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特表2024-527575アイウェア上の視覚刺激に対する身体反応を検出するためのシステム、並びにそのシステム及びアイウェアのための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-25
(54)【発明の名称】アイウェア上の視覚刺激に対する身体反応を検出するためのシステム、並びにそのシステム及びアイウェアのための方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/08 20060101AFI20240718BHJP
   A61B 5/107 20060101ALI20240718BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20240718BHJP
   A61B 3/113 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
A61B3/08
A61B5/107 300
A61B5/11 200
A61B3/113
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500363
(86)(22)【出願日】2022-07-07
(85)【翻訳文提出日】2024-01-05
(86)【国際出願番号】 EP2022068956
(87)【国際公開番号】W WO2023281001
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】21305948.8
(32)【優先日】2021-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
2.BLUETOOTH
3.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】518007555
【氏名又は名称】エシロール・アンテルナシオナル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・シュピーゲル
(72)【発明者】
【氏名】ギョーム・ギローデ
【テーマコード(参考)】
4C038
4C316
【Fターム(参考)】
4C038VA04
4C038VA12
4C038VB02
4C038VB04
4C038VB11
4C038VB14
4C038VB28
4C038VC05
4C038VC20
4C316AA16
4C316AA21
4C316AA30
4C316FA01
4C316FB11
4C316FB12
4C316FC04
(57)【要約】
本開示は、視覚刺激に対する身体反応を検出するためのシステム及び方法に関する。システムは、アイウェアであって、アイウェアの左側を介する左視覚刺激及びアイウェアの右側を介する右視覚刺激を伝達するアイウェアを含む。システムは、更に、被験者がアイウェアを着用している場合の被験者の身体の身体姿勢を測定するよう構成されるセンサを含む。システムは、更に、アイウェア及びセンサに動作可能に結合可能な制御回路を含み、動作可能に結合される場合、制御回路は、センサから身体姿勢の測定値を受信し、身体姿勢の測定値に基づいて身体姿勢応答情報を提供し、基準に対する身体姿勢応答情報の偏差を特定し、基準は、左視覚刺激及び右視覚刺激に基づく。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
視覚刺激(116)に対する身体反応を検出するためのシステム(100)であって、
- アイウェア(110)であって、前記アイウェア(110)の左側を介する左視覚刺激(112)及び前記アイウェア(110)の右側を介する右視覚刺激(114)を伝達するアイウェア(110)と、
- 被験者が前記アイウェア(110)を着用している場合に前記被験者の身体の身体姿勢(140)を測定するよう構成されるセンサ(120)と、
- 前記アイウェア(110)及び前記センサ(120)に動作可能に結合可能な制御回路(130)であって、動作可能に結合される場合、前記制御回路(130)は、
- 前記センサ(120)から前記身体姿勢(140)の測定値を受信し、
- 前記身体姿勢(140)の前記測定値に基づいて身体姿勢応答情報(150)を提供し、
- 基準に対する前記身体姿勢応答情報(150)の偏差(160)を特定し、前記基準は、前記左視覚刺激(112)及び前記右視覚刺激(114)に基づく、制御回路(130)と、
を備える、システム(100)。
【請求項2】
前記アイウェア(110)は、前記アイウェア(110)の前記左側を介する前記左視覚刺激(112)と前記アイウェア(110)の前記右側を介する前記右視覚刺激(114)との間の視覚バランス(310)を修正するよう構成され、
前記センサ(120)は、更に、前記アイウェア(110)による前記視覚バランス(310)の修正に応答して、前記被験者の前記身体姿勢(140)を測定する、
請求項1に記載のシステム(300)。
【請求項3】
視覚バランス(310)の前記修正は、前記左視覚刺激(112)及び前記右視覚刺激(114)のうちの少なくとも一方の平行移動(400)、回転(420)、傾斜、又はこれらの組み合わせを含む、
請求項1又は請求項2に記載のシステム(300)。
【請求項4】
視覚バランス(310)の前記修正は、前記左視覚刺激(112)及び前記右視覚刺激(114)のうちの少なくとも一方の輝度(440)の変化を含む、
請求項2に記載のシステム(300)。
【請求項5】
視覚バランス(310)の前記修正は、前記左視覚刺激(112)及び前記右視覚刺激(114)のうちの少なくとも一方のコントラスト(460)の変化を含む、
請求項2に記載のシステム(300)。
【請求項6】
視覚バランス(310)の前記修正は、前記左視覚刺激(112)及び前記右視覚刺激(114)のうちの少なくとも一方の空間周波数内容(490)の変化を含む、
請求項2に記載のシステム(300)。
【請求項7】
前記身体姿勢(140)の測定値は、第1の方向(D1)における第1の変位(250)及び第2の方向(D2)における第2の変位(260)の測定値のセットを含み、
前記第1の方向(D1)は、内側-外側であり、
前記第2の方向(D2)は、前-後であり、前記第1の方向(D1)に対して垂直である、
請求項1に記載のシステム(100、300)。
【請求項8】
前記身体姿勢応答情報(150)は、
(i)前記第1の変位(250)、
(ii)前記第2の変位(260)、
(iii)前記第1の変位(250)と前記第2の変位(260)との間の比(290)、又は、
(iv)それらの組み合わせ
に基づく、請求項1に記載のシステム(100、300)。
【請求項9】
前記制御回路(130)は、更に、調整値のセット(320)を特定し、前記左視覚刺激(112)と前記右視覚刺激(114)との間の前記視覚バランス(310)を修正して、前記身体姿勢応答情報(150)と前記基準との間の前記偏差(160)を最小化するか、又は前記基準に到達するよう構成される、
請求項2に記載のシステム(300)。
【請求項10】
前記アイウェア(110)は、更に、フィルタ(610)を備え、
前記アイウェア(110)は、前記視覚刺激(116)を表示する外部ディスプレイ(620)に結合され、
前記フィルタ(610)は、前記視覚刺激(116)が前記左視覚刺激(112)及び前記右視覚刺激(114)として表示されるように、前記視覚刺激(116)の特性を変更するよう構成され、更に、前記左視覚刺激(112)と前記右視覚刺激(114)との間の前記視覚バランス(310)を修正するよう構成される、
請求項2に記載のシステム(600)。
【請求項11】
請求項1に記載の前記視覚刺激(116)に対する身体反応を検出するための方法(700A、700B)であって、
- 前記アイウェア(110)の前記左側を介する前記左視覚刺激(112)及び前記アイウェア(110)の前記右側を介する前記右視覚刺激(114)を提供すること(710)と、
- 前記被験者が前記アイウェア(110)を着用している場合の前記被験者の身体の前記身体姿勢(140)を測定するための前記センサ(120)を提供すること(720)と、
- 前記センサ(120)により前記身体姿勢(140)を測定すること(730)と、
- 前記制御回路(130)を用いて、前記身体姿勢(140)の前記測定値に基づいて前記身体姿勢応答情報(150)を生成すること(740)と、
- 前記制御回路(130)を用いて、前記基準に対する前記身体姿勢応答情報(150)の前記偏差(160)を特定すること(750)と、
を含む、方法。
【請求項12】
- 前記制御回路(130)を用いて、前記アイウェア(110)の前記左側を介する前記左視覚刺激(112)と前記アイウェア(110)の前記右側を介する前記右視覚刺激(114)との間の前記視覚バランス(310)を修正すること(760)と、
- 前記センサ(120)を用いて、前記修正された視覚バランス(310)に応答して、前記被験者の前記身体姿勢(140)を測定すること(770)と、
を更に含む、請求項11に記載の方法(700A、700B)。
【請求項13】
(i)前記制御回路(130)を用いて、前記基準に対する前記身体姿勢応答情報(150)の前記偏差(160)に基づいて前記調整値のセット(320)を提供すること(780)、又は、
(ii)前記制御回路(130)を用いて、前記調整値のセット(320)を特定するよう前記左視覚刺激(112)と前記右視覚刺激(114)との間の前記視覚バランス(310)の前記修正を提供すること(790)
を更に含み、
前記調整値のセット(320)は、前記身体姿勢応答情報(150)と前記基準との間の前記偏差(160)を最小化するよう、又は前記基準に達するよう提供される、
請求項12に記載の方法(700A、700B)。
【請求項14】
視覚刺激(116)に対する身体反応を検出するための方法(800)であって、
- アイウェア(110)の左側を介する左視覚刺激(112)及び前記アイウェア(110)の右側を介する右視覚刺激(114)を提供すること(810)と、
- 被験者が前記アイウェア(110)を着用している場合の前記被験者の身体の身体姿勢(140)を測定するためのセンサ(120)を提供すること(820)と、
- 前記左視覚刺激(112)及び前記右視覚刺激(114)のうちの少なくとも一方を修正すること(830)と、
