(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】ケーブル又はパイプ用のシーリングモジュール、そのようなシーリングモジュールを含む中継システム、及びそのようなシーリングモジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
H02G 3/22 20060101AFI20240719BHJP
H01R 4/64 20060101ALI20240719BHJP
F16L 5/00 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
H02G3/22
H01R4/64 F
F16L5/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579373
(86)(22)【出願日】2022-06-28
(85)【翻訳文提出日】2024-02-19
(86)【国際出願番号】 SE2022050639
(87)【国際公開番号】W WO2023277771
(87)【国際公開日】2023-01-05
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506259461
【氏名又は名称】ロックステック アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】100206335
【氏名又は名称】太田 和宏
(72)【発明者】
【氏名】グルッド ミカエル
【テーマコード(参考)】
5G363
【Fターム(参考)】
5G363AA03
5G363AA09
5G363BA01
5G363BA07
5G363CA05
5G363CA14
5G363CB01
5G363CB11
(57)【要約】
ケーブル(11)又はパイプ用のシーリングモジュール(13)は、少なくとも1つの圧縮性本体(16)と導体(22)を備える。導体(22)が溝(18)内に受け入れられたケーブル(11)又はパイプと電気的に接触し外面(19)への導電路を形成するように、溝(18)から外面(19)まで延在するように導体(22)は配置される。導体(22)は、複数の貫通孔(27)と、該孔(27)を取り囲む導電部分(28)とを有し、孔(27)は導体に沿って長手方向の列に配置され、孔は隣接する孔列における孔に対して長手方向に変位している。また、1以上のシーリングモジュール(13)を備える中継システムを開示する。また、シーリングモジュール(13)の導体(22)としての、エキスパンドメタルメッシュ又はパンチングメタルシートの使用とともに、シーリングモジュール(13)の製造方法も開示する。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブル(11)又はパイプ用のシーリングモジュール(13)であって、
前記シーリングモジュール(13)は少なくとも1つの圧縮性本体(16)と導体(22)を備え、
前記圧縮性本体(16)が外面(19)と、前記ケーブル(11)又はパイプを受けるための溝(18)を有し、
前記導体(22)が、前記溝(18)内に受け入れられたケーブル(11)又はパイプと電気的に接触し外面(19)への導電路を形成するように、溝(18)から外面(19)まで延在するように配置され、
前記導体(22)が、複数の貫通孔(27)と、該孔(27)を取り囲む導電部分(28)とを有し、
前記孔(27)が前記導体(22)に沿って長手方向の列に配置され、
前記孔(27)が、隣接する孔列における孔(27)に対して長手方向に変位している、
シーリングモジュール。
【請求項2】
前記導体(22)は、規則的なパターンの孔(27)及び導電部分(28)を有する、
請求項1記載のシーリングモジュール。
【請求項3】
複数の前記孔(27)のうち少なくとも一部の孔(27)が引き延ばされている、
請求項1又は2記載のシーリングモジュール。
【請求項4】
複数の前記孔(27)のうち少なくとも一部の孔(27)が同じ方向を向いている、
請求項1から3のいずれか記載のシーリングモジュール。
【請求項5】
複数の前記孔(27)のうち少なくとも一部の孔(27)が前記導体(22)の長手方向を向いている、
請求項1から4のいずれか記載のシーリングモジュール。
【請求項6】
複数の前記孔(27)のうち少なくとも一部の孔(27)は、前記導体(22)の長手方向において対向する2つの頂点を有する、
請求項1から5のいずれか記載のシーリングモジュール。
【請求項7】
複数の前記孔(27)のうち少なくとも一部の孔(27)は六角形、平行四辺形、又はひし形である
請求項1から6のいずれか記載のシーリングモジュール。
【請求項8】
前記導電部分(28)は、前記導体(22)の長手方向に向かって傾斜している、
請求項1から7のいずれか記載のシーリングモジュール。
【請求項9】
前記導体(22)は、エキスパンドメタルメッシュのストリップにより形成される、
請求項1から8のいずれか記載のシーリングモジュール。
【請求項10】
前記導電部分(28)は、前記孔(27)を取り囲む突出縁を有する、
請求項1から9のいずれか記載のシーリングモジュール。
【請求項11】
前記導体(22)は、前記溝(18)に対して垂直な方向に延在する、
請求項1から10のいずれか記載のシーリングモジュール。
【請求項12】
前記シーリングモジュール(13)は、2つの対向する圧縮性本体(16)を備え、
前記導体(22)は、少なくとも1つの前記圧縮性本体(16)の周囲に沿って延在する、
請求項11記載のシーリングモジュール。
【請求項13】
