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特表2024-527562カセット内にインデックスリングを有する自動注射器及びカセットシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-25
(54)【発明の名称】カセット内にインデックスリングを有する自動注射器及びカセットシステム
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/32 20060101AFI20240718BHJP
   A61M 5/315 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
A61M5/32 510K
A61M5/32 500
A61M5/315 500
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500090
(86)(22)【出願日】2022-06-30
(85)【翻訳文提出日】2024-02-29
(86)【国際出願番号】 EP2022068066
(87)【国際公開番号】W WO2023275251
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】21183125.0
(32)【優先日】2021-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】519130535
【氏名又は名称】フィリップス - メディサイズ エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 俊明
(72)【発明者】
【氏名】オレ レミング
(72)【発明者】
【氏名】ピーター イェンセン
(72)【発明者】
【氏名】トーベン クヴィスゴー ヤコブセン
(72)【発明者】
【氏名】ピーター ブラービャーグ ヤコブセン
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD12
4C066EE14
4C066FF05
4C066HH22
(57)【要約】
【解決手段】本発明は、カセットと、薬剤の送達のための自動注射器と、を備えるシステムに関する。薬剤を収容するためのカセットは、インデックスリングを備える。
【選択図】図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤を投与するための自動注射器において使用するためのカセットであって、該カセットは、近位端(102)から遠位端(104)まで長手方向(L)に延在し、前記カセット(100)は、
●薬剤を収容するシリンジ(200)を受容するためのシリンジホルダ(300)と、
●複数の長手方向位置の間で前記シリンジホルダ(300)に対して長手方向に移動可能な皮膚センサ(400)であって、複数の長手方向位置は、少なくとも、
○長手方向近位位置(LP)、及び
○長手方向遠位位置(LD)、を含む、皮膚センサ(400)と、
●複数の回転位置の間で前記皮膚センサ(400)に対して回転可能なインデックスリング(500)であって、複数の回転位置は、少なくとも、
○前記皮膚センサ(400)が遠位方向に移動することを防止する第1の回転位置(R1)、及び
○前記皮膚センサ(400)が長手方向遠位位置と長手方向近位位置(LP)との間で移動可能である第2の回転位置(R2)、を含む、インデックスリング(500)と、を備え、
該インデックスリング(500)の回転位置は、前記カセット(100)が自動注射器(1000)内に固定されているとき、該自動注射器内の1つ以上の解放部材(1006)によって制御されるように構成される、カセット。
【請求項2】
前記皮膚センサ(400)が長手方向近位位置(LP)にあり、前記インデックスリングが第1の回転位置にあるとき、前記皮膚センサ(400)は、前記インデックスリングによって、長手方向近位位置(LP)から遠位方向に移動することが防止される、請求項1に記載のカセット。
【請求項3】
使用前に、前記インデックスリングは、第1の回転位置(R1)にあり、前記皮膚センサ(400)は、初期ロック位置(LP1)において、前記シリンジホルダ(300)に対してロックされている、請求項1又は2に記載のカセット。
【請求項4】
前記インデックスリング(500)が第2の回転位置(R2)にあるとき、前記皮膚センサ(400)は、前記インデックスリング(500)に対して長手方向に移動可能である、請求項1~3のいずれか1項に記載のカセット。
【請求項5】
前記インデックスリングが第2の回転位置(R2)にあるとき、前記皮膚センサ(400)は、ロック解除され、前記シリンジホルダ(300)に対して近位方向及び/又は遠位方向に移動可能である、請求項1~4のいずれか1項に記載のカセット。
【請求項6】
前記インデックスリングは、管状皮膚センサ部(420)の周りに延在する管状インデックスリング部(520)を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のカセット。
【請求項7】
前記インデックスリングは、前記シリンジホルダ(300)の周りに延在する管状インデックスリング部(520)を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のカセット。
【請求項8】
前記皮膚センサ(400)は、該皮膚センサ(400)の外面上に突出タブ(408)を含み、前記インデックスリング(500)は、使用前に前記突出タブ(408)が拘束される第1の凹部(508、508’)を有する第1の長手方向延在部(506)を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載のカセット。
【請求項9】
前記インデックスリング(500)は、ロックタブ(507)を含み、前記皮膚センサ(400)は、使用前に前記ロックタブ(507)が拘束される第1のロック凹部(412)を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載のカセット。
【請求項10】
前記インデックスリング(500)は、前記カセット(100)が自動注射器(1000)に挿入され、該自動注射器に含まれる解放部材(1006)が前記カセット(100)内へと近位方向に移動して前記インデックスリング(500)と接触するとき、複数の回転位置の間で移動するように構成される、請求項1~9のいずれか1項に記載のカセット。
【請求項11】
前記インデックスリングは、第1の角部(532)から第2の角部(534)まで延在するトラック(530)を含み、前記インデックスリング(500)は、前記カセット(100)が自動注射器(1000)に挿入され、該自動注射器に含まれる解放部材(1006)が前記トラック(530)の内側で近位方向に移動するとき、第1の回転位置(R1)から第2の回転位置(R2)まで回転するように構成される、請求項1~10のいずれか1項に記載のカセット。
【請求項12】
前記インデックスリングは、第1の近位面(524)と第1の遠位面(526)との間に延在する第1の表面領域(528)を有する第1の半径方向延在部(522)を含み、前記トラック(530)は、第1の表面領域(528)上に位置付けられる、請求項11に記載のカセット。
【請求項13】
前記トラック(530)は、第1の長手方向延在部(506)上に位置付けられる、請求項11に記載のカセット。
【請求項14】
前記インデックスリングは、自動注射器に含まれる解放部材(1006)が前記トラック(530)の内側で遠位方向に移動するとき、第1の回転位置まで回転するように構成される、請求項11~13のいずれか1項に記載のカセット。
【請求項15】
第1の半径方向延在部(522)は、前記管状インデックスリング部(520)の一部である、請求項12~14のいずれか1項に記載のカセット。
【請求項16】
前記トラック(530)は、第1の角部(532)から第2の角部(534)に向かって角度方向に延在し、該角度方向は、前記カセットの 長手方向に対して20~70度、例えば、30~60度、例えば、35~55度、例えば、40~50度、例えば、およそ45度である、請求項11~15のいずれか1項に記載のカセット。
【請求項17】
前記トラック(530)は、第1のトラックセクション(536)、第2のトラックセクション(538)、及び第3のトラックセクション(540)を含み、
○前記第1のトラックセクション(536)は、第1の角部(532)から第1の中間点(542)に向かって第1の角度方向に延在し、
○前記第2のトラックセクション(538)は、前記カセットの長手方向に沿って第1の中間点(542)から第2の中間点(544)まで第2の角度方向に延在し、
○前記第3のトラックセクション(540)は、第2の中間点(544)から第2の角部(534)に向かって第3の角度方向に延在し、
第1の角度方向及び/又は第3の角度方向は、前記カセットの長手方向に対して20~70度、例えば、30~60度、例えば、35~55度、例えば、40~50度、例えば、およそ45度であり、
第2の角度方向は、前記カセットの長手方向に対して-20~20度、例えば、-10~10度、例えば、およそ約0度である、請求項16に記載のカセット。
【請求項18】
使用前に、前記皮膚センサ(400)は、初期ロック位置(LP1)にロックされ、使用後に、前記皮膚センサは、最終ロック位置(LP3)にあり、初期ロック位置(LP1)は、最終ロック位置(LP3)と長手方向遠位位置(LD)との間に位置付けられる、請求項1~17のいずれか1項に記載のカセット。
【請求項19】
前記皮膚センサ(400)は、該皮膚センサ(400)の外面上に突出タブ(408)を含み、前記インデックスリング(500)は、使用前に前記突出タブ(408)が拘束される第1の凹部(508、508’)を有する第1の長手方向延在部(506)を含む、請求項1~18のいずれか1項に記載のカセット。
【請求項20】
前記インデックスリング(500)は、ロックタブ(507)を含み、前記皮膚センサ(400)は、使用前に前記ロックタブ(507)が拘束される第1のロック凹部(412)を含む、請求項1~19のいずれか1項に記載のカセット。
【請求項21】
第1の長手方向延在部(506)は、第1の半径方向延在部(522)上の第1の近位面(524)から近位方向に延在する、請求項19又は20に記載のカセット。
【請求項22】
前記突出タブ(408)は、前記皮膚センサ(400)が長手方向遠位位置(LD)にあるとき、第1の近位面(524)に当接し、それによって前記シリンジホルダ(300)に対する前記皮膚センサ(500)の遠位方向移動を防止する、請求項19~21のいずれか1項に記載のカセット。
【請求項23】
前記皮膚センサ(400)は、第2の遠位面(424)を含み、該第2の遠位面(424)は、前記皮膚センサ(500)が長手方向遠位位置(LD)にあるとき、第2の半径方向延在部(512)の第2の近位面(514)に当接し、それによって前記シリンジホルダ(300)に対する皮膚センサ(500)の遠位方向移動を防止する、請求項20又は21に記載のカセット。
【請求項24】
前記インデックスリング(500)は、第2の近位面(514)及び第2の遠位面(516、516’)を有する第2の半径方向延在部(512)を更に含む、請求項19~22のいずれか1項に記載のカセット。
【請求項25】
前記突出タブ(408)は、前記皮膚センサが最終ロック位置(LP3)にあり、前記インデックスリング(500)が第1の回転位置(R1)にあるとき、第2の近位面(514)に当接し、それによって前記シリンジホルダに対する皮膚センサの遠位方向移動を防止する、請求項24に記載のカセット。
【請求項26】
遠位面(416)は、前記皮膚センサが最終ロック位置(LP3)にあり、前記インデックスリング(500)が第1の回転位置(R1)にあるとき、第2の近位面(514)に当接し、それによって前記シリンジホルダに対する皮膚センサの遠位方向移動を防止する、請求項24に記載のカセット。
【請求項27】
第2の半径方向延在部(512)は、第1の長手方向延在部(506)の近位端に接続される、請求項24~26のいずれか1項に記載のカセット。
【請求項28】
前記インデックスリング(500)は、第2の長手方向延在部(518)を含み、該第2の長手方向延在部(518)は、前記第1の半径方向延在部(522)の第1の近位面(524)から延在し、前記第2の長手方向延在部(518)の近位端において前記第2の半径方向延在部(512)に接続される、請求項24~27のいずれか1項に記載のカセット。
【請求項29】
前記インデックスリング(500)は、第1の回転位置(R1)と送達回転位置(Rd)との間に位置するキャップ解放回転位置(Rcr)に回転されるように構成され、該キャップ解放回転位置(Rcr)において、前記皮膚センサは、長手方向遠位位置(LD)と中間位置(LP2)との間で移動可能であり、該中間位置(LP2)は、最終ロック位置(LP3)と初期ロック位置(LP1)との間に位置付けられる、請求項18~28のいずれか1項に記載のカセット。
【請求項30】
前記インデックスリング(500)は、前記自動注射器に含まれるトラックガイド突出部(1008)が前記第2のトラックセクション(538)内にあるとき、キャップ解放回転位置(Rcr)にある、請求項29に記載のカセット。
【請求項31】
前記インデックスリングがキャップ解放回転位置(Rcr)にあるとき、前記皮膚センサ(400)は、中間位置(LP2)から最終ロック位置(LP3)に移動することが防止される、請求項29又は30に記載のカセット。
【請求項32】
前記インデックスリングがキャップ解放回転位置(Rcr)にあり、前記皮膚センサ(400)が中間位置(LP2)にあるとき、前記突出タブ(408)は、前記インデックスリング上の第2の遠位面(516、516’)に当接する、請求項29~31のいずれか1項に記載のカセット。
【請求項33】
前記インデックスリングがキャップ解放回転位置(Rcr)にあり、前記皮膚センサ(400)が中間位置(LP2)にあるとき、前記インデックスリング(500)上の前記ロックタブ(507)は、前記皮膚センサ(400)上の第2のロックタブ(415)に当接する、請求項29~31のいずれか1項に記載のカセット。
【請求項34】
前記皮膚センサ(400)は、前記インデックスリングが、
●キャップ解放回転位置(Rcr)にあるか、又は
●キャップ解放回転位置(Rcr)と送達回転位置(Rd)との間にあるか、又は
●送達回転位置(Rd)にあるとき、ユーザが前記皮膚センサ(400)を注入部位に対して押すことによって、長手方向遠位位置(LD)に移動されるように構成される、請求項29~33のいずれか1項に記載のカセット。
【請求項35】
前記カセットは、シリンジ(200)であって、
●薬剤を収容するシリンジ区画(202)と、
●該シリンジ区画の近位端(202)における出口(204)と、
●前記シリンジ区画内に位置付けられたストッパ(210)であって、該ストッパは、前記出口を通って前記シリンジ区画内の薬剤を空にするために、前記シリンジ区画の遠位端(204)から前記シリンジ区画の近位端に向かって移動可能である、ストッパ(210)と、を有する、シリンジ(200)、を更に備え、
前記皮膚センサ(400)が最終ロック位置(LP3)にあり、前記インデックスリング(500)が第1の回転位置(R1)にあるとき、前記皮膚センサ(400)は、シリンジ出口(204)を覆い、
前記皮膚センサ(400)が長手方向遠位位置(LD)にあり、前記インデックスリング(500)が第2の回転位置(R2)にあるとき、シリンジ出口(204)は、露出されている、請求項18~34のいずれか1項に記載のカセット。
【請求項36】
前記皮膚センサ(400)が長手方向遠位位置(LD)にあり、前記インデックスリングが送達回転位置(Rd)にあるとき、自動注射器により誘発されるシリンジ区画(206)内での、ストッパ(210)の近位方向移動によって薬剤を送達することができる、請求項35に記載のカセット。
【請求項37】
第1の長手方向延在部(506)は、前記皮膚センサが中間位置(LP2)にあり、前記インデックスリングが第1の回転位置(R1)にあるとき、前記突出タブ(408)が拘束される第2の凹部(510、510’)を含む、請求項29~36のいずれか1項に記載のカセット。
【請求項38】
前記第1の長手方向延在部(506)上の突出タブ(507)は、前記皮膚センサが中間位置(LP2)にあり、前記インデックスリングが第1の回転位置(R1)にあるとき、前記皮膚センサ上の第2のロック凹部(414)内に拘束される、請求項29~36のいずれか1項に記載のカセット。
【請求項39】
前記インデックスリング(500)は、前記シリンジホルダ(300)に対して長手方向にロックされる、請求項1~38のいずれか1項に記載のカセット。
【請求項40】
前記皮膚センサ(400)及び前記シリンジホルダ(300)は、回転についてロックされる、請求項1~39のいずれか1項に記載のカセット。
【請求項41】
前記カセットは、カセットハウジング(600)と、該カセットハウジング(600)の近位端(602)に位置付けられた取り外し可能なカセットキャップ(700)と、を更に備え、前記カセットハウジング(600)は、少なくとも使用前に、前記シリンジホルダ(300)と、該シリンジホルダ(300)内に位置付けられたときのシリンジ(200)と、皮膚センサ(400)と、インデックスリング(500)と、を少なくとも部分的に取り囲む、請求項1~40のいずれか1項に記載のカセット。
【請求項42】
前記カセットキャップ(700)は、該カセットキャップ(700)の近位端(702)から遠位方向に延在する1つ以上のキャップロック部(706)を含み、使用前に、1つ以上のキャップロック部(706)のそれぞれの上のカセットキャップロック突出部(708)は、前記カセットハウジング(600)の内側に固定される、請求項41に記載のカセット。
【請求項43】
前記皮膚センサ(400)は、
●該皮膚センサ(400)の近位端に凹部(406)及びランプ(410)を含み、前記凹部(406)は、前記ランプ(410)の遠位方向に位置付けられ、
●前記カセットハウジング(600)は、該カセットハウジング(600)の近位端(602)において半径方向内向きに延在するキャップ保持部(608)を含み、
前記カセットキャップ(700)を取り外す前に、1つ以上のキャップロック部(706)のそれぞれの上におけるカセットキャップロック突出部(708)の内向きに延在する部分(709)は、前記皮膚センサの前記凹部(406)とキャップ保持部(608)との間に固定され、前記近位突出部(410)に更に当接して、前記カセットキャップ(600)の近位方向移動を防止する、請求項42に記載のカセット。
【請求項44】
初期ロック位置(LP1)から中間位置(LP2)への前記皮膚センサの近位方向移動時に、前記カセットキャップロック突出部(708)は、前記カセットハウジング(600)の外側の位置に移動され、前記皮膚センサが中間位置(LP2)にあるとき、前記カセットキャップ(700)の取り外しが可能である、請求項42又は43に記載のカセット。
【請求項45】
前記シリンジ(200)は、使用前にシリンジ出口(208)を覆う取り外し可能な針シールド(212)を含み、前記カセットキャップは、前記針シールド(212)の周りに延在して前記針シールド(212)を把持し、それによって前記カセットキャップ(700)がカセットハウジング(600)から取り外されるときに前記針シールド(212)を取り外す第2の遠位方向延在部(710)を含む、請求項41~44のいずれか1項に記載のカセット。
【請求項46】
前記シリンジ出口は、中空針である、請求項35~45のいずれか1項に記載のカセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カセットと、薬剤の送達のための自動注射器(自動注入装置)と、を備えるシステムに関する。薬剤を収容するためのカセットは、インデックスリングを備える。
【背景技術】
【0002】
患者への薬剤送達のための自動注射器は、患者に送達される薬剤の種類に応じて多くの種類になる。自動注射器が、使い捨てカセットが挿入される、再使用可能な注入装置部品である場合、2つの部品のそれぞれについて満たされる必要があるいくつかの主要な要件が存在する。自動注射器では、自動注射器の寿命を延ばすために、自動注射器内の全ての動作部品が完全に機能し続けることが保証される必要がある。カセットについては、機械的安定性である必要があるが、同時に、製造コスト及び環境への影響を低く保つために、使い捨てカセットにおける材料の使用を最小限に抑えることも望まれることが多い。
【0003】
国際公開第2021/069106(A1)号は、再使用可能な自動注射器及び使い捨てカセットを備えるシステムの一例を開示しており、使い捨てカセットは、主要な電子部品及びばねシステムが存在しないものである。自動注射器は、いくつかの注入装置ピンを備え、注入装置ピンは、2つの部品の組み立て後にカセット内に移動し、それによって皮膚センサを解放し、薬剤送達シーケンスを開始する。皮膚センサを解放するために、皮膚センサ上の可撓性アームは、注入装置ピンがカセット内に移動するときに偏向する。
【0004】
米国特許出願公開第2011/202011号は、前部及び後部の分離可能なアセンブリを有する自動注射器を開示している。後部アセンブリは、前部アセンブリから延在する作動スリーブの後方への移動によってトリガされるか又はラッチ解除される駆動アセンブリを含む。ロックダイヤルが設けられ、ロックダイヤルは、ダイヤルがロック解除位置に移動されるまで、作動スリーブを、その後方への移動に対してロックする。
