もしくは約70%超、80%超もしくは約80%超、又は90%超もしくは約90%超が、CD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161negである、実施形態17~40のいずれか1つに記載の組成物。
43.組成物中の総細胞のうち、又は組成物中のg-NK細胞のうち、50%超もしくは約50%超、60%超もしくは約60%超、70%超もしくは約70%超、80%超もしくは約80%超、又は90%超もしくは約90%超が、NKG2Aneg/CD161negである、実施形態17~40のいずれか1つに記載の組成物。
44.複数のg-NK細胞が、CD16 158V/V(V158)である、実施形態17~43のいずれか1つに記載の組成物。
45.複数のg-NK細胞がCD16 158V/Fである、実施形態17~44のいずれか1つに記載の組成物。
46.少なくとも10個又は少なくとも約10個の細胞を含む、実施形態17~45のいずれか1つに記載の組成物。
47.組成物中のg-NK細胞の数は10もしくは約10から、1012もしくは約1012個の細胞、10もしくは約10から、1011もしくは約1011個の細胞、10もしくは約10から、1010もしくは約1010個の細胞、10もしくは約10から、10もしくは約10個の細胞、10もしくは約10から、1012もしくは約1012個の細胞、10もしくは約10から、1011もしくは約1011個の細胞、10もしくは約10から、1010もしくは約1010個の細胞、1010もしくは約1010から、1012もしくは約1012個の細胞、1010もしくは約1010から、1011もしくは約1011個の細胞、又は1011もしくは約1011から、1012もしくは約1012個の細胞である、実施形態17~46のいずれか1つに記載の組成物。
48.組成物中のg-NK細胞の数が、5×10もしくは約5×10個の細胞、1×10もしくは約1×10個の細胞、5×1010もしくは約5×1010個の細胞、又は1×1010もしくは約1×1010個の細胞である、実施形態17から47のいずれか1つに記載の組成物。
49.組成物の体積が、50mL又は約50mLから、500mL又は約500mL、任意選択で200mL又は約200mLである、実施形態17~48のいずれか1つに記載の組成物。
50.組成物中の細胞が、同じ生体試料から増殖させた単一のドナー対象由来である、実施形態17~49のいずれか1つに記載の組成物。
51.組成物が医薬組成物である、実施形態17~50のいずれか1つに記載の方法。
52.薬学的に許容される賦形剤を含む、実施形態17~51のいずれか1つに記載の組成物。
53.抗凍結剤を含む無血清凍結保存培地中に製剤化される、実施形態17~52のいずれか1つに記載の組成物。
54.抗凍結剤がDMSOであり、凍結保存培地が5%~10%DMSO(v/v)である、実施形態53に記載の組成物。
55.抗凍結剤が、10%DMSO(v/v)であるか、又は約10%DMSO(v/v)である、実施形態54に記載の組成物。
56.滅菌されている、実施形態17~55のいずれか1つに記載の組成物。
57.実施形態17~56のいずれか1つに記載の組成物を含む滅菌バッグ。
58.バッグが凍結保存適合性バッグである、実施形態57に記載の滅菌バッグ。
59.g-NK細胞に、免疫調節物質をコードする異種核酸を導入することであって、それによって、遺伝子操作されたg-NK細胞を産生する、導入すること
を含む、遺伝子操作されたg-NK細胞を産生する方法。
60.免疫調節物質が、免疫抑制物質である、実施形態59に記載の方法。
61.免疫調節物質が、免疫活性化物質である、実施形態59に記載の方法。
62.免疫調節物質がサイトカインである、実施形態59又は実施形態61に記載の方法。
63.サイトカインが、操作されたNK細胞から分泌可能である、実施形態62に記載の方法。
64.分泌可能なサイトカインが、IL-2もしくはその生物学的に活性な部分、IL-15もしくはその生物学的に活性な部分、IL-21もしくはその生物学的に活性な部分、又はそれらの組み合わせである、実施形態63に記載の方法
65.サイトカインが膜結合型である、実施形態62に記載の方法。
66.膜結合型サイトカインが膜結合型IL-2(mbIL-2)、膜結合型IL-15(mbIL-15)、又は膜結合型IL-21(mbIL-21)、又はそれらの組み合わせである、実施形態65に記載の方法
67.免疫調節物質をコードする核酸が、g-NK細胞のゲノムへの安定な組み込みのための条件下で導入される、実施形態59~66のいずれか1つに記載の方法。
68.免疫調節物質をコードする核酸が、ウイルスベクターに含まれ、形質導入によってg-NK細胞に導入される、実施形態59~67のいずれか1つに記載の方法。
69.ウイルスベクターがレンチウイルスベクターである、実施形態68に記載の方法。
70.免疫調節物質をコードする核酸が、g-NK細胞における一過性発現のための条件下で導入される、実施形態59~66のいずれか1つに記載の方法。
71.免疫調節物質をコードする核酸が非ウイルス送達によって導入される、実施形態59~66及び70のいずれか1つに記載の方法。
72.免疫調節物質をコードする核酸が、脂質ナノ粒子を介してg-NK細胞に導入される、実施形態59~66、70及び71のいずれか1つに記載の方法。
73.免疫調節物質をコードする核酸がDNAである、実施形態67~72のいずれか1つに記載の方法。
74.免疫調節物質をコードする核酸がRNAである、実施形態70~73のいずれか1つに記載の方法。
75.RNAがmRNAである、実施形態74に記載の方法。
76.RNAが自己増幅mRNAである、実施形態75に記載の方法。
77.免疫調節物質をコードする核酸が、エレクトロポレーションを介してg-NK細胞に導入される、実施形態59~66及び70~75のいずれか1つに記載の方法。
78.g-NK細胞組成物が、
(i)CD3について陰性もしくは低度かつCD57について陽性(CD3negCD57pos)又は(ii)CD3について陰性もしくは低度かつCD56について陽性(CD3negCD56pos)のいずれかである、対象由来の生体試料から濃縮されたNK細胞
のエクスビボ増殖によって産生され、
濃縮されたNK細胞が、照射されたHLA-E+フィーダー細胞及び1つ以上の組換えサイトカインと共に培養される、
実施形態59~77のいずれか1つに記載の方法。
79.1つ以上の組換えサイトカインが、有効量のSCF、GSK3i、FLT3、IL-2、IL-6、IL-7、IL-15、IL-12、IL-18、IL-21、IL-27、又はそれらの組み合わせから選択される、実施形態78に記載の方法。
80.培養が2つ以上の組換えサイトカインの存在下で行われ、少なくとも1つの組換えサイトカインがインターロイキン(IL)-2であり、少なくとも1つの組換えサイトカインがIL-21である、実施形態78又は実施形態79の方法。
81.導入することが、
FcRγ欠損NK(g-NK)細胞を増殖させるための方法
の間に行われ、前記方法が、
(A)ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を得ることであって、NK細胞について濃縮された集団が、ヒト対象由来の生体試料から選択される、得ることと、
(B)操作されたNK細胞の集団を、(1)照射されたHLA-E+フィーダー細胞(フィーダー細胞はHLAクラスI及びHLAクラスIIを欠損しており、照射されたHLA-E+フィーダー細胞 対 濃縮されたNK細胞の比は1:10~10:1であり)及び(2)NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカイン(少なくとも1つの組換えサイトカインはインターロイキン(IL)-2であり、少なくとも1つの組換えサイトカインはIL-21である)と共に、培地中で培養することを含み、
免疫調節物質をコードする核酸を導入することが、ステップ(A)の後、かつステップ(B)の前、間、又は後に行われ、それによって、操作されたNK細胞の集団を産生し、及び
方法は、g-NK細胞について濃縮され、免疫調節物質で操作された細胞を含む、操作されたNK細胞の増殖させた集団を産生する、
実施形態59~80のいずれか1つに記載の方法。
82.導入することが、
FcRγ欠損NK細胞(g-NK)を増殖させるための方法
の間に行われ、前記方法が、
(A)ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を得ることであって、NK細胞について濃縮された集団が、ヒト対象由来の生体試料から選択される、得ることと、
(B)濃縮されたNK細胞の集団に、免疫調節物質をコードする核酸を導入することであって、それによって、操作されたNK細胞の集団を産生する、導入することと、
(C)操作されたNK細胞の集団を、
(1)照射されたHLA-E+フィーダー細胞であって、フィーダー細胞がHLAクラスI及びHLAクラスIIを欠損しており、照射されたHLA-E+フィーダー細胞 対 濃縮NK細胞の比が1:10~10:1である、照射されたHLA-E+フィーダー細胞、及び
(2)NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカインであって、少なくとも1つの組換えサイトカインがインターロイキン(IL)-2であり、少なくとも1つの組換えサイトカインがIL-21である、NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカイン
と共に、培養培地中で培養することであって、それによって、NK細胞の増殖させた集団を産生する、培養することとを含み、及び
方法は、g-NK細胞について濃縮され、かつ免疫調節物質で操作された細胞を含む、操作されたNK細胞の増殖させた集団を産生する、
実施形態59~80のいずれか1つに記載の方法。
83.導入することが、
FcRγ欠損NK細胞(g-NK)を増殖させるための方法
の間に行われ、前記方法が、
(A)ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を得ることであって、NK細胞について濃縮された集団が、ヒト対象由来の生体試料から選択される、得ることと、
(B)濃縮されたNK細胞の集団を、
(1)照射されたHLA-E+フィーダー細胞であって、フィーダー細胞がHLAクラスI及びHLAクラスIIを欠損しており、照射されたHLA-E+フィーダー細胞 対 濃縮されたNK細胞の比が1:10~10:1である、照射されたHLA-E+フィーダー細胞、及び
(2)NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカインであって、少なくとも1つの組換えサイトカインがインターロイキン(IL)-2であり、少なくとも1つの組換えサイトカインがIL-21である、NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカイン
と共に、培地中で培養することであって、それにより、NK細胞の増殖させた集団を産生する、培養することと、
(C)増殖させたNK細胞集団のNK細胞に、免疫調節物質をコードする核酸を導入することと
を含み、
方法は、g-NK細胞について濃縮され、かつ免疫調節物質で操作された細胞を含む、操作されたNK細胞の増殖させた集団を産生する、
実施形態59~80のいずれか1つに記載の方法。
84.導入することが、
FcRγ欠損NK細胞(g-NK)を増殖させるための方法
の間に行われ、前記方法が、
(A)ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を得ることであって、NK細胞について濃縮された集団が、ヒト対象由来の生体試料から選択される、得ることと、
(B)濃縮されたNK細胞の集団を、NK細胞を増殖させるための条件下で培養培地中で培養することを含む第1の増殖を実施することであって、第1の増殖させたNK細胞集団を産生する、実施することと、
(C)第1の増殖させたNK細胞の集団(免疫調節物質をコードする核酸)をNK細胞に導入することであって、それによって、操作されたNK細胞の集団を産生する、導入することと、
(D)NK細胞の更なる増殖のための条件下で、操作されたNK細胞の集団を培養することを含む第2の増殖を実施することと
を含み、
第1の増殖及び/又は第2の増殖は、濃縮されたNK細胞の集団を、
(1)照射されたHLA-E+フィーダー細胞であって、フィーダー細胞がHLAクラスI及びHLAクラスIIを欠損しており、照射されたHLA-E+フィーダー細胞 対 濃縮されたNK細胞の比が1:10~10:1である、照射されたHLA-E+フィーダー細胞、及び
(2)NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカインであって、少なくとも1つの組換えサイトカインがインターロイキン(IL)-2であり、少なくとも1つの組換えサイトカインがIL-21である、NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカイン
と共に、培地中で培養することを含み、
方法は、g-NK細胞について濃縮され、かつ免疫調節物質で操作された細胞を含む、操作されたNK細胞の増殖させた集団を産生する、
実施形態59~80のいずれか1つに記載の方法。
85.NK細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団が、ヒト対象由来の生体試料から、(i)CD3について陰性もしくは低度かつCD57について陽性(CD3negCD57pos)又は(ii)CD3について陰性もしくは低度かつCD56について陽性(CD3negCD56pos)のいずれかである細胞を選択することによって得られる、実施形態78~84のいずれか1つに記載の方法。
86.NK細胞について濃縮された集団が、NKG2Cについて陽性である細胞(NKG2Cpos)について更に選択された細胞である、
NK細胞について濃縮された集団が、NKG2Aについて陰性又は低度である細胞(NKG2Aneg)について更に選択された細胞である、又は
NK細胞について濃縮された集団が、NKG2Cについて陽性であり、NKG2Aについて陰性又は低度である細胞(NKG2CposNKG2Aneg)について更に選択された細胞である、
実施形態82に記載の方法。
87.ヒト対象が、対象由来の末梢血試料中のナチュラルキラー(NK)細胞の少なくとも20%又は約20%がNKG2Cについて陽性 (NKG2Cpos)でありかつ末梢血試料中のNK細胞の少なくとも70%がNKG2Aについて陰性又は低度である(NKG2Aneg)対象である、実施形態78~86のいずれか1つに記載の方法。
88.対象がCMV血清陽性である、実施形態78~87のいずれか1つに記載の方法。
89.対象由来の生体試料中のNK細胞のうちのg-NK細胞の割合が、5%超もしくは約5%超、10%超もしくは約10%超、又は30%超もしくは約30%超である、実施形態78~88のいずれか1つに記載の方法。
90.濃縮されたNK細胞の集団中のg-NK細胞の割合が、20%もしくは約20%から、90もしくは約90%、40%もしくは約40%から、90%もしくは約90%、又は60%もしくは約60%から、90%もしくは約90%である、実施形態78~89のいずれか1つに記載の方法。
91.NK細胞について濃縮された集団が、CD3について陰性もしくは低度かつCD57について陽性(CD3negCD57pos)である、生体試料から選択された細胞である、実施形態78~90のいずれか1つに記載の方法。
92.NK細胞について濃縮された集団が、CD3について陰性もしくは低度かつCD56について陽性である、生体試料から選択された細胞(CD3negCD56pos)である、実施形態78~90のいずれか1つに記載の方法。