- 前記センサ(120)により前記身体姿勢(140)を測定すること(840)と、
- 前記アイウェア(110)及び前記センサ(120)に動作可能に結合されるマイクロプロセッサ(130)によって、前記身体姿勢の測定値(140)に基づいて身体姿勢応答情報(150)を生成すること(850)と、
- 前記マイクロプロセッサ又は別のマイクロプロセッサによって、基準に対する前記身体姿勢応答情報(150)の偏差(160)を特定すること(860)であって、前記基準は、前記左視覚刺激(112)及び前記右視覚刺激(114)に基づく、特定することと、
を含む、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法(800)のステップをコンピューティングシステムに実行させる命令を備えるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の種々の態様は、アイウェアによって提供される視覚刺激に対する身体反応を検出するためのシステムに関する。本開示の種々の態様は更に、アイウェアによって提供される視覚刺激に対する身体反応を検出するための方法、及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
眼球優位(眼球間感覚不均衡としても既知)は、視覚系の固有特性である。小さな眼球不均衡又は優位は臨床的には現れないが、この不均衡の大きなレベルは、両眼視機能(例えば、立体視)に悪影響を及ぼす場合がある。弱視(「レイジーアイ(lazy eye)」としても既知)等のより極端な場合において、視力及びコントラスト感度等の単眼視覚処理、並びに視覚運動タスク等の他の視覚依存活動にも影響を及ぼす可能性がある。
【0003】
現在、眼球優位は、限られた情報を提供し、現実的な視覚環境をほとんど考慮せず、眼球優位を他の感覚モダリティと統合することができない主観的方法によって評価されている。このため、これらの方法は、実世界の多感覚シナリオへの適用には限界がある。
【0004】
従って、眼球優位を客観的に評価するより良好な手段を模索することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、実世界の多感覚シナリオに適用可能な、眼球優位を客観的に評価するシステム及び方法を提供することにある。特に、本発明の目的は、運動中の多感覚統合等の他の感覚プロセスを通して、又はそれと共に、眼球優位を評価するシステム及び方法を提供することにある。本発明のシステム及び方法は、例えば、特に眼球優位のための眼用レンズの設計を支援するか又はその設計において用いられるよう、ヒトの視覚系の診断及び治療のために用いられてもよい。また、本発明のシステム及び方法は、眼球優位の診断及び/又は治療を更に支援するよう、かかる個人化された眼用レンズに対する被験者の応答を評価又は試験するために用いられてもよい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様は、視覚刺激に対する身体反応を検出するためのシステムに関する。システムは、アイウェアであって、アイウェアの左側を介する左視覚刺激及びアイウェアの右側を介する右視覚刺激を伝達するアイウェアを含む。システムは、更に、被験者がアイウェアを着用している場合に被験者の身体の身体姿勢を測定するよう構成されるセンサを含む。システムは、更に、アイウェア及びセンサに動作可能に結合可能な制御回路を含み、その結果、動作可能に結合される場合、制御回路は、センサから身体姿勢の測定値を受信し、身体姿勢の測定値に基づいて身体姿勢応答情報を提供し、基準に対する身体姿勢応答情報の偏差を特定し、基準は、左視覚刺激及び右視覚刺激に基づく。
【0007】
種々の実施形態によれば、アイウェアは、アイウェアの左側を介する左視覚刺激とアイウェアの右側を介する右視覚刺激との間の視覚バランスを修正するよう構成されてもよい。種々の実施形態によれば、センサは、更に、アイウェアによる視覚バランスの修正に応答して、被験者の身体姿勢を測定してもよい。
【0008】
種々の実施形態によれば、身体姿勢は、静止位置又は運動であってもよい。
【0009】
種々の実施形態によれば、視覚バランスの修正は、左視覚刺激及び右視覚刺激のうちの少なくとも一方の平行移動、又は回転を含んでもよい。種々の実施形態によれば、視覚バランスの修正は、左視覚刺激及び右視覚刺激のうちの少なくとも一方の平行移動及び回転の組み合わせを含んでもよい。
【0010】
種々の実施形態によれば、視覚バランスの修正は、左視覚刺激及び右視覚刺激のうちの少なくとも一方の輝度の変化を含んでもよい。
【0011】
種々の実施形態によれば、視覚バランスの修正は、左視覚刺激及び右視覚刺激のうちの少なくとも一方のコントラストの変化を含んでもよい。
【0012】
種々の実施形態によれば、視覚バランスの修正は、左視覚刺激及び右視覚刺激のうちの少なくとも一方の空間周波数内容の変化を含んでもよい。
【0013】
種々の実施形態によれば、視覚バランスの修正は、左視覚刺激及び右視覚刺激のうちの少なくとも一方の傾斜の変化を含んでもよい。
【0014】
種々の実施形態によれば、センサは、身体姿勢の測定値を提供するために、被験者に対して取り外し可能に配設可能であってもよい。
【0015】
種々の実施形態によれば、身体姿勢の測定値は、被験者に対して内側-外側であってもよい第1の方向における第1の変位を含む測定値のセットを含んでもよい。測定値のセットは、更に、被験者に対して前後方向であり、第1の方向に対して垂直であってもよい第2の方向における第2の変位を含んでもよい。
【0016】
種々の実施形態によれば、身体姿勢応答情報は、第1の変位、第2の変位、第1の変位と第2の変位との間の比、又はそれらの組み合わせに基づいてもよい。
【0017】
種々の実施形態によれば、制御回路は、更に、調整値のセットを特定するよう構成されてもよく、制御回路は、左視覚刺激と右視覚刺激との間の視覚バランスを修正してもよい。調整値のセットは、身体姿勢応答情報と基準との間の偏差を最小化するよう、又は基準に達するよう値を含んでもよい。
【0018】
種々の実施形態によれば、アイウェアは、フィルタを含んでもよく、アイウェアは、視覚刺激を表示してもよい外部ディスプレイに結合されてもよい。フィルタは、視覚刺激が左視覚刺激及び右視覚刺激として表示されてもよいように、視覚刺激の特性を変更するよう構成されてもよい。種々の実施形態によれば、フィルタは、更に、左視覚刺激と右視覚刺激との間の視覚バランスを修正するよう構成されてもよい。
【0019】
本開示の第2の態様は、視覚刺激に対する身体反応を検出するための方法に関する。方法は、アイウェアの左側を介する左視覚刺激及びアイウェアの右側を介する右視覚刺激を提供することと、被験者がアイウェアを着用している場合の被験者の身体の身体姿勢を測定するためのセンサを提供することと、センサにより身体姿勢を測定することとを含む。本方法はまた、制御回路を用いて、身体姿勢の測定値に基づいて身体姿勢応答情報を生成することを含み、更に、制御回路を用いて、基準に対する身体姿勢応答情報の偏差を特定することを含む。
【0020】
種々の実施形態によれば、本方法は、制御回路を用いて、アイウェアの左側を介する左視覚刺激とアイウェアの右側を介する右視覚刺激との間の視覚バランスを修正することを含んでもよい。本方法は、更に、センサを用いて、修正された視覚バランスに応答して、被験者の身体姿勢を測定することを含んでもよい。
【0021】
種々の実施形態によれば、本方法は、制御回路を用いて、基準に対する身体姿勢応答情報の偏差に基づいて調整値のセットを提供することを含んでもよい。代替として、種々の実施形態によれば、本方法は、制御回路を用いて、調整値のセットを特定するよう左視覚刺激と右視覚刺激との間の視覚バランスの修正を提供することを含んでもよい。調整値のセットは、身体姿勢応答情報と基準との間の偏差を最小化するよう、又は基準に達するよう提供されてもよい。
【0022】
本開示の第3の態様は、視覚刺激に対する身体反応を検出するための方法に関する。方法は、アイウェアの左側を介する左視覚刺激及びアイウェアの右側を介する右視覚刺激を提供することと、被験者がアイウェアを着用している場合の被験者の身体の身体姿勢を測定するためのセンサを提供することとを含む。本方法はまた、左視覚刺激及び右視覚刺激のうちの少なくとも一方を修正することと、センサにより身体姿勢を測定することとを含む。本方法は、更に、アイウェア及びセンサに動作可能に結合されるマイクロプロセッサによって、身体姿勢の測定値に基づいて身体姿勢応答情報を生成することと、マイクロプロセッサ又は別のマイクロプロセッサによって、基準に対する身体姿勢応答情報の偏差を特定することとを含む。基準は、左視覚刺激及び右視覚刺激に基づいている。
【0023】
種々の実施形態によれば、本方法は、更に、第3の態様の方法のステップをコンピューティングシステムに実行させる命令を備えるコンピュータプログラムを含んでもよい。
【0024】
本発明は、非限定的な実施例及び添付の図面と併せて考慮すれば、詳細な説明を参照してより良好に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1A】種々の実施形態による、視覚刺激116に対する身体反応を検出するためのシステム100の使用状態の例示的な略図を示す図である。
図1B】種々の実施形態による、平衡及び不均衡両眼システムにおける視覚刺激116及び融合された単眼視知覚の両眼分離提示の実施例を示す図である。
図1C】種々の実施形態による、平衡及び不均衡両眼システムにおける視覚刺激116及び融合された単眼視知覚の両眼分離提示の実施例を示す図である。
図1D】種々の実施形態による、平衡及び不均衡両眼システムにおける視覚刺激116及び融合された単眼視知覚の両眼分離提示の実施例を示す図である。
図2A】種々の実施形態による、視覚刺激116に応答する被験者の身体姿勢140の様々な種類200の実施例を示す図である。
図2B】種々の実施形態による、視覚刺激116に応答する被験者の身体姿勢140の測定の例示的な図である。
図2C】種々の実施形態による、身体姿勢応答情報150を提供するシステム100の例示的な略図の一部を示す図である。
図3】種々の実施形態による、システム300の使用条件の例示的な略図を示す。
図4A】種々の実施形態による、視覚バランス310の修正の略図の実施例を示す図である。
図4B】種々の実施形態による、視覚バランス310の修正の略図の実施例を示す図である。
