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特表2024-527634酸化ストレス抵抗性を有する間葉系幹細胞、この製造方法および用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-25
(54)【発明の名称】酸化ストレス抵抗性を有する間葉系幹細胞、この製造方法および用途
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/10 20060101AFI20240718BHJP
   C12N 5/0775 20100101ALI20240718BHJP
   A61K 35/28 20150101ALI20240718BHJP
   A61K 35/50 20150101ALI20240718BHJP
   A61K 35/51 20150101ALI20240718BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20240718BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20240718BHJP
   A61P 19/08 20060101ALI20240718BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20240718BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20240718BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20240718BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240718BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240718BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20240718BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20240718BHJP
   C12N 15/12 20060101ALN20240718BHJP
   C12N 15/10 20060101ALN20240718BHJP
   C12N 15/63 20060101ALN20240718BHJP
【FI】
C12N5/10 ZNA
C12N5/0775
A61K35/28
A61K35/50
A61K35/51
A61P9/10
A61P3/10
A61P19/08
A61P1/00
A61P13/12
A61P1/16
A61P29/00
A61P25/00
A61P11/00
A61P31/14
C12N15/12
C12N15/10 210Z
C12N15/63 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024524971
(86)(22)【出願日】2022-07-08
(85)【翻訳文提出日】2024-01-09
(86)【国際出願番号】 KR2022009918
(87)【国際公開番号】W WO2023282688
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】10-2021-0090522
(32)【優先日】2021-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
2.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】523300218
【氏名又は名称】ツールゲン インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】TOOLGEN INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】シン,ウン ジ
(72)【発明者】
【氏名】イ,カン イン
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ユ リ
(72)【発明者】
【氏名】シン,ヘ ジョン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ジェ ヨン
【テーマコード(参考)】
4B065
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA44
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB65
4C087NA14
4C087ZA02
4C087ZA36
4C087ZA59
4C087ZA66
4C087ZA75
4C087ZA96
4C087ZB11
4C087ZB33
4C087ZC35
(57)【要約】
NrF2の陰性調節因子(negative regulator)であるKEAP1の発現または活性水準が減少または抑制されてNrF2の活性度が増加することによって、酸化ストレス抵抗性を有する間葉系幹細胞、この製造方法を提案し、前記間葉系幹細胞は体内で生存率が増加し老化が抑制されて虚血性疾患に対する改善された治療効果を有する細胞治療剤として利用され得る点が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人為的に操作されたKeap1(Kelch-like ECH-associated protein 1)遺伝子を含む人為的に操作された間葉系幹細胞であって、
前記人為的に操作されたKeap1遺伝子は野生型間葉系幹細胞のKeap 1遺伝子配列と異なり、
前記人為的に操作されたKeap1遺伝子は核酸配列内に一つ以上のインデル(indel)を含み、
この時、前記インデルはKeap1遺伝子のエキソン第2領域またはエキソン第3領域でプロトスペーサー隣接モチーフ(Protospacer-Adjacent Motif、PAM)配列内、またはPAM配列の5′末端または3′末端と隣接して位置する連続する5~50個のヌクレオチド配列内に位置し、
前記人為的に操作された間葉系幹細胞は酸化ストレス抵抗性が向上したことを特徴とする、人為的に操作された間葉系幹細胞。
【請求項2】
前記人為的に操作されたKeap1遺伝子の配列は、配列番号1~15および配列番号49~56からなる群から選択された一つ以上の配列を含まないことを特徴とする、請求項1に記載の人為的に操作された間葉系幹細胞。
【請求項3】
前記人為的に操作された間葉系幹細胞内で、
前記人為的に操作されたKeap 1遺伝子から転写されるmRNAは野生型間葉系幹細胞のKeap 1遺伝子から転写されるmRNA発現水準と比較して、そのmRNA発現水準がさらに低いかまたは配列が異なることを特徴とする、請求項1に記載の人為的に操作された間葉系幹細胞。
【請求項4】
前記人為的に操作された幹細胞は酸化的ストレス環境で高い生存性を有することを特徴とする、請求項1に記載の人為的に操作された間葉系幹細胞。
【請求項5】
前記人為的に操作された間葉系幹細胞は脂肪、骨髓、臍帯、胎盤、羊水、羊膜、組織、臍帯血または出産前後組織(perinatal tissue)由来であることを特徴とする、請求項1に記載の人為的に操作された間葉系幹細胞。
【請求項6】
間葉系幹細胞のKeap1(Kelch-like ECH-associated protein 1)遺伝子の標的配列を標的化できるガイド配列を含むガイド核酸またはこれを暗号化する核酸配列;および
エディタ蛋白質またはこれを暗号化する核酸配列を含む、酸化ストレス抵抗性を有する間葉系幹細胞製造用組成物。
【請求項7】
前記標的配列は配列番号1~15および配列番号49~56からなる群から選択された選択された一つ以上の配列であることを特徴とする、請求項6に記載の酸化ストレス抵抗性を有する間葉系幹細胞製造用組成物。
【請求項8】
前記組成物は前記エディタ蛋白質および前記ガイド核酸をリボヌクレオプロテイン(RNP)形態で含む、請求項6に記載の酸化ストレス抵抗性を有する間葉系幹細胞製造用組成物。
【請求項9】
前記組成物は
前記エディタ蛋白質を暗号化する核酸配列および前記ガイド核酸を暗号化する核酸配列を1以上のベクター形態で含む、請求項6に記載の酸化ストレス抵抗性を有する間葉系幹細胞製造用組成物。
【請求項10】
前記ベクターはプラスミド、レトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルスおよび単純ヘルペスウイルスで構成された群から選択されたことを特徴とする、請求項9に記載の酸化ストレス抵抗性を有する間葉系幹細胞製造用組成物。
【請求項11】
(1)Keap1(Kelch-like ECH-associated protein 1)遺伝子の標的配列を標的化できるガイド核酸またはこれを暗号化する核酸配列;およびエディタ蛋白質またはこれを暗号化する核酸配列を含む酸化ストレス抵抗性を有する間葉系幹細胞製造用組成物を分離された間葉系幹細胞に導入する段階;および
(2)前記間葉系幹細胞のゲノム内に位置したKeap1(Kelch-like ECH-associated protein 1)遺伝子の標的配列にインデルを発生させることによって、Keap1(Kelch-like ECH-associated protein 1)蛋白質の発現または活性が減少または抑制されるようにKeap1遺伝子を編集する段階を含む、酸化ストレス抵抗性を有する幹細胞の製造方法。
【請求項12】
前記標的配列は配列番号1~15および配列番号49~56からなる群から選択された一つ以上の配列であることを特徴とする、請求項11に記載の酸化ストレス抵抗性を有する間葉系幹細胞の製造方法。
【請求項13】
前記インデルはKeap1遺伝子のエキソン第2領域またはエキソン第3領域でプロトスペーサー隣接モチーフ(Protospacer-Adjacent Motif、PAM)配列内、またはPAM配列の5′末端または3′末端と隣接して位置する連続する5~50個のヌクレオチド配列内に位置するように発生させる、請求項11に記載の酸化ストレス抵抗性を有する間葉系幹細胞の製造方法。
【請求項14】
前記組成物は前記エディタ蛋白質を暗号化する核酸配列および前記ガイド配列を暗号化する核酸配列を1以上のベクター形態で含む、請求項11に記載の酸化ストレス抵抗性を有する間葉系幹細胞の製造方法。
【請求項15】
前記間葉系幹細胞のゲノム内に位置したKeap1(Kelch-like ECH-associated protein 1)遺伝子の標的配列に、ストレプトコッカスピオゲネス( Streptococcus pyogenes)由来Cas9蛋白質およびKeap1遺伝子の標的配列を標的化できるガイドRNAを含むCRISPR/Cas9複合体を接触させることによってインデルを発生させる、請求項11に記載の酸化ストレス抵抗性を有する間葉系幹細胞の製造方法。
【請求項16】
請求項1~請求項5のいずれか一項に記載された人為的に操作された間葉系幹細胞を有効性分として含む、虚血性疾患の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項17】
前記虚血性疾患は虚血性心臓疾患(Ischemic heart diseases)、末梢動脈疾患(Peripheral artery disease)臨界下肢虚血(critical limb ischemia、CLI)、閉塞性血栓血管炎(thromboangitis obliteran)、糖尿病性末梢血管病症、骨壊死(osteonecrosis)、腸間膜虚血(mesenteric ischemia)、虚血性大腸炎(ischemic colitis)、虚血性腸炎(ischemic enteritis)、急性腎障害(acute kidney injury)、虚血再灌流傷害(ischemia-reperfusion injury)、虚血性肝炎(ischemic hepatitis)、虚血性膵臓炎(ischemic pancreatitis)、虚血視神経病(ischemic optic neuropathy)、慢性閉鎖性肺疾患(chronic obstruct4e pulmonary disease)、急性呼吸困難症候群(Acute Respiratory Distress Syndrome、ARDS)、COVID-19感染症、新生児低酸素性虚血性脳症(neonatal hypoxic-ischemic encephalopathy)、または脳卒中(stroke)である、請求項16に記載の虚血性疾患の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項18】
哺乳動物に治療学的に有効な量の請求項1~請求項5のいずれか一項に記載された人為的に操作された間葉系幹細胞を投与することを含む、虚血性疾患の治療方法。
【請求項19】
前記虚血性疾患は