93.2つ以上の組換えサイトカインが、有効量のSCF、GSK3i、FLT3、IL-6、IL-7、IL-15、IL-12、IL-18、IL-27、又はそれらの組み合わせを更に含む、実施形態80~92のいずれか1つに記載の方法。
94.組換えサイトカインがIL-21及びIL-2である、実施形態78~92のいずれか1つに記載の方法。
95.組換えサイトカインがIL-21、IL-2、及びIL-15である、実施形態78~93のいずれか1つに記載の方法。
96.組換えIL-21が、培養の少なくとも一部の間に、10ng/mL又は約10ng/mLから、100ng/mL又は約100ng/mLの濃度で培養培地に添加される、実施形態78~95のいずれか1つに記載の方法。
97.組換えIL-21が、培養の少なくとも一部の間に、25ng/mL又は約25ng/mLの濃度で培養培地に添加される、実施形態78~96のいずれか1つに記載の方法。
98.組換えIL-2が、培養の少なくとも一部の間に、10IU/mL又は約10IU/mLから、500IU/mL又は約500IU/mLの濃度で培養培地に添加される、実施形態78~97のいずれか1つに記載の方法。
99.組換えIL-2が、培養の少なくとも一部の間に、100IU/mL又は約100IU/mLの濃度で培養培地に添加される、実施形態78~98のいずれか1つに記載の方法。
100.組換えIL-2が、培養の少なくとも一部の間に、500IU/mL又は約500IU/mLの濃度で培養培地に添加される、実施形態78~99のいずれか1つに記載の方法。
101.組換えIL-15が、培養の少なくとも一部の間に、1ng/mL又は約1ng/mLから、50ng/mL又は約50ng/mLの濃度で培養培地に添加される、実施形態78~93及び95~100のいずれか1つに記載の方法。
102.組換えIL-15が、培養の少なくとも一部の間に、10ng/mL又は約10ng/mLである濃度で培養培地に添加される、実施形態78~93及び95~101のいずれか1つに記載の方法。
103.組換えサイトカインが、培養の開始時又はほぼ開始時に培養培地に添加される、実施形態78~102のいずれか1つに記載の方法。
104.培養中に培養培地を1回以上交換することを更に含み、培養培地の各交換時に、組換えサイトカインを含有する新鮮な培地が添加される、実施形態78~103のいずれか1つに記載の方法。
105.培養培地の交換が、培養の期間中、2日又は3日毎に行われる、実施形態104に記載の方法。
106.培地の交換が、最大5日間の培地交換を伴わない第1の増殖の後に行われ、任意選択で、最大5日間の培地交換を伴わない第1の増殖の後に行われる、実施形態104又は実施形態105に記載の方法。
107.ヒト対象が、CD16 158V/V NK細胞遺伝子型又はCD16 158V/F NK細胞遺伝子型を有し、任意選択で、生体試料が、CD16 158V/V NK細胞遺伝子型又はCD16 158V/F NK細胞遺伝子型について選択されたヒト対象に由来する、実施形態78~106のいずれか1つに記載の方法。
108.生体試料が、末梢血単核細胞(PBMC)であるか、又はそれを含み、任意選択で血液試料、アフェレーシス試料又は白血球アフェレーシス試料である、実施形態78~107のいずれか1つに記載の方法。
109.HLA-E+フィーダー細胞が、HLA-Eで形質転換されたK562細胞(K562-HLA-E)である、実施形態78~108のいずれか1つに記載の方法。
110.HLA-E+フィーダー細胞が221.AEH細胞である、実施形態78~109のいずれか1つに記載の方法。
111.照射されたHLA-E+フィーダー細胞 対 濃縮されたNK細胞の比が、1:1~5:1(両端を含む)であり、1:1~3:1(両端を含む)であり、任意選択で、2.5:1もしくは約2.5:1、又は2:1もしくは約2:1、又は約1:1である、実施形態78~110のいずれか1つに記載の方法。
112.培養の少なくとも一部の間に培養培地に添加される組換えサイトカインが、500IU/mLのIL-2、10ng/mLのIL-15、及び25ng/mLのIL-21である、実施形態78~111のいずれか1つに記載の方法。
113.濃縮されたNK細胞の集団が、2.0×10個の濃縮NK細胞もしくは約2.0×10個の濃縮NK細胞から、5.0×10個の濃縮NK細胞もしくは約5.0×10個の濃縮NK細胞、1.0×10個の濃縮NK細胞もしくは約1.0×10個の濃縮NK細胞から、1.0×10個の濃縮NK細胞もしくは約1.0×10個の濃縮NK細胞、1.0×10個の濃縮NK細胞もしくは約1.0×10個の濃縮NK細胞から、5.0×10個の濃縮NK細胞もしくは約5.0×10個の濃縮NK細胞、又は1.0×10個の濃縮NK細胞もしくは約1.0×10個の濃縮NK細胞から、約1.0×10個の濃縮NK細胞もしくは約1.0×10個の濃縮NK細胞を含み、(それぞれ両端を含む)、任意選択で、濃縮されたNK細胞の前記集団が、1.0×10個の濃縮NK細胞又は約1.0×10個の濃縮NK細胞を含む、実施形態78~112のいずれか1つに記載の方法。
114.培養開始時の濃縮されたNK細胞の集団は、0.05×10個の濃縮NK細胞/mLもしくは約0.05×10個の濃縮NK細胞/mLから、1.0×10個の濃縮NK細胞/mLもしくは約1.0×10個の濃縮NK細胞/mL、又は0.05×10個の濃縮NK細胞/mLもしくは約0.05×10個の濃縮NK細胞/mLから、0.5×10個の濃縮NK細胞/mLもしくは約0.5×10個の濃縮NK細胞/mLの濃度であり、任意選択で、培養開始時の濃縮されたNK細胞の集団は、1mL当たり0.2×10又は約0.2×10個の濃縮NK細胞の濃度を含む、実施形態78~113のいずれか1つに記載の方法。
115.少なくとも2.50×10もしくは少なくとも約2.50×10個のg-NK細胞、少なくとも5.00×10もしくは少なくとも約5.00×10個のg-NK細胞、少なくとも1.0×10もしくは少なくとも約1.0×10個のg-NK細胞、又は少なくとも5.0×10もしくは少なくとも約5.0×10個のg-NK細胞の増殖を方法が達成する時点まで、培養が行われる、実施形態78~114のいずれか1つに記載の方法。
116.5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、22日間、23日間、24日間、もしくは25日間、又は約5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、22日間、23日間、24日間、もしくは25日間、又は少なくとも5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、22日間、23日間、24日間、もしくは25日間、又は少なくとも約5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、22日間、23日間、24日間、もしくは25日間、培養が行われる、実施形態78~115のいずれか1つに記載の方法。
117.方法によって産生された、操作されたNK細胞の増殖させた集団を、収集することを更に含む、実施形態78~116のいずれか1つに記載の方法。
118.操作されたNK細胞の増殖させた集団を、薬学的に許容される賦形剤中に製剤化することを更に含む、実施形態78~117のいずれか1つに記載の方法。
119.操作されたNK細胞の増殖させた集団を、抗凍結剤を含む無血清凍結保存培地と共に製剤化することを更に含む、実施形態118の方法。
120.抗凍結剤がDMSOであり、任意選択で抗凍結剤がDMSOであり、凍結保存媒体が、5%~10%DMSO(v/v)であり、任意選択で10%DMSO(v/v)又は約10%DMSO(v/v)である、実施形態119に記載の方法。
121.方法によって産生された操作されたNK細胞の増殖させた集団の中で、集団の50%超がFcRγnegである、集団の60%超がFcRγnegである、集団の70%超がFcRγnegである、集団の80%超がFcRγnegである、集団の90%超がFcRγnegである、又は集団の95%超がFcRγnegである、実施形態78~120のいずれか1つに記載の方法。
122.実施形態59~121のいずれか1つに記載の方法によって産生される複数の操作されたNK細胞を含む組成物。
123.実施形態17~56及び122のいずれか1つに記載の組成物の細胞の有効量を、それを必要とする個体に投与することを含む、対象における疾患又は状態を治療する方法。
124.疾患又は状態が、炎症状態、感染症、又はがんからなる群から選択される、実施形態123に記載の方法。
125.疾患又は状態が、がんであり、がんが、白血病、リンパ腫、又は骨髄腫である、実施形態123又は実施形態124の方法。
126.疾患又は状態が、がんであり、がんが、固形腫瘍を含む、実施形態123又は実施形態124の方法。
127.がんが、胃又は食道胃接合部の腺がん、膀胱がん、乳がん、脳がん、子宮頸がん、結腸直腸がん、内分泌/神経内分泌がん、頭頸部がん、消化管間質がん、骨巨細胞腫瘍、腎臓がん、肝臓がん、肺がん、神経芽細胞腫、卵巣上皮/ファロピウス管/原発性腹膜がん、膵臓がん、前立腺がん、皮膚がん、及び軟部組織がんの中から選択される、実施形態126の方法。
128.組成物が単剤療法として投与される、実施形態123~127のいずれか1つに記載の方法。
129.疾患又は状態を処置するために個体に追加の薬剤を投与することを更に含む、実施形態123~127のいずれか1つに記載の方法。
130.追加の薬剤が抗体又はFc融合タンパク質である、実施形態129に記載の方法。
131.疾患又は状態が、がんであり、追加の薬剤、任意選択の抗体が、がんに関連する腫瘍抗原を認識する、実施形態130に記載の方法。
132.g-NK細胞組成物の、1×10又は約1×10から、50×10又は約50×10個の細胞を、個体に投与することを含む、実施形態123~131のいずれか1つに記載の方法。
133.g-NK細胞組成物の、1×106又は約1×10から、50×10又は約50×10個のNK細胞、任意選択で、g-NK細胞組成物の5×10もしくは約5×10個の細胞、g-NK細胞組成物の5×10もしくは約5×10個の細胞、又はg-NK細胞組成物の10×10もしくは約10×10個の細胞を、投与することを含む、実施形態123~132のいずれか1つに記載の方法。
134.g-NK細胞の用量の投与前に、対象がリンパ球枯渇療法を受けている、実施形態123~133のいずれか1つに記載の方法。
135.リンパ枯渇療法がフルダラビン及び/又はシクロホスファミドを含む、実施形態134記載の方法。
136.リンパ枯渇療法は、フルダラビンを、対象の体表面積で20~40mg/m又は約20~約40mg/m、任意選択で30mg/m又は約30mg/mで、毎日、2~4日間にわたって投与し、かつ/又はシクロホスファミドを、対象の体表面積で200~400mg/m又は約200~約400mg/m、任意選択で300mg/m又は約300mg/mで、毎日、2~4日間にわたって投与することを含む、実施形態134又は実施形態135の方法。
137.リンパ球枯渇療法がフルダラビン及びシクロホスファミドを含む、実施形態134~136のいずれか1つに記載の方法。
138.リンパ球枯渇療法が、フルダラビンを対象の体表面積で30mg/m又は約30mg/mで毎日、及びシクロホスファミドを対象の体表面積で300mg/m又は約300mg/mで毎日、それぞれ2~4日間にわたって、任意選択で3日間にわたって投与することを含む、実施形態134~137のいずれか1つに記載の方法。
139.g-NK細胞の用量の投与が、リンパ球枯渇療法の開始後2週間以内に、又は2週間もしくは約2週間で開始される、実施形態134~138のいずれか1つに記載の方法。
140.個体がヒトである、実施形態123~139のいずれか1つに記載の方法。
141.組成物中のNK細胞が、個体にとって同種異系である、実施形態123~140のいずれか1つに記載の方法。
142.組成物中のNK細胞が、対象にとって自己由来である、実施形態123~140のいずれか1つに記載の方法。
【0626】
提供される実施形態には以下のものがある。
1.FcRγ鎖の発現が欠損しており(g-NK細胞)、キメラ抗原受容体(CAR)をコードする異種核酸と、免疫調節物質をコードする異種核酸とを含む、操作されたナチュラルキラー(NK)細胞。
2.免疫調節物質が免疫抑制物質である、実施形態1に記載の操作されたNK細胞。
3.免疫調節物質が免疫活性化物質である、実施形態1に記載の操作されたNK細胞。
4.免疫調節物質がサイトカインである、実施形態1又は実施形態3に記載の操作されたNK細胞。
5.サイトカインが、操作されたNK細胞から分泌可能である、実施形態1~4のいずれか1つに記載の操作されたNK細胞。
6.分泌型サイトカインがIL-2もしくはその生物学的部分、IL-15もしくはその生物学的部分、又はIL-21もしくはその生物学的部分、又はそれらの組み合わせである。
7.サイトカインが膜結合型である、実施形態1~5のいずれか1つに記載の操作されたNK細胞。
8.膜結合型サイトカインが膜結合型IL-2(mbIL-2)、膜結合型IL-15(mbIL-15)、膜結合型IL-21(mbIL-21)、又はそれらの組み合わせである、実施形態7に記載の操作されたNK細胞。
9.CARが、1)抗原結合ドメイン、2)可撓性リンカー、3)膜貫通領域、及び4)細胞内シグナル伝達ドメインを含む、実施形態1~8のいずれかに記載の操作されたNK細胞。
10.抗原結合ドメインが腫瘍抗原を標的とする、実施形態9に記載の操作されたNK細胞。
11.抗原結合ドメインが一本鎖可変断片(scFv)である、実施形態9又は10に記載の操作されたNK細胞。
12.細胞内シグナル伝達ドメインが、一次シグナル伝達ドメイン及び共刺激シグナル伝達ドメインを含む、実施形態9~11のいずれか1つに記載の操作されたNK細胞。
13.細胞内シグナル伝達ドメインが、CD3ζ、DAP10、DAP12、CD28、4-1BB、又はOX40のうちの1つ以上のシグナル伝達ドメインを含む、実施形態9~12のいずれか1つに記載の操作されたNK細胞。
14.細胞内シグナル伝達ドメインが、CD3ζ、DAP10、DAP12、CD28、4-1BB、又はOX40のうちの2つ以上のシグナル伝達ドメインを含む、実施形態9~12のいずれか1つに記載の操作されたNK細胞。
15.CARをコードする異種核酸が、細胞のゲノムに安定に組み込まれている、実施形態1~14のいずれか1つに記載の操作されたNK細胞。
16.CARをコードする異種核酸が、一過性に発現される、実施形態1~14のいずれか1つに記載の操作されたNK細胞。
17.免疫調節物質をコードする前記異種核酸が、細胞のゲノムに安定に組み込まれている、実施形態1~16のいずれか1つに記載の操作されたNK細胞。
18.免疫調節物質をコードする異種核酸が、一過性に発現される、実施形態1~16のいずれか1つに記載の操作されたNK細胞。
19.g-NK細胞が、CD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161negである表面表現型を有する、実施形態1~18のいずれか1つに記載の操作されたNK細胞。
20.g-NK細胞が、NKG2Aneg/CD161negである表面表現型を更に有する、実施形態1~19のいずれか1つに記載の操作されたNK細胞。
21.g-NK細胞が更にCD38negである、実施形態1~20のいずれか1つに記載の操作されたNK細胞。
22.g-NK細胞が、更にCD45pos/CD3neg/CD56posである表面表現型を有する、実施形態1~21のいずれか1つに記載の操作されたNK細胞。
