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特表2024-527561エラー訂正を用いたロバストな再伝送トポロジー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-25
(54)【発明の名称】エラー訂正を用いたロバストな再伝送トポロジー
(51)【国際特許分類】
   H04L 65/1076 20220101AFI20240718BHJP
【FI】
H04L65/1076
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500076
(86)(22)【出願日】2022-06-29
(85)【翻訳文提出日】2024-02-26
(86)【国際出願番号】 US2022073248
(87)【国際公開番号】W WO2023279018
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】17/366,613
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】591009509
【氏名又は名称】ボーズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】BOSE CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ラスムス・アビルドグレン
(72)【発明者】
【氏名】カスパ・ストーク・ボンデ
(57)【要約】
ワイヤレス通信のロバスト性を改善するための方法及びシステムを提供する。提供される方法及びシステムは、第1の等時性ストリーム上でデータパケットを伝送し、同じ時間間隔で1つ以上の補足データパケットを伝送する。1つ以上の補足データパケットは、既に送信された複数のデータパケットのうちの1つ以上のデータパケットの少なくとも一部分を再現及び/又は拡張するために使用される。あるいは、1つ以上の補足データパケットは、次の等時性間隔中に受信される複数のデータパケットのうちの1つ以上のデータパケットの少なくとも一部分を作成及び/又は拡張するために使用される。本明細書で説明される方法及びシステムは、正しく受信されたパケットを用いたより良好な再伝送を可能にすることによって、ロバスト性の向上を可能にし、本明細書で説明される方法は、変更することなく任意のBluetoothブロードキャスタシンクで動作する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソースデバイスにてワイヤレス通信を改善する方法であって、前記方法は、
第1の等時性間隔内で、又は第1の周波数を使用して送信される複数のデータパケットを含む等時性ストリームを伝送することと、
前記第1の等時性間隔内で、かつ前記複数のデータパケットに対して時間的にシフトされた、又は前記第1の周波数とは異なる第2の周波数で、1つ以上の補足データパケットを伝送することと、を含み、
前記1つ以上の補足データパケットは、前記第1の等時性間隔中に受信された前記複数のデータパケットの1つ以上のデータパケットの少なくとも一部分を再現及び/又は拡張するために使用され、又は、
前記1つ以上の補足データパケットは、前記第1の等時性間隔中又は前記第1の等時性間隔の後の第2の等時性間隔中に受信される前記複数のデータパケットの前記1つ以上のデータパケットのうちの少なくとも一部分を作成及び/又は拡張するために使用される、方法。
【請求項2】
前記1つ以上の補足データパケットは、前記複数のデータパケットのうちの1つ以上のデータパケットの少なくとも一部分を再現するために使用され、前記1つ以上の補足データパケットは、前記複数のデータパケットのうちの少なくとも1つのパケットに関連しているエラー訂正コードを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記エラー訂正コードは、前記第1の等時性間隔内で受信された前記複数のデータパケットからの少なくとも1つのパケットに関連しており、前記第2の等時性間隔中に送信された前記複数のデータパケットからの少なくとも1つのパケットに関連している、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記複数のデータパケットの各々は、符号化されたオーディオデータの1つ以上のオーディオフレームを含み、前記1つ以上の補足データパケットは、前記1つ以上のオーディオフレームのうちの少なくとも1つのオーディオフレームを再現するために使用される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記複数のデータパケットは、左チャネルオーディオストリームに関連している第1の複数のデータパケットと、右チャネルオーディオストリームに関連している第2の複数のデータパケットとを含み、前記1つ以上の補足データパケットのうちの第1の補足データパケットは、前記第1の複数のデータパケットに関連しており、前記1つ以上の補足データパケットのうちの第2の補足データパケットは、前記第2の複数のデータパケットに関連している、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記1つ以上の補足データパケットは、前記複数のデータパケットのうちの1つ以上のデータパケットの少なくとも一部分を拡張するために使用され、前記1つ以上の補足データパケットは、前記複数のデータパケットのうちの少なくとも1つのパケットに関連している追加データを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記等時性ストリームは、ブロードキャスト等時性ストリーム又はコネクテッド等時性ストリームである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記等時性ストリームはコネクテッド等時性ストリームであり、前記方法は、
前記1つ以上の補足データパケットに基づいて、前記複数のデータパケットのうちの1つ以上のデータパケットの復元の成功を確認することを更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記1つ以上の補足データパケットは、前記等時性ストリーム内で、又は前記等時性ストリームに時間関連している別の等時性ストリーム内で送信される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記1つ以上の補足データパケットは暗号化されている、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記複数のデータパケットのうちの1つ以上のデータパケットは、第1の暗号化キーペアを用いて暗号化されており、前記1つ以上の補足データパケットは、前記第1の暗号化キーペアとは異なる第2の暗号化キーペアを用いて暗号化されている、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ワイヤレス通信を改善するシステムであって、前記システムは、
第1の等時性間隔内で、又は第1の周波数を使用して送信される複数のデータパケットを含む等時性ストリームを少なくとも1つのシンクデバイスに伝送し、
前記第1の等時性間隔内で、かつ前記複数のデータパケットに対して時間的にシフトされた、又は前記第1の周波数とは異なる第2の周波数で、1つ以上の補足データパケットを前記少なくとも1つのシンクデバイスに伝送する
ように構成されているソースデバイスを備え、
前記1つ以上の補足データパケットは、前記第1の等時性間隔中に受信された前記複数のデータパケットの1つ以上のデータパケットの少なくとも一部分を再現及び/又は拡張するために使用され、又は、
前記1つ以上の補足データパケットは、前記第1の等時性間隔中又は前記第1の等時性間隔の後の第2の等時性間隔中に受信される前記複数のデータパケットの前記1つ以上のデータパケットのうちの少なくとも一部分を作成及び/又は拡張するために使用される、システム。
【請求項13】
前記1つ以上の補足データパケットは、前記複数のデータパケットのうちの1つ以上のデータパケットの少なくとも一部分を再現するために使用され、前記1つ以上の補足データパケットは、前記複数のデータパケットのうちの少なくとも1つのパケットに関連しているエラー訂正コードを含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記エラー訂正コードは、前記第1の等時性間隔内で受信された前記複数のデータパケットからの少なくとも1つのパケットに関連しており、前記第2の等時性間隔中に送信された前記複数のデータパケットからの少なくとも1つのパケットに関連している、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記複数のデータパケットの各々は、符号化されたオーディオデータの1つ以上のオーディオフレームを含み、前記1つ以上の補足データパケットは、前記1つ以上のオーディオフレームのうちの少なくとも1つのオーディオフレームを再現するために使用される、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記複数のデータパケットは、左チャネルオーディオストリームに関連している第1の複数のデータパケットと、右チャネルオーディオストリームに関連している第2の複数のデータパケットとを含み、前記1つ以上の補足データパケットのうちの第1の補足データパケットは、前記第1の複数のデータパケットに関連しており、前記1つ以上の補足データパケットのうちの第2の補足データパケットは、前記第2の複数のデータパケットに関連している、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
前記1つ以上の補足データパケットは、前記複数のデータパケットのうちの1つ以上のデータパケットの少なくとも一部分を拡張するために使用され、前記1つ以上の補足データパケットは、前記複数のデータパケットのうちの少なくとも1つのパケットに関連している追加データを含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項18】
