(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】半導体デバイスの製造
(51)【国際特許分類】
C30B 29/40 20060101AFI20240719BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20240719BHJP
C30B 25/04 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
C30B29/40 502J
H01L21/205
C30B25/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500561
(86)(22)【出願日】2022-05-23
(85)【翻訳文提出日】2024-01-09
(86)【国際出願番号】 EP2022063835
(87)【国際公開番号】W WO2023006273
(87)【国際公開日】2023-02-02
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】リッター、マーカス
(72)【発明者】
【氏名】ニチェーレ、ファブリジオ
(72)【発明者】
【氏名】シュミット、ハインツ
(72)【発明者】
【氏名】リエル、ハイケ
【テーマコード(参考)】
4G077
5F045
【Fターム(参考)】
4G077AA07
4G077AB10
4G077BE41
4G077BE44
4G077BE45
4G077BE46
4G077DA05
4G077DB04
4G077DB06
4G077ED01
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5F045AA04
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5F045AA06
5F045AA14
5F045AB09
5F045AC07
5F045AC08
5F045DB00
(57)【要約】
本発明の実施形態は、半導体材料からなる半導体構造を製造するための方法、およびその方法から製造される半導体基板に関する。方法は、テンプレート構造を用意するステップを含むことができる。テンプレート構造は、開口部、キャビティ、およびシード構造を備えることができる。シード構造は、シード材料およびシード表面を備えることができる。テンプレート構造の内側表面は、金属材料を含む少なくとも1つの金属表面エリアを備えることができる。具現化される方法は、テンプレート構造のキャビティの中で、シード表面から金属表面エリアに沿って半導体構造を成長させるステップをさらに含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体材料からなる半導体構造を製造するための方法であって、
テンプレート構造を用意するステップであって、前記テンプレート構造が、開口部、キャビティ、およびシード構造を備え、前記シード構造が、シード材料およびシード表面を備え、前記テンプレート構造の内側表面が、金属材料を含む少なくとも1つの金属表面エリアを備えている、前記用意するステップと、
前記テンプレート構造の前記キャビティの中で、前記シード表面から前記金属表面エリアに沿って前記半導体構造を成長させるステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記金属材料および前記半導体材料は、前記金属材料が前記半導体材料に核生成部位を与えないように選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記金属材料が、前記半導体構造を成長させる前記ステップが行われるプロセス温度よりも高い融点を有し、
前記金属材料が、前記プロセス温度で化学的に安定している、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記金属材料が遷移金属窒化物である、請求項1ないし3の一項に記載の方法。
【請求項5】
前記遷移金属窒化物が、TiN、ZrN、HfN、VN、NbN、TaN、MoN、およびWNからなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記半導体構造を、半導体基板に対して平行に、横方向の成長方向に成長させる、請求項1ないし5の一項に記載の方法。
【請求項7】
前記半導体構造がナノワイヤである、請求項1ないし6の一項に記載の方法。
【請求項8】
前記テンプレート構造を前記用意するステップが、
第1のテンプレート材料から第1のテンプレート層を形成することと、
第2のテンプレート材料から第2のテンプレート層を形成することであって、前記第1のテンプレート材料が前記金属材料である、前記形成することと、
を含む、請求項1ないし7の一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第2のテンプレート材料が誘電材料である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記金属材料は、
前記成長ステップ中の前記シード表面の表面エネルギーまたは前記半導体構造の前部表面の表面エネルギーよりも低いが、前記第2のテンプレート材料の表面エネルギーよりも高い表面エネルギー、
前記第2のテンプレート材料の表面の表面移動長さよりも大きい表面移動長さ、または
前記第2のテンプレート材料の前記表面の表面吸着率よりも高い前記半導体材料に対する表面吸着率
をもたらすように選択される、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記テンプレート構造を前記用意するステップが、
半導体基板を用意することと、
前記半導体基板の上に犠牲層を形成することであって、前記犠牲層が前記シード材料を含む、前記形成することと、
前記犠牲層の上に前記第1のテンプレート層を形成することと、
前記犠牲層および前記第1のテンプレート層をパターニングすることと、
前記第1のテンプレート層および前記基板の上に前記第2のテンプレート層を形成することと、
前記第2のテンプレート層に前記開口部を形成することと、
前記犠牲層の前記シード材料の一部を選択的に除去し、それにより前記シード表面をもつ前記シード構造を備える前記キャビティを形成することと、
を含む、請求項8ないし10の一項に記載の方法。
【請求項12】
前記金属表面エリアの前記金属材料を、前記シード構造に対して自己整合式に形成することをさらに含む、請求項1ないし11の一項に記載の方法。
【請求項13】
前記金属表面エリアが、前記テンプレート構造の前記内側表面の最上部、底部、または側部を形成する、請求項1ないし12の一項に記載の方法。
【請求項14】
前記シード材料が、SiなどのIV族材料、またはGaAs、InAs、およびInPからなる群から選択されるIII-V族材料である、請求項1ないし13の一項に記載の方法。
【請求項15】
前記半導体材料が、III族元素およびV族元素を含むIII-V族半導体材料である、請求項1ないし14の一項に記載の方法。
【請求項16】
前記半導体構造の前記成長が、金属有機化学気相成長(MOCVD)、大気圧CVD、低圧もしくは減圧CVD、超高真空CVD、分子線エピタキシー(MBE)、原子層堆積(ALD)、または水素化物気相エピタキシー、の1つによって行われる、請求項1ないし15の一項に記載の方法。
