(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】牽引アセンブリおよびそのようなアセンブリを備える自動保管システム
(51)【国際特許分類】
F16G 3/00 20060101AFI20240719BHJP
F16G 3/04 20060101ALI20240719BHJP
B65G 1/04 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
F16G3/00 Z
F16G3/04
B65G1/04 555A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023581012
(86)(22)【出願日】2022-06-28
(85)【翻訳文提出日】2024-02-21
(86)【国際出願番号】 EP2022067679
(87)【国際公開番号】W WO2023275018
(87)【国際公開日】2023-01-05
(32)【優先日】2021-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524003013
【氏名又は名称】フィブ・エクセラ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コンスタンティーニ,エリク
(72)【発明者】
【氏名】チェリフ・イドリシ・エル・ガヌニ,ウサマ
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022FF01
3F022JJ13
(57)【要約】
本発明は、-可撓性本体(20)と、本体(20)に埋め込まれた複数の搬送ケーブル(30)とを有するベルトと、-クリートに固定されるように意図された取り付け装置を支持するように構成された少なくとも1つの搬送クリート(40)と、を備える搬送アセンブリ(11)であって、クリート(40)は、複数の搬送ケーブル(30)の全てまたは一部への直接的な機械的接続を有する、搬送アセンブリ(11)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
牽引アセンブリ(10;11;100;1000)であって、
-可撓性本体(20;200;2000)と、本体(20;200;2000)に埋め込まれた複数の牽引ケーブル(30;300;3000)とを有するベルトと、
-少なくとも1つの牽引クリート(40;400;4000)であって、前記クリートに取り付けられるように意図されたフック装置(500;5000)を担持するように構成された少なくとも1つの牽引クリート(40;400;4000)と、
を備え、
クリート(40;400;4000)は、複数の牽引ケーブル(30;300;3000)の全てまたは一部との直接的な機械的接続を有する、牽引アセンブリ(10;11;100;1000)。
【請求項2】
牽引ケーブル(30)はクリート(40)の中を通過する、請求項1に記載の牽引アセンブリ(10)。
【請求項3】
クリート(40)は、牽引ケーブル(30、31;300、301、302)によって囲まれている、請求項1に記載の牽引アセンブリ(11;100)。
【請求項4】
フック装置はラッチである、請求項2または3に記載の牽引アセンブリ(10;11)。
【請求項5】
ベルト本体(200)は2つの部分(201、202)を備え、第1の部分(201)は、第1の接続リング(301)を有する牽引ケーブル(300)を備え、第2の部分(202)は、前記第1の接続リングに嵌合するように構成された第2の接続リング(302)を有する牽引ケーブル(300)を備え、クリート(400)は、第1のリング(301)および第2のリング(302)を通過する2つの部分の間に接続軸を形成する、請求項3に記載の牽引アセンブリ(100)。
【請求項6】
クリート(400)は、第1の端部(401)および第2の端部(402)を備え、その各々はベルト(200)の本体の互いに反対側から突出し、フック装置(500)は、クリート(400)の前記2つの端部(401、402)に取り付けられるように構成されたクリップの形態である、請求項5に記載の牽引アセンブリ。
【請求項7】
ベルト(2000)の本体は、ベルトを形成するために一緒に取り付けられるように構成された複数の部分(2001、2002、2003)を備え、少なくとも1つの部分(2002)はクリート(4000)を備える、請求項1に記載の牽引アセンブリ(1000)。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の牽引アセンブリ(10;11;100;1000)を備える、荷揚システム。
