(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】揮発性組成物ディスペンサのためのフック
(51)【国際特許分類】
B65D 85/00 20060101AFI20240719BHJP
A61L 9/12 20060101ALI20240719BHJP
B65D 83/00 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
B65D85/00 A
A61L9/12
B65D83/00 F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500276
(86)(22)【出願日】2021-07-09
(85)【翻訳文提出日】2024-01-05
(86)【国際出願番号】 CN2021105433
(87)【国際公開番号】W WO2023279360
(87)【国際公開日】2023-01-12
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100221729
【氏名又は名称】中尾 圭介
(72)【発明者】
【氏名】チョ、メイ・サン・ギギ
(72)【発明者】
【氏名】ラジュワニ、バヴェシュ
(72)【発明者】
【氏名】ヤオ、シジン
(72)【発明者】
【氏名】イェ、ジアハオ
【テーマコード(参考)】
3E068
4C180
【Fターム(参考)】
3E068AA40
3E068CC03
3E068CE03
3E068DD08
3E068DD30
3E068DE02
3E068EE40
4C180AA02
4C180AA03
4C180AA07
4C180AA14
4C180AA16
4C180AA18
4C180BB11
4C180BB15
4C180CA06
4C180CA08
4C180FF06
4C180JJ01
(57)【要約】
揮発性組成物ディスペンサ(1)のためのフック(10)。フック(10)は、内部空間内の支持体にフック(10)を搭載するための搭載部分(16)と、搭載部分(16)から延在する本体部分(18)とを有する。本体部分(18)は、把持部分(20)と、ディスペンサ(1)のハウジング(2)内の少なくとも1つのアパーチャ(4)に解放可能に係合するように適合されたアパーチャ係合部分(22)とを有する。本体部分(18)は、把持部分(20)における第1の幅W1、及びアパーチャ係合部分(22)における第2の幅W2によって特徴付けられ、第1の幅W1と第2の幅W2との比は、1.5:1より大きい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
揮発性組成物ディスペンサ(1)のためのフック(10)であって、
前記フック(10)の上端部(12)と下端部(14)との間でフック(1)の長さ(L0)に沿って延在する中心長手方向軸(Yc)と、
前記中心長手方向軸(Yc)を含む平面(161)と、
内部空間内の支持体に前記フック(10)を搭載するための、前記上端部(12)にある搭載部分(16)と、
前記搭載部分(16)から前記下端部(14)まで延在する本体部分(18)と、を備え、
前記本体部分(18)は、把持部分(20)と、前記ディスペンサ(1)のハウジング(2)内の少なくとも1つのアパーチャ(4)に解放可能に係合するように適合されたアパーチャ係合部分(22)と、を備え、
前記本体部分(18)は、前記把持部分(20)における第1の幅W1、及び前記アパーチャ係合部分(22)における第2の幅W2によって特徴付けられ、前記第1の幅W1と前記第2の幅W2との比は、1.5:1より大きい、フック(10)。
【請求項2】
前記フック(10)の長さと前記アパーチャ係合部分(LA)の長さとの比、L0:LAが1以上であることによって特徴付けられる、請求項1に記載のフック(10)。
【請求項3】
前記搭載部分(16)の少なくとも一部は、前記中心長手方向軸(Yc)を含む前記平面(161)に平行であるか、又は前記中心長手方向軸(Yc)を含む前記平面(161)内にある、請求項1又は2に記載のフック(10)。
【請求項4】
前記本体部分(18)は、前記ハウジング(2)の外部の少なくとも一部に接触するように構成された係合表面(241)を有するハウジング係合部(24)をさらに備え、前記ハウジング係合部(24)は、前記把持部分(20)と前記アパーチャ係合部分(22)との間に配置されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のフック(10)。
【請求項5】
前記係合表面(241)は、前記中心長手方向軸(Yc)を含む前記平面(161)内にある、請求項4に記載のフック(10)。
【請求項6】
前記係合表面(241)は、前記中心長手方向軸(Yc)を含む前記平面(161)に対して傾斜して、前記本体部分(18)の傾斜部を画定し、前記傾斜部は、10°~90°、好ましくは20°~80°、より好ましくは25°~75°の角度(θ)によって特徴付けられる、請求項4に記載のフック(10)。
【請求項7】
前記アパーチャ係合部分(22)の形状は、前記少なくとも1つのアパーチャ(4)の輪郭に対応する、請求項1~6のいずれか一項に記載のフック(10)。
【請求項8】
前記アパーチャ係合部分(22)は、前記ディスペンサ(1)の前記ハウジング(2)内の前記少なくとも1つのアパーチャ(4)に解放可能に係合するように構成された突出部(221)を備える、請求項1~7のいずれか一項に記載のフック(10)。
【請求項9】
前記突出部(221)は、少なくとも1つの弾性側壁(222)を備える、請求項8に記載のフック(10)。
【請求項10】
前記アパーチャ係合部分(22)は、前記ディスペンサ(1)の前記ハウジング(2)内の前記少なくとも1つのアパーチャ(4)を取り囲む周辺部に解放可能に係合するように構成された、前記少なくとも1つの弾性側壁(222)上に円周方向に配置された複数の突出部(224)を備える、請求項9に記載のフック(10)。
【請求項11】
前記フック(10)は、熱可塑性材料で作られ、好ましくは、前記熱可塑性材料は、0.9~1.1GPaの弾性率によって特徴付けられる、請求項1~10のいずれか一項に記載のフック(10)。
【請求項12】
揮発性組成物ディスペンサ(1)と、請求項1~11のいずれか一項に記載のフック(10)と、を備える揮発性組成物分配システム(100)であって、前記揮発性組成物ディスペンサ(1)は、少なくとも1つのアパーチャ(4)を備えるハウジング(2)を備え、前記ハウジング(2)は、揮発性組成物を収容するように構成されている、揮発性組成物分配システム(100)。
