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特表2024-527757内視鏡又は侵襲的な応用のための操縦可能な器具
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】内視鏡又は侵襲的な応用のための操縦可能な器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/008 20060101AFI20240719BHJP
   A61M 25/092 20060101ALI20240719BHJP
   A61M 25/00 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
A61B1/008 510
A61M25/092 500
A61M25/00 632
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501670
(86)(22)【出願日】2022-07-14
(85)【翻訳文提出日】2024-02-21
(86)【国際出願番号】 NL2022050413
(87)【国際公開番号】W WO2023287289
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】2028747
(32)【優先日】2021-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517197509
【氏名又は名称】フォーティメディックス・アセッツ・ザ・セカンド・ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】FORTIMEDIX ASSETS II B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】ティッセン、マテウス・ヘンドリク・ルイス
(72)【発明者】
【氏名】フェルベーク、マルセル・アントニウス・エリサベート
【テーマコード(参考)】
4C161
4C267
【Fターム(参考)】
4C161AA01
4C161AA04
4C161FF32
4C161FF33
4C161HH32
4C161HH34
4C161HH35
4C161JJ06
4C267AA05
4C267AA77
4C267BB02
4C267BB04
4C267BB07
4C267BB31
4C267BB52
4C267CC07
4C267CC20
4C267CC23
4C267EE03
4C267FF01
4C267GG22
4C267GG23
4C267GG24
4C267GG33
4C267HH30
(57)【要約】
侵襲的な器具が、切り替え要素、及び切り替え要素を動作させる作動要素(608;826;934、962;2)を有する。器具は、a. 侵襲的な器具の可撓性部分の撓み若しくは非撓み状態を動かなくするか又はその動きを制限するためのロッキング要素(416(m);516、704;716;718;734/736;746/748;756/758;1002;1107/1108)であって、切り替え要素が、作動要素によって制御されるようにロッキング要素(416(m);516、704;716;718;734/736;746/748;756/758;1002;1107/1108)を切り替える、ロッキング要素、又はb. 長手方向要素(1214(s);1316(s))又は操縦ワイヤ(16(i))であって、操縦ワイヤは、操縦セクション(306)からチップセクション(302)まで延在して、チップセクション(302)の一部分を撓ませ、切り替え要素は、作動要素によって制御されるように長手方向要素(1214(s);1316(s))又は操縦ワイヤ(16(i))を切り替える、長手方向要素又は操縦ワイヤを有し、ロッキング要素(416(m);516、704;716;718;734/736;746/748;756/758;1002;1107/1108)、長手方向要素(1214(s);1316(s))又は操縦ワイヤ(16(i))、切り替え要素、及び作動要素(608;826;934、962;2/1034)は、互いに挿入される1つ以上のチューブの部分である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠位端にチップセクション(302)、近位端に操縦セクション(306)、及び前記チップセクション(302)と前記操縦セクション(306)との間に本体セクション(304)を有する、長手方向に延在する侵襲的な器具であって、前記侵襲的な器具は、前記操縦セクション(306)から前記チップセクション(302)まで延在し且つ1本以上の操縦ワイヤ(16(i))の長手方向の動きによって前記チップセクション(302)の少なくとも第1の部分を撓ませるように構成される操縦ワイヤ(16(i))、1つ以上の長手方向作動要素(608;826;934、962;2;5006)を含み、この長手方向作動要素は、前記1つ以上の長手方向作動要素(606;608;826;934、962;2;5006)の長手方向の動きを、
a. 前記侵襲的な器具の可撓性部分の撓み若しくは非撓み状態を動かなくするか、又は前記侵襲的な器具の前記可撓性部分の撓みを限定するかのいずれかのために、ロッキング要素(416(m);516、704;716;718;734/736;746/748;756/758;1002;1107/1108)として動作するような1つ以上の可動要素、
b. 1つ以上の機械的なスイッチ及び前記1本以上の操縦ワイヤ(16(i))の少なくとも1つであって、それにより、前記1本以上の操縦ワイヤ(16(i))が、固定要素に固定されるか、別の可動要素に結合されるか、それらの動きが限定されるか、摩擦下でのみ動くことができるようにされるか、前記操縦セクション(302)内の異なる操縦ユニットのうちの1つに結合されるか、前記操縦セクション(302)内の操縦ユニットから外されるか、又は自由に浮動する状態に解放されるかのいずれかである、1つ以上の機械的なスイッチ及び前記1本以上の操縦ワイヤ(16(i))の少なくとも1つ、又は
c. 2つの隣接する可動要素(1214(s);1316(s))を、それらが一緒に動くことができるように結合するように構成された1つ以上の切り替え要素(1201/1208;1304;1306;1336)
のうちの少なくとも1つの接線方向の動きに変えるように構成された少なくとも1つの構成要素(622;624;636;638;640;687;693;936、938、964、966;1042;1204;1308、1310;1338)を備え、
前記1つ以上の可動要素(416(m);516、704;716;718;734/736;746/748;756/758;1002;1107/1108;16(i);1214(s);1316(s))、前記1本以上の操縦ワイヤ(16(i))、前記1つ以上の切り替え要素、及び1つ以上の長手方向作動要素(608;826;934、962;2)は全て、互いに挿入される1つ以上のチューブの部分である、侵襲的な器具。
【請求項2】
請求項1の特徴(a)が応用される場合、前記本体セクション(304)は可撓性であり、及び前記1つ以上のロッキング要素は、前記本体セクション(304)の曲げ若しくは非曲げ部分を動かなくするか、又は前記本体セクション(304)の曲げを制限するように構成される、請求項1に記載の侵襲的な器具。
【請求項3】
前記器具は、少なくとも第1のヒンジセグメント(18(p);700(1))及び別の第2のヒンジセグメント(18(p);700(2))を含む少なくとも1つのヒンジ(18;308;408(1);408(2);508(1);508(2))を含み、前記第1のヒンジセグメント(18(p);700(1))及び前記第2のヒンジセグメント(18(p);700(2))は、互いに対して撓み可能であり、且つ以下の特徴:
d. 前記第1のヒンジセグメント(18(p);700(1))を前記第2のヒンジセグメント(18(p);700(2))にロックするように構成された1つ以上のロッキング要素(704;1002);
e. 前記第1のヒンジセグメント(700(1))及び前記第2のヒンジセグメント(700(2))を通って延び且つ別の長手方向作動要素(608)によって撓み状態にロックされるように構成された1つ以上の長手方向作動要素(610;606;606ic/5006ic、606oc)によって実現される1つ以上のロッキング要素
のうちの1つによって、前記撓み状態でロック可能である、請求項2に記載の侵襲的な器具。
【請求項4】
請求項3の前記特徴(d)が応用される場合、前記1つ以上のロッキング要素は、鋸歯状ロッキング部分縁(706;1022)と、鋸歯状スイッチ要素部分(710;1023)を有する1つ以上のスイッチ要素(708;1026)とを備えるロッキング部分(704;1002)を含み、前記1つ以上の作動要素は、前記鋸歯状ロッキング部分縁(706;1022)及び前記鋸歯状切り替え要素部分(710;1023)を互いの方へ向かって動かして、前記鋸歯状ロッキング部分縁(706;1022)が前記鋸歯状切り替え要素部分(710;1023)に係合するように構成されている、請求項3に記載の侵襲的な器具。
【請求項5】
前記第1のヒンジセグメント(18(p);700(1))及び前記第2のヒンジセグメント(18(p);700(2))は、第1のチューブからの部分であり、並びに前記1つ以上のロッキング要素は、前記第1のチューブ内又は外に配置された第2のチューブからの部分である、請求項4に記載の侵襲的な器具。
【請求項6】
前記ロッキング部分(704;1002)は、前記第1のヒンジセグメントに取り付けられ、並びに前記1つ以上の切り替え要素(708;1026)は、前記第2のヒンジセグメントに対するそれらの長手方向の動きが固定されるが、前記ロッキング部分(704;1002)の方へ向かって及びそこから離れるように可動であるように構成される、請求項5に記載の侵襲的な器具。
【請求項7】
前記1つ以上の切り替え要素(708)は、前記第1のチューブに取り付けられる案内要素(712)を収容する孔を備える、請求項6に記載の侵襲的な器具。
【請求項8】
前記ロッキング部分は、少なくとも1本の操縦ワイヤ(16(1)/16(2))に隣接して配置される第1のスペーサ(1002(q))であり、及び前記少なくとも1つの切り替え要素は、前記第1のスペーサ(1002(q))に隣接して位置する第2のスペーサ(1002(q+1))から延在する可撓性レバー(1026(q))である、請求項6に記載の侵襲的な器具。
【請求項9】
前記1つ以上の長手方向作動要素(608;2/1034)は、前記1つ以上の作動要素(608;2/1034)が長手方向に動かされるときに、前記鋸歯状ロッキング部分縁(706;1022)及び前記鋸歯状切り替え要素部分(710;1023)を互いの方へ向かって動かすように構成された少なくとも1つの面(622;1042)を備える、請求項4~8のいずれか1項に記載の侵襲的な器具。
【請求項10】
請求項3の特徴(e)が応用される場合、前記侵襲的な器具は、1つ以上の内側コアセクション(5002)及び1つ以上の外側コアセクション(5004)を備えるチューブを含み、前記1つ以上の内側コアセクション(5002)は、第1の長手方向作動要素(608ic)、第2の長手方向作動要素(606ic)及び第3の長手方向作動要素(5006ic)を含み、並びに前記第1の長手方向作動要素(608ic)及び第2の長手方向作動要素(606ic)は、相互の長手方向の動きによって前記第2の長手方向作動要素(606ic)を前記第3の長手方向作動要素(5006ic)にロックし且つ前記第2の長手方向作動要素(606ic)及び第3の長手方向作動要素(5006ic)を現在の湾曲した又は湾曲していない状態に保つように、構成される、請求項3に記載の侵襲的な器具。
【請求項11】
請求項1の特徴(b)が応用される場合、前記1つ以上の切り替え要素(312)が、操縦ユニットから第1の組の操縦ワイヤを外し且つ第2の組の操縦ワイヤを前記操縦ユニットに結合するように構成され、前記第1及び第2の組の操縦ワイヤは、前記器具の異なる可撓性セクションの撓みを制御するように構成される、請求項1に記載の侵襲的な器具。
【請求項12】
請求項1の特徴(b)が応用される場合、異なる操縦ユニットの組は、増幅因子が異なる操縦ユニット、1つ以上の手動で動作可能な操縦ユニット、及び1つ以上のロボット操縦ユニットを含む、請求項1に記載の侵襲的な器具。
【請求項13】
請求項1の特徴(b)が応用される場合、前記1つ以上の切り替え要素は、前記1つ以上の作動要素(608;934、962、974)によって、前記器具の接線方向に可動であるように構成される摺動要素(612;920)によって実現される、請求項1に記載の侵襲的な器具。
【請求項14】
