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特表2024-527590脳ネットワークへの個別化された標的化非侵襲性刺激を提供するためのシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-25
(54)【発明の名称】脳ネットワークへの個別化された標的化非侵襲性刺激を提供するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/36 20060101AFI20240718BHJP
   A61B 5/055 20060101ALI20240718BHJP
   A61B 5/383 20210101ALI20240718BHJP
   A61B 5/377 20210101ALI20240718BHJP
   A61N 2/04 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
A61N1/36
A61B5/055 382
A61B5/055 380
A61B5/055 390
A61B5/383
A61B5/377
A61N2/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500639
(86)(22)【出願日】2022-07-05
(85)【翻訳文提出日】2024-02-27
(86)【国際出願番号】 US2022036115
(87)【国際公開番号】W WO2023283187
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】63/218,625
(32)【優先日】2021-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/277,086
(32)【優先日】2021-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PYTHON
(71)【出願人】
【識別番号】524008498
【氏名又は名称】シナプティカ セラピューティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】コック, ジャコモ
(72)【発明者】
【氏名】サンタルネッキ, エミリアーノ
【テーマコード(参考)】
4C053
4C096
4C106
4C127
【Fターム(参考)】
4C053JJ01
4C053JJ21
4C053JJ27
4C096AA17
4C096AA18
4C096AC01
4C096AD14
4C096DC19
4C096DC32
4C106AA03
4C106CC03
4C106FF12
4C127AA03
4C127BB05
4C127DD00
4C127DD03
4C127GG11
(57)【要約】
アルツハイマー病および関連する認知症を改善または処置または防止するためのデバイス、システム、および方法が、本明細書に開示される。方法は、個々の患者のデータを使用して、経頭蓋磁気刺激の場合におけるようにデバイスを介して送達される経頭蓋電磁気誘導のために、至適処置標的(複数可)、ならびに刺激強度、周波数、もしくは波形、またはこれらの任意の組み合わせを特定することを含み得る。システムおよび方法は、処置送達およびデータ処理のためのプラットフォームまたは基盤を含む。いくつかの実施形態において、方法は、認知機能を回復させる、臨床症状を改善する、変化した可塑性の機序を改変する、皮質興奮性および反応性をモジュレートする、もしくは局所的脳代謝における変化を誘導するために適用される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験体の脳の非侵襲性刺激のためのパラメーターを決定するための方法であって、前記方法は、
前記被験体の脳領域の複数の位置の各位置の非侵襲性刺激に応じて複数の誘発電位を感知すること;および
前記複数の誘発電位の少なくとも1つの特性に少なくとも部分的に基づいて、前記被験体に関する個別化刺激パラメーターを決定することであって、ここで前記個別化刺激パラメーターは、刺激位置および1またはこれより多くの刺激特性を含むこと、
を包含する方法。
【請求項2】
前記1またはこれより多くの刺激特性は、刺激強度および/または刺激周波数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記被験体の前記脳の運動皮質領域の非侵襲性刺激を提供することに応じて安静時運動閾値を感知すること;
前記安静時運動閾値に少なくとも部分的に基づいて、ベースライン刺激強度を決定すること;および
前記決定された個別化刺激パラメーターに少なくとも部分的に基づいて、前記ベースライン刺激強度を調整すること、
をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記脳領域は、脳ネットワークの一部であり、前記脳ネットワークは、前頭頭頂制御ネットワーク、感覚運動ネットワーク、前部サリエンスネットワーク、背側注意ネットワーク、腹側注意ネットワーク、視覚ネットワーク、聴覚ネットワーク、または言語ネットワークのうちの1またはこれより多くのものである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記脳領域は、DMNの一部である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記脳領域は、楔前部である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
刺激に応じた前記複数の誘発電位は、TMS-EEG同時記録を介して得られる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
非侵襲性刺激を提供することは、経頭蓋電気刺激または経頭蓋磁気刺激のうちの少なくとも一方を前記被験体の前記脳の前記決定された刺激位置に提供することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記複数の位置は、グリッド中に配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記1またはこれより多くの刺激特性は、前記複数の誘発電位のピーク振幅を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記個別化刺激パラメーターを決定することは、前記複数の誘発電位の最大ピーク振幅を有する前記複数の位置から1つの位置を選択することを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記複数の誘発電位を感知することは、脳波検査を使用して前記複数の誘発電位を感知することを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記決定された個別化刺激パラメーターに従って前記決定された刺激位置へと前記非侵襲性刺激を提供することによって、神経疾患または精神疾患を処置または改善することをさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記神経疾患または精神疾患は、アルツハイマー病である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記神経疾患または精神疾患は、軽度認知障害(MCI)である、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記神経疾患または精神疾患は、前頭側頭型認知症である、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記神経疾患または精神疾患は、脳ネットワークの変化、例えば、うつ病(DEP)、統合失調症(SCZ)、自閉症(AUT)、注意欠陥多動障害(ADHD)、双極性障害(BP)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病(PD)、外傷性脳傷害(TBI)、不眠症(INS)、意識障害(DOC)、頭痛(HD)、多発性硬化症(MS)、脳卒中(STR)、および脳腫瘍(BT)によって特徴づけられる、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記神経疾患または精神疾患は、記憶欠損によって特徴づけられる、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記神経疾患または精神疾患は、認知制御における欠損によって特徴づけられる、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記神経疾患または精神疾患は、機能的自立度の減少によって特徴づけられる、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
前記個別化刺激パラメーターに従って提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、中枢神経系に影響を及ぼす薬物介入と組み合わされる、請求項13に記載の方法。
【請求項22】
前記個別化刺激パラメーターに従って提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、認知評価、認知訓練または認知増強介入と組み合わされる、請求項13に記載の方法。
【請求項23】
前記個別化刺激パラメーターに従って提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、行動介入と組み合わされる、請求項13に記載の方法。
【請求項24】
前記個別化刺激パラメーターに従って提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、経頭蓋電気刺激を含む異なる非侵襲性刺激介入と組み合わされる、請求項13に記載の方法。
【請求項25】
前記脳領域は、少なくとも、角回の一部を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記脳領域は、少なくとも、側頭葉の一部を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記脳領域は、少なくとも、内側前頭前皮質の一部を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
患者の脳に対する標的化非侵襲性脳刺激のための個別化刺激特性を決定する方法であって、前記方法は、
前記患者の前記脳の運動皮質領域の非侵襲性刺激を提供することに応じて安静時運動閾値を感知すること;
前記運動皮質領域の外側の前記脳の領域を非侵襲性に刺激すること;
前記運動皮質領域の外側の前記脳の前記領域の前記刺激に応じて誘発電位を感知すること;および
前記感知した誘発電位の少なくとも1つの特性に少なくとも部分的に基づいて、刺激の前記安静時運動閾値を調整すること、
を包含する方法。
【請求項29】
前記運動皮質の外側の領域は、DMNの一部である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記運動皮質の外側の領域は、楔前部である、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
刺激に応じて前記誘発電位は、TMS-EEG同時記録を介して得られる、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記誘発電位の特性は、シグナル振幅である、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記誘発電位の特性のうちの1つは、刺激強度であり、前記刺激強度は、前記患者に対して標的領域において生成される電場を模倣する生物物理学的モデリング作業に基づいて調整される、請求項28に記載の方法。
【請求項34】
非侵襲性に刺激することは、経頭蓋電気刺激または経頭蓋磁気刺激のうちの少なくとも一方を、前記患者の前記脳の位置に提供することを包含する、請求項28に記載の方法。
【請求項35】
前記少なくとも1つの特性は、前記誘発電位のピーク振幅を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項36】
前記誘発電位を感知することは、脳波検査を使用して前記誘発電位を感知することを包含する、請求項28に記載の方法。
【請求項37】
前記少なくとも1つの誘発電位の最大ピーク振幅を有する、複数の位置のうちの1つの位置を選択することによって、個別化刺激標的を選択することをさらに包含する、請求項28に記載の方法。
【請求項38】
前記非侵襲性刺激を提供することによって、神経疾患または精神疾患を処置または改善することをさらに包含する、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記神経疾患または精神疾患は、アルツハイマー病である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記神経疾患または精神疾患は、軽度認知障害(MCI)である、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記神経疾患または精神疾患は、前頭側頭型認知症である、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
前記神経疾患または精神疾患は、脳ネットワークの変化、例えば、うつ病(DEP)、統合失調症(SCZ)、自閉症(AUT)、注意欠陥多動障害(ADHD)、双極性障害(BP)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病(PD)、外傷性脳傷害(TBI)、不眠症(INS)、意識障害(DOC)、頭痛(HD)、多発性硬化症(MS)、脳卒中(STR)、脳腫瘍(BT)によって特徴づけられる、請求項38に記載の方法。
【請求項43】
前記神経疾患または精神疾患は、記憶欠損によって特徴づけられる、請求項38に記載の方法。
【請求項44】
前記神経疾患または精神疾患は、認知制御における欠損によって特徴づけられる、請求項38に記載の方法。
【請求項45】
前記神経疾患または精神疾患は、機能的自立度の減少によって特徴づけられる、請求項38に記載の方法。
【請求項46】
前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、中枢神経系に影響を及ぼす薬物介入と組み合わされる、請求項38に記載の方法。
【請求項47】
前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、認知評価、認知訓練または認知増強介入のうちの1またはこれより多くと組み合わされる、請求項38に記載の方法。
【請求項48】
前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、行動介入と組み合わされる、請求項38に記載の方法。
【請求項49】
前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、経頭蓋電気刺激を含む異なる非侵襲性刺激介入と組み合わされる、請求項38に記載の方法。
【請求項50】
患者の脳に対する標的化非侵襲性脳刺激のための個別化刺激特性を決定するためのシステムであって、前記システムは、
前記患者の前記脳の運動皮質領域の非侵襲性刺激を提供することに応じて安静時運動閾値を感知するためのセンサーデバイス;および前記運動皮質領域の外側の前記脳の領域を非侵襲性に刺激するための刺激デバイスを含み;
ここで前記センサーデバイスは、前記運動皮質領域の外側の前記脳の前記領域の刺激に応じて誘発電位を感知するようにさらに構成され;
ここで前記刺激デバイスは、前記感知した誘発電位の少なくとも1つの特性に少なくとも部分的に基づいて、刺激の前記安静時運動閾値を調整するように構成される、
システム。
【請求項51】
前記前記運動皮質の外側の領域は、DMNの一部である、請求項50に記載のシステム。
【請求項52】
前記運動皮質の外側の領域は、楔前部である、請求項50に記載のシステム。
【請求項53】
刺激に応じた前記誘発電位は、TMS-EEG同時記録を介して得られる、請求項50に記載のシステム。
【請求項54】
前記誘発電位の特性は、シグナル振幅である、請求項50に記載のシステム。
【請求項55】
前記誘発電位の特性のうちの1つは、刺激強度であり、前記刺激強度は、前記患者に対して標的領域において生成される電場を模倣する生物物理学的モデリング作業に基づいて調整される、請求項50に記載のシステム。
【請求項56】
前記刺激デバイスは、経頭蓋電気刺激または経頭蓋磁気刺激のうちの少なくとも一方を、前記患者の前記脳の位置に提供するように構成される、請求項50に記載のシステム。
【請求項57】
前記複数の位置は、グリッド中に配置される、請求項50に記載のシステム。
【請求項58】
前記少なくとも1つの特性は、前記少なくとも1つの誘発電位のピーク振幅を含む、請求項50に記載のシステム。
【請求項59】
前記個別化刺激標的を選択することは、前記少なくとも1つの誘発電位の最大ピーク振幅を有する前記複数の位置のうちの前記位置を選択することを包含する、請求項50に記載のシステム。
【請求項60】
前記センサーデバイスは、脳波検査を使用して前記少なくとも1つの誘発電位を感知するように構成される、請求項50に記載のシステム。
【請求項61】
前記刺激デバイスは、前記非侵襲性刺激を個別化刺激標的に提供することによって、神経疾患または精神疾患を処置または改善するように構成される、請求項50に記載のシステム。
【請求項62】
前記神経疾患または精神疾患は、アルツハイマー病である、請求項61に記載のシステム。
【請求項63】
前記神経疾患または精神疾患は、軽度認知障害(MCI)である、請求項61に記載のシステム。
【請求項64】
前記神経疾患または精神疾患は、アルツハイマー病である、請求項61に記載のシステム。
【請求項65】
前記神経疾患または精神疾患は、脳ネットワークの変化、例えば、うつ病(DEP)、統合失調症(SCZ)、自閉症(AUT)、注意欠陥多動障害(ADHD)、双極性障害(BP)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病(PD)、外傷性脳傷害(TBI)、不眠症(INS)、意識障害(DOC)、頭痛(HD)、多発性硬化症(MS)、脳卒中(STR)、および脳腫瘍(BT)によって特徴づけられる、請求項61に記載のシステム。
【請求項66】
前記神経疾患または精神疾患は、記憶欠損によって特徴づけられる、請求項61に記載のシステム。
【請求項67】
前記神経疾患または精神疾患は、認知制御における欠損によって特徴づけられる、請求項61に記載のシステム。
【請求項68】
前記神経疾患または精神疾患は、機能的自立度の減少によって特徴づけられる、請求項61に記載のシステム。
【請求項69】
前記決定された個別化刺激標的に提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、中枢神経系に影響を及ぼす薬物介入と組み合わされる、請求項61に記載のシステム。
【請求項70】
前記決定された個別化刺激標的に提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、認知評価、認知訓練または認知増強介入と組み合わされる、請求項61に記載のシステム。
【請求項71】
前記決定された個別化刺激標的に提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、行動介入と組み合わされる、請求項61に記載のシステム。
【請求項72】
前記決定された個別化刺激標的に提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、経頭蓋電気刺激を含む異なる非侵襲性刺激介入と組み合わされる、請求項61に記載のシステム。
【請求項73】
患者の脳の非侵襲性刺激のためのパラメーターを決定するためのシステムであって、前記システムは、
a.患者の脳領域における複数の位置の各々の位置の非侵襲性刺激に応じて複数の誘発電位を感知するためのセンサーデバイス;および
b.前記複数の誘発電位の少なくとも1つの特性に少なくとも部分的に基づいて、前記患者に関する個別化刺激パラメーターを決定するように構成されたプロセッサーであって、ここで前記個別化刺激パラメーターは、刺激位置および1またはこれより多くの刺激特性を含む、プロセッサー、
を含むシステム。
【請求項74】
前記1またはこれより多くの刺激特性は、刺激強度および/または刺激周波数を含む、請求項73に記載のシステム。
【請求項75】
前記センサーデバイスは、前記患者の前記脳の運動皮質領域の非侵襲性刺激を提供することに応じて安静時運動閾値を感知するようにさらに構成され、前記プロセッサーは、前記安静時運動閾値に少なくとも部分的に基づいて、ベースライン刺激強度を決定するようにさらに構成され;前記プロセッサーは、前記決定した個別化刺激パラメーターに少なくとも部分的に基づいて、前記ベースライン刺激強度を調整するようにさらに構成される、請求項73に記載のシステム。
【請求項76】
前記脳領域は、脳ネットワークの一部である、請求項73に記載のシステム。
【請求項77】
前記脳領域は、DMNの一部である、請求項73に記載のシステム。
【請求項78】
前記脳領域は、楔前部である、請求項73に記載のシステム。
【請求項79】
刺激に応じた前記複数の誘発電位は、TMS-EEG同時記録を介して得られる、請求項73に記載のシステム。
【請求項80】
経頭蓋電気刺激または経頭蓋磁気刺激のうちの少なくとも一方を前記患者の前記脳の前記決定した刺激位置に提供することによって、前記個別化刺激パラメーターに基づいて前記被験体に非侵襲性刺激を提供する刺激デバイスをさらに含む、請求項73に記載のシステム。
【請求項81】
前記複数の位置は、グリッド中に配置される、請求項73に記載のシステム。
【請求項82】
前記1またはこれより多くの刺激特性は、前記複数の誘発電位のピーク振幅を含む、請求項73に記載のシステム。
【請求項83】
前記プロセッサーは、前記複数の誘発電位の最大ピーク振幅を有する前記複数の位置から1つの位置を選択することにより前記個別化刺激パラメーターを決定するように構成されている、請求項73に記載のシステム。
【請求項84】
前記センサーデバイスは、脳波検査を使用して前記複数の誘発電位を感知するように構成される、請求項73に記載のシステム。
【請求項85】
前記脳領域は、脳ネットワークの位置であり、前記脳ネットワークは、前頭頭頂制御ネットワーク、感覚運動ネットワーク、前部サリエンスネットワーク、背側注意ネットワーク、腹側注意ネットワーク、視覚ネットワーク、聴覚ネットワーク、言語ネットワークのうちの1またはこれより多くのものである、請求項73に記載のシステム。
【請求項86】
前記脳領域は、少なくとも、角回の一部を含む、請求項73に記載のシステム。
【請求項87】
前記脳領域は、少なくとも、側頭葉の一部を含む、請求項73に記載のシステム。
【請求項88】
前記脳領域は、少なくとも、内側前頭前皮質の一部を含む、請求項73に記載のシステム。
【請求項89】
前記決定された個別化刺激パラメーターに従って前記決定された刺激位置へと前記非侵襲性刺激を提供することによって、神経疾患または精神疾患を処置または改善する刺激デバイスをさらに含む、請求項73に記載のシステム。
【請求項90】
前記神経疾患または精神疾患は、アルツハイマー病である、請求項89に記載のシステム。
【請求項91】
前記神経疾患または精神疾患は、軽度認知障害(MCI)である、請求項89に記載のシステム。
【請求項92】
前記神経疾患または精神疾患は、前頭側頭型認知症である、請求項89に記載のシステム。
【請求項93】
前記神経疾患または精神疾患は、脳ネットワークの変化、例えば、うつ病(DEP)、統合失調症(SCZ)、自閉症(AUT)、注意欠陥多動障害(ADHD)、双極性障害(BP)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病(PD)、外傷性脳傷害(TBI)、不眠症(INS)、意識障害(DOC)、頭痛(HD)、多発性硬化症(MS)、脳卒中(STR)、および脳腫瘍(BT)によって特徴づけられる、請求項89に記載のシステム。
【請求項94】
前記神経疾患または精神疾患は、記憶欠損によって特徴づけられる、請求項89に記載のシステム。
【請求項95】
前記神経疾患または精神疾患は、認知制御における欠損によって特徴づけられる、請求項89に記載のシステム。
【請求項96】
前記神経疾患または精神疾患は、機能的自立度の減少によって特徴づけられる、請求項89に記載のシステム。
【請求項97】
前記個別化刺激パラメーターに従って提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、中枢神経系に影響を及ぼす薬物介入と組み合わされる、請求項89に記載のシステム。
【請求項98】
前記個別化刺激パラメーターに従って提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、認知評価、認知訓練または認知増強介入と組み合わされる、請求項89に記載のシステム。
【請求項99】
前記個別化刺激パラメーターに従って提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、行動介入と組み合わされる、請求項73に記載のシステム。
【請求項100】
前記個別化刺激パラメーターに従う前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、経頭蓋電気刺激を含む異なる非侵襲性刺激介入と組み合わされる、請求項73に記載のシステム。
【請求項101】
神経疾患または精神疾患を処置または改善するために、非侵襲性刺激に適した被験体の脳における第1の位置を特定するための方法であって、前記方法は、
前記被験体の前記脳のスキャンデータから、脳ネットワークを形成する複数の脳領域を特定すること;および
前記複数の脳領域の第1の脳領域内で、前記神経疾患または精神疾患を処置または改善するために非侵襲性刺激に適した前記第1の位置として、前記複数の脳領域の1またはこれより多くの他の脳領域に強く接続された前記第1の脳領域の部分領域を決定すること、
を包含する方法。
【請求項102】
前記スキャンデータは、機能的MRIデータ(fMRI)である、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
前記脳ネットワークは、デフォルトモードネットワーク(DMN)である、請求項101に記載の方法。
【請求項104】
前記第1の脳領域は、少なくとも、楔前部の一部を含む、請求項101に記載の方法。
【請求項105】
前記神経疾患または精神疾患は、アルツハイマー病である、請求項101に記載の方法。
【請求項106】
前記脳ネットワークを形成する前記複数の脳領域を前記特定することは、前記神経疾患を有する複数の被験体についてのニューロイメージングデータにさらに基づく、請求項101に記載の方法。
【請求項107】
前記スキャンデータは、ニューロイメージングデータを含む、請求項101に記載の方法。
【請求項108】
非侵襲性刺激を、前記被験体の前記脳の前記決定した第1の位置に提供することをさらに包含する、請求項101に記載の方法。
【請求項109】
前記脳ネットワークを形成する前記複数の脳領域を前記特定することは、脳コネクトミクス、ネットワーク理論、グラフ理論、または制御理論解析フレームワークのうちの1またはこれより多くに少なくとも部分的に基づく、請求項101に記載の方法。
【請求項110】
前記被験体に非侵襲性刺激を提供することをさらに含む、請求項101に記載の方法。
【請求項111】
非侵襲性刺激を提供することは、経頭蓋電気刺激または経頭蓋磁気刺激のうちの少なくとも一方を、前記患者の前記脳の前記決定した第1の位置に提供することを含む、請求項110に記載の方法。
【請求項112】
非侵襲性刺激を、前記第1の位置を含む前記第1の脳領域内の複数の位置に提供すること;
前記提供した刺激に応じて少なくとも1つの誘発電位を感知すること;および
個別化刺激標的として、前記少なくとも1つの誘発電位の少なくとも1つの特性に基づいて、前記神経疾患または精神疾患を処置または改善するために非侵襲性刺激に適しているとして、前記複数の位置のうちの1つの位置を選択すること、
をさらに包含する、請求項101に記載の方法。
【請求項113】
前記複数の位置は、グリッド中に配置される、請求項112に記載の方法。
【請求項114】
前記少なくとも1つの特性は、前記少なくとも1つの誘発電位のピーク振幅を含む、請求項112に記載の方法。
【請求項115】
前記個別化刺激標的を選択することは、前記少なくとも1つの誘発電位の最大のピーク振幅を有する前記複数の位置のうちの前記位置を選択することを包含する、請求項112に記載の方法。
【請求項116】
前記少なくとも1つの誘発電位を感知することは、脳波検査を使用して前記少なくとも1つの誘発電位を感知することを包含する、請求項112に記載の方法。
【請求項117】
前記非侵襲性刺激を前記決定した個別化刺激標的に提供することによって、前記神経疾患または精神疾患を処置または改善することをさらに包含する、請求項112に記載の方法。
【請求項118】
前記決定した個別化刺激標的に提供される前記非侵襲性刺激は、前記被験体の前記神経疾患または精神疾患を処置または改善するために有効であり、その結果、前記被験体は、12週間の期間後に、処置されていない被験体のものと比較して改善された認知スコアおよび臨床成績スコアを有する、請求項117に記載の方法。
【請求項119】
前記決定した個別化刺激標的に提供される前記非侵襲性刺激は、前記被験体の前記神経疾患または精神疾患を処置または改善するために有効であり、その結果、前記被験体は、24週間の期間後に、処置されていない被験体のものと比較して改善された認知スコアおよび臨床成績スコアを有する、請求項117に記載の方法。
【請求項120】
前記決定した個別化刺激標的に提供される前記非侵襲性刺激は、前記被験体の前記神経疾患または精神疾患を処置または改善するために有効であり、その結果、前記被験体は、24週間の期間後に、処置されていない被験体のものと比較して少なくとも25%小さな認知低下を有する、請求項117に記載の方法。
【請求項121】
前記決定した個別化刺激標的に提供される前記非侵襲性刺激は、前記被験体の前記神経疾患または精神疾患を処置または改善するために有効であり、その結果、前記被験体は、24週間の期間後に、処置されていない被験体のものと比較して疾患重篤度の少なくとも25%小さな低下を有する、請求項117に記載の方法。
【請求項122】
前記決定した個別化刺激標的に提供される前記非侵襲性刺激は、前記被験体の前記神経疾患または精神疾患を処置または改善するために有効であり、その結果、前記被験体は、24週間の期間後に、処置されていない被験体のものと比較して機能的自立度の少なくとも25%小さな低下を有する、請求項117に記載の方法。
【請求項123】
前記決定した個別化刺激標的に提供される前記非侵襲性刺激は、前記被験体の前記神経疾患または精神疾患を処置または改善するために有効であり、その結果、前記被験体は、24週間の期間後に、処置されていない被験体のものと比較してTEPの振幅の少なくとも25%小さな低下を有する、請求項117に記載の方法。
【請求項124】
前記決定した個別化刺激標的に提供される前記非侵襲性刺激は、前記被験体の前記神経疾患または精神疾患を処置または改善するために有効であり、その結果、前記被験体は、24週間の期間後に、処置されていない被験体のものと比較してネットワーク振動活性の少なくとも25%小さな低下を有する、請求項117に記載の方法。