虚血性心臓疾患(Ischemic heart diseases)、末梢動脈疾患(Peripheral artery disease)臨界下肢虚血(critical limb ischemia、CLI)、閉塞性血栓血管炎(thromboangitis obliteran)、糖尿病性末梢血管病症、骨壊死(osteonecrosis)、腸間膜虚血(mesenteric ischemia)、虚血性大腸炎(ischemic colitis)、虚血性腸炎(ischemic enteritis)、急性腎障害(acute kidney injury)、虚血再灌流傷害(ischemia-reperfusion injury)、虚血性肝炎(ischemic hepatitis)、虚血性膵臓炎(ischemic pancreatitis)、虚血視神経病(ischemic optic neuropathy)、慢性閉鎖性肺疾患(chronic obstruct4e pulmonary disease)、急性呼吸困難症候群(Acute Respiratory Distress Syndrome、ARDS)、COVID-19感染症、新生児低酸素性虚血性脳症(neonatal hypoxic-ischemic encephalopathy)、または脳卒中(stroke)である、請求項18に記載の虚血性疾患の治療方法。
【請求項20】
哺乳動物で虚血性疾患の予防または治療に使うための薬剤の製造における請求項1~請求項5のいずれか一項に記載された人為的に操作された間葉系幹細胞の用途。
【請求項21】
前記虚血性疾患は
虚血性心臓疾患(Ischemic heart diseases)、末梢動脈疾患(Peripheral artery disease)臨界下肢虚血(critical limb ischemia、CLI)、閉塞性血栓血管炎(thromboangitis obliteran)、糖尿病性末梢血管病症、骨壊死(osteonecrosis)、腸間膜虚血(mesenteric ischemia)、虚血性大腸炎(ischemic colitis)、虚血性腸炎(ischemic enteritis)、急性腎障害(acute kidney injury)、虚血再灌流傷害(ischemia-reperfusion injury)、虚血性肝炎(ischemic hepatitis)、虚血性膵臓炎(ischemic pancreatitis)、虚血視神経病(ischemic optic neuropathy)、慢性閉鎖性肺疾患(chronic obstruct4e pulmonary disease)、急性呼吸困難症候群(Acute Respiratory Distress Syndrome、ARDS)、COVID-19感染症、新生児低酸素性虚血性脳症(neonatal hypoxic-ischemic encephalopathy)、または脳卒中(stroke)である、請求項20に記載の人為的に操作された間葉系幹細胞の用途。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
Nrf2の陰性調節因子(negative regulator)であるKEAP1の発現または活性水準が減少または抑制されてNrf2の活性度が増加することによって、酸化ストレス抵抗性を有する間葉系幹細胞、この製造方法および用途が提供される。
【背景技術】
【0002】
間葉系幹細胞は自家増殖能、多分化能(multy-potency)を有しており、多様な種類の前駆細胞があるので幹細胞株の確保が容易であり、多分化性幹細胞として、胚胎幹細胞などの万能幹細胞に比べてはるかに遺伝的に安定化しているという長所を有している。また、抗炎症能、免疫調節能のため、軟骨の再生、心筋梗塞の治療、移植片対宿主疾患の治療などのための細胞治療剤として開発されてきた。
【0003】
しかし、虚血(ischemic)、炎症(inflammatory)のような体内病変環境では血液の供給が悪いため酸素濃度が低かったり(Hypoxia)、活性酸素(React4e Oxygen Species:ROS)による酸化的ストレスが高くなって間葉系幹細胞の体内生存率が低くなる。また、酸化的ストレス環境では幹細胞の自己複製(self-renewal)が阻害されて細胞老化が蓄積され、老化した間葉系幹細胞は低い治療効果を示す。
【0004】
このように、体内生存率が低くなった間葉系幹細胞に対する治療効果を持続させ増進させるためには反復投与がなされなければならないが、反復投与は患者に負担となり得、生産率も高くなければならない問題がある。
【0005】
活性酸素(ROS)は細胞代謝過程で自然的に生産される分子であって、細胞の正常な機能と信号伝達システムで重要な役割をする。しかし、過度なROSの生産は酸化ストレスを誘導し、細胞内分子の損傷を起こして細胞の正常な機能と役割を妨害する。細胞は過度な活性酸素(ROS)による細胞内ストレスと毒性を緩和する調節システムを有しており、代表的なものがnuclear factor(erythroid-der4ed 2)-like 2(Nrf2)/Kelch-like ECH-associated protein 1(Keap1)信号伝達体系である。Nrf2の主要調節役割をするKeap1は人体内坑酸化システムを調節する蛋白質で存在し、細胞質でNrf2-Keap1の蛋白質-蛋白質相互作用(protein-protein interaction、PPI)は炎症および炎症媒介体によって引き起こされる多くの病理学的状態を起こす坑酸化経路調節に重要な要素である。Nrf2は酸化ストレスから細胞を保護する役割をする転写因子であって、正常な状態では細胞質でKeap1と複合体を形成していて、細胞毒性剤や酸化的ストレスによってKeap1が非活性化されるとNrf2が放出されて核内に進入することになる。以後、Nrf2はHO-1、SOD、catalaseおよびGPx-1/2等の坑酸化酵素を活性化させて酸化損傷から細胞を保護するものと知られている。
【0006】
(特許文献1)大韓民国公開特許10-2019-0069238号
【0007】
(非特許文献1)Xiaozhen Dai et al.,Trends Mol Med.2020 Feb;26(2):185-200、Nrf2:Redox and Metabolic Regulator of Stem Cell State and Function
【0008】
(非特許文献2)D S Yoon et al.,Cell Death & Disease volume 7、pagee2093(2016)、Cellular localization of NRF2 determines the self-renewal and osteogenic differentiation potential of human MSCs via the P53-SIRT1 axis
【0009】
(非特許文献3)Yiling Hu et al.,Front.Neurol.,18 February 2020、CRISPR/Cas9-Induced Loss of Keap1 Enhances Anti-oxidation in Rat Adipose-Der4ed Mesenchymal Stem Cells
【0010】
(非特許文献4)Mohammad Mohammadzadeh et al.,Cell Stress and Chaperones volume 17、pages553-565(2012)、Nrf-2 overexpression in mesenchymal stem cells reduces oxidat4e stress-induced apoptosis and cytotoxicity
【0011】
(非特許文献5)Shouqin Zhang et al.,J Cell Biochem.2018 Feb;119(2):1627-1636、Nrf2 transfection enhances the efficacy of human amniotic mesenchymal stem cells to repair lung injury induced by lipopolysaccharide
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は、虚血(ischemic)、炎症(inflammatory)のような体内病変環境で活性酸素(React4e Oxygen Species:ROS)により高くなった酸化的ストレスに対する抵抗性を有する間葉系幹細胞、この製造方法およびこれを利用した細胞治療剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を達成するために、本発明は
【0014】
過度な活性酸素(ROS)による細胞内ストレスと毒性を緩和する調節システムであるNfr2-Keap1経路でNfr2と結合して分解を起こすKEAP1蛋白質の発現または活性が減少または抑制された間葉系幹細胞を提供する。
【0015】
また、本発明は人為的に操作されたKeap1(Kelch-like ECH-associated protein 1)遺伝子を含む人為的に操作された間葉系幹細胞であって、前記人為的に操作されたKeap1遺伝子は野生型間葉系幹細胞のKeap1遺伝子配列と異なり、前記人為的に操作されたKeap1遺伝子は核酸配列内に一つ以上のインデル(indel)を含み、この時、前記インデルはKeap1遺伝子のエキソン第2領域またはエキソン第3領域でプロトスペーサー隣接モチーフ(Protospacer-Adjacent Motif、PAM)配列内、またはPAM配列の5′末端または3′末端と隣接して位置する連続する5~50個のヌクレオチド配列内に位置し、前記人為的に操作された間葉系幹細胞は酸化ストレス抵抗性が向上したことを特徴とする人為的に操作された間葉系幹細胞を提供する。
【0016】
また、本発明は間葉系幹細胞のKeap1(Kelch-like ECH-associated protein 1)遺伝子の標的配列を標的化できるガイド配列を含むガイド核酸またはこれを暗号化する核酸配列;およびエディタ蛋白質またはこれを暗号化する核酸配列を含む酸化ストレス抵抗性を有する間葉系幹細胞製造用組成物を提供する。
【0017】
また、本発明は(1)前記酸化ストレス抵抗性を有する間葉系幹細胞製造用組成物を分離された間葉系幹細胞に導入する段階;および(2)前記間葉系幹細胞のゲノム内に位置したKeap1(Kelch-like ECH-associated protein 1)遺伝子の標的配列にインデルを発生させることによって、Keap1蛋白質の発現または活性が減少または抑制されるようにKeap1遺伝子を編集する段階を含む酸化ストレス抵抗性を有する間葉系幹細胞の製造方法を提供する。
【0018】
また、本発明は前記酸化ストレス抵抗性を有するように人為的に操作された間葉系幹細胞を有効性分として含む虚血性疾患の予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【0019】
また、本発明は哺乳動物に治療学的に有効な量の前記酸化ストレス抵抗性を有するように人為的に操作された間葉系幹細胞を投与することを含む虚血性疾患の治療方法を提供する。
【0020】
本発明はまた、哺乳動物で虚血性疾患の予防または治療に使うための薬剤の製造における前記酸化ストレス抵抗性を有するように人為的に操作された間葉系幹細胞の用途を提供する。
【発明の効果】
【0021】
本発明の人為的に操作された間葉系幹細胞は、NrF2と結合して分解(degradation)を起こすKeap1蛋白質を暗号化する遺伝子を遺伝子ハサミ技術で人為的に変形して、Keap1蛋白質の発現または活性が減少または抑制されることによって、NrF2の活性度が増加し得る。前記Keap1蛋白質の発現または活性が減少または抑制された間葉系幹細胞は、虚血(ischemic)、炎症(inflammatory)のような体内病変環境で活性酸素(React4e Oxygen Species:ROS)により高くなった酸化的ストレスに対する抵抗性を示し、体内で生存率が増加し老化が抑制されて虚血性疾患に対して改善された治療効果を有する細胞治療剤として利用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】Keap1遺伝子の配列番号1~15の標的配列を標的化するそれぞれのガイドRNAに対するインデル効率を標的化ディープシーケンシング方法を通じて測定した結果を示したグラフである。
図2】KEAP1遺伝子の標的配列のうち配列番号15(sgKeap1-BR-#5)位置で人為的に操作されたKEAP1 KO MSCの標的化ディープシーケンシングを遂行したし、代表的シークエンシング結果で上位配列パターンを示したものである。
図3】スクリーニングしたKeap1 target sgRNAを使ってKEAP1遺伝子がノックアウトされた間葉系幹細胞でインデル頻度とKEAP1 mRNAの発現程度を示すグラフ、および遺伝子編集による間葉系幹細胞の細胞性状を比較した写真を示したものである。
図4】NRF2遺伝子の標的配列に対するsgRNAのインデル効率を標的化ディープシーケンシング方法で測定した結果を示したグラフである。