図4C】種々の実施形態による、視覚バランス310の修正の略図の実施例を示す図である。
図4D】種々の実施形態による、視覚バランス310の修正の略図の実施例を示す図である。
図4E】種々の実施形態による、視覚バランス310の修正の略図の実施例を示す図である。
図4F】種々の実施形態による、視覚バランス310の修正の略図の実施例を示す図である。
図5】種々の実施形態による、視覚刺激116に対する身体反応を検出するためのシステム500の使用、及びその後の視覚バランス310の修正の略図の実施例を示す図である。
図6】種々の実施形態による、システム600の使用条件の例示的な略図である。
図7A】実施例として、種々の実施形態による、視覚刺激116に対する身体反応を検出するための方法700A、700Bの略図である。
図7B】実施例として、種々の実施形態による、視覚刺激116に対する身体反応を検出するための方法700A、700Bの略図である。
図8】種々の実施形態による、視覚刺激116に対する身体反応を検出するための方法800の例示的な略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下の詳細な説明は、例示として、本開示が実施されてもよい特定の詳細及び実施形態を示す添付の図面を参照する。これらの実施形態は、当業者が本開示を実施できるよう十分詳細に説明される。本開示の適用範囲から逸脱することなく、他の実施形態が利用されてもよく、構造的及び論理的変更が行われてもよい。種々の実施形態は、幾つかの実施形態が新しい実施形態を形成するよう1つ以上の他の実施形態と組み合わせることができるため、必ずしも相互に排他的ではない。
【0027】
実施形態に関連して説明する特徴は、他の実施形態における同一又は類似の特徴に対応して適用可能であってもよい。実施形態に関連して説明する特徴は、これらの他の実施形態において明示的に説明されない場合であっても、他の実施形態に対応して適用可能であってもよい。更に、実施形態に関連する特徴について説明するような追加及び/又は組み合わせ及び/又は代替は、他の実施形態における同一又は類似の特徴に対応して適用可能であってもよい。
【0028】
本明細書中に例示的に説明する開示は、本明細書中に具体的に開示していない任意の1つ又は複数の要素、単数又は複数の限定を欠いて適切に実施されてもよい。従って、例えば、用語「備える」、「含む」、「含有する」等は、限定することなく拡大解釈されるものとする。単語「備える(comprise)」又は「備える(comprises)」若しくは「備える(comprising)」等の変形例は、従って、記載した整数又は整数の群を包含するが、他の任意の整数又は整数の群を排除しないことを意味すると理解される。加えて、本明細書中に採用する用語及び表現は、限定ではなく説明の用語として用いられており、かかる用語及び表現の使用において、図示し、説明する特徴又はその一部の任意の均等物を排除する意図はないが、様々な修正が本開示の適用範囲内で可能であることが認識される。従って、本開示を、例示的な実施形態及び任意の特徴において具体的に説明しているが、本明細書中に具現化される本開示の修正及び変形は、当業者によって用いられてもよいことは言うまでもない。
【0029】
種々の実施形態に関連して、特徴又は要素に関して用いる冠詞「a」、「an」、及び「the」は、特徴又は要素のうちの1つ以上への言及を含む。本明細書中で用いるように、用語「及び/又は」とは、関連する列挙された項目の1つ以上の任意の及び全ての組み合わせを含む。
【0030】
特許請求の範囲における括弧内の参照符号は、本開示の理解を容易にするためのものであり、特許請求の範囲を限定するものではない。
【0031】
種々の実施形態によれば、本明細書中で用いるような用語「視覚刺激」とは、視覚経路を介して認識イメージの神経処理及び構築をもたらすよう、被験者の眼及び脳において特定の機能的反応を引き起こす電磁線(例えば、光)の知覚を指す場合がある。例えば、視覚刺激は、形状、色、及び/又は深度を有してもよいイメージを指してもよい。別の実施例として、視覚刺激は、静的であってもよいか、又は、動いている、例えば、コヒーレントな方法で動くか、若しくは可変速度を伴ってランダムな方法で動いてもよい。理論に束縛されることを望むものではないが、視覚受容は、被験者の網膜で起こり、そこで、光受容細胞(例えば、錐体及び桿体)が視覚刺激を検出し、それらを神経インパルスに変換し、それが視神経を通って脳に伝達されて認識イメージを構築する。
【0032】
種々の実施形態によれば、本明細書中で用いるような用語「身体反応」とは、被験者の身体からの単数又は複数の反応を指す場合がある。例えば、身体反応は、被験者の眼、手、頭、上肢若しくは下肢(例えば、腕若しくは脚)、及び/又は胴(例えば、胴体)等の身体の一部からの反応を含んでもよい。別の実施例として、身体反応は、被験者の身体全体からの反応を含んでもよい。身体反応はまた、被験者の身体の一部又は全体による不随意且つ瞬間的な作用を指す反射を含んでもよい。反射の例は、筋運動性及び/又は視運動性眼振反射を含んでもよい。本開示との関連では、身体反応は、視覚刺激に対する反応として、又はそれに応答して生成され、身体姿勢であってもよい。
【0033】
種々の実施形態によれば、本明細書中で用いるような用語「アイウェア」というは、ユーザによって眼の上に/眼に関連して、例えば、ユーザの眼の前に装着されるよう構成される光学物品を指す場合がある。例えば、アイウェアは、眼鏡、サングラス、ヘッドマウントデバイス、拡張現実感デバイス、仮想現実(VR)デバイスの群から選択されてもよい。種々の実施形態によれば、アイウェアは、電子的にアクティブ(即ち、電子的に電力供給される)であってもよく、又は電子的にパッシブ(例えば、電子的に電力供給されない、又は電子コンポーネントフリー)であってもよい。アイウェアは、1つ以上のレンズ及びフレームを含んでもよい。
【0034】
種々の実施形態によれば、用語「レンズ」は、矯正力を有してもよいか(例えば、多焦点レンズ、屈折異常状態のための処方レンズ)、又は矯正力を有していなくてもよい(例えば、平面レンズ)。種々の実施形態によれば、レンズは、透明、着色されていてもよいか(例えば、灰色の色調、桃色の色調、青色の色調、茶色の色調等)、又は偏光であってもよい。
【0035】
本明細書中の「フレーム」への任意の言及は、非レンズ部分であるアイウェアの一部に対するものであり、例えば、アイウェアにおけるような眼鏡は、フレームを含んでもよく、フレームに取り付けられるレンズを含んでもよく、他に明示的に示されない場合、レンズはフレームの一部ではないことが理解される。
【0036】
種々の実施形態によれば、本明細書中で用いるような用語「センサ」とは、被験者の身体反応の物理的性質を検出、例えば、測定する装置を指す場合がある。種々の他の実施形態によれば、センサはイメージセンサであってもよい。例えば、イメージセンサは、静止画像又は動画(例えば、ビデオ)のストリームを取り込むよう構成されるカメラ(例えば、デジタルカメラ)内部にあってもよく、従って、視覚刺激に応答して、被験者の身体反応(例えば、身体姿勢)を検出してもよい。更なる実施例として、被験者の身体反応(例えば、身体姿勢)は、イメージセンサの出力(例えば、ビデオ)から取得されてもよい。例えば、ソフトウェアを用いて、動きを検出し、その視野内の被験者の身体姿勢の測定値を提供してもよい。イメージセンサは、光波を電気信号に変換してターゲットのデジタルイメージを形成する固体デバイスであってもよく、電荷結合センサ(例えば、CCD)、アクティブピクセルセンサ(例えば、CMOSセンサ)、LiveMOSセンサであってもよい。種々の他の実施形態によれば、センサは、モーションセンサであってもよく、加速度計、ジャイロセンサ、ジェスチャ検出器、又はそれらの組み合わせの群から選択されてもよい。例えば、加速度計は、例えば、被験者が動いている場合に、被験者の直線加速度及び傾斜角を測定するために用いられてもよい。更なる実施例として、加速度計は、被験者の全身、上肢若しくは下肢(例えば、被験者が歩いている場合)、頭部(例えば、頭部の傾き)、又は眼の位置の変化を検出してもよい。加速度計の非限定的な実施例は、単一の加速度計及び多軸加速度計を含む。更なる実施例として、モーションセンサは、角速度、例えば、回転運動及び向き(例えば、傾斜)を感知するジャイロセンサ(例えば、ジャイロスコープ)であってもよい。本開示との関連で、センサは、視覚刺激に応答して被験者の身体反応を検出するよう構成される。
【0037】
種々の実施形態によれば、回路は、アナログ回路若しくはコンポーネント、デジタル回路若しくはコンポーネント、又はハイブリッド回路若しくはコンポーネントを含んでもよい。以下でより詳細に説明するそれぞれの機能の他の任意の種類の実装も、代替実施形態による「回路」として理解されてもよい。デジタル回路は、メモリに格納されるソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの任意の組み合わせを実行する専用回路構成又はプロセッサであってもよい任意の種類の論理実装エンティティとして理解されてもよい。従って、種々の実施形態において、「制御回路」は、デジタル回路、例えば、ハードワイヤード論理回路、又はプログラマブルプロセッサ、例えば、マイクロプロセッサ(例えば、複合命令セットコンピュータ(CISC)プロセッサ又は縮小命令セットコンピュータ(RISC)プロセッサ)等のプログラマブル論理回路であってもよい。「制御回路」はまた、ソフトウェア、例えば任意の種類のコンピュータプログラム、例えばJava等の仮想マシンコードを用いる、例えばコンピュータプログラムを実行するプロセッサを含んでもよい。
【0038】
図1A~1Dは、視覚刺激116に対する身体反応を検出するためのシステム100の使用状態の例示的な略図を示している。図1Aは、例示的なシステム100の概要を示している。システム100は、例えば被験者の眼の前で被験者によって装着されてもよいアイウェア110を含む。アイウェア110は、アイウェア110がアイウェア110の左側を介して左視覚112を伝達し、アイウェア110の右側を介して右視覚刺激114を伝達するように、両眼分離視覚刺激として視覚刺激116を被験者の眼に伝達してもよい。言い換えれば、アイウェア110は、被験体が各眼によって別個の独立した視野を見るように、視覚刺激116を両眼分離的に提示するよう構成される。例えば、アイウェア110は、左視覚刺激112及び右視覚刺激114と同じ視覚刺激116(例えば、イメージ)の両眼分離提示を伝達する。更なる実施例として、左視覚刺激112は、右視覚114と異なってもよく、例えば、右視覚刺激114は、左視覚刺激112と比較した場合、向き(例えば、傾斜、回転)、位置、コントラスト、輝度、空間周波数内容、運動方向、運動速度に関して変更されてもよく、逆もまた同様である。
