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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-25
(54)【発明の名称】治療用ムテイン
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/26 20060101AFI20240718BHJP
   C07K 14/55 20060101ALI20240718BHJP
   C12N 15/19 20060101ALI20240718BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20240718BHJP
   C07K 14/52 20060101ALI20240718BHJP
   C07K 14/54 20060101ALI20240718BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20240718BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20240718BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20240718BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240718BHJP
   C12N 5/0783 20100101ALI20240718BHJP
   C12N 15/24 20060101ALI20240718BHJP
   C07K 16/00 20060101ALI20240718BHJP
   C07K 16/30 20060101ALI20240718BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240718BHJP
   C12P 21/00 20060101ALI20240718BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240718BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20240718BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20240718BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240718BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240718BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240718BHJP
   A61K 39/39 20060101ALI20240718BHJP
   A61K 38/20 20060101ALI20240718BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20240718BHJP
   A61K 47/60 20170101ALI20240718BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20240718BHJP
   A61K 31/56 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
C12N15/26
C07K14/55 ZNA
C12N15/19
C07K19/00
C07K14/52
C07K14/54
C07K16/28
C12N15/13
C12N15/62 Z
C12N15/63 Z
C12N5/0783
C12N15/24
C07K16/00
C07K16/30
C12N5/10
C12P21/00 K
A61P35/00
A61P31/00
A61P37/04
A61P43/00 121
A61K48/00
A61K39/395 E
A61K39/395 T
A61K39/39
A61K38/20
A61K47/68
A61K39/395 U
A61K39/395 G
A61K47/60
A61K39/395 Y
A61K39/395 W
A61K35/17
A61K39/395 C
A61K39/395 L
A61K31/56
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503765
(86)(22)【出願日】2022-07-21
(85)【翻訳文提出日】2024-03-01
(86)【国際出願番号】 EP2022070548
(87)【国際公開番号】W WO2023001987
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】2110547.3
(32)【優先日】2021-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2203600
(32)【優先日】2022-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】510162322
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ ダンディー
(71)【出願人】
【識別番号】522359811
【氏名又は名称】サントル オスピタリエ ルジョナル ユニヴェルシテール ドゥ リール
【氏名又は名称原語表記】CENTRE HOSPITALIER REGIONAL UNIVERSITAIRE DE LILLE
(71)【出願人】
【識別番号】518338518
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ・ドゥ・リール
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE DE LILLE
(71)【出願人】
【識別番号】517007264
【氏名又は名称】アンセルム(アンスティチュ ナショナル ドゥ ラ サンテ エ ドゥ ラ ルシェルシュ メディカル)
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100195556
【弁理士】
【氏名又は名称】柿沼 公二
(72)【発明者】
【氏名】イグナシオ モラガ ゴンザレス
(72)【発明者】
【氏名】スーマン ミトラ
(72)【発明者】
【氏名】シルヴィア ガジェロ
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C076
4C084
4C085
4C086
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG02
4B064AG03
4B064AG05
4B064AG27
4B064CA10
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA01
4B065AA93Y
4B065AA94X
4B065AA94Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA25
4B065CA44
4C076AA94
4C076AA95
4C076BB11
4C076CC07
4C076CC27
4C076CC31
4C076CC41
4C076EE59
4C076EE59M
4C076EE59Q
4C076FF31
4C076FF63
4C084AA02
4C084AA07
4C084AA13
4C084BA44
4C084CA53
4C084DA14
4C084MA02
4C084NA03
4C084NA05
4C084NA12
4C084NA13
4C084NA14
4C084ZB021
4C084ZB091
4C084ZB261
4C084ZC751
4C085AA13
4C085AA14
4C085AA25
4C085AA26
4C085AA33
4C085AA38
4C085BB01
4C085BB11
4C085BB12
4C085BB31
4C085BB42
4C085BB50
4C085CC03
4C085CC31
4C085DD62
4C085EE01
4C085EE03
4C085EE06
4C085FF13
4C085GG06
4C086AA01
4C086DA08
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086ZB02
4C086ZB09
4C086ZB26
4C086ZC75
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BB37
4C087CA04
4C087NA05
4C087NA13
4C087ZB02
4C087ZB09
4C087ZB26
4C087ZB31
4C087ZC75
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045BA57
4H045CA40
4H045DA01
4H045DA02
4H045DA04
4H045DA76
4H045EA22
4H045EA28
4H045FA74
(57)【要約】
野生型に対して、1つ以上のアミノ酸改変を含む改変サイトカインが開示される。これらの改変サイトカインは、野生型サイトカインの活性と比較して、酸性pHで活性の向上を示し、中性pHではしばしば活性の低下を示す。本開示の改変サイトカインは、医薬として、ならびに/または免疫学的状態もしくはがんの治療および/もしくは予防に使用するものである。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐pH IL-2ムテインであって、該ムテインのアミノ酸配列が、野生型IL-2配列に対して1つ以上のアミノ酸改変を含む、ムテイン。
【請求項2】
前記IL-2ムテインが、酸性pHにおいてより高い親和性でIL-2Rαに結合する、請求項1に記載のIL-2ムテイン。
【請求項3】
前記IL-2ムテインが、約4.0~約7、好ましくは約5~約6.5のpHから選択されるpHにおいて、pH約7.2~約7.5から選択されるpHよりも高い親和性でIL-2Rαに結合する、請求項1または2に記載のIL-2ムテイン。
【請求項4】
前記IL-2ムテインが、
(i)pH約7.2~約7.5において、野生型IL-2分子と比較して低い親和性でIL-2受容体もしくはIL-2Rαに、および/または
(ii)pH約4.0~約7.0、好ましくは約5~約6.5のpHから選択されるpHにおいて、野生型IL-2分子と比較して高い親和性でIL-2受容体もしくはIL-2Rαに
結合する、請求項1~3のいずれか1項に記載のIL-2ムテイン。
【請求項5】
前記IL-2ムテインが、pH7.2よりもpH6.5においてより強力なSTAT5の活性化を誘発する、請求項1~3のいずれか1項に記載のIL-2ムテイン。
【請求項6】
酸性pHにおいて、前記ムテインが、野生型IL-2分子と比較して細胞傷害性T細胞の増殖の誘導に優れる、請求項1~4のいずれか1項に記載のIL-2ムテイン。
【請求項7】
中性pHにおいて、野生型IL-2分子と比較して、前記ムテインが、IL-2Rα結合の減少および/または細胞傷害性T細胞を増殖させる能力の減少および/またはSTAT5の活性化の低下を示す、請求項1~5のいずれか1項に記載のIL-2ムテイン。
【請求項8】
前記野生型IL-2配列が配列番号1、3~8を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載のIL-2ムテイン。
【請求項9】
前記ムテインが、配列番号1、4、5、8の残基37、または配列番号3、6、もしくは7のそれぞれの残基においてアミノ酸置換を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載のIL-2ムテイン。
【請求項10】
前記ムテインが、非保守的置換または保守的置換を含み、好ましくは、前記非保守的置換が、配列番号1、4、5、8の残基37、または配列番号3、6、もしくは7のそれぞれの残基における正に荷電したアミノ酸への置換である、請求項8に記載のIL-2ムテイン。
【請求項11】
前記ムテインが、配列番号1または8の残基37において、スレオニンからヒスチジン、アルギニンまたはセリンへの置換を含む、請求項10に記載のIL-2ムテイン。
【請求項12】
前記ムテインが、配列番号1、4、5、8の残基38または配列番号3、6、もしくは7のそれぞれの残基においてアミノ酸置換を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載のIL-2ムテイン。
【請求項13】
前記ムテインが、非保守的置換または保守的置換、好ましくは、配列番号1、4、5、8の残基38または配列番号3、6、もしくは7のそれぞれの残基において、アルギニンからロイシン、バリン、イソロイシンまたはアラニンへの置換を含む、請求項12に記載のIL-2ムテイン。
【請求項14】
前記ムテインが、配列番号1、4、5、8の残基41または配列番号3、6、もしくは7のそれぞれの残基においてアミノ酸置換を含む、請求項1~13のいずれか1項に記載のIL-2ムテイン。
【請求項15】
前記ムテインが、保守的または非保守的置換、好ましくは、配列番号1、4、5、8の残基41または配列番号3、6、もしくは7のそれぞれの残基において、スレオニンからセリン、グリシンまたはアスパラギン酸への置換を含む、請求項14に記載のIL-2ムテイン。
【請求項16】
前記ムテインが、配列番号1、4、5、8の残基42または配列番号3、6、もしくは7のそれぞれの残基においてアミノ酸置換を含む、請求項1~15のいずれか1項に記載のIL-2ムテイン。
【請求項17】
前記ムテインが、非保守的置換、好ましくは、配列番号1、4、5、8の残基42または配列番号3、6、もしくは7のそれぞれの残基において極性中性アミノ酸への置換を含む、請求項16に記載のIL-2ムテイン。
【請求項18】
前記ムテインが、残基42においてフェニルアラニンからチロシンへの置換を含む、請求項17に記載のIL-2ムテイン。
【請求項19】
前記ムテインが、配列番号1、4、5、8の残基43または配列番号3、6、もしくは7のそれぞれの残基においてアミノ酸置換を含む、請求項1~18のいずれか1項に記載のIL-2ムテイン。
【請求項20】
前記ムテインが、非保守的置換、好ましくは、配列番号1、4、5、8の残基43または配列番号3、6、もしくは7のそれぞれの残基において極性中性アミノ酸に対する置換を含む、請求項19に記載のIL-2ムテイン。
【請求項21】
前記ムテインが、配列番号1、4、5、8の残基43または配列番号3、6、もしくは7のそれぞれの残基においてリジンからグリシンへの置換を含む、請求項20に記載のIL-2ムテイン。
【請求項22】
前記ムテインが、配列番号1、4、5、8の残基64または配列番号3、6、もしくは7のそれぞれの残基においてアミノ酸置換を含む、請求項1~21のいずれか1項に記載のIL-2ムテイン。
【請求項23】
前記ムテインが、保守的または非保守的アミノ酸置換、好ましくは、配列番号1、4、5、8の残基64または配列番号3、6、もしくは7のそれぞれの残基において酸性アミノ酸に対する置換を含む、請求項1~22のいずれか1項に記載のIL-2ムテイン。
【請求項24】
前記ムテインが、残基64においてリジンからグルタミン酸への置換を含む、請求項23に記載のIL-2ムテイン。
【請求項25】
前記ムテインが、1つ以上の他の残基において1つ以上の改変をさらに含む、請求項9~24のいずれか1項に記載のIL-2ムテイン。
【請求項26】
前記ムテインが、配列番号1、4、5、8の37位、38位、41位、42位、43位、および/もしくは65位、または配列番号3、6、もしくは7のそれぞれの残基のいずれかにおいて1つ以上の改変をさらに含む、請求項25に記載のIL-2ムテイン。
【請求項27】
前記ムテインが、少なくとも配列番号1、4、5、8の37位、38位、41位、43位における改変と、42位および64位から選択される少なくとも1つまたは配列番号3、6、もしくは7のそれぞれの残基における少なくとも1つのさらなる改変とを含む、請求項9~24のいずれか1項に記載のIL-2ムテイン。
【請求項28】
配列番号1の配列に対して、前記IL-2ムテインが、配列番号1、4、5、8の37位、38位、41位、42位および43位の各残基、または配列番号3、6、もしくは7のそれぞれの残基においてアミノ酸改変を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載のIL-2ムテイン。
【請求項29】
前記IL-2ムテインが、配列番号1、4、5、8の37位、38位、41位、43位および64位の各残基、または配列番号3、6、もしくは7のそれぞれの残基においてアミノ酸改変を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のIL-2ムテイン。
【請求項30】
配列番号1または8の配列に対して、前記IL-2ムテインが、以下のアミノ酸置換:
(i)T37H;および/または
(ii)R38L;および/または
(iii)T41S;および/または
(iv)F42Y;および/または
(v)K43G
の1つ、2つ、3つ、4つまたは5つすべてを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載のIL-2ムテイン。
【請求項31】
配列番号1または8の配列に対して、前記IL-2ムテインが、以下のアミノ酸置換:
(i)T37S;および/または
(ii)R38A;および/または
(iii)T41D;および/または
(iv)K43G;および/または
(v)K65E
の1つ、2つ、3つ、4つまたは5つすべてを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載のIL-2ムテイン。
【請求項32】
配列番号1または8の配列に対して、前記IL-2ムテインが、以下のアミノ酸置換:
(i)T37S;および/または
(ii)R38L;および/または
(iii)T41G;および/または
(iv)F42Y;および/または
(v)K43G
の1つ、2つ、3つ、4つまたは5つすべてを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載のIL-2ムテイン。
【請求項33】
配列番号1または8の配列に対して、前記IL-2ムテインが、以下のアミノ酸置換:
(i)T37S;および/または
(ii)R38V;および/または
(iii)T41G;および/または
(iv)K43G
の1つ、2つ、3つ、4つまたは5つすべてを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載のIL-2ムテイン。
【請求項34】
配列番号1または8の配列に対して、前記IL-2ムテインが、以下のアミノ酸置換:
(i)T37R;および/または
(ii)R38V;および/または
(iii)T41G;および/または
(iv)K43G
の1つ、2つ、3つ、4つまたは5つすべてを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載のIL-2ムテイン。
【請求項35】
配列番号1または8の配列に対して、前記IL-2ムテインが、以下のアミノ酸置換:
(i)T37S;および/または
(ii)R38I;および/または
(iii)T41G;および/または
(iv)K43G
の1つ、2つ、3つ、4つまたは5つすべてを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載のIL-2ムテイン。
【請求項36】
前記ムテインが、配列番号2、9、10、11、12もしくは13またはその機能性フラグメントを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載のIL-2ムテイン。
【請求項37】
請求項1~36のいずれか1項に記載のIL-2ムテインまたはその機能性フラグメントを含む、融合タンパク質。
【請求項38】
前記融合タンパク質が、さらなるポリペプチド分子またはポリペプチドフラグメントを含む、請求項37に記載の融合タンパク質。
【請求項39】
前記さらなるポリペプチド分子またはペプチドフラグメントが、前記IL-2ムテインまたはその機能性フラグメントに融合されている、請求項38に記載の融合タンパク質。
【請求項40】
前記さらなるポリペプチド分子またはポリペプチドフラグメントが、
サイトカインまたはそのフラグメント;または
インターロイキン分子またはそのフラグメント
である、請求項38~39のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
【請求項41】
前記さらなるポリペプチド分子またはポリペプチドフラグメントが、
ポリペプチド結合ドメイン;
抗体またはそのフラグメント;
一本鎖抗体;または
VHH
を含む、請求項37~39に記載の融合タンパク質。
【請求項42】
前記ポリペプチド結合ドメインが、腫瘍抗原またはチェックポイント分子に結合する、請求項41に記載の融合タンパク質。
【請求項43】
前記ポリペプチド結合ドメインが、CD27、CD137、2B4、TIGIT、CD155、CD160、ICOS、HVEM、CD40L、LIGHT、LAIR1、OX40、DNAM-1、PD-L1、PD1、PD-L2、CTLA-4、CD8、CD40、CEACAM1、CD48、CD70、A2AR、CD39、CD73、B7-H3、B7-H4、BTLA、IDOl、ID02、TDO、KIR、LAG-3、TIM-3、またはVISTAから選択される少なくとも1つのチェックポイント分子に結合する、請求項41または42に記載の融合タンパク質。
【請求項44】
前記ポリペプチド結合ドメインが、制御性T細胞によって発現される抗原に結合する、請求項41に記載の融合タンパク質。
【請求項45】
前記抗体が、
アンタゴニスト抗体もしくはそのアンタゴニストフラグメント;または
アゴニスト抗体もしくはそのアゴニストフラグメント
である、請求項41に記載の融合タンパク質。
【請求項46】
前記抗体またはそのフラグメントが、pH応答性抗体またはそのフラグメントである、請求項41または45に記載の融合タンパク質。
【請求項47】
前記IL-2ムテインが、該IL-2ムテインを条件的に不活性化するポリペプチドドメインに融合されている、請求項37~46のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
【請求項48】
前記IL-2ムテインまたは機能性フラグメントが、半減期延長型分子に融合され、任意に、前記半減期延長型分子が、免疫グロブリンフラグメント、Fc分子、血液血清タンパク質に結合するポリペプチド結合ドメイン、アルブミンに結合するポリペプチド結合ドメイン、またはポリマーを含む、請求項37~46に記載の融合タンパク質。
【請求項49】
前記ポリマーがポリエチレングリコール分子を含む、請求項48に記載の融合タンパク質。
【請求項50】
請求項1~49のいずれか1項に記載のIL-2ムテインまたは融合タンパク質をエンコードする、核酸。
【請求項51】
配列番号2、9、10、11、12または13をエンコードする、核酸。
【請求項52】
請求項50または請求項51に記載の核酸を含む、ベクター。
【請求項53】
請求項50~51に記載の核酸または請求項52に記載のベクターで形質転換された、宿主細胞。
【請求項54】
前記宿主細胞がT細胞、好ましくはキメラ抗原受容体(CAR)を含むT細胞である、請求項53に記載の宿主細胞。
【請求項55】
IL-2ムテインの作製方法であって、該方法が、請求項50~52のいずれか1項に記載の核酸またはベクターを宿主細胞に導入することと、前記核酸を発現させることとを含む、方法。
【請求項56】
耐pHサイトカインムテインの同定方法であって、該方法が、
サイトカイン分子を変異または改変させてサイトカインムテインを生成することと、
サイトカイン受容体に結合しpH耐性を有するムテインを同定するために、酸性条件下で前記サイトカインムテインをサイトカイン受容体と接触させることと、を含む方法。
【請求項57】
前記耐pHサイトカインムテインがIL-2ムテインである、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
野生型サイトカイン分子を変異または改変させてサイトカインムテインを生成することと、該サイトカインムテインを酸性条件下で当該サイトカインに対するリガンドと接触させることとを含む方法によって得ることができる耐pHサイトカインムテインであって、酸性条件下で前記リガンドに結合した任意のサイトカインムテインが耐pHサイトカインムテインである、耐pHサイトカインムテイン。
【請求項59】
野生型IL-2分子を変異または改変させてIL-2ムテインを生成することと、該IL-2ムテインを酸性条件下でIL-2Rαと接触させることとを含む方法によって得ることができる耐pH IL-2ムテインであって、酸性条件下でIL-2Rαに結合した任意のIL-2ムテインが耐pH IL-2ムテインである、耐pH IL-2ムテイン。
【請求項60】
医薬に使用するための、請求項1~49、58または59のいずれか1項に記載のIL-2ムテイン、融合タンパク質またはサイトカインムテイン。
【請求項61】
医薬に使用するための、配列番号2、9、10、11、12もしくは13またはそのフラグメントを含むタンパク質、融合タンパク質または組成物。
【請求項62】
医薬に使用するための、請求項50~51のいずれか1項に記載の核酸。
【請求項63】
医薬に使用するための、配列番号2、9、10、11、12もしくは13またはそのフラグメントを含むタンパク質をエンコードする核酸。
【請求項64】
免疫学的状態の治療または予防に使用するための、請求項1~51、58または59のいずれか1項に記載のIL-2ムテイン、融合タンパク質、核酸またはサイトカインムテイン。
【請求項65】
がんの治療または予防に使用するための、請求項1~51、58または59のいずれか1項に記載のIL-2ムテイン、融合タンパク質、核酸またはサイトカインムテイン。
【請求項66】
感染症の治療または予防に使用するための、請求項1~51、58または59のいずれか1項に記載のIL-2ムテイン、融合タンパク質、核酸またはサイトカインムテイン。
【請求項67】
アジュバントとして使用するためのものであって、任意に、前記アジュバントがワクチンアジュバントである、請求項1~51、58または59のいずれか1項に記載のIL-2ムテイン、融合タンパク質、核酸またはサイトカインムテイン。
【請求項68】
請求項1~51、58または59のいずれか1項に記載のIL-2ムテイン、融合タンパク質、核酸またはサイトカインムテインを含む組成物。
【請求項69】
前記組成物が医薬組成物であり、任意に1種以上の薬学的に許容される賦形剤を含む、請求項68に記載の組成物。
【請求項70】
前記組成物または医薬組成物が、別の治療的部分または薬学的に活性な薬剤を含む、請求項68および69のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項71】
免疫学的状態および/またはがんの治療または予防方法であって、該方法が、治療有効量の請求項1~51、58または59のいずれか1項に記載のIL-2ムテイン、融合タンパク質、サイトカインムテイン、または核酸を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法。
【請求項72】
前記IL-2ムテイン、融合タンパク質、サイトカインムテイン、または核酸が、抗腫瘍抗原抗体、チェックポイント分子、チェックポイント分子に対する抗体、腫瘍抗原、ステロイド、および/またはCAR T細胞と組み合わせて投与される、請求項71に記載の免疫学的状態および/またはがんの治療または予防方法。
【請求項73】
前記チェックポイント分子または抗体が、CD27、CD137、2B4、TIGIT、CD155、CD160、ICOS、HVEM、CD40L、LIGHT、LAIR1、OX40、DNAM-1、PD-L1、PD1、PD-L2、CTLA-4、CD8、CD40、CEACAM1、CD48、CD70、A2AR、CD39、CD73、B7-H3、B7-H4、BTLA、IDOl、ID02、TDO、KIR、LAG-3、TIM-3、またはVISTAから選択されるチェックポイント分子に対するものである、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記IL-2ムテイン、融合タンパク質、サイトカインムテイン、またはヌクレオチドを投与する前に、患者のTMEの細胞外pHを決定するステップを含む、請求項71~73のいずれか1項に記載の免疫学的状態および/またはがんの治療または予防方法。
【請求項75】
免疫学的状態および/またはがんの治療または予防に使用するための、請求項54に記載の宿主細胞。
【請求項76】
免疫学的状態および/またはがんを治療または予防するための医薬品の製造における、請求項54に記載の宿主細胞の使用。
【請求項77】
免疫学的状態および/またはがんの治療または予防方法であって、該方法が、それを必要とする対象に請求項54に記載の宿主細胞を投与することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、様々な疾患および/または状態の治療に使用するための、酸性pHにおいて活性が改善されている改変分子を提供する。より詳細には、本開示は、がんの治療に使用するためのIL-2を含む改変サイトカインを提供する。
【背景技術】
【0002】
腫瘍微小環境(TME)は、腫瘍の分化および免疫回避に重要な働きをし、このためサイトカインによって誘導される抗腫瘍反応に拮抗する(非特許文献1)。TMEの免疫抑制特性を規定する細胞的および分子的な基礎が広く研究されている(非特許文献2、3)。しかし、その独特な生理化学的特性がサイトカイン応答にどのように影響するかについては、まだほとんど解明されていない。TMEの特徴としてアシドーシスが挙げられる。腫瘍細胞は解糖活性が高いため、乳酸が過剰に産生され、pH6.2~6.5程度の酸性環境となる。これは正常組織のpH7.4とは対照的である(非特許文献1、4)。酸性TMEがサイトカイン-受容体の結合およびサイトカインシグナル伝達にどのような影響を及ぼすかについては、現時点ではわかっていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Hanahan, D. & Weinberg, R. A. Hallmarks of Cancer: The Next Generation. Cell 144, 646-674 (2011).