【請求項17】
前記半導体構造を成長させる前記ステップが、前記V族元素の場合には150マイクロモル(μモル)/分未満、および前記III族元素の場合には2μモル/分未満の流量で行われる、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
方法によって得ることが可能な半導体デバイスであって、前記方法が、
テンプレート構造を用意するステップであって、前記テンプレート構造が、開口部、キャビティ、およびシード構造を備え、前記シード構造が、シード材料およびシード表面を備え、前記テンプレート構造の内側表面が、金属材料を含む少なくとも1つの金属表面エリアを備えている、前記用意するステップと、
前記テンプレート構造の前記キャビティの中で、前記シード表面から前記金属表面エリアに沿って前記半導体構造を成長させるステップと、
を含む、半導体デバイス。
【請求項19】
装置であって、
シード材料のシード表面と金属材料の金属表面エリアとに隣接している、基板の上に配置された半導体構造を備え、前記半導体構造は、前記シード表面から前記金属表面エリアに沿って延びている、装置。
【請求項20】
前記半導体構造が、前記シード材料からエピタキシャル成長され、前記シード材料がIII-V族材料を含み、前記金属材料が遷移金属窒化物を含む、請求項19に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、全般的に、半導体デバイスを製造するための方法に関する。本発明の実施形態はさらに、そのような方法によって得ることが可能なデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
ナノメートル・サイズの量子デバイスならびに先進的なメソ・スケール・システムは、現在の相補型金属酸化膜半導体(CMOS:Complementary Metal Oxide Semiconductor)技術が提供できるものを超える材料組合せおよびプロセス・ステップを利用することがある。したがって、それらの不足を満たすために、改良されたまたは全く新しい製造モジュールが望まれる。
【0003】
選択的エピタキシーに基づくプロセスが広く使用されているが、それらは、長いプロセス時間、化学物質の大量消費、およびそれに対応する費用のために、多くの関連する構造に適用することができない。
【0004】
したがって、エピタキシー・プロセスの効率を向上させることが非常に望ましい。
【発明の概要】
【0005】
一態様によると、本発明の実施形態は、半導体材料からなる半導体構造を製造するための方法である。方法は、テンプレート構造を用意するステップを含むことができる。テンプレート構造は、開口部、キャビティ、およびシード構造を備えることができる。シード構造は、シード材料およびシード表面を備えることができる。テンプレート構造の内側表面は、金属材料を含む少なくとも1つの金属表面エリアを備えることができる。具現化される方法は、テンプレート構造のキャビティの中で、シード表面から金属表面エリアに沿って半導体構造を成長させるステップをさらに含む。
【0006】
本発明の実施形態は、テンプレート構造内部の金属表面エリアが半導体構造の成長率を大きく増大させることができるという発明者らによる発見に基づいている。
【0007】
したがって、本発明の実施形態によると、金属表面エリアをもつキャビティを使用して、半導体構造の成長動態を局所的に調節することができる。
【0008】
実施形態によると、テンプレート構造の内側表面、すなわちキャビティの表面、への金属表面の組み込みを使用して、プロセスの効率および経済性を高めることができる。それはさらに、成長率および成長の選択性を高めるために使用することができる。さらに、それは、様々な形状および大きさのデバイスを同時に成長させるために使用することができる。
【0009】
実施形態によると、金属表面エリアは、テンプレート構造の内側表面の最上部、底部、または側部、あるいはそれらの組合せを形成することができる。金属表面エリアの範囲および位置は、それぞれの製造プロセスならびに望まれる半導体構造に依存して適合され得る。実施形態によると、テンプレート構造の内側表面の一部またはテンプレート構造の内側表面全体が、金属表面エリアで覆われ得る。
【0010】
一実施形態によると、金属材料および半導体材料は、金属材料が半導体材料に核生成部位を与えないように選択され得る。
【0011】
一実施形態によると、金属材料は、半導体構造を成長させるステップが行われるプロセス温度よりも高い融点を有する。一実施形態によると、金属材料は、このプロセス温度で化学的に安定している。
【0012】
一実施形態によると、金属材料は遷移金属窒化物である。そのような材料は成長率を高めることができる。
【0013】
複数の実施形態によると、遷移金属窒化物は、窒化チタン(TiN)、窒化ジルコニウム(ZrN)、窒化ハフニウム(HfN)、窒化バナジウム(VN)、窒化ニオブ(NbN)、窒化タンタル(TaN)、窒化モリブデン(MoN)、または窒化タングステン(WN)、あるいはそれらの組合せであり得る。
【0014】
複数の実施形態によると、半導体材料は、III族元素およびV族元素を含むIII-V族半導体材料であり得る。複数の実施形態によると、半導体構造を成長させるステップは、V族元素の場合には150マイクロモル(μモル)/分未満、およびIII族元素の場合には2μモル/分未満の流量で行われ得る。
【0015】
これは、金属表面エリアによる成長の加速は、低い材料流量の成長条件の場合に特に高いという発見に基づいている。
【0016】
複数の実施形態によると、テンプレート構造を用意することは、第1のテンプレート材料から第1のテンプレート層を形成することと、第2のテンプレート材料から第2のテンプレート層を形成することであって、第1のテンプレート材料が上記金属材料である、形成することと、を含む。
【0017】
これは効率的な製造を促す。
【0018】
複数の実施形態によると、金属材料は、成長ステップ中のシード表面の表面エネルギーまたは半導体構造の前部表面の表面エネルギーあるいはその両方よりも低いが、第2のテンプレート材料の表面エネルギーよりも高い表面エネルギーをもたらすように選択される。これは、成長中にキャビティの中で半導体前駆体種が半導体構造の前部表面に効率的に到達することを可能にし、しかし、第1のテンプレート材料の表面に核生成を生じることがない。これに関して、前部表面は、キャビティ内で成長する間の半導体構造のそれぞれの露出表面と理解されるものとする。
【0019】
複数の実施形態によると、金属材料は、第2のテンプレート材料の表面の表面移動長さよりも大きい表面移動長さをもたらすように選択される。これは、前駆体種が脱着する前により遠くまで進むことができるため、成長中にキャビティの中で半導体前駆体種が半導体構造の前部表面に効率的に到達することを可能にする。
【0020】
表面移動長さは、対応する成長プロセス、例えば金属有機化学気相成長(MOCVD:metal organic chemical vapor deposition)、の半導体前駆体種に関するそれぞれの表面の性質を表すものとする。より詳細には、表面移動長さは、それぞれ第1のテンプレート材料および第2のテンプレート材料の表面における半導体前駆体種の移動長さと理解されるものとする。
【0021】