【請求項13】
前記システム(100)は、揮発性組成物カートリッジを備え、前記カートリッジは、前記カートリッジの外部に位置する膜(30)を備え、前記アパーチャ係合部分(22)は、前記少なくとも1つのアパーチャ(4)に前記フック(10)を取り付ける際に、前記膜の蒸発表面領域から離間されるように、少なくとも部分的に前記少なくとも1つのアパーチャ(4)内に位置付けられる、請求項12に記載のシステム(100)。
【請求項14】
前記揮発性組成物は、空気清浄組成物、布地清浄組成物、芳香剤、臭気マスカー、薬剤、消毒薬、脱臭剤、虫除け、アロマセラピー材料、これらの混合物からなる群から選択される、請求項12又は請求項13に記載のシステム(100)。
【請求項15】
揮発性組成物ディスペンサにフックを組み付ける方法であって、
少なくとも1つのアパーチャ(4)を備えるハウジング(2)を備える揮発性組成物ディスペンサ(1)を提供することと、
請求項1~14のいずれか一項に記載のフック(10)を提供することと、
前記ハウジング(2)の前記少なくとも1つのアパーチャ(4)と前記フック(10)を位置合わせすることと、
前記ディスペンサ(1)に前記フック(10)を組み付けるために、前記少なくとも1つのアパーチャ(4)に前記フック(10)を押し込むことと、を含む、方法。
【請求項16】
内部空間内に揮発性組成物を送達する方法であって、
少なくとも1つのアパーチャ(4)を備えるハウジング(2)と、前記ハウジング(2)内に配置された揮発性組成物と、を備える揮発性組成物ディスペンサ(1)を提供することと、
請求項1~11のいずれか一項に記載のフック(10)を提供することと、
前記ハウジング(2)の前記少なくとも1つのアパーチャ(4)に前記フック(10)を取り付けることと、
前記内部空間内に前記揮発性組成物を送達するために、前記内部空間内の支持体(110)上に前記フック(10)を搭載することと、を含む、方法。
【請求項17】
ハウジングを備える揮発性組成物ディスペンサからフックを分解する方法であって、前記ハウジングは少なくとも1つのアパーチャを備え、前記方法は、
ハウジングを備える揮発性組成物ディスペンサを提供することであって、前記ハウジングは少なくとも1つのアパーチャを備え、請求項1~11のいずれか一項に記載のフックが前記少なくとも1つのアパーチャに取り付けられ、前記揮発性組成物ディスペンサは揮発性組成物を実質的に含まない、揮発性組成物ディスペンサを提供することと、
片手での操作で前記ディスペンサから前記フックを解放するために、前記フックの前記把持部分又は前記搭載部分に圧力を加えることと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気清浄及び/又は利益提供のための揮発性組成物を送達するための装置及びシステムに関し、特に、揮発性組成物ディスペンサのためのフック及び揮発性組成物分配システムに関する。
【背景技術】
【0002】
空気清浄装置は、家、オフィス、又は他の内部環境の部屋の中で嗅覚感知のために心地よい香り又は他の発散物質を提供するために使用され得ることがよく知られている。典型的には、そのような装置は、エネルギー印加又は非エネルギー印加手段のいずれかによって、揮発性組成物、例えば、芳香剤、臭気マスカー、薬剤、消毒剤、脱臭剤、虫除け、アロマセラピー材料、気化薬物、又は他の揮発性組成物を永続させる。装置は、内部環境の内部空間に配置されてもよい。しかしながら、消費者は、迅速に設置し、かつ内部空間から迅速に取り外すことができる携帯可能な装置を好む場合がある。具体的には、内部空間を清浄化するために、消費者は、生活空間、又は食器棚、ワードローブ、靴箱などの保管空間内の構成に適合する外部構成を有するエアフレッシュナー装置を配置することがあり、その外部構成は、使い切ったときに装置を交換するために取り外され得るものである。しかしながら、起立するエアフレッシュナーを置くための限られた表面を有する内部空間では、消費者は、エアフレッシュナーを内部空間にある装着具に取り付けることを好む場合がある。装着具としては、カーテンレール、ワードローブ内のロッド、クローゼットルーバ/開口部、車両通気孔、タオルレール及び/又は浴室内の吊り下げ支持体若しくは壁フックを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0003】
日本国特許公開第6155369(B2)号(「日本国特許第6155369(B2)号」)は、容器の吊り下げ穴を通して薬剤揮散器の容器を吊り下げるためのフックを記載している。日本国特許公開第6155369(B2)号は、容器の開口部へのフックの突出部材の挿入を容易にするために、2つの傾斜表面を備えた保持部材を有するフックを記載している。フックは、容器の吊り下げ穴が突出部材から取り外されるように、フックの隙間に物理的な部品を挿入して隙間を広げることによって、工具による補助を用いて取り外され得る。日本国特許公開第6155369(B2)号はまた、フックを補助なしに拡散器から取り外すための引き剥がしフックの代替設計を提案しているが、そのような代替設計は、再利用できないフックをもたらす。
【0004】
米国特許第9,272,062(B1)号は、芳香油が充填された1つ以上のポリマー樹脂から形成され、装飾品が吊り下げ構成にあるときの吊り下げフックと、装飾品が起立陳列構成にあるときの支持スタンドとの二重機能を果たす吊り下げフックを有する、エアフレッシュナーと装飾品との組み合わせを記載したものである。装飾品は、装飾品の上部表面に形成された受容穴を有し、吊り下げフックは受容穴に圧入される。潜在的な欠点は、吊り下げフックが装飾品から容易に外れる可能性があることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】日本国特許公開第6155369(B2)
【特許文献2】日本国特許第6155369(B2)
【特許文献3】米国特許第9,272,062(B1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、揮発性組成物(液体、固体、又はゲル)を有する揮発性組成物ディスペンサを吊り下げ構成で支持するために揮発性組成物ディスペンサのアパーチャに解放可能に取り付けることができ、片手動作で容易に取り外すことができるフックが依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、揮発性組成物ディスペンサのためのフックであって、