【請求項125】
前記決定した個別化刺激標的に提供される前記非侵襲性刺激は、前記被験体の前記神経疾患または精神疾患を処置または改善するために有効であり、その結果、前記被験体は、24週間の期間後に、処置されていない被験体のものと比較してソースレベルネットワーク活性の少なくとも25%小さな低下を有する、請求項117に記載の方法。
【請求項126】
前記決定した個別化刺激標的に提供される前記非侵襲性刺激は、前記被験体の前記神経疾患または精神疾患を処置または改善するために有効であり、その結果、前記被験体は、24週間の期間後に、処置されていない被験体のものと比較してネットワーク代謝活性の少なくとも25%小さな低下を有する、請求項117に記載の方法。
【請求項127】
前記決定した個別化刺激標的に提供される前記非侵襲性刺激は、前記被験体の前記神経疾患または精神疾患を処置または改善するために有効であり、その結果、前記被験体は、処置されていない被験体のものと比較して速い脳振動活動の増大を有する、請求項117に記載の方法。
【請求項128】
前記決定した個別化刺激標的に提供される前記非侵襲性刺激は、前記被験体の前記神経疾患または精神疾患を処置または改善するために有効であり、その結果、前記被験体は、処置されていない被験体のものと比較してガンマ帯域の速い脳振動活動の増大を有する、請求項117に記載の方法。
【請求項129】
前記決定した個別化刺激標的に提供される前記非侵襲性刺激は、複数連続日にわたって、毎日、毎週またはこれらの組み合わせの頻度での複数非連続日にわたって送達される、請求項117に記載の方法。
【請求項130】
前記決定された個別化刺激標的に提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、中枢神経系に影響を及ぼす薬物介入と組み合わされる、請求項112に記載の方法。
【請求項131】
前記決定された個別化刺激標的に提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、認知評価、認知訓練または認知増強介入と組み合わされる、請求項112に記載の方法。
【請求項132】
前記決定された個別化刺激標的に供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、行動介入と組み合わされる、請求項112に記載の方法。
【請求項133】
前記決定された個別化刺激標的に提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、経頭蓋電気刺激を含む異なる非侵襲性刺激介入と組み合わされる、請求項112に記載の方法。
【請求項134】
前記第2の非侵襲性刺激介入は、逐次にまたは同時に送達される、経頭蓋交流刺激である、請求項133に記載の方法。
【請求項135】
前記スキャンデータは、拡散MRIデータを含む、請求項101に記載の方法。
【請求項136】
前記スキャンデータは、灌流MRIデータを含む、請求項101に記載の方法。
【請求項137】
前記スキャンデータは、局所灌流/代謝レベルをインデックス化するか、またはタンパク質負荷をインデックス化するか、または神経炎症を測定する陽電子放出断層撮影(PET)データを含む、請求項101に記載の方法。
【請求項138】
前記脳ネットワークは、前頭頭頂制御ネットワーク、感覚運動ネットワーク、前部サリエンスネットワーク、背側注意ネットワーク、腹側注意ネットワーク、視覚ネットワーク、聴覚ネットワーク、または言語ネットワークのうちの1またはこれより多くを含む、請求項101に記載の方法。
【請求項139】
前記第1の脳領域は、少なくとも、角回の一部を含む、請求項101に記載の方法。
【請求項140】
前記第1の脳領域は、少なくとも、側頭葉の一部を含む、請求項101に記載の方法。
【請求項141】
前記第1の脳領域は、少なくとも、内側前頭前皮質の一部を含む、請求項101に記載の方法。
【請求項142】
前記神経疾患または精神疾患は、軽度認知障害(MCI)である、請求項101に記載の方法。
【請求項143】
前記神経疾患または精神疾患は、前頭側頭型認知症である、請求項101に記載の方法。
【請求項144】
前記神経疾患または精神疾患は、脳ネットワークの変化、例えば、うつ病(DEP)、統合失調症(SCZ)、自閉症(AUT)、注意欠陥多動障害(ADHD)、双極性障害(BP)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病(PD)、外傷性脳傷害(TBI)、不眠症(INS)、意識障害(DOC)、頭痛(HD)、多発性硬化症(MS)、脳卒中(STR)、および脳腫瘍(BT)によって特徴づけられる、請求項101に記載の方法。
【請求項145】
前記神経疾患または精神疾患は、記憶欠損によって特徴づけられる、請求項101に記載の方法。
【請求項146】
前記神経疾患または精神疾患は、認知制御における欠損によって特徴づけられる、請求項101に記載の方法。
【請求項147】
前記神経疾患または精神疾患は、機能的自立度の減少によって特徴づけられる、請求項101に記載の方法。
【請求項148】
被験体において神経疾患または精神疾患を処置または改善するために、脳領域における個別化刺激標的を決定するための方法であって、前記方法は、
被験体の脳領域における複数の位置の各々の位置を非侵襲性に刺激すること;
前記提供した刺激に応じて少なくとも1つの誘発電位を感知すること;および
前記被験体のための個別化刺激標的として、前記神経疾患または精神疾患を処置または改善するために、治療上有効な非侵襲性刺激を提供するために適切な前記複数の位置のうちの1つの位置を選択することであって、ここで前記選択することは、前記少なくとも1つの誘発電位の少なくとも1つの特性に基づくこと、
を包含する方法。
【請求項149】
前記脳領域は、デフォルトモードネットワーク(DMN)の一部である、請求項148に記載の方法。
【請求項150】
前記脳領域は、少なくとも、楔前部の一部を含む、請求項148に記載の方法。
【請求項151】
前記神経疾患または精神疾患は、アルツハイマー病である、請求項148に記載の方法。
【請求項152】
非侵襲性刺激を提供することは、経頭蓋電気刺激または経頭蓋磁気刺激のうちの少なくとも一方を、前記被験体の脳の前記個別化刺激標的に提供することを含む、請求項148に記載の方法。
【請求項153】
前記複数の位置は、グリッド中に配置される、請求項148に記載の方法。
【請求項154】
前記少なくとも1つの特性は、前記少なくとも1つの誘発電位のピーク振幅を含む、請求項148に記載の方法。
【請求項155】
前記個別化刺激標的を選択することは、前記少なくとも1つの誘発電位の最大ピーク振幅を有する前記複数の位置のうちの前記位置を選択することを包含する、請求項148に記載の方法。
【請求項156】
前記少なくとも1つの誘発電位を感知することは、脳波検査を使用して前記少なくとも1つの誘発電位を感知することを包含する、請求項148に記載の方法。
【請求項157】
前記非侵襲性刺激を前記選択した個別化刺激標的に提供することによって、前記神経疾患または精神疾患を処置または改善することをさらに包含する、請求項148に記載の方法。
【請求項158】
前記脳ネットワークは、前頭頭頂制御ネットワーク、感覚運動ネットワーク、前部サリエンスネットワーク、背側注意ネットワーク、腹側注意ネットワーク、視覚ネットワーク、聴覚ネットワーク、または言語ネットワークのうちの1またはこれより多くのものである、請求項148に記載の方法。
【請求項159】
前記脳領域は、少なくとも、角回の一部を含む、請求項148に記載の方法。
【請求項160】
前記脳領域は、少なくとも、側頭葉の一部を含む、請求項148に記載の方法。
【請求項161】
前記脳領域は、少なくとも、内側前頭前皮質の一部を含む、請求項148に記載の方法。
【請求項162】
前記神経疾患または精神疾患は、軽度認知障害(MCI)である、請求項148に記載の方法。
【請求項163】
前記神経疾患または精神疾患は、前頭側頭型認知症である、請求項148に記載の方法。
【請求項164】
前記神経疾患または精神疾患は、脳ネットワークの変化、例えば、うつ病(DEP)、統合失調症(SCZ)、自閉症(AUT)、注意欠陥多動障害(ADHD)、双極性障害(BP)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病(PD)、外傷性脳傷害(TBI)、不眠症(INS)、意識障害(DOC)、頭痛(HD)、多発性硬化症(MS)、脳卒中(STR)、および脳腫瘍(BT)によって特徴づけられる、請求項148に記載の方法。
【請求項165】
前記神経疾患または精神疾患は、記憶欠損によって特徴づけられる、請求項148に記載の方法。
【請求項166】
前記神経疾患または精神疾患は、認知制御における欠損によって特徴づけられる、請求項148に記載の方法。
【請求項167】
前記神経疾患または精神疾患は、機能的自立度の減少によって特徴づけられる、請求項148に記載の方法。
【請求項168】
前記選択した個別化刺激標的に提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、中枢神経系に影響を及ぼす薬物介入と組み合わされる、請求項148に記載の方法。
【請求項169】
前記選択した個別化刺激標的に提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、認知評価、認知訓練または認知増強介入と組み合わされる、請求項148に記載の方法。
【請求項170】
前記選択した個別化刺激標的に提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、行動介入と組み合わされる、請求項148に記載の方法。
【請求項171】
前記選択した個別化刺激標的に提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、経頭蓋電気刺激を含む異なる非侵襲性刺激介入と組み合わされる、請求項148に記載の方法。
【請求項172】
被験体において神経疾患または精神疾患を処置または改善する方法であって、前記方法は、
脳ネットワークを形成するとして特定された複数の脳領域の第1の脳領域における第1の位置を非侵襲性に刺激すること、
を包含し、ここで前記第1の位置は、前記複数の脳領域の1またはこれより多くの他の脳領域に強く接続される前記第1の脳領域の部分領域である、方法。
【請求項173】
前記脳ネットワークを形成する前記複数の脳領域は、前記被験体の脳のスキャンデータに基づいて特定される、請求項172に記載の方法。
【請求項174】
前記第1の脳領域は、デフォルトモードネットワーク(DMN)の一部である、請求項172に記載の方法。
【請求項175】
前記第1の脳領域は、少なくとも、楔前部の一部を含む、請求項172に記載の方法。
【請求項176】
前記神経疾患または精神疾患は、アルツハイマー病である、請求項172に記載の方法。
【請求項177】
非侵襲性刺激を提供することは、経頭蓋電気刺激または経頭蓋磁気刺激のうちの少なくとも一方を前記患者の脳の前記第1の位置に提供することを含む、請求項172に記載の方法。
【請求項178】
前記非侵襲性刺激を前記第1の位置に提供することによって、前記神経疾患または精神疾患を処置または改善することをさらに包含する、請求項172に記載の方法。
【請求項179】
前記脳ネットワークは、前頭頭頂制御ネットワーク、感覚運動ネットワーク、前部サリエンスネットワーク、背側注意ネットワーク、腹側注意ネットワーク、視覚ネットワーク、聴覚ネットワーク、または言語ネットワークのうちの1またはこれより多くのものである、請求項172に記載の方法。
【請求項180】
前記第1の位置は、少なくとも、角回の一部を含む、請求項172に記載の方法。
【請求項181】
前記第1の位置は、少なくとも、側頭葉の一部を含む、請求項172に記載の方法。
【請求項182】
前記第1の位置は、少なくとも、内側前頭前皮質の一部を含む、請求項172に記載の方法。
【請求項183】
前記神経疾患または精神疾患は、軽度認知障害(MCI)である、請求項172に記載の方法。
【請求項184】
前記神経疾患または精神疾患は、前頭側頭型認知症である、請求項172に記載の方法。
【請求項185】
前記神経疾患または精神疾患は、脳ネットワークの変化、例えば、うつ病(DEP)、統合失調症(SCZ)、自閉症(AUT)、注意欠陥多動障害(ADHD)、双極性障害(BP)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病(PD)、外傷性脳傷害(TBI)、不眠症(INS)、意識障害(DOC)、頭痛(HD)、多発性硬化症(MS)、脳卒中(STR)、および脳腫瘍(BT)によって特徴づけられる、請求項172に記載の方法。
【請求項186】
前記神経疾患または精神疾患は、記憶欠損によって特徴づけられる、請求項172に記載の方法。
【請求項187】
前記神経疾患または精神疾患は、認知制御における欠損によって特徴づけられる、請求項172に記載の方法。
【請求項188】
前記神経疾患または精神疾患は、機能的自立度の減少によって特徴づけられる、請求項172に記載の方法。
【請求項189】
前記第1の位置に提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、中枢神経系に影響を及ぼす薬物介入と組み合わされる、請求項172に記載の方法。
【請求項190】
前記第1の位置に提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、認知評価、認知訓練または認知増強介入と組み合わされる、請求項172に記載の方法。
【請求項191】
前記第1の位置に提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、行動介入と組み合わされる、請求項172に記載の方法。
【請求項192】
前記第1の位置に提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、経頭蓋電気刺激を含む異なる非侵襲性刺激介入と組み合わされる、請求項172に記載の方法。
【請求項193】
被験体に対する標的化非侵襲性脳刺激のための個別化刺激特性を決定する方法であって、前記方法は、
前記脳の領域を非侵襲性に刺激すること;
前記脳の領域における刺激によって誘導される電場を予測すること;および
前記誘導される電場の少なくとも1つの特性に少なくとも部分的に基づいて、前記刺激特性を調整すること、を包含する方法。
【請求項194】
前記誘導される電場の強度は、継続期間の刺激強度、周波数、パルス形状のうちの1またはこれより多くを調整するために使用される、請求項193に記載の方法。
【請求項195】
前記脳の前記領域は、デフォルトモードネットワーク(DMN)の一部である、請求項193に記載の方法。
【請求項196】
前記脳の前記領域は、少なくとも、楔前部の一部を含む、請求項193に記載の方法。
【請求項197】
前記脳の前記領域の非侵襲性刺激は、経頭蓋電気刺激または経頭蓋磁気刺激のうちの少なくとも一方を、前記刺激特性に従って提供することを包含する、請求項193に記載の方法。
【請求項198】
前記非侵襲性刺激を前記刺激特性に従って提供することによって、神経疾患または精神疾患を処置または改善することをさらに包含する、請求項193~請求項197のいずれかに記載の方法。
【請求項199】
前記被験体の前記脳のスキャンデータに基づいて、脳ネットワークを形成する複数の脳領域を特定することをさらに包含し、ここで非侵襲性に刺激される前記脳の前記領域は、前記脳ネットワークの脳領域である、請求項193に記載の方法。
【請求項200】
前記脳ネットワークは、前頭頭頂制御ネットワーク、感覚運動ネットワーク、前部サリエンスネットワーク、背側注意ネットワーク、腹側注意ネットワーク、視覚ネットワーク、聴覚ネットワーク、または言語ネットワークのうちの1またはこれより多くのものである、請求項199に記載の方法。
【請求項201】
前記脳領域は、少なくとも、角回の一部を含む、請求項199に記載の方法。
【請求項202】
前記脳領域は、少なくとも、側頭葉の一部を含む、請求項199に記載の方法。
【請求項203】
前記脳領域は、少なくとも、内側前頭前皮質の一部を含む、請求項199に記載の方法。
【請求項204】
前記神経疾患または精神疾患は、アルツハイマー病である、請求項198に記載の方法。
【請求項205】
前記神経疾患または精神疾患は、軽度認知障害(MCI)である、請求項198に記載の方法。
【請求項206】
前記神経疾患または精神疾患は、前頭側頭型認知症である、請求項198に記載の方法。
【請求項207】
前記神経疾患または精神疾患は、脳ネットワークの変化、例えば、うつ病(DEP)、統合失調症(SCZ)、自閉症(AUT)、注意欠陥多動障害(ADHD)、双極性障害(BP)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病(PD)、外傷性脳傷害(TBI)、不眠症(INS)、意識障害(DOC)、頭痛(HD)、多発性硬化症(MS)、脳卒中(STR)、および脳腫瘍(BT)によって特徴づけられる、請求項198に記載の方法。
【請求項208】
前記神経疾患または精神疾患は、記憶欠損によって特徴づけられる、請求項198に記載の方法。
【請求項209】
前記神経疾患または精神疾患は、認知制御における欠損によって特徴づけられる、請求項198に記載の方法。
【請求項210】
前記神経疾患または精神疾患は、機能的自立度の減少によって特徴づけられる、請求項198に記載の方法。
【請求項211】
前記刺激特性に従って提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、中枢神経系に影響を及ぼす薬物介入と組み合わされる、請求項198に記載の方法。
【請求項212】
前記刺激特性に従って提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、認知評価、認知訓練または認知増強介入と組み合わされる、請求項198に記載の方法。
【請求項213】
前記刺激特性に従って提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、行動介入と組み合わされる、請求項198に記載の方法。
【請求項214】
前記刺激特性に従って提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、経頭蓋電気刺激を含む異なる非侵襲性刺激介入と組み合わされる、請求項198に記載の方法。
【請求項215】
神経疾患または精神疾患を処置または改善するために、非侵襲性刺激に適した被験体の脳において第1の位置を特定するためのシステムであって、前記システムは、
前記被験体の前記脳のスキャンデータを生成するように構成されたイメージングソース;および
(i)前記スキャンデータから、脳ネットワークを形成する複数の脳領域を特定する、および
(ii)前記複数の脳領域の第1の脳領域内で、非侵襲性刺激に適した前記第1の位置として、前記複数の脳領域の1またはこれより多くの他の脳領域に強く接続される前記第1の脳領域の部分領域を決定する、
ように構成されたプロセッサー、
を含むシステム。
【請求項216】
少なくとも、前記被験体の前記脳の前記第1の位置に非侵襲性刺激を提供するための刺激デバイスをさらに含む、請求項215に記載のシステム。
【請求項217】
前記イメージングソースは、磁気共鳴イメージング(MRI)である、請求項215に記載のシステム。
【請求項218】
前記スキャンデータは、拡散MRIデータである、請求項215に記載のシステム。
【請求項219】
前記スキャンデータは、灌流MRIデータである、請求項215に記載のシステム。
【請求項220】
前記スキャンデータは、局所灌流/代謝レベルをインデックス化するか、またはタンパク質負荷をインデックス化するか、または神経炎症を測定するPETデータである、請求項215に記載のシステム。
【請求項221】
前記スキャンデータは、神経疾患を有する複数の被験体に関するニューロイメージングデータを含む、請求項215に記載のシステム。
【請求項222】
前記スキャンデータは、ニューロイメージングデータを含む、請求項215に記載のシステム。
【請求項223】
前記プロセッサーは、脳コネクトミクス、ネットワーク理論、グラフ理論、または制御理論解析フレームワークのうちの1またはこれより多くのものに基づいて、前記脳ネットワークを特定するように構成される、請求項215に記載のシステム。
【請求項224】
前記プロセッサーは、前記神経疾患または精神疾患が、前記決定した第1の位置に前記非侵襲性刺激を提供することによって処置されるようにするためにさらに構成される、請求項215に記載のシステム。
【請求項225】
前記脳ネットワークは、前頭頭頂制御ネットワーク、感覚運動ネットワーク、前部サリエンスネットワーク、背側注意ネットワーク、腹側注意ネットワーク、視覚ネットワーク、聴覚ネットワーク、または言語ネットワークのうちの1またはこれより多くのものである、請求項215に記載のシステム。
【請求項226】
前記第1の脳領域は、少なくとも、楔前部の一部を含む、請求項215に記載のシステム。
【請求項227】
前記第1の脳領域は、少なくとも、角回の一部を含む、請求項215に記載のシステム。
【請求項228】
前記第1の脳領域は、少なくとも、側頭葉の一部を含む、請求項215に記載のシステム。
【請求項229】
前記第1の脳領域は、少なくとも、内側前頭前皮質の一部を含む、請求項215に記載のシステム。
【請求項230】
前記神経疾患または精神疾患は、アルツハイマー病である、請求項215に記載のシステム。
【請求項231】
前記神経疾患または精神疾患は、軽度認知障害(MCI)である、請求項215に記載のシステム。
【請求項232】
前記神経疾患または精神疾患は、前頭側頭型認知症である、請求項215に記載のシステム。
【請求項233】
前記神経疾患または精神疾患は、脳ネットワークの変化、例えば、うつ病(DEP)、統合失調症(SCZ)、自閉症(AUT)、注意欠陥多動障害(ADHD)、双極性障害(BP)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病(PD)、外傷性脳傷害(TBI)、不眠症(INS)、意識障害(DOC)、頭痛(HD)、多発性硬化症(MS)、脳卒中(STR)、および脳腫瘍(BT)によって特徴づけられる、請求項215に記載のシステム。
【請求項234】
前記神経疾患または精神疾患は、記憶欠損によって特徴づけられる、請求項215に記載のシステム。
【請求項235】
前記神経疾患または精神疾患は、認知制御における欠損によって特徴づけられる、請求項215に記載のシステム。
【請求項236】
前記神経疾患または精神疾患は、機能的自立度の減少によって特徴づけられる、請求項215に記載のシステム。
【請求項237】
被験体において神経疾患または精神疾患を処置または改善するために、脳領域における個別化刺激標的を決定するためのシステムであって、前記システムは、
被験体の脳領域における複数の位置の各々の位置に非侵襲性刺激を提供するための刺激デバイス;
前記提供した刺激に応じて少なくとも1つの誘発電位を感知するためのセンサーデバイス;および
個別化刺激標的として、前記神経疾患または精神疾患を処置または改善するために、治療上有効な非侵襲性刺激を提供するために適切な前記複数の位置のうちの1つの位置を選択するように構成されたプロセッサーであって、ここで前記選択は、少なくとも1つの誘発電位の少なくとも1つの特性に基づくプロセッサー、
を含むシステム。
【請求項238】
前記脳領域は、デフォルトモードネットワーク(DMN)の一部である、請求項237に記載のシステム。
【請求項239】
前記脳領域は、少なくとも、楔前部の一部を含む、請求項237に記載のシステム。
【請求項240】
前記神経疾患または精神疾患は、アルツハイマー病である、請求項237に記載のシステム。
【請求項241】
前記刺激デバイスは、経頭蓋電気刺激または経頭蓋磁気刺激のうちの少なくとも一方を、前記被験体の脳の前記個別化刺激標的に提供するように構成されている、請求項237に記載のシステム。
【請求項242】
前記複数の位置は、グリッド中に配置される、請求項237に記載のシステム。
【請求項243】
前記少なくとも1つの特性は、前記少なくとも1つの誘発電位のピーク振幅を含む、請求項237に記載のシステム。
【請求項244】
前記個別化刺激標的を選択することは、前記少なくとも1つの誘発電位の最大ピーク振幅を有する前記複数の位置のうちの前記位置を選択することを包含する、請求項237に記載のシステム。
【請求項245】
前記センサーデバイスは、脳波検査を使用して前記少なくとも1つの誘発電位を感知するように構成されている、請求項237に記載のシステム。
【請求項246】
前記刺激デバイスは、前記選択した個別化刺激標的に提供することによって、前記神経疾患または精神疾患を処置または改善するように構成されている、請求項237に記載のシステム。
【請求項247】
前記脳ネットワークは、前頭頭頂制御ネットワーク、感覚運動ネットワーク、前部サリエンスネットワーク、背側注意ネットワーク、腹側注意ネットワーク、視覚ネットワーク、聴覚ネットワーク、または言語ネットワークのうちの1またはこれより多くのものである、請求項237に記載のシステム。
【請求項248】
前記個別化刺激標的は、角回の領域である、請求項237に記載のシステム。
【請求項249】
前記個別化刺激標的は、側頭葉の領域である、請求項237に記載のシステム。
【請求項250】
前記個別化刺激標的は、内側前頭前皮質の領域である、請求項237に記載のシステム。
【請求項251】
前記神経疾患または精神疾患は、軽度認知障害(MCI)である、請求項237に記載のシステム。
【請求項252】
前記神経疾患または精神疾患は、前頭側頭型認知症である、請求項237に記載のシステム。
【請求項253】
前記神経疾患または精神疾患は、脳ネットワークの変化、例えば、うつ病(DEP)、統合失調症(SCZ)、自閉症(AUT)、注意欠陥多動障害(ADHD)、双極性障害(BP)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病(PD)、外傷性脳傷害(TBI)、不眠症(INS)、意識障害(DOC)、頭痛(HD)、多発性硬化症(MS)、脳卒中(STR)、および脳腫瘍(BT)によって特徴づけられる、請求項237に記載のシステム。
【請求項254】
前記神経疾患または精神疾患は、記憶欠損によって特徴づけられる、請求項237に記載のシステム。
【請求項255】
前記神経疾患または精神疾患は、認知制御における欠損によって特徴づけられる、請求項237に記載のシステム。
【請求項256】
前記神経疾患または精神疾患は、機能的自立度の減少によって特徴づけられる、請求項237に記載のシステム。
【請求項257】
前記選択した個別化刺激標的に提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、中枢神経系に影響を及ぼす薬物介入と組み合わされる、請求項237に記載のシステム。
【請求項258】
前記選択した個別化刺激標的に提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、認知評価、認知訓練または認知増強介入と組み合わされる、請求項237に記載のシステム。
【請求項259】
前記選択した個別化刺激標的に提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、行動介入と組み合わされる、請求項237に記載のシステム。
【請求項260】
前記選択した個別化刺激標的に提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、経頭蓋電気刺激を含む異なる非侵襲性刺激介入と組み合わされる、請求項237に記載のシステム。
【請求項261】
前記プロセッサーは、ローカルハードウェアにインストールされた一連の自動化および半自動化シグナル処理アルゴリズムの組み合わせを精巧に作り上げ、刺激位置、周波数、強度(しかし、これらに限定されない)に関する特異的表示をもたらす、請求項237に記載のシステム。
【請求項262】
前記プロセッサーは、接続能力を有する遠隔ハードウェアにインストールされた一連の自動化および半自動化シグナル処理アルゴリズムの組み合わせを精巧に作り上げ、刺激位置、周波数、強度(しかし、これらに限定されない)に関する特異的表示をもたらす、請求項237に記載のシステム。
【請求項263】
前記TMSベースの介入を受容する個体から収集したデータは、グループレベルの推定のために、および前記TMS至適化手順をさらに至適化するために保存され、前記収集したデータは、処置に対する類似の応答を有する患者のクラスターを特定する、用量予測手順を改良する、処置に対する応答および疾患進行の推測の機械学習および人工知能モデルを構築するために使用され得るが、これらに限定されない、請求項237に記載のシステム。
【請求項264】
被験体において神経疾患または精神疾患を処置または改善するためのシステムであって、前記システムは、
a.機能的脳ネットワークを形成するとして特定された複数の脳領域の第1の脳領域における第1の位置を非侵襲性に刺激するための刺激デバイス、
を含み、
b.ここで前記第1の位置は、前記複数の脳領域の1またはこれより多くの他の脳領域に強く接続される前記第1の脳領域の部分領域である、
システム。
【請求項265】
前記脳ネットワークを形成する前記複数の脳領域は、前記被験体の脳のスキャンデータに基づいて特定される、請求項264に記載のシステム。
【請求項266】
前記脳領域は、デフォルトモードネットワーク(DMN)の一部である、請求項264に記載のシステム。
【請求項267】
前記第1の脳領域は、少なくとも、楔前部の一部を含む、請求項264に記載のシステム。
【請求項268】
前記神経疾患または精神疾患は、アルツハイマー病である、請求項264に記載のシステム。
【請求項269】
前記非侵襲性刺激は、前記患者の脳の第1の位置への経頭蓋電気刺激または経頭蓋磁気刺激のうちの少なくとも一方を含む、請求項264に記載のシステム。
【請求項270】
前記第1の位置へと前記非侵襲性刺激を提供することによって、前記神経疾患または精神疾患を処置または改善する刺激デバイスをさらに含む、請求項264に記載のシステム。
【請求項271】
前記脳領域は、脳ネットワークの一部であり、前記脳ネットワークは、前頭頭頂制御ネットワーク、感覚運動ネットワーク、前部サリエンスネットワーク、背側注意ネットワーク、腹側注意ネットワーク、視覚ネットワーク、聴覚ネットワーク、または言語ネットワークのうちの1またはこれより多くのものである、請求項264に記載のシステム。
【請求項272】
前記第1の位置は、少なくとも、角回の一部を含む、請求項264に記載のシステム。
【請求項273】
前記第1の位置は、少なくとも、側頭葉の一部を含む、請求項264に記載のシステム。
【請求項274】
前記第1の位置は、少なくとも、内側前頭前皮質の一部を含む、請求項264に記載のシステム。
【請求項275】
前記神経疾患または精神疾患は、軽度認知障害(MCI)である、請求項264に記載のシステム。
【請求項276】
前記神経疾患または精神疾患は、前頭側頭型認知症である、請求項264に記載のシステム。
【請求項277】
前記神経疾患または精神疾患は、脳ネットワークの変化、例えば、うつ病(DEP)、統合失調症(SCZ)、自閉症(AUT)、注意欠陥多動障害(ADHD)、双極性障害(BP)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病(PD)、外傷性脳傷害(TBI)、不眠症(INS)、意識障害(DOC)、頭痛(HD)、多発性硬化症(MS)、脳卒中(STR)、および脳腫瘍(BT)によって特徴づけられる、請求項264に記載のシステム。
【請求項278】