前記等時性ストリームは、ブロードキャスト等時性ストリーム又はコネクテッド等時性ストリームである、請求項12に記載のシステム。
【請求項19】
前記等時性ストリームはコネクテッド等時性ストリームであり、前記ソースデバイスは、
前記1つ以上の補足データパケットに基づいて、前記複数のデータパケットのうちの1つ以上のデータパケットの復元の成功を確認するように更に構成されている、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記1つ以上の補足データパケットは、前記等時性ストリーム内で、又は前記等時性ストリームに時間関連している別の等時性ストリーム内で送信される、請求項12に記載のシステム。
【請求項21】
前記1つ以上の補足データパケットは暗号化されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項22】
前記複数のデータパケットのうちの1つ以上のデータパケットは、第1の暗号化キーペアを用いて暗号化されており、前記1つ以上の補足データパケットは、前記第1の暗号化キーペアとは異なる第2の暗号化キーペアを用いて暗号化されている、請求項21に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年7月2日に出願され、「Robust Retransmission Topologies Using Error Correction」と題された米国特許出願第17/366,613号の優先権を主張し、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本開示の態様及び実装形態は、概して、ワイヤレスデータストリームを送信及び受信するための、例えば、ワイヤレスデバイス間でワイヤレスデータストリームを送信及び受信するためのシステム及び方法を対象とする。
【0003】
ワイヤレスシステム、例えば、ワイヤレスマルチスピーカシステム、ワイヤレスヘッドフォン若しくはヘッドセット、又はブロードキャストデバイスと受信デバイスとを含む任意のシステムは、通常、システムのデバイス間のワイヤレス接続内でデータパケットのストリームを送信及び受信する。ワイヤレスデバイスは、接続がそのリンクバジェットの限界にあるとき、又は干渉が存在する場合、ワイヤレス接続上で損失、例えば、パケット損失、伝送失敗、及び再伝送失敗を経験することがある。例えば、システムのワイヤレスデバイスが互いに離れて移動し、ソースデバイスとシンクデバイス間の距離が長くなると、デバイス間の距離によってパケット損失が増加する場合がある。同様に、システムのデバイスが他の形態の環境干渉を受ける状況、例えば、近傍における複数の他のワイヤレス通信の存在、デバイス間における信号強度を低下させる可能性のある物体(例えば、ユーザの身体まはた壁)の存在により、リンクバジェットに負担が掛かり、最終的に品質が低下する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、ワイヤレス通信のロバスト性を改善するための方法及びシステムを提供する。提供される方法及びシステムは、第1の等時性ストリーム上でデータパケットを伝送し、同じ時間間隔で1つ以上の補足データパケットを伝送する。1つ以上の補足データパケットは、既に送信された複数のデータパケットのうちの1つ以上のデータパケットの少なくとも一部分を再現及び/又は拡張するために使用される。あるいは、1つ以上の補足データパケットは、次の等時性間隔中に受信される複数のデータパケットのうちの1つ以上のデータパケットの少なくとも一部分を作成及び/又は拡張するために使用される。本明細書で説明される方法及びシステムは、正しく受信されたパケットを用いたより良好な再伝送を可能にすることによって、ロバスト性の向上を可能にし、本明細書で説明される方法は、変更することなく任意のBluetoothブロードキャスタシンクで動作する。
【0005】
本開示は、オーディオデータを第1の等時性ストリームでブロードキャストする一方で、オーディオストリームのエラー訂正コードを含む別のデータストリームもブロードキャストすることを含む。本明細書で説明する構成により、各シンクデバイスは、欠落したオーディオデータを計算するために、エラー訂正コードと組み合わせてオーディオストリームから正しく受信されたパケットを利用することができる。あるいは、別個のデータストリームは、既に受信したデータの品質を高めるために、追加のオーディオデータを含むことができる。例えば、シンクデバイスは、パケットの欠落部分又は欠落パケット全体を計算するために、正しく受信されたパケット又は正しく受信されたパケットの少なくとも一部分(例えば、オーディオデータの1つ以上のフレーム)を利用することができる。
【0006】
本システム及び方法は、ハードブロックコード又はソフトブロックコードを利用することができ、エラー訂正コードは、離散的な左チャネル及び右チャネルのオーディオストリームに基づいて計算することができる。更に、エラー訂正コードは、所与のエラー訂正コードパケットを計算するために利用される1つ以上のパケットの伝送前に送信することができ、又は、そのようなパケットの伝送のかなり後に送信することができる(例えば、事前伝送又は事後伝送)。更に、本明細書で説明する概念は、例えば、コネクテッド等時性ストリームを利用する場合など、ブロードキャスト以外のシナリオに拡張することができる。
【0007】
一実施例では、ワイヤレス通信を改善する方法であって、方法は、第1の等時性間隔内で、又は第1の周波数を使用して送信される複数のデータパケットを含む等時性ストリームを伝送することと、第1の等時性間隔内で、かつ複数のデータパケットに対して時間的にシフトされた、又は第1の周波数とは異なる第2の周波数で、1つ以上の補足データパケットを伝送することと、を含み、1つ以上の補足データパケットは、第1の等時性間隔中に受信された複数のデータパケットの1つ以上のデータパケットの少なくとも一部分を再現及び/又は拡張するために使用され、あるいは、1つ以上の補足データパケットは、第1の等時性間隔中又は第1の等時性間隔の後の第2の等時性間隔中に受信される複数のデータパケットの1つ以上のデータパケットのうちの少なくとも一部分を作成及び/又は拡張するために使用される。
【0008】
一態様では、1つ以上の補足データパケットは、複数のデータパケットのうちの1つ以上のデータパケットの少なくとも一部分を再現するために使用され、1つ以上の補足データパケットは、複数のデータパケットのうちの少なくとも1つのパケットに関連しているエラー訂正コードを含む。
【0009】
一態様では、エラー訂正コードは、第1の等時性間隔内で受信された複数のデータパケットからの少なくとも1つのパケットに関連しており、第2の等時性間隔中に送信された複数のデータパケットからの少なくとも1つのパケットに関連している。
【0010】
一態様では、複数のデータパケットの各々は、符号化されたオーディオデータの1つ以上のオーディオフレームを含み、1つ以上の補足データパケットは、1つ以上のオーディオフレームのうちの少なくとも1つのオーディオフレームを再現するために使用される。
【0011】
一態様では、複数のデータパケットは、左チャネルオーディオストリームに関連している第1の複数のデータパケットと、右チャネルオーディオストリームに関連している第2の複数のデータパケットとを含み、1つ以上の補足データパケットのうちの第1の補足データパケットは、第1の複数のデータパケットに関連しており、1つ以上の補足データパケットのうちの第2の補足データパケットは、第2の複数のデータパケットに関連している。
【0012】
一態様では、1つ以上の補足データパケットは、複数のデータパケットのうちの1つ以上のデータパケットの少なくとも一部分を拡張するために使用され、1つ以上の補足データパケットは、複数のデータパケットのうちの少なくとも1つのパケットに関係する追加データを含む。
【0013】
一態様では、等時性ストリームは、ブロードキャスト等時性ストリーム又はコネクテッド等時性ストリームである。
【0014】
一態様では、等時性ストリームは、コネクテッド等時性ストリームであり、本方法は、1つ以上の補足データパケットに基づいて、複数のデータパケットのうちの1つ以上のデータパケットの復元に成功したことを確認することを更に含む。
【0015】
一態様では、1つ以上の補足データパケットは、等時性ストリーム内で、又は等時性ストリームに時間的に関連している別の等時性ストリーム内で送信される。
【0016】
一態様では、1つ以上の補足データパケットは暗号化されている。
【0017】
一態様では、複数のデータパケットのうちの1つ以上のデータパケットは、第1の暗号化キーペアを用いて暗号化されており、1つ以上の補足データパケットは、第1の暗号化キーペアとは異なる第2の暗号化キーペアを用いて暗号化されている。
【0018】
他の例では、ワイヤレス通信を改善するためのシステムが提供され、システムはソースデバイスを含み、ソースデバイスは、少なくとも1つのシンクデバイスに、第1の等時性間隔内で、又は第1の周波数を使用して送信される複数のデータパケットを含む等時性ストリームを伝送し、ソースデバイスは、第1の等時性間隔内で、かつ複数のデータパケットに対して時間的にシフトされた、又は第1の周波数とは異なる第2の周波数で、1つ以上の補足データパケットを少なくとも1つのシンクデバイスに伝送するように構成されており、1つ以上の補足データパケットは、第1の等時性間隔中に受信された複数のデータパケットの1つ以上のデータパケットの少なくとも一部分を再現及び/又は拡張するために使用され、あるいは、1つ以上の補足データパケットは、第1の等時性間隔中又は第1の等時性間隔の後の第2の等時性間隔中に受信される複数のデータパケットの1つ以上のデータパケットのうちの少なくとも一部分を作成及び/又は拡張するために使用される。
【0019】
一態様では、1つ以上の補足データパケットは、複数のデータパケットのうちの1つ以上のデータパケットの少なくとも一部分を再現するために使用され、1つ以上の補足データパケットは、複数のデータパケットのうちの少なくとも1つのパケットに関連しているエラー訂正コードを含む。
