(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】複数可動子ダイレクトドライブ搬送システムの制御方法及び関連装置
(51)【国際特許分類】
H02P 25/064 20160101AFI20240719BHJP
B60L 13/03 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
H02P25/064
B60L13/03 J
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022561112
(86)(22)【出願日】2022-07-28
(85)【翻訳文提出日】2022-10-06
(86)【国際出願番号】 CN2022108444
(87)【国際公開番号】W WO2024000711
(87)【国際公開日】2024-01-04
(31)【優先権主張番号】202210777097.1
(32)【優先日】2022-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517409583
【氏名又は名称】エーエーシー マイクロテック(チャンヂョウ)カンパニー リミテッド
【住所又は居所原語表記】No.3 changcao road, Hi-TECH Industrial Zone, Wujin District, Changzhou City, Jiangsu Province, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 敏
(72)【発明者】
【氏名】朱 学▲園▼
(72)【発明者】
【氏名】郭 ▲順▼
(72)【発明者】
【氏名】▲銭▼ 林
(72)【発明者】
【氏名】史 ▲衛▼▲領▼
(72)【発明者】
【氏名】王 万▲倫▼
【テーマコード(参考)】
5H113
5H540
【Fターム(参考)】
5H113CC04
5H113CC08
5H113CD02
5H113CD04
5H113CD18
5H113GG02
5H113GG13
5H113HH02
5H113HH07
5H540AA01
5H540BA03
5H540BB05
5H540BB09
5H540EE02
5H540EE05
5H540FA12
(57)【要約】
【課題】本発明は、複数可動子ダイレクトドライブ搬送システムの制御方法及び関連装置を提供する。
【解決手段】該制御方法は、可動子ユニットのフィードバックセグメントでの移動のリアルタイム位置をリアルタイムに検出するステップと、可動子ユニットがフィードバックセグメントと遷移セグメントとの境界の領域に入ったかどうかをリアルタイムに判断するステップと、可動子ユニットのリアルタイム位置に基づいて遷移セグメント範囲内の各固定子巻線の協同制御モードを設定するステップと、可動子ユニットが遷移セグメントとフィードバックセグメントとの境界の領域に入ったかどうかをリアルタイムに判断し、肯定判断した場合、フィードバックセグメントの変位センサにより、可動子ユニットのリアルタイム位置をフィードバックするステップとを含む。従来技術に比べて、本発明によれば、制御効果が良く、コストが低く且つ取付要求が低い。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数可動子ダイレクトドライブ搬送システムの制御方法であって、
前記複数可動子ダイレクトドライブ搬送システムは、固定子ユニットと、固定子ユニットに対して移動する複数の可動子ユニットとを含み、前記固定子ユニットは、固定子本体と、前記固定子本体に取り付けられるレールと、前記固定子本体に取り付けられ、且つ前記固定子本体の延在方向に沿って順次に配列される複数の固定子巻線とを含み、各可動子ユニットは、前記レールと摺動接続を形成し且つ前記固定子本体に対して移動可能な可動子と、前記可動子に固定される磁性鋼とを含み、前記固定子本体は、互いに交互するフィードバックセグメント及び遷移セグメントと、前記フィードバックセグメントに取り付けられる複数の変位センサとを含み、各前記変位センサは、前記固定子巻線に対応して設けられ、該制御方法は、
