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特表2024-527578神経受容体を活性化するための組成物及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-25
(54)【発明の名称】神経受容体を活性化するための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/22 20060101AFI20240718BHJP
   A61K 38/26 20060101ALI20240718BHJP
   A61K 38/28 20060101ALI20240718BHJP
   A61K 38/23 20060101ALI20240718BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20240718BHJP
   A61P 25/22 20060101ALI20240718BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20240718BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20240718BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240718BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20240718BHJP
   A61P 25/32 20060101ALI20240718BHJP
   A61P 25/36 20060101ALI20240718BHJP
   A61P 25/34 20060101ALI20240718BHJP
   A61P 25/30 20060101ALI20240718BHJP
   C07K 14/605 20060101ALN20240718BHJP
   C07K 14/575 20060101ALN20240718BHJP
   C07K 14/62 20060101ALN20240718BHJP
【FI】
A61K38/22 ZNA
A61K38/26
A61K38/28
A61K38/23
A61P25/24
A61P25/22
A61P3/04
A61P25/18
A61P25/00
A61P25/28
A61P25/32
A61P25/36
A61P25/34
A61P25/30
C07K14/605
C07K14/575
C07K14/62
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500429
(86)(22)【出願日】2022-07-08
(85)【翻訳文提出日】2024-01-30
(86)【国際出願番号】 US2022036437
(87)【国際公開番号】W WO2023283392
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】63/219,409
(32)【優先日】2021-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BRIJ
(71)【出願人】
【識別番号】520231809
【氏名又は名称】ギラ セラピューティクス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】GILA THERAPEUTICS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100167623
【弁理士】
【氏名又は名称】塚中 哲雄
(72)【発明者】
【氏名】トーマス バシチェック
【テーマコード(参考)】
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA01
4C084BA44
4C084DB01
4C084DB31
4C084DB34
4C084DB35
4C084DB36
4C084MA13
4C084MA27
4C084MA34
4C084MA35
4C084MA41
4C084MA52
4C084MA56
4C084MA57
4C084MA59
4C084MA60
4C084NA14
4C084ZA021
4C084ZA022
4C084ZA121
4C084ZA122
4C084ZA151
4C084ZA152
4C084ZA161
4C084ZA162
4C084ZA181
4C084ZA182
4C084ZA701
4C084ZA702
4C084ZC391
4C084ZC392
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA30
4H045DA33
4H045DA37
4H045EA20
4H045EA21
4H045EA27
4H045FA20
(57)【要約】
本発明は、神経受容体の活性化を誘導するための組成物及び方法を提供する。組成物は代謝ホルモンを含み、これは対象における嗜癖または気分障害の治療を提供するために使用され得る。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象において神経受容体を活性化する方法であって、前記方法が、ペプチドYY(PYY)、グルカゴン様ペプチド1(GLP-1)、レプチン、アミリン、インスリン、及びカルシトニン、またはその類似体、バリアント、もしくは生物学的に活性な断片から選択される作用物質を含む組成物を前記対象に投与する工程を含み、前記組成物が前記神経受容体を前記対象の血液中の前記作用物質の濃度を実質的に変化させることなく活性化する、前記方法。
【請求項2】
前記神経受容体の活性化が、治療を必要とする前記対象における嗜癖または気分障害の治療を提供する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記気分障害が、うつ病、不安、気分変調症、双極性障害、医薬品誘発性気分障害、強迫性障害、過食性障害、物質誘発性気分障害、大うつ病性障害、季節型大うつ病性障害、ホルモン変化によるうつ病の一種、パニック発作、全般性不安障害、双極性障害I型、双極性障害II型、気分循環性障害、躁状態、統合失調感情障害、統合失調症、自閉症スペクトラム、注意欠陥多動性障害、注意欠陥障害、認知症、アルツハイマー病、可逆性認知症、抑うつ性パーソナリティ障害、シゾイドパーソナリティ障害、自己愛性パーソナリティ障害、境界性障害、反社会性パーソナリティ障害、万引き、嘘をつく、危険行動、衝動制御困難、または適応障害を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記嗜癖が、アルコール、コカイン、オピオイド、ニコチン、ヘロイン、マリファナ、3,4-メチレンジオキシ-メタンフェタミン、カフェイン、メスカリン、メタンフェタミン、アンフェタミン誘導体、デキストロメトルファン、ロペラミド、フェニルシクロヘキシルピペリジン、興奮剤、ステロイド、カンナビノイド、カチノン、リゼルグ酸ジエチルアミド、ギャンブル、性、吸入薬、鎮静薬、催眠薬、タバコ、抗不安薬、幻覚剤、食物、行動、反復行動、破壊的な習慣、またはそれらの組み合わせに対する渇望または依存症を含む、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記組成物が局所的舌側投与される、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記組成物が、経口溶解錠、ロゼンジ剤、フィルム、スプレー、半固体、微粒子として、または脂質ベースの担体中に製剤化される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記組成物が経鼻投与される、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記組成物が、スプレー、半固体、微粒子として、または脂質ベースの担体中に製剤化される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記組成物が消化(GI)管に局所投与される、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記組成物がGIパッチとして製剤化される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記組成物が直腸内に投与される、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記組成物が坐薬として製剤化される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記作用物質の用量が、体重100kgあたり1ng~20mgである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記作用物質の用量が、体重100kgあたり1ng~1μgである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記作用物質の用量が、体重100kgあたり1μg~1mgである、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記作用物質の用量が、体重100kgあたり1mg~20mgである、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記組成物がPYYを含む、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記PYYがPYY(3-36)である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記組成物がGLP-1を含む、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記組成物がレプチンを含む、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記組成物がアミリンを含む、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記組成物がインスリンを含む、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記組成物がカルシトニンを含む、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記神経受容体が、Y受容体(YR)、Y1受容体(Y1R)、Y2受容体(Y2R)、Y4受容体(Y4R)、Y5受容体(Y5R)、Gタンパク質共役型受容体(GPRCR)、レプチン受容体(LEPR)、GLP-1受容体(GLP-1R)、インスリン受容体(INSR)、グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド受容体(GIPR)、グレリン受容体(GHS-R)、コレシストキニンA受容体(CCKAR)、コレシストキニンB受容体(CCKBR)、またはカルシトニン受容体(CALCR)を含む、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
PYY、GLP-1、レプチン、アミリン、及びカルシトニン、またはその類似体、バリアント、もしくは生物学的に活性な断片から選択される作用物質を含む組成物であって、前記組成物が経鼻投与用に製剤化され、対象の神経受容体を前記対象の血液中の前記作用物質の濃度を実質的に変化させることなく活性化する、前記組成物。
【請求項26】
前記組成物が、スプレー、半固体、微粒子として、または脂質ベースの担体中に製剤化される、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
PYY、GLP-1、レプチン、アミリン、インスリン、及びカルシトニン、またはその類似体、バリアント、もしくは生物学的に活性な断片から選択される作用物質を含む組成物であって、前記組成物がGI管への局所投与用に製剤化され、対象の神経受容体を前記対象の血液中の前記作用物質の濃度を実質的に変化させることなく活性化する、前記組成物。
【請求項28】
前記組成物がGIパッチとして製剤化される、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
PYY、GLP-1、レプチン、アミリン、インスリン、及びカルシトニン、またはその類似体、バリアント、もしくは生物学的に活性な断片から選択される作用物質を含む組成物であって、前記組成物が直腸内投与用に製剤化され、対象の神経受容体を前記対象の血液中の前記作用物質の濃度を実質的に変化させることなく活性化する、前記組成物。
【請求項30】