23.g-NK細胞が、CD16 158V/V(V158)を含む、実施形態1~22のいずれか1つに記載の操作されたNK細胞。
24.g-NK細胞が、CD16 158V/Fである、実施形態1~22のいずれか1つに記載の操作されたNK細胞。
25.実施形態1~24のいずれか1つに記載の操作されたg-NK細胞を複数含む、組成物。
26.組成物中のNK細胞又は総細胞の50%超又は約50%超が、g-NK細胞である、実施形態25に記載の組成物。
27.組成物中のNK細胞又は総細胞の60%超又は約60%超が、g-NK細胞である、実施形態25に記載の組成物。
28.組成物中のNK細胞又は総細胞の70%超又は約70%超が、g-NK細胞である、実施形態25に記載の組成物。
29.組成物中のNK細胞又は総細胞の80%超又は約80%超が、g-NK細胞である、実施形態25に記載の組成物。
30.組成物中のNK細胞又は総細胞の90%超又は約90%超が、g-NK細胞である、実施形態25に記載の組成物。
31.組成物中のNK細胞又は総細胞の95%超又は約95%超が、g-NK細胞である、実施形態25に記載の組成物。
32.複数の操作されたg-NK細胞が、20%超もしくは約20%超、30%超もしくは約30%超、40%超もしくは約40%超、50%超もしくは約50%超、60%超もしくは約60%超、又は70%超もしくは約70%超の、CARをコードする異種核酸及び免疫調節物質をコードする異種核酸を含むg-NK細胞を構成する、実施形態25~31のいずれか1つに記載の組成物。
33.総組成物が、CARをコードする異種核酸及び免疫調節物質をコードする異種核酸を含むg-NK細胞を、20%超もしくは約20%超、30%超もしくは約30%超、40%超もしくは約40%超、50%超もしくは約50%超、60%超もしくは約60%超、又は70%超もしくは約70%超含む、実施形態25~32のいずれか1つに記載の組成物。
34.複数の操作されたg-NK細胞が、20%超もしくは約20%超、30%超もしくは約30%超、40%超もしくは約40%超、50%超もしくは約50%超、60%超もしくは約60%超、又は70%超もしくは約70%超の、CARをコードする異種核酸を含むg-NK細胞を構成する、実施形態25~33のいずれか1つに記載の組成物。
35.複数の操作されたg-NK細胞が、20%超もしくは約20%超、30%超もしくは約30%超、40%超もしくは約40%超、50%超もしくは約50%超、60%超もしくは約60%超、又は70%超もしくは約70%超の、免疫調節物質をコードする異種核酸を含むg-NK細胞を構成する、実施形態25~34のいずれか1つに記載の組成物。
36.総組成物が、CARをコードする異種核酸を含むg-NK細胞を、20%超もしくは約20%超、30%超もしくは約30%超、40%超もしくは約40%超、50%超もしくは約50%超、60%超もしくは約60%超、又は70%超もしくは約70%超含む、実施形態25~35のいずれか1つに記載の組成物。
37.総組成物が、免疫調節物質をコードする異種核酸を含むg-NK細胞を、20%超もしくは約20%超、30%超もしくは約30%超、40%超もしくは約40%超、50%超もしくは約50%超、60%超もしくは約60%超、又は70%超もしくは約70%超含む、実施形態25~36のいずれか1つに記載の組成物。
38.g-NK細胞の70%超又は約70%超がパーフォリンについて陽性であり、g-NK細胞の70%超又は約70%以上がグランザイムBについて陽性である、実施形態25~37のいずれか1つに記載の組成物。
39.g-NK細胞の80%超又は約80%超がパーフォリンについて陽性であり、g-NK細胞の80%超又は約80%超がグランザイムBについて陽性である、実施形態25~38のいずれか1つに記載の組成物。
40.g-NK細胞の90%超又は約90%超がパーフォリンについて陽性であり、g-NK細胞の90%超又は約90%超がグランザイムBについて陽性である、実施形態25~39のいずれか1つに記載の組成物。
41.g-NK細胞の95%超又は約95%超がパーフォリンについて陽性であり、g-NK細胞の95%超又は約95%超がグランザイムBについて陽性である、実施形態25~39のいずれか1つに記載の組成物。
42.パーフォリンについて陽性である細胞のうち、細胞は、細胞内フローサイトメトリーによって測定した場合、すなわち平均蛍光強度(MFI)に基づいて、FcRγposである細胞によって発現されるパーフォリンの平均レベルの少なくとも2倍又は約2倍である、平均レベルのパーフォリンを発現し、かつ/又は
グランザイムBについて陽性である細胞のうち、細胞は、細胞内フローサイトメトリーによって測定した場合、すなわち平均蛍光強度(MFI)に基づいて、FcRγposである細胞によって発現されるグランザイムBの平均レベルの少なくとも2倍又は約2倍である、グランザイムBの平均レベルを発現する、実施形態38~41のいずれか1つに記載の組成物。
43.組成物中の細胞の10%超が、任意選択でCD107a発現によって測定される、腫瘍標的細胞に対する脱顆粒が可能であり、任意選択で脱顆粒が腫瘍標的細胞に対する抗体の非存在下で測定される、実施形態25~42のいずれか1つに記載の組成物。
44.組成物中の細胞の10%超が、腫瘍標的細胞に対してインターフェロン-γ又はTNF-αを産生することができ、任意選択で、インターフェロン-γ又はTNF-αが、腫瘍標的細胞に対する抗体の非存在下で測定される、実施形態25~43のいずれか1つに記載の組成物。
45.組成物中の細胞のうち、15%超もしくは約15%超、20%超もしくは約20%超、30%超もしくは約30%超、40%超もしくは約40%超、又は50%超もしくは約50%超が、標的抗原及び標的抗原に対する抗体(抗標的抗体)を発現する細胞(標的細胞)の存在下でエフェクターサイトカインを産生する、実施形態25~44のいずれか1つに記載の組成物。
46.組成物中の総細胞のうち、又は組成物中のg-NK細胞のうち、30%超もしくは約30%超がNKG2Cについて陽性であり(NKG2Cpos)、かつ/又は50%超もしくは約50%超がNKG2Aについて陰性もしくは低度である(NKG2A neg)、実施形態25~45のいずれか1つに記載の組成物。
47.組成物中の総細胞のうち、又は組成物中のg-NK細胞のうち、35%超もしくは約35%超がNKG2Cについて陽性であり(NKG2Cpos)、かつ/又は60%超もしくは約60%超がNKG2Aについて陰性もしくは低度である(NKG2A neg)、実施形態25~45のいずれか1つに記載の組成物。
48.組成物中の総細胞のうち、又は組成物中のg-NK細胞のうち、40%超もしくは約40%超がNKG2Cについて陽性であり(NKG2Cpos)、かつ/又は70%超もしくは約70%超がNKG2Aについて陰性もしくは低度である(NKG2A neg)、実施形態25~45のいずれか1つに記載の組成物。
49.組成物中の総細胞のうち、又は組成物中のg-NK細胞のうち、45%超もしくは約45%超がNKG2Cについて陽性であり(NKG2Cpos)、かつ/又は80%超もしくは約80%超がNKG2Aについて陰性もしくは低度である(NKG2A neg)、実施形態25~45のいずれか1つに記載の組成物。
50.組成物中の総細胞のうち、又は組成物中のg-NK細胞のうち、50%超もしくは約50%超がNKG2Cについて陽性であり(NKG2Cpos)、かつ/又は85%超もしくは約85%超がNKG2Aについて陰性もしくは低度である(NKG2A neg)、実施形態25~45のいずれか1つに記載の組成物。
51.組成物中の総細胞のうち、又は組成物中のg-NK細胞のうち、55%超もしくは約55%超がNKG2Cについて陽性であり(NKG2Cpos)、かつ/又は90%超もしくは約90%超がNKG2Aについて陰性もしくは低度である(NKG2A neg)、実施形態25~45のいずれか1つに記載の組成物。
52.組成物中の総細胞のうち、又は組成物中のg-NK細胞のうち、60%超もしくは約60%超がNKG2Cについて陽性であり(NKG2Cpos)、かつ/又は95%超もしくは約95%超がNKG2Aについて陰性もしくは低度である(NKG2A neg)、実施形態25~45のいずれか1つに記載の組成物。
53.組成物中の総細胞のうち、又は組成物中のg-NK細胞のうち、50%超もしくは約50%超、60%超もしくは約60%超、70%超もしくは約70%超、80%超もしくは約80%超、又は90%超もしくは約90%超が、CD38negである、実施形態25~52のいずれか1つに記載の組成物。
54.組成物中の総細胞のうち、又は組成物中のg-NK細胞のうち、50%超もしくは約50%超、60%超もしくは約60%超、70%超もしくは約70%超、80%超もしくは約80%超、又は90%超もしくは約90%超が、CD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161negである、実施形態25~52のいずれか1つに記載の組成物。
55.組成物中の総細胞のうち、又は組成物中のg-NK細胞のうち、50%超もしくは約50%超、60%超もしくは約60%超、70%超もしくは約70%超、80%超もしくは約80%超、又は90%超もしくは約90%超が、NKG2Aneg/CD161negである、実施形態25~52のいずれか1つに記載の組成物。
56.複数のg-NK細胞が、CD16 158V/V(V158)である、実施形態25~55のいずれか1つに記載の組成物。
57.複数のg-NK細胞がCD16 158V/Fである、実施形態25~56のいずれか1つに記載の組成物。
58.免疫調節物質がサイトカインであり、任意選択でIL-2もしくはその生物学的に活性な部分、IL-15もしくはその生物学的に活性な部分、又はIL-21もしくはその生物学的に活性な部分を含む、実施形態25~57のいずれか1つに記載の組成物。
59.サイトカインが、組成物の操作された細胞から分泌可能であるか、又は膜に結合している、実施形態58の組成物。
60.少なくとも又は少なくとも約10個の細胞を含む、実施形態25~59のいずれか1つに記載の組成物。
61.組成物中のg-NK細胞の数は10もしくは約10から、1012もしくは約1012個の細胞、10もしくは約10から、1011もしくは約1011個の細胞、10もしくは約10から、1010もしくは約1010個の細胞、10もしくは約10から、10もしくは約10個の細胞、10もしくは約10から、1012もしくは約1012個の細胞、10もしくは約10から、1011もしくは約1011個の細胞、10もしくは約10から、1010もしくは約1010個の細胞、1010もしくは約1010から、1012もしくは約1012個の細胞、1010もしくは約1010から、1011もしくは約1011個の細胞、又は1011もしくは約1011から、1012もしくは約1012個の細胞である、実施形態25~60のいずれかの組成物。
62.組成物中のg-NK細胞の数が、5×10もしくは約5×10個の細胞、1×10もしくは約1×10個の細胞、5×1010もしくは約5×1010個の細胞、又は1×1010もしくは約1×1010個の細胞である、実施形態25~61のいずれか1つに記載の組成物。
63.組成物の体積が、50mL又は約50mLから、500mL又は約500mL、任意選択で200mL又は約200mLである、実施形態25~62のいずれか1つに記載の組成物。
64.組成物中の細胞が、同じ生体試料から増殖させた単一のドナー対象に由来する、実施形態25~63のいずれか1つに記載の組成物。
65.組成物が医薬組成物である、実施形態25~64のいずれか1つに記載の方法。
66.薬学的に許容される賦形剤を含む、実施形態25~65のいずれか1つに記載の組成物。
67.抗凍結剤を含む無血清凍結保存培地中に製剤化される、実施形態25~66のいずれか1つに記載の組成物。
68.抗凍結剤がDMSOであり、凍結保存培地が5%~10%DMSO(v/v)である、実施形態67に記載の組成物。
69.抗凍結剤が、10%DMSO(v/v)であるか、又は約10%DMSO(v/v)である、実施形態68記載の組成物。
70.無菌である、実施形態25~69のいずれか1つに記載の組成物。
71.実施形態25~70のいずれか1つに記載の組成物を含む滅菌バッグ。
72.バッグが凍結保存適合性バッグである、実施形態71の滅菌バッグ。
73.遺伝子操作されたg-NK細胞を産生する方法であって
(a)FcRγ鎖の発現が欠損しているNK細胞(g-NK細胞)に、キメラ抗原受容体(CAR)をコードする異種核酸を導入することと、
(b)g-NK細胞に、免疫調節物質をコードする異種核酸を導入し、
それによって、遺伝子操作されたg-NK細胞を産生することと
を含み、ステップ(a)及び(b)が、同時に又は任意の順序で逐次的に行われる、方法。
74.免疫調節物質が、免疫抑制物質である、実施形態73に記載の方法。
75.免疫調節物質が、免疫活性化物質である、実施形態73に記載の方法。
76.免疫調節物質がサイトカインである、実施形態73又は75に記載の方法。
77.サイトカインが、操作されたNK細胞から分泌可能である、実施形態76に記載の方法。
78.分泌可能なサイトカインが、IL-2もしくはその生物学的に活性な部分、IL-15もしくはその生物学的に活性な部分、IL-21もしくはその生物学的に活性な部分、又はそれらの組み合わせである、実施形態77に記載の方法。
79.サイトカインが膜結合型である、実施形態76に記載の方法。
80.膜結合型サイトカインが膜結合型IL-2(mbIL-2)、膜結合型IL-15(mbIL-15)、又は膜結合型IL-21(mbIL-21)、又はそれらの組み合わせである、実施形態79に記載の方法。
81.CARが、1)抗原結合ドメイン、2)可撓性リンカー(スペーサー)、3)膜貫通領域、及び4)細胞内シグナル伝達ドメインを含む、実施形態73-80のいずれか1つに記載の方法。
82.抗原結合ドメインが腫瘍抗原を標的とする、実施形態81の方法。
83.抗原結合ドメインが、単鎖可変断片(scFv)である、実施形態81又は82に記載の方法。
84.細胞内シグナル伝達ドメインが、CD3ζ、DAP10、DAP12、CD28、4-1BB、又はOX40由来の1つ以上のシグナル伝達ドメインを含む、実施形態81~83のいずれか1つに記載の方法。
85.細胞内シグナル伝達ドメインが、CD28、4-1BB、又はOX40に由来する2つ以上のシグナル伝達ドメインを含む、実施形態81~84のいずれか1つに記載の方法。
86.CARをコードする異種核酸が、g-NK細胞のゲノムへの安定な組込みのための条件下で導入される、実施形態73~85のいずれか1つに記載の方法。
87.CARをコードする異種核酸が、ウイルスベクターに含まれ、形質導入によってg-NK細胞に導入される、実施形態73~86のいずれか1つに記載の方法。
88.ウイルスベクターがレンチウイルスベクターである、実施形態87に記載の方法。
89.CARをコードする核酸が、g-NK細胞における一過性発現のための条件下で導入される、実施形態73~85のいずれか1つに記載の方法。
90.CARをコードする核酸が非ウイルス送達によって導入される、実施形態73~85及び89のいずれか1つに記載の方法。
91.CARをコードする核酸が、脂質ナノ粒子を介してg-NK細胞に導入される、実施形態73~85、89及び90のいずれか1つに記載の方法。
92.CARをコードする核酸がDNAである、実施形態73~91のいずれか1つに記載の方法。
93.CARをコードする核酸がRNAである、実施形態73~85及び89~91のいずれか1つに記載の方法。
94.RNAがmRNAである、実施形態93に記載の方法。
95.核酸が、エレクトロポレーションを介してg-NK細胞に導入される、実施形態73~85及び89~94のいずれか1つに記載の方法。
