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特表2024-527595安定したキャビテーションの広域を誘導し、慣性キャビテーションを制御するための装置及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-25
(54)【発明の名称】安定したキャビテーションの広域を誘導し、慣性キャビテーションを制御するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61N 7/00 20060101AFI20240718BHJP
   A61B 8/14 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
A61N7/00
A61B8/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501130
(86)(22)【出願日】2022-07-06
(85)【翻訳文提出日】2024-03-04
(86)【国際出願番号】 IL2022050726
(87)【国際公開番号】W WO2023281508
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】63/218,558
(32)【優先日】2021-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
2.VELCRO
(71)【出願人】
【識別番号】524009587
【氏名又は名称】アデノサイト リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ADENOCYTE LTD.
【住所又は居所原語表記】3 Kiryat HaMada Street, Har Hotzvim, Jerusalem, Israel
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アダム ダン
(72)【発明者】
【氏名】モリソン カイル
【テーマコード(参考)】
4C160
4C601
【Fターム(参考)】
4C160JJ23
4C160JJ25
4C160JJ50
4C160MM32
4C601EE16
4C601FF11
(57)【要約】
第1の設定値で低強度非集束超音波(LINFU)を使用して患者の臓器に超音波を照射することと、所望される安定したキャビテーションマイクロバブル共鳴の存在及び不要な慣性キャビテーションの存在を検出するために臓器を監視することと、安定したキャビテーションマイクロバブル共鳴の存在が検出されないとき、次に超音波の照射のレベルを上げるように超音波の照射パラメータを調整することと、慣性キャビテーションが検出されるとき、次に超音波の照射のレベルを下げるように超音波の照射パラメータを調整することとを含む、安定したマイクロバブルキャビテーションの臓器サイズの領域を生成するための方法及び装置。関連する装置及び方法も説明される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
安定したマイクロバブルキャビテーションの臓器サイズの領域を生成するための方法であって、
第1の設定値で低強度非集束超音波(LINFU)を使用して患者の臓器に超音波を照射することと、
所望される安定したキャビテーションマイクロバブル共鳴の存在及び不要な慣性キャビテーションの存在を検出するために前記臓器を監視することと、
前記安定したキャビテーションマイクロバブル共鳴の存在が検出されないとき、次に前記超音波の照射のレベルを上げるように超音波照射パラメータを調整することと、
慣性キャビテーションが検出されるとき、次に前記超音波の照射のレベルを下げるように前記超音波の照射パラメータを調整することと、
を含む、前記方法。
【請求項2】
膵臓を監視することが、
前記膵臓の超音波画像を生成することと、
前記超音波画像内でマイクロバブル共鳴を検出することによって前記マイクロバブル共鳴がないか監視することと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
超音波画像内で前記マイクロバブル共鳴を検出することが、前記超音波画像の画像分析を実行することを含む、請求項1~2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
膵臓を監視することが、キャビテーション検出器によって慣性キャビテーションがないか監視することを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
安定したマイクロバブルキャビテーションの臓器サイズの領域を生成するための方法であって、
第1の設定値で低強度非集束超音波(LINFU)を使用して患者の膵臓に超音波を照射することと、
慣性キャビテーションがないか前記患者を監視することと、
前記慣性キャビテーションの深さを特定することと、
前記慣性キャビテーションの前記深さが前記膵臓の前面よりも大きいときに超音波照射を自動的に調整することと、
を含む、前記方法。
【請求項6】
前記第1の設定値が、0.3~0.8の範囲のメカニカルインデックス(MI)を使用する剥離の設定値を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の設定値が、1.3~1.9の範囲のメカニカルインデックス(MI)を使用するソノポレーションの設定値を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記超音波の照射を調整することが、組織損傷を引き起こすことを回避するように超音波照射を制御することを含む、請求項5~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記監視することが、複数のキャビテーション検出器を使用して前記慣性キャビテーションの前記深さを決定することを含み、
前記慣性キャビテーションの深さを前記特定することが、前記キャビテーション検出器から受信された2つ以上の超音波信号を相関させることを含む、
請求項5~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記超音波の照射を調整することが、検出されたキャビテーションを低減するように超音波照射を調整することを含む、請求項5~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
超音波プローブの温度を測定することと、
被験者の皮膚での温度が閾値温度を超えて上昇したときに超音波照射を調整することと
をさらに含む、請求項5~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記膵臓での温度を推定することと、
前記膵臓での推定された温度が閾値温度を超えて上昇したときに超音波照射を調整することと、
をさらに含む、請求項5~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記超音波の照射を調整することが、超音波パルスの持続時間を調整することを含む、請求項5~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記超音波の照射を調整することが、超音波パルスのデューティーサイクルを調整することを含む、請求項5~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
患者の前記膵臓に前記超音波を照射することが、前記膵臓の第1の部分に超音波を照射することを含み、
前記超音波の照射を自動的に調整することが、前記膵臓の第2の異なる部分に超音波照射を誘導することを含む、
請求項5~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記超音波の照射を調整することが、前記超音波の照射の振幅を調整することを含む、請求項5~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記超音波の照射を調整することが、類似した係数で超音波振動子のグループの振幅を調整することを含む、請求項5~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記超音波の照射を調整することが、少なくとも1つの他の超音波振動子とは異なる係数で、少なくとも1つの超音波振動子の振幅を調整することを含む、請求項5~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記超音波の照射を調整することが、少なくとも1つの超音波振動子の周波数を調整することを含む、請求項5~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記超音波の照射を調整することが、少なくとも1つの他の超音波振動子とは異なる係数で、少なくとも1つの超音波振動子の周波数を調整することを含む、請求項5~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記超音波の照射を調整することが、少なくとも1つの他の超音波振動子とは異なる量で、少なくとも1つの超音波振動子の相対位相を調整することを含む、請求項5~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記超音波の照射を調整することが、複数の超音波振動子によって形成される超音波ビームの方向を調整することを含む、請求項5~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記超音波の照射を調整することが、複数の超音波振動子によって形成される超音波ビームの焦点を調整することを含む、請求項5~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記超音波を照射することを実行する超音波振動子を冷却することをさらに含む、請求項5~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
低強度非集束超音波(LINFU)装置であって、
超音波振動子を備える超音波プローブと、
キャビテーション検出器と、
前記超音波プローブの超音波照射を調整するための電子ユニットと、
前記キャビテーション検出器からの信号を分析し、前記電子ユニットを使用して前記超音波の照射を制御するためのプロセッサと、
を備える、装置。
【請求項26】
前記プローブが超音波撮像プローブをさらに備える、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記プローブが、患者の胸骨の下方で、前記患者の肋骨の間に収まるように成形される、請求項25に記載の装置。
【請求項28】
前記装置が複数のキャビテーション検出器を備える、請求項25~27のいずれか一項に記載の装置。
【請求項29】
前記装置が複数の超音波振動子を備える、請求項25~28のいずれか一項に記載の装置。
【請求項30】
前記複数の超音波振動子が無作為なパターンで配置される、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記プロセッサが、前記キャビテーション検出器によって検出されたキャビテーションの深さを決定するように構成される、請求項25~29のいずれか一項に記載の装置。
【請求項32】
前記プロセッサが、前記キャビテーション検出器によって検出されたキャビテーションの3次元位置を決定するように構成される、請求項25~31のいずれか一項に記載の装置。
【請求項33】
前記超音波プローブから熱を除去するための構成要素をさらに備える、請求項25~32のいずれか一項に記載の装置。
【請求項34】
被験者の体に取り付けるためのベルトをさらに備える、請求項25~33のいずれか一項に記載の装置。
【請求項35】
被験者の体での温度を測定するための温度センサをさらに備える、請求項25~34のいずれか一項に記載の装置。
【請求項36】
前記超音波プローブでの温度を測定するための温度センサをさらに備える、請求項25~35のいずれか一項に記載の装置。
【請求項37】
安定したマイクロバブルキャビテーションの臓器サイズの領域を生成するためのシステムであって、
請求項25~36のいずれか一項に記載の装置と、
慣性キャビテーションを回避しながら、安定したマイクロバブル共鳴を生成することに関するパラメータを入力するために構成されたユーザーインターフェースと、
を備える、システム。
【請求項38】
前記ユーザーインターフェースが、剥離のために計画された被験者に関する物理的パラメータを入力するために構成される、請求項37に記載のシステム。
【請求項39】
前記ユーザーインターフェースが、ソノポレーションのために計画された被験者に関する物理的パラメータを入力するために構成される、請求項37に記載のシステム。
【請求項40】
前記システムが、被験者データを取得するための医療データベースとの通信を含む、請求項37~39のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項41】
安定したマイクロバブルキャビテーションの臓器サイズの領域を生成するための方法であって、
第1の設定値で低強度非集束超音波(LINFU)を使用して患者の膵臓に超音波を照射することと、
前記超音波を照射することによって生じる温度を決定することと、