【非特許文献2】Brand, A. et al. LDHA-Associated Lactic Acid Production Blunts Tumor Immunosurveillance by T and NK Cells. Cell Metabolism 24, 657-671 (2016).
【非特許文献3】Huber, V. et al. Cancer acidity: An ultimate frontier of tumor immune escape and a novel target of immunomodulation. Seminars in Cancer Biology 43, 74-89 (2017).
【非特許文献4】Renner, K. et al. Restricting Glycolysis Preserves T Cell Effector Functions and Augments Checkpoint Therapy. Cell Reports 29, 135-150.e9 (2019).
【非特許文献5】Mitra, S. & Leonard, W. J. Biology of IL-2 and its therapeutic modulation: Mechanisms and strategies. J. Leukoc. Biol. 103, 643-655 (2018).
【非特許文献6】Rosenberg, S. A. IL-2: The First Effective Immunotherapy for Human Cancer. The Journal of Immunology 192, 5451-5458 (2014).
【非特許文献7】Smith, K. A. & Cantrell, D. A. Interleukin 2 regulates its own receptors.PNAS 82, 864-868 (1985).
【非特許文献8】Pipkin, M. E. et al. Interleukin-2 and Inflammation Induce Distinct Transcriptional Programs that Promote the Differentiation of Effector Cytolytic T Cells. Immunity 32, 79-90 (2010).
【非特許文献9】Calcinotto, A. et al. Modulation of microenvironment acidity reverses anergy in human and murine tumor-infiltrating T lymphocytes.Cancer Res. 72, 2746-2756 (2012).
【非特許文献10】Mitra, S. et al. Interleukin-2 Activity Can Be Fine Tuned with Engineered Receptor Signaling Clamps. Immunity 42, 826-838 (2015).
【非特許文献11】Krieg, C., Letourneau, S., Pantaleo, G. & Boyman, O. Improved IL-2 immunotherapy by selective stimulation of IL-2 receptors on lymphocytes and endothelial cells. Proc Natl Acad Sci U S A 107, 11906- 11911 (2010).
【非特許文献12】Wu, H. et al. T-cells produce acidic niches in lymph nodes to suppress their own effector functions. Nature Communications 11, 4113 (2020).
【非特許文献13】Caudana, P. et al. IL2/Anti-IL2 Complex Combined with CTLA-4, But Not PD-1, Blockade Rescues Antitumor NK Cell Function by Regulatory T-cell Modulation. Cancer Immunol Res 7, 443-457 (2019).
【非特許文献14】Wang, X., Rickert, M. & Garcia, K. C. Structure of the Quaternary Complex of Interleukin-2 with Its α, β, and γc Receptors. Science 310, 1159-1163 (2005).
【非特許文献15】Krutzik, P. O. & Nolan, G. P. Fluorescent cell barcoding in flow cytometry allows high-throughput drug screening and signaling profiling. Nature Methods 3, 361-368 (2006).
【非特許文献16】Boder, E. T. & Wittrup, K. D. Yeast surface display for screening combinatorial polypeptide libraries. Nature Biotechnology 15, 553 (1997).
【非特許文献17】You, C., Richter, C. P., Loechte, S., Wilmes, S. & Piehler, J. Dynamic submicroscopic signaling zones revealed by pair correlation tracking and localization microscopy. Anal Chem 86, 8593-8602 (2014).
【非特許文献18】Moraga, I. et al. Tuning cytokine receptor signaling by re-orienting dimer geometry with surrogate ligands. Cell 160, 1196-1208 (2015).
【非特許文献19】Wilmes, S. et al. Receptor dimerization dynamics as a regulatory valve for plasticity of type I interferon signaling. J Cell Biol 209, 579-593 (2015).
【非特許文献20】Vogelsang, J. et al. A reducing and oxidizing system minimizes photobleaching and blinking of fluorescent dyes. Angew Chem Int Ed Engl 47, 5465-5469 (2008).
【非特許文献21】Serge, A., Bertaux, N., Rigneault, H. & Marguet, D. Dynamic multiple-target tracing to probe spatiotemporal cartography of cell membranes. Nat Methods 5, 687-694 (2008).
【非特許文献22】Chen LQ, Pagel MD. Evaluating pH in the Extracellular Tumor Microenvironment Using CEST MRI and Other Imaging Methods. Adv Radiol. 2015;2015:206405
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インターロイキン-2(IL-2)サイトカインは、免疫活性の強力なマスターレギュレーターとして機能するため、IL-2は、疾患とより有効に闘うために免疫反応を調整する強力な媒介物となっている。静止リンパ球では、IL-2はIL-2RβおよびIL-2Rγからなる中程度の親和性を有するIL-2受容体(Kd:約10~9M)を介してシグナルを伝達する。これに対し、活性化リンパ球はさらにIL-2Rαを発現し、IL-2RαはIL-2RβおよびIL-2Rγに結合して親和性の高い受容体(Kd:約10~11M)を形成し、in vivoでIL-2に強く反応し、腫瘍を効果的に退縮させる(非特許文献5)。このため、IL-2は悪性腫瘍の免疫療法の一環として30年間にわたり臨床で使用されている(非特許文献6)。しかし、主として、そのエフェクターT細胞および制御T(Treg)細胞の両方の同時促進における役割など、IL-2の広範な多面性の結果、有効性が限られかつ毒性が高いため、これを広く使用することができない(非特許文献6)。このため、がんの治療のためエフェクター細胞の増殖を選択的に促進するIL-2活性を操作するべく、数多くの取り組みがなされている。しかし、細胞外の化学的環境(腫瘍内腔にみられる酸性pHなど)がIL-2活性にどのような影響を及ぼすかは、十分に理解されていない。酸性pHを用いてTリンパ球表面からのIL-2結合を破壊した先行研究から、このサイトカインはpHの変化に応答性を有することが示唆された。しかし、IL-2結合受容体のいずれがpH応答性を有するのか、および酸性pHがIL-2反応にどのような影響を与えるのかはわかっていない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、野生型に対して、1つ以上のアミノ酸改変(例えば、1つ以上のアミノ酸の置換)を含む改変サイトカインを提供する。本発明者らは、これらの改変サイトカインは、野生型サイトカインの活性と比較して、酸性pHで活性が向上し、中性pHではしばしば活性が低下することを見出した。本開示において、改変サイトカインはサイトカインムテインとも呼ぶ。
【0006】
腫瘍微小環境(TME)は、腫瘍の分化および免疫回避に重要な働きをし、サイトカインによって誘導される特定の抗腫瘍反応に拮抗することができる。TMEの特徴としてアシドーシスが挙げられる。腫瘍細胞は解糖活性が高いため、乳酸が過剰に産生され、pH6.2~6.5程度の酸性環境となる。これは正常組織にみられる中性pH(例えばpH7.4)とは対照的である。
【0007】
特定のサイトカイン、例えばインターロイキン2(IL-2)の活性は、例えばT細胞免疫など、疾患に対する宿主免疫応答の各種側面の発達および維持に重要である。サイトカインは、免疫細胞および免疫プロセスの増殖および誘導を促進する。しかし、サイトカインの機能はpHの変化に応答性を有し得る。例えば、サイトカインとその受容体との結合は、pH応答性またはpH依存性のプロセスであることがある。上述したように、がんを含む特定の疾患の特徴として、サイトカイン受容体の結合に悪影響を及ぼし、最終的にサイトカインをベースとする治療法の有効性を低下させ得る酸性微小環境の生成が挙げられる。
【0008】
前述のように、pHに応答性を有するサイトカイン(すなわち、酸性条件下で活性/受容体結合の低下を示すサイトカイン)が、野生型一次配列の1つ以上のアミノ酸の変更(例えば置換)によって改変されてよい。本開示に係る改変サイトカインは、酸性pHにおいて活性の向上、および/または中性pHにおいて活性の低下を示してよい。この特徴により、改変サイトカインは医薬、特に免疫学的疾患および/またはがんの治療および/または予防に有用となる。
【0009】
治療上の可能性を有する、例えば、医薬に使用するための改変サイトカインは、
野生型サイトカイン配列を改変して改変サイトカインを生成することと、
改変サイトカインをリガンドまたは細胞と接触させることと、
改変サイトカインがリガンドに結合するかどうか、および/または細胞を活性化させるかどうかを決定することと、を含む方法によって同定または取得されてよく、リガンドに結合する、および/または細胞を活性化させる改変サイトカインは、医薬において、または免疫学的状態もしくはがんの治療および/もしくは予防のために使用されてよい。
【0010】
改変サイトカインをリガンドと接触させるステップは、改変サイトカインをリガンドフラグメントと接触させることを含んでよく、リガンドフラグメントはサイトカイン結合フラグメントである。同様に、細胞がリガンドおよび/またはそのサイトカイン結合フラグメントを発現してよい。
【0011】
サイトカインムテイン、好ましくは耐pHサイトカインムテインの同定方法は、サイトカインムテインまたはそのフラグメントをエンコードする核酸を含むライブラリーを作製するステップをさらに含んでよく、サイトカインムテインは、1つ以上のアミノ酸の置換(例えば、保守的置換を含む);(ii)1つ以上のアミノ酸の欠失;(iii)1つ以上のアミノ酸の付加;および(iv)1つ以上の配列の逆位(これらはすべて、本明細書において後に記載/定義される)を含む。
【0012】
変異は、サイトカインと、その対応するリガンドまたは受容体との結合に関与する少なくとも1つの残基において行われてよい。異なるサイトカインの結合プロファイルに関与する残基は、それらのサイトカインとその受容体との機能的相互作用の構造のデータの解析によって決定することができる。変異は、ランダムな変異でも、あらかじめ規定された変異でもよい。
【0013】
本方法はさらに、核酸ライブラリーを発現させてサイトカインムテインライブラリーを得るステップを含んでよい。ライブラリーに含まれるサイトカインムテインは、細胞、ファージのウイルス、例えば酵母細胞などの発現ビヒクルの表面で発現されてよい。
【0014】
(本明細書中に記載の方法または手順のいずれかによる)改変がなされるサイトカインは、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、IL-6、IL-11、IL-12、成長ホルモン(GF1)、エリスロポエチン(EPO)、プロラクチン(PRL)、白血病抑制因子(LIF)、オンコスタチン(OSM)、トロンボポエチン(TPO)、またはこれらのサイトカインのいずれかの機能性フラグメント/バリアントから選択されてよい。
【0015】
一教示において、改変がなされるサイトカインは、CXCL2、CXCL3、CXCL4、CXCL5、CXCL6、CXCL7、CXCL8、CXCL9、CXCL10、CXCL11、CXCL12、CXCL13、CXCL14、CXCL15、CXCL16、CCLle、CCL2、CCL3、CCL3L1、CCL4、CCL5、CCL6、CCL7、CCL8、CCL9/10、CCL11、CCL12、CCL13、CCL14、CCL15、CCL16、CCL17、CCL18、CCL19、CCL20、CCL21、CCL22、CCL23、CCL24、CCL25、CCL26、CCL27、CCL28、CX3CL1、XCL1、XCL2、またはこれらのサイトカインのいずれかの機能性フラグメント/バリアントであってよい。
改変がなされるサイトカインは、IFN-α(アルファ)、IFN-β(ベータ)、IFN-γ(ガンマ)、IFN-ε(イプシロン)、IFN-κ(カッパ)、IFN-ω(オメガ)、IFN-τ(タウ)、IFN-ζ(ゼータ)、IFN-δ(デルタ)、IFN-λ(ラムダ)、またはこれらのサイトカインのいずれかの機能性フラグメント/バリアントからなる群から選択されてよい。
【0016】
改変がなされるサイトカインは、IFN-α(アルファ)、IFN-β(ベータ)、IFN-γ(ガンマ)、IFN-ε(イプシロン)、IFN-κ(カッパ)、IFN-ω(オメガ)、IFN-τ(タウ)、IFN-ζ(ゼータ)、またはIFN-δ(デルタ)、IFN-λ(ラムダ)の機能性フラグメントまたはバリアントを含んでよい。
【0017】
別の教示において、改変がなされるサイトカインは、IL-1、IL-1α、IL-1β、IL-1ra、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-13、IL-14、IL-15、IL-16、IL-17A、IL-17B、IL-17C、IL-17D、IL-17E、IL-17F、IL-17L、IL-17A/L、IL-18、IL-19、IL-20、IL-21、IL-22、IL-23、IL-24、IL-25、IL-26、IL-27、IL-28A、IL-28B、IL-29、IL-30、IL-31、IL-32、IL-33、IL-34、IL-35、IL-36、IL-37、またはこれらのサイトカインのいずれかの機能性フラグメント/バリアントであってよい。
【0018】
改変がなされるサイトカインは、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSL)、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSL)、腫瘍壊死因子アルファ(TNL-α)、トランスフォーミング増殖因子ベータ(TGL-β)、ILN-γ(ガンマ)、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-12、またはこれらのサイトカインのいずれかの機能性フラグメント/バリアントであってよい。
【0019】
一教示において、サイトカインは、TNF-α(アルファ)、TNF-β(ベータ)、TNF-γ(ガンマ)、CD252、CD154、CD178、CD70、CD153、4-1BB-L、LTa、iΤβ、LIGHT、TWEAK、APRIL、BAFF、TL1A、GITRL、OX40L、CD40L、FASL、CD27L、CD30L、4-1BBL、TRAIL、FLT3リガンド、G-CSF、GM-CSF、IFNα/β/ω、IFNy、LIF、M-CSF、MIF、OSM、幹細胞因子、TGFpi、TGFp2、TGF33、TSLPリガンド、TRAIL、RANKL、AP03L、CD256、CD257、CD258、TL1、AITRL、EDA1、またはこれらのサイトカインの機能性フラグメント/バリアントからなる群から選択されてよい。サイトカインは、TNF-α(アルファ)、TNF-β(ベータ)、TNF-γ(ガンマ)、CD252、CD154、CD178、CD70、CD153、4-1BB-L、TRAIL、RANKL、AP03L、CD256、CD257、CD258、TL1、AITRL、EDAL、またはこれらのサイトカインのいずれかの機能性フラグメント/バリアントであってよい。好ましい実施形態では、サイトカインはインターロイキンであり、より好ましくはIL-2またはIL-10である。
【0020】
野生型サイトカインを改変するステップは、
(i)野生型一次配列のアミノ酸を別のアミノ酸で置換すること。このタイプの置換は保守的な置換であってよい;および/または
(ii)野生型一次配列から別のアミノ酸によりアミノ酸を欠失させること;および/または
(iii)野生型一次配列にアミノ酸を付加すること;および/または
(iv)野生型一次アミノ酸配列の一部を逆位させること、を含む。
【0021】