【0039】
システム100はまた、被験者がアイウェア110を着用し、従って左視覚刺激112及び右視覚刺激114を見ている場合に、被験者の身体の身体姿勢140を測定するよう構成されるセンサ120も含む。イメージセンサ又はモーションセンサを含んでもよいセンサ120は、視覚刺激116に応答して被験者の身体姿勢140の測定値を提供する。例えば、センサ120は、被験者の身体姿勢140を検出し、検出された測定値を電気信号に変換し、それを制御回路130に送信する前に、センサ120に(例えば、センサ120内のメモリに)格納してもよい。別の実施例において、身体姿勢140の測定値は、直ちに(例えば、取得時に)制御回路130に送信されてもよい。
【0040】
システム100は、更に、制御回路130が動作中にアイウェア110及びセンサ120と通信するように、アイウェア110及びセンサ120に動作可能に結合可能な制御回路130を含む。種々の実施形態によれば、制御回路130は、以下の、(i)被験者の身体姿勢140の測定値、例えば、センサ120によって提供される身体姿勢140の測定値を含む電気信号を受信し、(ii)例えば、第1の計算アルゴリズムを実施して身体姿勢応答情報150を計算することによって、身体姿勢140の測定値に基づいて身体姿勢応答情報150を提供し、(iii)例えば、第2の計算アルゴリズムを実施して偏差160を特定することによって、左視覚刺激112及び右視覚刺激114に基づく基準に対する身体姿勢応答情報150の偏差160を特定するステップを実行するよう構成される。
【0041】
図1B~1Dは、実施例として、視覚刺激116の両眼分離提示の略図を示している。図1B及び図1Cを参照すると、同じ静的視覚刺激116(例えば、形状のイメージ)の両眼分離提示170、180は、左視覚刺激112及び右視覚刺激114として提示されてもよく、異なる方向に回転(又は傾斜)させてもよい。別の実施例において、静止画像が左視覚刺激112として提示されてもよく、右視覚刺激114は、同じ画像であるが動いている画像を含んでもよい。図1Dは、左視覚刺激112及び右視覚刺激114が動いている例示的な略図190を示している。例えば、左視覚刺激112として提示されるイメージ(例えば、ドット)は、コヒーレントな方法(例えば、時計回り又は反時計回り方向)で移動してもよい一方で、右視覚刺激114として提示されるイメージ(例えば、ドット)は、ランダムな方法で、例えば、ランダムドットキネトグラムで移動してもよい。更なる実施例として、左視覚刺激112及び右視覚刺激114として提示されるイメージは、可変速度で移動してもよく、例えば、左視覚刺激112として提示されるドットは、30°/sで回転してもよく、右視覚刺激114として提示されるドットは、60°/sで回転してもよい。種々の実施形態によれば、視覚刺激116の非限定的な実施例は、正弦波格子、種々の形状(例えば、ドット、正方形)のキネトグラム、又は被験者の動き(例えば、歩行)軌道、経路、若しくはパターンの迷路を含んでもよい。本開示との関連で、用語「左」及び「右」とは、被験者の基準点から、例えば被験者に対して定義される。
【0042】
視覚刺激の眼球優位及び両眼分離提示の統合を、被験者の基準から見た図1B~1Dに示す実施例を参照して説明する。眼球優位性は、一方の眼から他方の眼(例えば、被験者の優位眼)への視覚入力を好む傾向に関係する。現在、眼球優位は、両眼知覚に対する各眼の寄与を指す両眼バランス(例えば、眼球加重)を用いて臨床的に特定されてもよい。特に、ヒトの視覚系は、各眼からの視覚刺激、例えば、左視覚刺激112及び右視覚刺激114を処理し、組み合わせて、融合された単眼視知覚(例えば、脳によって形成される単一認識イメージ)を形成する。融合された単眼視知覚は、両眼視知覚への各眼の寄与及び単眼イメージのコントラストと共に変化する(コントラスト利得制御としても既知)。例えば、融合された単眼視知覚の向き又は位置は、眼球優位及びそれらのコントラストによって重み付けされる2つの単眼イメージ(例えば、左視覚刺激112及び右視覚刺激114)の平均の向き又は位置であってもよい。従って、本開示は、例えば、知覚不均衡の量として、眼球優位の客観的評価を可能にする。その結果、眼球優位は、例えば、不均衡又は眼球優位の量、定量化、又はパーセンテージとして客観的に説明されてもよい。言い換えれば、眼球優位は、「左眼又は右眼優位」等の二元的に説明するだけではない。
【0043】
種々の実施形態によれば、用語「正(+)の角度θ」とは、被験者の基準から時計回りの回転又は傾斜を指す場合がある。同様に、用語「負(-)の角度θ」とは、被験者の基準からの反時計回り又は反時計回りの回転又は傾斜を指す場合がある。例えば、+30°の回転又は傾斜は、被験者の基準から、イメージの30°の時計回りの回転又は傾斜を指す場合がある。更なる実施例として、-30°の回転又は傾斜は、被験者の基準から、イメージの30°の反時計回りの回転又は傾斜を指す場合がある。角度に関連して、表現「被験者の基準から」とは、角度が示され、図面を見ながら、アイウェアを着用している被験者の位置から測定される場合があることを意味してもよく、被験者の主観的な認知的知覚を意味するものではない。
【0044】
図1Bは、平衡両眼システムにおける視覚刺激116及び融合された単眼視知覚172の両眼分離提示170を示し、各眼は、両眼視知覚に等しく寄与する。同じコントラストであるが、反対の回転又は傾斜を有する両眼分離視覚刺激116、例えば、左視覚刺激112がx軸(例えば、水平面)に沿って-10°回転又は傾斜され、右視覚刺激114がx軸に沿って+10°回転又は傾斜される、両眼分離視覚刺激116は、被験者の基準から見て、それぞれ、左眼及び右眼を介して提示されてもよい。平衡両眼システムを有する被験者において、融合された単眼視知覚172は、各眼が融合された単眼視知覚172に等しく寄与するため、0°の回転又は傾斜(即ち、ゼロ配向)を有するイメージである。逆に、図1Cは、不均衡な両眼システムにおける視覚刺激116及び融合された単眼視知覚182の両眼分離提示180を示している。図1Bと同様に、同じコントラストを有する視覚刺激116は、等しいが反対の回転又は傾斜を有する両眼分離方式で提示される。融合された単眼視知覚182は、0°回転又は傾斜(即ち、ゼロ配向)を有するのではなく、例えば、図1Cにおける被験者の右眼(例えば、「右眼優位」)であってもよい優位眼の単眼知覚に有利な配向を有する。例えば、融合された単眼視知覚182は、+5°回転又は傾斜され、従って、右視覚刺激114に有利に配向される。図1Dは、ランダムドットキネトグラムの視覚刺激116及び例示的な融合された単眼視知覚192の両眼分離提示190を示している。左視覚刺激112(例えば、ある特定のコントラストのドット)は、コヒーレントな方向に移動するように提示され、右視覚刺激114(例えば、同じコントラストのドット)は、ランダムな方向に移動するように提示される。平衡両眼システム(例えば、平衡モーションコヒーレンス閾値)を有する被験者において、ある一定のコントラスト及び数(例えば、ドットの数)を有するイメージの左視覚刺激112及び右視覚刺激114のある一定の組み合わせが提供される場合、及び融合された単眼視知覚192に基づいて、被験者は、コヒーレントドットが移動している方向を正確に特定する可能性がある。逆に、不均衡な両眼システム(例えば、高いモーションコヒーレンス閾値)を有する被験者において、ある一定のコントラスト及び数値を有するイメージの左視覚刺激112及び右視覚刺激114の同じ組み合わせが提供される場合、及び融合された単眼視知覚192に基づいて、被験者は、コヒーレントドットが移動している方向を正確に特定することができない可能性がある。代わりに、融合された単眼視知覚192は、優位眼の単眼知覚を優先する可能性がある。左視覚刺激112及び/又は右視覚刺激114のどちらか一方のコントラスト及び/又は数の操作は、コヒーレントドットが移動している方向を被験者が正確に特定することを可能にし得る。
【0045】
有利なことに、本開示は、(i)実世界シナリオに関連する視覚刺激、例えば、運動軌道又は経路を提供する迷路を用いることによって、及び(ii)両眼バランス(例えば、眼球加重)を他の感覚プロセス(例えば、被験者の身体バランス、歩行、動き)と統合することによって、眼球優位を客観的に評価するシステム及び方法を提供する。本開示は、身体姿勢140を測定し、身体姿勢応答情報150を提供し、基準に対する身体姿勢応答情報150の偏差160を特定することによって、眼球優位を客観的に評価するシステム及び方法を提供し、偏差160は、両眼不均衡の程度に比例する。従って、本開示は、例えば、眼球優位を他の感覚モダリティと統合することによって、他の感覚プロセスを通して眼球優位を評価するためのシステム及び方法を提示し、従って、実世界多感覚シナリオに対してより適用可能である。
【0046】
図2Aは、視覚刺激116に応答する被験者の身体姿勢140の様々な種類200の実施例を示している。種々の実施形態によれば、身体姿勢140は、センサ120によって測定され、静止位置210又は動き220であってもよい。種々の実施形態によれば、静止位置210は、休止又は静止位置(例えば、動き及び/又は活動がない)を含んでもよい。例えば、静止位置210は、例えば、被験者が、視覚刺激116に応答して、歩行230中に速度を落とし、急に立ち止まるか、又は自身の四肢の動きを停止する場合の、動き220の間の停止又は急停止を含んでもよい。種々の実施形態によれば、身体姿勢140はまた、動き220、例えば、移動中の動きであってもよい。例えば、動き220は、被験者の身体全体の動き220、例えば、歩行230又は走行232位置であってもよい。別の実施例において、動き220は、被験者の身体の一部の動き220、例えば、四肢(例えば、腕又は脚)若しくは胴の動き220であってもよい。更なる実施例として、身体の一部の動き220は、手240(例えば、握持又はジェスチャ)、眼242、頭、及び/又は首の動きを含んでもよい。動き220は反射も含んでもよい。
【0047】