内部空間内の支持体にフックを搭載するための搭載部分と、
搭載部分から延在する本体部分と、を備え、本体部分は、把持部分と、ディスペンサのハウジング内の少なくとも1つのアパーチャに解放可能に係合するように適合されたアパーチャ係合部分と、を備え、
本体部分は、把持部分における第1の幅W1、及びアパーチャ係合部分における第2の幅W2によって特徴付けられ、第1の幅W1と第2の幅W2との比は、1.5:1より大きい、フック、に関するものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明による揮発性組成物ディスペンサのためのフックの正面斜視図である。
【
図2】
図1のフックと共に使用するための揮発性組成物ディスペンサの背面斜視図である。
【
図5】本発明によるアパーチャ係合部分を有するフックの異なる設計の部分斜視図である。
【
図6】少なくとも1つのアパーチャを備えたハウジングを有する揮発性組成物ディスペンサに取り付けられたフック50の部分断面図である。
【
図7】本発明によるフックの代替的な設計の正面斜視図である。
【
図8】組み立て前の本発明による揮発性組成物ディスペンサ及びフックを有する揮発性組成物分配システムの斜視図である。
【
図9】組み立て後の
図8の揮発性組成物分配システムの背面図である。
【
図10】
図9の揮発性組成物分配システムの側面図である。
【
図11】
図9の揮発性組成物分配システムの正面斜視図であり、フックが内部空間内の装着具上に支持され、内部空間内の内部表面の上方に吊り下げられている。
【
図12】
図9の揮発性組成物分配システムの背面斜視図である。
【
図13】
図9の揮発性組成物分配システムの正面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
フックを構成する部品の設計は、内部空間内の表面上に揮発性組成物を支持し、同時に再利用可能なフックを提供するために、揮発性組成物ディスペンサに対するフックの取り付け及び解放を容易にするのに重要な役割を果たすことが分かっている。具体的には、把持部分と、ディスペンサのハウジング内の少なくとも1つのアパーチャに解放可能に係合するように適合されたアパーチャ係合部分と、を有する本体部分を備えたフックを提供することであって、本体部分は、把持部分における第1の幅W1と、アパーチャ係合部分における第2の幅W2とによって特徴付けられ、第1の幅W1と第2の幅W2との比は、1:1より大きく、好ましくは1.5:1より大きい、フックを提供することは、少なくとも1つのアパーチャから容易にフックを解放することをもたらす。
【0010】
本発明は、揮発性組成物ディスペンサのためのフック、揮発性組成物分配システム、及び内部空間に揮発性組成物を送達する方法に関する。フックは、液体状態、固体状態、又はゲル状態の香料入り空気清浄組成物などの揮発性組成物を有する揮発性組成物ディスペンサを支持することを含むがこれらに限定されない様々な用途に好適である。フックは、少なくとも1つのアパーチャを有する揮発性組成物ディスペンサのハウジング又は容器に取り付けられて、揮発性組成物分配システムを形成してもよい。図面を参照した以下の説明は、本発明の非限定的な例を提供することを意図している。本開示の目的のために、しかし本発明の範囲を限定することを意図せずに、フックは、
図2に示されるような不規則な形状のハウジングを有する揮発性組成物ディスペンサに解放可能に取り付けられるように設計される。しかしながら、フックは、規則的な形状のハウジングを有する揮発性組成物ディスペンサに取り付けられるように構成されてもよい。
【0011】
付加的な特徴、より少数の特徴又は代替的な特徴を備えた実施形態、並びに図示の特徴及び/又は説明される特徴の異なる組合せを含む他の実施形態が企図されることを理解されたい。
【0012】
本発明を詳細に説明するのに先立ち、説明を明確にするために以下の用語を定義する。定義されない用語には、関連する技術分野の当業者によって理解される通常の意味が与えられるべきである。
【0013】
本明細書で使用するとき、「上昇位置」とは、揮発性組成物ディスペンサが内部環境内の内部表面の上方にある、本発明による揮発性組成物分配システムの位置を指す。
【0014】
本明細書で使用するとき、「垂直方向」は、揮発性組成物ディスペンサ内の揮発性物質が前向きの位置又は後ろ向きの位置で環境に面する、本発明による揮発性組成物分配システムの位置を指す。
【0015】
本明細書で使用するとき、「膜」は、物質のいくつかの成分は通過させるが、他の成分は止める、半透過性材料を指す。膜を通過する成分について、膜は、成分の透過性を調節する(すなわち、いくつかの成分を他の成分よりも速く透過させる)。かかる成分としては、分子、イオン又は粒子を挙げることができる。
【0016】
本明細書で使用するとき、「微多孔膜」は、細孔の網状組織を有する材料を指す。
【0017】
本明細書で使用するとき、「エネルギー非印加」は、機器が受動的であり、外部のエネルギー源によって給電される必要がないことを意味する。具体的には、機器は、熱源、ガス源、又は電流源によって電力を供給される必要がなく、揮発性組成物はエアロゾル手段によって送達されない。さらに、本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、その内容が明らかに別のことを示さない限り、複数の言及を含む。
【0018】
本明細書で使用するとき、「揮発性物質」又は「揮発性組成物」は、エネルギー源を必要とすることなく室温及び大気圧で揮発可能な組成物又は材料を指す。揮発性物質は、全体的に単一の揮発性物質又は全体的に揮発性物質混合物(すなわち、この混合物は2つ以上の揮発性成分を有する)を含む組成物であり得る。さらに、組成物の成分物質の全てが揮発性である必要はない。液体、固体、ゲル、又はエマルションを含む、任意の量若しくは形態の任意の好適な揮発性物質を使用することができる。本明細書での使用に好適な材料には、担体物質(例えば、水、溶媒など)のような不揮発性化合物が含まれてもよい。本明細書において揮発性物質が、「供給される」、「揮散される」、又は「放出される」ものとして述べられる場合、これは、揮発性物質の揮発性成分の揮発を指し、揮発性物質の不揮発性成分が揮散される必要はない点も理解されるべきである。本発明を詳細に説明する目的で、本発明は、不規則な形状を有する非エネルギー印加式の揮発性組成物ディスペンサのためのフックとして以下に説明される。しかしながら、フックは、規則的な形状を備えた揮発性組成物ディスペンサと共に使用するように構成されてもよい。