【請求項9】
請求項8に記載のリフトシステムと、牽引アセンブリ(10;11;100;1000)のクリート(40;400;4000)に取り付けられたフック装置(500、5000)と協働するように構成されたフック手段を備える自動案内台車(4)とを備える自動物品保管システム。
【請求項10】
物品(A)を保管するための複数のレベル(2)を有するラック(1)を備える自動物品保管システムであって、前記リフトシステムは、前記保管レベル(2)を接続し、一方の保管レベル(2)から他方の保管レベルへの自動案内台車(4)の通過を可能にすることができる、請求項9に記載の自動物品保管システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積荷を牽引するために使用することができる牽引アセンブリに関する。そのようなアセンブリの可能な用途の1つは、イントロロジスティクスの分野における荷揚システムにおいてである。より詳細には、1つの用途は、自動物品保管システム用のリフトシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
このような自動物品保管システムでは、例えばある保管レベルから別の保管レベルに積荷を渡すために、ラック内の積荷を上げ降ろしするために牽引手段が使用される。
【0003】
既知の牽引装置は、ケーブル、チェーン、およびベルトを含む。ベルトは、柔軟であり、メンテナンスをほとんど必要とせず、静かであるという利点を有する。
【0004】
ベルトは、一般に、
-例えばエラストマー、ポリウレタンまたは熱可塑性樹脂の可撓性本体と、
-可撓性本体に埋め込まれた牽引ケーブルのセットであって、前記コードは、ステンレス鋼、ガラス繊維、複合材などで作製することができる、牽引ケーブルのセット
で構成される。
【0005】
いくつかの用途では、持ち上げられる積荷を引っ掛けるためにベルトの本体にフック手段を取り付ける必要がある場合もあり、持ち上げられる積荷は、例えば、積荷を積荷進入レベルから保管レベルに渡すために自動的に案内される台車である場合もある。
【0006】
このようなフック手段の既存の構成の中でも、可撓性材料に埋め込まれた、または一方の側から他方の側までその中を貫通する金属インサートに取り付けられるように構成されたラッチが知られている。各ラッチは、1つまたは複数のねじによって金属インサートに取り付けられる。
【0007】
この構成の1つの欠点は、可撓性本体の材料に牽引動作中に負荷がかかり、インサートの存在のために、この材料が脆化され、これにより、設置することができる積荷の重量が制限されることである。
【0008】
別の欠点は、インサートおよび/または取付ねじの通過が或る牽引ケーブルを切断する可能性があり、ベルトをさらに脆化させる可能性があるという事実にある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、上述の問題を解決するための牽引アセンブリを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的のために、本発明は、
-可撓性本体と、本体に埋め込まれた複数の牽引ケーブルとを有するベルトと、
-少なくとも1つの牽引クリートであって、前記クリートに取り付けられるように意図されたフック装置を担持するように構成された少なくとも1つの牽引クリートと、
を備える牽引アセンブリであって、
クリートは、複数の牽引ケーブルの全てまたは一部との直接的な機械的接続を有する、牽引アセンブリに関する。
【0011】
直接的な機械的接続とは、クリートと牽引ケーブルとの間の機械的接続を行うために他の要素が使用されないこと、例えば、クリートをケーブルに取り付けるために縫合または他の付属手段が使用されないことを意味する。
【0012】
牽引ケーブルは、単一のコア(例えば、金属)またはコアおよびシース(例えば、エラストマー材料)を含んでもよく、その場合、直接的な機械的接続は、ケーブルシースを介してもよい。
【0013】
クリートと牽引ケーブルとの間の直接的な接続により、積荷が牽引されるときに発生する力が牽引ケーブルによって支持される。結果として、可撓性本体の材料に負荷がかかることはなく、したがって脆化されることはない。したがって、ベルト破損の危険を冒すことなく、自動案内台車などの大きな積荷を持ち上げることが可能になる。
【0014】
或る例示的な実施形態によれば、牽引ケーブルはクリートを通過する。この構成は、製造が容易であるという利点を有する。例えば、クリートの材料が牽引ケーブルの一部を覆うように、クリートは牽引ケーブル上に直接成形することができる。
