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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】コア:壁比の高いデリバリー粒子
(51)【国際特許分類】
   D06M 23/12 20060101AFI20240719BHJP
   C05G 3/60 20200101ALI20240719BHJP
   C05G 5/10 20200101ALI20240719BHJP
   C11D 3/50 20060101ALI20240719BHJP
   C11D 7/22 20060101ALI20240719BHJP
   C11B 9/00 20060101ALI20240719BHJP
   B01J 13/18 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
D06M23/12
C05G3/60
C05G5/10
C11D3/50
C11D7/22
C11B9/00 J
C11B9/00 L
B01J13/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500496
(86)(22)【出願日】2022-07-13
(85)【翻訳文提出日】2024-01-26
(86)【国際出願番号】 US2022036940
(87)【国際公開番号】W WO2023287867
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】63/221,618
(32)【優先日】2021-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516195258
【氏名又は名称】エンカプシス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100183782
【弁理士】
【氏名又は名称】轟木 哲
(72)【発明者】
【氏名】スメッツ、ヨハン
(72)【発明者】
【氏名】ピンテス、アン
(72)【発明者】
【氏名】ジュークス、アマンダ、カイザー
(72)【発明者】
【氏名】チャカー、ファディ、セリム
(72)【発明者】
【氏名】ドラハイム、イアン、アラン
(72)【発明者】
【氏名】トルヒーリョ、ラファエル
【テーマコード(参考)】
4G005
4H003
4H061
4L031
【Fターム(参考)】
4G005AA01
4G005AB25
4G005BA03
4G005DC29Y
4G005DC34Y
4G005DD04Z
4G005DD38Z
4G005EA02
4G005EA05
4G005EA07
4H003BA12
4H003CA18
4H003DA01
4H003EA03
4H003EB07
4H003EB09
4H003EB28
4H003EB30
4H003FA07
4H003FA19
4H003FA26
4H061DD06
4H061DD07
4H061DD08
4H061DD11
4H061FF16
4H061GG15
4L031AB31
4L031CA00
4L031DA00
(57)【要約】
コアと、コアを囲むポリマー壁とを含むデリバリー粒子の群を含む組成物が開示されている。デリバリー粒子は、コア材および壁形成材を供する工程と、コア材をポリマー壁にカプセル化する工程とを含む方法で得ることができる。壁形成材は、構造モノマーと、遊離ラジカル開始物質とを含む。コア材は、有益剤と、保護剤とを含む。有益剤は、アルデヒド含有有益剤、ケトン含有有益剤またはそれらを組み合わせたものを含む。保護剤は、アルデヒド含有有益剤、ケトン含有有益剤またはそれらを組み合わせたものと複合体を形成することができる。形成されたコア/シェルデリバリー粒子の群は少なくとも95:5のコア材および壁ポリマーの重量比を有する。関連する物品、そのような組成物および物品の製造方法および使用方法も開示されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デリバリー粒子の群であって、
デリバリー粒子は、コア材と、コア材を囲むポリマー壁とを含み、
ポリマー壁に対するコア材の重量比は、少なくとも95:5であり、
ポリマー壁は、壁形成材から得られる壁ポリマーを含み、
壁形成材は、構造モノマーと、遊離ラジカル開始物質とを含み、
コア材は、有益剤と、保護剤とを含み、
有益剤は、アルデヒド含有有益剤、ケトン含有有益剤またはそれらを組み合わせたものを含み、
保護剤は、アルデヒド含有有益剤、ケトン含有有益剤またはそれらを組み合わせたものと複合体を形成することができるデリバリー粒子の群。
【請求項2】
ポリマー壁に対するコア材の重量比は、少なくとも96:4、好ましくは少なくとも97:3、より好ましくは少なくとも97.5:2.5、さらにより好ましくは少なくとも98:2であることを特徴とする請求項1記載のデリバリー粒子の群。
【請求項3】
構造モノマーは、壁形成材の重量で少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%の量で存在することを特徴とする請求項1記載のデリバリー粒子の群。
【請求項4】
構造モノマーは、(メタ)アクリレートモノマーを含み、(メタ)アクリレートモノマーは、多官能性(メタ)アクリレートモノマー を有する 少なくとも3、好ましくは少なくとも4、少なくとも5またはさらに少なくとも6つのラジカル重合性官能基を含むが、ただしラジカル重合性基の内の少なくとも1つ、より好ましくは少なくとも3つは、アクリレートまたはメタクリレートであることを特徴とする請求項1記載のデリバリー粒子の群。
【請求項5】
(メタ)アクリレートモノマーは、構造モノマーの重量で少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは90%の量で存在することを特徴とする請求項4記載のデリバリー粒子の群。
【請求項6】
遊離ラジカル開始物質は、ペルオキシ開始剤、アゾ開始剤およびこれらを組み合わせたものからなる群から選択される材料を含み、
好ましくはペルオキシド、ジアルキルペルオキシド、アルキルペルオキシド、ペルオキシエステル、ペルオキシカーボネート、ペルオキシケトン、ペルオキシジカーボネート、2,2'-アゾビス(イソブチルニトリル)、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルペンタンニトリル)、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2'-アゾビス(2-メチルプロパンニトリル)、2,2'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1'-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、1,1'-アゾビス(シアノシクロヘキサン)、過酸化ベンゾイル、過酸化デカノイル、過酸化ラウロイル、ジ(n-プロピル)ペルオキシジカーボネート、ジ(sec-ブチル)ペルオキシジカーボネート、ジ(2-エチルヘキシル)ペルオキシジカーボネート、1,1-ジメチル-3-ヒドロキシブチルペルオキシネオデカノエート、a-クミルペルオキシネオヘプタノエート、t-アミルペルオキシネオデカノエート、t-ブチルペルオキシネオデカノエート、t-アミルペルオキシピバレート、t-ブチルペルオキシピバレート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサン、t-アミルペルオキシ-2-エチル-ヘキサノエート、t-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルペルオキシアセテート、ジ-t-アミルペルオキシアセテート、t-ブチルペルオキシド、ジ-t-アミルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、クメンヒドロペルオキシド、1,1-ジ-(t-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチル-シクロヘキサン、1,1-ジ-(t-ブチルペルオキシ)-シクロヘキサン、1,1-ジ-(t-アミルペルオキシ)-シクロヘキサン、エチル-3,3-ジ-(t-ブチルペルオキシ)-ブチレート、t-アミルペルベンゾエート、t-ブチルペルベンゾエート、エチル3,3-ジ-(t-アミルペルオキシ)-ブチレートおよびこれらを組み合わせたものからなる群から選択される、より好ましくは4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)またはこれらを組み合わせたものからなる群から選択される少なくとも1種の遊離ラジカル開始剤を含むことを特徴とする請求項1記載のデリバリー粒子の群。
【請求項7】
遊離ラジカル開始物質は、第1の遊離ラジカル開始物質と、第2の遊離ラジカル開始物質とを含むことを特徴とする請求項1記載のデリバリー粒子の群。
【請求項8】
遊離ラジカル開始物質は、水溶性または水分散性遊離ラジカル開始物質を、選択的に油溶性または油分散性遊離ラジカル開始物質と組み合わせて含むことを特徴とする請求項1記載のデリバリー粒子の群。
【請求項9】
有益剤は、香料原料を含み、
好ましくは香料原料は、香料原料の重量で、少なくとも約20%、好ましくは少なくとも約25%、より好ましくは少なくとも約30%、より好ましくは少なくとも約40%、さらにより好ましくは少なくとも約50%のアルデヒド含有香料原料、ケトン含有原料またはその混合物を含むことを特徴とする請求項1記載のデリバリー粒子の群。
【請求項10】
保護剤は、アミン含有化合物、ケイ素含有化合物、硫黄含有化合物、アルデヒド含有有益剤、ケトン含有有益剤またはそれらの混合物と反応した際に部分および記号は本明細書で説明されている式(1)
によるアルキリデン含有化合物を形成する材料およびこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項1記載のデリバリー粒子の群。
【請求項11】
保護剤は、アントラニル酸メチル、アントラニル酸ジメチルおよびそれらの混合物からなる群から選択されるアミン含有化合物であることを特徴とする請求項1記載のデリバリー粒子の群。
【請求項12】
保護剤は、有益剤の重量で少なくとも約1%、好ましくは少なくとも約3%、より好ましくは少なくとも約5%の量で存在することを特徴とする請求項1記載のデリバリー粒子の群。
【請求項13】
アルデヒド含有有益剤および/またはケトン含有有益剤の少なくともいくつかが、保護剤の少なくとも一部との複合体の形体で存在し、複合体は、共有結合された化合物であることを特徴とする請求項1記載のデリバリー粒子の群。
【請求項14】
コア材は、パーティショニング変性剤をさらに含み、パーティショニング変性剤は、コア材の重量で約5%~約55%の量で存在し、より好ましくはパーティショニング変性剤は、ミリスチン酸イソプロピル、植物油、改質植物油、C4~C24脂肪酸の、モノ、ジ-、およびトリ-エステル、ドデカノフェノン、ラウリン酸ラウリル、ベヘン酸メチル、ラウリン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチルおよびこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項1記載のデリバリー粒子の群。
【請求項15】
カプセル化物のポリマー壁は、ポリマー壁に取り込まれる重合性乳化剤をさらに含み、好ましくは重合性乳化剤は、ポリビニルアルコールを含むことを特徴とする請求項1記載のデリバリー粒子の群。
【請求項16】
コア/壁デリバリー粒子を得る方法は、2つの液相を混合する工程を含んでもよく、第1の相は、水相であり、第2の相は、油相であり、有益剤、保護剤、少なくとも1種の(メタ)アクリレートモノマーおよび少なくとも1種の遊離ラジカル開始物質は、同じ液相、好ましくは油相に存在することを特徴とする請求項1記載のデリバリー粒子の群。
【請求項17】
コア/壁デリバリー粒子を得る方法は、有益剤と保護剤をそれらを混合する前に壁形成材と混合することを含むことを特徴とする請求項16記載のデリバリー粒子の群。
【請求項18】
デリバリー粒子は、約10~約100ミクロン、好ましくは約15~約60ミクロン、より好ましくは約20~約50ミクロン、さらにより好ましくは約30~約40ミクロンの体積加重中央粒径によって特徴付けられることを特徴とする請求項16記載のデリバリー粒子の群。
【請求項19】
請求項1記載のデリバリー粒子群を組み込んだ製造品。
【請求項20】
農薬製剤、生物活性製剤、農薬をカプセル化したスラリー、生物活性剤をカプセル化したスラリー、農薬または生物活性剤をカプセル化した乾燥マイクロカプセル群、殺虫剤をカプセル化した農薬製剤および発芽前除草剤送達用農薬製剤からなる群から選択されることを特徴とする請求項19記載の製造品。
【請求項21】
農薬は、農業用除草剤、農業用フェロモン、農業用殺虫剤、農業用栄養素、害虫防除剤および植物成長調整剤からなる群から選択されることを特徴とする請求項19記載の製造品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
Encapsys、LLC(かつてはAppleton Papers Inc.のEncapsys部門として知られていた)およびProcter & Gamble Companyは、2005年11月28日頃に共同研究契約を履行し、本発明は、本発明の日付またはその前に施行された両者間の共同研究契約の範囲内で開始された活動の結果としてなされたものであった。
【0002】
本開示は、デリバリー粒子およびそのような粒子を含む組成物およびそのような粒子および組成物の製造方法および使用方法に関し、デリバリー粒子は、コアと、コアを囲むポリマー壁とを含み、例えばデリバリー粒子のコア材と壁ポリマーの重量比は、少なくとも95:5である。また本開示は、関連する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
コア/シェルデリバリー粒子は、効率的かつ望ましい方法で有益剤を種々の製品に送出できる。通常のデリバリー粒子は、コアを囲む高分子壁を含む場合が多く、コアは、有益剤を含む。ポリマー壁の形成は、遊離ラジカル開始剤および/または架橋剤などの壁促進剤によって円滑に進め、向上させてもよい。デリバリー効率の理由から相対的に高い搭載量(例えば高いコア:壁重量比を有する)のデリバリー粒子を使用するのが望ましい。
【0004】
一部の一般的なカプセル化された有益剤は、アルデヒドまたはケトン部分などの特定のカルボニル基を含む。例えば、デシルアルデヒドまたはガルバスコン(即ち、ネオブテノン)などの多くの香料原料は、このような部分を含む。デリバリー粒子が従来のコア:壁重量比(例えば、80:20または90:10であっても)で作製される場合、アルデヒド含有および/またはケトン含有有益剤は、カプセル化するのに便利であり、効率的にカプセル化できる。
【0005】
しかしながら、そのような材料を含む有益剤を相対的に高いコア:壁重量比(例えば95:5およびそれ以上)でカプセル化した場合、得られるデリバリー粒子は、それほど効率的でないことが分かっている。例えば、相対的にカプセル化される有益剤が少なくなり、代わりに遊離な状態のままになる。さらにデリバリー粒子は、そのようなデリバリー粒子が役に立つ消費者製品組成物および消費者製品以外の組成物などの製品組成物において相対的に漏れ率が高くなる。
【0006】
したがって、特にコアがアルデヒドおよび/またはケトン部分を含む1種以上の有益剤を含む場合に良好な性能を供する大容量デリバリー粒子が必要とされる。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、デリバリー粒子の群に関し、そのデリバリー粒子は、コアと、コアを囲むポリマー壁とを含み、例えばデリバリー粒子のコア材と壁ポリマーの重量比は、少なくとも95:5である。
【0008】
本開示によるデリバリー粒子は、(a)コア材および壁形成材を供する工程と、(b)壁形成材から少なくとも部分的に製せられたポリマー壁内にコア材をカプセル化してコア/シェルデリバリー粒子の群を形成する工程とを含む方法によって得ることができ、壁形成材は、構造モノマーと、遊離ラジカル開始物質とを含み、コア材は、有益剤と、保護剤とを含み、有益剤は、アルデヒド含有有益剤、ケトン含有有益剤またはそれらを組み合わせたものを含み、保護剤は、アルデヒド含有有益剤、ケトン含有有益剤またはそれらを組み合わせたものと複合体を形成することができ、コア材と壁ポリマーの重量比は、少なくとも95:5である。
【0009】
本開示によるデリバリー粒子は、コア材と、コア材を囲むポリマー壁とを含んでもよく、ポリマー壁に対するコア材の重量比は、少なくとも95:5であり、ポリマー壁は、壁形成材から得ることができる壁ポリマーを含み、壁形成材は、構造モノマーと、遊離ラジカル開始物質とを含み、コア材は、有益剤と、保護剤とを含み、有益剤は、アルデヒド含有有益剤、ケトン含有有益剤またはそれらを組み合わせたものを含み、保護剤は、アルデヒド含有有益剤、ケトン含有有益剤またはそれらを組み合わせたものと複合体を形成することができる。
【0010】
本開示によるデリバリー粒子は、コア材と、コア材を囲むポリマー壁とを含んでもよく、ポリマー壁に対するコア材の重量比は、少なくとも95:5であり、ポリマー壁は、フリーラジカル重合法で形成され、コア材は、有益剤と、保護剤とを含み、有益剤は、アルデヒド含有有益剤、ケトン含有有益剤またはそれらを組み合わせたものを含み、保護剤は、アルデヒド含有有益剤、ケトン含有有益剤またはそれらを組み合わせたものと複合体を形成することができる。
【0011】
また本開示は、表面処理の方法に関し、この方法は、任意に水の存在下で本開示による消費者製品組成物に表面を接触させる工程を含む。
【0012】
いくつかの実施態様では本発明は、上述のデリバリー粒子を組み込んだ製造品について説明する。デリバリー粒子群は、香り送達媒体、農薬製剤、生物活性製剤、農薬をカプセル化したスラリー、生物活性剤をカプセル化したスラリー、農薬または生物活性剤をカプセル化した乾燥マイクロカプセル群、殺虫剤をカプセル化した農薬製剤および発芽前除草剤送達用農薬製剤からなる群から選択される製造品などの種々の製造品に形成することができる。
【0013】
例えば、農薬がコアとして採用されている特定に実施態様では、農薬は、農業用除草剤、農業用フェロモン、農業用殺虫剤、農業用栄養素、害虫防除剤および植物成長調整剤からなる群から選択することができる。
【0014】
本発明のさらなる例示的実施態様は、上述のデリバリー粒子の群を組み込んだ種々の製造品に関し、製造品は、石けん、表面洗浄剤、洗濯洗剤、柔軟剤、シャンプー、繊維製品、ペーパータオル、接着剤、ティッシュ、オムツ、生理用品、化粧紙、薬剤、ナプキン、脱臭剤、ヒートシンク、発泡体、枕、マットレス、布団、クッション、化粧品、医療機器、梱包材、農産物、冷却液、壁板または絶縁体である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示は、高いコア:壁比という特徴を有するデリバリー粒子を含む消費者製品に関する。デリバリー粒子は、有益剤を含むコアを含み、有益剤は、アルデヒド含有有益剤、ケトン含有有益剤またはそれらを組み合わせたものを含む。デリバリー粒子のポリマー壁は、構造壁モノマーと、遊離ラジカル開始剤および/または架橋剤などの壁促進材を含む壁形成材から形成される。
【0016】
相対的に高いコア:壁重量比(例えば95:5またはそれ以上)を有するデリバリー粒子をそのような材料から形成する場合、得られるカプセルは、カプセル化効率が悪くなるおよび/またはそのようなデリバリー粒子を含む製品内の漏出などの相対的な性能不良の特徴を有することが分かっている。いかなる理論にも束縛されることを望まないが、有益剤のアルデヒドおよび/またはケトン部分が壁形成材と相互作用し、壁形成材の構造壁モノマーとの反応を阻害すると考えられている。例えば、アルデヒド、ケトン(不飽和ケトンを含む)およびそれらの混合物を含む有益剤は、例えば遊離ラジカル開始剤および/またはその開始剤から形成される分裂したラジカルと相互作用し、これによりデリバリー粒子の壁形成を妨害すると考えられている。この妨害は、開始剤と壁モノマーの濃度が相対的に希釈され、カプセル化される有益剤が相対的に多くなるので高いコア:壁比の粒子径では特に起こりやすい。加えて特に存在する材料の比を考慮すると、有益剤に関連する干渉相互作用も水素結合および/または双極子モーメント相互作用を含み、これは開始剤だけでなく壁モノマーによっても起こる場合がある。結果としてデリバリー粒子は、相対的にポリマー壁が良好に形成されないという特徴を有する。