96.免疫調節物質をコードする核酸が、g-NK細胞のゲノムへの安定な組み込みのための条件下で導入される、実施形態73~95のいずれか1つに記載の方法。
97.免疫調節物質をコードする核酸が、ウイルスベクターに含まれ、形質導入によってg-NK細胞に導入される、実施形態73~96のいずれか1つに記載の方法。
98.ウイルスベクターがレンチウイルスベクターである、実施形態97に記載の方法。
99.免疫調節物質をコードする核酸が、g-NK細胞における一過性発現のための条件下で導入される、実施形態73~95のいずれか1つに記載の方法。
100.免疫調節物質をコードする核酸が、非ウイルス送達によって導入される、実施形態73~95及び99のいずれか1つに記載の方法。
101.免疫調節物質をコードする核酸が、脂質ナノ粒子を介してg-NK細胞に導入される、実施形態73~95、99及び100のいずれか1つに記載の方法。
102.免疫調節物質をコードする核酸がDNAである、実施形態96~101のいずれか1つに記載の方法。
103.免疫調節物質をコードする核酸がRNAである、実施形態99~101のいずれか1つに記載の方法。
104.RNAがmRNAである、実施形態103に記載の方法。
105.免疫調節物質をコードする核酸が、エレクトロポレーションによってg-NK細胞に導入される、実施形態73~85及び99~104のいずれか1つに記載の方法。
106.RNAが自己増幅性mRNAである、実施形態94及び実施形態104の方法。
107.CARをコードする核酸及び免疫調節物質をコードする核酸が同じポリヌクレオチドからコードされ、一緒に導入される、実施形態73~106のいずれか1つに記載の方法。
108.CARをコードする核酸及び免疫調節物質をコードする核酸が、ポリヌクレオチド配列のマルチシストロン性エレメントによって隔てられている、実施形態107の方法。
109.マルチシストロン性エレメントが、T2A、P2A及びF2Aからなる群から選択される自己切断ペプチドである、実施形態108に記載の方法。
110.CARをコードする核酸及び免疫調節物質をコードする核酸が、g-NK細胞について濃縮された集団を増殖させるためのエクスビボプロセス中に同時に導入される、実施形態73~109のいずれか1つに記載の方法。
111.g-NK細胞組成物が、
(i)CD3について陰性もしくは低度かつCD57について陽性(CD3negCD57pos)又は(ii)CD3について陰性もしくは低度かつCD56について陽性(CD3negCD56pos)のいずれかである、対象由来の生体試料から濃縮されたNK細胞
のエクスビボ増殖によって生成され、
濃縮されたNK細胞が、照射されたHLA-E+フィーダー細胞及び1つ以上の組換えサイトカインと共に培養される、
実施形態73~110のいずれか1つに記載の方法。
112.1つ以上の組換えサイトカインが、有効量のSCF、GSK3i、FLT3、IL-2、IL-6、IL-7、IL-15、IL-12、IL-18、IL-21、IL-27、又はこれらの組み合わせから選択される、実施形態111に記載の方法。
113.培養が2つ以上の組換えサイトカインの存在下で行われ、少なくとも1つの組換えサイトカインがインターロイキン(IL)-2であり、少なくとも1つの組換えサイトカインがIL-21である、実施形態111又は実施形態112記載の方法。
114.導入することが、
FcRγ欠損NK(g-NK)細胞を増殖させるための方法
の間に行われ、前記方法が、
(A)ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を得ることであって、NK細胞について濃縮された集団が、ヒト対象由来の生体試料から選択される、得ることと、
(B)操作されたNK細胞の集団を、
(1)照射されたHLA-E+フィーダー細胞であって、フィーダー細胞がHLAクラスI及びHLAクラスIIを欠損しており、照射されたHLA-E+フィーダー細胞 対 濃縮されたNK細胞の比が1:10~10:1である、照射されたHLA-E+フィーダー細胞、及び
(2)NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカインであって、少なくとも1つの組換えサイトカインがインターロイキン(IL)-2であり、少なくとも1つの組換えサイトカインがIL-21である、NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカイ
と共に、培地中で培養することと
を含み、
ここで、(i)CARをコードする核酸及び/又は(ii)免疫調節物質をコードする核酸を導入することが、ステップ(A)の後、かつステップ(B)の前、間、又は後に行われ、ここで、ステップ(i)及び(ii)は、同時に又は任意の順序で逐次的に行われ、それによって、操作されたNK細胞の集団を産生し、そして
方法は、g-NK細胞について濃縮され、かつCAR及び免疫調節物質で操作された細胞を含む、操作されたNK細胞の増殖させた集団を産生する、
実施形態73~113のいずれか1つに記載の方法。
115.導入することが、
FcRγ欠損NK細胞(g-NK)を増殖させるための方法
の間に行われ、前記方法が、
(A)ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を得ることであって、NK細胞について濃縮された集団が、ヒト対象由来の生体試料から選択される、得ることと、
(B)濃縮されたNK細胞の集団に、(i)CARをコードする核酸、及び(ii)免疫調節物質をコードする核酸を導入することであって、ステップ(i)及び(ii)が同時に又は任意の順序で逐次的に行われ、それによって、操作されたNK細胞の集団を産生する、導入することと、
(C)操作されたNK細胞の集団を、
(1)照射されたHLA-E+フィーダー細胞であって、フィーダー細胞がHLAクラスI及びHLAクラスIIを欠損しており、照射されたHLA-E+フィーダー細胞 対 濃縮NK細胞の比が1:10~10:1である、照射されたHLA-E+フィーダー細胞、及び
(2)NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカインであって、少なくとも1つの組換えサイトカインがインターロイキン(IL)-2であり、少なくとも1つの組換えサイトカインがIL-21である、NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカイン
と共に、培養培地中で培養することであって、それによって、NK細胞の増殖させた集団を産生する、培養することと
を含み、かつ
前記方法が、g-NK細胞について濃縮され、かつCAR及び免疫調節物質で操作された細胞を含む、操作されたNK細胞の増殖させた集団を産生する、
実施形態73~113のいずれか1つに記載の方法。
116.導入することが、
FcRγ欠損NK細胞(g-NK)を増殖させるための方法
の間に行われ、前記方法が、
(A)ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を得ることであって、NK細胞について濃縮された集団が、ヒト対象由来の生体試料から選択される、得ることと、
(B)濃縮されたNK細胞の集団を、
(1)照射されたHLA-E+フィーダー細胞であって、フィーダー細胞がHLAクラスI及びHLAクラスIIを欠損しており、照射されたHLA-E+フィーダー細胞 対 濃縮されたNK細胞の比が1:10~10:1である、照射されたHLA-E+フィーダー細胞、及び
(2)NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカインであって、少なくとも1つの組換えサイトカインがインターロイキン(IL)-2であり、少なくとも1つの組換えサイトカインがIL-21である、NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカイン
と共に、培地中で培養することであって、それにより、NK細胞の増殖させた集団を産生する、培養することと、
(C)増殖させたNK細胞集団のNK細胞に、(i)CARをコードする核酸、及び(ii)免疫調節物質をコードする核酸を導入することであって、ステップ(i)及び(ii)が同時に又は任意の順序で逐次的に行われる、導入することと
を含み、
前記方法が、g-NK細胞について濃縮され、かつCAR及び免疫調節物質で操作された細胞を含む、操作されたNK細胞の増殖させた集団を産生する、
実施形態73~113のいずれか1つに記載の方法。
117.導入することが、
FcRγ欠損NK細胞(g-NK)を増殖させるための方法
の間に行われ、前記方法が、
(A)ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を得ることであって、NK細胞について濃縮された集団が、ヒト対象由来の生体試料から選択される、得ることと、
(B)濃縮されたNK細胞の集団を、NK細胞を増殖させるための条件下で培養培地中で培養することを含む第1の増殖を実施することであって、第1の増殖させたNK細胞集団を産生する、実施することと、
(C)第1の増殖させたNK細胞集団のNK細胞に、(i)CARをコードする核酸、及び(ii)免疫調節物質をコードする核酸を導入することであって、ステップ(i)及び(ii)が同時に又は任意の順序で逐次的に行われ、それによって、操作されたNK細胞の集団を産生する、導入することと、
(D)NK細胞の更なる増殖のための条件下で、操作されたNK細胞の集団を培養することを含む第2の増殖を実施することと
を含み、
第1の増殖及び/又は第2の増殖が、濃縮されたNK細胞の集団を、
(1)照射されたHLA-E+フィーダー細胞であって、フィーダー細胞がHLAクラスI及びHLAクラスIIを欠損しており、照射されたHLA-E+フィーダー細胞 対 濃縮されたNK細胞の比が1:10~10:1である、照射されたHLA-E+フィーダー細胞、及び
(2)NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカインであって、少なくとも1つの組換えサイトカインがインターロイキン(IL)-2であり、少なくとも1つの組換えサイトカインがIL-21である、NK細胞の増殖のための有効量の2つ以上の組換えサイトカイン
と共に、培地中で培養することを含み、
前記方法が、g-NK細胞について濃縮され、かつCAR及び免疫調節物質で操作された細胞を含む、操作されたNK細胞の増殖させた集団を産生する、
実施形態73~113のいずれか1つに記載の方法。
118.NK細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団が、ヒト対象由来の生体試料から、(i)CD3について陰性もしくは低度かつCD57について陽性(CD3negCD57pos)又は(ii)CD3について陰性もしくは低度かつCD56について陽性(CD3negCD56pos)のいずれかである細胞を選択することによって得られる、実施形態111~117のいずれか1つに記載の方法。
119.NK細胞について濃縮された集団が、NKG2Cについて陽性である細胞(NKG2Cpos)について更に選択された細胞である、
NK細胞について濃縮された集団が、NKG2Aについて陰性又は低度である細胞(NKG2Aneg)について更に選択された細胞である、又は
NK細胞について濃縮された集団が、NKG2Cについて陽性であり、NKG2Aについて陰性又は低度である細胞(NKG2CposNKG2Aneg)について更に選択された細胞である、
実施形態82に記載の方法。
120.ヒト対象が、対象由来の末梢血試料中のナチュラルキラー(NK)細胞の少なくとも20%又は約20%がNKG2Cについて陽性 (NKG2Cpos)でありかつ末梢血試料中のNK細胞の少なくとも70%がNKG2Aについて陰性又は低度である(NKG2Aneg)対象である、実施形態111~120のいずれか1つに記載の方法。
121.対象がCMV血清陽性である、実施形態111~120のいずれか1つに記載の方法。
122.対象由来の生体試料中のNK細胞のうちのg-NK細胞の割合が、5%超もしくは約5%超、10%超もしくは約10%超、又は30%超もしくは約30%超である、実施形態111~121のいずれか1つに記載の方法。
123.濃縮されたNK細胞の集団中のg-NK細胞の割合が、20%もしくは約20%から、90%もしくは約90%、40%もしくは約40%から、90%もしくは約90%、又は60%もしくは約60%から、90%もしくは約90%である、実施形態111~122のいずれか1つに記載の方法。
124.NK細胞について濃縮された集団が、CD3について陰性もしくは低度かつCD57について陽性である、生体試料から選択された細胞(CD3negCD57pos)である、実施形態111~123のいずれか1つに記載の方法。
125.NK細胞について濃縮された集団が、CD3について陰性もしくは低度かつCD56について陽性である、生体試料から選択された細胞(CD3negCD56pos)である、実施形態111~123のいずれか1つに記載の方法。
126.2つ以上の組換えサイトカインが、有効量のSCF、GSK3i、FLT3、IL-6、IL-7、IL-15、IL-12、IL-18、IL-27、又はそれらの組み合わせを更に含む、実施形態113~125のいずれか1つに記載の方法。
127.組換えサイトカインがIL-21及びIL-2である、実施形態111~125のいずれか1つに記載の方法。
128.組換えサイトカインが、IL-21、IL-2、及びIL-15である、実施形態111~126のいずれか1つに記載の方法。
129.組換えIL-21が、培養の少なくとも一部の間に、10ng/mL又は約10ng/mLから、100ng/mL又は約100ng/mLである濃度で培養培地に添加される、実施形態111~128のいずれか1つに記載の方法。
130.組換えIL-21が、培養の少なくとも一部の間に、25ng/mL又は約25ng/mLの濃度で培養培地に添加される、実施形態111~129のいずれか1つに記載の方法。
131.組換えIL-2が、培養の少なくとも一部の間に、10IU/mL又は約10IU/mLから、500IU/mL又は約500IU/mLの濃度で培養培地に添加される、実施形態111~130のいずれか1つに記載の方法。
132.組換えIL-2が、培養の少なくとも一部の間に、100IU/mL又は約100IU/mLの濃度で培養培地に添加される、実施形態111~131のいずれか1つに記載の方法。
133.組換えIL-2が、培養の少なくとも一部の間に、500IU/mL又は約500IU/mLの濃度で培養培地に添加される、実施形態111~132のいずれか1つに記載の方法。
134.組換えIL-15が、培養の少なくとも一部の間に、1ng/mL又は約1ng/mLから、50ng/mL又は約50ng/mLの濃度で培養培地に添加される、実施形態111~126及び128~134のいずれか1つに記載の方法。
135.組換えIL-15が、培養の少なくとも一部の間に、10ng/mL又は約10ng/mLの濃度で培養培地に添加される、実施形態111~126及び128~134のいずれか1つに記載の方法。
136.組換えサイトカインが、培養の開始時又はほぼ開始時に培養培地に添加される、実施形態111~135のいずれか1つに記載の方法。
137.培養中に培養培地を1回以上交換することを更に含み、培養培地の各交換において、組換えサイトカインを含有する新鮮な培地が添加される、実施形態111~136のいずれか1つに記載の方法。
138.培養培地の交換が、培養の期間中、2日又は3日毎に行われる、実施形態137に記載の方法。
139.培地の交換が、最大5日間の培地交換を伴わない第1の増殖の後に行われ、任意選択で、最大5日間の培地交換を伴わない第1の増殖の後に行われる、実施形態137又は実施形態138に記載の方法。
