(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-25
(54)【発明の名称】車両の周りの環境を感知するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G01S 7/40 20060101AFI20240718BHJP
G01S 13/931 20200101ALI20240718BHJP
【FI】
G01S7/40 126
G01S13/931
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024502121
(86)(22)【出願日】2022-07-13
(85)【翻訳文提出日】2024-03-14
(86)【国際出願番号】 IB2022056459
(87)【国際公開番号】W WO2023285988
(87)【国際公開日】2023-01-19
(32)【優先日】2021-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522251102
【氏名又は名称】バヤー イメージング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ケレン、アロン
(72)【発明者】
【氏名】ワーグナー、ノーム
(72)【発明者】
【氏名】ハレル、トム
(72)【発明者】
【氏名】ポポフ、マーク
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AC02
5J070AC06
5J070AC12
5J070AC13
5J070AE01
5J070AE07
5J070AE09
5J070AF03
5J070AK04
5J070BD10
(57)【要約】
周囲の物体に向かって電磁放射を送信する送信機のアレイと、反射された電磁信号を検出する受信機とを含むレーダを使用して、車両の角度を検出するためのシステム及び方法。受信された情報は、検出された各物体についての水平座標と垂直座標とを含む。前処理ユニットは、受信された電磁信号から物体の静止状態と非静止状態とを決定する。処理ユニットは、物体の動き特性とともに座標を受信し、各反射された物体を車両の動きの方向に直角な水平垂直面内にプロットする。一連の候補チルト角又はロール角の各々に対応する仮想ボックスが構築される。最大数のプロットされた反射を有する仮想ボックスの角度が車両の角度として選択される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動している物体の角度を決定するための方法であって、
発振器に接続された送信機アンテナのアレイを備えるレーダ送信ユニットと、少なくとも1つの受信機アンテナを備えるレーダ受信ユニットとを備える車載レーダ・ユニットを提供するステップと、
前記レーダ受信ユニットと通信する処理ユニットを提供するステップと、
前記車両を囲む領域中に電磁放射を送信するステップと、
前記車両を囲む前記領域中の物体から反射された電磁放射を受信するステップと、
受信された電磁信号を前記処理ユニットに伝達するステップと、
各反射された物体の2次元座標を前記車両の動きの方向に直角な水平垂直面内にプロットするステップと、
一連の候補角を選択するステップと、
各候補角について、
関連する候補地平線に平行な仮想ボックスを構築するステップと、
前記仮想ボックス内の反射をカウントするステップと、
前記仮想ボックス内の反射の数が最も多い候補角を選択するステップと
を含む、移動している物体の角度を決定するための方法。
【請求項2】
ノイズの多いデータをフィルタ処理するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
関係する当事者に角度を送信するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記車両の移動方向に対する前記車載レーダ・ユニットの向きを推定するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
推定された向きが必要とされる向きからそれた場合に警告を発するステップをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記仮想ボックスが矩形ボックスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
関連する候補地平線に平行な仮想ボックスを構築するセットが、候補地表面の20センチメートル下方から候補地表面の2メートル上方まで延びるボックスを構築するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
選択された角度をデータベースに記憶するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記車両の周りで検出された物体を前記角度にさらに整合させる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記車両の動きの方向と前記車載レーダの照準方向との間の向き誤差を計算するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記向き誤差を計算するステップが、
車両を囲む物体を検出するステップと、
前記車両の自己速度v
egoを取得又は推定するステップと、
前記車両を囲む検出された物体の予想される見かけ速度を計算するステップと、
既知の自己速度を所与として、前記車両を囲む検出された物体の予想される見かけ速度の角度にわたって第1の分布をプロットするステップと、
前記車両を囲む検出された物体の測定された見かけ速度の角度にわたって第2の分布をプロットするステップと、
第2の分布からの第1の分布の偏差を計算するステップと
を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記既知の自己速度を所与として、前記車両を囲む検出された物体の予想される見かけ速度を計算するステップが、各物体についてv
r=-v
ego・cos(Φ
obj)を計算するステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記既知の自己速度を所与として、前記車両を囲む検出された物体の予想される見かけ速度を計算するステップが、各物体についてv
r=-v
ego・cos(Φ
obj)・cos(θ
obj)を計算するステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
車両の周囲を感知するためのシステムであって、
発振器に接続され、前記車両を囲む領域中に電磁波を送信するように構成された送信機アンテナのアレイを備えるレーダ送信ユニットと、
