(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-25
(54)【発明の名称】抗IL12/IL23抗体組成物を生産するための製造方法
(51)【国際特許分類】
C07K 16/24 20060101AFI20240718BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240718BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20240718BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240718BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20240718BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240718BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20240718BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20240718BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20240718BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20240718BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20240718BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20240718BHJP
【FI】
C07K16/24
A61K39/395 U ZNA
A61K39/395 D
A61P17/06
A61P25/00
A61P19/02
A61P29/00 101
A61P1/04
A61P29/00
A61P37/06
A61P3/10
A61P27/02
C12P21/08
C12N15/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500473
(86)(22)【出願日】2022-07-08
(85)【翻訳文提出日】2024-03-08
(86)【国際出願番号】 IB2022056345
(87)【国際公開番号】W WO2023281466
(87)【国際公開日】2023-01-12
(32)【優先日】2021-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】509087759
【氏名又は名称】ヤンセン バイオテツク,インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100178685
【氏名又は名称】田浦 弘達
(72)【発明者】
【氏名】ドンロン,アン
(72)【発明者】
【氏名】ゴードン,ギャリー
(72)【発明者】
【氏名】グーヒー,チャールス エフ.
(72)【発明者】
【氏名】ヘイズ,ロナン
(72)【発明者】
【氏名】ジョンストン,ロビン
(72)【発明者】
【氏名】ステーンフォールデン,ウィレム
(72)【発明者】
【氏名】トゥーミー,デニス
【テーマコード(参考)】
4B064
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG27
4B064CA10
4B064CA19
4B064CC03
4B064CC06
4B064CC07
4B064CC10
4B064CC12
4B064CC24
4B064CD01
4B064CE11
4B064DA01
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB17
4C085CC01
4C085DD62
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA53
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
4H045GA23
(57)【要約】
本開示は、抗IL-12/IL-23p40抗体、例えば、抗IL-12/IL-23p40抗体ウステキヌマブ及び本抗体の特定の医薬組成物を生産するための製造方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)配列番号1、配列番号2、及び配列番号3の重鎖CDRアミノ酸配列と、(ii)配列番号4、配列番号5、及び配列番号6の軽鎖CDRアミノ酸配列と、を含む抗IL-12/23p40抗体であって、前記抗IL-12/IL-23p40抗体のオリゴ糖プロファイルが、64.8%以上~85.4%以下の総中性オリゴ糖種、14.4%以上~35.6%以下の総荷電オリゴ糖種、並びに個々の中性オリゴ糖種、11.5%以上~40.2%以下のG0F、29.9%以上~40.6%以下のG1F、及び4.1%以上~11.3%以下のG2Fを含み、前記抗IL-12/IL-23p40抗体が、前記抗IL-12/23p40抗体の前記オリゴ糖プロファイルを制御する製造方法によって生産され、前記製造方法が、10.0μg/リットル以上~35.0μg/リットル以下のMn
2+(マンガン)及び1.0μg/リットル以上~1.8μg/リットル以下のCu
2+(銅)からなる規定の微量金属マンガン及び銅濃度を含むように制御された既知組成培地中で真核細胞を培養することと、前記真核細胞中で前記抗IL-12/IL-23p40抗体を発現させることと、を含み、前記マンガン及び銅濃度が前記抗IL-12/23p40抗体の前記オリゴ糖プロファイルを制御するのに有効である、抗IL-12/23p40抗体。
【請求項2】
(i)配列番号7の重鎖可変ドメインアミノ酸配列と、(ii)配列番号8の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列と、を含む抗IL-12/23p40抗体であって、前記抗IL-12/IL-23p40抗体のオリゴ糖プロファイルが、64.8%以上~85.4%以下の総中性オリゴ糖種、14.4%以上~35.6%以下の総荷電オリゴ糖種、並びに個々の中性オリゴ糖種、11.5%以上~40.2%以下のG0F、29.9%以上~40.6%以下のG1F、及び4.1%以上~11.3%以下のG2Fを含み、前記抗IL-12/IL-23p40抗体が、前記抗IL-12/23p40抗体の前記オリゴ糖プロファイルを制御する製造方法によって生産され、前記製造方法が、10.0μg/リットル以上~35.0μg/リットル以下のMn
2+(マンガン)及び1.0μg/リットル以上~1.8μg/リットル以下のCu
2+(銅)からなる規定の微量金属マンガン及び銅濃度を含むように制御された既知組成培地中で真核細胞を培養することと、前記真核細胞中で前記抗IL-12/IL-23p40抗体を発現させることと、を含み、前記マンガン及び銅濃度が前記抗IL-12/23p40抗体の前記オリゴ糖プロファイルを制御するのに有効である、抗IL-12/23p40抗体。
【請求項3】
(i)配列番号10の重鎖アミノ酸配列と、(ii)配列番号11の軽鎖アミノ酸配列と、を含む抗IL-12/23p40抗体であって、前記抗IL-12/IL-23p40抗体のオリゴ糖プロファイルが、64.8%以上~85.4%以下の総中性オリゴ糖種、14.4%以上~35.6%以下の総荷電オリゴ糖種、並びに個々の中性オリゴ糖種、11.5%以上~40.2%以下のG0F、29.9%以上~40.6%以下のG1F、及び4.1%以上~11.3%以下のG2Fを含み、前記抗IL-12/IL-23p40抗体が、前記抗IL-12/23p40抗体の前記オリゴ糖プロファイルを制御する製造方法によって生産され、前記製造方法が、10.0μg/リットル以上~35.0μg/リットル以下のMn
2+(マンガン)及び1.0μg/リットル以上~1.8μg/リットル以下のCu
2+(銅)からなる規定の微量金属マンガン及び銅濃度を含むように制御された既知組成培地中で真核細胞を培養することと、前記真核細胞中で前記抗IL-12/IL-23p40抗体を発現させることと、を含み、前記マンガン及び銅濃度が前記抗IL-12/23p40抗体の前記オリゴ糖プロファイルを制御するのに有効である、抗IL-12/23p40抗体。
【請求項4】
前記抗IL-12/23p40抗体がバイオ後続品を含む、請求項1に記載の抗IL-12/23p40抗体。
【請求項5】
配列番号10のアミノ酸配列の重鎖と、配列番号11のアミノ酸配列の軽鎖と、を含む抗IL-12/IL-23p40抗体を含む原薬(DS)又は医薬品(DP)を生産するための製造方法であって、前記抗IL-12/IL-23p40抗体のオリゴ糖プロファイルが制御され、前記抗IL-12/23p40抗体の前記オリゴ糖プロファイルが、64.8%以上~85.4%以下の総中性オリゴ糖種、14.4%以上~35.6%以下の総荷電オリゴ糖種、並びに個々の中性オリゴ糖種、11.5%以上~40.2%以下のG0F、29.9%以上~40.6%以下のG1F、及び4.1%以上~11.3%以下のG2Fを含み、前記方法が、10.0μg/リットル以上~35.0μg/リットル以下のMn
2+(マンガン)及び1.0μg/リットル以上~1.8μg/リットル以下のCu
2+(銅)からなる規定の微量金属マンガン及び銅濃度を含むように制御された既知組成培地中で真核細胞を培養することと、前記真核細胞中で前記抗IL-12/IL-23p40抗体を発現させることと、を含み、前記マンガン及び銅濃度が前記抗IL-12/23p40抗体の前記オリゴ糖プロファイルを制御するのに有効である、製造方法。
【請求項6】
前記抗IL-12/IL-23p40抗体のキャピラリー等電点電気泳動(cIEF)電気泳動図のピーク3面積%が、39.8%以上~64.4%以下である、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記既知組成培地中の前記規定の微量金属マンガン及び銅濃度が、誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)を使用して決定される、請求項5に記載の製造方法。
【請求項8】
前記既知組成培地中の前記微量金属マンガン及び銅濃度が、前記既知組成培地に1つ又は2つ以上のマンガン源及び銅源を補充することによって制御され、前記1つ又は2つ以上のマンガン源が、MnCl
2、MnSO
4、MnF
2、及びMnI
2からなる群から選択され、前記1つ又は2つ以上の銅源が、CuSO
4、CuCl
2、及びCu(OAc)
2からなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記オリゴ糖種が、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)によって決定される、請求項5に記載の製造方法。
【請求項10】
前記真核細胞が、チャイニーズハムスター変動細胞(CHO細胞)、ヒト網膜細胞(PER.C6細胞)、並びにマウス骨髄腫細胞(NS0細胞及びSp2/0細胞)からなる群から選択される、請求項5に記載の製造方法。
【請求項11】
前記抗IL-12/23p40抗体がバイオ後続品を含む、請求項5に記載の製造方法。
【請求項12】
配列番号10のアミノ酸配列の重鎖と、配列番号11のアミノ酸配列の軽鎖と、を含む抗IL-12/IL-23p40抗体を含む組成物であって、前記抗IL-12/23p40抗体のオリゴ糖プロファイルが、64.8%以上~85.4%以下の総中性オリゴ糖種、14.4%以上~35.6%以下の総荷電オリゴ糖種、並びに個々の中性オリゴ糖種、11.5%以上~40.2%以下のG0F、29.9%以上~40.6%以下のG1F、及び4.1%以上~11.3%以下のG2Fを含み、前記抗IL-12/IL-23p40抗体が、前記抗IL-12/23p40抗体の前記オリゴ糖プロファイルを制御する製造方法によって生産され、前記製造方法が、10.0μg/リットル以上~35.0μg/リットル以下のMn
2+(マンガン)及び1.0μg/リットル以上~1.8μg/リットル以下のCu
2+(銅)からなる規定の微量金属マンガン及び銅濃度を含むように制御された既知組成培地中で真核細胞を培養することと、前記真核細胞中で前記抗IL-12/IL-23p40抗体を発現させることと、を含み、前記マンガン及び銅濃度が前記抗IL-12/23p40抗体の前記オリゴ糖プロファイルを制御するのに有効である、組成物。
【請求項13】
前記抗IL-12/IL-23p40抗体のキャピラリー等電点電気泳動(cIEF)電気泳動図のピーク3面積%が、39.8%以上~64.4%以下である、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記既知組成培地中の前記規定の微量金属マンガン及び銅濃度が、誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)を使用して決定される、請求項12に記載の組成物。
【請求項15】
前記既知組成培地中の前記規定の微量金属マンガン及び銅濃度が、前記既知組成培地に1つ又は2つ以上のマンガン源及び銅源を補充することによって制御され、前記1つ又は2つ以上のマンガン源が、MnCl
2、MnSO
4、MnF
2、及びMnI
2からなる群から選択され、前記1つ又は2つ以上の銅源が、CuSO
4、CuCl
2、及びCu(OAc)
2からなる群から選択される、請求項12に記載の組成物。
【請求項16】
前記オリゴ糖種が、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)によって決定される、請求項12に記載の組成物。
【請求項17】
前記真核細胞が、チャイニーズハムスター変動細胞(CHO細胞)、ヒト網膜細胞(PER.C6細胞)、並びにマウス骨髄腫細胞(NS0細胞及びSp2/0細胞)からなる群から選択される、請求項12に記載の組成物。
【請求項18】
前記抗IL-12/23p40抗体がバイオ後続品を含む、請求項12に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
(電子的に提出された配列表の参照)
本出願は、XML形式の配列表として電子的に提出され、ファイル名「JBI6005 Sequence Listing.xml」を有し、2022年6月29日に作成され、かつ12Kbのサイズを有する配列表を含む。提出された本配列表は、本明細書の一部であり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、抗IL-12/IL-23p40抗体、例えば、抗IL-12/IL-23p40抗体ウステキヌマブ及び本抗体の特定の医薬組成物を生産するための製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
インターロイキン(interleukin、IL)-12は、2つのジスルフィド結合グリコシル化タンパク質サブユニット(それらのおよその分子量に関してp35及びp40と表記される)で構成された分泌型ヘテロ二量体サイトカインである。IL-12は主に抗原提示細胞によって産生され、T細胞又はナチュラルキラー(natural killer、NK)細胞の表面上に発現される2鎖受容体複合体に結合することによって細胞性免疫を促進する。IL-12受容体ベータ-1(IL-12 receptor beta-1、IL-12Rβ1)鎖は、IL-12のp40サブユニットに結合し、IL-12とその受容体との間の一次相互作用をもたらす。しかしながら、細胞内シグナル伝達(例えば、STAT4リン酸化)及び受容体保有細胞の活性化を付与するのは、第2の受容体鎖であるIL-12Rβ2のIL-12p35ライゲーションである(Presky et al,1996)。抗原提示と同時に起こるIL-12シグナル伝達は、インターフェロンガンマ(IFNγ)産生を特徴とするTヘルパー1(T helper 1、Th1)表現型へのT細胞分化を引き起こすと考えられている(Trinchieri,2003)。Th1細胞は、いくつかの細胞内病原体に対する免疫を促進し、補結抗体アイソタイプを生成し、腫瘍免疫監視に寄与すると考えられる。それ故に、IL-12は、宿主防御免疫機構にとって重要な構成要素であると考えられる。
【0004】
IL-12のp40タンパク質サブユニットは、p19と表記される別個のタンパク質サブユニットと会合して、新規サイトカインであるIL-23を形成することもできることが発見された(Oppman et al,2000)。IL-23も2鎖受容体複合体を介してシグナル伝達する。p40サブユニットがIL-12とIL-23との間で共有されるため、IL-12Rβ1鎖もIL-12とIL-23との間で共有されることになる。しかしながら、IL-23特異的細胞内シグナル伝達(例えば、STAT3リン酸化)及びその後のT細胞によるIL-17産生を付与するのは、IL-23受容体複合体であるIL-23Rの第2の構成要素のIL-23p19ライゲーションである(Parham et al,2002、Aggarwal et al.2003)。最近の研究は、IL-23の生物学的機能とIL-12の生物学的機能が、これらの2つのサイトカイン間の構造的類似性にもかかわらず、異なることを示した(Langrish et al,2005)。
【0005】
抗体によるIL-12の中和が、乾癬、多発性硬化症(multiple sclerosis、MS)、関節リウマチ、炎症性腸疾患、インスリン依存性(1型)真性糖尿病、及びブドウ膜炎の動物モデルの処置において有効であるため、IL-12及びTh1細胞集団の異常な制御は、多くの免疫媒介性疾患に関連している(Leonard et al,1995、Hong et al,1999、Malfait et al,1998、Davidson et al,1998)。IL-12は、全身性エリテマトーデスの2つの独立したマウスモデルにおけるSLEの病因において重要な役割を果たすことも示されている(Kikawada et al.2003、Dai et al.2007)。
【0006】
全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus、SLE)は、ほぼあらゆる器官系に影響を及ぼし得る未知の病因の複雑な異種の慢性自己免疫疾患であり、漸増及び漸減疾患経過をたどる。全身性エリテマトーデスは、男性よりも女性においてはるかに頻繁に発症し、いくつかの研究では最大9倍より頻繁に発症し、15歳~45歳の妊娠可能年齢で現れることが多い。この疾患は、アフリカ系カリブ人、アジア系、及びヒスパニック系集団においてより多く見られる。SLEでは、免疫系は、身体の細胞及び組織を攻撃し、結果として、心臓、関節、皮膚、肺、血管、肝臓、腎臓、及び神経系を害し得る炎症並びに組織損傷をもたらす。SLEと診断された対象の約半数が器官を脅かす疾患を呈するが、器官関与を呈しない対象を診断するのに数年を要する場合がある。新たに診断されたループス患者の主な症状のうちのいくつかは、不整脈(62%)及び皮膚症状(新たな光過敏症;20%)であり、持続的な発熱及び倦怠感が続く39。ループスの推定年間発生率は、100,000人当たり1.8症例から7.6症例まで幅があり、世界中の罹患率は、100,000人当たり14~172症例の範囲である39。軽度疾患を有する患者は、主に皮膚発疹及び関節痛を有し、あまり積極的治療を必要とせず、レジメンとしては、非ステロイド性抗炎症薬(nonsteroidal anti-inflammatory drug、NSAID)、抗マラリア薬(例えば、ヒドロキシクロロキン、クロロキン、若しくはキナクリン)、及び/又は低用量コルチコステロイドが挙げられる。より重度の疾患を有する患者は、関与する器官系に応じて、潜在的な腎不全、心内膜炎、若しくは心筋炎を伴う可能性のあるループス腎炎、肺炎、妊娠合併症、脳卒中、神経学的合併症、血管炎、及び出血又は感染症の関連リスクを伴う血球減少症を含む様々な重篤な状態を経験し得る。より重度の疾患に対する一般的な治療としては、メトトレキサート(MTX)、アザチオプリン、シクロホスファミド、シクロスポリン、高用量コルチコステロイド、生物学的B細胞細胞傷害剤、又はB細胞調節因子、及び他の免疫調節剤が挙げられる。重篤なSLEを有する患者は、平均余命が10~30年短縮し、主に、疾患の、標準治療療法の、及び/又は加速性アテローム性動脈硬化症の合併症に起因する。加えて、SLEは、生活の質、仕事の生産性、及び医療費にかなりの影響を及ぼす。SLEの既存の療法は、一般に、細胞毒性又は免疫調節性のいずれかであり、顕著な安全性リスクを有し得る。SLEのためのより新たな治療は、標準治療療法をわずかに超える利益しか提供していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、高い安全性リスクを負うことなくこの疾患において有意な利益を提供することができる新たな代替の治療に対する大きな満たされていないニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
簡単にするために、参照により本明細書に組み込まれる、本明細書に添付の独立及び従属請求項によって、全般的及び好ましい実施形態がそれぞれ定義される。他の好ましい実施形態、特性、及び利点は、添付の図面と併せて、以下の発明を実施するための形態から明らかになるであろう。
【0009】
ある特定の実施形態では、本発明は、(i)配列番号1、配列番号2、及び配列番号3の重鎖CDRアミノ酸配列と、(ii)配列番号4、配列番号5、及び配列番号6の軽鎖CDRアミノ酸配列と、を含む抗IL-12/23p40抗体であって、当該抗IL-12/23p40抗体のオリゴ糖プロファイルが、64.8%以上~85.4%以下の総中性オリゴ糖種、14.4%以上~35.6%以下の総荷電オリゴ糖種、並びに個々の中性オリゴ糖種、11.5%以上~40.2%以下のG0F、29.9%以上~40.6%以下のG1F、及び4.1%以上~11.3%以下のG2Fを含み、当該抗IL-12/23p40抗体が、当該抗IL-12/23p40抗体の当該オリゴ糖プロファイルを制御する製造方法によって生産され、当該製造方法が、10.0μg/リットル以上~35.0μg/リットル以下のMn2+(マンガン)及び1.0μg/リットル以上~1.8μg/リットル以下のCu2+(銅)からなる規定の微量金属マンガン及び銅濃度を含むように制御された既知組成培地中で真核細胞を培養することと、当該真核細胞中で当該抗IL-12/23p40抗体を発現させることと、を含み、当該マンガン及び銅濃度が当該抗IL-12/23p40抗体の当該オリゴ糖プロファイルを制御するのに有効である、抗IL-12/23p40抗体を提供する。
【0010】
ある特定の実施形態では、本発明は、(i)配列番号1、配列番号2、及び配列番号3の重鎖CDRアミノ酸配列と、(ii)配列番号4、配列番号5、及び配列番号6の軽鎖CDRアミノ酸配列と、を含む抗IL-12/23p40抗体であって、当該抗IL-12/23p40抗体がバイオ後続品であり、当該抗IL-12/23p40抗体のオリゴ糖プロファイルが、64.8%以上~85.4%以下の総中性オリゴ糖種、14.4%以上~35.6%以下の総荷電オリゴ糖種、並びに個々の中性オリゴ糖種、11.5%以上~40.2%以下のG0F、29.9%以上~40.6%以下のG1F、及び4.1%以上~11.3%以下のG2Fを含み、当該抗IL-12/23p40抗体が、当該抗IL-12/23p40抗体の当該オリゴ糖プロファイルを制御する製造方法によって生産され、当該製造方法が、10.0μg/リットル以上~35.0μg/リットル以下のMn2+(マンガン)及び1.0μg/リットル以上~1.8μg/リットル以下のCu2+(銅)からなる規定の微量金属マンガン及び銅濃度を含むように制御された既知組成培地中で真核細胞を培養することと、当該真核細胞中で当該抗IL-12/23p40抗体を発現させることと、を含み、当該マンガン及び銅濃度が当該抗IL-12/23p40抗体の当該オリゴ糖プロファイルを制御するのに有効である、抗IL-12/23p40抗体を提供する。
【0011】
ある特定の実施形態では、本発明は、(i)配列番号7の重鎖可変ドメインアミノ酸配列と、(ii)配列番号8の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列と、を含む抗IL-12/23p40抗体であって、当該抗IL-12/23p40抗体のオリゴ糖プロファイルが、64.8%以上~85.4%以下の総中性オリゴ糖種、14.4%以上~35.6%以下の総荷電オリゴ糖種、並びに個々の中性オリゴ糖種、11.5%以上~40.2%以下のG0F、29.9%以上~40.6%以下のG1F、及び4.1%以上~11.3%以下のG2Fを含み、当該抗IL-12/23p40抗体が、当該抗IL-12/23p40抗体の当該オリゴ糖プロファイルを制御する製造方法によって生産され、当該製造方法が、10.0μg/リットル以上~35.0μg/リットル以下のMn2+(マンガン)及び1.0μg/リットル以上~1.8μg/リットル以下のCu2+(銅)からなる規定の微量金属マンガン及び銅濃度を含むように制御された既知組成培地中で真核細胞を培養することと、当該真核細胞中で当該抗IL-12/23p40抗体を発現させることと、を含み、当該マンガン及び銅濃度が当該抗IL-12/23p40抗体の当該オリゴ糖プロファイルを制御するのに有効である、抗IL-12/23p40抗体を提供する。
【0012】
ある特定の実施形態では、本発明は、(i)配列番号10の重鎖アミノ酸配列と、(ii)配列番号11の軽鎖アミノ酸配列と、を含む抗IL-12/23p40抗体であって、当該抗IL-12/23p40抗体のオリゴ糖プロファイルが、64.8%以上~85.4%以下の総中性オリゴ糖種、14.4%以上~35.6%以下の総荷電オリゴ糖種、並びに個々の中性オリゴ糖種、11.5%以上~40.2%以下のG0F、29.9%以上~40.6%以下のG1F、及び4.1%以上~11.3%以下のG2Fを含み、当該抗IL-12/23p40抗体が、当該抗IL-12/23p40抗体の当該オリゴ糖プロファイルを制御する製造方法によって生産され、当該製造方法が、10.0μg/リットル以上~35.0μg/リットル以下のMn2+(マンガン)及び1.0μg/リットル以上~1.8μg/リットル以下のCu2+(銅)からなる規定の微量金属マンガン及び銅濃度を含むように制御された既知組成培地中で真核細胞を培養することと、当該真核細胞中で当該抗IL-12/23p40抗体を発現させることと、を含み、当該マンガン及び銅濃度が当該抗IL-12/23p40抗体の当該オリゴ糖プロファイルを制御するのに有効である、抗IL-12/23p40抗体を提供する。
【0013】
ある特定の実施形態では、本発明は、配列番号10のアミノ酸配列の重鎖と、配列番号11のアミノ酸配列の軽鎖と、を含む抗IL-12/23p40抗体を含む原薬(drug substance、DS)又は医薬品(drug product、DP)を生産するための製造方法であって、当該抗IL-12/23p40抗体のオリゴ糖プロファイルが制御され、当該抗IL-12/23p40抗体の当該オリゴ糖プロファイルが、64.8%以上~85.4%以下の総中性オリゴ糖種、14.4%以上~35.6%以下の総荷電オリゴ糖種、並びに個々の中性オリゴ糖種、11.5%以上~40.2%以下のG0F、29.9%以上~40.6%以下のG1F、及び4.1%以上~11.3%以下のG2Fを含み、当該方法が、10.0μg/リットル以上~35.0μg/リットル以下のMn2+(マンガン)及び1.0μg/リットル以上~1.8μg/リットル以下のCu2+(銅)からなる規定の微量金属マンガン及び銅濃度を含むように制御された既知組成培地中で真核細胞を培養することと、当該真核細胞中で当該抗IL-12/23p40抗体を発現させることと、を含む、製造方法を提供する。
【0014】
ある特定の実施形態では、本発明は、配列番号10のアミノ酸配列の重鎖と、配列番号11のアミノ酸配列の軽鎖と、を含む抗IL-12/23p40抗体を含む原薬(DS)又は医薬品(DP)を生産するための製造方法であって、当該抗IL-12/23p40抗体がバイオ後続品であり、当該抗IL-12/23p40抗体のオリゴ糖プロファイルが制御され、当該抗IL-12/23p40抗体の当該オリゴ糖プロファイルが、64.8%以上~85.4%以下の総中性オリゴ糖種、14.4%以上~35.6%以下の総荷電オリゴ糖種、並びに個々の中性オリゴ糖種、11.5%以上~40.2%以下のG0F、29.9%以上~40.6%以下のG1F、及び4.1%以上~11.3%以下のG2Fを含み、当該方法が、10.0μg/リットル以上~35.0μg/リットル以下のMn2+(マンガン)及び1.0μg/リットル以上~1.8μg/リットル以下のCu2+(銅)からなる規定の微量金属マンガン及び銅濃度を含むように制御された既知組成培地中で真核細胞を培養することと、当該真核細胞中で当該抗IL-12/23p40抗体を発現させることと、を含む、製造方法を提供する。
【0015】
ある特定の実施形態では、本発明は、配列番号10のアミノ酸配列の重鎖と、配列番号11のアミノ酸配列の軽鎖と、を含む抗IL-12/23p40抗体を含む原薬(DS)又は医薬品(DP)を生産するための製造方法であって、当該抗IL-12/23p40抗体のオリゴ糖プロファイルが制御され、当該抗IL-12/23p40抗体のキャピラリー等電点電気泳動(capillary isoelectric focusing、cIEF)電気泳動図のピーク3面積%が39.8%以上~64.4%以下であり、当該方法が、10.0μg/リットル以上~35.0μg/リットル以下のMn2+(マンガン)及び1.0μg/リットル以上~1.8μg/リットル以下のCu2+(銅)からなる規定の微量金属マンガン及び銅濃度を含むように制御された既知組成培地中で真核細胞を培養することと、当該真核細胞中で当該抗IL-12/23p40抗体を発現させることと、を含み、当該マンガン及び銅濃度が当該抗IL-12/23p40抗体の当該オリゴ糖プロファイルを制御するのに有効である、製造方法を提供する。
【0016】
ある特定の実施形態では、本発明は、配列番号10のアミノ酸配列の重鎖と、配列番号11のアミノ酸配列の軽鎖と、を含む抗IL-12/23p40抗体を含む原薬(DS)又は医薬品(DP)を生産するための製造方法であって、当該抗IL-12/23p40抗体のオリゴ糖プロファイルが制御され、当該抗IL-12/23p40抗体の当該オリゴ糖プロファイルが、64.8%以上~85.4%以下の総中性オリゴ糖種、14.4%以上~35.6%以下の総荷電オリゴ糖種、並びに個々の中性オリゴ糖種、11.5%以上~40.2%以下のG0F、29.9%以上~40.6%以下のG1F、及び4.1%以上~11.3%以下のG2Fを含み、当該製造方法が、10.0μg/リットル以上~35.0μg/リットル以下のMn2+(マンガン)及び1.0μg/リットル以上~1.8μg/リットル以下のCu2+(銅)からなる規定の微量金属マンガン及び銅濃度を含むように制御された既知組成培地中で真核細胞を培養することと、当該真核細胞中で当該抗IL-12/23p40抗体を発現させることと、を含み、当該マンガン及び銅濃度が当該抗IL-12/23p40抗体の当該オリゴ糖プロファイルを制御するのに有効であり、当該既知組成培地中の当該規定の微量金属マンガン及び銅濃度が誘導結合プラズマ質量分析(inductively coupled plasma mass spectrometry、ICP-MS)を使用して決定される、製造方法を提供する。
【0017】
ある特定の実施形態では、本発明は、配列番号10のアミノ酸配列の重鎖と、配列番号11のアミノ酸配列の軽鎖と、を含む抗IL-12/23p40抗体を含む原薬(DS)又は医薬品(DP)を生産するための製造方法であって、当該抗IL-12/23p40抗体のオリゴ糖プロファイルが制御され、当該抗IL-12/23p40抗体の当該オリゴ糖プロファイルが、64.8%以上~85.4%以下の総中性オリゴ糖種、14.4%以上~35.6%以下の総荷電オリゴ糖種、並びに個々の中性オリゴ糖種、11.5%以上~40.2%以下のG0F、29.9%以上~40.6%以下のG1F、及び4.1%以上~11.3%以下のG2Fを含み、当該方法が、10.0μg/リットル以上~35.0μg/リットル以下のMn2+(マンガン)及び1.0μg/リットル以上~1.8μg/リットル以下のCu2+(銅)からなる規定の微量金属マンガン及び銅濃度を含むように制御された既知組成培地中で真核細胞を培養することと、当該真核細胞中で当該抗IL-12/23p40抗体を発現させることと、を含み、当該マンガン及び銅濃度が当該抗IL-12/23p40抗体の当該オリゴ糖プロファイルを制御するのに有効であり、当該既知組成培地中の当該微量金属マンガン及び銅濃度が、当該既知組成培地に1つ又は2つ以上のマンガン源及び銅源を補充することによって制御され、当該1つ又は2つ以上のマンガン源が、MnCl2、MnSO4、MnF2、及びMnI2からなる群から選択され、当該1つ又は2つ以上の銅源が、CuSO4、CuCl2、及びCu(OAc)2からなる群から選択される、製造方法を提供する。
【0018】
ある特定の実施形態では、本発明は、配列番号10のアミノ酸配列の重鎖と、配列番号11のアミノ酸配列の軽鎖と、を含む抗IL-12/23p40抗体を含む原薬(DS)又は医薬品(DP)を生産するための製造方法であって、当該抗IL-12/23p40抗体のオリゴ糖プロファイルが制御され、当該抗IL-12/23p40抗体の当該オリゴ糖プロファイルが、64.8%以上~85.4%以下の総中性オリゴ糖種、14.4%以上~35.6%以下の総荷電オリゴ糖種、並びに個々の中性オリゴ糖種、11.5%以上~40.2%以下のG0F、29.9%以上~40.6%以下のG1F、及び4.1%以上~11.3%以下のG2Fを含み、当該製造方法が、10.0μg/リットル以上~35.0μg/リットル以下のMn2+(マンガン)及び1.0μg/リットル以上~1.8μg/リットル以下のCu2+(銅)からなる規定の微量金属マンガン及び銅濃度を含むように制御された既知組成培地中で真核細胞を培養することと、当該真核細胞中で当該抗IL-12/23p40抗体を発現させることと、を含み、当該マンガン及び銅濃度が当該抗IL-12/23p40抗体の当該オリゴ糖プロファイルを制御するのに有効であり、当該オリゴ糖種が高圧液体クロマトグラフィー(high pressure liquid chromatography、HPLC)によって決定される、製造方法を提供する。