前記孔(27)を形成する穿孔ローラ(31)を使用して金属を穿孔することによって前記導体(22)は製造され、
前記孔(27)は穿孔である、
請求項1から12のいずれか記載のシーリングモジュール。
【請求項14】
前記穿孔ローラ(31)は転動方向を有し、
前記転動方向は、前記シーリングモジュール(13)に配置された際の前記導体(22)の横断方向に相当する、
請求項13記載のシーリングモジュール。
【請求項15】
フレーム(20)と、
前記フレーム(20)内に配置された少なくとも1つの請求項1から14のいずれか記載のシーリングモジュール(13)と、
前記フレーム(20)内のシーリングモジュール(13)を圧縮するための圧縮ユニット(14)と、を備える中継システム(10)であって、
前記フレーム(20)は導電性材料からなり、
前記導体(22)は前記フレーム(20)と電気的に接触している、
中継システム。
【請求項16】
複数のシーリングモジュール(13)と、
前記シーリングモジュール(13)の間に配置され、前記フレーム(20)と接触している、導電性材料を含む少なくとも1つのステイプレート(15)と、をさらに備える前記中継システムであって、
前記ステイプレート(15)は前記導体(22)に接触して配置される、
請求項15記載の中継システム。
【請求項17】
メタルシートに切り込みを入れ、前記シートを伸ばしてエキスパンドメタルメッシュを形成し、前記導体(22)を圧縮性本体(16)上に配置することによって前記導体(22)は形成される、
請求項1から16のいずれか記載のシーリングモジュール(13)の製造方法。
【請求項18】
転動方向に動作する穿孔ローラ(31)によって前記導体(22)の孔は形成され、
前記転動方向が前記導体(22)の横断方向に相当するように、前記導体(22)はシーリングモジュール(13)内に配置される、
請求項1から17のいずれか記載のシーリングモジュール(13)の製造方法。
【請求項19】
互いに変位して長手方向の列に配置された孔(27)を有するエキスパンドメタルメッシュ又はパンチングメタルシートのシーリングモジュール(13)の導体(22)としての使用であって、
前記シーリングモジュールは圧縮性本体(16)を備え、
前記圧縮性本体(16)は外面(19)と、ケーブル(11)又はパイプを受けるための溝(18)を有し、
前記導体(22)は、前記溝(18)内に受け入れられたケーブル(11)又はパイプと電気的に接触し外面(19)への導電路を形成するように、溝(18)から外面(19)まで延在するように配置される
使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシーリングモジュールに関する。より具体的には、本発明は、少なくとも1つの圧縮性本体と導体を備えるシーリングモジュールであって、圧縮性本体が外面と、ケーブル又はパイプを受けるための溝を有し、導体が、溝内に受け入れられたケーブル又はパイプと電気的に接触し、外面への導電路を形成するように、溝から外面まで延在するように配置されるシーリングモジュールに関する。この種のシーリングモジュールは、シールド(遮蔽部、保護部。shield)やスクリーン(覆い。screen)、アーマー(装甲。armor)を備えたパイプやケーブルの接地に使用される。本発明はまた、1又は複数のこのようなシーリングモジュールを備える中継(トランジット。transit)システムに関する。さらに、本発明は、このようなシーリングモジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気的にシールド(遮蔽。shielded)されたケーブル、又は、ケーブルスクリーンや(電気的に)導電性材料でできたシールドを有するケーブルは、いくつかの用途を有する。スクリーンの目的として、シールドケーブルを通して伝導される信号の品質を維持することや、ケーブルを通して伝導される信号により引き起こされる電波障害(EMI、electro-magnetic interference)から周囲を保護すること、又はその逆が挙げられる。ケーブルは、ケーブルを覆うアーマーや金属筐体(enclosure)を備えていてもよい。スクリーンやシールドは継続的にそれらの機能を果たし、EMIのケーブルへの伝播・ケーブルからの伝播を防ぎ、それと同時にアーマーはケーブルの損傷を機械的に防止し、突然の故障を防ぐという目的を果たしたり、多くの場合、ケーブルをグランド(アース電位)に接続するために使用され、より深刻な故障を防いだりする。
【0003】
このようなシールドケーブルやアーマード(armored)ケーブルは、構造物を通過する際や、端末処理の際に接地され、これらは例えば、ケーブルを周囲と接続したり、無線周波数干渉(RFI、radio frequency interference)がシールド壁、筐体、隔壁(バルクヘッド。bulkhead)などのシールド構造を通過するのを防ぐ目的がある。
【0004】
本出願の本開示は主に、例えば高電力用途での接地、ボンディングや等電位ボンディング、及び雷保護等、グランドへの接続が必要な場合、及び/又は潜在的に高電流を迂回(diverted away)する必要がある場合の用途に関する。概して、本発明は、高電流伝送能力が必要とされる電気設備に使用され得る。使用される典型的なケーブルの例としては、メタルクラッドケーブル、TECKケーブル、ワイヤードアーマードケーブル(有線装甲ケーブル。wired armoured cable)(例えばSWAケーブル)、ワイヤード編組ケーブル(wired braid cable)(例えばSWBケーブル)が挙げられ、すなわち、危険な環境で使用され得る金属ケーシングを備えた高性能ケーブルなどが挙げられる。
