(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】複数の火花距離の電極の対を有するLithoplastyバルーンのシステム、デバイス、および方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/3207 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
A61B17/3207
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022535095
(86)(22)【出願日】2022-03-25
(85)【翻訳文提出日】2022-06-08
(86)【国際出願番号】 US2022071341
(87)【国際公開番号】W WO2023015047
(87)【国際公開日】2023-02-09
(32)【優先日】2021-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522228218
【氏名又は名称】ネクスターン イノベーション,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バチェルダー,サム
(72)【発明者】
【氏名】バラード,ジョン アール.
(72)【発明者】
【氏名】ダゴスティーノ,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ブレンゼル,マイケル ピー.
(72)【発明者】
【氏名】スタブ,ジェイソン ダブリュ.
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160EE30
4C160MM33
(57)【要約】
システム、方法、およびデバイスの様々な実施形態が、解剖学的導管内の石灰化病変を崩壊させるために提供されている。より具体的には、電気アークが、流体で充填されたバルーン内に配置された2つの離間した電極間に発生し、亜音速圧力波を生成する。いくつかの実施形態では、電極は複数のポイントを含んでおり、この複数のポイントは、とりわけ、電極の耐用年数を延ばすように、複数のポイントのいずれか1つでの電気アークの形成を可能にする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
亜音速圧力波を生成する血管形成カテーテルであって、
細長いキャリアと、
ある材料を含むとともに、前記細長いカテーテルの遠位端の近くに設けられた血管形成バルーンであって、前記血管形成バルーンの遠位端が、前記細長いカテーテルに対してシールされており、前記血管形成バルーンが内部領域を規定している、血管形成バルーンと、
前記血管形成バルーンの前記内部領域および導電流体リザーバと流体連通しており、前記バルーンを前記導電流体で膨張させるように構成された流体チャンネルと、
前記細長いキャリアに沿って前記バルーンの前記内部領域内に設けられ、第1の近位リング電極、および前記第1の近位リング電極から軸方向に離間した第1の遠位リング電極を備えた第1の亜音速圧力波ジェネレータと、
前記第1の亜音速圧力波ジェネレータと電気通信しているパルスジェネレータと、を備え、
前記パルスジェネレータから前記第1の亜音速圧力波ジェネレータへの電圧パルスの印加が、前記導電流体を通る電気アーク、および、亜音速で前記バルーン材料を通過する亜音速圧力波の生成を生成するように構成されている、血管形成カテーテル。
【請求項2】
第2の近位リング電極および第2の遠位リング電極をさらに備える第2の亜音速圧力波ジェネレータを備え、前記第2の遠位リング電極が、前記第2の近位リング電極から軸方向に離間するとともに、前記細長いキャリアに沿って、前記血管形成バルーンの前記内部領域内に設けられており、
前記第2の亜音速圧力波ジェネレータが前記第1の亜音速圧力波ジェネレータと有効に電気通信しており、
前記第2の亜音速圧力波ジェネレータが、前記パルスジェネレータから電圧パルスを受領するように構成されており、前記導電流体を通る第2の電気アークと、前記バルーン材料を亜音速で通過する亜音速圧力波とを生成するようにさらに構成されている、
請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記第2の亜音速圧力波ジェネレータが、前記第1の亜音速圧力波ジェネレータから軸方向に離間している、請求項2に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記第1の亜音速圧力波ジェネレータの第1の遠位リング電極と、前記第2の亜音速波ジェネレータの第2の近位リング電極とが、中間電極を備え、前記中間リング電極が、互いに有効に電気通信している、請求項2に記載のカテーテル。
【請求項5】
中間リング電極が離間しておらず、界面において互いと物理的に係合している、請求項4に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記中間リング電極の各々が、後面を備え、前記中間リング電極が、前記後面が界面において物理的に接触して係合しているように配置されるように位置している、請求項2に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記中間リング電極の前記後面が実質的にフラットである、請求項6に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記中間リング電極の前記後面が相補的形状を有し、前記後面の前記相補的形状が、実質的にフラットである後面間の物理的係合より大である表面積を有する界面において物理的係合を提供するように構成されている、請求項5に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記中間電極が離間され、界面を規定している、請求項4に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記界面にわたって設けられ、各中間電極と物理的に係合している導電体をさらに備えている、請求項9に記載のカテーテル。
【請求項11】
前記導電体が、少なくとも1つのワイヤ、および少なくとも1つの溶接ビードを含むグループの1つまたは複数から選択される、請求項10に記載のカテーテル。
【請求項12】
前記第1の近位リング電極が、複数の離間した拡張部分を含む前面を含んでいる、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項13】
前記複数の離間した拡張部分が、前記第1の近位リング電極の前記前面の少なくとも一部の周りに周方向に配置されている、請求項12に記載のカテーテル。
【請求項14】
前記第1の近位電極の前記複数の離間した拡張部分が、前記第1の遠位電極に向かって、かつ、前記第1の亜音速圧力波ジェネレータを備えている前記第1の近位リング電極と前記第1の遠位リング電極との間に規定された火花ギャップに向かって延びている、請求項13に記載のカテーテル。
【請求項15】
前記第1の遠位リング電極の前面が、前記第1の近位電極に向かって、かつ前記火花ギャップに向かって延びる、複数の離間した拡張部分をさらに備えている、請求項14に記載のカテーテル。
【請求項16】
前記複数の離間した拡張部分が、前記第1の遠位リング電極の前記前面の少なくとも一部の周りに周方向に配置されている、請求項14に記載のカテーテル。
【請求項17】
少なくとも前記第2の近位リング電極が、複数の離間した拡張部分を備えた前面を備えている、請求項2に記載のカテーテル。
【請求項18】
前記第2の近位リング電極の前記複数の離間した拡張部分が、前記第2の遠位電極に向かって、かつ、前記第2の亜音速圧力波ジェネレータを備えている前記第2の近位リング電極と前記第2の遠位リング電極との間に規定された火花ギャップに向かって延びている、請求項17に記載のカテーテル。
【請求項19】
前記第1の遠位リング電極の前記前面が、前記第1の近位電極に向かって、かつ前記火花ギャップに向かって延びる、複数の離間した拡張部分をさらに備えている、請求項18に記載のカテーテル。
【請求項20】
前記複数の離間した拡張部分が、前記第2の近位電極と前記第2の遠位電極との各々の前記前面の少なくとも一部の周りに周方向に配置されている、請求項19に記載のカテーテル。
【請求項21】
前記第1の近位リング電極と前記第1の遠位リング電極との少なくとも1つが長手チャンネルを規定し、前記長手チャンネルが、前記パルスジェネレータと有効に通信している導電体を受領するように構成されている、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項22】
前記第2の近位リング電極と前記第2の遠位リング電極との少なくとも1つが長手チャンネルを規定し、前記長手チャンネルが、前記パルスジェネレータと有効に通信している導電体を受領するように構成されている、請求項2に記載のカテーテル。
【請求項23】
前記細長いカテーテルが、内部を通るガイドワイヤ管腔を備えている、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項24】
複数の軸方向に離間した亜音速圧力波ジェネレータをさらに備えている、請求項2に記載のカテーテル。
【請求項25】
前記パルスジェネレータによって提供される前記電圧パルスが、前記流体で充填されたバルーン内で膨張する泡に繋がり、泡の膨張時間がマイクロ秒で測定され、亜音速圧力波に繋がる、請求項1のいずれかに記載のカテーテル。