前記温度が閾値温度を超えたときに超音波照射を自動的に調整することと
を含む、前記方法。
【請求項42】
前記第1の設定値が剥離の設定値を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記第1の設定値がソノポレーションの設定値を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記温度を決定することが、前記超音波を照射することのために使用される超音波プローブの温度を測定することを含む、請求項41~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記温度を決定することが、前記超音波を照射することの位置で被験者の皮膚の温度を測定することを含む、請求項41~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記温度を決定することが、前記膵臓の温度を推定することを含む、請求項41~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記超音波の照射を調整することが、前記超音波の照射の振幅を調整することを含む、請求項41~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記超音波の照射を調整することが、超音波パルスの持続時間を調整することを含む、請求項41~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記超音波の照射を調整することが、超音波パルスのデューティーサイクルを調整することを含む、請求項41~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
患者の前記膵臓に超音波を照射することが、前記膵臓の第1の部分に超音波を照射することを含み、
前記超音波の照射を自動的に調整することが、前記膵臓の第2の異なる部分に前記超音波の照射を誘導することを含む、
請求項41~49のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2021年7月6日に出願された米国仮特許出願第63/218,558号の優先権の利益を主張するものであり、参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本開示は、そのいくつかの実施形態において、膵臓または別の臓器の大きさの体の領域の内側に静脈内導入されたマイクロバルブの共鳴を通じて安定したキャビテーションの広域を作り出すための低強度非集束超音波(Low Intensity Non-Focused Ultrasound)(LINFU)装置に関し、より詳細には、不必要な慣性キャビテーションの生成を制御することを含むこのような装置に関するが、これに限定されない。いくつかの実施形態では、装置は体内で剥離を誘導する役割を果たし得る。いくつかの実施形態では、装置はソノポレーションを誘導する役割を果たし得る。
【0003】
追加の背景技術は、以下を含む。
Rutenberg et al.の国際特許出願公開第2019/183623号。
Adam et al.の国際特許出願公開第2021/042042号。
ScienceDirect www(dot)sciencedirect(dot)com IRBM 35(2014)94-99に公開された、Inserraa、P. Labelea、C. Der Loughian、J.-L.Leec、M. Fouquaya、J. Ngoa、A. Poizata、C. Desjouya、B. Munteanud、C.-W.Loc、C. Vanbelea、J.-P.Rieob、W.-S.Chenc、J.-C. Beraによる「Monitoring and control of inertial cavitation activity for enhancing ultrasound transfection: The SonInCaRe project」と題する記事。
Journal of Controlled Release 243(2016)172-181に公開されたGeorg Dimcevshi、Spiros Kotopolis、Tormod Bjalnes、Dag Hoem、Jan Schjott、Bjorn Tore Gjertsen、Martin Biermann、Aners Molven、Haldan Sorbye、Emmet McCormack、Michel Postema、Odd Helge Giljaによる「A human clinical trial using ultrasound and microbubbles to enhance gemcitabine treatment of inoperable pancreatic cancer」と題する記事。
Ultrasound in Med. & Biol.、Vol. 41、No. 4、pp. 1008-1019、2015に公開された、Pauline Muleki Seya、Manuela Fouquery、Jacquiline Ngo、Adrien Poizat、Claude Inserra、及びJean-Christohe Beraによる「SONOPORATION OF ADHERENT CELLS UNDER REGULATED ULTRASOUND CAVITATION CONDITIONS」と題する記事。
【0004】
上述及び本明細書全体のすべての参考文献の開示、ならびにそれらの参考文献に言及されるすべての参考文献の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、そのいくつかの実施形態において、膵臓全体または別の臓器の大きさの体の領域の内側に静脈内導入されたマイクロバルブの共鳴を通じて安定したキャビテーションの広域を作り出すための低強度非集束超音波(Low Intensity Non-Focused Ultrasound)(LINFU)装置に関し、より詳細には、不必要な慣性キャビテーションの生成を制御することを含むこのような装置に関するが、これに限定されない。いくつかの実施形態では、装置は体内で剥離を誘導する役割を果たし得る。いくつかの実施形態では、装置はソノポレーションを誘導する役割を果たし得る。
【0006】
本開示のいくつかの実施形態の一態様によれば、第1の設定値で低強度非集束超音波(LINFU)を使用して患者の臓器に超音波を照射することと、所望される安定したキャビテーションマイクロバブル共鳴の存在及び不要な慣性キャビテーションの存在を検出するために臓器を監視することと、安定したキャビテーションマイクロバブル共鳴の存在が検出されないとき、次に超音波の照射のレベルを上げるように超音波の照射パラメータを調整することと、慣性キャビテーションが検出されるとき、次に超音波の照射のレベルを下げるように超音波の照射パラメータを調整することとを含む、安定したマイクロバブルキャビテーションの臓器サイズの領域を生成するための方法が提供される。
【0007】
本開示のいくつかの実施形態によれば、膵臓を監視することは、膵臓の超音波画像を生成することと、超音波画像内でマイクロバブル共鳴を検出することによってマイクロバブル共鳴がないか監視することとを含む。
【0008】
本開示のいくつかの実施形態によれば、超音波画像内でマイクロバブル共鳴を検出することは、超音波画像の画像分析を実行することを含む。
【0009】
本開示のいくつかの実施形態によれば、膵臓を監視することは、キャビテーション検出器によって慣性キャビテーションがないか監視することを含む。
【0010】
本開示のいくつかの実施形態の態様によれば、第1の設定値で低強度非集束超音波(LINFU)を使用して患者の膵臓に超音波を照射することと、慣性キャビテーションがないか患者を監視することと、慣性キャビテーションの深さを特定することと、慣性キャビテーションの深さが膵臓の前面よりも大きいときに超音波の照射を自動的に調整することとを含む、安定したマイクロバブルキャビテーションの臓器サイズの領域を生成するための方法が提供される。
【0011】
本開示のいくつかの実施形態によれば、第1の設定値は、0.3~0.8の範囲のメカニカルインデックス(MI)を使用する剥離の設定値を含む。
【0012】
本開示のいくつかの実施形態によれば、第1の設定値は、1.3~1.9の範囲のメカニカルインデックス(MI)を使用するソノポレーションの設定値を含む。
【0013】
本開示のいくつかの実施形態によれば、超音波の照射を調整することは、組織損傷を引き起こすことを回避するように超音波の照射を制御することを含む。
【0014】
本開示のいくつかの実施形態によれば、監視することは、複数のキャビテーション検出器を使用して慣性キャビテーションの深さを決定することを含み、慣性キャビテーションの深さを特定することは、キャビテーション検出器から受信された2つ以上の超音波信号を相関させることを含む。
【0015】
本開示のいくつかの実施形態によれば、超音波の照射を調整することは、検出されたキャビテーションを低減するように超音波の照射を調整することを含む。
【0016】
本開示のいくつかの実施形態によれば、超音波プローブの温度を測定することと、被験者の皮膚での温度が閾値温度を超えて上昇したときに超音波の照射を調整することとをさらに含む。
【0017】
本開示のいくつかの実施形態によれば、膵臓での温度を推定することと、膵臓での推定された温度が閾値温度を超えて上昇したときに超音波の照射を調整することとをさらに含む。
【0018】
本開示のいくつかの実施形態によれば、超音波の照射を調整することは、超音波パルスの持続時間を調整することを含む。
【0019】
本開示のいくつかの実施形態によれば、超音波の照射を調整することは、超音波パルスのデューティーサイクルを調整することを含む。
【0020】
本開示のいくつかの実施形態によれば、患者の膵臓に超音波を照射することは、膵臓の第1の部分に超音波を照射することを含み、超音波の照射を自動的に調整することは、膵臓の第2の異なる部分に超音波の照射を誘導することを含む。
【0021】
本開示のいくつかの実施形態によれば、超音波の照射を調整することは、超音波の照射の振幅を調整することを含む。
【0022】
本開示のいくつかの実施形態によれば、超音波の照射を調整することは、類似した係数で超音波振動子のグループの振幅を調整することを含む。
【0023】
本開示のいくつかの実施形態によれば、超音波の照射を調整することは、少なくとも1つの他の超音波振動子とは異なる係数で、少なくとも1つの超音波振動子の振幅を調整することを含む。
【0024】
本開示のいくつかの実施形態によれば、超音波の照射を調整することは、少なくとも1つの超音波振動子の周波数を調整することを含む。
【0025】
本開示のいくつかの実施形態によれば、超音波の照射を調整することは、少なくとも1つの他の超音波振動子とは異なる係数で、少なくとも1つの超音波振動子の周波数を調整することを含む。
【0026】
本開示のいくつかの実施形態によれば、超音波の照射を調整することは、少なくとも1つの他の超音波振動子とは異なる量で、少なくとも1つの超音波振動子の相対位相を調整することを含む。
【0027】
本開示のいくつかの実施形態によれば、超音波の照射を調整することは、複数の超音波振動子によって形成される超音波ビームの方向を調整することを含む。
【0028】
本開示のいくつかの実施形態によれば、超音波の照射を調整することは、複数の超音波振動子によって形成される超音波ビームの焦点を調整することを含む。
【0029】
本開示のいくつかの実施形態によれば、超音波を照射することを実行する超音波振動子を冷却することをさらに含む。
【0030】
本開示のいくつかの実施形態によれば、超音波振動子を含む超音波プローブと、キャビテーション検出器と、超音波プローブの超音波の照射を調整するための電子ユニットと、キャビテーション検出器からの信号を分析し、電子ユニットを使用して超音波の照射を制御するためのプロセッサとを含む低強度非集束超音波(LINFU)装置が提供される。
【0031】
本開示のいくつかの実施形態によれば、プローブは超音波撮像プローブをさらに含む。
【0032】
本開示のいくつかの実施形態によれば、プローブは、患者の胸骨の下方で、患者の肋骨の間に収まるように成形される。
【0033】
本開示のいくつかの実施形態によれば、装置は複数のキャビテーション検出器を含む。
【0034】
本開示のいくつかの実施形態によれば、装置は複数の超音波振動子を含む。
【0035】
本開示のいくつかの実施形態によれば、複数の超音波振動子は無作為なパターンで配置される。
【0036】
本開示のいくつかの実施形態によれば、プロセッサは、キャビテーション検出器によって検出されたキャビテーションの深さを決定するように構成される。
【0037】
本開示のいくつかの実施形態によれば、プロセッサは、キャビテーション検出器によって検出されたキャビテーションの3次元位置を決定するように構成される。
【0038】
本開示のいくつかの実施形態によれば、超音波プローブから熱を除去するための構成要素をさらに含む。
【0039】
本開示のいくつかの実施形態によれば、被験者の体に取り付けるためのベルトをさらに含む。
【0040】
本開示のいくつかの実施形態によれば、被験者の体での温度を測定するための温度センサをさらに含む。
【0041】
本開示のいくつかの実施形態によれば、超音波プローブでの温度を測定するための温度センサをさらに含む。
【0042】
