(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-25
(54)【発明の名称】海藻バイオリアクタ装置、方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
C12N 1/12 20060101AFI20240718BHJP
A01G 33/00 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
C12N1/12 A
A01G33/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500490
(86)(22)【出願日】2022-07-07
(85)【翻訳文提出日】2024-03-05
(86)【国際出願番号】 CA2022051070
(87)【国際公開番号】W WO2023279209
(87)【国際公開日】2023-01-12
(32)【優先日】2021-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522315297
【氏名又は名称】インダストリアル プランクトン インク
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ルールストン
(72)【発明者】
【氏名】スチュアート デ ハース
(72)【発明者】
【氏名】ショーン グローバー
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム レイト
(72)【発明者】
【氏名】キャメロン グレゴリー
(72)【発明者】
【氏名】ジェニファー ロング
【テーマコード(参考)】
2B026
4B065
【Fターム(参考)】
2B026AA05
2B026AB09
2B026AC01
2B026FB02
4B065AA83X
4B065BC02
4B065BC03
4B065BC07
4B065BC48
4B065BC50
4B065CA41
4B065CA60
(57)【要約】
海藻バイオリアクタ装置、方法及びシステムの態様が記載される。方法の一態様は、海藻バイオマス及び培養培地を光制御エンクロージャ内に位置する透光性容器内に封入するステップと、透光性容器を開封せずに海藻バイオマスをサンプリング又は採取するステップとを備え、このステップは、コントローラによって、光源に、海藻バイオマスを照射する人工光を光制御エンクロージャ内に出力させるステップと、コントローラと通信するセンサによって培養培地に関連する検知データを出力するステップと、コントローラによって検知データに応じて人工光又は培養培地の少なくとも一方を変化させるステップと、コントローラによって透光性容器内で海藻バイオマスを断続的に混合及び切断するステップと、透光性容器及び光制御エンクロージャから海藻バイオマスの一部を除去するステップとによって行われる。関連する海藻バイオリアクタ装置、方法及びシステムも記載される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海藻バイオマス及び培養培地を光制御エンクロージャ内に位置する透光性容器内に封入するステップと、
前記透光性容器を開封せずに、前記海藻バイオマスを、
コントローラによって、光源に、前記海藻バイオマスを照射する人工光を前記光制御エンクロージャ内に出力させるステップ、
前記コントローラと通信するセンサによって、前記培養培地に関連する検知データを出力するステップ、
前記コントローラによって、前記検知データに応じて前記人工光又は前記培養培地の少なくとも一方を変化させるステップ、
前記コントローラによって、前記透光性容器内で前記海藻バイオマスを断続的に混合及び切断するステップ、並びに
前記透光性容器及び前記光制御エンクロージャから前記海藻バイオマスの一部分を除去するステップ
によってサンプリング又は採取するステップと、
を備える方法。
【請求項2】
前記海藻バイオマスを封入するステップは、前記培養培地に海藻細胞を付加するステップを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記海藻バイオマスを封入するステップは、前記光制御エンクロージャを開放せず又は前記透光性容器を開封せずに、前記培養培地に海藻細胞を付加するステップを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記海藻細胞を付加するステップは、二倍体、海藻一倍体胞子、雌海藻一倍体成体、雄海藻一倍体成体、海藻の卵子、海藻の精子、海藻の胞子体、海藻の遊走子、配偶体、卵子、配偶子又は胞子体のうちの1以上を付加するステップを備える、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記海藻細胞を付加するステップは、雄性配偶体及び雌性配偶体の一方又は両方を付加するステップを備える、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項6】
前記培養培地を封入するステップは、前記透光性容器内部のバイオセキュアな環境を維持するステップを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記培養培地を付加するステップは、所定量の水を付加するステップを備える、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記海藻バイオマスをサンプリング又は採取するステップは、フィルタ処理されていない周囲空気を前記透光性容器に導入せずに、前記海藻バイオマスの前記一部分を除去するステップを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記光制御エンクロージャを数月又は数年にわたる期間後にのみ開放するステップを備える請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記透光性容器を数月又は数年にわたる期間後にのみ開封するステップを備える請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記光源に前記人工光を出力させるステップは、LEDに前記人工光を出力させるステップを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記LEDに前記人工光を出力させるステップは、スペクトル選択可能なLEDに前記人工光を出力させるステップを備える、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記コントローラによって、マルチカラーLEDに前記人工光の第1の色相を第1の期間にわたって出力させるステップと、
前記コントローラによって、前記マルチカラーLEDに前記人工光の第2の色相を第2の期間にわたって出力させるステップと、
を備える請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記人工光の前記第2の色相を前記第2の期間にわたって出力させるステップは、前記海藻バイオマスを有性化するステップを備える、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記光制御エンクロージャは光フィルタリングウインドウを備え、
周囲光のフィルタ処理された部分を前記光制御エンクロージャに前記光フィルタリングウインドウを通じて投入するステップを備える請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記周囲光のフィルタ処理された部分を投入するステップは、前記海藻バイオマスを有性化するステップを備えない、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記培養培地を変化させるステップは、前記コントローラによって、培養培地へのCO
2のフローを変化させるステップを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記検知データを出力するステップは、前記培養培地のpHレベルを出力するステップを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記コントローラによって、前記培養培地のpHレベルに応じて前記人工光又は前記培養培地の前記少なくとも一方を調整するステップを備える請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記コントローラによって、前記培養培地の前記pHレベルを監視するステップと、
前記コントローラによって、前記培養培地の前記pHレベルが前記培養培地の目標pHレベルに近づくまで前記培養培地の前記pHレベルに応じて前記培養培地へのCO
2のフローを変化させることによって前記培養培地を変化させるステップと、
を備える請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記コントローラによって、前記培養培地の前記pHレベルに応じて前記海藻バイオマスのCO
2需要量を特定するステップと、
前記コントローラによって、前記CO
2需要量に応じて前記培養培地を変化させるステップと、
を備える請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記コントローラによって、前記光源に、前記人工光の強度を第1の割合だけ増加させるステップと、
前記コントローラによって、前記強度の増加に応じて前記海藻バイオマスのCO
2需要量を推定するステップと、
前記コントローラによって、前記CO
2需要量に応じて前記CO
2のフローを変化させるステップと、
を備える請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記コントローラによって、前記光源に、
前記CO
2需要量が前記強度の増加に応じて増加する場合には前記人工光の強度を第2の割合だけ増加させ、又は
前記CO
2需要量が前記強度の増加に応じて減少する場合には前記人工光の強度を第3の割合だけ減少させる
ステップを備える請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記コントローラによって、前記光源に前記強度を減少させるステップは、
前記人工光の強度を所定リセット量だけ減少させるステップと、
所定期間を待機するステップと、
請求項20に記載の方法を反復するステップと、
を備える、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記検知データを出力するステップは、前記培養培地の温度を出力するステップを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記コントローラによって、前記培養培地の温度に応じて前記人工光又は前記培養培地の前記少なくとも一方を調整するステップを備える請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記培養培地の温度に応じて前記透光性容器を前記光制御エンクロージャ内の温度調節流体に曝露することによって前記培養培地を変化させるステップを備える請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記透光性容器を前記温度調節流体に曝露するステップは、該温度調節流体を前記透光性容器の周囲に循環させるステップを備える、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記透光性容器を前記温度調節流体に曝露するステップは、前記コントローラによって、ポンプに、所定量の水を前記透光性容器の周囲に循環させるステップを備える、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記透光性容器を前記温度調節流体に曝露するステップは、前記コントローラによって、温度調節ユニットに、調整された空気のフローを前記培養培地の温度に応じて前記透光性容器に向けて出力させるステップを備える、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記海藻バイオマスを断続的に混合及び切断するステップは、前記透光性容器に封入された切断要素によって海藻塊を切断するステップを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記透光性容器に封入されたブレードを備え、
前記海藻バイオマスを断続的に混合及び切断するステップは、前記コントローラによって、モータに、前記ブレードを前記透光性容器に対して第1の方向に回転させることによって前記海藻バイオマスを切断させるステップを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記海藻バイオマスを断続的に混合及び切断するステップは、前記コントローラによって、前記モータに、前記ブレードを前記第1の方向とは反対の第2の方向に回転させることによって前記海藻バイオマスを混合させるステップを備える、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記コントローラによって、前記モータに、
前記ブレードを所定期間にわたって前記第2の方向に第1のRPMで連続的に回転させ、
前記ブレードを前記所定期間中に前記第1の方向に第2のRPMで断続的に回転させる
ステップを備える請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記第2の方向は前記第1の方向の反対である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記第2のRPMは前記第1のRPMよりも高い、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記海藻バイオマスを断続的に混合及び切断するステップは、前記コントローラによって、曝気装置に、前記透光性容器内で前記培養培地を曝気させることによって前記海藻バイオマスを混合させるステップを備える、請求項32に記載の方法。
【請求項38】
前記海藻バイオマスの前記一部分を除去するステップは、前記透光性容器のヘッドスペースを加圧するステップを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項39】
前記ヘッドスペースを加圧するステップは、前記コントローラによって、CO
2のフローを前記ヘッドスペースに向けるステップを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項40】
前記検知データを出力するステップは、
前記コントローラによって、光学センサに、前記培養培地の不透明度を特定させるステップと、
前記コントローラによって、前記培養培地の前記不透明度に応じて前記人工光又は前記培養培地の前記少なくとも一方を調整するステップと、
を備える、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概略として海藻バイオリアクタの態様に関する。各態様は、海藻バイオリアクタ装置、方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
海藻の生活環は複雑であり、それにより、工業規模で栽培することは困難となる。例えば、多くの海藻種は二相性、すなわち、一倍体(haploid)-二倍体(diploid)生活環を有し、これらの種は一倍体、すなわち、核に1組の染色体を有している細胞と、二倍体、すなわち、核に2組の染色体を有している細胞とを交互に繰り返す。光、栄養素及び他の因子に関して最適な条件下では、二倍体は細胞核の分裂を伴う減数分裂によって一倍体胞子を確実に生成し、一倍体胞子は配偶体と呼ばれる雄及び雌の一倍体成体に確実に進化し、配偶体は、融合して胞子体と呼ばれる二倍体成体に成長する卵及び精子を確実に生成し得る。
【0003】
光及び栄養素などの変数を慎重に制御できない海藻養殖場などの自然環境において海藻の成長に最適な条件を維持することは困難であり又はほとんど不可能であるため、海藻の生活環の各段階中に成長を確実に持続させることは困難となる。このため、多くの海藻養殖場は、費用対効果の高い態様で海藻の成長に最適な条件を確立及び維持するように人工設計された制御環境などにおいて、配偶体及び/又は胞子体を生成するための新たな方法を模索している。
【発明の概要】
【0004】
本開示の一態様は、方法である。例えば、方法は、海藻バイオマス及び培養培地を光制御エンクロージャ内に位置する透光性容器内に操作可能に封入するステップと、光制御エンクロージャを開放することなく又は透光性容器に外気を導入することなく海藻バイオマスを採取するステップと、を備え、採取するステップは、コントローラによって、透光性容器を通じて海藻バイオマスを照射するように人工光を光制御エンクロージャ内に出力するステップと、コントローラによって透光性容器内で海藻バイオマスを断続的に混合及び切断するステップと、透光性容器内に正圧を維持しつつ透光性容器から海藻バイオマスの一部分を除去するステップとによって行われ得る。
【0005】
本開示の他の態様は、他の方法である。例えば、方法は、光制御エンクロージャ内に配置された透光性容器内の海藻バイオマス及び増殖培地を封入するステップと、コントローラによって、透光性容器を通じて海藻バイオマスを照射するように人工光を光制御エンクロージャ内に出力するステップと、コントローラによって透光性容器内の海藻バイオマスを断続的に混合及び切断するステップと、透光性容器内に正圧を維持しつつ透光性容器から海藻バイオマスの一部分を除去するステップと、を備え得る。
【0006】
これらの方法を踏まえて、海藻バイオマスを操作可能に封入するステップは、コントローラによって、海藻二倍体、海藻一倍体胞子、雌海藻一倍体成体、雄海藻一倍体成体、海藻の卵子、海藻の精子及び海藻の胞子体のいずれかの組合せを光制御エンクロージャ内にポンプ供給するステップを備え得る。方法は、透光性容器の外面を熱伝導流体と相互作用させること及び/又は透光性容器を囲むサーマルジャケットを通じて熱伝導流体を循環させることによって培養培地の温度を調節することなどによって、培養培地の温度を調節するステップを備え得る。
【0007】
方法は、1以上のLEDによって異なる強度又は波長の人工光を異なる時間に出力することなどによって、光制御エンクロージャ内に位置する1以上のLEDから人工光を出力するステップを備え得る。例えば、方法は、コントローラによって、海藻バイオマス及び培養培地の一方又は両方に関連するデータを出力するように動作可能なセンサに応じて、異なる強度又は波長の人工光間での切換えを行うステップを備え得る。更なる例として、方法は、コントローラによって、透光性容器内に位置するpHセンサから出力されるデータに基づいて、容器内の培養培地のpHレベルを特定するステップと、培養培地のpHレベルに応じて異なる強度又は波長の人工光間での切換えを行うステップと、を備え得る。方法は、コントローラによって、光学センサから出力されるデータに基づいて、透光性容器内の海藻塊の不透明度を特定するステップと、海藻塊の不透明度に応じて異なる強度又は波長の人工光間の切換えを行うステップと、を備えていてもよい。
【0008】
断続的な混合及び切断は、コントローラによってブレードの混合用エッジを第1の時間にわたってある方向に第1のRPMで回転させて透光性容器内で海藻塊を混合するステップと、コントローラによってブレードの切断用エッジを第2の時間にわたって異なる方向に第2のRPMで回転させて透光性容器内で海藻塊を小片に切断するステップと、を備え得る。第2のRPMは、第1のRPMよりも高い。
【0009】
本開示の他の態様は、他の方法である。例えば、方法は、海藻バイオマス及び培養培地を光制御エンクロージャ内に位置する透光性容器内に封入するステップと、透光性容器を開封せずに、海藻バイオマスを、コントローラによって、光源に、海藻バイオマスを照射する人工光を光制御エンクロージャ内に出力させるステップ、コントローラと通信するセンサによって、培養培地に関連する検知データを出力するステップ、コントローラによって、検知データに応じて人工光又は培養培地の少なくとも一方を変化させるステップ、コントローラによって、透光性容器内で海藻バイオマスを断続的に混合及び切断するステップ、並びに透光性容器及び光制御エンクロージャから海藻バイオマスの一部分を除去するステップによって、サンプリング又は採取するステップと、を備え得る。
【0010】
海藻バイオマスを封入するステップは、培養培地に海藻細胞を付加するステップを備え得る。海藻バイオマスを封入するステップは、光制御エンクロージャを開放せず又は透光性容器を開封せずに、培養培地に海藻細胞を付加するステップを備える。海藻細胞を付加するステップは、二倍体、海藻一倍体胞子、雌海藻一倍体成体、雄海藻一倍体成体、海藻の卵子、海藻の精子、海藻の胞子体、海藻の遊走子、配偶体、卵子、配偶子又は胞子体のうちの1以上を付加するステップを備え得る。海藻細胞を付加するステップは、雄性配偶体及び雌性配偶体の一方又は両方を付加するステップを備え得る。
【0011】
培養培地を封入するステップは、透光性容器内部のバイオセキュアな環境を維持するステップを備え得る。所定量の培養培地を付加するステップは、所定量の水を付加するステップを備え得る。海藻バイオマスをサンプリング又は採取するステップは、フィルタ処理されていない周囲空気を透光性容器に導入せずに、海藻バイオマスの一部分を除去するステップを備え得る。方法は、光制御エンクロージャを数月又は数年にわたる期間後にのみ開放するステップを備え得る。方法は、透光性容器を数月又は数年にわたる期間後に開封するステップを備え得る。光源に人工光を出力させるステップは、LEDに人工光を出力させるステップを備え得る。LEDに人工光を出力させるステップは、スペクトル選択可能なLEDに人工光を出力させるステップを備え得る。方法は、コントローラによってマルチカラーLEDに人工光の第1の色相を第1の期間にわたって出力させるステップと、コントローラによってマルチカラーLEDに人工光の第2の色相を第2の期間にわたって出力させるステップと、を備え得る。人工光の第2の色相を第2の期間にわたって出力させるステップは、海藻バイオマスを有性化するステップを備える。
【0012】
光制御エンクロージャは光フィルタリングウインドウを備え、方法は周囲光のフィルタ処理された部分を光制御エンクロージャに光フィルタリングウインドウを通じて投入するステップを備え得る。周囲光のフィルタ処理された部分を投入するステップは、海藻バイオマスを有性化するステップを備えなくてもよい。培養培地を変化させるステップは、コントローラによって、培養培地へのCO2のフローを変化させるステップを備え得る。検知データを出力するステップは、培養培地のpHレベルを出力するステップを備え得る。方法は、コントローラによって、培養培地のpHレベルに応じて人工光又は培養培地の少なくとも一方を調整するステップを備え得る。方法は、コントローラによって培養培地のpHレベルを監視するステップと、コントローラによって、それが培養培地の目標pHレベルに近づくまで培養培地のpHレベルに応じて培養培地へのCO2のフローを変化させることによって培養培地を変化させるステップと、を備え得る。方法は、コントローラによって培養培地のpHレベルに応じて海藻バイオマスのCO2需要量を特定するステップと、コントローラによってCO2需要量に応じて培養培地を変化させるステップと、を備え得る。方法は、コントローラによって、光源に、人工光の強度を第1の割合だけ増加させるステップと、コントローラによって強度の増加に応じて海藻バイオマスのCO2需要量を推定するステップと、コントローラによってCO2需要量に応じてCO2のフローを変化させるステップと、を備え得る。方法は、コントローラによって、光源に、CO2需要量が強度の増加に応じて増加する場合には人工光の強度を第2の割合だけ増加させ、又はCO2需要量が強度の増加に応じて減少する場合には人工光の強度を第3の割合だけ減少させるステップを備え得る。方法は、コントローラによって光源に強度を減少させるステップを備えていてもよく、それは人工光の強度を所定リセット量だけ減少させるステップと、所定期間を待機するステップと、反復するステップと、を備え、反復するステップは、コントローラによって、光源に、人工光の強度を第1の割合だけ増加させるステップと、コントローラによって、強度の増加に応じて海藻バイオマスのCO2需要量を推定するステップと、コントローラによって、CO2需要量に応じてCO2のフローを変化させるステップと、を備える。
【0013】
検知データを出力するステップは、培養培地の温度を出力するステップを備え得る。方法は、コントローラによって、培養培地の温度に応じて人工光又は培養培地の少なくとも一方を調整するステップを備え得る。方法は、培養培地の温度に応じて透光性容器を光制御エンクロージャ内の温度調節流体に曝露することによって培養培地を変化させるステップを備え得る。方法は、透光性容器を温度調節流体に曝露するステップを備えていてもよく、それは温度調節流体を透光性容器の周囲に循環させるステップを備える。方法は、透光性容器を温度調節流体に曝露するステップを備えていてもよく、それは、コントローラによって、ポンプに、所定量の水を透光性容器の周囲に循環させるステップを備える。透光性容器を温度調節流体に曝露するステップは、コントローラによって、温度調節ユニットに、調整された空気のフローを培養培地の温度に応じて透光性容器に向けて出力させるステップを備える。
【0014】
海藻バイオマスを断続的に混合及び切断するステップは、透光性容器に封入された切断要素によって海藻塊を切断するステップを備え得る。ブレードが透光性容器に封入されてもよく、海藻バイオマスを断続的に混合及び切断するステップは、コントローラによって、モータに、ブレードを透光性容器に対して第1の方向に回転させることによって海藻バイオマスを切断させるステップを備え得る。海藻バイオマスを断続的に混合及び切断するステップは、コントローラによって、モータに、ブレードを第1の方向とは反対の第2の方向に回転させることによって海藻バイオマスを混合させるステップを備え得る。方法は、コントローラによって、モータに、ブレードを所定期間にわたって第2の方向に第1のRPMで連続的に回転させ、ブレードを所定期間中に第1の方向に第2のRPMで断続的に回転させるステップを備え得る。第2の方向は、第1の方向の反対であり得る。第2のRPMは、第1のRPMよりも高いRPMであり得る。海藻バイオマスを断続的に混合及び切断するステップは、コントローラによって、曝気装置に、透光性容器を培養培地に曝気させることによって海藻バイオマスを混合させるステップを備え得る。海藻バイオマスの一部分を除去するステップは、透光性容器のヘッドスペースを加圧するステップを備え得る。ヘッドスペースを加圧するステップは、コントローラによってCO2のフローをヘッドスペースに向けるステップを備える。検知データを出力するステップは、コントローラによって、光学センサに培養培地の不透明度を特定させるステップと、コントローラによって、培養培地の不透明度に応じて人工光又は培養培地の少なくとも一方を調整するステップと、を備え得る。
【0015】
関連する海藻バイオリアクタ装置、方法及びシステムも開示される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】複数の海藻装置を備える例示的な海藻システムを示す。
【
図3】
図2の装置の前方壁を取り除いた状態を示す。
【
図8】
図2の装置のカバーを取り除いた状態の設置背面図を示す。
【
図9】
図2の装置用の例示的なコントローラを示す。
【
図13】
図2の装置の他の例示的なブレードを示す。
【
図14】複数の海藻バイオリアクタ装置を備える他の例示的な海藻システムを示す。
【
図27】さらに他の例示的なバイオリアクタシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示に組み込まれ、本開示の一部を構成する添付図面は、記載された説明とともに本開示の原理を説明するのに役立つ例示的な態様を示す。多数の態様が、特に、記載された説明において記載され、指摘され、教示される。一部の構造的及び動作的な態様は、図面とともに記載された部分を参照することによってより良く理解され得る。したがって、本開示の主題及び記載された有利な効果のより完全な理解は、以下の添付図面とともにここに記載された説明を読むことによって実現され得る。
【0018】
本開示の態様は、本説明に記載されるとともに添付図面に図示される例示的な構造の詳細及び構成要素の配置に限定されない。本開示の多数の態様は、ここに記載する実施例など、他の態様に適用可能であり及び/又は種々の変形用途において実施若しくは実行可能であり得る。
【0019】
記載される説明の全体を通じて、より深い理解を当業者に与えるために具体的詳細を説明する。説明の便宜及び容易化のために、一部の周知の要素は、本開示の焦点を無用に不明瞭とすることを回避するために概念的に記載され得る。これに関して、記載される説明及び図面は、限定的ではなく説明的なものとして、限定するものではなく可能とするものとして解釈されるべきである。
【0020】
本開示の例示的な態様は、種々の海藻バイオリアクタ装置、方法及びシステムに言及する。一部の態様は、特定の培養培地(例えば、水)を利用する特定種の海藻(例えば、コンブなどの二相性、すなわち、一倍体-二倍体生活環を有するもの)を保持することに関して記載され、その培養培地は、特定の構造物(例えば、封入容器)に含まれ、海藻の成長に適した特定の組の機能を実行する(例えば、光及び栄養素を管理する)特定の生命維持システム(例えば、ここに記載する種々のモータ、ポンプ及びセンサを利用するもの)によって動作可能である。これらの記載は、便宜上与えられるものであり、請求項に記載されない限り本開示を限定するものではない。したがって、本開示に記載されるいずれの態様も、他のタイプの植物での使用に適したものを含めて、任意の同様のバイオリアクタ装置、方法及びシステムによって利用され得る。
【0021】
小見出しは、参照の容易化のために提供され、請求項に記載されない限り非限定的なものである。
【0022】
「備える」、「備えている」、「含む」、「含んでいる」及びそれらの変化形などの包含的用語は、列挙された要素を備える任意の装置、方法及びシステム又はその要素がそれらの要素のみを含むのではなく、明示的に列挙されない及び/又はそれに内在する他の要素を含み得るように、非排他的な包含を包括するものである。断りがない限り、用語「例示的」は、「理想的」ではなく「例」の意味で使用される。「約(approximately)」及び「一般に/一般的に/汎用的に/概ね/概して/概略として(generally)」など、近似のための種々の用語が、本開示において使用され得る。「約」は、「おおよそ」又は記載される数若しくは結果の10%以内を意味する。「一般に/一般的に/汎用的に/概ね/概して/概略として」は、「通常は/普通は」又は50%超の確率を意味する。
【0023】
「~に取付け可能な」、「~に取り付けられ」及び「取付けられた」などの用語は、2以上の要素間の構造的接続を説明するものである。一部の構造的接続は、2以上の要素がともに形成されて損傷なく独立して回転可能でない場合のように「固定的に取り付けられ」、したがって回転不能となり得る。他の構造的接続は、2以上の要素が取付け要素(例えば、ピン、ネジなど)及び/又は連結要素(例えば、ジョイント、ヒンジなど)によって相互に結合されて独立した回転を可能とする場合のように「回転可能に取り付けられ」得る。したがって、特に断りがない限り、用語「取り付ける」及びその同義語は、任意のその変化形を構成し得る。
【0024】
例示的なコントローラの態様が記載される。コントローラは、任意のタイプのソフトウェア及び/又はハードウェアを備えかつそれによって動作可能であり得る。「処理する」、「計算する」、「算出する」、「特定/決定する」、「表示する」などのような機能的用語は、コントローラによって実行可能な動作及び処理をいう場合がある。
【0025】