【請求項26】
前記複数の軸方向に離間した亜音速圧力波ジェネレータの各亜音速圧力波ジェネレータを備えている前記リング電極間の軸方向の間隔が、5mm以上である、請求項24に記載のカテーテル。
【請求項27】
各亜音速圧力波ジェネレータを備えている前記リング電極間の前記軸方向の間隔の距離が、前記バルーン内の前記導電流体の濃度に関連する、請求項24に記載のカテーテル。
【請求項28】
前記第1の亜音速圧力波ジェネレータを備えている前記第1の近位リング電極と前記第1の遠位リング電極との間の前記軸方向の間隔の距離が、前記第1の近位リング電極および前記第1の遠位リング電極の減損に影響し、前記第1の近位リング電極と前記第1の遠位リング電極との間の軸方向の間隔を増大させることが、前記導電流体内に消散するように構成された前記電気アークによって生成される熱の割合を増大させることにより、前記第1の近位リング電極および前記第1の遠位リング電極の熱的減損を低減させる、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項29】
前記第2の亜音速圧力波ジェネレータを備えている前記第2の近位リング電極と前記第2の遠位リング電極との間の前記軸方向の間隔の距離が、前記第2の近位リング電極および前記第2の遠位リング電極の減損に影響し、前記第2の近位リング電極と前記第2の遠位リング電極との間の軸方向の間隔を増大させることが、前記導電流体内に消散するように構成された前記電気アークによって生成される熱の割合を増大させることにより、前記第2の近位リング電極および前記第2の遠位リング電極の熱的減損を低減させる、請求項2に記載のカテーテル。
【請求項30】
前記複数の亜音速圧力波ジェネレータの少なくとも隣接する亜音速圧力波ジェネレータによる亜音速圧力波の前記生成が、前記隣接して生成される圧力波間に位置する中心の圧力ノードに繋がる、請求項24に記載のカテーテル。
【請求項31】
前記複数の亜音速圧力波ジェネレータの1つの前記亜音速圧力波ジェネレータへの第1の電圧パルスの搬送を、隣接する亜音速圧力波ジェネレータへの第2の電圧パルスの搬送に比べて遅延させるように適合された、前記パルスジェネレータと通信しているプロセッサをさらに備え、前記隣接する亜音速圧力波ジェネレータが亜音速圧力波を生成し、前記電圧パルスの前記遅延した搬送が、前記第2の電圧パルスによって生成された前記亜音速圧力波に比べて遅延された亜音速圧力波を生成し、前記隣接する亜音速圧力波ジェネレータ間の前記中心ノードの前記位置が、前記遅延の大きさに依存する、請求項30に記載のカテーテル。
【請求項32】
前記複数の亜音速圧力波ジェネレータの1つの前記亜音速圧力波ジェネレータへの第1の大きさの電圧パルスと、前記複数の亜音速圧力波ジェネレータの隣接する亜音速圧力波ジェネレータへの第2の大きさの電圧パルスと、を生成するように適合された、前記パルスジェネレータと通信しているプロセッサをさらに備え、前記第1の大きさと前記第2の大きさとが等しくなく、前記隣接する亜音速圧力波ジェネレータ間の前記中心の圧力ノードが、前記亜音速圧力波ジェネレータの各々から等しい距離になく、隣接する亜音速圧力波間の前記中心ノードの前記位置が、前記第1の大きさと前記第2の大きさとの間の差異に依存する、請求項30に記載のカテーテル。
【請求項33】
前記複数の亜音速圧力波ジェネレータの1つの前記亜音速圧力波ジェネレータへの第1の大きさの電圧パルスと、前記複数の亜音速圧力波ジェネレータの隣接する亜音速圧力波ジェネレータへの第2の大きさの電圧パルスと、を生成するように適合された、前記パルスジェネレータと通信しているプロセッサをさらに備え、前記第1の大きさと前記第2の大きさとが等しく、前記隣接する亜音速圧力波ジェネレータ間の前記中心の圧力ノードの前記位置が、前記隣接する亜音速圧力波ジェネレータの各々から実質的に等しい距離にある、請求項30に記載のカテーテル。
【請求項34】
前記プロセッサが、電圧パルスの開始に関するあらかじめプログラムされたタイミング命令と、前記亜音速圧力波ジェネレータへの前記電圧パルスの大きさと、を含む請求項31に記載のカテーテル。
【請求項35】
前記電圧パルスの開始および/または電圧パルスの大きさが、個別の亜音速圧力波の前記位置、および、前記複数の亜音速圧力波ジェネレータの隣接する亜音速圧力波ジェネレータによって生成された亜音速圧力波間の中心ノードの位置を変更するように構成されている、請求項32に記載のカテーテル。
【請求項36】
前記リング電極が金属または半導体材料を含んでいる、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項37】
前記リング電極が第2の合金でメッキされている、請求項34に記載のカテーテル。
【請求項38】
ベース金属が銅またはベリリウム銅を含んでいる、請求項35に記載のカテーテル。
【請求項39】
前記メッキが、電気化学的に低活性の金属を含んでいる、請求項37に記載のカテーテル。
【請求項40】
前記メッキが、白金、金、タングステン、オスミウム、銀、およびニッケルで構成されたグループの1つまたは複数を含んでいる、請求項37に記載のカテーテル。
【請求項41】
前記リング電極が、グラファイト、グラフェン、ダイヤモンド、ステンレス鋼、および/または鋼合金で構成されたグループの1つまたは複数を含んでいる、請求項36に記載のカテーテル。
【請求項42】
亜音速圧力波を生成する血管形成カテーテルであって、
細長いキャリアと、
ある材料を含むとともに、前記細長いカテーテルの遠位端の近くに設けられた血管形成バルーンであって、前記血管形成バルーンの遠位端が、前記細長いカテーテルに対してシールされており、前記血管形成バルーンが内部領域を規定している、血管形成バルーンと、
前記血管形成バルーンの前記内部領域および導電流体リザーバと流体連通しており、前記バルーンを前記導電流体で膨張させるように適合された流体チャンネルと、
前記細長いキャリアに沿って前記バルーンの前記内部領域内に設けられた少なくとも1つの亜音速圧力波ジェネレータであって、前記少なくとも1つの亜音速圧力波ジェネレータの各々が、近位電極、および、前記近位電極から軸方向に離間した遠位電極を備えており、前記近位電極および/または前記遠位電極の少なくとも1つが、前記近位電極と前記遠位電極との間に規定された火花ギャップに向かって延びる複数のポイントを備えている、少なくとも1つの亜音速圧力波ジェネレータと、
前記少なくとも1つの亜音速圧力波ジェネレータの各々と有効に電気通信しているパルスジェネレータと、を備え、
前記パルスジェネレータから前記少なくとも1つの亜音速圧力波ジェネレータの各々への電圧パルスの印加が、前記導電流体を通る電気アーク、および、亜音速で前記導電流体およびバルーン材料を通過する亜音速圧力波の生成に繋がる、血管形成カテーテル。
【請求項43】
亜音速圧力波ジェネレータであって、
細長いキャリアと、
前記細長いキャリアの少なくとも一部が設けられている、流体で充填された環境と、
前記細長いキャリアに沿って前記流体で充填された環境内に設けられた少なくとも1つの亜音速圧力波ジェネレータであって、前記少なくとも1つの亜音速圧力波ジェネレータの各々が、近位電極、および、前記近位電極から軸方向に離間した遠位電極を備えており、前記近位電極および/または前記遠位電極の少なくとも1つが、前記近位電極と前記遠位電極との間に規定された火花ギャップに向かって延びる複数のポイントを備えている、少なくとも1つの亜音速圧力波ジェネレータと、
前記少なくとも1つの亜音速圧力波ジェネレータの各々と有効に電気通信しているパルスジェネレータと、を備え、
前記パルスジェネレータから前記少なくとも1つの亜音速圧力波ジェネレータの各々への電圧パルスの印加が、前記流体を通る電気アーク、および、前記流体を通ってターゲットに向かって亜音速で通過する亜音速圧力波の生成に繋がる、亜音速圧力波ジェネレータ。
【請求項44】
細長い部材への有効な取付けのために構成されたリング電極であって、
本体部であって、長手方向の近位方向および遠位方向に前記本体部から長手方向に離れるように延びる前記細長い部材を受領するとともに係合するように構成された、内部を通る中心アパーチャを規定する本体部と、
前面および後面であって、前記前面が、前記長手の近位方向または前記遠位方向の一方に、前記前面から離れるように延びる複数の離間した拡張部分を備え、前記離間した拡張部分の各々にテーパが付されている、前面および後面と、
導電性ワイヤを受領するように構成された、前記前面から前記後面に長手方向に延びるチャンネルと、を備えた、リング電極。
【請求項45】
前記複数の離間した拡張部分が、前記第1の近位リング電極の前記前面の少なくとも一部の周りに周方向に配置されている、請求項44に記載のリング電極。
【請求項46】
前記複数の離間した拡張部分の各々が、遠位ポイントで終端する、請求項44に記載のリング電極。
【請求項47】
前記チャンネルが、前記本体部の切欠きを含み、前記本体部が、前記細長い部材と完全に周方向に係合するように構成されている、請求項44に記載のリング電極。
【請求項48】
チャンネルが、前記本体部の2つの離間した端部間の空間を規定し、前記本体部が、前記細長い部材と部分的に周方向に係合するように構成されている、請求項44に記載のリング電極。
【請求項49】
前記リング電極が金属または半導体材料を含んでいる、請求項44に記載のリング電極。
【請求項50】
