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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】ソーラーシステム
(51)【国際特許分類】
   F24S 10/30 20180101AFI20240719BHJP
   F24S 10/50 20180101ALI20240719BHJP
   F24S 20/00 20180101ALI20240719BHJP
   H02S 40/44 20140101ALI20240719BHJP
   H02S 10/20 20140101ALI20240719BHJP
   H02S 20/30 20140101ALI20240719BHJP
   A01G 7/00 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
F24S10/30
F24S10/50
F24S20/00 010
H02S40/44
H02S10/20
H02S20/30 A
A01G7/00 601Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501257
(86)(22)【出願日】2022-07-06
(85)【翻訳文提出日】2024-01-31
(86)【国際出願番号】 EP2022068692
(87)【国際公開番号】W WO2023285227
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】2107662
(32)【優先日】2021-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521453286
【氏名又は名称】トタルエナジーズ・エスウ
【氏名又は名称原語表記】TOTALENERGIES SE
【住所又は居所原語表記】La Defense 6,2 place Jean Millier,92400 COURBEVOIE,France
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ヒッケル、ピエール-エマニュエル
(72)【発明者】
【氏名】ブシェ、テオドリック
【テーマコード(参考)】
2B022
5F251
【Fターム(参考)】
2B022DA17
5F251JA14
5F251JA28
5F251JA29
(57)【要約】
本発明は、ソーラーシステム(1)であって、
-作物エリア(5)内に配置されるように構成されたソーラーシェード(3)であって、エネルギーを生成するように設計された少なくとも1つのソーラーパネル(7)を備える、ソーラーシェード(3)と、
ソーラーパネル(7)によって生成されたエネルギーのための貯蔵ユニット(9a、9b)と、を備える、ソーラーシステム(1)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソーラーシステム(1)であって、
-作物エリア(5)内に配置されるように構成されたソーラーシェード(3)であって、エネルギーを生成するように設計された少なくとも1つのソーラーパネル(7)を備える、ソーラーシェード(3)と、
前記ソーラーパネル(7)によって生成された前記エネルギーのための貯蔵ユニット(9a、9b)と、を備える、ソーラーシステム(1)。
【請求項2】
前記ソーラーパネル(7)が、熱エネルギー及び電気エネルギーを生産するように構成されたハイブリッドソーラーパネルであり、前記ソーラーシステム(1)が、前記ハイブリッドソーラーパネル(7)と流体接続された流体回路(11)も備える、請求項1に記載のソーラーシステム(1)。
【請求項3】
前記作物エリア(5)に熱調節を提供するように構成された熱回路(13、25)を更に備える、請求項1又は2に記載のソーラーシステム(1)。
【請求項4】
前記熱回路(13、25)が、油圧熱回路(13)であり、前記油圧熱回路(13)が、前記流体回路(11)から前記油圧熱回路(13)への流体の通過を許容するように、前記流体回路(11)と流体接触している、請求項3に記載のソーラーシステム(1)。
【請求項5】
前記貯蔵ユニット(9a、9b)が、前記流体回路(11)と前記油圧熱回路(13)との間の境界面に配置されたリザーバ(9a)である、請求項4に記載のソーラーシステム(1)。
【請求項6】
前記リザーバ(9a)が、地下タンクである、請求項5に記載のソーラーシステム(1)。
【請求項7】
