(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】シリコーン発泡体組成物
(51)【国際特許分類】
C08G 59/20 20060101AFI20240719BHJP
C08G 59/68 20060101ALI20240719BHJP
C08L 63/00 20060101ALI20240719BHJP
C08J 9/02 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
C08G59/20
C08G59/68
C08L63/00 Z
C08J9/02 CFH
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501255
(86)(22)【出願日】2022-07-18
(85)【翻訳文提出日】2024-01-10
(86)【国際出願番号】 US2022037412
(87)【国際公開番号】W WO2023003788
(87)【国際公開日】2023-01-26
(32)【優先日】2021-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】ライ、スーチー
(72)【発明者】
【氏名】ヘニング、ジョディ ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ、ヤンフー
(72)【発明者】
【氏名】パタンカール、クシティシュ エイ.
(72)【発明者】
【氏名】ゾンネンシャイン、マーク エフ.
【テーマコード(参考)】
4F074
4J002
4J036
【Fターム(参考)】
4F074AA91
4F074AA92
4F074AA98
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4F074BB10
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4J036FB12
4J036FB16
4J036GA06
4J036GA19
4J036JA07
(57)【要約】
本開示は、発泡シリコーンエラストマーを形成するためのシリコーン発泡体組成物、それから形成されるそれぞれの発泡シリコーンエラストマー、並びにそのような組成物及び発泡シリコーンエラストマーを作製する方法に関する。シリコーンゴム発泡体組成物は、(a)1つ以上のシリコーン樹脂及び/又はシリコーン樹脂中間物から選択される、1分子当たり平均少なくとも2つのケイ素結合アルコキシ基を有する1つ以上の有機ケイ素化合物と、(b)ルイス酸触媒と、(c)1つ以上の界面活性剤と、(d)1分子当たり平均少なくとも2つ、あるいは少なくとも3つのケイ素結合水素基を有する1つ以上のオルガノポリシロキサンポリマーと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーンゴム発泡体組成物であって、以下の成分:-
(a)1つ以上のシリコーン樹脂及び/又はシリコーン樹脂中間物から選択される、1分子当たり平均少なくとも2つのケイ素結合アルコキシ基を有する1つ以上の有機ケイ素化合物と、
(b)ルイス酸触媒と、
(c)1つ以上の界面活性剤と、
(d)1分子当たり平均少なくとも2つ、あるいは少なくとも3つのケイ素結合水素基を有する1つ以上のオルガノポリシロキサンポリマーと、を含む、シリコーンゴム発泡体組成物。
【請求項2】
成分(a)が、三重検出器ゲル浸透クロマトグラフィー及び単一ポリスチレン標準を使用して、ダルトン単位で測定された3000~50,000Daの重量平均分子量を有する、請求項1に記載のシリコーンゴム発泡体組成物。
【請求項3】
成分(a)が、三重検出器ゲル浸透クロマトグラフィー及び単一ポリスチレン標準を使用して、ダルトン単位で測定された300~3,000Daの重量平均分子量を有するシリコーン樹脂である、請求項2に記載のシリコーンゴム発泡体組成物。
【請求項4】
成分(a)が、前記シリコーン樹脂の2~50重量%の量で存在するアルコキシ基を含むシリコーン樹脂である、請求項1~3のいずれか一項に記載のシリコーンゴム発泡体組成物。
【請求項5】
成分(b)が、1つ以上のアリールボラン若しくはハロゲン化ホウ素又はこれらの混合物を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のシリコーンゴム発泡体組成物。
【請求項6】
成分(b)が、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラン、ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(4-(トリフルオロメチル)フェニル)ボラン、ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,4,6-トリフルオロフェニル)ボラン又はこれらの混合物から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載のシリコーンゴム発泡体組成物。
【請求項7】
成分(c)前記1つ以上の界面活性剤が、シリコーンフッ素化界面活性剤又は有機フッ素化界面活性剤であるか、又はそれらを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のシリコーンゴム発泡体組成物。
【請求項8】
物理的発泡剤、硬化阻害剤、又は物理的発泡剤及び硬化阻害剤の両方を更に含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のシリコーンゴム発泡体組成物。
【請求項9】
前記硬化阻害剤が、1つ以上のアリールアミン及び/又はアルキルアミンである、請求項8に記載のシリコーンゴム発泡体組成物。
【請求項10】
トリアリールアミンアニリン、4-メチルアニリン、4-フルオロアニリン、2-クロロ-4-フルオロアニリン、ジフェニルアミン、ジフェニルメチルアミン、トリフェニルアミン、1-ナフチルアミン、2-ナフチルアミン、1-アミノアントラセン、2-アミノアントラセン、9-アミノアントラセン、β-アミノスチレン、1,3,5-ヘキサトリエン-1-アミン、N,N-ジメチル-1,3,5-ヘキサトリエン-1-アミン、3-アミノ-2-プロペナール、4-アミノ-3-ブテン-2-オン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプタラミン、トリオクチルアミン及びトリノニルアミン。ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、トリメチルアミン、トリヘプタラミン、及び/又はこれらの混合物から選択される1つ以上の硬化阻害剤を含む、請求項8又は9に記載のシリコーンゴム発泡体組成物。
【請求項11】
泡安定剤、接着促進剤、染料及び顔料を含む着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、難燃剤、フロー制御添加剤並びに/又は強化及び/若しくは非強化充填剤から選択される1つ以上の追加の添加剤を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のシリコーンゴム発泡体組成物。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物の発泡及び硬化した生成物である、シリコーンゴム発泡体。
【請求項13】
0.8グラム毎立方センチメートル(g/cm
3)未満の密度を有する、請求項12に記載のシリコーンゴム発泡体。
【請求項14】
シリコーンゴム発泡体組成物を作製する方法であって、-
シリコーンゴム発泡体組成物を混合することであって、前記組成物が、
(a)1つ以上のシリコーン樹脂及び/又はシリコーン樹脂中間物から選択される、1分子当たり平均少なくとも2つのケイ素結合アルコキシ基を有する1つ以上の有機ケイ素化合物と、
(b)ルイス酸触媒と、
(c)1つ以上の界面活性剤と、
(d)1分子当たり平均少なくとも2つ、あるいは少なくとも3つのケイ素結合水素基を有する1つ以上のオルガノポリシロキサンポリマーと、を含む、混合することと、
前記組成物が硬化する間に発泡を引き起こすことと、を含む、方法。
【請求項15】
断熱のために、かつ/又は防火ブロックとして、物品を少なくとも部分的に被覆又は封入するための、空間充填用途、自動車用途のための、請求項12又は13に記載のシリコーンゴム発泡体の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発泡シリコーンエラストマーを形成するためのシリコーン発泡体組成物、それから形成されるそれぞれの発泡シリコーンエラストマー、並びにそのような組成物及び発泡シリコーンエラストマーを作製する方法に関する。
【0002】
発泡シリコーンエラストマーは、様々な有益な物理的特性、特に、熱安定性、低燃焼性及び電気抵抗を理由として、ジョイントシーラント、絶縁体及び機械的衝撃吸収材などの広範囲の用途で使用されている。
【0003】
室温加硫(room temperature vulcanization、RTV)シリコーン発泡体は、混合後、硬化プロセス中に、得られた混合物を発泡させる同時ガス発生を伴って硬化するように設計されている二液型組成物としてほとんど排他的に提供される。通常は、生成されるガスは、水素であり、ケイ素結合水素(Si-H)基を有する化合物と、ヒドロキシル官能性成分との間の触媒脱水素縮合反応の生成物である。元々、起こった反応は、スズ触媒で触媒された、平均2つ以上の-OH基を有するシリコーンポリマーと、平均2つ以上のケイ素結合水素(Si-H)基を有するシリコーンポリマーとの間の反応であった。これにより、Si-O-Si結合が形成され、水素ガス(すなわち、化学的発泡剤)が放出されて、発泡が起こった。しかしながら、好ましい触媒のうちのいくつかは望ましくない毒性効果を有すると考えられているため、この方法は一般的ではなくなった。
