(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】積層造形用の溶融金属液滴を生成するシステムと方法
(51)【国際特許分類】
B22F 10/22 20210101AFI20240719BHJP
B22F 12/53 20210101ALI20240719BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20240719BHJP
B29C 64/118 20170101ALI20240719BHJP
B29C 64/393 20170101ALI20240719BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20240719BHJP
【FI】
B22F10/22
B22F12/53
B33Y30/00
B29C64/118
B29C64/393
B33Y50/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580389
(86)(22)【出願日】2022-06-25
(85)【翻訳文提出日】2024-02-09
(86)【国際出願番号】 IB2022055913
(87)【国際公開番号】W WO2022269575
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】202141028798
(32)【優先日】2021-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517265923
【氏名又は名称】インディアン インスティチュート オブ サイエンス
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャヤント,ヘマング クマール
(72)【発明者】
【氏名】アロラ,マニッシュ
【テーマコード(参考)】
4F213
4K018
【Fターム(参考)】
4F213AC02
4F213AR06
4F213AR14
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4K018AA14
4K018DA26
(57)【要約】
本開示は、積層造形用システムに関する。システムは、フレームと、フレームとともに構成されたCNCベッドを含む。金属分配機構は、CNCベッド上に金属液滴を排出するように構成される。金属分配機構は、対象物を製造するためにCNCベッドに対して制御可能に移動するように構成される。金属分配機構は、CNCベッド上に金属液滴を制御可能に分配するために、CNCベッドとともに機能的に構成される第1のノズルを含み、ノズルは、金属を有するリザーバとともに流体的に構成される。ピストンは、リザーバとともに構成され、ピストンは、溶融金属がリザーバから第1のノズルに向かって放出されるように、リザーバから溶融金属を押すように構成される。ピストンは、断熱材料で作られ、トランスデューサは、ピストンの機械的なジャーキングを促進してリザーバからの溶融金属の押し出しを容易にするためにピストンとともに構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、
製造される対象物を上に支持するための、前記フレームとともに構成されたコンピュータ数値制御(CNC)ベッドと、
前記CNCベッド上に金属液滴を排出するように構成され、対象物を製造するために前記CNCベッドに対して制御可能に移動するように構成された金属分配機構と
を備え、
前記金属分配機構は、
前記CNCベッド上に金属液滴を制御可能に分配するために前記CNCベッドとともに機能的に構成され、金属を有するリザーバとともに流体的に構成された第1のノズルと、
前記リザーバとともに構成され、溶融金属が前記リザーバから前記第1のノズルに向かって放出されるように前記リザーバから溶融金属を押すように構成され、電気絶縁性の断熱材料で作られたピストンと、
前記ピストンが前記リザーバから溶融金属を排出することができるように前記ピストンとともに構成されたトランスデューサと
を備えた、
積層造形用システム。
【請求項2】
前記断熱材料は、ホウケイ酸ガラスからなる、請求項1に記載の積層造形用システム。
【請求項3】
前記リザーバは、アルミニウムで作られ、金属を受け入れるための金属スプールとともに構成された、請求項1に記載の積層造形用システム。
【請求項4】