【0017】
このことは相対的に低いコア:壁重量比を有するデリバリー粒子にはさほど問題ではないと考えられている。構造壁モノマーの相対的な量がかなり多いので、得られるポリマー壁は、壁促進材の阻害が考えられているにもかかわらず、充分に頑丈になる。しかしながら、一般的にそのような粒子は、相対的に低い、したがって好ましくない積載能力という特徴を有する。
【0018】
積載能力を向上させたデリバリー粒子は、特定の保護剤の存在下で効率よく製造できるという驚異的な発見をした。保護剤は、例えばより強い水素結合および双極子モーメント相互作用および/または最終的に例えばシッフ塩基および/またはマイケル付加物の形成(平衡状態で部分的なまたは完全な)によりアルデヒドまたはケトン含有有益剤と相互作用するように選択される。このようにして遊離ラジカル開始剤、分裂したラジカルとの阻害する有益剤(例えば、香料原料)の相互作用、または壁モノマーとの有益剤の相互作用でさえも制限される。したがって、有益剤のポリマー壁製造法との弊害をもたらす相互作用は、抑制され、相対的により頑丈なポリマー壁が壁形成材(例えば、開始剤およびモノマー)によって、特に相対的に高いコア:壁重量比を有するデリバリー粒子において結果として形成される。
【0019】
加えてアルデヒドまたはケトン含有有益剤と一時的に相互作用を形成する保護剤を選択することが好ましい場合がある。ポリマー壁が形成された後のある時点で保護剤と有益剤は、分断されるべきであり、これは目的の物品または表面に意図する利益を供するために有益剤を自由にする。一例として不安定な共有結合がポリマー壁形成時に保護剤と有益剤の間に存在するが、その結合は、所望のタッチポイントで破断する。この分断は、消費者製品の使用前、使用中または使用後そして好ましくは粒子壁形成が終わった後に起こってもよい。
【0020】
本開示の物品、消費者製品、デリバリー粒子、その成分および関連する工程について以下に詳しく考察する。
【0021】
本明細書で使用される場合、請求項において使用される場合の冠詞「a」および「an」は、請求または記載されるものの1つ以上を意味するものとする。本明細書で使用される場合、用語「含む」および「含み」は、非限定的であることを意図する。本開示の組成物は、本開示の成分を含む、本質的になる、あるいはからなることができる。
【0022】
本明細書では、「を実質的に含まない」という用語が使用されることがある。これは、指示された材料が、最低限、組成物に意図的に添加されその一部を形成していないこと、または、好ましくは、分析的に検出可能な水準で存在しないことを意味する。これは、指示物質が意図的に含まれる他の材料のうちの1材料中の不純物としてのみ存在する組成物を含むことを意味する。示された材料は、もし存在するとしても、組成物の重量に対して1%未満、または0.1%未満、または0.01%未満、あるいは0%の量で存在する。
【0023】
本明細書において「消費者製品」とは、ベビーケア、ビューティーケア、ファブリック&ホームケア、ファミリーケア、フェミニンケア、および/またはヘルスケア製品または装置を意味し、販売されている形態で使用または消費されることを意図し、その後の商用製造または改変を意図しない。このような製品には、おむつ、涎掛け、拭き取り繊維;漂白、着色、染色、コンディショニング、シャンプー、スタイリングなどの人毛の処理に関する製品および/または方法、体臭防止剤および制汗剤、パーソナルクレンジング、クリーム、ローションなど消費者用の局所適用製品の使用を含むスキンケア、ひげそり用製品、ファブリックや住居ケアの領域における、繊維、硬質表面およびその他の表面の処理に関する製品および/または方法、エアケア、カーケア、食器洗い、ファブリックコンディショニング(柔軟化を含む)、洗濯洗剤、洗濯・すすぎ用添加剤および/またはケア、硬質表面洗浄および/または処理、および消費者または施設向けのその他の洗浄、トイレットペーパー、化粧紙、紙ハンカチ、および/または紙タオルに関する製品および/または方法、タンポン、女性用ナプキン、大人用失禁用品、ねり歯磨き、歯磨きジェル、すすぎ液、義歯用接着剤、歯の白化などの口腔ケアに関する製品および/または方法、咳止めや風邪薬などの市販薬、害虫駆除用品、浄水器があげられるがこれらに限定されない。
【0024】
本明細書で使用する「消費者製品以外のもの」は、そのまま使用されるか工業製品の製造に使用される供給原料を意味する。このような供給原料には、乾燥デリバリー粒子、デリバリー粒子、デリバリー粒子のスラリー、デリバリー粒子凝集体、デリバリー粒子粉末、デリバリー粒子分散液、マイクロカプセルコーティングおよびデリバリー粒子との結合材がある。最終用途としては、基材用コーティング材、原料スラリー、圧入井用などの工業用潤滑油のような有益剤のスラリー、消費者製品またはその他の製品の製造における原材料としての有益剤デリバリー粒子の固形物または粉末、香料、潤滑剤またはその他の活性剤の送達などの産業用途のスラリーなどの有益剤の送達用スラリーなどがあげられるが、これらに限定されない。
【0025】
本明細書で使用する「ファブリックケア組成物」は、ファブリック処理用に設計された組成物および処方物を含む。このような組成物としては、限定するものではないが、洗濯クリーニング組成物および洗濯洗剤、ファブリック柔軟化組成物、ファブリック向上組成物、ファブリックフレッシュニング組成物、洗濯プレウォッシュ組成物、洗濯前処理組成物、洗濯添加剤、スプレー製品、ドライクリーニング剤または組成物、洗濯すすぎ添加剤、洗浄添加剤、すすぎ後ファブリック処理剤、アイロン物質、単位投与量処方物、遅延処方物、多孔質基材または不織布シートの表面若しくは内部に収容された洗剤および本明細書の教示に照らして当業者に自明な他の好適な形体のものが挙げられる。このような組成物は、洗濯前処理剤、洗濯後処理剤として使用されてもよく、あるいは、洗濯作業のすすぎまたは洗浄サイクル中に添加されてもよい。
【0026】
本明細書で使用する用語「(メタ)アクリレート」または「(メタ)アクリル」は、特定のモノマー、オリゴマーおよび/またはプレポリマーのアクリレートおよびメタクリレート化合物の両方を指すものと理解されたい。例えば、「(メタ)アクリル酸アリル」は、メタクリル酸アリルおよびアクリル酸アリルの両方が可能であることを示し、同様に(メタ)アクリル酸のアルキルエステルは、アクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸アルキルエステルの両方が可能であることを示し、同様にポリ(メタ)アクリレートはポリアクリレートおよびポリメタクリレートの両方が可能であることを示す。ポリ(メタ)アクリレート材料は、例えば、ポリエステルポリ(メタ)アクリレート、ウレタンおよびポリウレタンポリ(メタ)アクリレート(特にヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとポリイソシアネートまたはウレタンポリイソシアネート、シアノアクリル酸メチル、シアノアクリル酸エチル、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリレート官能化シリコーン、ジ、トリ、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジ(ペンタメチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、エチレンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシル化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ジグリセロールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジクロロアクリレート、1,3-ブタンジオルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートおよび種々の多官能(メタ)アクリレートなどを含む広範にわたる重合体材料の包含を意図する。単官能(メタ)アクリレート、即ち、1つの(メタ)アクリレート基のみを含むものも、有利に使用することができる。代表的なモノ(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸シアノエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸p-ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸クロロベンジル、(メタ)アクリル酸アミノアルキル、種々の(メタ)アクリル酸アルキル、(メタ)アクリル酸グリシジルが挙げられる。(メタ)アクリレートまたはその誘導体の混合物、ならびに1種以上の(メタ)アクリレート単量体、オリゴマーおよび/またはプレポリマーまたはその誘導体とアクリロニトリルおよびメタクリロニトリルを含む他の共重合可能なモノマーとの組み合わせも使用可能である。
【0027】
本明細書で使用される場合、「デリバリー粒子」、「粒子」、「カプセル化」、および「マイクロカプセル」は、他に記載がない限り、同義である。本明細書で使用される場合、これらの用語は、通常はコア/シェルデリバリー粒子を意味する。
【0028】
本明細書および特許請求の範囲における参照を容易にするために、デリバリー粒子の壁ポリマーを形成する構造材料に関して本明細書で使用される用語「モノマー」は、モノマーの他に、オリゴマーおよび/または特定のモノマーから形成されるプレポリマーをも包含すると理解されたい。
【0029】
本明細書で使用される場合、「遊離ラジカル開始剤」、「遊離ラジカル開始物質」、「開始剤」および「開始物質」は、他に記載がない限り、同義である。
【0030】
特に断りのない限り、すべての成分または組成物の量は、そのような成分または組成物の市販の供給源に存在し得る不純物、例えば、残留溶媒または副産物を除いた成分または組成物を基準とする。
【0031】
本明細書に記載される温度は、特に断りのない限り、すべて摂氏(℃)の単位で表示されている。特に指定のない限り、本明細書中のすべての測定は、20℃、大気圧下で行われた。
【0032】
本開示のすべての実施態様において、すべてのパーセンテージは、特に断りのない限り、全組成物の重量によるものである。すべての比は、特に断りのない限り、重量比である。
【0033】
本明細書に記載のすべての上限数値は、あたかもそれより低い数値限定が本明細書に明示的に書かれているかのように、すべてのそれより低い数値限定を含むものとする。また、本明細書に記載のすべての下限数値は、あたかもそれより高い数値制限が本明細書に明示的に記載されているかのように、すべてのそれより高い数値制限を含むものとする。また、本明細書中に記載された数値範囲は、あたかもそのような数値範囲が全て明示的に記載されているかのように、そのような広い数値範囲に含まれる全てのより狭い数値範囲を含むものとする。
【0034】
製品組成物および消費者製品組成物
本開示は、消費者製品組成物(または本明細書で使用される場合単に「組成物」)を含む製品組成物に関する。本開示の組成物は、それぞれ以下により詳しく説明するデリバリー粒子の群および消費者製品添加材料を含んでもよい。
【0035】
本開示において消費者製品組成物とは、ベビーケア、ビューティーケア、ファブリックケア、ホームケア、ファミリーケア、フェミニンケアおよび/またはヘルスケア用途に有用である。消費者製品組成物は、ファブリック、髪または皮膚などの表面処理に有用である。消費者製品組成物は、販売されている形態で使用または消費されることを意図している。消費者製品組成物は、その後の商用製造または改変を意図しない。
【0036】
消費者製品組成物は、ファブリックケア組成物、硬質表面組成物、食器ケア組成物、ヘアケア組成物(シャンプーまたはコンディショナー)、ボディクレンジング組成物またはこれらの混合物であってもよい。
【0037】
消費者製品組成物は、洗濯洗剤組成物(強力液体洗剤または単位用量物品を含む)、ファブリックコンディショニング組成物(液体ファブリック柔軟および/または仕上げ向上組成物を含む)、洗濯添加剤、ファブリック予備処理組成物(スプレー、注ぎ可能な液体またはスプレーを含む)、ファブリックリフレッシュナー組成物(スプレーを含む)またはこれらの混合物などのファブリックケア組成物であってもよい。
【0038】
組成物は、ヘアートリートメント製品(シャンプーおよび/またはコンディショナーを含む)、スキンケア製品(クリーム、ローションまたは消費者用の他の局所適用製品を含む)、シェービングケア製品(シェービングローション、フォームまたはシェービング前または後トリートメントを含む)、パーソナルクレンジング製品(液体ボディウオッシュ、液体ハンドソープおよび/またはバーソープを含む)、脱臭剤および/または制汗剤またはこれらの混合物などのビューティーケア組成物であってもよい。
【0039】
組成物は、エアーケア、カーケア、食器洗い、硬質表面洗浄および/または処理などのホームケア組成物および消費者または産業用途の他の洗浄などの組成物であってもよい。
【0040】
消費者製品組成物は液体組成物、粒状組成物、親水コロイド、シングルコンパートメントパウチ、マルチコンパートメントパウチ、可溶性シート、トローチまたはビーズ、繊維物品、タブレット、スティック、バー、フレーク、泡/ムース、不織シートまたはそれらを組み合わせたものの形体であってもよい。
【0041】
組成物は、液状であってもよい。液状組成物は、組成物の重量で約30%~、または約40%~または約50%~約99%、または約95%または約90%または約75%または約70%または約60%の水を含んでもよい。液状組成物は、液体洗濯洗剤、液体ファブリックコンディショナー、液体食器洗剤、ヘアーシャンプー、ヘアーコンディショナーまたはこれらの混合物であってもよい。
【0042】
組成物は、固体であってもよい。固体組成物は、粉または粒状組成物であってもよい。このような組成物は、凝集または噴霧乾燥させてもよい。そのような組成物は、少なくとも一部は異なる組成を含む複数の顆粒または粒を含んでもよい。組成物は、粉または粒状洗浄組成物であってもよく、それは漂白剤を含んでもよい。組成物は、ビーズまたはトローチであってもよく、これらは液体溶解物からトローチ状にしてもよい。組成物は、押し出し製品であってもよい。
【0043】
組成物は、タブレット、パウチ、シートまたは繊維性物品などの単位容量物品の形体であってもよい。そのようなパウチは、少なくとも部分的に組成物をカプセル化したポリビニルアルコール水溶性フィルムなどの水溶性フィルムを通常含む。好適なフィルムは、MonoSol、LLC(米国、インディアナ州所在)より入手できる。組成物は、シングルまたはマルチコンパートメントパウチにカプセル化可能である。マルチコンパートメントパウチは、少なくとも2つ、少なくとも3つまたは少なくとも4つのコンパートメントを有してもよい。マルチコンパートメントパウチは、並んだまたは重なったコンパートメントを含んでもよい。パウチまたはそのコンパートメントに収容された組成物は、液体、固体(粉など)またはその組み合わせであってもよい。パウチ化された組成物は、相対的に低量の水、例えば洗剤組成物の重量で約20%未満、または約15%未満または約12%未満、または約10%未満、または約8%未満の水を含んでもよい。
【0044】
組成物は、スプレーの形体であってもよく、例えばバネ止め噴霧器を介してボトルおよび/またはバルブを有するエアロゾル容器から分出させてもよい。
【0045】
組成物は、20s-1、21℃で1~1500センチポアズ(1~1500mPa*s)、100~1000センチポアズ(100~1000mPa*s)または200~500センチポアズ(200~500mPa*s)の粘度を有してもよい。
【0046】
デリバリー粒子および消費者製品添加材料などの組成物のさらなる成分および/または特徴を詳しく説明する。
【0047】
デリバリー粒子の群
本開示の消費者製品組成物は、デリバリー粒子の群を含む。本開示の組成物は、デリバリー粒子の群と、添加材料とを含んでもよい。
【0048】
組成物は、組成物の重量で約0.05%~約20%または約0.05%~約10%または約0.1%~約5%または約0.2%~約2%のデリバリー粒子を含んでもよい。組成物は、組成物の重量で約0.05%~約10%または約0.1%~約5%または約0.1%~約2%の有益剤を組成物に供するために充分な量のデリバリー粒子を含んでもよく、有益剤は、デリバリー粒子のコアにカプセル化される好ましくは香料原料であってもよい。本明細書でデリバリー粒子の量または重量%についての記載は、壁材とコア材の合計を意味する。
【0049】
デリバリー粒子は、通常はコアと、ポリマー壁(または単にここでは「壁」という)とを含み、ポリマー壁は、コアを囲む。以下に詳しく説明するようにコアは、有益剤、保護剤および必要であればパーティショニング変性剤を含んでもよく、壁は、構造モノマーおよび遊離ラジカル開始物質などの壁形成材由来の壁ポリマーを含む。
【0050】
本開示のデリバリー粒子は、(a)コア材および壁形成材を供する工程と、(b)壁形成材から少なくとも部分的に製せられたポリマー壁内にコア材をカプセル化してコア/シェルデリバリー粒子の群を形成する工程とを含む方法によって得ることができ、壁形成材は、構造モノマーと、遊離ラジカル開始物質とを含み、コア材は、有益剤と、保護剤とを含み、有益剤は、アルデヒド含有有益剤、ケトン含有有益剤またはそれらを組み合わせたものを含み、保護剤は、アルデヒド含有有益剤、ケトン含有有益剤またはそれらを組み合わせたものと複合体を形成することができ、コア材と壁ポリマーの重量比は、少なくとも95:5である。
【0051】
本開示において 関連する有益剤と「複合体を形成することができる」保護剤は、保護剤および関連する有益剤間の化学反応、双極子間相互作用、モーメント相互作用、水素結合など、好ましくは化学反応を含むあらゆる好適な相互作用を意味する。問題の有益剤と保護剤の一部の少なくともいくつかは、複合体として存在してもよく、これは好ましくは共有結合された化合物を含んでもよく、当該化合物は、貯蔵時および/または処理条件において相対的に好適である。
【0052】
本開示のデリバリー粒子は、コア材と、コア材を囲むポリマー壁とを含んでもよく、ポリマー壁に対するコア材の重量比は、少なくとも95:5であり、壁ポリマーを含むポリマー壁は、壁形成材から得ることができ、壁形成材は、構造モノマーと、遊離ラジカル開始物質とを含み、コア材は、有益剤と、保護剤とを含み、有益剤は、アルデヒド含有有益剤、ケトン含有有益剤またはそれらを組み合わせたものを含んでもよく、保護剤は、アルデヒド含有有益剤、ケトン含有有益剤またはそれらを組み合わせたものと複合体を形成することができる。
【0053】
本開示のデリバリー粒子は、コア材と、コア材を囲むポリマー壁とを含んでもよく、ポリマー壁に対するコア材の重量比は、少なくとも95:5であり、ポリマー壁は、フリーラジカル重合法で形成され、コア材は、有益剤と、保護剤とを含み、有益剤は、アルデヒド含有有益剤、ケトン含有有益剤またはそれらを組み合わせたものを含み、保護剤は、アルデヒド含有有益剤、ケトン含有有益剤またはそれらを組み合わせたものと複合体を形成することができる。
【0054】
デリバリー粒子は、約10~約100ミクロン、好ましくは約15~約60ミクロン、より好ましくは約20~約50ミクロン、さらにより好ましくは約30~約40ミクロンの体積加重中央粒径の特徴を有する。粒径は、以下の試験方法の項で説明する手順に従って決定される。
【0055】
デリバリー粒子集合体は、次の内の1つ以上の特徴を有する、(i)約1ミクロン~約15ミクロンの第5パーセンタイル体積加重粒径、(ii)約30ミクロン~約50ミクロンの第50パーセンタイル(中央値)体積加重粒径、(iii)約40ミクロン~約80ミクロンの第90パーセンタイル体積加重粒径、または(iv)それらの組合せ。
【0056】
デリバリー粒子は、破壊強度で特徴付けてもよい。破壊強度は、後述する試験方法の項に記載した手順に従って決定される。デリバリー粒子群は、約0.2MPa~約30MPa、約0.4MPa~約10MPa、約0.6MPa~約5MPa、または約0.8MPa~約4MPaの平均破壊強度(ここで破壊強度は粒子集合体の中央値/d50サイズで複数のカプセルで測定)の特徴を有してもよい。デリバリー粒子群は、約0.2MPa~約10MPa、0.5MPa~約8MPa、約0.5MPa~約6MPa、約0.5MPa~約5MPa、約0.7MPa~約4MPa、または約1MPa~約3MPaの平均破壊強度の特徴を有してもよい。デリバリー粒子群は、約0.2~約10MPa、好ましくは約0.5~約8MPa、より好ましくは約0.5~約5MPaの平均破壊強度で特徴付けられてもよい。これらの水準におけるd50での平均破壊強度を有するデリバリー粒子は、本開示による組成物で処理された布などの表面にとって典型的な一カ所以上の接触点で良好に機能すると考えられる。
