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特表2024-527729金属素材プリント設備及びプリント方法、並びにそれにより得られたプリントされた金属素材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】金属素材プリント設備及びプリント方法、並びにそれにより得られたプリントされた金属素材
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/16 20060101AFI20240719BHJP
   G03G 7/00 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
G03G15/16 103
G03G7/00 M
G03G7/00 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500369
(86)(22)【出願日】2022-07-12
(85)【翻訳文提出日】2024-01-05
(86)【国際出願番号】 KR2022010080
(87)【国際公開番号】W WO2023287145
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】10-2021-0090915
(32)【優先日】2021-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522492576
【氏名又は名称】ポスコ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】パク、 ソン-ホン
(72)【発明者】
【氏名】キム、 ジン-テ
【テーマコード(参考)】
2H200
【Fターム(参考)】
2H200GA07
2H200GA09
2H200GA12
2H200GA23
2H200GA34
2H200GA44
2H200HB12
2H200HB22
2H200JA02
2H200JA11
2H200MA01
(57)【要約】
本発明は、鋼板などの金属素材の表面に文字、絵などのイメージを印刷するためのプリント設備及びそれを用いたプリント方法、並びにそれにより得られたプリントされた金属素材に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続的に移動する金属素材100に密着して、ある一方向に回転しながら、表面に付着したトナーTを前記金属素材100の表面に伝達して定着させる感光ドラム300と、
前記感光ドラム300の一側に備えられ、前記感光ドラム300の表面に前記トナーTを提供する現像手段500と、
前記トナーTが提供される前に、前記感光ドラム300の表面を帯電させる感光ドラム帯電手段410と、
前記現像手段500及び感光ドラム帯電手段410の間で、要求されるイメージに応じて前記感光ドラム300の表面に光エネルギーを付与する露光手段200と、
前記感光ドラム300の表面に付着したトナーTが前記金属素材100の表面に伝達されるように、前記金属素材100の表面を帯電させる金属素材帯電手段101と、
前記トナーTが金属素材100の表面に定着した後、前記感光ドラム300の表面に残留するトナーTを除去する除去手段600と、
前記トナーTを除去した後、前記感光ドラム300の電荷を除去する感光ドラム放電手段420と、
前記感光ドラム300の後端に位置して前記金属素材100の表面に定着したトナーTを固定させる固定手段700と、
を含む、金属素材プリント設備。
【請求項2】
前記除去手段600は、ブレード610及び前記ブレード610の下端に位置する回収筒620を含む、請求項1に記載の金属素材プリント設備。
【請求項3】
前記除去手段600は、ブレード610と回収筒620との間にアルコールブラシ630をさらに含む、請求項2に記載の金属素材プリント設備。
【請求項4】
前記光エネルギーはレーザ又はLEDである、請求項1に記載の金属素材プリント設備。
【請求項5】
前記光エネルギーがレーザの場合に、露光手段200はレーザ発生装置210及び走査ミラー(scanning mirror)220を含む、請求項4に記載の金属素材プリント設備。
【請求項6】
前記金属素材帯電手段101は、一つ以上を含み、前記金属素材100の進行方向を基準として前記感光ドラム300の前端、後端及び前後端のうちいずれか一つの位置に備えられる、請求項1に記載の金属素材プリント設備。
【請求項7】
前記現像手段500は、トナーコンテナ520及び前記トナーコンテナ520のトナーTを感光ドラム300に提供する現像ローラ510を含む、請求項1に記載の金属素材プリント設備。
【請求項8】
前記固定手段700は、ヒューズロール(fused roll)710及び加圧ロール(pressure roll)720を含む、請求項1に記載の金属素材プリント設備。