改変サイトカインをリガンドまたは細胞と接触させるステップは、酸性条件下で行われてよく、例えばpHは、例えば約7.5~約7.2未満、例えば約pH7.4またはpH7.3未満である。あるいは、改変サイトカインをリガンドまたは細胞と接触させるステップは、約4.0~約7.0のpHで行われてよい。改変サイトカインをリガンドまたは細胞と接触させるステップは、pH約4.5もしくはpH約4.8~pH約5.5もしくはpH約6.5、またはpH約5.0~pH約6.9、例えば約5.1、約5.2、約5.3、約5.4、約5.5、約5.6、約5.7、約5.8、約5.9、約6.0、約6.1、約6.2、約6.3または約6.4のpHで行われてよい。改変サイトカインが細胞を活性化させるかどうかを決定する任意のステップは、細胞を改変サイトカインと接触させることと、例えば、細胞の増殖および/もしくは増大、細胞表面マーカーの発現の上昇、あるいは/または細胞からの他のサイトカインもしくは分子の発現を検出することとを含んでよい
【0022】
サイトカイン受容体/リガンドの濃度を低下させながらサイトカインムテインと接触させる指向性進化法/反復選択サイクルを用いて、有用なサイトカインムテインが同定されてよい。これにより、受容体への結合親和性が最も良好なサイトカインムテインを同定することができる。
【0023】
反復選択サイクルは、最初に(1サイクルまたは数サイクルで)サイトカイン受容体多量体、好ましくは受容体四量体に結合させることと、続いて(1サイクルまたは数サイクルで)サイトカイン受容体単量体に結合させることとを含む。受容体多量体は、例えば、ビオチン化受容体をストレプトアビジンに結合させるか、他のリガンド/バインダー相互作用を介して得ることができる。
【0024】
反復選択ラウンドは、受容体濃度を低下させながら(例えば、100nMの四量体、1μMの四量体、100nMの単量体;図2bも参照)結合させることを含んでよい。理論に束縛されることを望むものではないが、受容体濃度を低下させることにより、受容体親和性の高いムテインを同定することができる。
【0025】
次に、様々な選択ラウンドで受容体に結合したサイトカインムテインが、関連するムテインをエンコードする核酸を含む発現ベクター/ヒビクルを用いて発現されてよい。したがって、本方法は、発現されたムテインを介して、受容体に結合した発現ビヒクル/ベクターに含まれる核酸を単離および/またはシークエンシングするステップをさらに含んでよい。
【0026】
本方法は、少なくともpH7.2、好ましくは約pH7.4で、サイトカインムテインを対応する受容体またはその結合フラグメントと接触させるステップをさらに含んでよい。さらに、本方法は、対応する野生型サイトカインを、該対応する受容体またはその結合フラグメントと接触させることを含んでよい。これらの方法ステップのいずれかまたは両方を用いて、ユーザーはそれぞれの条件下でサイトカインムテインおよび野生型サイトカインの結合親和性を決定することができる。本方法はさらに、各pHにおいて、対応する受容体に野生型サイトカインと比較して低い親和性で結合するムテインを選択するステップを含んでよい。
【0027】
本方法はさらに、少なくともpH7.2、好ましくはpH約7.4よりも、約4.0~約7.0のpHにおいて、対応する受容体またはその結合フラグメントに高い親和性で結合するサイトカインムテインを選択するステップを含んでよい。好ましくは、このステップでは、少なくともpH7.2、好ましくはpH約7.4において、対応する受容体に野生型サイトカインと比較して低い親和性で結合することを特徴とするムテインが選択されてよい。
【0028】
本発明はさらに、上記のサイトカインムテインをエンコードする核酸を含むライブラリー、およびサイトカインムテインライブラリーに関する。
【0029】
本明細書に記載の技術は、T細胞の増殖を促進し、様々なエフェクター機能を制御するインターロイキン-2(IL-2)に適用されてよい。IL-2は、例えばIFNγの産生を含む細胞傷害性機能を誘導する。IL-2の機能にとって重要なのは、その結合活性である。IL-2受容体としては、例えばIL2Rα、IL2RβおよびIL2Rγが挙げられる。便宜上、これらの受容体を「IL-2受容体」と総称する。
【0030】
IL-2は悪性腫瘍の免疫療法として用いられている。しかし、IL-2の重要な機能の一部はpHの変化に応答性を有し、特に、IL-2とその受容体との結合はpH応答性プロセスである。理論に束縛されるものではないが、TMEにみられる酸性pHは、例えばIL-2Rαへの結合を阻害することによってIL-2応答を阻害する。酸性腫瘍微小環境(TME)はIL-2受容体結合に悪影響を及ぼし、IL-2シグナル伝達に影響を及ぼす。その結果、腫瘍ではIL-2によるSTAT5の活性化が低下し、CD8+T細胞によるIFNγ/TNFαの分泌が減少する。この組み合わせは、IL-2ベースの治療、特にがんの治療に使用する場合の有効性を低下させ得る。
【0031】
本開示は、pHに耐性を有し、酸性の細胞外pHにおいて重要な治療的機能を保持するIL-2ムテインを提供する。さらに、これらのIL-2ムテインに与えられた特定の治療的機能は、中性または他のpHよりも酸性pHにおいて強力または有効である。理論に束縛されるものではないが、このことは、本明細書に記載のIL-2ムテインが、疾患細胞/組織、特に酸性微小環境を誘導または生成する細胞/組織の治療に対して選択的であるという利点を有する。
【0032】
本開示のIL-2ムテインは、
開示されたIL-2受容体のいずれか1つに結合する;および/または
IL-2Rαに結合する;および/または
pH約7.2~約7.5から選択されるpHよりも、pH約4.0~約7.0、好ましくは約5~約6.5から選択されるpHにおいて高い親和性でIL-2受容体もしくはIL-2Rαに結合する;および/または
pH約7.2~約7.5において、野生型IL-2分子と比較して低い親和性でIL-2受容体もしくはIL-2Rαに結合する;および/または
pH約4.0~約7.0、好ましくは約5~約6.5から選択されるpHにおいて、野生型IL-2分子と比較して高い親和性でIL-2受容体またはIL-2Rαに結合する;および/または
STAT5の活性化を引き起こす;および/または
pH7.2よりもpH6.5において、より強力なSTAT5の活性化を引き起こす。
【0033】
本開示に係るIL-2ムテインは、pH約4.0~約7.0から選択されるpHにおいてより高い親和性でIL-2受容体(例えば、IL-2Rαを含む)に結合し、pH約4.0~約7.0においてより高い親和性を有する結合は、pH約7.2~約7.5における結合の結合定数Kdよりも、約0.3;約0.5;約0.8;約1;約1.5;約2;約2.5または約3のオーダーで低い結合定数Kdを特徴とする。
【0034】
さらに、pH約7.2~約7.5において野生型IL-2分子と比較して低い親和性を有するIL-2受容体(例えば、IL-2Rα)へのIL-2ムテインの結合は、野生型IL-2分子と比較して、IL-2ムテインに対して約0.3;約0.5;約0.8;約1;約1.5;約2;約2.5または約3のオーダーで高い結合定数Kdを特徴としてよい。
【0035】
pH約4.0~約7.0から選択されるpHにおいて野生型IL-2分子と比較して高い親和性を有するIL-2受容体(例えば、IL-2Rα)へのIL-2ムテインの結合は、野生型IL-2分子と比較して、IL-2ムテインに対して約0.3;約0.5;約0.8;約1;約1.5;約2;約2.5または約3のオーダーで低い結合定数Kdを特徴としてよい。
【0036】
理論に束縛されることを望むものではないが、IL-2ムテインとその高親和性受容体複合体との結合は、サイトカイン-サイトカイン受容体複合体を安定化させることによって、pH7.2よりもpH6.5においてより強力なSTAT5のリン酸化を引き起こし得る。さらに、(この場合も理論に拘束されるものではないが)、IL-2ムテインは、腫瘍微小環境(TME)および三次リンパ様構造(TLS)にみられるような酸性の微小環境において、高親和性受容体複合体を発現する活性化されたT細胞の増殖を強力に誘導し得る。
【0037】
腫瘍微小環境(TME)および三次リンパ様構造(TLS)における本発明に係るIL-2ムテインの高い活性、ならびに血液中などの末梢における比較的に低い活性により、本発明に係るIL-2ムテインは、先行技術のIL-2療法に関連する用量制限毒性の問題を解消することができる。さらに、他の治療分子、例えばチェックポイント阻害剤に対する抗体と併用する場合、先行技術のIL-2分子の作用は、末梢における複合毒性により、そのような他の分子の投与量を制限する。このため、IL-2ムテインの選択的活性は、併用治療における毒性を軽減し、他の治療分子、例えばチェックポイント阻害剤に対する抗体の高用量を可能にし、これにより、そのような治療の治療効果を増大させることができる。併用療法(本開示のサイトカインムテイン、IL-2ムテイン、およびいくつかの他の治療/活性薬剤を含む)は、本明細書の他の箇所に記載されている。
【0038】
次に、本発明を以下の図を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1A】[図1a]、[図1b]、[図1c]、[図1d]、[図1e]、[図1f]、[図1g]、[図1h]、[図1i]、[図1j]、[図1k]低pHはIL-2の活性を低下させる。(図1A)pH7.5または6.5においてIL-2で刺激した予め活性化された状態のCD8+T細胞におけるSTAT5リン酸化の用量反応(上図)、ならびに最適用量未満(10pM)および飽和用量(10nM)におけるシグナル伝達動態(下図)。グラフは3回の独立した二重実験の平均±標準偏差を表す。
図1B】(図1B)異なるpHにおけるIL-2とIL-2Rαとの相互作用のマイクロスケール熱泳動(MST)分析である。各条件についてKd値を示す。データは平均値±標準偏差である。
図1C】(図1C)in vivo実験のフローチャートである。
図1D】(図1D)100μlのPBSまたは20μgのFc4-IL-2(7μgのIL-2に相当)をi.p.注射により5日間処置したB16.SIY WTまたはLDHA/B DKO担持マウスの腫瘍増殖を示す。腫瘍のサイズが50~100mmに達した時点で治療を開始した。グラフは3回の独立した実験のうち代表的な1回の結果を示す(各群n=6)。p=0.0238(B16.SIY WT+Fc4-IL-2とB16.SIY DKO+Fc4-IL-2との比較);p=0.0242(B16.SIY DKO+PBSとB16.SIY DKO+Fc4-IL-2との比較)。データは平均値±標準偏差(s.e.m.)で、有意差はテューキーの補正を加えた一元配置分散分析によって決定した。ns=有意差なし。
図1E】(図1E~K)腫瘍接種後15日目に犠牲にしたマウスから得た腫瘍の分析を示す。(図1E)CD8+T細胞の割合を示す。**p=0.001(B16.SIY WT+PBSとB16.SIY WT+Fc4-IL-2との比較);**p=0.0018(B16.SIY DKO+PBSとB16.SIY DKO+Fc4-IL-2との比較)。
図1F】(図1F)CD8+T細胞とTreg細胞との割合を示す。
図1G】(図1G~1I)PMA/イオノマイシンで刺激した細胞をサイトカイン産生について分析した。IFN-γ+(図1G)、TNF+(図1H)、IFN-γ+TNF+(図1I)とCD8+T細胞との割合を示す。(図1G**p=0.0013;****p<0.0001。
図1H】(図1H****p<0.0001。
図1I】(図1I****p<0.0001。
図1J】PD1+CD8+T細胞の割合を示す。p=0.0191(B16.SIY WT+PBSとB16.SIY WT+Fc4-IL-2);p=0.0102(B16.SIY WT+Fc4-IL-2とB16.SIY DKO+Fc4-IL-2);**p=0.0074。
図1K】(図1K)TIM3+CD8+T細胞の割合を示す。**p=0.0067。(図1E~K)グラフは3つの独立した実験の結果をプールしたものである。有意差は、テューキーの補正を加えた一元配置分散分析によって求めた。ns=有意差なし。データは平均値±標準偏差で、各記号は1種類の腫瘍(図1E、F、J、K)または2種類の腫瘍をプールしたもの(図1G~I)を表す。
図2A】[図2a]、[図2b]、[図2c]、[図2d]、[図2e]、[図2f]、[図2g]耐pH IL-2バリアントの選択を示す。(図2A)酵母表面に発現し、ビオチン化IL-2Rα四量体(黄色)と相互作用するIL-2タンパク質ライブラリー(青色)を示す。IL-2ライブラリーの作成中に変異したアミノ酸は赤で表示されている。
図2B】(図2B)pH5での各選択ラウンド後のIL-2ライブラリーを表す酵母の平均蛍光強度(MFI)を示す。
図2C】(図2C)IL-2-IL-2Rα受容体複合体の構造を示す。IL-2Rαは黄色、IL-2は青色で示す。Switch-2内で同定された変異は赤で強調され、右図に示す。
図2D】(図2D)IL-2WTまたはSwitch-2を発現する酵母表面へのIL-2Rα連続希釈液の異なるpHにおける用量依存性結合を示す。グラフは2回の独立実験の平均±標準偏差を表す。
図2E】(図2E)標識されたIL-2RαおよびIL-2を用いた2色TIRF顕微鏡による生細胞の細胞膜でのIL-2/IL-2Rα相互作用の定量化(左図)、ならびにIL-2結合をIL-2Rα細胞表面発現で正規化したグラフである。データは平均値±標準偏差であり、各データ点は1つの細胞の結果を表す。有意差はコルモゴロフ・スミルノフ検定により算出した。****p<0.0001。
図2F】(図2F、G)新鮮単離CD8 T細胞(図2F)および予め活性化された状態のCD8 T細胞(図2G)において、pH7.5およびpH6.5でIL-2 WTおよびSwitch-2により誘導されたリン酸化STAT5(pSTAT5)の用量反応曲線である。グラフは3回の独立した二重実験の平均±標準偏差を表す。
図2G】(図2F、G)新鮮単離CD8 T細胞(図2F)および予め活性化された状態のCD8 T細胞(図2G)において、pH7.5およびpH6.5でIL-2 WTおよびSwitch-2により誘導されたリン酸化STAT5(pSTAT5)の用量反応曲線である。グラフは3回の独立した二重実験の平均±標準偏差を表す。
図3A】[図3A]、[図3B]、[図3C]酸性pHにおけるIL-2 C1の機能的in vitro活性を示す。(図3A~C)10nMのIL-2 WTまたはSwtich-2の存在下、pH7.5または6.5で3日間培養した後、予め活性化された状態のCD8+T細胞により発現したサイトカインの解析を示す。細胞はPMA/イオノマイシンで刺激した。(図3A)刺激した細胞の上清をLuminexアッセイで分析した。○は、放出されたサイトカインの量をコントロール条件(IL-2 WT pH7.5=100)で正規化したものである。データは3の異なるドナーの平均値である。
図3B】(図3B、C)グラフはIFN-γ+細胞(図3B)およびTNF+細胞(図3C)の割合を示す。データは平均値±標準偏差で、各記号は1のドナーを表す。(図3Bp=0.0414(IL-2 WT pH7.5とIL-2 WT pH6.5との比較);p=0.0233(IL-2 WT pH6.5とSwitch-2 pH6.5との比較);p=0.0195(Switch-2 pH7.5とSwitch-2 pH6.5との比較)、テューキーの補正を加えた一元配置分散分析。
図3C】(図3C**p=0.0027(IL-2 WT pH7.5とIL-2 WT pH6.5との比較);**p=0.0015(IL-2 WT pH6.5とSwitch-2 pH6.5との比較)、テューキーの補正を加えた一元配置分散分析。
図3D】(図3D)RNA-seqデータの主成分分析(PCA)。3の異なるドナー由来の予め活性化された状態のCD8+T細胞を、O/N静止後4時間刺激した。
図3E】(図3E)pH7.5(上図)およびpH6.5(下図)でのSwitch-2-とIL-2 WT刺激CD8+T細胞とのGSEA解析を示す。
図3F】(図3F、G)上位476の可変かつ重要な遺伝子(図3F)およびT細胞特異的遺伝子のセット(図3G)のそれぞれのヒートマップを示す。遺伝子発現はzスコアで示す。
図3G】(図3F、G)上位476の可変かつ重要な遺伝子(図3F)およびT細胞特異的遺伝子のセット(図3G)のそれぞれのヒートマップを示す。遺伝子発現はzスコアで示す。
図4A】[図4a]、[図4bc]、[図4d]、[図4e]、[図4f]、[図4g]、[図4i]、[図4j]Switch-2は生存率を改善し、抗腫瘍免疫応答を刺激する。(図4A)PBS、20μgもしくは50μgのFc4-IL-2 WTまたはSwitch-2で処置したマウスにおいて、乾燥前後の肺の重量を測定することにより肺浮腫(肺湿重量)を評価した。データは2つの独立した実験の平均±標準偏差であり、各記号はマウスを表す。***p=0.0002(Fc4-IL-2 WT 20μgとFc4-Switch-2 20μgとのと比較);****p<0.0001。
図4B】(図4B、C)PBS、20μgもしくは50μgのFc4-IL-2 WTまたはSwitch-2で処置したマウスの血液(図4B)およびリンパ節(図4C)中のNKの割合を示す。(図4Bp=0.0338(Fc4-IL-2 WT 20μgとFc4-Switch-2 20μgとの比較);***p=0.0006(Fc4-IL-2 WT 50μgとFc4-Switch-2 50μgとの比較);****p<0.0001。
図4C】(図4C**p=0.0031(Fc4-IL-2 WT 20μgとFc4-Switch-2 20μgとの比較);***p=0.0014(PBSとFc4-IL-2 WT 20μgとの比較);***p<0.0001。
図4D】(図4D)in vivo実験のフローチャートを示す。
図4E】(図4E)100μlのPBSまたは20μgのFc4-IL-2 WTまたはFc4-Switch-2をi.p.注射により5日間処置したB16.SIY WT担持マウスの腫瘍増殖を示す。腫瘍のサイズが50~100mmに達した時点で治療を開始した(各群n=6)。グラフは3つの独立した実験の代表的な結果を示す。***p=0.0005(PBSとFc4-Switch-2との比較)、***p=0.0007(Fc4-IL-2 WTとFc4-Switch-2との比較)。データは平均値±標準偏差であり、有意差はテューキーの補正を加えた一元配置分散分析によって決定した。
図4F】(図4F~L)腫瘍接種後15日目に犠牲にしたマウスから得た腫瘍の分析である。(図4F)Ki67+CD8+T細胞の割合を示す。***p=0.0006。
図4G】(図4G)NK1.1+CD122+細胞の割合を示す。p=0.0359(PBSとFc4-IL-2 WTとの比較);p=0.0334(Fc4-IL-2 WTとFc4-Switch-2との比較);****p<0.0001(図4I図4J)。
図4I】PMA/イオノマイシンによる刺激後のCD8+IFN-γ+(図4i)およびCD8+TNF+(図4J)T細胞の割合を示す。(図4Ip=0.0465;**p=0.0035;****p<0.0001。
図4J】(図4J***p=0.0001;****p<0.0001.