前記リング電極が第2の合金でメッキされている、請求項44に記載のリング電極。
【請求項51】
ベース金属が銅またはベリリウム銅を含んでいる、請求項50に記載のリング電極。
【請求項52】
前記メッキが、電気化学的に低活性の金属を含んでいる、請求項50に記載のリング電極。
【請求項53】
前記メッキが、白金、金、タングステン、オスミウム、銀、およびニッケルで構成されたグループの1つまたは複数を含んでいる、請求項50に記載のリング電極。
【請求項54】
前記リング電極が、グラファイト、グラフェン、ダイヤモンド、ステンレス鋼、および/または鋼合金で構成されたグループの1つまたは複数を含んでいる、請求項44に記載のカテーテル。
【請求項55】
前記後面が実質的にフラットである、請求項44に記載のリング電極。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[発明者]
Sam Batchelder,Somers,NY,米国市民
John R.Ballard,Waconia,MN,米国市民
Robert D’Agostino,Minneapolis,MN,米国市民
Michael P.Brenzel,St.Paul,MN,米国市民
Jason W.Staab,Apple Valley,MN,米国市民
【0002】
[関連出願の相互参照]
本出願は、SYSTEMS,DEVICES AND METHODS FOR GENERATING SUBSONIC PRESSURE WAVES IN INTRAVASCULAR LITHOTRIPSYと題された、2021年8月5日に出願された米国仮特許出願第63/229737号、SYSTEMS,DEVICES AND METHODS FOR GENERATING SUBSONIC PRESSURE WAVES IN INTRAVASCULAR LITHOTRIPSYと題された、2021年10月4日に出願された米国実用特許出願第17/449883号、SYSTEMS,DEVICES AND METHODS FOR GENERATING SUBSONIC PRESSURE WAVES IN INTRAVASCULAR LITHOTRIPSYと題された、2021年11月11日に出願された米国実用特許出願第17/454574号、SYSTEMS,DEVICES AND METHODS FOR GENERATING SUBSONIC PRESSURE WAVES IN INTRAVASCULAR LITHOTRIPSYと題された、2021年11月11日に出願された米国実用特許出願第17/454587号、METHODS,SYSTEMS AND DEVICES FOR GENERATING SUBSONIC PRESSURE WAVES IN INTRAVASCULAR LITHOTRIPSYと題された、2021年11月12日に出願された米国実用特許出願第17/454667号、METHODS FOR GENERATING SUBSONIC PRESSURE WAVES IN INTRAVASCULAR LITHOTRIPSY WITH MORE THAN SPARK GAPと題された、2021年11月12日に出願された米国実用特許出願第17/454668号、SYSTEMS,DEVICES AND METHODS FOR SELECTION OF ARC LOCATION WITHIN A LITHOPLASTY BALLOON SPARK GAPと題された、2021年11月12日に出願された米国実用特許出願第17/454718号、SYSTEMS,DEVICES AND METHODS FOR MONITORING VOLTAGE AND CURRENT AND CONTROLLING VOLTAGE OF INTRAVASCULAR SUBSONIC LITHOTRIPSY SYSTEMSと題された、2021年11月12日に出願された米国実用特許出願第17/454721号、および、LITHOPLASTY BALLOON SYSTEMS,DEVICES AND METHODS WITH ELECTRODE PAIRS HAVING MULTIPLE SPARK GAPSと題された、2021年12月14日に出願された米国実用特許出願第17/644173号の利益を主張する。これら文献の内容全体は、参照することにより、本明細書に組み込まれる。
【0003】
[連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載]
なし
【0004】
本発明は、解剖学的導管内の石灰化病変(calcified lesions)を崩壊させるためのシステム、デバイス、および方法に関する。より具体的には、電気アークが、流体で充填されたバルーン内に配置された2つの電極間に発生し、亜音速圧力波を生成する。
【背景技術】
【0005】
様々な技術および器具が、通路内の石灰化病変および/または通路を規定する壁内に形成された石灰化病変の、除去および/またはクラッキングを含む、動脈および類似の身体の通路の組織の除去または治療において使用するために発展してきている。そのような技術および器具の度々の目的が、患者の動脈内のアテローム硬化型プラークの除去である。アテローム性動脈硬化は、患者の血管の内膜層内(すなわち、内皮下)の脂肪堆積物の蓄積(アテローム)によって特徴付けられる。経時的に非常に頻繁に、最初のものは比較的柔らかいものとして堆積され、コレステロールが豊富なアテローム物質が、しばしば管壁内で、硬化して石灰化されたアテローム硬化型プラークになる。そのようなアテロームは、血流を制限し、管を正常よりも適合していないようにし、したがって、しばしば、狭窄障害または狭窄症と称され、ブロックしている物質は、狭窄物質と称される。治療しないままにされる場合、そのような狭窄症は、アンギナ、高血圧、心筋梗塞、脳卒中などを生じ得る。
【0006】
血管形成(Angioplasty)、またはバルーンによる血管形成は、狭められたか遮られた動脈または静脈を拡大することによって治療するため、通常は、アテローム性動脈硬化を治療するための血管内における手法である。しぼんでいるバルーンが、通常、あらかじめ配置されたカテーテルを通され、ガイドワイヤを越えて、狭められた閉塞部内に入れられ、次いで、決まったサイズへと膨張される。バルーンは、閉塞部が、膨張しているバルーンによって印加される半径方向の力を受け、閉塞エリア内の自然な管に類似の管腔の内径へ血管を開き、それにより、血流を向上させるまで、管内の閉塞部、および周囲の筋肉の壁を強制的に膨張させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
血管形成の手法は、限定ではないが、バルーンカテーテルの過度な膨張、不適当に大きいか剛性のバルーンの使用、石灰化したターゲットとなる管の存在からの動脈の破裂または管壁組織への他の損傷、および/または、アクセス場所における血腫または偽動脈瘤の形成を含む、いくつかのリスクおよび合併症を生じる。概して、慣習的なバルーン血管形成システムによって生成される圧力は、10atmから15atmの範囲であるが、圧力は、時にはより高い場合がある。上述のように、既知の血管形成システムおよび方法の主要な問題は、閉塞が比較的短時間で、高い圧力およびひずみ速度を生じ、しばしば、導管、たとえば血管、壁の組織の損傷または解体に繋がることである。
【0008】
Shockwave Medical,Inc.,が、慣習的な比較的高い圧力のバルーンの血管形成に対する代替物を販売している。Shockwave Medical,Inc.,の血管内砕石システムは、流体で充填されたバルーン内に「ショックウェーブ」を生成する。Shockwave Medicalは、生成された「ショックウェーブ」が、超音速でバルーン流体を通り、バルーン材料を通って、管壁組織、狭窄症、および/または石灰化と相互作用するように移動することを主張している。Shockwave Medical,Inc.,のシステムは、火花ギャップが設けられる電極の対の電極間に、比較的狭い間隔を必要としている。Shockwave Medicalの現在知られているシステムは、障害を軸方向に比較的小さくカバーする。このため、Shockwave Medicalの電極の対の構造は、細長い障害をよりよくカバーするように、軸方向に互いから離間しているさらなる電極の対、および/または、電極の対(複数の場合もある)を平行移動させるために使用される場合がある、移動可能、スライド可能な電極の対のキャリアを必要としている。
【0009】
本発明の様々な実施形態は、とりわけ、上述のこれら課題に対処する。
【0010】
これら図面は、特定の実施形態の例示的な描写であり、したがって、本開示を限定することは意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態の遠位領域の、一部破断された斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態の遠位領域の斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態の遠位領域の斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態の遠位領域の、一部破断された側面図である。
【
図5】本発明の一実施形態の遠位領域の一部の破断斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態の遠位領域の一部の破断側面図である。
