(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】フォトニック集積回路(PIC)無線周波数発振器
(51)【国際特許分類】
H01S 3/082 20060101AFI20240719BHJP
G02F 1/01 20060101ALI20240719BHJP
G02F 1/37 20060101ALI20240719BHJP
H01S 3/105 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
H01S3/082
G02F1/01 C
G02F1/37
H01S3/105
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577566
(86)(22)【出願日】2022-06-21
(85)【翻訳文提出日】2023-12-15
(86)【国際出願番号】 US2022034401
(87)【国際公開番号】W WO2022271744
(87)【国際公開日】2022-12-29
(32)【優先日】2021-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520435267
【氏名又は名称】レイセオン ビービーエヌ テクノロジーズ コープ
【氏名又は名称原語表記】RAYTHEON BBN TECHNOLOGIES CORP.
【住所又は居所原語表記】10 Moulton Street Cambridge Massachusetts 02138 US
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ソルタニ,モエ ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ディンドーフ,ケン
(72)【発明者】
【氏名】ホローウェイ,ジャック ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】ソルナー,ゲルハルト
【テーマコード(参考)】
2K102
5F172
【Fターム(参考)】
2K102AA09
2K102BA16
2K102BB02
2K102BB04
2K102BC01
2K102CA00
2K102DA01
2K102DB01
2K102DB02
2K102DB06
2K102DC07
2K102DC08
2K102DD03
2K102EA05
2K102EB20
2K102EB22
5F172NQ17
5F172NQ43
5F172NQ61
5F172NQ64
(57)【要約】
フォトニック集積回路(PIC)無線周波数(RF)発振器の技術を説明する。PIC RF発振器は、第1のミラーに結合されており、かつPICに結合されるように構成されている、光利得媒体を含むことができる。PICは、PIC内に配置された第1の光学キャビティと、利得媒体内の第1のミラーと第1の調整可能ミラーとの間に第1の光路を形成する調整可能ミラーと、第1の光学キャビティ内に配置され、共通の光路を有する第1の光学キャビティに調整可能な周波数間隔を有する2つの一次レーザトーンを生成させる、周波数調整可能なキャビティ内デュアルトーン共振器と、を含むことができる。光検出器は、PICに光学的に結合されており、かつ2つの一次レーザトーンを混合して、2つの一次トーンの調整可能な周波数間隔によって選択された周波数を有するRF出力信号を形成するように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトニックデュアル共振無線周波数(RF)発振器であって、
第1のミラーに結合された光利得媒体であって、フォトニック集積回路(PIC)に結合されるように構成されており、前記PICは、
前記PIC内に配置された第1の光学キャビティと、
前記利得媒体内の前記第1のミラーと第1の調整可能ミラーとの間に第1の光学キャビティを形成する前記第1の調整可能ミラーと、
前記第1の光学キャビティ内に配置され、前記第1の光学キャビティに、調整可能な周波数間隔を有する2つの一次レーザトーンを生成させる周波数調整可能なキャビティ内デュアルトーン共振器であって、前記2つの一次レーザトーンが前記第1の光学キャビティ内に共通の光路を有する、前記周波数調整可能なキャビティ内デュアルトーン共振器と、
前記調整可能な周波数間隔を提供する1つまたは複数の位相調節器と、
を含む、前記光利得媒体と、
前記PICに光学的に結合される光検出器であって、前記第1の調整可能ミラーから前記2つの一次レーザトーンを受信し、前記2つの一次レーザトーンを混合して、前記2つの一次レーザトーンの前記調整可能な周波数間隔によって選択された周波数を有するRF出力信号を形成するように構成されている、光検出器と、
を含む、前記フォトニックデュアル共振RF発振器。
【請求項2】
前記PICが、
前記第1の光学キャビティに光学的に結合されている前記PIC内の第2の光学キャビティと、
非線形光学利得を提供するキャビティ内要素と、
前記利得媒体内の前記第1のミラーと第2の調整可能ミラーとの間に第2の光路を形成するための前記第2の調整可能ミラーであって、前記第2の光路は前記キャビティ内要素を通過する、前記第2の調整可能ミラーと、
前記第1のキャビティまたは前記第2のキャビティのうちの1つまたは複数の内部において位相遅延を動的に調節する1つまたは複数の位相調節器と、
をさらに含み、
前記2つの一次レーザトーンは、前記第1の光学キャビティから前記第2の光学キャビティに注入され、前記第2の光学キャビティは、前記キャビティ内要素の前記非線形光学利得を使用して4波混合(FWM)を生成し、前記2つの一次トーンから少なくとも2つのサイドトーンを作成し、前記2つの一次トーンにおける位相ジッタ及びドリフトを低減して、前記RF出力信号における位相雑音を低減するように構成されている、
請求項1に記載のフォトニックデュアル共振RF発振器。
【請求項3】
前記RF出力信号における前記位相雑音が、-120デシベル・キャリア/ヘルツ(dBc/Hz)~-160dBc/Hz未満である、請求項2に記載のフォトニックデュアル共振RF発振器。
【請求項4】
前記キャビティ内要素が、前記光利得媒体、前記第2の調整可能ミラーに光学的に結合された導波路、または前記第2の調整可能ミラーに光学的に結合された別個の要素のうちの1つまたは複数に配置されている、請求項2に記載のフォトニックデュアル共振RF発振器。
【請求項5】
前記2つの一次トーンを前記第1の光学キャビティから前記第2の光学キャビティにつなぐように構成された光カプラをさらに含む、請求項2に記載のフォトニックデュアル共振RF発振器。
【請求項6】
前記光検出器が、自由空間結合または導波路結合を介して、前記フォトニックデュアル共振RF発振器の出力に光学的に結合されている、または、
前記光検出器が、前記PIC上にあり、前記第1の調整可能ミラーに光学的に結合されている、
請求項1に記載のフォトニックデュアル共振RF発振器。
【請求項7】
前記光利得媒体内の前記第1のミラー及び前記第2の調整可能ミラーに光学的に結合された前記PIC内に実装された第1の導波路と、
前記PIC内に実装され、前記第1の導波路から選択された距離だけ離間して、前記第1の導波路からの光レーザ信号を第1の共振ループ導波路につなぐように構成されている、前記第1の共振ループ導波路と、
前記PIC内に実装され、前記第1の共振ループ導波路から選択された距離だけ離間して、前記第1の共振ループ導波路からの前記光レーザ信号を第2の共振ループ導波路につなぐように構成されている、前記第2の共振ループ導波路と、
前記PIC内に実装され、前記第2の共振ループ導波路から選択された距離だけ離間して、前記第2の共振ループ導波路からの前記光レーザ信号を第2の導波路につなぐように構成されている、前記第2の導波路であって、前記第1の調整可能ミラーに光学的に結合されている、前記第2の導波路と、
をさらに含む、請求項2に記載のフォトニックデュアル共振RF発振器。
【請求項8】
前記1つまたは複数の位相調節器が、
前記第1の導波路に結合されており、かつ前記第1の導波路と前記第1の共振ループ導波路との間の光結合を調整するように構成されている第1の位相調節器、または、
前記第2の導波路に結合されており、かつ前記第2の導波路と前記第2の共振ループ導波路との間の光結合を調整するように構成されている第3の位相調節器、または、
前記第1の共振ループ導波路に結合されており、かつ前記第1の共振ループ導波路内の共振ミスアライメントを調節するように構成されている第4の位相調節器、または、
前記第2の共振ループ導波路に結合されており、かつ前記第2の共振ループ導波路内の共振ミスアライメントを調節するように構成されている第5の位相調節器、または、
前記第1の導波路に結合されており、かつ前記第2の光路のキャビティ内位相を調節するように構成されている第6の位相調節器、または、
前記第2の導波路に結合されており、かつ前記第1の光路のキャビティ内位相を調節するように構成されている第7の位相調節器、または、
前記第2の調整可能ミラーに結合され、前記第2の調整可能ミラーの反射率を調節するように構成されている第8の位相調節器、または、
前記第1の調整可能ミラーに結合され、前記第1の調整可能ミラーの反射率を調節するように構成された第9の位相調節器、
のうちの1つまたは複数を含む、請求項7に記載のフォトニックデュアル共振RF発振器。
【請求項9】
前記第1、前記第3、前記第4、前記第5、前記第6、前記第7、前記第8または前記第9の位相調節器のうちの1つまたは複数が、それぞれの導波路において熱光学によって誘起される有効経路長の変化をおこすために、高い熱容量を有する熱伝導性金属を使用して、前記第1の導波路、前記第1の共振ループ導波路、前記第2の共振ループ導波路または前記第2の導波路のうちの1つまたは複数に熱的に結合された、金属マイクロヒータから構成されている、または
前記第1、前記第3、前記第4、前記第5、前記第6、前記第7、前記第8または前記第9の位相調節器のうちの1つまたは複数が、前記第1の導波路、前記第1の共振ループ導波路、前記第2の共振ループ導波路または前記第2の導波路のうちの1つまたは複数における位相を調節するために使用される電気光学位相シフタから構成されている、