【0005】
いくつかの従来技術において、仕切りを介して中継する場合のケーブルやパイプを接地の解決策について述べられている。そのうちの1つであるWO2012/034988には、少なくとも1つの圧縮性本体と、シーリングモジュール内に配置されたケーブル又はパイプを接地するための導体とを備えるシーリングモジュールが開示されている。
【発明の概要】
【0006】
上記に関して、本発明の目的の1つとして、パイプ又はケーブルを効果的に接地する、改良されたシーリングモジュールを提供することが挙げられる。
【0007】
本発明は、ケーブル又はパイプ用のシーリングモジュールであって、シーリングモジュールが少なくとも1つの圧縮性本体と導体を備え、圧縮性本体が外面と、ケーブル又はパイプを受けるための溝を有し、導体が、溝内に受け入れられたケーブル又はパイプと電気的に接触し外面への導電路を形成するように、溝から外面まで延在するように配置され、導体が、複数の貫通孔と、該孔を取り囲む導電部分とを有し、孔が導体に沿って長手方向の列に配置され、孔が、隣接する孔列における孔に対して長手方向に変位している、シーリングモジュールに関する。導体は、金属などの導電性材料からなる。導体は、孔及び導電部分を形成する、エキスパンドメタルメッシュであってもよい。あるいは、導体は、孔を形成する複数の穿孔を有するパンチングメタル(穿孔金属。perforated metal)からなる。このとき、残りの金属が孔を取り囲む導電部分を形成する。変位列における孔が配置されることにより高効率的な導体が得られ、これらは製造が容易であり、パイプやシールドケーブルやアーマードケーブルの接地の際に効果的な方法で好ましい電気特性を提供するように設計される。導体は、金属箔又は柔軟なメタルシートから形成されてもよい。導体は、規則的なパターンの孔を有していてもよい。
【0008】
シーリングモジュールは長手軸を有しており、この軸に沿って溝が延在し、ケーブルやパイプが配置される。シーリングモジュールはまた、第1の端部と第2の端部を有する。例えば、シーリングモジュールは、2つの対向する分離可能な圧縮性本体を備える。導体は、シーリングモジュールの第1の端部と第2の端部との間に配置されてもよいし、又はこれらの端部の一方又は両方に配置されてもよい。このため、導体は圧縮性本体とケーブルとの間に挟まれてもよい。この際、導体はさらにシーリングモジュールの外側まで延在する。このため、シーリングモジュールの設置後、導体はケーブルやそのシールドやアーマーと係合し、それらに押し付けられる。圧縮性本体(弾力性も有する)と導体の孔を組み合わせることにより、好ましい密閉特性(シール特性。sealing property)と接地特性の両方が得られることがわかっている。導体がケーブル(又はパイプやワイヤ)やシーリングモジュールの形状に適合して、適切な当接を行い、電気的接触やシーリング(密閉。sealing)のための好ましい条件を達成できるように、導体は柔軟性を有していてもよい。
【0009】
複数の孔や、これらの少なくとも一部の孔は、引き延ばされていてもよい。これにより、導体の電気的特性と機械的特性の両方を良好なものにすることができる。複数の孔が引き延ばされ、導体の長手方向等同じ方向を向いていても良く、これは電流を導くための導体の所望の方向でもある。これにより所望の方向への効率的な伝導を行うことができる。同時に、同じ方向における導体の柔軟性を更に向上させると、組み立て特性とシーリング特性を向上することができる。
【0010】
複数の孔や、これらの少なくとも一部の孔は、対向する2つの頂点を有していてもよく、例えばこれらの頂点は長手方向に凸となっている。このような構成により、例えば所望の方向への導電率や、導体の好ましい機械的特性等の好ましい特性が得られることがわかった。例えば、孔は、上記の細長い形状に起因する、正六角形以外の六角形の形状を有してもよい。あるいは、孔は平行四辺形やひし形であってもよく、これらはダイヤ形とも呼ばれ、導電部分が導体の長手方向に向かって傾斜している。このような構成により、電気を所望の方向に好ましい形で導くことができる。導体は、エキスパンドメタルメッシュのストリップにより形成されてもよい。エキスパンドメタルメッシュは、既存の方法を用いてメタルシートに切り込みを入れて引っ張ることにより製造され、必要に応じて従来の平坦化を含んでいてもよい。エキスパンドメタルメッシュは、延伸方向において孔の寸法が短くなり、延伸方向に垂直な横方向おいて孔の寸法が長くなるような延伸方向を有し、各孔は導電部分によって隔てられる。そして、エキスパンドメタルメッシュをストリップ(短冊片。strip)にカットして導体を形成し、この導体は、孔の長手寸法が導体の長手方向となるように圧縮性本体上に配置される。エキスパンドメタルメッシュの導体を形成することにより、高効率的な生産特性と導電特性が得られる。
【0011】
各孔の周囲には突出縁が形成されてもよい。突出縁は、導体の平面に対し略垂直に延在し得る。突出縁はケーブルやパイプに係合してもよい。突出縁により導体の好ましい特性が得られる。突出縁がケーブルやパイプの材料に接触し、部分的に浸入することで接触性が向上すると考えられる。圧縮性本体と係合して圧縮性本体への固定性を向上させるために、反対方向に突出する突出縁を導体に形成してもよい。
【0012】
導体は、溝に対して垂直な方向に延在してもよく、圧縮性本体又はその一部の周囲に沿って延在してもよい。
【0013】