【0005】
欧州特許第2626095号は、遠位部分に回転可能に連結された近位部分を含むハウジングと、ハウジングと共に配設され、薬剤を投薬するためにプランジャに力を加えるように適合された駆動機構と、ハウジング内に配設されているリセット機構と、を備える薬剤送達装置を開示している。近位部分が遠位部分に対して第1の角度位置から第2の角度位置へと回転すると、リセット機構が作動して、駆動機構をリセットする。
【0006】
米国特許出願公開第2021/023307号は、モータと、中空駆動シャフトと、を含む装置を開示している。モータは、中空駆動シャフトを回転させるように構成される。
【0007】
米国特許出願公開第2020/078529号は、単回用量が様々に異なる薬剤を提供するように構成された薬剤送達装置を開示している。薬剤送達装置は、本体と、本体内に配置されたシリンジと、を含み、シリンジは、薬剤を含む。薬剤送達装置は、本体内に摺動可能に配置された、送達部材シールドユニットと、送達部材シールドユニットに解放可能に連結された、取外し可能キャップと、を更に含む。
【0008】
米国特許出願公開第2016/144129号は、針を有する薬剤容器を保持するように適合されているケースと、ケースに入れ子式に連結され、針がその内部に覆われている、ケースに対する第1の伸長位置と、針が露出されている、ケースに対する後退位置との間で移動可能である針シュラウドと、ケース内に回転可能かつ摺動可能に配設されているプランジャと、を備える自動注射器を開示している。
【0009】
米国特許出願公開第2017/224921号は、薬剤カートリッジを保持し、薬剤カートリッジを薬剤注入装置に取り付けるために薬剤注入装置本体に取り付けられている、薬剤カートリッジ保持ユニットを開示している。薬剤カートリッジ保持ユニットは、遠位端開口部及び後端開口部を有する外周キャップと、外周キャップの内側に配設され、外周キャップに対して前後に摺動可能な状態で保持されるカートリッジカバーと、を備える。
【0010】
国際公開第2021/071917号は、薬物送達装置用のカセットを開示しており、薬物送達装置用のカセットは、スリーブと、スリーブ内に配設されたバレルを有するシリンジと、バレル内に摺動可能に配設されたプランジャストッパと、を含む。カセットは、スリーブに連結されるように構成されたスペーサを更に含む。カセットは、治療用製品を注入するための装置の一部を、薬物送達装置と共に形成することができる。
【発明の概要】
【0011】
この説明を通して、近位方向又は近位面への全ての言及は、注入装置の部位の方向に配向された部分、表面などを指す。したがって、近位端とは、注入部位に向いている部分の端部を意味する。近位方向移動とは、長手方向軸線に沿った/長手方向軸線と平行な、注入部位に向かう方向での移動を意味する。
【0012】
遠位端は、近位端と比較して反対側の端部である。このように、遠位方向又は遠位面への全ての参照は、注入装置の部位の方向から離れる方向、すなわちユーザの方向に配向された部分、表面などを指す。したがって、遠位方向移動は、近位方向移動の反対方向の移動である。近位面は、近位方向に面する表面であり、遠位面は、遠位方向に面する表面である。
【0013】
近位面及び遠位面の両方は、遠位端、近位端、又はそれらの間のどこかに見出され得るのは、この表現が、表面が配向される方向のみを指し、個々の部品における表面の位置を指さないからである。
【0014】
本明細書では、第1の態様において、薬剤を投与するための自動注射器で使用するカセットが開示され、カセットは、近位端から遠位端まで長手方向に延在する。カセットは、薬剤を含むシリンジを受容するためのシリンジホルダと、少なくとも長手方向近位位置及び長手方向遠位位置を含む複数の長手方向位置含む複数の長手方向位置の間で、シリンジホルダに対して長手方向に移動可能な皮膚センサと、少なくとも、皮膚センサが遠位方向に移動することを防止される第1の回転位置と、皮膚センサが長手方向遠位位置と長手方向近位位置との間で移動可能である第2の回転位置と、を含む複数の回転位置の間で、皮膚センサに対して回転可能なインデックスリングと、を備え、インデックスリングの回転位置は、カセットが自動注射器内に固定されているとき、自動注射器内の1つ以上の解放部材によって制御されるように構成される。
【0015】
第1の態様によるカセットによって、皮膚センサ上の脆弱な可撓性アームを機械的に安定したインデックスリングで置き換えることにより、国際公開第2021/069106(A1)号に開示されたカセットと比較して改善された安定性を有するカセットが更に得られる。インデックスリングは更に、皮膚センサが移動可能であり得る複数の長手方向位置にインデックスリングの複数の回転位置を連結することができるので、皮膚センサが移動することができる位置の制御の改善を可能にする。皮膚センサの長手方向位置の制御の改善が更に得られる。これは、皮膚センサによって覆われ得る針との接触からユーザを保護することができるので、針を有するシリンジをカセットに挿入した後のユーザのより良好な安全性を提供する。
【0016】
加えて、その製造が、以前の既知の自動注射器と比較して、より容易であり、改善される。
【0017】
更に、ロックリングが正しい位置にない場合、カセットは自動注射器によって拒絶されることとなるので、第1の態様によるカセットによって、より信頼性が高く不正開封防止の検出を得ることが可能である。プラスチックばねに頼る代わりに、第1の態様によるカセットによって、装置の動きの完全な案内が得られる。
【0018】
本明細書では、第2の態様において、薬剤を投与するための自動注射器が開示される。自動注射器は、薬剤を含むシリンジを受容するためのシリンジホルダと、少なくとも長手方向遠位位置(LD)及び長手方向近位位置(LP)を含む2つ以上の長手方向位置の間で、シリンジホルダに対して長手方向に移動可能な皮膚センサと、皮膚センサが遠位位置と近位位置との間で移動可能である第1の回転位置(R1)及び第2の回転位置(R2)を含む2つ以上の回転位置の間で、皮膚センサに対して回転可能なインデックスリングと、を備えるカセットを受容するように適合される。
【0019】
自動注射器は、長手方向軸線に沿って近位端から遠位端まで延在し、カセットは、長手方向に沿って自動注射器内に取り外し可能に受容される。
【0020】
自動注射器は、注入装置ハウジングと、注入装置ハウジング内に位置付けられた複数の内部注入装置部品と、を備え、内部注入装置部品は、少なくとも、薬剤の送達のために近位方向に移動するように構成されたプランジャロッドと、プランジャロッドを近位方向に移動させるように適合された駆動モジュールと、1つ以上の解放部材であって、1つ以上の解放部材が近位方向に移動してインデックスリングと接触するときにインデックスリングを2つ以上の回転位置の間で回転させるように構成され、クラッチを介してプランジャロッドに解放可能に接続される、1つ以上の解放部材と、を含む。クラッチは、
○プランジャロッド及び1つ以上の解放部材が一緒に近位方向移動するために長手方向に連結される第1のクラッチ位置と、
○プランジャロッドが1つ以上の解放部材から長手方向に連結解除され、1つ以上の解放部材が長手方向に静止している間に、プランジャロッドが長手方向に移動することを可能にする、第2のクラッチ位置と、の間で移動可能であるように構成される。
【0021】
第2の態様による自動注射器によって、脆弱なピンをより機械的に安定した解放部材で置き換えることにより、国際公開第2021/069106(A1)号に開示された自動注射器と比較して改善された安定性を有する自動注射器が得られる。プランジャロッド及び解放部材のカセット内への移動のクラッチ導入制御は、解放部材が薬剤送達中にプランジャロッドに完全に追従してカセット内に入る必要がないので、解放部材の材料の削減を可能にする。それによって、装置内の他の構成要素のためのより多くの空間が提供される。あるいは、装置を小型化することができる。カセットは、カセットの全長に沿って延在するピンのための区画/空間を有する必要がなく、それによって、より小型でより薄いカセットを提供するので、カセットのための材料コストの削減を提供する。構成要素の製造可能性及び過度に制約された端部位置の回避も、第2の態様による自動注射器によって得られる。また、動力が注入のために必要とされるときに摩擦の量が低減されるので、摩擦に由来する動力及び力の損失がより少なくなる。1つ以上の解放部材をプランジャロッドから長手方向に連結解除することは、インデックスリングの回転運動に直接連結される必要はない。したがって、第2の回転位置(R2)へのインデックスリングの回転運動は、1つ以上の解放部材がプランジャロッドから解放される前に生じてもよい。したがって、1つ以上の解放部材は、プランジャロッドから連結解除される前に、短い距離だけプランジャロッドと一緒に長手方向移動を継続してもよい。
【0022】
本明細書では、第3の態様において、薬剤を投与するための自動注射器において使用するためのカセットが開示され、カセットは、近位端から遠位端まで長手方向に延在する。カセットは、薬剤を含むシリンジを受容するためのシリンジホルダと、皮膚センサであって、皮膚センサの近位端にキャップ保持手段を含む、皮膚センサと、カセットハウジングであって、カセットハウジングの近位端にキャップ保持部を含む、カセットハウジングと、取り外し可能なカセットキャップであって、カセットキャップの近位端から遠位方向に延在する1つ以上のロックキャップ部を含む、カセットキャップと、を備え、使用前に、1つ以上のロックキャップ部のそれぞれの上のカセットキャップロック突出部は、カセットハウジング内に固定される。皮膚センサは、少なくとも初期ロック位置LP1と、初期ロック位置LP1の近位側にある中間位置LP2との間でシリンジホルダに対して長手方向に移動可能であり、初期ロック位置LP1から中間位置LP2への皮膚センサの近位方向移動時に、遠位ロック端部は、カセットハウジングの外側に移動する。
【0023】
本明細書では、第4の態様において、薬剤を投与するための自動注射器において使用するためのカセットが開示され、カセットは、近位端から遠位端まで長手方向に延在する。カセットは、薬剤を含むシリンジを受容するためのシリンジホルダと、皮膚センサであって、皮膚センサの近位端にキャップ保持手段を含む、皮膚センサと、インデックスリングと、カセットハウジングであって、カセットハウジングの近位端にキャップ保持部を含む、カセットハウジングと、取り外し可能なカセットキャップであって、カセットキャップの近位端から遠位方向に延在する1つ以上のロックキャップ部を含む、カセットキャップと、を備え、使用前に、1つ以上のロックキャップ部のそれぞれの上のカセットキャップロック突出部は、カセットハウジング内に固定される。皮膚センサは、少なくとも初期ロック位置LP1と、初期ロック位置LP1の近位側にある中間位置LP2との間で、シリンジホルダに対して長手方向に移動可能であり、インデックスリングは、少なくとも第1の回転位置R1とキャップ解放回転位置Rcrとの間で、皮膚センサに対して回転可能である。インデックスリングがキャップ解放回転位置Rcrにあるとき、皮膚センサは、中間位置LP2に移動可能である。第1の回転位置R1からキャップ解放回転位置Rcrへのインデックスリングの回転移動は、皮膚センサが初期ロック位置LP1から中間位置LP2へ近位方向に移動することを可能にし、取り外し可能なカセットキャップは、皮膚センサと共に近位方向に移動し、それによって遠位ロック端部は、カセットハウジングの外側に移動する。
【0024】
したがって、第1の回転位置R1からキャップ解放回転位置Rcrへのインデックスリングの回転移動によって引き起こされる、初期ロック位置LP1から中間位置LP2への皮膚センサの近位方向移動時に、取り外し可能カセットキャップは、皮膚センサと共に近位方向に移動し、それによって、遠位ロック端部は、カセットハウジングの外側に移動する。
【0025】
第3の態様及び第4の態様による中間位置LP2は、キャップ取り外し準備完了位置とも称され得る。第3の態様及び第4の態様によるカセットによって、国際公開第2021/069106(A1)号に開示されているカセットと比較して、カセットキャップ取り外しの制御が改善されたカセットが得られる。国際公開第2021/069106(A1)号におけるカセットのカセットキャップは、カセットを自動注射器にロックする前にカセットから取り外すことができる。第3の態様及び第4の態様によるカセットは、カセットが自動注射器内にしっかりと固定され、自動注射器との相互作用が皮膚センサの解放をもたらし、皮膚センサが中間位置LP2に移動することを可能にし、カセットキャップがカセットから取り外されることを可能にするまで、カセットキャップがカセットから取り外されることを防止するように構築され得る。これにより、ユーザの安全性が向上する。また、カセット内のシリンジとの接触は、それが意図されたとき、すなわち、自動注射器に正しく挿入されたときにのみ利用可能であるので、薬物安全性が向上する。カセットの誤用が発生した場合、これを検出することができ、ユーザは、カセットを使用することができなくなる。これにより、ユーザがシリンジ内の針によって負傷するリスク、又はシリンジ内の針がユーザによって損傷されるリスクが低減される。また、針端部の薬物バリアは、使用前に損なわれない。
【0026】
本明細書では、第5の態様において、薬剤を投与するためのシステムが開示され、システムは、第2の態様による再使用可能な自動注射器と、第1の態様、第3の態様又は第4の態様による使い捨てカセットと、を備える。
【0027】
本明細書では、第6の態様において、薬剤を投与するためのシステムが開示され、システムは、カセットと、カセットを受容するように適合された自動注射器と、を備える。カセットは、シリンジ薬剤区画と、シリンジ薬剤区画の近位端にある出口と、シリンジ区画内に位置付けられたストッパであって、ストッパは、シリンジ区画内の薬剤を出口を通して空にするために、シリンジ区画の遠位端からシリンジ区画の近位端に向かって移動可能である、ストッパと、を含む、シリンジを備える。
【0028】
カセットは、シリンジを受容するためのシリンジホルダと、
○遠位位置LD、
○最終ロック位置LP3、
○最終ロック位置LP3と遠位位置LDとの間の初期ロック位置LP1、及び
○初期ロック位置LP1と最終ロック位置LP3との間の中間位置LP2、から選択される2つ以上の長手方向位置の間で、シリンジホルダに対して長手方向に移動可能な皮膚センサと、を更に備える。
【0029】
カセットは、追加的に、
○第1の回転位置R1、
○皮膚センサが遠位位置LDと最終ロック位置LP3との間で移動可能である送達回転位置Rd、
○第1回転位置R1と送達回転位置Rdとの間に位置するキャップ解放回転位置Rcr、から選択される2つ以上の回転位置の間で、皮膚センサに対して回転可能なインデックスリングを備える。
【0030】
自動注射器は、長手方向軸線に沿って近位端から遠位端まで延在し、カセットは、長手方向に沿って自動注射器内に取り外し可能に受容される。
【0031】
自動注射器は、注入装置ハウジングと、注入装置ハウジング内に位置付けられた複数の内部注入装置部品と、を備え、内部注入装置部品は、少なくとも、カセット内でストッパが近位方向に移動するように構成されたプランジャロッドと、プランジャロッドを近位方向に移動させるように適合された駆動モジュールと、1つ以上の解放部材であって、1つ以上の解放部材が近位方向に移動するとき、インデックスリングを2つ以上の回転位置の間で回転させるように構成された、1つ以上の解放部材と、を含む。
【0032】
第6の態様によるシステムによって、カセットを自動注射器内にロックする前にカセットキャップをカセットから取り外すことができる国際公開第2021/069106(A1)号に開示されているカセットと比較して、カセットキャップ取り外しの制御を改善することが可能になるシステムが得られる。上記の取り外しは、カセットキャップが自動注射器によって解放されるまでカセットハウジング内にロックされる第6の態様によるシステムでは不可能である。これにより、カセットの安定性が増し、ユーザの安全性が向上する。更に、第6の態様によるシステムによって、カセット内の皮膚センサ上の脆弱な可撓性アームを機械的に安定なインデックスリングで置き換えることにより、国際公開第2021/069106(A1)号に開示されたシステムと比較して、安定性が改善されたシステムが得られる。インデックスリングは更に、皮膚センサが移動可能であり得る複数の長手方向位置にインデックスリングの複数の回転位置を連結することができるので、皮膚センサが移動することができる位置の制御の改善を可能にする。第6の態様によるシステムによって、システムを使用するときにユーザがとるステップの順序が制御されることが更に得られ、これは、システムを使用する患者の安全性を高める。したがって、再使用可能デバイスに含まれるシステム制御ロジックは、改善された安全条件下での注入を確実にする。
【0033】
本明細書では、第7の態様において、薬剤を投与するための自動注射器に使用するためのカセットが開示される。カセットは、近位端から遠位端まで長手方向に延在するシリンジホルダを備える。シリンジホルダは、薬剤を含むシリンジを受容するためのシリンジホルダ管状部と、シリンジホルダ蓋と、を含む。
【0034】
シリンジホルダ管状部は、シリンジホルダ管状部の遠位端に複数のシリンジホルダ蓋ロック開口部を含み、ホルダ蓋は、内面を含む実質的にC字型の蓋部を含む。実質的にC字型の蓋部は、シリンジホルダ管状部の遠位端にヒンジ式に接続され、実質的にC字型の蓋部が、
○シリンジホルダ管状部の遠位端の開口部を通してシリンジホルダ内にシリンジを位置付けることを可能にする開位置と、
○シリンジがシリンジホルダ管状部の遠位端の開口部を通ってシリンジホルダから出ることを防止する閉位置であって、シリンジがシリンジホルダ内に位置付けられたとき、実質的にC字型の蓋部の内面がシリンジに向かって配向される、閉位置と、を含む、少なくとも2つの位置にあることができる。
【0035】
シリンジホルダ蓋は、実質的にC字型の蓋部の内面から延在する複数の支持蓋部と、実質的にC字型の蓋部が閉位置にあるときにシリンジホルダ管状部内の複数のシリンジホルダ蓋ロック開口部内に位置付けられる複数の蓋ロックタブと、を更に含む。
【0036】
第7の態様に記載のシリンジホルダ付きカセットによって、より可撓性の蓋を有するシリンジホルダが得られる。ユーザがシリンジを非対称的に押す場合、シリンジホルダ蓋は、蓋表面全体にわたってではなく、いくつかの部分においてのみ影響を受ける可能性がある。リング形状の蓋を分割することにより、力がリング全体の周りに伝達されないということが保証される。これにより、蓋が1つの場所で押されて所定の位置から外れた場合であっても、より多くの場所で蓋をシリンダの開口部の内側のロック位置に留めることができる。更に、内面から突出する支持蓋部のみがシリンジフランジと接触することを可能にされ、これもまた、力がシリンジホルダ蓋全体に伝達されないことを確実にする。
【0037】
シリンジは、通常、使用中に遠位方向に押された場合にのみ、シリンジホルダ蓋と接触する。したがって、通常、シリンジホルダ蓋の近位面とシリンジの遠位端との間には、開放空間が存在する。したがって、シリンジホルダ蓋は、安全機能を有し、シリンジ固定機能又はシリンジ保持機能を有さない。代わりに、シリンジは、通常、他の手段によって、針端部の近くでシリンジホルダの内側に、又はシリンジホルダの管状部分に沿って、固定される。
【0038】
通常、上記の態様のいずれかによる自動注射器は、再使用可能な注入装置であり、上記態様のいずれかによるカセットは、薬剤送達後に廃棄される使い捨てカセットである。カセットは、ある範囲の標準的な充填済みシリンジと適合してもよく、したがって、非常に異なる注入量及び粘度を有する広範囲の薬剤製品を送達するために使用されてもよい。
【0039】
典型的には、カセットは、プラスチックのみで作られ、したがって金属製のばねを欠いている。これは、シリンジから外へ薬剤を制御して移動させるための注入装置部品も含む既知の使い捨て注入装置と比較して、カセットのサイズ及び重量を低減する。輸送及び保管の間、カセットは、いかなる充填もなされず、包装について最小限とするアプローチを可能にし、このための要件の低減を可能にする。したがって、カセットにばねが存在しないことを保証することによって、輸送中の機械的安定性の改善が保証される。
【0040】
シリンジは、カセットの遠位端でシリンジを軸線方向に挿入することによってカセット内に取り付けてもよい。カセット内に挿入されるのに好適なシリンジは、薬剤を収容するシリンジ区画と、シリンジ区画の近位端にある出口と、シリンジ区画内に位置付けられたストッパと、を含んでもよい。ストッパは、通常、出口を通してシリンジ区画内の薬剤を空にするために、シリンジ区画の遠位端からシリンジ区画の近位端に向かって移動可能である。シリンジがシリンジホルダ内に位置付けられるとき、皮膚センサが長手方向近位位置にあれば、皮膚センサは、シリンジ出口を覆っていてもよく、一方で、皮膚センサが長手方向遠位位置にあれば、シリンジ出口は、露出されている。
【0041】
通常、シリンジは、1.0mL又は2.25mLのシリンジである。シリンジは、通常、シリンジ区画の近位端においてシリンジ出口に向かって先細になる肩部分を有する。また、通常、シリンジ区画の遠位端には、フランジが見られる。