坐薬として製剤化される、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
前記作用物質の用量が1ng~20mgである、請求項25~30のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項32】
前記作用物質の用量が1ng~1μgである、請求項29に記載の組成物。
【請求項33】
前記作用物質の用量が1μg~1mgである、請求項29に記載の組成物。
【請求項34】
前記作用物質の用量が1mg~20mgである、請求項29に記載の組成物。
【請求項35】
PYYを含む、請求項25~34のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項36】
前記PYYがPYY(3-36)である、請求項35に記載の組成物。
【請求項37】
GLP-1を含む、請求項25~34のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項38】
レプチンを含む、請求項25~34のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項39】
アミリンを含む、請求項25~34のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項40】
カルシトニンを含む、請求項25~34のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項41】
インスリンを含む、請求項27~34のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項42】
前記神経受容体が、YR、Y1R、Y2R、Y4R、Y5R、GPCR、LEPR、GLP-1R、INSR、GIPR、GHS-R、CCKAR、CCKBR、またはCALCRを含む、請求項25~41のいずれか1項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
嗜癖及び気分障害の有病率は、世界中で増加し続けている。しかしながら、嗜癖及び気分障害に対する有効な長期の非侵襲的治療は依然として不足している。既存の治療薬による治療では、好適な治療効果が得られないことが多い。したがって、新たな治療が必要とされている。
【発明の概要】
【0002】
一態様では、本発明は、ペプチドYY(PYY)、グルカゴン様ペプチド1(GLP-1)、レプチン、アミリン、インスリン、及びカルシトニン、またはその類似体、バリアント、もしくは生物学的に活性な断片から選択される作用物質を含む組成物を対象に投与することによって対象の神経受容体を活性化する方法を特徴とする。組成物は、神経受容体を対象の血液中の作用物質の濃度を実質的に変化させることなく活性化する。
【0003】
いくつかの実施形態では、神経受容体の活性化は、治療を必要とする対象における嗜癖または気分障害の治療を提供する。
【0004】
いくつかの実施形態では、神経受容体の活性化は、嗜癖の治療を提供する。
【0005】
いくつかの実施形態では、嗜癖は、アルコール、コカイン、オピオイド、ニコチン、ヘロイン、マリファナ、3,4-メチレンジオキシ-メタンフェタミン、カフェイン、メスカリン、メタンフェタミン、アンフェタミン誘導体、デキストロメトルファン、ロペラミド、フェニルシクロヘキシルピペリジン、興奮剤、ステロイド、カンナビノイド、カチノン、リゼルグ酸ジエチルアミド、ギャンブル、性、吸入薬、鎮静薬、催眠薬、タバコ、抗不安薬、幻覚剤、食物、またはそれらの組み合わせに対する渇望または依存症を含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、神経受容体の活性化は、気分障害の治療を提供する。
【0007】
いくつかの実施形態では、気分障害は、うつ病、不安、気分変調症、双極性障害、医薬品誘発性気分障害、強迫性障害、過食性障害、または物質誘発性気分障害を含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、組成物は、局所的舌側(例えば、舌側上皮に対して局所的に)投与される。組成物は、例えば、経口溶解錠、ロゼンジ剤、フィルム、スプレー、半固体、微粒子として、または脂質ベースの担体中に製剤化され得る。
【0009】
いくつかの実施形態では、組成物は経鼻投与される。組成物は、例えば、スプレー、半固体、微粒子として、または脂質ベースの担体中に製剤化され得る。
【0010】
いくつかの実施形態では、嗜癖または気分障害は、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、外傷性脳損傷(TBI)アルツハイマー病、記憶喪失、認知障害、ストレス、脳卒中、または神経変性障害を含まない。
【0011】
いくつかの実施形態では、本方法はインスリンの投与を含まない。
【0012】
いくつかの実施形態では、本方法はインスリンの経鼻投与を含まない。
【0013】
いくつかの実施形態では、本方法は、アルツハイマー病を治療するためのインスリンの経鼻投与を含まない。
【0014】
いくつかの実施形態では、組成物は消化(GI)管に局所投与される。組成物は、例えば、GIパッチとして製剤化され得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、組成物は直腸内投与される。組成物は、例えば、坐薬として製剤化され得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、作用物質(例えば、PYY、GLP-1、レプチン、アミリン、インスリン、もしくはカルシトニン、またはその類似体、バリアント、もしくは生物学的に活性な断片)の用量は、体重100kgあたり1ng~20mgである。例えば、作用物質の用量は、体重100kgあたり1ng~10ng、例えば、体重100kgあたり1ng、2ng、3ng、4ng、5ng、6ng、7ng、8ng、9ng、もしくは10ng、例えば、体重100kgあたり10ng~100ng、例えば、体重100kgあたり20ng、30ng、40ng、50ng、60ng、70ng、80ng、90ng、もしくは100ng、例えば、体重100kgあたり100ng~1μg、例えば、体重100kgあたり200ng、300ng、400ng、500ng、600ng、700ng、800ng、900ng、もしくは1μg、例えば、100kgあたり1μg~10μg、例えば、体重100kgあたり2μg、3,μg、4μg、5μg、6μg、7μg、8μg、9μg、もしくは10μg、例えば、体重100kgあたり10μg~100μg、例えば、体重kgあたり10μg、20μg、30μg、40μg、50μg、60μg、70μg、80μg、90μg、もしくは100μg、例えば、体重kgあたり100μg~1mg、例えば、体重kgあたり100μg、200μg、300μg、400μg、500μg、600μg、700μg、800μg、900μg、もしくは1mg、または例えば、体重100kgあたり1mg~20mg、例えば、体重100kgあたり1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、16mg、17mg、18mg、19mg、もしくは20mgであり得る。
【0017】
いくつかの実施形態では、組成物は、PYY、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片を含む。いくつかの実施形態では、PYY断片はPYY(3-36)である。
【0018】
いくつかの実施形態では、組成物は、GLP-1、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、組成物は、レプチン、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片を含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、組成物は、アミリン、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片を含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、組成物は、カルシトニン、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片を含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、神経受容体は、Y受容体(YR)、Y1受容体(Y1R)、Y2受容体(Y2R)、Y4受容体(Y4R)、Y5受容体(Y5R)、Gタンパク質共役型受容体(GPRCR)、レプチン受容体(LEPR)、GLP-1受容体(GLP-1R)、インスリン受容体(INSR)、グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド受容体(GIPR)、グレリン受容体(GHS-R)、コレシストキニンA受容体(CCKAR)、コレシストキニンB受容体(CCKBR)、またはカルシトニン受容体(CALCR)である。
【0023】
別の態様では、本発明は、PYY、GLP-1、レプチン、アミリン、及びカルシトニン、またはその類似体、バリアント、もしくは生物学的に活性な断片から選択される作用物質を含む組成物を特徴とする。組成物は、経鼻投与用に製剤され、対象の神経受容体を対象の血液中の作用物質の濃度を実質的に変化させることなく活性化する。組成物は、例えば、スプレー、半固体、微粒子として、または脂質ベースの担体中に製剤化され得る。
【0024】
別の態様では、本発明は、PYY、GLP-1、レプチン、アミリン、インスリン、及びカルシトニン、またはその類似体、バリアント、もしくは生物学的に活性な断片から選択される作用物質を含む組成物を特徴とする。組成物は、GI管への局所投与用に製剤され、対象の神経受容体を対象の血液中の作用物質の濃度を実質的に変化させることなく活性化する。組成物は、例えば、GIパッチとして製剤化され得る。
【0025】
別の態様では、本発明は、PYY、GLP-1、レプチン、アミリン、インスリン、及びカルシトニン、またはその類似体、バリアント、もしくは生物学的に活性な断片から選択される作用物質を含む組成物を特徴とする。組成物は、直腸内投与用に製剤され、対象の神経受容体を対象の血液中の作用物質の濃度を実質的に変化させることなく活性化する。組成物は、例えば、坐薬として製剤化され得る。
【0026】
上記組成物のいずれかのいくつかの態様では、作用物質の用量は0.1ng~20mgである。例えば、作用物質の用量は、0.1ng~1ng、例えば、0.2ng、0.3ng、0.4ng、0.5ng、0.6ng、0.7ng、0.8ng、0.9ng、または1ng、例えば、1ng~10ng、例えば、1ng、2ng、3ng、4ng、5ng、6ng、7ng、8ng、9ng、または10ng、例えば、10ng~100ng、例えば、20ng、30ng、40ng、50ng、60ng、70ng、80ng、90ng、または100ng、例えば、100ng~1μg、例えば、200ng、300ng、400ng、500ng、600ng、700ng、800ng、900ng、または1μg、例えば、100kgあたり1μg~10μg、例えば、体重kgあたり2μg、3,μg、4μg、5μg、6μg、7μg、8μg、9μg、または10μg、例えば、10μg~100μg、例えば、10μg、20μg、30μg、40μg、50μg、60μg、70μg、80μg、90μg、または100μg、例えば、100μg~1mg、例えば、100μg、200μg、300μg、400μg、500μg、600μg、700μg、800μg、900μg、または1mg、例えば、1mg~20mg、例えば、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、16mg、17mg、18mg、19mg、または20mgであり得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、組成物は、PYY、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片を含む。いくつかの実施形態では、PYY断片はPYY(3-36)である。
【0028】
