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特表2024-527621注射部位を選択するための方法及びシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-25
(54)【発明の名称】注射部位を選択するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/42 20060101AFI20240718BHJP
   A61M 5/20 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
A61M5/42 520
A61M5/20 510
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024502223
(86)(22)【出願日】2022-07-14
(85)【翻訳文提出日】2024-01-15
(86)【国際出願番号】 US2022037041
(87)【国際公開番号】W WO2023287934
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】63/222,456
(32)【優先日】2021-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100125922
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 章子
(72)【発明者】
【氏名】パテル,ヘマント タコルバイ
(72)【発明者】
【氏名】ソムライ,ルイス スティーブンズ
(72)【発明者】
【氏名】ウィースラー,アダム ナサニエル
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD08
4C066EE06
4C066FF05
4C066HH02
4C066QQ55
4C066QQ82
(57)【要約】
患者の身体上の注射部位を評価するための方法及びシステムが提供される。本方法/システムは、1つ以上の静電容量センサを、患者の身体上の潜在的注射部位と接触させて置くように患者に指示し得る。本方法/システムはまた、処理回路を使用して、1つ以上の静電容量センサによって測定された、潜在的注射部位における身体組織の静電容量を示すデータを受信することを含み得る。本方法/システムはまた、処理回路を使用して、受信された静電容量に基づいて、潜在的注射部位における潜在的注射から患者が経験すると予想される疼痛レベルの指標を生成すること含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の身体上の注射部位を評価するための方法であって、前記方法は、
前記患者の前記身体上の潜在的注射部位に位置決めされた1つ以上の静電容量センサと通信する処理回路において、前記1つ以上の静電容量センサによって測定された前記潜在的注射部位における身体組織の静電容量を示す信号を受信することと、
受信された前記信号に基づいて前記処理回路によって、前記潜在的注射部位における予期される注射から前記患者が経験するであろう予想疼痛レベルを判定することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記1つ以上の静電容量センサは、薬物を含む薬物送達デバイス上に配設されており、前記処理回路は、前記薬物送達デバイスとワイヤレス通信するモバイルデバイスに配設されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記処理回路によって、発光ダイオード(LED)からの視覚的指標、ディスプレイ画面上の視覚的指標、可聴指標、及び触覚的指標のうちの少なくとも1つを介して、判定された前記予想疼痛レベルの指標をユーザに提示することを更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記指標は、前記ディスプレイ画面上の人体の少なくとも一部分の色分けされた図を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記処理回路によって、(i)前記判定された予想疼痛レベルと、(ii)前記潜在的注射部位における前記予期される注射から前記患者が経験するであろう事前にプログラムされた予想薬学的効果レベルとの両方に基づいて、前記潜在的注射部位の総合的な好適性の指標を生成することを更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記処理回路において、前記潜在的注射部位における実際の注射の時刻において前記患者が実際に経験した疼痛レベル、及び前記実際の注射の前記時刻後の事前にプログラムされた時刻において前記患者が実際に経験した疼痛レベルのうちの少なくとも一方を示す、前記患者からのユーザ入力を受信することを更に含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記事前にプログラムされた時刻は、前記実際の注射後1時間以上であり、かつ前記実際の注射後3時間以下である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
以前に受信されたユーザ入力に基づいて、前記判定された予想疼痛レベルを修正することを更に含む、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記潜在的注射部位は、第1の潜在的注射部位であり、前記方法は、
前記処理回路において、前記1つ以上の静電容量センサによって測定された前記患者の前記身体上の第2の潜在的注射部位における身体組織の静電容量を示す信号を受信することを更に含み、
提示された前記指標は、前記第1の潜在的注射部位における前記予期される注射から前記患者が経験するであろう前記予想疼痛レベルが、前記第2の潜在的注射部位における予期される注射から前記患者が経験するであろう予想疼痛レベルよりも大きいと予想されるか又は小さいと予想されるかどうかの指標を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項10】
前記提示された指標に基づいて、前記第1の潜在的注射部位及び前記第2の潜在的注射部位のうちの一方に薬剤を注射することを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
患者の身体上の注射部位を評価するための処理デバイスであって、前記デバイスは、
命令を記憶しているメモリと、
1つ以上の静電容量センサからデータを受信するように構成された通信インターフェースと、
処理回路と、を備え、前記処理回路は、前記命令を実行して、
前記通信インターフェースを介して前記1つ以上の静電容量センサから、前記1つ以上の静電容量センサによって測定された前記患者の前記身体上の潜在的注射部位における身体組織の静電容量を示すデータを受信し、
前記静電容量を示す受信された前記データを前記メモリに記憶し、かつ
前記静電容量を示す前記受信されたデータに基づいて、前記潜在的注射部位における予期される注射から前記患者が経験するであろう予想疼痛レベルを判定するように構成されている、処理デバイス。
【請求項12】
測定デバイスは、薬物を含む薬物送達デバイスである、請求項11に記載の処理デバイス。
【請求項13】
ディスプレイ画面を更に備え、前記処理回路は、前記ディスプレイ画面を介して、判定された前記予想疼痛レベルの指標をユーザに提示するように更に構成されている、請求項11又は12に記載の処理デバイス。
【請求項14】
前記指標は、人体の少なくとも一部分の色分けされた図を含む、請求項13に記載の処理デバイス。
【請求項15】
前記処理回路は、(i)前記判定された予想疼痛レベルと、(ii)前記潜在的注射部位における前記予期される注射から前記患者が経験するであろう事前にプログラムされた予想薬学的効果レベルとの両方に基づいて、前記潜在的注射部位の総合的な好適性の指標を生成するように更に構成されている、請求項11~14のいずれか一項に記載の処理デバイス。
【請求項16】
前記処理回路は、前記潜在的注射部位における実際の注射の時刻において前記患者が実際に経験した疼痛レベル、及び前記実際の注射の前記時刻後の事前にプログラムされた時刻において前記患者が実際に経験した疼痛レベルのうちの少なくとも一方を示す、前記患者からのユーザ入力を要請及び受信するように更に構成されている、請求項11~15のいずれか一項に記載の処理デバイス。
【請求項17】
前記事前にプログラムされた時刻は、前記実際の注射後1時間以上であり、かつ前記実際の注射後3時間以下である、請求項16に記載の処理デバイス。
【請求項18】
前記処理回路は、以前に受信されたユーザ入力に基づいて、前記判定された予想疼痛レベルを修正するように更に構成されている、請求項16又は17に記載の処理デバイス。
【請求項19】
前記潜在的注射部位は、第1の潜在的注射部位であり、
前記処理回路は、前記1つ以上の静電容量センサによって測定された第2の潜在的注射部位における身体組織の静電容量を示すデータを受信するように更に構成されており、
提示された前記指標は、前記第1の潜在的注射部位における前記予期される注射から前記患者が経験するであろう前記予想疼痛レベルが、前記第2の潜在的注射部位における予期される注射から前記患者が経験するであろう予想疼痛レベルよりも大きいと予想されるか又は小さいと予想されるかどうかの指標を含む、請求項13に記載の処理デバイス。
【請求項20】
患者の身体上の注射部位を評価するためのシステムであって、前記システムは、
注射デバイスであって、
注射を介して前記患者に薬剤を送達するための針と、
1つ以上の静電容量センサと、
ワイヤレス送信機と、を備える、注射デバイスと、
外部デバイスと、を備え、前記外部デバイスは、
命令を記憶しているメモリと、
前記注射デバイスの前記ワイヤレス送信機からデータを受信するように構成された通信インターフェースと、
処理回路と、を備え、前記処理回路は、前記命令を実行して、
前記通信インターフェースを介して、前記注射デバイスから、前記1つ以上の静電容量センサによって測定された前記患者の前記身体上の潜在的注射部位における身体組織の静電容量を示すデータを受信し、
前記静電容量を示す受信された前記データをメモリに記憶し、かつ
前記静電容量を示す前記受信されたデータに基づいて、前記潜在的注射部位における前記注射デバイスによる予期される注射から前記患者が経験するであろう予想疼痛レベルを判定するように構成されている、システム。
【請求項21】
前記外部デバイスは、ディスプレイ画面を更に備え、前記処理回路は、前記ディスプレイ画面を介して、判定された前記予想疼痛レベルの指標をユーザに提示するように更に構成されている、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記処理回路は、
前記通信インターフェースを介して、前記注射デバイスから、実際に送達された注射と前記実際に送達された注射に関連付けられた実際の注射部位とを示すデータを受信し、かつ
前記実際の注射部位を、前記実際に送達された注射のログエントリに関連付けるように更に構成されており、前記ログエントリは、前記実際に送達された注射に関連付けられた時刻及び日付のうちの少なくとも一方を含む、請求項20又は21に記載のシステム。
【請求項23】
前記処理回路は、
前記実際の注射部位における前記実際に送達された注射の時刻において前記患者が実際に経験した疼痛レベル、及び実際の注射の前記時刻後の事前にプログラムされた時刻において前記患者が実際に経験した疼痛レベルのうちの少なくとも一方を示す、前記患者からのユーザ入力を要請及び受信し、かつ
受信された前記ユーザ入力を、前記実際に送達された注射の前記ログエントリに関連付けるように更に構成されている、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記処理回路は、以前に受信されたユーザ入力に基づいて、前記判定された予想疼痛レベルを修正するように更に構成されている、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記注射デバイスは、前記薬剤を保持するリザーバを更に備える、請求項20~24のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