【0019】
ある特定の実施形態では、本発明は、配列番号10のアミノ酸配列の重鎖と、配列番号11のアミノ酸配列の軽鎖と、を含む抗IL-12/23p40抗体を含む原薬(DS)又は医薬品(DP)を生産するための製造方法であって、当該抗IL-12/23p40抗体のオリゴ糖プロファイルが制御され、当該抗IL-12/23p40抗体の当該オリゴ糖プロファイルが、64.8%以上~85.4%以下の総中性オリゴ糖種、14.4%以上~35.6%以下の総荷電オリゴ糖種、並びに個々の中性オリゴ糖種、11.5%以上~40.2%以下のG0F、29.9%以上~40.6%以下のG1F、及び4.1%以上~11.3%以下のG2Fを含み、当該方法が、10.0μg/リットル以上~35.0μg/リットル以下のMn2+(マンガン)及び1.0μg/リットル以上~1.8μg/リットル以下のCu2+(銅)からなる規定の微量金属マンガン及び銅濃度を含むように制御された既知組成培地中で真核細胞を培養することと、当該真核細胞中で当該抗IL-12/23p40抗体を発現させることと、を含み、当該マンガン及び銅濃度が当該抗IL-12/23p40抗体の当該オリゴ糖プロファイルを制御するのに有効であり、当該真核細胞が、チャイニーズハムスター変動細胞(Chinese hamster vary cell、CHO細胞)、ヒト網膜細胞(PER.C6細胞)、並びにマウス骨髄腫細胞(NS0細胞及びSp2/0細胞)からなる群から選択される、製造方法を提供する。
【0020】
ある特定の実施形態では、本発明は、配列番号10のアミノ酸配列の重鎖と、配列番号11のアミノ酸配列の軽鎖と、を含む抗IL-12/23p40抗体を含む組成物であって、当該抗IL-12/23p40抗体のオリゴ糖プロファイルが、64.8%以上~85.4%以下の総中性オリゴ糖種、14.4%以上~35.6%以下の総荷電オリゴ糖種、並びに個々の中性オリゴ糖種、11.5%以上~40.2%以下のG0F、29.9%以上~40.6%以下のG1F、及び4.1%以上~11.3%以下のG2Fを含み、当該抗IL-12/23p40抗体が、当該抗IL-12/23p40抗体の当該オリゴ糖プロファイルを制御する製造方法によって生産され、当該製造方法が、10.0μg/リットル以上~35.0μg/リットル以下のMn2+(マンガン)及び1.0μg/リットル以上~1.8μg/リットル以下のCu2+(銅)からなる規定の微量金属マンガン及び銅濃度を含むように制御された既知組成培地中で真核細胞を培養することと、当該真核細胞中で当該抗IL-12/23p40抗体を発現させることと、を含み、当該マンガン及び銅濃度が当該抗IL-12/23p40抗体の当該オリゴ糖プロファイルを制御するのに有効である、組成物を提供する。
【0021】
ある特定の実施形態では、本発明は、配列番号10のアミノ酸配列の重鎖と、配列番号11のアミノ酸配列の軽鎖と、を含む抗IL-12/23p40抗体を含む組成物であって、当該抗IL-12/23p40抗体がバイオ後続品であり、当該抗IL-12/23p40抗体のオリゴ糖プロファイルが、64.8%以上~85.4%以下の総中性オリゴ糖種、14.4%以上~35.6%以下の総荷電オリゴ糖種、並びに個々の中性オリゴ糖種、11.5%以上~40.2%以下のG0F、29.9%以上~40.6%以下のG1F、及び4.1%以上~11.3%以下のG2Fを含み、当該抗IL-12/23p40抗体が、当該抗IL-12/23p40抗体の当該オリゴ糖プロファイルを制御する製造方法によって生産され、当該製造方法が、10.0μg/リットル以上~35.0μg/リットル以下のMn2+(マンガン)及び1.0μg/リットル以上~1.8μg/リットル以下のCu2+(銅)からなる規定の微量金属マンガン及び銅濃度を含むように制御された既知組成培地中で真核細胞を培養することと、当該真核細胞中で当該抗IL-12/23p40抗体を発現させることと、を含み、当該マンガン及び銅濃度が当該抗IL-12/23p40抗体の当該オリゴ糖プロファイルを制御するのに有効である、組成物を提供する。
【0022】
ある特定の実施形態では、本発明は、配列番号10のアミノ酸配列の重鎖と、配列番号11のアミノ酸配列の軽鎖と、を含む抗IL-12/23p40抗体を含む組成物であって、当該抗IL-12/23p40抗体のキャピラリー等電点電気泳動(cIEF)電気泳動図のピーク3面積%が39.8%以上~64.4%以下であり、当該抗IL-12/23p40抗体が、当該抗IL-12/23p40抗体の当該オリゴ糖プロファイルを制御する製造方法によって生産され、当該製造方法が、10.0μg/リットル以上~35.0μg/リットル以下のMn2+(マンガン)及び1.0μg/リットル以上~1.8μg/リットル以下のCu2+(銅)からなる規定の微量金属マンガン及び銅濃度を含むように制御された既知組成培地中で真核細胞を培養することと、当該真核細胞中で当該抗IL-12/23p40抗体を発現させることと、を含み、当該マンガン及び銅濃度が当該抗IL-12/23p40抗体の当該オリゴ糖プロファイルを制御するのに有効である、組成物を提供する。
【0023】
ある特定の実施形態では、本発明は、配列番号10のアミノ酸配列の重鎖と、配列番号11のアミノ酸配列の軽鎖と、を含む抗IL-12/23p40抗体を含む組成物であって、当該抗IL-12/23p40抗体のオリゴ糖プロファイルが、64.8%以上~85.4%以下の総中性オリゴ糖種、14.4%以上~35.6%以下の総荷電オリゴ糖種、並びに個々の中性オリゴ糖種、11.5%以上~40.2%以下のG0F、29.9%以上~40.6%以下のG1F、及び4.1%以上~11.3%以下のG2Fを含み、当該抗IL-12/23p40抗体が、当該抗IL-12/23p40抗体の当該オリゴ糖プロファイルを制御する製造方法によって生産され、当該製造方法が、10.0μg/リットル以上~35.0μg/リットル以下のMn2+(マンガン)及び1.0μg/リットル以上~1.8μg/リットル以下のCu2+(銅)からなる規定の微量金属マンガン及び銅濃度を含むように制御された既知組成培地中で真核細胞を培養することと、当該真核細胞中で当該抗IL-12/23p40抗体を発現させることと、を含み、当該マンガン及び銅濃度が当該抗IL-12/23p40抗体の当該オリゴ糖プロファイルを制御するのに有効であり、当該既知組成培地中の当該規定の微量金属マンガン及び銅濃度が誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)を使用して決定される、組成物を提供する。
【0024】
ある特定の実施形態では、本発明は、配列番号10のアミノ酸配列の重鎖と、配列番号11のアミノ酸配列の軽鎖と、を含む抗IL-12/23p40抗体を含む組成物であって、当該抗IL-12/23p40抗体のオリゴ糖プロファイルが、64.8%以上~85.4%以下の総中性オリゴ糖種、14.4%以上~35.6%以下の総荷電オリゴ糖種、並びに個々の中性オリゴ糖種、11.5%以上~40.2%以下のG0F、29.9%以上~40.6%以下のG1F、及び4.1%以上~11.3%以下のG2Fを含み、当該抗IL-12/23p40抗体が、当該抗IL-12/23p40抗体の当該オリゴ糖プロファイルを制御する製造方法によって生産され、当該方法が、10.0μg/リットル以上~35.0μg/リットル以下のMn2+(マンガン)及び1.0μg/リットル以上~1.8μg/リットル以下のCu2+(銅)からなる規定の微量金属マンガン及び銅濃度を含むように制御された既知組成培地中で真核細胞を培養することと、当該真核細胞中で当該抗IL-12/23p40抗体を発現させることと、を含み、当該マンガン及び銅濃度が当該抗IL-12/23p40抗体の当該オリゴ糖プロファイルを制御するのに有効であり、当該既知組成培地中の当該規定の微量金属マンガン及び銅濃度が、当該既知組成培地に1つ又は2つ以上のマンガン源及び銅源を補充することによって制御され、当該1つ又は2つ以上のマンガン源が、MnCl2、MnSO4、MnF2、及びMnI2からなる群から選択され、当該1つ又は2つ以上の銅源が、CuSO4、CuCl2、及びCu(OAc)2からなる群から選択される、組成物を提供する。
【0025】
ある特定の実施形態では、本発明は、配列番号10のアミノ酸配列の重鎖と、配列番号11のアミノ酸配列の軽鎖と、を含む抗IL-12/23p40抗体を含む組成物であって、当該抗IL-12/23p40抗体のオリゴ糖プロファイルが、64.8%以上~85.4%以下の総中性オリゴ糖種、14.4%以上~35.6%以下の総荷電オリゴ糖種、並びに個々の中性オリゴ糖種、11.5%以上~40.2%以下のG0F、29.9%以上~40.6%以下のG1F、及び4.1%以上~11.3%以下のG2Fを含み、当該抗IL-12/23p40抗体が、当該抗IL-12/23p40抗体の当該オリゴ糖プロファイルを制御する製造方法によって生産され、当該製造方法が、10.0μg/リットル以上~35.0μg/リットル以下のMn2+(マンガン)及び1.0μg/リットル以上~1.8μg/リットル以下のCu2+(銅)からなる規定の微量金属マンガン及び銅濃度を含むように制御された既知組成培地中で真核細胞を培養することと、当該真核細胞中で当該抗IL-12/23p40抗体を発現させることと、を含み、当該マンガン及び銅濃度が当該抗IL-12/23p40抗体の当該オリゴ糖プロファイルを制御するのに有効であり、当該オリゴ糖種が高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)によって決定される、組成物を提供する。
【0026】
ある特定の実施形態では、本発明は、配列番号10のアミノ酸配列の重鎖と、配列番号11のアミノ酸配列の軽鎖と、を含む抗IL-12/23p40抗体を含む組成物であって、当該抗IL-12/23p40抗体のオリゴ糖プロファイルが、64.8%以上~85.4%以下の総中性オリゴ糖種、14.4%以上~35.6%以下の総荷電オリゴ糖種、並びに個々の中性オリゴ糖種、11.5%以上~40.2%以下のG0F、29.9%以上~40.6%以下のG1F、及び4.1%以上~11.3%以下のG2Fを含み、当該抗IL-12/23p40抗体が、当該抗IL-12/23p40抗体の当該オリゴ糖プロファイルを制御する製造方法によって生産され、当該製造方法が、10.0μg/リットル以上~35.0μg/リットル以下のMn2+(マンガン)及び1.0μg/リットル以上~1.8μg/リットル以下のCu2+(銅)からなる規定の微量金属マンガン及び銅濃度を含むように制御された既知組成培地中で真核細胞を培養することと、当該真核細胞中で当該抗IL-12/23p40抗体を発現させることと、を含み、当該マンガン及び銅濃度が当該抗IL-12/23p40抗体の当該オリゴ糖プロファイルを制御するのに有効であり、当該真核細胞が、チャイニーズハムスター変動細胞(CHO細胞)、ヒト網膜細胞(PER.C6細胞)、並びにマウス骨髄腫細胞(NS0細胞及びSp2/0細胞)からなる群から選択される、組成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】ウステキヌマブ製造プロセスの10段階の概要を示す。
【
図2】インプロセス制御及びプロセス監視試験を含む、前培養工程及び増殖工程のための段階1製造プロセスのフロー図を示す。
【
図3】インプロセス制御及びプロセス監視試験を含む、段階2製造プロセス工程のフロー図を示す。
【
図4】ウステキヌマブのオリゴ糖分析用の代表的なHPLCクロマトグラムを示す。
【
図5】ウステキヌマブの代表的なcIEF電気泳動図プロファイルを示す。cIEFピークと減少する負電荷/シアリル化度との間の一般的関係を表すグラフも示す。
【
図6】ウステキヌマブIgGの主要なN結合型オリゴ糖種のうちのいくつかの図表による概要を示す。グリコシル化成熟プロセスにおけるいくつかの酵素の役割及びいくつかの二価カチオン(例えば、補因子としてのMn
2+及びGalTI阻害剤としてのCu
2+)の役割も示す(例えば、Biotechnol Bioeng.2007 Feb 15;96(3):538-49;Curr Drug Targets.2008 Apr;9(4):292-309、J Biochem Mol Biol.2002 May 31;35(3):330-6を参照されたい)。末端シアル酸を含む種(S1及びS2)は荷電種であり、末端シアル酸を含まない種(G0F、G1F、及びG2F)は中性種であるが、荷電種の生成は、GalT1酵素によって追加されたG1F及びG2F中のガラクトースの存在に依存することに留意されたい。
【
図7】異なるバッチについて時系列順に提示したウステキヌマブの変更前、変更後、及びSUP-AGT3バッチのウステキヌマブcIEFプロファイルのピーク3面積%を示す。歴史的変更前AGTバッチの平均総計%を実線で示し、規格上限値及び規格下限値を破線で示す。
【
図8A】異なるバッチについて時系列順に提示したウステキヌマブの変更前、変更後、及びSUP-AGT3バッチ中の総中性オリゴ糖種(
図8A)及び総荷電オリゴ糖種(
図8B)を示す。歴史的変更前AGTバッチの平均総計%を実線で示し、規格上限値及び規格下限値を破線で示す。
【
図8B】異なるバッチについて時系列順に提示したウステキヌマブの変更前、変更後、及びSUP-AGT3バッチ中の総中性オリゴ糖種(
図8A)及び総荷電オリゴ糖種(
図8B)を示す。歴史的変更前AGTバッチの平均総計%を実線で示し、規格上限値及び規格下限値を破線で示す。
【
図9A】異なるバッチについて時系列順に提示したウステキヌマブの変更前、変更後、及びSUP-AGT3バッチ中の個々の中性オリゴ糖種、G0F(
図9A)、G1F(
図9B)、及びG2F(
図9C)の総計%を示す。歴史的変更前AGTバッチの平均%値を実線で示し、規格上限値及び規格下限値を破線で示す。
【
図9B】異なるバッチについて時系列順に提示したウステキヌマブの変更前、変更後、及びSUP-AGT3バッチ中の個々の中性オリゴ糖種、G0F(
図9A)、G1F(
図9B)、及びG2F(
図9C)の総計%を示す。歴史的変更前AGTバッチの平均%値を実線で示し、規格上限値及び規格下限値を破線で示す。
【
図9C】異なるバッチについて時系列順に提示したウステキヌマブの変更前、変更後、及びSUP-AGT3バッチ中の個々の中性オリゴ糖種、G0F(
図9A)、G1F(
図9B)、及びG2F(
図9C)の総計%を示す。歴史的変更前AGTバッチの平均%値を実線で示し、規格上限値及び規格下限値を破線で示す。
【
図10】ウステキヌマブの異なるバッチのマンガンレベルを時系列順に示す。データを、使用した培地、例えば、変更前AGT、変更後AGT、及びSUP-AGT3に基づいて識別している。歴史的バッチの平均値を実線で示し、規格上限値及び規格下限値を破線で示す。
【
図11】ウステキヌマブの異なるバッチのクロムレベルを時系列順に示す。データを、使用した培地、例えば、変化前AGT、変化後AGT、及びSUP-AGT3に基づいて識別している。
【
図12】ウステキヌマブの異なるバッチの銅レベルを時系列順に示す。データを、使用した培地、例えば、変化前AGT、変化後AGT、及びSUP-AGT3に基づいて識別している。歴史的バッチの平均値を実線で示し、規格上限値及び規格下限値を破線で示す。変更後AGTバッチの多くが銅について本アッセイの下限値未満の値(1μg/L未満)を有し、1μg/Lとしてグラフで表しているにすぎないことに留意されたい。
【
図13】ウステキヌマブの異なる500リットルのSUP-AGT3バッチの細胞の細胞培養(段階2)生存率(%)を示す(黒丸、黒四角、白四角、黒三角、白三角、黒ひし形、及び白ひし形)。歴史的変更前AGTバッチの平均を実線で示し、歴史的変更前AGTバッチの±3標準偏差を破線で示す。
【
図14】ウステキヌマブの異なる500リットルのSUP-AGT3バッチの細胞培養(段階2)累積IgG量(回収したグラム)を示す(黒丸、黒四角、白四角、黒三角、白三角、黒ひし形、及び白ひし形)。歴史的変更前AGTバッチの平均を実線で示し、歴史的変更前AGTバッチの±3標準偏差を破線で示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本明細書で使用するとき、「抗IL-12抗体」、「抗IL-23抗体」、「抗IL-12/23p40抗体」、「抗IL-12/IL-23p40抗体」、「IL-12/23p40抗体」、「IL-12/IL-23p40抗体」、「抗体部分」、若しくは「抗体断片」、及び/又は「抗体変異体」などは、本発明の抗体に組み込むことができる、重鎖若しくは軽鎖の少なくとも1つの相補性決定領域(complementarity determining region、CDR)若しくはそのリガンド結合部分、重鎖若しくは軽鎖可変領域、重鎖若しくは軽鎖定常領域、フレームワーク領域、又はこれらの任意の部分、あるいはIL-12及び/若しくはIL-23受容体又は結合タンパク質の少なくとも一部分などであるが、これらに限定されない、免疫グロブリン分子の少なくとも一部分を含む分子を含む、任意のタンパク質又はペプチド含有分子を含む。かかる抗体は、かかる抗体が、インビトロ、インサイチュ、及び/又はインビボで、少なくとも1つのIL-12/23活性若しくは結合、又はIL-12/23受容体活性若しくは結合を調節する、それを減少させる、それを増加させる、それと拮抗する、それを刺激する、それを軽減する、それを緩和する、それを遮断する、それを阻害する、それを抑止する、及び/又はそれを妨害する場合などであるが、これらに限定されない場合に、任意選択で、特異的リガンドに更に影響を及ぼす。非限定的な例として、本発明の好適な抗IL-12/23p40抗体、特定の部分、又は変異体は、少なくとも1つのIL-12/23分子、又はその特定の部分、変異体、若しくはドメインに結合することができる。好適な抗IL-12/23p40抗体、特定の部分、又は変異体は、任意選択で、RNA、DNA、若しくはタンパク質合成、IL-12/23放出、IL-12/23受容体シグナル伝達、膜IL-12/23切断、IL-12/23活性、IL-12/23産生、及び/又は合成などであるが、これらに限定されない、IL-12/23活性又は機能のうちの少なくとも1つに影響を及ぼすこともできる。
【0029】
本明細書で使用するとき、「抗体」又は「複数の抗体」という用語は、2009年のバイオロジクス価格競争・イノベーション法(Biologics Price Competition and Innovation Act of 2009、BPCI Act)並びに同様の世界的な法律及び規制下で承認されたバイオシミラ抗体分子を含む。BPCI Actの下で、抗体は、臨床的に不活性な構成成分のわずかな違いにもかかわらず、基準品と「非常に類似」しており、安全性、純度、及び効力の点で基準品と同じ臨床結果が得られると「予想される」ことをデータが示す場合、バイオシミラであることが実証され得る(Endocrine Practice:February 2018,Vol.24,No.2,pp.195-204)。これらのバイオシミラ抗体分子は、承認経路の短縮を提供し、それにより、出願人は、規制当局の承認を確保するために、イノベータ基準品の臨床データに依存している。臨床試験の成功に基づいてFDAに承認されたオリジナルのイノベータ基準抗体と比較して、バイオシミラ抗体分子は、本明細書では「バイオ後続品」と称される。本明細書に提示されるように、STELARA(登録商標)(ウステキヌマブ)は、臨床試験の成功に基づいてFDAに承認されたオリジナルのイノベータ基準である抗IL-12/IL-23p40抗体である。ウステキヌマブは、2009年から米国で販売されている。
【0030】
「抗体」という用語は、抗体模倣薬を含む、あるいは単鎖抗体及びその断片などといった抗体の構造及び/若しくは機能を模倣する抗体の部分又はその特定の断片若しくは一部分を含む、抗体、その消化断片、特定の部分、及び変異体を包含するよう更に意図されている。機能断片としては、哺乳類IL-12/23に結合する抗原結合断片が挙げられる。例えば、Fab(例えば、パパイン消化による)、Fab’(例えば、ペプシン消化及び部分的還元による)及びF(ab’)2(例えば、ペプシン消化による)、facb(例えば、プラスミン消化による)、pFc’(例えば、ペプシン又はプラスミン消化による)、Fd(例えば、ペプシン消化、部分的還元、及び再集合による)、Fv又はscFv(例えば、分子生物学的技術による)断片が挙げられるが、これらに限定されない、IL-12/23又はその一部分に結合することができる抗体断片が、本発明に包含される(例えば、上記のColligan,Immunologyを参照されたい)。
【0031】
かかる断片は、当該技術分野において既知であり、かつ/又は本明細書に記載される、酵素による切断、合成、又は組換え技術により生成することができる。抗体はまた、1つ又は2つ以上の終止コドンが天然終止部位の上流に導入されている抗体遺伝子を使用して、種々の切断型で産生することもできる。例えば、F(ab’)2重鎖部をコードする遺伝子の組み合わせは、重鎖のCH1ドメイン及び/又はヒンジ領域をコードするDNA配列を含むように設計することができる。抗体の種々の部分を従来技術により化学的に結合することができるか、又は遺伝子工学技術を使用して切れ目なく連続するタンパク質として調製することができる。
【0032】
本明細書で使用するとき、「ヒト抗体」という用語は、タンパク質の実質的に全ての部分(例えば、CDR、フレームワーク、CL、CHドメイン(例えば、CH1、CH2、CH3)、ヒンジ(VL、VH))がわずかな配列変化又は変異を有するだけでヒトにおいて実質的に非免疫原性である抗体を指す。「ヒト抗体」は、ヒト生殖細胞系列型免疫グロブリン配列に由来する抗体又はそれに厳密に一致する抗体である場合もある。ヒト抗体は、生殖細胞系列型免疫グロブリン配列にコードされていないアミノ酸残基(例えば、インビトロにおけるランダムな若しくは部位特異的な変異の導入により、又はインビボにおける体細胞突然変異により導入された変異)を含んでもよい。多くの場合、これは、ヒト抗体がヒトにおいて実質的に非免疫原性であることを意味する。ヒト抗体は、それらのアミノ酸配列の類似性に基づいて群に分類されている。したがって、配列類似性検索を使用して、類似の直鎖配列を有する抗体を、ヒト抗体を作り出すためのテンプレートとして選択することができる。同様に、名称に霊長類(サル、ヒヒ、チンパンジーなど)、げっ歯類(マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ハムスターなど)、及び他の哺乳動物を含む抗体は、かかる種、亜属、属、亜科、及び科に特異的な抗体を指定する。更に、キメラ抗体は、上記の任意の組み合わせを含むことができる。かかる変化又は変異は、任意選択でかつ好ましくは、修飾されていない抗体に比べて、ヒト又は他の種における免疫原性を保持する又は低減させる。したがって、ヒト抗体は、キメラ抗体又はヒト化抗体とは異なる。
【0033】
ヒト抗体は、機能的に再構成されたヒト免疫グロブリン(例えば、重鎖及び/又は軽鎖)遺伝子を発現することができる非ヒト動物又は原核若しくは真核細胞により産生され得ることが指摘される。更に、ヒト抗体が単鎖抗体である場合、天然ヒト抗体では見られないリンカーペプチドを含むことができる。例えば、Fvは、重鎖の可変領域と軽鎖の可変領域とを接続する2~約8個のグリシン又は他のアミノ酸残基などのリンカーペプチドを含むことができる。かかるリンカーペプチドは、ヒト由来のものとみなされる。
【0034】
本発明の方法及び組成物に有用な抗IL-12/23p40抗体(IL-12/23p40抗体とも称される)(又はIL-23に対する抗体)は、任意選択で、IL-12/23p40(又はIL-23)への高親和性結合、及び任意選択でかつ好ましくは低毒性を有することを特徴とし得る。具体的には、可変領域、定常領域、及びフレームワークなどの個々の構成要素が、個々に及び/又は集合的に、任意選択でかつ好ましくは、低い免疫原性を有する、本発明の抗体、その特定の断片、又は変異体が本発明において有用である。本発明で使用することができる抗体は、任意選択で、症状の測定可能な緩和並びに低い及び/又は許容される毒性で、患者を長期間にわたって治療する能力を特徴とする。低い若しくは許容される免疫原性、及び/又は高い親和性、並びに他の好適な特性が、得られる治療結果に寄与することができる。「低い免疫原性」は、本明細書では、治療される患者の約75%未満、若しくは好ましくは約50%未満において有意なHAHA、HACA、若しくはHAMA応答を上昇させる、及び/又は治療される患者において低い力価(二重抗原酵素免疫アッセイで測定したとき約300未満、好ましくは約100未満)を上昇させることとして定義される(参照により全体が本明細書に組み込まれる、Elliott et al.,Lancet 344:1125-1127(1994))。「低い免疫原性」は、治療期間中の推奨治療過程にわたって推奨用量で治療された患者の25%未満、好ましくは治療された患者の10%未満で発生したとき、抗IL-12抗体で治療された患者における抗IL-12抗体に対する漸増可能なレベルの抗体の発生率として定義することもできる。
【0035】
本明細書で使用するとき、「ヒト抗体」という用語は、タンパク質の実質的に全ての部分(例えば、CDR、フレームワーク、CL、CHドメイン(例えば、CH1、CH2、及びCH3)、ヒンジ(VL、VH))がわずかな配列変化又は変異を有するだけでヒトにおいて実質的に非免疫原性である抗体を指す。同様に、霊長類(サル、ヒヒ、チンパンジーなど)、げっ歯類(マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ハムスターなど)、及び他の哺乳動物を指定された抗体は、かかる種、亜属、属、亜科、科に特異的な抗体を指す。更に、キメラ抗体は、上記の任意の組み合わせを含む。かかる変化又は変異は、任意選択でかつ好ましくは、修飾されていない抗体に比べて、ヒト又は他の種における免疫原性を保持する又は低減させる。したがって、ヒト抗体は、キメラ抗体又はヒト化抗体とは異なる。ヒト抗体は、機能的に再構成されたヒト免疫グロブリン(例えば、重鎖及び/又は軽鎖)遺伝子を発現することができる非ヒト動物又は原核若しくは真核細胞により産生され得ることが指摘される。更に、ヒト抗体が単鎖抗体である場合、天然ヒト抗体では見られないリンカーペプチドを含むことができる。例えば、Fvは、重鎖の可変領域と軽鎖の可変領域とを接続する2~約8個のグリシン又は他のアミノ酸残基などのリンカーペプチドを含むことができる。かかるリンカーペプチドは、ヒト由来のものとみなされる。
【0036】
また、少なくとも2つの異なる抗原に対して結合特異性を有するモノクローナル、好ましくはヒト又はヒト化抗体である、二重特異性抗体、例えば、DuoBody(登録商標)(二重特異性抗体)、異種特異性抗体、ヘテロコンジュゲート抗体、又は類似の抗体を使用することもできる。二重特異性抗体の製造方法は、当該技術分野において既知である。従来、二重特異性抗体の組換え産生は、2種の免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の共発現に基づき、ここで、2本の重鎖は異なる特異性を有する(Milstein and Cuello,Nature 305:537(1983))。免疫グロブリン重鎖及び軽鎖の無作為な組み合わせのために、これらのハイブリドーマ(クアドローマ)は10種の異なる抗体分子の可能な混合物を産生し、これらのうち1種のみが正しい二重特異的構造を有する。通常、親和性クロマトグラフィー工程によって行われる正しい分子の精製は、生成物の収率が低くて手間がかかるため、二重特異性抗体の生成を促進するための異なる手法が開発されている。
【0037】
完全長二重特異性抗体は、例えば、インビトロでの無細胞環境において又は共発現を使用して、異なる特異性を有する2つの抗体半分子のヘテロ二量体化に好都合になるように各半分子における重鎖CH3界面に置換を導入することによって、2つの一特異性二価抗体間でのFabアーム交換(又は半分子交換)を使用して生成され得る。Fabアーム交換反応は、ジスルフィド結合異性化反応及びCH3ドメインの解離-会合の結果である。親単一特異性抗体のヒンジ領域における重鎖ジスルフィド結合は減少する。親単一特異性抗体のうち1つの結果として得られた遊離システインは、第2の親単一特異性抗体分子のシステイン残基と重鎖内ジスルフィド結合を形成し、同時に、親抗体のCH3ドメインは、解離-会合により解放及び再形成する。FabアームのCH3ドメインは、ホモ二量体化よりもヘテロ二量体化に有利となるように操作され得る。結果として得られた生成物は、それぞれ異なるエピトープに結合することができる、2つのFabアーム又は半分子を有する二重特異性抗体である。
【0038】
本明細書で使用するとき、「ホモ二量体化」とは、同一のCH3アミノ酸配列を有する2本の重鎖の相互作用を意味する。本明細書で使用するとき、「ホモ二量体」とは、同一のCH3アミノ酸配列を有する2本の重鎖を有する抗体を意味する。
【0039】
本明細書で使用するとき、「ヘテロ二量体化」とは、同一ではないCH3アミノ酸配列を有する2本の重鎖の相互作用を意味する。本明細書で使用するとき、「ヘテロ二量体」とは、同一ではないCH3アミノ酸配列を有する2本の重鎖を有する抗体を意味する。
【0040】
「ノブインホール(knob-in-hole)」戦略(例えば、国際公開第2006/028936号を参照のこと)を使用して、完全長二重特異性抗体を生成することができる。簡潔に述べると、ヒトIgGにおけるCH3ドメインの界面を形成する選択されたアミノ酸を、ヘテロ二量体化を促進するように、CH3ドメイン相互作用に影響を及ぼす位置で変異させることができる。小さな側鎖を有するアミノ酸(ホール)が、第1の抗原に特異的に結合する抗体の重鎖内に導入され、大きな側鎖を有するアミノ酸(ノブ)が、第2の抗原に特異的に結合する抗体の重鎖内に導入される。2つの抗体の共発現後に、ヘテロ二量体が、「ホール」を有する重鎖と「ノブ」を有する重鎖との優先的な相互作用の結果として形成される。ノブ及びホールを形成する例示的なCH3置換対は、T366Y/F405A、T366W/F405W、F405W/Y407A、T394W/Y407T、T394S/Y407A、T366W/T394S、F405W/T394S、及びT366W/T366S_L368A_Y407Vである(第1の重鎖の第1のCH3ドメインにおける修飾された位置/第2の重鎖の第2のCH3ドメインにおける修飾された位置として表す)。
【0041】
他の戦略、例えば、1つのCH3表面における正に荷電した残基及び第2のCH3表面における負に荷電した残基を置換することによる静電的相互作用を使用する重鎖ヘテロ二量体化の促進が、米国特許出願公開第2010/0015133号、米国特許出願公開第2009/0182127号、米国特許出願公開第2010/028637号、又は米国特許出願公開第2011/0123532号に記載されるように使用されてもよい。他の戦略では、ヘテロ二量体化は、米国特許出願公開第2012/0149876号又は同第2013/0195849号に記載されるように、次の置換:L351Y_F405A_Y407V/T394W、T366I_K392M_T394W/F405A_Y407V、T366L_K392M_T394W/F405A_Y407V、L351Y_Y407A/T366A_K409F、L351Y_Y407A/T366V_K409F、Y407A/T366A_K409F、又はT350V_L351Y_F405A_Y407V/T350V_T366L_K392L_T394W(第1の重鎖の第1のCH3ドメインにおける修飾された位置/第2の重鎖の第2のCH3ドメインにおける修飾された位置として表す)により促進することができる。
【0042】
上述された方法に加えて、二重特異性抗体は、国際公開第2011/131746号に記載される方法に従って、インビトロでの無細胞環境下で、2つの単一特異的ホモ二量体抗体のCH3領域中に非対称な変異を導入し、ジスルフィド結合を異性化させる還元条件下で、2つの親単一特異性ホモ二量体抗体から二重特異性ヘテロ二量体抗体を形成することにより生成され得る。本方法において、第1の単一特異性二価抗体及び第2の単一特異性二価抗体は、ヘテロ二量体の安定性を促進するCH3ドメインにおいてある特定の置換を有するように操作されるが、これらの抗体は、ヒンジ領域におけるシステインがジスルフィド結合を異性化させるのに十分な還元条件下で一緒にインキュベートされ、それにより、Fabアーム交換により二重特異性抗体が生成される。インキュベート条件は、最適には、非還元条件に戻され得る。使用され得る例示的な還元剤は、2-メルカプトエチルアミン(2-MEA)、ジチオスレイトール(DTT)、ジチオエリスリトール(DTE)、グルタチオン、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)、L-システイン、及びベータ-メルカプトエタノールであり、好ましくは、2-メルカプトエチルアミン、ジチオスレイトール、及びトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィンからなる群から選択される還元剤である。例えば、少なくとも20℃の温度で、少なくとも25mMの2-MEAの存在下又は少なくとも0.5mMのジチオスレイトールの存在下で、pH5~8、例えば、pH7.0又はpH7.4で、少なくとも90分間のインキュベートが使用されてもよい。
【0043】
「有効性」及び「有効な」という用語は、用量、投与レジメン、治療、又は方法の文脈において本明細書で使用するとき、特定の用量、投与、又は治療レジメンの有効性を意味する。本発明の薬剤に応答した疾患の経過中の変化に基づいて、有効性を測定することができる。例えば、本発明の抗IL12/23p40又は抗IL23抗体(例えば、抗IL12/23p40抗体ウセツキヌマブ)は、治療される障害の重篤度を反映する少なくとも1つの指標において改善、好ましくは持続的な改善を引き起こすのに十分な量及び時間で、対象に対して投与される。その治療の量及び時間が十分であるかどうかを判定するために、対象の疾病、疾患、又は状態の程度を反映する様々な指標が評価され得る。かかる指標には、例えば、疾患重篤度、症状、又は問題となっている障害の発現についての、臨床的に認識されている指標が含まれる。改善度は全体的に医師により決定され、医師はこの決定を、兆候、症状、生検、又は他の検査結果に基づいて行うことができ、また対象に対して行う質問票、例えば所与の疾患に関して開発された生活の質に関する質問票などを採用することもできる。
【0044】