【0004】
したがって、現用のRTVシリコーン発泡体組成物の大部分は、現在は、組成物のヒドロシリル化硬化プロセス、及び/又はSi-H基を含有する化合物と-OH基を含有する化合物との間の脱水素縮合反応プロセスの両方を触媒する高価な白金族金属系触媒、主として白金系触媒を利用して調製され、また水素ガスを発生させ、その結果、組成物を発泡させる手段として使用されている。
【0005】
この白金族硬化プロセスは、良好に機能するが、欠点が残っている。白金族触媒は高価であり、そのような触媒によって硬化された材料は、経時的に変色及びコロイド状白金粒子の形成に悩まされる可能性がある。そのような触媒は、窒素及び硫黄含有複素環のような不純物の存在下で被毒する場合があるため、更なる問題を有する可能性がある。
【0006】
更に、発泡プロセスにおける可燃性水素ガスへの継続的な依存は、例えば、スパーク及び/又は高熱が存在する環境における爆発下限(lower explosion limit、LEL)と爆発上限(upper explosion limit、UEL)との間の濃度での水素ガスの存在が潜在的に危険であるため、ユーザにとって潜在的な安全上の懸念を引き起こす。
【0007】
シリコーン発泡体を発生させるための代替経路を特定するために努力されてきた。例えば、John.B Grande et al.in Polymer 53(2012)p.3135-3142において、Si-H末端ポリジメチルシロキサンを、オルガノボラン触媒であるトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(B(C6F5)3)を用いて触媒されるテトラエチルオルトシリケートなどのアルコキシシラン架橋剤と反応させることによって、Pierse-Rubinsztajn反応によるシリコーン発泡体を発生させることを報告した。アルカンガスを、発生させ、水素の代わりに発泡剤として利用した。より最近では、国際公開第2020/028299号は、水素を発生させる化学的発泡剤の代替としての物理的発泡剤の使用に実質的に基づく方法を記載している。しかしながら、国際公開第2020/028299号は、組成物を硬化させるための高価で潜在的に問題のある白金触媒に依然として依存している。
【0008】
前述のことを考慮して、発泡シリコーンエラストマーを形成するための改良された組成物を提供する機会が残されている。改良された発泡シリコーンエラストマー、並びにそのような組成物及び発泡体を形成する改良された方法を提供する機会も残されている。
【0009】
シリコーンゴム発泡体組成物であって、
(a)1つ以上のシリコーン樹脂及び/又はシリコーン樹脂中間物から選択される、1分子当たり平均少なくとも2つのケイ素結合アルコキシ基を有する1つ以上の有機ケイ素化合物と、
(b)ルイス酸触媒と、
(c)1つ以上の界面活性剤と、
(d)1分子当たり平均少なくとも2つ、あるいは少なくとも3つのケイ素結合水素基を有する1つ以上のオルガノポリシロキサンポリマーと、を含む、シリコーンゴム発泡体組成物が提供される。
【0010】
また、上記組成物の発泡及び硬化した生成物である、シリコーンゴム発泡体も提供される。
【0011】
また、シリコーンゴム発泡体組成物を作製する方法であって、-
シリコーンゴム発泡体組成物を混合することであって、組成物が、
(a)1つ以上のシリコーン樹脂及び/又はシリコーン樹脂中間物から選択される、1分子当たり平均少なくとも2つのケイ素結合アルコキシ基を有する1つ以上の有機ケイ素化合物と
(b)ルイス酸触媒と、
(c)1つ以上の界面活性剤と、
(d)1分子当たり平均少なくとも2つ、あるいは少なくとも3つのケイ素結合水素基を有する1つ以上のオルガノポリシロキサンポリマーと、を含む、混合することと、
組成物が硬化する間に発泡を引き起こすことと、を含む、方法も提供される。
【0012】
上記組成物に界面活性剤を添加すると、はるかに良好な気泡構造を有するそのような組成物を用いて調製された発泡体が得られることが見出された。アルカンが化学的発泡剤として発生されるという事実は、アルカンの爆発限界がより狭いため、発泡剤として以前好まれていた水素ガスを使用する場合よりも、発泡体の発生がより安全であることを意味している。更に、上で考察したように、本発明の組成物は、高価な白金系触媒及びヒドロシリル化硬化プロセスの使用に依存せず、これによりコストが削減されるが、経時的なコロイド状白金粒子の変色及び形成も回避される。更に、使用される触媒は、白金触媒とは異なり、窒素及び硫黄含有複素環などの不純物の存在下で被毒しないようである。
【0013】
成分(a):1つ以上のシリコーン樹脂及び/又はシリコーン樹脂中間物から選択される、1分子当たり平均少なくとも2つのケイ素結合アルコキシ基を有する1つ以上の有機ケイ素化合物。
【0014】
1分子当たり平均少なくとも2つのケイ素結合アルコキシ基を有する1つ以上の有機ケイ素化合物(a)が、シリコーン樹脂である場合、シリコーン樹脂は、1分子当たり平均少なくとも2つのケイ素結合アルコキシ基と一緒の三次元ネットワーク分子構造を確実にするために複数のT及び/又はQ単位を含むという条件で、M、D、T及び/又はQシロキシ単位の任意の好適な組み合わせを含み得る。オルガノポリシロキサンは、複数のシロキサン連結を含有し、ポリシロキサンを構成するシロキシ(SiO)基を特徴とすることができる。シロキシ基は、M型、D型、T型、又はQ型である。M型シロキシ基は、シロキシ基に連結した別の原子と共有される酸素原子に加えて、ケイ素原子に結合した3つの基が存在する≡SiO1/2として記載することができる。D型シロキシ基は、シロキシ基に結合した他の原子と共有される2つの酸素原子に加えて、ケイ素原子に連結した2つの基が存在する=SiO2/2として記載することができる。T型シロキシ基は、シロキシ基に連結した他の原子と共有される3つの酸素原子に加えて、
1つの基がケイ素原子に結合している-SiO3/2として記載することができる。Q型シロキシ基は、ケイ素原子が、シロキシ基に連結した他の原子と共有される4つの酸素原子に結合しているSiO4/2として記載することができる。
【0015】
誤解を避けるために、成分(a)のシリコーン樹脂には、しばしば「シリコーン樹脂中間物」又は「シリコーンオリゴマー」(以下、シリコーン樹脂中間物と呼ぶ)と呼ばれる樹脂も含まれる。これらは、その分子がオリゴマーの三次元ネットワーク構造を有する比較的低分子量のシリコーン樹脂である。それらは、単独で樹脂として使用してもよいが、有機樹脂改質剤として使用してもよい。
【0016】
好ましくは、シリコーン樹脂は、室温で液体である。具体的な実施形態では、T単位のみを含むオルガノポリシロキサン、T単位を他のシロキシ単位(例えば、M、D、及び/又はQシロキシ単位)と組み合わせて含むオルガノポリシロキサン、又はQ単位を他のシロキシ単位(すなわち、M、D、及び/又はTシロキシ単位)と組み合わせて含むオルガノポリシロキサンによって例示され得、但し、シリコーン樹脂は、樹脂が1分子当たり平均少なくとも2つのケイ素結合アルコキシ基を有する。
【0017】
例えば、樹脂が、1分子当たり平均少なくとも2つのケイ素結合アルコキシ基を有するという条件で、樹脂は、式:
【化1】
(式中、各R
5は、同じでも異なっていてもよく、炭素数1~20個の置換若しくは非置換の一価炭化水素基、例えば、アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ヘキシル、オクチル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、及びオクタデシルであるか、又は炭素数6~20個を有する芳香族基、例えば、ベンジル、ナフチル及びフェニルエチル基、若しくはアルケニル基、例えば、ビニル、プロペニル、n-ブテニル、t-ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、オクテニルなどであり、各f’’は、0~3である)の複数の基から実質的に形成され得る。樹脂がT樹脂である場合、ほとんどの基は、f’’は1として有し、樹脂がMQ樹脂である場合、先に考察したように、f’’は、0(Q基)又は3(M基)である基を主として含む。
【0018】
上記オルガノポリシロキサンの平均式は、あるいは
【化2】
であってもよく、
式中、R
5は、上で定義したとおりであり、Zは、H又は1~20個の炭素原子のアルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、ヘキシル、オクチル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、及びオクタデシルであり、あるいは、各Zは、1~6個の炭素を有するアルキル基である。下付き文字s、x、y、及びzは、s+x+y+z=1となるモル分率である。したがって、下付き文字wは、0.1~1.5、あるいは0.1~1.1の範囲の値であり、それは、2つ以上のZO
1/2が、T単位又はQ単位のいずれかに結合することができ、下付き文字s、x、y、及びzは、s+x+y+z=1であるという条件で、独立して、0以上(≧)~1以下(≦)であるためである。下付き文字xは、0~0.5、あるいは0~0.1の範囲から選択される値であり、yは、0~1の範囲から選択される値であり、下付き文字sは、0~0.6の範囲から選択される値であり、下付き文字zは、0~0.6の範囲から選択される値である。誤解を避けるために、ZO
1/2単位は、各場合において、酸素連結を介してR
5
2SiO
2/2(D)、R
5SiO