前記車両を囲む前記領域内で物体によって反射された電磁波を受信するように構成され、生データを生成するように動作可能な少なくとも1つの受信機アンテナを備えるレーダ受信ユニットと
を備える、車載レーダ・ユニットと、
前記レーダ受信ユニットと通信しており、前記レーダ・ユニットから生データを受信するように構成され、前記受信されたデータに基づいて環境情報を生成するように動作可能なプロセッサ・ユニットと
を備え、
前記プロセッサが、
生データから前記車両の速度を計算するように動作可能な自己速度計算モジュールと、
前記車両のチルト角を計算するように動作可能なチルト検出モジュールと
を備える、車両の周囲を感知するためのシステム。
【請求項15】
物体が検出された方向に対応する方向において発生するとして聴取者が音を認識するように、前記車載レーダ・ユニットによって検出された前記物体に応答して前記音を生成するように構成され、そのように動作可能な音声信号生成器をさらに備える、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記音声信号生成ユニットが、スピーカのアレイと、ステレオ・スピーカのペアと、4つの4チャンネル・イヤフォンのセットと、それらの組合せとからなるグループから選択される、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記音声信号生成ユニットが、運転者によって着用される安全ヘルメット内に提供される、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記チルト検出モジュールが、処理ユニットと、仮想ボックス内のエネルギー・プロファイルを計算することを対象とする実行可能なコードを記憶するメモリ・ユニットとを備える、請求項14に記載のシステム。
【請求項19】
前記自己速度計算モジュールが、画像生成ユニットと、メモリ・ユニットとを備え、
前記画像生成ユニットが、ボクセルの行列を含む、前記車両を囲む前記領域を表す3次元画像を構築するように構成され、そのように動作可能であり、各ボクセルが、
前記車両の経路に平行な軸に沿った反射物体の水平空間座標xと、
前記車両の前記経路に直交する垂直軸に沿った前記反射物体の垂直空間座標yと、
前記車両から半径方向に広がる軸に沿った前記反射物体の半径方向空間座標Rと、
強度値と、
前記反射物体の見かけ半径方向速度v
Rを示すドップラー・シフト値と
を含むボクセル・パラメータのセットを特徴とする、請求項14に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、それの内容全体が参照により組み込まれる、2021年7月15日に出願された米国仮特許出願第63/221,963号、2021年8月8日に出願された米国仮特許出願第63/230,755号、及び2021年11月30日に出願された米国仮特許出願第63/284,057号からの優先権の利益を主張する。
【0002】
本明細書の開示は、車両の周りの環境を感知するためにレーダを使用するためのシステム及び方法に関する。特に、車両のチルトを検出するための、及び車両の環境において検出された物体の存在と方向とを示すために音声警報を提供するためのシステム及び方法について説明する。
【背景技術】
【0003】
物体を感知するために様々なセンサが使用され得る。実際に、自動運転車など自律車両の使用の増加に伴い、走行している車両の近傍にある物体を検出するために大量のセンサが使用されている。たとえば、車両が走行している環境に関する情報を提供するために、ビデオ・カメラ、超音波センサ、赤外線、ライダ・センサなどのセンサが使用され得る。
【0004】
RFIC及び信号技術の発展に伴い、レーダの適用はますます広がりつつある。レーダ・センサは、完全な暗闇、霧、もや及び雨の中で動作するという利点を有する。レーダは、低コスト、低電力消費及び高精度という利点をもつ電子システムである。レーダは、スペース・シャトル地形ミッション、光学、地質図作成、気象探査などを含む様々な用途に大いに応用することができる。レーダ・システムの作業効率は、広いカバレッジ、高い指向性、高い利得及び低い信号対ノイズ比をもつ、信頼できる安定したレーダ信号に基づいている。
【0005】
2輪車両には、運転者を能動的に支援する様々な能動的運転支援デバイスが設けられている。これらは、様々なセンサ、ブレーキ・システム、エンジン管理システム、及びヒューマン・マシン・インターフェース(HMI:Human Machine Interface)を含む。これらのセンサ及びシステムは、車両の周囲の正確な像を提供しながら高度のオートバイ支援機能及び安全機能を可能にする感覚器官として働く。結果として、これらの支援機能は、安全性を高めるだけでなく、乗り手のために生活をより楽にすることによって楽しさや便利さをも向上させる。
【0006】
使用されるセンサは、高度の乗り手支援システムを提供するレーダベースのセンサであり得る。レーダベースのセンサは、車両速度を交通の流れに適応させ、必要な安全車間距離を保持する適応走行制御(ACC:Adaptive Cruise Control)を含み得る。別のレーダベースのセンサは、別の車両が危険なほど接近しているときを検出し、音響信号又は光信号で乗り手に警告する、前方衝突警告システムである。レーダベースのブラインドスポット検出は、オートバイ運転者が車線を安全に変更するのを助けるために、すべての方向を見張る。これら及び他の安全システムのすべては近くの車両又は物体との衝突から乗り手を保護する。
【0007】
オートバイの乗り手は、乗車中、特に方向転換の間にしばしば片側にチルトするか又は傾く。オートバイの傾き(leaning)により乗り手に大きな危険が生じる。丘の上のように、道路の面が水平でないときに、その危険は増加する。乗車中の車両の異常な傾きは2輪車両の事故の主な原因である。運転者へのレーダ画像の適切な表現はチルト角に依存し得る。レーダによって検出された物体によって生じる危険の評価もチルト角に依存し得る。したがって、道路及び車両の傾き又はチルト角を正確に検出し、必要な出力を生成するシステムが必要である。
【0008】
さらに、車両の周囲の危険に関する有用な情報を運転者に提供することが重要である。しかしながら、周囲の危険を示す、運転者に提示される視覚警報は、それら自体が危険な注意をそらす要素になり得ることがわかっている。そのような危険を自然で注意をそらせない様式で運転者に提示するためのシステムが必要である。
【0009】
本明細書で説明する本発明は、上記で説明した必要に対処する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際出願第PCT/IB2020/060508号
【発明の概要】
【0011】