【0042】
上記態様のいずれかによるカセット内の皮膚センサに関連して「長手方向近位位置」に言及する場合、複数の近位位置を指してもよい。これらの位置のそれぞれは、通常、皮膚センサが出口を覆う位置を表し得る。近位位置は、初期位置LP1、中間位置LP2、及び最終位置LP3を含んでもよい。初期位置LP1は、最終位置LP3よりも遠位側の位置であり、かつ遠位位置LDよりも近位側の位置であり、したがって、両方の位置の間に位置付けられる。中間位置LP2は、初期位置LP1と最終位置LP3との間の位置である。
【0043】
近位位置は、皮膚センサの近位方向移動及び/又は遠位方向移動が防止されるロック位置であり得る。したがって、長手方向位置は、ロック位置とも呼ばれ得る。長手方向位置がロックされているか否かは、インデックスリングの位置によって決定される。インデックスリングが第1の回転位置にあるとき、皮膚センサは、皮膚センサが長手方向近位位置のいずれにあるかに関係なく、通常、ロックされた長手方向近位位置にある。
【0044】
上記態様のいずれかによるカセット内のインデックスリングに関連して「第1の回転位置」に言及する場合、それは通常、一方向のみの回転が可能である位置を指すこととなる。しかしながら、第2の回転位置は、インデックスリングが第1の回転位置から更に離れて回転できない位置である必要はない。第2の回転位置はまた、皮膚センサがロック解除されるが、皮膚センサが可能な限り最も近位側の位置及び/又は最も遠位側の位置に移動することが依然として防止される中間位置であり得る。第2の回転位置は、例えば、キャップ解放回転位置又は送達回転位置であり得る。
【0045】
インデックスリングが第2の回転位置から第1の回転位置に回転されるとき、皮膚センサは、インデックスリングとの相互作用によって長手方向においてロックされ得る。皮膚センサは、インデックスリングが第2の回転位置から第1の回転位置に回転される時点で皮膚センサがある長手方向位置にロックされてもよい。皮膚センサの長手方向位置は、カセットとのユーザ相互作用、例えば、皮膚センサを長手方向で遠位側に押すことによって決定されてもよい。したがって、ロック位置は、初期ロック位置、薬剤注入後の最終ロック位置、又は薬剤が完全に注入される前に薬剤送達手順が放棄された場合に皮膚センサがロックされ得る中間ロック位置であり得る。
【0046】
したがって、1つ以上の例では、皮膚センサが長手方向近位位置にあり、インデックスリングが第1の回転位置にあるとき、皮膚センサは、インデックスリングによって長手方向近位位置から遠位方向に移動することが防止される。
【0047】
使用前に、インデックスリングは、第1の回転位置にあってもよく、皮膚センサは、初期ロック位置において、シリンジホルダに対してロックされてもよい。上記のように、初期ロック位置は、近位位置の一例である。「使用前に」とは、カセットが自動注射器に組み付けられる前に有する初期送達構成を意味する。皮膚センサ及びインデックスリングのロックは、皮膚センサが長手方向で所定位置にロックされ、インデックスリングが回転方向で所定位置にロックされることを確実にする。
【0048】
1つ以上の例では、インデックスリングが第2の回転位置にあるとき、皮膚センサは、ロック解除され、シリンジホルダに対して近位方向及び/又は遠位方向に移動可能である。したがって、第1の位置から第2の位置へのインデックスリングの回転中、皮膚センサは、初期ロック位置からロック解除され、皮膚センサが遠位方向及び/又は近位方向に、長手方向で移動することを可能にする。したがって、インデックスリングが第2の回転位置にあるとき、皮膚センサは、インデックスリングに対して長手方向に移動可能であり得る。解放は、インデックスリングの回転中の任意の時点で行われてもよい。通常、インデックスリングは、解放が行われる前に、ある量だけ回転され、その解放が、例えば、カセットの激しい振動によって起こり得ないことを確実にする。皮膚センサが解放されたときに移動が可能になる長手方向の距離は、インデックスリングが初期の第1の回転位置と比較してどれだけ回転させられるかに応じて変化し得る。通常、皮膚センサが初期ロック位置からロック解除されると、皮膚センサは、遠位方向及び近位方向の両方に長手方向で移動することができる。
【0049】
1つ以上の例では、インデックスリングは、インデックスリングの180度回転が同じ設計を提供するように、長手方向軸線を中心として対称である。これは、2つの異なる様式でカセットを自動注射器に挿入する選択肢をユーザに与え、そのことはまた、カセット内部部品の挿入により大きな柔軟性を与え、更に、外部からの力がインデックスリングの動作状態を動かさないことを確実にするのに役立つ。
【0050】
1つ以上の例では、使用前に、皮膚センサは、初期ロック位置にロックされ、使用後に、皮膚センサは、最終ロック位置にあり、初期ロック位置は、最終ロック位置と長手方向遠位位置との間に位置付けられる。
【0051】
初期ロック位置及び最終ロック位置は両方とも、近位位置の例である。「使用前に」とは、カセットが自動注射器に組み付けられる前に有する初期送達構成を意味する。「使用後」とは、カセットが薬剤の完全な送達後にある構成を意味する。「使用後」の構成では、薬剤送達中にユーザに挿入された針は、注入部位から取り外されている。
【0052】
1つ以上の例では、カセットは、カセットハウジングと、カセットハウジングの近位端に位置付けられた取り外し可能なカセットキャップと、を更に備える。通常、カセットハウジングは、シリンジホルダと、シリンジホルダ内に位置付けられたときのシリンジと、皮膚センサと、少なくとも使用前のインデックスリングと、を少なくとも部分的に取り囲む。多くの場合、カセットハウジングは、シリンジホルダ、皮膚センサ、及びインデックスリングを完全に取り囲まない場合、それらの部品の少なくとも90%を取り囲むこととなる。
【0053】
1つ以上の実施例では、カセットキャップは、カセットキャップの近位端から遠位方向に延在する1つ以上のキャップロック部を含み、使用前に、1つ以上のキャップロック部のそれぞれの上のカセットキャップロック突出部は、カセットハウジングの内側に固定される。皮膚センサはまた、キャップ保持手段を含んでもよく、キャップ保持手段は、皮膚センサの近位端に凹部及びランプを含み、凹部は、ランプの遠位側に位置付けられる。カセットハウジングは、カセットハウジングの近位端において半径方向内向きに延在するキャップ保持部を含んでいてもよい。カセットキャップを取り外す前に、1つ以上のキャップロック部のそれぞれの上のカセットキャップロック突出部の内向きに延在する部分は、皮膚センサの凹部とキャップ保持部との間に固定されてもよく、更に、カセットキャップの近位方向移動を防止する近位突出部に当接してもよい。これは、カセットキャップを、カセット内で皮膚センサとカセットハウジングとの間にしっかりと固定する。
【0054】
1つ以上の例では、初期ロック位置から中間位置への皮膚センサの近位方向移動時に、遠位ロック端部は、カセットハウジングの外側の位置に移動され、皮膚センサが中間位置にあるとき、カセットキャップの取り外しが可能である。皮膚センサの取り外しは、大きな力を加えることなく、代わりに単にカセットキャップを近位方向に引っ張ることによって、この時点で実行され得る。針シールド、例えば、剛性針シールド(rigid needle shield 、RNS)を有するシリンジがカセットに含まれる場合、カセットキャップは、通常、2つの部品が一緒に移動するように針シールドの周りに嵌合されるので、カセットキャップの取り外しは通常、針シールドの取り外しももたらすこととなる。カセットキャップは、取り外される針シールドのタイプに応じて、かつそれに適合されたいくつかのサブパーツを含むことができる。
【0055】
1つ以上の例では、1つ以上のキャップロック部及び/又は1つ以上のキャップロック部のそれぞれの上のカセットキャップロック突出部は、可撓性であり、初期ロック位置LP1から中間位置LP2への皮膚センサの近位方向移動時に、1つ以上のキャップロック部及び/又はロック部上のカセットキャップロック突出部は、皮膚センサの凹部内で半径方向内向きに撓み、それによって、カセットキャップロック突出部がキャップ保持部を近位方向に通過することを可能にし、皮膚センサが中間位置LP2にあるとき、1つ以上のロック部及び/又はロック部の上のカセットキャップロック突出部は、カセットキャップがカセットから取り外されると、半径方向外向きに撓み、ランプを摺動しながら上がるように構成される。
【0056】
薬剤送達の終了後、カセットキャップをカセットに再び取り付けることができる。カセットキャップは、通常、初期送達位置のようにカセットハウジングと皮膚センサとの間にロックされることにはならないが、皮膚センサの凹部内に位置付けられてもよい。
【0057】
1つ以上の実施例では、カセットハウジングは、シリンジホルダ及び皮膚センサを少なくとも部分的に取り囲む。多くの場合、カセットハウジングは、シリンジホルダ及び皮膚センサを完全には取り囲まない場合、シリンジホルダ及び皮膚センサの少なくとも90%を取り囲むこととなる。
【0058】
1つ以上の例では、カセットは、少なくとも第1の回転位置R1とキャップ解放回転位置Rcrとの間で、皮膚センサに対して回転可能なインデックスリングを更に備え、使用前、インデックスリングは、第1の回転位置R1にあり、皮膚センサは、初期ロック位置LP1にあり、インデックスリングがキャップ解放回転位置Rcrにあるとき、皮膚センサは、中間位置LP2に移動可能であり、インデックスリングの回転位置は、カセットが自動注射器内に固定されているとき、自動注射器内のロック部材によって制御される。
【0059】
1つ以上の例では、インデックスリングは、送達回転位置Rdまで更に回転可能であり、キャップ解放回転位置Rcrは、第1の回転位置R1と送達回転位置Rdとの間に位置し、インデックスリングが送達回転位置Rdにあるとき、皮膚センサは、最終ロック位置LP3と長手方向遠位位置LDとの間で移動可能であり、初期ロック位置LP1及び中間位置LP2は、最終ロック位置LP3と長手方向遠位位置LDとの間に位置付けられる。
【0060】
1つ以上の例では、シリンジ出口は、取り外し可能な針シールドによって覆われた針を含み、カセットキャップは、カセットキャップがカセットから取り外されるときに針シールドを取り外すために、針シールドの周りに延在して針シールドを把持する第2の遠位方向延在部を含む。
【0061】
1つ以上の例では、カセットは、薬剤を収容するシリンジ区画と、シリンジ区画の近位端にある出口と、シリンジ区画内に位置付けられたストッパであって、ストッパは、シリンジ区画内の薬剤を出口を通して空にするために、シリンジ区画の遠位端からシリンジ区画の近位端に向かって移動可能である、ストッパと、を有するシリンジを更に備える。シリンジ出口は、中空針であり得る。
【0062】
1つ以上の例では、シリンジは、使用前にシリンジ出口を覆う取外し可能な針シールドを含み、カセットキャップは、針シールドの周りに延在して針シールドを把持し、それによって、カセットキャップがカセットハウジングから取り外されるときに針シールドを取り外す第2の遠位方向延在部を含む。
【0063】
1つ以上の例では、自動注射器の内部注入装置部品は、皮膚センサを近位方向に押すように適合された皮膚センサばねシステムを含み、1つ以上の解放部材がカセット内で近位方向に移動してインデックスリングと接触すると、インデックスリングは、第1の回転位置R1からキャップ解放回転位置Rcrに向かって回転し、それによって、皮膚センサばねシステムは、皮膚センサを近位方向に押す。
【0064】
1つ以上の例では、皮膚センサが長手方向遠位位置LDにあるとき、シリンジ出口は、露出されており、皮膚センサが初期ロック位置LP1、中間位置LP2、及び最終ロック位置LP3のいずれかにあるとき、皮膚センサは、シリンジ出口を覆う。初期ロック位置LP1、中間位置LP2、及び最終ロック位置LP3は全て、長手方向近位位置の例である。
【0065】
したがって、1つ以上の例では、皮膚センサが最終ロック位置にあり、インデックスリングが第1の回転位置にあるとき、皮膚センサは、シリンジ出口を覆う。また、1つ以上の例では、皮膚センサが長手方向遠位位置にあり、インデックスリングが送達回転位置にあるとき、シリンジ出口は、露出されている。
【0066】
1つ以上の例では、皮膚センサが長手方向遠位位置LDにあり、インデックスリングが送達回転位置Rdにあるとき、シリンジ区画内のストッパの自動注射器により誘発される近位方向移動によって薬剤を送達することができる。
【0067】
皮膚センサは、皮膚センサが長手方向遠位位置LDにあるとき、カセットハウジングと、その2つの近位端で位置合わせされてもよい。長手方向遠位位置LDは、送達位置とみなすこともできる。通常、皮膚センサは、ユーザがカセットの近位端を送達部位に押し付けると、長手方向遠位位置LDに押し込まれる。したがって、皮膚センサは、通常、長手方向遠位位置LDにはロックされない。その代わりに、ユーザがカセットの近位端を送達部位に押し付けることによって、その位置が維持される。ユーザが薬剤送達の完了前にカセットを注入部位から取り外す場合、皮膚センサは、通常、自動注射器との相互作用により、長手方向遠位位置LDから近位方向に移動される。これは、通常、シリンジ出口が皮膚センサによって覆われる位置に、皮膚センサを移動させることとなる。
【0068】
1つ以上の例では、インデックスリングは、皮膚センサが長手方向遠位位置LDにあるとき、キャップ解放回転位置Rcrから送達回転位置Rdに移動して、薬剤送達のためにシステムを準備するように構成される。
【0069】
1つ以上の例では、インデックスリングは、管状皮膚センサ部の周りに延在する管状インデックスリング部を備える。代替的に又は組み合わせて、インデックスリングは、シリンジホルダの周囲に延在する管状インデックスリング部を含んでもよい。
【0070】
1つ以上の例では、インデックスリングは、カセットが自動注射器に挿入され、自動注射器に含まれる解放部材がカセット内へと近位方向に移動してインデックスリングと接触するとき、複数の回転位置の間で移動するように構成される。解放部材は、インデックスリング上の可撓性部材と接触することによってインデックスリングを回転させてもよく、それはインデックスリングを解放してインデックスリングが回転することを可能にする。
【0071】
1つ以上の例では、インデックスリングは、傾斜方向に延在するトラックを含み、1つ以上の解放部材のそれぞれは、トラックの内側を移動するように構成され、インデックスリングは、解放部材がトラックの内側を近位方向に移動するときに回転される。1つ以上の解放部材のそれぞれは、トラックガイド突出部を含んでもよく、トラックガイド突出部は、トラックの内側を移動するように構成される。
【0072】
1つ以上の例では、インデックスリングは、第1の角部から第2の角部まで延在するトラックを含み、インデックスリングは、カセットが自動注射器に挿入され、自動注射器に含まれる解放部材がトラックの内側で近位方向に移動するとき、第1の回転位置から第2の回転位置まで回転するように構成される。
【0073】
1つ以上の例では、インデックスリングは、第1の近位面と第1の遠位面との間に延在する第1の表面領域を有する第1の半径方向延在部を含み、第1の表面領域は、表面領域の第1の角部から表面領域の第2の角部まで延在するトラックを含み、インデックスリングは、カセットが自動注射器に挿入され、自動注射器に含まれる解放部材がトラックの内側で近位方向に移動するとき、第1の回転位置から第2の回転位置まで回転するように構成される。したがって、インデックスリングは、第1の近位面と第1の遠位面との間に延在する第1の表面領域を有する第1の半径方向延在部を含んでもよく、トラックは、その表面領域上に位置付けられる。
【0074】
半径方向部上の表面領域は、半径方向部の表面全体を覆う必要はなく、代わりに、それらの間にトラックが延在する2つの角部によって画定されるより小さい領域とすることができる。
【0075】
第1の半径方向延在部は、管状インデックスリング部の一部であり得る。
【0076】
1つ以上の例では、トラックは、第1の長手方向延在部上に位置付けられる。
【0077】
1つ以上の例では、インデックスリングは、自動注射器に含まれる解放部材がトラックの内側を遠位方向に移動するとき、第1の回転位置まで回転するように構成される。1つ以上の解放部材のそれぞれは、トラックガイド突出部を含んでもよく、トラックガイド突出部は、トラックの内側を移動するように構成される。トラックガイド突出部の遠位方向移動によって解放部材/トラックガイド突出部を自動注射器内に再び回収することによって、インデックスリングは、その初期位置に戻るように回転される。したがって、インデックスリングの回転位置は、解放部材の移動によって制御される。
【0078】
1つ以上の例では、トラックは、第1の角部から第2の角部に向かって角度方向に延在し、角度方向は、カセットの長手方向に対して20~70度、例えば、30~60度、例えば、35~55度、例えば、40~50度、例えば、およそ45度である。
【0079】
1つ以上の例では、トラックは、第1のトラックセクション、第2のトラックセクション、及び第3のトラックセクションを含み、
○第1のトラックセクションは、第1の角部から第1の中間点に向かって第1の角度方向に延在し、
○第2のトラックセクションは、カセットの長手方向に沿って第1の中間点から第2の中間点まで第2の角度方向に延在し、
○第3のトラックセクションは、第2の中間点から第2の角部に向かう第3の角度方向に延在し、
第1の角度方向及び/又は第3の角度方向は、カセットの長手方向に対して20~70度、例えば、30~60度、例えば、35~55度、例えば、40~50度、例えば、およそ45度であり、
第2の角度方向は、カセットの長手方向に対して-20~20度、例えば、-10~10度、例えば、およそ0度である。
【0080】
代替的なトラック傾斜もまた想定され得るが、ここで、傾斜角度は、トラックセクション(複数可)が凹状又は凸状のトラック傾斜を得るように、任意の角度方向において連続的に変化する。
【0081】
1つ以上の例では、皮膚センサは、皮膚センサの外面上に突出タブを含み、インデックスリングは、使用前に突出タブが拘束される第1の凹部を有する第1の長手方向延在部を含む。
【0082】
1つ以上の例では、インデックスリングは、ロックタブを含み、皮膚センサは、使用前にロックタブが拘束される第1のロック凹部を含む。
【0083】
1つ以上の例において、第1の長手方向延在部は、第1の半径方向延在部上の第1の近位面から近位方向に延在する。
【0084】
1つ以上の例では、突出タブは、皮膚センサが長手方向遠位位置LDにあるとき、第1の近位面に当接し、それによってシリンジホルダに対する皮膚センサの遠位方向移動を防止する。
【0085】
1つ以上の例では、皮膚センサは、第1の遠位面を含み、第1の遠位面は、皮膚センサが長手方向遠位位置LDにあるとき、第1の近位面に当接し、それによってシリンジホルダに対する皮膚センサの遠位方向移動を防止する。
【0086】
1つ以上の例では、インデックスリングは、第2の近位面及び第2の遠位面を有する第2の半径方向延在部を更に含む。
【0087】
1つ以上の例では、突出タブは、皮膚センサが最終ロック位置LP3にあり、インデックスリングが第1の回転位置R1にあるとき、第2の近位面に当接し、それによってシリンジホルダに対する皮膚センサの遠位方向移動を防止する。
【0088】
1つ以上の例では、遠位面は、皮膚センサが最終ロック位置LP3にあり、インデックスリングが第1の回転位置R1にあるとき、第2の近位面に当接し、それによってシリンジホルダに対する皮膚センサの遠位方向移動を防止する。
【0089】
1つ以上の例では、第2の半径方向延在部は、第1の長手方向延在部の近位端に接続される。
【0090】
1つ以上の例では、インデックスリングは、第2の長手方向延在部を含み、第2の長手方向延在部は、第1の半径方向延在部の第1の近位面から延在し、第2の長手方向延在部の近位端において第2の半径方向延在部に接続されている。
【0091】
1つ以上の例では、インデックスリングは、第1の回転位置R1と送達回転位置Rdとの間に位置付けられたキャップ解放回転位置Rcrまで回転されるように構成され、キャップ解放回転位置Rcrにおいて、皮膚センサは、長手方向遠位位置LDと中間位置LP2との間で移動可能であり、中間位置LP2は、最終ロック位置LP3と初期ロック位置LP1との間に位置付けられる。中間位置は、近位位置の一例である。
【0092】
1つ以上の例では、自動注射器に含まれる解放部材が第2のトラックセクションにあるとき、インデックスリングは、キャップ解放回転位置Rcrにある。
【0093】
1つ以上の例では、インデックスリングがキャップ解放回転位置Rcrにあるとき、皮膚センサは、中間位置LP2から最終ロック位置LP3に移動することが防止される。中間位置LP2からの近位方向移動を防止することは、いくつかの方法で達成され得る。
【0094】
1つ以上の例では、インデックスリングがキャップ解放回転位置Rcrにあり、皮膚センサが中間位置LP2にあるとき、突出タブは、インデックスリング上の第2の遠位面に当接する。これにより、皮膚センサが中間位置LP2から近位方向に移動することを防止する。
【0095】
1つ以上の例では、インデックスリングがキャップ解放回転位置Rcrにあり、皮膚センサが中間位置にあるとき、インデックスリング上のロックタブは、皮膚センサ上の第2のロックタブ支持面に当接する。これにより、皮膚センサが中間位置LP2から近位方向に移動することを防止する。