3/2(T)及び/又はSiO
4/2(Q)基のうちの1つ以上に結びついていてもよく、1分子当たり平均2つのそのような連結が存在していなければならない。典型的には、最大1つのみのZO
1/2単位が、(R
5
2SiO
2/2)基と結合している。好ましくは、全てではないにしてもほとんどのアルコキシ基は、硬化/発泡プロセスに関与することができるように、立体的に障害されていない。
【0019】
29Si、13C及び1H核磁気共鳴スペクトル法を使用して、下付き文字s、w、x、y、及びz の値を決定し得る(例えば、The Analytical Chemistry of Silicones,Smith,A.Lee,ed.,John Wiley&Sons:New York,1991,p.347ff.を参照されたい)。
【0020】
上に示したように、成分(a)のシリコーン樹脂は、(ZO1/2)、(R5
3SiO1/2)、(R5
2SiO2/2)、(R5SiO3/2)及び(SiO4/2)基の任意の好適な組み合わせ、例えば、T型樹脂(下付き文字zが0であり、下付き文字yが>0である上記のもの)又はQ型樹脂(下付き文字yが0であり、下付き文字zが>0である上記のもの)を含み得る。各場合も一緒になって、樹脂は、M(R5
3SiO1/2)及び/又はD単位を有するQ及びT単位のいずれか又は両方を含む可能性が最も高く、ここで、各R5は、上記のとおりであるが、好ましくはフェニル基又は1~6個の炭素を有するアルキル基であり、例えば、各R5は、メチル、エチル及びフェニル基から選択されるが、シリコーン樹脂は、複数のアルコキシ基を更に含有するT型樹脂である。例えば、T樹脂は、以下の単位の選択を含み得る:
1分子当たり少なくとも2つの(ZO1/2)基を有する、(PhSiO3/2)、(アルキルSiO3/2)、(アルキルPhSiO2/2)、(アルキル2SiO2/2)、(Ph2SiO2/2)。
【0021】
典型的には、上記の各アルキル基及び存在する各Zは、メチル又はエチル基、あるいはメチル基である。一実施形態では、成分(a)中のシリコーン樹脂の最大20重量%は、アルコキシ基を含んでもよく、あるいは成分(a)中のシリコーン樹脂の5~20重量%が、アルコキシ基、典型的にはメトキシ基を含んでもよい。
【0022】
典型的には、シリコーン樹脂は、少なくとも3,000の重量平均分子量を有するが、本明細書の成分(a)は、分子がオリゴマー三次元ネットワーク構造を有する比較的低分子量のシリコーン樹脂である前述のシリコーン樹脂中間物を含み得る。これらのシリコーン樹脂中間物は、単独で樹脂として使用してもよいが、有機樹脂改質剤として使用してもよい。典型的には、それらは、約200~3000Da、あるいは約300~3000Daの重量平均分子量を有する。したがって、成分(a)のシリコーン樹脂は、1分子当たり平均少なくとも2つのケイ素結合アルコキシ基を有し、かつ200~3000Da、あるいは300~3000Da、あるいは300~2500Da、あるいは300~2000Daの重量平均分子量を有する1つ以上のシリコーン樹脂中間物であり得る。
【0023】
あるいは、成分(a)のシリコーン樹脂は、少なくとも3,000の重量平均分子量を有し得、本明細書の成分(a)は、3,000以上、4,000以上、6,000以上、8,000以上、10,000以上、12,000以上、14,000以上、16,000以上、18,000以上、20,000以上の重量平均分子量を有し得、同時に望ましくは、50,000以下、48,000以下、46,000以下、44,000以下、42,000以下、40,000以下、38,000以下、36,000以下、34,000以下、32,000以下、30,000以下、28,000以下、26,000以下、25,000以下、又は更には24,000以下の重量平均分子量を有し得る。したがって、本明細書で定義される成分(a)は、300~50,000Daの重量平均分子量を有し得る。本明細書で測定される重量平均分子量は、トリプル検出器ゲル浸透クロマトグラフィー(光散乱、屈折率及び粘度検出器)及び単一のポリスチレン標準を使用して、ダルトン単位で測定され得る。
【0024】
好適なシリコーン樹脂は、米国特許第2676182号、同第3627851号、同第3772247号、同第8017712号及び同第5548053号に教示された合成方法によって得ることができ、それら特許の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0025】
典型的には、1つ以上のシリコーン樹脂及び/又はシリコーン樹脂中間物(a)から選択される、一分子当たり平均少なくとも2つのケイ素結合アルコキシ基を有する1つ以上の1つ以上の有機ケイ素化合物の濃度は、組成物の2~50重量パーセント(重量%)、あるいは組成物の2~45重量%、あるいは組成物の3~40重量%である。
【0026】
成分(b):ルイス酸触媒
ルイス酸触媒(b)は、望ましくは、アルミニウムアルキル、アルミニウムアリール、トリアリールボラン(置換アリール及びトリアリールボラン、例えば、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを含む)を含むアリールボラン、ハロゲン化ホウ素、ハロゲン化アルミニウム、ガリウムアルキル、ガリウムアリール、ハロゲン化ガリウム、シリリウムカチオン及びホスホニウムカチオンからなる群から選択される。好適なアルミニウムアルキルの例としては、トリメチルアルミニウム及びトリエチルアルミニウムが挙げられる。好適なアルミニウムアリールの例としては、トリフェニルアルミニウム及びトリス(ペンタフルオロフェニル)アルミニウムが挙げられる。トリアリールボランの例としては、以下の式を有するものが挙げられる:
【化3】
式中、上記構造(1)中の各Rは、各々の場合において、独立して、H、F、Cl及びCF
3から選択され、市販の例は、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(B(C
6F
5)
3)である。好適なハロゲン化ホウ素の例としては、(CH
3CH
2)
2BCl及びボロントリフルオリドが挙げられる。好適なハロゲン化アルミニウムの例としては、三塩化アルミニウムが挙げられる。好適なガリウムアルキルの例としては、トリメチルガリウムが挙げられる。好適なガリウムアリールの例としては、テトラフェニルガリウムが挙げられる。好適なハロゲン化ガリウムの例としては、トリクロロガリウムが挙げられる。好適なシリリウムカチオンの例としては、(CH
3CH
2)
3Si
+X
-及びPh
3Si
+X
-が挙げられる。好適なホスホニウムカチオンの例としては、F-P(C
6F
5)
3
+X
-が挙げられる。好ましくは、ルイス酸触媒(b)は、アリールボラン、トリアリールボランを含むアリールボラン(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランなどの置換アリール及びトリアリールボランを含む)及び/又はハロゲン化ホウ素から選択される。特に、ルイス酸触媒(b)は、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(B(C
6F
53)、トリス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラン,ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(4-(トリフルオロメチル)フェニル)ボラン、ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,4,6-トリフルオロフェニル)ボラン及び/又はこれらの混合物から選択される。
【0027】
ルイス酸触媒(b)は、典型的には、組成物中の他の配合成分/成分の総重量に対して、各場合において、10重量百万分率(ppm)以上、50ppm以上、150ppm以上、200ppm以上、250ppm以上、300ppm以上、350ppm以上400ppm以上、450ppm以上、500ppm以上、550ppm以上、600ppm以上、700ppm以上、750ppm以上、1000ppm以上、1500ppm以上、2000ppm以上、4000ppm以上、5000ppm以上、更には7500ppm以上であるが、同時に、典型的には10,000以下、7500ppm以下、5000ppm以下、1500ppm以下、1000ppm以下、又は750ppm以下の濃度で組成物中に存在する。
【0028】
必要量の触媒は、トルエン及び/又はテトラヒドロフラン(THF)などの好適な有機溶媒中に溶解させることによって調製することができ、次いで、当該溶液中の組成物に送達される。選択された溶媒は、好ましくは、硬化プロセス中又はその後に組成物から蒸発させる。
【0029】
成分(c):1つ以上の界面活性剤
任意の好適な界面活性剤を、本明細書の組成物では利用され得る。1つ以上の界面活性剤(c)は、1つ以上のアニオン性、非イオン性、両性及び/又はカチオン性界面活性剤、並びにこれらの混合物を含み得る。
【0030】
好適な界面活性剤(時には「発泡助剤」と呼ばれる)としては、シリコーンポリエーテル、エチレンオキシドポリマー、プロピレンオキシドポリマー、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのコポリマー、及びこれらの組み合わせが挙げられる。所望であれば、組成物は、有機又はケイ素含有であり得るフッ素化界面活性剤、例えば、過フッ素化ポリエーテル、すなわち、下式:
【化4】
の繰り返し単位を有するもの、及びそのような単位の混合物を有するものを含む。
【0031】
あるいは、フッ素化界面活性剤は、ケイ素含有フッ素化界面活性剤、例えば、結合されたフッ素を有する有機ラジカルを含有するオルガノポリシロキサン、例えば、下式の繰り返し単位を有するシロキサンであり得る:
【化5】
の繰り返し単位を有するシロキサンなどであり得る。
【0032】
本明細書の組成物へのフッ素化界面活性剤の添加は、硬化発泡体密度を減少させるために利用され得る。概して、組成物中のフッ素化界面活性剤の量を増加させると、発泡体の密度が減少する。これは、ネットワークが形成されて硬化する間に、界面活性剤が気泡を安定させる低速硬化システムに特に当てはまる。
【0033】
アニオン性界面活性剤としては、アルカリ金属アルキルサルフェート、ラウリル硫酸ナトリウム;脂肪アルコールエーテルサルフェート(fatty alcohol ether sulfate、FAES);アルキルフェノールエーテルサルフェート(alkyl phenol ether sulfate、APES)カルボン酸、リン酸及びスルホン酸並びにこれらの塩誘導体;アルキルカルボキシレート;アシルラクチレート;アルキルエーテルカルボキシレート;n-アシルサルコシネート;n-アシルグルタメート;脂肪酸-ポリペプチド縮合物;アルカリ金属スルホリシネート、脂肪酸のスルホン化グリセロールエステル、例えばヤシ油酸のスルホン化モノグリセリド;一価スルホン化アルコールエステルの塩、例えばナトリウムオレイルイセチオネート;アミノスルホン酸のアミド、例えばオレイルメチルタウリドのナトリウム塩;脂肪酸ニトリルのスルホン化生成物、例えばパルミトニトリルスルホネート;スルホン化芳香族炭化水素、例えばナトリウムα-ナフタレンモノスルホネート;ナフタレンスルホン酸のホルムアルデヒドとの縮合生成物;オクタヒドロアントラセンスルホン酸ナトリウム、8個以上の炭素原子のアルキル基を有するエーテルサルフェート;8個以上の炭素原子のアルキル基を1つ以上有するアルキルアリールスルホネート。ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ジフェニルスルホネート誘導体、例えば、ドデシルジフェニルオキシドジスルホン酸ナトリウム、及び
tert-オクチルフェノキシエトキシポリ(39)エトキシエチルサルフェートのナトリウム塩が挙げられる。
【0034】
市販されており、本明細書で有用なアニオン性界面活性剤としては、POLYSTEP(商標)A4、A7、A11、A15、A15-30K、A16、A16-22、A18、A13、A17、B1、B3、B5、B11、B12、B19、B20、B22、B23、B24、B25、B27、B29、C-OP3S;ALPHA-STEP(商標)ML40、MC48;STEPANOL(商標)MG;全てSTEPAN CO.,Chicago,ILによって製造されている;HOECHST CELANESEによって製造されたHOSTAPUR(商標)SAS;W.R.GRACE&CO.、Lexington,MAによって製造されたHAMPOSYL(商標)C30及びL30が挙げられる。
【0035】
非イオン性界面活性剤としては、ポリエトキシレート、例えば、エトキシ化アルキルポリエチレングリコールエーテル;ポリオキシアルキレンアルキルエーテル;ポリオキシアルキレンソルビタンエステル;ポリオキシアルキレンエステル;ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、エトキシ化アミド;エトキシル化アルコール;エトキシル化エステル;ポリソルベートエステル;ポリオキシプロピレン化合物、例えば、プロポキシル化アルコール;エトキシル化/プロポキシル化ブロックポリマー及びプロポキシル化エステル;アルカノールアミド;アミンオキシド;多価アルコールの脂肪酸エステル、例えば、エチレングリコールエステル、ジエチレングリコールエステル、プロピレングリコールエステル、グリセリルエステル、ポリグリセリル脂肪酸エステル、ソルビタンエステル、スクロースエステル及びグルコースエステルが挙げられるが、これらに限定されない。市販の非イオン性界面活性剤としては、例えば、The Dow Chemical Company(Midland,Michigan)によって製造されたTERGITOL(商標)TMN-6、TERGITOL(商標)15S40、TERGITOL(商標)15S9、TERGITOL(商標)15S12、TERGITOL(商標)15S15及びTERGITOL(商標)15S20、並びにTRITON(商標)X405;Croda(UK)によって製造されたBRIJ(商標)30及びBRIJ(商標)35;STEPAN COMPANY(Chicago,IL)によって製造されたMAKON(商標)10;及びAkzo Nobel Surfactants(Chicago,IL)によって製造されたETHOMID(商標)O/17が挙げられる。
【0036】
両性界面活性剤としては、グリシネート、ベタイン、スルタイン及びアルキルアミノプロピオネートが挙げられる。これらには、ココアンフォグリシネート、ココアンフォカルボキシグリシネート、ココアミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン、ココアミドプロピルヒドロキシスルタイン、ラウリルスルタイン及びココアンフォジプロピオネートが含まれる。
【0037】
市販されている本明細書で有用な両性界面活性剤としては、例として、SHEREX CHEMICAL CO.(Dublin,OH)によって製造されたREWOTERIC(商標)AM TEG、AM DLM-35、AM B14 LS、AM CAS及びAM LPが挙げられる。
【0038】
カチオン性界面活性剤としては、脂肪族脂肪アミン及びそれらの誘導体、例えば、ドデシルアミンアセテート、オクタデシルアミンアセテート、及びタロー脂肪酸のアミンのアセテート;
脂肪鎖を有する芳香族アミンの同族体、例えばドデシルアナリン;脂肪族ジアミンから誘導された脂肪アミド、例えば、ウンデシルイミダゾリン;二置換アミンから誘導された脂肪アミド、例えばオレイルアミノジエチルアミン;エチレンジアミンの誘導体;
四級アンモニウム化合物、例えば、タロートリメチルアンモニウムクロリド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジドデシルジメチルアンモニウムクロリド、及びジヘキサデシルジメチルアンモニウムクロリド;アミノアルコールのアミド誘導体、例えばβ-ヒドロキシエチルステアリルアミド;長鎖脂肪酸のアミン塩;二置換ジアミンの脂肪アミドから誘導された四級アンモニウム塩基、例えば、オレイルベンジルアミノエチレンジエチルアミン塩酸塩;ベンゾイミダゾリンの四級アンモニウム塩基、例えばメチルヘプタデシルベンゾイミダゾール臭化水素塩;ピリジニウム及びその誘導体の塩基性化合物、例えばセチルピリジニウムクロリド;スルホニウム化合物、例えばオクタデシルスルホニウムメチルサルフェート;ベタインの四級アンモニウム化合物、例えばジエチルアミノ酢酸及びオクタデシルクロロメチルエーテルのベタイン化合物;エチレンジアミンのウレタン、例えばステアリン酸とジエチレントリアミンとの縮合生成物;ポリエチレンジアミン及びポリプロパノールポリエタノールアミンが挙げられる。
【0039】
市販されている本明細書で有用なカチオン性界面活性剤としては、例として、ARQUAD(商標)T27W、ARQUAD(商標)16-29、ARQUAD(商標)C-33、ARQUAD(商標)T50、ETHOQUAD(商標)T/13 ACETATEが挙げられ、これらは全てAkzo Nobel Surfactants(Chicago,IL)によって製造されたものである。
【0040】
1つ以上の界面活性剤(c)は、通常は、組成物の0.1重量%~15重量%、あるいは0.1重量%~11重量%のレベルで本明細書の組成物中に存在する。
【0041】
成分(d):1分子当たり平均少なくとも2つ、あるいは少なくとも3つのケイ素結合水素基を含む化合物
本明細書の組成物はまた、成分(d)、すなわち、1分子当たり平均少なくとも2つ、あるいは少なくとも3つのケイ素結合水素基を含む化合物も含み、その化合物は、組成物が硬化する際に化学的発泡剤を作り出すために利用される。この場合、成分(d)は、成分(b)ルイス酸触媒によって触媒されて、成分(a)のアルコキシ基と反応して、Si-0-Si結合と、化学的発泡剤として機能するアルカン副生成物とを生成する(すなわち、≡Si-H+RO-Si≡→≡Si-O-Si≡+RH)少なくとも1つのケイ素結合水素基(Si-H)基を有する、平均少なくとも2つ、あるいは少なくとも3つのケイ素結合水素基を含む。
【0042】
硬化及び発泡プロセスが室温又はほぼ室温で行われるように設計される場合、成分(a)中のアルコキシ基は、好ましくは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ及び/又はブトキシ基であり、その結果、上記の反応が行われる場合、室温で気体であるアルカンが生成され、したがって、組成物が硬化するときに発泡体を作り出す化学的発泡剤として機能する。しかしながら、反応プロセスが、別の例えば高温で開始するように設計される場合、生成されるアルカンが所望の硬化温度又はその付近でガス状になるように代替のアルコキシ基が選択され得る。
【0043】
1分子当たり平均少なくとも2つ、あるいは少なくとも3つのケイ素結合水素基を含む各化合物(d)は、1つ、好ましくは2つ以上のSi-H結合を含有する。Si-H結合は、典型的には、ポリシラン(複数のSi-H結合を含有する分子)又はポリシロキサンの一部である。複数のSi-H結合を含有する成分(d)化合物は、上記の反応を介して複数のメトキシ基と反応することができるため、化学的発泡剤の発生に関与するだけでなく、本明細書の組成物における架橋剤として望ましい。
【0044】