本発明の一態様では、搭載レーダ・システムを使用するオートバイなど2輪車両のチルトを検出するためのシステムが開示されている。本システムは、レーダベースのセンサ・ユニットと、処理ユニットと、データベースと、コミュニケータとを含む。
【0012】
本発明の別の態様では、レーダベースのセンサ・ユニットは、それぞれ、オートバイが走行している道路上にある物体に向かって電磁放射のビームを送信するように構成された送信機のアレイと、物体によって反射された電磁波を受信するように構成された受信機のアレイとを含み得る。受信機によって受信された情報は、各検出された物体について(走行方向又は車両に直角な)水平座標と、垂直座標とを含み得る。センサ・ユニットはまた、受信された電磁信号から物体の静止状態と非静止状態とを決定するための動き特性抽出モジュールを備える前処理ユニットを含み得る。処理ユニットは、物体の動き特性とともに水平座標と垂直座標とを受信し、各反射された物体の2次元座標を車両の動きの方向に直角な水平垂直面内にプロットする。処理ユニットは、さらに、一連の候補チルト角又はロール角を選択し、各ロール角に対応する矩形ボックスを構築するように構成される。処理ユニットはまた、各矩形ボックスの内側にプロットされた反射の数をカウントし、ボックスの内側の最大数のプロットされた点を有するチルト角を車両のチルト角として選択するように構成される。
【0013】
本発明のさらなる態様では、時間の異なる瞬間における車両のチルト角が計算され、データベースに記憶され得る。コミュニケータは、次いで、車両のチルト角と、対応する通知とを通信ネットワークを通して関係する当事者に送信し得る。
【0014】
本発明のさらに他の態様によれば、発振器に接続された送信機アンテナのアレイを備えるレーダ送信ユニットと、少なくとも1つの受信機アンテナを備えるレーダ受信ユニットとを備える車載レーダ・ユニットを提供することと、レーダ受信ユニットと通信する処理ユニットを提供することと、車両を囲む領域中に電磁放射を送信することと、車両を囲む領域中の物体から反射された電磁放射を受信することと、受信された電磁信号を処理ユニットに伝達することと、各反射された物体の2次元座標を車両の動きの方向に直角な水平垂直面内にプロットすることと、一連の候補チルト角を選択することとによって、移動している物体のロールを決定するための方法が教示される。各候補チルト角について、関連する候補地平線に平行な仮想ボックスを構築し、仮想ボックス内の反射をカウントし、次いで、仮想ボックス内の反射の数が最も多い候補チルト角を選択する。
【0015】
任意選択で、仮想ボックスは矩形ボックスを備える。たとえば、ボックスは候補地表面の20センチメートル下方から候補地表面の2メートル上方まで延びる。
【0016】
実施例のより良い理解のために、及び実施例がどのように実施され得るかを示すために、次に、単に実例として、添付の図面を参照する。
【0017】
次に、特に図面を詳細に参照すると、示されている詳細は、例として及び選択された実施例の例示的な説明の目的のためのものにすぎず、原理及び概念的な態様についての最も有用で容易に理解される説明であると考えられるものを提供するために提示されていることを強調する。この点について、基本的理解のために必要であるよりも詳細に構造の詳細を示す試みは行われず、図面とともに行われる説明は、様々な選択された実施例がどのように実施され得るかを当業者に明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一態様による、オートバイのチルト角を測定するためのレーダベースのシステム100の概略表現を示す図である。
【
図2】レーダベースのセンサを装備されたオートバイの概略表現を示す図である。
【
図3】レーダ座標系上のロール推定方法を示す図である。
【
図4】本発明の一態様による、オートバイのチルト角を測定するための方法ステップを示すフローチャートを示す。
【
図5】道路上の物体から反射された信号の2D図式表現を示す図である。
【
図6A】様々な候補チルト角についての矩形ボックス中の反射された信号の図式表現を示す図である。
【
図6B】様々な候補チルト角についての矩形ボックス中の反射された信号の図式表現を示す図である。
【
図6C】様々な候補チルト角についての矩形ボックス中の反射された信号の図式表現を示す図である。
【
図7A】走行方向からそれた向きのオンボード・レーダ上で周囲の物体からの反射信号を受信する走行しているオートバイを示す図である。
【
図7B】一般的なクラッター・ドップラー分布プロファイルを示す図である。
【
図7C】オートバイのフロント・ポイントの方向とレーダの照準との間の不整合を示す図である。
【
図8】指向性の音声警報を提供するためのシステムのいくつかの重要な特徴を示すブロック図である。
【
図9】車両を囲む領域中の物体を感知するように構成された車載レーダ・ユニットを概略的に表す図である。
【
図10】周囲を感知するために提供され得る可能なレーダ・システムの選択された要素のブロック図である。
【
図11】音声信号生成器のセットが中に提供された車両キャビンの実例を概略的に表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示の態様は、車両の周りの環境を感知するためにレーダを使用するためのシステム及び方法に関する。特に、車両のチルトを検出するための、及び車両の環境において検出された物体の存在と方向とを示すために音声警報を提供するためのシステム及び方法について説明する。
【0020】
オートバイなど2輪車両のチルトは、道路上の物体から反射された電磁信号を受信し、車両のチルト角を決定するために電磁信号を処理するための搭載レーダ・システムを使用して検出され得る。特定されたチルト角は関係する当事者に送られ得る。
【0021】
本開示の他の態様は、運転者の車両を囲む検出された物体に関する感覚指示を運転者に提供すること、及び運転者の注意を運転からそらせることなしに潜在的な危険に対する警報を運転者に出すことに関する。特に、音声信号生成ユニットは、聴取者が音の音源を、検出された物体の方向から発信されたとして認識するように、音を生成するように構成され得る。
【0022】
必要に応じて、本発明の詳細な実施例が本明細書で開示されるが、開示された実施例は、様々な形態及び代替形態において実施され得る本発明の実例にすぎないことを理解されたい。図は必ずしも縮尺通りでなく、特定の構成要素の詳細を示すために、いくつかの特徴は強調又は最小化されていることがある。したがって、本明細書で開示する特定の構造上及び機能上の詳細は、限定としてではなく、単に、本発明を様々に採用するように当業者に教示するための代表的な基礎として解釈されるべきである。
【0023】