【0019】
図1は、本発明による揮発性組成物ディスペンサ1のためのフック10の正面斜視図である。
図2は、揮発性組成物ディスペンサ1の背面斜視図である。
【0020】
図1を参照すると、フック10は、それぞれ、x軸、y軸、及びz軸に沿った幅、高さ、及び深さを備えている。フック10は、上端部12と、下端部14と、揮発性組成物ディスペンサ1を内部空間内の支持体に取り付けるための、上端部12にある搭載部分16と、を有する。フック10は、搭載部分16から下端部14まで延在する本体部分18を備える。本体部分18は、把持部分20と、ディスペンサ1のハウジング2内の少なくとも1つのアパーチャ4に解放可能に係合するように適合されたアパーチャ係合部分22と、を備える。
【0021】
図2を参照すると、ハウジング2は、フロントカバー5及びリアフレーム6を備えてもよく、少なくとも1つのアパーチャ4は、リアフレーム6の中央に位置してもよい。リアフレーム6は、リアフレーム外部表面7を備える。少なくとも1つのアパーチャ4は、リアフレーム外部表面7からハウジングの内部に延在するアパーチャ内壁を備える。少なくとも1つのアパーチャ4は、ハウジング上部3に対して近位にある第1のアパーチャ端部41と、ハウジング上部4に対して遠位にある第2のアパーチャ端部42と、を備えてもよい。少なくとも1つのアパーチャ4は、ハウジング上部3に対して近位にあるリアフレーム6内にある複数のアパーチャ60のうちの1つであってもよい。複数のアパーチャ60は、ディスペンサ1が作動されると、揮発性組成物ディスペンサ1から揮発性物質を分配するために、空気がハウジング2を通ってアパーチャ60から出るように構成される。空気流のために構成されたアパーチャ60のうちの1つである少なくとも1つのアパーチャ4に取り付けるように設計されたフック10を有することは、少なくともアパーチャ4が、揮発性組成物ディスペンサ1が
図9に示されるような吊り下げ構成にあるときにフック10を受容する及び取り付ける機能と、揮発性組成物ディスペンサ1が
図2のような起立構成にあるときにハウジング2を通る空気流の対流移動のための空気流開口部/通気孔としての機能との二重機能を果たすことである。
【0022】
図3は、フック10の正面図であり、フック10の形状及び本体部分18の幾何学的形状を示している。
図4は
図3のフック10の側面図である。フック10は、異なる形状であってもよい。しかしながら、好ましい形状は、ハウジング2の少なくとも1つのアパーチャ4の形状に類似した形状である。少なくとも1つのアパーチャ4の形状に対応するフック10の形状を有することの技術的効果は、フック10を、フック10が共に使用されるように設計されたハウジング2の特徴によって識別するための視覚的関連付けを提供することである。具体的には、フック10のアスペクト比は、少なくとも1つのアパーチャ4のアスペクト比と同様又は実質的に同じであってもよい。
【0023】
図3及び
図4に示すように、フック10は、y軸に沿った上端部12と下端部14との間の長さL0と、x軸に沿った幅W0と、z軸に沿った深さD0とを備え、長さL0、幅W0及び深さD0は、パッケージ内でフック10によって占有される空間の体積を規定する。幅W0、長さL0及び深さD0は、フック10がコンパクト及び/又は携帯可能であると考えられるように構成されてもよい。「コンパクト」又は「携帯可能」とは、フック10が、店舗での陳列及び販売のために揮発性組成物ディスペンサ1と共にパッケージ内に都合よくパッケージ化され得ることを意味する。
図4を参照すると、フック10は、フック10の上端部12と下端部14との間でフック10の長さL0に沿って延在する中心長手方向軸Ycと、中心長手方向軸Ycを含む平面161と、をさらに有する。
【0024】
フック10は、フック10の幅W0と長さL0との比を示すアスペクト比を有してもよい。フック10は、少なくとも約1:2のW0:L0のアスペクト比を有してもよい。他の実施形態では、このアスペクト比は、少なくとも約1:3、1:4、1:5、又はさらには1:6であってもよい。フック10は、40mm~100mm、50mm~90mm、60mm~80mm、又は上に列挙した範囲内の任意の数値の異なる組み合わせの長さL0を有してもよい。フック10は、20mm~50mm、25mm~45mm、又は上に列挙した範囲内の任意の数値の異なる組み合わせの幅W0を有してもよい。フック10は、3mm~20mm、5mm~17mm、10mm~15mm、又は上に列挙した範囲内の任意の数値の異なる組み合わせの深さD0を有してもよい。例示的な実施形態では、フック10は、70mmの長さL0、40mmの幅W0、及び13mmの深さD0を有してもよい。
【0025】
図3を参照すると、フック10の搭載部分16は、支持体に搭載又は取り付けされるように様々な方式で構成されてもよい。搭載部分16は、中心点19を有する内部表面17を備えることができ、内部表面17は、フック10が支持されるか又は搭載される支持体の断面の対応するサイズ及び形状に基づいて付形され、サイズ決めされる。例えば、支持体が円形断面(
図9の支持体110など)を有する場合、内部表面17は、支持体に搭載するために中心点19に対してフック半径Rを有する滑らかな曲線を形成するように丸められてもよい。
【0026】
さらに、本体部分18は、把持部分20における第1の幅W1、及びアパーチャ係合部分22における第2の幅W2によって特徴付けられ、第1の幅W1と第2の幅W2との比は、1.5:1より大きい。本体部分18の第1の幅W1は、