本開示のいくつかの実施形態の態様によれば、本明細書に記載の装置と、慣性キャビテーションを回避しながら、安定したマイクロバブル共鳴を生成することに関するパラメータを入力するために構成されたユーザーインターフェースとを含む、安定したマイクロバブルキャビテーションの臓器サイズの領域を生成するためのシステムが提供される。
【0043】
本開示のいくつかの実施形態によれば、ユーザーインターフェースは、剥離のために計画された被験者に関する物理的パラメータを入力するために構成される。
【0044】
本開示のいくつかの実施形態によれば、ユーザーインターフェースは、ソノポレーションのために計画された被験者に関する物理的パラメータを入力するために構成される。
【0045】
システムは、被験者データを取得するための医療データベースとの通信を含む。
【0046】
本開示のいくつかの実施形態の態様によれば、第1の設定値で低強度非集束超音波(LINFU)を使用して患者の膵臓に超音波を照射することと、超音波を照射することによって生じる温度を決定することと、温度が閾値温度を超えたときに超音波の照射を自動的に調整することとを含む、安定したマイクロバブルキャビテーションの臓器サイズの領域を生成するための方法が提供される。
【0047】
本開示のいくつかの実施形態によれば、第1の設定値は剥離の設定値を含む。
【0048】
本開示のいくつかの実施形態によれば、第1の設定値はソノポレーションの設定値を含む。
【0049】
本開示の一部の実施形態によれば、温度を決定することは、超音波を照射することのために使用される超音波プローブの温度を測定することを含む。
【0050】
本開示のいくつかの実施形態によれば、温度を決定することは、超音波を照射することの位置で被験者の皮膚の温度を測定することを含む。
【0051】
本開示のいくつかの実施形態によれば、温度を決定することは、膵臓の温度を推定することを含む。
【0052】
本開示のいくつかの実施形態によれば、超音波の照射を調整することは、超音波の照射の振幅を調整することを含む。
【0053】
本開示のいくつかの実施形態によれば、超音波の照射を調整することは、超音波パルスの持続時間を調整することを含む。
【0054】
本開示のいくつかの実施形態によれば、超音波の照射を調整することは、超音波パルスのデューティーサイクルを調整することを含む。
【0055】
本開示のいくつかの実施形態によれば、患者の膵臓に超音波を照射することは、膵臓の第1の部分に超音波を照射することを含み、超音波の照射を自動的に調整することは、膵臓の第2の異なる部分に超音波の照射を誘導することを含む。
【0056】
特に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び/または科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者が一般的に理解するものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと類似または同等の方法及び材料が、本開示の実施形態の実施または試験において使用され得るものの、例示的な方法及び/または材料は以下に説明される。矛盾する場合、定義を含む特許明細書が優先する。さらに、材料、方法、及び実施例は、一例にすぎず、必ずしも限定することを目的としていない。
【0057】
当業者には理解されるように、本開示のいくつかの実施形態は、システム、方法、またはコンピュータプログラム製品として具現化され得る。したがって、本開示のいくつかの実施形態は、本明細書では一般に「回路」、「モジュール」、または「システム」と呼ばれ得る、完全にハードウェアの実施形態、完全にソフトウェアの実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)、またはソフトウェアとハードウェアの態様を組み合わせた実施形態の形態をとり得る。さらに、本開示のいくつかの実施形態は、コンピュータ可読プログラムコードが具現化される1つ以上のコンピュータ可読媒体(複数可)に具現化されているコンピュータプログラム製品の形態をとり得る。本開示のいくつかの実施形態の方法及び/またはシステムの実施は、選択されたタスクを手動で、自動的に、またはそれらの組み合わせで実行すること及び/または遂行することを含み得る。さらに、本開示の方法及び/またはシステムのいくつかの実施形態の実際の計装及び設備によれば、いくつかの選択されたタスクは、ハードウェア、ソフトウェア、またはファームウェア、及び/またはそれらの組み合わせによって、例えばオペレーティングシステムを使用して実施することができる。
【0058】
例えば、本開示のいくつかの実施形態による選択されたタスクを実行するためのハードウェアは、チップまたは回路として実施され得る。ソフトウェアとしては、本開示のいくつかの実施形態による選択されたタスクは、任意の適切なオペレーティングシステムを使用してコンピュータによって実行される複数のソフトウェア命令として実施され得る。本開示の例示的な実施形態では、本明細書に記載の方法及び/またはシステムの例示的な実施形態による1つ以上のタスクは、複数の命令を実行するためのコンピューティングプラットフォームなどのデータプロセッサによって実行される。任意選択で、データプロセッサは、命令及び/またはデータを記憶するための揮発性メモリ、及び/または例えば命令及び/またはデータを記憶するための磁気ハードディスク及び/またはリムーバブルメディアなどの不揮発性ストレージを含む。任意選択で、ネットワーク接続も提供される。ディスプレイ、及び/またはキーボードもしくはマウスなどのユーザー入力デバイスも任意選択で提供される。
【0059】
本開示のいくつかの実施形態には、1つ以上のコンピュータ可読媒体(複数可)の任意の組み合わせを利用し得る。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読信号媒体またはコンピュータ可読記憶媒体であり得る。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、限定ではないが、電子、磁気、光、電磁気、赤外線、もしくは半導体のシステム、装置、もしくはデバイス、または任意の前述の好適な組み合わせであり得る。コンピュータ可読記憶媒体のより多くの具体例は、1つ以上の通信回線を有する電気的接続、ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、電気的消去可能(EPROMまたはフラッシュメモリ)、光ファイバ、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、光学記憶デバイス、磁気記憶デバイス、または前述の任意の好適な組み合わせを含むであろう。本文書の文脈において、コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行システム、装置、もしくはデバイスによる使用のために、またはそれらと接続してプログラムを含むまたは記憶することができる任意の有形媒体であり得る。
【0060】
コンピュータ可読信号媒体は、例えば、ベースバンドでまたは搬送波の一部として、コンピュータ可読プログラムコードが具現化された伝搬データ信号を含み得る。このような伝搬信号は、電磁、光学、またはその任意の組み合わせを含むが、これに限定されるものではない様々な形のいずれかをとり得る。コンピュータ可読信号媒体は、コンピュータ可読記憶媒体ではなく、命令実行システム、装置、もしくはデバイスによる使用のために、またはそれらと接続してプログラムを通信、伝搬、またはトランスポートできる任意のコンピュータ可読媒体であってよい。
【0061】
コンピュータ可読記憶媒体上に具現化されるプログラムコード及び/またはそれによって使用されるデータは、無線、有線、光ファイバケーブル、RFなど、または上記の任意の適切な組み合わせを含むが、これに限定されるものではない任意の適切な媒体を使用し、伝送され得る。
【0062】
本開示のいくつかの実施形態のための動作を実行するためのコンピュータプログラムコードは、例えばJava、Smalltalk、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語、及び例えば「C」プログラミング言語または類似するプログラミング言語などの従来の手続き型プログラミング言語を含む1つ以上のプログラミング言語の任意の組み合わせで作成されてよい。プログラムコードは、完全にユーザーのコンピュータ上で、部分的にユーザーのコンピュータ上で、スタンドアローンのソフトウェアパッケージとして、部分的にユーザーのコンピュータ上で及び部分的にリモートコンピュータ上で、または完全にリモートコンピュータもしくはサーバ上で実行し得る。後者のシナリオでは、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)もしくは広域ネットワーク(WAN)を含む任意のタイプのネットワークを経由してユーザーのコンピュータに接続され得る、または、(例えば、インターネットサービスプロバイダーを使用して、インターネットを経由して)外部コンピュータに接続され得る。
【0063】
本開示のいくつかの実施形態は、本開示の実施形態による方法、装置(システム)、及びコンピュータプログラム製品のフローチャート図及び/またはブロック図を参照して以下に説明される場合がある。フローチャート図及び/またはブロック図の各ブロック、及びフローチャート図及び/またはブロック図のブロックの組み合わせは、コンピュータプログラム命令によって実施できることが理解されよう。これらのコンピュータプログラム命令は、汎用コンピュータのプロセッサ、専用コンピュータ、または機械を製造するための他のプログラム可能データ処理装置に提供され得、これにより、コンピュータまたは他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサを介して実行する命令は、ブロックまたは複数のブロックのフローチャート及び/またはブロック図に指定される機能/行為を実施するための手段を作成する。
【0064】
また、これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータ、他のプログラム可能データ処理装置、または他のデバイスに特定の方法で機能するように命令できるコンピュータ可読媒体に記憶されてもよく、これによりコンピュータ可読媒体に記憶される命令は、ブロックまたは複数のブロックのフローチャート及び/またはブロック図に指定される機能/行為を実施する命令を含んだ、製造品を製造する。
【0065】
コンピュータプログラム命令は、一連の操作ステップを、コンピュータ、他のプログラム可能装置、または他のデバイスで実行させて、コンピュータまたは他のプログラム可能装置で実行する命令が、ブロックまたは複数のブロックのフローチャート及び/またはブロック図で指定される機能/行為を実施するためのプロセスを提供するように、コンピュータ実装プロセスを作り出すためにコンピュータ、他のプログラム可能データ処理装置、または他のデバイスの上にロードされてもよい。
【0066】
本明細書に記載の方法のいくつかは、一般に、コンピュータによる使用のみを目的として設計されており、人間の専門家が完全に手動で実行するには適していない、または実用的ではない場合がある。慣性キャビテーションの生成を制御すること、または超音波画像内でマイクロバブルを検出することなど、同様のタスクを手動で実行することを望む人間の専門家は、全く異なる方法、例えば、専門知識を利用する方法、及び/または人間の脳のパターン認識能力を利用する方法を用いることが予想され得、それにより本明細書に記載の方法のステップを手動で行うよりもはるかに効率が良くなるであろう。
【0067】
本開示のいくつかの実施形態を、本明細書では、単なる例示として、添付の図面を参照しながら説明する。このとき図面を詳細にわたって具体的に参照するが、図示されている細部は例示として本開示の実施形態を説明的に考察することを目的としたものであることが強調される。この点に関して、図面を用いた説明は、本開示の実施形態がどのように実施され得るかを当業者に明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0068】
図1】胴体にストラップで留められた、例示的な実施形態に従って構築された装置の簡略図である。
図2A】例示的な実施形態による、安定したマイクロバブルキャビテーションの広域を誘導するための低強度非集束超音波(LINFU)装置の簡略化されたブロック図である。
図2B】例示的な実施形態による、体内で安定したマイクロバブルキャビテーションの広域を誘導するためのシステム200の簡略化されたブロック図である。
図3A】例示的な実施形態による、体内で安定したマイクロバブルキャビテーションの広域を誘導するための低強度非集束超音波(LINFU)のためのシステムの簡略化されたブロック図である。
図3B】例示的な実施形態による、標的臓器の第1の部分に超音波を照射した後に、標的臓器の第2の部分に超音波を照射することの簡略図である。
図4A】例示的な実施形態による超音波プローブの簡略図である。
図4B】例示的な実施形態による超音波プローブの簡略図である。
図4C】例示的な実施形態による超音波プローブの簡略図である。
図4D】例示的な実施形態による超音波プローブの簡略図である。
図4E】例示的な実施形態による超音波プローブの簡略図である。
図4F】例示的な実施形態による超音波プローブの簡略図である。