あるいは、例えば穿孔ローラを用いてメタルシートや金属箔を穿孔することによって転動方向を付与し、導体を製造してもよい。転動方向は、シーリングモジュール内に導体が配置される際の導体の長手方向に相当し得る。これにより、例えば所望のパターンと形状を有する孔等の所望の孔を提供しつつ、導体を高効率で製造することができる。さらに、孔の周囲の突出縁も高効率で作成することができる。
【0014】
孔は比較的大きくてもよい。例えば、平面図に示すように、導電部分は導体領域の40から90パーセントをカバーし得る。これにより、材料を節約しつつ高効率な電気的特性及び機械的特性を実現できる。また、導体の厚さは0.1から1mmであり、これにより、孔と組み合わせた際に良好な特性を示す。
【0015】
シーリングモジュールは複数の剥離可能シートを備えてもよく、この剥離可能なシートにより、ケーブルやパイプの外径に合わせて溝の内径が調整可能となり、導体は剥離可能シート上に配置され、柔軟性を備えているため1以上の剥離可能シートを剥離できる。このため、必要に応じて1以上の剥離可能シートを剥がすことができるように、導体を一時的に移動することができ、剥離可能シートを剥がした後で導体は溝内に戻される。例えば、各圧縮性本体は、剥離可能シートの1以上の束(スタック。stack)を有してもよく、一方の圧縮性体の1以上の束は、他方の圧縮性体の1以上の束に対応して面しており、各束は個別に剥離可能である。
【0016】
圧縮性本体は、導体を受けるための凹部を有していてもよい。導体は、凹部の内において部分的にシーリングモジュールの外まで延在する。このため、導体は少なくとも部分的に凹部内に落とし込まれ、より厚い導体が使用可能となる。このため、たとえ比較的薄い導体が圧縮性本体の間に挟まれていたとしても、この凹部により、2つのモジュール半体の形態の圧縮性本体が互いに接触することが可能になる。また、この凹部により、シーリングモジュール内においてを確実に導体の位置を限定することが可能となる。凹部は、溝から外面まで延在してもよく、必要に応じてさらに圧縮性本体の外側に沿って延在してもよい。凹部の幅は導体の幅に相当し、凹部の深さは導体の厚さ全体又は導体の厚さの一部に相当し得る。この凹部により、シーリングモジュールのシーリング(遮蔽)能力を阻害するのを防ぎつつ、導体を配置するこができる。
【0017】
また、本発明は、フレームと、フレーム内に配置された少なくとも1つの本開示のシーリングモジュールと、フレーム内のシーリングモジュールを圧縮するための圧縮ユニットとを備える中継システムであって、フレームが導電性材料からなり、導体がフレームと電気的に接触している、中継システムに関する。導体はフレームと直接接していてもよいし、導体を有する隣接するシーリングモジュールを介してフレームと接するように配置されてもよい。該当する場合、導電性材料からなるステイプレートを介して導体とフレームを電気的に接続してもよい。あるいは、中継システムは、1又は複数のケーブル用の丸型シールであってもよい。
【0018】
また、本発明は、メタルシートに切り込みを入れ、このシートを伸ばしてエキスパンドメタルメッシュを形成し、導体を圧縮性本体上に配置することによって導体が形成される、シーリングモジュールの製造方法に関する。この方法は、シートを延伸方向に伸ばし、導体の長手方向に対して垂直な延伸方向に対してエキスパンドメタルメッシュを配置するステップを含んでもよい。この方法はまた、溝がお互いに面し、導体が2つの圧縮性本体の間に位置するように2つの圧縮性本体を配置するステップを含んでもよい。この方法はまた、押し出しによって圧縮性本体を形成するステップを含んでもよい。
【0019】
また、本発明は、穿孔ローラによって転動方向に導体の孔が形成され、転動方向が導体の長手方向に相当するように導体をシーリングモジュール内に配置する、シーリングモジュールの製造方法に関する。
【0020】
また、本発明は、エキスパンドメタル又はパンチングメタルの、シーリングモジュールの導体としての使用に関し、シーリングモジュールは圧縮性モジュールを備え、圧縮性モジュールは外面と、ケーブル又はパイプを受けるための溝とを有し、導体は、溝内に受け入れられたケーブル又はパイプと電気的に接触し外面への導電路を形成するように、溝から外面まで延在するように配置される。
【0021】
本発明のさらなる目的と利点は、以下の詳細な説明を読めば当業者には明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は一実施形態に係る中継システムの概略斜視図であり、この中継システムは、壁の形態で仕切り(パーティション。partition)内に配置され、圧縮性シーリングモジュール、ステイプレート、及び圧縮ユニットを備える。
【
図2】
図2はシーリングモジュールの従来のシーリングモジュール半体の形態の圧縮性本体の概略斜視図であり、溝及びその剥離可能シートの一般概念を図示する。
【
図3】
図3は
図1の中継システムの一部の一例を示す概略斜視図であり、中継システムを貫通して配置されたケーブルのケーブルシールドと接触する圧縮性本体の導体を図示する。
【
図4】
図4は本発明の別の実施形態に係る導体を備えた圧縮性本体の概略斜視図である。
【
図5】
図5は別の実施形態に係る圧縮性本体の概略斜視図であり、圧縮性本体には剥離可能シート及び導体が設けられる。
【
図6】
図6は本発明のさらに別の実施形態に係る導体及びブラインドを備える圧縮性本体の概略斜視図であり、剥離可能シートが各束で配置される。
【
図7】
図7は本発明の別の実施形態に係る中継システムの概略斜視図である。
【
図8】
図8は導体を備えた圧縮性本体の概略斜視図であり、本発明の一実施形態に係る導体の孔を図示する。
【
図9】
図9は、