請求項8に記載のフォトニックデュアル共振RF発振器。
【請求項10】
前記1つまたは複数の位相調節器が、
前記第2の共振ループ導波路に結合された第1のダブレット位相調節器と、
前記第1の共振ループ導波路に結合された第2のダブレット位相調節器と、
のうちの1つまたは複数を含み、
前記第1のダブレット位相調節器及び前記第2のダブレット位相調節器は、前記RF出力の前記周波数を選択するために、前記2つの一次レーザトーンの間の光周波数間隔を調整するように構成されている、
請求項7に記載のフォトニックデュアル共振RF発振器。
【請求項11】
前記第1のダブレット位相調節器及び前記第2のダブレット位相調節器が、それぞれの導波路において熱光学によって誘起される有効経路長の変化をおこすために、高い熱容量を有する熱伝導性金属を使用して、前記第1の共振器ループ導波路または前記第2の共振器ループ導波路のうちの1つまたは複数に熱的に結合された、金属マイクロヒータから構成されている、または、
前記第1のダブレット位相調節器及び前記第2のダブレット位相調節器それぞれが、前記第1の共振器ループ導波路または前記第2の共振器ループ導波路それぞれにおける位相を変化させる電気光学位相シフタから構成されている、
請求項10に記載のフォトニックデュアル共振RF発振器。
【請求項12】
前記周波数調整可能なキャビティ内デュアルトーン共振器が、
前記第2の光路に光学的に結合されており、第1の位相シフタを含む、第1の光共振器と、
前記第1の共振器及び前記第1の光路に光学的に結合されており、第2の位相シフタを含む、第2の光共振器と、
をさらに含み、
前記第1の光共振器及び前記第2の光共振器は、前記RF出力信号の前記周波数を選択するダブレット間隔を提供するために、前記第1及び第2の位相シフタを用いて周波数調整可能である、
請求項1に記載のフォトニックデュアル共振RF発振器。
【請求項13】
フォトニックデュアル共振無線周波数(RF)注入発振器であって、
第1のミラーに結合された光利得媒体であって、フォトニック集積回路(PIC)に結合されるように構成されており、前記PICは、
前記PIC内に配置された第1の光学キャビティと、
前記利得媒体内の前記第1のミラーと第1の調整可能ミラーとの間に第1の光学キャビティを形成する前記第1の調整可能ミラーと、
前記第1の光学キャビティ内に配置され、前記第1の光学キャビティに、調整可能な周波数間隔を有する2つの一次レーザトーンを生成させる周波数調整可能なキャビティ内デュアルトーン共振器であって、前記2つの一次レーザトーンが前記第1の光学キャビティ内に共通の光路を有する、前記周波数調整可能なキャビティ内デュアルトーン共振器と、
前記第1の光学キャビティに光学的に結合されており、かつ前記2つの一次レーザトーンを受信するように構成されている、前記PIC内の第2の光学キャビティと、
非線形光学利得を提供するキャビティ内要素と、
前記利得媒体内の前記第1のミラーと第2の調整可能ミラーとの間に第2の光路を形成するための前記第2の調整可能ミラーであって、前記第2の光路は前記キャビティ内要素を通過する、前記第2の調整可能ミラーと、
前記調整可能な周波数間隔を提供する1つまたは複数の位相調節器と、
を含む、前記光利得媒体と、
前記PICに光学的に結合される光検出器であって、前記第1の調整可能ミラーから前記2つの一次レーザトーンを受信し、前記2つの一次レーザトーンを混合して、前記2つの一次レーザトーンの前記調整可能な周波数間隔によって選択された周波数を有するRF出力信号を形成するように構成されている、光検出器と、
を含み、
前記2つの一次レーザトーンは、前記第1の光学キャビティから前記第2の光学キャビティに注入され、前記第2の光学キャビティは、前記キャビティ内要素の前記非線形光学利得を使用して4波混合(FWM)を生成し、前記2つの一次トーンから少なくとも2つのサイドトーンを作成し、前記2つの一次トーンにおける位相ジッタ及びドリフトを低減して、前記RF出力信号における位相雑音を低減するように構成されている、
前記フォトニックデュアル共振RF注入発振器。
【請求項14】
前記PICは、前記第1のキャビティまたは前記第2のキャビティのうちの1つまたは複数の内部において位相遅延を動的に調節する1つまたは複数の位相調節器
をさらに含む、請求項13に記載のフォトニックデュアル共振RF発振器。
【請求項15】
前記RF出力信号における前記位相雑音が、-120デシベル・キャリア/ヘルツ(dBc/Hz)~-160dBc/Hz未満である、請求項13に記載のフォトニックデュアル共振RF発振器。
【請求項16】
前記キャビティ内要素が、前記光利得媒体、前記第2の調整可能ミラーに光学的に結合された導波路、または前記第2の調整可能ミラーに光学的に結合された別個の要素のうちの1つまたは複数に配置されている、請求項13に記載のフォトニックデュアル共振RF発振器。
【請求項17】
前記2つの一次トーンを前記第1の光学キャビティから前記第2の光学キャビティにつなぐように構成された光カプラをさらに含む、請求項13に記載のフォトニックデュアル共振RF発振器。
【請求項18】
前記光検出器が、自由空間結合または導波路結合を介して、前記フォトニックデュアル共振RF発振器の出力に光学的に結合されている、または、
前記光検出器が、前記PIC上にあり、前記第1の調整可能ミラーに光学的に結合されている、
請求項13に記載のフォトニックデュアル共振RF発振器。
【請求項19】
前記光利得媒体内の前記第1のミラー及び前記第2の調整可能ミラーに光学的に結合された前記PIC内に実装された第1の導波路と、
前記PIC内に実装され、前記第1の導波路から選択された距離だけ離間して、前記第1の導波路からの光レーザ信号を第1の共振ループ導波路につなぐように構成されている、前記第1の共振ループ導波路と、
前記PIC内に実装され、前記第1の共振ループ導波路から選択された距離だけ離間して、前記第1の共振ループ導波路からの前記光レーザ信号を第2の共振ループ導波路につなぐように構成されている、前記第2の共振ループ導波路と、
前記PIC内に実装され、前記第2の共振ループ導波路から選択された距離だけ離間して、前記第2の共振ループ導波路からの前記光レーザ信号を第2の導波路につなぐように構成されている、前記第2の導波路であって、前記第1の調整可能ミラーに光学的に結合されている、前記第2の導波路と、
をさらに含む、請求項13に記載のフォトニックデュアル共振RF発振器。
【請求項20】
前記1つまたは複数の位相調節器が、
前記第1の導波路に結合されており、かつ前記第1の導波路と前記第1の共振ループ導波路との間の光結合を調整するように構成されている第1の位相調節器、または、
前記第2の導波路に結合されており、かつ前記第2の導波路と前記第2の共振ループ導波路との間の光結合を調整するように構成されている第3の位相調節器、または、
前記第1の共振ループ導波路に結合されており、かつ前記第1の共振ループ導波路内の共振ミスアライメントを調節するように構成されている第4の位相調節器、または、
前記第2の共振ループ導波路に結合されており、かつ前記第2の共振ループ導波路内の共振ミスアライメントを調節するように構成されている第5の位相調節器、または、
前記第1の導波路に結合されており、かつ前記第2の光路のキャビティ内位相を調節するように構成されている第6の位相調節器、または、
前記第2の導波路に結合されており、かつ前記第1の光路のキャビティ内位相を調節するように構成されている第7の位相調節器、または、
前記第2の調整可能ミラーに結合され、前記第2の調整可能ミラーの反射率を調節するように構成されている第8の位相調節器、または、
前記第1の調整可能ミラーに結合され、前記第1の調整可能ミラーの反射率を調節するように構成された第9の位相調節器、
のうちの1つまたは複数を含む、請求項19に記載のフォトニックデュアル共振RF発振器。
【請求項21】
前記第1、前記第3、前記第4、前記第5、前記第6、前記第7、前記第8及び前記第9の位相調節器のうちの1つまたは複数が、それぞれの導波路において熱光学によって誘起される有効経路長の変化をおこすために、高い熱容量を有する熱伝導性金属を使用して、前記第1の導波路、前記第1の共振ループ導波路、前記第2の共振ループ導波路または前記第2の導波路のうちの1つまたは複数に熱的に結合された、金属マイクロヒータから構成されている、または
前記第1、前記第3、前記第4、前記第5、前記第6、前記第7、前記第8または前記第9の位相調節器のうちの1つまたは複数が、前記第1の導波路、前記第1の共振ループ導波路、前記第2の共振ループ導波路または前記第2の導波路のうちの1つまたは複数における位相を調節するために使用される電気光学位相シフタから構成されている、
請求項20に記載のフォトニックデュアル共振RF発振器。
【請求項22】
前記1つまたは複数の位相調節器が、
前記第2の共振ループ導波路に結合された第1のダブレット位相調節器と、
前記第1の共振ループ導波路に結合された第2のダブレット位相調節器と、
のうちの1つまたは複数を含み、
前記第1のダブレット位相調節器及び前記第2のダブレット位相調節器は、前記RF出力の前記周波数を選択するために、前記2つの一次レーザトーンの間の光周波数間隔を調整するように構成されている、
請求項19に記載のフォトニックデュアル共振RF発振器。
【請求項23】
前記第1のダブレット位相調節器及び前記第2のダブレット位相調節器が、それぞれの導波路において熱光学によって誘起される有効経路長の変化をおこすために、高い熱容量を有する熱伝導性金属を使用して、前記第1の共振器ループ導波路または前記第2の共振器ループ導波路のうちの1つまたは複数に熱的に結合された、金属マイクロヒータからそれぞれ構成されている、または、
前記第1のダブレット位相調節器及び前記第2のダブレット位相調節器それぞれが、前記第1の共振器ループ導波路または前記第2の共振器ループ導波路それぞれにおける位相を変化させる電気光学位相シフタから構成されている、
請求項22に記載のフォトニックデュアル共振RF発振器。
【請求項24】
前記周波数調整可能なキャビティ内デュアルトーン共振器が、
前記第2の光路に光学的に結合されており、第1の位相シフタを含む、第1の光共振器と、