前記神経疾患または精神疾患は、記憶欠損によって特徴づけられる、請求項264に記載のシステム。
【請求項279】
前記神経疾患または精神疾患は、認知制御における欠損によって特徴づけられる、請求項264に記載のシステム。
【請求項280】
前記神経疾患または精神疾患は、機能的自立度の減少によって特徴づけられる、請求項264に記載のシステム。
【請求項281】
前記第1の位置に提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、中枢神経系に影響を及ぼす薬物介入と組み合わされる、請求項264に記載のシステム。
【請求項282】
前記第1の位置に提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、認知評価、認知訓練または認知増強介入と組み合わされる、請求項264に記載のシステム。
【請求項283】
前記第1の位置に提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、行動介入と組み合わされる、請求項264に記載のシステム。
【請求項284】
前記第1の位置に提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、経頭蓋電気刺激を含む異なる非侵襲性刺激介入と組み合わされる、請求項264に記載のシステム。
【請求項285】
神経疾患または精神疾患を処置または改善するために、脳刺激療法を投与するためのシステムであって、前記システムは、
至適刺激標的を特定するために使用される被験体のデータを収集および保存する、データ収集プラットフォーム;
前記被験体のデータを処理し、処置のための至適刺激パラメーターを得る、データ解析プラットフォーム;
脳刺激セッションのスケジュールを立て、前記処置をモニターするための基盤;および
前記処置の前および/または前記処置中に収集された前記被験体のデータを含むデータベース、
を含む、システム。
【請求項286】
前記被験体のための至適脳刺激パラメーターを特定するための前記データ収集プラットフォームは、請求項101~214に記載の方法のうちのいずれかを利用する、請求項285に記載のシステム。
【請求項287】
前記システムは、前記脳刺激処置を処方する臨床医にアクセス可能である、請求項285に記載のシステム。
【請求項288】
前記データ処理は、ローカルシステムで行われる、請求項285に記載のシステム。
【請求項289】
前記データ処理は、クラウドベースコンピューティングを使用して行われる、請求項285に記載のシステム。
【請求項290】
前記システムは、請求ソフトウェアに接続される、請求項285に記載のシステム。
【請求項291】
前記システムは、健康保険業者に接続される、請求項285に記載のシステム。
【請求項292】
神経疾患または精神疾患を処置または改善するために、被験体の脳領域に同時の組み合わされた非侵襲性脳刺激介入を送達するための方法であって、前記方法は、
被験体の脳をスキャンすること;
非侵襲性脳刺激のための標的を特定すること;
を包含し、ここで前記非侵襲性脳刺激は、経頭蓋磁気刺激技術または経頭蓋電気刺激技術に基づく、方法。
【請求項293】
前記経頭蓋磁気刺激技術は、シータバースト刺激である、請求項292に記載の方法。
【請求項294】
前記経頭蓋磁気刺激技術は、繰り返しの経頭蓋磁気刺激である、請求項292に記載の方法。
【請求項295】
前記経頭蓋電気刺激技術は、経頭蓋交流刺激である、請求項292に記載の方法。
【請求項296】
経頭蓋交流刺激の周波数は、ガンマ周波数EEG帯域内である、請求項292に記載の方法。
【請求項297】
被験体のための非侵襲性脳刺激の標的を前記特定することは、請求項101~214のいずれかに記載の方法を使用する、請求項292に記載の方法。
【請求項298】
前記経頭蓋磁気刺激技術は、シータバースト刺激であり、前記経頭蓋電気刺激技術は、経頭蓋交流刺激であり、前記経頭蓋磁気刺激および前記経頭蓋電気刺激は、同時に送達される、請求項292に記載の方法。
【請求項299】
前記経頭蓋磁気刺激技術は、繰り返しの経頭蓋磁気刺激であり、前記経頭蓋電気刺激技術は、経頭蓋交流刺激であり、前記経頭蓋磁気刺激および前記経頭蓋電気刺激は、同時に送達される、請求項292に記載の方法。
【請求項300】
前記同時の組み合わされた非侵襲性脳刺激介入は、皮質可塑性レベルの増加を誘導する、請求項292に記載の方法。
【請求項301】
前記標的は、脳ネットワークである、請求項292に記載の方法。
【請求項302】
前記脳ネットワークは、デフォルトモードネットワーク(DMN)である、請求項292に記載の方法。
【請求項303】
前記脳領域は、少なくとも、楔前部の一部を含む、請求項292に記載の方法。
【請求項304】
前記脳領域は、少なくとも、背側前頭前皮質の一部を含む、請求項292に記載の方法。
【請求項305】
前記脳領域は、少なくとも、頭頂葉の一部を含む、請求項292に記載の方法。
【請求項306】
前記脳領域は、少なくとも、側頭葉の一部を含む、請求項292に記載の方法。
【請求項307】
前記脳領域は、少なくとも、角回の一部を含む、請求項292に記載の方法。
【請求項308】
前記決定した刺激標的に提供される、前記組み合わされた非侵襲性刺激は有効であり、その結果、前記被験体は、単回の刺激セッション後に、処置されていない被験体のものと比較して少なくとも15%大きいTEPsの振幅の増加を有する、請求項292に記載の方法。
【請求項309】
前記決定した刺激標的に提供される、前記組み合わされた非侵襲性刺激は有効であり、その結果、前記被験体は、単回の刺激セッション後に、処置されていない被験体のものと比較して少なくとも15%大きいネットワーク振動の振幅の増加を有する、請求項292に記載の方法。
【請求項310】
前記決定した刺激標的に提供される、前記組み合わされた非侵襲性刺激は有効であり、その結果、前記被験体は、単回の刺激セッション後に、処置されていない被験体のものと比較して少なくとも15%大きいTEPsを介して測定される皮質可塑性レベルの増加を有する、請求項292に記載の方法。
【請求項311】
前記決定した刺激標的に提供される、前記組み合わされた非侵襲性刺激は有効であり、その結果、前記被験体は、単回の刺激セッション後に、処置されていない被験体のものと比較して少なくとも15%大きい振動性脳活動の周波数の増加を有する、請求項292に記載の方法。
【請求項312】
前記決定した刺激標的に提供される、前記組み合わされた非侵襲性刺激は、複数連続日にわたって、毎日、毎週またはこれらの組み合わせの頻度での複数非連続日にわたって送達される、請求項292に記載の方法。
【請求項313】
前記脳ネットワークは、前頭頭頂制御ネットワーク、感覚運動ネットワーク、前部サリエンスネットワーク、背側注意ネットワーク、腹側注意ネットワーク、視覚ネットワーク、聴覚ネットワーク、または言語ネットワークのうちの1またはこれより多くを含む、請求項292に記載の方法。
【請求項314】
前記神経疾患または精神疾患は、アルツハイマー病である、請求項292に記載の方法。
【請求項315】
前記神経疾患または精神疾患は、軽度認知障害(MCI)である、請求項292に記載の方法。
【請求項316】
前記神経疾患または精神疾患は、前頭側頭型認知症である、請求項292に記載の方法。
【請求項317】
前記神経疾患または精神疾患は、脳ネットワークの変化、例えば、うつ病(DEP)、統合失調症(SCZ)、自閉症(AUT)、注意欠陥多動障害(ADHD)、双極性障害(BP)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病(PD)、外傷性脳傷害(TBI)、不眠症(INS)、意識障害(DOC)、頭痛(HD)、多発性硬化症(MS)、脳卒中(STR)、および脳腫瘍(BT)によって特徴づけられる、請求項292に記載の方法。
【請求項318】
前記神経疾患または精神疾患は、記憶欠損によって特徴づけられる、請求項292に記載の方法。
【請求項319】
前記神経疾患または精神疾患は、認知制御における欠損によって特徴づけられる、請求項292に記載の方法。
【請求項320】
前記神経疾患または精神疾患は、機能的自立度の減少によって特徴づけられる、請求項292に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2021年7月6日出願の米国仮特許出願第63/218,625号(この出願は本明細書に参考として援用される)の利益を主張する。本出願は、2021年11月8日出願の米国仮特許出願第63/277,086号(この出願は本明細書に参考として援用される)の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
背景
アルツハイマー病(AD)は、高齢者集団において認知症の最も有害な形態と考えられる。現在、AD患者のための従来からのケアは、コリン作動薬およびグルタミン酸作動薬によってのみもたらされているが、これらの処置の有効性が制限されておりかつしばしば有害副作用を引き起こす。現行では、有効な処置は存在せず、これは、基礎的な病態生理の理解を欠いていることに主に起因する。全体的には、新たな非薬物関連治療が当該分野で早急に必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
要旨
神経疾患および精神疾患を非侵襲性刺激で処置するための既存の技術が、個々の患者のための位置および/または刺激パラメーターを個別化することによって改善され得ることは、本発明者らによって認識される。非侵襲性刺激が提供されるべき患者の脳における位置を特定することに関連する方法が、本明細書で開示される。脳ネットワーク(例えば、デフォルトモードネットワーク)における複数の脳領域は、ニューロイメージングデータ(例えば、機能的磁気共鳴データ、拡散テンソルイメージングデータなど)に基づいて特定され得る。上記脳ネットワークにおける複数の脳領域のうちの1つには、上記脳ネットワークにおける脳領域のうちの1またはこれより多くの他のものとの機能的接続性が、上記脳ネットワークにおける他の領域と最も強く接続される脳領域の部分領域を決定するために評価され得る。
【0004】
本明細書に開示される態様は、神経疾患または精神疾患を処置または改善するために、非侵襲性刺激に適した被験体の脳における第1の位置を特定するための方法であって、前記方法は、a)前記被験体の前記脳のスキャンデータから、脳ネットワークを形成する複数の脳領域を特定すること;およびb)前記複数の脳領域の第1の脳領域内で、前記神経疾患または精神疾患を処置または改善するために非侵襲性刺激に適した前記第1の位置として、前記複数の脳領域の1またはこれより多くの他の脳領域に強く接続された前記第1の脳領域の部分領域を決定すること、を包含する方法を提供する。いくつかの実施形態において、標的脳領域は、その起源ネットワーク内の平均接続性、特定のネットワークとの接続性、多数の他のネットワークとの接続性に基づいて定義される。いくつかの実施形態において、ネットワーク制御性の尺度は、接続性の代わりに使用される。いくつかの実施形態において、ネットワーク効率、モジュール性、クラスタリング、進化性、またはレジリエンスという尺度の1またはこれより多くのものが、接続性の代わりに使用される。いくつかの実施形態において、標的脳領域は、刺激されていない脳構造の残りにわたるTMSパルスの伝播を予測する、模倣データに基づいて定義される。ここで上記予測は、パルスの初期強度、パルス形状、標的化領域または他の脳構造もしくはネットワーク間の接続の完全性を考慮に入れる。いくつかの実施形態において、上記予測は、時間および数、領域の順序、または刺激によって間接的に達したノードの関数として本来の摂動のエネルギーの進行性の喪失を近似する減衰関数を考慮に入れる。
【0005】
いくつかの実施形態において、TMS-EEG機能的マッピングは、非侵襲性脳刺激のための位置および刺激パラメーターの両方を同時に決定するために使用される。いくつかの実施形態において、脳領域内の1またはこれより多くの位置における脳刺激に対して誘発応答の1またはこれより多くの特性は、至適化された脳応答を提供するために、例えば、神経障害または精神障害を処置するために、個々の患者に対して個別化された、標的化非侵襲性刺激のための至適位置および同様に刺激特性(例えば、刺激周波数、強度、振幅)の両方を決定するために使用され得る。
【0006】
本明細書に開示される態様は、被験体において神経疾患または精神疾患を処置または改善するために、脳領域における個別化刺激標的を決定するための方法であって、前記方法は、a)被験体の脳領域における複数の位置の各々の位置を非侵襲性に刺激すること;b)前記提供した刺激に応じて少なくとも1つの誘発電位を感知すること;およびc)前記被験体のための個別化刺激標的として、前記神経疾患または精神疾患を処置または改善するために、治療上有効な非侵襲性刺激を提供するために適切な前記複数の位置のうちの1つの位置を選択することであって、ここで前記選択することは、前記少なくとも1つの誘発電位の少なくとも1つの特性に基づくこと、を包含する方法を提供する。いくつかの実施形態において、上記方法は、脳部分領域を特定し、およびTMS-EEG機能的マッピング(「Opti-Search」手順)を使用して脳領域の刺激位置をさらに精密化することによって、脳刺激標的を個別化することを含む。いくつかの実施形態において、刺激は、上記部分領域内の複数の位置に逐次に提供され得、上記刺激に対して誘発応答は、例えば、脳波検査(EEG)または別の適切な感知技術を使用して感知され得る。いくつかの実施形態において、上記脳部分領域内の個別化刺激標的は、上記刺激に対して誘発応答の解析に少なくとも部分的に基づいて、選択され得る。いくつかの実施形態において、脳刺激の上記強度または振幅は、他の技術を使用して決定されるベースライン刺激強度を調整することによって選択され得る。いくつかの実施形態において、患者の安静時運動閾値は、ベースライン刺激強度を確立するために使用され得、上記ベースライン刺激強度は、本明細書で記載されるとおりのTMS-EEG機能的マッピング中に感知される誘発応答の1またはこれより多くの特性に少なくとも部分的に基づいて、改良され得る。いくつかの実施形態において、個別化刺激標的位置の決定は、脳コネクトミクス、脳接続性、ネットワーク理論、グラフ理論、または制御理論解析のうちの1またはこれより多くのものに関連する概念および方法を使用して、脳ネットワークにおける他の脳領域に最も強く接続される脳領域の部分領域を先ず特定するために、ニューロイメージングデータを使用して行われ得る。いくつかの実施形態において、各患者に関して脳標的および刺激パラメーターを定義するために使用される個別化アルゴリズムは、AD患者を特徴づけるものに類似の脳ネットワーク(例えば、デフォルトモードネットワーク)の変化、または認知プロセスにおいて役割を有する他のネットワーク(例えば、背側注意ネットワーク、前頭頭頂認知制御ネットワーク)の変化と関連する神経疾患および精神疾患の処置または防止のために適用され得る。いくつかの実施形態において、各患者のための脳標的および刺激パラメーターを定義するために使用される個別化アルゴリズムは、ネットワーク標的の階層を決定するために、ネットワーク内およびネットワーク間ダイナミクスの解析を含む。いくつかの実施形態において、各患者のための脳刺激標的を定義するために使用される個別化アルゴリズムは、他のニューロイメージングデータソース(構造的MRI、拡散MRI、灌流MRI、またはPETイメージングデータを含む)に適用され得る。
【0007】
いくつかの実施形態において、本明細書で記載されるシステムおよび方法は、ガンマ周波数帯域における速い活動の変化が挙げられるが、これに限定されない振動性脳活動のモジュレーションを可能にする。いくつかの実施形態において、本発明のシステムおよび方法は、タンパク質沈着と関連する種々の疾患、ならびにADの場合にあるように、タンパク質蓄積および介在ニューロン病理と関連する病態生理学的機序の処置または防止に適用され得る。いくつかの実施形態において、本発明のシステムおよび方法は、認知低下を遅らせることを可能にし、これは、脳部分領域を特定し、上記脳領域の刺激位置をさらに精密化し、上記刺激位置に繰り返しの経頭蓋磁気刺激を適用することを包含する。いくつかの実施形態において、認知低下は、上記方法が、数日間から数週間、数ヶ月、または数年間までの時間間隔の間に適用される場合に遅くなる。いくつかの実施形態において、認知低下は、特定の脳ネットワーク(ADを有する患者またはADを発生させるリスクにある患者のネットワークが挙げられるが、これに限定されない)における脳活動を変化させることによって遅くなる。
【0008】
いくつかの実施形態において、至適TMSコイル位置または脳標的または刺激パラメーターは、実際的な頭部モデルの生物物理学的電場モデリングを使用することによって決定される。いくつかの実施形態において、至適TMSコイル位置、脳標的、または刺激パラメーターは、AD患者のサンプルからの規範的データを使用することによって決定される。いくつかの実施形態において、至適TMSコイル位置、脳標的、または刺激パラメーターは、AD患者に関する目的の皮質下領域とのAD患者の白質接続性を予測することによって決定される。いくつかの実施形態において、至適TMSコイル位置、脳標的、または刺激パラメーターは、患者の個々の頭部測定から得られる頭皮座標を使用することによって決定され、自発的脳活動または特定の認知タスク(例えば、AD患者のサンプルから予測されるエピソード記憶タスク)中の活動の規範的マップと組み合わされる。いくつかの実施形態において、至適TMSコイル位置、脳標的、または刺激パラメーターは、TMS-EEGデータの非存在下で、個々の脳スキャンデータおよびEMGデータを使用することによって決定される。いくつかの実施形態において、上記実際的な頭部モデルは、一般的かまたは被験体に特異的である(例えば、患者のMRIから)かのいずれかであり得る実際的な頭部の多層有限要素モデル(multilayer finite element model)であり得る。いくつかの実施形態において、組織境界は、さらなる脳スキャンありまたはなしでのMR画像(例えば、頭皮、頭蓋骨、脳脊髄液、脳室、灰白質および白質)から得られ得、上記方法は、より具体的に、頭部および皮質の誘導電場(電場)を計算するために使用され得る。いくつかの実施形態において、AD患者のサンプルからの規範的データとしては、特定の認知タスク(例えば、エピソード記憶タスク)中の規範的脳活性化パターン、機能的脳ネットワークトポグラフィックマップ、代謝活動または脳灌流のマップが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、AD患者に関する目的の皮質下領域の非限定的な例は、記憶処理におけるその役割のための海馬である。いくつかの実施形態において、皮質下標的との強い接続性を有する皮質部位は皮質下領域に関わるそれらの確率がより高いことから選択され、そうでなければ、TMSを介して直接標的化可能ではない。
【0009】
いくつかの実施形態において、至適TMSコイル位置または刺激パラメーターは、TMS-EEGデータの非存在下での個々の脳スキャンデータおよびEMGデータを使用することによって、患者の脳スキャンおよびEMGデータと、AD患者の群の規範的脳スキャン、EMGおよびTMS-EEGデータとを比較することによって、決定され得る。いくつかの実施形態において、至適刺激強度の予測は、EMGデータ(例えば、皮質興奮性)間の関係性、および患者の脳スキャンから抽出した頭皮-皮質距離値によって調整される、AD患者におけるTMS-EEGデータとのその関連性によって推論される。いくつかの実施形態において、電気生理学的および生物物理学的データから得られる被験体の脳の生理学的計算モデルはまた、脳刺激標的を定義しかつ刺激パラメーター(強度、周波数、持続時間、もしくは波形、またはこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない)を至適化するために使用され得る。いくつかの実施形態において、TMSベースの介入は、脳刺激効果を増幅する、第2の介入の効果を増幅する、もしくは相乗効果を引き起こす、またはこれらの任意の組み合わせのために、他の介入との組み合わせにおいて適用され得る(TMS+他の介入=T処方)(認知訓練プログラムまたは認知タスクまたは行動介入が挙げられるが、これらに限定されない)。いくつかの実施形態において、認知タスクまたはプログラムは、脳状態を安定化し、TMSベースの介入の有効性を最大化するために、状態依存性効果を誘導するために、または認知成績もしくは行動成績を押し上げるために使用され得る。いくつかの実施形態において、TMSベースの介入は、TMS効果を増幅するために、第2の介入の効果を増幅するために、もしくは相乗効果を引き起こすために、またはこれらの任意の組み合わせのために、他の脳刺激技術との組み合わせにおいて適用され得る。実施形態において、TMSは、経頭蓋直流刺激(tDCS)、経頭蓋交流刺激(tACS)、または経頭蓋ランダムノイズ刺激(tRNS)、またはこれらの任意の組み合わせと組み合わせられ得る。いくつかの実施形態において、電気刺激との組み合わせは、内因性振動を増幅する、他の脳刺激プロトコールの長期増強または抑制効果を増強する、TMSベースの介入の送達中もしくは送達前の脳活動を安定化する、可塑性応答をモジュレートする、または皮質-脊髄興奮性ならびに阻害および興奮のバランスをモジュレートする、またはこれらの任意の組み合わせのために使用され得る。いくつかの実施形態において、上記TMSベースの介入としては、パターン化rTMSプロトコール(例えば、シータバースト刺激)、マルチパルスTMSおよび対連合刺激が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、TMSベースの介入は、脳刺激効果を増幅する、第2の介入の効果を増幅する、もしくは相乗効果を引き起こす、またはこれらの任意の組み合わせのために、中枢神経系に作用する薬物と組み合わせて適用され得る。
【0010】
いくつかの実施形態において、上記TMSベースの介入のためのパラメーターは、訓練された人材(科学研究者、検査技師、研究助手、神経学者、精神科医、老人病専門医、神経生理学者、臨床技師(clinical technician)、もしくは心理学者、またはこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない)によって操作されるローカルハードウェアにインストールされたシグナル処理ソフトウェアおよびアルゴリズムを介して計算される。いくつかの実施形態において、上記TMSベースの介入のためのパラメーターは、接続能力を有する遠隔ハードウェアにインストールされたシグナル処理ソフトウェアまたはアルゴリズムを介して計算される。いくつかの実施形態において、患者に関して収集されたデータは、至適刺激パラメーター定義(TMS-EEG機能的マッピング)のためのコードおよびソフトウェアをホスティングするプラットフォームへとストリーミングされ、その得られた刺激パラメーターは、TMSベースの処置を行う術者に送り返される。いくつかの実施形態において、上記TMSベースの介入のためのパラメーターは、教師ありのまたは教師なしの特徴選択手順を介して、被験体のEEG、TMS、EMG、または脳スキャンデータに対して機械学習またはディープラーニングアルゴリズムを適用することによって計算される。いくつかの実施形態において、上記TMSベースの介入のための刺激パラメーター、処置コースに関する詳細、データ保存および処理、または脳刺激のスケジュールを立てることは、ハイブリッドローカルまたは遠隔インフラストラクチャおよびアプリケーションプログラマーインターフェース(API)の一部としてホストされる。
【0011】
図面の簡単な説明
特徴および利点を含め、本発明の実施形態のより完全な理解のために、添付の図面とともに、実施形態の詳細な説明がここで参照される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1-1】図1は、種々の選択肢が提供される本明細書中の一実施形態に従う、TMS強度の個別化標的特定および定義のための例示的方法を提供する。
図1-2】図1は、種々の選択肢が提供される本明細書中の一実施形態に従う、TMS強度の個別化標的特定および定義のための例示的方法を提供する。
【0013】
図2図2は、種々の選択肢が提供される本明細書中の一実施形態に従う、規範的またはカスタム脳活動テンプレートを介する標的特定のための例示的方法を提供する。
【0014】
図3図3は、本明細書中の一実施形態に従う、刺激パラメーターを予測するための推測モデルを生成するための例示的方法を提供する。
【0015】
図4図4は、種々の選択肢が提供される本明細書中の一実施形態に従う、機能的または構造的コネクトームデータを介する皮質下標的化のための例示的方法を提供する。
【0016】
図5図5は、本明細書に記載される一実施形態に従って医学的状態を処置するための方法を示す例示的フローチャートを提供する。
【0017】
図6図6は、本明細書中の一実施形態に従う、処置後の脳反応性における変化を測定する例示的な試験設計を提供する。
【0018】
図7図7は、本明細書中の一実施形態に従う処置後の認知変化の例示的描写を提供する。
【0019】
図8-1】図8は、本明細書中の一実施形態に従う処置後のTMS-EEG結果の例示的描写を提供する。
図8-2】図8は、本明細書中の一実施形態に従う処置後のTMS-EEG結果の例示的描写を提供する。
【0020】
図9-1】図9は、本明細書中の一実施形態に従う処置後の脳活動における変化の例示的描写を提供する。
図9-2】図9は、本明細書中の一実施形態に従う処置後の脳活動における変化の例示的描写を提供する。
【0021】
図10図10は、種々の測定された結果が提供される本明細書中の一実施形態に従う、例示的なTMS試験プロトコールを提供する。
【0022】
図11-1】図11は、本明細書中の一実施形態に従う処置後のある特定の脳領域における脳活動の変化の例示的描写を提供する。
図11-2】図11は、本明細書中の一実施形態に従う処置後のある特定の脳領域における脳活動の変化の例示的描写を提供する。
【0023】
図12-1】図12は、本明細書中の一実施形態に従う処置後のある特定の脳領域における脳活動の変化の例示的描写を提供する。
図12-2】図12は、本明細書中の一実施形態に従う処置後のある特定の脳領域における脳活動の変化の例示的描写を提供する。
【0024】
図13図13は、本明細書中の一実施形態に従う処置後のある特定の脳領域における脳活動の変化の欠如の例示的描写を提供する。
【0025】
図14図14は、本明細書中の一実施形態に従う処置後のある特定の脳領域における脳活動の変化の欠如の例示的描写を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
詳細な説明
アルツハイマー病および関連する認知症、またはこれらの任意の組み合わせ(上記疾患の前臨床ステージおよび早期ステージ(例えば、軽度認知障害)およびより進行したステージが挙げられるが、これらに限定されない)を改善または処置または防止するためのデバイス、システム、および方法が、本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、上記方法は、個々の患者のデータを使用して、経頭蓋磁気刺激(TMS)の場合におけるようにデバイスを介して送達される経頭蓋電磁気誘導のために使用される、至適処置標的(複数可)、ならびに刺激強度、周波数、もしくは波形、またはこれらの任意の組み合わせを特定する。いくつかの実施形態において、至適刺激パラメーターを定義するためのデータは、他のソースの中でも、電気生理学的記録(例えば、脳波検査-EEG、筋電図検査-EMG)、磁気共鳴イメージング(例えば、MRI、fMRI、DTI)および生物物理学的モデリングを介して得られる脳における誘導電場の予測から得られる。いくつかの実施形態において、方法としては、神経疾患において変化した脳ネットワーク(例えば、アルツハイマー病および関連する認知症)を標的とするためのソリューションが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、非限定的な例として、方法は、デフォルトモードネットワーク(DMN)およびその一次ネットワークノード、楔前部領域を標的とする。いくつかの実施形態において、方法は、6ヶ月の期間にわたってアルツハイマー病を有する患者において認知低下および臨床的退行を遅らせ得る、繰り返しのTMSセッションに基づく処置プランの詳細を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、システムおよび方法は、処置送達およびデータ処理のためのプラットフォームまたは基盤を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、方法は、認知機能を回復させる、臨床症状を改善する、変化した可塑性の機序を改変する、皮質興奮性および反応性をモジュレートする、もしくは局所的脳代謝における変化を誘導する、またはこれらの任意の組み合わせのために適用される。
【0027】
シナプス機能不全は、アルツハイマー病(AD)病態生理の中心的要素であり得る。例えば、シナプス破壊は、ニューロン変性の先触れとなる早期の事象である。シナプス伝達の弱体化は、ADの病因において重要な役割を果たし得る。経頭蓋磁気刺激(TMS)は、AD病態生理を特徴づけるシナプス機能不全の早期のサインを特定し得る新規なアプローチである。rTMSの複数のセッションに基づく処置は、神経変性疾患を有する人々における認知に影響を及ぼす潜在性を有する。気分障害およびうつ病を有する個体に適用されるrTMSは、安全かつ疼痛がないと同時に、認知プロセスに影響を与え得る。長期間(すなわち、数週間)にわたるrTMSの複数のセッションへの個体の曝露は、長時間持続する可塑性および行動をモジュレートすることにより大きな影響を有する可能性がある。
【0028】
神経生物学的観点から、rTMSは、シナプス可塑性(これは、学習および記憶の根底にある重要な生物学的機序である)において変化を促進することによって実質的な臨床上の改善をもたらし得る。特に、長期増強(LTP)は、以前から認知機能における個体差に関連していることから、標的となる主要な候補である。LTP様皮質可塑性は、ADの早期ステージにおいて損なわれ得、言語性記憶障害と関連し得る。従って、高周波数rTMSは、疾患進行を遅らせるために、上記疾患の早期ステージにあるAD患者においてLTP様皮質可塑性を増強するために使用され得る。例えば、TMSおよび脳波検査(EEG)の組み合わせを介して獲得される、脳可塑性および反応性尺度、および認知スコアの組み合わせは、rTMSが局所レベルおよび全体レベルの両方での変化をもたらすかどうかを確認し得る。特に、TMS-EEGは、臨床診療におけるのみならず、臨床介入の効果の評価においても、局所的および広い皮質ダイナミクスを直接調べるために革新的な方法を提供する。TMS送達と同時に収集されるEEGデータ上に記録される早期TMS誘発電位(TEPs)は、GABA(A)媒介性およびGABA(B)媒介性の阻害性シナプス後電位(IPSPs)に由来し、興奮および阻害バランスの、および従って脳における可塑性レベルの価値あるマーカーを構成する。TEPsはまた、再現性があり、TMSが脳の異なる領域またはネットワークを標的とする場合の領域的特性を示すことができ、脳状態における変化に感受性であり得、および従って認知機能における潜在的な改善に感受性であり得る。皮質可塑性および反応性、ならびに従って、rTMS処置への応答における変化のマーカーとしてのTMS-EEGの適用は、AD患者におけるrTMSの作用機序を明瞭にする助けになる。その空間的および時間的分解能を考慮すると、TMS-EEGをまた使用して、複数の脳領域をサンプル採取し、TMSが強い脳応答および最大標的関与(maximal target engagement)を誘導する至適位置を特定することによってTMSへの皮質応答を調査し、次いで、rTMS処置のための標的として使用しれ得る。