適宜に、本開示の様々な実施例において、本明細書で説明する1つ又は複数のタスクは、複数の命令を実行するための計算プラットフォーム又は分散計算システムなど、データ・プロセッサによって実行され得る。任意選択で、データ・プロセッサは、命令、データなどを記憶するための揮発性メモリを含むか、又はそのような揮発性メモリにアクセスする。追加又は代替として、データ・プロセッサは、命令及び/又はデータを記憶するための、不揮発性ストレージ、たとえば、磁気ハードディスク、フラッシュドライブ、リムーバブル媒体などにアクセスし得る。
【0024】
本開示のシステム及び方法は、それの適用が、説明に記載されているか又は図面及び実例に示されている構成要素又は方法の構成及び配置の詳細に限定されないことがあることに特に留意されたい。本開示のシステム及び方法は、他の実施例が可能であるか、又は様々な仕方及び技術で実施及び実行されることが可能であり得る。
【0025】
本明細書で説明する方法及び材料と同様又は等価の代替の方法及び材料が本開示の実施例の実施又は試験において使用され得る。とはいえ、本明細書では、特定の方法及び材料が例示の目的でのみ説明される。材料、方法、及び実例は必ずしも限定的なものではない。したがって、様々な実施例は、適宜に様々な手順又は構成要素を省略、代用、又は追加し得る。たとえば、本方法は、説明された順序とは異なる順序で実行され得、様々なステップが追加、省略、又は組み合わされ得る。さらに、いくつかの実施例に関して説明される態様及び構成要素は様々な他の実施例において組み合わされ得る。
【0026】
次に、本発明の一態様による、オートバイのチルト角を測定するためのレーダベースのシステム100の概略表現である、
図1を参照する。システム100は、レーダベースのセンサ・ユニット104と、処理ユニット116と、データベース118と、コミュニケータ120とを含む。
【0027】
レーダベースのセンサ・ユニット104は、たとえば、レーダベースのセンサ208を装備されたオートバイ202を示す
図2に示されたものなど、2輪車両上に搭載され得る。センサ208は、オートバイ202のハンドルの近くに搭載されることが示されている。しかしながら、センサ208は、本発明の範囲を限定することなしに、オートバイ202の任意の部分に搭載又は取り付けられ得ることに留意されたい。オートバイ202は、道路206の地平線に対して傾いている姿勢のオートバイ202に乗っている乗り手204によって運転されることが示されている。レーダベースのセンサ208は、オートバイ202が走行している間に、すべての方向に電磁信号を送信する。
【0028】
再び
図1を参照すると、レーダベースのセンサ・ユニット104は送信機106のアレイと受信機110のアレイとを含んでいる。送信機106のアレイは、少なくとも1つの送信機アンテナ又は送信機アンテナのアレイに接続された発振器108を含み得る。したがって、送信機106は、オートバイ202が走行している道路102上にある物体に向けられる、マイクロ波放射など、電磁(EM:electromagnetic)放射のビームを生成するように構成され得る。道路102は、立っている電柱102a、移動している車102b、立ち木102c及び移動する人102dのような静止物体並びに非静止物体を有することが示されている。道路102は、それに向けてEM信号が送られ得る、側壁、動物、広告用掲示板、バス停留所などのような、様々な他の静止物体及び非静止物体を含み得る。さらに、送信機106は、オートバイ202を囲む道路102上のすべての方向に向けてEM信号を送信し得る。
【0029】
受信機110は、道路102上の物体によって反射された電磁波を受信するように構成され、そのように動作可能な受信機アンテナのアレイを含み得る。受信機110によって受信された情報は、検出された各物体について(移動方向又は車両に直角な)水平座標と、垂直座標とを含み得る。その情報は、歩行、ランニング、速度、加速度などの状態を含む、物体の静止状態及び非静止状態をも含み得る。
【0030】
受信機110によって受信された電磁信号はレーダベースのセンサ・ユニット104の前処理ユニット112に送られる。前処理ユニット112は、受信された電磁信号から物体102a、102b、102c及び102cの静止状態と非静止状態とを決定するように構成された動き特性抽出モジュール114を備える。動き特性はまた、限定はしないが、加速度及び速度、動きの軌跡、歩行、ランニングなどの状態を含み得る。
【0031】
モジュール114によって生成された物体102a、102b、102c及び102dの動き特性とともに、水平座標及び垂直座標が処理ユニット116に送られる。処理ユニット116は、各反射された物体102a、102b、102c及び102dの2次元座標を、車両202の動き方向に直角な水平垂直面内にプロットするように構成される。
【0032】
図5は、道路102上の物体から反射された信号の2D図式表現を示す。推定されたロール又はチルトに基づいてプロットされた地平線とともに、カメラ基準502が示されている。速度コンセンサス点(Velocity Consensus Point)504は、XY平面上に投影された「静的な点」のコンセンサス・セットである。すべての静止物体及び非静止物体102a、102b、102c及び102dのすべての点506がXY平面上にプロットされたことが示されている。グラフ508は、レーダ座標系において、道路に垂直な単位ベクトルについて仮定されたdx座標の尺度であるx軸510と、得られたボックス中に位置する点の割合である、dx仮説(x軸)に従う尺度であるy軸512とに沿った、処理ユニット116によるロール推定のプロッティングを示す。
【0033】
処理ユニット116は、さらに、反射した物体102a、102b、102c及び102dの2次元座標に基づいて一連の候補チルト角又は候補ロール角を選択する。各候補チルト角について、それの地平線に平行な矩形ボックスが構築される。
図6A、
図6B及び
図6Cは、それぞれ、異なるロール角604a、604b及び604cのために構築された例示的な矩形ボックス602a、602b及び602cを示す。各物体から受信された反射の数は図式表現600a、600b及び600c上にプロットされる。矩形ボックス602a、602b及び602cの内側にプロットされた反射の数がカウントされ、ボックスの内側の最大数のプロットされた点を有するチルト角が車両202のチルト角として選択される。
図6Cは、ボックス602cの内側に最大数の点を有することが示されており、対応するロール角604cが車両202のチルト角として選択され得る。
【0034】
本発明の例示的な態様による、レーダ座標系上のロール推定方法300を示す
図3を参照する。ロール推定方法は以下の例示的なアルゴリズムによって説明され得る。
・カメラ/レーダ座標系において表される、フロアに垂直なベクトル
【数1】
のx座標によってロールをパラメータ化する。
・n
x仮説に従って、フロアの20cm下方~フロアの2m上方にボックスを構築する。p(n
x)をこのボックスの内側の点の割合とする(5mよりも近い点は切り捨てる)。
