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特表2024-527741エネルギー調整器による撮像および治療のためのビームエネルギーの変調
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】エネルギー調整器による撮像および治療のためのビームエネルギーの変調
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/10 20060101AFI20240719BHJP
   H05G 1/00 20060101ALI20240719BHJP
   A61B 6/40 20240101ALI20240719BHJP
   A61B 6/03 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
A61N5/10 D
H05G1/00 D
A61B6/40 530C
A61B6/03 577
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500632
(86)(22)【出願日】2022-06-03
(85)【翻訳文提出日】2024-03-06
(86)【国際出願番号】 US2022032247
(87)【国際公開番号】W WO2023003644
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】17/379,020
(32)【優先日】2021-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505172824
【氏名又は名称】アキュレイ インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】1240 Deming Way, Madison, WI 53717 U.S.A
(74)【代理人】
【識別番号】100119792
【弁理士】
【氏名又は名称】熊崎 陽一
(72)【発明者】
【氏名】トレイル マーク
(72)【発明者】
【氏名】バンデレット スティーブ
(72)【発明者】
【氏名】マウレール カルバン アール.
(72)【発明者】
【氏名】ガグノン ダニエル
【テーマコード(参考)】
4C082
4C092
4C093
【Fターム(参考)】
4C082AA01
4C082AC02
4C082AE02
4C082AE03
4C082AG44
4C092AA01
4C092AB12
4C092AB23
4C092AC20
4C092BD15
4C093AA22
4C093AA25
4C093BA10
4C093CA32
(57)【要約】
本発明の放射線照射システムは、加速器で電子ビームを加速するための電磁波をマイクロ波源によって発生させる。マイクロ波源によって発生された電磁波は、エネルギー調整器によって第1のエネルギーレベルに調整される。前記加速器は、第1のエネルギーレベルに基づいてキロボルト(kV)の撮像ビームを生成する。また、前記マイクロ波源によって発生された電磁波は、前記エネルギー調整器によって第2のエネルギーレベルに調整される。前記加速器は、第2のエネルギーレベルに基づいてメガボルト(MV)の治療ビームを生成する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
線形加速器(LINAC)を備えた放射線照射システムであって、
前記線形加速器は、
電磁波を発生させるマイクロ波源と、
前記マイクロ波源に機能的に接続されたエネルギー調整器であって、前記マイクロ波源によって生成された電磁波を変調するエネルギー調整器と、
前記エネルギー調整器に機能的に接続された加速器であって、変調された電磁波に基づいてキロボルト(kV)撮像ビーム、およびメガボルト(MV)治療ビームを生成する加速器と、
前記マイクロ波源、前記エネルギー調整器、および前記加速器に機能的に接続された制御装置であって、前記エネルギー調整器に電磁波の変調を実行させることにより、前記加速器に前記kV撮像ビームおよび前記MV治療ビームを発生させる制御装置と、を備える、放射線照射システム。
【請求項2】
請求項1記載の放射線照射システムであって、前記エネルギー調整器はパワーバリエータを含む、放射線照射システム。
【請求項3】
請求項2記載の放射線照射システムであって、前記パワーバリエータはY接合部を含む、放射線照射システム。
【請求項4】
請求項2記載の放射線照射システムであって、前記パワーバリエータはT接合部を含む、放射線照射システム。
【請求項5】
請求項2記載の放射線照射システムであって、前記パワーバリエータは、磁気バイアスされた電磁フェライトの使用によって短絡位置を迅速に調節可能な電磁短絡設計を含む、放射線照射システム。
【請求項6】
請求項2記載の放射線照射システムであって、前記パワーバリエータは、前記パワーバリエータの短絡位置を調節する機械的スライディングショートを含む、放射線照射システム。
【請求項7】
請求項1記載の放射線照射システムであって、さらに、kV撮像ビーム用の第1ターゲットおよびMV治療ビーム用の第2ターゲットを含むマルチX線ターゲットアセンブリを備える、放射線照射システム。
【請求項8】
請求項1記載の放射線照射システムであって、さらに、kV撮像ビームを使用して2次元投影を生成する処理装置を備える、放射線照射システム。
【請求項9】
請求項1記載の放射線照射システムであって、さらに、kV撮像ビームを使用して撮像された複数の2次元画像に基づいて3次元モデルを生成する処理装置を備える、放射線照射システム。
【請求項10】
請求項1記載の放射線照射システムであって、kV撮像ビームおよびMV治療ビームは、ガントリの単一回転中または複数回転中に照射される、放射線照射システム。
【請求項11】
請求項10記載の放射線照射システムであって、前記ガントリは、リング型ガントリ、Cアーム型ガントリ、またはロボットアームのうちいずれかを含む、放射線照射システム。
【請求項12】
請求項1記載の放射線照射システムであって、前記kV撮像ビームおよび前記MV治療ビームは交互に照射される、放射線照射システム。
【請求項13】
請求項1記載の放射線照射システムであって、前記kV撮像ビームは50~1000kVの第1のエネルギーレベルを有し、MV治療ビームは1~20MVの第2のエネルギーレベルを有する、放射線照射システム。