【0015】
有利には、ケーブルの周りのクリートの保持を補強するためにクリンプが追加されてもよい。
【0016】
或る例示的な実施形態によれば、クリートは牽引ケーブルによって囲まれる。この構成は、牽引ケーブルによって力が支持されるため、非常に大きな堅牢性を有することを可能にする。
【0017】
或る例示的な実施形態では、フック装置はラッチであってもよい。後者は、例えばねじ止めによってクリートに取り付けられる。
【0018】
例示的な実施形態では、ベルト本体は、2つの部分を備えてもよく、第1の部分は、第1の接続リングを有する牽引ケーブルを備え、第2の部分は、前記第1の接続リングに嵌合するように構成された第2の接続リングを有する牽引ケーブルを備え、クリートは、第1のリングおよび第2のリングを通過する2つの部分の間に接続軸を形成する。この構成は、製造の容易さおよび堅牢性という2つの利点を提供する。実際、ベルトの部分は、別々に製造され、次いで、同じく別々に製造されたクリートを組立手段として使用して組み立てられる。さらに、牽引ケーブルが組立リングを介してクリートを取り囲むという事実は、牽引アセンブリの堅牢性を高める。
【0019】
例示的な実施形態によれば、クリートは、第1の端部および第2の端部を備えてもよく、その各々はベルト本体の互いに反対側から突出し、フック装置は、クリートの前記2つの端部に取り付けられるように構成されたクリップの形態である。この取り付けは、ねじ用のクリートに穴を開ける必要がなく、突出端部での取り付けが追加の堅牢性を与えるので、製造が簡単で堅牢である。
【0020】
例示的な実施形態では、ベルト本体は、ベルトを形成するために一緒に取り付けられるように構成された複数の部分を備えてよく、少なくとも1つの部分はクリートを備える。
【0021】
本発明はまた、前述の代替形態の1つによる牽引アセンブリを備える荷揚システムに関する。
【0022】
本発明はまた、上述のようなリフトシステムと、上述のような牽引アセンブリのクリートに取り付けられたフック装置と協働するように構成されたフック手段を備える自動案内台車とを備える自動物品保管システムに関する。
【0023】
有利には、自動物品保管システムは、複数の物品保管レベルを有するラックを備えてもよく、前記リフトシステムは、前記保管レベルを接続し、自動案内台車が1つの保管レベルから別の保管レベルへ通過することを可能にすることができる。
【0024】
本発明のさらなる特徴および利点は、非限定的な例として与えられる添付の図面に関連する以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明による牽引アセンブリの第1の例を表す図である。
【
図2】本発明による牽引アセンブリの第2の例を示す図である。
【
図3】本発明による牽引アセンブリの第2の例を示す図である。
【
図4】本発明による牽引アセンブリの第3の例を示す図である。
【
図5】クリップをさらに備える、
図4の牽引アセンブリによる牽引アセンブリの断面図である。
【
図6】本発明による牽引アセンブリの第4の例を示す図である。
【
図7】本発明による自動保管システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
説明の残りの部分では、同一の構造または同様の機能を有する要素は、同じ参照符号によって指定されてよい。
【0027】
図1は、本発明による牽引アセンブリ10の第1の簡略化された例を概略的に表す。牽引アセンブリ10は、
図1の左側に示されるように、
-可撓性本体20(例えば、エラストマー製)と、本体20に埋め込まれた複数の牽引ケーブル30とを有するベルトと、
-少なくとも1つの牽引クリート40であって、前記クリートに取り付けられるように意図されたフック装置(
図1には示されていない)を担持するように構成された、少なくとも1つの牽引クリート40と、
を備える。
【0028】
本発明によれば、クリート40は、複数のケーブル30の全てまたは一部との直接的な機械的接続を有する。
【0029】
詳細には、軸線X-Xに沿った断面図(
図1の右側)に示すように、この実施形態では、牽引ケーブル30はクリート40の中を通過する。
【0030】
そのような構成は、例えば、材料を溝形または線形金型で成型することによって得られることができる。
【0031】
図2および
図3は、主にクリート40が、クリートの周りにループ31を形成する牽引ケーブル30によって囲まれているという点で、
図1の牽引アセンブリとは異なる牽引アセンブリ11を示している。
【0032】
他の構成要素は、