種々の実施形態によれば、センサ120は、静止位置210及び動き220を含んでもよい身体姿勢140を検出する。例えば、センサ120は、被験者の身体姿勢140の圧力中心位置を測定してもよい。更なる実施例として、センサ120は、被験者の歩行(例えば、歩行230中の被験者の様態)及び/又は身体バランス(例えば、重心)等の姿勢調整/応答を測定してもよい。
【0048】
図2Bは、視覚刺激116に応答する被験者の身体姿勢140の測定の例示的な図を示している。種々の実施形態によれば、身体姿勢140の測定は、被験者に対して内側-外側(例えば、x軸に沿って)であってもよい第1の方向D1における第1の変位250を含む測定値のセットを含んでもよい。例えば、第1の変位250は、動き220の間の被験者の横方向の揺れ又は左右の動きを含んでもよい。測定値のセットはまた、被験者に対して前後方向(例えば、y軸に沿って)であってもよく、第1の方向D1に対して垂直であってもよい第2の方向D2における第2の変位260も含んでもよい。例えば、第2の変位260は、動き220の間の被験者の前後の揺れ又は前後の動き(例えば、歩行230)を含んでもよい。例示のために、被験者は、迷路(例えば、歩行軌道)の両眼分離視覚刺激116を提示されてもよい。左視覚刺激112は、-5°(例えば、被験者の基準から見て反時計回りに5°)傾斜していてもよく、右視覚刺激114は、+5°(例えば、被験者の基準から見て時計回りに5°)傾斜していてもよく、左視覚刺激112及び右視覚刺激114の両方は、同じコントラストであってもよい。不均衡両眼システムを有する被験者において、融合された単眼視知覚270は、被験者を前方に歩かせ、知覚された傾斜272を補正させ、例えば、被験者は、前方に歩き、知覚された+2°の傾斜を補正する。言い換えれば、センサ120によって検出される被験者の動き220は、第1の方向D1(例えば、内側-外側)における第1の変位250と、第2の方向D2(例えば、前方-後方)の第2の変位260とを含んでもよい。逆に、平衡両眼システムを有する被験者において、融合された単眼視知覚280は、被験者を、任意の傾斜282も伴わずに、例えば、第1の方向D1における第1の変位250(例えば、0°の揺れ)を伴わずに、前方に歩かせる。言い換えれば、測定値のセットは、第2の方向D2における第2の変位260(例えば、前方への直線運動)を含むが、第1の変位250を含まない。
【0049】
図2Cは、身体姿勢応答情報150を提供するシステム100の例示的な略図の一部を示している。制御回路130は、視覚刺激116に応答した身体姿勢140の測定値のセットに基づく身体姿勢応答情報150を提供するよう構成される。種々の実施形態によれば、身体姿勢140の測定は、無線通信を含んでもよい予め定義された通信プロトコルに従って制御回路130に伝送されてもよい。センサ120及び制御回路130は、従って、身体姿勢140の測定値を送信及び受信するのに必要なハードウェア及び/又はソフトウェアプロトコルを備えてもよい。予め定義された通信プロトコルの例は、Wi-Fi、Bluetooth、ZigBee、SigFox、LPWan、LoRaWan、GPRS、3G、4G、LTE、及び5G通信システムを含む。例えば、センサ120は、無線通信を介して身体姿勢140の測定値を制御回路130に送信するよう構成される無線通信機を含んでもよい。代替として、センサ120は、有線通信(例えば、電気ケーブル)を介して身体姿勢140の測定値を送信するよう構成されてもよいことも想定されてもよい。
【0050】
種々の実施形態によれば、身体姿勢応答情報150は、被験者の身体に対して内側-外側である第1の方向D1における第1の変位250に基づいてもよい。例えば、身体姿勢応答情報150は、被験者の横方向の左右の動きの第1の変位250を用いて、第1の計算アルゴリズムに従って計算されてもよい。別の実施形態によれば、身体姿勢応答情報150は、被験者の身体に対して前後である第2の方向D2における第2の変位260に基づいてもよい。例えば、身体姿勢応答情報150は、被検者の前方又は後方への動きの第2の変位250を用いて計算されてもよい。別の実施形態によれば、身体姿勢応答情報150は、第1の方向D1における第1の変位250と第2の方向D2における第2の変位260との間の比290、例えば、
【数1】
又はその逆数
【数2】
に基づいてもよい。別の実施形態によれば、身体姿勢応答情報150は、第1の変位250、第2の変位260、及び第1の変位250と第2の変位260との間の比290の組み合わせであってもよい。例えば、組み合わせは、第1の変位250及び第2の変位260の和であってもよい。
【0051】
種々の実施形態によれば、第1の計算アルゴリズムは、身体姿勢140の測定値のセットに基づいて身体姿勢応答情報150を特定するよう制御回路130によって実装されるアルゴリズムを指してもよい。例えば、身体姿勢応答情報150は、第1の変位250及び/又は第2の変位260の身体姿勢140の平均(例えば、平均値)又は中央測定値に基づいて計算されてもよい。
【0052】
種々の実施形態によれば、制御回路130は、更に、基準に対する身体姿勢応答情報150の偏差160(例えば、偏向又は転換)を特定するよう構成される。例えば、制御回路130は、偏差160を特定するよう、基準に対する身体姿勢応答情報150の減算によって第2の計算アルゴリズムを実装してもよい。偏差160は、被験者の両眼不均衡及び眼球優位の程度に比例してもよい。種々の他の実施形態によれば、基準に対する身体姿勢応答情報150の偏差160は、システム100の外部の位置において、例えば、制御センターにおいて、又はクラウドにおいて、(制御回路130とは別個の)別のマイクロプロセッサにおいて特定されてもよい。例えば、偏差160は、別のマイクロプロセッサ(例えば、コンピュータ)又はクラウドネットワークのサーバにおいて第2の計算アルゴリズムに従って計算されてもよい。かかる実施形態において、制御回路130は、無線又は有線通信を介して、身体姿勢応答情報150を別のマイクロプロセッサに送信するよう構成されてもよく、その逆も同様である。
【0053】
種々の実施形態によれば、基準は、左視覚刺激112及び右視覚刺激114に基づき、予め特定されてもよい。例えば、左視覚刺激112及び右視覚刺激114は、被験者の身体姿勢140に光学不均衡を誘発する(例えば、姿勢調整を誘発する)よう提示されてもよく、基準は、前記左視覚刺激112及び右視覚刺激114に基づいてもよい。更なる実施例として、基準は、左視覚刺激112と右視覚刺激114との間の差(例えば、回転度、傾斜度、コントラスト、輝度、空間周波数内容の変動)に基づいて予め特定されてもよい。種々の実施形態によれば、基準は、所定の視覚刺激116に応答する平衡両眼システムの身体姿勢応答情報150に基づいてもよい。例えば、同一のコントラストを有し、反対方向に等しく傾斜する(例えば、左視覚刺激112は-5°に配向されてもよく、右視覚刺激114は+5°に配向されてもよい)同じイメージの視覚刺激116が提示されてもよい。平衡両眼システムにおける身体姿勢応答情報150は、従って、被験者が前方に移動している場合、最小の第1の変位250(例えば、内側-外側)を伴わないか、又は伴う身体姿勢140の測定値を含んでもよい。言い換えれば、基準は、各眼が等しく寄与する平衡両眼システムを有する被験者の融合された単眼視知覚に基づいてもよい。従って、2つの単眼イメージの平均配向は0°であり、傾斜は、融合された単眼視知覚において知覚的に平坦化される。
【0054】
図3は、種々の実施形態による、システム300の使用条件の例示的な略図を示している。システム300は、図1A~2Cに関連して説明したようなシステム100に基づいてもよく、繰り返しの説明は省略する。アイウェア110は、更に、アイウェア110の左側を介する左視覚刺激112とアイウェア110の右側を介する右視覚刺激114との間の視覚バランス310を修正するよう構成されてもよい。視覚バランス310の修正は、被験者の身体姿勢140を修正するようアイウェア110に伝達されてもよい。例えば、図3に示すように、制御回路130は、左視覚刺激112と右視覚刺激114との間の視覚バランス310を修正するためのモジュールを含んでもよい。別の実施例において、修正された視覚バランス310は、以下に説明するように、フィルタ610(例えば、電子的アクティブフィルタ)を介して提供されてもよい。修正された視覚バランス310は、第1の方向D1及び/又は第2の方向D2における姿勢調整を誘発するよう構成されてもよい。例えば、左視覚刺激112と右視覚刺激114との間の修正された視覚バランス310は、被験者の感覚的視覚不均衡(例えば、光学的不均衡)を減少又は増加させる可能性がある。更なる実施例として、視覚バランス310の修正は、被験者の身体姿勢140における特定された不均衡を生じる可能性がある。
【0055】
種々の実施形態によれば、センサ120は、更に、アイウェア110による視覚バランス310の修正に応答して身体姿勢140を測定してもよい。例えば、センサ120は、更に、視覚バランス310の修正に応答して、被験者の身体姿勢140の第1の方向D1における第1の変位250及び第2の方向D2における第2の変位260を検出してもよい。
【0056】
図4A~4Fは、種々の実施形態による、視覚バランス310の修正の略図の実施例を示している。以下の説明において、例示的なイメージの修正は、デカルト座標系のx軸(例えば、水平面)、y軸(例えば、垂直面)、及びz軸(例えば、x軸及びy軸に垂直)を基準としている。
【0057】
種々の実施形態によれば、視覚バランス310の修正は、左視覚刺激112及び右視覚刺激114のうちの少なくとも一方の平行移動400を含んでもよい。本明細書中で用いるような用語「平行移動」とは、例えば、左視覚刺激112及び右視覚刺激114のうちの少なくとも一方において提示されるイメージの各点が所定の方向に同じ距離だけ移動する、ユークリッド幾何学における幾何学的平行移動を指す。従って、イメージの点集合間の距離及び方向が保存される。例えば、平行移動とは、座標系の原点の移動を指す。言い換えれば、イメージの位置は変更されてもよいが、イメージの向き及び形状は同じままであってもよい。図4Aに示す実施例において、元のイメージ410は、x軸又は水平面に平行な方向にシフトする(例えば、平行移動400=f(Δx))。従って、修正されたイメージ412は、x軸に沿った位置変化を伴って、(例えば、形状、向きに関して)元のイメージ410と同一であってもよい。言い換えれば、修正されたイメージ412は、元のイメージ410の等長変換(例えば、異なるメトリック位置にマッピングされたもの)である。図4Aには示していないが、平行移動400は、y軸における垂直平行移動400(例えば、平行移動400=f(Δy))、z軸における平行移動400(例えば、平行移動400=f(Δz))を含んでもよく、更に、x、y、及び/又はz座標の両方を有する平行移動400(例えば、平行移動400=f(Δx,Δy)又はf(Δx,Δy,Δz))を含んでもよいことが更に想定される。