【請求項14】
放射線照射システムを制御する方法であって、下記a~e、
a.前記放射線照射システムのマイクロ波源によって、前記放射線照射システムの加速器で電子ビームを加速させるための電磁波を発生させるステップと、
b.前記放射線照射システムのエネルギー調整器によって、前記マイクロ波源により発生させた電磁波を第1のエネルギーレベルに調整するステップと、
c.前記加速器によって、前記第1のエネルギーレベルに基づいてキロボルト(kV)の撮像ビームを生成するステップと、
d.前記エネルギー調整器によって、前記マイクロ波源により発生させた電磁波を第2のエネルギーレベルに調整するステップと、
e.前記加速器によって、前記第2のエネルギーレベルに基づいてメガボルト(MV)の治療ビームを生成するステップと、
を含む、方法。
【請求項15】
請求項14記載の方法であって、前記エネルギー調整器はパワーバリエータを含む、方法。
【請求項16】
請求項15記載の方法であって、前記パワーバリエータはY接合部を含む、方法。
【請求項17】
請求項15記載の方法であって、前記パワーバリエータはT接合部を含む、方法。
【請求項18】
請求項15記載の方法であって、前記パワーバリエータは、磁気バイアスされた電磁フェライトの使用によって短絡位置を迅速に調節可能な電磁短絡設計を含む、方法。
【請求項19】
請求項15記載の方法であって、前記パワーバリエータは、前記パワーバリエータの短絡位置を調節する機械的スライディングショートを含む、方法。
【請求項20】
請求項14記載の方法であって、前記マイクロ波源によって発生させる電磁波は、治療セッション中に前記エネルギー調整器によって動的に調整される、方法。
【請求項21】
請求項14記載の方法であって、さらに、処理装置によって、kV撮像ビームを使用して撮像された複数の2次元画像に基づいて3次元モデルを生成する、方法。
【請求項22】
請求項14記載の方法であって、kV撮像ビームおよびMV治療ビームは、ガントリの単一回転中または複数回転中に照射される、方法。
【請求項23】
非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、放射線照射システムの処理装置によって実行されると、前記放射線照射システムに下記a~eを行わせる命令を格納する、記憶媒体。
a.前記放射線照射システムのマイクロ波源によって、前記放射線照射システムの加速器で電子ビームを加速させるための電磁波を発生させる。
b.前記放射線照射システムのエネルギー調整器によって、前記マイクロ波源により発生させた電磁波を第1のエネルギーレベルに調整する。
c.前記加速器によって、前記第1のエネルギーレベルに基づいてキロボルト(kV)の撮像ビームを生成する。
d.前記エネルギー調整器によって、前記マイクロ波源により発生させた電磁波を第2のエネルギーレベルに調整する。
e.前記加速器によって、前記第2のエネルギーレベルに基づいてメガボルト(MV)の治療ビームを生成する。
【請求項24】
請求項23記載の非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、さらに、前記処理装置に、前記kV撮像ビームを使用して撮像された複数の2次元画像に基づいて3次元モデルを生成させる、記憶媒体。
【請求項25】
請求項23記載の非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、さらに、前記処理装置に、前記kV撮像ビームを使用して2次元投影を生成させる、記憶媒体。
【請求項26】
請求項23記載の非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、前記マイクロ波源によって発生させる電磁波は、治療セッション中に前記エネルギー調整器によって動的に調整される、記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2021年7月19日に出願された米国特許出願第17/379,020号の米国特許法第119条(e)に基づく優先権を主張し、その全文は、ここに参照として組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、エネルギー調整器を適用した撮像および治療のためのビームエネルギー変調に関する。
【背景技術】
【0003】
放射線治療において、放射線照射システムは、治療用放射線源を使用することで、患者の腫瘍などの標的に治療用線量の放射線を供給する治療ビームを生成することができる。放射線照射システムの放射線源は、患者の腫瘍の画像化を目的とした画像診断用ビームを照射するモード(放射線量の異なるモード)で動作する場合もある。
【図面の簡単な説明】
【0004】
本発明は、後述の詳細な説明(発明の実施形態)および本開示の様々な実施形態を示す添付図面から、より完全に理解することができる。
【0005】
図1A】本発明の実施形態によるヘリカル放射線照射システムを示す説明図である。
【0006】
図1B】本発明の実施形態に従って使用可能なロボット型放射線照射システムを示す説明図である。
【0007】
図1C】本発明の実施形態によるCアームガントリベースの放射線照射システムを示す説明図である。
【0008】
図2】本発明の実施形態による放射線照射システムの一例を示す図であって、撮像ビームおよび治療ビームを生成するために電磁波を変調するエネルギー調整器を適用した放射線照射システムを示す説明図である。
【0009】
図3A】本発明の実施形態による、Y接合部を含むパワーバリエータの一例を示す説明図である。
【0010】
図3B】本発明の実施形態による、T接合部を含むパワーバリエータの一例を示す説明図である
【0011】
図4A】本発明の実施形態による、エネルギー特性の異なる複数の放射線発生ターゲットを含むマルチX線ターゲットアセンブリの一例を示す説明図である。
【0012】
図4B】本発明の実施形態によるマルチX線ターゲットアセンブリを示す図であって、治療用または撮像用の電子ビームが適切なエネルギー特性の放射線発生ターゲットに当たるように同マルチX線ターゲットアセンブリを再配置する一例を示す説明図である。
【0013】
図5】本開示の実施形態によるエネルギー調整器を適用して撮像ビームおよび治療ビームを生成する方法を示すフロー図である。
【0014】