前記第1の共振器及び前記第1の光路に光学的に結合されており、第2の位相シフタを含む、第2の光共振器と、
をさらに含み、
前記第1の光共振器及び前記第2の光共振器は、前記RF出力信号の前記周波数を選択するダブレット間隔を提供するために、前記第1及び第2の位相シフタを用いて周波数調整可能である、
請求項13に記載のフォトニックデュアル共振RF発振器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年6月21日に出願された3721-21.15290.US.PSPの整理番号を有する米国仮特許出願第63/213,137号の利益を主張し、その全明細書は、すべての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
無線周波数発振器によって生成される無線周波数(RF)信号の位相雑音は、RF信号を使用して実施される測定の精度を制限してしまう可能性がある。位相雑音は、完全な周期性からの時間領域の偏差に対応する、波形の位相のランダムな変動の結果である。
【0003】
レーダー用途では、RF発振器によって生成されたRF信号をクロック基準信号として使用することができる。クロック基準信号は、レーダー信号の時間遅延を決定するために使用される。時間遅延は、クロック信号のエッジからクロックサイクルをカウントすることにより、反射RF信号のレンジを決定するために使用される。
【0004】
位相雑音に起因するRF発振器の波形のランダムな変動は、意図するタイミング測定にランダム性をもたらし、これにより、帰還信号の検出及び分解能、ひいては目標検出可能性及び測定精度に潜在的に影響を及ぼす。したがって、低レベルの位相雑音を有するRF信号が、レーダー動作において使用するために望ましく、レーダー動作には、合成開口レーダー(SAR)及び地動移動目標指示レーダーなどのレンジドップラーレーダーシステムが含まれるが、これらに限定されない。
【0005】
本開示の特徴及び利点は、本開示の特徴を一例として共に例示する添付図面と併せて、以下の詳細な説明から、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】一実施例によるフォトニックデュアル共振無線周波数(RF)発振器システムの例示的な実施形態を示す。
【
図2a】別の実施例によるフォトニックデュアル共振RF発振器システムを示す。
【
図2b】一実施例による、
図1及び
図2に示されているフォトニクス発振器の動作をサポート可能な電子サブシステムの機能ブロック図である。
【
図3a】一実施例による、デュアルトーンレーザ発振及び4波混合を伴うフォトニック図を示す。
【
図3b】一実施例による、
図3aのデュアルトーンレーザ発振ブロックを示す。
【
図3c】一実施例による、
図3aの4波混合ブロックを示す。
【
図4a】一実施例による、結合共振器を有するデュアルトーン発振器のフォトニック図を示す。
【
図4b】一実施例による、結合共振器の伝達関数の図を示す。
【
図4c】一実施例による、結合共振器の共振周波数の図を示す。
【
図5a】一実施例による、パルス幅のレンジにわたるモードロックレーザに対して予想される量子限定位相雑音の図を示す。
【
図5b】一実施例による、4モードロックトーンを有するシステムのモデル化された時間挙動の図を示す。
【
図6a】一例による位相ロック高調波を有するキャビティ内エネルギーの周波数スペクトルの図を示す。
【
図6b】一実施例による、キャビティ内振幅の虚部対実部の限界サイクルプロットを示す。
【
図6c】一実施例による、2つの異なる開始点及びそれらの軌道及び収束のための限界サイクルを示す。
【
図7】一実施例による、
図2aのフォトニックデュアル共振RF発振器システムの調整可能レンジを示す。
【
図8a】一実施例による、ダブレット位相シフタ対φ
2及び-φ
2によって制御された調整可能なダブレット共振を有する結合共振器構造のブロック図を示す。
【
図8b】一実施例による、10GHzのダブレット間隔を有する、
図8aに示したアーキテクチャに準拠した構造によって生成することができる2トーン信号を示す。
【
図8c】
図8aのダブレット位相シフタの値のレンジに対して予想される周波数差を示す。
【
図9a】一実施例による、フォトニックデュアル共振RF発振器システムにおいて結合、ダブレット間隔、共振ミスアライメント、キャビティ内位相及びミラー反射率を調節するための位相シフタを有するフォトニック図を示す。
【
図9b】一実施例による、
図9aの位相シフタに関する具体的な詳細を提供する表である。
【
図10a】一実施例による、マイクロメタルヒータの存在下での窒化ケイ素共振器導波路のシミュレートされたモードプロファイルを示す。
【
図10b】一実施例による、
図10aのマイクロメタルヒータにおける金属の吸収による共振器に対する品質(Q)の効果を示す図である。
【
図10c】一実施例による、
図2aのフォトニックデュアル共振RF発振器システムの窒化ケイ素導波路の一例を示す。
【
図10d】一実施例による、
図10cの窒化ケイ素導波路及び
図10bのマイクロメタルヒータに関する具体的な詳細を提供する表である。
【
図11a】一実施例による、マイクロヒータ温度変化、窒化ケイ素導波路温度変化、及び温度変化による窒化ケイ素導波路における位相シフトを示す図である。
【
図11b】一実施例による、
図11aの温度変化が生じる時間を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
次に、例示した典型的な実施形態を参照して、本明細書ではこれらを説明するために特定の言語を用いる。それにもかかわらず、それによって本発明の範囲の限定が意図されることはないことを理解すべきである。
【0008】
本発明を開示し説明する前に、本発明は、本明細書に開示された特定の構造、プロセスステップ、または材料に限定されず、関連分野の通常の知識を有する者に認識されるその等価物に拡張されると理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特定の実施例を単に記載する目的のためのものであり、限定であることは意図されないことを理解されたい。異なる図面における同じ参照番号は、同じ要素を表している。フローチャート及びプロセスに記載されている番号は、ステップ及び動作を示す際の明確化のために設けられており、必ずしも特定の順序またはシーケンスを示すものではない。
【0009】
例示的な実施形態
技術の実施形態の最初の概観を以下に示し、次いで、特定の技術の実施形態を、さらに後で詳細に説明する。この最初の概略は、読み手が本技術をより迅速に理解することを助けることを目的としているが、本技術の重要な特徴または本質的な特徴を特定することは意図しておらず、特許請求の範囲に記載された主題の範囲を限定することも意図していない。
【0010】
低い位相雑音を有する無線周波数信号源は、レンジドップラー無線検出及び測距(レーダー)システム、例えば、合成開口レーダー(SAR)及び地上移動目標指示レーダー、衛星通信リンク、ナビゲーションシステム、正確な計測時間及び周波数測定、基準クロック分布、ならびに通信無線リンクを含むが、これらに限定されない、多くの使用状況において有用であり得る。
【0011】
光電子発振器を用いて、繰り返し電子正弦波または他のタイプの連続波信号を生成することができる。光電子発振器は、極めて高い品質係数(Q)だけでなく高い周波数及び位相安定性を有することができる。品質係数またはQ係数は、共振器がどれだけ減衰しているかを記述する無次元パラメータである。これは、振動周期の1ラジアンで失われたエネルギーに対する、共振器に蓄積された初期エネルギーの比率として定義される。Qが高いほどエネルギー損失率が低いことを示し、これは効率及び安定性の重要な指標となる
【0012】
光電子発振器では、水晶発振器または空気誘電体共振器などの異なるタイプの電子発振器で発生し得るように、発振器の位相雑音は、周波数に伴って増加はしない。
【0013】
光電子発振器の精度及び安定性は、その位相雑音によって決定され、この位相雑音自体は、熱屈折雑音などの多くの因子によって制限され得る。最終的には、出力の位相安定性(したがって周波数線幅)はショーロー・タウンズ限界によって物理的に制限されている。ショーロー及びタウンズは、レーザの線幅の基本的な(量子)限界を計算した。ショーロー・タウンズ線幅は、量子雑音によって引き起こされる光位相の変動の強度によって決定することができる。このショーロー・タウンズ線幅に対応する位相雑音レベルは、部分的にはレーザモードへの自発放出の結果である。
【0014】
本発明の一実施形態によれば、超低損失光共振器を用いた従来技術のフォトニック集積回路(PIC)技術を、低雑音電子機器及び高度なチップスケールパッケージングと組み合わせて結合し、実質的に低位相雑音のRF発振器を提供する、フォトニックデュアル共振RF発振器が開示される。RF発振器は、小型の熱制御されるシステムにパッケージングすることができ、このシステムは、要求の厳しい物理的環境において使用可能である。
【0015】
このアーキテクチャの一実施形態は、革新的なPICベースの2トーンコモンキャビティレーザの光出力を妨害することによって、連続的に調整可能な低位相雑音RF信号を生成するように構成されている。レーザは、モードを共通の光路に制約することで、各レーザ発振モードの非相関位相雑音を低減する。共通の光路及び混合出力により、レーザ内の最も古典的な雑音源、例えば温度屈折雑音(TRN)の影響が効果的に除去される。
【0016】
PICベースの2トーンコモンキャビティレーザは、周波数調整可能複合キャビティ内共振器を含む第1の光学キャビティを含むことができる。複合キャビティ内共振器は、窒化ケイ素(SiN)、またはPICを形成するために使用される別の所望の材料から形成することができる。周波数調整可能複合キャビティ内共振器は、周波数間隔が調整可能な2つの一次トーンを生成するように第1の光学キャビティを拘束するように構成される。これらの2つの一次トーンが混合されるとき、それらの相関位相雑音はキャンセルされ、結果として生じるRFトーンは、ショーロー・タウンズ限界雑音フロアに近づく。
【0017】