図5】Keap1遺伝子の配列番号49~56の標的配列を標的化するそれぞれのガイドRNAに対するインデル効率を標的化ディープシーケンシング方法を通じて測定した結果を示したグラフである。
図6】KEAP1遺伝子の各標的配列を標的化するsgRNAを使ってKEAP1遺伝子がノックアウトされた間葉系幹細胞でKEAP1遺伝子から転写されるmRNAの発現程度をqRT-PCRを利用して比較して示したグラフである。
図7】KEAP1遺伝子内の配列番号15と配列番号50の標的配列を示したものである。
図8】KEAP1ノックアウトされた間葉系幹細胞P6で配列番号15と、配列番号50の標的配列を標的化する各ガイドRNAに対する各標的配列のインデル効率(図8(a))と、KEAP1ノックアウトされた間葉系幹細胞P6およびP7でqRT-PCRを利用して測定したKEAP1遺伝子から転写されるmRNAの発現程度(図8(b))を示したものである。
図9】CCK8分析を利用した一般環境(図9(a))と酸化的ストレス環境(図9(b))でのKEAP1ノックアウト間葉系幹細胞の生存率を示すグラフである。
図10】KEAP1ノックアウト間葉系幹細胞とKEAP1 interacting domainであるNRF2 exon 2がskip editingされた間葉系幹細胞の酸化的ストレス環境での生存率を示すグラフである。
図11】標的配列の差によるKEAP1ノックアウト間葉系幹細胞の酸化的ストレス環境での生存率を示すグラフである。
図12】配列番号15および配列番号50を標的配列としたKEAP1ノックアウト間葉系幹細胞P7の酸化的ストレス環境での生存率を示すグラフである。
図13】配列番号15(sgKeap1-BR#5)と配列番号50(sgKEAP1-exon3-#23)の標的配列をノックアウトした幹細胞の生存率(図13(a))、成長率(図13(b))、PDL(Population Doubling Level)(図13(c))およびPopulation Doubling time(PDT)(図13(d))を示すグラフである。
図14】BrdU分析でKEAP1ノックアウト間葉系幹細胞の細胞増殖程度と細胞周期を観察したグラフである。
図15】KEAP1ノックアウト間葉系幹細胞のテロメア長さ分析結果を示したグラフである。
図16】サイトカイン分析を通じてKEAP1ノックアウト間葉系幹細胞で発現が増加したサイトカインを確認した結果を示すグラフである。
図17】miceにKEAP1ノックアウトMSCをIVで投与した後、肺組織を採取して染色し分析した結果を示した写真、グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0024】
本明細書で使われる「約」という用語は、参照量、水準、値、数、頻度、パーセント、寸法、大きさ、量、重量または長さに対して30、25、20、25、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1程度に変わる量、水準、値、数、頻度、パーセント、寸法、大きさ、量、重量または長さを意味する。
【0025】
本明細書で使われる「人為的に操作された」という用語は、自然界にすでに存在する構成を有する物質、分子などと区分するために使う用語であって、前記物質、分子などに人為的な変形が加えられたことを意味する。例えば、「人為的に操作された遺伝子」の場合、自然界に存在する遺伝子の構成に人為的な変形が加えられた遺伝子を意味する。また、前記用語は当業界の通常の技術者が認識できる意味をすべて含み、文脈により適切に解釈され得る。
【0026】
本明細書で使われる「野生型」は、自然的に発生する塩基配列を含む遺伝子およびその遺伝子から発現する蛋白質が正常な機能的特性を有することを意味する。野生型遺伝子は自然的または人為的突然変異が発生していない形態を有し、集団で最も頻繁に観察される。本明細書で「野生型」という用語が人為的に操作された遺伝子、および/または人為的に操作された細胞と対比して使われるのであれば、これは人為的に操作された遺伝子、および/または人為的に操作された細胞と相応する同種の「人為的に操作されていない」自然的に発生する塩基配列を含む遺伝子およびこれを有する細胞を意味するものと解釈され得る。また、前記用語は当業界の通常の技術者が認識できる意味をすべて含み、文脈により適切に解釈され得る。
【0027】
本明細書で使われる「ノックアウト(knock-out)」、あるいは「ノックアウトされた遺伝子」という表現は、野生型遺伝子に突然変異または人為的変形が発生して、その結果、野生型遺伝子が発現する蛋白質が転写および/または翻訳過程を経て生成されることができないことを意味する。例えば、ノックアウトされた遺伝子Aを含む細胞は野生型遺伝子Aによって発現するmRNAおよび/または蛋白質を発現できないものであり得る。ノックアウトされたA遺伝子を含む細胞とは、細胞内存在する遺伝子Aのうち一つのみノックアウトされたものであり得、二つ以上ノックアウトされたものであり得る。また、前記用語は当業界の通常の技術者が認識できる意味をすべて含み、文脈により適切に解釈され得る。
【0028】
本明細書で使われる「ノックダウン(knock-down)」、あるいは「ノックダウンされた遺伝子」という表現は、野生型遺伝子に突然変異または人為的変形が発生して、その結果、野生型遺伝子より少ない量で物質を発現することを意味する。例えば、ノックダウンされた遺伝子Aを含む細胞は野生型遺伝子Aによって発現するmRNAより少ない量のmRNAを発現するものであり得る。さらに他の例として、ノックダウンされた遺伝子Aを含む細胞は野生型遺伝子Aによって発現する蛋白質より少ない量の蛋白質を発現するものであり得る。A遺伝子がノックダウンされた細胞とは、細胞内存在する遺伝子Aのうち一つのみノックダウンされたものであり得、二つ以上ノックダウンされたものであり得る。また、前記用語は当業界の通常の技術者が認識できる意味をすべて含み、文脈により適切に解釈され得る。
【0029】
本明細書において、「発現減少」は野生型で測定されたmRNAおよび/または蛋白質の発現水準より低い程度の発現を示すことを意味する。前記減少は遺伝的変形を有さない細胞または野生型細胞に比べて約5%以上、約10%以上、約15%以上、約20%以上、約30%以上、約50%以上、約60%以上、約70%以上、または約100%以上減少したものであり得る。
【0030】
本明細書で使われた用語「活性減少」、または「減少した活性」は蛋白質または酵素の活性を測定した時、相対的な活性の減少を意味し得る。具体的には、「活性減少」、または「減少した活性」は与えられた母細胞または野生型細胞に比べてさらに低い水準の蛋白質、または酵素の活性を意味する。
【0031】
本明細書において、「幹細胞(stem cell)」とは、多様な種類の身体組織細胞に分化できる能力、すなわち、幹細胞性(stemness)を有する未分化細胞を総称する広義の概念をいう。この時、前記幹細胞は誘導万能幹細胞、胚胎幹細胞、および成体幹細胞であり得る。また、前記細胞はヒト由来であり得るが、これに制限されるものではない。
【0032】
本明細書において、「間葉系幹細胞」は人間または哺乳類の組織から分離した未分化した幹細胞であって、多様な組織から由来し得る。特に、臍帯由来間葉系幹細胞、臍帯血由来間葉系幹細胞、骨髓由来間葉系幹細胞、脂肪由来間葉系幹細胞、筋肉由来間葉系幹細胞、神経由来間葉系幹細胞、皮膚由来間葉系幹細胞、羊膜由来間葉系幹細胞、羊水由来間葉系幹細胞、出産前後組織(perinatal tissue)由来間葉系幹細胞または胎盤由来間葉系幹細胞であり得、各組織で幹細胞を分離する技術は当業界ですでに公知である。
【0033】
本発明はKEAP1(Kelch-like ECH-associated protein 1)蛋白質の発現または活性が減少または抑制された間葉系幹細胞を提供する。
【0034】
前記KEAP1(Kelch-like ECH-associated protein 1)蛋白質の発現または活性が減少または抑制された間葉系幹細胞は、過度な活性酸素(ROS)による細胞内ストレスと毒性を緩和する調節システムであるNfr2-Keap1経路でNfr2と結合して分解を起こすKEAP1(Kelch-like ECH-associated protein 1)蛋白質の発現または活性が減少または抑制されてNrF2の活性が増加することになり、虚血(ischemic)、炎症(inflammatory)のような体内病変環境で活性酸素(Reactive Oxygen Species:ROS)により高くなった酸化的ストレスに対する抵抗性を示して、前記KEAP1蛋白質の発現または活性が減少または抑制された間葉系幹細胞を細胞治療剤で使用時、間葉系幹細胞の体内生存率が増加し老化が抑制されて、野生型間葉系幹細胞または従来技術で選別された間葉系幹細胞より改善された治療効果を示すことができる。
【0035】
具体的には、本発明は間葉系幹細胞のKEAP1(Kelch-like ECH-associated protein 1)遺伝子を人為的に操作して、KEAP1 mRNAおよび/またはKEAP1蛋白質の発現または活性が減少または抑制されることによって、酸化的ストレス環境で高い生存性を有することを特徴とする酸化ストレス抵抗性を有する人為的に操作された間葉系幹細胞を提供する。
【0036】
本発明はKEAP1(Kelch-like ECH-associated protein 1)遺伝子の核酸配列が人為的に変形されたものを含む人為的に操作された間葉系幹細胞を提供する。
【0037】
本発明で、遺伝子核酸配列の「人為的な変形」または「人為的な操作」は、遺伝子を構成する核酸配列の変形または単一塩基の化学的変形を通じてなされ得る。これは遺伝子の一部又は全部が変異、置換、削除されるか前記遺伝子に一つ以上の塩基が挿入されることによるものであり得、CRISPR-enzyme systemなどの遺伝子ハサミ技術を利用してなされ得る。一例として、前記遺伝子核酸配列の人為的な変形は非相同的な末端連結(non-homologous end joining、NHEJ)または相同組換え修復(homology directed repair、HDR)メカニズムによってなされ得る。
【0038】
一例として、前記人為的に操作された間葉系幹細胞はKEAP1(Kelch-like ECH-associated protein 1)遺伝子がノックアウト(knock out)されたものであり得る。
【0039】
本明細書において、「非相同的な末端連結(Non-homologous end joining、NHEJ)」は切断された二本鎖または一本鎖の両末端が共に結合することで、DNA内二本鎖の破損を修復または修繕する方法であり、一般的に二本鎖の破損(例えば、切断)により形成された2個の適合性末端が頻繁な接触を繰り返して2個の末端が完全に結合される場合に破損した二本鎖が復旧する。
【0040】
前記NHEJを利用した損傷した遺伝子または核酸の修復過程で、NHEJ修繕部位に核酸配列の一部の「挿入(insertion)および/または欠失(deletion)」(または「インデル」、InDel)が発生し得、インデルが発生した遺伝子は野生型遺伝子と同一の配列を有さない。このような挿入および/または欠失は遺伝子のリーディングフレームを変更させ、フレームシフトされた転写体mRNAを作り出し、その結果、ナンセンス-媒介崩壊(nonsense mediated decay)を体験したり正常な蛋白質の合成に失敗することによって本来の機能を喪失することになる。または追加的に、リーディングフレームを維持するが、相当の量の配列を挿入または欠失させる突然変異を招いて蛋白質の機能性を破壊し得る。さらに他の例示において、遺伝子のプロモーター領域またはエンハンサー領域のような転写調節領域にインデルが発生する場合、mRNAが転写しないか、転写量が減少し、これに伴い、蛋白質が発現しないか、発現量が減少し得る。またはNHEJの突然変異発生メカニズムを活用して、特異的最終配列の生成が必要でない場合、一部の配列モチーフのみ欠失させるのに使われ得る。例えば、特定エキソンの5′および3′部分のイントロン部位をそれぞれ標的とする二以上のガイドRNAを利用して各イントロン部分に二本鎖切断を起こし、NHEJによって、遺伝子のエキソンの一部のみ欠失されると、他部分は正常に発現して蛋白質の主要な機能性は維持され得る。
【0041】
このようなNHEJを利用すると、遺伝子ハサミ技術を活用して目的とする遺伝子を特異的にノックアウト(knock-out)したりノックダウン(knock-down)することができる。
【0042】
例えば、遺伝子ハサミの一種であるCas9またはCpf1のようなCRISPR酵素を利用して標的遺伝子または標的核酸の二本鎖または二つの一本鎖を切断し、破損した標的遺伝子または破損した標的核酸の二本鎖または二つの一本鎖はNHEJによってインデルが生成され、これを通じて標的遺伝子または核酸の特異的ノックアウト(knock-out)またはノックダウン(knock-down)を誘導することができる。
【0043】
一例として、前記人為的に操作された間葉系幹細胞はKEAP1(Kelch-like ECH-associated protein 1)遺伝子がノックダウン(knock-down)されたものであり得る。