【0058】
種々の実施形態によれば、視覚バランス310の修正は、左視覚刺激112及び右114視覚刺激のうちの少なくとも一方の回転420を含んでもよい。本明細書中で用いるような用語「回転」とは、固定点(例えば、回転の中心若しくは平面、又はx、y、及びz軸)を中心とするイメージのユークリッド幾何学的運動を指す。例えば、イメージは、被験者の基準からであってもよい軸に沿って時計回り又は反時計回りにオイラー角θだけ回転させてもよい。従って、イメージの向きは変更されてもよいが、イメージの形状は同じままであってもよい。図4Bに示す実施例において、元のイメージ430は、結果として修正されたイメージ432を生じるよう、垂直平面(例えば、y軸)に沿って-10°(例えば、被験者の基準から見て反時計回りにθ=10°)回転させてもよい。図4Bに示すような別の実施例において、元のイメージ430は、結果として修正されたイメージ434を生じるよう、垂直平面(例えば、y軸)に沿って+10°(例えば、被験者の基準から見て時計回りにθ=10°)回転させてもよい。従って、修正イメージ432、434の形状は、元のイメージ430と同じであってもよく、固定点に沿って所定の角度θだけ回転させてもよい。従って、修正イメージ432、434は、元のイメージ430の等角イメージである。当業者には既知であるように、イメージの回転は、適切な回転行列を用いる2次元2D又は3次元3Dであってもよい。
【0059】
種々の実施形態によれば、視覚バランス310の修正は、左視覚刺激112及び右視覚刺激114のうちの少なくとも一方において提示されるイメージの平行移動400を含み、更に、回転420を含んでもよい。種々の実施形態によれば、イメージの平行移動400及び/又は回転420は、被験者の身体姿勢140における姿勢調整を誘発してもよい。
【0060】
種々の実施形態によれば、アイウェア110は、イメージを平行移動400させる及び/又は回転420させる物理的手段を含んでもよい。例えば、アイウェア110は、視覚バランス310を修正するようアイウェア110のレンズ上に載置されてもよい、偏光子等の位相シフタを含んでもよい。代替として、左視覚刺激112及び右視覚刺激114のうちの少なくとも一方の平行移動400及び/又は回転420は、制御回路130によって生じてもよい。
【0061】
種々の実施形態によれば、視覚バランス310の修正は、左視覚刺激112及び右視覚刺激114のうちの少なくとも一方の輝度440の変化を含んでもよい。本明細書中で用いるような用語「輝度」とは、所定の方向における単位面積当たりのイメージの表面から放出又は反射される光の強度を指す場合があり、ルクスで定量化されてもよい。図4Cを参照すると、元のイメージ450の輝度は、修正されてもよく、例えば、修正されたイメージ452を生成するよう減少又は増加されてもよい。更なる実施例として、元のイメージ450のルクスは、修正されたイメージ452を生成するよう減少又は増加され、従って、被験者の身体姿勢140における姿勢調整を誘発してもよい。
【0062】
種々の実施形態によれば、視覚バランス310の修正は、左視覚刺激112及び右視覚刺激114のうちの少なくとも一方のコントラスト460の変化を含んでもよい。本明細書中で用いるような用語「コントラスト」とは、(イメージ内の)オブジェクトを区別可能にする、所定のイメージの同じ視野内の他のオブジェクトに対するオブジェクトの色(例えば、グレースケール分化)及び輝度の差を指す。例えば、より高いコントラストレベルを有するイメージは、一般に、より低いコントラストレベルを有するイメージよりも大きい程度の色又はグレースケールの変動を示す。図4Dに示すように、元のイメージ470の視野は、明るい背景474上に暗いオブジェクト472を含んでもよい。視覚バランス310の修正は、暗い背景484上に明るいオブジェクト482を含む修正イメージ480を生成するよう、イメージのコントラスト460を変化させてもよい。言い換えれば、イメージの視野内のオブジェクト視覚バランス310の修正と背景との間のコントラストは、を生じさせるよう変更されてもよい。例えば、左視覚刺激112及び右視覚刺激114のうちの少なくとも一方のコントラストは増加又は減少させてもよい。上述のように、融合された単眼視知覚は、眼球優位及びそれらのコントラストによって重み付けされる2つの単眼イメージからの寄与の作用である。従って、左視覚刺激112及び右視覚刺激114のうちの少なくとも一方のコントラストを変化させることにより、被験者の身体姿勢140に対する有意な姿勢調整を誘発させてもよい。
【0063】
種々の実施形態によれば、視覚バランス310の修正は、左視覚刺激112及び右視覚刺激114のうちの少なくとも一方の空間周波数内容490の変化を含んでもよい。本明細書中で用いるような用語「空間周波数内容」とは、所定のイメージの視野内の明暗の周期的分布を指す場合がある。高い空間周波数は、鋭いエッジ及び微細な詳細等の特徴に対応する場合があるのに対して、低い空間周波数は、全体的な形状等の特徴に対応する場合がある。図4Eに示すように、元のイメージ492は、高い空間周波数のものであってもよく、視覚バランス310の修正は、結果として修正イメージ494における空間周波数内容の低減又は低下を生じてもよい。例えば、修正イメージ494は、元のイメージ492と比較して、m当たりのサイクル(例えば、サイクル/m)が低減又は減少されたイメージを含んでもよい。種々の実施形態によれば、空間周波数内容490の変化は、被験者の身体姿勢140における姿勢調整を誘発してもよい。
【0064】
種々の実施形態によれば、視覚バランス310の修正は、左視覚刺激112及び右114視覚刺激のうちの少なくとも一方の傾斜496を含んでもよい。本明細書中で用いるような用語「傾斜」とは、特定の方向におけるイメージの傾き、勾配、又は傾斜を指す。例えば、イメージは、被験者の基準からであってもよい軸に沿って時計回り又は反時計回りに角度θ、例えば、斜角又は鋭角θだけ傾斜させてもよい。それに応じて、イメージの向きは変更されてもよいが、イメージの形状は同じままであってもよい。図4Fに示す実施例において、元のイメージ497は、迷路、例えば、歩行経路又は軌道であってもよい。元のイメージ497は、結果として修正イメージ498を生じるよう、-5°(例えば、被写体の基準から見て反時計回りにθ=5°)傾斜させてもよい。図4Fに示すような別の実施例において、元のイメージ497は、結果として修正イメージ499を生じるよう、+5°(例えば、被験者の基準から見て時計回りにθ=5°)傾斜させてもよい。従って、修正イメージ498、499の形状(及びその他の特性)は、元のイメージ497と同じであってもよいが、所定の角度θだけ傾斜させてもよい。
【0065】
種々の実施形態によれば、アイウェア110は、輝度440、コントラスト460、空間周波数内容490、及び/又は傾斜496の変化をもたらして視覚バランス310の修正を生じる物理的手段を含んでもよい。例えば、アイウェア110は、元のイメージの輝度440、コントラスト460、空間周波数内容490、及び/又は傾斜496を調整する(例えば、減少又は増加させる)よう構成される光強度パターン調整を含んでもよい。代替として、左視覚刺激112及び右視覚刺激114の少なくとも一方の輝度440、コントラスト460、空間周波数内容490、及び/又は傾斜496の変化は、制御回路130によって生じてもよい。
【0066】
種々の実施形態によれば、視覚バランス310の修正は、平行移動400、回転420、輝度440の変化、コントラスト460の変化、空間周波数内容490の変化、傾斜496の変化、又はそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含んでもよい。例えば、視覚バランス310の修正は、回転420とコントラスト460の変化とを含んでもよい。別の実施例において、視覚バランス310の修正は、平行移動400と空間周波数内容490の変化を含んでもよい。別の実施例において、視覚バランス310の修正は、傾斜496、コントラスト460の変化、及び空間周波数内容490の変化を含んでもよい。種々の実施形態によれば、視覚バランス310の修正は、左視覚刺激112及び右視覚刺激114のうちの少なくとも一方を含んでもよい。例えば、左視覚刺激112は、修正されてもよく(例えば、コントラスト460、回転420、傾斜496の変化)、右視覚刺激114は、不変のままであってもよく、逆もまた同様である。更なる実施例として、左視覚刺激112及び右視覚刺激114の両方は修正されてもよく、例えば、左視覚刺激112は、右視覚刺激114の変化とは異なる変化を含んでもよい。代替として、左視覚刺激112及び右視覚刺激114の両方が、類似の方法で修正されてもよい。
【0067】
図3~4Fを参照すると、制御回路130は、左視覚刺激112と右視覚刺激114との間の視覚バランス310を修正するよう提供されてもよい調整値のセット320を特定するモジュールを含んでもよい。例えば、調整値のセット320は、視覚バランス310の修正を提供するよう、平行移動400、回転420、輝度440の変化、コントラスト460、空間周波数内容490、傾斜496、又はそれらの組み合わせを生じるのに必要とされる値を含んでもよい。言い換えれば、左視覚刺激112及び右視覚刺激114のうちの少なくとも一方の視覚バランス310を修正することは、制御回路130によって特定される調整値のセット320に基づく。
【0068】
種々の実施形態によれば、調整値のセット320は、身体姿勢応答情報150と基準との間の偏差160を最小にするよう、又は基準に達するよう特定されてもよい。
【0069】
本開示の一実施形態によれば、調整値のセット320は、図1A~2Cを参照して説明したように、システム100によって特定される偏差160に基づいてもよい。例えば、調整値のセット320は、前記調整値320によって修正された視覚刺激116を見る場合、被験者の身体姿勢140及び身体姿勢応答情報150が、基準のものと等しくてもよいように、偏差160に等しい値を含んでもよい。例えば、偏差160は、第2の計算アルゴリズム(例えば、身体姿勢応答情報150と基準との間の減算)に従って特定されてもよい。