「安全性」という用語は、本発明の抗IL12/23p40又は抗IL23抗体(例えば、抗IL12/23p40抗体ウステキヌマブ)による用量、投与レジメン、治療又は方法に関する場合、標準治療又は別の比較薬と比べて、治療下で発現した有害事象(adverse event、AE又はtreatment-emergent adverse event、TEAEと称される)の許容される頻度及び/又は許容される重症度を伴う、良好なリスク:ベネフィット比を指す。有害事象は、医薬品を投与された患者における好ましくない医療上の出来事である。特に、本発明の抗IL12/23p40又は抗IL23抗体による用量、投与レジメン又は治療に関連する安全性は、有害事象が抗IL12/23p40又は抗IL23抗体の使用による可能性がある、可能性が高い、又は非常に高いと考えられる場合、抗体の投与に関連する有害事象の許容される頻度及び/又は許容される重症度を指す。
【0045】
有用性
本発明の単離された核酸は、細胞、組織、器官、又は動物(哺乳動物及びヒトを含む)における効果を測定して、免疫障害若しくは疾患、心血管障害若しくは疾患、感染性、悪性及び/若しくは神経性障害又は疾患、あるいは他の既知の若しくは特定のIL-12/23関連状態のうちの少なくとも1つから選択されるが、これらに限定されない、少なくとも1つのIL-12/23状態を診断する、監視する、調節する、治療する、緩和する、その発生を予防するのを助ける、又はその症状を軽減するために使用することができる、少なくとも1つの抗IL-12/23p40(若しくは抗IL-23)抗体又はその特定の変異体を産生するために使用することができる。
【0046】
かかる方法は、症状、作用、又は機序のかかる調節、治療、緩和、予防、若しくは低減を必要とする細胞、組織、器官、動物、又は患者に、少なくとも1つの抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)抗体を含む有効量の組成物又は医薬組成物を投与することを含むことができる。有効量は、本明細書に記載される、又は関連分野で既知である、既知の方法を使用して行われかつ決定される、単回(例えば、ボーラス)、複数回、若しくは持続投与当たり約0.001~500mg/kgの量、又は単回、複数回、若しくは持続投与当たり0.01~5000μg/mlの血清中濃度を達成する量、又はそれらの中の任意の有効範囲若しくは値を含むことができる。
【0047】
引用文献
本明細書で引用する全ての刊行物又は特許は、具体的な指定の有無にかかわらず、参照によりその全体が本明細書に組み込まれ、本発明の時点での先行技術を示し、かつ/又は本発明の説明及び実施可能性を提供する。刊行物は、電子形式若しくは印刷形式で記録されたものを全て含む任意のメディア形式で利用可能な、任意の科学刊行物若しくは特許公報又は任意の他の情報を指す。以下の文献は、参照により全体が本明細書に組み込まれる:Ausubel,et al.,ed.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,Inc.,NY,NY(1987-2001)、Sambrook,et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Edition,Cold Spring Harbor,NY(1989)、Harlow and Lane,antibodies,a Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,NY(1989)、Colligan,et al.,eds.,Current Protocols in Immunology,John Wiley & Sons,Inc.,NY(1994-2001)、Colligan et al.,Current Protocols in Protein Science,John Wiley & Sons,NY,NY,(1997-2001)。
【0048】
本発明の抗体-産生及び生成
本発明の方法において使用される少なくとも1つの抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)は、任意選択で、当該技術分野において周知の細胞株、混合細胞株、不死化細胞、又は不死化細胞のクローン集団によって産生することができる。例えば、各々参照により全体が本明細書に組み込まれる、Ausubel,et al.,ed.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,Inc.,NY,NY(1987-2001)、Sambrook,et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Edition,Cold Spring Harbor,NY(1989)、Harlow and Lane,antibodies,a Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,NY(1989)、Colligan,et al.,eds.,Current Protocols in Immunology,John Wiley & Sons,Inc.,NY(1994-2001)、Colligan et al.,Current Protocols in Protein Science,John Wiley & Sons,NY,NY,(1997-2001)を参照されたい。
【0049】
好ましい抗IL-12/23p40抗体は、配列番号7の重鎖可変領域アミノ酸配列と、配列番号8の軽鎖可変領域アミノ酸配列とを有し、かつ配列番号1、配列番号2、及び配列番号3の重鎖CDRアミノ酸配列と、配列番号4、配列番号5、及び配列番号6の軽鎖CDRアミノ酸配列とを有するウステキヌマブ(Stelara(登録商標))である。好ましい抗IL-23抗体は、グセルクマブ(CNTO1959とも称される)である。他の抗IL-23抗体は本明細書に列挙される配列を有し、全内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,935,344号に記載されている。
【0050】
ヒトIL-12/23p40若しくはIL-23タンパク質又はその断片に特異的なヒト抗体を、単離されたIL-12/23p40タンパク質、IL-23タンパク質、及び/又はそれらの一部分(合成ペプチドなどの合成分子を含む)などの適切な免疫原性抗原に対して産生させることができる。他の特異的な又は一般的な哺乳動物の抗体も同様に産生させることができる。免疫原性抗原の調製及びモノクローナル抗体の産生は、任意の好適な技術を使用して行うことができる。
【0051】
1つのアプローチでは、好適な不死細胞株(例えば、限定されるものではないが、Sp2/0、Sp2/0-AG14、NSO、NS1、NS2、AE-1、L.5、L243、P3X63Ag8.653、Sp2 SA3、Sp2 MAI、Sp2 SS1、Sp2 SA5、U937、MLA 144、ACT IV、MOLT4、DA-1、JURKAT、WEHI、K-562、COS、RAJI、NIH 3T3、HL-60、MLA 144、NAMALWA、NEURO 2Aなどの骨髄腫細胞株、又は異種骨髄腫、その融合産物、又はそれに由来する任意の細胞若しくは融合細胞、又は当該技術分野において既知の任意の他の好適な細胞株)(例えば、www.atcc.org、www.lifetech.com.などを参照されたい)を、限定されるものではないが、単離された又はクローン化された脾臓、末梢血、リンパ、扁桃腺、又は他の免疫若しくはB細胞含有細胞などの抗体産生細胞、あるいは内因性又は異種核酸として、組換え若しくは内因性、ウイルス、細菌、藻、原核生物、両生類、昆虫、爬虫類、魚、哺乳動物、げっ歯類、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ヒツジ、霊長類、真核生物、ゲノムDNA、cDNA、rDNA、ミトコンドリアDNA若しくはRNA、葉緑体DNA若しくはRNA、hnRNA、mRNA、tRNA、単一、二重若しくは三重鎖、ハイブリダイズなど、又はそれらの任意の組み合わせとしてのいずれかで、重鎖又は軽鎖の定常若しくは可変、又はフレームワーク若しくはCDR配列を発現する任意の他の細胞と融合することにより、ハイブリドーマを産生する。例えば、参照により全体が本明細書に組み込まれる、上記のAusubel、及び上記のColligan,Immunologyの第2章を参照されたい。
【0052】
抗体産生細胞は、目的とする抗原で免疫化されたヒト又は他の好適な動物の末梢血、又は好ましくは脾臓若しくはリンパ節から得ることもできる。任意の他の好適な宿主細胞を使用して、本発明の抗体、その特定の断片又は変異体をコードする異種核酸若しくは内在核酸を発現させることもできる。融合細胞(ハイブリドーマ)又は組換え細胞は、選択的培養条件又は他の好適な既知の方法を使用して単離し、限界希釈若しくは細胞選別又は他の既知の方法によってクローニングすることができる。所望の特異性を有する抗体を産生する細胞は、好適なアッセイ(例えば、ELISA)によって選択することができる。
【0053】
ペプチド又はタンパク質ライブラリから組換え抗体を選択する方法が挙げられるが、これらに限定されない、必要とされる特異性を有する抗体を産生又は単離するのに好適な他の方法を使用することができる(例えば、バクテリオファージ、リボソーム、オリゴヌクレオチド、RNA、cDNAなどのディスプレイライブラリであるが、これらに限定されず、例えば、Cambridge antibody Technologies,Cambridgeshire,UK、MorphoSys,Martinsreid/Planegg,DE、Biovation,Aberdeen,Scotland,UK、BioInvent,Lund,Sweden、Dyax Corp.,Enzon,Affymax/Biosite、Xoma,Berkeley,CA、Ixsys.から入手可能である)。例えば、欧州特許第368,684号、国際出願第GB91/01134号、国際出願第GB92/01755号、国際出願第GB92/002240号、国際出願第GB92/00883号、国際出願第GB93/00605号、米国特許出願第08/350260号(5/12/94)、国際出願第GB94/01422号、国際出願第GB94/02662号、国際出願第GB97/01835号、(CAT/MRC)、国際公開第90/14443号、国際公開第90/14424号、国際公開第90/14430号、国際出願第US94/1234号、国際公開第92/18619号、同第96/07754号(Scripps)、国際公開第96/13583号、国際公開第97/08320号(MorphoSys)、国際公開第95/16027号(BioInvent)、国際公開第88/06630号、国際公開第90/3809号(Dyax)、米国特許第4,704,692号(Enzon)、国際出願第US91/02989号(Affymax)、国際公開第89/06283号、欧州特許第371998号、欧州特許第550400号、(Xoma)、欧州特許第229046号、国際出願第US91/07149号(Ixsys)、又は確率論的に生成されるペプチド若しくはタンパク質-米国特許第5723323号、同第5763192号、同第5814476号、同第5817483号、同第5824514号、同第5976862号、国際公開第86/05803号、欧州特許第590689号(Ixsys、適用された分子進化(Applied Molecular Evolution、AME)の前身、各々参照により全体が本明細書に組み込まれる)か、又は当該技術分野において既知であり、かつ/若しくは本明細書に記載される、ヒト抗体のレパートリーを産生することができるトランスジェニック動物の免疫化に依存する(例えば、SCIDマウス、各々参照により全体が組み込まれる、Nguyen et al.,Microbiol.Immunol.41:901-907(1997)、Sandhu et al.,Crit.Rev.Biotechnol.16:95-118(1996);Eren et al.,Immunol.93:154-161(1998)、並びに関連特許及び出願)。かかる技術には、リボソームディスプレイ(Hanes et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,94:4937-4942(May 1997)、Hanes et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,95:14130-14135(Nov.1998))、単一細胞抗体産生技術(例えば、選択リンパ球抗体方法(selected lymphocyte antibody method、「SLAM」)(米国特許第5,627,052号、Wen et al.,J.Immunol.17:887-892(1987)、Babcook et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:7843-7848(1996))、ゲルマイクロドロップレット及びフローサイトメトリー(Powell et al.,Biotechnol.8:333-337(1990);One Cell Systems,Cambridge,MA、Gray et al.,J.Imm.Meth.182:155-163(1995)、Kenny et al.,Bio/Technol.13:787-790(1995))、B細胞選択物(Steenbakkers et al.,Molec.Biol.Reports 19:125-134(1994)、Jonak et al.,Progress Biotech,Vol.5,In Vitro Immunization in Hybridoma Technology,Borrebaeck,ed.,Elsevier Science Publishers B.V.,Amsterdam,Netherlands(1988))が挙げられるが、これらに限定されない。
【0054】
非ヒト抗体又はヒト抗体を操作又はヒト化するための方法も使用することができ、当該技術分野において既知である。概して、ヒト化抗体又は修飾抗体は、非ヒト、例えば、限定されるものではないが、マウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類、又は他の哺乳動物源由来の1つ又は2つ以上のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基は、しばしば「インポート」残基と呼ばれる残基により置き換えられるが、この「インポート」残基は、典型的には既知のヒト配列の「インポート」可変ドメイン、定常ドメイン、又は他のドメインから得られる。
【0055】
既知のヒトIg配列が開示されており、例えば、参照により全体が本明細書に組み込まれる、
www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi;
www.ncbi.nih.gov/igblast;
www.atcc.org/phage/hdb.html;
www.mrc-cpe.cam.ac.uk/ALIGNMENTS.php;
www.kabatdatabase.com/top.html;
ftp.ncbi.nih.gov/repository/kabat;
www.sciquest.com;
www.abcam.com;
www.antibodyresource.com/onlinecomp.html;
www.public.iastate.edu/~pedro/research_tools.html;
www.whfreeman.com/immunology/CH05/kuby05.htm;
www.hhmi.org/grants/lectures/1996/vlab;
www.path.cam.ac.uk/~mrc7/mikeimages.html;
mcb.harvard.edu/BioLinks/Immunology.html;
www.immunologylink.com;
pathbox.wustl.edu/~hcenter/index.html;
www.appliedbiosystems.com;
www.nal.usda.gov/awic/pubs/antibody;
www.m.ehime-u.ac.jp/~yasuhito/Elisa.html;
www.biodesign.com;
www.cancerresearchuk.org;
www.biotech.ufl.edu;
www.isac-net.org;baserv.uci.kun.nl/~jraats/links1.html;
www.recab.uni-hd.de/immuno.bme.nwu.edu;
www.mrc-cpe.cam.ac.uk;
www.ibt.unam.mx/vir/V_mice.html;
www.bioinf.org.uk/abs;antibody.bath.ac.uk;
www.unizh.ch;
www.cryst.bbk.ac.uk/~ubcg07s;
www.nimr.mrc.ac.uk/CC/ccaewg/ccaewg.html;
www.path.cam.ac.uk/~mrc7/humanisation/TAHHP.html;
www.ibt.unam.mx/vir/structure/stat_aim.html;
www.biosci.missouri.edu/smithgp/index.html;
www.jerini.de;
Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,U.S.Dept.Health(1983)。
【0056】
かかるインポートされた配列を使用して、免疫原性を低減させるか、又は当該技術分野において既知であるように、結合、親和性、結合速度定数、解離速度定数、結合活性、特異性、半減期、若しくは任意の他の好適な特性を低減、増強、若しくは改変することができる。概して、CDR残基は、抗原結合に直接的にかつほとんど実質的に影響する。したがって、非ヒトCDR配列又はヒトCDR配列の一部又は全てを維持しつつ、可変領域及び定常領域の非ヒト配列をヒトアミノ酸又は他のアミノ酸に置き換えることもできる。
【0057】
抗体は、任意選択で、ヒト化されてもよい、又はヒト抗体は、抗原に対する高い親和性及び他の有利な生物学的特性を保持させたまま修飾させることができる。本目的を達成するためには、任意選択で、親配列及びヒト化配列の三次元モデルを使用して親配列及び種々の理論上のヒト化産物を解析するプロセスによって、ヒト化(又はヒト)抗体を調製することができる。三次元の免疫グロブリンモデルが一般的に利用可能であり、当業者に周知である。選択された免疫グロブリン配列候補について確率の高い三次元立体構造を図示及び表示するコンピュータプログラムが利用可能である。これらの表示を調べることにより、免疫グロブリン配列候補の機能において残基が示す可能性の高い働きの解析、すなわち免疫グロブリン候補の抗原結合能に影響する残基の解析が可能となる。このようにして、標的抗原に対する親和性の増強などといった望ましい抗体特性が達成されるように、コンセンサス配列及びインポート配列からフレームワーク(FR)残基を選択し組み合わせることができる。
【0058】
加えて、本発明の方法において使用されるヒト抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)特異的抗体は、ヒト生殖系列軽鎖フレームワークを含み得る。特定の実施形態では、軽鎖生殖系列配列は、A1、A10、A11、A14、A17、A18、A19、A2、A20、A23、A26、A27、A3、A30、A5、A7、B2、B3、L1、L10、L11、L12、L14、L15、L16、L18、L19、L2、L20、L22、L23、L24、L25、L4/18a、L5、L6、L8、L9、O1、O11、O12、O14、O18、O2、O4、及びO8を含むが、これらに限定されない、ヒトVK配列から選択される。ある特定の実施形態では、本軽鎖ヒト生殖系列フレームワークは、V1-11、V1-13、V1-16、V1-17、V1-18、V1-19、V1-2、V1-20、V1-22、V1-3、V1-4、V1-5、V1-7、V1-9、V2-1、V2-11、V2-13、V2-14、V2-15、V2-17、V2-19、V2-6、V2-7、V2-8、V3-2、V3-3、V3-4、V4-1、V4-2、V4-3、V4-4、V4-6、V5-1、V5-2、V5-4、及びV5-6から選択される。
【0059】
他の実施形態では、本発明の方法において使用されるヒト抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)特異的抗体は、ヒト生殖系列重鎖フレームワークを含み得る。特定の実施形態では、本重鎖ヒト生殖系列フレームワークは、VH1-18、VH1-2、VH1-24、VH1-3、VH1-45、VH1-46、VH1-58、VH1-69、VH1-8、VH2-26、VH2-5、VH2-70、VH3-11、VH3-13、VH3-15、VH3-16、VH3-20、VH3-21、VH3-23、VH3-30、VH3-33、VH3-35、VH3-38、VH3-43、VH3-48、VH3-49、VH3-53、VH3-64、VH3-66、VH3-7、VH3-72、VH3-73、VH3-74、VH3-9、VH4-28、VH4-31、VH4-34、VH4-39、VH4-4、VH4-59、VH4-61、VH5-51、VH6-1、及びVH7-81から選択される。
【0060】
特定の実施形態では、軽鎖可変領域及び/又は重鎖可変領域は、フレームワーク領域、又はフレームワーク領域の少なくとも一部分(例えば、FR2及びFR3などの2又は3つの小領域を含む)を含む。ある特定の実施形態では、少なくともFRL1、FRL2、FRL3、又はFRL4は、完全ヒトである。他の実施形態では、少なくともFRH1、FRH2、FRH3、又はFRH4は、完全ヒトである。いくつかの実施形態では、少なくともFRL1、FRL2、FRL3、又はFRL4は、生殖系列配列(例えば、ヒト生殖系列)であるか、又は特定のフレームワークのためのヒトコンセンサス配列(上述の既知のヒトIg配列の供給源で容易に入手可能である)を含む。他の実施形態では、少なくともFRH1、FRH2、FRH3、又はFRH4は、生殖系列配列(例えば、ヒト生殖系列)であるか、又は特定のフレームワークのためのヒトコンセンサス配列を含む。好ましい実施形態では、フレームワーク領域は、完全なヒトフレームワーク領域である。
【0061】
本発明の抗体のヒト化又は操作は、Winter(Jones et al.,Nature 321:522(1986)、Riechmann et al.,Nature 332:323(1988)、Verhoeyen et al.,Science 239:1534(1988))、Sims et al.,J.Immunol.151:2296(1993)、Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.196:901(1987),Carter et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.89:4285(1992)、Presta et al.,J.Immunol.151:2623(1993)、米国特許第5723323号、同第5976862号、同第5824514号、同第5817483号、同第5814476号、同第5763192号、同第5723323号、同第5,766886号、同第5714352号、同第6204023号、同第6180370号、同第5693762号、同第5530101号、同第5585089号、同第5225539号、同第4816567号、国際出願第US98/16280号、同第US96/18978号、同第US91/09630号、同第US91/05939号、同第US94/01234号、国際出願第GB89/01334号、同第GB91/01134号、同第GB92/01755号、国際公開第90/14443号、同第90/14424号、同第90/14430号、欧州特許第229246号(各々参照により全体が明細書に組み込まれ、その中で引用される文献を含む)に記載されるものなどであるが、これらに限定されない、任意の既知の方法を使用して行うことができる。
【0062】
ある特定の実施形態では、抗体は、改変された(例えば、変異を導入された)Fc領域を含む。例えば、いくつかの実施形態では、Fc領域は、抗体のエフェクター機能を低減又は増強するように改変されている。いくつかの実施形態では、Fc領域は、IgM、IgA、IgG、IgE、又は他のアイソタイプから選択されるアイソタイプである。あるいは、又は加えて、アミノ酸修飾と、IL-23結合分子のFc領域のC1q結合及び/又は補体依存性細胞傷害性機能を改変する1つ又は2つ以上の更なるアミノ酸修飾とを組み合わせることが有用であり得る。特に関心のある出発ポリペプチドは、C1qに結合するものであってもよく、補体依存性細胞毒性(complement dependent cytotoxicity、CDC)を示すものである。既存のC1q結合活性を有し、任意選択で、CDCを媒介する能力を更に有するポリペプチドは、これらの活性のうちの一方又は両方が増進するように修飾されてもよい。C1qを改変する、かつ/又はその補体依存性細胞傷害機能を修飾するアミノ酸修飾は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる国際公開特許第0042072号に記載されている。
【0063】
上記に開示されるように、例えば、C1q結合及び/又はFcγR結合を修飾し、それにより、補体依存性細胞毒性(CDC)活性及び/又は抗体依存性細胞媒介性細胞毒性(antibody-dependent cell-mediated cytotoxicity、ADCC)活性を変化させることによって、改変されたエフェクター機能を有する本発明のヒト抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)特異的抗体のFc領域を設計することができる。「エフェクター機能」は、(例えば、対象における)生物学的活性を活性化する又は低減させる役割を果たす。エフェクター機能の例としては、C1q結合、CDC、Fc受容体結合、ADCC、貪食作用、細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体、BCR)のダウンレギュレーションなどが挙げられるが、これらに限定されない。かかるエフェクター機能は、Fc領域が、結合ドメイン(例えば、抗体可変ドメイン)と結合することを必要とする場合があり、多種多用な試験法(例えば、Fc結合アッセイ、ADCCアッセイ、CDCアッセイなど)を使用して評価することができる。
【0064】
例えば、改善されたC1q結合及び改善されたFcγRIII結合を有する(例えば、改善されたADCC活性及び改善されたCDC活性の両方を有する)ヒト抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)抗体の変異体Fc領域を生成することができる。あるいは、エフェクター機能を低減又は除去することが所望される場合、変異体Fc領域は、CDC活性を低減させるよう及び/又はADCC活性を低減させるよう修飾することができる。他の実施形態では、これらの活性のうちの1つのみが増強されてもよく、任意選択で、同時に他の活性が低減されてもよい(例えば、改善されたADCC活性と低減されたCDC活性を有するFc領域変異体、及びこの逆のFc領域変異体を生成するため)。
【0065】
Fc変異は、胎児性Fc受容体(neonatal Fc receptor、FcRn)との相互作用を改変し、それらの薬物動態特性を改善するように遺伝子を操作して、導入することもできる。FcRnへの結合を改善したヒトFc変異体の収集は、説明されている(Shields et al.,(2001).High resolution mapping of the binding site on human IgG1 for FcγRI,FcγRII、FcγRIII,and FcRn and design of IgG1 variants with improved binding to the FCγR、J.Biol.Chem.276:6591-6604)。
【0066】
別の種類のアミノ酸置換は、ヒト抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)特異的抗体のFc領域のグリコシル化パターンを改変するのに役立つ。Fc領域のグリコシル化は、典型的に、N結合型又はO結合型のいずれかである。N結合型は、アスパラギン残基の側鎖への炭水化物部分の結合を指す。O結合型グリコシル化は、ヒドロキシアミノ酸、最も一般的にはセリン又はスレオニンへの糖類、N-アセチルガラクトサミン、ガラクトース、又はキシロースのうちの1つの結合を指すが、5-ヒドロキシプロリン又は5-ヒドロキシリジンが使用される場合もある。アスパラギン側鎖ペプチド配列への炭水化物部分の酵素的結合のための認識配列は、アスパラギン-X-セリン及びアスパラギン-X-スレオニンであり、ここで、Xは、プロリン以外の任意のアミノ酸である。このため、ポリペプチド中にこれらのいずれかのペプチド配列が存在すると、潜在的なグリコシル化部位がもたらされる。
【0067】
グリコシル化パターンは、例えば、ポリペプチドに見出される1つ又は2つ以上のグリコシル化部位を欠失させること、及び/又はポリペプチド中に存在しない1つ又は2つ以上のグリコシル化部位を付加することによって改変され得る。ヒトIL-23特異的抗体のFc領域へのグリコシル化部位の付加は、上記のトリペプチド配列のうちの1つ又は2つ以上を含むようにアミノ酸配列を改変することによって首尾よく達成される(N結合型グリコシル化部位の場合)。代表的なグリコシル化変異体は、重鎖の残基Asn297のアミノ酸置換を有する。この改変は、元のポリペプチド配列への1つ又は2つ以上のセリン又はスレオニン残基の付加、又はこれらによる置換によって行われてもよい(O結合型グリコシル化部位の場合)。加えて、Asn 297をAlaに変更すると、グリコシル化部位の1つを除去することができる。
【0068】
ある特定の実施形態では、本発明のヒト抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)特異的抗体は、GnT IIIがGlcNAcをヒト抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)抗体に付加するように、ベータ(1,4)-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnT III)を発現する細胞において発現される。かかる様式で抗体を産生するための方法は、国際公開特許第9954342号、同第03011878号、特許公報第2003/0003097(A1)号、及びUmana et al.,Nature Biotechnology,17:176-180,Feb.1999に提供されており、これらは全て、参照によりそれらの全体が本明細書に明確に組み込まれる。
【0069】
ヒト抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)抗体はまた、任意選択で、本明細書に記載され、かつ/又は当該技術分野において既知である、ヒト抗体のレパートリーを産生することができるトランスジェニック動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、非ヒト霊長類など)の免疫化により生成することもできる。ヒト抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)抗体を産生する細胞を、かかる動物から単離し、本明細書に記載される方法などの好適な方法を使用して不死化してもよい。
【0070】
ヒト抗原に結合するヒト抗体のレパートリーを産生することができるトランスジェニックマウスは、既知の方法(例えば、これらに限定されないが、各々参照により全体が本明細書に組み込まれる、Lonbergらに発行された米国特許第5,770,428号、同第5,569,825号、同第5,545,806号、同第5,625,126号、同第5,625,825号、同第5,633,425号、同第5,661,016号、及び同第5,789,650号、Jakobovitsらの国際公開第98/50433号、Jakobovitsらの国際公開第98/24893号、Lonbergらの国際公開第98/24884号、Lonbergらの国際公開第97/13852号、Lonbergらの国際公開第94/25585号、Kucherlapateらの国際公開第96/34096号、Kucherlapateらの欧州特許第0463151(B1)号、Kucherlapateらの欧州特許0710719(A1)号、Suraniらの米国特許第5,545,807号、Bruggemannらの国際公開第90/04036号、Bruggemannらの欧州特許第0438474(B1)号、Lonbergらの欧州特許第0814259(A2)号、Lonbergらの英国特許第2272440(A)号、Lonberg et al.Nature 368:856-859(1994),Taylor et al.,Int.Immunol.6(4)579-591(1994),Green et al,Nature Genetics 7:13-21(1994),Mendez et al.,Nature Genetics 15:146-156(1997),Taylor et al.,Nucleic Acids Research 20(23):6287-6295(1992),Tuaillon et al.,Proc Natl Acad Sci USA 90(8)3720-3724(1993)、Lonberg et al.,Int Rev Immunol 13(1):65-93(1995)、及びFishwald et al.,Nat Biotechnol 14(7):845-851(1996))によって生成することができる。概して、これらのマウスは、機能的に再構成された、又は機能的な再構成を受けることができる少なくとも1つのヒト免疫グロブリン遺伝子座に由来するDNAを含む、少なくとも1つの導入遺伝子を含む。かかるマウスの内因性免疫グロブリン遺伝子座を破壊又は欠失させて、マウスの、内因性遺伝子によりコードされている抗体の産生能を除去することができる。