いくつかの実施形態では、組成物は、GLP-1、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片を含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、組成物は、レプチン、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片を含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、組成物は、アミリン、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片を含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、組成物は、インスリン、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片を含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、組成物は、インスリン、またはその類似体、バリアント、もしくは生物学的に活性な断片を含まない。
【0033】
いくつかの実施形態では、組成物は、カルシトニン、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片を含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、神経受容体は、YR、Y1R、Y2R、Y4R、Y5R、GPCR、LEPR、GLP-1R、INSR、GIPR、GHS-R、CCKAR、CCKBR、またはCALCRである。
【0035】
定義
本発明の理解を促進するために、いくつかの用語を以下に定義する。本明細書で定義される用語は、本発明に関連する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味を有する。「a」、「an」、及び「the」などの用語は、単数の実体のみを指すことを意図するものではなく、例示のために具体例が使用され得る一般的な部類を含むことを意図するものである。本明細書における用語は、本発明の特定の実施形態を説明するために使用されるが、それらの使用は、特許請求の範囲に概説される場合を除いて、本発明を限定しない。
【0036】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は記載されている値から10%以内で上回る、または下回る値を指す。
【0037】
本明細書で使用される場合、「対象」は、ヒトまたは非ヒト動物(例えば、哺乳動物)を指す。
【0038】
本明細書で使用される場合、「局所的舌投与」、「局所的舌側」という用語、またはそれらの変形は、対象の血液中の代謝ホルモンのレベルに実質的な変化を伴わない(例えば、実質的に全身曝露を伴わない)対象の口及び/または舌の上皮への代謝ホルモンの局所投与を指す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
一般に、本発明は、対象における神経受容体を活性化するための組成物及び方法を特徴とする。組成物及び方法は、対象の血液中の代謝ホルモンの濃度を実質的に変化させることなく、対象に代謝ホルモンを投与するための製剤を含む。そのような方法は、嗜癖または気分障害を治療するために使用され得る。本発明は、PYY、GLP-1、レプチン、アミリン、インスリン、またはカルシトニンなどの代謝ホルモンの投与が、中枢神経系の神経受容体を活性化して嗜癖または気分障害を治療することができるという驚くべき発見に一部基づいている。本明細書に記載の組成物及び方法で標的とすることができる特定の神経受容体としては、例えば、Y受容体(YR)、Y1受容体(Y1R)、Y2受容体(Y2R)、Y4受容体(Y4R)、Y5受容体(Y5R)、Gタンパク質共役型受容体(GPRCR)、レプチン受容体(LEPR)、GLP-1受容体(GLP-1R)、インスリン受容体(INSR)、グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド受容体(GIPR)、グレリン受容体(GHS-R)、コレシストキニンA受容体(CCKAR)、コレシストキニンB受容体(CCKBR)、またはカルシトニン受容体(CALCR)が挙げられる。本明細書に記載の経路の1つを介して代謝ホルモンを投与することによって、組成物は、対象の血液中の作用物質の濃度を実質的に変化させることなく対象に治療を提供することができる。さらに、これらの投与経路は、吐き気、注射部痛、または倦怠感などの望ましくない副作用を生じることが知られている全身投与を回避する。組成物及び方法は、以下により詳細に記載される。
【0040】
適応症
本明細書に記載の方法は、本明細書に記載の代謝ホルモンを含む組成物を神経受容体を活性化するために投与することを含む。神経受容体の活性化は、治療を必要とする対象における嗜癖または気分障害の治療を提供する。一般に、非全身性経路を介して代謝ホルモンを投与することによって、該ホルモンは、脳内の特定の快楽中枢を標的とし、重要な脳領域を活性化し、及び臨床的リスク(例えば毒性)または吐き気などの副作用を引き起こす可能性のある神経または非神経標的を回避することができる。例えば、代謝ホルモンの全身投与では、視床下部、孤束核(NTS)、及び最後野の神経受容体が活性化される一方で、本明細書に記載の非全身投与経路では、視床下部及びNTSの神経受容体は活性化されるが、最後野は実質的に回避される。例えば口(例えば舌上)、鼻、直腸、またはGI管における神経受容体を標的とすることによって、神経受容体及び結合はCNSにおける快楽中枢を十分に活性化することができる。したがって、これらの快楽中枢の活性化は、脳における快楽中枢の調節不全に関連する障害の治療を提供する。
【0041】
一実施形態では、対象は、気分障害(例えば、感情障害及び/または精神障害)を有する。いくつかの実施形態では、気分障害は、うつ病、不安、気分変調症、双極性障害、医薬品誘発性気分障害、または物質誘発性気分障害である。いくつかの実施形態では、うつ病は、大うつ病性障害(MDD)、季節型大うつ病性障害(SAD)、ホルモン変化によるうつ病の一種(例えば、周産期うつ病、産後うつ病、月経前不快気分障害)を含む。いくつかの実施形態では、不安は、パニック発作及び/または全般性不安障害を含む。いくつかの実施形態では、双極性障害は、双極性障害I型、双極性障害II型、及び/または気分循環性障害を含む。いくつかの実施形態では、精神障害は、躁状態、統合失調感情障害、及び統合失調症を含む。いくつかの実施形態では、気分障害は、発達障害(例えば、自閉症スペクトラム、注意欠陥多動性障害、または注意欠陥障害)、認知症(例えば、アルツハイマー病または可逆性認知症)、固定的行動パターンを有するパーソナリティ障害(例えば、うつ病、シゾイド障害、自己愛性障害、境界性障害、または反社会性パーソナリティ障害)、及び問題行動(例えば、万引き、嘘をつく、危険行動、衝動制御困難、または適応障害)を含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、嗜癖または気分障害は、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、外傷性脳損傷(TBI)アルツハイマー病、記憶喪失、認知障害、ストレス、脳卒中、または神経変性障害を含まない。いくつかの実施形態では、本方法はインスリンの投与を含まない。いくつかの実施形態では、本方法はインスリンの経鼻投与を含まない。いくつかの実施形態では、本方法は、アルツハイマー病を治療するためのインスリンの経鼻投与を含まない。
【0043】
対象は、例えば化学物質への嗜癖を有し得る。いくつかの実施形態では、嗜癖は、アルコール、コカイン、オピオイド、ニコチン、ヘロイン、マリファナ、3,4-メチレンジオキシ-メタンフェタミン、カフェイン、メスカリン、メタンフェタミン、アンフェタミン誘導体、デキストロメトルファン、ロペラミド、フェニルシクロヘキシルピペリジン、興奮剤、ステロイド、カンナビノイド、カチノン、リゼルグ酸ジエチルアミド、吸入薬、鎮静薬、催眠薬、タバコ、抗不安薬、幻覚剤、食物、またはそれらの組み合わせに対する渇望または依存症を含む。いくつかの実施形態では、本方法は、渇望の頻度または強度を低減する(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または100%)。いくつかの実施形態では、本方法は渇望を解消する。
【0044】
対象は、強迫行動(例えば、強迫性障害)または嗜癖、例えばギャンブル、性、反復行動、または破壊的な習慣への嗜癖を有し得る。いくつかの実施形態では、本方法は、該行動の頻度を低減する(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または100%)。いくつかの実施形態では、本方法は該行動を解消する。
【0045】
対象は、過食性障害を有し得る。
【0046】
対象は、食物嗜癖を有し得る。対象は、食べることへの嗜癖を有し得る(例えば過食)。
【0047】
本明細書に記載の組成物は、脳の悦楽的(例えば、快楽及び/または報酬)中枢を活性化するために使用され得る。代謝ホルモン(例えば、PYY、PYY(3-36)、GLP-1、レプチン、アミリン、カルシトニン、類似体、バリアント、またはその生物学的に活性な断片)は、悦楽的中枢に直接影響を及ぼし得る。本明細書に記載の組成物によって標的とされる神経受容体は、Y受容体(例えば、Y1R、Y2R、Y4R、Y5R)、GPCR、LEPR、GLP-1R、INSR、GIPR、GHS-R、CCKAR、CCKBR、またはCALCRを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物を用いた神経受容体の活性化は、腸-脳軸(例えば、迷走神経、脊髄求心性ニューロン、サイトカイン、腸ホルモン、腸内細菌叢由来のシグナル伝達分子)を介して起こり得る。
【0048】
代謝ホルモン組成物
本明細書に記載の組成物は、代謝ホルモン、またはその生物学的に活性な断片、バリアント、もしくは類似体を含む。代謝ホルモンは、対象におけるYR、Y1R、Y2R、Y4R、Y5R、GPCR、LEPR、GLP-1R、INSR、GIPR、GHS-R、CCKAR、CCKBR、またはCALCRを標的とする(例えば、それに結合、会合、またはそれと相互作用する)。受容体は、例えば、対象の口腔(例えば、舌)、鼻腔、GI管、または直腸内にあり得る。いくつかの実施形態では、代謝ホルモンは、PYY、PYY(3-36)、レプチン、アミリン、インスリン、カルシトニン、もしくはGLP-1、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片である。
【0049】
いくつかの実施形態では、代謝ホルモン、またはその生物学的に活性な断片、バリアント、もしくは類似体の用量は、0.1ng~20mgである。例えば、作用物質の用量は、0.1ng~1ng、例えば、例えば、0.2ng、0.3ng、0.4ng、0.5ng、0.6ng、0.7ng、0.8ng、0.9ng、または1ng、例えば、1ng~10ng、例えば、1ng、2ng、3ng、4ng、5ng、6ng、7ng、8ng、9ng、または10ng、例えば、10ng~100ng、例えば、20ng、30ng、40ng、50ng、60ng、70ng、80ng、90ng、または100ng、例えば、100ng~1μg、例えば、200ng、300ng、400ng、500ng、600ng、700ng、800ng、900ng、または1μg、例えば、1μg~10μg、例えば、2μg、3,μg、4μg、5μg、6μg、7μg、8μg、9μg、または10μg、例えば、10μg~100μg、例えば、10μg、20μg、30μg、40μg、50μg、60μg、70μg、80μg、90μg、または100μg、例えば、100μg~1mg、例えば、100μg、200μg、300μg、400μg、500μg、600μg、700μg、800μg、900μg、または1mg、例えば、1mg~20mg、例えば、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、16mg、17mg、18mg、19mg、または20mgであり得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、代謝ホルモンは、PYY、またはその類似体、バリアント、もしくは生物学的に活性な断片である。いくつかの実施形態では、PYY、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片は、配列番号1に対して少なくとも70%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、または100%)の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、PYY、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、約100ng~約10mgの用量のPYY、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、約1μg~約1mgの用量のPYY、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、約25μg~約250μgの用量(例えば、約25μg、50μg、75μg、100μg、125μg、150μg、175μg、200μg、225μg、または250μgの用量)のPYY、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片を含む。