前記リザーバ内の金属を溶融するために前記リザーバの周囲に構成された誘導加熱器を備えた、請求項1に記載の積層造形用システム。
【請求項5】
前記トランスデューサは、磁歪トランスデューサと圧電トランスデューサのいずれかである、請求項1に記載の積層造形用システム。
【請求項6】
前記トランスデューサは、前記ピストンの機械的なジャーキングを促進するための入力電圧パルスを受信する電圧源とともに電気的に構成された、請求項1に記載の積層造形用システム。
【請求項7】
対象物を製造するために、前記CNCベッドとともに機能的に構成された第2のノズルを通して前記CNCベッド上にポリマーを押し出すように構成され、前記CNCベッドと前記金属分配機構に対して移動するように構成されたポリマー押出機を備えた、請求項1に記載の積層造形用システム。
【請求項8】
前記ポリマー押出機は、ポリマーを受け入れるためのポリマースプールとともに構成された、請求項7に記載の積層造形用システム。
【請求項9】
前記CNCベッド、前記金属分配機構、前記ポリマー押出機とともに動作可能に組み合わされたコントローラを有し、前記CNCベッド、前記金属分配機構、前記ポリマー押出機の間の相対運動を制御するように構成され、前記CNCベッド、前記金属分配機構、前記ポリマー押出機の一連の動作を制御するように構成された制御ユニットを備えた、請求項1に記載の積層造形用システム。
【請求項10】
対象物は、一連の、前記ポリマー押出機からのポリマーの押出しと、前記金属分配機構からの溶融金属の分配とによって製造されるように構成された、請求項1に記載の積層造形用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、積層造形の分野に関する。より具体的には、本開示は、積層造形用の溶融金属液滴を生成するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
背景の説明には、本発明を理解するのに役立つ情報が含まれている。ここで提供される情報のいずれかが先行技術であること、または現在請求の範囲に記載されている発明に関連していること、または具体的または黙示的に参照されているいずれかの出版物が先行技術であることを認めるものではない。
【0003】
積層造形の分野において、液滴オンデマンドは、金属を多次元で印刷するために小さなサイズの溶融金属液滴を生成する方法の1つである。液滴オンデマンド(DoD)は、複数の手法を使用して実現できる。すべてのこのDoD技術の中で、溶融金属液滴を生成する方法の1つは、アクチュエータを使用することによって金属ピストンを使用して溶融金属を押すことである。DoDを使用すると、アクチュエータは、溶融金属内に保持されているピストンに動きを伝達する。ピストンは、溶融金属を押してノズルから金属を排出する。このプロセスでは、金属が高温で溶融状態にあるため、金属ピストンが溶融金属プールからアクチュエータまたはトランスデューサに熱を伝え、過熱により損傷を与える。また、トランスデューサを損傷から保護するために、高温対応トランスデューサまたはトランスデューサ専用の冷却システムが必要とされる。これにより、積層造形システムの全体的なコストが増加する。
【0004】
また、金属プリンタとポリマープリンタは、その印刷プロセスのため2つの別個の機械として市販されている。金属は、ポリマーの押出温度と比較して高温で印刷される。この温度差により、金属とポリマーを一緒に印刷することはできない。金属と金属印刷の組み合わせの代替として、ポリマーを使用して導電性インクを印刷する導電性インクプリンタが市販されている。このプリンタは、絶縁表面に導電体を印刷して電子コンポーネントを相互接続し、機能する電子回路を作成する。この技術は、その技術と導電性インクの高い電気抵抗のため、低電力電子回路を2Dで印刷する場合に制限される。この制限は、電子回路を3Dおよびより高次元で印刷するためのダイレクトメタルを使用することで解決できる。
【0005】
したがって、上述の問題から解放された積層造形のための改良されたシステムが必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書の少なくとも1つの実施形態が満たす本開示の目的のいくつかは、以下に列挙されるとおりである。
【0007】
本開示の目的は、トランスデューサが溶融金属の熱により受ける損傷から保護されるため、メンテナンスコストが少なくて済む、積層造形用システムを提供することである。
【0008】