ステップS1であって、前記可動子ユニットが前記フィードバックセグメントで移動するリアルタイム位置を、リアルタイムに検出するステップと、
ステップS2であって、前記可動子ユニットが前記フィードバックセグメントと前記遷移セグメントとの境界の領域に入ったかどうかをリアルタイムに判断し、肯定判断した場合、予め設定されたアルゴリズムを用いて前記可動子ユニットが前記遷移セグメントで移動する電気角を算出し、前記電気角によって前記可動子ユニットのリアルタイム位置を判断し、前記可動子ユニットのリアルタイム位置に基づいて前記遷移セグメント範囲内の各固定子巻線の協同制御モードを設定するステップと、
ステップS3であって、前記可動子ユニットが前記遷移セグメントと前記フィードバックセグメントとの境界の領域に入ったかどうかをリアルタイムに判断し、肯定判断した場合、前記フィードバックセグメントにおける前記変位センサによって前記可動子ユニットのリアルタイム位置をフィードバックするステップと、を含む、ことを特徴とする複数可動子ダイレクトドライブ搬送システムの制御方法。
【請求項2】
ステップS2において、前記可動子ユニットの移動方向に沿って、前記フィードバックセグメント内の最後の前記固定子巻線によるフィードバックが第1特定値に達すると、前記可動子ユニットが前記フィードバックセグメントと前記遷移セグメントとの境界の領域に入ったと判断することを特徴とする請求項1に記載の複数可動子ダイレクトドライブ搬送システムの制御方法。
【請求項3】
ステップS2において、予め設定されたアルゴリズムを用いて、前記可動子ユニットが前記遷移セグメントで移動する電気角を算出することは、具体的に、
予め設定されたセンサレスアルゴリズムを用いて、前記可動子ユニットが前記遷移セグメントに入って前記遷移セグメントで移動するときに対応する前記固定子巻線に発生する逆起電力を算出するサブステップと、
予め設定された電気角抽出アルゴリズムを用いて、前記逆起電力に基づいてリアルタイム電気角を算出するサブステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の複数可動子ダイレクトドライブ搬送システムの制御方法。
【請求項4】
前記センサレスアルゴリズムは、スライディングモードアルゴリズム、モデル参照適応アルゴリズム、状態観測器アルゴリズム、カルマンフィルタアルゴリズム、及びルンベルガー観測アルゴリズムのうちのいずれか1つであることを特徴とする請求項3に記載の複数可動子ダイレクトドライブ搬送システムの制御方法。
【請求項5】
前記電気角抽出アルゴリズムは、位相ロックループアルゴリズム及び直接計算法のうちのいずれか1つであることを特徴とする請求項3に記載の複数可動子ダイレクトドライブ搬送システムの制御方法。
【請求項6】
前記ステップS2において、前記協同制御モードは、主従制御及び主従制御モード切替のうちのいずれか1つであることを特徴とする請求項1に記載の複数可動子ダイレクトドライブ搬送システムの制御方法。
【請求項7】
ステップS3において、前記可動子ユニットの移動方向に沿って、前記フィードバックセグメント内の、前記遷移セグメント内の最後の前記固定子巻線に隣接する1つ目の前記固定子巻線によるフィードバックが第2特定値に達すると、前記可動子ユニットが前記遷移セグメントと前記フィードバックセグメントとの境界の領域に入ったと判断することを特徴とする請求項1に記載の複数可動子ダイレクトドライブ搬送システムの制御方法。
【請求項8】
各前記変位センサは、1組のエンコーダアレイであることを特徴とする請求項1に記載の複数可動子ダイレクトドライブ搬送システムの制御方法。
【請求項9】
コンピュータ装置であって、
メモリと、プロセッサと、前記メモリに記憶され、且つ前記プロセッサにおいて実行可能なコンピュータプログラムとを含み、前記プロセッサが前記コンピュータプログラムを実行することによって、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の複数可動子ダイレクトドライブ搬送システムの制御方法におけるステップが実施される、ことを特徴とするコンピュータ装置。
【請求項10】
コンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、