140.ヒト対象が、CD16 158V/V NK細胞遺伝子型又はCD16 158V/F NK細胞遺伝子型を有し、任意選択で、生体試料が、CD16 158V/V NK細胞遺伝子型又はCD16 158V/F NK細胞遺伝子型について選択されたヒト対象に由来する、実施形態111~139のいずれか1つに記載の方法。
141.生体試料が、末梢血単核細胞(PBMC)であるか、又はそれを含み、任意選択で血液試料、アフェレーシス試料又は白血球アフェレーシス試料である、実施形態111~140のいずれか1つに記載の方法。
142.HLA-E+フィーダー細胞が、HLA-Eで形質転換されたK562細胞(K562-HLA-E)である、実施形態111~141のいずれか1つに記載の方法。
143.HLA-E+フィーダー細胞が、221.AEH細胞である、実施形態111~145のいずれか1つに記載の方法。
144.照射されたHLA-E+フィーダー細胞 対 濃縮されたNK細胞の比が、1:1~5:1(両端を含む)であり、1:1~3:1(両端を含む)であり、任意選択で、2.5:1もしくは約2.5:1、又は2:1もしくは約2:1、又は約1:1である、実施形態111~143のいずれか1つに記載の方法。
145.培養の少なくとも一部の間に培養培地に添加される組換えサイトカインが、500IU/mLのIL-2、10ng/mLのIL-15、及び25ng/mLのIL-21である、実施形態111~144のいずれか1つに記載の方法。
146.濃縮されたNK細胞の集団が、2.0×10個の濃縮NK細胞もしくは約2.0×10個の濃縮NK細胞から、5.0×10個の濃縮NK細胞もしくは約5.0×10個の濃縮NK細胞、1.0×10個の濃縮NK細胞もしくは約1.0×10個の濃縮NK細胞から、1.0×10個の濃縮NK細胞もしくは約1.0×10個の濃縮NK細胞、1.0×10個の濃縮NK細胞もしくは約1.0×10個の濃縮NK細胞から、5.0×10個の濃縮NK細胞もしくは約5.0×10個の濃縮NK細胞、又は1.0×10個の濃縮NK細胞もしくは約1.0×10個の濃縮NK細胞から、約1.0×10個の濃縮NK細胞もしくは約1.0×10個の濃縮NK細胞を含み、(それぞれ両端を含む)、任意選択で、濃縮されたNK細胞の集団が、1.0×10個の濃縮NK細胞又は約1.0×10個の濃縮NK細胞を含む、実施形態111~145のいずれか1つに記載の方法。
147.培養開始時の濃縮されたNK細胞の集団は、0.05×10個の濃縮NK細胞/mLもしくは約0.05×10個の濃縮NK細胞/mLから、1.0×10個の濃縮NK細胞/mLもしくは約1.0×10個の濃縮NK細胞/mL、又は0.05×10個の濃縮NK細胞/mLもしくは約0.05×10個の濃縮NK細胞/mLから、0.5×10個の濃縮NK細胞/mLもしくは約0.5×10個の濃縮NK細胞/mLの濃度であり、場合により、培養開始時の濃縮されたNK細胞の集団は、1mL当たり0.2×10又は約0.2×10の濃縮NK細胞の濃度を含む実施形態111~146のいずれか1つに記載の方法。
148.少なくとも2.50×10もしくは少なくとも約2.50×10個のg-NK細胞、少なくとも5.00×10もしくは少なくとも約5.00×10個のg-NK細胞、少なくとも1.0×10もしくは少なくとも約1.0×10個のg-NK細胞、又は少なくとも5.0×10もしくは少なくとも約5.0×10個のg-NK細胞の増殖を方法が達成する時点まで、培養が行われる、実施形態111~146のいずれか1つに記載の方法。
149.5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、22日間、23日間、24日間、もしくは25日間、又は約5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、22日間、23日間、24日間、もしくは25日間、又は少なくとも5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、22日間、23日間、24日間、もしくは25日間、又は少なくとも約5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、22日間、23日間、24日間、もしくは25日間、培養が行われる、実施形態111~148のいずれか1つに記載の方法。
150.方法によって産生された、操作されたNK細胞の増殖させた集団を、収集することを更に含む、実施形態111~149のいずれか1つに記載の方法。
151.操作されたNK細胞の増殖させた集団を、薬学的に許容される賦形剤中に製剤化することを更に含む、実施形態111~150のいずれか1つに記載の方法。
152.操作されたNK細胞の増殖させた集団を、抗凍結剤を含む無血清凍結保存培地と共に製剤化することを更に含む、実施形態151の方法。
153.抗凍結剤がDMSOであり、任意選択で抗凍結剤がDMSOであり、凍結保存媒体が、5%~10%DMSO(v/v)であり、任意選択で10%DMSO(v/v)又は約10%DMSO(v/v)である、実施形態152に記載の方法。
154.方法によって産生された操作されたNK細胞の増殖させた集団の中で、集団の50%超がFcRγnegである、集団の60%超がFcRγnegである、集団の70%超がFcRγnegである、集団の80%超がFcRγnegである、集団の90%超がFcRγnegである、又は集団の95%超がFcRγnegである、実施形態111~153のいずれか1つに記載の方法。
155.実施形態73~154のいずれか1つに記載の方法によって産生される複数の操作されたNK細胞を含む組成物。
156.有効量の実施形態25~72及び155のいずれか1つに記載の組成物の細胞を、それを必要とする個体に投与することを含む、対象における疾患又は状態を治療する方法。
157.疾患又は状態が、炎症状態、感染症、又はがんからなる群から選択される、実施形態156に記載の方法。
158.疾患又は状態が、がんであり、がんが、白血病、リンパ腫、又は骨髄腫である、実施形態156又は実施形態157の方法。
159.疾患又は状態が、がんであり、がんが、固形腫瘍を含む、実施形態156又は実施形態157の方法。
160.がんが、胃又は食道胃接合部の腺がん、膀胱がん、乳がん、脳がん、子宮頸がん、結腸直腸がん、内分泌/神経内分泌がん、頭頸部がん、消化管間質がん、骨巨細胞腫瘍、腎臓がん、肝臓がん、肺がん、神経芽細胞腫、卵巣上皮/ファロピウス管/原発性腹膜がん、膵臓がん、前立腺がん、皮膚がん、及び軟部組織がんの中から選択される、実施形態159に記載の方法。
161.組成物が単剤療法として投与される、実施形態156~160のいずれか1つに記載の方法。
162.g-NK細胞組成物の、1×10又は約1×10から、50×10又は約50×10個の細胞を、個体に投与することを含む、実施形態156~161のいずれか1つに記載の方法。
163.g-NK細胞組成物の、1×10又は約1×10から、50×10又は約50×10個の細胞、任意選択で、g-NK細胞組成物の5×10もしくは約5×10個の細胞、g-NK細胞組成物の5×10もしくは約5×10個の細胞、又はg-NK細胞組成物の10×10もしくは約10×10個の細胞を、投与することを含む、実施形態156~162のいずれか1つに記載の方法。
164.g-NK細胞の用量の投与前に、前記対象がリンパ球枯渇療法を受けている、実施形態156~163のいずれか1つに記載の方法。
165.リンパ枯渇療法がフルダラビン及び/又はシクロホスファミドを含む、実施形態164記載の方法。
166.リンパ枯渇療法が、フルダラビンを、対象の体表面積で20~40mg/m又は約20~40mg/m、任意選択で30mg/m又は約30mg/mで、毎日、2~4日間にわたって投与し、かつ/又はシクロホスファミドを、対象の体表面積で200~400mg/m又は約200~400mg/m、任意選択で300mg/m又は約300mg/mで、毎日、2~4日間にわたって投与することを含む、実施形態164又は実施形態165の方法。
167.リンパ枯渇療法がフルダラビン及びシクロホスファミドを含む、実施形態164~166のいずれか1つに記載の方法。
168.リンパ球枯渇療法が、フルダラビンを対象の体表面積で30mg/m又は約30mg/mで毎日、及びシクロホスファミドを対象の体表面積で300mg/m又は約300mg/mで毎日、それぞれ2~4日間にわたって、任意選択で3日間にわたって投与することを含む、実施形態164~167のいずれか1つに記載の方法。
169.g-NK細胞の用量の投与が、リンパ球枯渇療法の開始後2週間以内に、又は2週間もしくは約2週間で開始される、態様164~168のいずれか1つに記載の方法。
170.個体がヒトである、実施形態156~169のいずれか1つに記載の方法。
171.組成物中のNK細胞が、個体にとって同種異系である、実施形態156~170のいずれか1つに記載の方法。
172.組成物中のNK細胞が、対象にとって自己由来である、実施形態156~170のいずれか1つに記載の方法。
【実施例
【0627】
IX.実施例
以下の実施例は、例示の目的のみのために含まれ、本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0628】
実施例1:異なるサイトカインの存在下でのg-NK細胞の増殖
CM V血清陽性ドナーからの50mLの新鮮な全血(それぞれ56.24%及び11.68%のNKG2Cpos及びNKG2AnegNK細胞割合)をACDバキュテナーチューブに収集し、PBSで1:1に希釈した。PBMCを、製造者の指示に従ってHistopaque(登録商標)密度遠心分離によって単離した。PBMC含有バフィーコートを回収した後、PBMCをPBSで洗浄し、計数した。細胞計数後、磁気ビーズ分離を行って、g-NK細胞の頻度を増加させた。磁気ビーズ分離は、CD57posNK細胞を単離するために、CD3枯渇とそれに続くCD57濃縮であった。
【0629】
トランスジェニックリンパ腫細胞株221.AEH(Lee et al.(1998)Journal of Immunology,160:4951-4960)及びトランスジェニック白血病細胞株K562-mb15-41BBL(Fujisaki et al.(2009)J.Cancer Research,69(9):4010-4017)を、NK細胞増殖のためのフィーダー細胞として調製した。フィーダー細胞を新鮮な培養物すなわち、凍結保存されていないストックから採取し、使用前に照射した。221.AEH及びK562-mb15-41BBL細胞を5×1055細胞/mLの播種密度及び継代培養密度2×10細胞/mLで増殖させた。221.AEHフィーダー細胞を増殖させるために使用した培地は、10%FBS及び200μg/mLのハイグロマイシンBを含むRPMI-1640であった。K562-mb15-41BBLフィーダー細胞を増殖させるために使用した培地は、10%FBSを含むRPMI-1640であった。
【0630】
非凍結保存NK細胞を4つの異なる条件下で増殖させた:500 IU/mLのIL-2を用いて2:1のAEH対NK細胞比、500IU/mLのIL-2を伴う2:1のK562-mb15-41BBL対NK細胞比、500IU/mLのIL-2を用いて1:1:1のAEH対K562-mb15-41BBL対NK細胞比で、ならびに500IU/mLのIL-2、10ng/mLのIL-15、及び25ng/mLのIL-21を用いて2:1のAEH対NK細胞比で。全ての増殖は、5%ヒトAB血清及びそれぞれのサイトカインを補充したCellGenix GMP SCGM培地中で行った。共培養細胞を37℃及び5%COで21日間培養した。培地を交換又は補充するたびに(5、7、10、13、16、19、及び21日目)細胞を計数し、g-NKの割合を0日目、13日目、及び21日目にフローサイトメトリーによって評価した。
【0631】
図1A~1Bに示すように、増殖培地へのIL-21の添加は、g-NK細胞増殖の顕著な増加をもたらした。総g-NK細胞数(FcεR1γが欠損している細胞、本明細書では互換的にFcRγとも呼ばれる)は、IL-21の存在下で増殖させたg-NK細胞について最も高かった(図1A)。21日目までのg-NK細胞の増殖倍数もまた、IL-21の存在下で増殖させたg-NK細胞について最も高かった(図1B)。
【0632】
総合すると、これらの結果は、IL-21の存在がg-NK細胞増殖を改善することを示す。
【0633】
実施例2:異なるサイトカインの存在下で増殖させたg-NK細胞の細胞エフェクター機能
この研究では、実施例1に記載されるように、IL-21の存在下を含む、異なるフィーダー細胞及びサイトカインの存在下で増殖させたg-NK細胞において、NK細胞エフェクター機能を測定した。アッセイは、標的細胞ラインLP1及びMM.1Sを0.5:1のNK対MM細胞比で使用し、抗体ダラツムマブ及びエロツズマブを用いて以下に記載するように実施した。
【0634】
A.細胞媒介性細胞傷害
増殖したNK細胞を解凍した後、10個のNK細胞を、1:1のNK細胞対MM細胞比で、1μg/mLのダラツムマブ(抗CD38)又は1μg/mLのエロツズマブ(抗CD319)が存在する状態で、MM標的細胞と共培養した。COインキュベーター中、37℃で4時間インキュベートした後、細胞を洗浄し、抗CD3及びCD56抗体で染色して、NK細胞の数を定量した。最後の洗浄後、ヨウ化プロピジウム(PI)を添加し、4色フローサイトメトリーを使用して、NK細胞、生存標的細胞、及び死滅標的細胞の数を分析した(Bigley et al.(2016),Clin.Exp.Immunol.,185:239-251)。
【0635】
図2A~2Bに示すように、IL-21の存在下で21日間増殖させたg-NK細胞は、IL-21なしで増殖させたg-NK細胞よりも、CD38MM細胞株LP1(図2A)及びSLAMF7MM細胞株MM.1S(図2B)に対する細胞媒介性細胞傷害性が大きかった。IL-21増殖g-NK細胞についてのより大きな細胞性細胞傷害性が、ダラツムマブ又はエロツズマブのいずれかの存在と同様に、非存在下で観察された。
【0636】
総合すると、これらの結果は、IL-21の存在下で増殖させたg-NK細胞が、IL-21なしで増殖させたg-NK細胞と比較して、腫瘍細胞に対する細胞媒介性細胞傷害性を増強したことを示す。
【0637】
B.脱顆粒
増殖させたNK細胞を解凍すると、2.0×106NK細胞は、1μg/mLのダラツムマブ又は1μg/mLのエロツズマブが存在する状態で、1:1のNK細胞対MM比でMM標的細胞と共培養した。脱顆粒アッセイのために、2μLのVioGreenコンジュゲート抗CD107aを共培養物に添加して、COインキュベーター中、37℃で1時間インキュベートし、その後、モネンシンを含有する4μLのBD GolgiStopを添加した。サイトカイン発現アッセイのために、ブレフェルジンAを含有する6μLのBD GolgiStopを代わりに添加した。次いで、細胞を、CO2インキュベーター中、37℃で更に5時間インキュベートした。インキュベーション後、細胞を回収し、洗浄し、0.5μLの抗CD45抗体、0.5μLの抗CD3抗体、及び1μLの抗CD56抗体(すべての抗体はMiltenyi Biotecから購入)で染色した。次いで、細胞を固定し、Miltenyi BiotecからのInside Stain Kitを製造業者の指示に従って使用して固定及び透過処理した。次いで、細胞を、表E1に記載されるように、1μLの抗FcRγ、2μLの抗パーフォリン、2μLの抗グランザイムB、2μLのインターフェロン-γ、及び2μLのTNF-α抗体で染色した。最後の洗浄後、8色フローサイトメトリーを用いて細胞を分離した。
【0638】
(表E1)機能アッセイのための抗体パネル