複数の実施形態によると、金属材料は、第2のテンプレート材料の表面の表面吸着率よりも高い半導体材料に対する表面吸着率をもたらすように選択される。この結果、成長雰囲気からの半導体前駆体種が効率的に捕捉され得る。
【0022】
表面吸着率は、対応する成長プロセス、例えばMOCVD、の半導体前駆体種に関するそれぞれの表面の性質を表すものとする。表面吸着率は、それぞれ第1のテンプレート材料および第2のテンプレート材料の表面における前駆体種の吸着率と理解されるものとする。
【0023】
本発明のさらなる態様の一実施形態によると、上述の態様による方法によって得ることが可能な半導体デバイスが提供される。
【0024】
本発明の一実施形態のさらなる態様は、テンプレート構造のキャビティ内でのエピタキシャル成長の間の半導体構造の成長率を高めるための、テンプレート構造内での金属表面エリアの使用に関する。
【0025】
本発明の一実施形態のさらなる態様は、テンプレート構造のキャビティ内でのエピタキシャル成長の間の半導体構造の前部表面におけるIII族前駆体材料種に対するV族前駆体材料種の比を高めるための、テンプレート構造内での金属表面エリアの使用に関する。これは、テンプレート構造の中の金属表面エリアは、エピタキシャル成長中のキャビティ内部のV/III半導体材料比を高めることを可能にするという発見に基づいている。
【0026】
本方法のステップは、適宜異なる順序で行われ得る。さらに、ステップは、適宜組み合わせることも可能であり、すなわち、例えば2つ以上のステップが一緒に行われ得る。
【0027】
本発明の1つの態様の特徴の利点は、本発明の別の態様の対応する特徴に該当し得る。
【0028】
本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら、例示的であって非制限的な例として以下でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1b】パターニングによって
図1aの構造から形成されたナノワイヤを備える構造の3次元図である。
【
図1c】ナノワイヤをテンプレート構造内に封入することによって
図1bの構造から形成された構造の3次元図である。
【
図1d】テンプレート構造の中に開口部およびキャビティを形成することによって
図1cの構造から形成された構造の3次元図である。
【
図1e】テンプレート構造の中に半導体構造を成長させることによって
図1dの構造から形成された構造の3次元図である。
【
図1f】テンプレート構造を除去することによって
図1eの構造から形成された構造を示す図である。
【
図2b】パターニングによって
図2aの構造から形成されたナノワイヤを備える構造の3次元図である。
【
図2c】ナノワイヤの一部をさらにパターニングすることによって
図2bの構造から形成された構造の3次元図である。
【
図2d】ナノワイヤをテンプレート構造内に封入し、開口部を形成することによって
図2cの構造から形成された構造の3次元図である。
【
図2e】テンプレート構造の中にキャビティを形成することによって
図2dの構造から形成された構造の3次元図である。
【
図2f】テンプレート構造の中に半導体構造を成長させることによって
図2eの構造から形成された構造の3次元図である。
【
図2g】テンプレート構造を除去することによって
図2fの構造から形成された構造を示す図である。
【
図3a】純粋な誘電テンプレート構造内で成長させた半導体構造を示す図である。
【
図3b】金属表面エリアを備えるテンプレート構造内で成長させた半導体構造を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態による半導体構造を製造するための方法の方法ステップのフローチャートである。
【
図5】(a)は、低いテンプレート・アスペクト比をもつ純粋な誘電テンプレート構造内で成長させた半導体構造を示す図である。(b)は、高いアスペクト比をもつ純粋な誘電テンプレート構造内で成長させた半導体構造を示す図である。(c)は、金属表面エリアを備える、低いテンプレート・アスペクト比をもつテンプレート構造内で成長させた半導体構造を示す図である。(d)は、金属表面エリアを備える、高いテンプレート・アスペクト比をもつテンプレート構造内で成長させた半導体構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
はじめに、
図1~
図5を参照して、本発明の実施形態のいくつかの一般的態様および用語を説明する。
【0031】
図のいずれかまたはすべてにおいて、寸法は、一定の縮尺で描かれていない場合もあり、また本発明の実施形態の特徴および原理を説明するために簡略化された模式的な形で示されることがある。
【0032】
用語「~の上」および「~の上方」は、この文脈では、また慣習通り、基板の表面に対して垂直なまたは直交する方向、詳細には垂直z方向、における向きまたは相対位置を示すために使用される。
【0033】
用語「横方向の」または「横方向に」は、この文脈では、また慣習通り、基板表面に対して概ね垂直方向または外向きにと対照的に、基板の面に対して概ね平行な向きを示すために使用される。
【0034】
用語「半導体基板上に配置される」は、広い意味で理解されるものとし、特に、中間層、例えば絶縁層、が基板と結晶構造との間に配置される実施形態を包含するものとする。したがって、用語「基板上に配置される」は、「基板の上方に」配置される意味を包含するものとする。
【0035】
本発明の実施形態による方法は、非常に効率的な方法でエピタキシャル成長による半導体構造の製造を可能にする。
【0036】
図1a~1fは、本発明の実施形態による製造方法の各段階の中で形成される、初期、中間、および最終前または最終構造の拡大された3次元図を示す。
【0037】
【0038】
初期構造101は、基板110を含む。基板110は、半導体材料を含むことができ、例えばバルク半導体基板であり得る。基板110は、結晶半導体または大径の化合物半導体ウェハとして具現化され得る。基板は、例えば、周期表のIV族の材料を半導体材料として含むことができる。IV族の材料には、例えば、ケイ素、ゲルマニウム、ケイ素-ゲルマニウム混合物、ケイ素-炭素混合物、ケイ素-ゲルマニウム-炭素混合物などがある。例えば、基板110は、半導体産業で使用される結晶ケイ素ウェハであり得る。以下の説明では、基板はケイ素(Si)を含むものとし、これは斜めの縞で図示される。
【0039】
構造101は、基板110の上の絶縁層111も含むことができる。絶縁層111は、誘電層として具現化され得る。絶縁層111は、知られている方法、例えば、熱酸化、化学気相成長(CVD:chemical vapor deposition)、プラズマ増強CVD(PECVD:plasma enhanced CVD)、原子層堆積、化学溶液堆積、MOCVD、蒸着、スパッタリング、または他の堆積プロセス、あるいはそれらの組合せによって形成され得る。そのような誘電材料の例には、これらに限定されないが、二酸化ケイ素(SiO2)、窒化ケイ素(Si3N4)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸窒化アルミニウム(AlON)、五酸化タンタル(Ta2O5)、二酸化チタン(TiO2)、酸化ランタン(La2O3)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、アルミン酸ランタン(LaAlO3)、二酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化イットリウム(Y2O3)、酸化ガドリニウム(Gd2O3)、酸化マグネシウム(MgO)、ハフニウム(Hf)系の材料、およびそれらの多層を含む組合せがある。