【0044】
本発明の一具現例において、前記人為的に操作された間葉系幹細胞のkeap1遺伝子は核酸配列内に一つ以上のインデル(indel)を含むことができる。
【0045】
本発明の一具現例において、前記インデルはKeap1遺伝子のエキソン第2領域またはエキソン第3領域でプロトスペーサー隣接モチーフ(Protospacer-Adjacent Motif、PAM)配列内、またはPAM配列の5′末端または3′末端と隣接して位置する連続する5~50個のヌクレオチド配列内に位置することができる。
【0046】
本発明の一具現例において、前記人為的に操作された間葉系幹細胞のKeap1遺伝子の配列は、配列番号1~15および配列番号49~56からなる群から選択された一つ以上の配列を含まなくてもよい。
【0047】
本発明の一具現例において、前記人為的に操作された間葉系幹細胞はKeap1 mRNAの発現が起きないものであり得る。
【0048】
本発明の一具現例において、前記人為的に操作された間葉系幹細胞の人為的に操作されたKeap1遺伝子から転写されるmRNAは野生型間葉系幹細胞のKeap1遺伝子から転写されるmRNA水準と比較して、そのmRNAの発現水準がさらに低いこともある。
【0049】
本発明の一具現例において、前記人為的に操作された間葉系幹細胞は野生型幹細胞と比較して、Keap1 mRNA配列が異なり得る。
【0050】
本発明の一具現例において、前記人為的に操作された間葉系幹細胞は野生型幹細胞と比較して、Keap1蛋白質の発現または活性が減少したものであり得る。これを通じて本発明の幹細胞はKeap1蛋白質の機能が低下または喪失され得る。
【0051】
すなわち、前記人為的に操作された間葉系幹細胞において、Keap1蛋白質の発現または活性が野生型間葉系幹細胞の発現または活性より約20%以上、約30%以上、約40%以上、約50%以上、約55%以上、約60%以上、約70%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、約95%以上、または約100%減少したものであり得る。
【0052】
本発明は間葉系幹細胞のKeap1蛋白質の発現または活性を減少させる段階を含む酸化ストレス抵抗性を有する人為的に操作された間葉系幹細胞製造方法を提供する。
【0053】
前記KEAP1蛋白質の発現または活性の増加、減少はKEAP1遺伝子の人為的な変形によってなされ得、一例として遺伝子ハサミ技術を利用することができる。
【0054】
一例として、前記遺伝子ハサミ技術はTALエフェクター(transcription act4ator-like effectorまたはTALE)ドメインと切断ドメインが融合したTALEN(transcription act4atorlike effctor nuclease)、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(zinc-finger nuclease)、または微生物免疫体系であるCRISPR(Clustered regularly interspaced short palindromic repeats)から由来したCRISPR-enzyme systemを活用することができ、これに制限されるものではない。
【0055】
前記TALENに関連して国際公開特許WO2012/093833号またはアメリカ公開特許2013-0217131号に開示された内容の全文が本明細書に参考資料として含まれる。前記ZFNに関連して、Beerli et al.(2002)Nature Biotechnol.20:135-141;Pabo et al.(2001)Ann.Rev.Biochem.70:313-340;Isalan et al、(2001)Nature Biotechnol.19:656-660;Segal et al.(2001)Curr.Opin.Biotechnol.12:632-637;Choo et al.(2000)Curr.Opin.Struct.Biol.10:411-416、アメリカ特許登録7,888,121、8,409,861、6,479,626、6,903,185、7,153,949が本明細書の参考資料として含まれ得る。
【0056】
前記「CRISPR-enzyme system」はガイド核酸および/またはエディタ蛋白質で構成される。
【0057】
「ガイド核酸」は標的核酸、標的遺伝子または標的染色体を認知し、エディタ蛋白質と相互作用できる核酸を意味する。この時、前記ガイド核酸は標的核酸、標的遺伝子または標的染色体内の一部のヌクレオチドと相補的な結合を形成することができる。
【0058】
前記ガイド核酸は標的DNA特異的ガイドRNA、前記ガイドRNAをコーディングするDNAまたはDNA/RNAの混合形態であり得る。
【0059】
前記ガイド核酸はガイドRNAであり得る。一例として、「ガイドRNA」は生体外(in vitro)転写されたものであり得、特にオリゴヌクレオチド二本鎖、またはプラスミド鋳型から転写されたものであり得る。他の一例として、前記ガイドRNAはベクターの形態で暗号化され得、ex vivoまたはin vivo環境で細胞内に伝達されてベクターから転写されたものであり得るが、これに制限されない。
【0060】
前記ガイドRNAの設計および構成は当業者に公知であり、韓国登録特許10-1656236、10-1656237、10-1706085、10-2052286、10-2182847に詳細に説明され、前記登録特許の全文が本発明の参考資料として本明細書に含まれる。
【0061】
前記ガイド核酸はスキャフォールド配列部分とガイド配列部分を含むことができる。前記スキャフォールド配列部分はCas蛋白質と相互作用する部分であり、Cas蛋白質とガイド核酸が結合して複合体(ribonucleoprotein、RNP)をなすことができるようにする。一般的に、前記スキャフォールド配列部分はtracrRNAとcrRNAの一部の配列部分を含み、前記スキャフォールド配列はどのようなCas蛋白質を使うかによって決定される。
【0062】
前記「ガイド配列部分」は、標的遺伝子または核酸の二本鎖のうちいずれか一つの鎖の一部の配列に相補的に結合できるヌクレオチド配列部分であって、人為的に変形できるヌクレオチド配列部分であり、関心がある標的ヌクレオチド配列によって決定される。この時、前記ガイド配列は標的遺伝子または標的核酸のガイド核酸結合配列と少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%以上の相補性を有するかまたは完全な相補性を有するヌクレオチド配列であり得る。前記ガイド配列はガイド核酸のガイドドメインに含まれた配列であり得る。
【0063】
前記ガイド配列部分はcrRNAに含まれ得る。一例として、前記ガイド核酸は二つのRNA、すなわち、crRNA(CRISPR RNA)およびtracrRNA(trans-act4ating crRNA)を構成要素として含む二重RNA(dual RNA)であり得る。
【0064】
他の一例として、前記ガイド核酸はcrRNAおよびtracrRNAの主要部分が連結された形態であるsgRNA(single-chain guide RNA)であり得る。
【0065】
前記標的配列は標的遺伝子または標的核酸内に存在する一定の長さのヌクレオチド配列であり、具体的には標的遺伝子の調節領域(regulatory region)、暗号化領域(coding region;またはCDS、coding sequence)または非暗号化領域(non-coding region;またはUTR、untranslated region)に区分される標的領域内の一部のヌクレオチド配列であるか、前記標的領域の組み合わせから選択される一つ以上の一部のヌクレオチド配列であり得る。前記標的配列はガイド核酸-エディタ蛋白質複合体(RNP)のターゲットとなり得る。
【0066】
本発明の一具現例において、前記標的配列は野生型KEAP1遺伝子のエキソン第2領域またはエキソン第3領域に含まれた配列であり得る。
【0067】
本発明の一具現例において、前記標的配列はSEQ ID NO:1~SEQ ID NO:15のうち選択された一つ以上の配列である。
【0068】
前記標的配列はエディタ蛋白質が認識するプロトスペーサー隣接モチーフ(protospacer-adjacent motif、PAM)配列と隣接した周辺のヌクレオチド配列であり、PAMの全体または一部を含むことができるが、これに制限されない。
【0069】
標的配列とは、二つのヌクレオチド配列情報すべてを意味する用語として使われ得る。例えば、標的遺伝子の場合、標的配列は標的遺伝子DNAのtranscribed strandの配列情報を意味するものであってもよく、またはnon-transcribed strandのヌクレオチド配列情報を意味するものであってもよい。
【0070】
標的配列はガイド核酸結合配列またはガイド核酸非結合配列を含む。「ガイド核酸結合配列」はガイド核酸のガイドドメインに含まれるガイド配列と一部または完全な相補性を有するヌクレオチド配列であり、ガイド核酸のガイドドメインに含まれるガイド配列と相補的な結合ができる。標的配列およびガイド核酸結合配列は標的遺伝子または核酸により、すなわち遺伝子操作または校正しようとする対象により変わり得るヌクレオチド配列であり、ガイド核酸は標的遺伝子または標的核酸により多様に設計され得る。
【0071】
「ガイド核酸非結合配列」はガイド核酸のガイドドメインに含まれるガイド配列と一部または完全な相同性を有するヌクレオチド配列であり、ガイド核酸のガイドドメインに含まれるガイド配列と相補的な結合ができない。また、ガイド核酸非結合配列はガイド核酸結合配列と相補性を有するヌクレオチド配列であり、ガイド核酸結合配列と相補的な結合ができる。ガイド核酸結合配列は標的配列のうち一部のヌクレオチド配列であり、標的配列の二つの互いに異なる配列順序を有するヌクレオチド配列、すなわち、互いに相補的な結合ができる二つのヌクレオチド配列のうち一つのヌクレオチド配列であり得る。この時、ガイド核酸非結合配列は標的配列のうちガイド核酸結合配列を除いた残りのヌクレオチド配列であり得る。
【0072】
ガイド核酸結合配列は標的配列、すなわち、transcribed strandと同一のヌクレオチド配列およびnon-transcribed strandと同一のヌクレオチド配列のうち選択された一つのヌクレオチド配列であり得る。この時、ガイド核酸非結合配列は標的配列のうちガイド核酸結合配列、すなわち、transcribed strandと同一のヌクレオチド配列およびnon-transcribed strandと同一のヌクレオチド配列のうち選択された一つのヌクレオチド配列を除いた残りのヌクレオチド配列であり得る。
【0073】
ガイド核酸結合配列は標的配列の長さと同一であり得る。ガイド核酸非結合配列は標的配列またはガイド核酸結合配列の長さと同一であり得る。ガイド核酸結合配列は5~50個のヌクレオチド配列であり得る。
【0074】
一具体例として、前記ガイド核酸結合配列は16個のヌクレオチド配列、17個のヌクレオチド配列、18個のヌクレオチド配列、19個のヌクレオチド配列、20個のヌクレオチド配列、21個のヌクレオチド配列、22個のヌクレオチド配列、23個のヌクレオチド配列、24個のヌクレオチド配列または25個のヌクレオチド配列であり得る。ガイド核酸非結合配列は5~50個のヌクレオチド配列であり得る。
【0075】
一具体例として、前記ガイド核酸非結合配列は16個のヌクレオチド配列、17個のヌクレオチド配列、18個のヌクレオチド配列、19個のヌクレオチド配列、20個のヌクレオチド配列、21個のヌクレオチドソヨル、22個のヌクレオチド配列、23個のヌクレオチド配列、24個のヌクレオチド配列または25個のヌクレオチド配列であり得る。
【0076】
ガイド核酸結合配列はガイド核酸のガイドドメインに含まれたガイド配列と一部または完全な相補的な結合ができ、前記ガイド核酸結合配列の長さはガイド配列の長さと同一であり得る。
【0077】
前記ガイド核酸結合配列はガイド核酸のガイドドメインに含まれたガイド配列に相補的なヌクレオチド配列であり得、例えば少なくとも70%、75%、80%、85%、90%または95%以上の相補的であるかまたは完全に相補的なヌクレオチド配列であり得る。
【0078】
一例として、前記ガイド核酸結合配列はガイド核酸のガイドドメインに含まれたガイド配列に相補的でない1~8個のヌクレオチド配列を有するかまたは含むことができる。
【0079】
ガイド核酸非結合配列はガイド核酸のガイドドメインに含まれたガイド配列と一部または完全な相同性を有することができ、前記ガイド核酸非結合配列の長さはガイド配列の長さと同一であり得る。一例として、前記ガイド配列はガイド核酸非結合配列と相同性を有する配列に基づいて設計され得る。
【0080】
前記ガイド核酸非結合配列はガイド核酸のガイドドメインに含まれたガイド配列に相同性を有するヌクレオチド配列であり得、例えば少なくとも70%、75%、80%、85%、90%または95%以上の相同性を有するかまたは完全に相同性を有するヌクレオチド配列であり得る。