前記油圧熱回路(13)又は前記流体回路(11)内に熱交換器(16)を更に備える、請求項3~6のいずれか一項に記載のソーラーシステム(1)。
【請求項8】
前記ソーラーパネル(7)が、電気エネルギーを生成し、前記熱回路(13、25)が、前記貯蔵ユニット(9b)に貯蔵された前記電気エネルギーから前記作物エリア(5)に熱調節を提供するように構成された電気熱回路(25)である、請求項3~7のいずれか一項に記載のソーラーシステム(1)。
【請求項9】
前記電気熱回路(25)が、以下の機器:
-前記作物エリア(5)内に配置された加熱抵抗器(23)又は電気対流器、
-調節空気循環装置、
-作物に空気を吹き付けるように構成された加熱要素のうちの少なくとも1つを備える、請求項1~8のいずれか一項に記載のソーラーシステム(1)。
【請求項10】
前記貯蔵ユニット(9a、9b)が、以下の手段:
-電池などの電気化学的貯蔵手段、
-熱化学的貯蔵手段、
-ガス圧縮手段、
-蓄熱ハブ、
-熱機械的貯蔵手段のうちの少なくとも1つを備える、請求項1~9のいずれか一項に記載のソーラーシステム(1)。
【請求項11】
農業ストックを乾燥させるための装置を更に備え、乾燥装置が、前記貯蔵ユニット(9a、9b)に貯蔵された前記電気エネルギーから電力供給される、請求項1~10のいずれか一項に記載のソーラーシステム(1)。
【請求項12】
農業機器(27)のための充電ステーション(21)を更に備え、前記充電ステーション(21)が、前記貯蔵ユニット(9b)に貯蔵された前記電気エネルギーから電力供給される、請求項1~11のいずれか一項に記載のソーラーシステム(1)。
【請求項13】
農業用建物(50)内に配置されるように意図された電気機器を備え、前記電気機器が、前記貯蔵ユニット(9b)に貯蔵された前記電気エネルギーから電力供給される、請求項1~12のいずれか一項に記載のソーラーシステム(1)。
【請求項14】
前記ソーラーシェード(3)が、可動要素と、前記可動要素を移動させるように構成された電気モータ(41、43)と、を備え、前記電気モータ(41、43)が、前記貯蔵ユニット(9b)に貯蔵された前記電気エネルギーから電力供給される、請求項1~13のいずれか一項に記載のソーラーシステム(1)。
【請求項15】
前記可動要素が、前記ソーラーパネルの向き、並びに前記ソーラーシェード(3)から前記作物エリア(5)上に投影される影を修正することを可能にする、請求項1~14のいずれか一項に記載のソーラーシステム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソーラーシステムに関し、より詳細には、作物エリア、例えば畑の中に設置することを意図したソーラーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
電力網に供給するように構成された大量の太陽光発電パネルを備える太陽光発電ファームは、特に農村エリア又は砂漠エリアで高度に開発されている。しかしながら、そのような太陽光発電ファームは、土壌の他の用途、特に作物と競合する傾向があり、これらのファームで生成された電気エネルギーの居住エリアへの伝達は困難であり、著しい損失につながる可能性がある。
【0003】
加えて、農村エリア及び特に農園は、特に農業機器、地域産業(食品産業など)、地域社会又は地域充電ステーションに電力供給するために、重要なエネルギー需要を有し得る。気候変動に伴い、厳しい気象条件の元で生産が大きく損なわれるのを避けるため、寒さ又は猛暑などの気象関連のコストから作物を守ることも重要になっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらの欠点を少なくとも部分的に克服するために、本発明は、作物を除去することなく農業エリアにソーラーパネルを設置することを許容し、ソーラーパネルによって生成されたエネルギーの伝達を制限することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的のために、本発明は、
-作物エリア内に配置されるように構成されたソーラーシェードであって、エネルギーを生成するように構成された少なくとも1つのソーラーパネルを備える、ソーラーシェードと、
ソーラーパネルによって生成されたエネルギーのための貯蔵ユニットと、を備える、ソーラーシステムに関する。
【0006】
作物エリアでソーラーシェードを使用すると、作物エリアを少なくとも部分的に保護しながら、エネルギーを生成することが可能になる。加えて、ソーラーシェードに関連付けられた貯蔵ユニットを使用すると、所望の時間において生成されたエネルギーを使用することが可能になり、それゆえ、生成されたエネルギーの可能な使用が拡大する。