【0029】
前頭前皮質の刺激は、認知機能を改善するために最も有効な選択肢であり得る。個体が認知タスクに忙しくしている間に、右側および左側のDLPFC、ブローカおよびウェルニッケ、ならびに右側または左側の頭頂体性感覚連合野のような領域を標的とすることはまた、刺激の効果を押し上げる可能性がある。しかし、上記疾患の早期ステージにおける顕著な神経病理学的異常(すなわち、β-アミロイド斑および神経原線維変化)は、大部分は、脳の後部皮質領域(楔前部、後部帯状回皮質、脳梁膨大後部皮質、および角回が挙げられるが、これらに限定されない)に影響を及ぼす。AD患者はまた、内側前頭頭頂の機能的接続性における変化およびいわゆるデフォルトモードネットワーク(DMN)に対する変化を示す。楔前部は、DMNの重要なノードであり。ADの早期臨床ステージでは、機能的変化および楔前部と脳の残りの部分との接続性の低下は、限局的な脳萎縮の発生に先行し、これは、後の疾患ステージにおいて顕著になる。
【0030】
DMNおよび楔前部は、認知症症状を緩和することを目的とした処置アプローチのための実行可能な脳標的であり、おそらく疾患改変効果を有する可能性がある。AD患者は、楔前部の周辺の皮質の厚みの低減を示し、しばしばこれに続いて、異常な局所的活動化および代謝低下、ならびにメモリパフォーマンス中の機能的接続性の減少がある。DMNおよび楔前部の関与は、エピソード記憶想起にとっても重要であり、これはしばしば、ADの早期ステージで損なわれている。DMNにわたるrTMSは、短期記憶および長期記憶の機能を増強し得る。従って、ADを有する患者においてDMNおよび楔前部を標的とする非侵襲性脳刺激介入を実行することは、疾患進行を遅らせ、AD患者における記憶低下に潜在的に対抗する極めて重大なステップを表す。
【0031】
しかし、神経刺激を介してDMN-楔前部(DMN-p)の関与を最大化するためのストラテジーは利用可能でなく、個別化したネットワークレベル標的化アプローチが開発されなければならない。本明細書に記載される発明は、TMS-EEGに少なくとも部分的に基づく正確な空間標的化方法を介してDMN-pの非侵襲性刺激を行うための新規な方法、ならびに電気生理学およびニューロイメージングデータに少なくとも部分的に基づいて、刺激強度、周波数、持続時間および波形を個別化するためのソリューションを提供する。TMS-EEGデータに基づいて各患者に関して定義した個別化DMN-p標的のrTMSの影響を調査する、二重盲検無作為化プラセボ対照第二相臨床試験の結果を、処置個別化のための提唱されるシステムおよび方法、ならびに治療プロトコール自体の有効性の証明として報告する。
【0032】
より長い処置コースは、ADの症例では、疾患進行を有意に低減する助けになり得る。非限定的な例として、以下の実施例の節に記載される臨床試験は、これまでにAD患者において試験した最長のrTMS処置の影響を詳細に記載する。いくつかの実施形態において、AD患者において試験した最長のrTMS処置は、24週間であった。
【0033】
脳標的化に関して本明細書で記載される方法およびADの処置はまた、AD組織病理学、および認知症(AD、軽度認知障害および前頭側頭型認知症が挙げられるが、これらに限定されない)を有する患者において詳細に記載される脳振動活動の障害に関する新規な洞察を利用する。特に、ADは、神経原線維変化におけるびまん性アミロイド-β(Aβ)斑およびリン酸化タウ(p-タウ)沈着、ならびに広範な神経変性および神経炎症の徴候によって特徴づけられる。進行性Aβ沈着は、臨床症状が始まる20年前までに始まる可能性があり、臨床症状が顕著になる頃に安定化する。P-タウは、Aβの非存在下ですら中部側頭葉において特に蓄積し、DMNの領域部分が挙げられるが、これらに限定されない複数の軌道をたどって側頭葉の外側にも拡がる。神経変性および臨床症状は、p-タウの拡がりおよび炎症レベルと強く相関し得る。従って、Aβおよびp-タウは、AD病因において極めて重要な役割を果たし得、Aβまたはp-タウ両方の脳内負荷を信頼性が高くかつ安全に減少させる介入は、潜在的に著しく臨床上重要であり得る。
【0034】
ADを有する患者においては、および上記疾患のマウスモデル(5XFADマウス)においては、およそ30Hzから120Hzまでの「ガンマ」帯域における速い振動活動が減少し得る。ガンマ活動におけるこの病的な変化は、パルブアルブミン+ 阻害性介在ニューロン病理に関連し、症状が現れる前のADマウスにおけるガンマ活動の回復を目的とした介入は、引き続く神経変性および行動障害を防止する顕著な能力、ならびにAβおよびp-タウ両方の低減を示す。可塑性回路に対するその効果ならびに脳における興奮性および阻害レベルに対する効果を考慮すれば、個別化rTMSのための本明細書で記載される方法はまた、AD脳における振動活動に対して有益な効果を誘発し得、積極的な臨床、行動、認知、および神経学的な転帰をもたらす。
【0035】
ガンマ帯域内の活動はまた、ヒト脳における可塑性プロセスと関連し、ガンマ振動活動(>30Hz)を押し上げることを目的とした電気刺激を介するガンマ誘導介入は、刺激中および刺激後の皮質可塑性レベルを増加させる。rTMSとガンマ誘導プロトコールとの組み合わせは、特に、いくつかの実施形態において記載されるように、患者に対して潜在的により強い臨床上の影響とともに、皮質の生理学および可塑性に対して相乗効果または相加効果をもたらし得る。
【0036】
図1は、本明細書で記載される方法100の実施形態の例示的描写を提供する。ここで上記方法は、個別化標的を特定し、TMS強度を定義することを包含する。いくつかの実施形態において、図1Aを参照すると、方法は、アルツハイマー病(AD)患者のfMRIデータを収集すること101;AD患者の平均デフォルトモードネットワーク(DMN)マップ103(マップの中心は、楔前部102を含む)を作成すること;楔前部の最も接続された下位部分104に焦点を当てること;楔前部の最も接続された下位部分104を含む、楔前部の下位領域107にわたってTMS誘発電位(TEPs)108を測定することによって、TMS-EEG 106を介してTMSベースの機能的検索105を作成すること;ならびに元の標的111および個別化標的110から構成される、各脳109に対して個別化標的を作成することを包含する。いくつかの実施形態において、個別化標的は、上記元の標的に対して背側にある。いくつかの実施形態において、個別化標的は、上記元の標的に対して腹側にある。いくつかの実施形態において、個別化標的は、上記元の標的に対して尾側にある。いくつかの実施形態において、個別化標的は、上記元の標的に対して頭側にある。いくつかの実施形態において、上記個別化標的は、楔前部の最も接続された下位部分104にある。いくつかの実施形態において、上記個別化標的は、楔前部の別の下位領域107にある。いくつかの実施形態において、上記方法は、DMNネットワークレベル標的103を特定し、次いで、TMS-EEG機能的検索105を介して個別化するために、2ステップの手順を含むが、これに限定されない。いくつかの実施形態において、図1Bを参照すると、上記方法は、楔前部102を刺激している間に、人さし指116において活動電位および活動を測定することによって、安静時運動閾値(RMT)を測定すること;楔前部の最も接続された下位部分104を含む楔前部の下位領域107にわたってTMS誘発電位(TEPs)117を測定することによって、TMS-EEG 106を介してTMSベースの機能的検索を作成すること;および個別化刺激強度を決定することを包含する118。いくつかの実施形態において、安静時運動閾値116は、皮質興奮性の尺度として使用される。いくつかの実施形態において、神経インパルスが見出されるRMT116は、患者の個別化RMTをパーセンテージとして決定するために使用され得る。いくつかの実施形態において、TEPs 117は、TMS-EEGへの応答の振幅、遅れ、形状、または周波数を測定するために使用され得る。いくつかの実施形態において、TEPs 117を測定した後に、患者の個別化RMTは、異なるまたは同じパーセンテージに調整され得る118。いくつかの実施形態において、TEPs 117を測定した後に、患者の個別化刺激周波数が測定され得る118。いくつかの実施形態において、この方法は、患者に対して刺激強度を個別化するために使用され得る。いくつかの実施形態において、図1Cを参照すると、上記方法は、TMSコイルを配置すること119、生物物理学的モデリング結果を生成すること120、および標的領域122上の誘導電場を予測するために、1つの生物物理学的モデリング結果121を使用することを包含する。いくつかの実施形態において、上記生物物理学的モデリング結果は、1メートルあたりのボルト(V/m)で測定される電場標準マップ(electric field norm map)を使用する。いくつかの実施形態において、所望の最小誘導電場値は、予測される誘導電場122プラス27%である。いくつかの実施形態において、電場を誘導するためのその調整されるTMS刺激は、所望の最小誘導電場値に等しいパーセンテージである。いくつかの実施形態において、図1Dを参照すると、上記方法は、DMNに関する種々の代替標的、ならびにADに関連する他の機能的脳ネットワーク(デフォルトモードネットワーク112の前頭前結節、前頭頭頂制御ネットワーク113、背側注意ネットワーク114、または感覚運動ネットワーク115が挙げられるが、これらに限定されない)を含む。いくつかの実施形態において、本明細書で記載される方法は、DMNに関する代替標的に適用され得る。
【0037】
図2は、規範的およびカスタム脳活動テンプレートを使用する標的特定のための例示的方法200を提供する。いくつかの実施形態において、これらの方法は、特異的脳スキャンの非存在下で使用され得る。いくつかの実施形態において、図2Aを参照すると、上記方法は、視覚ネットワーク212、デフォルトモードネットワーク209、前頭頭頂ネットワーク206、大脳辺縁系ネットワーク210、腹側注意ネットワーク211、体性感覚ネットワーク208、および背側注意ネットワーク207を含む機能的ネットワークアトラス201を含む;これらは、患者202、203、204、または205に適合させ得る。いくつかの実施形態において、上記方法は、既存の解剖学アトラスを適合させることを包含する。いくつかの実施形態において、上記方法は、既存の機能的アトラスを適合させることを包含する。いくつかの実施形態において、脳のネットワークは、患者が異なれば異なって形作られる。いくつかの実施形態において、図2Bを参照すると、上記方法は、AD患者213におけるエピソード記憶処理中に脳活性化214を測定し、活性化領域へのパターンを、患者脳215における脳活性化216および患者脳217における活性化218に適合させることによって、個々の患者の解剖学的構造へと予め定義された脳が活性化されたパターンをモーフィングすることを包含する。いくつかの実施形態において、上記活性化領域216および218は同じである。いくつかの実施形態において、上記活性化領域216および218は異なる。いくつかの実施形態において、予め定義された脳活性化パターンは、個々の患者の解剖学的構造に類似である。いくつかの実施形態において、予め定義された脳活性化パターンは、個々の患者の解剖学的構造とは異なる。いくつかの実施形態において、図2Cを参照すると、上記方法は、頭頂220、左側耳珠221、鼻根点222、右側耳珠223、およびイニオン224を含む頭皮座標219を使用すること;ならびに至適標的距離226を、イニオン-頭頂距離225に基づいて位置決めして、第1の至適刺激位置を頭皮227上に見出すことを包含する。いくつかの実施形態において、至適標的距離226は、頭皮座標に基づく第1の至適刺激位置である。いくつかの実施形態において、至適標的距離226は、頭頂220からのイニオン-頭頂距離225の29%である。
【0038】
図3は、刺激パラメーターのための推測モデルを生成するための例示的方法300を提供する。いくつかの実施形態において、上記方法は、規範的AD患者データセット301、構造的脳スキャン302(頭皮-皮質距離が挙げられるが、これに限定されない)を使用すること、シータ波305およびアルファ波304から構成される、一次運動野303からの皮質興奮性を測定すること、楔前部306における誘導電場を測定すること、TMS-EEG Opti-Stim手順307を介して楔前部に関する刺激強度308を測定すること、および刺激パラメーター予測のための推測モデル309を作成することを包含する。いくつかの実施形態において、規範的AD患者データセットは、小さなデータセットである。いくつかの実施形態において、規範的AD患者データセットは、大きなデータセットである。いくつかの実施形態において、皮質脊髄興奮性は、変化したニューロン振動として測定される。いくつかの実施形態において、上記変化したニューロン振動としては、シータ波の増加した周波数が挙げられるが、これに限定されない。いくつかの実施形態において、上記変化したニューロン振動としては、アルファ波の減少した周波数が挙げられるが、これに限定されない。
【0039】
図4は、機能的および構造的なコネクトームデータを介する皮質下標的化のための例示的な方法400を提供する。いくつかの実施形態において、図4Aを参照すると、上記方法は、脳のエピソード記憶活性化402を測定して、安静状態の機能的MRI(rs-fMRI)403において活性化した領域404を示すために、MRI 401を使用することを包含する。いくつかの実施形態において、エピソード記憶活性化402は、タスク-fMRIにおける記憶タスクの間に記録される。いくつかの実施形態において、活性化した上記標的ネットワーク404は、DMNである。いくつかの実施形態において、アルツハイマー病を有する患者における記憶タスク中に患者特異的脳活性化を特定するための方法は、DMNの関与を強調する。いくつかの実施形態において、図4Bを参照すると、上記方法は、海馬405、海馬傍406、および左側角回407のMRIデータ、ならびに白質トラクトグラフィーデータ408を含む。いくつかの実施形態において、上記方法は、構造的MRIデータを使用して、海馬モジュレーションのための光学的皮質標的を特定する。いくつかの実施形態において、上記方法は、拡散MRIデータを使用して、海馬モジュレーションのための光学的皮質標的を特定する。いくつかの実施形態において、上記方法は、MRIデータを使用して、刺激された表面領域(例えば、角回)をADのために目的の皮質下標的(例えば、記憶処理におけるその役割のために海馬)と接続する白質線維路408を、計算および可視化する。いくつかの実施形態において、白質線維は、角回の複数の部分領域(その部分領域は、最終の個別化標的として選択される海馬に向かう最も強い白質線維経路を示す)から予測され得る。いくつかの実施形態において、図4Cを参照すると、上記方法は、脳409の生物物理学的モデリングを使用して、TMS 411を介して角回および海馬410を活性化するために至適強度を予測することを包含する。いくつかの実施形態において、生物物理学的モデリング409は、電場モデリングである。いくつかの実施形態において、生物物理学的モデリング409は、AD患者の角回における誘導電場を予測するために使用され、次いで、刺激パラメーター(刺激強度が挙げられるが、これに限定されない)を至適化するために使用される。
【0040】
図5は、処置至適化および送達のための装置の基盤の例示的フローチャート500を提供する。いくつかの実施形態において、上記フローチャートは、臨床スタッフメンバーまたはユーザー503、ウェブブラウザまたはローカルマシン502、認証501、脳スキャンデータ504、TMSセッションデータ505、EEGペアリング506、調査メタデータ507、ゲートウェイイングレス508、ゲートウェイ509、通知510、請求511、スケジュール512、対象(object)513、収集514、クリーニングまたは前処理515、特徴化(featurization)516、モデル517および518の生成、ストリーマー519、格納(storage)520、エクスポート521、ベースライン調査522、データベース523、および処置至適化のための集団ベースの推論524を含む。いくつかの実施形態において、TMSセッションデータ505および脳スキャンデータ504は、調査メタデータ507へと入力される。いくつかの実施形態において、臨床スタッフメンバー503は、ウェブブラウザまたはローカルマシン502を使用し、上記スタッフメンバーをユーザーとして認証する501。いくつかの実施形態において、ゲートウェイからの一群の主な動作が存在する(以下が挙げられるが、これらに限定されない: ストリーミング519 - データ(例えば、EEG時系列データ)を照会およびストリーミングできること;データ収集514 - 例えば、EEGフィードを取り込み、刺激するべき脳における位置を取り戻す目的で、生のEEGデータを収集し、クリーニングし、特徴化し、処理できること; 対象513 - 上記データベースにアクセスし、照会できること; スケジュールを立てる512 - 患者スケジュールまたは約束(appointment)を予約し、公表できること; 請求511 - 請求情報にアクセスし、第三者サービスプロバイダでセッションごとに料金請求できること; 通知510 - ある特定の行為が完了した(例えば、セッションが完了したかもしくは請求成功、またはターゲティング結果が準備できた)際に、ユーザーにeメールを送信できること; データエクスポート521- データバンドルを要求および作成またはデータベースの中の情報からダウンロードできること ; ベースラインユーザー522 - 調査手段(例えば、デジタル化したミニメンタルステート検査(MMSE)が挙げられるが、これに限定されない)を介してユーザーのベースラインを設定(baseline)するか、または電子健康記録(HER)から調査自体へと情報を公表できること)。いくつかの実施形態において、収集514は、クリーニングまたは前処理515、特徴化516、および複数のモデル517および518の作成を含む。いくつかの実施形態において、基盤における全ての情報は、データベース523の中で収集され、次いで、処置至適化のための集団ベースの推論524を作成する。いくつかの実施形態において、処置至適化のための集団ベースの推論524は、1名の患者の1またはこれより多くのセッションの結果を含む。いくつかの実施形態において、処置至適化のための集団ベースの推論524は、複数の患者の1またはこれより多くのセッションの結果を含む。
【0041】
図6は、試験設計および結果の例示的描写600を提供する。いくつかの実施形態において、図6Aを参照すると、試験設計601は、以下を構成した: 臨床認知症評価(CDR)、アルツハイマー病評価尺度-認知下位尺度(ADAS-Cog)、ミニメンタルステート検査(MMSE)、神経精神症状質問票(NPI)、アルツハイマー病共同研究 - 日常生活動作尺度(ADCS-ADL)または前頭葉機能検査(FAB)が挙げられるが、これらに限定されない試験から構成される0週目での臨床評価;TMS-EEG、長期増強(LTP)、および短潜時求心性阻害(short-latency afferent inhibition)(SAI)が挙げられるが、これらに限定されない0週目での神経生理学的評価; 2週間にわたって10回の毎日のセッションにおいて実際のもしくは偽rTMSから構成される集中相; 22週間にわたって22回の毎週のセッションでの実際のもしくは偽rTMSから構成される維持相; CDR、ADAS-Cog、FAB、MMSE、NPI、またはADCS-ADLが挙げられるが、これらに限定されない試験を含む12週目での臨床評価; CDR、ADAS-Cog、FAB、MMSE、NPI、またはADCS-ADLが挙げられるが、これらに限定されない試験から構成される24週目での臨床評価; ならびにTMS-EEG、LTP、およびSAIが挙げられるが、これらに限定されない24週目での神経生理学的評価。いくつかの実施形態において、図6Bを参照すると、試験設計の結果602は、テンプレート頭部で可視化された患者全体の頭皮上のTMSコイルの平均位置、および模倣誘導電場に基づく生物物理学的モデリング結果を構成した。いくつかの実施形態において、頭皮上のTMSコイルの平均位置は、楔前部の上方にあった。いくつかの実施形態において、生物物理学的モデリングは、電場モデリングであった。いくつかの実施形態において、上記生物物理学的モデリングは、楔前部rTMSを使用して生成された。いくつかの実施形態において、さらなるイメージング技術(例えば、MRI)が、平均刺激位置を示すために使用され得る。いくつかの実施形態において、図6Cを参照すると、試験設計の結果603は、1名またはこれより多くの患者のための標的位置において時間、空間、および周波数にわたってマッピングされたTMS-EEGデータを構成した。いくつかの実施形態において、上記TMS-EEGデータを、300ミリ秒(ms)にわたって測定した。いくつかの実施形態において、時間にわたるマップを、マイクロボルト/ミリ秒で測定した。いくつかの実施形態において、周波数にわたるマップを、ヘルツ/ミリ秒で測定した。いくつかの実施形態において、TMS-EEGデータ収集は、患者間で同時であった。いくつかの実施形態において、TMS-EEGデータ収集は、各患者に関して個別化rTMS強度および標的位置に対してベースラインで行った。いくつかの実施形態において、TMS-EEGデータ収集を、治験の最後に反復して、処置後の脳反応性における縦断的変化を調べた。
【0042】
図7は、本明細書中の一実施形態に従う処置後の認知変化の例示的描写700を提供する。いくつかの実施形態において、ベースラインを、0週目(これは、治験薬の第1の用量からのオフセットとしてベースライン測定の平均評価時間である)においてプロットした。いくつかの実施形態において、エラーバーは、標準誤差を示した。いくつかの実施形態において、図7Aを参照すると、認知変化の描写は、rTMSの線701および偽rTMSの線702から構成される、24週間にまたがる3つの時点にわたる一般化線形混合モデル(GLMM)の予測平均変化のグラフを構成した。いくつかの実施形態において、上記グラフは、臨床認知症評価尺度ボックスの合計(CDR-SB)でのベースラインからのGLMM予測平均変化を示した。いくつかの実施形態において、スコア範囲は、0~18の範囲に及ぶスコアを用いて、ドメインボックススコアの各々を合計することによって得た。いくつかの実施形態において、スコアが高いほど、認知がより悪いことを示した。いくつかの実施形態において、上記3つの時点は、0週目、12週目、および24週目であった。いくつかの実施形態において、アスタリスクは、上記rTMSおよび偽rTMSの線の縦および横の平均を構成した。いくつかの実施形態において、図7Bを参照すると、認知変化の描写は、rTMSの線701および偽rTMSの線702から構成される、24週間にまたがる3つの時点にわたるGLMM予測平均変化のグラフを構成した。いくつかの実施形態において、上記グラフは、アルツハイマー病評価尺度 - 認知13項目尺度(ADAS-Cog13)でのベースラインからのGLMM予測平均変化を示した。いくつかの実施形態において、スコアは、0~70の範囲に及んだ。いくつかの実施形態において、スコアが高いほど、認知がより悪いことを示した。いくつかの実施形態において、上記3つの時点は、0週目、12週目、および24週目であった。いくつかの実施形態において、アスタリスクは、上記rTMSおよび偽rTMSの線の縦および横の平均を構成した。いくつかの実施形態において、図7Cを参照すると、認知変化の描写は、rTMSの線701および偽rTMSの線702から構成される、24週間にまたがる3つの時点にわたるGLMM予測平均変化のグラフを構成した。いくつかの実施形態において、上記グラフは、MMSEスケールでのベースラインからのGLMM予測平均変化を示した。いくつかの実施形態において、スコアは、0~30の範囲に及んだ。いくつかの実施形態において、スコアが低いほど、認知が悪化していることを示した。いくつかの実施形態において、上記3つの時点は、0週目、12週目、および24週目であった。いくつかの実施形態において、アスタリスクは、上記rTMSおよび偽rTMSの線の縦および横の平均を構成した。いくつかの実施形態において、図7Dを参照すると、認知変化の描写は、rTMSの線701および偽rTMSの線702から構成される、24週間にまたがる3つの時点にわたるGLMM予測平均変化のグラフを構成した。いくつかの実施形態において、上記グラフは、前頭葉機能検査(FAB)尺度でのベースラインからのGLMM予測平均変化を示した。いくつかの実施形態において、スコアは、0~18の範囲に及んだ。いくつかの実施形態において、スコアが高いほど、機能的認知機能がよりよいことを示した。いくつかの実施形態において、上記3つの時点は、0週目、12週目、および24週目であった。いくつかの実施形態において、アスタリスクは、上記rTMSおよび偽rTMSの線の縦および横の平均を構成した。いくつかの実施形態において、図7Eを参照すると、認知変化の描写は、rTMSの線701および偽rTMSの線702から構成される、24週間にまたがる3つの時点にわたるGLMM予測平均変化のグラフを構成した。いくつかの実施形態において、上記グラフは、アルツハイマー病共同研究日常生活動作(ADCS-ADL)尺度でのベースラインからのGLMM予測平均変化を示した。いくつかの実施形態において、スコアは、0~78の範囲に及んだ。いくつかの実施形態において、スコアが低いほど、機能がより悪いことを示した。いくつかの実施形態において、上記3つの時点は、0週目、12週目、および24週目であった。いくつかの実施形態において、図7Fを参照すると、認知変化の描写は、rTMSの線701および偽rTMSの線702から構成される、24週間にまたがる3つの時点にわたるGLMM予測平均変化のグラフを構成した。いくつかの実施形態において、上記グラフは、NPI尺度でのベースラインからのGLMM予測平均変化を示した。いくつかの実施形態において、スコアは、0~144の範囲に及んだ。いくつかの実施形態において、スコアが高いほど、行動症状がより悪いことを示した。いくつかの実施形態において、上記3つの時点は、0週目、12週目、および24週目であった。
【0043】
図8は、本明細書中の一実施形態に従う処置後のTMS-EEG結果の例示的描写800を提供する。いくつかの実施形態において、図8Aを参照すると、TMS-EEG結果は、TMS誘発電位(TEPs)とエラーバー801、0週目での実際のrTMSの線803、24週目での実際のrTMSの線802、TMSパルス804、およびDMN-p応答活性間隔809のグラフ;第1の間隔における0週目でのDMN-p応答活性805、第2の間隔における0週目でのDMN-p応答活性807、第1の間隔における24週目でのDMN-p応答活性806、第1の間隔における24週目でのDMN-p応答活性808; 0週目での偽rTMSのTEPの線811とエラーバー810、24週目での偽rTMSの線813とエラーバー812、TMSパルス804、およびDMN-p応答活性間隔819のグラフ;ならびに第1の間隔における0週目でのDMN-p応答活性815、第2の間隔における0週目でのDMN DMN-p応答活性817、第1の間隔における24週目でのDMN-p応答活性816、および第1の間隔における24週目でのDMN-p応答活性818を構成した。いくつかの実施形態において、TEPsを、マイクロボルトで測定した。いくつかの実施形態において、TEPグラフのx軸は、ミリ秒であった。いくつかの実施形態において、偽rTMSは、脳の実際の刺激なしで、実際のrTMSの効果を模倣することを目的とする任意のアプローチであった。いくつかの実施形態において、TEPsを、DMN-pにわたって、実際のまたは偽のrTMSの前(0週目)および24週間後のDMN-p刺激から収集した。いくつかの実施形態において、24週間後に、DMN-pの単一パルスTMSから誘起したTEPsは、偽rTMS患者に関して振幅が減少した。いくつかの実施形態において、24週間後に、DMN-pの単一パルスTMSから誘起したTEPsは、実際のrTMS患者に関して振幅が変化しなかった。いくつかの実施形態において、図8Bを参照すると、TMS-EEG結果は、0週目での実際のrTMSの線822とエラーバー821、24週目での実際のrTMSの線820とエラーバー823のDMNソース活性およびTMSパルス804のグラフ;0週目824および24週目825でのDMNにわたるソース再構成828;ならびに0週目での偽rTMSの線831とエラーバー830、24週目での偽rTMSの線832とエラーバー833のDMNソース活性およびTMSパルス804のグラフを構成した。いくつかの実施形態において、偽rTMSは、脳の実際の刺激なしで、実際のrTMSの効果を模倣することを目的とする任意のアプローチであった。いくつかの実施形態において、24週間後に、DMN-pの単一パルスTMSから誘起したDMNソース活性は、偽rTMS患者に関して振幅が減少した。いくつかの実施形態において、24週間後に、DMN-pの単一パルスTMSから誘起したDMNソース活性は、実際のrTMS患者に関して振幅が変化しなかった。
【0044】
図9は、本明細書中の一実施形態に従う処置後のガンマ帯域の脳振動活動における変化の例示的描写900を提供する。いくつかの実施形態において、上記描写は、時間ゼロ 901および時間1 902での実際のrTMSを受けた患者におけるDMN-pの単一パルスTMS 907後のTMS関連スペクトル摂動(TRSP)(ここで時間1は、刺激後であり、時間ゼロは、刺激前であり、差異は905); 時間ゼロ 903および時間1 904での偽rTMSを受けた患者におけるDMN-pの単一パルスTMS 907後のTRSP(ここで時間1は、刺激後であり、時間ゼロは、刺激前であり、差異は906)(ここでy軸の文字ガンマから横断する水平線908は、固有のガンマ周波数 40Hzである);ならびに実際のrTMS後 912、ベースラインの実際のrTMS 913、偽rTMS後 914、ベースラインの偽rTMS 915、実際のrTMS後とベースラインの実際のrTMSとの間の差異910、および偽rTMS後とベースラインの偽rTMSとの間の差異911から構成される事象関連スペクトルダイナミクス(ERSP)のグラフを構成した。いくつかの実施形態において、ERSPを、スペクトルパワー(db)で測定した。いくつかの実施形態において、ERSPグラフにおいて影を付けたボックスは、任意の所定のグラフ上の線の間の差異を示した。いくつかの実施形態において、TRSPを、ヘルツ/ミリ秒で測定した。いくつかの実施形態において、TRSPグラフのy軸は、ガンマ波、ベータ波、アルファ波、およびシータ波の範囲を示した。いくつかの実施形態において、実際のrTMS後にベータ周波数およびガンマ周波数の帯域において振動活動が特異的に増加し、偽rTMS後にはわずかに減少した。いくつかの実施形態において、互いに対して直接比較した場合に、実際のrTMSと偽rTMSのガンマスペクトルパワーの間には差異が存在した。いくつかの実施形態において、実際のrTMSに関するTRSPグラフにおける変化905は、活性の増加を示した。いくつかの実施形態において、偽rTMSに関するTRSPグラフにおける変化906は、活性の減少を示した。いくつかの実施形態において、ERSPグラフにおける実際のrTMSと偽rTMSとの間の差異は、正であった。
【0045】