図6】本発明の一部の実施形態に従って、本開示で説明される1つまたは複数の処理(操作)を実行し得るコンピューティングデバイスの一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示において、放射線照射システムの電磁波を変調するためにエネルギー調整器を使用する実施形態について説明する。
この放射線照射システムは、異なるエネルギーレベルで撮像ビーム(診断ビームを意味する場合もある。)および治療ビーム(医療処置ビームを意味する場合もある。)の両方を生成可能な単一の放射線源を利用することができる。
【0016】
従来の放射線照射システムでは、治療用放射線源は、患者の腫瘍などの標的に治療用量の放射線を供給する治療ビームを生成するために使用される。例えば、治療用放射線源は、メガボルト(MV)治療ビームを生成することができる。
また、従来の放射線照射システムは、標的に関連する画像データを取得するための撮像ビームを生成するために撮像用放射線源を使用する。例えば、X線放射線源は、キロボルト(kV)の撮像ビームを生成することができる。
このように従来の放射線照射システムでは、治療ビームを用いて治療用量の放射線を標的に供給し、撮像ビームを用いて標的に関連する画像データを取得するために、2つの異なる放射線源(例:治療用放射線源と撮像用放射線源)を必要とし、コストを増大させるものとなっている。
【0017】
本発明の一態様では、単一の放射線源で撮像ビームおよび治療ビームの両方を生成することができるように、エネルギー調整器を使用して放射線照射システムの電磁波を変調する。このような放射線照射システムを有することによって、上記の問題およびその他の欠陥を改善することができる。
本発明の一態様による放射線照射システムは、電磁波を発生するマグネトロンやクライストロンなどのマイクロ波源を含むことができる。上記のエネルギー調整器は、マイクロ波源に機能的に接続されており、マイクロ波源から電磁波を受け取り、撮像ビームまたは治療ビームのエネルギーレベルに対応するように電磁波を変調することができる。同エネルギー調整器は、マイクロ波源の出力を調整することなく、これらのエネルギーレベルに対応するように電磁波を変調することができる。
【0018】
本発明の一態様において、前記エネルギー調整器は、電磁波を変調するように構成された機械的または電気機械的なアセンブリであり得る。
本発明の一態様において、前記エネルギー調整器はパワーバリエータ(出力可変装置)を含むことができる。このパワーバリエータは、2つの負荷、サーキュレータ、接合部、およびスライディングショートを含むことができる。
本発明の一態様において、前記接合部は、Y接合部またはT接合部のいずれかであってよい。
本発明の一態様において、前記スライディングショートは、従来の機械的スライディングショートであってもよいし、磁気バイアスされたフェライト(電磁フェライト)の使用によって短絡位置の変化(調節)を迅速に生じさせることができる電磁設計(電磁短絡設計)であってもよい。
【0019】
本発明の一態様において、放射線照射システムは、変調された電磁波を受け取るためにエネルギー調整器に機能的に接続される加速器(加速構造)をさらに含むことができる。この加速器は、電子ビームを放射線発生ターゲット(以下「X線ターゲット」とも称することもある。)に向けて加速し、治療ビームおよび/または撮像ビームを生成することができる。本発明の一態様の放射線照射システムでは、後述するように、複数の放射線発生ターゲットを含む装置を含むこともある。
【0020】
本発明の一態様において、放射線照射システムはまた、マイクロ波源、エネルギー調整器および加速器に機能的に接続された制御装置を含むことができる。この制御装置は処理装置を含み、同処理装置の処理ロジックによってエネルギー調整器による電磁波の変調が引き起こされ、これにより加速器が撮像ビームおよび治療ビームを生成することになる。
【0021】
本発明の一態様による放射線照射システムによれば、エネルギー調整器を適用して電磁波を変調し、撮像ビームと治療ビームの両方を生成することにより、治療ビームを生成するための治療用放射線源と、撮像ビームを生成するための撮像用放射線源との両方をもつ必要がなくなる。つまり単一の放射線源を使用して治療ビームと撮像ビームの両方を生成することができ、放射線照射システムのコストを削減し、放射線照射システムの性能を向上させることができる。
【0022】
図1Aは、本開示の実施形態にによるヘリカル放射線照射システム800を示す。
ヘリカル放射線照射システム800は、リングガントリ820に取り付けられたLINAC(線形加速器)850を含む。LINAC850は、電子ビームをX線照射標的に向けて誘導することにより、放射線ビーム(すなわち治療ビーム)を生成するために使用され得る。治療ビームは、標的の領域(すなわち腫瘍)に向けて放射線を照射することになる。
同治療システムには、さらに、LINAC850の遠位端に接続されたMLC(マルチリーフコリメータ:多段絞り機構)860が含まれている。MLCには、複数の可動式のリーフを収容するハウジングが含まれており、治療ビームの形成を可能にするために、リーフを可動させてMLCの開口部を調整することができる。実施形態において、MLC860は、2つの対向するバンクに配置された複数のリーフを含むバイナリMLCであり、2つの対向するバンクのリーフが互いに挟み込まれ、開閉して開口部を形成することができる。一部の実施形態において、MLC860は電磁気作動型のMLCであってもよく、MLC860は、任意の他のタイプのMLCであってもよい。
リングガントリ820はトロイダル形状をしており、患者830がリング/トロイドのボアを通り抜ける。LINAC850はリングの周囲に取り付けられ、その中心を通る軸を中心に回転し、患者の周りの1つ以上の角度から供給される放射線を標的に照射する。治療中、患者830は治療台840の上でガントリのボアを通って同時に移動することができる。
【0023】
ヘリカル放射線照射システム800は、撮像源としてのLINAC850と、X線検出器870とを備えた撮像システムを含む。LINAC850は、患者830の関心領域(ROI)のメガボルトX線画像(MVCT)を生成するために使用され得る。この場合、ROIに向けて一連のX線ビームを発射し、LINAC850の反対側にあるX線検出器870に入射させることで、患者830を画像化し、セットアップおよび治療前の画像を生成する。