【請求項9】
前記感光ドラム、感光ドラム帯電手段、感光ドラム放電手段、露光手段、現像手段、及び除去手段は、前記金属素材100の進行方向に沿って対をなして2つ以上備えられ、
それぞれの現像手段は、互いに異なる色相のトナーを提供する、請求項1に記載の金属素材プリント設備。
【請求項10】
前記金属素材プリント設備は、金属素材の上部及び下部に位置する、請求項1から9のいずれか一項に記載の金属素材プリント設備。
【請求項11】
ある一方向に回転する感光ドラム300の表面を帯電させる帯電段階と、
前記帯電した感光ドラム300の表面に、要求されるイメージに応じて光エネルギーを付与する露光段階と、
前記露光後、感光ドラム300の表面にトナーTを提供する現像段階と、
前記感光ドラム300の表面に付着したトナーを、連続的に移動して帯電した金属素材100の表面に移動させて定着させる転写段階と、
前記金属素材100の表面に定着したトナーを固定させる固定段階と、
前記転写後、感光ドラム300の表面に残留するトナーを除去する除去段階と、
前記感光ドラム300の表面を放電させる放電段階と、
を含む、金属素材プリント方法。
【請求項12】
前記固定段階は25~400℃で加熱する、請求項11に記載の金属素材プリント方法。
【請求項13】
前記固定段階は、加圧することを追加する、請求項11又は12に記載の金属素材プリント方法。
【請求項14】
前記プリント方法は、2つ以上のトナーを用いて印刷する場合に2つ以上の感光ドラムが要求され、
各感光ドラムを用いて2以上の前記帯電段階、露光段階、現像段階、転写段階及び除去段階を行う、請求項11に記載の金属素材プリント方法。
【請求項15】
金属素材と、
前記金属素材上に形成されたプリント層と、
を含む、プリントされた金属素材。
【請求項16】
前記プリント層は、請求項1から9のいずれか一項に記載のプリント設備を用いて形成された、請求項15に記載のプリントされた金属素材。
【請求項17】
前記プリント層は、請求項10に記載のプリント設備を用いて形成された、請求項15に記載のプリントされた金属素材。
【請求項18】
前記プリント層は、請求項11から14のいずれか一項に記載の方法で形成された、請求項15に記載のプリントされた金属素材。
【請求項19】
前記金属素材及びプリント層の間にはコーティング層をさらに含む、請求項15に記載のプリントされた金属素材。
【請求項20】
前記コーティング層は、電気亜鉛めっき(EG)層又は溶融亜鉛めっき(GI)層である、請求項19に記載のプリントされた金属素材。
【請求項21】
前記コーティング層は、前記電気亜鉛めっき(EG)層又は溶融亜鉛めっき(GI)層上に形成された前処理層、前記前処理層上に形成された中塗り層及び前記中塗り層上に形成された上塗り層を含む、請求項20に記載のプリントされた金属素材。
【請求項22】
前記プリント層上に形成された透明塗装層をさらに含む、請求項15に記載のプリントされた金属素材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼板などの金属素材の表面に文字、絵などのイメージを印刷するためのプリント設備及びそれを用いたプリント方法、並びにそれにより得られたプリントされた金属素材に関する。
【背景技術】
【0002】
金属素材の表面に文字、絵などのイメージを印刷する方法としては、ポリマー転写方式、ロール(Roll)転写方式、インクジェット噴射プリント方式がある。
【0003】
ポリマー転写方式は、シート状のイメージフィルムを出力して金属の表面に熱転写、化学的転写などの方式でイメージを伝達するものである。フィルムを用いた金属表面のイメージ転写方式はフィルムに出力することは容易であるものの、フィルムを鋼板に転写するため製造速度が遅いという欠点があり、フィルム形態で金属表面に付着したイメージは温度や天気によってイメージが変形する可能性があるという欠点がある。
【0004】
ロール(Roll)転写方式は、一定の模様のパターン(pattern)をロール(Roll)の表面に形成し、ロールツーロール(Roll-to-Roll)方式を用いて金属素材の表面にイメージを転写する方式である。しかしながら、転写されるイメージは繰り返しイメージに限定され、上記ロール転写方式を利用するためには、それぞれのイメージがパターニング(patterning)されたロールを準備しなければならないため、様々なイメージのためにはパターニングされたロールを毎回準備しなければならないという困難がある。
【0005】