1分子当たり平均少なくとも2つ、あるいは少なくとも3つのケイ素結合水素基を含む化合物(d)は、ポリマーであることができる。1分子当たり平均少なくとも2つ、あるいは少なくとも3つのケイ素結合水素基を含む化合物(d)は、直鎖状及び/又は分岐鎖状であることができ、ポリシラン、ポリシロキサン、又はポリシランとポリシロキサンとの組み合わせであることができる。望ましくは、1分子当たり平均少なくとも2つ、あるいは少なくとも3つのケイ素結合水素基を含む化合物(d)は、2つ以上のSi-H結合を有するポリシロキサン分子であり、その場合、各Si-H結合は、M型又はD型シロキサン単位のケイ素原子上にある。ポリシロキサンは、直鎖状であってもよく、M型及びD型単位のみを含んでもよい。あるいは、ポリシロキサンは、分枝状であってもよく、T(-SiO3/2)型及び/又はQ(SiO4/2)型単位を含有してもよい。
【0045】
一分子当たり平均少なくとも2つ、あるいは少なくとも3つのケイ素結合水素基を含む好適な化合物(d)の例としては、ペンタメチルジシロキサン、ビス(トリメチルシロキシ)メチル-シラン、テトラメチルジシロキサン、テトラメチルシクロテトラシロキサン、DH含有ポリ(ジメチルシロキサン)、例えば、Dow Silicones Corporationからの、25℃で30mPa.sの粘度を有するDOWSIL(商標)MH 1107 Fluid、及びSi-Hジメチル末端ポリ(ジメチルシロキサン)、例えば、DMS-HM15、DMS-H03、DMS-H25、DMS-H31、及びDMS-H41の商標で、Gelestから市販されているものが挙げられる。
【0046】
存在する場合、1分子当たり平均少なくとも2つ、あるいは少なくとも3つのケイ素結合水素基を含む化合物(d)の濃度は、典型的には、0.2以上(≧):1、あるいは0.2:1~5:1、あるいは0.5:1~5:1、あるいは0.5:1~4.5:1、あるいは0.5:1~4.0:1、あるいは0.5:1~3.5:1、あるいは0.5:1~3.0:1、あるいは0.5:1~2.5:1、あるいは0.7:1~2.0:1、又はあるいは1.0:1~2であり、Si-H基対アルコキシ基のモル比を提供するのに十分である。
【0047】
成分(a)又は成分(d)のいずれかは、反応において架橋剤として役立つことができる。架橋剤は、1分子中に少なくとも2つの反応性基を有し、これらの反応性基を介して2つの異なる分子と反応して、それらの分子を一緒に架橋する。架橋剤中の反応性基間の直鎖の長さを増加させることは、得られた架橋物の可撓性を増加させる傾向がある。対照的に、架橋剤中の反応性基間の直鎖の長さを短くすることは、得られた架橋物の可撓性を低減させる傾向がある。一般に、より高い可撓性の架橋物を得るためには、直鎖状架橋剤が所望され、反応性部位間の長さは、所望の可撓性を得るように選択される。より低い可撓性の架橋物を得るためには、架橋分子間の可撓性を低減させるのにより短い直鎖状架橋剤又は更には分枝状架橋剤が所望される。
【0048】
典型的には、成分(d)は、組成物において、組成物の重量に基づいて、5重量%~90重量%の量で存在する。上記モル比を満たすためには、広い範囲が必要である。成分(d)が、例えば、1分子当たり平均2つをはるかに超えるSi-H基を有する分子である場合、組成物は、例えば、組成物の重量に基づいて、5重量%~50重量%、あるいは5重量%~35重量%、あるいは5重量%~20重量%の量で、成分(d)を含み得る。しかしながら、例えば、Si-Hジメチル末端ポリジメチルシロキサンが利用される場合には、そのような化合物は、1分子当たり平均2つのSi-H基のみを有し、上記のモル比を満たすためには、有意により多くの成分(d)が、例えば、40重量%~90重量%、あるいは40重量%~85重量%、あるいは50重量%~85重量%の成分(d)が、必要である。上記の混合物は、上で考察したモル比を満たすために利用される成分(d)分子の異なる量に応じて好適な量で存在する必要がある。
【0049】
本明細書の組成物は、任意選択的に、物理的発泡剤、硬化阻害剤、又は物理的発泡剤及び硬化阻害剤の両方を含み得る。
【0050】
物理的発泡剤
本明細書の組成物から調製される発泡体は、排他的ではないとしても、主に、化学的手段、すなわち、上記のようなガス状アルカンの発生によって発生されるが、所望であれば、本明細書の組成物は、任意選択的に、物理的発泡剤も含み得る。
【0051】
本明細書の発泡体が部分的に物理的に発泡されるとき、発泡体の形成をもたらすガスのための追加の供給源として、1つ以上の物理的発泡剤が提供される。物理的発泡剤は、大気圧、及び10℃以上(≧)、あるいは≧20℃、あるいは≧30℃、あるいは≧40℃、あるいは≧50℃、あるいは≧60℃、あるいは≧70℃、あるいは≧80℃、あるいは≧90℃、あるいは≧100℃の温度への曝露中に、液体から気体状態への相変化を受ける。沸点温度は、一般的に、特定の種類の物理的発泡剤に左右される。
【0052】
利用される物理的発泡剤の量は、所望の結果に応じて変化させることができる。例えば、物理的発泡剤の量は、最終的な発泡体密度及び発泡体上昇プロファイルを調整するために変えることができる。
【0053】
必要に応じて利用され得る有用な物理的発泡剤としては、液体形態での、炭化水素、例えば、ペンタン、ヘキサン、ハロゲン化、より具体的には塩素化及び/又はフッ素化炭化水素、例えば、ジクロロメタン(塩化メチレン)、トリクロロメタン(クロロホルム)、トリクロロエタン、クロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、エーテル、ケトン、及びエステル、例えば、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル又は酢酸エチル、又はガスとしての、空気、窒素若しくは二酸化炭素が挙げられる。ある特定の実施形態では、存在する場合、物理的発泡剤は、プロパン、ブタン、イソブタン、イソブテン、イソペンタン、ジメチルエーテル、又はこれらの混合物からなる群から選択される化合物を含む。多くの実施形態では、発泡剤は、不活性な化合物を含む。これら及び他の好適な物理的発泡剤は、米国特許第号5283003(A)号、同第6476080(B2)号、同第6599946(B2)号、欧州特許第3135304(A1)号、及び国際公開第2018095760(A1)号に記載されており、これらの特許は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0054】
様々な実施形態では、物理的発泡剤は、存在する場合、ヒドロフルオロカーボン(hydrofluorocarbon、HFC)を含む。「ヒドロフルオロカーボン」及び「HFC」は互換性のある用語であり、水素、炭素、及びフッ素を含有する有機化合物を指している。その化合物は、フッ素以外のハロゲンを実質的に含まない。
【0055】
好適なHFCの例としては、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(HFC-365mfc)、1-フルオロブタン、ノナフルオロシクロペンタン、ペルフルオロ-2-メチルブタン、1-フルオロヘキサン、ペルフルオロ-2,3-ジメチルブタン、ペルフルオロ-1,2-ジメチルシクロブタン、ペルフルオロヘキサン、ペルフルオロイソヘキサン、ペルフルオロシクロヘキサン、ペルフルオロヘプタン、ペルフルオロエチルシクロヘキサン、ペルフルオロ-1,3-ジメチルシクロヘキサン、及びペルフルオロオクタン;並びに芳香族化合物、例えば、フルオロベンゼン、1,2-ジフルオロベンゼン;1,4-ジフルオロベンゼン、1,3-ジフルオロベンゼン;1,3,5-トリフルオロベンゼン;1,2,4,5-テトラフルオロベンゼン、1,2,3,5-テトラフルオロベンゼン、1,2,3,4-テトラフルオロベンゼン、ペンタフルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、及び1-フルオロ-3-(トリフルオロメチル)ベンゼンが挙げられる。ある特定の実施形態では、HFC-365mfc及びHFC-245faは、それらの増加した利用可能性及び使いやすさのために好ましい場合があり、HFC-365mfcは、ある特定の用途で有用であり得るHFC-245faよりも高い沸点を有する。例えば、HFC-365mfcなどの沸点が30℃を超えるHFCは、発泡体処理中に液化を必要としないため、望ましい場合がある。特定の実施形態では、存在する場合、物理的発泡剤は、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa)を含み得るか、又はそれからなり得る。
【0056】
利用される物理的発泡剤の量は、所望の結果に応じて変化させることができる。例えば、物理的発泡剤の量は、最終的な発泡体密度及び発泡体上昇プロファイルを調整するために変えることができる。
【0057】
硬化阻害剤
組成物はまた、ルイス酸触媒(b)と複合体を形成して、所望の温度範囲にわたって、本組成物において、その触媒活性を阻害することができるが、組成物を急速に(10分以内、好ましくは5分以内、より好ましくは2分以内)硬化させることができるように、その範囲より上の所望の温度でルイス酸から解離する好適な硬化阻害剤、例えば、好適なアミン化合物も含み得る。硬化阻害剤が、ルイス酸触媒(b)と複合体を形成し、硬化を阻害するように設計される温度範囲は、発泡体製品の意図される用途によって決まる。存在する場合、硬化阻害剤は、それに応じて選択される。
【0058】