ソフトウェアは、機能を実行するコントローラによって実行可能なプログラムオブジェクト(例えば、コードのブロック)を備え得る。各プログラムオブジェクトは、アルゴリズムのような、所望の結果をもたらす動作のシーケンスを備え得る。動作は、記憶、転送、合成、比較及びその他操作可能な電気又は磁気信号など、物理量の物理的操作を必要とし、又はそれを伴い得る。信号は、ビット、文字、要素、数字、記号、用語、値などとして概念的に記載され得る。
【0026】
ハードウェアは、プログラムオブジェクトを実行し、動作を実行し及び/又は信号を送信若しくは受信するように特化して又は汎用的に構成された周知のコンピューティング及び/又はネットワーキングデバイスを備え得る。ハードウェアは、ユニットのレジスタ及びメモリ内の物理(電気)量として表される入力データを操作し、及び/又はユニットのメモリ若しくはレジスタ及び/又は他のデータ記憶、伝送若しくは表示デバイス内の物理量として同様に表される出力データに変換することによってプロジェクトオブジェクトを実行するプロセッサを備え得る。プロセッサは、相互にローカル又はリモートに配置された任意の単数又は複数のコンピューティング資源など、任意数の処理要素を備え得る。プログラムオブジェクトは、機械(例えば、コンピュータ)によって読取可能な形態でデータ及び情報を記憶又は伝送するための任意の機構など、処理ユニットと通信する任意の機械(例えば、コンピュータ)読取可能記憶媒体に記憶され得る。例示的な記憶媒体は、読み取り専用メモリ(「ROM」)、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)、消去可能プログラマブルROM(「EPROM」)、電気的に消去可能なプログラマブルROM(「EEPROM」)、磁気若しくは光学カード若しくはディスク、フラッシュメモリデバイス及び/又は任意の電気的、光学的、音響的若しくは他の形態の伝搬信号(例えば、搬送波、赤外信号、デジタル信号など)を備え得る。
【0027】
一部の機能を、コントローラによってプログラム可能な方法ステップを参照して説明する。ステップは動作の例示的なシーケンスを規定し得るものであり、その順序が重要となり得る。例えば、任意の方法ステップの特定の順序は、コントローラによってプログラム可能な動作の特定のシーケンスを記載して、コントローラの計算性能及び/又は動作効率を向上するなど、具体的な処理の利益を実現し得る。
【0028】
海藻バイオマスのために最適化された海藻システムの実施例
本開示の態様を、真水、塩水及びそれらに付加されるものなど、(例えば、
図11に示すような)培養培地1中で海藻を成長させるのに最適な条件を維持する例示的な海藻バイオリアクタシステム10を参照してここに説明する。システム10の多数の構成が、ここに記載される。
図1に示すように、例えば、システム10は、海藻バイオリアクタ20、温度制御システム130、CO
2及び/又は空気供給手段140、培養培地供給手段150及びシステムコントローラ160を備え得る。
【0029】
図1に示すように、例えば、海藻バイオリアクタ20は、海藻バイオリアクタ装置21、海藻バイオリアクタ装置22及び海藻バイオリアクタ装置23を含む複数の動作要素を備え得る。バイオリアクタ装置21、22及び23は、相互に類似及び/又は同一であり得る。各装置21、22及び23は、システム10において異なる機能を果たし得る。例えば、バイオリアクタ装置21は、第1の容量の培養培地1に雄性配偶体などの海藻細胞の第1の培養物を含み、それを成長させるように最適化され得る。バイオリアクタ装置22は、第2の容量の培養培地1に雌性配偶体などの海藻細胞の第2の培養物を含み、それを成長させるように最適化され得る。バイオリアクタ装置23は、第1及び第2の培養物を第3の容量の培養培地1に受容して混合し、これらが接合して胞子体(又はコンブの種苗)となることを可能とする。海藻バイオリアクタ装置21、22及び23が装備された場合、システム10はシステムコントローラ160によって各異なるタイプの海藻細胞を成長させるのに最適な条件を維持するように動作可能となり得るものであり、配偶体及び/又は胞子体の安定した供給を確実に産出することを可能とする。
【0030】
図1に示すように、例えば、各海藻バイオリアクタ20は、テーブルなどの支持構造物5上に配置され得る。任意のタイプの支持構造物5が利用され得る。
【0031】
図1に示すように、システム10は、システム10によって産出された配偶体及び/又は胞子体の数を増加させるように動作可能な任意数の(例えば、装置21、22及び/又は23のような)海藻バイオリアクタ装置を備え得る。海藻バイオリアクタ20は、制御環境において異なるタイプの海藻種を交雑して再現性のある結果を得るのに利用され得る。
図1に示すように、例えば、海藻バイオリアクタ装置21及び22は、第1の種の海藻の第1及び第2の細胞を含み、少なくとも1つのバイオリアクタ装置23と流通し得る。システム10は、装置21及び22のようなバイオリアクタ装置の任意数の追加の組を備えてもよく、それらの各々は異なる種の海藻の第1及び第2の細胞を含み、少なくとも1つのバイオリアクタ装置23に流通し得る。この例において、バイオリアクタ装置23は、異なる種の海藻の第1の海藻細胞(例えば、雄性配偶体)及び第2の海藻細胞(例えば、雌性配偶体)を受容及び混合し得るので、より簡単でかつより効率的な交雑の手段を提供する。
【0032】
海藻バイオリアクタ20の要素は、相互に流通し、かつ
図7~12に示され、それに関連して記載される例示的な構成を含む温度制御システム130、CO
2及び/又は空気供給手段140、並びに任意のタイプの配管及び/又は導管を利用する培養培地供給手段150と流通し得る。
図1に示すように、例えば、温度制御システム130は、チラー131及びポンプ132を備え得る。チラー131は、冷却媒体(例えば、所定体積の水)を貯蔵し、冷却媒体の温度を維持し得る。ポンプ132は、システム10の全体にわたって冷却媒体を循環させるように動作可能な遠心ポンプを備え得る。
図1に示すように、例えば、ポンプ132は各バイオリアクタ20に含まれる培養培地1の温度を維持する流量で各海藻バイオリアクタ20の(例えば、
図4に示し、後述するような)サーマルジャケットの周囲にチラー131からの冷却媒体を循環させ、チラー131に戻すようにシステムコントローラ160によって動作可能であり得る。
【0033】
システムコントローラ160は、システム10の各バイオリアクタ20において海藻を成長させるのに最適な条件を維持するように動作可能なハードウェア及び/又はソフトウェアの任意の組合せを備え得る。
図1に示すように、例えば、システムコントローラ160は、ハウジング161、表示要素162、処理要素163、通信バス164及び温度コントローラ165を備え得る。ハウジング161は、剛体材料からなる自立構造物を備え得る。
図1に示すように、例えば、剛体材料は、支持構造物5上でシステムコントローラ160の要素を支持及び/又は収容するとともにこれらの要素に対してヒートシンクとして作用するように動作可能な金属材料(例えば、ダイヤモンドプレート)を備え得る。処理要素163は、ハウジング161の上部区画に配置され、システム10の他の要素からデータを受信するとともにシステム10の他の要素に制御信号を送信するように動作可能なデータ処理要素を備え得る。例えば、処理要素163は、データを受信及び処理するように並びに/又は制御信号を生成及び出力するように(例えば、メモリに保存された)ソフトウェアによって動作可能なプロセッサ、メモリ及び/又は送受信機のうちの1以上を備え得る。
【0034】
表示要素162は、グラフィカルユーザインターフェースをユーザに提示し、そのユーザからのタッチベースの入力を受信するように処理要素163によって動作可能なタッチスクリーンディスプレイを備え得る。
図1に示すように、例えば、通信バス164は、ハウジング161の下部区画にあり、各海藻バイオリアクタ20のマイクロコントローラからデータを受信し、制御信号を中継して各マイクロコントローラに戻し、他のタイプのデータを送信又は受信するように動作可能なデータ接続を確立及び維持するための任意の有線及び/又は無線データ通信ハードウェアを備え得る。
【0035】
温度コントローラ165は、温度制御システム130によって処理要素163及び/又はマイクロコントローラからデータを受信し、そのデータに基づいてシステム10を通じて循環する冷却媒体の温度及び/又は流量を変化させるように動作可能なハードウェア及び/又はソフトウェアの任意の組合せを備え得る。
【0036】
図11に示すように、例えば、CO
2及び/又は空気供給手段140は、手動操作バルブなどの空気制御バルブ142によって動作可能な空気ポンプ141、及び(例えば、
図1に示すような)システムコントローラ160によって動作可能なソレノイドバルブなどのCO
2供給バルブ144によって動作可能なCO
2供給手段(例えば、CO
2タンクなど)143を備え得る。
図11に示すように、培養培地供給手段150は給水ラインを備え得る。
【0037】
システムコントローラ160の全部又は一部は、
図1では海藻バイオリアクタ20の付近に位置しているが、システム10から遠隔に位置してもよい。さらに後述のように、例えば、各海藻バイオリアクタ20は、ローカルにデータ処理及び/又は制御信号生成の一部に対処するように動作可能なマイクロコントローラを備えていてもよく、システムコントローラ160の全部又は一部はクラウド内に位置し、インターネットを介してデータを受信し及び/又は制御信号を出力するように動作可能であり得ることを意味する。本実施例を踏まえて、クラウドベースのシステムコントローラ160は、結果として物理的に異なる場所に位置する海藻バイオリアクタ20のマイクロコントローラによって動作可能であってもよく、自動化された態様でシステム10をより簡単に及び/又は安価に取得して動作させることができる。
【0038】
海藻バイオリアクタ装置及びシステムの実施例
本開示の態様を、所定容量の培養培地1中で海藻細胞を成長させるのに最適な条件を維持するように動作可能な例示的な海藻バイオリアクタ装置21を参照してここに説明する。これらの態様を、
図1の海藻バイオリアクタ装置21を参照して説明するが、
図1のバイオリアクタ装置22及び/又は23を参照して代替的に説明することもできる。海藻バイオリアクタ装置21の多数の潜在的な構成を説明する。
図3に示すように、例えば、海藻バイオリアクタ装置21は、遮光性エンクロージャ30、ハウジング31、取付けアセンブリ32、モータ33、ポンプ34、培養培地センサ35、光源36、ベントフィルタ37、ポート38、ポート39及び(例えば、
図8及び9に示すような)マイクロコントローラ40を備え得る。
【0039】
図2及び3に示すように、例えば、遮光性エンクロージャ30はハウジング31を周囲光から遮蔽する剛体材料から構成され得るものであり、それにより、ハウジング31内に封入された所定容量の培養培地1に含まれる任意の海藻細胞に適用される光スペクトルを慎重に制御することが可能となる。システムコントローラ160のハウジング161と同様に、遮光性エンクロージャ30の剛体材料は、海藻バイオリアクタ装置21の要素を支持及び/又は収容するとともにこれらの要素のためのヒートシンクとして作用するように動作可能な金属材料(例えば、ダイヤモンドプレート)を備え得る。
図2に示すように、例えば、遮光性エンクロージャ30は、床板41、後方壁42、後方天板43、前方壁44、前方天板45及び受容開口部46を備え得る。
【0040】
後方壁42は、支持構造物5の支持面(例えば、
図1)上に海藻バイオリアクタ装置21の重量を支持するように動作可能な剛体構造物を形成するように、床板41及び後方天板43に取り付けられ得る。
図2及び/又は3に示すように、例えば、床板41の上面及び後方天板43の下面は、後方壁42の対応する上縁及び下縁を受容するようにサイズ取りされた溝を備えていてもよく、それにより剛体構造物を形成する。前方壁44は、周囲光がエンクロージャ30の側面を通じてハウジング31に達するのを防止するように剛体支持構造物に取り付けられ得る。
図2に示すように、例えば、前方壁44は、前方壁44が取り付けられた場合に後方壁42の前方部分と重なる後方部47を備えていてもよく、それにより、周囲光がエンクロージャ30の側面を通じてハウジング31に達するのを防止する。
図3に示すように、例えば、床板41の溝は、後方壁42の外面に対抗する後方部47の内面を保持することによって光の侵入を最小限にするようにサイズ取りされ得る。
【0041】
前方天板45もまた、周囲光がエンクロージャ30の上部を通じてハウジング31に達するのを防止するように前方壁44及び後方天板43に取り付けられ得る。
図3に示すように、例えば、前方天板45の下面は、後方壁42、前方壁44及び後方部47の上縁を受容するようにサイズ取りされた溝を備えて後方壁42の外面に対抗して後方部47の内面をさらに保持し得る。
図3及び4に示すように、例えば、後方天板43の前縁が、前方天板45の後縁と連結して周囲光が板43及び45の前縁と後縁の間でハウジング31に達するのを防止し得る。発泡フォーム及び/又は遮光テープなどの追加の遮光要素が、さらにエンクロージャ30を遮蔽するために利用され得る。
図2に示すように、例えば、受容開口部46は、後方板43が前方板45と連結された場合に形成され得る。
【0042】
ハウジング31は透光性であってもよく、透明材料又は半透明材料からなることを意味する。
図4に示すように、例えば、ハウジング31は、内壁50及び外壁51を備え得る。内壁50は、所定量の海藻細胞を含む所定容量の培養培地1を含むようにサイズ取りされた容器52を画定し得る。したがって、ハウジング31及び容器52の両方が透光性容器として説明されてもよい。
【0043】
図4に示すように、例えば、容器52は、開口した上部及び閉塞した下部を有する筒形状を備え得る。内壁50は外壁51から離隔されて、容器52を少なくとも部分的に囲むサーマルジャケット53を画定し得る。
図4に示すように、例えば、外壁51は、ベース54、入口55及び出口56を備え得る。ベース54は(例えば、
図2及び3に示すような)床板41の上部に配置され、容器52の重量及びその内容物を支持するように動作可能であり得る。入口55及び出口56はチラー131と流通するよう配置され、温度コントローラ165によって決定される流量で、冷却媒体をサーマルジャケット53の内外に向けるように、ポンプ132によって動作可能であり得る。さらに後述するように、内壁50、外壁51及び冷却媒体の各々は、概ね半透明であり得る。
【0044】
図4及び/又は5に示すように、例えば、取付けアセンブリ32は、取付けプレート60、センサ支持管61、軸受シャフト62、モータマウント63、フィルタマウント64、駆動シャフトカプラ65、駆動シャフト66、ブレード67、孔68及び孔69を備え得る。
図4に示すように、例えば、取付けプレート60は内壁50の上部に取外し可能に取り付けられ、容器52を封止するように動作可能であり得る。
図4に示すように、例えば、リムシール70は、周囲空気が容器52に侵入するのを防止する気密封止を取付けプレート60の下部と容器52の上面との間に形成するのに利用され得る。センサ支持管61は、取付けプレート60に取り付けられてそれを通じて容器52の下部に向かって延在する中空管を備え得る。軸受シャフト62は、取付けプレート60に取り付けられてそれを通じて容器52の上部に向かって延在する中空管を備え得る。モータマウント63は軸受シャフトの上部に固定して取り付けられ、そこを通じて延在する開口を備え得る。
図4及び5に示すように、例えば、モータ33はモータマウント63に取り付けられて、周囲空気が容器52に侵入するのを防止する気密封止をモータ33の下部とモータマウント63の上部との間に形成し得る。モータ33の出力シャフトは、マウント63の開口を通じて方向付けられ得る。
【0045】
ベントフィルタ37は、ポンプ34を動作させる場合及び/又は記載される任意の方法を実行する場合に真空が形成されると、フィルタ処理されていない周囲空気が容器52に侵入するのを防止し得る。
図4及び5に示すように、例えば、フィルタマウント64は、取付けプレート60に取り付けられてそれを通じて延在する中空管を備え得る。ベントフィルタ37は、ベントフィルタ37とフィルタマウント64との間に気密封止を形成するように動作可能なバルブ71によってフィルタマウント64のフランジに取外し可能に取り付けられ得る。
図5に示すように、例えば、駆動シャフトカプラ65は、駆動シャフト66によってモータ33の出力シャフトを取り付ける回転軸受を備え得る。駆動シャフトカプラ65は、周囲空気が容器52に侵入するのを防止する気密封止を軸受シャフト62の下部と駆動シャフトカプラ65の上部との間に形成し得る。駆動シャフト66は、駆動シャフトカプラ65及びブレード67に取り付けられ得る。
【0046】
図6に示すように、例えば、ブレード67は、孔72、一対の細断用、すなわち、鎌形状のエッジ73及び一対の混合用、すなわち、三日月刃形状のエッジ74を備え得る。孔72は、駆動シャフト66をブレード67に取り付けるボルトを受容するようにサイズ取りされ得る。さらに後述するように、各細断用、すなわち、鎌形状のエッジ73は、モータ33によって駆動シャフト66が第1の方向、すなわち、「細断」方向(例えば、反時計回り)に回転される場合に容器52の内容物を細断するように動作可能な凹状のブレード又はエッジを備え得る。各混合用、すなわち、三日月刃形状のエッジ74は、モータ33によって駆動シャフト66が第2の方向、すなわち、「混合」方向(例えば、時計回り)に回転される場合に容器52の内容物を混合するように動作可能な凸状のブレード又はエッジを備え得る。
【0047】
更なる実施例を提供するために、ブレード67の7個の変形例を
図13に示し、ブレード67-1、67-2、67-3、67-4、67-5、67-6及び67-7と符号を付し、これらの各々は、ブレード67と同様に、モータ33によって駆動シャフト66が細断方向(例えば、反時計回り方向)に回転される場合に容器52の内容物を細断するように動作可能な少なくとも一対の細断用、すなわち、鎌形状のエッジ73-1、73-2、73-3、73-4、73-5、73-6又は73-7及びモータ33によって駆動シャフト66が混合方向(例えば、時計回り方向)に回転される場合に容器52の内容物を混合するように動作可能な少なくとも一対の混合用、すなわち、三日月刃形状のエッジ74-1、74-2、74-3、74-4、74-5、74-6又は74-7を備え得る。
【0048】
図4及び/又は5に示すように、例えば、ポート38は、(例えば、
図2及び3に示すように)ポンプ34と流通するように配置され得る上端及び容器52の下部に向かって孔68を通じて延在する下端を有する半透明中空管を備え得る。
図4及び/又は5にも示すように、例えば、ポート39は、(例えば、
図1、11及び12に示すように)CO
2及び/又は空気供給手段140と流通するように配置され得る上端並びに容器52の内部に向かって孔69を通じて延在する下部を有する半透明中空管を備え得る。ポンプ34は、マイクロコントローラ40及び/又はシステムコントローラ160によって容器52からの培養培地1及び海藻細胞の流量を出力し、又は容器52への新しい培養培地1の流量を入力するように動作可能であり得る。
図2及び3に示すように、例えば、ポンプ34は、Welco WP11などの全ての接液構成要素を有する蠕動ポンプを備え得る。
図2及び3に示すように、例えば、ポンプ34は、ポンプマウント76及びポンプボックス77を備え得る。ポンプマウント76はポンプ34を後方天板43に取り付けてもよく、ポンプボックス77はマイクロコントローラ40及び/又はシステムコントローラ160によって動作可能な電動モータを収容し得る。
【0049】
(例えば、
図4に示すような)培養培地センサ35は、マイクロコントローラ40及び/又はシステムコントローラ160によって容器52内の培養培地1の特徴に関連するデータを出力するように動作可能であり得る。培養培地センサ35は、検知端80及び通信端81を備え得る。
図4に示すように、例えば、センサ35は、検知端80が容器52の下部にあり、通信端81が容器52の外部にあるように、センサ支持管61に受容可能となり得る。検知端80は、培養培地1のpHレベルに関連するデータを出力するように動作可能なpHセンサ及び/又は培養培地の温度に関連するデータを出力するように動作可能な温度センサを備え得る。通信端81は、4ピンの軍用アナログ接続部などの電力/データ接続部を備え得る。
図4に示すように、例えば、通信端81は、センサ35がセンサ支持管61に受容される場合に、周囲空気が容器52に侵入するのを防止する気密封止を形成するように動作可能なネジ接続部82も備え得る。
【0050】
図3及び7に示すように、例えば、光源36は、プリント回路基板すなわち「PCB」83、複数のLED84及び概ね半透明のパネル85を備え得る。
図7に示すように、例えば、PCB83は、エンクロージャ30の後方壁42の内面に取り付けられ得る。複数のLED84は、PCB83の容器対向側に取り付けられて、1600万色以上の色相の光を(例えば、
図4及び11に示すような)ハウジング31に向けるように、マイクロコントローラ40及び/又はシステムコントローラ160によって動作可能なスペクトル選択可能なLED(例えば、RGB LED、すなわち「赤色、青色、緑色LED」など)の様々なクラスタ及び/又はストリップを備え得る。複数のLED84は同様に配向され、ハウジング31に赤色光を向けるように動作可能な赤色LEDの少なくとも1つのストリップを備え得る。
図7に示すように、例えば、PCB83の壁部対向側が、LED84から出力された熱の一部が壁42に向かって放射され、LED84のためのヒートシンクとして作用可能とするように後方壁42に熱的に結合され得る。
図2、3及び/又は7にも示すように、例えば、概ね半透明のパネル85(例えば、プレキシガラスパネルなど)は、後方壁42に取り付けられ、LED84の前方に位置決めされて、遮光性エンクロージャ30に対してハウジング31を移動する場合にLED84を損傷から保護し得る。
【0051】
マイクロコントローラ40は、カバー87を有するハウジング86内に収容され得る。
図8及び9に示すように、例えば、ハウジング86は遮光性エンクロージャ30の後方壁42の後方面に取り付けられるプラスチック製エンクロージャを備え得る。カバー87は、ハウジング86にボルトで固定され得る。マイクロコントローラ40は、モータ33、ポンプ34、システムコントローラ160及び/又は任意の他のシステム10の要素によって、容器52に含まれる所定容量の培養培地1中で海藻を成長させるのに最適な条件を維持するように動作可能なハードウェア及び/又はソフトウェアの任意の組合せを備え得る。
図8及び/又は9に示すように、例えば、マイクロコントローラ40は、ポンプ信号通信機78、モータドライバ79、リセッタブルヒューズ88及び/又はPCB89を備え得る。ポンプ信号通信機78及び/又はモータドライバ79のための回路は、PCB89から独立し及び/又はPCB89に一体化され得る。
【0052】
独立した生命維持システムを有する海藻システムの実施例
本開示の態様を、1つ以上の別個の容量の培養培地1中で異なる海藻バイオマスを成長させるのに最適な条件を維持するようにシステムコントローラ260によって独立して動作可能な1以上の海藻バイオリアクタを有する複数の個々の海藻バイオリアクタシステムを備える例示的な海藻システム200を参照してここに説明する。個々の海藻バイオリアクタシステム210、211、212及び213を参照して、例えば、
図14、26及び27に記載するものなど、海藻システム200の多数の構成がここに記載される。各海藻バイオリアクタシステム210、211、212及び/又は213の態様は、例えば、
図1を参照して上述した海藻バイオリアクタシステム10の態様と同様であり得るが、符号は200番台となる。システム10、200、210、211、212及び/又は213の1つを参照して説明する態様は、他のシステム10、200、210、211、212及び/又は213を参照して説明する任意の態様と互換可能であり、各反復及び配列は本開示の一部となり得る。
【0053】
海藻システム200内で、各海藻バイオリアクタシステム210、211、212及び213は、海藻バイオリアクタ内で海藻を成長させるのに最適な条件を維持するようにシステムコントローラ260によって動作可能な少なくとも1つの海藻バイオリアクタ及び少なくとも1つの生命維持システムを備え得る。例えば、
図14に示すように、各海藻バイオリアクタシステム210、211、212及び213は、そのそれぞれの生命維持システム500、501、502及び503とともに、システム200が統合ユニットとなるようにシステムコントローラ260とともに支持構造物205(例えば、剛体金属枠)に取り付けられ得る。
【0054】
図1を参照して上述した海藻バイオリアクタ20及び
図14を参照して後述する海藻バイオリアクタ220、420など、異なるタイプの海藻バイオリアクタをここに説明する。各海藻バイオリアクタシステム210、211、212及び213は、別個の容量の培養培地1を含むとともに数月又は数年といった長期間にわたって別個の容量の培養培地1中で海藻バイオマスを成長させるのに最適な条件を維持するように動作可能な少なくとも1つの海藻バイオリアクタ装置を備え得る。例示として、システム210、211、212及び/又は213における各海藻バイオリアクタ装置の態様は、例えば
図2及び3を参照して上述したような海藻バイオリアクタ装置21、例えば
図16及び17を参照して後述するような海藻バイオリアクタ装置221、並びに/又は例えば
図16及び23を参照して後述するような海藻バイオリアクタ装置421と同様であり、各反復及び配列は10、200、210、211、212及び/又は213のものとともに本開示の一部であり得る。
【0055】
1つの海藻バイオリアクタ装置221を有する海藻バイオリアクタ220の一例を、例えば、
図26の左上に示す。2つの拡張スロット297が点線で描かれ、さらに2つの海藻バイオリアクタ装置が追加され得ることを示す。
図14及び15に示すように、例えば、海藻バイオリアクタ20と同様の海藻バイオリアクタ220が、海藻バイオリアクタ装置221、海藻バイオリアクタ装置222、海藻バイオリアクタ装置223及び/又は海藻バイオリアクタ装置224を含む複数の海藻バイオリアクタ装置を備えていてもよい。本例では、バイオリアクタ装置221、222、223及び224は、海藻システム200が異なる海藻種の交雑であるのか、又は1つの海藻種の大量生産の目的のために最適化されているのかに応じて相互に類似及び/又は同一であり得る。
【0056】
図14及び15に示すように、例えば、海藻バイオリアクタ220の各海藻バイオリアクタ装置221、222、223及び224は、海藻システム200の目的及びシステム200内の海藻バイオリアクタシステム210の役割に応じて異なる態様で機能し得る。交雑のシナリオでは、例えば、バイオリアクタ装置221は第1の容量の培養培地1に第1の種の雄性配偶体などの海藻細胞の第1の培養物を含みかつそれを成長させるように最適化され得るものであり、バイオリアクタ装置222は第2の容量の培養培地1に第2の種の雄性配偶体などの海藻細胞の第2の培養物を含みかつそれを成長させるように最適化され得るものであり、バイオリアクタ装置223は第3の容量の培養培地1に第1及び/又は第2の種の雄性配偶体に適合した種の雌性配偶体などの海藻細胞の第3の培養物を含みかつそれを成長させるように最適化され得るものであり、バイオリアクタ装置224は第1又は第2の培養物の一方を受容してそれを第4の容量の培養培地1中で第3の培養物と組み合わせ、それらを接合して異なる種の胞子体(すなわち、コンブ種苗)とすることを可能とし得る。このシナリオでは、海藻バイオリアクタシステム210、211、212及び213は、システムコントローラ260並びにそれらのそれぞれの生命維持システム500、501、502及び503によって、異なる種及び/又はタイプの海藻細胞を成長させるとともにそれらの繁殖を誘導するのに最適な条件を維持するように独立して動作可能であり、新たな交雑種を効率的に産出し又は配偶体及び胞子体の周知の交雑種を産出することを可能とし得る。
【0057】
図14及び15に示すように、例えば、各海藻システム210、211、212及び213の海藻バイオリアクタも、その目的に応じて海藻システム200内で異なる役割を果たし得る。大量生産のシナリオでは、例えば、海藻システム210及び211の上位海藻バイオリアクタは海藻バイオリアクタ220と同様であり、したがって第1の容量の培養培地1中の雄性配偶体及び第2の容量の培養培地1中の雌性配偶体を成長させるように最適化され、海藻システム212及び213の下位海藻バイオリアクタは海藻バイオリアクタ420と同様であり、したがって第3の容量の培養培地1に雄性配偶体及び雌性配偶体を受容して組み合わせるように最適化され、それらを効率的に接合して同種の胞子体(すなわち、コンブ種苗)となることを可能とし得る。このシナリオでは、海藻バイオリアクタシステム210、211、212及び213は、ここでも、システムコントローラ260並びにそれらのそれぞれの生命維持システム500、501、502及び503によって、異なる種及び/又はタイプの海藻細胞を成長させるとともにそれらの繁殖を誘導するのに最適な条件を維持するように独立して動作可能であり、特定の品種の海藻の配偶体及び胞子体を効率的に産出することを可能とし得る。
【0058】
交雑又は大量生産のシナリオのいずれかにおいて、海藻システム200は、海藻バイオリアクタシステム210、211、212及び213又はそれらの要素を相互に流通して配置するための配管及び関連する接続部の任意の構成を備え得る。交雑のシナリオでは、例えば、システム200は、海藻バイオリアクタ装置221、222及び223を海藻バイオリアクタ装置224と流通して配置するための配管及び接続部を備え得る。大量生産のシナリオでは、例えば、システム200は、上位システムが(例えば、後述の拡散ノズル300を介して)下位システムに重力供給され得るように、上位のシステム210、211を下位のシステム212、213と流通して配置するための配管及び接続部を備え得る。
【0059】
海藻システム200は、装置221、421などのような任意数の海藻バイオリアクタ装置を備えるバイオリアクタ220、420などのような任意数又は任意タイプの海藻バイオリアクタを含む任意数及び/又は任意タイプの海藻バイオリアクタシステム210、211、212、213などを備え得る。システム200の一例を、例えば、
図26に示す。ここに記載されるいずれかの例を踏まえると、海藻バイオリアクタシステム210は海藻バイオリアクタ装置221からなり、各海藻バイオリアクタシステム211、212及び213は海藻バイオリアクタ装置221又は421のような3個の海藻バイオリアクタ装置を備え、システムコントローラ260は温度AC配電ボックス298並びに生命維持システム500、501、502及び503によってシステム210、211、212及び213を制御するように動作可能であり得る。例えば、システム200の他の例を
図27に示す。上位海藻バイオリアクタシステム210、211は第1の温度AC配電ボックス298、生命維持システム500、501及びシステムコントローラ260によって(例えば、無線接続を介して)動作可能であり、下位海藻バイオリアクタシステム212、213は第2の温度AC配電ボックス299、生命維持システム500、501及びシステムコントローラ260によって(例えば、無線接続を介して)動作可能である。
【0060】
図26及び27に示すように、CO
2及び/又は空気供給手段240は、単一のタンクとして図示されているが、ここに記載される任意の態様の供給手段140、240及び/又は340を備え得る。
【0061】
上記のように、各個々の海藻システム210、211、212及び213はそれ自体の生命維持システム500、501、502及び503を備え、その各々が最適な成長条件を維持するようにシステムコントローラ260によって独立して動作可能であり得る。各生命維持システム500、501、502及び503は、ある状況では、システムコントローラ260からほとんど又は全くサポートされずに動作可能な自己完結型の独立動作可能な制御モジュールを備え得る。システム500、501、502及び503の例示的な態様を、ここではシステム500を参照して説明する。