インクジェット噴射プリント方式は、顔料及び高分子樹脂が含まれた液状のインクを用いて金属素材の表面にイメージや活字を印刷する方式である。上記インクジェット噴射プリント方式は、液体のインクを使用する際に、液体が鋼板の表面によく吸着できるように金属素材の表面をプラズマ処理するか、又は表面粗さを制御しなければならないという問題がある。また、インクジェット噴射プリント方式は液状のインクを使用するため、インクが噴射されるノズルに目詰まり現象が発生し、ノズルの管理だけでなく、周期的なノズルの清掃と交換が必要となる。また、液状のインクを使用するため、インク噴射後の安定化作業が必須であり、ロールツーロール(Roll-to-Roll)方式では製造が難しく、バッチタイプ(Batch type)に使用が限定される。特に、インクジェット噴射のプリント素材は、液状の高分子が連結された形態であり、その中に顔料がイメージを形成するため、折り曲げや切断の際に、印刷されたイメージの剥離が発生し得るという問題がある。
【0006】
最近、金属素材は様々な分野で使用されており、金属表面に文字、絵などのイメージが適用されることが多くなっている。しかしながら、従来方式のイメージプリント方式は、紙や高分子素材などの表面にプリントする方式であって、金属素材の表面に適用するには技術的、生産的限界が存在する。したがって、従来のプリント方式の限界を解決することができる方案が必要な実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の一側面は、金属素材の表面に文字、絵などのイメージを印刷(print)する技術であって、金属素材の表面にイメージを高速かつ安定的に印刷することができるプリント設備及びそれを用いたプリント方法、並びにそれにより得られたプリントされた金属素材を提供しようとするものである。
【0008】
本発明の課題は、上述した事項に限定されない。本発明のさらなる課題は、明細書の全体的な内容に記載されており、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、本発明の明細書に記載された内容から本発明のさらなる課題を理解する上で何ら困難がない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、連続的に移動する金属素材100に密着して、ある一方向に回転しながら、表面に付着したトナーTを上記金属素材100の表面に伝達して定着させる感光ドラム300と、
上記感光ドラム300の一側に備えられ、上記感光ドラム300の表面に上記トナーTを提供する現像手段500と、
上記トナーTが提供される前に上記感光ドラム300の表面を帯電させる感光ドラム帯電手段410と、
上記現像手段500及び感光ドラム帯電手段410の間で、要求されるイメージに応じて上記感光ドラム300の表面に光エネルギーを付与する露光手段200と、
上記感光ドラム300の表面に付着したトナーTが上記金属素材100の表面に伝達されるように、上記金属素材100の表面を帯電させる金属素材帯電手段101と、
上記トナーTが金属素材100の表面に定着した後、上記感光ドラム300の表面に残留するトナーTを除去する除去手段600と、
上記トナーTを除去した後に上記感光ドラム300の電荷を除去する感光ドラム放電手段420と、
上記感光ドラム300の後端に位置して、上記金属素材100の表面に定着したトナーTを固定させる固定手段700と、
を含む、金属素材プリント設備を提供する。
【0010】
本発明のさらに他の一態様は、ある一方向に回転する感光ドラム300の表面を帯電させる帯電段階と、
上記帯電した感光ドラム300の表面に、要求されるイメージに応じて光エネルギーを付与する露光段階と、
上記露光後、感光ドラム300の表面にトナーTを提供する現像段階と、
上記感光ドラム300の表面に付着したトナーを、連続的に移動して帯電した金属素材100の表面に移動させて定着させる転写段階と、
上記金属素材100の表面に定着したトナーを固定させる固定段階と、
上記転写後、感光ドラム300の表面に残留するトナーを除去する除去段階と、
上記感光ドラム300の表面を放電させる放電段階と、
を含む、金属素材プリント方法を提供する。
【0011】
本発明のさらに他の一態様は、金属素材と、
上記金属素材上に形成されたプリント層と、
を含む、プリントされた金属素材を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、金属などの素材に安定的に文字、絵などのイメージを印刷することができる技術を提供し、これを連続的に製造することで製品の生産効率を向上させることができる。また、多様かつ多彩なイメージを容易に形成することで、高付加価値の製品を製造できるという利点がある。
【0013】
本発明の多様かつ有益な利点及び効果は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明のプリント設備の一実現例を模式的に示す模式図である。
図2】本発明のプリント設備におけるレーザ露光手段の一実現例を具体的に示す模式図である。
図3】本発明のプリント設備の他の一実現例を模式的に示す模式図である。