注射器の形態又は注射器を含む注射デバイスが、医療専門家及び自己投薬する患者によって広く用いられている。いくつかの異なる疾患を患う患者は、頻繁に自分自身に薬剤を注射する場合があり、そのような自己投薬を容易にするために様々なデバイスが開発されている。一例では、注射プロセスのステップのうちのいくつかを実施する機構を含む自動注射デバイスの使用は、患者に、特に手先の器用さが制限されている患者による自己治療をより便利にする。自動注射デバイスは、使用後に処分される単回使用デバイスであり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本発明者らは、注射を行うために注射デバイスを使用することが、潜在的に、注射の時刻において、及び/又は注射後数時間(例えば、1~3時間)以内に、注射部位において患者に疼痛を引き起こす場合があることを認識している。本発明者らはまた、いくつかの注射部位における注射が、他の注射部位よりも少ない注射部位疼痛をもたらし得ることを認識している。どの注射部位がより少ない疼痛をもたらすかは、患者の身体の生理機能に基づいて患者ごとに異なり得る。したがって、どの注射部位がより少ない疼痛をもたらし得るかに関して、ユーザ及び/又は患者に個人化されたガイダンスを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示の例示的な実施形態によれば、患者の身体上の注射部位を評価するための方法が提供され、本方法は、患者の身体上の潜在的注射部位に位置決めされた1つ以上の静電容量センサと通信する処理回路において、1つ以上の静電容量センサによって測定された潜在的注射部位における身体組織の静電容量を示す信号を受信することと、処理回路において、受信された信号に基づいて、潜在的注射部位における予期される注射から患者が経験するであろう予想疼痛レベルを判定することと、を含む。
【0004】
本開示の別の実施形態によれば、患者の身体上の注射部位を評価するための処理デバイスが提供され、本デバイスは、命令を記憶しているメモリと、1つ以上の静電容量センサからデータを受信するように構成された通信インターフェースと、処理回路と、を備え、処理回路は、命令を実行して、通信インターフェースを介して1つ以上の静電容量センサから、1つ以上の静電容量センサによって測定された患者の身体上の潜在的注射部位における身体組織の静電容量を示すデータを受信し、静電容量を示す受信されたデータをメモリに記憶し、かつ静電容量を示す受信されたデータに基づいて、潜在的注射部位における予期される注射から患者が経験するであろう予想疼痛レベルを判定するように構成されている。
【0005】
本開示の更に別の実施形態によれば、患者の身体上の注射部位を評価するためのシステムが提供され、本システムは、注射デバイスであって、注射を介して患者に薬剤を送達するための針と、1つ以上の静電容量センサと、ワイヤレス送信機と、を備える、注射デバイスと、外部デバイスと、を備え、外部デバイスは、命令を記憶しているメモリと、注射デバイスのワイヤレス送信機からデータを受信するように構成された通信インターフェースと、処理回路と、を備え、処理回路は、命令を実行して、通信インターフェースを介して、注射デバイスから、1つ以上の静電容量センサによって測定された患者の身体上の潜在的注射部位における身体組織の静電容量を示すデータを受信し、静電容量を示す受信されたデータをメモリに記憶し、かつ静電容量を示す受信されたデータに基づいて、潜在的注射部位における注射デバイスによる予期される注射から患者が経験するであろう予想疼痛レベルを判定するように構成されている。
【0006】
いくつかの実施形態では、開示される方法及びシステムの例示的な利点は、それらが、患者の身体上のどの注射部位がより少ない注射部位疼痛をもたらす可能性が高いかに関して、患者に個人化されたガイダンスを提供することである。他の利点は、当業者には、認識されよう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本開示の上述及び他の特徴及び利点、並びにそれらを達成する様式は、本発明の実施形態の以下の記載を添付の図面と併せて参照することによってより明らかになり、またより良く理解されよう。
図1】例示的な実施形態による、使用前の注射デバイスの断面図である。
図2】注射器アセンブリが格納位置にあり、注射イベントの準備ができている図1の注射デバイスの断面図である。
図3】注射器アセンブリが注射位置にある、図1の注射デバイスの断面図である。
図4】注射デバイス及び例示的な外部コンピューティングデバイス内の電気構成要素のシステムアーキテクチャ図である。
図5】注射デバイス内のプリント回路基板(printed circuit board、PCB)を支持する下部本体支持部材の斜視図である。
図6A】それぞれ、同じPCBの上面図及び底面図である。
図6B】それぞれ、同じPCBの上面図及び底面図である。
図7】静電容量センサによって収集された静電容量データを使用して、患者の身体上の注射部位を評価するための例示的論理を描写する、フローチャートである。
図8】静電容量データを収集し、かつ潜在的注射部位疼痛に関する洞察を生成するための例示的な論理を示すフローチャートである。
図9】生成された洞察を閲覧し、かつ注射データを記録/ロギングするための例示的な論理を示すフローチャートである。
図10A】外部コンピューティングデバイス上に表示される例示的なスクリーンショットを提示する。
図10B】外部コンピューティングデバイス上に表示される例示的なスクリーンショットを提示する。
図10C】外部コンピューティングデバイス上に表示される例示的なスクリーンショットを提示する。
図10D】外部コンピューティングデバイス上に表示される例示的なスクリーンショットを提示する。
図10E】外部コンピューティングデバイス上に表示される例示的なスクリーンショットを提示する。
図10F】外部コンピューティングデバイス上に表示される例示的なスクリーンショットを提示する。
図10G】外部コンピューティングデバイス上に表示される例示的なスクリーンショットを提示する。
図10H】外部コンピューティングデバイス上に表示される例示的なスクリーンショットを提示する。
図10I】外部コンピューティングデバイス上に表示される例示的なスクリーンショットを提示する。
図10J】外部コンピューティングデバイス上に表示される例示的なスクリーンショットを提示する。
図10K】外部コンピューティングデバイス上に表示される例示的なスクリーンショットを提示する。
【0008】
複数の図面全体を通して、対応する参照符号は、対応する部品を示す。本明細書に記載される例証は、本発明の例示的な実施形態を例示し、そのような例証は、いかなる様式においても本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1図3では、薬剤注射デバイス20が様々な動作状態で図示されている。そのようなデバイス及びその動作の一実施例は、Adamsらに対する2014年5月27日に発行された米国特許第8,734,394(B2)号、及びAdamsらに対する2021年4月1日に公開された米国特許出願公開第2021/0093784(A1)号に記載されており、これらの各々の開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。デバイス20は、注射器アセンブリ22、駆動機構24、及び後退機構26を含み、例えば、図5図6A、及び図6Bで後に示される、1つ以上の主プリント回路基板(printed circuit board、PCB)500を含み得る。注射器アセンブリ22は、薬剤を保持するための容器本体を形成するバレル30と、薬剤をバレルの外側に駆動するためにバレル30内に配設されたピストン32とを含む。注射器アセンブリ22はまた、中空注射針34と、針34を注射器バレル30に取り付ける針ハブ35とを有する針アセンブリ33を含む。デバイスハウジング38に結合された下部本体支持部材29(図5に示す)は、針34を取り囲んでいる。バレル30内のピストン32を針34の方に前進させることは、針34を通して薬剤を分注させる。
【0010】
デバイス20などの本明細書に説明されるデバイスは、例えば、注射器バレル30内などの薬剤を更に含み得る。別の実施形態では、システムは、デバイス20を含む1つ以上のデバイスと、薬剤とを備え得る。「薬剤」という用語は、インスリン、インスリンリスプロ又はインスリングラルギンなどのインスリン類似体、インスリン誘導体、デュラグルチド又はリラグルチドなどのGLP-1受容体アゴニスト、グルカゴン、グルカゴン類似体、グルカゴン誘導体、胃抑制ポリペプチド(gastric inhibitory polypeptide、GIP)、GIP類似体、GIP誘導体、チルゼパチドなどの複合GIP/GLP-1アゴニスト、オキシントモジュリン類似体、オキシントモジュリン誘導体、限定されるものではないが、ミリキズマブなどのIL-23抗体類似体又は誘導体、イキセキズマブなどのIL-17抗体類似体又は誘導体を含むがこれらに限定されない治療抗体、ガルカネズマブ、ラスミディタンなどの疼痛関連治療用の治療剤、及び本明細書に記載されるデバイスによって送達することができる任意の治療剤を含むがこれらに限定されない、1つ以上の治療剤を指す。デバイスで使用されるような薬剤は、1つ以上の賦形剤とともに処方されてもよい。デバイスは、患者に薬剤を送達するために、ユーザ、介護者、又は医療専門家によって、概して上に記載されているような様式で動作される。本明細書で使用される場合、「ユーザ」という用語は、本明細書に記載されるデバイスのオペレータを指してもよく、「患者」という用語は、薬剤を受け取る人物を指してもよい。いくつかの場合では、ユーザ及び患者は、同一人物であってもよい(例えば、患者は、自身に注射を与えるために、本明細書に記載されるデバイスを動作させている)。他の場合には、ユーザ及び患者は、異なる人物であってもよい(例えば、ユーザは、患者に介護を提供する人物であってもよい)。
【0011】
図1は、その初期の使用前構成のデバイス20を例示する。ここで、エンドキャップ36が下部本体支持部材29に固設されている(下部本体支持部材29はデバイスハウジング38に結合されている)。エンドキャップ36は、ハウジング38の近位端開口部40を覆う。本明細書に使用される際、遠位及び近位は、装置が注射部位での使用のために配向されたときの注射部位に対する軸方向の場所を指し、したがって、例えば、ハウジングの近位端は、そのような注射部位に最も近いハウジング端を指し、ハウジングの遠位端は、そのような注射部位から最も遠いハウジング端を指す。また、本明細書で使用される場合、「注射部位」とは、針によって注射される患者の身体上の正確なスポット、並びに針が注射するスポットを取り囲む身体組織(例えば、針が患者の皮膚を穿刺するスポットの1~5cm又は1~10cm以内)を指し得る。ハウジング38は、プラスチック材料から形成され、長手方向軸48に沿って、作動ボタン52に近接する遠位端と近位端開口部40に近接する近位端との間で概ね長手方向に延在して示され得る。図2に示すように、ハウジング38は、ユーザの手によって把持されるように構成されたユーザ把持可能部分37を備え得、ユーザ把持可能部分37は、長手方向軸48から半径方向距離41だけ外方に延在している。いくつかの実施形態では、半径方向距離41は、長さが5~10mmであり得る(例えば、いくつかの実施形態では、5~8mmが好適な長さであり得る)。また、図2に示すように、ハウジング38はまた、近位開口部40に隣接する、ハウジングの近位端の外方に広がった端部分39を備え得る。端部分は、半径方向距離41よりも大きい半径方向距離43だけ長手方向軸48から外方に延在する。いくつかの実施形態では、半径方向距離43は、長さが10mm超であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、半径方向距離43は、長さが10~20mmであり得る(例えば、いくつかの実施形態では、15~20mmが好適な長さであり得る)。端部分39は、図1図3に示されるように、ユーザ把持可能部分37から半径方向外方に平滑に傾斜し得る。他の実施形態では、端部分39は、他の形状の形態をとってもよい。端部分39は、ユーザ把持可能部分の半径方向距離41よりも大きい半径方向距離43だけ長手方向軸48から離れて延在する任意の形状をとり得る。
【0012】
針ガード42は、注射器アセンブリ22上に取り付けられ、針34を覆って取り囲む。エンドキャップ36及び針ガード42は、偶発的に針が刺されることからユーザを保護し、また針34の損傷も保護する。デバイス20を使用して薬剤を分注するとき、例えば、薬剤を患者に注射するとき、エンドキャップ36及び針ガード42が、最初に取り外される。図2は、注射器アセンブリ22からエンドキャップ36及び針ガード42を取り外した後のデバイス20を例示し、注射器アセンブリは、格納位置にあり、デバイス20は、分注イベントの準備ができている。
【0013】
注射器アセンブリ22は、格納位置と注射位置との間で注射デバイス20に対して移動可能である。図3は、注射器アセンブリ22が、図2に示されるその格納位置から注射位置にデバイス20に対して移動された後のデバイス20を例示する。格納位置(図1及び図2)では、針34は、針34がデバイス20のハウジング38内に配設されるような位置まで後退される。注射位置(図3)では、針34は、長手方向軸48に平行な近位方向に近位開口部40を越えてハウジング38から外方に突出し、それによって、針34が患者に挿入され得る。
【0014】