【0071】
類似のタンパク質又は断片への特異的結合についての抗体のスクリーニングは、ペプチドディスプレイライブラリを使用して首尾よく達成することができる。本方法は、望ましい機能又は構造をもつ個々のメンバーについてペプチドの大規模コレクションをスクリーニングすることを含む。ペプチドディスプレイライブラリの抗体スクリーニングは当該技術分野において周知である。ディスプレイされたペプチド配列は、3~5000又はそれ以上のアミノ酸長、高頻度で5~100アミノ酸長、多くの場合、約8~25アミノ酸長であることができる。ペプチドライブラリを作成する直接化学合成法に加えて、いくつかの組換えDNA方法も記述されている。1つのタイプは、バクテリオファージ又は細胞の表面上でのペプチド配列のディスプレイを含む。各バクテリオファージ又は細胞は、特定のディスプレイされたペプチド配列をコードするヌクレオチド配列を含有する。かかる方法は、国際出願第91/17271号、同第91/18980号、同第91/19818号、及び同第93/08278号に記載されている。
【0072】
ペプチドライブラリを作成するための他のシステムは、インビトロでの化学合成法及び組換え法の両方の態様を有する。国際出願第92/05258号、同第92/14843号、及び同第96/19256号を参照されたい。米国特許第5,658,754号及び同第5,643,768号も参照されたい。ペプチドディスプレイライブラリ、ベクター、及びスクリーニングキットは、Invitrogen(Carlsbad,CA)及びCambridge antibody Technologies(Cambridgeshire,UK)などの供給業者から市販されている。例えば、Enzonに譲渡された米国特許第4704692号、同第4939666号、同第4946778号、同第5260203号、同第5455030号、同第5518889号、同第5534621号、同第5656730号、同第5763733号、同第5767260号、同第5856456号、Dyaxに譲渡された米国特許第5223409号、同第5403484号、同第5571698号、同第5837500号、Affymaxに譲渡された米国特許第5427908号、同第5580717号、Cambridge antibody Technologiesに譲渡された米国特許第5885793号、Genentechに譲渡された米国特許第5750373号、Xomaに譲渡された米国特許第5618920号、同第5595898号、同第5576195号、同第5698435号、同第5693493号、同第5698417号、上記のColligan、上記のAusubel、又は上記のSambrookを参照されたい。上記特許及び刊行物は各々、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0073】
本発明の方法に使用される抗体は、かかる抗体を乳中に産生するヤギ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ウサギなどのトランスジェニック動物又は哺乳動物を提供するために、核酸をコードする少なくとも1つの抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)抗体を使用して調製することもできる。かかる動物を、既知の方法を使用して提供することができる。例えば、限定されるものではないが、各々参照により全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第5,827,690号、同第5,849,992号、同第4,873,316号、同第5,849,992号、同第5,994,616号、同第5,565,362号、同第5,304,489号などを参照されたい。
【0074】
本発明の方法に使用される抗体は、植物部分又はそれから培養された細胞において、かかる抗体、特定の部分、又は変異体を産生するトランスジェニック植物及び培養された植物細胞(例えば、タバコ及びトウモロコシであるが、これらに限定されない)を提供するために、核酸をコードする少なくとも1つの抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)抗体を使用して更に調製することができる。非限定的な例として、例えば、誘導プロモータを用い、組換えタンパク質を発現するトランスジェニックタバコ葉をうまく使用して、大量の組換えタンパク質が提供されてきた。例えば、Cramer et al.,Curr.Top.Microbol.Immunol.240:95~118(1999)及びその中で引用される文献を参照されたい。また、トランスジェニックトウモロコシは、他の組換え系において産生されたタンパク質又は天然源から精製されたタンパク質に等しい生物学的活性を有する哺乳動物タンパク質を、商業生産レベルで発現させるために使用されてきた。例えば、Hood et al.,Adv.Exp.Med.Biol.464:127-147(1999)及びその中で引用される文献を参照されたい。抗体は、タバコ種子及びポテト塊茎を含む、単鎖抗体(single chain antibody、scFv)などの抗体断片を含むトランスジェニック植物の種子からも大量に生産されている。例えば、Conrad et al.,Plant Mol.Biol.38:101-109(1998)及びその中で引用される文献を参照されたい。したがって、本発明の抗体は、既知の方法に従って、トランスジェニック植物を使用して生産することもできる。例えば、Fischer et al.,Biotechnol.Appl.Biochem.30:99-108(Oct.,1999)、Ma et al.,Trends Biotechnol.13:522-7(1995)、Ma et al.,Plant Physiol.109:341-6(1995)、Whitelam et al.,Biochem.Soc.Trans.22:940-944(1994)、及びこれらの中で引用される文献も参照されたい。上記の文献は各々、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0075】
本発明の方法において使用される抗体は、広範囲にわたる親和性(KD)でヒトIL-12/IL-23p40又はIL-23に結合することができる。好ましい実施形態では、ヒトmAbは、任意選択で、高い親和性でヒトIL-12/IL-23p40又はIL-23に結合することができる。例えば、ヒトmAbは、ヒトIL-12/IL-23p40又はIL-23を約10-7M以下、例えば、限定されないが、0.1~9.9(又はその中の任意の範囲若しくは値)×10-7、10-8、10-9、10-10、10-11、10-12、10-13、又はその中の任意の範囲若しくは値などのKDで結合することができる。
【0076】
抗原に対する抗体の親和性又は結合活性は、任意の好適な方法を用いて実験により求めることができる。(例えば、Berzofsky,et al.,「Antibody-Antigen Interactions,」Fundamental Immunology,Paul,W.E.,Ed.,Raven Press:New York,NY(1984)、Kuby,Janis Immunology,W.H.Freeman and Company:New York,NY(1992)、及び本明細書に記載される方法を参照されたい)。特定の抗体抗原相互作用について測定される親和性は、異なる条件(例えば、塩濃度、pH)下で測定された場合に異なることができる。したがって、親和性及び他の抗原結合パラメータ(例えば、KD、Ka、Kd)の測定は、好ましくは、抗体及び抗原の標準化溶液、及び本明細書で記載される緩衝剤などの標準化緩衝剤を用いて行われる。
【0077】
核酸分子
本明細書に開示される他の配列の中でも、例えば、本明細書に記載される軽鎖若しくは重鎖可変又はCDR領域のうちの少なくとも1つの隣接アミノ酸の少なくとも70~100%をコードするヌクレオチド配列、特定の断片、変異体、若しくはそれらのコンセンサス配列、又はこれらの配列のうちの少なくとも1つを含む寄託ベクターなどの本明細書に提供される情報を使用して、少なくとも1つのIL-12/IL-23p40又はIL-23抗体をコードする本発明の核酸分子は、本明細書に記載されるか又は当該技術において既知の方法を使用して得ることができる。
【0078】
本発明の核酸分子は、mRNA、hnRNA、tRNA、若しくは任意の他の形態などのRNAの形態、又はクローニングにより得られる若しくは合成的に産生されるcDNA及びゲノムDNAが挙げられるが、これらに限定されないDNAの形態、又はこれらの任意の組み合わせであってもよい。DNAは、3本鎖、2本鎖若しくは1本鎖、又はこれらの任意の組み合わせであってもよい。DNA又はRNAの少なくとも1本の鎖の任意の部分は、センス鎖としても知られるコード鎖であってもよいし、又はアンチセンス鎖と呼ばれる、非コード鎖であってもよい。
【0079】
本発明の方法に使用される単離された核酸分子には、任意選択で1つ又は2つ以上のイントロン、例えば、限定されないが、少なくとも1つの重鎖若しくは軽鎖のCDR1、CDR2、及び/又はCDR3などの少なくとも1つのCDRの少なくとも1つの特定の部分を有するオープンリーディングフレーム(open reading frame、ORF)を含む核酸分子、抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体又は可変領域のコード配列を含む核酸分子、並びに上述の核酸分子とは実質的に異なるが、遺伝子コードの縮重により、本明細書に記載され、かつ/又は当該技術分野において既知である、少なくとも1つの抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体をなおコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子を含み得る。当然のことながら、遺伝子コードは、当該技術分野において周知である。したがって、本発明の方法で使用される特異的な抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体をコードするかかる変性核酸変異体を作製することは、当業者には日常的であるだろう。例えば、上記のAusubelらを参照されたい。かかる核酸変異体は、本発明に含まれる。単離された核酸分子の非限定的な例としては、それぞれ、HC CDR1、HC CDR2、HC CDR3、LC CDR1、LC CDR2、及びLC CDR3をコードする核酸が挙げられる。
【0080】
本明細書に記載されるように、抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体をコードする核酸を含む核酸分子としては、それ自体で抗体断片のアミノ酸配列をコードするもの、抗体の全長若しくは抗体の一部をコードする配列、抗体、断片若しくは部分のコード配列、並びに追加の配列、例えば、少なくとも1つのイントロンなど、前述の追加のコード配列を伴って、又は伴わずに、非コード5’及び3’配列、例えば、スプライシング及びポリアデニル化シグナル(例えば、mRNAのリボソーム結合及び安定性)を含む、転写、mRNAプロセシングにおいて役割を果たす転写された非翻訳配列を含むが、これに限定されない、追加の非コード配列と共に、少なくとも1つのシグナルリーダー若しくは融合ペプチドのコード配列、追加のアミノ酸、例えば、追加の機能を提供するアミノ酸をコードする追加のコード配列を挙げることができるが、これらに限定されない。したがって、抗体をコードする配列はマーカー配列に融合させることができ、例えば、マーカー配列は、これを融合させた抗体断片又は部分を含む抗体の精製を促進するペプチドをコードする配列である。
【0081】
本明細書に記載のポリヌクレオチドに選択的にハイブリダイズするポリヌクレオチド
本発明の方法は、本明細書に開示されるポリヌクレオチドに対して、選択的なハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする単離された核酸を使用する。したがって、本実施形態のポリヌクレオチドは、かかるポリヌクレオチドを含む核酸を単離、検出、及び/又は定量するために使用することができる。例えば、本発明のポリヌクレオチドを使用して、寄託されたライブラリにおける部分長又は完全長クローンを同定、単離、又は増幅することができる。いくつかの実施形態においては、ポリヌクレオチドは、単離された、又はそうでなければヒト若しくは哺乳動物の核酸ライブラリのcDNAに相補的な、ゲノム配列又はcDNA配列である。
【0082】
好ましくは、cDNAライブラリは完全長配列の少なくとも80%、好ましくは完全長配列の少なくとも85%又は90%、より好ましくは完全長配列の少なくとも95%を含む。このcDNAライブラリは、稀な配列の発現量を増大させるよう正規化することができる。相補配列に対する配列同一性が低い配列を使用する、低又は中ストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件が典型的なものであるが、これに限定されない。同一性がより高い配列には、任意選択で、中及び高ストリンジェンシーの条件を使用することができる。低ストリンジェンシー条件は、約70%の配列同一性をもつ配列の選択的ハイブリダイゼーションを可能にし、オーソロガス又はパラロガス配列を特定同定するために利用できる。
【0083】
任意選択で、ポリヌクレオチドは、抗体の少なくとも一部分をコードする。ポリヌクレオチドは、本発明の抗体をコードするポリヌクレオチドに対する選択的ハイブリダイゼーションに利用することができる核酸配列を包含する。例えば、各々参照により全体が本明細書に組み込まれる、上記のAusubel、上記のColliganを参照されたい。
【0084】
核酸の構築
単離された核酸は、当該技術分野において周知であるように、(a)組換え方法、(b)合成技術、(c)精製技術、及び/又は(d)これらの組み合わせを使用して作製することができる。
【0085】
核酸には、本発明のポリヌクレオチドに加えて、都合よく配列を含ませることができる。例えば、1つ又は2つ以上のエンドヌクレアーゼ制限部位を含むマルチクローニングサイトを核酸に挿入して、ポリヌクレオチドの単離に役立てることができる。また、翻訳可能な配列を挿入して、本発明の翻訳されたポリヌクレオチドの単離に役立てることができる。例えば、ヘキサヒスチジンマーカー配列は、本発明のタンパク質を精製するのに便利な手段を提供する。本発明の核酸(コード配列を除く)は、任意選択で、本発明のポリヌクレオチドのクローニング及び/又は発現のためのベクター、アダプター、又はリンカーである。
【0086】
かかるクローニング配列及び/又は発現配列に追加の配列を付加して、クローニング及び/又は発現におけるそれらの機能を最適化すること、ポリヌクレオチドの単離に役立てること、又は細胞へのポリヌクレオチドの導入を改善することができる。クローン化ベクター、発現ベクター、アダプター、及びリンカーの使用は、当該技術分野において周知である。(例えば、上記のAusubel、又は上記のSambrookを参照されたい)
【0087】
核酸を構築するための組換え方法
RNA、cDNA、ゲノムDNA、又はこれらの任意の組み合わせなどの単離された核酸組成物は、当業者に既知の任意の数のクローニング方法を用いて生物源から得ることができる。いくつかの実施形態では、本発明のポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下で選択的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブが、cDNA又はゲノムDNAライブラリ内の望ましい配列の同定に使用される。RNAの単離、並びにcDNA及びゲノムライブラリの構築は、当業者には周知である。(例えば、上記のAusubel、又は上記のSambrookを参照されたい)
【0088】
核酸のスクリーニング及び単離方法
本明細書に開示されているものなど、本発明の方法に使用されるポリヌクレオチドの配列に基づいたプローブを使用して、cDNA又はゲノムライブラリをスクリーニングすることができる。プローブを使用して、ゲノムDNA又はcDNA配列にハイブリダイズさせて、同じ又は異なる生体の相同遺伝子を単離することができる。当業者であれば、アッセイに様々な度合のハイブリダイゼーションストリンジェンシーを用いることができ、ハイブリダイゼーション又は洗浄媒質のいずれかをストリンジェントなものにできることを理解する。ハイブリダイゼーション条件がストリンジェントになるほど、二重鎖の形成が生じる際のプローブと標的との間の相補性の度合が大きくなるはずである。ストリンジェンシーの程度は、温度、イオン強度、pH、及びホルムアミドなどの部分的に変性する溶媒の存在のうちの1つ又は2つ以上によって制御され得る。例えば、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、例えば、0%~50%の範囲内でのホルムアミド濃度の操作により反応溶液の極性を変えることにより首尾よく変更される。検出可能な結合に必要とされる相補性(配列同一性)の程度は、ハイブリダイゼーション媒質及び/又は洗浄媒質のストリンジェンシーによって異なる。相補性の程度は、最適には100%、又は70~100%、又はその中の任意の範囲若しくは値である。しかしながら、プローブ及びプライマ中の配列のわずかな違いは、ハイブリダイゼーション及び/又は洗浄媒質のストリンジェンシーを低減させることで埋め合わせることができることを理解すべきである。
【0089】
RNA又はDNAの増幅方法は当該技術分野において周知であり、本明細書に提示される教示及び指針に基づいて、過度の実験なしに、本発明に従って使用することができる。
【0090】
DNA又はRNA増幅の既知の方法としては、ポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction、PCR)及び関連する増幅プロセス(例えば、Mullisらの米国特許第4,683,195号、同第4,683,202号、同第4,800,159号、同第4,965,188号、Taborらの米国特許第4,795,699号及び同第4,921,794号、Innisの米国特許第5,142,033号、Wilsonらの米国特許第5,122,464号、Innisの米国特許第5,091,310号、Gyllenstenらの米国特許第5,066,584号、Gelfandらの米国特許第4,889,818号、Silverらの米国特許第4,994,370号、Biswasの米国特許第4,766,067号、Ringoldの米国特許第4,656,134号を参照されたい)、及び二本鎖DNA合成のためのテンプレートとして標的配列に対してアンチセンスRNAを使用するRNA媒介増幅(Malekらの米国特許第5,130,238号、商標名NASBA)が挙げられるが、これらに限定されず、これらの文献の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。(例えば、上記のAusubel、又は上記のSambrookを参照されたい。)
【0091】
例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術を使用して、ゲノムDNA又はcDNAライブラリから直接、本発明の方法に使用されるポリヌクレオチド及び関連する遺伝子の配列を増幅することができる。PCR及び他のインビトロ増幅方法はまた、例えば、発現すべきタンパク質をコードする核酸配列をクローニングすること、サンプル中の所望のmRNAの存在を検出するため、核酸の配列決定のため、又は他の目的のためのプローブとして用いる核酸を作製することに関し有用であり得る。インビトロでの増幅方法によって当業者を導くのに十分な技術の例は、上記のBerger、上記のSambrook、及び上記のAusubel、並びにMullisらの米国特許第4,683,202号(1987)、及びInnis,et al.,PCR Protocols A Guide to Methods and Applications,Eds.,Academic Press Inc.,San Diego,CA(1990)に見られる。ゲノムPCR増幅用の市販キットは技術分野において既知である。例えば、Advantage-GC Genomic PCR Kit(Clontech)を参照されたい。加えて、例えば、T4遺伝子32タンパク質(Boehringer Mannheim)を用いて、長いPCR産物の収率を改善することができる。
【0092】
核酸を構築するための合成方法
本発明の方法に使用される単離された核酸は、既知の方法による直接化学合成によって調製することもできる(例えば、上記のAusubelらを参照されたい)。化学合成は、概して、相補的配列とのハイブリダイゼーションによって、又は1本鎖をテンプレートとして使用するDNAポリメラーゼとの重合によって、2本鎖DNAに変換可能な1本鎖オリゴヌクレオチドを産生する。当業者であれば、DNAの化学合成は約100又はそれ以上の塩基の配列に限定され得るが、より長い配列は、より短い配列のライゲーションによって得ることができることを認識する。
【0093】
組換え発現カセット
本発明は核酸を含む組換え発現カセットを使用する。核酸配列、例えば本発明の方法に使用される抗体をコードするcDNA又はゲノム配列を使用して、少なくとも1つの所望の宿主細胞に導入することができる組換え発現カセットを構築することができる。組換え発現カセットは、典型的には、意図される宿主細胞においてポリヌクレオチドの転写を導く、転写開始調節配列に操作可能に連結される、ポリヌクレオチドを含む。異種及び非異種(すなわち、内因性)プロモータの両方を利用して、核酸の発現を導くことができる。
【0094】
いくつかの実施形態では、プロモータ、エンハンサ、又は他の要素として機能する単離された核酸を、ポリヌクレオチドの発現を上方又は下方調節するために、本発明のポリヌクレオチドの非異種形の適切な位置(上流、下流、又はイントロン内)に導入することができる。例えば、変異、欠失、及び/又は置換により、インビボ又はインビトロで内因性プロモータを変化させることができる。
【0095】
ベクター及び宿主細胞
本発明はまた、単離された核酸分子を含むベクター、組換えベクターを用いて遺伝子工学処理された宿主細胞、及び当該技術分野において周知の組換え技術による少なくとも1つの抗IL-23抗体の産生に関する。例えば、各々参照により全体が本明細書に組み込まれる、上記のSambrookら、上記のAusubelらを参照されたい。
【0096】
ポリヌクレオチドは、任意選択で、宿主の増殖についての選択マーカーを含有するベクターに結合することができる。概して、プラスミドベクターは、リン酸カルシウム沈殿物などの沈殿物中に、又は荷電脂質との複合体中に導入される。ベクターがウイルスである場合は、適切なパッケージング細胞株を用いてインビトロでこれをパッケージングし、その後、宿主細胞内に形質導入することができる。
【0097】
DNA挿入物は、適切なプロモータに機能的に連結されるべきである。発現コンストラクトは、転写開始部位、転写終結部位、及び転写された領域内では翻訳のためのリボソーム結合部位を更に含む。コンストラクトにより発現した成熟した転写産物のコード部分は、好ましくは、翻訳されるべきmRNAの最後に適切に位置する開始及び終止コドン(例えば、UAA、UGA、又はUAG)で始まる翻訳を含み、哺乳動物又は真核生物細胞の発現ではUAA及びUAGが好ましい。
【0098】
発現ベクターが少なくとも1つの選択マーカーを含むことが好ましいが、任意選択である。かかるマーカーは、例えば、真核細胞培養のためのメトトレキサート(methotrexate、MTX)、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(dihydrofolate reductase(DHFR、米国特許第4,399,216号、同第4,634,665号、同第4,656,134号、同第4,956,288号、同第5,149,636号、同第5,179,017号、アンピシリン、ネオマイシン(G418)、ミコフェノール酸、又はグルタミンシンセターゼ(glutamine synthetase、GS、米国特許第5,122,464号、同第5,770,359号、同第5,827,739号)抵抗性遺伝子、並びにE.coli及び他の細菌又は原核生物における培養のためのテトラサイクリン又はアンピシリン抵抗性遺伝子を含むが、これらに限定されない(上記の特許は、参照により全体が本明細書に組み込まれる)。上記の宿主細胞に対して適切な培養培地及び条件は、技術分野において既知である。好適なベクターは、当業者にとって容易に明白となる。宿主細胞へのベクターコンストラクトの導入は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE-デキストラン媒介トランスフェクション、カチオン性脂質媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、形質導入、感染、又は他の既知の方法により達成することができる。かかる方法については、上記のSambrook、第1~4章及び第16~18章、上記のAusubel、第1、9、13、15、16章などの当該技術分野に記載されている。
【0099】
本発明の方法に使用される少なくとも1つの抗体は、融合タンパク質などの修飾された形態で発現され得、分泌シグナルだけでなく、追加の異種機能領域も含むことができる。例えば、追加アミノ酸の領域、特に荷電アミノ酸を抗体のN末端に追加して、精製中又は後続の処理及び保存中に、宿主細胞における安定性及び持続性を改善することができる。また、ペプチド部分を本発明の抗体に追加して、精製を促進することもできる。抗体又は少なくとも1つのその断片の最終調製前に、かかる領域を除去することができる。かかる方法は、上記のSambrook、第17.29~17.42章及び第18.1~18.74章、上記のAusubel、第16、17、及び18章などの多くの標準的な実験室マニュアルに記載されている。
【0100】
当業者であれば、本発明の方法に使用されるタンパク質をコードする核酸の発現に利用可能な多数の発現系について精通している。あるいは、核酸は、抗体をコードする内因性DNAを含有する宿主細胞内で、(操作により)オンに切り替えることにより、宿主細胞中で発現させることができる。かかる方法は、参照により全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第5,580,734号、同第5,641,670号、同第5,733,746号、及び同第5,733,761号に記載されているように、当該技術分野において周知である。
【0101】
抗体、その特定の部分又は変異体の産生に有用な細胞培養物の一例は、哺乳動物細胞である。哺乳動物細胞系は、しばしば細胞からなる単層形態を取るが、哺乳動物細胞の懸濁液又はバイオリアクターを使用することもできる。無傷なグリコシル化タンパク質を発現可能な多くの好適な宿主細胞株が当該技術分野において開発されており、これにはCOS-1(例えばATCC CRL 1650)、COS-7(例えばATCC CRL-1651)、HEK293、BHK21(例えばATCC CRL-10)、CHO(例えばATCC CRL1610)、及びBSC-1(例えばATCC CRL-26)細胞株、Cos-7細胞、CHO細胞、hep G2細胞、P3X63Ag8.653、SP2/0-Ag14、293細胞、HeLa細胞などが挙げられ、これらは例えば、American Type Culture Collection,Manassas,Va(www.atcc.org)から容易に入手可能である。好ましい宿主細胞としては、骨髄腫及びリンパ腫細胞などのリンパ系に由来する細胞が挙げられる。特に好ましい宿主細胞は、P3X63Ag8.653細胞(ATCC寄託番号CRL-1580)及びSP2/0-Ag14細胞(ATCC寄託番号CRL-1851)である。特に好ましい実施形態では、組換え細胞は、P3X63Ab8.653又はSP2/0-Ag14細胞である。
【0102】
これらの細胞の発現ベクターは、複製起点、プロモータ(例えば、後期又は初期SV40プロモータ、CMVプロモータ(米国特許第5,168,062号、同第5,385,839号)、HSV tkプロモータ、pgk(ホスホグリセレートキナーゼ)プロモータ、EF-1アルファプロモータ(米国特許第5,266,491号)、少なくとも1つのヒト免疫グロブリンプロモータ、エンハンサ、及び/又はリボソーム結合部位、RNAスプライス部位、ポリアデニル化部位(例えば、SV40ラージT Agポリ付加部位)、並びに転写終結配列などのプロセシング情報部位などであるが、これらに限定されない、発現制御配列のうちの1つ又は2つ以上を含むことができる。例えば、上記のAusubelら、上記のSambrookらを参照されたい。本発明の核酸又はタンパク質の産生に有用な他の細胞は既知であり、並びに/あるいは例えば、American Type Culture Collection Catalogue of Cell Lines and Hybridomas(www.atcc.org)又は他の既知の若しくは商業的供給源から入手可能である。
【0103】
真核宿主細胞が利用される場合、典型的には、ベクター内にポリアデニル化又は転写終結配列が組み込まれる。終結配列の一例は、ウシ成長ホルモン遺伝子からのポリアデニル化配列である。転写の正確なスプライシングのための配列も、同様に含むことができる。スプライシング配列の一例は、SV40由来のVP1イントロンである(Sprague,et al.,J.Virol.45:773-781(1983))。加えて、当該技術分野において既知であるように、宿主細胞内の複製を制御するための遺伝子配列をベクター内に組み込むことができる。
【0104】
抗体の精製
抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体は、プロテインA精製、硫酸アンモニウム又はエタノール沈殿、酸抽出、アニオン又はカチオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、及びレクチンクロマトグラフィーが挙げられるが、これらに限定されない、周知の方法により、組換え細胞培養物から回収し、精製することができる。高速液体クロマトグラフィー(high performance liquid chromatography、「HPLC」)を精製に利用することもできる。例えば、各々参照により全体が本明細書に組み込まれる、Colligan,Current Protocols in Immunology又はCurrent Protocols in Protein Science,John Wiley & Sons,NY,NY(1997-2001)の、例えば、第1、4、6、8、9、10章を参照されたい。
【0105】
本発明の方法に使用される抗体には、天然に精製された産物、化学合成工程の産物、並びに例えば、酵母、高等植物、昆虫、及び哺乳動物細胞を含む、真核宿主から組換え技術により生産された産物が含まれる。組換え生産工程において利用される宿主に応じて、抗体は、グリコシル化されてもグリコシル化されなくてもよいが、グリコシル化されるのが好ましい。かかる方法は、全て参照により全体が本明細書に組み込まれる、上記のSambrook、節17.37~17.42、上記のAusubel、第10、12、13、16、18、及び20章、上記のColligan,Protein Science、第12~14章などの多くの標準的な実験室マニュアルに記載されている。
【0106】
抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体
本発明による抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体は、抗体に組み込むことができる、免疫グロブリン分子の少なくとも一部、例えば、限定されないが、少なくとも1つのリガンド結合部分(ligand binding portion、LBP)、例えば、限定されないが、重鎖若しくは軽鎖の相補性決定領域(CDR)又はそのリガンド結合部分、重鎖又は軽鎖可変領域、フレームワーク領域(例えば、FR1、FR2、FR3、FR4、又はそれらの断片、更に任意選択で、少なくとも1つの置換、挿入、又は欠失を含む)、重鎖若しくは軽鎖定常領域(例えば、少なくとも1つのCH1、ヒンジ1、ヒンジ2、ヒンジ3、ヒンジ4、CH2、若しくはCH3、又はそれらの断片、更に任意選択で、少なくとも1つの置換、挿入、又は欠失を含む)、又はそれらの任意の部分を含む、任意のタンパク質又はペプチド含有分子を含む。抗体は、ヒト、マウス、ウサギ、ラット、げっ歯類、霊長類、又はこれらの任意の組み合わせなどであるが、これらに限定されない、任意の哺乳動物を含むか、又はそれに由来することができる。
【0107】
本発明の方法に使用される単離された抗体は、任意の好適なポリヌクレオチドによってコードされる本明細書に開示される抗体のアミノ酸配列、又は任意の単離若しくは調製された抗体を含む。好ましくは、ヒト抗体又は抗原結合断片は、ヒトIL-12/IL-23p40又はIL-23に結合し、それにより、タンパク質の少なくとも1つの生物学的活性を部分的に又は実質的に中和する。少なくとも1つのIL-12/IL-23p40又はIL-23タンパク質又は断片の少なくとも1つの生物学的活性を部分的に又は好ましくは実質的に中和する抗体又はその特定の部分若しくは変異体は、タンパク質又は断片に結合し、それによりIL-12/IL-23p40又はIL-23の、IL-12及び/若しくはIL-23受容体への結合を通して、又は他のIL-12/IL-23p40若しくはIL-23依存性若しくは媒介型機序を通して媒介される活性を阻害することができる。本明細書で使用するとき、「中和抗体」という用語は、アッセイに応じて約20~120%、好ましくは少なくとも約10、20、30、40、50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100%、又はそれ以上、IL-12/IL-23p40又はIL-23依存活性を阻害することができる抗体を指す。抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体がIL-12/IL-23p40又はIL-23依存活性を阻害する能力は、好ましくは、本明細書に記載され、かつ/又は当該技術分野において既知である、少なくとも1つの好適なIL-12/IL-23p40又はIL-23タンパク質又は受容体アッセイによって評価される。ヒト抗体は、任意のクラス(IgG、IgA、IgM、IgE、IgDなど)又はアイソタイプのものであってもよく、カッパ又はラムダ軽鎖を含むことができる。一実施形態では、ヒト抗体は、IgG重鎖又は規定された断片、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4(例えば、γ1、γ2、γ3、γ4)のうちの少なくとも1つのアイソタイプを含む。このタイプの抗体は、本明細書に記載され、かつ/又は当該技術分野において既知である、少なくとも1つのヒト軽鎖(例えば、IgG、IgA、及びIgM)導入遺伝子を含む、トランスジェニックマウス又は他の非ヒトトランスジェニック哺乳動物を利用することによって調製することができる。別の実施形態では、抗IL-23ヒト抗体は、IgG1重鎖と、IgG1軽鎖とを含む。
