(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-25
(54)【発明の名称】抗TNFR2抗体及びその使用
(51)【国際特許分類】
C07K 16/28 20060101AFI20240718BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240718BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20240718BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240718BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240718BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20240718BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
C07K16/28
A61P35/00 ZNA
A61P37/02
A61P35/02
A61K39/395 T
C12N15/13
C12N15/63 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500409
(86)(22)【出願日】2022-07-06
(85)【翻訳文提出日】2024-03-05
(86)【国際出願番号】 IB2022000409
(87)【国際公開番号】W WO2023281313
(87)【国際公開日】2023-01-12
(32)【優先日】2021-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522256668
【氏名又は名称】ハイファイバイオ(ホンコン)リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100107386
【氏名又は名称】泉谷 玲子
(72)【発明者】
【氏名】ベルトラミネリ,ニコラ・アルトゥーロ・アルド
(72)【発明者】
【氏名】ワトキンス,ジェニファー
(72)【発明者】
【氏名】エイドリアン,フランシスコ
(72)【発明者】
【氏名】チャン,チェン
(72)【発明者】
【氏名】ラウエ,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】メアリー,パスカリーヌ
(72)【発明者】
【氏名】シュバイツァー,リャン
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ,シュオ
(72)【発明者】
【氏名】デリンス,マテュー
【テーマコード(参考)】
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C085AA14
4C085BB31
4C085CC23
4C085EE01
4C085GG01
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA75
4H045DA76
4H045EA20
4H045EA50
4H045FA74
(57)【要約】
TNFR2に特異的なモノクローナル抗体及びその抗原結合フラグメントと、がんまたは自己免疫障害を治療するためにそれらを使用する方法であって、PD-1/PD-L1免疫チェックポイントのアンタゴニストとの併用療法を含む、方法とが提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントであって、前記モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントが、ヒトTNFR2に特異的であり、前記モノクローナル抗体が、
(1a)重鎖可変領域(HCVR)であって、配列番号1のHCVR CDR1配列、配列番号2のHCVR CDR2配列、及び配列番号3のHCVR CDR3配列を含む、前記重鎖可変領域と、
(1b)軽鎖可変領域(LCVR)であって、配列番号4のLCVR CDR1配列、配列番号5のLCVR CDR2配列、及び配列番号6のLCVR CDR3配列を含む、前記軽鎖可変領域とを含む、または
(2a)重鎖可変領域(HCVR)であって、配列番号14のHCVR CDR1配列、配列番号15のHCVR CDR2配列、及び配列番号16のHCVR CDR3配列を含む、前記重鎖可変領域と、
(2b)軽鎖可変領域(LCVR)であって、配列番号17のLCVR CDR1配列、配列番号18のLCVR CDR2配列、及び配列番号19のLCVR CDR3配列を含む、前記軽鎖可変領域とを含む、または
(3a)重鎖可変領域(HCVR)であって、配列番号26のHCVR CDR1配列、配列番号27のHCVR CDR2配列、及び配列番号28のHCVR CDR3配列を含む、前記重鎖可変領域と、
(3b)軽鎖可変領域(LCVR)であって、配列番号29のLCVR CDR1配列、配列番号30のLCVR CDR2配列、及び配列番号31のLCVR CDR3配列を含む、前記軽鎖可変領域とを含む、または
(4a)重鎖可変領域(HCVR)であって、配列番号39のHCVR CDR1配列、配列番号40のHCVR CDR2配列、及び配列番号41のHCVR CDR3配列を含む、前記重鎖可変領域と、
(4b)軽鎖可変領域(LCVR)であって、配列番号42のLCVR CDR1配列、配列番号43のLCVR CDR2配列、及び配列番号44のLCVR CDR3配列を含む、前記軽鎖可変領域とを含む、または
(5a)重鎖可変領域(HCVR)であって、配列番号51のHCVR CDR1配列、配列番号52のHCVR CDR2配列、及び配列番号53のHCVR CDR3配列を含む、前記重鎖可変領域と、
(5b)軽鎖可変領域(LCVR)であって、配列番号54のLCVR CDR1配列、配列番号55のLCVR CDR2配列、及び配列番号56のLCVR CDR3配列を含む、前記軽鎖可変領域とを含む、または
(6a)重鎖可変領域(HCVR)であって、配列番号63のHCVR CDR1配列、配列番号64のHCVR CDR2配列、及び配列番号65のHCVR CDR3配列を含む、前記重鎖可変領域と、
(6b)軽鎖可変領域(LCVR)であって、配列番号66のLCVR CDR1配列、配列番号67のLCVR CDR2配列、及び配列番号68のLCVR CDR3配列を含む、前記軽鎖可変領域とを含む、前記単離されたモノクローナル抗体またはその抗体結合フラグメント。
【請求項2】
(1A)前記HCVR配列が配列番号7である、及び/または
(1B)前記LCVR配列が配列番号8である、あるいは
(2A)前記HCVR配列が配列番号20である、及び/または
(2B)前記LCVR配列が配列番号21である、あるいは
(3A)前記HCVR配列が配列番号32である、及び/または
(3B)前記LCVR配列が配列番号33である、あるいは
(4A)前記HCVR配列が配列番号45である、及び/または
(4B)前記LCVR配列が配列番号46である、あるいは
(5A)前記HCVR配列が配列番号57である、及び/または
(5B)前記LCVR配列が配列番号58である、あるいは
(6A)前記HCVR配列が配列番号69である、及び/または
(6B)前記LCVR配列が配列番号70である、
請求項1に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗体結合フラグメント。
【請求項3】
前記モノクローナル抗体が、
(1a)配列番号9の重鎖配列、及び/または
(1b)配列番号10の軽鎖配列、あるいは
(2a)配列番号22の重鎖配列、及び/または
(2b)配列番号23の軽鎖配列、あるいは
(3a)配列番号34の重鎖配列、及び/または
(3b)配列番号35の軽鎖配列、あるいは
(4a)配列番号47の重鎖配列、及び/または
(4b)配列番号48の軽鎖配列、あるいは
(5a)配列番号59の重鎖配列、及び/または
(5b)配列番号60の軽鎖配列、あるいは
(6a)配列番号71の重鎖配列、及び/または
(6b)配列番号72の軽鎖配列
を有する、請求項1または2に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗体結合フラグメント。
【請求項4】
マウス抗体、ヒト-マウスキメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、CDR移植抗体、またはリサーフェスド抗体である、請求項1~3のいずれか1項に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項5】
前記抗原結合フラグメントが、Fab、Fab’、F(ab’)
2、F
d、単鎖FvもしくはscFv、ジスルフィド結合F
v、V-NARドメイン、IgNar、イントラボディ、IgGΔCH
2、ミニボディ、F(ab’)
3、テトラボディ、トリアボディ、ダイアボディ、シングルドメイン抗体、DVD-Ig、Fcab、mAb
2、(scFv)
2、またはscFv-Fcである、請求項1~4のいずれか1項に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項6】
前記モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントが、アカゲザルTNFR2と交差反応するが、マウスTNFR2とは実質的に交差反応しない、請求項1~5のいずれか1項に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項7】
前記モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントがTNFR1と実質的に交差反応しない、請求項1~6のいずれか1項に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項8】
前記モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントが、約25nM未満、20nM未満、15nM未満、10nM未満、5nM未満、2nM未満、または1nM未満のK
dでTNFαに結合する、請求項1~7のいずれか1項に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項9】
Tregの存在下で、TNFαとTNFR2との結合を増強し、TNFα媒介性または共刺激NFκBシグナル伝達を(例えば、TCR活性化CD8及び/またはCD4 Tconv T細胞において)増強し、及び/またはTCR活性化エフェクターT細胞(例えば、CD8及び/またはCD4 Tconv T細胞)の増殖を促進する、請求項1~8のいずれか1項に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項10】
TregでのTNFα媒介性CD25発現を増強する、請求項1~9のいずれか1項に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項11】
配列番号13及び/または101のエピトープに結合する、請求項1~10のいずれか1項に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項12】
配列番号13及び/または101の前記エピトープとの結合に関し、請求項1~11のいずれか1項に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントと競合する、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項13】
配列番号13及び/または101の前記エピトープに特異的に結合する、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項14】
Tregの存在下で、TNFαとTNFR2との結合を増強し、TNFα媒介性または共刺激NFκBシグナル伝達を(例えば、TCR活性化CD8及び/またはCD4 Tconv T細胞において)増強し、及び/またはTCR活性化エフェクターT細胞(例えば、CD8及び/またはCD4 Tconv T細胞)の増殖を促進する、請求項12または13に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項15】
Tregの存在下で、TNFαとTNFR2との結合を阻害し、TNFα媒介性または共刺激NFκBシグナル伝達を(例えば、TCR活性化CD8及び/またはCD4 Tconv T細胞において)阻害し、及び/またはTCR活性化エフェクターT細胞(例えば、CD8及び/またはCD4 Tconv T細胞)の増殖を阻害する、請求項1~8のいずれか1項に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項16】
Tregの増殖を促進する、請求項1~8のいずれか1項に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項17】
ナチュラルキラー細胞の活性化を促進する、請求項1~8のいずれか1項に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項18】
同じエピトープとの結合に関し、請求項1~8及び15~16のいずれか1項に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントと競合する、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項19】
単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントであって、前記モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントが、配列番号101を含む、それから本質的になる、またはそれからなるエピトープでヒトTNFR2に特異的に結合し、任意選択で、前記単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントが、配列番号13から本質的になる、またはそれからなるエピトープではヒトTNFR2に結合しない、前記単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項20】
(1)腫瘍浸潤リンパ球(TIL)において(例えば、in vivo hTNFR2ノックインMC38マウス腫瘍モデルにおいて)、CD4
+T細胞の活性化及び増殖を促進するが、調節性T細胞(Treg)の活性化及び増殖を促進しない、ならびに/または(2)in vitro及び/もしくはin vivoでNK細胞の活性化を促進する、請求項19に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項21】
カニクイザルにおける最大耐量(MTD)が約150mg/kgである、請求項1~20のいずれか1項に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項22】
がんの治療を、それを必要とする患者において行う方法であって、前記患者に、請求項1~21のいずれか1項に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントの有効量を投与することを含み、前記患者(例えば、前記患者の前記がん)が、
(a)前立腺癌患者における平均TNFR2発現レベルより高いレベルのTNFR2発現(任意選択で、前記TNFR2発現は、エフェクターT細胞(例えば、CD4
+及び/またはCD8
+T細胞)、腫瘍浸潤CD8
+T細胞、及び/またはNK細胞において評価される)、ならびに
(b)AML患者における平均CD8A発現レベルより高いレベルのCD8A発現
を有する、前記方法。
【請求項23】
前記患者(例えば、前記患者の前記がん)が、腫瘍浸潤CD8A
+(CD8α鎖陽性)T細胞において前記より高いレベルのTNFR2発現を有する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記患者が、EBV
+胃癌(例えば、胃腺癌)、明細胞腎細胞癌、腎臓明細胞癌、皮膚黒色腫(例えば、皮膚黒色腫)、精巣胚細胞腫瘍、または軟部組織肉腫を有する、請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
前記がんが「高い」レベルのPD-L1を発現する、請求項22または23に記載の方法。
【請求項26】
前記がんが、子宮頚癌(例えば、子宮頚部扁平上皮癌もしくは子宮頚管内腺癌)、胸膜中皮腫、肺腺癌、または頭頚部扁平上皮癌である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記患者に、
(a)PD-1に特異的な抗体もしくはその抗原結合フラグメント、例えば、セミプリマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、スパルタリズマブ、カムレリズマブ、シンチリマブ、チスレリズマブ、トリパリマブ、ドスタルリマブ、及びINCMGA00012、
(b)PD-L1に特異的な抗体もしくはその抗原結合フラグメント、例えば、アベルマブ、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、KN035、もしくはCK-301、及び/または
(c)PD-L2に特異的な抗体もしくはその抗原結合フラグメント
を投与することをさらに含む、請求項22~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記患者が再発もしくは難治性のがんを有し、及び/または過去に標準治療で治療された(さらに任意選択で、これに応答しなかったもしくは再発した)ことがある、請求項22~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記患者に、前記単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントの有効量を、3週間に1回(Q3W)、4週間に1回(Q4W)、または5週間に1回(Q5W)(例えば、4週間に1回またはQ4W)投与することを含む、請求項22~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記患者に、前記単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントを4週間に1回(Q4W)、約5mg、約15mg、約50mg、約100mg、または約150mgの用量で投与する(例えば、60分かけて静脈内投与する)ことを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
(1)前記投与ステップの前に、前記より高いレベルのTNFR2発現及びCD8A発現を伴う患者を選択すること、または
(2)前記投与ステップの前に、前記患者が前記より高いレベルのTNFR2発現及びCD8A発現を有することを確認すること
をさらに含む、請求項22~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
がんの治療を、それを必要とする患者において行う方法であって、前記患者に、配列番号101を含む、それから本質的になる、またはそれからなるエピトープでヒトTNFR2に特異的に結合する単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントの有効量を投与することを含み、任意選択で、前記単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントが、配列番号13から本質的になる、またはそれからなるエピトープではヒトTNFR2に結合しない、前記方法。
【請求項33】
がんまたは自己免疫障害の治療を、それを必要とする患者において行う方法であって、前記患者に、請求項1~21のいずれか1項に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントの有効量を投与することを含む、前記方法。
【請求項34】
免疫チェックポイントのアンタゴニストを投与することをさらに含む、がんを治療するための請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記免疫チェックポイントがPD-1/PD-L1免疫チェックポイントである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記免疫チェックポイントの前記アンタゴニストが、PD-1またはPD-L1に特異的な抗体またはその抗原結合フラグメントである、請求項34または35に記載の方法。
【請求項37】
前記抗体が抗PD-1抗体、例えば、セミプリマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、スパルタリズマブ、カムレリズマブ、シンチリマブ、チスレリズマブ、トリパリマブ、ドスタルリマブ、及びINCMGA00012である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記抗体が抗PD-L1抗体、例えば、アベルマブ、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、KN035、またはCK-301である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記免疫チェックポイントの前記アンタゴニストが、PD-1/PD-L1の(非抗体)ペプチド阻害剤(例えば、AUNP12)、PD-L1の低分子阻害剤(例えば、CA-170)、または大環状ペプチド(例えば、BMS-986189)である、請求項34または35に記載の方法。
【請求項40】
前記がんが、黒色腫、乳癌、結腸癌、子宮頚癌、腎臓癌、肝臓癌(例えば、肝細胞癌)、肺癌(NSCLC)、卵巣癌、皮膚癌(例えば、扁平上皮癌または基底細胞癌)、リンパ腫、または白血病である、請求項34~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記患者に、化学療法剤、抗血管新生剤、成長阻害剤、がん免疫薬剤、及び/または抗新生物組成物を投与することをさらに含む、請求項22~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
請求項1~21のいずれか1項に記載の重鎖もしくは軽鎖またはその抗原結合部分をコードするポリヌクレオチド。
【請求項43】
ヒト細胞での発現のためにコドン最適化されている、請求項42に記載のポリヌクレオチド。
【請求項44】
請求項42または43に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
【請求項45】
発現ベクター(例えば、哺乳類、酵母、昆虫、または細菌発現ベクター)である、請求項44に記載のベクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本出願は、米国仮特許出願第63/219,175号(2021年7月7日出願)の出願日の利益を主張し、その全ての内容(任意の図面及び配列表を含む)が、参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
腫瘍壊死因子受容体2(TNFR2)(別名:腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー1B(TNFRSF1B)及びCD120b)は、4つのシステインリッチドメイン(CRD1~CRD4)を有する細胞外ドメイン(ECD、残基1-257)と、膜貫通ドメイン(TM、残基258-287)と、TRAF2結合ドメインを有する細胞内ドメイン(ICD、残基288-461)とを含む75kDaのI型膜貫通タンパク質である。TNFR2は、もう一方のTNFα受容体である腫瘍壊死因子受容体1(TNFR1)と共有する配列同一性が比較的低く、これらの細胞外ドメイン間の相同性はわずか28%である。
【0003】
TNFR2は、TNFαリガンドに3:3の三量体化様式で結合する。TNFR2とTNFαとの共結晶構造が解明され、各TNFR2分子が2つのTNFαリガンドに結合することが示された。さらに、TNFαは420pMのKdでTNFR2に結合するが、これはTNFR1との結合(Kd=19nM)より約20倍弱い。当然ながら、TNFαは、他の全てが同じであればTNFR1に優先的に結合する。
【0004】
正常なT細胞においては、TNFα-TNFR2相互作用は、NFkBシグナル伝達経路を介し細胞生存シグナルを誘発する。しかし、自己免疫T細胞においては、TNFα-TNFR2相互作用は、カスパーゼ経路を介しアポトーシスシグナルを誘発する。
【0005】
ヒトTNFR2は、マウスTNFR2に対し62%のアミノ酸配列相同性を示すが、アカゲザルTNFR2に対しては97%同一である。
【0006】
TNFR1が遍在的に発現するのに対し、TNFR2の発現は主に免疫細胞に限定されており、腫瘍浸潤免疫抑制性CD4+FoxP3+調節性T細胞(Treg)により、優勢にかつ高度に発現する。最近の研究では、TNFR2が、抗腫瘍免疫応答の主要なチェックポイントであるTregの活性化及び増殖の刺激において重要な役割を果たしていることが示されている(Chen and Oppenheim,Sci Signal 10:eaal2328,2017)。TNFR2がそのリガンドのTNFαを介し活性化することで、NFkBシグナルが活性化し、TNFR2+Tregが増殖する。TNFR2は、CD8及びCD4 Tconv細胞ならびに骨髄細胞にも発現する。詳細には、TNFR2は、臨床的に検証された免疫チェックポイントと同様、疲弊CD8 T細胞に発現する。
【0007】
調節性T細胞(Treg)は、多様な臨床用途を有するTリンパ球の小さなサブセットである。その一方で、TNFR2+Tregは免疫抑制性が高く、高度に抑制性のCD103+Tregよりも強力な抑制活性を有する(J Immunol 179:154-161,2007;J Immunol 180:6467-6471,2008)。したがって、TNFR2+ Tregは、Tregの免疫抑制活性に依存する移植、アレルギー、喘息、感染性疾患、移植片対宿主病(GVHD)、及び自己免疫などの治療に使用することができる。例えば、実験的GVHDマウスモデルにおいては、CD4+CD25highFoxp3+胸腺由来Tregの枯渇がGVHDを強化することができた(Cohen et al.,JEM 2002)。
【0008】
TNFR2は、ある特定のがん(例えば、乳癌、子宮頚癌、結腸癌、及び腎臓癌)でも発現しており(Front.Immunol.9:1170,2018)、これらのがんにおける免疫寛容に関与する可能性がある。これらのがん細胞の生存及び成長は、TNFR2(TNFα)のリガンドによって促進される。TNFR2は、腫瘍細胞内で異なるシグナル経路を用いることにより、腫瘍発生の様々なプロセスに関与することが示されている。例えば、核因子-κB(NFκB)は、TNFR2に関連する上皮細胞の悪性転換に関与する。AKTシグナル伝達は、発がん、腫瘍成長、及び血管新生におけるTNFR2のもう1つのメディエーターであることが示されている。一方、ミオシン軽鎖キナーゼ(MLCK)及び細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)も、上述のTNFR2の機能にとって重要である。したがって、TNFR2の機能を阻害することにより、がん免疫におけるTregの機能を阻害し、抗腫瘍T細胞応答を増加させることができる。
【0009】
したがって、TNFR2+TregのTNFR2機能を刺激することによってTregの免疫抑制機能を増強して自己免疫障害を治療することができる、またはTNFR2の活性化を阻害してがんなどの疾患を治療することができる治療試薬を開発する必要がある。
【発明の概要】
【0010】
1つの態様において、本発明は、単離されたモノクローナル抗体またはその抗体結合フラグメントを提供し、当該単離されたモノクローナル抗体またはその抗体結合フラグメントはヒトTNFR2に特異的であり、当該単離されたモノクローナル抗体またはその抗体結合フラグメントは、(1a)重鎖可変領域(HCVR)であって、配列番号1のHCVR CDR1配列、配列番号2のHCVR CDR2配列、及び配列番号3のHCVR CDR3配列を含む、重鎖可変領域と、(1b)軽鎖可変領域(LCVR)であって、配列番号4のLCVR CDR1配列、配列番号5のLCVR CDR2配列、及び配列番号6のLCVR CDR3配列を含む、軽鎖可変領域とを含む、または(2a)重鎖可変領域(HCVR)であって、配列番号14のHCVR CDR1配列、配列番号15のHCVR CDR2配列、及び配列番号16のHCVR CDR3配列を含む、重鎖可変領域と、(2b)軽鎖可変領域(LCVR)であって、配列番号17のLCVR CDR1配列、配列番号18のLCVR CDR2配列、及び配列番号19のLCVR CDR3配列を含む、軽鎖可変領域とを含む、または(3a)重鎖可変領域(HCVR)であって、配列番号26のHCVR CDR1配列、配列番号27のHCVR CDR2配列、及び配列番号28のHCVR CDR3配列を含む、重鎖可変領域と、(3b)軽鎖可変領域(LCVR)であって、配列番号29のLCVR CDR1配列、配列番号30のLCVR CDR2配列、及び配列番号31のLCVR CDR3配列を含む、軽鎖可変領域とを含む、または(4a)重鎖可変領域(HCVR)であって、配列番号39のHCVR CDR1配列、配列番号40のHCVR CDR2配列、及び配列番号41のHCVR CDR3配列を含む、重鎖可変領域と、(4b)軽鎖可変領域(LCVR)であって、配列番号42のLCVR CDR1配列、配列番号43のLCVR CDR2配列、及び配列番号44のLCVR CDR3配列を含む、軽鎖可変領域とを含む、または(5a)重鎖可変領域(HCVR)であって、配列番号51のHCVR CDR1配列、配列番号52のHCVR CDR2配列、及び配列番号53のHCVR CDR3配列を含む、重鎖可変領域と、(5b)軽鎖可変領域(LCVR)であって、配列番号54のLCVR CDR1配列、配列番号55のLCVR CDR2配列、及び配列番号56のLCVR CDR3配列を含む、軽鎖可変領域とを含む、または(6a)重鎖可変領域(HCVR)であって、配列番号63のHCVR CDR1配列、配列番号64のHCVR CDR2配列、及び配列番号65のHCVR CDR3配列を含む、重鎖可変領域と、(6b)軽鎖可変領域(LCVR)であって、配列番号66のLCVR CDR1配列、配列番号67のLCVR CDR2配列、及び配列番号68のLCVR CDR3配列を含む、軽鎖可変領域とを含む。
【0011】
ある特定の実施形態において、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントにおいて、(1A)HCVR配列は配列番号7であり、及び/または(1B)LCVR配列は配列番号8である、あるいは(2A)HCVR配列は配列番号20であり、及び/または(2B)LCVR配列は配列番号21である、あるいは(3A)HCVR配列は配列番号32であり、及び/または(3B)LCVR配列は配列番号33である、あるいは(4A)HCVR配列は配列番号45であり、及び/または(4B)LCVR配列は配列番号46である、あるいは(5A)HCVR配列は配列番号57であり、及び/または(5B)LCVR配列は配列番号58である、あるいは(6A)HCVR配列は配列番号69であり、及び/または(6B)LCVR配列は配列番号70である。
【0012】
ある特定の実施形態において、モノクローナル抗体は、(1a)配列番号9の重鎖配列及び/または(1b)配列番号10の軽鎖配列、あるいは(2a)配列番号22の重鎖配列及び/または(2b)配列番号23の軽鎖配列、あるいは(3a)配列番号34の重鎖配列及び/または(3b)配列番号35の軽鎖配列、あるいは(4a)配列番号47の重鎖配列及び/または(4b)配列番号48の軽鎖配列、あるいは(5a)配列番号59の重鎖配列及び/または(5b)配列番号60の軽鎖配列、あるいは(6a)配列番号71の重鎖配列及び/または(6b)配列番号72の軽鎖配列を有する。