【0057】
以下に詳しく説明するように本開示のデリバリー粒子は、コアと、コアを囲むポリマー壁とを含む。さらに、高いコア:壁比を有するデリバリー粒子は、より効率的に有益剤を送達し、同じ量の有益剤を送達するためにより少ない壁材を必要とする。さらに、デリバリー粒子は、比較的多い装填量の有益剤を有するので、特定の組成物に対してより少ないデリバリー粒子材料が必要とされ、コストを下げ、および/または処方スペースを解放することができる。
【0058】
本開示のデリバリー粒子は、コア対重合体壁重量比(本明細書で使用される「コア:ポリマー壁比」、「コア-壁比」、「コア:壁比」、またはさらには「C:W比」等)で特徴付けられてもよい。比較的高いコア:壁比は、典型的には、粒子のデリバリー効率または比較的搭載率を増加させるために好ましい。しかしながら、その比が高すぎる場合、カプセルは、脆くなりすぎ、漏れやすくなり、最適な性能が得られないことがある。
【0059】
本明細書で使用する場合、コア:ポリマー壁比は、重合体壁を構成する反応壁形成材料(例えば、構造モノマーおよび壁促進剤)の重量に基づいて計算され、計算の目的のために、巻き込まれた非構造材料、例えば巻き込まれた乳化剤を計算から除外するものとする。計算は、出発投入物、即ち投入モノマーと壁促進剤の量に基づく。コア:壁重合体比の計算例を後述の実施例1に示す。出発原料の量を容易に入手できない場合、コア:壁比は、試験方法の項に記載されているコア:壁比の分析的決定手順に従って決定される。
【0060】
デリバリー粒子、好ましくは、デリバリー粒子群は、少なくとも約95:5、好ましくは少なくとも約96:4、より好ましくは少なくとも約97:3、さらにより好ましくは少なくとも約98:2、さらにより好ましくは少なくとも約99:1のコア:ポリマー壁の重量比を特徴とする。デリバリー粒子、デリバリー粒子群は、約95:5~約99.5:0.5、好ましくは約96:4~約99.5:0.5、好ましくは約96:4~約99:1、より好ましくは約97:3~約99:1、さらに好ましくは約98:2~約99:1のコア-ポリマー壁の重量比を特徴としてもよい。コア-ポリマー壁重量比は、好ましくは約95:5~約99.5:0.5、より好ましくは約96:4~約99:1、さらにより好ましくは約97:3~約99:1、さらにより好ましくは約97:3~約98:2であってもよい。上述のようにこのような比は、搭載効率と粒子性能または特徴(例えば低漏出および/または充分な破壊強度)とのバランスを取るためのものである。
【0061】
本開示のデリバリー粒子に関連する成分および方法について以下に詳しく説明する。
【0062】
A. ポリマー壁
本開示のデリバリー粒子は、コアを取り囲むポリマー壁を含む。なお、本明細書中では用語「ポリマー壁」、「壁」および「シェル」は、他に記載がない限り、同義である。
【0063】
ポリマー壁は、壁ポリマーを含んでもよい。壁ポリマーは、壁形成材から得られるまたは形成してもよい。これらの材料について以下により詳しく考察する。
【0064】
1. 壁ポリマー
ポリマー壁は、壁ポリマーを含んでもよい。壁ポリマーは、壁形成材から得てもよく、あるいは壁形成材から形成してもよい。壁形成材は、通常は構造モノマーと、1種以上の遊離ラジカル開始物質とを含む。
【0065】
壁ポリマーは、好ましくは遊離ラジカル重合反応によって形成される。そのような壁は、1つ以上(好ましくは3~6)のラジカル重合性基と、1種以上(好ましくは2種)の遊離ラジカル開始剤から形成される。
【0066】
壁ポリマーは、好ましくはポリ(メタ)アクリレートポリマーを含む。
【0067】
a. 構造モノマー
壁モノマーは、部分的に構造モノマーから形成される。構造モノマーは、重量で壁ポリマーの主要部分、好ましくは大半を形成する。上記したようにここで言う「モノマー」は、モノマー、オリゴマーおよびプレポリマーを含み、効果的には壁ポリマーを形成するために使用される構成単位である。
【0068】
構造モノマーの少なくとも一部、好ましくは全てが、油溶性または油分散性であってもよい。油溶性または油分散性であることで特に香油のように有益剤も油溶性または油分散性である場合、カプセル化工程を円滑にする。構造モノマーは、油溶性または油分散性多官能モノマーであってもよい。構造モノマーは、(メタ)アクリレートモノマーを含んでもよく、これは油溶性または油分散性(メタ)アクリレートモノマーを含んでもよい。
【0069】
ポリマー壁が油溶性または油分散性構造モノマーから少なくとも部分的に得られる際、ポリマー壁は、親水性の官能基を含む水溶性または水分散性単または多官能モノマーからさらに得られてもよい。好適な親水性の官能基としてはアミンまたはカルボキシル基が挙げられる。
【0070】
構造モノマーは、壁形成材の重量で少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%の量で存在してもよい。
【0071】
構造モノマーは、(メタ)アクリレートモノマーを含んでもよい。既に詳述したように用語「(メタ)アクリレートモノマー」は、アクリレートモノマーおよびメタクリレートモノマーの両方を含むものとする。
【0072】
(メタ)アクリレートモノマーは、構造モノマーの重量で少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%の量で存在してもよい。相対的に(メタ)アクリレートモノマーの量が多いと、望ましい特性を有する望ましいポリ(メタ)アクリレート壁材に結果としてなる。
【0073】
構造モノマーの内の少なくとも1つは、1つ以上のラジカル重合性基を含んでもよい。構造モノマー、好ましくは(メタ)アクリレートモノマーの内の少なくとも1つは、多官能性構造モノマー、好ましくは多官能性(メタ)アクリレートモノマーであってもよい。多官能性構造モノマーは、少なくとも3つのラジカル重合性官能基、好ましくは少なくとも4、好ましくは少なくとも5、好ましくは少なくとも6、より好ましくは正確に6つのラジカル重合性官能基を含んでもよい。ラジカル重合性官能基の内の少なくとも1つ、好ましくは2つ以上が、アクリレートまたはメタクリレートであってもよい。(メタ)アクリレートモノマーは、少なくとも3、好ましくは少なくとも4、少なくとも5またはさらに少なくとも6つのラジカル重合性官能基を有する多官能性(メタ)アクリレートモノマーを含むが、ただしラジカル重合性基の内の少なくとも1つ、より好ましくは少なくとも3つは、アクリレートまたはメタクリレートである。相対的に多くの数のラジカル重合性基を含むモノマーは、結果としてラジカル重合性基が少ないモノマーから形成された壁と比較して例えば壁がコンパクトでかつ漏れが少ないなどの好ましい特性を有するデリバリー粒子になると考えられている。
【0074】
ラジカル重合性官能基は、アクリレート、メタクリレート、スチレン、アリル、ビニル、グリシジル、エーテル、エポキシ、カルボキシル、またはヒドロキシルよりなる群から独立して選択されるが、ただしラジカル重合性基の少なくとも1つはアクリレートまたはメタクリレートである。好ましくはラジカル重合性官能基の内の少なくとも1つまたは少なくとも2つまたは少なくとも3つまたは少なくとも4つまたは少なくとも5つまたは少なくとも6つは、アクリレートまたはメタクリレート基である。好ましくはラジカル重合性官能基が、アクリレートおよびメタクリレートよりなる群からそれぞれ独立して選択される。これらの官能基は、他の官能基と比較して高いコア:壁比で漏れが少ないなどの好ましい特性を有するデリバリー粒子が結果として得られると考えられる。
【0075】
モノマーは、多官能性芳香族ウレタンアクリレートを含んでもよい。好ましくは多官能性モノマーは、六官能性芳香族ウレタンアクリレートを含む。加えてまたはこれとは別に多官能性モノマーは、多官能性脂肪族ウレタンアクリレートを含んでもよい。
【0076】
ポリマー壁の壁ポリマーは、少なくとも2つの異なる多官能性モノマー、例えば第1および第2の多官能性モノマー、好ましくは(メタ)アクリレート基をそれぞれ含む第1および第2多官能性モノマーから得られてもよい。各モノマーは、好ましくは油溶性または油分散性である。第1の多官能(メタ)アクリレートモノマーは、第2の多官能(メタ)アクリレートモノマーとの比較で異なる数のラジカル重合性官能基を含んでもよい。第1および第2の多官能(メタ)アクリレートモノマーは、6つなど同数のラジカル重合性官能基(例えば、両方のモノマーが六官能性である)から構成されてもよいが、それぞれのモノマーは、異なる構造または化学的性質によって特徴付けられる。
【0077】
壁ポリマーは、3つの構造モノマーから得られてもよい。ポリマー壁の壁ポリマーは、多官能性(メタ)アクリレート(好ましくは油溶性または油分散性である)、第2のモノマー、および第3のモノマーから導かれる反応生成物であってもよい。好ましくは第2のモノマーは塩基性(メタ)アクリレートモノマーを含み、第3のモノマーは酸性(メタ)アクリレートモノマーを含む。
【0078】
b. 遊離ラジカル開始物質
ポリマー壁の(メタ)アクリレートポリマーは、壁モノマーおよび少なくとも1種の遊離ラジカル開始物質から得てもよい。1種以上の遊離ラジカル開始剤は、活性化の際に遊離ラジカルの供給源を提供することができ、これにより壁ポリマーを形成するための重合を促進させる。本明細書中では「遊離ラジカル開始物質」および「遊離ラジカル開始剤」そして単に「開始剤」なる用語は、他に記載がない限り、同義である。
【0079】
上述したように遊離ラジカル開始剤は、壁のポリマーを形成する構造モノマーと相互作用する。しかしながら、遊離ラジカル開始物質は、カプセル化される特定の有益剤とも相互作用すると考えられている。例えば、遊離ラジカル開始物質は、アルデヒド含有有益剤、特定のケトン含有有益剤またはそれらの混合物と相互作用可能であってもよい。遊離ラジカル開始物質がこれらの有益剤と相互作用する際、例えば開始剤から形成される分裂したラジカルによる干渉または一時的なラジカルの捕捉により、遊離ラジカル開始物質は、構造モノマーと相互作用できなくなり、壁ポリマーの形成が特にそのような有益剤の量が相対的に多い場合に実質的に妨げられる。
【0080】
本開示のポリマー壁および/またはポリマー壁を形成するために採用される遊離ラジカル重合反応において、遊離ラジカル開始剤は、ポリマー壁の重量で約1%~約60%、好ましくはポリマー壁の重量で約5%~約60%、より好ましくは約10%~約60%、さらに好ましくは約20%~約60%、好ましくは約20%~約50%、より好ましくは約20%~約45%、さらにより好ましくは約20%~約35%の量で存在してもよい。好ましい量の遊離ラジカル開始物質を使用することで、特に所定のコア:壁重量比で最も頑丈な壁が結果として得られると考えられている。
【0081】
遊離ラジカル開始剤は、2種以上の遊離ラジカル開始剤を含んでもよい。壁ポリマーは、少なくとも2種の遊離ラジカル開始剤、例えば第1の遊離ラジカル開始剤および第2の遊離ラジカル開始剤から得られてもよい。第1の遊離ラジカル開始剤および第2の遊離ラジカル開始剤は、約5:1~約1:5、または好ましくは3:1~約1:3、またはより好ましくは約2:1~約1:2、またはさらにより好ましくは約1.5:1~約1:1.5の重量比で存在する。
【0082】
遊離ラジカル開始剤は、油溶性または油分散性遊離ラジカル開始剤を含んでもよい。遊離ラジカル開始剤は、水溶性または水分散性遊離ラジカル開始剤を含んでもよい。遊離ラジカル開始剤は、油溶性または油分散性遊離ラジカル開始剤(例えば、第1の遊離ラジカル開始剤)と、水溶性または水分散性遊離ラジカル開始剤(例えば、第2の遊離ラジカル開始剤)とを含んでもよい。
【0083】
適切な遊離ラジカル開始剤としては、ペルオキシ開始剤、アゾ開始剤またはそれらの混合物が挙げられる。より具体的には、限定するものではないが、遊離ラジカル開始剤は、ペルオキシド、ジアルキルペルオキシド、アルキルペルオキシド、ペルオキシエステル、ペルオキシカーボネート、ペルオキシケトン、ペルオキシジカーボネート、2,2'-アゾビス(イソブチルニトリル)、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルペンタンニトリル)、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2'-アゾビス(2-メチルプロパンニトリル)、2,2'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1'-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、1,1'-アゾビス(シアノシクロヘキサン)、過酸化ベンゾイル、過酸化デカノイル、過酸化ラウロイル、ジ(n-プロピル)ペルオキシジカーボネート、ジ(sec-ブチル)ペルオキシジカーボネート、ジ(2-エチルヘキシル)ペルオキシジカーボネート、1,1-ジメチル-3-ヒドロキシブチルペルオキシネオデカノエート、a-クミルペルオキシネオヘプタノエート、t-アミルペルオキシネオデカノエート、t-ブチルペルオキシネオデカノエート、t-アミルペルオキシピバレート、t-ブチルペルオキシピバレート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサン、t-アミルペルオキシ-2-エチル-ヘキサノエート、t-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルペルオキシアセテート、ジ-t-アミルペルオキシアセテート、t-ブチルパーオキシド、ジ-t-アミルパーオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、クメンヒドロパーオキシド、1,1-ジ-(t-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチル-シクロヘキサン、1,1-ジ-(t-ブチルペルオキシ)-シクロヘキサン、1,1-ジ-(t-アミルペルオキシ)-シクロヘキサン、エチル-3,3-ジ-(t-ブチルペルオキシ)-ブチレート、t-アミルパーベンゾゾエート、t-ブチルパーベンゾゾエート、エチル3,3-ジ-(t-アミルペルオキシ)-ブチレートおよびこれらを組み合わせたものからなる群から選択することができる。
【0084】
好ましい遊離ラジカル開始剤は、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)またはこれらを組み合わせたものが挙げられる。
【0085】
3. その他の材料
その他の材料がポリマー壁内または上に存在してもよい。例えば、ポリマー壁は、乳化剤、コーティングまたはこれらを組み合わせたものを含んでもよい。
【0086】
ポリマー壁は、粒子製造工程の結果として乳化剤を含んでもよい。デリバリー粒子を製造する際、乳化剤は、任意に好ましくは水相に含まれてもよい。乳化剤は、重合性乳化剤であってもよい。乳化剤は、粒子製造中に乳化をさらに安定させることに役立つ。デリバリー粒子のポリマー壁の形成において、重合性乳化剤は、ポリマー壁材料に取り込まれることがある。このような乳化剤のポリマー壁への内包は、ポリマー壁の特性の変更に有利に利用でき、柔軟性、漏出、強度などの特性に影響を与えることができる。したがって、デリバリー粒子のポリマー壁は、ポリマー壁に取り込まれる重合性乳化剤を含んでもよく、好ましくは重合性乳化剤は、ポリビニルアルコールを含む。上記のようにしかしながら、取り込まれた重合性乳化剤は、コア:壁ポリマー比を定める際には含まれない。
【0087】
有益剤デリバリー粒子は、壁材の重量に基づいて、約0.5%~約40%、好ましくは約0.5%~約20%、より好ましくは0.8%~5%の乳化剤を含んでもよい。好ましくは乳化剤は、ポリビニルアルコール、カルボキシル化または部分加水分解ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ステアリン酸の塩またはエステル、レシチン、有機スルホン酸、2-アクリルアミド-2-アルキルスルホン酸、スチレンスルホン酸、ポリビニルピロリドン、N-ビニルピロリドンの共重合体、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸とメタクリル酸の共重合体、および水の表面張力を下げる水溶性界面活性剤ポリマーよりなる群から選択される。
【0088】
乳化剤は、好ましくはポリビニルアルコールを含み、このポリビニルアルコールは、好ましくは、約55%~約99%、好ましくは約75%~約95%、より好ましくは約85%~約90%、最も好ましくは87%~約89%の加水分解度を有する。ポリビニルアルコールは、20℃の4%ポリビニルアルコール水溶液中で約40cps~約80cps、好ましくは約45cps~約72cps、より好ましくは約45cps~約60cps、最も好ましくは45cps~55cpsの粘度を有してもよい。ポリマーの粘度は、英国規格であるEN ISO 15023-2:2006 Annex E Brookfield Test methodに記載されているように、ULアダプターを備えたBrookfield LV型粘度計を用いて、作成したての溶液を測定することで決定される。ポリビニルアルコールは、約1,500~約2,500、好ましくは約1,600~約2,200、より好ましくは約1,600~約1,900、最も好ましくは約1,600~約1,800の重合度を有してもよい。ポリビニルアルコールは約130,000~約204,000ダルトン、好ましくは約146,000~約186,000、より好ましくは約146,000~約160,000、最も好ましくは約146,000~約155,000の重量平均分子量、および/または約65,000~約110,000ダルトン、好ましくは約70,000~約101,000、より好ましくは約70,000~約90,000、最も好ましくは約70,000~約80,000の数平均分子量を有する。
【0089】
デリバリー粒子の壁は、例えばコアと反対側の壁の外面にコーティングを含んでもよい。カプセル化物を製造し、続いてコーティング材でコーティングしてもよい。コーティングは堆積助剤として有用である場合がある。コーティングは、陽イオン性ポリマーなどの陽イオン性材料を含んでもよい。しかしながら、上に示したように、壁の構造または支持要素ではないコーティングを、コア:壁ポリマー重量比を決定する際の計算には含まない。
【0090】
コーティング材の非限定的な例としては、ポリ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレン-無水マレイン酸)、ポリアミン、ワックス、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン共重合体、ポリビニルピロリドン-エチルアクリレート、ポリビニルピロリドン-ビニルアクリレート、ポリビニルピロリドンメタクリレート、ポリビニルピロリドン/ビニルアセテート、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリシロキサン、ポリ(プロピレン-無水マレイン酸)、無水マレイン酸誘導体、無水マレイン酸誘導体の共重合体、ポリビニルアルコール、スチレン-ブタジエンラテックス、ゼラチン、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、他の変性セルロース、アルギン酸ナトリウム、キトサン、カゼイン、ペクチン、加工でんぷん、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリビニルメチルエーテル/無水マレイン酸、ポリビニルピロリドンおよびその共重合体、ポリ(ビニルピロリドン/メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド)、ポリビニルピロリドン/ビニルアセテート、ポリビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート、ポリビニルアミン、ポリビニルホルムアミド、ポリアリルアミンおよびポリビニルアミン、ポリビニルホルムアミドおよびポリアリルアミンの共重合体およびそれらの混合物からなる群から選択される。コーティング材は、陽イオンポリマーであってもよい。コーティング材は、ポリビニルホルムアミド、キトサンまたはそれらを組み合わせたもの、好ましくはキトサンを含んでもよい。
【0091】
B. コア材