駆動機構24は、ピストン32と係合するプランジャ44を含む。駆動機構24は、並進移動でプランジャ44を駆動するばね46を含む。例示的な実施形態では、ばね46は、デバイス20の長手方向軸48によって画定される直線経路に沿ってプランジャ44を前進させる。プランジャ44が前進すると、プランジャ44の足部50がピストン32に接触する。プランジャ44が更に前進すると、注射器アセンブリ22は、その格納位置からその注射位置まで軸48に沿って前進する。注射器アセンブリ22がその注射位置に前進した後、プランジャ44の継続的な近位前進は、分注イベント時に、ピストン32をバレル30内でその初期ピストン位置(図1及び図2に示される)からその最終ピストン位置(図3に示される)まで近位に前進させて、薬剤を針34から分注させる。薬剤の任意の分注前、及び注射器バレル30が元の薬剤の全容量を保持しているとき、ピストン32は、その初期ピストン位置にあることになる。ピストン32を針アセンブリ33に向けてその移動長さ全体に前進させた後、ピストン32は、針アセンブリ33に近接するその最終ピストン位置にあることになり、バレル30内からの薬剤は、放出されていることになる。単回使用では、注射器アセンブリ22は、単回注射イベントで送達されることになる薬剤の単回用量を保持することになり、ピストン32は、その単回注射イベント時にその初期ピストン位置からその最終ピストン位置まで前進し、それによって、注射器アセンブリ22の単回用量内容物全体を送達することになる。デバイスは単回使用デバイスとして示されているが、デバイス20はまた、適切な修正を伴って、複数回使用デバイスとして構成されてもよい。
【0015】
プランジャ44の前進は、概して、注射器アセンブリ22が注射位置に前進するまで、注射器アセンブリ22からの薬剤の分注を結果的にもたらさないことになる。注射器が注射位置に前進する前に薬剤が分注されることを阻止し得る因子が存在する。因子は、ピストン32とバレル30との間の摩擦であり得る。典型的に、ピストン32は、ゴム材料で形成され、バレル30はガラスであるはずである。これら2つの構成要素間の摩擦抵抗は、注射器アセンブリ22がその注射位置まで前進し、好適な停止部材との係合が注射器アセンブリ22の更なる前進を防止するまで、バレル30内のピストン32の前進を防止するのに十分であり得る。追加的に、注射器内の薬剤は、いくらか粘性があり、それにより、針34からの流出に対していくらか抵抗性があってもよい。必要に応じて、注射器バレル30に対する係合部材32の分注運動の摩擦抵抗を変更するためにピストン32及び注射器バレル30の修正は、容器22がその注射位置に到達する前の薬剤の早過ぎる分注を制限又は防止し得る。
【0016】
駆動機構24を作動させるために、使用者は、デバイス20の遠位端の作動ボタン52を押下する。ボタン52を押下することで、シャトルアセンブリ60からプランジャ44上の1つ又は2つの細長い突起54を係合解除し、それによって、ばね46がプランジャ44を軸方向に前進させることを可能にする。ばね46は、らせん形状を有し、突起54を囲む。ばね46の近位端は、プランジャ44上のフランジと付勢的に係合する。
【0017】
シャトルアセンブリ60は、上部シャトル部材62及び下部シャトル部材64を含み得る。シャトル部材62、64は、最終アセンブリで一緒に固定される。最終アセンブリでは、上部シャトル部材62がボタン52及びばね46を捕捉して、これらの部品の遠位方向への軸方向の移動を制限する。突起54は、デバイスが図1及び図2に示される状態にあるとき、上部シャトル62上の表面と係合する。ボタン52を押下することは、ボタン52上のタブを突起54の傾斜(図示せず)と係合させて、突起54を内方に付勢して、突起54を上部シャトル部材62から係合解除させる。突起54が係合解除された後、ばね46は、付勢力をフランジ56に及ぼして、プランジャ44を図2に示される位置から図3に示される位置に前進させる。プランジャ44が前進すると、それは、注射器アセンブリ22を注射位置に移動させ、次いで、ピストン32を前進させて、上で考察されたように薬剤を分注させる。
【0018】
分注イベントが完了したのち、後退機構26は、任意選択的に、注射器アセンブリ22を図3に示される注射位置から後退位置に戻すように移動させる。より具体的には、後退機構は、後退移動で薬剤容器を注射位置から後退位置に移動させるように適合される。後退位置は、注射器アセンブリがハウジング38内に引き戻される点で格納位置と同様であり得、それにより、針34は、もはや近位開口部40から近位に突出せず、完全にハウジング38内に配設される。いくつかの実施形態では、後退位置は、格納位置と同じであってもよい。しかしながら、他の実施形態では、後退位置にある注射器アセンブリ22は、格納位置にある注射器アセンブリに対してわずかに近位又は遠位に位置してもよい。例示される実施形態では、後退機構は、ばね66と、注射器キャリアと、従動体として作用する回転部材70と、を含む。更に他の実施形態では、デバイス20は、薬剤が分注された後、注射器アセンブリがユーザによって手動で取り外されるか又は再位置決めされるまで、注射器アセンブリがその注射位置に無制限にとどまるように、後退機構26を含まなくてもよい。
【0019】
プランジャ44は、プランジャ44が近位方向の移動の終了に近づくと、回転部材70を係止解除するアウトリガ(図示せず)を含み得る。回転部材70は、ラッチと下部シャトル部材64のラッチ凹部との間の係合によって、下部シャトル部材64に回転可能に固設される。アウトリガは、ラッチを押下することによって部材70を係止解除する。ばね66は、ねじり予荷重が加えられており、部材70に係合した一端と、シャトルアセンブリ60に係合した対向端とを有する。ラッチの押下の際、ばね66が部材70を回転させる。
【0020】
部材70は、ハウジング38内で回転可能であるが、ハウジング38に対して軸方向に移動可能ではない。他の実施形態はまた、軸方向に移動可能な部材70を含み得る。部材70の回転は、注射器アセンブリがその用量の薬剤を送達し終えた後まで、後退機構26が注射器アセンブリ22を後退させることを防止する遅延機構として機能する。部材70の回転速度は、ハウジング38と接触している部材70の表面上又はその周囲に配設されたグリースの粘度を調整することによって調整され得る、すなわち、グリースの粘性が高いほど回転が遅くなり、グリースの粘性が低いほど回転が速くなる。回転部材70の半径方向フランジは、ハウジング部材38内の張出部と係合して、部材70の近位移動を制限し得る。ばね66は、部材70上に軸力、ねじり力又はその両方の力を近位に及ぼして、部材70を近位に付勢し、それによって、部材70の半径方向フランジがハウジング部材38の内部張出部と係合する軸方向位置に部材70を維持し得る。
【0021】
シャトルアセンブリ60は、シャトルアセンブリ60がハウジング38内で軸方向に移動することを可能にするが、ハウジング部材38に対するシャトルアセンブリ60の相対回転を防止する、ハウジング部材38上の対応する特徴と係合する軸方向に延在するチャネル又はリブを含み得る。シャトルアセンブリ60は、ばね66によって遠位方向に付勢されるが、駆動機構24の起動前にラッチ(図示せず)の係合によって遠位に移動することが防止される。回転部材70がその回転を完了すると、前述のラッチを係合解除し、これにより、シャトルアセンブリ60がバネ66の付勢力を受けて遠位に移動することを可能にする。
【0022】
シャトルアセンブリ60が遠位に移動するにつれて、シャトルアセンブリ60は、注射器アセンブリ22を遠位に搬送し、注射器アセンブリ22を格納位置に移動し戻す。ばね66は、後退機構26を遠位に付勢し、それによって、注射イベント後、注射器アセンブリ22をその後退位置に維持する。シャトルアセンブリ60上の戻り止め及びハウジング38部材上の凹部などの係止機構は、係止係合を追加的に提供して、注射器アセンブリ22を注射イベント後、ハウジング38内に配設された針34とともに後退位置に固設し、それによって、ユーザが、次いで、安全な様態でデバイス20を処分するか又は別様に取り扱うことができる。
【0023】
図1図3は、例示的な駆動機構24及び例示的な後退機構26を図示及び記載しているが、他の機構もまた、注射器アセンブリ22を格納位置から注射位置に、及び/又は注射位置から後退位置に駆動するために使用され得る。そのような駆動及び/又は後退機構は、それらがトリガ前状態に保持されたときにエネルギーを蓄え、トリガされたときに当該蓄えられたエネルギーを解放して、格納位置から注射位置に、及び/又は注射位置から後退位置に注射器アセンブリを駆動する、1つ以上のばね又は変形可能な部品を含んでもよい(必須ではない)。そのような機構は、化学反応又はプロセスを使用して、例えば、2つ以上の試薬の混合によってガスを発生させることによって、又は少量の可燃性又は爆発性材料を点火することによって、動力を発生させる機構を含んでもよい(必須ではない)。そのような化学的に駆動される機構は、化学試薬用の1つ以上の格納容器と、当該格納容器を穿刺又は開放し、当該試薬が混合することを可能にする、及び/又は化学反応を開始するための火花又は他の点火源を提供するトリガと、結果として生じる化学反応によって発生したガス圧の増加に応答して移動する移動可能なピストン又は他の構成要素とを備え得る。そのような機構は、蓄えられた電力(例えば、電池に)を使用して、注射器アセンブリを駆動及び/又は後退させる電気モータを動作させるか、又は他の物理的若しくは化学的機構をトリガする機構を含んでもよい(必須ではない)。そのような機構は、油圧又は空気圧システム(例えば、チューブ)、ギヤ、ケーブル、プーリ、又は運動エネルギーを1つの構成要素から別の構成要素に伝達するための他の既知の構成要素を含んでもよい(必須ではない)。いくつかの実施形態では、注射器アセンブリを駆動し、次いで、注射器アセンブリを後退させるための別個の機構を有するのではなく、単一の機構が、注射器アセンブリを駆動し、次いで、注射器アセンブリを後退させる、両方を行うように構成され得る。
【0024】
図4は、いくつかの実施形態による、デバイス20内の電気構成要素、並びに例示的な外部デバイス450との通信リンクのシステムアーキテクチャ図を提供する。デバイス20は、ハウジング38上又はその内部に取り付けられた処理回路422を備え得る。処理回路422は、電源412(例えば、電池)によって電力供給され得、処理コア424及びメモリ426を備え得る。メモリ426は、命令を記憶し得、命令は、処理コア424によって実行されると、処理回路422に本明細書に記載される動作を行わせる。メモリ426は、処理コア424によってアクセス可能である任意の好適なコンピュータ可読媒体である。メモリ426は、単一のストレージデバイス又は複数のストレージデバイスであり得、プロセッサコア424の内部又は外部に位置していてもよく、揮発性及び不揮発性の媒体の両方を含んでもよい。例示的なメモリ426には、ランダムアクセスメモリ(random-access memory、RAM)、読み取り専用メモリ(read-only memory、ROM)、電気的消去可能プログラマブルROM(electrically erasable programmable ROM、EEPROM)、フラッシュメモリ、磁気ストレージデバイス、光ディスクストレージ、又はデータを記憶するように構成され、かつ1つ以上の中間デバイス又は有線若しくはワイヤレスの通信リンクを介して直接的又は間接的にプロセッサコア424によってアクセス可能である任意の他の好適な媒体を含む。本明細書で使用される「論理」、「制御論理」、「命令」、又は「アプリケーション」という用語は、1つ以上のプログラマブルプロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field-programmable gate array、FPGA)、及び/又はデジタル信号プロセッサ(digital signal processor、DSP)、あるいは上記の任意の組み合わせ上で実行するように構成されたソフトウェア及び/又はファームウェアを含み得る。代替的又は追加的に、「論理」、「制御論理」、「命令」又は「アプリケーション」は、本明細書に記載の機能を実装するように構成されたハードワイヤード論理(例えば、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit、ASIC))を含んでもよい。したがって、実施形態に従って、様々な論理が任意の適切な方式で実装されてもよく、本明細書に開示される実施形態に従ったままとなる。
【0025】
処理回路422はまた、エンドキャップ36がデバイス20に取り付けられているか否かを検出するためのエンドキャップスイッチ414、デバイス20の向き、移動、及び/若しくは加速度のうちの少なくとも1つを検出するための加速度計416、皮膚組織との接触を検出するための静電容量センサ418、並びに/又は周囲温度及びデバイス20の温度のうちの少なくとも1つを検出するための温度センサ420などの複数のセンサと通信可能に結合され得る。処理回路422はまた、デバイス20と統合される、ユーザフィードバックを提供するためのデバイス432に接続され得る。ユーザフィードバックのための手段は、1つ以上のインジケータ光(例えば、発光ダイオード(light-emitting diode、LED)を使用して実装される)、ディスプレイ、振動モータなどの触覚インジケータ、及び/又はスピーカなどの聴覚インジケータを含み得る。処理回路422は、汎用入力/出力(General-Purpose Input/Output、GPIO)ピン、内部集積回路(Inter-Integrated Circuit、I2C)バス、シリアルペリフェラルインターフェース(Serial Peripheral Interface、SPI)接続、ユニバーサル非同期受信機/送信機(Universal Asynchronous Receiver/Transmitter、UART)接続、コントローラエリアネットワーク(Controller Area Network、CAN)バスなどの(限定されるものではない)、1つ以上の物理的、電気的チャネルを介して前述の構成要素の各々と通信可能に結合され得る。いくつかの場合、センサのうちのいくつか又は全てから処理回路422によって受信された信号はまた、アナログデジタル変換器(analog-to-digital converter、ADC)を使用してアナログ信号からデジタル信号に変換され得る。いくつかの実施形態では、処理回路422は、システムオンチップ(System on Chip、SOC)集積回路の形態をとり得る。いくつかの実施形態では、処理回路422はまた、マイクロコントローラ(microcontroller、MCU)又は特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit、ASIC)などの他のタイプの構成要素を使用して実装され得る。