本開示の目的は、高温対応トランスデューサまたはトランスデューサ専用の冷却システムを必要とせずに金属の印刷を可能にする、積層造形用システムを提供することである。
【0009】
本開示の目的は、断熱ピストンを使用して導入システムにおける熱損失を低減する、積層造形用システムを提供することである。
【0010】
本開示の目的は、トランスデューサの加熱を防止することにより、溶融金属液滴を生成するための低温での使用に適した多くの他のトランスデューサの使用を可能にする、積層造形用システムを提供することである。
【0011】
本開示の目的は、電子回路をその絶縁体とともに多次元で印刷するため、そして金属とポリマー部分を2D、3Dなどの多次元で印刷するための、金属とポリマーを組み合わせた積層造形システムが可能な、積層造形用システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示は、積層造形の分野に関する。より具体的には、本開示は、積層造形用の溶融金属液滴を生成するシステムに関する。
【0013】
本開示の一態様は、積層造形のためのシステムに関する。システムは、フレームと、製造される対象物を上に支持するための、フレームとともに構成されたコンピュータ数値制御(CNC)ベッドとを含む。CNCベッドは、多次元軸で移動するように構成されている。金属分配機構は、CNCベッド上に金属液滴を排出するように構成されている。金属分配機構は、対象物を製造するためにCNCベッドに対して制御可能に移動するように構成されている。金属分配機構は、CNCベッド上に金属液滴を制御可能に分配するためにCNCベッドとともに機能的に構成されている第1のノズルを含み、ノズルは、金属を有するリザーバとともに流体的に構成されている。ピストンは、リザーバとともに構成され、ピストンは、溶融金属がリザーバから第1のノズルに向かって放出されるように、リザーバから溶融金属を押すように構成されている。ピストンは、断熱性で電気絶縁性の材料で作られており、トランスデューサは、ピストンがリザーバから溶融金属を排出できるように、ピストンとともに構成されている。
【0014】
一態様では、断熱材料は、ホウケイ酸ガラスを含んでいてもよい。
【0015】
一態様では、リザーバは、アルミニウムで作られてもよく、リザーバは、金属を受け入れるための金属スプールとともに構成されている。
【0016】
一態様では、システムは、リザーバ内の金属を溶融するためにリザーバの周囲に構成された誘導加熱器を備えていてもよい。
【0017】
一態様では、システムのトランスデューサは、磁歪トランスデューサと圧電トランスデューサのいずれであってもよい。
【0018】
一態様では、トランスデューサは、ピストンの機械的なジャーキングを促進するための入力電圧パルスを受信する電圧源とともに電気的に構成されている。
【0019】
一態様では、システムは、対象物を製造するために、CNCベッドとともに構成された第2のノズルを通してCNCベッド上にポリマーを押し出すように構成されたポリマー押出機を備えていてもよく、ポリマー押出機は、CNCベッドと金属分配機構に対して移動するように構成されている。。
【0020】
一態様では、ポリマー押出機は、ポリマーを受け入れるためのポリマースプールとともに構成されていてもよい。
【0021】
一態様では、システムは、CNCベッド、金属分配機構、ポリマー押出機とともに動作可能に組み合わされたコントローラを有する制御ユニットを備えていてもよく、制御ユニットは、ベッド、金属分配機構、ポリマー押出機の間の相対運動を制御するように構成されており、制御ユニットは、CNCベッド、金属分配機構、ポリマー押出機の一連の動作を制御するように構成されている。
【0022】
一態様では、対象物は、一連の、ポリマー押出機からのポリマーの押出しと、金属分配機構からの溶融金属の分配とによって製造されるように構成されていてもよい。
【0023】
本発明の主題の様々な目的、特徴、態様、利点は、同様の数字が同様の構成要素を表す添付の図面とともに、好ましい実施形態の以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。
【発明の効果】
【0024】
提案された発明は、トランスデューサが溶融金属の熱により損傷を受けることから保護されることで、コスト効果の高い積層造形用システムを提供するものである。
【0025】
提案された発明は、トランスデューサが溶融金属の熱により損傷を受けることから保護されることで、メンテナンスコストが少なくて済む積層造形用システムを提供するものである。