【0020】
一態様では、エラー訂正コードは、第1の等時性間隔内で受信された複数のデータパケットからの少なくとも1つのパケットに関連しており、第2の等時性間隔中に送信された複数のデータパケットからの少なくとも1つのパケットに関連している。
【0021】
一態様では、複数のデータパケットの各々は、符号化されたオーディオデータの1つ以上のオーディオフレームを含み、1つ以上の補足データパケットは、1つ以上のオーディオフレームのうちの少なくとも1つのオーディオフレームを再現するために使用される。
【0022】
一態様では、複数のデータパケットは、左チャネルオーディオストリームに関連している第1の複数のデータパケットと、右チャネルオーディオストリームに関連している第2の複数のデータパケットとを含み、1つ以上の補足データパケットのうちの第1の補足データパケットは、第1の複数のデータパケットに関連しており、1つ以上の補足データパケットのうちの第2の補足データパケットは、第2の複数のデータパケットに関連している。
【0023】
一態様では、1つ以上の補足データパケットは、複数のデータパケットのうちの1つ以上のデータパケットの少なくとも一部分を拡張するために使用され、1つ以上の補足データパケットは、複数のデータパケットのうちの少なくとも1つのパケットに関係する追加データを含む。
【0024】
一態様では、等時性ストリームは、ブロードキャスト等時性ストリーム又はコネクテッド等時性ストリームである。
【0025】
一態様では、等時性ストリームは、コネクテッド等時性ストリームであり、ソースデバイスは、1つ以上の補足データパケットに基づいて、複数のデータパケットのうちの1つ以上のデータパケットの復元に成功したことを確認するように更に構成されている。
【0026】
一態様では、1つ以上の補足データパケットは、等時性ストリーム内で、又は等時性ストリームに時間的に関連している別の等時性ストリーム内で送信される。
【0027】
一態様では、1つ以上の補足データパケットは暗号化されている。
【0028】
一態様では、複数のデータパケットのうちの1つ以上のデータパケットは、第1の暗号化キーペアを用いて暗号化されており、1つ以上の補足データパケットは、第1の暗号化キーペアとは異なる第2の暗号化キーペアを用いて暗号化されている。
【0029】
様々な実施形態のこれら及び他の態様は、以下に記載される実施形態から明らかになり、それを参照して解明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図面では、同じ参照符号は、一般に、異なる図を通して同じ部分を指す。また、図面は、必ずしも縮尺どおりではなく、代わりに、概して、様々な実施形態の原理を例解することに重点が置かれている。
図1】本開示に係るシステムの概略図である。
図2】本開示に係るソースデバイスの構成要素の概略図である。
図3】本開示に係るシンクデバイスの構成要素の概略図である。
図4A】本開示に係るワイヤレスブロードキャストトポロジーの概略図である。
図4B】本開示に係るワイヤレスブロードキャストトポロジーの概略図である。
図5】本開示に係るワイヤレスブロードキャストトポロジーの概略図である。
図6】本開示に係るワイヤレスブロードキャストトポロジーの概略図である。
図7】本開示に係る概略的なインタフェースを含む論理スタックの概略図である。
図8】本開示に係る方法のステップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本開示は、ワイヤレス通信のロバスト性を改善するための方法及びシステムを提供する。提供される方法及びシステムは、第1の等時性ストリーム上でデータパケットを伝送し、同じ時間間隔で1つ以上の補足データパケットを伝送する。1つ以上の補足データパケットは、既に送信された複数のデータパケットのうちの1つ以上のデータパケットの少なくとも一部分を再現及び/又は拡張するために使用される。あるいは、1つ以上の補足データパケットは、次の等時性間隔中に受信される複数のデータパケットのうちの1つ以上のデータパケットの少なくとも一部分を作成及び/又は拡張するために使用される。本明細書で説明される方法及びシステムは、正しく受信されたパケットを用いたより良好な再伝送を可能にすることによって、ロバスト性の向上を可能にし、本明細書で説明される方法は、変更することなく任意のBluetoothブロードキャスタシンクで動作する。
【0032】
本開示で使用される場合、「ウェアラブルオーディオデバイス」という用語は、その通常の意味又は当業者に知られている意味を含むことに加えて、耳周りに、耳上に、耳内に、又は耳の近くに嵌合し(ユーザの頭部又は肩に装着されたオープンイヤオーディオデバイスを含む)、かつ音響エネルギーを耳の中へと、又は耳に向けて放射するデバイスを意味することを意図している。ウェアラブルオーディオデバイスは、ヘッドフォン、イヤホン、イヤピース、ヘッドセット、イヤバッド、又はスポーツ用ヘッドフォンと称されることもあり、有線式又は無線式とすることができる。ウェアラブルオーディオデバイスは、音声信号を音響エネルギーに変換する音響ドライバを含む。この音響ドライバは、イヤカップ内に収容することができる。以下の図及び説明のうちのいくつかは、一対のイヤカップ(各々が音響ドライバを含む)を有する単一のウェアラブルオーディオデバイスを示しているが、ウェアラブルオーディオデバイスは、1つのイヤカップのみを有する単一のスタンドアローンユニットであってもよいことを理解されたい。ウェアラブルオーディオデバイスの各イヤカップは、例えば、ヘッドバンドによって、及び/又はイヤカップ若しくはヘッドフォン内の音響トランスデューサにオーディオ信号を伝えるリード線によって、別のイヤカップ又はヘッドフォンへと機械的に接続することができる。ウェアラブルオーディオデバイスは、音声信号をワイヤレスで受信する構成要素を含むことができる。ウェアラブルオーディオデバイスは、アクティブノイズ低減(active noise reduction、ANR)システムの構成要素を含むことができる。ウェアラブルオーディオデバイスは、このデバイスがヘッドセットとして機能することができるように、マイクロフォンなどの他の機能も含むことができる。図1は、インイヤー型ヘッドフォンのフォームファクタ、眼鏡のフォームファクタ、及びオーバーイヤー型ヘッドセットの例を示すが、他の例では、ウェアラブルオーディオデバイスは、オンイヤー型、アラウンドイヤー型、ビハインドイヤー型、又はニアイヤー型のヘッドセットとすることができる。いくつかの例では、ウェアラブルオーディオデバイスは、耳を耳の環境及び周囲に開放しながら、耳に向けて音響エネルギーを放射する音響ドライバを含むオープンイヤデバイスとすることができる。
【0033】
本開示において使用される「コネクテッド等時性ストリーム」という用語 は、その通常の意味又は当業者に知られている意味を含むことに加えて、例えば、ソースデバイス(中央デバイス又はマスタデバイスとしても知られている)と、1つ以上のオーディオデバイス(周辺デバイス又はスレーブデバイスとしても知られている)との間で、LEオーディオを介した事前に確立されたポイントツーポイント通信リンクを利用する等時性データストリームを指すことを意図している。言い換えれば、コネクテッド等時性ストリームは、ソースデバイスと任意のそれぞれのオーディオデバイスとの間の少なくとも1つの確立された信頼できる通信チャネル及び/又は少なくとも1つの確認された通信チャネルを利用する等時性オーディオストリームを提供することができる。
【0034】
本出願で使用される「ブロードキャスト等時性ストリーム」という用語は、その通常の意味又は当業者に知られている意味を含むことに加えて、データを送信するソースデバイスとデータを受信するオーディオデバイスとの間で、事前確立通信リンクを確立する必要がなく、確認応答又は否定応答が送信又は受信される必要がない等時性データストリームを指すことを意図している。
【0035】
以下の説明は、図1図8を参照しながら読まれたい。図1は、本開示に係るシステム100の構成要素の概略図である。いくつかの例では、システム100は、ソースデバイス102と、少なくとも1つのシンクデバイス104とを含む。更に、図1に示されるようないくつかの例では、システム100は、複数のシンクデバイス104A~104C(まとめて「シンクデバイス104」又は「複数のシンクデバイス104」と呼ばれる)を含む。ソースデバイス102は、少なくとも1つのシンクデバイス104とのワイヤレス接続、例えば、ワイヤレス接続132(後述)を確立することが可能なデバイスであることを意図している。スマートフォンとして図示されているが、ソースデバイス102は、タブレット、スマートハブ、メディアハブ、ステレオハブ、サウンドバー、ヘッドフォンケース、又は少なくとも1つのシンクデバイス104にワイヤレスデータ(後述)を送信又はブロードキャストすることが可能な任意のデバイスのうちの少なくとも1つから選択できることを理解されたい。更に、一対の完全ワイヤレスイヤホン104A、眼鏡型デバイス104B、及びオーバーイヤー型ヘッドセット104Cとして図示されているが、シンクデバイス104は、スマートフォン、タブレット、スマートハブ、メディアハブ、ステレオハブ、サウンドバー、ヘッドフォンケース、又はソースデバイス102からワイヤレスデータ(後述)を受信することが可能な任意のデバイスのうちの少なくとも1つから選択できることを理解されたい。いくつかの例では、各シンクデバイス104は、ソースデバイス102から受信したワイヤレスデータに基づいて、可聴音響エネルギーをレンダリングすることが可能なデバイス、例えば、オーディオデータをレンダリングすることが可能なデバイスであることが意図される。いくつかの例では、後述するように、ソースデバイス102は、レンダリングの前にオーディオデータを及び復元及び/又は拡張するためのエラー訂正コード及び/又は追加コードを含むことができる1つ以上の補足パケット140(後述)を各シンクデバイス104に送信するように構成されている。
【0036】