図5A】例示的な実施形態による、体内の深さZでの2次元位置の関数として超音波の照射により生じる圧力の3次元グラフである。
図5B】例示的な実施形態による、1次元位置の関数として生じる圧力のグラフである。
図5C】例示的な実施形態による、体内の深さZでの関数として超音波の照射により生じる圧力の3次元グラフである。
図6】例示的な実施形態による、超音波振動子の無作為な散乱を有する超音波プローブの簡略図である。
図7】A,B,Cは、例示的な実施形態による超音波振動子及びキャビテーション検出器の配置を有する超音波プローブの簡略図である。
図8】例示的な実施形態による超音波の照射の量の簡略図である。
図9A】例示的な実施形態による超音波プローブのための熱伝導カバーの簡略図である。
図9B】例示的な実施形態による超音波プローブのための熱伝導カバー及び取り付けベルトの簡略図である。
図9C】例示的な実施形態による取り付けベルト、及び超音波プローブまたはプローブカバーの簡略図である。
図10】例示的な実施形態による膵臓を剥離するための方法の簡略化されたフローチャート図である。
図11】例示的な実施形態による超音波の照射のレベルを制御する簡略図である。
【発明を実施するための形態】
【0069】
本開示は、そのいくつかの実施形態において、体内で安定したマイクロバブルキャビテーションの広域を作り出すための低強度非集束超音波(LINFU)装置に関し、より詳細には、不必要な慣性キャビテーションの生成を制御することを含むそのような装置に関するが、これに限定されない。いくつかの実施形態では、安定したマイクロバブルキャビテーションの広域は体内での剥離に役立つ場合がある。いくつかの実施形態では、安定したマイクロバブルキャビテーションの広域が、ソノポレーションに役立つ場合がある。
【0070】
用語LINFUは、低強度非集束超音波について本明細書及び特許請求の範囲で使用され、強度が、慣性キャビテーションを生成するために必要とされるであろうものに満たないこと、及び超音波強度がそれ以外の場合限定されていないことを暗示することを理解されたい。
【0071】
安定したキャビテーションは、通常、線形振動を暗示する。
【0072】
ソノポレーションは、剥離で使用されるよりも高い超音波強度を使用する場合がある-したがって、おそらく非線形振動を生じさせる。本明細書に説明される方法、装置、及びシステムは、内部破裂、つまり慣性キャビテーションを低減及び/または回避するように設計されている。
【0073】
本明細書に説明されたいくつかの実施形態は、いくつかの実施形態では、広域で(例えば、臓器/膵臓全体)で同時に超音波の照射のレベルを制御する。
【0074】
いくつかの実施形態では、超音波の照射のレベルは、剥離のために低い強度で動作する。
【0075】
いくつかの実施形態では、超音波の照射のレベルを制御することは、ソノポレーションのために非線形振動を引き起こし得るレベルで動作する。
【0076】
いくつかの実施形態では、剥離とソノポレーションの両方ともにおいて、超音波の照射のレベルを制御することは、内部破裂(慣性キャビテーション)によって引き起こされる損傷及び/または効能の低下を回避するために作用する。
【0077】
本開示のいくつかの実施形態をより深く理解するために、まず図1に示される装置の構造及び動作を参照する。
【0078】
図1は、胴体にストラップで留められた、例示的な実施形態に従って構築された装置の簡略図である。
【0079】
図1は、中に内臓器官の輪郭が示される胴体100、及び胴体100にストラップ104で留められた装置102を示す。
【0080】
内臓器官の非限定的な例は、膵臓106である。装置102は、膵臓106の上方で胴体の上に置かれて図1に示されている。
【0081】
装置102は、例えば、Adam et al.の上述の国際特許出願公開第WO2021/042042号に記載されるLINFUプローブである。
【0082】
非限定的な例として、装置102は、任意選択で膵臓106に超音波を照射するために操作される。
【0083】
非限定的な例では、プローブは、膵臓の細胞または組織の剥離を誘導し、病理学的分析のためにそのような剥離した細胞または組織を含む膵液を収集する方法の一部として使用される。この例では、方法は、被験者に超音波を照射する前に患者の循環系内でマイクロバブルを形成する超音波造影剤を投与することを含む。マイクロバブルを導入した後、膵臓106などの臓器または組織は、プローブによって提供される広域超音波エネルギーにさらされる。超音波の印加は、低強度非集束超音波(LINFU)として記載される場合がある。例では、超音波エネルギーによって、膵臓細胞、及び任意選択で組織片が解離及び/または剥離するように、上に重なる上皮に十分なエネルギーを与える循環するマイクロバブルの安定したキャビテーションが生じる。例では、患者は、後に、膵臓分泌を誘導する薬剤であるセクレチンを注射される。剥離及び除去された細胞及び組織断片の一部は、次に内視鏡で収集される膵液の中に沈着され得る。
【0084】
膵臓の細胞及び組織の剥離を誘導するために循環するマイクロバルブの安定したキャビテーションを利用し、病理学的評価のために任意選択でこのような剥離した細胞を収集する例示的な方法が、以下に説明される。そのような方法は、膵臓癌を検出するために使用され得、方法は、その膵臓癌を最も早期の段階で検出することを潜在的に可能にする。方法は、膵臓癌の定期的なスクリーニングに使用され得る。
【0085】
膵臓などの標的臓器での非限定的な例として、ソノポレーションを誘導する例示的な方法が以下に説明される。そのような方法は、線維形成を貫通して、薬物及び/または遺伝子及び/または細胞の溢出、及び組織内への送達を達成するために使用され得る(非限定的な例として-腫瘍)。
【0086】
いくつかの実施形態では、ソノポレーションは、-好ましくは、重度の及び/または顕著な出血、組織損傷、または炎症性浸潤を引き起こすことなく-マイクロバブルの非線形振動を引き起こす超音波強度によって達成される-したがって細胞と細胞の膜との間で一時的な孔を可能にするマイクロストリーミングを潜在的に引き起こす。
【0087】
非線形振動は、線形の安定した振動/キャビテーションを引き起こす強度よりも高いが、内部破裂及び/または衝撃波マイクロジェットを引き起こす慣性キャビテーションを引き起こす強度よりも低い強度によって引き起こされる可能性がある。
【0088】
潜在的に膵臓全体において同時にマイクロバブルの安定したキャビテーションを誘導するように構成された改善された振動子装置及び制御システムが、本明細書に説明される。振動子及び制御システムは、標的臓器内での慣性キャビテーションの発生を局所化し、そのようなキャビテーションが検出されると、超音波エネルギーを低下させることによって任意選択で自動的に反応するように較正される。
【0089】
概要
超音波の照射中、所望される結果は、標的臓器内でマイクロバブルの安定したキャビテーションを生成することであり、望ましくない副作用は、潜在的に慣性キャビテーションである。別の潜在的な望ましくない結果は、所望の標的ではない組織での慣性キャビテーションである可能性がある。
【0090】
安定したキャビテーションでは、マイクロバブルは音圧により振動する。慣性キャビテーションでは、マイクロバブルは高出力で共鳴サイズに到達し、次に、崩壊し、マイクロストリーム、キャビテーション核、及び高温及び高圧の衝撃波を生じさせる。慣性キャビテーションが被験者体内で発生すると、慣性キャビテーションは潜在的に組織及び/または血管の損傷を生じさせる。
【0091】
慣性キャビテーションは、また、潜在的に毛細血管及び/または細動脈/小静脈などの小さい血管内で出血を引き起こす場合もある。
【0092】
いくつかの実施形態では、膵臓などの標的臓器の小血管内で出血を引き起こすことを回避することが望ましい。いくつかの実施形態では、超音波の照射は、小血管内での出血を低減及び/または回避するように制御される。
【0093】
慣性キャビテーションの制御
いくつかの実施形態の一態様は、慣性キャビテーションの生成を抑制及び/または低減するために、LINFUプローブを制御することに関する。
【0094】
いくつかの実施形態では、制御することは、例えば膵臓内でなど、標的臓器内で慣性キャビテーションの生成を抑制及び/または低減することに限定される。
【0095】
LINFUプローブによって加えられる振幅または圧力が低くなるほど、US信号はLINFUプローブからより遠くに移動する。
【0096】
いくつかの実施形態では、LINFUプローブは皮膚の上に設置され、LINFUプローブから膵臓までの経路は、通常脂肪を含む。いくつかの実施形態では、慣性キャビテーションは、プローブと膵臓との間の脂肪部位で許容され、膵臓より深くは許容されない、及び/または膵臓の側面では許容されない。
【0097】
他の例示的な臓器へのLINFUアクセスが企図され、膵臓は、本明細書では、被験者体外から超音波を照射され得る例示的な臓器として記載されることに留意されたい。
【0098】
慣性キャビテーションを検出する方法
いくつかの実施形態では、慣性キャビテーションは受動キャビテーション検出器(複数可)または他のタイプの水中聴音器(複数可)などの、1つ以上のキャビテーション検出器を使用することによって検出される。
【0099】
2つ以上のキャビテーション検出器が使用されるとき、キャビテーション検出器からのキャビテーションの方向及び/または距離の1つ以上は、任意選択で計算される。
【0100】
いくつかの実施形態では、例えば、2つ以上のキャビテーション検出器から受信される2つ以上の信号の相関によってキャビテーションの位置を検出するために三角測量が使用される。
【0101】
慣性キャビテーションを制御するための場所
いくつかの実施形態では、慣性キャビテーションが超音波の照射の標的とする臓器内で検出されるとき、標的臓器内で慣性キャビテーションを低減及び/または排除するための制御方法が使用される。
【0102】
いくつかの実施形態では、制御することによって、標的とする臓器内での慣性キャビテーションが可能になる。
【0103】
いくつかの実施形態では、制御することによって、LINFUプローブと標的とする臓器との間の脂肪組織内での慣性キャビテーションが可能になる。
【0104】
いくつかの実施形態では、慣性キャビテーションが超音波の照射の標的とする臓器の深さよりも大きい深さで検出されるとき、慣性キャビテーションを低減及び/または排除するための制御方法が使用される。
【0105】
いくつかの実施形態では、慣性キャビテーションが超音波の照射の標的とする臓器から横向きの領域で検出されるとき、慣性キャビテーションを低減及び/または排除するための制御方法が使用される。
【0106】
パラメータまたはデータ入力
いくつかの実施形態の一態様は、体内からの細胞病理学的な細胞収集のための剥離のための方法または装置での慣性キャビテーションの生成を抑制及び/または低減するために超音波の照射を制御するためにどのパラメータが使用されるのかに関する。
【0107】
任意選択で制御ユニットに入力されるパラメータ、つまりいつ及びどのようにして超音波の照射を制御するのかを決定するために任意選択で使用されるパラメータの非限定的なリストは、以下を含む。
送信中心周波数(f0)、
音圧(AP)、
パルス長(PL)、
パルス間隔(PI)、
総超音波の照射時間(TIT)、
慣性キャビテーションを排除または低減する必要のある深さZ、及び/または標的臓器の上限の深さ及びその臓器の厚さ、及び/またはその臓器の下限の深さ、
慣性キャビテーションを排除または低減する必要のある標的臓器の水平距離X、
慣性キャビテーションを排除または低減する必要のある標的臓器の垂直距離Y、
X、Y、及びZの1つ以上を推定するために任意選択で使用される、超音波の照射のための標的臓器、
X、Y、及びZの1つ以上を推定するために使用される標的臓器の定性的なサイズ、
X、Y、及びZの1つ以上を推定するために使用される標的臓器の中心に対する方向、
X、Y、及びZの1つ以上を推定するために任意選択で使用される被験者の年齢、
標的臓器までの深さZを推定するために任意選択で使用される、例えば、「太っている」、「太りすぎの」、「ほっそりとした」、「痩せこけた」などの被験者の身体データの定性的な記述、及び
標的臓器までの深さZ及び/または臓器のサイズを推定するために任意選択で使用される、例えば、身長、体重、年齢、肥満度指数(BMI)などの被験者の身体データの定量的な記述。
【0108】
いくつかの実施形態では、撮像及び/または超音波撮像は、超音波の照射を制御するためのいくつかのパラメータを決定するために任意選択で使用される。撮像によって任意選択で取得されるパラメータの非限定的なリストは、以下を含む。
標的臓器の深さ、
標的臓器の厚さ、
被験者の体との標的臓器の位置、及び
例えば、胸骨の先端から膵臓に対する角度及び/または方向、胸骨の先端、つまり皮膚から膵臓までの距離、及び追加の幾何学形状の測定値など、他の被験者臓器に対する標的臓器の位置。
【0109】
標的臓器内の制御強度
いくつかの実施形態の一態様は、標的臓器内で超音波の照射を制御することに関する。
【0110】
いくつかの実施形態では、超音波の照射は、標的臓器の断面全体でほぼ均一な強度を提供するために任意選択で制御される。
【0111】
いくつかの実施形態では、強度は、ワット/cm(1平方センチメートル当たりワット)を使用して記述される。
【0112】
いくつかの実施形態では、標的臓器の断面で均一強度を取得することは、標的臓器の断面にほぼ類似したサイズ及び形状に作られた振動子のアレイを使用し、同じ超音波の照射信号ですべての振動子を任意選択で操作することによって任意選択で達成される。