図4K】(図4K)PD1+CD8+T細胞の割合を示す。p=0.0158。
図4L】(図4L)TIM3+CD8+T細胞の割合を示す。(図4A~C、E~L)データは平均値±標準偏差であり、各記号は2回(図4A~C)および3回(図4F~L)の独立した実験のマウス1匹(図4A~C、F、G、K、L)または2匹をプールしたもの(図4I、J)を表す。有意差は、テューキーの補正を加えた一元配置分散分析によって求めた。
図5】[図5ab]、[図5cd]フローサイトメトリーによる、pH7(図5a)およびpH5(図5c)においてIL-2 WTまたはpH7(図5b)およびpH5(図5d)においてIL-2 MUT1を示した酵母のpH依存性結合の解析を示す。図5Bは、フローサイトメトリーによる、pH7(図5a)およびpH5(図5c)においてIL-2 WTまたはpH7(図5b)およびpH5(図5d)においてIL-2 MUT1を示した酵母のpH依存性結合の解析を示す。図5Cは、フローサイトメトリーによる、pH7(図5a)およびpH5(図5c)においてIL-2 WTまたはpH7(図5b)およびpH5(図5d)においてIL-2 MUT1を示した酵母のpH依存性結合の解析を示す。図5Dは、フローサイトメトリーによる、pH7(図5a)およびpH5(図5c)においてIL-2 WTまたはpH7(図5b)およびpH5(図5d)においてIL-2 MUT1を示した酵母のpH依存性結合の解析を示す。
図6】配列ID1、2~8のアラインメントを示す。配列番号1:成熟ヒトIL-2、アクセッション番号P60568;配列番号3:成熟マウスIL-2、アクセッション番号P04351;配列番号4:成熟ラットIL-2、アクセッション番号P17108;配列番号5:成熟ブタIL-2、アクセッション番号P26891;配列番号6:成熟キツネIL-2、アクセッション番号Q25BC3;配列番号7:成熟イヌIL-2、アクセッション番号NP_001003305;および配列番号8:成熟マカクIL-2、アクセッション番号P68291。配列番号1の残基37、38、41、42、43、64および他の配列番号のそれぞれの残基を太字で示す。
図7】追加のIL-2 pH耐性変異を示す。pH5およびpH7においてIL-2Rαに結合したIL-2変異のドットプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
「含む」、「備える」、および/または「有する」という用語は、本発明の態様および実施形態が特定の1以上の特徴を「含む」ことを示すために使用されることに留意されたい。上記用語は、関連する1以上の特徴から「本質的になる」または「なる」態様および/または実施形態も包含してよいことを理解されたい。
【0041】
本開示のIL-2ムテインは、野生型または基準IL-2配列に対して改変されている。例えば、本開示のIL-2ムテインは、野生型または基準配列に対して、1以上のアミノ酸改変を含む。アミノ酸改変は、別のアミノ酸による、野生型または基準アミノ酸の置換を含む。このような置換は、野生型の残基(redidue)を、同一または類似の構造的、化学的、および/または生理化学的特性を有する別の残基により置き換えるという点で、保守的であってよい。「保守的な」アミノ酸置換は、関係する残基の極性、電荷、溶解性、疎水性、親水性、および/または両親媒性の類似性に基づいて行われる。例えば、非極性(疎水性)アミノ酸としては、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、メチオニンが挙げられ、極性中性アミノ酸としては、グリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、グルタミンが挙げられ、正に電荷した(塩基性)アミノ酸としては、アルギニン、リジン、ヒスチジンが挙げられ、負に電荷した(酸性)アミノ酸としては、アスパラギン酸、グルタミン酸が挙げられる。
【0042】
また、野生型の残基が、異なるクラスのアミノ酸、例えば構造的に非類似、化学的に非類似および/または生理化学的に異種または非類似のアミノ酸に置換されるという点で、置換が「非保守的」であってよい。
【0043】
アミノ酸改変は、野生型または基準配列からのアミノ酸残基の欠失を含んでよい。他のアミノ酸改変としては、野生型/参照配列への1つ以上のアミノ酸の挿入が挙げられる。アミノ酸改変はさらに、野生型/参照配列の特定の部分または一部の逆位を含んでよい。
【0044】
本開示のIL-2ムテインは、(野生型または基準配列に対して)1つ以上のこれらの改変、例えば、1つ以上(例えば、2、3、4、5、6もしくはそれ以上)のアミノ酸置換、1つ以上(例えば、2、3、4、5、6もしくはそれ以上)のアミノ酸残基の欠失、および/または1つ以上(例えば、2、3、4、5、6もしくはそれ以上)のアミノ酸残基の付加を含んでよい。改変された配列が、野生型または基準配列の1つ以上(例えば2、3、4、5、6またはそれ以上)の部分の逆位をさらに含んでよい。
【0045】
参照または野生型IL-2配列は、ここで配列番号1で表されるヒト成熟IL-2配列を含んでよい。
【0046】
図6に示した配列アラインメントから明らかなように、IL-2の配列は様々な哺乳動物の種にわたって高度に保存されている。したがって、代替の実施形態において、野生型IL-2配列は、表1に開示するマウス(配列番号3)、ラット(配列番号4)、ブタ(配列番号5)、キツネ(配列番号6)、イヌ(配列番号7)、またはマカク(配列番号8)由来の成熟IL-2配列を含んでよい。
【0047】
【表1-1】
【表1-2】
【0048】
上記に鑑みて、本開示に係る改変IL-2分子またはIL-2ムテインは、配列番号1、2~8の配列に対して、1つ以上のアミノ酸改変を含んでよい。
【0049】
一教示において、1以上のアミノ酸改変は、
(i)1つ以上のアミノ酸の置換(例えば、保守的置換を含む);
(ii)1つ以上のアミノ酸の欠失;
(iii)1つ以上のアミノ酸の付加;および
(iv)1つ以上の配列の逆位から選択される。
【0050】
改変IL-2分子またはIL-2ムテインは、配列番号1、4、5、8の残基35から残基45、残基58から残基71、および/もしくは残基107から残基112、または配列番号3、6、もしくは7のそれぞれの残基から選択されるいずれか1つ以上の残基に変異を含んでよい。一教示において、改変IL-2分子またはIL-2ムテインは、配列番号1、4、5、もしくは8の残基37から残基43、残基60から残基69、残基109から残基110、または配列番号3、6、もしくは7のそれぞれの残基のいずれか1つ以上に変異を含んでよい。改変IL-2分子またはIL-2ムテインは、配列番号1、4、5、もしくは8の残基37、残基38、残基41、残基42、残基43、残基60、残基61、残基63、残基64、残基66、残基68、残基69、残基109、および残基110、または配列番号3、6、もしくは7のそれぞれの残基のいずれか1つ以上に変異を含んでよい。改変IL-2分子またはIL-2ムテインは、配列番号1、4、5、もしくは8の残基37、残基38、残基41、残基42、残基43、および残基64のいずれか1つ以上、または配列番号3、6、もしくは7のそれぞれの残基に変異を含んでよい。「それぞれの残基」という用語は、配列番号3、6、もしくは7における、配列番号1、4、5、8の対応する残基を定義し、以下のとおりである、
【0051】
【表2】
【0052】
本開示は、(配列番号1、4、5、もしくは8、または配列番号3、6、もしくは7のそれぞれの残基、または野生型/参照配列に対して)残基37にアミノ酸置換を含むIL-2ムテインを提供する。例として、本開示のIL-2ムテインは、残基37にスレオニンからヒスチジン、アルギニンまたはセリンへの置換を含んでよい。一教示において、および37位のアミノ酸改変に加えて、IL-2ムテインは、1つ以上の他の残基に1つ以上の改変をさらに含んでよい。例えば、IL-2ムテインは、残基37におけるアミノ酸改変と、38位、41位、42位、43位および/または64位のいずれかにおける1つ以上の追加のアミノ酸改変とを含んでよい。
【0053】
本開示は、(配列番号1、4、5、もしくは8または野生型/参照配列に対して)残基38にアミノ酸置換を含むIL-2ムテインを提供する。例として、本開示のIL-2ムテインは、残基38にアルギニンからロイシン、バリン、イソロイシンまたはアラニンへの置換を含んでよい。一教示において、および38位のアミノ酸改変に加えて、IL-2ムテインは、1つ以上の他の残基に1つ以上の改変をさらに含んでよい。例えば、IL-2ムテインは、残基38におけるアミノ酸修飾と、37位、42位、41位、43位および/または64位のいずれかにおける1つ以上の追加のアミノ酸改変とを含んでよい。同様に、配列番号3、6、または7、および配列番号3、6、または7のそれぞれの残基に基づいて同じ実施形態が提供される。
【0054】
本開示は、(配列番号1、4、5、もしくは8または野生型/参照配列に対して)残基41にアミノ酸置換を含むIL-2ムテインを提供する。例として、本開示のIL-2ムテインは、残基41にスレオニンからセリン、グリシン、またはアスパラギン酸への置換を含んでよい。一教示において、および41位のアミノ酸改変に加えて、IL-2ムテインは、1つ以上の他の残基に1つ以上の改変をさらに含んでよい。例えば、IL-2ムテインは、残基41におけるアミノ酸修飾と、37位、38位、42位、43位および/または64位のいずれかにおける1つ以上の追加のアミノ酸改変とを含んでよい。同様に、配列番号3、6、または7、および配列番号3、6、または7のそれぞれの残基に基づいて、同じ実施形態が提供される。
【0055】
本開示は、(配列番号1、4、5、もしくは8または野生型/参照配列に対して)残基42にアミノ酸置換を含むIL-2ムテインを提供する。例として、本開示のIL-2ムテインは、残基42にフェニルアラニンからチロシンへの置換を含んでよい。一教示において、および42位のアミノ酸改変に加えて、IL-2ムテインは、1つ以上の他の残基に1つ以上の改変をさらに含んでよい。例えば、IL-2ムテインは、残基42におけるアミノ酸修飾と、37位、38位、41位、43位および/または64位のいずれかにおける1つ以上の追加のアミノ酸改変とを含んでよい。同様に、配列番号3、6、または7、および配列番号3、6、または7のそれぞれの残基に基づいて、同じ実施形態が提供される。
【0056】
本開示は、(配列番号1、4、5、もしくは8または野生型/参照配列に対して)残基43にアミノ酸置換を含むIL-2ムテインを提供する。例として、本開示のIL-2ムテインは、残基43にリジンからグリシンへの置換を含んでよい。一教示において、および43位のアミノ酸改変に加えて、IL-2ムテインは、1つ以上の他の残基に1つ以上の改変をさらに含んでよい。例えば、IL-2ムテインは、残基43におけるアミノ酸改変と、37位、38位、41位、42位および/または64位のいずれかにおける1つ以上の追加のアミノ酸改変とを含んでよい。
【0057】
本開示は、(配列番号1、4、5、もしくは8または野生型/参照配列に対して)残基64にアミノ酸置換を含むIL-2ムテインを提供する。例として、本開示のIL-2ムテインは、リジンの非保守的アミノ酸置換、好ましくは酸性アミノ酸による置換、最も好ましくは残基64にグルタミン酸置換を含んでよい。一教示において、および64位のアミノ酸改変に加えて、IL-2ムテインは、1つ以上の他の残基に1つ以上の改変をさらに含んでよい。例えば、IL-2ムテインは、残基64におけるアミノ酸改変と、37位、38位、41位、42位および/または43位のいずれかにおける1つ以上の追加のアミノ酸改変とを含んでよい。
【0058】
要約すると、本開示は以下のIL-2ムテインを含む。
【0059】
【表3】
【0060】
本開示は、配列番号1、4、5、8の37位、38位、41位、43位において少なくとも改変と、42位もしくは64位、または配列番号3、6、もしくは7のそれぞれの残基に少なくとも1つのさらなる改変を含む、IL-2ムテインを提供する。
【0061】
本開示は、配列番号1、4、5、8の37位、38位、41位、43位、および64位の各残基、または配列番号3、6、もしくは7のそれぞれの残基においてアミノ酸改変を含むIL-2ムテインを提供する。
【0062】
本開示のIL-2ムテインは、(配列番号1もしくは8または野生型/参照配列に対して)、以下のアミノ酸変異の1つ以上を特徴とする配列を含んでよい。
(i)T37H;および/または
(ii)R38L;および/または
(iii)T41S;および/または
(iv)F42Y;および/または
(v)K43G。
【0063】
したがって、本開示に係るIL-2ムテインは、配列番号2を含んでよい。
【0064】
配列番号2
【0065】
APTSSSTKKT QLQLEHLLLD LQMILNGINN YKNPKLHLML SYGFYMPKKA TELKHLQCLE EELKPLEEVL NLAQSKNFHL RPRDLISNIN VIVLELKGSE TTFMCEYADE TATIVEFLNR WITFCQSIIS
【0066】
本開示のIL-2ムテインは、(配列番号1もしくは8または野生型/参照配列に対して)、以下のアミノ酸変異の1つ以上を特徴とする配列を含んでよい。
(i)T37S;および/または
(ii)R38A;および/または
(iii)T41D;および/または
(iv)-K43G;および/または
(v)-K64E。
したがって、本開示に係るIL-2ムテインは、配列番号9を含んでよい。
配列番号9
APTSSSTKKT QLQLEHLLLD LQMILNGINN YKNPKLSAML DFGFYMPKKA TELKHLQCLE EELEPLEEVL NLAQSKNFHL RPRDLISNIN VIVLELKGSE TTFMCEYADE TATIVEFLNR WITFCQSIIS
【0067】
本開示のIL-2ムテインは、(配列番号1もしくは8または野生型/参照配列に対して)、以下のアミノ酸変異の1つ以上を特徴とする配列を含んでよい。
(i)T37S;および/または
(ii)R38L;および/または
(iii)T41G;および/または
(iv)-F42Y;および/または
(v)-K43G。
【0068】
したがって、本開示に係るIL-2ムテインは、配列番号10を含んでよい。
【0069】
配列番号10
【0070】
APTSSSTKKT QLQLEHLLLD LQMILNGINN YKNPKLSLML GYGFYMPKKA TELKHLQCLE EELKPLEEVL NLAQSKNFHL RPRDLISNIN VIVLELKGSE TTFMCEYADE TATIVEFLNR WITFCQSIIS
【0071】
本開示のIL-2ムテインは、(配列番号1もしくは8または野生型/参照配列に対して)、以下のアミノ酸変異の1つ以上を特徴とする配列を含んでよい。
(i)T37S;および/または
(ii)R38V;および/または
(iii)T41G;および/または
(iv)K43G。
【0072】
したがって、本開示に係るIL-2ムテインは、配列番号11を含んでよい。
【0073】
配列番号11
【0074】
APTSSSTKKT QLQLEHLLLD LQMILNGINN YKNPKLSVML GFGFYMPKKA TELKHLQCLE EELKPLEEVL NLAQSKNFHL RPRDLISNIN VIVLELKGSE TTFMCEYADE TATIVEFLNR WITFCQSIIS
【0075】
本開示のIL-2ムテインは、(配列番号1もしくは8または野生型/参照配列に対して)、以下のアミノ酸変異の1つ以上を特徴とする配列を含んでよい。
(i)T37R;および/または
(ii)R38V;および/または
(iii)T41G;および/または
(iv)K43G。
【0076】
したがって、本開示に係るIL-2ムテインは、配列番号12を含んでよい。
【0077】
配列番号12
【0078】
APTSSSTKKT QLQLEHLLLD LQMILNGINN YKNPKLRVML GFGFYMPKKA TELKHLQCLE EELKPLEEVL NLAQSKNFHL RPRDLISNIN VIVLELKGSE TTFMCEYADE TATIVEFLNR WITFCQSIIS
【0079】
本開示のIL-2ムテインは、(配列番号1もしくは8または野生型/参照配列に対して)、以下のアミノ酸変異の1つ以上を特徴とする配列を含んでよい。
(i)T37S;および/または
(ii)R38I;および/または
(iii)T41G;および/または
(iv)K43G。
【0080】
したがって、本開示に係るIL-2ムテインは、配列番号13を含んでよい。
【0081】
配列番号13
【0082】
APTSSSTKKT QLQLEHLLLD LQMILNGINN YKNPKLSIML GFGFYMPKKA TELKHLQCLE EELKPLEEVL NLAQSKNFHL RPRDLISNIN VIVLELKGSE TTFMCEYADE TATIVEFLNR WITFCQSIIS
【0083】
IL-2ムテインは、本明細書中に記載の改変分子またはムテインのいずれかの機能性フラグメントを含んでよい。一教示において、本開示のIL-2ムテインは、配列番号2、9、10、11、12または13によって提供される配列の機能性フラグメントを含んでも、本質的にそれらからなっても、またはそれらからなってもよい。「機能性」フラグメントは、より長い/フルのまたは完全なIL-2ムテインに与えられた1つ以上の機能を保持するフラグメントを含んでよい。例えば、本開示のフラグメントは、配列番号2、9、10、11、12または13の全配列を含むムテインの1つ以上の機能を保持してよい。このような機能としては、例えば、IL-2Rαに結合する能力;および/またはpH7.2よりもpH6.5においてより高い親和性でIL-2Rαに結合する能力;および/またはpH7.2よりもpH6.5においてより強力なSTAT5の活性化を誘発する能力などが挙げられる。
【0084】