任意の好適なアミンは、存在する場合、硬化阻害剤として利用され得る。例えば、硬化阻害剤としては、アリールアミン、例えば、トリアリールアミン、アニリン、4-メチルアニリン、4-フルオロアニリン、2-クロロ-4-フルオロアニリン、ジフェニルアミン、ジ(n-ブチル)アニリン、ジフェニルメチルアミン、トリフェニルアミン、1-ナフチルアミン、2-ナフチルアミン、1-アミノアントラセン、2-アミノアントラセン、9-アミノアントラセン、β-アミノスチレン、1,3,5-ヘキサトリエン-1-アミン、N,N-ジメチル-1,3,5-ヘキサトリエン-1-アミン、3-アミノ-2-プロペナール及び4-アミノ-3-ブテン-2-オンが挙げられ得るが、これらに限定されない。硬化阻害剤は、追加的又は代替的に、1つ以上のアルキルアミン、例えば、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプタラミン、トリオクチルアミン及びトリノニルアミン及び/又はこれらの混合物を含み得る。
【0059】
存在する場合、使用される阻害剤の選択は、意図する硬化温度に依存する可能性があり、典型的には、例えば、100℃未満の低温硬化組成物にはアリールアミンを使用することが好ましく、一方、アリールアミン及び/又はアルキルアミンのいずれかは、より高い温度(例えば、約150℃を超える温度)での硬化が意図される場合に、組成物に使用され得る。
【0060】
存在する場合、本明細書の組成物中の硬化阻害剤(アミン)の濃度は、ルイス酸触媒(b)と複合体を形成できるように、ルイス酸触媒(b)の濃度に対して少なくともモル当量(すなわち、モル比1:1)である。硬化阻害剤(アミン)の濃度は、ルイス酸触媒(b)のモル濃度を超えることができ、すなわち、最大約3:1のモル比であり、例えば、ルイス酸触媒(b):硬化阻害剤のモル比は1:1~1:3であり得る。
【0061】
ルイス酸触媒(b)が上記のように溶液で組成物中に導入される場合、例えば、例として、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン及び/又はトリス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボランがルイス酸触媒(b)として使用されるとき、硬化阻害剤が必要な場合は、硬化阻害剤をルイス酸触媒(b)と所望のモル比で触媒溶液に導入して、他の成分と混合する前に当該溶液中でルイス酸触媒(b)/硬化阻害剤複合体を形成できるようにし得る。
【0062】
本明細書に記載のシリコーンゴム発泡体組成物は、任意選択的に、追加の配合成分又は成分(以下、「追加の添加剤」と呼ぶ)を更に含み得る。追加の添加剤の例としては、安定剤、例えば、熱安定剤、接着促進剤、染料及び顔料を含む着色剤、酸化防止剤、難燃剤、フロー制御添加剤並びに/又は強化及び/若しくは非強化(増量と呼ばれることもある)充填剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】
1つ以上の添加剤は、組成物の好適な重量%で存在し得る。存在する場合、添加剤は、組成物の総重量%が100重量%であるという理解に基づいて、最大約10重量%又は更に15重量%の量で存在し得る。当業者であれば、例えば添加剤のタイプ及び所望の結果に応じて、添加剤の好適な量を容易に決定することができる。ある特定の任意選択的な添加剤を、以下、より詳細に記載する。
【0064】
追加の添加剤としては、例えば、金属化合物、例えば、赤色酸化鉄、黄色酸化鉄、水酸化第二鉄、酸化セリウム、水酸化セリウム、酸化ランタン、銅フタロシアニン、水酸化アルミニウム、ヒュームド二酸化チタン、ナフテン酸鉄、ナフテン酸セリウム、セリウムジメチルポリシラノレート、及び銅、亜鉛、アルミニウム、鉄、セリウム、ジルコニウム、チタンなどから選択される金属のアセチルアセトン塩を含み得る熱安定剤が挙げられる。組成物中に存在する熱安定剤の量は、全組成物の0.01~1.0重量%の範囲であり得る。
【0065】
追加の添加剤としては、顔料及び/又は着色剤が挙げられ、これらは必要に応じて添加され得る。顔料及び/又は着色剤は、有色、白色、黒色、金属効果、及び発光性、例えば、蛍光性及びリン光性であり得る。
【0066】
好適な白色顔料及び/又は着色剤としては、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉛、硫化亜鉛、リトポン、酸化ジルコニウム、及び酸化アンチモンが挙げられる。
【0067】
好適な非白色無機顔料及び/又は着色剤としては、針鉄鉱、鱗鉄鉱、赤鉄鉱、マグヘマイト、及びマグネタイト黒酸化鉄、黄酸化鉄、褐色酸化鉄、及び赤酸化鉄などの酸化鉄顔料と、青鉄顔料と、酸化クロム顔料と、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、カドミウム辰砂などのカドミウム顔料と、バナジン酸ビスマス、バナジン酸モリブデン酸ビスマスなどのビスマス顔料と、チタン酸コバルトグリーンなどの混合金属酸化物顔料と、クロムイエロー、モリブデン酸レッド、及びモリブデン酸オレンジなどの、クロム酸塩顔料及びモリブデン酸顔料と、ウルトラマリン顔料と、酸化コバルト顔料と、チタン酸ニッケルアンチモンと、鉛クロムと、カーボンブラックと、ランプブラック、及び金属効果顔料、例えば、アルミニウム、銅、酸化銅、青銅、ステンレス鋼、ニッケル、亜鉛、及び黄銅と、が挙げられるが、これらに限定されない。
【0068】
好適な有機非白色顔料及び/又は着色剤としては、フタロシアニン顔料、例えばフタロシアニンブルー及びフタロシアニングリーンと、モノアリーリドイエロー、ジアリーリドイエロー、ベンズイミダゾロンイエロー、複素環式イエロー、DANオレンジ、キナクリドン顔料、例えばキナクリドンマゼンタ及びキナクリドンバイオレットと、金属化アゾレッド及び非金属化アゾレッド及びその他のアゾ顔料を含む有機レッド、モノアゾ顔料、ジアゾ顔料、アゾ顔料レーキ、β-ナフトール顔料、ナフトールAS顔料、ベンズイミダゾロン顔料、ジアゾ縮合顔料、イソインドリノン、及びイソインドリン顔料、多環式顔料、ペリレン及びペリノン顔料、チオインディゴ顔料、アントラピリミドン顔料、フラバントロン顔料、アンサントロン顔料、ジオキサジン顔料、トリアリールカルボニウム顔料、キノフタロン顔料、及びジケトピロロピロール顔料と、が挙げられる。
【0069】
典型的には、顔料及び/又は着色剤は、微粒子であるとき、10nm~50μmの範囲、好ましくは40nm~2μmの範囲の平均粒径を有する。顔料及び/又は着色剤は、存在する場合、組成物の2重量%から、あるいは3重量%から、あるいは5重量%から、組成物20重量%まで、あるいは10重量%までの範囲で存在する。
【0070】
追加の添加剤としては、難燃剤も挙げ得る。難燃剤の例としては、アルミニウム三水和物、水酸化マグネシウム、塩素化パラフィン、ヘキサブロモシクロドデカン、トリフェニルホスフェート、ジメチルメチルホスホネート、トリス(2,3-ジブロモプロピル)ホスフェート(臭素化トリス)、及びこれらの混合物又は誘導体が挙げられる。
【0071】
追加の添加剤としては、強化及び/又は非強化(増量と呼ぶこともある)充填剤も挙げ得る。微細に分割された強化充填剤の例としては、籾殻灰などの表面積の大きいヒュームドシリカ及び沈降性シリカ、並びにある程度の炭酸カルシウムが挙げられる。微細に分割された非強化充填剤の例としては、破砕された石英、珪藻土、硫酸バリウム、酸化鉄、二酸化チタン及びカーボンブラック、タルク、及びウォラストナイトが挙げられる。単独で又は上記のものに加えて使用されることがある他の充填剤としては、カーボンナノチューブ、例えば、マルチウォールカーボンナノチューブアルミナイト、硫酸カルシウム(無水石膏)、石膏、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、三水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム(水滑石)などの粘土、グラファイト、炭酸銅、例えば、マラカイト、炭酸ニッケル、例えば、ザラカイト(zarachite)、炭酸バリウム、例えば毒重石、及び/又は炭酸ストロンチウム、例えば、ストロンチウム石が挙げられる。更なる代替の充填剤としては、酸化アルミニウム、かんらん石族、ざくろ石族;アルミノケイ酸塩;環状ケイ酸塩;鎖状ケイ酸塩;及び層状ケイ酸塩からなる群からのケイ酸塩が挙げられ得る。
【0072】
充填剤は、存在する場合、任意選択的に、処理剤で表面処理され得る。処理剤及び処理方法は、当該技術分野において理解されている。充填剤の表面処理は、典型的には、例えば、脂肪酸若しくはステアレートなどの脂肪酸エステルを用いて、又はオルガノシラン、オルガノシロキサン、若しくはオルガノシラザン、例えば、ヘキサアルキルジシラザン、例えば、ヘキサメチルジシラザン(HMDZ)又は短鎖シロキサンジオールを用いて行われる。概して、表面処理は充填剤を疎水性にし、したがって、組成物中の他の成分との均質混合物の取り扱い及び入手を容易にする。R7
eSi(OR6)4-e[式中、R7は、6~20個の炭素原子を有する置換又は非置換一価炭化水素基、例えば、ヘキシル、オクチル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、及びオクタデシルなどのアルキル基、並びにベンジル及びフェニルエチルなどのアラルキル基であり、R6は、1~6個の炭素原子を有するアルキルであり、下付き文字「e」は、1、2又は3である]などのシランも、充填剤のための処理剤として利用され得る。
【0073】
ある特定の実施形態では、組成物は、中空粒子を含んでもよく、これは、発泡体の、例えば、加熱時に当該炭化水素が蒸発し、それによって発泡剤として機能してポリマービーズを残すように、低沸点を有する炭化水素を含有する低密度(例えば、25kg/m3)予備発泡ポリマー球の、多孔性及び/又は全空隙率に寄与するのに有用であり得る。そのような中空ビーズは、市販されており、例えば、Nouryon Chemicalsによって供給されているExpancel(商標)920 DET 40 d25である。
【0074】