【0113】
異なる強度、及び/または周波数、及び/または位相で超音波の照射信号を使用して振動子の少なくともいくつかを操作することによって、いくつかが断面でほぼ均一な強度を生成する追加の実施形態が本明細書に説明される。
【0114】
いくつかの実施形態では、強度は、標的臓器内で慣性キャビテーションを誘導することなく、可能な限り高い値で任意選択で維持される。
【0115】
いくつかの実施形態では、強度は、任意選択でなんらかの指定された高レベルで初期に開始され、慣性キャビテーションが検出されるとき、慣性キャビテーションが検出されなくなるまで任意選択で低減される。
【0116】
いくつかの実施形態では、強度は、任意選択でなんらかの指定された高レベルで初期に開始され、標的臓器の第1の部分の第1の方向に向けられ、慣性キャビテーションが、慣性キャビテーションが所望されない位置で検出されるとき、エネルギーは、標的臓器の異なる部分に向けて任意選択で誘導され、その結果、被験者の体はもはや超音波を照射されない、またははるかに少ない超音波を照射される。
【0117】
いくつかの実施形態では、強度を制御することは、上記の中心周波数(f0)、音圧(AP)、パルス長(PL)、パルス間隔(PI)、及び総超音波の照射時間(TIT)の1つ以上を制御及び/または調整することを含む。
【0118】
いくつかの実施形態では、強度を制御することは、超音波の照射の超音波パルス持続時間を調整することを含む。非限定的な例として、超音波パルス持続時間は、20マイクロ秒のパルス幅、または本明細書に記載の任意の他のパルス幅で開始し、慣性キャビテーションが被験者の体の所望されない部分で検出されるとき及び/または検出される場合、パルス持続時間を低減し得る。
【0119】
いくつかの実施形態では、強度を制御することは、デューティーサイクル、つまり超音波パルス持続時間と、パルス間の持続時間との間の比率を調整することを含む。非限定的な例として、超音波パルスデューティーサイクルは、高い値で開始し、デューティーサイクルを低減し、それによって慣性キャビテーションが被験者の体の所望されない部分で検出されるとき、及び/または検出される場合、被験者体内でのエネルギー濃度を低減し得る。
【0120】
いくつかの実施形態では、強度を制御することは、LINFUプローブ内ですべての圧電超音波振動子の動作を同様の方法で調整すること-強度をいっせいに増加または減少させること-によって実行される。
【0121】
いくつかの実施形態では、強度を調整することは、圧電超音波振動子の2つ以上のグループの動作を別々に調整することによって実行される。グループを別々に調整することによって、潜在的に、徐々に入り込む(insinuation)方向を誘導することと、標的臓器のある部分での強度を別の部分と無関係に低減することと、超音波の照射の強度が体内で集中する場所を変更することによって被験者の体の位置での慣性キャビテーションを防ぐこととの1つ以上が可能になる。
【0122】
いくつかの実施形態では、超音波振動子動作を制御する方法は、
振動子または振動子のグループの振幅を制御することと、
振動子または振動子のグループの周波数を制御することと、
振動子または振動子のグループ間の相対位相を制御することと、
振動子または振動子のグループの周波数変化または周波数掃引の速度を制御することと、
超音波ビームの方向を制御することと、
超音波ビームの焦点及び/またはピンボケを制御することと
の1つ以上を含む。
【0123】
プローブからの熱散逸
いくつかの実施形態の一態様は、体内での剥離のために使用されるLINFUプローブの熱散逸に関する。
【0124】
剥離を引き起こし得る強度でLINFUプローブを操作することによって、プローブ及び/または被験者の皮膚もしくは体の加熱が引き起こされる場合がある。
【0125】
いくつかの実施形態では、LINFUプローブは、熱散逸の経路を提供する方法で、任意選択で構築及び/またはひとまとめにされる。
【0126】
いくつかの実施形態では、LINFUプローブは、任意選択で熱放散パネルを含む。
【0127】
いくつかの実施形態では、LINFUプローブは熱伝導シースで任意選択で包まれる。いくつかの実施形態では、シースは熱伝導ゲルで充填される。
【0128】
いくつかの実施形態では、冷却液は、プローブの効率的な冷却を提供するためにプローブ及び/またはシース内で任意選択で循環される。
【0129】
構造上の特徴
いくつかの実施形態では、LINFUプローブは、被験者の体の上に収まり、標的臓器に対して定められた位置を有するように、被験者の形状に適合する形状を有する。
【0130】
非限定的な例として、LINFUプローブは、左肋骨と右肋骨との間に収まり、それによって既知の高さで被験者の体の上での中心的な設置を可能にする形状を有し得る。そのような形状によって、膵臓に超音波を照射するために適した位置にLINFUプローブを設置し、その位置から、慣性キャビテーションとは無関係であり得る、通常体の脂肪を含む膵臓への特定の方向を任意選択で利用することが、潜在的に可能になる。
【0131】
いくつかの実施形態では、LINFUプローブは、被験者の体にストラップによって付着するような形状及びサイズに作られる。
【0132】
いくつかの実施形態では、ストラップは、電力及び/または制御及び/または冷却を提供するためのケーブルを取り付けるための1つ以上の取り付け具(複数可)を任意選択で含む。
【0133】
ソノポレーション
いくつかの体の部位での充実性腫瘍は、結合組織の層が腫瘍の周りで発達することを意味する「線維形成」として知られる現象によって特徴付けられる。線維形成は、化学療法剤(複数可)の腫瘍へのアクセスを妨害することによって、治療の有効性を阻害する。膵臓の腫瘍は特に線維形成性であり、これは膵臓癌が特に治療が困難である理由の1つである。
【0134】
腫瘍を取り囲む結合組織内に孔を形成させ、化学療法剤が進入することを可能にするために静脈内投与されるマイクロバルブの超音波誘導共鳴を使用する研究が、成功裡に実施されてきた。このように超音波及びマイクロバブルを使用することは、超音波を使用して孔を作り出す「ソノポレーション」と定義されている。
【0135】
研究では、超音波プローブ超音波破砕機(Insonator)が小さい集束領域をカバーする。したがって、小さい集束領域は特定の腫瘍の上に位置決めされる。超音波プローブは、被験者の体の上に固定されたままであり、被験者は、腫瘍に超音波集束領域を維持するために、約30分の治療期間中、不動に保たれる。不便であることに加えて、小さい集束プローブを使用することはまた、ソノポレーションの効果を腫瘍の小さい選択された領域に制限する。腫瘍は検出される必要があり、その位置は測定される必要があり、プローブは、ソノポレーションの持続時間中、腫瘍に対して不動に維持される必要がある。
【0136】
化学療法の効果は、臓器全体での腫瘍をそのサイズに関わりなく治療することである。したがって、いくつかの実施形態では、ソノポレーションにおいてLINFUプローブを使用することによって、ほぼ均一な超音波を、膵臓全体など標的臓器全体に便利に適用することが潜在的に可能になる。
【0137】
いくつかの実施形態では、大面積での低強度非集束超音波は、臓器全体でマイクロバブルの安定したキャビテーションを生じさせ、結果的に被験者は固定される必要がなくなる。例えば、本明細書に説明されるように、被験者にLINFUプローブをストラップで留めると、被験者臓器のソノポレーションが可能になり、したがっていくつかの実施形態では、患者の固定は必要とされない。いくつかの実施形態では、患者は、潜在的に超音波の照射期間中に比較的に自由に移動し得る。
【0138】
いくつかの実施形態では、ソノポレーションは、-細胞間隙または細胞の膜のどちらかを開放することによって内皮層を開放して、大きい分子が通過することを可能にすることによって-血管系及び微小血管系に作用し得る。
【0139】
LINFUプローブによって提供される広域超音波の照射の潜在的な利点は、同時に臓器全体を通した化学療法の効果が上昇することであり、目視できない及び/または検出できない場合があるより小さい腫瘍内のがん細胞の破壊を促進する。
【0140】
マイクロバブル共鳴の可視化
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のLINFUプローブによって、膵臓などの標的組織での静脈内投与のマイクロバルブの共鳴が引き起こされる。異なる患者は、その年齢、サイズ、及び体重に応じて異なる肥満度指数(BMI)及び解剖学的構造を有するので、LINFUプローブが特定の患者に対して正しく設置されること、及び超音波の照射のレベルがその患者にとって十分であることを確実にすることが望ましい場合がある。
【0141】
いくつかの実施形態では、可視化はLINFUプローブに追加され、マイクロバブル共鳴が標的臓器内で成功裏に誘導された旨の自動的または半自動的な検出を可能にする。
【0142】
いくつかの実施形態では、マイクロバブル共鳴の自動的な検出は、任意選択で超音波の照射中に生成された超音波画像の画像分析によって実行される。いくつかの実施形態では、超音波検査者は、超音波の照射中に生成された超音波画像内で任意選択でマイクロバブル共鳴を検出する。
【0143】
いくつかの実施形態では、超音波の照射の超音波エネルギーの下限は、マイクロバブル共鳴が検出されると決定される。
【0144】
いくつかの実施形態では、特定の患者の超音波エネルギーの上限は、慣性キャビテーションの検出によって決定される。
【0145】
いくつかの実施形態では、超音波の照射は、下限と上限との間になるように自動的に制御される。
【0146】
いくつかの実施形態では、上限が超えられないことを制御するために、LINFUプローブ内の受動キャビテーション検出器は、例えば膵臓内など、標的臓器内に不必要な慣性キャビテーションの存在がないか監視する。
【0147】
いくつかの実施形態では、下限が満たされるまたは超えられることを制御するために、LINFUプローブシステム内の超音波可視化要素は、標的臓器内でのマイクロバブル共鳴によって超音波画像に生成される特徴的なパターンの検出を潜在的に可能にする。いくつかの実施形態では、特徴的なパターンの存在は、超音波モニタ上で超音波検査者によって任意選択で確認されるか、または訓練されたAIシステムによって検出することができる。
【0148】
撮像
いくつかの実施形態では、LINFUプローブは、超音波撮像プローブを任意選択で含み、臓器及び/または組織を撮像して、超音波の照射の標的とする臓器または近傍臓器に対する位置及びまたは深さ及び/または形状及び/または方向を決定する。
【0149】
いくつかの実施形態では、撮像は、剥離またはソノポレーションのために超音波の照射前に任意選択で実行される。
【0150】
いくつかの実施形態では、撮像は、剥離またはソノポレーションのために超音波の照射中に実行される。
【0151】
いくつかの実施形態では、撮像は、剥離またはソノポレーションのために超音波の照射中に実行され、その結果、超音波撮像は、標的臓器内でのマイクロバブルの存在を可視化するための超音波の照射パルス間の休止中に任意選択で実行される。
【0152】
いくつかの実施形態では、撮像は、剥離またはソノポレーションのために超音波の照射中に実行され、その結果、超音波撮像は、超音波の照射パルス間の休止中に任意選択で実行される。
【0153】
例示的なソノポレーション超音波の照射パラメータ
いくつかの実施形態では、インビボ遺伝子送達のために使用される伝送中心周波数は、0.3MHz~14MHzの範囲である。
【0154】
好ましい伝送中心周波数は、例えば、潜在的に多くの異なるタイプ及び/またはサイズのマイクロバブルを使用するソノポレーションを潜在的に可能にする1MHzであってよい。
【0155】
いくつかの実施形態では、ソノポレーションの超音波の照射は1MPaの圧力を使用する。いくつかの実施形態では、伝送中心周波数が減少したときに圧力は低下する。
【0156】
いくつかの実施形態では、溢出のために使用される閾値圧力は、1MHzの周波数で0.5MPaであり、MI=0.5である。
【0157】
いくつかの実施形態では、溢出のための閾値圧力は、2.25MHzの周波数で1.6MPaであり、MI=1.07である。
【0158】
音圧(AP)を高めると、ソノポレーション中に送達される用量は潜在的に増強されるが、また、出血、組織損傷、炎症性浸潤、及び焦点体積内での高度に不均質な分布の1つ以上に潜在的に関連する場合があることに留意されたい。
【0159】
非限定的な例として、APを1.89MPa~4.18MPaに高めると、ヒト第IX因子遺伝子発現の4倍の増加が誘導された。
【0160】
ソノポレーション使用時、曝露時間が遺伝子送達送達で役割を果たすことに留意されたい。非限定的な例として、PLが0.1~10msに上昇すると、脳微小血管系破壊の圧力閾値は0.7~0.4MPaに減少した。
【0161】
いくつかの実施形態では、マイクロバブルが組織血管系内で破壊されると、パルス間隔は、任意選択で新しいマイクロバブルが補充されることを可能にするほど十分に高くなるように選択される。
【0162】
いくつかの実施形態では、総超音波の照射時間の1分から10分への増加は-強度レベルが組織損傷を引き起こさなかったとき-発光酵素遺伝子発現の5倍の増強を誘導した。
【0163】
いくつかの実施形態では、より高くより均質なトランスフェクションは、ほぼ均質な大面積超音波の照射野を提供する超音波プローブを使用することによって任意選択で達成される。