ムテインフラグメントは、任意の機能(例えば、結合機能、T細胞の活性化機能、および/または免疫エフェクター機能)について、任意の数の異なるアッセイを用いて試験されてよい。例として、結合アッセイは、試験対象のIL-2ムテインフラグメントをIL-2Rαと接触させることを含んでよく、このようなアッセイにおいて、フラグメントとIL-2Rαとの結合の検出は、フラグメントが必要な結合機能を保持していることを示す。さらに、CD8+T細胞と接触させるアッセイ法を用いて、T細胞の増殖および/または免疫エフェクター機能を促進する能力についてフラグメントが試験されてよい。機能性フラグメントはCD8+T細胞を刺激し、増殖させたり、および/またはエフェクターサイトカインを産生させたりする。結合、T細胞の活性化および/またはエフェクター機能のアッセイのいずれも、酸性pH、例えばpH7.4未満のpH、例えば約6.1、約6.2、約6.3、約6.4、約6.5のpH(または本明細書に記載の他のいずれかのpH)で実施されてよい。これは、フラグメントの機能的能力を試験するだけでなく、フラグメントが耐酸性という特徴を保持しているかどうかも判定する。これらのアッセイの結果が、例えば、既知または所定の機能を有する野生型IL-2、IL-2ムテインおよび/またはIL-2(ムテイン)フラグメントを使用した陽性および/または対照アッセイの結果と比較されてよい。対照アッセイは、中性pHよりも酸性pHにおいてより強力な活性/機能を示すフラグメントを試験するために、異なるpH、例えば中性pHで実施されてもよい。
【0085】
配列番号2、9、10、11、12または13のフラグメントは、約10から約n-1(ここで、n=130;すなわち、配列番号2、9、10、11、12または13の残基の総数)の間の任意の数の残基を有してよい。例として、フラグメントが、配列番号2、9、10、11、12または13の15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125または129のアミノ酸残基を含んでよい。
【0086】
配列番号2のフラグメントは、少なくとも残基番号57、58、61、62および63を含んでよい。一教示において、配列番号2、9、10、11、12または13のフラグメントは、残基57~63を含んでよい。これらの選択残基のいずれかを含むフラグメントが、そのすぐ上流および/または下流にある配列のフラグメントをさらに含んでいてもよい。
【0087】
さらに、本開示のIL-2ムテインは、配列番号2、9、10、11、12または13の配列と、ある程度の配列同一性または相同性を示してよい。例えば、有用なフラグメントは、配列番号2、9、10、11、12または13の配列と、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一または相同である配列を含んでよい。
【0088】
上記に鑑みて、IL-2ムテインという用語は、配列番号2、9、10、11、12もしくは13によって提供される特定の例だけでなく、その機能性フラグメント、配列番号2、9、10、11、12、13と、ある程度の配列同一性/相同性を有する分子、および/または記載のアミノ酸改変の1つ以上を含む他のIL-2由来の分子を包含する。
【0089】
本開示はさらに、本明細書中に記載の改変されたIL-2ムテインのいずれかをエンコードする核酸を提供する。例えば、本開示は、基準または野生型配列に対して、1つ以上のアミノ酸改変を有するIL-2ムテインをエンコードする核酸を提供する。核酸はDNAでもRNAでもよく、好ましくはmRNAである。
【0090】
本開示は、配列番号2、9、10、11、12、13またはそのいずれかの機能性フラグメントをエンコードする核酸を提供する。
【0091】
本開示の核酸は、宿主細胞、例えば微生物宿主細胞における発現のためにコドン最適化されていてもよい。
【0092】
本明細書に、本開示の核酸を含むベクターが開示される。例えば、本開示は、IL-2ムテイン、配列番号2、9、10、11、12、13またはその機能性フラグメントをエンコードする核酸を含むベクターを提供する。
【0093】
また、本開示の核酸またはベクターで形質転換された宿主細胞も開示される。宿主細胞は真核細胞でも原核細胞でもよい。宿主細胞は、哺乳動物細胞、昆虫細胞、または植物細胞であってよい。宿主細胞は微生物細胞、例えば細菌(大腸菌など)であってよい。宿主細胞はT細胞であってもよく、好ましくはキメラ抗原受容体(CAR)を含むT細胞である。
【0094】
また、本明細書において、本開示の核酸を含むウイルスも開示される。
【0095】
本開示のムテインの作製方法は、本開示のIL-2ムテインをエンコードする核酸またはベクターで宿主細胞を形質転換することと、IL-2ムテインをエンコードする核酸の発現を誘導することとを含んでよい。このような方法において、発現されたIL-2ムテインは、宿主細胞または宿主細胞を培養した培地から採取、抽出または精製することができる。
【0096】
また、本開示は、耐pH IL-2ムテインの同定方法を提供し、該方法は、
IL-2分子を変異または改変させてIL-2ムテインを生成することと、
IL-2Rαに結合し、pH耐性を有するムテインを同定するために、IL-2ムテインを酸性条件下でIL-2Rαと接触させることと、を含む。
【0097】
変異または改変させるIL-2分子は、野生型IL-2配列またはその他のIL-2基準配列を含んでよい。例えば、改変または変異させるIL-2分子が、配列番号1またはその機能性フラグメントを含んでよい。
【0098】
IL-2分子を変異または改変させてIL-2ムテインを生成するステップは、野生型または基準IL-2配列に1つ以上のアミノ酸改変を導入することを含んでよい。このために、例えば、野生型IL-2配列内の特定の残基をランダムに変異させるため、縮退コドン(例えば、NDT)を含むプライマーの使用を利用するPCRに基づく方法など、種々の技術が使用されてよい。どのムテインもIL-2Rαへの結合能力を試験することができる。
【0099】
改変されたIL-2(IL-2ムテイン)をIL-2Rαと接触させるステップは、改変されたIL-2をIL-2Rαフラグメントと接触させることを含んでよく、IL-2Rαフラグメントは、IL-2結合フラグメントである。IL-2RαのIL-2結合フラグメントは、エクトドメインを含んでよい。IL-2Rαまたはその任意の結合フラグメントは、例えばビオチンなどの結合部位に結合してよい。IL-2Rαは、検出可能な標識、例えば、受容体に結合したムテインを同定するための蛍光標識を含んでよい。
【0100】
耐pH IL-2ムテインの同定方法は、IL-2ムテインまたはそのフラグメントをエンコードする核酸を含むライブラリーを作製するステップをさらに含んでよく、IL-2ムテインは、1つ以上のアミノ酸の置換(例えば、保守的置換を含む);(ii)1つ以上のアミノ酸の欠失;(iii)1つ以上のアミノ酸の付加;および(iv)1つ以上の配列の逆位(これらはすべて、本明細書において後に記載/定義する)を含む。
【0101】
IL-2分子を変異または改変させてIL-2ムテインを生成するステップは、配列番号1の残基35から残基45、残基58から残基71および/または残基107から残基112のいずれか1つ以上の残基に変異(例えば、置換、付加、欠失または逆位)を導入することを含んでよい。一教示において、IL-2分子を変異または改変させてIL-2ムテインを生成するステップは、配列番号1の残基37から残基43、残基60から残基69、残基109から残基110のいずれか1つ以上の残基に変異を導入することを含んでよい。IL-2分子を変異または改変させてIL-2ムテインを生成するステップは、配列番号1の残基37、残基38、残基41、残基42、残基43、残基60、残基61、残基63、残基64、残基66、残基68、残基69、残基109、および残基110のいずれか1つ以上に変異を導入することを含んでよい。IL-2分子を変異または改変させてIL-2ムテインを生成するステップは、配列番号1の残基37、残基38、残基41、残基42および残基43のいずれか1つ以上に変異を導入することを含んでよい。
【0102】
作成されたライブラリーの核酸は、天然型または野生型アミノ酸の他のアミノ酸への置換;例えば、天然型または野生型アミノ酸の、アミノ酸G、V、L、I、C、A、E、S、R、H、D、N、F、およびYから選択される他のアミノ酸による置換を含むムテインをエンコードしてよい。核酸ライブラリーは、上記のアミノ酸のいずれか1つ以上に対する縮退コドンを有するプライマーを使用するネステッドPCRによって作製することができる。
【0103】
本方法は、核酸ライブラリーを発現させてIL-2ムテインライブラリーを得るステップをさらに含んでよい。ライブラリーに含まれるIL-2ムテインは、細胞、ファージのウイルス、例えば酵母細胞などの発現ビヒクルの表面で発現されてよい。
【0104】
IL-2ムテインをIL-2Rαと接触させるステップが、異なるpHの範囲で実施されてよい。例えば、IL-2ムテインをIL-2Rαと接触させるステップが、約pH7.4未満のpHで実施されてよい。例えば、接触させるステップが、約pH4.0またはpH5.0と約pH7.0またはpH7.3との間のpHで行われてよい。例えば、接触させるステップが、約pH4.5またはpH4.8と約pH6.0またはpH6.5との間のpHで行われてよい。接触させるステップが、pH5.5、pH6.0、pH6.1、pH6.2、pH6.3、pH6.4、pH6.5、pH6.6、pH6.7、pH6.8、pH6.9、pH7.0、pH7.1またはpH7.2で行われてよい。この種の方法において、酸性のpHでIL-2Rαに結合したムテインを、耐酸性を有し得るIL-2ムテインとして同定することができる。上記に加えてまたは上記に替えて、酸性pHで、それぞれの野生型よりもより強い受容体(IL-2Rα)結合を示すIL-2ムテインが、耐酸性を有し得るIL-2ムテインとして同定されてもよい。
【0105】
有用なIL-2ムテインが、IL-2Rα(例えばIL-2Rαエクトドメイン)の濃度を減少させながらIL-2ムテインと接触させる指向性進化法/反復選択サイクルを用いて同定されてよい。これにより、受容体への結合親和性が最も良好なIL-2ムテインを同定することができる。
【0106】
反復選択サイクルは、最初に(1サイクルまたは数サイクルで)サイトカイン受容体多量体、好ましくは受容体四量体に結合させることと、続いて(1サイクルまたは数サイクルで)サイトカイン受容体単量体に結合させることとを含む。受容体多量体は、例えば、ビオチン化受容体をストレプトアビジンに結合させるか、他のリガンド/バインダー相互作用を介して得ることができる。
【0107】
反復選択ラウンドは、受容体濃度を低下させながら(例えば、100nMの四量体、1μMの四量体、100nM単量体;図2bも参照)結合させることを含んでよい。理論に束縛されることを望むものではないが、受容体濃度を低下させることにより、受容体親和性の高いムテインを同定することができる。
【0108】
次に、選択ラウンドにおいて受容体に結合し、同定されたIL-2ムテインが、関連するムテインをエンコードする核酸を含む発現ビヒクル/ベクターを用いて発現されてよい。したがって、本方法は、発現されたムテインを介して、受容体に結合した発現ビヒクルに含まれる核酸を単離および/またはシークエンシングするステップをさらに含んでよい。
【0109】
本方法は、それぞれのpHにおいて、対応する受容体に野生型サイトカインと比較して低い親和性で結合するムテインを同定するために、少なくとも7.2、好ましくは約7.4のpH下で、同定されたIL-2ムテインを、対応する受容体またはその結合フラグメントと接触させるステップをさらに含んでよい。
【0110】
本発明はさらに、上記のサイトカインムテインをエンコードする核酸を含むライブラリー、およびサイトカインムテインライブラリーに関する。
【0111】
酸耐性IL-2ムテインは、がんを含む様々な疾患および/または状態の治療および/または予防への応用することができる。
【0112】
このように、本開示は、がんの治療に使用するためのIL-2ムテインの同定方法を提供し、該方法は、
IL-2分子を変異または改変させてIL-2ムテインを生成することと、
IL-2ムテインをIL-2Rαと接触させ、IL-2Rαに結合するムテインを同定することと、を含む。
【0113】
この場合も、IL-2分子を変異または改変させてIL-2ムテインを生成するステップは、野生型または基準IL-2配列に1以上のアミノ酸改変を導入することを含んでよい。さらに、IL-2ムテインをIL-2Rαと接触させるステップが酸性pHで行われてよい。その目的は、酸性pHでIL-2Rαに結合可能なIL-2ムテインを同定することにある。腫瘍微小環境は酸性であり得るので、pH耐性を有するIL-2ムテインは、がんの治療および/または予防に最も有用であろう。
【0114】
また、本開示は、IL-2分子を変異または改変させてIL-2ムテインを生成することと、IL-2Rαに結合し、このためpH耐性を有するムテインを同定するために、IL-2ムテインを酸性条件下でIL-2Rαと接触させるステップとを含む方法によって得ることができる、耐pH IL-2ムテインを提供する。変異または改変させるIL-2分子は、野生型IL-2配列またはその他のIL-2基準配列を含んでよい。例えば、改変させるIL-2分子が、配列番号1またはその機能性フラグメントを含んでよい。酸性条件は前述のように調整されてよい。酸性条件下でIL-2Rαに結合する能力を保持するムテインは、TMEが酸性であり、標準的なIL-2ベースの治療薬の機能を阻害するがんの治療に使用する薬剤として非常に有用であろう。好ましくは、開示のIL-2ムテインおよび融合タンパク質は、がんの腫瘍におけるTMEの細胞外pH(pHe)が約pH7.4未満、7.2未満、好ましくは7.0未満、好ましくは約6.8未満、最も好ましくは約6.6未満である前記がんの治療に使用するためのものである。このようながんの種類は、例えばリンパ腫がんまたは固形がんであってよい。がんの治療は、本明細書に開示のIL-2ムテイン、融合タンパク質または関連する組成物を投与する前に、患者のTMEの細胞外pHを決定するステップを含んでよい。TMEのpHeは、蛍光イメージング、PET、H磁気共鳴スペクトル法(MRS)、31P MRS、19F MRS、過分極13C MRS、磁気共鳴画像法(MRI)、特にChen(非特許文献22)(同開示の内容全体が参照により本明細書に援用される)に開示されたようなCEST MRIを含む、当該技術分野で公知の様々な方法に従って決定することができる。好ましくは、TMEのpHeはMRIによって決定される。
【0115】
本開示はさらに、種々の疾患および/または状態の治療および/または予防のための方法、組成物および医薬品に使用するための改変IL-2分子を提供する。
【0116】
したがって、本開示は、医薬に使用するためのIL-2ムテインを提供する。
【0117】
一教示において、本開示は、医薬に使用するための、配列番号2、9、10、11、12、13、またはその機能性フラグメントを含むタンパク質を提供する。機能性フラグメントの定義は、本明細書の別の箇所に記載されている。
【0118】
本開示はさらに、医薬に使用するための、開示されたIL-2ムテインのいずれかをエンコードする核酸を提供する。一教示において、本開示は、医薬に使用するための、配列番号2、9、10、11、12、13またはそのフラグメントを含むタンパク質をエンコードする核酸を提供する。
【0119】
本開示は、
医薬品として使用するための、
開示されたIL-2ムテインのいずれか;および/または
配列番号2、9、10、11、12、13もしくはそれらのフラグメントを含むタンパク質;および/または
開示されたIL-2ムテインのいずれかをエンコードする核酸;および/または
配列番号2、9、10、11、12、13もしくはそのフラグメントを含むタンパク質をエンコードする核酸を提供する。
【0120】
この点において、本明細書に記載のIL-2ムテインは、免疫療法として利用または使用されてよい。
【0121】
本開示は、免疫学的状態の治療または予防に使用するための改変IL-2分子を提供する。
【0122】
本開示は、がんの治療または予防に用いる改変IL-2分子を提供する。
【0123】
一教示において、「がん」という用語には、乳酸の過剰産生を特徴とする(腫瘍)細胞のがんが含まれる。「がん」という用語には、酸性の微小環境を形成する腫瘍をもたらすがんも含まれる。
【0124】
また、(i)がん、または(ii)免疫学的状態の治療または予防のための医薬品の製造における、本開示の改変IL-2分子の使用も開示される。
【0125】
本開示はさらに、がんの治療または予防方法を提供し、該方法は、治療有効量の本明細書中に記載の改変IL-2分子のいずれかを、それを必要とする対象に投与することを含む。
【0126】
本開示の改変分子を投与する対象には、免疫学的状態および/またはがんに罹患しているヒトまたは動物の対象が含まれる。また、対象は、免疫学的状態もしくはがんに罹患する素因のある、および/または罹患しやすいヒトまたは動物のいずれかの対象であってもよく、このがんはIL-2の使用により治療および/または予防することができる。
【0127】
理論に束縛されることを望むものではないが、本開示のムテインに関連するさらなる利点は、野生型または未改変のIL-2分子よりも毒性が低いことにある。本開示のムテインは、酸性pHでより高い親和性でIL-2Rαに結合し、pH7.2よりもpH6.5においてより強力なSTAT5の活性化を誘発し、野生型IL-2分子と比較して細胞傷害性T細胞の増殖の誘導に優れる。このように、高いレベルの全身毒性がIL-2の治療的使用を妨げてきたが、本開示により提供されるムテインは中性pHで活性が低下するため、酸性の腫瘍微小環境内で選択的に活性を示す。要約すると、ここでも理論に束縛されるものではないが、本開示のIL-2ムテインは、酸性腫瘍微小環境内で強力な応答を誘導するが、中性pHでは活性が低下するため、(野生型(または未改変)IL-2分子よりも)全身毒性を生じにくい。
【0128】
本開示はさらに、本明細書に記載のサイトカインムテインまたはIL-2ムテインを含む融合タンパク質を提供してよい。
【0129】
融合タンパク質は、サイトカインムテインまたはIL-2ムテインに結合、連結または融合された1つ以上の他の分子をさらに含んでよい。一教示において、他の分子が、サイトカインムテインまたはIL-2ムテインのC末端、N末端またはN末端およびC末端に結合、連結または融合されてよい。別の教示において、融合体が、サイトカインムテインまたはIL-2ムテインを対象とする別の分子を含んでいてもよい。
【0130】
したがって、本開示は、以下を含む融合タンパク質を提供する。
(i)サイトカインムテイン;または
(ii)開示されたIL-2ムテインのいずれか;または
(iii)配列番号2、9、10、11、12、13またはそのフラグメントを含むタンパク質。
【0131】
本開示の融合タンパク質の他の分子は、
サイトカイン、サイトカインムテイン、またはそれらのフラグメント;
インターロイキン分子またはそのフラグメント
ポリペプチド結合ドメイン
抗体またはそのフラグメント;
一本鎖抗体;
VHHを含んでよい。
【0132】