前記コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に、コンピュータプログラムが記憶され、前記コンピュータプログラムがプロセッサによって実行されることで、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の複数可動子ダイレクトドライブ搬送システムの制御方法におけるステップが実施される、ことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送システム制御の技術分野に関し、特に複数可動子ダイレクトドライブ搬送システムの制御方法及び関連装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数可動子ダイレクトドライブ搬送システムは、無人場合の生産ライン、流水線輸送などに用いられ、従来の複数可動子ダイレクトドライブ搬送システムは、固定子ユニットと固定子ユニットに対して移動する複数の可動子ユニットとで構成され、固定子ユニットは、固定子本体と、前記固定子本体に取り付けられ且つ前記固定子本体の延在方向に沿って順次に配列される複数の固定子巻線とを含み、各可動子ユニットは、固定子本体に対して摺動可能である可動子と、可動子に固定される磁性鋼とで構成される。
【0003】
従来技術の複数可動子ダイレクトドライブ搬送システムでは、固定子ユニットの固定子本体は、直線段、円弧段又は直線段と円弧段との組み合わせに分けられる。異なる段の範囲内に変位センサ(エンコーダアレイ)を配置して各可動子の位置を認識し、例えば複数可動子ダイレクトドライブ搬送システムにおいて、直線段と円弧段に変位センサ(エンコーダアレイ)を配置して各可動子ユニットの位置を認識することにより、各可動子ユニットに対しる正確な制御が図られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術の複数可動子ダイレクトドライブ搬送システムにおいて、固定子本体に対応するいずれの固定子巻線の位置にも前記変位センサを取り付ける必要があり、取り付けが複雑であり、そして応用するときに、全ての段の範囲に可動子ユニットの位置を正確に制御する必要がなく、固定子ユニットに対応する一部のステーションは可動子ユニットを位置決める必要がなく、簡単な遷移のみを行い、変位センサが正確に制御する必要がないため、複数可動子ダイレクトドライブ搬送システムの制御方法のコストが高価になる。
【0005】
従って、上記問題を解決するために、新たな複数可動子ダイレクトドライブ搬送システムの制御方法及び関連装置を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る実施例の提供する複数可動子ダイレクトドライブ搬送システムの制御方法及び関連装置は、従来技術のコストが高く且つ取り付け要求が高い問題を解決することを目的とする。
【0007】
第1態様として、本発明に係る実施例は、複数可動子ダイレクトドライブ搬送システムの制御方法を提供し、前記複数可動子ダイレクトドライブ搬送システムは、固定子ユニットと、固定子ユニットに対して移動する複数の可動子ユニットとを含み、前記固定子ユニットは、固定子本体と、前記固定子本体に取り付けられるレールと、前記固定子本体に取り付けられ且つ前記固定子本体の延在方向に沿って順次に配列される複数の固定子巻線とを含み、各可動子ユニットは、前記レールと摺動接続を形成し且つ前記固定子本体に対して移動可能な可動子と、前記可動子に固定される磁性鋼とを含み、前記固定子本体は、互いに交互するフィードバックセグメント及び遷移セグメントと、前記フィードバックセグメントに取り付けられる複数の変位センサとを含み、各前記変位センサは、1つの前記固定子巻線に対応して設けられ、該制御方法は、
ステップS1であって、前記可動子ユニットが前記フィードバックセグメントで移動するリアルタイム位置をリアルタイムに検出するステップと、