【0026】
処理回路422はまた、注射デバイス20が、例えば、携帯電話、ウェアラブルデバイス、ラップトップ、及び/又はサーバデータベースなど、外部デバイスとワイヤレスで通信することを可能にするように構成され得る。ワイヤレス通信を容易にするために、処理回路422は、Bluetooth低エネルギー(Bluetooth Low Energy、BLE)アンテナ430と通信可能に結合されたBLE回路428を備え得る。BLE回路428及びBLEアンテナ430は、処理回路422が外部デバイス450とのワイヤレスBLE通信リンク440を確立することを可能にする。ワイヤレスBLE通信リンク440は、一方向のみ(例えば、送達デバイス20から外部デバイス450へ)又は双方向にデータを転送し得る。ワイヤレスリンク440は、Bluetoothハンドシェイク又はペアリングプロセスの後に確立されるBLEワイヤレス通信セッションであり得るが、それはまた、いかなるハンドシェイク又はペアリングプロセスの前の又は伴わないデータの伝送を含み得る。図4に示される実施形態は、BLE回路及びアンテナを示すが、任意の好適なワイヤレス通信規格が使用されてもよい。
【0027】
図4はまた、注射デバイス20から物理的に分離されている例示的な外部コンピューティングデバイス450を示している。この実施形態では、例示的な外部デバイス450は、モバイルスマートフォンの形態をとり得る。代替的に、例えば、スマートウォッチ、ラップトップ、デスクトップ、タブレット、又はサーバコンピュータが挙げられるが、これらに限定されない、任意の好適なコンピューティングデバイスが使用されてもよい。外部デバイス450は、プロセッサ452(例えば、マイクロプロセッサ又はCPU)及びストレージ458を備え得る。ストレージ458は、コンピュータ実行可能命令を記憶している非一時的コンピュータ可読媒体を備え得、コンピュータ実行可能命令は、プロセッサ452によって実行されると、デバイス450に本明細書に記載されている動作を行わせる。これらのコンピュータ実行可能命令は、医療モバイルアプリケーションなどのモバイルアプリケーションを含み得る。デバイス450は、ディスプレイ460及びユーザ入力デバイス462を更に備え得る。ユーザ入力デバイス462は、キーボード、キーパッド、マイクロフォン、マウスポインタ、又は他の好適なユーザ入力デバイスなど、デバイス450と一体化された、又はそれに通信可能に結合された物理ボタン、スイッチ、又は他のタイプの入力デバイスを備え得る。図4では別個に図示されているが、ユーザ入力デバイス462の全て又は一部分は、例えば、データを表示し、かつユーザ入力を受信するように動作可能なタッチ感知スクリーンにおいてディスプレイ460と統合され得る。デバイス450は、注射デバイス20とのワイヤレス通信リンク440を確立するように構成され得る。例えば、外部デバイス450は、通信リンク440を介してデバイス20内の処理回路422と通信する、BLEアンテナ457と通信可能に結合されたBLE回路456を含んでもよい。
【0028】
本明細書に記載されるように、薬剤送達デバイス20は、デバイス20の状態に関するデータ及び/又はある特定のイベント若しくは作用の発生に関するデータを生成するように構成され得る。例えば、薬剤送達デバイスの処理回路は、注射イベントがいつ開始及び/又は完了したかを判定するために、加速度計からの信号を分析してもよい。別の実施例として、処理回路は、注射イベントの開始前及び/又は開始中にユーザの皮膚との適切な接触を検証するために、皮膚接触センサからの信号を分析してもよい。いくつかの実施形態では、生成されたデータは外部デバイス450に提供されるので、外部デバイス450は、注射イベント活動及び/又は薬剤送達デバイスの状態を監視するために使用することができる。いくつかの実施形態では、デバイス20によって生成され、外部デバイス450に提供されるデータは、注射イベントの時刻、注射イベントから経過した時間、注射イベントの日付、薬剤送達デバイス内に格納された薬剤の温度、皮膚接触センサの状態、又は任意の他の好適なデータに関する情報を含んでもよく、本明細書に記載される技法の態様は、この点において限定されない。コンピューティングデバイス上のモバイルアプリケーションは、注射イベントの時刻及び/又は日付など、薬剤送達デバイスから受信されたデータ(例えば、注射イベント情報)をログ記録するために使用され得る。いくつかの実施形態では、これは、注射イベント情報が自動的かつ正確にログ記録されるので、ユーザが注射レジメンを遵守することに役立ち得る。
【0029】
図4の例示的な電気構成要素は、異なる実施形態においていくつかの方法で修正されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、センサ414、416、418、及び420のうちのいくつかは、省略されてもよい。センサ414、416、418、及び420に加えて、デバイス20内の様々な構成要素の移動又は位置を検出するための1つ以上のマイクロスイッチセンサ、周辺光の存在、不在、及び/若しくは強度を検出するための周辺光センサ、並びに/又はデバイス20内の様々な構成要素(例えば、プランジャ44)の移動又は位置を検出するための磁力計など、他のセンサが処理回路422に接続されてもよい。デバイス20はまた、いくつかの実施形態では、ユーザフィードバック432を省略してもよい。いくつかの実施形態では、BLE回路428及びBLEアンテナ430に加えて、又はその代替として、処理回路422は、RFID回路及び/若しくはRFIDアンテナ、又はNFC回路及び/若しくはNFCアンテナなど、他のタイプのワイヤレス通信回路を備えるか、又はそれに接続されてもよい。
【0030】
前に考察したように、処理回路422は、デバイス20のハウジング38上又はその内部の任意の場所に取り付けられてもよい。例えば、処理回路422は、デバイス20の遠位端の近くに、ボタン52内に、ボタン52を取り囲むように、又はボタン52のすぐ近位に取り付けられてもよい。処理回路は、ハウジング38のユーザ把持可能部分37の長さに沿った任意の場所に置かれてもよい。いくつかの実施形態では、処理回路422は、ハウジング38内に埋め込まれてもよい。他の実施形態では、処理回路422は、ハウジング38の外部に取り外し可能に又は恒久的に取り付けられてもよい。
【0031】
いくつかの実施形態では、処理回路422は、近位開口部40に隣接する外方に広がった端部分39において、デバイス20の近位端に隣接する下部本体支持部材29上に取り付けられてもよい。図5図6A及び図6Bは、1つのそのような実施形態を示しており、処理回路422は、下部本体支持部材29上に配設されたプリント回路基板(PCB)500上に取り付けられている。図5に示すように、下部本体支持部材29は、針34(図1図3に図示される)を取り囲む中空で実質的に円筒形の本体502を備える。円筒形本体502は、この実施形態では、三葉形状を有する近位プレート504上に取り付けられている。本体502及び504の両方は、剛性ポリマ又は金属など、任意の好適な剛性材料から形成されてもよい。本体502及び504は、別個に製造され、次いで、ねじ、接着剤、圧力嵌め、超音波溶接、又は他の好適な技法を含む、任意の好適な接合方法を使用して、ともに接合されてもよい。代替的に、本体502及び504は、単一モノリシック構成要素として製造されてもよい。PCB500は、近位プレート504の遠位表面に取り付けられ得る。PCB500は、プレート504の遠位表面の大部分を覆うように、近位プレート504と実質的に同様に成形され得る(例えば、この実施形態では、三葉プレートの形状をとる)。PCB500はまた、それを通して円筒形本体502を受容するように構成された管腔506を画定し得る。
【0032】
図6Aは、PCB500の遠位側の視野を図示し、図6Bは、PCB500の近位側の視野を図示している。示されるように、PCB500は、電池412から電力を受け取り、引き出すように構成される電池クリップ及び/又は接点412’を備え得る。PCB500は、本明細書に記載されるように、遠隔デバイス(例えば、デバイス450)とワイヤレス通信するように構成されたBLEアンテナ430を更に備え得る。PCB500は、本明細書に記載されるように、処理回路422、並びに温度センサ420及びユーザフィードバックデバイス432(図6A図6Bには図示せず)を更に備え得る。PCB500はまた、本明細書に記載されるように、エンドキャップ36がデバイス20の近位端に取り付けられているかどうかを検出するように構成されたエンドキャップスイッチ414を備え得る。いくつかの実施形態では、エンドキャップスイッチ414は、エンドキャップ36が取り付けられると、エンドキャップ36又はエンドキャップ36と接触する1つ以上の中間変形可能部材によって第1の状態に付勢される、物理的スイッチの形態をとり得る。エンドキャップ36が取り外されると、エンドキャップスイッチ414は、第2の状態に付勢され得る。エンドキャップスイッチ414は、第1の状態にあるか第2の状態にあるかに応じて、異なる電気信号を出力し得る。これらの信号は、エンドキャップ36が取り付けられているか否かを処理回路が判定することを可能にするために、処理回路422に提供され得る。
【0033】
PCB500の近位側は、本明細書に記載されるように、2つの静電容量タッチパッド418a及び418b(集合的に、418と称される)を更に備える。静電容量タッチパッド418は、測定された静電容量に基づいて、タッチパッド418が皮膚組織に接触して位置付けられているか、又は皮膚組織に近接して置かれているかを検出するように構成され得る。具体的には、そのような静電容量センサは、センサによって作り出される電界へのそのような組織の影響を検出することによって(例えば、センサによって監視又は測定されている回路の静電容量へのそのような組織の影響を検出することによって)、ヒト組織(例えば、皮膚組織)の近接を検出するように構成され得る。静電容量センサは、組織に直接接触する金属電気端子を必要としないため、保護非導電性カバー(例えば、プラスチックから作製された)の背後に部分的又は完全に封止され得る。
【0034】
PCB500の遠位側は、加速度計416を更に備える。加速度計416はまた、注射器アセンブリ22が駆動機構24によって格納位置から注射位置に駆動される分注イベントの開始によって引き起こされる衝撃又は加速度を検出し得る。加速度計416はまた、注射器アセンブリ22が後退機構26によって注射位置から後退位置に駆動される分注イベントの完了時に後退移動によって引き起こされる衝撃又は加速度を検出し得る。加速度計416は、処理回路が出力信号を分析することを可能にするために、1つ以上の電気接続を介して処理回路422に出力信号を送信し得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、処理回路422は、デバイス20のある特定の条件又は状態を判定するか、又はある特定のイベント又は作用の発生を検出するために、加速度計416から出力された信号を分析し得る。例えば、処理回路422は、加速度計416からの信号に基づいて、単独、又は他のセンサ(例えば、静電容量皮膚接触センサ418)からの信号と併せて、分注イベントが開始又は完了するときを判定するように構成され得る。分配イベントがいつ開始又は完了したかを判定するための方法は、2021年4月1日に公開されたAdamsらの米国特許出願公開第2021/0093784(A1)号明細書に更に詳細に記載されており、当該特許の各々の開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0036】
分注イベントが開始されると、駆動機構24が作動されて、注射器アセンブリ22を格納位置から注射位置に駆動する。この駆動運動は、加速度計416から出力される信号において検出され得る1つ以上の加速度を与える。例えば、駆動機構24が注射器アセンブリ22を格納位置から近位方向に駆動するときに駆動機構24によって与えられる押圧力は、加速度計416に、長手方向軸48に沿った遠位方向の加速度を検出させ得る。注射器アセンブリ22がこの駆動運動の終了時にその注射位置でその停止位置に当たると、注射器アセンブリ22の突然の停止が、加速度計416に、長手方向軸48に沿った近位方向の加速度を検出させ得る。この近位加速度又は遠位加速度のいずれか(又は両方)は、加速度計416に、処理回路422によって検出され得る第1の加速度スパイクを出力させ得る。この第1の加速度スパイクは、分注イベントの開始を示し得る。
【0037】