さらなる位相雑音低減のために、PICは、第1の光学キャビティに光学的に結合されている第2の光学キャビティを含むことができる。第1の光学キャビティからの2つの一次トーンを、第2の光学キャビティの注入シードに使用することができる。2つの一次トーンを使用して、2つの一次トーンに加えて2つの二次トーンを生成する半導体利得媒体において、位相維持非線形キャビティ内4波混合(FWM)プロセスを駆動することができる。この第2の光学キャビティは、2つの一次注入トーンの位相を効果的に制限するために二次トーンがフィードバックを生成するように設計することができる。
【0018】
4波混合(FWM)は、非線形光学系における相互変調の発生であり、2つまたは3つの波長の間の相互作用により、2つ以上の新たな波長が生成される。到来する光子のエネルギーが保存されるという点で、パラメトリック非線形プロセスである。FWMは位相感応型のプロセスであり、この場合、プロセスの効率は位相整合条件によって強く影響を受ける。
【0019】
一実施形態では、キャビティフィードバック及び利得は、追加的なFWMプロセスを駆動するために二次トーンの強度を増加させることができるように構成されている。これにより、追加的なFWMトーンのカスケードシーケンスと、一次トーンへの直接的なフィードバックとの両方が生じる。フィードバックは、一次トーンの位相を制約し、それらの位相雑音の相関を高め、それにより無相関位相雑音をショーロー・タウンズ限界の下に収めることを可能にする。位相雑音がショーロー・タウンズ限界を下回るRF信号は、レーダー、通信、ナビゲーション、測定、及びクロック基準を大幅に改善するために使用することができる。
【0020】
図1は、フォトニックデュアル共振無線周波数(RF)発振器システム100の例示的な実施形態を示す。システム100は、ミラー106を有する利得媒体108に結合されるように構成された第1の光学キャビティ104を有するフォトニック集積回路(PIC)102を含む。一実施例では、PICは、二酸化ケイ素(SiO
2)ベースで形成することができ、このベースには、窒化ケイ素(SiN)導波路が担持されている。これは、限定することを意図しない。導波路は、光信号を伝えるために使用され得る低損失の任意の光学材料から形成することができる。
【0021】
図1の利得媒体108は、PIC102の外部に配置されているか、またはPIC102に一体化されているか、またはPIC102内に形成されていてもよい。利得媒体108は、線形利得媒体または非線形利得媒体であり得る。一実施形態では、利得媒体は、反射型半導体光増幅器、または別の所望のタイプのレーザ利得媒体であってよい。PIC102はさらに、利得媒体108内のミラー106と第1の調整可能ミラー110との間に第1の光学キャビティ104を形成するために、第1の調整可能ミラー110を含むことができる。
【0022】
PIC102はさらに、第1の光学キャビティ104内に配置され、第1のキャビティに調整可能な周波数間隔を有する2つの一次レーザトーン105を生成させる周波数調整可能なキャビティ内デュアルトーン共振器112を含むことができ、2つの一次レーザトーン105は、第1の光学キャビティ104内に実質的に共通の光路を有する。共通の光路長は、光路内の導波路上の位相調節器を使用して、実質的に同様の長さを有するように調節することができる。2つの一次レーザトーン105のための共通の光路の制約は、2つの一次トーン105が干渉して、2つの一次レーザトーン105の間の差を表す周波数のトーンを作成するとき、文献に報告されているコモンモード雑音源の多くをキャンセルする。差分トーンの位相雑音は、古典的なショーロー・タウンズ限界に近づくことができる。
【0023】
PIC102は、PIC102の出力に光学的に結合された光検出器114をさらに含むことができ、この光検出器114は、第1の調整可能ミラー110から2つの一次レーザトーン105を受信し、2つの一次レーザトーン105を混合して、2つの一次レーザトーン105の調整可能な周波数間隔の差によって決定される周波数でRF出力信号115を形成するように構成されている。光検出器114は、第1の調整可能ミラー110の出力に直接的に結合可能である。光検出器114をPIC102上に設けることができるか、またはPIC102の外部に設けることができ、第1の調整可能ミラー110によって送信された出力信号を、自由空間または導波路結合のいずれかを介して光検出器114に中継することができる。
【0024】
別の実施形態では、フォトニックデュアル共振RF発振器システム100のPIC102は、PIC102内の第2の光学キャビティ120と、非線形光学(NLO)利得122を提供するキャビティ内要素とをさらに含むことができる。材料及び波長の選択に応じて、NLO利得をレーザ媒体108によって供給することができ、またNLO利得を得るために最適化された別々の材料要素によって供給することができ、あるいはPIC102内の導波路材料によって供給することができる。
【0025】
PIC102はさらに、第2の光学キャビティ120を画定するように光学的に結合された第2の調整可能ミラー124を含み、利得媒体108内のミラー106と第2の調整可能ミラー124との間の第2の光路を形成することができる。第2の光学キャビティ120は、2つの一次レーザトーン105が第2の光路に向けられるように、第1の光学キャビティ104に光学的に結合させることができる。
【0026】
一実施形態では、2つの一次レーザトーン105は、第1の光学キャビティ104から第2の光学キャビティ120内に注入され、第2の光学キャビティ120は4波混合(FWM)121を提供するように構成されている。注入は、固定されたまたは調節可能なマルチモード干渉カプラなどの、最小の吸収損失で部分的な反射率及び/または透過(すなわち、ビーム分割)をサポートする任意のコンポーネントを使用することによって実現され得る。4波混合プロセスでは、2つの一次トーン105を使用して、NLO利得122を介して2つの二次トーンが生成される。エネルギー及び運動量保存の物理的制約は、二次トーンの位相関係を制約する。次に、二次トーンの存在は、一次トーンの位相を制約する。これらの制約を様々なトーンの位相に課した結果を、位相ロックと称する。2つの一次レーザトーンの位相ロックは、2つの一次レーザトーンにおける位相ジッタ及びドリフト(位相雑音)を低減する効果を有する。このプロセスをカスケード接続して、三次または追加のトーンを生成することができる。用いられるとき、これらの追加的なトーンは、2つの一次レーザトーンにおける位相雑音をさらに低減するための追加的な位相制約を提供することができる。PIC102内の第1の光学キャビティ104に結合されている第2の光学キャビティ120と、非線形光学(NLO)利得122を提供するキャビティ内要素とを追加することによって、システム位相雑音を、古典的なショーロー・タウンズ限界に比べて改善することができる。
【0027】
一実施例では、フォトニックRF発振器システム100は、第1の光学キャビティ104内でフリーランニングレーザとして開始され、次に第2の光学キャビティ120内でFWMを使用して位相雑音のレベルを低減するために位相ロック動作へ移行することができる。複数のトーンが第1の光学キャビティ104によって共有される共通の光路に存在する一方で、2つの一次レーザトーン105のみが、周波数調整可能なキャビティ内デュアルトーン共振器112を通過する。これにより、これら2つの一次トーン105に正のフィードバックが生成され、これらの2トーンを使用して、光検出器114の出力において低位相雑音のRF信号を生成することができる。
【0028】
図2aは、フォトニックデュアル共振RF発振器システム200の例示的な図を提供する。システム200は、2つの結合されたキャビティすなわち第1の光学キャビティ204及び第2の光学キャビティ220から成る。2つのキャビティは、レーザ利得媒体208などのような共通の要素を共有することができる。レーザ利得媒体208をPIC202上に設けることができ、またはレーザ利得媒体208をPIC202の外部に配置することができ、レーザ利得媒体208から送信された出力信号を、自由空間または導波路結合のいずれかを介して、PIC結合207を介して第1の光学キャビティ204に中継することができる。2つのキャビティ210、220間で共有される共通の要素は、周波数調整及び強力な位相雑音低減を提供することができる。一実施例では、PIC202は、レーザ光をルーティングするために超低損失SiN導波路209を使用することができる。制御可能な位相遅延(位相シフタ)φ1~φ7は、システム200を安定領域で動作させることができるように導波路結合を調節するために使用することができる。
【0029】
第1の光学キャビティ204は、強い相関雑音を有する2つの一次レーザトーン205を生成するように構成されている。2つの一次レーザトーンは、Ωヘルツ226によって周波数が分離されている。出力RF信号は、一次レーザトーン分離と同じ周波数を有し、Sin(Ωt)のRF信号出力215を有する。RF信号出力215は、低雑音増幅器241などの増幅器を用いて増幅することができる。第1の光学キャビティ204の設計は、位相雑音を低減するためにすべてのモードを共通の経路に制限する。第1の光学キャビティは、レーザ利得媒体208内にミラー206を含む共通の光路を提供する。レーザ利得媒体208及びミラー206は、第2の光学キャビティ220と共有することができる。一実施形態では、レーザ利得媒体208は、2つの一次レーザトーン205及び第2の光学キャビティ220内の二次FWMトーン221に利得を提供するための半導体利得媒体を含み得る。ミラー206は、サニャックループミラーとして構成可能でありかつ共通の光路に沿って2つの一次レーザトーンを形成するために使用することができる調整可能反射率ミラー210を備えた共通の光路における2つの一次レーザトーン205と、ミラー206とFWMキャビティミラー224との間の第2の光路上の二次FWMトーン221との両方を反射するように構成された、高反射性ミラーとすることができる。FWMキャビティミラー224は、サニャックループに基づく調整可能ミラーであり得る。レーザ利得媒体208はまた、前述のように、非線形光学素子を含み得る。代替的に、非線形光学素子を第2のキャビティ222内もしくはFWMキャビティミラー224内に含ませることも、ミラー206とFWMキャビティミラー224との間の第2の光路に沿って導波路内に含めることもできる。非線形光学素子は、利得媒体208と共に2つの一次レーザトーン205のFWMを提供して、二次FWMトーン221を形成することができる。一実施形態では、FWMキャビティミラーの出力は、PIC202から監視に使用可能な光検出器239へ出力可能な較正出力237であり得る。PIC内の光信号を分析するために、また、2つの一次レーザトーン205を生成して二次FWMトーン221を形成するために種々の位相シフタを調節するために、監視用光検出器を使用することができる。