図1の例に関連して先に示したものと同様であってもよい。
【0033】
図4は、第3の例示的な実施形態を示し、牽引アセンブリ100が、互いに接続されるように意図された少なくとも2つの部分201、202を含む可撓性本体を備える。理解を容易にするために、牽引ケーブル300のみが示されており、それらを取り囲む材料は
図4では見えないが、
図5に示されている。
【0034】
第1の部分201の牽引ケーブル300は、第1の接続リング301を備える。第2の部分202の牽引ケーブル300は第2の接続リング302を備える。
【0035】
接続リングは互いに嵌合するように構成され、クリート400は、第1のリング301および第2のリング302を通過する2つの部分の間に接続軸を形成する。
【0036】
図5に示すように、クリート400は、可撓性本体の一方の側から突出する第1の端部401と、反対側から突出する第2の端部402とを備えてよい。
【0037】
フックシステムは、クリート400の両端401、402に取り付けられるように構成された、クリップの形態のフック装置500を備えてよい。
【0038】
上記の例では、他の形態の取付装置が明らかに可能であるが、本願に記載されている牽引アセンブリの全ての代替例についても可能である。
【0039】
図6は、第3の例示的な実施形態を示し、牽引アセンブリ1000が、本体が複数の部分2001、2002、2003を備えるベルト2000を有する。ベルト部分は、ベルトを形成するために一緒に取り付けられるように構成される。この代替実施形態では、部分2002はクリート4000を備えてよく、クリートは、
図6に見られるように、ピンを受け入れることができる開口部を有してよい。ベルトは、当然ながら、部分2002と同様の複数の部分を備えることができる。
【0040】
この場合、クリートを備える部分は別々に製造され、必要に応じてベルトに追加される。これにより、モジュール式ベルトを得ることが可能になる。例えば、クリートを含む部分(したがって、牽引動作中に高度に負荷がかかる)が疲労の兆候を示していることに気付いた場合、それを簡単に交換することができる。したがって、メンテナンスが容易になる。
【0041】
上述した特性の組み合わせのうちの1つによる牽引システムは、荷揚システムにおいて有利に使用されることができる。
【0042】
図7は、上述のリフトシステムを備える自動物品保管システムの一例を示す。
【0043】
この例の保管システムは、三次元ラック1によって形成されたストックと、複数の自動案内台車4とを備える。ラック1は、複数の保管レベル2を備え、各保管レベル2は、例えば棚2Aの形態で物品を保管するための場所を備えてよい。各保管レベル2は、台車4が物品Aを降ろしたり、取り上げたりするために循環することができる通路2Bをさらに備えることができる。図示されていない例示的な実施形態では、保管レベル2は、自動案内台車4を循環させるための複数の通路を備える場合もある。
【0044】
ラック1は、複数の保管レベル2を接続し、自動案内台車4を1つのレベル2から別のレベルに、または保管レベル2と入口/出口レベルとの間で移動させることを可能にする1つまたは複数のコラム3(例えば、縦穴の形態)をさらに備えてよい。例えば、入口/出口レベルは最低レベル(地上レベル)であってもよいが、最高レベル(屋根)であってもよい。図示されていない例では、最低レベルは入口(または出口)であり、最高レベルは出口(または入口)であってもよい。
【0045】
上述のリフトシステムは、コラム3内に配置されてもよく、本発明による複数の牽引アセンブリを備えてもよい。各牽引アセンブリは、ベルトと、少なくとも1つのクリートと、クリートに取り付けられた1つまたは複数のフック装置とを備える。フック装置は、異なる形状、例えば、
図5に示すようなクリップの形状またはラッチの形状を有することができる。
【0046】
台車を持ち上げることを可能にするために、各自動案内台車4は、フック装置と協働するように構成されたフック手段を備える。
【0047】
コラム3は、ベルトをコラムに沿って移動させることを可能にするモータ駆動手段をさらに備え、それによって台車4をある保管レベルから別の保管レベルに垂直方向に移動させる。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積荷を牽引するために使用することができる牽引アセンブリに関する。そのようなアセンブリの可能な用途の1つは、イントロロジスティクスの分野における荷揚システムにおいてである。より詳細には、1つの用途は、自動物品保管システム用のリフトシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