誤解を避けるために、本開示における組成物の重量%(wt.%)に対する他の全ての言及において、全ての組成物の総重量%は、全ての場合において100%であり、組成物の残りの部分に添加される触媒/阻害剤を除いて、合計で100重量%になるように計算されることを理解すべきである。
【0075】
先に示したように、シリコーンゴム発泡体組成物を作製する方法であって、
シリコーンゴム発泡体組成物を混合することであって、組成物が、
(a)1つ以上のシリコーン樹脂及び/又はシリコーン樹脂中間物から選択される、1分子当たり平均少なくとも2つのケイ素結合アルコキシ基を有する1つ以上の有機ケイ素化合物と
(b)ルイス酸触媒と、
(c)1つ以上の界面活性剤と、
(d)1分子当たり平均少なくとも2つ、あるいは少なくとも3つのケイ素結合水素基を有する1つ以上のオルガノポリシロキサンポリマーと、を含む、混合することと、
前記組成物が硬化する間に発泡を引き起こすことと、を含む、方法も提供する。
【0076】
先に示したように、上記組成物は、物理的発泡剤、硬化阻害剤、又は物理的発泡剤及び硬化阻害剤の両方、並びに発泡体が使用される用途に応じて利用される多数の追加の添加剤を任意選択的に含み得る。物理的発泡剤及び硬化阻害剤の両方が存在する場合、物理的発泡剤が気体になる温度は、硬化/阻害剤複合体が分解して硬化を開始させる温度よりも低くてもよく、ほぼ同じであってもよく、又は高くてもよい。一実施形態では、その温度は、ほぼ同じであってもよい(例えば、互いに15℃以内)。
【0077】
上記から分かるように、本明細書に記載の発泡体は、化学的に発泡させるが、代替的に化学的かつ物理的に発泡させてもよい。例えば、化学的に発泡させた組成物の場合、組成物の配合成分/成分を、任意の好適な順序で、好適な容器に導入し、所定の時間、好適な温度、例えば、室温(ほぼ23~25℃)~100℃、あるいは室温~75℃の温度で混合することができる。温度は、特に、硬化阻害剤(アミン)が利用されている場合、注意深く選択する必要がある。これは、選択された温度が、触媒及び硬化阻害剤(後者が存在する場合)の解離、並びに硬化プロセス及び組成物が硬化する際に発泡体を作り出すアルカンガス発泡剤の放出を引き起こすことができる必要があるためである。
【0078】
一実施形態では、プロセスは、
ルイス酸触媒(b)を好適な溶媒又は溶媒の組み合わせ中で混合することによって、ルイス酸触媒(b)溶液を調製するか、又は任意選択の硬化阻害剤、例えば、前述の1つ以上のアミンが組成物中に存在する場合には、触媒及び阻害剤を好適なモル比で上述のような好適な溶媒又は溶媒の組み合わせ中で混合して、ルイス酸触媒(b)/硬化阻害剤複合体溶液を形成することによって、ルイス酸触媒(b)/硬化阻害剤複合体溶液を調製する工程と、次いで
当該触媒溶液又はルイス酸触媒(b)/硬化阻害剤複合体溶液を、成分(a)、(c)、(d)及び任意選択的に物理的発泡剤などと混合して、前述のシリコーンゴム発泡体組成物を形成する工程と、を含み得る。
【0079】
あるいは、硬化阻害剤(例えば、アミン)が存在する場合、ルイス酸触媒(b)が複合体形成前に反応を触媒しないという条件で、組成物の他の成分の存在下でルイス酸触媒(b)/硬化阻害剤複合体を調製することが可能である。存在する場合、硬化阻害剤は、典型的には低温、例えば、室温での組成物の貯蔵安定性を向上させ、また、硬化阻害剤及びルイス酸触媒(b)の選択を利用して、ルイス酸触媒(b)/硬化阻害剤複合体の分解後に、組成物が硬化する所望の(例えば、高温の)温度を調整/選択することができる。この温度は、発泡体が使用される用途に基づいて予め決定してもよく、例えば、50℃又は60℃又は80℃以上であってもよい。
【0080】
硬化阻害剤が存在し、ルイス酸触媒(b)と複合体を形成している場合、加熱する能力は重要である。それは、試料を急速に加熱して硬化反応を開始させることができると、混合物が、気泡を保持するのに十分な粘度になるためである。必要に応じて、組成物を混合するために任意の好適なミキサーを利用することができる。好適なミキサーとしては、単に例として、好適なスピードミキサー、オークスミキサー、ホバートミキサー、ライトニングミキサー及びチェンジキャンミキサーを挙げることができる。発泡体が更に物理的発泡剤に依存して組成物を発泡させる場合、ルイス酸硬化触媒(b)(又はルイス酸硬化触媒(b)/硬化阻害剤複合体溶液)及び物理的発泡剤は、典型的には、最後の2つの配合成分/成分として組成物中に導入される。
【0081】
本明細書に記載のシリコーンゴム発泡体組成物は、連続気泡及び/又は独立気泡シリコーンゴム発泡体を生成する。発泡体密度は、任意の好適な方法によって、例えば、アルキメデスの原理によって、天秤及び密度キットを使用し、それに関連する標準的な指示に従って測定することができる。好適な天秤は、密度キットを備えたMettler-Toledo XS205DU天秤である。発泡体は、0.01グラム毎立方センチメートル(g/cm3)~5g/cm3、あるいは0.05g/cm3~2.5g/cm3、あるいは0.1g/cm3~2.0g/cm3、あるいは0.1g/cm3~1.5g/cm3の密度を有し得る。
【0082】
密度が高すぎる場合、ある特定の用途に対して、発泡体が重すぎる又は硬すぎたりする場合がある。密度が低すぎる場合、ある特定の用途に対して、所望の構造的完全性を欠く場合がある。
【0083】
平均孔径は、ATSM法D3576-15などの任意の好適な方法によって、任意選択的に以下の修正を加えて決定することができる:
(1)スクリーン上に画像を投影するのではなく、光学顕微鏡又は電子顕微鏡を使用して発泡体を画像化する。
【0084】
(2)30mmの線をスクライブするのではなく、15個を超えるセルに及ぶ既知の長さの線をスクライブする。
【0085】
本明細書に記載のシリコーン発泡体組成物は、一般に、サイズ及び/又は形状が均一な細孔を有する。典型的には、発泡体は、0.001mm~5mm、あるいは0.001mm~2.5mm、あるいは0.001mm~1mm、あるいは0.001mm~0.5mm、あるいは0.001mm~0.25mm、あるいは0.001mm~0.1mm、あるいは0.001mm~0.05mmの平均孔径を有する。
【0086】
本明細書に記載の組成物、発泡体、及び方法は、様々な最終用途に有用である。好適な用途の例としては、空間充填用途、自動車用途(例えば、制御モジュール用)などが挙げられる。発泡体は、電池及び他の電子部品などの物品を少なくとも部分的に被覆又は封入するために使用することができる。発泡体は断熱にも使用することもできる。
【実施例】
【0087】
異なるタイプ及び量の成分を利用して組成物を生成した。これらについては、以下で詳しく説明する。全ての量は、特に指定しない限り、重量%単位である。特に明記しない限り、全ての粘度は、25℃で測定している。個々の配合成分/成分の粘度は、任意の好適な方法によって、例えば、スピンドルLV-3(200~400,000mPa・sの範囲の粘度用に設計)を備えるBrookfield(登録商標)回転粘度計又は200mPa・s未満の粘度についてはスピンドルLV-1(15~20,000mPa・sの範囲の粘度用に設計)を備えるBrookfield(登録商標)回転粘度計を使用し、ポリマー粘度に従って速度を適合させて測定され得る。
【0088】
実施例及び比較例のための一連の組成物を、以下の表1aにおいて特定される組成物に基づいて調製した(触媒溶液(Ex.1~3)及び/又は触媒/硬化阻害剤複合体溶液(C.1)を除いた重量%):
【表1】
【0089】
C.1では、N-メチルジフェニルアミン、(Ph
2NCH
3)を硬化阻害剤として使用した。それは、1:1のルイス酸触媒(b)対硬化触媒モル比で、ルイス酸触媒(b)を有するトルエン中溶液で調製された。
【表2】
【0090】
Dow Silicones Corporationから市販されている3つのメトキシ官能性シリコーン樹脂を、表1aのメトキシ樹脂として使用した。
【0091】
DOWSIL(商標)US-CF-2403Resinは、メチル-メトキシ官能性無溶媒低分子液体シロキサンである。それは、25℃で最大約35mPaの粘度を有し(データシート)、1000Da未満の重量平均分子量を有する(データシート)。
【0092】
DOWSIL(商標)3074 Intermediateは、メトキシ官能性無溶媒液体シリコーン樹脂である。それは、15~18重量%のメトキシ含有量、25℃で約120mPa.sの平均粘度、及び1000~1500Daの重量平均分子量を有する(データシート)。
【0093】
DOWSIL(商標)3037 Resin Intermediateは、メトキシ官能性無溶媒液体シリコーン樹脂である。それは、15~18重量%のメトキシ含有量、25℃で約15mPa.sの平均粘度、及び800~1300Daの重量平均分子量を有する(データシート)。
【0094】
本実施例で使用した表面活性剤は、Dow Silicones Corporation(Midland,Michigan)によってDOWSIL(商標)3-9727 Profoamerとして販売されている市販の界面活性剤であった。
【0095】
DOWSIL(商標)MH 1107 Fluidは、Dow Silicones Corporationから市販されている、25℃で約30mPa.sの粘度を有するトリメチル末端ポリメチル水素シロキサンである。
【0096】
Gelest(商標)DMS-H31は、25℃で1,000mPa・sの粘度を有するジメチル水素末端ポリジメチルシロキサンである。
【0097】
表1aの発泡体の場合、Ex.1~3は全て、得られる発泡体を製造するために化学的に発泡させただけであるが、一方、比較例C.1は、化学的かつ物理的に発泡させた。
【0098】