・p(n
x)が最大であった仮説を見つけ、ピーク値の70%をしきい値として取り、このしきい値(より暗い列)を超えたすべてのn
x値を抽出する。
・p(n
x)を重みとして、抽出されたn
x値の平均として
【数2】
を推定する。
【0035】
上記で開示したアルゴリズムは、本質的に例示的であり、本発明の範囲を限定するべきでない。特に、上記で開示したアルゴリズムは、x-z平面内のボックスの内側の反射をカウントすることによってロール角が決定される実例について説明するが、必要な場合、等価な実施例は、y-z平面内のボックスの内側の反射をカウントすることによってピッチ角を決定し得ることが諒解されよう。
【0036】
時間の異なる瞬間における車両のチルト角が計算され、データベース118に記憶され得る。
【0037】
車両のチルト角を知ることの用途は、車載センサの基準系を現実世界に整合させることを可能にすることであり得ることに留意されたい。
【0038】
必要な場合、車両202のチルト角、及びいくつかの対応する通知は、さらに、関係する当事者124a、124b及び124cに送られ得る。関係する当事者124aは乗り手204自身を含み得、オートバイ202のチルト角が安全なしきい値に達するか又は安全なしきい値を超えたときに、危険通知が乗り手204に送られる。通知は、乗り手204に警報を出すために音声/視覚形態で提供され得る。通知はまた、チルト角が安全なしきい値に達するか又は安全なしきい値を超えたときに、乗り手204による危険運転について交通又は道路安全警察124bに送信され得る。さらに、チルト角は、適切な処置を取るために警察又は関係する当局124bに道路のチルト角についても示し得る。通知はまた、乗り手204の危険運転傾向について乗り手204の親又は保護者124cのモバイル・デバイスにも送られ得る。
【0039】
車両202のチルト角及び対応する通知は、データベース118から、通信ネットワーク122を通して情報を送信するコミュニケータ120を通して送られる。通信ネットワーク122は、インターネット、Bluetoothネットワーク、ワイヤードLAN、ワイヤレスLAN、WiFiネットワーク、Zigbeeネットワーク、Z-Waveネットワーク又はイーサネット(登録商標)・ネットワークを含み得る。
【0040】
本発明の一態様による、オートバイ202のチルト角を測定するための方法ステップを示すフローチャート400を示す
図4を参照する。プロセスはステップ402において始まり、ステップ404において、レーダ・ユニット104がオートバイ202のような2輪車両上に搭載されて提供される。ステップ406において、レーダ・ユニット104の送信アンテナ106から、オートバイ202が走行している道路102上にある物体102a、102b、102c及び102dにEM信号が送信される。ステップ408において、物体102a、102b、102c及び102dから反射された信号が受信機アンテナ110によって受信される。受信機110によって受信された情報は、検出された各物体について、(走行方向又は車両に直角な)水平座標と、垂直座標とを含み得る。その情報は、歩行、ランニング、速度、加速度などの状態を含む、物体の静止状態及び非静止状態のような、物体の動き特性102a、102b、102c及び102dをも含み得る。
【0041】
ステップ410において、物体の動き特性102a、102b、102c及び102dとともに水平座標及び垂直座標が処理ユニット116に送られる。ステップ412において、処理ユニット116は、各反射された物体102a、102b、102c及び102dの2次元座標を、車両202の動き方向に直角な水平垂直面内にプロットする。ステップ414において、一連の候補チルト角604a、604b及び604cが処理ユニット116によって選択され、ステップ416において、各候補チルト角について、対応する矩形ボックス602a、602b及び602cが構築される。ステップ418において、矩形ボックス602a、602b及び602cの内側にプロットされた反射の数がカウントされ、ステップ420において、ボックスの内側の最大数のプロットされた点を有するチルト角が車両202のチルト角として選択される。
【0042】
「プロット」、「プロットされた点」などという用語は、データのこの収集がグラフ手段によって表示されるか否かとは無関係に、点の2D座標の収集、又は反射率値対座標の2D表現を指し得る。
【0043】
システムによって生成されたデータは統計ノイズで損なわれ得ることに留意されたい。したがって、チルト角は比較的高い許容差範囲内にのみあると推定され得る。推定されたチルト角の精度を高めるために、必要な場合、ステップ422において、ノイズの多いデータに、カルマン・フィルタなどのフィルタが適用され得る。
【0044】
ステップ424において、車両202のチルト角及び何らかの対応する通知が関係する当事者124a、124b及び124cに送られ得る。プロセスはステップ426において完了する。
【0045】
上記で説明したシステム及び方法は、運転されている2輪車両のチルト角を効率的で正確な様式で推定し得る。
【0046】
チルト推定システムのためのさらなる要件は、オートバイのフロントの移動方向に対するレーダの向きを推定し、推定された偏差があるしきい値よりも大きい場合に警告を発する、「自動較正」プロシージャを含む。好ましくは、乗り手による特定のセットアップに対する矯正又は特別の処理なしに、1度のオーダーのしきい値精度があるべきである。
【0047】
一般的なアリーナにおける反射の大部分は静的な背景(「クラッター」)から来ることに留意されたい。最もリッチなデータは、アリーナのドップラー・マップを含み、統計上意味があることを最も約束する、撮像段階及びピーク抽出の直後に存在する。オートバイの自車速度(ego-speed)は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる本出願人の同時係属の特許文献1に記載されているものなど、オドメトリデータから取得することができる。
【0048】
とはいえ、アプリケーション・レイヤに渡されるデータは軽量(追跡されるターゲット)であり得る。速度データ(vx、vy)は推定をフィルタに通し、したがってあまり正確でないことがある。
【0049】
図7Aを参照すると、自己速度v
egoが既知であると仮定して、向き誤差δφ
radarが見つけられ得る。
【0050】
オートバイの乗車方向から角度φobjにある静的物体について、センサに向かう(ドップラー処理によって測定される)半径方向速度は、
vr=-vego・cos(φobj)
によって提供される。
【0051】
したがって、一般的なアリーナにおけるほとんどの反射(すなわちクラッター)について、オートバイの主軸からの角度に対する半径方向速度(ドップラー)の分布は上記のとおりである。
【0052】