【0164】
いくつかの実施形態では、トランスフェクションは、ほぼ均質な大面積超音波ビームの方向を制御する能力を備えた超音波プローブによって任意選択で実行される。
【0165】
本明細書に記載の装置及び方法のいくつかの例示的な潜在的利点
剥離に関して
超音波の照射の強度によって生じる場合がある有害な慣性キャビテーションを防止及び/または低減するように剥離超音波の照射を制御すると、剥離の時間を短縮し、患者の快適さ及び医師の効率を潜在的に改善することが潜在的に可能になる可能性がある。
【0166】
標的臓器での、または被験者の皮膚での、またはプローブでの高温を防止する、及び/または下げるように超音波の照射を制御すると、患者の快適さは潜在的に改善される。
【0167】
ソノポレーションに関して
いくつかの実施形態では、ソノポレーションは、上に重なる線維形成において孔を作り出し、化学療法剤に対する腫瘍細胞の曝露の改善を可能にするために任意選択で使用される。
【0168】
超音波の照射の強度によって生じる場合がある有害な慣性キャビテーションを防止及び/または低減するようにソノポレーション超音波の照射を制御すると、損傷を防止しながらも、強度を高めることによって吸収を増加することが潜在的に可能になる可能性がある。
【0169】
本明細書に記載の装置は、大面積に任意選択で超音波を照射し、必ずしも適所に固定されることを必要としない。
【0170】
本開示の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本開示は、その適用において、以下の説明に記載される、及び/または図面及び/または実施例に示される構成要素及び/または方法の構成及び配置の詳細に必ずしも限定されないことを理解されたい。本開示は、他の実施形態が可能であるか、または様々な方法で実践もしくは実行することが可能である。
【0171】
本開示の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本開示は、その適用が、以下の説明に記載されているか、または実施例によって例示されている詳細に必ずしも限定されないことを理解すべきである。本開示は、他の実施形態が可能であり、または様々な方法で実践もしくは実行することが可能である。
【0172】
いくつかの実施形態では、超音波振動子は、一連の薄く均等に配置された送信ユニットを形成するためにエッチングされるか、または同様に区分化される単結晶から形成される。
【0173】
いくつかの実施形態では、プローブは、標的組織の組織に十分なエネルギーを与えるために、膵臓などの標的臓器に、及びいくつかの実施形態では、その血管系内を流れる造影剤に十分な超音波放射線を送達して、細胞及び/または組織の剥離を誘導するように構成される。
【0174】
いくつかの実施形態では、超音波振動子は、長いパルスを使用して、任意選択で相当に均質に、臓器全体または臓器の大部分に、任意選択で同時に超音波を照射するように構成される。
【0175】
いくつかの実施形態では、システムはプローブとコネクタ(複数可)、ベルト、電子モジュール、制御ユニット、処理ユニット、及びグラフィックスユーザーインターフェース(GUI)を含む。
【0176】
いくつかの実施形態では、システムはまた、プローブを適所に保持するベルトへの取り付けを可能にしながら、処置を無菌にすることを可能にするように、プローブ全体及びそのケーブルまたはその一部まで包み得る使い捨てシースを含む。
【0177】
いくつかの実施形態では、プローブは、複数のキャビテーション検出器と、i)キャビテーションの発生を検出し、ii)キャビテーションの発生が検出される平面を決定し、iii)キャビテーションが検出される平面が標的臓器内に位置するかどうかを判断し、iv)キャビテーションが検出される平面が、標的臓器内にあるとして識別される表面上にある場合に、超音波エネルギーの強度を低減するように構成された関連するコンピュータシステムとを任意選択で含む。
【0178】
例示的な実施形態によって対処されるいくつかの例示的な技術的課題。
【0179】
慣性キャビテーションを引き起こすことなく、安定したキャビテーションの形でマイクロバブルの発振を最大限にすること-超音波パルス持続時間を長くする、及び/またはデューティーサイクル及び/または強度を高め、慣性キャビテーションが検出されたとき及び/または検出される場合に減少させることによって実行され得る。
【0180】
例えば、臓器全体または臓器のかなり大きい部分でなど、比較的に大きい体積で上記を引き起こすこと-比較的に大きい超音波プローブを使用する、及び/または体積測定非集束超音波ビーム、任意選択で大きい開口のほぼ均一な強度の非集束ビームを生成するためのプローブを使用する。
【0181】
被験者体内の深くで上記を引き起こすこと-十分な超音波強度が、組織減衰を補償することを可能にする、及び/または超音波プローブの複数の要素設計を任意選択で使用してビーム成形によって最小のビーム散乱を可能にする。
【0182】
異なる胴体サイズに上記を適合させること-標的臓器での慣性キャビテーションを排除しながら、強度の上昇を可能にするようにシステムを設計する。
【0183】
被験者の体の皮膚を過剰に加熱することなく上記を引き起こすこと-熱伝導ゲルで充填されたシースでプローブを補強する及び/または包むこと、及び/または超音波の照射の強度を低減することを通して熱放散を提供する。
【0184】
臓器の被覆率を最大限にすること-十分に大きい開口のほぼ均質なビームを生成する十分に大きい2Dプローブを設計する。
【0185】
例えば膵臓など、標的臓器に向かう超音波の照射の肋骨の閉塞を回避すること-胸骨の下方にプローブを設置し(及び剣状突起)、上方(頭部)へのビームの傾斜を可能にする。
【0186】
処置の無菌性を提供する-プローブ及びケーブルを覆うための無菌の、任意選択で使い捨てのシースを使用する。いくつかの実施形態では、使い捨てプローブを使用する。いくつかの実施形態では、毎回使用後にプローブを滅菌する。
【0187】
処置時間を短縮する-強度及び/またはデューティーサイクルを高める。
【0188】
被験者の快適さを可能にする-処置時間を短縮する、及び/または可撓性及び/または弾性的なベルトでプローブを体に取り付ける、及び/またはプローブのサイズを縮小する。
【0189】
例示的な実施形態による、安定したマイクロバブルキャビテーションの広域を誘導する低強度非集束超音波(LINFU)装置220の簡略化されたブロック図である図2Aがここで参照される。
【0190】
図2AのLINFU装置220は、
超音波振動子224を含む超音波プローブ222と、
キャビテーション検出器226と、
超音波プローブ222の超音波の照射を調整するための電子ユニット228と、
キャビテーション検出器226からの信号を分析し、電子ユニット228を使用して超音波の照射を制御するためのプロセッサ230と
を含む。
【0191】
例示的な実施形態による、体内で安定したマイクロバブルキャビテーションの広域を誘導するためのシステム200の簡略化されたブロック図である図2Bがここで参照される。
【0192】
図2Bは、詳細または構造により深く入り込むことなく、例示的なシステムを示すことを目的としている。
【0193】
図2Bは、超音波プローブ202と、コンピュータ208及びディスプレイ210に機能上接続される電子ユニット206にプローブ202を接続するケーブル204とを含む。
【0194】
図2Bはまた、プローブ202をシース212に取り付けるまたは挿入するためのシース212と、シース212及びプローブ202を被験者の体に取り付けるためのストラップ214も示す。
【0195】
プローブ202は体外にあり、被験者の標的臓器及び解剖学的構造に応じて皮膚表面から異なる深さで被験者の体内で超音波の照射を提供するために使用される。
【0196】
いくつかの実施形態では、システムは、体積測定ビームの断面全体でほぼ均一な、例えば、MI≦0.3の最大強度を任意選択で生じさせるための能力を有する。
【0197】
略語MIは、MHz単位の超音波の照射の周波数の平方根で除算されたMPa単位のピーク負圧として定義されるメカニカルインデックスについて、本明細書及び特許請求の範囲で使用される。
【0198】
いくつかの実施形態では、システムは、体積測定ビームの断面全体でほぼ均一な0.01≦MI≦1.9の範囲で強度を任意選択で生じさせる能力を有する。
【0199】
いくつかの実施形態では、造影剤が投与されると、例えば、0.01≦MI≦0.3などの、より低い範囲のMIが任意選択で使用される場合がある。
【0200】
いくつかの実施形態では、造影剤が投与されると、例えば、0.1≦MI≦1.9などの、より高い範囲のMIが任意選択で使用される場合がある。
【0201】
いくつかの実施形態では、非限定的な例として、剥離が所望されるとき、例えば0.03≦MI≦0.3などの、より低い範囲のMIが任意選択で使用される場合がある。
【0202】
いくつかの実施形態では、非限定的な例として、ソノポレーションが所望されるとき、例えば0.3≦MI≦1.3などの、より高い範囲のMIが任意選択で使用される場合がある。
【0203】
いくつかの実施形態では、造影剤は膵管内に投与される。いくつかの実施形態では、そのような投与は、潜在的に膵臓に意図されない損傷が引き起こす場合があり、膵臓損傷などの潜在的な危険が、造影剤が膵管に到達することを確実にする潜在的な利点に対して不利になる場合にのみ使用される。
【0204】
いくつかの実施形態では、例えば膵臓癌が非常に可能性が高いと見なされるとき、造影剤は膵管に任意選択で投与される。
【0205】
いくつかの実施形態では、例えば、日常的なスクリーニング中に、膵臓癌が特に可能性があると見なされないとき、造影剤は任意選択で膵管に直接的に投与されない。
【0206】
いくつかの実施形態では、例えば、日常的なスクリーニング中に、膵臓癌が特に可能性があると見なされないとき、造影剤は任意選択で全く投与されない。
【0207】
いくつかの実施形態では、システム200は、標的臓器内で慣性キャビテーションを引き起こすことを抑制または低減するように制御される。
【0208】
いくつかの実施形態では、システム200は、慣性キャビテーションを検出し、負帰還的に超音波出力を低減する能力を含む。
【0209】
脂肪組織からなどある深さから生じる慣性キャビテーションは、必ずしも有害ではなく、任意選択で超音波の照射の変更を生じさせない場合がある。
【0210】
いくつかの実施形態では、慣性キャビテーションが発生する深さを決定するために、プローブ202は、受動キャビテーション検出器のリングを任意選択で含む。
【0211】
いくつかの実施形態では、受動キャビテーション検出器は、プローブ202表面に対する慣性キャビテーションの深さを決定するために検出された慣性キャビテーション信号を任意選択で三角測量する。
【0212】
いくつかの実施委形態では、電子ユニット206及び/またはコンピュータ208は、深さを決定するために使用される測定、及び/または信号分析、及び/または計算を実行する。
【0213】
いくつかの実施形態では、キャビテーションが標的臓器に関連しているとして特定された平面内で検出された場合、電子ユニット206及び/またはコンピュータ208は、標的臓器に対する不要な損傷を防ぐために超音波の照射を生成するプローブ202を制御する。
【0214】
いくつかの実施形態では、慣性キャビテーションが標的臓器に関連しているとして特定された平面内で検出された場合、システム200は、任意選択で超音波出力レベルを自動的に低減する、及び/または本明細書に記載の他の方法を使用して超音波の照射を制御して、慣性キャビテーションを低減または排除する。
【0215】
例示的な実施形態による、体内で安定したマイクロバブルキャビテーションの広域を誘導するための低強度非集束超音波(LINFU)のためのシステムの簡略化されたブロック図である図3Aがここで参照される。
【0216】
図3Aは、電子モジュール304と通信する、処理ユニット306と通信する、制御モジュール308と通信する、GUIモジュール310と通信するプローブ302を示す。
【0217】
いくつかの実施形態では、プローブ302は、超音波送信機及び/またはキャビテーション検出器を任意選択で含む。
【0218】
図3Aは、プローブ302から、任意選択で電子モジュール304へ、任意選択で処理ユニット306へ、任意選択で制御モジュール308へ、任意選択でGUIモジュール310への信号及び/またはデータの任意選択の流れ、ならびに任意選択で入力からGUIモジュール310へ、任意選択で制御モジュール308へ、任意選択で処理ユニット306へ、任意選択で電子モジュール304へ、任意選択でプローブ302への戻る流れを示すことを目的としている。
【0219】
いくつかの実施形態では、制御モジュール308は、処理ユニット306内に含まれる。
【0220】
いくかの実施形態では、GUIモジュール310は、処理ユニット306内に含まれる。
【0221】
いくつかの実施形態では、電子ユニット304は、処理ユニット306内に含まれる。
【0222】
いくつかの実施形態では、温度センサ(図3Aでは図示せず)は、プローブ302の温度を測定するために任意選択で含まれる。
【0223】
いくつかの実施形態では、制御モジュール308は、プローブ302での及びまたは被験者の皮膚での温度が閾値温度を超えて上昇するとき、及び/または上昇する場合、超音波の照射を任意選択で調整し得る。
【0224】