図3に示されるように、フック10のX軸において、把持部分20と搭載部分16との第1の隣接部分又は接合部と、把持部分20とアパーチャ係合部分22との第2の隣接部分又は接合部との間の任意の位置で決定され得る。本体部分18の第2の幅W2は、把持部分20の第2の隣接部分又は接合部と、フック10の下端部14に対するアパーチャ係合部分22との間の任意の位置で決定され得る。第1の幅W1と第2の幅W2との比は、1.1~4:1、好ましくは1.2:1~3.5:1、より好ましくは1.5:1~3:1である。本体部分18は、把持部分20において、16mm~40mm、20mm~35mm、又は上に列挙された範囲内の任意の数値の異なる組み合わせの第1の幅W1によって特徴付けられ得る。アパーチャ係合部分22における第2の幅W2は、8mm~15mm、10mm~14mm、又は上に列挙された範囲内の任意の数値の異なる組み合わせであってもよい。フック10が1.5:1よりも大きい(アパーチャ係合部分22における)第1の幅W1と第2の幅W2との比を有することの技術的効果は、把持のための接触面積がより大きくなり、それによって、揮発性組成物ディスペンサ1からフック10を解放するためにフックに圧力又は力を加えることが容易になることである。本体部分18は、アパーチャ係合部分22の遠位端部23に第3の幅W3をさらに備えることができる。本体部分18は、第2の幅W2が第1の幅W1よりも小さく、第3の幅W3が第2の幅W2よりも小さくなるように、テーパ形状を画定するために不均一な幅を備えてもよい。具体的には、第3の幅W3は、下端部14におけるアパーチャ係合部分22の幅に対応し得る。
【0027】
図3を参照すると、アパーチャ係合部分22は、5mm~30mm、10mm~25mm、15mm~20mm、又は上に列挙した範囲内の任意の数値の異なる組合せの、y軸に沿った長さLAを備え得る。フック10は、フック10の長さとアパーチャ係合部分22の長さとの比(L0:LA)が1以上であることによって特徴付けられてもよい。本体部分の幾何学的形状がL0:LAの比を有することの技術的利点は、第1の幅W1を有する把持部分における把持をユーザに提供するレバー効果が存在し、アパーチャ係合部分における本体部分の幅がより小さい幅W2を有するため、フックがディスペンサアパーチャからユーザによって取り外されるときのものである。機械的利点があり、ユーザが小さい力を用いてフックを解放することができるので、これは、フックへの偶発的な損傷を最小限に抑え、第1の揮発性組成物ディスペンサでの最初の使用後のフックの再使用を可能にする。
【0028】
アパーチャ係合部分22は、少なくとも1つのアパーチャ4の形状と実質的に同じ形状を備えてもよい。アパーチャ係合部分22と少なくとも1つのアパーチャ4に関して実質的に同じ形状を有することの技術的効果は、最小限の使用説明で、あるいは使用説明なしで、フック10をハウジング2に取り付ける位置を示す視覚的合図がユーザに提供されることである。アパーチャ係合部分22はまた、アパーチャ係合部分22と少なくとも1つのアパーチャ4との解放可能な係合を可能にするように構成された寸法によって特徴付けられてもよい。
【0029】
アパーチャ係合部分22は、少なくとも1つのアパーチャ4との間に締まり嵌め又は摩擦嵌めを形成するように構成された突出部221を備えてもよい。例示的な実施例では、少なくとも1つのアパーチャ4とアパーチャ係合部分22が軸対称プロファイル(
図1及び
図2に示すような)を有する場合、突出部221は、当該ディスペンサ1のハウジング2内の少なくとも1つのアパーチャ4に解放可能に係合するための環状スナップジョイントを画定するリング形状構造として構成された少なくとも1つの弾性側壁222を備えてもよい。フック10は、0.9~1.1GPaの弾性率を特徴とする熱可塑性材料で作られてもよく、好ましくは、材料はポリエステル、ポリプロピレンなどを含んでもよい。アパーチャ係合部分22は、フック10と同じ材料で作られてもよく、あるいは2つの異なる熱可塑性材料、すなわち、第1の熱可塑性材料と、第1の熱可塑性材料とは異なる硬度デュロメータ特性を有する第2の熱可塑性材料との組み合わせで作られてもよい。同じ熱可塑性材料を使用するフック10の射出成形構造が好ましいが、フック10は、適切な変形可能な熱可塑性材料、例えばTPEなどの第2の熱可塑性材料を含んでもよい。特に、アパーチャ係合部分22は、薄層に形成され、少なくとも1つのアパーチャ4との解放可能な係合を可能にするために適切な接着剤又は他の手段によって少なくとも1つの弾性側壁222に取り付けられたTPEを含んでもよい。
【0030】
図4を参照すると、本体部分18は、把持部分20とアパーチャ係合部分22との間に配置されたハウジング係合部24をさらに備えてもよい。フック10がハウジング係合部24を有することの技術的効果は、フック10とハウジング2が、以下で説明する
図9に示すように重心C.G.がフック10の搭載部分16上の支持点と位置合わせされる垂直平面内にあるC.G.を有する単一物体を形成するように、ハウジング2の一部分と接触することである。
【0031】
図4を参照すると、ハウジング係合部24は、ハウジング2の外部の少なくとも一部に接触するように構成された係合表面241と、裏側表面242とを備えてもよく、係合面241及び裏側表面242は、ハウジング係合部24の厚さを規定する。ハウジング係合表面241は、ハウジング2の形状に応じて様々な方式で構成され得る。特に、ハウジング係合部24の係合表面241及び裏側表面242は、ハウジング2のリアフレーム6と同じ曲線上に形成されてもよい。具体的には、係合表面241は、リアフレーム6の湾曲形状に対応する湾曲した輪郭を備えてもよい。ハウジング2が
図2に示されるような不規則な形状又は非対称な形状を有する場合、フック10は、把持部分20及びハウジング係合部24が、
図4に示されるように本体部分18の傾斜部を画定するように、搭載部分16又は平面161に対して傾斜した平面25内に位置し得るように構成され得る。特に、搭載部分16は、中心長手方向軸を含む平面161内にある。
図4を参照すると、傾斜部は、10°~90°、好ましくは20°~80°、より好ましくは25°~75°の角度(θ)によって特徴付けられ得る。
【0032】
しかしながら、例えば、ハウジング2が、平面的な外部を備えた直方体などの規則的な形状を有する規則的なボディマスである場合、係合表面241は、ハウジングの平面的な外部に平行な平面内にあってもよい。
【0033】
図5は、本発明によるアパーチャ係合部分52を有するフック50の異なる設計の部分斜視図である。フック50は、
図1のフック10と実質的に同じ特徴を有し、以下に説明されるアパーチャ係合部分52の設計において異なる。
【0034】