【0026】
提案された発明は、高温対応トランスデューサやトランスデューサ専用の冷却システムを必要とせずに金属の印刷を可能にする積層造形用システムを提供するものである。
【0027】
提案された発明は、断熱ピストンを使用して誘導加熱システムにおける熱損失を低減する積層造形用システムを提供するものである。
【0028】
提案された発明は、トランスデューサの加熱を防止することにより、溶融金属液滴を生成するために低温での使用に適した他の多くのトランスデューサの使用を可能にすることができる積層造形用システムを提供するものである。
【0029】
提案された発明は、電子回路をその絶縁体とともに多次元で印刷し、金属をポリマー部分とともに多次元で印刷するための、金属とポリマーを組み合わせた積層造形が可能な積層造形用システムを提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
添付の図面は、本開示のさらなる理解を提供するために含まれており、本明細書に組み込まれ、その一部を構成する。図面は本開示の例示的な実施形態を示し、その説明とともに本開示の原理を説明するのに役立つ。図面は、説明のみを目的としており、したがって本開示を限定するものではない。
【0031】
図面において、同様の構成要素および/または特徴は同じ参照符号を有することがある。さらに、同じ種類の様々な構成要素は、参照符号の後に類似の構成要素間を区別する第2の符号を付けることによって区別されてもよい。本明細書において第1の参照符号のみが使用される場合、説明は、第2の参照符号に関係なく同じ第1の参照符号を有する同様の構成要素のいずれか1つに適用可能である。
【0032】
図1は、本開示の一実施形態による金属積層造形用システムの例示的な図を示す。
【0033】
図2は、本開示の一実施形態による金属分配機構の例示的な図を示す。
【0034】
図3は、本開示の一実施形態による金属分配機構内のるつぼの例示的な図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下は、添付の図面に示される本開示の実施形態の詳細な説明である。実施形態は、本開示を明確に伝えることができるほど詳細に記載されている。しかしながら、提供される詳細の総計は、実施形態の予想される変形を制限することを意図したものではなく、それとは逆に、その意図は、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の範囲内にあるすべての変更物、等価物、代替物を網羅することである。
【0036】
以下の説明では、本発明の実施形態の完全な理解を提供するために多くの具体的な詳細が記載される。本発明の実施形態がこの具体的な詳細の一部がなくても実施できることは、当業者には明らかであろう。
【0037】
本開示は、積層造形の分野に関する。より具体的には、本開示は、積層造形用の溶融金属液滴を生成するシステムに関する。
【0038】
本開示は、積層造形用システムについて詳しく述べるものである。システムは、フレームと、製造される対象物を上に支持するための、フレームとともに構成されたコンピュータ数値制御(CNC)ベッドとを含む。CNCベッドは、多次元空間内を移動するように構成され、金属分配機構は、CNCベッド上に金属液滴を排出するように構成されている。金属分配機構は、対象物を製造するためにCNCベッドに対して制御可能に移動するように構成されている。金属分配機構は、CNCベッド上に金属液滴を制御可能に分配するためにCNCベッドとともに機能的に構成されている第1のノズルを含み、ノズルは、金属を有するリザーバとともに流体的に構成されている。ピストンは、リザーバとともに構成され、ピストンは、溶融金属がリザーバから第1のノズルに向かって放出されるように、リザーバから溶融金属を押すように構成されている。ピストンは、断熱性で電気絶縁性の材料で作られており、トランスデューサは、機械的なジャーキングを伝達することによって、ピストンがリザーバから溶融金属を押し出すことができるように、ピストンとともに構成されている。
【0039】
一実施形態では、断熱材料は、ホウケイ酸ガラスを含んでいてもよい。
【0040】
一実施形態では、リザーバは、アルミニウムで作られてもよく、リザーバは、金属を受け入れるための金属スプールとともに構成されている。
【0041】
一実施形態では、システムは、リザーバ内の金属を溶融するためにリザーバの周囲に構成された誘導加熱器を備えていてもよい。