本開示の融合タンパク質は、本明細書に記載のように、IL-2ムテインおよび少なくとも1つ以上のさらなる異なるサイトカインを含んでよい。
【0133】
本開示の融合タンパク質に含まれるポリペプチド結合ドメインは、腫瘍抗原またはチェックポイント分子に結合するか、またはこれらに対する特異性/親和性を示してよい。チェックポイント分子とは、いくつかの免疫細胞の表面に存在する共刺激性受容体や、前記受容体に対するリガンドなど、免疫反応の負の制御因子である。(ポリペプチド結合分子が結合する、またはこれらに対して特異性/親和性を示す)チェックポイント分子は、CD27、CD137、2B4、TIGIT、CD155、CD160、ICOS、HVEM、CD40L、LIGHT、LAIR1、OX40、DNAM-1、PD-L1、PD1、PD-L2、CTLA-4、CD8、CD40、CEACAM1、CD48、CD70、A2AR、CD39、CD73、B7-H3、B7-H4、BTLA、IDOl、ID02、TDO、KIR、LAG-3、TIM-3、またはVISTAから選択されてよい。
【0134】
前述のように、本発明の融合体に含まれるポリペプチド結合ドメインは、腫瘍抗原に結合するか、または腫瘍抗原に対する特異性/親和性を示してよく、「腫瘍抗原」という用語は、EpCAM、EGFR、HER-2、HER-3、c-Met、FoIR、PSMA、CD38、BCMA、CEA、5T4、AFP、B7-H3、カドヘリン-6、CAIX、CD117、CD123、CD138、CD166、CD19、CD20、CD205、CD22、CD30、CD33、CD40、CD352、CD37、CD44、CD52、CD56、CD70、CD71、CD74、CD79b、CLDN18.2、DLL3、EphA2、ED-Bフィブロネクチン、FAP、FGFR2、FGFR3、GPC3、gpA33、FLT-3、gpNMB、HPV-16 E6、HPV-16 E7、ITGA2、ITGA3、SLC39A6、MAGE、メソセリン、Muc1、Muc16、NaPi2b、ネクチン-4、P-カドヘリン、NY-ESO-1、PRLR、PSCA、PTK7、ROR1、SLC44A4、SLTRK5、SLTRK6、STEAP1、TIM1、Trop2、またはWT1から選択される抗体を含んでよい。ポリペプチド結合ドメインは血液腫瘍抗原に結合してよく、血液腫瘍抗原はリンパ球によって発現されてよい。この種の腫瘍抗原としては、例えば、ADIR、AURKA、BCR-ABL、BMI1、CML28、CML66、サイクリンAl、DDX3Y、DKK1、FMOD、FRAME、G250/CAIX、HAGE、HM1.24、hTERT、LPP、MAG EA3、MAGEA3、MEF2D、MLL、MPP1、MUC1、ミエロペルオキシダーゼ、NEWREN60、NY-ESO-1、PANE1、PRAME、プロテナーゼ3、PTPN20A/B、RHAMM、ROR1、SLAMF7、サバイビン、TEX14、WT1、CD19、CD20、CD22、CD25、CD30、CD33、CD38、CD52、CD123、CD269、CD138、HM1.24、SLAMF7が挙げられる。(血液)腫瘍抗原という用語には、例えば、CD19、CD20、CD22、CD25、CD30、CD33、CD38、CD52、CD123、CD269、CD138、HM1.24、SLAMF7などの表面抗原が含まれる。
【0135】
本開示の融合体に使用するためのポリペプチドドメインは、制御性T細胞によって発現される抗原に結合するか、またはこれらに対して親和性/特異性を示す。制御性T細胞によって発現される抗原は、制御性T細胞の細胞表面マーカーに含まれてよい。制御性T細胞によって発現される抗原は、CTLA4、CD25、OX40、GITR、TNFRII、NRP1、TIGIT、CCR8、LAYN、MAGEH1、CD27、ICOS、LAG-3、TIM-3、CD30、IL-1R2、IL-21R、4-1BB、PDL-l、およびPDL-2から選択されてよい。
【0136】
本開示の融合タンパク質は、抗Ox40抗体またはそのフラグメントを含んでよい。有用な例としては、国際公開第2015/132580号または米国特許出願公開第2019/275084号明細書(これらの開示の全内容が参照により本明細書に援用される)に開示されている抗体を挙げることができる。
【0137】
本開示の融合タンパク質に使用するための抗体は、アンタゴニスト抗体またはそのアゴニストフラグメントを含んでよい。これらの抗体のいずれのフラグメントが使用されてもよく、このフラグメントも必要なアンタゴニスト/アゴニスト活性を示す。有用なアゴニスト抗体は、例えば、国際公開第2020/006509号、国際公開第2018/045110号、国際公開第2017/214092号、国際公開第2019/072868号(これら全ての文書の関連する内容が本明細書に援用される)に開示されたものであってよい。
【0138】
本開示の融合タンパク質に使用するための抗体は、pH応答性抗体またはそのフラグメントを含んでいてもよく、このフラグメントはpH応答性であるという特徴を保持してよい。pH応答性抗体は、異なるpHで異なる抗原結合動態を示す。例えば、理論に束縛されることを望むものではないが、pH応答性抗体は、酸性のpHでは、異なる(例えば中性またはアルカリ性の)pHで同じ抗原に結合するよりも高い親和性または低い親和性で抗原に結合してよい。一教示において、pH応答性抗体は、酸性のpHにおいて抗原に対し高い親和性を示してよい(その増大は、異なる(例えば中性またはアルカリ性の)pHでの同じ抗原に対する当該抗体の親和性と比較した増加である)。pH応答性抗体(またはそのフラグメント)は、CTLA-4(国際公開第2019/152413号に開示されており、同開示の全内容が参照により本明細書に援用される)、PD-L1(国際公開第2017/161976号に記載されており、同開示の全内容が参照により本明細書に援用される)、VISTA(米国特許出願公開第2020/20055936号明細書および国際公開第2019/183040号に開示されており、これらの開示の全内容が参照により本明細書に援用される)に結合してよい(または親和性/特異性を有してよい)。本開示の融合タンパク質は、国際公開第2020/247932号に開示された抗CD3抗体、国際公開第2020/252095号に開示された抗EPCAM抗体、または国際公開第2018/218076号に開示されたpH応答性抗体を含んでよい。
【0139】
腫瘍部位に存在する条件下では、特定のサイトカイン、例えばIL-2は条件的に活性化する。したがって、本開示の融合タンパク質は、本開示のサイトカインムテイン/IL-2ムテインを条件的に不活性化するポリペプチドドメインを含んでよい。IL-2を条件的に不活性化するポリペプチドドメインは、IL-2とその受容体との結合を阻止するかまたは減少させるポリペプチドであってよい。インターロイキンを条件的に不活性化するポリペプチドドメインは、マスキング部位またはドメインとして当該技術分野において公知である。活性化は、融合タンパク質の立体的変化、あるいは融合タンパク質からのポリペプチドドメインの放出によって促進される。マスキングドメインは、ポリペプチドリンカーを介してIL-2に融合されてよい。ポリペプチドリンカーは、好ましくは腫瘍微小環境の条件下で切断される。放出可能なマスキング部位を含むインターロイキン融合タンパク質は、例えばXilioによる国際公開第2020/069398号に開示されている。
【0140】
本開示の融合タンパク質(この融合タンパク質は、本開示のサイトカインムテインまたはIL-2ムテインを含む)は、半減期延長型分子を含んでよい。例えば、本開示の融合体は、半減期延長型分子に融合または結合された(本明細書で定義のような)サイトカインムテインまたはIL-2ムテインを含んでよい。半減期延長型分子は、免疫グロブリンフラグメント、好ましくはFc分子、血液血清タンパク質に結合するポリペプチド結合ドメイン、好ましくはアルブミンまたはポリマーに結合するポリペプチド結合ドメインを含む。
【0141】
この点において、「Fc分子」という用語は、ヒトIgG1 Fcを含んでよい。一教示において、有用なIgG1 Fc分子は、該Fcのエフェクター機能を変化させる1つ以上の変異を含んでよい。例として、ヒトIgG1はN297の置換、例えばN297Gの置換を含んでよい。他の教示において、有用なヒトIgG Fc分子は、C末端リジンの置換または欠失を含んでよい。
【0142】
本開示の融合体は、ムテイン成分と融合体の他の成分とを連結するリンカー部分を含んでよい。好適なリンカーは、国際公開第2021/030602号(その関連する内容が本明細書に援用される)に開示されたリンカーを含んでよい。一教示において、本開示の融合体は、前記タンパク質のFcおよびヒトIL-2ムテイン部分を連結するリンカーに(何らかの短いペプチドリンカーを介して)連結されたサイトカイン/IL-2ムテインを含んでよい。
【0143】
(本開示の融合体に含まれる)ポリマーは、ポリエチレングリコール分子を含んでよい。
【0144】
本開示はさらに、様々な疾患および/または状態の治療および/または予防のための方法、組成物および医薬品に使用するための本開示の融合タンパク質を提供する。
【0145】
例として、本開示は、医薬に使用するための開示された融合タンパク質のいずれかを提供する。一教示において、本開示は、医薬に使用するための、サイトカインムテインもしくはIL-2ムテイン、配列番号2、9、10、11、12、13、またはこれらのいずれかのフラグメントを含むタンパク質を含む融合タンパク質を提供する。
【0146】
開示された融合タンパク質は、免疫療法として利用または使用することができる。
【0147】
本開示は、免疫学的状態の治療に使用するための、開示された融合タンパク質のいずれか1つを提供する。
【0148】
本開示は、がんの治療に使用するための本開示の融合タンパク質を提供する。一教示において、「がん」という用語は、その(腫瘍)細胞が乳酸の過剰産生を特徴とするがんを含む。「がん」という用語は、酸性の微小環境を形成する腫瘍をもたらすどのようながんも含む。
【0149】
また、(i)がん、または(ii)免疫学的状態の治療のための医薬品の製造における、本開示の融合タンパク質の使用も開示される。
【0150】
本開示はさらに、がんの治療方法を提供し、該方法は、治療有効量の本明細書に開示の融合タンパク質のいずれかを、それを必要とする対象に投与することを含む。
【0151】
本開示の融合タンパク質を投与する対象には、免疫学的状態および/またはがんに罹患しているヒトまたは動物の対象が含まれる。また、対象は、本開示の融合タンパク質を用いて治療および/または予防することができる免疫学的状態もしくはがんに罹患する素因のある、および/または罹患しやすい任意のヒトまたは動物対象であってよい。
【0152】
開示されたサイトカインムテイン、IL-2ムテインまたは融合タンパク質のいずれもが、組成物の形態で提供されてよいことに留意されたい。このような組成物は医薬品として使用することができる。本開示の組成物は、例えば、1種以上の薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物であってよい。
【0153】
あるいは、本開示に係る医薬品として使用される組成物は、開示されたサイトカインムテイン、IL-2ムテインまたは融合タンパク質のいずれかをエンコードするポリヌクレオチド、好ましくはRNA、最も好ましくはmRNAを含んでよい。
【0154】
タンパク質またはポリヌクレオチド、好ましくはmRNAを含む開示の組成物は、例えば、全身投与されても、または腫瘍内または腫瘍外投与により局所投与されてよい。
【0155】
開示されたサイトカインムテイン、IL-2ムテインまたは融合タンパク質のいずれかを含む組成物は、1種以上の追加の活性剤または治療剤をさらに含んでよい。例えば、本組成物は、抗腫瘍抗原抗体、チェックポイント分子、チェックポイント分子に対する抗体、腫瘍抗原、ステロイドおよび/またはCAR T細胞を含んでよい。
【0156】
本明細書に記載の治療的処置のいずれもが、1以上の追加の活性または治療的部分、例えば、抗腫瘍抗原抗体、チェックポイント分子、チェックポイント分子に対する抗体、腫瘍抗原、ステロイドおよび/またはCAR T細胞の使用をさらに含んでよく、これらは、本開示のサイトカインムテイン、IL-2ムテインまたは融合タンパク質の投与前、投与中(同時または一緒に)、または投与後に、別々に投与されてよい。
【0157】
一教示において、追加の活性または治療的部分は、CD27、CD137、2B4、TIGIT、CD155、CD160、ICOS、HVEM、CD40L、LIGHT、LAIR1、OX40、DNAM-1、PD-L1、PD1、PD-L2、CTLA-4、CD8、CD40、CEACAM1、CD48、CD70、A2AR、CD39、CD73、B7-H3、B7-H4、BTLA、IDOl、ID02、TDO、KIR、LAG-3、TIM-3、またはVISTAから選択され、最も好ましくはPD-L1、PD1、またはPD-L2である。
【0158】
例えば、本開示は、(本明細書において定義されるような)がんおよび/または免疫学的状態の治療および予防のための方法、組成物および医薬品に使用するための、本開示のサイトカインムテイン、IL-2ムテインおよび/または融合タンパク質と、1以上の追加の治療的または薬学的に活性な部分とを提供する。
【0159】
開示されたサイトカインムテイン、IL-2ムテインまたは融合タンパク質のいずれも、アジュバントとして使用されてよい。「アジュバント」とは、アジュバントと共投与される1以上の抗原に対する宿主免疫応答を増強、調節、または強化する化合物である。したがって、開示されたサイトカインムテイン、IL-2ムテインまたは融合タンパク質は、1以上の抗原に対する宿主免疫応答を増強、調節または強化するために、1以上の抗原と組み合わせて使用されてよい。1以上の抗原は、例えば微生物、細菌および/またはウイルスの抗原を含んでよい。
【0160】
したがって、本開示は、宿主において抗原に対する免疫応答を向上させる方法をさらに提供し、該方法は、抗原と、開示されたサイトカインムテイン、IL-2ムテインまたは融合タンパク質のいずれかとを宿主に投与することを含む。理論に束縛されることを望むものではないが、サイトカインムテイン、IL-2ムテインまたは融合タンパク質は、宿主において抗原に対する免疫応答を増強、調節または強化するアジュバントとして作用する。
【0161】
本開示はさらに、抗原と、開示されたサイトカインムテイン、IL-2ムテインまたは融合タンパク質のいずれかとを含むワクチン組成物を提供する。この種のワクチン組成物では、サイトカインムテイン、IL-2ムテインまたは融合タンパク質成分がアジュバントとして作用するか、またはその役割を果たす。一教示において、ワクチンは腫瘍ワクチンである。
【実施例
【0162】
材料と方法
細胞培養および培地
B16.SIY WTおよびB16.SIY LDHA/B DKO(レーゲンスブルク大学Marina Kreutzの好意により提供)を、10%ウシ胎児血清(FBS)およびペニシリン/ストレプトマイシンを添加したGlutaMAX入りRPMI1640で培養した。SNAPf-IL-2Rαを安定的にトランスフェクトしたHeLa細胞を、アール平衡塩、グルタミン、10%FBS、非必須アミノ酸、およびHEPESバッファーを添加したMEM培地中で37℃、5%CO2で培養した。バキュロウイルスの調製およびタンパク質の産生には、Spodoptera frugiperda(Sf9)およびTrichoplusia ni(High Five)の細胞をそれぞれSF900 III SFM培地(Invitrogen;12658027)およびInsect Xpress培地(Lonza;BELN12-730Q)で培養した。ヒトT細胞は、10%FBS、最小限の非必須アミノ酸、1mMピルビン酸ナトリウム、およびペニシリン/ストレプトマイシンを添加したGlutaMAX(Gibco、61870036)入りRPMI1640で培養した。短期または長期の実験を行うために培地のpHを調整する際には、HClを使用して培地を酸性化し、20mM HEPES pH6.5を添加してpHを6.5に安定させた。同量のHEPES pH7.5をpH7.5の培地に加えた。マウスT細胞の場合、培地にはさらに50μMのβ-メルカプトエタノールを添加した。
【0163】
タンパク質の産生
ヒトIL-2野生型(WT;残基1~133)およびSwitch-2を、N末端gp67およびC末端ヒスチジンタグを有するフレームでpFB-CT10HFベクターにクローニングし、ヒトIL-2Rαエクトドメイン(残基1~217)を、C末端ビオチンアクセプターペプチド(BAP)-LNDIFEAQKIEWHWおよびこれに続くヒスチジンタグとともに同じベクターにクローニングし、in vivo実験のために、ヒトIgG4のFc部分をIL-2 WTのN末端およびSwitch-2にクローニングした。バキュロウイルス発現系を用いてタンパク質を産生させた。簡単に説明すると、ベクターをDH10Bac菌(Gibco)で組み換え、生成したバクミドを用いてバキュロウイルスを産生させた。バキュロウイルスをSpodoptera frugiperda(Sf9)細胞で産生および増幅し、Trichoplusia ni(High Five)細胞に感染させてタンパク質発現に使用した。感染2日後、His-Pur Ni-NTA樹脂(Invitrogen;88222)を用いて、細胞培養上清中に放出されたタンパク質を捕捉した。タンパク質をSuperdex 75 Increaseカラム(GEヘルスケア;29-1487-21)でサイズ排除して精製した。タンパク質を10mM HEPES(pH7.2)および150mM NaCl(HBSバッファー)で保存した。IL-2Rαの場合、タンパク質を10mMのシステインで還元し、20mMのヨードアセトアミド14でアルキル化し、100μMのビオチン存在下でBirAリガーゼを用いてビオチン化した。顕微鏡実験のために、IL-2 WTおよびSwitch-2を、N末端マンノース結合タンパク質(MBP)およびYbbRタグ(DSLEFIASKLAペプチド)、ならびにC末端ヒスチジンタグを持つフレームでpMALベクターにクローニングした。BL21大腸菌細胞を用い、20℃で1mM IPTGによるO/N誘導によりタンパク質を発現させた。ペリプラズム画分を浸透圧ショックで分離し、組換えタンパク質をHis-Pur Ni-NTA 樹脂で捕捉した。タンパク質をSuperdex 75 Increaseカラムでサイズ排除により精製した。
【0164】
マイクロスケールサーモフォレーシス(MST)