【0070】
別の実施形態によれば、調整値のセット320は、視覚バランス310の修正を生じるようランダムに特定されてもよい。例えば、制御回路130は、第3の計算アルゴリズムを実行して、左視覚刺激112と右視覚刺激114との間の視覚バランス310をランダムに修正してもよい。例えば、制御回路130は、視覚バランス310の修正を生じるよう、平行移動400、回転420、輝度440、コントラスト460、空間周波数内容490、及び/又は傾斜496を所定の値だけ増加又は減少させてもよい。更なる実施例として、制御回路130は、左視覚刺激112及び右視覚刺激114のうちの少なくとも一方のコントラスト460、輝度440、及び/又は傾斜496において段階的に10%の増加又は減少を提供してもよい。調整値のセット320は、視覚バランス310の修正に応答した被験者の身体姿勢140が基準のそれに達する場合、又は視覚バランス310の修正に応答した被験者の身体姿勢140が所定のレベル(例えば、「臨床的に許容可能」であってもよいレベル、又は被験者の姿勢バランスに有意に影響を及ぼさないレベル)まで最小化される場合に特定されてもよい。
【0071】
従って、調整値のセット320は、被験者の融合された単眼視知覚が、平衡両眼システム(例えば、両眼からの等しい寄与)のものに達してもよいか、又はそれであってもよいように、被験者における眼球優位又は両眼不均衡を補正又は低減するのに必要とされる値を提供してもよい。
【0072】
有利なことに、本発明のシステム及び方法は(例えば、調整値のセット320を介して)、レンズを個人化及びカスタマイズするために、及び/又は不均衡な両眼システムを有する被験者に対して個人化された処置を提供するために用いられてもよい。特に、ヒトの視覚系の眼球優位の診断及び/又は治療のために。更に、本発明は、かかる個人化又はカスタマイズされたレンズを評価又は試験するシステム及びその方法(例えば、調整値のセット320を介して)を提供してもよい。例えば、システムは、実験室で制御された両眼分離入力(例えば、視覚刺激116)と、基準と比較されてもよい被験者の測定された身体反応とに基づいて、前記カスタマイズされたレンズの客観的評価を可能にする。
【0073】
図5は、実施例として、視覚刺激116に対する身体反応を検出するためのシステム500の使用、及びその後の視覚バランス310の修正の略図を示している。システム500において、例示的な被験者は「右眼優位」であってもよく、即ち、被験者の右眼からの単眼知覚がより強い。視覚刺激116、116’は、左視覚刺激112及び右視覚刺激114として提示される歩行経路又は軌道、例えば、平坦な床の迷路であってもよい。システム500の右側を参照すると、左視覚刺激112及び右視覚刺激114は、同一であるが、反対方向に傾斜している場合がある。例えば、左視覚刺激112は、-5°(例えば、被験者の基準から見て反時計回りに5°)傾斜していてもよく、右視覚刺激112は、+5°(例えば、被験者の基準から見て時計回りに5°)傾斜していてもよい。被験者の融合された単眼視知覚510は、より強い眼(例えば、右眼)からの単眼知覚に有利に働く可能性があり、被験者は、例えば、+2°の傾斜を伴って、より強い眼からの単眼知覚に有利に働く方向に歩行する可能性がある。センサ120は、第1の変位250及び第2の変位260を含む可能性がある被験者の身体姿勢140の測定値を検出し、身体姿勢140の測定値を、身体姿勢応答情報150、及び基準に対する身体姿勢応答情報150の偏差を特定する制御回路130に提供する。図5の実施例において、基準は、(例えば、第1の変位250を伴わない)平衡両眼システムの融合された単眼視知覚であってもよい。
【0074】
制御回路130は、更に、左視覚刺激112と右視覚刺激114との間の視覚バランス310を修正するよう、第2の計算アルゴリズムに従って偏差160に基づき調整値のセット320を特定してもよいか、又は第3の計算アルゴリズムに従って調整値のセット320を特定してもよい。種々の実施形態によれば、視覚バランス310の修正は、身体姿勢応答情報150と基準との間の偏差160を最小化するよう、又は基準に達するよう提供されてもよい。例えば、視覚バランス310の修正は、例えば、左視覚刺激112’の信号を強化する(例えば、コントラストを増加させ、従って、コントラストオフセットを提供する)ことによって、より弱い眼(例えば、左眼)に有利に働く視覚刺激116’を提供してもよい。右視覚刺激114は、変更されないままであってもよいか、又は同様に変更されてもよい。別の実施例(前の実施例と組み合わせられてもよい)において、視覚バランス310の修正は、例えば、右視覚刺激114の信号を弱める(例えば、コントラストを減少させ、従ってコントラストオフセットを提供する)ことによって、優位眼(例えば、右眼)に向けられる視覚刺激116’を提供してもよい。左視覚刺激112は、変更されないままであってもよいか、又は同様に変更されてもよい。更に別の実施例において、視覚バランス310の修正は、より弱い眼に向けられる信号を増加させ、及び/又は優位眼に向けられる信号を減少させる視覚刺激116’’を提供することを含んでもよい。例えば、視覚刺激116’’は、コントラスト及び傾斜の程度が増加した左視覚刺激112、及び/又はコントラスト及び傾斜の程度が減少した右視覚刺激114を含んでもよい。従って、不均衡な両眼システムを有する被験者によって知覚される融合された単眼視知覚520は、平衡両眼システムのものと同様であってもよい。例えば、被験者の身体姿勢140は、(例えば、第1の変位250の測定値を伴わない)基準と等しくてもよい。言い換えれば、視覚バランス310の修正は、融合された単眼視知覚520が両眼平衡システムのものと等しくなるように、両眼の弱い方の眼に補正を提供するか、又は両眼の優位な眼によって提供される相対的な寄与を知覚的に減少させる。
【0075】
種々の実施形態によれば、センサ120は、身体姿勢140の測定値を提供するために、被験者に対して取り外し可能に配設可能であってもよい。例えば、センサ120は、被験者の全身に取り付けられてもよく、着用可能な全身イメージ又はモーショントラッキングスーツ又はデバイスを含んでもよい。従って、センサ120は、被験者の全身の測定値を提供する。更なる実施例として、センサ120は、被験者の身体の一部に取り付けられてもよく、身体姿勢140の測定値は、身体のその特定の部分のものであってもよい。被験者の身体の一部へのセンサ120の非限定的な配置は、胴、四肢(例えば、腕又は脚)、手、足、頭、首、眼を含んでもよい。更なる実施例として、センサ120は、アイウェア110上に位置してもよい。別の実施例において、センサはアイウェア110上に一体化されてもよい。例えば、アイウェアは、VRデバイスであってもよく、センサ120はデバイス上に一体化されてもよく、視覚刺激116に応答して、被験者の頭部又は眼の身体姿勢140の測定値を提供してもよい。種々の実施形態によれば、センサ120は、ゲームコンソール及び/又はモバイルデバイスを含むハンドヘルドデバイス等の外部ディスプレイ620内に位置してもよく、ここで知覚される両眼不均衡は、身体姿勢140(例えば、外部ディスプレイ620を傾けた場合の手の傾斜角)の測定値によって提供されてもよい。種々の実施形態によれば、視覚刺激116に応答する両眼不均衡の程度は、制御回路130又は別のマイクロプロセッサによって特定される偏差160に比例してもよく、センサ120によって測定される被験者の身体姿勢140の傾斜角度又は傾斜の程度の関数であってもよい。
【0076】
種々の実施形態によれば、制御回路130はアイウェア110上に位置してもよい。例えば、制御回路130は、アイウェア100のフレーム、例えば、アイウェア110のフレームの前部に一体化されてもよい。種々の実施形態によれば、制御回路130は、センサ120と共に位置してもよく、例えば、センサ120及び制御回路130は、同一回路に組み込まれてもよい。種々の実施形態によれば、制御回路130は、例えば、システム100、300、500内部の別個のデバイスとして、アイウェア110及び/又はセンサ120の外部にあってもよい。例えば、制御回路130は、アイウェア110及びセンサ120に動作可能に結合される別個のマイクロプロセッサ内にあってもよい。代替として、制御回路130は、システム100、300、500の外部、例えば、制御センター(例えば、別の場所)又はクラウドネットワーク内のサーバ内に位置してもよい。制御回路130は、種々の実施形態に従って、有線又は無線通信を介して身体姿勢140の測定値を受信してもよい。
【0077】
図6は、種々の実施形態による、システム600の使用条件の例示的な略図を示している。システム600は、図1A~4Fに関連して説明したシステム100、300に基づいてもよく、簡潔のために繰り返しの説明は省略する。システム600は、視覚刺激116を表示するよう構成される外部ディスプレイ620を含んでもよい。種々の実施形態によれば、外部ディスプレイ620は、視覚刺激116を表示する視覚表示ユニット(例えば、モニタ、スクリーン)を含む電子デバイスであってもよい。外部ディスプレイ620は、携帯可能であってもよく、スマートフォン、ラップトップ、タブレット、又はゲーム機等のハンドヘルドデバイスを含んでもよい。代替として、外部ディスプレイ620は、固定位置に取り付けられてもよく、プロジェクタスクリーンを含んでもよい。種々の実施形態によれば、制御回路130は、外部ディスプレイ620上に提示される視覚刺激116を制御してもよい。種々の他の実施形態によれば、外部ディスプレイ620上に提示される視覚刺激116は、外部プロセッサ(例えば、コンピュータ、無線通信を介するクラウドネットワークのサーバ)を介して制御されるか、又は外部ディスプレイ620内部のプロセッサ(例えば、ハンドヘルドデバイスのマイクロプロセッサ)によって制御されてもよい。
【0078】