図15に示すように、例えば、システム500は、CO
2及び/又は空気供給手段510、AC配電システム511、制御ボックス512、DC電源513、データ送受信機514並びに複数のケーブル、管及び/又はそれらの間に延在する配線を備え得る。
【0062】
CO
2及び/又は空気供給手段510の態様は、ここに記載されるCO
2及び/若しくは空気供給手段240又はそれらのいずれかの対応物の態様と同様であり得る。
図15に示すように、例えば、CO
2及び/又は空気供給手段510は、CO
2及び/又は空気を各バイオリアクタ装置221、222、223及び224にそれらの間に延在する配管システム516を通じて分配するように1以上のCO
2タンク515によって動作可能なCO
2ソレノイド及び空気ポンプを備え得る。AC配電システム511は、グリッドからAC電力を受けて、制御ボックス512から出力された制御信号に応じて、AC電力をCO
2及び/又は空気供給手段510のCO
2ソレノイド及び空気ポンプに向け、配管システム516を通じて各バイオリアクタ装置221、222、223及び224に送出されるCO
2及び/又は空気の量を独立して調整することを可能とするように動作可能な回路を備え得る。
図26及び27に示すように、例えば、AC配電システム511は、AC配電ボックス298、299を備えていてもよい。DC電源513は、AC配電システム511の回路からAC電力を受けてそれを制御ボックス512による使用のためのDC電力に変換するように動作可能な整流器を備え得る。
【0063】
図15に示すように、例えば、制御ボックス512は、システムコントローラ260からデータ送受信機514を介してデータ及び/又は制御信号を受信し、各バイオリアクタ装置221、222、223及び224のセンサ(例えば、pH又は温度センサ)からそれらの間に延在するデータ送受信機517を通じてデータを受信し、受信した制御信号及び/又はデータに応じて、CO
2及び/若しくは空気供給手段510並びに/又は任意のバイオリアクタ装置221、222、223及び224の動作要素の一方又は両方に制御信号を出力するように、DC電源513からのDC電力によって動作可能なハードウェア及び/又はソフトウェアを備え得る。データ送受信機514及びデータ送受信機517は、有線データ接続として図示されているが、BlueTooth、WiFiなどで構成された無線データ接続であってもよい。
【0064】
したがって、ここに記載されかつ
図14及び15に図示されるように、例えば、制御ボックス512は、システムコントローラ260からシステムレベル制御信号(例えば、維持又は停止)を受信し、バイオリアクタ装置221、222、223及び224から(例えば、オンボードセンサから)フィードバックデータを受信し、制御信号に照らして各装置221、222、223及び224についてフィードバックデータを同時に解析し、それらのそれぞれのフィードバックデータのその解析に基づいてCO
2及び/若しくは空気供給手段510並びに/又は各装置221、222、223及び224の動作要素の一方又は両方について個別化された制御信号を生成し、かつ/又は個別化された制御信号をCO
2及び/若しくは空気供給手段510並びに/又は装置221、222、223及び224の動作要素に出力するように動作可能であり得る。
【0065】
上述した海藻システム10のシステムコントローラ160と同様に、海藻システム200のシステムコントローラ260は、海藻バイオリアクタシステム210のバイオリアクタ220並びに各対応の海藻バイオリアクタシステム211、212及び213の各対応のバイオリアクタ(例えば、バイオリアクタ420など)において海藻を成長させるのに最適な条件を維持するように動作可能なハードウェア及び/又はソフトウェアを備え得る。
図14に示すように、例えば、システムコントローラ260は、1以上の処理要素、データ送受信機及び同様の構成要素とともに動作可能なハウジング261及び表示要素262を備え得る。
【0066】
図14に示すように、例えば、ハウジング261は、剛体材料からなる自立構造物を備え得る。剛体材料は、支持構造物205上にシステムコントローラ260の要素を支持及び/又は収容するとともにそれらの要素のヒートシンクとして作用するように動作可能な金属材料(例えば、ダイヤモンドプレート)を備え得る。処理要素263は、ハウジング261内に位置し、システム200の他の要素からデータを受信してシステム200の他の要素に制御信号を送信するように動作可能なデータ処理要素を備え得る。例えば、処理要素263は、データを受信及び処理しかつ/又はここに記載される制御信号を生成及び出力するように(例えば、メモリに記憶された)ソフトウェアによって動作可能なプロセッサ、メモリ及び/又は送受信機の1以上を備え得る。
【0067】
表示要素262は、グラフィカルユーザインターフェースをユーザに提示し、そのユーザからのタッチベースの入力を受信するように処理要素263によって動作可能なタッチスクリーンディスプレイを備え得る。
図14に示すように、例えば、処理要素263は、動作命令を(例えば、人間及び/又はコンピュータのオペレータから)受信し、フィードバックデータを生命維持システム500、501、502及び/若しくは503から受信し、命令及び/若しくはフィードバックデータをローカル(例えば、オンボードチップ)及び/若しくはリモート処理要素(例えば、インターネットを介してアクセス可能なAI搭載システムなど)の任意の組合せによって解析し、それらのそれぞれの命令及びフィードバックデータのその解析に基づいて各生命維持システム500、501、502及び/若しくは503について個別化された制御信号を生成し、かつ/又は個別化された制御信号をシステム500、501、502及び/若しくは503に出力するように動作可能なデータ接続を確立及び維持するための通信バス又は他の任意の有線及び/若しくは無線データ通信ハードウェアを備え得る。
【0068】
システムコントローラ260の全部又は一部は、
図14では生命維持システム500、501、502及び503の付近にあるものとして図示されているが、例えば、海藻システム200から遠隔に位置してもよい。例えば、生命維持システム500、501、502及び503の各制御ボックス512は、ローカルにデータを処理し及び/又は制御信号を生成するように動作可能なマイクロコントローラ(例えば、マイクロコントローラ40など)を備えていてもよく、システムコントローラ260の全部又は一部はクラウドにあってもよく、インターネットを介してデータを受信し及び/又は制御信号を出力するように動作可能であってもよいことを意味する。本例を踏まえて、クラウドベースのバージョンのシステムコントローラ260(例えば、システムコントローラ160など)が、任意数の生命維持システム500、501、502、503などを監視及び制御し得る。
図27に示すように、例えば、システムコントローラ260のクラウドベースの実施形態は、生命維持システム500、501、502及び503によって同様に動作可能であり得る。
【0069】
配偶体のための海藻バイオリアクタ装置の実施例
本開示の態様を、所定容量の培養培地1中で配偶体を成長させるのに最適な条件を維持するように動作可能な例示的な海藻バイオリアクタ装置を参照してここに説明する。一部の態様を、例えば、
図14に示す海藻システム210の海藻バイオリアクタ装置221を参照して説明するが、代替的にシステム210の任意のバイオリアクタ装置222、223若しくは224及び/又は海藻システム211、212若しくは213の任意の対応するバイオリアクタ装置を参照して説明することもできる。海藻バイオリアクタ装置221の多数の潜在的な構成がここに記載され、各々は、下記の相違点を除いて、ここに記載される他の海藻バイオリアクタ装置のものと同様であり得る態様を有する。
【0070】
海藻バイオリアクタ装置221は、所定容量の培養培地1中に海藻細胞の培養物を含んで成長させるように、生命維持システム500及びシステムコントローラ260によって動作可能であり得る。バイオリアクタ装置221の態様は、所定容量の培養培地1中で配偶体を成長させるのに最適な条件を維持するように最適化され得る。
図14、15、16、17及び/又は18に示すように、例えば、海藻バイオリアクタ装置221は、エンクロージャ230、ハウジング231、取付けアセンブリ232、モータ233、温度制御ユニット234、培養培地センサ235、光源236、ベントフィルタ337、ポート238、ポート239及びバルブ300を備え得る。
【0071】
図14及び16に示すように、例えば、エンクロージャ230は、ハウジング231を周囲光から遮蔽する剛体材料から構成され得るものであり、それにより、ハウジング231に封入された所定容量の培養培地1に含まれる任意の海藻細胞に適用される光スペクトルを慎重に制御することが可能となる。剛体材料は、木材及び/又は木材のような高分子材料を備え得る。
図16及び18に示すように、例えば、エンクロージャ230は、外壁244、アクセスドア245、光フィルタリングウインドウ246及びフロー制御メータ364を備え得る。
【0072】
エンクロージャ230も、エンクロージャ30と同様に、遮光性であり得る。ただし、(例えば、エンクロージャ30と同様の)エンクロージャ230は、光フィルタリングウインドウ246を含み得るため光制御型としても記載され得るものであり、それが遮光性であり又は周囲光のフィルタ処理された部分をエンクロージャ230に選択的に投入するように動作可能であり得ることを意味する。
図16に示すように、例えば、エンクロージャ230の外壁244は、それらの端部において取り付けられて矩形を画定する6枚の壁を備え得る。前方壁(外壁)244は、アクセス開口部及びそれに(例えば、ヒンジによって)取外し可能に取り付けられたアクセスドア245を備えていてもよく、それにより、前方壁244を通じてエンクロージャ230の内部にアクセスするのが容易となる。光フィルタリングウインドウ246は、アクセスドア245を通じて延在する開口部にわたり、そこに取り付けられ得る。
図16に示すように、例えば、エンクロージャ230は、常時開放され又は(例えば、カバーを除去し又はシェードを開放することによって)選択的に開放されて特定の波長の光をエンクロージャ230内に含まれる海藻に導入し得る光フィルタリングウインドウ246を除いて(例えば、上記エンクロージャ30と同様の)遮光性エンクロージャであってもよい。本実施例では、光フィルタリングウインドウ246は、例えば、青色光に曝露することによって海藻培養物を「有性化する」ことなくエンクロージャ230内部の視認を可能とするように動作可能な青色光フィルタリング要素を備え得る。有性化するとは、海藻バイオマスが青色光(又は他の色相)に応じて卵子及び配偶子を形成することを誘発することを意味する。
【0073】
汚染を回避するため、海藻バイオリアクタ装置221は、アクセスドア245を開放することなく長期間(例えば、数週間又は数月)にわたって動作し得る。光フィルタリングウインドウ246は、エンクロージャ230内部を視認し、常時又は選択的にその期間中に海藻培養物を特定の光に曝露することを可能とし得る。フロー制御メータ364は、エンクロージャ230外部の温度に関連する温度データをその期間中に規則的な間隔で生命維持システム500に出力し得る。
【0074】
図17に示すように、例えば、ハウジング231は、所定容量の培養培地1を含むようにサイズ取りされた容器252を画定する壁251を備え得る。
図18に示すように、例えば、容器252は、フランジ253を有する開放上部及びフランジ254を有する開放下部を有する筒形状を備え得る。上述したハウジング31とは異なり、ハウジング231はサーマルジャケットを含まず、その代わりに温度制御ユニット234によってその重量及びシステム200における流体接続数を減少させ得る。ハウジング231は、軽量であるため、フランジ253の下面によってエンクロージャ230の内面から吊設され得る。
【0075】
図17において右側及び
図18に示すように、例えば、取付けアセンブリ232は、取付けプレート260、センサ支持管261、軸受シャフト262、モータマウント263、駆動シャフト266及びブレード267を備え得る。ここに記載する他の取付けアセンブリと同様に、取付けアセンブリ232もオートクレーブ可能であり得る。
【0076】
図17に示すように、例えば、取付けプレート260は、容器252を封止して周囲空気が容器252に侵入するのを防止するように動作可能なリムシール270によってフランジ253に取外し可能に取り付けられ得る。センサ支持管261は、容器252の開放下部に向けて取付けプレート260に取り付けられてそれを通じて延在する中空管を備え得る。軸受シャフト262は、取付けプレート260に取り付けられてそこから上向きに延在する中空管を備え得る。モータマウント263は、軸受シャフト262の上部に固定的に取り付けられ、そこを通じて延在する開口部を備え得る。軸受シャフトの下部は、取付けプレート260を通じて延在し得る。
【0077】
モータ233は、生命維持システム500の制御ボックス512から出力される制御信号によって動作可能な任意のタイプの電動モータを備え得る。
図17の右側に示すように、例えば、モータ233は、モータマウント263の上部に取り付けられて、周囲空気が容器252に侵入するのを防止する気密封止を形成し得る。モータ233の出力シャフトは、モータマウント263の開口部及び軸受シャフト262の中空管を通じて容器252内に向けられてもよい。上記を踏まえて、駆動シャフト266の一端は周囲空気が容器252に侵入するのをさらに防止するように動作可能な回転軸受を有するモータ233の出力シャフト(例えば、駆動シャフトカプラ65など)に取り付けられ、駆動シャフト266の他端はブレード267に取り付けられ得る。ブレード267自体は、ここに記載されるいずれかのブレード67、67-1、67-2、67-3、67-4、67-5、67-6又は67-7と同様であり得る。
【0078】
温度制御ユニット234は、生命維持システム500の制御ボックス512から出力される制御信号によって動作可能な任意の冷却デバイスを備え得る。
図18に示すように、例えば、温度制御ユニット234は、ハウジング231の壁251に取り付けられた温度センサ255、エンクロージャ230に取り付けられたフロー制御メータ364、(例えば、
図15に示すような)生命維持システム500の制御ボックス512からの制御信号及び/又はシステムコントローラ260からの制御信号に応じて、ファン及びペルチェ冷却器を利用して容器252を冷却する半導体空調デバイスを備え得る。温度制御ユニット234の取付け面は、エンクロージャ230の1つの壁266に取り付けられ、温度制御ユニット234の冷却部分は、それらをハウジング231に近づけて位置決めするようにエンクロージャ230の開口部を通じて延在するペルチェ冷却器及びファンを備え得る。例示として、温度制御ユニット234は、Advanced Cooling Technologies又は他のいずれかの競合他社によって販売されるものと同様のACT-TEC Thermoelectric Air Conditionerを備え得る。
【0079】
図18に示すように、例えば、培養培地センサ235は、容器252内の所定容量の培養培地1の1以上の特徴に関連するデータを(例えば、
図15に示すような)生命維持システム500に出力し得る。培養培地センサ235の態様は、上述した培養培地センサ35の態様と同様であり得る。
図18に示すように、例えば、培養培地センサ235は、周囲空気が容器252に侵入するのを防止するとともに容器252内でセンサ235の検知端280を位置決めするようにセンサ支持管261内に取り付けられ得る。上記のように、検知端280は、4ピン軍用アナログ接続部などの電力/データ接続部を用いて培養培地1のpHレベルに関連するデータを出力するように動作可能なpHセンサを備え得る。
【0080】
光源236は、(例えば、
図15に示すような)生命維持システム500の制御ボックス512から出力される制御信号によって動作可能な任意の照明デバイスを備え得る。光源236の態様は、上述した光源36の態様と同様であり得る。
図18に示すように、例えば、光源236は、エンクロージャ230の内面に同様に取り付けられ、様々なLEDのクラスタ及び/又はストリップを備え得るものであり、それらは、半透明ハウジング231に向けられ、青色相、赤色相及び海藻を成長させるのに適した他の任意の色相など、様々な色相の光をハウジング231に向けるように生命維持システム500によって動作可能である。
【0081】
ポート238は、容器252内の所定容量の培養培地1から廃液を除去するとともに追加容量の培養培地1を容器252に追加するように動作可能な導管及び/又は配管を備え得る。
図18に示すように、例えば、ポート238の一端は取付けプレート260を通じて容器252の内部に延在する送出管を備え、ポート238の他端は上清出口349と流通する管332に取り付けられた第1の分岐及び培養培地供給手段350と流通する管333に取り付けられた第2の分岐を有するY字コネクタを備え得る。上清出口349は、所定容量の培養培地1から所定量の上清を手動で除去するように動作可能なシリンジポート及び/又は生命維持システム500に応じて所定量の上清を除去するように動作可能なポンプを備え得る。
図18に示すように、例えば、管332は、上清が容器252に逆流するのを防止するように動作可能な逆止バルブ336を備え得る。
【0082】
培養培地供給手段350の態様は、上述の培養培地供給手段150の態様と同様であり得る。例えば、培養培地供給手段350は、生命維持システム500からの制御信号に応じて追加容量の培養培地1を追加するように動作可能なポンプ又はソレノイドを備え得る。
図18に示すように、例えば、ライン(管)333は、機械式水フィルタなど、汚染物質が容器252に侵入するのを防止するように動作可能な培地フィルタ335及び/又はそれが容器252に侵入する前に追加の培養培地1を滅菌するように生命維持システム500からの制御信号によって動作可能なインラインUV-C LED滅菌器を備え得る。
【0083】
ポート239は、培養培地1上のヘッドスペースを過剰に加圧することになる過剰量のCO
2及び/又は空気などの排気ガスを容器252から除去するように動作可能な導管及び/又は配管を備え得る。
図18に示すように、ポート239の下端はヘッドスペース内に延在し、ポート239の上端は通気排気部348と流通して管331に取り付けられ、過剰量のCO
2及び/又は空気をヘッドスペースから除去するための通路を提供し得る。ベントフィルタ337は、記載した動作方法のいずれかによってそこに真空が形成される場合に、フィルタ処理されていない周囲空気が容器252に侵入するのを防止し得る。
図18に示すように、例えば、ベントフィルタ337は、周囲空気が容器252に侵入するのを防止するようにポート239の上端に取り付けられ得る。
【0084】
図17に示すように、例えば、バルブ300は、容器252の開放下部を封止し、CO
2及び/又は空気を容器252内の培養培地1内に拡散させ、容器252から培養培地1を除去し得る。
図22に示すように、例えば、バルブ300はまた、汚染物質が容器252に侵入するのを防止する洗浄モードで動作可能となり得る。少なくともこれらの理由のため、バルブ300又はポート38はCO
2及び/又は空気を培養培地1内に拡散させるのに効果的に使用され得るが、海藻バイオリアクタ装置221のバルブ300はバイオリアクタ装置21のポート38を超える特定の有利な効果を有し得る。
図20、21及び/又は22に示すように、例えば、バルブ300は、バルブ本体301、リムシール302、除去ポート303、洗浄ポート304、送出ポート305及び制御ホイール306を備え得る。
【0085】
図20及び21に示すように、例えば、バルブ本体301は、フランジ307及び排水チャンバ308とともに上部を画定するように形成された(例えば、金属から3D印刷又は加工された)概ね筒状の剛体構造物を備え得る。フランジ307は、容器252及び排水チャンバ308の開放下部を封止するように、リムシール302によって半透明ハウジング231のフランジ254に取り付けられ得る。(例えば、リムシール270と同様の)リムシール302は、型締圧力をフランジ254、307に付与することによって漏出を防止するように動作可能なネジ式アクチュエータ309を備え得る。除去ポート303は、バルブ本体301の第1のチャネル内に螺合され、排水チャンバ308につながる除去ポートチャネル310を画定する内面を有し得る。洗浄ポート304は、バルブ本体301の第2のチャネル内に螺合され、排水チャンバ308につながる洗浄ポートチャネル311を画定する内面を有し得る。
【0086】
図21に示すように、例えば、送出ポート305は、バルブ本体301の第3のチャネル内部に摺動可能に取り付けられ、排水チャンバ308につながる送出ポートチャネル312を画定する内面を有し得る。送出ポート305及び送出ポートチャネル312の下部は、CO
2及び/又は空気を(例えば、後述するCO
2及び/又は空気供給手段340から)受容し、それを排水チャンバ308に向けることになる。送出ポート305の上部は受容したCO
2及び/又は空気を排水チャンバ308内に拡散させてそれを培養培地1を通じて気泡化させることを可能とするように動作可能なノズル314を備え得る。
【0087】
図21に示すように、例えば、制御ホイール306は、バルブ本体301に回転可能に取り付けられ、それを通じて延在する中心開口部を備え得る。送出ポート305は、バルブ本体301の第3のチャネル及び制御ホイール306の中心開口部を通じて可動であり得る。送出ポート305は、制御ホイール306の対応する雌ネジに係合可能な雄ネジを備えていてもよく、それにより、制御ホイール306を第1の方向(例えば、時計回り)に回転させると送出ポート305は排水チャンバ308に向かって移動し、ホイール306を第2の方向(例えば、反時計回り)に回転させると送出ポート305はチャンバ308から遠ざかる。
図21に示すように、例えば、送出ポート305は、ポート305の外面がポート303及び304の前方に位置決めされてそれらをチャンバ308から封止するまで制御ホイール306が第1の方向に回転されると、除去ポート303及び洗浄ポート304を閉じることになる。逆に、
図22に示すように、例えば、送出ポート305は、ポート305の外面がポート303及び304から離れて位置決めされてチャンバ308との流通を確立するまで制御ホイール306が第2の方向に回転されると、除去ポート303及び洗浄ポート304を開放することになる。ノズル314が送出ポート305の上面にあるため、ノズル314のフローはポート303及び304の開放及び/又は閉塞によっては影響を受けない。
【0088】
CO
2及び/又は空気供給手段340は、生命維持システム500の制御ボックス512から出力される制御信号によって動作可能な電気機械的デバイスを備え得る。CO
2及び/又は空気供給手段340の例示的な態様を、例えば、4個の独立動作可能なバイオリアクタ装置221、222、223及び224を含むものとして
図14に示す、海藻システム210の海藻バイオリアクタ220での使用に最適化された電気機械的デバイスの構成を参照してここに説明する。記載される態様は拡縮可能であり、一部の態様は海藻システム211、212、213などにおいて対応する海藻バイオリアクタでの使用のために反復され得ることを意味する。
図18に示すように、例えば、CO
2及び/又は空気供給手段340は、管361、入口フィルタ362、アダプタ363、フロー制御メータ364、エアポンプ365、フロースロットル367、CO
2ソレノイドバンク368、CO
2スプリッタ369及びCO
2タンク370を備え得る。
【0089】
図18に示すように、例えば、管361は、送出ポート305から、エアポンプ365につながる第1の分岐及びCO
2タンク370につながる第2の分岐を有するY字コネクタに向かって延在し得る。入口フィルタ362、アダプタ363及びフロー制御メータ364の各々は、Y字コネクタの前段の位置にある管361とインラインとなり得る。入口フィルタ362は、CO
2及び/又は空気から汚染物質を、それが送出ポート305に侵入して培養培地1内に拡散されないように除去し得る。アダプタ363は、エンクロージャ230の開口部を通じて延在してそれに取り付けられ、周囲空気を投入することなく管361をエンクロージャ230内に通すことを可能とし得る。フロー制御メータ364は、エンクロージャ230の内面に取り付けられ、管361を通じて容器252に向かって生命維持システム500まで流れるCO
2及び/又は空気の体積流量に関連するデータを出力するように動作可能であり得る。
【0090】
エアポンプ365は、生命維持システム500の制御ボックス512から出力される制御信号によって動作可能な1以上の電動エアポンプを備え得る。
図18に示すように、例えば、制御信号に応じて動作可能な複数のエアポンプ並びに海藻バイオリアクタ220の海藻バイオリアクタ装置221、222、223及び224の個々の出力を含む配電盤を備え得る。Y字コネクタの後段の管361の第1の分岐は、制御信号によって作動されていない場合にCO
2がエアポンプ365から漏出するのを防止するように動作可能な逆止バルブを備え得る。Y字コネクタの後段の管361の第2の分岐は、スロットル367、CO
2ソレノイドバンク368、CO
2スプリッタ369及びCO
2タンク370を備え得る。CO
2スプリッタ369は、海藻バイオリアクタ装置221、222、223及び224に対する個々の出力を含み得る。CO
2ソレノイドバンク368は、CO
2タンク370からのCO
2の1以上のフローを個々の出力に向けるように生命維持システム500からの制御信号によって動作可能であり得る。フロースロットル367は、1以上の出力から流れる空気に対するCO
2の割合に影響を与え得る。
【0091】
上述したように、海藻バイオリアクタシステム210は、シリンジを用いて手動で又はポンプを用いて自動的に除去するなどして、負圧を利用して所定容量の培養培地1から上清及び/又は廃液を除去し得る。より一層バイオセキュアな態様で上清及び/又は廃液を容器252から除去するように動作可能な代わりの配管構成によるシステム210の変形実施形態として、例えば、代替の海藻バイオリアクタシステム210
*を
図19に示す。システム210とは異なり、例えば、海藻バイオリアクタシステム210
*は、シリンジを用いる場合にあり得るように、容器252を開放することなく及び/又はそれ以外に培養培地1を周囲空気若しくは他の汚染物質に曝露することなく上清及び/又は廃液を除去するのに正圧を利用し得る。
【0092】
図19に示すように、例えば、ポート239は、通気排気部348につながる第1の分岐633及び三方バルブ699の(例えば、左側を向く)第1のポートにつながる第2の分岐634を有するY字コネクタを備える管631に取り付けられ得る。管631は、通気及びブランケットエアフィルタなどのインラインフィルタ637を備え得る。第1の分岐633は、通気排気部348に出入りするフローを停止させるように動作可能なバルブ638を備え得る。
図19に示すように、例えば、ポート238は、培養培地供給手段350につながる第1の分岐635及び上清出口349につながる第2の分岐636を有するY字コネクタを備える管632に取り付けられ得る。第1の分岐635は、培養培地供給手段350に出入りするフローを停止させるように動作可能なバルブ639を備え得る。第2の分岐636は、バックアップする必要がある場合に、上清出口349から容器252内に戻る上清及び/又は廃液のフローを防止するように動作可能な逆止バルブ640を備え得る。
図19に示すように、例えば、上清出口349は、培養培地1から除去された所定量の上清及び/又は廃液を受容する水盤又はドレインを備え得る。
【0093】
図19に示すように、例えば、CO
2及び/又は空気供給手段340、管361、入口フィルタ362、アダプタ363、フロー制御メータ364、エアポンプ365、フロースロットル367、CO
2ソレノイドバンク368、CO
2スプリッタ369及びCO
2タンク370の各々は、
図24を参照して上述したのと同様であり得る。ただし、海藻システム200
*では、管361は三方バルブ699の(例えば、下側を向く)第2のポートにつながり、供給手段340から出力されるCO
2及び/又は空気は三方バルブ699の(例えば、右側を向く)第3のポートに出力され得る。
【0094】
この配管構成によって、海藻バイオリアクタシステム210*は、結果として供給手段340から出力されるCO2及び/又は空気を培養培地1上のヘッドスペース内に方向転換するように動作可能となり得る。この方向転換は、CO2及び/又は空気のフローが容器252のヘッドスペースに侵入して正圧を生成するように、供給手段340にCO2及び/又は空気のフローを出力させ、三方バルブ699の第1のポートを開放し、ピンチバルブ638を閉じることによって行われる。より大きな及び/又は速い加圧が必要な場合には、供給手段340から出力されるCO2及び/又は空気の全てが利用されることを確保するように三方バルブ699の第2のポートが閉じられてもよい。
【0095】
正圧が得られると、海藻バイオリアクタシステム210
*は、その後に、容器252を開放することなく及び/又はそれ以外に培養培地1を周囲空気に曝露することなく上清及び/又は廃液を培養培地1から除去するように動作可能となり得る。
図19に示すように、例えば、ヘッドスペースを正圧に加圧した後にバルブ639を閉じるとともにバルブ641を開放することで、上清及び/又は廃液のフローを、管632の第2の分岐636を通じて上清出口349内に流出させて廃棄することになる。ポート238は、上清及び/又は廃液のほとんどが存在するハウジング231の上側又は中央部分に向かってのみ延在していればよく、これはそれらの除去に必要となる正圧の量を低減し得る。
図19に示すように、例えば、ライン(管)632のY字コネクタは、システム210
*が上清及び/又は廃液を容器252から除去していない場合に供給手段150からの追加容量の培養培地1が出口349に流入するのを防止するように傾斜され得る。
【0096】
図19に示すように、例えば、海藻バイオリアクタシステム210
*における各バルブは、システム210
*が所定のスケジュールに基づいて、及び/又は培養培地センサ235若しくは他のセンサによって出力されるもの(例えば、pHレベル)など、培養培地1に関連するデータに応じて、上清及び/又は廃液除去モードに切り換えられ得るように、生命維持システム500からの制御信号によって電子的に作動され得る。もちろん、海藻バイオリアクタシステム210
*における任意のバルブが手動で操作されてもよい。例えば、バルブ638、639及び641の各々は、ピンチバルブからなり得る。
【0097】
胞子体のための海藻バイオリアクタ装置の実施例
本開示の態様を、所定容量の培養培地1中で胞子体を成長させるのに最適な条件を維持するように動作可能な例示的な海藻バイオリアクタ装置を参照してここに説明する。一部の態様を、例えば、
図14に示す海藻システム212の海藻バイオリアクタ装置421を参照して説明するが、代替的にシステム212の任意のバイオリアクタ装置422、423若しくは424及び/又は海藻システム210、211若しくは213の任意の対応するバイオリアクタ装置を参照して説明することもできる。海藻バイオリアクタ装置421の多数の潜在的な構成がここに記載され、各々は、下記の相違点を除いて、ここに記載される他の海藻バイオリアクタ装置のものと同様であり得る態様を有する。
【0098】
海藻バイオリアクタ装置421は、所定容量の培養培地1中に海藻細胞の培養物を含んで成長させるように、生命維持システム502及びシステムコントローラ260によって動作可能であり得る。バイオリアクタ装置421の態様は、培養培地1中で胞子体を成長させるのに最適な条件を維持するように最適化され得る。
図23、24及び/又は25に示すように、例えば、海藻バイオリアクタ装置421は、エンクロージャ430、ハウジング431、取付けアセンブリ432、温度制御ユニット434、培養培地センサ435、光源436、ポート438、ポート439及びストロー490を備え得る。
【0099】