図8に係る導体及び剥離可能シートを備える圧縮性本体の概略斜視図である。
【
図10】
図10は、
図8及び
図9の導体を備える圧縮性本体の概略斜視図であり、この導体は圧縮性本体の凹部に配置される。
【
図11】
図11は、さらに別の実施形態に係る圧縮性本体の概略斜視図であり、導体が凹部内に配置され、圧縮性本体に複数の束の剥離可能シートが設けられる。
【
図12】
図12は、一実施形態に係る導体の一部の概略斜視図であり、孔の周囲の突出縁を図示する。
【
図13】
図13は、一実施形態に係る導体を製造するための穿孔ローラの概略斜視図である。
【
図14】
図14は、一実施形態に係る導体の一部分の概略図であり、導体はエキスパンドメタルメッシュで形成されており、導体の長手方向に対するエキスパンドメタルメッシュを製造するための延伸方向を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明をさらに説明するために、複数の実施形態の詳細を添付の図面を参照しながら以下に説明する。実施形態に関する説明は主にケーブル関して行うが、本発明はパイプの接地と接続にも使用できることに留意されたい。
【0024】
図1は、一実施形態に係る、少なくとも1本のケーブル11及び/又は少なくとも1本のパイプを仕切り壁12に通すための中継(トランジット。transit)システム10の概略を図示する。この中継システム10は、1以上のケーブル11及び/又はパイプを例えば壁、床、屋根、天井等の形態の仕切り12に通すように構成される。
図1では、仕切り12は破線で図示されている。例えば、中継システム10は、例えば電気用ケーブル、通信用ケーブル、コンピュータ用ケーブル等のケーブル11や、水、圧縮空気、油圧流体、調理用ガスや他の種類のガスや液体などの様々なガスや液体用のパイプを通すように構成される。ケーブル及び/又はパイプは、中継システム10を貫通して軸方向に導かれる。
【0025】
図1に係る中継システム10は、1つ又は複数のシーリングモジュール(sealing module)13、圧縮ユニット14、及び必要であればステイプレート(stayplate)15を受けるように構成される。シーリングモジュール13は、様々なサイズで構成され、様々なシーリングモジュール13が異なる構成で配置されてもよい。例えば、圧縮ユニット14及びステイプレート15は、該当する場合、従来型のものであってもよい。例えば、圧縮ユニット14は従来のウェッジ(wedge)である。
【0026】
シーリングモジュール13は圧縮可能である。例えば、シーリングモジュール13は弾力性を有し、シーリングモジュール半体(ハーフ。half)の形態の2つの対向する圧縮性本体16を備え、圧縮性本体16は圧縮性シーリングモジュール半体である。必要であれば、
図2に示すように、各圧縮性本体16は半円筒形の溝18内に位置する複数の剥離可能シート17を備える。例えば、各圧縮性本体16は、半円筒形の剥離可能シート17の束を有する。例えば、剥離可能シート17自体は従来型のものであり、溝18の直径がケーブル11又はパイプの外径に適合するように設けられる。
【0027】
必要であれば、ケーブル11やパイプの直径にシーリングモジュール16を適合させるために、適切な数の剥離可能シート17が除かれ、ケーブル11やパイプは圧縮性本体16内に位置し、溝18が互いに向かい合うように2つのモジュール半体16をそれぞれの上に重ねることによってシーリングモジュール13が形成され、ケーブル11やパイプ用の開口が形成される。圧縮性本体16はまた、外面19を有する。シーリングモジュール13は弾力性を有し、適切な材料とは、天然ゴムやEPDMゴム等の合成ゴムであってもよく、これは必要によって追加のフィラー(充填材。filler)を含んでもよいが、TPE等の他の代替物も使用することもできる。
【0028】
図1の実施形態では、中継システム10はフレーム20を備え、必要に応じて1以上のステイプレート15及び圧縮ユニット14とともに、1以上のシーリングモジュール13がフレーム20内に配置される。例えば、フレーム20は、金属等の導電性材料からなる。例えば、フレーム20は従来型のフレームである。ケーブルが配置されない場合には、ゴムやプラスチックのコア(芯。core)等のブラインド21を溝18によって形成された開口に配置して密閉してもよい。ブラインド21は、中にケーブルを配置する前に除かれる。例えば、ブラインド21は従来型のブラインドである。
【0029】
さらに
図3には中継システム10の一部が概略的に図示され、シーリングモジュール13を貫通して配置されるケーブル11を図示するために中継システム10の一部が取り外されている。
図3に示すように、シーリングモジュール13は導体22を備え、これについての詳細は後述する。導体22は、溝18内に配置されたケーブル11を接地するように構成されている。例えば、ケーブルジャケット(外皮。jacket)11aはケーブル11の一部で除かれてケーブルシールド11bが露出し、ケーブルシールド11bは導体22と接触して配置される。フレーム20は、例えば金属などの導電性材料からなり、ケーブル11の接地のために、導体22は、直接、又は導電性材料を含むステイプレート15を介して、又は隣接するシーリングモジュール13の導体22を介して、又は他の電気的な接続を介して、フレーム20と電気的に接触して配置される。例えば、電流は導体22を通じてフレーム20へ迂回する。例えば、もし電流があれば、電流は導体22を有する隣接するシーリングモジュール13やステイプレート15を介して導体22を通じてフレーム20に迂回する。そして、フレーム20は、グランドに接続される集電バーとして機能する。なお、フレーム20内のすべてのシーリングモジュール13に導体22を設ける必要はない。例えば、中継システムにおいて、電流はグランドに到達するまでにいくつかのルートを通って流れる可能性があると、システムの内部抵抗は低くなる。