【0030】
PIC202の出力に光アイソレータ232を結合させることができ、PIC202と光検出器214との間に配置し、PICを光検出器から光学的に分離することができる。光アイソレータは、光検出器214からの反射光がPIC202に再入射することを実質的に低減することができる。発振器への残留後方反射によって、位相雑音が増大し得る。加えて、光検出器からPIC202への後方反射を低減するために、ベースライン角度付き導波路結合を用いて、導波路234を、PIC202の出口における結合236に対して角度づけることができる。一実施形態では、角度付けされた結合は十分であり得、光アイソレータ232は不要である。しかしながら、後方反射によって望ましくない量の位相雑音が生じる場合には、光アイソレータ232を使用して、後方反射によって生じる位相雑音を低減することができる。同様の結合235は、光検出器234を較正出力237に結合するために使用することができる。
【0031】
一実施形態では、フォトニックデュアル共振RF発振器システム200は、第1の光学キャビティ204内に配置された周波数調整可能なキャビティ内デュアルトーン共振器212を含むことができる。周波数調整可能なキャビティ内デュアルトーン共振器212は、キャビティ内エタロンとして機能する調整可能なダブレット共振を有するSiNから形成された超高Q結合共振器であってよい。ダブレット周波数間隔は、光検出器214のRF信号出力の周波数を提供する。ダブレット周波数間隔は、φ2及び-φ2を調節することによって選択することができる。第1のキャビティ204は、位相シフタφ1及びφ3からφ7も含む。
【0032】
位相シフタφ2及び-φ2を、キャビティフリースペクトルレンジ(FSR)を調節するために使用することができる。FSRは、2つの一次トーンの間の光周波数における間隔である。位相シフタφ1及びφ3~φ7を、導波路結合を調節するため、また、デュアル共振器内の製造誤差を補償するため、かつ第1の光学キャビティ210(2トーンキャビティ)と第2の光学キャビティ220(FWMキャビティ)との間の光学結合を調節するために使用することもできる。位相シフタφ1及びφ3からφ7については、以降の段落でより詳細に説明する。
【0033】
図2bは、フォトニックデュアル共振RF発振器システム200に結合されるように構成された電子サブシステム300の機能ブロック図の一例を示す。電子サブシステムは、フォトニックデュアル共振RF発振器システム200内の光検出器214のRF出力信号をフィルタリングするハイパスフィルタ及び/またはローパスフィルタ330を含むことができる。フィルタリングされたRF出力信号を、低雑音増幅器341に送信して、ΩHzの周波数を有する低位相雑音出力RFトーンを生成することができる。
【0034】
一実施形態によれば、RFシンセサイザ334を使用して、ΩREFの周波数で基準RFトーンを出力周波数制御部336に送信することができる。出力周波数制御部336は、低雑音増幅器341から低位相雑音出力RFトーンの入力を受け取ることもできる。出力周波数制御部336は、信号V=F(ΩDIF)=F(Ω-ΩREF)を共振調整制御部338に送信することができ、この共振調整制御部338は、調整可能複合共振器212を調節して、周波数Ωで分離された2つの一次トーン205を生成するために使用される。
【0035】
フォトニックデュアル共振RF発振器システム200内の光検出器214の出力は、信号V=A(t)+B(t)sin(Ωt)であり得る。ハイパス/ローパスフィルタ330は、信号V=A(t)をデバイスコントローラ340に送信することができる。フィードバック信号V=A(t)は、フィードバック信号を光検出器ドライブ342、調整可能ミラー制御部344、共振器結合制御部346及び安定電流源348に送信するために、デバイスコントローラによって使用することができる。安定電流源348は、フィードバック信号を使用して、選択された量の電流を利得媒体208に供給して、PIC202内のレーザ光の振幅と、2つの一次トーン205の対応する振幅及びFWMトーン221の対応する振幅とを制御することができる。共振結合制御部346は、フィードバック信号を使用して調整可能複合共振器212に制御信号を送信することにより、2つの一次トーンの周波数分離Ωを調節することができる。調整可能ミラー制御部を使用して、FWMキャビティミラー224(
図2)及び/または2トーンキャビティミラー210を通過することが許容されるレーザ光の量を調節することができる。
【0036】
電子サブシステム300は、4つの主要な機能を果たすように構成されている。それは、(1)フォトニックデュアル共振RF発振器システム200のRF周波数出力を制御する位相ロックループ(PLL)を動作させ、(2)フォトニックデュアル共振RF発振器システム200内の様々なサブシステム間の自己干渉を防止するのに十分な内部分離を提供し、(3)統合前の製造及びサブシステムのテスト中の温度に対する安全な製造暴露限界内でコンポーネントの動作を維持する統合フローをサポートし、(4)内部コンポーネントが所定の動作範囲内に維持されるように、熱、振動、電磁などの環境動揺を十分に減衰させることができる。
【0037】
図3a~3cは、PIC202(
図2)内のレーザキャビティの付加的な詳細を提供する。
図3aには、PIC202が、1つの利得媒体308及び1つのミラー306を共有する2つのレーザ構造を含むことができることが示されている。1つのレーザは、Ωの周波数差を有する2つの一次トーン205(
図2)を生成するデュアルトーンレーザ発振用の第1の光学キャビティ304を含む。第2の光学キャビティ320は、FWM及び位相ロック用であり、第1の光学キャビティ304からのデュアルトーン注入に供される。
【0038】
図3bは、デュアルトーンレーザ発振のための第1の光学キャビティ304の一例を示す。
図3bにはさらに、4波混合成分を使用しない、デュアル共振発振器のより簡単な実施形態が示されている。より簡単な実施形態は、
図1及び
図2aに示したシステムよりも大幅に単純でありかつ安価に構築することができる。これは、無人航空機またはハンドヘルドユニットなどのコストの嵩む短距離システムで使用するための優れた構成であろう。
【0039】
レーザキャビティは、調整可能ミラー310に対する利得媒体308のミラー306を含む。調整可能複合共振器312は、共振器間の結合係数μを有する。このデュアルトーン共振は、2つの共振を有する結合エタロンとして作用し、デュアルトーンレーザ発振を提供することができる。
【0040】
第1の光学キャビティ304は高フィネスキャビティであり得る。光共振器(キャビティ)のフィネスは、その周波数距離に関連して共振がどのくらい狭いかの尺度であり、高いフィネスは、鋭い共振を意味する。それは、共振の半値全幅(FWHM)帯域幅で除算したフリースペクトルレンジ(FSR)(すなわち、基本モード間隔)として定義される。これは共振器損失によって完全に決定され、共振器長さとは無関係である。
【0041】
図3cには、ω
1及びω
2の固有の共振周波数を有するこの実施例に示された、FWM及び2つの一次トーンの位相ロックのための第2の光学キャビティ320の一例が示されている。デュアルトーンは、デュアルトーン発振器の任意の構成から注入することができる。固有共振周波数ω
1を有する第1の一次トーンは、第2の光学キャビティ320内でキャビティ内光子数S
1及び位相φ
1を有する。固有共振周波数ω
2を有する第2の一次トーンは、第2の光学キャビティ320内でキャビティ内光子数S
2及び位相φ
2を有する。デュアルレーザ発振ブロック350は、FWM321及び位相ロックのために、τ
cの速度で下方のレーザキャビティに対するデュアル注入源として動作する。概念的な45度の角度ミラーとして示されているデュアルレーザ発振ブロック350は、単に第1の光学キャビティ304と第2の光学キャビティ320との間の結合を表しているにすぎない。キャビティ304、320間の結合は、第1の光学キャビティ304のデュアル共振である2つの一次トーンに対して選択的である。
【0042】
図3cの第2の光学キャビティ320は、
図3bの第1の光学キャビティ304からのデュアルトーン注入でシードされている。第2の光学キャビティ320は、強力な非線形性を使用して、FWM側波帯域を生成するために、注入されたレーザトーン間でFWMの混合を実行する。この非線形性は、このようなFWMプロセスのための所望のQを著しく緩和し、その結果、2つの一次トーンの間に位相ロックを生じさせ、それらの相対量子位相雑音を相関及び低減させる。したがって、第2の光学キャビティは低いフィネスを有し得る。実際には、第2の光学キャビティ320は、位相ロックキャビティとして機能する。このキャビティのデュアルトーン注入シードによって、そのトーンの周波数が制御される。第1の光学キャビティ304からデュアルトーン注入に十分なパワーを注入することによって、所望の周波数ω
1とω
2及び関連する位相φ
1とφ
2が、増幅プロセスにおいて強制的なヘッドスタートを効果的に与えられ、ミラー306と調整可能ミラー324との間の第2の光学キャビティ320におけるレーザの主要な出力周波数及び位相になる。前述したように、非線形材料を、利得媒体308、調整可能ミラー324、導波路、または第2の光学キャビティ320内の別の所望の位置に含めることができる。
【0043】
図4a~4cは、一実施形態による、結合共振器構造についてのデュアルトーンレーザ発振条件を示すために使用される例示的な実施例である。