前記摺動要素は、案内要素(614)を備える孔を有する摺動要素(612(8);612(10))、前記接線方向に弾性的である摺動要素(612(9))、レバー(630;632;638;640)によって動作可能な摺動要素(612(11);612(14);612(17))、及び前記1つ以上の作動要素(608)のうちの1つに接続されたレバー(638;640)によって動作可能な摺動要素(612(17)のうちの1つとして実現される、請求項13に記載の侵襲的な器具。
【請求項15】
請求項1の特徴(b)が応用される場合、前記1つ以上の切り替え要素は、前記1つ以上の作動要素(608)によって、2本の隣接する操縦ワイヤ(610a、610b)間で前記器具の接線方向に可動であるように構成された摺動要素(612(18);612(19))によって実現され、前記摺動要素(612(10))は、2つの対向する長手方向側面に鋸歯状の長手方向の縁(613、681)を備え、前記鋸歯状の長手方向の縁(613、681)のそれぞれは、前記2本の操縦ワイヤのうちの一方の鋸歯状の長手方向の縁(611、683)に対面し、前記少なくとも1つの作動要素は、前記摺動要素(612(18);612(19))を、前記摺動要素(612(18);612(19))の第1の鋸歯状縁(613)が前記2本の操縦ワイヤの一方(610a)の鋸歯状の長手方向の縁(611)に係合する第1の状態と、前記摺動要素(612(18);612(19))の第2の鋸歯状縁(681)が前記2本の操縦ワイヤの他方(610b)の鋸歯状の長手方向の縁(683)に係合する第2の状態との間で接線方向に動かすように構成されている、請求項1に記載の侵襲的な器具。
【請求項16】
前記1つ以上の作動要素は、作動チューブ、又は前記摺動要素(612(18))が作られる前記チューブ内若しくは外に配置されたチューブの作動部分を含み、前記作動チューブ又は前記チューブの作動部分は、前記摺動要素(612(18))に取り付けられている、請求項15に記載の侵襲的な器具。
【請求項17】
前記摺動要素(612(19))は、スロット(691)、前記スロット(691)内に設けられたピン(693)を含み、前記ピン(693)は、前記1つ以上の作動要素に取り付けられ、前記スロット(691)は、前記ピン(693)が前記1つ以上の作動要素によって前記長手方向に動かされると、前記摺動要素(612(19))が前記接線方向に動かされるような形状にされる、請求項15に記載の侵襲的な器具。
【請求項18】
ブロック状の、セルフセンタリング状の、又はスナップ嵌め鋸歯状縁が応用される、請求項4~10、又は請求項15~17のいずれか1項に記載の侵襲的な器具。
【請求項19】
請求項1の特徴(b)が応用される場合、前記1つ以上の切り替え要素(826)は、前記少なくとも1本以上の操縦ワイヤを、前記1本以上の操縦ワイヤに予荷重張力をもたらすように構成された予荷重構造に結合するように構成される、請求項1に記載の侵襲的な器具。
【請求項20】
前記侵襲的な器具は、前記予荷重構造が第1のステップ及び第2のステップにおいて動作され得るように構成され、前記第1のステップでは、前記少なくとも1本以上の操縦ワイヤが、前記1つ以上の切り替え要素(826)によってスリーブ(813)に結合され、及び前記第2のステップでは、前記1本以上の操縦ワイヤ(16(1))は、前記スリーブ(813)を前記長手方向に動かすことによって、予荷重される、請求項19に記載の侵襲的な器具。
【請求項21】
前記侵襲的な器具は、トロカール、外科用ツールを案内するためにトロカールを組み込む外科用器具、又はゼロ若しくは1つ以上の外科用器具を案内するように構成された内視鏡のいずれかである、請求項1~20のいずれか1項に記載の侵襲的な器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば外科手術における内視鏡及び/又は侵襲タイプの応用のための操縦可能な器具に関する。本発明による操縦可能な器具は、医学的及び非医学的応用の双方において使用され得る。後者の例は、到達することが困難な箇所における、機械的及び/又は電子的機器の検査及び/又は修理を含む。それゆえ、以下の説明で使用される用語、例えば内視鏡応用又は侵襲的な器具は、広義に解釈される必要がある。
【背景技術】
【0002】
標的部位を露出させるために大きい切開部を必要とする外科的介入の、低侵襲外科的介入(すなわち、標的部位へのアクセスを確立するために自然開口部又は小さな切開部のみを必要とする)への変化が、よく知られている現在進行中のプロセスである。低侵襲外科的介入の実施では、医師などのオペレータがアクセスポートを必要とし、これは、ヒトや動物の体内に侵襲的な器具を導入して位置付けるために配置される。ヒトや動物の患者への瘢痕組織の形成及び疼痛を減らすために、アクセスポートは、好ましくは、皮膚及び下部の組織にある単一の小さな切開部によって提供される。いくつかの応用では、体の自然開口部が進入口として使用され得る。
【0003】
外科的な侵襲的な器具及び内視鏡が当業界でよく知られている。侵襲的な器具及び内視鏡の双方共、そのナビゲーション及び操縦能力を高める操縦可能なチューブを含み得る。そのような操縦可能なチューブは、少なくとも1つの可撓性ゾーンを含む近位端部、少なくとも1つの可撓性ゾーンを含む遠位端部、及び中間部を含み得、ここでは、操縦可能なチューブは、さらに、中間部に対する近位端部の少なくとも一部の撓みを遠位端部の少なくとも一部の関連の撓みに変えるように適合される操縦配置構成を含む。或いは、遠位可撓性ゾーンは、操縦可能な器具の近位端に配置されたロボット器具によって操縦され得る。
【0004】
操縦可能な侵襲的な器具は、チューブを操縦する及び/又は操縦可能なチューブの遠位端部に配置されるツールを操作するために、操縦可能なチューブの近位端部に配置されるハンドルを含み得る。そのようなツールは、例えば、カメラ、手動マニピュレータ、例えばハサミ、鉗子、又はエネルギー源、例えば電気、超音波は若しくは光エネルギー源を使用するマニピュレータとし得る。
【0005】
さらに、そのような操縦可能なチューブは、外側シリンダー状要素、内側シリンダー状要素、及び1つ以上の中間シリンダー状要素を含む、いくつかの同軸上に配置されたシリンダー状要素を含み得、これは、単に、チューブの近位及び遠位端部にある可撓性ゾーンの数、並びに操縦配置構成の操縦部材の所望の実現、すなわち全操縦部材が単一の中間シリンダー状要素内に配置され得るか、又は操縦部材が異なる組に分割され、且つ各組の操縦部材が、少なくとも一部において、異なる若しくは同じ中間シリンダー状要素内に配置されるか次第である。ほとんどの従来技術の機器では、操縦配置構成は、例えば、操縦部材として1mm未満(sub 1mm)の直径の従来の操縦ケーブルを含み、ここで、操縦ケーブルは、チューブの近位及び遠位端部における関連の可撓性ゾーン間に配置される。ボール形状の操縦ユニット又はロボット駆動型操縦ユニットのような、近位端にある他の操縦ユニットが、その代わりに用いられてもよい。
【0006】
しかしながら、操縦ケーブルには、多くのよく知られている不利益があるため、いくつかの応用に対して、それらを回避し、且つ1つ以上の中間シリンダー状要素の一体部を形成する1組以上の操縦ワイヤによって、操縦部材を実現したいかもしれない。操縦ワイヤを含む中間シリンダー状要素のそれぞれは、射出成形やめっきなどの好適な材料付加技術を使用することによって、又はチューブから始め、その後、好適な材料除去技術、例えばレーザ切断、光化学エッチング、深い押圧(deep pressing)、従来のチッピング技術、例えばドリル穴あけやフライス削り、若しくは高圧水ジェット切断システムを使用することによってのいずれかで、製作され得る。その後、そのような方法で製造された操縦ワイヤは、チューブ材料に由来する長手方向条片として実現され、且つプッシュ/プルワイヤとして使用され得る。上述の材料除去技術のうち、レーザ切断は、合理的な経済的条件下で非常に正確に且つきれいに材料を除去できるため、非常に好都合である。本発明の実施形態は、この技術を使用して製造され得る。
【0007】
内側及び外側シリンダー状要素も、チューブから製造され得る。これらのチューブは、器具の遠位端が、及びおそらくは近位端も、曲げ可能な箇所において可撓性であるべきである。器具が可撓性であるべきである他の箇所においても、内側及び外側シリンダー状要素は可撓性であるべきである。これは、これらの可撓性のある箇所において内側及び外側シリンダー状要素にヒンジを設けることによって、実現され得る。そのようなヒンジは、チューブの予め決められたパターンを(レーザ)切断することから生じ得る。多くの異なるパターンが従来技術から公知である。どのパターンを使用するかは、限定されるものではないが、必要な曲げ角度、曲げ柔軟性、縦剛性、及び半径方向剛性を含め、該当する箇所における設計要件次第である。
【0008】
上述の操縦可能なチューブの設計及び製作並びにその操縦配置構成に関するさらなる詳細は、本出願人の例えば国際公開第2009/112060A1号パンフレット、国際公開第2009/127236A1号パンフレット、米国特許出願第13/160,949号明細書、及び米国特許出願第13/548,935号明細書に説明されており、それら全ての全体を参照することにより本書に援用する。
【0009】
例えば操縦可能なチップを備える軟性内視鏡器具から公知であるように、可撓性の侵襲的な操縦可能な器具が、操縦可能なチップの制御に関する性能の欠陥を明らかにし得る。そのような可撓性の器具は、内視鏡又は自然生体管腔のいずれかの湾曲したチャンネルを通って、体内に挿入されると、器具の曲げによって、長手方向チップ操縦要素の変位を引き起こす。従来の構築された器具では、操縦要素、例えばワイヤは、近位側においてハンドルのような操縦機器に、及び遠位側において操縦可能なチップに固定されているため、操縦ワイヤの動きは、操縦機器の撓み及び又は操縦可能なチップの撓みを生じる。これは、器具が狭い湾曲したチャンネルを通して前進させられるときに、及び操縦機器を固定位置に保持しているときに、チップが、前進している最中に、制御できずに撓み、且つ例えば、狭い内視鏡ワーキングチャンネル内で動かなくなり得るか、又は例えば肺気管支や食道のような軟組織の自然生体管腔内の組織を損傷させ得るかのいずれかとなる問題を引き起こす。
【0010】
別の問題は、器具が進入チャンネルを通過して器具チップが標的手術部位に到達したとき、チップの撓みが操縦機器の撓みにもはや合致しないことである。そのため、操縦機器の中立位置によって、操縦可能なチップの中立位置を生じない。このオフセットは、使用者の視覚・手指協調に悪影響を及ぼす。
【0011】
器具本体の曲げに起因する、望まれていないチップ操縦の問題に取り組む、この問題に対する部分的な解決法は、国際公開第2014/011049号パンフレットに説明されている。この解決法では、操縦ワイヤが操縦機器から切り離され得、且つこれらの操縦ワイヤの端、それゆえ器具チップが、湾曲した進入路を通って器具が前進させられるときに自由に動き得る器具が説明されている。ひとたび器具チップが進入チャンネルを通過してその標的手術部位になったら、操縦ワイヤは操縦機器に再び結合され、及び器具チップがここで操縦され得る。この解決法の不都合な点は、器具が、機械的により複雑になり、且つ構築するためにより多くの部品を要することである。別の不都合な点は、オペレータが、湾曲した進入チャンネルを通過させるために一定の手順を踏む必要があり、オペレータは、その手順を間違えることがあったり又は行うのを忘れたりすることがあることである。
【0012】
従来技術の解決法には、それらが、特別に製作された、通常プラスチック製の管類、通常金属コイル及び機械加工された部品から構築されるという、並びにそのような器具の組み立ては通常時間がかかり且つ困難なプロセスであるという、共通点がある。また、別々の部品の許容誤差がアセンブリにおいて積み重なり、且つ例えば器具の性能が広範囲に及んでしまう原因となり得、各器具の個々の較正を要することが多い。
【0013】
米国特許出願公開第2010/0228191号明細書は、長尺状の器具、例えばカテーテルの支持構造、特に制御可能に且つ独立してロック可能及びロック解除可能な結合インターフェースに関する。器具は、小さな通路をナビゲートし、且つ所望の形状に選択的にロックしてそれを維持し得る。器具は、いくつかの隣接するチューブ状構造を含み得、それらの間にはインターフェースがあり、それにより、隣接する構造は、個別に又は組として、荷重が加えられると互いに対して空間的にロック及びロック解除される。チューブ状構造は、事前設定された閾値を上回る荷重が加えられると撓むように構成された1つ以上のスプリング部材を含み得、それにより、インターフェースのロック状態を第1のロック状態から第2のロック状態へ変化させる。そのような荷重が引張及び/又は圧縮荷重とし得る実施形態が説明されている。荷重を加える部材の開示されている例は、プッシュロッド、プッシュケーブル、プッシュコイル、又はコイルチューブである。
【0014】