具体的には、アパーチャ係合部分52は、基部と、弾性環状部材56及び中空中心部57を画定する、基部から延在する少なくとも1つの弾性側壁と、を備えてもよい。複数の突出部54が弾性環状部材56上に円周方向に配置されて、ハウジングの少なくとも1つのアパーチャに係合するための複数のスナップ嵌めを画定する。突出部54のうちの少なくとも2つの各々は、弾性環状部材56の反対側から外向きに延在してもよい。各突出部54は、フック10がハウジングに取り付けられたときにフック10の自由な動きに抵抗するために、少なくとも1つのアパーチャの周囲と係合するように構成された面取り部58などの突出部係合表面を備えてもよい。弾性環状部材56上に円周方向に配置された突出部54上に面取り部58を有することの技術的効果は、
図6に示すように、アパーチャ係合部分52を少なくとも1つのアパーチャ64内に容易に挿入できるようになることである。
【0035】
図6は、少なくとも1つのアパーチャ60を備えたハウジングを有する揮発性組成物ディスペンサに取り付けられたフック50の部分断面図である。少なくとも1つのアパーチャ60は、弾性アパーチャ側壁62によって画定される周辺部を備える。
図6を参照すると、X方向の一方から反対側に延在するアパーチャ係合部分52の突出部54の各々の先端Tの間の幅W4と、弾性アパーチャ側壁62上の対向する係合位置64、66のX方向の幅W5との比であるW4:W5は、1より大きくてもよい。1より大きい比を有することの技術的効果は、アパーチャ係合部分52がハウジングの少なくとも1つのアパーチャ60にしっかりと係合し、フックの本体部分に加えられる力がない状態で、ハウジングから容易に取り外されないことが確実となることである。面取り部58は、アパーチャ係合部分52の組み立て/分解を容易にするために、30~45度のリード角及び対応するリターン角αによって特徴付けられてもよい。
【0036】
図7は、本発明によるフック70の異なる設計の正面斜視図である。フック70は、フック70が搭載部分16、把持部分20、及びアパーチャ係合部分22を備えるという点で、
図1のフック10と実質的に同じ特徴を備える。フック10とフック70との違いは、フック70が、
図4に示されるようなフック10のハウジング係合表面241の傾斜プロファイルとは異なる平面的なハウジング係合表面72を備えることである。フック70はまた、フック70が、揮発性組成物ディスペンサ(図示せず)のハウジングの少なくとも1つのアパーチャに解放可能に係合するように構成された単一の突出部221を含むアパーチャ係合部分74を含むという点で、フック10と異なる。平面的なハウジング係合表面72の技術的効果は、平面的なハウジング表面を有する直方体形状のハウジング(図示せず)を、突出部221と係合するために平面的なハウジング表面に配置されたアパーチャと係合させることである。具体的には、突出部221は、フック70の遠位端部14に位置する球形状を有する中実構造であってもよい。突出部221のサイズ及び形状は、アパーチャを形成するための限られた外部表面積を有するハウジングのために構成されてもよく、平面的なハウジング係合表面72は、ハウジングの平面的な外部に平行な平面内にあるように構成されてもよい。したがって、フック70は、ハウジングと係合してハウジングを実質的に垂直及び/又は直立位置に維持するように構成されてもよい。
【0037】
本発明によるフック10、50、70は、0.9~1.1GPaの弾性率を特徴とする熱可塑性材料で作られてもよく、好ましくは、材料は、ポリエステル、ポリプロピレンなどを含んでもよい。熱可塑性材料は、半透明であり得る。フック10、50、70は、ハウジング2と同じ材料で作られてもよい。フック10、50、70とハウジング2はまた、材料ストック変動を低減し、製造を簡略化するために、同じ材料で射出成形されてもよい。
【0038】
揮発性物質分配システム
本発明による揮発性組成物分配システムにおいてフック10が機能する方式を説明するために、フック10がディスペンサ1のハウジング2にどのように組み付けられるかを理解することが有用である。本発明による揮発性組成物ディスペンサにフックを組み付ける方法を、
図8、
図9及び
図10を参照して説明する。具体的には、本発明は、揮発性組成物ディスペンサにフックを組み付ける方法であって、
少なくとも1つのアパーチャ4を備えるハウジング2を備える揮発性組成物ディスペンサ1を提供することと、
フック10を提供することと、
ハウジング2の少なくとも1つのアパーチャ4とフック10を位置合わせすることと、
ディスペンサ1にフック10を組み付けるために、少なくとも1つのアパーチャ4にフック10を押し込むことと、を含む、方法、に関する。
【0039】
揮発性物質(図示せず)は、本発明による上記の図に示されるようにディスペンサ1に含められてもよい。例示の目的で、揮発性物質は、空気清浄のための液体揮発性組成物として記載され得る。しかしながら、揮発性物質は固体又はゲル組成物であってもよいことが理解されるであろう。
【0040】
図8は、組み立て前の揮発性組成物分配システム100の構成要素を示す。具体的には、揮発性組成物分配システム100は、フック10及びディスペンサ1を含む。
図8はまた、アパーチャ係合部分22がハウジング2の少なくとも1つのアパーチャ4と位置合わせされる方法の第1のステップ6Aを示す。少なくとも1つのアパーチャ4は、ハウジング2内に配置された複数のアパーチャのうちの1つであり、ディスペンサ1から揮発性物質を蒸発させるために内部空間内の装着具に搭載される際にディスペンサ1が実質的に垂直位置に維持されるように、ハウジング2の上部に隣接して中央に配置される。フック10をディスペンサ1に取り付けるための正しいアパーチャを容易に識別するために、アパーチャ係合部分22の形状は、少なくとも1つのアパーチャ4の輪郭に対応するように設計されてもよい。上記及び図面に記載されたアパーチャ係合部分22は、少なくとも1つのアパーチャ4のサイズ及び形状にほぼ対応する楕円形であるが、アパーチャ係合部分22は、揮発性組成物ディスペンサ1の製造中に異なるハウジング設計への各変更を可能にするように、ハウジングの多数の異なるサイズ及びタイプのアパーチャに適合するようにサイズ決め及び構成され得ることが理解されよう。
【0041】
例えば、ユーザが意図された位置、すなわち少なくとも1つのアパーチャ4にフック10を取り付けるようにするため、複数のアパーチャ60におけるアパーチャ60は、少なくとも1つのアパーチャ4とは異なるサイズ及び/又は形状を有するように構成されてもよい。
【0042】