【0013】
ある特定の実施形態において、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒト-マウスキメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、CDR移植抗体、またはリサーフェスド抗体である。
【0014】
ある特定の実施形態において、抗原結合フラグメントは、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fd、単鎖FvもしくはscFv、ジスルフィド結合Fv、V-NARドメイン、IgNar、イントラボディ、IgGΔCH2、ミニボディ、F(ab’)3、テトラボディ、トリアボディ、ダイアボディ、シングルドメイン抗体、DVD-Ig、Fcab、mAb2、(scFv)2、またはscFv-Fcである。
【0015】
ある特定の実施形態において、モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、アカゲザルTNFR2と交差反応するが、マウスTNFR2とは実質的に交差反応しない。
【0016】
ある特定の実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、抗体の開発可能性を改善するように設計されているそのアミノ酸配列の1つ以上の点変異を含む。例えば、ある特定の実施形態において、1つ以上の点変異は、宿主細胞での発現、製造及び/または製剤化プロセスの間の精製、及び/または対象患者への投与の間、抗体をより安定にする。ある特定の実施形態において、1つ以上の点変異は、抗体を製造及び/または製剤化プロセスの間に凝集しにくくする。
【0017】
ある特定の実施形態において、本発明は、その配列(例えば、そのCDRの1つ以上)内で1つ以上のアミノ酸を置換することにより、開発可能性の問題が最小化もしくは低減された(例えば、疎水性の除去もしくは低減、及び/または電荷の最適化)治療用抗体を提供する。
【0018】
ある特定の実施形態において、モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、TNFR1と実質的に交差反応しない。
【0019】
ある特定の実施形態において、モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、約25nM未満、20nM未満、15nM未満、10nM未満、5nM未満、2nM未満、または1nM未満のKdでTNFαに結合する。
【0020】
ある特定の実施形態において、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、Tregの存在下で、TNFαとTNFR2との結合を増強し、TNFα媒介性または共刺激NFκBシグナル伝達を(例えば、TCR活性化CD8及び/またはCD4 Tconv T細胞において)増強し、及び/またはTCR活性化エフェクターT細胞(例えば、CD8及び/またはCD4 Tconv T細胞)の増殖を促進する。
【0021】
ある特定の実施形態において、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、TregでのTNFα媒介性CD25発現を増強する。
【0022】
ある特定の実施形態において、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号13及び/または101のエピトープに結合する。
【0023】
ある特定の実施形態において、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、TNFαとTNFR2との結合を促進するか、TNFαとTNFR2との結合を阻害するか、またはTNFαとTNFR2との結合に明らかな影響を有しない。
【0024】
ある特定の実施形態において、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、TNFαとTNFR2との結合を遮断、阻害、または他の形で実質的にアンタゴナイズしない。
【0025】
ある特定の実施形態において、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントはTNFR2のアゴニストであり、または(例えば、TNFαの存在下で)TNFR2シグナル伝達を刺激し、アゴニスト機能は好ましくはFc非依存性である。
【0026】
ある特定の実施形態において、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、in vitroでCD4+エフェクターT細胞、CD8+エフェクターT細胞、他のエフェクターT細胞、及び/またはNK細胞を活性化する。
【0027】
本発明の別の態様は、配列番号13及び/または101のエピトープとの結合に関し、主題の抗体のいずれか1つの単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントと競合する、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。
【0028】
本発明の別の態様は、配列番号13及び/または101のエピトープに特異的に結合する、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。
【0029】
ある特定の実施形態において、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、Tregの存在下で、TNFαとTNFR2との結合を増強し、TNFα媒介性または共刺激NFκBシグナル伝達を(例えば、TCR活性化CD8及び/またはCD4 Tconv T細胞において)増強し、及び/またはTCR活性化エフェクターT細胞(例えば、CD8及び/またはCD4 Tconv T細胞)の増殖を促進する。
【0030】
ある特定の実施形態において、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、Tregの存在下で、TNFαとTNFR2との結合を阻害し、TNFα媒介性または共刺激NFκBシグナル伝達を(例えば、TCR活性化CD8及び/またはCD4 Tconv T細胞において)阻害し、及び/またはTCR活性化エフェクターT細胞(例えば、CD8及び/またはCD4 Tconv T細胞)の増殖を阻害する。
【0031】
ある特定の実施形態において、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、Tregの増殖を促進する。
【0032】
本発明の別の態様は、同じエピトープとの結合に関し、本発明の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントとが競合する、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。
【0033】
本発明の別の態様は、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントであって、当該モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントが、配列番号101を含む、それから本質的になる、またはそれからなるエピトープでヒトTNFR2に特異的に結合し、任意選択で(optinally)、当該単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントが、配列番号13から本質的になる、またはそれからなるエピトープではヒトTNFR2に結合しない、単離されたモノクローナル抗体またはその抗体結合フラグメントを提供する。
【0034】
ある特定の実施形態において、(1)腫瘍浸潤リンパ球(TIL)において(例えば、in vivo hTNFR2ノックインMC38マウス腫瘍モデルにおいて)、CD4+T細胞の活性化及び増殖を促進するが、調節性T細胞(Treg)の活性化及び増殖を促進しない、及び/または(2)in vitro及び/またはin vivoでNK細胞の活性化を促進する、請求項19に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【0035】
ある特定の実施形態において、本発明の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、カニクイザルにおいて約150mg/kgの最大耐量(MTD)を有する。
【0036】
本発明の別の態様は、がんの治療を、それを必要とする患者において行う方法を提供し、当該方法は、患者に、本発明の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントの有効量を投与することを含み、患者(例えば、患者のがん)は、(a)前立腺癌患者における平均TNFR2発現レベルより高いレベルのTNFR2発現(任意選択で、当該TNFR2発現は、エフェクターT細胞(例えば、CD4+及び/またはCD8+T細胞)、腫瘍浸潤CD8+T細胞、及び/またはNK細胞において評価される)、ならびに(b)AML患者における平均CD8A発現レベルより高いレベルのCD8A発現を有する。
【0037】
ある特定の実施形態において、患者(例えば、患者のがん)は、腫瘍浸潤CD8A+(CD8α鎖陽性)T細胞において当該より高いレベルのTNFR2発現を有する。
【0038】
ある特定の実施形態において、患者は、EBV+胃癌(例えば、PD-L1/CD274発現が高い傾向にある胃腺癌)、明細胞腎細胞癌、腎臓明細胞癌(例えば、KIRC.2、KIRC.3、及びKIRC.4サブタイプ、または明細胞Bタイプ(ccB)サブタイプもしくはccA/ccB未分類サブタイプ)、皮膚黒色腫(例えば、皮膚黒色腫(例えば、ホットスポットBRAF、N/H/K-RAS、またはNF1変異が欠如したいわゆるトリプルwtサブタイプ))、BRAFホットスポット変異を伴うサブタイプ(V600E、V600K、及びV600R変異、ならびにK601におけるホットスポット変異を含む)、RASホットスポット変異を伴うサブタイプ(Q61R、Q61K、Q61L、Q61H、61_62QE>HK、ならびにNRASにおけるG12R/D/A、G13R/D、ならびにHRASにおけるG13D、G13S、及びQ61K、ならびにKRASにおけるG12D、G12R、及びQ61Rを含む)、任意のNF1変異を伴うサブタイプ、精巣胚細胞腫瘍、または軟部肉腫を有する。
【0039】
ある特定の実施形態において、がんは平均レベルより高レベルでPD-L1を発現する。
【0040】
ある特定の実施形態において、がんは、子宮頚癌(例えば、子宮頚部扁平上皮癌または子宮頚部内膜腺癌)、胸膜中皮腫、肺腺癌、または頭頚部扁平上皮癌(HNSC、例えば、非定型サブタイプ(その約40%がHPV陽性である)及び間葉系サブタイプ(高いPD-L1/CD274発現を有する傾向がある))である。
【0041】
ある特定の実施形態において、この方法は、患者に(a)PD-1に特異的な抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、セミプリマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、スパルタリズマブ、カムレリズマブ、シンチリマブ、チスレリズマブ、トリパリマブ、ドスタルリマブ、及びINCMGA00012)、(b)PD-L1に特異的な抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、アベルマブ、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、KN035、CK-301)、及び/または(c)PD-L2に特異的な抗体またはその抗原結合フラグメントを投与することをさらに含む。
【0042】
ある特定の実施形態において、患者は再発または難治性のがんを有し、及び/または過去に標準治療で治療された(さらに任意選択で、これに応答しなかったもしくは再発した)ことがある。
【0043】
ある特定の実施形態において、この方法は、患者に、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントの有効量を、3週間に1回(Q3W)、4週間に1回(Q4W)、または5週間に1回(Q5W)(例えば、4週間に1回またはQ4W)投与することをさらに含む。
【0044】
ある特定の実施形態において、この方法は、患者に、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントを4週間に1回(Q4W)、約5mg、約15mg、約50mg、約100mg、または約150mgの用量で投与する(例えば、60分かけて静脈内投与する)ことを含む。
【0045】
ある特定の実施形態において、この方法は、(1)投与ステップの前に、当該より高いレベルのTNFR2発現及びCD8A発現を有する患者を選択すること、または(2)投与ステップの前に、患者が前記より高いレベルのTNFR2発現及びCD8A発現を有することを確認することをさらに含む。
【0046】
本発明の別の態様は、がんの治療を、それを必要とする患者において行う方法を提供し、この方法は、患者に、配列番号101を含む、それから本質的になる、またはそれからなるエピトープでヒトTNFR2に特異的に結合する単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントの有効量を投与することを含み、任意選択で、当該単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号13から本質的になる、またはそれからなるエピトープではヒトTNFR2に結合しない。
【0047】
本発明の別の態様は、がんまたは自己免疫障害(AID、例えば、GVHD(移植片対宿主病)及び関節リウマチ)の治療をそれを必要とする患者において行う方法を提供し、当該方法は、本発明の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントの有効量を患者に投与することを含む。
【0048】
ある特定の実施形態において、この方法はAIDを治療するためのものであり、この方法は、第2の薬剤、例えば、慢性GVHDを治療する上での低用量抗IL2剤、または関節リウマチ、慢性斑状乾癬、クローン病、強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、多関節型若年性関節リウマチ、IBS、EAE、及び非感染性ぶどう膜炎を治療する上での抗TNFα剤(例えば、アダリムマブ、インフリキシマブ、エタネルセプト、ゴリムマブなど)を投与することをさらに含む。
【0049】
ある特定の実施形態において、この方法はがんを治療するためのものであり、この方法は免疫チェックポイントのアンタゴニストを投与することをさらに含む。
【0050】
ある特定の実施形態において、免疫チェックポイントはPD-1/PD-L1免疫チェックポイントである。
【0051】
ある特定の実施形態において、免疫チェックポイントのアンタゴニストは、PD-1またはPD-L1に特異的な抗体またはその抗原結合フラグメントである。
【0052】
ある特定の実施形態において、抗体は抗PD-1抗体、例えば、セミプリマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、スパルタリズマブ、カムレリズマブ、シンチリマブ、チスレリズマブ、トリパリマブ、ドスタルリマブ、及びINCMGA00012である。
【0053】
ある特定の実施形態において、抗体は抗PD-L1抗体(例えば、アベルマブ、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、KN035、またはCK-301)である。
【0054】
ある特定の実施形態において、免疫チェックポイントのアンタゴニストは、PD-1/PD-L1の(非抗体)ペプチド阻害剤(例えば、AUNP12)、PD-L1の低分子阻害剤(例えば、CA-170)、または大環状ペプチド(例えば、BMS-986189)である。
【0055】
ある特定の実施形態において、がんは、乳癌、結腸癌、子宮頚癌、腎臓癌、肝臓癌(例えば、肝細胞癌)、肺癌(例えば、NSCLC)、卵巣癌、黒色腫、皮膚癌(例えば、扁平上皮癌もしくは基底細胞癌)、リンパ腫、または白血病である。ある特定の実施形態において、がんは黒色腫である。
【0056】
ある特定の実施形態において、この方法は、化学療法剤、抗血管新生剤、成長阻害剤、がん免疫薬剤、及び/または抗新生物組成物を患者に投与することをさらに含む。
【0057】
本発明の別の態様は、本発明の重鎖もしくは軽鎖またはこれらの抗原結合部分をコードするポリヌクレオチドを提供する。
【0058】
ある特定の実施形態において、ポリヌクレオチドはヒト細胞内での発現にコドン最適化されている。
【0059】
本発明の別の態様は、本発明のポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。
【0060】
ある特定の実施形態において、ベクターは、発現ベクター(例えば、哺乳類発現ベクター、酵母発現ベクター、昆虫発現ベクター、または細菌発現ベクター)である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【
図1】ヒト-マウスキメラモノクローナル抗体HFB3-1、-3、-6、-14、-18、-19、-20、-21、-22、-23、-24、及びHFB3-25のVH及びVL領域における配列アラインメントならびにそのコンセンサス配列を示している。
【
図2A】組換えヒトTNFR2の細胞外ドメインに対し上昇した選択したヒト-マウスキメラモノクローナル抗体の結合親和性を示している。試験抗体及びアイソタイプマッチ陰性対照抗体のEC
50及びE
max値をヒトTNFR2(CHO.hHFB3)またはアカゲザルTNFR2(CHO.mkHFB3)を発現するCHO細胞に対し測定した。
【
図2B】異なる抗TNFR2モノクローナル抗体が、TNFαとTNFR2との結合を促進(HFB3-1)もしくは阻害(HFB3-18)し得る、または結合に影響を及ぼさない(HFB3-6)ことを示している。
【
図3】ヒト-マウスキメラモノクローナル抗体が親CHO細胞株に結合せず、マウスTNFR2を発現するCHO細胞にも結合しない(ただし、HFB3-18抗体及びHFB3-19抗体によるわずかな結合を除く)ことを示している。
【
図4A】ヒト-マウスキメラ抗体の結合特異性を示しており、具体的にはTNFR2に対するものであり、TNFR1に対するものではない。
【
図4B】ヒト-マウスキメラ抗体HFB3-1、-14、及び-18のHisタグ化組換えヒトTNFR2に対するK
d、k
on、及びk
off値を示している。
【
図5】腫瘍浸潤リンパ球におけるT細胞サブタイプ、詳細には疲弊CD8 T細胞におけるTNFR2の発現を示している。
【
図6】TCR活性化された(下パネル)及び非活性化された(上パネル)初代Treg、CD8、及びCD4 Tconvでの抗TNFR2キメラモノクローナル抗体の細胞結合を示している。CD3/CD28共刺激(TCR活性化)により活性化された初代T細胞は、HFB3抗体により優先的に認識される。
【
図7】本発明のある特定のHFB3抗体(HFB3-1、-14、-18、-23、-24、及び-25を含む)がNFκBシグナル伝達を誘発し、その効果がTNFαリガンドの存在下で増強され得ることを示している。
【
図8】ある特定の主題のモノクローナル抗体(HFB3-1、-14、-18、及び-25を含む)ならびにCD3/CD28による共刺激が、用量依存的にCD8及びCD4 Tconvの増殖をもたらしたことを示している。
【
図9】本発明の抗TNFR2モノクローナル抗体(例えば、HFB3-1のヒト化バージョンのHFB3-1hz6-hG1AA)が、Tregの存在下でエフェクターT細胞(CD8及びCD4 Tconv)の細胞増殖に用量依存的に有利であったことを示している。
【
図10】主題の抗TNFR2抗体のADCC効果の欠如を示している。
【
図11A】TNFα結合部位を含むTNFR2のHisタグ化細胞外ドメイン(ECD)(HFB2003と称する)の様々な特徴、ならびにモノクローナル抗体HFB3-1及びHFB3-14、ならびにHFB3-18(
図11A)及びHFB3-6(
図11B)のいずれかにおけるエピトープマッピングの結果を示している。これらはヒトIgG1 Fc領域を有するマウスキメラ抗体であるため、それぞれHFB3-1-hG1、HFB3-14-hG1、HFB3-18-hG1、またはHFB3-6-hG1とも称される。
図11Bには、ベンチマーク抗体SBT-1及びSBT-4(ベンチマーク1及び2)におけるエピトープマッピングデータも含まれている。HFB3-1抗体はECDのCRD2領域に結合し、HFB3-14及びHFB3-6はECDのCRD3領域に結合し、HFB3-18はECDのCRD1領域に結合する。
【
図11B】TNFα結合部位を含むTNFR2のHisタグ化細胞外ドメイン(ECD)(HFB2003と称する)の様々な特徴、ならびにモノクローナル抗体HFB3-1及びHFB3-14、ならびにHFB3-18(
図11A)及びHFB3-6(
図11B)のいずれかにおけるエピトープマッピングの結果を示している。これらはヒトIgG1 Fc領域を有するマウスキメラ抗体であるため、それぞれHFB3-1-hG1、HFB3-14-hG1、HFB3-18-hG1、またはHFB3-6-hG1とも称される。
図11Bには、ベンチマーク抗体SBT-1及びSBT-4(ベンチマーク1及び2)におけるエピトープマッピングデータも含まれている。HFB3-1抗体はECDのCRD2領域に結合し、HFB3-14及びHFB3-6はECDのCRD3領域に結合し、HFB3-18はECDのCRD1領域に結合する。
【
図11C】より精緻化されたHFB3-1のエピトープマッピングデータを示している。潜在的なHFB3-1hG1エピトープ領域(配列番号101)が強調表示されており、2つの独立した実験で確認された。
【
図11D】TNFR2-TNFα複合体におけるHFB3-1、HFB3-14、HFB3-6、及びHFB-3-18の結合部位を示す3Dモデルを示している。
【
図12A】キメラモノクローナル抗体HFB3-1、-14、及び-18のヒト化バリアントが、ヒトTNFR2を発現するCHO細胞(CHO.hTNFR2)に結合するが、親CHO細胞には結合しないことを示している。
【
図12B】選択したヒト化抗TNFR2モノクローナル抗体の結合親和性を示している。試験ヒト化抗体及び親キメラ抗体におけるEC
50値を、ヒトTNFR2を発現するCHO細胞(CHO.hHFB3)に対し測定した。
【
図13】選択したヒト化抗TNFR2モノクローナル抗体の結合親和性を示している。試験ヒト化抗体及び親キメラ抗体におけるEC
50値を、アカゲザルTNFR2を発現するCHO細胞(CHO.mkHFB3)に対し測定した。
【
図14A】ELISAアッセイにおいて、ヒト化抗TNFR2抗体が組換えヒトTNFR2及びカニクイザルTNFR2に結合するが、組換えヒトTNFR1には結合しないことを示している。
【
図14B】ヒト化バリアントならびに親キメラモノクローナル抗体HFB3-1及び-14による組換えヒトTNFR2に対する結合親和性の結果を、AHC(抗ヒトIgG Fc捕捉)バイオセンサーの測定値に基づいて示している。値は、異なる2日間で得られた2つの実験の平均とした。
【
図14C】TNRF2発現/陽性CHO細胞(CHO.hTNFR2)に対する例示的なヒト化抗体HFB3-1hz6-hG1の結合特異性を、親CHO細胞(Bmk 1:ベンチマーク抗体1)と比較して示している。
【
図15】ヒト化抗TNFR2モノクローナル抗体とTCR活性化CD8 T細胞との細胞結合を示している。
【
図16】TCR活性化CD4 T細胞を増殖させるヒト化抗TNFR2モノクローナル抗体の共刺激効果を示している。
【
図17A】ある特定のヒト化バリアント抗TNFR2抗体及びTNFαを用いたTregの共刺激により、NFκB下流シグナル伝達がもたらされたことを示している。
【
図17B】組換えヒトTNFαのありまたはなしでHFB3-1抗体のある特定のヒト化バリアントを用いたCD8 T細胞におけるNFκBシグナルの活性化を示している。「*」は統計的有意性を示す。
【
図18】主題のヒト化バリアント抗TNFR2抗体が保存下で安定していることを示している。
【
図19】抗TNFR2モノクローナル抗体HFB3-18(ただしHFB3-1及び-14は該当しない)の共刺激初代T細胞に対するFcγR架橋依存性を示している。
【
図20】TNFαの存在下または非存在下いずれかでのCD8 T細胞の増殖における選択したヒト化抗TNFR2抗体の確証的な共刺激効果を示している。
【
図21A】ヒト化TNFR2ノックインCD8及びCD4 Tconv細胞において、CD3/CD28媒介性TCR活性化及び25ng/mL TNFαの存在下で、主題の抗TNFR2モノクローナル抗体がex vivoで下流のNFκBシグナル伝達を共刺激することを示している。
【
図21B】ヒト化HFB3-1hz6が、末梢CD4及びCD8 T細胞に結合し(上パネル)、CD3/CD28媒介性TCR活性化の存在下で、in vitroでT細胞増殖を用量依存的に刺激する(下パネル)ことを示している。
【
図22】可溶性IL-2(10ng/mL)及びIL-15(10ng/mL)で刺激した後の、ヒト化HFB3-1hz6-hG1抗体及び親HFB3-1-hG1抗体による単離されたナチュラルキラー(NK)細胞のex vivo活性化を示している。実験のタイムラインは上パネルに示されている。CD107α及びTNFR2の発現は、HFB3-1hz6-hG1及びHFB3-1-hG1によって用量依存的に上方調節されたが、アイソタイプ対照及び抗OX40抗体(BMS)は短期間のNK活性化を誘発できなかった。
【
図23】プレート結合抗CD3(1μg/mL)及び可溶性抗CD28(1μg/mL)で刺激した後の、HFB3-1hz6-hG1及び親マウスHFB3-1-hG1による全末梢血単核球画分中のナチュラルキラー(NK)細胞のex vivo活性化を示している。実験のタイムラインは上パネルに示されている。CD3
-/CD56
+細胞のうち、CD107α発現は、HFB3-1hz6-hG1及びHFB3-1-hG1によって用量依存的に上方調節されたが、対照の抗OX40抗体(MBS)は、短期間のNK活性化を誘発できなかった。
【
図24A】マウスMC38腫瘍モデルにおける薬力学的実験のタイムラインを示している。0.1mg/kg、1mg/kg、及び10mg/kgの投与量における2回用量のHFB3-1-hG1、または10mg/kgにおけるアイソタイプマッチ対照抗体(TT)を3日空けて腹腔内(intraperionatally)投与した。
【
図24B】抗体の投与がMC38腫瘍における総免疫細胞カウントに及ぼすin vivo効果を示している。10mg/kgのHFB3-1-hG1投与により、CD45
+細胞の絶対細胞数が増加した。一元配置ANOVA検定に基づくp値<0.05(*)。
【
図24C】MC38腫瘍における様々な免疫細胞の細胞カウントに及ぼすin vivo効果を示している。10mg/kgのHFB3-1-hG1投与により、腫瘍微小環境におけるCD8
+、通常のCD4
+T及びNK細胞の絶対細胞数が増加したが、調節性T細胞の数は変化しなかった。*一元配置ANOVA検定に基づくp値<0.05。
【
図25A】腫瘍浸潤白血球において、注入抗体HFB3-1-hG1(0.1mg/kg、1mg/kg、及び10mg/kgの投与量)または対照抗体(10mg/kgの投与量)が占めるTNFR2受容体のパーセンテージを示している。10mg/kgの用量のHFB3-1-hG1のみが薬物受容体占有をもたらした。一元配置ANOVA検定に基づくp値<0.05(*)、0.01(**)、または0.001(***)。
【
図25B】選択した末梢血細胞において、注入抗体HFB3-1-hG1(0.1mg/kg、1mg/kg、及び10mg/kgの投与量)または対照抗体(10mg/kgの投与量)が占めるTNFR2受容体のパーセンテージを示している。10mg/kg及び1mg/kgの用量のHFB3-1-hG1は、同等の薬物受容体占有となった。一元配置ANOVA検定に基づくp値<0.05(*)、0.01(**)、または0.001(***)。
【
図26A】
図24Aにおける実験の4日目の血液中の抗体濃度を示している。10mg/kg及び1mg/kgの用量のHFB3-1-hG1は血液中で検出可能であった。一元配置ANOVA検定に基づくp値<0.001(***)または0.0001(****)。
【
図26B】
図24Aにおける実験の4日目の血液中の可溶性TNFR2を示している。10mg/kg及び1mg/kgのHFB3-1-hG1投与により、血液中で検出可能なTNFR2の量が増加した。一元配置ANOVA検定に基づくp値<0.001(***)または0.0001(****)。
【
図27A】ヒト化モノクローナル抗体(例えば、HFB3-1hz6及びHFB3-18hz1)が、ラット抗mPD-1モノクローナル抗体と比較して同様の治療有効性を有することを示している。
【
図27B】ヒト化モノクローナル抗体(例えば、HFB3-1hz6及びHFB3-18hz1)が、ラット抗mPD-1モノクローナル抗体と比較して同様の治療有効性を有することを示している。
【
図28】ヒト化HFB3-1hz6モノクローナル抗体が、マウス抗mPD-1モノクローナル抗体と同様に、MC38腫瘍モデルにおいて治療有効性を有することを示している。
【
図29】ヒト化HFB3-1hz6モノクローナル抗体が、2つの異なる用量(3mg/kg及び10mg/kg)において、腫瘍を有するマウスの腫瘍成長を阻害し、寿命を延長することと、HFB3-1hz6及び抗mPD-1抗体による併用治療が、抗mPD-1単独での治療よりも良好に生存期間を延長することとを示している。
【
図30A】ヒト化HFB3-1hz6モノクローナル抗体が経時的にカニクイザルの体内から消失したこと(左パネル)と、注射から約2週間後に抗薬物抗体(ADA)が観察されたこと(非ヒト霊長類において一般的である)(右パネル)とを示している。
【
図30B】15、50、または150mg/kgのHFB3-1hz6-hG1を注射した後に、3mg/kg以下のCD3xCD20二重特異性IgGからの報告データ(点線)と比較して、サイトカインの上昇が観察されなかったことを示している。
【
図31】15、50、または150mg/kgのHFB3-1hz6-hG1を注射した後の細胞カウント解析を、正常なサルからの過去のデータ範囲(各パネル内の左右の線)と比較して示している。
【
図32】ヒト化HFB3-1hz6モノクローナル抗体が、Hepa1-6腫瘍モデルにおいて抗腫瘍有効性を有することを示している。
【
図33A】TNFR2レベルに基づくTCGAデータベースにおける皮膚黒色腫(SKCM)患者のカプラン・マイヤー生存曲線を示している。
【
図33B】TNFR2レベルに基づくTCGAデータベースにおける頭頚部扁平上皮癌(HNSC)患者のカプラン・マイヤー生存曲線を示している。
【
図33C】TNFR2レベルに基づくTCGAデータベースにおける胸腺腫(THYM)患者のカプラン・マイヤー生存曲線を示している。より高いTNFR2の発現は、黒色腫及びHNSCの患者の生存期間改善と顕著に関連するが、THYMにおいては好ましいものではない。
【
図34A】固形腫瘍を伴う複数のがんの患者のTCGAバルクRNA解析の例を示している。前立腺癌(PRAD)は低いCD8A及びTNFR2の発現を有し、選択したがんタイプにおけるTNFR2発現増加の陰性対照として使用することができる。AMLは低いCD8A(ただしTNFR2は該当しない)の発現を有し、選択したがんタイプにおけるCD8A発現増加の陰性対照として使用することができる。
【
図34B】固形腫瘍を伴う複数のがんの患者のTCGAバルクRNA解析の例を示している。前立腺癌(PRAD)は低いCD8A及びTNFR2の発現を有し、選択したがんタイプにおけるTNFR2発現増加の陰性対照として使用することができる。AMLは低いCD8A(ただしTNFR2は該当しない)の発現を有し、選択したがんタイプにおけるCD8A発現増加の陰性対照として使用することができる。