【0042】
一実施形態では、システムのトランスデューサは、磁歪トランスデューサと圧電トランスデューサのいずれであってもよい。
【0043】
一実施形態では、トランスデューサは、ピストンの機械的なジャーキングを促進するための入力電圧パルスを受信するために電圧源とともに電気的に構成されていてもよい。
【0044】
一実施形態では、システムは、対象物を製造するために、CNCベッドとともに機能的に構成された第2のノズルを通してCNCベッド上にポリマーを押し出すように構成されたポリマー押出機を備えていてもよく、ポリマー押出機は、CNCベッドと金属分配機構に対して移動するように構成されている。
【0045】
一実施形態では、ポリマー押出機は、ポリマーを受け入れるためのポリマースプールとともに構成されていてもよい。
【0046】
一実施形態では、システムは、CNCベッド、金属分配機構、ポリマー押出機とともに動作可能に組み合わされたコントローラを有する制御ユニットを備えていてもよく、制御ユニットは、ベッド、金属分配機構、ポリマー押出機の間の相対運動を制御するように構成されており、制御ユニットは、CNCベッド、金属分配機構、ポリマー押出機の一連の動作を制御するように構成されている。
【0047】
一実施形態では、対象物は、一連の、ポリマー押出機からのポリマーの押出しと、金属分配機構からの溶融金属の分配とによって製造されるように構成されていてもよい。
【0048】
図1は、本開示の一実施形態による金属積層造形用システムの例示的な図示す。
【0049】
図2は、本開示の一実施形態による金属分配機構の例示的な図を示す。
【0050】
図3は、本開示の一実施形態による金属分配機構内のるつぼの例示的な図を示す。
【0051】
図示されるように、積層造形用システム100は、フレーム「F」を含んでいてもよい。コンピュータ数値制御(CNC)ベッド118は、フレームFとともに移動可能に構成されていてもよく、CNCベッド118は、その上に製造される対象物を支持するように構成されていてもよい。CNCベッド118は、多次元空間内を移動するように構成されていてもよい。金属分配機構104は、CNCベッド118上に金属液滴を排出するように構成されていてもよい。金属は、銅やアルミニウムなどの任意の低融点導電性金属であってもよいが、これに限定されない。金属分配機構104は、対象物を製造するためにCNCベッド118に対して制御可能に移動するように構成されていてもよい。対象物には、物品や電子回路が含まれていてもよいが、これに限定されない。システム100は、対象物を製造するためにCNCベッド118上にポリマーを押し出すように構成されていてもよいポリマー押出機102を含んでいてもよい。ポリマー押出機102は、CNCベッド118と金属分配機構104に対して移動するように構成されていてもよい。ポリマー押出機102は、ポリマーを受け入れるためのポリマースプール106とともに構成されていてもよい。
【0052】
一実施形態では、金属分配機構104は、CNCベッド118に対して直角に配置されてもよいが、これに限定されない、第1のノズル122を含んでいてもよい。第1のノズル122は、約1~300ミクロンの直径の穴を有していてもよく、CNCベッド118上に金属液滴を制御可能に分配するように構成されていてもよい。第1のノズル122は、ステンレス鋼で作られていてもよいが、これに限定されない。第1のノズル122は、内部に金属を有するリザーバ110とともに流体的に構成されていてもよい。ピストン116は、リザーバ110とともに構成されていてもよく、リザーバ110から溶融金属を押してリザーバ110から第1のノズル122に向かって溶融金属を放出するように構成されていてもよい。ピストン116は、ホウケイ酸ガラスやセラミックなどの断熱材料で作られていてもよいが、これに限定されない。トランスデューサ120は、リザーバ110からの溶融金属の押し出しを容易にするために、ピストンの機械的なジャーキングを促進するように、ピストンとともに構成されている。ポリマー押出機102は、ポリマー押出機102とともに流体的に構成された第2のノズル124を通してCNCベッド118上にポリマーを押し出すように構成されていてもよい。第1のノズル122と第2のノズル124は、CNCベッドとともに機能的に構成されていてもよく、CNCベッドに対して任意の方向に(例えば直交して)構成されていてもよい。第1のノズル122と第2のノズル124の位置は、対象物を製造するために(手動または自動で)変更されてもよい。