アイウェア110は、更に、フィルタ610を含んでもよく、アイウェア110は、外部ディスプレイ620に結合されてもよい。例えば、アイウェア110は、被験者が外部ディスプレイ620上に表示される視覚刺激116を見ることを可能にしてもよい。フィルタ610(例えば、光学フィルタ)は、視覚刺激116が左視覚刺激112及び右視覚刺激114として表示されるように、視覚刺激116の特性を変更するよう構成されてもよい。言い換えれば、フィルタ610は、両眼分離提示として視覚刺激116を表示してもよい。種々の実施形態によれば、フィルタ610は、電子的にパッシブ又はアクティブであってもよい。パッシブフィルタ610は、視覚刺激116の特性を変更するよう、プリズム、ミラー、又はレンズを用いる視覚補助を含んでもよい。パッシブフィルタ610の例には、特定の偏光の光波のみを通過させるよう構成される偏光システム(例えば、偏光子)、微視的に小さいプリズムを含むレンズ(例えば、プリズム箔)、及びアナグリフプレゼンテーション(例えば、アナグリフ3Dゴーグル)を含む。代替として、アクティブフィルタ610は、左視覚刺激112及び右視覚刺激114として表示されるように視覚刺激116の特性を変更するよう、制御回路130又は外部プロセッサ(例えば、コンピュータ、クラウドネットワークのサーバ)によって制御されてもよいフィルタを含んでもよい。
【0079】
種々の実施形態によれば、フィルタ610は、更に、左視覚刺激112と右視覚刺激114との間の視覚バランス310を修正するよう構成されてもよい。例えば、制御回路130は、調整値のセット320に基づいて視覚バランス310を修正してもよく、アクティブフィルタ610が輝度440、コントラスト460、空間周波数内容490、傾斜496を修正し、並びに/又は、左視覚刺激112及び右視覚刺激114のうちの少なくとも一方を平行移動400、回転420させるように命令を提供してもよい。更なる実施例として、パッシブフィルタ610は、視覚バランス310の修正を提供するよう、物理的に変更されてもよい。例えば、パッシブフィルタ610は、左視覚刺激112及び右視覚刺激114のうちの少なくとも一方のコントラスト420及び/又は傾斜496を増加又は減少させるよう構成される別のパッシブフィルタ610と置き換えられてもよい。
【0080】
図7A及び7Bは、実施例として、本開示の種々の実施形態による、視覚刺激116に対する身体反応を検出するための方法700A、700Bの略図を示している。図7A及び図7Bを参照すると、方法700A、700Bは、ステップ710において、アイウェア110の左側を介して左視覚刺激112を提供し、アイウェア110の右側を介して右視覚刺激114を提供することを含んでもよい。例えば、アイウェア110は、左視覚刺激112及び右視覚刺激114を提供するよう構成されてもよく、又は左視覚刺激112及び右視覚刺激114を提供するよう構成されるフィルタ610を含んでもよい。ステップ720において、方法は、被験者がアイウェア110を着用している場合の被験者の身体の身体姿勢140を測定するためのセンサ120を提供することを含んでもよい。例えば、センサ120は、被験者の身体の一部又は全体に取り付けられてもよい。更なる実施例として、センサ120は、外部ディスプレイ620内にあってもよい。ステップ730において、センサ120は、左視覚刺激112及び右視覚刺激114に応答してもよい被験者の身体姿勢140を測定する。方法700Aは、ステップ740において、制御回路130を用いて、身体姿勢140の測定値に基づいて身体姿勢応答情報150を生成することを含んでもよい。例えば、センサ120は、有線又は無線通信を介して身体姿勢140の測定値を制御回路130に提供してもよく、制御回路130は、前記測定値に基づき、第1の計算アルゴリズムに従って、身体姿勢応答情報150を生成してもよい。ステップ750において、制御回路130は、左視覚刺激112及び右視覚刺激114に基づく基準に対する身体姿勢応答情報150の偏差160を特定してもよい。代替として、基準に対する身体姿勢応答情報150の偏差160は、別のマイクロプロセッサ(例えば、コンピュータ、無線通信を介するクラウドネットワーク内のサーバ)によって特定されてもよい。種々の実施形態によれば、偏差160は、第2の計算アルゴリズムに従って計算されてもよく、基準に対する身体姿勢応答情報150の差分を含んでもよい。
【0081】
図7Aの方法700Aを参照し、一実施形態によれば、ステップ780は、制御回路130を用いて、ステップ750において特定される偏差160に基づいて(例えば、第2の計算アルゴリズムに基づいて)調整値のセット320を提供することを含んでもよい。調整値のセット320は、身体姿勢応答情報150と基準との間の偏差160を最小化するよう、又は基準に達するよう提供されてもよい。従って、ステップ760において、方法700Aは、ステップ780において提供された調整値のセット320に基づいて、左視覚刺激112と右視覚刺激114との間の視覚バランス310を修正することを含んでもよい。例えば、視覚バランス310を修正することは、左視覚刺激112及び右視覚刺激114のうちの少なくとも一方の、平行移動400、回転420、輝度440の変化、コントラスト460、空間周波数内容490、傾斜496、又はそれらの組み合わせを含んでもよい。ステップ770において、センサ120は更に、修正された視覚バランス310に応答して、被験者の身体姿勢140を測定してもよい。
【0082】
図7Bの方法700Bを参照し、別の実施形態によれば、ステップ790は、制御回路130を用いて、左視覚刺激112と右視覚刺激114との間の視覚バランス310の修正を提供して、調整値のセット320を特定することを含んでもよい。例えば、ステップ760において、制御回路130は、調整値のセット320を特定するよう、左視覚刺激112と右視覚刺激114との間の視覚バランス310のランダムな修正を含んでもよい第3の計算アルゴリズムに従ってもよい。ステップ770において、センサ120は、ランダムに修正された視覚バランス310に応答して、被験者の身体姿勢140を測定してもよい。ステップ790において、セット調整値320は、従って、視覚バランス310の修正に応答した被験者の身体姿勢140が基準のそれに達する場合、又は視覚バランス310の修正に応答した被験者の身体姿勢140が所定のレベル(例えば、「臨床的に許容可能」であってもよいレベル、又は被験者の姿勢バランスに有意に影響を及ぼさないレベル)まで最小化される場合に達成されてもよい。
【0083】
図8は、種々の実施形態による、視覚刺激116に対する身体反応を検出するための方法800の例示的な略図を示している。方法800は、ステップ810において、視覚刺激116を、アイウェア110の左側を介する左視覚刺激112及びアイウェア110の右側を介する右視覚刺激114として提供することを含む。例えば、アイウェア110は、視覚刺激116が両眼分離的に提示されるように、視覚刺激116の特性を変更するよう、構成されるか、又はフィルタ610を用いてもよい。ステップ820において、センサ120は、被験者がアイウェア110を着用している場合の被験者の身体の身体姿勢140を測定するよう提供される。従って、センサ120は、両眼分離的に提示された視覚刺激116に応答して被験者の身体の身体姿勢140を測定する。ステップ830は、左視覚刺激112及び右視覚刺激114のうちの少なくとも一方を修正することを含む。種々の実施形態によれば、視覚バランス310の修正は、左視覚刺激112及び右視覚刺激114のうちの少なくとも一方の平行移動400、回転420、輝度440の変化、コントラスト460、空間周波数内容490、傾斜496、又はそれらの組み合わせを含んでもよい。例えば、視覚バランス310の修正は、例えば、視覚刺激を修正して、両眼の弱い方の眼に提供される信号を増加させること、両眼の優位眼に提供される信号を減少させること、又はそれらの組み合わせによって、特定された不平衡を生じるか、又は被験者の身体姿勢140に有意な姿勢調整を誘発してもよい。ステップ840において、方法800は、視覚バランス310の修正に応答する、センサ120による身体姿勢140を測定することを含む。ステップ850は、アイウェア110及びセンサ120に動作可能に結合されるマイクロプロセッサによって、ステップ840において取得される身体姿勢140の測定値に基づいて身体姿勢応答情報150を生成することを含む。例えば、マイクロプロセッサは、上で説明した制御回路130を含んでもよいか、又はそれであってもよく、マイクロプロセッサは、第1の計算アルゴリズムに従って身体姿勢応答情報150を計算するよう構成されてもよい。
【0084】
ステップ860は、左視覚刺激112及び右視覚刺激114に基づく基準に対する身体姿勢応答情報150の偏差160を特定することを含む。一実施形態によれば、偏差160の特定は、アイウェア110及びセンサ120に動作可能に結合されるマイクロプロセッサ、例えば制御回路130によって実行されてもよい。従って、制御回路130は、身体姿勢応答情報150を生成し、更に、基準に対する身体姿勢応答情報150の偏差160を特定する。
【0085】
別の実施形態によれば、偏差160を特定することは、別のマイクロプロセッサ(例えば、外部コンピュータ、クラウドネットワーク内のサーバ)によって実行されてもよい。例えば、身体姿勢応答情報150は、偏差160を特定するよう、有線又は無線手段を介して別のマイクロプロセッサに通信されてもよい。
【0086】
種々の実施形態によれば、方法800は、方法800のステップを実行するよう構成されるコンピューティングシステムによって実行されてもよい。例えば、コンピュータプログラムは、方法800のステップを実行する命令を含んでもよく、視覚刺激116に対する被験者の身体反応を検出してもよい。
【0087】
有利なことに、本開示は、運動中の眼球優位及びその多感覚統合の客観的評価を可能にするシステム及び方法を提供する。特に、本システム及びその方法は、(i)実世界シナリオに関連する視覚刺激を用い、(ii)両眼バランスを他の感覚プロセスと統合する。従って、本開示は、例えば、眼球優位を他の感覚モダリティと統合することによって、他の感覚プロセスを通して眼球優位を客観的に評価するためのシステム及び方法を提示し、これは、実世界多感覚シナリオに対してより適用可能である。
【0088】
本開示を、特定の実施形態を参照して具体的に示し、説明してきたが、形態及び詳細における種々の変更は、添付の特許請求の範囲によって定義されるような本発明の精神及び適用範囲から逸脱することなく、その中で行われてもよいことが、当業者によって理解されるべきである。本発明の適用範囲は、従って、添付の特許請求の範囲によって示され、従って、特許請求の範囲の均等物の意味及び範囲内に入る全ての変更を包含することが意図されている。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図5
図6
図7A
図7B
図8
【国際調査報告】