エンクロージャ430の態様は、上述したエンクロージャ230のそれらの対応する態様と同様であるが、外壁444、アクセスドア445、光フィルタリングウインドウ446及び周囲温度センサ447など、400番台の符号が付されている。本実施例では、光フィルタリングウインドウ446は、青色光をエンクロージャ430に投入することによって海藻培養物を「有性化」するように動作可能な光フィルタリング要素を備え得る。上記を踏まえて、エンクロージャ430は、ここに与えられる実施例に従って遮光又は光制御型としても記載され得る。
【0100】
汚染を回避するため、海藻バイオリアクタ装置421は、装置221と同様に、アクセスドア445を開放することなく長期間(例えば、数週間又は数月)にわたって動作し得る。光フィルタリングウインドウ446は、エンクロージャ430内部を視認し、選択的にその期間中に海藻培養物に影響を与えることを可能とし得る。周囲温度センサ447は、エンクロージャ430外部の温度に関連する温度データをその期間中に規則的な間隔で生命維持システム502に出力し得る。
【0101】
図23に示すように、例えば、ハウジング431は、所定容量の培養培地1を含むようにサイズ取りされた容器452を画定する壁451を備え得る。
図24に示すように、例えば、容器452は、フランジ453を有する開放上部及び閉塞下部454を有する筒形状を備え得る。上述したハウジング31とは異なり、ハウジング431も、ハウジング231と同様に、サーマルジャケットを含まなくてもよく、代わりに温度制御ユニット434を用いる。ハウジング431は、フランジ453の下面によってエンクロージャ430の内面から吊設され得る。上記を踏まえて、容器452も、透光性容器として記載され得る。
【0102】
モータ233、ブレード267及び関連する要素を省略することによって、取付けアセンブリ432は、取付けアセンブリ232よりも比較的簡素となり得る。
図24において右側に示すように、例えば、取付けアセンブリ432は、取付けプレート460、センサ支持管461及び支持ラック462を備え得る。取付けアセンブリ432も、ここに記載される他の取付けアセンブリと同様に、オートクレーブ可能であり得る。
【0103】
図23に示すように、例えば、取付けプレート460は、容器452を封止して周囲空気が容器452に侵入するのを防止するように動作可能なネジ接続部によってフランジ453に取外し可能に取り付けられ得る。センサ支持管461は、取付けプレート460に取り付けられてそれを通じて容器452の閉塞下部に向かって延在する中空管を備え得る。支持構造物(支持ラック)462は、取付けプレート460に取り付けられるとともにそこから上向きに延在してポート438、ポート439及びストロー490のための鉛直支持を与える剛体管及びプレートを備えていてもよい。
【0104】
例えば、
図24に示す温度制御ユニット434、温度センサ435、培養培地センサ435、光源436、ポート438及びポート439の態様は、システム412の要素がシステム410の生命維持システム500ではなく生命維持システム502に対してデータを出力し及び/又はそこからの制御信号に応じ得ることを除いて、例えば、上述しかつ
図18に示す温度制御ユニット234、温度センサ235、培養培地センサ235、光源236、ポート238及びポート239の態様と同一であり得る。
【0105】
図24に示すように、例えば、ポート438の一端は、取付けプレート460を通じて容器452の内側部分に延在する送出管を備え、ポート438の他端は、廃液引抜き部449と流通する管432に取り付けられた第1の分岐及び培養培地供給手段450と流通する管433に取り付けられた第2の分岐を有するY字コネクタを備え得る。廃液引抜き部449は、ドレイン又は他の廃棄処分の形態につながることになる。上清出口349と同様に、廃液引抜き部449も、所定容量の培養培地1から所定量の上清を手動で除去するように動作可能なシリンジポート及び/又は生命維持システム502に応じて所定量の廃液を除去するように動作可能なポンプを備え得る。
図24に示すように、例えば、管432も、上清が容器452に逆流するのを防止するように動作可能な逆止バルブ436を備え得る。
【0106】
培養培地供給手段450の態様は、ライン(管)433及び培地フィルタ435など、上述した培養培地供給手段350の対応する態様と同一であり得る。通気排気部448及びベントフィルタ437などのポート439の態様も、上述したポート439の対応する態様と同一であり得る。海藻バイオリアクタ装置421から拡散バルブ300が省略されるため(例えば、
図24)、ストロー490は、CO
2及び/又は空気を、海藻バイオリアクタ装置21(例えば、
図4)のポート38と同様に容器452の下部に送出するのに利用され得る。
図24に示すように、例えば、ストロー490の下端は容器452の下部内に延在し、ストロー490の上端はCO
2及び/又は空気供給手段440と流通する管491に取り付けられ得る。入口フィルタ492及びフロー制御メータ493は、CO
2及び/又は空気供給手段440の前段の位置において管491とインラインとなり得る。入口フィルタ492はCO
2及び/又は空気からの汚染物質をストロー490に侵入しないように除去し得る。フロー制御メータ493は、エンクロージャ430に取り付けられ、管491を通じて流れるCO
2及び/又は空気の体積流量に関連するデータを生命維持システム502に出力するように動作可能であり得る。
【0107】
図24に示すように、例えば、海藻バイオリアクタシステム212のCO
2及び/又は空気供給手段440の態様は、海藻バイオリアクタシステム210のCO
2及び/又は空気供給手段240の対応する態様と同一であり得るが、生命維持システム502の(例えば、制御ボックス512と同様の)対応する制御ボックスから出力される制御信号によって動作可能な電気機械的デバイスを有し得る。これらの態様は拡縮可能であるため、CO
2及び/又は空気供給手段240、440は、同じCO
2及び/又は空気供給システムの一部であってもよく、したがって、CO
2及び/又は空気供給を海藻システム210、211、212及び213の任意の海藻バイオリアクタ装置に送出するように最適化され得る。
【0108】
上述したように、海藻バイオリアクタシステム212は、所定容量の培養培地1中で成長する胞子体を、シリンジを用いて手動で又はポンプを用いて自動的にそれらを除去するなどして、サンプリング又は採取するのに負圧を利用し得る。より一層バイオセキュアな態様で胞子体を容器452からサンプリング又は採取するように動作可能な代わりの配管構成によるシステム212の変形実施形態として、例えば、代替の海藻バイオリアクタシステム212
*を
図25に示す。システム212とは異なり、例えば、海藻バイオリアクタシステム212
*は、シリンジを用いる場合にあり得るように、容器452を開放することなく及び/又はそれ以外に培養培地1を周囲空気若しくは他の汚染物質に曝露することなく、胞子体をサンプリング又は採取するのに正圧を利用し得る。
【0109】
図25に示すように、例えば、ポート439は、通気排気部448につながる第1の分岐734及び三方バルブ799の(例えば、左側を向く)第1のポートにつながる第2の分岐732を有するY字コネクタを備える管731に取り付けられ得る。管731は、通気及びブランケットエアフィルタなどのインラインフィルタ737を備え得る。第1の分岐734は、通気排気部448に出入りするフローを停止させるように動作可能なバルブ738を備え得る。
図25に示すように、例えば、ポート438は、培養培地供給手段450につながるとともに供給手段450を出入りするフローを停止させるように動作可能なバルブ739を備える管733に取り付けられ得る。
【0110】
図25に示すように、例えば、CO
2及び/又は空気供給手段440、通気排気部448、培養培地供給手段450、入口フィルタ492及びフロー制御メータ493の各々は、
図24を参照して上述したのと同様であり得る。ただし、海藻バイオリアクタシステム212
*では、ストロー490が、三方バルブ799の(例えば、下側を向く)第2のポートにつながる第1の分岐793及び引抜き出口(廃液引抜き部)449につながる第2の分岐794を有するY字コネクタを備える管791に取り付けられ得る。第1の分岐793は、入口フィルタ492及びフロー制御メータ493とインラインであり得る。第2の分岐794は、引抜き出口449を出入りするフローを停止させるように動作可能なバルブ795を備え得る。
図25に示すように、例えば、引抜き出口449は、培養培地1からサンプリング又は採取された所定量の胞子体を回収する管又は容器を備え得る。供給手段440から出力されたCO
2及び/又は空気は、三方バルブ799の(例えば、右側を向く)第3のポートに出力され得る。
【0111】
したがって、その配管構成によって、海藻バイオリアクタシステム410*は、供給手段440から出力されたCO2及び/又は空気を培養培地1上のヘッドスペース内に方向転換するように動作可能であり得る。この方向転換は、CO2及び/又は空気のフローが容器452のヘッドスペースに侵入して正圧を生成するように、供給手段440にCO2及び/又は空気のフローを出力させ、三方バルブ799の第1のポートを開放し、バルブ738を閉じることによって行われる。
【0112】
正圧が得られると、海藻バイオリアクタシステム410
*は、その後に、容器452を開放することなく及び/又はそれ以外に培養培地1を周囲空気に曝露することなく、培養培地1中の胞子体をサンプリング又は採取するように動作可能となり得る。
図25に示すように、例えば、ヘッドスペースを正圧に加圧した後にバルブ739を閉じるとともにバルブ795を開放することで、胞子体を含む培養培地1のフローを、引抜き出口449内に管791の第2の分岐794を通じてストロー490から流出させて回収することになる。
図25に示すように、例えば、ストロー490は、ハウジング431の閉じた下部454に向けて延在し得る。一方、海藻バイオリアクタシステムのポート238は、上清及び/又は廃液のほとんどが存在し得るハウジング431の上側又は中央部分に向かってのみ延在していればよい。
【0113】
図25に示すように、例えば、海藻バイオリアクタシステム212
*における各バルブは、システム212
*が所定のスケジュールに基づいて、及び/又は培養培地センサ435若しくは他のセンサによって出力されるもの(例えば、pHレベル)など、培養培地1に関連するデータに応じてサンプリング又は採取モードに切り換えられ得るように、生命維持システム500からの制御信号によって電子的に作動され得る。もちろん、海藻バイオリアクタシステム212
*における任意のバルブが手動で操作されてもよい。例えば、バルブ738、739及び795の各々は、ピンチバルブからなり得る。
【0114】
海藻バイオリアクタ装置及びシステムを組み立てる例示的な方法
海藻バイオリアクタ装置21を組み立てる方法を、上記を引き続き参照してここに説明する。遮光性エンクロージャ30の床板41、後方壁42及び後方天板43が、
図7に示す例と同様の開放剛体構造物を形成するように相互に取り付けられ得る。
図3及び7に示すように、例えば、光源36の要素は、後方壁42に取り付けられ、熱的に結合され得る。
図8及び/又は9に示すように、例えば、ハウジング86は、後方壁42及びそこに位置するマイクロコントローラ40の要素に取り付けられ得る。
図3に示すように、例えば、ポンプ34のポンプボックス77が、ポンプマウント76によって後方天板43に取り付けられ得る。
【0115】
図5に示すように、例えば、取付けプレート60、センサ支持管61、軸受シャフト62、モータマウント63、フィルタマウント64、駆動シャフトカプラ65、駆動シャフト66及びブレード67が、
図5に示すものと同様のオートクレーブ可能な構造物を形成するように相互に取り付けられ得る。その後、これがオートクレーブ内に配置されて滅菌され得る。オートクレーブ可能な構造物が滅菌された後に、モータ33がモータマウント63に取り付けられ得る。
図4に示すように、例えば、その後に、取付けプレート60は、リムシール70などの封止要素を用いて半透明容器(ハウジング)31上に取り付けられて封着され得る。
【0116】
図3、4、5及び/又は7に示すように、例えば、センサ支持管61、軸受シャフト62、フィルタマウント64及び孔68、69(例えば、
図2及び3)のための開口部が受容開口部46の内部に位置するように、半透明容器31が、
図7に示す開放剛体構造物に摺動挿入され、前方天板45は後方壁42に取り付けられ、後方天板43に相互接続され得る。取付けプレート60の上面は、ここで、周囲光が海藻バイオリアクタ装置21の上部を通じてハウジング31に達するのを防止するように板43、45の底面に対抗して保持されることになる。
図3に示すように、例えば、入口管90が、入口55及び後方壁42を通じて延在する不透明バルブアセンブリ94に接続され得る。管93が、出口56及び後方壁42を通じて延在する不透明バルブアセンブリ94に接続され得る。
【0117】
図3及び/又は4に示すように、例えば、培養培地センサ35が、センサ支持シャフト(センサ支持管)61内に摺動挿入され、容器52内部の検知端80の位置を維持するように取付けプレート60に取外し可能に取り付けられ得る。種々の電気/データ接続が、培養培地センサ35からの検知データの出力並びにそのデータ及び/若しくは他のデータによる海藻バイオリアクタ装置21の制御を促進するように行われる。
図8に示すように、例えば、電力/データケーブル95は、モータ33をマイクロコントローラ40及び/又はシステムコントローラ160と電気/データ通信状態とし得る。電力/データケーブル96は、ポンプ34をマイクロコントローラ40及び/又はシステムコントローラ160と電気/データ通信状態とし得る。電力/データケーブル97は、光源36をマイクロコントローラ40及び/又はシステムコントローラ160と電気/データ通信状態とし得る。
図7に示すように、例えば、電力/データケーブル95は、同様に、培養培地センサ35の通信端81をマイクロコントローラ40及び/又はシステムコントローラ160と電気/データ通信状態とし得る。任意の有線及び/又は無線接続が利用され得る。
【0118】
図4に示すように、例えば、ベントフィルタ37は、バルブ71とともにフィルタマウント64に取り付けられ得る。
図7に示すように、例えば、三方バルブ99が、ポンプボックス77の側面に取り付けられ得る。種々の流体接続が、CO
2及び/又は空気を付加すること、培養培地1及びそこに含まれるバイオマスをサンプリングすること、並びにバイオマスを採取することを可能とするように行われ得る。そのような接続の一例を
図11に示し、システム10を参照して説明する。そのような接続の他の例を
図12に示し、以下に記載する変更を除いてシステム10と同様のシステム10Aを参照して説明する。
【0119】
システム10は、ガスを培養培地1に付加するためにCO
2及び/又は空気供給手段140を利用し、培養培地1を容器52に付加するとともに容器52に含まれるバイオマスをサンプリング又は採取するためにポンプ34を利用し得る。
図7、8、10及び11に示すように、例えば、インラインフィルタ101を含むライン100が、三方バルブ99の第1のポートとCO
2及び/又は空気供給手段140との間に第1の流通を確立し得る。ライン102が、三方バルブ99の第2のポートとポート39との間に第2の流通を確立し得る。ライン103が、三方バルブ99の第3のポートと、ポート38につながるY字コネクタ104の第1のポートとの間に第3の流通を確立し得る。ライン105が、ポート38につながるY字コネクタ104の第2のポートと、ポンプ34の第1のポートとの間に第4の流通を確立し得る。ライン106が、ポンプ34の第2のポートと、培養培地1の出力フローを出口又はリザーバ109に向けるライン108につながるY字コネクタ107の第1のポートとの間に第5の流通を確立し得る。インラインフィルタ111を有するライン110が、Y字コネクタ107の第2のポートと培養培地供給手段150との間に第6の流通を確立し得る。
【0120】
図11の接続の態様は、培養培地1をバイオセキュアな態様で採取、サンプリング及び付加するのに最適化され得る。
図11に示すように、例えば、ライン108は一方向逆止バルブ112を備え、ライン110は一方向逆止バルブ113を備え、それにより、ガス付加モード、培地付加モード及び培地除去モードの間でシステム10を切り換えることを可能とし得る。ガス付加モードでは、三方バルブ99の第2のポートが閉じられ、CO
2及び/又は空気供給手段140が、CO
2及び/又は空気を(例えば、フィルタ101の作用により)汚染物質をそこに導入することなく、ポート38を介して容器52の下部に付加するように動作可能となる。培地付加モードでは、ポンプ34が、逆止バルブ112が閉じられかつ逆止バルブ113が開放された状態で、所定容量の培養培地1を(例えば、フィルタ111の作用により)汚染物質をそこに導入することなく、ポート38を介して容器52に付加するように動作可能となる。培地除去モードでは、ポンプ34が、逆止バルブ112が開放されかつ逆止バルブ113が閉じられた状態で、培養培地1を、汚染物質をそこに導入することなく(例えば、容器52を開放することなく)、ポート38、Y字コネクタ107及びライン108を通じて容器52からリザーバ109にポンプ排出することによって培養培地1を採取又はサンプリングするように動作可能となる。
【0121】
システム10Aは、培養培地1を容器52に付加するためにポンプ34を利用し、ガスを容器52内の培養培地1に付加するとともに容器52に含まれるバイオマスをサンプリング若しくは採取するためにCO
2及び/又は空気供給手段140を利用し得る。
図12に示すように、例えば、そのインラインフィルタ101を含むライン100は、三方バルブ99の第1のポートとCO
2及び/又は空気供給手段140との間に前述の第1の流通を確立し得る。ライン102Aが、三方バルブ99の第2のポートと、ポート39につながるY字コネクタ104Aの第1のポートとの間に第2の流通を確立し得る。ライン103Aが、三方バルブ99の第3のポートと、ポート38につながるY字コネクタ107Aの第1のポートとの間に第3の流通を確立し得る。ライン105Aが、ポート39につながるY字コネクタ104Aの第2のポートと、ポンプ34の第1のポートとの間に第4の流通を確立し得る。ライン106Aが、培養培地1の出力フローを培養培地リザーバ109に向けるY字コネクタ107Aの第1のポートとの第5の流通を確立し得る。ライン110Aが、ポンプ34の第2のポートと培養培地供給手段150との間に第6の流通を確立する。
【0122】
図12の接続の態様も、培養培地1をバイオセキュアな態様で採取、サンプリング及び付加するのに最適化され得る。
図12に示すように、例えば、システム10Aは、同様に、ガス付加モード、培地付加モード及び培地除去モードの間で切換え可能となり得る。ガス付加モードでは、三方バルブ99の第2のポートが閉じられ、CO
2及び/又は空気供給手段140が、CO
2及び/又は空気を(例えば、フィルタ101の作用により)汚染物質をそこに導入することなく、ポート38を介して容器52の下部に付加するように動作可能となる。培地付加モードでは、三方バルブ99の第2のポートが閉じられ、ポンプ34が、培養培地1を(例えば、フィルタ111の作用により)汚染物質を容器52に導入することなく、ライン110、ライン105A及びY字コネクタ107Aの第2のポートを通じて容器52に付加するように動作可能となる。培地除去モードでは、三方バルブ99の第3のポートが閉じられ、逆止バルブ112が開放され、CO
2及び/又は空気供給手段140が、培養培地1上の容器52のヘッドスペースを加圧し、それにより、汚染物質をそこに導入することなく(例えば、容器52を開放することなく)、培養培地1及びそこに含まれる細断されたバイオマスのフローがポート38、Y字コネクタ107A及びライン106Aを通じて培養培地リザーバ109に向けて容器52を出るように動作可能となる。
【0123】
図11及び12に示すように、例えば、フィルタ101及び/又はフィルタ111は、システム10に流入する空気、CO
2及び/又は新たな培養培地1(例えば、水)のフローを滅菌するように動作可能なインラインUV-C LED滅菌器を備え得る。インライン滅菌器は、ホースバーブ及び/又は3クランプエンドを用いて設置されてもよく、ここに記載する他のラインとともにオートクレーブ可能であってもよい。
【0124】
図2に示すように、例えば、上記接続が行われた後に、前方壁44は、周囲光が容器52に達するのを防止するように床板41及び前方天板45に取り付けられ得る。
図7及び8に示すように、例えば、遮光性エンクロージャ30の態様は、配偶体の効率的な生産に重要となり得る。例えば、代替の手法は、ハウジング31を部屋に配置し、部屋全体を赤色光としてハウジング31内部の培養培地1をその赤色光に曝露することなどによって、部屋全体にわたる光スペクトル制御を得ることであってもよい。この代替の手法は、青色光に曝露することによって培養培地1を「pHレベル」に変化させることが必要となるまで、良好に作用する。これは、さもなければハウジング31を切り離して他の部屋及び/又は排水容器52に移動させ、培養培地1を他の部屋の他の容器52に移動させることを要することになり、この両方とも成長速度に悪影響を与え得るものである。
【0125】
これらの例示的な組立て方法の態様は、海藻バイオリアクタ装置221、海藻バイオリアクタ装置421及びその任意の変形例に対して、上記の構造的相違に対する適宜の変更によって適用可能となり得る。例えば、海藻バイオリアクタ装置221、421の一部の態様は海藻バイオリアクタ装置21の対応する要素よりも簡素であるので、上述した方法の一部はそれに従って簡素化され得ることも達成される。
【0126】
海藻バイオリアクタ装置及びシステムを動作させる例示的な方法
海藻システム(例えば、システム10、200)、海藻バイオリアクタシステム(例えば、システム210、210*、212、212*、213、214)、海藻バイオリアクタ(例えば、バイオリアクタ20、220、420など)及び海藻バイオリアクタ装置(例えば、バイオリアクタ装置21、22、23、24、221、222、223、224、421、422、423、444など)を動作させる態様を、海藻方法1000、海藻方法1100、海藻方法1200及び海藻方法1300を含む様々な海藻方法を参照してここに説明する。それらの方法の各々は、マイクロコントローラ40及び/若しくはシステムコントローラ160又は生命維持システム500、501、502、503及び/若しくはシステムコントローラ260によって実行可能となり得る。
【0127】
図14に示すように、例えば、海藻方法1000は、CO
2及び/若しくは空気供給手段140、空気供給制御バルブ142、CO
2供給手段143、CO
2供給バルブ144並びに/又は三方バルブ99を動作させて空気及び/又はCO
2の混合物をポート38を通じて容器52の下部に連続的に導入するステップを備え得る。したがって、方法1000は、空気を培養培地1の全体を通じて規則的に循環させ、配偶体及び/又は胞子体のような培養培地1中の海藻バイオマスを最適化及び持続させるのに利用され得る。
【0128】
図15に示すように、例えば、海藻方法1100は、モータ33を動作させてブレード67を混合方向に所定速度(例えば、約50~約360RPMなど)で連続的に回転させてブレード67の混合用の、すなわち、三日月刃形状のエッジ74によって培養培地1を撹拌するステップ(混合ステップ1110)と、ブレード67を反対方向、すなわち、細断方向により速い所定速度(例えば、約2000~4000RPMなど)で断続的に回転させてブレード67の細断用の、すなわち、鎌形状のエッジ73によって培養培地1に含まれる海藻細胞を細断するステップ(細断ステップ1120)と、を備え得る。ステップ1110は、培養培地1並びにそこに含まれる配偶体及び/又は胞子体のバイオマスを混合方向に旋回させ得る。ステップ1120は、細断用の、すなわち、鎌形状のエッジ73の細断能力を、バイオマスが混合方向に依然として旋回している間に鎌形状のエッジ73を細断方向に回転させることによって高めるのに利用され得る。
【0129】
図16に示すように、例えば、海藻方法1200は、培養培地センサ35によって培養培地1のpHレベルを監視すること(監視ステップ1210)並びに所望のpHレベルを維持するようにCO
2供給手段143及び/又はCO
2供給バルブ144を変化させること(変化ステップ1220)によって、CO
2のその需要量に基づいて培養培地1中の海藻バイオマスの所望の代謝速度を維持するステップを備え得る。方法1200は、CO
2消費を最大化するのに必要な最適採取率を特定することによって生産を最適化するCO
2消費のフィードバックを利用するステップを備え得る。様々な変数が、変化ステップ1220によって調整され得る。海藻バイオマスは約80%が炭素であるため、そのシステム10がより多くのCO
2を必要とするほど、それがより多くのバイオマスを生産することになり、それにより、システム10の任意のパラメータ(例えば、温度及び/又は栄養素)が、所望のpHレベルを維持するのにステップ1220において導入されなければならないCO
2の量に基づいてさらに調整可能となる。
【0130】
海藻方法1200はまた、CO
2需要量に基づいて光源36から出力される光の強度及び/又はタイプを自動的に変化させるステップを備え得る。例えば、
図16の操作ステップ1220は、培養培地1中の特定の海藻バイオマスが光阻害されないように扱うことが可能な光源36から出力される光の最大強度及び/又はタイプを選択するステップを備え得る。光阻害(例えば、日焼けなど)は、成長して元に戻るのに数日間を要する「太く短い(stubby)受容体」をもたらすことなどによって光が光受容体(例えば、クロロフィルA&B)に悪影響を及ぼす場合に起こる。したがって、培養培地センサ35があることによって、海藻方法1200は、光阻害が人間のオペレータによって知得されずにもたらされて成長速度の低下につながる手動制御での再発問題を解決し得る。成長速度の低下は、その低下が何故起こったのかを人間のオペレータが把握すれば光を数日間にわたって減少させることによって容易に解決され得るものである。多くの事例において、培養培地センサ35がないために、人間のオペレータはこれを把握することができず、何もしないか又は(さらに悪いことに)光の強度を増加させてしまい、培養培地1中の海藻バイオマスの全部又は大部分を死滅させてしまう。
【0131】
図16に示すように、例えば、操作ステップ1220はまた、光源36から出力される光の強度を既知の割合(例えば、2%)だけ増加させるステップ(増加ステップ1240)と、その増加がCO
2需要量にどのように影響したかを特定するステップ(特定ステップ1250)と、CO
2需要量がより高く、培養が満足であることを示す場合には、光源36から出力される光の強度を更なる既知の割合(例えば、更なる2%)だけ増加させるステップ(第2の増加ステップ1260)又はCO
2需要量がより低く、培養が満足でない及び/若しくは光阻害されていたことを示す場合には、光の強度を更なる既知の割合(例えば、1%)だけ低減させるステップ(低減ステップ1270)のいずれかと、を備え得る。本実施例では、CO
2需要量が増加ステップ1240の後に増加しない場合には、第2の増加ステップ1260は行われず、低減ステップ1270は、増加ステップ1240によって直前に適用された既知の割合(すなわち、上記の2%)を所定のリセット量(例えば、50%)だけ低下させるステップと、所定量の時間(例えば、1時間)を待機するステップと、所定のリセット量を除去することによって処理を開始し及び/又は増加ステップ1240に戻るステップと、を備え得る。
【0132】
海藻方法1200は、培養培地1が光阻害されずに対処することができる最大可能光強度をシステム10及び/又はバイオリアクタ20が反復的に特定することを可能とすることによって、培養培地1の生産性を向上し得る。海藻方法1200は、培養を規模拡張する際に特に有用となり得る。規模拡張では、下部には少量(例えば、200L)の希薄藻類しか存在せず、それに過大な光を当てて容易に培養物を死滅させてしまうことになるため(10%の光でも過大となり得る)、オペレータが調光から開始しなければならないことが多い。一般的な手動作業は、成長レベルを「目測」して、光源36から出力される光の強度を1時間毎に5%又は10%など増分的に時間とともに手動で増加させることである。これら一般的な手動作業は、バイオマスが高密度となるにつれて幾らか恣意的なものとなり、ここに記載される操作ステップ1220及びステップ1240~1270によって回避されるはずの非効率性をもたらしてしまう。
【0133】
図17に示すように、例えば、海藻方法1200は、温度及び栄養素など、CO
2需要量に基づく他のパラメータを最適化するステップを備え得る。例えば、操作ステップ1220は、培養培地センサ35からの出力に基づいて光、採取率、温度、栄養素などを最適化するように多変数解析を実行し及び/又はAI/機械学習を適用するステップを備え得る。システム10及び/又はバイオリアクタ20は追加の検知要素を備えてもよく、操作ステップ1220はそれらの要素に応じて実行されてもよい。例えば、海藻バイオリアクタ装置21は容器52内の培養物の蛍光を測定するように動作可能な蛍光プローブを備えてもよく、海藻方法1200は蛍光プローブによって培養培地1中の海藻バイオマスの特徴を自動的に特定するステップを備えていてもよい。更なる実施例として、海藻バイオリアクタ装置21は、容器52の閉塞端に隣接してハウジング31の外部に取り付けられた光学カメラなどの光学検知要素を備えていてもよい。海藻方法1200は、容器52の閉塞端における培地1の濁度を測定することによって培養培地1中のバイオマスの特徴を特定するステップを備えていてもよい。
【0134】
図18に示すように、例えば、海藻方法1300は、容器52内の所定容量の培養培地1を汚染し得る逆流を防止することによって、バイオセキュアな態様で、培養培地1中の海藻バイオマスを採取するステップ、バイオマスをサンプリングするステップ並びに/又は追加容量のガス及び/若しくは培養培地1を容器52に追加するステップを備え得る。海藻方法1300の態様は、システム10及び10Aによって実行され得る。
【0135】
システム10に関して、例えば、海藻方法1300は、三方バルブ99の第2のポートを閉じるとともにCO2及び/又は空気供給手段140にCO2及び/又は空気をポート38を介して容器52に送出させることによって、CO2及び/又は空気を容器52の下部に付加するステップと、逆止バルブ112を閉じ、逆止バルブ113を開放し、ポンプ34に追加容量をポート38を介して送出させることによって、所定容量の培養培地1を容器52に追加するステップと、逆止バルブ112を開放し、逆止バルブ113を閉じ、ポンプ34に培養培地1及びそこに含まれる細断されたバイオマスのフローをポート38、Y字コネクタ107及びライン108を介してリザーバ109に向けて容器52から送出させることによって、培養培地1をサンプリング又は採取するステップと、を備え得る。システム10Aに関して、例えば、海藻方法1300は、三方バルブ99の第2のポートを閉じるとともにCO2及び/又は空気供給手段140にCO2及び/又は空気をポート38を介して容器52に送出させることによって、CO2及び/又は空気を容器52の下部に付加するステップと、ポンプ34に追加容量を培養培地供給手段150からポート39、ライン105A及びライン110を介して容器52に送出させることによって、所定容量の培養培地1を容器52に追加するステップと、培養培地1及び含まれる細断されたバイオマスのフローがポート38、Y字コネクタ107A及びライン106Aを通じてリザーバ109に向けて容器52を出るまで、三方バルブ99の第3のポートを閉じ、逆止バルブ112を閉じ、CO2及び/又は空気供給手段140に容器52のヘッドスペースを加圧させることによって、培養培地1をサンプリング又は採取するステップと、を備え得る。容器52のヘッドスペースをこの態様で正圧に加圧することは、汚染物質が容器52に吸入されることを防止することにもなる。
【0136】