クラッター・ドップラー分布プロファイルが
図7Bに示されている。レーダの座標系における半径方向速度(レーダの照準に対する角度)の分布をみると、分布は、向き誤差に比例するオフセットを有することに留意されたい。
【0053】
この方法は、(「仰角」にやや似ている)垂直軸に対する角度をも組み込むようにさらに拡張され得る。
vr=-vego・cos(φobj)・cos(θobj)
【0054】
上記で説明した方法は直線的な乗車についてはうまく働き得る。しかしながら、
図7Cに示されているように、オートバイでは、前輪とレーダとは厳密に接続されておらず、オートバイのフロント・ポイントの方向とレーダの照準との間に不整合があり、その結果、正当なステアリングとレーダ不整合との間にあいまいさが生じる。したがって、フレーム又は他のそのようなフィルタ処理方法によるステアリング角が必要とされる。特に、オートバイはかなりのロール角変化を課することがあり、それは補償される必要がある。
【0055】
1つの潜在的なフィルタ処理方法は、一時的な角度を補償するために、ステアリング角が利用可能であるときに、
δφradar
(fix)=δφradar-φsteer
によって、ステアリング角を考慮し得る。
【0056】
さらに、大きいφsteerをもつフレームは分析から重み付けされ得る。
【0057】
追加又は代替として、別の潜在的なフィルタでは、オートバイのロール角を、上記で説明した方法によって推定することができる。したがって、(直線上の安定した運転は無ロール角に対応するので)直線運転フレームをスクリーニングするためにロール角を使用することができる。
【0058】
全体として、レーダ・オフセットδφradarは、以下によって推定することができる。
・自己速度vegoを取得又は推定すること。
・ステアリング角又はロール角に基づいて重要なフレームをフィルタ処理すること。
・たとえば、(たとえばRANSACによって)角度にわたる速度分布のターゲットモデル及び自己速度vegoに一致することによって、静的クラッターに相関している点又はピークを見つけること。
・上記の点又はピークを、照準からの角度にわたって、及び静的クラッター・モデルに一致した既知の又は推定されたvegoにわたって、速度の最も多く発生している分布に一致させること。
・δφradar[n]を抽出するために、フレームn中の分布の偏差を照準の周りの均等な分布と比較すること。
・分散(σφ[n])を記憶すること。
・複数の有効なフレームにわたってδφradar[n]を総計すること。
・平均化によって長時間にわたって推定すること。
【0059】
平均化は、必要に応じて、単純平均
【数3】
又は加重平均
【数4】
又は任意の他の方法(たとえばMLE)に基づき得ることに留意されたい。
【0060】
さらなる方法は、自己較正機構が、vr(φradar)曲線上に十分な速度ビン(velocity-bin)を有するために、レーダのドップラー解像度dvegoに対して考慮される、ある最小速度vego、minにおいてのみ働く、十分な区別のための方法を含み得る。
【0061】
さらに、レーダベースのロール推定には設置誤差という問題があり得ることに留意されたい。外部測定値(IMUからのステアリング角又ロール角)を有すると、一致した誤差を見つけるために、ロール角出力をこのデータと比較し、長時間にわたって平均化することができる。
【0062】
本開示の他の態様は、運転者の車両を囲む検出された物体に関する感覚指示を運転者に提供すること、及び当該運転者が自分の運転から注意をそらすことなしに当該運転者に潜在的な危険についての警報を出すためのシステム及び方法に関する。特に、周囲の物体の方向及び性質を示すために音声信号が提供され得る。
【0063】
図8のブロック図に示されているように、本システムは、感知ユニット802と、コントローラ804と、警報発生器806と、指向性音声信号生成ユニット808とを含み得る。
【0064】
感知ユニットは、レーダ・ユニット、ライダ・ユニット、ソナー・ユニット、反響定位ユニット、光学画像生成器など、並びにそれらの組合せであり得る。感知ユニットは、聴取者の近傍内での物体の存在を示す生データを収集するように構成され、そのように動作可能である。生データはまた、聴取者からの物体の相対方向に関する情報を提供し得る。いくつかの実施例では、感知ユニットは、様々なモダリティのセンサのアレイ、及び/又は車両の周りに分配されたセンサを備え得る。
【0065】
計算デバイスなど、コントローラは、感知ユニットからのデータを受信し、識別機能を実行し、それによって、検出された物体の方向を確認するように構成され得る。適切な場合、コントローラは、さらに、検出された物体の性質を識別し、警報発生器に制御信号を通信するように動作可能であり得る。いくつかの実施例では、コントローラは、ホスト車両から速度及び方向などのデータを集めるように動作可能なIMU(慣性測定ユニット)又は測距離(odometric)ユニットを含み得る。
【0066】
警報発生器は、コントローラと通信しており、コントローラからの信号を受信するように動作可能であり得る。警報発生器は、さらに、検出された物体の識別情報と方向とに適切な警報信号を選択するように動作可能であり得る。
【0067】
音声信号生成ユニットは、聴取者が音の音源を、検出された物体の方向から発信されたとして認識するように、音を生成するように構成される。例として、音声信号生成ユニットは、たとえばステレオ・スピーカのペア、4つの4チャンネル(quadrophonic)・イヤフォンのセットなど、スピーカのアレイであり得る。
【0068】
次に、車両に取り付けられ、その車両を囲む領域920中の物体を感知するように構成された感知ユニット900の実例を概略的に表す
図9を参照する。感知ユニット900は、必要に応じて、道路車両、たとえば、車、トラック、バイク、トレーラ、キャラバンなど、様々な車両、掘削機、クレーンなど、工事車両に、同様に、適切な場合は航空機及び船舶に取り付けられ得る。
【0069】
他のシステムでは、そのような感知ユニットは、固定であり、周囲の監視領域に入る物体を検出するように構成され得る。
【0070】
感知ユニット900の実例は、車に取り付けられ、他の車921、自転車922、歩行者923、道路標識924、壁925、縁石926、木927など、近傍内の様々な物体を検出するために使用され得る。
【0071】
したがって、感知ユニット900は、車両が走行している環境に関する情報を収集するために使用され得る。本開示は、車両の相対速度、及び車両の周囲における危険の識別など、有用な情報が収集され得るように、レーダ・ユニットが受信されたデータを分析し得るための様々な技法を教示する。
【0072】
次に
図10のブロック図を参照すると、周囲を感知するために提供され得る可能なレーダ・システムの選択された要素が提示されている。本システムはレーダ・ユニット1010とコントローラ1030とを含む。レーダ・ユニット1010はレーダ送信ユニット1012とレーダ受信ユニット1014とを含み得る。