同様に、分注イベントが完了したとき、後退機構26が作動されて、注射器アセンブリ22を注射位置から後退位置に駆動する。この駆動運動は、1つ以上の加速度を与え、これも、加速度計416から出力される信号で検出され得る。例えば、後退機構26が注射器アセンブリ22を注射位置から遠位方向に駆動するときに後退機構26によって与えられる押圧力は、加速度計416に、長手方向軸48に沿った近位方向の加速度を検出させ得る。注射器アセンブリ22が後退位置に到達すると、注射器アセンブリ22の突然の停止が、加速度計416に、長手方向軸48に沿った遠位方向の加速度を検出させ得る。この近位加速度又は遠位加速度のいずれか(又は両方)は、加速度計416に、処理回路416によって検出され得る第2の加速度スパイクを出力させ得る。この第2の加速度スパイクは、分注イベントの完了を示し得る。本明細書に使用される際、「加速度スパイク」は、分注イベントの開始及び/又は完了を示す、加速度計又は振動センサ(例えば、圧電センサ)によって出力された加速度又は振動信号の任意のアーチファクトとして定義される。処理回路422が分注イベントの開始及び/又は完了を検出するとき(又はその後)、処理回路422は、注射イベント情報を外部デバイス450に送信し得る。本明細書で前に記載したように、そのような注射イベント情報は、注射イベントの時刻、注射イベントから経過した時間、注射イベントの日付、薬剤送達デバイス内に格納された薬剤の温度、皮膚接触センサの状態、又は任意の他の好適なデータを含み得る。
【0038】
デバイス20は、格納された薬剤の注射を、患者の左大腿部若しくは右腹部、左大腿部若しくは右大腿部、左大腿部若しくは右臀部、又は患者の左大上腕若しくは右上腕の下側など、患者の身体上の任意の好適な注射部位に送達するために使用され得る。しかしながら、患者の身体の生理機能に応じて、本発明者らは、いくつかの注射部位での注射が、他の注射部位よりも注射の時刻において少ない注射部位疼痛をもたらし得ることを認識している。また、患者の身体の生理機能に応じて、いくつかの注射部位は、例えば、注射部位におけるより低い炎症応答又は他の注射応答に起因して、他の注射部位よりも注射後の数分及び数時間でより少ない注射部位疼痛をもたらし得る。したがって、どの注射部位がより少ない疼痛をもたらし得るかに関するガイダンスをユーザ及び/又は患者に提供することが望ましい。
【0039】
本発明者らはまた、デバイス20上の静電容量タッチパッド418が、患者の身体上の異なる注射部位の生理機能に関するデータを収集するために使用され得ることを理解した。そのようなデータは、異なる注射部位における潜在的な注射から患者が経験すると予想される疼痛レベルに関する洞察をユーザに提供するために、デバイス20及び/又は外部デバイス450によって使用され得る。概して、より高い脂肪含有量を有する注射部位での注射は、より低い脂肪含有量を有する注射部位と比較して、注射の時刻並びに注射後の数分及び数時間の両方において、患者にとってより疼痛が少ないと予想される。更に、より多くの脂肪含有量を有する注射部位は、静電容量タッチパッド418によって測定されるときに、より少ない脂肪含有量を有する注射部位と比較して、より低い静電容量を有することが予想される。これは、より高い脂肪含有量を有する注射部位が、より低い脂肪含有量を有する注射部位と比較して、より低い含水量(したがって、より低い静電容量)を有すると予想されるためである。
【0040】
図7は、いくつかの実施形態による、静電容量センサによって収集された静電容量データを使用して、患者の身体上の注射部位を評価するための例示的論理700を提示している。ステップ702において、ユーザは、1つ以上の静電容量センサを患者の身体上の潜在的注射部位(例えば、右大腿部)と接触させて置くように指示される。例えば、これらの命令は、外部デバイス450のディスプレイ460を使用してユーザに提供されてもよい。ユーザにそのように指示するための例示的なプロセス/方法は、例えば、図8及び図10A図10Kにおいて、以下でより詳細に記載される。いくつかの実施形態では、これらの静電容量タッチパッドは、デバイス20などの注射デバイス上の静電容量タッチパッド418であってもよい。他の実施形態では、薬物送達デバイスに結合されているか否かにかかわらず、他のタイプの静電容量センサが使用されてもよい。
【0041】
ステップ704において、1つ以上の静電容量センサと通信する処理回路は、1つ以上の静電容量センサによって測定された潜在的注射部位における身体組織の静電容量を示す信号を受信し得る。この処理回路は、外部デバイス450におけるプロセッサ452であってもよいが、デバイス20における処理回路422であってもよい。
【0042】
ステップ706において、処理回路は、受信された信号に基づいて、潜在的注射部位における予期される注射から患者が経験するであろう予想疼痛レベルを判定する。概して、より低い静電容量は、より低い予想注射部位疼痛レベルと関連付けられ得るが、これは、より低い静電容量は、より少ない含水量を示し、このことは、注射部位におけるより多い脂肪含有量を示すからである。逆に、より高い静電容量は、より高い予想注射部位疼痛レベルと関連付けられ得る。疼痛レベルは、異なる方法で判定され得る。いくつかの実施形態では、疼痛レベルは、2つの疼痛レベル(例えば、「低」疼痛又は「高」疼痛)、3つの疼痛レベル(例えば、「低」疼痛、「中」疼痛、又は「高」疼痛)、又はより多くの疼痛レベル(任意の数の疼痛レベルが使用されてもよい)のうちの1つへの注射部位の分類であり得る。そのような実施形態では、疼痛レベルは、測定された静電容量を、各注射部位疼痛レベル間の静電容量境界を画定する1つ以上の事前にプログラムされた閾値と比較することによって判定され得る。いくつかの実施形態では、予想疼痛レベルは、数値スコア又はある範囲の値に沿った値であり得る。そのような実施形態では、予想疼痛レベルは、測定された静電容量を、平均的な人体上の異なる注射部位の予想静電容量値の範囲と比較することによって生成され得る、すなわち、判定された予想疼痛レベルは、測定された静電容量が予想範囲内のどこにあるかの指標を含み得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、判定された予想疼痛レベルは、後の分析又は提示のために、メモリ(例えば、ストレージ458又はメモリ426)に保存され得る。この判定された予想疼痛レベルはまた、記憶又は更なる分析のために、有線又はワイヤレスの通信リンクを介して他のデバイスに伝送され得る。例えば、生成された指標は、直接的に、又は1つ以上の任意の中間構成要素を介して、記憶又は分析のためにデスクトップ又はラップトップコンピュータに伝送されてもよく、かつ/又は記憶又は分析のためにネットワークを経由して遠隔サーバに伝送されてもよい。
【0044】
いくつかの実施形態では、判定された予想疼痛レベルはまた、任意選択的に、視認のためにユーザに提示されてもよい。例えば、ステップ708において、処理回路は、判定された予想疼痛レベルの指標を生成し、ユーザに提示する。この生成された指標は、デバイス20と統合された前に記載のユーザフィードバックデバイス432のうちのいずれかを使用して、ユーザに提示されてもよい。例示的な一実施形態として、デバイス20は、LEDのアレイを備えてもよく、アレイ内の各LEDは、異なる注射部位に対応する。生成された指標は、各注射部位に関連付けられた疼痛の予想レベルを示す、異なる色、強度、持続時間、及び/又はパターンでアレイ内の各LEDを点灯させることによって、ユーザに提示されてもよい。別の実施形態では、デバイス20は、単一の注射部位、例えば、デバイス20上の静電容量タッチパッド418によって直近に測定されたか、又は現在測定されている注射部位に関連付けられる予想疼痛レベルに応じて、異なる色、強度、持続時間、及び/又はパターンで点灯する単一のLEDを備えてもよい。代替的又は追加的に、デバイス20は、前述の生成された指標を含む、可聴メッセージをユーザに提供するための小型スピーカを設けてもよい。いくつかの実施形態では、代替的に、又は追加的に、この生成された指標は、外部デバイス450上のディスプレイ460を介してユーザに提示されてもよい。そのような生成された指標を外部デバイス450上に提示するための論理のいくつかの実施例が、図8及び図9に関連して以下に記載される。
【0045】
図8は、いくつかの実施形態による、静電容量データを収集し、かつ潜在的注射部位疼痛に関する洞察を生成するための例示的な論理800を図示している。説明を容易にするために、論理800は、デバイス20からの静電容量センサ418から受信されたデータに基づいて外部デバイス450によって実装されるものとして本明細書に記載されるものとする。しかしながら、デバイス20が、記載のデータ及びスクリーンショットをユーザに通信するのに好適なユーザインターフェース及び/又はユーザ入力デバイス(例えば、ディスプレイ及びボタン、又はタッチセンサ式ディスプレイ)を装備している実施形態では、論理800はまた、デバイス20上でのみ実装され得ることを理解されたい。いくつかの実施形態では、論理800のある特定の部分は外部デバイス450によって実装され得、一方、他の部分は、デバイス20上の処理回路422によって実装され得、それにより、デバイス450及びデバイス20は協働して論理800を実装する。
【0046】
ユーザが論理800を起動すると(例えば、外部デバイス450上でモバイルアプリケーションを起動することによって、又はそのようなモバイルアプリケーション内の機能を開始することによって)、外部デバイス450は、初期注射部位評価を提示することによって開始する(ステップ804)。この評価は、異なる潜在的注射部位について、注射時に患者が経験するであろうと予想される注射部位疼痛レベルを比較する初期ガイダンスを含み得る。例えば、この評価は、患者の身体上の異なる注射部位の予想注射部位疼痛のスコア、色、又は他の指標を含み得る。この評価はまた、患者の身体上の注射部位の、疼痛の最も大きいものから最も小さいものへ、又は疼痛の最も小さいものから最も大きいものへの順位付けを含み得る。
【0047】
ユーザが以前に論理800を起動したことがない場合、そのような初期ガイダンスは、患者集団の実験又は経験の結果によって通知される「平均的な」患者の事前にプログラムされたパラメータに基づき得るが、注射されている特定の患者について収集されたいかなる生理学的データに基づくものではない。ユーザが以前に論理800を起動したことがある場合、そのような初期ガイダンスは、代替的又は追加的に、注射されている特定の患者について以前に測定又は収集されたデータに基づき得る。いくつかの実施形態では、「平均的な」患者の事前にプログラムされたパラメータが提供されておらず、注射されるべき患者の以前に記録されたデータが利用可能ではない場合、ステップ804において提示される注射部位評価は、ヌル又は未入力の評価であり得る。
【0048】
図10Aは、ステップ804において提供される初期注射部位評価のための例示的スクリーンショットを提供する。図10Aは、画面の左側に人体の正面図を示し、右側に人体の背面図を示している。潜在的注射部位は、楕円を使用して図上で強調されている。この実施形態では、以下の注射部位が強調されている、すなわち、左腹部及び右腹部、左大腿部及び右大腿部、左臀部及び右臀部、並びに左上腕及び右上腕の下側である。この実施形態では、「平均的な」患者又は注射されている特定の患者のいずれについてもデータが利用可能でないので、データが利用可能でないことを示すために、全ての楕円が灰色に色付けされる。
【0049】
論理800は、ステップ806を継続し、外部デバイス450は、注射に進むか、又は追加の注射部位データを収集するかに関するユーザ入力を待つ。外部デバイス450が、「注射に進む」ことを示すユーザ入力を受信する場合、論理は、図9に関して考察される論理900に分岐する。外部デバイス450が、ユーザが追加の注射部位データを収集することを望むことを示すユーザ入力を受信する場合、論理800は、ステップ808に分岐する。
【0050】
ステップ808において、外部デバイス450は、ユーザがデータを収集したい患者の身体上の潜在的注射部位を示す入力をユーザから受信する。図10Bは、このステップの例示的なスクリーンショットを提供する。この例では、図10Aのスクリーンショットから、ユーザがボタン「最良の部位を見つけるのを手伝ってください」を押したときに、図10Bに到達し得る。図10Bにおいて、ユーザが論理900に分岐することを望む場合、ユーザは「注射に進む」を押してもよい。しかしながら、ユーザがステップ808に分岐することを所望する場合、ユーザは、図示された身体図上の示された注射部位のうちの1つにタッチすることによって、患者の身体上の潜在的注射部位を示してもよい。この実施形態では、ユーザは、患者の右大腿部に対応する注射部位を選択している。ユーザがその注射部位にタッチすると、身体図の右大腿部上の注射部位は、その注射部位が選択されたことを示すように外観を変化させる(記号「X」によって示されるように)。
【0051】