図4aでは、4波混合は含まれていない。利得媒体408は、利得γと、長さL1と、反射率がr
0のミラー406とを有する。調整可能複合共振器412は、第1の光学キャビティ404内の第1の共振器454及び第2の共振器456からなる。第1の共振器454及び第2の共振器456は、固有共振周波数ω
0、減衰速度τ
0及び共振器454と456との間の結合係数μを有する。利得媒体408に結合された導波路452は、導波路-共振器結合減衰率τ
c、及び第1の共振器454までの長さL2を有する。導波路458は、第2の共振器456から調整可能ミラー410までの長さL3を有する。調整可能ミラー410は、反射率r
1を有する。
【0044】
図4aに示されている結合共振器412の伝達関数は以下のとおりである:
【数1】
(式1)
図4bは、伝達関数の絶対値のグラフを示し、ω
1及びω
2の固有共振周波数を有する2つの一次トーンを示す。
【0045】
レーザ発振を行うために、式2が満たされねばならない:
r0r1|H(ω)|2=e2α(L
1
+L
2
+L
3
)-2γL
1cos[2arg(H(ω))] (式2)
ここで、αは利得係数である。
【0046】
図4cは、arg(H(π))を示すグラフである。デュアルトーンレーザ発振を行うために、式3が満たされねばならない:
cos[2arg(H(ω
1))]=cos[2arg(H(ω
2))] (式3)
式3は、ω1とω2の間にπ2の位相差があるときに満たされる。したがって、ω1とω2との間にπの位相差を提供するために調整可能複合共振器412を用いて第1の光学キャビティを構成することにより、2つの一次トーンω1及びω2が本質的に強化され、他のトーンが減衰されることになる。
【0047】
図5aは、1ミリワット(mW)の平均出力及び10mWの平均出力に対する異なるパルス幅に対するモードロックレーザの量子限定位相雑音を示す例示的なグラフの図を示す。
図5bは、4つのロックされたレーザモードの時間波形のモデルを示す例示的なグラフの図を示す。4モードロックトーンを有するシステムのモデル化された時間挙動は、2ピコ秒(ps)のパルス幅を予測する。
図5aにおけるそのようなパルス幅は、-160dBc/Hz未満の位相雑音限界を意味する。用語dBcは、キャリアに対する相対的なデシベルであり、これは、デシベルで表した信号とキャリア信号との電力比を示す。位相雑音は、キャリアから所定の周波数オフセットでdBc/Hzで表される。-160dBc/Hz未満の位相雑音限界は、第2の光学キャビティにおける4つのモードのロックが、強い量子雑音相関を生成するのに十分であることを示す。
図5a及び5bに示されるシミュレーションのためのFSRは、100ギガヘルツ(GHz)である。
図5a及び5bの実施例は、限定することを意図していない。システム仕様に応じて、異なるパルス幅及び異なる位相雑音レベルを有する異なる4モードロックトーンが可能である。一実施形態では、RF出力信号(215、
図2a)における位相雑音は、-120dBc/Hz~-160dBc/Hzであり得る。代替的に、RF出力信号215における位相雑音は、-165dBc/Hz程度の低さであってもよい。
【0048】
図5bのグラフに示されている結果に基づき、FWMプロセスに参加するために、最小4つのトーン(すなわち、デュアル注入トーンと2つのFWMの側波帯域)を使用して、超低位相雑音を達成できると結論付けることができる。追加的な制約は、第2の光学キャビティのフィネスに基づいて発生し、その結果、本明細書では構成1及び構成2と称される2つの潜在的な動作構成が得られる。
【0049】
構成1では、第2の光学キャビティは低フィネスキャビティとして構成されている。この場合、注入したデュアルトーン及び生成されたFWMの側波帯域は、第2の光学キャビティのFWHM未満に入る。この構成を用いることにより、デュアルトーン間の間隔を継続的に調整することができ、これによって差動出力周波数が電子制御される電圧制御発振器(VCO)が生成される。調整可能ミラー324(
図3c)の反射率を低下させることによって、低いフィネスを達成することができる。反射率が低減された結果、構成2に比べて正味のシステム電力効率が低減される。
【0050】
構成2では、第2の光学キャビティは高フィネスキャビティとして構成されている。光学注入シードでは、第1の光学キャビティによって注入される2つの一次トーンの周波数分離は、第2の光学キャビティのFSRの倍数にほぼ等しい。この構成によって生成されるRF発振器は、第2の光学キャビティのFSRに比例したステップサイズを有する段階的に調整可能な発振器であり得る。各ステップ近くの小さいレンジの調整可能性を提供するために、第1の光学キャビティのFSRを、注入されたデュアルトーン周波数間隔と一致させるように、第1の光学キャビティ経路長の精密な熱調整を実施することができる。第2の構成は、構成1よりも電力効率が良いが、ノイズがより多い可能性がある。第2の構成はまた、構成1よりも高い制御精度を使用する。第2の構成はまた、FSRを低下させ、より多くの調整ステップを提供する比較的長いキャビティから利点を得ることができる。
【0051】
以下に示す式4から式7は、半導体レーザキャビティのデュアルトーン注入シードを制御する一連の動的非線形式を提供する。これらの式は、外部注入の前に安定状態の自由運転レーザパラメータに対して正規化される。3つの動的パラメータは、正規化されたキャビティ内光子数
【数2】
及びその位相(φ(t))、ならびに正規化された自由キャリア密度
【数3】
である。この分析には、より高い電力の動作に適用可能ないかなる効果も含まれていない。
【数4】
(式4)
【数5】
(式5)
【数6】
(式6)
【数7】
(式7)
【0052】
キャビティ内光子数レート及び位相方程式が式4及び式5にそれぞれ示される。
【数8】
、
【数9】
及び
【数10】
は、第2の光学キャビティ内の光子数であり、注入したデュアルモードに対する光子数は
【数11】
に正規化され、これは、自由走行キャビティのキャビティ内光子数である。利得は、gで示され、Γは閉じ込め因子であり、γはキャビティ損失であり、R
spは自発放出率であり、φ、φ
1及びφ
2は、下方のキャビティ内モード及びデュアル注入モードの位相であり、β
cは、ヘンリー線幅拡張係数である。
図3を参照して前述したように、固有共振周波数ω
1を有する第1の一次トーンは、第2の光学キャビティ内でキャビティ内光子数S
1及び位相φ
1を有する。固有共振周波数ω
2を有する第2の一次トーンは、第2の光学キャビティ内でキャビティ内光子数S
2及び位相φ
2を有する。
【0053】
図6a~
図6cは、半導体内の非線形の混合及び位相ロックを伴う、注入シード処理された低フィネスキャビティ(第2の光学キャビティ)についての予備シミュレーション結果を示す。
図6aは、10GHzで分離された2トーンの注入から生じるカスケード化されたFWM側波帯域の生成を示す。見て取れるように、カスケード化されたトーンは、10GHzの周波数間隔を有し、良好に動作する時間信号も有する。高調波の発生及びそれらの明白な位相ロックは、
図6bに示されたプロットに示された閉ループ限界サイクルにおいて明らかである。
図6bに示されているプロファイルは、例示的な設計が続くようなプロファイルを表している。このプロフィルの詳細は、設計に依存する。
図6cは、2つの異なる開始点(星で示されている)についての安定までの軌跡を追跡しており、これは第2の光学キャビティの異なるキャビティ内位相を表している。システムは、初期位相関係にかかわらず、同じ位相-振幅限界サイクルに安定化することに留意されたい。これは、システムが安定した動作点を有することを意味する。適切に設計されたシステムは、プロットに示された位相振幅空間における複数の点において動作を開始することができるが、最終的には、あらゆる設計のための安定した明確に規定された動作点に収束する。
【0054】
1つの例示的な実施形態では、モードにおいて結合される出力のモード(10nW/モード)当たり10ナノワット(nW)の出力レベルは、第2の光学キャビティに効果的に注入シードするのに十分であり得る。したがって、第2の光学キャビティ内で二次トーンを非線形に混合することによって、約10nWの一次トーン電力を生成することができる。これは、キャビティ内電力の下限の推定値であり、想定される自発放出率、損失、及び他のキャビティパラメータに基づく。
【0055】
図7は、複合共振器を3GHzにわたって調整したときに、8~11GHzの範囲の周波数に対して安定した限界サイクルが得られたことを示す予備計算を示す。内部制御を調節することにより、差動出力周波数を広い周波数レンジにわたって制御することができる。一実施形態では、複合共振器を40GHzにわたって調整して、1~40GHzのRF出力信号を提供することができる。
【0056】
図8aは、ダブレット位相シフタ対φ
2及び-φ
2によって制御された調整可能なダブレット共振を有する結合共振器構造のブロック図を示す。異なる位相シフタを有するデバイスの結合共振器領域が、デバイス調整のために考慮される。この例示的なアーキテクチャにおけるすべてのスプリッタは、50:50の設計である。
図8bは、10GHzのダブレット間隔を有する、
図8aに示したアーキテクチャに準拠した構造によって生成することができる2トーン信号を示す。φ2=0.1πによって有効にされた10GHzのダブレットに関して、結合共振器透過スペクトルが示されている。
図8cは、
図8aのダブレット位相シフタの値のレンジに対して予想される周波数差を示す。異なる値(φ2)に対する周波数ダブレット間隔の変化が示されている。これらの値は、1~40GHz内で分割を調整するための位相シフトのレベルを提供する。一実施例では、位相シフタが、最小の電力を消費し、最小の共振器光損失を引き起こすように構成されている。
【0057】
図9a及び9bは、種々の機能を提供するためにPIC202(
図2a)において使用することができる種々の位相シフタの例示的な図を示している。例えば、
図9aに示されており