このような自動物品保管システムでは、例えばある保管レベルから別の保管レベルに積荷を渡すために、ラック内の積荷を上げ降ろしするために牽引手段が使用される。
【0003】
既知の牽引装置は、ケーブル、チェーン、およびベルトを含む。ベルトは、柔軟であり、メンテナンスをほとんど必要とせず、静かであるという利点を有する。
【0004】
ベルトは、一般に、
-例えばエラストマー、ポリウレタンまたは熱可塑性樹脂の可撓性本体と、
-可撓性本体に埋め込まれた牽引ケーブルのセットであって、前記コードは、ステンレス鋼、ガラス繊維、複合材などで作製することができる、牽引ケーブルのセット
で構成される。
【0005】
いくつかの用途では、持ち上げられる積荷を引っ掛けるためにベルトの本体にフック手段を取り付ける必要がある場合もあり、持ち上げられる積荷は、例えば、積荷を積荷進入レベルから保管レベルに渡すために自動的に案内される台車である場合もある。
【0006】
このようなフック手段の既存の構成の中でも、可撓性材料に埋め込まれた、または一方の側から他方の側までその中を貫通する金属インサートに取り付けられるように構成されたラッチが知られている。各ラッチは、1つまたは複数のねじによって金属インサートに取り付けられる。
【0007】
この構成の1つの欠点は、可撓性本体の材料に牽引動作中に負荷がかかり、インサートの存在のために、この材料が脆化され、これにより、設置することができる積荷の重量が制限されることである。
【0008】
別の欠点は、インサートおよび/または取付ねじの通過が或る牽引ケーブルを切断する可能性があり、ベルトをさらに脆化させる可能性があるという事実にある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、上述の問題を解決するための牽引アセンブリを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的のために、本発明は、
-可撓性本体と、本体に埋め込まれた複数の牽引ケーブルとを有するベルトと、
-少なくとも1つの牽引クリートであって、前記クリートに取り付けられるように意図されたフック装置を担持するように構成された少なくとも1つの牽引クリートと、
を備える牽引アセンブリであって、
クリートは、複数の牽引ケーブルの全てまたは一部との直接的な機械的接続を有する、牽引アセンブリに関する。
【0011】
直接的な機械的接続とは、クリートと牽引ケーブルとの間の機械的接続を行うために他の要素が使用されないこと、例えば、クリートをケーブルに取り付けるために縫合または他の付属手段が使用されないことを意味する。
【0012】
牽引ケーブルは、単一のコア(例えば、金属)またはコアおよびシース(例えば、エラストマー材料)を含んでもよく、その場合、直接的な機械的接続は、ケーブルシースを介してもよい。
【0013】
クリートと牽引ケーブルとの間の直接的な接続により、積荷が牽引されるときに発生する力が牽引ケーブルによって支持される。結果として、可撓性本体の材料に負荷がかかることはなく、したがって脆化されることはない。したがって、ベルト破損の危険を冒すことなく、自動案内台車などの大きな積荷を持ち上げることが可能になる。
【0014】
或る例示的な実施形態によれば、牽引ケーブルはクリートを通過する。この構成は、製造が容易であるという利点を有する。例えば、クリートの材料が牽引ケーブルの一部を覆うように、クリートは牽引ケーブル上に直接成形することができる。
【0015】
有利には、ケーブルの周りのクリートの保持を補強するためにクリンプが追加されてもよい。
【0016】
或る例示的な実施形態によれば、クリートは牽引ケーブルによって囲まれる。この構成は、牽引ケーブルによって力が支持されるため、非常に大きな堅牢性を有することを可能にする。
【0017】
或る例示的な実施形態では、フック装置はラッチであってもよい。後者は、例えばねじ止めによってクリートに取り付けられる。
【0018】
例示的な実施形態では、ベルト本体は、2つの部分を備えてもよく、第1の部分は、第1の接続リングを有する牽引ケーブルを備え、第2の部分は、前記第1の接続リングに嵌合するように構成された第2の接続リングを有する牽引ケーブルを備え、クリートは、第1のリングおよび第2のリングを通過する2つの部分の間に接続軸を形成する。この構成は、製造の容易さおよび堅牢性という2つの利点を提供する。実際、ベルトの部分は、別々に製造され、次いで、同じく別々に製造されたクリートを組立手段として使用して組み立てられる。さらに、牽引ケーブルが組立リングを介してクリートを取り囲むという事実は、牽引アセンブリの堅牢性を高める。