【0007】
本発明の別の態様によれば、ソーラーパネルは、熱エネルギー及び電気エネルギーを生産するように構成されたハイブリッドソーラーパネルであり、ソーラーシステムは、ハイブリッドソーラーパネルと流体接続された流体回路も備える。
【0008】
ハイブリッドソーラーパネルを使用すると、特に作物を栽培するために使用され得る熱エネルギー、及び、例えば農業機器に供給することができる電気エネルギーの両方を生産することが可能になる。
【0009】
本発明の別の態様によれば、ソーラーシステムは、作物エリアに熱調節を提供するように構成された熱回路も備える。
本発明の別の態様によれば、熱回路は、油圧熱回路であり、油圧熱回路は、流体が流体回路から油圧熱回路まで通過することを許容するように、流体回路と流体接触している。
【0010】
本発明の別の態様によれば、貯蔵ユニットは、流体回路と油圧熱回路との間の境界面に配置されたタンクである。
本発明の別の態様によれば、タンクは、地下タンクである。
【0011】
本発明の別の態様によれば、ソーラーシステムは、油圧熱回路又は流体回路内の熱交換器も備える。熱交換器は、流体回路及び油圧熱回路内で異なる流体を使用することを可能にする。
【0012】
本発明の別の態様によれば、ソーラーパネルは、電気エネルギーを生成し、熱回路は、貯蔵ユニットに貯蔵された電気エネルギーから作物エリアに熱調節を提供するように構成された電気熱回路である。
【0013】
本発明の別の態様によれば、電気熱回路は、以下の機器:
-作物エリア内に配置された加熱抵抗器又は電気対流器、
-調節空気循環装置。
【0014】
-作物に空気を吹き付けるように構成された加熱要素のうちの少なくとも1つを備える。
本発明の別の態様によれば、貯蔵ユニットは、以下の手段:
-電池などの電気化学的貯蔵手段、
-熱化学的貯蔵手段、
-ガス圧縮手段、
-蓄熱ハブ、
-熱機械的貯蔵手段のうちの少なくとも1つを備える。
【0015】
本発明の別の態様によれば、ソーラーシステムはまた、農業ストックを乾燥させるための装置を備え、乾燥装置は、貯蔵ユニットに貯蔵された電気エネルギーから電力供給される。
【0016】
本発明の別の態様によれば、ソーラーシステムはまた、農業機器のための充電ステーションを備え、充電ステーションは、貯蔵ユニットに貯蔵された電気エネルギーから電力供給される。
【0017】
本発明の別の態様によれば、ソーラーシステムは、農業用建物内に配置されるように意図された電気機器を備え、電気機器は、貯蔵ユニットに貯蔵された電気エネルギーから電力供給される。
【0018】
本発明の別の態様によれば、ソーラーシェードは、可動要素と、可動要素を移動させるように構成された電気モータと、を備え、電気モータは、貯蔵ユニットに貯蔵された電気エネルギーから電力供給される。
【0019】
本発明の別の態様によれば、可動要素は、ソーラーパネルの向き、並びにソーラーシェードから作物エリア上に投影される影を修正することを可能にする。
本発明の他の特徴及び利点は、例解的かつ非限定的な実施例として与えられる以下の説明及び添付図面を読むことにより、より明確に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1の実施形態による、ソーラーシステムの概略斜視図を示す。
図2】流体回路及び熱回路の図を示す。
図3a】熱交換器及び熱回路を備える流体回路の図を示す。
図3b】熱流体回路及び交換器を備える熱回路の図を表す。
図4】本発明の第2の実施形態による、ソーラーシステムの概略斜視図を示す。
図5】本発明の第3の実施形態による、ソーラーシステムの概略斜視図を示す。
【0021】
これらの図において、同一の要素は同じ参照番号が付されている。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下の実施形態は一例である。本説明は1つ以上の実施形態について言及するが、これは必ずしも、各参照が同じ実施形態に関連すること、又は特徴が単一の実施形態にのみ適用されることを意味するものではない。異なる実施形態の単純な特徴を、組み合わせるか又は交換して、他の実施形態を提供することもできる。
【0023】
図1は、本発明によるソーラーシステム1の第1の実施形態を示す。
ソーラーシステム1は、作物エリア5内に配置されるように構成された少なくとも1つのソーラーシェード3を備える。ソーラーシェード3は、例えば、作物エリア5の上方に配置される。あるいは、作物エリア5は、作物の列とソーラーシェード3の列とを交互に備え得る。