【0639】
図3A~3Dに示すように、増殖13日後(図3A~3B)及び21日後(図3C~3D)の両方で、IL-21の存在において増殖したg-NK細胞は、IL-21なしで増殖したg-NK細胞よりも、CD38MM細胞株LP1(図3A及び図3C)及びSLAMF7MM細胞株MM.1S(図3B及び図3D)に対してより脱顆粒した。IL-21増殖g-NK細胞についてのより大きな顆粒減少が、ダラツムマブ又はエロツズマブのいずれかの存在と同様に、抗体の不在下で観察された。
【0640】
まとめると、これらの結果は、IL-21の存在下で増殖させたg-NK細胞が、IL-21なしで増殖させたg-NK細胞と比較して、腫瘍細胞に対する脱顆粒を増強したことを示す。
【0641】
C.パーフォリン及びグランザイムBの発現
図4A~4Dに示されるように、パーフォリン陽性細胞の割合(図4A及び図4C)及び全パーフォリン発現(MFI)(図4B及び図4D)の両方によって測定されるように、IL-21の存在中で増殖させたg-NK細胞は、増殖の13日後(図4A~4B)及び21日後(図4C~4D)の両方で、IL-21なしで増殖させたg-NK細胞よりも多くの細胞溶解性タンパク質パーフォリンを発現した。更に、増殖の13日後及び21日後の両方において、グランザイムB陽性細胞の割合(図4A及び図4C)ならびに総グランザイムB発現(MFI)(図4B及び図4D)の両方によって測定されるように、IL-21の存在において増殖させたg-NK細胞は、IL-21なしで増殖させたg-NK細胞よりも多くのアポトーシス促進性プロテイングランザイムBを発現した。
【0642】
まとめると、これらの結果は、IL-21の存在下で増殖させたg-NK細胞が、IL-21なしで増殖させたg-NK細胞と比較して、パーフォリン及びグランザイムBの発現を増強したことを示す。
【0643】
D.インターフェロン-γの発現
図5A~5Dに示すように、IL-21の存在下で増殖させたg-NK細胞は、増殖の13日後(図5A~5B)及び21日後(図5C~5D)の両方で、IL-21なしで増殖させたg-NK細胞よりも、CD38MM細胞株LP1(図5A及び図5C)ならびにSLAMF7MM細胞株MM.1S(図5B及び図5D)に対してより多くのインターフェロン-γを発現した。IL-21増殖g-NK細胞についてのより大きなインターフェロン-γ発現が、ダラツムマブ又はエロツズマブのいずれかの存在と同様に、抗体の不在下で観察された。
【0644】
まとめると、これらの結果は、IL-21の存在下で増殖させたg-NK細胞が、IL-21なしで増殖させたg-NK細胞と比較して、腫瘍細胞に対するインターフェロン-γ発現を増強したことを示す。
【0645】
E.TNF-αの発現
図6A~6Dに示されるように、増殖13日後(図6A~6B)及び21日後(図6C~6D)の両方において、IL-21の存在下で増殖させたg-NK細胞は、IL-21なしで増殖させたg-NK細胞よりも、CD38MM細胞株LP1(図6A及び図6C)ならびにSLAMF7MM細胞株MM.1S(図6B及び図6D)に対してより多くのTNF-αを発現した。IL-21増殖g-NK細胞についてのより大きなTNF-α発現が、ダラツムマブ又はエロツズマブのいずれかの存在と同様に、抗体の不在下で観察された。
【0646】
まとめると、これらの結果は、IL-21の存在下で増殖させたg-NK細胞が、IL-21なしで増殖させたg-NK細胞と比較して、腫瘍細胞に対するTNF-α発現を増強したことを示す。
【0647】
実施例3:追加のサイトカインの存在下でのg-NK細胞の増殖
別の研究では、サイトカイン混合物及び濃度の様々な組み合わせの存在下で増殖させたNK細胞の増殖速度を比較した。実施例1と同じドナーから、上記のようにNK細胞を採取した。NK細胞を2x10細胞/mLの密度及び継代密度で播種し、2:1の221.AEH対NK細胞比で照射した221.AEHフィーダー細胞と共培養した。NK細胞増殖のために、サイトカインを以下の濃度で添加した:100IU/mL(低IL-2)又は500IU/mL(IL-2)のIL-2、10ng/mLのIL-15、25ng/mLのIL-21、10ng/mLのIL-12、10ng/mLのIL-18、及び/又は10ng/mLのIL-27。全ての増殖は、5%ヒトAB血清及びそれぞれのサイトカインを補充したCellGenix GMP SCGM培地中で行った。
【0648】
図7に示すように、IL-21の存在下で増殖させたNK細胞は、IL-2、IL-15、IL-12、IL-15、IL-18、及びIL-15、IL-18、IL-27単独の存在下で増殖させたNK細胞よりも高いg-NK細胞増殖速度を有していた。最も高いg-NK細胞増殖速度をもたらすサイトカインの組み合わせは、IL-15の存在下又は非存在下のいずれかにおいて、IL-2及びIL-21であった。
【0649】
まとめると、これらの結果は、IL-21の存在が、他のサイトカイン混合物よりもg-NK細胞増殖速度を改善することを示す。
【0650】
実施例4:追加のサイトカインの存在下で増殖させたg-NK細胞の細胞エフェクター機能
実施例3に記載されるように、IL-21の存在下を含むサイトカインの存在下で15日間増殖させたg-NK細胞において、NK細胞エフェクター機能を測定した。0.5:1のNK対MM比で標的細胞ラインLP1及びMM.1Sを使用し、抗体ダラツムマブ及びエロツズマブを用いて、実施例2に記載のようにアッセイを行った。
【0651】
A.細胞媒介性細胞傷害性
図8A及び図8Bに示すように、IL-2、IL-15、及びIL-21の存在下で増殖させたg-NK細胞は、CD38MM細胞株LP1(図8A)及びSLAMF7MM細胞株MM.1S(図8B)に対して、IL-2及びIL-15の存在下で増殖させたg-NK細胞よりも大きな細胞媒介性細胞傷害性を有した。IL-2、IL-15、及びIL-21の存在において増殖させたg-NK細胞についてのより大きな細胞性細胞傷害性が、抗体の不在下、ならびにダラツムマブ又はエロツズマブのいずれかの存在において観察された。
【0652】
まとめると、これらの結果は、IL-2、IL-15、及びIL-21の存在下で増殖させたg-NK細胞が、IL-2及びIL-15の存在下で増殖させたg-NK細胞と比較して、腫瘍細胞に対する細胞媒介性細胞傷害性を増強したことを示す。
【0653】
B.脱顆粒
図8C及び図8Dに示されるように、IL-2、IL-15、及びIL-21の存在下で増殖したg-NK細胞は、IL-2及びIL-15の存在下で増殖したg-NK細胞よりも、CD38MM細胞株LP1(図8C)及びSLAMF7MM細胞株MM.1S(図8D)に対してより脱顆粒した。IL-2、IL-15、及びIL-21の存在下で増殖させたg-NK細胞についてのより大きな脱顆粒が、抗体の非存在下を含むすべての条件下で観察された。
【0654】
まとめると、これらの結果は、IL-2、IL-15、及びIL-21の存在下で増殖させたg-NK細胞が、IL-2及びIL-15の存在下で増殖させたg-NK細胞と比較して、腫瘍細胞に対する脱顆粒を増強したことを示す。
【0655】
C.パーフォリン及びグランザイムBの発現
図8E及び図8Fに示すように、IL-2、IL-15、及びIL-21の存在下で増殖させたg-NK細胞は、パーフォリン陽性細胞の割合(図8E)及び全パーフォリン発現(MFI)(図8F)の両方によって測定されるように、IL-2及びIL-15の存在下で増殖させたg-NK細胞よりも多くの細胞溶解性タンパク質パーフォリンを発現した。更に、IL-2、IL-15、及びIL-21の存在下で増殖させたg-NK細胞は、グランザイムB陽性細胞の割合(図8E)及び総グランザイムB発現(MFI)(図8F)の両方によって測定されるように、IL-2及びIL-15の存在下で増殖させたg-NK細胞よりも多くのアポトーシス促進性タンパク質グランザイムBを発現した。増殖培地へのIL-2、IL-15、IL-18、IL-21、及びIL-27の添加は、g-NK細胞によるグランザイムB発現を増強した。
【0656】
まとめると、これらの結果は、IL-2、IL-15、及びIL-21の存在下で増殖させたg-NK細胞が、IL-2及びIL-15の存在下で増殖させたg-NK細胞と比較して、パーフォリン及びグランザイムBの発現を増強したことを示す。
【0657】
D.インターフェロン-γの発現
図8G~8Hに示すように、IL-2、IL-15及びIL-21の存在下で増殖させたg-NK細胞は、IL-2及びIL-15の存在下で増殖させたg-NK細胞よりも、CD38MM細胞株LP1(図8G)及びSLAMF7MM細胞株MM.1S(図8H)に対してより多くのインターフェロン-γを発現した。IL-2、IL-15、及びIL-21の存在下で増殖させたg-NK細胞についてのより大きなインターフェロン-γ発現が、抗体の非存在下を含む全ての条件下で観察された。増殖培地へのIL-2、IL-12、IL-15、IL-18、及びIL-21の添加は、抗体の非存在下を含む全ての条件下で、g-NK細胞によるインターフェロン-γ発現を増強した。増殖培地へのIL-2、IL-15、IL-18、IL-21、及びIL-27の添加は、抗体の非存在下を含む全ての条件下で、g-NK細胞によるインターフェロン-γ発現を増強した。
【0658】
まとめると、これらの結果は、IL-2、IL-15、及びIL-21の存在下で増殖させたg-NK細胞が、IL-2及びIL-15の存在下で増殖させたg-NK細胞と比較して、腫瘍細胞に対するインターフェロン-γ発現を増強したことを示す。
【0659】
E.TNF-αの発現
図8I~8Jに示すように、IL-2、IL-15、及びIL-21の存在下で増殖させたg-NK細胞は、IL-2及びIL-15の存在下で増殖させたg-NK細胞よりも、CD38MM細胞株LP1(図8I)及びSLAMF7MM細胞株MM.1S(図8J)に対してより多くのTNF-αを発現した。IL-2、IL-15、及びIL-21の存在下で増殖させたg-NK細胞についてのより大きなTNF-α発現が、抗体の非存在下を含むすべての条件下で観察された。増殖培地へのIL-2、IL-15、IL-18、IL-21、及びIL-27の添加は、抗体の非存在下を含む全ての条件下で、g-NK細胞による抗体誘導性TNF-α発現を増強した。
【0660】
まとめると、これらの結果は、IL-2、IL-15、及びIL-21の存在下で増殖させたg-NK細胞が、IL-2及びIL-15の存在下で増殖させたg-NK細胞と比較して、腫瘍細胞に対するTNF-α発現を増強したことを示す。
【0661】
実施例5:IL-21の存在下で増殖させたg-NK細胞の増殖及び細胞エフェクター機能
この研究では、IL-21の存在下で増殖させたNK細胞の増殖速度及びNK細胞エフェクター機能を、IL-21の非存在下で増殖させたNK細胞の増殖速度及びNK細胞エフェクター機能と比較した。ヒト末梢血単核細胞(PBMC)を、製造業者の指示に従って、CMV陽性ヒトドナー由来の全血から、又は比較のためにCMV血清陰性ドナーから、Histopaque(登録商標)密度遠心分離によって単離した。ドナーは、CMV血清陽性(n=8)及びCMV血清陰性(n=6)であった(年齢37.8±10.6歳、8人の男性及び6人の女性)。
【0662】
PBMCをバフィーコートから採取し、洗浄し、フローサイトメトリーによって生存CD45pos細胞について評価した。T細胞を除去するためのCD3pos細胞の枯渇(CD3枯渇、CD3neg)、又はCD57posNK細胞を濃縮するためのCD3枯渇とそれに続くCD57についての陽性選択(CD3negCD57pos)のいずれかによって、Miltenyi MACS(商標)マイクロビーズを使用する免疫親和性ベースの磁気ビーズ分離によって、NK細胞を濃縮した。増殖前にCD3neg/CD57pos細胞について最初に濃縮する後者の方法を、g-NK細胞を増殖させるためのその後の実験において使用した。更なる比較として、NK細胞を、CD3枯渇とそれに続くCD16(濃縮CD16pos NK細胞)及び単球(CD3negCD57pos)についての陽性選択によって濃縮した。NK細胞を1mLあたり2×10個の細胞の密度で播種し、1mLあたり2×10個の細胞の継代密度で播種した。NK細胞を、2:1の221.AEH:NK細胞比でガンマ線照射(100 Gy)221.AEHフィーダー細胞と共培養し、IL-2(500 IU/mL)、IL-15(10ng/mL)、及びIL-21(25ng/mL)又はIL-2単独(500IU/mL)の存在下で増殖させた。実施例6に更に記載されるように、NK細胞の濃縮前にPBMCが凍結保存されていた場合、1:1の照射221.AEHフィーダー細胞対NK細胞の比を使用した。全ての増殖は、5%ヒトAB血清及びそれぞれのサイトカインを補充したCellGenix GMP SCGM培地中で行った。NK細胞を2週間増殖させ、培地を2~5日毎に交換した。増殖させたNK細胞を、機能アッセイにおいて後で使用するために、90%FBS及び10%DMSOを使用して凍結保存した。
【0663】
増殖及び細胞エフェクター機能を、増殖の14日後に評価した。0.5:1のNK対MM比で標的細胞ラインLP1及びMM.1Sを使用し、抗体ダラツムマブ及びエロツズマブを用いて、実施例2に記載のようにアッセイを行った。
【0664】
その後の実施例に記載されるいくつかの研究において、g-NK細胞の表現型及び機能的活性をcNK細胞と比較した。CM V血清陰性ドナーからのcNK細胞の不十分な収量及び上記の方法を使用したCMV血清陽性ドナーからのg-NK細胞の優先的な増殖(以下のセクションAに記載される結果)に起因して、代替的な方法を使用して、インビトロ機能研究及びインビボ研究のためにcNK細胞を増殖させた。この増殖方法は、K652-mbIL15-41BBLフィーダー細胞及び500IU/mLのIL-2を使用して、2週間にわたってcNK細胞を180±89倍(n=5 CMVneg)に増殖させた(藤崎et al.,2009Cancer Res.,68(9):4010-4017)。5人のCMVnegドナー(年齢38.9±9.8歳)におけるg-NK細胞の割合は、3匹の雄及び2匹の雌)は、増殖前に1.5±0.5%であり、増殖後に1.6±0.4%であった。
【0665】
A.g-NK細胞の増殖速度
培地交換時に細胞を計数し、0日目及び14日目にフローサイトメトリーによってg-NK細胞の割合を評価した。図9A及び図9Bに示されるように、増殖前に最初にCD3neg/CD57pos細胞について濃縮され、次いでIL-21の存在下で増殖させたNK細胞は、同様の条件であるがIL-21を含まない条件よりも高いg-NK細胞増殖速度を有した。FcRγの細胞内染色及びフローサイトメトリーを用いて測定した場合、g-NK細胞の割合(図9A)及び数(図9B)の両方を測定した場合に、より高いg-NK細胞増殖速度が観察された。
【0666】
増殖前に、CMV血清陽性ドナーにおけるg-NK細胞の割合は30.8±3.1%(総NK細胞の%)であったが、CMV血清陰性ドナーにおけるg-NK細胞の割合はわずか1.8±0.3%(総NK細胞の%)であった。CD3neg/CD57pos細胞についての最初の濃縮後の増殖に続いて、g-NK細胞の割合は、CMV血清反応陽性ドナーについて84.0±1.4%に増加したが、CMV血清反応陰性ドナーについては変化しなかった(1.5±0.4%)(図9C)。CMV血清陽性ドナー及び血清陰性ドナーにおけるg-NK細胞の割合を示す代表的なフローサイトメトリードットプロット及びヒストグラムを図9E及び9Fに示す。g-NKサブセット内のNKG2Cpos/NKG2Aneg NK細胞の割合は、1.7~51%(26.8±13.9%)の範囲であった。したがって、g-NKとNKG2Cpos/NKG2CnegNK細胞との間には表現型の重複が存在するが、それらは同一ではない。