ステップS2であって、前記可動子ユニットが前記フィードバックセグメントと前記遷移セグメントとの境界の領域に入ったかどうかをリアルタイムに判断し、肯定判断した場合、予め設定されたアルゴリズムを用いて前記可動子ユニットが前記遷移セグメントで移動する電気角を算出し、前記電気角により前記可動子ユニットのリアルタイム位置を判断し、前記可動子ユニットのリアルタイム位置に基づいて前記遷移セグメント範囲内の各固定子巻線の協同制御モードを設定するステップと、
ステップS3であって、前記可動子ユニットが前記遷移セグメントと前記フィードバックセグメントとの境界の領域に入ったかどうかをリアルタイムに判断し、肯定判断した場合、前記フィードバックセグメントの前記変位センサにより前記可動子ユニットのリアルタイム位置をリアルタイムにフィードバックするステップと、を含む。
【0008】
さらに好ましくは、ステップS2において、前記可動子ユニットの移動方向に沿って、前記フィードバックセグメント内の最後の前記固定子巻線に基づくフィードバックが第1特定値に達すると、前記可動子ユニットが前記フィードバックセグメントと前記遷移セグメントとの境界の領域に入ったと判断する。
【0009】
さらに好ましくは、ステップS2において、予め設定されたアルゴリズムを用いて、前記可動子ユニットが前記遷移セグメントで移動する電気角を算出することは、具体的に、
予め設定されたセンサレスアルゴリズムを用いて、前記可動子ユニットが前記遷移セグメントに入って前記遷移セグメントで移動するときに対応する前記固定子巻線に発生する逆起電力を算出するサブステップと、
予め設定された電気角抽出アルゴリズムを用いて、前記逆起電力に基づいてリアルタイム電気角を算出するサブステップと、を含む。
【0010】
さらに好ましくは、前記センサレスアルゴリズムは、スライディングモードアルゴリズム、モデル参照適応アルゴリズム、状態観測器アルゴリズム、カルマンフィルタアルゴリズム、及びルンベルガー観測アルゴリズムのうちのいずれか1つである。
【0011】
さらに好ましくは、前記電気角抽出アルゴリズムは、位相ロックループアルゴリズム及び直接計算法のうちのいずれか1つである。
【0012】
さらに好ましくは、前記ステップS2において、前記協同制御モードは、主従制御及び主従制御モード切替のうちのいずれか1つである。
【0013】
さらに好ましくは、ステップS3において、前記可動子ユニットの移動方向に沿って、前記フィードバックセグメント内における、前記遷移セグメント内の最後の前記固定子巻線に隣接する1つ目の前記固定子巻線のフィードバックが第2特定値に達すると、前記可動子ユニットが前記遷移セグメントと前記フィードバックセグメントとの境界の領域に入ったと判断する。
【0014】
好ましくは、各前記変位センサは、1組のエンコーダアレイである。
【0015】
第2態様として、本発明に係る実施例は、さらにコンピュータ装置を提供し、該コンピュータ装置は、メモリと、プロセッサと、前記メモリに記憶され且つ前記プロセッサで実行可能なコンピュータプログラムとを含み、前記プロセッサが前記コンピュータプログラムを実行するときに、上記実施例における前記複数可動子ダイレクトドライブ搬送システムの制御方法におけるステップが実現される。
【0016】
第3態様として、本発明に係る実施例は、さらにコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供し、前記コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に、コンピュータプログラムが記憶され、前記コンピュータプログラムがプロセッサによって実行されるときに、上記実施例における複数可動子ダイレクトドライブ搬送システムの制御方法におけるステップが実現される。
【発明の効果】
【0017】