【
図35】高いTNFR2発現(例えば、前立腺癌と比較して)及び高いCD8A発現(例えば、AMLと比較して)を伴うがんタイプのTCGAランキングを、TNFR2-高/CD8A-高の患者試料の割合に基づいて示している。ACC=副腎皮質癌、BLCA=膀胱尿路上皮癌、BRCA=乳房浸潤癌、CESC=子宮頚部扁平上皮癌/子宮頚部内膜腺癌、CHOL=胆管癌、COAD=結腸腺癌、EBV=エプスタイン-バーウイルス、ESCA=食道癌、GBM=多形膠芽腫、HNSC=頭頚部扁平上皮癌、KICH=腎臓嫌色素性、KIRC=腎臓明細胞癌、KIRP=腎臓乳頭細胞癌、LGG=脳低悪性度神経膠腫、LIHC=肝臓肝細胞癌、LUAD=肺腺癌、LUSC=肺扁平上皮癌、MESO=胸膜中皮腫、OV=卵巣漿液性嚢胞腺癌、PAAD=膵臓腺癌、PCPG=褐色細胞腫及び傍神経節腫、PD-L1=プログラム死リガンド1、PRAD=前立腺腺癌、READ=直腸腺癌、SARC=肉腫、SKCM=皮膚黒色腫、STAD=胃腺癌、TGCT=精巣胚細胞腫瘍、THCA=甲状腺癌、UCEC=子宮体部子宮内膜癌、UCS=子宮癌肉腫、UVM=ぶどう膜黒色腫。
【
図36】選択した腎細胞癌(RCC)、皮膚黒色腫(SKCM)、胃腺癌/胃癌(STAD/GI)、肺腺癌(LUAD)、及び頭頚部扁平上皮癌(HNSC)についての分子サブタイプ解析を示している。
【発明を実施するための形態】
【0062】
1.概要
TNFR2は、がん免疫における有望な治療標的であることが最近明らかになっている。腫瘍微小環境(TME)における調節性及びエフェクターT細胞上でのTNFR2発現は、T細胞の疲弊及び免疫チェックポイント遮断に対する抵抗性に関連している。本明細書に記載の発明は、抗がん剤として使用することができるヒトTNFR2に対する抗体を提供する。いかなる特定の理論にも束縛されることは望まないが、エフェクターT細胞と主題の抗TNFR2抗体との共刺激は、エフェクターT細胞の抗腫瘍活性を増強すると考えられている。
【0063】
本明細書に記載の発明によれば、ヒトTNFR2(rhTNFR2)の組換え細胞外ドメイン(ECD)でマウスを免疫して、結合性、交差反応性、選択性、及び機能的活性について特性評価した一連の多様な抗体を生成した。抗体を、Treg細胞の存在下でCD8+及びCD4+エフェクターT細胞の増殖を誘導する能力、ならびにNFkBシグナル伝達増加によって選択した。また、選択した抗体は、望ましくはrhTNFR2のサルオルソログに対する交差反応性も示した。これは、動物におけるヒト治療薬の毒性試験にとって有益な特徴と考えられる。さらなる望ましい特徴としては、主題の抗体がヒト組換えTNFαとTNFR2との結合を増強する能力が挙げられる。
【0064】
ヒトTNFR2に対する結合親和性がナノモル以下または一桁ナノモルである2種のマウス抗体HFB3-1及びHFB3-14を、最初にさらなる特性評価及びヒト化のために選択した。エピトープマッピング実験から、これらの2種の抗体はTNFR2の異なるドメインを認識し、HFB3-1はCRD2ドメイン内の領域に結合し、HFB3-14はCRD3領域内に結合することが示された。しかし、結合部位が異なるにもかかわらず、いずれの抗体もTNFR2に選択的であり、カニクイザル及びアカゲザルのオルソログと交差反応し、ヒト組換えTNFαとTNFR2との結合を増強することに加えて、CD8及び通常CD4 T細胞(Tconv)を刺激する。
【0065】
これらのマウス抗体のいくつかのヒト化バリアント(HFB3-1hz6及びHFB3-14hz1cを含む)は、それぞれの親抗体の結合及び交差反応性プロファイルを保持していた。ヒト化抗体は、TCR活性化初代CD8及びCD4 T細胞に、非刺激T細胞に比べて優先的に結合し、T細胞のCD3/CD28誘導性活性化及び増殖を促進する。この共刺激性作用機構は架橋に依存しておらず、抗体がNFκBシグナル伝達を増強し、NFκB下流標的遺伝子の上方調節を誘導する能力と整合するものである。
【0066】
さらに、いずれのヒト化抗体(HFB3-1hz6及びHFB3-14hz1c)も、良好な開発可能性プロファイルを示し、高温、低pH条件下で、さらに数回の凍結融解サイクル後も安定している。リード抗体における良好な血漿曝露は、マウスモデルでも観察された。マウス腫瘍モデルにおけるこれらの抗体のin vivo有効性評価及び初期毒性解析が行われている。
【0067】
第3のマウスモノクローナル抗体のHFB3-18(抗mPD-1モノクローナル抗体よりもわずかに低い(二桁nM)結合親和性であるが、in vivoでの腫瘍成長を同じかそれ以上に阻害できる)も特定し、そのヒト化バージョンを作成した。
【0068】
これらの抗体の機能的プロファイルは、良好な開発可能性及び薬物動態学的プロファイルとともに、特にTNFR2及びCD8Aの高い発現を示すある特定のがんタイプ及びサブタイプにおいて、がん患者に対する新規の免疫療法の選択肢として開発することを支持するものである。
【0069】
本発明の詳細な態様について、以下の各セクションでさらに個別に説明する。ただし、本発明の任意の1つの実施形態(実施例または図面でのみ説明される実施形態、及び以下の1つのセクションでのみ説明される実施形態を含む)が、本発明の任意の他の実施形態(複数可)と組み合わされてもよいことを理解されたい。
【0070】
本発明の詳細な態様について、以下の各セクションでさらに個別に説明する。ただし、本発明の任意の1つの実施形態(実施例または図面でのみ説明される実施形態、及び以下の1つのセクションでのみ説明される実施形態を含む)が、本発明の任意の他の実施形態(複数可)と組み合わされてもよいことを理解されたい。
【0071】
2.定義
「抗体」という用語は、最も広い意味では、限定されるものではないが、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、及び多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)を含む様々な抗体構造を包含する。「抗体」という用語は、重鎖の相補性決定領域(CDR)1、CDR2、及びCDR3、ならびに軽鎖のCDR1、CDR2、及びCDR3を含む分子も広く指すことがあり、この分子は抗原に結合可能である。また、「抗体」という用語には、限定されるものではないが、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、様々な種(例えば、マウス、ヒト、カニクイザルなど)の抗体も含まれる。
【0072】
ただし、狭義には、「抗体」とは、キメラモノクローナル抗体、ヒト化モノクローナル抗体、及びヒトモノクローナル抗体を含む様々なモノクローナル抗体、特に本発明のヒト化モノクローナル抗体を指す。
【0073】
いくつかの実施形態において、抗体は、重鎖可変領域(HCVR)及び軽鎖可変領域(LCVR)を含む。いくつかの実施形態において、抗体は、重鎖可変領域及び重鎖定常領域の少なくとも一部を含む少なくとも1つの重鎖(HC)と、軽鎖可変領域及び軽鎖定常領域の少なくとも一部を含む少なくとも1つの軽鎖(LC)とを含む。いくつかの実施形態において、抗体は、2つの重鎖であって、各重鎖が、重鎖可変領域及び重鎖定常領域の少なくとも一部を含む、2つの重鎖と、2つの軽鎖であって、各軽鎖が、軽鎖可変領域及び軽鎖定常領域の少なくとも一部を含む、2つの軽鎖とを含む。
【0074】
本明細書で使用する場合、単鎖Fv(scFv)、または、例えば、6つ全てのCDR(3つの重鎖CDR及び3つの軽鎖CDR)を含む単一のポリペプチド鎖を含む任意の他の抗体は、重鎖及び軽鎖を有するとみなされる。いくつかのこのような実施形態において、重鎖は、3つの重鎖CDRを含む抗体の領域であり、軽鎖は、3つの軽鎖CDRを含む抗体の領域である。
【0075】
本明細書で使用する場合、「重鎖可変領域(HCVR)」という用語は、少なくとも、重鎖CDR1(CDR-H1)、フレームワーク2(HFR2)、CDR2(CDR-H2)、FR3(HFR3)、及びCDR3(CDR-H3)を含む領域を指す。いくつかの実施形態において、重鎖可変領域はまた、CDR-H1に対しN末端側であるFR1(HFR1)の少なくとも一部(例えば、全体)、及び/またはCDR-H3に対しC末端側であるFR4(HFR4)の少なくとも一部(例えば、全体)も含む。
【0076】
本明細書で使用する場合、「重鎖定常領域」という用語は、少なくとも3つの重鎖定常ドメイン:CH1、CH2、及びCH3を含む領域を指す。非限定的な例示的な重鎖定常領域としては、γ、δ、及びαが挙げられる。非限定的な例示的な重鎖定常領域としては、ε及びμも挙げられる。各重定常領域は、抗体アイソタイプに対応する。例えば、γ定常領域を含む抗体はIgG抗体であり、δ定常領域を含む抗体はIgD抗体であり、α定常領域を含む抗体はIgA抗体であり、ε定常領域を含む抗体はIgE抗体であり、μ定常領域を含む抗体はIgM抗体である。
【0077】
ある特定のアイソタイプは、さらにサブクラスに細分化され得る。例えば、IgG抗体としては、限定されるものではないが、IgG1抗体(γ1定常領域を含む)、IgG2抗体(γ2定常領域を含む)、IgG3抗体(γ3定常領域を含む)、及びIgG4抗体(γ4定常領域を含む)が挙げられ、IgA抗体としては、限定されるものではないが、IgAl(α1定常領域を含む)抗体及びIgA2(α2定常領域を含む)抗体が挙げられ、IgM抗体としては、限定されるものではないが、IgM1(μ1定常領域を含む)抗体及びIgM2(μ2定常領域を含む)抗体が挙げられる。
【0078】
本明細書で使用する場合、「重鎖」という用語は、少なくとも重鎖可変領域を含み、リーダー配列を含むまたは含まないポリペプチドを指す。いくつかの実施形態において、重鎖は、重鎖定常領域の少なくとも一部を含む。本明細書で使用する場合、「完全長重鎖」という用語は、重鎖可変領域及び重鎖定常領域を含み、リーダー配列を含むまたは含まず、C末端リジンを含むまたは含まないポリペプチドを指す。
【0079】
本明細書で使用する場合、「軽鎖可変領域(LCVR)」という用語は、軽鎖CDR1(CDR-L1)、フレームワーク(FR)2(LFR2)、CDR2(CDR-L2)、FR3(LFR3)、及びCDR3(CDR-L3)を含む領域を指す。いくつかの実施形態において、軽鎖可変領域はまた、FR1(LFR1)の少なくとも一部(例えば、全体)及び/またはFR4(LFR4)の少なくとも一部(例えば、全体)も含む。
【0080】
本明細書で使用する場合、「軽鎖定常領域」という用語は、軽鎖定常ドメインCLを含む領域を指す。非限定的な例示的な軽鎖定常領域としては、λ及びκが挙げられる。
【0081】
本明細書で使用する場合、「軽鎖」という用語は、少なくとも軽鎖可変領域を含み、リーダー配列を含むまたは含まないポリペプチドを指す。いくつかの実施形態において、軽鎖は、軽鎖定常領域の少なくとも一部を含む。本明細書で使用する場合、「完全長軽鎖」という用語は、軽鎖可変領域及び軽鎖定常領域を含み、リーダー配列を含むまたは含まないポリペプチドを指す。
【0082】
「抗体フラグメント」または「(抗体の)抗原結合部分」という用語は、限定されるものではないが、抗原に結合可能なフラグメント、例えば、Fv、単鎖Fv(scFv)、Fab、Fab’、及び(Fab’)2を含む。ある特定の実施形態において、抗体フラグメントは、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fd、単鎖FvもしくはscFv、ジスルフィド結合Fv、V-NARドメイン、IgNar、イントラボディ、IgGΔCH2、ミニボディ、F(ab’)3、テトラボディ、トリアボディ、ダイアボディ、シングルドメイン抗体、DVD-Ig、Fcab、mAb2、(scFv)2、またはscFv-Fcを含む。
【0083】
「Fab」という用語は、およそ50,000ダルトンの分子量の抗体フラグメントを指し、抗原に結合する活性を有する。これは、ジスルフィド架橋によって接続している重鎖のN末端側のおよそ半分及び軽鎖の全体を含む。Fabは、詳細には、免疫グロブリンをプロテアーゼのパパインで処理することにより得ることができる。
【0084】
「F(ab’)2」という用語は、およそ100,000ダルトンのフラグメント及び抗原に結合する活性を示す。このフラグメントは、ヒンジ領域内でジスルフィド橋を介し接続している2つのFabフラグメントよりもわずかに大きい。これらのフラグメントは、免疫グロブリンをプロテアーゼのペプシンで処理することにより得られる。Fabフラグメントは、F(ab’)2フラグメントから、ヒンジ領域のジスルフィド結合を切断することにより得ることができる。
【0085】
Fv短鎖「scFv」は、VL及びVHドメインをコードする遺伝子と、これらのドメインに結合するように意図されたペプチドをコードする配列とを用いて合成されたVH:VLポリペプチドに相当する。本発明によるscFvは、例えば遺伝子組換え技法を用いて、適切な立体構造で維持されているCDRを含む。
【0086】
「scFv」の二量体は、ペプチド結合によって一緒に接続した2つのscFv分子に相当する。このFv鎖はしばしば、ペプチドをコードするリンカー配列によって接続しているVH及びVLをコードする遺伝子を含む融合遺伝子の発現の結果である。ヒトscFvフラグメントは、好ましくは遺伝子組換え技法の使用により、適切な立体構造で維持されているCDR領域を含むことができる。
【0087】
「dsFv」フラグメントとは、ジスルフィド結合によって安定化されたVH-VLヘテロ二量体のことであり、二価(dsFV2)の場合もある。二価のSc(Fv)2または多価抗体のフラグメントは、一価のscFvの会合によって自然発生的に形成することもあれば、ペプチド結合配列によってscFvフラグメントを接続することによって生成されることもある。
【0088】
Fcフラグメントは、抗体の生物学的特性、詳細には免疫エフェクターにより認識される能力または補体を活性化する能力を支持するものである。これは、ヒンジ領域を超えた重鎖の定常フラグメントからなる。
【0089】
「ダイアボディ」という用語は、2つの抗原固定部位を有する小さな抗体フラグメントを意味する。これらのフラグメントは、同じVH-VLポリペプチド鎖内で、可変軽鎖ドメインVLに接続した可変重鎖ドメインVHを含む。短いために同じ鎖の2つのドメインが一致しない結合配列を使用すると、
別の鎖の2つの相補的なドメインとの一致が必然的に生じるため、2つの抗原固定部位が作出される。
【0090】
参照抗体と「同じエピトープに結合する抗体」は、抗体競合アッセイによって決定することができる。これは、競合アッセイで参照抗体とその抗原との結合を50%以上遮断する抗体を指し、逆に、参照抗体は、競合アッセイで当該抗体とその抗原との結合を50%以上遮断する。「競合」という用語は、同じエピトープに関し競合する抗体の文脈で使用される場合、試験を行っている抗体が参照抗体と共通抗原との特異的結合を防止または阻害するアッセイにより、抗体間の競合が決定されることを意味する。
【0091】
多数のタイプの競合結合アッセイを使用することができ、例えば、固相直接または間接ラジオイムノアッセイ(RIA)、固相直接または間接酵素イムノアッセイ(EIA)、サンドイッチ競合アッセイ(例えば、Stahli et al.,1983,Methods in Enzymology 9:242-253を参照);固相直接ビオチン-アビジンEIA(例えば、Kirkland et al.,1986,J.Immunol.137:3614-3619を参照);固相直接標識アッセイ;固相直接標識サンドイッチアッセイ(例えば、Harlow and Lane,1988,Antibodies,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Pressを参照);I125を用いた固相直接標識RIA(例えば、Morel et al.,1988,Molec.Immunol.25:7-15を参照);固相直接ビオチン-アビジンEIA(例えば、Cheung et al.,1990,Virology 176:546-552を参照);及び直接標識RIA(Moldenhauer et al.,1990,Scand.J.Immunol.を参照)を使用することができる。
【0092】
典型的には、このようなアッセイは、固体表面に結合した精製抗原か、または標識されていない試験抗原結合タンパク質及び標識された参照抗体のいずれかを有する細胞の使用を伴う。競合阻害は、試験抗体の存在下で固体表面または細胞に結合した標識の量を測定することによって測定される。通常、試験抗体は過剰に存在する。競合アッセイによって特定される抗体(競合抗体)としては、参照抗体と同じエピトープに結合する抗体、及び立体障害が生じるほど十分に近接して参照抗体が結合する隣接エピトープに結合する抗体が挙げられる。いくつかの実施形態において、競合抗体は、過剰に存在するときに、共通抗原に対する参照抗体との特異的結合を少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、または75%阻害する。いくつかの場合において、結合は、少なくとも80%、85%、90%、95%、または97%、またはそれ以上阻害される。
【0093】
「抗原」という用語は、選択的結合剤(例えば、抗体またはその免疫学的に機能的なフラグメント)が結合可能であり、さらに、哺乳類に使用してその抗原に結合可能な抗体を生成可能である分子または分子の一部を指す。抗原は、抗体と相互作用可能な1つ以上のエピトープを有し得る。
【0094】
「エピトープ」という用語は、選択的結合剤(例えば、抗体またはそのフラグメント)によって結合される抗原分子の一部のことである。この用語は、抗体に特異的に結合可能な任意の決定基を含む。エピトープは、連続でも非連続でもよい(例えば、ポリペプチドの場合、アミノ酸残基は、ポリペプチド配列内で互いに連続していないが、分子の文脈内では抗原結合タンパク質によって結合している)。いくつかの実施形態において、エピトープは、抗体の生成に使用されるエピトープに類似する三次元構造を含むが、抗体の生成に使用されるエピトープに見られるアミノ酸残基を全くまたは一部しか含まないという点で模倣的であり得る。エピトープ決定基は、アミノ酸、糖側鎖、ホスホリルまたはスルホニルなどの分子の化学的に活性な表面グルーピングを含み得、3次元構造特性及び/または特定の電荷特性を有し得る。
【0095】
いくつかの実施形態において、「エピトープ」は、その決定に使用される方法によって定義される。例えば、いくつかの実施形態において、抗体は、水素-重水素交換(HDX)による定量において抗原の同じ領域に結合する場合、参照抗体と同じエピトープに結合する。
【0096】
ある特定の実施形態において、抗体は、X線結晶解析による定量において抗原の同じ領域に結合する場合、参照抗体と同じエピトープに結合する。
【0097】
本明細書で使用する場合、「キメラ抗体」とは、第1の種(例えば、マウス、ラット、カニクイザルなど)由来の少なくとも1つの可変領域と、第2の種(例えば、ヒト、カニクイザル、ニワトリなど)由来の少なくとも1つの定常領域とを含む抗体を指す。いくつかの実施形態において、キメラ抗体は、少なくとも1つのマウス可変領域と、少なくとも1つのヒト定常領域とを含む。いくつかの実施形態において、キメラ抗体の可変領域の全てが第1の種由来であり、キメラ抗体の定常領域の全てが第2の種由来である。
【0098】
本明細書で使用する場合、「ヒト化抗体」とは、非ヒト可変領域(例えば、マウス、ラット、カニクイザル、ニワトリなど)のフレームワーク領域内の少なくとも1つのアミノ酸が、ヒト可変領域由来の対応するアミノ酸で置き換えられた抗体を指す。いくつかの実施形態において、ヒト化抗体は、少なくとも1つのヒト定常領域またはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態において、ヒト化抗体フラグメントは、Fab、scFv、(Fab’)2などである。
【0099】
本明細書で使用する場合、「CDR移植抗体」とは、第1(非ヒト)の種の1つ以上の相補性決定領域(CDR)が第2(ヒト)の種のフレームワーク領域(FR)に移植されたヒト化抗体を指す。
【0100】
本明細書で使用する場合、「ヒト抗体」とは、ヒト内で生成された抗体、非ヒト動物内で生成されたヒト免疫グロブリン遺伝子を含む抗体(例えば、XenoMouse(登録商標))、及びin vitroの方法(例えば、ファージディスプレイ)を用いて選択された抗体を指し、抗体レパートリーはヒト免疫グロブリン配列に基づく。
【0101】
「宿主細胞」とは、ベクターまたは単離されたポリヌクレオチドのレシピエントであり得るか、またはレシピエントであった細胞を指す。宿主細胞は、原核細胞であっても真核細胞であってもよい。例示的な真核細胞としては、哺乳類細胞(例えば、霊長類または非霊長類の動物細胞)、真菌細胞(例えば、酵母)、植物細胞、及び昆虫細胞が挙げられる。非限定的な例示的な哺乳類細胞としては、限定されるものではないが、NSO細胞、PER.C6(登録商標)細胞(Crucell)、ならびに293及びCHO細胞、ならびにこれらの誘導体(例えば、それぞれについて293-6E細胞及びDG44細胞)が挙げられる。
【0102】
本明細書で使用する場合、「単離された」という用語は、自然界で典型的に見られる構成要素の少なくとも一部から分離されたか、または典型的に生成される構成要素の少なくとも一部から分離された分子を指す。例えば、ポリペプチドは、それを生成した細胞の構成要素の少なくとも一部から分離された場合は、「単離された」と称される。ポリペプチドが発現後の細胞により分泌される場合、ポリペプチドを含む上清をそれを生成した細胞から物理的に分離することは、ポリペプチドを「単離すること」とみなされる。同様に、ポリヌクレオチドは、自然界で典型的に見られるより大きなポリヌクレオチド(例えば、DNAポリヌクレオチドの場合に、ゲノムDNAまたはミトコンドリアDNA)の一部でないとき、または例えばRNAポリヌクレオチドの場合に、それを生成した細胞の構成要素の少なくとも一部から分離されるとき、「単離された」と称される。したがって、宿主細胞内のベクターに含まれるDNAポリヌクレオチドは、そのポリヌクレオチドが自然界でそのベクター内で見られない限り、「単離された」と称することができる。
【0103】
「対象」及び「患者」という用語は、本明細書では互換的に使用され、ヒトなどの哺乳類を指す。いくつかの実施形態において、他の非ヒト哺乳類(限定されるものではないが、げっ歯類、サル、ネコ、イヌ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、哺乳類実験動物、哺乳類家畜、哺乳類スポーツ動物、及び哺乳類ペットを含む)を治療する方法も提供される。いくつかの場合において、「対象」または「患者」とは、疾患または障害の治療を必要とする(ヒト)対象または患者を指す。
【0104】
本明細書で使用する場合、「試料」または「患者試料」という用語は、例えば物理的、生化学的、化学的、及び/または生理学的特徴に基づいて、特性決定及び/または特定されるべき細胞及び/または他の分子実体を含む、目的の対象から得られるか、またはそれに由来する物質を指す。例えば、「疾患試料」及びそのバリエーションという表現は、特性評価を行う細胞及び/または分子実体を含むことが予想される、またはそれが知られている目的の対象から得られる任意の試料を指す。
【0105】
「組織または細胞試料」とは、対象または患者の組織から得られた同様の細胞の集合を意味する。組織または細胞試料の供給源は、新鮮、凍結、及び/または保管された臓器もしくは組織試料または生検もしくは吸引液からの固形組織;血液または任意の血液組成成分;脳脊髄液、羊膜液、腹腔液、または組織液などの体液;対象の妊娠期間または発育における任意の時点からの細胞であり得る。また、組織試料は、初代または培養細胞であっても、細胞株であってもよい。任意選択で、組織または細胞試料は、疾患組織または臓器から得られる。組織試料は、自然界の組織とは天然には混ざり合わない化合物、例えば、防腐剤、抗凝固剤、緩衝液、固定剤、栄養素、抗生物質などを含んでもよい。
【0106】
本明細書で使用する場合、「参照試料」、「参照細胞」、または「参照組織」とは、本発明の方法または組成物がその特定を行うために使用されている疾患または状態に罹患していないことが知られている、またはそのように考えられる供給源から得られる試料、細胞、または組織を指す。1つの実施形態において、参照試料、参照細胞、または参照組織は、本発明の組成物または方法を用いて疾患または状態の特定を行っている同じ対象または患者の身体の健康な部分から得られる。1つの実施形態において、参照試料、参照細胞、または参照組織は、本発明の組成物または方法を用いて疾患または状態の特定を行っている対象でも患者でもない少なくとも1人の個体の身体の健康な部分から得られる。いくつかの実施形態において、参照試料、参照細胞、または参照組織は、疾患もしくは状態を発症する前に、または疾患もしくは状態の早期段階で、患者から以前に得られたものである。
【0107】
「障害」または「疾患」とは、本発明の1つ以上のGal-9アンタゴニストによる治療から利益を得られると考えられる任意の状態のことである。これには、慢性及び急性の障害または疾患(哺乳類を問題とされる障害に罹患しやすくする病的状態を含む)が含まれる。本明細書で治療の対象となる障害の非限定的な例としては、がんが挙げられる。
【0108】
「調節性Tリンパ球の抑制活性に関連する病気」とは、調節性Tリンパ球の抑制活性が、詳細にはその病気の発症または持続を促進することによって関与する任意の病気(自己免疫ではない)を意味する。詳細には、調節性Tリンパ球の抑制活性が腫瘍の発生を促進することが実証されている。そのため、本発明は、より詳細にはTリンパ球の抑制活性が関与するがんに照準を定めている。
【0109】
「がん」という用語は、本明細書では、異常に高度の増殖及び成長を示す細胞群を指すために使用される。がんは、良性(良性腫瘍とも称される)、前悪性、または悪性であり得る。がん細胞は、固形癌細胞(すなわち、固形腫瘍を形成する細胞)または白血病癌細胞であり得る。「がん成長」という用語は、本明細書では、対応するがんのサイズまたは程度の増加をもたらすがんを構成する細胞(単数または複数)による増殖または成長を指す。
【0110】
がんの例としては、限定されるものではないが、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、及び白血病またはリンパ系悪性腫瘍が挙げられる。このようながんのより詳細な非限定的な例としては、扁平上皮癌、小細胞肺癌、下垂体癌、食道癌、星細胞腫、軟部組織肉腫、非小細胞肺癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌、腹膜癌、肝細胞癌、胃腸癌、膵臓癌、膠芽腫、子宮頚癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、肝細胞癌、乳癌、結腸癌、大腸癌、子宮内膜癌または子宮癌、唾液腺癌、腎臓(kidney)癌、腎臓(renal)癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰癌、甲状腺癌、肝臓癌、脳腫瘍、子宮内膜癌、精巣癌、胆管癌、胆嚢癌、胃癌、黒色腫、及び様々なタイプの頭頚部癌が挙げられる。
【0111】
ある特定の実施形態において、本明細書で使用する場合、がんは、血液癌(例えば、AML及びDLBCL)、または固形腫瘍(例えば、乳癌、頭頚部癌、肺癌、黒色腫(ぶどう膜黒色腫を含む)、結腸癌、腎臓癌、卵巣癌、肝臓癌、及び前立腺癌)を含む。
【0112】
「化学療法剤」とは、がんの治療に有用であり得る化学化合物である。化学療法剤の例としては、限定されるものではないが、アルキル化剤、例えば、チオテパ及びCytoxan(登録商標)シクロホスファミド;アルキルスルホネート、例えば、ブスルファン、インプロスルファン、及びピポスルファン;アジリジン、例えば、ベンゾドパ、カルボコン、メツルドパ、及びウレドパ;エチレンイミン及びメチルアミン、例えば、アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンエチオホスホルアミド、及びトリメチロールメラミン;アセトゲニン(特に、ブラタシン及びブラタシノン);カンプトテシン(合成アナログトポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065(そのアドゼレシン、カルゼレシン、及びビゼレシン合成アナログを含む);クリプトフィシン(詳細には、クリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成アナログ、KW-2189、及びCB1-TM1を含む);エレウテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチン;スポンジスタチン;ナイトロジェンマスタード、例えば、クロラムブシル、クロルナファジン、コロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベンビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード;ニトロソウレア、例えば、カルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、及びラニムスチン;抗生物質、例えば、エネジイン抗生物質(例えば、カリケアマイシン、特にカリケアマイシンガンマ1l(gammall)及びカリケアマイシンオメガ1l(omegall)(例えば、Agnew,Chem lntl.Ed.Engl,33:183-186(1994)を参照));ダイネミシン(ダイネミシンAを含む);ビスホスホネート、例えば、クロドロネート;エスペラミシン;ならびにネオカルジノスタチン発色団及び関連する色素タンパク質エナジイン抗生物質発色団、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オートラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、Adriamycin(登録商標)ドキソルビシン(モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン、及びデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、例えば、マイトマイシンC、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;代謝拮抗薬、例えば、メトトレキサート及び5-フルオロウラシル(5-FU);葉酸アナログ、例えば、デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサート;プリンアナログ、例えば、フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジンアナログ、例えば、アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン;アンドロゲン、例えば、カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗アドレナリン、例えば、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸補充物、例えば、フロリン酸;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキサート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジコン;エルフォミチン;酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダイニン;マイタンシノイド、例えば、マイタンシン及びアンサミトシン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモール;ニトラエリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖複合体(JHS Natural Products,Eugene,OR);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2”-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(特に、T-2毒素、ベラクリンA、ロリジンA、及びアンギジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えば、Taxol(登録商標)パクリタキセル(Bristol-Myers Squibb Oncology,Princeton,N.J.)、Abraxane(登録商標)パクリタキセルのクレモフォールフリーアルブミン操作ナノ粒子製剤(American Pharmaceutical Partners,Schaumberg,Illinois)、及びTaxotere(登録商標)ドセタキセル(Rhone-Poulenc Rorer,Antony,France);クロラムブシル;Gemzar(登録商標)ゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;白金アナログ、例えば、シスプラチン、オキサリプラチン、及びカルボプラチン;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;Navelbine(登録商標)ビノレルビン;ノバントロン;テニポシド;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロン酸;イリノテカン(カンプトサール、CPT- 11)(5-FU及びロイコボリンを伴うイリノテカンの治療レジメンを含む);トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイド、例えば、レチノイン酸;カペシタビン;コンブレタスタチン;ロイコボリン(LV);オキサリプラチン(オキサリプラチン治療レジメン(FOLFOX)を含む);PKC-アルファ、Raf、H-Ras、EGFRの阻害剤(例えば、細胞増殖を低減するエルロチニブ(Tarceva(登録商標))及びVEGF-A阻害剤、ならびに上記のいずれかの医薬的に許容される塩、酸、または誘導体が挙げられる。