【0024】
ソーラーシェード3は、少なくとも1つのソーラーパネル7を備える。図1の場合、ソーラーシェード3は10枚のソーラーパネル7を備えるが、当然ながら、異なる数のソーラーパネル7をソーラーシェード3上に配置することができる。ソーラーパネル7は、電気エネルギーを生産するように構成され得(太陽光発電パネル)、又は熱伝達流体、例えば水を温めることによって熱エネルギーを生産するように構成され得る。ソーラーパネル7はまた、電気エネルギー及び熱エネルギーの両方を生産するように構成されたハイブリッドソーラーパネルであり得る。
【0025】
ソーラーシステム1はまた、ソーラーパネル7によって生成されたエネルギーのための少なくとも1つの貯蔵ユニット9a、9bを備える。ソーラーシステム1は、生成されたエネルギーのための複数の貯蔵ユニット9a、9b、特に、ソーラーパネル7によって生成された熱エネルギーを貯蔵するように構成された第1の貯蔵ユニット9aと、ソーラーパネル7によって生成された電気エネルギーを貯蔵するように構成された第2の貯蔵ユニット9bとを備え得る。
【0026】
したがって、熱エネルギー又は電気エネルギーの貯蔵にかかわらず、貯蔵ユニット9a、9bのために異なる技術を使用することができる。様々な技術は、特に、電池などの電気化学的貯蔵手段、熱化学的貯蔵手段、ガス圧縮手段、蓄熱ハブ、熱機械的貯蔵手段を含む。
【0027】
加えて、選択される貯蔵ユニット9a、9bのタイプは、考慮される貯蔵、特に熱貯蔵の持続時間にも依存する。実際に、要件に応じて異なる貯蔵期間を定義することができる。例えば、熱が第1の季節、例えば暑い季節(夏)の間に貯蔵され、次いで第2の季節、例えば寒い季節(冬)に還元される、いわゆる季節的貯蔵である。このような季節的貯蔵は、地下貯蔵を介して、例えば、深い帯水層(例えば、1000~2000m)をつなぐ少なくとも2つの井戸が提供されている帯水層によって行うことができる。1つ以上の井戸は水の抽出のために使用され、他の井戸は水の再注入のために使用され、これにより、帯水層は常に水圧平衡状態にある。この場合、熱の貯蔵を確実にするのは水自体である。地下貯蔵は、50~300mの深さに配置された地熱プローブを介して行うこともできる。ヒートポンプを使用して、地熱プローブから熱を抽出することができる。貯蔵は、地熱井の形態で行うこともできる。特に季節的貯蔵のために、水和塩を採用する相変化材料又は熱化学反応を使用することもできる。
【0028】
他の用途では、毎日の蓄熱を、日中の蓄熱及び夜間の再生により使用することができ、これらの用途では、水タンク、又はパラフィンなどの相変化材料を使用することができる。
【0029】
上述の技法は、概して、100℃未満の熱伝達流体温度に対して使用される。100℃を上回る温度では、油浴による貯蔵又は固体経路貯蔵、例えば、岩、コンクリート又はセラミック上での貯蔵を使用することも可能である。
【0030】
図1に示されるように、第1の貯蔵ユニット9aは、例えば埋設されている、熱伝達流体のタンク、例えば水又はオイルタンク(特に温度が100℃を超える場合)であってもよい。したがって、図1のタンク9aは、上記で引用した貯蔵技術のうちの1つに置き換えることができる。ひいては複数の貯蔵ユニット9aに分散されている異なる貯蔵技術を組み合わせることも可能である。図1の場合、第2の貯蔵ユニット9bは、ソーラーパネル7によって生成された電気エネルギーを貯蔵することを可能にする電池又は電池のセットである。
【0031】
ソーラーシステム1はまた、ソーラーパネル7と流体接続している流体回路11を備え得る。流体回路11は、熱伝達流体、例えば水をソーラーパネル7の背後で循環させ、かつソーラーパネル7によって生成された熱の少なくとも一部が回収されることを許容することを可能にする。流体回路11は、図1及び図2に示すように、加熱された熱伝達流体が、ソーラーパネル7の背後を通過した後、中に貯蔵されるリザーバ9aを備え得る。それゆえ、流体回路11は、タンク9aとソーラーパネル7との間の熱伝達流体の循環のためのループを形成する。熱伝達流体は、例えば、流体回路11内のポンプ15を介して循環される。ポンプ15は、例えば、熱伝達流体を流体回路11内で循環させなければならないときにポンプ15を作動させるように構成されたソーラーシステム1の処理ユニットによって制御される。この循環は、常時行うことができるか、又は、例えば、日中は行って、夜間は停止する、若しくは夏場は行って、冬場は停止するなど、ある特定の所定の時間、若しくはある特定の所定の季節にのみ行うことができる。