米国特許出願公開第2011/0004157号明細書には、操縦可能なチューブが開示されており、ここでは、器具の曲げ可能な遠位ゾーンを撓ませるための操縦ワイヤが、チューブ自体から製造されている。ある実施形態では、チューブは、外側チューブ又は内側チューブに対する、操縦ワイヤによる摺動自在な動きを防止するためのブレーキ機構を含む。目的は、遠位曲げ可能ゾーンの位置を固定することである。そのようなブレーキの唯一開示されている例は、圧縮の程度によって変わる内径を有する圧縮可能な環状リングである。リングの内周は、リングがその中心軸に沿って圧縮されるとき、操縦ワイヤに圧力を加える。
【0015】
米国特許出願公開第2015/0107396号明細書には、操縦可能な器具が開示されており、ここでは、器具の遠位曲げ可能ゾーンを撓ませるための操縦ワイヤが、チューブから製造されている。器具は、器具の軸方向に可動であるように構成され、及び器具の少なくとも一部分の湾曲を制限するように構成される湾曲運動制限部材を含む。それゆえ、器具は、一部分が湾曲するのを防止できるが、ヒンジの湾曲状態をロック/ロック解除すること又は操縦ワイヤをロック/ロック解除することはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、内視鏡及び/又は侵襲タイプの応用のための操縦可能な器具であって、上述の問題の少なくとも1つが、解決されるか又は少なくとも小さくされている、操縦可能な器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
そのために、本発明の独立態様は、独立請求項に定義されるが、従属請求項は、好都合な実施形態に関する。
【0018】
それゆえ、本発明の全ての関連の要素は、互いに挿入されるいくつかのチューブに好適なスロットパターンを作ることによって、例えば、そのようなパターンを(レーザ)切断することによって、作られる。他の技術は、下記でさらに説明するように、そのようなパターンを切るために使用され得る。そのようなパターンを切ることは、簡単で安価である。スロットパターンが作られた後、異なるチューブに切られた要素のいくつかは、所望の機能に達するために、互いに取り付けられる必要がある。これは、(レーザ)溶接や糊付けなどによって簡単に行われ得る。また、これは安価なプロセスである。いくつかのチューブに切られた要素のみを使用することによって、侵襲的な器具の断面寸法は、劇的に小さくされ得、これは、それらの器具に対する現在の市場の需要を満たす。同時に、これらの器具は、信頼性が高く、且つオペレータに、例えば(人)体内の、所望の手術部位へのツールの操作に関して、高い精密さをもたらす。
【0019】
本発明は、いくつかの異なる応用を有し得る。例えば、本発明は、ひとたび器具が湾曲したチャンネルに挿入されたら器具の可撓性部分の曲げに起因する操縦ワイヤの経路長差を補償し、器具内の個々のヒンジをロック又はロック解除し、器具の曲げ可能な部分の曲げを制限し、操縦ワイヤを他の操縦ワイヤに結合し、器具を使用する前に、操縦ワイヤに予荷重をもたらすなどのために、使用され得る。
【0020】
切り替え要素が、切り替え機能、クランプ機能、結合機能、摩擦機能、ブレーキ機能のために構成され得る。
【0021】
一態様では、器具は、少なくとも1つの切り替え要素を備え、それを用いて、オペレータ又はロボットは、操縦ユニットから1本又は複数本の操縦ワイヤを外すことができ、その後、器具は、器具の本体が湾曲した経路の形状を取ることに起因して、遠位チップの方向に影響を与えることなく、湾曲した経路を通ってナビゲートされ得る。湾曲した経路を通るナビゲーション中、器具のチップは、自由に動くことができ、これは、1本又は複数本の操縦ワイヤが自由に動くことができ、且つ可撓性本体が曲げられるときに別の方向に無理やり動かされることなく、チップが湾曲した経路の湾曲に従うためである。ひとたび手術部位に到達したら、切り替え要素は、1本又は複数本の操縦ワイヤを操縦ユニットに結合するように、動作される。そのようにして、チップの向きは、常に、真っ直ぐに保たれ得る。さらに、チップが、器具の近位端にある撓み可能な操縦ユニットによって撓ませられた器具では、オペレータは、操縦ユニットの位置を、チップの対応する位置に設定できる。
【0022】
従来技術は、操縦ワイヤを器具の固定近位端に結合する結合部のみを説明し、及び説明した結合部は、「オン-オフ」結合の機能を果たすだけである。また、起動機構は、いくつかの別々の部品で構成される。
【0023】
本出願では、用語「近位」及び「遠位」は、器具又は内視鏡を動作させるオペレータ、例えばロボット又は医師に対して定義される。例えば、近位端部は、ロボット又は医師の近くに位置する部分であり、及び遠位端部は、ロボット又は医師から距離を置いて、すなわち手術領域に、位置する部分であるとみなされる。
【0024】
本発明による操縦可能な器具を構築するために必要な要素は全て、いくつかのチューブから、大部分が予め組み立てられた状態で、一体的に製造される。唯一の残りの組み立てステップは、チューブを互いに対して摺動させて、必要とされる場所でチューブを互いに取り付けることからなる。予め組み立てられた部品は、3D印刷又はめっき技術のような材料堆積プロセスによってチューブ壁に作られ得る。好ましくは、予め組み立てられた部品は、1枚壁のプラスチック又は金属チューブ(ステンレス鋼、コバルトクロム合金、ニチノール(nitinol)のような超弾性合金など)からの材料除去プロセスによって作られ得る。使用され得る材料除去プロセスは、例えば従来のチッピングプロセス、水ジェット切断、エッチング、及び好ましくはレーザ切断プロセスである。
【0025】
それゆえ、本発明のそれらの実施形態は、そのような器具の製造コスト、それゆえ、これらの器具が使用される介入のコストを著しく削減できる。さらに、これらの器具を1回だけ使用してその後捨てることが、商業的に採算がとれるようになる。これは、今や、以前使用されて再滅菌された器具(以前使用された器具を適切に洗浄又は再滅菌しなかったために、汚染又は患者の感染に起因して、10%の処置後の合併症のリスクを有することが知られている)の代わりに新しい器具を使用できるため、介入の安全性を高める。
【0026】
そのような器具の別の利点は、予め組み立てられた状態の部品のこの一体化した生産方法を使用することによって、それらが常に互いに適合すること、及び部品間に最小限の遊びが達成されることである。これは、レーザ切断プロセスが使用されるときに特に当てはまる。2つの一体的に製造された部品間の最小限の達成可能な遊びは、使用されるレーザビームの幅と同じ程度に小さく、これは、0.01mm程の小ささとし得る。一般に、0.01~0.05mmの遊びは、簡単に得ることができる。それゆえ、本発明による、部品の一体的な製作は、部品の適合及びそれらの間の遊び関して正確であるため、器具の機能的な性能の精度及び繰り返し性の改善が保証される。
【0027】
本発明のさらなる特徴及び利点は、非限定的及び非排他的な実施形態によって、本発明の説明から明らかになる。これらの実施形態は、保護範囲の限定とはみなされない。当業者は、本発明の他の代替例及び等価の実施形態を思いつき、且つ本発明の範囲から逸脱することなく実現するためにまとめられ得ることが理解するであろう。本発明の実施形態は、添付図面の図を参照して説明され、図面では、同様の又は同じ参照符号は、同様、同じ又は対応する部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】1つの曲げ可能な遠位端部分と、シリンダー状要素から切られた条片によって、曲げ可能遠位端部分の曲げを制御する1つの近位端部分とを有する侵襲的な器具アセンブリの概略的な断面図を示す。
図2図1の器具が製造され得る3つのシリンダー状要素の概略的な全体図を示す。
図3a図1及び図2の器具の中間シリンダー状要素の一部分を示す。
図3b】そのような器具の中間シリンダー状要素の代替例を示す。
図4】例示的な中間シリンダー状要素、及び中間シリンダー状要素に挿入された内側シリンダー状要素を示す。
図5】2つの操縦可能な曲げ可能遠位端部分及び2つの近位可撓性制御部分を有する、操縦可能な侵襲的な器具の組み立て体の外側の図を示す。
図6図5に示す器具の遠位チップの拡大図を示す。
図7図5に示す侵襲的な器具を通る断面図を示す。
図8-9】どのように図5及び図7の侵襲的な器具が曲げられ得るかの例を示す。
図10】遠位端と近位端との間の中間セクションの少なくとも一部分も可撓性である、図5~9に示す侵襲的な器具の代替的な実施形態を示す。
図11-12】内視鏡的な外科用器具として侵襲的な器具を使用する概略的な例を示し、ここでは、遠位端と近位端との間の中間セクションも可撓性であり、侵襲的な器具が、腸管、及び食道のような体内の自然な管に挿入され得るようにする。
図13-18C】器具に追加的な機能をもたらすために、どのように操縦ワイヤ又は制御ワイヤが、切り替えられ得る/器具の他の部品にクランプされるかを概略的に示す。
図19A-19B】ヒンジの撓みを動かなくするための機構を示す。
図20】入れ子式機器を示す。
図21】撓ませられた向きにあるヒンジを動かなくするために使用され得る切り替え要素を備える機器を示す。
図22A-36】どのように操縦ワイヤが器具の他の部分、例えば他の操縦ワイヤ部分、又は器具本体の「固定」世界にクランプされ得るかの、いくつかの概略的な例を示す。
図37A-40】隣接するヒンジセグメントを動かなくするために使用され得るいくつかの概略的な機構を示す。
図41A-41C】操縦ワイヤがロックされ得るいくつかのチューブを備える実現例を示す。
図42A-42C】操縦ワイヤが引張力によって予荷重され得るいくつかのチューブを備える実現例を示す。
図43A-43C】操縦ワイヤがロックされ得るいくつかのチューブを備える実現例を示す。
図44A-45C】現在の撓ませられた向きでヒンジが動かなくされ得るいくつかのチューブを備える実現例を示す。
図46A-46E】単一の操縦ワイヤとして動作し得るように操縦ワイヤの異なる部分が互いに接続され得る1つ以上のチューブを備える実現例を示す。
図47A-47B】どのように隣接する長手方向要素が切り替え機構と結合され得るかの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本書の目的のために、用語シリンダー状要素及びチューブは区別しないで使用され得る、すなわち、用語シリンダー状要素はまた、物理的実体を指す。本発明は、操縦ワイヤを参照して説明され、操縦ワイヤは、そのようなシリンダー状要素から切られ、且つ器具の近位端における操縦ワイヤの動きを遠位端へ伝達し、それにより、1つ以上の可撓性遠位端部分の曲げを制御するプッシュ及び/又はプル操縦ワイヤとして動作可能である。
【0030】
本発明が応用され得る器具
図1図2図3a、及び図3bは、国際公開第2009/112060号パンフレットから公知である。このタイプの器具において本発明が応用され得るため、それらは詳細に説明される。
【0031】
図1は、3つの同軸上に配置されたシリンダー状要素、すなわち内側シリンダー状要素2、中間シリンダー状要素3及び外側シリンダー状要素4を含む、従来技術の操縦可能な器具の縦断面図を示す。シリンダー状要素2、3、及び4を作製するために使用される好適な材料は、レーザ切断やEDMのような材料除去プロセスによって形作られ得る、ステンレス鋼、コバルト-クロム、形状記憶合金、例えばNitinol(登録商標)、プラスチック、ポリマー、複合材、又は他の材料を含む。或いは、シリンダー状要素は、3D印刷プロセス又は他の公知の材料堆積プロセスによって作製され得る。
【0032】
内側シリンダー状要素2は、器具の遠位端部13に位置する第1の剛体端部5、第1の可撓部6、器具の中間部12に位置する中間剛体部7、第2の可撓部8、及び器具の近位端部11に位置する第2の剛体端部9を含む。
【0033】
外側シリンダー状要素4も、第1の剛体端部17、第1の可撓部18、中間剛体部19、第2の可撓部20、及び第2の剛体端部21を含む。シリンダー状要素2の部5、6、7、8、及び9のそれぞれの長さ、及びシリンダー状要素4の部17、18、19、20、及び21のそれぞれの長さは、好ましくは、実質的に同じであるため、内側シリンダー状要素2が外側シリンダー状要素4に挿入されると、これらの異なるそれぞれの部は、互いに長手方向に位置合わせされる。
【0034】
中間シリンダー状要素3はまた、第1の剛体端部10及び第2の剛体端部15を有し、これらは、組み立て済の状態において、他の2つのシリンダー状要素2、4の対応する剛体部5と17との間及び9と21との間にそれぞれ位置する。中間シリンダー状要素3の中間部14は、下記で説明するように異なる形及び形状を有し得る1本以上の別々の操縦ワイヤ16を含む。それらは、シリンダー状要素3自体から作られ、且つ長手方向条片の形を有し得る。図3aには、2本のそのような操縦ワイヤ16が示されている。要素2が要素3に挿入され、及び2つの組み合わせられた要素2、3が要素4に挿入される(任意の他の順序が可能である)3つのシリンダー状要素2、3、及び4の組み立て後、器具の遠位端にある少なくとも内側シリンダー状要素2の第1の剛体端部5、中間シリンダー状要素3の第1の剛体端部10、及び外側シリンダー状要素4の第1の剛体端部17は、例えば、グルー又は1つ以上のレーザ溶接スポットによって、互いに取り付けられる。図1及び図2に示す実施形態においても、器具の近位端にある内側シリンダー状要素2の第2の剛体端部9、中間シリンダー状要素3の第2の剛体端部15及び外側シリンダー状要素4の第2の剛体端部21が、例えばグルー又は1つ以上のレーザ溶接スポットによって、互いに取り付けられて、3つのシリンダー状要素2、3、4が一体型ユニットを形成するようにする。