【0040】
以下の例示的な説明では、絶縁層111はSiO2を含むものとし、これは横方向の縞によって図示される。
【0041】
構造101は、絶縁層111の上の犠牲層112をさらに含む。犠牲層112は、シード材料を含むかそれから構成されることができる。シード材料は、IV族材料であり得る。シード材料は、特にSiであり得る。実施形態によれば、基板110、絶縁層111、および犠牲層112は、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)ウェハとして具現化され得る。他の実施形態によると、シード材料は、III-V族材料、例えばヒ化ガリウム(GaAs)、ヒ化インジウム(InAs)またはリン化インジウム(InP)、であり得る。
【0042】
構造101は、第1のテンプレート層113をさらに含む。第1のテンプレート層113は、第1のテンプレート材料を含むことができる。第1のテンプレート材料は、金属材料、特に遷移金属窒化物であり得る。第1のテンプレート材料は、TiN、ZrN、HfN、VN、NbN、TaN、MoN、またはWNとして具現化され得る。一実施形態によると、第1のテンプレート層113は、TiNの25ナノメートル(nm)厚膜であり得る。犠牲層112は、30%の点パターンで図示され、第1のテンプレート層113は5%の点パターンで図示されている。
【0043】
基板110、絶縁層111、犠牲層112および第1のテンプレート層113の厚さは、任意の好適な厚さであり得る。
【0044】
図1bは、構造102の3次元図を示す。構造102は、犠牲層112および第1のテンプレート層113をパターニングすることによって構造101から形成されたものである。パターニングされた犠牲層112およびパターニングされた第1のテンプレート層113は、ナノワイヤ120を形成する。犠牲層112および第1のテンプレート層113のパターニングは、1回または複数回のリソグラフィおよびエッチング・ステップによって行われ得る。エッチングは、特に臭化水素(HBr)化学に基づくことができる。これはよく知られた技術であり、Siフォトニクスにおいて標準的な技術として使用されている。それは滑らかな側壁をもたらすことができる。
【0045】
パターニングされた犠牲層112は、犠牲構造122を形成する。犠牲構造122は、その後形成されるテンプレート構造の内側部分を形成し、局所的に別の半導体材料、特にIII-V族半導体材料に置き換えることができる。
【0046】
図1cは、構造103の3次元図を示す。構造103は、ナノワイヤ120を封入することによって構造102から形成されたものである。より詳細には、ナノワイヤ120を、誘電材料の第2のテンプレート層140で覆うことができる。
図1cの実施形態では、第2のテンプレート層140はSiO2を含むか、またはそれから構成されるものとする。第2のテンプレート層140は、本発明の態様の図示を分かりやすくするために透明化して図示されている。
【0047】
図1dは、構造104の3次元図を示す。構造104は、第2のテンプレート層140に開口部150を形成することにより、構造103から形成されたものである。より詳細には、犠牲構造122の犠牲Si材料へのアクセスを与えるために、第2のテンプレート層140のSiO2が、例えば反応性イオン・エッチング(RIE:reactive-ion etching)によりエッチングされている。加えて、シード構造123の望まれる残り部分まで犠牲構造122のシード材料の一部の選択的な除去が行われている。シード構造123は、シード表面123aを提供する。選択的な除去により、その後の成長ステップのためのテンプレート構造155の中空キャビティ151を形成している。選択的な除去は、特に選択的エッチング技術によって行われ得る。テンプレート構造155は、開口部150と、キャビティ151と、シード表面123aを有するシード構造123と、第1のテンプレート層113と、第2のテンプレート層140とを含むことができる。第1のテンプレート層113は、テンプレート構造155の内側表面の最上部を形成することができ、一方、内側表面の側壁は第2のテンプレート層140によって形成され、内側表面の底部は絶縁層111によって形成され得る。より詳細には、第1のテンプレート層113は、キャビティ151に向かう内側表面113aを提供することができ、したがって、テンプレート構造155の内側表面の金属表面エリア113aを提供することができる。言い換えると、第1のテンプレート層113によって提供される金属表面エリア113aは、テンプレート構造155の内側表面の最上部または天井、言い換えるとキャビティ151の最上部または天井、を形成することができる。
【0048】
他の実施形態および他の製造方法によれば、テンプレート構造155は、金属表面エリアを、テンプレート構造の内側表面の側部/側壁としてまたは底部として備えることもできる。これは、犠牲構造の堆積の前に第1のテンプレート材料を堆積することにより、すなわち、例えば第1のテンプレート層を絶縁層111の上に直接設けることにより、実現され得る。他の実施形態によると、金属材料を含む第1のテンプレート層は、第2のテンプレート層の堆積の後に、例えば第2のテンプレート層の局所的エッチングにより、堆積させることができる。
【0049】
さらなる実施形態によれば、そのような技法および方法の組合せが行われ得る。
【0050】
図1a~1dを参照して上記で説明した実施形態によると、第1のテンプレート材料からなる第1のテンプレート層113は、犠牲構造122およびシード構造123に対して自己整合式に製造されている。
【0051】
図1eは、構造105の3次元図を示す。構造105は、テンプレート構造155の中、より詳細にはキャビティ151の中で、シード表面123aから半導体構造160を成長させることにより、構造104から形成されたものである。半導体構造160の成長は、半導体構造160の核生成段階および成長段階を含む。成長は、半導体基板110に対して平行に成長方向165に、したがって横方向に行われる。成長はさらに、キャビティ151の金属表面エリア113aに沿って行われる。金属表面エリア113aの存在は、純粋な誘電キャビティにおける、すなわち、誘電内側表面エリアだけを有するテンプレート構造の中での、成長率と比較して半導体160の成長率を促し、高めることができる。半導体構造160は、格子パターンで図示されている。半導体構造160の露出表面160aは、半導体構造160の成長中に前部表面160aを確立する。
【0052】
半導体構造160は、特にIII-V族半導体材料からなることができる。
【0053】
半導体構造160の成長は、例えばMOCVDにより、大気圧CVDにより、低圧もしくは減圧CVDにより、超高真空CVDにより、分子線エピタキシー(MBE:molecular beam epitaxy)により、原子層堆積(ALD:atomic layer deposition)により、または水素化物気相エピタキシーにより、行われ得る。
【0054】
複数の実施形態によると、第1のテンプレート層113の金属材料および半導体構造160の半導体材料は、金属材料が半導体材料に核生成部位を与えないように選択される。これは、キャビティ151内での効率的な成長を促す。さらに、金属材料は、半導体構造160の成長が行われるプロセス温度よりも高い融点を有することができる。加えて、金属材料は、プロセス温度で安定している材料として選択され得る。