従来技術に比べて、本発明の複数可動子ダイレクトドライブ搬送システムの制御方法及び関連装置は、固定子本体を互いに交互するフィードバックセグメントと遷移セグメントに設置し、前記フィードバックセグメントに複数の変位センサを取り付け、各前記変位センサは、1つの前記固定子巻線に対応して設けられ、前記可動子ユニットがフィードバックセグメント又は遷移セグメントで移動することをリアルタイムに判断することにより、フィードバックセグメントで変位センサにより正確な位置フィードバック及び制御を行い、遷移セグメントで可動子ユニットにより対応する固定子巻線に逆起電力を発生させて電気角を算出して、前記可動子ユニットのリアルタイム位置を判断することによって、全体の制御効果を実現させる。該制御方法及び関連装置は、遷移セグメントに変位センサの取り付け設置を省略するため、変位センサの取り付けと使用を効果的に減少させ、取り付け要求を低減させ、コストを低減させる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明の実施例における技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、実施例の説明に使用する必要がある図面を簡単に説明し、明らかに、以下の説明における図面は単に本発明のいくつかの実施例であり、当業者にとって、創造的な労働をしない前提で、さらにこれらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【
図1】本発明に係る実施例の複数可動子ダイレクトドライブ搬送システムの制御方法のフローチャートである。
【
図2】本発明に係る実施例の複数可動子ダイレクトドライブ搬送システムの一部の斜視構造概略図である。
【
図3】本発明に係る実施例の複数可動子ダイレクトドライブ搬送システムの制御方法の実施例概略図である。
【
図4】本発明に係る実施例によって提供されるコンピュータ装置の構成概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施例における図面を参照し、本発明の実施例における技術的解決手段を明瞭、完全に説明し、明らかに、説明された実施例は本発明の一部の実施例だけであり、全ての実施例ではない。本発明における実施例に基づき、当業者が創造的な労働をしない前提で得られた全ての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0020】
図1~2に示すように、本発明に係る実施例は、複数可動子ダイレクトドライブ搬送システム100に対して位置制御を行うための複数可動子ダイレクトドライブ搬送システムの制御方法を提供する。
図2に示すように、前記複数可動子ダイレクトドライブ搬送システム100は、固定子ユニット1と、固定子ユニット1に対して移動する複数の可動子ユニット2と、各前記固定子ユニット1に接続される駆動器3と、全ての前記駆動器3に接続される制御器4とを含む。
【0021】
前記固定子ユニット1は、固定子本体11と、前記固定子本体11に取り付けられるレール12と、前記固定子本体11に取り付けられ且つ前記固定子本体11の延在方向に沿って順次に配列される複数の固定子巻線13(又は巻線コイルと称する)とを含む。前記固定子本体11は、互いに交互するフィードバックセグメント(符号を付せず)及び遷移セグメント(符号を付せず)と、前記フィードバックセグメントに取り付けられる複数の変位センサ(符号を付せず)とを含み、各前記変位センサは、1つの前記固定子巻線13に対応して設けられる。
【0022】
本実施形態では、各前記変位センサは、1組のエンコーダアレイである。
【0023】
固定子本体11のフィードバックセグメント及び遷移セグメントは、数がいずれも複数であってもよく、且互いに交互して配列される。
【0024】
各可動子ユニット2は、前記レール12と摺動接続を形成し且つ前記固定子本体11に対して移動可能な可動子21と、前記可動子21に固定される磁性鋼22とを含む。固定子巻線13に通電して、磁性鋼22と電磁界を発生させることにより、磁性鋼22を移動駆動し、前記可動子21を動かして移動させる。
【0025】
該制御方法は、以下のステップS1~S3を含む。
ステップS1であって、前記可動子ユニット2が前記フィードバックセグメントで移動するリアルタイム位置をリアルタイムに検出する。
【0026】
可動子ユニット2がフィードバックセグメント範囲内で移動するときに、対応する変位センサにより正確な位置制御を行う。
【0027】
ステップS2であって、前記可動子ユニット2が前記フィードバックセグメントと前記遷移セグメントと境界の領域に入ったかどうかをリアルタイムに判断し、