【0108】
抗体は、少なくとも1つのIL-12/IL-23p40又はIL-23タンパク質、サブユニット、断片、部分、又はそれらの任意の組み合わせに特異的な少なくとも1つの特定のエピトープに結合する。本少なくとも1つのエピトープは、タンパク質の少なくとも一部分を含む少なくとも1つの抗体結合領域を含むことができ、このエピトープは好ましくは、タンパク質の少なくとも1つの細胞外部分、可溶性部分、親水性部分、外側部分、又は細胞質部分で構成されている。
【0109】
概して、ヒト抗体又は抗原結合断片は、少なくとも1つのヒト相補性決定領域(CDR1、CDR2、及びCDR3)又は少なくとも1つの重鎖可変領域の変異体、及び少なくとも1つのヒト相補性決定領域(CDR1、CDR2、及びCDR3)又は少なくとも1つの軽鎖可変領域の変異体を含む抗原結合領域を含む。CDR配列は、ヒト生殖細胞系列型配列に由来するものでも、生殖細胞系列型配列に厳密に一致するものでもよい。例えば、元の非ヒトCDRに由来する合成ライブラリからのCDRを使用することができる。これらのCDRは、元の非ヒト配列に由来する保存的置換の組込みによって形成され得る。別の特定の実施形態では、抗体又は抗原結合部分又は変異体は、対応するCDR1、2、及び/又は3のアミノ酸配列を有する少なくとも1つの軽鎖CDR(すなわち、CDR1、CDR2、及び/又はCDR3)の少なくとも一部分を含む抗原結合領域を有することができる。
【0110】
かかる抗体は、組換えDNA技術に関する従来技術を使用して抗体をコードする(すなわち、1つ又は2つ以上の)核酸分子を調製して発現させることによって、又は任意の他の好適な方法を使用することによって、従来技術を使用して抗体の種々の部分(例えば、CDR、フレームワーク)を一緒に化学的に結合させることにより調製することができる。
【0111】
抗IL-12/IL-23p40又はIL-23特異的抗体は、規定されたアミノ酸配列を有する重鎖又は軽鎖可変領域のうちの少なくとも1つを含むことができる。例えば、好ましい実施形態では、抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを有する抗IL-12/IL-23p40抗体を含む。抗IL-12/IL-23p40又はIL-23特異的抗体はまた、規定されたアミノ酸配列を有する重鎖又は軽鎖のうちの少なくとも1つを含むことができる。別の好ましい実施形態では、抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体は、配列番号10のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖とを有する抗IL-12/IL-23p40抗体を含む。ヒトIL-12/IL-23p40又はIL-23に結合し、規定された重鎖又は軽鎖可変領域を含む抗体は、当該技術分野で既知であり、かつ/又は本明細書に記載される、ファージディスプレイ(Katsube,Y.,et al.,Int J Mol.Med,1(5):863-868(1998))又はトランスジェニック動物を採用する方法など、好適な方法を使用して調製することができる。例えば、機能的に再構成されたヒト免疫グロブリン重鎖導入遺伝子と、機能的な再構成を受けることが可能なヒト免疫グロブリン軽鎖遺伝子座からのDNAを含む導入遺伝子とを含むトランスジェニックマウスを、ヒトIL-12/IL-23p40若しくはIL-23又はその断片で免疫化して抗体の産生を誘発することができる。所望する場合、抗体産生細胞を単離することができ、本明細書に記載され、かつ/又は当該技術分野において既知である、ハイブリドーマ又は他の不死化抗体産生細胞を調製することができる。あるいは、抗体、特定の部分又は変異体は、好適な宿主細胞内で、コード核酸又はその一部分を使用して発現させることができる。
【0112】
本発明はまた、本明細書に記載されるアミノ酸配列と実質的に同じである配列中のアミノ酸を含む抗体、抗原結合断片、免疫グロブリン鎖及びCDRに関する。好ましくは、かかる抗体又は抗原結合断片及びかかる鎖若しくはCDRを含む抗体は、高い親和性(例えば、KDが約10-9M以下)で、ヒトIL-12/IL-23p40又はIL-23に結合することができる。本明細書に記載されている配列と実質的に同じであるアミノ酸配列としては、保存的アミノ酸置換並びにアミノ酸欠失及び/又は挿入を含む配列が挙げられる。保存的アミノ酸置換は、第1のアミノ酸のものに類似する化学的及び/又は物理的特性(例えば、電荷、構造、極性、疎水性/親水性)を有する第2のアミノ酸で、第1のアミノ酸を置換することを指す。保存的置換は、限定されるものではないが、1個のアミノ酸を、以下の群内の別のアミノ酸で置き換えることを含む:リジン(K)、アルギニン(R)、及びヒスチジン(H);アスパラギン酸塩(D)及びグルタミン酸塩(E);アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、スレオニン(T)、チロシン(Y)、K、R、H、D、及びE;アラニン(A)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)、フェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、メチオニン(M)、システイン(C)、及びグリシン(G);F、W、及びY;C、S、及びT。
【0113】
アミノ酸コード
本発明の抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体を構成するアミノ酸は、略されることが多い。アミノ酸表記は、その一文字コード、その三文字コード、名称、又は3つのヌクレオチドのコドンによりアミノ酸を表記することにより示すことができ、当該技術分野においてよく理解されている(Alberts,B.ら、「Molecular Biology of The Cell」第3版、Garland Publishing,Inc.,New York(1994)を参照されたい)。
【0114】
【0115】
配列
例示の抗IL-12/IL-23p40抗体配列-STELARA(登録商標)(ウステキヌマブ)
抗IL-12/IL-23p40抗体相補性決定領域重鎖1(complementarity determining region heavy chain 1、CDRH1)のアミノ酸配列:(配列番号1)
TYWLG
【0116】
抗IL-12/IL-23p40抗体相補性決定領域重鎖2(CDRH2)のアミノ酸配列:(配列番号2)
IMSPVDSDIRYSPSFQG
【0117】
抗IL-12/IL-23p40抗体相補性決定領域重鎖3(CDRH3)のアミノ酸配列:(配列番号3)
RRPGQGYFDF
【0118】
抗IL-12/IL-23p40抗体相補性決定領域軽鎖1(complementarity determining region light chain 1、CDRL1)のアミノ酸配列:(配列番号4)
RASQGISSWLA
【0119】
抗IL-12/IL-23p40抗体相補性決定領域軽鎖2(CDRL2)のアミノ酸配列:(配列番号5)
AASSLQS
【0120】
抗IL-12/IL-23p40抗体相補性決定領域軽鎖3(CDRL3)のアミノ酸配列:(配列番号6)
QQYNIYPYT
【0121】
抗IL-12/IL-23p40抗体可変重鎖領域(CDRに下線が引かれている)のアミノ酸配列:(配列番号7)
【0122】
【0123】
抗IL-12/IL-23p40抗体可変軽鎖領域(CDRに下線が引かれている)のアミノ酸配列:(配列番号8)
【0124】
【0125】
抗IL-12/IL-23p40抗体重鎖(CDRに下線が引かれている)のアミノ酸配列:(配列番号10)
【0126】
【0127】
抗IL-12/IL-23p40抗体軽鎖(CDRに下線が引かれている)のアミノ酸配列:(配列番号11)
【0128】
【0129】
アミノ酸配列IL-12
α及びβサブユニットを有するヒトインターロイキン(IL)-12のアミノ酸配列:(配列番号9)
【0130】
【0131】
本発明の方法に使用される抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体は、本明細書で特定されるように、自然突然変異又はヒトによる操作のいずれかによる、1つ又は2つ以上のアミノ酸の置換、欠失、又は付加を含み得る。
【0132】
当業者が行い得るアミノ酸置換の数は、上記のものを含む多くの要因に依存する。一般的に言えば、所与の抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体、断片又は変異体のアミノ酸置換、挿入又は欠失の数は、本明細書で特定されるように、40、30、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、例えば、1~30又はこの中の任意の範囲若しくは値を超えない。
【0133】
機能上不可欠である抗IL-12/IL-23p40又はIL-23特異的抗体内のアミノ酸は、部位特異的突然変異誘発又はアラニンスキャニング突然変異誘発などの、当該技術分野において既知の方法により特定することができる(例えば、上記のAusubel、第8,15章;Cunningham及びWells,Science 244:1081-1085(1989))。後者の手順では、分子内の残基ごとに単個のアラニンによる変異を導入する。結果として得られた突然変異分子は、次いで、例えば、限定されないが、少なくとも1つのIL-12/IL-23p40又はIL-23中和活性などの生物活性について試験される。抗体結合にとって極めて重要である部位もまた、結晶化、核磁気共鳴又は光親和性標識などの構造解析によって同定することができる(Smithら,J.Mol.Biol.224:899-904(1992)及びde Vosら,Science 255:306-312(1992))。
【0134】
抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体は、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、10、又は11のうちの少なくとも1つの隣接アミノ酸のうちの5個から全てから選択される、少なくとも1つの部分、配列、又は組み合わせを含むことができるが、これらに限定されない。
【0135】
IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体又は特定の部分若しくは変異体としては、上記の配列番号の少なくとも3~5個の隣接アミノ酸、上記の配列番号の5~17個の隣接アミノ酸、上記の配列番号の5~10個の隣接アミノ酸、上記の配列番号の5~11個の隣接アミノ酸、上記の配列番号の5~7個の隣接アミノ酸、上記の配列番号の5~9個の隣接アミノ酸から選択される少なくとも1つの部分、配列、又は組み合わせが挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0136】
抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体は、更に任意選択で、上記の配列番号5、17、10、11、7、9、119、108、449、又は214個の隣接アミノ酸の70~100%の少なくとも1つのポリペプチドを含むことができる。一実施形態では、免疫グロブリン鎖又はその部分(例えば、可変領域、CDR)のアミノ酸配列は、上記の配列番号のうちの少なくとも1つの対応する鎖のアミノ酸配列と、約70~100%の同一性(例えば、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、又はこの中の任意の範囲若しくは値)を有する。例えば、軽鎖可変領域のアミノ酸配列を、上記の配列番号の配列と比較することができ、又は重鎖CDR3のアミノ酸配列を、上記の配列番号と比較することができる。好ましくは、70~100%のアミノ酸同一性(すなわち、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、又はこの中の任意の範囲若しくは値)は、当該技術分野において既知の好適なコンピュータアルゴリズムを使用して決定される。
【0137】
当該技術分野において既知の「同一性」とは、配列を比較することにより決定される、2つ若しくは3つ以上のポリペプチド配列間又は2つ若しくは3つ以上のポリヌクレオチド配列間の関係である。当該技術分野において、「同一性」とは、かかる配列のストリング間の一致によって決定される、ポリペプチド又はポリヌクレオチド配列間の配列関連性の程度も意味する。「同一性」及び「類似性」は、Computational Molecular Biology,Lesk,A.M.,ed.,Oxford University Press,New York,1988、Biocomputing:Informatics and Genome Projects,Smith,D.W.,ed.,Academic Press,New York,1993、Computer Analysis of Sequence Data,Part I,Griffin,A.M.,and Griffin,H.G.,eds.,Humana Press,New Jersey,1994、Sequence Analysis in Molecular Biology,von Heinje,G.,Academic Press,1987、及びSequence Analysis Primer,Gribskov,M.and Devereux,J.,eds.,M Stockton Press,New York,1991、並びにCarillo,H.,and Lipman,D.,Siam J.Applied Math.,48:1073(1988)に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない、既知の方法によって容易に算出することができる。加えて、同一性の割合に関する値は、Vector NTI Suite 8.0(Informax,Frederick,MD)の構成要素であるAlignXのデフォルト設定を用いて作成される、アミノ酸及びヌクレオチド配列アラインメントから得ることができる。
【0138】
同一性を決定する好ましい方法は、試験される配列間で最大の一致度が得られるように設計される。同一性及び類似性を決定する方法は、公的に入手可能なコンピュータプログラムにおいて成文化(codified)されている。2つの配列間の同一性及び類似性を決定するための好ましいコンピュータプログラム方法は、GCGプログラムパッケージ(Devereux,J.ら,Nucleic Acids Research 12(1):387(1984))、BLASTP、BLASTN、及びFASTA(Atschul,S.F.ら,J.Molec.Biol.215:403-410(1990))を含むが、これらに限定されるものではない。BLAST Xプログラムは、NCBI及び他のソース(BLAST Manual,Altschul,S.ら,NCBINLM NIH Bethesda,Md.20894:Altschul,S.ら,J.Mol.Biol.215:403-410(1990)から公的に入手可能である。周知のSmith Watermanアルゴリズムも同一性を決定するために使用され得る。
【0139】
ポリペプチド配列の比較に好ましいパラメータとしては、以下が挙げられる:
(1)アルゴリズム:Needleman and Wunsch,J.Mol Biol.48:443-453(1970)比較マトリックス:BLOSSUM62 from Hentikoff and Hentikoff,Proc.Natl.Acad.Sci,USA.89:10915-10919(1992)、
ギャップペナルティ:12
ギャップ長ペナルティ:4
これらのパラメータで有用なプログラムは、Genetics Computer Group,Madison Wisからの「ギャップ」プログラムとして公的に入手可能である。前述のパラメータは、ペプチド配列比較のためのデフォルトパラメータ(末端ギャップに関してペナルティがないのと同様に)である。
【0140】
ポリヌクレオチド比較のための好ましいパラメータとしては、以下が挙げられる:
(1)アルゴリズム:Needleman and Wunsch,J.Mol Biol.48:443-453(1970)
比較マトリックス:一致=+10、ミスマッチ=0
ギャップペナルティ:50
ギャップ長ペナルティ:3
Genetics Computer Group,Madison Wisからの「ギャップ」プログラムとして入手可能。これらは、核酸配列比較のデフォルトパラメータである。
【0141】
例として、ポリヌクレオチド配列は、別の配列と同一であり得る、つまり、100%同一であるか、又は参照配列と比較してある特定の整数までのヌクレオチド改変を含み得る。かかる改変は、少なくとも1つのヌクレオチドの欠失、置換(転移及び転換を含む)、又は挿入からなる群から選択され、この改変は、参照ヌクレオチド配列の5’若しくは3’末端位置で、又はこれらの末端位置の間のどこで生じてもよく、参照配列のヌクレオチド間に個々に、又は参照配列内の1つ又は2つ以上の隣接基のいずれかに分散していてもよい。ヌクレオチド改変の数は、配列中のヌクレオチドの総数に、対応する同一性パーセントの数値パーセント(100で割ったもの)を乗じ、その積を配列中のヌクレオチドの総数から差し引くこと、又は、
n.sub.n.ltorsim.x.sub.n-(x.sub.n.y)によって決定され、
式中、n.sub.nはヌクレオチド改変の数であり、x.sub.nは配列中のヌクレオチドの総数であり、yは、例えば、70%に対しては0.70、80%に対しては0.80、85%に対しては0.85、90%に対しては0.90、95%に対しては0.95などであり、x.sub.nとyとの任意の整数ではない積は、x.sub.nから差し引く前に最も近い整数に切り捨てる。
【0142】
上記の配列番号をコードするポリヌクレオチド配列の改変は、このコード配列中にナンセンス、ミスセンス、又はフレームシフト突然変異を作り出し、それにより、かかる改変後にポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドを改変してもよい。同様に、ポリペプチド配列は、上記の配列番号の参照配列と同一であってもよく、すなわち、100%同一であるか、又は同一性パーセントが100%未満であるように、参照配列と比較してある特定の整数までのアミノ酸改変を含んでもよい。かかる改変は、少なくとも1つのアミノ酸の欠失、置換(保存的及び非保存的置換を含む)、又は挿入からなる群から選択され、この改変は、参照ポリペプチド配列のアミノ若しくはカルボキシ末端位置で、又はこれらの末端位置の間のどこで生じてもよく、参照配列のアミノ酸間に個々に、又は参照配列内の1つ又は2つ以上の隣接基のいずれかに分散していてもよい。所与の同一性%のアミノ酸改変数は、上記の配列番号の総アミノ酸数にそれぞれの同一性パーセントの数値パーセント(100で除す)を乗じ、その後、その積を上記の配列番号の総アミノ酸数から減算することによって、又は
n.sub.a.ltorsim.x.sub.a-(x.sub.a.y)
(式中、n.sub.aは、アミノ酸改変数であり、x.sub.aは、上記の配列番号の総アミノ酸数であり、yは、例えば、70%は0.70であり、80%は0.80であり、85%は0.85であるといった具合であり、x.sub.a及びyの任意の非整数積は、x.sub.aからそれを減算する前に整数単位に四捨五入される)によって決定される。
【0143】
代表的な重鎖及び軽鎖可変領域の配列、並びにそれらの部分は、上記の配列番号に示される。本発明の抗体、又はその特定の変異体は、本発明の抗体から任意の数の隣接アミノ酸残基を含むことができ、その数は、抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体における隣接残基数の10~100%からなる整数の群から選択される。任意選択で、隣接アミノ酸のこの部分配列は、少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、若しくはそれ以上のアミノ酸長、又はその中の任意の範囲若しくは値である。更に、かかる部分配列の数は、少なくとも2、3、4、又は5などの、1~20からなる群から選択される任意の整数であることができる。
【0144】
当業者が認識しているように、本発明には、本発明の少なくとも1つの生物学的活性抗体が含まれている。生物学的活性抗体は、天然(非合成)、内因性、又は関連する、及び既知の抗体のものの、少なくとも20%、30%、又は40%、好ましくは少なくとも50%、60%、又は70%、最も好ましくは少なくとも80%、90%、若しくは95%~100%、又はそれ以上(限定されるものではないが、比活性の最大10倍を含む)の比活性を有する。酵素活性及び基質特異性のアッセイ及び定量測定の方法は、当業者には周知である。
【0145】
別の態様では、本発明は、有機部分の共有結合により修飾される、本明細書に記載されるヒト抗体及び抗原結合断片に関する。かかる修飾は、改善された薬物動態特性(例えば、増大したインビボでの血清半減期)を有する抗体又は抗原結合断片を産生することができる。有機部分は、直鎖又は分枝鎖親水性ポリマー基、脂肪酸基、又は脂肪酸エステル基であることができる。特定の実施形態では、親水性ポリマー基は、分子量が約800~約120,000ダルトンであって、ポリアルカングリコール(例えば、ポリエチレングリコール(polyethylene glycol、PEG)、ポリプロピレングリコール(polypropylene glycol、PPG))、炭水化物ポリマー、アミノ酸ポリマー又はポリビニルピロリドンであり得、脂肪酸基又は脂肪酸エステル基は、約8~約40個の炭素原子を含むことができる。
【0146】
修飾された抗体及び抗原結合断片は、抗体に直接的又は間接的に共有結合される、1つ又は2つ以上の有機部分を含むことができる。本発明の抗体又は抗原結合断片に結合される各有機部分は、独立して、親水性ポリマー基、脂肪酸基、又は脂肪酸エステル基であることができる。本明細書で使用するとき、「脂肪酸」という用語は、モノカルボン酸及びジカルボン酸を包含する。本明細書で使用する場合、「親水性ポリマー基」という用語は、オクタンよりも水に対する溶解度が高い有機ポリマーを意味する。例えば、ポリリシンは、オクタンよりも水に対する溶解度が高い。よって、ポリリシンの共有結合により修飾された抗体は、本発明に包含される。本発明の抗体を修飾するのに好適な親水性ポリマーは、直線状又は分岐状であることができ、例えば、ポリアルカングリコール(例えば、PEG、モノメトキシ-ポリエチレングリコール(monomethoxy-polyethylene glycol、mPEG)、PPGなど)、炭水化物(例えば、デキストラン、セルロース、オリゴ糖、多糖など)、親水性アミノ酸のポリマー(例えば、ポリリシン、ポリアルギニン、ポリアスパラギン酸など)、ポリアルカンオキシド(例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドなど)、及びポリビニルピロリドンを含む。好ましくは、本発明の抗体を修飾する親水性ポリマーは、個別の分子体として、約800~約150,000ダルトンの分子量を有する。例えば、PEG5000及びPEG20,000を使用することができ、下付き文字は、ポリマーの平均分子量(ダルトン)である。親水性ポリマー基は、1~約6個のアルキル基、脂肪酸基又は脂肪酸エステル基で置換することができる。脂肪酸又は脂肪酸エステル基で置換される親水性ポリマー類は、好適な方法を利用することによって調製することができる。例えば、アミン基を含むポリマーを、脂肪酸又は脂肪酸エステルのカルボン酸塩に連結させることができ、脂肪酸又は脂肪酸エステル上の活性化カルボン酸塩(例えば、N,N-カルボニルジイミダゾールで活性化されている)をポリマー上のヒドロキシル基に連結させることができる。
【0147】
本発明の抗体を修飾するために好適な脂肪酸及び脂肪酸エステルは、飽和されてもよいし、又は1つ若しくは2つ以上の不飽和単位を含有していてもよい。本発明の抗体を修飾するのに好適な脂肪酸としては、例えば、n-ドデカン酸塩(C12、ラウリン酸塩)、n-テトラデカン酸塩(C14、ミリスチン酸塩)、n-オクタデカン酸塩(C18、ステアリン酸塩)、n-エイコサン酸塩(C20、アラキジン酸塩)、n-ドコサン酸塩(C22、ベヘン酸)、n-トリアコンタン酸塩(C30)、n-テトラコンタン酸塩(C40)、シス-Δ9-オクタデカン酸塩(C18、オレイン酸塩)、全てのシス-Δ5,8,11,14-エイコサテトラエン酸塩(C20、アラキドン酸塩)、オクタンジオン酸、テトラデカンジオン酸、オクタデカンジオン酸、ドコサンジオン酸などが挙げられる。好適な脂肪酸エステルは、直鎖又は分枝鎖の低級アルキル基を含む、ジカルボン酸のモノエステルを含む。低級アルキル基は、1~約12個、好ましくは1~約6個の炭素原子を含むことができる。
【0148】
修飾ヒト抗体及び抗原結合断片は、1つ又は2つ以上の修飾剤と反応させることなどによって、好適な方法を使用して調製することができる。本明細書で使用するとき、「修飾剤」という用語は、活性化基を含む好適な有機基(例えば、親水性ポリマー、脂肪酸、脂肪酸エステル)を意味する。「活性化基」とは、適切な条件下で第2の化学基と反応し、これにより修飾剤と第2の化学基との間に共有結合を形成することのできる、化学部分又は官能基である。例えば、アミン反応性活性化基としては、トシル酸、メシル酸、ハロ(クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード)などの求電子基、N-ヒドロキシスクシニミジルエステル(N-hydroxysuccinimidyl esters、NHS)などが挙げられる。チオール類と反応可能な活性化基としては、例えば、マレイミド、ヨードアセチル、アクリロリル、ピリジルジスルフィド、5-チオール-2-ニトロ安息香酸チオール(TNB-チオール)などが挙げられる。アルデヒド官能基は、アミン又はヒドラジド含有分子と連結することができ、アジド基は、三価リン基と反応してホスホルアミデート又はホスホルイミド結合を形成することができる。分子中に活性化基を導入するための好適な方法は、当該技術分野において既知である(例えば、Hermanson,G.T.、Bioconjugate Techniques,Academic Press:San Diego,CA(1996)参照)。活性化基は、有機基(例えば、親水性ポリマー、脂肪酸、脂肪酸エステル)に直接的に、又はリンカー部分、例えば、二価のC1~C12基(ここで、1つ又は2つ以上の炭素原子は酸素、窒素又は硫黄などのヘテロ原子に置換できる)を介して結合することができる。好適なリンカー部分としては、例えば、テトラエチレングリコール、-(CH2)3-、-NH-(CH2)6-NH-、-(CH2)2-NH-、及び-CH2-O-CH2-CH2-O-CH2-CH2-O-CH-NH-が挙げられる。リンカー部分を含む修飾剤は、例えば、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)の存在下で、モノ-Boc-アルキルジアミン(例えば、モノ-Boc-エチレンジアミン、モノ-Boc-ジアミノへキサン)を脂肪酸と反応させて、遊離アミンと脂肪酸カルボキシレートとの間にアミド結合を形成することによって生産することができる。Boc保護基を、トリフルオロ酢酸(trifluoroacetic acid、TFA)処理により生成物から除去し、記載されているように別のカルボン酸塩に連結し得る一級アミンを露出させることができ、又はこれを無水マレイン酸と反応させ、結果として得られた生成物を環化させて脂肪酸の活性化マレイミド誘導体を産生することができる。(例えば、国際公開第92/16221号(Thompsonら)を参照されたく、この全教示が参照により本明細書に組み込まれる)。
【0149】
修飾された抗体は、ヒト抗体又は抗原結合断片を修飾剤と反応させることによって生産することができる。例えば、有機部分は、アミン反応性修飾剤、例えば、PEGのNHSエステルを利用して、部位特異的なものではない方法で抗体に結合させることができる。抗体又は抗原結合断片のジスルフィド結合(例えば、鎖内ジスルフィド結合)を還元することによって、修飾されたヒト抗体又は抗原結合断片を調製することもできる。このとき、還元された抗体又は抗原結合断片をチオール反応性修飾剤と反応させて、本発明の修飾された抗体を生産することができる。本発明の抗体の特定の部位に結合される有機部分を含む修飾されたヒト抗体及び抗原結合断片は、逆タンパク質分解(Fischら,Bioconjugate Chem.,3:147-153(1992)、Werlenら、Bioconjugate Chem.,5:411~417(1994)、Kumaranら、Protein Sci.6(10):2233-2241(1997)、Itohら,Bioorg.Chem.,24(1号):59~68(1996)、Capellasら,Biotechnol.Bioeng.,56(4):456~463(1997))、及びHermanson,G.T.,Bioconjugate Techniques,Academic Press:San Diego,CA(1996)に記載される方法などの好適な方法を使用して調製することができる。
【0150】
本発明の方法は、本明細書に記載され、かつ/又は当該技術分野において既知である、非自然発生組成物、混合物、又は形態で提供される少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又はそれ以上のその抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体を含む、抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体組成物も使用する。かかる組成物は、上記の配列番号の隣接アミノ酸の70~100%、又はその特定の断片、ドメイン、若しくは変異体からなる群から選択される抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体のアミノ酸配列の、少なくとも1つ又は2つの完全長、C及び/若しくはN末端欠失変異体、ドメイン、断片、又は特定の変異体を含む非自然発生組成物を含む。好ましい抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体組成物は、例えば、上記の配列番号の70~100%の、本明細書に記載される抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体配列、又はその特定の断片、ドメイン、若しくは変異体の、少なくとも1つのCDR又はLBP含有部分として、少なくとも1つ又は2つの完全長、断片、ドメイン、又は変異体を含む。更に好ましい組成物は、例えば、上記配列番号などの70~100%、又はその特定の断片、ドメイン、若しくは変異体のうちの少なくとも1つを40~99%含む。かかる組成物の百分率は、当該技術分野において既知であるか、又は本明細書に記載されるように、重量、容量、濃度、モル濃度、あるいは液体若しくは無水溶液(dry solution)、混合物、懸濁液、エマルション、粒子、粉末、又はコロイドとしてのモル濃度によるものである。
【0151】
更なる治療活性成分を含む抗体組成物
本発明の方法に使用される抗体組成物は、任意選択で、抗感染症薬、心血管(cardiovascular、CV)系作用薬、中枢神経系(central nervous system、CNS)薬、自律神経系(autonomic nervous system、ANS)薬、呼吸器薬、消化(gastrointestinal、GI)管作用薬、ホルモン薬、体液又は電解質平衡薬、血液作用薬、抗腫瘍薬、免疫調節薬、眼、耳又は鼻用薬、局所作用薬、栄養薬などのうち、少なくとも1つから選択される、有効量の少なくとも1つの化合物又はタンパク質を更に含むことができる。かかる薬物は、本明細書に示される各々の製剤、適応症、投与量、及び投与を含めて、当該技術分野において周知である(例えば、各々参照により全体が本明細書に組み込まれる、Nursing 2001 Handbook of Drugs,21st edition,Springhouse Corp.,Springhouse,PA,2001、Health Professional’s Drug Guide 2001,ed.,Shannon,Wilson,Stang,Prentice-Hall,Inc,Upper Saddle River,NJ、Pharmcotherapy Handbook,Wells et al.,Appleton & Lange,Stamford,CTを参照されたい)。
【0152】