【0035】
図2に示す実施形態では、中間シリンダー状要素3の中間部14は、均一な断面のいくつかの操縦ワイヤ16を含むため、中間部14は、図3aの中間シリンダー状要素3の広げられた状態で示されるような全体的な形状及び形を有する。図3aから、中間部14は、中間シリンダー状部3の周囲にわたって、いくつかのおそらくは等間隔の平行な操縦ワイヤ16によって形成されることも明らかになる。好都合なことに、操縦ワイヤ16の数は、少なくとも3本であるため、器具は、いずれの方向にも十分に制御可能になるが、任意のより多くの数も可能である。操縦ワイヤ16の数は、例えば、6本又は8本とし得る。
【0036】
操縦ワイヤ16は、それらの全長にわたって均一な断面を有する必要はないことが観察される。操縦ワイヤは、それらの長さに沿って可変幅を有してもよく、おそらくは、1箇所以上において、隣接する操縦ワイヤ16は、シリンダー状要素3をレーザ切断することによって生じる小さいスロットのみによって分離される。そのため、操縦ワイヤのこれらのより幅広の部分はスペーサとして動作して、隣接する操縦ワイヤ16が、押されている状態で接線方向において座屈するのを防止する。或いは、スペーサは他の方法で実現され得る。
【0037】
スペーサを備える実施形態が図3bに示されており、ここでは、2本の隣接する操縦ワイヤ16は広げられた状態にある。図3bに示す実施形態では、各操縦ワイヤ16は、第1の可撓部6、18、中間剛体部7、19及び第2の可撓部8、20のそれぞれと共存する3つの部分61、62及び63で構成される。中間剛体部分と一致する部分62では、各対の隣接する操縦ワイヤ16は、接線方向において互いにほとんど触れているため、実際には、各操縦ワイヤの独立した動きを可能にするのにちょうど十分な細いスロットのみがそれらの間に存在する。スロットは、製造プロセスによって生じ、及びその幅は、例えば、スロットを切断するレーザビームの直径に起因する。
【0038】
他の2つの部分61及び63では、各操縦ワイヤは、周方向にみるときに比較的小さい可撓部64、65からなるため、各対の隣接する可撓部間にはかなりの間隙があり、及び各可撓部64、65はいくつかのスペーサ66を備え、スペーサは、接線方向に延在し、且つ隣接する可撓部64、65への間隙をほとんど完全に橋渡しする。これらのスペーサ66ゆえに、器具の可撓性部分において操縦ワイヤ16が接線方向にシフトする傾向は抑制され、及び接線方向の制御が改善される。これらのスペーサ66の正確な形状は、可撓部64及び65の可撓性を損なわないという条件で、あまり重要ではない。スペーサ66は、可撓部64、65と一体部を形成し得、且つ同様に好適なレーザ切断プロセスによって生じ得る。
【0039】
図3bに示す実施形態では、スペーサ66は、それらが取り付けられている可撓部64、65から分かるように1つの接線方向の方へ向かって延在している。しかしながら、1つの可撓部64、65から始まって両周方向に延在するこれらのスペーサ66を有することも可能である。これを使用することによって、接線方向に沿って見られるような代わりのタイプの可撓部64、65を有することも可能であり、ここでは、第1のタイプは、両側部に、次の可撓部まで延在するスペーサ66が設けられており、及び第2の中間の組の可撓部64、65にはスペーサ66がない。そうでなければ、両側部にカムを備える可撓部を有することが可能であり、ここでは、器具の長手方向に沿って見られるように、1つの可撓部から生じるカムは、隣接する可撓部から生じるスペーサと交互になる。多数の代替例が利用可能であることが明らかである。
【0040】
そのような中間部の生産は、射出成形若しくはめっき技術によって、又は所望の内径若しくは外径のシリンダー状チューブから始まって、及び例えばレーザや水切断により、必要に応じてシリンダー状チューブの壁の複数の部分を除去して、所望の形状の中間シリンダー状要素3になるようにすることによって、最も都合よく行われる。しかしながら、その代わりに、任意の3D印刷方法が使用され得る。
【0041】
材料の除去は、レーザ切断、光化学エッチング、深押し、従来のチッピング技術、例えばドリル穴あけやフライス削り、高圧水ジェット切断システム又は利用可能な任意の好適な材料除去プロセスなどの異なる技術によって、行われ得る。好ましくは、レーザ切断が使用されるが、これは、合理的な経済的条件下で非常に正確に且つきれいに材料を除去できるようにするためである。上述のプロセスは、シリンダー状要素3が、従来の器具では必要とされるような(従来の操縦ケーブルは何らかの方法で端部に接続される必要がある)中間シリンダー状要素の異なる部分を接続するために追加的なステップを必要とせずに、いわば1つのプロセスで作製され得るため、好都合な方法である。それぞれ可撓部6、8、18及び20を備える内側及び外側シリンダー状要素2及び4の生産に同じタイプの技術が使用され得る。これらの可撓部6、8、18及び20は、例えば、10.03.2008出願の欧州特許出願第08 004 373.0号明細書の5頁15~26行目に説明されている方法のいずれかを使用して、シリンダー状要素から任意の所望のパターンを切ることから生じるヒンジとして製造され得るが、可撓性部分を作るために、任意の他の好適なプロセスが使用され得る。
【0042】
図4~10に示す器具は、従来技術の国際公開第2020/214027号パンフレットから公知であることが観察される。同様に、これらの器具において、本発明が応用され得る。
【0043】
図4は、上述したような近位可撓性ゾーン14と遠位可撓性ゾーン16を相互接続する中間シリンダー状要素3の壁に長手方向スロット70を設けた後に得られた長手方向(操縦)要素16の例示的な実施形態を示す。ここで、操縦ワイヤ16は、少なくとも一部において、器具の長手方向軸の周りでらせん状になって、器具の近位部分にあるそれぞれの操縦要素16の端部分が、長手方向軸の周りで、器具の遠位部分にある同じ操縦ワイヤ16の端部分とは別の角度の向きに配置されるようにする。操縦ワイヤ16が直線状の向きに配置される場合、ある平面での近位部分における器具の曲げは、同じ平面であるが180度反対の方向の、遠位部分における器具の曲げを生じる。操縦ワイヤ16のこのらせん状構成は、ある平面での近位部分における器具の曲げが、別の平面での、又は同じ平面での同じ方向での、遠位部分における器具の曲げを生じ得る効果を可能にする。好ましいらせん状構成は、器具の近位部分におけるそれぞれの操縦要素16の端部分が、器具の遠位部分にある同じ操縦ワイヤ16の端部分に対して、長手方向軸の周りで180度角度的にシフトされた向きに配置されるようなものとし得る。しかしながら、例えば任意の他の角度的にシフトされた向き、例えば90度は、本書の範囲内である。スロット70は、操縦可能な器具内の適所に設けられるとき、操縦ワイヤの動きが、隣接する操縦ワイヤによって案内されるような寸法にされる。しかしながら、特に器具の可撓性ゾーン13、14において、操縦ワイヤ16の幅は、それらの位置において器具に必要な可撓性/曲げ性を提供するには小さいかもしれない。
【0044】
図5は、2つの曲げ可能な近位ゾーン72、73によってそれぞれ動作される2つの操縦可能な曲げ可能な遠位ゾーン74、75を有する、操縦可能な器具の長尺状のチューブ状本体76の実施形態の遠位部分の詳細な斜視図を提供する。図5は、長尺状のチューブ状本体76が、いくつかの同軸上に配置された層又はシリンダー状要素、例えば、遠位端部分13において第1の遠位可撓性ゾーン74の後で終端する外側シリンダー状要素104を含むことを示す。外側シリンダー状要素104の遠位端部分13は、例えば溶接スポット100におけるスポット溶接によって、外側シリンダー状要素104内に及びそれに隣接して位置するシリンダー状要素103に固定して取り付けられる。しかしながら、任意の機械的なスナップフィット接続又は好適なグルーによる糊付けを含め、任意の他の好適な取り付け方法が使用され得る。
【0045】
図6は、遠位端部13のより詳細な図を提供し、且つこの実施形態では、遠位端部が、3つの同軸上に配置された層又はシリンダー状要素、すなわち、内側シリンダー状要素101、第1の中間シリンダー状要素102及び第2の中間シリンダー状要素103を含むことを示す。内側シリンダー状要素101、第1の中間シリンダー状要素102及び第2の中間シリンダー状要素103の遠位端は、3つ全てが、互いに固定して取り付けられる。これは、溶接スポット100におけるスポット溶接によって行われてもよい。しかしながら、任意の機械的なスナップフィット接続又は好適なグルーによる糊付けを含め、任意の他の好適な取り付け方法が使用され得る。図面に示すように、取付点は、内側シリンダー状要素101、第1の中間シリンダー状要素102及び第2の中間シリンダー状要素103の端縁にあるとし得る。しかしながら、これらの取付点はまた、これらの縁からある程度離れた距離に位置してもよく、好ましくは、端縁と可撓性ゾーン75の箇所との間にあってもよい。
【0046】
当業者には、図5に示すような長尺状のチューブ状本体76は、合計4つのシリンダー状要素を含むことが明らかになる。図5に示す実施形態による長尺状のチューブ状本体76は、2つの中間シリンダー状要素102及び103を含み、この内部に、操縦配置構成の操縦部材が配置される。しかしながら、所望の場合には、余分な又はそれよりも少ないシリンダー状要素が提供されてもよい。
【0047】
図5に示すような長尺状のチューブ状本体76の例示的な実施形態における操縦配置構成は、長尺状のチューブ状本体76の近位端部11に2つの可撓性ゾーン72、73、長尺状のチューブ状本体76の遠位端部13に2つの可撓性ゾーン74、75、並びに近位端部11及び遠位端部13にある関連の可撓性ゾーン間に配置される操縦部材を含む。操縦部材の例示的な実際の配置構成は図7に示されており、これは、図5に示すような長尺状のチューブ状本体76の例示的な実施形態の概略的な縦断面図を提供する。
【0048】
この実施形態では、可撓性ゾーン72、73、74、及び75は、それぞれのシリンダー状要素にスリット72a、73a、74a、及び75aをそれぞれ設けることによって、実現される。そのようなスリット72a、73a、74a、及び75aは任意の好適なパターンに配置され得、可撓性ゾーン72、73、74、及び75が、所望の設計に従って長手方向及び接線方向において所望の可撓性を有するようにする。
【0049】
図7は、上述の4つの層又はシリンダー状要素、すなわち、内側シリンダー状要素101、第1の中間シリンダー状要素102、第2の中間シリンダー状要素103、及び外側シリンダー状要素104の縦断面図を示す。
【0050】
器具の遠位端から近位端までのその長さに沿って見られるときに、内側シリンダー状要素101は、操縦可能な器具10の遠位端部13に配置される剛体リング111、第1の可撓性部分112、第1の中間剛体部分113、第2の可撓性部分114、第2の中間剛体部分115、第3の可撓性部分116、第3の中間剛体部分117、第4の可撓性部分118、及び操縦可能な器具の近位端部分11に配置される剛体端部分119を含む。
【0051】
器具の遠位端から近位端までのその長さに沿って見られるときに、第1の中間シリンダー状要素102は、剛体リング121、第1の可撓性部分122、第1の中間剛体部分123、第2の可撓性部分124、第2の中間剛体部分125、第3の可撓性部分126、第3の中間剛体部分127、第4の可撓性部分128、及び剛体端部分129を含む。部分122、123、124、125、126、127及び128は一緒に、ワイヤのように長手方向に動かされ得る操縦ワイヤ120を形成する。第1の中間要素102の剛体リング121、第1の可撓性部分122、第1の中間剛体部分123、第2の可撓性部分124、第2の中間剛体部分125、第3の可撓性部分126、第3の中間剛体部分127、第4の可撓性部分128、及び剛体端部分129のそれぞれの長手方向寸法は、内側シリンダー状要素101の剛体リング111、第1の可撓性部分112、第1の中間剛体部分113、第2の可撓性部分114、第2の中間剛体部分115、第3の可撓性部分116、第3の中間剛体部分117、第4の可撓性部分118、及び剛体端部分119のそれぞれの長手方向寸法と位置合わせされ、及び好ましくはほぼ等しく、且つこれらの部分と一致してもいる。この説明では、「ほぼ等しい」は、それぞれの同じ寸法が、10%未満、好ましくは5%未満の範囲内で等しいことを意味する。
【0052】
同様に、第1の中間シリンダー状要素102は、1本以上の他の操縦ワイヤを含み、そのうちの1本が、参照符号120aで示されている。