本開示のデリバリー粒子は、コアを含む。コアは、有益剤と、保護剤またはこれらを組み合わせたもの(例えば、反応生成物または他の複合体)を含む。コアは、選択的にパーティショニング変性剤を含む。
【0092】
粒子のコアは、ポリマー壁で囲まれている。ポリマー壁を破裂させると、コア内の有益剤(またはその複合体)が放出される。
【0093】
1. 有益剤
コア内にある好適な有益剤は、ファブリックまたは毛髪などの表面に利益をもたらす有益剤を含んでもよい。
【0094】
コアは、コアの重量で約5%~約99.9%の有益剤を含んでもよく、好ましくは芳香剤を含んでもよい。コアは、コアの重量で約45%~約95%、好ましくは約50%~約80%、より好ましくは約50%~約70%の有益剤を含んでもよく、好ましくは芳香剤を含んでもよい。
【0095】
有益剤は、アルデヒドを含む有益剤、ケトンを含む有益剤またはこれらを組み合わせたものを含んでもよい。
【0096】
有益剤は、好ましくは不飽和アルデヒド含有有益剤、不飽和ケトン含有有益剤またはこれらを組み合わせたものを含む。より好ましくは有益剤は、α,β-不飽和アルデヒド含有有益剤(例えば、それはα,β-不飽和アルデヒド部分を含む)、α,β-不飽和ケトン含有有益剤(例えば、それはα,β-不飽和ケトン部分を含む)またはこれらを組み合わせたものを含む。特にα,β-不飽和ケトン部分を含むケトン含有有益剤が好ましい。このような有益剤は、遊離ラジカル開始物質などの本開示の粒子の壁形成材と特に反応しやすいと考えられている。
【0097】
有益剤は、芳香族ケトン含有有益剤(例えばそれは芳香族ケトン部分を含む)を含んでもよい。このような有益剤は、遊離ラジカル開始物質などの本開示の粒子の壁形成材と特に反応しやすいと考えられている。
【0098】
アルデヒドまたはケトン含有香料原料などのこのような有益剤は、新鮮味などの好ましい利点を供する。しかしながら、上述のようにこれらの有益剤は、粒子形成工程中に壁の形成を干渉する場合もある。そのような材料が存在する場合、好ましい性能プロファイル得るために本明細書で説明したような開始剤の量でデリバリー粒子を形成すると特に有利である。
【0099】
有益剤は、有益剤の重量で少なくとも約20%、好ましくは少なくとも約25%、より好ましくは少なくとも約40%、さらにより好ましくは少なくとも約50%のアルデヒド含有有益剤、ケトン含有有益剤またはこれらを組み合わせたものを含んでもよい。
【0100】
有益剤は、芳香剤、シリコーン油、ワックス、炭化水素、高級脂肪酸、精油、潤滑剤、脂質、スキンクーラント、ビタミン、日焼け止め剤、酸化防止剤、グリセリン、触媒、漂白粒子、二酸化ケイ素粒子、消臭剤、臭気制御材料、キレート化剤、帯電防止剤、柔軟剤、防虫・防蛾剤、着色剤、酸化防止剤、キレート剤、増粘剤、風合い制御剤、平滑剤、しわ制御剤、除菌剤、殺菌剤、細菌制御剤、かび制御剤、白かび制御剤、抗ウイルス剤、乾燥剤、耐汚染剤、防汚剤、ファブリック清涼化剤および清涼感延長剤、塩素漂白剤臭制御剤、染料固定剤、色移り防止剤、色維持剤、蛍光増白剤、色復元/回復剤、退色防止剤、白色度向上剤、耐摩滅剤、摩耗防止剤、布完全性剤、耐摩耗剤、抗ピリング剤、消泡剤、泡立ち防止剤、UV保護剤、色あせ防止剤、抗アレルギー剤、酵素、防水剤、ファブリック柔軟剤、縮み防止剤、伸び防止剤、伸び回復剤、スキンケア剤、グリセリン、合成または天然活性剤、抗菌剤、制汗剤、カチオン性ポリマー、染料、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0101】
カプセル化された有益剤は、好ましくは芳香剤を含んでもよく、これは1種以上の香料原料を含んでもよい。芳香剤は、芳香剤含有粒子が複数のタッチポイントに亘って新鮮味を提供することができるので、ここで説明したデリバリー粒子におけるカプセル化に特に適している。
【0102】
本明細書で使用される「香料原料」(または「PRM」)という用語は、少なくとも約100g/molの分子量を有し、単独で、またはその他香料原料と共に、匂い、芳香、エッセンスまたは香りを付与するのに有用な化合物を意味する。典型的なPRMは、とりわけ、アルコール、ケトン、アルデヒド、エステル、エーテル、ニトリル、およびテルペンなどのアルケンを含む。一般的なPRMのリストは、さまざまな参考文献、例えば「Perfume and Flavor Chemicals(香料と香味料の化学)」、第I巻およびII巻、Steffen Arctander Allured Pub. Co. (1994)および「Perfumes: Art、Science and Technology(香料:技術、科学と工学)」、Miller, P. M. and Lamparsky、D.、Blackie Academic and Professional (1994)に見られる。
【0103】
PRMは、常圧(760mmHg)で測定されたそれらの沸点(B.P.)、および以下の試験方法に従って決定された、logPに関して記述されるそれらのオクタノール/水分配係数(P)で特徴付けることができる。これらの特徴に基づいて、PRMは、以下により詳細に説明するように、象限I、象限II、象限III、または象限IVの香料として分類される。
【0104】
芳香剤は、約2.5~約4のlogPを有する香料原料を含んでもよい。他の香料原料も芳香剤中に存在してもよいことを理解されたい。
【0105】
香料原料は、約250℃未満の沸点(B.P.)と約3未満のlogPを有する香料原料、約250℃超のB.P.と約3超のlogPを有する香料原料、約250℃超のB.P.と約3未満のlogPを有する香料原料、約250℃未満のB.P.と約3超のlogPを有する香料原料、およびそれらの混合物よりなる群から選択される香料原料を含んでもよい。約250℃未満の沸点と約3未満のlogPを有する香料原料は第1象限香料原料として知られている。第1象限香料原料は、好ましくは香料組成物の30%未満に制限される。約250℃超の沸点と約3超のlogPを有する香料原料は象限IV香料原料として知られている。約250℃超の沸点と約3未満のlogPを有する香料原料は、象限II香料原料として知られている。約250℃未満の沸点と約3超のlogPを有する香料原料は、象限III香料原料として知られている。好適な象限I、II、IIIおよびIV香料原料は、米国特許第6,869,923 B1号に開示されている。
【0106】
本明細書の組成物において、有益剤は、芳香剤を含んでもよく、芳香剤は、芳香剤の重量で少なくとも約20%、好ましくは少なくとも約25%、より好ましくは少なくとも約30%、より好ましくは少なくとも約40%、さらにより好ましくは少なくとも約50%のアルデヒド含有香料原料、ケトン含有香料原料またはこれらを組み合わせたものを含む。好ましくはアルデヒド含有香料原料およびケトン含有香料原料の量の合計は、芳香剤の重量で約20%~約70%、より好ましくは約25%~約60%、さらにより好ましくは約30%~約60%である。好適な芳香剤は、芳香剤の重量で約5%~約60%のアルデヒド含有香料原料を含んでもよい。好適な芳香剤は、芳香剤の重量で約1%~約30%を含む。
【0107】
好ましいアルデヒド含有香料原料としてはメチルノニルアセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、フローラルオゾン、イソシクロシトラール、トリプラール(ligustral)、プレサイルセモン(precylcemone)B、リリアール、デシルアルデヒド、ウンデシレンアルデヒド、シクラメンホモアルデヒド、シクラメンアルデヒド、デュピカール、オンシダール、アドキサール、メロナール、カリプソン、アニスアルデヒド、ヘリオトロピン、クミンアルデヒド、センテナール、3,6-ジメチルシクロヘキサ-3-エン-1-カルバルデヒド、サテンアルデヒド、カントキサール、バニリン、エチルバニリン、シンナムアルデヒド、cis-4-デセナール、trans-4-デセナール、cis-7-デセナール、trans-2-ヘキセナール、trans-2-オクテナール、2-ウンデセナール、2,4-ドデカジエナール、cis-4-ヘプテナール、フローヒドラール、ブチルシンナムアルデヒド、リモネラ、アミルシンナムアルデヒド、ヘキシルシンナムアルデヒド、シトロネラール、シトラール、cis-3-ヘキサン-1-アール、オクチルアルデヒド、イントレレベンアルデヒド、ラウリンアルデヒド、メチルノニルアセトアルデヒド、マンダリンアルデヒド/trans-2-ドデセナールまたはこれらの混合物が挙げられる。好ましいアルデヒド含有香料原料としては、不飽和アルデヒド含有香料原料、より好ましくはα,β-不飽和アルデヒド含有香料原料が挙げられる。他の好ましいアルデヒド含有香料原料としては芳香族アルデヒド含有香料原料が挙げられる。
【0108】
好ましいケトン含有原料としてはネロリオン、4-(4-メトキシフェニル)ブタン-2-オン、1-ナフタレン-2-イルエタノン、ネクタリル、トリモフィックスO(trimofix O)、フローラモン、デルタ-ダマスコン、ベータ-ダマスコン、アルファ-ダマスコン、ダマスコン、メチルイオノン、イオノンアルファ、イオノンベータ、イオノンガンマメチル、2-ヘキシルシクロペンタ-2-エン-1-オン、ガルバスコン(galbascone)/ネオブテノン、パラヒドロキシフェニルブタノンまたはこれらの混合物が挙げられる。好ましいケトン含有香料原料としては、不飽和ケトン含有香料原料、より好ましくはα,β-不飽和ケトン含有香料原料が挙げられる。他の好ましいケトン含有香料原料としては芳香族ケトン含有香料原料が挙げられる。
【0109】
好適な芳香剤は、表Aに示す量のアルデヒド含有香料原料およびケトン含有香料原料を含む。芳香剤で例示したが、特定の組成物のコアは、アルデヒド含有またはケトン含有材を含む他の有益剤を同様に含んでもよく、アルデヒド含有またはケトン含有材を含むコアは、有益剤の重量で少なくとも約20%、好ましくは少なくとも約25%、より好ましくは少なくとも約30%、より好ましくは少なくとも約40%、さらにより好ましくは少なくとも約50%のアルデヒド含有原料、ケトン含有原料 またはこれらを組み合わせたものを含む。
【表A】
【0110】
表Aの芳香剤のアルデヒド含有PRMは、デシルアルデヒド、オクチルアルデヒド、リグストラル/トリプラール、メロナール、センテナール、デュピカール、フローヒドラール、サイマル/シクラメンアルデヒド、イントレレベンアルデヒド、ラウリンアルデヒド、メチルノニルアセトアルデヒド、ウンデシレンアルデヒド、マンダリンアルデヒド/trans-2-ドデセナールまたはこれらの混合物から選択してもよい。このような材料は、良好な匂いを放つおよび効率的な香料調和の点で好ましい。
【0111】
表Aの芳香剤のケトン含有PRMは、ガルバスコン/ネオブテノン、パラヒドロキシフェニルブタノン、ネクタリル、デルタ-ダマスコン、アルファ-ダマスコン、ベータ-ダマスコン、ダマスコン、イオノンアルファ、イオノンベータ、イオノンガンマメチルまたはこれらの混合物から選択してもよい。このような材料は、良好な匂いを放つおよび効率的な香料調和の点で好ましい。
【0112】
2. 保護剤
デリバリー粒子のコア材は、保護剤も含んでもよい。保護剤は、例えば1つ以上の共有結合、双極子-双極子モーメントおよび/または水素結合の形成を介してアルデヒド含有有益剤、ケトン含有有益剤またはそれらを組み合わせたものと複合体を形成することができる。保護剤は、そのような有益剤/保護剤複合体の一部として存在してもよい。言い換えれば、アルデヒド含有および/またはケトン含有有益剤の少なくとも一部および保護剤の一部は、複合体として存在し、これは好ましくは共有結合化合物を含み、したがって貯蔵時および/または処理条件で相対的に安定している。
【0113】
複合体を形成する化合物は、デリバリー粒子のポリマー壁が形成された後、分離できるのが好ましい。例えば、共有結合は、形成された場合、水または熱の存在などの所望のタッチポイントで有益剤を好ましくは放出する誘発条件時に壊れてもよい。
【0114】
上述のように適切に選択された保護剤は、指定された有益剤のアルデヒドおよび/またはケトン部分と相互作用し、これによりこれらの有益剤の壁形成工程との相互作用を最小限にすると考えられている。例えば、保護剤と複合体を形成することによって遊離ラジカル開始物質と複合体を形成するために利用可能な有益剤が少なくなり、そして開始剤を自由に保ち、頑丈なポリマー壁を形成しやすくなる。
【0115】
保護剤は、コア材の重量で少なくとも約1%、好ましくは少なくとも約3%、より好ましくは少なくとも5%の量で存在してもよい。保護剤は、コア材の重量で約1%~約25%、好ましくは約3%~約20%、より好ましくは約5%~約15%の量で存在してもよい。
【0116】
保護剤は、コアにカプセル化される有益剤の重量で少なくとも約1%、好ましくは少なくとも約3%、より好ましくは少なくとも約5%の量で存在してもよい。保護剤は、コアにカプセル化される有益剤の重量で約1%~約25%、好ましくは約3%~約20%、より好ましくは約5%~約15%の量で存在してもよい。
【0117】
アルデヒド含有有益剤、ケトン含有有益剤またはこれらの混合物は、約10:1~1:10、好ましくは約5:1~約1:5、より好ましくは約3:1~約1:3、さらにより好ましくは約2:1~約1:2の重量比で保護剤と存在してもよい。そのような比でこれら材料を供し、それらが究極的には好ましい粒子壁となる複合体を効率的に形成するのが望ましい。
【0118】
保護剤、例えばアミンが最適に保護効果を行うために保護剤は、保護剤の水相への高い溶解度または保護剤の水相相互作用性のいずれかの理由で油相から水相への移動しやすさが制限されているのが好ましい。したがって、充分に高い疎水性を有する保護剤が油相(例えば、香料油を含む)に留まるためそして保護剤として有効に作用するために好ましい。したがって、1超のlogPを有するアミンなどの保護剤が好ましく、1.5超のものがより好ましく、1.7超のlogPを有するものがさらに好ましい。
【0119】
保護剤は、アミン含有化合物、ケイ素含有化合物、硫黄含有化合物、アルデヒド含有有益剤、ケトン含有有益剤またはそれらの混合物と反応した際に式(1)(部分および記号は本明細書で説明する)によるアルキリデン含有化合物を形成する材料およびこれらの混合物からなる群から選択されるのが好ましい。
(式1)
【0120】
保護剤は、好ましくはアミン含有化合物(「アミノ官能性材」としても知られている)を含む。このような化合物は、それが本開示のアルデヒド含有および/またはケトン含有有益剤、特に香料原料との反応性が比較的高いという特徴を有するので好ましい。
【0121】
アミン含有化合物は、モノアミン、ジアミンまたはポリアミンであってもよい。アミン含有化合物は、一級アミン部分、二級アミン部分またはそれらを組み合わせたものを含んでもよい。アミン含有化合物は、好ましくは一級アミン部分を含む。
【0122】
一級アミン部分は、無機キャリアー部分に結合してもよい。「無機キャリアー」とは非炭素系骨格または実質的に非炭素系骨格を含むキャリアーを意味する。例えば、そのような好適な化合物としては、アミノ誘導体化オルガノシラン、シロキサン、シラザン、アルマン、アルミニウムシロキサン、ケイ酸アルミニウム化合物またはこれらの混合物のモノマーまたはポリマーまたは有機-有機ケイ素共重合体が挙げられる。このようなキャリアーの典型的な例としては、ジアミノアルキルシロキサン[H2NCH2(CH3)2Si]Oのような少なくとも1つの一級アミノ部分を有するオルガノシロキサンまたはロンドン所在のW. Noll、Academic Press Inc.より1998年に発行された「Chemistry and Technology of Silicone」 209頁、106に記載されているオルガノアミノシラン(C6H5)3SiNH2が挙げられる。好適なシリコーンは、非官能化シロキサンポリマー、官能化シロキサンポリマーまたはこれらを組み合わせたものが挙げられる。シリコーンは、非官能化シロキサンポリマーを含んでもよい(非官能化は、官能基がもしあればそれらが通常は非反応性の例えばメチル基であることを意味する。)。シロキサンポリマーは、ポリアルキルおよび/またはフェニルシリコーン流体、樹脂および/またはゴムを含んでもよい。シリコーンポリマーは、アミノシリコーン、シリコーンポリエーテル、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、カチオン性シリコーン、シリコーンポリウレタン、シリコーンポリ尿素またはこれらの混合物を含んでもよい。シリコーンポリマーは、好ましくはポリジメチルシロキサン(PDMS)ポリマー、アミノシリコーンまたはそれらの混合物から選択される。以下に説明するように保護剤は、とりわけアミン含有化合物、ケイ素含有化合物またはそれらの混合物であってもよく、アミノシリコーン等の場合、保護剤は、アミン基とケイ素基とを含むことを理解されたい。
【0123】
一級アミン部分は、有機キャリアー部分に結合してもよい。例えばそのような好適な化合物としてはアミノアリル誘導体、ポリアミン、アミノ酸およびその誘導体、置換アミンおよびアミド、グルカミン、デンドリマー、ポリビニルアミンおよびその誘導体および/またはその共重合体、アルキレンポリアミン、ポリアミノ酸およびその共重合体、架橋されたポリアミノ酸、アミノ置換ポリビニルアルコール、ポリオキシレチレンビスアミンまたはビスアミノアルキル、アミノアルキルピペラジンおよびその誘導体、直鎖または分岐ビス(アミノアルキル)アルキルジアミンまたはこれらの混合物が挙げられる。
【0124】
好ましいアミノアリル誘導体は、アントラニル酸メチル、アントラニル酸ジメチル(メチル2-(メチルアミノ)ベンゾエイト)、4-アミノベンゾエイト化合物のアルキルエステルなどのアミノ-ベンゼン派生物およびより好ましくはエチル-4-アミノベンゾエイト、フェニルエチル-4-アミノベンゾエイト、フェニル-4-アミノベンゾエイト、4-アミノ-N’-(3-アミノフェニル)-ベンズアミン、それらの異性体およびそれらの混合物から選択される。
【0125】
保護剤は、ポリアミンを含んでもよい。好適なポリアミンとしては、ポリエチレンイミンポリマー、一部アルキル化されたポリエチレンポリマー、ヒドロキシ基を有するポリエチレンイミンポリマー、1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,3-ペンタンジアミン、3-ジメチルプロパンジアミン、1,2-シクロヘキサンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、トリプロピレンテトラアミン、ビス(3-アミノプロピル)ピペラジン、ジプロピレントリアミン、トリス(2-アミノエチルアミン)、テトラエチレンペンタアミン、ビスヘキサメチレントリアミン、ビス(3-アミノプロピル)1,6-ヘキサメチレンジアミン、3,3’-ジアミノ-N-メチルジプロピルアミン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、N,N,N’,N’-テトラ(2-アミノエチル)エチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラ(3-アミノプロピル)-1,4-ブタンジアミン、ペンタエチルヘキサミン、1,3-ジアミノ-2-プロピル-tert-ブチルエーテル、イソホロンジアミン、4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、N-メチルーN-(3-アミノフェニル)エタノールアミン、スペルミン、スペルミジン、1-ピペラジンエタンアミン、2-(ビス(2-アミノエチル)アミノ)エタノール、エトキシル化N-(タロウアルキル)トリメチレンジアミン、ポリ[オキシ(メチル-1、2-エタンジイル)]、a-(2-アミノメチル-エトキシ)-(=C.A.S No. 9046-10-0)、Jeffamines T-403、D-230、D-400、D-2000の商品名で市販されている2-エチル-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオール(=C.A.S. No. 39423-51-3)を有するポリ[オキシ(メチルー1,2-エタンジイル)]、aーヒドロ-)-w-(2-アミノメチルエトキシ)-エーテル、2,2’,2”-トリアミノトリエチルアミン、2,2’-ジアミノ-ジエチルアミン、3,3’-ジアミノ-ジプロピルアミン、Mitsubishiから市販されている1,3ビスアミノエチル-シクロヘキサンおよびC12ステルナミン(プロピレンアミン)n(n=3/4)のようなClariantから市販されているC12ステルナミン、およびそれらの混合物が挙げられる。好ましいポリアミンは、ルパゾール(LUPASOL)FG(分子量800)、G20wfv(分子量1300)、PR8515(分子量2000)、WF(分子量25000)、FC(分子量800)、G20(分子量1300)、G35(分子量1200)、G100(分子量2000)、HF(分子量25000)、P(分子量750000)、PS(分子量750000)、SK(分子量2000000)、SNA(分子量1000000)などの商品名ルパゾールで市販されているポリエチレンイミンである。これらの中で最も好ましいのはルパゾールHFまたはWF(分子量25000)、P(分子量750000)、PS(分子量750000)、SK(分子量2000000)、620wfv(分子量1300)およびPR1815(分子量2000)、エポミン(Epomin)SP-103、エポミンSP-110、エポミンSP-003、エポミンSP-006、エポミンSP-012、エポミンSP-018、エポミンSP-200およびアルドリッチ社から入手可能である80%エトキシル化されたポリエチレンイミンのような部分的にアルコキシル化されたポリエチレンイミンが挙げられる。