【0081】
一例として、前記ガイド核酸非結合配列はガイド核酸のガイドドメインに含まれたガイド配列に相同的でない1~8個のヌクレオチド配列を有するか含むことができる。ガイド核酸非結合配列はガイド核酸結合配列と相補的結合ができ、前記ガイド核酸非結合配列はガイド核酸結合配列の長さと同一であり得る。
【0082】
前記ガイド核酸非結合配列はガイド核酸結合配列に相補的なヌクレオチド配列であり得、例えば少なくとも90%または95%以上の相補的であるかまたは完全に相補的なヌクレオチド配列であり得る。
【0083】
一例として、前記ガイド核酸非結合配列はガイド核酸結合配列に相補的でない1~2個のヌクレオチド配列を有するか含むことができる。また、前記ガイド核酸結合配列はエディタ蛋白質が認識できるヌクレオチド配列(PAM配列)と相補的な配列に近接した位置のヌクレオチド配列であり得る。
【0084】
一例として、前記ガイド核酸結合配列はエディタ蛋白質が認識できるヌクレオチド配列(PAM配列)と相補的な配列の5′末端または/および3′末端に隣接して位置する連続する5~50個のヌクレオチド配列であり得る。
【0085】
また、前記ガイド核酸非結合配列はエディタ蛋白質が認識できるヌクレオチド配列(PAM配列)に近接した位置のヌクレオチド配列であり得る。
【0086】
一例として、前記ガイド核酸非結合配列はエディタ蛋白質が認識できるヌクレオチド配列(PAM配列)の5′末端または/および3′末端に隣接して位置する連続する5~50個のヌクレオチド配列であり得る。
【0087】
「エディタ蛋白質」は核酸と直接的に結合するか、または直接結合はしないが相互作用できるペプチド、ポリペプチドまたは蛋白質を意味する。前記エディタ蛋白質に対して、概念的に「人為的に操作されたヌクレアーゼ」またはRGEN(RNA-Guided Endonuclease)と称したりもする。
【0088】
一具体例で、前記エディタ蛋白質はCRISPR(Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats)酵素であり得る。「CRISPR酵素」はCRISPR-enzymeシステムの主要蛋白質構成要素であり、「Cas蛋白質(CRISPR associated protein)」と称したりもし、ガイドRNAと混合または複合体を形成して標的配列を認知しDNAを切断できるヌクレアーゼをいう。
【0089】
CRISPR酵素は当業者に公知であり、韓国登録特許10-1656236、10-1656237、10-1706085、10-2052286、10-2182847を参照する。前記CRISPR酵素は天然型蛋白質の他にもガイドRNAと協同して活性化されたエンドヌクレアーゼ(endonuclease)またはニッカーゼ(nickase)として作用できる変異体をすべて含む概念で本明細書で使われる。活性化されたエンドヌクレアーゼまたはニッカーゼである場合、標的DNA切断をもたらし得、これを利用して遺伝体校正をもたらし得る。また、不活性化された変異体である場合、これを利用して転写調節あるいは目的とするDNAの分離をもたらし得る。
【0090】
前記CRISPR酵素はCRISPR酵素を暗号化する配列を有する核酸またはポリペプチド(または蛋白質)であり、代表的にはType II CRISPR酵素またはType V CRISPR酵素が多く使われ、前記Type II CRISPR酵素としてはCas9(CRISPR associated protein 9)蛋白質がある。
【0091】
前記Cas9蛋白質はストレプトコッカスピオゲネス(Streptococcus pyogenes)、ストレプトコッカスサーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、ストレプトコッカス属(Streptococcus sp.)、カンピロバクタージェジュニ(Campylobacter jejuni)、スタフィロコッカスアウレウス(Staphylococcus aureus)、スタフィロコッカスアウリクラーリス(Staphylococcus Auricularis)、ナイセリアメニンギチジス(Neisseria meningitidis)などの多様な微生物から由来したものであり得る。
【0092】
Cas9蛋白質が二本鎖DNA切断(double stranded DNA break)を誘導するためには、Cas9蛋白質が一定の長さのヌクレオチド配列であるプロトスペーサー隣接モチーフ(Protospacer Adjacent Motif、PAM)配列を認識し、ガイドRNAの一部(前記ガイド配列部分)が標的配列が位置するDNA一本鎖(前記ガイド核酸非結合配列)の相補的な鎖(前記ガイド核酸結合配列)と相補的に結合しなければならない。
【0093】
このPAM配列はCas9蛋白質の種類や起源により決定される配列であり、例えばストレプトコッカスピオゲネス(Streptococcus pyogenes)由来Cas9蛋白質(SpCas9)は標的核酸内5′-NGG-3′配列(相補的配列:5′-CCN-3′)を認識することができる。この時、前記Nは前記Nはアデノシン(A)、チミジン(T)、シチジン(C)、グアノシン(G)のうち一つである。また、前記SpCas9は標的核酸内5′-NAG-3′配列(相補的配列:5′-CTN-3′)を低い活性で認識することができる。
【0094】
また、前記Type V CRISPR酵素としてはCpf1があり、前記Cpf1はStreptococcus、Campylobacter、Nitratifractor、Staphylococcus、Parvibaculum、Roseburia、Neisseria、Gluconacetobacter、Azospirillum、Sphaerochaeta、Lactobacillus、Eubacterium、Corynebacter、Carnobacterium、Rhodobacter、Listeria、Paludibacter、Clostridium、Lachnospiraceae、Clostridiaridium、Leptotrichia、Francisella、Legionella、Alicyclobacillus、Methanomethyophilus、Porphyromonas、Prevotella、Bacteroidetes、Helcococcus、Letospira、Desulfovibrio、Desulfonatronum、Opitutaceae、uberibacillus、Bacillus、Brevibacilus、MethylobacteriumまたはAcidaminococcus由来のCpf1であり得る。
【0095】
前記Cas9またはCpf1蛋白質などのCRISPR酵素は、自然状態で存在する微生物から分離されたものまたは組換え的方法または合成的方法で非自然的に生産されたものであり得る。前記Cas蛋白質はまた、細胞内に導入され易い形態であり得る。その例として、Cas蛋白質は細胞浸透ペプチドまたは蛋白質伝達ドメイン(protein transduction domain)と連結され得る。前記蛋白質伝達ドメインはポリアルギニンまたはHIV由来のTAT蛋白質であり得るが、これに制限されない。細胞浸透ペプチドまたは蛋白質伝達ドメインは前記記述された例の他にも多様な種類が当業界に公知であるので、当業者は前記例に制限されず多様な例を本明細書に適用することができる。また、前記Cas蛋白質はNLS(nuclear localization sequence or signal)のような機能的ドメインと融合することができる。また、前記Cas9蛋白質はベクターの形態で暗号化されて細胞内で発現するものであり得る。
【0096】
本発明は間葉系幹細胞のKeap1(Kelch-like ECH-associated protein 1)遺伝子の標的配列を標的化できるガイド配列を含むガイド核酸またはこれを暗号化する核酸配列;およびエディタ蛋白質またはこれを暗号化する核酸配列を含む酸化ストレス抵抗性を有する間葉系幹細胞製造用組成物を提供する。
【0097】
また、前記組成物は挿入を望む特定ヌクレオチド配列を含むドナーまたはこれを暗号化する核酸配列を選択的にさらに含むことができる。
【0098】
前記ドナー(donor)は特定ペプチドまたは蛋白質を発現させることができる外因性ヌクレオチド配列(exogenous nucleotide sequences)を意味し、相同組換え修復(homology directed repair、HDR)を通じてゲノムDNAに挿入され得る。
【0099】
前記ドナーは二本鎖核酸または一本鎖核酸であり得る。前記ドナーは線形または円形であり得る。
【0100】
前記ドナーはウイルスベクターまたは非ウイルスベクター(例えば、プラスミド)の形態であり得る。
【0101】
前記ウイルスはDNAウイルスまたはRNAウイルスであり得る。この時、前記DNAウイルスは二本鎖DNA(dsDNA)ウイルスまたは一本鎖DNA(ssDNA)ウイルスであり得る。この時、前記RNAウイルスは一本鎖RNA(ssRNA)ウイルスであり得る。
【0102】
前記ウイルスベクターはレトロウイルス(Retrovirus)、レンチウイルス(Lent4irus)、アデノウイルス(Adenovirus)、アデノ関連ウイルス(Adeno-associated virus、AAV)、ワクシニアウイルス(Vaccinia virus)、ポックスウイルス(Poxvirus)および単純ヘルペスウイルス(Herpes simplex virus、HSV)で構成された群から選択される一つ以上のウイルスベクターであり得る。
【0103】
前記標的配列はガイド核酸-エディタ蛋白質複合体のターゲットとなり得、前記標的配列はエディタ蛋白質が認識するPAM(protospacer-adjacent motif)配列を含むことができるが、これに制限されない。
【0104】
前記ガイド核酸は組成物はKEAP1遺伝子の標的配列を標的化できるガイドドメインを含むことができる。
【0105】
本発明の一具現例として、前記組成物の前記標的配列は配列番号1~15のうち選択された一つ以上の配列であるものであり得る。
【0106】
本明細書で、ガイド核酸、エディタ蛋白質またはガイド核酸-エディタ蛋白質複合体(リボヌクレオプロテイン、RNP)および/またはドナーは多様な形態で対象内に伝達または導入され得る。
【0107】
この時「対象」はガイド核酸、エディタ蛋白質またはガイド核酸-エディタ蛋白質複合体が導入される有機体;ガイド核酸、エディタ蛋白質またはガイド核酸-エディタ蛋白質複合体が作動する有機体;または有機体から獲得した検体または試料を意味する。
【0108】
前記対象はガイド核酸-エディタ蛋白質複合体の標的遺伝子、標的核酸または標的染色体を含む有機体であり得る。
【0109】
前記有機体は動物、動物の組織または動物細胞であり得る。この時、前記組織は眼球、皮膚、肝、腎臓、心臓、肺、脳、筋肉または血液であり得る。
【0110】
前記細胞は幹細胞、肝細胞、心筋細胞、内皮細胞または膵臓細胞であり得る。
【0111】
前記検体または試料は唾、血液、肝組織、脳組織、肝細胞、神経細胞、食細胞、大食細胞、T細胞、B細胞、星性膠細胞、癌細胞または幹細胞などの標的遺伝子、標的核酸または標的染色体を含む有機体で獲得したものであり得る。
【0112】
前記ガイド核酸、エディタ蛋白質またはガイド核酸-エディタ蛋白質複合体はDNA、RNAまたはこの混合形態で対象内に伝達または導入され得る。
【0113】
この時、ガイド核酸および/またはエディタ蛋白質を暗号化するDNA、RNAまたはこの混合形態は当業界に公知の方法によって対象内に伝達または導入され得る。
【0114】
またはガイド核酸および/またはエディタ蛋白質を暗号化するDNA、RNAまたはこの混合形態はベクター、非ベクターまたはこれらの組み合わせによって対象内に伝達または導入され得る。
【0115】
前記ベクターはウイルスベクターまたは非ウイルスベクター(例えば、プラスミド)であり得る。
【0116】
前記ウイルスはDNAウイルスまたはRNAウイルスであり得る。この時、前記DNAウイルスは二本鎖DNA(dsDNA)ウイルスまたは一本鎖DNA(ssDNA)ウイルスであり得る。この時、前記RNAウイルスは一本鎖RNA(ssRNA)ウイルスであり得る。
【0117】
前記ウイルスベクターはレトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス(AAV)、ワクシニアウイルス、ポックスウイルスおよび単純ヘルペスウイルスで構成された群から選択される1以上であり得る。
【0118】
前記非ベクターはネイキッドDNA、DNA複合体またはmRNAであり得る。
【0119】
本発明の一具現例として、前記ガイド核酸および/またはエディタ蛋白質を暗号化する核酸配列は1以上のベクターの形態で対象内に伝達または導入され得る。
【0120】