本発明の方法の抗体と組み合わせることができる薬剤の例として、抗感染薬は、殺アメーバ薬又は少なくとも1種の抗原虫薬、駆虫薬、抗真菌薬、抗マラリア薬、抗結核薬又は少なくとも1種の抗らい菌薬、アミノグリコシド、ペニシリン、セファロスポリン、テトラサイクリン、スルホンアミド、フルオロキノロン、抗ウイルス薬、マクロライド抗感染薬、及び種々の抗感染薬から選択される少なくとも1種であることができる。ホルモン薬は、コルチコステロイド、アンドロゲン、又は少なくとも1種のアナボリックステロイド、エストロゲン、又は少なくとも1種のプロゲスチン、ゴナドトロピン、抗糖尿病薬、又は少なくとも1種のグルカゴン、甲状腺ホルモン、甲状腺ホルモン拮抗薬、下垂体ホルモン、及び副甲状腺様薬から選択される少なくとも1種であることができる。少なくとも1種のセファロスポリンは、セファクロル、セファドロキシル、セファゾリンナトリウム、セフジニル、塩酸セフェピム、セフィキシム、セフメタゾールナトリウム、セフォニシドナトリウム、セフォペラゾンナトリウム、セフォタキシムナトリウム、セフォテタン二ナトリウム、セフォキシチンナトリウム、セフポドキシムプロキセチル、セフプロジル、セフタジジム、セフチブテン、セフチゾキシムナトリウム、セフトリアキソンナトリウム、セフロキシムアキセチル、セフロキシムナトリウム、塩酸セファレキシン、セファレキシン一水和物、セフラジン、及びロラカルベフから選択される少なくとも1種であることができる。
【0153】
少なくとも1種のコルチコステロイド(coricosteroid)は、ベタメタゾン、酢酸ベタメタゾン又はリン酸ベタメタゾンナトリウム、リン酸ベタメタゾンナトリウム、酢酸コルチゾン、デキサメサゾン、酢酸デキサメサゾン、リン酸デキサメサゾンナトリウム、酢酸フルドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、シピオン酸ヒドロコルチゾン、リン酸ヒドロコルチゾンナトリウム、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、メチルプレドニゾロン、酢酸メチルプレドニゾロン、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、プレドニゾロン、酢酸プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、テブト酸プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、及び二酢酸トリアムシノロンから選択される少なくとも1種であることができる。少なくとも1種のアンドロゲン又はタンパク質同化ステロイドは、ダナゾール、フルオキシメステロン、メチルテストステロン、デカン酸ナンドロロン、フェンプロピオン酸ナンドロロン、テストステロン、シピオン酸テストステロン、エナント酸テストステロン、プロピオン酸テストステロン、及びテストステロン経皮系から選択される少なくとも1種であることができる。
【0154】
少なくとも1種の免疫抑制剤は、アザチオプリン、バシリキシマブ、シクロスポリン、ダクリズマブ、リンパ球免疫グロブリン、ムロモナブ-CD3、ミコフェノール酸モフェチル、塩酸ミコフェノール酸モフェチル、シロリムス、6-メルカプトプリン、メトトレキサート、ミゾリビン、及びタクロリムスから選択される少なくとも1種であることができる。
【0155】
少なくとも1種の局所抗感染薬は、アシクロビル、アンホテリシンB、アゼライン酸クリーム、バシトラシン、硝酸ブトコナゾール、リン酸クリンダマイシン、クロトリマゾール、硝酸エコナゾール、エリスロマイシン、硫酸ゲンタマイシン、ケトコナゾール、酢酸マフェニド、メトロニダゾール(局所)、硝酸ミコナゾール、ムピロシン、塩酸ナフチフィン、硫酸ネオマイシン、ニトロフラゾン、ナイスタチン、スルファジアジン銀、塩酸テルビナフィン、テルコナゾール、塩酸テトラサイクリン、チオコナゾール、及びトルナフテートから選択される少なくとも1種であることができる。少なくとも1種の疥癬殺虫剤若しくは殺シラミ薬は、クロタミトン、リンデン、ペルメトリン、及びピレトリンから選択される少なくとも1種であることができる。少なくとも1種の局所コルチコステロイドは、ジプロピオン酸ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、プロピオン酸クロベタゾール、デソニド、デスオキシメタゾン、デキサメサゾン、リン酸デキサメサゾンナトリウム、二酢酸ジフロラゾン、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルランドレノリド、プロピオン酸フルチカゾン、ハルシノニド(halcionide)、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、吉草酸ヒドロコルチゾン、フロ酸モメタゾン、及びトリアムシノロンアセトニドから選択される少なくとも1種であることができる。(例えば、Nursing 2001 Drug Handbookの1098~1136ページを参照されたい。)
【0156】
抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体組成物は、かかる調節、治療、又は療法を必要とする細胞、組織、器官、動物、又は対象と接触するか又はそれに投与される少なくとも1つの抗IL-12/23p40又はIL-23抗体を含み、任意選択で、少なくとも1つのTNF拮抗薬(例えば、限定されないが、TNF化学若しくはタンパク質拮抗薬、TNFモノクローナル若しくはポリクローナル抗体又は断片、可溶性TNF受容体(例えば、p55、p70、又はp85)又は断片、その融合ポリペプチド、又は小分子TNF拮抗薬、例えば、TNF結合タンパク質I若しくはII(TBP-1又はTBP-II)、ネレリモンマブ(nerelimonmab)、インフリキシマブ、エタナセプト(eternacept)、CDP-571、CDP-870、アフェリモマブ、レネルセプトなど)、抗リウマチ薬(例えば、メトトレキサート、オーラノフィン、アウロチオグルコース、アザチオプリン、エタネルセプト、金チオリンゴ酸ナトリウム、ヒドロキシクロロキン硫酸塩、レフルノミド、スルファサラジン)、免疫化物質、免疫グロブリン、免疫抑制薬(例えば、アザチオプリン、バシリキシマブ、シクロスポリン、ダクリズマブ)、サイトカイン又はサイトカイン拮抗薬から選択される少なくとも1つを更に含む、任意の好適かつ有効な量の組成物又は医薬組成物のうちの少なくとも1つを更に含むことができる。かかるサイトカインの非限定的な実施例としては、IL-1~IL-23など(例えば、IL-1、IL-2など)のいずれかが挙げられるが、これらに限定されるものではない。好適な投与量は、当該技術分野において周知である。例えば、Wells et al.,eds.,Pharmacotherapy Handbook,2nd Edition,Appleton and Lange,Stamford,CT(2000)、PDR Pharmacopoeia,Tarascon Pocket Pharmacopoeia 2000,Deluxe Edition,Tarascon Publishing,Loma Linda,CA(2000)を参照されたく、これらの文献は各々、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0157】
本発明の方法に使用される抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体化合物、組成物、又は混合物は更に、希釈剤、結合剤、安定剤、緩衝剤、塩、親油性溶媒、保存剤、アジュバントなどであるが、これらに限定されない、任意の好適な助剤のうちの少なくとも1つを含み得る。医薬的に許容される助剤が好ましい。かかる滅菌溶液を調製する方法及びその非限定例は、当該技術分野において周知であり、例えば、Gennaro,Ed.,Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Edition,Mack Publishing Co.(Easton,PA)1990が挙げられるが、これに限定されない。当該技術分野において周知であるか、又は本明細書に記載される、抗IL-23抗体、断片、又は変異体組成物の投与方式、溶解度、及び/又は安定性に好適な医薬的に許容される担体は、日常的に選択することができる。
【0158】
本組成物において有用な医薬賦形剤及び添加剤は、これらに限定されるものではないが、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、脂質及び炭水化物(例えば、単糖類、二糖、三糖、四糖、及びオリゴ糖を含む糖類、アルジトール、アルドン酸、エステル化糖などの誘導体化糖、並びに多糖類又は糖ポリマー)を含み、これらは、単独で又は組み合わせて存在してもよく、単独で又は組み合わせて1~99.99重量%又は容量%含まれる。代表的なタンパク質賦形剤としては、ヒト血清アルブミン(human serum albumin、HSA)などの血清アルブミン、組換えヒトアルブミン(recombinant human albumin、rHA)、ゼラチン、カゼインなどが挙げられる。緩衝能においても機能し得る代表的なアミノ酸/抗体構成要素としては、アラニン、グリシン、アルギニン、ベタイン、ヒスチジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、システイン、リシン、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、フェニルアラニン、アスパルテームなどが挙げられる。好ましいアミノ酸の1つはグリシンである。
【0159】
本発明で使用するのに好適な炭水化物賦形剤としては、例えば、フルクトース、マルトース、ガラクトース、グルコース、D-マンノース、ソルボースなどの単糖類、ラクトース、スクロース、トレハロース、セロビオースなどの二糖類、ラフィノース、メレジトース、マルトデキストリン、デキストラン、デンプン類などの多糖類、マンニトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトールソルビトール(グルシトール)、ミオイノシトールなどのアルジトールが挙げられる。本発明で使用するのに好ましい炭水化物添加物は、マンニトール、トレハロース、及びラフィノースである。
【0160】
抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体組成物は、緩衝剤又はpH調整剤も含み得、典型的には、緩衝剤は、有機酸又は塩基から調製される塩である。代表的な緩衝剤としては、クエン酸、アスコルビン酸、グルコン酸、炭酸、酒石酸、コハク酸、酢酸、又はフタル酸の塩などの有機酸塩、トリス、トロメタミン塩酸塩、又はリン酸緩衝剤が挙げられる。本組成物で使用するのに好ましい緩衝剤は、クエン酸などの有機酸塩である。
【0161】
加えて、抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体組成物は、ポリビニルピロリドン、フィコール(ポリマー糖)、デキストレート(例えば、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンなどのシクロデキストリン)、ポリエチレングリコール、着香剤、抗菌剤、甘味料、抗酸化剤、帯電防止剤、界面活性剤(例えば、「TWEEN20」及び「TWEEN80」などのポリソルベート)、脂質(例えば、リン脂質、脂肪酸)、ステロイド(例えば、コレステロール)、及びキレート剤(例えば、EDTA)などのポリマー賦形剤/添加剤を含み得る。
【0162】
本発明による抗IL-12/IL-23p40若しくはIL-23抗体、部分、又は変異体組成物における使用に好適なこれら及び追加の既知の製薬学的添加物及び/又は添加剤は、当該技術分野において既知であり、例えば、「Remington:The Science & Practice of Pharmacy」、19th ed.,Williams & Williams,(1995)、及び「Physician’s Desk Reference」、52nd ed,Medical Economics,Montvale,NJ(1998)に列挙されており、これらの開示は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。好ましい担体又は添加物材料は、炭水化物(例えば、単糖類及びアルジトール)及び緩衝剤(例えば、クエン酸)又はポリマー剤である。例示的な担体分子はムコ多糖、ヒアルロン酸であり、これらは関節内送達に有用であり得る。
【0163】
製剤
上述のとおり、本発明は、好ましくは、生理食塩水又は選択された塩を含むリン酸緩衝剤を含む安定した製剤、並びに保存剤を含有する保存溶液及び製剤、並びに医薬的に許容される製剤中に少なくとも1つの抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体を含む医薬的又は獣医学的用途に好適な多用途保存製剤を提供する。保存製剤は、水性希釈剤中に、少なくとも1つのフェノール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、硝酸フェニル水銀、フェノキシエタノール、ホルムアルデヒド、クロロブタノール、塩化マグネシウム(例えば、六水和物)、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、及びチメロサール、又はそれらの混合物からなる群から任意選択で選択される、少なくとも1つの既知の保存剤を含む。当該技術分野において既知であるように、0.001~5%、又はその中の任意の範囲若しくは値、例えば、0.001、0.003、0.005、0.009、0.01、0.02、0.03、0.05、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.3、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9など、又はその中の任意の範囲若しくは値の、任意の好適な濃度又は混合物を使用することができる。非限定的な実施例としては、保存剤無添加、0.1~2%のm-クレゾール(例えば、0.2、0.3.0.4、0.5、0.9、1.0%)、0.1~3%のベンジルアルコール(例えば、0.5、0.9、1.1、1.5、1.9、2.0、2.5%)、0.001~0.5%のチメロサール(例えば、0.005、0.01)、0.001~2.0%のフェノール(例えば、0.05、0.25、0.28、0.5、0.9、1.0%)、0.0005~1.0%のアルキルパラベン(例えば、0.00075、0.0009、0.001、0.002、0.005、0.0075、0.009、0.01、0.02、0.05、0.075、0.09、0.1、0.2、0.3、0.5、0.75、0.9、1.0%)などが挙げられる。
【0164】
上述のとおり、本発明の方法は、包装材と、任意選択で水性希釈剤中に処方された緩衝剤及び/又は保存剤を有する少なくとも1つの抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体の溶液を含む少なくとも1つのバイアルと、を含む製品を使用し、当該包装材は、かかる溶液を1、2、3、4、5、6、9、12、18、20、24、30、36、40、48、54、60、66、72時間以上の期間にわたり保持することができることを記すラベルを含む。本発明は、包装材と、凍結乾燥された抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体を含む第1のバイアルと、処方された緩衝剤又は保存剤の水性希釈剤を含む第2のバイアルと、を含む製品を更に使用し、当該包装材は、抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体を水性希釈剤で再構成して、24時間以上の期間にわたって保持することができる溶液を形成するように患者に指示するラベルを含む。
【0165】
本発明に従って使用される抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体は、本明細書に記載されるか、又は当該技術分野において既知である、組換え手段により、例えば、哺乳類細胞又はトランスジェニック調製物から生産することができるか、又は他の生物源から精製することができる。
【0166】
抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体の範囲は、湿潤/乾燥システムの場合、再構成するときに約1.0μg/mL~約1000mg/mLの濃度が得られる量で含まれるが、より低い濃度及び高い濃度でも作業可能であり、意図される送達ビヒクルに依存し、例えば溶液製剤は、経皮パッチ、肺、経粘膜、又は浸透圧性若しくはマイクロポンプ方法とは異なる。
【0167】
好ましくは、水性希釈剤は、任意選択で、医薬的に許容される保存剤を更に含む。好ましい保存剤には、フェノール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、及びチメロサール、又はそれらの混合物からなる群から選択されるものが挙げられる。製剤中で使用される保存剤の濃度は、抗菌効果を生み出すのに十分な濃度である。かかる濃度は選択された保存剤によって異なり、当業者により容易に決定される。
【0168】
他の賦形剤、例えば、等張剤、緩衝剤、抗酸化剤、及び保存剤エンハンサは、任意選択でかつ好ましくは希釈剤に添加することができる。グリセリンなどの等張剤が、既知の濃度で概して使用される。好ましくは、生理学的に耐性の緩衝剤を添加して、改善されたpH制御を提供する。製剤は、約pH4~約pH10、及び好ましくは約pH5~約pH9の範囲、及び最も好ましくは約6.0~約8.0の範囲などの、広範囲のpH範囲を網羅とすることができる。好ましくは、本発明の製剤は、約6.8~約7.8のpHを有する。好適な緩衝剤には、リン酸緩衝剤、最も好ましくは、リン酸ナトリウム、特にリン酸緩衝生理食塩水(phosphate buffered saline、PBS)が含まれる。
【0169】
他の添加剤、例えばTween20(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート)、Tween40(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート)、Tween80(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート)、PLURONIC++(ポリマー)F68(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー)、及びPEG(ポリエチレングリコール)などの医薬的に許容される可溶化剤、又はポリソルベート20若しくは80又はポロキサマー184若しくは188、PLURONIC登録商標(ポリマー)、例えば、ポリオール、非イオン性界面活性剤、他のブロックコポリマー、並びにEDTA及びEGTAなどのキレート剤を製剤又は組成物に任意選択で添加することで、凝集を低減させることができる。これらの添加物は、製剤を投与するためにポンプ又はプラスチック容器が使用される場合に特に有用である。医薬的に許容される界面活性剤の存在により、タンパク質が凝集する傾向が軽減される。
【0170】
製剤は、少なくとも1つの抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体と、フェノール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、及びチメロサール又はこれらの混合物からなる群から選択される保存剤と、を水性希釈剤中で混合することを含むプロセスにより調製することができる。少なくとも1つの抗IL-12/IL-23p40又はIL-23特異的抗体と保存剤との水性希釈剤中での混合は、従来の溶解及び混合手順を使用して実施される。好適な製剤を調製するために、例えば、緩衝溶液中の一定量の少なくとも1つの抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体を、所望の濃度のタンパク質及び保存剤を提供するのに十分な量の緩衝溶液中で所望の保存剤と組み合わせる。本プロセスの変化形態は、当業者によって認識される。例えば、構成成分の添加順序、追加の添加剤の使用の有無、製剤調製時の温度及びpHは全て、使用する投与濃度及び投与手段に関して最適化することのできる因子である。
【0171】
製剤は、透明な溶液として、又は水、保存剤及び/若しくは賦形剤、好ましくはリン酸塩緩衝剤及び/若しくは生理食塩水、並びに選択された塩を水性希釈剤中に含有する第2のバイアルで再構成される、凍結乾燥された抗IL-12/IL-23p40又はIL-23特異的抗体のバイアルを含む併用バイアル(dual vial)として患者に提供することができる。単一溶液バイアル又は再構成を必要とするデュアルバイアルはいずれも複数回再利用することができ、単一又は複数の患者治療サイクルを満たすことができ、したがって、現在使用できるよりも便利な治療レジメンを提供することができる。
【0172】
本製品は、即時から24時間以上の範囲の期間にわたる投与に有用である。したがって、本発明により特許請求される製品は、患者に大きな利益を提供する。本発明の製剤は、任意選択で、約2℃~約40℃の温度で安全に保存し、タンパク質の生物学的活性を長期間保持することができ、したがって、包装ラベルで、溶液を6、12、18、24、36、48、72、又は96時間以上保持及び/又は使用し得ることを示すことができる。保存されている希釈剤を使用する場合には、かかるラベルは、最高1~12か月、半年、1年半、及び/又は2年までの使用を含むことができる。
【0173】
抗IL-12/IL-23p40又はIL-23特異的抗体の溶液は、少なくとも1つの抗体を水性希釈剤中で混合することを含むプロセスにより調製することができる。混合は、従来の溶解及び混合手順を使用して実施される。好適な希釈剤を調製するために、例えば、水又は緩衝剤中の一定量の少なくとも1つの抗体を、所望の濃度のタンパク質、及び任意選択で保存剤又は緩衝剤を提供するのに十分な量で組み合わせる。本プロセスの変化形態は、当業者によって認識される。例えば、構成成分の添加順序、追加の添加剤の使用の有無、製剤調製時の温度及びpHは全て、使用する投与濃度及び投与手段に関して最適化することのできる因子である。
【0174】
特許請求される製品は、透明な溶液として、又は水性希釈剤を含有する第2のバイアルで再構成される、凍結乾燥された少なくとも1つの抗IL-12/IL-23p40又はIL-23特異的抗体のバイアルを含む併用バイアルとして、患者に提供することができる。単一溶液バイアル又は再構成を必要とするデュアルバイアルはいずれも複数回再利用することができ、単一又は複数の患者治療サイクルを満たすことができ、したがって、現在使用できるよりも便利な治療レジメンを提供する。
【0175】
特許請求される製品は、透明な溶液、又は水性希釈剤を含有する第2のバイアルで再構成される、凍結乾燥された少なくとも1つの抗IL-12/IL-23p40又はIL-23特異的抗体のバイアルを含む併用バイアルを、薬局、診療所、又は他のかかる機関及び施設に提供することによって、患者に対し間接的に提供することができる。この場合の透明溶液は最高1リットル又は更にはそれ以上の容量であってもよく、この大きな容器からより少量の少なくとも1つの抗体溶液を1回又は複数回取り出してより小さなバイアルに移し、かつ薬局又は診療所により顧客及び/又は患者に提供できる。
【0176】
これらの単一バイアルシステムを含む承認済みデバイスとしては、B-D(登録商標)(ペン型インジェクタデバイス)、NOVOPEN(登録商標)(ペン型インジェクタデバイス)、AUTOPEN(登録商標)(ペン型インジェクタデバイス)、OPTIPEN(登録商標)(ペン型インジェクタデバイス)、GENOTROPIN PEN(登録商標)(ペン型インジェクタデバイス)、BIOJECTOR(登録商標)(ペン型インジェクタデバイス)、Reco-Pen、Humaject、J-tip Needle-Free Injector、Intraject、Medi-Jectなどの溶液を送達するためのペン型インジェクタデバイスが挙げられ、例えば、Dickensen(Franklin Lakes,NJ,www.bectondickenson.com),Disetronic(Burgdorf,Switzerland,www.disetronic.com、Bioject,Portland,Oregon(www.bioject.com)、National Medical Products、Weston Medical(Peterborough,UK、www.weston-medical.com)、Medi-Ject Corp(Minneapolis,MN、www.mediject.com)によって製造又は開発されたものである。併用バイアル系を含む承認済みデバイスとしては、HUMATROPEN(登録商標)(ペン型インジェクタデバイス)などの、再構成した溶液を送達するためのカートリッジ内で凍結乾燥された薬物を再構成するためのペン型インジェクタシステムが挙げられる。
【0177】
本製品は、包装材を含み得る。包装材は、規制当局によって必要とされる情報に加えて、本製品を使用することができる条件を提供する。本発明の包装材は、該当する場合、少なくとも1つの抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体を水性希釈剤で再構成して溶液を形成し、2~24時間以上の期間にわたって、この溶液を湿式/乾式の2つのバイアル製品に使用する、という指示を患者に提供する。シングルバイアルの溶液製品、プレフィルドシリンジ、又は自己注射器の場合、ラベルは、かかる溶液を2~24時間以上の期間にわたって使用することができることを示す。本製品は、ヒト用医薬製品用途に有用である。
【0178】
本発明の方法に使用される製剤は、抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体と、選択された緩衝剤、好ましくは生理食塩水又は選択された塩を含有するリン酸塩緩衝剤とを混合することを含むプロセスにより調製することができる。抗IL-23抗体と緩衝剤との水性希釈剤中での混合は、従来の溶解及び混合手順を使用して実施される。好適な製剤を調製するために、例えば、水又は緩衝剤中の一定量の少なくとも1つの抗体を、所望の濃度のタンパク質及び緩衝剤を提供するのに十分な量の水中で所望の緩衝剤と組み合わせる。本プロセスの変化形態は、当業者によって認識される。例えば、構成成分の添加順序、追加の添加剤の使用の有無、製剤調製時の温度及びpHは全て、使用する投与濃度及び投与手段に関して最適化することのできる因子である。
【0179】
本発明の方法は、ヒト又は動物患者に投与するのに有用であり、かつ許容される様々な製剤を含む医薬組成物を提供する。かかる医薬組成物は、希釈剤として「標準状態」の水、及び当業者に周知の日常的な方法を使用して調製される。例えば、ヒスチジン及びヒスチジン一塩酸塩水和物などの緩衝構成要素が最初に提供され、続いて適切な非最終容量の「標準状態」の水希釈剤、スクロース、及びポリソルベート80が添加され得る。次いで、単離された抗体を添加することができる。最後に、水を希釈剤として使用して「標準状態」条件の下で、医薬組成物の容量を所望の最終容量に調整する。当業者であれば、医薬組成物の調製に好適ないくつかの他の方法を認識する。
【0180】
医薬組成物は、水の容量単位当たりの示される質量の各構成成分を含むか、又は「標準状態」の示されるpHを有する水溶液又は懸濁液であってもよい。本明細書で使用するとき、「標準状態」という用語は、25℃±2℃の温度及び1気圧の圧力を意味する。「標準状態」という用語は、当該技術分野では、当該技術分野が認識する単一の温度又は圧力のセットを指すように使用されないが、代わりに参照「標準状態」条件下の特定の組成物を含む溶液又は懸濁液を説明するために使用される温度及び圧力を特定する参照状態である。これは、溶液の容量が一つには温度及び圧力の関数であるためである。当業者であれば、本明細書に開示されるものと同等の医薬組成物を他の温度及び圧力で生産することができることを認識する。かかる医薬組成物が本明細書に開示されるものと同等であるかは、上記に定義された「標準状態」条件下(例えば、25℃±2℃及び1気圧の圧力)で決定されるべきである。
【0181】
重要なことに、かかる医薬組成物は、医薬組成物の単位容積当たり「約」ある特定の値の構成要素の質量(例えば、「約0.53mgのL-ヒスチジン」)を含有するか、又は約ある特定の値のpH値を有し得る。医薬組成物中に存在する構成要素の質量又はpH値は、単離された抗体が医薬組成物に存在するか、又は単離された抗体が医薬組成物から除去された後(例えば、希釈により)に、医薬組成物中に存在する単離された抗体がペプチド鎖に結合することができる場合の、「約」所与の数値である。つまり、構成要素の質量値又はpH値などの値は、単離された抗体を医薬組成物中に入れた後に単離された抗体の結合活性が維持され、検出可能である場合の、「約」所与の数値である。
【0182】
競合結合解析を行って、IL-12/IL-23p40又はIL-23特異的mAbが類似の若しくは異なるエピトープに結合し、かつ/又は互いに競合するかを決定する。ELISAプレート上にAbを個々にコーティングする。競合するmAbを添加し、続いてビオチン化hrIL-12又はIL-23を添加する。陽性対照には、コーティングに同じmAbを競合mAb(「自己競合」)として使用してもよい。IL-12/IL-23p40又はIL-23結合は、ストレプトアビジンを使用して検出される。これらの結果は、mAbがIL-12/IL-23p40又はIL-23上の類似の又は部分的に重複するエピトープを認識するかどうかを示す。
【0183】
本発明の方法の一態様は、医薬組成物を患者に投与する。
【0184】
医薬組成物の一実施形態では、単離された抗体濃度は、1mLの医薬組成物当たり約77~約104mgである。医薬組成物の別の実施形態では、pHは約5.5~約6.5である。
【0185】
安定又は保存製剤は、透明な溶液として、又は水性希釈剤中に保存剤若しくは緩衝剤及び添加物を含有する第2のバイアルで再構成される、凍結乾燥された少なくとも1つの抗IL-23抗体のバイアルを含むデュアルバイアルとして、患者に提供することができる。単一溶液バイアル又は再構成を必要とするデュアルバイアルはいずれも複数回再利用することができ、単一又は複数の患者治療サイクルを満たすことができ、したがって、現在使用できるよりも便利な治療レジメンを提供する。
【0186】
抗IL-23抗体を安定化する他の製剤又は方法は、抗体を含む凍結乾燥粉末の透明溶液以外のものであってよい。非透明溶液としては、微粒子懸濁液を含む製剤があり、かかる微粒子は、ミクロスフェア、微小粒子、ナノ粒子、ナノスフェア、又はリポソームとして様々に知られる種々の大きさの構造内に、抗IL-23抗体を含有する組成物である。活性薬剤を含有するかかる比較的均質な本質的に球状の微粒子製剤は、米国特許第4,589,330号に教示されるとおり、活性薬剤及びポリマーを含有する水相と非水相とを接触させ、次に、非水相を蒸発させて水相からの粒子の合体を引き起こすことにより、形成することができる。多孔性微小粒子は、米国特許第4,818,542号に教示されるとおり、連続溶媒中に分散された活性薬剤とポリマーとを含有する第1相を使用し、凍結乾燥又は希釈-抽出-沈殿により懸濁液からこの溶媒を除去することで調製することができる。こうした調製に好ましいポリマーは、ゼラチン寒天、デンプン、アラビノガラクタン、アルブミン、コラーゲン、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、グリコリド-L(-)ラクチドポリ(エプシロン-カプロラクトン、ポリ(エプシロン-カプロラクトン-CO-乳酸)、ポリ(エプシロン-カプロラクトン-CO-グリコール酸)、ポリ(β-ヒドロキシ酪酸)、ポリエチレンオキシド、ポリエチレン、ポリ(アルキル-2-シアノアクリレート)、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリアミド、ポリ(アミノ酸)、ポリ(2-ヒドロキシエチルDL-アスパルトアミド)、ポリ(エステル尿素)、ポリ(L-フェニルアラニン/エチレングリコール/1,6-ジイソシアナトヘキサン)及びポリ(メチルメタクリレート)からなる群から選択される、天然又は合成のコポリマー又はポリマーである。特に好ましいポリマーは、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、グリコリド-L(-)ラクチドポリ(エプシロン-カプロラクトン、ポリ(エプシロン-カプロラクトン-CO-乳酸)、及びポリ(エプシロン-カプロラクトン-CO-グリコール酸)などのポリエステルである。ポリマー及び/又は活性物質を溶解させるのに有用な溶媒としては、水、ヘキサフルオロイソプロパノール、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、ヘキサン、ベンゼン、又はヘキサフルオロアセトンセスキ水和物が挙げられる。活性物質含有相を第2相に分散させるプロセスは、ノズル内のオリフィスに当該第1相を圧力で強制的に通して液滴形成に作用させることを含むことができる。
【0187】
乾燥粉末製剤は、例えば、噴霧乾燥法、又は蒸発による溶媒抽出法、若しくは水性若しくは非水性溶媒を除去するための1つ又は2つ以上の工程が後続する結晶性組成物の沈殿による溶媒抽出法などの、凍結乾燥以外のプロセスの結果として得てもよい。噴霧乾燥抗体製剤の調製は、米国特許第6,019,968号に教示されている。抗体ベースの乾燥粉末組成物は、抗体の溶液又はスラリーを、及び任意選択で、呼吸用乾燥粉末を提供するための条件下で溶媒中の、賦形剤を、噴霧乾燥させることによって生産され得る。溶媒としては、容易に乾燥可能な、例えば水及びエタノールなどの極性化合物が挙げられる。抗体の安定性は、酸素不在下、例えば窒素ブランケット下において噴霧乾燥手順を実施すること、又は乾燥用気体として窒素を使用することにより増強され得る。別の比較的乾燥した製剤は、国際公開第9916419号に教示されている典型的にはヒドロフルオロアルカン噴射剤を含む懸濁培地中に分散した複数の有孔微細構造の分散物である。安定化された分散物は、定量吸入器を用いて患者の肺に投与できる。噴霧乾燥された薬物の商業的製造において有用な機器は、Buchi Ltd.又はNiro Corp.により製造されている。
【0188】
本明細書に記載される安定若しくは保存製剤又は溶液中のいずれかで抗IL-23抗体は、当該技術分野において周知である、SC若しくはIM注射、経皮、経肺、経粘膜、埋め込み、浸透圧ポンプ、カートリッジ、マイクロポンプ、又は当業者により理解される他の手段などの種々の送達方法を介して、本発明に従って患者に投与することができる。