一実施形態では、ヘリカル放射線照射システム800には、kV(キロボルト)撮像源810から構成される2次撮像システムが含まれることもある。このkV撮像源810は、LINAC850に直交して(例えば90度離れた位置に)リングガントリ820に取付けられ、標的領域に向けて撮像用X線ビームを照射し、患者130を通過した後に検出器の撮像面を投影するように配置され得る。
【0024】
図1Bは、本明細書に記載されている代替的な実施形態に応じて使用される放射線治療システム1200を示す。
図1Bに示すように、放射線治療システム1200は、治療用放射線源として機能するLINAC(線形加速器)1201と、治療ビームを形成するためにLINAC1201の遠位端に接続されたMLC(マルチリーフコリメータ:多段絞り機構)1205とを含む。
一実施形態では、LINAC1201は、患者の周囲の作業領域で多くの角度や多くの平面からビームを送って病理解剖学的構造(例:標的)を照射するように、複数(例:5つ以上)の自由度を有するロボットアーム1202の端部に取り付けられて位置決めされる。
治療には、単一のアイソセンタ(等中心点)を有するビームパス、複数のアイソセンタ(等中心点)を有するビームパス、または非等心的なアプローチを伴うビームパスが関与することがある。
【0025】
LINAC1201は、ロボットアーム1202を動かすことによって、治療中に複数の異なるノード(LINAC1201が停止して放射線が照射される事前に定義された位置)に位置決めされることができる。ノードにおいて、LINAC1201は、1つまたは複数の放射線治療ビームを標的に照射することができ、そこでは、放射線ビームの形状は、MLC1205内のリーフの位置によって決定される。ノードは、患者の周囲におおよそ球状に分布するように配置され得る。特定のノード数、および各ノードに適用される治療ビームの数は、治療されるべき病理解剖学的構造の位置およびタイプに応じて異なってもよい。
【0026】
別の実施形態において、ロボットアーム1202、およびその端部におけるLINAC1201は、放射線が照射されている間に、ノード間を連続的に移動することができる。放射線ビームの形状および2次元強度マップは、LINAC1201が連続的に動作する間、MLC1205内のリーフの高速な動きによって決定される。
【0027】
放射線治療システム1200には、撮像システム1210が含まれる。この撮像システム1210は、X線源1203Aおよび1203B(すなわち撮像源)に接続され、かつ、固定式のX線検出器1204Aおよび1204Bに接続された処理装置1230を備える。
また、上記に代えて、X線源1203A、1203Bおよび/またはX線検出器1204A、1204Bが移動可能である場合、これらは、標的との位置合わせを維持するために再配置されるか、または標的を異なる方向から撮像するために再配置される。また、多くのX線画像を取得して3次元(3D)コーンビームCT(コーンビーム・コンピュータ断層撮影)を再構築することがある。
一実施形態では、LINAC1201は撮像源として機能し、LINACの出力レベルは画像化に適したレベルにまで下げられる。
【0028】
撮像システム1210は、コーンビームCTまたはヘリカルメガボルトコンピュータ断層撮影(MVCT)などのコンピュータ断層撮影(CT)を実行してもよく、撮像システム1210によって生成された画像は2次元(2D)または3次元(3D)であってもよい。2つのX線源1203Aおよび1203Bは、手術室の天井の固定位置に取り付けられ、2つの異なる角度位置(例:90度離れている)からX線撮像ビームを投射して、マシンアイソセンタ(本明細書では治療中心と呼ばれ、治療中に患者を治療台1206上に位置付けるための基準点を提供)で交差し、患者を通過した後にそれぞれのX線検出器1204Aおよび1204Bの撮像面を投影するように配置され得る。
一実施形態では、撮像システム1210は、標的および周囲の関心体積(VOI)の立体画像を提供する。
他の実施形態では、撮像システム1210は、2つ以上のまたは2つ未満のX線源と、2つ以上のまたは2つ未満の検出器とを含んでもよい。これらの検出器のいずれかは固定式ではなく可動式であってもよい。さらに他の実施形態では、X線源と検出器の位置は入れ替わってもよい。
X線検出器1204Aおよび1204Bは、X線を可視光に変換するシンチレーション材料(例:非晶質シリコン)から製造され得る。この場合、当業者によく知られているように、CMOS(補完型金属酸化物シリコン)またはCCD(電荷結合素子)のイメージングセルのアレイが光をデジタル画像に変換する。このデジタル画像は、画像登録プロセス中に基準画像と比較することができ、このプロセスでは、デジタル画像の座標系を基準画像の座標系に変換する。
基準画像は、例えば、デジタルに再構築された放射線写真(DRR)であり得る。これは、3次元(3D)CT画像から作成された仮想X線画像で、CT画像を通してX線画像形成プロセスをシミュレーションすることによって生成される。
【0029】
一実施形態において、IGRT(画像誘導放射線治療)用照射システムとしての放射線治療システム1200は、2次撮像システム1239も含む。2次撮像システム1239は、CBCT(コーンビーム・コンピュータ断層撮影)撮像システムを使用することができる。また、これに代えて他のタイプの体積イメージングシステムを使用することもできる。
2次撮像システム1239は、アームおよびレールシステム(図示せず)に取り付けられた回転式ガントリ1240(例:リング)を含む。このアームおよびレールシステムは、回転式ガントリ1240を1つ以上の軸に沿って(例:治療台1206の頭部から足部まで延びる軸に沿って)移動させる。回転式ガントリ1240には、撮像源1245と検出器1250とが取り付けられている。回転式ガントリ1240は、治療台の頭部から足部まで延びる軸を中心に360度回転することができる。従って、撮像源1245および検出器1250は、多数の異なる角度に配置され得る。
一実施形態では、撮像源1245はX線源であり、検出器1250はX線検出器である。
一実施形態では、2次撮像システム1239は、別々に回転可能な2つのリングを含む。この場合、撮像源1245を第1のリングに取り付け、検出器1250を第2のリングに取り付けることができる。
一実施形態では、回転式ガントリ1240は、治療放射線ビームの照射中にロボットアーム1202との衝突を回避するために治療台の足元で静止する。
【0030】