【0053】
器具の遠位端から近位端までのその長さに沿って見られるときに、第2の中間シリンダー状要素103は、第1の剛体リング131、第1の可撓性部分132、第2の剛体リング133、第2の可撓性部分134、第1の中間剛体部分135、第1の中間可撓性部分136、第2の中間剛体部分137、第2の中間可撓性部分138、及び剛体端部分139を含む。部分133、134、135及び136は一緒に、ワイヤのように長手方向に動かされ得る操縦ワイヤ130を形成する。第2の中間シリンダー103の第1の剛体リング131、第2の剛体リング133と第2の可撓性部分134と一緒になった第1の可撓性部分132、第1の中間剛体部分135、第1の中間可撓性部分136、第2の中間剛体部分137、第2の中間可撓性部分138、並びに剛体端部分139のそれぞれの長手方向寸法は、第1の中間要素102の剛体リング111、第1の可撓性部分112、第1の中間剛体部分113、第2の可撓性部分114、第2の中間剛体部分115、第3の可撓性部分116、第3の中間剛体部分117、第4の可撓性部分118、及び剛体端部分119のそれぞれの長手方向寸法と位置合わせされ、及び好ましくはほぼ等しく、且つこれらの部分と一致してもいる。
【0054】
同様に、第2の中間シリンダー状要素103は、1本以上の他の操縦ワイヤを含み、そのうちの1本が、参照符号130aで示されている。
【0055】
器具の遠位端から近位端までのその長さに沿って見られるときに、外側シリンダー状要素104は、第1の剛体リング141、第1の可撓性部分142、第1の中間剛体部分143、第2の可撓性部分144、及び第2の剛体リング145を含む。外側シリンダー状要素104の第1の可撓性部分142、第1の中間剛体部分143及び第2の可撓性部分144のそれぞれの長手方向寸法は、第2の中間要素103の第2の可撓性部分134、第1の中間剛体部分135及び第1の中間可撓性部分136のそれぞれの長手方向寸法と位置合わせされ、及び好ましくはほぼ等しく、且つこれらの部分と一致してもいる。剛体リング141は、剛体リング133とほぼ同じ長さを有し、且つ例えばスポット溶接や糊付けによって、それに固定して取り付けられる。好ましくは、剛体リング145は、例えばスポット溶接や糊付けによって、剛体リング145と第2の中間剛体部分137との間でそれぞれ適切な固定した取り付けを行うのに必要とされる長さにわたってのみ、第2の中間剛体部分137と重なる。剛体リング111、121及び131は、例えば、スポット溶接や糊付けによって、互いに取り付けられる。これは、その端縁においてだけでなく、これらの端縁から少し離れて行われてもよい。
【0056】
ある実施形態では、同じことが、同等の方法で同様に互いに取り付けられ得る剛体端部分119、129及び139にも当てはまり得る。しかしながら、構成は、近位部分におけるシリンダー状要素の直径が遠位部分における直径と比べて大きい、又は小さいようにし得る。そのような実施形態では、近位部分における構成は、図7に示すものとは異なる。直径が増減する結果、増幅又は減衰が達成される、すなわち、遠位部分における可撓性ゾーンの曲げ角度は、近位部分における対応する可撓性部分の曲げ角度よりも大きく又は小さくなる。
【0057】
シリンダー状要素101、102、103、及び104の内径及び外径は、長尺状のチューブ状本体76に沿った同じ箇所において、内側シリンダー状要素101の外径が第1の中間シリンダー状要素102の内径よりもわずかに小さく、第1の中間シリンダー状要素102の外径が第2の中間シリンダー状要素103の内径よりもわずかに小さく、及び第2の中間シリンダー状要素103の外径が外側シリンダー状要素104の内径よりもわずかに小さくなるようにし、隣接するシリンダー状要素の互いに対する摺動運動が可能となるように、選択される。寸法決めは、隣接する要素間に滑り嵌めが提供されるようにするべきである。隣接する要素間の隙間は、一般的に0.02~0.1mm程度であるが、特定の応用及び使用される材料次第である。隙間は、操縦ワイヤの壁厚よりも小さく、その重なり形態を防止し得る。隙間を操縦ワイヤの壁厚の約30%~40%に制限することが、一般的に十分である。
【0058】
図7から分かるように、近位端部11の可撓性ゾーン72は、操縦可能な器具の操縦配置構成の第1の組の操縦ワイヤを形成する第2の中間シリンダー状要素103の部分134、135及び136によって、遠位端部13の可撓性ゾーン74に接続される。さらに、近位端部11の可撓性ゾーン73は、操縦配置構成の第2の組の操縦ワイヤを形成する第1の中間シリンダー状要素102の部分122、123、124、125、126、127、及び128によって、遠位端部13の可撓性ゾーン75に接続される。上述のような構成の使用は、操縦可能な器具10を二重曲げに使用することを可能にする。この構成の動作原理について、図8及び図9に示す例に関して説明する。
【0059】
便宜上、図7図8及び図9に示すように、シリンダー状要素101、102、103、及び104の異なる部分は、以下の通り定義されるゾーン151~160に分類されている。ゾーン151は、剛体リング111、121、及び131を含む。ゾーン152は、部分112、122、及び132を含む。ゾーン153は、剛体リング133及び141と、部分113及び123とを含む。ゾーン154は、部分114、124、134及び142を含む。ゾーン155は、部分115、125、135及び143を含む。ゾーン156は、部分116、126、136及び144を含む。ゾーン157は、剛体リング145と、部分117、127、及び137のそれと一致する部分とを含む。ゾーン158は、部分117、127、及び137のゾーン157外にある部分を含む。ゾーン159は、部分118、128及び138を含む。最後に、ゾーン160は、剛体端部分119、129及び139を含む。
【0060】
操縦可能な器具の遠位端部13の少なくとも一部を撓ませるために、ゾーン158に対して、任意の半径方向に曲げ力を加えることが可能である。図8及び図9に示す例によれば、ゾーン158は、ゾーン155に対して下向きに曲げられる。したがって、ゾーン156は下方に曲げられる。第2の中間剛体部分137と第2の剛体リング133との間に配置される第2の中間シリンダー状要素103の部分134、135、及び136を含む第1の組の操縦ワイヤのため、ゾーン156の下向きの曲げは、第1の組の操縦ワイヤの長手方向変位によって、ゾーン155に対するゾーン154の上向きの曲げに変えられる。これは、図8及び図9の双方に示されている。
【0061】
ゾーン156の例示的な下向きの曲げは、図8に示すように、器具の遠位端におけるゾーン154の上向きの曲げのみを生じることに留意されたい。ゾーン156の曲げの結果としてのゾーン152の曲げは、ゾーン152と154との間に配置されるゾーン153によって防止される。続いて、ゾーン160に、曲げ力が任意の半径方向に加えられると、ゾーン159も曲げられる。図9に示すように、ゾーン160は、図8に示すその位置に対して上向きの方向に曲げられる。したがって、ゾーン159は上向きの方向に曲げられる。剛体リング121と剛体端部分129との間に配置される第1の中間シリンダー状要素102の部分122、123、124、125、126、127及び128を含む第2の組の操縦ワイヤのため、ゾーン159の上向きの曲げは、第2の組の操縦ワイヤの長手方向変位によって、図8に示すその位置に対してゾーン152の下向きの曲げに変えられる。
【0062】
図9は、さらに、図8に示すようなゾーン154における器具の初期の曲げは、この曲げがゾーン156の曲げによってのみ支配される一方で、ゾーン152の曲げは、上述の通りゾーン159の曲げによってのみ支配されるため、維持されることを示す。ゾーン152及び154は互いに対して独立して曲げ可能であることに起因して、操縦可能な器具の遠位端部13に、互いに独立している位置及び長手方向軸方向を与えることが可能である。特に、遠位端部13は、好都合なS字のような形状を取り得る。当業者は、ゾーン152及び154を互いに対して独立して曲げる能力は、遠位端部13、それゆえ操縦可能な器具全体の操作性を著しく高めることを理解するであろう。
【0063】
明らかに、操縦可能な器具の遠位端部13及び近位端部11の曲げ半径及び全長に関する特定の要件に適応させること、又は近位端部11の少なくとも一部と遠位端部13の少なくとも一部との間の曲げの増幅比若しくは減衰比に適応させることに関しては、図7~9に示す可撓性部分の長さを変えることが可能である。
【0064】
図示の実施形態では、操縦ワイヤは、1つ以上の中間シリンダー状要素102、103の一体部を形成する1組以上の操縦ワイヤを含む。好ましくは、操縦ワイヤは、中間シリンダー状要素102、103の壁に、残りの操縦ワイヤを規定する長手方向スリットが設けられた後の、中間シリンダー状要素102、103の壁の残りの部分を含む。
【0065】
図10は、操縦可能な器具の例の3D図を示す。同様の参照符号は、他の図面におけるものと同じ要素を指す。それらの説明はここでは繰り返さない。器具は、5個の同軸上のシリンダー状要素202~210を含む。内側シリンダー状要素210が中間シリンダー状要素208によって囲まれており、これは中間シリンダー状要素206によって囲まれており、これは中間シリンダー状要素204によって囲まれており、これは、最終的に、外側シリンダー状要素202によって囲まれている。内側中間シリンダー状要素は、可撓性のらせん状スプリングで作られ得る。器具の近位端及び遠位端のそれぞれが、参照符号226及び227でそれぞれ示されている。
【0066】
図示の通り、ここでは、器具76は、可撓性ゾーン72と可撓性ゾーン74との間のその中間部に可撓性ゾーン77を含む。すなわち、中間シリンダー状要素204(可撓性ゾーン77の領域において外側面に位置する)は、スロット付き構造を備えて、中間シリンダー状要素に所望の可撓性をもたらす。可撓性ゾーン77におけるスロット付き構造の長手方向長は、所望の応用次第である。それは、可撓性ゾーン72と74との間の部分全体と同じ長さとしてもよい。中間シリンダー状要素204内の他の全てのシリンダー状要素206、208、210も、可撓性ゾーン77において可撓性である。可撓性ゾーン77において操縦ワイヤを有するそれらのシリンダー状要素は、定義として、可撓性である。他のものは、好ましくは好適なスロット付き構造によって作られた、好適なヒンジを備える。
【0067】
体内の手術されるべきいくつかの箇所は、特別に設計された器具を必要とする。例えば、器具の中間部12を完全に可撓性にすることによって、器具はまた、結腸、食道を経由する胃、又は湾曲した血管を経由する心臓のような、湾曲した自然のアクセスガイド/チャンネルを経由してのみアクセス可能な体内の領域において使用されることができる。
【0068】
器具は、例えば、結腸鏡として使用されるように設計され得る。図11は、使用中の結腸鏡42の概略図を示す。結腸鏡42は人体の結腸30に挿入されている。一般に、結腸30は、いくつかのほとんど直角にされたセクション32、34、36、及び38を有する。外科医が、直角セクション32から上流の結腸30の領域を手術する必要がある場合、結腸鏡42は、1.5メートルまでの距離に沿って結腸30に挿入される必要がある。さらに、結腸鏡42は、結腸30の内壁を損傷させるリスクなく、肛門から結腸30の全ての直角にされたセクション32~38を通って簡単に案内され得るように可撓性である必要がある。
【0069】
操作中、通常、いくつかの侵襲的な器具が結腸鏡42を通して挿入され、その遠位端44に、いくつかの機能のために1つ以上のツールが提供される。結腸鏡検査では、そのようなツールは、一般に、カメラレンズ及び照明要素を含む。外科医が、カメラの視野を結腸30内の所望の箇所及び視野へ操縦するのを支援するために、一般に、遠位端は、全ての角度方向において長手方向軸から偏向可能である。これはまた、挿入された器具をツール2で保持する。それは、そのような器具に、図5~10に示す器具の撓み可能なゾーン16、17のような1つ以上の撓み可能なゾーンを提供することによって、実現され得る。これらの遠位の撓み可能なゾーンは、器具の近位端において好適な操縦機構に接続された器具に収容される好適な操縦ケーブルによって制御される。
【0070】
図12は、使用中の胃鏡56の概略図を示す。胃鏡56は、口、口腔/咽喉54及び食道52を経由して人体の胃50に挿入される。特に、外科医が胃50の下方部分を手術する必要があるとき、胃鏡56は、いくつかの湾曲した/角度の付けられたセクションを通って案内される必要がある。それゆえ、胃鏡56は、口/咽喉54、食道52及び胃50の内壁を損傷させるリスクがほとんどないように、可撓性である必要がある。
【0071】