【0030】
図4~
図6には、様々な実施形態に係るシーリングモジュール13の圧縮性本体16が図示され、
図5及び
図6に示す圧縮性本体16は、剥離可能シート17を備える。圧縮性本体16には、導体22が設けられている。
図4及び
図5において、圧縮性本体16はシーリングモジュール半体として形成され、シーリングモジュール13は2つの圧縮性本体16を備え、この2つの圧縮性本体16は、2つの同一の圧縮性本体16であってもよいし、導体を有する1つの圧縮性本体16と導体22を有さない別の圧縮性本体16であってもよい。つまり、シーリングモジュール13の圧縮性本体16のうちの少なくとも1つは導体22を備える。
【0031】
図5及び
図6を参照すると、どのように圧縮性本体16が圧縮性本体16の第1の端部から第2の端部まで延在する軸方向の半円形の溝18を有しているか、また、材料の剥離可能シート17が溝18内に配置されているかが分かる。
図5及び
図6の実施形態では、ブラインド21は、圧縮性本体16の全長には延在しておらず、特に、導体22が配置されている部分上には延在しない。1以上の実施形態に係るブラインド21は、
図6に図示するように、導体22用の切り抜き(カットアウト。cut-out)部分を有していてもよい。
【0032】
上述のように、圧縮性本体16は外面19を有する。導体22は、溝18から外面19まで延在する。図示する実施形態によれば、導体22は、圧縮性本体16の軸方向の溝18に対して直交するように延在し、多くの場合、溝18及びその中に配置された剥離可能シート17の内周に沿って延在する。例えば、導体22は、溝18のほぼ中央で、上記の長さの第1の端部が第2の端部に面し、導体22がシーリングモジュール13の(通常は使用中にアクセスできない)「内側」を外側に接続するように、圧縮性本体16及びシーリングモジュール13の横方向に、例えば溝18のほぼ中央から、圧縮性本体16の外周の周りの外面19まで延在し、外側は使用中もアクセス可能であり、又は、導体22は少なくともフレーム20、ステイプレート15、接地用配線などの周囲の機器と接触し得る。例えば、溝18内において導体22には隙間(ギャップ。gap)が設けられ、これは例えばシート17の剥離を可能にするための、導体22の一時的な除去を容易にするためである。あるいは、導体22は圧縮性本体16の全周にわたって延在する。あるいは、導体22は圧縮性本体16の全周にわたって延在し、導体22の端部同士は重なり合う。このため、導体22は、少なくとも溝18から圧縮性本体16の外面19まで、その中のケーブル11やパイプと接触して延在し、さらにグランドにも接続され、導体22は、溝18に受け入れられるパイプやケーブル11と電気的に接触し、外面19への導電路を形成する。
【0033】
ケーブル11に使用する場合は、(
図3に図示するように)ごく一部の箇所のケーブルスクリーン(又はシールドやアーマーのうちいずれか該当するもの)を露出させるために、シールドケーブル11の外皮(outer jacket)のごく一部の箇所を剥ぎ取る(stripped)。そして、剥ぎ取った箇所に導体22が当接するように、ケーブル11がシーリングモジュール13内に配置され、適切な電気的な接続がなされる。シーリングモジュール13が圧縮されると、導体22はケーブルシールドに押し付けられる。
図6に図示するように、剥離可能シート17は、第1の端部束17a、中間束17b、及び第2の端部束17cのように束で配置されてもよく、溝18の有効径は、溝18に沿って変化してもよい。例えば、剥離可能シート17は、軸方向に変位する2つ又は3つの束として配置されるか、軸方向に互いに隣り合って配置され、その結果、溝18の直径を、ケーブル11の外皮が除かれた直径縮小箇所等、その異なるセクション(section)に個別に適合させることができる。除かれた剥離可能シート17の枚数は束ごとに異なっていてもよい。このため、剥離可能シート17の各束17a~cにおける溝18の直径は、個別に調整可能となる。
【0034】
シーリングモジュールは、平行六面体形状(又はブロック形状)や円筒形状あり得るが、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内におけるさらに他の形状も予測可能である。
図1~6の実施形態では、圧縮性本体16によって形成されるシーリングモジュール13は、平行六面体の外形を有する。しかし、特許請求の範囲で定義される本発明の範囲内で他の形状も予測可能である。
図7には、別の実施形態による中継システム10が概略的に図示されており、
図7において、シーリングモジュール13は円筒形の外形を有し、1本のケーブル用の丸型シールを形成するための任意の剥離可能シート17を備えた2つの半円筒形又は半環形の圧縮性本体16で形成される。あるいは、
図1~
図6を参照して述べたような形状を有する複数のシーリングモジュール13が丸型シール内の長方形の開口に配置される。
図7の実施形態では、圧縮性本体16の両方に導体22が設けられる。
図7のシーリングモジュール13は、円筒形状である点を除いて、
図1から
図6を参照して上述したシーリングモジュール13と同様である。
図7の中継システムの圧縮ユニットは、シーリングモジュール13を軸方向に圧縮するためのネジ26によって接続された前方及び後方取り付け具24、25によって形成される。