図1Bに示されるように、画像誘導型の放射線治療システム1200は、治療デリバリーワークステーション150(コンピュータ制御システム)とさらに連携させることができる。治療デリバリーワークステーションは、放射線治療システム1200および患者が配置されている治療室とは異なる部屋に、放射線治療システム1200から遠隔に設置されてもよい。
治療デリバリーワークステーション150は、処理装置(処理装置1230または別の処理装置であってもよい。)およびメモリを備えており、これにより、本明細書に記載されるように、1つまたは複数の画像登録に従って検出された標的の動きに基づいて患者1225への治療配信を変更することができる。
【0031】
図1Cは、Cアーム型放射線照射システム1400を示す。
一実施形態において、Cアーム型放射線照射システム1400は、治療中にLINACのビームエネルギーを調整することができる。これにより、LINACをX線撮影と放射線治療の両方に使用することが可能になる。
別の実施形態では、Cアーム型放射線照射システム1400には、X線画像を生成するためのオンボードkV撮像システムと、より高エネルギーの治療用放射線ビームを生成するための別個のLINACとが組み込まれる場合がある。
Cアーム型放射線照射システム1400は、Cアーム型ガントリ1410と、LINAC1420と、ビームを形成するためにLINAC1420の遠位端と連結されたMLC1470と、ポータル撮像検出器1450とを含む。Cアーム型ガントリ1410は、選択された投影に対応する角度に回転可能になっており、これにより、治療台1440上の患者1430のVOI(関心体積)のX線画像を取得するために使用することができる。
ポータル撮像システムを含む実施形態では、LINAC1420は、患者1430の標的を通過してポータル撮像検出器1450に入射するX線ビームを生成して、標的のX線画像を生成する。標的のX線画像が生成された後、LINAC1420のビームエネルギーを増大させることで、照射標的領域を治療するための放射線ビームを生成することができる。
別の実施形態では、kV撮像システムは、患者1430の標的を通過するX線ビームを生成して、標的のX線画像を生成することができる。一部の実施形態において、ポータル撮像システムは、治療配信(放射線照射)中にポータル画像を取得することができる。ポータル撮像検出器1450は、ビームが患者1430を通過した後に、出口線量(出口放射線フルエンス)を測定することができる。これにより、内部または外部の基準(マーカー)または解剖学的構造(例:腫瘍や骨など)をポータル画像内で局在化することができる。
【0032】
また、本明細書に記載されるkV撮像源またはポータル撮像装置および操作方法は、さらに他のタイプのガントリベースのシステムと共に使用することができる。一部のガントリベースのシステムにおいて、ガントリは、アイソセンタ(等中心)を通過する軸の周りにkV撮像源およびLINACを回転させる。
ガントリベースのシステムには、患者の身体がリング/トーラスの内径(ボア)を通って延びる概ねトーラス形状を有するリングガントリが含まれ、kV撮像源およびLINACはリングの外周に取り付けられ、アイソセンタ(等中心)を通る軸を中心に回転する。
ガントリベースのシステムは、さらにCアームガントリを含むことができ、このCアームガントリでは、kV撮像源およびLINACは、カンチレバー状に取り付けられてアイソセンタ(等中心)を通る軸を中心に回転する。
別の実施形態では、kV撮像源およびLINACは、前述したようにkV撮像源およびLINACが取り付けられるロボットアームベースのシステムで使用することができる。
本開示の態様は、さらに、ガントリベースのLINACシステム、放射線治療および放射線外科手術に関連する静的撮像システム、統合イメージガイダンスを使用する陽子線治療システム、介入放射線学および術中X線イメージングシステムなど、その他のこのようなシステムでも使用され得る。
【0033】
図2は、本開示の実施形態に従って、エネルギー調整器を適用して電磁波を変調し、撮像ビームおよび治療ビームを生成する放射線照射システム200の一例を示す説明図である。実施形態において、放射線照射システム200は、前述した図1A~Cの放射線照射システムのうちの1つに対応し、その構成要素を含み得る。
【0034】
放射線照射システム200は、電磁波を発生するマイクロ波源202を含む。一部の実施形態では、マイクロ波源202はマグネトロンであってもよい。実施形態において、マイクロ波源202は、クライストロンであってもよい。一実施形態において、マイクロ波源202は、電磁波を発生することができる任意の他のタイプの構成要素であってもよい。
【0035】
放射線照射システム200は、マイクロ波源202に機能的に接続されたエネルギー調整器204を含むことができる。エネルギー調整器204は、マイクロ波源202から受け取る電磁波を変調することができる。
エネルギー調整器204は、電磁波を変調するように構成された機械的または電気機械的アセンブリであってもよい。前述したように、エネルギー調整器204は、kV撮像ビーム等の撮像ビーム、またはMV治療ビーム等の治療ビームに対応するように電磁波のエネルギーレベルを変調することができる。
実施形態において、エネルギー調整器は、後述の図3Aおよび図3Bでさらに詳細に説明するパワーバリエータを含んでもよい。
実施形態において、エネルギー調整器204は、電磁波の出力レベルをマイクロ波源202の出力の0~100%の間で変化させることができる。一部の実施形態において、エネルギー調整器204は、放射線治療セッション(治療セッション)中に出力レベルの範囲にわたって電磁波を動的に調整するために使用される場合がある。
【0036】
放射線照射システム200は、変調された電磁波を受け取るためにエネルギー調整器204に機能的に接続された加速器206を含むことができる。この加速器は、変調された電磁波を使用して電子ビームをX線ターゲット(図示されていない)に向けて加速し、前述したように、各種の治療ビームおよび/または撮像ビームを生成することができる。
【0037】
放射線照射システム200は、マイクロ波源202、エネルギー調整器204および加速器206に機能的に接続された制御装置208を含むことができる。制御装置208は、マイクロ波源202、エネルギー調整器204および加速器206を制御する処理ロジックを含む処理装置210を含み得る。