【0096】
1つ以上の例では、皮膚センサは、インデックスリングがキャップ解放回転位置Rcr、キャップ解放回転位置Rcrと送達回転位置Rdとの間、又は送達回転位置Rdにあるとき、ユーザが皮膚センサを注入部位に押し付けることによって長手方向遠位位置LDに移動されるように構成される。
【0097】
1つ以上の例では、第1の長手方向延在部は、皮膚センサが中間位置LP2にあり、インデックスリングが第1の回転位置R1にあるとき、突出タブが拘束される第2の凹部を含む。
【0098】
1つ以上の例では、第1の長手方向延在部上の突出タブは、皮膚センサが中間位置LP2にあり、インデックスリングが第1の回転位置R1にあるとき、皮膚センサ上の第2のロック凹部内に拘束される。
【0099】
1つ以上の例では、インデックスリングは、シリンジホルダに対して長手方向にロックされる。同様に、皮膚センサ及びシリンジホルダは、通常、回転方向についてロックされる。
【0100】
カセットは、例えば、自動注射器によって読み取り可能なRFIDタグなどのラベルを備えてもよい。RFIDタグに含まれる情報は、カセット内の薬剤の種類又は薬剤用量に関するものであり得る。自動注射器は、RFIDタグ上の情報を読み取り、それに応じて薬剤送達のためにストッパを近位方向に押すためのプランジャロッドの動きを制御するように構成されてもよい。
【0101】
第7の態様において上述したようなシリンジホルダは、カセットの説明された例のいずれかと共に使用するのに好適である。シリンジホルダの1つ以上の例では、実質的にC字型の蓋部は、実質的にC字型の蓋部を第1の蓋セクション及び第2の蓋セクションを含む2つの蓋セクションに分割する貫通チャネルを実質的にC字型の蓋部に含む。C字型の蓋部は、開いた円又は周囲に切開開口部を有する円と呼ぶこともできる。したがって、実質的にC字型の蓋部は、開口部が円の全周の領域の、少なくとも10%、例えば、少なくとも20%、例えば、少なくとも30%に及ぶ、円形の形状を有してもよい。
【0102】
2つの蓋セクションは、シリンジホルダ管状部の遠位端へのヒンジ式接続も形成する実質的にC字型の蓋部のブリッジ部分によって接続されてもよい。C字型の蓋の代わりに、2つの半円として形成された2つの部分からなる蓋も考えられる。2つの半円は、ブリッジ部分によって接続されてもよいか、あるいは、別個の半円のそれぞれは、シリンジホルダ管状部にヒンジ式に接続されてもよい。
【0103】
シリンジホルダの1つ以上の例では、第1の蓋セクション及び第2の蓋セクションは、長手方向軸線に沿って互いに対して少なくとも部分的に変位可能である。部分的に変位可能であるとは、一方のセクションが、他方のセクションを同じ範囲に移動させることなく、遠位方向又は近位方向にねじられるか又は押し動かされてもよいことを意味する。実質的にC字型の蓋部の可撓性は、ユーザがシリンジを近位方向から不均一に押した場合、力が実質的にC字型の蓋部の周りに容易に伝達されないので、実質的にC字型の蓋部の一部のみが影響を受けることを更に確実にする。
【0104】
実質的にC字型の蓋部のC字形状は、実質的に同一平面内に延在してもよい。1つ以上の実施形態では、実質的にC字型の蓋部は、閉位置において長手方向に実質的に垂直な平面内に延在する。実質的にC字型の蓋部は、上述のように依然としてねじれることが可能であり得る。したがって、実質的に同じ平面内に延在するとは、第1の平面内に延在する中間部分と、第1の平面と比較して60~120度の角度を有する第2の平面内の、中間平面のそれぞれの側部から延在する2つの側部部分と、を有する蓋を意味しない。
【0105】
シリンジホルダの1つ以上の例では、複数の支持蓋部は、50%未満、例えば、40%未満、例えば、30%未満、例えば、20%未満、例えば、10%未満である、実質的にC字型の蓋部上の内面の領域を覆う。シリンジが接触し得る表面上に破断表面構造を有することは、ユーザがシリンジを近位方向から不均一に押した場合に、支持蓋部の全てがシリンジと接触しないことを確実にする。これにより、押圧力が実質的にC字型の蓋部全体には伝達されないということが保証される。ユーザが、ロックタブのうちの1つがシリンジホルダ蓋ロック開口部から押し出されるほど強くシリンジを押すことに万一成功した場合、他のロックタブが所定位置に留まることとなる変化が増大し、それによって、シリンジがシリンジホルダの遠位端から押し出されることを防止する安全性が増加する。
【0106】
シリンジホルダの1つ以上の例では、複数の支持蓋部は、少なくとも4つの支持蓋部を含む。複数の蓋ロックタブのそれぞれは、シリンジホルダ蓋ロック開口部のうちの別個の1つに嵌合してもよい。蓋ロックタブの遠位面は、シリンジホルダ蓋が閉位置にあるとき、シリンジホルダ蓋ロック開口部のそれぞれの近位側内側表面に対して載置されてもよい。
【0107】
シリンジホルダの1つ以上の例では、シリンジがシリンジホルダ管状部の内側に正確に位置付けられ、カセットが使用の準備ができているとき、シリンジは、シリンジホルダ蓋と直接接触していない。シリンジは、通常、使用中に遠位方向に押された場合にのみ、シリンジホルダ蓋と接触する。したがって、通常、シリンジホルダ蓋の近位面とシリンジの遠位端との間には、開放空間が存在する。したがって、シリンジホルダ蓋は、安全機能を有し、シリンジ固定機能又はシリンジ保持機能を有さない。
【0108】
1つ以上の例では、シリンジは、シリンジホルダ内に取り囲まれ、シリンジは、
○薬剤を収容するシリンジ区画と、
○シリンジ区画の近位端にある出口と、
○シリンジ区画内に位置付けられたストッパであって、出口を通してシリンジ区画内の薬剤を空にするために、シリンジ区画の遠位端からシリンジ区画の近位端に向かって移動可能である、ストッパと、
○シリンジ区画の遠位端にあるシリンジフランジと、を含む。
【0109】
上述のようなシリンジホルダを有するカセットの1つ以上の例では、カセットは、少なくとも長手方向近位位置と長手方向遠位位置とを含む複数の長手方向位置の間で、シリンジホルダに対して移動可能な皮膚センサを更に備える。
【0110】
上述のシリンジホルダを有するカセットの1つ以上の例では、カセットは、少なくとも、皮膚センサが遠位方向に移動することを防止される第1の回転位置と、皮膚センサが長手方向遠位位置と長手方向近位位置との間で移動可能である第2の回転位置と、を含む複数の回転位置の間で、皮膚センサに対して回転可能なインデックスリングを備え、インデックスリングの回転位置は、カセットが自動注射器内に固定されているとき、自動注射器内の1つ以上の解放部材によって制御されるように構成される。
【0111】
上述のシリンジホルダを有するカセットの1つ以上の例では、カセットは、カセットハウジングの近位端にキャップ保持部を含むカセットハウジングと、カセットハウジング内に固定された取り外し可能なカセットキャップと、を更に備える。
【0112】
上述のシリンジホルダを有するカセットの1つ以上の例では、カセットハウジングは、カセットハウジングの近位端にキャップ保持部を含み、取り外し可能なカセットキャップは、カセットキャップの近位端から遠位方向に延在する1つ以上のロックキャップ部を含み、使用前に、1つ以上のロックキャップ部のそれぞれの上のカセットキャップロック突出部は、カセットハウジング内に固定され、皮膚センサは、少なくとも初期ロック位置と初期ロック位置の近位側にある中間位置との間でシリンジホルダに対して長手方向に移動可能であり、初期ロック位置から中間位置に皮膚センサが近位方向に移動するとき、遠位ロック端部は、カセットハウジングの外側に移動する。
【0113】
自動注射器の1つ以上の例では、注入装置ハウジングは、カセットが注入装置内に受容されたときにカセットの少なくとも一部を覆うように延在するカセットカバーセクションと、カセットが注入装置内に固定される前に、注入装置ハウジング内の内部注入装置部品を覆うように延在する遠位ハウジング部と、を含む。
【0114】
カセットが注入装置の内部に受容されるとき、カセットカバーセクションは、カセットの20~90%、例えば、カセットの30~75%、例えば、カセットの40~60%を覆うように延在する。自動注射器は、カセットが自動注射器内部に固定されたときにカセットの遠位端を当接させるように適合されたカセット当接面を備える。
【0115】
1つ以上の例では、自動注射器は、カセットが注入装置内に挿入されるとき、カセット上の対応する1つ以上のカセット固定タブとスナップ嵌合接続で係合するように構成された1つ以上のカセット相互作用部を備え、解放部材の近位方向移動は、スナップ嵌合接続の係合解除を防止し、それによってカセットを自動注射器内に固定する。
【0116】
自動注射器の1つ以上の例では、皮膚センサばねシステムは、インデックスリングがキャップ解放回転位置Rcrにあるとき、カセット皮膚センサを長手方向近位位置LP2まで近位方向に押すように適合される。
【0117】
自動注射器の1つ以上の例では、皮膚センサばねシステムは、インデックスリングが第2の回転位置R2にあるとき、カセット皮膚センサを近位方向に長手方向近位位置まで押すように適合される。皮膚センサが注入部位に押し付けられる場合、皮膚センサは、長手方向遠位位置LD内に/長手方向遠位位置LDに向かって押されることとなる。しかしながら、皮膚センサが皮膚から取り外される場合、自動注射器内の皮膚センサばねシステムは、インデックスリングが第2の回転位置R2にあるとき、皮膚センサを長手方向近位位置に押し込むこととなる。このことは、インデックスリングがキャップ取り外し回転位置Rcrにあるか又は送達回転位置Rdにあるかに関係なく当てはまる。
【0118】
自動注射器の1つ以上の例では、薬剤送達及び送達部位からのシステムの取り外し後、皮膚センサばねシステムは、解放部材の遠位方向移動の間、皮膚センサを最終長手方向位置LP3に維持するように構成され、それによって、インデックスリングは、送達回転位置Rdから第1の回転位置R1に回転される。
【0119】
自動注射器の1つ以上の例では、インデックスリングは、使用前に第1の回転位置R1にあり、インデックスリングが1つ以上の解放部材の近位方向移動によって第1の回転位置R1からキャップ解放回転位置Rcrに移動されるとき、皮膚センサばねシステムは、皮膚センサを中間位置LP2に押すように適合される。
【0120】
自動注射器の1つ以上の例では、内部注入装置部品は、プランジャロッド及び1つ以上の解放部材が一緒に近位方向移動するために長手方向に連結される第1のクラッチ位置と、プランジャロッドが1つ以上の解放部材から連結解除され、1つ以上の解放部材が長手方向に静止している間にプランジャロッドが長手方向に移動することを可能にする第2のクラッチ位置との間で移動可能であるように構成されたクラッチを更に含む。
【0121】
自動注射器の1つ以上の例では、1つ以上の解放部材は、第2のクラッチ位置において注入装置ハウジングに連結される。
【0122】
自動注射器の1つ以上の例では、クラッチは、使用前に第1のクラッチ位置にあり、クラッチは、インデックスリングが1つ以上の解放部材の近位方向移動によって第2の回転位置R2に回転されるとき、第1のクラッチ位置から第2のクラッチ位置に移動するように構成される。
【0123】
自動注射器の1つ以上の例では、クラッチは、インデックスリングが第2の回転位置R2にあり、プランジャロッドが薬剤の送達のために更に近位方向に移動するとき、第2のクラッチ位置に留まるように構成される。
【0124】
自動注射器の1つ以上の例では、クラッチは、プランジャロッドが薬剤送達後に遠位方向に移動するときに第2のクラッチ位置から第1のクラッチ位置に移動するように構成され、それによって、インデックスリングは、クラッチが第1のクラッチ位置にあるとき、1つ以上の解放部材の遠位方向移動によって第2の回転位置R2から第1の回転位置R1に向かって回転される。
【0125】
1つ以上の解放部材をプランジャロッドから長手方向に連結解除することは、インデックスリングの回転運動に直接連結される必要はない。したがって、第2の回転位置R2へのインデックスリングの回転運動は、1つ以上の解放部材がプランジャロッドから解放される前に生じてもよい。したがって、1つ以上の解放部材は、プランジャロッドから連結解除される前に、短い距離だけプランジャロッドと一緒に長手方向移動を継続してもよい。
【0126】
自動注射器の1つ以上の例では、クラッチは、第1の回転面及び第2の回転面を含む1つ以上のクラッチタブを有する管状クラッチであり、内部注入装置部品は、1つ以上の第1の連結面及び1つ以上の第2の連結面を含むクラッチ連結部を有する近位側シャーシ部を含み、
●クラッチの第2の回転面がクラッチ連結部上の第2の連結面に当接しているとき、クラッチは、第2のクラッチ位置にあり、
●クラッチの第2の回転面がクラッチ連結部上の第2の連結面と接触していないとき、クラッチは、第1のクラッチ位置にある。
【0127】
自動注射器の1つ以上の例では、プランジャロッドは、クラッチに対して長手方向に移動するように構成され、クラッチは、
●第2の回転面が第2の連結面と接触する前に、1つ以上の解放部材と共に近位方向に移動することと、
●第2の回転面が第2の連結面に接触するときに軸回転することにより、第1のクラッチ位置から第2のクラッチ位置に移動することと、を行うように構成される。
【0128】
自動注射器の1つ以上の例では、クラッチ連結部は、クラッチが第2のクラッチ位置にあるときにクラッチに当接し、それによって、クラッチ及び1つ以上の解放部材がプランジャロッドと共に長手方向に移動することを防止するクラッチ停止面を含む。
【0129】
自動注射器の1つ以上の例では、プランジャロッドは、停止クラッチタブを含み、停止クラッチタブの遠位面は、クラッチが第1のクラッチ位置にあるとき、1つ以上の解放部材の近位面に当接している。
【0130】
自動注射器の1つ以上の例では、停止クラッチタブは、プランジャロッドの遠位方向移動により、停止クラッチタブの遠位面が1つ以上の解放部材の近位面と接触すると、クラッチを第2のクラッチ位置から第1のクラッチ位置に移動させるように構成される。
【0131】
1つ以上の例では、カセットは、カセットハウジングの近位端にキャップ保持部を含むカセットハウジングと、カセットキャップの近位端から遠位方向に延在する1つ以上のロックキャップ部を含む取り外し可能なカセットキャップと、を更に備え、使用前に、1つ以上のロックキャップ部のそれぞれのカセットキャップロック突出部は、カセットハウジング内に固定され、初期ロック位置LP1から中間位置LP2への皮膚センサの近位方向移動時に、遠位ロック端部は、カセットハウジングの外側に移動する。
【0132】
持続可能性の観点から、任意の種類の金属部品及び/又は電子部品を使い捨てデバイスに埋め込むことは、理想的な解決策ではない。同様に、使いやすさの観点から、カセットの部品を再利用することもまた、ユーザステップを追加し、実際の使用を保証しないので、理想的な解決策ではない。したがって、本明細書で説明される自動注射器及びカセットの組み合わせは、非常に良好な全体的解決策を提供し、持続可能性及び使いやすさの両方を最適化する。
【0133】
1つ以上の例では、自動注射器は、駆動モジュールを制御するプロセッサを更に備える。
【0134】
1つ以上の例では、駆動モジュールは、歯車ホイールと、プランジャロッド内のねじ山付きロッドを回転させ、それによってプランジャロッドを長手方向に駆動するように構成されたモータと、を更に含む。
【0135】
1つ以上の実施例では、プロセッサは、シリンジ区画内のストッパに印加される印加力を制御するように構成される。
【0136】
プランジャ移動の全ての態様は、装置のファームウェアにおけるパラメータ設定から制御可能であり、療法が求める特定の要件に正確に合わせて構成することができる。モータ駆動の利点は、十分に制御されたプロセスで大きな力を加えることができることであり、したがって、高粘性の薬物の送達であっても最適化することが可能であり、それでもなお針のサイズを最小限に抑えることが可能である。
【0137】
1つ以上の実施例では、駆動モジュールは、充電式バッテリなどのバッテリを更に含み、充電式バッテリは、充電可能であるように適合されており、例えば、USB充電器から充電可能である。バッテリは、Liイオンセルバッテリであり得る。
【0138】
自動注射器は、例えば、プランジャロッド位置に関する選択された情報をアプリに伝達することができるBluetooth低エネルギー(Bluetooth low energy、BLE)接続オプションと、安全なバックエンドと、を更に備えてもよい。LED及び/又は可聴サポート及び/又はディスプレイを有するユーザインターフェースが、自動注射器に含まれてもよい。
【0139】
上述した全てのカセット及び自動注射器の詳細は、カセット、自動注射器、及び両方の部品を含むシステムの全ての記載された態様に適用されることに留意されたい。
【0140】
以下、図面を参照して、様々な実施例を説明する。同様の参照番号は、全体を通して同様の要素を指す。したがって、同様の要素は、各図の説明に関して詳細に説明されない。また、図面は、実施例の説明を容易にすることを意図したものであることにも留意されたい。それらは、特許請求される発明の網羅的な説明、又は特許請求される発明の範囲の限定として意図されていない。加えて、図示された例は、示される全ての態様又は利点を有する必要はない。特定の実施例と関連して記載される態様又は利点は、必ずしもその実施例に限定されるものではなく、そのように図示されていない場合でも、任意の他の実施例で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0141】
図1A】長手方向Lに沿って延在するカセットの第1の例の分解図である。
図1B】長手方向Lに沿って延在するカセットの第1の例の分解図である。
図1C】カセットハウジングの側面図である。
図2A図1A~Cに示されるようなカセットを受容するように構成される自動注射器の図であり、組み立てられた注入装置の図である。
図2B図1A~Cに示されるようなカセットを受容するように構成される自動注射器の図であり、カセットと接触する自動注射器内の表面の図である。
図2C図1A~Cに示されるようなカセットを受容するように構成される自動注射器の図であり、自動注射器の分解図である。
図3A】皮膚センサがシリンジホルダに対してその中に移動し得る、複数の長手方向位置の図である。
図3B】インデックスリングがその間で回転し得る回転位置の図である。
図4A図1A~Bによるカセットのシリンジホルダ、皮膚センサ、及びインデックスリング、並びに図2C及び図11A~Dに示される注入装置解放部材を、注入装置解放部材がインデックスリングトラック内で長手方向に移動するときの、異なる長手方向皮膚センサ位置及びインデックスリング回転位置で示す図である。
図4B図1A~Bによるカセットのシリンジホルダ、皮膚センサ、及びインデックスリング、並びに図2C及び図11A~Dに示される注入装置解放部材を、注入装置解放部材がインデックスリングトラック内で長手方向に移動するときの、異なる長手方向皮膚センサ位置及びインデックスリング回転位置で示す図である。
図4C図1A~Bによるカセットのシリンジホルダ、皮膚センサ、及びインデックスリング、並びに図2C及び図11A~Dに示される注入装置解放部材を、注入装置解放部材がインデックスリングトラック内で長手方向に移動するときの、異なる長手方向皮膚センサ位置及びインデックスリング回転位置で示す図である。
図4D図1A~Bによるカセットのシリンジホルダ、皮膚センサ、及びインデックスリング、並びに図2C及び図11A~Dに示される注入装置解放部材を、注入装置解放部材がインデックスリングトラック内で長手方向に移動するときの、異なる長手方向皮膚センサ位置及びインデックスリング回転位置で示す図である。
図4E図1A~Bによるカセットのシリンジホルダ、皮膚センサ、及びインデックスリング、並びに図2C及び図11A~Dに示される注入装置解放部材を、注入装置解放部材がインデックスリングトラック内で長手方向に移動するときの、異なる長手方向皮膚センサ位置及びインデックスリング回転位置で示す図である。
図4F図1A~Bによるカセットのシリンジホルダ、皮膚センサ、及びインデックスリング、並びに図2C及び図11A~Dに示される注入装置解放部材を、注入装置解放部材がインデックスリングトラック内で長手方向に移動するときの、異なる長手方向皮膚センサ位置及びインデックスリング回転位置で示す図である。
図4G図1A~Bによるカセットのシリンジホルダ、皮膚センサ、及びインデックスリング、並びに図2C及び図11A~Dに示される注入装置解放部材を、注入装置解放部材がインデックスリングトラック内で長手方向に移動するときの、異なる長手方向皮膚センサ位置及びインデックスリング回転位置で示す図である。
図4H図1A~Bによるカセットのシリンジホルダ、皮膚センサ、及びインデックスリング、並びに図2C及び図11A~Dに示される注入装置解放部材を、注入装置解放部材がインデックスリングトラック内で長手方向に移動するときの、異なる長手方向皮膚センサ位置及びインデックスリング回転位置で示す図である。
図4I図1A~Bによるカセットのシリンジホルダ、皮膚センサ、及びインデックスリング、並びに図2C及び図11A~Dに示される注入装置解放部材を、注入装置解放部材がインデックスリングトラック内で長手方向に移動するときの、異なる長手方向皮膚センサ位置及びインデックスリング回転位置で示す図である。
図5A】前図に示されるようなカセット内のシリンジホルダの組み立ての図である。