図4】本発明のプリント設備のさらに他の一実現例を模式的に示す模式図である。
図5】本発明のプリント設備のさらに他の一実現例を模式的に示す模式図である。
図6】本発明のプリント設備のさらに他の一実現例を模式的に示す模式図である。
図7】本発明のプリントされた金属素材の断面を模式的に示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書で使用される用語は、本発明を説明するためのものであり、本発明を限定することを意図しない。また、本明細書で使用される単数形は、関連定義がそれと明らかに反対の意味を示さない限り、複数の形態も含む。
【0016】
本明細書で使用される「含む」の意味は、構成を具体化し、他の構成の存在や付加を除外するものではない。
【0017】
他に定義しない限り、本明細書で使用される技術用語及び科学用語を含むすべての用語は、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が一般的に理解する意味と同じ意味を有する。辞書に定義された用語は、関連技術文献及び現在開示されている内容に一致する意味を有するものとして解釈される。
【0018】
一般的に知られているレーザ又はLEDプリントは、紙などの柔軟性を有する対象体に印刷するものであるが、本発明は、金属素材にイメージを印刷する技術に関するものである。本発明は、ロールツーロール(Roll-to-Roll)などの方式で連続的に移動する金属素材の表面に印刷するために、帯電手段、感光ドラム、ヒューズロールなどの各構成を金属素材の進行方向に沿って一方向に実現したプリント設備及びそれを用いるプリント方法に関するものである。
【0019】
特に、本発明によれば、既存の金属素材上に印刷する方式に比べて、多様かつ複雑なイメージだけでなく、多彩な色相のイメージを容易かつ経済的に実現することができる。
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実現例について説明する。本発明の実現例は、様々な形態に変形することができ、図面及び以下で説明する実現例に限定されるものと解釈されてはならず、本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者に詳細に説明するために提供されるものである。
【0021】
図1は、本発明のプリンタ設備の一実現例を模式的に示したものである。本発明のプリント設備は、連続的に移動する金属素材100の表面にイメージを印刷するためのプリント設備である。一例として、図1等に示すようにロールツーロール(Roll-to-Roll)などの方式で連続的に移動する金属素材100の表面にイメージを印刷することにより、連続的に大量生産を行うことができるという利点がある。一方、上記イメージは、文字、紋様、絵などを意味し、単色、無彩色、有彩色、立体模様などの様々な形態であってもよい。
【0022】
本発明のプリント設備は、感光ドラム300、感光ドラム充電手段410及び感光ドラム放電手段420、露光手段200、現像手段500、金属素材帯電手段101、除去手段600、固定手段700などを含む。以下、各構成について詳細に説明する。
【0023】
感光ドラム300は、金属素材100の表面に密着して、ある一方向に回転しながら、表面に付着したトナーTを上記金属素材100の表面に伝達して定着させてイメージを転写させる。本発明の図1等では、上記感光ドラム300が一方向に回転するものとして示されているが、必ずしも一方向にのみ回転するのではなく、両方向への回転も可能である。上記感光ドラム300は、本発明が属する技術分野において通常使用されるものであればよく、その種類を特に限定しない。好ましい一例として、OPC(Organic Photo Conductor)ドラムを使用することができる。
【0024】
現像手段500は、上記感光ドラム300の一側に備えられ、表面にイメージを形成するためのトナーTを提供する。上記現像手段500は、感光ドラム300にトナーを提供することができればよく、その形態や模様を特に限定しない。図1では、好ましい一例として、上記現像手段500は、トナーTを収容しているトナーコンテナ520と、上記トナーコンテナ520から感光ドラム300にトナーを伝達する現像ローラ510とを含む。上記現像ローラ520は必須ではなく、場合によっては、トナーコンテナ520から直接感光ドラム300に提供されてもよい。一方、上記トナーTは金属素材の表面にイメージを形成するものであって、本発明が属する技術分野において通常の技術者が認知しているものは全て使用可能であり、特にその種類を限定してはいない。一例として、高分子構造を有する物質が使用されてもよい。また、本発明では、トナーに様々な機能を付与できる物質(例えば、蛍光物質、磁性物質、電気伝導物質など)を追加することができ、機能を有するイメージを実現することができるだけでなく、トナーの粒子を多様に使用して粗さを付与したり、立体的な形状を実現することもできる。