図7の中継システム10は、例えば、スリーブ又は仕切り12の開口に位置される。
【0035】
図8及び
図9には、本発明の一実施形態に係る導体22を備えた圧縮性本体16が概略的に図示されている。本発明によれば、導体22は、複数の貫通孔27と、該孔27を取り囲む導電部分28とを備える。孔27及び導電部分28の明示のため、図面では孔27と導電部分28が拡大されている。このため、実際の孔27と導電部分28はこれらよりも小さくてもよい。導体22は、銅などの金属や、適切な導電性合金を含む他の適切な導電性材料からなる。例えば、導体22は、エキスパンドメタルメッシュやパンチングメタルシートや金属箔である。孔27は、導体22の平面や導体22を形成するメタルシートや金属箔の平面に対して略垂直な貫通開口である。例えば、導電部分28は、切り込みを入れ延伸した後、又は穿孔した後のメタルシートや金属箔の残りの材料である。例えば、導体22は、0.1~1mm又は0.1~0.5mm、例えば0.15~0.35mmの厚さを有する。例えば、導体22はしなやかで柔軟性を有するため圧縮性本体16の周辺において例えば手作業で曲げることができる。例えば、すべての孔27は同様の形状を有し、同一の構成で配置される。あるいは、それぞれの孔は異なる形状を有し、及び/又は異なる構成で配置される。
【0036】
孔27は、導体22に沿った列に配置される。例えば、孔27は、導体22の長手方向に対して垂直な列に配置される。孔27は、隣接する列における孔に対して長手方向に変位されている。孔27は、例えば、規則的なパターンで配置される。例えば、孔27の列は互いに平行であってもよい。このため、導電部分28もまた規則的なパターンで配置される。図示した実施形態において、孔27は引き延ばされるため、孔27の方向に応じて異なる電気的特性及び機械的特性が得られる。孔27及び導電部分28は、導体22の方向への電流の伝導を促進するように構成される。例えば、一部又はすべての孔27が引き延ばされると、この長孔の一部又はすべてが同じ方向に配置され、その方向の電導が促進される。例えば、導電部分28の少なくとも一部は、導体22の長手方向に伸長して延在するか、導体22の長手方向に対して傾斜する。導体22の端部を除き、各導電部分28は、隣接する孔27同士を隔てる。例えば、導電部分28は、導体22の長手軸に近づく方向と離れる方向に交互に傾斜する。例えば、長手軸から離れるように延在する導電部分28は鋭角に延在し、長手軸に向かって延在する導電部分28はそれに対して鋭角に延在する。例えば、導電部分28の各端部は、長手方向に隣接する導電部分と横方向に隣接する導電部分の両方に接続する。
図8及び
図9の実施形態では、孔27及び導電部分28は、シーリングモジュール13の軸方向に対して垂直かつ、溝18に対して垂直な方向における電流の伝導を促進するように構成される。このため、長孔27は、導体22の方向、すなわち導体22の長手方向、及び電流が伝導される方向に配置される。長孔27は、導体22の長手方向において溝18から圧縮性本体16の外面19に延在する長手軸を有する。孔27及び導電部分28の構造は、導体22の横断方向よりも長手方向においてより大きな導電面積が得られるように配置され得る。例えば、孔27及び導電部分28の構造は、導体22の横断方向よりも長手方向において電流の有効経路(effective path)が短くなり、長手方向における電導が促進されるように構成される。長孔27は、例えば、楕円形、三角形、長方形、又は多角形である。例えば、長孔27は、導体22の長手方向に凸となる1つの頂点又は2つの対向する頂点を有する。
図8及び
図9の実施形態では、孔27は、長手軸と、導体22の長手方向に配置された2つの対向する頂点とを有する細長い形状の六角形であり、また、
図8及び
図9の実施形態では、溝18に垂直となっている。孔27は例えば、導体22の長手方向に延在する2つの対向する平行な縁とともに配置される。
【0037】
あるいは、孔27は、円形、正方形、又は別の適切な形状で構成される。
【0038】
図8及び
図9に図示される実施形態によれば、孔27は、導体22の長手方向の電導を促進するように分布している。このため、孔27は、導体22の横断方向よりも長手方向においてより有効な経路を形成する導電部分28を形成するように分布し、これは例えば、長手方向おいてより真っ直ぐでより効果的な経路であり得る。例えば、孔27は、導体22の長手方向及び/又は横断方向において互いに変位される。図示した実施形態において、孔27は横列に配置されており、次の列は横断方向において変位している。図示した実施形態において、孔27は長手方向の列にも配置されており、次の列は長手方向において変位している。例えば、孔27の列はそれぞれ交互に変位している。さらに、孔27の列は互いに重なり合い、ある列の孔27は、隣接する列の孔27の間の位置まで延在する。
図8及び
図9に図示する長六角形の孔27に関して、導電部分28は、延伸ハニカムパターンで配置される。例えば、導電部分28は、長手導電部分と傾斜導電部分を有すし、長手導電部分は、導体22の長手方向に延在し、傾斜導電部分を介して互いに接続される。例えば、傾斜導電部は、長手導電部分に対して40~70度の角度で配置される。例えば、長手導電部分は傾斜導電部分よりも長い。あるいは、孔27は、楕円形や、長平行四辺形などの平行四辺形であり、これらに対応するパターンで配置される。平行四辺形の孔27の場合、例えば導体22の長手方向に対して40~70度の角度で延在する傾斜導電部分のみを有し得る。例えば、平面図に示すように、導電部分28は導体22領域の40から90パーセントをカバーする。
【0039】