実施形態において、処理装置210は、マイクロプロセッサ、中央処理装置などの1つまたは複数の汎用処理装置によって提供されてもよい。例示的な実施例では、処理デバイス210は、複合命令セットコンピューティング(CISC)マイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピューティング(RISC)マイクロプロセッサ、超長命令ワード(VLIW)マイクロプロセッサ、または他の命令セットを実装するプロセッサ、または命令セットの組み合わせを実装するプロセッサを含むことがある。
処理装置210はまた、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ネットワークプロセッサなどの1つまたは複数の特定用途の処理装置で構成されることもある。
【0038】
図3Aは、本開示の実施形態による、Y接合を含むパワーバリエータ300の一例を示す説明図である。前述したように、パワーバリエータ300は、撮像ビームおよび治療ビームのエネルギーレベルに対応するように電磁波を変調するために使用することができる。
【0039】
実施形態において、パワーバリエータ300は、負荷302a、負荷302b、位相棒(フェーズワンド)304、サーキュレータ306、Y接合部310、スライディングショート308、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。
位相棒304は、負荷302bに配置されており、所望の振幅および位相の反射を提供することができる。
サーキュレータ306は、サーキュレータ306に入った電磁波が、入ったポートの直後のポートから出ることを可能にする受動的な装置である。一部の実施形態において、サーキュレータ306は、4ポートのサーキュレータであってもよい。一実施形態において、複数のサーキュレータが使用されてもよい。
【0040】
スライディングショート308は、機械的または電気機械的アセンブリであって、パワーバリエータ300の短絡位置(例:電気的長さ)を調整するために使用される。スライディングショート308を使用することで、加速器に供給される電磁波の出力レベルを変更することができる。
一部の実施形態では、スライディングショート308は、フェライト材料のバイアスによって電磁波の位相長が制御される電磁気的に制御された短絡(ショートサーキット)であり得る。実施形態において、スライディングショート308は、電磁波の位相長を制御するためにプランジャが矩形導波管内で機械的に移動される機械的スライディングショートであってもよい。一部の実施形態では、他のタイプのスライディングショート308を使用してもよい。
【0041】
Y接合部310は、サーキュレータ306、負荷302a、およびスライディングショート308に機能的に接続された接合部である。Y接合部310は、パワーバリエータ300の上記の構成要素間で電磁波を案内する導波管接合部となる。Y接合部310には、「Y」の形を形成するためにそれぞれが同一の角度または類似の角度で分離された3つのポートが含まれることがある。
【0042】
図3Bは、本開示の実施形態による、T接合部を含むパワーバリエータ350の一例を示す説明図である。パワーバリエータ350は、前述の図3Aで説明したようなパワーバリエータ300と同様の構成要素を含むことができるが、Y接合部ではなくT接合部352を含む。
T接合部352は、前述したように、負荷、スライディングショート、およびサーキュレータ間の電磁波を案内する導波管接合部となり得る。T接合部352には3つのポートが含まれており、そのうち2つのポートが「T」の形を形成するために第3のポートに対して垂直な軸を形成する。
【0043】
図3Aに示されるY接合部310、および図3Bに示されるT接合部352は、例示の目的でのみを示されており、本発明を限定するものではないことに留意すべきである。本開示の実施形態は、図3Aおよび図3Bに図示されたY接合部および/またはT接合部とは異なる外観、幾何学的特性(形状・寸法・配置等)、または他の特性を有するY接合部および/またはT接合部を使用することが可能である。
【0044】
図4Aは、本開示の実施形態による、エネルギー特性の異なる複数の放射線発生ターゲットを含むマルチX線ターゲットアセンブリ400の一例を示す説明図である。
一部の実施形態において、放射線照射システムは、治療ビームおよび撮像ビームのそれぞれのX線生成収率を最大化するために複数のX線ターゲットを含むマルチX線ターゲットアセンブリ400を含むことができる。
マルチX線ターゲットアセンブリ400は、治療ビームターゲット(第2ターゲット)402および撮像ビームターゲット(第1ターゲット)404を含むことができる。マルチX線ターゲットアセンブリ400は、2つのX線ターゲットを有するものとして示されているが、本開示の実施形態は、マルチX線ターゲットアセンブリ400に2つ以上のX線ターゲットを含んでもよい。異なるX線ターゲットは、単一のアセンブリに含まれる様々なビームエネルギーレベルに対して最適化され得る。
マルチX線ターゲットアセンブリ400の位置決め(配置)については、後述するように、変調された電磁波のエネルギーレベルに基づいて、変調された電磁波が適切なX線ターゲットに向かって加速されるように調整され得る。
【0045】
前述したように、電子ビーム406は、治療ビーム(例:治療用光子ビーム)408を生成するために、加速器206によって治療ビームターゲット402に向かって加速され得る。治療ビームターゲット402は、高い原子番号を有する材料で形成されており、これにより、電子ビーム406が治療ビームターゲット402に加速されるときに、治療ビーム408が生成される。
実施形態において、治療ビームターゲット402に向けて加速される電子ビーム406は、治療ビーム408に対応するエネルギーレベルに変調され得る。例えば、電子ビーム406は、MV治療用光子ビームに対応するエネルギーレベルに変調されることがある。
【0046】
図4Bは、本開示の実施形態によるマルチX線ターゲットアセンブリ450を示すもので、治療用または撮像用の電子ビームが適切なエネルギー特性の放射線発生ターゲットに当たるように、マルチX線ターゲットアセンブリ450を再配置する一例を示す説明図である。