【0189】
治療への応用
本発明はまた、当該技術分野において既知であるか、又は本明細書に記載される、少なくとも1つの本発明のIL-23抗体を用いて、例えば、細胞、組織、器官、動物、又は患者に、治療有効量のIL-12/IL-23p40又はIL-23特異的抗体を投与又は接触させて、細胞、組織、器官、動物、又は患者におけるループスを調節又は治療するための方法をも提供する。
【0190】
本発明のいずれの方法も、かかる調節、治療、又は療法を必要としている細胞、組織、器官、動物、又は患者に、抗IL-23抗体を含む有効量の組成物又は医薬組成物を投与することを含み得る。かかる方法は、任意選択で、かかる疾患又は障害の治療のための同時投与又は併用療法を更に含むことができ、ここで、この少なくとも1つの抗IL-23抗体、その特定の部分、又は変異体を投与することは、少なくとも1つのTNF拮抗薬(例えば、限定されないが、化学物質性若しくはタンパク質性TNF拮抗薬、TNFモノクローナル若しくはポリクローナル抗体若しくは断片、可溶性TNF受容体(例えば、p55、p70、又はp85)若しくは断片、その融合ポリペプチド、又は低分子TNF拮抗薬、例えば、TNF結合タンパク質I又はII(TBP-1又はTBP-II)、ネレリモンマブ、インフリキシマブ、エタネルセプト(eternacept)(Enbrel(商標))、アダリムマブ(Humira(商標))、CDP-571、CDP-870、アフェリモマブ、レネルセピトなど)、抗リウマチ薬(例えば、メトトレキサート、オーラノフィン、アウロチオグルコース、アザチオプリン、金チオリンゴ酸ナトリウム、硫酸ヒドロキシクロロキン、レフルノミド、スルファサラジン)、筋弛緩薬、麻薬、非ステロイド性抗炎症薬(non-steroid anti-inflammatory drug、NSAID)、鎮痛薬、麻酔薬、鎮静薬、局所麻酔薬、神経筋遮断薬、抗菌薬(例えば、アミノグリコシド、抗真菌薬、抗寄生虫薬、抗ウイルス薬、カルバペナム、セファロスポリン、フルオロキノロン、マクロライド、ペニシリン、スルホンアミド、テトラサイクリン、他抗菌薬)、乾癬治療薬、コルチコステロイド、アナボリックステロイド、糖尿病関連薬、ミネラル、栄養薬、甲状腺剤、ビタミン、カルシウム関連ホルモン、止瀉薬、鎮咳薬、制吐剤、抗腫瘍薬、緩下剤、抗凝固薬、エリスロポエチン(例えば、エポエチンアルファ)、フィルグラスチム(例えば、G-CSF、Neupogen)、サルグラモスチム(GM-CSF、Leukine)、免疫付与剤、免疫グロブリン、免疫抑制剤(例えば、バシリキシマブ、シクロスポリン、ダクリズマブ)、成長ホルモン、ホルモン補充薬、エストロゲン受容体調節薬、散瞳剤、毛様体筋麻痺薬、アルキル化剤、代謝拮抗薬、分裂阻害剤、放射性医薬品、抗うつ薬、抗躁薬、抗精神病薬、抗不安薬、睡眠薬、交感神経刺激薬、刺激薬、ドネペジル、タクリン、ぜんそく薬、ベータ作用薬、吸入ステロイド、ロイコトリエン阻害剤、メチルキサンチン、クロモリン、エピネフリン若しくは類似体、ドルナーゼアルファ(Pulmozyme)、サイトカイン若しくはサイトカイン拮抗薬から選択される少なくとも1つを、前に、同時に、及び/又は後に投与することを更に含む。好適な投与量は、当該技術分野において周知である。例えば、Wells et al.,eds.,Pharmacotherapy Handbook,2nd Edition,Appleton and Lange,Stamford,CT(2000)、PDR Pharmacopoeia,Tarascon Pocket Pharmacopoeia 2000,Deluxe Edition,Tarascon Publishing,Loma Linda,CA(2000)、Nursing 2001 Handbook of Drugs,21st edition,Springhouse Corp.,Springhouse,PA,2001、Health Professional’s Drug Guide 2001,ed.,Shannon,Wilson,Stang,Prentice-Hall,Inc,Upper Saddle River,NJを参照されたく、これらの参考文献は各々、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0191】
治療処置
典型的には、ループスの治療は、有効量又は有効用量の抗IL-12/23p40又は抗IL-23抗体組成物を投与することによって影響を受け、これは、組成物に含まれる活性剤の特異的活性に応じて、合計で、平均して、1用量当たり、患者1キログラム当たり少なくとも約0.01~500ミリグラムの範囲の抗IL-12/23p40又は抗IL-23抗体であり、好ましくは、単回又は複数回投与当たり、1用量当たり、患者1キログラム当たり少なくとも約0.1~100ミリグラムの抗体である。あるいは、有効な血清濃度は、単回又は複数回投与当たり、0.1~5000μg/mLの血清濃度を含み得る。好適な投与量は、医療従事者には既知であり、当然のことながら、具体的な疾患状態、投与される組成物の比活性、及び治療を受けている具体的な患者に依存する。いくつかの場合では、望ましい治療量を達成するために、反復投与、すなわち特定の監視された用量又は計量された用量の反復個別投与を提供することが必要となる場合があり、この場合、個別投与は、所望の1日の投与量又は効果が得られるまで繰り返される。
【0192】
好ましい用量は、任意選択で、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99及び/若しくは100~500mg/kg/投与、又はその任意の範囲、値若しくは分画を含むか、あるいは単回若しくは複数回投与当たり0.1、0.5、0.9、1.0、1.1、1.2、1.5、1.9、2.0、2.5、2.9、3.0、3.5、3.9、4.0、4.5、4.9、5.0、5.5、5.9、6.0、6.5、6.9、7.0、7.5、7.9、8.0、8.5、8.9、9.0、9.5、9.9、10、10.5、10.9、11、11.5、11.9、20、12.5、12.9、13.0、13.5、13.9、14.0、14.5、4.9、5.0、5.5.、5.9、6.0、6.5、6.9、7.0、7.5、7.9、8.0、8.5、8.9、9.0、9.5、9.9、10、10.5、10.9、11、11.5、11.9、12、12.5、12.9、13.0、13.5、13.9、14、14.5、15、15.5、15.9、16、16.5、16.9、17、17.5、17.9、18、18.5、18.9、19、19.5、19.9、20、20.5、20.9、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、96、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、及び/若しくは5000μg/mLの血清濃度、又はその任意の範囲、値若しくは分画を得るように含み得る。
【0193】
あるいは、投与される用量は、特定の薬剤の薬力学的特徴並びにその投与方法及び経路、受容者の年齢、健康状態及び体重、症状の性質及び程度、同時治療の種類、治療頻度、並びに所望の作用などの既知の因子に応じて異なり得る。活性成分の投与量は、通常、体重1キログラム当たり約0.1~100ミリグラムであり得る。通常、0.1~50、好ましくは0.1~10ミリグラム/キログラム/投与、又は徐放性形態が、望ましい結果を得るために有効である。
【0194】
非限定的な例として、ヒト又は動物の治療は、単回投与、静注投与、又は反復投与を使用して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39若しくは40日目のうちの少なくとも1日に、あるいは又は追加的に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51若しくは52週目のうちの少なくとも1週に、あるいは又は追加的に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19若しくは20年目のうちの少なくとも1年に、又はこれらの任意の組み合わせで、1日当たり0.1~100mg/kg、例えば、0.5、0.9、1.0、1.1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40、45、50、60、70、80、90、又は100mg/kgの、本発明の少なくとも1つの抗体の1回又は周期的な投与量として提供され得る。
【0195】
体内投与に好適な剤形(組成物)は、概して、ユニット又は容器当たり約0.001ミリグラム~約500ミリグラムの活性成分を含む。これらの医薬組成物において、活性成分は、通常、組成物の総重量に基づいて約0.5~99.999重量%の量で存在する。
【0196】
非経口投与に関して、抗体は、医薬的に許容される非経口ビヒクルと合わせて、又は別個に提供される、溶液、懸濁液、エマルション、粒子、粉末、若しくは凍結乾燥粉末として製剤化され得る。かかるビヒクルの実施例は、水、生理食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液、及び1~10%ヒト血清アルブミンである。リポソーム及び不揮発性油などの非水性ビヒクルを使用することもできる。ビヒクル又は凍結乾燥粉末は、等張性及び化学安定性を維持する添加剤(例えば、等張性に関しては塩化ナトリウム、マンニトール、化学安定性に関しては緩衝剤及び保存剤)を含有することができる。製剤は、既知の又は好適な技術によって滅菌される。
【0197】
好適な医薬担体は、本分野での標準的参考書であるRemington’s Pharmaceutical Sciences,A.Osolの最新版に記載されている。
【0198】
代替的投与
医薬有効量の抗IL-23抗体を投与するために、本発明に従って、多くの既知の及び開発された方式を使用することができる。以下の記述では経肺投与が使用されているが、本発明に従って他の投与方式を使用して、好適な結果を得てもよい。本発明のIL-12/IL-23p40又はIL-23抗体は、担体中で、溶液、エマルション、コロイド、若しくは懸濁液として、又は乾燥粉末として、吸入によるか、又は本明細書に記載される若しくは当該技術分野において既知である他の方式による投与に好適な様々なデバイス及び方法のいずれかを使用して、送達することができる。
【0199】
非経口製剤及び投与
非経口投与用製剤は、一般的な賦形剤として滅菌水又は生理食塩水、ポリエチレングリコールなどのポリアルキレングリコール、植物性油、水素化ナフタレンなどを含有してもよい。注射用の水性又は油性懸濁液は、既知の方法に従って、適切な乳化剤又は加湿剤及び懸濁剤を使用することによって調製することができる。注射剤は、例えば水溶液、無菌注射液又は溶媒中懸濁液などの非毒性の非経口投与可能な希釈剤であることができる。使用可能なビヒクル又は溶媒としては、水、リンゲル液、等張生理食塩水などが許容され、通常の溶媒又は懸濁溶媒としては、無菌の不揮発性油を使用することができる。これらの目的では、天然又は合成若しくは半合成の、脂肪油又は脂肪酸、天然又は合成若しくは半合成の、モノグリセリド又はジグリセリド又はトリグリセリドを含む、あらゆる種類の不揮発性油及び脂肪酸を使用することができる。非経口投与は当該技術分野において既知であり、従来の注射手段、米国特許第5,851,198号に記載のガス加圧式無針注射デバイス、及び米国特許第5,839,446号に記載のレーザ穿孔機デバイスが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、これらは参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0200】
代替的送達
本発明は更に、非経口、皮下、筋肉内、静脈内、関節内、気管支内、腹内、包内、軟骨内、洞内、腔内、小脳内、脳室内、結腸内、頚管内、胃内、肝内、心筋内、骨内、骨盤内、心膜内、腹腔内、胸膜内、前立腺内、肺内、直腸内、腎臓内、網膜内、脊髄内、滑液嚢内、胸郭内、子宮内、膀胱内、病巣内、ボーラス、膣内、直腸、口腔内、舌下、鼻腔内、又は経皮手段による抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体の投与に関する。抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体組成物は、非経口(皮下、筋肉内、又は静脈内)又は任意の他の投与、特に、液体溶液若しくは懸濁液の形態で使用するために、特に、クリーム剤及び座剤などであるが、これらに限定されない半固体形態で、膣若しくは直腸投与における使用のために、錠剤若しくはカプセル剤などであるが、これらに限定されない形態で、口腔若しくは舌下投与用に、あるいは散剤、点鼻薬若しくはエアロゾル、又はある特定の薬剤などであるが、これらに限定されない形態で、鼻腔内用に、あるいは、皮膚構造を改変するか又は経皮パッチ中の薬剤濃度を増加させるかのいずれかのために、ジメチルスルホキシドなどの化学的促進剤を用いて(参照により全体が本明細書に組み込まれるJunginger,et al.In「Drug Permeation Enhancement;」Hsieh,D.S.,Eds.,pp.59-90(Marcel Dekker,Inc.New York 1994)、又はタンパク質及びペプチドを含有する製剤の皮膚への適用(国際公開第98/53847号)、又は電気穿孔法などの一過性の輸送経路を作り出すための、若しくはイオントフォレシスなどの皮膚を通して荷電薬剤の移動度を増加させるための電界の適用、又は超音波導入などの超音波の適用(米国特許第4,309,989号及び同第4,767,402号)を可能にする酸化剤を用いて、限定されるものではないが、ゲル、軟膏、ローション、懸濁液若しくはパッチ送達系システムなどで、経皮用に、調製することができる(上記の刊行物及び特許は、参照により全体が本明細書に組み込まれる)。
【0201】
本発明を全般的に記述してきたが、上記と同様のことは、実例として提供されるが制限することを意図していない以下の実施例を参照することにより、より容易に理解される。更に、本発明の詳細は、以下の非限定的実施例によって例示される。本明細書の全ての引用の開示は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0202】
実施例:STELARA(登録商標)(ウステキヌマブ)を生産するための製造プロセス
背景
STELARA(登録商標)(ウステキヌマブ)は、ヒトインターロイキン(IL)-12及びIL-23サイトカインの共有p40サブユニットに対して高親和性及び特異性で結合する完全ヒトG1κモノクローナル抗体である。ウステキヌマブは、配列番号10のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖、配列番号7の重鎖可変ドメインアミノ酸配列、及び配列番号8の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列、配列番号1、配列番号2、及び配列番号3の重鎖CDRアミノ酸配列、並びに配列番号4、配列番号5、及び配列番号6の軽鎖CDRアミノ酸配列を含む。IL-12/23p40サブユニットへのウステキヌマブの結合は、天然キラー及びCD4+T細胞の表面におけるIL-12又はIL-23のIL-12Rβ1受容体への結合をブロックし、IL-12及びIL-23特異的細胞内シグナル伝達及びその後の活性化及びサイトカイン産生を阻害する。IL-12及びIL-23の異常な調節は、複数の免疫媒介性疾患に関連している。
【0203】
今日までに、ウステキヌマブは、慢性中程度から重度のプラーク乾癬及び/又は活動性乾癬性関節炎を含む成人患者の治療のために、北米、ヨーロッパ、南米、及びアジア太平洋地域の国々を含む世界中で販売承認を受けている。ウステキヌマブは、クローン病(Crohn’s disease、CD)についての第3相試験及び活動性全身性エリテマトーデス(SLE)の治療についての概念実証試験において評価されている。
【0204】
製造プロセスの概要
STELARA(登録商標)(ウステキヌマブ)を、灌流細胞培養に続いて精製を含む10段階プロセスで製造する。本製造プロセスの概要を
図1に示す。
【0205】
本明細書で使用するとき、「培養」、「培養する」、「培養される」、及び「細胞培養物」という用語は、細胞集団の生存及び/又は増殖に好適な条件下で培地中に懸濁される細胞集団を指す。当業者には文脈から明らかであるように、本明細書で使用されるこれらの用語は、細胞集団及び集団が懸濁される培地を含む組み合わせも指す。細胞培養物は、例えば、バッチ、フェドバッチ、又は灌流細胞培養法などによって増殖させた細胞を含む。ある特定の実施形態では、細胞培養物は、哺乳動物細胞培養物である。
【0206】
本発明で使用するための細胞株は、チャイニーズハムスター変動細胞(CHO細胞)、ヒト胚性腎細胞(HEK細胞)、ベビーハムスター腎細胞(BHK細胞、マウス骨髄腫細胞(例えば、NS0細胞及びSp2/0細胞)、及びヒト網膜細胞(例えば、PER.C6細胞)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0207】
本明細書で使用するとき、「既知組成培地(medium)」、「既知組成培地(media)」、「既知組成ハイブリドーマ培地(medium)」、又は「既知組成ハイブリドーマ培地(media)」という用語は、全ての成分の同一性及び濃度が既知である合成成長培地を指す。既知組成培地は、細菌、酵母、動物、若しくは植物抽出物、動物血清又は血漿を含まないが、個々の植物又は動物由来の成分(例えば、タンパク質、ポリペプチドなど)を含んでも含まなくてもよい。既知組成培地は、成長を支援するために必要なリン酸塩、硫酸塩などの無機塩を含んでもよい。炭素源が定義されており、通常、グルコース、ラクトース、ガラクトースなどの糖、又はグリセロール、乳酸、アセテートなどの他の化合物である。ある特定の既知組成培地は緩衝剤としてリン酸塩も使用するが、クエン酸塩、トリエタノールアミンなどの他の緩衝剤が用いられてもよい。市販の既知組成培地の例としては、サーモフィッシャーのCDハイブリドーマ培地及びCDハイブリドーマAGT(商標)培地、様々なダルベッコ改変イーグル(DME)培地(Sigma-Aldrich Co;SAFC Bioscienses,Inc)、ハムの栄養混合液(Sigma-Aldrich Co;SAFC Bioscienses,Inc)、これらの組み合わせなどが挙げられる。既知組成培地を調製する方法は、当該技術分野において既知であり、例えば、米国特許第6,171,825号及び同第6,936,441号、国際公開第2007/077217号、並びに米国特許出願公開第2008/0009040号及び同第2007/0212770号において既知である。
【0208】
本明細書で使用するとき、「バイオリアクター」という用語は、細胞培養物の増殖に有用な任意の容器を指す。バイオリアクターは、細胞の培養に有用である限り、あらゆる大きさのものとすることができる。ある特定の実施形態では、かかる細胞は、哺乳動物細胞である。典型的には、バイオリアクターは、少なくとも1リットルであり、10、100、250、500、1,000、2,500、5,000、8,000、10,000、12,000リットル、若しくはそれ以上、又はこれらの間の任意の体積であってもよい。pH及び温度を含むが、これらに限定されないバイオリアクターの内部条件が培養期間中に任意選択で制御される。バイオリアクターは、ガラス、プラスチック、又は金属を含む、本発明の培養条件下で培地中に懸濁された哺乳動物細胞培養物を保持するのに好適な任意の材料から構成することができる。本明細書で使用するとき、「生産バイオリアクター」という用語は、目的とするポリペプチド又は糖タンパク質の生産に使用される最終バイオリアクターを指す。生産バイオリアクターの体積は、典型的には少なくとも500リットルであり、1,000、2,500、5,000、8,000、10,000、12,000リットル、若しくはそれ以上、又はこれらの間の任意の体積であってもよい。当業者であれば、本発明を実施する際に使用するのに好適なバイオリアクターを選択することができるであろう。
【0209】
ウステキヌマブの前培養、増殖、及び生産を、段階1及び段階2で行う。段階1では、ウステキヌマブのHC及びLC配列を発現しているトランスフェクトされたSp2/0細胞の1つ又は2つ以上のワーキングセルバンクバイアルから前培養を開始し、培養フラスコ、使い捨て培養バッグ、及び100L播種バイオリアクター内で細胞を増殖させる。500Lの生産バイオリアクターの接種に必要な細胞密度及び体積が得られるまで細胞を培養する。段階2では、細胞培養物を、交互接線方向流(ATF)中空糸フィルタ細胞保持システムを使用して500Lの生産バイオリアクター内で灌流する。細胞培養透過液(回収物)をATFシステムから回収し、細胞をバイオリアクター内に保持し、培養物に新鮮な培地を補充する。1つ又は2つ以上の500Lの生産バイオリアクターからの回収物を、段階3で組み合わせてもよい。回収物を、MabSelectプロテインA樹脂親和性クロマトグラフィーを使用して精製する。結果として得られた直接生成物捕獲(DPC)溶出液を、更なる処理まで凍結させる。
【0210】
DCPからのウステキヌマブの精製を、段階4~8で、イオン交換クロマトグラフィー工程並びに潜在的なウイルス汚染を不活性化又は除去する工程(溶媒/洗剤[solvent/detergent、S/D]処理及びウイルス除去濾過)により行う。段階4でDPC溶出液を解凍、プール、及び濾過し、段階5でトリ-n-ブチルホスファート(TNBP)及びポリソルバート80/D処理と共にインキュベートして、存在する任意の脂質エンベロープウイルスを不活性化する。段階6では、SPXL SEPAROSE(登録商標)(樹脂)陽イオン交換クロマトグラフィーを使用して、TNBP及びポリソルバート80試薬、凝集体、並びに不純物をウステキヌマブから除去する。段階7では、QXL SEPAROSE(登録商標)(樹脂)陰イオン交換クロマトグラフィーを使用して、ウステキヌマブを更に精製して、DNA、ウイルス、及び不純物を除去する。SPXL樹脂及びQXL樹脂を、GE Healthcare Bio-Sciences(Pittsburgh,PA)から入手した。段階8では、精製したウステキヌマブを希釈し、ウイルス保持性フィルタ(Millipore Sigma(Burlington,Massachusetts))に通して濾過する。
【0211】
ウステキヌマブの事前製剤化バルク(pre-formulated bulk、PFB)及び製剤化バルク(formulated bulk、FB)の調製を、それぞれ、段階9及び段階10で行う。段階9では、限外濾過工程はウステキヌマブ生成物を濃縮し、透析濾過工程により、製剤賦形剤が添加され、プロセス中の緩衝塩が除去される。段階10では、ポリソルバート80をウステキヌマブPFBに添加して、FBを得る。凍結保存するために、FBをポリカルボナート容器に濾過する。凍結したFBを、医療品製造現場への輸送のためにドライアイスを備えた断熱容器内に包装する。
【0212】
製造プロセスにおける細胞培養の詳細な説明
段階1
前培養及び増殖
ウステキヌマブの生産における第1の段階は、ウステキヌマブのHC及びLC配列を発現するトランスフェクトされたSp2/0細胞のワーキングセルバンク(Working Cell Bank、WCB)バイアルからの前培養の開始、並びに培養フラスコ、使い捨て培養バッグ、及び100L播種バイオリアクター内での増殖である。500Lの生産バイオリアクターの接種に必要な細胞密度及び体積が得られるまで細胞を培養する。前培養及び増殖プロセスを示すフロー図を
図2に提供する。
【0213】
製造手順
WCBの1つ又は2つ以上の凍結保存バイアルを解凍し、6mMのL-グルタミン、0.5mg/Lのミコフェノール酸、2.5mg/Lのヒポキサンチン、及び50mg/Lキサンチンを補充したCD(既知組成)ハイブリドーマ培地(CDH-A)で希釈する。培養生存率は≧45%でなければならない。細胞を培養フラスコ内でCDH-Aで更に希釈して、0.2~0.5×106生存細胞(viable cell、VC)/mLの播種密度まで更に希釈する。前培養物を、バッチ記録に定義される範囲内で温度、CO2濃度、及び撹拌を制御した加湿CO2インキュベーター内で維持する。≧0.6×106VC/mLの最小細胞密度及び≧50%の培養物生存率が得られるまで前培養物を≦3日間インキュベートする。100Lの播種バイオリアクターへの接種のためのスケールアップ機構として、前培養物を一連の培養フラスコ内で連続的に増殖させ、次いで、培養バッグで培養する。培養増殖期中、各インキュベーション工程は、≧0.6 x 106VC/mLの細胞密度及び≧80%の培養物生存率を必要とする継代条件を達成するのに≦3日間かかる。各継代の播種密度は、培養フラスコ中で0.2~0.5×106VC/mLであり、培養バッグ中で0.2~0.6×106VC/mLである。各継代を、生存細胞密度(VSD)、培養物生存率、及び顕微鏡検査のためにサンプリングする。100Lの播種バイオリアクターの接種前に、前培養物をバイオバーデンのためにサンプリングする。
【0214】
前培養を解凍後最大30日間維持してもよい。30日以内に使用しない前培養物を廃棄する。上述のように増殖させ、一次前培養物と同じインプロセスモニタリング、制御試験、及びプロセスパラメータの対象となるバックアップ前培養物を、必要に応じて、別の100Lの播種バイオリアクターに接種するために維持及び使用することができる。
【0215】
前培養物が接種基準を満たしたときに、培養バッグの内容物を、CDH-Aを含む100Lの播種バイオリアクターに移し、≧0.3×106VC/mLの播種密度を目標とする。播種バイオリアクターの培養物のpH、温度、及び溶存酸素濃度を、バッチ記録に定義された範囲内で制御する。≧1.5×106VC/mLの細胞密度及び≧80%の培養物生存率が得られるまで培養物を増殖させる。培養物を、播種バイオリアクタープロセス全体を通して、VCD、培養物生存率、及び顕微鏡検査のためにサンプリングする。500Lの生産バイオリアクターの接種前に、前培養物をバイオバーデンのためにサンプリングする。
【0216】
播種バイオリアクター培養物のVCDが≧1.5×106VC/mLに達した時点で、この培養物を使用して、500Lの生産バイオリアクターに接種することができる。あるいは、培養物の一部を100Lの播種バイオリアクターから取り出し、残りの培養物を新鮮な培地で希釈することができる。この「取り出し及び充填」プロセスに続いて、培養物を十分な細胞密度まで増殖させて、500Lの生産バイオリアクターに接種する。100Lの播種バイオリアクター培養物の最大持続時間は、接種から9日後である。
【0217】
段階2
バイオリアクター産生
段階2では、細胞培養物を、交互接線方向流(ATF)中空糸フィルタ細胞保持システムを使用して500Lの生産バイオリアクター内で連続的に灌流する。細胞培養透過液(回収物)をATFシステムから回収し、細胞をバイオリアクターに戻し、培養物に新鮮培地を補充する。バイオリアクター産生プロセスを示すフロー図を
図3に提供する。
【0218】
製造手順
500Lの生産バイオリアクターの接種を、100Lの播種バイオリアクターの内容物を、6mMのL-グルタミン、0.5mg/Lのミコフェノール酸、2.5mg/Lのヒポキサンチン、及び50mg/Lのキサンチンを補充したCD(既知組成)ハイブリドーマ培地(CDH-A)を含む500Lの生産バイオリアクターに移すことによって行う。移す体積は、≧0.3×106生存細胞(VC)/mLの播種密度を目標とするのに十分でなければならない。培養物を34~38℃の温度、6.8~7.6のpH、及び1~100%の溶存酸素(dissolved oxygen、DO)濃度で維持する。
【0219】
連続灌流が開始され、500LのバイオリアクターからATFシステムに培養物を取り出し、透過液から細胞を分離する。透過液を0.2μmのATFフィルタに通して濾過し、バイオプロセス容器(bioprocess container、BPC)で回収物として回収する。細胞をバイオリアクターに戻し、新鮮なCDH-Aを供給して一定の培養体積を維持する。生存細胞(VCD)、培養物生存率、pH、DO、温度、及び免疫グロブリンG(IgG)含有量を、生産工程中にモニタリングする。灌流速度を、1日当たり約1バイオリアクター体積の目標速度に達するまで、VCDに比例して徐々に増加させる。灌流速度を、1日当たり1.20バイオリアクター体積を超えないように制御する。ATFシステムの保持をモニタリングして、フィルタ全体のIgG保持が50%を超える前に、ATFフィルタのシャットダウンを容易にする。
【0220】
500Lのバイオリアクター内のVCDが8.0×106VC/mLに達した時点又は10日目になった時点のいずれかが先に起こった時点で、pH目標が7.2から7.1まで低下する。バイオマス除去を、20日目になった時点又は12.0×106VC/mLのVCDに到達した時点のいずれかが先に起こった時点で開始する。バイオマスを、500Lの生産バイオリアクターから、1日当たり最大20%のバイオリアクター体積の速度でBPCに除去する。各回収物をバイオバーデンのためにサンプリングする。
【0221】
500Lの生産バイオリアクターにおける灌流細胞培養操作は、接種後最大46日間継続する。生産の最後に、培養物をマイコプラズマ及び外膜ウイルス試験のためにサンプリングする。回収物を、バイオリアクターから切り離した後、2~8℃で30日間以下保存することができる。
【0222】
製造管理戦略の概要
オリゴ糖プロファイルに関してウステキヌマブの一貫した原薬(DS)特性及び医薬品(DP)特性を維持するために、かつ大規模商業生産中の生存細胞生存率及び生産性を制御するために、製造管理戦略を開発した。ウステキヌマブグリコシル化を、cIEFプロファイルにおけるピーク3面積%、総中性オリゴ糖%、総荷電オリゴ糖%、並びにG0F、G1F、及びG2Fを含む個々の中性オリゴ糖種%の規格上限値及び規格下限値を設定した状態で、製造プロセスの段階10で製剤化バルク(FB)についてモニタリングする。本明細書で使用するとき、「原薬」(「DS」と略される)及び「医薬品」(「DP」と略される)という用語は、例えば臨床試験における市販薬として使用するための又は市販薬として使用するための組成物を指す。DSは、疾患の診断、治癒、緩和、治療、若しくは予防において薬理学的活性若しくは他の直接的な効果を提供すること、又は人体の構造若しくは機能に影響を与えることを意図した有効成分である。製造プロセスで生産された製剤化バルク(FB)が原薬(DS)である。DP(医薬品、医薬、薬物、又は薬剤とも呼ばれる)は、疾患の診断、治癒、緩和、治療、若しくは予防に使用される薬物、又は人体の構造若しくは機能に影響を及ぼす薬物である。DPは、患者への販売及び/又は投与用の医薬品として調製されたDSである。本明細書で使用するとき、「製造管理戦略」、「製造戦略」、「管理戦略」、及び「製造方法」という用語は、例えば臨床試験における商業的使用のための、又は市販薬としてのDS若しくはDPを生産するためのプロセスを指す。
【0223】
簡潔に述べると、本製造管理戦略は、10.0μg/リットル以上~35.0μg/リットル以下のMn2+(マンガン)及び1.0μg/リットル以上~1.8μg/リットル以下のCu2+(銅)からなる規定の微量金属濃度を含むように制御された既知組成培地中で細胞を培養することによってウステキヌマブのオリゴ糖プロファイルが管理されることを確実にする。本明細書で使用するとき、「規定の」という用語は、マンガン及び銅濃度が必要条件であり、かつ既知組成培地中で上限値及び下限値以内で正確に制御されなければならないことを明確かつ確実に特定することを指す。本明細書で使用するとき、「制御される」という用語は、培地の生産中にマンガン及び銅を含む原材料を注意して調節する、試験する、検証する、例えば、注意して秤量する、及び/又は他の手段によって測定すること、誘導結合プラズマ質量分析(IPC-MS)又は他の方法を使用して既知組成培地中の最終マンガン及び銅濃度を測定すること、並びに必要に応じて既知組成培地に適切な量のマンガン及び銅を補充することによって濃度を調整することを指す。別の制御方法は、バッチのうちの1つ又は2つ以上が規格外である場合に規定の濃度を達成するために混合することができる既知組成培地の2つ又は3つ以上のバッチを特定することである。本製造管理戦略を使用して生産されるウステキヌマブDS又はDPは、抗IL-12/IL-23p40抗体を含み、抗IL-12/IL-23p40抗体のcIEF電気泳動図のピーク3面積%が39.8%以上~64.4%以下であり、抗IL-12/IL-23p40抗体のオリゴ糖プロファイルが、64.8%以上~85.4%以下の総中性オリゴ糖種、14.4%以上~35.6%以下の総荷電オリゴ糖種、並びに個々の中性オリゴ糖種、11.5%以上~40.2%以下のG0F、29.9%以上~40.6%以下のG1F、及び4.1%以上~11.3%以下のG2Fを含む。本製造管理戦略は、段階2のバイオリアクターにおける生存細胞密度(VCD)、生存率(%)、及び生産性が歴史的値と比較して維持されている又は改善されていることも確実にする。好ましい方法では、マンガン濃度及び銅濃度は、ICP-MSを使用して決定され、オリゴ糖プロファイルは、HPLC法を使用して決定される。
【0224】
本管理戦略を、生産バイオリアクター性能に非典型的な傾向を認識した後に開始した。影響を受けた生産バイオリアクターバッチは、VCDプロファイルにおいて、歴史的傾向と比較して、より低いVCDでショルダー化(shouldering)を呈し、その後に下落が続いた。このVCDの変化は、産生されるIgGの量に関して生産性にも影響を及ぼした。加えて、影響を受けたバッチのcIEFプロファイルは、歴史的傾向と比較してシフトしたことが認識された。影響を受けたバッチにおいて、cIEFは、ピーク3面積%の増加(シアリル化グリカンを含有しない種における増加)に向かってシフトした。更なる調査により、総中性オリゴ糖レベル及び総荷電オリゴ糖レベルが、それぞれ、歴史的平均よりも高い及び低いことが見出された(例えば、
図7並びに
図8A及び
図8Bを参照されたい)。加えて、個々のオリゴ糖種の更なる評価により、影響を受けたバッチの大部分が、末端ガラクトース含有量の変化(増加したアガラクト(G0F)、並びに減少したモノガラクト(G1F)及びジガラクト(G2F)オリゴ糖種(例えば、それぞれ、
図9A~Cを参照されたい)を有し、負荷電シアル化種の減少をもたらすN結合型オリゴ糖組成物中のシアル酸含有量の付随的な減少傾向を有することが実証された。