図2に概略的に示されるように、ソースデバイス102は、本明細書で説明されるソースデバイス102の様々な機能を実行するために、複数の非一時的なコンピュータ可読ソース命令112をそれぞれ実行及び記憶するように構成されたソースプロセッサ108及びソースメモリ110を含むソースコントローラ106を含む。ソースコントローラ106はまた、ワイヤレスデータ、例えば、後述する複数のワイヤレスデータストリームのうちの少なくとも1つ、例えば、複数のワイヤレス接続132に関連しているデータを送信及び/又は受信するように構成されたソース通信モジュール114を含む。そのために、ソース通信モジュール114は、ワイヤレスデータを送受信することができる少なくとも1つの無線機又はアンテナ、例えば、ソース無線機116を含むことができる。いくつかの例では、ソース通信モジュール114は、少なくとも1つの無線機(例えば、ソース無線機116)に加えて、ワイヤレスデータの送信及び/又は受信を支援するために、ソースプロセッサ108及びソースメモリ110に電気的に接続される、何らかの形態の自動利得制御(automated gain control、AGC)、変調器及び/又は復調器、及び潜在的にビット処理用のディスクリートプロセッサを含むことができる。
【0037】
図3に示すように、各シンクデバイス104は、本明細書で説明されるような各シンクデバイス104の様々な機能を実行するために、複数の非一時的なコンピュータ可読シンク命令124をそれぞれ実行及び記憶するように構成されたシンクプロセッサ120及びシンクメモリ122を含むシンクコントローラ118を含むことができる。各シンクコントローラ118はまた、ワイヤレスデータ、例えば、後述する複数のワイヤレスデータストリームのうちの少なくとも1つ、例えば、ワイヤレス接続132に関連しているデータを送信及び/又は受信するように構成されたシンク通信モジュール126を含む。そのために、各シンク通信モジュール126は、ワイヤレスデータを送信及び受信することが可能な少なくとも1つの無線機又はアンテナ、例えば、シンク無線機128を含むことができる。いくつかの例では、シンク通信モジュール126は、少なくとも1つの無線機(例えば、シンク無線機128)に加えて、ワイヤレスデータの送信及び/又は受信を支援するために、シンクプロセッサ120及びシンクメモリ122に電気的に接続される、何らかの形態の自動利得制御(automated gain control、AGC)、変調器及び/又は復調器、及び潜在的にビット処理用のディスクリートプロセッサを含むことができる。図3に示すように、各シンクデバイス104は、シンクプロセッサ120及びシンクメモリ122に電気的に接続され、電気信号を、各シンクデバイスを取り囲む環境内の可聴音響エネルギー、例えばオーディオ再生に電気機械的に変換するように構成された、例えばラウドスピーカー又は音響トランスデューサである、少なくとも1つのスピーカー、すなわちシンクスピーカー130を含むこともできることを理解されたい。いくつかの例では、電気信号及び可聴音響エネルギーは、ワイヤレス接続132(後述)に含まれるデータに関連付けられる。更に、図示されていないが、各シンクコントローラ118は、システム100の動作中に独立した時間を保持するように構成された1つ以上のクロック又は計時回路を含むことができる。
【0038】
システム100の各デバイス、すなわち、ソースデバイス102及び各シンクデバイス104は、それらのそれぞれの通信モジュールを使用して、ソースデバイス102と各シンクデバイス104との間に1つ以上のワイヤレス接続132A~132C(これらをまとめて「ワイヤレス接続132」と呼ぶ)を確立することができる。各ワイヤレス接続132は、ソースデバイス102と各シンクデバイス104との間の1つ以上のワイヤレスデータストリームを介してワイヤレスデータを送信及び/又は受信するために使用することができる。いくつかの例では、各データストリームは、等時性データストリーム136A~136C(これらをまとめて「等時性データストリーム136」又は「等時性ストリーム136」と呼ぶ)、例えば、LEオーディオ規格を使用するコネクテッド等時性ストリームである。他の例では、後述するように、等時性データストリーム136はブロードキャスト等時性ストリームであり、例えば、ソースデバイス102は、1つ以上のシンクデバイス104によって受信される1つ以上の等時性ストリーム136をブロードキャストするように構成されている。例えば、ソースデバイス102は、各シンクデバイス104によって受信される1つ以上のワイヤレスデータストリームを生成し、ブロードキャストし、又は場合によってはワイヤレス伝送するように構成されている場合がある。各ワイヤレス接続132を介して確立されるストリームは、様々なワイヤレスデータプロトコル、規格、又は 伝送の方法、例えば、Bluetooth低エネルギープロトコル、Bluetooth低エネルギーISOトランスポートプロトコル、又はLEオーディオ規格を使用することができることを理解されたい。いくつかの例では、これらのプロトコルは、オーディオデータ、例えば、オーディオ再生の形態で可聴音響エネルギーを生成するためにシンクデバイス104によって使用されるデータを送信し、受信し、又は場合によっては伝送するために使用される。しかしながら、これらのプロトコルはオーディオデータの伝送に限定されず、他のタイプのデータを含むことを理解されたい。
【0039】
図4A図6に示すように、各等時性ストリーム136は、複数のデータパケット138A~138D(これらをまとめて「データパケット138」と呼ぶ)のうちの1つ以上のパケット、及び/又は複数の補足データパケット140A~140H(これらをまとめて「補足パケット140」と呼ぶ)のうちの1つ以上のパケットを含む。データパケット138は、本明細書で説明されるようにソースデバイス102によって1つ以上のシンクデバイス104に送信され、可聴音響エネルギー、例えばオーディオ再生を生成又はレンダリングするために1つ以上のシンクデバイス104によって使用されるデータを含むことができる。言い換えれば、データパケット138は、上述した各シンクデバイス104のシンクスピーカー130を使用して可聴音響エネルギーを生成するために使用され得るオーディオデータ及び/又はオーディオデータの1つ以上のフレームを含むことができる。そのために、データパケット138は、フレーム化されたパケット又はフレーム化されていないパケットとすることができる。例えば、フレーム化されたパケットは、ヘッダ及びペイロードを含むことができるが、フレーム化されていないパケットは、パケットヘッダを含まない。いくつかの例では、ヘッダは、セグメンテーションヘッダデータ及び時間オフセットデータのためのフィールドを含むことができ、ペイロードは、一方のデバイスから他方のデバイスに転送されるべき符号化されたワイヤレスデータを含む。例えば、転送されるべきデータが1つ以上のオーディオファイルに関連しているオーディオデータである場合、ペイロードは、符号化されたオーディオデータの1つ以上のフレームの形態のオーディオデータを含むことができる。フレーム化されていない構成では、ワイヤレス接続132の初期ネゴシエーション中に、ソースコントローラ106及び各シンクコントローラ118は、各パケットのヘッダで通常指定されるパラメータについてネゴシエートし合意することができ、これにより、各デバイスは、データの送信時及び受信時にどのようなデータタイプ及びどのようなパラメータが使用されるかを知ることができ、ヘッダを含めることが冗長となり不要となるようにする。
【0040】
各補足パケット140は、フレーム化又はアンフレーム化されることに加えて、複数のデータパケット138のうちの1つ以上のうちで送信されたデータを訂正し、復元し、又は拡張するように意図されたデータを含むことができる。例えば、詳細に後述するように、各補足パケット140は、1つ以上の等時性ストリーム136内から正常に受信されなかった1つ以上のデータパケット138の少なくとも一部分を復元又は再現する際に各シンクデバイス104を支援するように意図されたエラー訂正コードを含むことができる。代替的又は追加的に、各補足データパケットは、1つ以上の等時性ストリーム136から正常に受信された1つ以上のデータパケット138に関連している追加データを含むことができ、各シンク機器104が既に受信されたデータを拡張するために使用することができる。例えば、データパケット138が、より低いビットレート又はより低い品質(例えば、72kbps)で符号化されたオーディオデータ又はオーディオデータのフレームを含んでいた場合、補足パケット140は、ビットレートを効果的に上げ、したがって、各フレームについて復号されるオーディオの品質を(例えば、144kbpsに)上げる追加のオーディオデータ(例えば、72kbps)を提供することができる。補足パケット140は、許可されたシンクデバイス104のみが、補足パケット140によって与えられるエラー訂正能力又はエラー拡張能力にアクセスすることができるように、暗号化されていることを理解されたい。
【0041】
後述するように、いくつかの例では、補足パケット140はエラー訂正コードを含む。いくつかの例では、エラー訂正コードは、任意の硬判定ブロックコードから選択することができ、例えば、リードソロモン符号化、多次元パリティ、又はハミング符号のうちの少なくとも1つから選択することができる。畳み込み符号を使用することもできるが、これは軟判定につながり、軟判定が不正確な結果につながるときに、アーティファクト、例えばオーディオアーティファクトを犠牲にしてエラー訂正性能を高めることができることを理解されたい。更に、選択されたブロックコードに対して、使用されるパリティ形式は、デコーダ側、例えばシンクコントローラ118側で大きなメモリ及び処理を必要としないので、独立ディスク冗長アレイ(Redundant Array of Independent Disks、RAID)5及びRAID6とすることができる。
【0042】