赤および青のフィルターセットを備えたNT.115 Pico MST装置(Nano Temper Technologies GmbH)を用いてMSTを実施した。IL2 WTおよびSwitch-2を0.05%のTweenを含有するPBSバッファー(PBS-T)で200nMに希釈し、Monolith His-Tag Labeling Kit RED-tris-NTA(Nano Temper;MO-L018)で標識した。RED-tris-NTA色素をPBS-Tで100nMに希釈した。この混合液を暗所にて、室温(RT)で30分間インキュベートした。IL-2Rαエクトドメイン(25μM)を1:1の比率で16グラジエントで希釈した。その後、標識したタンパク質とIL-2Rαエクトドメインとを1:1の割合で混合し、暗所にて15分間インキュベートした。その後、キャピラリーを個々に充填し、装置にロードする。中程度のMSTパワーおよび20%のLEDを用いてデータを取得した。MO Control Software(Nano Temper)を用いてデータを分析した。MSTの図を、MO Affinity Analysis(Nano Temper)およびGraphPad Prism 7を用いて作図した。
【0165】
ヒトT細胞の分離および培養
健康なドナーの末梢血単核細胞(PBMC)を、Pancoll human(Pan Biotech、P04-60500)を用いた密度勾配遠心分離により、バフィーコート(Etablissement Francais du Sang)から分離した。200x106のPBMCを15μlの抗CD8 FITC抗体(Clone HIT8a;Biolegend、300906)で4℃で15分間染色し、洗浄後、70μlの抗FITCマイクロビーズ(Miltenyi、130-048-701)とインキュベートした。LSカラム(Miltenyi、130-042-401)を用いた磁気分離によりCD8+T細胞を単離し、コート抗CD3抗体(クローンOKT3;Biolegend、317326)および2μg/ml可溶性抗CD28抗体(クローンCD28.2;Biolegend、302934)を用いて完全培地中で3日間活性化させた。活性化は、特段の指定のない限り、常に中性pH7.5で行った。増殖アッセイのために、CD8+T細胞を、T細胞の活性化前にCellTrace Violet(Thermo Scientific、C34557)で標識した。mRNAを精製するために、活性化したCD8+T細胞をO/Nで休ませ、完全培地pH7.5または6.5に移し、10nM IL-2 WTまたはSwitch-2で4時間刺激した。プロテオーム解析に用いるCD8+T細胞の場合、活性化した細胞を10nM IL-2 WTまたはSwitch-2の存在下、pH7.5または6.5の培地で48時間培養し、PBSで2回洗浄した後、乾燥した細胞ペレットを凍結した。サイトカイン発現解析およびセクレトーム解析に用いた活性化したCD8+T細胞を、10nM IL-2 WTまたはSwitch-2の存在下、pH7.5または6.5の培地で3日間培養し、その後4時間刺激した。フローサイトメトリーによるサイトカイン発現解析には、輸送阻害剤を含む細胞刺激カクテル(eBioscience;00-4975-93)を用いた。Luminex分析用の上清は、細胞刺激カクテル(eBioscience;00-4970-93)で刺激して回収した。CD4+細胞は、CD8+T細胞の分離と同じプロトコールに従って、40μlの抗CD4 FITC抗体(クローンA161A1;Biolegend;357406)を用いて分離した。
【0166】
シグナル伝達実験
シグナル伝達実験では、活性化したCD8+T細胞をO/Nで休ませ、その後pH7.5または6.5の培地中で、示した量のIL-2 WTまたはSwitch-2で15分間刺激した。時間経過実験の場合、細胞を10nMまたは10pMのIL-2で6時間、3時間、2時間、1時間、30分、15分間刺激した。新鮮単離総CD4細胞を15分間刺激した後に、Treg細胞におけるIL-2シグナル伝達を評価した。
【0167】
フローサイトメトリー分析
ヒトCD8細胞を、Zombie aqua Fixable viability kit(Biolegend;423101)を用いて4℃で20分間インキュベートした後、MACSバッファー(Miltenyi;130-091-221)中で30分間、抗ヒトCD8 FITC、抗ヒトCD3 BV711(クローンUCHT1;Biolegend;300463)、抗ヒトCD25 APC(クローンM-A251;Biolegend、356110)、抗ヒトCD122 PE-Cy7(クローンTU27;Biolegend;339013)、抗ヒトCD132 PE(クローンTUGh4;Biolegend;338605)、および抗ヒトCD69 BV650(クローンFN50;Biolegend;310933)を用いて表面マーカーで染色した。サイトカイン発現の解析のため、表面マーカーで染色した細胞を、BD Cytofix/Cytoperm kit(BD Biosciences;554714)を用いて固定し、透過化した。抗ヒトIL-2 BV421(クローンMQ1-17H12;Biolegend、500328)、抗ヒトTNFα PE/Dazzle 594(クローンMab11;Biolegend、502946)、および抗ヒトIFNγ APC(クローンB27;Biolegend、506510)を用いた。抗体はすべて1:100で使用した。用量反応および速度論的実験のために、刺激した細胞を直ちに2%PFAで15分間室温で固定した。その後、細胞をPBSで洗浄し、氷冷メタノールで30分間氷上で透過化した後、既述の方法で蛍光バーエンコードを付けた(非特許文献15)。簡単に説明すると、個々のウェルを異なる濃度のPacificBlue(Thermo Scientific;10163)およびDyLight800 NHS色素(Thermo Scientific;46421)の組み合わせで染色した。16個のバーエンコード付きサンプルをプールし、MACSバッファー中で1:100抗STAT5 PE(クローン47/Stat5;BD Biosciences;612567)、1:100抗ERK1/2 AF647(クローン4B11B69;Biolegend、677504)、1:50抗Akt AF647(クローン193H2;Cell Signaling Technologies、2337S)、および1:100抗S6R PE(クローンD57.2.2E;Cell Signaling Technologies;5316S)で1時間室温で染色した。Treg細胞のシグナル伝達実験の場合、サンプルを洗浄し、FoxP3/転写因子染色バッファーセット(eBioscience;00-5523-00)を用いて、1:10の抗ヒトFoxP3 AF647(クローン259D/C7;BD Biosciences;560045)で染色した。マウスの脾臓およびリンパ節の単一細胞懸濁液を機械的破砕により得た。腫瘍をコラゲナーゼ(Sigma、C6885)およびDNase I(StemCell、07470)で消化させた。TruStain FcX(anti-mouse CD16/32)Antibody(Biolegend;101320)で処理した後、前述と同じ手順でサンプルを染色した。使用した抗体は、抗マウスCD3 PerCP-Cy5.5(クローン17A2;Biolegend;100218)、抗マウスCD4 BV605(クローンRM4-5;Biolegend;100548)、抗マウスCD4 AF700(クローンGK1.5;Biolegend;100430)、抗マウスCD8 AF488(クローン53-6.7;Biolegend;100723)、抗マウスCD45 BV711(クローン30-F11;Biolegend;103147)、抗マウスCD122 PE/Dazzle 594(クローンTM-β1;Biolegend;123217)、抗マウスPD-1 BV785(クローン29F-1A12;Biolegend;135225)、抗マウスTIM3 BV421(クローンRMT3-23;Biolegend;119723)、抗マウスFoxP3 PE(クローンFJK-16s;eBioscience;12-5773-82)、抗マウスKi67 PE-Cy5(クローンSolA15;eBioscience;15-5698-82)、抗マウスNK1.1 BV605(クローンPK136;Biolegend;108739)、抗マウスTNFα BV605(クローンMP6-XT22;Biolegend;506329)、抗マウスIFNγ APC(クローンXMG1.2;Biolegend;505809)である。LSR Fortessa X20(BD)を用いてフローサイトメトリーを行い、データをFlowJoソフトウェア(TreeStar Inc、バージョン10)を用いて解析した。
【0168】
動物モデル
6週齢の雌性C57Bl/6JRjマウス(Janvier)に、PBSおよびマトリゲル(1:1)(Corning;356232)に溶解させた30.000 B16.SIY WTまたはB16.SIY LDHA/B DKOを右脇腹に皮下注射した。7日目から11日目まで20μgのFc4-IL-2 WTまたはSwitch-2を腹腔内(i.p.)投与した。ノギスを用いて腫瘍を計測し、長さ×幅2/2の式を用いて腫瘍体積を算出した。TILsの解析のために、マウスを腫瘍注射後15日目に犠牲にした。毒性試験のために、20μgまたは50μgのFc4-IL-2 WTまたはSwitch-2を5日間連続でi.p.投与し、最後の注射の翌日にマウスを犠牲にした。肺採取後の湿重量を測定し、80℃でO/N乾燥させた後の乾燥重量を減算することで肺浮腫(肺湿重量)を評価した。
【0169】
IL-2ライブラリーの作製および選択
前述した酵母提示のプロトコール(非特許文献16)を適用して、酵母で発現させるために、IL-2 cDNAをpCT302ベクターにクローニングした。8つの重複プライマーを組み立てて、pCT302ベクターとの組み合わせに必要なホモロジー領域を含む2つのプライマーを含むIL-2ライブラリを生成した。(表1参照)。プライマーのうち3つは、T37、R38、T41、F42、F43、E60、E61、E63、L66、E68、V69、D109、およびE110残基をランダムに変異させるためのNDTコドン(G、V、L、I C、S、R、H、D、N、F、Yの各アミノ酸をエンコードする)を有するものを用いた。このPCR産物を、Lib FwおよびLib Rvプライマー(表1)を用いて最終濃度10μMでさらに増幅し、少なくとも25μgのDNAを得た。S.cerevisiae EBY100株を、25μgのインサートDNAおよび5μgの直鎖化精製プラスミドでエレクトロポレーションにより形質転換させた。トランスフェクトした酵母を、それぞれの選択ラウンドで、SDCAA培地で30℃、1日間、SGCAA培地で20℃、2日間増殖させた。5x10のサイズのライブラリを、LSカラム(Miltenyi;130-042-401)を用いて磁気活性化セルソーティング(MACS)によりスクリーニングした。最初の選別ラウンドでは1010の細胞を使用し、その後のラウンドでは10の細胞を使用して、各ラウンドにおいて少なくとも10倍のカバレッジを確保した。ビオチン化IL-2Rαエクトドメインを異なる濃度で用いて、耐pH IL-2バリアントを選択した。より詳細には、最初の2ラウンドはpH5で100nMのIL-2Rα四量体を用い、3ラウンド目では1μM、4ラウンド目では100nMのIL-2Rα単量体をそれぞれ用いた。IL-2Rα四量体は、IL-2Rαおよびストレプトアビジン(SA)-Alexa647を4:1の割合でインキュベートすることにより作製した。
【0170】
【表4-1】
【表4-2】
【0171】
ナノディファレンシャルスキャニングフルオリメトリ(NanoDSF)
Tycho NT.6(ドイツ国ミュンヘン所在NanoTemper)を用いて、各HBSバッファー条件(pH7~4)について標準キャピラリー(10μl)を適用してIL2 WTおよびSwitch-2(10μM)を分析した。35℃~95℃の間の温度勾配内で熱アンフォールディングプロファイルを記録した。統合ソフトウェアを使用して変曲温度(Ti)の値を自動的に決定した。
【0172】
単一分子蛍光イメージング
顕微鏡実験では、SNAPf-IL-2Rαを安定的にトランスフェクトしたHeLa細胞を、非特異的結合を最小化するためにRGDで官能基化したポリ-L-リジン-グラフト(ポリエチレングリコール)コポリマーでコートした25mmのガラスカバースリップに移した(非特許文献17)。先行文献に記載されているように(非特許文献18,19)、三重線全反射(TIR)照明コンデンサー(オリンパス)およびback-7照明電子増倍(EM)CCDカメラ(iXon DU897D、Andor Technology社)を備えた倒立顕微鏡(オリンパスIX71)を用いて、全反射蛍光(TIRF)顕微鏡法により、単一分子イメージング実験を行った。試料のTIR照明には、倍率150倍、開口数1.45の対物レンズ(UAPO 150×/1.45 TIRFM、オリンパス)を使用した。実験はすべて、光劣化を最小限に抑えるため(非特許文献20)、フェノールレッドを含まない培地中で、酸素捕捉剤および酸化還元活性を有する光保護剤を加え、常温で行った。
【0173】
SNAPfタグ付きIL-2Rαの化学量論的細胞表面標識のために、あらかじめ混合しておいた80nMのBG-色素溶液(95%BG-488および5%BG-Dy547)と共に細胞を37℃で15分間インキュベートし、あらかじめ温めておいたPBSで5回洗浄し未反応の色素を除去した。イメージング実験の5分前に濃度1nMのDy547P1/Dy647P1結合ybbR-IL-2 WTおよびSwitch-2を添加した。単一分子の実験では、オレンジ(Dy547/Dy547P1)および赤(DY647P1)に発光する蛍光色素を、561nmファイバーレーザー(2RU-VFL-P-500-560-B1R、MPB Communications)および642nmファイバーレーザー(2RU-VFL-P-500-642-B1R、MPB Communications)で同時に励起した。蛍光をペンタバンドポリクロミックミラー(zt405/488/561/640/730rpc、Semrock)でフィルターし、励起光をペンタバンドバンドパスエミッションフィルター(BrightLine HC 440/521/607/694/809、Semrock)で遮断した。1台の裏面照射型EMCCDカメラ(iXon Ultra 897、Andor Technologies)で両チャンネルを同時に取得するために、565nm、630nm、735nmの3つのダイクロイックビームスプリッタ(480dcxr、565dcxr、640dcxr、Chroma)および4つのシングルバンドパス発光フィルタ(BrightLine HC 438/24、BrightLine HC 520/35、BrightLine HC 600/37、BrightLine HC 685/40、Chroma)を備えた4色イメージスプリッタ(QuadView、QV2、Photometrics)を使用した。各細胞について、32ms/フレームの時間分解能で150フレームの画像スタックを記録した。
【0174】
マルチプルターゲットトレーシング(MTT)アルゴリズム(非特許文献21)を用いて単一分子局在化を行った。リガンド結合をレシオメトリックに定量するために、30フレームのDy647P1(IL-2 WTまたはSwitch-2)の局在化を、それぞれDy547(IL-2Rα)またはDy547P1(IL-2 WT)の局在化に正規化した。
【0175】
単一分子蛍光イメージング
顕微鏡実験では、SNAPf-IL-2Rαを安定的にトランスフェクトしたHeLa細胞を、非特異的結合を最小化するためにRGDで官能基化したポリ-L-リジン-グラフト(ポリエチレングリコール)コポリマーでコートした25mmのガラスカバースリップに移した(非特許文献17)。先行文献に記載されているように(非特許文献18,19)、三重線全反射(TIR)照明コンデンサー(オリンパス)およびback-7照明電子増倍(EM)CCDカメラ(iXon DU897D、Andor Technology社)を備えた倒立顕微鏡(オリンパスIX71)を用いて、全反射蛍光(TIRF)顕微鏡法により、単一分子イメージング実験を行った。試料のTIR照明には、倍率150倍、開口数1.45の対物レンズ(UAPO 150×/1.45 TIRFM、オリンパス)を使用した。実験はすべて、光劣化を最小限に抑えるため(非特許文献20)、フェノールレッドを含まない培地中で、酸素捕捉剤および酸化還元活性を有する光保護剤を加え、常温で行った。
【0176】
SNAPfタグ付きIL-2Rαの化学量論的細胞表面標識のために、あらかじめ混合しておいた80nMのBG-色素溶液(95%BG-488および5%BG-Dy547)と共に細胞を37℃で15分間インキュベートし、あらかじめ温めておいたPBSで5回洗浄し未反応の色素を除去した。イメージング実験の5分前に濃度1nMのDy547P1/Dy647P1結合ybbR-IL-2 WTおよびSwitch-2を添加した。単一分子の実験では、オレンジ(Dy547/Dy547P1)および赤(DY647P1)に発光する蛍光色素を、561nmファイバーレーザー(2RU-VFL-P-500-560-B1R、MPB Communications)および642nmファイバーレーザー(2RU-VFL-P-500-642-B1R、MPB Communications)で同時に励起した。蛍光をペンタバンドポリクロミックミラー(zt405/488/561/640/730rpc、Semrock)でフィルターし、励起光をペンタバンドバンドパスエミッションフィルター(BrightLine HC 440/521/607/694/809、Semrock)で遮断した。1台の裏面照射型EMCCDカメラ(iXon Ultra 897、Andor Technologies)で両チャンネルを同時に取得するために、565nm、630nm、735nmの3つのダイクロイックビームスプリッタ(480dcxr、565dcxr、640dcxr、Chroma)および4つのシングルバンドパス発光フィルタ(BrightLine HC 438/24、BrightLine HC 520/35、BrightLine HC 600/37、BrightLine HC 685/40、Chroma)を備えた4色イメージスプリッタ(QuadView、QV2、Photometrics)を使用した。各細胞について、32ms/フレームの時間分解能で150フレームの画像スタックを記録した。マルチプルターゲットトレーシング(MTT)アルゴリズム(非特許文献21)を用いて単一分子局在化を行った。リガンド結合をレシオメトリックに定量するために、30フレームのDy647P1(IL-2 WTまたはSwitch-2)の局在化を、それぞれDy547(IL-2Rα)またはDy547P1(IL-2 WT)の局在化に正規化した。