【0051】
いくつかの実施形態では、PYY断片はPYY(3-36)である。いくつかの実施形態では、PYY(3-36)、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片は、配列番号2に対して少なくとも70%(例えば、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、または100%)の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、PYY(3-36)は、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、約100ng~約10mgの用量のPYY(3-36)、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、約1μg~約1mgの用量のPYY(3-36)、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、約25μg~約250μgの用量(例えば、約25μg、50μg、75μg、100μg、125μg、150μg、175μg、200μg、225μg、または250μgの用量)のPYY(3-36)、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片を含む。
【0052】
いくつかの実施形態では、PYYバリアントは[Pro34]PYYである。いくつかの実施形態では、[Pro34]PYY、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片は、配列番号11に対して少なくとも70%(例えば、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、または100%)の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、[Pro34]PYYは配列番号11に記載のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PYY類似体はNNC065-1273であり、これは35位にベータ-ホモ-アルギニンを有するPYY(3-36)ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、PYY類似体はNNC0165-1875である。いくつかの実施形態では、PYY類似体はNNC0165-1562である。いくつかの実施形態では、PYY類似体またはバリアントは、例えば、Lear et al.J.of Med.Chem.63:9660-9671,2020(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。いくつかの実施形態では、PYY類似体は、例えば、Rangwala et al.Cell Metab.29:837-843,2019(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されているPYY-抗体(抗体または抗体のFc領域に結合したPYY)または1つ以上のPEG部分に結合したPYYである。いくつかの実施形態では、PYY類似体またはバリアントは、米国特許第8,217,001号(その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれている)に記載されている。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、約100ng~約10mgの用量の[Pro34]PYY、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、約1μg~約1mgの用量の[Pro34]PYY、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、約25μg~約250μgの用量(例えば、約25μg、50μg、75μg、100μg、125μg、150μg、175μg、200μg、225μg、または250μgの用量)の[Pro34]PYY、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片を含む。
【0053】
いくつかの実施形態では、PYY(3-36)バリアント、類似体、またはその生物学的に活性な断片は、Balasubramaniam et al.,Pept Res 1:32-35,1998;Liu et al.,J.Gastrointest Surg.5:147-152,2001(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)におけるように、PYY(26-36)、PYY(25-36)、PYY(24-36)、PYY(23-36)、PYY(22-36)、PYY(21-36)、PYY(20-36)、PYY(19-36)、PYY(18-36)、PYY(17-36)、PYY(16-36)、PYY(15-36)、PYY(14-36)、PYY(13-36)、PYY(12-36)、PYY(11-36)、PYY(10-36)、PYY(9-36)、PYY(8-36)、PYY(7-36)、PYY(6-36)、PYY(5-36)、またはPYY(4-36)である。いくつかの実施形態では、PYY(3-36)バリアント、類似体、またはその断片は、単一点変異、例えば、PYY(25-36)の単一点変異、例えば[Lys25]PPY(25-36)、[Thr27]PPY(25-36)、[Phe21]PPY(25-36)、[Ile28]PYY(25-36)、[Val28]PYY(25-36)、[Gln29]PYY(25-36)、[Ile30]PYY(25-36)、[Val30]PYY(25-36)、[Ile31]PYY(25-36)、[Leu31]PYY(25-36)、[Ser32]PYY(25-36)、[Lys33]PYY(25-36)、[Asn34]PYY(25-36)、[Lys35]PYY(25-36)、[Thr36]PYY(25-36)もしくは[Phe36]PYY(25-36)、またはPYY(24-36)の単一点変異、例えば[Ile24]PYY(24-36)もしくは[Val24]PYY(24-36)を有する断片であり得る。いくつかの実施形態では、PYY(3-36)バリアント、類似体、またはその生物学的に活性な断片は、二重点変異、例えばPYY(25-36)の二重点変異、例えば[Lys25,Thr27]PPY(25-36)、[Lys25,Phe27]PPY(25-36)、[Lys25,Ile28]PPY(25-36)、[Lys25,Val28]PPY(25-36)、[Lys25,Gln29]PPY(25-36)、[Lys25,Ile30]PPY(25-36)、[Lys25,Val30]PPY(25-36)、[Lys25,Ile31]PPY(25-36)、[Lys25,Leu31]PPY(25-36)、[Lys25,Ser32]PPY(25-36)、[Lys25,Lys33]PPY(25-36)、[Lys25,Asn34]PPY(25-36)、[Lys25,Lys35]PPY(25-36)、[Lys25,Thr36]PPY(25-36)、[Lys25,Phe36]PPY(25-36)、[Thr27,Ile28]PPY(25-36)、[Thr27,Val28]PPY(25-36)、[Thr27,Gln29]PPY(25-36)、[Thr27,Ile30]PPY(25-36)、[Thr27,Val30]PPY(25-36)、[Thr27,Ile31]PPY(25-36)、[Thr27,Leu31]PPY(25-36)、[Thr27,Ser32]PPY(25-36)、[Thr27,Lys33]PPY(25-36)、[Thr27,Asn34]PPY(25-36)、[Thr27,Lys35]PPY(25-36)、[Thr27,Thr36]PPY(25-36)、[Thr27,Phe36]PPY(25-36)、[Phe27,Ile28]PPY(25-36)、[Phe27,Val28]PPY(25-36)、[Phe27,Gln29]PPY(25-36)、[Phe27,Ile30]PPY(25-36)、[Phe27,Val30]PPY(25-36)、[Phe27,Ile31]PPY(25-36)、[Phe27,Leu31]PPY(25-36)、[Phe27,Ser32]PPY(25-36)、[Phe27,Lys33]PPY(25-36)、[Phe27,Asn34]PPY(25-36)、[Phe27,Lys35]PPY(25-36)、[Phe27,Thr36]PPY(25-36)、[Phe27,Phe36]PPY(25-36)、[Gln29,Ile30]PYY(25-36)、[Gln29,Val30]PYY(25-36)、[Gln29,Ile31]PYY(25-36)、[Gln29,Leu31]PYY(25-36)、[Gln29,Ser32]PYY(25-36)、[Gln29,Leu33]PYY(25-36)、[Gln29,Asn34]PYY(25-36)、[Gln29,Leu33]PYY(25-36)、[Gln29,Thr36]PYY(25-36)、[Gln29,Phe30]PYY(25-36)、[Ile30,Ile31]PYY(25-36)、[Ile30,Leu31]PYY(25-36)、[Ile30,Ser32]PYY(25-36)、[Ile30,Lys33]PYY(25-36)、[Ile30,Asn34]PYY(25-36)、[Ile30,Lys33]PYY(25-36)、[Ile30,Thr30]PYY(25-36)、[Ile30,Phe30]PYY(25-36)、[Val30,Ile31]PYY(25-36)、[Val30,Leu31]PYY(25-36)、[Val30,Ser32]PYY(25-36)、[Val30,Lys33]PYY(25-36)、[Val30,Asn34]PYY(25-36)、[Val30,Lys35]PYY(25-36)、[Val30,Thr30]PYY(25-36)、[Val30,Phe30]PYY(25-36)、[Ile31,Ser32]PYY(25-36)、[Ile31,Lys33]PYY(25-36)、[Ile31,Asn34]PYY(25-36)、[Ile31,Lys33]PYY(25-36)、[Ile31,Thr30]PYY(25-36)、[Leu31,Phe30]PYY(25-36)、[Leu31,Ser32]PYY(25-36)、[Val31,Lys33]PYY(25-36)、[Leu31,Asn34]PYY(25-36)、[Leu31,Lys33]PYY(25-36)、[Leu31,Thr30]PYY(25-36)、[Leu31,Phe30]PYY(25-36)、[Ser32,Lys33]PYY(25-36)、[Ser32,Asn34]PYY(25-36)、[Ser32,Lys35]PYY(25-36)、[Ser32,Thr36]PYY(25-36)、[Ser32,Phe36]PYY(25-36)、[Lys33,Asn34]PYY(25-36)、[Lys33,Lys35]PYY(25-36)、[Lys33,Thr36]PYY(25-36)、[Lys33,Phe36]PYY(25-36)、[Asn34,Lys35]PYY(25-36)、[Asn34,Thr36]PYY(25-36)、[Asn34,Phe36]PYY(25-36)、[Lys35,Thr36]PYY(25-36)、または[Lys35,Phe36]PYY(25-36)を有する断片であり得る。
【0054】