ステップ810において、外部デバイス450及びデバイス20は、静電容量データを収集し、選択された潜在的注射部位の疼痛指標を生成するように協働する。例えば、ユーザは、選択された注射部位(この例では、右大腿部)に対してデバイス20上の静電容量タッチパッド418を置いてもよい。デバイス20上の処理回路422は、図7に関連して前に記載したように、このタッチ中にタッチパッド418によって測定された静電容量値を読み取り、記録し、次いで、その記録された値を、疼痛の指標を生成するために、外部デバイス450に伝送し得る。必要に応じて、ユーザは、デバイス20が複数の記録された静電容量値を読み取り、記録し、外部デバイス450に伝送し得るように、デバイス20を選択された潜在的注射部位に数回持ち上げ、載置するように仕向けられ得、複数の読取値は、結果として生成される疼痛指標をより正確にし得る。複数の読取値が取得される場合、これらの読取値は、総静電容量読取値を生成するために平均化され得、総静電容量読取値は、今度は、その注射部位の総合的な疼痛指標を生成するために使用され得る。外部デバイス450が、選択された注射部位の疼痛指標を生成するのに十分な静電容量データを受信すると、選択された注射部位は、十分なデータが収集されたことを示すために、再び外観を変化させ得る(図10Cの右大腿部の暗色によって示されるように)。
【0052】
選択された注射部位の十分な静電容量データを収集した後、論理800は、ステップ806に分岐して戻り、ユーザには、注射に進むか、又は追加の注射部位データを収集するかの選択肢が再び提示される。図10Cにおいて、ユーザがボタン「注射に進むか?」を選択する場合、論理800は、図9の論理900に分岐する。しかしながら、ユーザが「タッチデータを継続するか?」を選択する場合、論理800は、分岐してステップ808に戻る。
【0053】
図10Cに図示の実施例では、ユーザは、「タッチデータを継続するか?」を選択しており、これにより、ユーザは、図10Dに図示される例示的スクリーンショットに導かれる(そして、論理800のステップ808に戻る)。ここで、ユーザには、注射部位が強調表示された人体の前面及び背面の図が再び提示される。しかしながら、今回は、右大腿部について既にデータが収集されているので、右大腿部の注射部位は、これが当てはまることを示すために他の注射部位とは異なって色付けされる。ユーザは、データを収集するために別の注射部位(この例では、左大腿部)を選択する。左大腿部を選択した後、ユーザは、静電容量データを収集するために、選択された注射部位(「X」記号によって示されるような左大腿部)に対してデバイス20上の静電容量パッド418を再び置く。左大腿部注射部位に関する十分なデータが収集されると、左大腿部注射部位は、図10Eに示されるように外観を変化させる。左大腿部のデータを収集した後、ユーザには、「注射に進むか?」(これは、ユーザを図9の論理900に導く)又は「タッチデータを継続するか?」(これは、ユーザを再びステップ808に導く)という選択肢が再び提示される。
【0054】
これにより、ユーザは、ユーザが全ての利用可能な注射部位についてデータを収集し終えるか、又はユーザが「注射に進む」を選択するまで、ステップ806、808、及び810を無期限に循環する。図10Fは、ユーザが8つ全ての図示された注射部位のデータを収集し終えた、例示的スクリーンショットを図示している。このスクリーンショットでは、全ての注射部位のデータが収集されているので、もはや「タッチデータを継続するか?」の選択肢はない。代わりに、ユーザには、「注射に進むか?」とラベル付けされたボタンを押す選択肢が提示される。
【0055】
ユーザが「注射に進む」ボタンを押すと、論理800は図9の論理900に分岐する。ステップ901において、外部デバイス450は、以前に収集された静電容量データに基づいて、ユーザの身体上の異なる注射部位の評価を提示する。このステップは、ステップ804において提示された評価と類似であってもよい。前に記載したように、この評価は、患者の身体上の異なる注射部位の予想注射部位疼痛のスコア、色、又は他の指標を含み得る。この評価はまた、患者の身体上の注射部位の、疼痛が最も大きいものから最も小さいものへ、又は最も小さいものから最も大きいものへの順位付けを含み得る。
【0056】
図10Gは、ステップ901において提供される注射部位評価の例示的スクリーンショットを提供する。図10Gは、図10Aと外観が類似しているが、身体上の各注射部位の静電容量データが収集されているので、各注射部位は、その部位の予想注射部位疼痛レベルを示す色で塗りつぶされている。この実施例では、より明るく色付けされた注射部位は、比較的低い注射部位疼痛を示すと予想され、中程度の灰色に色付けされた部位は、中程度の注射部位疼痛レベルを示すと予想され、濃い灰色又は黒色に色付けされた部位は、比較的高い注射部位疼痛レベルを示すと予想される。概して、予想注射部位疼痛を示すために任意の配色が使用され得る。予想注射部位疼痛レベルは、図7に関連して前に記載された技法のうちのいずれかを使用して、収集された静電容量データから生成され得る。
【0057】
ユーザが「注射に進む?」とラベル付けされたボタンを押す場合、論理900は、ステップ902に進み、外部デバイス450は、選択された注射部位を示すユーザ入力を受信する。図10Hは、外部デバイス450がこの入力をどのように受信し得るかを示す例示的スクリーンショットを提供する。ここで、ユーザは、正面/背面人体図上の表示された注射部位のうちの1つを押すように指示される。この実施例では、ユーザは、右腹部注射部位に触れている。外部デバイス450は、例えば、選択された部位に記号(図10Hに示されるようなプラス記号)を追加し、選択された部位の色、サイズ、重量、輪郭、若しくは他の視覚的態様を変化させることによって、及び/又はテキスト若しくは可聴確認を提供することによって、ユーザの選択された部位を確認するフィードバックを提供してもよい。いくつかの実施形態では、外部デバイス450はまた、選択された部位の外観を変更することによってではなく、全ての選択されていない部位の外観を変更することによって、ユーザの選択された部位を確認してもよい。この実施形態の一実施例が図10Iに示されており、選択された部位(右腹部)は変化しないままであるが、選択されていない部位は全て灰色表示されている。図10Iはまた、画面の上に、注射部位が選択されたことをユーザに確認するバナー又は通知を含んでいる。
【0058】
ステップ904において、外部デバイス450は、注射イベント又は分注イベントが発生したことを示す注射イベントデータを受信する。本明細書に記載されるように、この注射イベントデータは、ワイヤレスBLE通信リンク440を介して薬剤送達デバイス20から外部デバイス450に伝達され得る。前に記載したように、このデータは、注射イベントの時刻、注射イベントから経過した時間、注射イベントの日付、薬剤送達デバイス内に格納された薬剤の温度、皮膚接触センサの状態、又は任意の他の好適なデータに関する情報を含んでもよく、本明細書に記載される技法の態様は、この点において限定されない。外部デバイス450は、ステップ904において受信された注射イベントデータが、ステップ902において選択された注射部位に送達された注射に関連すると仮定する。
【0059】
ステップ906において、外部デバイス450は、注射の時刻において患者が実際に経験した注射疼痛レベルを示す入力を受信する。デバイス450は、ユーザからのこの入力を、ユーザに1つ又は一連の質問で促すことによって要請し得る。代替的に、ユーザは、デバイス450からのいかなる積極的な促しも伴わずに、そのような入力を提供してもよい。デバイス450によって受信された入力は、数値スコア、スライダ若しくはノブの操作、又は患者が実際に経験した疼痛レベルを示す複数のボタン若しくは選択肢のうちの1つの選択を含み得る。
【0060】
ステップ908において、外部デバイス450は、ステップ904において受信した注射イベントデータをメモリにログ記録する。ログはまた、ステップ904において受信された注射イベントデータに基づいて外部デバイス450によって計算されたが、注射イベントデータに含まれなかった、補足データを含んでもよい。例えば、注射イベントデータは、注射イベントから経過した時間量を、例えば、分又は秒単位で示すデータを含んでもよい。外部デバイス450は、外部デバイスに搭載されたデジタル時計を調べ、注射イベントデータに基づいて、注射が特定の時刻及び/又は日付(例えば、2021年6月15日の東部標準時午前11時01分)に行われたことを判定し、その判定された時刻をログエントリに含んでもよい。ログエントリはまた、注射イベントデータによって記述される注射イベントが、ステップ902において選択された注射部位に注射されたことを示してもよい。追加的に、又は代替的に、ログエントリはまた、ステップ906において受信された、注射の時刻において患者が実際に経験した注射疼痛レベルを示してもよい。概して、このステップにおいて、デバイス450は、ステップ904において受信された注射イベントデータを、ステップ902において選択された注射部位及び/又はステップ906において受信された注射部位疼痛データと関連付ける。この関連付けは、デバイス450のメモリに記憶された揮発性又は不揮発性の記録の形態をとり得る。いくつかの実施形態では、外部デバイス450は、注射イベント、選択された注射部位、及び/又は示された注射部位疼痛レベルが正常にログ記録されたことをユーザに通知する確認画面(例えば、図10Jに示されるような)を表示してもよい。
【0061】
ステップ910において、外部デバイス450は、1~3時間などの事前にプログラムされた期間の間待つ。本明細書で使用される場合、「事前にプログラムされた」とは、初期プログラミング後に値が変更され得ないことを意味しない。例えば、いくつかの実施形態では、事前にプログラムされた期間は、介護者又は患者などのユーザによって修正されてもよい。また、いくつかの実施形態では、外部デバイス450は、注射デバイスのタイプ、注射される薬剤、選択された注射部位、時刻、患者データ(例えば、患者の医療データ又は経歴データ)、患者選好など、異なる要因に応じて異なる事前にプログラムされた期間を自動的に適用してもよい。ステップ912において、外部デバイス450は、注射イベントを受信した注射部位において患者が経験した注射疼痛レベルを示す追加の入力を受信する。前述のように、デバイス450は、ユーザからのこの入力を、ユーザに1つ又は一連の質問で促すことによって要請し得る。デバイス450によって受信された入力は、数値スコア、スライダ若しくはノブの操作、又は患者が実際に経験した疼痛レベルを示す複数のボタン若しくは選択肢のうちの1つの選択を含み得る。このずれて行われるユーザ入力は、注射部位における患者の組織の任意の注射後反応によって引き起こされる疼痛レベルを示し得る。
【0062】
ステップ914において、外部デバイスは、ステップ908で保存された注射イベントログエントリを、ステップ912において提供された追加のユーザ入力で更新する。論理900は、ステップ914の後に終了する。
【0063】
論理900が終了すると、外部デバイス450は、前に記載したように、完了した注射イベントの時刻/日付、注射イベントを受けた注射部位、注射の時刻において患者によって報告された疼痛レベル、及び/又は注射の終了から1~3時間後に患者によって報告された疼痛レベルのログを保持し得る。患者が論理900を次に起動するとき(例えば、モバイルアプリケーションを起動することによって、又はそのようなモバイルアプリケーション内の機能を開始することによって)、このデータは、ステップ904に関連して前に記載された初期ガイダンスを更新又は補足するために使用され得る。患者が論理800及び900を使用して注射を行い、ログ記録することを継続すると、前述のログ内のデータは、患者が経験した注射部位疼痛に関するますます詳細かつ具体的なデータを提供し、この初期ガイダンスを生成するために使用され得る。このようにして、外部デバイス450の初期ガイダンスは、集団レベル平均に基づき得る(又はデバイス450は、デフォルトでガイダンスを全く提供しなくてもよい)が、患者が注射を行うために論理800及び900を使用することを継続するにつれて、デバイス450は、注射によるユーザの過去の経験から「学習」し、患者に特有の予想注射疼痛に関してますます調整されたガイダンスを提供する。
【0064】
例えば、ステップ804において提供される初期ガイダンスは、論理700及び900の実装中に静電容量データが収集された後に、ステップ901においてユーザに提供されるガイダンスと類似であってもよい。いくつかの実施形態では、ステップ901において提供されるガイダンスは、ステップ906及び914において患者によって以前に報告された疼痛レベルによって更に修正及び/又は補強されてもよい。外部デバイス450が、例えば、右腹部注射部位の静電容量データに基づいて第1の疼痛レベルを予測したが、注射の時刻(又は注射の1~3時間後)に異なる疼痛レベルを実際に経験したことを報告した場合、右腹部の予想疼痛レベルは、実際に経験した疼痛を反映するように変化し得る。
【0065】