操作中、通常、その遠位端59におけるいくつかの機能のために1つ以上のツールを提供するために、胃鏡56を用いて、いくつかの侵襲的な器具が挿入される。胃鏡検査では、そのようなツールは、一般に、カメラレンズ及び照明要素を含む。外科医が、カメラの視野を胃50内の所望の箇所及び方向へ操縦するのを支援するために、一般に、胃鏡56の遠位端59は、全ての角度方向において長手方向軸から偏向可能である。これはまた、ツールによっても挿入された器具を保持する。それは、そのような器具に、図5~10に示す器具の撓み可能なゾーン16、17のような1つ以上の撓み可能なゾーンを提供することによって、実現され得る。これらの遠位の撓み可能なゾーンは、これらの器具の好適な操縦機構に接続される、好適な器具内に収容された好適な操縦ケーブルによって制御される。
【0072】
本発明による器具は、そのような結腸鏡及び胃鏡においてだけでなく、肺気管支に入るように設計される器具のような他の応用においても使用され得る。そのような器具への条件は、それらが、例えば、1mよりも長く、且つ結腸鏡及び胃鏡内のワーキングチャンネルに適合するか又はそれに取り付けられる比較的小さい直径を備える長い器具の場合でも、高い回転剛性、高い縦剛性、その全長に沿った曲げ柔軟性、及び操縦可能なチップの正確で繰り返し可能な撓み性を示すこととし得る。
【0073】
以下説明するように、多くの異なる新しく革新的な器具の形態は、オン/オフ、クランプ、結合、ブレーキ若しくは動き制限機能、又はこれらの組み合わせのいずれかを有する切り替え特徴を加えることによって、作り出され得る。本発明では、上述の問題に普遍的に使用され得る切り替え機構を説明する。
【0074】
図13~21は、侵襲的な器具においてどのように切り替え機構が使用され得るかを示し、図22A~40は、チューブに好適なパターンを切ることによって実現される切り替え要素の例を示し、及び図41A~47Bは、それらのチューブのうちの1つ以上に切られた要素を含む1つ以上の切り替え要素を含むチューブを使用することに基づく、侵襲的な器具の例を示す。図13~21は、1つの面(すなわち図面の紙面)においてのみ撓ませられ得るチップセクションを示す。しかしながら、任意の方向に撓み得る3本以上の操縦ワイヤ及びヒンジを用いることによって、図1~12を参照して説明するように、全方向式撓み可能なチップセクションが作られ得る。
【0075】
多くの従来の侵襲的な器具は、1つ以上の撓み可能なチップセクション部分を備えるチップセクションと、1つ以上の撓み可能な操縦セクション部分を備える操縦セクションとを含む。これらの従来の器具は、操縦セクション部分とチップセクション部分との間に固定角度変化比を有する。これらの器具は、操縦セクション部分のある程度の撓みが、関連のチップセクション部分のある程度の撓みをもたらすように、設計される。通常、操縦角度変化の増幅が使用され、例えば、操縦セクションの比較的小さい手の動きが、チップセクションの大きい撓みをもたらす。これは、270度までの大きい撓みへとチップセクションを撓ませることができるように行われ、例えば30度又は他のどんな角度の操縦セクションの撓みも、オペレータに好都合である。手の動きのこの増幅のかなり不都合な点は、チップセクション設置の精度に悪影響を及ぼすことである。また、オペレータの手の望まれていない震えや予想外の動きが、チップセクションのより大きな意図しない撓みになることであり、これは、手術の品質に悪影響を及ぼし得るか、又はこれを危険なものにもし得る。
【0076】
オペレータが、任意選択的に、オペレータが操縦ワイヤを外したり及びより低い増幅を有する操縦セクション内の別の位置にそれらを結合したりできる切り替え機能によって、切り替え特徴を使用できる場合、オペレータは、初めに、体内のおよその標的部位の方へ向かってチップセクションによって大まかな動きを行ってから、より低い増幅比へ切り替えて、チップセクションの操縦性の精密さを得る。そのようにして、同様に、震えや意図しない手の動きが、遥かに小さい意図しないチップの撓みとなるようにし、これは、そのような器具の使用の有効性及び安全性を高める。図13は実現例を示す。
【0077】
図13は、1つ以上の切り替え要素312(i)、i=1、2、…、Iを含む侵襲的な器具300の概略的な全体図を示す。器具300は、遠位端に1つの撓み可能なチップセクション302、近位端に操縦ユニット306、及びチップセクション302と操縦セクション306との間に本体セクション304を有する。参照符号308は、チップセクション302内の曲げ可能な構造を指し、これは、チューブに切られた1つ以上のヒンジを含む任意の好適な構造によって実現され得、チューブからは、本体セクション304も作られる。簡単にするために、308は、ヒンジ308を指す。チューブは中心軸310を有する。
【0078】
2つ以上のチューブを使用しながら、全セクション302、304、306が実現され得る。すなわち、器具は、互いに挿入されるいくつかのチューブによって作製され得る。本体セクション304は剛体とし得る。或いは、本体セクション304は、その全長に沿って可撓性とし得るか、又は交互に可撓性部分及び剛体部分を含む。
【0079】
器具は、例えば、ヒンジ308の遠位側において、チップセクション302内の好適な取付箇所307(i)にそれぞれ取り付けられる1本以上の操縦ワイヤ16(i)を有する。それらの近位端において、すなわち本体セクション304と操縦セクション306との移行部において、各操縦ワイヤ16(i)は、切り替え要素312(i)の片側に取り付けられる。切り替え要素312(i)のもう1つの側は、2本以上の操縦セクションワイヤ313(j)、j=1、2、…、Jの端部分A(i)、B(i)、…に取り付けられるように動かされ得る。操縦セクションワイヤ313(j)のそれぞれ1本が、レバー314上の予め決められた箇所に取り付けられる。レバー314は器具300内に配置されて、中心軸310の回転中心316の周りで回転し得るようにする。
【0080】
図示の通り、各操縦ワイヤ16(i)は、本体セクション304内の中心軸310から一定の半径方向距離に位置する。操縦セクションワイヤ313(j)が取り付けられるレバー314上の予め決められた箇所は、回転中心316までの予め決められた半径方向距離を有し、これは、操縦ワイヤ16(i)と中心軸310との間の半径方向距離とは異なってもよい。例えば、図示の例では、操縦セクションワイヤ313(1)及び313(2)は、中心軸310から同じ第1の半径方向距離でレバー314に取り付けられる一方で、操縦セクションワイヤ313(3)及び313(4)は、中心軸310から同じ第2の半径方向距離でレバー314に取り付けられる。第1の半径方向距離と第2の半径方向距離は異なる。それらのうちの一方は、操縦ワイヤ16(i)と本体セクション304内の中心軸310との間の半径方向距離と等しくてもよい。
【0081】
当業者には理解されるように、第1及び第2の半径方向距離は、中心軸310に対するレバー314の偏角と中心軸310に対するチップセクション304の偏角との間に増幅又は減衰効果が得られるように、選択され得る。中央位置において、ワイヤ16(i)は操縦機器306から取り外され、及びチップ302は、湾曲した進入チャンネルを通って器具が案内されるときに、自由に動き得る。
【0082】
ここで、レバー314が示されている。しかしながら、操縦セクション306が、レバー機能を生じるディスク又はボールを使用する状態で、同じ切り替え要素の構造が応用され得る。
【0083】
図14Aは代替的な実施形態を示す。図13の実施形態との差は、操縦セクションワイヤ313(3)及び313(4)が、それらの近位端で、レバー314に接続されておらず、ロボット操縦ユニット318に接続されることである。ロボット操縦ユニット318は、当業界で(現在及び将来的に)公知の任意の方法で実現され得る。そのため、図14Aの実現によって、手動制御とロボット制御との間で操縦ワイヤを切り替えることが可能になる。
【0084】
図14Bの実施形態では、操縦ワイヤ313(1)及び313(2)は、依然として、それらの近位端において、レバー314に接続されているが、操縦セクションワイヤ313(3)及び313(4)は、それらの近位端において、別のレバー314(2)に接続されている。
【0085】
図14A及び図14Bの形態では、上述のような侵襲的な器具300は、1つの増幅から別の増幅への操縦ワイヤ16(i)の切り替えを可能にする切り替え要素機構を有していないが、1つの操縦ユニットから別の操縦ユニットへの操縦ワイヤ16(i)の切り替えは可能にする。これは、図14Bに示すような、訓練目的で使用され得る2つの手動制御部を備える器具で使用可能とし得る。指導者は、体内に侵襲的な器具300を挿入でき、且つ手術を行うことができ、その最中に、指導者は、器具を引っ込めたり又は制御するのをやめたりすることなく、器具300の制御をいつでも生徒へ切り替えることができる。
【0086】
図14Aに示すように、例えばロボット、又は他の電気機械的、流体圧若しくは空気圧手段によって遠隔で操縦される器具300を使用したいとき、手術の準備段階で問題が生じることが多い。例えば、人体に操縦可能な長い内視鏡を挿入したいとき、器具がロボット操縦ユニット318につながれているときにこの挿入を行うことを選択し得る。そのため、ロボット操縦ユニット318は、時には、かなり湾曲している可能性がある進入通路を辿るようにチップセクションを継続的に操縦しながら、かなりの長さにわたって器具300を前進させることができる必要がある。この場合、ロボット操縦ユニット318は、大規模な位置決め移動(positioning travels)を有する必要があり、且つ大規模で複雑な装置となるであろう。大抵の場合、人体に進入するためにロボット操縦ユニット318を使用する必要はなく、且つこれは、現在の一般的なやり方であるように、手で行われ得る。例えば、腸に結腸鏡を入れることは、手で行われ得る日常的な処置である。それゆえ、手による、既存の広く受け入れられている処置に続いて、操縦されて人体に入れられ得る操縦可能な結腸鏡を有することが望ましいであろう。人体に入った後、器具は、ロボット操縦ユニット318につながれ得る。その後、ロボット操縦ユニット318は、器具の操縦を引き継ぎ得る。これは、図14Aに示す配置構成を用いて可能である。そのように行うとき、ロボット操縦ユニット318は、小さな位置決め移動ができる必要があるのみであり、且つよりコンパクトであまり複雑でなく構築され得る。この方法を使用するのに有用であろう多くの他の例、例えば食道に入る胃鏡、喉頭及びさらに下方へ肺まで入るための気管支鏡などがある。
【0087】
上述の通り、図5~10は、複数の撓み可能なチップセクション部分を備える侵襲的な器具に関する。ある例は、2つの撓み可能なチップセクション部分に関する。第1の最近位のチップセクション部分は、遠位チップセクション部分が所望の手術を行うために操縦され得る間に、いわゆる「三角形(triangulation)」を作り出すために湾曲され得る。このような侵襲的な器具は、2つの操縦機器を、1つは最近位チップセクション部分に、及び1つは遠位チップセクション部分に、必要とする。これは、器具を複雑にし、より多くの部品を必要とし、組み立てはより複雑になるなどである。また、そのような器具の使用は難しいかもしれない、すなわち、オペレータは、2つの操縦機器を同時に操作する必要があるか、又は一定の位置に1つの操縦機器を保持しながら、第2の操縦機器を操作するために、追加のオペレータや外部機器を必要とするかもしれない。これは、同様に、2つの操縦可能なセクションを備える操縦可能な器具の使用を、より困難に及び高価にする。図15A図15Bでは、これらの課題に取り組む。
【0088】
図15A及び図15Bは、剛体とし得る中間チップセクション部分303によって分離される複数の、ここでは2つの撓み可能なチップセクション部分302(1)及び302(2)を有する侵襲的な器具300に関する。撓み可能なチップセクション部分302(1)、302(2)は、ヒンジ308(1)、308(2)によって実現され得る。操縦ワイヤ16(1)、16(2)は、ヒンジ308(1)の遠位側で取付箇所307(1)、307(2)に取り付けられ、及び操縦ワイヤ16(3)、16(4)は、ヒンジ308(2)の遠位側で取付箇所307(3)、307(4)に取り付けられる。
【0089】
図15Aでは、操縦セクションワイヤ313(1)は、操縦ワイヤ16(1)又は操縦ワイヤ16(3)のいずれかに取り付けられる切り替え要素312(1)によって、切り替えられ得る。操縦セクションワイヤ313(2)は、操縦ワイヤ16(2)又は操縦ワイヤ16(4)のいずれかに取り付けられる切り替え要素312(2)によって、切り替えられ得る。そのため、レバー314を撓ませることによって、チップセクション部分302(1)又は302(2)のいずれかが撓ませられ得る。この器具は、オペレータが、1つの操縦機器、例えば、図示のようなレバー314によって、又はロボット機器を含む任意の他の操縦ユニットによって、両チップセクション部分302(1)及び302(2)の撓みを制御することを可能にする。
【0090】