表1の実施例では、利用した触媒(b)、すなわち、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、B(C6F5)3は、Ex.1~3では、トルエン中のルイス酸触媒(b)溶液として、またC1.では、ルイス酸触媒(b)/硬化阻害剤複合体溶液中のルイス酸触媒(b)として、組成物中に導入した。
【0099】
ルイス酸触媒(b)溶液は、指定量の触媒をトルエン中に溶解することによって調製した。指定量の選択された触媒及び任意選択の硬化阻害剤N-メチルジフェニルアミン(Ph2NCH3)(しばしばMDPAと呼ばれる)を、ルイス酸触媒対硬化阻害剤モル比1:1でトルエン中に溶解することによって、ルイス酸触媒(b)/硬化阻害剤複合体溶液を調製した。これにより、組成物中に導入する前、触媒と硬化阻害剤とが相互作用して複合体を形成し、加熱されるまで触媒活性を抑制することができた。
【0100】
Ex.1、2及び3の調製(化学的に発泡された発泡体)
Ex.1、2及び3では、1分子当たり平均少なくとも2つ、あるいは少なくとも3つのケイ素結合水素基を有するオルガノポリシロキサンポリマーを、最初に高速混合し、得られた混合物の全組成物の約50重量%を、50℃のオーブン中で予熱した。触媒溶液、界面活性剤、使用したメトキシ官能化シリコーン樹脂、及び1分子混合物当たり平均少なくとも2つ、あるいは少なくとも3つのケイ素結合水素基を有するオルガノポリシロキサンポリマーの室温混合物、及びこれらの混合物の50℃混合物を、スピードミックスカップに順次添加した。続いて、試料を、3000rpmで30秒(s)間、高速混合し、50℃の水浴に入れた。気泡発生の停止から30分後に、完全硬化のために試料を50℃のオーブンに移した。
【0101】
C.1の調製(比較-界面活性剤を含まない化学的に発泡させた発泡体)
触媒溶液、TEOS、及びDOWSIL(商標)MH 1107 Fluidを、スピードミックスカップに順に添加し、続いてスピードミキサーを用いて3000rpmで30秒間混合した。その試料を、発泡のために室温に放置した。
【0102】
測定情報
Ex.1~3の硬化時間は、デジタルストップウォッチで測定し、ガスの発生が止まり、試料の流れが止まった時間と定義した。
【0103】
密度測定
発泡体密度は、アルキメデスの原理に基づく密度測定キットを備えた天秤(Mettler-Toledo XS205DU)を使用して測定した。最初に空気中で試料の重量(m
0)を最初に測定し、その後、試料を取り出さずに天秤の風袋を測定した。次いで、水(ρ
0=1g/cc) 中での試料の重量(-m
1)を測定した。
【数1】
【表3】
*発泡プロセスは、計時開始前に終了した。
【0104】
C.1は、反応速度を調整するための硬化阻害剤としてMDPAを使用して、DOWSIL(商標)MH 1107 Fluid及びオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)を使用して調製した。しかしながら、ここでは、Ex.1~3とは異なり比較C.1は、界面活性剤を含まなかった。触媒としてトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(B(C6F5)3を使用したEx.1~3の化学的に発泡させたシリコーン発泡体の密度は、C.1の密度と同等であったが、Ex.1~3の各々における界面活性剤の使用は、組成物が完全に硬化する前にセル構造を安定化させるのに役立ち、走査型電子顕微鏡分析(scanning electron microscope analysis、SEM)の結果からは、Ex.1、2及び3は、比較C.1よりもそれらのそれぞれの発泡体のセル構造の規則性が有意に改善されたことを示したことが見出された。また、Ex.1、Ex.2及びEx.3の組成物の粘度の増加は、硬化速度及びセル構造の両方を調整するのに有益であり、Ex.1、2及び3の作業時間は、組成物の取り扱いを容易にする。
【0105】
アルカンは本明細書の実施例のための化学的発泡剤として発生されることから、発泡体の発生は、アルカンの爆発限界がより狭い故に、発泡剤として以前から好まれている水素ガスを使用した場合よりも安全であることが理解されるであろう。更に、高価な白金系触媒及びヒドロシリル化硬化プロセスの使用が本発明で回避されることが理解されよう。そのような触媒の必要性を回避することは、そのような高価な触媒を使用する必要がなくなるだけでなく、経時的なコロイド状白金粒子の変色及び形成も回避され、本明細書で使用される触媒は、白金触媒とは異なり、窒素及び硫黄含有複素環などの不純物の存在下で被毒されることがない。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーンゴム発泡体組成物であって、以下の成分:-
(a)1つ以上のシリコーン樹脂及び/又はシリコーン樹脂中間物から選択される、1分子当たり平均少なくとも2つのケイ素結合アルコキシ基を有する1つ以上の有機ケイ素化合物と、
(b)ルイス酸触媒と、
(c)1つ以上の界面活性剤と、
(d)1分子当たり平均少なくとも2つ、あるいは少なくとも3つのケイ素結合水素基を有する1つ以上のオルガノポリシロキサンポリマーと、を含む、シリコーンゴム発泡体組成物。
【請求項2】
成分(a)が、三重検出器ゲル浸透クロマトグラフィー及び単一ポリスチレン標準を使用して、ダルトン単位で測定された3000~50,000Daの重量平均分子量を有する、請求項1に記載のシリコーンゴム発泡体組成物。
【請求項3】
成分(a)が、三重検出器ゲル浸透クロマトグラフィー及び単一ポリスチレン標準を使用して、ダルトン単位で測定された300~3,000Daの重量平均分子量を有するシリコーン樹脂である、請求項1に記載のシリコーンゴム発泡体組成物。
【請求項4】
成分(a)が、前記シリコーン樹脂の2~50重量%の量で存在するアルコキシ基を含むシリコーン樹脂である、請求項1、2又は3に記載のシリコーンゴム発泡体組成物。
【請求項5】
成分(b)が、1つ以上のアリールボラン若しくはハロゲン化ホウ素又はこれらの混合物を含む、請求項1、2又は3に記載のシリコーンゴム発泡体組成物。
【請求項6】
成分(b)が、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラン、ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(4-(トリフルオロメチル)フェニル)ボラン、ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,4,6-トリフルオロフェニル)ボラン又はこれらの混合物から選択される、請求項1、2又は3に記載のシリコーンゴム発泡体組成物。
【請求項7】
成分(c)前記1つ以上の界面活性剤が、シリコーンフッ素化界面活性剤又は有機フッ素化界面活性剤であるか、又はそれらを含む、請求項1、2又は3に記載のシリコーンゴム発泡体組成物。
【請求項8】
物理的発泡剤、硬化阻害剤、又は物理的発泡剤及び硬化阻害剤の両方を更に含む、請求項1に記載のシリコーンゴム発泡体組成物。
【請求項9】
前記硬化阻害剤が、1つ以上のアリールアミン及び/又はアルキルアミンである、請求項8に記載のシリコーンゴム発泡体組成物。
【請求項10】
トリアリールアミンアニリン、4-メチルアニリン、4-フルオロアニリン、2-クロロ-4-フルオロアニリン、ジフェニルアミン、ジフェニルメチルアミン、トリフェニルアミン、1-ナフチルアミン、2-ナフチルアミン、1-アミノアントラセン、2-アミノアントラセン、9-アミノアントラセン、β-アミノスチレン、1,3,5-ヘキサトリエン-1-アミン、N,N-ジメチル-1,3,5-ヘキサトリエン-1-アミン、3-アミノ-2-プロペナール、4-アミノ-3-ブテン-2-オン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプタラミン、トリオクチルアミン及びトリノニルアミン。ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、トリメチルアミン、トリヘプタラミン、及び/又はこれらの混合物から選択される1つ以上の硬化阻害剤を含む、請求項8又は9に記載のシリコーンゴム発泡体組成物。
【請求項11】
泡安定剤、接着促進剤、染料及び顔料を含む着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、難燃剤、フロー制御添加剤並びに/又は強化及び/若しくは非強化充填剤から選択される1つ以上の追加の添加剤を含む、請求項1、2又は3に記載のシリコーンゴム発泡体組成物。
【請求項12】
請求項1のいずれか一項に記載の組成物の発泡及び硬化した生成物である、シリコーンゴム発泡体。
【請求項13】
0.8グラム毎立方センチメートル(g/cm
3)未満の密度を有する、請求項12に記載のシリコーンゴム発泡体。
【請求項14】
シリコーンゴム発泡体組成物を作製する方法であって、-
シリコーンゴム発泡体組成物を混合することであって、前記組成物が、
(a)1つ以上のシリコーン樹脂及び/又はシリコーン樹脂中間物から選択される、1分子当たり平均少なくとも2つのケイ素結合アルコキシ基を有する1つ以上の有機ケイ素化合物と、
(b)ルイス酸触媒と、
(c)1つ以上の界面活性剤と、
(d)1分子当たり平均少なくとも2つ、あるいは少なくとも3つのケイ素結合水素基を有する1つ以上のオルガノポリシロキサンポリマーと、を含む、混合することと、
前記組成物が硬化する間に発泡を引き起こすことと、を含む、方法。
【請求項15】
断熱のために、かつ/又は防火ブロックとして、物品を少なくとも部分的に被覆又は封入するための、空間充填用途、自動車用途のための、請求項12又は13に記載のシリコーンゴム発泡体の使用。
【国際調査報告】