否定判断した場合、前記可動子ユニット2が依然としてフィードバックセグメント範囲内で移動していると判断し、それは、フィードバックセグメントに設けられた、各固定子巻線13に対応する変位センサによってリアルタイムに正確な位置検出を行い、制御器4にフィードバックする。制御器4によってフィードバック情報に基づいて予め設定された制御ポリシーに従って制御情報を生成して駆動器3に伝送する。駆動器3によって対応する固定子巻線13に駆動力を発生させ、可動子ユニット2が引き続き移動するように駆動する。また、引き続き前記可動子ユニット2が前記フィードバックセグメントと前記遷移セグメントとの境界の領域に入ったかどうかをリアルタイムに判断する。
【0028】
肯定判断した場合、予め設定されたアルゴリズムを用いて前記可動子ユニット2が前記遷移セグメントで移動する電気角を算出し、前記電気角によって前記可動子ユニット2のリアルタイム位置を判断する。前記可動子ユニット2のリアルタイム位置に基づいて前記遷移セグメント範囲内の各固定子巻線13の協同制御モードを設定して、遷移セグメント範囲内において可動子ユニット2の移動と位置推定を実現する。
【0029】
前記協同制御モードは、主従制御と主従制御モード切替のうちのいずか1つである。本実施形態では、前記協同制御モードは、主従制御モード切替であることが好ましい。
【0030】
実際の生産ラインでは、遷移セグメントは、一般に位置フィードバック要求が高くないか又は位置フィードバックを必要としないステーション区間に対応するのに対して、フィードバックセグメントは、フィードバック位置を正確に制御するステーション区間である。
【0031】
可動子ユニット2が遷移セグメント領域内に入って移動すると、可動子ユニット2は、前の移動時の初期速度を維持し、初期速度によって可動子ユニット2における磁性鋼22が対応する固定子巻線13の上方に移動するように駆動し、固定子巻線13は、逆起電力を誘導する。
【0032】
具体的には、可動子ユニット2が前記フィードバックセグメントと前記遷移セグメントとの境界の領域に入ったかどうかを判断する方法は、以下の通りである。すなわち、前記可動子ユニット2の移動方向に沿って、前記フィードバックセグメント内の最後の前記固定子巻線13によるフィードバックが第1特定値aに達すると、前記可動子ユニット2が前記フィードバックセグメントと前記遷移セグメントとの境界の領域(即ち、前記可動子ユニット2が遷移セグメントに入った)に入ったと判断し、続いて、可動子ユニット2は、遷移セグメントの領域内で移動することになる。
【0033】
ここで、予め設定されたアルゴリズムを用いて前記可動子ユニット2が前記遷移セグメントで移動する電気角を算出することは、具体的に以下のサブステップS21~S22を含む。
ステップS21であって、予め設定されたセンサレスアルゴリズムを用いて、前記可動子ユニット2が前記遷移セグメントに入って前記遷移セグメントで移動する時に対応する前記固定子巻線13に発生する逆起電力を算出する。
【0034】
ここで、前記センサレスアルゴリズムは、スライディングモードアルゴリズム、モデル参照適応アルゴリズム、状態観測器アルゴリズム、カルマンフィルタアルゴリズム、及びルンベルガー観測アルゴリズムのうちのいずれか1つである。本実施形態では、前記センサレスアルゴリズムは、スライディングモードアルゴリズムであることが好ましい。
【0035】
ステップS22であって、予め設定された電気角抽出アルゴリズムを用いて前記逆起電力に基づいてリアルタイム電気角を算出する。
【0036】
リアルタイム電気角は、前記可動子ユニット2のリアルタイム位置を判断するために用いることができる。
【0037】
前記可動子ユニット2のリアルタイム位置に基づいて前記遷移セグメント範囲内の各固定子巻線13の協同制御モードを設定して、遷移セグメント範囲内において可動子ユニット2の移動と位置推定を実現する。
【0038】
ここで、前記電気角抽出アルゴリズムは、位相ロックループアルゴリズム及び直接計算法のうちのいずれか1つである。本実施形態では、前記電気角抽出アルゴリズムは、位相ロックループアルゴリズムであることが好ましい。
【0039】