1つの例示的な構成を示す図4A図6に示されるようにデータパケット138及び補足パケット140は、1つ以上の等時性ストリーム、例えば、時間Tに沿った所定の等時性時間間隔、例えば、等時性間隔142A~142D(これらをまとめて「等時性間隔142」と呼ぶ)の間にパケットを送信するストリームを介して送信される。各等時性間隔142は、複数の等時性イベント及び等時性サブイベントを含むことができ、これらは、所与のワイヤレス接続の初期ネゴシエーションに基づいて各Bluetooth等時性間隔を分割及び細分割する。更に、データパケット138及び補足パケット140は、同じ等時性ストリーム136内で、又は異なる等時性ストリーム136内で、例えば、異なる周波数又はチャネルを介して送信することができる。図4Aに示す一例では、データパケット138は、第1の周波数144を使用して第1の等時性ストリーム136Aで送信され、補足データパケット140は、第1の周波数144とは異なる第2の周波数146を使用する第2の等時性ストリーム136Bで送信される。図4A図4Bに示すように、第2の等時性ストリーム136Bを介して送信される補足パケット140は、第1の等時性ストリーム136Aを介して送信されるデータパケット138に対して時間的にシフトされる。各それぞれのストリームのパケット間に重複が生じないようなこの時間的シフトにより、第1の等時性ストリーム136Aと第2の等時性ストリーム136Bの両方が、同じ無線機、例えばソース無線機116によって生成できることを理解されたい。
【0043】
システム100の一例を示す図4Aを特に参照すると、ソースデバイス102は、第1のブロードキャスト等時性ストリーム136Aを介して、第1の周波数144で、複数のデータパケット138A~138Dを送信するように構成されている。更に、ソースデバイス102はまた、第2のブロードキャスト等時性ストリーム136Bを介して、第1の周波数144とは異なる第2の周波数146で、複数の補足データパケット140を送信するように構成されている。具体的には、図示されるように、第1の等時性間隔142A内で、ソースデバイス102は、第1のデータパケット138A(数字「1」が表示された影付き四角形として図4Aに概略的に示される)と、第1のデータパケット138Aと同一のペイロードを含む1つ以上の再伝送パケット(数字「1」が表示された白い四角形として図4Aに概略的に示される)とを送信するように構成されている。第1のデータパケット138A及び第1のデータパケット138Aに関連付けられた再伝送パケットの両方の伝送に続いて、第1のブロードキャスト等時性ストリーム136A内で、ソースデバイス102はまた、第2のブロードキャスト等時性ストリーム136Bを介して、1つ以上の補足パケット140、すなわち、補足パケット140A及び140Bを伝送するように構成されている。上述したように、補足パケット140A及び140Bの各々は、データパケット138を復元又は再現するために、1つ以上のシンクデバイス104によって使用される、1つ以上のデータパケット138に基づいて計算されたエラー訂正コードを含むことができる。あるいは、上述したように、補足パケット140A及び140Bは、例えば、第1のデータパケット138Aにおいて成功裏に取得されたデータを拡張するか、又はそれに追加するために使用される追加データ、例えば、追加のオーディオデータ又はオーディオフレームを含むことができる。更に、第1の等時性間隔142A中に送信されるパケットと同様に、ソースデバイス102は、第2の等時性間隔142B、第3の等時性間隔142C、及び第4の等時性間隔142D中に、それぞれ、第2のデータパケット138B、第3のデータパケット138C、及び第4のデータパケット138D(それぞれ2~4と番号付けされた陰影付き四角形として、図4Aにすべて示されている)を送信するように構成されている。更に、それぞれのパケットの後に、1つ以上の再伝送されたパケット(図4Aにおいてそれぞれ白い四角形番号2~4として示されている)が続く。また、第2の等時性ストリーム136B内で、各等時性間隔142中に、ソースデバイス102は、1つ以上の補足パケット140、例えば、第2の等時性間隔142B中に補足パケット140C及び140Dを、第3の等時性間隔142C中に補足パケット140E及び140Fを、第4の等時性間隔142D中に補足パケット140G及び140Hを送信するように構成されている。補足パケット140A~140Hは、クロスハッチを有するボックスとして示されている。補足パケット140A~140Hはまた、データパケットと補足パケットとの間に重複が生じないように、データパケット138及びそれらのそれぞれの再伝送パケットに対して時間的にシフトされることを理解されたい。したがって、単一の無線機、すなわちソース無線機116は、データパケット138、データパケット138に関連付けられたそれぞれの再伝送パケット、及び補足パケット140をブロードキャストすることができる。
【0044】
図4Bは、エラー訂正コードを有する補足パケット140を使用した欠落データパケットの復元を含むシステム100の一例を示す。図示のように、各補足パケット140は、1つ以上のデータパケット138A~138Dからのデータを使用して計算されたエラー訂正コードを含むことができる。例えば、図示のように、第1のデータパケット138A及び第2のデータパケット138Bは正常に受信されるが、第3のデータパケット138Cは失われる(図4Bでは、第3のデータパケット138C及びそのそれぞれの再伝送パケット上の実線「X」によって示されている)。更に、補足パケット140A~140Dは、第2のブロードキャスト等時性ストリーム136Bを介して送信される。補足パケット140Cは、データパケット138A~138Bを使用して計算されたエラー訂正コードを含むことができるので、補足データパケット140Cのエラー訂正コードは、欠落パケット(例えば、138C)を計算し復元し、第1の等時性ストリーム136Aを復号する際に使用するために、欠落パケットからのデータをシンクデバイス104に渡すために使用される。言い換えれば、補足パケット140C内のエラー訂正コードは、第1のデータパケット138A、第2のデータパケット138B、及び補足パケット138Cからのデータ(図4Bの矢印によって示される)を使用して、欠落又は失われたデータパケット140Cを再現することができる。所与の補足パケット140内のエラー訂正コードは、1つ以上のデータパケット138を使用して計算できることを理解されたい。例えば、図示されていないが、補足パケット140A及び/又は140Bは、2つのデータパケット、すなわち、第1のデータパケット138A及び第2のデータパケット138Bに基づいて計算できる。したがって、これらのデータパケットのうちの少なくとも1つ及び補足パケットのうちの1つが正常に受信された場合、欠落データパケットを復元することができる。更に、第2の等時性ストリーム136B内で、複数の補足パケット140が単一の等時性間隔内で送信され、例えば、補足パケット140A及び140Bが第1の等時性間隔142A内で送信されることを理解されたい。この例では、補足パケット140Aは、1つ以上のパケット138を拡張するために使用されるエラー訂正コード又は追加データを含むことができ、補足パケット140Bは、補足パケット140Aの再伝送であり、すなわち、補足パケット140Bは、補足パケット140Aと同一のペイロードを有する。
【0045】
図5に示されるように、複数のデータパケット138は、第1の複数のデータパケット148A~148D(これらをまとめて「第1の複数のパケット148」と呼ぶ)と、第2の複数のデータパケット150A~150D(これらをまとめて「第2の複数のパケット150」と呼ぶ)とを含む。図示されているように、第1の複数のパケット148は、第1の等時性ストリーム、すなわち第1のブロードキャスト等時性ストリーム136Aを介して伝送され、第2の複数のデータパケット150は、第2の等時性ストリーム、すなわち第2のブロードキャスト等時性ストリーム136Bを介して伝送される。第1のブロードキャスト等時性ストリーム136Aは、第1の周波数144を使用して伝送され、第2のブロードキャスト等時性ストリーム136Bは、第1の周波数144とは異なる第2の周波数146を使用して伝送されることを理解されたい。加えて、第2の複数のパケット150は、それぞれの複数の各パケットを送信するために使用されるエアタイムにおいて時間的な重複がないように、第1の複数のパケット148に対して時間的にシフトされる。したがって、単一の無線機、例えばソース無線機116を使用して、第1の複数のデータパケット148と第2の複数のデータパケット150の両方を送信することができる。第1の複数のデータパケット148は、左チャネルオーディオストリームに関連付けられたオーディオデータ又はオーディオデータのフレームを含み、第2の複数のデータパケット150は、右チャネルオーディオストリームに関連付けられたオーディオデータ又はオーディオデータのフレームを含む。言い換えれば、ステレオ用途の場合、左チャネルオーディオは別個のチャネル又は周波数を介して送信され、右チャネルオーディオは他の別個のチャネル又は周波数を介して送信される。図4A図4Bと同様に、第1の複数のデータパケット148A~148D及び第2の複数のデータパケット150A~150Dは、それぞれ番号1~4が表示された影付きボックスとして示されている。更に、これらのパケットの各々に関連している再伝送されたパケットは、対応する番号1~4が表示された白いボックスとして示されている。更に、補足データパケット140A~140Hは、クロスハッチを有するボックスとして示されている。
【0046】
図4A図4Bに関して上述した補足パケット140と同様に、補足データパケット140は、更に他の別個のチャネル又は周波数を介して送信される。例えば、第3の等時性ストリーム、すなわち第3のブロードキャスト等時性ストリーム136Cは、第3の周波数152を介して補足データパケット140を伝送するために使用され、第3の周波数152は、第1の周波数144及び第2の周波数146とは異なる。更に、補足パケット140は、第1の複数のパケット148及び第2の複数のパケット150の両方に対して時間的にオフセット又はシフトされる。第1の複数のパケット148、第2の複数のパケット150、及び補足パケット140を互いに時間的にシフトし、これらのパケットのいずれも同時に伝送されないようにすることによって、単一の無線機、例えばソース無線機116を使用して、3つすべての等時性ストリーム136A~136Cを伝送することができる。
【0047】