図15Bでは、本体セクション304の近位端において、切り替え要素312(1)が、操縦ワイヤ16(1)に取り付けられる一端を有する一方で、もう一方の端は、操縦セクションワイヤ313(1)に取り付けられるか、又は非取り付け状態かの間で切り替えられ得る。本体セクション304の近位端において、切り替え要素312(3)が、操縦ワイヤ16(3)に取り付けられる一端を有する一方で、もう一方の端は、操縦セクションワイヤ313(1)に取り付けられるか、又は器具300の固定箇所D(1)に取り付けられるかの間で切り替えられ得る。さらに、本体セクション304の近位端において、切り替え要素312(2)が、操縦ワイヤ16(2)に取り付けられる一端を有する一方で、もう一方の端は、操縦セクションワイヤ313(2)に取り付けられるか、又は非取り付け状態かの間で切り替えられ得る。本体セクション304の近位端において、切り替え要素312(4)が、操縦ワイヤ16(4)に取り付けられる一端を有する一方で、もう一方の端は、操縦セクションワイヤ313(2)に取り付けられるか、又は器具300の固定箇所D(2)に取り付けられるかの間で切り替えられ得る。
【0091】
図15Bによる器具は、以下の使用順序を可能にする。オペレータが、切り替え要素312(3)及び312(4)をそれぞれ、操縦ワイヤ16(3)及び16(4)のそれぞれがレバー314に取り付けられるように、設定する。その後、操縦ワイヤ16(1)、16(2)は接続が切られる。オペレータは、器具を手術部位、例えば、人体に入れる。その後、操縦ワイヤ16(3)及び16(4)を動作するレバー314を使用することによって、オペレータは、チップセクション部分302(2)を、所望の撓み状態、例えば所望の三角形まで操縦する。その後、オペレータは、切り替え要素312(3)及び312(4)のそれぞれを、固定世界箇所(fixed world location)D(1)及びD(2)のそれぞれに切り替える。そのため、チップセクション部分302(2)の撓み、すなわち、関節角度は、所望の位置で動かなくされる。同時に、切り替え要素312(1)及び312(2)が、操縦セクションワイヤ313(1)及び313(2)のそれぞれに取り付けられるように切り替えらえる。ここで、オペレータは、レバー314を使用することによって、望み通りに最遠位チップセクション部分302(1)を操縦でき、これは、今や操縦ワイヤ16(1)、16(2)を制御する。
【0092】
操作している最中、オペレータは、操縦ワイヤ16(1)又は16(3)、及び操縦ワイヤ16(2)又は16(4)のいずれかにそれぞれ取り付けられるように、操縦セクションワイヤ313(1)及び313(2)をそれぞれ制御するかもしれない。操縦セクションワイヤ313(1)及び313(2)のそれぞれが操縦ワイヤ16(1)及び16(2)のそれぞれに取り付けられるときはいつでも、操縦ワイヤ16(3)及び16(4)のそれぞれが、固定世界に取り付けられて、チップセクション部分302(2)の関節角度が動かなくされるようにする。
【0093】
切り替え特徴は、上述のような操縦可能なチップセクション302における選択した部分を切り替え且つ動かなくするための操縦可能な侵襲的な器具においてのみ使用可能なわけではない。切り替え特徴はまた、他の性能的側面を改善するための操縦可能な器具においても使用され得る。上述の通り、操縦可能なチップセクションの1つの部分の撓みを「動かなくする」能力は、操縦可能な器具の性能の向上、使い勝手の良さ及び安全な使用のための有益な特徴である。しかし、形状を動かなくすることはまた、器具の他の部分又はさらには器具全体にも応用され得る。後者は、例えば、(支持)器具が、器具が挿入される体内のある箇所で組織を掴んでから、器具のチップセクションを操縦することによってこの組織を別の箇所へ動かし、その後、他の器具を用いて手術がさらに行われている最中、適所でそれを保持するために使用される場合、重要である。この場合、支持器具によって器具一式、及びその撓みが動かなくされ得る切り替え特徴を有することが、有益である。そのようにして、オペレータが、支持器具を所望の位置に保持する第3の手又は機器を必要とすることを防ぎ得る。器具一式の本体及び操縦可能なセクションを動かなくすることは、操縦(組の)ワイヤを「固定世界」に接続する切り替え特徴を用いることによって行われ得、この場合、これらの(組の)操縦ワイヤは、操縦機器から係合解除され得るが、これは必須ではない。このようにして、また、操縦機器が所望の位置で動かなくされる。その実施形態は、図16A~16Cに示されている。
【0094】
図16A~16Cは、図13図14A図14Bに示すもののような単一の撓み可能な器具に関する。しかしながら、マルチ撓み可能な器具では、同じ原理が同様に当てはまり得る。図16A~16Cの例では、操縦ワイヤ16(1)及び16(2)は、レバー314に永久的に取り付けられている。しかしながら、ひとたびチップセクション302を所望の状態に撓ませたら、撓み状態は、操縦ワイヤ16(1)及び16(2)を、それらが長手方向にこれ以上動くことができないように切り替えることによって、動かなくされ得る。
【0095】
図16Aには、操縦ワイヤ16(1)、16(2)が切り替え要素312(1)、312(2)によって箇所D(1)、D(2)において固定世界に取り付けられ得る例が示されている。図16Cでは、操縦ワイヤ16(1)、16(2)は、例えば、本体セクション304と操縦セクション306との間の移行部の近くの箇所に鋸歯状構造319(1)、319(2)を備える。さらに、操縦ワイヤ16(1)、16(2)に対面する側面に鋸歯状構造319(1)、319(2)を同様に有する切り替え要素320(1)、320(2)が設けられる。図16A及び図16Cの双方の実施形態では、ひとたびオペレータがチップセクション302を所望の状態へ撓ませたら、この状態は、操縦ワイヤ16(1)及び16(2)を切り替えることによって、動かなくされ得る。図16Aの実施形態では、これは、固定世界箇所D(1)、D(2)に取り付けられるように切り替え要素312(1)、312(2)を切り替えることによって、成し遂げられる。図16Cの実施形態では、これは、切り替え要素320(1)、320(2)の鋸歯状縁(serrations)を操縦ワイヤ16(1)、16(2)の鋸歯状構造319(1)、319(2)の方へ動かして、それらが係合されて操縦ワイヤ16(1)、16(2)の長手方向の動きが阻止されるようにすることによって、達成され得る。
【0096】
図16Bの実施形態では、操縦ワイヤ16(1)、16(2)は、しっかりと、又はオン-オフのような方法で、固定世界に取り付けられることはできない。ここで、操縦ワイヤを実際にはロックすることなく、操縦ワイヤ16(1)、16(2)に摩擦を加えるように構成される切り替え要素318(1)、318(2)が用いられる。すなわち、切り替え要素318(1)、318(2)が(摩擦)ブレーキ又はラチェットブレーキとして使用され得る。オペレータは、正しいチップセクションの撓みが達成されるまで、レバー314によってチップセクション302の撓みを操作でき、その間、ブレーキはオフにされる、すなわち、クランプ318(1)、318(2)は作用しない。その後、オペレータは、切り替え要素318(1)、318(2)によって、摩擦ブレーキを操縦ワイヤ16(1)、16(2)に加え得る。加えられるブレーキ摩擦力やラチェット力による力を加えることによって単純にレバー314を撓ませることによって、動かなくされた幾何学的形状の調整が少し行われ得る。
【0097】
図17に示す別の形態では、本体セクション304は可撓性である。操縦可能な器具300は、器具300の操縦可能なチップセクション302を操縦するために1本(1組)の操縦ワイヤ16(i)を有する。さらに、器具300は、1本以上の制御ワイヤ322(k)、k=1、2、…、Kを有し、それぞれが、操縦可能なチップセクション302のすぐ近位にある本体セクション304の取付点309(k)に取り付けられている。
【0098】
これらのワイヤ322(k)は、本体セクション304を通って器具の近位端まで、例えば、本体セクション304と操縦セクション306との間の移行領域まで延び、そこで、それらは取り付けられず、自由に動くことができる。器具300が、例えば人体内の湾曲した進入通路を手術部位の方へ向かって通過させられるとき、器具の本体セクション304は曲げられ、それゆえ、制御ワイヤ322(k)の最近位端は、長手方向のある位置まで動く。切り替え要素312(k)が、器具の近位端において各制御ワイヤ322(k)に設けられ、これは、これらのワイヤ322(k)を、そのある位置において、ここでは、324(k)で示す固定世界に取り付けるか、又は制御ワイヤ322(k)にブレーキを加え得るように構成される。この取付又はブレーキ機能を切り替えることによって、ここで、可撓性本体セクション304をワイヤ322(k)の取付点309(k)まで動かなくし得る。しかし、本体セクション304のこの動かなくされた位置では、操縦ワイヤ16(i)が依然として本体セクション304内で自由に長手方向に動くことができるため、チップセクション302は依然として、操縦セクション306にある操縦機器によって操縦可能である。
【0099】
これには、現在の操縦可能な可撓性本体器具と比べると、大きな利点がある。これらの従来技術の器具が、湾曲した通路を通過し、及びそれらの本体セクションが動かなくされることができないとき、機械的に言えば、可撓性本体セクションも「操縦可能なチップセクション」であるため、操縦機器の操作は、通常、本体セクションの湾曲も変える。これは、通常、器具チップの操縦がまた、器具の本体セクションを部分的に操縦し、及び本体セクションのこの操縦が、周囲組織での望まれていない動き又は力の発生をもたらし得る状況をもたらす。これは、例えば器具が肺気管支又は脳組織などの繊細な組織を通過するときには、非常に望ましくない又は危険とし得る。器具の本体セクション304を動かなくする能力を用いて、意図しない操縦、及び周囲組織の意図しない動き又は力の負荷を防止し得る。別の利点は、器具本体が動かなくされると、チップの操縦がより正確に実施され、且つ器具本体の端が、チップ操縦の結果どちらかというと予測できずに動く代わりに、ここでは固定3d位置にあるため、より予測しやすいとし得ることである。
【0100】
当然ながら、剛体本体又は可撓性本体又はハイブリッド本体の器具に、任意の数の能動的な(組の)操縦ワイヤ16(i)及び任意の数の受動的な(組の)操縦ワイヤ322(k)を有し得る。また、制御ワイヤの取付点309(k)は、器具300の長さ部分に沿ってどこにでも位置決めされ得る。
【0101】
受動的な(組の)操縦ワイヤを用いる概念は、操縦可能なチップのない器具に応用され得、そのため、この器具は、操縦可能なチップを備える器具用の導入器又はトロカールとして機能し得、これは、進入通路の形状を取り得、その後、その形状で動かなくされ得る。これについて図18A~19Bを参照してさらに説明する。
【0102】
図18Aは、そのようなトロカール400の例の概略図を示す。1つの面において、すなわち、図面の紙面においてのみ曲げ可能であることが示されている。しかしながら、当業者には明白であるように、ヒンジの適切な設計によって全ての方向において可撓性にされ得る。
【0103】
トロカール400は、遠位可撓性セクション402及び近位可撓性セクション406、並びに両可撓性セクション402、406間の中間セクション404を含む。曲げ可能な遠位セクション402は、チューブに好適なパターンの1つ以上のスロットが切られることによって作られ得るヒンジ構造408(1)によって実現され得る。中間セクション404は、剛体としても又は可撓性としてもよい。可撓性である場合、中間セクション404は、遠位可撓性セクション402及び近位可撓性セクション406よりも可撓性が劣ってもよい。
【0104】
近位曲げ可能セクション406は、ヒンジ構造408(2)によって実現され得る。
【0105】
トロカール400は、中心軸410を有し、且つ器具300にも使用され得且つ上述した材料のいずれかから作製され得る。トロカール400はルーメンを画成し、そこを、別の器具、例えば器具300が通過し得る。図示の実施形態では、このチャンネルは、近位可撓性セクション406内で、近位端の方へ向かってわずかに広がる。
【0106】
トロカール400は、1つ以上のロッキング要素416(m)、m=1、2、…、Mを備え、これらは、制御ワイヤの形を有する。各ロッキング要素416(m)は、切り替え要素412(m)によって、トロカール400の近位端に位置し得る近位取付点413(m)に取り付けられ得る。ひとたびトロカール400が体内に挿入されたら、遠位可撓性セクション402及び近位可撓性セクション406、並びに、可撓性である場合、本体セクション404は、体内の環境ゆえに、曲がった向きを取り得る。その状態が、ロッキング要素416(m)が取付点413(m)に取り付けられて長手方向にそれ以上動くことができなくなるように切り替え要素412(m)を起動することによって、動かなくされ得る。固定取付の代わりに、接続が行われ得、これは、ロッキング要素416(m)にある程度の摩擦又はブレーキをもたらす。
【0107】