【0019】
例示的な実施形態によれば、クリートは、第1の端部および第2の端部を備えてもよく、その各々はベルト本体の互いに反対側から突出し、フック装置は、クリートの前記2つの端部に取り付けられるように構成されたクリップの形態である。この取り付けは、ねじ用のクリートに穴を開ける必要がなく、突出端部での取り付けが追加の堅牢性を与えるので、製造が簡単で堅牢である。
【0020】
例示的な実施形態では、ベルト本体は、ベルトを形成するために一緒に取り付けられるように構成された複数の部分を備えてよく、少なくとも1つの部分はクリートを備える。
【0021】
本発明はまた、前述の代替形態の1つによる牽引アセンブリを備える荷揚システムに関する。
【0022】
本発明はまた、上述のようなリフトシステムと、上述のような牽引アセンブリのクリートに取り付けられたフック装置と協働するように構成されたフック手段を備える自動案内台車とを備える自動物品保管システムに関する。
【0023】
有利には、自動物品保管システムは、複数の物品保管レベルを有するラックを備えてもよく、前記リフトシステムは、前記保管レベルを接続し、自動案内台車が1つの保管レベルから別の保管レベルへ通過することを可能にすることができる。
【0024】
本発明のさらなる特徴および利点は、非限定的な例として与えられる添付の図面に関連する以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明による牽引アセンブリの第1の例を表す図である。
【
図2】本発明による牽引アセンブリの第2の例を示す図である。
【
図3】本発明による牽引アセンブリの第2の例を示す図である。
【
図4】本発明による牽引アセンブリの第3の例を示す図である。
【
図5】クリップをさらに備える、
図4の牽引アセンブリによる牽引アセンブリの断面図である。
【
図6】本発明による牽引アセンブリの第4の例を示す図である。
【
図7】本発明による自動保管システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
説明の残りの部分では、同一の構造または同様の機能を有する要素は、同じ参照符号によって指定されてよい。
【0027】
図1は、本発明による牽引アセンブリ10の第1の簡略化された例を概略的に表す。牽引アセンブリ10は、
図1の左側に示されるように、
-可撓性本体20(例えば、エラストマー製)と、本体20に埋め込まれた複数の牽引ケーブル30とを有するベルトと、
-少なくとも1つの牽引クリート40であって、前記クリートに取り付けられるように意図されたフック装置(
図1には示されていない)を担持するように構成された、少なくとも1つの牽引クリート40と、
を備える。
【0028】
本発明によれば、クリート40は、複数のケーブル30の全てまたは一部との直接的な機械的接続を有する。
【0029】
詳細には、軸線X-Xに沿った断面図(
図1の右側)に示すように、この実施形態では、牽引ケーブル30はクリート40の中を通過する。
【0030】
そのような構成は、例えば、材料を溝形または線形金型で成型することによって得られることができる。
【0031】
図2および
図3は、主にクリート40が、クリートの周りにループ31を形成する牽引ケーブル30によって囲まれているという点で、
図1の牽引アセンブリとは異なる牽引アセンブリ11を示している。
【0032】
他の構成要素は、
図1の例に関連して先に示したものと同様であってもよい。
【0033】
図4は、第3の例示的な実施形態を示し、牽引アセンブリ100が、互いに接続されるように意図された少なくとも2つの部分201、202を含む可撓性本体を備える。理解を容易にするために、牽引ケーブル300のみが示されており、それらを取り囲む材料は
図4では見えないが、
図5に示されている。
【0034】
第1の部分201の牽引ケーブル300は、第1の接続リング301を備える。第2の部分202の牽引ケーブル300は第2の接続リング302を備える。
【0035】
接続リングは互いに嵌合するように構成され、クリート400は、第1のリング301および第2のリング302を通過する2つの部分の間に接続軸を形成する。
【0036】
図5に示すように、クリート400は、可撓性本体の一方の側から突出する第1の端部401と、反対側から突出する第2の端部402とを備えてよい。
【0037】
フックシステムは、クリート400の両端401、402に取り付けられるように構成された、クリップの形態のフック装置500を備えてよい。
【0038】