【0055】
図1fは、構造106の3次元図を示す。構造106は、例えば適切なエッチング技術によって第2のテンプレート層140および第1のテンプレート層113を除去することにより、構造105から形成されたものである。これにより半導体構造160を解放している。
【0056】
半導体構造160は、その後、例えば電気接点を設けることにより、構想される最終的なデバイスの用途に鑑みてさらに処理され得る。
【0057】
図2a~2gは、本発明の別の実施形態による製造方法の各段階で形成される、初期、中間、および最終前または最終構造の拡大された3次元図を示す。
【0058】
【0059】
初期構造201は、基板210を含む。基板210は、半導体材料を含むことができ、例えばバルク半導体基板であり得る。基板210は、結晶半導体または大径の化合物半導体ウェハとして具現化され得、一般には、
図1aを参照して説明された基板110として具現化され得る。
【0060】
構造201は、基板210の上の絶縁層211をさらに含む。絶縁層211は、
図1aを参照して説明したように、例えば誘電層として具現化され得る。絶縁層211は、グレーの網掛で図示されている。
【0061】
構造201は、絶縁層211の上の犠牲層212をさらに含む。犠牲層212は、
図1aを参照して説明したように、シード材料を含むかそれから構成されることができる。構造201は、第1のテンプレート層213をさらに含むことができる。第1のテンプレート層213は、第1のテンプレート材料として金属材料、特に遷移金属窒化物を含むことができる。犠牲層212もグレーの網掛で図示しているが、誘電層211よりも薄いグレーである。第1のテンプレート層213もグレーの網掛で図示しているが、犠牲層212よりも薄いグレーである。
【0062】
基板210、絶縁層211および犠牲層212は、特にシリコン・オン・インシュレータ(SOI)ウェハとして具現化され得る。
【0063】
複数の実施形態によると、SOI層210~212は、TiNの25nm厚層をスパッタリングすることによってメタライゼーションすることができ、それによりTiNの層213を第1のテンプレート層として形成する。
【0064】
図2bは、構造202の3次元図を示す。構造202は、犠牲層212および第1のテンプレート層213をパターニングすることにより、構造201から形成されたものである。パターニングされた犠牲層212およびパターニングされた第1のテンプレート層213は、四角形221で終端するナノワイヤ220を形成する。犠牲層212および第1のテンプレート層213のパターニングは、1つまたは複数のリソグラフィおよびエッチング・ステップにより、特にドライ・エッチングにより、行われ得る。
【0065】
パターニングされた犠牲層212は、犠牲構造222を形成する。犠牲構造222は、その後形成されるテンプレート構造の内側部分を形成し、局所的に別の半導体材料、特にIII-V族半導体材料に置き換えることができる。
【0066】
図2cは、構造203の3次元図を示す。構造203は、第1のテンプレート層213をさらにパターニングすることにより、構造202から形成されたものである。より詳細には、第1のテンプレート層213が、例えばナノワイヤ220の一端からのエッチングにより、例えば局所的なウェット・エッチングにより、四角形221の中で除去されており、これは、下にあるSOIは影響されないままにする。
【0067】
図2dは、構造204の3次元図を示す。構造204は、犠牲構造222および第1のテンプレート層213を封入することにより、構造203から形成されたものである。より詳細には、犠牲構造222および第1のテンプレート層213は、誘電材料の第2のテンプレート層240で覆うことができる。これは、例えば、40nm厚のSiO2層の共形堆積によって犠牲構造222および第1のテンプレート層213を覆うことによって行われ得る。第2のテンプレート層240は、明るいグレーの網掛で透明化して図示されている。
【0068】
図2eは、構造205の3次元図を示す。構造205は、第2のテンプレート層240に犠牲構造222への開口部250を形成することにより、構造204から形成されたものである。より詳細には、犠牲Si材料へのアクセスを与えるために、第2のテンプレート層240のSiO2が例えばRIEによってエッチングされている。加えて、残るシード構造223のシード表面223aの望まれる位置まで、犠牲構造222のシード材料、特にSi、の選択的な除去が行われている。これにより、その後の成長ステップのためのテンプレート構造255の中空キャビティ251を形成している。選択的な除去は、特に選択的エッチング技術によって行われ得る。テンプレート構造255は、開口部250と、キャビティ251と、シード表面223aを有するシード構造223とを含んでいる。第1のテンプレート層213は、キャビティ251に向かう内側表面213aを金属表面エリア213aとして提供する。言い換えると、第1のテンプレート層213によって提供される金属表面エリア213aは、テンプレート構造255の内側表面の最上部または天井を形成する。
【0069】
図2fは、構造206の3次元図を示す。構造206は、テンプレート構造255の中、より詳細にはキャビティ251の中で、シード表面223aから半導体構造260を成長させることにより、構造205から形成されたものである。半導体構造260の成長は、半導体構造260の核生成段階および成長段階を含む。成長は、半導体基板210に対して平行、または実質的に平行に成長方向265に、したがって横方向に行われ得る。
【0070】
成長はさらに、キャビティ251の金属表面エリア213aに沿って行われる。金属表面エリア213aは、純粋な誘電キャビティにおける成長と比較して半導体260の成長率を促し、高めることができる。半導体構造260は、縦方向のパターンで図示されている。
【0071】
半導体構造260の成長は、ここでも、例えばMOCVDにより、大気圧CVDにより、低圧もしくは減圧CVDにより、超高真空CVDにより、分子線エピタキシー(MBE)により、原子層堆積(ALD)により、または水素化物気相エピタキシーにより行われ得る。
【0072】
より詳細には、一部の実施形態によると、トリメチル・インジウム(TMIn)およびtertブチルアルシン(TBAs)を前駆体種として使用する金属-有機化学気相エピタキシー(MOVPE:metal-organic chemical vapor phase epitaxy)により、ヒ化インジウム(InAs)ナノワイヤをテンプレート構造の内部に成長させることができる。150という高いV/III前駆体比および摂氏550度(℃)の公称成長温度を使用して、ナノワイヤがテンプレート・キャビティを径方向に満たすことを確実にすることができる。それにより得られるInAsナノワイヤの高さと幅は、それぞれSOI層の厚さ(例えば40~70nm)およびテンプレートの幅(例えば40~100nm)によって決定され得る。
【0073】
図2gは、構造207の3次元図を示す。構造207は、例えば好適なエッチング技術により第2のテンプレート層240および第1のテンプレート層213を除去することにより、構造206から形成されたものである。これにより半導体構造260を解放している。半導体構造260は、その後、例えば電気接点を設けることにより、構想される最終的なデバイスの用途に鑑みてさらに処理され得る。