ポンプ15の作動、したがって循環は、外部温度、例えばソーラーパネル7で測定された温度及び/又はタンク9a内の熱伝達流体の測定された温度の関数として決定することもできる。ソーラーシステム1はまた、作物エリア5に熱調節を提供するように構成された熱回路を備え得る。図1及び図2の場合、熱回路は、例えばリザーバ9aを介して流体回路11と流体接触している油圧熱回路13である。それゆえ、流体回路11は、タンク9a内の熱伝達流体を加熱することを可能にし、油圧熱回路13は、作物エリア5内で加熱された熱伝達流体を循環させて、例えば作物の栽培を許容するか、又は作物が凍結するのを防止することを可能にする。油圧熱回路13は、例えば、作物の根元に配置された又は作物の近くに埋め込まれた管16によって形成される。油圧熱回路13は、例えば、タンク9aと作物エリア5との間で熱伝達流体を循環させるために、流体回路11のポンプ15とは独立したポンプ17を備える。ポンプ17は、例えば、熱伝達流体が油圧熱回路13内で循環されなければならないときにポンプ17を作動させるように構成されたソーラーシステム1の処理ユニットによって制御される。この循環は、常時行うことができるか、又は、例えば、夜間若しくは冬場は行い、日中若しくは夏場は停止するなど、ある特定の所定の時間、若しくはある特定の所定の季節にのみ行うことができる。ポンプ17の作動、したがって油圧熱回路13内の熱伝達流体の循環は、測定温度、例えば作物で測定された外部温度及び/又はタンク9a内の熱伝達流体の測定温度に応じて行うこともできる。
【0032】
図3aに示す第1の特定の実施形態によれば、ソーラーパネル7の背後を循環する熱伝達流体が、貯蔵ユニット9a内を循環する熱伝達流体と異なることができるように、熱交換器19が流体回路11内に配置される。様々な熱伝達流体は、水、水溶液、油、又は空気であることができる。
【0033】
図3bに示される第2の特定の実施形態によれば、熱交換器19は、貯蔵ユニット9a内を循環する熱伝達流体が、作物エリア5内を循環する熱伝達流体と異なることができるように、油圧熱回路13内に配置される。様々な熱伝達流体は、水、水溶液、油、又は空気であることができる。
【0034】
図1の実施例では、ソーラーパネルは、ハイブリッド7、太陽光発電及び熱伝達ソーラーパネルであるが、ソーラーパネル7は、図2のように純粋に熱ソーラーパネル7であることができる。この場合、ソーラーシステム1は、第1の貯蔵ユニット9aのみを備える(第2の貯蔵ユニット9bも、第2の貯蔵ユニット9bに関連付けられた機器も備えていない)。あるいは、ソーラーパネルはまた、図6に示されるように、純粋に太陽光発電であり、第2の貯蔵ユニット9bと関連付けることができる(この場合、第1の貯蔵ユニット9aも、第1の貯蔵ユニット9aと関連付けられた機器も存在しないか、又はあるいは、貯蔵された熱が、太陽光発電パネル7によって生成された電気エネルギーを変換することによって得られる第1の貯蔵ユニット9aが、貯蔵ユニット9bにて代わるか、又は貯蔵ユニット9bを補うことができる第1の貯蔵ユニット9aに貯蔵される)。例えば、作物に配置され、貯蔵ユニット9bを介して供給される加熱抵抗器を備える電気熱回路25を使用することができる。
【0035】
図1の実施例では、第2の貯蔵ユニット9bは、ソーラーパネル7によって生成された電気エネルギーを貯蔵することを可能にする。第2の貯蔵ユニット9bは、例えば、1つ以上の電池によって作られる。ソーラーシステム1はまた、農業機器27用の充電ステーション21を備え得る。充電ステーション21は、貯蔵ユニット9bに貯蔵された電気エネルギーから、又はソーラーパネル7によって直接電力供給される。第2の貯蔵ユニット9bはまた、他の用途のために、特に、図4及び図6に示されるような油圧熱回路の代わりに、又はそれに加えて、作物を栽培するために使用される熱回路13のために使用することができる。この場合、熱回路は、加熱抵抗器23、電気対流器、調節空気循環装置、又は作物に空気を吹き付けるように構成された加熱要素、若しくは作物内に貯蔵又は循環させることを意図した流体を加熱するように構成された加熱要素など、作物エリア5に配置された加熱要素を備える電気熱回路25である。
【0036】
いくつかの第2の貯蔵ユニット9bは、異なる用途に使用することができる。例えば、図4において、第2の貯蔵ユニット9bは、例えば農業用建物50の照明又は暖房など、農業用建物50の電気機器に供給するために使用される。次に、流体回路11は、図4に示すように、農業用建物の熱調節に使用することができる。流体回路11に関連付けられた油圧熱回路13は、電気熱回路25と組み合わせて作物の熱調節のために使用することもできる。