前記ベクターはガイド核酸および/またはエディタ蛋白質を暗号化する核酸配列を含むことができる。一例として、前記ベクターはガイド核酸とエディタ蛋白質を暗号化する核酸配列を同時に含むことができる。他の一例として、前記ベクターはガイド核酸を暗号化する核酸配列を含むことができる。例えば、前記ガイド核酸を暗号化する核酸配列は一つのベクターにすべて含まれるかまたはガイド核酸を暗号化する核酸配列が分割されて複数個のベクターに含ませることができる。他の一例として、前記ベクターはエディタ蛋白質を暗号化する核酸配列を含むことができる。例えば、前記エディタ蛋白質の場合、エディタ蛋白質を暗号化する核酸配列は一つのベクターに含まれるかまたはエディタ蛋白質を暗号化する核酸配列が分割されて複数個のベクターに含まれ得る。
【0121】
前記エディタ蛋白質はペプチド、ポリペプチドまたは蛋白質の形態で対象内に伝達または導入され得る。
【0122】
前記エディタ蛋白質はペプチド、ポリペプチドまたは蛋白質の形態で当業界に公知の方法によって対象内に伝達または導入され得る。
【0123】
前記ガイド核酸およびエディタ蛋白質は核酸-蛋白質混合の形態で対象内に伝達または導入され得る。
【0124】
前記ガイド核酸およびエディタ蛋白質はガイド核酸-エディタ蛋白質複合体の形態で対象内に伝達または導入され得る。例えば、前記ガイド核酸はDNA、RNAまたはこの混合形態であり得る。前記エディタ蛋白質はペプチド、ポリペプチドまたは蛋白質の形態であり得る。一例として、ガイド核酸およびエディタ蛋白質はRNA形態のガイド核酸と蛋白質形態のエディタ蛋白質がガイド核酸-エディタ蛋白質複合体、すなわちribonucleoprotein(RNP)の形態で対象内に伝達または導入され得る。
【0125】
また、本発明は(1)前記酸化ストレス抵抗性を有する間葉系幹細胞製造用組成物を分離された間葉系幹細胞に導入する段階;および(2)前記間葉系幹細胞のゲノム内に位置したKEAP1(Kelch-like ECH-associated protein 1)遺伝子の標的配列にインデルを発生させることによって、Keap1蛋白質の発現または活性が減少または抑制されるようにKEAP1遺伝子を編集する段階を含む酸化ストレス抵抗性を有する間葉系幹細胞の製造方法を提供する。
【0126】
この時、前記「導入」は電気穿孔法(Electroporation)、リポフェクション(lipofection)、微細注入法、遺伝子銃、リポソーム、陽性リポソーム、プラスミド、ウイルスベクター、ナノパーティクル(nanoparticles)、PTD(Protein translocation domain)融合蛋白質方法、免疫リポソーム、多価陽イオンまたは脂質:核酸接合体、ネイキッドDNA、人工ビリオン、およびDNAの製剤向上吸収方法のうち選択された一つ以上の手段で遂行され得るが、これに制限されはしない。
【0127】
本発明の一具現例として、前記酸化ストレス抵抗性を有する間葉系幹細胞製造用組成物を分離された間葉系幹細胞に電気穿孔法で導入して酸化ストレス抵抗性を有する間葉系幹細胞を製造することができる。
【0128】
本発明の一具現例として、前記間葉系幹細胞のゲノム内に位置したKeap1(Kelch-like ECH-associated protein 1)遺伝子に、ストレプトコッカスピオゲネス(Streptococcus pyogenes)由来Cas9蛋白質およびKeap1遺伝子の標的配列を標的化できるガイドRNAを含むCRISPR/Cas9複合体を接触させることによってインデルを発生させることができる。
【0129】
本発明の一具現例において、前記標的配列は配列番号1~15からなる群から選択された一つ以上の配列であり得る。
【0130】
本発明の酸化ストレス抵抗性を有する人為的に操作された間葉系幹細胞は、虚血性心臓疾患(Ischemic heart diseases)、末梢動脈疾患(Peripheral artery disease)臨界下肢虚血(critical limb ischemia、CLI)、閉塞性血栓血管炎(thromboangitis obliteran)、糖尿病性末梢血管病症、骨壊死(osteonecrosis)、腸間膜虚血(mesenteric ischemia)、虚血性大腸炎(ischemic colitis)、虚血性腸炎(ischemic enteritis)、急性腎障害(acute kidney injury)、虚血再灌流傷害(ischemia-reperfusion injury)、虚血性肝炎(ischemic hepatitis)、虚血性膵臓炎(ischemic pancreatitis)、虚血視神経病(ischemic optic neuropathy)、慢性閉鎖性肺疾患(chronic obstruct4e pulmonary disease)、急性呼吸困難症候群(Acute Respiratory Distress Syndrome、ARDS)、COVID-19感染症、新生児低酸素性虚血性脳症(neonatal hypoxic-ischemic encephalopathy)、脳卒中(stroke)のような虚血性疾患の予防または治療のための薬学組成物の有効性分として含まれて細胞治療剤として利用され得る。
【0131】
前記虚血再灌流傷害は一般的に臓器または組織への血液供給が中断されて組織への酸素供給が低下する虚血損傷と虚血状態で再灌流による血液循環を再開する時に発生し、急性炎症反応が誘発される再灌流障害の連続した複合結果である。
【0132】
本明細書において、「細胞治療剤」は個体から分離、培養および特殊な操作を通じて製造された細胞および組織で治療、診断および予防の目的で使われる医薬品(アメリカFDA規定)であり、細胞あるいは組織の機能を復元させるために生きている自家、同種、または異種細胞を体外で増殖選別したり他の方法で細胞の生物学的特性を変化させるなどの一連の行為を通じて治療、診断および予防の目的で使われる医薬品を意味する。
【0133】
本発明の細胞治療剤組成物の投与経路は、目的の組織に到達できる限り何らかの一般的な経路を通じて投与され得る。非経口投与、例えば、腹腔内投与、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、血内投与され得るが、これに制限されはしない。
【0134】
前記組成物は細胞治療に一般的に使われる薬剤学的坦体とともに適合した形態に剤形化され得る。「薬学的に許容される」とは、生理学的に許容され人間に投与される時、通常的に胃腸障害、めまいなどのようなアレルギー反応またはこれと類似する反応を起こさない組成物をいう。薬学的に許容される坦体としては例えば、水、適合したオイル、食塩水、水性グルコースおよびグリコールなどのような非経口投与用坦体などがあり、安定化剤および保存剤をさらに含むことができる。適合した安定化剤としては亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウムまたはアスコルビン酸のような抗酸化剤がある。適合した保存剤としてはベンザルコニウムクロリド、メチル-またはプロピルパラベンおよびクロロブタノールがある。その他の薬学的に許容される坦体としては次の文献に記載されているものを参照することができる(Remington′s Pharmaceutical Sciences、19th ed.,Mack Publishing Company、Easton、PA、1995)。
【0135】
また、前記組成物は細胞治療剤が標的細胞に移動できる任意の装置によって投与されてもよい。
【0136】
本発明の細胞治療剤組成物は疾患の治療のために治療学的に有効な量の細胞治療剤を含むことができる。「治療学的に有効な量(therapeutically effect4e amount)」は研究者、獣医師、医師またはその他臨床によって考えられる組織系、動物または人間で生物学的または医学的反応を誘導する有効成分または薬学的組成物の量を意味するもので、これは治療される疾患または障害の症状の緩和を誘導する量を含む。
【0137】
本発明の組成物に含まれる細胞治療剤は望む効果により変化されることは当業者に自明である。したがって、最適な細胞治療剤の含量は当業者によって容易に決定され得、疾患の種類、疾患の重症度、組成物に含まれた他の成分の含量、剤形の種類、および患者の年齢、体重、一般健康状態、性別および食餌、投与時間、投与経路および組成物の分泌率、治療期間、同時に使われる薬物をはじめとする多様な因子により調節され得る。前記要素をすべて考慮して副作用なしに最小限の量で最大効果が得られる量を含むことが重要である。例えば、本発明の幹細胞の1日投与量は1.0×10~1.0×1030細胞/kg体重、好ましくは1.0×1010~1.0×1020細胞/kg体重を1回または数回に分けて投与することができる。しかし、有効性分の実投与量は治療しようとする疾患、疾患の重症度、投与経路、患者の体重、年齢および性別などの多様な関連因子に照らして決定されなければならないものと理解されるべきであり、したがって、前記投与量はいずれの面であれ、本発明の範囲を限定するものではない。
【0138】
また、本発明の細胞治療剤を有効性分として含む組成物は直腸、静脈内(intravenous therapy、i.v)、動脈内、腹腔内、筋肉内、胸骨内、経皮、局所、眼球内または皮内経路を通じて通常の方式で投与することができる。
【0139】
本発明は哺乳動物に治療学的に有効な量の前記人為的に操作された間葉系幹細胞を投与することを含む虚血性疾患の治療方法を提供する。ここで使われた用語哺乳動物は、治療、観察または実験の対象である哺乳動物をいい、好ましくは人間をいう。この時、虚血性疾患は前記したものに従う。
【0140】
本発明はまた、哺乳動物で虚血性疾患の予防または治療に使うための薬剤の製造における前記人為的に操作された間葉系幹細胞の用途を提供する。この時、虚血性疾患は前記したものに従う。
発明の実施のための形態
【0141】
以下、実施例を通じて本発明をさらに詳細に説明しようとする。
【0142】
これら実施例はひとえに本発明をより具体的に説明するためのものであって、本発明の範囲がこれら実施例によって制限されないことは本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者において自明であろう。
【0143】
実施例1:KEAP1ノックアウトされた間葉系幹細胞製造
【0144】
sgRNA設計
【0145】
KEAP1遺伝子をノックアウトするために、http://www.rgenome.net/cas-designer/で予測されたガイド配列のうちオフターゲット効果が少なく予想されるmismatch 1、0、0であるガイドRNAの標的配列を選別した。
【0146】
KEAP1遺伝子の標的配列は下記の表1に整理して示した。
【0147】
【表1】
【0148】
前記配列番号1~15の標的配列を標的化するそれぞれのガイドRNAを合成して、以後の実験に使った。各ガイドRNAに対する各標的配列のインデル効率は下記の標的化ディープシーケンシング方法を通じて測定し、その結果は図1に示した。
【0149】
ガイドRNAはMEGA short script T7 kit(Ambion)を利用してメーカーの指針により生体外転写した。sgRNAに対する鋳型(template)は二つの相補的なオリゴヌクレオチドの結合(annealing)および伸長(extension)を通じて製造した。
【0150】
RNP(Ribonucleoprotein)伝達
【0151】
RNP複合体は4D-Nucleofector(Lonza)を利用して電気穿孔法で導入された。具体的には、RNP複合体は4ug Cas9蛋白質とin vitro transcribed sgRNA(T7 polymerase(New England BioLabs)を活用、メーカープロトコルにより製作)4ugを混合して形成し、室温で10分の間混合物をインキュベーティングした。前記RNP複合体は20ul Primary P1 buffer処理された4×10 Human Bone marrow MSC(Lonza、Cat.No.PT-2501)とともに核小体プログラム(nucleofector program)EW-104を使って電気穿孔を遂行した。その結果KEAP1遺伝子がノックアウト(Knock-out)された間葉系幹細胞(KEAP1 KO MSC)を収得した。
【0152】
本明細書で人為的に操作された間葉系幹細胞の対照群としてSHS231遺伝配列位置が操作された細胞を使った。具体的には、SHS231標的配列5′-GATGTGCTCACTGAGTCTGAAGG-3′(配列番号16)(アンダーライン:PAM配列)を標的化できるガイドRNAを前述した実験方法により合成し、間葉系幹細胞にRNP形態でガイドRNAとCas9蛋白質を導入して、SHS231遺伝配列が操作されたMSCを収得した。
【0153】
標的化ディープシーケンシング(Targeted deep sequencing)
【0154】