【0074】
図3aおよび
図3bは、エピタキシャル成長によってテンプレート構造の中に形成されたナノワイヤ構造の走査電子顕微鏡(SEM:scanning electron microscope)像を示す。両構造は、同じプロセス条件および同じ化学物質使用量で、しかし異なるテンプレート構造の中で成長させたものである。
【0075】
より詳細には、
図3aは、純粋な誘電テンプレート構造315内、より詳細には、この実施形態ではSiO2のみからなる内側表面をもつテンプレート構造内で、成長させた半導体構造310を示す。したがって、テンプレート構造315のキャビティの天井、側壁、および底部は、この実施形態では、誘電表面のみからなることができる。半導体構造310は、Siシード311から成長したInAsのナノワイヤ312を備える。
【0076】
一方、
図3bは、
図2eに示されるテンプレート構造255に対応するテンプレート構造355内、すなわち、TiNからなる内側表面としての金属表面エリア213aを備えるテンプレート構造内で、成長させた半導体構造320を示す。より詳細には、キャビティ251の最上部/天井は、TiNの金属表面を含む。半導体構造320は、Siシード321から成長させたInAsのナノワイヤ322を備える。
【0077】
同じプロセス条件であるにもかかわらず、InAsナノワイヤ322は、InAsナノワイヤ312の3倍の長さである。より詳細には、ナノワイヤ312は、およそ250nmの長さを有するのに対し、ナノワイヤ322は、およそ700nmの長さを有する。したがって、本発明の実施形態による新しい方法を用いると、キャビティ251の金属表面エリア213aが、3倍に近い半導体成長率の増大をもたらしたと推測することができる。
【0078】
図4は、本発明の実施形態による半導体構造、例えば
図2a~2gを参照して説明した半導体構造260、を製造するための方法のステップのフローチャートを示す。
【0079】
ステップ410において、半導体基板またはウェハを用意することができる。
【0080】
ステップ420において、基板、例えば犠牲層212の上に、犠牲層を形成することができる。
【0081】
ステップ430において、犠牲層、例えば第1のテンプレート層213の上に、金属材料の第1のテンプレート層を形成することができる。
【0082】
ステップ440において、例えば
図2bに示されるように、犠牲層および第1のテンプレート層をパターニングすることができる。
【0083】
ステップ450において、例えば
図2cに示されるように、第1のテンプレート層が部分的に、選択的にエッチングされる。
【0084】
ステップ460において、例えば
図2dに示されるように、誘電材料の第2のテンプレートを、第1のテンプレート層および基板の上または上方に形成することができる。
【0085】
ステップ470において、第2のテンプレート層に開口部を形成することができる。さらに、犠牲構造の一部を、例えば選択的なエッチングにより、除去することができる。これにより、
図2eに示されるようなキャビティを備えるテンプレート構造を形成した。犠牲構造の残りの部分は、後にテンプレート構造のキャビティの中で半導体構造を成長させるためのシード構造を形成する。
【0086】
ステップ480において、
図2fに示されるように、キャビティの中でシード構造のシード表面から半導体構造を成長させることができる。金属材料を含む第1のテンプレート層は、テンプレート構造の内側表面を確立することができ、半導体構造の成長を促すことができる。
【0087】
ステップ470の後に、望まれる最終的なデバイス構造を得るためにさらなる処理ステップが適宜続き得ることが留意されるべきである。これは、特に、半導体構造に接触するための接触層を成長させるステップを含んでよい。
【0088】
複数の実施形態によると、ステップ420とステップ430の間に、絶縁層、特にSiO2の層、を犠牲層の上に設けるさらなるステップがあり得る。一例によると、これは、2nm未満のSiO2の薄層であり得る。複数の実施形態によると、そのような層は、ステップ430で第1のテンプレート材料を堆積する前に、SOIウェハを酸素(O2)プラズマの中に置くことによって製造され得る。複数の実施形態によると、そのような追加の層は、任意の誘電材料から作られ得る。
【0089】
したがって、そのような実施形態によれば、犠牲層と第1のテンプレート層の間に追加の誘電層があり得る。そのような実施形態は、その後の犠牲層のエッチング・ステップ(ステップ470参照)の確実性を向上させることができる。
【0090】
そのような実施形態によると、この薄い追加の層は次いで、ステップ470とステップ480の間、すなわちエピタキシャル成長の直前に、例えばエッチングにより、さらなるステップで除去することができる。複数の実施形態によると、薄い追加の層は、フッ化水素酸でエッチングすることができる。
【0091】
そのような追加の層は、製造中に金属表面エリアを元のままの保護された状態に保つことも助ける。
【0092】
図5(a)~(d)は、エピタキシャル成長によってテンプレート構造の中に形成されたナノワイヤ構造の走査電子顕微鏡(SEM)像を示す。すべての構造は、同じプロセス条件および同じ化学物質使用量で、しかし異なるテンプレート構造の中で成長させたものである。
図5(a)~(d)に関する調査は、テンプレート構造のアスペクト比の影響と、テンプレート構造の内側表面の金属表面エリア影響とを比較するために行われた。
図5(a)~(d)に示されるすべてのデバイス/構造は、同じチップ上にある。
【0093】
より詳細には、
図5(a)は、純粋な誘電テンプレート構造515a内、より詳細にはSiO2のみからなる内側表面をもつテンプレート構造内で、成長させた半導体構造510aを示す。テンプレート構造515aは、第1の(低い)テンプレート・アスペクト比を有する。半導体構造510aは、Siシード511aから成長したInAsのナノワイヤ512aを備える。ナノワイヤ512aは、850sで成長したおよそ470nmの長さを有する。
【0094】
図5(b)は、純粋な誘電テンプレート構造515b内、より詳細には、この実施形態ではSiO2のみからなる内側表面をもつテンプレート構造内で、成長させた半導体構造510bを示す。テンプレート構造515bは、テンプレート構造515aのテンプレート・アスペクト比よりも高い第2のテンプレート・アスペクト比を有する。半導体構造510bは、Siシード511bから成長したInAsのナノワイヤ512bを備える。ナノワイヤ512bは、850sで成長したおよそ300nmの長さを有する。
【0095】
図5(c)は、
図2eに示されるテンプレート構造255に対応するテンプレート構造555a内で、すなわち、TiNからなる内側表面として金属表面エリア213aを備えるテンプレート構造内で、成長させた半導体構造520aを示す。テンプレート構造555aは、
図5(a)のテンプレート構造515aと同じ(第1の)アスペクト比を有する。半導体構造520aは、Siシード521aから成長したInAsのナノワイヤ522aを備える。ナノワイヤ522aは、850sで成長した1050nmを超える長さを有する。
【0096】
図5(d)は、
図2eに示されるテンプレート構造255に対応するテンプレート構造555b内で、すなわち、やはりTiNからなる内側表面として金属表面エリア213aを備えるテンプレート構造で、成長させた半導体構造520bを示す。テンプレート構造555bは、