これらの例示的な動作方法の態様は、ここに記載される任意の海藻システム、海藻バイオリアクタシステム、海藻バイオリアクタ及び/又は海藻バイオリアクタ装置に対して、上記の構造的相違に対する適宜の変更によって適用可能となり得る。海藻バイオリアクタ装置221、421の一部の態様は海藻バイオリアクタ装置21の対応する要素よりも簡素であるので、例えば、上述した方法の一部はそれに従って簡素化され得ることも達成される。
【0137】
本開示の原理を特定の用途に対する説明的な態様を参照してここに記載するが、本開示はこれらに限定されない。当業者及びここに与えられる教示に接した者は、更なる変形例、用途、態様及び均等物の代替は全てここに記載される態様の範囲内となることを認識するはずである。したがって、本開示は、上記記載によって限定されるものとはみなされない。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海藻バイオマス及び培養培地を光制御エンクロージャ内に位置する透光性容器内に封入するステップと、
前記透光性容器を開封せずに、前記海藻バイオマスを、
コントローラによって、光源に、前記海藻バイオマスを照射する人工光を前記光制御エンクロージャ内に出力させるステップ、
前記コントローラと通信するセンサによって、前記培養培地に関連する検知データを出力するステップ、
前記コントローラによって、前記検知データに応じて前記人工光又は前記培養培地の少なくとも一方を変化させるステップ、
前記コントローラによって、前記透光性容器内で前記海藻バイオマスを断続的に混合及び切断するステップ、並びに
前記透光性容器及び前記光制御エンクロージャから前記海藻バイオマスの一部分を除去するステップ
によってサンプリング又は採取するステップと、
を備える方法。
【請求項2】
前記海藻バイオマスを封入するステップは、前記培養培地に海藻細胞を付加するステップを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記海藻バイオマスを封入するステップは、前記光制御エンクロージャを開放せず又は前記透光性容器を開封せずに、前記培養培地に海藻細胞を付加するステップを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記海藻細胞を付加するステップは、二倍体、海藻一倍体胞子、雌海藻一倍体成体、雄海藻一倍体成体、海藻の卵子、海藻の精子、海藻の胞子体、海藻の遊走子、配偶体、卵子、配偶子又は胞子体のうちの1以上を付加するステップを備える、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記海藻細胞を付加するステップは、雄性配偶体及び雌性配偶体の一方又は両方を付加するステップを備える、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項6】
前記培養培地を封入するステップは、前記透光性容器内部のバイオセキュアな環境を維持するステップを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記培養培地を付加するステップは、所定量の水を付加するステップを備える、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記海藻バイオマスをサンプリング又は採取するステップは、フィルタ処理されていない周囲空気を前記透光性容器に導入せずに、前記海藻バイオマスの前記一部分を除去するステップを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記光制御エンクロージャを数月又は数年にわたる期間後にのみ開放するステップを備える請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記透光性容器を数月又は数年にわたる期間後にのみ開封するステップを備える請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記光源に前記人工光を出力させるステップは、LEDに前記人工光を出力させるステップを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記LEDに前記人工光を出力させるステップは、スペクトル選択可能なLEDに前記人工光を出力させるステップを備える、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記コントローラによって、マルチカラーLEDに前記人工光の第1の色相を第1の期間にわたって出力させるステップと、
前記コントローラによって、前記マルチカラーLEDに前記人工光の第2の色相を第2の期間にわたって出力させるステップと、
を備える請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記人工光の前記第2の色相を前記第2の期間にわたって出力させるステップは、前記海藻バイオマスを有性化するステップを備える、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記光制御エンクロージャは光フィルタリングウインドウを備え、
周囲光のフィルタ処理された部分を前記光制御エンクロージャに前記光フィルタリングウインドウを通じて投入するステップを備える請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記周囲光のフィルタ処理された部分を投入するステップは、前記海藻バイオマスを有性化するステップを備えない、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記培養培地を変化させるステップは、前記コントローラによって、培養培地へのCO
2のフローを変化させるステップを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記検知データを出力するステップは、前記培養培地のpHレベルを出力するステップを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記コントローラによって、前記培養培地のpHレベルに応じて前記人工光又は前記培養培地の前記少なくとも一方を調整するステップを備える請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記コントローラによって、前記培養培地の前記pHレベルを監視するステップと、
前記コントローラによって、前記培養培地の前記pHレベルが前記培養培地の目標pHレベルに近づくまで前記培養培地の前記pHレベルに応じて前記培養培地へのCO
2のフローを変化させることによって前記培養培地を変化させるステップと、
を備える請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記コントローラによって、前記培養培地の前記pHレベルに応じて前記海藻バイオマスのCO
2需要量を特定するステップと、
前記コントローラによって、前記CO
2需要量に応じて前記培養培地を変化させるステップと、
を備える請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記コントローラによって、前記光源に、前記人工光の強度を第1の割合だけ増加させるステップと、
前記コントローラによって、前記強度の増加に応じて前記海藻バイオマスのCO
2需要量を推定するステップと、
前記コントローラによって、前記CO
2需要量に応じて前記CO
2のフローを変化させるステップと、
を備える請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記コントローラによって、前記光源に、
前記CO
2需要量が前記強度の増加に応じて増加する場合には前記人工光の強度を第2の割合だけ増加させ、又は
前記CO
2需要量が前記強度の増加に応じて減少する場合には前記人工光の強度を第3の割合だけ減少させる
ステップを備える請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記コントローラによって、前記光源に前記強度を減少させるステップは、
前記人工光の強度を所定リセット量だけ減少させるステップと、
所定期間を待機するステップと、
前記コントローラによって、前記光源に、前記人工光の強度を前記第1の割合だけ増加させるステップと、
前記コントローラによって、前記強度の増加に応じて前記海藻バイオマスのCO
2
需要量を推定するステップと、
前記コントローラによって、前記CO
2
需要量に応じて前記CO
2
のフローを変化させるステップと、
を備える、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記検知データを出力するステップは、前記培養培地の温度を出力するステップを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記コントローラによって、前記培養培地の温度に応じて前記人工光又は前記培養培地の前記少なくとも一方を調整するステップを備える請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記培養培地の温度に応じて前記透光性容器を前記光制御エンクロージャ内の温度調節流体に曝露することによって前記培養培地を変化させるステップを備える請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記透光性容器を前記温度調節流体に曝露するステップは、該温度調節流体を前記透光性容器の周囲に循環させるステップを備える、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記透光性容器を前記温度調節流体に曝露するステップは、前記コントローラによって、ポンプに、所定量の水を前記透光性容器の周囲に循環させるステップを備える、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記透光性容器を前記温度調節流体に曝露するステップは、前記コントローラによって、温度調節ユニットに、調整された空気のフローを前記培養培地の温度に応じて前記透光性容器に向けて出力させるステップを備える、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記海藻バイオマスを断続的に混合及び切断するステップは、前記透光性容器に封入された切断要素によって海藻塊を切断するステップを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記透光性容器に封入されたブレードを備え、
前記海藻バイオマスを断続的に混合及び切断するステップは、前記コントローラによって、モータに、前記ブレードを前記透光性容器に対して第1の方向に回転させることによって前記海藻バイオマスを切断させるステップを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記海藻バイオマスを断続的に混合及び切断するステップは、前記コントローラによって、前記モータに、前記ブレードを前記第1の方向とは反対の第2の方向に回転させることによって前記海藻バイオマスを混合させるステップを備える、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記コントローラによって、前記モータに、
前記ブレードを所定期間にわたって前記第2の方向に第1のRPMで連続的に回転させ、
前記ブレードを前記所定期間中に前記第1の方向に第2のRPMで断続的に回転させる
ステップを備える請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記第2のRPMは前記第1のRPMよりも高い、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記海藻バイオマスを断続的に混合及び切断するステップは、前記コントローラによって、曝気装置に、前記透光性容器内で前記培養培地を曝気させることによって前記海藻バイオマスを混合させるステップを備える、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
前記海藻バイオマスの前記一部分を除去するステップは、前記透光性容器のヘッドスペースを加圧するステップを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項38】
前記ヘッドスペースを加圧するステップは、前記コントローラによって、CO
2のフローを前記ヘッドスペースに向けるステップを備える、請求項
37に記載の方法。
【請求項39】
前記検知データを出力するステップは、
前記コントローラによって、光学センサに、前記培養培地の不透明度を特定させるステップと、
前記コントローラによって、前記培養培地の前記不透明度に応じて前記人工光又は前記培養培地の前記少なくとも一方を調整するステップと、
を備える、請求項1に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概略として海藻バイオリアクタの態様に関する。各態様は、海藻バイオリアクタ装置、方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
海藻の生活環は複雑であり、それにより、工業規模で栽培することは困難となる。例えば、多くの海藻種は二相性、すなわち、一倍体(haploid)-二倍体(diploid)生活環を有し、これらの種は一倍体、すなわち、核に1組の染色体を有している細胞と、二倍体、すなわち、核に2組の染色体を有している細胞とを交互に繰り返す。光、栄養素及び他の因子に関して最適な条件下では、二倍体は細胞核の分裂を伴う減数分裂によって一倍体胞子を確実に生成し、一倍体胞子は配偶体と呼ばれる雄及び雌の一倍体成体に確実に進化し、配偶体は、融合して胞子体と呼ばれる二倍体成体に成長する卵及び精子を確実に生成し得る。
【0003】
光及び栄養素などの変数を慎重に制御できない海藻養殖場などの自然環境において海藻の成長に最適な条件を維持することは困難であり又はほとんど不可能であるため、海藻の生活環の各段階中に成長を確実に持続させることは困難となる。このため、多くの海藻養殖場は、費用対効果の高い態様で海藻の成長に最適な条件を確立及び維持するように人工設計された制御環境などにおいて、配偶体及び/又は胞子体を生成するための新たな方法を模索している。
【発明の概要】
【0004】
本開示の一態様は、方法である。例えば、方法は、海藻バイオマス及び培養培地を光制御エンクロージャ内に位置する透光性容器内に操作可能に封入するステップと、光制御エンクロージャを開放することなく又は透光性容器に外気を導入することなく海藻バイオマスを採取するステップと、を備え、採取するステップは、コントローラによって、透光性容器を通じて海藻バイオマスを照射するように人工光を光制御エンクロージャ内に出力するステップと、コントローラによって透光性容器内で海藻バイオマスを断続的に混合及び切断するステップと、透光性容器内に正圧を維持しつつ透光性容器から海藻バイオマスの一部分を除去するステップとによって行われ得る。
【0005】
本開示の他の態様は、他の方法である。例えば、方法は、光制御エンクロージャ内に配置された透光性容器内の海藻バイオマス及び増殖培地を封入するステップと、コントローラによって、透光性容器を通じて海藻バイオマスを照射するように人工光を光制御エンクロージャ内に出力するステップと、コントローラによって透光性容器内の海藻バイオマスを断続的に混合及び切断するステップと、透光性容器内に正圧を維持しつつ透光性容器から海藻バイオマスの一部分を除去するステップと、を備え得る。
【0006】
これらの方法を踏まえて、海藻バイオマスを操作可能に封入するステップは、コントローラによって、海藻二倍体、海藻一倍体胞子、雌海藻一倍体成体、雄海藻一倍体成体、海藻の卵子、海藻の精子及び海藻の胞子体のいずれかの組合せを光制御エンクロージャ内にポンプ供給するステップを備え得る。方法は、透光性容器の外面を熱伝導流体と相互作用させること及び/又は透光性容器を囲むサーマルジャケットを通じて熱伝導流体を循環させることによって培養培地の温度を調節することなどによって、培養培地の温度を調節するステップを備え得る。
【0007】
方法は、1以上のLEDによって異なる強度又は波長の人工光を異なる時間に出力することなどによって、光制御エンクロージャ内に位置する1以上のLEDから人工光を出力するステップを備え得る。例えば、方法は、コントローラによって、海藻バイオマス及び培養培地の一方又は両方に関連するデータを出力するように動作可能なセンサに応じて、異なる強度又は波長の人工光間での切換えを行うステップを備え得る。更なる例として、方法は、コントローラによって、透光性容器内に位置するpHセンサから出力されるデータに基づいて、容器内の培養培地のpHレベルを特定するステップと、培養培地のpHレベルに応じて異なる強度又は波長の人工光間での切換えを行うステップと、を備え得る。方法は、コントローラによって、光学センサから出力されるデータに基づいて、透光性容器内の海藻塊の不透明度を特定するステップと、海藻塊の不透明度に応じて異なる強度又は波長の人工光間の切換えを行うステップと、を備えていてもよい。
【0008】
断続的な混合及び切断は、コントローラによってブレードの混合用エッジを第1の時間にわたってある方向に第1のRPMで回転させて透光性容器内で海藻塊を混合するステップと、コントローラによってブレードの切断用エッジを第2の時間にわたって異なる方向に第2のRPMで回転させて透光性容器内で海藻塊を小片に切断するステップと、を備え得る。第2のRPMは、第1のRPMよりも高い。
【0009】
本開示の他の態様は、他の方法である。例えば、方法は、海藻バイオマス及び培養培地を光制御エンクロージャ内に位置する透光性容器内に封入するステップと、透光性容器を開封せずに、海藻バイオマスを、コントローラによって、光源に、海藻バイオマスを照射する人工光を光制御エンクロージャ内に出力させるステップ、コントローラと通信するセンサによって、培養培地に関連する検知データを出力するステップ、コントローラによって、検知データに応じて人工光又は培養培地の少なくとも一方を変化させるステップ、コントローラによって、透光性容器内で海藻バイオマスを断続的に混合及び切断するステップ、並びに透光性容器及び光制御エンクロージャから海藻バイオマスの一部分を除去するステップによって、サンプリング又は採取するステップと、を備え得る。
【0010】
海藻バイオマスを封入するステップは、培養培地に海藻細胞を付加するステップを備え得る。海藻バイオマスを封入するステップは、光制御エンクロージャを開放せず又は透光性容器を開封せずに、培養培地に海藻細胞を付加するステップを備える。海藻細胞を付加するステップは、二倍体、海藻一倍体胞子、雌海藻一倍体成体、雄海藻一倍体成体、海藻の卵子、海藻の精子、海藻の胞子体、海藻の遊走子、配偶体、卵子、配偶子又は胞子体のうちの1以上を付加するステップを備え得る。海藻細胞を付加するステップは、雄性配偶体及び雌性配偶体の一方又は両方を付加するステップを備え得る。
【0011】
培養培地を封入するステップは、透光性容器内部のバイオセキュアな環境を維持するステップを備え得る。所定量の培養培地を付加するステップは、所定量の水を付加するステップを備え得る。海藻バイオマスをサンプリング又は採取するステップは、フィルタ処理されていない周囲空気を透光性容器に導入せずに、海藻バイオマスの一部分を除去するステップを備え得る。方法は、光制御エンクロージャを数月又は数年にわたる期間後にのみ開放するステップを備え得る。方法は、透光性容器を数月又は数年にわたる期間後に開封するステップを備え得る。光源に人工光を出力させるステップは、LEDに人工光を出力させるステップを備え得る。LEDに人工光を出力させるステップは、スペクトル選択可能なLEDに人工光を出力させるステップを備え得る。方法は、コントローラによってマルチカラーLEDに人工光の第1の色相を第1の期間にわたって出力させるステップと、コントローラによってマルチカラーLEDに人工光の第2の色相を第2の期間にわたって出力させるステップと、を備え得る。人工光の第2の色相を第2の期間にわたって出力させるステップは、海藻バイオマスを有性化するステップを備える。
【0012】
光制御エンクロージャは光フィルタリングウインドウを備え、方法は周囲光のフィルタ処理された部分を光制御エンクロージャに光フィルタリングウインドウを通じて投入するステップを備え得る。周囲光のフィルタ処理された部分を投入するステップは、海藻バイオマスを有性化するステップを備えなくてもよい。培養培地を変化させるステップは、コントローラによって、培養培地へのCO2のフローを変化させるステップを備え得る。検知データを出力するステップは、培養培地のpHレベルを出力するステップを備え得る。方法は、コントローラによって、培養培地のpHレベルに応じて人工光又は培養培地の少なくとも一方を調整するステップを備え得る。方法は、コントローラによって培養培地のpHレベルを監視するステップと、コントローラによって、それが培養培地の目標pHレベルに近づくまで培養培地のpHレベルに応じて培養培地へのCO2のフローを変化させることによって培養培地を変化させるステップと、を備え得る。方法は、コントローラによって培養培地のpHレベルに応じて海藻バイオマスのCO2需要量を特定するステップと、コントローラによってCO2需要量に応じて培養培地を変化させるステップと、を備え得る。方法は、コントローラによって、光源に、人工光の強度を第1の割合だけ増加させるステップと、コントローラによって強度の増加に応じて海藻バイオマスのCO2需要量を推定するステップと、コントローラによってCO2需要量に応じてCO2のフローを変化させるステップと、を備え得る。方法は、コントローラによって、光源に、CO2需要量が強度の増加に応じて増加する場合には人工光の強度を第2の割合だけ増加させ、又はCO2需要量が強度の増加に応じて減少する場合には人工光の強度を第3の割合だけ減少させるステップを備え得る。方法は、コントローラによって光源に強度を減少させるステップを備えていてもよく、それは人工光の強度を所定リセット量だけ減少させるステップと、所定期間を待機するステップと、反復するステップと、を備え、反復するステップは、コントローラによって、光源に、人工光の強度を第1の割合だけ増加させるステップと、コントローラによって、強度の増加に応じて海藻バイオマスのCO2需要量を推定するステップと、コントローラによって、CO2需要量に応じてCO2のフローを変化させるステップと、を備える。
【0013】
検知データを出力するステップは、培養培地の温度を出力するステップを備え得る。方法は、コントローラによって、培養培地の温度に応じて人工光又は培養培地の少なくとも一方を調整するステップを備え得る。方法は、培養培地の温度に応じて透光性容器を光制御エンクロージャ内の温度調節流体に曝露することによって培養培地を変化させるステップを備え得る。方法は、透光性容器を温度調節流体に曝露するステップを備えていてもよく、それは温度調節流体を透光性容器の周囲に循環させるステップを備える。方法は、透光性容器を温度調節流体に曝露するステップを備えていてもよく、それは、コントローラによって、ポンプに、所定量の水を透光性容器の周囲に循環させるステップを備える。透光性容器を温度調節流体に曝露するステップは、コントローラによって、温度調節ユニットに、調整された空気のフローを培養培地の温度に応じて透光性容器に向けて出力させるステップを備える。
【0014】
海藻バイオマスを断続的に混合及び切断するステップは、透光性容器に封入された切断要素によって海藻塊を切断するステップを備え得る。ブレードが透光性容器に封入されてもよく、海藻バイオマスを断続的に混合及び切断するステップは、コントローラによって、モータに、ブレードを透光性容器に対して第1の方向に回転させることによって海藻バイオマスを切断させるステップを備え得る。海藻バイオマスを断続的に混合及び切断するステップは、コントローラによって、モータに、ブレードを第1の方向とは反対の第2の方向に回転させることによって海藻バイオマスを混合させるステップを備え得る。方法は、コントローラによって、モータに、ブレードを所定期間にわたって第2の方向に第1のRPMで連続的に回転させ、ブレードを所定期間中に第1の方向に第2のRPMで断続的に回転させるステップを備え得る。第2の方向は、第1の方向の反対であり得る。第2のRPMは、第1のRPMよりも高いRPMであり得る。海藻バイオマスを断続的に混合及び切断するステップは、コントローラによって、曝気装置に、透光性容器を培養培地に曝気させることによって海藻バイオマスを混合させるステップを備え得る。海藻バイオマスの一部分を除去するステップは、透光性容器のヘッドスペースを加圧するステップを備え得る。ヘッドスペースを加圧するステップは、コントローラによってCO2のフローをヘッドスペースに向けるステップを備える。検知データを出力するステップは、コントローラによって、光学センサに培養培地の不透明度を特定させるステップと、コントローラによって、培養培地の不透明度に応じて人工光又は培養培地の少なくとも一方を調整するステップと、を備え得る。
【0015】
関連する海藻バイオリアクタ装置、方法及びシステムも開示される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】複数の海藻装置を備える例示的な海藻システムを示す。
【
図3】
図2の装置の前方壁を取り除いた状態を示す。
【
図8】
図2の装置のカバーを取り除いた状態の設置背面図を示す。
【
図9】
図2の装置用の例示的なコントローラを示す。
【
図13】
図2の装置の他の例示的なブレードを示す。
【
図14】複数の海藻バイオリアクタ装置を備える他の例示的な海藻システムを示す。
【
図27】さらに他の例示的なバイオリアクタシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示に組み込まれ、本開示の一部を構成する添付図面は、記載された説明とともに本開示の原理を説明するのに役立つ例示的な態様を示す。多数の態様が、特に、記載された説明において記載され、指摘され、教示される。一部の構造的及び動作的な態様は、図面とともに記載された部分を参照することによってより良く理解され得る。したがって、本開示の主題及び記載された有利な効果のより完全な理解は、以下の添付図面とともにここに記載された説明を読むことによって実現され得る。
【0018】
本開示の態様は、本説明に記載されるとともに添付図面に図示される例示的な構造の詳細及び構成要素の配置に限定されない。本開示の多数の態様は、ここに記載する実施例など、他の態様に適用可能であり及び/又は種々の変形用途において実施若しくは実行可能であり得る。
【0019】
記載される説明の全体を通じて、より深い理解を当業者に与えるために具体的詳細を説明する。説明の便宜及び容易化のために、一部の周知の要素は、本開示の焦点を無用に不明瞭とすることを回避するために概念的に記載され得る。これに関して、記載される説明及び図面は、限定的ではなく説明的なものとして、限定するものではなく可能とするものとして解釈されるべきである。
【0020】
本開示の例示的な態様は、種々の海藻バイオリアクタ装置、方法及びシステムに言及する。一部の態様は、特定の培養培地(例えば、水)を利用する特定種の海藻(例えば、コンブなどの二相性、すなわち、一倍体-二倍体生活環を有するもの)を保持することに関して記載され、その培養培地は、特定の構造物(例えば、封入容器)に含まれ、海藻の成長に適した特定の組の機能を実行する(例えば、光及び栄養素を管理する)特定の生命維持システム(例えば、ここに記載する種々のモータ、ポンプ及びセンサを利用するもの)によって動作可能である。これらの記載は、便宜上与えられるものであり、請求項に記載されない限り本開示を限定するものではない。したがって、本開示に記載されるいずれの態様も、他のタイプの植物での使用に適したものを含めて、任意の同様のバイオリアクタ装置、方法及びシステムによって利用され得る。
【0021】
小見出しは、参照の容易化のために提供され、請求項に記載されない限り非限定的なものである。
【0022】
「備える」、「備えている」、「含む」、「含んでいる」及びそれらの変化形などの包含的用語は、列挙された要素を備える任意の装置、方法及びシステム又はその要素がそれらの要素のみを含むのではなく、明示的に列挙されない及び/又はそれに内在する他の要素を含み得るように、非排他的な包含を包括するものである。断りがない限り、用語「例示的」は、「理想的」ではなく「例」の意味で使用される。「約(approximately)」及び「一般に/一般的に/汎用的に/概ね/概して/概略として(generally)」など、近似のための種々の用語が、本開示において使用され得る。「約」は、「おおよそ」又は記載される数若しくは結果の10%以内を意味する。「一般に/一般的に/汎用的に/概ね/概して/概略として」は、「通常は/普通は」又は50%超の確率を意味する。
【0023】
「~に取付け可能な」、「~に取り付けられ」及び「取付けられた」などの用語は、2以上の要素間の構造的接続を説明するものである。一部の構造的接続は、2以上の要素がともに形成されて損傷なく独立して回転可能でない場合のように「固定的に取り付けられ」、したがって回転不能となり得る。他の構造的接続は、2以上の要素が取付け要素(例えば、ピン、ネジなど)及び/又は連結要素(例えば、ジョイント、ヒンジなど)によって相互に結合されて独立した回転を可能とする場合のように「回転可能に取り付けられ」得る。したがって、特に断りがない限り、用語「取り付ける」及びその同義語は、任意のその変化形を構成し得る。
【0024】
例示的なコントローラの態様が記載される。コントローラは、任意のタイプのソフトウェア及び/又はハードウェアを備えかつそれによって動作可能であり得る。「処理する」、「計算する」、「算出する」、「特定/決定する」、「表示する」などのような機能的用語は、コントローラによって実行可能な動作及び処理をいう場合がある。
【0025】
ソフトウェアは、機能を実行するコントローラによって実行可能なプログラムオブジェクト(例えば、コードのブロック)を備え得る。各プログラムオブジェクトは、アルゴリズムのような、所望の結果をもたらす動作のシーケンスを備え得る。動作は、記憶、転送、合成、比較及びその他操作可能な電気又は磁気信号など、物理量の物理的操作を必要とし、又はそれを伴い得る。信号は、ビット、文字、要素、数字、記号、用語、値などとして概念的に記載され得る。
【0026】
ハードウェアは、プログラムオブジェクトを実行し、動作を実行し及び/又は信号を送信若しくは受信するように特化して又は汎用的に構成された周知のコンピューティング及び/又はネットワーキングデバイスを備え得る。ハードウェアは、ユニットのレジスタ及びメモリ内の物理(電気)量として表される入力データを操作し、及び/又はユニットのメモリ若しくはレジスタ及び/又は他のデータ記憶、伝送若しくは表示デバイス内の物理量として同様に表される出力データに変換することによってプロジェクトオブジェクトを実行するプロセッサを備え得る。プロセッサは、相互にローカル又はリモートに配置された任意の単数又は複数のコンピューティング資源など、任意数の処理要素を備え得る。プログラムオブジェクトは、機械(例えば、コンピュータ)によって読取可能な形態でデータ及び情報を記憶又は伝送するための任意の機構など、処理ユニットと通信する任意の機械(例えば、コンピュータ)読取可能記憶媒体に記憶され得る。例示的な記憶媒体は、読み取り専用メモリ(「ROM」)、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)、消去可能プログラマブルROM(「EPROM」)、電気的に消去可能なプログラマブルROM(「EEPROM」)、磁気若しくは光学カード若しくはディスク、フラッシュメモリデバイス及び/又は任意の電気的、光学的、音響的若しくは他の形態の伝搬信号(例えば、搬送波、赤外信号、デジタル信号など)を備え得る。
【0027】