いくつかの実施形態では、代謝ホルモンは、レプチン、またはその類似体、バリアント、もしくは生物学的に活性な断片である。いくつかの実施形態では、レプチン、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片は、配列番号6に対して少なくとも70%(例えば、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、または100%)の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、レプチンは、配列番号6に記載のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、レプチンの類似体は、組換え類似体メトレレプチン(MYALEPT(登録商標))であり、配列番号9に記載の配列を有するポリペプチドを含み、アミノ酸残基97及び147を連結するジスルフィド架橋を含む。いくつかの実施形態では、レプチンの類似体は、例えば、Peters et al.Endocrinol.148:2878-2885,2007(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されるようにマウスレプチン類似体である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、約100ng~約10mgの用量のレプチン、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、約1μg~約1mgの用量のレプチン、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、約25μg~約250μgの用量(例えば、約25μg、50μg、75μg、100μg、125μg、150μg、175μg、200μg、225μg、または250μgの用量)のレプチン、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片を含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、代謝ホルモンは、アミリン、またはその類似体(例えば、プラムリンタイド(SYMLIN(登録商標)))、バリアント、もしくは生物学的に活性な断片である。いくつかの実施形態では、アミリン、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片は、配列番号7に対して少なくとも70%(例えば、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、または100%)の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、アミリンは、配列番号7に記載のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、アミリンの類似体はプラムリンタイド(SYMLIN(登録商標))であり、これは配列番号8に記載の配列を有するポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、約100ng~約10mgの用量のアミリン、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、約1μg~約1mgの用量のアミリン、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、約25μg~約250μgの用量(例えば、約25μg、50μg、75μg、100μg、125μg、150μg、175μg、200μg、225μg、または250μgの用量)のアミリン、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片を含む。
【0056】
いくつかの実施形態では、代謝ホルモンは、GLP-1、またはその類似体、バリアント、もしくは生物学的に活性な断片である。いくつかの実施形態では、GLP-1、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片は、配列番号3に対して少なくとも70%(例えば、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、または100%)の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、GLP-1は、配列番号3に記載のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、GLP-1断片は、GLP-1(7-36)、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片である。いくつかの実施形態では、GLP-1(7-36)、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片は、配列番号4に対して少なくとも70%(例えば、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、または100%)の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、GLP-1(7-36)は、配列番号4に記載のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、GLP-1断片は、GLP-1(7-37)、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片である。いくつかの実施形態では、GLP-1(7-37)、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片は、配列番号5に対して少なくとも70%(例えば、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、または100%)の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、GLP-1(7-37)は、配列番号5に記載のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、約100ng~約10mgの用量のGLP-1、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、約1μg~約1mgの用量のGLP-1、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、約25μg~約250μgの用量(例えば、約25μg、50μg、75μg、100μg、125μg、150μg、175μg、200μg、225μg、または250μgの用量)のGLP-1、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片を含む。
【0057】
いくつかの実施形態では、代謝ホルモンは、カルシトニン、またはその類似体、バリアント、もしくは生物学的に活性な断片である。いくつかの実施形態では、カルシトニン、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片は、配列番号10に対して少なくとも70%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、または100%)の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、カルシトニンは、配列番号10に記載のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、約100ng~約10mgの用量のカルシトニン、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、約1μg~約1mgの用量のカルシトニン、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、約25μg~約250μgの用量(例えば、約25μg、50μg、75μg、100μg、125μg、150μg、175μg、200μg、225μg、または250μgの用量)のカルシトニン、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片を含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、代謝ホルモンは、インスリン、またはその類似体(例えば、インスリンアスパルト(NOVOLOG(登録商標))、インスリングラルギン(LANTUS(登録商標))、インスリンリスプロ(LYUMJEV(商標))、インスリングルリジン(APIDRA(登録商標))、またはインスリンデテミル(LEVEMIR(登録商標))、インスリンデグルデク(TRESIBA(登録商標))、NPHインスリン(HUMULIN(登録商標)NまたはNOVOLIN(登録商標)N)、バリアント、もしくは生物学的に活性な断片である。いくつかの実施形態では、インスリン、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片は、配列番号12に対して少なくとも70%(例えば、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、または100%)の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、インスリンは、配列番号12に記載のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、インスリンの類似体はインスリンアスパルト(NOVOLOG(登録商標))であり、配列番号13に記載の配列を有するA鎖と配列番号14に記載の配列を有するB鎖とを有する。いくつかの実施形態では、インスリンの類似体はインスリングラルギン(LANTUS(登録商標))であり、配列番号15に記載の配列を有するA鎖と、配列番号16に記載の配列を有するB鎖とを有する。いくつかの実施形態では、インスリンの類似体はインスリンリスプロ(LYUMJEV(商標))であり、配列番号17に記載の配列を有するA鎖と、配列番号18に記載の配列を有するB鎖とを有する。いくつかの実施形態では、インスリンの類似体はインスリングルリジン(APIDRA(登録商標))であり、配列番号19に記載の配列を有するA鎖と、配列番号20に記載の配列を有するB鎖とを有する。いくつかの実施形態では、インスリンの類似体はインスリンデテミル(LEVEMIR(登録商標))であり、配列番号21に記載の配列を有するA鎖と、配列番号22に記載の配列を有するB鎖とを有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、約2.5μg~約2.5mgの用量でのインスリン、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片の局所的舌側(例えば、舌側上皮に対して局所的)投与を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、約10μg~約1mgの用量でのインスリン、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片の局所的舌投与を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、約25μg~約250μgの用量(例えば、約25μg、50μg、75μg、100μg、125μg、150μg、175μg、200μg、225μg、または250μgの用量)でのインスリン、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片の局所的舌投与を含む。
【0059】
医薬組成物及び投与経路
本明細書に記載の代謝ホルモン、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片は、in vivoでの投与に好適な生物学的に適合性のある形態で、ヒト対象に投与するための医薬組成物として製剤化することができる。
【0060】
本明細書に記載の組成物は、当業者により理解されるように、選択された投与経路に応じて様々な形態で対象(例えば、ヒト)に投与され得る。本明細書に記載の組成物は、例えば、対象の血液中の代謝ホルモンの濃度を実質的に変化させることなく組成物(例えば、代謝ホルモン)を標的受容体に到達させる任意の経路によって投与され得る。組成物は、例えば、局所的舌側(例えば、舌側上皮に対して局所的に)、経鼻、直腸内、または局所的GI経路によって投与され得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、口腔への送達のために製剤化される(例えば、口腔内、口腔粘膜、経粘膜、局所的舌側、うがい薬、洗口剤、歯肉液剤、口腔粘膜液剤及び口腔粘膜懸濁剤、半固形口腔粘膜製剤(例えば、歯肉ゲル剤、歯肉ペースト剤、口腔粘膜ゲル剤、口腔粘膜ペースト剤を含む)、口腔粘膜ドロップ、口腔粘膜スプレー及び舌下スプレー(口腔咽頭スプレーを含む)、乾燥粉末スプレー、ロゼンジ剤及びパスティル、圧縮ロゼンジ剤、舌下錠及びバッカル錠、口腔粘膜カプセル、粘膜付着性製剤)。例えば、Oromucosal Preparations,(Ph Eur monograph 1807)を参照のこと。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の代謝ホルモンは、口腔内(例えば、舌上)で発現されるY2受容体に結合するように適合される。