図9bに記載されているφ1を使用して、第1の共振器954と導波路960との間の結合を調整することができる。同様に、第2の共振器956と導波路962との間の結合を調整するために、φ3を使用することができる。φ2及び-φ2を使用してダブレット間隔を調整して、光検出器914からの出力RF発振器信号の周波数を調節するための位相シフトのレベルを提供することができる。一実施例では、φ2及び-φ2はPIC202を調整して、前述したように、1GHzと40GHzとの間の出力を提供することができる。しかしながら、これは限定することを意図していない。第1の光学キャビティ及び第2の光学キャビティのためのダブレット間隔及びFSRは、100MHzから200GHzを超える広範囲の出力を提供するように構成することができる。
【0058】
第1の共振器954及び第2の共振器956における共振ミスアライメントは、φ4及びφ5を使用して調節することができる。共振ミスアライメントは、PICの製造における製造誤差によって引き起こされる可能性がある。下側経路960のキャビティ内位相は、φ6を使用して調節することができる。同様に、上側経路962のキャビティ内位相は、φ7を使用して調節することができる。調整可能ミラー924の反射率は、φ8を使用して調節可能である。調整可能ミラー910の反射率は、φ9を使用して調節可能である。各位相シフタに関する電力消費の一例は、
図9bに示されている。この例では、約1.4ワットの総熱電力消費が、位相シフタを調節するために使用される。
【0059】
全体として、
図9aに示された位相シフタのセットは、(1)製造から生じた不均衡または不完全性のトリミング、(2)内部パラメータの調節によるデバイス性能の最適化、及び(3)出力周波数及び位相雑音の制御、に使用することができる。これを反映する制御要素は、
図9bの表に列挙されている。
【0060】
図9bの表に列挙されている例示的な電力消費は、
図9aの例に示されている位相シフタと結び付けられており、多くの可能な制御電力配分のうちの1つを表しているに過ぎない。各位相シフタは、
図2a及び2bに示されている例示的なシステムなど、システム全体の設計仕様及びアーキテクチャに基づいて、より多いまたはより少ない電力量を使用することができる。
【0061】
一実施例では、位相シフタは、PIC202(
図2a)内の導波路上に配置されたヒータを使用して実装することができる。例えば、白金、チタン、ベリリウム、または別の所望の金属などの高い熱容量を有する熱伝導性金属を使用する金属マイクロヒータを使用して、熱光学によって誘起される有効経路長の変化を駆動することができる。
【0062】
図10aは、熱光学によって誘起される有効経路長の変化を駆動するように導波路1068を加熱するために使用される、マイクロヒータ1066の例示的な図を示している。この例では、導波路は、窒化ケイ素(SiN)を用いて形成されている。導波路1068の例示的な図は、
図10cに示されている。導波路1068は、
図10cに示され
図10dで説明されているように、約550ナノメートル(nm)の高さ及び約1500~2000nmの幅を有する。導波路1068は、マイクロヒータ1066が導波路1068の最上層から約1500~2000nm離隔されるように二酸化ケイ素(SiO
2)の層内に入れられている。マイクロヒータ1066は、導波路に沿った長さが約1000~4000nmである。φ2及び-φ2のダブレット調整に使用されるマイクロヒータ1066は、導波路1068に沿った長さが約1000~2000nmであってよい。金属マイクロヒータ1066からの金属吸収による共振器吸収Qが
図10bに示されている。マイクロヒータを使用して、二酸化ケイ素層1070に温度変化を引き起こすことができ、これにより、導波路1068に温度変化が引き起こされる。
図10dに列挙された例示的な値は、1つの例示的なシステムのインスタンス化についてのものであり、限定を意図するものではない。種々の導波路寸法、品質係数、曲げ半径、FSR、導波路スプリッタ長、ヒータ間隔、及び位相シフタ長さを使用して、特定のシステム設計パラメータを達成することができる。
【0063】
図11a及び
図11bの例に示すように、導波路1068内で摂氏100度の温度変化が、約50マイクロ秒で発生する可能性があり、マイクロヒータに適用される80mWの電力レベルでは約0.25πの位相変化が生じる。導波路1068内での摂氏200度の温度変化は、約0.4πの位相変化を生じさせることができる。したがって、
図9bに列挙された電力バジェット内で、位相シフタφ1~φ9(
図9a)における所望の位相変化量を提供するために、マイクロヒータを使用することができる。電力バジェットは、限定することを意図しない。それらは例として示されている。
図10aに示された二酸化ケイ素層1070及びSiN導波路1068におけるマイクロヒータ1066によって引き起こされる温度シフトは、損傷なく生じることが示されている。PIC202内の光学系を較正して調整し、PIC202からの所望の光出力またはRF出力を提供するために、数十ワットの電力を使用して、数十の異なる場所において、熱光学によって誘起される有効経路長の変化を駆動することができる。
【0064】
本発明の一実施形態によれば、フォトニックデュアル共振無線周波数(RF)発振器が開示される。フォトニックデュアル共振RF発振器は、第1のミラーに結合された光利得媒体を有し、利得媒体は、フォトニック集積回路(PIC)に結合されるように構成されている。PICは、PIC内に配置された第1の光学キャビティと、利得媒体内の第1のミラーと第1の調整可能ミラーとの間に第1の光学キャビティを形成する第1の調整可能ミラーと、第1の光学キャビティ内に配置され、第1の光学キャビティに調整可能な周波数間隔を有する2つの一次レーザトーンを生成させる周波数調整可能なキャビティ内デュアルトーン共振器であって、2つの一次レーザトーンが第1の光学キャビティ内に共通の光路を有する、周波数調整可能なキャビティ内デュアルトーン共振器と、調整可能な周波数間隔を提供する1つまたは複数の位相調節器と、を含むことができる。フォトニックデュアル共振RF発振器は、PICに光学的に結合された光検出器をさらに含むことができ、この光検出器は、第1の調整可能ミラーから2つの一次レーザトーンを受信し、これら2つの一次レーザトーンを混合して、2つの一次レーザトーンの調整可能な周波数間隔によって選択された周波数を有するRF出力信号を形成するように構成されている。
【0065】
一実施形態では、PICはさらに、第1の光学キャビティに光学的に結合されているPIC内の第2の光学キャビティと、非線形光学利得を提供するキャビティ内要素と、利得媒体内の第1のミラーと第2の調整可能ミラーとの間に、第2の光路であって、キャビティ内要素を通る第2の光路を形成する第2の調整可能ミラーと、第1または第2のキャビティのうちの1つまたは複数内の位相遅延を動的に調節する1つまたは複数の位相調節器と、を含むことができる。2つの一次レーザトーンは、第1の光学キャビティから第2の光学キャビティに注入することができ、第2の光学キャビティは、キャビティ内要素の非線形光学利得を使用して4波混合(FWM)を生成し、2つの一次トーンから少なくとも2つのサイドトーンを作成し、2つの一次トーンにおける位相ジッタ及びドリフトを低減して、RF出力信号における位相雑音を低減するように構成することができる。
【0066】
一実施形態では、キャビティ内要素は、光利得媒体、第2の調整可能ミラーに光学的に結合された導波路、または第2の調整可能ミラーに光学的に結合された別個の要素のうちの1つまたは複数に配置されている。
【0067】
フォトニックデュアル共振RF発振器は、2つの一次トーンを第1の光学キャビティから第2の光学キャビティに結合するように構成された光カプラをさらに含むことができる。
【0068】
一実施形態では、光検出器は、自由空間結合または導波路結合を介して、フォトニックデュアル共振RF発振器の出力に光学的に結合することができる。代替的に、光検出器をPIC上に設け、第1の調整可能ミラーに光学的に結合することができる。
【0069】
一実施形態では、フォトニックデュアル共振RF発振器は、さらに、PIC内に実装され、光利得媒体内の第1のミラー及び第2の調整可能ミラーに光学的に結合された第1の導波路と、PIC内に実装され、第1の導波路から選択された距離だけ離間して、光レーザ信号を第1の導波路から第1の共振ループ導波路に結合するように構成された第1の共振ループ導波路と、PIC内に実装され、第1の共振ループ導波路から選択された距離だけ離間して、第1の共振ループ導波路からの光レーザ信号を第2の導波路に結合するように構成された第2の共振ループ導波路と、PIC内に実装され、第2の共振ループ導波路から選択された距離だけ離間して、第2の共振ループ導波路からの光レーザ信号を第2の導波路に結合するように構成された第2の導波路であって、第1の調整可能ミラーに光学的に結合されている、第2の導波路と、を含むことができる。
【0070】
位相調節器とも称される1つまたは複数の位相シフタは、第1の導波路に接続されており、かつ第1の導波路と第1の共振ループ導波路との間の光結合を調整するように構成された第1の位相調節器、または、第2の導波路に接続されており、かつ第2の導波路と第2の共振ループ導波路との間の光結合を調整するように構成された第3の位相調節器、または、第1の共振ループ導波路に接続されており、かつ第1の共振ループ導波路内の共振ミスアライメントを調節するように構成された第4の位相調節器、または、第2の共振ループ導波路に接続されており、かつ第2の共振ループ導波路内の共振ミスアライメントを調節するように構成された第5の位相調節器、または、第1の導波路に接続されており、かつ第2の光路のキャビティ内位相を調節するように構成された第6の位相調節器、または、第2の導波路に接続されており、かつ第1の光路のキャビティ内位相を調節するように構成された第7の位相調節器、または、第2の調整可能ミラーに接続されており、かつ第2の調整可能ミラーの反射率を調節するように構成された第8の位相調節器、または、第1の調整可能ミラーに接続されており、かつ第1の調整可能ミラーの反射率を調節するように構成された第9の位相調節器、のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0071】