【0177】
ルミネックス分析
ダンディー大学のイムノアッセイバイオマーカーコアラボラトリーで、細胞上清を、カスタム36マルチプレックスR&D SystemsLuminexパネル(R&D Systems)で測定した。サンプルをアッセイの説明書の指示に従って2倍に希釈した。Bio-Plex Pro洗浄ステーションを使用して洗浄ステップを実施した。マルチプレックスアッセイプレートを、Bio-plex 200アナライザーでBio-plex Managerソフトウェアv6.1を用いて測定した。36種類の分析対象物特異的抗体が微小粒子にプレコートされている。
【0178】
標準、サンプル、およびすべての微粒子のカクテルを各ウェルに添加した。このプレートをホイルプレートシーラーで覆い、800±50rpmで振とうしながら、2時間室温でインキュベートした。この段階で、固定化した抗体が目的の分析物に結合する。Bio-Plex Pro洗浄ステーションを使用し、アッセイの指示に従ってプレートを3回洗浄した。
【0179】
目的の分析物に特異的な希釈ビオチン化抗体カクテルを各ウェルに添加した。このプレートをホイルプレートシーラーで覆い、800±50rpmで振とうしながら、1時間室温でインキュベートした。
【0180】
この後、プレートを前述のように洗浄した。希釈したストレプトアビジン-フィコエリトリン結合体(Streptavidin-PE)を各ウェルに添加した。このプレートをホイルプレートシーラーで覆い、800±50rpmで振とうしながら、30分間インキュベートした。この後、プレートを前述のように洗浄した。微小粒子を洗浄バッファーに再懸濁した。プレートを800±50rpmに設定したプレートシェーカーに2分間置いた。Bio-plex 200アナライザーを用いてプレートを直ちに読み取った。各標準物質およびサンプルの平均重複(duplicate)蛍光強度(MFI)の測定値からブランクの平均MFIを減算した。Bio-plex Manager v6.1ソフトウェアを使用して、各分析物について5パラメータロジスティック(5-PL)曲線フィットの標準曲線を作成した。また、同ソフトウェアを用いてサンプルの希釈を考慮した結果も算出した。
【0181】
RNAシークエンスの解析
ヒトCD8+T細胞のRNAを、Quick-RNA Microprepキット(Zymo Research;R1051)を用いて精製した。ライブラリーの調製およびシークエンシングはNovogene社が行った。
【0182】
マウスCD8+T細胞の分離および活性化
MagniSortマウスCD8+T細胞濃縮キット(eBioscience;8804-6822-74)を用いてマウス脾臓からマウスCD8+T細胞を分離した。コート抗CD3抗体(クローン145-2C11;Biolegend;100340)および2μg/mlの可溶性抗CD28抗体(クローン37.51;Biolegend;102116)を用いて、完全培地中で細胞を3日間活性化させた。
【0183】
統計分析
複数群の比較は、テューキーの補正を加えた一元配置分散分析を用いて行った。生存曲線をカプラン・マイヤー曲線で表し、統計学的有意差をLog-rank検定で判定した。すべての解析は、Prism 9ソフトウェア(GraphPad)を用いて行った。
【0184】
結果
TMEの酸性pHはIL-2免疫療法を阻害した
先行研究は、IL-2の受容体への結合はpHに応答性を有するプロセスであることを示唆していた(非特許文献7)。そこで、本発明者らは、TMEにみられるような酸性pHが、IL-2のシグナル伝達および活性に影響を及ぼすかを調べた。IL-2は、pH6.5で培養した予め活性化された状態のCD8+T細胞において、pH7.5で培養した細胞よりもSTAT5リン酸化を引き起こすレベルが有意に低かった(図1aおよび拡張データ図1a)。同様の結果は、乳酸を用いて培地を酸性化した場合にも見られた(拡張データ図1b)。HClまたは乳酸をNaClに置き換えたところ、IL-2シグナル伝達に対する酸性pHの効果は、等モル濃度のNaClではシグナル伝達に対するpHの影響を再現できなかったことから、張性に依存しないことがわかった。しかしながら、IL-2との反応が弱いIL-2Rα陰性細胞では、IL-2はpH6.5とpH7.5とで同程度までSTAT5を活性化した。このことは、IL-2とIL-2Rαとの結合がpH応答性であることを示唆している(拡張データ図1c、d)実際、酵母提示したIL-2は、pH6およびpH5ではpH7よりもIL-2Rαとの結合が一貫して悪かった(図1b)。本発明者らは、組み換えタンパク質の解離定数(Kd)を測定することでこれらの結果を確認した(拡張データ図1e)。次に、TMEにみられる酸性pHがIL-2治療に悪影響を及ぼすかを調べた。腫瘍による乳酸の放出は、TMEにおける酸性の主な原因の1つであるため、IL-2治療に対するpHの影響を評価するために、先行技術に記載された、乳酸脱水素酵素AおよびB(LDHA/B)を発現していないB16メラノーマ細胞を使用した(非特許文献4)。マウスにB16野生型(WT)またはB16 LDHA/Bダブルノックアウト(DKO)を注射し、ヒトIgG4のFc部分に結合したIL-2(Fc4-IL-2)で処置した(図1c)。Fc4-IL-2療法は、B16 WT腫瘍を有するマウスにおいて、腫瘍の成長を最小限に抑えるか、または生存率を増加させた(図1d、eおよび拡張データ図2a)しかし、B16 DKO腫瘍担持マウスでは、Fc4-IL-2療法は腫瘍の成長を有意に抑制し、生存期間を延長させた(図1d、eおよび拡張データ図2a)Fc4-IL-2で処置したマウスは、B16 WTおよびDKO腫瘍の両方において、無処置マウスと比較して浸潤CD8+T細胞の浸潤の割合が高く、CD8+/Treg細胞がわずかに増加した(図1f、gおよび拡張データ図2b)Fc4-IL-2で処置したB16 WTおよびDKOの腫瘍を比較したところ、有意差は認められなかった(図1f、g)。一方、Fc4-IL-2で処置したB16 DKO腫瘍からのCD8+腫瘍浸潤リンパ球(TIL)は、Fc4-IL-2で処置したB16 WT腫瘍と比較して、IFNγおよびTNFαの産生が顕著に高く(図1h、iおよび拡張データ図2c、d)、PD1およびTIM3の発現が低いことが示すように、CD8+T細胞の表現型がさほど低下していなかった(図1j,k)。本発明者らのデータは、TMEにみられる酸性のpHが、IL-2Rαへの結合を阻害することによってIL-2応答を大きく阻害し、最終的にIL-2免疫療法を阻害することを示する。
【0185】
耐pH IL-2バリアントのエンジニアリング
次に、IL-2が酸性の細胞外pHで機能するには限界があることから、酸性pHにおけるIL-2のIL-2Rαへの結合を改善することを目的として、酵母表面提示について、Aga2pに結合したIL-2のバリアントライブラリーを作成した(図2a)。in vitroでの指向性進化を、各ラウンドでIL-2Rαエクトドメインの濃度を減少させながらpH5で行い(図2b)、T37H、R38L、T41S、F42Y、およびK43Gの各変異を特徴とする、Switch-2と呼ぶ単一のIL-2バリアントを同定した(図2cおよび拡張データ図3a)。Switch-2は、低pHでIL-2Rαに対しより強い結合を示しただけではなく、IL-2 WTと比較して中性pHでより低い結合を特徴とする、pHにより切り替え可能な挙動も示した(図2dおよび拡張データ図3b)。次に、単分子全反射蛍光顕微鏡(TIRF)を用いて、中性pH(7)および酸性pH(6)で、IL-2が生きた細胞の膜上でIL-2Rαと相互作用する能力を評価した(図2e)。この目的のために、N末端SNAPfタグに融合したIL-2Rαを生理的に適切な密度(コピー/細胞)でHeLa細胞に安定発現させ、DY547およびBG-DY647の混合蛍光色素で標識した。次に、Dy547P1/Dy647P1コンジュゲートybbR-IL-2 WTおよびSwitch-2を加え、個々のサイトカイン受容体二量体のデュアルカラー共追跡により、IL-2およびIL-2Rαの相互作用を単一細胞レベルで動的にモニターした(図2e、拡張データ図2c、および動画S1)。これらの実験から、中性pHではIL-2のIL-2Rα受容体へのリクルートメントが増加するが、pH6.5では弱い相互作用しかしないことが示された。対照的に、Switch-2は反対の関係を示し、酸性pHでは強いリガンド-受容体相互作用を示し、中性pHでは相互作用が最小限であったことから、やはりpHにより切り替え可能なIL-2Rα結合特性が確認された。
【0186】
次に、酸性のpHがIL-2の安定性に影響を及ぼしているかを検証した。熱アンフォールディングプロファイルの解析から、IL-2 WTおよびSwitch-2は、低pHに影響されない同等の安定性を示した(拡張データ図3d)。これは、低pHが、タンパク質の安定性を減少させることによってではなく、特にサイトカイン受容体の相互作用を阻害することによってIL-2シグナル伝達を特異的に阻害することを示す。次に、酸性pHにおけるSwitch-2の機能を調べた。まず、新鮮単離CD8+T細胞および予め活性化された状態のCD8+T細胞において、pH7.5およびpH6.5でIL-2 WTおよびSwitch-2によって誘導されるSTAT5のリン酸化レベルを調べた。IL-2Rαを発現していない新鮮単離CD8+T細胞では、IL-2 WTおよびSwitch-2の両方が、pH6.5およびpH7.5で同等のSTAT5の活性化を誘導した(図2f、g)。しかし、予め活性化された状態のCD8+T細胞では、IL-2 WTはpH6.5よりもpH7.5においてより強いSTAT5の活性化を引き起こした(図2f、g)。一方、Switch-2は逆の挙動を示し、pH7.5よりもpH6.5においてより強力なSTAT5の活性化を引き起こした(図2f、g)。カイネティクス研究でも同様の結果が得られた(拡張データ図4a)。興味深いことに、IL-2 WTが介在するERK1/2のリン酸化は酸性pHにも影響されたが、対照的にL-2が介在するAktおよびS6Rのリン酸化には明らかな差は認められなかった(拡張データ図4b~d)。また、pH6.5で刺激した予め活性化された状態のCD8+T細胞において、Switch-2はより強力なERK1/2およびAktのリン酸化を誘導した(拡張データ図4b、d)。さらに、pH6.5およびpH7.5でIL-2 WTおよびSwitch-2によりTreg細胞を刺激すると、CD8+T細胞で得られた結果と同等の結果が得られた(拡張データ図4e)。
【0187】
Switch-2は酸性pHで機能性T細胞を誘導した
IL-2は、IFNγ8の産生を含む細胞傷害性機能の誘導により、T細胞の増殖およびエフェクター機能を促進する。しかし酸性pHは、活性化期におけるT細胞の増殖(拡張データ図5a)(非特許文献9)、およびT細胞のエフェクター機能を阻害することが報告されている(非特許文献2)。そこで、IL-2またはSwitch-2のいずれかで刺激したCD8+T細胞が、中性および酸性pH条件下で増殖し、エフェクターサイトカインを産生する能力を調べた。CD8+T細胞を、まずpH7.5で抗CD3および抗CD28活性化ビーズを用いて活性化し、その後IL-2 WTまたはSwitch-2の存在下でpH7.5または6.5のいずれかの培地に切り替えた。予想したとおり、IL-2 WTはpH7.5ではCD8+T細胞の増殖を誘導したが、pH6.5では誘導しなかった(拡張データ図5b)。一方、Switch-2はpH7.5およびpH6.5の両方でCD8+T細胞の増殖を誘導した(拡張データ図5b)。次に、pH7.5または6.5においてIL-2 WTまたはSwitch-2で刺激した活性化CD8+T細胞によるサイトカイン分泌プロファイルを調べた。この場合も、IL-2 WTはpH7.5でCD8+T細胞によってサイトカイン分泌を強く誘発したが、細胞をpH6.5で培養すると活性をほぼ失った(図3a)。一方、Switch-2はIL-2 WTとほぼ鏡像のように、pH7.5よりもpH6.5において、CD8+T細胞によるサイトカイン放出を強く誘発した(図3a)。さらに、酸性pHでは、Switch-2で増殖させた細胞からIFNγ8、GMCSF、およびTNFαなどのエフェクター機能に関連するサイトカインが分泌されたが、IL-2で増殖させた細胞は、これらのサイトカインをほとんど発現しなかった。次に、細胞内染色およびフローサイトメトリーを用いて、IFNγおよびTNFαについてこれらの結果を確認した(図3b~d)。
【0188】
Switch-2は強力な抗腫瘍効果を示し、毒性は低い
一連のin vitroアッセイにおいて、酸性pHでは活性が増大し、中性pHでは活性を低下したという印象的な効果を示したことから、本発明者らは、Switch-2が酸性組織ニッチで活性を増大させるものの、全身毒性はさほど誘導しないのではないかという仮説を立てた。マウスモデルにおけるin vivoでの有効性を検証するため、まずマウスCD8+T細胞におけるSwitch-2の活性を調べた。重要なことに、Switch-2はマウスCD8+T細胞において、pH7.5よりもpH6.5でより強力なSTAT5の活性化を引き起こした(拡張データ図6a)。遊離IL-2の半減期が短いことを考慮し、本発明者らはIL-2または「Switch-2」を非溶解性Fcに結合させ、半減期を延長することで機能を改善した(非特許文献10)。末梢血および組織ニッチにおける免疫細胞の活性化に加えて、全身毒性を媒介するIL-2バリアントの効果を比較するために、WT C57Bl/6マウスを高用量のIL-2バリアントで処置した。高用量IL-2療法の主な副作用の一つは血管漏出症候群である(非特許文献11)。予想通り、高用量のIL-2 WTはかなりの肺浮腫を誘発した(図4a)。驚くべきことに、Switch-2の高用量投与は肺浮腫を大幅に減少させた(図4a)。このことは、Switch-2を注射したマウスでは、末梢におけるナチュラルキラー(NK)細胞およびTreg細胞の割合が低いことと一致しており(図4bおよび拡張データ図6b~c)、Switch-2がpH7.5において活性が低いことと一致している。リンパ節(LN)は酸性pHを特徴とする(非特許文献12)。このことと一致して、本発明者らは、Switch-2はIL-2 WTよりも、LN中のNK細胞およびTreg細胞の数をより多く、あるいは同程度に増加させることを見出した(図4cおよび拡張データ図6d)。これらのデータは、Switch-2がin vivoでも酸性pHニッチに偏った活性を示すことを示している。
【0189】
高用量のIL-2投与は、細胞傷害性T細胞およびNK細胞を介する腫瘍の殺傷を強力に活性化させることができる。しかし、TME内でのTILの活性化が不十分なため、その治療効果は制限されている。本発明者らのデータは、腫瘍内pHがTME内のIL-2活性を大きく制限していることを示す(図1d~kおよび拡張データ図2)実際、腫瘍内の多数のTILは機能不全に陥っている(Res:Rosenberg SA)。重要なことに、腫瘍から単離したTILはIL-2の存在下で再活性化し、in vitroで増殖させることができる。これらのデータは、TME内でのIL-2の不適切な標的化および機能化が、in vivoでの有効性を制限している可能性を示唆している。本発明者らは、Switch-2の循環細胞への中和pHでの結合の低下が、TMEおよびリンパ系ニッチ内でCD25を発現する活性化された免疫細胞へのその標的化を改善するという仮説を立てた。そこで次に、NKおよび細胞傷害性Tリンパ球(CTL)が介在する殺傷に感受性を有するB16メラノーマ腫瘍モデル(非特許文献13)を用い、Switch-2の抗腫瘍活性を調べた。B16を有するマウスにFc4-IL-2 WTまたはFc4-Switch-2を注射し、腫瘍の成長および生存率を測定した(図4d)。Fc4-IL-2 WT療法は腫瘍の成長の抑制および生存期間の延長がわずかであった(図4e、f)。一方、Fc4-Switch-2療法は、腫瘍の成長を強力に遅延させ、生存期間を延長させた(図4e、f)。IL-2療法とSwitch-2療法との免疫反応の差を調べるため、治療終了4日後にB16浸潤T細胞をフローサイトメトリーで分析した(図4gおよび拡張データ図6e~g)。Switch-2およびIL-2 WTは、PBS処置マウスと比較して、CD8-Treg比をわずかに増加させたが、その差は有意ではなかった(拡張データ図6e)。しかしながら、Switch-2はより強いCD8+TILの増殖および浸潤NK細胞数の増加を誘導した(図4g、h)。さらに、Switch-2はIL-2 WTよりも、CD8+T細胞による強力なIFNγおよびTNFαの産生を誘発した(図4i、j)。注目すべきことに、Switch-2処置群のCD8+TILは、IL-2 WT群と比較して、PD1の発現およびTIM3発現によって測定される消耗マーカーのレベルが大幅に減少した(拡張データ図6f、g)。これらのデータを総合すると、Switch-2はIL-2 WTよりも全身毒性が少ない一方で、酸性TMEではより強力な反応を誘導することが示される。重要なことに、これらの結果は、IL-2の中間的なIL-2Rα親和性の受容体複合体への選択的結合がその抗腫瘍効果に必要であるとするドグマに異議を唱えるものであり、腫瘍内の酸性pHが、CD25を付加的に発現する高親和性受容体複合体を介した最適なIL-2応答に対する負の障壁であることを示した。さらに、本発明者らは、免疫原性の乏しいB16メラノーマ腫瘍に単剤で有効な免疫応答を媒介するTILを強力に活性化できる「Switch-2」を設計および開発するための合理的なタンパク質エンジニアリングアプローチを示した。
【産業上の利用可能性】
【0190】
実用的な可能性は、IL-2のpH応答性を治療に利用できることにある。Switch-2は細胞傷害性CD8+T細胞およびNK細胞を強力に活性化し、強力な抗腫瘍免疫応答をもたらすが、毒性はわずかであり、現在のIL-2療法を革新する可能性がある。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図1I
図1J
図1K
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4I
図4J
図4K
図4L
図5
図6
図7
【配列表】
2024527629000001.xml
【国際調査報告】