【0113】
さらに非限定的な例示的な化学療法剤としては、がんに対するホルモン作用を調節または阻害するように作用する抗ホルモン剤、例えば、抗エストロゲン剤及び選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)(例えば、タモキシフェン(Nolvadex(登録商標)タモキシフェンを含む)、ラロキシフェン、ドロキシフェン、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、及びFareston(登録商標)トレミフェン;副腎内でのエストロゲン産生を調節する酵素アロマターゼを阻害するアロマターゼ阻害剤、例えば、4(5)-イミダゾール、アミノグルテチミド、Megase(登録商標)酢酸メゲストロール、Aromasin(登録商標)エキセメスタン、ホルメスタニー(formestanie)、ファドロゾール、Rivisor(登録商標)ボロゾール、Femara(登録商標)レトロゾール、及びArimidex(登録商標)アナストロゾール;ならびに抗アンドロゲン、例えば、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、及びゴセレリン;ならびにトロキサシタビン(1,3-ジオキソランヌクレオシドシトシンアナログ);アンチセンスオリゴヌクレオチド、詳細には、例えば、PKC-アルファ、Ralf、H-Rasなどの異常な細胞増殖に関与するシグナル伝達経路における遺伝子の発現を阻害するもの;リボザイム、例えば、VEGF発現阻害剤(例えば、Angiozyme(登録商標)リボザイム)及びHER2発現阻害剤;遺伝子治療ワクチンなどのワクチン、例えば、Allovectin(登録商標)ワクチン、Leuvectin(登録商標)ワクチン、及びVaxid(登録商標)ワクチン;Proleukin(登録商標)rIL-2;Lurtotecan(登録商標)トポイソメラーゼ1阻害剤;Abarelix(登録商標)rmRH;ならびに上記のいずれかの医薬的に許容される塩、酸、または誘導体が挙げられる。
【0114】
「抗血管新生剤」または「血管新生阻害剤」とは、直接または間接のいずれかで血管新生、脈管形成、または望ましくない血管透過性を阻害する低分子量物質、ポリヌクレオチド(例えば、阻害性RNA(RNAiもしくはsiRNA)を含む)、ポリペプチド、単離されたタンパク質、組換えタンパク質、抗体、またはこれらの結合体または融合タンパク質を指す。血管新生阻害剤には、血管新生因子またはその受容体の血管新生活性に結合し遮断する薬剤が含まれることを理解されたい。例えば、抗血管新生剤は、血管新生剤に対する抗体または他のアンタゴニスト、例えば、VEGF-Aに対する抗体(例えば、ベバシズマブ(Avastin(登録商標)))またはVEGF-A受容体(例えば、KDR受容体またはFlt-1受容体)に対する抗体、抗PDGFR阻害剤、例えば、Gleevec(登録商標)(メシル酸イマチニブ)、VEGF受容体シグナル伝達を遮断する小分子(例えば、PTK787/ZK2284、SU6668、Sutent(登録商標)/SUl1248(リンゴ酸スニチニブ)、AMG706、または、例えば、国際特許出願第WO2004/113304号に記載のもの)である。また抗血管新生剤には、ネイティブな血管新生阻害剤(例えば、アンジオスタチン、エンドスタチンなど)も含まれる。例えば、Klagsbrun and D’Amore(1991)Annu.Rev.Physiol.53:217-39;Streit and Detmar(2003)Oncogene 22:3172-3179(例えば、悪性黒色腫における抗血管新生療法を列挙した表3);Ferrara & Alitalo(1999)Nature Medicine 5(12):1359-1364;Tonini et al.(2003)Oncogene 22:6549-6556(例えば、既知の抗血管新生因子を列挙した表2);及びSato(2003)Int.J.Clin.Oncol.8:200-206(例えば、臨床試験に使用した抗血管新生剤を列挙した表1)を参照。
【0115】
本明細書で使用する場合、「成長阻害剤」とは、in vitroまたはin vivoで細胞(例えば、VEGFを発現する細胞)の成長を阻害する化合物または組成物を指す。したがって、成長阻害剤は、S期の細胞(例えば、VEGFを発現する細胞)のパーセンテージを顕著に低減するものであり得る。成長阻害剤の例としては、限定されるものではないが、(S期以外の段階で)細胞周期の進行を遮断する薬剤(例えば、G1停止及びM期停止を誘導する薬剤)が挙げられる。古典的なM期阻害薬としては、ビンカ(ビンクリスチン及びビンブラスチン)、タキサン、トポイソメラーゼII阻害剤(例えば、ドキソルビシン、エピルビシン、ダウノルビシン、エトポシド、及びブレオマイシン)が挙げられる。G1を停止する薬剤、例えば、DNAアルキル化剤(例えば、タモキシフェン、プレドニゾン、ダカルバジン、メクロレタミン、シスプラチン、メトトレキサート、5-フルオロウラシル、及びara-C)は、S期にも停止が及ぶ。さらなる情報は、Mendelsohn and Israel,eds,The Molecular Basis of Cancer,Chapter 1,“Cell cycle regulation,oncogenes,and antineoplastic drugs”(Murakami et al.)(W.B.Saunders,Philadelphia,1995)の、例えば13ページに見出すことができる。タキサン(パクリタキセル及びドセタキセル)は、いずれもイチイの木に由来する抗がん薬物である。ドセタキセル(Taxotere(登録商標)、Rhone-Poulenc Rorer)は、ヨーロッパイチイに由来し、パクリタキセル(Taxol(登録商標)、Bristol-Myers Squibb)の半合成アナログである。パクリタキセル及びドセタキセルは、チューブリン二量体からの微小管の集合を促進し、脱重合を防止することによって微小管を安定化させ、その結果、細胞内の有糸分裂を阻害する。
【0116】
「抗新生物組成物」という用語は、少なくとも1つの活性治療剤を含む、がんの治療に有用な組成物を指す。治療剤の例としては、限定されるものではないが、例えば、化学療法剤、成長阻害剤、細胞傷害剤、放射線療法に使用される薬剤、抗血管新生剤、がん免疫療法剤(がん免疫薬剤とも称される)、アポトーシス剤、抗チューブリン剤、及びがんを治療するための他の薬剤、例えば、抗HER-2抗体、抗CD20抗体、上皮成長因子受容体(EGFR)アンタゴニスト(例えば、チロシンキナーゼ阻害剤)、HER1/EGFR阻害剤(例えば、エルロチニブ(Tarceva(登録商標))、血小板由来成長因子阻害剤(例えば、Gleevec(登録商標)(イマチニブメシル酸塩))、COX-2阻害剤(例えば、セレコキシブ)、インターフェロン、CTLA4阻害剤(例えば、抗CTLA抗体イピリムマブ(YERVOY(登録商標)))、PD-1阻害剤(例えば、抗PD1抗体、BMS-936558)、PDL1阻害剤(例えば、抗PDL1抗体、MPDL3280A)、PDL2阻害剤(例えば、抗PDL2抗体)、VISTA阻害剤(例えば、抗VISTA抗体)、サイトカイン、以下の標的:ErbB2、ErbB3、ErbB4、PDGFR-ベータ、BlyS、APRIL、BCMA、PD-1、PDL1、PDL2、CTLA4、VISTA、またはVEGF受容体(複数可)、TRAIL/Apo2のうちの1つ以上に結合するアンタゴニスト(例えば、中和抗体)、ならびに他の生物活性及び有機化学薬剤などが挙げられる。これらの組合せも本発明に含まれる。
【0117】
「治療」とは、例えば目的が、標的となる病的状態または障害を遅らせる(軽減する)ことである療法的治療、及び例えば目的が、病的状態または障害の再発を阻害することである療法的治療を指す。「治療」は、哺乳類(ヒトを含む)における疾患(本明細書では「障害」または「状態」とも称される)に対する治療薬の任意の投与または適用を網羅し、疾患もしくは疾患の進行を阻害すること、疾患もしくはその進行を抑制もしくは遅らせること、その発症を阻止すること、疾患を部分的もしくは完全に緩和すること、疾患の1つ以上の症状を部分的もしくは完全に緩和すること、喪失した、欠損した、もしくは不全な機能を回復もしくは修復すること、または非効率的なプロセスを刺激することを含む。また「治療」という用語は、任意の表現型特性の重症度を低減すること、及び/またはその特徴の発生率、程度、もしくは可能性を低減することも含む。治療を必要とする者には、既に障害を有する者に加えて、障害の再発のリスクがある者、または障害の再発を予防するか、もしくは遅らせるべき者も含まれる。
【0118】
「有効量」または「治療有効量」という用語は、対象における疾患または障害を治療するのに有効な薬物の量を指す。いくつかの実施形態において、有効量とは、所望の治療的または予防的結果の達成に必要な投与量及び期間における有効な量を指す。本発明の抗体の治療有効量は、個体の疾患状態、年齢、性別、体重、及び個体において所望の応答を誘発するアンタゴニストの能力などの因子に応じて変化し得る。治療有効量は、主題抗体の任意の毒性または有害作用が治療的に有益な効果によって上回る量を包含する。
【0119】
「予防有効量」とは、所望の予防的結果を達成するのに必要な投与量及び期間の有効量を指す。典型的には、ただし必ずしもそうとは限らないが、予防用量は、疾患の前または疾患の早期段階の対象に使用されるため、予防有効量は、治療有効量よりも少なくなる。
【0120】
「医薬的に許容される担体」とは、対象に投与するための「医薬組成物」を一緒に構成する治療剤とともに使用するための、当技術分野で慣例的な無毒性の固体、半固体、または液体の充填剤、希釈剤、カプセル化材料、製剤助剤、または担体を指す。医薬的に許容される担体は、用いられる投与量及び濃度においてレシピエントに無毒性であり、製剤の他の成分と適合性である。医薬的に許容される担体は、用いられる製剤に適切である。例えば、治療剤が経口投与される場合、担体はゲルカプセルとすることができる。治療剤が皮下投与される場合、担体は、理想的には皮膚に刺激性がなく、注射部位反応を引き起こさない。
【0121】
「製造品」とは、少なくとも1つの試薬(例えば、疾患もしくは障害の治療のための医薬品)、または本明細書に記載のバイオマーカーを特異的に検出するためのプローブを含む、任意の製造物(例えば、パッケージもしくは容器)またはキットのことである。いくつかの実施形態において、製造物またはキットは、本明細書に記載の方法を実施するための単位として販売促進、流通、または販売される。
【0122】
3.がんを治療する方法
本明細書に記載の発明は、ヒト及び他の非ヒト哺乳類を治療する方法に使用するための抗TNFR2抗体を提供する。
【0123】
病的な状況では、Tregは、不適切な免疫抑制を引き起こし、それにより、例えば腫瘍の成長を促進することがある。Tregは、とりわけエフェクターTリンパ球の活性を不適切に阻害することにより、抗腫瘍免疫応答を低下させ、多数のがんタイプの発生を促進することに関係している。
【0124】
いくつかの実施形態において、がんを治療または予防するための方法であって、主題の抗TNFR2抗体またはその抗原結合フラグメントのいずれかの有効量を、このような治療を必要とする対象に投与することを含む、方法が提供される。
【0125】
いくつかの実施形態において、がんを治療する方法であって、がんを有する対象に、主題の抗TNFR2抗体またはその抗原結合フラグメントのいずれかを投与することを含む、方法が提供される。
【0126】
本発明の方法/使用によって治療可能ながんとしては、調節性Tリンパ球がその抑制活性を発揮するがん、例えば、比較的大量の調節性Tリンパ球が腫瘍組織または循環中に存在するがんが挙げられる。調節性Tリンパ球の増殖(Tregの出現頻度により測定することができる)は、概してTregの活性化の増加と相関する。調節性Tリンパ球の出現頻度は、当技術分野で知られている任意の方法により(例えば、腫瘍内リンパ球もしくは循環リンパ球のフローサイトメトリー(FACS)解析により、または腫瘍組織の免疫組織学的染色により)評価することができる。
【0127】
主題の抗TNFR2抗体またはその抗原結合フラグメントのいずれかを用いて治療され得る非限定的な例示的ながん(癌腫、リンパ腫、胚腫、肉腫、及び白血病を含む)が本明細書で示される。このようながんのより詳細な非限定的な例としては、黒色腫、子宮頚癌、扁平上皮癌、小細胞肺癌、下垂体癌、食道癌、星細胞腫、軟部組織肉腫、非小細胞肺癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌、腹膜癌、肝細胞癌、胃腸癌、膵臓癌、膠芽腫、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、肝細胞癌、乳癌、結腸癌、大腸癌、子宮内膜癌または子宮癌、唾液腺癌、腎臓(kidney)癌、腎臓(renal)癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰癌、甲状腺癌、肝臓癌、脳腫瘍、子宮内膜癌、精巣癌、胆管癌、胆嚢癌、胃癌、黒色腫、及び様々なタイプの頭頚部癌が挙げられる。
【0128】
ある特定の実施形態において、がんは、黒色腫、乳癌、結腸癌、子宮頚癌、腎臓癌、肝臓癌(例えば、肝細胞癌)、肺癌(NSCLC)、卵巣癌、皮膚癌(例えば、扁平上皮癌もしくは基底細胞癌)、リンパ腫、または白血病である。
【0129】
ある特定の実施形態において、がんは高いTNFR2インデックスを有し、これは(a)腫瘍試料中の総CD8 T細胞数×CD8 T細胞でのTNFR2発現、及び(b)腫瘍試料中の総Treg細胞数×TregでのTNFR2発現の比として定義される。
【0130】
ある特定の実施形態において、がんは1超、例えば1.5超、2超、3超、4超、または5超のTNFR2インデックスを有する。例えば、ある特定のがんにおける代表的なTNFR2インデックスとしては、黒色腫における4.57、乳癌における1.67、NSCLCにおける1.05、SCCにおける1.03、BCCにおける0.78、HCCにおける0.46が挙げられる。
【0131】
ある特定の実施形態において、がんは約0.5~約1のTNFR2インデックスを有する。
【0132】
ある特定の実施形態において、がんは、高い割合のCD8 TIL(腫瘍浸潤リンパ球)を有し、例えば、腫瘍内のT細胞の20%超、25%超、30%超、35%超、40%超、45%超、50%超、55%超、60%超、またはそれ以上がCD8 T細胞である。
【0133】
ある特定の実施形態において、がんは、腫瘍細胞において低いレベルのTNFR2発現を有する。
【0134】
ある特定の実施形態において、がんは、免疫療法に感受性がある(例えば、炎症性がある)ことが知られており、例えば、黒色腫、NSCLC、腎細胞癌、胃癌、大腸癌、尿路上皮癌、HCC、頭頚部癌、及びホジキンリンパ腫がある。
【0135】
ある特定の実施形態において、がんは、腫瘍内疲弊T細胞(例えば、疲弊CD8 T細胞)において高いレベルのTNFR2発現を有する。このようながんは、例えば、PD-1/PD-L1経路のアンタゴニスト(例えば、任意の抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体(例えば、本明細書に具体的に記載されている、または当技術分野で知られているもの))との併用療法により、治療することができる。
【0136】
ある特定の実施形態において、本発明の方法/使用は、高いレベルの調節性Tリンパ球が知られているがん、及び/またはがん/腫瘍が明らかに予後不良に関連するがん(慢性骨髄性白血病(CML)、結腸癌、黒色腫、子宮癌、乳癌、膵臓癌、胃癌、卵巣癌、中枢神経系の原発性リンパ腫、多発性骨髄腫、前立腺癌、ホジキンリンパ腫、または肝細胞癌を含む)を治療するために使用することができる。
【0137】
いくつかの実施形態において、がんは、血液癌(例えば、AML及びDLBCL)、または固形腫瘍(例えば、乳癌、頭頚部癌、肺癌、黒色腫(ぶどう膜黒色腫を含む)、結腸癌、腎臓癌、卵巣癌、肝臓癌、及び前立腺癌)である。
【0138】
いくつかの実施形態において、がんはBCC、SCC、黒色腫、大腸癌、またはNSCLCである。
【0139】
ある特定の実施形態において、がんは、高いレベルのTNFR2発現及びCD8A発現を有する。ある特定の実施形態において、高いもしくはより高いレベルのTNFR2発現は、前立腺癌患者における平均TNFR2発現レベルに対する/比較したものであり、任意選択で、TNFR2発現は、エフェクターT細胞(例えば、CD4+及び/またはCD8+T細胞)、腫瘍浸潤CD8+T細胞、及び/またはNK細胞において評価され、及び/または高いもしくは高いレベルのCD8A発現は、AML患者における平均CD8A発現レベルに対する/比較したものである。
【0140】
ある特定の実施形態において、患者(例えば、患者のがん)は、腫瘍浸潤CD8A+(CD8α鎖陽性)T細胞において当該より高いレベルのTNFR2発現を有する。
【0141】
ある特定の実施形態において、患者はEBV+胃癌を有する。
【0142】
ある特定の実施形態において、患者は胃腺癌(例えば、PD-L1/CD274発現が増加する/高い胃腺癌)を有する。
【0143】
ある特定の実施形態において、患者は明細胞腎細胞癌(RCC)を有する。
【0144】
ある特定の実施形態において、患者は腎臓明細胞癌(KIRC)を有する。ある特定の実施形態において、患者はKIRC.2、KIRC.3、またはKIRC.4サブタイプを有する。ある特定の実施形態において、患者は明細胞Bタイプ(ccB)サブタイプ、またはccA(明細胞Aタイプ)/ccB未分類サブタイプを有する。
【0145】
ある特定の実施形態において、患者は皮膚黒色腫を有する。
【0146】
ある特定の実施形態において、患者は皮膚黒色腫(SKCM)を有する。
【0147】
ある特定の実施形態において、患者(patent)は、BRAFホットスポット変異(例えば、V600E、V600K、もしくはV600R変異)またはK601におけるホットスポット変異を伴うサブタイプを有する。
【0148】
ある特定の実施形態において、患者はRASホットスポット変異を有する。ある特定の実施形態において、RASホットスポット変異はNRASホットスポット変異(例えば、Q61R、Q61K、Q61L、Q61H、61_62QE>HK、G12R/D/A、及びG13R/D)である。ある特定の実施形態において、RASホットスポット変異はHRASホットスポット変異(例えば、G13D、G13S、またはQ61K)である。ある特定の実施形態において、RASホットスポット変異はKRASホットスポット変異(例えば、G12D、G12R、またはQ61R)である。
【0149】
ある特定の実施形態において、患者は、任意のNF1変異を伴うサブタイプを有する。
【0150】
ある特定の実施形態において、患者は、ホットスポットBRAF、N/H/K-RAS、またはNF1変異が欠如したSKCMのトリプルwtサブタイプを有する。
【0151】
ある特定の実施形態において、患者は精巣胚細胞腫瘍を有する。
【0152】
ある特定の実施形態において、患者は軟部組織肉腫を有する。
【0153】
ある特定の実施形態において、がんは平均レベルより高レベルでPD-L1を発現する。
【0154】
ある特定の実施形態において、がんは、子宮頚癌(例えば、子宮頚部扁平上皮癌もしくは子宮頚管内腺癌)、胸膜中皮腫、肺腺癌、または頭頚部扁平上皮癌(HNSC)である。
【0155】
ある特定の実施形態において、患者はHNSCサブタイプ(例えば、非定型サブタイプ)を有する。ある特定の実施形態において、非定型サブタイプHNSCはさらにHPV陽性である。
【0156】
ある特定の実施形態において、患者はHNSC間葉系サブタイプを有する。ある特定の実施形態において、間葉系サブタイプは高いPD-L1/CD274発現を有する。
【0157】
ある特定の実施形態において、本発明の方法/使用は、C型肝炎に起因する線維症の再発の治療に使用することができる。というのも、調節性Tリンパ球の出現頻度の増加が、このような線維症の再発を予測する因子であることも実証されているからである。
【0158】
いくつかの実施形態において、本発明の抗TNFR2抗体は単独で使用してもよく、あるいは疾患または適応症を治療できることが知られている他の好適な化合物と組み合わせて使用してもよい。
【0159】
したがって、本発明の特定の実施形態によれば、TNFR2に対し向けられ、先に定義したような調節性Tリンパ球のサプレッサー活性を阻害する抗体は、調節性Tリンパ球のサプレッサー活性に関連する疾患を治療するための第2の治療剤(例えば、抗がん剤)と組み合わせて使用される。
【0160】
すなわち、使用ががんの治療である場合、抗体は、例えば、手術、放射線療法、化学療法、またはこれらの組合せなどのがんに対する既知の療法と組み合わせて、使用することができる。例えば、この抗体は、腫瘍抗原(詳細には、EBV抗原)に対するエフェクターリンパ球の1つ以上の注射からなる養子免疫療法と組み合わせて使用することができる。いくつかの態様によれば、がん療法のために本発明によるTNFR2に対する抗体と組み合わせて使用される他の抗がん剤は、抗血管新生剤を含む。ある特定の態様によれば、抗体は、(サイトカイン、例えば、抗腫瘍免疫応答を刺激するサイトカイン)と同時投与することができる。
【0161】
このような併用療法において、本発明の抗体は、第2の治療剤の前、後、またはそれと同時に使用することができる。併用療法については、以下のさらなるセクションを参照されたい。
【0162】
4.投与経路及び担体
様々な実施形態において、主題の抗TNFR2モノクローナル抗体は、皮下または静脈内に投与することができる。分かりやすくするため、「主題の抗TNFR2モノクローナル抗体」とは、本発明のマウス-ヒトキメラ抗TNFR2抗体及びそのヒト化バリアントを指す。
【0163】
いくつかの実施形態において、主題の抗TNFR2モノクローナル抗体は、in vivoで、限定されるものではないが、経口、動脈内、非経口、鼻腔内、筋肉内、心臓内、脳室内、気管内、頬側、経直腸、腹腔内、吸入、皮内、局所、経皮、及び髄腔内、または他の方法(例えば、移植)を含む様々な経路により、投与することができる。
【0164】
いくつかの実施形態において、主題の抗TNFR2モノクローナル抗体は、静脈内または皮下により投与することができる。
【0165】
主題の抗体組成物は、固体、半固体、液体、または気体形態の調製物に製剤化することができ、このような調製物には、限定されるものではないが、錠剤、カプセル、粉末、粒剤、軟膏、溶液、坐薬、浣腸、注射液、吸入剤、及びエアロゾルが含まれる。
【0166】
様々な実施形態において、主題の抗TNFR2モノクローナル抗体を含む組成物は、多種多様な医薬的に許容される担体との製剤で提供される(例えば、Gennaro,Remington:The Science and Practice of Pharmacy with Facts and Comparisons:Drugfacts Plus,20th ed.(2003);Ansel et al.,Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,7th ed.,Lippencott Williams and Wilkins(2004);Kibbe et al.,Handbook of Pharmaceutical Excipients,3rd ed.,Pharmaceutical Press(2000)を参照)。ビヒクル、アジュバント、及び希釈剤を含む様々な医薬的に許容される担体が利用可能である。さらに、様々な医薬的に許容される補助物質、例えば、pH調整及び緩衝剤、張度調整剤、安定剤、湿潤剤なども利用可能である。非限定的な例示的な担体としては、食塩水、緩衝食塩水、デキストロース、水、グリセロール、エタノール、及びこれらの組合せが挙げられる。
【0167】
様々な実施形態において、主題のTNFR2モノクローナル抗体は、水性または非水性溶媒、例えば、植物油もしくは他の油、合成脂肪族酸グリセリド、より高級の脂肪族酸、またはプロピレングリコールのエステルに、所望に応じて可溶化剤、等張剤、懸濁化剤、乳化剤、安定化剤、及び防腐剤とともに溶解、懸濁、または乳化することにより、注射用(皮下投与を含む)に製剤化することができる。
【0168】
様々な実施形態において、組成物は、加圧された許容される噴射剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素など)を用いて、吸入用に製剤化することができる。
【0169】
また、組成物は、様々な実施形態において、例えば、生分解性または非生分解性ポリマーを用いて、持続放出マイクロカプセルに製剤化することもできる。非限定的な例示的な生分解性製剤としては、ポリ乳酸-グリコール酸(PLGA)ポリマーが挙げられる。非限定的な例示的な非生分解性製剤としては、ポリグリセリン脂肪酸エステルが挙げられる。このような製剤を作製するある特定の方法は、例えば、EP1125584A1に記載されている。
【0170】
また、1つ以上の容器を含む医薬投与量パックであって、各々が主題の抗TNFR2モノクローナル抗体の1つ以上の用量を含む、医薬投与量パックも提供される。いくつかの実施形態において、単位投与量であって、1つ以上のさらなる薬剤を伴ってまたは伴わずに、主題の抗TNFR2モノクローナル抗体を含む組成物の所定量を含む、単位投与量が提供される。いくつかの実施形態において、このような単位投与量は、使い捨ての充填済み注射用シリンジで供給される。様々な実施形態において、単位投与量に含まれる組成物は、食塩水、スクロースなど、緩衝剤(例えば、リン酸)などを含むことができ、及び/または安定し有効なpH範囲内で製剤化することができる。代替的に、いくつかの実施形態において、組成物は、適切な液体(例えば、滅菌水)を加えれば再構成することができる凍結乾燥粉末として提供することができる。いくつかの実施形態において、組成物は、タンパク質凝集を阻害する1つ以上の物質を含み、このような物質としては、限定されるものではないが、スクロース及びアルギニンが挙げられる。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、ヘパリン及び/またはプロテオグリカンを含む。
【0171】
医薬組成物は、特定の適応症の治療または予防に有効な量で投与される。治療有効量は、典型的には、治療を行っている対象の体重、対象の身体または健康状態、治療を行う状態の広範さ、または治療を行っている対象の年齢に依存する。
【0172】
いくつかの実施形態において、主題の抗TNFR2モノクローナル抗体は、用量当たり約50μg/kg体重~約50mg/kg体重の範囲の量で投与することができる。いくつかの実施形態において、主題の抗TNFR2モノクローナル抗体は、用量当たり約100μg/kg体重~約50mg/kg体重の範囲の量で投与することができる。いくつかの実施形態において、主題の抗TNFR2モノクローナル抗体は、用量当たり約100μg/kg体重~約20mg/kg体重の範囲の量で投与することができる。いくつかの実施形態において、主題の抗TNFR2モノクローナル抗体は、用量当たり約0.5mg/kg体重~約20mg/kg体重の範囲の量で投与することができる。
【0173】
いくつかの実施形態において、主題の抗TNFR2モノクローナル抗体は、用量当たり約10mg~約1,000mgの範囲の量で投与することができる。いくつかの実施形態において、主題の抗TNFR2モノクローナル抗体は、用量当たり約20mg~約500mgの範囲の量で投与することができる。いくつかの実施形態において、主題の抗TNFR2モノクローナル抗体は、用量当たり約20mg~約300mgの範囲の量で投与することができる。いくつかの実施形態において、主題の抗TNFR2モノクローナル抗体は、用量当たり約20mg~約200mgの範囲の量で投与することができる。
【0174】
主題の抗TNFR2モノクローナル抗体組成物は、必要に応じて対象に投与することができる。いくつかの実施形態において、主題の抗TNFR2モノクローナル抗体の有効用量は、1回以上対象に投与される。様々な実施形態において、主題の抗TNFR2モノクローナル抗体の有効用量は、1か月に1回、1か月に1回未満、例えば、2か月ごと、3か月ごと、または6か月ごとに、対象に投与される。他の実施形態において、主題の抗TNFR2モノクローナル抗体の有効用量は、1か月に複数回、例えば、2週間ごと、毎週、週に2回、週に3回、毎日、または1日に複数回投与される。主題の抗TNFR2モノクローナル抗体の有効用量は、少なくとも1回対象に投与される。いくつかの実施形態において、主題の抗TNFR2モノクローナル抗体の有効用量は、複数回(少なくとも1か月、少なくとも6か月、または少なくとも1年の期間を含む)投与することができる。いくつかの実施形態において、主題の抗TNFR2モノクローナル抗体は、状態の1つ以上の症状を軽減するように必要に応じて対象に投与される。
【0175】
5.併用療法
本発明の主題の抗TNFR2モノクローナル抗体(その機能的フラグメントを含む)は、疾患の治療のために他の生物学的活性物質または他の治療手順と組み合わせて、それを必要とする対象に投与することができる。例えば、主題の抗TNFR2モノクローナル抗体は、単独で、または他の治療様式とともに投与することができる。これらは、他の治療様式(例えば、放射線療法)の前、実質的にそれと同時、またはその後に提供することができる。
【0176】
がんの治療において、主題の抗TNFR2モノクローナル抗体は、1つ以上の抗がん剤(例えば、免疫チェックポイント阻害剤、化学療法剤、成長阻害剤、抗血管新生剤、または抗新生物組成物)とともに投与することができる。
【0177】