【
図7】本発明の一実施形態の遠位領域の一部の破断斜視図である。
【
図8】本発明の一実施形態の遠位領域の一部の破断斜視図である。
【
図9】本発明の一実施形態のリング電極の斜視図である。
【
図10】間に有効な電気通信を伴う2つの中間電極の破断側面図である。
【
図11】間に有効な電気通信を伴う2つの中間電極の破断側面図である。
【
図12】間に有効な電気通信を伴う2つの中間電極の破断側面図である。
【
図13】同時のアークの側面図、および、一方のアークが他方のアークに対して遅延している側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
概して、本発明の実施形態は、血管内の石灰化された領域を分裂またはクラッキングするために、亜音速波を生成するための方法およびデバイスを含んでいるが、生成された亜音速波の分裂させる効果は、部分的に石灰化している、または石灰化していない閉塞物質に拡大される場合がある。より具体的には、図面を参照すると、例示的実施形態100は、既知の膨張可能な血管形成バルーン104を有する、カテーテルなどの細長い部材またはキャリア102を備えている。血管形成バルーン104は、細長いキャリア102の遠位端103またはその近くに取り付けられており、遠位端103は、特定の実施形態では、レーザーカットポリイミドチューブを備えている場合がある。バルーン104の遠位端105は、水を通さないバリアを形成するように、細長いキャリア102に対して、またはその周りでシールされている場合があり、また、バルーン104の内部と流体連通するとともに、患者の外部に位置している、流体を包含しているリザーバ(図示せず)と流体連通している流体膨張/収縮チャンネル106をさらに備えている。流体膨張/収縮チャンネル106は、当該技術で周知であるように、バルーン104を流体Fで膨張させ、バルーン104を収縮させるためのものである。ガイドワイヤの平行移動を可能にするように構成されたガイドワイヤ管腔(図示されていないが、当該技術では周知である)は、細長いキャリアを通り、遠位で細長いキャリアから出るように伸びている。配置も、当業者には周知である。
【0013】
本発明の様々な実施形態が、たとえば身体のキャビティおよび/または血管である、流体で充填された環境で、すなわち、流体で充填されたバルーンを必要とすることなく、有効でもあることを、理解されたい。様々な実施形態は、流体で充填されたバルーンに関して記載されているが、流体で充填された環境内に配置された細長いカテーテルにも適用され、ここでは、以下に記載される亜音速圧力波ジェネレータが、流体で充填された環境内の細長いキャリアに沿って設けられている場合がある。すべてのそのような実施形態は、本発明の範囲内にある。
【0014】
したがって、少なくとも1つの亜音速圧力波ジェネレータ200が設けられており、各亜音速圧力波ジェネレータは、近位リング電極および遠位リング電極を備え、火花ギャップが近位リング電極と遠位リング電極との間に規定されている。いくつかの実施形態では、2つの亜音速圧力波ジェネレータ200、200’が設けられる場合がある。さらに他の実施形態では、1つより多くの亜音速圧力波ジェネレータ、すなわち、2つ以上が設けられる場合がある。
【0015】
本明細書で言及されるように、亜音速圧力波ジェネレータは、作動される際に、血管形成バルーンなどの流体で充填された環境内にエネルギの波(複数の場合もある)を生成する機構として規定されている。生成された波(複数の場合もある)は、このため、亜音速でバルーン材料を通って移動し、また、バルーンの外部に位置する組織および/または石灰化された物質と亜音速で相互作用もする。換言すると、亜音速圧力波ジェネレータによって生成された波(複数の場合もある)は、音速以上の速度では、バルーン材料を通って移動しない、または、バルーンの外部の組織もしくは石灰化された物質に影響しない。さらに、「波」との用語は、本質的には「波」に限定されることは意図されていない。代わりに、エネルギの移動フロントが、生成され、また、バルーン内の流体を通って、その移動フロントを発した亜音速圧力波ジェネレータから概して離れるように、移動する。エネルギのこの移動フロントは、細長いカテーテル102周りに対称的な膨張形状を有する場合があるか、細長いカテーテル102に関して非対称な形状で膨張および移動する場合がある。各実施形態では、エネルギの移動フロント、すなわち、本明細書で言及されるような「波」は、亜音速で、バルーン材料を通って移動し、バルーンの外部の物質に影響する。
【0016】
代替的には、亜音速圧力波ジェネレータは、当該技術で既知であるような抵抗変化型ヒータまたはパルスヒータを備えている場合がある。
【0017】
単一の亜音速圧力波ジェネレータ200が設けられている場合、このジェネレータは、バルーン104内で実質的に軸が中心付けられる場合がある。他の実施形態では、単一の亜音速圧力波ジェネレータ200は、バルーンの内部の近位端または遠位端へバイアスが付される場合がある。
【0018】
2つ以上の亜音速圧力波ジェネレータ200、200’が設けられている場合、隣接する亜音速圧力波ジェネレータ、たとえば200、200’が、互いから軸方向に離間している場合があり、各亜音速圧力波ジェネレータ200、200’によって規定された結果としての火花ギャップは、互いから軸方向に離間している。3つ以上の亜音速圧力波ジェネレータが設けられているケースでは、隣接する亜音速圧力波ジェネレータ間の結果としての火花ギャップが実質的に等しい場合があるか、1つまたは複数の火花ギャップが、他の亜音速圧力波ジェネレータよりも長いか短い場合がある。
【0019】
図面にさらに見られるように、第1の、近位の亜音速圧力波ジェネレータ200は、近位リング電極201と、軸方向に離間した遠位リング電極202とを備えている場合があり、近位リング電極201と遠位リング電極202との間に火花ギャップを規定している。次に、第2の、より遠位の亜音速圧力波ジェネレータ200’は、近位リング電極203と、軸方向に離間した遠位リング電極204とを備えている場合があり、同様に近位リング電極203と遠位リング電極204との間に火花ギャップを規定している。さらに論じるように、亜音速圧力波ジェネレータ200の遠位リング電極202と、亜音速圧力波ジェネレータ200’の近位リング電極203とは、これらの間に電流が流れることを可能にするように、互いに電気通信している場合がある。
【0020】
当業者によって理解されるように、電気通信は、実際上は反転される場合がある。第1に、たとえば、近位側の電極が、回路およびこの回路に接続されたパルスジェネレータの「高」出力側に電気的に結合されているか、電気通信しており、遠位側の電極が、回路およびこの回路に接続されたパルスジェネレータの「接地」または「帰線」側に電気的に接続されているか電気通信している。第2に、遠位側の電極は、回路およびパルスジェネレータの「高」出力側に電気的に結合されているか、電気通信している場合があり、一方、近位側の電極は、回路およびパルスジェネレータの接地または帰線側に電気的に接続されているか電気通信している場合がある。いずれのケースでも、亜音速圧力波ジェネレータ(複数の場合もある)が作動されると、回路を一周し、電流が回路を通って流れることになる。
【0021】
亜音速圧力波ジェネレータの少なくとも1つ、たとえば200は、直接的に電気接続されているとともに、外部に配置された出力源またはパルスジェネレータ300と通信している場合があり、パルスジェネレータは、所定の大きさの電圧のパルス、および、導電体に沿ってのパルス長さを、もっとも近位側の亜音速圧力波ジェネレータ200の近位リング電極に提供するように構成されている場合がある。代替的には、電圧パルスは、所定の大きさまたはパルス長さを伴わずに搬送される場合がある。いくつかの実施形態では、誘導子(たとえば、周知の車の点火機構)内の場の崩壊、または、コンデンサからの電圧の減衰が採用される場合があり、これらのいずれも、所定の電圧またはパルス長さを含むか必要としていない。
【0022】
各亜音速圧力波ジェネレータ200、200’などは、軸方向に離間したリング電極の対を備えている。電極の対201、202、および203、204は、軸方向に離間した傾向で図示され、細長いキャリア102の周りに、たとえばクリンピングまたは他のアタッチメント手段によって取り付けられており、また、膨張されたバルーン104の流体F内に浸されている。したがって、火花ギャップは、電極の対201と202との間、および、電極の対203と204との間に規定されている。ここで、電極202と電極203とは、有効に電気通信または接続されている。上述のように、火花ギャップは、等しい長さである場合があるか、異なる長さを有する場合がある。いくつかの実施形態では、単一の亜音速圧力波ジェネレータ200が設けられている場合があり、一方、他の実施形態では、2つ以上の亜音速圧力波ジェネレータ200、200’などが設けられている場合がある。
【0023】
このため、いくつかの実施形態では、第1の、もっとも近位のリング電極201は、導電体を介して、出力源、たとえばパルスジェネレータ300と、電気的に結合されているか、電気通信または接続されている場合がある。パルスジェネレータ300は、亜音速圧力波ジェネレータ(複数の場合もある)200を備えている電極の対(複数の場合もある)に電圧パルスを供給するために構成されている。もっとも遠位のリング電極、たとえば204も、第2の導電体を介して、出力源、たとえばパルスジェネレータ300と、電気的に結合されているか、電気通信または接続されている場合がある。