注射の時刻及び/又は注射の1~3時間後のいずれかにおいて、患者報告の注射部位疼痛の記録によって捕捉されたデータはまた、他の方法で使用されてもよい。例えば、患者報告の注射部位疼痛は、患者の疼痛耐性を特徴付けるために使用されてもよい。患者が比較的低い注射部位疼痛を報告する場合(注射の時刻又は注射後のある時刻のいずれかで、及び潜在的に複数回の注射にわたって)、患者は、比較的高い疼痛耐性を有すると分類され得る。逆に、患者が比較的高い注射部位疼痛を報告する場合(注射の時刻又は注射後のある時刻のいずれかで、及び潜在的に複数回の注射にわたって)、患者は、比較的低い疼痛耐性を有すると分類され得る。これは、患者に介護を助言又は提供する医療提供者にとって重要な洞察であり得る。いくつかの場合では、異なる患者が自分の注射部位疼痛をどのように報告するかのばらつきをより良好に制御するために、患者によって報告された疼痛スコアのばらつきを、異なる注射部位で測定された静電容量のばらつきと比較して、患者を比較的高い又は比較的低い疼痛耐性を有するものとして分類してもよい。この実施形態では、高い疼痛耐性を有する患者は、患者の身体上の異なる注射部位が大きな測定静電容量差を示す場合であっても、互いにあまり大きく変わらない(例えば、一様に低い)疼痛スコアを報告することが予想され得る。逆に、低い疼痛耐性を有する患者は、特に患者の身体上の異なる注射部位が大きな測定静電容量差を示す場合、有意により高い分散(例えば、低から高までの範囲)を有する疼痛スコアを報告することが予想され得る。更に他の場合では、非常に低い疼痛耐性を有する患者は、低い分散を有するが、一様に高い疼痛スコアを報告することが予想され得る。こうして、患者によって報告される疼痛スコアのばらつきもまた、単独で又は絶対スコア値と組み合わせて使用してのいずれかで使用され、患者を比較的高い又は比較的低い疼痛耐性を有するものとして分類し得る。
【0066】
代替的に、又は追加的に、注射の時刻及び/又は注射の1~3時間後のいずれかにおいて、患者報告の注射部位疼痛の記録によって捕捉されたデータは、異なる薬物製品によって引き起こされた疼痛、薬物製品の異なる処方によって引き起こされた疼痛、又は更に同じ薬物製品の異なるバッチによって引き起こされた疼痛を比較するために使用されてもよい。例えば、主観的に経験され、自己報告された第1の組の疼痛スコアは、第1の薬物タイプ(又は第1の薬物製剤、又は第1の薬物バッチ)を自己投与した患者の集団から収集されてもよく、第2の組の疼痛スコアは、第2の薬物(又は第2の薬物製剤、又は第2の薬物バッチ)を自己投与した患者の類似の(又は同じ)集団から収集されてもよい。主観的に経験され、自己報告された第1の組の疼痛スコア及び第2の組の疼痛スコアは、どの薬物(又は薬物製剤、又は薬物バッチ)がより大きい又はより小さい注射部位疼痛をもたらしたかに関する洞察を導出するために比較されてもよい。異なる薬物バッチが互いに比較される場合、バッチは、複数の方法のうちのいずれかにおいて互いに異なり得る。例えば、バッチは、異なる方法で製造される場合があり、又は異なる方法で格納され、製造され、若しくは取り扱われる場合があり、異なる条件(例えば、温度変化)及び他の差異に曝される場合がある。注射部位疼痛から主観的に経験され、報告された疼痛スコアを収集するための図9に提示される方法は、注射部位疼痛が前述の次元のうちのいずれかにわたってどのように異なるかに関する洞察を導出するために使用されてもよい。
【0067】
いくつかの実施形態では、予想注射部位疼痛についてのガイダンスを提供することに加えて、又はその代替として、外部デバイス450は、異なる注射部位に注射される薬剤の薬学的有効性の予想されるレベルに関するガイダンスを提供してもよい。本発明者らは、同じタイプ及び量の注射される薬剤が、注射部位に基づいて異なるレベルの薬物動態学的/薬力学的(pharmacokinetic/pharmacodynamic、PK/PD)有効性(本明細書では薬学的有効性とも称される)をもたらし得ることを理解している。例えば、腹部に薬剤を注射することは、同じ薬剤を大腿部又は上腕に注射することと比較して、より大きい又はより小さいPK/PD有効性をもたらし得る。PK/PD有効性が注射部位によって異なる状況はまた、注射される薬物のタイプに応じて変化し得る。例えば、1つのタイプの薬物は、腹部に注射されるときにより大きなPK/PD有効性を示し得るが、別のタイプの薬物は、大腿部に注射されるときにより大きなPK/PD有効性を示し得る。PK/PD有効性が特定のタイプの薬物について注射部位によって異なる状況は、臨床試験において実験的に観察され得る。したがって、外部デバイス450が、どの注射部位がより大きなPK/PD有効性を提供し得るかに関するガイダンスを提供及び/又は統合することも望ましいであろう。
【0068】
図10Kは、(i)各部位に注射される薬剤の予想PK/PD有効性レベル、及び(ii)各部位に関連付けられた予想注射疼痛レベルの両方に基づいて、異なる注射部位の総合的な好適性を提示する例示的なスクリーンショットを提示している。より明るく色付けされた部位は、より好適な注射部位を示し、より暗く色付けされた部位は、あまり好適でない注射部位を示す。この実施形態では、各部位のPK/PD有効性は、臨床試験で収集され、外部デバイス450に事前にプログラムされた特定のタイプの薬物に関する実験データに基づいてもよい。例えば、特定のタイプの薬剤について、腹部に注射される薬剤が高いPK/PD効果を示すこと、上腕又は臀部に注射される薬剤が中程度のPK/PD効果を示すこと、及び大腿部に注射される薬剤が低いPK/PD効果を示すことを臨床試験が確立した場合、このデータは外部デバイス450に事前にプログラムされてもよい。図10K上の異なる注射部位の網掛けは、PK/PD有効性と予想注射部位疼痛との重み付けされた組み合わせに基づき得る。PK/PD有効性と予想注射部位疼痛との間の重み付けは、事前にプログラムされたかつ/又は構成可能なパラメータであり得る。
【0069】
この実施形態では、ユーザが図10Kの下部のボタン「PK/PDを除外する」を押す場合、図10Kの網掛けは、PK/PD有効性データを除外することによって変化してもよく、代わりに、予想注射疼痛データのみを提示してもよい。ユーザが「疼痛を除外する」ボタンを押す場合、図10Kの網掛けは、注射疼痛データを除外することによって変化してもよく、代わりに、PK/PD有効性データのみを提示してもよい。更に他の実施形態では、図10Kのスクリーンショットは、PK/PD有効性と予想注射部位疼痛とを組み合わせるために使用される重み付けを調整する選択肢をユーザに提供するように更に修正されてもよい。
【0070】
論理700、800、及び900は、薬物送達デバイス20が外部デバイス450とワイヤレス通信する実施形態に関して上に記載されているが、上に記載の論理は、薬物送達デバイス20単独で実装されるように修正されてもよい。前に記載したように、薬物送達デバイス20は、1つ以上のインジケータライト、ディスプレイ、触覚インジケータ、及び/又は聴覚フィードバックを提供するためのスピーカなど、ユーザフィードバックを提供するためのデバイス432を装備してもよい。いくつかの代替的な実施形態では、薬物送達デバイス20は、図10A図10Kに関して前に考察したものと類似のスクリーンショットを表示するディスプレイ画面を組み込んでもよい。他の実施形態では、前述の疼痛及び/又は好適性/望ましさの指標は、1つ以上の発光ダイオード(light emitting diode、LED)を使用して送達されてもよい。例えば、デバイス20は、複数のLEDを設けてもよく、各LEDは、ユーザの身体上の異なる注射部位に対応する。各注射部位の静電容量データが収集されるにつれて、及び/又は各注射部位に関連付けられた患者報告の経験が収集されるにつれて、デバイス20上の各注射部位に対応するLEDは、本明細書に記載されるように、予想されるPK/PD有効性及び/又は疼痛に基づいて、予想疼痛レベルのレベル、及び/又は各注射部位の好適性/望ましさのレベルを示すように色を変化させてもよい。他の実施形態では、デバイス20は、静電容量センサによって収集された静電容量データに応じて色を変化させる単一のLEDを設けてもよい。そのような実施形態では、デバイス20は、一度に1つの疼痛レベルのみを提供し得る。更に他の実施形態では、デバイス20は、可聴メッセージをユーザに提供し、前述の疼痛及び/又は好適性/望ましさの指標を提供するための小型スピーカを設けてもよい。前述の指標を提供するための本明細書に記載される実施形態の全ては、排他的ではなく、これらの実施形態のうちのいずれか又は全てがともに使用されてもよい。例えば、デバイス20は、外部デバイス450と通信するとともに、1つ以上のLEDを介して指標を提供するように構成されてもよい。
【0071】
「第1の」、「第2の」、「第3の」という用語などは、本明細書において使用されているか、特許請求の範囲において使用されているかにかかわらず、類似する要素を区別するために提供され、必ずしも順番又は時系列的順序を記載するためのものではない。そのように使用される用語は、適切な環境下で入れ替え可能であり(特に明確に開示されていない限り)、本明細書に記載の開示の実施形態は、本明細書に記載又は図示されているもの以外の他の順序及び/又は構成で動作可能であることを理解されたい。
【0072】
本発明は例示的な設計を有するものとして記載されてきたが、本発明は、本開示の趣旨及び範囲内で更に修正することができる。したがって、本出願は、本発明の一般的原理を用いた本発明の任意の変形、使用、又は適応を網羅することが意図される。更に、本出願は、本発明が関係する技術分野における既知の又は慣習的な実施内にある、本開示からのかかる逸脱を包含することが意図されている。
【0073】
以下の態様が挙げられるがそれらに限定されない、様々な態様が、本開示に記載されている。
1.患者の身体上の注射部位を評価するための方法であって、本方法は、患者の身体上の潜在的注射部位に位置決めされた1つ以上の静電容量センサと通信する処理回路において、1つ以上の静電容量センサによって測定された潜在的注射部位における身体組織の静電容量を示す信号を受信することと、受信された信号に基づいて処理回路によって、潜在的注射部位における予期される注射から患者が経験するであろう予想疼痛レベルを判定することと、を含む、方法。
2.1つ以上の静電容量センサは、薬物を含む薬物送達デバイス上に配設され、処理回路は、薬物送達デバイスとワイヤレス通信するモバイルデバイスに配設されている、態様1に記載の方法。
3.処理回路によって、発光ダイオード(LED)からの視覚指標、ディスプレイ画面上の視覚指標、可聴指標、及び触覚指標のうちの少なくとも1つを介して、判定された予想疼痛レベルの指標をユーザに提示することを更に含む、態様1又は2に記載の方法。
4.指標は、ディスプレイ画面上の人体の少なくとも一部分の色分けされた図を含む、態様3に記載の方法。
5.処理回路によって、(i)判定された予想疼痛レベルと、(ii)潜在的注射部位における予期される注射から患者が経験するであろう事前にプログラムされた予想薬学的効果レベルとの両方に基づいて、潜在的注射部位の総合的な好適性の指標を生成することを更に含む、態様1~4のいずれか1つに記載の方法。
6.処理回路において、潜在的注射部位における実際の注射の時刻において患者が実際に経験した疼痛レベル、及び実際の注射の時刻後の事前にプログラムされた時刻において患者が実際に経験した疼痛レベルのうちの少なくとも一方を示す、患者からのユーザ入力を受信することを更に含む、態様1~5のいずれか1つに記載の方法。
7.事前にプログラムされた時刻は、実際の注射後1時間以上であり、実際の注射後3時間以下である、態様6に記載の方法。
8.以前に受信されたユーザ入力に基づいて、判定された予想疼痛レベルを修正するステップを更に含む、態様6又は7に記載の方法。
9.潜在的注射部位は、第1の潜在的注射部位であり、本方法は、処理回路において、1つ以上の静電容量センサによって測定された患者の身体の第2の潜在的注射部位における身体組織の静電容量を示す信号を受信することと、を更に含み、提示された指標は、第1の潜在的注射部位における予期される注射から患者が経験するであろう予想疼痛レベルが、第2の潜在的注射部位における予期される注射から患者が経験するであろう予想疼痛レベルよりも大きいと予想されるか又は小さいと予想されるかどうかの指標を含む、態様3に記載の方法。
10.生成された指標に基づいて、第1の潜在的注射部位及び第2の潜在的注射部位のうちの一方に薬剤を注射することを更に含む、態様9に記載の方法。
11.患者の身体上の注射部位を評価するための処理デバイスであって、本デバイスは、命令を記憶しているメモリと、1つ以上の静電容量センサからデータを受信するように構成された通信インターフェースと、処理回路と、を備え、処理回路は、命令を実行して、通信インターフェースを介して1つ以上の静電容量センサから、1つ以上の静電容量センサによって測定された患者の身体の潜在的注射部位における身体組織の静電容量を示すデータを受信し、静電容量を示す受信されたデータをメモリに記憶し、かつ静電容量を示す受信されたデータに基づいて、潜在的注射部位における予期される注射から患者が経験するであろう予想疼痛レベルを判定するように構成されている、処理デバイス。
12.測定デバイスは、薬物を含む薬物送達デバイスである、態様11に記載の処理デバイス。
13.ディスプレイ画面を更に備え、処理回路は、ディスプレイ画面を介して、判定された予想疼痛レベルの指標をユーザに提示するように更に構成されている、態様11又は12に記載の処理デバイス。
14.指標は、人体の少なくとも一部分の色分けされた図を含む、態様13に記載の処理デバイス。
15.処理回路は、(i)判定された予想疼痛レベルと、(ii)潜在的注射部位における予期される注射から患者が経験するであろう事前にプログラムされた予想薬学的効果レベルとの両方に基づいて、潜在的注射部位の総合的な好適性の指標を生成するように更に構成されている、態様11~14のいずれか1つに記載の処理デバイス。