図5B】前図に示されるようなカセット内のシリンジホルダの組み立ての図である。
図5C】前図に示されるようなカセット内のシリンジホルダの組み立ての図である。
図6A】シリンジホルダ、皮膚センサ、及びインデックスリング、並びに注入装置解放部材を、注入装置解放部材がインデックスリングトラック内で長手方向に移動するときの、異なる長手方向皮膚センサ位置及びインデックスリング回転位置で示す第2の例の図である。
図6B】シリンジホルダ、皮膚センサ、及びインデックスリング、並びに注入装置解放部材を、注入装置解放部材がインデックスリングトラック内で長手方向に移動するときの、異なる長手方向皮膚センサ位置及びインデックスリング回転位置で示す第2の例の図である。
図6C】シリンジホルダ、皮膚センサ、及びインデックスリング、並びに注入装置解放部材を、注入装置解放部材がインデックスリングトラック内で長手方向に移動するときの、異なる長手方向皮膚センサ位置及びインデックスリング回転位置で示す第2の例の図である。
図6D】シリンジホルダ、皮膚センサ、及びインデックスリング、並びに注入装置解放部材を、注入装置解放部材がインデックスリングトラック内で長手方向に移動するときの、異なる長手方向皮膚センサ位置及びインデックスリング回転位置で示す第2の例の図である。
図6E】シリンジホルダ、皮膚センサ、及びインデックスリング、並びに注入装置解放部材を、注入装置解放部材がインデックスリングトラック内で長手方向に移動するときの、異なる長手方向皮膚センサ位置及びインデックスリング回転位置で示す第2の例の図である。
図6F】シリンジホルダ、皮膚センサ、及びインデックスリング、並びに注入装置解放部材を、注入装置解放部材がインデックスリングトラック内で長手方向に移動するときの、異なる長手方向皮膚センサ位置及びインデックスリング回転位置で示す第2の例の図である。
図6G】シリンジホルダ、皮膚センサ、及びインデックスリング、並びに注入装置解放部材を、注入装置解放部材がインデックスリングトラック内で長手方向に移動するときの、異なる長手方向皮膚センサ位置及びインデックスリング回転位置で示す第2の例の図である。
図6H】シリンジホルダ、皮膚センサ、及びインデックスリング、並びに注入装置解放部材を、注入装置解放部材がインデックスリングトラック内で長手方向に移動するときの、異なる長手方向皮膚センサ位置及びインデックスリング回転位置で示す第2の例の図である。
図6I】シリンジホルダ、皮膚センサ、及びインデックスリング、並びに注入装置解放部材を、注入装置解放部材がインデックスリングトラック内で長手方向に移動するときの、異なる長手方向皮膚センサ位置及びインデックスリング回転位置で示す第2の例の図である。
図7A】シリンジホルダ、皮膚センサ、及びインデックスリングの第3の例の図である。
図7B】シリンジホルダ、皮膚センサ、及びインデックスリングの第3の例の図である。
図7C】第3の例におけるカセットハウジングの図である。
図8A図7A~Bのシリンジホルダ、皮膚センサ、及びインデックスリング、並びに注入装置解放部材を、注入装置解放部材がインデックスリングトラック内で長手方向に移動するときの異なる長手方向皮膚センサ位置及びインデックスリング回転位置で示す図である。
図8B図7A~Bのシリンジホルダ、皮膚センサ、及びインデックスリング、並びに注入装置解放部材を、注入装置解放部材がインデックスリングトラック内で長手方向に移動するときの異なる長手方向皮膚センサ位置及びインデックスリング回転位置で示す図である。
図8C図7A~Bのシリンジホルダ、皮膚センサ、及びインデックスリング、並びに注入装置解放部材を、注入装置解放部材がインデックスリングトラック内で長手方向に移動するときの異なる長手方向皮膚センサ位置及びインデックスリング回転位置で示す図である。
図8D図7A~Bのシリンジホルダ、皮膚センサ、及びインデックスリング、並びに注入装置解放部材を、注入装置解放部材がインデックスリングトラック内で長手方向に移動するときの異なる長手方向皮膚センサ位置及びインデックスリング回転位置で示す図である。
図8E図7A~Bのシリンジホルダ、皮膚センサ、及びインデックスリング、並びに注入装置解放部材を、注入装置解放部材がインデックスリングトラック内で長手方向に移動するときの異なる長手方向皮膚センサ位置及びインデックスリング回転位置で示す図である。
図8F図7A~Bのシリンジホルダ、皮膚センサ、及びインデックスリング、並びに注入装置解放部材を、注入装置解放部材がインデックスリングトラック内で長手方向に移動するときの異なる長手方向皮膚センサ位置及びインデックスリング回転位置で示す図である。
図8G図7A~Bのシリンジホルダ、皮膚センサ、及びインデックスリング、並びに注入装置解放部材を、注入装置解放部材がインデックスリングトラック内で長手方向に移動するときの異なる長手方向皮膚センサ位置及びインデックスリング回転位置で示す図である。
図8H】カセットハウジング及び皮膚センサの切断図であり、非ロック位置にある皮膚センサを示す図である。
図8I】カセットハウジング及び皮膚センサの切断図であり、最終位置LP3にある皮膚センサを示す図である。
図9A】カセットからのカセットキャップの取り外しを示す図である。
図9B】カセットからのカセットキャップの取り外しを示す図である。
図9C】カセットからのカセットキャップの取り外しを示す図である。
図9D】カセットからのカセットキャップの取り外しを示す図である。
図10A】薬剤送達中の異なる構成におけるクラッチ連結部の図である。
図10B】薬剤送達中の異なる構成におけるクラッチ連結部の図である。
図10C】薬剤送達中の異なる構成におけるクラッチ連結部の図である。
図10D】薬剤送達中の異なる構成におけるクラッチ連結部の図である。
図11A図10Aの簡略版の図である。
図11B図10Bの簡略版の図である。
図11C図10Cの簡略版の図である。
図11D図10Dの簡略版の図である。
図12A】クラッチリングの図である。
図12B】クラッチリングの図である。
図12C】クラッチ相互作用部を有する注入装置シャーシの図である。
図12D】クラッチ相互作用部を有する注入装置シャーシの図である。
図13A】自動注射器内のカセットのロックを示す図である。
図13B】自動注射器内のカセットのロックを示す図である。
図13C】自動注射器内のカセットのロックを示す図である。
図13D】自動注射器内のカセットのロックを示す図である。
図13E】自動注射器内のカセットのロックを示す図である。
図14A】カセットの上述の例のいずれかと共に使用するのに好適なシリンジホルダの例の図である。
図14B】カセットの上述の例のいずれかと共に使用するのに好適なシリンジホルダの例の図である。
図14C】カセットの上述の例のいずれかと共に使用するのに好適なシリンジホルダの例の図である。
図14D】カセットの上述の例のいずれかと共に使用するのに好適なシリンジホルダの例の図である。
図14E】カセットの上述の例のいずれかと共に使用するのに好適なシリンジホルダの例の図である。
図15A】シリンジがシリンジホルダ内に位置付けられた、図14A~Eのシリンジホルダの図である。
図15B】シリンジがシリンジホルダ内に位置付けられた、図14A~Eのシリンジホルダの図である。
図15C】シリンジがシリンジホルダ内に位置付けられた、図14A~Eのシリンジホルダの図である。
図15D】シリンジがシリンジホルダ内に位置付けられた、図14A~Eのシリンジホルダの図である。
【発明を実施するための形態】
【0142】
ここで、添付図面を参照して、例示的な実施例をより完全に説明する。この点に関して、本実施例は、異なる形態を有してもよく、本明細書に記載される説明に限定されるものとして解釈されるべきではない。したがって、実施例は、態様を説明するために、図面を参照することによって、以下に単に説明される。本明細書で使用するとき、用語「及び/又は」は、関連する列挙された項目のうちの1つ以上の任意及び全ての組み合わせを含む。「少なくとも1つの要素」などの表現は、要素のリストに先行するとき、要素のリスト全体を修正し、リストの個々の要素を修正しない。
【0143】
図面では、複数の層及び領域の厚さは、その説明を明確にして容易にするために拡大された様式で示されている。層、領域、要素、又はプレートが、別の層、領域、要素、又はプレートの「上」にあると称される場合、それは、他の層、領域、要素、若しくはプレートの上に直接存在してもよいか、又は介在層、領域、要素、若しくはプレートがそれらの間に存在してもよい。逆に、層、領域、要素、又はプレートが、別の層、領域、要素、又はプレートの「上に直接」あると称される場合、それらの間に介在する層、領域、要素、又はプレートが存在しない。更に、層、領域、要素、又はプレートが、別の層、領域、要素、又はプレートの「下」にあると称される場合、それは、他の層、領域、要素、若しくはプレートの下に直接存在してもよいか、又は介在層、領域、要素、若しくはプレートがそれらの間に存在してもよい。逆に、層、領域、要素、又はプレートが、別の層、領域、要素、又はプレートの「下に直接」あると称される場合、それらの間に介在する層、領域、要素、又はプレートが存在しない。
【0144】
空間的に相対する用語「下部(lower )」又は「底部(bottom)」及び「上部(upper )」又は「頂部(top )」、「下方(below )」、「下位(beneath )」、「より低い(less)」、「上方(above )」、及び同様のものは、図面に示されるような1つの要素又は構成要素と別の要素又は構成要素との間の関係を説明するために説明を容易にするために使用されてもよい。空間的に相対的な用語は、図に示される向きに加えて、使用中又は動作中の装置の異なる向きを包含することが意図されると理解されるであろう。例えば、図面に示されているデバイスが回転される場合、他の要素の「下部」側にあるものとして説明される要素、又は「下方」若しくは「下位」の別の要素が、他の要素の「上部」側、又は「上方」の別の要素に配向される。したがって、「下方」又は「下位」という例示的な用語は、図の特定の向きに応じて、「下部」及び「上部」の配向位置の両方を含み得る。同様に、図の1つにある装置を裏返した場合、他の要素の「下方」又は「下位」と記述されている要素は、他の要素の「上方」に配向されるであろう。したがって、例示的な用語「下方」又は「下位」は、上方及び下方の配向の両方を包含することができ、したがって、空間的に相対する用語は、記載される向きに応じて異なって解釈され得る。
【0145】
本明細書全体を通して、要素が別の要素に「接続される」と称される場合、要素は、他の要素に「直接接続される」、又は、その間に介在する1つ以上の介在要素を用いて、他の要素に「電気的に接続される」。
【0146】
本明細書で使用される用語は、特定の例示的な実施形態のみを説明するためのものであり、限定することを意図するものではない。本明細書で使用するとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が別途明確に示さない限り、「少なくとも1つの(at least one)」も含むことが意図され得る。「少なくとも1つの」は、「a」又は「an」を限定するものとして解釈されるべきではない。用語「含む(comprises )」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、及び/又は「含む(including )」という用語は、記載された特徴、整数、工程、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、整数、工程、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらの群の存在又は追加を除外しないことが更に理解されるであろう。
【0147】
用語「第1」、「第2」、「第3」などは、様々な要素を説明するために本明細書で使用され得るが、これらの要素はこれらの用語によって限定されるべきではないことが理解されるであろう。これらの用語は、1つの要素を別の要素と区別するためにのみ使用される。したがって、以下で説明する「第1の要素」は、「第2の要素」又は「第3の要素」と呼称され得、また「第2の要素」及び「第3の要素」は、本明細書の教示から逸脱することなく、同様に呼称されてもよい。
【0148】
本明細書で使用するとき、「約(about )」又は「およそ(approximately )」は、当業者によって決定される特定の値に対する許容可能な偏差範囲内の、記述された値及び手段を包含し、当該測定及び特定の量の測定に関連する誤差(すなわち、測定システムの限界)を包含する。例えば、「約」は、1つ以上の標準偏差内、又は記載された値の±30%、20%、10%、5%以内を意味し得る。
【0149】
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術的及び科学的用語を含む)は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書に定義されるものなどの用語は、関連技術の文脈におけるそれらの意味と一致する意味を有するものとして解釈されるべきであり、本明細書において明示的に定義されない限り、理想的又は過度に形式的な意味で解釈されない意味を有するものとして解釈されるべきであることが更に理解されるであろう。
【0150】
例示的な例は、本明細書において、理想化された実施例の概略図であるクロストラック方向の断面図を参照して説明され、同様の参照番号は、本明細書全体を通して同様の要素を指す。したがって、例えば、製造技術及び/又は公差の結果として、図の形状からの変形が予想される。したがって、本明細書に記載される実施例は、本明細書に例示されるような領域の特定の形状に限定されるものとして解釈されるべきではなく、例えば、製造から得られる形状の偏差を含むものである。例えば、平坦であるように図示又は説明される領域は、粗い特徴及び/又は非線形の特徴を有してもよい。更に、図示される鋭角は、丸みを帯びていてもよい。したがって、図に示される領域は、本質的に概略的であり、それらの形状は、領域の正確な形状を例示することを意図するものではなく、本特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。本開示の例示的な実施例を具体的に説明するために、説明に関連付けられていない部品の一部は、提供されなくてもよい。
【0151】
図1A~Bは、長手方向Lに沿って延在するカセット100と、カセット100に取り付けられるシリンジ200と、の分解図を示す。図1A図1Bとの間の差異は、シリンジ200のサイズにあり、図1Aのシリンジ200は、図1Bに示されるシリンジ200より大きい。細いシリンジ200がカセット100に含まれる場合、シリンジ200が使用中にカセット100に十分に固定されることを確実にするために、追加のシリンジスリーブ250が使用される。
【0152】
シリンジ200は、近位端202から遠位端204まで延在する。シリンジ200の遠位端202にはフランジ220があり、フランジ220は、シリンジ200をカセット100の内側に固定するのを補助する。薬剤は、シリンジ出口208と流体接続しているシリンジ区画206内に収容される。シリンジ区画206の内側にはストッパ210があり、ストッパ210は、近位方向に移動するときにシリンジ出口208から薬剤を押し出す。通常、ストッパ210は、シリンジ200を有するカセット100が取り付けられる自動注射器に含まれるプランジャロッドによって近位方向に押される。
【0153】
図示の例では、シリンジ出口208は、シリンジ区画206に取り付けられた中空針である。針208は、例えば、ねじ接続又はルアーロックなどの手段によってシリンジ区画に取り外し可能であってもよいか、又は図1A~Bに示すようにシリンジ200の一体部分であってもよい。シリンジ区画206は、シリンジ出口208へのその近位接続部に肩部218を有する。シリンジ肩部218の周りには、針シールド212、例えば、剛性針シールドが位置付けられている。針シールド212は、通常、2つの部分、図1Bに示されるような内側部分214及び外側部分216から構成されることとなる。針シールド212は、使用前に針を保護する。
【0154】
シリンジホルダ300は、近位端302から遠位端304まで延在し、これらの端部の両方に開口部306、315を有する。シリンジ200は、シリンジホルダ300の遠位端304の開口部315を通してシリンジホルダ300内に取り付けられる。シリンジ区画206は、シリンジホルダ300に取り付けられると、シリンジホルダ管状部検査開口部312を有するシリンジホルダ管状部310に収容され、シリンジホルダ管状部検査開口部312を通して、シリンジ200を検査することができる。シリンジホルダ300の遠位端304には遠位管状リング部314があり、遠位管状リング部314は、シリンジホルダ管状部310の外径よりも大きい外径を有する。最遠位端には、自動注射器に含まれるプランジャロッドの通過を可能にする直径を有する蓋開口部332を有するヒンジ付きシリンジホルダ蓋330がある。シリンジホルダ蓋330は、図5A~Cに示すように、組み立て中に、シリンジ200がカセット100に挿入されたときに閉じられる。シリンジホルダ300内にシリンジ200が組み立てられた後に、ヒンジ式シリンジホルダ蓋330が閉じられると、シリンジホルダ蓋330上の蓋ロックタブ334は、遠位管状リング部314上の蓋ロック開口部318内でロックする。図5A~Cは、図5A~Bのカセット100におけるシリンジホルダ300の組み立てを示す。図5B図5Cとの間で、シリンジ200がシリンジホルダ300内に挿入され得ることが理解されるべきである。
【0155】
カセット100は、ユーザへの容易な送達のために、シリンジホルダ蓋330の閉鎖を除いて、完全に組み立てられてもよい。あるいは、シリンジホルダ蓋330は、シリンジ200の取り付けのために、輸送後に再び開放されてもよい。次いで、ユーザは、シリンジ200を挿入し、シリンジホルダ蓋330を閉じてもよい。シリンジホルダ300内にシリンジ200を固定するための他の手段もまた想定され得る。例えば、シリンジホルダ蓋330は、シリンジ200をシリンジホルダ300内に取り付けた後にシリンジ200を固定するために内側に曲がる可撓性アームで置き換えられてもよい。
【0156】
シリンジホルダ300内の近位開口部306が有する直径は、針シールド212がそこを通過することを可能にするが、シリンジ区画206がそこを通過することを防止する。近位開口部207は、シリンジ肩部218を支持するための内向きに延在する支持面308を有する。
【0157】
図1Bに示されるシリンジスリーブ250は、シリンジ区画206が、シリンジホルダ300内の近位開口部306の直径と同様の直径を有するときに使用される。例えば、針シールドが取り外されるときにシリンジ200が近位開口部306を通過しないことを確実にするために、シリンジ200は、シリンジスリーブ250に取り付けられてから、シリンジホルダ300の内側に位置付けられる。図1Bに示されるシリンジスリーブ250は、長手方向取り付け開口部258を有するC字形状を有し、これは、シリンジスリーブ250内にシリンジ200を横から取り付けるのを可能にする。シリンジスリーブ250の近位端252には、内側に突出する支持面256があり、これに対してシリンジ218が載置される。針シールド212は、内向きに突出する支持面256が針シールド212とシリンジ肩部218との間に配置されるように、シリンジスリーブ250の外側に位置付けられることとなる。シリンジスリーブ250に取り付けられると、シリンジフランジ220は、通常、シリンジホルダ250の遠位端254において遠位側シリンジスリーブ支持面260上に載置されることとなる。シリンジスリーブ250内に取り付けられたシリンジ200は、より大きなシリンジ200がシリンジホルダ300に取り付けられるのと同じ様式で、シリンジホルダ300の遠位端304にある開口部315を通してシリンジホルダ300内に位置付けられ得る。シリンジホルダ300に取り付けられると、シリンジスリーブ250の近位端252は、シリンジホルダ300の外側で近位方向に延在する針シールド212と共に、内向きに延在する支持面308上に載置される。
【0158】
シリンジスリーブ250及びシリンジ200の直径を除いて、図1A及び図1Bに示される残りのカセット部分は同じであり、カセットハウジング600、皮膚センサ400、キャップ700、インデックスリング500、及び場合によってはカセットハウジングカバー800を含む。カセットハウジングカバー800は、カセットハウジング700の一体部分として形成されてもよい。
【0159】
カセットハウジング600は、近位端602から遠位端604まで延在し、遠位端602に開口部606を有し、開口部606を通してインデックスリング500、皮膚センサ400、及びシリンジホルダ300が取り付けられる。カセット100が組み立てられると、カセットハウジング600は、シリンジホルダ300と、シリンジホルダ300内に位置付けられたときのシリンジ200と、皮膚センサ400と、インデックスリング500とを、完全ではないにしても少なくとも部分的に取り囲む。シリンジホルダ300は、通常、カセットハウジング600に、長手方向及び回転方向についてロックされることとなる。カセットハウジング600は、少なくとも1つの表面側に検査開口部610を有し、シリンジ200がカセット100内に取り付けられたとき、薬剤を収容するシリンジ区画206をユーザが検査することを可能にする。カセット100は、異なる向きで自動注射器内に取り付けられ得るように対称的に構成され得る。カセットハウジングの遠位端には、カセット固定タブ612が位置付けられている。これらは、カセットハウジング600を側面図で示す図1Cでも見ることができ、検査開口部610もまた明確に見ることができる。ロック機構は、図13A~Eに示され、説明される。