【0025】
上記トナーTが提供される前に、上記感光ドラム300の表面を帯電させる感光ドラム帯電手段410を含む。上記感光ドラム帯電手段410は感光ドラムの表面に静電気的電荷を印加する。上記帯電手段としては、通常、コロナワイヤ(corona wire)がよく用いられる。
【0026】
上記現像手段500と感光ドラム帯電手段410との間で、帯電した感光ドラム300の表面に、要求されるイメージに応じて光エネルギーを付与する露光手段200が備えられる。上記露光手段200の位置は重要ではないが、上記光エネルギーは、上記現像手段500と感光ドラム帯電手段410との間の感光ドラム300の表面に付与される。上記光エネルギーによって、感光ドラム300の表面では一部の電荷が除去され、上記現像手段500によってトナーが感光ドラム300の表面に付着する。上記光エネルギーは、レーザ又はLED(Light Emitting Diode)であることが好ましい。図2は、上記レーザを用いる場合の露光手段200を模式的に示したものであって、レーザ発生装置210及び上記レーザ発生装置210から出るレーザを調節し、上記感光ドラム300の表面上に要求されるイメージに応じてスキャニングを行って電荷を除去する走査ミラー(scanning mirror)220を含む。
【0027】
上記感光ドラム300に付着したトナーTが、連続的に移動する金属素材100に移動して定着できるように、上記金属素材100の表面を帯電させる金属素材帯電手段101を含む。上記金属素材帯電手段101は、金属素材を一定の電荷に帯電させる役割を果たすだけでなく、金属素材が一定の速度で移動できるように助けるガイドロール(Guide Roll)の役割を共に果たすことができる。上記金属素材帯電手段101は、一つ以上備えられることができ、上記金属素材帯電手段101は、金属素材100の進行方向を基準として上記感光ドラム300の前端、後端、又は前後端に形成されることができ、金属素材100の上部、下部、又は上下部両方に位置することができる。上記金属素材帯電手段101が2つ以上であっても、互いに異なる役割を果たすのではなく、2回以上の帯電を通じて、より強い静電気的引力を確保できるという点で利点がある。
【0028】
一方、図3は、本発明の他の一実現例を示したものである。図3に示すように、金属素材100の表面に別途のコーティング層A、例えば、樹脂層等が形成されており、上記コーティング層上に印刷する場合には、上記コーティング層Aを帯電させるための金属帯電手段101’がコーティング層Aの上部に位置することができる。
【0029】
上記トナーTが上記金属素材100の表面に定着した後、上記感光ドラム300の表面に残留するトナーTを除去する除去手段600を含む。上記除去手段600は、上記感光ドラム300の表面の残留トナーを分離するためのブレード610と上記分離されたトナーが上記金属素材100に落下して印刷品質が低下することを防止するために、上記ブレード610の下端に分離されたトナーを回収する回収筒620を含むことができる。
【0030】
上記トナーTが金属素材上に定着した後、上記金属素材100上のトナーTを固定させ、イメージを安定的に形成するための固定手段700が金属素材100の進行方向を基準として感光ドラム300の後端に備えられることができる。上記固定手段700は、上記トナーTに熱を加え、金属素材100上に定着したトナーTを固定するヒューズロール(Fused roll)710及び圧力を加えて固定することを助ける加圧ロール(Pressure Roll)720を含むことができる。このとき、ヒューズロール710の加熱温度は25~400℃であることが好ましい。
【0031】
本発明において、上記金属素材帯電手段101及び加圧ロール720は、上下移動が可能な構造であることがより好ましい。上記金属素材100は常に一定の厚さを有することができず、非常に薄い薄膜である場合もあれば、厚板である場合もある。したがって、金属素材100の厚さに応じて、上記金属素材帯電手段101と加圧ロール720の可変型構造で上下移動が可能であれば、金属素材100の厚さに関係なくイメージを印刷することができる。
【0032】
図4は、本発明のプリンタ設備のさらに他の一実現例を模式的に示したものであって、図4に示すプリント設備は、感光ドラム300のトナーTが金属素材100の表面に移動して定着した後、上記感光ドラム300の表面に残存するトナーを除去する除去手段600をより具体化したものであり、上述したブレード610及び回収筒620以外に、追加的にアルコールブラシ630をさらに含むことができる。上記感光ドラム300は高速で回転しながらイメージを転写するため、上記トナーの除去が容易ではない場合がある。このような場合には、イメージの残像が残っている可能性があるという問題がある。このために、上記ブレード610で1次除去を行った後、アルコールブラシ630などを用いて化学的方法で2次除去を行うことができる。