図5(b)のテンプレート構造515bと同じ、したがって
図5(c)のテンプレート構造555aのアスペクト比よりも高い、(第2の)アスペクト比を有する。半導体構造520bは、Siシード521bから成長したInAsのナノワイヤ522bを備える。ナノワイヤ522bは、850sで成長した890nmを超える長さを有する。
【0097】
図5(a)~(d)から、成長率(GR)の増大は、テンプレート材料、すなわち、TiNの内側表面の存在によって支配され、キャビティ/テンプレート・アスペクト比によって支配されるのではないと結論付けることができる。
【0098】
本発明の実施形態のさらなる調査は、例えば、テンプレート構造のTiN表面エリアに起因する成長率の増大は、キャビティの結晶方位、例えば<110>方向対<111>方向、の影響に匹敵することを示した。
【0099】
さらに、V/III=150の場合のTiN表面をもつテンプレート構造(すなわち、純粋な誘電テンプレート構造における成長率に対するテンプレート・アスペクト比および結晶方位の影響が小さいレジーム)における成長率の増大は、V/III=70の場合と非常に似ている。したがって、成長率の増大は、V/III材料比にはごく弱く依存する。これは、有効なV/III比はテンプレート中での半導体成長の間に変化するため、成長の均一性が必要とされる用途に重要であり得る。
【0100】
さらに、内側TiN表面をもつテンプレート構造における成長率の増大は、低い材料流量の成長条件の場合に特に高いものであり得る(例えば4倍以上)。これは、結晶への前駆体材料の効率的な取り込みをもたらし、一方で寄生核生成および前駆体の使用量を減らすことができるため、応用例およびスケーラビリティのために使用することができる。
【0101】
加えて、純粋な誘電キャビティ内で1つのファセットの成長率が他の成長率よりも大幅に優勢であるレジームでは、内側表面としてのTiNの存在が、他のファセットの成長率を大幅に高めることができる。これを使用して結晶の幾何学的形状を調整することができ、それが、本発明の実施形態による大型結晶の成長を可能にすることができる。
【0102】
一般に、本発明の実施形態による方法の多用途性は、III-V族半導体材料の任意の組合せがテンプレート構造内で成長することを可能にし得、埋め込まれた量子ウェル、量子ドット、量子ワイヤ、ドーピングされたまたは真性の半導体層、ならびにヘテロ接合を含む。
【0103】
複数の実施形態によると、製造された半導体構造はゲイン構造を形成することができる。そのようなゲイン構造は、エピタキシャル成長されたものであり、基板の横方向、より詳細にはx-y平面に延びる。x-y平面は、基礎となる基板に対して平行に配置される。
【0104】
したがって、具現化されるゲイン構造は、p-i-n構造を形成するドーピング・プロファイルを含むことができる。これは、電気ポンピングを促すことができる。p-i-n構造は、pドーピング領域とnドーピング領域との間に配置された真性領域を有する構造である。
【0105】
これに関して、ドーピングとは、半導体の電気的および光学的および構造的性質を変更する目的で、真性半導体に意図的に不純物を導入することと理解されるものとする。半導体のドーピングは、バンド・ギャップの中に許されたエネルギー状態を導入するが、それは当該ドーパント・タイプに対応するエネルギー・バンドに非常に近い。正またはp型ドーピングは、価電子帯に自由正孔を導入するのに対し、負またはn型ドーピングは、伝導帯の中に自由電子を導入する。
【0106】
ドーパントの導入は、フェルミ準位に対してエネルギー・バンドをずらす効果がある。n型半導体では、フェルミ準位は伝導帯に近いか、または縮退型n型半導体では伝導帯の中にある。p型の場合、フェルミ準位は、価電子帯に近いかまたはその中にある。典型的にドーピングされた半導体におけるドーピング密度は、材料および状態の密度に応じて、5×1018センチメートル(cm)-3~1020cm-3の範囲である。半導体は完全に真性であることは滅多にないが、電気的な意味における真性とは、半導体が導電性でないことを意味する。典型的には、ドーピング・レベルは、1015~1016cm-3前後である。
【0107】
説明のための例が上記に与えられたが、上記で説明された基本的な製造ステップは、他の材料、形状、およびサイズの半導体構造を生産するために使用され得ることが理解されるであろう。材料および処理技術は、所与の実施形態に合わせて適宜選択することができ、好適な選択が当業者に直ちに明らかになろう。
【0108】
上記では特定の例を説明したが、多数の他の実施形態が構想され得る。半導体構造を成長させるためのシード表面は、結晶シード表面であり得るが、他の実施形態によれば、アモルファス表面によって提供されることも可能である。シードが明確な結晶方位を有し、シードの結晶構造が成長する結晶(例えばIII-V化合物半導体)の構造と適度に一致する場合、成長する結晶はこの方位を適合させることができる。シードがアモルファスであるまたは不定の結晶方位を有する場合、成長する結晶は単結晶になるが、その結晶方位はランダムになる。
【0109】
開示される半導体構造および回路は、半導体チップの一部であり得る。得られた集積回路チップは、ベア・ダイとして未処理のウェハ形態で(すなわち、複数のパッケージされていないチップを有する単一のウェハとして)、またはパッケージ形態で、製造者によって流通させることができる。後者の場合、チップは、単一チップ・パッケージ(マザーボードまたは他の上位担体に取り付けられる導線を備えた、プラスチック担体など)に、または複数チップ・パッケージ(片方または両方の表面相互接続または埋め込まれた相互接続を有するセラミック担体など)に、実装される。いずれの場合も、チップは、マザーボードなどの中間製品または最終製品の一部として、他のチップ、個別の回路素子、または他の信号処理デバイス、あるいはそれらの組合せと一体化され得る。最終製品は、集積回路チップを有する任意の製品であり得る。
【0110】
以下の定義および省略形が、特許請求の範囲および明細書の解釈に使用されるべきである。本明細書において使用される場合、用語「~を備える」、「~を備えている」、「~を含む」、「~を含んでいる」、「~を有する」、「~を有している」、「~を包含する」もしくは「~を包含している」、またはその任意の他の変化形は、非排他的な包含をカバーすることが意図される。例えば、要素の列挙を含む、組成、混合物、プロセス、方法、物品、もしくは装置は、必ずしもそれらの要素だけに制限されず、明示的に列挙されない、またはそのような組成、混合物、プロセス、方法、物品、または装置に固有でない、他の要素を含むことができる。
【0111】
本明細書において使用される場合、要素または構成要素の前にある冠詞「a」および「an」は、その要素または構成要素の実例(すなわち発生)の数に関して非制約的でないことが意図される。したがって、「a」または「an」は、1つまたは少なくとも1つを含むように解釈されるべきであり、数が明らかに単数であることが意図されない限り、その要素または構成要素の単数形は複数形も包含する。
【0112】
本明細書において使用される場合、用語「発明」または「本発明」は、非制限的な用語であり、特定の発明の任意の単一の態様を指すことは意図されず、明細書および特許請求の範囲に記載されるすべての可能な態様を包含する。