図4Bにおいて、加速器206は、撮像ビーム454に対応するエネルギーレベルをもつ診断エネルギーレベルの電子ビーム452を加速している。電子ビーム452が撮像ビーム454に対応するエネルギーレベルをもつことに対応して、マルチX線ターゲットアセンブリ450は、ターゲットを直線的(図示左矢視方向)に移動させて電子ビーム452の経路上に撮像ビームターゲット404を位置決めする。
【0047】
撮像ビームターゲット404は、低い原子番号を有する材料で形成されており、電子ビーム452が撮像ビームターゲット404に向けて加速されるときに撮像ビーム(例:撮像光子ビーム)454を生成する。実施形態において、撮像ビームターゲット404は、生成される撮像ビーム454の減衰を減らすために、治療ビームターゲット402よりも薄い厚さになってもよい。
【0048】
図5は、本開示の実施形態による、エネルギー調整器を使用して撮像ビームおよび治療ビームを生成する方法500のフロー図である。
方法500は、ハードウェア(例:回路、専用ロジック、プログラマブルロジック、プロセッサ、処理デバイス、中央処理装置(CPU)、システムオンチップ(SoC)等)、ソフトウェア(例:処理デバイス上で実行/実施される命令)、ファームウェア(例:マイクロコード)、またはそれらの組合せから構成される処理ロジックによって、少なくともその一部が実行される。
実施形態において、方法500の各々の部分は、前述の図1A図2で説明したような放射線照射システムの1つまたは複数の構成要素によって実行され得る。
【0049】
図5に参照される方法500は、各種の実施形態で使用される例示的な機能を示している。方法500には特定の機能ブロック(「ブロック」)が開示されているが、そのようなブロックは例示である。すなわち、実施形態は、方法500に記載されたブロックの様々な他のブロックまたは変形を伴ってもよい。方法500のブロックは、提示された順序とは異なる順序で実行されてもよく、方法500のブロックのすべてが実行されなくてもよい。
【0050】
方法500は、ブロック510で開始され、ここでマイクロ波源が放射線照射システムの加速器で電子ビームを加速するための電磁波を生成する。
【0051】
ブロック520において、エネルギー調整器は、電磁波を第1のエネルギーレベルに調整する。実施形態において、第1のエネルギーレベルは、撮像ビームのエネルギーレベルに対応し得る。
【0052】
ブロック530において、加速器は、第1のエネルギーレベルに基づいてキロボルト(kV)撮像ビームを生成する。一部の実施形態では、kV撮像ビームは、50~1000kVの間のエネルギーレベルを有することがある。また、実施形態において、撮像ビームは、1000kVより大きいエネルギーレベルを有するMVエネルギービームであってもよい。一部の実施形態では、異なるエネルギーレベルを有する複数の撮像ビームが使用されてもよい。
【0053】
ブロック540において、処理装置の処理ロジックは、kV撮像ビームによって撮像された1つまたは複数の画像を使用して、3次元モデルおよび/または2次元投影(画像)を生成する。処理ロジックは、kV撮像ビームによって撮像された2つ以上の画像(2次元画像)に基づいて3次元モデルを生成してもよい。
【0054】
ブロック550において、エネルギー調整器は、電磁波を第2のエネルギーレベルに調整する。実施形態において、第2のエネルギーレベルは、治療ビームのエネルギーレベルに対応し得る。
【0055】
ブロック560において、加速器は、第2のエネルギーレベルに基づいてメガボルト(MV)治療ビームを生成する。実施形態において、MV治療ビームは、1~20MVの間のエネルギーレベルを有しすることがある。一部の実施形態では、異なるエネルギーレベルを有する複数の治療ビームが使用されてもよい。
【0056】
実施形態では、ブロック520~560は、治療セッション中に1つまたは複数の撮像ビームと、1つまたは複数の治療ビームとを交互に実行するために繰り返し実行されてもよい。一部の実施形態では、ブロック520~560は、放射線照射システムのガントリの単一回転中に実行されてもよい。実施形態では、ブロック520~560は、ヘリカル再構成の場合には複数の回転中に実行されてもよい。
【0057】
図6は、一部の実施形態に従って、本明細書に記載される動作の1つ以上を実行することができる例示的なコンピューティングデバイス600のブロック図である。
コンピューティングデバイス600は、LAN、イントラネット、エクストラネット、および/またはインターネットにより他のコンピューティングデバイスに接続される場合がある。コンピューティングデバイスは、クライアントサーバネットワーク環境においてはサーバマシンとして、また、ピアツーピア(P2P)ネットワーク環境においてクライアントとして動作することができる。
コンピューティングデバイスは、パーソナルコンピュータ(PC)、セットトップボックス(STB)、サーバ、ネットワークルータ、スイッチ、ブリッジ、またはそのマシンによって実行されるべき動作を指定する一連の命令(シーケンシャルまたはその他)を実行する任意のマシンによって提供されることができる。さらに、単一のコンピューティングデバイスのみが図示されているが、「コンピューティングデバイス」の用語は、本明細書で説明される方法を実行するために命令のセット(または複数のセット)を個別にまたは共同で実行するコンピューティングデバイスの集合体を含むと解釈される。
【0058】
ここに例示されるコンピューティングデバイス600は、処理装置(例:汎用プロセッサ、プログラマブルロジックデバイス(PLD)など)602、主記憶装置604(例:同期ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、読み取り専用メモリ(ROM))、スタティックメモリ606(例:フラッシュメモリおよびデータ記憶装置618)を含む場合があり、これらはバス630を介して互いに通信する場合がある。
【0059】
処理装置602は、マイクロプロセッサ、中央処理装置などの1つ以上の汎用処理装置によって提供される場合がある。具体的な例として、処理装置602は、複合命令セットコンピューティング(CISC)マイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピューティング(RISC)マイクロプロセッサ、超長命令語(VLIW)マイクロプロセッサ、または他の命令セットまたは命令セットの組み合わせを実装するプロセッサからなる場合がある。処理装置602はまた特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ネットワークプロセッサなどの1つ以上の特定用途向け処理装置を含む場合もある。また、処理装置602は、本開示の1つ以上の態様に従って、本明細書で説明される動作およびステップを実行するために構成される場合がある。