図10~14は、例示的TMS試験プロトコール、試験条件、および試験結果を提供する。図10は、本明細書中の一実施形態に従う例示的TMS試験プロトコールおよび試験条件1000を提供する。ここで種々の測定された結果が提供される。いくつかの実施形態において、上記試験プロトコールは、ガンマ経頭蓋交流刺激(γtACS)1003、シータ経頭蓋交流刺激(θtACS)1004、および断続性のシータバースト刺激(iTBS)1002に対する応答から構成される脳波グラフ1001;tACS機器1006での選択された脳領域1005の刺激の描写; 左側背側前頭前皮質(DLPFC SX)1009、右側背側前頭前皮質(DLPFC DX)1008、もしくは頭頂1007、またはこれらの任意の組み合わせを含む刺激のための脳領域の描写;ならびにT0での刺激前のTMS-EEG 1015、iTBS-tACS刺激1016、T1での刺激直後のTMS-EEG 1017、およびT2での刺激の20分後のTMS-EEG 1018から構成される実験プロトコールを構成した。いくつかの実施形態において、脳波グラフ1001は、ヘルツ/秒で脳波を示した。いくつかの実施形態において、θtACSを5Hzで行った。いくつかの実施形態において、γtACSを70Hzで行った。
【0046】
図11は、プロトコール1000に従う処置後のある特定の脳領域の脳活動における変化の例示的描写1100を提供する。いくつかの実施形態において、脳活動における変化は、iTBSおよびγtACS刺激をいっしょに使用した場合の単一パルスTMS摂動後のTEPsのグラフ1102とスペクトルパワー表示1105と、T0 1110、T1 1108、およびT2 1109でのTEPsのグラフ表示; iTBSおよびθtACS刺激をいっしょに使用した場合の単一パルスTMS摂動後のTEPsのグラフ1103とスペクトルパワー表示1106と、T0 1110、T1 1108、およびT2 1109でのTEPsのグラフ表示;ならびにiTBSおよび偽tACS刺激をいっしょに使用した場合の単一パルスTMS摂動後のTEPs のグラフ1104とスペクトルパワー表示1107と、T0 1110、T1 1108、およびT2 1109でのTEPsのグラフ表示から構成される左側DLPFCに対する変化1101を構成した。いくつかの実施形態において、脳活動における変化は、iTBSおよびγtACS刺激をいっしょに使用した場合の単一パルスTMS摂動後のTEPsのグラフ1116とスペクトルパワー表示1119と、T0 1110、T1 1108、およびT2 1109でのTEPsのグラフ表示; iTBSおよびθtACS刺激をいっしょに使用した場合の単一パルスTMS摂動後のTEPsのグラフ1117とスペクトルパワー表示1120と、T0 1110、T1 1108、およびT2 1109でのTEPsのグラフ表示;ならびにiTBSおよび偽tACS刺激をいっしょに使用した場合の単一パルスTMS摂動後のTEPsのグラフ1118とスペクトルパワー表示1121と、T0 1110、T1 1108、およびT2 1109でのTEPsのグラフ表示から構成される、右側DLPFCに対する変化1115を構成した。いくつかの実施形態において、脳活動における変化は、iTBSおよびγtACS刺激をいっしょに使用した場合の単一パルスTMS摂動後のTEPsのグラフ1126とスペクトルパワー表示1129と、T0 1110、T1 1108、およびT2 1109でのTEPsのグラフ表示; TBSおよびθtACS刺激をいっしょに使用した場合の単一パルスTMS摂動後のTEPsのグラフ1127とスペクトルパワー表示1130と、T0 1110、T1 1108、およびT2 1109でのTEPsのグラフ表示;ならびにiTBSおよび偽tACS刺激をいっしょに使用した場合の単一パルスTMS摂動後のTEPsのグラフ1128とスペクトルパワー表示1131と、T0 1110、T1 1108、およびT2 1109でのTEPsのグラフ表示から構成される、頭頂に対する変化1125を構成した。いくつかの実施形態において、θtACSを5Hzで行った。いくつかの実施形態において、γtACSを70Hzで行った。いくつかの実施形態において、iTBS+θtACSまたはiTBS+偽tACSと比較して、iTBS+γtACSに関する単一パルスTMS摂動後のTEPsの振幅は増加した。いくつかの実施形態において、上記増加は、左側DLPFCに関して存在したが、右側DLPFCまたは頭頂に関しては存在しなかった。
【0047】
図12は、プロトコール1000に従う処置後のある特定の脳領域の左側DLPFCの脳活動における変化の例示的描写1200を提供する。いくつかの実施形態において、脳活動における変化は、T0 1201、T1 1202、およびT2 1203でのiTBS+γtACSと影を付けた尺度1204; T0 1205、T1 1206、およびT2 1207でのiTBS+θtACSと影を付けた尺度1204; T0 1208、T1 1209、およびT2 1210でのiTBS+偽tACSと影を付けた尺度1204; iTBS+γtACSの線1216、iTBS+θtACSの線1218、およびiTBS+偽tACSの線1217を伴う固有の周波数パワー解析グラフ1215;ならびにiTBS+γtACSの線1216、iTBS+θtACSの線1218、およびiTBS+偽tACSの線1217を伴う固有の周波数シフト解析グラフ1220から構成される、スペクトル摂動画像を構成した。いくつかの実施形態において、スペクトル摂動グラフは、周波数をヘルツ/ミリ秒で測定した。いくつかの実施形態において、影付きの尺度1204は、0マイクロボルト二乗(μV)から2μVの範囲に及んだ。いくつかの実施形態において、固有の周波数パワー解析1215は、T0、T1、およびT2でのパーセント変化を測定した。いくつかの実施形態において、固有の周波数シフト解析1220は、T0、T1、およびT2での周波数変化を測定した。いくつかの実施形態において、θtACSを5Hzで行った。いくつかの実施形態において、γtACSを70Hzで行った。いくつかの実施形態において、iTBS+γtACSの効果は、スペクトル摂動および振動活動において明らかであった。いくつかの実施形態において、iTBS+γtACSは、iTBS+θtACSまたはiTBS+偽tACSに関して明らかな効果がないことと比較して、ガンマ帯域において局所的応答のスペクトルパワーを増加させた。
【0048】
図13は、プロトコール1000に従う処置後の右DLPFCの脳活動における変化の欠如の例示的描写1300を提供する。いくつかの実施形態において、脳活動における変化は、T0、T1、およびT2でのiTBS+γtACS; T0、T1、およびT2でのiTBS+θtACS; T0、T1、およびT2でのiTBS+偽tACS; iTBS+γtACSの線1304、iTBS+θtACSの線1305、およびiTBS+偽tACSの線1306を伴う固有の周波数パワー解析グラフ1302;ならびにiTBS+γtACSの線1304、iTBS+θtACSの線1305、およびiTBS+偽tACSの線1306を伴う固有の周波数シフト解析グラフ1303から構成される、スペクトル摂動画像1301を構成した。いくつかの実施形態において、スペクトル摂動グラフは、周波数をヘルツ/ミリ秒で測定した。いくつかの実施形態において、影付きの尺度は、0マイクロボルト二乗(μV)から2μVの範囲に及んだ。いくつかの実施形態において、固有の周波数パワー解析1302は、T0、T1、およびT2でのパーセント変化を測定した。いくつかの実施形態において、固有の周波数シフト解析1303は、T0、T1、およびT2での周波数変化を測定した。いくつかの実施形態において、θtACSを5Hzで行った。いくつかの実施形態において、γtACSを70Hzで行った。いくつかの実施形態において、右DLPFCにわたって、スペクトルパワーにおける明らかな変化は存在しなかった。
【0049】
図14は、プロトコール1000に従う処置後の頭頂の脳活動における変化の欠如の例示的描写1400を提供する。いくつかの実施形態において、脳活動における変化は、T0、T1、およびT2でのiTBS+γtACS; T0、T1、およびT2でのiTBS+θtACS; T0、T1、およびT2でのiTBS+偽tACS; iTBS+γtACSの線1404、iTBS+θtACSの線1406、およびiTBS+偽tACSの線1405を伴う固有の周波数パワー解析グラフ1402;ならびにiTBS+γtACSの線1404、iTBS+θtACSの線1406、およびiTBS+偽tACSの線1405を伴う固有の周波数シフト解析グラフ1403から構成される、スペクトル摂動画像1401を構成した。いくつかの実施形態において、スペクトル摂動グラフは、周波数をヘルツ/ミリ秒で測定した。いくつかの実施形態において、影付きの尺度は、0マイクロボルト二乗(μV)から2μVの範囲に及んだ。いくつかの実施形態において、固有の周波数パワー解析1402は、T0、T1、およびT2でのパーセント変化を測定した。いくつかの実施形態において、固有の周波数シフト解析1403は、T0、T1、およびT2での周波数変化を測定した。いくつかの実施形態において、θtACSを5Hzで行った。いくつかの実施形態において、γtACSを70Hzで行った。いくつかの実施形態において、頭頂にわたって、スペクトルパワーにおける明らかな変化は存在しなかった。
【0050】
個別化TMS標的化および強度調整
いくつかの実施形態において、疾患の病態生理の知識は、空間標的化(すなわち、脳刺激標的および相当する、頭皮上の刺激コイルの位置または配置)または刺激パラメーター(強度、周波数または波形が挙げられるが、これに限定されない)を至適化して、アルツハイマー患者におけるrTMSの影響を最大化するために使用され得る。
【0051】
標的特定の方法
図1は、(i)アルツハイマー病を有する患者において収集された構造的および機能的イメージングデータに基づき、(ii)TMS誘発電位(TEPs)に基づく「TMS-EEG機能的検索」を介してさらに改良される、刺激ホットスポットを特定するための例示的方法を提供する。いくつかの実施形態において、上記方法は、ネットワークレベル標的の特定、またはTMS-EEG機能的検索を介する個別化のために使用される。いくつかの実施形態において、生物物理学的モデリングは、刺激強度調整のために適用され得る。いくつかの実施形態において、例えば、ネットワークレベル標的の特定またはTMS-EEG機能的検索を介する個別化は、2ステップのプロセスである。いくつかの実施形態において、第1のステップは、AD患者におけるデフォルトモードネットワーク(DMN)のトポグラフィーを特徴づけるグループレベルマップを計算することを包含する。楔前部は、DMNの最も高度に接続されるノードであった。よって、いくつかの実施形態において、さらなる空間至適化は、シード領域としてDMNの他の主要ノードを使用するシードベースの接続性解析を行い、楔前部とのそれらの接続性を予測し、楔前部領域の内部のネットワーク内接続性の局所最大値を特定することによって行われ得る。いくつかの実施形態において、さらなる空間至適化のプロセスは、各ノード(例えば、左側角回、右側角回、左側内側前頭前皮質、右側内側前頭前皮質、左側側頭葉(海馬領域が挙げられるが、これに限定されない)、右側側頭葉(海馬領域が挙げられるが、これに限定されない))に関して繰り返し反復され得、複数の接続性マップをもたらす。いくつかの実施形態において、上記マップは、次いで、いっしょに組み合わされ得、上記ネットワークの残りと最も高度に接続される楔前部の部分領域を強調する「楔前部加重マスク(precuneus weighted mask)」をもたらす。いくつかの実施形態において、これらの部分領域にわたる刺激は、楔前部を刺激する場合に、局所的活動がDMN全体の内部に伝播する最も高い確率を提供し得る。いくつかの実施形態において、最も高い機能的接続性の局所最大値が選択され得、皮質/頭皮へのその最短の経路が、頭皮上へのTMSコイルの配置をガイドするために投射され得る。本明細書で記載されるように、このアプローチは、刺激のための最も適した候補ノードまたはその内部の部分領域を特定する1つのソリューションに過ぎない。他の方法としては、非限定的な例として、各領域の平均結節度、それらの経路長、ネットワーク制御理論フレームワーク内でのそれらの制御可能性、それらの進化的ダイナミクスを予測すること、または目的の各脳領域もしくはネットワークに関する構造的、代謝的、灌流、もしくは拡散の情報、またはこれらの任意の組み合わせを得るために他のスキャンを利用することが挙げられ得る。
【0052】
いくつかの実施形態において、第2のステップは、本明細書で記載されるようにfMRIデータに基づいて特定される楔前部にわたって、各患者が一連の単一パルスTMS、例えば、60パルスを受容することを包含する。いくつかの実施形態において、上記患者は、64チャネルEEGシステムを介して、EEG記録と同時に一連の単一パルスTMSを受ける。いくつかの実施形態において、TMSコイル位置は、赤外線カメラと連結したニューロナビゲーションシステムを使用して常時モニターされ得る。いくつかの実施形態において、データは、人工物を除去するために前処理され得、各TMSパルスに応じて生成される局所ニューロン活性を反映する早期開始TMS誘発電位(TEPs)を特定するためにフィルターにかけられ得る。本明細書で記載されるように、いくつかの実施形態において、標的至適化は、例えば、元のfMRIで定義された刺激標的の周りのおよそ5×5センチメートルの面積にわたるグリッド検索を介して、ならびに各TMS送達後にTEPsを直接的に視覚化し、従って、各TEPの振幅および形状を瞬時にチェックし、各患者に関するTMSへの最高の応答を生成する楔前部内の空間的位置を特定する(「TMS-EEG機能的検索」)ことによって、達成され得る。いくつかの実施形態において、脳におけるTMS位置の選択は、最高のTEPsの振幅を局所的に(すなわち、TMS-EEGを介して測定した場合に、刺激した領域に)、ならびに最高のTEPs振幅を、脳の前頭葉および脳の側頭頭頂皮質(内側前頭皮質、背側前頭前皮質、角回、中側頭葉を含むが、これらに限定されない)に位置したデフォルトモードネットワークの他のノードに提供する脳領域を選択することによって行われ得る。楔前部領域およびデフォルトモードネットワークの他のノードにおいてともに脳活動の誘導間で最高のバランスを提供する楔前部におけるTMS位置は、楔前部における局所応答に加えて、ネットワークレベルの最大の活性化を誘導する目的で、刺激標的として選択される。
【0053】
刺激強度の個別化
図1Bは、各患者に対してベースラインで収集したTMSベースの尺度、具体的には、(i)左側運動野における右手表示のTMSによって計算される安静状態運動閾値、および(ii)楔前部の単一パルスTMS中に収集したTMS誘発電位の組み合わせとして、繰り返しのTMS来院中に適用される強度を定義するための例示的方法を提供する。いくつかの実施形態において、アドホックアルゴリズムは、異なる尺度を比較検討するために使用され得、各患者に関するrTMS処置セッションのために採用されるべき至適個別化刺激強度の最終予測をもたらす。いくつかの実施形態において、上記刺激強度を計算するために使用されるデータは、第1のrTMS来院とは異なる日に実施される別個のTMS-EEG来院中に収集され得る。いくつかの実施形態において、刺激強度を個別化する第1のステップは、左側運動野から計算される安静時運動閾値を計算することを包含する。いくつかの実施形態において、第1のステップは、左側運動野からの右手表示を標的とする。いくつかの実施形態において、刺激強度は、安静時運動閾値(RMT)の100%に設定され得る。その安静時運動閾値は、右手の弛緩した第1背側骨間(FDI)筋において10回の試行のうちの少なくとも5回で50μVより大きい運動誘発電位(MEPs)をもたらす最低強度として定義される。
【0054】
いくつかの実施形態において、刺激強度を個別化する第2のステップは、TMS-EEG機能的検索(「Opti-Search」)手順に基づいて、TMS標的の位置を至適化するために、TMS-EEGセッション中に収集したデータを使用することを包含する。いくつかの実施形態において、2回より多くのTMSパルスのセッション後の誘発活動は、TMS後の5ms~500msの間の種々の潜時でのTMS誘発電位(TEPs)を明らかにして、平均化され得る。TEPsの振幅は、各患者に関して計算され得る。いくつかの実施形態において、上記計算した振幅は、TMSに対する個々の応答性の代理として、従って、楔前部の興奮性および反応性の指数として、使用され得る。いくつかの実施形態において、TEPsの振幅は、次いで、TEPsに基づいてTMS刺激強度を適合させる目的とともに、運動皮質(すなわち、RMT)の刺激から得られる刺激強度を補正するために使用され得る。
【0055】
いくつかの実施形態において、刺激強度を個別化する第3のことは、さらなる解析を行って、TMS標的にわたる誘導電場を予測することを包含する。いくつかの実施形態において、この予測は、検証データセットからのMRI画像およびセグメンテーションを使用し、S/mで表される各組織クラスに関する異方性伝導率値に基づいて生成した実際的な体積導体頭部モデル(volume conductor head model)を使用し得る。いくつかの実施形態において、灰白質および白質、頭皮、骨、または脳脊髄液の包括的な得られるメッシュのセットは、コイルから頭皮までの距離およびコイル電流を考慮して、特異的TMSコイル設計のための電場分布を計算するために使用され得る。いくつかの実施形態において、予測される電場は、(a)後ろ向きに、標的領域に達する電流量の個体差を計算し、処置に対する応答における差異を説明するか、または(b)全ての参加者が同じ量の誘導される皮質刺激を受容するように、刺激位置もしくは強度を調整するために使用され得る。
【0056】
刺激周波数の個別化
図1Bは、各患者に対してベースライン時に収集されるTMSベースの尺度を組み合わせることによって、繰り返しのTMS来院中に適用される周波数を決定するための例示的方法を提供する。いくつかの実施形態において、特異的TMSベースの尺度は、楔前部の単一パルスTMS評価中に収集されるTMS-EEG誘発振動である。いくつかの実施形態において、アドホックアルゴリズムは、異なる尺度を比較検討するために使用され得、各患者に関するrTMS処置セッションのために採用されるべき至適個別化刺激周波数の最終予測をもたらす。いくつかの実施形態において、刺激周波数を計算するために使用されるデータは、第1のrTMS来院とは異なる日に実施される別個のTMS-EEG来院中に収集され得る。
【0057】
いくつかの実施形態において、刺激周波数を個別化する第1のステップは、TMS-EEGセッション中に収集したデータを使用して、TMS-EEG機能的検索手順に基づいてTMS標的の位置を至適化することを包含する。いくつかの実施形態において、10回より多くのTMSパルスのセッション後のTMS誘発活動は、平均化され得る。いくつかの実施形態において、時間または周波数解析は、TMS誘発振動活動を評価するために、TMSパルスの開始1秒前から1秒後までのエポック(epoch)で行われる。
【0058】
いくつかの実施形態において、刺激周波数を個別化する第2のステップは、個々の時間-周波数ドメイン応答を解析するために、Morletウェーブレットに基づいて事象関連スペクトル摂動(ERSP)値を計算することを包含する。例えば、いくつかの実施形態において、ERSP値を計算することは、5~50Hzにまたがる100個の線形に間隔を空けた周波数におけるマザーウェーブレットを、3.5周期ウェーブレットおよび0.5 スケーリング係数(scaling factor)でたたみ込むことを包含する。いくつかの実施形態において、各刺激部位での各被験体に関する個々の周波数のピークを決定することは、20~200 ms時間範囲内で各周波数に関するパワー値の合計を計算し、次いで、どの周波数が最高の値を有したかを決定することによって、グローバルERSP(gERSP)応答を解析することを含み得るが、これに限定されない。例えば、具体例では、最大周波数は、非常に高いピークを有する単一の周波数によって単独で駆動されないが、代わりに、他の周波数帯域より大きい、中程度であるが持続した応答を伴う周波数によって捕捉され得る。
【0059】
制限されたデータに基づくTMS至適化アプローチ
規範的脳ネットワークテンプレートを使用する標的特定
本明細書で記載されるように、いくつかの実施形態において、rTMSを介するADの処置のためのシステムおよび方法は、患者の脳スキャンが部分的にのみ利用可能である場合に、規範的ネットワークテンプレートを使用して適用され得る。いくつかの実施形態において、構造的脳スキャンのみが利用可能である場合、目的の脳ネットワークおよび領域を表すテンプレートは、標的ネットワークまたは領域のトポグラフィーを、個々の脳の解剖学的構造に適合させる球状または線形の共レジストレーションアルゴリズムを介して使用され得る。図2Aは、例えば、TMS-EEGを介する引き続く機能的検索のための最初のコイル配置に関するガイダンスを提供するために、楔前部のような領域およびDMNのようなネットワークを正確に特定するための例示的方法を提供する。いくつかの実施形態において、本明細書で記載される方法はまた、ADおよび認知症病態生理の蓄積された知識に基づいて、rTMS刺激のための標的を強調する、本発明者らによって作成されたアドホックマップを利用する。図2Bは、特定の認知タスク中のパターン活性化の例示的マップを提供する。いくつかの実施形態において、マップは、萎縮、代謝低下、タンパク質蓄積または機能的接続性破壊の、特定の認知タスク中のパターン活性化に関する情報を含むが、これに限定されない。
【0060】
頭皮ベースの推論および規範的脳スキャンを使用する標的特定
図2Cは、患者の機能的脳スキャンも構造的脳スキャンも利用可能でない場合に、頭皮ベースのナビゲーションを使用することによって、rTMSを介するADの処置のための例示的システムおよび方法を提供する。いくつかの実施形態において、基準点は、両側の耳珠、イニオンおよび鼻根点が患者の頭部のどこに位置するか、および巻尺で測定したそれらの距離を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、イニオン-鼻根点間および耳珠-耳珠間の距離の半分が計算され、その2つの点の交線が頭皮の頭頂の位置を決定する。いくつかの実施形態において、国際的な10/20または10/10 EEG基準システムが、EEG電極位置の適切な場所を得るために使用され得る。いくつかの実施形態において、楔前部および後部帯状回皮質領域の位置は、AD患者のデータセットからの規範的機能的MRIデータに基づいて予測され得る。いくつかの実施形態において、上記データセットは、テンプレートAD脳における楔前部と接続する最短の直線軌道に相当する頭皮の部位の平均的位置を提供する。いくつかの実施形態において、頭皮の位置は、次いで、頭頂および他の頭皮基準点(例えば、イニオン)からの%距離として表される。いくつかの実施形態において、上記%距離は、次いで、楔前部領域を標的とするために、TMSのための平均最良皮質部位に相当する患者の頭皮上で特定される。いくつかの実施形態において、本明細書で記載されるものと同じ手順が、他の脳領域に対しても適用され得る。
【0061】
TMS-EEGデータの非存在下での標的特定
図3は、TMS-EEGデータが利用可能でなく、かつOpti-Search手順が完了できない場合に、患者の脳スキャンを使用することによる、rTMSを介するADの処置のための例示的システムおよび方法を提供する。いくつかの実施形態において、本発明発者らによって収集されるAD患者の利用可能な規範的データセット(個々の脳スキャン、EMG、EEGおよびTMS-EEGデータが挙げられるが、これらに限定されない)は、一連の基準測定値(構造的脳スキャンから予測される頭皮-皮質距離、皮質脊髄興奮性、TMS-EEG反応性、またはコイル位置および刺激強度の範囲に基づく予測誘導電場が挙げられるが、これらに限定されない)を作成するために使用され得る。場合によっては、回帰モデルが、AD患者のデータセットにおいて使用される楔前部刺激に関する平均強度と、それらそれぞれの他の測定値(例えば、皮質興奮性、頭皮-皮質距離、TMS-EEG反応性)との間の関係性に基づいて、患者の楔前部に使用されるべき刺激強度を予測するために使用され得る。例えば、いくつかの実施形態において、AD患者のデータベースに基づく回帰モデルは、AD患者における楔前部に関する刺激強度が、皮質脊髄興奮性値 β1、頭皮-皮質距離 β2、楔前部における誘導電場 β3(ここでβ1-2-3は、AD患者の規範的データセットから計算される回帰β値である)の合計を計算することによって予測され得ることを示し得る。
【0062】
TMSを介する皮質下ネットワークベースの標的化
図4は、非侵襲性脳刺激を介して標的化可能な、皮質下標的と皮質領域との間の接続性を予測するために、構造的および機能的脳スキャンを使用することを包含する例示的方法を提供する。いくつかの実施形態において、この方法は、各皮質標的の接続性の強度および分布を反復して試験し、皮質下標的を活性化する機会を最大化するために刺激されるべき至適表面領域を特定するために使用される。いくつかの実施形態において、本明細書で記載されるように、アルツハイマー病を有する患者における記憶タスク中の患者特異的脳活性化の特定は、デフォルトモードネットワークの関与を強調する。いくつかの実施形態において、上記方法は、刺激される表面領域(例えば、角回)とアルツハイマー病に関して目的の既知の皮質下標的(例えば、記憶処理におけるその役割に関しては海馬)とを接続する白質線維路を可視化するために構造的および拡散MRIデータを使用することによって、海馬モジュレーションのための至適皮質標的の特定を含むが、これに限定されない。いくつかの実施形態において、白質線維は、左側角回の多数の部分領域から予測され得、その部分領域は、最終的な個別化標的として選択される海馬に向かう最も強い白質線維経路を示す。AD病態生理は、皮質および皮質下両方の脳構造の変化によって特徴づけられ、皮質下の脳構造としては、海馬および扁桃体のような重要な領域が挙げられる。しかし、非侵襲性脳刺激法は、皮質下領域を直接標的化できない可能性があるが、それらは代わりに、皮質領域の活動を効果的にモジュレートし得る。従って、本明細書で記載される方法は、ネットワーク神経科学原理および最新のコネクトミクス解析からの方法を利用して、強く接続した皮質領域を刺激することによって、所望の深部標的にアクセスする可能性を前提とする。場合によっては、これは、記憶成績における変化を誘導するか、または局所代謝を増加させるために、海馬のような領域を刺激し得る。
【0063】
データ処理方法
いくつかの実施形態において、データ処理は、PythonおよびMatlab(登録商標)のような言語でのカスタムコードを介して行われ得る。いくつかの実施形態において、データ処理は、自動化クリーニングまたは前処理のためのソリューション、および人工物の手動での特定に関する可能性のある半自動化されたソリューションを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、処理および解析は、(i)データ収集、(ii)データ検証およびフォーマット変換、(iii)データクリーニングもしくは前処理、(iv)データ解析、または(v)詳細レポート作成(至適刺激標的およびパラメーターおよび処理ステップの概要が挙げられるが、これらに限定されない)を網羅する、別個のモジュールの一部として行われ得る。
【0064】
脳スキャン処理
いくつかの実施形態において、脳領域標的化のために使用される脳スキャンは、(i)脳の構造的特性(密度、体積、厚み、皮質の折りたたみ(gyrification)、灰白質もしくは白質の溝の深さ、CSF分布、白質の拡散率および異方性、または神経伝達物質の分光光度プロフィール、あるいはこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない);ならびに(ii)脳の機能的特性(血行動態応答、血液灌流、代謝活性(例えば、グルコース消費)、またはタンパク質負荷が挙げられるが、これらに限定されない)に関する情報を含み得る。いくつかの実施形態において、統計解析のために脳スキャンを準備するためのステップは、単一画像を3D体積フォーマットへと変換すること;脳組織クラスにおけるセグメンテーション;空間的および時間的フィルタリング;生理学的ノイズの除去;画像人工物の除去;脳活動の平均値もしくは時系列の抽出;グループレベル解析のための一般的な解剖学的もしくは機能的テンプレートへの共レジストレーション;またはブロック-fMRIデータの場合のように、複数のスキャン条件が存在する場合の誘発活動の計算が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、追跡調査解析は、ボクセルベースの体積データまたは頭頂ベースの表面画像の両方に対して行われ得、TMSによって標的とされ得る関連するネットワークまたは脳領域を記載する解剖学的または機能的アトラスに基づくクリーンデータのマスキングが挙げられ得るが、これに限定されない。
【0065】
EEGデータ処理
いくつかの実施形態において、TMS-EEG記録セッション中の単一TMSパルスの前、間、および後に収集されるEEGデータは、データ解析および至適TMS標的の選択のための準備において処理され得る。いくつかの実施形態において、そのステップは、以下を含むが、これらに限定されない: .edfフォーマットでの生データ変換;TMS前および後の脳活動を捕捉するセグメントを含む、所定の長さのエポックへの生のデータのトリミング;TMS前に収集したEEGデータの平均シグナル振幅を差し引くことによるTMS後活動の正規化;過剰なノイズもしくは人工物を伴うEEGチャネルを特定するための自動化もしくは半自動化データ検査; TMSパルスによって誘導された早期シグナル減衰および筋人工物を除去するための単一TMSパルスと同時の活動のゼロパディング(電圧ベースの閾値、尖度および同時確率に従う);早期TMS誘発高振幅電極を含む成分を特定および除去する独立成分解析(ICA)とともに、オーバーフィッティングおよびノイズ成分を最小化する主成分解析(PCA)を介するさらなるデータ整理;TMSパルスにわたって予めゼロパディングされたシグナルの補間;代表的には1~150Hzの間の前方-後方フィルターを使用するバンドパスフィルタリング;回線ノイズを考慮するノッチフィルタリング;グローバル平均への参照;眼の動き/瞬目、筋ノイズ(EMG)、単一電極ノイズ、TMS誘発筋活動、心シグナル(EKG)、および聴覚誘発人工物(人工物は、それらのスペクトル周波数プロフィール、パワースペクトル、振幅、頭皮トポグラフィー、および時間経過に基づいて特定および表示される)を含む残りの全ての人工物成分を手動で除去する第2のICA;残留人工物の特定のための機械学習およびディープラーニングアルゴリズムの適用;以前に除去された電極の補間。
【0066】
いくつかの実施形態において、本明細書で記載されるステップの順序は変動し得、具体的調整は、個々の脳特性または病理特異的人工物およびシグナル特性に少なくとも部分的に基づいて実行される。考慮するべき特徴としては、例えば、脳における誘導電場に影響する皮質萎縮のレベル;特定の誘発電位の振幅および形状に影響する神経伝達物質の活性の既知の変化;EEG記録中の上昇した動きおよび筋活性化;嗜眠状態またはADDを有する患者の脳に代表的な脳活動の全体的な緩慢化に起因する、EEGにおける振動活動のレベルの上昇が挙げられるが、これらに限定されない。
【0067】
基盤
図5は、他のステップの中でも、刺激標的およびパラメーター至適化、データ格納および処理、もしくは処置送達、またはこれらの任意の組み合わせを可能にする例示的な基盤システムおよび方法を提供する。いくつかの実施形態において、上記処置のフローは、以下のステップを含み得るが、これらに限定されない:
1)患者に、臨床医によるrTMS処置を処方する;
2)患者に、標的定義および至適化セッションのためのスケジュールが立てられる;
3)患者は、脳スキャンセッションを完了して、標的脳ネットワークまたは領域のトポグラフィーを特定および特徴づける;
4)脳スキャンを処理し、楔前部領域の第1のマスクを特定する;
5)別個の来院において、患者のEMG、TMSまたはEEGデータを、脳スキャンを介して以前に特定した楔前部領域から収集する;
6)結果をデータ処理ユニットまたはプラットフォームへとストリーミングする。この場所で、刺激のための至適標的をさらに特定するためにデータクリーニングおよび解析が行われる;