【0126】
保護剤は、脂肪族アミンを含んでもよい。好適な脂肪族アミノ官能性材料は、分岐であることが好ましい。そのような材料としては2-エチルヘキシルアミン、分岐トリデシルアミン、t-ブチルアミン、ネオペンタンジアミン(2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジアミン)、トリメチル-1、6-ヘキサンジアミン、2-アミノヘプタン、2-ブチルオクチルアミンまたはこれらの混合物が挙げられる。
【0127】
保護剤は、脂環式アミンを含んでもよい。好適な脂環式アミンは次のような構造を有してもよい。
置換基R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して-NH、-H、親水性基、アルキル基、アルケニル基、置換アルキル基、炭素数1~10の脂環式基または炭素数1~10の置換脂環式基であり、nは0~3であり、好ましくはnは1であり、ただしこの化合物は、1~3個の一級および/または二級アミン基、好ましくは1~3個の一級アミン基、より好ましくは2個の一級アミン基を有する。
【0128】
上記の脂環式アミン構造の置換基であるアルキル、アルケニルおよび/または置換アルキル基は、もしあるとしたらそれぞれ独立して直鎖または分岐であってもよい。置換アルキルおよび置換脂環式基は、もしあるとしたら一級および/または二級アミン基で置換されてもよい。
【0129】
好適な脂環式アミンとしては、次に示す材料のいずれかまたは混合物が挙げられる。
【0130】
特に好ましい脂環式アミンとしてはメチルシクロヘキサンジアミンが挙げられ、好ましくは2-メチルシクロヘキサン-1,3-ジアミン、4-メチルシクロヘキサン-1,3-ジアミンまたはこれらの混合物が挙げられる。
【0131】
保護剤はアミノアルコールを含んでもよく、好ましくはその場合、1つの一級アミン部分または1つの二級アミン部分は、2つの炭素原子によってヒドロキシ基から隔てられる。ヒドロキシ基などの親水性基を有するアミノ官能性材料は、本開示の組成物に使用するには好ましくないが、この特定の構造を有するアミノアルコールは、有用である。好ましいアミノアルコールとしては2-(ブチルアミノ)エタノール、1-(シクロヘキシルアミノ)2-プロパノール、1-(ドデシルオキシ)-3-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-2-プロパノール、3-(ドデシルアミノ)-1,2-プロパンジオールまたはこれらの混合物が挙げられる。
【0132】
別の好適なアミノ官能性材料は、1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンである。
【0133】
保護剤は、置換アミン、置換アミドまたはこれらの混合物を含んでもよい。ここでの使用に好ましい置換アミンおよび/またはアミドは、ニペコタミド、N-cоcо-1,3-プロパンジアミン、N-オレイル-1,3-プロパンジアミン、N-(タロウアルキル)-1,3-プロパンジアミン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、1,2-ジアミノ-シクロヘキサン、1,12-ジアミノデカンおよびこれらの混合物が挙げられる。
【0134】
ここでの使用に適した他の一級アミン化合物は、好ましくは2,3,4,5,6-ペンタメトキシ-グルカミン、6-アセチルグルカミン、グルカミンおよびこれらの混合物から選択されるグルカミン類である。
【0135】
また好ましい化合物は、ポリエチレンイミンおよび/またはポリプロピレンイミンデンドリマー、およびデンドリテク(Dendritech)から市販されているスターバーストO(Starburst O)ポリアミドアミン(PAMAM)デンドリマーの世代G0~G10、およびディーエスエム(DSM)から市販されているデンドリマーのアストロモールスO(Astromols O)の世代1~5であって、スターバーストOおよびアストロモールスOは、ジアミノブタンポリアミンDAB(PA)x(ここでx=2n×4そしてnは一般に0~4から構成される)デンドリマーである。
【0136】
保護剤は、アミノ酸またはその誘導体を含んでもよい。ここでの使用に好ましいアミノ酸は、チロシン、トリプトファン、リシン、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン酸、アルギニン、アスパラギン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、ヒスチジン、トレオニン、メチオニン、およびこれらの混合物から選択され、最も好ましくは、チロシン、トリプトファンおよびこれらの混合物から選択される。好ましいアミノ酸誘導体は、チロシンエチレート、グリシンメチレート、トリプトファンエチレートおよびこれらの混合物から選択される。
【0137】
保護剤は、ポリアミノ酸を含んでもよい。ポリアミノ酸は、アミノ酸または化学的に変性されたアミノ酸から構成される化合物である。これらはアラニン、セリン、アスパラギン酸、アルギニン、バリン、スレオニン、グルタミン酸、ロイシン、システイン、ヒスチジン、リシン、イソロイシン、チロシン、アスパラギン、メチオニン、プロリン、トリプトファン、フェニルアラニン、グルタミン、グリシンまたはこれらの混合物を含有し得る。化学的に変性されたアミノ酸においては、アミノ酸のアミンまたは酸官能基は化学試薬と反応したものである。これは多くの場合、アミノ酸のこれら化学的なアミンおよび酸官能基を後続反応において保護するために、または改善された溶解度など、特定の性質をアミノ酸に与えるために、行われる。こうした化学的変性の例は、ベンジルオキシカルボニル、アミノ酪酸、ブチルエステル、ピログルタミン酸である。アミノ酸および小アミノ酸フラグメントの一般的な変性の更なる例は、バッケム(Bachem)の1996年の「Peptides and Biochemicals Catalog(ペプチドと生物化学物質のカタログ)」に見出すことができる。
【0138】
好ましいポリアミノ酸はポリリシンである。最も好ましいのは、50%を超えるアミノ酸がリシンである、ポリリシンまたはポリアミノ酸であるが、その理由は、リシン側鎖の一級アミン官能基が、すべてのアミノ酸の中で最も反応性の高いアミンだからである。
【0139】
好ましいポリアミノ酸は500~10,000,000ダルトン、より好ましくは2000~25,000ダルトンの重量平均分子量という特徴を有する。
【0140】
このポリアミノ酸は架橋してもよい。架橋は、例えば、リシンのようなアミノ酸側鎖のアミン基とアミノ酸上のカルボキシル官能基との縮合により、またはPEG誘導体のようなタンパク質架橋剤との縮合により得ることができる。架橋したポリアミノ酸は、有益剤との反応のために遊離した一級および/または二級アミノ基を更に残しておく必要がある。
【0141】
好ましい架橋ポリアミノ酸は、20,000~10,000,000ダルトン、より好ましくは200,000~2,000,000ダルトンの重量平均分子量を有する。
【0142】
ポリアミノ酸またはアミノ酸は、他の試薬、例えば、酸、アミド、塩化アシルなどと共重合し得る。より具体的には、アミノカプロン酸、アジピン酸、エチルへキサン酸、カプロラクタムまたははこれらの混合物である。これら共重合体に用いられるモル比は、1:1~1:20(試薬/アミノ酸(リシン))、より好ましくは、1:1~1:10の範囲である。
【0143】
ポリリシンのようなポリアミノ酸はまた、一級アミノ基の必須量がポリマー中に残っている限り、部分的にエトキシル化されてもよい。しかしながら、好ましくは、本明細書で利用されるアミン系化合物はエトキシル化されていない。
【0144】
リシン、アルギニン、グルタミン、アスパラギンを含有するポリアミノ酸の例および供給については、バッケム(Bachem)の1996年の「Peptides and Biochemicals Catalog(ペプチドと生物化学物質のカタログ)」に記載されている。
【0145】
ポリアミノ酸は、活性成分との反応の前に、塩の形態で得ることができる。例えば、ポリリシンはポリリシン臭化水素酸塩として供給され得る。
【0146】
少なくとも1つの一級アミン基を含有する好適なポリアミンの例としては、分子量300~2.10E6ダルトンを有するポリビニルアミン、分子量600、1200または3000およびエトキシル化度0.5を有するアルコキシル化ポリビニルアミン、ポリビニルアミンビニルアルコール-モル比2:1、ポリビニルアミンビニルホルムアミド-モル比1:2およびポリビニルアミンビニルホルムアミド-モル比2:1、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、ビス-アミノプロピルピペラジン、ポリアミノ酸(L-リシン/ラウリン酸、モル比10/1)、ポリアミノ酸(L-リシン/アミノカプロン酸/アジピン酸、モル比5/5/1)、ポリアミノ酸(L-リシン/アミノカプロン酸/エチルへキサン酸、モル比5/3/1)、ポリアミノ酸(ポリリシン-コカプロラクタム)、ポリリシン、ポリリシン臭化水素酸塩、架橋ポリリシン、400~300,000の範囲の分子量を有するアミノ置換ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレンビス[アミン]、ポリオキシエチレンビス[6-アミノヘキシル]、N,N’-ビス-(3-アミノプロピル)-1,3-プロパンジアミンの直鎖または分枝鎖(TPTA)、N,N’-ビス-(3-アミノプロピル)エチレンジアミン、1,4-ビス-(3-アミノプロピル)ピペラジン(BNPP)またはこれらの混合物が挙げられる。
【0147】
本発明で用いる際に最も好ましいアミン化合物は、非芳香族アミンである。これらの最も好ましいアミン化合物は、ポリエチレンイミンポリマーであって、ルパゾール(Lupasol)HF、P、PS、SK、SNA、WF、G20wfv、およびPR8515のような商品名ルパゾール(Lupasol)により市販されているもの、ジアミノブタンデンドリマーであるアストラモール(Astramol)(登録商標)、ポリリシン、架橋ポリリシン、N,N’-ビス-(3-アミノプロピル)-1,3-プロパンジアミンの直鎖又は分枝鎖、N,N’-ビス-(3-アミノプロピル)-エチレンジアミン、1,4-ビス-(3-アミノプロピル)ピペラジンおよびこれらの混合物から選択される。さらに好ましい化合物は、200ダルトンを超える分子量を有するポリエチレンイミンポリマーであって、ルパゾールHF、P、PS、SK、SNA、WF、G20wfv、およびPR8515のような商品名ルパゾールにより市販されているものを含むもの、ポリリシン、架橋ポリリシン、N,N’-ビス-(3-アミノプロピル)-1,3-プロパンジアミンの直鎖又は分枝鎖、N,N’-ビス-(3-アミノプロピル)-エチレンジアミン、1,4-ビス-(3-アミノプロピル)ピペラジンおよびこれらの混合物から選択されるものである。
【0148】
前述のように 本発明のデリバリーシステムのアミン構成成分はまたモノアミンであってもよい。本発明に用いる際に好適なモノアミンの非限定例として、2-ヒドロキシアミンおよび/または3-ヒドロキシアミンのようなヒドロキシ官能基および/またはアルコキシ官能基をまた含有する一級アミンが挙げられる。
【0149】
アミンがモノアミンである場合、そのモノアミンが、logPにより測定される特定の溶解度特性を有することが好ましい。logPの値は、モノアミン分子のオクタノール/水の分配係数の測定値であり、またオクタノール中および水中のその平衡濃度の間の比である。本発明で有用なモノアミン材料の分配係数は高い値を有するため、それらはそれらの基数10に対する対数の形態、logPにより、より便利に与えられ、これはlogP値として既知である。logPを決定する方法は、下記の試験方法のセクションに記載されている。本発明で使用する際に好ましいモノアミンは、1超、好ましくは2超のClogPを有する。相対的に高いlogP値は、香料油の場合に多く見られる有益剤が相対的に疎水性である際に特に好ましく、そのような場合、保護剤と有益剤は、混ざりやすく、最終的により結合または反応しやすくなる。
【0150】
保護剤は、ケイ素含有化合物を含んでもよい。ケイ素含有化合物は、シロキサンであってもよい。ケイ素含有化合物は、アミノシリコーンであってもよい。アルデヒド含有またはケトン含有有益剤は、例えばシリコーン骨格のペンダントを含む1つ以上の末端または非末端でアミノシリコーンの一級アミン基とイミン結合を形成することによってケイ素含有化合物と共有結合してもよい。シリコーンは、好ましくは香料原料である有益剤の放出の前にシリコーンが衣料などの目標表面上に有益剤片を良好に付着させやすくする点で特に好ましい。このようなケイ素系デリバリー技術は、米国特許出願2016/0137674A1(The Procter & Gamble Companyに譲渡された)にさらに開示されている。
【0151】
保護剤は、硫黄含有材を含んでもよい。硫黄含有材がアルデヒド含有有益剤、ケトン含有有益剤またはそれらの混合物と反応すると、得られる複合体または化合物は、好ましくは式(2)に示す構造によって特徴付けられる、
Y-S-G-Q 式(2)
式中、
(i)Yは、異性体を含む以下に示す(Y-1)~(Y-7)からなる群から選択され、波線は、硫黄結合の位置を表し、点線は、単または二重結合を表す、
(ii)Gは、炭素数2~15の直鎖または分岐アルキルまたはアルケニル基から得られる二価または三価の基から選択され、
(iii)Qは、水素、-S-Y基または-NR-Y基から選択され、Yは、個別に上述のように選択され、R2は、水素またはC~Cアルキル基から選択される。
【0152】
Gは、R1が水素またはC~Cアルキルまたはアルケニル基から選択された-OR、-NR 、-COOR、R基またはこれらを組み合わせたものからなる群から選択される1種以上の基で置換された炭素数2~15の直鎖または分岐アルキルまたはアルケニル基から得られる二価または三価の基、好ましくは二価の基であることが好ましい。好ましくはGは、少なくとも1種の-COOR基、好ましくはRが水素またはC~Cアルキルまたはアルケニル基から選択された-COOR基で置換された炭素数2~15の直鎖または分岐アルキルまたはアルケニル基から得られる二価の基である。さらにより好ましくはGは、Rが水素またはメチルまたはエチル基である-CHCH(COOR)基を有する直鎖アルキル基から得られる二価の基である。Gは、置換または置換されていない炭素数8~15の直鎖アルキル基から得られる二価の基であってもよい。
【0153】
有益剤と結合した後、硫黄含有複合体または化合物は、好ましくは上記式(2)による化合物であり、その際Yは、上記で定義したようなY-l、Y-2またはY-3基から選択され、GおよびQは、上述の実施態様のいずれかに定義されているものである。
【0154】
有益剤と結合した後、硫黄含有複合体または化合物は、好ましくはメチルまたはエチル2-(4-オキソ-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)ブタン-2-イルアミノ)-3-(4-オキソー4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)ブタン-2-イルチオ)プロパノエート、メチルまたはエチル2-(4-オキソ-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタン-2-イルアミノ)-3-(4-オキソー4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタン-2-イルチオ)プロパノエート、メチルまたはエチル2-(2-オキソ-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1-エン-1-イル)ブタン-4-イルアミノ)-3-(2-オキソー4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1-エン-1-イル)ブタン-4-イルチオ)プロパノエート、メチルまたはエチル2-(2-オキソ-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタン-4-イルアミノ)-3-(2-オキソー4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタン-4-イルチオ)プロパノエート、3-(ドデシルチオ)-1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)-1-ブタノン、3-(ドデシルチオ)-1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)-1-ブタノン、4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)-2-ブタノン、4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1-エン-1-イル)-2-ブタノン、2-ドデシルスルファニル-5-メチル-ヘプタン-4-オン、2-シクロヘキシル-1-ドデシルスルファニル-ヘプタン-6-エン-3-オン、3-(ドデシルチオ)-5-イソプロペニル-2-メチルシクロヘキサノンおよびこれらを組み合わせたものからなる群から選択される。
【0155】
有益剤と結合した後、硫黄含有複合体または化合物は、より好ましくは3-(ドデシルチオ)-1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)-1-ブタノン、4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-イル)-2-ブタノン, 4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1-エン-1-イル)-2-ブタノンおよび3-(ドデシルチオ)-5-イソプロペニル-2-メチルシクロヘキサノンおよびこれらを組み合わせたものからなる群から選択される。
【0156】
有益剤と結合した後、最も好ましい硫黄含有複合体または化合物の1つは、3-(ドデシルチオ)-1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)-1-ブタノンである。これらの材料は、スイス、ジュネーブ所在のFirmenichから入手可能なHaloscentR Dとして販売されている。
【0157】
保護剤は、アルデヒド含有化合物、ケトン含有化合物またはこれらの混合物と反応した際に式(1)に示すアルキリデン含有化合物を形成する材料を含んでもよい、
式(1)
式中、Aは、アルデヒド含有香料原料(例えば、A-CHO)の炭化水素残渣であり、炭化水素残渣は、任意に酸素、窒素、硫黄、ケイ素およびこれらの混合物からなる群から選択される1種以上のヘテロ原子を含んでもよく、XおよびYは、個別にニトリル基(ーCN)、ケト基(-C(O)R)およびエステル基(-C(O)OR’)からなる群から選択され、RおよびR’は、個別に炭素数1~10のアルキル基であり、好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチルおよびペンチル基から個別に選択されるアルキル基である。好適なアルキリデン含有化合物は、WO2018/096176 (Givaudan SA)に詳しく説明されている。
【0158】
式(1)に示すアルキリデン含有化合物において、XおよびYは、両方ともケト基ではない場合がある。
【0159】