ステップS3であって、前記可動子ユニット2が前記遷移セグメントと前記フィードバックセグメントとの境界の領域に入ったかどうかをリアルタイムに判断し、肯定判断した場合、前記フィードバックセグメントの前記変位センサによって、前記可動子ユニットのリアルタイム位置をリアルタイムにフィードバックする。否定判断した場合、引き続きステップS21和S22を実行し、引き続き前記可動子ユニット2が前記遷移セグメントと前記フィードバックセグメントとの境界の領域に入ったかどうかをリアルタイムに判断する。
【0040】
このステップにおいて、具体的には、前記可動子ユニット2の移動方向に沿って、前記フィードバックセグメント内における、前記遷移セグメント内の最後の前記固定子巻線13に隣接する1つ目の前記固定子巻線13に基づくフィードバックが第2特定値bに達すると、前記可動子ユニット2が前記遷移セグメントと前記フィードバックセグメントとの境界の領域(即ち、前記可動子ユニット2が前記フィードバックセグメントに入った)に入ったを判断し、その後、フィードバックセグメントで移動することになり、フィードバックセグメントで移動するとき、元の予め設定された正確な制御ポリシーに従って移動する。フィードバックセグメントで移動するとき、変位センサによって具体的な位置をフィードバックする正確な制御ポリシーは、従来技術であり、ここで繰り返し述べない。
【0041】
なお、第1特定値及び第2特定値は、実際の状況の需要に応じて設定することができ、その形式及び大きさがここで限定されないことは、当業者が容易に想到し、容易に理解できることである。
【0042】
図3に示すように、具体的な実施例を提供して本発明をさらに説明する。
【0043】
前記固定子本体11が環状のレーストラックを呈することを例とし、それは、2段の直線段及び2段の円弧段が継ぎ合わせてなる。直線段は、本発明の上記のフィードバックセグメントとし、即ち、直線段には位置センサが取り付けられ、円弧段は、本発明の上記の遷移セグメントとし、即ち、位置センサが取り付けられていない。各直線段は、1からn個の直線式固定子巻線が緊密に配列して構成され、各円弧段は、1からm個の円弧式固定子巻線が緊密に配列して構成される。
【0044】
可動子ユニットが正方向の運転方向に移動するとき、第1円弧段に接する第1直線段の第n個の固定子の位置フィードバックが第1特定値aに達したことを検出すると、可動子ユニットが第1円弧段領域内に入ったと判断する。
【0045】
可動子ユニットが第1円弧段に入ったとき依然として前の移動時の初期速度を維持し、初期速度により可動子ユニットにおける磁性鋼が対応する固定子巻線の上方に移動すように駆動し、固定子巻線は、逆起電力を誘導する。
【0046】
制御器は、予め設定されたアルゴリズム(例えば、スライディングモードアルゴリズム)を用いて逆起電力を推定し、予め設定されたアルゴリズム(例えば位相ロックループアルゴリズム)を用いてリアルタイム電気角情報を算出し、リアルタイム電気角情報によって可動子ユニットのリアルタイム位置を判断することができる。
【0047】
可動子ユニットに基づいてリアルタイム位置をリアルタイムに推定し、第1円弧段領域の異なる固定子ユニット間の協同制御を行い、例えば主従制御モード切替である。それにより、可動子ユニットの第1円弧段領域内における具体的なリアルタイム位置を算出する。
【0048】
同様に、第1円弧段の終端に接する(隣接)第2直線段の第1固定子巻線の位置フィードバックが第2特定値bに達したと、可動子ユニットが第2直線段の制御領域に入ったと判断する。可動子ユニットは、第2直線段領域内に正確な位置制御に基づいて移動制御を行う。
【0049】
従来技術に比べて、本発明の複数可動子ダイレクトドライブ搬送システムの制御方法は、固定子本体を互いに交互するフィードバックセグメント及び遷移セグメントに設置し、前記フィードバックセグメントに複数の変位センサを取り付け、各前記変位センサは、1つの前記固定子巻線に対応して設けられ、前記可動子ユニットがフィードバックセグメント又は遷移セグメントで移動することを判断し、フィードバックセグメントで変位センサにより正確な位置フィードバック及び制御を行うが、遷移セグメントで可動子ユニットにより対応する固定子巻線に逆起電力発生させて電気角を算出して、前記可動子ユニットのリアルタイム位置を判断することによって、全体の制御効果を実現させる。該制御方法及び関連装置は、遷移セグメントに変位センサの取り付け設置を省略するため、変位センサの取り付けと使用を効果的に減少させ、取り付け要求を低減させ、かつコストを低減させる。