収得したKEAP1 KO MSCにBlood Genomic DNA Extraction Kit(Favorgen)を利用してメーカープロトコルによりgenomic DNA(gDNA)を抽出した。標的部位の増幅のためにPhusion High-Fidelity DNA Polymerase PCR Polymerase(NEB)を使って100ng genomic DNA(gDNA)を増幅させた。ディープシーケンシングライブラリー生成のためにTruSeq HT Dual Index Primers(Illumina、San Diego、CA、USA)を使ってアンプリコンをもう一度増幅させた。Illumina Miniseq Systemを利用してPaired-end sequencingを遂行し、インデル頻度は「http://www.rgenome.net/」で計算した。
【0155】
標的化ディープシーケンシング結果、各標的配列に対するKEAP1 KO MSCの変異位置は野生型KEAP1遺伝子の配列を基準として表示した。一例として、配列番号15(sgKeap1-BR-#5)の標的化ディープシーケンシング結果は図2のように示された。
【0156】
標的化ディープシーケンシングに使った各標的配列に対するprimer配列は表2~4に示した。
【0157】
【表2】
【0158】
【表3】
【0159】
【表4】
【0160】
KEAP1 mRNA qRT-PCR Assay
【0161】
Total RNAサンプルはRNeasy Mini Kit(Qiagen)を利用して得たし、このうち1ug total RNAにReverTra Ace qPCR RT Kit(toyobo)を使ってcDNAを合成した。合成されたcDNAをPower SYBR Green PCR Master Mix(Applied Biosystems)とStepOnePlus Real Time PCR system(Appled biosystems)を利用してquantitat4e RT-PCRを遂行した。PCR温度と時間およびcycle数は次の通りである。DNA denaturation 95℃10分、primer annealing 55-60℃30秒、polymerization 72℃30秒の間遂行し、40 cycle反復で増幅した。Normalization controlとしてはHuman GAPDHを使った。qRT-PCRに使った各遺伝子に対するprimer配列は表5~6に示した。
【0162】
【表5】
【0163】
【表6】
【0164】
スクリーニングしたKeap1 target sgRNAによって、Keap1遺伝子内標的配列(配列番号15)位置でのインデルが高くよく示されたし、KEAP1 mRNAの発現も0に近く低くなったものと示された。また、WTおよびControlとKeap1 KO MSCを比較した時、外観上でもspindle-like and fibroblast-like shapeの大きな差は示さなかった(図3参照)。
【0165】
比較例1:NRF2がエディティングされた間葉系幹細胞製造
【0166】
NRF2蛋白質を暗号化するNFE2L2遺伝子のexon 2はKEAP1 interacting domainに関連しており、前記NFE2L2 exon2が欠失される突然変異が発生すると、Nrf2の標的遺伝子が活性化することが知られている(Leonard D Goldstein et.al.,Cell Rep.2016 Sep 6;1610:2605-2617.)。KEAP1 KO MSCの酸化ストレス抵抗性がKEAP1 KOによるものであるか、Nrf2の活性増加によるものであるかを確認するためにと比較実験を遂行した。Nrf2活性モデル細胞を製作するために遺伝子編集を遂行してNRF2のexon 2がskipされた間葉系幹細胞(Nrf2 edited MSC)を製造し、KEAP1 KO MSCとNrf2 edited MSCのH(酸化ストレス)抵抗性比較実験を進めた。
【0167】
具体的な実験方法は次の通りである。
【0168】
sgRNA設計
【0169】
NRF2遺伝子を標的 とするために、Off-target profile上1-0-0 mismatches(0、1、2)に該当しつつ、intron 1またはintron 2を標的とすることができるガイドRNAを選別した。
【0170】
NRF2遺伝子の標的配列は下記の表7に整理して示した。
【0171】
【表7】
【0172】
sgNRF2#1~#4はNRF2 exon2(KEAP1 interacting exon)を標的部位とし、sgNRF2#5~#10はNRF2 intron site(#6、#9を同時に使ってNRF2 exon2のlarge deletionを誘導する)を標的部位とする。
【0173】
前記標的配列のうち配列番号43~48をそれぞれ標的とするsgRNAを合成して、前記実施例1と同じ標的化ディープシーケンシング方法でNRF2遺伝子に対するインデル効率を測定し、その結果は図4に示した。
【0174】
前記標的配列のうち配列番号44および配列番号47の標的配列をそれぞれ標的化できる2種のin-vitro transcribed sgRNAを前記実施例1と同じ電気穿孔法を活用して一つの間葉系幹細胞に前記2種のsgRNAをエディタ蛋白質と同時に導入することによって、Nrf2遺伝子のexon2がskipされたMSCを製造した。
【0175】
実施例2:KEAP1ノックアウトされた間葉系幹細胞製造
【0176】
sgRNA設計
【0177】
前記実施例1と同じ方法でKEAP1遺伝子の標的配列を選別し、下記の表8に示した。
【0178】
【表8】
【0179】
RNP( Ribonucleoprotein )伝達、標的化ディープシーケンシング(Targeted deep sequencing)およびKEAP1 mRNA qRT-PCR Assay
【0180】
RNP(Ribonucleoprotein)伝達、標的化ディープシーケンシング(Targeted deep sequencing)およびKEAP1 mRNA qRT-PCR Assayは前記実施例1と同じ方法で遂行した。
【0181】
標的化ディープシーケンシングに使った各標的配列に対するprimer配列は表9に示した。
【0182】
【表9】
【0183】
前記配列番号15と、配列番号49~56の標的配列を標的化する各ガイドRNAに対する各標的配列のインデル効率は下記の標的化ディープシーケンシング方法を通じて測定し、その結果は図5に示した(図5で#BR5は合成sgRNA(synthego)であり残りは生体外転写したRNA(IVT-RNA)である)。
【0184】
図6は、KEAP1遺伝子の各標的配列を標的化するsgRNAを使ってKEAP1遺伝子がノックアウトされた間葉系幹細胞でKEAP1遺伝子から転写されるmRNAの発現程度をqRT-PCRを利用して比較して示したグラフである。
【0185】
KEAP1ノックアウトされた間葉系幹細胞P6で前記配列番号15と、配列番号50の標的配列を標的化する各ガイドRNAに対する各標的配列のインデル効率(図8(a))と、KEAP1ノックアウトされた間葉系幹細胞P6およびP7でqRT-PCRを利用して測定したKEAP1遺伝子から転写されるmRNAの発現程度(図8(b))は図8に示した。
【0186】
実験例1:細胞生存性および成長率分析
【0187】
CCK8 Cell Viability assay under oxidat4e stress
【0188】
酸化ストレス(Oxidat4e stress)による細胞の生存率を確認するためにCell Counting Kit-8(CCK-8)を利用して各群の生存細胞を測量した。具体的には、96-well plateで培養された細胞にHを濃度別に処理し、24hの間さらに培養した後、各well当たりCCK-8溶液を10μLずつ添加し2hの間反応させた。以後ELISA readerを利用して450nmで吸光度を測定した。
【0189】
PDL(Population Doubling Level)、PDT(Population Doubling Time)
【0190】
細胞の成長度を調べるために継代培養前、後の細胞数を測量した。Harvest cell count数(C)をSeeding cell count数(C)で割った値をGrowth rateと見て、PDL(n)を次の数学式1のような公式で計算した。
【0191】
【数1】
【0192】
培養時間(hr)をPDLで割った値をPopulation Doubling time(PDT)で表示した。
【0193】
成長率はKEAP1 KO MSCがWTに比べて多少高いと観測されたが、一般環境での生存性は大きな差は示さなかった(図9(a)参照)。反面、過酸化水素の濃度を次第に高くして添加した結果(酸化的ストレス環境造成)KEAP1 KO MSCは過酸化水素が相当に多く投与された時も(450μM)高い生存性を示した(図9(b)参照)。
【0194】
NRF2 exon2 skip edited MSC(sgNRF2-#6+#9同時標的)はKEAP1 KO MSC(sgKeap1-BR#5標的)のようにH 400uMまで類似する生存効果を示したがH 450uMではKEAP1 KO MSCがさらに高い生存効果を示した。これはKEAP1ノックアウトはNRF2活性化だけでなくH抵抗性に対する他の生存効果があると見られる(図10参照)。
【0195】
KEAP1標的配列によるH抵抗性を比較してみた結果、配列番号15(sgKeap1-BR#5)の標的配列をノックアウトした間葉系幹細胞が高い濃度のHで相対的にさらに高い生存効果を示した(図11図12参照)。
【0196】
配列番号15(sgKeap1-BR#5)と配列番号50(sgKEAP1-exon3-#23)の標的配列をノックアウトした幹細胞の生存率(図13(a))、成長率(図13(b))、PDL(Population Doubling Level)(図13(c))およびPopulation Doubling time(PDT)(図13(d))を図13に示した。
【0197】
実験例2:細胞周期分析
【0198】
BrdU(Bromodeoxyuridine)Assay
【0199】
培養された細胞をharvestする前に1時間の間10uM BrdUを処理した。BrdUを処理した後、PBSに希釈された3%ホルムアルデヒドで4℃で1時間固定させた後、harvestして1%Triton X-100を室温で5分間処理した。再び細胞を遠心分離してPBSでwashingし、4N HCLを10分間室温で処理してDNA二本鎖を解いた後PBSでwashingした。室温で30分間blocking溶液(30%FBS、1%BSA、0.01%Tween 20 in PBS)を処理した後、harvestした。PBSに100倍希釈したanti-BrdU mouse IgGを30分間4℃で反応させた。これをPBSに希釈された0.2%tween 20で洗って遠心分離された後、集められた細胞を最後にPBSで希釈してフローサイトメーターで分析した。
【0200】
FACS analysis
【0201】
前記にてBrdU処理されたKEAP1 KO MSCをphosphate buffer saline(PBS)で2回洗浄後、0.05%trypsin-EDTAを使って細胞をカルチャープレートから離して1,000rpmで5分間遠心分離した。100ulのFACS staining buffeでcellをsuspensionさせantibodyを混合して1時間の間4度で反応後、PBSで2回washingし、500ulのPBSで浮遊させてFACS analysisした。
【0202】
BrdU Assayで細胞周期を観測した結果、KEAP1 KO MSCはS phaseが頻繁に観測されて細胞増殖が活発に起きることが分かった(図14参照)。
【0203】
実験例3:テロメア長さ分析(Telomere length qPCR)
【0204】
KEAP1 KO MSCのgenomic DNA(gDNA)サンプルはBlood Genomic DNA Extraction Kit(FAVORGEN)を利用して得たし、このうち5ng gDNAをAbsolute Human Telomere Length Quantification qPCR Assay Kit(Sciencell)を使ってTelomere Length値を測定した。Kit内Reference human genomic DNAと実験gDNA sampleをStepOnePlus Real Time PCR system(Appled biosystems)を利用してquantitat4e RT-PCRを遂行してその長さを比較した。PCR温度と時間およびcycle数は次の通りである。DNA denaturation 95℃10分、primer annealing 52℃20秒、polymerization 72℃45秒の間遂行し、32 cycle反復で増幅した。
【0205】
テロメア長さ分析結果、KEAP1ノックアウトによる抗老化作用の結果で細胞増殖が活発であると同時に、テロメアの長さが長くなったことが分かった(図15参照)。
【0206】
実験例4:サイトカイン分析を使ったプロテオミクスデータ検証
【0207】