【0073】
レーダ送信ユニット1012は、発振器1016に接続され、車両を囲む領域中に電磁波を送信するように構成された、送信機アンテナTXのアレイを含む。レーダ受信ユニット1014は、車両1020を囲む領域内の物体によって反射された電磁波を受信するように構成された少なくとも1つの受信機アンテナRXを含み、生データを生成するように動作可能であり得る。
【0074】
コントローラ130は、プロセッサ・ユニット1032、方向推定ユニット1034、ターゲット分類ユニット1036など、様々なモジュールを含み得る。
【0075】
プロセッサ・ユニット1032は、レーダ・ユニット1014から生データを受信し、受信されたデータに基づいて環境情報を生成するように、レーダ受信ユニット1014と通信し得る。たとえば、生データから車両の速度を計算するために自己速度計算モジュール1034が提供され得、車両を囲む領域中の平坦面を検出するために壁検出モジュール1036が提供され得、歩行者1023など、弱く反射する物体を、同じ近傍内の壁1025又は縁石1026など、強く反射する物体と区別するためにダイナミックレンジ拡張モジュール1038が提供され得る。
【0076】
方向推定モジュール1034は、検出されたターゲットに向かう方向を決定し得、ターゲット分類モジュール1036は、検出されたターゲットの性質を識別するように動作可能であり得る。
【0077】
コントローラは、検出された物体の識別情報及び方向に適切な警報信号を選択するために提供された警報発生器1040にデータを提供し得る。
【0078】
レーダは、一般に、無線周波数送信機アンテナの少なくとも1つのアレイと、無線周波数受信機アンテナの少なくとも1つのアレイとを含む。無線周波数送信機アンテナは、発振器(無線周波信号源)に接続され、ターゲット領域に向けて電磁波を送信するように構成され、そのように動作可能である。無線周波数受信機アンテナは、ターゲット領域内の物体から反射されて戻った電磁波を受信するように構成される。
【0079】
したがって、送信機は、閉鎖された部屋など、監視される領域のほうに向けられる、マイクロ波放射など、電磁放射のビームを生成するように構成され得る。受信機は、監視される領域内の物体によって反射された電磁波を受信するように構成され、そのように動作可能な、少なくとも1つの受信アンテナ又は受信機アンテナのアレイを含み得る。
【0080】
受信機によって生成された生データは、一般に、アレイの前の物体から散乱して戻った波に対応する大きさ測定値と位相測定値とのセットである。ターゲット領域内の当該の3次元座標において振幅(散乱強度)を再構成するために、測定値に空間再構成処理が適用される。したがって、ターゲット領域内の容積の各3次元セクションは、x座標と、y座標と、z座標と、振幅値とに対応する4つの値によって定義されるボクセルによって表され得る。
【0081】
一般に、受信機は、受信機によって生成された生データの振幅行列を処理し、モデル最適化のために好適なフィルタ処理された点クラウドを生成するように構成され、そのように動作可能な、前処理ユニットに接続される。
【0082】
したがって、適切な場合、前処理ユニットは、必要とされるしきい値を上回る振幅を有するボクセルを選択するように動作可能な振幅フィルタと、たとえば、データをサンプリングすること又は近隣のボクセルをクラスタ化することによって、フィルタ処理されたデータ中のボクセルの数を低減するように動作可能なボクセル選択器とを含み得る。このようにして、フィルタ処理されたポイント・クラウドがプロセッサに出力され得る。フィルタ処理されたポイント・クラウドは、各ボクセルの振幅値を、振幅がしきい値を上回るときには1に設定し、振幅がしきい値を下回るときには0に設定することによって、さらに簡略化され得ることに留意されたい。
【0083】
次に、
図11を参照すると、音声信号が、車載感知ユニット1130によって検出された物体の方向から発信されたとして車両の運転者によって認識され得るように、音声信号を生成するために、音声信号生成器1120a、1120b、1120c、1120dのセットが中に提供された車両キャビン1110の実例が示されている。他の例では、そのような指向性音声信号生成器は、たとえば自動車運転者、自転車運転者又はオートバイ運転者が装着するヘルメット内に提供され得る。
【0084】
さらなる実施例では、聴取者にさらなる情報を提供するために、音が拡大させられ得る、たとえば、物体への近接度を示すために音量が調節され得、ドップラー・シフトをシミュレートし、それによって物体の相対速度を示すために、ピッチが変更され得る。
【0085】
任意選択で、音声信号特性は、検出された物体の1つ又は複数の特性に相関し得る。たとえば、振幅、ピッチ、振幅変調、周波数変調、音声信号のパルス化、信号の音質又はマルチトーン成分が、物体のサイズ、物体までの距離、物体の速度、相対速度、移動方向、又は物体によって提示される危険の尺度と相関し得る。
【0086】
同様に、警報音の性質も、ターゲット特性の分類、たとえば、トラックの空気警音器、車のクラクション、自転車のベル、低いピッチの人間の大人の声、及び子供の高いピッチを示し得る。
【0087】
他の実施例では、音声出力は、生成された音の認識される方向が相応して調整され得るように、頭部の角度を測定するように動作可能な頭部回転モニタを組み込んだ、ヘッドセット又はイヤフォンに組み込まれ得る。
【0088】
適切な場合、感知ユニット自体が、ヘッドセット又はイヤフォンに、たとえば、オートバイ運転者などが装着するヘルメットに組み込まれ得ることに留意されたい。
【0089】
さらに他の実施例では、検出された物体の方向を示す触覚フィードバックが提供され得る。たとえば、必要に応じて、シート中の又はステアリング・ホイールからの振動が生成され得る。例として、左側位置対右側位置におけるステアリング・ホイールの振動は方向を示し得るが、振動の大きさ又は周波数などの特性は、検出された物体の1つ又は複数の特性に相関し得る。
【0090】
明快さのために、別個の実施例のコンテキストにおいて説明した、本発明のいくつかの特徴は、単一の実施例において組合せでも提供され得ることを諒解されたい。反対に、簡潔さのために、単一の実施例のコンテキストにおいて説明した、本開示の様々な特徴も、別個に又は任意の好適なサブコンビネーションで、又は本開示の任意の他の説明した実施例において適宜提供され得る。様々な実施例のコンテキストにおいて説明したいくつかの特徴は、実施例がそれらの要素なしに動作不可能でない限り、それらの実施例の本質的特徴であると考えられるべきではない。
【0091】