【0113】
連邦政府による資金提供を受けた研究または開発の記載
本発明は、国防高等研究計画局(DARPA)によって授与された140D6318C0028の下で政府の支援を受けてなされた。政府は、本発明に一定の権利を有する。
【0114】
様々な本発明の実施形態の説明は、例示を目的として提示されたものであり、網羅的である、または開示された実施形態に制限されることは意図されない。記載される実施形態の範囲および思想から逸脱することなく、多くの変更および変形が当業者に明らかとなろう。本明細書で使用される用語は、実施形態の原理、実際的な応用、もしくは市場に見られる技術に対する技術的向上を最も良く説明するために、または当業者が本明細書に記載される実施形態を理解できるようにするために選択されたものである。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体材料からなる半導体構造を製造するための方法であって、
テンプレート構造を用意するステップであって、前記テンプレート構造が、開口部、キャビティ、およびシード構造を備え、前記シード構造が、シード材料およびシード表面を備え、前記テンプレート構造の内側表面が、金属材料を含む少なくとも1つの金属表面エリアを備えている、前記用意するステップと、
前記テンプレート構造の前記キャビティの中で、前記シード表面から前記金属表面エリアに沿って前記半導体構造を成長させるステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記金属材料および前記半導体材料は、前記金属材料が前記半導体材料に核生成部位を与えないように選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記金属材料が、前記半導体構造を成長させる前記ステップが行われるプロセス温度よりも高い融点を有し、
前記金属材料が、前記プロセス温度で化学的に安定している、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記金属材料が遷移金属窒化物である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記遷移金属窒化物が、TiN、ZrN、HfN、VN、NbN、TaN、MoN、およびWNからなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記半導体構造を、半導体基板に対して平行に、横方向の成長方向に成長させる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
前記半導体構造がナノワイヤである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項8】
前記テンプレート構造を前記用意するステップが、
第1のテンプレート材料から第1のテンプレート層を形成することと、
第2のテンプレート材料から第2のテンプレート層を形成することであって、前記第1のテンプレート材料が前記金属材料である、前記形成することと、
を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項9】
前記第2のテンプレート材料が誘電材料である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記金属材料は、
前記成長ステップ中の前記シード表面の表面エネルギーまたは前記半導体構造の前部表面の表面エネルギーよりも低いが、前記第2のテンプレート材料の表面エネルギーよりも高い表面エネルギー、
前記第2のテンプレート材料の表面の表面移動長さよりも大きい表面移動長さ、または
前記第2のテンプレート材料の前記表面の表面吸着率よりも高い前記半導体材料に対する表面吸着率
をもたらすように選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記テンプレート構造を前記用意するステップが、
半導体基板を用意することと、
前記半導体基板の上に犠牲層を形成することであって、前記犠牲層が前記シード材料を含む、前記形成することと、
前記犠牲層の上に前記第1のテンプレート層を形成することと、
前記犠牲層および前記第1のテンプレート層をパターニングすることと、
前記第1のテンプレート層および前記基板の上に前記第2のテンプレート層を形成することと、
前記第2のテンプレート層に前記開口部を形成することと、
前記犠牲層の前記シード材料の一部を選択的に除去し、それにより前記シード表面をもつ前記シード構造を備える前記キャビティを形成することと、
を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記金属表面エリアの前記金属材料を、前記シード構造に対して自己整合式に形成することをさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項13】
前記金属表面エリアが、前記テンプレート構造の前記内側表面の最上部、底部、または側部を形成する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項14】
前記シード材料が、SiなどのIV族材料、またはGaAs、InAs、およびInPからなる群から選択されるIII-V族材料である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項15】
前記半導体材料が、III族元素およびV族元素を含むIII-V族半導体材料である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項16】
前記半導体構造の前記成長が、金属有機化学気相成長(MOCVD)、大気圧CVD、低圧もしくは減圧CVD、超高真空CVD、分子線エピタキシー(MBE)、原子層堆積(ALD)、または水素化物気相エピタキシー、の1つによって行われる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項17】
前記半導体構造を成長させる前記ステップが、前記V族元素の場合には150マイクロモル(μモル)/分未満、および前記III族元素の場合には2μモル/分未満の流量で行われる、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
方法によって得ることが可能な半導体デバイスであって、前記方法が、
テンプレート構造を用意するステップであって、前記テンプレート構造が、開口部、キャビティ、およびシード構造を備え、前記シード構造が、シード材料およびシード表面を備え、前記テンプレート構造の内側表面が、金属材料を含む少なくとも1つの金属表面エリアを備えている、前記用意するステップと、
前記テンプレート構造の前記キャビティの中で、前記シード表面から前記金属表面エリアに沿って前記半導体構造を成長させるステップと、
を含む、半導体デバイス。
【請求項19】
装置であって、
シード材料のシード表面と金属材料の金属表面エリアとに隣接している、基板の上に配置された半導体構造を備え、前記半導体構造は、前記シード表面から前記金属表面エリアに沿って延びている、装置。
【請求項20】
前記半導体構造が、前記シード材料からエピタキシャル成長され、前記シード材料がIII-V族材料を含み、前記金属材料が遷移金属窒化物を含む、請求項19に記載の装置。
【国際調査報告】