【0053】
一実施形態では、リザーバ110は、アルミニウムで作られてもよいが、これに限定されず、リザーバは、金属を受け入れるための金属スプール108とともに構成されていてもよい。システム100は、リザーバ110内の金属を溶融するためにリザーバ110の周囲に構成されていてもよいコイル112を有する誘導加熱器114を含んでいてもよい。トランスデューサ120は、電気信号を機械的運動に変換することができる磁歪材料ベースのトランスデューサや圧電トランスデューサであってもよいが、これに限定されない。トランスデューサ120は、ピストンの機械的なジャーキングを促進するための入力電圧パルスを受信するために電圧源(図示せず)とともに電気的に構成されていてもよい。トランスデューサ120は、電圧パルスを、リザーバ110からの溶融金属の放出を促進するためにピストン116に伝達されてもよい機械的なジャーキングに変換することができる。
【0054】
一実施形態では、CNCベッド118に対して垂直方向におけるトランスデューサ120の機械的なジャーキングは、断熱ピストン116をるつぼまたはリザーバ110に向かって移動させることができる。断熱材料で作られたピストン116は、リザーバ110からの熱伝達によるトランスデューサ120の損傷を防ぐために使用される。断熱ピストン116は、加熱された溶融金属とトランスデューサ120との間の断熱材として機能することができる。波形発生器(電圧源とも呼ばれる)からの各パルスは、第1のノズル122から排出される1つの溶融金属液滴を提供することができる。
【0055】
一実施形態では、多次元で金属を印刷するために、まず、ゼロ電圧スイッチングベースの誘導加熱回路114と誘導コイル112を使用して、金属をリザーバ110内で溶融することができる。低融点の金属(はんだ合金-Sn96.5Ag3.5などであるがこれに限定されない)を使用して、ワークピースを多次元で印刷することができる。金属印刷には、リザーバ110内の溶融金属プールの最適な温度が必要とされる。限定するものではないが、K型熱電対を使用してリザーバ110の温度を維持することができる。温度センサを使用して、リザーバ110の温度データをデータベース内で感知し維持することができ、コンピュータ制御アルゴリズムを使用して、温度データの対応する変化を比較することができる。温度データを使用して、リザーバ110内の溶融金属の所定のレベルを維持することができ、そのレベルに達すると、ピストン116を作動させて、第1のノズル122から溶融金属滴の分配を開始することができる。
【0056】
一実施形態では、第1のノズル122から排出される溶融金属のサイズは、ノズル穴のサイズ、ピストン116と第1のノズル122の間のギャップ126、るつぼ内の溶融金属のレベル、トランスデューサ120に印加されるパルスの振幅、持続時間、周波数、のいずれか、またはそれらの組み合わせに依存することがある。液滴サイズは、最適なサイズの液滴を選択するために議論されたパラメータのいずれかを変更することによって変更されることができる。システムは、金属分配機構104、加熱システム、波形発生器、温度センサ、磁歪トランスデューサ120とともに動作可能に構成されることのできるコントローラを有する制御ユニットを含むことができる。金属液滴の分配は、コントローラを使用して制御されることができる。対象物のタイプには、電子回路、PCB、多次元の対象物が含まれることができるが、これに限定されない。
【0057】
一実施形態では、CNCベッド118は、多軸コンピュータ数値制御(CNC)電動システムと関連付けられることができる。CNCシステムは、空間内のワークピースの移動と配向を3次元で容易にすることができる。制御ユニットは、対象物の設計ファイル(CAD設計ファイル)に基づいて、3次元での作業台の移動と再配向を作動させるように構成されることができる。金属印刷プロセス中に、熱が溶融金属プールからガラスピストンと周囲領域(空気)に伝達される可能性がある。ホウケイ酸ガラスは熱伝導が悪いため、溶融金属プールからトランスデューサ120に熱を伝えない。これにより、熱によるトランスデューサ120の損傷を防ぐことができ、高温対応トランスデューサ120やトランスデューサ専用の冷却システムを必要とせずに金属の印刷を可能にすることができる。
【0058】