7)臨床医または術者は、上記患者のための個別化標的および刺激パラメーターについての情報を受容し、処置セッションのスケジュールを立てる;
8)患者は、rTMS処置を、その処方された持続時間にわたって受ける; 各来院からのデータ(ニューロナビゲーションデータが挙げられるが、これに限定されない)を、基盤の中にローカルに、および遠隔クラウドシステムの中に保存する;
9)患者は、疾患進行および処置応答をモニターするために、処置コース中に追跡調査TMS-EEG来院を完了する;
10)データを保存し、解析プラットフォームを使用して、処置有効性に関して集計データおよびグループレベルの洞察に基づいて、処置をさらに至適化する。
【0068】
いくつかの実施形態において、上記ステップは、本明細書で開示される他の方法の任意の適切なステップと組み合わされ得るか、または置き換えられ得る。場合によっては、例えば、ステップ#3から出発して、臨床スタッフメンバーがURLリンクにアクセスし、彼らのユーザーアカウントをサービス(例えば、Auth0)で認証してもよい。次いで、上記臨床スタッフメンバーは、TMS-EEG装置を用意し、ウェブブラウザとそれとを対にし得る。いくつかの実施形態において、この対にした後に、データ(生のEEGデータまたは検索メタデータ(例えば、人口統計情報、脳スキャンデータ、ニューロナビゲーションパラメーター)が挙げられるが、これらに限定されない)および要求が、アプリケーションプログラマーインターフェース(API)を介して、EEGからバックエンドへと送られ得る。このデータおよび要求は、次いで、ゲートウェイイングレスおよびゲートウェイを経てルーティングされる。
【0069】
いくつかの実施形態において、上記APIは、以下が挙げられるが、これらに限定されないゲートウェイからの主要行為のセットを有するように設定される:
1.ストリーミング - データ(例えば、EEG 時系列データ)を照会し、ストリーミングできること; 例えば、ストリーミングとしては、Amazon Key Management Service(KMS)のようなサービスを介した暗号鍵を使用したデータの暗号化および復号が挙げられるが、これらに限定されないことが注記される。
2.データ収集 - 例えば、EEGフィードを取り込み、刺激するべき脳における位置を取り戻す目的で、生のEEGデータを収集し、クリーニングし、特徴化し、処理できること。
3.対象 - 上記データベース(MongoDB)にアクセスし、照会できること。
4.スケジュールを立てる - 患者スケジュールまたは約束を予約し、公表できること。
5.請求 - 請求情報にアクセスし、例えば、Stripeのような第三者サービスプロバイダでセッションごとに料金請求できること。
6.通知 - ある特定の行為が完了した(例えば、セッションが完了したかもしくは請求成功、またはターゲティング結果が準備できた)際に、ユーザーにeメールを送信できること。
7.データエクスポート - データバンドルを要求および作成またはデータベースの中の情報からダウンロードできること。例えば、これは、セッションを経時的に追跡し、症状の改善を測定するために特に有用であり得る。
8.ベースラインユーザー - 調査手段(例えば、デジタル化したミニメンタルステート検査(MMSE)が挙げられるが、これに限定されない)を介してユーザーのベースラインを設定するか、または電子健康記録(HER)から調査自体へと情報を公表できること。
【0070】
場合によっては、データベースからのデータは、ヘルスケア情報を電子的に交換するための標準であるFHIRと互換性があるようにフォーマット化され得る。場合によっては、データは、データベースからEHRへと、APIsを使用することで直接公表され得る。場合によっては、構成全体(すなわち、基盤)または本明細書で記載される構成の任意の部分が、ローカルで、またはdockerコンテナを介してクラウドで実行され得る。地理(例えば、米国に対してインド)に関してサーバーおよびクラスターをスピンアップする選択肢もあり得る。これは、例えば、インドのデータはインドに、または欧州のデータは欧州に保管することを含め、GDPRを遵守するためのデータプロビジョニングにとって重要である。場合によっては、データベースは、ユーザーを経て検索し得、GDPRおよび他のプライバシーに関する法律を遵守するために、要求に応じてユーザーデータを削除し得る。
【0071】
処置至適化のためのデータベース
いくつかの実施形態において、本明細書で記載される構成は、脳スキャン、EEG、EMGおよびTMSデータ、個々の患者の特性(臨床、人口統計および認知プロフィール、刺激のための至適パラメーター、もしくはグループレベル解析およびTMSベースの介入のさらなる至適化、またはこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない)を保存するために使用され得る。いくつかの実施形態において、機械学習およびディープラーニングソリューション(例えば、畳み込みニューロナルネットワークおよびクラスタリングアルゴリズム)は、データベースを介して検索し、例えば、処置の応答に関連付けられた個々のデータ特徴、類似の刺激パラメーターを有する個体のクラスター、処置に対して類似の応答を有する個体のクラスターを特定するために、用量応答曲線を予測するために、疾患進行の推測モデルを構築するために、使用され得る。
【0072】
実施例使用症例
上記で記載されるシステムおよび方法の潜在的適用の2つの例を以下に記載する。第1の例は、AD患者の処置のためのrTMSパラメーターの個別化のための提唱されたソリューションの直接的適用であり、50名のAD患者のサンプルにおいて楔前部を標的とするrTMS処置の有効性を明らかにする、第二相、無作為化二重盲検プラセボ対照臨床試験からの結果を報告する。
【0073】
処方(すなわち、TMSおよび他の介入の組み合わせ)の一例がまた、報告される。可塑性誘導脳刺激技術(すなわち、tACS)といっしょに適用されるrTMS介入の効果を示す試験の結果が示される。これは、脳活動および反応性をモジュレートするにあたって、組み合わされたソリューションの有効性の増加を示す。
【実施例
【0074】
実施例
本発明者らが収集したデータは、50名のADを有する患者において臨床効果および認知効果を、第二相、二重盲検無作為化プラセボ対照臨床試験で獲得して、ADにおいて変化した機能的ネットワーク、特に、DMNおよび楔前部領域(DMN-p)を標的とするための新規なアプローチに基づくrTMSの長持続時間処置コースの安全性、実行可能性および有効性を明らかにする。以下は、臨床試験の報告される詳細、介入および標的化手順に関する情報、ならびにTMS-EEGおよび脳スキャン解析に基づく処置個別化のための方法である。以下の実施例の方法、実験設計、および他の局面は、限定であるとは決して意図されない。
【0075】
実施例1: rTMSを使用する治験設計
図6は、軽度から中程度のAD患者におけるDMN-pにわたるrTMSの単一施設無作為化偽対照二重盲検治験を含む本明細書で記載される例示的試験設計を提供する。募集およびベースライン評価の後に、患者を、1:1比において無作為に割り当てて、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤治療での彼らの安定な薬物レジメンに加えて、実際のまたは偽のDMN-p DMN-p-rTMSいずれかを受けさせた。全ての処置を、24週間にわたって中断なしに投与した。治験は、24週間の処置期間と、DMN-pのrTMS DMN-pを月曜日から金曜日の1週間あたり毎日5回適用する2週間の集中コース(W1およびW2)、続いて、同じ刺激を、22週間にわたって毎週適用する維持相(W3~W24)から構成された。
【0076】
各rTMSセッションは、約20分間の合計持続時間にわたって、20Hzで2秒間送達され、28秒間の刺激なしによって間隔を空けるという一連の40回(刺激の合計数: 1600)からなった。24週間の全体の期間の間には、合計51200回のパルスを各患者に関して送達した。rTMSを、8字コイルと接続した磁気刺激装置を使用して行った。
【0077】
有効性評価を、登録した患者および介護者に対してベースライン(W0)時に行い、割当群に関して盲検化された評価者が12週目(W12)および24週目(W24)(または早期終了の際)に繰り返した。治験責任医師、患者、および彼らの介護者も盲検化した。各臨床来院時(または早期終了の際)に、有害事象(AEs)を記録し、バイタルサインを測定し、身体検査および神経学的検査を行った。独立したデータモニタリング委員会が、データモニタリング委員会憲章に従って、患者の安全性をモニターした。
【0078】
一次転帰および二次転帰尺度
一次転帰尺度は、臨床認知症評価尺度ボックスの合計(CDR-SB)スコア(CDR-SBスコアは、0~18までの範囲に及び、スコアが高いほど、認知および日常機能がより悪いことを示す)のベースラインからの24週間での変化であった。治療意図に基づく解析セットは、ベースライン後有効性データを有する全ての患者を含んだ。二次転帰尺度は、以下であった:
・アルツハイマー病評価尺度 - 認知下位尺度(ADAS-Cog)11でのベースラインからの24週間での変化[25];
・MMSEスコアでのベースラインからの24週間での変化;
・日常生活動作(ADCS-ADL)でのベースラインからの24週間での変化[26];
・前頭葉機能検査(FAB)でのベースラインからの24週間での変化[27];
・神経精神症状質問票(NPI)でのベースラインからの24週間での変化[28]。
【0079】
TMS-EEGを、TMS誘発電位(TEPs)の解析を介して皮質興奮性、可塑性および反応性のマーカーとして使用し、振動活動を、同時のEEG記録中にDMN-pにわたって適用される単一パルスTMSによって誘発TMS関連スペクトル摂動(TRSP)として測定した。ソース再構成解析を行って、刺激した領域の周辺のTMS-EEG誘発活動の空間分布を定義した。
【0080】
サンプル予測および統計解析
合計50名の無作為に割り当てた患者(25名/群)を、AD患者の小さなサンプルにおいて認知機能に対する2週間のDMN-p -rTMSの効果を評価した本発明者らの以前の試験からのパワー計算に基づいて計画した。2週間の処置でのパイロット試験における記憶成績スコアに関して観察された、プールされた標準偏差に対して事後-事前平均として得られた0.39に等しい効果サイズを考慮すると、処置持続時間がパイロット試験より10倍長い現在の試験に関しては、少なくとも2倍の効果サイズ(すなわち、約0.75)を有することは妥当であった。この効果サイズを用いて、両側の対応のあるWilcoxonの符合順位検定を採用すると、タイプIエラーα=0.05および測定前変数と測定後変数との間のもっともらしい相関0.7では、0.8のパワーに達するための最小サンプルは、n=17に等しく;パワー0.9を確実にするためには、n=23までと予測した。N=50(25名/群)という選択は、群分析内についての適切なサイズも同様に確実にした。
【0081】
共変量適応無作為化(Covariate-adaptive randomization)は、独立した機関に勤務している統計学者によって行われ、割り当てられた。エンドポイント変数の正規性の仮定は、分布プロットの検査ならびにKolmogorov-Smirnov検定およびShapiro-Wilk検定によって評価した。
【0082】
統計解析
群にわたるエンドポイントの縦断的評価を、ベースライン時の個体差を考慮し、追跡調査中の個々の変化を評価するために、ランダム切片およびランダム傾きを用いた反復測定のための一般化線形混合モデル(GLMM)を介して行った。GLMMを、CDR-SBおよび有効性の他の転帰尺度、ADAS-Cog11、MMSE、ADCS-ADL、FABおよびNPIを従属変数として、ならびに「群」、「時間」および「群×時間」相互作用を独立因子として、適用した。
【0083】
サンプル
86名の患者をスクリーニングし、50名は無作為化を受けた。患者の合計サンプルの平均年齢は、73.7歳(SD=6.6、範囲 62~84)であり、52%は女性であった。患者は、21.3(SD=2.5)というベースライン時の平均MMSEの生スコアを有した。ベースライン患者の人口統計および臨床特性は、DMN-p-rTMS群と偽rTMS群との間では異ならなかった。合計5名の患者が、完了前に治験を中止した(DMN-p-rTMS群において3名および偽rTMS群において2名)、合計45名の患者(90%)は、処置期間を完了した。平均すると、24週間の間に完了したrTMSセッションの平均数は、いずれの実験群に割り当てられたAD患者間でも変動しなかった(DMN-p-rTMS: 30.2; 偽rTMS 30.5)。
【0084】
患者特性
患者は、National Institute of National Institute of Neurological and Communicative Disorders and Stroke and the Alzheimer’s Disease and Related Disorders Association基準に従って、ほぼ確実に軽度から中程度のADという診断が彼らに確立されている;年齢が>50歳、≦85歳;スクリーニング時に臨床認知症評価(CDR)スコア 0.5~1およびミニメンタルステート検査(MMSE)スコア18~26(これは軽度から中程度のADを示す)を有する;介護者がいる;アセチルコリンエステラーゼ阻害剤で少なくとも6ヶ月間処置されたことがある;および診断目的で脳脊髄液生体マーカー解析のために腰椎穿刺を行ったことがある場合に、適格とした。患者は、医学的および神経学的評価(磁気共鳴イメージングまたはコンピューター断層撮影検査を含む)を受けた。患者を、錐体外路徴候、脳卒中の病歴、他の神経変性障害、精神障害がある、または彼らが 抗精神病薬、抗パーキンソン病薬、抗コリン作動薬または抗てんかん薬で登録の6ヶ月前に処置されている場合には、除外した。治験は、Santa Lucia Foundationの審査会および倫理委員会によって承認され、ヘルシンキ宣言の原則および医薬品規制調和国際会議の医薬品の臨床検査の実施の基準に従って行われた。全ての患者または彼らの両親または法定代理人から、書面によるインフォームド・コンセントを得た。患者は、不利益を被ることなくどの時点でも中止できた。この報告は、無作為化試験に関するCONSORT報告ガイドラインに従った。
【0085】
結果
安全性
8名の参加者が有害事象(AEs)を報告し、7名は実薬DMN-p-rTMS群、1名は偽rTMS群における参加者であった。全ての事象は軽度であり、それらの大部分は、ごくわずかな行為でまたは何の行為もなく、発生の当日に解消した(軽度頭痛(n=3)、頭皮/皮膚の不快感(n=4)、頚部痛/こり(n=3)、および疲労感(n=2))。
【0086】
認知および臨床転帰
平均ベースラインCDR-SB合計スコアは、DMN-p-rTMS群に関しては4.1(SD=1.8)であり、偽rTMS群に関しては4.6(SD=1.5)であった。偽と比較して、実薬rTMS群においてCDR-SB合計スコアによって測定される場合に認知成績に有意差があった(ベースライン 対 24週目)。CDR-SBスコアでの反復測定に関するGLMMは、群(p=0.038)と時間×群(p=0.009)相互作用との間の差異に関して有意な結果を示し、偽rTMSで処置した患者は、DMN-p-rTMS群において明らかではなかった経時的な患者の認知能力の全体的な増悪を示した。図7Aは、結果の例示的描写を提供し、ここでCDR-SBスコアにおけるGLMM予測平均変化(ベースライン - 24週目)がDMN-p-rTMSに関しては-0.25(95% 信頼区間(CI)[-4.8, 4.3])および偽rTMS群に関しては-1.42(95%CI[-6.0, 3.3])であった。レスポンダーの率(CDR-SBスコアにおいて1ポイントの増加を示す患者のパーセンテージとして定義される)は、DMN-p-rTMS群において68.2%および偽群において34.7%であった。
【0087】
二次臨床転帰の解析は、ADAS-COG11、MMSEおよびADCS-ADLスコアに関してはDMN-p-rTMS群と偽rTMS群との間には縦断的な有意差が存在することを示したが、FABおよびNPIスコアに関しては認められなかった。平均ベースラインADAS-Cog11合計スコアは、DMN-p-rTMS群に関しては22.6(SD=7.4)および偽rTMS群に関しては24.8(SD=6.5)であった。ADAS-Cog11スコア(年齢および教育に関して調整)での反復測定に関するGLMMは、時間×群(p=0.035)相互作用に関して有意な結果を示した。図7Bは、結果の例示的描写を提供し、ここでADAS-Cog11スコアにおけるGLMM予測平均変化(ベースライン - 24週目)は、DMN-p-rTMSに関しては-0.67(95% 信頼区間(CI)[-21.5, 20.2])および偽rTMS群に関しては-4.2(95%CI [-25.1, 16.6])であった。
【0088】
平均ベースラインMMSE合計スコアは、DMN-p-rTMS群に関しては21.2(SD=2.7)、および偽rTMS群に関しては21.5(SD=2.4)であった。MMSEスコア(年齢および教育に関して調整)での反復測定に関するGLMMは、時間×群(p=0.048)相互作用に関しては有意な結果を示した。図7Cは、結果の例示的描写を提供し、ここでMMSEスコアにおけるGLMM予測平均変化(ベースライン - 24週目)は、DMN-p-rTMS群に関しては0.24(95% 信頼区間(CI) [-6.5, 7.0])および偽rTMS群に関しては1.8(95%CI [-5.1, 8.8])であった。ADCS-ADL合計スコアのベースライン平均は、DMN-p-rTMS群に関しては58.6(SD=9.7)および偽rTMS群に関しては58.3(SD=9.7)であった。図7Dは、結果の例示的描写を提供し、ここでADCS-ADLスコアにおける予測平均変化(ベースライン - 24週目)は、AD-DMN-p-rTMS群に関しては-0.7(95%CI [-27.2, 25.8])および偽rTMS群に関しては7.5(95%CI [-20.5, 35.5])であった。これは、偽rTMS群に関するDMN-p-rTMSの改善(相互作用効果: p=<0.001)を示す。図7Eは、結果の例示的描写を提供し、ここでFAB合計スコアに関するベースライン平均は、DMN-p-rTMS群に関して10.7(SD=3.9)、および偽rTMS群に関して10.2(SD=3.4)であった。FABスコアにおける予測平均変化は、DMN-p-rTMS群に関しては-0.01(95%CI [-7.7, 7.7])および偽rTMS群に関しては0.29(95%CI [-7.4, 8.0])であった。これは有意な効果を明らかにしなかった。NPI合計スコアに関するベースライン平均は、DMN-p-rTMS群に関しては9.8(SD=10.2)および偽rTMS群に関しては12.6(SD=11.7)であった。図7Fは、結果の例示的描写を提供し、ここでNPIスコアにおける予測平均変化(ベースライン - 24週目)は、DMN-p-rTMS群に関しては-1.4(95%CI [-15.7, 13.6)および偽rTMS群に関しては-3.7(95%CI [-25.8, 21.9])であった。これは有意な効果を明らかにしなかった。
【0089】
図8Aは、結果の例示的描写を提供する。ここで神経生理学的解析は、TMS誘発皮質活動が、DMN-p-rTMS群にいて安定である一方で、偽rTMS群において減少することを示した(群×時間相互作用[F(1,126)=6.65; p=0.011; 事後: 偽W0-偽W24 p=0.002])。
【0090】
図8Bは、さらなる結果の例示的描写を提供する。ここでDMNソース活性は、DMN-p-rTMSで処置した患者において変化しなかった一方で、偽rTMS患者群では減少した。図9は、結果のさらなる例示的描写を提供する。ここで大部分、ベータおよびガンマ帯域を含む速い脳振動活動の増加がまた、実際のrTMS後に観察されたが、偽rTMS後には観察されなかった。ここでガンマスペクトルパワーの減少(疾患の進行に帰することができる)を代わりに観察した。
【0091】
実施例2: T処方の実験的試験
ガンマ帯域における速い振動活動を、ヒト脳において処理される可塑性と関連付けた。認知症およびアルツハイマー病のような障害における可塑性機序の障害を考慮すると、AD患者の楔前部にわたるマルチセッションrTMSに基づいて提唱されるプロトコールは、脳の可塑性を特異的に押し上げることを目的としたさらなる介入との組み合わせから利益を受け得る。この文脈において、rTMSと交流刺激(tACS)標的化ガンマ活動(>30Hz)との組み合わせは、脳活動に付加的な効果を生じ、各モダリティー単独の適用よりさらに強い臨床転帰をもたらすことができる。
【0092】
以下で記載される試験において、rTMSおよびtACSに基づいて組み合わされた介入の効果を、20名の健常な成人個体のサンプルにおいて試験した。参加者は、脳刺激を受けたことがなく、以前に精神障害の病歴はなく、試験参加前少なくとも6週間前にわたって安定した用量の薬を摂取していた。参加者は、断続性のシータバーストTMS(iTBS)(刺激後に持続した時間量にわたって皮質興奮性および反応性を増加させることが公知の可塑性誘導プロトコール)といわれるrTMSの特定の形態、ならびに(ii)ガンマ帯域(70Hz)内の標的周波数でのtACS、(iii)シータ帯域におけるコントロール周波数(5Hz)でのtACS、および(iv)偽(プラセボ)tACSを受けた。組み合わされた刺激プロトコールを、左側背側前頭前皮質(DLPFC)に送達した。参加者は、異なる日での3回の別個の試験来院にわたってiTBS+70Hz、iTBS+5HzおよびiTBS+偽tACSを完了した。
【0093】
刺激の前(T0)、直後(T1)および20分後(T2)に、参加者は、複数の頭皮部位(iTBS+tACSによって標的とされる領域(左側DLPFC)、右側DLPFC、および頭頂を含む)からのTMS-EEG記録を受けた。図10は、結果の例示的描写を提供する。ここでTMS-EEGデータを使用して、異なる条件での皮質反応性を定量し、同様に、各刺激された部位に関していわゆる、固有の周波数を抽出し、組み合わされた介入後に上記領域特異的振動における可能な変化を特定した。
【0094】
結果
TMS-EEGセッション中に送達された各単一パルスTMS摂動後のTMS誘発電位の振幅における有意な増加は、iTBS+偽tACSおよびiTBS+5Hz tACSと比較して、iTBS+70Hz tACSに関して観察された(p.<0.05)。図11は、結果の例示的描写を提供する。ここで上記効果は、刺激した領域である左側DLPPFCに関してのみ存在し、右側DLPFCおよび頭頂に関しては存在しなかった。このことは、脳活動の誘導モジュレーションの高い空間特異性を示唆する。
【0095】
iTBS+70HzでのガンマtACSの効果は、組み合わされた介入によって生成されるスペクトルパワー摂動および振動活動を調査する場合にも明らかであった。図12は、結果の例示的描写を提供する。ここでiTBS+70Hzは、iTBS+5HzおよびiTBS+偽tACSに関する効果が明らかでなかったことと比較して、ガンマ帯域において局所的振動応答のスペクトルパワーを有意に増加させた(p.<0.05)。図13および図14は、結果の例示的描写を提供する。ここで単一パルスTMSによって生成される固有の周波数におけるシフトおよび刺激した脳領域(左側DLPFC)にわたるTMS-EEGを使用して観察されたそれらの振幅は、右側DLPFC(図13)および頭頂(図14)を調査する場合に観察されなかった。
実施形態
【0096】
実施形態1.神経疾患または精神疾患を処置または改善するために、非侵襲性刺激に適した被験体の脳における第1の位置を特定するための方法であって、前記方法は、a.前記被験体の前記脳のスキャンデータから、脳ネットワークを形成する複数の脳領域を特定すること;およびb.前記複数の脳領域の第1の脳領域内で、前記神経疾患または精神疾患を処置または改善するために非侵襲性刺激に適した前記第1の位置として、前記複数の脳領域の1またはこれより多くの他の脳領域に強く接続された前記第1の脳領域の部分領域を決定すること、を包含する方法を含む実施形態。
【0097】
実施形態2.前記スキャンデータは、機能的MRIデータ(fMRI)である、実施形態1に記載の方法。
【0098】
実施形態3.前記脳ネットワークは、デフォルトモードネットワーク(DMN)である、実施形態1に記載の方法。
【0099】
実施形態4.前記第1の脳領域は、少なくとも、楔前部の一部を含む、実施形態1に記載の方法。
【0100】
実施形態5.前記神経疾患または精神疾患は、アルツハイマー病である、実施形態1に記載の方法。
【0101】
実施形態6.前記脳ネットワークを形成する前記複数の脳領域を前記特定することは、前記神経疾患を有する複数の被験体についてのニューロイメージングデータにさらに基づく、実施形態1に記載の方法。
【0102】
実施形態7.前記スキャンデータは、ニューロイメージングデータを含む、実施形態1に記載の方法。
【0103】
実施形態8.非侵襲性刺激を、前記被験体の前記脳の前記決定した第1の位置に提供することをさらに包含する、実施形態1に記載の方法。
【0104】
実施形態9.前記脳ネットワークを形成する前記複数の脳領域を前記特定することは、脳コネクトミクス、ネットワーク理論、グラフ理論、または制御理論解析フレームワークのうちの1またはこれより多くに少なくとも部分的に基づく、実施形態1に記載の方法。
【0105】
実施形態10.前記被験体に非侵襲性刺激を提供することをさらに含む、実施形態1に記載の方法。
【0106】
実施形態11.非侵襲性刺激を提供することは、経頭蓋電気刺激または経頭蓋磁気刺激のうちの少なくとも一方を、前記患者の前記脳の前記決定した第1の位置に提供することを含む、実施形態10に記載の方法。
【0107】
実施形態12.非侵襲性刺激を、前記第1の位置を含む前記第1の脳領域内の複数の位置に提供すること;前記提供した刺激に応じて少なくとも1つの誘発電位を感知すること;および個別化刺激標的として、前記少なくとも1つの誘発電位の少なくとも1つの特性に基づいて、前記神経疾患または精神疾患を処置または改善するために非侵襲性刺激に適しているとして、前記複数の位置のうちの1つの位置を選択すること、をさらに包含する、実施形態A1に記載の方法。
【0108】
実施形態13.前記複数の位置は、グリッド中に配置される、実施形態12に記載の方法。
【0109】
実施形態14.前記少なくとも1つの特性は、前記少なくとも1つの誘発電位のピーク振幅を含む、実施形態12に記載の方法。
【0110】
実施形態15.前記個別化刺激標的を選択することは、前記少なくとも1つの誘発電位の最大のピーク振幅を有する前記複数の位置のうちの前記位置を選択することを包含する、実施形態12に記載の方法。
【0111】
実施形態16.前記少なくとも1つの誘発電位を感知することは、脳波検査を使用して前記少なくとも1つの誘発電位を感知することを包含する、実施形態12に記載の方法。
【0112】
実施形態17.前記非侵襲性刺激を前記決定した個別化刺激標的に提供することによって、前記神経疾患または精神疾患を処置または改善することをさらに包含する、実施形態12に記載の方法。
【0113】
実施形態18.前記決定した個別化刺激標的に提供される前記非侵襲性刺激は、前記被験体の前記神経疾患または精神疾患を処置または改善するために有効であり、その結果、前記被験体は、12週間の期間後に、処置されていない被験体のものと比較して改善された認知スコアおよび臨床成績スコアを有する、実施形態17に記載の方法。
【0114】
実施形態19.前記決定した個別化刺激標的に提供される前記非侵襲性刺激は、前記被験体の前記神経疾患または精神疾患を処置または改善するために有効であり、その結果、前記被験体は、24週間の期間後に、処置されていない被験体のものと比較して改善された認知スコアおよび臨床成績スコアを有する、実施形態17に記載の方法。
【0115】
実施形態20.前記決定した個別化刺激標的に提供される前記非侵襲性刺激は、前記被験体の前記神経疾患または精神疾患を処置または改善するために有効であり、その結果、前記被験体は、24週間の期間後に、処置されていない被験体のものと比較して少なくとも25%小さな認知低下を有する、実施形態17に記載の方法。
【0116】
実施形態21.前記決定した個別化刺激標的に提供される前記非侵襲性刺激は、前記被験体の前記神経疾患または精神疾患を処置または改善するために有効であり、その結果、前記被験体は、24週間の期間後に、処置されていない被験体のものと比較して疾患重篤度の少なくとも25%小さな低下を有する、実施形態17に記載の方法。
【0117】
実施形態22.前記決定した個別化刺激標的に提供される前記非侵襲性刺激は、前記被験体の前記神経疾患または精神疾患を処置または改善するために有効であり、その結果、前記被験体は、24週間の期間後に、処置されていない被験体のものと比較して機能的自立度の少なくとも25%小さな低下を有する、実施形態17に記載の方法。
【0118】
実施形態23.前記決定した個別化刺激標的に提供される前記非侵襲性刺激は、前記被験体の前記神経疾患または精神疾患を処置または改善するために有効であり、その結果、前記被験体は、24週間の期間後に、処置されていない被験体のものと比較してTEPの振幅の少なくとも25%小さな低下を有する、実施形態17に記載の方法。
【0119】
実施形態24.前記決定した個別化刺激標的に提供される前記非侵襲性刺激は、前記被験体の前記神経疾患または精神疾患を処置または改善するために有効であり、その結果、前記被験体は、24週間の期間後に、処置されていない被験体のものと比較してネットワーク振動活性の少なくとも25%小さな低下を有する、実施形態17に記載の方法。
【0120】
実施形態25.前記決定した個別化刺激標的に提供される前記非侵襲性刺激は、前記被験体の前記神経疾患または精神疾患を処置または改善するために有効であり、その結果、前記被験体は、24週間の期間後に、処置されていない被験体のものと比較してソースレベルネットワーク活性の少なくとも25%小さな低下を有する、実施形態17に記載の方法。
【0121】
実施形態26.前記決定した個別化刺激標的に提供される前記非侵襲性刺激は、前記被験体の前記神経疾患または精神疾患を処置または改善するために有効であり、その結果、前記被験体は、24週間の期間後に、処置されていない被験体のものと比較してネットワーク代謝活性の少なくとも25%小さな低下を有する、実施形態17に記載の方法。
【0122】
実施形態27.前記決定した個別化刺激標的に提供される前記非侵襲性刺激は、前記被験体の前記神経疾患または精神疾患を処置または改善するために有効であり、その結果、前記被験体は、処置されていない被験体のものと比較して速い脳振動活動の増大を有する、実施形態17に記載の方法。
【0123】
実施形態28.前記決定した個別化刺激標的に提供される前記非侵襲性刺激は、前記被験体の前記神経疾患または精神疾患を処置または改善するために有効であり、その結果、前記被験体は、処置されていない被験体のものと比較してガンマ帯域の速い脳振動活動の増大を有する、実施形態17に記載の方法。
【0124】
実施形態29.前記決定した個別化刺激標的に提供される前記非侵襲性刺激は、複数連続日にわたって、毎日、毎週またはこれらの組み合わせの頻度での複数非連続日にわたって送達される、実施形態17に記載の方法。
【0125】
実施形態30.前記決定された個別化刺激標的に提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、中枢神経系に影響を及ぼす薬物介入と組み合わされる、実施形態12に記載の方法。
【0126】
実施形態31.前記決定された個別化刺激標的に提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、認知評価、認知訓練または認知増強介入と組み合わされる、実施形態12に記載の方法。