図9は、フック10がハウジング2に取り付けられる方法の第2のステップ6Bを示す。具体的には、アパーチャ係合部分22が少なくとも1つのアパーチャ4に位置合わせされて係合すると、フック10はその少なくとも1つのアパーチャ4に圧入されてハウジング2に取り付けられる。フック10はブラインド組立のために設計されているので、すなわち、アパーチャ係合部分22は、取り付け中にユーザから離れて面しているので、アパーチャ係合部分22は、フック10が確実に取り付けられていることをユーザに指示するために、「クリック」音などの聴覚フィードバックを生成するように設計されてもよい。
【0043】
図10は、フック10がハウジング2に取り付けられる方法の第3のステップ6Cを示す。フック10が揮発性物質分配システム100を画定するためにディスペンサ1に取り付けられるとき、係合表面241は、係合表面241とリアフレーム外部表面7との間の隙間が最小化されるか又は隙間がなくなるように、リアフレーム6のリアフレーム外部表面7に接触する。ハウジング係合部24は、ハウジング2のリアフレーム6と同じ平面内に形成され、それによって、フック10がハウジング2に取り付けられ、揮発性組成物ディスペンサ2が、揮発性組成物ディスペンサ1の重量に起因して垂直位置から離れる方向に下向き位置に傾くとき、ハウジング2に接触するハウジング係合部24が、下向き位置を確実に制限する止め具として働くことに留意されたい。
【0044】
隙間を最小にすることの技術的効果は、フック10とディスペンサ1とが、
図11に示すように、仮想垂直線に沿ってディスペンサ1の吊り下げの支持点SPの直下に重心C.G.を有する一体構造を形成することである。有利なことに、これは、フック10が内部空間内の装着具上に支持されるときに、ディスペンサ1がSPを中心として枢動することを最小限に抑える。その結果、ディスペンサ1の傾きは最小限に抑えられ、ディスペンサ1は、
図11及び
図12に示されるような実質的に直立した位置に維持され得る。
【0045】
ディスペンサ1は、フック10を取り付ける前又は後に、ハウジング2のリアフレーム6に配置された押しボタン8を押して揮発性組成物カートリッジ内の非透過性箔基材を破裂させることによって作動され得る。ディスペンサ1はまた、他の手段によって、例えば、ハウジング内に配置された揮発性組成物を覆う非透過性箔基材を剥がすことによって作動されてもよい。
【0046】
揮発性組成物を送達する方法
図11は、
図8の揮発性組成物分配システム100の正面斜視図であり、フック10が内部空間内の支持体110上に搭載され、内部空間内の内部表面の上方に吊り下げられている。内部表面は、テーブルトップ表面、床表面、又は内部の任意の表面であってよい。
図12は、揮発性組成物分配システム100の背面斜視図である。
【0047】
特に、揮発性組成物は、空間内の空気を清浄化するためにバスルーム若しくはトイレ又は衛生空間内の湿った表面上に配置されるエアフレッシュナー及び/又は脱臭剤などの揮発性組成物ディスペンサ内に提供されてきたことが理解されるであろう。多くの場合、エアフレッシュナーの底部表面は濡れた表面と接触しており、その結果、底部表面が濡れて汚れることがある。
【0048】
本発明は、揮発性組成物ディスペンサの表面を乾燥状態に保つことができる内部空間に揮発性組成物を送達する方法に関する。本方法は、
少なくとも1つのアパーチャ4を備えるハウジング2と、ハウジング2内に配置された揮発性組成物と、を備える揮発性組成物ディスペンサ1を提供することと、
フック10を提供することと、
ハウジング2の少なくとも1つのアパーチャ4にフック10を取り付けることと、
内部空間内に揮発性組成物を送達するために、内部空間内の表面の上方にディスペンサ1を吊り下げるために、内部空間内の支持体110にフック10を搭載することと、を含む。
【0049】
表面の上方にディスペンサを吊り下げる利点は、ハウジング2及びハウジング2の任意の表面が、内部表面内の表面に対して高い位置にあり、したがって、内部空間内の濡れた表面から離されて保たれ得、したがって、乾燥した清潔な状態に保たれ得ることである。
【0050】
分解方法
本発明はまた、ディスペンサ1内の揮発性組成物が蒸発し、使い切られた後に、揮発性組成物ディスペンサから本発明によるフックを分解する方法に関する。特に、フック10は、新しいディスペンサのために再使用されるように、ディスペンサ1から解放可能である。
【0051】
ディスペンサ1からのフック10の解放を容易にするために、フック10の把持部分20は、
図13に示されるように、フック10がディスペンサ1に取り付けられた後に、ディスペンサ1の前側又は後側からユーザに視覚的に検出可能となるようにサイズ決め及び付形されている。把持部分20を押すと、フック10は片手での操作でディスペンサ1から解放可能であり、それによってフック10を取り外すために別個のツールを使用する不便さが最小限に抑えられる。フック10は、
図1のフック10に示される構造的特徴と同じ方式で新しい揮発性組成物ディスペンサに係合されてもよく、したがって、それらの特徴についてはさらに説明されない。把持部分20は、より良好な把持のために指支持体201上に配置された把持バンプ(図示せず)を有する指支持体201を備えてもよい。指支持体201は、ユーザが、ディスペンサに対してフック10を引いたり押したりするために、親指と指先との間にグリップを有することを可能にするように構成された表面領域を備えてもよい。代替方法として、把持部分20は、ディスペンサ1からのフック10の解放を補助するために、指の間の摩擦を増加させるようにテクスチャ加工されてもよい。したがって、本発明によるフックは、揮発性組成物ディスペンサを吊り下げるための解決策を消費者に提供し、この解決策では、フックは内部空間内の装着具上に支持され、ディスペンサは内部空間内の内部表面の上方に吊り下げられる一方で、揮発性組成物が使い切られた後にディスペンサから解放可能に取り外される機能を有し、それによって材料の再利用が増加し、新しい揮発性組成物ディスペンサを吊り下げるために新しいフックを購入する必要性を低減する。
【0052】
例を以下に記載する。
A.揮発性組成物ディスペンサのためのフックであって、
フック(10)の上端部(12)と下端部(14)との間でフック(1)の長さ(L0)に沿って延在する中心長手方向軸(Yc)と、
中心長手方向軸(Yc)を含む平面(161)と、
内部空間内の支持体にフックを搭載するための搭載部分と、
搭載部分から延在する本体部と、を備え、本体部分は、把持部分と、ディスペンサのハウジング内の少なくとも1つのアパーチャに解放可能に係合するように適合されたアパーチャ係合部分と、を備え、