【0024】
膨張されたバルーン104内の流体Fは、亜音速圧力波ジェネレータ200および200’を備える電極対201、202と電極対203、204との各々の離間したリング電極間にアーク、または電流の流れを促進するように、イオン伝導性である、たとえば塩水である。このため、パルスジェネレータ300によって生成された十分な電圧が、もっとも近位の電極、たとえば201に、パルスジェネレータ300と電極201との間で電気接続または通信している導電体を介して印加されると、電極201と電極202との間に電流が流れる場合があり、ここで、アークが、電極201と電極202との間の規定の火花ギャップにわたって生成される。電極202と有効に電気接続または通信している帰線は、パルスジェネレータ300に戻るように回路を一周している。この方式で、単一の亜音速圧力波ジェネレータ200を備えた単一の電極対を有する実施形態において、リング電極201とリング電極202との間のアーク発生の間に、回路が一周しているか閉じている場合がある。
【0025】
電流が、アークなしで電極間を流れることができることが知られている。電流は概して、イオン拡散によって電解質内を流れる。アークまたはスパークは、局所的な分子のイオン化エネルギを越えて電子またはイオンが加速できる際に存在し、カスケードを形成する。しばしば、このことはプラズマであり、バルク流体、たとえば導電性の流体Fを通って発生する場合があるが、流体表面の界面に沿って、たとえば、カテーテル102の外側表面に沿って発生する傾向が強い。これら条件は、上述のような亜音速圧力波の発生にも繋がり得る。
【0026】
図示のものなど、2つ以上の亜音速圧力波ジェネレータ200、200’を備えている実施形態では、パルスジェネレータ300によって十分な電圧が印加されると、電流の流れ(アーク)は、電極201から電極202へ、これらの間の規定の火花ギャップにわたって進む場合がある。次に、電極203と有効に電気通信している電極202は、電極202から電極203へと電流を流すことを可能にし、このことは、次いで、電極203から電極204への、これらの間に規定された火花ギャップにわたる電流の流れに繋がる。電極204と有効に通信している帰線は、パルスジェネレータ300に戻るように回路を一周している。
【0027】
上述の流れは、電極201から電極202へ通る「電流」を含み、最初は、上述のイオン拡散であり(アークが確立される前)、次いで電極201の1つまたは複数のポイント206を始点とするストリーマとなり、次いで、プラズマチャンネルが、流体Fを通して、および/または、流体Fの表面の界面もしくは界面に沿って、形成される。流体Fの表面の界面は、カテーテル102の外側表面、および/または、血管形成バルーン104の内側表面を含む場合がある。
【0028】
図1は、膨張された状態にある、流体で充填されたバルーン104を示しており、塩水などの導電性の流体Fがバルーンの内部空間を満たしており、離間したリング電極201、202および203、204が、内部に配置されるとともに流体F内に浸されている。電極201、202、203、および204は、細長いキャリア102の周りで概して対称的に、かつ、膨張されたバルーン104の中心線に沿って概して対称的に、配置されている。しかし、好ましい実施形態では、少なくとも
図6に示すように、チャンネル208は、絶縁された導電体(複数の場合もある)を少なくとも部分的にチャンネル208内に配置することを可能にするように、長手方向の平面に沿って、リング電極を通してかリング電極に沿って規定される場合があり、それにより、システムの断面プロファイルを低減するようになっている。このため、チャンネル208は、リング電極の一部を切欠くことによって形成される場合があり、ここで、リング電極は、細長いキャリア102周りに周方向に延びている。代替的には、
図6に示すように、チャンネル208は、リング電極の2つの離間した端部間に空隙または空間を含む場合があり、ここで、リング電極が、細長いキャリア102の周りに周方向に部分的に延びており、また、導電体が、細長いキャリア102の外側表面に沿って延びる場合がある。リング電極(複数の場合もある)内のチャンネル208の中断を除き、好ましい構造は、上述したように対称的であるが、非対称な電極(複数の場合もある)も採用される場合がある。
【0029】
図2から
図12は、各電極対を形成する離間したリング電極と、このリング電極との導電性のワイヤ接続との、可能性のある配置および実施形態を示している。
【0030】
このため、
図2は、レーザーカットチューブを備えている場合があり、かつ、ポリイミドまたは他の材料を含む場合がある、細長いキャリア102を図示している。2つの例示的な亜音速圧力波ジェネレータ200、200’が、細長いキャリア102に沿って、互いに対して軸方向に離間した関係で示されている。各亜音速圧力波ジェネレータ、たとえば200、200’は、それぞれ201、202と、203、204とである、離間した例示的なリング電極を備えており、これらリング電極の各々が、所定の長さの、関連する離間したリング電極間の火花ギャップを規定している。所定の長さは、離間したリング電極201からリング電極202まで、および、離間したリング電極203からリング電極204までの空間の距離である。近位の亜音速圧力波ジェネレータ200の遠位リング電極、たとえば202と、遠位の亜音速圧力波ジェネレータ200’の近位リング電極203とは、間に界面Iを形成する、比較的近付いている傾向で示されている。この界面は、界面Iを規定する2つのリング電極の間に電気通信を規定するとともに含んでいる。
【0031】
界面Iを規定するこれら中間リング電極(intermediary ring electrodes)202、203間の電気接続の様々な形態およびタイプが、本明細書にさらに記載されているが、概して、2つの中間リング電極の表面の間の物理的または有効な電気接続を含んでいる。この物理的または有効な電気接続には、2つの中間リング電極202、203の間の接触する関係、溶接ビード、またはジャンパ線もしくは他の導電性相互接続要素、または機構、または他の導電性接続が含まれる場合がある。当業者は、中間リング電極202、203間、すなわち、隣接する亜音速圧力波ジェネレータ200、200’間の必要な電気接続を形成するための代替的な機構を容易に認知するであろう。これら機構の各々は、本発明の範囲内にある。この配置では、2つ以上の亜音速圧力波ジェネレータ200、200’などが、事実上直列回路になるもので、電気的に接続される場合がある。特定の実施形態で使用される亜音速圧力波ジェネレータの数は、1、または2、または3以上である場合がある。
【0032】
本明細書にさらに論じるように、本明細書に記載されるリング電極は例示的ものであり、他の電極の形状および構造が、本発明の範囲内にある。特定の実施形態では、以下にさらに論じるように、亜音速圧力波ジェネレータを備えた電極の対の電極の少なくとも1つが、電極の対の間に規定された火花ギャップに向かって延びる複数のポイントまたは拡張部分を含んでいる場合がある。
【0033】
さらにまた、特定の実施形態は、複数の電極の対を備えている場合があり、少なくとも1つの電極の対は、パルスジェネレータ300と、ワイヤでの、または他の電気通信をしているもっとも近位のリング電極を備えている。いくつかの実施形態では、複数の内の2つ以上の電極の対は、パルスジェネレータ300と、ワイヤでの、または他の電気通信をしているもっとも近位のリング電極を備えている場合があり、複数の内の電極の対の少なくとも1つは、パルスジェネレータ300によって別々に、かつ個別に電力が供給される場合がある。このため、特定の実施形態は、少なくともいくつかの電極の対の並列接続の構成を含む場合があるか、パルスジェネレータへと戻る並列接続を含む電極の対の1つまたは複数のセットとの、直列に接続された電極の対のセットとの組合せを含む場合がある。
【0034】
当業者には、電極の対のもっとも近位のリング電極、およびパルスジェネレータ300との有効な電気接続または通信への言及が、説明的なものに過ぎないことを理解されたい。有効な電気接続を、電極の対のもっとも遠位のリング電極とパルスジェネレータ300との間にあるように単に切り替えることが、本発明の範囲内にある。
【0035】
特定の構成では、個別の亜音速圧力波ジェネレータ200、200’は、印加される電圧の大きさ、亜音速圧力波ジェネレータを備えたリング電極間のアークに繋がる電流の大きさ、亜音速圧力波ジェネレータを備えたリング電極間の電流およびアークの持続時間、放電誘導子の一次側コイルの電流、放電コンデンサの電荷、および/または、亜音速圧力波ジェネレータを備えたリング電極間の電流またはアークの開始時間に関して制御される場合がある。
【0036】
たとえば、ここで
図13および以下の関連する詳細な説明の適用を参照すると、1つまたは複数の亜音速圧力波ジェネレータ、たとえば200または200’による1つの圧力波の発生を、隣接する亜音速圧力波ジェネレータによる圧力波の発生のタイミングに対してわずかに遅延させることにより、発生した圧力波間の中心ノードを軸方向に平行移動またはシフトさせることが可能である。そのような可変のギャップの空間は、結果としての圧力波、および、これらの間に設けられるノードを、バルーン104内をカテーテル102に沿って軸方向に移動させるための代替的、または追加的な機構を提供する場合もある。圧力波の発生の遅延は、単独で、または隣接する亜音速圧力波ジェネレータ200、200’間の軸方向の間隔の差と組み合わせて使用される場合がある。