【0127】
実施形態32.前記決定された個別化刺激標的に供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、行動介入と組み合わされる、実施形態12に記載の方法。
【0128】
実施形態33.前記決定された個別化刺激標的に提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、経頭蓋電気刺激を含む異なる非侵襲性刺激介入と組み合わされる、実施形態12に記載の方法。
【0129】
実施形態34.前記第2の非侵襲性刺激介入は、逐次にまたは同時に送達される、経頭蓋交流刺激である、実施形態33に記載の方法。
【0130】
実施形態35.前記スキャンデータは、拡散MRIデータを含む、実施形態1に記載の方法。
【0131】
実施形態36.前記スキャンデータは、灌流MRIデータを含む、実施形態1に記載の方法。
【0132】
実施形態37.前記スキャンデータは、局所灌流/代謝レベルをインデックス化するか、またはタンパク質負荷をインデックス化するか、または神経炎症を測定する陽電子放出断層撮影(PET)データを含む、実施形態1に記載の方法。
【0133】
実施形態38.前記脳ネットワークは、前頭頭頂制御ネットワーク、感覚運動ネットワーク、前部サリエンスネットワーク、背側注意ネットワーク、腹側注意ネットワーク、視覚ネットワーク、聴覚ネットワーク、または言語ネットワークのうちの1またはこれより多くを含む、実施形態1に記載の方法。
【0134】
実施形態39.前記第1の脳領域は、少なくとも、角回の一部を含む、実施形態1に記載の方法。
【0135】
実施形態40.前記第1の脳領域は、少なくとも、側頭葉の一部を含む、実施形態1に記載の方法。
【0136】
実施形態41.前記第1の脳領域は、少なくとも、内側前頭前皮質の一部を含む、実施形態1に記載の方法。
【0137】
実施形態42.前記神経疾患または精神疾患は、軽度認知障害(MCI)である、実施形態1に記載の方法。
【0138】
実施形態43.前記神経疾患または精神疾患は、前頭側頭型認知症である、実施形態1に記載の方法。
【0139】
実施形態44.前記神経疾患または精神疾患は、脳ネットワークの変化、例えば、うつ病(DEP)、統合失調症(SCZ)、自閉症(AUT)、注意欠陥多動障害(ADHD)、双極性障害(BP)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病(PD)、外傷性脳傷害(TBI)、不眠症(INS)、意識障害(DOC)、頭痛(HD)、多発性硬化症(MS)、脳卒中(STR)、および脳腫瘍(BT)によって特徴づけられる、実施形態1に記載の方法。
【0140】
実施形態45.前記神経疾患または精神疾患は、記憶欠損によって特徴づけられる、実施形態1に記載の方法。
【0141】
実施形態46.前記神経疾患または精神疾患は、認知制御における欠損によって特徴づけられる、実施形態1に記載の方法。
【0142】
実施形態47.前記神経疾患または精神疾患は、機能的自立度の減少によって特徴づけられる、実施形態1に記載の方法。
【0143】
実施形態48.被験体において神経疾患または精神疾患を処置または改善するために、脳領域における個別化刺激標的を決定するための方法であって、前記方法は、a.被験体の脳領域における複数の位置の各々の位置を非侵襲性に刺激すること;b.前記提供した刺激に応じて少なくとも1つの誘発電位を感知すること;およびc.前記被験体のための個別化刺激標的として、前記神経疾患または精神疾患を処置または改善するために、治療上有効な非侵襲性刺激を提供するために適切な前記複数の位置のうちの1つの位置を選択することであって、ここで前記選択することは、前記少なくとも1つの誘発電位の少なくとも1つの特性に基づくこと、を包含する方法を含む実施形態。
【0144】
実施形態49.前記脳領域は、デフォルトモードネットワーク(DMN)の一部である、実施形態48に記載の方法。
【0145】
実施形態50.前記脳領域は、少なくとも、楔前部の一部を含む、実施形態48に記載の方法。
【0146】
実施形態51.前記神経疾患または精神疾患は、アルツハイマー病である、実施形態48に記載の方法。
【0147】
実施形態52.非侵襲性刺激を提供することは、経頭蓋電気刺激または経頭蓋磁気刺激のうちの少なくとも一方を、前記被験体の脳の前記個別化刺激標的に提供することを含む、実施形態48に記載の方法。
【0148】
実施形態53.前記複数の位置は、グリッド中に配置される、実施形態48に記載の方法。
【0149】
実施形態54.前記少なくとも1つの特性は、前記少なくとも1つの誘発電位のピーク振幅を含む、実施形態48に記載の方法。
【0150】
実施形態55.前記個別化刺激標的を選択することは、前記少なくとも1つの誘発電位の最大ピーク振幅を有する前記複数の位置のうちの前記位置を選択することを包含する、実施形態48に記載の方法。
【0151】
実施形態56.前記少なくとも1つの誘発電位を感知することは、脳波検査を使用して前記少なくとも1つの誘発電位を感知することを包含する、実施形態48に記載の方法。
【0152】
実施形態57.前記非侵襲性刺激を前記選択した個別化刺激標的に提供することによって、前記神経疾患または精神疾患を処置または改善することをさらに包含する、実施形態48に記載の方法。
【0153】
実施形態58.前記脳ネットワークは、前頭頭頂制御ネットワーク、感覚運動ネットワーク、前部サリエンスネットワーク、背側注意ネットワーク、腹側注意ネットワーク、視覚ネットワーク、聴覚ネットワーク、または言語ネットワークのうちの1またはこれより多くのものである、実施形態48に記載の方法。
【0154】
実施形態59.前記脳領域は、少なくとも、角回の一部を含む、実施形態48に記載の方法。
【0155】
実施形態60.前記脳領域は、少なくとも、側頭葉の一部を含む、実施形態48に記載の方法。
【0156】
実施形態61.前記脳領域は、少なくとも、内側前頭前皮質の一部を含む、実施形態48に記載の方法。
【0157】
実施形態62.前記神経疾患または精神疾患は、軽度認知障害(MCI)である、実施形態48に記載の方法。
【0158】
実施形態63.前記神経疾患または精神疾患は、前頭側頭型認知症である、実施形態48に記載の方法。
【0159】
実施形態64.前記神経疾患または精神疾患は、脳ネットワークの変化、例えば、うつ病(DEP)、統合失調症(SCZ)、自閉症(AUT)、注意欠陥多動障害(ADHD)、双極性障害(BP)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病(PD)、外傷性脳傷害(TBI)、不眠症(INS)、意識障害(DOC)、頭痛(HD)、多発性硬化症(MS)、脳卒中(STR)、および脳腫瘍(BT)によって特徴づけられる、実施形態48に記載の方法。
【0160】
実施形態65.前記神経疾患または精神疾患は、記憶欠損によって特徴づけられる、実施形態48に記載の方法。
【0161】
実施形態66.前記神経疾患または精神疾患は、認知制御における欠損によって特徴づけられる、実施形態48に記載の方法。
【0162】
実施形態67.前記神経疾患または精神疾患は、機能的自立度の減少によって特徴づけられる、実施形態48に記載の方法。
【0163】
実施形態68.前記選択した個別化刺激標的に提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、中枢神経系に影響を及ぼす薬物介入と組み合わされる、実施形態48に記載の方法。
【0164】
実施形態69.前記選択した個別化刺激標的に提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、認知評価、認知訓練または認知増強介入と組み合わされる、実施形態48に記載の方法。
【0165】
実施形態70.前記選択した個別化刺激標的に提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、行動介入と組み合わされる、実施形態48に記載の方法。
【0166】
実施形態71.前記選択した個別化刺激標的に提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、経頭蓋電気刺激を含む異なる非侵襲性刺激介入と組み合わされる、実施形態48に記載の方法。
【0167】
実施形態72.被験体の脳の非侵襲性刺激のためのパラメーターを決定するための方法であって、前記方法は、a.前記被験体の脳領域の複数の位置の各位置の非侵襲性刺激に応じて複数の誘発電位を感知すること;b.前記複数の誘発電位の少なくとも1つの特性に少なくとも部分的に基づいて、前記被験体に関する個別化刺激パラメーターを決定することであって、ここで前記個別化刺激パラメーターは、刺激位置および1またはこれより多くの刺激特性を含むこと、を包含する方法を含む実施形態。
【0168】
実施形態73.前記1またはこれより多くの刺激特性は、刺激強度および/または刺激周波数を含む、実施形態72に記載の方法。
【0169】
実施形態74.前記被験体の前記脳の運動皮質領域の非侵襲性刺激を提供することに応じて安静時運動閾値を感知すること;前記安静時運動閾値に少なくとも部分的に基づいて、ベースライン刺激強度を決定すること;および前記決定された個別化刺激パラメーターに少なくとも部分的に基づいて、前記ベースライン刺激強度を調整すること、をさらに包含する、実施形態72に記載の方法。
【0170】
実施形態75.前記脳領域は、脳ネットワークの一部であり、前記脳ネットワークは、前頭頭頂制御ネットワーク、感覚運動ネットワーク、前部サリエンスネットワーク、背側注意ネットワーク、腹側注意ネットワーク、視覚ネットワーク、聴覚ネットワーク、または言語ネットワークのうちの1またはこれより多くのものである、実施形態72に記載の方法。
【0171】
実施形態76.前記脳領域は、DMNの一部である、実施形態72に記載の方法。
【0172】
実施形態77.前記脳領域は、楔前部である、実施形態72に記載の方法。
【0173】
実施形態78.刺激に応じた前記複数の誘発電位は、TMS-EEG同時記録を介して得られる、実施形態72に記載の方法。
【0174】
実施形態79.非侵襲性刺激を提供することは、経頭蓋電気刺激または経頭蓋磁気刺激のうちの少なくとも一方を前記被験体の前記脳の前記決定された刺激位置に提供することを含む、実施形態72に記載の方法。
【0175】
実施形態80.前記複数の位置は、グリッド中に配置される、実施形態72に記載の方法。
【0176】
実施形態81.前記1またはこれより多くの刺激特性は、前記複数の誘発電位のピーク振幅を含む、実施形態72に記載の方法。
【0177】
実施形態82.前記個別化刺激パラメーターを決定することは、前記複数の誘発電位の最大ピーク振幅を有する前記複数の位置から1つの位置を選択することを包含する、実施形態72に記載の方法。
【0178】
実施形態83.前記複数の誘発電位を感知することは、脳波検査を使用して前記複数の誘発電位を感知することを包含する、実施形態72に記載の方法。
【0179】
実施形態84.前記決定された個別化刺激パラメーターに従って前記決定された刺激位置へと前記非侵襲性刺激を提供することによって、神経疾患または精神疾患を処置または改善することをさらに包含する、実施形態72に記載の方法。
【0180】
実施形態85.前記神経疾患または精神疾患は、アルツハイマー病である、実施形態84に記載の方法。
【0181】
実施形態86.前記神経疾患または精神疾患は、軽度認知障害(MCI)である、実施形態84に記載の方法。
【0182】
実施形態87.前記神経疾患または精神疾患は、前頭側頭型認知症である、実施形態84に記載の方法。
【0183】
実施形態88.前記神経疾患または精神疾患は、脳ネットワークの変化、例えば、うつ病(DEP)、統合失調症(SCZ)、自閉症(AUT)、注意欠陥多動障害(ADHD)、双極性障害(BP)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病(PD)、外傷性脳傷害(TBI)、不眠症(INS)、意識障害(DOC)、頭痛(HD)、多発性硬化症(MS)、脳卒中(STR)、および脳腫瘍(BT)によって特徴づけられる、実施形態84に記載の方法。
【0184】
実施形態89.前記神経疾患または精神疾患は、記憶欠損によって特徴づけられる、実施形態84に記載の方法。
【0185】
実施形態90.前記神経疾患または精神疾患は、認知制御における欠損によって特徴づけられる、実施形態84に記載の方法。
【0186】
実施形態91.前記神経疾患または精神疾患は、機能的自立度の減少によって特徴づけられる、実施形態84に記載の方法。
【0187】
実施形態92.前記個別化刺激パラメーターに従って提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、中枢神経系に影響を及ぼす薬物介入と組み合わされる、実施形態84に記載の方法。
【0188】
実施形態93.前記個別化刺激パラメーターに従って提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、認知評価、認知訓練または認知増強介入と組み合わされる、実施形態84に記載の方法。
【0189】
実施形態94.前記個別化刺激パラメーターに従って提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、行動介入と組み合わされる、実施形態84に記載の方法。
【0190】
実施形態95.前記個別化刺激パラメーターに従って提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、経頭蓋電気刺激を含む異なる非侵襲性刺激介入と組み合わされる、実施形態84に記載の方法。
【0191】
実施形態96.前記脳領域は、少なくとも、角回の一部を含む、実施形態72に記載の方法。
【0192】
実施形態97.前記脳領域は、少なくとも、側頭葉の一部を含む、実施形態72に記載の方法。
【0193】
実施形態98.前記脳領域は、少なくとも、内側前頭前皮質の一部を含む、実施形態72に記載の方法。
【0194】
実施形態99.患者の脳に対する標的化非侵襲性脳刺激のための個別化刺激特性を決定する方法であって、前記方法は、a.前記患者の前記脳の運動皮質領域の非侵襲性刺激を提供することに応じて安静時運動閾値を感知すること;b.前記運動皮質領域の外側の前記脳の領域を非侵襲性に刺激すること;c.前記運動皮質領域の外側の前記脳の前記領域の前記刺激に応じて誘発電位を感知すること;およびd.前記感知した誘発電位の少なくとも1つの特性に少なくとも部分的に基づいて、刺激の前記安静時運動閾値を調整すること、を包含する方法を含む実施形態。
【0195】
実施形態100.前記運動皮質の外側の領域は、DMNの一部である、実施形態99に記載の方法。
【0196】
実施形態101.前記運動皮質の外側の領域は、楔前部である、実施形態99に記載の方法。
【0197】
実施形態102.刺激に応じて前記誘発電位は、TMS-EEG同時記録を介して得られる、実施形態99に記載の方法。
【0198】
実施形態103.前記誘発電位の特性は、シグナル振幅である、実施形態99に記載の方法。
【0199】
実施形態104.前記誘発電位の特性のうちの1つは、刺激強度であり、前記刺激強度は、前記患者に対して標的領域において生成される電場を模倣する生物物理学的モデリング作業に基づいて調整される、実施形態99に記載の方法。
【0200】
実施形態105.非侵襲性に刺激することは、経頭蓋電気刺激または経頭蓋磁気刺激のうちの少なくとも一方を、前記患者の前記脳の位置に提供することを包含する、実施形態99に記載の方法。
【0201】
実施形態106.前記少なくとも1つの特性は、前記誘発電位のピーク振幅を含む、実施形態99に記載の方法。
【0202】
実施形態107.前記誘発電位を感知することは、脳波検査を使用して前記誘発電位を感知することを包含する、実施形態99に記載の方法。
【0203】
実施形態108.前記少なくとも1つの誘発電位の最大ピーク振幅を有する、複数の位置のうちの1つの位置を選択することによって、個別化刺激標的を選択することをさらに包含する、実施形態99に記載の方法。
【0204】
実施形態109.前記非侵襲性刺激を提供することによって、神経疾患または精神疾患を処置または改善することをさらに包含する、実施形態108に記載の方法。
【0205】
実施形態110.前記神経疾患または精神疾患は、アルツハイマー病である、実施形態109に記載の方法。
【0206】
実施形態111.前記神経疾患または精神疾患は、軽度認知障害(MCI)である、実施形態109に記載の方法。
【0207】
実施形態112.前記神経疾患または精神疾患は、前頭側頭型認知症である、実施形態109に記載の方法。
【0208】
実施形態113.前記神経疾患または精神疾患は、脳ネットワークの変化、例えば、うつ病(DEP)、統合失調症(SCZ)、自閉症(AUT)、注意欠陥多動障害(ADHD)、双極性障害(BP)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病(PD)、外傷性脳傷害(TBI)、不眠症(INS)、意識障害(DOC)、頭痛(HD)、多発性硬化症(MS)、脳卒中(STR)、脳腫瘍(BT)によって特徴づけられる、実施形態109に記載の方法。
【0209】
実施形態114.前記神経疾患または精神疾患は、記憶欠損によって特徴づけられる、実施形態109に記載の方法。
【0210】
実施形態115.前記神経疾患または精神疾患は、認知制御における欠損によって特徴づけられる、実施形態109に記載の方法。
【0211】
実施形態116.前記神経疾患または精神疾患は、機能的自立度の減少によって特徴づけられる、実施形態109に記載の方法。
【0212】
実施形態117.前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、中枢神経系に影響を及ぼす薬物介入と組み合わされる、実施形態109に記載の方法。
【0213】
実施形態118.前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、認知評価、認知訓練または認知増強介入のうちの1またはこれより多くと組み合わされる、実施形態109に記載の方法。
【0214】
実施形態119.前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、行動介入と組み合わされる、実施形態109に記載の方法。
【0215】
実施形態120.前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、経頭蓋電気刺激を含む異なる非侵襲性刺激介入と組み合わされる、実施形態109に記載の方法。
【0216】
実施形態121.被験体において神経疾患または精神疾患を処置または改善する方法であって、前記方法は、a.脳ネットワークを形成するとして特定された複数の脳領域の第1の脳領域における第1の位置を非侵襲性に刺激すること、を包含し、b.ここで前記第1の位置は、前記複数の脳領域の1またはこれより多くの他の脳領域に強く接続される前記第1の脳領域の部分領域である、方法を含む実施形態。
【0217】
実施形態122.前記脳ネットワークを形成する前記複数の脳領域は、前記被験体の脳のスキャンデータに基づいて特定される、実施形態121に記載の方法。
【0218】
実施形態123.前記第1の脳領域は、デフォルトモードネットワーク(DMN)の一部である、実施形態121に記載の方法。
【0219】
実施形態124.前記第1の脳領域は、少なくとも、楔前部の一部を含む、実施形態121に記載の方法。
【0220】
実施形態125.前記神経疾患または精神疾患は、アルツハイマー病である、実施形態121に記載の方法。
【0221】
実施形態126.非侵襲性刺激を提供することは、経頭蓋電気刺激または経頭蓋磁気刺激のうちの少なくとも一方を前記患者の脳の前記第1の位置に提供することを含む、実施形態121に記載の方法。
【0222】
実施形態127.前記非侵襲性刺激を前記第1の位置に提供することによって、前記神経疾患または精神疾患を処置または改善することをさらに包含する、実施形態121に記載の方法。
【0223】
実施形態128.前記脳ネットワークは、前頭頭頂制御ネットワーク、感覚運動ネットワーク、前部サリエンスネットワーク、背側注意ネットワーク、腹側注意ネットワーク、視覚ネットワーク、聴覚ネットワーク、または言語ネットワークのうちの1またはこれより多くのものである、実施形態121に記載の方法。
【0224】
実施形態129.前記第1の位置は、少なくとも、角回の一部を含む、実施形態121に記載の方法。
【0225】
実施形態130.前記第1の位置は、少なくとも、側頭葉の一部を含む、実施形態121に記載の方法。
【0226】
実施形態131.前記第1の位置は、少なくとも、内側前頭前皮質の一部を含む、実施形態121に記載の方法。
【0227】
実施形態132.前記神経疾患または精神疾患は、軽度認知障害(MCI)である、実施形態121に記載の方法。
【0228】
実施形態133.前記神経疾患または精神疾患は、前頭側頭型認知症である、実施形態121に記載の方法。
【0229】
実施形態134.前記神経疾患または精神疾患は、脳ネットワークの変化、例えば、うつ病(DEP)、統合失調症(SCZ)、自閉症(AUT)、注意欠陥多動障害(ADHD)、双極性障害(BP)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病(PD)、外傷性脳傷害(TBI)、不眠症(INS)、意識障害(DOC)、頭痛(HD)、多発性硬化症(MS)、脳卒中(STR)、および脳腫瘍(BT)によって特徴づけられる、実施形態121に記載の方法。
【0230】
実施形態135.前記神経疾患または精神疾患は、記憶欠損によって特徴づけられる、実施形態121に記載の方法。
【0231】
実施形態136.前記神経疾患または精神疾患は、認知制御における欠損によって特徴づけられる、実施形態121に記載の方法。
【0232】
実施形態137.前記神経疾患または精神疾患は、機能的自立度の減少によって特徴づけられる、実施形態121に記載の方法。
【0233】
実施形態138.前記第1の位置に提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、中枢神経系に影響を及ぼす薬物介入と組み合わされる、実施形態121に記載の方法。
【0234】
実施形態139.前記第1の位置に提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、認知評価、認知訓練または認知増強介入と組み合わされる、実施形態121に記載の方法。
【0235】
実施形態140.前記第1の位置に提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、行動介入と組み合わされる、実施形態121に記載の方法。
【0236】
実施形態141.前記第1の位置に提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、経頭蓋電気刺激を含む異なる非侵襲性刺激介入と組み合わされる、実施形態121に記載の方法。
【0237】
実施形態142.被験体に対する標的化非侵襲性脳刺激のための個別化刺激特性を決定する方法であって、前記方法は、a.前記脳の領域を非侵襲性に刺激すること;b.前記脳の領域における刺激によって誘導される電場を予測すること;およびc.前記誘導される電場の少なくとも1つの特性に少なくとも部分的に基づいて、前記刺激特性を調整すること、を包含する方法を含む実施形態。
【0238】
実施形態143.前記誘導される電場の強度は、継続期間の刺激強度、周波数、パルス形状のうちの1またはこれより多くを調整するために使用される、実施形態142に記載の方法。
【0239】
実施形態144.前記脳の前記領域は、デフォルトモードネットワーク(DMN)の一部である、実施形態142に記載の方法。
【0240】
実施形態145.前記脳の前記領域は、少なくとも、楔前部の一部を含む、実施形態142に記載の方法。
【0241】
実施形態146.前記脳の前記領域の非侵襲性刺激は、経頭蓋電気刺激または経頭蓋磁気刺激のうちの少なくとも一方を、前記刺激特性に従って提供することを包含する、実施形態142に記載の方法。
【0242】
実施形態147.前記非侵襲性刺激を前記刺激特性に従って提供することによって、神経疾患または精神疾患を処置または改善することをさらに包含する、実施形態142~実施形態146のいずれかに記載の方法。
【0243】
実施形態148.前記被験体の前記脳のスキャンデータに基づいて、脳ネットワークを形成する複数の脳領域を特定することをさらに包含し、ここで非侵襲性に刺激される前記脳の前記領域は、前記脳ネットワークの脳領域である、実施形態142に記載の方法。
【0244】
実施形態149.前記脳ネットワークは、前頭頭頂制御ネットワーク、感覚運動ネットワーク、前部サリエンスネットワーク、背側注意ネットワーク、腹側注意ネットワーク、視覚ネットワーク、聴覚ネットワーク、または言語ネットワークのうちの1またはこれより多くのものである、実施形態148に記載の方法。
【0245】
実施形態150.前記脳領域は、少なくとも、角回の一部を含む、実施形態148に記載の方法。
【0246】
実施形態151.前記脳領域は、少なくとも、側頭葉の一部を含む、実施形態148に記載の方法。
【0247】
実施形態152.前記脳領域は、少なくとも、内側前頭前皮質の一部を含む、実施形態148に記載の方法。
【0248】
実施形態153.前記神経疾患または精神疾患は、アルツハイマー病である、実施形態147に記載の方法。
【0249】
実施形態154.前記神経疾患または精神疾患は、軽度認知障害(MCI)である、実施形態147に記載の方法。
【0250】
実施形態155.前記神経疾患または精神疾患は、前頭側頭型認知症である、実施形態147に記載の方法。
【0251】
実施形態156.前記神経疾患または精神疾患は、脳ネットワークの変化、例えば、うつ病(DEP)、統合失調症(SCZ)、自閉症(AUT)、注意欠陥多動障害(ADHD)、双極性障害(BP)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病(PD)、外傷性脳傷害(TBI)、不眠症(INS)、意識障害(DOC)、頭痛(HD)、多発性硬化症(MS)、脳卒中(STR)、および脳腫瘍(BT)によって特徴づけられる、実施形態147に記載の方法。
【0252】
実施形態157.前記神経疾患または精神疾患は、記憶欠損によって特徴づけられる、実施形態147に記載の方法。
【0253】
実施形態158.前記神経疾患または精神疾患は、認知制御における欠損によって特徴づけられる、実施形態147に記載の方法。
【0254】
実施形態159.前記神経疾患または精神疾患は、機能的自立度の減少によって特徴づけられる、実施形態147に記載の方法。
【0255】
実施形態160.前記刺激特性に従って提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、中枢神経系に影響を及ぼす薬物介入と組み合わされる、実施形態147に記載の方法。
【0256】
実施形態161.前記刺激特性に従って提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、認知評価、認知訓練または認知増強介入と組み合わされる、実施形態147に記載の方法。
【0257】
実施形態162.前記刺激特性に従って提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、行動介入と組み合わされる、実施形態147に記載の方法。
【0258】
実施形態163.前記刺激特性に従って提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、経頭蓋電気刺激を含む異なる非侵襲性刺激介入と組み合わされる、実施形態147に記載の方法。
【0259】
実施形態164.神経疾患または精神疾患を処置または改善するために、非侵襲性刺激に適した被験体の脳において第1の位置を特定するためのシステムであって、前記システムは、a.前記被験体の前記脳のスキャンデータを生成するように構成されたイメージングソース;およびb.(i)前記スキャンデータから、脳ネットワークを形成する複数の脳領域を特定する、および(ii)前記複数の脳領域の第1の脳領域内で、非侵襲性刺激に適した前記第1の位置として、前記複数の脳領域の1またはこれより多くの他の脳領域に強く接続される前記第1の脳領域の部分領域を決定する、ように構成されたプロセッサー、を含むシステムを含む実施形態。
【0260】
実施形態165.少なくとも、前記被験体の前記脳の前記第1の位置に非侵襲性刺激を提供するための刺激デバイスをさらに含む、実施形態164に記載のシステム。
【0261】
実施形態166.前記イメージングソースは、磁気共鳴イメージング(MRI)である、実施形態164に記載のシステム。
【0262】
実施形態167.前記スキャンデータは、拡散MRIデータである、実施形態164に記載のシステム。
【0263】
実施形態168.前記スキャンデータは、灌流MRIデータである、実施形態164に記載のシステム。
【0264】
実施形態169.前記スキャンデータは、局所灌流/代謝レベルをインデックス化するか、またはタンパク質負荷をインデックス化するか、または神経炎症を測定するPETデータである、実施形態164に記載のシステム。
【0265】
実施形態170.前記スキャンデータは、神経疾患を有する複数の被験体に関するニューロイメージングデータを含む、実施形態164に記載のシステム。
【0266】
実施形態171.前記スキャンデータは、ニューロイメージングデータを含む、実施形態164に記載のシステム。
【0267】
実施形態172.前記プロセッサーは、脳コネクトミクス、ネットワーク理論、グラフ理論、または制御理論解析フレームワークのうちの1またはこれより多くのものに基づいて、前記脳ネットワークを特定するように構成される、実施形態164に記載のシステム。
【0268】
実施形態173.前記プロセッサーは、前記神経疾患または精神疾患が、前記決定した第1の位置に前記非侵襲性刺激を提供することによって処置されるようにするためにさらに構成される、実施形態164に記載のシステム。
【0269】
実施形態174.前記脳ネットワークは、前頭頭頂制御ネットワーク、感覚運動ネットワーク、前部サリエンスネットワーク、背側注意ネットワーク、腹側注意ネットワーク、視覚ネットワーク、聴覚ネットワーク、または言語ネットワークのうちの1またはこれより多くのものである、実施形態164に記載のシステム。
【0270】
実施形態175.前記第1の脳領域は、少なくとも、楔前部の一部を含む、実施形態164に記載のシステム。
【0271】
実施形態176.前記第1の脳領域は、少なくとも、角回の一部を含む、実施形態164に記載のシステム。
【0272】
実施形態177.前記第1の脳領域は、少なくとも、側頭葉の一部を含む、実施形態164に記載のシステム。
【0273】
実施形態178.前記第1の脳領域は、少なくとも、内側前頭前皮質の一部を含む、実施形態164に記載のシステム。
【0274】
実施形態179.前記神経疾患または精神疾患は、アルツハイマー病である、実施形態164に記載のシステム。
【0275】
実施形態180.前記神経疾患または精神疾患は、軽度認知障害(MCI)である、実施形態164に記載のシステム。
【0276】
実施形態181.前記神経疾患または精神疾患は、前頭側頭型認知症である、実施形態164に記載のシステム。
【0277】