本発明について特定の実施例とともに説明したが、他の代替、改変、バリエーション及び均等物が当業者に明らかになることは明白である。したがって、本発明の趣旨、及び添付の特許請求の範囲の広い範囲内に入るすべてのそのような代替、改変、バリエーション及び均等物を包含するものとする。さらに、上記に記載された様々な実施例は例示的なブロック図、フローチャート及び他の図に関して説明される。当業者には明らかになるように、示された実施例及びそれらの様々な代替は、示された実例に限定されることなしに実施され得る。たとえば、ブロック図及び付随する説明は、特定のアーキテクチャ、レイアウト又は構成を義務づけると解釈されるべきでない。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動している物体の角度を決定するための方法であって、
発振器に接続された送信機アンテナのアレイを備えるレーダ送信ユニットと、少なくとも1つの受信機アンテナを備えるレーダ受信ユニットとを備える車載レーダ・ユニットを提供するステップと、
前記レーダ受信ユニットと通信する処理ユニットを提供するステップと、
前記車両を囲む領域中に電磁放射を送信するステップと、
前記車両を囲む前記領域中の物体から反射された電磁放射を受信するステップと、
受信された電磁信号を前記処理ユニットに伝達するステップと、
各反射された物体の2次元座標を前記車両の動きの方向に直角な水平垂直面内にプロットするステップと、
一連の候補角を選択するステップと、
各候補角について、
関連する候補地平線に平行な仮想ボックスを構築するステップと、
前記仮想ボックス内の反射をカウントするステップと、
前記仮想ボックス内の反射の数が最も多い候補角を選択するステップと
を含む、移動している物体の角度を決定するための方法。
【請求項2】
関係する当事者に角度を送信するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記車両の移動方向に対する前記車載レーダ・ユニットの向きを推定するステップ
と、推定された向きが必要とされる向きからそれた場合に警告を発するステップとをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記仮想ボックスが矩形ボックスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記関連する候補地平線に平行な仮想ボックスを構築する
ステップが、候補地表面の20センチメートル下方から候補地表面の2メートル上方まで延びるボックスを構築するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
選択された角度をデータベースに記憶するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記車両の周りで検出された物体を前記角度にさらに整合させる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記車両の動きの方向と前記車載レーダの照準方向との間の向き誤差を計算するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記向き誤差を計算するステップが、
車両を囲む物体を検出するステップと、
前記車両の自己速度v
egoを取得又は推定するステップと、
前記車両を囲む検出された物体の予想される見かけ速度を計算するステップと、
既知の自己速度を所与として、前記車両を囲む検出された物体の予想される見かけ速度の角度にわたって第1の分布をプロットするステップと、
前記車両を囲む検出された物体の測定された見かけ速度の角度にわたって第2の分布をプロットするステップと、
第2の分布からの第1の分布の偏差を計算するステップと
を含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
前記既知の自己速度を所与として、前記車両を囲む検出された物体の予想される見かけ速度を計算するステップが、各物体についてv
r=-v
ego・cos(Φ
obj)を計算するステップを含む、請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
前記既知の自己速度を所与として、前記車両を囲む検出された物体の予想される見かけ速度を計算するステップが、各物体についてv
r=-v
ego・cos(Φ
obj)・cos(θ
obj)を計算するステップを含む、請求項
9に記載の方法。
【請求項12】
車両の周囲を感知するためのシステムであって、
発振器に接続され、前記車両を囲む領域中に電磁波を送信するように構成された送信機アンテナのアレイを備えるレーダ送信ユニットと、
前記車両を囲む前記領域内で物体によって反射された電磁波を受信するように構成され、生データを生成するように動作可能な少なくとも1つの受信機アンテナを備えるレーダ受信ユニットと
を備える、車載レーダ・ユニットと、
前記レーダ受信ユニットと通信しており、前記レーダ・ユニットから生データを受信するように構成され、前記受信されたデータに基づいて環境情報を生成するように動作可能なプロセッサ・ユニットと
を備え、
前記プロセッサが、
生データから前記車両の速度を計算するように動作可能な自己速度計算モジュールと、
前記車両のチルト角を計算するように動作可能なチルト検出モジュール
であって、処理ユニットと、仮想ボックス内のエネルギー・プロファイルを計算することを対象とする実行可能なコードを記憶するメモリ・ユニットとを備えるチルト検出モジュールと
を備える
ことを特徴とする、システム。
【請求項13】
物体が検出された方向に対応する方向において発生するとして聴取者が音を認識するように、前記車載レーダ・ユニットによって検出された前記物体に応答して前記音を生成するように構成され、そのように動作可能な音声信号生成器をさらに備える、請求項1
2に記載のシステム。
【請求項14】
前記音声信号生成ユニットが、スピーカのアレイと、ステレオ・スピーカのペアと、4つの4チャンネル・イヤフォンのセットと、
運転者によって着用される安全ヘルメット内に提供された音声ユニットと、それらの組合せとからなるグループから選択される、請求項1
3に記載のシステム。
【請求項15】
前記自己速度計算モジュールが、画像生成ユニットと、メモリ・ユニットとを備え、
前記画像生成ユニットが、ボクセルの行列を含む、前記車両を囲む前記領域を表す3次元画像を構築するように構成され、そのように動作可能であり、各ボクセルが、
前記車両の経路に平行な軸に沿った反射物体の水平空間座標xと、
前記車両の前記経路に直交する垂直軸に沿った前記反射物体の垂直空間座標yと、
前記車両から半径方向に広がる軸に沿った前記反射物体の半径方向空間座標Rと、
強度値と、
前記反射物体の見かけ半径方向速度v
Rを示すドップラー・シフト値と
を含むボクセル・パラメータのセットを特徴とする、請求項1
2に記載のシステム。
【国際調査報告】