一部の機能を、コントローラによってプログラム可能な方法ステップを参照して説明する。ステップは動作の例示的なシーケンスを規定し得るものであり、その順序が重要となり得る。例えば、任意の方法ステップの特定の順序は、コントローラによってプログラム可能な動作の特定のシーケンスを記載して、コントローラの計算性能及び/又は動作効率を向上するなど、具体的な処理の利益を実現し得る。
【0028】
海藻バイオマスのために最適化された海藻システムの実施例
本開示の態様を、真水、塩水及びそれらに付加されるものなど、(例えば、
図11に示すような)培養培地1中で海藻を成長させるのに最適な条件を維持する例示的な海藻バイオリアクタシステム10を参照してここに説明する。システム10の多数の構成が、ここに記載される。
図1に示すように、例えば、システム10は、海藻バイオリアクタ20、温度制御システム130、CO
2及び/又は空気供給手段140、培養培地供給手段150及びシステムコントローラ160を備え得る。
【0029】
図1に示すように、例えば、海藻バイオリアクタ20は、海藻バイオリアクタ装置21、海藻バイオリアクタ装置22及び海藻バイオリアクタ装置23を含む複数の動作要素を備え得る。バイオリアクタ装置21、22及び23は、相互に類似及び/又は同一であり得る。各装置21、22及び23は、システム10において異なる機能を果たし得る。例えば、バイオリアクタ装置21は、第1の容量の培養培地1に雄性配偶体などの海藻細胞の第1の培養物を含み、それを成長させるように最適化され得る。バイオリアクタ装置22は、第2の容量の培養培地1に雌性配偶体などの海藻細胞の第2の培養物を含み、それを成長させるように最適化され得る。バイオリアクタ装置23は、第1及び第2の培養物を第3の容量の培養培地1に受容して混合し、これらが接合して胞子体(又はコンブの種苗)となることを可能とする。海藻バイオリアクタ装置21、22及び23が装備された場合、システム10はシステムコントローラ160によって各異なるタイプの海藻細胞を成長させるのに最適な条件を維持するように動作可能となり得るものであり、配偶体及び/又は胞子体の安定した供給を確実に産出することを可能とする。
【0030】
図1に示すように、例えば、各海藻バイオリアクタ20は、テーブルなどの支持構造物5上に配置され得る。任意のタイプの支持構造物5が利用され得る。
【0031】
図1に示すように、システム10は、システム10によって産出された配偶体及び/又は胞子体の数を増加させるように動作可能な任意数の(例えば、装置21、22及び/又は23のような)海藻バイオリアクタ装置を備え得る。海藻バイオリアクタ20は、制御環境において異なるタイプの海藻種を交雑して再現性のある結果を得るのに利用され得る。
図1に示すように、例えば、海藻バイオリアクタ装置21及び22は、第1の種の海藻の第1及び第2の細胞を含み、少なくとも1つのバイオリアクタ装置23と流通し得る。システム10は、装置21及び22のようなバイオリアクタ装置の任意数の追加の組を備えてもよく、それらの各々は異なる種の海藻の第1及び第2の細胞を含み、少なくとも1つのバイオリアクタ装置23に流通し得る。この例において、バイオリアクタ装置23は、異なる種の海藻の第1の海藻細胞(例えば、雄性配偶体)及び第2の海藻細胞(例えば、雌性配偶体)を受容及び混合し得るので、より簡単でかつより効率的な交雑の手段を提供する。
【0032】
海藻バイオリアクタ20の要素は、相互に流通し、かつ
図7~12に示され、それに関連して記載される例示的な構成を含む温度制御システム130、CO
2及び/又は空気供給手段140、並びに任意のタイプの配管及び/又は導管を利用する培養培地供給手段150と流通し得る。
図1に示すように、例えば、温度制御システム130は、チラー131及びポンプ132を備え得る。チラー131は、冷却媒体(例えば、所定体積の水)を貯蔵し、冷却媒体の温度を維持し得る。ポンプ132は、システム10の全体にわたって冷却媒体を循環させるように動作可能な遠心ポンプを備え得る。
図1に示すように、例えば、ポンプ132は各バイオリアクタ20に含まれる培養培地1の温度を維持する流量で各海藻バイオリアクタ20の(例えば、
図4に示し、後述するような)サーマルジャケットの周囲にチラー131からの冷却媒体を循環させ、チラー131に戻すようにシステムコントローラ160によって動作可能であり得る。
【0033】
システムコントローラ160は、システム10の各バイオリアクタ20において海藻を成長させるのに最適な条件を維持するように動作可能なハードウェア及び/又はソフトウェアの任意の組合せを備え得る。
図1に示すように、例えば、システムコントローラ160は、ハウジング161、表示要素162、処理要素163、通信バス164及び温度コントローラ165を備え得る。ハウジング161は、剛体材料からなる自立構造物を備え得る。
図1に示すように、例えば、剛体材料は、支持構造物5上でシステムコントローラ160の要素を支持及び/又は収容するとともにこれらの要素に対してヒートシンクとして作用するように動作可能な金属材料(例えば、ダイヤモンドプレート)を備え得る。処理要素163は、ハウジング161の上部区画に配置され、システム10の他の要素からデータを受信するとともにシステム10の他の要素に制御信号を送信するように動作可能なデータ処理要素を備え得る。例えば、処理要素163は、データを受信及び処理するように並びに/又は制御信号を生成及び出力するように(例えば、メモリに保存された)ソフトウェアによって動作可能なプロセッサ、メモリ及び/又は送受信機のうちの1以上を備え得る。
【0034】
表示要素162は、グラフィカルユーザインターフェースをユーザに提示し、そのユーザからのタッチベースの入力を受信するように処理要素163によって動作可能なタッチスクリーンディスプレイを備え得る。
図1に示すように、例えば、通信バス164は、ハウジング161の下部区画にあり、各海藻バイオリアクタ20のマイクロコントローラからデータを受信し、制御信号を中継して各マイクロコントローラに戻し、他のタイプのデータを送信又は受信するように動作可能なデータ接続を確立及び維持するための任意の有線及び/又は無線データ通信ハードウェアを備え得る。
【0035】
温度コントローラ165は、温度制御システム130によって処理要素163及び/又はマイクロコントローラからデータを受信し、そのデータに基づいてシステム10を通じて循環する冷却媒体の温度及び/又は流量を変化させるように動作可能なハードウェア及び/又はソフトウェアの任意の組合せを備え得る。
【0036】
図11に示すように、例えば、CO
2及び/又は空気供給手段140は、手動操作バルブなどの空気制御バルブ142によって動作可能な空気ポンプ141、及び(例えば、
図1に示すような)システムコントローラ160によって動作可能なソレノイドバルブなどのCO
2供給バルブ144によって動作可能なCO
2供給手段(例えば、CO
2タンクなど)143を備え得る。
図11に示すように、培養培地供給手段150は給水ラインを備え得る。
【0037】
システムコントローラ160の全部又は一部は、
図1では海藻バイオリアクタ20の付近に位置しているが、システム10から遠隔に位置してもよい。さらに後述のように、例えば、各海藻バイオリアクタ20は、ローカルにデータ処理及び/又は制御信号生成の一部に対処するように動作可能なマイクロコントローラを備えていてもよく、システムコントローラ160の全部又は一部はクラウド内に位置し、インターネットを介してデータを受信し及び/又は制御信号を出力するように動作可能であり得ることを意味する。本実施例を踏まえて、クラウドベースのシステムコントローラ160は、結果として物理的に異なる場所に位置する海藻バイオリアクタ20のマイクロコントローラによって動作可能であってもよく、自動化された態様でシステム10をより簡単に及び/又は安価に取得して動作させることができる。
【0038】
海藻バイオリアクタ装置及びシステムの実施例
本開示の態様を、所定容量の培養培地1中で海藻細胞を成長させるのに最適な条件を維持するように動作可能な例示的な海藻バイオリアクタ装置21を参照してここに説明する。これらの態様を、
図1の海藻バイオリアクタ装置21を参照して説明するが、
図1のバイオリアクタ装置22及び/又は23を参照して代替的に説明することもできる。海藻バイオリアクタ装置21の多数の潜在的な構成を説明する。
図3に示すように、例えば、海藻バイオリアクタ装置21は、遮光性エンクロージャ30、ハウジング31、取付けアセンブリ32、モータ33、ポンプ34、培養培地センサ35、光源36、ベントフィルタ37、ポート38、ポート39及び(例えば、
図8及び9に示すような)マイクロコントローラ40を備え得る。
【0039】
図2及び3に示すように、例えば、遮光性エンクロージャ30はハウジング31を周囲光から遮蔽する剛体材料から構成され得るものであり、それにより、ハウジング31内に封入された所定容量の培養培地1に含まれる任意の海藻細胞に適用される光スペクトルを慎重に制御することが可能となる。システムコントローラ160のハウジング161と同様に、遮光性エンクロージャ30の剛体材料は、海藻バイオリアクタ装置21の要素を支持及び/又は収容するとともにこれらの要素のためのヒートシンクとして作用するように動作可能な金属材料(例えば、ダイヤモンドプレート)を備え得る。
図2に示すように、例えば、遮光性エンクロージャ30は、床板41、後方壁42、後方天板43、前方壁44、前方天板45及び受容開口部46を備え得る。
【0040】
後方壁42は、支持構造物5の支持面(例えば、
図1)上に海藻バイオリアクタ装置21の重量を支持するように動作可能な剛体構造物を形成するように、床板41及び後方天板43に取り付けられ得る。
図2及び/又は3に示すように、例えば、床板41の上面及び後方天板43の下面は、後方壁42の対応する上縁及び下縁を受容するようにサイズ取りされた溝を備えていてもよく、それにより剛体構造物を形成する。前方壁44は、周囲光がエンクロージャ30の側面を通じてハウジング31に達するのを防止するように剛体支持構造物に取り付けられ得る。
図2に示すように、例えば、前方壁44は、前方壁44が取り付けられた場合に後方壁42の前方部分と重なる後方部47を備えていてもよく、それにより、周囲光がエンクロージャ30の側面を通じてハウジング31に達するのを防止する。
図3に示すように、例えば、床板41の溝は、後方壁42の外面に対抗する後方部47の内面を保持することによって光の侵入を最小限にするようにサイズ取りされ得る。
【0041】
前方天板45もまた、周囲光がエンクロージャ30の上部を通じてハウジング31に達するのを防止するように前方壁44及び後方天板43に取り付けられ得る。
図3に示すように、例えば、前方天板45の下面は、後方壁42、前方壁44及び後方部47の上縁を受容するようにサイズ取りされた溝を備えて後方壁42の外面に対抗して後方部47の内面をさらに保持し得る。
図3及び4に示すように、例えば、後方天板43の前縁が、前方天板45の後縁と連結して周囲光が板43及び45の前縁と後縁の間でハウジング31に達するのを防止し得る。発泡フォーム及び/又は遮光テープなどの追加の遮光要素が、さらにエンクロージャ30を遮蔽するために利用され得る。
図2に示すように、例えば、受容開口部46は、後方板43が前方板45と連結された場合に形成され得る。
【0042】
ハウジング31は透光性であってもよく、透明材料又は半透明材料からなることを意味する。
図4に示すように、例えば、ハウジング31は、内壁50及び外壁51を備え得る。内壁50は、所定量の海藻細胞を含む所定容量の培養培地1を含むようにサイズ取りされた容器52を画定し得る。したがって、ハウジング31及び容器52の両方が透光性容器として説明されてもよい。
【0043】
図4に示すように、例えば、容器52は、開口した上部及び閉塞した下部を有する筒形状を備え得る。内壁50は外壁51から離隔されて、容器52を少なくとも部分的に囲むサーマルジャケット53を画定し得る。
図4に示すように、例えば、外壁51は、ベース54、入口55及び出口56を備え得る。ベース54は(例えば、
図2及び3に示すような)床板41の上部に配置され、容器52の重量及びその内容物を支持するように動作可能であり得る。入口55及び出口56はチラー131と流通するよう配置され、温度コントローラ165によって決定される流量で、冷却媒体をサーマルジャケット53の内外に向けるように、ポンプ132によって動作可能であり得る。さらに後述するように、内壁50、外壁51及び冷却媒体の各々は、概ね半透明であり得る。
【0044】
図4及び/又は5に示すように、例えば、取付けアセンブリ32は、取付けプレート60、センサ支持管61、軸受シャフト62、モータマウント63、フィルタマウント64、駆動シャフトカプラ65、駆動シャフト66、ブレード67、孔68及び孔69を備え得る。
図4に示すように、例えば、取付けプレート60は内壁50の上部に取外し可能に取り付けられ、容器52を封止するように動作可能であり得る。
図4に示すように、例えば、リムシール70は、周囲空気が容器52に侵入するのを防止する気密封止を取付けプレート60の下部と容器52の上面との間に形成するのに利用され得る。センサ支持管61は、取付けプレート60に取り付けられてそれを通じて容器52の下部に向かって延在する中空管を備え得る。軸受シャフト62は、取付けプレート60に取り付けられてそれを通じて容器52の上部に向かって延在する中空管を備え得る。モータマウント63は軸受シャフトの上部に固定して取り付けられ、そこを通じて延在する開口を備え得る。
図4及び5に示すように、例えば、モータ33はモータマウント63に取り付けられて、周囲空気が容器52に侵入するのを防止する気密封止をモータ33の下部とモータマウント63の上部との間に形成し得る。モータ33の出力シャフトは、マウント63の開口を通じて方向付けられ得る。
【0045】
ベントフィルタ37は、ポンプ34を動作させる場合及び/又は記載される任意の方法を実行する場合に真空が形成されると、フィルタ処理されていない周囲空気が容器52に侵入するのを防止し得る。
図4及び5に示すように、例えば、フィルタマウント64は、取付けプレート60に取り付けられてそれを通じて延在する中空管を備え得る。ベントフィルタ37は、ベントフィルタ37とフィルタマウント64との間に気密封止を形成するように動作可能なバルブ71によってフィルタマウント64のフランジに取外し可能に取り付けられ得る。
図5に示すように、例えば、駆動シャフトカプラ65は、駆動シャフト66によってモータ33の出力シャフトを取り付ける回転軸受を備え得る。駆動シャフトカプラ65は、周囲空気が容器52に侵入するのを防止する気密封止を軸受シャフト62の下部と駆動シャフトカプラ65の上部との間に形成し得る。駆動シャフト66は、駆動シャフトカプラ65及びブレード67に取り付けられ得る。
【0046】
図6に示すように、例えば、ブレード67は、孔72、一対の細断用、すなわち、鎌形状のエッジ73及び一対の混合用、すなわち、三日月刃形状のエッジ74を備え得る。孔72は、駆動シャフト66をブレード67に取り付けるボルトを受容するようにサイズ取りされ得る。さらに後述するように、各細断用、すなわち、鎌形状のエッジ73は、モータ33によって駆動シャフト66が第1の方向、すなわち、「細断」方向(例えば、反時計回り)に回転される場合に容器52の内容物を細断するように動作可能な凹状のブレード又はエッジを備え得る。各混合用、すなわち、三日月刃形状のエッジ74は、モータ33によって駆動シャフト66が第2の方向、すなわち、「混合」方向(例えば、時計回り)に回転される場合に容器52の内容物を混合するように動作可能な凸状のブレード又はエッジを備え得る。
【0047】
更なる実施例を提供するために、ブレード67の7個の変形例を
図13に示し、ブレード67-1、67-2、67-3、67-4、67-5、67-6及び67-7と符号を付し、これらの各々は、ブレード67と同様に、モータ33によって駆動シャフト66が細断方向(例えば、反時計回り方向)に回転される場合に容器52の内容物を細断するように動作可能な少なくとも一対の細断用、すなわち、鎌形状のエッジ73-1、73-2、73-3、73-4、73-5、73-6又は73-7及びモータ33によって駆動シャフト66が混合方向(例えば、時計回り方向)に回転される場合に容器52の内容物を混合するように動作可能な少なくとも一対の混合用、すなわち、三日月刃形状のエッジ74-1、74-2、74-3、74-4、74-5、74-6又は74-7を備え得る。
【0048】
図4及び/又は5に示すように、例えば、ポート38は、(例えば、
図2及び3に示すように)ポンプ34と流通するように配置され得る上端及び容器52の下部に向かって孔68を通じて延在する下端を有する半透明中空管を備え得る。
図4及び/又は5にも示すように、例えば、ポート39は、(例えば、
図1、11及び12に示すように)CO
2及び/又は空気供給手段140と流通するように配置され得る上端並びに容器52の内部に向かって孔69を通じて延在する下部を有する半透明中空管を備え得る。ポンプ34は、マイクロコントローラ40及び/又はシステムコントローラ160によって容器52からの培養培地1及び海藻細胞の流量を出力し、又は容器52への新しい培養培地1の流量を入力するように動作可能であり得る。
図2及び3に示すように、例えば、ポンプ34は、Welco WP11などの全ての接液構成要素を有する蠕動ポンプを備え得る。
図2及び3に示すように、例えば、ポンプ34は、ポンプマウント76及びポンプボックス77を備え得る。ポンプマウント76はポンプ34を後方天板43に取り付けてもよく、ポンプボックス77はマイクロコントローラ40及び/又はシステムコントローラ160によって動作可能な電動モータを収容し得る。
【0049】
(例えば、
図4に示すような)培養培地センサ35は、マイクロコントローラ40及び/又はシステムコントローラ160によって容器52内の培養培地1の特徴に関連するデータを出力するように動作可能であり得る。培養培地センサ35は、検知端80及び通信端81を備え得る。
図4に示すように、例えば、センサ35は、検知端80が容器52の下部にあり、通信端81が容器52の外部にあるように、センサ支持管61に受容可能となり得る。検知端80は、培養培地1のpHレベルに関連するデータを出力するように動作可能なpHセンサ及び/又は培養培地の温度に関連するデータを出力するように動作可能な温度センサを備え得る。通信端81は、4ピンの軍用アナログ接続部などの電力/データ接続部を備え得る。
図4に示すように、例えば、通信端81は、センサ35がセンサ支持管61に受容される場合に、周囲空気が容器52に侵入するのを防止する気密封止を形成するように動作可能なネジ接続部82も備え得る。
【0050】
図3及び7に示すように、例えば、光源36は、プリント回路基板すなわち「PCB」83、複数のLED84及び概ね半透明のパネル85を備え得る。
図7に示すように、例えば、PCB83は、エンクロージャ30の後方壁42の内面に取り付けられ得る。複数のLED84は、PCB83の容器対向側に取り付けられて、1600万色以上の色相の光を(例えば、
図4及び11に示すような)ハウジング31に向けるように、マイクロコントローラ40及び/又はシステムコントローラ160によって動作可能なスペクトル選択可能なLED(例えば、RGB LED、すなわち「赤色、青色、緑色LED」など)の様々なクラスタ及び/又はストリップを備え得る。複数のLED84は同様に配向され、ハウジング31に赤色光を向けるように動作可能な赤色LEDの少なくとも1つのストリップを備え得る。
図7に示すように、例えば、PCB83の壁部対向側が、LED84から出力された熱の一部が壁42に向かって放射され、LED84のためのヒートシンクとして作用可能とするように後方壁42に熱的に結合され得る。
図2、3及び/又は7にも示すように、例えば、概ね半透明のパネル85(例えば、プレキシガラスパネルなど)は、後方壁42に取り付けられ、LED84の前方に位置決めされて、遮光性エンクロージャ30に対してハウジング31を移動する場合にLED84を損傷から保護し得る。
【0051】
マイクロコントローラ40は、カバー87を有するハウジング86内に収容され得る。
図8及び9に示すように、例えば、ハウジング86は遮光性エンクロージャ30の後方壁42の後方面に取り付けられるプラスチック製エンクロージャを備え得る。カバー87は、ハウジング86にボルトで固定され得る。マイクロコントローラ40は、モータ33、ポンプ34、システムコントローラ160及び/又は任意の他のシステム10の要素によって、容器52に含まれる所定容量の培養培地1中で海藻を成長させるのに最適な条件を維持するように動作可能なハードウェア及び/又はソフトウェアの任意の組合せを備え得る。
図8及び/又は9に示すように、例えば、マイクロコントローラ40は、ポンプ信号通信機78、モータドライバ79、リセッタブルヒューズ88及び/又はPCB89を備え得る。ポンプ信号通信機78及び/又はモータドライバ79のための回路は、PCB89から独立し及び/又はPCB89に一体化され得る。
【0052】
独立した生命維持システムを有する海藻システムの実施例
本開示の態様を、1つ以上の別個の容量の培養培地1中で異なる海藻バイオマスを成長させるのに最適な条件を維持するようにシステムコントローラ260によって独立して動作可能な1以上の海藻バイオリアクタを有する複数の個々の海藻バイオリアクタシステムを備える例示的な海藻システム200を参照してここに説明する。個々の海藻バイオリアクタシステム210、211、212及び213を参照して、例えば、
図14、26及び27に記載するものなど、海藻システム200の多数の構成がここに記載される。各海藻バイオリアクタシステム210、211、212及び/又は213の態様は、例えば、
図1を参照して上述した海藻バイオリアクタシステム10の態様と同様であり得るが、符号は200番台となる。システム10、200、210、211、212及び/又は213の1つを参照して説明する態様は、他のシステム10、200、210、211、212及び/又は213を参照して説明する任意の態様と互換可能であり、各反復及び配列は本開示の一部となり得る。
【0053】
海藻システム200内で、各海藻バイオリアクタシステム210、211、212及び213は、海藻バイオリアクタ内で海藻を成長させるのに最適な条件を維持するようにシステムコントローラ260によって動作可能な少なくとも1つの海藻バイオリアクタ及び少なくとも1つの生命維持システムを備え得る。例えば、
図14に示すように、各海藻バイオリアクタシステム210、211、212及び213は、そのそれぞれの生命維持システム500、501、502及び503とともに、システム200が統合ユニットとなるようにシステムコントローラ260とともに支持構造物205(例えば、剛体金属枠)に取り付けられ得る。
【0054】
図1を参照して上述した海藻バイオリアクタ20及び
図14を参照して後述する海藻バイオリアクタ220、420など、異なるタイプの海藻バイオリアクタをここに説明する。各海藻バイオリアクタシステム210、211、212及び213は、別個の容量の培養培地1を含むとともに数月又は数年といった長期間にわたって別個の容量の培養培地1中で海藻バイオマスを成長させるのに最適な条件を維持するように動作可能な少なくとも1つの海藻バイオリアクタ装置を備え得る。例示として、システム210、211、212及び/又は213における各海藻バイオリアクタ装置の態様は、例えば
図2及び3を参照して上述したような海藻バイオリアクタ装置21、例えば
図16及び17を参照して後述するような海藻バイオリアクタ装置221、並びに/又は例えば
図16及び23を参照して後述するような海藻バイオリアクタ装置421と同様であり、各反復及び配列は10、200、210、211、212及び/又は213のものとともに本開示の一部であり得る。
【0055】
1つの海藻バイオリアクタ装置221を有する海藻バイオリアクタ220の一例を、例えば、
図26の左上に示す。2つの拡張スロット297が点線で描かれ、さらに2つの海藻バイオリアクタ装置が追加され得ることを示す。
図14及び15に示すように、例えば、海藻バイオリアクタ20と同様の海藻バイオリアクタ220が、海藻バイオリアクタ装置221、海藻バイオリアクタ装置222、海藻バイオリアクタ装置223及び/又は海藻バイオリアクタ装置224を含む複数の海藻バイオリアクタ装置を備えていてもよい。本例では、バイオリアクタ装置221、222、223及び224は、海藻システム200が異なる海藻種の交雑であるのか、又は1つの海藻種の大量生産の目的のために最適化されているのかに応じて相互に類似及び/又は同一であり得る。
【0056】
図14及び15に示すように、例えば、海藻バイオリアクタ220の各海藻バイオリアクタ装置221、222、223及び224は、海藻システム200の目的及びシステム200内の海藻バイオリアクタシステム210の役割に応じて異なる態様で機能し得る。交雑のシナリオでは、例えば、バイオリアクタ装置221は第1の容量の培養培地1に第1の種の雄性配偶体などの海藻細胞の第1の培養物を含みかつそれを成長させるように最適化され得るものであり、バイオリアクタ装置222は第2の容量の培養培地1に第2の種の雄性配偶体などの海藻細胞の第2の培養物を含みかつそれを成長させるように最適化され得るものであり、バイオリアクタ装置223は第3の容量の培養培地1に第1及び/又は第2の種の雄性配偶体に適合した種の雌性配偶体などの海藻細胞の第3の培養物を含みかつそれを成長させるように最適化され得るものであり、バイオリアクタ装置224は第1又は第2の培養物の一方を受容してそれを第4の容量の培養培地1中で第3の培養物と組み合わせ、それらを接合して異なる種の胞子体(すなわち、コンブ種苗)とすることを可能とし得る。このシナリオでは、海藻バイオリアクタシステム210、211、212及び213は、システムコントローラ260並びにそれらのそれぞれの生命維持システム500、501、502及び503によって、異なる種及び/又はタイプの海藻細胞を成長させるとともにそれらの繁殖を誘導するのに最適な条件を維持するように独立して動作可能であり、新たな交雑種を効率的に産出し又は配偶体及び胞子体の周知の交雑種を産出することを可能とし得る。
【0057】
図14及び15に示すように、例えば、各海藻システム210、211、212及び213の海藻バイオリアクタも、その目的に応じて海藻システム200内で異なる役割を果たし得る。大量生産のシナリオでは、例えば、海藻システム210及び211の上位海藻バイオリアクタは海藻バイオリアクタ220と同様であり、したがって第1の容量の培養培地1中の雄性配偶体及び第2の容量の培養培地1中の雌性配偶体を成長させるように最適化され、海藻システム212及び213の下位海藻バイオリアクタは海藻バイオリアクタ420と同様であり、したがって第3の容量の培養培地1に雄性配偶体及び雌性配偶体を受容して組み合わせるように最適化され、それらを効率的に接合して同種の胞子体(すなわち、コンブ種苗)となることを可能とし得る。このシナリオでは、海藻バイオリアクタシステム210、211、212及び213は、ここでも、システムコントローラ260並びにそれらのそれぞれの生命維持システム500、501、502及び503によって、異なる種及び/又はタイプの海藻細胞を成長させるとともにそれらの繁殖を誘導するのに最適な条件を維持するように独立して動作可能であり、特定の品種の海藻の配偶体及び胞子体を効率的に産出することを可能とし得る。
【0058】
交雑又は大量生産のシナリオのいずれかにおいて、海藻システム200は、海藻バイオリアクタシステム210、211、212及び213又はそれらの要素を相互に流通して配置するための配管及び関連する接続部の任意の構成を備え得る。交雑のシナリオでは、例えば、システム200は、海藻バイオリアクタ装置221、222及び223を海藻バイオリアクタ装置224と流通して配置するための配管及び接続部を備え得る。大量生産のシナリオでは、例えば、システム200は、上位システムが(例えば、後述の拡散ノズル300を介して)下位システムに重力供給され得るように、上位のシステム210、211を下位のシステム212、213と流通して配置するための配管及び接続部を備え得る。
【0059】
海藻システム200は、装置221、421などのような任意数の海藻バイオリアクタ装置を備えるバイオリアクタ220、420などのような任意数又は任意タイプの海藻バイオリアクタを含む任意数及び/又は任意タイプの海藻バイオリアクタシステム210、211、212、213などを備え得る。システム200の一例を、例えば、
図26に示す。ここに記載されるいずれかの例を踏まえると、海藻バイオリアクタシステム210は海藻バイオリアクタ装置221からなり、各海藻バイオリアクタシステム211、212及び213は海藻バイオリアクタ装置221又は421のような3個の海藻バイオリアクタ装置を備え、システムコントローラ260は温度AC配電ボックス298並びに生命維持システム500、501、502及び503によってシステム210、211、212及び213を制御するように動作可能であり得る。例えば、システム200の他の例を
図27に示す。上位海藻バイオリアクタシステム210、211は第1の温度AC配電ボックス298、生命維持システム500、501及びシステムコントローラ260によって(例えば、無線接続を介して)動作可能であり、下位海藻バイオリアクタシステム212、213は第2の温度AC配電ボックス299、生命維持システム500、501及びシステムコントローラ260によって(例えば、無線接続を介して)動作可能である。
【0060】
図26及び27に示すように、CO
2及び/又は空気供給手段240は、単一のタンクとして図示されているが、ここに記載される任意の態様の供給手段140、240及び/又は340を備え得る。
【0061】
上記のように、各個々の海藻システム210、211、212及び213はそれ自体の生命維持システム500、501、502及び503を備え、その各々が最適な成長条件を維持するようにシステムコントローラ260によって独立して動作可能であり得る。各生命維持システム500、501、502及び503は、ある状況では、システムコントローラ260からほとんど又は全くサポートされずに動作可能な自己完結型の独立動作可能な制御モジュールを備え得る。システム500、501、502及び503の例示的な態様を、ここではシステム500を参照して説明する。
図15に示すように、例えば、システム500は、CO
2及び/又は空気供給手段510、AC配電システム511、制御ボックス512、DC電源513、データ送受信機514並びに複数のケーブル、管及び/又はそれらの間に延在する配線を備え得る。
【0062】
CO
2及び/又は空気供給手段510の態様は、ここに記載されるCO
2及び/若しくは空気供給手段240又はそれらのいずれかの対応物の態様と同様であり得る。
図15に示すように、例えば、CO
2及び/又は空気供給手段510は、CO
2及び/又は空気を各バイオリアクタ装置221、222、223及び224にそれらの間に延在する配管システム516を通じて分配するように1以上のCO
2タンク515によって動作可能なCO
2ソレノイド及び空気ポンプを備え得る。AC配電システム511は、グリッドからAC電力を受けて、制御ボックス512から出力された制御信号に応じて、AC電力をCO
2及び/又は空気供給手段510のCO
2ソレノイド及び空気ポンプに向け、配管システム516を通じて各バイオリアクタ装置221、222、223及び224に送出されるCO
2及び/又は空気の量を独立して調整することを可能とするように動作可能な回路を備え得る。
図26及び27に示すように、例えば、AC配電システム511は、AC配電ボックス298、299を備えていてもよい。DC電源513は、AC配電システム511の回路からAC電力を受けてそれを制御ボックス512による使用のためのDC電力に変換するように動作可能な整流器を備え得る。
【0063】
図15に示すように、例えば、制御ボックス512は、システムコントローラ260からデータ送受信機514を介してデータ及び/又は制御信号を受信し、各バイオリアクタ装置221、222、223及び224のセンサ(例えば、pH又は温度センサ)からそれらの間に延在するデータ送受信機517を通じてデータを受信し、受信した制御信号及び/又はデータに応じて、CO