【0050】
本発明に係る実施例は、さらにコンピュータ装置を提供し、
図4に示すように、それは、本発明に係る実施例の提供するコンピュータ装置の構成概略図である。前記コンピュータ装置400は、プロセッサ401と、メモリ402と、前記メモリ402に記憶され且つ前記プロセッサ401で実行可能なコンピュータプログラムとを含む。
【0051】
前記コンピュータ装置400は、本発明の上記実施例の複数可動子ダイレクトドライブ搬送システムにおける制御器に相当する。
【0052】
前記プロセッサ401は、前記メモリ402に記憶されたコンピュータプログラムを呼び出し、前記コンピュータプログラムを実行して上記実施例における前記複数可動子ダイレクトドライブ搬送システムの制御方法におけるステップを実現させる。
【0053】
本発明に係る実施例の提供するコンピュータ装置400は、上記実施例における複数可動子ダイレクトドライブ搬送システムの制御方法におけるステップを実現することができ、且つ同様な技術的効果を奏することができ、上記実施例での説明を参照すればよく、ここで繰り返し述べない。
【0054】
本発明に係る実施例は、さらにコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供し、前記コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に、コンピュータプログラムが記憶され、該コンピュータプログラムがプロセッサによって実行されて本発明に係る実施例の提供する複数可動子ダイレクトドライブ搬送システムの制御方法における各プロセス及びステップを実現し、且つ同様な技術的効果を奏することができ、重複することを避けるために、ここで繰り返し述べない。
【0055】
当業者であれば上記実施例の方法における全部又は一部のフローを実現することは、コンピュータプログラムによって関連するハードウェアを指示して完了することができ、前記プログラムはコンピュータの読み取り可能な記憶媒体に記憶することができ、該プログラムを実行する時、上記各方法の実施例のフローを含むことができる。そのうち、前記記憶媒体は磁気ディスク、光ディスク、読み取り専用記憶メモリ(Read-Only Memory、ROM)又はランダムアクセスメモリ(RandomAccess Memory、RAMと略称する)などであってもよい。
【0056】
なお、本明細書において、用語「含む」、「包含」又はそのいずれかの他の変形は非排他的な包含を含むことを意図し、それにより一連の要素の過程、方法、物品又は装置はそれらの要素を含むだけでなく、また明確に列挙されていない他の要素を含み、又はこのような過程、方法、物品又は装置に固有の要素を含む。より多くの制限がない場合、語句「一つの…を含む」によって限定された要素は、該要素を含むプロセス、方法、物品又は装置にさらに他の同じ要素が存在することを排除するものではない。
【0057】
以上の実施形態の説明により、当業者であれば上記実施例の方法はソフトウェア及び必要な汎用ハードウェアプラットフォームの形態で実現することができ、当然ハードウェアであってもよいが、多くの場合に前者はより好ましい実施形態である。このような理解に基づき、本発明の技術的解決手段は本質的に又は従来技術に寄与する部分はソフトウェア製品の形式で表すことができ、該コンピュータソフトウェア製品は1つの記憶媒体(例えばROM/RAM、磁気ディスク、光ディスク)に記憶され、複数のコマンドを含んで一台の端末(携帯電話、コンピュータ、サーバ、エアコン、又はネットワーク装置等であってもよい)に本発明の各実施例に記載の方法を実行させる。
【0058】
以上の記載は本発明の実施例に過ぎず、本発明の特許範囲を限定するものではなく、本発明の明細書及び図面内容を利用して行われる等価構造又は等価フロー変換、又は他の関連する技術分野に直接又は間接運用することは、いずれも同様に本発明の特許保護範囲内に含まれる。
【国際調査報告】