【0033】
一方、様々なイメージを印刷するために一つ以上のトナーを使用することができ、この場合には、感光ドラム、感光ドラム帯電手段、感光ドラム放電手段、露光手段、現像手段、除去手段が金属素材の進行方向に沿って対をなして2つ以上備えられることができる。図5は、本発明のプリンタ設備のさらに他の一実現例を模式的に示したものである。上記図5は、カラーイメージを印刷するために、4種のトナーを提供してイメージを転写するためのプリント設備を実現したものであり、4種のトナーはそれぞれ、C(Cyan)、Y(Yellow)、M(Magenta)、K(Black)であってもよい。上記トナーの種類は必ずしも4種を使用すべきものではなく、W(White)を含むこともできる。このうち、一部又はそれ以上、重複して使用することも可能であり、その順序も定められたものではない。要求されるイメージ、作業効率などを考慮して当業者が任意に選択することができる。但し、白色(W)のトナーを金属素材の進行方向に最も前方に位置させることができる。
【0034】
図5では、4種のトナー使用時におけるプリント設備を示したものである。図5では、4種のトナーを金属素材100に定着させるために、各4対の感光ドラム301、302、303、304、感光ドラム帯電及び放電手段401、402、403、404、露光手段201、202、203、204、現像手段501、502、503、504及び除去手段601、602、603、604が備えられる。但し、金属素材100上に定着したトナーを固定するための固定手段700は、最終的にイメージを定着させるためのものであり、必ずしも複数個である必要はない。
【0035】
一方、図5のように、多数の感光ドラムを用いる場合に、ロールツーロール(Roll-to-Roll)方式の特性上、金属素材100の弛みが発生するおそれがあるため、上記金属素材を支えつつ、連続的な移動を図る支持ロール111、112、113、114をさらに備えることができる。上記支持ロール111、112、113、114も金属素材100の厚さに応じて上下移動可能な可変構造であることが好ましい。
【0036】
図6は、本発明のさらに他の一実現例を示したものである。図6は、上述したプリント設備が連続的に移動する金属素材100の両面を順次又は同時に印刷することができる設備に関するものであって、金属素材の上部及び下部に上述した形態のプリント設備が位置することを模式的に示したものである。すなわち、上述した機能及び役割を有する各構成部品が金属素材の上部及び下部に備えられ、金属素材の前面及び裏面の両方を印刷することができる技術を示す。
【0037】
以下では、本発明の金属素材のプリント方法について詳細に説明する。以下、プリント方法については、上述の図面を併せて参照しながら説明する。
【0038】
本発明は、連続的に移動する金属素材100の表面にイメージを印刷する方法であって、まず、ある一方向に回転する感光ドラム300の表面を帯電させる。上記感光ドラム300をいずれか一つの電荷に帯電した電荷層を形成し、その後、トナーTを用いてイメージを付与する準備をする。上記感光ドラム300の表面は正(+)電荷又は負(-)電荷のいずれでもよい。
【0039】
上記電荷層を形成して帯電した感光ドラム300の表面に光エネルギーを付与する露光を行う。上記露光は、光エネルギーを用いて上記感光ドラム300の表面の電荷を除去することにより、要求されるイメージに応じて上記感光ドラム300の表面にトナーを移動させることができる。上記光エネルギーは様々な形態であってもよく、レーザ、LED光源を用いることが好ましい。
【0040】
上記露光された感光ドラム300の表面にトナーを付着し、これを現像段階という。上記トナーは上記感光ドラム300の帯電電荷とは反対の電荷に帯電しており、感光ドラム300の表面に付着する。上記現像段階では、図1の一例を参考にすると、現像ローラ510は、一定量のトナーTをトナーコンテナ520から感光ドラム300に移動させる。しかし、上記現像ローラ510は必ずしも必要ではなく、上記トナーコンテナ520から感光ドラム300に直接移動してもよい。すなわち、現像段階は、感光ドラム300の表面において要求されるイメージに応じてトナーが付着する過程である。
【0041】