【0160】
カセットキャップ700は、カセットハウジング600の近位端602においてカセットハウジング600に取り外し可能に取り付けられる。カセットキャップ700は、管状キャップ部の形態の第2の遠位方向延在部710を有する内側カセットキャップ部714を含み、管状キャップ部は、針シールド212を、例えば、図1A~Bに示すような把持部712によって把持するように構成される。カセットキャップ700を取り外すとき、針シールド212も取り外され、薬剤送達が可能となる。外側カセットキャップ部716は、内側カセットキャップ部714を取り囲み、ユーザは、カセットキャップ700を取り外すときに外側カセットキャップ部716を保持することができる。内側カセットキャップ部714及び外側カセットキャップ部716はまた、1つの一体物品として形成されてもよい。内側カセットキャップ部716上には、カセットキャップロック突出部708を有するキャップロック部706もまた見られる。カセットキャップロック突出部708を有するキャップロック部706は、カセットキャップ700がカセットハウジング600にしっかりと固定されてから、カセット100がカセットキャップの取り外しを可能にすることを保証する。
【0161】
シリンジホルダ300の周囲には、近位端402から遠位端404に延在する皮膚センサ400が位置付けられている。皮膚センサ400の遠位端404には遠位皮膚接触面405があり、遠位皮膚接触面405は、薬剤送達中に患者の皮膚に対して載置される。近位端404にはまた、近位凹部406も存在し、カセット100を自動注射器1000内に組み立てる前、及びカセットキャップ700の解放を開始する前には、カセットキャップ700のカセットキャップロック突出部708が近位凹部406に固定される(図9A~D参照。)。近位凹部406は、図9A~Dでより明確に見られるように、近位突出ランプ410によって接続された突出タブ408に隣接する。
【0162】
皮膚センサ400は、管状皮膚センサ部420を有し、管状皮膚センサ部420からカセット皮膚センサピン422が遠位方向に延在する。管状皮膚センサ部420は、シリンジ200を検査するための検査開口部426を有する。皮膚センサ400は、通常、皮膚センサ400の両側に対称的に、カセット皮膚センサピン422を有し、同様に両側に検査開口部426を有する。
【0163】
皮膚センサ400は、シリンジホルダ300に対して、回転方向にロックされる。皮膚センサ400は、シリンジホルダ300に対して、長手方向Lに移動可能である。皮膚センサ400は、シリンジホルダ300に対して、少なくとも長手方向近位位置LP及び長手方向遠位位置LDを含む複数の長手方向位置の間で移動し得る。図3Aに見られるように、遠位位置LD以外に3つの近位位置LPが存在する。3つの近位位置LPは、初期ロック位置LP1、中間位置LP2、及び最終ロック位置LP3を含む。近位位置LPは、シリンジ200がカセット100に取り付けられたとき、皮膚センサ400がシリンジ出口206を覆う全ての位置であり、皮膚センサ400が長手方向遠位位置LDにあるとき、シリンジ出口206は、露出されている。近位位置LP1、LP2、LP3は、皮膚センサ400が少なくとも1つの長手方向においてシリンジホルダ300に対してロックされる位置であり得る。したがって、ロック位置では、シリンジホルダ300に対する皮膚センサ400の近位方向移動及び/又は遠位方向移動が防止される。皮膚センサ400及びインデックスリング500は、インデックスリング500の回転が、近位方向及び/又は遠位方向のいずれかの長手方向移動のために皮膚センサ400をロックし、かつ解放するように連結されるので、位置がロック位置であるか否かは、インデックスリング500の回転位置によって決定される。
【0164】
皮膚センサ400はまた、インデックスリング500と相互作用し、かつ連結するための第1のロック凹部412及び第2のロック凹部414を有する。2つのロック凹部412、412の間に第1のロックタブ413があり、第2のロック凹部414の遠位側に第2のロックタブ415がある。第2のロックタブ415は、第1のロックタブ413よりも長い。第2のロックタブ415の、遠位方向に向けられた表面は、第1の遠位面416と称される。皮膚センサ400はまた、第1の近位面418と呼ばれる近位方向に向けられた表面を含む。第1の近位面418は、第1のロック凹部412の近位側にある。
【0165】
インデックスリング500は、近位端502から遠位端504まで延在する。インデックスリング500は、シリンジホルダ300の周りに位置付けられ、シリンジホルダ300に長手方向についてロックされる。インデックスリング500は、複数の回転位置の間で皮膚センサ400/シリンジホルダ300に対して回転移動可能であり、複数の回転位置は、少なくとも、皮膚センサ400が遠位方向に移動することを防止される第1の回転位置R1と、皮膚センサ400が長手方向遠位位置LDと長手方向近位位置LPとの間で移動可能である第2の回転位置R2と、を含む。回転位置が図3Bに示されており、図3Bに見られるように、2つの回転位置、キャップ解放回転位置及び送達回転位置は、両方とも、皮膚センサ400が長手方向遠位位置LDと長手方向近位位置LPとの間で移動可能である第2の回転位置R2の定義に含まれる(図4B~E中の位置も参照。)。
【0166】
インデックスリング500は、インデックスリング500上に互いに対向して位置付けられた2つの第1の長手方向延在部506を有する。インデックスリング500上の管状インデックスリング部520は、シリンジホルダ300の周りに延在する。インデックスリング500は、図4A~Iに最も明確に示される第1の半径方向延在部522の一部であってもよい第1の半径方向延在部522を含む。第1の半径方向延在部522は、第1の近位面524と第1の遠位面526との間に延在する第1の表面領域528を有する(例えば、図4H参照。)。図4Aに示すように、第1の表面領域528は、表面領域528の第1の角部532から表面領域528の第2の角部534まで延在するトラック530を含む。第1の半径方向延在部522上の表面領域528は、第1の半径方向延在部522の表面全体を覆う必要はなく、代わりに、それらの間にトラック530が延在する2つの角部532、534によって画定されるより小さい領域であり得る。
【0167】
トラック530は、第1の角部532から第2の角部534に向かって角度方向に延在し、角度方向は、カセットの長手方向に対して20~70度、例えば、30~60度、例えば、35~55度、例えば、40~50度、例えば、およそ45度である。図4A~Iに最も明確に示されるトラック530mにおいて、トラック530は、第1のトラックセクション536と、第2のトラックセクション538と、第3のトラックセクション540と、を含む。図4Iに最も明確に示されるように、第1のトラックセクション536は、第1の角部532から第1の角度方向に第1の中間点542に向かって延在し、第2のトラックセクション538は、第1の中間点542から第2の中間点544までカセットの長手方向に沿って第2の角度方向に延在し、第3のトラックセクション540は、第2の中間点544から第3の角度方向に第2の角部534に向かって延在する。
【0168】
第1の角度方向及び/又は第3の角度方向は、通常、傾斜した方向であり、カセットの長手方向に対して20~70度、例えば、30~60度、例えば、35~55度、例えば、40~50度、例えば、およそ45度の角度を有する。第2のトラックセクション538は、通常、カセットの長手方向に対して-20~20度、例えば、-10~10度、例えば、およそ0度の第2の角度方向を有するプラトートラックセクションである。
【0169】
インデックスリング500の第1の長手方向延在部506上には、第2の半径方向延在部512がある。第2の半径方向延在部512は、皮膚センサ400上の2つのロック凹部412、414に嵌合するように構成された、ロックタブ507を形成する。ロックタブ507は、第2の半径方向延在部512の、第2の近位面514及び第2の遠位面516を有する。
【0170】
ロックタブ507の位置、したがって皮膚センサ400に対するインデックスリング500の回転位置は、カセット100が自動注射器1000内に固定されるとき、自動注射器1000内の1つ以上の解放部材1006によって制御される。より具体的には、インデックスリング500は、カセット100が自動注射器1000に挿入され、自動注射器に含まれるトラックガイド突出部1008がトラック530の内側を近位方向に移動するとき、第1の回転位置R1から第2の回転位置R2まで回転するように構成される。トラックガイド突出部1008が再び遠位方向に移動するとき、インデックスリング500は、第2の回転位置R2から第1の回転位置R1に戻るように回転する。したがって、解放部材1006/トラックガイド突出部1008を再び自動注射器内に回収することによって、インデックスリングは、その初期位置に戻るように回転される。図3B及び図4B~Eに見られるように、2つの回転位置、キャップ解放回転位置及び送達回転位置は、両方とも、皮膚センサ400が長手方向遠位位置LDと長手方向近位位置LPとの間で移動可能である第2の回転位置R2の定義に含まれる。したがって、第2の回転位置R2は、インデックスリング500がそれ以上回転できない位置である必要はない。第2の回転位置はまた、皮膚センサ400がロック解除されるが、皮膚センサ400が可能な限り最も近位側の位置及び/又は最も遠位側の位置に移動することが依然として防止される中間位置であり得る。
【0171】
図2A~Bは、自動注射器を組立図で示し、図2Cは、カセット100を受容するように構成された自動注射器1000の分解図を示す。自動注射器1000は、長手方向軸線Lに沿って近位端1002から遠位端1004まで延在しており、注入装置ハウジング1040と、注入装置ハウジング1040内に位置付けられた複数の内部注入装置部品と、を備える。
【0172】
カセット100は、長手方向Lに沿って自動注射器1000内に取り外し可能に受容される。通常、カセット1000は、自動注射器1000の近位端1002で受容されることとなり、それによって、カセット1000を前方装填式自動注射器にする。図2Bでは、注射器(注入装置)1000の内側の図は、カセット100が注射器1000内に組み付けられたときに載置される、カセット当接面1042を示している。図1Bの図はまた、カセット当接面1042内の開口部も示しており、薬剤送達中及び薬剤送達につながる準備工程中に、この開口部を通って内部注入装置部品が延在する。開口部は、カセット検出ピン1080が貫通して延在するカセット検出ピン開口部1081と、注入装置皮膚センサピン1024が貫通して延在する皮膚センサピン開口部1028と、解放部材1006が貫通して延在する解放部材開口部1043と、を含む。自動注射器1000の内側にカセット100を固定するための、注入装置ハウジング1040の内側のカセットロックタブ1086もまた、図1Bに見ることができる。
【0173】
図1Cに最も明確に見られるように、内部注入装置部品は、薬剤の送達のために近位方向へ移動するように構成されたプランジャロッド1018を含む。プランジャロッド1018は、プランジャロッド1018の内側に位置付けられたねじ山付きロッド1014の外側ねじ山付き面にねじ係合する、内側ねじ山付き面を有する。プランジャロッド1018の内側のねじ山付きロッド1014が回転すると、プランジャロッド1018は、ねじ山付きロッド1014がどちらの方向に回転するかに応じて、長手方向軸線Lに沿って近位方向又は遠位方向に移動する。
【0174】
自動注射器1000は、それぞれがトラックガイド突出部1008を有する2つの解放部材ピン1007を有する解放部材1006を備える(図11A~Dも参照。)。カセット100が自動注射器1000に取り付けられた後に自動注射器が作動されるとき、解放部材1006は、インデックスリングトラック530の内側を移動し、それによってインデックスリング500を回転させる。解放部材ピン1007は、プランジャロッド1018が薬剤送達のために通過することを可能にするプランジャロッド開口部1012と、解放部材ブリッジ1010によって接続される。
【0175】
解放部材1006及びプランジャロッド1018は、クラッチ1030に接続されており、クラッチ1030は、プランジャロッド1018及び1つ以上の解放部材1006が一緒に近位方向に移動するように長手方向に連結されている、第1のクラッチ位置と、プランジャロッド1018が1つ以上の解放部材1006から連結解除され、1つ以上の解放部材1006が長手方向で静止している間に、プランジャロッド1018が長手方向に移動することが可能である、第2のクラッチ位置と、の間で移動するように構成される。この相互作用は、図10図12に、より詳細に示され、説明される。
【0176】
自動注射器1000は、注入装置皮膚センサピン1024と、注入装置皮膚センサピン1024を近位方向に押す皮膚センサばねシステム1026と、を更に備える。カセット100が自動注射器1000に取り付けられると、皮膚センサ400が自由に近位方向に移動可能であり、ユーザが同時に皮膚センサを遠位方向に押していないとき、注入装置皮膚センサピン1024は、皮膚センサ400を近位方向に押す。通常、注入装置皮膚センサピン1024は、皮膚センサ400内のカセット皮膚センサピン422のうちの1つに当接することとなる。
【0177】
自動注射器1000の内部には、更に、カセット検出ピン1080及びカセット検出ばね1082があり、カセット検出ばね1082は、カセット100が自動注射器1000に取り付けられたとき、皮膚センサ400内の他のカセット皮膚センサピン422と接触することによって検出する。
【0178】
図2Aに示すように、注入装置ハウジング1040は、遠位ハウジングセクション1044及びカセットカバーセクション1046を有し、遠位ハウジングセクション1044は、内部の注入装置部品を覆い、近位カセットカバーセクション1046は、カセット100が自動注射器1000に取り付けられたとき、カセット100を少なくとも部分的に覆う。カセット100が自動注射器1000に取り付けられたとき、カセット100の遠位端104は、自動注射器1000の内側のカセット当接面1042に当接する。
【0179】
内部注入装置部品はまた、プランジャロッド1018を近位方向に移動させるように適合された駆動モジュールを含む。駆動モジュールは、いくつかの様式で構築されてもよく、図2Cに示される解決策は、その一例にすぎない。図2Cに示される駆動モジュールは、プランジャロッド1018の内側でねじ山付きロッド1014を回転させるためのモータ1076及びモータ歯車ホイール1078と、例えば、USBガスケット1068を介してアクセス可能なUSB充電器から充電可能なバッテリ1056と、駆動モジュール部品を支持するためのいくつかのシャーシ部1070、1077、1090、1094、1095及びねじ1079と、を含む。
【0180】
自動注射器1000は更に、駆動モジュールを制御するプロセッサを含んでもよく、プロセッサは、プリント回路基板(print circuit board 、PCB)1054を含む。ユーザへの視覚表示信号は、PCBプレースホルダ1062などに位置付けられ得る発光ダイオード(light emitting diode、LED)1064の形態で含まれてもよい。LEDは、LEDウィンドウフレーム1050、ライトボックスプレースホルダ1058、及びライトガイドプレースホルダ1060を介して表示される。
【0181】
自動注射器は、ユーザインターフェースハウジング部1048上に位置付けられる起動ボタン1052を押下することによって起動されてもよい。通常、保護箔1049が、注射器1000内部の電子部品を保護するために含まれる。他の内部注入装置部品については、符号の一覧を参照されたい。
【0182】
図4A~Iは、注入装置解放部材1006がインデックスリングトラック530内で長手方向に移動するときの、異なる皮膚センサ長手方向位置及びインデックスリング回転位置におけるシリンジホルダ300、皮膚センサ400、インデックスリング500、及び注入装置解放部材1006を示す。
【0183】
図4Aは、カセット100が使用前の状態にある、初期ロック位置を示す。インデックスリング500上のロックタブ507は、皮膚センサ400上の第1のロック凹部412内に固定され、これにより、シリンジホルダ300に対する皮膚センサ400の長手方向移動を防止する。皮膚センサ400は、初期ロック位置LP1にあり、インデックスリング500は、第1の回転位置R1にある。第1の回転位置は、ロック回転位置とみなすこともできるのは、この回転位置は、皮膚センサ400を、常に長手方向近位位置のうちの1つに長手方向にロックするからである。
【0184】
図4Bは、カセットキャップ700をカセット100から取り外すことができるキャップ解放位置を示す(更なる詳細については図9A~Dの説明を参照。)。図4A図4Bとの間で、注入装置解放部材1006上の自動注射器トラックガイド突出部1008は、注入装置解放部材開口部322を通ってインデックスリングトラック530内に移動し、第1のトラックセクション536内にそれに沿って移動しており、図4Bでは第2のプラトートラックセクション538内にある。これは、インデックスリング500をキャップ解放回転位置Rcrに回転させており、このキャップ解放回転位置Rcrでは、ロックタブ507が第1のロック凹部412から遠位方向に解放され、ロックタブ507が第2のロックタブ415に当接するまで皮膚センサが近位方向に移動することを可能にし、第2のロックタブ415は、第1のロックタブ413より長く、ロックタブ507を、図4Aの第1のロック凹部412の内側に固定する。図4Bは、解放後であるが、皮膚センサ400が初期ロック位置LP1からキャップ取り外し準備完了位置LP2に移動する前の、皮膚センサ400の位置を示す。
【0185】
図4Cでは、皮膚センサ400は、カセットキャップ700を取り外すことができる中間位置LP2の直近に移動している。インデックスリング500は、依然としてキャップ解放回転位置Rcrにあり、ロックタブ507は、第2のロックタブ415に当接し、これにより、カセットキャップの取り外し中に皮膚センサ400が近位方向に更に移動することが確実に防止される。しかしながら、皮膚センサ400は、ユーザによって遠位方向に移動され得る。これは図4Dに示されており、皮膚センサは、長手方向遠位位置LDに押し込まれ、針208は、もはや皮膚センサ400によって覆われておらず、代わりに注入装置部位に挿入されている。第2の半径方向延在部512/ロックタブ507上の第2の近位面514は、皮膚センサ400上の第2の遠位面424に当接し、したがって、皮膚センサ400の更なる遠位方向移動を防止する。
【0186】
図4Dに示すように、皮膚センサ400が長手方向遠位位置LDに押し込まれると、自動注射器トラックガイド突出部1008は、インデックスリングトラック530内で更に近位方向に移動する準備ができている。第3のトラックセクション540に沿って移動するとき、インデックスリング500は、図4Eに示されるように送達回転位置Rdに回転される。自動注射器トラックガイド突出部1008が、インデックスリングトラック530内のこの位置に到達すると、注入装置解放部材1006は、自動注射器1000内のクラッチ1030によってプランジャロッド1018から連結解除される。その結果、プランジャロッド1018は、注入装置解放部材1006が図4Aに示されるような位置に留まっている間に、薬剤送達のための更なる近位方向移動をすることが可能になる。
【0187】
薬剤送達後、ユーザは、皮膚から皮膚センサを取り外し、注入装置皮膚センサピン1024及び皮膚センサばねシステム1026は、皮膚センサが最初に図4Fに示す中間位置LP2に押し込まれ、最後に図4Gに示す最終位置LP3に押し込まれることを確実にする。図4Gに示すように、皮膚センサ400が最終位置LP3にあるとき、プランジャロッド1018は、遠位方向に移動し、薬剤送達中に連結解除されたのと同じ連結点に到達すると、注入装置解放部材1006と再び連結する。プランジャロッド1018及び注入装置解放部材1006は、一緒に遠位方向に移動し、これは、インデックスリング500を送達回転位置Rdから第1の回転位置R1に再び回転させる。インデックスリング500がもう一度第1の回転位置R1にあるとき、皮膚センサ400は、今度は図4Hに示されるように最終位置LP3において長手方向にロックされる。ロックタブ507は、ここで、第2のロックタブ415上の第1の遠位面416に当接する。
【0188】
図4Iは、ロック位置を示し、カセットが図4Cに示されるような構成であったが、何らかの理由で、皮膚センサ400を遠位方向に押すことによって針を注入部位に挿入することによって薬剤送達プロセスを継続することが防止されているとき、ユーザがカセットキャップを取り外した場合に、自動注射器がカセットをそのロック位置に押し込む。これが起きる場合、自動注射器は、所定の期間後に注入装置解放部材1006を遠位方向に移動させるようにプログラムされてもよく、それによって、インデックスリング500は、第1の回転位置R1に回転し、それによって皮膚センサを中間位置LP2にロックし、中間位置LP2では、ロックタブ507は、皮膚センサ400上の第2のロック凹部414内に固定される。カセットキャップ700を取り外すときに針シールド212を取り外した後に注入針208が汚染されている可能性があるので、ユーザがカセット100を自動注射器1000に再び取り付けようと試みる場合、カセット100は、使用済みカセットであるとみなされることとなる。