【0037】
図13に示すように、2つ(またはそれより多く)のリング電極の対、201/202および203/204が、流体で充填されたバルーン内に設けられる場合がある。各対201/202および203/204に関するアークは、実質的に同時に生成される場合があり、任意の所与の時間および亜音速圧力波Pにおける等しいサイズの泡に繋がり、中心ノードCは、生成された亜音速圧力波Pの概して中間にある。
【0038】
代替的には、1つのアーク(および結果として生じる亜音速圧力波P)は、わずかに遅延する場合があり、このことは、中心ノードCを近位または遠位にシフトさせて、バルーンの軸方向の長さに沿って治療することを可能にする。
図13は、この遅延技術の結果としての、中心ノードC対中心ノードC’の軸方向のオフセットΔを図示している。アーク、および、亜音速圧力波Pに比べてわずかに遅延している結果としての亜音速圧力波P’のそのような遅延は、時間が計測され、バルーンの長さを通り、障害の長さに沿って、軸方向に平行移動する圧力波のスイープ効果を生成するために使用される場合がある。プロセッサは、限定ではないが、軸線方向の障害のスイープを含む、波の集中を最適化させるための、パルスと、結果としてのアークおよび圧力波の様々なタイミングシークエンスを含む命令のあらかじめプログラムされたセットを実行するために、当該技術で周知であるように提供される場合がある。図示のように、相互作用するリング電極の対201/202および203/204は、細長いキャリアに沿って互いに隣接している。他の実施形態では、隣接していないリング電極の対が、上述のように相互作用する場合がある。
【0039】
カテーテルおよび電極
【0040】
上に提供したように、例示的なレーザーエッチングされたポリイミドチューブ102には、リング電極201、202、および203、204が設けられる場合があり、リング電極はチューブの周りにクリンプされ、絶縁されたワイヤがリング電極を外部のパルスジェネレータ300に戻るように接続している。
【0041】
図示の2つのワイヤの構成では、電極間のギャップは、電極の対を追加のワイヤに電気的に接続しつつ、電極の対の2つの隣接する中心の中間電極(202および203)間の距離を開くことによって低減される場合がある。
【0042】
図9は、カテーテル102にしっかりと係合するように構成された中心アパーチャAを規定する本体部B、チャンネル208、複数のポイント206を規定する前面、およびフラットな後面を有する例示的なリング電極Eを提供している。ポイント206’は、隣接するリング電極間のアークによって生じたポイントの1つの腐食の例示的な影響を示している。残りのポイント206の1つまたは複数は、火花ギャップにわたってアークを生成するように係合する場合がある。
【0043】
ポイント206は、図示のように実質的に三角形のプロファイルを有している場合がある。しかし、他のプロファイルも考えられる。ポイント206の基本的な機能は、電極の様々な位置からアークが始まることを可能にすることである。したがって、電極の本体から、電極の対のもっとも遠位の電極に概して向かって、かつ、間に規定された火花ギャップに概して向かって延び、亜音速圧力波ジェネレータを備えている任意の形状が十分となる。複数のポイントの隣接するポイントの先端領域は、特定の実施形態では、互いから離間している。
【0044】
リング電極、たとえば201、202間に規定された火花ギャップの領域に面する例示的なリング電極上の複数のポイント206は、絶縁破壊ストリーマが、リング電極上および/またはリング電極周りに配置されたいくつかの異なる位置またはポイント206から起こることを可能にし、そのため、いくつかのポイントがアークによって腐食された場合に、実現可能なポイント206が残る。このことは、リング電極の効率および耐用年数を拡大する。さらに、アークの経路は残骸を含む場合があり、そのため、電極(複数の場合もある)上の異なる位置、すなわちポイント206をアークの始点とすることにより、残骸を低減させることを助け、短絡が形成されにくくなる。この方法で、電極の周囲、および電極間の火花ギャップ内の環境は、複数のパルスを含む治療セッションを通して可能な限り一様に維持される。
【0045】
したがって、図示のように、また、当業者が容易に理解するように、電気アークに関係する腐食していないポイント(複数の場合もある)206は、電気アークが進むにつれて腐食され始める。
図5および
図9に示すように、ポイント206は、腐食されて短くなり、劣化したか腐食されたポイント206’を形成する。このため、理解されるように、かつ図示されるように、腐食されている、または腐食されたポイント206’間の火花ギャップは長くなり、これらの間のより大である長さの流体および距離、ならびに抵抗を形成する。こうして、電流ストリーマは、腐食したポイント(複数の場合もある)206’よりも長さが長い、1つまたは複数の腐食されていないポイント206によって、またはその間に形成または規定される、より短く、抵抗が低い火花ギャップを継続して見つけ出す場合がある。関係のあることに、いくつかの実施形態では、
図5に最適に示すように、腐食していないポイント206の1つまたは複数は、火花ギャップに向かう拡張部分のポイント(複数の場合もある)206の相対的な長さによって測定される場合、他のポイント206の1つまたは複数よりも長い長さを有している場合がある。より長いポイント(複数の場合もある)206は、このため、より短い他のポイント(複数の場合もある)206の火花ギャップの長さ、または、腐食され、したがって短くされて、間により長い火花ギャップ長さを規定しているポイント206’の火花ギャップの長さよりも短い、または抵抗の低い、火花ギャップの長さを有する場合がある。
図5は、例示的なポイント206のセットを示している。ここで、1つのポイント206が、隣接する「より短い」ポイント206、および、電気アークによる腐食によって短くされた、さらに短いポイント206’よりも「長い」。当業者には容易に理解されるように、電流ストリーマは、好ましくは、より短く、抵抗が低い火花ギャップ、すなわち、1つまたは複数の「より長い」ポイント206を含む火花ギャップを見つけ出す場合がある。
【0046】
図3に示すように、電極の対、たとえば201、202の拡張部分またはポイント(複数の場合もある)206は、間に複数の火花ギャップを規定するように構成されている場合があり、複数の内の各火花ギャップは、例示的な離間した電極201、202間に長手方向に整列された一対の対向する拡張部分またはポイント206に対応している。この方式で、本明細書に記載のような腐食に起因して1つの火花ギャップが長くなるにつれて、電流ストリーマの形成が、腐食されていない、長手方向に整列された対向する拡張部分またはポイント206の別の対へと移動する場合があり、したがって、いくつかの実施形態では、関連する対向する拡張部分またはポイント206の腐食に起因して長くなった火花ギャップよりも短い火花ギャップを規定する。さらに、図示のように、電極の対、たとえば201、202の拡張部分またはポイント206は、関連する電極201および/または202の周りに、互いから径方向に離間している。したがって、本明細書にさらに記載するように、それらの間の対応する火花ギャップも径方向に離間している。結果として、第1の火花ギャップにわたる第1の電気アーク、および、第1の電気アークによって生成される、対応する第1の圧力波は、電極201、202の周り、および、細長い部材またはキャリア102の周りの第1の径方向の位置で発生する場合がある。次の電気アーク、およびその生成された圧力波は、例示的な電極201、202の周りであり、かつ、第1の径方向の位置から離間した第2の径方向の位置で発生する場合がある。
【0047】
例示的なリング電極201、202、203、204を含む電極は、金属または半導体である場合があり、また、第2の合金でメッキすることができる。ベース金属は、銅またはベリリウム銅を含んでいる場合がある。メッキは、白金、金、タングステン、オスミウム、銀、ニッケル、または他の電気化学的に低活性の金属を含む場合がある。グラファイト、グラフェン、およびダイヤモンドなどの炭素表面も使用される場合がある。さらにまた、ステンレス鋼および鋼合金が使用される場合がある。
【0048】
電極の対、たとえば201、202、および203、204の間の接続は、多くの実施形態で達成される場合がある。上述のように、また、
図10に示すように、一実施形態では、2つの中間リング電極、たとえば202と203とは、物理的に接触している関係で配置される場合があり、ここで、電気接続は、事実上、接触している電極202、203間に短絡を含んでおり、それらの間に電流が流れるようにしている。電極リング201、202、203、204は、実質的にフラットである場合がある後面(
図9に示されている)を含む場合があり、ここで、中間リング電極202、203の後面は、物理的に接触して係合している場合がある。代替的には、例示的な中間リング電極202、203の後面は、本明細書にさらに論じるように、離間している場合がある。またさらに代替的には、中間リング電極の後面は、たとえば一方が凸状であり、他方が凹状である、相補的形状を含む場合があり、ここで、一方の後面が他方の後面内にフィットして、中間リング電極、たとえば202、203間に、丸くなった物理的に接触している係合を含むようになっている。比較的フラットである場合がある後面は、複数のポイント206に対向する側部を含んでおり、これらは、例示的なリング電極201、202、203、および204の各々の前面を形成および規定している。