その後、上記感光ドラム300の表面に付着したトナーが連続的に移動する帯電した金属素材100に移動し、金属素材100の表面にトナーを定着させる転写段階が行われる。上記金属素材100は、上記感光ドラム300と同じ電荷に帯電し、トナーとは反対の電荷に帯電して、感光ドラムのトナーが上記金属素材100に移動することになる。上記転写段階は、金属素材100の表面にイメージが印刷される過程であって、上記金属素材100が上記トナーとは反対の電荷に帯電しており、上記トナーを引き寄せることになり、金属素材100の表面に定着させる過程である。上記金属素材100の帯電は、上記転写段階の前や後、又は前後両方で行われることができる。一方、図3に示すように、金属素材100の表面に別途のコーティング層Aが形成された状態で、コーティング層A上に印刷される場合には、コーティング層Aが帯電するように行うことができる金属素材帯電手段101’をさらに備えることができる。
【0042】
上記金属素材100の表面に定着したトナーは固定される段階を経て、上記固定段階は熱圧着方式で行うことができ、具体的には、ヒューズロール710と加圧ロール720により熱が加えられる同時に圧着される。このとき、加熱温度は25~400℃であることが好ましい。本発明で使用されるトナーの場合は、上述したように金属素材の印刷に用いられるものであって、主要成分が高分子構造となっている。特に、金属素材は熱伝達率が高いことから、トナーの溶融吸着に困難があるため、適正温度に加熱してトナーが吸着される必要がある。そのためには、常温以上の温度で反応が起こって金属素材の表面に固定されることができることから、上記加熱温度は25℃以上であることが好ましい。一方、400℃を超えると、上記トナーの高分子構造が分解するという問題が生じる可能性があるため、上記加熱は400℃を超えないことが好ましい。より好ましくは50~300℃で加熱する。
【0043】
上記金属素材100とは別に、転写後、感光ドラム300の表面に残留するトナーを除去する除去段階が行われる。これは、残留したトナーにより後続の印刷過程で残像が残る可能性があり、印刷品質を低下させるおそれがある。このとき、除去方法は、図1及び図4に示すように、ブレード610を介して物理的除去を行い、このように除去されたトナーが金属素材に落下することを防止するために、回収筒620に回収することができる。一方、より完全な除去のためには、上記物理的除去を行った後にアルコールブラシ630を用いて化学的除去をさらに行うことができる。
【0044】
その後、上記感光ドラム300に残っている電荷を消滅させるために、感光ドラム300の表面を放電させる段階を行う。上記放電によって、感光ドラム300は新たな印刷を行うことができるように準備される。
【0045】
本発明のプリント方法は2以上の色相、すなわち、W(White)、C(Cyan)、Y(Yellow)、M(Magenta)、K(Black) など様々な色相のトナーTを使用してカラー色相のイメージを印刷することができる。このとき、2つ以上のトナーを用いて印刷を行うことができ、このときは、上述したように、感光ドラム、感光ドラム帯電手段、感光ドラム放電手段、露光手段、現像手段、及び除去手段が対をなして2つ以上備えられており、金属素材の進行方向に沿って帯電段階、露光段階、現像段階、転写段階、除去段階を2回以上行うことで、様々な色相の実現が可能である。上記色相の順序は、本発明では特に限定せず、要求されるイメージ、作業効率などを考慮して定めることができる。
【0046】
これに関する一例を図5に示している。図5では、4つの対をなす感光ドラム、感光ドラム帯電手段、感光ドラム放電手段、露光手段、現像手段、及び除去手段が備えられて各段階を進行することにより、印刷を行う。一方、金属素材の進行方向を基準として最も前方に白色(White)トナーを使用する場合には、白色の背景イメージを先に転写することができるため、全体的なイメージの鮮明度を高めることができるという利点がある。
【0047】
一方、図6に示すように、上記金属素材の上面及び裏面の両方に印刷を行うためには、上述した本発明のプリント方法を上面及び下面に順次又は同時に適用して金属素材の両面にイメージを印刷することができる。
【0048】
次に、上記プリント設備ないしプリント方法を用いて得られたプリントされた金属素材について詳細に説明する。図7は、本発明のプリントされた金属素材を模式的に示したものであって、図7を参照して本発明を詳細に説明する。
【0049】
本発明のプリントされた金属素材は、図7の(a)のように、金属素材上に形成されたプリント層を含む。上記金属素材は、上述したように、鋼板、非鉄金属、金属合金など、その種類を限定しない。
【0050】
上記プリント層は、上述の金属素材プリント設備を用いるか、又は上述の金属素材プリント方法を用いて形成することが好ましい。すなわち、上記プリント層は、露光手段としてレーザ、LEDなどを用いるプリント設備及びプリント方法で形成されることが好ましい。
【0051】