式(1)に示すアルキリデン含有化合物において、XおよびYは、異なる官能基を表す場合があり、好ましくはXおよびYの一方の基は、エステル基であり、もう一方の基は、ケト基であり、より好ましくはアルキリデン二重結合は、そのZ異性体に多くある。Z異性体は、関連するE異性体に較べて有益剤を良好に放出する特性を提供しやすいと考えられている。
【0160】
アルキリデン含有化合物は、式(1A)に示す構造を有してもよい
式(1A)
好ましくは式中、アルキリデン二重結合は、そのZ異性体に多くある。
【0161】
好ましくは式(1B)に示す構造を有するアルキリデン含有化合物は、2-アセチル-4-メチルトリデカ-2-エノエートであってもよく、
式(1B)
好ましくは式中、アルキリデン二重結合は、そのZ異性体に多くある。このような材料は、有益剤がPRMである場合に良好な放出特性を供し、好ましい清涼感に貢献することが分かっている。
【0162】
上記式(1)、好ましくは上記式(1A)、より好ましくは上記式(1B)によるアルキリデン含有化合物は、アルデヒド含有香料原料を放出してもよく、これは非直線状アルデヒド含有香料原料、好ましくはメチルノニルアセトアルデヒドを含むものであってもよい。このような材料は、有益剤がPRMである場合に良好な放出特性を供し、好ましい清涼感に貢献することが分かっている。
【0163】
好ましくは保護剤は、アミン含有化合物、より好ましくはアントラニル酸メチル、アントラニル酸ジメチルまたはこれらを組み合わせたものから選択されるアミン含有化合物である。以下の実施例に示すようにアミン含有化合物(例えば、アントラニル酸メチル)が存在することで、得られるデリバリー粒子は、他の粒子と比較して良好な性能を有する。アントラニル酸ジメチルは、アントラニル酸メチルと比べて相対的に疎水性度が高いので好ましく、特定の香油を有する複合体を良好に形成しやすくする。
【0164】
3. パーティショニング変性剤
本開示のデリバリー粒子のコアは、パーティショニング変性剤を含んでもよい。コア内の油性材料の特性は、油/水の界面で確立されたときに、ポリ(メタ)アクリレートシェル材料がどれだけ多く、どれだけ速く、および/またはどれだけ浸透するかを決定する上で役割を果たすことができる。例えば、油相が高極性物質を含む場合、これらの物質は、アクリル酸オリゴマーおよびポリマーの油/水界面への拡散を減少させ、結果として非常に薄く透過性の高いシェルが得られる。パーティショニング変性剤を組み込むことでコアの極性を調整でき、パーティショニング変性剤中の極性物質とアクリレートリゴマーの分配係数が変化し、明確に定義された高度に不浸透性のシェルを確立できる。パーティショニング変性剤は、壁形成モノマーを組み込む前に、コアの香油材料と組み合わせてもよい。
【0165】
パーティショニング変性剤は、コアの重量で、約5%~約55%、好ましくは約10%~約50%、より好ましくは約25%~約50%の量でコア中に存在してもよい。
【0166】
パーティショニング変性剤は、植物油、変性植物油、C~C24脂肪酸のモノ-、ジ-、およびトリ-エステル、ミリスチン酸イソプロピル、ドデカノフェノン、ラウリル酸ラウリル、ベヘン酸メチル、ラウリン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、およびそれらの混合物よりなる群から選択される材料を含んでもよい。パーティショニング変性剤は、好ましくはミリスチン酸イソプロピルを含むか、またはそれからなってもよい。変性植物油は、エステル化および/または臭素化されていてもよい。変性植物油は、ヒマシ油および/または大豆油を含むことが好ましい。参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第20110268802号は、現在記載されているデリバリー粒子に有用な他のパーティショニング変性剤を記載している。
【0167】
C. デリバリー粒子の製造方法
デリバリー粒子は、本明細書で説明したコア:シェル比が守られる限り、従来の方法に従って作製されてもよい。方法は、体積加重粒径、有益剤および/またはパーティショニング変性剤の相対量などの本明細書で説明した他の望ましい特徴が得られるようにさらに調節してもよい。
【0168】
例えば、本開示は、コアと、コアを囲むポリマー壁とを含むデリバリー粒子の群の製造方法に関する。本方法は、油相を供する工程を含んでもよい。油相は、上述したような有益剤と、パーティショニング変性剤とを含んでもよい。本方法は、少なくとも3および好ましくは少なくとも4、少なくとも5または少なくとも6つのラジカル重合性官能基を有するが、ラジカル重合性基の内の少なくとも1つは、アクリレートまたはメタクリレートである1つ以上の油溶性または油分散性多官能性(メタ)アクリレートモノマーを油相内に溶解するまたは分散させることをさらに含んでもよい。
【0169】
コア/壁デリバリー粒子を得る方法は、2つの液相を混合する工程を含んでもよく、その際、第1の相は、油相であり、第2の相は、水相である。本開示のデリバリー粒子を形成する際、有益剤と保護剤は、同じ液相、好ましくは油相に存在するのが好ましい。有益剤と保護剤が同じ油相にある場合、それらはより相互作用しやすく、これにより壁形成工程によるマイナスの相互作用を最小限にする。さらにより好ましくは少なくとも1つの壁促進剤が同じ液相、好ましくは油相にある。少なくとも1つの構造モノマーも同じ液相中にあってもよい。
【0170】
油溶性または油分散性多官能性(メタ)アクリレートモノマーは、上記で詳しく説明されている。とりわけ油溶性または油分散性多官能性(メタ)アクリレートモノマーは、多官能性芳香族ウレタンアクリレート、好ましくは三官能、四官能、五官能、または六官能芳香族ウレタンアクリレートまたはそれらの混合物を含んでもよく、好ましくは六官能芳香族ウレタンアクリレートを含んでもよい。モノマーは、1つ以上の多官能性芳香族ウレタンアクリレートを含んでもよく、これらは油相に溶解または分散させてもよい。本方法は、アミン(メタ)アクリレートまたは酸性(メタ)アクリレートの内の1つ以上を油相に溶解または分散させることをさらに含んでもよい。
【0171】
本方法は、水相を供することをさらに含んでもよく、これは乳化剤、界面活性剤またはこれらを組み合わせたものを含んでもよい。本方法は、水相に1種以上の水溶性または水分散性単または多官能性(メタ)アクリレートモノマーおよび/またはオリゴマーを溶解または分散させる工程をさらに含んでもよい。
【0172】
本方法は、水相、油相または両方に1種以上のアミン(メタ)アクリレート、酸性(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシル化単官能または多官能(メタ)アクリレートおよび/または他の(メタ)アクリレートモノマーを溶解または分散させる工程を含んでもよい。
【0173】
一般に、油溶性多官能(メタ)アクリレートモノマーは、油相に溶解または分散可能で、典型的には、少なくとも油100ml中に1グラム程度で溶解可能もしくは22℃で油相中で分散可能または乳化可能である。水溶性多官能(メタ)アクリレートモノマーは、典型的には水に溶解または分散可能で、典型的には少なくとも水100ml中に1グラム程度で溶解可能または22℃で油相中で分散可能である。
【0174】
通常は油相は、過剰の水相と組み合わされる。1相以上の油相が採用される場合、一般に、これらは最初に結合され、次いで水相と結合される。必要であれば、水相は、順次結合される1つ以上の水相から構成することもできる。
【0175】
油相を高剪断攪拌下で水相に乳化し、水相に分散したコアと油相の液滴を含む水中油型乳化液を形成する。通常は適用する剪断攪拌の量は、目標サイズの液滴を形成するために調節可能であり、これは完成したカプセルの最終サイズに影響する。
【0176】
溶解または分散したモノマーを加熱または光線照射によって反応させてもよい。この反応により液滴と水相の界面にポリマー壁を形成することができる。多官能メタクリレートのラジカル重合性基は、加熱により、多官能メタクリレートの自己重合を促進する。
【0177】
1種以上の遊離ラジカル開始剤は、油相、水相またはその両方、好ましくは両方に供される。例えば、本方法は、1種以上の遊離ラジカル開始剤を水相に添加し、例えば熱による活性化時に遊離ラジカルのさらなる供給源を提供することを含んでもよい。本方法は、1種以上の遊離ラジカル開始剤を油相に添加することを含んでもよい。1種以上の遊離ラジカル開始剤を水相、油相またはその両方に各相の重量で0%超~約5%の量で添加されてもよい。潜在性開始剤は、最初の作用、特に化学反応によって、潜在的な開始剤を活性な開始剤に変える必要があり、その後、重合条件に暴露されると重合を開始することも想定される。複数の開始剤が存在する場合、各開始剤が異なる条件により開始されるか好適に開始されることが企図され、好ましいことである。
【0178】
記載されたプロセスにおける加熱工程は、約1時間~約20時間、好ましくは約2時間~約15時間、より好ましくは約4時間~約10時間、最も好ましくは約5~約7時間加熱し、約500ジュール/kg~約5,000ジュール/kgを前記乳化液に、約1,000ジュール/kg~約4,500ジュール/kgを前記乳化液に、あるいは約2,900ジュール/kg~約4,000ジュール/kgを前記乳化液に十分に移動させることを含む。
【0179】
加熱工程の前に、例えば約30ミクロン~約50ミクロンの体積加重目的サイズを有するデリバリー粒子群を形成するという観点から、乳化液は、約0.5ミクロン~約100ミクロン、さらには約1ミクロン~約60ミクロン、さらには約20ミクロン~50ミクロン、好ましくは約30ミクロン~約50ミクロンまでの乳化液滴の体積加重中央粒径を有する。
【0180】
有益剤は、上述のように選択されてもよく、好ましくは有益剤は、1種以上の香料原料を含む芳香剤である。有益剤は、他の材料が溶解または分散する油相の主または唯一の成分であってもよい。
【0181】
保護剤、例えばアントラニル酸メチルおよび/またはアントラニル酸ジメチルなどのアミンは、アルデヒド含有および/またはケトン含有有益剤と同じ相に添加してもよい。好ましくはその相は、油相である。さらにより好ましくは保護剤および関連する一種以上の有益剤は、構造モノマー、遊離ラジカル開始剤またはその混合物と混ぜ合わされる前に予め混ぜられる(任意にパーティショニング変性剤とさらに予め混ぜられる)。
【0182】
パーティショニング変性剤は、ミリスチン酸イソプロピル、植物油、変性植物油、C~C24脂肪酸のモノ、ジ、およびトリエステル、ドデカノフェノン、ラウリン酸ラウリル、ベヘン酸メチル、ラウリン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、およびそれらの混合物よりなる群から選択してもよく、好ましくはミリスチン酸イソプロピルである。パーティショニング変性剤は、デリバリー粒子のコアの重量で約5%~約55%を含む量で提供されてもよい。
【0183】
得られるデリバリー粒子は、上述のようなコア:壁比および/または粒径によって特徴付けられるのが望ましく、このような特徴は、有利な性能につながることが分かっている。
【0184】
本明細書に記載のデリバリー粒子の製造方法の結果として、デリバリー粒子は、水性スラリー中に存在してもよく、例えば粒子は、スラリーの重量で約20%~約60%、好ましくは約30%~約50%の量でスラリー中に存在してもよい。保存料、溶媒、構造化剤または多の処理または安定補物質などの追加の材料をスラリーに加えてもよい。スラリーは、有益剤デリバリー粒子のコアに含まれている1種以上の香料とは異なる1種以上の香料(即ち、カプセル化されていない香料)を含んでもよい。
【0185】
本開示によるデリバリー粒子を形成できる典型的な合成方法をさらに下記実施例1で説明する。
【0186】
消費者製品添加材料
本開示の消費者製品組成物は、デリバリー粒子群に加えて消費者製品添加材料を含む。消費者製品添加材料は、組成物の意図する最終用途において利益を与えてもよく、処理および/または安定補物質であってもよい。
【0187】
好適な消費者製品添加材料としては界面活性剤、コンディショニング活性剤、堆積助剤、レオロジー調整剤または構造化剤、漂白システム、安定剤、物質(ビルダー)、キレート化剤、色素移動抑制剤、色素移動促進剤、分散剤、酵素および酵素安定剤、触媒金属錯体、高分子分散剤、粘土および土壌除去/再堆積防止剤、光沢剤、糊料、シリコーン、色相調整剤、美容染料、追加の香料および香料デリバリーシステム、構造弾性剤、担体、ヒドロトロープ、加工物質、凝集防止剤、コーティング材、ホルムアルデヒド捕捉剤、および/または顔料が挙げられる。
【0188】
意図された形態、処方、および/または最終用途に応じて、本開示の組成物は、以下の補物質の1種以上を含んでも含まなくてもよい。漂白活性剤、界面活性剤、ビルダー、キレート剤、染料移動抑制剤、分散剤、酵素、および酵素安定剤、触媒金属錯体、高分子分散剤、粘土および土壌除去/抗赤変剤、光沢剤、糊料、染料、追加の香料および香料デリバリー系、構造伸縮剤、ファブリック柔軟剤、担体、可溶化剤(hydrotrope)、加工物質、構造化剤、凝集防止剤、塗布剤、ホルムアルデヒド捕捉剤および/または顔料。
【0189】
これらの追加成分の正確な性質およびその配合量は、組成物の物理的形態およびそれが使用される操作の性質に依存する。しかしながら、1種以上の補物質が存在する場合、そのような1種以上の補物質は、以下に詳述するように存在してもよい。下記は、好適な補物質の非限定的な例である。
【0190】
A. 界面活性剤
本開示の組成物は、界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤を、例えば、洗浄を補助するために有用であってもよい。組成物は、1種以上の表面活性剤を含む表面活性剤系を含んでもよい。
【0191】
本開示の組成物は、組成物の重量で約0.1%~約70%、または約2%~約60%、または約5%~約50%の界面活性剤系を含んでもよい。液体組成物は、組成物の重量で約5%~約40%の界面活性剤系を含んでもよい。単位投与形体に好適なコンパクト液体、ゲルおよび/または組成物を含むコンパクト処方は、組成物の重量で約25%~約70%または約30%~約50%の界面活性剤系を含んでもよい。
【0192】
界面活性剤系は、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、またはそれらの組合せを含んでもよい。界面活性剤系は、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルエトキシル化硫酸塩、アルキル硫酸塩、エトキシル化アルコールなどの非イオン界面活性剤、アミンオキシド、またはそれらの混合物を含んでもよい。界面活性剤は、少なくとも部分的に、天然原料アルコールなどの天然源から導かれるものでもよい。
【0193】
好適な陰イオン界面活性剤は、任意の従来の陰イオン界面活性剤を含んでもよい。これには、例えばアルコキシル化および/または非アルコキシル化アルキル硫酸塩材料のための硫酸塩洗浄性界面活性剤、および/またはスルホン酸塩洗浄性界面活性剤、例えばアルキルベンゼンスルホン酸塩が含まれてもよい。陰イオン界面活性剤は、直鎖状、分枝状、またはそれらの組み合わせであってもよい。好ましい界面活性剤としては、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)、アルキルエトキシル化硫酸塩(AES)、アルキル硫酸塩(AS)、またはこれらの混合物が挙げられる。他の好適な陰イオン界面活性剤としては、分岐変性アルキルベンゼンスルホン酸塩(MLAS)、メチルエステルスルホン酸塩(MES)、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)、および/またはアルキルエトキシル化カルボン酸塩(AEC)などが挙げられる。陰イオン界面活性剤は、酸の形、塩の形、またはそれらの混合物で存在してもよい。陰イオン界面活性剤を、例えば、アルカリ金属(例えば、ナトリウム)またはアミン(例えば、モノエタノールアミン)によって、その一部または全部を中和してもよい。
【0194】
界面活性剤系は、非イオン界面活性剤を含んでもよい。好適な非イオン界面活性剤としては、アルコキシル化脂肪アルコール、例えばエトキシル化脂肪アルコールが挙げられる。他の好適な非イオン界面活性剤としては、アルコキシル化アルキルフェノール、アルキルフェノール縮合物、中鎖分岐アルコール、中鎖分岐アルキルアルコキシレート、アルキル多糖類(例えば、アルキルポリグリコシド)、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド、エーテル末端ポリ(オキシアルキル化)アルコール界面活性剤およびこれらの混合物が挙げられる。アルコキシレート単位は、エチレンオキシ単位、プロピレンオキシ単位、またはそれらの混合物であってもよい。非イオン界面活性剤は、直鎖状、分枝状(例えば、中鎖分枝状)、またはそれらの組み合わせであってもよい。特定の非イオン界面活性剤は、平均約12~約16個の炭素、および平均約3~約9個のエトキシ基を有するアルコール、例えばC12~C14のEO7非イオン界面活性剤を含んでもよい。
【0195】
好適な双性イオン界面活性剤は、任意の従来の双性イオン界面活性剤、例えば、アルキルジメチルベタインおよびココジメチルアミドプロピルベタインを含むベタイン、C~C18(例えば、C12~C18)アミンオキシド(例えば、C1214ジメチルアミンオキシド)、および/またはスルホおよびヒドロキシベタイン、例えば、アルキル基がC~C18、またはC10~C14であり得るN-アルキル-N,N-ジメチルアミノ-1-プロパンスルホン酸塩が挙げられる。双性イオン性界面活性剤は、アミンオキシドを含むことができる。
【0196】
処方および/または意図された最終用途に応じて、組成物は特定の界面活性剤を実質的に含まないことがある。例えば、ファブリック柔軟剤などの液体ファブリックエンハンサー組成物は、陰イオン界面活性剤をそのような界面活性剤が陽イオン成分と負の相互作用をすることがあるので、実質的に含まないことがある。
【0197】
B. コンディショニング活性剤
本開示の組成物は、コンディショニング活性剤を含んでもよい。コンディショニング活性剤を含む組成物は、柔軟、抗しわ、帯電防止、コンディショニング、抗延伸、着色および/または美観効果を供してもよい。
【0198】
コンディショニング活性剤は、組成物の重量で約1%~約99%の量で存在してもよい。組成物は、組成物の重量で約1%~または約2%~または約3%~、約99%、または約75%または約50%または約40%または約35%または約30%または約25%または約20%、または約15%、または約10%のコンディショニング活性剤を含んでもよい。組成物は、組成物の重量で約5%~約30%のコンディショニング活性剤を含んでもよい。
【0199】
本開示の組成物に好適なコンディショニング活性剤としては第4級アンモニウムエステル化合物、シリコーン、非エステル第4級アンモニウム化合物、アミン、脂肪エステル、スクロースエステル、シリコーン、分散性ポリオレフィン、多糖、脂肪酸、柔軟またはコンディショニングオイル、ポリマーラテックスまたはこれらを組み合わせたものが挙げられる。
【0200】
組成物は、第4級アンモニウムエステル化合物、シリコーンまたはこれらを組み合わせたもの、好ましくは組み合わせたものを含んでもよい。第4級アンモニウムエステル化合物とシリコーンを組み合わせた際の合計量は、組成物の重量で約5%~約70%または約6%~約50%または約7%~約40%または約10%~約30%または約15%~約25%であってもよい。組成物は、第4級アンモニウムエステル化合物とシリコーンを約1:10~約10:1または約1:5~約5:1または約1:3~約3:1または約1:2~約2:1または約1:1.5~約1.5:1または約1:1:の重量比で含んでもよい。
【0201】
組成物は異なる種類のコンディショニング活性剤の混合物を含んでもよい。本開示の組成物は、特定のコンディショニング活性剤を含むが実質的にその他のものを含まなくてもよい。例えば、組成物は、第4級アンモニウムエステル化合物、シリコーンまたは両方を含まなくてもよい。組成物は、第4級アンモニウムエステル化合物を含むが、シリコーンを実質的に含まなくてもよい。組成物は、シリコーンを含むが、第4級アンモニウムエステル化合物を実質的に含まなくてもよい。
【0202】
C. 堆積助剤
本開示の組成物は、堆積助剤を含んでもよい。堆積助剤は、デリバリー粒子、コンディショニング活性剤、香料、またはそれらの組み合わせの堆積を促進し、組成物の性能上の利点を増強し、および/またはそのような有益剤のより効率的な処方を可能にする。組成物は、組成物の重量で、0.0001%~3%、好ましくは0.0005%~2%、より好ましくは0.001%~1%、または約0.01%~約0.5%、または約0.05%~約0.3%の堆積助剤を含んでもよい。堆積助剤は、陽イオンポリマーまたは両性ポリマー、好ましくは陽イオンポリマーであってもよい。