ある特定の実施形態において、TNFR2に特異的に結合する主題の抗TNFR2モノクローナル抗体(「TNFR2結合アンタゴニスト」)、例えば、TNFR2アンタゴニスト抗体またはその抗原結合フラグメントは、第2のアンタゴニスト、例えば、免疫チェックポイント阻害剤(例えば、PD-1またはPD-L1経路の阻害剤)とともに、免疫系の刺激が有益と考えられる疾患(例えば、がんまたは感染性疾患)を有する対象に投与される。2つのアンタゴニストは、例えば、主題の抗TNFR2モノクローナル抗体とがん免疫薬剤との組合せについて後述するように、同時にまたは連続して投与することができる。がんまたは自己免疫性疾患を治療するために、主題の抗TNFR2モノクローナル抗体による治療に1つ以上の追加の治療薬、例えば、チェックポイントモジュレーターを加えることができる。
【0178】
ある特定の実施形態において、主題の抗TNFR2モノクローナル抗体は、別の治療と同時にまたは連続して、対象(例えば、がんを有する対象)に投与される。例えば、主題の抗TNFR2モノクローナル抗体は、放射線療法、手術、または化学療法、例えば、標的化学療法または免疫療法のうちの1つ以上とともに投与することができる。
【0179】
ある特定の実施形態において、がんを有する対象を治療する方法は、本発明の抗TNFR2モノクローナル抗体及び1つ以上のがん免疫薬剤(例えば、免疫チェックポイント阻害剤)を対象に投与することを含む。
【0180】
免疫療法(例えば、がん免疫薬剤による療法)は、対象における免疫応答を増強、刺激、及び/または上方調節するのに有効である。1つの態様において、主題の抗TNFR2モノクローナル抗体及びがん免疫薬剤(例えば、PD-1阻害剤)の投与は、がんの治療、例えば、腫瘍成長の阻害において、相乗効果を有する。
【0181】
1つの態様において、主題の抗TNFR2モノクローナル抗体は、がん免疫薬剤の投与前に、順次投与される。1つの態様において、主題の抗TNFR2モノクローナル抗体は、がん免疫薬剤(例えば、PD-1阻害剤)と同時に投与される。また1つの態様において、主題の抗TNFR2モノクローナル抗体は、がん免疫薬剤(例えば、PD-1阻害剤)の投与後に、順次投与される。2つの薬剤の投与は、例えば、30分、60分、90分、120分、3時間、6時間、12時間、24時間、36時間、48時間、3日、5日、7日、もしくは1週間以上の間隔をおいた時点で開始してもよく、または第2の薬剤の投与は、例えば、第1の薬剤を投与してから30分後、60分後、90分後、120分後、3時間後、6時間後、12時間後、24時間後、36時間後、48時間後、3日後、5日後、7日後、もしくは1週間後に開始してもよい。
【0182】
ある特定の態様において、主題の抗TNFR2モノクローナル抗体及びがん免疫薬剤(例えば、PD-1阻害剤)は、同時に投与され、例えば、同時に、例えば、30分間または60分間にわたって患者に注入される。主題の抗TNFR2モノクローナル抗体は、がん免疫薬剤(例えば、PD-1阻害剤)と共製剤化することができる。
【0183】
がん免疫薬剤としては、例えば、低分子薬物、抗体そのフラグメント、または他の生物製剤もしくは低分子が挙げられる。生物学的がん免疫薬剤の例としては、限定されるものではないが、抗体、抗体フラグメント、ワクチン、及びサイトカインが挙げられる。1つの態様において、抗体はモノクローナル抗体である。ある特定の態様において、モノクローナル抗体は、ヒト化またはヒト抗体である。
【0184】
1つの態様において、がん免疫薬剤は、免疫細胞、例えば、T細胞上の(i)刺激性(共刺激性を含む)分子(例えば、受容体もしくはリガンド)のアゴニスト、または(ii)阻害性(共阻害性を含む)分子(例えば、受容体もしくはリガンド)のアンタゴニストであり、いずれも抗原特異的T細胞応答の増幅をもたらす。ある特定の態様において、がん免疫薬剤は、(i)自然免疫に関与する細胞(例えば、NK細胞)上の(i)刺激性(共刺激性を含む)分子(例えば、受容体もしくはリガンド)のアゴニスト、または(ii)阻害性(共阻害性を含む)分子(例えば、受容体もしくはリガンド)のアンタゴニストであり、がん免疫薬剤は自然免疫を増強する。このようながん免疫薬剤は、しばしば免疫チェックポイント調節剤、例えば、免疫チェックポイント阻害剤または免疫チェックポイント刺激剤と称される。
【0185】
ある特定の実施形態において、がん免疫薬剤は、膜結合リガンドのB7ファミリーのメンバー(B7-1、B7-2、B7-H1(PD-L1)、B7-DC(PD-L2)、B7-H2(ICOS-L)、B7-H3、B7-H4、B7-H5、及びB7-H6を含む)を標的とする(もしくはそれに特異的に結合する)薬剤、またはB7ファミリーのメンバーに特異的に結合する共刺激性もしくは共阻害性受容体であり得る。がん免疫薬剤は、膜結合リガンドのTNFファミリーのメンバーを標的とする薬剤、またはそれに特異的に結合する共刺激性もしくは共阻害性受容体(例えば、TNF受容体ファミリーのメンバー)であり得る。がん免疫薬剤によって標的とされ得る例示的なTNF及びTNFRファミリーメンバーとしては、CD40及びCD40L、OX-40、OX-40L、GITR、GITRL、CD70、CD27L、CD30、CD30L、4-1BBL、CD137(4-1BB)、TRAIL/Apo2-L、TRAILR1/DR4、TRAILR2/DR5、TRAILR3、TRAILR4、OPG、RANK、RANKL、TWEAKR/Fnl4、TWEAK、BAFFR、EDAR、XEDAR、TACI、APRIL、BCMA、LTfiR、LIGHT、DcR3、HVEM、VEGI/TL1A、TRAMP/DR3、EDAR、EDA1、XEDAR、EDA2、TNFR1、リンパ毒素α/ΤΝΡβ、TNFR2、TNFa、LTfiR、リンパ毒素a 1β2、FAS、FASL、RELT、DR6、TROY、ならびにNGFRが挙げられる。がんを治療するために主題の抗TNFR2モノクローナル抗体と組み合わせて使用され得るがん免疫薬剤は、B7ファミリーメンバー、B7受容体ファミリーメンバー、TNFファミリーメンバー、またはTNFRファミリーメンバー(例えば、上述のもの)を標的とする薬剤、例えば、抗体であり得る。
【0186】
1つの態様において、主題の抗TNFR2モノクローナル抗体は、(i)T細胞活性化を阻害するタンパク質(例えば、CTLA-4、PD-1、PD-L1、PD-L2、LAG-3、TIM3、CEACAM-1、BTLA、CD69、ガレクチン-1、TIGIT、CD113、GPR56、VISTA、B7-H3、B7-H4、2B4、CD48、GARP、PDIH、LAIRl、TIM-1、TIM-4、及びPSGL-1、ならびに(ii)PSGL-1、及びPSGL-1)のアンタゴニスト(例えば、免疫チェックポイント阻害剤)、ならびに(ii)T細胞活性化を刺激するタンパク質(例えば、B7-1、B7-2、CD28、4-1BB(CD137)、4-1BBL、ICOS、ICOS-L、OX40、OX40L、GITR、GITRL、CD70、CD27、CD40、CD40L、DR3、及びCD28H)のアゴニストのうちの1つ以上とともに投与される。
【0187】
1つの態様において、がん免疫薬剤は、T細胞活性化を阻害するサイトカイン(例えば、IL-6、IL-10、TGF-β、VEGF、及び他の免疫抑制性サイトカイン)を阻害する薬剤(すなわち、そのアンタゴニスト)、またはT細胞活性化を刺激するサイトカイン(例えば、IL-2、IL-7、IL-12、IL-15、IL-21、及びIFNα)のアゴニスト(例えば、サイトカイン自体)であり、免疫応答を刺激する。
【0188】
免疫系を刺激するために、例えば、がん及び感染性疾患の治療のために、主題の抗TNFR2モノクローナル抗体と組み合わせることができる他の薬剤としては、NK細胞上の阻害性受容体のアンタゴニストまたはNK細胞上の活性化受容体のアゴニストが挙げられる。例えば、主題の抗TNFR2モノクローナル抗体は、KIRのアンタゴニストと組み合わせることができる。
【0189】
併用療法のためのまた他の薬剤としては、マクロファージまたは単球を阻害するまたは枯渇させる薬剤が挙げられ、これには、限定されるものではないが、CSF-IRアンタゴニスト、例えば、RG7155(WO11/70024、WO11/107553、WO11/131407、WO13/87699、WO13/119716、WO13/132044)またはFPA008(WO11/140249;WO13169264;WO14/036357)を含むCSF-IRアンタゴニスト抗体が含まれる。
【0190】
がん免疫薬剤には、TGF-βシグナル伝達を阻害する薬剤も含まれる。
【0191】
主題の抗TNFR2モノクローナル抗体と組み合わせることができるさらなる薬剤としては、腫瘍抗原提示を増強する薬剤(例えば、樹状細胞ワクチン、GM-CSF分泌細胞ワクチン、CpGオリゴヌクレオチド、及びImiquimod)、または腫瘍細胞の免疫原性を増強する療法(例えば、アントラサイクリン)が挙げられる。
【0192】
主題の抗TNFR2モノクローナル抗体と組み合わせることができるまた他の療法としては、Treg細胞を枯渇させるまたは遮断する療法(例えば、CD25に特異的に結合する薬剤)が挙げられる。
【0193】
主題の抗TNFR2モノクローナル抗体と組み合わせることができる別の療法としては、代謝酵素(例えば、インドールアミンジオキシゲナーゼ(IDO)、ジオキシゲナーゼ、アルギナーゼ、または一酸化窒素シンターゼ)を阻害する療法がある。
【0194】
使用され得る別のクラスの薬剤としては、アデノシンの形成を阻害する薬剤またはアデノシンA2A受容体を阻害する薬剤が挙げられる。
【0195】
がんを治療するために主題の抗TNFR2モノクローナル抗体と組み合わせることができる他の療法としては、T細胞のアレルギーまたは疲弊を回復/防止する療法、ならびに腫瘍部位での自然免疫活性化及び/または炎症を誘発する療法が挙げられる。
【0196】
主題の抗TNFR2モノクローナル抗体は、複数のがん免疫薬剤(例えば、免疫チェックポイント阻害剤)と組み合わせることができ、例えば、以下のうちの1つ以上のような、免疫経路の複数のエレメントを標的とするコンビナトリアルアプローチと組み合わせることができる:腫瘍抗原提示を増強する療法(例えば、樹状細胞ワクチン、GM-CSF分泌細胞ワクチン、CpGオリゴヌクレオチド、Imiquimod);例えば、CTLA-4及び/またはPD1/PD-L1/PD-L2経路を阻害することにより、及び/またはTregもしくは他の免疫抑制細胞を枯渇させるもしくは遮断することにより、負の免疫調節を阻害する療法;例えば、CD-137、OX-40、及び/またはGITR経路を刺激する及び/またはT細胞のエフェクター機能を刺激するアゴニストを用いて、正の免疫調節を刺激する療法;抗腫瘍T細胞の出現頻度を全身的に増加させる療法;例えば、CD25のアンタゴニスト(例えば、ダクリズマブ)を用いて、またはex vivo抗CD25ビーズ枯渇によって、Treg(例えば、腫瘍内のTreg)を枯渇させるまたは阻害する療法;腫瘍内のサプレッサー骨髄系細胞の機能に影響を及ぼす療法;腫瘍細胞の免疫原性を増強する療法(例えば、アントラサイクリン);遺伝子修飾細胞(例えば、キメラ抗原受容体によって修飾された細胞(CAR-T療法))を含む養子T細胞またはNK細胞移入;代謝酵素(例えば、インドールアミンジオキシゲナーゼ(IDO)、ジオキシゲナーゼ、アルギナーゼ、一酸化窒素シンターゼ)を阻害する療法;T細胞のアネルギーまたは疲弊を回復/防止する療法;腫瘍部位における自然免疫活性化及び/または炎症を誘発する療法;免疫刺激性サイトカインの投与または免疫抑制性サイトカインの遮断。
【0197】
例えば、主題の抗TNFR2モノクローナル抗体は、正の共刺激受容体をライゲーションする1つ以上のアゴニスト的薬剤;阻害性受容体を介しシグナル伝達を減弱させる1つ以上のアンタゴニスト(ブロッキング剤)(例えば、腫瘍微小環境内の独特の免疫抑制経路を克服するアンタゴニスト)(例えば、PD-L1/PD-1/PD-L2相互作用の遮断);抗腫瘍免疫細胞(例えば、T細胞)の出現頻度を全身的に増加させ、(例えば、CD25を阻害することによって)Tregを枯渇させるまたは阻害する1つ以上の薬剤;代謝酵素(例えば、IDO)を阻害する1つ以上の薬剤;T細胞のアネルギーまたは疲弊を回復/防止する1つ以上の薬剤;ならびに腫瘍部位における自然免疫活性化及び/または炎症を誘発する1つ以上の薬剤、とともに使用することができる。
【0198】
1つの実施形態において、免疫系の刺激から利益が得られ得る疾患(例えば、がんまたは感染性疾患)を有する対象は、主題の抗TNFR2モノクローナル抗体及びがん免疫薬剤を対象に投与することにより治療され、がん免疫薬剤はCTLA-4アンタゴニスト(例えば、アンタゴニスト的CTLA-4抗体)である。好適なCTLA-4抗体としては、例えば、YERVOY(イピリムマブ)またはトレメリムマブが挙げられる。
【0199】
1つの実施形態において、免疫系の刺激から利益が得られ得る疾患(例えば、がんまたは感染性疾患)を有する対象は、主題の抗TNFR2モノクローナル抗体及びがん免疫薬剤を対象に投与することにより治療され、がん免疫薬剤はPD-1アンタゴニスト(例えば、アンタゴニスト的PD-1抗体)である。好適なPD-1抗体としては、例えば、OPDIVO(ニボルマブ)、KEYTRUDA(ペムブロリズマブ)、またはMEDI-0680(AMP-514;WO2012/145493)が挙げられる。また、がん免疫薬剤にはピジリズマブ(CT-011)も含まれる。PD-1受容体を標的とする別のアプローチは、AMP-224と呼ばれるIgGlのFc部分と融合したPD-L2の細胞外ドメイン(B7-DC)から構成された組換えタンパク質である。
【0200】
1つの実施形態において、免疫系の刺激から利益が得られ得る疾患(例えば、がんまたは感染性疾患)を有する対象は、本発明の抗TNFR2モノクローナル抗体及びがん免疫薬剤を対象に投与することにより治療され、がん免疫薬剤はPD-L1アンタゴニスト(例えば、アンタゴニスト的PD-L1抗体)である。好適なPD-L1抗体としては、例えば、MPDL3280A(RG7446;WO2010/077634)、デュルバルマブ(MEDI4736)、BMS-936559(WO2007/005874)、MSB0010718C(WO2013/79174)、またはrHigM12B7が挙げられる。
【0201】
1つの実施形態において、免疫系の刺激から利益が得られ得る疾患(例えば、がんまたは感染性疾患)を有する対象は、本発明の抗TNFR2モノクローナル抗体及びがん免疫薬剤を対象に投与することにより治療され、がん免疫薬剤はLAG-3アンタゴニスト(例えば、アンタゴニスト的LAG-3抗体)である。好適なLAG3抗体としては、例えば、BMS-986016(WO10/19570、WO14/08218)、またはIMP-731もしくはIMP-321(WO08/132601、WO09/44273)が挙げられる。
【0202】
1つの実施形態において、免疫系の刺激から利益が得られ得る疾患(例えば、がんまたは感染性疾患)を有する対象は、本発明の抗TNFR2モノクローナル抗体及びがん免疫薬剤を対象に投与することにより治療され、がん免疫薬剤はCD137(4-1BB)アゴニスト(例えば、アゴニスト的CD137抗体)である。好適なCD137抗体としては、例えば、ウレルマブまたはPF- 05082566(W012/32433)が挙げられる。
【0203】
1つの実施形態において、免疫系の刺激から利益が得られ得る疾患(例えば、がんまたは感染性疾患)を有する対象は、本発明の抗TNFR2モノクローナル抗体及びがん免疫薬剤を対象に投与することにより治療され、がん免疫薬剤はGITRアゴニスト(例えば、アゴニスト的GITR抗体)である。好適なGITR抗体としては、例えば、TRX-518(WO06/105021、WO09/009116)、MK-4166(WO11/028683)、またはWO2015/031667に開示されているGITR抗体が挙げられる。
【0204】
1つの実施形態において、免疫系の刺激から利益が得られ得る疾患(例えば、がんまたは感染性疾患)を有する対象は、本発明の抗TNFR2モノクローナル抗体及びがん免疫薬剤を対象に投与することにより治療され、がん免疫薬剤はOX40アゴニスト(例えば、アゴニスト的OX40抗体)である。好適なOX40抗体としては、例えば、MEDI-6383、MEDI-6469、またはMOXR0916(RG7888;WO06/029879)が挙げられる。
【0205】
1つの実施形態において、免疫系の刺激から利益が得られ得る疾患(例えば、がんまたは感染性疾患)を有する対象は、本発明の抗TNFR2モノクローナル抗体及びがん免疫薬剤を対象に投与することにより治療され、がん免疫薬剤はCD40アゴニスト(例えば、アゴニスト的CD40抗体)である。ある特定の実施形態において、がん免疫薬剤はCD40アンタゴニスト(例えば、アンタゴニスト的CD40抗体)である。好適なCD40抗体としては、例えば、ルカツムマブ(HCD122)、ダセツズマブ(SGN-40)、CP-870,893、またはChi Lob7/4が挙げられる。
【0206】
1つの実施形態において、免疫系の刺激から利益が得られ得る疾患(例えば、がんまたは感染性疾患)を有する対象は、本発明の抗TNFR2モノクローナル抗体及びがん免疫薬剤を対象に投与することにより治療され、がん免疫薬剤はCD27アゴニスト(例えば、アゴニスト的CD27抗体)である。好適なCD27抗体としては、例えば、バリルマブ(CDX-1127)が挙げられる。
【0207】
1つの実施形態において、免疫系の刺激から利益が得られ得る疾患(例えば、がんまたは感染性疾患)を有する対象は、本発明の抗TNFR2モノクローナル抗体及びがん免疫薬剤を対象に投与することにより治療され、がん免疫薬剤は(B7H3に対する)MGA271である(WOl 1/109400)。
【0208】
1つの実施形態において、免疫系の刺激から利益が得られ得る疾患(例えば、がんまたは感染性疾患)を有する対象は、本発明の抗TNFR2モノクローナル抗体及びがん免疫薬剤を対象に投与することにより治療され、がん免疫薬剤はKIRアンタゴニスト(例えば、リリルマブ)である。
【0209】
1つの実施形態において、免疫系の刺激から利益が得られ得る疾患(例えば、がんまたは感染性疾患)を有する対象は、本発明の抗TNFR2モノクローナル抗体及びがん免疫薬剤を対象に投与することにより治療され、がん免疫薬剤はIDOアンタゴニストである。好適なIDOアンタゴニストとしては、例えば、INCB-024360(WO2006/122150、WO07/75598、WO08/36653、WO08/36642)、インドキシモド、NLG-919(WO09/73620、WO09/1156652、WOl 1/56652、WO12/142237)、またはF001287が挙げられる。
【0210】
1つの実施形態において、免疫系の刺激から利益を得られ得る疾患、例えば、がんまたは感染性疾患を有する対象は、本発明の抗TNFR2モノクローナル抗体及びがん免疫薬剤を対象に投与することによって治療され、がん免疫薬剤は、Toll様受容体アゴニスト、例えば、TLR2/4アゴニスト(例えば、Bacillus Calmette-Guerin);TLR7アゴニスト(例えば、HiltonolもしくはImiquimod);TLR7/8アゴニスト(例えば、Resiquimod);またはTLR9アゴニスト(例えば、CpG7909)である。
【0211】
1つの実施形態において、免疫系の刺激から利益が得られ得る疾患(例えば、がんまたは感染性疾患)を有する対象は、本発明の抗TNFR2モノクローナル抗体及びがん免疫薬剤を対象に投与することにより治療され、がん免疫薬剤は、TGF-β阻害剤、例えば、GC1008、LY2157299、TEW7197、またはIMC-TR1である。
【0212】
6.例示的な抗TNFR2モノクローナル抗体
本明細書に記載の発明は、TNFR2に特異的なモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。
【0213】
したがって、本発明の1つの態様は、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントであって、配列番号13/101または38のエピトープとの結合、またはHFB3-18が結合するエピトープとの結合に関して、本明細書に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントのいずれかと競合する、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。
【0214】
例えば、HFB3-1/HFB3-1-hG1のエピトープは
図11A~11Cに示されている(
図11A及び11Bの配列番号13、ならびに
図11Cの配列番号101)。
【0215】
本発明の関連する態様は、配列番号13/101もしくは38のエピトープ、またはHFB3-18に結合されるエピトープに特異的に結合する、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。
【0216】
本発明の別の関連する態様は、単離されたモノクローナル抗体またはその抗体結合フラグメントを提供し、当該単離されたモノクローナル抗体またはその抗体結合フラグメントはヒトTNFR2に特異的であり、当該単離されたモノクローナル抗体またはその抗体結合フラグメントは、(1a)重鎖可変領域(HCVR)であって、配列番号1のHCVR CDR1配列、配列番号2のHCVR CDR2配列、及び配列番号3のHCVR CDR3配列を含む、重鎖可変領域と、(1b)軽鎖可変領域(LCVR)であって、配列番号4のLCVR CDR1配列、配列番号5のLCVR CDR2配列、及び配列番号6のLCVR CDR3配列を含む、軽鎖可変領域とを含む、または(2a)重鎖可変領域(HCVR)であって、配列番号14のHCVR CDR1配列、配列番号15のHCVR CDR2配列、及び配列番号16のHCVR CDR3配列を含む、重鎖可変領域と、(2b)軽鎖可変領域(LCVR)であって、配列番号17のLCVR CDR1配列、配列番号18のLCVR CDR2配列、及び配列番号19のLCVR CDR3配列を含む、軽鎖可変領域とを含む、または(3a)重鎖可変領域(HCVR)であって、配列番号26のHCVR CDR1配列、配列番号27のHCVR CDR2配列、及び配列番号28のHCVR CDR3配列を含む、重鎖可変領域と、(3b)軽鎖可変領域(LCVR)であって、配列番号29のLCVR CDR1配列、配列番号30のLCVR CDR2配列、及び配列番号31のLCVR CDR3配列を含む、軽鎖可変領域とを含む、または(4a)重鎖可変領域(HCVR)であって、配列番号39のHCVR CDR1配列、配列番号40のHCVR CDR2配列、及び配列番号41のHCVR CDR3配列を含む、重鎖可変領域と、(4b)軽鎖可変領域(LCVR)であって、配列番号42のLCVR CDR1配列、配列番号43のLCVR CDR2配列、及び配列番号44のLCVR CDR3配列を含む、軽鎖可変領域とを含む、または(5a)重鎖可変領域(HCVR)であって、配列番号51のHCVR CDR1配列、配列番号52のHCVR CDR2配列、及び配列番号53のHCVR CDR3配列を含む、重鎖可変領域と、(5b)軽鎖可変領域(LCVR)であって、配列番号54のLCVR CDR1配列、配列番号55のLCVR CDR2配列、及び配列番号56のLCVR CDR3配列を含む、軽鎖可変領域とを含む、または(6a)重鎖可変領域(HCVR)であって、配列番号63のHCVR CDR1配列、配列番号64のHCVR CDR2配列、及び配列番号65のHCVR CDR3配列を含む、重鎖可変領域と、(6b)軽鎖可変領域(LCVR)であって、配列番号66のLCVR CDR1配列、配列番号67のLCVR CDR2配列、及び配列番号68のLCVR CDR3配列を含む、軽鎖可変領域とを含む。
【0217】
上記のいずれかの本発明の態様に関し、いくつかの実施形態において、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントにおいて、(1A)HCVR配列は配列番号7であり、及び/または(1B)LCVR配列は配列番号8である、あるいは(2A)HCVR配列は配列番号20であり、及び/または(2B)LCVR配列は配列番号21である、あるいは(3A)HCVR配列は配列番号32であり、及び/または(3B)LCVR配列は配列番号33である、あるいは(4A)HCVR配列は配列番号45であり、及び/または(4B)LCVR配列は配列番号46である、あるいは(5A)HCVR配列は配列番号57であり、及び/または(5B)LCVR配列は配列番号58である、あるいは(6A)HCVR配列は配列番号69であり、及び/または(6B)LCVR配列は配列番号70である。
【0218】
いくつかの実施形態において、単離されたモノクローナル抗体またはその抗体結合フラグメントは、(1a)配列番号9の重鎖配列及び/または(1b)配列番号10の軽鎖配列、あるいは(2a)配列番号22の重鎖配列及び/または(2b)配列番号23の軽鎖配列、あるいは(3a)配列番号34の重鎖配列及び/または(3b)配列番号35の軽鎖配列、あるいは(4a)配列番号47の重鎖配列及び/または(4b)配列番号48の軽鎖配列、あるいは(5a)配列番号59の重鎖配列及び/または(5b)配列番号60の軽鎖配列、あるいは(6a)配列番号71の重鎖配列及び/または(6b)配列番号72の軽鎖配列を有する。
【0219】
本発明の抗体の配列の一部を以下に示す。
HFB3-1-hG1(マウスモノクローナル抗体)
CDR-H1:SYSFTDYN(配列番号1)
CDR-H2:IFPKYGTTSYNQKFKG(配列番号2)
CDR-H3:ATDGGTWYFDV(配列番号3)
CDR-L1:SSVTY(配列番号4)
CDR-L2:LTSNLASGVPA(配列番号5)
CDR-L3:QQWSSNPPT(配列番号6)
HCVRは配列番号7であり、LCVRは配列番号8である。
HC:EFQLQQSGPELVKPGASVKISCKASSYSFTDYNMNWVKQSNGKSLEWIGIIFPKYGTTSYNQKFKGKATLTVDQSSSTAYMQLNSLTSEDSAVYYCATDGGTWYFDVWGTGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号9)
LC:QIVLTQSPALMSASPGEKVTMTCSASSSVTYMYWYQQKPRSSPKPWIYLTSNLASGVPARFSGSGSGTSYSLTISSMEAEDAATYYCQQWSSNPPTFGSGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号10)
GAATTTCAGCTGCAGCAGTCTGGCCCCGAGCTGGTTAAGCCTGGCGCCTCTGTGAAGATCAGCTGCAAGGCCAGCAGCTACAGCTTCACCGACTACAACATGAACTGGGTCAAGCAGAGCAACGGCAAGAGCCTGGAATGGATCGGCATCATCTTCCCTAAGTACGGCACCACCAGCTACAACCAGAAGTTCAAGGGCAAAGCCACACTGACCGTGGACCAGAGCAGCAGCACAGCCTACATGCAGCTCAACAGCCTGACCAGCGAGGACAGCGCCGTGTACTACTGTGCTACAGATGGCGGCACCTGGTACTTCGATGTGTGGGGCACTGGCACCACCGTGACAGTTAGTTCTGCGTCGACCAAGGGCCCATCGGTCTTCCCCCTGGCACCCTCCTCCAAGAGCACCTCTGGGGGCACAGCGGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACCCAGACCTACATCTGCAACGTGAATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAAAGTTGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTATAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCCCCGGGTAAATGA(配列番号11)
CAGATTGTGCTGACACAGTCTCCCGCTCTGATGAGCGCTAGCCCTGGCGAGAAAGTGACCATGACATGTAGCGCCAGCAGCAGCGTGACCTACATGTACTGGTATCAGCAGAAGCCCAGAAGCAGCCCCAAGCCTTGGATCTACCTGACCAGCAATCTGGCCAGCGGAGTGCCTGCCAGATTTTCTGGCTCTGGCAGCGGCACAAGCTACAGCCTGACAATCAGCAGCATGGAAGCCGAGGATGCCGCCACCTACTACTGCCAGCAGTGGTCCAGCAATCCTCCTACATTTGGCTCCGGCACCAAGCTGGAAATCAAGCGTACGGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATCTTCCCGCCATCTGATGAGCAGTTGAAATCTGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCCAGAGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGATAACGCCCTCCAATCGGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACGCTGAGCAAAGCAGACTACGAGAAACACAAAGTCTACGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGCTCGCCCGTCACAAAGAGCTTCAACAGGGGAGAGTGTTAG(配列番号12)
SCEDSTYTQLWNWVPECLS(配列番号13)
SCEDSTYTQLWNWVPECLSC(配列番号101)
HFB3-1hz6-hG1(ヒト化モノクローナル抗体)
CDR-H1:SYSFTDYN(配列番号14)
CDR-H2:IFPKYGTTSYAQKLQG(配列番号15)
CDR-H3:ATDGGTWYFDV(配列番号16)
CDR-L1:SSVTY(配列番号17)
CDR-L2:LTSNLASGVPS(配列番号18)
CDR-L3:QQWSSNPPT(配列番号19)
HCVRは配列番号20であり、LCVRは配列番号21である。
HC:QVQLVQSGAELKKPGASVKVSCKASSYSFTDYNMNWVRQAPGQSLEWMGIIFPKYGTTSYAQKLQGRVTLTTDTSTSTAYMELRSLRSDDTAVYYCATDGGTWYFDVWGTGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号22)
LC:DIQLTQSPSFLSASVGDRVTITCRASSSVTYMYWYQQKPGKAPKPWIYLTSNLASGVPSRFSGSGSGTEYTLTISSLQPEDAATYYCQQWSSNPPTFGSGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号23)
CAGGTTCAGCTGGTTCAGTCTGGCGCCGAGCTGAAAAAACCTGGCGCCTCTGTGAAGGTGTCCTGCAAGGCCAGCAGCTACAGCTTCACCGACTACAACATGAACTGGGTCCGACAGGCCCCTGGCCAGTCTCTTGAGTGGATGGGCATCATCTTCCCTAAGTACGGCACCACCAGCTACGCCCAGAAACTGCAGGGAAGAGTGACCCTGACCACCGACACCAGCACAAGCACCGCCTACATGGAACTGCGGAGCCTGAGATCCGATGACACCGCCGTGTACTACTGTGCCACAGATGGCGGCACCTGGTACTTCGATGTGTGGGGCACTGGCACCACCGTGACAGTCTCTTCTGCGTCGACCAAGGGCCCATCGGTCTTCCCCCTGGCACCCTCCTCCAAGAGCACCTCTGGGGGCACAGCGGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACCCAGACCTACATCTGCAACGTGAATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAAAGTTGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTATAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCCCCGGGTAAATGA(配列番号24)
GACATCCAGCTGACCCAGTCTCCAAGCTTTCTGAGCGCCAGCGTGGGCGACAGAGTGACCATTACATGTAGAGCCAGCAGCAGCGTGACCTATATGTACTGGTATCAGCAGAAGCCCGGCAAGGCCCCTAAGCCTTGGATCTACCTGACCAGCAATCTGGCCAGCGGCGTGCCAAGCAGATTTTCTGGCTCTGGCAGCGGCACCGAGTACACCCTGACCATATCTAGCCTGCAGCCTGAGGATGCCGCCACCTACTATTGCCAGCAGTGGTCCAGCAATCCTCCTACCTTTGGCTCCGGCACCAAGCTGGAAATCAAGCGTACGGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATCTTCCCGCCATCTGATGAGCAGTTGAAATCTGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCCAGAGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGATAACGCCCTCCAATCGGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACGCTGAGCAAAGCAGACTACGAGAAACACAAAGTCTACGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGCTCGCCCGTCACAAAGAGCTTCAACAGGGGAGAGTGTTAG(配列番号25)
HFB3-14-hG1(マウスモノクローナル抗体)
CDR-H1:GYTFTDYY(配列番号26)
CDR-H2:INPNDGGTTYSQKFKG(配列番号27)
CDR-H3:AREGNYYAYDVRVWYFDV(配列番号28)
CDR-L1:QDIITY(配列番号29)
CDR-L2:STSSLNSGVPS(配列番号30)
CDR-L3:QQYSELPYT(配列番号31)
HCVRは配列番号32であり、LCVRは配列番号33である。
HC:EVQLQQSGPELVKPGASVRISCKASGYTFTDYYMNWVKQSHGKSLEWIGDINPNDGGTTYSQKFKGKATLTVDKSSSTAYMELRSLTSEDSAVYFCAREGNYYAYDVRVWYFDVWGTGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号34)
LC:DIQMTQSPASLSVSVGETVTITCRSSENIYSNLAWYQQKQGKSPQLLVYAATNLADGVPSRFSGSGSGTQYSLKINSLQSEDFGSYYCQHFWGTPWTFGGGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号35)
GAAGTTCAGCTGCAGCAGTCTGGACCCGAGCTGGTTAAGCCTGGCGCCTCTGTCAGAATCAGCTGCAAGGCCAGCGGCTACACCTTCACCGACTACTACATGAACTGGGTCAAGCAGAGCCACGGCAAGAGCCTGGAATGGATCGGCGACATCAACCCCAATGATGGCGGCACCACCTACAGCCAGAAGTTCAAGGGCAAAGCCACACTGACCGTGGACAAGAGCAGCAGCACCGCCTACATGGAACTGAGAAGCCTGACCAGCGAGGACAGCGCCGTGTACTTTTGTGCCAGAGAGGGCAACTACTACGCCTACGACGTCCGCGTGTGGTACTTCGATGTGTGGGGCACAGGCACCACCGTGACAGTTAGTTCTGCGTCGACCAAGGGCCCATCGGTCTTCCCCCTGGCACCCTCCTCCAAGAGCACCTCTGGGGGCACAGCGGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACCCAGACCTACATCTGCAACGTGAATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAAAGTTGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTATAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCCCCGGGTAAATGA(配列番号36)
GACATCCAGATGACACAGTCTCCAGCCAGCCTGTCCGTGTCTGTGGGAGAGACAGTGACCATCACCTGTCGGAGCAGCGAGAACATCTACAGCAACCTGGCCTGGTATCAGCAGAAGCAGGGCAAGTCTCCTCAGCTGCTGGTGTACGCCGCCACCAATCTTGCTGATGGCGTGCCCAGCAGATTTTCCGGCTCTGGCTCTGGCACACAGTACAGCCTGAAGATCAACAGCCTGCAGAGCGAGGACTTCGGCAGCTACTACTGCCAGCACTTTTGGGGCACCCCTTGGACATTTGGCGGAGGCACCAAGCTGGAAATCAAGCGTACGGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATCTTCCCGCCATCTGATGAGCAGTTGAAATCTGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCCAGAGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGATAACGCCCTCCAATCGGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACGCTGAGCAAAGCAGACTACGAGAAACACAAAGTCTACGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGCTCGCCCGTCACAAAGAGCTTCAACAGGGGAGAGTGTTAG(配列番号37)
CAPLRKCRPGFGVARPGTETSD(配列番号38)
HFB3-14hz1c-hG1(ヒト化モノクローナル抗体)
CDR-H1:GYTFTDYY(配列番号39)
CDR-H2:INPNDGGTTYAQKFQG(配列番号40)
CDR-H3:AREGNYYAYDVRVWYFDV(配列番号41)
CDR-L1:QDIITY(配列番号42)
CDR-L2:STSSLNSGVPS(配列番号43)
CDR-L3:QQYSELPYT(配列番号44)
HCVRは配列番号45であり、LCVRは配列番号46である。
HC:QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFTDYYMNWVRQAPGQGLEWMGDINPNDGGTTYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYFCAREGNYYAYDVRVWYFDVWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号47)
LC:DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCGASQDIITYLNWYQQKPGKAVKLLIYSTSSLNSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYSELPYTFGGGTKVELKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号48)
CAGGTTCAGCTGGTTCAGTCTGGCGCCGAAGTGAAGAAACCTGGCAGCAGCGTGAAGGTGTCCTGCAAGGCCAGCGGCTACACCTTTACCGACTACTACATGAACTGGGTCCGACAGGCCCCTGGACAGGGACTTGAATGGATGGGCGACATCAACCCCAACGACGGCGGCACAACATACGCCCAGAAATTCCAGGGCAGAGTGACCATCACCGCCGACGAGTCTACAAGCACCGCCTACATGGAACTGAGCAGCCTGAGAAGCGAGGATACCGCCGTGTACTTCTGTGCCAGAGAGGGCAACTACTACGCCTACGACGTCCGCGTGTGGTACTTCGATGTTTGGGGCCAGGGCACCACCGTGACAGTCTCTTCTGCGTCGACCAAGGGCCCATCGGTCTTCCCCCTGGCACCCTCCTCCAAGAGCACCTCTGGGGGCACAGCGGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACCCAGACCTACATCTGCAACGTGAATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAAAGTTGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTATAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCCCCGGGTAAATGA(配列番号49)
GACATCCAGATGACACAGAGCCCTAGCAGCCTGTCTGCCAGCGTGGGAGACAGAGTGACCATTACATGTGGCGCCAGCCAGGACATCATCACCTACCTGAACTGGTATCAGCAGAAACCCGGCAAGGCCGTGAAGCTGCTGATCTACAGCACCAGCAGCCTGAATAGCGGCGTGCCCAGCAGATTTTCTGGCAGCGGCTCTGGCACCGACTTCACCCTGACCATATCTAGCCTGCAGCCTGAGGACTTCGCCACCTACTACTGCCAGCAGTACAGCGAGCTGCCCTACACATTTGGCGGAGGCACCAAGGTGGAACTGAAGCGTACGGTTGCTGCCCCTTCCGTGTTCATCTTCCCACCTTCCGACGAGCAGCTGAAGTCTGGCACAGCCTCTGTCGTGTGCCTGCTGAACAACTTCTACCCTCGGGAAGCCAAGGTGCAGTGGAAGGTGGACAATGCCCTGCAGTCCGGCAACTCCCAAGAGTCTGTGACCGAGCAGGACTCCAAGGACAGCACCTACAGCCTGTCCTCCACACTGACCCTGTCCAAGGCCGACTACGAGAAGCACAAGGTGTACGCCTGCGAAGTGACCCATCAGGGCCTGTCTAGCCCTGTGACCAAGTCTTTCAACCGGGGCGAGTGTTAG(配列番号50)
HFB3-18-hG1(マウスモノクローナル抗体)
CDR-H1:GFTFSDAW(配列番号51)
CDR-H2:VRNKANNHATYYAESVKG(配列番号52)
CDR-H3:TRSVGGYGTTYWYFDV(配列番号53)
CDR-L1:QNLLNSGNQKNY(配列番号54)
CDR-L2:GASTRESGVPD(配列番号55)
CDR-L3:QSEHSYPYT(配列番号56)
HCVRは配列番号57であり、LCVRは配列番号58である。
HC:EVKLEESGGGLVQPGGSMKLSCAASGFTFSDAWMDWVRQSPEKGLEWVAEVRNKANNHATYYAESVKGRFTISRDDSKSSVYLQMNSLRAEDTGIYYCTRSVGGYGTTYWYFDVWGTGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号59)
LC:DIVMTQSPSSLSVSAGEKVTMSCKSSQNLLNSGNQKNYLAWYQQKPGQPPKLLIFGASTRESGVPDRFTGSGSGTDFTLTISSVQAEDLAVYYCQSEHSYPYTFGGGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号60)
GAAGTGAAGCTGGAAGAATCTGGCGGCGGACTGGTTCAGCCTGGCGGATCTATGAAGCTGAGCTGTGCCGCCAGCGGCTTCACCTTTTCTGACGCCTGGATGGACTGGGTCCGACAGTCTCCTGAGAAAGGCCTGGAATGGGTTGCCGAAGTGCGGAACAAGGCCAACAACCACGCCACCTACTACGCCGAGTCTGTGAAGGGCAGATTCACCATCAGCCGGGACGACAGCAAGAGCAGCGTGTACCTGCAGATGAACAGCCTGAGAGCCGAGGACACCGGCATCTACTACTGCACAAGAAGCGTTGGCGGCTACGGCACCACCTACTGGTACTTTGATGTGTGGGGCACCGGCACCACAGTGACCGTTAGTTCTGCGTCGACCAAGGGCCCATCGGTCTTCCCCCTGGCACCCTCCTCCAAGAGCACCTCTGGGGGCACAGCGGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACCCAGACCTACATCTGCAACGTGAATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAAAGTTGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTATAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCCCCGGGTAAATGA(配列番号61)
GACATCGTGATGACACAGAGCCCTAGCAGCCTGTCTGTGTCTGCCGGCGAGAAAGTGACCATGAGCTGCAAGAGCAGCCAGAACCTGCTGAACAGCGGCAACCAGAAGAACTACCTGGCCTGGTATCAGCAGAAGCCCGGCCAGCCTCCTAAGCTGCTGATCTTTGGAGCCAGCACCAGAGAAAGCGGCGTGCCCGATAGATTTACAGGCTCTGGCAGCGGCACCGACTTCACCCTGACAATCAGTTCTGTGCAGGCCGAGGACCTGGCCGTGTACTACTGTCAGAGCGAGCACAGCTACCCCTACACCTTTGGCGGCGGAACAAAGCTGGAAATCAAGCGTACGGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATCTTCCCGCCATCTGATGAGCAGTTGAAATCTGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCCAGAGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGATAACGCCCTCCAATCGGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACGCTGAGCAAAGCAGACTACGAGAAACACAAAGTCTACGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGCTCGCCCGTCACAAAGAGCTTCAACAGGGGAGAGTGTTAG(配列番号62)
HFB3-18hz1-hG1(ヒト化モノクローナル抗体)
CDR-H1:GFTFSDAW(配列番号63)
CDR-H2:VRNKANNHATYYAASVKG(配列番号64)
CDR-H3:TRSVGGYGTTYWYFDV(配列番号65)
CDR-L1:QNLLNSGNQKNY(配列番号66)
CDR-L2:GASTRESGVPD(配列番号67)
CDR-L3:QSEHSYPYT(配列番号68)
HCVRは配列番号69であり、LCVRは配列番号70である。
HC:EVQLVESGGGLVQPGGSLKLSCAASGFTFSDAWMDWVRQASGKGLEWVGEVRNKANNHATYYAASVKGRFTISRDDSKNTAYLQMNSLKTEDTAVYYCTRSVGGYGTTYWYFDVWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号71)
LC:DIVMTQSPDSLAVSLGERATINCKSSQNLLNSGNQKNYLAWYQQKPGQPPKLLIFGASTRESGVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYCQSEHSYPYTFGQGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号72)
GAGGTGCAGCTGGTTGAATCTGGCGGAGGACTGGTTCAGCCTGGCGGATCTCTGAAGCTGTCTTGTGCCGCCAGCGGCTTCACCTTTTCCGACGCTTGGATGGACTGGGTCCGACAGGCCTCTGGCAAAGGCCTTGAGTGGGTTGGAGAAGTGCGGAACAAGGCCAACAACCACGCCACCTACTATGCCGCCTCTGTGAAGGGCAGATTCACCATCAGCCGGGACGACAGCAAGAACACCGCCTACCTGCAGATGAACAGCCTGAAAACCGAGGACACCGCCGTGTACTACTGCACCAGATCTGTTGGCGGCTACGGCACCACCTACTGGTACTTTGATGTGTGGGGCCAGGGCACCACCGTGACAGTTTCTTCTGCGTCGACCAAGGGCCCATCGGTCTTCCCCCTGGCACCCTCCTCCAAGAGCACCTCTGGGGGCACAGCGGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACCCAGACCTACATCTGCAACGTGAATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAAAGTTGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTATAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCCCCGGGTAAATGA(配列番号73)
GACATCGTGATGACACAGAGCCCTGATAGCCTGGCCGTGTCTCTGGGAGAGAGAGCCACCATCAACTGCAAGAGCAGCCAGAACCTGCTGAACAGCGGCAACCAGAAGAACTACCTGGCCTGGTATCAGCAGAAGCCCGGCCAGCCTCCTAAGCTGCTGATCTTTGGAGCCAGCACCAGAGAAAGCGGCGTGCCCGATAGATTTTCTGGCAGCGGCTCTGGCACCGACTTCACCCTGACAATTAGCTCCCTGCAGGCCGAGGATGTGGCCGTGTACTACTGTCAGAGCGAGCACAGCTACCCCTACACCTTTGGCCAGGGCACCAAGCTGGAAATCAAGCGTACGGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATCTTCCCGCCATCTGATGAGCAGTTGAAATCTGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCCAGAGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGATAACGCCCTCCAATCGGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACGCTGAGCAAAGCAGACTACGAGAAACACAAAGTCTACGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGCTCGCCCGTCACAAAGAGCTTCAACAGGGGAGAGTGTTAG(配列番号74)
RPGWYCALSKQEGCRLCAPLRKCRPGFGVARPGTETSD(配列番号75)
【0220】
いくつかの実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒト-マウスキメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、CDR移植抗体、またはリサーフェスド抗体である。
【0221】
いくつかの実施形態において、抗原結合フラグメントは、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fd、単鎖FvまたはscFv、ジスルフィド結合Fv、V-NARドメイン、IgNar、イントラボディ、IgGΔCH2、ミニボディ、F(ab’)3、テトラボディ、トリアボディ、ダイアボディ、シングルドメイン抗体、DVD-Ig、Fcab、mAb2、(scFv)2、またはscFv-Fcである。
【0222】
いくつかの実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、免疫エフェクター機能を消失させる操作されたFc領域を有する。例えば、主題の抗体の操作されたFc領域は、「LALA」二重変異(Leu234Ala及びLeu235Ala)を有するため、減弱したエフェクター機能を有し得る。
【0223】
このような抗体は、IgG1にLALA二重変異を有するため、G1AAという呼称を有することがある。
【0224】
Fcγ受容体(FcγR)及び補体タンパク質C1qとの結合が部分的または完全に欠如しており、よって免疫エフェクター機能が消失している他の組換えヒトIgG抗体(hIgG)が当技術分野で知られており、FcγR活性化及びFc媒介性毒性を低減するために、様々な治療用途に使用されている。ある特定のこのようなFc操作抗体/フラグメントはこの目標を部分的に達成するが、FcγRの活性化及びFc媒介性毒性を完全に消失させるものもある。ある特定の実施形態において、本発明の抗体/フラグメントは、FcγR及びC1q相互作用が完全に消失し、FcRn相互作用及びFc安定性が影響を受けていない、hIgG1-P329G LALAまたはhIgG4-P329G SPLE(IgG4のヒトIgG4 S228P/L235Eバリアント)変異を含む操作されたhIgG Fcドメインを有する。P329G Fc変異は、FcγRとのプロリンサンドイッチモチーフの形成を途絶させる。このモチーフは全てのIgG Fc/FcγR複合体の界面に存在するため、その途絶は全てのヒト及び他のほとんどの哺乳類IgGサブクラスに適用して、エフェクターサイレントIgG分子を作出することができる。したがって、ある特定の実施形態において、主題の抗体/フラグメントは、このようなエフェクターサイレントFc変異を伴ういずれか1つのIgGサブクラスを有する。
【0225】
ある特定の実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒトTNFR2に特異的であり、例えば、TNFR1と実質的に交差反応しない、及び/またはマウスTNFR2と実質的に交差反応しない。ある特定の実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、サルTNFR2(例えば、カニクイザルまたはアカゲザルTNFR2)と交差反応する。
【0226】
いくつかの実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントのrhTNFR2に対する解離定数(Kd)は、1μΜ以下、100nM以下、50nM以下、25nM以下、20nM以下、15nM以下、10nM以下、5nM以下、2nM以下、1nM以下、0.1nM以下、0.01nM以下、または0.001nM以下(例えば、10-8M以下、例えば、10-8M~10-13M、例えば、10-9M~10-13M)である。
【0227】
いくつかの実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、TNFR2のCRD2ドメイン内の領域に結合する。ある特定の実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、HFB3-1に結合されるエピトープに結合する。
【0228】
いくつかの実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、TNFR2のCRD3ドメイン内の領域に結合する。ある特定の実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、HFB3-14に結合されるエピトープに結合する。
【0229】
ある特定の実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、HFB3-18に結合されるエピトープに結合する。
【0230】
ある特定の実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号13/101または38のエピトープに結合する。
【0231】
いくつかの実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒト組換えTNFαとTNFR2との結合を増強する。
【0232】
いくつかの実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒト組換えTNFαとTNFR2との結合を遮断する。
【0233】
いくつかの実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒト組換えTNFαとTNFR2との結合に実質的に影響を及ぼさない。
【0234】
いくつかの実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、TNFα媒介性シグナル伝達(例えば、NFκBシグナル伝達)を阻害し、及び/またはNFκB下流標的遺伝子の下方調節を誘導する。ただし、他の実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、TNFα媒介性シグナル伝達(例えば、NFκBシグナル伝達)を促進し、及び/またはNFκB下流標的遺伝子の上方調節を誘導する。
【0235】
いくつかの実施形態において、エフェクターT細胞(例えば、CD8及び/またはCD4 Tconv T細胞)においてNFκBシグナル伝達が刺激される。いくつかの他の実施形態において、エフェクターT細胞(例えば、CD8及び/またはCD4 Tconv T細胞)においてNFκBシグナル伝達が阻害される。
【0236】
いくつかの実施形態において、TregにおいてNFκBシグナル伝達が刺激される。いくつかの他の実施形態において、TregにおいてNFκBシグナル伝達が阻害される。
【0237】
いくつかの実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、任意選択でCD3/CD28による共刺激の有無にかかわらず、及び/または任意選択でTNFαによる共刺激の有無にかかわらず、CD8及び/または通常CD4 T細胞の増殖を刺激する。
【0238】
いくつかの実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント、詳細にはヒト化モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、(CD3/CD28)TCR活性化初代CD8及び/またはCD4 T細胞に、非刺激初代CD8及び/またはCD4 T細胞に比べて優先的に結合する。
【0239】
いくつかの実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント、詳細にはヒト化モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、CD3/CD28誘導性活性化及び/または増殖(例えば、初代CD8及び/またはCD4 T細胞のCD3/CD28誘導性活性化及び/または増殖(Tregの存在下での初代CD8及び/またはCD4 T細胞の活性化及び/または増殖を含む))を増強する。
【0240】
いくつかの実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント、詳細にはヒト化モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、架橋に非依存的に初代CD8及び/またはCD4 T細胞の活性化及び/または増殖を共刺激する。
【0241】
いくつかの実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント、詳細にはヒト化モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、架橋に依存的に初代CD8及び/またはCD4 T細胞の活性化及び/または増殖を共刺激する。
【0242】
いくつかの実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、Tregの存在下で、TNFαとTNFR2との結合を増強し、TNFα媒介性または共刺激NFκBシグナル伝達を(例えば、TCR活性化CD8及び/またはCD4 Tconv T細胞において)増強し、及び/またはTCR活性化エフェクターT細胞(例えば、CD8及び/またはCD4 Tconv T細胞)の増殖を促進する。
【0243】
いくつかの実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、TregでのTNFα媒介性CD25発現を増強する。
【0244】
いくつかの実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント(ヒト化モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントを含む)は、良好な開発可能性プロファイルを有し、これには、高温(例えば、25℃もしくは40℃)下で、低pH条件(例えば、およそ室温でpH3.5)下で、及び/または数ラウンドの凍結/解凍サイクル後に安定であることが含まれる。
【0245】
ある特定の実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント(ヒト化モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントを含む)は、抗体の開発可能性を改善するように設計されているアミノ酸配列の1つ以上の点変異を含む。例えば、Raybouldら(Five computational developability guidelines for therapeutic antibody profiling,PNAS 116(10):4025-4030,019)は、可変ドメイン配列のダウンロード可能な相同性モデルを構築し、5つの開発可能性ガイドラインに対しこれらを試験し、有力な配列の傾向及び正準形を報告する計算ツールTherapeutic Antibody Profiler(TAP)について説明している。著者らはさらに、TAPをopig.stats.ox.ac.uk/webapps/sabdab-sabpred/TAP.phpで自由に利用できるように提供している。
【0246】