いくつかの実施形態では、処理ユニット306及び/または制御モジュール308は、任意選択で、例えば膵臓でなど、標的臓器での温度を推定するように構成される。
【0225】
標的臓器で温度を推定することは、以後の使用のために、実験室で実験により取得される、超音波強度を温度に相関させる表によって実行され得る。
【0226】
標的臓器での温度を推定することは、標的臓器及び被験者の体のモデル及びその熱放散特性を使用することによって実行され得る。
【0227】
いくつかの実施形態では、制御モジュール308は、標的臓器での温度が閾値温度を超えて上昇するとき及び/または上昇する場合、超音波の照射を任意選択で調整し得る。
【0228】
例示的な実施形態による、標的臓器の第1の部分に超音波を照射した後に、標的臓器の第2の部分に超音波を照射することの簡略図である図3Bがここで参照される。
【0229】
図3Bは、慣性キャビテーションが検出された部分から離して超音波の照射を誘導することによって、組織の所望されない部分での慣性キャビテーションの生成を制御する任意選択の方法を明示することを目的としている。
【0230】
図3Bは、例えば膵臓334など、標的臓器334の第1の部分336Aに超音波を照射する例示的な超音波プローブ332を示す。
【0231】
いくつかの実施形態では、慣性キャビテーションが、第1の部分336Aで及び/または第1の部分336Aに超音波を照射するために使用されるビーム内の望ましくない位置にある被験者の体内で検出される場合及び/または検出されるとき、超音波の照射ビームは、例えば標的臓器334の第2の部分336Bに超音波を照射するために第1の部分336Aから離して任意選択で誘導され得る。
【0232】
例示的な実施形態による超音波プローブの簡略図である図4A及び図4Bがここで参照される。
【0233】
図4Aは超音波プローブ400の正面図であり、図4Bは側面図である。
【0234】
図4A及び図4Bは、超音波プローブ400、1つ以上の超音波振動子402、及び1つ以上のキャビテーションセンサ404を示す。
【0235】
いくつかの実施形態では、プローブ400は、一連の薄く均等に配置された超音波送信ユニット402を形成するためにエッチングされる、または同様に区分化される単結晶を含む。
【0236】
実施形態では、プローブ400は、例えば、いくつかの非限定的な例として、膵臓、肝臓、または乳房など、ヒトの臓器のサイズの領域にわたってほぼ均一な超音波の照射野を提供するように構成された超音波振動子402を含む。
【0237】
実施形態では、超音波振動子402は、例えば最大で20マイクロ秒の持続時間、超音波の照射のパルスを提供するように構成される。
【0238】
実施形態では、超音波振動子402は、例えば20マイクロ秒と最大で400マイクロ秒の間の範囲の持続時間、超音波の照射のパルスを提供するように構成される。
【0239】
いくつかの実施形態では、超音波振動子402は、例えば水平にまたは垂直に配置された、例えば長く薄い圧電性結晶など、多数の超音波振動子から構築され、多数の超音波振動子を使用する。そのような配置によって、ほぼ均一な超音波の照射野を形成することが潜在的に可能になり、例えば頭側または後端側になど、振動子表面に対して垂直な線から離して誘導することが潜在的に可能になる。
【0240】
いくつかの実施形態では、超音波振動子402が、複数の圧電性結晶など、多数の超音波振動子を使用するとき、超音波振動子402は、超音波振動子の2次元アレイを使用する。
【0241】
いくつかの実施形態では、多数の超音波振動子は類似したまたは同一の振動子である。
【0242】
いくつかの実施形態では、多数の超音波振動子は、非限定的な例として、0.5MHz~5MHzの範囲の同一の周波数で任意選択で活性化される。
【0243】
いくつかの実施形態では、例えば、プローブ400内の異なる結晶の異なるビームの間の慣性キャビテーション形成関係を潜在的に低減するために、アレイ素子の振幅は、異なる結晶の間で任意選択で異なる。
【0244】
いくつかの実施形態では、例えば、プローブ400内の異なる結晶の異なるビームの間の慣性キャビテーション形成関係を潜在的に低減するために、アレイ素子の振幅は、任意選択で経時的に変化する。
【0245】
いくつかの実施形態では、例えば、プローブ400内の異なる結晶の異なるビームの間の慣性キャビテーション形成関係を潜在的に低減するために、ローリング周波数が任意選択で使用され、アレイ素子のすべては同時に同じ周波数で動作し、周波数は任意選択で経時的に変化する。
【0246】
いくつかの実施形態では、例えば、プローブ400内の異なる結晶の異なるビームの間の慣性キャビテーション形成関係を潜在的に低減するために、異なる結晶間の位相差が任意選択で使用される。いくつかの実施形態は、位相差は経時的に変化する場合もある。いくつかの実施形態では、位相差は、結晶励起信号間で5度、10度、30度、最大90度、及び180度である場合がある。
【0247】
いくつかの実施形態では、例えば、プローブ400内の異なる結晶の異なるビームの間の位相関係を低減するために、周波数変調または位相変調が任意選択で用いられる。いくつかの実施形態では、周波数変調は、例えば、中心周波数の周りの例えば±200kHzの範囲に及び、隣接する結晶の間で変化する、2kHzのステップサイズで任意選択で実行され、これらはともにほぼ均一な電力のRMS信号を提供する。
【0248】
いくつかの実施形態では、例えば膵臓など、超音波を照射される臓器のサイズに任意選択で類似する、超音波ビームのほぼ均一な強度の大面積は、様々な形状の多数の結晶によって生成される。
【0249】
いくつかの実施形態では、超音波ビームは、非限定的な例として、骨の下など、介在する組織の下に位置する臓器によりよく貫通するために、例えば+/-15oなど、振動子表面に垂直な線から離して任意選択で誘導できる。
【0250】
いくつかの実施形態では、プローブは、被験者の体の上のプローブの位置を再調整することなく、標的臓器に向かって均質な超音波ビームを誘導することを潜在的に可能にする。
【0251】
いくつかの実施形態では、プローブ400は、プローブ400の、及び/または被験者の皮膚(図示せず)の温度を測定するために任意選択で使用され得る(図4A及び図4Bでは示されない)1つ以上の温度センサを含む。
【0252】
いくつかの実施形態では、超音波の照射は、プローブ400で、または被験者の皮膚での温度が閾値温度を超えて上昇したときに任意選択で調整される。
【0253】
例示的な実施形態による超音波プローブの簡略図である図4C及び図4Dがここで参照される。
【0254】
図4Bは超音波プローブ400の正面図であり、図4Cは側面図である。
【0255】
図4C及び図4Dは、図4A及び図4Bに関して上述された超音波プローブ400に類似し、撮像プローブ422の挿入のために中心開口部421をさらに含む超音波プローブ420を示す。
【0256】
そのような実施形態は、剥離を引き起こすための超音波の照射のために、またはソノポレーション、薬剤送達などのために標的臓器への超音波の照射の誘導を潜在的に可能にする。
【0257】
いくつかの実施形態では、撮像プローブ422は、任意選択でGE Healthcare E10プローブであってよい。
【0258】
図4Dはまた、撮像プローブ422のハンドル424と、撮像プローブ及び図3Aに関して上述された電子モジュール304、処理ユニット306、制御モジュール308、及びGUIモジュール310などの1つ以上のユニットとの間で電力及び/または撮像データを提供するケーブル426とを示す。
【0259】
例示的な実施形態による超音波プローブの簡略図である図4E及び図4Fがここで参照される。
【0260】
図4Eは超音波プローブ400の正面図であり、図4Fは側面図である。
【0261】
図4F及び図4Eは、図4A及び図4Bに関して上述された超音波プローブ400に類似し、側面取り付け式の撮像プローブ432をさらに含む超音波プローブ430を示す。
【0262】
そのような実施形態は、剥離を引き起こすための超音波の照射のために、またはソノポレーション、薬剤送達などのために標的臓器への超音波の照射の誘導を潜在的に可能にする。
【0263】
いくつかの実施形態では、撮像プローブ432は、任意選択でGE Healthcare E10プローブであってよい。
【0264】
図4Fはまた、撮像プローブ432のハンドル444と、撮像プローブ及び図3Aに関して上述された電子モジュール304、処理ユニット306、制御モジュール308、及びGUIモジュール310などの1つ以上のユニットとの間で電力及び/または撮像データを提供するケーブル436とを示す。
【0265】
例示的な実施形態による、体内の深さZでの2次元位置の関数として超音波の照射により生じる圧力の3次元グラフである図5Aがここで参照される。
【0266】
図5Aは、色で表される、ミリメートル単位のX軸502及びY軸504、ならびにMPa(メガパスカル)単位の圧力のZ軸を有するグラフ500を示し、カラースケール506もグラフ500の隣に示される。
【0267】
図5Aは、仮にそうであるとしてもはるかに少なく超音波を照射される領域によって取り囲まれた、14~24MPaのほぼ均一な超音波の照射圧力の120×70ミリメートルの範囲を示す。
【0268】
例示的な実施形態による、1次元位置の関数として超音波の照射によって生じる圧力のグラフである図5Bがここで参照される。
【0269】
図5Bは、ミリメートル単位のX軸522、及び1.0に正規化された単位の相対圧力のY軸524を有するグラフ520を示す。
【0270】
図5Bは、50kHzのステップでの2.4MHz~2.6 MHzまでのローリング周波数掃引のシーケンスとして生成された2,400、2,450、2,500、2,550、及び2,600kHzの周波数での5つの正規化された超音波の照射圧力線526、ならびに正規化された二乗平均平方根(RMS)圧力の1つの線528を示す。
【0271】
図5Bは、仮にそうであるとしてもはるかに少なく超音波を照射される領域によって取り囲まれた、1のほぼ均一な相対超音波の照射圧力の120ミリメートルの範囲を示す。
【0272】
例示的な実施形態による、体内の深さZの関数として超音波の照射により生じる圧力の3次元グラフである図5Cがここで参照される。
【0273】
図5Cは、色で表される、ミリメートル単位のX軸542及びZ軸544、ならびにMPa単位の圧力を有するグラフ540を示し、カラースケール546もグラフ540の隣に示される。
【0274】
図5Cは、仮にそうであるとしてもはるかに少なく超音波を照射された各側面上の領域で、14~24MPaのほぼ均一な超音波の照射圧力を有する、幅120ミリメートル(X軸542)かける深さ200ミリメートル(Z軸544)の範囲を示す。
【0275】
いくつかの実施形態では、プローブは、プローブの表面にわたって無作為に散乱した多数の同一の、または類似した圧電性結晶を使用することによって、同時及びほぼ均質のまたはほぼ均一な超音波の照射の大きい場を達成することを可能にする。
【0276】
例示的な実施形態による、超音波振動子の無作為な散乱を有する超音波プローブの簡略図である図6がここで参照される。
【0277】
図6は、プローブ600の面上に、例えば圧電性結晶などの超音波振動子620の無作為な散乱を有する超音波プローブ600を示す。
【0278】
いくつかの実施形態では、超音波プローブ600は、プローブ600の面上に設置されたキャビテーションセンサ604を含む。
【0279】
いくつかの実施形態では、超音波プローブ600は、プローブ600の面を取り囲むシール606を含む。
【0280】
例示的な実施形態による超音波振動子及びキャビテーション検出器の配置を有する超音波プローブの簡略図である図7A図7B、及び図7Cがここで参照される。
【0281】
図7Aは、1つの超音波振動子702と、プローブ700の面上に設置された複数のキャビテーション検出器704とを有する超音波プローブ700を示す。
【0282】
図7Aは、2~3 MHzの範囲で超音波を照射できる1つの超音波振動子、つまり圧電円板素子、及び6つの受動キャビテーション検出器704を示す。
【0283】
図7Bは、プローブ710の面上に配置されたいくつかの超音波振動子712と、プローブ710の面上に設置されたいくつかのキャビテーション検出器714とを有する超音波プローブ710を示す。
【0284】
図7Bは、2~3 MHzの範囲で超音波を照射できる25の超音波振動子、つまり圧電円板素子、及び7つの受動キャビテーション検出器704を示す。
【0285】
図7Cは、プローブ720の面上に配置されたいくつかの超音波振動子722と、プローブ720の面上に設置されたいくつかのキャビテーション検出器724とを有する超音波プローブ720を示す。
【0286】
図7Cは、115の超音波振動子、つまり圧電円板素子、及び13のキャビテーション検出器704を示す。
【0287】
いくつかの実施形態では、プローブ700は、非制限的な例として、13.5センチメートルの長い基部幅、5センチメートルの短い基部幅、及び10センチメートルの高さを有する台形として成形される。
【0288】
図6及び7A~図7Cは、超音波振動子722の様々な配置を示す。様々な配置は、標的臓器内での超音波の照射を達成して、慣性キャビテーションを生成する場合がある圧力ピークの発生を排除するか、または少なくとも低減しながら、標的臓器内で剥離を生じさせるほど十分な超音波の照射圧力を維持するために使用され得る。
【0289】