2及び/若しくは空気供給手段510並びに/又は任意のバイオリアクタ装置221、222、223及び224の動作要素の一方又は両方に制御信号を出力するように、DC電源513からのDC電力によって動作可能なハードウェア及び/又はソフトウェアを備え得る。データ送受信機514及びデータ送受信機517は、有線データ接続として図示されているが、BlueTooth、WiFiなどで構成された無線データ接続であってもよい。
【0064】
したがって、ここに記載されかつ
図14及び15に図示されるように、例えば、制御ボックス512は、システムコントローラ260からシステムレベル制御信号(例えば、維持又は停止)を受信し、バイオリアクタ装置221、222、223及び224から(例えば、オンボードセンサから)フィードバックデータを受信し、制御信号に照らして各装置221、222、223及び224についてフィードバックデータを同時に解析し、それらのそれぞれのフィードバックデータのその解析に基づいてCO
2及び/若しくは空気供給手段510並びに/又は各装置221、222、223及び224の動作要素の一方又は両方について個別化された制御信号を生成し、かつ/又は個別化された制御信号をCO
2及び/若しくは空気供給手段510並びに/又は装置221、222、223及び224の動作要素に出力するように動作可能であり得る。
【0065】
上述した海藻システム10のシステムコントローラ160と同様に、海藻システム200のシステムコントローラ260は、海藻バイオリアクタシステム210のバイオリアクタ220並びに各対応の海藻バイオリアクタシステム211、212及び213の各対応のバイオリアクタ(例えば、バイオリアクタ420など)において海藻を成長させるのに最適な条件を維持するように動作可能なハードウェア及び/又はソフトウェアを備え得る。
図14に示すように、例えば、システムコントローラ260は、1以上の処理要素、データ送受信機及び同様の構成要素とともに動作可能なハウジング261及び表示要素262を備え得る。
【0066】
図14に示すように、例えば、ハウジング261は、剛体材料からなる自立構造物を備え得る。剛体材料は、支持構造物205上にシステムコントローラ260の要素を支持及び/又は収容するとともにそれらの要素のヒートシンクとして作用するように動作可能な金属材料(例えば、ダイヤモンドプレート)を備え得る。処理要素263は、ハウジング261内に位置し、システム200の他の要素からデータを受信してシステム200の他の要素に制御信号を送信するように動作可能なデータ処理要素を備え得る。例えば、処理要素263は、データを受信及び処理しかつ/又はここに記載される制御信号を生成及び出力するように(例えば、メモリに記憶された)ソフトウェアによって動作可能なプロセッサ、メモリ及び/又は送受信機の1以上を備え得る。
【0067】
表示要素262は、グラフィカルユーザインターフェースをユーザに提示し、そのユーザからのタッチベースの入力を受信するように処理要素263によって動作可能なタッチスクリーンディスプレイを備え得る。
図14に示すように、例えば、処理要素263は、動作命令を(例えば、人間及び/又はコンピュータのオペレータから)受信し、フィードバックデータを生命維持システム500、501、502及び/若しくは503から受信し、命令及び/若しくはフィードバックデータをローカル(例えば、オンボードチップ)及び/若しくはリモート処理要素(例えば、インターネットを介してアクセス可能なAI搭載システムなど)の任意の組合せによって解析し、それらのそれぞれの命令及びフィードバックデータのその解析に基づいて各生命維持システム500、501、502及び/若しくは503について個別化された制御信号を生成し、かつ/又は個別化された制御信号をシステム500、501、502及び/若しくは503に出力するように動作可能なデータ接続を確立及び維持するための通信バス又は他の任意の有線及び/若しくは無線データ通信ハードウェアを備え得る。
【0068】
システムコントローラ260の全部又は一部は、
図14では生命維持システム500、501、502及び503の付近にあるものとして図示されているが、例えば、海藻システム200から遠隔に位置してもよい。例えば、生命維持システム500、501、502及び503の各制御ボックス512は、ローカルにデータを処理し及び/又は制御信号を生成するように動作可能なマイクロコントローラ(例えば、マイクロコントローラ40など)を備えていてもよく、システムコントローラ260の全部又は一部はクラウドにあってもよく、インターネットを介してデータを受信し及び/又は制御信号を出力するように動作可能であってもよいことを意味する。本例を踏まえて、クラウドベースのバージョンのシステムコントローラ260(例えば、システムコントローラ160など)が、任意数の生命維持システム500、501、502、503などを監視及び制御し得る。
図27に示すように、例えば、システムコントローラ260のクラウドベースの実施形態は、生命維持システム500、501、502及び503によって同様に動作可能であり得る。
【0069】
配偶体のための海藻バイオリアクタ装置の実施例
本開示の態様を、所定容量の培養培地1中で配偶体を成長させるのに最適な条件を維持するように動作可能な例示的な海藻バイオリアクタ装置を参照してここに説明する。一部の態様を、例えば、
図14に示す海藻システム210の海藻バイオリアクタ装置221を参照して説明するが、代替的にシステム210の任意のバイオリアクタ装置222、223若しくは224及び/又は海藻システム211、212若しくは213の任意の対応するバイオリアクタ装置を参照して説明することもできる。海藻バイオリアクタ装置221の多数の潜在的な構成がここに記載され、各々は、下記の相違点を除いて、ここに記載される他の海藻バイオリアクタ装置のものと同様であり得る態様を有する。
【0070】
海藻バイオリアクタ装置221は、所定容量の培養培地1中に海藻細胞の培養物を含んで成長させるように、生命維持システム500及びシステムコントローラ260によって動作可能であり得る。バイオリアクタ装置221の態様は、所定容量の培養培地1中で配偶体を成長させるのに最適な条件を維持するように最適化され得る。
図14、15、16、17及び/又は18に示すように、例えば、海藻バイオリアクタ装置221は、エンクロージャ230、ハウジング231、取付けアセンブリ232、モータ233、温度制御ユニット234、培養培地センサ235、光源236、ベントフィルタ337、ポート238、ポート239及びバルブ300を備え得る。
【0071】
図14及び16に示すように、例えば、エンクロージャ230は、ハウジング231を周囲光から遮蔽する剛体材料から構成され得るものであり、それにより、ハウジング231に封入された所定容量の培養培地1に含まれる任意の海藻細胞に適用される光スペクトルを慎重に制御することが可能となる。剛体材料は、木材及び/又は木材のような高分子材料を備え得る。
図16及び18に示すように、例えば、エンクロージャ230は、外壁244、アクセスドア245、光フィルタリングウインドウ246及びフロー制御メータ364を備え得る。
【0072】
エンクロージャ230も、エンクロージャ30と同様に、遮光性であり得る。ただし、(例えば、エンクロージャ30と同様の)エンクロージャ230は、光フィルタリングウインドウ246を含み得るため光制御型としても記載され得るものであり、それが遮光性であり又は周囲光のフィルタ処理された部分をエンクロージャ230に選択的に投入するように動作可能であり得ることを意味する。
図16に示すように、例えば、エンクロージャ230の外壁244は、それらの端部において取り付けられて矩形を画定する6枚の壁を備え得る。前方壁(外壁)244は、アクセス開口部及びそれに(例えば、ヒンジによって)取外し可能に取り付けられたアクセスドア245を備えていてもよく、それにより、前方壁244を通じてエンクロージャ230の内部にアクセスするのが容易となる。光フィルタリングウインドウ246は、アクセスドア245を通じて延在する開口部にわたり、そこに取り付けられ得る。
図16に示すように、例えば、エンクロージャ230は、常時開放され又は(例えば、カバーを除去し又はシェードを開放することによって)選択的に開放されて特定の波長の光をエンクロージャ230内に含まれる海藻に導入し得る光フィルタリングウインドウ246を除いて(例えば、上記エンクロージャ30と同様の)遮光性エンクロージャであってもよい。本実施例では、光フィルタリングウインドウ246は、例えば、青色光に曝露することによって海藻培養物を「有性化する」ことなくエンクロージャ230内部の視認を可能とするように動作可能な青色光フィルタリング要素を備え得る。有性化するとは、海藻バイオマスが青色光(又は他の色相)に応じて卵子及び配偶子を形成することを誘発することを意味する。
【0073】
汚染を回避するため、海藻バイオリアクタ装置221は、アクセスドア245を開放することなく長期間(例えば、数週間又は数月)にわたって動作し得る。光フィルタリングウインドウ246は、エンクロージャ230内部を視認し、常時又は選択的にその期間中に海藻培養物を特定の光に曝露することを可能とし得る。フロー制御メータ364は、エンクロージャ230外部の温度に関連する温度データをその期間中に規則的な間隔で生命維持システム500に出力し得る。
【0074】
図17に示すように、例えば、ハウジング231は、所定容量の培養培地1を含むようにサイズ取りされた容器252を画定する壁251を備え得る。
図18に示すように、例えば、容器252は、フランジ253を有する開放上部及びフランジ254を有する開放下部を有する筒形状を備え得る。上述したハウジング31とは異なり、ハウジング231はサーマルジャケットを含まず、その代わりに温度制御ユニット234によってその重量及びシステム200における流体接続数を減少させ得る。ハウジング231は、軽量であるため、フランジ253の下面によってエンクロージャ230の内面から吊設され得る。
【0075】
図17において右側及び
図18に示すように、例えば、取付けアセンブリ232は、取付けプレート
2600、センサ支持管
2601、軸受シャフト
2602、モータマウント
2603、駆動シャフト266及びブレード267を備え得る。ここに記載する他の取付けアセンブリと同様に、取付けアセンブリ232もオートクレーブ可能であり得る。
【0076】
図17に示すように、例えば、取付けプレート
2600は、容器252を封止して周囲空気が容器252に侵入するのを防止するように動作可能なリムシール270によってフランジ253に取外し可能に取り付けられ得る。センサ支持管
2601は、容器252の開放下部に向けて取付けプレート
2600に取り付けられてそれを通じて延在する中空管を備え得る。軸受シャフト
2602は、取付けプレート
2600に取り付けられてそこから上向きに延在する中空管を備え得る。モータマウント
2603は、軸受シャフト
2602の上部に固定的に取り付けられ、そこを通じて延在する開口部を備え得る。軸受シャフトの下部は、取付けプレート
2600を通じて延在し得る。
【0077】
モータ233は、生命維持システム500の制御ボックス512から出力される制御信号によって動作可能な任意のタイプの電動モータを備え得る。
図17の右側に示すように、例えば、モータ233は、モータマウント
2603の上部に取り付けられて、周囲空気が容器252に侵入するのを防止する気密封止を形成し得る。モータ233の出力シャフトは、モータマウント
2603の開口部及び軸受シャフト
2602の中空管を通じて容器252内に向けられてもよい。上記を踏まえて、駆動シャフト266の一端は周囲空気が容器252に侵入するのをさらに防止するように動作可能な回転軸受を有するモータ233の出力シャフト(例えば、駆動シャフトカプラ65など)に取り付けられ、駆動シャフト266の他端はブレード267に取り付けられ得る。ブレード267自体は、ここに記載されるいずれかのブレード67、67-1、67-2、67-3、67-4、67-5、67-6又は67-7と同様であり得る。
【0078】
温度制御ユニット234は、生命維持システム500の制御ボックス512から出力される制御信号によって動作可能な任意の冷却デバイスを備え得る。
図18に示すように、例えば、温度制御ユニット234は、ハウジング231の壁251に取り付けられた温度センサ255、エンクロージャ230に取り付けられたフロー制御メータ364、(例えば、
図15に示すような)生命維持システム500の制御ボックス512からの制御信号及び/又はシステムコントローラ260からの制御信号に応じて、ファン及びペルチェ冷却器を利用して容器252を冷却する半導体空調デバイスを備え得る。温度制御ユニット234の取付け面は、エンクロージャ230の1つの
壁に取り付けられ、温度制御ユニット234の冷却部分は、それらをハウジング231に近づけて位置決めするようにエンクロージャ230の開口部を通じて延在するペルチェ冷却器及びファンを備え得る。例示として、温度制御ユニット234は、Advanced Cooling Technologies又は他のいずれかの競合他社によって販売されるものと同様のACT-TEC Thermoelectric Air Conditionerを備え得る。
【0079】
図18に示すように、例えば、培養培地センサ235は、容器252内の所定容量の培養培地1の1以上の特徴に関連するデータを(例えば、
図15に示すような)生命維持システム500に出力し得る。培養培地センサ235の態様は、上述した培養培地センサ35の態様と同様であり得る。
図18に示すように、例えば、培養培地センサ235は、周囲空気が容器252に侵入するのを防止するとともに容器252内でセンサ235の検知端280を位置決めするようにセンサ支持管
2601内に取り付けられ得る。上記のように、検知端280は、4ピン軍用アナログ接続部などの電力/データ接続部を用いて培養培地1のpHレベルに関連するデータを出力するように動作可能なpHセンサを備え得る。
【0080】
光源236は、(例えば、
図15に示すような)生命維持システム500の制御ボックス512から出力される制御信号によって動作可能な任意の照明デバイスを備え得る。光源236の態様は、上述した光源36の態様と同様であり得る。
図18に示すように、例えば、光源236は、エンクロージャ230の内面に同様に取り付けられ、様々なLEDのクラスタ及び/又はストリップを備え得るものであり、それらは、半透明ハウジング231に向けられ、青色相、赤色相及び海藻を成長させるのに適した他の任意の色相など、様々な色相の光をハウジング231に向けるように生命維持システム500によって動作可能である。
【0081】
ポート238は、容器252内の所定容量の培養培地1から廃液を除去するとともに追加容量の培養培地1を容器252に追加するように動作可能な導管及び/又は配管を備え得る。
図18に示すように、例えば、ポート238の一端は取付けプレート
2600を通じて容器252の内部に延在する送出管を備え、ポート238の他端は上清出口349と流通する管332に取り付けられた第1の分岐及び培養培地供給手段350と流通する管333に取り付けられた第2の分岐を有するY字コネクタを備え得る。上清出口349は、所定容量の培養培地1から所定量の上清を手動で除去するように動作可能なシリンジポート及び/又は生命維持システム500に応じて所定量の上清を除去するように動作可能なポンプを備え得る。
図18に示すように、例えば、管332は、上清が容器252に逆流するのを防止するように動作可能な逆止バルブ336を備え得る。
【0082】
培養培地供給手段350の態様は、上述の培養培地供給手段150の態様と同様であり得る。例えば、培養培地供給手段350は、生命維持システム500からの制御信号に応じて追加容量の培養培地1を追加するように動作可能なポンプ又はソレノイドを備え得る。
図18に示すように、例えば、ライン(管)333は、機械式水フィルタなど、汚染物質が容器252に侵入するのを防止するように動作可能な培地フィルタ335及び/又はそれが容器252に侵入する前に追加の培養培地1を滅菌するように生命維持システム500からの制御信号によって動作可能なインラインUV-C LED滅菌器を備え得る。
【0083】
ポート239は、培養培地1上のヘッドスペースを過剰に加圧することになる過剰量のCO
2及び/又は空気などの排気ガスを容器252から除去するように動作可能な導管及び/又は配管を備え得る。
図18に示すように、ポート239の下端はヘッドスペース内に延在し、ポート239の上端は通気排気部348と流通して管331に取り付けられ、過剰量のCO
2及び/又は空気をヘッドスペースから除去するための通路を提供し得る。ベントフィルタ337は、記載した動作方法のいずれかによってそこに真空が形成される場合に、フィルタ処理されていない周囲空気が容器252に侵入するのを防止し得る。
図18に示すように、例えば、ベントフィルタ337は、周囲空気が容器252に侵入するのを防止するようにポート239の上端に取り付けられ得る。
【0084】
図17に示すように、例えば、バルブ300は、容器252の開放下部を封止し、CO
2及び/又は空気を容器252内の培養培地1内に拡散させ、容器252から培養培地1を除去し得る。
図22に示すように、例えば、バルブ300はまた、汚染物質が容器252に侵入するのを防止する洗浄モードで動作可能となり得る。少なくともこれらの理由のため、バルブ300又はポート38はCO
2及び/又は空気を培養培地1内に拡散させるのに効果的に使用され得るが、海藻バイオリアクタ装置221のバルブ300はバイオリアクタ装置21のポート38を超える特定の有利な効果を有し得る。
図20、21及び/又は22に示すように、例えば、バルブ300は、バルブ本体301、リムシール302、除去ポート303、洗浄ポート304、送出ポート305及び制御ホイール306を備え得る。
【0085】
図20及び21に示すように、例えば、バルブ本体301は、フランジ307及び排水チャンバ308とともに上部を画定するように形成された(例えば、金属から3D印刷又は加工された)概ね筒状の剛体構造物を備え得る。フランジ307は、容器252及び排水チャンバ308の開放下部を封止するように、リムシール302によって半透明ハウジング231のフランジ254に取り付けられ得る。(例えば、リムシール270と同様の)リムシール302は、型締圧力をフランジ254、307に付与することによって漏出を防止するように動作可能なネジ式アクチュエータ309を備え得る。除去ポート303は、バルブ本体301の第1のチャネル内に螺合され、排水チャンバ308につながる除去ポートチャネル310を画定する内面を有し得る。洗浄ポート304は、バルブ本体301の第2のチャネル内に螺合され、排水チャンバ308につながる洗浄ポートチャネル311を画定する内面を有し得る。
【0086】
図21に示すように、例えば、送出ポート305は、バルブ本体301の第3のチャネル内部に摺動可能に取り付けられ、排水チャンバ308につながる送出ポートチャネル312を画定する内面を有し得る。送出ポート305及び送出ポートチャネル312の下部は、CO
2及び/又は空気を(例えば、後述するCO
2及び/又は空気供給手段340から)受容し、それを排水チャンバ308に向けることになる。送出ポート305の上部は受容したCO
2及び/又は空気を排水チャンバ308内に拡散させてそれを培養培地1を通じて気泡化させることを可能とするように動作可能なノズル314を備え得る。
【0087】
図21に示すように、例えば、制御ホイール306は、バルブ本体301に回転可能に取り付けられ、それを通じて延在する中心開口部を備え得る。送出ポート305は、バルブ本体301の第3のチャネル及び制御ホイール306の中心開口部を通じて可動であり得る。送出ポート305は、制御ホイール306の対応する雌ネジに係合可能な雄ネジを備えていてもよく、それにより、制御ホイール306を第1の方向(例えば、時計回り)に回転させると送出ポート305は排水チャンバ308に向かって移動し、ホイール306を第2の方向(例えば、反時計回り)に回転させると送出ポート305はチャンバ308から遠ざかる。
図21に示すように、例えば、送出ポート305は、ポート305の外面がポート303及び304の前方に位置決めされてそれらをチャンバ308から封止するまで制御ホイール306が第1の方向に回転されると、除去ポート303及び洗浄ポート304を閉じることになる。逆に、
図22に示すように、例えば、送出ポート305は、ポート305の外面がポート303及び304から離れて位置決めされてチャンバ308との流通を確立するまで制御ホイール306が第2の方向に回転されると、除去ポート303及び洗浄ポート304を開放することになる。ノズル314が送出ポート305の上面にあるため、ノズル314のフローはポート303及び304の開放及び/又は閉塞によっては影響を受けない。
【0088】
CO
2及び/又は空気供給手段340は、生命維持システム500の制御ボックス512から出力される制御信号によって動作可能な電気機械的デバイスを備え得る。CO
2及び/又は空気供給手段340の例示的な態様を、例えば、4個の独立動作可能なバイオリアクタ装置221、222、223及び224を含むものとして
図14に示す、海藻システム210の海藻バイオリアクタ220での使用に最適化された電気機械的デバイスの構成を参照してここに説明する。記載される態様は拡縮可能であり、一部の態様は海藻システム211、212、213などにおいて対応する海藻バイオリアクタでの使用のために反復され得ることを意味する。
図18に示すように、例えば、CO
2及び/又は空気供給手段340は、管361、入口フィルタ362、アダプタ363、フロー制御メータ364、エアポンプ365、フロースロットル367、CO
2ソレノイドバンク368、CO
2スプリッタ369及びCO
2タンク370を備え得る。
【0089】
図18に示すように、例えば、管361は、送出ポート305から、エアポンプ365につながる第1の分岐及びCO
2タンク370につながる第2の分岐を有するY字コネクタに向かって延在し得る。入口フィルタ362、アダプタ363及びフロー制御メータ364の各々は、Y字コネクタの前段の位置にある管361とインラインとなり得る。入口フィルタ362は、CO
2及び/又は空気から汚染物質を、それが送出ポート305に侵入して培養培地1内に拡散されないように除去し得る。アダプタ363は、エンクロージャ230の開口部を通じて延在してそれに取り付けられ、周囲空気を投入することなく管361をエンクロージャ230内に通すことを可能とし得る。フロー制御メータ364は、エンクロージャ230の内面に取り付けられ、管361を通じて容器252に向かって生命維持システム500まで流れるCO
2及び/又は空気の体積流量に関連するデータを出力するように動作可能であり得る。
【0090】
エアポンプ365は、生命維持システム500の制御ボックス512から出力される制御信号によって動作可能な1以上の電動エアポンプを備え得る。
図18に示すように、例えば、制御信号に応じて動作可能な複数のエアポンプ並びに海藻バイオリアクタ220の海藻バイオリアクタ装置221、222、223及び224の個々の出力を含む配電盤を備え得る。Y字コネクタの後段の管361の第1の分岐は、制御信号によって作動されていない場合にCO
2がエアポンプ365から漏出するのを防止するように動作可能な逆止バルブを備え得る。Y字コネクタの後段の管361の第2の分岐は、スロットル367、CO
2ソレノイドバンク368、CO
2スプリッタ369及びCO
2タンク370を備え得る。CO
2スプリッタ369は、海藻バイオリアクタ装置221、222、223及び224に対する個々の出力を含み得る。CO
2ソレノイドバンク368は、CO
2タンク370からのCO
2の1以上のフローを個々の出力に向けるように生命維持システム500からの制御信号によって動作可能であり得る。フロースロットル367は、1以上の出力から流れる空気に対するCO
2の割合に影響を与え得る。
【0091】
上述したように、海藻バイオリアクタシステム210は、シリンジを用いて手動で又はポンプを用いて自動的に除去するなどして、負圧を利用して所定容量の培養培地1から上清及び/又は廃液を除去し得る。より一層バイオセキュアな態様で上清及び/又は廃液を容器252から除去するように動作可能な代わりの配管構成によるシステム210の変形実施形態として、例えば、代替の海藻バイオリアクタシステム210
*を
図19に示す。システム210とは異なり、例えば、海藻バイオリアクタシステム210
*は、シリンジを用いる場合にあり得るように、容器252を開放することなく及び/又はそれ以外に培養培地1を周囲空気若しくは他の汚染物質に曝露することなく上清及び/又は廃液を除去するのに正圧を利用し得る。
【0092】
図19に示すように、例えば、ポート239は、通気排気部348につながる第1の分岐633及び三方バルブ699の(例えば、左側を向く)第1のポートにつながる第2の分岐634を有するY字コネクタを備える管631に取り付けられ得る。管631は、通気及びブランケットエアフィルタなどのインラインフィルタ637を備え得る。第1の分岐633は、通気排気部348に出入りするフローを停止させるように動作可能なバルブ638を備え得る。
図19に示すように、例えば、ポート238は、培養培地供給手段350につながる第1の分岐635及び上清出口349につながる第2の分岐636を有するY字コネクタを備える管632に取り付けられ得る。第1の分岐635は、培養培地供給手段350に出入りするフローを停止させるように動作可能なバルブ639を備え得る。第2の分岐636は、バックアップする必要がある場合に、上清出口349から容器252内に戻る上清及び/又は廃液のフローを防止するように動作可能な逆止バルブ640を備え得る。
図19に示すように、例えば、上清出口349は、培養培地1から除去された所定量の上清及び/又は廃液を受容する水盤又はドレインを備え得る。
【0093】
図19に示すように、例えば、CO
2及び/又は空気供給手段340、管361、入口フィルタ362、アダプタ363、フロー制御メータ364、エアポンプ365、フロースロットル367、CO
2ソレノイドバンク368、CO
2スプリッタ369及びCO
2タンク370の各々は、
図24を参照して上述したのと同様であり得る。ただし、海藻システム200
*では、管361は三方バルブ699の(例えば、下側を向く)第2のポートにつながり、供給手段340から出力されるCO
2及び/又は空気は三方バルブ699の(例えば、右側を向く)第3のポートに出力され得る。
【0094】
この配管構成によって、海藻バイオリアクタシステム210*は、結果として供給手段340から出力されるCO2及び/又は空気を培養培地1上のヘッドスペース内に方向転換するように動作可能となり得る。この方向転換は、CO2及び/又は空気のフローが容器252のヘッドスペースに侵入して正圧を生成するように、供給手段340にCO2及び/又は空気のフローを出力させ、三方バルブ699の第1のポートを開放し、ピンチバルブ638を閉じることによって行われる。より大きな及び/又は速い加圧が必要な場合には、供給手段340から出力されるCO2及び/又は空気の全てが利用されることを確保するように三方バルブ699の第2のポートが閉じられてもよい。
【0095】
正圧が得られると、海藻バイオリアクタシステム210
*は、その後に、容器252を開放することなく及び/又はそれ以外に培養培地1を周囲空気に曝露することなく上清及び/又は廃液を培養培地1から除去するように動作可能となり得る。
図19に示すように、例えば、ヘッドスペースを正圧に加圧した後にバルブ639を閉じるとともにバルブ641を開放することで、上清及び/又は廃液のフローを、管632の第2の分岐636を通じて上清出口349内に流出させて廃棄することになる。ポート238は、上清及び/又は廃液のほとんどが存在するハウジング231の上側又は中央部分に向かってのみ延在していればよく、これはそれらの除去に必要となる正圧の量を低減し得る。
図19に示すように、例えば、ライン(管)632のY字コネクタは、システム210
*が上清及び/又は廃液を容器252から除去していない場合に供給手段150からの追加容量の培養培地1が出口349に流入するのを防止するように傾斜され得る。
【0096】
図19に示すように、例えば、海藻バイオリアクタシステム210
*における各バルブは、システム210
*が所定のスケジュールに基づいて、及び/又は培養培地センサ235若しくは他のセンサによって出力されるもの(例えば、pHレベル)など、培養培地1に関連するデータに応じて、上清及び/又は廃液除去モードに切り換えられ得るように、生命維持システム500からの制御信号によって電子的に作動され得る。もちろん、海藻バイオリアクタシステム210
*における任意のバルブが手動で操作されてもよい。例えば、バルブ638、639及び641の各々は、ピンチバルブからなり得る。
【0097】
胞子体のための海藻バイオリアクタ装置の実施例
本開示の態様を、所定容量の培養培地1中で胞子体を成長させるのに最適な条件を維持するように動作可能な例示的な海藻バイオリアクタ装置を参照してここに説明する。一部の態様を、例えば、
図14に示す海藻システム212の海藻バイオリアクタ装置421を参照して説明するが、代替的にシステム212の任意のバイオリアクタ装置422、423若しくは424及び/又は海藻システム210、211若しくは213の任意の対応するバイオリアクタ装置を参照して説明することもできる。海藻バイオリアクタ装置421の多数の潜在的な構成がここに記載され、各々は、下記の相違点を除いて、ここに記載される他の海藻バイオリアクタ装置のものと同様であり得る態様を有する。
【0098】
海藻バイオリアクタ装置421は、所定容量の培養培地1中に海藻細胞の培養物を含んで成長させるように、生命維持システム502及びシステムコントローラ260によって動作可能であり得る。バイオリアクタ装置421の態様は、培養培地1中で胞子体を成長させるのに最適な条件を維持するように最適化され得る。
図23、24及び/又は25に示すように、例えば、海藻バイオリアクタ装置421は、エンクロージャ430、ハウジング431、取付けアセンブリ432、温度制御ユニット434、培養培地センサ435、光源436、ポート438、ポート439及びストロー490を備え得る。
【0099】
エンクロージャ430の態様は、上述したエンクロージャ230のそれらの対応する態様と同様であるが、外壁
(例えば、図16の壁244のようなもの(444
))、アクセスドア
(例えば、ドア245のようなもの(445
))、光フィルタリングウインドウ
(例えば、ウインドウ246のようなもの(446
))及び周囲温度センサ
(例えば、センサ247のようなもの(447
))など、400番台の符号が付されている。本実施例では、光フィルタリングウインドウ446は、青色光をエンクロージャ430に投入することによって海藻培養物を「有性化」するように動作可能な光フィルタリング要素を備え得る。上記を踏まえて、エンクロージャ430は、ここに与えられる実施例に従って遮光又は光制御型としても記載され得る。
【0100】
汚染を回避するため、海藻バイオリアクタ装置421は、装置221と同様に、アクセスドア445を開放することなく長期間(例えば、数週間又は数月)にわたって動作し得る。光フィルタリングウインドウ446は、エンクロージャ430内部を視認し、選択的にその期間中に海藻培養物に影響を与えることを可能とし得る。周囲温度センサ447は、エンクロージャ430外部の温度に関連する温度データをその期間中に規則的な間隔で生命維持システム502に出力し得る。
【0101】
図23に示すように、例えば、ハウジング431は、所定容量の培養培地1を含むようにサイズ取りされた容器452を画定する壁451を備え得る。
図24に示すように、例えば、容器452は、フランジ453を有する開放上部及び閉塞下部454を有する筒形状を備え得る。上述したハウジング31とは異なり、ハウジング431も、ハウジング231と同様に、サーマルジャケットを含まなくてもよく、代わりに温度制御ユニット434を用いる。ハウジング431は、フランジ453の下面によってエンクロージャ430の内面から吊設され得る。上記を踏まえて、容器452も、透光性容器として記載され得る。
【0102】