【0049】
図12に示すように、中間電極202、203の後面は、隣接しているが離間し、非接触で係合しているように構成されている場合があり、ジャンパ導線が中間電極202、203間に、界面Iにわたって設けられているか、
図11のように、溶接ビードが界面Iにおいて電極202、203を相互接続している。中間リング電極202、203間の界面Iにおいて必要な電気接続を達成するための代替的な手段は、当業者には明らかとなる場合があり、そのような電気接続手段の各々は、本発明の範囲内にある。
【0050】
代替的な電極の実施形態は、細長いカテーテル102に添付されているか、取り付けられているか、接続されている、少なくともいくつかのリングではない電極を備えており、リングではない電極の対が、リング電極の実施形態と関連して上述したような亜音速圧力波ジェネレータを形成するように、離間した構成で配置されている。リング電極およびリングではない電極は、所与のシステムで合わせられる場合がある。
【0051】
またさらに代替的には、電極の少なくともいくつかが、バルーン104の内側表面に沿って設けられている場合がある。特定の実施形態では、近位電極、たとえば、201などのリング電極が、カテーテル102上、またはカテーテル102に沿って設けられ、取り付けられているとともに、バルーン104の内側表面に沿って配置された電極と対にされている場合がある。電圧パルスが印加されると、カテーテルに取り付けられた電極とバルーンに取り付けられた電極との間にアークが生成される場合があり、こうして、亜音速圧力波(複数の場合もある)を生成する。さらにまた、遠位でカテーテルに取り付けられた電極、たとえばリング電極202は、近位でカテーテルに取り付けられた電極とバルーンに取り付けられた電極との両方から離間している場合がある。この実施形態では、第1の亜音速圧力波は、近位でカテーテルに取り付けられた電極とバルーンに取り付けられた電極との間のアークから生じる場合がある。次いで、第2の亜音速圧力波は、バルーンに取り付けられた電極と遠位でカテーテルに取り付けられた電極との間のアークから生じる場合がある。熱シールドが、生成された熱の、バルーン材料から熱を消散させることおよび熱を伝えることを補助するように、バルーンに取り付けられた電極が位置する領域に沿って、および/またはその領域の周りに設けられている場合がある。
【0052】
最後に、亜音速圧力波ジェネレータはすべて、バルーンの内側表面に沿って取り付けられている場合があり、アーク、および結果としての亜音速圧力波が本明細書に記載のように生成される。
【0053】
内側バルーン表面に取り付けられた電極は、パルスジェネレータと有効に通信しているカーボンフィラメントを備えており、この電極は、バルーンの膨張半径にも影響する、たとえば半径を制限する場合がある。
【0054】
すべてのケースにおいて、複数のポイント206は、亜音速圧力波ジェネレータを備えた電極の対の電極の少なくとも1つに設けられている場合がある。
【0055】
複数のポイント206は、主題の管の湾曲に起因して、細長いカテーテル102が湾曲して配置されるケースにおいても助けになる。この状況では、湾曲したカテーテル102の内径上にある電極の対の主題の電極のポイント206が、外径または中間の半径にあるポイント206よりも互いに対してより近くにある。このため、より密に/もっとも密に隣接しているこれらポイント206は、アーク、および結果としての亜音速圧力波を生成すると考えられる。
【0056】
さらに、どのポイント206がアークおよび結果として生じる亜音速圧力波を生成すると考えられるかを効果的に選択するために、あらかじめ形成された湾曲をカテーテル102内に形成することが可能である。そのようなあらかじめ形成された湾曲は、マンドレルおよび熱のセッティング、または他の既知の技術、および/またはニチノールなどの金属の合金のシェーピングを使用して、カテーテル102内に構築される場合がある。より多くのこれらあらかじめ形成された湾曲の領域(複数の場合もある)の1つが、バルーン104の内側のセクションに沿って位置している場合がある。この変形または湾曲は、ガイドワイヤにわたる平行移動によって直線状にされる場合があり、次いでガイドワイヤを回収することにより、主題のあらかじめ形成された湾曲の領域が、変形された直線状の構成から変形していない湾曲した構成へと連続して移行することを可能にする。ここで明らかとなるように、2つ以上のこれらあらかじめ形成された湾曲領域が、バルーン内に設けられる場合があり、また、電極の対および/または亜音速圧力波ジェネレータ内、またはこれらに沿って、電極に隣接して配置される場合がある。あらかじめ形成された湾曲領域は、同じ方向であるか異なる方向である、湾曲した往復経路を取る場合があり、また、直線状の湾曲していないセクションが介在している場合がある。この方法で、オペレータは、ターゲットとなる領域をより効率的に崩壊させるために、圧力波の方向を効率的に変更する場合がある。
【0057】
特定の実施形態では、個別のポイント206は、個別の有線接続(複数の場合もある)で特別にエネルギが与えられる場合があり、かつ/または、個別のポイント206は、これらポイント206が、少なくともある時間の間、および/または主題の管の特定の領域の治療の間、電流を流すことに関わっていないことを確実にするために、エネルギ供給が断たれる場合がある。
【0058】
他の実施形態では、ポイント206は、材料の選択、および/または、他のポイント206に対する特定のポイント206の先端の相対的長さに基づき、選択的かつ故意に劣化される(または劣化されない)場合がある。
【0059】
ワイヤリング/配線
【0060】
使い捨てのカテーテルアセンブリは、電極、電極の対(複数の場合もある)、および/または亜音速圧力波ジェネレータ(複数の場合もある)のシステムを電力供給源に接続する、2つ以上の絶縁された導電体を備えている場合がある。通常の励振パルスは、5マイクロ秒間に2KVで50Aであり、40オームの負荷インピーダンスを必要とする。使い捨てのカテーテルの周回ケーブル長さは、約10フィートであり、そのため、ケーブルの最大の抵抗は、各トレースに関して2オーム/フィートである。
【0061】
撚り合わせられたワイヤの対は、伝達ラインを形成する場合があり、この伝達ラインの特性は、ワイヤの直径および間隔によって変化する。たとえば40gaの銅ワイヤが、0.25mm(10mil)離間している(5milの厚さの絶縁体に関する)場合、撚り合わせられたワイヤの対は、1.1uHの誘導子を形成する場合がある。この誘導子は、このため、理想的な50A、2KVのソースの立ち上がり時間を、約25ナノ秒とする場合がある。代替的には、より大である、より導電性のあるワイヤが使用される場合があり、抵抗が、システム内の理想的な抵抗に適応するために、回路に追加される場合がある。
【0062】
図は、パルスジェネレータ300に有効に接続された、絶縁体を備えた導電体を図示しており、導電体の1つが、もっとも近位のリング電極201と電気通信している。電気的構造は、当業者には周知である。
図4は、例示的な接続の実施形態を提供しており、ここでは、導電体の遠位端の絶縁体が剥がれ、リング電極201に有効に接続された遠位の導電体部分212の長さを露出させている。類似の接続機構が、他の導電体と、もっとも遠位のリング電極、たとえば要素204との間の接続のために採用されている場合がある。
【0063】
代替的には、導電体は、
図8に示すように、絶縁体が剥がされ、溶接ビード216によって関連するリング電極と接続された、遠位の導電体部分214を備えている場合がある。導電体のいずれかが、この方式で関連するリング電極に接続されている場合がある。
【0064】
本システムの外径および断面プロファイルを最小にするために、導電体は、カテーテル102内に規定された管腔の中に通されている場合があり、ここで、遠位の導電体部分は、カテーテル102内のアパーチャを通して、かつ/または、上述のような溶接ビードを介して、関連するリング電極と有効に接続されている。
【0065】
代替的には、図に示すように、リング電極201、202、203、および204は、導電体(複数の場合もある)が中に存在するためのサイズであるチャンネル208を備えている場合がある。チャンネル208は、たとえば
図8に示すように、1つまたは複数のリング電極のための接続ポイントを提供する場合がある。チャンネル208は、患者の脈管構造を通してデバイス100を進行させる間、カテーテル102の姿勢の変化に適応するために、このチャンネル208に沿って導電体(複数の場合もある)がスライドすることを可能にする場合がある。
【0066】
またさらに代替的には、長手チャンネルまたは、らせん状もしくは他の形状のチャンネルは、細長いカテーテル102の壁に規定されている場合がある。導電体(複数の場合もある)は、システムの断面プロファイルの最小化を補助するために、少なくとも部分的にチャンネル内に配置されている場合がある。
【0067】
電力供給源/パルスジェネレータ
【0068】
いくつかの実施形態では、コンデンサバンクが設けられている場合があり、また、例示的な1分のオフの期間の間に充電される場合があり、次いで、放電およびアーク生成のために、電極へのコンデンサの短絡または接続がされる。充電時間は、好ましい実施形態では1分未満である場合がある。他の実施形態では、電流は、一次側においてトランスで確立される場合があり、ここで、その電流は、二次側にわたって大きい電圧を生成するように、停止される。