【0062】
いくつかの実施形態では、代謝ホルモンは、ロゼンジ剤、フィルム、スプレー、または経口溶解錠(ODT)として製剤化される。いくつかの実施形態では、代謝ホルモンは、対象の舌で急速に溶解する製剤を使用してODTとして製剤化される。例えば、製剤は、約1%~6%w/v(例えば、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、または約6%)の濃度で部分的に加水分解されたゼラチン、マンニトール、加水分解デキストラン、アルギン酸塩、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アカシア、アスパルテーム、メチルパラベンナトリウム、プロピルパラベンナトリウム、フェニルアラニン、水、またはそれらの組み合わせを有し得る。いくつかの実施形態では、ODTは、米国特許第4,305,502号、同第4,371,516号、及び同第5,738,875号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されるようにZYDIS(登録商標)製剤を使用して製剤化される。
【0063】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、経鼻送達のために製剤化される。経鼻組成物は、例えば、スプレー、半固体、微粒子として、または脂質ベースの担体中に製剤化され得る。製剤は、例えば、液剤、懸濁剤、粉末剤、またはゲル剤であり得る。好適な経鼻製剤は、例えば、Marx et al.Drug Discov Dev 299-320,2015(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。いくつかの好ましい実施形態では、本明細書に記載の組成物は吸入により、例えば経鼻吸入により投与される。本明細書に記載の吸入可能な組成物は、液体剤形、または乾燥粉末剤形として提供することができる。乾燥粉末組成物は、例えば、そのままで、または、ビヒクル、例えば、生理食塩水(例えば、等張食塩水)、リン酸緩衝生理食塩水、または水で再構成した後で、吸入により投与することができる。いくつかの実施形態では、経鼻製剤はインスリンを含まない。
【0064】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、GI管への局所投与のために製剤化される。局所組成物は、例えば、GIパッチとして製剤化され得る。好適なGIパッチ製剤は、例えば、Tao,et al Drug discovery Today 10:909-915,2005(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0065】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、直腸内送達のために製剤化される。直腸内組成物は、例えば、坐薬、浣腸剤、軟膏、または注腸フォームとして製剤化され得る。好適な直腸内製剤は、例えば、Hua Front. Pharmacol.10:1196,2019(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。直腸内投与用組成物は、ココアバターなどの従来の坐薬基剤を含有する坐薬の形態であり得る。
【0066】
本明細書に記載の組成物の溶液は、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤と適切に混合された水中で調製され得る。分散液は、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、DMSO、及びアルコールを含むまたは含まないそれらの混合物、及び油中でも調製され得る。これらの製剤は、通常の保存条件及び使用条件下で、微生物の増殖を防止するための保存剤を含有してもよい。好適な製剤を選択及び調製するための従来の手順及び成分は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences(2012,22nd ed.)、及び、2018年に発行されたThe United States Pharmacopeia:The National Formulary(USP 41 NF 36)に記載されている。本明細書に記載の組成物は、本明細書に記載されるように、動物、例えば、ヒトに、単独で、または薬学的に許容される担体と組み合わせて投与され得、その割合は、組成物の溶解性及び化学的性質、選択された投与経路、及び標準的な医薬慣行によって決定される。
【0067】
いくつかの実施形態では、組成物は、代謝ホルモン、例えば、PYY(3-36)が粘膜(例えば、口腔粘膜、鼻粘膜、GI粘膜、または直腸粘膜)と接触する時間を増加させる賦形剤を含む。賦形剤は、粘性増強、カプセル化、及び制御放出を提供し得る。理論に束縛されるものではないが、医薬製剤と粘膜の接触時間が増加すると、代謝ホルモンのその受容体への結合が増加すると考えられる。粘性増強に好適な賦形剤としては、レオロジー調整剤が挙げられ、これはまた、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸、ポリビニルピロリドン、及びカルボキシメチルセルロースナトリウムなどの粘膜付着剤であってもよい。粘膜での代謝ホルモンの放出調節に好適な賦形剤としては、粘膜付着性透過促進剤、例えば、23-ラウリルエーテル、アプロチニン、アゾン、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、シクロデキストリン、硫酸デキストラン、及びラウリン酸が挙げられる。本明細書に記載の組成物に使用される他の好適な粘膜付着性ポリマーとしては、アガロース、キトサン、ゼラチン、ヒアルロン酸、ガム(例えば、グアー、ハケア、キサンタン、ジェラン、カラギーナン、ペクチン、及びアルギン酸ナトリウム)、セルロース誘導体(例えば、CMC、チオール化CMC、CMCナトリウム、HEC、HPMC、MC、メチルヒドロキシルエチルセルロース)、ポリ(アクリル酸)系ポリマー(例えば、CP、PC、PAA、ポリアクリレート、ポリ(メチルビニルエーテル-co-メタクリル酸)、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(アルキルシアノアクリレート)、ポリ(イソヘキシルシアノアクリレート)、ポリ(イソブチルシアノアクリレート)、アクリル酸とPEGのコポリマー、ポリ(N-2-ヒドロキシプロピルメタクリルアミド)、PHPMAm、ポリオキシエチレン、PVA、PVP、及び他のチオール化ポリマー;スクレログルカン、PVA、ステロイド洗浄剤、非イオン性界面活性剤、ラウレス-9、フシジン酸ナトリウム、包含されるラウリルナトリウム(included sodium lauryl)、ラウリン酸ナトリウム(例えば、pH8.9)、パルミトイルカルニチン、ラウリン酸/プロピレングリコールビヒクル、Brij 78、デオキシコール酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、レシチン、及びPVPが挙げられる。例えば、International Journal of Pharmaceutics,Volume 53,Issue 3,1 August 1989,Pages 227-235を参照のこと。
【0068】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、唾液中の代謝ホルモンの滞留時間(例えば、ペプチドの有意な分解を伴わずに唾液中に代謝ホルモンが留まる時間)を増加させる賦形剤を含む。理論に束縛されるものではないが、唾液中の代謝ホルモンの滞留時間を増加させると、代謝ホルモンが舌上のその受容体に結合する機会が増加すると考えられる。唾液中の滞留時間は、例えば、嚥下を通じて代謝ホルモンへの全身曝露が増加しないように任意に調節することができる。
【0069】
本明細書に記載の代謝ホルモンを含む組成物は、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤、例えば、プロピレングリコール、ソルビン酸カリウム、L-アルギニン、エデト酸二ナトリウム、リン酸一ナトリウム、及びポリソルベート20を含み得る。いくつかの実施形態では、プロピレングリコールは約100mg/mlの濃度で存在し、L-アルギニンは約25mg/mlの濃度で存在し、ソルビン酸カリウムは約2mg/mlの濃度で存在し、エデト酸二ナトリウムは約1.2mg/mlの濃度で存在し、リン酸ナトリウム一塩基二水和物は約7.8mg/mlの濃度で存在し、ポリソルベートは約5mg/mlの濃度で存在する。さらに、本明細書に記載の組成物は、プロピレングリコールなどの共溶媒安定剤または他の好適な共溶媒安定剤(例えば、PEG200及び400などの低分子量ポリエチレングリコール(PEG)、グリセリン、及びエタノールを含むことができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、L-アルギニンなどのアミノ酸安定剤または他の好適なアミノ酸安定剤(例えば、アラニン、アスパラギン酸、グリシン、リジン、プロリン、またはメチオニン)を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、ソルビン酸カリウムなどの防腐剤または他の好適な防腐剤(例えば、アスコルビン酸、ベンジルアルコール、安息香酸、クエン酸、クロロブタノール、m-クレゾール、グルタチオン、メチオニン、メチルパラベン、プロピルパラベン、亜硫酸ナトリウム、パラヒドロキシ安息香酸エステル(ヒドロキシ安息香酸メチル及びヒドロキシ安息香酸プロピル)、ホウ酸及びホウ酸塩、ソルビン酸及びカリウムを除く他のソルビン酸塩、ならびにフェノール類)を含むことができる。本明細書に記載の組成物は、酸化防止剤、例えばエデト酸二ナトリウムまたは別の好適な酸化防止剤(例えば、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、ブチルヒドロキシアニソール、及びブチルヒドロキシトルエン)を含むことができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、緩衝液(例えば、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩、クエン酸塩-リン酸塩、グリシン、HEPES、ヒスチジン、マレイン酸塩、リン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、及びトリエタノールアミン(Tris))を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、界面活性剤、例えば、ポリソルベート20または他の好適な界面活性剤(例えば、ポロキサマー188/407、ポリソルベート40もしくは80、またはラウリル硫酸ナトリウム)を含むことができる。
【0070】
いくつかの実施形態では、賦形剤は、組成物の摂取に対するコンプライアンスを高めるための香味剤を含む。例えば、香味剤は、苦味または他の望ましくない風味特性をマスクするために、または組成物の投与前もしくは投与後に摂取され得る食品の風味と組成物を適合させるために使用することができる。適合する香味剤としては、例えば、リンゴ、バナナ、バブルガム、チェリー、チョコレート、ブドウ、レモン、マンゴー、オレンジ、ラズベリー、イチゴ、バニラ、スイカ、ミント、または上記の香味剤の組み合わせが挙げられる。別の態様では、これらの香味剤は、色素無添加、無糖、低アレルギー性、グルテンフリー、及びカゼインフリーである。