本体部分は、把持部分における第1の幅W1、及びアパーチャ係合部分における第2の幅W2によって特徴付けられ、第1の幅W1と第2の幅W2との比は、1.5:1より大きい、フック。
B.フック(10)は、フック(10)の長さとアパーチャ係合部分(22)の長さとの比が1以上であることによって特徴付けられる、段落Aに記載のフック。
C.搭載部分(16)の少なくとも一部は、中心長手方向軸(Yc)を含む平面(161)に平行であるか、又は中心長手方向軸(Yc)を含む平面(161)内にある、段落Aに記載のフック(10)。
D.本体部分は、ハウジングの外部の少なくとも一部に接触するように構成された係合表面を有するハウジング係合部をさらに備え、ハウジング係合部は、把持部分とアパーチャ係合部分との間に配置されている、段落Aに記載のフック。
E.係合表面は、中心長手方向軸(Yc)を含む平面(161)内にある、段落Dに記載のフック。
F.係合表面(241)は、長手方向中心軸(Yc)を含む平面(161)に対して傾斜して、本体部分(18)の傾斜部を画定し、傾斜部は、10°~90°、好ましくは20°~80°、より好ましくは25°~75°の角度(θ)によって特徴付けられる、段落Dに記載のフック(10)。
G.アパーチャ係合部分の形状は、少なくとも1つのアパーチャの輪郭に対応する、先行する段落A~Fのいずれか1つに記載のフック。
H.アパーチャ係合部分は、当該ディスペンサのハウジング内の少なくとも1つのアパーチャに解放可能に係合するように構成された突出部を備える、段落A~Gのいずれか1つに記載のフック。
I.突出部は、少なくとも1つの弾性側壁を備える、段落Hに記載のフック。
J.アパーチャ係合部分は、当該ディスペンサのハウジング内の少なくとも1つのアパーチャを取り囲む周辺部に解放可能に係合するように構成された、少なくとも1つの弾性側壁上に円周方向に配置された複数の突出部を備える、段落Iに記載のフック。
K.フックは、熱可塑性材料で作られ、好ましくは、熱可塑性材料は、0.9~1.1GPaの弾性率によって特徴付けられる、段落A~Jのいずれか1つに記載のフック。
L.揮発性組成物ディスペンサと、段落A~Kのいずれか1つに記載のフックと、を備える揮発性組成物分配システムであって、揮発性組成物ディスペンサは、少なくとも1つのアパーチャを備えるハウジングを備え、ハウジングは、揮発性組成物を収容するように構成されている、揮発性組成物分配システム。
M.システムは、揮発性組成物カートリッジを備え、
カートリッジは、カートリッジの外部に位置する膜(30)を備え、アパーチャ係合部分(22)は、少なくとも1つのアパーチャ(4)にフック(10)を取り付ける際に、膜の蒸発表面領域から離間されるように、少なくとも部分的に少なくとも1つのアパーチャ(4)内に位置付けられる、段落Lに記載のシステム。
N.揮発性組成物は、空気清浄組成物、布地清浄組成物、芳香剤、臭気マスカー、薬剤、消毒薬、脱臭剤、虫除け、アロマセラピー材料、これらの混合物からなる群から選択される、段落Lに記載のシステム。
O.揮発性組成物ディスペンサにフックを組み付ける方法であって、
少なくとも1つのアパーチャを備えるハウジングを備える揮発性組成物ディスペンサを提供することと、
先行する段落A~Kのいずれか1つに記載のフックを提供することと、
ハウジングの少なくとも1つのアパーチャとフックを位置合わせすることと、
ディスペンサにフックを組み付けるために、少なくとも1つのアパーチャにフックを押し込むことと、を含む、方法。
P.内部空間内に揮発性組成物を送達する方法であって、
少なくとも1つのアパーチャを備えるハウジングと、ハウジング内に配置された揮発性組成物と、を備える揮発性組成物ディスペンサを提供することと、
先行する段落A~Kのいずれか1つに記載のフックを提供することと、
ハウジングの少なくとも1つのアパーチャにフックを取り付けることと、
内部空間内に揮発性組成物を送達するために、内部空間内の支持体上にフックを搭載することと、を含む、方法。
Q.ハウジングを備える揮発性組成物ディスペンサからフックを分解する方法であって、ハウジングは少なくとも1つのアパーチャを備え、方法は、
ハウジングを備える揮発性組成物ディスペンサを提供することであって、ハウジングは少なくとも1つのアパーチャを備え、段落A~Kのいずれか1つに記載のフックが少なくとも1つのアパーチャに取り付けられ、揮発性組成物ディスペンサは揮発性組成物を実質的に含まない、揮発性組成物ディスペンサを提供することと、
片手での操作でディスペンサからフックを解放するために、フックの把持部分に圧力を加えることと、を含む方法。
【0053】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、別途指定のない限り、このような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0054】
相互参照される又は関連するあらゆる特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張するあらゆる特許出願又は特許を含む、本明細書に引用される全ての文献は、除外又は限定することが明言されない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いずれの文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求されるいずれの発明に対する先行技術であるともみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献又は複数の参考文献と組み合わせたときに、そのようないずれの発明も教示、示唆、又は開示するとはみなされない。さらに、本文献における用語のいずれの意味又は定義も、参照により組み込まれた文献内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文献においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0055】
本発明の特定の実施形態を例示及び記載してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にある全てのこのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。
【国際調査報告】