サイトカイン分析はHuman XL Cytokine Array Kit(Cat.no.ARY022、R & D systems、USA)を使ってメーカーのマニュアルにより遂行した。まず、アレイ分離膜を4 well multi-dishに入れてarray buffer 6と共にrocking platform shakerで一時間の間blockingさせた。blockingした後、分離膜はKEAP1 KO MSC培養液サンプルと共にrocking platform shakerで2~8℃を維持しながら、一晩中(overnight)インキュベーティングした。以後、分離膜は1X wash bufferで10分ずつ3回洗浄した。希釈されたDetection Antibody Cocktailを各well当たり1.5mlずつ入れてshakerで1時間インキュベーティングした。以後、1X wash bufferで3回洗浄した。洗浄後、2ml Streptavidin-HRPを各wellに入れて30分間反応させた。最後に、1ml Chemi Reagent Mix溶液を各分離膜に均一に噴射した後、自家放射分析を遂行した。収得したX線フィルムをスキャンし、フィルム上のピクセル密度をイメージ分析ソフトウェア(Image J)を利用して分析した。
【0208】
KEAP1 KO MSCはオステオポンチン(Osteopontin、OPN)、アンジオポエチン(Angiopoietin)、IL-8、VEGF、uPARのような多くのサイトカインの発現が増加したし、そのうちオステオポンチン(Osteopontin)とアンジオポエチン(Angiopoietin)の発現が大きく増加した(図16参照)。オステオポンチン(OPN)の一時的増加は血管新生を促進させて傷の治療に利点を示し、また、発現が大きく増加したアンジオポエチン-1は血漿漏水/血管炎症/内皮細胞壊死防止などの強力な血管保護効果を示すため、各種心血管系疾患に肯定的な影響を与えると予想される。
【0209】
実験例5:in vivo生存能確認
【0210】
MSCはIV(intravenous)投与時に主に肺に蓄積されるので、一般miceにKEAP1ノックアウトMSCをIVで投与して、肺組織を採取して染色し分析した結果を図11に示した。具体的には、対照群およびKEAP1 KO MSCはin vivoでIV経路投与時の体内の各部に蓄積される程度をtrackingするためにVybrant DiD cell-labeling solutionを通じて染色された(ThermoFisher)。各実験グループの染色されたMSCは2×10 cellsだけそれぞれ6-8週齢C57Bl/6 mouse(Orient Bio)にtail veinを通じて血管注射された。注射後1日目および2日目にそれぞれマウスの肺を摘出してDiDに対するex vivo imagingをFOBI Fluorescence In vivo imaging system(CELLGENTEK)を利用して進めた。DiD fluorescence intensity測定を通じてMSCの残存度を測定した。
【0211】
図17を参照すると、KEAP1ノックアウト間葉系幹細胞は比較対象に比べて、in vivo環境で優れた生存能を示した。このように優れた効果を示すKEAP1ノックアウト間葉系幹細胞は、心臓、血管、肺、脳などの生体内環境で、多様な虚血性疾患および炎症性疾患の治療に使われ得るものと考えられる。
図1
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図14
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図16
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【配列表】
2024527634000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2024-01-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人為的に操作されたKeap1(Kelch-like ECH-associated protein 1)遺伝子を含む人為的に操作された間葉系幹細胞であって、
前記人為的に操作されたKeap1遺伝子は野生型間葉系幹細胞のKeap 1遺伝子配列と異なり、
前記人為的に操作されたKeap1遺伝子は核酸配列内に一つ以上のインデル(indel)を含み、
この時、前記インデルはKeap1遺伝子のエキソン第2領域またはエキソン第3領域でプロトスペーサー隣接モチーフ(Protospacer-Adjacent Motif、PAM)配列内、またはPAM配列の5′末端または3′末端と隣接して位置する連続する5~50個のヌクレオチド配列内に位置し、
前記人為的に操作された間葉系幹細胞は酸化ストレス抵抗性が向上したことを特徴とする、人為的に操作された間葉系幹細胞。
【請求項2】
前記人為的に操作されたKeap1遺伝子の配列は、配列番号1~15および配列番号49~56からなる群から選択された一つ以上の配列を含まないことを特徴とする、請求項1に記載の人為的に操作された間葉系幹細胞。
【請求項3】
前記人為的に操作された間葉系幹細胞内で、
前記人為的に操作されたKeap 1遺伝子から転写されるmRNAは野生型間葉系幹細胞のKeap 1遺伝子から転写されるmRNA発現水準と比較して、そのmRNA発現水準がさらに低いかまたは配列が異なることを特徴とする、請求項1に記載の人為的に操作された間葉系幹細胞。
【請求項4】
前記人為的に操作された幹細胞は酸化的ストレス環境で高い生存性を有することを特徴とする、請求項1に記載の人為的に操作された間葉系幹細胞。
【請求項5】
前記人為的に操作された間葉系幹細胞は脂肪、骨髓、臍帯、胎盤、羊水、羊膜、組織、臍帯血または出産前後組織(perinatal tissue)由来であることを特徴とする、請求項1に記載の人為的に操作された間葉系幹細胞。
【請求項6】
間葉系幹細胞のKeap1(Kelch-like ECH-associated protein 1)遺伝子の標的配列を標的化できるガイド配列を含むガイド核酸またはこれを暗号化する核酸配列;および
エディタ蛋白質またはこれを暗号化する核酸配列を含む、酸化ストレス抵抗性を有する間葉系幹細胞製造用組成物。
【請求項7】
前記標的配列は配列番号1~15および配列番号49~56からなる群から選択された選択された一つ以上の配列であることを特徴とする、請求項6に記載の酸化ストレス抵抗性を有する間葉系幹細胞製造用組成物。
【請求項8】
前記組成物は前記エディタ蛋白質および前記ガイド核酸をリボヌクレオプロテイン(RNP)形態で含む、請求項6に記載の酸化ストレス抵抗性を有する間葉系幹細胞製造用組成物。
【請求項9】
前記組成物は
前記エディタ蛋白質を暗号化する核酸配列および前記ガイド核酸を暗号化する核酸配列を1以上のベクター形態で含む、請求項6に記載の酸化ストレス抵抗性を有する間葉系幹細胞製造用組成物。
【請求項10】
前記ベクターはプラスミド、レトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルスおよび単純ヘルペスウイルスで構成された群から選択されたことを特徴とする、請求項9に記載の酸化ストレス抵抗性を有する間葉系幹細胞製造用組成物。
【請求項11】
(1)Keap1(Kelch-like ECH-associated protein 1)遺伝子の標的配列を標的化できるガイド核酸またはこれを暗号化する核酸配列;およびエディタ蛋白質またはこれを暗号化する核酸配列を含む酸化ストレス抵抗性を有する間葉系幹細胞製造用組成物を分離された間葉系幹細胞に導入する段階;および
(2)前記間葉系幹細胞のゲノム内に位置したKeap1(Kelch-like ECH-associated protein 1)遺伝子の標的配列にインデルを発生させることによって、Keap1(Kelch-like ECH-associated protein 1)蛋白質の発現または活性が減少または抑制されるようにKeap1遺伝子を編集する段階を含む、酸化ストレス抵抗性を有する幹細胞の製造方法。
【請求項12】
前記標的配列は配列番号1~15および配列番号49~56からなる群から選択された一つ以上の配列であることを特徴とする、請求項11に記載の酸化ストレス抵抗性を有する間葉系幹細胞の製造方法。
【請求項13】
前記インデルはKeap1遺伝子のエキソン第2領域またはエキソン第3領域でプロトスペーサー隣接モチーフ(Protospacer-Adjacent Motif、PAM)配列内、またはPAM配列の5′末端または3′末端と隣接して位置する連続する5~50個のヌクレオチド配列内に位置するように発生させる、請求項11に記載の酸化ストレス抵抗性を有する間葉系幹細胞の製造方法。
【請求項14】
前記組成物は前記エディタ蛋白質を暗号化する核酸配列および前記ガイド配列を暗号化する核酸配列を1以上のベクター形態で含む、請求項11に記載の酸化ストレス抵抗性を有する間葉系幹細胞の製造方法。
【請求項15】
前記間葉系幹細胞のゲノム内に位置したKeap1(Kelch-like ECH-associated protein 1)遺伝子の標的配列に、ストレプトコッカスピオゲネス( Streptococcus pyogenes)由来Cas9蛋白質およびKeap1遺伝子の標的配列を標的化できるガイドRNAを含むCRISPR/Cas9複合体を接触させることによってインデルを発生させる、請求項11に記載の酸化ストレス抵抗性を有する間葉系幹細胞の製造方法。
【請求項16】
請求項1~請求項5のいずれか一項に記載された人為的に操作された間葉系幹細胞を有効性分として含む、虚血性疾患の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項17】
前記虚血性疾患は虚血性心臓疾患(Ischemic heart diseases)、末梢動脈疾患(Peripheral artery disease)臨界下肢虚血(critical limb ischemia、CLI)、閉塞性血栓血管炎(thromboangitis obliteran)、糖尿病性末梢血管病症、骨壊死(osteonecrosis)、腸間膜虚血(mesenteric ischemia)、虚血性大腸炎(ischemic colitis)、虚血性腸炎(ischemic enteritis)、急性腎障害(acute kidney injury)、虚血再灌流傷害(ischemia-reperfusion injury)、虚血性肝炎(ischemic hepatitis)、虚血性膵臓炎(ischemic pancreatitis)、虚血視神経病(ischemic optic neuropathy)、慢性閉鎖性肺疾患(chronic obstruct4e pulmonary disease)、急性呼吸困難症候群(Acute Respiratory Distress Syndrome、ARDS)、COVID-19感染症、新生児低酸素性虚血性脳症(neonatal hypoxic-ischemic encephalopathy)、または脳卒中(stroke)である、請求項16に記載の虚血性疾患の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項18】
非ヒト哺乳動物に治療学的に有効な量の請求項1~請求項5のいずれか一項に記載された人為的に操作された間葉系幹細胞を投与することを含む、虚血性疾患の治療方法。
【請求項19】
前記虚血性疾患は
虚血性心臓疾患(Ischemic heart diseases)、末梢動脈疾患(Peripheral artery disease)臨界下肢虚血(critical limb ischemia、CLI)、閉塞性血栓血管炎(thromboangitis obliteran)、糖尿病性末梢血管病症、骨壊死(osteonecrosis)、腸間膜虚血(mesenteric ischemia)、虚血性大腸炎(ischemic colitis)、虚血性腸炎(ischemic enteritis)、急性腎障害(acute kidney injury)、虚血再灌流傷害(ischemia-reperfusion injury)、虚血性肝炎(ischemic hepatitis)、虚血性膵臓炎(ischemic pancreatitis)、虚血視神経病(ischemic optic neuropathy)、慢性閉鎖性肺疾患(chronic obstruct4e pulmonary disease)、急性呼吸困難症候群(Acute Respiratory Distress Syndrome、ARDS)、COVID-19感染症、新生児低酸素性虚血性脳症(neonatal hypoxic-ischemic encephalopathy)、または脳卒中(stroke)である、請求項18に記載の虚血性疾患の治療方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
本明細書で使われる「約」という用語は、参照量、水準、値、数、頻度、パーセント、寸法、大きさ、量、重量または長さに対して30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1程度に変わる量、水準、値、数、頻度、パーセント、寸法、大きさ、量、重量または長さを意味する。
【国際調査報告】