【0071】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、単位用量形態で、または患者の質量もしくは重量あたりの用量として、0.01ng/kg~250μg/kg(例えば、体重75kgのヒトの場合)投与され得る。例えば、代謝ホルモンの用量は、0.01ng/kg~0.1ng/kg、例えば、0.01ng/kg、0.02ng/kg、0.03ng/kg、0.04ng/kg、0.05ng/kg、0.06ng/kg、0.07ng/kg、0.08ng/kg、0.09ng/kg、もしくは0.1ng/kg、例えば、0.1ng/kg~1ng/kg、例えば、0.1ng/kg、0.2ng/kg、0.3ng/kg、0.4ng/kg、0.5ng/kg、0.6ng/kg、0.7ng/kg、0.8ng/kg、0.9ng/kg、もしくは1ng/kg、例えば、1ng/kg~10ng/kg、例えば、1ng/kg、2ng/kg、3ng/kg、4ng/kg、5ng/kg、6ng/kg、7ng/kg、8ng/kg、9ng/kg、もしくは10ng/kg、例えば、10ng/kg~100ng/kg、例えば、10ng/kg、20ng/kg、30ng/kg、40ng/kg、50ng/kg、60μg/kg、70ng/kg、80ng/kg、90ng/kg、もしくは100ng/kg、例えば、100ng/kg~1μg/kg、例えば、100ng/kg、200ng/kg、300ng/kg、400ng/kg、500ng/kg、600ng/kg、700ng/kg、800ng/kg、900ng/kg、もしくは1μg/kg、例えば、1μg/kg~10μg/kg、例えば、1μg/kg、2μg/kg、3μg/kg、4μg/kg、5μg/kg、6μg/kg、7μg/kg、8μg/kg、9μg/kg、もしくは10μg/kg、または例えば、10μg/kg~250μg/kg、例えば、10μg/kg、20μg/kg、30μg/kg、40μg/kg、50μg/kg、60μg/kg、70μg/kg、80μg/kg、90ng/kg、100μg/kg、110μg/kg、120μg/kg、130μg/kg、140μg/kg、150μg/kg、160μg/kg、170μg/kg、180μg/kg、190μg/kg、200μg/kg、210μg/kg、220μg/kg、230μg/kg、240μg/kg、もしくは250μg/kgであり得る。
【0072】
一般に、医薬組成物、または医薬組成物中の活性物質(例えば、代謝ホルモン、例えば、PYY(例えば、PYY(3-36))、GLP-1、レプチン、アミリン、インスリン、もしくはカルシトニン、またはその類似体、バリアント、もしくは生物学的に活性な断片)の用量は、体重kgあたり約10ng~約200μgの範囲、例えば、体重kgあたり約100ng~約10μgの範囲、または例えば、体重kgあたり約100ng~約2.5μgの範囲、例えば、体重kgあたり約100ng、200ng、300ng、400ng、500ng、600ng、700ng、800ng、900ng、1μg、2μg、または2.5μgの用量(例えば、体重75kgのヒトの場合)であり得る。
【0073】
さらに、活性物質の類似体、バリアント、または生物学的に活性な断片の用量は、活性物質のモル当量として投与され得ることが理解される。当業者であれば、例えば、翻訳後修飾または半減期延長部分を含む代謝ホルモン類似体は、翻訳後修飾または半減期延長部分を含まない対応する代謝ホルモンの用量よりも増加した(例えば、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、またはそれ以上)用量を必要とし得ることを理解するであろう。
【0074】
医薬組成物は、単位日あたりの患者の質量または重量あたり用量として投与することもできる(例えば、0.01ng/kg/日~250μg/kg/日)。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、10ng/kg/日~200μg/kg/日(例えば、50ng/kg/日~100μg/kg/日、100ng/kg/日~50μg/kg/日、500ng/kg/日~1μg/kg/日)の用量で投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、100ng/kg/日~10μg/kg/日(例えば、100ng/kg/日、110ng/kg/日、120ng/kg/日、130ng/kg/日、140ng/kg/日、150ng/kg/日、160ng/kg/日、170ng/kg/日、180ng/kg/日、190ng/kg/日、200ng/kg/日、210ng/kg/日、220ng/kg/日、230ng/kg/日、240ng/kg/日、250ng/kg/日、260ng/kg/日、270ng/kg/日、280ng/kg/日、290ng/kg/日、300ng/kg/日、310ng/kg/日、320ng/kg/日、330ng/kg/日、340ng/kg/日、350ng/kg/日、360ng/kg/日、370ng/kg/日、380ng/kg/日、390ng/kg/日、400ng/kg/日、410ng/kg/日、420ng/kg/日、430ng/kg/日、440ng/kg/日、450ng/kg/日、460ng/kg/日、470ng/kg/日、480ng/kg/日、490ng/kg/日、500ng/kg/日、510ng/kg/日、520ng/kg/日、530ng/kg/日、540ng/kg/日、550ng/kg/日、560ng/kg/日、570ng/kg/日、580ng/kg/日、590ng/kg/日、600ng/kg/日、610ng/kg/日、620ng/kg/日、630ng/kg/日、640ng/kg/日、650ng/kg/日、660ng/kg/日、670ng/kg/日、680ng/kg/日、690ng/kg/日、700ng/kg/日、710ng/kg/日、720ng/kg/日、730ng/kg/日、740ng/kg/日、750ng/kg/日、760ng/kg/日、770ng/kg/日、780ng/kg/日、790ng/kg/日、800ng/kg/日、810ng/kg/日、820ng/kg/日、830ng/kg/日、840ng/kg/日、850ng/kg/日、860ng/kg/日、870ng/kg/日、880ng/kg/日、890ng/kg/日、900ng/kg/日、910ng/kg/日、920ng/kg/日、930ng/kg/日、940ng/kg/日、950ng/kg/日、960ng/kg/日、970ng/kg/日、980ng/kg/日、990ng/kg/日、1μg/kg/日、2μg/kg/日、3μg/kg/日、4μg/kg/日、5μg/kg/日、6μg/kg/日、7μg/kg/日、8μg/kg/日、9μg/kg/日、または10μg/kg/日)の用量で投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約100ng/kg/日~約2.5μg/kg/日(例えば、100ng/kg/日、110ng/kg/日、120ng/kg/日、130ng/kg/日、140ng/kg/日、150ng/kg/日、160ng/kg/日、170ng/kg/日、180ng/kg/日、190ng/kg/日、200ng/kg/日、210ng/kg/日、220ng/kg/日、230ng/kg/日、240ng/kg/日、250ng/kg/日、260ng/kg/日、270ng/kg/日、280ng/kg/日、290ng/kg/日、300ng/kg/日、310ng/kg/日、320ng/kg/日、330ng/kg/日、340ng/kg/日、350ng/kg/日、360ng/kg/日、370ng/kg/日、380ng/kg/日、390ng/kg/日、400ng/kg/日、410ng/kg/日、420ng/kg/日、430ng/kg/日、440ng/kg/日、450ng/kg/日、460ng/kg/日、470ng/kg/日、480ng/kg/日、490ng/kg/日、500ng/kg/日、510ng/kg/日、520ng/kg/日、530ng/kg/日、540ng/kg/日、550ng/kg/日、560ng/kg/日、570ng/kg/日、580ng/kg/日、590ng/kg/日、600ng/kg/日、610ng/kg/日、620ng/kg/日、630ng/kg/日、640ng/kg/日、650ng/kg/日、660ng/kg/日、670ng/kg/日、680ng/kg/日、690ng/kg/日、700ng/kg/日、710ng/kg/日、720ng/kg/日、730ng/kg/日、740ng/kg/日、750ng/kg/日、760ng/kg/日、770ng/kg/日、780ng/kg/日、790ng/kg/日、800ng/kg/日、810ng/kg/日、820ng/kg/日、830ng/kg/日、840ng/kg/日、850ng/kg/日、860ng/kg/日、870ng/kg/日、880ng/kg/日、890ng/kg/日、900ng/kg/日、910ng/kg/日、920ng/kg/日、930ng/kg/日、940ng/kg/日、950ng/kg/日、960ng/kg/日、970ng/kg/日、980ng/kg/日、990ng/kg/日、1μg/kg/日、1.1μg/kg/日、1.2μg/kg/日、1.3μg/kg/日、1.4μg/kg/日、1.5μg/kg/日、1.6μg/kg/日、1.7μg/kg/日、1.8μg/kg/日、1.9μg/kg/日、2μg/kg/日、2.1μg/kg/日、2.2μg/kg/日、2.3μg/kg/日、2.4μg/kg/日、または2.5μg/kg/日)の用量で投与される。
【0075】
本明細書に記載の組成物(例えば、代謝ホルモンを含む組成物)の用量は、代謝ホルモンの薬力学的特性、投与様式、治療対象の年齢、健康状態、及び体重、症状の性質及び程度、治療頻度、及び同時治療の種類(存在する場合)、ならびに、治療される動物における組成物のクリアランス率などの多くの因子に応じて左右される可能性がある。本明細書に記載の組成物は、臨床応答に応じて、必要に応じて調節され得る好適な用量で最初に投与され得る。いくつかの実施形態では、組成物(例えば、代謝ホルモンを含む組成物)の用量は、予防的にまたは治療的に有効な量である。さらに、すべての用量は、連続して与えてもよく、または所与の時間枠ごとに与えられる用量に分割してもよいことが理解される。組成物は、例えば、時間ごと、日ごと、週ごと、月ごと、または年ごとに投与することができる。いくつかの実施形態では、組成物は連続して投与され得る。例えば、直腸製剤またはGIパッチは、持続的な時間にわたって(例えば、少なくとも1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、12時間、24時間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、2週間、3週間、4週間、2ヶ月、3ヶ月、またはそれ以上)対象に存在し得る。
【0076】
本明細書に記載の医薬組成物(例えば、代謝ホルモンを含む)は、医薬組成物(例えば、容器中)及びその使用説明書を含むキットで提供することができる。キットは1つ以上の容器を含むことができ、各容器には本発明の異なる組成物が含まれる。キットに封入されている説明書は、本明細書に記載の方法の実施を使用者に指示するために使用することができる。
【0077】
本明細書に記載の方法は、代謝ホルモン(例えば、PYY、PYY(3-36)、レプチン、アミリン、インスリン、GLP-1、またはその類似体、バリアント、もしくは生物学的に活性な断片を、対象の口(例えば、舌、唾液腺、舌側及び/または舌下上皮、または粘膜)、直腸、鼻腔、またはGI管に局所的に投与することを含み、該局所投与は、対象の血液及び/または血漿中の代謝ホルモンのレベルに実質的な変化をもたらさない。一般に、対象の血液及び/または血漿中の代謝ホルモンレベルは、代謝ホルモンの投与前レベルの最大10%(例えば、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、またはそれ未満)を超えて増加しない。例えば、本明細書に記載の任意の用量で対象に局所的舌側(例えば、舌上皮に局所的)投与されたPYYは、最大でPYYの内因性レベルの10分の1のピークレベルに達し、その後実質的に減少し得る。いくつかの実施形態では、PYY(3-36)の血液及び/または血漿レベルは、Batterham et al,Cell Metabolism,4:223-233,2006(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に報告されているように、PYY(3-36)の局所的舌投与後、約15pmol/l~約25pmol/lの食前レベルを実質的に上回らない。いくつかの実施形態では、レプチンの血液及び/または血漿レベルは、Considine et al,N.Engl.J.Med.334:292-295,1996(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に報告されているように、レプチンの局所的舌側(例えば、舌上皮に局所的)投与後、約5ng/ml~約35ng/mlの食前レベルを実質的に上回らない。いくつかの実施形態では、アミリンの血液及び/または血漿レベルは、Cooper et al,Hypertension,26:460-464,1995(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に報告されているように、アミリンの局所的舌側(例えば、舌上皮に局所的)投与後、約20pmol/lの食前レベルを実質的に上回らない。
【0078】
配列
PYY
配列番号1
MVFVRRPWPALTTVLLALLVCLGALVDAYPIKPEAPREDASPEELNRYYASLRHYLNLVTRQRYGKRDGPDTLLSKTFFPDGEDRPVRSRSEGPDLW