【0203】
陽イオンポリマーとその製造方法は一般に文献に知られている。好適な陽イオンポリマーとしては、化粧品成分の国際命名法(International Nomenclature for Cosmetic Ingredients)によって指定される「ポリクオタニウム(Polyquaternium)」ポリマーとして知られる第4級アンモニウムポリマー、例えばポリクオタニウム6(ポリ塩化ジアリルジメチルアンモニウム)、ポリクオタニウム-7(アクリルアミドと塩化ジアリルジメチルアンモニウムの共ポリマー)、ポリクオタニウム-10(四級化ヒドロキシエチルセルロース)、ポリクオタニウム-22(アクリル酸、塩化ジアリルジメチルアンモニウムの共ポリマー)などが挙げられる。
【0204】
堆積助剤は、ポリビニルホルムアミド、部分ヒドロキシル化ポリビニルホルムアミド、ポリビニルアミン、ポリエチレンイミン、エトキシル化ポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール、ポリアクリレート、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。陽イオンポリマーは、陽イオン性アクリレートを含んでもよい。
【0205】
堆積助剤は、消費者製品組成物にデリバリー粒子に付随して(例えばカプセル化された有益剤と同時に)または直接/独立して加えることができる。ポリマーの重量平均分子量は、屈折率(RI)検出を用いるポリエチレンオキシド標準に対するサイズ排除クロマトグラフィーによって決定されるように、500~5,000,000または1,000~2,000,000または2,500~1,500,000ダルトンであってもよい。陽イオンポリマーの重量平均分子量は、5,000~37,500ダルトンであってもよい。
【0206】
D. レオロジー改質剤/構造化剤
本開示の組成物は、レオロジー改質剤および/または構造化剤を含んでもよい。レオロジー改質剤は、液体組成物を所望の粘度に「粘らせる」または「薄める」ために使用してもよい。構造化剤は、本明細書で説明したようなデリバリー粒子などの液体組成物中の粒子の相安定性を促すおよび/または凝集を停止または防ぐために使用してもよい。
【0207】
好適なレオロジー改質剤および/または構造化剤としては、非高分子液晶性ヒドロキシル機能性構造化剤(水素化キャスターオイル系のものを含む)、高分子構造化物質、セルロース系繊維(例えば、細菌、菌または木材を含む植物由来微少繊維セルロース)、ジ-アミドゲル化剤またはこれらを組み合わせたものが挙げられる。
【0208】
高分子構造化物質は、起源が天然または合成系であってもよい。天然由来の高分子構造化剤は、ヒドロキシエチルセルロース、疎水的に改質されたヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、多糖誘導体およびそれらの混合物を含んでもよい。多糖誘導体は、ペクチン、アルギン酸塩、アラビノガラクタン(アラビアゴム)、カラギーナン、ジェランガム、キサンタンガム、グァーガムおよびそれらの混合物を含んでもよい。合成高分子構造化剤は、ポリカルボキシレート、疎水的に改質されたエトキシル化ウレタン、疎水的に改質された非イオンポリオールおよびそれらの混合物を含んでもよい。ポリカルボキシレートポリマーは、ポルアクリレート、ポリメタクレートまたはそれらの混合物を含んでもよい。ポルアクリレートは、不飽和モノ-またはジ-カルボン酸と(メタ)アクリル酸のC~C30アルキルエステルとの共重合体を含んでもよい。そのような共重合体は、Noveon IncよりCarbopol Aqua 30という商品名で入手可能である。別の好適な構造化剤は、BASFよりRheovis CDEという商品名で販売されている。
【0209】
組成物の製造方法
本開示は、本明細書で説明した消費者製品組成物のいずれかの製造方法に関する。消費者製品組成物の製造方法は、本明細書に記載されるような有益剤デリバリー粒子(または粒子群)を消費者製品添加材料と組み合わせる工程を含んでもよい。
【0210】
デリバリー粒子がスラリー形態、未処理のデリバリー粒子の形態、および/または噴霧乾燥デリバリー粒子の形態を含む1つ以上の形態であるとき、デリバリー粒子をこのような1種以上の添加材料と組み合わせてもよい。デリバリー粒子を、混合および/または噴霧を含む方法で、そのような消費者製品添加材料と組み合わせてもよい。
【0211】
本開示の組成物は、任意の適切な形態に処方することができ、処方者が選択する任意の方法で調製することができる。デリバリー粒子および添加材料を、バッチ法、循環ループ法、および/またはインライン混合法によって混ぜ合わせてもよい。本明細書に開示される方法での使用に適した装置としては、連続攪拌槽反応器、ホモジナイザー、タービン攪拌機、循環ポンプ、パドルミキサー、すき剪断ミキサー、リボンブレンダー、垂直軸造粒機およびドラムミキサー(バッチおよび利用できる場合には連続プロセス構成の両方)、スプレードライヤーおよび押出機を挙げることができる。
【0212】
表面または物品の試験方法
さらに本開示は、本開示による組成物を含む表面または物品の試験方法に関する。そのような方法は、クリーニング、コンディショニングおよび/またはフレッシュニングでの利点を供する。
【0213】
好適な表面または物品は、ファブリック(服、タオルまたはリネンを含む)、ハードウェア(タイル、磁器、リノリウムまたはウッドフロアーなどの)、食卓用食器類、髪、皮膚またはこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0214】
本方法は、表面または物品を本開示の組成物と接触させる工程を含む。組成物は、薄めていない状態または液体、例えば洗液または濯ぎ液に希釈してもよい。組成物は、表面または物品と接触させる前、接触させている間または接触後に水で希釈してもよい。表面または物品は、任意に接触工程の前および/または後に洗浄または濯いでもよい。
【0215】
表面または物品の処理および/またはクリーニングする方法は、次の工程を含んでもよい。
a)選択的に表面または物品を洗浄、濯ぐおよび/または乾燥させる、
b)表面または物品を本願明細書で説明した組成物と選択的に水の中で接触させる、
c)選択的に表面または物品を洗浄および/または濯ぐ、および
d)選択的に受動的乾燥および/またはランドリードライヤーなどの能動的な方法で乾燥させる。
【0216】
本発明の目的のため、洗浄としては、手洗いおよび機械的撹拌が挙げられるが、これに限定されない。ファブリックは、通常の消費者使用条件で洗濯または処理可能な殆どあらゆるファブリックを含む。
【0217】
開示した組成物を含んでもよい液体は、約3~約11.5のpHを有してもよい。希釈した場合、そのような組成物は、溶液中の濃度が約500ppm~約15,000ppmで通常採用される。洗浄溶媒が水の場合、水温は、通常は約5℃~約90℃の範囲であり、使用される場がファブリックを含む場合、ファブリックに対する水の比は、通常は約1:1~約30:1である。
【0218】
試験方法
当然のことながら、本願の試験方法の項に開示されている試験方法は、本明細書に記載され特許請求される発明の主題のパラメータのそれぞれの値を決定するのに使用されるべきである。
【0219】
完成品からのデリバリー粒子の抽出
本明細書で特に規定する場合を除き、完成品からデリバリー粒子を分離する好ましい方法は、そのようなデリバリー粒子の多くは、水の密度とは異なるという事実に基づいている。完成品を水と混合し、デリバリー粒子を希釈および/または放出する。希釈された製品懸濁液を遠心分離して、デリバリー粒子の分離を促進する。そのようなデリバリー粒子は、完成品の希釈溶液/分散液の中で浮くあるいは沈む傾向がある。ピペットやヘラを使って、この懸濁液の上層と下層を取り除き、さらに希釈と遠心分離を繰り返し、デリバリー粒子を分離・濃縮する。デリバリー粒子は、交差偏光フィルターまたは微分干渉コントラスト(DIC)を備えた光学顕微鏡で、100倍および400倍の総倍率で観察する。顕微鏡での観察によりデリバリー粒子の存在、大きさ、質および凝集の初期の兆候を示す。
【0220】
液体柔軟仕上げ剤完成品からのデリバリー粒子の抽出は、以下の手順で行う、
1.液体ファブリック柔軟仕上げ剤の3つのアリコート約20mlを3つの別々の50ml遠心分離管に入れ、各等分量を脱イオン水で1:1に希釈し(例えば、柔軟仕上げ剤20ml+脱イオン水20ml)、それぞれの等分量をよく混ぜ、約10,000×gで30分間遠心分離する、
2.手順1に従って遠心分離した後、各50ml遠心分離管内の底部水層(約10ml)を捨て、各50ml遠心分離管に脱イオン水10mlを加える、
3.各アリコートについて、遠心分離、底部水層の除去、および各50ml遠心分離管への10mlの脱イオン水添加の工程をさらに2回繰り返す、
4.へらまたはピペットを用いて上層を除去する、
5.この上層を1.8mlの遠心分離管に移し、約20,000×gで5分間遠心分離する、
6.へらで上層を取り除き、新たな1.8ml遠心分離管に移し、遠心分離管が完全に満たされるまで脱イオン水を加え、約20,000×gで5分間遠心分離する、
7.細いピペットで底層を取り除き、遠心分離管が完全に満たされるまで脱イオン水を加え、約20,000×gで5分間遠心分離する、
8.手順7をさらに5回繰り返す(合計6回)。
【0221】
上記の工程1で濃縮デリバリー粒子の上層と下層の両方が出現した場合、直ちに工程3に移行し(即ち、工程2を省略し)、工程4から工程8に進む。これらの工程の完了後、工程1の50ml遠心分離管から底層をへらおよび/またはピペットを用いて取り除く。下層を1.8ml遠心分離管に移し、約20,000×gで5分間遠心分離する。新たな遠心分離管に下層を移し、遠心分離管が完全に満たされるまで脱イオン水を加え、約20,000×gで5分間遠心分離する。最上層(水)を除去し、遠心分離管がいっぱいになるまで脱イオン水を再度追加する。これをさらに5回繰り返す(合計6回)。デリバリー粒子を濃縮し、分離した上層と下層を合わせる。
【0222】
ファブリック増強剤が白色の場合、またはデリバリー粒子濃縮層の識別が困難な場合は、工程1の遠心分離管に染料(米国、サウスカロライナ州、スパータンバーグ所在のMilliken & Company社のLiquitint Blue JH 5%プレミックスなど)4滴を加え、記載の通り分離を進める。
【0223】
水に分散しやすい固形完成品からデリバリー粒子を抽出する場合、1Lの脱イオン水と20gの完成品(例えば、発泡洗剤、フィルム、ゲルおよび顆粒、または水溶性ポリマー、フレーク状石鹸および棒状石鹸、ならびに塩、糖、粘土およびデンプンなどの他の容易に水に溶けるマトリクス)を混合する。ワックス、乾燥機用柔軟シート、ドライヤーバー、脂っこい材料など、水に容易に分散しない完成品からデリバリー粒子を抽出する場合、マトリックスからデリバリー粒子を抽出するために、洗浄剤の添加、撹拌、製品および希釈剤の穏やかな加熱が必要になることがある。有機溶剤の使用やデリバリー粒子の乾燥は、この段階でデリバリー粒子を損傷する可能性があるため、抽出工程では避ける必要がある。
【0224】
柔軟剤またはファブリック強化剤ではない液体完成品(例えば、液体洗濯洗剤、液体食器洗い洗剤、液体ハンドソープ、ローション、シャンプー、コンディショナー、および毛染め)からデリバリー粒子を抽出するには、完成品20mlを脱イオン水20mlと混合する。必要に応じて、溶液の密度を高め、デリバリー粒子を上層に浮きやすくするために、希釈した懸濁液にNaCl(例えば、1~4gのNaCl)を添加することができる。また、製品が白色で遠心分離時に形成されるデリバリー粒子の層の区別がつきにくい場合は、希釈液に水溶性染料を添加して視覚的な濃淡をつけることができる。
【0225】
水と製品の混合物は、上層と下層を取り除き、それらの層を新たな希釈液に再懸濁し、さらに遠心分離、分離、再懸濁を行うという遠心分離の繰り返しにかけられる。遠心分離の各ラウンドは、1.5~50mlの容積の遠心分離管で、最大20,000×gの遠心力を用いて、5~30分間行われる。試験用の十分なデリバリー粒子を抽出し、洗浄するには、通常、少なくとも6回の遠心分離が必要である。例えば、最初の遠心分離は、50mlの遠心分離管で10,000×gで30分間行い、その後、上層と下層の材料を1.8mlの遠心分離管で新たな希釈液に別々に再懸濁し、20,000×gで5分間ずつの遠心分離を5ラウンド以上行うことができる。
【0226】
上層と下層の両方でデリバリー粒子が顕微鏡で観察された場合、最後の遠心分離工程の後にこれら2つの層からのデリバリー粒子を再度一緒にし、その製品から抽出されたすべてのデリバリー粒子を含む単一の試料を作成する。抽出されたデリバリー粒子はできるだけ早く分析する必要があるが、分析する前に脱イオン水中に懸濁液として14日間まで保存することができる。
【0227】
当業者であれば、完成品からデリバリー粒子を抽出し、分離するために、他の様々な実験手順を構築することができ、そのような方法は、デリバリー粒子の完成品への添加および抽出の前後で測定された値の比較による検証を必要とすることが分かっている。
【0228】
香料漏れの定量
香料の漏れを定量するために香料カプセル化物を有する液体洗剤を調製し、貯蔵し(例えば35℃で一週間)、次に同じ量の合計香料(例えば1重量%)であるがカプセル化されていないものを含む液体洗剤の参照サンプルと比較する。
【0229】
内部標準溶液を調製するために70mgのトナリドを秤量し、20mLのヘキサン(分析用)を加えて、混合する。この混合物200μLを20mLのヘキサン(分析用)に加えて、混合し、均質化して内部標準溶液を形成する。
【0230】
テストサンプルまたは参照サンプルの液相から香料を抽出するために2グラムの洗剤サンプルおよび2mLの内部標準溶液を抽出容器に入れる。遊離な香料を洗剤サンプルから抽出容器を手動で20回ゆっくりと反転させることによって抽出する。スプーンの先端分の硫酸ナトリウムを抽出容器に加える。層の分離が起こる。
【0231】
ガスクロマトグラフデータを収集するために層が分離した後、すぐにヘキサン層をガスクロマトグラフ自動サンプラー小瓶に写し、小瓶に蓋をする。ガスクロマトグラフの注入ポート内に1.5μLのスプリットレスを注入する。ガスクロマトグラフによる質量分光分析(Durawax-4上でガスクロマトグラフ分離[60m、0.32mmID、0.25μmフィルム]40℃/4℃/分/230℃/20’)を行う。
【0232】
カプセル化物からの香料の漏れを次の式に従って香料原料当たりで計算する、
香料の総漏れは、個別の香料原料当たりのカプセルからの香料の漏れの合計である。
【0233】
香料保持率(例えばカプセル化物中に残っている香料の割合)を決定するために「%香料漏れ」を100から引く。
【0234】
粘度
液体完成品の粘度を、TA instruments社(米国、デルウェア州、ニューキャッスル所在)のAR550レオメータ/粘度計用い、直径40mm、ギャップサイズ500μmの平行鋼板を用いて測定する。20s-1での高剪断粘度と0.05s-1での低剪断粘度を、21℃で3分の時間で0.1s-1~25s-1までの対数剪断速度掃引から得る。
【0235】
香料、香料原料(PRM)および/またはパーティショニング変性剤
A. 同定と全量
カプセルスラリー中の香料、香料成分、または香料原料(PRM)、またはパーティショニング変性剤、および/またはデリバリー剤カプセル内に封入された香料を同定し総重量を測定するために、質量分析装置付きガスクロマトグラフィー/火炎イオン化検出器(GC-MS /FID)を採用する。好適な装置としては、Agilent Technologies G1530A GC/FID、Hewlett Packer Mass Selective Device 5973および5%-フェニル-メチルポリシロキサンカラム J&W DB-5(30m長×0.25mm内径×0.25μm膜厚)が挙げられる。約3gの完成品またはデリバリーカプセル化物の懸濁液を計量し、重量を記録した後、試料を30mLの脱イオン水で希釈し、孔径5.0μmのニトロセルロースフィルター膜でろ過する。フィルターに捕捉された物質を、5mLのISTD溶液(25.0mg/Lテトラデカンの無水アルコール溶液)に溶解し、60℃で30分間加熱する。冷却溶液を孔径0.45μmのPTFEシリンジフィルターでろ過し、GC-MS/FIDで分析する。比較基準として、3種類の既知の香料油を使用する。データ分析では、総面積計数値からISTD面積計数値を引いたものを合計し、3つの標準香料の平均応答係数(Response Factor =RF)を算出する。次に、応答係数とカプセル化香料の総面積計数値を試料重量とともに使用し、カプセル化香料中の各PRMの総重量パーセントを決定する。PRMを、質量分析のピークから同定する。
【0236】
B.非カプセル化材料の量
スラリーなどの組成物中の非カプセル化香料および(必要なら)パーティショニング変性剤の量を決定するために表の後に提示される分析手順を用いいるこの分析に以下の装置を使用することができる。
【0237】
ISSヘキサンで香料標準液を調製するために、0.050±0.005gのPMC香料油を50mLのメスフラスコ(または他の容量の場合添加する香料油のgを再計算)に計量する。ラインにISSヘキサン溶液を満たす。ISSヘキサンは、4Lのヘキサンに0.1gのテトラデカンを混ぜたものである。
【0238】
5%界面活性剤溶液を調製するために、ドデシル硫酸ナトリウム50g±1gをビーカーで秤量し、精製水を用いて1リットルのメスフラスコに定量的に移し、界面活性剤を完全に溶解させる。
【0239】
PMC組成物(例:スラリー)試料を調製するために、組成物(例:スラリー)がよく混ざり合っていることを確認し、必要であれば混合する。0.3±0.05gの組成物試料を10mLバイアル瓶の底に秤量する。バイアル瓶の壁面に組成物が付着しないようにする。
【0240】
装置を操作するために、各PRM(および任意成分のパーティショニング変性剤)定量用の標的イオンと、最低1種、できれば2種の確認イオンを決定する。校正曲線を、各PRMの香料標準物質から作成する。試料重量と各PRMの重量%を用いて、各PRMの抽出イオンの積分値(EIC)と量をプロットまたは記録する。
【0241】
遊離油の量を、各PRMの検量線に対する応答から決定し、すべての異なる香料材料と任意成分のパーティショニング変性剤を合計する。
【0242】
C. カプセル化された材料の定量
カプセル化された油および任意成分のパーティショニング変性剤の定量を、組成物(例えばスラリー)中に見出された全油の重量から、組成物中に見出された遊離/非カプセル化油の重量を差し引いて行う。
【0243】
壁材の分析による定量
この方法は、壁材の量を決定する。まず、0.45μm以上の粒子の壁材を全量ろ過で分離する。その後、熱重量分析で、無機物や他の(有機)原料のスラリー成分の除去の準備をする。
【0244】
A. 試料の調製
この手順では、全量ろ過を行い、試料の可溶性画分を除去する。TGA分析前に妨害物質を最大限に除去するために、異なる溶媒を連続して使用する。
【0245】
以下の材料と装置を用いる。
・ろ過装置
○真空ポンプ:Millipore型番WP6122050または同等品
○ポンプとろ過装置をつなぐ肉厚の真空チューブ
○ろ過フラスコ500mlまたは1000ml
○ろ過カップ:例えば250mlのMillipore漏斗(「Milli Cup」)、ろ過材: 0.45マイクロメートルの膜、耐溶剤性。
○計量中にろ過装置を収納する密閉可能なプラスチック容器
○標準的な実験用ガラス器具(ガラスビーカー100~250ml、メスシリン ダー50~250ml)
・乾燥装置
○真空オーブンおよび真空ポンプ(設定温度60~70℃/真空度:30インチ 水銀真空)
○乾燥器または恒湿槽(冷却中の残留物を管理された環境に置く)
・溶媒
○すべての溶媒: 分析等級以上の2-プロパノール、アセトン、クロロホルム
【0246】
ろ過の手順は以下の通り:ろ過装置を準備するため、予備乾燥ろ過装置(ミリカップフィルターなど)の重量を0.1~0.2mgまで記録する。予備乾燥は、ろ過終了後のフィルターに行うのと同じ乾燥工程を含む。
【0247】
1~2gのスラリー原料(注:0.1~0.2mgに重量減)をガラスビーカー(250ml)または直接ろ過装置に秤量し、試料をろ過する。脱イオン水20mlを加え、試料を均質にするために振り混ぜる。80mlのイソプロピルアルコールを加え、溶媒で試料均質にする。試料を凝集させるために加熱を行う。ろ過瓶にろ過装置を取り付け、真空でろ過を開始する。ろ過の完了後、100mlのクロロホルムを加える。ろ過を継続する。10~20mlのアセトンを加え、膜ろ過し、微量のクロロホルムを除去する。フィルターをろ過装置から取り出し、真空オーブンで乾燥させる。冷却後、フィルターの重量を測定し、その重量を記録する。