一実施形態では、システムは、CNCベッド、金属分配機構、ポリマー押出機とともに動作可能に組み合わされたコントローラを有する制御ユニットを備えていてもよく、制御ユニットは、ベッド、金属分配機構、ポリマー押出機の間の相対運動を制御するように構成されている。制御ユニットは、CNCベッド、金属分配機構、ポリマー押出機の一連の動作を制御するように構成されている。金属-ポリマーの複合印刷中の溶融金属とポリマーとの間の相互作用は単純ではなく、高温の溶融金属がポリマー層を溶融/損傷する可能性があるため、金属分配機構104とポリマー押出機の動作順序を制御することが重要である。ポリマー押出機102は、金属を印刷するためのベースとして、初めにポリマーを押し出すように構成されることができる。
【0059】
一実施形態では、ポリマーには、PLA/ABS(ポリ乳酸/アクリロニトリルブタジエンスチレン)が含まれていてもよいが、これに限定されない。提案された積層造形システムは、誘導加熱器とともに構成された1つ以上の温度感知装置と、第1のノズルと第2のノズルとともに構成された1つ以上の流量感知装置とを含むことができる。1つ以上の温度感知装置と1つ以上の流量感知装置は、コントローラとともに動作可能に構成されることができ、コントローラは、1つ以上の温度感知装置と1つ以上の流量感知装置からの入力に基づいて、誘導加熱器の温度と第1のノズルと第2のノズルの流量制御を制御するように構成されることができる。
【0060】
一実施形態では、誘導加熱器114は、印刷のために金属を加熱するように構成されることができ、ピストン116は、断熱性でもあるため熱くならない。これにより、誘導加熱システムにおける電力損失を低減することができ、トランスデューサ120の加熱を防止することができる。トランスデューサの加熱の防止により、溶融金属の液滴を生成するために低温での使用に適した他の多くのトランスデューサの使用が可能になり、異なる作動トランスデューサシステムの組み合わせとともにホウケイ酸塩ベースのガラスピストン116を使用して、金属積層造形の用途のために溶融金属液滴を生成することができる。
【0061】
一実施形態では、提案されたシステム100は、金属のみを使用した機械部品と、金属を使用した多次元で動作する電子回路を印刷することができる。溶融金属は、金属液滴オンデマンド技術を使用してミクロンサイズの金属液滴を生成することによって、ワークピース/CNCベッド118上に堆積される。提案されたシステム100は、単純で制御が容易な作動機構を提供することができる。一実施形態では、システム100は、追加のポリマー、金属、またはセラミック材料を堆積/押出するための、1つ以上の追加のヘッドを取り付けられることができる。これにより、電子回路や傾斜機能材料を含むがこれに限定されない複数材料部品の製造が可能になる。
【0062】
提案されたシステムは、金属とポリマーを組み合わせた積層造形の用途向けに、溶融金属をミクロンサイズの液滴の形で排出することができる。液滴は、サブミリメートルサイズで低温において生成されることができるため、それによって単一システムでの金属とポリマーの統合された積層造形の分野が開かれる。1つの潜在的な用途は、ポリマーが絶縁体として機能し、金属トラックが受動電子部品と能動電子部品を2D、3D、多次元で相互接続する、電子回路を印刷することである。
【0063】
さらに、明細書を解釈する際には、すべての用語は文脈に沿って可能な限り広範に解釈される必要がある。特に、「構成する」と「構成している」という用語は、非排他的な方法で、要素、コンポーネント、またはステップを指すものとして解釈されるべきであり、参照された要素、コンポーネント、またはステップが、明示的に参照されていない他の要素、コンポーネント、またはステップととともに存在、利用、または組み合わせられる可能性があることを示す。明細書の請求項が、A、B、C・・・、およびNからなるグループから選択されたもののうちの少なくとも1つに言及している場合、本文は、AプラスN、またはBプラスNなどではなく、グループから1つの要素のみを必要とするものとして解釈されるべきである。
【0064】
以上、本発明の様々な実施形態について説明したが、本発明の基本的な範囲から逸脱することなく、本発明の他のさらなる実施形態が工夫されてもよい。本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。本発明は、説明された実施形態、変形例、または実施例に限定されるものではなく、これらは、当業者が利用可能な情報や知識と組み合わせて本発明を実施し使用することができるようにするために含まれている。
【国際調査報告】