PYY(3-36)
配列番号2
IKPEAPGEDASPEELNRYYASLRHYLNLVTRQRY

GLP-1
配列番号3
MKSIYFVAGLFVMLVQGSWQRSLQDTEEKSRSFSASQADPLSDPDQMNEDKRHSQGTFTSDYSKYLDSRRAQDFVQWLMNTKRNRNNIAKRHDEFERHAEGTFTSDVSSYLEGQAAKEFIAWLVKGRGRRDFPEEVAIVEELGRRHADGSFSDEMNTILDNLAARDFINWLIQTKITDRK

GLP-1(7-36)
配列番号4
HAEGTFTSDVSSYLEGQAAKEFIAWLVKGR

GLP-1(7-37)
配列番号5
HAEGTFTSDVSSYLEGQAAKEFIAWLVKGRG

レプチン
配列番号6
MHWGTLCGFLWLWPYLFYVQAVPIQKVQDDTKTLIKTIVTRINDISHTQSVSSKQKVTGLDFIPGLHPILTLSKMDQTLAVYQQILTSMPSRNVIQISNDLENLRDLLHVLAFSKSCHLPWASGLETLDSLGGVLEASGYSTEVVALSRLQGSLQDMLWQLDLSPGC

アミリン
配列番号7
MGILKLQVFLIVLSVALNHLKATPIESHQVEKRKCNTATCATQRLANFLVHSSNNFGAILSSTNVGSNTYGKRNAVEVLKREPLNYLPL

プラムリンタイド
配列番号8
KCNTATCATQRLANFLVHSSNNFGPILPPTNVGSNTY

メトレレプチン
配列番号9
MVPIQKVQDDTKTLIKTIVTRINDISHTQSVSSKQKVTGLDFIPGLHPILTLSKMDQTLAVYQQILTSMPSRNVIQISNDLENLRDLLHVLAFSKSCHLPWASGLETLDSLGGVLEASGYSTEVVALSRLQGSLQDMLWQLDLSPGC
(ジスルフィド架橋:97-147)

カルシトニン
配列番号10
CGNLSTCMLGTYTQDFNKFHTFPQTAIGVGAP

[Pro34]PYY
配列番号11
YPIKPEAPGEDASPEELNRYYASLRHYLNLVTRPRY

インスリン
配列番号12
MALWMRLLPLLALLALWGPDPAAAFVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPKTRREAEDLQVGQVELGGGPGAGSLQPLALEGSLQKRGIVEQCCTSICSLYQLENYCN

インスリンアスパルト
A鎖
配列番号13
GIVEQCCTSICSLYQLENYCN

インスリンアスパルト
B鎖
配列番号14
FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTDKT

インスリングラルギン
A鎖
配列番号15
GIVEQCCTSICSLYQLENYCG

インスリングラルギン
B鎖
配列番号16
FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPKTRR

インスリンリスプロ
A鎖
配列番号17
GIVEQCCTSICSLYQLENYCN

インスリンリスプロ
B鎖
配列番号18
FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTKPT

インスリングルリジン
A鎖
配列番号19
GIVEQCCTSICSLYQLENYCN

インスリングルリジン
B鎖
配列番号20
FVKQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPET

インスリンデテミル
A鎖
配列番号21
GIVEQCCTSICSLYQLENYCN

インスリンデテミル
B鎖
配列番号22
FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPK
【0079】
他の実施形態
本発明はその特定の実施形態と共に記載されているが、本発明は、さらなる修正が可能であり、かつ、本出願が、一般に、本発明の原理に従った、本発明のあらゆる変化、使用、または適応をカバーし、本発明が関係する当技術で知られるようになる、または、習慣的に実践される、本発明からの逸脱を含むことが意図され、上記で説明した本質的な特徴に適用可能であり、特許請求の範囲に従うことが理解されよう。他の実施形態は、特許請求の範囲内である。
【配列表】
2024527578000001.xml
【国際調査報告】