【0225】
厳密な調査の後、既知組成培地の変更が、cIEFピーク3面積%、オリゴ糖プロファイル、並びにVCD及び生産性のシフトの変化の根本原因であると結論付けた。より具体的には、本調査は、驚くべきことに、オリゴ糖プロファイルのシフト並びにVCD及び生産性のシフトの決定的な根本原因が細胞培養培地成分のうちの1つであるFeCl3・6H20(塩化第二鉄)のみの変更であることを実証した。具体的には、塩化第二鉄中のより低い微量金属Mn2+(マンガン)濃度がcIEFピーク3面積%及びオリゴ糖プロファイルの変化の主な根本原因であり、塩化第二鉄中のより低い微量金属Cu2+(銅)濃度がVCD及び生産性のシフトの主な根本原因であることが判明した。銅がオリゴ糖プロファイルの決定に関与し、かつオリゴ糖プロファイルが規格内であることを確実にするためにマンガン濃度及び銅濃度の両方を制御しなければならないことも判明した。
【0226】
より高純度の鉄塩を生産することを意図した塩化第二鉄を供給した供給業者による製造プロセスの変更のため、塩化第二鉄の変更を導入した。本調査は、この変更により、塩化第二鉄中に測定されない不純物として存在するマンガン、クロム、及び銅のより低い微量レベルがもたらされたことを明らかにした。Mn2+(マンガン)及びCr3+(クロム)を培地に補充することによりVCDプロファイルが部分的に回復したが、VCD及び生産性を完全に回復させるためにCu2+(銅)の補充が必要であった。当初は、Cr3+(クロム)のレベルが主因であり得ると推測されたが、その後の小規模研究により、マンガン濃度の変化がオリゴ糖プロファイルのシフトの主な要因であり、銅濃度も関与しており、かつ銅がVCDの変化及び総生産性の関連変化の主な要因であることが判明した。
【0227】
本製造管理戦略は、既知組成培地にMn2+(マンガン)及びCu2+(銅)を補充することにより、cIEFプロファイル、オリゴ糖プロファイル、VCD、及び生産性の変化に関連する問題を改善した。本製造管理戦略を、商業規模で、2段階で行った。最初に、既知組成培地にマンガン及びクロムのみを補充して、これらの微量金属の歴史的レベルを回復させた。この培地をSUP-AGTと称した。その後の変更では、既知組成培地にマンガン、クロム、及び銅を補充して、商業規模結果及び多数の小規模研究に基づいて、3つ全ての微量金属をそれぞれの歴史的レベルに回復させた。この培地をSUP-AGT3と称した。
【0228】
方法
生存細胞密度(VCD)と生存率を決定する方法
総細胞数/ml、生存細胞/ml(VCD)、及び%生存率を、典型的には、メーカー提供のプロトコル、ソフトウェア、及び試薬を使用したBeckman CoulterVi-CELL-XR細胞生存率アナライザーを用いて決定する。あるいは、CEDEX自動細胞カウントシステムも使用されている。しかしながら、VCD及び%生存率を決定するための他の方法、例えば、血球計及びトリパンブルー排除の使用が当業者に周知であることにも留意されたい。
【0229】
オリゴ糖組成物を決定するための方法
ウステキヌマブのオリゴ糖組成を、Chemstation/Chemstoreを備えたAgilent 1100/1200 Series HPLC Systemを使用したHPLC法を用いて決定する。グリカンの相対量を定量するために、最初に、N-グリカナーゼ(PNGase F)を用いて、還元及び変性させた試験品からN-結合オリゴ糖を切断する。放出されたグリカンを、アントラニル酸を用いて標識し、0.45μmのナイロンフィルターを使用して濾過することにより精製し、蛍光検出を用いてHPLCにより分析する。HPLCクロマトグラムは、サンプル中に存在するN-結合オリゴ糖を同定及びその相対量を定量するために使用することができるマップとして機能する。グリカンは、オリゴ糖標準との共溶出及び広範な特性評価からの歴史的結果に従う保持時間によって特定される。ウステキヌマブの代表的なHPLCクロマトグラムを
図4に示す。
【0230】
各グリカンの量をピーク面積の積分によって定量し、全グリカンピーク面積の百分率(ピーク面積%)として表す。結果は、G0F、G1F、G2F、総中性グリカン、及び総荷電グリカンについて報告する。他の中性グリカンは、G0F、G1F、及びG2Fに対応するピークを除く、17~35分間の全ての統合ピークの合計である。全中性グリカンは、G0F、G1F、G2F、及び他の中性グリカンの合計である。全荷電グリカンは、42~55分間で溶出する全てのモノシアリル化グリカンピークと78~90分間で溶出する全てのジシアリル化グリカンピークの合計である。
【0231】
オリゴ糖標準の混合物(G0F、G2F、G2F+N-アセチルノイラミン酸(NANA)、及びG2F+2NANA)を、標識反応の陽性対照として、ピーク同定の標準として、そして、系の適合性の尺度として、並行して分析する。Prozyme、G0F(カタログ番号GKC-004301)、G2F(カタログ番号GKC-024301)、SA1F(カタログ番号GKC-124301)、及びSA2F(カタログ番号GKC-224301)からの再構成オリゴ糖、又は同等のものを参照標準として使用される。方法のブランク陰性対照及び予め標識されたG0F標準も、系の適合性の目的で実行される。有効な結果を得るには、オリゴ糖マッピング手順の実行中に、次のシステム適合性とアッセイ(試験品)の許容基準が適用される。
【0232】
システム適合性基準:
・オリゴ糖標準のG0FピークとG2Fピークとの間の分解能(USP)は3.0以上でなければならない。
・オリゴ糖標準のG0Fピークの理論プレート数(接線法)は5000以上でなければならない。
・ウステキヌマブ参照標準の総グリカンピーク面積は、事前にラベル付けされたG0Fの主グリカンピーク面積の1.5倍以上でなければならない。
・参照標準グリカンピークがスケール外である場合、参照標準により少ない注入量を再注入する。
・ウステキヌマブ参照標準のG0Fピークの保持時間は、オリゴ糖標準のG0F保持時間の0.4分以内でなければならない。
【0233】
アッセイの許容基準:
・方法ブランクは、ウステキヌマブ中の割り当てられたオリゴ糖ピークと共溶出する検出可能ピークを有してはならない。
・各試験品の総グリカンピーク面積は、事前にラベル付けされたG0F標準の主グリカンピーク面積の1.5倍以上でなければならない。
・サンプルグリカンピークがスケール外である場合、そのサンプルに、事前にラベル付けされたG0F、オリゴ糖標準、方法ブランク、及び通常の量の参照標準と一緒に、より少ない注入量を再注入する。
・各試験品のG0Fピークの保持時間は、オリゴ糖標準のG0Fピークの保持時間の0.4分以内でなければならない。
・本アッセイがいずれの許容基準も満たさなかった場合、本アッセイを無効とする。
【0234】
誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)
誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)を使用して、様々な抗体バッチを生成するために使用される既知組成培地中の微量金属濃度を十億分率(parts per billion、ppb、μg/リットル)で定量する。簡潔に述べると、この方法は、サンプルをNEXION(登録商標)(質量分析計)350X ICP-MS(PerkinElmer)などのICP-MS機器に注入する前に、炭素リッチ源を消化して二酸化炭素及び水にする酸消化手順からなる。湿式化学消化は、様々な酸及び酸化剤を利用する。好ましい組み合わせとしては、硝酸(HNO3)、過酸化水素(H2O2)、及び塩酸(HCl)が挙げられる。ICP-MS以外の分析方法、例えば、フレーム原子吸光分析(flame atomic absorption spectrometry、FLAA)、誘導結合プラズマ原子発光分析(inductively coupled plasma atomic emission spectrometry、ICP-AES)も使用することができる。分析手順、サンプル調製、及び機器による方法についての一般的な情報は、例えば、EPA method 3050B,「Acid Digestion of Sediments,Sludges,and Soils」,EPA December 1996、EPA memorandum,「use of Hydrochloric Acid(HCL)in digests for ICP-MS analysis」,EPA office for Solid Waste and Emergency Response,July 26,2003、及びUnited States Pharmacopeia(USP)chapter<233>,Elemental Impurities-Proceduresで見つけることができる。
【0235】
ICP-MSによって分析される既知組成培地中の金属濃度の決定に使用するために開発されたカスタマイズされた消化方法を以下に示す。この方法を、乾燥培地粉末又は水和培地サンプル(1gサンプル=1mL水和サンプル)に適合させることができる。
【0236】
消化方法
・約1gの乾燥サンプル(±0.5g、重量を0.001gまで記録)又は約1mLの溶液サンプル(±0.5mL、重量を0.001gまで記録)を消化容器に添加する(適用可能なスパイク溶液もこの時点で添加する)。
・5.0mLの50v/v%HNO3及び2.5mLの濃縮H2O2をサンプルに添加し、その後、消化容器にポリプロピレン製時計皿で直ちに蓋をし、H2O2を緩徐に添加して、サンプルの泡立ちを避ける。
・サンプルを95℃(±5℃)で30分間加熱する。
・サンプルを加熱から取り除き、放冷する。
・2.5mLの濃縮HNO3を添加し、サンプルを95℃(±5℃)で30分間加熱する。HNO3によるサンプルの酸化を示す褐色の煙霧が生じた場合、サンプルから褐色の煙霧が出なくなるまでこの工程を何度も繰り返す。褐色の煙霧が出なくなることは、HNO3による完全な酸化の指標である。
・サンプルを加熱から取り除き、放冷する。
・2.5mLの濃縮HNO3を添加し、5mLの濃縮HClを添加し、サンプルを95℃(±5℃)で2時間加熱する。
・サンプルを加熱から取り除き、放冷する。
・サンプルの総体積を脱イオン水(deionized water、DIW)で50mLにし、サンプルの分析準備が整う。
【0237】
*注記:
-95℃(±5℃)での加熱は全て、還流下で、沸騰させることなく、サンプルにポリプロピレン製時計皿で蓋をした状態で、予熱したホットブロック、例えば、Hotblock(登録商標)(加熱ブロック)中で行う。
-消化バイアルを5%/5v/v%HNO3/HCL中に一晩浸漬し、使用前にDIWで3回すすぐ。
-ポリプロピレン製時計皿を5%/5v/v%HNO3/HCL中に一晩浸漬し、使用前にDIWで3回すすぐ。
-ピペッティング用のプラスチックチップを使用前に試薬で3回すすぐ。
-サンプルを消化の2週間以内にICP-MSにより分析する。
-この方法を、例えば、Vulcan Automated Digestion and Work-Up System(Questron Technologies Corp.)を使用して、自動化プロセスに適合させることもできる。
【0238】
試薬及び標準
・試験して金属を含まないと決定された脱イオン水(DIW)、18.0MΩ超、
・NIST追跡可能源からの微量金属スパイク標準、
・濃縮HNO3、試薬グレード以上、金属について試験したもの
・50%HNO3溶液-500mLのDIW及び緩徐に添加した500mLのHNO3、溶液を6ヶ月間保存することができる。
・濃縮HCL、試薬グレード以上、金属について試験したもの
・濃縮(30v/v%)H2O2
・全てのDIW、HNO3、及びHCLを定期的に試験して、汚染がないことを確実にする。
【0239】
キャピラリー等電点電気泳動
キャピラリー等電点電気泳動(cIEF)は、全体の電荷又は等電点(pI)に基づいてタンパク質を分離する。この方法を使用して、ウステキヌマブの電荷ベースのアイソフォームの分布をモニタリングする。ゲルベースのIEF手順とは異なり、cIEFは、存在する荷電種の定量的測定を提供する。加えて、cIEFは、ゲルベースの方法と比較して、増加した分解能、感度、及び再現性を示す。本アッセイを、Alcottオートサンプラー(GP Instruments,Inc.)などの、30℃以下の周囲環境で10.5℃以下のサンプル温度を維持することができるオートサンプラーを備えた市販の画像化cIEFアナライザーで行う。本分析は、外壁ポリイミドコーティングなしで内壁コーティングシリカキャピラリーを用いて、全カラム検出を可能にする。加えて、希リン酸とメチルセルロースの陽極液、水酸化ナトリウムとメチルセルロースの陰極液、及び広範囲(pH3~10)と狭範囲(pH8~10.5)の両性電解質の定義された混合物を使用する。本アッセイは、試験品と参照標準(Reference Standard、RS)の両方をカルボキシペプチダーゼB(carboxypeptidase B、CPB)で前処理し、これにより、重鎖C末端リジンが除去され、複数のC末端変異体の存在によって生じる曖昧さが排除される。ウステキヌマブの代表的なcIEF電気泳動図を
図5に示す。
【0240】
各々の分析前に、オートサンプラーの温度設定値を4℃に設定し、オートサンプラーを少なくとも30分間予冷し、ラボの周囲室温を30℃以下に維持する。前処理した試験品及びRS、サンプルバイアル、バイアルインサート、精製水を含む本アッセイで使用する試薬、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン(Tetramethylethylenediamine、TEMED)(キャピラリー内での電気泳動を最適化する)を含む親溶液、両性電解質、内部標準用のpI7.6及び9.5マーカー、並びにメチルセルロース(methylcellulose、MC)を、少なくとも30分間氷上で保持した後に、サンプル調製を開始する。サンプルを氷上で調製し、親溶液の添加時間を記録し、TEMEDへの露出を制御する。この添加後180分以内に本アッセイを完了しなければならない。システム適合性制御物を1回注入し、試験品及びRSを以下の順序表(表1)に従って2回注入する。
【0241】
【0242】
サンプルをシリンジポンプでキャピラリーに注入した後、電界(3kV)をキャピラリー全体に8分間印加し、pH勾配が形成され、ウステキヌマブの電荷ベースのアイソフォームを等電点(isoelectric point、pI)に従って分離する。キャピラリー内のタンパク質アイソフォームを、キャピラリー全体を280nmで画像化することによって検出し、データを、pI値とA280の関数として電気泳動図の形式で表示する。pI値を、機器ソフトウェアを使用して内部pI標準(pI 7.6及び9.5)と比較することによって割り当て、ピーク面積は標準データ取得ソフトウェアを使用して電気泳動図から決定する。LOQ以上の全てのピークの重複注入からの平均pI及び平均ピーク面積パーセンテージ、参照標準と比較したΔpI値、並びにピーク面積パーセントを報告する。
【0243】
オリゴ糖プロファイルの逸脱
ウステキヌマブは、アスパラギン299の各重鎖上の単一部位でN-グリコシル化されている。これらのN結合型オリゴ糖構造は、アスパラギン残基の一級アミンを介してタンパク質に連結されたある群の二分岐オリゴ糖構造のうちのいずれかとすることができるが、ウステキヌマブでは、それらは、ガラクトース及びシアル酸の不均一性を伴うビアンテンナルコアフコシル化種から主になる。個々のオリゴ糖種は、アシアロ、アガラクトコアフコシル化二分岐グリカンである「G0F」、アシアロ、モノガラクトコアフコシル化二分岐グリカンである「G1F」、及びアシアロ、ジガラクトコアフコシル化二分岐グリカンである「G2F」を含む。
【0244】
HPLCは、本製造方法中にウステキヌマブのグリコシル化を分析するために展開される分析手順である。HPLCによる分析のために、グリカンを最初に重鎖から酵素的に切断し、その後、蛍光標識で標識して、検出を可能にする。この方法では、G0F、G1F、及びG2Fの非荷電ピーク、並びにより小さい中性ピークのサブセットを区別することができる。更に、差次的にシアリル化された物質のピークも観察することができる(
図4)。ウステキヌマブの場合、オリゴ糖構造上のシアル化の程度と、キャピラリー等電点電気泳動によって決定される電荷異質性との間にも直接的な関係がある(
図5)。ウステキヌマブIgGの主要なN結合型オリゴ糖種のうちのいくつかの概略図を
図6に示す。これらの酵素プロセスにおけるいくつかの二価カチオン(例えば、Mn
2+及びCu
2+)の役割を含む、グリコシル化成熟プロセスにおけるいくつかの酵素の役割も示している。
【0245】
培養能力の変化の影響の調査中に、ウステキヌマブ分子の総中性オリゴ糖及び総荷電オリゴ糖並びに個々のオリゴ糖のレベルの変化をHPLCによって評価した。未加工クロマトグラム及び更なるデータ分析は、バッチの大部分が、それぞれ、総中性オリゴ糖及び総荷電オリゴ糖についての規格を明らかに上回る及び下回ることを示した(
図8A及び
図8B)。更に、規格外の個々の中性オリゴ糖のレベルのシフトがあった。実際には、FBの全ての変更後バッチが、G0F種、G1F種、及びG2F種の規格外へのシフトを示した(それぞれ、
図9A~C)。
【0246】
組換えモノクローナル抗体のオリゴ糖プロファイルの変化が抗体の生物学的機能に大きな影響を及ぼす可能性があるため、オリゴ糖プロファイルの変化を減少させることも重要である。例えば、生物学的研究では、Fc領域での様々なグリコフォームの分布が、抗体の有効性、安定性、及びエフェクター機能に大きな影響を及ぼす可能性があることが示されている(J.Biosci.Bioeng.2014 117(5):639-644、Bio-Process Int.2011,9(6):48-53、Nat.Rev.Immunol.2010,10(5):345-352)。特に、アフコシル化(J.Mol.Biol.368:767-779)及びガラクトシル化(Biotechnol.Prog.21:1644-1652)は、抗体が免疫機能を介して標的細胞の死滅を媒介する2つの重要な機構である、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)及び補体依存性細胞傷害(CDC)に大きな役割を果たし得る。加えて、高いマンノースレベルが抗体のクリアランスを増加させることによって有効性に悪影響を及ぼし(Glycobiology.2011,21(7):949-959)、シアル酸含有量が抗炎症活性に影響を及ぼし得る(Antibodies.2013 2(3):392-414)ことが示されている。オリゴ糖プロファイルの変化によるそれらの生物学的影響の結果として、規制当局は、一貫した安全かつ有効な製品のロットリリース仕様を確実に順守するために、抗体のグリコシル化パターンを制御する必要がある。
【0247】
問題の特定
厳密かつ包括的な調査の後、既知組成培地の変更が、cIEFピーク3面積%、オリゴ糖プロファイル、VCD、及び生産性のシフトの根本原因であると結論付けた。この既知組成培地は、先進造粒技術(advanced granulation technology、AGT)によって生産された粉末として得られるものであり、本明細書では一般にAGTと称する。より具体的には、根本原因調査は、AGT中の90個を超える成分のうちの1つであるFeCl36H20(塩化第二鉄)の変更が、cIEFピーク3面積%、オリゴ糖プロファイル、VCD、及び生産性のシフトの決定的な根本原因であることを実証した。塩化第二鉄供給業者がより高純度の鉄塩を生産するという明言された意図でその製造プロセスを変更したと判断した。更に、本調査は、この変更により、塩化第二鉄中に測定されない不純物として存在するマンガン、クロム、及び銅のより低い微量レベルがもたらされたことを明らかにした。マンガン、クロム、及び銅を測定された成分としてAGT製剤に添加したが、塩化第二鉄と偶発的に関連する量は考慮しなかった。したがって、これらの状況により、AGT中の総マンガン、クロム、及び銅レベルの減少がもたらされた。
【0248】
補充したAGT培地による改善
SUP-AGTの開発
予備的小規模研究は、培地にマンガン及びクロムを補充することにより、cIEFピーク3面積%及びオリゴ糖プロファイルがシフトさされて歴史的基準に戻すことができることを示した(データ示さず)。これらの予備的小規模研究に基づいて、AGTにマンガン及びクロムを補充することにより、マンガン及びクロムの歴史的レベルを回復させて、ウステキヌマブの商業的バッチを生産するための変更を行った。培地を補充するために使用したマンガン及びクロム塩は、すでに既存の培地製剤の一部であったが、より低い濃度で添加したため、規定の限度のMn2+(マンガン)及びCr3+(クロム)を含む既知組成培地を生産するためにより多くのマンガン及びクロム塩を培地に補充するかが問題であった。
【0249】
マンガン及びクロムを補充したAGT培地を、本明細書ではSUP-AGTと称する。SUP-AGT培地粉末を大規模生産し、その後、商業規模でウステキヌマブを生産するために使用した。SUP-AGT培地を使用して生産したウステキヌマブのバッチの評価は、SUP-AGTがVCD及び生産性を完全に回復させなかったが、歴史的cIEFピーク3面積%及びオリゴ糖プロファイル、例えば、G0F、G1F、G2Fのレベルを回復させるのに有効であったことを示した(データ示さず)。
【0250】
G0F、G1F、G2Fのレベルに対する効果は、β-1,4ガラクトシルトランスフェラーゼ(GalTI)活性、補因子Mn
2+、及びグリコシル化との確立された関係を示す現在の文献と一致する(
図6、例えば、Biotechnol Bioeng.2007 Feb 15;96(3):538-49及びCurr Drug Targets.2008 Apr;9(4):292-309を参照されたい)。GalTIは、トランスゴルジ膜に位置する膜結合酵素である。GalTIは、グリコシル化カスケード内で機能するため、補因子としてのMn
2+によって活性化される。このカスケードにおいて、GalTIは、ガラクトース残基をコアオリゴ糖構造G0Fに付加する。反応生成物は、G0FのN-アセチルグルコサミン(N-Acetylglucosamine、GlcNAc)末端に1つのガラクトース残基が付加された場合、G1Fであり、第2のガラクトース残基が付加された場合、G2Fである。SUP-AGTを使用した荷電オリゴ糖群の増加は、観察されたG0Fの減少並びにG1F及びG2Fの増加と一致し、後者の2つが、SA1オリゴ糖及びSA2オリゴ糖形成のための主な前駆体である。このシアリル化反応は、トランスゴルジにも位置する膜結合酵素であるβ-ガラクトシドα-2,6-シアリルトランスフェラーゼ(ST6GalII)(
図6)によって触媒される。Mn
2+がG1F及びG2F形成の主な補因子のうちの1つであり、G1F及びG2F形成が負に荷電したSA1及びSA2形成の主な前駆体であるため、Mn
2+濃度の減少は、シアリル化の程度及び荷電種に対して付随的な効果を有し得る。cIEFピーク3面積%結果は、荷電オリゴ糖群で観察された変化を反映している。この研究からの知見は、より純粋な形態の塩化第二鉄に関連する変化に起因したAGT中のMn
2+濃度の変化が、cIEFピーク3面積%及びオリゴ糖性能の変化/傾向の決定的な根本原因であるという仮説を支持する。
【0251】
SUP-AGT3の開発
ウステキヌマブオリゴ糖プロファイルのシフトは、より高濃度のマンガン及びクロムを含むSUP-AGT培地への変更を行うことにより首尾よく改善されたが、SUP-AGTへの変更は、VCD及び生産性を歴史的傾向以内には完全に回復させなかった。本調査中の分析により、Cu2+(銅)レベルの減少がVCDのシフトの最も可能性の高い根本原因であることが示されたため、SUP-AGT培地に銅を補充する効果を評価するための縮小規模研究を設計した。
【0252】
銅を含む微量元素溶液を使用して、0.2ppb(0.2μg/リットル)、0.5ppb(0.5μg/リットル)、及び0.8ppb(0.8μg/リットル)レベルで添加した銅をスパイクしたAGT3を用いた一連の縮小規模研究実験を支持した。本縮小規模研究は、用量依存的影響を実証し、銅濃度の増加はG1F及びG2Fレベルの減少と関連する。本縮小規模研究の結果を細胞培養性能についての歴史的基準とも比較し、試験した各々の条件について、VCD、生存率%、及び生産性が歴史的平均に近いことが判明した。
【0253】
オリゴ糖プロファイルに対する銅濃度の影響も小規模研究で評価し、銅濃度が生成物グリコフォームプロファイルに対して有意な用量依存的影響を有し、濃度の増加がG0Fレベルの増加並びにG1F及びG2Fレベルの減少に関連することを示した(データ示さず)。
図6に記述したように、銅が、β-1-4ガラクトシルトランスフェラーゼ活性に対して阻害効果を有し、それ故に、グリコシル化に対して阻害効果を有し得ることが知られている(例えば、J Biochem Mol Biol.2002 May 31;35(3):330-6を参照されたい)。これは、濃度の増加に伴ってグリコシル化を増強し、G0F及び総中性のレベルの減少をもたらすことが実証されたマンガンの効果の反対であることに留意されたい。したがって、ウステキヌマブのcIEFピーク3面積%及びオリゴ糖プロファイルが維持されることを確実にする範囲内であるが、最適な細胞成長、生存率、及び生産性を支持するのに十分な銅を用いて、銅濃度及びマンガン濃度の両方を制御しなければならないと結論付けた。
【0254】
追加の小規模研究並びにマンガン濃度及び銅濃度の両方を変化させる実験からの結果の重回帰分析を用いて、G0F、G1F、及びG2Fの変動を、マンガン及び銅を変数として用いる回帰モデルによって説明することができることが判明した。その後、これらのデータを使用して、生産されたウステキヌマブが規格内のcIEFピーク3面積%及びオリゴ糖プロファイルを有することを確実にし、かつVCD、生存率%、及び生産性が歴史的基準内であることを確実にする最適マンガン及び銅濃度を見出した。既知組成培地の最適微量金属濃度は、Mn2+(マンガン)が10.0μg/リットル以上~35.0μg/リットル以下であり、Cu2+(銅)が1.0μg/リットル以上~1.8μg/リットル以下であることが判明した。
【0255】
培地の補充についての分析が完了したため、新たなバージョンのAGT培地が製造業者によって開発された。以前のバージョンの培地と比較して、新たな培地の製造プロセスは、ポリアミン及びエタノールアミン成分の添加の順序に関して最適化されており、貯蔵寿命安定性を改善する所望の効果を有することが報告された。この新たな培地を本明細書ではAGTバージョン3(AGT version 3、AGT3)と称し、Thermo Fisher Inc.による次世代培地とみなす。しかしながら、この新たな培地は、塩化第二鉄源に関して同じ特性を有する。結果として、この新たな培地も、微量金属であるMn2+及びCu2+の濃度が低いという同じ問題を有する。したがって、SUP-AGT3を、規定の制御された濃度のMn2+(マンガン)及びCu2+(銅)を含むように新たなAGT3培地にそれらを補充することによって作製した。
【0256】
多くの異なるマンガン源及び銅源を使用して、規定の限界値を達成することができる。本発明における使用に適切なマンガン源としては、例えば、MnCl2、MnSO4、MnF2、及びMnI2のうちの1つ又は2つ以上が挙げられる。本発明における使用に適切な銅源としては、例えば、CuSO4、CuCl2、及びCu(OAc)2のうちの1つ又は2つ以上が挙げられる。これらのマンガン源及び銅源は、無水形態又は水和形態、例えば、二水和物、四水和物、又は五水和物形態とすることができる。好ましいマンガン源には、MnCl2(塩化マンガン)とMnSO4(硫酸マンガン)の組み合わせが含まれる。好ましい銅源は、CuSO4(硫酸銅)である。AGT3中の補充物としてMnCl2、MnSO4、及びCuSO4を使用する利点は、これらの成分がすでに低濃度でAGT3製剤の一部であるため、新たな成分又は異なる成分を実際にSUP-AGT3製剤に添加する必要がないことである。要約すると、歴史的データ、SUP-AGTを用いた商業規模の生産、及び多数の小規模研究に基づいて、マンガン及び銅の規定の制御限界値を確立した。Mn2+(マンガン)の場合、規定の制御限界値は10.0μg/リットル以上~35.0μg/リットル以下であり、Cu2+(銅)の場合、限界値は1.0μg/リットル以上~1.8μg/リットル以下である。
【0257】
マンガン、クロム、及び銅レベルの評価
誘導結合プラズマ質量分析アッセイ(ICP-MS)を使用して、例えば、塩化第二鉄の変更前の歴史的「変更前」AGT培地、ウステキヌマブの逸脱バッチの生成に使用した「変更後」AGT培地、及びSUP-AGT3を含む異なる培地中のマンガン、クロム、及び銅レベルを評価した。培地の異なるバッチのマンガン、クロム、及び銅レベルの微量金属濃度についてのデータを、それぞれ、
図10、
図11、及び
図12に示す。培地の個々のバッチが、ウステキヌマブの大規模生産のために培地の他の1つ又は2つ以上のバッチと組み合わせられることに留意されたい。これは、培地のバッチ間変動のいくらかを均一化する一般的効果を有するが、濃度が制御されていない場合、マンガン及び銅の規格外のより大きな変動を補正しない場合がある。
【0258】
全てのSUP-AGT3バッチ中のマンガン濃度は、全てのSUP-AGT3バッチに適用した10.0μg/リットル以上~35.0μg/リットル以下のMn
2+(マンガン)の十分に規定の制御限界値以内であり、歴史的変更前AGTバッチの範囲内でもあった(
図10)。したがって、SUP-AGT3中のマンガン濃度が十分に制御されており、かつ歴史的変更前AGTの範囲内であると結論付けた。
【0259】
SUP-AGT3培地の2つの初期バッチを除いて、銅濃度も、1.0μg/リットル以上~1.8μg/リットル以下のCu
2+(銅)の十分に規定の制御限界内であった(
図12)。SUP-AGT3培地の2つの影響を受けたバッチの規格外状況は、これらのバッチをSUP-AGT3培地の他の異なるバッチと混合して、規格内のウステキヌマブの製造に使用するための培地を得ることによって容易に改善された。したがって、SUP-AGT3の銅濃度が十分に制御されていると結論付けた。規格外の歴史的変更前AGT培地の2つのバッチがルーチン問題として変更前AGT培地の他のバッチと組み合わされたため、組み合わせられたバッチも歴史的変更前AGTを有するウステキヌマブの生産中に規格内であったことに留意されたい。変更後AGTバッチの多くが銅について本アッセイの検出限界値(1μg/リットル)未満の値を有したことに留意されたい。これらの値を1μg/リットルとして
図12にグラフで表す。
【0260】
SUP-AGT3を用いた商業的バッチ製造
SUP-AGT3を使用したオリゴ糖プロファイル
微量金属分析の肯定的な結果に基づいて、SUP-AGT3を、500リットル又は1000リットルのバイオリアクターを使用して、異なる生産施設でのウステキヌマブ商業的製造プロセスに導入した。この培地を、段階1(前培養及び播種バイオリアクター)から段階2(生産バイオリアクタープロセス)までの全ての細胞培養工程に使用し、異なるバイオリアクターで生成された生成物を使用して、ウステキヌマブの異なるバッチを生成した。
図7、
図8A及び
図8B、並びに
図9A~Cに示すように、SUP-AGT3を用いて生産されたウステキヌマブは、64.8%以上~85.4%以下の総中性オリゴ糖種、14.4%以上~35.6%以下の総荷電オリゴ糖種、並びに個々の中性オリゴ糖種、11.5%以上~40.2%以下のG0F、29.9%以上~40.6%以下のG1F、及び4.1%以上~11.3%以下のG2Fを含む。更に、SUP-AGT3を用いて生産されたウステキヌマブのキャピラリー等電点電気泳動(cIEF)電気泳動図のピーク3面積%は、39.8%以上~64.4%以下である。
【0261】
SUP-AGT3を使用した細胞生存率及び生産性
商業的製造プロセスにおけるウステキヌマブを生産するためのSUP-AGT3の使用は、歴史的基準と比較して、生存率及び生産性も回復させた又は改善した。例えば、
図13が、ウステキヌマブの異なるSUP-AGT3バッチの細胞の段階2細胞培養生存率を示し、
図14が、ウステキヌマブの異なるSUP-AGT3バッチの段階2細胞培養生産性を示すことを参照されたい。
【0262】
結論
したがって、上記に記載したように、オリゴ糖プロファイルに関してウステキヌマブの一貫した原薬(DS)特性及び医薬品(DP)特性を維持するために、かつ大規模生産中の細胞生存率及び生産性を制御するために、製造管理戦略を開発した。本発明の方法によって生産されたDS又はDPは、配列番号10を含む重鎖(heavy chain、HC)、及び配列番号11を含む軽鎖(light chain、LC)、配列番号7の重鎖可変ドメインアミノ酸配列、及び配列番号8の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列、配列番号1、配列番号2、及び配列番号3の重鎖CDRアミノ酸配列、並びに配列番号4、配列番号5、及び配列番号6の軽鎖CDRアミノ酸配列を有する抗IL-12/IL-23p40抗体を含み、この際、抗IL-12/IL-23p40抗体のオリゴ糖プロファイルが、64.8%以上~85.4%以下の総中性オリゴ糖種、14.4%以上~35.6%以下の総荷電オリゴ糖種、並びに個々の中性オリゴ糖種、11.5%以上~40.2%以下のG0F、29.9%以上~40.6%以下のG1F、及び4.1%以上~11.3%以下のG2Fを含む。更に、抗IL-12/IL-23p40抗体のキャピラリー等電点電気泳動(cIEF)電気泳動図のピーク3面積%は、39.8%以上~64.4%以下である。DS及びDPのオリゴ糖プロファイルは、10.0μg/リットル以上~35.0μg/リットル以下のMn2+(マンガン)及び1.0μg/リットル以上~1.8μg/リットル以下のCu2+(銅)からなる微量金属濃度を含むように規定及び制御された既知組成培地中で真核細胞を培養し、かつ当該真核細胞中で当該抗IL-12/IL-23p40抗体を発現させることによって制御される。更に、本製造管理戦略は、歴史的基準と比較して、ウステキヌマブ生産中の細胞生存率及び細胞生産性も維持又は改善する。ウステキヌマブオリゴ糖プロファイルを、HPLC法を使用して決定し、培地のマンガン濃度及び銅濃度を、誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)を使用して測定した。
【配列表】
【国際調査報告】