治療用mAbの開発には、抗原に対し所望される親和性を達成することの他にも多くの障壁が存在する。このような障壁としては、内在性免疫原性、化学的及び立体構造的不安定性、自己会合、高粘度、多特異性、及び発現不良が挙げられる。例えば、高レベルの疎水性は、特に高度に可変性の相補性決定領域(CDR)において、凝集、粘度、及び多特異性に繰り返し関与している。重鎖及び軽鎖の可変ドメインの正味電荷における非対称性は、高濃度での自己会合及び粘度とも相関する。CDRの正負の電荷のパッチは、高いクリアランス率及び低い発現レベルに関連付けられる。生成物の不均一性(例えば、酸化、異性化、またはグリコシル化)は、しばしば翻訳後修飾または共翻訳修飾がされやすい特定の配列モチーフに起因する。配列傾向の特定を容易にする計算ツールが利用可能である。Warszawski et al.(Optimizing antibody affinity and stability by the automated design of the variable light-heavy chain interfaces.PLoS Comput Biol15(8):e1007207.https://doi.org/10.1371/journal.pcbi.1007207)も、可変軽鎖-重鎖界面の自動化設計により、抗体の親和性及び安定性を最適化する方法について説明している。候補抗体の潜在的な開発可能性の問題を特定するためのさらなる方法が利用可能であり、本発明の好ましい実施形態では、このような問題に対処して本発明の最適化された治療用抗体を導くために、従来の方法を介し候補抗体に1つ以上の点変異を導入することができる。
【0247】
7.ヒト化抗体
いくつかの実施形態において、本発明の抗体はヒト化抗体である。ヒト化抗体は、非ヒト抗体に対するヒトの免疫応答(例えば、ヒト抗マウス抗体(HAMA)応答)(これは、結果として抗体治療薬に対する免疫応答を生じ、治療薬の有効性を減少させる可能性がある)を低減または除去するため、治療用分子として有用である。
【0248】
抗体は、任意の標準的方法によりヒト化することができる。ヒト化の非限定的な例示的な方法としては、例えば、米国特許第5,530,101号;同第5,585,089号;同第5,693,761号;同第5,693,762号;同第6,180,370号;Jones et al.,Nature 321:522-525(1986);Riechmann et al,Nature 332:323-27(1988);Verhoeyen et al,Science 239:1534-36(1988);及び米国公開第US2009/0136500号に記載の方法が挙げられる。これらは全て、参照により援用される。
【0249】
ヒト化抗体とは、非ヒト可変領域のフレームワーク領域内の少なくとも1つのアミノ酸が、ヒトフレームワーク領域内の対応する位置に由来するアミノ酸で置き換えられた抗体のことである。いくつかの実施形態において、非ヒト可変領域のフレームワーク領域中の少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも15個、または少なくとも20個のアミノ酸が、1つ以上のヒトフレームワーク領域内の1つ以上の対応する位置に由来するアミノ酸で置き換えられる。
【0250】
いくつかの実施形態において、置換に使用される対応するヒトアミノ酸の一部は、異なるヒト免疫グロブリン遺伝子のフレームワーク領域に由来する。すなわち、いくつかのこのような実施形態において、非ヒトアミノ酸のうちの1つ以上が、第1のヒト抗体のヒトフレームワーク領域からの対応するアミノ酸で置き換えられても、第1のヒト免疫グロブリン遺伝子によってコードされてもよく、非ヒトアミノ酸のうちの1つ以上が、第2のヒト抗体のヒトフレームワーク領域からの対応するアミノ酸で置き換えられても、第2のヒト免疫グロブリン遺伝子によってコードされてもよく、非ヒトアミノ酸のうちの1つ以上が、第3のヒト抗体のヒトフレームワーク領域からの対応するアミノ酸で置き換えられても、第3のヒト免疫グロブリン遺伝子によってコードされてもよい、などとなる。さらに、いくつかの実施形態において、単一のフレームワーク領域内、例えば、FR2内で置換に使用される対応するヒトアミノ酸の全てが、同じヒトフレームワーク由来である必要はない。ただし、いくつかの実施形態において、置換に使用される対応するヒトアミノ酸は全て、同じヒト抗体由来であるか、または同じヒト免疫グロブリン遺伝子によってコードされる。
【0251】
いくつかの実施形態において、抗体は、1つ以上のフレームワーク領域全体を対応するヒトフレームワーク領域で置き換えることによってヒト化される。いくつかの実施形態において、置換される非ヒトフレームワーク領域に対し最も高レベルの相同性を有するヒトフレームワーク領域が選択される。いくつかの実施形態において、このようなヒト化抗体はCDR移植抗体である。
【0252】
いくつかの実施形態において、CDR移植に続いて、1つ以上のフレームワークアミノ酸が、マウスフレームワーク領域内の対応するアミノ酸に戻される。このような「復帰変異」は、いくつかの実施形態において、1つ以上のCDRの構造に寄与すると思われる、及び/または抗原接触に関与すると思われる、及び/または抗体の全体的な構造的完全性に関与すると思われる1つ以上のマウスフレームワークアミノ酸を保持するために行われる。いくつかの実施形態において、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、2以下、1、またはゼロの復帰変異が、CDR移植後に抗体のフレームワーク領域に対し行われる。
【0253】
いくつかの実施形態において、ヒト化抗体は、ヒト重鎖定常領域及び/またはヒト軽鎖定常領域も含む。
【0254】
8.ヒト抗体
いくつかの実施形態において、本発明の抗体はヒト抗体である。ヒト抗体は、任意の好適な方法により作製することができる。非限定的な例示的な方法としては、ヒト免疫グロブリン座位を含むトランスジェニックマウスにおいてヒト抗体を作製することが挙げられる。例えば、Jakobovits et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:2551-55(1993);Jakobovits et al,Nature 362:255-8(1993);onberg et al,Nature 368:856-9(1994);ならびに米国特許第5,545,807号;同第6,713,610号;同第6,673,986号;同第6,162,963号;同第5,545,807号;同第6,300,129号;同第6,255,458号;同第5,877,397号;同第5,874,299号;及び同第5,545,806号を参照。
【0255】
非限定的な例示的な方法としては、ファージディスプレイライブラリーを用いてヒト抗体を作製することも挙げられる。例えば、Hoogenboom et al.,J.Mol.Biol.227:381-8(1992);Marks et al.,J.Mol.Biol.222:581-97(1991);及びPCT公開第WO99/10494号を参照。
【0256】
抗体定常領域
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のヒト化抗体、キメラ抗体、またはヒト抗体は、1つ以上のヒト定常領域を含む。いくつかの実施形態において、ヒト重鎖定常領域は、IgA、IgG、及びIgDから選択されるアイソタイプである。いくつかの実施形態において、ヒト軽鎖定常領域は、K及びλから選択されるアイソタイプである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗体は、ヒトIgG定常領域、例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4を含む。いくつかの実施形態において、抗体またはFc融合パートナーは、例えばIgG1定常領域内に、C237S変異を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗体は、ヒトIgG2重鎖定常領域を含む。いくつかのこのような実施形態において、IgG2定常領域は、米国特許第6,900,292号に記載のようなP331S変異を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗体は、ヒトIgG4重鎖定常領域を含む。いくつかのこのような実施形態において、本明細書に記載の抗体は、ヒトIgG4定常領域内にS241P変異を含む。例えば、Angal et al.Mol.Immunol.30(1):105-108(1993)を参照。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗体は、ヒトIgG4定常領域及びヒトκ軽鎖を含む。
【0257】
重鎖定常領域の選択により、抗体がin vivoでエフェクター機能を有するか否かが決定され得る。このようなエフェクター機能は、いくつかの実施形態において、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)及び/または補体依存性細胞傷害(CDC)を含み、抗体が結合する細胞の殺滅をもたらし得る。典型的には、ヒトIgG1またはIgG3重鎖を含む抗体は、エフェクター機能を有する。
【0258】
いくつかの実施形態において、エフェクター機能は望ましくない。例えば、いくつかの実施形態において、炎症性疾患及び/または自己免疫性疾患の治療において、エフェクター機能は望ましくないことがある。いくつかのこのような実施形態において、ヒトIgG4またはIgG2重鎖定常領域が選択または操作される。いくつかの実施形態において、IgG4定常領域は、S241P変異を含む。
【0259】
本明細書に記載の抗体はいずれも、任意の好適な方法により精製することができる。このような方法としては、限定されるものではないが、アフィニティーマトリックスまたは疎水性相互作用クロマトグラフィーの使用が挙げられる。好適な親和性リガンドとしては、抗体が結合する抗原及び/またはエピトープ、ならびに抗体定常領域に結合するリガンドが挙げられる。例えば、プロテインA、プロテインG、プロテインA/G、または抗体アフィニティーカラムを使用して定常領域に結合させ、抗体を精製することができる。
【0260】
いくつかの実施形態において、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)、例えばブチルまたはフェニルカラムも、いくつかのポリペプチドを精製するために使用される。ポリペプチドを精製する多くの方法が当技術分野で知られている。
【0261】
代替的に、いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗体は、無細胞系で生成される。非限定的な例示的な無細胞系は、例えば、Sitaraman et al.,Methods Mol.Biol.498:229-44(2009);Spirin,Trends Biotechnol.22:538-45(2004);Endo et al,Biotechnol.Adv.21:695-713(2003)に記載されている。
【0262】
9.本発明の抗体をコードする核酸分子
本発明は、本明細書に記載の抗体の1つ以上の鎖をコードするポリヌクレオチドを含む核酸分子も提供する。いくつかの実施形態において、核酸分子は、本明細書に記載の抗体の重鎖または軽鎖をコードするポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、核酸分子は、本明細書に記載の抗体の重鎖をコードするポリヌクレオチド及び軽鎖をコードするポリヌクレオチドの両方を含む。いくつかの実施形態において、第1の核酸分子は、重鎖をコードする第1のポリヌクレオチドを含み、第2の核酸分子は、軽鎖をコードする第2のポリヌクレオチドを含む。
【0263】
いくつかのこのような実施形態において、重鎖及び軽鎖は、1つの核酸分子から、または2つの別々の核酸分子から、2つの別々のポリペプチドとして発現する。いくつかの実施形態において、例えば、抗体がscFvである場合、単一のポリヌクレオチドが、一緒に結合した重鎖及び軽鎖の両方を含む単一のポリペプチドをコードする。
【0264】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗体の重鎖または軽鎖をコードするポリヌクレオチドは、翻訳されたときに重鎖または軽鎖のN末端に位置するリーダー配列をコードするヌクレオチド配列を含む。上記で説明したように、リーダー配列は、ネイティブの重鎖または軽鎖リーダー配列であっても、別の異種リーダー配列であってもよい。
【0265】
核酸分子は、当技術分野で慣例的な組換えDNA技法を用いて構築することができる。いくつかの実施形態において、核酸分子は、選択された宿主細胞(例えば、哺乳類細胞)での発現に適した発現ベクターである。
【0266】
10.ベクター
本明細書に記載の抗体の重鎖及び/または軽鎖をコードするポリヌクレオチドを含むベクターが提供される。このようなベクターとしては、限定されるものではないが、DNAベクター、ファージベクター、ウイルスベクター、レトロウイルスベクターなどが挙げられる。いくつかの実施形態において、ベクターは、重鎖をコードする第1のポリヌクレオチド配列と、軽鎖をコードする第2のポリヌクレオチド配列とを含む。いくつかの実施形態において、重鎖及び軽鎖は、2つの別々のポリペプチドとしてベクターから発現する。いくつかの実施形態において、重鎖及び軽鎖は、例えば、抗体がscFvであるとき、単一のポリペプチドの一部として発現syry。
【0267】
いくつかの実施形態において、第1のベクターは、重鎖をコードするポリヌクレオチドを含み、第2のベクターは、軽鎖をコードするポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、第1のベクター及び第2のベクターは、同様の量(例えば、同様のモル量または同様の質量)で宿主細胞内に形質移入される。いくつかの実施形態において、5:1~1:5の第1のベクター及び第2のベクターのモル比または質量比で、宿主細胞内に形質移入される。いくつかの実施形態において、重鎖をコードするベクター及び軽鎖をコードするベクターに対し、1:1~1:5の質量比が使用される。いくつかの実施形態において、重鎖をコードするベクター及び軽鎖をコードするベクターに対し、1:2の質量比が使用される。
【0268】
いくつかの実施形態において、CHOもしくはCHO由来細胞、またはNSO細胞でのポリペプチドの発現に最適化されているベクターが選択される。例示的なこのようなベクターは、例えば、Running Deer et al.,Biotechnol.Prog.20:880-889(2004)に記載されている。いくつかの実施形態において、ベクターは、動物(ヒトを含む)における主題抗体のin vivo発現のために選択される。いくつかのこのような実施形態において、ポリペプチド(単数または複数)の発現は、組織特異的な方式で機能するプロモーター(単数または複数)の制御下にある。例えば、肝臓特異的プロモーターについては、例えば、PCT公開第WO 2006/076288号に記載されている。
【0269】
11.宿主細胞
様々な実施形態において、本明細書に記載の抗体の重鎖及び/または軽鎖は、原核細胞(例えば、細菌細胞)、または真核細胞(例えば、真菌細胞(例えば、酵母)、植物細胞、昆虫細胞、及び哺乳類細胞)内で発現することができる。このような発現は、例えば、当技術分野で知られている手順に従って行うことができる。
【0270】
ポリペプチドを発現するために使用することができる例示的な真核細胞としては、限定されるものではないが、COS細胞(COS 7細胞を含む)、293細胞(293-6E細胞を含む)、CHO細胞(CHO-S細胞及びDG44細胞を含む)、PER.C6(登録商標)細胞(Crucell)、ならびにNSO細胞が挙げられる。
【0271】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗体の重鎖及び/または軽鎖は、酵母内で発現することができる。例えば、米国公開第US2006/0270045A1を参照。いくつかの実施形態において、特定の真核宿主細胞は、TNFR2抗体の重鎖及び/または軽鎖に対し所望の翻訳後修飾を行う能力に基づいて選択される。例えば、いくつかの実施形態において、CHO細胞は、293細胞で生成される同じポリペプチドよりも高いレベルのシアリル化を有するポリペプチドを生成する。
【0272】
1つ以上の核酸の所望の宿主細胞内への導入は、限定されるものではないが、リン酸カルシウム形質移入、DEAE-デキストラン媒介形質移入、カチオン性脂質媒介形質移入、エレクトロポレーション、遺伝子導入、感染などを含む任意の方法によって達成することができる。非限定的な例示的な方法は、例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,3rd ed.Cold Spring Harbor Laboratory Press(2001)に記載されている。核酸は、任意の好適な方法に従って、所望の宿主細胞に一過性または安定的に形質移入することができる。
【0273】
いくつかの実施形態において、1つ以上のポリペプチドは、任意の好適な方法に従って、そのポリペプチドをコードする1つ以上の核酸分子で操作または形質移入された動物において、in vivoで生成することができる。
【実施例】
【0274】
実施例1:ヒト及びサルTNFR2に特異的なモノクローナル抗体
サルのオルソログTNFR2に対する交差反応性を有するヒトTNFR2に特異的なモノクローナル抗体を産生するため、標準的な手順を用いてヒトTNFR2の組換え細胞外ドメイン(ECD)(rhTNFR2)でマウスを免疫して、一連の多様なヒト-マウスキメラモノクローナル抗体を作成した。
【0275】
少なくとも25種のこのようなモノクローナル抗体を作成し、選択した抗体のVH及びVL配列をアラインメントし、
図1に示すようなコンセンサス配列を得た。H-CDR3及びL-CDR3領域は枠で囲まれた配列により示されている。
【0276】
次に、これらのモノクローナル抗体を、CHO細胞(それぞれCHO.hHFB3細胞及びCHO.mkHFB3細胞)によって発現させたヒト及びサルTNFR2に結合する能力について試験した。簡潔に説明すると、約40,000個のCHO.hHFB3細胞またはCHO.mkHFB3細胞を組織培養ウェルに播種し、約66nMの開始(最高)抗体濃度を用いた各試験抗体の1:3段階希釈液を各細胞タイプに加え、約1時間インキュベートした。AF647(Alexsa Fluor(登録商標)647蛍光色素)により標識した17nMの抗ヒトFc抗体を使用することにより、細胞に結合した抗体を検出した。アイソタイプマッチ陰性対照抗体もこのアッセイで使用した。各抗体におけるデータ(EC
50値及びE
maxを含む)を
図2Aにまとめた。
【0277】
試験抗体のうちの11種は、CHO細胞で発現したhTNFR2に対しnM以下または一桁nMレベルの親和性(EC
50)を示した。これらの抗体は、CHO細胞で発現したアカゲザルのオルソログTNFR2に対しても交差反応性を示し、結合親和性についてはhTNFR2結合と比較して実質的に同じ傾向を示した。
図2Aを参照。
【0278】
興味深いことに、一部の抗体(例えば、HFB3-1及び-14)はTNFαとTNFR2との結合を促進し、他の抗体(例えば、HFB3-18)はTNFαとTNFR2との結合を阻害し、また他の抗体(例えば、HFB3-6)はTNFαとTNFR2との結合に影響を及ぼさないように思われた。
図2Bを参照。具体的には、25ng/mLのTNFαとCHO.hHFB3細胞との結合を、CHO細胞をそれぞれの抗体と約1時間プレインキュベートした後に測定した。次に、TNFαに結合した細胞(HFB2003Lと表示)のパーセンテージを抗体の濃度の増加に対しプロットした。
【0279】
また、マウスTNFR2を発現するCHO細胞及び親CHO細胞株(ハムスターTNFR2を発現する場合も発現しない場合もある)に対する試験抗体の結合能力を試験するために、同じ実験をセットアップした。2種のモノクローナル抗体(HFB3-18及びHFB3-19)は、わずかなレベルのマウスオルソログとの結合を示したが、他の抗体はいずれも、検出可能なレベルのマウスTNFR2との結合を有しなかった。陽性対照として、マウスTNFR2に特異的なHM102モノクローナル抗体を使用したところ、マウスTNFR2を発現するCHO細胞に陽性結合を示したが、アイソタイプマッチ対照抗体は結合しなかった(
図3)。
【0280】
親CHO細胞株では結合が観察されなかった(
図3)。
【0281】
組換えヒトTNFR2及びTNFR1タンパク質を用いて、ヒトTNFR2(vs関連するTNFR1受容体)に対する結合特異性も確認した。
【0282】
簡潔に説明すると、組織培養プレートを0.1μg/mLのHisタグ化組換えヒトTNFR2またはTNFR1で4℃で一晩コーティングした。次にコーティングプレートを、約66nMの開始(最高)抗体濃度を用いた各試験抗体の1:3段階希釈液とともに氷上で約1時間インキュベートした。HRP標識抗ヒトFc抗体及びTMB基質の1:5000希釈液を使用することにより、細胞に結合した抗体を検出した。アイソタイプマッチ陰性対照抗体F3、rhTNFR2に特異的なMR2-1陽性対照抗体、及びrhTNFR1に特異的な陽性対照抗体もこのアッセイで使用した。各抗体におけるデータ(EC
50値を含む)を
図4Aにまとめた。
【0283】
試験した11種の抗体のうちの6種、すなわちHFB3-1、-14、-21、-23、-24、及び-25はHisタグ化単量体rhTNFR2に対しnM以下の親和性(EC50)を示したが、追加の4種の抗体(HFB-3、-6、-19、及び-22)は同じ抗原に対し一桁nMの親和性を示した。HFB3-18は単量体rhTNFR2に対し比較的弱い結合を示し、二桁nMの親和性であった。しかし、11種の抗体のいずれも、Hisタグ化TNFR1受容体に対し検出可能なレベルの結合は示さず、これによりTNFR2に対する結合特異性が示された。
【0284】
抗ヒトIgG Fc Capture(AHC)バイオセンサーを用いて、ヒト-マウスキメラ抗体HFB3-1、14、及び18の組換えヒトTNFR2タンパク質に対する結合親和性を確認した。AHCバイオセンサーは、ヒトFc含有タンパク質(例えば、主題の抗体)と標的分析物(例えば、組換えヒトTNFR2)との間の高分子相互作用の動態学的特性評価を可能にする。ヒトFc含有タンパク質の固定化は、工場で固定化した抗ヒトFc特異的抗体によって達成され、そのヒトFcドメインに対する高い親和性は、要求の厳しい動態応用先に求められる安定したベースラインを提供する。この特定の実験において、試験抗体(ヒト化)をアッセイバッファー(PBS、pH7.4、0.1% BSA、0.1% Tween20)に20μg/mLの濃度で装填した。分析物は、500、167、または55.7nMのHisタグ化組換えヒトTNFR2であった。捕捉アッセイを25℃で行った。試験した抗体のK
dはnMの範囲内であった(
図4Bを参照)。
【0285】
HFB3-1-hG1、HFB3-14-hG1、HFB3-6-hG1、及びHFB3-18-hG1抗体のエピトープマッピング実験から、これらの抗体がTNFR2の異なるドメインを認識することが示された。TNFRスーパーファミリーのほとんどのメンバーが共有する1つの構造的特徴は、約2~4個のシステインリッチドメイン(CRD)を含むことである。HFB3-1-hG1はCRD2ドメイン内の領域に結合し(
図11C)、HFB3-18-hG1はCDR1内の立体構造エピトープに結合する。HFB3-6-hG1はCRD3内の領域に結合し、HFB3-14-hG1もCRD3領域内のエピトープ(ただし、HFB3-6-hG1のエピトープよりも小さい)に結合する(
図11Bを参照)。TNFR2-TNFα複合体の3Dモデルにおけるエピトープの位置は、
図11Dで可視化することができる。
【0286】
実施例2:T細胞サブタイプにおけるTNFR2の発現
この実験は、TNFR2が様々ながんタイプにおいて、TregならびにCD4+及びCD8+T細胞に優勢に発現していることを実証する。
【0287】
T細胞サブタイプ(TregならびにCD4
+及びCD8
+T細胞を含む)を様々な腫瘍試料から単離し、RNA配列解析を用いて、腫瘍試料中のT細胞サブタイプの相対的パーセンテージ及びT細胞サブタイプにおけるTNRF2の平均相対発現レベル(2~8の尺度)を定量した。結果を
図5にまとめた。
【0288】
分析した各腫瘍試料(BCC(基底細胞癌)、SCC(扁平上皮癌)、黒色腫、及びNSCLC(非小細胞肺癌)を含む)において、TNFR2は、TregならびにCD4
+及びCD8
+T細胞で優勢かつ最も高頻度で見出された。さらに、最も高い相対発現レベルもTregに見出された。
図5の左パネルを参照。このデータからは、TNFR2ががん治療における魅力的な標的であることが示唆される。
【0289】
SCCがん試料における追加のTNFR2発現解析もいくつかの免疫チェックポイント遺伝子(例えば、PD-1、TIM3、CTLA4、及び4-1BB)の発現と併せて行った。疲弊CD8+T細胞において、TNFR2の発現はこれらの免疫チェックポイント遺伝子の発現と整合することが分かった(
図5、右パネル)。このことから、抗TNFR2抗体及びこれらの免疫チェックポイント遺伝子の阻害剤を用いた併用療法が治療上有益であることが示唆される。
【0290】
実施例3:抗TNFR2モノクローナル抗体と初代Treg、CD8、及びCD4 Tconv細胞との結合
T細胞サブタイプにおけるTNFR2の発現パターン(実施例2を参照)を考慮して、この実験は、主題の抗TNFR2モノクローナル抗体が、初代T細胞サブタイプに結合し、活性化T細胞に優先的に結合し得ることを実証する。
【0291】
簡潔に説明すると、平底96ウェルプレートを10nMの抗CD3抗体で4℃で一晩コーティングした。一方、Treg、T細胞サブタイプ(CD8またはCD4通常T細胞(Tconv)を含む)をヒトPBMCから単離した。6.6nMの抗CD28抗体の存在下で、単離したT細胞サブタイプを約50,000細胞/ウェルの密度で播種して、初代T細胞を約3日間共刺激した。次に、刺激した初代T細胞を、氷上で1時間、様々な濃度(最高濃度は66nM)の本発明の抗TNFR2ヒト・マウスキメラモノクローナル抗体の1:3段階希釈液で処置した。AF647色素により標識した17nMの抗hFc抗体を加えて氷上で1時間インキュベートすることにより結合したキメラ抗体を検出し、次にFACS解析を行ってAF647シグナルを検出した。
【0292】
図6の上パネルは、CD4 Tconvが最も豊富なT細胞サブタイプであり、hPBMC全体の約30%を占め、次に10%のCD8 T細胞、約1%のTregが続くことを示している。ただし、非TCR活性化初代T細胞は、初代Tregで比較的低レベルの結合が生じたことを除き、検出可能なレベルでは主題の抗TNFR2抗体に結合しなかった。全体的に見ると、受容体占有EmaxはTregで最も高く、次にCD8、CD4 Tconvが続いた。Tregの存在量がCD8及びCD4 Tconvと比較して相対的に低いことを考慮すると、TregにおけるTNFR2の発現は、細胞ごとに基づくとCD8及びCD4 T細胞よりもはるかに高い。
【0293】
しかし、TCR活性化T細胞においては、いくつかの抗TNFR2抗体について、Tregでは5~6倍の劇的な結合増加が観察され、CD8及びCD4 Tconvでは実質的により高い結合も観察された(
図6、下パネル)。
【0294】
試験した抗体のうち、HFB3-1、-6、-24、-25及びSBT1(陽性対照)はnM以下のレベルの高い親和性を示したが、HFB3-14及び-19は一桁nMの親和性を示した。HFB3-18、-21、及び-22は二桁nMの親和性を有した。
【0295】
実施例4:ある特定の抗TNFR2モノクローナル抗体と初代CD8及びCD4 Tconv細胞との結合がNFκBシグナル伝達を共刺激した
この実験は、本発明の抗TNFR2モノクローナル抗体が、NFκBシグナル伝達経路遺伝子のQPCR定量化による立証において、TNFα媒介性NFκBシグナル伝達を共刺激することを実証する。
【0296】
簡潔に説明すると、標準的な技法及び市販のキットを用いて、CD4 Tconv(CD4
+CD25
-)またはCD8
+T細胞をhPBMCから単離した。単離したT細胞を、10μg/mL(66nM)の本発明の様々な試験モノクローナル抗体または適切な陽性対照もしくは陰性対照及び25ng/mL(1.5nM)のTNFαとともに約24時間インキュベートした。次に、刺激したT細胞を採取し、そのmRNAを単離し、逆転写し、NFκBシグナル伝達経路遺伝子(例えば、CD25、Foxp3、NFκB2、RelB、及びLTA)のQPCR解析に供した。主題の抗体による共刺激の存在下及び不在下におけるこれらの遺伝子の発現レベルを、
図7の棒グラフで比較した。結果を非刺激対照(1×)と比較した倍数変化として提示した。
【0297】
その結果、ある特定の主題の抗体(HFB3-1、-14、-23、-24、及び-25を含む)がNFκBシグナル伝達を誘導することが示された。注目すべきことに、HFB3-1及び-14(ただしHFB3-18は該当しない)は、特にNFκB2、RelB、及びLTAにおいて、時々NFκBシグナル伝達を誘導した。
【0298】
実施例5:抗TNFR2モノクローナル抗体の共刺激効果は、単離された初代CD8及びCD4 Tconv細胞の増殖と関連する
この実験において、平底96ウェルプレートを、10nMの抗CD3モノクローナル抗体及び20または100nMの主題の抗TNFR2抗体で4℃で一晩コーティングした。一方、CD8及びCD4 Tconv細胞を前述のようにhPBMCから単離し、2μMのCTV(InvitrogenのCellTrace(商標)Violet Cell Proliferation Kit)で標識してT細胞増殖を追跡した。CellTrace(商標)Violet色素は、容易に細胞内に拡散し、細胞内エステラーゼにより切断されて蛍光性が高い化合物を産生し、次に細胞内アミンと共有結合して、アルデヒド固定液で固定することができる安定して十分に保持された蛍光染色をもたらす。過剰な未結合試薬は受動的に細胞外培地に拡散し、そこで完全培地でクエンチし洗い流すことができる。
【0299】
次に、6.6nMの抗CD28抗体の存在下で、コーティングした96ウェルプレートに標識T細胞を約50,000細胞/ウェルの密度で播種し、約3日間共刺激した。次に、細胞を蛍光シグナルのFACS解析のために固定した。
【0300】
図8のデータは、ある特定の主題の抗TNFR2抗体は、より低い20nM濃度であってもCD8及びCD4 Tconv増殖を共刺激することを示している。ベンチマークの陽性対照抗体SBT-1及び-4も同じ条件下でT細胞増殖を共刺激したが、HFB3-1、-14、-18、及び-25よりも低い程度での共刺激であった。
【0301】
追加の実験により、このような初代T細胞増殖の共刺激は、ある特定のモノクローナル抗体(例えば、HFB3-18)についてはFcγR架橋に依存し得ることが示され、一方、他の抗体(例えば、HFB3-1及び-14)については認識できる架橋依存性が認められなかった。
【0302】
具体的には、CD8及びCD4 TconvをドナーKP59095から単離し、単離した初代T細胞を、25ng/mLの組換えヒトTNFα(rhTNFα)の存在下または非存在下で、CD3/CD28 TCR活性化と、主題の抗TNFR2モノクローナル抗体HFB3-1、-14、または-18とによって刺激した。抗TNFR2抗体はプレートに結合させるか、または結合混合物中に存在する可溶性抗体として供給した。
【0303】
25ng/mLのrhTNFαの存在下で、3種全てのプレート結合抗TNFR2抗体(HFB3-1、-14、及び-18)がCD8 T細胞の増殖を刺激した(
図19、左下隅のパネルを参照)。しかし、CD8 T細胞の増殖を刺激できたのは可溶性HFB3-1及びHFB3-14(ただし、可溶性HFB3-18は該当しない)のみであった(
図19、右下隅パネル)。このことから、FcγR架橋は、HFB3-18媒介性CD8 T細胞増殖には必要とされ得るものの、HFB3-1及びHFB3-14媒介性CD8 T細胞増殖には必要とされない(すなわち、架橋に依存しない)可能性があることが示唆される。
【0304】
同様の結果が、CD4 Tconvの増殖についても同様の条件下で得られた(データは示していない)。
【0305】
実施例6:抗TNFR2モノクローナル抗体はTregの存在下でTeff細胞末端(CD8及びCD4 Tconv)での細胞増殖に有利である