【0069】
論じたように、充電時間は、パルスが少なくとも毎秒1回電極に送られる場合があることから、1分よりかなり短い場合がある。パルスレートは、周囲の組織の温度が所定の閾値、たとえば心臓の組織に関して摂氏1度の温度上昇を超えては増大されないように、導電流体Fおよび/またはバルーン材料の検知された温度で制限される場合がある。温度は、導電流体F内のカテーテル102の外側表面に沿って、および/または、バルーンの内側表面上、または他の位置に取り付けられた温度センサを使用して監視される場合がある。温度センサは、所定の熱の閾値(複数の場合もある)での有効な通信を有して、外部に位置するプロセッサと有効に通信している場合があり、アラートがディスプレイまたは他の手段を介して提供される。いくつかの実施形態では、電圧パルスがロックアウトされる場合があり、さらなるパルスは許容されない。他の実施形態では、所定の熱の閾値が満たされたか超えられた場合、さらなる電圧パルスは許容されないが、電圧パルスは、検知された温度が所定の熱の閾値より下に低下した場合に進行する場合がある。
【0070】
コンデンサバンクは、いずれかの方向から充電される場合があり、FETは、コンデンサバンクが、Hブリッジ構成の電極間で放電されることを許容するように制御される。いくつかの実施形態では、電流のサインは、フリップするように構成されている場合がある。移送のシェーピングが、いくつかの実施形態では、EMIを低減させるために実行される場合がある。いくつかの実施形態では、電流と電圧との両方が、次のパルスの搬送のために電圧の設定がどうなるべきかを知らせるために監視される場合がある。いくつかの実施形態では、電圧は、パルス毎に停止される場合があり、他の実施形態では、電圧は、パルス毎には停止されない。同様に、亜音速圧力波ジェネレータを含む電極の所与のセットにわたる電気アークは、いくつかの実施形態では、パルス毎に停止される場合があり、一方、他の実施形態では、前述の電気アークは、パルス毎には停止されない場合がある。
【0071】
治療が、導入されたエネルギの立方根の大きさであることから、電圧および電流のその時々の制御が十分である。電流は、パルス間でサインをフリップさせ、パルスの間に弱まるか急激に衰え、また、パルスの間に響くか振動する場合がある。電気エネルギが、亜音速圧力波ジェネレータ(複数の場合もある)を含む電極に搬送され、一方、バルーンの流体Fが、おおまかに最初の1~20マイクロ秒で、比較的高い質量密度を有することが、もっとも効率的である。
【0072】
電流および電圧の出力は、適切な動作のために監視されている場合がある。開放または短絡を監視することにより、新たなカテーテルアセンブリにカテーテルアセンブリを変更するためのプロンプトまたはアラートが生成される場合がある。電極、たとえば201および202と患者との間のDCインピーダンスを監視することにより、カテーテルの絶縁の漏洩を検知し、修正することが可能になる。本明細書にさらに記載されるように、電極間のDC抵抗を監視することにより、温度の監視が提供される場合がある。さらにまた、管が治療によって首尾良く開かれている場合、電極間のDC抵抗は、電極間で伝導する塩水のより大である断面のために、低減される。アークから気体が生成されるにつれて、抵抗が変化することになることをさらに理解されたい。
【0073】
さらに、バルーン内の導電性流体Fの導電性を検知および/または監視することのみ、または、このバルーン内の導電性流体Fの導電性を、バルーンの外部の流体、たとえば血液の導電性と比較することにより、バルーンが危険な状態にある、たとえば、破裂したか裂けているかを判定するための代替的な機構が提供される。
【0074】
患者の心臓のリズムが監視される場合があり、これらパルスは、不活性相に同調される。この同調は、コンデンサバンクがターゲットの電圧に達した際に閉じる火花ギャップなど、いくつかの標準的な方法を除外する。関係のあることには、バルーン104は、特徴的な時間および頻度で膨張および収縮することになる。電圧パルスは、自然な膨張/収縮のサイクルおよび頻度を利用するように、時間が合わせられる場合がある。たとえば、電圧パルスは、バルーンの自然な膨張および/またはバルーンの自然な収縮に合わせられる場合がある。亜音速圧力波の力は、ターゲットとなる組織および/または閉塞物質、たとえば石灰化物質に、バルーンの膨張状態に応じてわずかに異なる角度で影響することになる。この理由は、とりわけ、亜音速圧力波ジェネレータの位置が、バルーンの膨張/収縮とともに変化することになるためである。
【0075】
温度センサ
【0076】
上述のように、特定の実施形態は、電極の近くに埋め込まれ、かつ/または導電流体F内の、小さい温度センサを含む場合がある。導電流体Fは、組織の温度の安全な上昇の限界まで治療のパルス周波数を増大させる場合がある。通常は、局所的な組織の温度は摂氏約1度より大きく増大されるべきではない。電極から5mmの大きさでの熱の拡散が、血液循環によって熱が移動するために必要である。関連する半径の範囲の導管内における水に関する熱の拡散時間は、(5mm)2/k=167秒である。しかし、0.5Jのパルスが、5mmの半径の球の水を、摂氏約0.23度上昇させ、そのため、1パルス/スパーク毎秒の割合が、特定の実施形態では、2パルス/スパーク毎秒に増大される場合がある。
【0077】
温度センサは、光ファイバベースのものであるか、マイクロ熱電対である場合がある。塩水が温度とともに導電性を増大させることから、電極に印加されるDCバイアスによって生成される電流は、温度とともに単調に増大することになり、もっとも高温の領域の温度を直接測定できるようにする。上述のように、所定の熱または温度の増大の閾値には、プロセッサによって実施されるプログラムされた命令によって実施される、続いて起こるアラート、および/または、修正または改善作業が提供される場合がある。
【0078】
バルーンおよび膨張流体
【0079】
血管形成バルーンが開発され、微妙な差異が与えられている。本発明の実施形態は、標準的な血管形成バルーンと、関連する、および既知の、ベーシックな膨張/収縮機構と、を含んでいる。通常のバルーン長さは12mmである場合があり、0.14インチから0.35インチのガイドワイヤで使用される場合がある。膨張されたバルーンのサイズは、公称の管サイズの約90%を含む場合がある。
【0080】
バルーンを膨張させるために使用される水の塩度を変化させることは、電極の間隔に類似の電極間の絶縁破壊電圧に影響する。このため、亜音速圧力波ジェネレータを形成するための電極の間隔は、標準的な塩水に適切であるように選択される場合があり、または、塩水より低い塩濃度がバルーンを膨張させるために使用される場合、電極の間隔は、標準的な塩水のために使用される間隔を越えて増大される場合がある。アークの形成の前の電流密度は、0.1cm2を通る50Aである場合があるか、2,000Vにおいて約500A/cm2である場合があり、それにより、最初の塩水の濃度は、少なくとも2.0E-4MのNaClであるべきである。標準的な塩水は0.9%のNaCl、または1.5E-1Mであり、アークを開始するために必要なものより約1000倍高く濃縮されている。
【0081】
パルスジェネレータ300によって生成された電圧パルスは、たとえば、亜音速圧力波ジェネレータ200を備えている、近位リング電極201と、次のより遠位のリング電極202との間に介在された流体F内のストリーマを生成する。上述のように、もっとも遠位のリング電極は、パルスジェネレータ300に有効に接続もされている。近位リング電極201に十分な電圧が印加されると、ストリーマに繋がり、最終的には、電極の対201、202の2つのリング電極管に電流が流れ、泡が形成され、流体F内で膨張される際に、アークと、結果としての亜音速圧力波とが発生し、泡が破裂する際に、別の亜音速圧力波が発生する。概して、泡の膨張に関する膨張時間は、マイクロ秒に換算して測定され、たとえば、約30マイクロ秒である場合がある。この膨張時間は、泡にわたって音が通過する時間に比べて遅い。「ショックウェーブ」は、音速以上で移動する圧力波を発生させることが必要である。
【0082】
われわれは、ここで、この比較的遅い膨張時間が、とりわけ、生成された圧力波が亜音速であることを確実にすることを記載する。対称的に、実際のショックウェーブ、すなわち、音速以上で移動するショックウェーブは、数十ナノ秒の大きさで、かなり短い電圧パルスで生成される。
【0083】
電極の対、たとえば201、202のリング電極間の距離は、比較的長い場合があり、たとえば5mm以上である場合がある。このケースでは、生成された泡、および結果としての圧力波は、円筒形状を含む場合があり、各々の端部分は、より球形の形状である。
【0084】
本明細書に説明されている本発明およびその用途の記載は、説明的なものであり、本発明の範囲を制限することは意図されていない。様々な実施形態の特徴は、本発明の意図の中で、他の実施形態と合わせられる場合がある。本明細書に開示の実施形態の変更形態および変形形態が可能であり、実施形態の様々な要素の実用的な代替および均等が、本特許文献を研究することにより、当業者に理解されることになる。本明細書に開示の実施形態のこれらおよび他の変更形態および変形形態は、本発明の範囲および精神から逸脱することなく成される場合がある。
【国際調査報告】