【0189】
図6A~Iは、注入装置解放部材1006がインデックスリングトラック530内で長手方向に移動するときの異なる長手方向皮膚センサ位置及びインデックスリング回転位置におけるシリンジホルダ300、皮膚センサ400、インデックスリング500、及び注入装置解放部材1006の第2の例を示す。示されている位置は、図4及び図6に示されている例に関して、図A~Iにおいて同じである。すなわち、図6Aは、カセット100が使用前の状態にある初期ロック位置を示し、図6Bは、キャップ解放位置を示し、図6Cは、カセットキャップ700が取り外され得る、中間位置LP2にある皮膚センサを示し、図6Dは、皮膚センサが長手方向遠位位置LDに押し込まれているが、インデックスリングが送達のために完全には回転されていない位置を示し、図6Eは、送達位置を示し、図6Fは、送達後の中間位置を示し、図6Gは、ロック前の最終位置LP3を示し、図6Hは、ロックされた最終位置を示す。図6Iは、ロック位置を示し、カセットが図6Cに示されるような構成であったが、何らかの理由で、皮膚センサ400を遠位方向に押すことによって針を注入部位に挿入することによって薬剤送達プロセスを継続することが防止されているとき、ユーザがカセットキャップを取り外した場合に、自動注射器がカセットをロック位置に押し込む。
【0190】
図4A~Iと図6A~Iとの間の差異は、皮膚センサ400及びインデックスリング500の設計及び形態である。図6A~Iにおいて、インデックスリング500は、第2の長手方向延在部518を有し、長手方向延在部516、518及び半径方向延在部512、522が長方形を形成する。第1の長手方向延在部506上の長方形の内側には、第1の凹部508及び第2の凹部510がある。これらの凹部は、皮膚センサ400上の突出タブ408を収容するように構成される。図6Aに示されるような初期ロック位置LP1において、突出タブ408は、第1の凹部508内に収容される。皮膚センサ400が中間位置LP2にあるとき、突出タブ408は、インデックスリングが図6Iに示されるように第1の回転位置に回転される場合には第2の凹部510内にあるか、又は第2の凹部510の上方にあるが、第2の半径方向延在部512の第2の遠位面516によって近位方向に支持され、それによって図6Cに示されるように、キャップ取り外し中の更なる近位方向移動を防止する。薬剤の送達が行われるとき、インデックスリング500は、突出タブ408が第2の半径方向延在部512内の開口部513と位置合わせされるように回転され、皮膚センサ400が注入部位から除去されるとき、突出タブ408は、第2の半径方向延在部512内の開口部513を通って最も近位側の位置、すなわち、最終位置LP3まで通過することが可能になる。この位置合わせを図6E~Gに示す。インデックスリング500が回転して第1の回転位置R1に戻ると、突出タブ408は、第2の半径方向延在部512の第2の近位面514に当接し、図6Hに示すように、薬剤送達後の針208の露出を防止する。
【0191】
図7及び図8は、カセットの第3の例を示し、図7A~Bは、シリンジホルダ300、皮膚センサ400、インデックスリング500を示し、図7Cは、カセットハウジング600を示し、図8A~Gは、注入装置解放部材1006がインデックスリングトラック530内で長手方向に移動するときの、異なる長手方向皮膚センサ位置及びインデックスリング回転位置での、シリンジホルダ300、皮膚センサ400、インデックスリング500、及び注入装置解放部材1006を示し、図8H~Iは、カセットハウジング600及び皮膚センサ400の断面図を示し、非ロック位置にある皮膚センサ400(図8H)及び最終位置LP3にある皮膚センサ400(図8I)を示す。
【0192】
図4A~I及び図6A~Iと図7A~C及び図8A~Iとの間の差異は、皮膚センサ400及びインデックスリング500の設計及び形態、注射器1000内の解放部材1006の形状、並びに最終ロック位置LP3における皮膚センサ400のロックである。第3の例では、トラック530は、第1の長手方向延在部506上に位置付けられ、第1の長手方向延在部506は、管状インデックス部520の外側に取り付けられる。トラック530は、オープントラックである。長手方向延在部506の内面上には、第1の凹部508’、第2の凹部510’、及び第1の凹部508’から遠位方向に延在するインデックスリングランプ509がある。皮膚センサ400は、突出タブ408を有し、これは、図8Aに示すように、使用(us)前に第1の凹部508’内に拘束される。図8Bに示すように、インデックスリング500がキャップ解放回転位置Rcrの位置に回転された後、皮膚センサ400は、図8Cに示すキャップ取り外し位置に移動する。カセットキャップ700及び針シールド212は、図8Cに示すように取り外すことができる。図8Cに示す位置では、突出タブ408は、第2の半径方向延在部512の第2の遠位面516に対して載置されている。注入部位における針の挿入のためのユーザによる皮膚センサ400の遠位方向移動の間、インデックスリング500は、図8Dに示されるように送達回転位置Rdに回転される。したがって、図7A~B及び図8A~Gに示す第3の例では、解放部材1006は、インデックスリングをキャップ解放回転位置Rcrから送達回転位置Rdに回転させる物品ではなく、代わりに、突出タブ408がインデックスリングランプ509と接触し、それによってインデックスリング500を回転させる。図8Eに示すように、薬剤送達中、解放部材1006は、カセット100内に更に移動する。薬剤送達の終了後、皮膚センサ400は、注射器1000内の皮膚センサピンばねシステム1024、1026からのばね力によって最終位置LP3に移動する。これを図8Fに示す。図8Gに示される位置では、皮膚センサ400は、最終ロック位置にある。最終ロック位置LP3では、皮膚センサ400は、カセット及び自動注射器の前述の実施例で説明されるように、ばねシステムによって近位方向に押され、カセットハウジング600内のロック位置にロックされる。ロックは、図8Iに示されるように、カセットハウジング600内の皮膚センサロック開口部614内に嵌合する、皮膚センサ400上のカセットハウジングロック突出部428によって得られる。図8Hに示す位置では、皮膚センサ400は、非ロック位置にある。カセットハウジング600内の皮膚センサロック開口部614は、図7Cにおいて最も明確に見える。
【0193】
図7Aでは、シリンジホルダ300内でのシリンジ200の代替的な固定も示されており、2つの可撓性シリンジ固定タブ320が開位置から閉位置に移動して、シリンジホルダ300内でシリンジ200を固定する。
【0194】
図9A~Dは、カセット100からのカセットキャップ600の取り外しを示す。カセットキャップ700は、カセットキャップ700の近位端702から遠位方向に延在するロックキャップ部706を有する。使用前に、1つ以上のロックキャップ部分706のそれぞれの上のカセットキャップロック突出部708は、カセットハウジング600の近位端602で半径方向内向きに延在するキャップ保持部分608によってカセットハウジング600の内側に固定される。皮膚センサ400の近位端402において、皮膚センサ400は、ランプ410と、ランプ410の遠位側に位置付けられた凹部406と、を有する。ランプ410は、通常、突出タブ408を形成する。ロック部706のそれぞれの上のカセットキャップロック突出部の内向き延在部709は、皮膚センサ400の凹部406とキャップ保持部608との間に固定され、近位側突出ランプ部410に更に当接して、図9Aに示すように、使用前のカセットキャップ600の近位方向移動を防止する。これは、カセットキャップ700をカセット100にロックし、カセット100が自動注射器1000の内側に組み立てられる前に、カセットキャップ700がカセット100から取り外されることを防止する。
【0195】
キャップロック部706及び/又は1つ以上のキャップロック部706のそれぞれの上のカセットキャップロック突出部708は、可撓性を有する。初期ロック位置LP1から中間位置LP2への皮膚センサ400の近位方向移動時に、キャップロック部706及び/又はロック部706上のカセットキャップロック突出部708は、最初に皮膚センサ400の凹部406内でわずかに半径方向内向きに曲がり、それによって、カセットキャップロック突出部708がキャップ保持部608を近位方向に通過することを可能にする。皮膚センサ400が初期ロック位置LP1から中間位置LP2に移動されるとき、遠位ロック端部708は、それによって、図9Bに示されるようにカセットハウジング600の外側に移動する。ロック部706及び/又はロック部706上のカセットキャップロック突出部708は、屈曲するように構成されるため、ユーザがカセットキャップ700をカセット100から除去すると、ロック部706及び/又はロック部706上のカセットキャップロック突出部708は、ここで、半径方向外向きに屈曲し、ランプ410を上方に摺動する。これを図9Cに示す。針シールド212を内側に有するカセットキャップ700は、使用後に皮膚センサ400上に位置付けられて、使用済み針へのアクセスを防止する追加の安全性を提供してもよい。これを図9Dに示す。カセットキャップ700は、再びカセット100に取り外し不能に接続されるのではなく、ユーザによって再び引き出されない限り、その位置に留まることとなる。
【0196】
図10A~D及び図11A~Dは、注射器1000におけるクラッチの連結及び連結解除を示し、図12A~Bは、クラッチ1030を詳細に示し、図12C~Dは、近位側シャーシ部1070を詳細に示す。
【0197】
クラッチ1030は、プランジャロッド1018の周囲に解放部材1006の隣に位置付けられ、図10A~B及び図11A~Bに示される第1のクラッチ位置において、プランジャロッド1018及び解放部材1006が長手方向に連結され、一緒に近位方向に移動する。クラッチ1030は、2つのクラッチタブ1032を有する管状クラッチであり、クラッチタブ1032のそれぞれは、第1の回転面1034及び第2の回転面1036を有する。近位側シャーシ部1070は、小さい遠位方向延在部1075のそれぞれの上に、第1の連結面1072及び第2の連結面1073を有するクラッチ連結部1071を有する。
【0198】
クラッチ1030上の第2の回転面1036がクラッチ連結部1071上の第2の連結面1073と接触すると、クラッチは、図10C~D及び図11C~Dに示すように、第1のクラッチ位置から第2のクラッチ位置へと回転する。第2のクラッチ位置では、プランジャロッド1018は、解放部材1006から連結解除され、解放部材1006が長手方向に静止している間にプランジャロッド1018が長手方向に移動することを可能にする。クラッチ上の第2の回転面1036がクラッチ連結部1071上の第2の連結面1073と接触していないとき、クラッチは、第1のクラッチ位置にある。クラッチ1030は、第2の回転面1036が第2の連結面1073と接触する前に解放部材1006と共に近位方向に移動し、第2の回転面1036が第2の連結面1073と接触すると軸線周りを回転し、それによって第1のクラッチ位置から第2のクラッチ位置に移動する。
【0199】
クラッチ連結部1071はまた、クラッチ停止面1074を含み、クラッチ停止面1074は、クラッチ1030が第2のクラッチ位置にあるときにクラッチ1030に当接して、クラッチ1030及びクラッチ1030の遠位側に位置付けられた解放部材1006がプランジャロッド1018と共に近位方向に移動することを防止する。
【0200】
プランジャロッド1018は、停止クラッチタブ1019を含み、停止クラッチタブ1019の遠位面は、クラッチ1030が図10A~B及び図11A~Bに示されるように第1のクラッチ位置にあるとき、解放部材1006の近位面に当接している。停止クラッチタブ1019は、薬剤送達後のプランジャロッド1018の遠位方向移動時にクラッチ1030を第2のクラッチ位置から第1のクラッチ位置に回転させ、停止クラッチタブ1019の遠位面を部材1006の近位面と再び接触させる。
【0201】
クラッチ1030は、プランジャロッド1018が薬剤送達後に遠位方向に移動するとき、第1のクラッチ位置から第2のクラッチ位置に移動するように構成されてもよい。クラッチ1030は、使用前には第1のクラッチ位置にあり、通常、インデックスリング500もまた1つ以上の解放部材1006の近位方向移動によって送達回転位置Rdに回転されると、第2のクラッチ位置に移動する。
【0202】
カセット100及び自動注射器1000を組み立てるとき、カセット100は、最初に自動注射器1000内に装填される。カセット100を自動注射器1000に装填すると、カセットハウジング600の遠位端604にあるカセット固定タブ612は、注入装置ハウジング1040内の対応するカセット固定開口部1028の後ろにスナップ留めされる。解放部材1006の前方移動によって、カセット固定タブ612は、偏向することを防止され、更に注入装置ハウジング1040内のカセット固定開口部1028から出ることを防止され、それによって、カセット100を自動注射器1000にロックする。カセット100は、ここで、自動注射器1000の内側にしっかりとロックされる。カセット解放部材1006が再び遠位方向移動すると、カセット100は、ロック解除される。ロックのプロセスは、図13A~Eに示され、図13A~Cは、カセットが注射器1000に挿入され、スナップ嵌合接続状態に係合していることを示す。図13D~Eは、カセット100内へ解放部材1006が移動し、それによってカセット100を注射器1000にロックすることを示す。したがって、注射器は、カセットが注射器に挿入されるとき、カセット100上の対応する1つ以上のカセット固定タブ612とスナップ嵌合接続で係合するように構成された1つ以上のカセット相互作用部1086を備え、解放部材1006の近位方向移動は、スナップ嵌合接続の係合解除を防止し、それによってカセットを自動注射器の内側に固定する。図13A~Eに示されるロック機構は、代替的に、90度回転された同様のロックで置換され得る。
【0203】
図14A~Eは、カセット100の上述の例のいずれかと共に使用するのに好適なシリンジホルダ300の一例を示す。図15A~Dは、図14A~Eのシリンジホルダ300を、シリンジ200がシリンジホルダ300内に位置付けられた状態で示す。シリンジホルダ300は、図1A~Bに示すように、近位端302から遠位端304まで長手方向Lに延在する。シリンジホルダ300は、シリンジ200を受容するためのシリンジホルダ管状部310と、先の例に示されたものと比較してわずかに異なる形状を有するシリンジホルダ蓋330と、を含む。
【0204】
ホルダ蓋330は、内面340を有する実質的にC字型の蓋部336を有する。C字型の蓋部336は、開いた円又は周囲に切開開口部337を有する円と呼ぶこともできる。切開開口部337は、完全な円形円周の少なくとも10%、例えば、少なくとも20%、例えば、少なくとも30%の領域に及んでもよい。実質的にC字型の蓋部336は、シリンジホルダ管状部310の遠位端にヒンジ式に接続される。ヒンジ式に接続されるとは、実質的にC字型の蓋部336が、図14C~E及び図15A~Dと比較して図14Aに示されるように少なくとも2つの位置にあり得ることを意味する。
【0205】
図14Aでは、シリンジホルダ蓋330は、開位置にあり、シリンジホルダ管状部310の遠位端の開口部315を通してシリンジ200をシリンジホルダ300内に位置付けることができる。
【0206】
図14C~E及び図15A~Dでは、シリンジホルダ蓋330は、閉位置にあり、シリンジホルダ蓋330は、シリンジ200がシリンジホルダ管状部310の遠位端の開口部を通ってシリンジホルダ300から出ることを防止する。これは、図15A~Dにも見られる。
【0207】
複数の蓋ロックタブ334は、実質的にC字型の蓋部336から半径方向外向きに延在する。これらのロックタブ334は、図14B~Eに示すように、実質的にC字型の蓋部336が閉位置にあるとき、シリンジホルダ管状部310内の対応するシリンジホルダ蓋ロック開口部318内に位置付けられる。通常、複数の蓋ロックタブ334のそれぞれは、シリンジホルダ蓋ロック開口部318のうちの別個の1つに嵌合する。
【0208】
図14Aに最も明確に見られる実質的にC字型の蓋部336の内面340は、シリンジ200がシリンジホルダ300内に位置付けられたとき、シリンジ200に向かうように配向される。複数の支持蓋部338は、内面340から延在している。図14図15に示す例では、4つの支持蓋部338があるが、これよりも多くても少なくてもよい。内面340の表面積全体と比較して、支持蓋部338は、50%未満、例えば、40%未満、例えば、30%未満、例えば、20%未満、例えば、10%未満の領域を覆う。シリンジが接触し得る表面上に破断表面構造を有することは、ユーザがシリンジ200を近位方向から不均一に押した場合に、支持蓋部338の全てがシリンジと接触することにはならないことを確実にする。これにより、押圧力が実質的にC字型の蓋部336全体には伝達されないということが保証される。ユーザが、ロックタブ334のうちの1つがシリンジホルダ蓋ロック開口部318から押し出されるほど強くシリンジ200を押すことに万一成功した場合、他のロックタブ334が定位置に留まることとなる変化が増大し、それによって、シリンジ200がシリンジホルダの遠位端から押し出されることを防止する安全性が増加する。
【0209】
図15A~Dに示すように、シリンジ200がシリンジホルダ管状部310内に正確に位置付けられているとき、シリンジ200は、シリンジホルダ蓋330と直接には接触していない。シリンジ200は、使用中に遠位方向に押された場合にのみシリンジホルダ蓋330と接触する。したがって、シリンジホルダ蓋330は、安全機能を有し、シリンジ固定機能又はシリンジ保持機能を有さない。図15Cでは、シリンジ200の遠位端204、すなわちシリンジフランジと支持蓋部338との間にある、空の空間が最も明確に見られる。
【0210】
実質的にC字型の蓋部336はまた、実質的にC字型の蓋部を2つの蓋セクションに分割する貫通チャネル342を有する。チャネル342は、C字型の蓋部336を2つの完全に別個の部分に分割しないが、その代わりに、2つのセクションは、シリンジホルダ管状部310の遠位端へのヒンジ式接続もまた形成するブリッジ部分344によって接続される。これは、図14A~Cに最も明確に見られる。第1の蓋セクション及び第2の蓋セクションは、長手方向軸線に沿って互いに対して少なくとも部分的に変位可能である。これは、一方のセクションが、他方のセクションを同じ範囲に移動させることなく、遠位方向又は近位方向にねじられるか又は押し動かされてもよいことを意味する。実質的にC字型の蓋部336の可撓性は、ユーザがシリンジ200を近位方向から不均一に押した場合、力が実質的にC字型の蓋部336の周りに容易に伝達されないので、実質的にC字型の蓋部336の一部のみが影響を受けることを更に確実にする。
【符号の説明】
【0211】
100 カセット
102 カセットの近位端
104 カセットの遠位端
200 シリンジ
202 シリンジの近位端/シリンジ区画の近位端
204 シリンジの遠位端/シリンジ区画の遠位端
206 シリンジ区画
208 中空針/シリンジ出口
210 ストッパ
212 針シールド/RNS
214 針シールドの内側部分
216 針シールドの外側部分
218 シリンジフランジ
220 シリンジ肩部
250 シリンジスリーブ
252 シリンジスリーブの近位端
254 シリンジスリーブの遠位端
256 シリンジスリーブの内向きに突出する支持面
258 C字型の長手方向取り付け開口部
260 遠位側シリンジスリーブ支持面
300 シリンジホルダ
302 シリンジホルダの近位端
304 シリンジホルダの遠位端
306 シリンジホルダの近位開口部
308 シリンジ支持面
310 シリンジホルダ管状部
312 シリンジホルダ管状部検査用開口部
314 遠位管状リング部
315 シリンジホルダの遠位端の開口部
316 近位インデックスリング支持面
318 シリンジホルダ蓋ロック開口部
320 シリンジホルダの遠位端におけるシリンジ固定可撓性タブ
322 注入解除部材開口部
330 シリンジホルダ蓋
332 シリンジホルダ蓋開口部
334 蓋ロックタブ
336 C字型の蓋部
337 C字型の蓋部の開口部
338 支持蓋部
340 C字型の蓋部の内面
342 C字型の蓋部チャネル
344 ブリッジ部
400 皮膚センサ
402 皮膚センサの近位端
404 皮膚センサの遠位端
405 皮膚センサの遠位皮膚接触面
406 近位凹部
408 突出タブ
410 近位突出ランプ
412 皮膚センサ上の第1のロック凹部
413 第1のロックタブ
414 皮膚センサ上の第2のロック凹部
415 第2のロックタブ
416 第1の遠位面
418 第1の近位面
420 管状皮膚センサ部
422 カセット皮膚センサピン
424 第2の遠位面
426 皮膚センサの検査開口部
428 カセットハウジングロック突出部
500 インデックスリング
502 インデックスリングの近位端