上記の例では、他の形態の取付装置が明らかに可能であるが、本願に記載されている牽引アセンブリの全ての代替例についても可能である。
【0039】
図6は、第4の例示的な実施形態を示し、牽引アセンブリ1000が、本体が複数の部分2001、2002、2003を備えるベルト2000を有する。ベルト部分は、ベルトを形成するために一緒に取り付けられるように構成される。この代替実施形態では、部分2002はクリート4000を備えてよく、クリートは、
図6に見られるように、ピンを受け入れることができる開口部を有してよい。ベルトは、当然ながら、部分2002と同様の複数の部分を備えることができる。
【0040】
この場合、クリートを備える部分は別々に製造され、必要に応じてベルトに追加される。これにより、モジュール式ベルトを得ることが可能になる。例えば、クリートを含む部分(したがって、牽引動作中に高度に負荷がかかる)が疲労の兆候を示していることに気付いた場合、それを簡単に交換することができる。したがって、メンテナンスが容易になる。
【0041】
上述した特性の組み合わせのうちの1つによる牽引システムは、荷揚システムにおいて有利に使用されることができる。
【0042】
図7は、上述のリフトシステムを備える自動物品保管システムの一例を示す。
【0043】
この例の保管システムは、三次元ラック1によって形成されたストックと、複数の自動案内台車4とを備える。ラック1は、複数の保管レベル2を備え、各保管レベル2は、例えば棚2Aの形態で物品を保管するための場所を備えてよい。各保管レベル2は、台車4が物品Aを降ろしたり、取り上げたりするために循環することができる通路2Bをさらに備えることができる。図示されていない例示的な実施形態では、保管レベル2は、自動案内台車4を循環させるための複数の通路を備える場合もある。
【0044】
ラック1は、複数の保管レベル2を接続し、自動案内台車4を1つのレベル2から別のレベルに、または保管レベル2と入口/出口レベルとの間で移動させることを可能にする1つまたは複数のコラム3(例えば、縦穴の形態)をさらに備えてよい。例えば、入口/出口レベルは最低レベル(地上レベル)であってもよいが、最高レベル(屋根)であってもよい。図示されていない例では、最低レベルは入口(または出口)であり、最高レベルは出口(または入口)であってもよい。
【0045】
上述のリフトシステムは、コラム3内に配置されてもよく、本発明による複数の牽引アセンブリを備えてもよい。各牽引アセンブリは、ベルトと、少なくとも1つのクリートと、クリートに取り付けられた1つまたは複数のフック装置とを備える。フック装置は、異なる形状、例えば、
図5に示すようなクリップの形状またはラッチの形状を有することができる。
【0046】
台車を持ち上げることを可能にするために、各自動案内台車4は、フック装置と協働するように構成されたフック手段を備える。
【0047】
コラム3は、ベルトをコラムに沿って移動させることを可能にするモータ駆動手段をさらに備え、それによって台車4をある保管レベルから別の保管レベルに垂直方向に移動させる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動物品保管システムに適した荷揚システムであって、荷揚システムは牽引アセンブリ(10;11;100;1000)を備え、牽引アセンブリは、
-可撓性本体(20;200;2000)と、本体(20;200;2000)に埋め込まれた複数の牽引ケーブル(30;300;3000)とを有するベルトと、
-少なくとも1つの牽引クリート(40;400;4000)であって、前記クリートに取り付けられるように意図されたフック装置(500;5000)を担持するように構成された少なくとも1つの牽引クリート(40;400;4000)と、
を備え、
クリート(40;400;4000)は、複数の牽引ケーブル(30;300;3000)の全てまたは一部との直接的な機械的接続を有する、荷揚システム。
【請求項2】
牽引ケーブル(30)はクリート(40)の中を通過する、請求項1に記載の荷揚システム。
【請求項3】
クリート(40)は、牽引ケーブル(30、31;300、301、302)によって囲まれている、請求項1に記載の荷揚げシステム。
【請求項4】
フック装置はラッチである、請求項2または3に記載の荷揚システム。
【請求項5】
ベルト本体(200)は2つの部分(201、202)を備え、第1の部分(201)は、第1の接続リング(301)を有する牽引ケーブル(300)を備え、第2の部分(202)は、前記第1の接続リングに嵌合するように構成された第2の接続リング(302)を有する牽引ケーブル(300)を備え、クリート(400)は、第1のリング(301)および第2のリング(302)を通過する2つの部分の間に接続軸を形成する、請求項3に記載の荷揚システム。