【0667】
g-NK細胞の代表的な増殖を図9Dに示し、ここでは、増殖方法が、検出可能なg-NK集団を有するCMV血清陽性ドナー由来のg-NK細胞の割合を増加させ、全NK細胞数が少なくとも400倍増加したことが示される。
【0668】
総合すると、これらの結果は、IL-21の存在がg-NK細胞増殖を改善することを示す。
【0669】
B.細胞媒介性細胞傷害性
図9G及び図9Hに示されるように、IL-21の存在下で増殖させたNK細胞は、IL-21なしで増殖させたg-NK細胞よりも、CD38MM細胞株LP1(図9G)及びSLAMF7MM細胞株MM.1S(図9H)に対する細胞媒介性細胞傷害性が大きかった。IL-21増殖g-NK細胞についてのより大きな細胞性細胞傷害性が、ダラツムマブ又はエロツズマブのいずれかの存在と同様に、非存在下で観察された。
【0670】
総合すると、これらの結果は、IL-21の存在下で増殖させたg-NK細胞が、IL-21なしで増殖させたg-NK細胞と比較して、腫瘍細胞に対する細胞媒介性細胞傷害性を増強したことを示す。
【0671】
C.脱顆粒
図9I及び図9Jに示されるように、IL-21の存在下で増殖したg-NK細胞は、IL-21なしで増殖したg-NK細胞よりも、CD38MM細胞株LP1(図9I)及びSLAMF7MM細胞株MM.1S(図9J)に対してより脱顆粒した。IL-21増殖g-NK細胞についてのより大きな顆粒減少が、ダラツムマブ又はエロツズマブのいずれかの存在と同様に、抗体の不在下で観察された。
【0672】
まとめると、これらの結果は、IL-21の存在下で増殖させたg-NK細胞が、IL-21なしで増殖させたg-NK細胞と比較して、腫瘍細胞に対する脱顆粒を増強したことを示す。
【0673】
D.パーフォリン及びグランザイムBの発現
図9K及び図9Lに示されるように、IL-21の存在下で増殖させたg-NK細胞は、パーフォリン陽性細胞の割合ではなく(図9K)、全パーフォリン発現(GMFI)(図9L)によって測定されるように、IL-21なしで増殖させたg-NK細胞よりも多くの細胞溶解性タンパク質パーフォリンを発現した。更に、IL-21の存在下で増殖させたg-NK細胞は、グランザイムB陽性細胞の割合(図9K)及び総グランザイムB発現(GMFI)(図9L)の両方によって測定されるように、IL-21なしで増殖させたg-NK細胞よりも多くのアポトーシス促進性タンパク質グランザイムBを発現した。
【0674】
パーフォリンのベースライン発現(図9M、左)及びグランザイムBのベースライン発現(図9M、右)もまた、cNK細胞よりも増殖g-NK細胞において有意に高かった(n=5)。NK及びcNK細胞についてのパーフォリン及びグランザイムB発現の代表的なヒストグラムを図9Nに示す。
【0675】
総合すると、これらの結果は、IL-21の存在下で増殖させたg-NK細胞が、IL-21なしで増殖させたg-NK細胞と比較して、腫瘍細胞に対するパーフォリン及びグランザイムBの発現を増強したことを示す。
【0676】
E.インターフェロン-γの発現
図9O及び図9Pに示すように、IL-21の存在下で増殖させたg-NK細胞は、IL-21なしで増殖させたg-NK細胞よりも、CD38MM細胞株LP1(図9O)及びSLAMF7MM細胞株MM.1S(図9P)に対してより多くのインターフェロン-γを発現した。IL-21増殖g-NK細胞についてのより大きなインターフェロン-γ発現が、ダラツムマブ又はエロツズマブのいずれかの存在と同様に、抗体の不在下で観察された。
【0677】
まとめると、これらの結果は、IL-21の存在下で増殖させたg-NK細胞が、IL-21なしで増殖させたg-NK細胞と比較して、腫瘍細胞に対するインターフェロン-γ発現を増強したことを示す。
【0678】
F.TNF-αの発現
図9Q及び図9Rに示すように、IL-21の存在下で増殖させたg-NK細胞は、IL-21なしで増殖させたg-NK細胞よりも、CD38MM細胞株LP1(図9Q)及びSLAMF7MM細胞株MM.1S(図9R)に対してより多くのTNF-αを発現した。IL-21増殖g-NK細胞についてのより大きなTNF-α発現が、ダラツムマブ又はエロツズマブのいずれかの存在と同様に、抗体の不在下で観察された。
【0679】
まとめると、これらの結果は、IL-21の存在において増殖させたg-NK細胞が、IL-21なしで増殖させたg-NK細胞と比較して、腫瘍細胞に対する増強されたTNF-α発現を有することを示す。
【0680】
G.g-NKドナー間のエフェクター機能の比較
g-NK細胞及びcNK細胞を記載のように増殖させ、エフェクター活性を異なるドナー間で比較した。0.5:1のNK細胞対MM比で標的細胞株MM.1Sを使用し、抗体ダラツムマブ及びエロツズマブを用いて、実施例2に記載されるようにアッセイを行った。共培養後、細胞を固定し、透過処理し、インターフェロン-ガンマ(IFNγ)及びTNF-アルファ(TNFα)に対する細胞内サイトカイン染色によって分析した。図9S(IFNγ)及び図9T(TNFα)に示される結果は、g-NKドナー間のドナー変動性が低く、mAb依存性IFNγ及びTNFα応答について標準誤差が5未満であることを示す。他のエフェクター機能についても同様の結果が見られた。結果は、全てのg-NKドナーのエフェクター機能が、試験した全てのcNKドナーよりも優れていることを示した。
【0681】
実施例6:IL-21/抗IL-21複合体の存在下でのg-NK細胞の増殖
凍結保存されたPBMCを解凍し、磁気選別によってCD3negCD57posNK細胞について濃縮した。これらのNK細胞の増殖の前に、IL-21と抗IL-21抗体とを組み合わせることによって、IL-21/抗IL-21複合体を形成した。IL-21及び抗IL-21抗体をそれぞれ37℃で及び25ng/mL及び250ng/mLの濃度で30分間共インキュベートした。C。次いで、複合体を、500IU/mLのIL-2及び10ng/mLのIL-15と共に、NK細胞増殖培地に添加した。NK細胞を、照射した221.AEHフィーダー細胞と、1:1のNK対221.AEHフィーダー細胞比で共培養した。比較のために、NK細胞を、それぞれ500IU/mL、10ng/mL、及び25ng/mLの濃度のIL-2、IL-15、及びIL-21の存在下でも増殖させた。
【0682】
図10に示すように、IL-2、IL-15、及びIL-21/抗IL-21複合体の存在下で増殖させたg-NK細胞は、IL-2、IL-15、及びIL-21の存在下で増殖させたg-NK細胞よりも高い増殖速度を有した。
【0683】
実施例7:凍結保存後のg-NK細胞エフェクター機能の維持
以前に凍結保存したg-NK細胞のNK細胞エフェクター機能を、新たに濃縮したすなわち、凍結保存していないg-NK細胞のものと比較した(n=4)。CD3neg/CD57pos濃縮NK細胞を、照射した221.AEHフィーダー細胞と2:1の221.AEH対NK細胞比で、500IU/mLのIL-2、10ng/mLのIL-15、及び25ng/mLのIL-21の存在下で共培養した。増殖後、NK細胞を新鮮な状態で機能的に評価するか、又は10%DMSOを含む90%FBS中、凍結保存培地1.8ml当たり2000万細胞の濃度で凍結保存した。LP1及びMM.1S細胞ラインに対するNK細胞エフェクター機能を、1μg/mLダラツムマブ又は1μg/mLエロツズマブの存在と同様に、抗体なしで評価した。
【0684】
A.脱顆粒
図11A及び図11Bに示されるように、予め凍結保存されたg-NK細胞は、CD38MM細胞株LP1(図11A)及びSLAMF7MM細胞株MM.1S(図11B)に対して、新鮮なg-NK細胞の脱顆粒レベルに匹敵する脱顆粒レベルを有した。同等の脱顆粒レベルが、ダラツムマブ又はエロツズマブのいずれかが存在する場合と同様に、抗体が存在しない場合でも観察された。
【0685】
総合すると、これらの結果は、多発性骨髄腫標的細胞に応答したg-NK細胞脱顆粒が凍結保存後に維持されることを示す。
【0686】
B.パーフォリン及びグランザイムBの発現
図11C及び図11Dに示されるように、以前に凍結保存されたg-NK細胞は、新鮮なg-NK細胞のものに匹敵するパーフォリン(図11C)及びグランザイムB発現(図11D)を有した。まとめると、これらの結果は、g-NK細胞パーフォリン及びグランザイムB発現が凍結保存後に維持されることを示す。
【0687】
C.インターフェロン-γの発現
図11E及び図11Fに示されるように、予め凍結保存されたg-NK細胞は、CD38MM細胞株LP1(図11E)及びSLAMF7MM細胞株MM.1S(図11F)に対して、新鮮なg-NK細胞のインターフェロン-γ発現レベルに匹敵するインターフェロン-γ発現レベルを有した。同等のインターフェロン-γ発現が、ダラツムマブ又はエロツズマブのいずれかが存在する場合と同様に、存在しない場合でも観察された。
【0688】
総合すると、これらの結果は、多発性骨髄腫標的細胞に応答したg-NK細胞インターフェロン-γ発現が凍結保存後に維持されることを示す。
【0689】
D.TNF-αの発現
図11G及び図11Hに示されるように、以前に凍結保存されたg-NK細胞は、CD38MM細胞株LP1(図11G)及びSLAMF7MM細胞株MM.1S(図11H)に対して、新鮮なg-NK細胞のTNF-α発現レベルと比較して減少したTNF-α発現レベルを有した。減少したTNF-α発現は、ダラツムマブ又はエロツズマブのいずれかの存在と同様に、抗体の不在下で観察された。
【0690】
総合すると、これらの結果は、多発性骨髄腫標的細胞に応答したg-NK細胞TNF-α発現が凍結保存後に減少することを示す。
【0691】
実施例8:cNK細胞と比較したインビボでのg-NK細胞の持続性の評価
実質的に実施例5に記載されるように増殖させたNK細胞をマウスに注射し、生体試料をフローサイトメトリーを使用する分析に供して、それらの持続性を評価した。
【0692】
実施例5に記載されるように、g-NK細胞を、凍結保存されたPBMCからのCD3neg/CD57pos細胞について最初に濃縮した後に増殖させ、続いて、IL-2(500 IU/mL)、IL-15(10ng/mL)、及びIL-21(25ng/mL)刺激性サイトカインの存在下で、照射された221.AEHフィーダー細胞を1:1 221.AEH対NK細胞比で用いて増殖させた。CM V血清陰性ドナーからのcNK細胞の収量が不十分であったため、実施例5に記載の代替方法を用いてcNK細胞を増殖させた。トランスジェニック白血病細胞株K562-mb15-41BBL及びIL-2を用いて、cNK細胞を2週間増殖させた。全ての細胞を、凍結保存PBMC及び凍結保存フィーダー細胞から増殖させた。凍結保存細胞用の凍結培地は、CS-10(Biolife Solutions,Bothel,WA,USA)であった。凍結保存された細胞産生物を、マウスに投与する前に湯浴中で急速に解凍した(37℃)。
【0693】
単回用量の1×10個の増殖させたNK細胞(新鮮g-NK、凍結保存g-NK、又は凍結保存cNK細胞)を、尾静脈を介して雌NOD.Cg-PrkDcscidIL2rgtm1Wjl/SzJ(NSG)マウスに静脈内注射した(n=9、1群当たり3)。NK細胞支持を提供するために、約2μg/マウスのヒト組換えIL-15を、3日毎にI.P.経路を介して投与した(表2を参照)。注入後6、16、26、及び31日目に採取した血液を、フローサイトメトリーによって直ちに分析した。マウスを31日目に屠殺し、骨髄及び脾臓を即時フローサイトメトリー分析のために採取した。
【0694】
(表2)持続性研究設計
【0695】
図12A~Cは、末梢血中のcNK細胞(図12A)、脾臓(図12B及び骨髄(F図12C)と比較して、新鮮なg-NK細胞及び凍結保存されたg-NK細胞の増強された持続性を示す。凍結保存されたg-NK細胞の持続性は、複数の時点で末梢血において(p<0.001)(図12A)、ならびに31日目の屠殺時に脾臓(p<0.001)(図12B)及び骨髄(p<0.05)(図12C)において(p<0.001)、凍結保存されたcNK細胞で見られたものよりも>90%高かった。図12Aはまた、新鮮なg-NK細胞及び凍結保存されたg-NK細胞のレベルが、試験の少なくとも26日目まで同等のレベルで持続したことを示す。
【0696】
結果は、g-NK細胞が有意に改善された持続性を示すという観察と一致する。これらの結果は、mAb ADCCを増強するための実行可能な既製の細胞療法としての新鮮な又は凍結保存されたg-NKの有用性を実証する。
【0697】
実施例9:g-NK細胞におけるCD38及びSLAMF7の評価ならびにg-NK細胞のフラトリサイド活性
本実施例は、部分的に、標的表面マーカーの欠如による抗体からのg-NK細胞の保護を実証する。
【0698】
g-NK細胞を、特定の例外を除いて実施例5に記載される方法によって実質的に増殖させた。1)22.AEH標的細胞対NK細胞の比は、2.5:1(実施例5における2:1比と比較して)であり、2)NK細胞は、より低いレベルのIL-2(実施例5における500IU/mlと比較して100IU/ml)に曝露され、3)増殖中にIL-21は存在しなかった。およそ2.0×10個のNK細胞及び/又はMM.1SもしくはRaji細胞をフローチューブに分注し、表E3に記載されるように、2μLの7-AAD生存性色素ならびに2μLの抗CD45、2μLの抗CD20、2μLの抗CD38、2μLの抗CD3、10μLの抗SLAMF 7、及び2μLの抗CD56抗体で染色した。4℃で10分間インキュベートした後、細胞を洗浄し、抗FceRI抗体(Millipore)を用いて細胞内染色を行った。染色プロセスの完了後、g-NK、cNK、及びMM.1S又はRaji細胞を発現するCD20、CD38、及びSLAMF7の割合を8色フローサイトメトリー(Miltenyi MACSQuant Analyzer 10)によって評価した。
【0699】
(表E3)NK、MM、及びRaji細胞上のCD20、CD38、及びSLAMF7発現を決定するためのフローサイトメトリーパネル
FcRgは細胞内エピトープである。
【0700】
g-NK、cNK、及びMM.1S細胞上のCD20、CD38、及びSLAMF7の発現を図13A~13Dに示す。g-NK及びcNKの両方は、Rajiリンパ腫細胞上で高度に発現されたCD20の発現を欠いていた(図13A)。g-NKによるCD38の発現は、cNK及びMM.1S細胞よりもはるかに少なかった(図13Bを参照、p両方について<0.001)。SLAMF7の発現は、g-NKとcNKとの間で異ならなかったが(p=0.9)、g-NK及びcNKの両方が、MM.1S細胞よりもはるかに低いSLAMF7の発現を示した(図13Cを参照、p両方について<0.001)。増殖させたcNKと比較した場合、増殖させたg-NKにおいてもCD38posNK細胞の割合の減少が見られた(図13Dを参照、p<0.001)。更に、CD38発現の強度(MFI)は、CD38 poscNK及びMM1/S細胞と比較してて、CD38 posg-NK細胞上で減少した(図13E、p<0.001)。cNK及びMM.1S細胞に対するg-NK細胞のCD38発現の低下を示す代表的なヒストグラムを図13Fに示す。
【0701】
g-NKによるCD20、CD38、又はSLAMF7発現の欠如は、リツキシマブ(抗mAb 20)、ダラツムマブ(抗mAb 38)、又はエロツズマブ(抗mAb SLAMF7)によるmAb誘導性のフラトリサイドからの保護をもたらした。全体として、このデータは更に、特にdaratumamabなどの治療用抗体が存在する場合に、cNKと比較してg-NKがどのように持続性の利点を有するかを示している。
【0702】