【0037】
図示されていない一実施形態によれば、ソーラーシステム1は、第2の貯蔵ユニット9bから電力供給される農業ストックを乾燥させるための装置を備える。それゆえ、第2の貯蔵ユニット9bを使用して、農業作業の様々な電気装置、例えば、灌漑又は散水回路の電気ポンプに電力供給することができる。
【0038】
図5に示される一実施形態によれば、ソーラーシェード3は、可動要素を備える。この場合、ソーラーシェード3は、移動するように構成された支柱30を備え、ソーラーシェード3は、例えば、転動装置31上に配置され、第1の電気モータ41は、転動装置31を駆動してソーラーシェード3の移動を許容するように構成されている。加えて、ソーラーパネル7は、支柱30上で旋回するように取り付けることができ、第2の電気モータ43は、ソーラーパネル7の傾きが調整されることを許容するように構成することができる。ソーラーパネル7の傾斜は、例えば、ソーラーパネル7の最適な効率を得るために、太陽光線の入射角の関数として日中に制御することができる。あるいは、ソーラーパネル7は、固定された傾斜を有することができ、又は支柱30は、床に対して固定することができる。次いで、第1の電気モータ41及び第2の電気モータ43は、第2の貯蔵ユニット9bに貯蔵された電気エネルギーから電力供給される。このような電動ソーラーシェード3は、ソーラーシェード3に隣接する作物エリア5上に投じられる影を制御し、それゆえ、例えば季節及び/又は温度に応じてこの影を最小化又は最大化することを可能にする。
【0039】
図1及び図4の実施例では、ソーラーパネルはハイブリッドソーラーパネル7であるが、ソーラーパネル7は、図5のように純粋な太陽光発電パネル7であることができる。あるいは、ソーラーパネル7はまた、流体回路11及び油圧熱回路13を有する純粋な熱ソーラーパネル7であることができ、作物の温度を調節すること、又は農業用建物の温度を調節することさえも可能にする。
【0040】
上述したように、異なる実施形態の異なる特徴は、ファームの必要性に応じてソーラーシステム1の新しい構成を提供するように組み合わされ、又は再配置することができる。それゆえ、ソーラーパネル7及び貯蔵ユニット9a、9bのサイズ及び数を調整して、所望のエネルギー生産を得ることができる。
【0041】
それゆえ、作物エリア5内に配置され、ソーラーシェード3によって生成されたエネルギーのための貯蔵ユニット9a、9bと関連付けられたソーラーシェード3を備えるソーラーシステム1の使用は、作物エリア5を除去することなくソーラーシステム1を設置することを可能にし、貯蔵ユニット9a、9bによって供給される熱回路を介して作物の熱調節を提供すること、特に作物を栽培すること、又は作物を凍結させないことを許容することを可能にする。ソーラーシェード3はまた、作物に日陰を提供することによって高熱時の乾燥を制限し、熱制御は、例えば埋設タンクの使用を介して、屋外温度を下回る温度において熱伝達流体を循環させることによって作物の加熱を制限するために使用することができる。
【0042】
加えて、ソーラーパネル7の使用はまた、ソーラーシェード3自体によって、又はソーラーシェード3の近くに位置する農業機器によって使用することができる電源を提供することを可能にし、これは、ソーラーパネル7と、生成された電気エネルギーが使用される場所との間の距離を制限することを可能にする。そのようなシステムにより、電力網から外れた農村エリアに位置することができる作物エリア5で電源を得ることが可能になり、ソーラーシェード3によって生成され、貯蔵ユニット9bに貯蔵されたエネルギーによって電気機器に供給することができるため、農業作業にエネルギーの自律性を提供することができる。
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-03-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
図1】本発明の第1の実施形態による、ソーラーシステムの概略斜視図を示す。
図2】流体回路及び熱回路の図を示す。
図3a】熱交換器及び熱回路を備える流体回路の図を示す。
図3b】熱流体回路及び交換器を備える熱回路の図を表す。
図4】本発明の第2の実施形態による、ソーラーシステムの概略斜視図を示す。
図5】本発明の第3の実施形態による、ソーラーシステムの概略斜視図を示す。
図6光電回路及び熱回路の図を示す。
【国際調査報告】