モータ233、ブレード267及び関連する要素を省略することによって、取付けアセンブリ432は、取付けアセンブリ232よりも比較的簡素となり得る。
図24において右側に示すように、例えば、取付けアセンブリ432は、取付けプレート460、センサ支持管461及び支持ラック462を備え得る。取付けアセンブリ432も、ここに記載される他の取付けアセンブリと同様に、オートクレーブ可能であり得る。
【0103】
図23に示すように、例えば、取付けプレート460は、容器452を封止して周囲空気が容器452に侵入するのを防止するように動作可能なネジ接続部によってフランジ453に取外し可能に取り付けられ得る。センサ支持管461は、取付けプレート460に取り付けられてそれを通じて容器452の閉塞下部に向かって延在する中空管を備え得る。支持構造物(支持ラック)462は、取付けプレート460に取り付けられるとともにそこから上向きに延在してポート438、ポート439及びストロー490のための鉛直支持を与える剛体管及びプレートを備えていてもよい。
【0104】
例えば、
図24に示
す、センサ435
(例えばその検知端480)、光源436、ポート438及び
/又はポート439
等の
温度制御ユニット434の態様は、システム412の要素がシステム410の生命維持システム500ではなく生命維持システム502に対してデータを出力し及び/又はそこからの制御信号に応じ得ることを除いて、例えば、上述しかつ
図18に示
す、センサ235
(例えばその検知端280)、光源236、ポート238及びポート239
等の
温度制御ユニット234の態様と同一であり得る。
【0105】
図24に示すように、例えば、ポート438の一端は、取付けプレート460を通じて容器452の内側部分に延在する送出管を備え、ポート438の他端は、廃液引抜き部449と流通する管432に取り付けられた第1の分岐及び培養培地供給手段450と流通する管433に取り付けられた第2の分岐を有するY字コネクタを備え得る。廃液引抜き部449は、ドレイン又は他の廃棄処分の形態につながることになる。上清出口349と同様に、廃液引抜き部449も、所定容量の培養培地1から所定量の上清を手動で除去するように動作可能なシリンジポート及び/又は生命維持システム502に応じて所定量の廃液を除去するように動作可能なポンプを備え得る。
図24に示すように、例えば、管432も、上清が容器452に逆流するのを防止するように動作可能な逆止バルブ
4360を備え得る。
【0106】
図24に示すように、培養培地供給手段450の態様は、
(例えば管又はライン333のような)ライン(管)433及び
(例えば図18の培地フィルタ335のような)培地フィルタ
4350など、上述した培養培地供給手段350の対応する態様と同一であり得る。通気排気部448及びベントフィルタ437などのポート439の態様も、上述したポート439の対応する態様と同一であり得る。海藻バイオリアクタ装置421から拡散バルブ300が省略されるため(例えば、
図24)、ストロー490は、CO
2及び/又は空気を、海藻バイオリアクタ装置21(例えば、
図4)のポート38と同様に容器452の下部に送出するのに利用され得る。
図24に示すように、例えば、ストロー490の下端は容器452の下部内に延在し、ストロー490の上端はCO
2及び/又は空気供給手段440と流通する管491に取り付けられ得る。入口フィルタ492及びフロー制御メータ493は、CO
2及び/又は空気供給手段440の前段の位置において管491とインラインとなり得る。入口フィルタ492はCO
2及び/又は空気からの汚染物質をストロー490に侵入しないように除去し得る。フロー制御メータ493は、エンクロージャ430に取り付けられ、管491を通じて流れるCO
2及び/又は空気の体積流量に関連するデータを生命維持システム502に出力するように動作可能であり得る。
【0107】
図24に示すように、例えば、海藻バイオリアクタシステム212のCO
2及び/又は空気供給手段440の態様は、海藻バイオリアクタシステム210のCO
2及び/又は空気供給手段240の対応する態様と同一であり得るが、生命維持システム502の(例えば、制御ボックス512と同様の)対応する制御ボックスから出力される制御信号によって動作可能な電気機械的デバイスを有し得る。これらの態様は拡縮可能であるため、CO
2及び/又は空気供給手段240、440は、同じCO
2及び/又は空気供給システムの一部であってもよく、したがって、CO
2及び/又は空気供給を海藻システム210、211、212及び213の任意の海藻バイオリアクタ装置に送出するように最適化され得る。
【0108】
上述したように、海藻バイオリアクタシステム212は、所定容量の培養培地1中で成長する胞子体を、シリンジを用いて手動で又はポンプを用いて自動的にそれらを除去するなどして、サンプリング又は採取するのに負圧を利用し得る。より一層バイオセキュアな態様で胞子体を容器452からサンプリング又は採取するように動作可能な代わりの配管構成によるシステム212の変形実施形態として、例えば、代替の海藻バイオリアクタシステム212
*を
図25に示す。システム212とは異なり、例えば、海藻バイオリアクタシステム212
*は、シリンジを用いる場合にあり得るように、容器452を開放することなく及び/又はそれ以外に培養培地1を周囲空気若しくは他の汚染物質に曝露することなく、胞子体をサンプリング又は採取するのに正圧を利用し得る。
【0109】
図25に示すように、例えば、ポート439は、通気排気部448につながる第1の分岐734及び三方バルブ799の(例えば、左側を向く)第1のポートにつながる第2の分岐732を有するY字コネクタを備える管731に取り付けられ得る。管731は、通気及びブランケットエアフィルタなどのインラインフィルタ737を備え得る。第1の分岐734は、通気排気部448に出入りするフローを停止させるように動作可能なバルブ738を備え得る。
図25に示すように、例えば、ポート438は、培養培地供給手段450につながるとともに供給手段450を出入りするフローを停止させるように動作可能なバルブ739を備える管733に取り付けられ得る。
【0110】
図25に示すように、例えば、CO
2及び/又は空気供給手段440、通気排気部448、培養培地供給手段450、入口フィルタ492及びフロー制御メータ493の各々は、
図24を参照して上述したのと同様であり得る。ただし、海藻バイオリアクタシステム212
*では、ストロー490が、三方バルブ799の(例えば、下側を向く)第2のポートにつながる第1の分岐793及び引抜き出口(廃液引抜き部)449につながる第2の分岐794を有するY字コネクタを備える管791に取り付けられ得る。第1の分岐793は、入口フィルタ492及びフロー制御メータ493とインラインであり得る。第2の分岐794は、引抜き出口449を出入りするフローを停止させるように動作可能なバルブ795を備え得る。
図25に示すように、例えば、引抜き出口449は、培養培地1からサンプリング又は採取された所定量の胞子体を回収する管又は容器を備え得る。供給手段440から出力されたCO
2及び/又は空気は、三方バルブ799の(例えば、右側を向く)第3のポートに出力され得る。
【0111】
したがって、その配管構成によって、海藻バイオリアクタシステム410*は、供給手段440から出力されたCO2及び/又は空気を培養培地1上のヘッドスペース内に方向転換するように動作可能であり得る。この方向転換は、CO2及び/又は空気のフローが容器452のヘッドスペースに侵入して正圧を生成するように、供給手段440にCO2及び/又は空気のフローを出力させ、三方バルブ799の第1のポートを開放し、バルブ738を閉じることによって行われる。
【0112】
正圧が得られると、海藻バイオリアクタシステム410
*は、その後に、容器452を開放することなく及び/又はそれ以外に培養培地1を周囲空気に曝露することなく、培養培地1中の胞子体をサンプリング又は採取するように動作可能となり得る。
図25に示すように、例えば、ヘッドスペースを正圧に加圧した後にバルブ739を閉じるとともにバルブ795を開放することで、胞子体を含む培養培地1のフローを、引抜き出口449内に管791の第2の分岐794を通じてストロー490から流出させて回収することになる。
図25に示すように、例えば、ストロー490は、ハウジング431の閉じた下部454に向けて延在し得る。一方、海藻バイオリアクタシステムのポート238は、上清及び/又は廃液のほとんどが存在し得るハウジング431の上側又は中央部分に向かってのみ延在していればよい。
【0113】
図25に示すように、例えば、海藻バイオリアクタシステム212
*における各バルブは、システム212
*が所定のスケジュールに基づいて、及び/又は培養培地センサ435若しくは他のセンサによって出力されるもの(例えば、pHレベル)など、培養培地1に関連するデータに応じてサンプリング又は採取モードに切り換えられ得るように、生命維持システム500からの制御信号によって電子的に作動され得る。もちろん、海藻バイオリアクタシステム212
*における任意のバルブが手動で操作されてもよい。例えば、バルブ738、739及び795の各々は、ピンチバルブからなり得る。
【0114】
海藻バイオリアクタ装置及びシステムを組み立てる例示的な方法
海藻バイオリアクタ装置21を組み立てる方法を、上記を引き続き参照してここに説明する。遮光性エンクロージャ30の床板41、後方壁42及び後方天板43が、
図7に示す例と同様の開放剛体構造物を形成するように相互に取り付けられ得る。
図3及び7に示すように、例えば、光源36の要素は、後方壁42に取り付けられ、熱的に結合され得る。
図8及び/又は9に示すように、例えば、ハウジング86は、後方壁42及びそこに位置するマイクロコントローラ40の要素に取り付けられ得る。
図3に示すように、例えば、ポンプ34のポンプボックス77が、ポンプマウント76によって後方天板43に取り付けられ得る。
【0115】
図5に示すように、例えば、取付けプレート60、センサ支持管61、軸受シャフト62、モータマウント63、フィルタマウント64、駆動シャフトカプラ65、駆動シャフト66及びブレード67が、
図5に示すものと同様のオートクレーブ可能な構造物を形成するように相互に取り付けられ得る。その後、これがオートクレーブ内に配置されて滅菌され得る。オートクレーブ可能な構造物が滅菌された後に、モータ33がモータマウント63に取り付けられ得る。
図4に示すように、例えば、その後に、取付けプレート60は、リムシール70などの封止要素を用いて半透明容器(ハウジング)31上に取り付けられて封着され得る。
【0116】
図3、4、5及び/又は7に示すように、例えば、センサ支持管61、軸受シャフト62、フィルタマウント64及び孔68、69(例えば、
図2及び3)のための開口部が受容開口部46の内部に位置するように、半透明容器31が、
図7に示す開放剛体構造物に摺動挿入され、前方天板45は後方壁42に取り付けられ、後方天板43に相互接続され得る。取付けプレート60の上面は、ここで、周囲光が海藻バイオリアクタ装置21の上部を通じてハウジング31に達するのを防止するように板43、45の底面に対抗して保持されることになる。
図3に示すように、例えば、入口管90が、入口55及び後方壁42を通じて延在する不透明バルブアセンブリ94に接続され得る。管93が、出口56及び後方壁42を通じて延在する不透明バルブアセンブリ94に接続され得る。
【0117】
図3及び/又は4に示すように、例えば、培養培地センサ35が、センサ支持シャフト(センサ支持管)61内に摺動挿入され、容器52内部の検知端80の位置を維持するように取付けプレート60に取外し可能に取り付けられ得る。種々の電気/データ接続が、培養培地センサ35からの検知データの出力並びにそのデータ及び/若しくは他のデータによる海藻バイオリアクタ装置21の制御を促進するように行われる。
図8に示すように、例えば、電力/データケーブル95は、モータ33をマイクロコントローラ40及び/又はシステムコントローラ160と電気/データ通信状態とし得る。電力/データケーブル96は、ポンプ34をマイクロコントローラ40及び/又はシステムコントローラ160と電気/データ通信状態とし得る。電力/データケーブル97は、光源36をマイクロコントローラ40及び/又はシステムコントローラ160と電気/データ通信状態とし得る。
図7に示すように、例えば、電力/データケーブル95は、同様に、培養培地センサ35の通信端81をマイクロコントローラ40及び/又はシステムコントローラ160と電気/データ通信状態とし得る。任意の有線及び/又は無線接続が利用され得る。
【0118】
図4に示すように、例えば、ベントフィルタ37は、バルブ71とともにフィルタマウント64に取り付けられ得る。
図7に示すように、例えば、三方バルブ99が、ポンプボックス77の側面に取り付けられ得る。種々の流体接続が、CO
2及び/又は空気を付加すること、培養培地1及びそこに含まれるバイオマスをサンプリングすること、並びにバイオマスを採取することを可能とするように行われ得る。そのような接続の一例を
図11に示し、システム10を参照して説明する。そのような接続の他の例を
図12に示し、以下に記載する変更を除いてシステム10と同様のシステム10Aを参照して説明する。
【0119】
システム10は、ガスを培養培地1に付加するためにCO
2及び/又は空気供給手段140を利用し、培養培地1を容器52に付加するとともに容器52に含まれるバイオマスをサンプリング又は採取するためにポンプ34を利用し得る。
図7、8、10及び11に示すように、例えば、インラインフィルタ101を含むライン100が、三方バルブ99の第1のポートとCO
2及び/又は空気供給手段140との間に第1の流通を確立し得る。ライン102が、三方バルブ99の第2のポートとポート39との間に第2の流通を確立し得る。ライン103が、三方バルブ99の第3のポートと、ポート38につながるY字コネクタ104の第1のポートとの間に第3の流通を確立し得る。ライン105が、ポート38につながるY字コネクタ104の第2のポートと、ポンプ34の第1のポートとの間に第4の流通を確立し得る。ライン106が、ポンプ34の第2のポートと、培養培地1の出力フローを出口又はリザーバ109に向けるライン108につながるY字コネクタ107の第1のポートとの間に第5の流通を確立し得る。インラインフィルタ111を有するライン110が、Y字コネクタ107の第2のポートと培養培地供給手段150との間に第6の流通を確立し得る。
【0120】
図11の接続の態様は、培養培地1をバイオセキュアな態様で採取、サンプリング及び付加するのに最適化され得る。
図11に示すように、例えば、ライン108は一方向逆止バルブ112を備え、ライン110は一方向逆止バルブ113を備え、それにより、ガス付加モード、培地付加モード及び培地除去モードの間でシステム10を切り換えることを可能とし得る。ガス付加モードでは、三方バルブ99の第2のポートが閉じられ、CO
2及び/又は空気供給手段140が、CO
2及び/又は空気を(例えば、フィルタ101の作用により)汚染物質をそこに導入することなく、ポート38を介して容器52の下部に付加するように動作可能となる。培地付加モードでは、ポンプ34が、逆止バルブ112が閉じられかつ逆止バルブ113が開放された状態で、所定容量の培養培地1を(例えば、フィルタ111の作用により)汚染物質をそこに導入することなく、ポート38を介して容器52に付加するように動作可能となる。培地除去モードでは、ポンプ34が、逆止バルブ112が開放されかつ逆止バルブ113が閉じられた状態で、培養培地1を、汚染物質をそこに導入することなく(例えば、容器52を開放することなく)、ポート38、Y字コネクタ107及びライン108を通じて容器52からリザーバ109にポンプ排出することによって培養培地1を採取又はサンプリングするように動作可能となる。
【0121】
システム10Aは、培養培地1を容器52に付加するためにポンプ34を利用し、ガスを容器52内の培養培地1に付加するとともに容器52に含まれるバイオマスをサンプリング若しくは採取するためにCO
2及び/又は空気供給手段140を利用し得る。
図12に示すように、例えば、そのインラインフィルタ101を含むライン100は、三方バルブ99の第1のポートとCO
2及び/又は空気供給手段140との間に前述の第1の流通を確立し得る。ライン102Aが、三方バルブ99の第2のポートと、ポート39につながるY字コネクタ104Aの第1のポートとの間に第2の流通を確立し得る。ライン103Aが、三方バルブ99の第3のポートと、ポート38につながるY字コネクタ107Aの第1のポートとの間に第3の流通を確立し得る。ライン105Aが、ポート39につながるY字コネクタ104Aの第2のポートと、ポンプ34の第1のポートとの間に第4の流通を確立し得る。ライン106Aが、培養培地1の出力フローを培養培地リザーバ109に向けるY字コネクタ107Aの第1のポートとの第5の流通を確立し得る。ライン110Aが、ポンプ34の第2のポートと培養培地供給手段150との間に第6の流通を確立する。
【0122】
図12の接続の態様も、培養培地1をバイオセキュアな態様で採取、サンプリング及び付加するのに最適化され得る。
図12に示すように、例えば、システム10Aは、同様に、ガス付加モード、培地付加モード及び培地除去モードの間で切換え可能となり得る。ガス付加モードでは、三方バルブ99の第2のポートが閉じられ、CO
2及び/又は空気供給手段140が、CO
2及び/又は空気を(例えば、フィルタ101の作用により)汚染物質をそこに導入することなく、ポート38を介して容器52の下部に付加するように動作可能となる。培地付加モードでは、三方バルブ99の第2のポートが閉じられ、ポンプ34が、培養培地1を(例えば、フィルタ111の作用により)汚染物質を容器52に導入することなく、ライン110、ライン105A及びY字コネクタ107Aの第2のポートを通じて容器52に付加するように動作可能となる。培地除去モードでは、三方バルブ99の第3のポートが閉じられ、逆止バルブ112が開放され、CO
2及び/又は空気供給手段140が、培養培地1上の容器52のヘッドスペースを加圧し、それにより、汚染物質をそこに導入することなく(例えば、容器52を開放することなく)、培養培地1及びそこに含まれる細断されたバイオマスのフローがポート38、Y字コネクタ107A及びライン106Aを通じて培養培地リザーバ109に向けて容器52を出るように動作可能となる。
【0123】
図11及び12に示すように、例えば、フィルタ101及び/又はフィルタ111は、システム10に流入する空気、CO
2及び/又は新たな培養培地1(例えば、水)のフローを滅菌するように動作可能なインラインUV-C LED滅菌器を備え得る。インライン滅菌器は、ホースバーブ及び/又は3クランプエンドを用いて設置されてもよく、ここに記載する他のラインとともにオートクレーブ可能であってもよい。
【0124】
図2に示すように、例えば、上記接続が行われた後に、前方壁44は、周囲光が容器52に達するのを防止するように床板41及び前方天板45に取り付けられ得る。
図7及び8に示すように、例えば、遮光性エンクロージャ30の態様は、配偶体の効率的な生産に重要となり得る。例えば、代替の手法は、ハウジング31を部屋に配置し、部屋全体を赤色光としてハウジング31内部の培養培地1をその赤色光に曝露することなどによって、部屋全体にわたる光スペクトル制御を得ることであってもよい。この代替の手法は、青色光に曝露することによって培養培地1を「pHレベル」に変化させることが必要となるまで、良好に作用する。これは、さもなければハウジング31を切り離して他の部屋及び/又は排水容器52に移動させ、培養培地1を他の部屋の他の容器52に移動させることを要することになり、この両方とも成長速度に悪影響を与え得るものである。
【0125】
これらの例示的な組立て方法の態様は、海藻バイオリアクタ装置221、海藻バイオリアクタ装置421及びその任意の変形例に対して、上記の構造的相違に対する適宜の変更によって適用可能となり得る。例えば、海藻バイオリアクタ装置221、421の一部の態様は海藻バイオリアクタ装置21の対応する要素よりも簡素であるので、上述した方法の一部はそれに従って簡素化され得ることも達成される。
【0126】
海藻バイオリアクタ装置及びシステムを動作させる例示的な方法
海藻システム(例えば、システム10、200)、海藻バイオリアクタシステム(例えば、システム210、210
*、212、212
*、213、214)、海藻バイオリアクタ(例えば、バイオリアクタ20、220、420など)及び海藻バイオリアクタ装置(例えば、バイオリアクタ装置21、22、23、24、221、222、223、224、421、422、423、444など)を動作させる態様を、
図12に示す態様を参照して説明する第1の海藻方
法、図5,6,及び/又は7に示す態様を参照して説明する第2の海藻方
法、図4,7,11,及び/又は12に示す態様を参照して説明する第3の海藻方
法及び
図11,12,及び/又は18に示す態様を参照して説明する第4の海藻方
法を含む様々な海藻方法
の態様を参照してここに説明する。それらの方法の各々は、マイクロコントローラ40及び/若しくはシステムコントローラ160又は生命維持システム500、501、502、503及び/若しくはシステムコントローラ260によって実行可能となり得る。
【0127】
図12に示す態様を参照して説明するように、例えば、第1の海藻方法は、CO2及び/若しくは空気供給手段140、空気供給制御バルブ142、CO2供給手段143、CO2供給バルブ144並びに/又は三方バルブ99を動作させて空気及び/又はCO2の混合物をポート38を通じて容器52の下部に連続的に導入するステップを備え得る。したがって、第1の方法は、空気を培養培地1の全体を通じて規則的に循環させ、配偶体及び/又は胞子体のような培養培地1中の海藻バイオマスを最適化及び持続させるのに利用され得る。
【0128】
図5,6,及び/又は7に示す態様を参照して説明するように、例えば、第2の海藻方法は、モータ33を動作させてブレード67を混合方向に所定速度(例えば、約50~約360RPMなど)で連続的に回転させてブレード67の混合用の、すなわち、三日月刃形状のエッジ74によって培養培地1を撹拌するステップ(混合ステップ)と、ブレード67を反対方向、すなわち、細断方向により速い所定速度(例えば、約2000~4000RPMなど)で断続的に回転させてブレード67の細断用の、すなわち、鎌形状のエッジ73によって培養培地1に含まれる海藻細胞を細断するステップ(細断ステップ)と、を備え得る。混合ステップは、培養培地1並びにそこに含まれる配偶体及び/又は胞子体のバイオマスを混合方向に旋回させるステップを含み得る。細断ステップは、細断用の、すなわち、鎌形状のエッジ73の細断能力を、バイオマスが混合方向に依然として旋回している間に鎌形状のエッジ73を細断方向に回転させることによって高めるのに利用され得る。
【0129】
図4,7,11,及び/又は12に示す態様を参照して説明するように、例えば、第3の海藻方法は、培養培地センサ35によって培養培地1のpHレベルを監視すること(監視ステップ)並びに所望のpHレベルを維持するようにCO2供給手段143及び/又はCO2供給バルブ144を変化させること(変化又は操作ステップ)によって、CO2のその需要量に基づいて培養培地1中の海藻バイオマスの所望の代謝速度を維持するステップを備え得る。この第3の海藻方法は、CO2消費を最大化するのに必要な最適採取率を特定することによって生産を最適化するCO2消費のフィードバックを利用するステップを備え得る。様々な変数が、変化ステップによって調整され得る。海藻バイオマスは約80%が炭素であるため、そのシステム10がより多くのCO2を必要とするほど、それがより多くのバイオマスを生産することになり、それにより、システム10の任意のパラメータ(例えば、温度及び/又は栄養素)が、所望のpHレベルを維持するのに変化ステップにおいて導入されなければならないCO2の量に基づいてさらに調整可能となる。
【0130】
第3の海藻方法はまた、CO2需要量に基づいて光源36から出力される光の強度及び/又はタイプを自動的に変化させるステップを備え得る。例えば、操作ステップは、培養培地1中の特定の海藻バイオマスが光阻害されないように扱うことが可能な光源36から出力される光の最大強度及び/又はタイプを選択するステップを備え得る。光阻害(例えば、日焼けなど)は、成長して元に戻るのに数日間を要する「太く短い(stubby)受容体」をもたらすことなどによって光が光受容体(例えば、クロロフィルA&B)に悪影響を及ぼす場合に起こる。したがって、培養培地センサ35があることによって、第3の海藻方法は、光阻害が人間のオペレータによって知得されずにもたらされて成長速度の低下につながる手動制御での再発問題を解決し得る。成長速度の低下は、その低下が何故起こったのかを人間のオペレータが把握すれば光を数日間にわたって減少させることによって容易に解決され得るものである。多くの事例において、培養培地センサ35がないために、人間のオペレータはこれを把握することができず、何もしないか又は(さらに悪いことに)光の強度を増加させてしまい、培養培地1中の海藻バイオマスの全部又は大部分を死滅させてしまう。
【0131】
図7に示す態様を参照して説明するように、例えば、第3の海藻方法の変化又は操作ステップはまた、光源36から出力される光の強度を既知の割合(例えば、2%)だけ増加させるステップ(第1の増加ステップ)と、その増加がCO2需要量にどのように影響したかを特定するステップ(特定ステップ)と、CO2需要量がより高く、培養が満足であることを示す場合には、光源36から出力される光の強度を更なる既知の割合(例えば、更なる2%)だけ増加させるステップ(第2の増加ステップ)又はCO2需要量がより低く、培養が満足でない及び/若しくは光阻害されていたことを示す場合には、光の強度を更なる既知の割合(例えば、1%)だけ低減させるステップ(低減ステップ)のいずれかと、を備え得る。本実施例では、CO2需要量が第1の増加ステップの後に増加しない場合には、第2の増加ステップは行われず、低減ステップは、増加ステップによって直前に適用された既知の割合(すなわち、上記の2%)を所定のリセット量(例えば、50%)だけ低下させるステップと、所定量の時間(例えば、1時間)を待機するステップと、所定のリセット量を除去することによって処理を開始し及び/又は増加ステップに戻るステップと、を備え得る。
【0132】
ここに記載される第3の海藻方法は、培養培地1が光阻害されずに対処することができる最大可能光強度をシステム10及び/又はバイオリアクタ20が反復的に特定することを可能とすることによって、培養培地1の生産性を向上し得る。第3の海藻方法は、培養を規模拡張する際に特に有用となり得る。規模拡張では、下部には少量(例えば、200L)の希薄藻類しか存在せず、それに過大な光を当てて容易に培養物を死滅させてしまうことになるため(10%の光でも過大となり得る)、オペレータが調光から開始しなければならないことが多い。一般的な手動作業は、成長レベルを「目測」して、光源36から出力される光の強度を1時間毎に5%又は10%など増分的に時間とともに手動で増加させることである。これら一般的な手動作業は、バイオマスが高密度となるにつれて幾らか恣意的なものとなり、第3の海藻方法に関してここに記載される操作ステップ及び他のステップによって回避されるはずの非効率性をもたらしてしまう。
【0133】
第3の海藻方法は
また、温度及び栄養素など、CO
2需要量に基づく他のパラメータを最適化するステップを備え得る。
図4,11,及び/又は12に示す態様を参照して説明するように、例えば、
第3の海藻方法の操作ステッ
プは、培養培地センサ35からの出力に基づいて光、採取率、温度、栄養素などを最適化するように多変数解析を実行し及び/又はAI/機械学習を適用するステップを備え得る。システム10及び/又はバイオリアクタ20は追加の検知要素を備えてもよく、
第3の海藻方法の操作ステッ
プはそれらの要素に応じて実行されてもよい。例えば、海藻バイオリアクタ装置21は容器52内の培養物の蛍光を測定するように動作可能な蛍光プローブを備えてもよく、
第3の海藻方
法は蛍光プローブによって培養培地1中の海藻バイオマスの特徴を自動的に特定するステップを備えていてもよい。更なる実施例として、海藻バイオリアクタ装置21は、容器52の閉塞端に隣接してハウジング31の外部に取り付けられた光学カメラなどの光学検知要素を備えていてもよい。
第3の海藻方
法は、容器52の閉塞端における培地1の濁度を測定することによって培養培地1中のバイオマスの特徴を特定するステップを備えていてもよい。
【0134】
図11,12,及び/又は18に示す態様を参照して説明するように、例えば、第4の海藻方法は、容器52又は252内の所定容量の培養培地1を汚染し得る逆流を防止することによって、バイオセキュアな態様で、培養培地1中の海藻バイオマスを採取するステップ、バイオマスをサンプリングするステップ並びに/又は追加容量のガス及び/若しくは培養培地1を容器52又は252に追加するステップを備え得る。第4の海藻方法の態様は、システム10、10A、及び/又は210によって実行され得る。
【0135】
図11のシステム10に関して、例えば、
第4の海藻方
法は、三方バルブ99の第2のポートを閉じるとともにCO
2及び/又は空気供給手段140にCO
2及び/又は空気をポート38を介して容器52に送出させることによって、CO
2及び/又は空気を容器52の下部に付加するステップと、逆止バルブ112を閉じ、逆止バルブ113を開放し、ポンプ34に追加容量をポート38を介して送出させることによって、所定容量の培養培地1を容器52に追加するステップと、逆止バルブ112を開放し、逆止バルブ113を閉じ、ポンプ34に培養培地1及びそこに含まれる細断されたバイオマスのフローをポート38、Y字コネクタ107及びライン108を介してリザーバ109に向けて容器52から送出させることによって、培養培地1をサンプリング又は採取するステップと、を備え得る。
図12のシステム10Aに関して、例えば、
第4の海藻方
法は、三方バルブ99の第2のポートを閉じるとともにCO
2及び/又は空気供給手段140にCO
2及び/又は空気をポート38を介して容器52に送出させることによって、CO
2及び/又は空気を容器52の下部に付加するステップと、ポンプ34に追加容量を培養培地供給手段150からポート39、ライン105A及びライン110を介して容器52に送出させることによって、所定容量の培養培地1を容器52に追加するステップと、培養培地1及び含まれる細断されたバイオマスのフローがポート38、Y字コネクタ107A及びライン106Aを通じてリザーバ109に向けて容器52を出るまで、三方バルブ99の第3のポートを閉じ、逆止バルブ112を閉じ、CO
2及び/又は空気供給手段140に容器52のヘッドスペースを加圧させることによって、培養培地1をサンプリング又は採取するステップと、を備え得る。容器52のヘッドスペースをこの態様で正圧に加圧することは、汚染物質が容器52に吸入されることを防止することにもなる。
【0136】
これらの例示的な動作方法の態様は、ここに記載される任意の海藻システム、海藻バイオリアクタシステム、海藻バイオリアクタ及び/又は海藻バイオリアクタ装置に対して、上記の構造的相違に対する適宜の変更によって適用可能となり得る。海藻バイオリアクタ装置221、421の一部の態様は海藻バイオリアクタ装置21の対応する要素よりも簡素であるので、例えば、上述した方法の一部はそれに従って簡素化され得ることも達成される。
【0137】
本開示の原理を特定の用途に対する説明的な態様を参照してここに記載するが、本開示はこれらに限定されない。当業者及びここに与えられる教示に接した者は、更なる変形例、用途、態様及び均等物の代替は全てここに記載される態様の範囲内となることを認識するはずである。したがって、本開示は、上記記載によって限定されるものとはみなされない。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正8】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正9】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】