図5に示す例では、補足パケット140A~140Hは、第1の複数のパケット148のうちの1つ以上のパケット及び/又は第2の複数のパケット150のうちの1つ以上のパケットに基づいて計算されたエラー訂正コードを含むことができることを理解されたい。例えば、各等時性間隔内で、第1の複数のパケット148の1つ以上のデータパケットと、各それぞれのデータパケット148に関連している2つの再伝送パケットとが、第1のブロードキャスト等時性ストリーム136A内で送信され、第2の複数のパケット150の1つ以上のデータパケットと、各それぞれのデータパケット150に関連している2つの再伝送パケットとが、第2のブロードキャスト等時性ストリーム136B内で送信される。これらのデータパケット及びそれらのそれぞれの再伝送パケットの伝送に続いて、各等時性間隔142内で、2つの補足パケット140が第3のブロードキャスト等時性ストリーム136Cを介して送信される。各等時性間隔内で、2つの補足パケット140のうちの一方は、第1の複数のパケット148のうちの1つ以上のパケットに基づいて計算されたエラー訂正コードを含むことができ、他方の補足パケット140は、第2の複数のパケット150のうちの1つ以上のパケットに基づいて計算される。言い換えれば、各等時性間隔142内で、2つの補足パケット140が送信される。2つの補足パケットの一方の補足パケット内のエラー訂正コードは、左チャネルオーディオストリームに関連付けられたパケットに基づいて計算され、他方の補足パケット内のエラー訂正コードは、右チャネルオーディオストリームに関連付けられたパケットに基づいて計算される。例えば、図5に示すように、補足パケット140Cは、データパケット148A及び148Bに基づいて計算することができ、補足パケット140Dは、データパケット150A及び150Bに基づいて計算することができる。このようにして、パケット148A又は148Bのいずれか一方が失われ、他方が正常に受信された場合、補足パケット140Cは失われたパケットを復元又は再現することができる。同様に、パケット150A又は150Bのいずれか一方が失われ、他方が正常に受信された場合、補足パケット140Dは失われたパケットを復元又は再現することができる。
【0048】
図6に示すように、補足パケットは、1つ以上の対応するデータパケットに先立って、又は対応するパケットの後に送信することができる。例えば、図示のように、補足パケット140A(文字「R」が表示されたクロスハッチされた四角形として示されている)は、第1のパケット138A及び第2のパケット138Bのデータに基づいて計算されたエラー訂正コードを含むことができる。補足パケット140Aは、第1のパケット138Aと第2のパケット138Bとの間で時間的に送信されるので、補足パケット140Aは、事前伝送、すなわち、そのエラー訂正コードが計算された少なくとも1つのパケットより時間的に前に送信されたと言われる。したがって、各等時性間隔142内で送信される第1の補足パケット140は、第1の等時性ストリーム136A内でその直前に送信されたパケット及びその直後に送信されたパケットに基づいて計算されたエラー訂正コードを有する事前伝送パケットである。例えば、補足パケット140Cは、データパケット138B及びデータパケット138Cに基づいて計算され、補足パケット140Eは、データパケット140C及びデータパケット140Dに基づいて計算される。図示された補足パケットは、アルファベット表示順序を有するパケットの連続した順序を介した進行を示す、各々が代表的な四角形上に表示された文字を含むことを理解されたい。例えば、補足パケット140A、140C、及び140Eは、これらの補足パケットの各々が互いに対して論理的アルファベット順であることを示すために、R、S、及びTとして示される連続ペイロードを含む。本明細書で説明するシステムのロバスト性を高めるために、各事後再伝送パケットが事後再伝送パケットよりもかなり前に送信された1つ以上のパケットに基づいて計算されるという点で、各等時性間隔142内で送信される第2の補足パケット140は、伝送後パケット又は再伝送後パケットである。例えば、図示されるように、再伝送されるペイロードが、保持するエラー訂正コードを計算するために使用されるデータパケットに関して、将来において1つ以上の完全な等時性間隔であるように、再伝送されるパケットに関連付けられたペイロードは時間的にシフトされる。例えば、図6に示すように、各等時性間隔142内で送信される第2の補足パケット140はそれぞれ、対応する補足パケット140の送信の少なくとも2つの等時性間隔前に送信されたデータパケットに基づいて計算される。具体的には、図示されるように、補足データパケット140Fは、その補足パケット内のペイロードが補足パケット140A内のペイロードと同一であり、これらのパケット内のエラー訂正コードがパケット138A及び138B内のデータに基づいて計算されることを示す「R」でラベル付けされる。したがって、このペイロードの事後伝送は、その中に含まれるエラーコードを計算するために使用されるデータパケットに関して、2つの等時性間隔後に行われる。
【0049】
この例示的な事前伝送及び事後伝送の構成は、パケット損失が一般的である状況において、又は本明細書で説明するワイヤレス接続のための特定のリンクバジェットの終了時に有利である。例えば、所与の接続が特定の等時性間隔内で干渉を受ける場合、それらのデータパケットの復元を助けることができるデータパケット138と補足パケット140の両方が失われることがある。事後伝送のいくつかの等時性間隔を将来提供することによって、初期パケット損失を引き起こした干渉が解決され、十分な大きさのバッファが与えられると、最初に失われたすべてのパケットが復元可能となる可能性が増大する。例えば、図示されるように、干渉又は他の要因がデータパケット138A並びに補足パケット140A及び140Bを損失又は欠落させた場合、損失パケット140Aと同じペイロードを含む事後伝送パケット140Fは、干渉が解決された可能性が高い将来の異なる時間に送信され、事後伝送された補足データは、損失パケット138Aを復元するためにパケット138Bとともに使用される。
【0050】
いくつかの例では、本明細書で説明する方法を使用するパケット復元は、反復的である。例えば、図6を参照すると、干渉又は他の環境要因によってパケット138A、138B、及び140Aが失われた場合、本明細書で説明するシステム及び方法は、受信パケット138C及び受信補足パケット140Cからのデータを使用することによって、パケット138Bの復元から開始することができる。パケット138Bが復元されると、システム100は、復元されたパケット138B及び事後伝送パケット140Fを使用して、第1のパケット138Aを復元することができる。
【0051】
上述したように、本開示で説明するブロードキャストストリームは、暗号化を利用して、無許可のユーザが本明細書で説明するエラー訂正及び拡張能力にアクセスすることを防止することができることを理解されたい。例えば、ソースコントローラ106は、補足パケット140に関連付けられたブロードキャスト等時性ストリームを介して送信される符号化データを取得し、ブロードキャストする前に各パケットを暗号化することができる。データを暗号化するために使用されるキーペアのそれぞれのキーは、許可されたデバイスのシンクコントローラ118が補足ストリームで提供される復号化データを復号化できるように、ストリームを開始する前に、許可されたシンクデバイス104に送信することができる。このようにして、許可されていないユーザ又は許可されていないデバイスの場合、第1のブロードキャスト等時性ストリーム136Aに関連付けられたデータは依然として利用可能であるが、エラー訂正コードの使用によって作成されたロバスト性の増加及び/又は補足パケット140内で追加のオーディオデータを送信する品質の増加は利用可能とはならない。言い換えれば、この例では、データパケット138に関連付けられたブロードキャストストリームデータは暗号化されないが、補足データパケット140に関連付けられたブロードキャストストリームデータは暗号化されている。別の例では、データパケット138に関連付けられたブロードキャストストリームデータ及び補足データパケット140に関連付けられたブロードキャストストリームデータの両方が暗号化されている。例えば、データパケット138に関連付けられたブロードキャストストリームは、第1の暗号化キーペアKP1(図2及び図3に概略的に示される)を利用し、一方、補足パケット140に関連付けられたブロードキャストストリームは、第1の暗号化キーペアKP1とは異なる第2の暗号化キーペアKP2を利用する。このようにして、許可されていないユーザ又は許可されていないデバイスに対して、第1のブロードキャスト等時性ストリーム136Aに関連付けられたデータは、ユーザ又はデバイスが、データパケット138に関連付けられたデータを解読するために使用される第1の暗号化キーペアKP1のそれぞれのキーへのアクセスを有する限り、利用可能であるが、エラー訂正コードの使用によって生成される向上したロバスト性及び/又は補足パケット140内で追加のオーディオデータを送信する向上した品質は、ユーザ又はデバイスが、補足データパケット140に関連付けられたデータを解読するために使用される第2の暗号化キーペアKP2のそれぞれのキーへのアクセスを有する場合にのみ利用可能である。
【0052】