実施形態182.前記神経疾患または精神疾患は、脳ネットワークの変化、例えば、うつ病(DEP)、統合失調症(SCZ)、自閉症(AUT)、注意欠陥多動障害(ADHD)、双極性障害(BP)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病(PD)、外傷性脳傷害(TBI)、不眠症(INS)、意識障害(DOC)、頭痛(HD)、多発性硬化症(MS)、脳卒中(STR)、および脳腫瘍(BT)によって特徴づけられる、実施形態164に記載のシステム。
【0278】
実施形態183.前記神経疾患または精神疾患は、記憶欠損によって特徴づけられる、実施形態164に記載のシステム。
【0279】
実施形態184.前記神経疾患または精神疾患は、認知制御における欠損によって特徴づけられる、実施形態164に記載のシステム。
【0280】
実施形態185.前記神経疾患または精神疾患は、機能的自立度の減少によって特徴づけられる、実施形態164に記載のシステム。
【0281】
実施形態186.被験体において神経疾患または精神疾患を処置または改善するために、脳領域における個別化刺激標的を決定するためのシステムであって、前記システムは、a.被験体の脳領域における複数の位置の各々の位置に非侵襲性刺激を提供するための刺激デバイス;およびb.前記提供した刺激に応じて少なくとも1つの誘発電位を感知するためのセンサーデバイス;およびc.個別化刺激標的として、前記神経疾患または精神疾患を処置または改善するために、治療上有効な非侵襲性刺激を提供するために適切な前記複数の位置のうちの1つの位置を選択するように構成されたプロセッサーであって、ここで前記選択は、少なくとも1つの誘発電位の少なくとも1つの特性に基づくプロセッサー、を含むシステムを含む実施形態。
【0282】
実施形態187.前記脳領域は、デフォルトモードネットワーク(DMN)の一部である、実施形態186に記載のシステム。
【0283】
実施形態188.前記脳領域は、少なくとも、楔前部の一部を含む、実施形態186に記載のシステム。
【0284】
実施形態189.前記神経疾患または精神疾患は、アルツハイマー病である、実施形態186に記載のシステム。
【0285】
実施形態190.前記刺激デバイスは、経頭蓋電気刺激または経頭蓋磁気刺激のうちの少なくとも一方を、前記被験体の脳の前記個別化刺激標的に提供するように構成されている、実施形態186に記載のシステム。
【0286】
実施形態191.前記複数の位置は、グリッド中に配置される、実施形態186に記載のシステム。
【0287】
実施形態192.前記少なくとも1つの特性は、前記少なくとも1つの誘発電位のピーク振幅を含む、実施形態186に記載のシステム。
【0288】
実施形態193.前記個別化刺激標的を選択することは、前記少なくとも1つの誘発電位の最大ピーク振幅を有する前記複数の位置のうちの前記位置を選択することを包含する、実施形態186に記載のシステム。
【0289】
実施形態194.前記センサーデバイスは、脳波検査を使用して前記少なくとも1つの誘発電位を感知するように構成されている、実施形態186に記載のシステム。
【0290】
実施形態195.前記刺激デバイスは、前記選択した個別化刺激標的に提供することによって、前記神経疾患または精神疾患を処置または改善するように構成されている、実施形態186に記載のシステム。
【0291】
実施形態196.前記脳ネットワークは、前頭頭頂制御ネットワーク、感覚運動ネットワーク、前部サリエンスネットワーク、背側注意ネットワーク、腹側注意ネットワーク、視覚ネットワーク、聴覚ネットワーク、または言語ネットワークのうちの1またはこれより多くのものである、実施形態186に記載のシステム。
【0292】
実施形態197.前記個別化刺激標的は、角回の領域である、実施形態186に記載のシステム。
【0293】
実施形態198.前記個別化刺激標的は、側頭葉の領域である、実施形態186に記載のシステム。
【0294】
実施形態199.前記個別化刺激標的は、内側前頭前皮質の領域である、実施形態186に記載のシステム。
【0295】
実施形態200.前記神経疾患または精神疾患は、軽度認知障害(MCI)である、実施形態186に記載のシステム。
【0296】
実施形態201.前記神経疾患または精神疾患は、前頭側頭型認知症である、実施形態186に記載のシステム。
【0297】
実施形態202.前記神経疾患または精神疾患は、脳ネットワークの変化、例えば、うつ病(DEP)、統合失調症(SCZ)、自閉症(AUT)、注意欠陥多動障害(ADHD)、双極性障害(BP)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病(PD)、外傷性脳傷害(TBI)、不眠症(INS)、意識障害(DOC)、頭痛(HD)、多発性硬化症(MS)、脳卒中(STR)、および脳腫瘍(BT)によって特徴づけられる、実施形態186に記載のシステム。
【0298】
実施形態203.前記神経疾患または精神疾患は、記憶欠損によって特徴づけられる、実施形態186に記載のシステム。
【0299】
実施形態204.前記神経疾患または精神疾患は、認知制御における欠損によって特徴づけられる、実施形態186に記載のシステム。
【0300】
実施形態205.前記神経疾患または精神疾患は、機能的自立度の減少によって特徴づけられる、実施形態186に記載のシステム。
【0301】
実施形態206.前記選択した個別化刺激標的に提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、中枢神経系に影響を及ぼす薬物介入と組み合わされる、実施形態186に記載のシステム。
【0302】
実施形態207.前記選択した個別化刺激標的に提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、認知評価、認知訓練または認知増強介入と組み合わされる、実施形態186に記載のシステム。
【0303】
実施形態208.前記選択した個別化刺激標的に提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、行動介入と組み合わされる、実施形態186に記載のシステム。
【0304】
実施形態209.前記選択した個別化刺激標的に提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、経頭蓋電気刺激を含む異なる非侵襲性刺激介入と組み合わされる、実施形態186に記載のシステム。
【0305】
実施形態210.前記プロセッサーは、ローカルハードウェアにインストールされた一連の自動化および半自動化シグナル処理アルゴリズムの組み合わせを精巧に作り上げ、刺激位置、周波数、強度(しかし、これらに限定されない)に関する特異的表示をもたらす、実施形態186に記載のシステム。
【0306】
実施形態211.前記プロセッサーは、接続能力を有する遠隔ハードウェアにインストールされた一連の自動化および半自動化シグナル処理アルゴリズムの組み合わせを精巧に作り上げ、刺激位置、周波数、強度(しかし、これらに限定されない)に関する特異的表示をもたらす、実施形態186に記載のシステム。
【0307】
実施形態212.前記TMSベースの介入を受容する個体から収集したデータは、グループレベルの推定のために、および前記TMS至適化手順をさらに至適化するために保存され、前記収集したデータは、処置に対する類似の応答を有する患者のクラスターを特定する、用量予測手順を改良する、処置に対する応答および疾患進行の推測の機械学習および人工知能モデルを構築するために使用され得るが、これらに限定されない、実施形態186に記載のシステム。
【0308】
実施形態213.患者の脳の非侵襲性刺激のためのパラメーターを決定するためのシステムであって、前記システムは、a.患者の脳領域における複数の位置の各々の位置の非侵襲性刺激に応じて複数の誘発電位を感知するためのセンサーデバイス;およびb.前記複数の誘発電位の少なくとも1つの特性に少なくとも部分的に基づいて、前記患者に関する個別化刺激パラメーターを決定するように構成されたプロセッサーであって、ここで前記個別化刺激パラメーターは、刺激位置および1またはこれより多くの刺激特性を含む、プロセッサー、を含むシステムを含む実施形態。
【0309】
実施形態214.前記1またはこれより多くの刺激特性は、刺激強度および/または刺激周波数を含む、実施形態213に記載のシステム。
【0310】
実施形態215.前記センサーデバイスは、前記患者の前記脳の運動皮質領域の非侵襲性刺激を提供することに応じて安静時運動閾値を感知するようにさらに構成され、前記プロセッサーは、前記安静時運動閾値に少なくとも部分的に基づいて、ベースライン刺激強度を決定するようにさらに構成され;前記プロセッサーは、前記決定した個別化刺激パラメーターに少なくとも部分的に基づいて、前記ベースライン刺激強度を調整するようにさらに構成される、実施形態213に記載のシステム。
【0311】
実施形態216.前記脳領域は、脳ネットワークの一部である、実施形態213に記載のシステム。
【0312】
実施形態217.前記脳領域は、DMNの一部である、実施形態213に記載のシステム。
【0313】
実施形態218.前記脳領域は、楔前部である、実施形態213に記載のシステム。
【0314】
実施形態219.刺激に応じた前記複数の誘発電位は、TMS-EEG同時記録を介して得られる、実施形態213に記載のシステム。
【0315】
実施形態220.経頭蓋電気刺激または経頭蓋磁気刺激のうちの少なくとも一方を前記患者の前記脳の前記決定した刺激位置に提供することによって、前記個別化刺激パラメーターに基づいて前記被験体に非侵襲性刺激を提供する刺激デバイスをさらに含む、実施形態213に記載のシステム。
【0316】
実施形態221.前記複数の位置は、グリッド中に配置される、実施形態213に記載のシステム。
【0317】
実施形態222.前記1またはこれより多くの刺激特性は、前記複数の誘発電位のピーク振幅を含む、実施形態213に記載のシステム。
【0318】
実施形態223.前記プロセッサーは、前記複数の誘発電位の最大ピーク振幅を有する前記複数の位置から1つの位置を選択することにより前記個別化刺激パラメーターを決定するように構成されている、実施形態213に記載のシステム。
【0319】
実施形態224.前記センサーデバイスは、脳波検査を使用して前記複数の誘発電位を感知するように構成される、実施形態213に記載のシステム。
【0320】
実施形態225.前記脳領域は、脳ネットワークの位置であり、前記脳ネットワークは、前頭頭頂制御ネットワーク、感覚運動ネットワーク、前部サリエンスネットワーク、背側注意ネットワーク、腹側注意ネットワーク、視覚ネットワーク、聴覚ネットワーク、言語ネットワークのうちの1またはこれより多くのものである、実施形態213に記載のシステム。
【0321】
実施形態226.前記脳領域は、少なくとも、角回の一部を含む、実施形態213に記載のシステム。
【0322】
実施形態227.前記脳領域は、少なくとも、側頭葉の一部を含む、実施形態213に記載のシステム。
【0323】
実施形態228.前記脳領域は、少なくとも、内側前頭前皮質の一部を含む、実施形態213に記載のシステム。
【0324】
実施形態229.前記決定された個別化刺激パラメーターに従って前記決定された刺激位置へと前記非侵襲性刺激を提供することによって、神経疾患または精神疾患を処置または改善する刺激デバイスをさらに含む、実施形態213に記載のシステム。
【0325】
実施形態230.前記神経疾患または精神疾患は、アルツハイマー病である、実施形態229に記載のシステム。
【0326】
実施形態231.前記神経疾患または精神疾患は、軽度認知障害(MCI)である、実施形態229に記載のシステム。
【0327】
実施形態232.前記神経疾患または精神疾患は、前頭側頭型認知症である、実施形態229に記載のシステム。
【0328】
実施形態233.前記神経疾患または精神疾患は、脳ネットワークの変化、例えば、うつ病(DEP)、統合失調症(SCZ)、自閉症(AUT)、注意欠陥多動障害(ADHD)、双極性障害(BP)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病(PD)、外傷性脳傷害(TBI)、不眠症(INS)、意識障害(DOC)、頭痛(HD)、多発性硬化症(MS)、脳卒中(STR)、および脳腫瘍(BT)によって特徴づけられる、実施形態229に記載のシステム。
【0329】
実施形態234.前記神経疾患または精神疾患は、記憶欠損によって特徴づけられる、実施形態229に記載のシステム。
【0330】
実施形態235.前記神経疾患または精神疾患は、認知制御における欠損によって特徴づけられる、実施形態229に記載のシステム。
【0331】
実施形態236.前記神経疾患または精神疾患は、機能的自立度の減少によって特徴づけられる、実施形態229に記載のシステム。
【0332】
実施形態237.前記個別化刺激パラメーターに従って提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、中枢神経系に影響を及ぼす薬物介入と組み合わされる、実施形態229に記載のシステム。
【0333】
実施形態238.前記個別化刺激パラメーターに従って提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、認知評価、認知訓練または認知増強介入と組み合わされる、実施形態229に記載のシステム。
【0334】
実施形態239.前記個別化刺激パラメーターに従って提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、行動介入と組み合わされる、実施形態213に記載のシステム。
【0335】
実施形態240.前記個別化刺激パラメーターに従う前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、経頭蓋電気刺激を含む異なる非侵襲性刺激介入と組み合わされる、実施形態213に記載のシステム。
【0336】
実施形態241.患者の脳に対する標的化非侵襲性脳刺激のための個別化刺激特性を決定するためのシステムであって、前記システムは、a.前記患者の前記脳の運動皮質領域の非侵襲性刺激を提供することに応じて安静時運動閾値を感知するためのセンサーデバイス;およびb.前記運動皮質領域の外側の前記脳の領域を非侵襲性に刺激するための刺激デバイスを含み;c.ここで前記センサーデバイスは、前記運動皮質領域の外側の前記脳の前記領域の刺激に応じて誘発電位を感知するようにさらに構成され;d.ここで前記刺激デバイスは、前記感知した誘発電位の少なくとも1つの特性に少なくとも部分的に基づいて、刺激の前記安静時運動閾値を調整するように構成される、システムを含む実施形態。
【0337】
実施形態242.前記前記運動皮質の外側の領域は、DMNの一部である、実施形態241に記載のシステム。
【0338】
実施形態243.前記運動皮質の外側の領域は、楔前部である、実施形態241に記載のシステム。
【0339】
実施形態244.刺激に応じた前記誘発電位は、TMS-EEG同時記録を介して得られる、実施形態241に記載のシステム。
【0340】
実施形態245.前記誘発電位の特性は、シグナル振幅である、実施形態241に記載のシステム。
【0341】
実施形態246.前記誘発電位の特性のうちの1つは、刺激強度であり、前記刺激強度は、前記患者に対して標的領域において生成される電場を模倣する生物物理学的モデリング作業に基づいて調整される、実施形態241に記載のシステム。
【0342】
実施形態247.前記刺激デバイスは、経頭蓋電気刺激または経頭蓋磁気刺激のうちの少なくとも一方を、前記患者の前記脳の位置に提供するように構成される、実施形態241に記載のシステム。
【0343】
実施形態248.前記複数の位置は、グリッド中に配置される、実施形態241に記載のシステム。
【0344】
実施形態249.前記少なくとも1つの特性は、前記少なくとも1つの誘発電位のピーク振幅を含む、実施形態241に記載のシステム。
【0345】
実施形態250.前記個別化刺激標的を選択することは、前記少なくとも1つの誘発電位の最大ピーク振幅を有する前記複数の位置のうちの前記位置を選択することを包含する、実施形態241に記載のシステム。
【0346】
実施形態251.前記センサーデバイスは、脳波検査を使用して前記少なくとも1つの誘発電位を感知するように構成される、実施形態241に記載のシステム。
【0347】
実施形態252.前記刺激デバイスは、前記非侵襲性刺激を個別化刺激標的に提供することによって、神経疾患または精神疾患を処置または改善するように構成される、実施形態241に記載のシステム。
【0348】
実施形態253.前記神経疾患または精神疾患は、アルツハイマー病である、実施形態252に記載のシステム。
【0349】
実施形態254.前記神経疾患または精神疾患は、軽度認知障害(MCI)である、実施形態252に記載のシステム。
【0350】
実施形態255.前記神経疾患または精神疾患は、アルツハイマー病である、実施形態252に記載のシステム。
【0351】
実施形態256.前記神経疾患または精神疾患は、脳ネットワークの変化、例えば、うつ病(DEP)、統合失調症(SCZ)、自閉症(AUT)、注意欠陥多動障害(ADHD)、双極性障害(BP)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病(PD)、外傷性脳傷害(TBI)、不眠症(INS)、意識障害(DOC)、頭痛(HD)、多発性硬化症(MS)、脳卒中(STR)、および脳腫瘍(BT)によって特徴づけられる、実施形態252に記載のシステム。
【0352】
実施形態257.前記神経疾患または精神疾患は、記憶欠損によって特徴づけられる、実施形態252に記載のシステム。
【0353】
実施形態258.前記神経疾患または精神疾患は、認知制御における欠損によって特徴づけられる、実施形態252に記載のシステム。
【0354】
実施形態259.前記神経疾患または精神疾患は、機能的自立度の減少によって特徴づけられる、実施形態252に記載のシステム。
【0355】
実施形態260.前記決定された個別化刺激標的に提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、中枢神経系に影響を及ぼす薬物介入と組み合わされる、実施形態252に記載のシステム。
【0356】
実施形態261.前記決定された個別化刺激標的に提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、認知評価、認知訓練または認知増強介入と組み合わされる、実施形態252に記載のシステム。
【0357】
実施形態262.前記決定された個別化刺激標的に提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、行動介入と組み合わされる、実施形態252に記載のシステム。
【0358】
実施形態263.前記決定された個別化刺激標的に提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、経頭蓋電気刺激を含む異なる非侵襲性刺激介入と組み合わされる、実施形態252に記載のシステム。
【0359】
実施形態264.被験体において神経疾患または精神疾患を処置または改善するためのシステムであって、前記システムは、a.機能的脳ネットワークを形成するとして特定された複数の脳領域の第1の脳領域における第1の位置を非侵襲性に刺激するための刺激デバイス、を含み、b.ここで前記第1の位置は、前記複数の脳領域の1またはこれより多くの他の脳領域に強く接続される前記第1の脳領域の部分領域である、システムを含む実施形態。
【0360】
実施形態265.前記脳ネットワークを形成する前記複数の脳領域は、前記被験体の脳のスキャンデータに基づいて特定される、実施形態264に記載のシステム。
【0361】
実施形態266.前記脳領域は、デフォルトモードネットワーク(DMN)の一部である、実施形態264に記載のシステム。
【0362】
実施形態267.前記第1の脳領域は、少なくとも、楔前部の一部を含む、実施形態264に記載のシステム。
【0363】
実施形態268.前記神経疾患または精神疾患は、アルツハイマー病である、実施形態264に記載のシステム。
【0364】
実施形態269.前記非侵襲性刺激は、前記患者の脳の第1の位置への経頭蓋電気刺激または経頭蓋磁気刺激のうちの少なくとも一方を含む、実施形態264に記載のシステム。
【0365】
実施形態270.前記第1の位置へと前記非侵襲性刺激を提供することによって、前記神経疾患または精神疾患を処置または改善する刺激デバイスをさらに含む、実施形態264に記載のシステム。
【0366】
実施形態271.前記脳領域は、脳ネットワークの一部であり、前記脳ネットワークは、前頭頭頂制御ネットワーク、感覚運動ネットワーク、前部サリエンスネットワーク、背側注意ネットワーク、腹側注意ネットワーク、視覚ネットワーク、聴覚ネットワーク、または言語ネットワークのうちの1またはこれより多くのものである、実施形態264に記載のシステム。
【0367】
実施形態272.前記第1の位置は、少なくとも、角回の一部を含む、実施形態264に記載のシステム。
【0368】
実施形態273.前記第1の位置は、少なくとも、側頭葉の一部を含む、実施形態264に記載のシステム。
【0369】
実施形態274.前記第1の位置は、少なくとも、内側前頭前皮質の一部を含む、実施形態264に記載のシステム。
【0370】
実施形態275.前記神経疾患または精神疾患は、軽度認知障害(MCI)である、実施形態264に記載のシステム。
【0371】
実施形態276.前記神経疾患または精神疾患は、前頭側頭型認知症である、実施形態264に記載のシステム。
【0372】
実施形態277.前記神経疾患または精神疾患は、脳ネットワークの変化、例えば、うつ病(DEP)、統合失調症(SCZ)、自閉症(AUT)、注意欠陥多動障害(ADHD)、双極性障害(BP)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病(PD)、外傷性脳傷害(TBI)、不眠症(INS)、意識障害(DOC)、頭痛(HD)、多発性硬化症(MS)、脳卒中(STR)、および脳腫瘍(BT)によって特徴づけられる、実施形態264に記載のシステム。
【0373】
実施形態278.前記神経疾患または精神疾患は、記憶欠損によって特徴づけられる、実施形態264に記載のシステム。
【0374】
実施形態279.前記神経疾患または精神疾患は、認知制御における欠損によって特徴づけられる、実施形態264に記載のシステム。
【0375】
実施形態280.前記神経疾患または精神疾患は、機能的自立度の減少によって特徴づけられる、実施形態264に記載のシステム。
【0376】
実施形態281.前記第1の位置に提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、中枢神経系に影響を及ぼす薬物介入と組み合わされる、実施形態264に記載のシステム。
【0377】
実施形態282.前記第1の位置に提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、認知評価、認知訓練または認知増強介入と組み合わされる、実施形態264に記載のシステム。
【0378】
実施形態283.前記第1の位置に提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、行動介入と組み合わされる、実施形態264に記載のシステム。
【0379】
実施形態284.前記第1の位置に提供される前記非侵襲性刺激は、逐次にまたは同時に送達される、経頭蓋電気刺激を含む異なる非侵襲性刺激介入と組み合わされる、実施形態264に記載のシステム。
【0380】
実施形態285.神経疾患または精神疾患を処置または改善するために、脳刺激療法を投与するためのシステムであって、前記システムは、a.至適刺激標的を特定するために使用される被験体のデータを収集および保存する、データ収集プラットフォーム;b.前記被験体のデータを処理し、処置のための至適刺激パラメーターを得る、データ解析プラットフォーム;およびc.脳刺激セッションのスケジュールを立て、前記処置をモニターするための基盤;およびd.前記処置の前および/または前記処置中に収集された前記被験体のデータを含むデータベース、を含む、システムを含む実施形態。
【0381】
実施形態286.前記被験体のための至適脳刺激パラメーターを特定するための前記データ収集プラットフォームは、実施形態1~163に記載のものを利用する、実施形態285に記載のシステム。
【0382】
実施形態287.前記システムは、前記脳刺激処置を処方する臨床医にアクセス可能である、実施形態285に記載のシステム。
【0383】
実施形態288.前記データ処理は、ローカルシステムで行われる、実施形態285に記載のシステム。
【0384】
実施形態289.前記データ処理は、クラウドベースコンピューティングを使用して行われる、実施形態285に記載のシステム。
【0385】
実施形態290.前記システムは、請求ソフトウェアに接続される、実施形態285に記載のシステム。
【0386】
実施形態291.前記システムは、健康保険業者に接続される、実施形態285に記載のシステム。
【0387】
実施形態292.神経疾患または精神疾患を処置または改善するために、被験体の脳領域に同時の組み合わされた非侵襲性脳刺激介入を送達するための方法であって、前記方法は、a.被験体の脳をスキャンすること;b.非侵襲性脳刺激のための標的を特定すること;を包含し、ここで前記非侵襲性脳刺激は、経頭蓋磁気刺激技術または経頭蓋電気刺激技術に基づく、方法を含む実施形態。
【0388】
実施形態293.前記経頭蓋磁気刺激技術は、シータバースト刺激である、実施形態292に記載の方法。
【0389】
実施形態294.前記経頭蓋磁気刺激技術は、繰り返しの経頭蓋磁気刺激である、実施形態292に記載の方法。
【0390】
実施形態295.前記経頭蓋電気刺激技術は、経頭蓋交流刺激である、実施形態292に記載の方法。
【0391】
実施形態296.経頭蓋交流刺激の周波数は、ガンマ周波数EEG帯域内である、実施形態M4に記載の方法。
【0392】
実施形態297.被験体のための非侵襲性脳刺激の標的を前記特定することは、実施形態1~163に記載されものである、実施形態292に記載の方法。
【0393】
実施形態298.前記経頭蓋磁気刺激技術は、シータバースト刺激であり、前記経頭蓋電気刺激技術は、経頭蓋交流刺激であり、前記経頭蓋磁気刺激および前記経頭蓋電気刺激は、同時に送達される、実施形態292に記載の方法。
【0394】
実施形態299.前記経頭蓋磁気刺激技術は、繰り返しの経頭蓋磁気刺激であり、前記経頭蓋電気刺激技術は、経頭蓋交流刺激であり、前記経頭蓋磁気刺激および前記経頭蓋電気刺激は、同時に送達される、実施形態292に記載の方法。
【0395】
実施形態300.前記同時の組み合わされた非侵襲性脳刺激介入は、皮質可塑性レベルの増加を誘導する、実施形態292に記載の方法。
【0396】
実施形態301.前記標的は、脳ネットワークである、実施形態292に記載の方法。
【0397】
実施形態302.前記脳ネットワークは、デフォルトモードネットワーク(DMN)である、実施形態M10に記載の方法。
【0398】
実施形態303.前記脳領域は、少なくとも、楔前部の一部を含む、実施形態292に記載の方法。
【0399】
実施形態304.前記脳領域は、少なくとも、背側前頭前皮質の一部を含む、実施形態292に記載の方法。
【0400】
実施形態305.前記脳領域は、少なくとも、頭頂葉の一部を含む、実施形態292に記載の方法。
【0401】
実施形態306.前記脳領域は、少なくとも、側頭葉の一部を含む、実施形態292に記載の方法。
【0402】
実施形態307.前記脳領域は、少なくとも、角回の一部を含む、実施形態292に記載の方法。
【0403】
実施形態308.前記決定した刺激標的に提供される、前記組み合わされた非侵襲性刺激は有効であり、その結果、前記被験体は、単回の刺激セッション後に、処置されていない被験体のものと比較して少なくとも15%大きいTEPsの振幅の増加を有する、実施形態292に記載の方法。
【0404】
実施形態309.前記決定した刺激標的に提供される、前記組み合わされた非侵襲性刺激は有効であり、その結果、前記被験体は、単回の刺激セッション後に、処置されていない被験体のものと比較して少なくとも15%大きいネットワーク振動の振幅の増加を有する、実施形態292に記載の方法。
【0405】
実施形態310.前記決定した刺激標的に提供される、前記組み合わされた非侵襲性刺激は有効であり、その結果、前記被験体は、単回の刺激セッション後に、処置されていない被験体のものと比較して少なくとも15%大きいTEPsを介して測定される皮質可塑性レベルの増加を有する、実施形態292に記載の方法。
【0406】
実施形態311.前記決定した刺激標的に提供される、前記組み合わされた非侵襲性刺激は有効であり、その結果、前記被験体は、単回の刺激セッション後に、処置されていない被験体のものと比較して少なくとも15%大きい振動性脳活動の周波数の増加を有する、実施形態292に記載の方法。
【0407】
実施形態312.前記決定した刺激標的に提供される、前記組み合わされた非侵襲性刺激は、複数連続日にわたって、毎日、毎週またはこれらの組み合わせの頻度での複数非連続日にわたって送達される、実施形態292に記載の方法。
【0408】
実施形態313.前記脳ネットワークは、前頭頭頂制御ネットワーク、感覚運動ネットワーク、前部サリエンスネットワーク、背側注意ネットワーク、腹側注意ネットワーク、視覚ネットワーク、聴覚ネットワーク、または言語ネットワークのうちの1またはこれより多くを含む、実施形態292に記載の方法。
【0409】
実施形態314.前記神経疾患または精神疾患は、アルツハイマー病である、実施形態292に記載の方法。
【0410】
実施形態315.前記神経疾患または精神疾患は、軽度認知障害(MCI)である、実施形態292に記載の方法。
【0411】
実施形態316.前記神経疾患または精神疾患は、前頭側頭型認知症である、実施形態292に記載の方法。
【0412】
実施形態317.前記神経疾患または精神疾患は、脳ネットワークの変化、例えば、うつ病(DEP)、統合失調症(SCZ)、自閉症(AUT)、注意欠陥多動障害(ADHD)、双極性障害(BP)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病(PD)、外傷性脳傷害(TBI)、不眠症(INS)、意識障害(DOC)、頭痛(HD)、多発性硬化症(MS)、脳卒中(STR)、および脳腫瘍(BT)によって特徴づけられる、実施形態292に記載の方法。
【0413】
実施形態318.前記神経疾患または精神疾患は、記憶欠損によって特徴づけられる、実施形態292に記載の方法。
【0414】
実施形態319.前記神経疾患または精神疾患は、認知制御における欠損によって特徴づけられる、実施形態292に記載の方法。
【0415】
実施形態320.前記神経疾患または精神疾患は、機能的自立度の減少によって特徴づけられる、実施形態292に記載の方法。
【0416】
本発明の好ましい実施形態は、本明細書で示されかつ記載されてきたが、このような実施形態が、例示によって提供されるに過ぎないことは、当業者に明らかである。多くのバリエーション、変更、および置換は、ここで本発明から逸脱することなく当業者に想起される。本明細書に記載される発明の実施形態に対する種々の選択肢が、本発明を実施するにあたって使用され得ることは、理解されるべきである。以下の特許請求の範囲は本発明の範囲を定義し、これらの請求項の範囲およびそれらの均等物の範囲内の方法および構造がそれによって網羅されることが意図される。
図1-1】
図1-2】
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8-1】
図8-2】
図9-1】
図9-2】
図10
図11-1】
図11-2】
図12-1】
図12-2】
図13
図14
【国際調査報告】