504 インデックスリングの遠位端
506 第1の長手方向延在部
507 ロックタブ
508、508’ インデックスリング上の第1の凹部
509 インデックスリングランプ
510、510’ インデックスリング上の第2の凹部
512 第2の半径方向延在部
513 第2の半径方向延在部の開口部
514 第2の半径方向延在部の第2の近位面
516、516’ 第2の半径方向延在部の第2の遠位面
518 第2の長手方向延在部
520 管状インデックスリング部
522 第1の半径方向延在部
524 第1の半径方向延在部の第1の近位面
526 第1の半径方向延在部の第1の遠位面
528 第1の半径方向延在部の第1の表面領域
530 第1の半径方向延在部内のトラック
532 第1の半径方向延在部の第1の角部
534 第1の半径方向延在部の第2の角部
536 トラックの第1のセクション
538 トラックの第2のセクション
540 トラックの第3のセクション
542 トラックの第1の中間点
544 トラックの第2の中間点
600 カセットハウジング
602 カセットハウジングの近位端
604 カセットハウジングの遠位端
606 カセットハウジングの遠位端の開口部
608 キャップ保持部
610 検査開口部
612 カセット固定タブ
614 皮膚センサロック開口部
700 カセットキャップ
702 カセットキャップの近位端
704 カセットキャップの遠位端
706 キャップロック部
708 カセットキャップトラックガイド突出部/カセットキャップロック突出部
709 カセットキャップロック突出部の内向き延在部
710 第2の遠位方向延在部/管状キャップ部
712 把持部
714 内側カセットキャップ部
716 外側カセットキャップ部
800 カセットハウジングカバー
1000 自動注射器(自動注入装置)
1002 自動注射器の近位端
1004 自動注射器の遠位端
1006 解放部材
1007 解放部材ピン
1008 トラックガイド突出部
1010 解放部材ブリッジ
1012 プランジャロッド開口部
1014 ねじ山付きロッド
1016 モータ及びねじ山付きロッドのコネクタ
1018 プランジャロッド
1019 停止クラッチタブ
1020 第1のプランジャロッドプラグ部
1022 ストッパに係合する第2のプランジャロッドプラグ部
1024 注入装置皮膚センサピン
1026 皮膚センサばねシステム
1028 カセット当接面における皮膚センサピン開口部
1030 クラッチ
1032 クラッチタブ
1034 クラッチタブ上の第1の回転面
1036 クラッチタブ上の第2の回転面
1040 注入装置ハウジング
1042 カセット当接面
1043 カセット当接面における解放部材開口部
1044 遠位ハウジングセクション
1046 カセットカバーセクション
1048 第1のユーザインターフェースハウジング部
1049 保護箔
1050 LED窓フレーム
1052 作動ボタン
1054 プリント回路基板(PCB)
1055 RCTバッテリ
1056 バッテリ
1057 接着剤
1058 ライトボックスプレースホルダ
1060 ライトガイドプレースホルダ
1062 PCBプレースホルダ
1064 LED付きLEDプレースホルダ
1066 内容物管理システム(CMS)
1068 USBガスケット
1070 近位側シャーシ部
1071 クラッチ連結部
1072 クラッチ連結部の第1の連結面
1073 クラッチ連結部の第2の連結面
1074 クラッチ連結部のクラッチ停止面
1076 モータ
1077 モータフランジ
1078 モータ歯車
1079 ねじ
1080 カセット検出ピン
1081 カセット当接面におけるカセット検出ピン開口部
1082 カセット検出ばね
1084 カセット検出ホルダ
1086 注入装置ハウジング内のカセットロックタブ
1088 カセット上のRFIDチップを検出するためのNFCアンテナ
1090 ハウジングに接続する遠位端部
1092 軸受
1094 中間シャーシ部
1095 遠位側シャーシ部
L 長手方向
LD 長手方向遠位位置/送達位置
LP 長手方向近位位置
LP1 初期ロック位置
LP2 中間位置/キャップ取り外し準備完了位置
LP3 最終ロック位置
R1 第1の回転位置/ロック回転位置
R2 第2の回転位置
Rcr キャップ解放回転位置
Rd 送達回転位置
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図4I
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図6H
図6I
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図8G
図8H
図8I
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図10C
図10D
図11A
図11B
図11C
図11D
図12A
図12B
図12C
図12D
図13A
図13B
図13C
図13D
図13E
図14A
図14B
図14C
図14D
図14E
図15A
図15B
図15C
図15D
【手続補正書】
【提出日】2024-03-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤を投与するための自動注射器において使用するためのカセットであって、該カセットは、近位端(102)から遠位端(104)まで長手方向(L)に延在し、前記カセット(100)は、
●薬剤を収容するシリンジ(200)を受容するためのシリンジホルダ(300)と、
●複数の長手方向位置の間で前記シリンジホルダ(300)に対して長手方向に移動可能な皮膚センサ(400)であって、複数の長手方向位置は、少なくとも、
○長手方向近位位置(LP)、及び
○長手方向遠位位置(LD)、を含む、皮膚センサ(400)と、
●複数の回転位置の間で前記皮膚センサ(400)に対して回転可能なインデックスリング(500)であって、複数の回転位置は、少なくとも、
○前記皮膚センサ(400)が遠位方向に移動することを防止する第1の回転位置(R1)、及び
○前記皮膚センサ(400)が長手方向遠位位置と長手方向近位位置(LP)との間で移動可能である第2の回転位置(R2)、を含む、インデックスリング(500)と、を備え、
該インデックスリング(500)の回転位置は、前記カセット(100)が自動注射器(1000)内に固定されているとき、該自動注射器内の1つ以上の解放部材(1006)によって制御されるように構成される、カセット。
【請求項2】
前記皮膚センサ(400)が長手方向近位位置(LP)にあり、前記インデックスリングが第1の回転位置にあるとき、前記皮膚センサ(400)は、前記インデックスリングによって、長手方向近位位置(LP)から遠位方向に移動することが防止される、請求項1に記載のカセット。
【請求項3】
使用前に、前記インデックスリングは、第1の回転位置(R1)にあり、前記皮膚センサ(400)は、初期ロック位置(LP1)において、前記シリンジホルダ(300)に対してロックされている、請求項1に記載のカセット。
【請求項4】
前記インデックスリング(500)が第2の回転位置(R2)にあるとき、前記皮膚センサ(400)は、前記インデックスリング(500)に対して長手方向に移動可能である、請求項1に記載のカセット。
【請求項5】
前記インデックスリングが第2の回転位置(R2)にあるとき、前記皮膚センサ(400)は、ロック解除され、前記シリンジホルダ(300)に対して近位方向及び/又は遠位方向に移動可能である、請求項1に記載のカセット。
【請求項6】
前記インデックスリングは、管状皮膚センサ部(420)の周りに延在する管状インデックスリング部(520)を含む、請求項1に記載のカセット。
【請求項7】
前記インデックスリングは、前記シリンジホルダ(300)の周りに延在する管状インデックスリング部(520)を含む、請求項1に記載のカセット。
【請求項8】
前記皮膚センサ(400)は、該皮膚センサ(400)の外面上に突出タブ(408)を含み、前記インデックスリング(500)は、使用前に前記突出タブ(408)が拘束される第1の凹部(508、508’)を有する第1の長手方向延在部(506)を含む、請求項1に記載のカセット。
【請求項9】
前記インデックスリング(500)は、ロックタブ(507)を含み、前記皮膚センサ(400)は、使用前に前記ロックタブ(507)が拘束される第1のロック凹部(412)を含む、請求項1に記載のカセット。
【請求項10】
前記インデックスリング(500)は、前記カセット(100)が自動注射器(1000)に挿入され、該自動注射器に含まれる解放部材(1006)が前記カセット(100)内へと近位方向に移動して前記インデックスリング(500)と接触するとき、複数の回転位置の間で移動するように構成される、請求項1に記載のカセット。
【請求項11】
前記インデックスリングは、第1の角部(532)から第2の角部(534)まで延在するトラック(530)を含み、前記インデックスリング(500)は、前記カセット(100)が自動注射器(1000)に挿入され、該自動注射器に含まれる解放部材(1006)が前記トラック(530)の内側で近位方向に移動するとき、第1の回転位置(R1)から第2の回転位置(R2)まで回転するように構成される、請求項1に記載のカセット。
【請求項12】
前記インデックスリングは、第1の近位面(524)と第1の遠位面(526)との間に延在する第1の表面領域(528)を有する第1の半径方向延在部(522)を含み、前記トラック(530)は、第1の表面領域(528)上に位置付けられる、請求項11に記載のカセット。
【請求項13】
前記トラック(530)は、第1の長手方向延在部(506)上に位置付けられる、請求項11に記載のカセット。
【請求項14】
前記インデックスリングは、自動注射器に含まれる解放部材(1006)が前記トラック(530)の内側で遠位方向に移動するとき、第1の回転位置まで回転するように構成される、請求項11に記載のカセット。
【請求項15】
第1の半径方向延在部(522)は、前記管状インデックスリング部(520)の一部である、請求項12に記載のカセット。
【請求項16】
前記トラック(530)は、第1の角部(532)から第2の角部(534)に向かって角度方向に延在し、該角度方向は、前記カセットの長手方向に対して20~70度、例えば、30~60度、例えば、35~55度、例えば、40~50度、例えば、およそ45度である、請求項11に記載のカセット。
【請求項17】
前記トラック(530)は、第1のトラックセクション(536)、第2のトラックセクション(538)、及び第3のトラックセクション(540)を含み、
○前記第1のトラックセクション(536)は、第1の角部(532)から第1の中間点(542)に向かって第1の角度方向に延在し、
○前記第2のトラックセクション(538)は、前記カセットの長手方向に沿って第1の中間点(542)から第2の中間点(544)まで第2の角度方向に延在し、
○前記第3のトラックセクション(540)は、第2の中間点(544)から第2の角部(534)に向かって第3の角度方向に延在し、
第1の角度方向及び/又は第3の角度方向は、前記カセットの長手方向に対して20~70度、例えば、30~60度、例えば、35~55度、例えば、40~50度、例えば、およそ45度であり、
第2の角度方向は、前記カセットの長手方向に対して-20~20度、例えば、-10~10度、例えば、およそ約0度である、請求項16に記載のカセット。
【請求項18】
使用前に、前記皮膚センサ(400)は、初期ロック位置(LP1)にロックされ、使用後に、前記皮膚センサは、最終ロック位置(LP3)にあり、初期ロック位置(LP1)は、最終ロック位置(LP3)と長手方向遠位位置(LD)との間に位置付けられる、請求項1に記載のカセット。
【請求項19】
前記皮膚センサ(400)は、該皮膚センサ(400)の外面上に突出タブ(408)を含み、前記インデックスリング(500)は、使用前に前記突出タブ(408)が拘束される第1の凹部(508、508’)を有する第1の長手方向延在部(506)を含む、請求項1に記載のカセット。
【請求項20】
前記インデックスリング(500)は、ロックタブ(507)を含み、前記皮膚センサ(400)は、使用前に前記ロックタブ(507)が拘束される第1のロック凹部(412)を含む、請求項1に記載のカセット。
【請求項21】
第1の長手方向延在部(506)は、第1の半径方向延在部(522)上の第1の近位面(524)から近位方向に延在する、請求項19に記載のカセット。
【請求項22】
前記突出タブ(408)は、前記皮膚センサ(400)が長手方向遠位位置(LD)にあるとき、第1の近位面(524)に当接し、それによって前記シリンジホルダ(300)に対する前記皮膚センサ(500)の遠位方向移動を防止する、請求項19に記載のカセット。
【請求項23】
前記皮膚センサ(400)は、第2の遠位面(424)を含み、該第2の遠位面(424)は、前記皮膚センサ(500)が長手方向遠位位置(LD)にあるとき、第2の半径方向延在部(512)の第2の近位面(514)に当接し、それによって前記シリンジホルダ(300)に対する皮膚センサ(500)の遠位方向移動を防止する、請求項19に記載のカセット。
【請求項24】
前記インデックスリング(500)は、第2の近位面(514)及び第2の遠位面(516、516’)を有する第2の半径方向延在部(512)を更に含む、請求項19に記載のカセット。
【請求項25】
前記突出タブ(408)は、前記皮膚センサが最終ロック位置(LP3)にあり、前記インデックスリング(500)が第1の回転位置(R1)にあるとき、第2の近位面(514)に当接し、それによって前記シリンジホルダに対する皮膚センサの遠位方向移動を防止する、請求項24に記載のカセット。
【請求項26】
遠位面(416)は、前記皮膚センサが最終ロック位置(LP3)にあり、前記インデックスリング(500)が第1の回転位置(R1)にあるとき、第2の近位面(514)に当接し、それによって前記シリンジホルダに対する皮膚センサの遠位方向移動を防止する、請求項24に記載のカセット。
【請求項27】
第2の半径方向延在部(512)は、第1の長手方向延在部(506)の近位端に接続される、請求項24に記載のカセット。
【請求項28】
前記インデックスリング(500)は、第2の長手方向延在部(518)を含み、該第2の長手方向延在部(518)は、前記第1の半径方向延在部(522)の第1の近位面(524)から延在し、前記第2の長手方向延在部(518)の近位端において前記第2の半径方向延在部(512)に接続される、請求項24に記載のカセット。
【請求項29】
前記インデックスリング(500)は、第1の回転位置(R1)と送達回転位置(Rd)との間に位置するキャップ解放回転位置(Rcr)に回転されるように構成され、該キャップ解放回転位置(Rcr)において、前記皮膚センサは、長手方向遠位位置(LD)と中間位置(LP2)との間で移動可能であり、該中間位置(LP2)は、最終ロック位置(LP3)と初期ロック位置(LP1)との間に位置付けられる、請求項18に記載のカセット。
【請求項30】
前記インデックスリング(500)は、前記自動注射器に含まれるトラックガイド突出部(1008)が前記第2のトラックセクション(538)内にあるとき、キャップ解放回転位置(Rcr)にある、請求項29に記載のカセット。
【請求項31】
前記インデックスリングがキャップ解放回転位置(Rcr)にあるとき、前記皮膚センサ(400)は、中間位置(LP2)から最終ロック位置(LP3)に移動することが防止される、請求項29に記載のカセット。
【請求項32】
前記インデックスリングがキャップ解放回転位置(Rcr)にあり、前記皮膚センサ(400)が中間位置(LP2)にあるとき、前記突出タブ(408)は、前記インデックスリング上の第2の遠位面(516、516’)に当接する、請求項29に記載のカセット。
【請求項33】
前記インデックスリングがキャップ解放回転位置(Rcr)にあり、前記皮膚センサ(400)が中間位置(LP2)にあるとき、前記インデックスリング(500)上の前記ロックタブ(507)は、前記皮膚センサ(400)上の第2のロックタブ(415)に当接する、請求項29に記載のカセット。
【請求項34】
前記皮膚センサ(400)は、前記インデックスリングが、
●キャップ解放回転位置(Rcr)にあるか、又は
●キャップ解放回転位置(Rcr)と送達回転位置(Rd)との間にあるか、又は
●送達回転位置(Rd)にあるとき、ユーザが前記皮膚センサ(400)を注入部位に対して押すことによって、長手方向遠位位置(LD)に移動されるように構成される、請求項29に記載のカセット。
【請求項35】
前記カセットは、シリンジ(200)であって、
●薬剤を収容するシリンジ区画(202)と、
●該シリンジ区画の近位端(202)における出口(204)と、
●前記シリンジ区画内に位置付けられたストッパ(210)であって、該ストッパは、前記出口を通って前記シリンジ区画内の薬剤を空にするために、前記シリンジ区画の遠位端(204)から前記シリンジ区画の近位端に向かって移動可能である、ストッパ(210)と、を有する、シリンジ(200)、を更に備え、
前記皮膚センサ(400)が最終ロック位置(LP3)にあり、前記インデックスリング(500)が第1の回転位置(R1)にあるとき、前記皮膚センサ(400)は、シリンジ出口(204)を覆い、
前記皮膚センサ(400)が長手方向遠位位置(LD)にあり、前記インデックスリング(500)が第2の回転位置(R2)にあるとき、シリンジ出口(204)は、露出されている、請求項18に記載のカセット。
【請求項36】
前記皮膚センサ(400)が長手方向遠位位置(LD)にあり、前記インデックスリングが送達回転位置(Rd)にあるとき、自動注射器により誘発されるシリンジ区画(206)内での、ストッパ(210)の近位方向移動によって薬剤を送達することができる、請求項35に記載のカセット。
【請求項37】
第1の長手方向延在部(506)は、前記皮膚センサが中間位置(LP2)にあり、前記インデックスリングが第1の回転位置(R1)にあるとき、前記突出タブ(408)が拘束される第2の凹部(510、510’)を含む、請求項29に記載のカセット。
【請求項38】
前記第1の長手方向延在部(506)上の突出タブ(507)は、前記皮膚センサが中間位置(LP2)にあり、前記インデックスリングが第1の回転位置(R1)にあるとき、前記皮膚センサ上の第2のロック凹部(414)内に拘束される、請求項29に記載のカセット。
【請求項39】
前記インデックスリング(500)は、前記シリンジホルダ(300)に対して長手方向にロックされる、請求項1に記載のカセット。
【請求項40】
前記皮膚センサ(400)及び前記シリンジホルダ(300)は、回転についてロックされる、請求項1に記載のカセット。
【請求項41】
前記カセットは、カセットハウジング(600)と、該カセットハウジング(600)の近位端(602)に位置付けられた取り外し可能なカセットキャップ(700)と、を更に備え、前記カセットハウジング(600)は、少なくとも使用前に、前記シリンジホルダ(300)と、該シリンジホルダ(300)内に位置付けられたときのシリンジ(200)と、皮膚センサ(400)と、インデックスリング(500)と、を少なくとも部分的に取り囲む、請求項1に記載のカセット。
【請求項42】
前記カセットキャップ(700)は、該カセットキャップ(700)の近位端(702)から遠位方向に延在する1つ以上のキャップロック部(706)を含み、使用前に、1つ以上のキャップロック部(706)のそれぞれの上のカセットキャップロック突出部(708)は、前記カセットハウジング(600)の内側に固定される、請求項41に記載のカセット。
【請求項43】
前記皮膚センサ(400)は、
●該皮膚センサ(400)の近位端に凹部(406)及びランプ(410)を含み、前記凹部(406)は、前記ランプ(410)の遠位方向に位置付けられ、
●前記カセットハウジング(600)は、該カセットハウジング(600)の近位端(602)において半径方向内向きに延在するキャップ保持部(608)を含み、
前記カセットキャップ(700)を取り外す前に、1つ以上のキャップロック部(706)のそれぞれの上におけるカセットキャップロック突出部(708)の内向きに延在する部分(709)は、前記皮膚センサの前記凹部(406)とキャップ保持部(608)との間に固定され、前記近位突出部(410)に更に当接して、前記カセットキャップ(600)の近位方向移動を防止する、請求項42に記載のカセット。
【請求項44】
初期ロック位置(LP1)から中間位置(LP2)への前記皮膚センサの近位方向移動時に、前記カセットキャップロック突出部(708)は、前記カセットハウジング(600)の外側の位置に移動され、前記皮膚センサが中間位置(LP2)にあるとき、前記カセットキャップ(700)の取り外しが可能である、請求項42に記載のカセット。
【請求項45】
前記シリンジ(200)は、使用前にシリンジ出口(208)を覆う取り外し可能な針シールド(212)を含み、前記カセットキャップは、前記針シールド(212)の周りに延在して前記針シールド(212)を把持し、それによって前記カセットキャップ(700)がカセットハウジング(600)から取り外されるときに前記針シールド(212)を取り外す第2の遠位方向延在部(710)を含む、請求項41に記載のカセット。
【請求項46】
前記シリンジ出口は、中空針である、請求項35に記載のカセット。
【国際調査報告】