更に、別個のストリームとして示されているが、本明細書で説明されるデータパケット138及び補足パケット140は、同じ等時性ストリーム内で送信されることを理解されたい。図4Aを参照すると、例えば、第1の等時性間隔142A内で、パケット138A及びそのそれぞれの再伝送パケットが送信される。最後に再伝送されたパケットの直後に、第1の等時性間隔142A内で、システム100は、補足パケット140A及び140Bを送信することができる。補足パケット140A及び140Bは、パケット138A及びそれぞれの再伝送パケットに対して時間的にシフトされ、その結果、単一の無線機、例えばソース無線機116を使用してすべてのパケットを送信することができるようになる。この例では、第1の等時性ストリーム136Aの各パケット中で送信されているデータのタイプについて各シンクデバイス104のシンクコントローラ118に命令するために、パケットヘッダが必要とされる可能性が高いことを理解されたい。更に、本明細書で提供される例は、第1のブロードキャスト等時性ストリームを介して送信されたデータを復元、再現、又は拡張するために、第2のブロードキャスト等時性ストリームを介して送信された1つ以上の補足パケット中に含まれるデータを使用することについて説明する。各パケット138(又は、パケット148及び150)は、オーディオデータの複数のフレームを含むことができることを理解されたい。したがって、補足パケット140において提供されるエラー訂正コード及び/又は追加データは、各パケット全体ではなく、データの個々のフレームに基づいて計算されるか、又はデータの個々のフレームに適用される。言い換えれば、1つ以上の補足データパケット140は、複数のデータパケットのうちの1つ以上のデータパケット138(又は、パケット148及び150)の少なくとも一部分(1つ以上のフレーム)を再現及び/又は拡張するために使用される。
【0053】
上記の説明は複数のブロードキャスト等時性ストリームを提供するが、例えば、ソースデバイス102と各シンクデバイス104との間の接コネクテッド等時性ストリームを使用して、同様の概念が非ブロードキャストシステム上で採用できることを理解されたい。非ブロードキャストシナリオ、例えば、コネクテッド等時性ストリームで適用する場合、システムは、ソースコントローラ106によって確認される必要があるが、受信に時間を費やさないパケットを示すために、ソースコントローラ106への追加のインタフェースを含むことができる。非ブロードキャストの例では、本明細書で説明するシステムは、複数のデータパケット138のうちの1つ以上の復元又は再現の成功を確認することを含む。したがって、説明されるシステムは、シンクデバイス104が受信することが困難であったパケットを再現することを可能にし、システムが、シンクデバイスが必要とする次のパケットの伝送を継続することができるように、そのパケットの正常な復元の確認応答を送信する。
【0054】
図7は、本明細書で説明されるシステム及び方法の実装形態を単純化したものを示す。例えば、本明細書で開示される構成の利点は、オーディオ伝送のためにソースデバイス及びシンクデバイスによって現在使用されているBluetooth無線又はコントローラに対するいかなる変更も必要としないことである。例えば、本明細書で説明する実装形態は、等時性適応レイヤ(Isochronous Adaptation Layer、ISOAL)と、一般的なオーディオソース及びシンクデバイスの従来のLC3エンコーダ/デコーダ及びI2Sシリアルバスインタフェースとの間のインタフェースの作成によって実現することができる。このインタフェースは、図7において「フック」とラベル付けされた長方形によって表される。更に、パケットが事前に計算されているとき、本システムは、このインタフェースを利用して、第1の等時性ストリーム136Aのどのパケットを事前にピックアップするかをソースコントローラ106に示すことができる。同じインタフェースは、エラー訂正コードが事後伝送されて必要とされないときにも、必要とされる。
【0055】
図8は、本開示に係る好ましい方法200のステップを示す。方法200は、例えば、第1の等時性間隔142A内で、又は第1の周波数144を使用して送信される複数のデータパケット138(又は、148及び150)を含む等時性ストリーム136Aを伝送すること(ステップ202)を含み、第1の等時性間隔142A内で、かつ複数のデータパケット138(又は、148及び150)に対して時間的にシフトされた、又は第1の周波数144とは異なる第2の周波数146で、1つ以上の補足データパケット140を伝送し(ステップ204)、1つ以上の補足データパケット140は、第1の等時性間隔142Aの間に受信された複数のデータパケット138のうちの1つ以上のデータパケット138の少なくとも一部分を再現及び/又は拡張するために使用され、あるいは、1つ以上の補足データパケット140は、第1の等時性間隔142Aの間又は第1の等時性間隔142Aの後の第2の等時性間隔142Bの間に受信される複数のデータパケット138のうちの1つ以上のデータパケットの少なくとも一部分を生成及び/又は拡張するために使用される。任意選択で、方法200は、1つ以上の補足データパケット140の正常な受信を確認すること(ステップ206)も含む。
【0056】
本明細書で定義及び使用されるすべての定義は、辞書の定義、参照により組み込まれる文書における定義、及び/又は定義された用語の通常の意味を制御するものと理解されるべきである。
【0057】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される「a」及び「an」という不定冠詞は、別途明確に示されない限り、「少なくとも1つ」を意味すると理解されるべきである。
【0058】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される「及び/又は」という句は、そのように結合された要素の「いずれか又は両方」、すなわち、ある場合には結合的に存在し、他の場合には分離的に存在する要素を意味すると理解されるべきである。「及び/又は」でリストされた複数の要素は、同じ様式、すなわち、そのように結合された要素の「1つ以上」で解釈されるべきである。他の要素が、具体的に特定された要素に関係するか無関係であるかにかかわらず、「及び/又は」条項によって具体的に特定された要素以外に任意選択的に存在し得る。
【0059】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、「又は」は、上記で定義された「及び/又は」と同じ意味を有すると理解されるべきである。例えば、リスト内の項目を分離する場合、「又は」若しくは「及び/又は」は、包括的であると解釈されるべきであり、すなわち、要素の数又はリストのうちの少なくとも1つを含むが、また1つを超えて含み、任意選択的に、追加のリストにない項目を含む。「のうちの1つのみ」又は「のうちの正確に1つ」、若しくは特許請求の範囲で使用される場合、「からなる」などの用語が別途明確に示される場合のみ、要素の数又はリストのうちの正確に1つの要素を含むことを指す。概して、本明細書で使用される「又は」という用語は、「いずれか」、「のうちの1つ」、「のうちの1つのみ」、又は「のうちの正確に1つ」などの排他性の用語が前に付いている場合に、排他的な選択肢(すなわち、「一方又は他方であるが両方ではない」)を示すものとしてのみ解釈される。
【0060】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、1つ以上の要素のリストに関する「少なくとも1つ」という句は、要素のリスト内の要素のうちの任意の1つ以上から選択された少なくとも1つの要素を意味するが、必ずしも要素のリスト内に具体的にリストされた各及びすべての要素のうちの少なくとも1つを含むわけではなく、要素のリスト内の要素の任意の組み合わせを除外するものではないと理解されるべきである。この定義はまた、具体的に特定された要素に関係するか無関係であるかにかかわらず、要素が、「少なくとも1つ」という句が指す要素のリスト内で具体的に特定される要素以外に任意選択的に存在し得ることを可能にする。
【0061】
別途明確に示されない限り、1つを超えるステップ又は作用を含む本明細書で特許請求される任意の方法において、方法のステップ又は作用の順序は、必ずしも方法のステップ又は作用が列挙される順序に限定されないことも理解されたい。
【0062】
特許請求の範囲において、並びに上記の明細書において、「備える(comprising)」、「含む(including)」、「担持する(carrying)」、「有する(having)」、「含有する(containing)」、「関与する(involving)」、「保持する(holding)」、「構成されている(composed of)」などのようなすべての移行句は、制限のないこと、すなわち、含むが限定されないことを意味すると理解されるべきである。「~からなる(consisting of)」及び「本質的に~からなる(consisting essentially of)」という移行句に限っては、それぞれ限定的又は半限定的な移行句となる。
【0063】
記載の主題の上述の例は、多数の方法のいずれかで実施することができる。例えば、いくつかの態様において、ハードウェア、ソフトウェア、又はこれらの組み合わせで実現され得る。いずれかの態様の少なくとも一部がソフトウェアとして実現される場合、ソフトウェアコードは、単一デバイス若しくはコンピュータに提供されるか、又は複数のデバイス/コンピュータに分散されるかにかかわらず、任意の好適なプロセッサ、若しくはプロセッサの集合で実行することができる。
【0064】
本開示は、想定される任意の技術的に詳細なレベルの統合で、システム、方法、及び/又はコンピュータプログラム製品として実装され得る。コンピュータプログラム製品は、本明の態様をプロセッサに実行させるコンピュータ可読プログラム命令を有するコンピュータ可読記憶媒体(又はメディア)を含み得る。
【0065】
コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行デバイスによって使用するための命令を保持及び記憶することができる有形デバイスとすることができる。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、電子記憶デバイス、磁気記憶デバイス、光学記憶デバイス、電磁記憶デバイス、半導体記憶デバイス、又は前述の任意の好適な組み合わせであり得るが、これらに限定されない。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例の非網羅的リストには、以下のものが含まれる:ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(random access memory、RAM)、読み取り専用メモリ(read-only memory、ROM)、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(erasable programmable read-only memory、EPROM、又はフラッシュメモリ)、静的ランダムアクセスメモリ(static random access memory、SRAM)、ポータブルコンパクトディスク読み取り専用メモリ(compact disc read-only memory、CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(digital versatile disk、DVD)、メモリスティック、フロッピーディスク、パンチカード又は溝内で隆起した構造物な命令が記録された機械的に符号化されたデバイス、並びに、上記の好適な組み合わせ。本明細書で使用する場合、コンピュータ可読記憶媒体は、電波などの自由に伝播する電磁波、導波管などの伝送媒体を伝播する電磁波(例えば、光ファイバケーブルを通過する光パルス)、電線を伝送する電気信号などの一過性の信号そのものであると解釈されない。