【0060】
コンピューティングデバイス600は、さらにネットワーク620と通信可能なネットワークインターフェース装置608を含むことができる。また、コンピューティングデバイス600は、映像表示装置610(例:液晶表示装置(LCD)または陰極線管(CRT))、英数字入力装置612(例:キーボード)、カーソル制御装置614(例:マウス)および音響信号発生装置616(例:スピーカー)を含むことができる。一実施形態では、映像表示装置610、英数字入力装置612およびカーソル制御装置614は、単一のコンポーネントまたは装置(例:液晶タッチパネル)に組み合わされることがある。
【0061】
データ記憶装置618は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体(例:非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体)628を含むことができ、ここには、本開示の1つ以上の態様に従って本明細書に記載された動作を実行するためのエネルギー変調手順625を含む1つ以上の命令集合が格納され得る。
このような命令は、コンピューティングデバイス600によって実行される際に、完全にまたは少なくとも部分的に主記憶装置604および/または処理装置602内に存在することがあり、この場合、主記憶装置604および処理装置602もまたコンピュータ読み取り可能な媒体を構成する。さらに、同命令は、ネットワークインターフェース装置608を介してネットワーク620経由で送信または受信される場合もある。
【0062】
コンピュータ読み取り可能な記憶媒体628は、単一の媒体であることが例示的に示されているが、「コンピュータ読み取り可能な記憶媒体」の用語は、1つ以上の命令集合を記憶する単一の媒体または複数の媒体(例:集中型または分散型データベースおよび/または関連キャッシュおよびサーバ)を含むとみなす必要がある。また、「コンピュータ読み取り可能な記憶媒体」の用語は、マシンによる実行のための集合命令を記憶、符号化(エンコード)または転送することが可能な任意の媒体を含み、これによってマシンに本明細書に記載の方法を実行させることができる。したがって、「コンピュータ読み取り可能な記憶媒体」の用語は、固体メモリ、光学媒体および磁気媒体を含むが、これらに限定されない。
【0063】
本明細書に記載された方法および装置は、医療診断画像処理および治療に使用することに限定されないことに留意すべきである。代替的な実施形態では、本明細書の方法および装置は、産業用画像処理および材料の非破壊検査など、医療技術分野以外の用途に使用することもできる。そのような用途において、例えば、「治療」は、治療計画システムによって制御される操作の実行を一般的に指すことがあり、その操作にはビーム(例:放射線、音響など)の適用が含まれることがある。また、「標的」は、解剖学的な物体や領域ではなく、非解剖学的な物体または領域を指す場合がある。
【0064】
前述した説明では、本発明の実施形態を理解しやすくするために、特定のシステム、コンポーネント、方法などの具体例を複数示しているが、少なくとも本開示の一部の実施形態は、当業者であればこれらの具体例の説明がなくても本発明を実施しうる。
また、公知のコンポーネントや方法はその詳細が省略されるか、単純なブロック図の形式で示されることがあるが、これは本発明の理解を容易にするためである。したがって、開示された内容は単に例示であり、一事例は他の例示と異なる場合があっても、本発明の範囲内に含まれる場合がある。
【0065】
本明細書において「一実施形態」または「実施形態」という表現が使用される場合、それらの実施形態に関連して説明された特定の特徴、構造、または特性が少なくとも一つの実施形態に含まれていることを意味する。したがって、本明細書のいくつかの箇所で「一実施形態において」または「実施形態において」という表現が現れている場合、必ずしも同じ実施形態を示すものではない。
【0066】
ここで説明されている方法の操作は特定の順序で示されているが、各方法の操作の順序は変更されることがあり、特定の操作を逆順で行ってもよいし、少なくとも一部の操作を他の操作と同時に行ってもよい。異なる操作の指示または補助的な操作は、断続的または交互に行うことができる。
【0067】
上記の本発明に関する実施形態の説明は、その抽象的な概念説明を含め本発明をこれらに限定するものではない。本明細書において説明された実施形態や具体例は、本発明の説明の目的で記載されるものであり、本件技術分野における当業者が認識する範囲で種々の同等な変更を行うことができる。
ここで使用される「例」または「例示的」の語は、事例または例示として役立つように使用されている。「例」または「例示的」と説明された態様や造形がどのようなものであっても他の態様や造形に対して優れたものとして解釈されるべきではない。「例」または「例示的」という用語の使用は、概念を具体的な形で示すことを意図している。
本明細書において使用される「または」の用語は、排他的な「または」ではなく、包括的な「または」として解釈されることを意図している。つまり、特に指定されていない限り、あるいは文脈から明らかでない限り、「XはAまたはBを含む」という表現は、自然な包括的な並び替えのいずれかを意味する。つまり、XがAを含む場合、XがBを含む場合、あるいはXがAとBの両方を含む場合、すべての前述の場合において、「X はAまたはBを含む」という条件を満たすものとする。
さらに、本明細書および添付された特許請求の範囲の請求項で使用される冠詞「a」と「an」は、特に指定されていない限り、文脈から単数形であることが明らかでない場合には「1つまたは複数」を意味するものと解釈される。
さらに、明細書において「第1」、「第2」、「第3」、「第4」のような用語が使用される場合、これらの用語は異なる要素を区別するためのラベルとして使用されるもので、数字の指定に従って必ずしも順序を示すものではない。
図1A
図1B
図1C
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
【国際調査報告】