16.処理回路は、潜在的注射部位における実際の注射の時刻において患者が実際に経験した疼痛レベル、及び実際の注射の時刻後の事前にプログラムされた時刻において患者が実際に経験した疼痛レベルのうちの少なくとも一方を示す、患者からのユーザ入力を要請及び受信するように更に構成されている、態様11~15のいずれか1つに記載の処理デバイス。
17.事前にプログラムされた時刻は、実際の注射後1時間以上であり、かつ実際の注射後3時間以下である、態様16に記載の処理デバイス。
18.処理回路は、以前に受信されたユーザ入力に基づいて、判定された予想疼痛レベルを修正するように更に構成されている、態様16又は17に記載の処理デバイス。
19.潜在的注射部位は、第1の潜在的注射部位であり、処理回路は、1つ以上の静電容量センサによって測定された第2の潜在的注射部位における身体組織の静電容量を示すデータを受信するように更に構成され、提示された指標は、第1の潜在的注射部位における予期される注射から患者が経験するであろう予想疼痛レベルが、第2の潜在的注射部位における予期される注射から患者が経験するであろう予想疼痛レベルよりも大きいと予想されるか又は小さいと予想されるかどうかの指標を含む、態様13に記載の処理デバイス。
20.患者の身体上の注射部位を評価するためのシステムであって、本システムは、注射デバイスであって、注射を介して患者に薬剤を送達するための針と、1つ以上の静電容量センサと、ワイヤレス送信機と、を備える、注射デバイスと、外部デバイスと、を備え、外部デバイスは、命令を記憶しているメモリと、注射デバイスのワイヤレス送信機からデータを受信するように構成された通信インターフェースと、処理回路と、を備え、処理回路は、命令を実行して、通信インターフェースを介して、注射デバイスから、1つ以上の静電容量センサによって測定された患者の身体上の潜在的注射部位における身体組織の静電容量を示すデータを受信し、静電容量を示す受信されたデータをメモリに記憶し、かつ静電容量を示す受信されたデータに基づいて、潜在的注射部位における注射デバイスによる予期される注射から患者が経験するであろう予想疼痛レベルを判定するように構成されている、システム。
21.外部デバイスは、ディスプレイ画面を更に備え、処理回路は、ディスプレイ画面を介して、判定された予想疼痛レベルの指標をユーザに提示するように更に構成されている、態様20に記載のシステム。
22.処理回路は、通信インターフェースを介して、注射デバイスから、実際に送達された注射と実際に送達された注射に関連付けられた実際の注射部位とを示すデータを受信し、かつ実際の注射部位を、実際に送達された注射のログエントリに関連付けるように更に構成されており、ログエントリは、実際に送達された注射に関連付けられた時刻及び日付のうちの少なくとも一方を含む、態様20又は21に記載のシステム。
23.処理回路は、実際の注射部位における実際に送達された注射の時刻において患者が実際に経験した疼痛レベル、及び実際の注射の時刻の後の事前にプログラムされた時刻において患者が実際に経験した疼痛レベルのうちの少なくとも一方を示す、患者からのユーザ入力を要請及び受信し、かつ受信されたユーザ入力を、実際に送達された注射のログエントリに関連付けるように更に構成されている、態様22のシステム。
24.処理回路は、以前に受信されたユーザ入力に基づいて、判定された予想疼痛レベルを修正するように更に構成されている、態様23に記載のシステム。
25.注射デバイスは、薬剤を保持するリザーバを更に備える、態様20~24のいずれか1つに記載のシステム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図10F
図10G
図10H
図10I
図10J
図10K
【手続補正書】
【提出日】2024-01-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の身体上の注射部位を評価するための方法であって、前記方法は、
前記患者の前記身体上の潜在的注射部位に位置決めされた1つ以上の静電容量センサと通信する処理回路において、前記1つ以上の静電容量センサによって測定された前記潜在的注射部位における身体組織の静電容量を示す信号を受信することと、
受信された前記信号に基づいて前記処理回路によって、前記潜在的注射部位における予期される注射から前記患者が経験するであろう予想疼痛レベルを判定することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記1つ以上の静電容量センサは、薬物を含む薬物送達デバイス上に配設されており、前記処理回路は、前記薬物送達デバイスとワイヤレス通信するモバイルデバイスに配設されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記処理回路によって、発光ダイオード(LED)からの視覚的指標、ディスプレイ画面上の視覚的指標、可聴指標、及び触覚的指標のうちの少なくとも1つを介して、判定された前記予想疼痛レベルの指標をユーザに提示することを更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記指標は、前記ディスプレイ画面上の人体の少なくとも一部分の色分けされた図を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記処理回路によって、(i)前記判定された予想疼痛レベルと、(ii)前記潜在的注射部位における前記予期される注射から前記患者が経験するであろう事前にプログラムされた予想薬学的効果レベルとの両方に基づいて、前記潜在的注射部位の総合的な好適性の指標を生成することを更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
前記処理回路において、前記潜在的注射部位における実際の注射の時刻において前記患者が実際に経験した疼痛レベル、及び前記実際の注射の前記時刻後の事前にプログラムされた時刻において前記患者が実際に経験した疼痛レベルのうちの少なくとも一方を示す、前記患者からのユーザ入力を受信することを更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項7】
前記事前にプログラムされた時刻は、前記実際の注射後1時間以上であり、かつ前記実際の注射後3時間以下である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
以前に受信されたユーザ入力に基づいて、前記判定された予想疼痛レベルを修正することを更に含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記潜在的注射部位は、第1の潜在的注射部位であり、前記方法は、
前記処理回路において、前記1つ以上の静電容量センサによって測定された前記患者の前記身体上の第2の潜在的注射部位における身体組織の静電容量を示す信号を受信することを更に含み、
提示された前記指標は、前記第1の潜在的注射部位における前記予期される注射から前記患者が経験するであろう前記予想疼痛レベルが、前記第2の潜在的注射部位における予期される注射から前記患者が経験するであろう予想疼痛レベルよりも大きいと予想されるか又は小さいと予想されるかどうかの指標を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項10】
前記提示された指標に基づいて、前記第1の潜在的注射部位及び前記第2の潜在的注射部位のうちの一方に薬剤を注射することを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
患者の身体上の注射部位を評価するための処理デバイスであって、前記処理デバイスは、
命令を記憶しているメモリと、
1つ以上の静電容量センサからデータを受信するように構成された通信インターフェースと、
処理回路と、を備え、前記処理回路は、前記命令を実行して、
前記通信インターフェースを介して前記1つ以上の静電容量センサから、前記1つ以上の静電容量センサによって測定された前記患者の前記身体上の潜在的注射部位における身体組織の静電容量を示すデータを受信し、
前記静電容量を示す受信された前記データを前記メモリに記憶し、かつ
前記静電容量を示す前記受信されたデータに基づいて、前記潜在的注射部位における予期される注射から前記患者が経験するであろう予想疼痛レベルを判定するように構成されている、処理デバイス。
【請求項12】
前記1つ以上の静電容量センサは、薬物を含む薬物送達デバイス上に配設されている、請求項11に記載の処理デバイス。
【請求項13】
ディスプレイ画面を更に備え、前記処理回路は、前記ディスプレイ画面を介して、判定された前記予想疼痛レベルの指標をユーザに提示するように更に構成されている、請求項11又は12に記載の処理デバイス。
【請求項14】
前記指標は、人体の少なくとも一部分の色分けされた図を含む、請求項13に記載の処理デバイス。
【請求項15】
前記処理回路は、(i)前記判定された予想疼痛レベルと、(ii)前記潜在的注射部位における前記予期される注射から前記患者が経験するであろう事前にプログラムされた予想薬学的効果レベルとの両方に基づいて、前記潜在的注射部位の総合的な好適性の指標を生成するように更に構成されている、請求項11又は12に記載の処理デバイス。
【請求項16】
前記処理回路は、前記潜在的注射部位における実際の注射の時刻において前記患者が実際に経験した疼痛レベル、及び前記実際の注射の前記時刻後の事前にプログラムされた時刻において前記患者が実際に経験した疼痛レベルのうちの少なくとも一方を示す、前記患者からのユーザ入力を要請及び受信するように更に構成されている、請求項11又は12に記載の処理デバイス。
【請求項17】
前記事前にプログラムされた時刻は、前記実際の注射後1時間以上であり、かつ前記実際の注射後3時間以下である、請求項16に記載の処理デバイス。
【請求項18】
前記処理回路は、以前に受信されたユーザ入力に基づいて、前記判定された予想疼痛レベルを修正するように更に構成されている、請求項16に記載の処理デバイス。
【請求項19】
前記潜在的注射部位は、第1の潜在的注射部位であり、
前記処理回路は、前記1つ以上の静電容量センサによって測定された第2の潜在的注射部位における身体組織の静電容量を示すデータを受信するように更に構成されており、
提示された前記指標は、前記第1の潜在的注射部位における前記予期される注射から前記患者が経験するであろう前記予想疼痛レベルが、前記第2の潜在的注射部位における予期される注射から前記患者が経験するであろう予想疼痛レベルよりも大きいと予想されるか又は小さいと予想されるかどうかの指標を含む、請求項13に記載の処理デバイス。
【請求項20】
患者の身体上の注射部位を評価するためのシステムであって、前記システムは、
注射デバイスであって、
注射を介して前記患者に薬剤を送達するための針と、
1つ以上の静電容量センサと、
ワイヤレス送信機と、を備える、注射デバイスと、
外部デバイスと、を備え、前記外部デバイスは、
命令を記憶しているメモリと、
前記注射デバイスの前記ワイヤレス送信機からデータを受信するように構成された通信インターフェースと、
処理回路と、を備え、前記処理回路は、前記命令を実行して、
前記通信インターフェースを介して、前記注射デバイスから、前記1つ以上の静電容量センサによって測定された前記患者の前記身体上の潜在的注射部位における身体組織の静電容量を示すデータを受信し、
前記静電容量を示す受信された前記データをメモリに記憶し、かつ
前記静電容量を示す前記受信されたデータに基づいて、前記潜在的注射部位における前記注射デバイスによる予期される注射から前記患者が経験するであろう予想疼痛レベルを判定するように構成されている、システム。
【請求項21】
前記外部デバイスは、ディスプレイ画面を更に備え、前記処理回路は、前記ディスプレイ画面を介して、判定された前記予想疼痛レベルの指標をユーザに提示するように更に構成されている、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記処理回路は、
前記通信インターフェースを介して、前記注射デバイスから、実際に送達された注射と前記実際に送達された注射に関連付けられた実際の注射部位とを示すデータを受信し、かつ
前記実際の注射部位を、前記実際に送達された注射のログエントリに関連付けるように更に構成されており、前記ログエントリは、前記実際に送達された注射に関連付けられた時刻及び日付のうちの少なくとも一方を含む、請求項20又は21に記載のシステム。
【請求項23】
前記処理回路は、
前記実際の注射部位における前記実際に送達された注射の時刻において前記患者が実際に経験した疼痛レベル、及び実際の注射の前記時刻後の事前にプログラムされた時刻において前記患者が実際に経験した疼痛レベルのうちの少なくとも一方を示す、前記患者からのユーザ入力を要請及び受信し、かつ
受信された前記ユーザ入力を、前記実際に送達された注射の前記ログエントリに関連付けるように更に構成されている、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記処理回路は、以前に受信されたユーザ入力に基づいて、前記判定された予想疼痛レベルを修正するように更に構成されている、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記注射デバイスは、前記薬剤を保持するリザーバを更に備える、請求項20又は21に記載のシステム。
【国際調査報告】