【0066】
本明細書に記載のコンピュータ可読プログラム命令は、ネットワーク、例えば、インターネット、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、及び/若しくはワイヤレスネットワークを介して、コンピュータ可読記憶媒体からそれぞれの計算/処理デバイスに、又は外部コンピュータ、若しくは外部記憶デバイスにダウンロードすることができる。ネットワークは、銅伝送ケーブル、光伝送ファイバ、ワイヤレス伝送、ルータ、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイコンピュータ、及び/又はエッジサーバを含み得る。各計算/処理デバイスのネットワークアダプタカード、又はネットワークインターフェイスは、ネットワークからコンピュータ可読プログラム命令を受信し、このコンピュータ可読プログラム命令を転送して、それぞれの計算/処理デバイス内のコンピュータ可読記憶媒体に記憶する。
【0067】
本開示の動作を実行するためのコンピュータ可読プログラム命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(instruction-set-architecture、ISA)命令、機械命令、機械依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、集積回路の設定データ、又は、Smalltalk、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語、「C」プログラミング言語などの手続き型プログラミング言語、又は類似のプログラミング言語を含む、1つ以上のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコード若しくはオブジェクトコードであり得る。コンピュータ可読プログラム命令は、すべてがユーザのコンピュータで実行され得るか、一部がユーザのコンピュータで実行され得るか、スタンドアロンのソフトウェアパッケージとして実行され得るか、一部がユーザのコンピュータ上で、一部がリモートコンピュータで実行され得るか、又は、全体がリモートコンピュータ若しくはサーバで実行され得る。後者のシナリオでは、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(local area network、LAN)若しくはワイドエリアネットワーク(wide area network、WAN)を含む任意の種類のネットワークを通じて、ユーザのコンピュータに接続され得るか、又は(例えば、インターネットサービスプロバイダを使用してインターネットを通じて)外部コンピュータに接続され得る。いくつかの例では、例えば、プログラマブルロジック回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field-programmable gate array、FPGA)、又はプログラマブルロジックアレイ(programmable logic array、PLA)を含む、電子回路は、本開示の態様を実行するために、コンピュータ可読プログラム命令の状態情報を使用して電子回路を個別化することによって、コンピュータ可読プログラム命令を実行し得る。
【0068】
本開示の態様は、本開示の例による方法、機器(システム)、及びコンピュータプログラム製品のフローチャート例解図、及び/又はブロック図を参照して本明細書で記載されている。フローチャート例解図、及び/又はブロック図の各ブロック、並びにフローチャート例解図、及び/又はブロック図のブロックの組み合わせは、コンピュータ可読プログラム命令によって実現することができるということが理解されよう。
【0069】
コンピュータ可読プログラム命令は、専用目的のコンピュータ、又は他のプログラマブルデータ処理機器のプロセッサに提供されて、機械を製造し得、これにより、コンピュータ若しくは他のプログラマブルデータ処理機器のプロセッサを介して実行する命令は、フローチャート、及び/又はブロック図の1つ以上のブロックで指定された機能/操作を実施するための手段を作り出す。更に、これらのコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ、プログラマブルデータ処理機器、及び/又は他のデバイスに対して特定の方法で機能するように、指示することができるコンピュータ可読記憶媒体に記憶され得、これにより、命令が記憶されているコンピュータ可読記憶媒体は、フローチャート、及び/若しくはブロック図、又はブロックで指定された機能/操作の態様を実行する命令を有する製造物品を含む。
【0070】
また、コンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理機器、又は他のデバイスにロードされて、コンピュータ、他のプログラマブル機器、又は他のデバイス上で実行されるべき一連の操作ステップに対して、コンピュータによって実行されるプロセスを生成させ得、これにより、コンピュータ、他のプログラマブル機器、又は他のデバイス上で実行する命令は、フローチャート、及び/若しくはブロック図の1つ以上のブロックで指定された機能/操作を実行する。
【0071】
図中のフローチャート及びブロック図は、本開示の様々な例によるシステム、方法、及びコンピュータプログラム製品について想定される実装形態のアーキテクチャ、機能、並びに動作を例解する。これに関して、フローチャート又はブロック図の各ブロックは、指定された論理機能(複数)を実行するための1つ以上の実行可能命令を含む、命令のモジュール、セグメント、又は部分に相当し得る。いくつかの代替的な実装形態では、ブロックに記載されている機能は、図に記載された順序から生じ得る。例えば、連続して示される2つのブロックは、実際には実質的に同時に実行され得るか、又は、場合によっては、ブロックは、関与する機能に応じて、逆の順序で実行され得る。更に、ブロック図、及び/又はフローチャート例解図の各ブロック、並びに、ブロック図、及び/又はフローチャート例解図におけるブロックの組み合わせは、特定機能を実行するか、又は専用ハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせを操作若しくは実行する専用ハードウェアベースのシステムで実装することができることにも留意されたい。
【0072】
他の実装形態は、以下の請求項、並びに本出願人が権利を有し得る他の請求項の範囲内にある。
【0073】
本明細書において、様々な例について記載及び例解してきたが、当業者であれば、様々な他の手段、及び/若しくは、機能を実施し、かつ/又は結果、及び/若しくは、本明細書に記載の1つ以上の利点を得るための構造を容易に着想し、こうした変更形態、及び/若しくは変形形態の各々は、本明細書に記載の例の範囲内にあるとみなされる。より一般的には、当業者であれば、本明細書に記載のパラメータ、寸法、材料、及び構成のすべてが例示的であること、更に、実際のパラメータ、寸法、材料、及び/又は構成は、特定の用途、又は本発明の教示が使用される用途に依存することを容易に理解するであろう。当業者であれば、日常的な実験を行うだけで、本明細書に記載されている特定例に相当する多くの等価物を認識又は確認することができるであろう。したがって、前述の例は、例示のみとして提示されたものであり、添付の特許請求の範囲及びその同等物の範囲内で、明確に記載、特許請求された以外の方法で例を実施することができるということを理解されたい。本開示の例は、本明細書に記載の各個々の特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法を対象とする。更に、2つ以上のこうした特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法のいかなる組み合わせも、こうした特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法が相互に矛盾しない場合、本開示の発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0074】
100 システム
102 ソースデバイス
104 (複数の)シンクデバイス
104A,104B,104C シンクデバイス
106 ソースコントローラ
108 ソースプロセッサ
110 ソースメモリ
112 複数のソース命令
114 ソース通信モジュール
116 ソース無線機
118 シンクコントローラ
120 シンクプロセッサ
122 シンクメモリ
124 複数のシンク命令
126 シンク通信モジュール
128 シンク無線機
130 シンクスピーカ
132 複数のワイヤレス接続
132A,132B,132C ワイヤレス接続
134 複数のワイヤレスデータストリーム
136 複数の等時性ストリーム
138 複数のデータパケット
140 複数の補足パケット
148 第1の複数のパケット
150 第2の複数のパケット
KP1 第1の暗号化キーペア
KP2 第2の暗号化キーペア
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】