図6及び図7A図7Cは、キャビテーションセンサの様々な配置を示す。様々な配置は、慣性キャビテーションを検出して、本明細書に記載の超音波の照射を制御する方法の1つ以上を使用して、制御超音波の照射に入力を提供して、慣性キャビテーションを低減または排除するために使用され得る。
【0290】
図6及び図7A図7Cは、例示的な実施形態のプローブの様々な形状を示す。いくつかの実施形態では、プローブは、例えば左肋骨と右肋骨の間、腕の周り、脚の周りなど、被験者の体の上に収まるように成形され得ることに留意されたい。そのような形状は、標的臓器に対するプローブの既知の位置を潜在的に提供することができる。
【0291】
例示的な実施形態による超音波の照射の量の簡略図である図8がここで参照される。
【0292】
図8は、実線で記された標的802の体積、破線で記された介在する組織804の体積を示す。
【0293】
非限定的な例として、標的臓器802は、幅806が10~12センチメートル、高さ808が8センチメートル、及び深さ810が2~4センチメートルの膵臓である。
【0294】
非限定的な例として、標的臓器802が膵臓であるとき、介在する組織は、10~12センチメートルの幅806、8センチメートルの高さ808、及び12~14センチメートルの深さ809を有し得る。
【0295】
介在する組織の深さは、異なる症例で異なる場合があり、痩せた被験者もしくは若い被験者もしくは小柄な被験者の場合はより小さく、太った被験者もしくは年を取った被験者もしくはより大柄な被験者の場合はより大きいことに留意されたい。
【0296】
標的臓器の寸法が、どの標的臓器なのか、及び/または被験者に応じて変わる場合があることに留意されたい。
【0297】
標的臓器の寸法が、どの標的臓器なのか、及び/または被験者の身体寸法に応じて変わる場合があることに留意されたい。
【0298】
追加の特徴
いくつかの実施形態では、集束超音波との比較時には大面積、及び/または集束超音波との比較時には大きい体積が超音波照射される。例えば、膵臓に超音波を照射する場合、図8に示されるように60~160cmの面積、または体積は、例えば、20マイクロ秒~400マイクロ秒の範囲のパルスなどの比較的に長いパルスによって任意選択で超音波を照射される。
【0299】
いくつかの実施形態では、プローブによって生じる熱の放散は、プローブ用の熱放散背面パネルを取り付けるか、または構築することによって任意選択で可能になる。
【0300】
いくつかの実施形態では、プローブによって生成される熱の放散は、熱伝導ゲルを含む熱伝導シースでプローブの背面及び/または側面を包むことによって任意選択で可能になる。
【0301】
例示的な実施形態による超音波プローブのための熱伝導カバーの簡略図である図9Aがここで参照される。
【0302】
図9Aの右上の図面は、プローブが任意選択で接触する側面である熱伝導カバー902の底部からの図を示す。また、ケーブルがプローブを通過することを可能にするためのカバー内の任意選択の凹部906も示される。
【0303】
いくつかの実施形態では、プローブが任意選択で接触する側面は、熱伝導ゲルを含む場合がある。いくつかの実施形態では、プローブが任意選択で接触する側面は、金属熱導体を含む場合がある。
【0304】
図9Aの左上の図面は、カバーのプローブへの磁気取り付けを潜在的に可能にする、熱伝導カバーに取り付けられ得る任意選択の磁気ストリップ908またはパネル908の側面断面図を示す。
【0305】
図9Aの底面図は、磁気ストリップ908またはパネル908がカバー902の外周の周りに表示されている熱伝導カバー902の底部からの図を示す。
【0306】
例示的な実施形態による超音波プローブのための熱伝導カバー及び取り付けベルトの簡略図である図9Bがここで参照される。
【0307】
図9Bは、熱伝導カバー902に取り付けられた任意のベルト912を示す。
【0308】
ベルトは、標的臓器の位置に応じて、胴体または体の他の部分への取り付けのためのサイズに作られ得る。
【0309】
例示的な実施形態による、取り付けベルト及び超音波プローブまたはプローブカバーの簡略図である図9Cがここで参照される。
【0310】
図9Cは、プローブ925またはプローブカバー925上に1つ以上の対応する突起928を取り付けるために配置された1つ以上の穴924を有するベルト922を示す。
【0311】
図9Cはまた、プローブ925またはプローブカバー925に出入りする電源ケーブル及び/またはデータケーブル929を示す。
【0312】
図9Cはまた、ベルト922にケーブル929を取り付けるために任意選択で使用され得る、任意選択でVelcro取り付けストリップなどの小さいベルト926、または超音波ゲルを有するシースなどの任意選択の取り付け点926を示す。
【0313】
図9Cはまた、ベルト922にケーブル929を取り付けるために任意選択で使用され得る、任意選択でVelcro取り付けストリップなどの小さいベルト926などの任意選択の取り付け点926を示す。
【0314】
いくつかの実施形態では、冷却液は、プローブの効率的な冷却を提供するためにプローブ及び/またはカバー及び/またはシース内で任意選択で循環される。
【0315】
いくつかの実施形態では、シースアセンブリは、患者と振動子表面との間に単回使用の、超音波ゲルが充填された滅菌バリアを提供する、及び/または超音波の照射中に振動子を適所に保持する、及び/または患者の皮膚から熱を逸らすように設計される。
【0316】
いくつかの実施形態では、シースアセンブリは、腹部の周囲に設置され、滅菌性を損なうことなく、振動子からその電子コントローラへ滅菌ケーブルの接続を可能にするためにポートを含む単回使用の使い捨てベルトに接続されることによって振動子を所定の位置に保持する。
【0317】
体内で安定したマイクロバブルキャビテーションの広域を安全に生成するための方法の非限定的な例示的な実施形態
例示的な実施形態による膵臓を剥離するための方法の簡略化されたフローチャート図である図10がここで参照される。
【0318】
図10の方法は、
第1の設定値で低強度非集束超音波(LINFU)を使用して患者の膵臓に超音波を照射すること(1002)と、
慣性キャビテーションがないか患者を監視すること(1004)と、
慣性キャビテーションの深さを特定すること(1006)と、
慣性キャビテーションの深さが膵臓の前面よりも大きいときに超音波の照射を調整すること(1008)と
を含む。
【0319】
他の内臓器官が同様に剥離され得ることに留意されたい。
【0320】
例示的な実施形態による超音波の照射のレベルを制御する簡略図である図11がここで参照される。
【0321】
図11は、超音波の照射の定性的なレベルを示すY軸1102を有するグラフ1100を示す。
【0322】
図11は、下回る1106とマイクロバブル共鳴は検出されず、超える1108とマイクロバブル共鳴が検出される下限1107と、超える1110と慣性キャビテーションが検出される上限1110とを示す。
【0323】
いくつかの実施形態では、超音波の照射のレベルは、本明細書に記載のいくつかの方法の少なくとも1つを使用して、下限1107と上限1109との間になるように任意選択で制御される。
【0324】
本願から成熟する特許の存続期間中に、多くの関連する超音波振動子が開発されることが期待され、用語超音波振動子の範囲は、そのようなすべての新技術 を先験的に含むことを目的としている。
【0325】
本願から成熟する特許の存続期間中に、多くの関連するキャビテーション検出器が開発されることが期待され、用語キャビテーション検出器の範囲は、そのようなすべての新技術 を先験的に含むことを目的としている。
【0326】
量または値に関して本明細書で使用される場合、用語「約(approximately)」は、「その±25%以内」を意味する。
【0327】
用語「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(having)」及びそれらの同根語は、「を含むが、~に限定されない(including but not limited to)」を意味する。
【0328】
用語「~から成る(consisting of)」は、「を含み(備え)、~に限定される」ことを意味することを意図としてとしている。
【0329】
用語「本質的に~から成る(consisting essentially of)」は、組成物、方法または構造物が、追加の成分、ステップ及び/または部分を含み得ることを意味するが、追加の成分、ステップ及び/または部分が、特許請求された組成物、方法または構造の基本的かつ新規な特性を実質的に変えない場合に限る。
【0330】
本明細書で使用する場合、文脈上明らかに別段に示されている場合を除き、単数形「a」、「an」及び「the」は、複数の指示対象を含む。例えば、用語「1つのユニット」または「少なくとも1つのユニット」語は、それらの組み合わせを含む複数のユニットを含み得る。
【0331】
単語「例示的な(example)」及び「例示的な(exemplary)」は、本明細書では「例、実例、または説明として役立つ」ことを意味するために使用される。「例示的な」または「例示的な」として説明される任意の実施形態は、必ずしも他の実施形態よりも好ましいまたは有利であると解釈されるべきではなく、及び/または他の実施形態からの特徴の組み込みを排除するものではない。
【0332】
本明細書では、単語「任意選択で(optionally)」は、「いくつかの実施形態では提供され、他の実施形態では提供されない」を意味するように使用される。本発明の任意の特定の実施形態は、そのような特徴が矛盾しない限り、複数の「任意選択の(optional)」特徴を含み得る。
【0333】
本願を通して、本開示の様々な実施形態は、範囲形式で提示され得る。範囲形式での説明は、単に便宜上及び簡潔にするためのものであり、本開示の範囲に対して変更できない制限として解釈するべきではないことを理解されたい。したがって、範囲の説明は、その範囲内の個々の数値だけでなく、すべての可能な部分的範囲を具体的に開示していると見なすべきである。例えば、1~6などの範囲の記述は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などの部分的範囲、及びその範囲内の個々の数字、例えば、1、2、3、4、5、及び6を、具体的に開示していると見なすべきである。これは、範囲の幅に関係なく適用される。
【0334】
本明細書で数値の範囲が示されている場合(例えば、「10~15」、「10~15」、またはこれらの別のこのような範囲表示によって連結された任意の数値の対)は、文脈から明らかに別の指示がない限り、範囲の限界を含む、示された範囲の限界内の任意の数値(分数または整数)を含むことを意味する。第1に示された数値と第2に示された数値との「間の範囲(range/ranging/ranges between)」という句、及び第1に示された数値「から」第2に示された数値「まで(to)」、「まで(up to)」、「まで(until)」または「まで(through)」の「範囲(range/ranging/ranges from)」という句は、本明細書では互換的に使用され、第1に示された数値及び第2に示された数値と、それらの間の分数及び整数の数字のすべてを含むことを意味する。
【0335】
別段の指示がない限り、本明細書で使用される数値及びそれに基づく任意の数値範囲は、当業者が理解する妥当な測定精度及び丸め誤差の範囲内での近似値である。
【0336】
本明細書で使用される場合、用語「方法」は、化学、薬理学、生物学、生化学及び医学の技術の実践者によって知られている、または既知の方法、手段、技術及び手順から容易に開発される方法を含むが、これらに限定されない、所定のタスクを達成するための方法、手段、技術及び手順を指す。
【0337】
明確にするために別個の実施形態の文脈において説明される本開示のある特徴を、単一の実施形態において組み合わせで設け得ることが理解される。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈において説明される本開示の様々な特徴を、別々に、または任意の好適なサブコンビネーションで、または本開示の任意の他の説明された実施形態において好適なものとして設けてもよい。様々な実施形態の文脈で説明される特定の特徴は、実施形態がそれらの要素なしでは機能しない場合を除いて、それらの実施形態の本質的な特徴と見なすべきではない。
【0338】
本開示をその特定の実施形態に関連して説明したが、多くの代替形態、修正形態及び変形形態が当業者には明らかであろうことは明白である。したがって、添付の特許請求の範囲の趣旨及び広い範囲に含まれるそのようなすべての代替形態、修正形態及び変形形態を包含することが目的とされている。
【0339】
本明細書に記述されるすべての刊行物、特許、及び特許出願は、各個別の刊行物、特許、または特許出願が、参照により本明細書に組み込まれることが示されているときに、これが明確かつ個別に注記されているかのように、参照によりその全体が本明細書に組み込まれることが出願人(出願人ら)の意図である。さらに、本願におけるいずれかの参考文献の引用または特定は、そのような参考文献が本発明の先行技術として利用可能であることの承認として解釈するべきではない。セクションの見出しが使用されている場合、それらは必ずしも限定的であると解釈されるべきではない。さらに、本願のいずれかの優先権書類(複数可)は、本明細書により、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10
図11
【国際調査報告】