上記プリント層は、既存の金属素材上に形成されたイメージに比べて、より多様なイメージを形成することができる。上記プリント層は、既存のプリント方式で形成されたイメージに比べて、形態や色相が明確であるだけでなく、剥離に対する抵抗性が高く加工特性に優れるという利点がある。既存のプリント方式は、液状の顔料や染料を使用するロールコーティング、インクジェットコーティング方式で行っていた。このような液状タイプの方式は、透明な高分子樹脂(約70~80wt.%)に色粒子(約20~30wt.%)を混合して使用する。すなわち、顔料や染料を構成する大部分が透明な高分子樹脂であるため、形態や色相が明確に現れず、液状粒子が大きい場合には、高分子全体に加わる応力により剥離が起こる可能性が高くなるため加工特性が低い。これに対し、本発明のプリント層は固体粉末のトナーを用い、一つの粉末粒子が色相を含む単位粒子に該当するため、優れた色相を形成することができる。また、既存のプリント方式は液状の顔料や染料を使用するため、印刷される素材の表面状態により大きな影響を受ける。例えば、素材表面の粗さや表面形状に応じて印刷品質が影響を受けることから、粗さの管理など、表面の前処理のための事前の努力が求められる。しかし、本発明によるレーザ、LEDなどを用いたプリント方式は、トナー粉末が電気的吸着及び圧着過程により印刷される方式であるため、既存の方式に比べて容易に形成することができる。
【0052】
一方、本発明のプリントされた金属素材は、図7の(b)に示すように、上記金属素材とプリント層との間にコーティング層をさらに含むことができる。上記コーティング層は、電気亜鉛めっき(EG)層、溶融亜鉛めっき(GI)層などの湿式又は乾式めっき層を含むことができる。
【0053】
さらに、上記コーティング層は、上記めっき層上に形成された前処理層、上記前処理層上に形成された中塗り層、及び上記中塗り層上に形成された上塗り層を含むことができる。
【0054】
上記前処理層、中塗り層、上塗り層は、本発明において特に限定されるものではなく、本発明が属する技術分野において知られているものを全て含むことができる。以下、好ましい一例について説明する。
【0055】
上記前処理層は、下地金属と中塗り層(プライマー層)との接合力を向上させるためのものであって、通常1μm以内にして形成し、クロムフリー(Cr-free)高分子コーティングや、クロム6価(Cr6+)、クロム3価(Cr3+)コーティングが行われることができる。
【0056】
上記中塗り層(プライマー層)は、耐食性の確保及び下地層の隠蔽のためのものであって、約5μm程度にして行い、ポリエステル、ウレタン、エポキシ等を使用してコーティングすることができる。但し、上記中塗り層は目的に応じて省略可能である。
【0057】
上記上塗り層(トップコーティング層)は表面物性を示すものであって、製品の物性と直接的な関連があり、上記プリント層の上塗り層上に形成される。したがって、上記上塗り層は、表面への物理的な打撃時における保護や色相、隠蔽などを目的としており、そのために15~20μmの厚さレベルとすることができ、ポリエステル、ウレタン、エポキシなどを使用することができる。
【0058】
一方、本発明のプリントされた金属素材は、図7の(c)及び(d)に示すように、プリント層上に透明塗装層をさらに含むことができる。上記透明塗装層は、光沢を付与するか又は上記プリント層を保護する役割を果たす。上記透明塗装層も、本発明において特に限定するものではなく、本発明が属する技術分野で知られているものを全て含むことができる。
【0059】
一例として、上記透明塗装層には一般的にポリマー系列が用いられ、上記上塗り層と同様にポリエステル、ウレタン等の高分子樹脂を用いる場合もあり、屋外使用の場合にはフッ素樹脂を使用する場合もある。上記透明塗装層は、用途に応じて約1~5μmの厚さに形成することができる。
【符号の説明】
【0060】
100:金属素材
101、101’:金属素材帯電手段
111、112、113、114:支持ロール(support roll)
200、200’、201、202、203、204:露光手段
210:レーザ発生装置
220:走査ミラー
300、300’、301、302、303、304:感光ドラム
400、400’、401、402、403、404:感光ドラム帯電及び放電手段
410、410’、411、412、413、414:感光ドラム帯電手段
420、420’、421、422、423、424:感光ドラム放電手段
500、500’、501、502、503、504:現像手段
510、510’、511、512、513、514:現象ローラ
520、520’、521、522、523、524:トナーコンテナ
600、600’、601、602、603、604:除去手段
610、610’、611、612、613、614:ブレード
620、620’、621、622、623、624:回収筒
630:アルコールブラシ
700、700’:固定手段
710、710’:ヒューズロール
720:加圧ロール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】