【0248】
フィルター+残留物とフィルターのみの重量差(=ろ過後の残留物の純重量)を原料スラリー試料重量で除して残留物パーセント(重量残留物)を算出し、100を乗じて%単位とする。引き続き、TGA分析による残留パーセントの測定を行う。
【0249】
熱重量分析(TGA)は、以下の機器と設定で行う:TGA: TA instruments Discovery TGA;試料パン:密閉式アルミニウム、パージ:N2、50ml/分;手順:ランプ10℃/分~500℃まで;TGAはニコレットNexus 470 FTIRスペクトロメーターに連結して、発生ガスに対応する。
【0250】
TGAデータ解析では、350~500℃の間の重量損失は、香料マイクロカプセルの重合体壁材の分解と、まだ残っている(燃えた)香料化合物によるものである。不溶性重合体分率の計算には、この重量損失が使用される。500℃では、まだ燃え残った物質があり、不溶性重合体分率を計算する際に考慮する必要がある。
【0251】
コア:壁比の分析による定量
コアおよび壁材料の投入量が容易に入手できない場合、カプセル化物のコア:壁比を、本明細書に記載の方法で分析的に定量することができる。
【0252】
より具体的には、上記の方法は、香料カプセル組成物(例えば、スラリー)中の香料、パーティショニング変性剤、および壁材料の量を(重量で)決定することができ、コア:壁比を計算するのに使用することができる。これは、組成物中に見出される香料+パーティショニング変性剤の総量(重量)を、組成物中に見出される架橋壁材料の量(重量)で割って行われる。
【0253】
logPを定量する試験方法
オクタノール/水分配係数の対数(logP)の値を、各材料(例:試験される香料混合物中の各PRM)について計算する。個々の材料(例:PRM)のlogPは、Advanced Chemistry Development Inc.(ACD/Labs)(カナダ、トロント所在)から入手できるConsensus logP Computational Model、version 14.02 (Linux(登録商標))を用いて計算し、単位なしlogP値を提供する。ACD/LabsのConsensus logP Computational Modelは、ACD/Labsのモデル組の一部である。
【0254】
体積加重粒径と粒度分布
体積加重カプセルサイズ分布を、AccuSizer 780 AD装置と付属ソフトウェアCW788バージョン1.82(Particle Sizing Systems、Santa Barbara、California、U.S.A.)、または同等のものを用いて、光学式粒子計数(OPC)とも呼ばれる単一粒子光学検知(SPOS)で決定する。装置は、以下の条件と選択で構成される:流量=1ml/秒、下限サイズ閾値=0.50μm、検知器型番=LE400-05または同等品、自動希釈=オン、収集時間=60秒、チャンネル数=512、容器液量=50ml、最大同時計測=9200。バックグラウンド計数値が100未満になるまで水を流し、センサーを低温状態にして測定を開始する。懸濁液のカプセル試料を導入し、カプセルの密度を必要に応じて脱イオン水で自動希釈し、カプセル数が1mlあたり少なくとも9,200個になるように調整する。60秒間に懸濁液を分析する。得られた体積加重PSDデータをプロットして記録し、所望の体積加重粒径値(例えば、中央値/50パーセンタイル、5パーセンタイル、および/または90パーセンタイル)を定量する。
【0255】
拡がり指数は、累積粒子体積の90%を超えるデリバリー粒子サイズ(90%サイズ)、累積粒子体積の5%を超える粒子サイズ(5%サイズ)、体積加重粒子サイズの中央値(50%サイズ:このサイズ以上、以下ともに粒子体積の50%)から算出できる。 拡がり指数={(90%サイズ)-(5%サイズ)}/50%サイズ
【0256】
破断強度試験方法
集合体の平均的な破壊強度を測定するため、および/またはデルタ破壊強度を決定するために、i)体積加重カプセルサイズ分布、ii)3つの指定サイズ範囲内の各10個の個々のカプセルの直径(平均破壊強度を決定する場合は、体積加重粒子サイズの中央値の30の個々のカプセル)およびiii)同じ30の個々のカプセルの破壊力からなる3つの異なる測定が行われる、
a.)体積加重カプセルサイズ分布を、上記のように決定する。得られた体積加重PSDデータをプロットして記録し、中央値、第5パーセンタイル、および90パーセンタイルの値を決定する。
b.)個々のカプセルの直径および破断力値(破裂力値としても知られている)は、Zhang、Z. et al. (1999)による「Mechanical strength of single microcapsules determined by a novel micromanipulation technique.(新規なマイクロマニピュレーション技術によって決定された単一のマイクロカプセルの機械強度)」 J. Microencapsulation、vol 16、no. 1、117-124頁およびSun、G. and Zhang、Z. (2001)による「Mechanical Properties of Melamine-Formaldehyde microcapsules(メラミン-ホルムアルデヒドマイクロカプセルの機械的性質)」 J. Microencapsulation、vol 18、no.5、593-602頁に説明され、英国、バーミンガム、エッジバストン所在のthe University of Birminghamで入手可能なデリバリーカプセルを画像化できるレンズおよびカメラを有し、力変換器(Aurora Scientific Inc、カナダから入手可能なモデル403Aなど)または同等物に接続された微細で平探針を有するカスタムコンピュータ制御のマイクロマニピュレーション機器システムを通じて測定する。
c.)スライドガラスに一滴のカプセル懸濁液を滴下し、周囲条件で数分間乾燥させて水分を除去し、乾燥したスライド面にまばらな単層カプセルを形成させる。必要に応じて懸濁液中のカプセルの濃度を調整し、スライド面のカプセルの密度を適切な状態にする。1回以上のスライド調製が必要な場合がある。
d.)次に、このスライドをマイクロマニピュレーション装置の試料保持台に置く。スライド面の30個のデリバリーカプセルを測定用に選択し、予め決められた3つのサイズ帯の各々に10個のカプセルが選択されるようにする。各サイズ帶は、アキュサイザーで生成された体積加重PSDから導かれるカプセルの直径を意味する。カプセルの3つのサイズ帯は、中央値/50パーセンタイル直径±2μm、5パーセンタイル直径±2μm、90パーセンタイル直径±2μmである。膨張、漏れ、損傷が見られるカプセルは、選択プロセスから除外され、測定されることはない。
i. 特定のサイズ帯±2μmで十分なカプセルが入手できない場合、サイズ帯を±5μmに拡げることができる。
ii.集合体の平均的な破壊強度を決定する場合、中央値/50パーセンタイルサイズ帯の30個(またはそれ以上)のカプセルを測定することができる。
e.)選択された30個のカプセルのそれぞれについて、マイクロマニピュレーターの画像からカプセルの直径を測定し記録する。次に、その同じカプセルを、2つの平らな面、即ち、フラットエンドフォースプローブとガラス製顕微鏡スライドの間で、カプセルが破裂するまで、毎秒2μmの速度で圧縮する。圧縮ステップの間、プローブの力をマイクロマニピュレーション装置のデータ収集システムによって連続的に測定・記録する。
f.)断面積を、測定された直径を使用し、球状カプセルを仮定して、選択されたカプセルのそれぞれについて計算する(πr、ここでrは、圧縮前のカプセルの半径)。Zhang、Z. et al. (1999)による「Mechanical strength of single microcapsules determined by a novel micromanipulation technique.(新規なマイクロマニピュレーション技術によって決定された単一のマイクロカプセルの機械強度)」 J. Microencapsulation、vol 16、no. 1、117-124頁およびSun、G. and Zhang、Z. (2001)による「Mechanical Properties of Melamine-Formaldehyde microcapsules(メラミン-ホルムアルデヒドマイクロカプセルの機械的性質)」 J. Microencapsulation、vol 18、no.5、593-602頁で実証されている、記録されたフォースプローブ測定値から、選択した各カプセルについて、破断力を決定する。
g.)破断力(ニュートン)をそれぞれのカプセルの計算上の断面積で割って、30個のカプセルの破断強度を計算する。
h.)計算:
集合体の平均破壊強度を、中央値/50パーセンタイルサイズ帯の(少なくとも)30個のカプセルの破壊強度の値を平均して決定する。
デルタ破壊強度は、次のように計算される:
式中、diでのFSは、体積加重サイズ分布のパーセンタイルiでのカプセルのFSである。
【0257】
実施例
以下に提供される実施例は、本質的に例示的であることを意図しており、限定的であることを意図していない。
【0258】
実施例1. デリバリー粒子の例示的な合成
以下に、異なるデリバリー粒子の例示的な合成工程を示す。使用した材料の詳細を表1に示す。
【表1】
【0259】
容量1Lの水ジャケット付きステンレス鋼製反応器に、133.12グラムの香油と10.00グラムのアントラニル酸メチル(合計=143.12グラム)の予混合を、137.45グラムのミリスチン酸イソプロピルと共に加え、窒素環境で、撹拌翼を装着した高剪断混合器を使用して混合する。香油は、アルデヒド含有香料原料を含む。0.33グラムのVazo67(開始剤)を導入する前に溶液を35℃に加熱し、その後、全混合物を70℃に加熱し、その温度で45分間維持した後に系を50℃に冷却する。その温度に達するとすぐに、63.05グラムの香油、0.075グラムのCD9055、0.075グラムのTBAEMA、および6.23グラムのCN975を含む、別々に準備した溶液を反応器に導入し、50℃で全混合物を10分間混合させる。次に、乳化剤(PVOH540の5%溶液)107グラム、逆浸透水340.03グラム、V-501を0.22グラム、NaOH(21%溶液)0.21グラムからなる水相を、撹拌停止後、反応器に添加する。水相の添加後、粒径に達するまで粉砕を続ける。次に、乳化液をまず75℃に加熱し、その温度で240分間維持し、次に95℃に360分間加熱してから25℃に冷却する。その時点で、スラリーを反応器から容器に排気し、レオロジー改質剤(キサンタンガム1.59グラム)および防腐剤(アクチサイドBWS-10;0.61グラム)を添加する。レオロジー改質剤を30分間混合する。防腐剤を最後に添加し、5~10分間混合した。その後、完成したスラリーを特性評価し、適切と思われる試験を行った。
【0260】
コア:壁重量比-計算例
コア:壁の重量比を、全コア材料投入物(例えば、香油およびパーティショニング変性剤)の重量を、全壁材料投入物(例えば、壁単量体および開始剤)の重量で割って決定する。これとは別に粒子集合体におけるコア材料の相対的割合を、コア材料投入量の合計の重量をコア材料投入量の合計の重量に壁材料投入量の合計の重量を加えたもので割り、100を乗じて決定することができる。残りの割合(100-%コア)は、壁材料の相対的割合である。これらの数は、次に比として表される。同様に、壁材投入の総重量をコア材投入の総重量と壁材投入の総重量の合計で割り100を掛けて粒子集合体における壁材の相対割合を決定することができる。
【0261】
本項の実施例で形成される「98:2」カプセルの計算例を以下に示すが、コアは香油とパーティショニング変性剤(ミリスチン酸イソプロピル)を含み、壁は壁モノマー(CN975、CD9055、TBAEMA)および開始剤(Vazo67、V-501)を含む。
【0262】
実施例2. カプセル化効率
本開示による保護剤の有無のカプセル化効率を試験するために以下に記載のこと以外ほぼ実施例1で説明した方法によりいくつかのデリバリー粒子群を作製する。
【0263】
同じ芳香材料およびパーティショニング変性剤(ミリスチン酸イソプロピル)をデリバリー粒子の各例でほぼ同じ重量比(55:45)で使用する。表2に示すようにいくつかの場合、保護剤(アントラニル酸メチル)を粒子製造工程の油相に加える。各デリバリー粒子のコア:壁重量比を同じに保つ。2つの異なる量の遊離ラジカル開始剤で作製した群を試験する。約36ミクロンの意図する/目的とする重量平均粒子径のデリバリー粒子を作製する。
【0264】
芳香剤材料は、芳香剤材料の重量で約29.7重量%のアルデヒド含有香料原料と、約1.6重量%のケトン含有香料原料を含む。
【0265】
粒子が作製され、芳香剤材料がカプセル化された後、各スラリーを遊離(カプセル化されていない)香料油について試験する。結果を粒子製造工程に提供された総芳香剤材料のパーセントとして下記表2にまとめた。数字が大きいほど存在する自由な香料油が相対的に多いことを示し、これはカプセル化工程が効率が悪かったことを示している。比較例にはアステリスク(*)を付してある。
【表2】
【0266】
表2のデータに示すように 保護剤(アントラニル酸メチル)が存在する結果、遊離な香油が少なくなり、これはカプセル化工程が効率的であることを示している(例えば相対的により多くの香油がカプセル化されている)。この効果は、例Aと較べて例Bで特に顕著である。
【0267】
実施例3. 漏れ
本発明による保護剤の有無で作製したデリバリー粒子の漏れを試験するために以下に記載のこと以外ほぼ実施例1で説明した方法によりいくつかのデリバリー粒子群を作製する。
【0268】
同じ芳香剤材料およびパーティショニング変性剤(ミリスチン酸イソプロピル)をデリバリー粒子の各例に同じ重量比(55:45)で使用する。表3に示すように一部において保護剤(アントラニル酸メチル)を粒子製造工程の油相に加える。各デリバリー粒子のコア:壁重量比を同じに保つ。2つの異なる量の遊離ラジカル開始剤で作製した群を試験する。約36ミクロンの意図する/目的とする重量平均粒子径のデリバリー粒子を作製する。
【0269】
芳香剤材料は、芳香剤材料の重量で約29.7重量%のアルデヒド含有香料原料と、約1.6重量%のケトン含有香料原料を含む。粒子の漏れを試験するためにデリバリー粒子群を強力液体(HDL)洗濯洗剤に供する。製品を35℃で一週間熟成させる。貯蔵後、製品をカプセル化された芳香剤材料の漏れの割合を定量するために試験する。比較例にはアステリスク(*)を付してある。
【表3】
【0270】
表3のデータが示すように 粒子製造工程中に保護剤(アントラニル酸メチル)が存在する結果、HDL洗剤消費者製品の漏れが少なくなり、これはポリマー壁がより頑丈になっていることを示している。漏れが少ないことは、例Eと較べて例Fで特に顕著である。
【0271】
実施例4. 特定の香料、保護剤および開始剤の効果
以下の実施例は、特定の香料を高いコア:壁重量比を有する粒子にカプセル化した相対的な効果および保護剤および開始剤の効果を示している。
【0272】
パートA. 特定の香料およびコア:壁比
2つの異なる芳香剤材料を(ミリスチン酸イソプロピルと組み合わせて)同じ壁化学的構造(ほぼ実施例1に記載の方法による)であるが、異なるコア:壁比を有するデリバリー粒子にカプセル化する。
【0273】
香料1は、約17%のアルデヒド含有香料原料と、約0.2%のケトン含有香料原料とを含む。香料2は、約29.7%のアルデヒド含有香料原料と、約4.2%のケトン含有香料原料とを含む。
【0274】
デリバリー粒子を強力洗濯(HDL)洗剤のサンプルに供し、35℃で一週間貯蔵し、結果を下記表4Aに示す。留意すべきは例Jのバッチは、600gのスケール(即ち、バッチサイズ)で調製され、他の例は、3kgのスケールで調製されたということである。
【表4A】
【0275】
表4Aに示すように 相対的に高いコア:壁重量比(例えば、98:2)を有するデリバリー粒子は、相対的に低い比(例えば、90:10)を有するデリバリー粒子よりHDL製品においてより多く漏れやすい。さらに相対的にアルデヒドおよび/またはケトンの量が多いカプセル化された香料は、相対的に漏れの量が多い。表4Aに示すように高いコア:壁重量比および相対的にアルデヒドおよびケトン有益剤(例えば、香料)の量が多いデリバリー粒子は、特に漏れやすい。
【0276】
パートB. 保護剤の効果
保護剤の効果を示すためにデリバリー粒子の2つの群を香料2をカプセル化(ほぼ実施例1に従って)することによって作製する。その群の1つでは保護剤(アントラニル酸メチル)をカプセル化される香料油に加える。デリバリー粒子は、コア:壁重量比が約98:2であるという特徴を有し、ポリマー壁の重量で約32%の遊離基開始剤で作製した。
【0277】
得られた群を遊離な香料油、35℃で一週間貯蔵した後のHDL製品中の漏れについて試験し、粒子壁の構築に効果的なモノマーの使用を順位付けする。結果を表4Bに示す。
【表4B】
【0278】
表4Bに示すように保護剤(アントラニル酸メチル)を加えることで得られるデリバリー粒子のカプセル化および性能を向上させることができる。
【0279】
パートC. 保護剤および開始剤の効果
つぎの実験(製造スケール=200kg)において、アントラニル酸ジメチルを保護剤として使用する(例PおよびQ)。さらに開始剤の量を例に亘って変える。
【表4C】
【0280】
表4Cに示すようにアントラニル酸ジメチル(例P参照)は、カプセル化および性能的利点を供する効果的な保護剤として使用できる。例Qに示すように複数のポーションで追加の開始剤を加えることは、さらにカプセル化および性能を向上させる。
【0281】
最初に開始剤が乳化前に加えられ、追加のアリコートを乳化後に加えることができる。開始剤の量の1X~3Xの基準値と比較して、カプセル化工程中にさらなる工程で任意のさらなる分量の開始剤を添加(1X~9X)することによってさらに壁が頑丈になり、さらに漏れを低減することがわかった。さらなる添加工程でのさらなる分量を1つ以上の添加工程で添加できることが想定される。
【0282】
このことはあらゆるなる分量の開始剤が乳化の後に加えられる例Qで見られ、この2回目の添加によりカプセルをさらに硬化させ頑健さなどのカプセル全体の性能を高めることが分かった。
【0283】
実施例5. 例示的処方-液体柔軟剤
表5は本開示による組成物の例示的な処方を示す。具体的には次の組成物は、液体柔軟剤である。
【表5】
【0284】
実施例6. 例示的処方-洗濯物添加剤粒子
表6は本開示による組成物の例示的処方を示している。具体的には、以下の組成物は、例えばDOWNY UNSTOPABLESTM(The Procter & Gamble Company)として販売されている市販の製品などの芳香錠または「ビーズ」の形体の洗濯物添加物粒子である。
【表6】
【0285】
本書で開示される寸法および数値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解してはならない。そうではなく、特に指定がない限り、そのような各寸法は、言及された値およびその値を囲む機能的に等価な範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味するものである。
【0286】
本明細書で引用したすべての文書は、相互参照または関連する特許または出願、および本出願が優先権またはその利益を主張する特許出願または特許を含め、明示的に除外またはその他の制限がない限り、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文書の引用も、それが本明細書に開示または請求される発明に関する先行技術であること、またはそれが単独で、あるいは他の文献または参考文献とのいかなる組み合わせにおいても、かかる発明を教示、示唆または開示していることを認めるものではない。また、本書中の用語の意味または定義が、参照により組み込まれる文書中の同じ用語の意味または定義と矛盾する場合、本書中のその用語に割り当てられた意味または定義が適用される。
【0287】
本発明の特定の実施態様を図示および説明したが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、様々な他の変更および修正を行うことができることは、当業者にとって自明である。したがって、本発明の範囲内にあるすべてのそのような変更および修正を添付の特許請求の範囲内で網羅することが意図される。
【国際調査報告】