図10には、別の実施形態に係る圧縮性本体16が図示されており、この圧縮性本体16には、導体22を受けるための凹部29が形成されている。このため、導体22の全体又は少なくとも一部が凹部29内に配置される。凹部の深さは、例えば導体22の厚さよりも少し薄い。あるいは、凹部29の深さは、導体22の厚さに相当する。凹部29は、圧縮性本体16の製造中に機械加工又はモールド加工されてもよい。図示した実施形態では、凹部29は、圧縮性本体16の中間セクションに配置されている。あるいは、凹部29は、圧縮性本体16の端部セクションに配置される。凹部29は、圧縮性本体16の周囲に沿って延在する。例えば、凹部29は、少なくとも溝18から外面19まで、及び/又は少なくとも外面19に沿って溝18に垂直な方向に延在する。
図10の実施形態では、凹部29は溝18を横切るように延在し得る。例えば、凹部29は圧縮性本体16の全周に亘って連続的して延在する。
【0040】
図11を参照すると、圧縮性本体16には、
図10を参照して上述した凹部29が形成される。さらに、
図11による圧縮性本体には、
図6参照して上述した束17a~cで配置される剥離可能層17が設けられている。このため、剥離可能シート17は各束17a~17cにおいて個別に剥離可能なように構成され、各束は複数の剥離可能シート17を含み、これにより溝18の直径をその異なるセクションに関して個別に変えることができる。例えば、中間セクションの溝18の直径は、ケーブルジャケットが除かれたケーブル11に適合させることができ、溝18の第1及び第2の端部セクションは、ジャケット付きのケーブル11に適合させることができる。このため、溝18の中間セクションは、剥離可能シート17の中間束17bを備え、これは剥離可能シートの第1及び第2の端部束17a、17cを備えた溝18の端部セクションよりも小さい直径を有するケーブル11を受けるように配置され得る。例えば、各圧縮性本体16は、剥離可能シートをちょうど3つのセクション17a~cを備える。例えば、凹部29は、剥離可能シートの中間束17bに対応する溝18セクションから、圧縮性本体16の周囲に沿って該溝18セクションの反対側まで連続的に延在する。
【0041】
図12を参照すると、導体22は、孔27の周囲に配置された突出縁30を備えている。このため、例えば孔27を形成するための穿孔プロセスを用い、孔27の周囲の一部又は全体的において突出縁30を備えるように導電部分28が形成される。突出縁30は、導体22の平面に対し略垂直に延在する。例えば、突出縁30は、圧縮性本体16から離れる方向において半径方向に延在し、ケーブル11と係合するための複数の有効接点を提供し得る。突出縁30は、ケーブル11のケーブルシールドのように、ケーブル11内に部分的に延在し得る。突出縁30は、むらがあってもよく、
図12に図示する尖頂部のような複数の隆起を有していてもよい。あるいは、エキスパンドメタルメッシュを形成するプロセスによって、導体22の平面に略垂直な一方向又は両方向に突出する縁が形成される。
【0042】
図13には、
図8~12に係る導体22を形成するための穿孔ローラ31が概略的に図示される。穿孔ローラ31は、導体22の孔27を形成するための複数の突起32を有する。このため、基本的には、突起32の形状は、孔27の形状に対応する。
【0043】
導体22の孔27に関しては、穿孔ローラ31の突起32は明示するために拡大されており、実際はさらに小さくてもよい。一実施形態によれば、穿孔ローラ31を使用してメタルシート又は金属箔を穿孔することによって導体22が製造される。例えば、メタルシートや金属箔を穿孔し、その後、適切なストリップ(短冊片)にカットして導体22を形成する。あるいは、メタルストリップ(金属短冊片)を穿孔し、このパンチングストリップ(穿孔短冊片。perforated strip)を適切な長さにカットし、導体22を形成する。穿孔ローラ31は転動方向(圧延方向。rolling direction)を有する。例えば、穿孔ローラ31の転動方向は、圧縮性本体16上に配置されたときの導体22の横断方向に相当する。図示した実施形態では、上述のような長孔27を形成するために、(複数の)突起32又はこれらの少なくとも一部は引き延ばされている。このため、孔27について上述したように、突起32は、楕円形、長方形、三角形や、長六角形等の多角形であり、長手軸を有する。突起32の長手軸は、転動方向と直交する方向、すなわち穿孔ローラ31の外周に垂直な方向に延在する。
【0044】
図14には、一実施形態に係る導体22の一部が概略的に図示され、この導体22は、孔27と、孔27を取り囲む導電部分28とを提供するエキスパンドメタルメッシュによって形成される。上述したように、孔27は列に配置される。孔27は、例えば、六角形や平行四辺形であり、これはダイヤ形とも呼ばれる。(複数の)導電部分28又はこれらの少なくとも一部は引き延ばされており、導体22の長手方向に向かって少なくとも部分的に傾斜している。導体22の長手方向は、
図14の矢印Aによって図示される。エキスパンドメタルメッシュは、既存の方法を用いて製造され、これは、メタルシートに切り込みを入れるステップと延伸するステップを含み、必要に応じて平坦化するステップを含んでいてもよい。エキスパンドメタルメッシュを製造する際の延伸方向は、
図14に矢印Bによって図示される。例えば、延伸方向Bは、導体22の長手方向Aに対して垂直となる。孔27の長手寸法が導体22の長手方向に延在するように、
図14の実施形態に係る孔27は長手方向に引き延ばされて配置されている。例えば、孔27の対向する頂点は、導体22の長手方向に配置される。
【国際調査報告】