この実験は、主題の抗TNFR2モノクローナル抗体が、Tregの存在下で、CD3/CD28媒介性TCR活性化とともにTeff細胞(CD8及びCD4 Tconv)の増殖を共刺激することができることを示している。
【0306】
簡潔に説明すると、CD3+ T細胞(CD8及びCD4 TconvエフェクターT細胞、ならびにTregを含む)をヒトPBMCから単離し、実質的に上記のようにして、CD3/CD28媒介性TCR活性化及び主題の抗TNFR2モノクローナル抗体により約4日間共刺激した。InvitrogenのCellTrace(商標)Violet Cell Proliferation Kit(CTV)を用いて、Treg存在下での総CD4+T細胞及びCD8+T細胞の増殖を定量した。また、それぞれのT細胞集団におけるCD25+T細胞のパーセンテージを測定することにより、CD4+T細胞、CD8+T細胞の活性化も定量した。
【0307】
図9の結果から、本発明の抗TNFR2モノクローナル抗体(例えば、HFB3-1のヒト化バージョンのHFB3-1hz6-hG1AA(下記参照))が、Tregの存在下でエフェクターT細胞(CD8及びCD4 Tconv)の細胞増殖に有利であることが示された。
【0308】
実施例7:抗TNFR2モノクローナル抗体はHHリンパ腫細胞に対しごくわずかなADCC効果を有した
この実験は、主題の抗TNFR2モノクローナル抗体がT細胞リンパ腫に対しごくわずかなADCC効果を示すことを実証するものであり、このような抗体がT細胞共刺激剤としての使用に適していることが示唆される。
【0309】
抗体依存性細胞傷害(ADCC)とは、免疫系のエフェクター細胞が、特異的抗体が膜表面抗原に結合している標的細胞を能動的に溶解する細胞媒介性免疫防御の機構のことである。これは、抗体が液性免疫応答の一部として、感染を制限し封じ込めるために作用し得る機構の1つである。ADCCにはエフェクター細胞が必要とされ、これは古典的には、IgG抗体と典型的に相互作用するナチュラルキラー(NK)細胞であることが知られている。
【0310】
この実験において、Jurkat.CD16V/NFAT/luc細胞をエフェクター細胞として使用し、HHリンパ腫細胞を標的細胞とした。エフェクター:標的細胞の比を約6:1とした。主題の抗TNFR2モノクローナル抗体(例えば、HFB3-1、-14、もしくは-18)、またはアイソタイプマッチ対照(hIgG1)の存在下、0、0.0066、0.66、または66nMの濃度で、共培養したエフェクター及び標的細胞を一晩インキュベートした。モガヌリズマブ抗体をADCCにおける陽性対照として使用した。
【0311】
図10の結果から、陽性対照抗体モガヌリズマブは標的細胞に対し、試験したいずれの抗TNFR2モノクローナル抗体よりも少なくとも120倍強力なADCC効果が示された。このデータにより、主題の抗TNFR2抗体は、T細胞に対するADCC効果が低い/存在しないため、T細胞共刺激剤としての使用に適していることが実証された。
【0312】
実施例8:ヒト化抗TNFR2モノクローナル抗体とTNFR2との結合
HFB3-1、-14、及び-18に対する複数のヒト化モノクローナル抗体を作成し、HFB3-1については少なくとも20種、HFB3-14については16種、HFB3-18については1種(選択したヒト生殖細胞系列が親HFB3-18モノクローナル抗体コード配列と高度に類似していることに起因)を作成した。これらのヒト化モノクローナル抗体とCHO細胞で発現するヒトTNFR2との結合能力を、実質的に実施例1に記載のように定量した。
【0313】
図12Aは、ヒト化HFB3-1hz6、HFB3-14hz1c、及びHFB3-18hz1が、ヒトTNFR2発現CHO細胞(CHO.hTNFR)には結合したが、親CHO細胞には結合しなかったことを示している。
図12Bは、少なくとも7種のヒト化HFB3-1抗体、すなわちHFB3-1hz6、-1hz8、-1hz9、-1hz10、-1hz11、-1hz12、-及び1hz14、ならびに少なくとも8種のヒト化HFB3-14抗体、すなわちHFB3-14hz1c、-14hz2c、-14hz3c、-14hz4c、-14hz6c、-14hz7c、-14hz12c、及び-14hz14cが、それぞれの親キメラ抗体によるCHO細胞発現TNFR2(CHO.hHFB3)に対する結合親和性とほぼ同じかそれ以上のレベルを保持したことを示している。
【0314】
TNFR2のアカゲザルオルソログを発現するCHO細胞(CHO.mkHFB3)を代わりに用いて、同様の実験を繰り返した。
図13は、サルTNFR2を発現するCHO細胞に対する結合の一般的傾向が、CHO.hTNFR2に対するものと一致したことを示している。ただし、HFB3-14に基づくヒト化のバリアントのうちの2種、すなわちHFB3-14hz2c及び-14hz3cについては、多少不安定な結合が観察された。
【0315】
ヒト化抗TNFR2抗体の結合はTNFR2に特異的であり、TNFR1には結合しない。
図14AにおけるELISAアッセイにより、ヒト化モノクローナル抗体HFB3-1hz6、HFB3-14hz1c、及びHFB3-18hz1が、組換えヒトTNFR1(hTNFR1-His)を認識せずに組換えヒト及びカニクイザルTNFR2(それぞれhTNFR2-His及びcynoTNFR2-His)に結合することが示された。さらに、これらのヒト化抗TNFR2抗体と組換えヒト及びカニクイザルTNFR2との結合EC50は、nM以下~一桁nMの範囲であった。
【0316】
組換えヒトTNFR2タンパク質及びAHCバイオセンサーを用いて、ヒト化バリアントのヒトTNFR2に対する結合親和性を確認した。抗ヒトIgG Fc捕捉(AHC)バイオセンサーは、ヒトFc含有タンパク質(例えば、主題の抗体)と標的分析物(例えば、組換えヒトTNFR2)との間の高分子相互作用の動態学的特性評価を可能にする。ヒトFc含有タンパク質の固定化は、工場で固定化した抗ヒトFc特異的抗体によって達成され、そのヒトFcドメインに対する高い親和性は、要求の厳しい動態応用先に求められる安定したベースラインを提供する。この特定の実験において、試験抗体(ヒト化抗体vs親キメラ抗体)をアッセイバッファー(PBS、pH7.4、0.1% BSA、0,1% Tween20)中に20μg/mLの濃度で装填した。分析物は、500、167、または55.7nMのHisタグ化組換えヒトTNFR2であった。捕捉アッセイを25℃で行った。
【0317】
図14Bに示すように、組換えヒトTNFR2に対する親和性の観点では、ヒト化バリアントとそれぞれのキメラ親抗体との間に大きな違いは認められなかった。
【0318】
実施例3は、キメラ抗TNFR2抗体がTCR活性化T細胞に結合することを示している。実質的に同じ実験をヒト化バリアントに対し行い、結果を
図15に示した。
【0319】
具体的には、TCR活性化CD8細胞との結合という観点では、ほとんどのヒト化HFB3-1抗体がnM以下のレベルの親和性を示したが、2種のバリアント(HFB3-1hz5及び-1hz7)は例外であり、TCR活性化CD8細胞に結合しなかったと思われる。一方、全てのヒト化HFB3-14バリアントは、TCR活性化CD8 T細胞に対し一桁nMの親和性を示した。種々のバリアントを区別する大きな相違は認められない。注目すべきことに、陽性対照抗体SBT-2及び-3は、初代CD8細胞との結合が良好ではなかった。
【0320】
実施例9:ヒト化抗TNFR2モノクローナル抗体がTCR活性化CD4及びCD8 T細胞の増殖に及ぼす共刺激効果
実施例5からは、キメラ抗TNFR2モノクローナル抗体の共刺激作用により、単離されたヒト初代CD8及びCD4 Tconv細胞が増殖することが示された。この実験は、HFB3-1及びHFB3-14のヒト化バリアントを用いて、TCR活性化CD4 T細胞において同じことを実証するものである。
【0321】
具体的には、
図16は、ヒト化バリアントHFB3-1hz5、-1hz6、-1hz8、-1hz10、-1hz11、及び-1hz12が、CTV増殖アッセイ(上記参照)に基づいて、各々が親HFB3-1キメラ抗体よりも大きな程度でTCR活性化CD4 T細胞を強力に刺激したことを示している。同じことをHFB3-14hz1c及び-14hz3cのバリアントに対し繰り返した。
【0322】
同様に、CD25+T細胞集団のパーセンテージに基づくT細胞活性化も、上記のバリアントについて確認した。
【0323】
HFB3-1hz6-hG1、-14hz1c-hG1、及び-18hz1-hG1における確証的な共刺激データも得られ、これらのバリアントが、TCR活性化CD8 T細胞(CD3/CD28刺激により活性化)を増殖させる共刺激作用を有することを示した。具体的には、親キメラ抗体及び選択したヒト化バリアントのいずれも、CD3/CD28 TCR活性化により刺激されたCD8 T細胞の増殖を増強した。さらに、TNFαの協同作用(右のパネル)により、抗TNFR2抗体媒介性CD8増殖がさらに増強された。
図20を参照。
【0324】
実施例10:ある特定のヒト化抗TNFR2モノクローナル抗体がTregにおいてNFκBシグナル伝達を誘導した
実施例4からは、ある特定のキメラ抗TNFR2モノクローナル抗体と初代CD8及びCD4 Tconv細胞との結合が、NFκBシグナル伝達を共刺激することが示された。同様の実験は、ある特定のヒト化バリアント抗TNFR2抗体がTregにおいてNFκBシグナル伝達を誘導したことを示している。
【0325】
具体的には、
図17Aは、ある特定のヒト化バリアント抗TNFR2抗体及びTNFαを用いたTregの共刺激により、LTA、TNF、及びTNF AIP3においてNFκB下流シグナル伝達がもたらされたことを示している。バリアントHFB3-1hz6、-1hz9、-1hz10、及び-1hz11は、親キメラ抗体HFB3-1よりも大きな程度でNFκBシグナル伝達を促進した。一方、バリアントHFB3-14hz1c、-14hz2c、-14hz3c、及び-14hz4c(特にHFB3-14hz1c及び-14hz3c)も、親キメラ抗体HFB3-14よりも大きな程度でNFκBシグナル伝達を促進した。さらに、
図17Bは、ヒト組換えTNFαのありまたはなしで、HFB3-1抗体におけるある特定のヒト化バリアントを用いて、CD8 T細胞におけるNFκBシグナルの活性化を示している。
【0326】
実施例11:抗TNFR2抗体は安定している
主題のヒト化抗ヒトTNFR2抗体が保存下で安定し、よって治療薬剤としてのさらなる開発に適していることを確認するため、選択したヒト化抗体について様々な開発可能性アッセイを行った。
【0327】
第1の実験において、選択した主題のヒト化抗体をPBS(pH7.4)中25℃または40℃で保存し、7日目及び14日目に様々な抗体の安定性を測定した。
図18の結果は、1種のバリアントHFB3-14hz4c-hG1AAを除き、全ての試験抗体が試験条件下で安定していることを示した。
【0328】
第2の実験において、同じ抗体を低pH条件下(100mM AcH、pH3.5、25℃)で0、3、及び6時間、安定性について試験した。
図18の結果はまたしても、1種のバリアントHFB3-14hz4c-hG1AAを除き、全ての試験抗体が試験条件下で安定していることを示した。
【0329】
第3の実験において、同じ抗体を1、2、または3回の凍結融解サイクルに供した。
図18の結果はまたしても、2種のバリアント(HFB3-1hz6-hG1AA及びHFB3-1hz10-hG1AA)を除き、全ての試験抗体が、試験条件下で安定していることを示した。
【0330】
同様の実験をHFB3-1hz6-hG1、-14hz1c-hG1、及び-18hz1-hG1に対しても繰り返した。HFB3-1hz6-hG1及び-18hz1-hG1が14日後に分解し始めたこと以外においては、3種全てのバリアントが、上記で概説した3つの試験において概ね安定していた。
【0331】
総合すると、このデータからは、これらの主題のバリアントヒト化抗TNFR2モノクローナル抗体が大きな開発可能性の問題を有さず、治療用抗体として使用するのに適していることが示唆される。
【0332】
実施例12:ヒト化TNFR2ノックイン(KI)マウスにおける抗TNFR2抗体、及びそれがT細胞に及ぼす効果
主題の抗TNFR2抗体の治療有効性をより十分に示すため、商業サービス(Biocytogen,Wakefield,MA)を利用して、ヒト化TNFR2ノックイン(KI)マウスをC57BL/6マウスバックグラウンドで作成した。
【0333】
最初の一連の実験では、選択したヒト化抗TNFR2抗体とKIマウス由来のCD3 T細胞(TNFR2 KI CD3 T細胞)との間のex vivo結合を、1μg/mLのCD28と0.2または1μg/mLのCD3による共刺激下で解析した。その結果、1μg/mLのCD3は0.2μg/mLのCD3よりも良好にKIマウス由来の脾臓細胞を活性化することが示された。ヒトTNFR2の発現はKI CD3+T細胞で検出することができ、その発現/検出はTNFαにより、及び軽度(0.2μg/mL)のCD3刺激下で増強することができる。さらに、6種の抗TNFR2抗体(すなわち、HFB3-1、-14、及び-18、ならびにそれらのヒト化バリアント-1hz6、-14hz1c、及び-18hz1)の各々における200nMの単回用量は、TNFR2結合において認識できる差を示さなかった。これは、結合の飽和レベルによる可能性がある。データは示していない。
【0334】
同じex vivo結合実験を、tnfr2 KIマウスから単離したCD8 T細胞に対しても繰り返した。ここでは、強力なCD3(1μg/mL)刺激下で抗TNFR2モノクローナル抗体(キメラ及びヒト化バージョン)とTNFR2との結合が観察することができる。一方、TNFαは軽度のCD3(0.2μg/mL)刺激下でTNFR2結合を増強した。データは示していない。
【0335】
次に、主題の抗TNFR2抗体(キメラ抗体及びヒト化抗体)が、CD3/CD28を介したTCR活性化の存在下で、かつTNFαの存在下で、ex vivoでTNFR2 KI CD8及びCD4 Tconc細胞の下流NFκBシグナルを共刺激する能力について調べた。
【0336】
hTNFR2ノックイン(KI)マウスT細胞からのシグナル応答は、ヒトT細胞からのシグナル応答ほど顕著ではなかったが、HFB3-1-hG1及びそのヒト化バリアントHFB3-1hz6-hG1は、他の抗体よりも大きな応答を誘導した(
図21を参照)。注目すべきことには、HFB3-18系列からのシグナル誘導の欠如が予想される。
【0337】
C57BL/6マウスにおいて、主題のヒト化抗TNFR2モノクローナル抗体(HFB3-1hz6-hG1、HFB3-141c-hG1、及びHFB3-18hz1-hG1)の薬物動態(PK)プロファイルについて調べた。3種全てのヒト化モノクローナル抗体が、正常に挙動する抗体の期待値に整合するT
1/2を示した。下記を参照。
【表1】
【0338】
実施例13:ヒト化HFB3-1hz6-hG1がex vivoのナチュラルキラー(NK)細胞の活性化に及ぼす効果
この実験は、ヒト化HFB3-1hz6-hG1抗体が、IL-2/IL-15による、またはCD3/CD28を介したNK細胞活性化の存在下で、ナチュラルキラー(NK)細胞を共刺激することを示すものである。
【0339】
1つの実験において、NK細胞分離キット(Miltenyi Biotec)を用いて、2例のヒト患者により提供された末梢血単核球(PBMC)からNK細胞を単離した。最初にNK細胞を可溶性IL-2(10ng/mL)及びIL-15(10ng/mL)により24時間刺激し、次にアイソタイプ対照抗体、マウスHFB3-1-hG1、ヒト化HFB3-1-hz6-hG1、または抗OX40対照抗体(BMS)により、それぞれ22nM、66nM、または200nMで16時間処置した。実験の終了時に、NK細胞の脱顆粒及び活性化を表すNK細胞表面のCD107α発現ならびにTNFR2発現をFACSにより測定した。
【0340】
マウスHFB3-1-hG1及びヒト化HFB3-1-hz6-hG1はいずれも、NK細胞の活性化を用量依存的に顕著に増加させた。抗OX40抗体はNKの短期活性化(IL-2/IL-15刺激から40時間)を促進できなかったが、これはOX40の発現が不十分であったためと考えられる。
【0341】
もう1つの実験において、2例のヒト患者により提供された全PBMCを、プレート結合抗CD3(1μg/mL)及び可溶性抗CD28(1μg/mL)により48時間共刺激し、次にアイソタイプ対照抗体、マウスHFB3-1-hG1、ヒト化HFB3-1-hz6-hG1、または抗OX40抗体(BMS)により、それぞれ22nM、66nM、または200nMで16時間処置した。CD107αの発現を、CD3陰性/CD56陽性(すなわちNK細胞)について測定した。
図23を参照。
【0342】
同様に、HFB3-1-hG1及びHFB3-1-hz6-hG1は用量依存的にCD107αの発現を有意に増加させた。このことから、これらの抗体が全PBMCにおいてNK細胞の活性化を促進し得ることが示される。長期間の活性化(抗CD3/CD28刺激から64時間)下で、抗OX40抗体はNK細胞を活性化することができた。
【0343】
これらのデータは、ヒト化HFB3-1-hz6-hG1及び親マウスHFB3-1-hG1がいずれもNK細胞の活性化を促進し得ることを示している。
【0344】
実施例14:MC38腫瘍モデルにおけるヒト化HFB3-1hz6-hG1の薬力学
ヒト化TNFR2-KIマウスにおけるMC38大腸癌腫瘍モデルを用いて、HFB-1-hG1の薬力学について調べた(
図24A参照)。簡潔に説明すると、8週齢のヒト化TNFR2 KIマウスに、マウス当たり約5×105個のMC38腫瘍細胞を右前側側腹に接種した。マウスをランダム化し、7日後(0日目)に、マウス(各群当たりn=5)に10mg/kg、1mg/kg、もしくは0.1mg/kgのHFB3-1-hG1、または10mg/kgのアイソタイプ対照抗体を腹腔内注射した。同じ処置を3日目に再び投与した。4日目にマウスを安楽死させ、腫瘍及び血液試料に対し薬力学的読出しを行った。FACSを使用して腫瘍浸潤白血球及び末梢白血球を選別し、さらに抗体による受容体占有率を定量した。
【0345】
0日目及び3日目の2回用量のみの後では、まだ処置間での腫瘍の重量の有意差は認められなかった(
図24B、左上パネル)。10mg/kgのHFB3-1-hG1の投与により、腫瘍中に存在するCD45+細胞の絶対数は増加したが(
図24B、左下パネル)、腫瘍の生細胞中のCD45+のパーセンテージは有意には上昇しなかった(
図24B、右下パネル)。また、10mg/kgのHFB3-1-hG1処置により、腫瘍微小環境におけるCD8+、通常のCD4+T及びNK細胞の絶対細胞数も増加したが、調節性T細胞の数は変化しなかった(
図24C)。他の低用量のHFB3-1-hG1投与では、いかなる観察可能な効果ももたらされなかった。
【0346】
腫瘍及び末梢血におけるCD8 T細胞、従来のCD4 T細胞、調節性T細胞、及びNK細胞について、TNFR2受容体占有を判定した。腫瘍においては、10mg/kgの用量のHFB3-1-hG1のみが腫瘍内のT細胞に薬物受容体占有をもたらし、1及び0.1mg/kgの用量では占有が観察されなかった(
図25Aを参照)。ただし、1mg/kg及び10mg/kgにおいて、腫瘍NK細胞内で受容体占有が観察された。末梢血中では、10mg/kg及び1mg/kgの用量のHFB3-1-hG1により、同等の薬物受容体占有がもたらされ、0.1mg/kgの用量では顕著な占有は観察されなかった。
【0347】
HFB3-1-hG1の薬物動態を実験終了時に定量した。1及び10mg/kgの用量でのHFB3-1-hG1投与は、4日目に血液中で検出可能であった。注目すべきことに、10mg/kgのHFB3-1-hG1は、同じ用量のアイソタイプ対照よりもはるかに高いレベルで保持されていた(
図26Aを参照)。興味深いことに、10mg/kg及び1mg/kgのHFB3-1-hG1を投与することで、血液中で検出可能なTNFR2の量も増加した(
図26Bを参照)。血液中のTNFR2は、おそらくは受容体の脱落によるものと考えられる。
【0348】
全体的に見ると、マウスに対するHFB3-1-hG1の短期間処置におけるデータからは、HFB3-1-hG1が免疫細胞の活性化及び増殖を刺激し、免疫細胞におけるTNFR2受容体に有効に結合し、in vivoでの血液中の保持が良好である可能性が強く示唆される。
【0349】
実施例15:抗PD-1抗体との相乗的抗腫瘍有効性
ヒト化抗TNFR2モノクローナル抗体における抗腫瘍有効性を、広く使用されているマウス大腸癌モデルで、ヒト化TNFR2 KIマウスバックグラウンドにおいて実証した。
【0350】
具体的には、8週齢のヒト化TNFR2 KIマウスに、マウス当たり約5×10
5個のMC38腫瘍細胞(C57BL6マウス結腸腺癌に由来)を接種した。約7日後の0日目に、マウスにおける平均腫瘍サイズは約89mm
3(74~98mm
3)に達した。次いでマウスを5つの実験群(n=8/群)にランダム化し、以下のうちの1つを投与した:(1)アイソタイプマッチ対照(TT-hG1AA)、(2)抗mPD-1(RMP-1-14)、(3)HFB3-1hz6-hG1、(4)HFB3-14hz1c-hG1、及び(5)HFB3-18hz1-hG1。抗体を約10mg/kgの用量で、0、3、6、9、12、15、及び18日目に合計7回用量(Q3D、×7)腹腔内注射した。試験期間中に、実験群に対し腫瘍体積を測定した。21日目前後に、アイソタイプ対照群の平均腫瘍体積が2000mm
3 以上に達したため、実験を終了し、全てのマウスを屠殺した。様々な群における経時的な腫瘍体積を
図27A及び
図27Bにプロットした。21日目までに、HFB3-1hz6、HFB3-18hz1、及び抗PD-1(RMP-14)を投与したマウス群において、腫瘍成長阻害(TGI)の統計学的有意性が達成された(
図27B)。
【0351】
この結果から、ヒト化抗体HFB3-1hz6及び-hG1、ならびにHFB3-18hz1-hG1は、抗mPD-1抗体と同じくらい(またはそれ以上に)強力に腫瘍成長を阻害し、一方、他のヒト化抗体は、わずかに低い程度ながら同様に有効であることが示された。実験マウスの異なる群間で明らかな体重差は観察されなかった。
【0352】
同様の結果が、抗mPD-1及びHFB3-1hz6-hG1及びアイソタイプ対照のみを用いた別の実験(群当たりマウス4頭)でQ3d×3(3日に1回、合計3回用量)、10mg/kgを腹腔内注射した場合でも得られた。6日目(抗体の最終投与)には、アイソタイプ対照群、抗mPD-1群、及びHFB3-1hz6-hG1群の間で腫瘍体積に統計学的に有意差があった(2次元配置ANOVA検定に基づく)。
図28を参照。
【0353】
さらに、HFB3-1hz6-hG1及び抗PD-1抗体は、MC38腫瘍モデルにおいて相乗的に腫瘍成長を抑制し、マウスの寿命を延長した。具体的には、ヒト化TNRF2 KIマウスにMC38がん細胞を-7日目に接種した。0日目から、マウスにアイソタイプ対照、HFB3-1hz6-hG1、または抗mPD-1抗体を、単独または組み合わせて3日ごとに腹腔内注射した(群当たりn=8)。3及び10mg/kgのHFB3-1hz6-hG1で3日に1回、合計7回用量(Q3d×7)処置し、10mg/kgの抗PD-1(RMP-14)で3日に1回、合計4回用量(Q3d×4)処置したところ、アイソタイプ対照で処置した場合と比較して、腫瘍成長が顕著に阻害され、マウスの寿命が延長した。さらに、HFB3-1hz6-hG1(10mg/kg、Q3d×7)及び抗PD-1抗体(10mg/kg、Q3d×4)の両方による併用処置の結果、抗PD-1抗体単独による処置よりも生存期間が改善した。
図29を参照。治療群及びアイソタイプ対照を比較したANOVAを用いてデータを解析した。
【0354】
実施例16:肝細胞癌マウスモデルにおけるHFB3-1hz6-hG1の抗腫瘍有効性
Hepa1-6同系モデルマウスにおいて、腫瘍体積が約100mm
3に達したら、マウスをアイソタイプ対照抗体、10mg/kgの抗mPD-1、または0.3~10mg/kgの用量のHFB3-1hz6-hG1で処置した。HFB3-1hz6-hG1は腫瘍成長の抑制に有効であった。10mg/kgの用量では、HFB3-1hz6-hG1は抗mPD-1よりも腫瘍成長の制御に有効であった(
図32を参照)。
【0355】
実施例17:非ヒト霊長類における抗TNFR2抗体の毒性学的評価
非ヒト霊長類モデルを用いてヒト化抗TNFR2抗体の毒性について調べた。群当たり2頭のカニクイザルに、単回用量の15mg/kg(低)、50mg/kg(中)、及び150mg/kg(高)のヒト化HFB3-1hz6-hG1モノクローナル抗体を注射し、その後336時間時(14日目)まで、異なる時点で血漿を採取した。
【0356】
HFB3-1hz6-hG1の毒物動態解析から、この抗体が経時的に消失することが示された。15、50、または150mg/kgのHFB3-1hz6-hG1の注射後、3mg/kg以下のCD3xCD20二重特異性IgGから報告されたデータ(点線)と比較して、サイトカインIL-6、IL-2、IFN-γ、及びTNF-αの上昇は観察されなかった(
図30)。
【0357】
15、50、または150mg/kgのHFB3-1hz6-hG1の注射後、正常なサルから得られた過去のデータ範囲と比較して、白血球、赤血球、血小板、好中球、及びリンパ球の数に異常は認められなかった(
図31)。
【0358】
これまでの毒性学的評価からは、非ヒト霊長類対象を最大150mg/kgの用量のHFB3-1hz6-hG1で処置したことによる識別可能な毒性作用は示されなかった。
【0359】
カニクイザルに複数用量のHFB3-1hz6-hG1を投与した用量範囲設定試験(DRF)では、最大150mg/kgで反復投与したサルにおいてIL-2、IL-4、IL-5、TNFα、IFN-γの変化は認められなかった。サルにおける週4回用量終了時に、10mg/kg及び150mg/kgの雄動物においてIL-6レベルの変化が観察された。サルにおけるHFB3-1hz6-hG1の投与から2週間後に、好中球及び血小板のカウントの用量依存的減少が観察された。サルにおけるHFB3-1hz6-hG1の週1回投与後に、下痢(液状便またはゆるい便)が頻繁に観察された。
【0360】
上記の観察に基づけば、ヒトにおいて1mg/kg用量を単回注射した後の薬物半減期は23日であると予測され、この抗体は1mg/kgを4週間ごとに投与するのが適していると考えられる。
【0361】
実施例18:TNFR2発現に基づく適応の選択
いかなる特定の理論にも束縛されることは望まないが、本発明の抗TNFR2抗体の抗腫瘍有効性は、腫瘍浸潤T細胞及びNK細胞におけるTNFR2を刺激することで、NK細胞を活性化し、CD8+T細胞媒介性抗腫瘍応答を増強することに起因すると考えられる。この実施例では、本発明の抗TNFR2抗体による治療から利益を得る可能性がある腫瘍タイプが、高いTNFR2及び高いCD8Aを発現する腫瘍を含むという証拠を提供する。
【0362】
TCGAデータベースを用いたがんのバルクRNA解析において、CD8Aカットオフは急性骨髄性白血病(AML)のCD8Aレベルに基づいている(この白血病は主に骨髄細胞からなり、CD8+T細胞はほとんどまたは全くないことが推定されている)。TNFR2カットオフ値は、免疫砂漠であることが想定される前立腺癌のTNFR2レベルに基づいている。
図34A~34Bを参照。
【0363】
TNFR2/CD8Aレベルに基づくがんタイプのランキングを
図35に示す。EBV+胃腺癌/胃癌、明細胞腎細胞癌、皮膚黒色腫、精巣胚細胞腫瘍、軟部組織肉腫、及び高PD-L1癌(子宮頚部扁平上皮癌、胸膜中皮腫、肺腺癌、及び頭頚部扁平上皮癌を含む)を高TNFR2/高CD8A癌の上位として特定した。
【0364】
TCGAデータベースを用いたがん患者の生存解析からは、遺伝子発現カットオフ値の中央値において、高いTNFR2の発現が、皮膚黒色腫及び頭頚部扁平上皮癌においてより良好な生存期間と顕著に関連し(
図33A及び33B)、肺腺癌においてより良好な生存期間に関する傾向が示された(データは示してない)。子宮頚部扁平上皮癌/子宮頚部内膜腺癌、腎臓明細胞癌、精巣胚細胞腫瘍、肉腫、胃腺癌、中皮腫については顕著な傾向が観察されなかった。
【0365】
公開されているデータを用いて、腎細胞癌(RCC)、皮膚黒色腫(SKCM)、胃腺癌/胃癌(STAD/GI)、肺腺癌(LUAD)、及び頭頚部扁平上皮癌(HNSC)の分子サブタイプについて、TNFR2及びCD8スコアリングをさらに決定した(
図36)。
【0366】
試験した各がんタイプにおいて、特徴的な高CD8A及び高TNFR2発現パターンを示すがんのパーセンテージが高いサブタイプ(例えば、STAD/GI-EBV+癌の約60%がこの特徴的な高発現を有する)が存在する一方で、他のサブタイプ(例えば、ESCCサブタイプ及びHM-SNVサブタイプはCD8AhiTNFR2hi発現を実質的に有しない)が存在することは明らかである。
【0367】
したがって、特徴的な高CD8A及び高TNFR2発現パターンを有する試験したがんサブタイプは、本発明の主題の抗体による有益な治療の主要な候補であり、これにはKIRC.2、KIRC.3、KIRC.4、SKCM.Triple_WT、SKCM.BRAF_hotspot_mutants(おそらくSKCM.RAS_hotspot_mutants及びSKCM.NF1_any_mutantsも該当)、LUAD.6及びLUAD.5、HNSC.Atypical(HPV陽性40%)及びHNSC.mesenchymal(PD-L1/CD274が比較的高い傾向がある)が含まれる。
【0368】
大腸癌患者において、ミスマッチ修復欠損(dMMR)/高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)の腫瘍は、マイクロサテライト安定性(MSS)/低頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-L)の腫瘍と比較して、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)に対する感受性が顕著に高く、前者の患者群は後者の患者群よりも多くの臨床的利益を免疫療法から引き出している。
【0369】
MSIスコアのデータは全てのがんの適応について直接アクセスできるわけではないため、出願人はMSIスコアの代用として変異カウントというパラメーターを使用し、主題の抗体によって治療可能なTNFR2hi及びCD8Ahi腫瘍がMSIまたはMSSに富んでいるどうかについて調べた。この目的において、250超の変異カウントをMSIとし、250未満の変異カウントをMSSとした。データ(ここでは示していない)からは、COADデータ(The Cancer Genome Atlas(TCGA)-CRC結腸腺癌(COAD)コホートからのもの)におけるTNFR2hi及びCD8Ahiの発現パターンは、変異カウント250未満に対し250超において強力には富んでいなかったことが示されている。MSIにおいて、ほぼ均等に分かれたTNFR2hi及びTNFR2loが認められた(4%のCD8Ahiを除く全てにおいて)。MSSでは45%対55%に分かれた(全てCD8Alo)。
【0370】
実施例19:ヒトにおけるHFB3-1hz6-hG1の投与試験
in vitroサイトカイン放出アッセイに基づく予想される最小の生物学的作用レベル、MC38腫瘍を有するヒトTNFR2ノックイン(hTNFR2 KI)マウスにおける最小の薬理学的活性用量、ならびにヒト及び非ヒト霊長類における重篤な毒性が発現しない最高用量からのデータに部分的に基づき、この試験におけるHFB3-1hz6-hG1の開始用量を5mgとし、4週間ごと(Q4W)に60分間の静脈内注入として投与する。
【0371】
用量漸増を150mgまで行って最大耐量を決定する。用量拡大をEBV+胃癌、明細胞腎細胞癌、皮膚黒色腫、軟部組織肉腫、精巣胚細胞腫瘍、及びPD-L1+癌(子宮頚癌、胸膜中皮腫、肺腺癌、頭頚部扁平上皮癌を含む)に対し行う。第I相の抗腫瘍活性/有効性に基づき、追加の患者コホートを登録する。
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【表14】
【配列表】
【国際調査報告】