第1、第3、第4、第5、第6、第7、第8及び第9の位相シフタは、それぞれの導波路において熱光学によって誘起される有効経路長の変化を駆動するために、高い熱容量を有する熱伝導性金属を使用して、第1の導波路、第1の共振ループ導波路、第2の共振ループ導波路または第2の導波路のうちの1つまたは複数に熱的に結合された、金属マイクロヒータからなり得る。熱光学によって誘起される位相調節を提供するために使用されるマイクロヒータの例は、限定を意図したものではない。他のタイプの位相調節器も使用することができる。例えば、導波路などのフォトニック材料が電気光学材料である場合には、位相調節器または位相シフタを電気光学位相シフタとして実装することができる。
【0072】
一実施形態では、1つまたは複数の位相調節器は、第2の共振ループ導波路に結合された第1のダブレット位相調節器と、第1の共振ループ導波路に結合された第2のダブレット位相調節器のうちの1つまたは複数からなり得る。第1のダブレット位相調節器及び第2のダブレット位相調節器は、RF出力の周波数を選択するために、2つの一次レーザトーンの間の光周波数間隔を調整するように構成することができる。
【0073】
一実施形態では、第1のダブレット位相調節器及び第2のダブレット位相調節器は、それぞれの導波路において熱光学によって誘起される有効経路長の変化を駆動するために、高い熱容量を有する熱伝導性金属を使用して、第1の共振器ループ導波路または第2の共振器ループ導波路のうちの1つまたは複数に熱的に結合された、金属マイクロヒータからなり得る。代替的には、第1及び第2のダブレット位相調節器は、電気光学位相シフタ、またはシステムパラメータに基づいて選択された時間内に第1及び第2の共振ループ導波路内の光信号の位相を所望の量だけシフトさせることができる別の所望のタイプの位相シフタを使用して実装することができる。典型的な期間は、25マイクロ秒~200マイクロ秒であり得る。
【0074】
一実施形態によれば、周波数調整可能なキャビティ内デュアルトーン共振器は、第2の光路に光学的に結合された第1の光共振器をさらに含むことができ、第1の光共振器は、第1の位相シフタと、第1の共振器及び第1の光路に光学的に結合された第2の光共振器とを含む。第2の光共振器は、第2の位相シフタを含むことができる。第1の光共振器及び第2の光共振器は、RF出力信号の周波数を選択するダブレット間隔を提供するために、第1及び第2の位相シフタを用いて周波数調整可能として構成可能である。
【0075】
種々の技術、またはその特定の態様または部分は、フロッピディスケット、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、フラッシュドライブ、ハードドライブ、非一時的コンピュータ可読記憶媒体、またはコンピュータなどの機械にプログラムコードがロードされ、実行されるとき、機械が種々の技術を実施する装置となる任意の他の機械可読記憶媒体などの、有形の媒体で具現化されたプログラムコード(すなわち命令)の形態をとることができる。回路は、ハードウェア、ファームウェア、プログラムコード、実行可能コード、コンピュータ命令、及び/またはソフトウェアを含むことができる。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、信号を含まないコンピュータ可読記憶媒体であり得る。プログラマブルコンピュータ上でのプログラムコード実行の場合、コンピューティングデバイスは、プロセッサと、プロセッサによって読み出し可能な記憶媒体(揮発性及び不揮発性のメモリ及び/または記憶素子を含む)と、少なくとも1つの入力デバイスと、少なくとも1つの出力デバイスとを含むことができる。揮発性及び不揮発性のメモリ及び/または記憶素子は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM)、フラッシュドライブ、光学ドライブ、磁気ハードドライブ、ソリッドステートドライブ、または電子データを記憶するための他の媒体であり得る。低エネルギーの固定ロケーションノード、無線デバイス、及びロケーションサーバは、送受信モジュール(すなわち、トランシーバ)、カウンタモジュール(すなわち、カウンタ)、処理モジュール(すなわち、プロセッサ)、及び/またはクロックモジュール(すなわち、クロック)またはタイマモジュール(すなわち、タイマ)も含み得る。本明細書に記載される様々な技術を実施または利用することができる1つまたは複数のプログラムは、アプリケーションプログラミングインタフェース(API)、再利用可能な制御などを使用することができる。そのようなプログラムは、コンピュータシステムと通信するための高水準の手続き型またはオブジェクト指向プログラミング言語で実装することができる。しかしながら、必要に応じて、プログラム(複数可)をアセンブリ言語または機械言語で実装することもできる。いずれの場合でも、言語は、コンパイルまたは解釈された言語であり、ハードウェア実装と組み合わせることができる。
【0076】
本明細書で使用される場合、プロセッサという用語は、汎用プロセッサ、VLSI、FPGAなどの専用プロセッサまたは他の種類の専用プロセッサ、ならびに無線通信を送信、受信及び処理するトランシーバで使用されるベースバンドプロセッサを含むことができる。
【0077】
本明細書に記載されている機能単位の多くは、それらの実装の独立性をより具体的に強調するために、モジュールとしてラベル付けされていることを理解されたい。例えば、モジュールは、カスタム超大規模(VLSI)回路またはゲートアレイ、論理チップ、トランジスタなどの既製の半導体、または他の個別部品を含むハードウェア回路として実装し得る。モジュールはまた、フィールドプログラマブルゲートアレイ、プログラマブルアレイロジック、プログラマブルロジックデバイスなどのプログラマブルハードウェアデバイスに実装され得る。
【0078】
一実施例では、本明細書に記載される機能ユニットを実装するために、複数のハードウェア回路または複数のプロセッサを使用することができる。例えば、第1のハードウェア回路または第1のプロセッサを使用して処理演算を実行することができ、第2のハードウェア回路または第2のプロセッサ(例えば、トランシーバまたはベースバンドプロセッサ)を使用して他のエンティティと通信することができる。第1のハードウェア回路及び第2のハードウェア回路は、単一のハードウェア回路に組み込まれてもよく、または代替的に、第1のハードウェア回路及び第2のハードウェア回路は、別個のハードウェア回路であってもよい。
【0079】
モジュールはまた、様々な種類のプロセッサによる実行のためにソフトウェアで実装され得る。実行可能コードの識別されたモジュールは、例えば、オブジェクト、手順、または機能として例えば編成され得る、コンピュータ命令の1つまたは複数の物理または論理ブロックを含み得る。それにもかかわらず、識別されたモジュールの実行可能ファイルは、物理的に一緒に配置される必要はないが、モジュールを構成する異なる場所に格納された異なる命令を含み、これは論理的に結合されたときに、モジュールの定められた目的を達成し得る。
【0080】
実際、実行可能コードのモジュールは、単一の命令、または多くの命令であり得て、さらにはいくつかの異なるコードセグメントにわたって、異なるプログラム間で、及びいくつかのメモリデバイスにわたっても分散され得る。同様に、動作データは、本明細書ではモジュール内で識別及び示され得て、任意の適切な形式で具体化され、任意の適切な種類のデータ構造内に編成され得る。動作データは、単一のデータセットとして収集され得るか、または異なるストレージデバイスを含む異なる場所に分散され得て、少なくとも部分的に、単にシステムまたはネットワーク上の電子信号として存在することができる。モジュールは、所望の機能を実行するための動作可能なエージェントを含む、パッシブまたはアクティブであり得る。
【0081】
本明細書を通して、「一実施例(an example)」または「例示的(exemplary)」への言及は、実施例に関連して説明されている特定の特徴、構造、または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体の様々な箇所で出現する「一実施例では(in an example)」という語句または「例示的(exemplary)」という単語は、必ずしもすべて同じ実施形態を指しているわけではない。
【0082】
本明細書で使用される場合、便宜上、複数のアイテム、構造要素、組成要素、及び/または材料を1つの共通のリストに提示することができる。しかしながら、これらのリストは、リストのそれぞれの部材が、あたかも個別の一意の部材として個々に識別されているかのように解釈されるべきである。したがって、そのようなリストの如何なる個々の部材も、反対の指示がない限り、これらの部材が1つの共通のグループとして表現されていることのみを根拠として、同じリストの任意の他の部材の事実上の同等物として解釈されるべきではない。加えて、本発明の様々な実施形態及び実施例は、その様々な構成要素の代替物と共に、本明細書で参照され得る。このような実施形態、実施例及び代替形態は、互いの事実上の同等物であると解釈されるべきではなく、本発明の別個の自律的な表現であると見なされるべきであると理解される。
【0083】
さらに、記載した特徴、構造、または特性は、1つまたは複数の実施形態において任意の好適な方法で組み合わせてもよい。以下の説明では、本発明の実施形態を完全に理解するために、レイアウト、距離、ネットワークの例などの多数の具体的な詳細が提供される。しかしながら、当業者であれば、本技術が1つまたは複数の具体的な詳細なしに、または他の方法、構成要素、レイアウトなどを使用して実施され得ることを認識するであろう。他の実施例では、本技術の態様を曖昧にすることを避けるために、よく知られている構造、材料または動作は、示されていないかまたは詳細に記載されていない。
【0084】
上記の実施例は、1つまたは複数の特定の用途における本発明の原理の例示であるが、当業者には、発明の機能の試作無しに、本発明の原理及び概念から逸脱することなく、実装の形態、用途及び詳細に関して多くの変更を行うことができることが明らかであろう。したがって、以下に記載される請求項を除き、本発明を限定することは意図されていない。
【国際調査報告】