同様の結果が、IL-21の存在下で実施例5に記載される増殖方法によって観察され、これは、IL-21を用いて又は用いずに増殖させたg-NK細胞間でCD38又はSLAMF7発現に差がないことを示す。更なる評価において、増殖したg-NK細胞のフラトリサイド速度を増殖したcNK細胞のフラトリサイド速度と比較した。図13B及び13 D~13 Fに示されるように、CD38発現は、cNK細胞よりもg-NK細胞上で著しく低く、図13Cに示されるように、同等に低いレベルのSLAMF7がg-NK及びcNK細胞上に存在した。これらの結果は、NK細胞がmAb標的を発現する場合、ADCC活性が、腫瘍に加えて、フラトリサイドによるNK細胞の排除をもたらし得るので、これらの標的に対するg-NK細胞によるフラトリサイド効果の欠如の可能性を示す。cNK細胞が高レベルのCD38を発現するという知見は、患者におけるダラツムマブ治療後に90%超のCD38NK細胞が急速に枯渇することを示唆する以前の結果と一致している(Casneufら、2017 Blood Adv,1(23):2105-2114)。
【0703】
実質的に実施例5に記載の方法を使用して、6人のユニークドナーを使用して増殖g-NK(6 CMV+、3 M、3F、39±7歳)を作製し、8人のユニークドナーを使用してcNK(8 CMV-、4 M、4 F、38±9歳)を増殖させた。g-NKの割合は、g-NKドナーについては85±4%であり、cNKドナーについては2±1%であった。
【0704】
フラトリサイドを評価するために、約1×10個の増殖したNK細胞(g-NK又はcNK)を、1μg/mLのダラツムマブ(抗CD38)の存在下で培養した。5%CO 2インキュベーター中で、37℃で4時間インキュベートした後、細胞を洗浄し、抗CD3及び抗CD56抗体で染色して、NK細胞の数を定量した。最終洗浄後、ヨウ化プロピジウム(PI)を添加し、生NK細胞と死NK細胞の数は3カラーフローサイトメトリーを使用して解析された(Bigley et al.(2016),Clin.Exp.Immunol.,185:239-251)。図13Gに示すように、g-NK細胞は、cNKよりも13倍低いフラトリサイドを有する。エロツズマブを用いて行われた同様の実験は、エロツズマブで処理されたg-NK又はcNKについては、フラトリサイドが検出されなかったことを示した。
【0705】
IL-21の非存在下で増殖させたg-NK細胞の結果と合わせて、これらの結果は、g-NK細胞が、フラトリサイド関連枯渇に罹患することなく、MMにおいて増強されたmAb抗腫瘍活性を付与する能力と一致する。
【0706】
実施例10:多発性骨髄腫の播種性同所性異種移植片MM.1Sモデルにおけるインビボ有効性
ダラツムマブと組み合わせたNK細胞(増殖g-NK細胞又はcNK細胞)のインビボ有効性を、多発性骨髄腫のマウスモデルにおける腫瘍阻害及び生存を測定することによって評価した。g-NK細胞を、凍結保存されたPBMCからのCD3neg/CD57pos細胞について最初に濃縮した後、実施例5に記載されるように増殖させ、続いて、IL-2(500IU/mL)、IL-15(10ng/mL)、及びIL-21(25ng/mL)刺激性サイトカインの存在下で、照射された221.AEHフィーダー細胞を1:1 221.AEH対NK細胞比で用いて増殖させた。CM V血清陰性ドナーからのcNK細胞の収量が不十分であったため、実施例5に記載の代替方法を用いてcNK細胞を増殖させた。トランスジェニック白血病細胞株K562-mb15-41BBL及びIL-2を用いて、cNK細胞を2週間増殖させた。全ての細胞を、凍結保存PBMC及び凍結保存フィーダー細胞から増殖させた。
【0707】
約5×10ルシフェラーゼ標識MM.1Sヒト骨髄腫細胞を雌NSGマウスの尾静脈に静脈内注射し、14日間増殖させた。モノクローナル抗体ダラツムマブは、I.P.経路を介して投与され、6.0x10個の増殖したg-NK細胞又はcNK細胞を毎週、5週間にわたって静脈内投与することと組み合わせる。腫瘍投与の2週間後に開始して、2μg/マウスヒト組換えIL-15を、I.P.経路を介して3日毎に投与して、NK細胞支持を提供した。表4は、研究において処置されたマウスの群を要約する。
【0708】
生物発光画像化(BLI)を週に2回実施して、腫瘍量をモニターした。マウスを不快感及び忍容性の徴候について毎日チェックし、腫瘍接種の1週間後に開始して週2回体重を測定した。マウスを、150mg/kgのD-ルシフェリンの皮下注射の15分後に画像化した。Living Imageソフトウェア(PerkinElmer)を使用して、マウス全体の総フラックス(光子/秒)を定量化した。腫瘍を有するマウスは、後麻痺肢、グルーミング、及び/又は無気力などの症状のある骨髄腫の発症時に屠殺した。屠殺までの時間を生存の代用として使用した。全ての生存マウスを、組織収集のために最初のNK細胞投与の43日後に屠殺した。研究の完了時に、フローサイトメトリーを使用して、生体試料由来のg-NK、cNK、及びMM.1S(CD138pos/CD45neg)細胞を定量して、腫瘍負荷及びNK細胞生存を決定した。
【0709】
(表E4)MM有効性研究設計
【0710】
g-NK及びダラツムマブの同時投与は、cNK及びダラツムマブによる治療と比較して、有意な腫瘍阻害及び生存率の向上をもたらした。図14Aに示されるように、g-NK細胞+ダラツムマブは、5週間の処置後のBLI画像化によって証明された7匹のマウスのうち5匹において骨髄腫腫瘍負荷を排除した。定量的BLI分析は、g-NK+ダラツムマブが持続的かつ統計的に有意な腫瘍退縮を誘導したことを示した(図14B)。カプラン・マイヤー生存分析は、g-NK+ダラツムマブ処置マウスの全生存確率が、ビヒクル又はcNK及びダラツムマブで処置したマウスよりも有意に良好であったことを示した(p<0.0001)(図14C)。g-NK細胞を投与された全てのマウスは、研究の終了時に体重減少も毒性も観察されず、活力があったが、一方、全ての対照マウス又はcNK細胞及びダラツムマブで処置されたマウスは、重度の体重減少を有し、研究の終了前に骨髄腫で死亡した(図14D)。興味深いことに、g-NK細胞で処置したマウスの1匹は、マウスの1匹の麻酔誘発性窒息のため、腫瘍接種後21日目まで投与されず、このマウスは、g-NKマウスの最高ピークBLIを有していたにもかかわらず、研究の終了時に検出可能な腫瘍BLIを有していなかった(図14A、#と標識されたマウス)。g-NK細胞を投与された7匹のマウスのうち、2匹のみが最小検出量の残存腫瘤BLIを有していた。
【0711】
骨髄のフローサイトメトリー分析により、検出可能な腫瘍BLIを有さない5 g-NK処置マウスは、実際に腫瘍がない(骨髄中にCD138 pos細胞がない)ことが確認された。全ての7g-NK処置マウスについての平均腫瘍量は、cNK及びダラツムマブで処置したマウスと比較して99%を超えて減少した(p<0.001、図14E)骨髄中の腫瘍負荷及び持続性NK細胞を示す代表的なフローサイトメトリードットプロットを図14Fに示す。研究の過程にわたって撮影したBLI画像の全てを図14Gに示す。屠殺前に全てのマウスからX線画像を取得し、対照マウス又はcNK細胞及びダラツムマブで処置したマウスは後肢骨の骨折及び奇形を有したが、g-NK細胞及びダラツムマブで処置したマウスのうちの1匹は何らかの骨変形を有したことが決定された(図14H)。
【0712】
血液、脾臓及び骨髄中のNK細胞の分析は、cNK細胞と比較して、ダラツムマブ処置マウスにおけるg-NK細胞の持続性の大幅な増加を実証した(図15A~C)。注目すべきことに、g-NK細胞数は、血液中でcNK細胞より>90%高く(図15A)、脾臓中で>95%高く(図15B)、骨髄中で>99%高かった(図15C)。
【0713】
総合すると、これらの結果は、インビボでのmAb効果の増強に関する、cNK細胞と比較した場合を含めたg-NK細胞の優位性を更に支持し、ダラツムマブと組み合わせて投与されたg-NK細胞がMMを治癒する可能性があることを示唆している。更に、これらの結果は、向上した生存及びフラトリサイドに対する耐性が、優れた抗腫瘍効果及びg-NK細胞の持続性をもたらすことを支持する。
【0714】
実施例11:g-NK代替表面マーカーの同定
細胞内マーカーFcεR1γについて陰性である(FcRγneg)g-NK細胞を同定するための代用表面マーカーとして使用することができる細胞外表面マーカーの組み合わせを同定するための研究を行った。g-NK細胞サブセットCD45pos/CD3neg/CD56pos/FcRγnegを同定するために、FcεR1γについての細胞内染色ならびにCD45、CD3及びCD56についての細胞外染色によるフローサイトメトリーによって、ヒト末梢血試料中のg-NK細胞の割合を決定した。図16に示すように、試料中のg-NK細胞のうち、NK細胞表現型がCD45pos/CD3neg/CD56posであり、細胞外表面表現型がCD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161neg又はNKG2Aneg/CD161negである細胞は、試料中のg-NK細胞の存在と高い相関を示した。具体的には、CD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161neg又はNKG2Aneg/CD161negNK細胞サブセット内のg-NK細胞の割合は、両方とも80%超であった。
【0715】
実施例12:CD20 CARを用いたg-NK細胞の形質導入の実現可能性及び細胞傷害性効果
g-NK細胞において操作されたキメラ抗原受容体(CAR)の発現及び効力を評価するために研究を行った。G-NK細胞を、実質的に実施例5に記載されるように、500 IU/mLのIL-2、10ng/mLのIL-15、及び25ng/mLのIL-21の存在下で、2:1の221.AEH:NK細胞比での照射221.AEHフィーダー細胞との共培養によって、末梢血由来の濃縮CD3neg/CD57posNK細胞から増殖させた。Neon(商標)トランスフェクションシステムを用いて細胞をエレクトロポレーションした。エレクトロポレーションの前に細胞をPBSで洗浄し、4.8×107/mLの細胞密度でOpti-MEM(商標)培地に再懸濁した。100μLの細胞を、14.4μgの1mg/mL GFP mRNA又はCAR-CD20 mRNAと混合した。CAR-CD20は、CD20ポリペプチド(配列番号37)に結合するマウス抗CD20(Leu16)scFv、IgG4 Fcスペーサー(配列番号38)、CD28膜貫通ドメイン(配列番号39)、CD28細胞内共刺激シグナル伝達ドメイン(配列番号39)、及びCD3ζ一次シグナル伝達ドメイン(配列番号41)から構成された。CARのアミノ酸配列は配列番号42(GenBank番号KX055829.1)に記載されており、これも5’末端にHAタグを有して作製された。抗CD20 mRNAは、配列番号45に示される。
【0716】
g-NK細胞及びmRNAの混合物を、1820 V(20 ms)の第1のパルス、続いて500 V(100 ms)の第2のパルスで電気ショックに供した。次いで、細胞を、500IU/mLのIL-2、10ng/mLのIL-15、及び25ng/mLのIL-21を含む2mLのNK MACS(登録商標)培地中で培養した。細胞を37℃、5%COで24時間インキュベートした。
【0717】
インキュベーション後、細胞をフローサイトメトリーによって分析して、GFP及びCAR-CD20発現のレベルを評価した。異なるドナーを使用する2つの別々の実験からのg-NK細胞によるGFP及びCD20-CARの形質導入後発現を図17に示す。GFP又はCAR-CD20陽性細胞の割合を、GFP又はCAR-CD20を発現する生存細胞の割合として報告する。
【0718】
CAR-CD20を伴う又は伴わないg-NK細胞(エフェクター)の細胞傷害性を、細胞を60,000個のRajiリンパ腫細胞(標的)と様々なエフェクター対標的(E:T)比でリツキシマブ(Rituxan(登録商標))の存在下又は非存在下でのインキュベートすることによって分析した。使用したリツキシマブ(Rituxan(登録商標))の濃度は5μg/mlであった。Raji細胞をAPC結合マウス抗ヒトCD19 mAbで前染色した。残留色素を、10%FBS及び1%ペニシリン-ストレプトマイシンを含むRPMI 1640培地(アッセイ培地)で洗浄することで洗浄することによって除去した。予め染色したRaji細胞をフローサイトメトリーによって検証して、全ての標的細胞が首尾よく標識されたことを確認した。
【0719】
17日目に増殖させたg-NK細胞又はエレクトロポレーションの36時間後のCAR-CD20 g-NK細胞を、1mLのアッセイ培地中、E:T比0.5:1、2.5:1、及び5:1で、予め染色したRaji標的細胞と混合した。混合物を300 gで5分間ペレット化し、次いで5%CO 2と共に37℃で4時間インキュベートした。4色フローサイトメトリーを使用して細胞傷害性を評価した。NK細胞(CD3neg/CD56pos)を同定するために、PE結合マウス抗ヒトCD56 mAb及びFITC結合マウス抗ヒトCD3 mAbを使用した。生きた標的細胞(CD19pos/PIneg)と死んだ標的細胞(CD19pos/PIpos)を区別するために、ヨウ化プロピジウム(PI)を使用した。
【0720】
図18は、リツキシマブ(Rituxan(登録商標))の存在下又は非存在下における、Rajiリンパ腫細胞に対する、CD20-CARを伴う又は伴わないg-NK細胞の効力を示す。CD20-CARの添加は、単剤療法としてのg-NK細胞の効力を増強する。リツキシマブ(Rituxan)の添加もまた、CD20-CARが発現されるか否かにかかわらず、g-NK細胞の効力を同様のレベルまで増強した。
【0721】
この結果は、CARが、FcRγ鎖の発現が欠損しているg-NK細胞において機能的であることを実証する。この結果は、CARの添加が、IgG1 mAbによるCD16結合を介したg-NK細胞ADCC機構を損なわないという驚くべき発見を更に確認する。したがって、CAR操作g-NK細胞単剤療法の活性に加えて、これらの結果は、mAbとは異なるCAR標的化抗原を使用するアプローチを含む、CAR及びIgG1 mAbなどのFc標的化剤で操作されたg-NK細胞による併用療法を支持する。このような二重標的化戦略は、潜在的に、腫瘍の抗原発現及び起こり得る抗原喪失に依存して、機能的に相加的又は代償的であり得る。
【0722】
本発明は、例えば、本発明の様々な態様を例示するために提供される特定の開示された実施形態に範囲を限定することを意図していない。記載される組成物及び方法に対する種々の改変は、本明細書中の記載及び教示から明らかになる。そのような変形形態は、本開示の真の範囲及び趣旨から逸脱することなく実施され得、本開示の範囲内に入ることが意図される。
【0723】
配列の表
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図8G
図8H
図8I
図8J
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図9G
図9H
図9I
図9J
図9K
図9L
図9M
図9N
図9O
図9P
図9Q
図9R
図9S
図9T
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図11F
図11G
図11H
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図13C
図13D
図13E
図13F
図13G
図14A
図14B
図14C
図14D
図14E
図14F
図14G
図14H
図15A
図15B
図15C
図16
図17
図18
【配列表】
2024527559000001.app
【国際調査報告】