【請求項6】
クリート(400)は、第1の端部(401)および第2の端部(402)を備え、その各々はベルト(200)の本体の互いに反対側から突出し、フック装置(500)は、クリート(400)の前記2つの端部(401、402)に取り付けられるように構成されたクリップの形態である、請求項5に記載の荷揚システム。
【請求項7】
ベルト(2000)の本体は、ベルトを形成するために一緒に取り付けられるように構成された複数の部分(2001、2002、2003)を備え、少なくとも1つの部分(2002)はクリート(4000)を備える、請求項1に記載の荷揚システム。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載のリフトシステムと、牽引アセンブリ(10;11;100;1000)のクリート(40;400;4000)に取り付けられたフック装置(500、5000)と協働するように構成されたフック手段を備える自動案内台車(4)とを備える自動物品保管システム。
【請求項9】
物品(A)を保管するための複数のレベル(2)を有するラック(1)を備える自動物品保管システムであって、前記リフトシステムは、前記保管レベル(2)を接続し、一方の保管レベル(2)から他方の保管レベルへの自動案内台車(4)の通過を可能にすることができる、請求項9に記載の自動物品保管システム。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動物品保管システムに適した荷揚システムであって、荷揚システムは牽引アセンブリ(10;11;100;1000)を備え、牽引アセンブリは、
-可撓性本体(20;200;2000)と、本体(20;200;2000)に埋め込まれた複数の牽引ケーブル(30;300;3000)とを有するベルトと、
-少なくとも1つの牽引クリート(40;400;4000)であって、前記クリートに取り付けられるように意図されたフック装置(500;5000)を担持するように構成された少なくとも1つの牽引クリート(40;400;4000)と、
を備え、
クリート(40;400;4000)は、複数の牽引ケーブル(30;300;3000)の全てまたは一部との直接的な機械的接続を有する、荷揚システム。
【請求項2】
牽引ケーブル(30)はクリート(40)の中を通過する、請求項1に記載の荷揚システム。
【請求項3】
クリート(40)は、牽引ケーブル(30、31;300、301、302)によって囲まれている、請求項1に記載の荷揚げシステム。
【請求項4】
フック装置はラッチである、請求項2
に記載の荷揚システム。
【請求項5】
ベルト本体(200)は2つの部分(201、202)を備え、第1の部分(201)は、第1の接続リング(301)を有する牽引ケーブル(300)を備え、第2の部分(202)は、前記第1の接続リングに嵌合するように構成された第2の接続リング(302)を有する牽引ケーブル(300)を備え、クリート(400)は、第1のリング(301)および第2のリング(302)を通過する2つの部分の間に接続軸を形成する、請求項3に記載の荷揚システム。
【請求項6】
クリート(400)は、第1の端部(401)および第2の端部(402)を備え、その各々はベルト(200)の本体の互いに反対側から突出し、フック装置(500)は、クリート(400)の前記2つの端部(401、402)に取り付けられるように構成されたクリップの形態である、請求項5に記載の荷揚システム。
【請求項7】
ベルト(2000)の本体は、ベルトを形成するために一緒に取り付けられるように構成された複数の部分(2001、2002、2003)を備え、少なくとも1つの部分(2002)はクリート(4000)を備える、請求項1に記載の荷揚システム。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載のリフトシステムと、牽引アセンブリ(10;11;100;1000)のクリート(40;400;4000)に取り付けられたフック装置(500、5000)と協働するように構成されたフック手段を備える自動案内台車(4)とを備える自動物品保管システム。
【請求項9】
物品(A)を保管するための複数のレベル(2)を有するラック(1)を備える自動物品保管システムであって、前記リフトシステムは、前記保管レベル(2)を接続し、一方の保管レベル(2)から他方の保管レベルへの自動案内台車(4)の通過を可能にすることができる、請求項
8に記載の自動物品保管システム。
【国際調査報告】