或いは、トロカール400は、トロカールのルーメン内に配置される器具300のような別々の操縦可能な器具によって操縦され得る。初めに、図18Bに示すように、操縦可能な器具の操縦可能なチップセクション302は、トロカール400の遠位可撓性セクション402と長手方向に並べられ得る。その形態では、器具300の操縦セクション306が、操縦可能な器具300の操縦可能なチップセクション302を操縦するために使用され得、これにより、その後、トロカール400の操縦チップセクション406を能動的に操縦する。ひとたび所望の形状に到達したら、上述の通り、トロカール400のチップセクション402は、ロッキング要素416(m)をロック位置に結合することによって、動かなくされ得る。
【0108】
その後、図18Cに示すように、操縦可能な器具300は、今や形作られた案内チューブ(可撓性である本体セクション303と仮定する)の機能を果たすトロカール400を通ってさらに前進させられ得る。さらに、操縦可能な器具300は、2つの(又はそれを上回る撓み可能な)チップセクション302(1)、302(2)を有してもよい。図示の例では、最近位チップセクション302(2)は、トロカール400の遠位可撓性セクション402と長手方向に位置合わせされるまで前進させられてもよい。このようにして、その関節角度は、トロカール400の遠位可撓性セクション402の動かなくされた撓みによって規定される。図18Cに示す状態では、所望の場合には、切り替え要素412(m)は、一時的に切り離され得、最遠位チップセクション302(2)の関節角度が、操縦セクション306によって最遠位チップセクション302(2)を操縦することにより適合され得るようにする。これは、図18B及び図18Cに示すように、切り替え要素312(1)、312(2)によって操縦ワイヤ16(1)、16(2)又は操縦ワイヤ16(3)、16(4)のいずれかに結合され得る単一の操縦機器314によって行われてもよい。
【0109】
上述の通り、操縦可能な器具のセクション又は非操縦可能な器具の可撓性セクションのある程度の湾曲が、固定位置に能動的な要素又はロッキング要素をロックすることによって、動かなくされ得る。しかしながら、動かなくするこの方法は、能動的な要素又はロッキング要素の長さのみが固定されているため、依然として、湾曲部自体のS字形状の(又は他の)変形を可能にする。その長さ内で、異なるヒンジの撓みが、ヒンジの全長及びそれらの間の余裕が一定である限り、依然として可能である。図19A図19Bは、器具の湾曲形状全体が動かなくされ得る実施形態を示す。これらの図は、トロカールを示すが、同じ原理が操縦可能な器具300に当てはまる。
【0110】
図19Aは、ヒンジ408(1)内に複数の個々のヒンジセグメント、並びにヒンジ408(2)内に複数のヒンジセグメントを備えるトロカール400を示す。ヒンジ408(1)内の連続的なヒンジセグメント間に、1つ以上の切り替え要素412(3)~412(8)が設けられる。本体セグメント404とヒンジ408(1)の最近位ヒンジセグメントとの間に1つ以上の切り替え要素412(9)及び412(10)が設けられる。さらに、その代わりに又はそれに加えて、本体セクション404とヒンジ408(2)の最遠位ヒンジセグメントとの間に1つ以上の切り替え要素412(11)、412(12)が設けられる。ヒンジ408(2)内の連続的なヒンジセグメント間に、1つ以上の切り替え要素412(13)~412(18)が設けられ得る。全ての切り替え要素412(3)~412(18)が、クランプする若しくはクランプ解除するために、個別に起動され得るか、又は1つ以上の群で起動され得る。ひとたび所望の形状になったら、切り替え要素412(3)~412(18)は、隣接するヒンジセグメントの現在の相互の向きをロックし、それゆえ、トロカール400をその形状で動かなくするように、起動され得る。個々の各ヒンジがその回転位置で動かなくされるため、湾曲全体が、ここで、動かなくされる。
【0111】
図19Bの実施形態では、切り替え要素412(3)~412(18)は、切り替え要素412(19)~412(34)によって置換される。すなわち、遠位可撓性セクション402にある1つ以上のヒンジセクションが、これらの切り替え要素412(19)、412(21)、412(23)のうちの1つによってロッキング要素416(1)へ及び/又はこれらの切り替え要素412(20)、412(22)、412(24)のうちの1つによってロッキング要素416(2)へクランプされ得る。また、本体セクション404は、切り替え要素412(25)によってロッキング要素416(1)へ及び/又は切り替え要素412(26)によってロッキング要素416(2)へクランプされてもよい。その代わりに又はそれに加えて、操縦セクション406にある1つ以上のヒンジセクションは、これらの切り替え要素412(27)、412(29)、412(31)、412(33)のうちの1つによってロッキング要素416(1)へ及び/又はこれらの切り替え要素412(28)、412(30)、412(32)、412(34)のうちの1つによってロッキング要素416(2)へクランプされ得る。全ての切り替え要素412(19)~412(34)が、クランプするか又はクランプ解除するかのいずれかのために個別に起動され得る。ひとたび所望の形状になったら、切り替え要素412(19)~412(34)は、トロカール400をその形状で動かなくするように起動され得る。また、ここで、個々の各ヒンジがその回転位置で動かなくされるため、湾曲全体が動かなくされる。
【0112】
図18A~18C、及び図19A図19Bにおけるような形態を用いて、1つの操縦可能な器具によって連続的に操縦され得る2つ以上の非操縦可能な器具又はトロカールを含む入れ子式機器も構築し得る。このようにして、任意の長さの箇所に2つ以上の湾曲部を備える、湾曲した案内チューブを作り出し得る。これについて、図20を参照して説明する。
【0113】
図20は、操縦可能な器具300を囲む第2のトロカール500を囲む第1のトロカール400を示す。第2のトロカール500は、遠位可撓性セクション502及び近位可撓性セクション506、並びにそれらの間の本体セクション504を含む。遠位可撓性セクション502及び近位可撓性セクション506は双方共、例えばチューブにある好適なスロットパターンによって実現され得る、好適なヒンジ構造508(1)及び508(2)によって作られ得る。本体セクション504は、剛体でも又は(部分的に)可撓性でもよい。切り替え要素412(1)及び412(2)は、第1のトロカール400のロッキング要素416(1)、416(2)をトロカール400の近位可撓性セクション406にクランプし得る一方、切り替え要素512(1)及び512(2)は、第2のトロカール500のロッキング要素516(1)、516(2)をトロカール500の近位可撓性セクション506にクランプし得る。切り替え要素412(3)、412(4)は、第1のトロカール400の最近位セグメントを第2のトロカール500の最近位セグメントに結合し得る。切り替え要素512(3)、512(4)は、第2のトロカール400の最近位セグメントを器具300に、例えば、その本体セクション304に結合し得る。切り替え要素412(1)、412(2)の起動及び動作停止は、切り替え要素412(3)、412(4)の起動及び動作停止と同期される。さらに、切り替え要素512(1)、512(2)の起動及び動作停止は、切り替え要素512(3)、512(4)の起動及び動作停止と同期される。
【0114】
図20は開始位置を示す。この開始位置では、操縦可能な器具300の操縦可能なチップセクション302は、トロカール400、500の遠位可撓性セクション402、502と長手方向に並べられる。さらに、全ての切り替え要素412(1)、412(2)、512(1)、512(2)が動作停止され、且つクランプしていない。切り替え要素512(3)及び512(4)は起動されており、器具300をトロカール500内の固定長手方向位置に保持し、並びに切り替え要素412(3)及び412(4)は起動されており、トロカール500をトロカール400内の固定長手方向位置に保持している。トロカール400、500は、操縦可能な器具300と一緒に、ここで、その全体が、例えば、ある程度の湾曲を備える生体管腔中へと動かされ得る。その管腔内の第1の湾曲部で、操縦可能な器具300の操縦機器314は、チップセクション302を所望の撓みに操縦することによって、ここでトロカール400、500の遠位可撓性セクション402、502を必要な湾曲に操縦するために、使用され得る。ここで、切り替え要素412(1)、412(2)は起動されており、器具400のロッキング要素416(1)、416(2)は適所にロックされている。同時に、又はオペレータの判断で、切り替え要素412(3)、412(4)の起動によって器具400と500との間の接続を解除し、並びに操縦可能な器具300と非操縦可能な器具500のアセンブリが、トロカール400がその位置に留まっている間に、湾曲した通路中へとさらに前進させられ得る。通路における第2の湾曲部において動かなくするために、切り替え要素512(1)、512(2)は、トロカール500のロッキング要素516(1)、516(2)が適所にロックされるように、切り替えられる。同時に、又はオペレータの判断で、切り替え要素512(3)及び512(4)が切り替えられて、トロカール500と操縦可能な器具300との間の接続を解除するため、操縦可能な器具300は、ここで、湾曲した通路を通ってさらに前進させられ得る。これはまた、非操縦可能な器具の3つ以上の層/チューブを用いて、及び2つ以上の操縦可能なセクションを備える操縦可能な器具を用いて、行われ得る。ロッキング要素416(1)、416(2)、516(1)、516(2)の数が、ここで示すものとは異なり得ることも観察される。
【0115】
複数の湾曲した案内チューブ又は器具本体を作り出す別の方法は、1つの器具に複数の個別に操縦可能なセクションを用いることであり、これは、個別に動かなくされ得、且つ図16~20におけるような切り替え要素の形態の組み合わせを用いて、操縦要素をその端に又は個々のヒンジ毎の箇所にロックすることによって、個々の各湾曲部が動かなくされ得る。
【0116】
上述の通り、操縦可能及び非操縦可能な器具の湾曲を動かなくする、又は個々のヒンジを動かなくすることによってこの湾曲を動かなくするように、能動的な操縦ワイヤとロッキング要素を取り付けるように操作するために、使用者によって動作される切り替え要素が設けられ得る。或いは、同じことを成し遂げるために、異なる切り替え機構を使用できる。すなわち、その回転点自体でのヒンジ様の構造の回転を阻止することによって、操縦可能及び非操縦可能な器具の湾曲を動かなくすることもできる。これは、図21に概略的に示されている。
【0117】
図21は操縦可能な器具300を示す。回転点に又はその近くに位置する切り替え要素312(5)、312(6)、312(7)を起動することにより、それらの第1のヒンジセクションを第2のヒンジセクションへロックすることによって、ヒンジ308の2つの連続的なヒンジセクションが、所望の相対的な回転角度で動かなくされ得る。さらに、切り替え要素312(9)が、ヒンジ308の最近位ヒンジセグメントと本体セクション304との間の回転点を阻止するように、起動され得る。
【0118】
上述の例では、所望の性能は、切り替え機構を2つ以上の離散した切り替え要素の位置間で行ったり来たり動作させることによって、好きなだけ何度でも選択され得る。しかしながら、例えば操縦ハンドルの新しい中立位置を永久的に設定するために、1度だけ動作され得るクランプ特徴を作ることもできる。また、上述の例では、切り替え要素は離散位置を有するが、例えば有鍵又は固定接続の代わりに摩擦を発生させる切り替え要素では、可変位置を備える切り替え要素を作り出すこともでき、それを用いて、摩擦量が比例的に調整される。次に、上述の例では、クランプは、例えば、操縦要素を固定世界に接続するか、又は操縦要素を、1つの接続された位置から別の接続された位置へ切り替え、この位置は固定されていると考えられる。しかし、一方の要素が依然として他方に対して動くことができるが、その動きがある範囲に制限されるように、1つの要素を別の要素に接続する切り替え要素を作り出すこともできる。説明した性能の特徴及び関連の切り替え要素の機能が、任意の組み合わせで及び操縦可能又は非操縦可能な器具内の箇所で使用され得ることも明らかである。上述の例は、性能的側面並びに関連の切り替え要素の特徴の機能性及び箇所の取り得る全ての組み合わせのうちの小規模な選択を説明しているにすぎない。
【0119】
しかしながら、上述の例示的な器具の全てには、それらが多かれ少なかれ以下のようなそれらの機能性を見て分類され得る一般的な切り替え要素の特徴を備えて実現され得るという共通点がある:
・ 「オン-オフ」機能を備える切り替え要素、
・ 切り替え機能を備え、中立位置にある又はない切り替え要素、
・ 動き制限機能を備える切り替え要素、
・ 「オン-オフ」又は比例のいずれかの摩擦又はラチェット式ブレーキ機能を備える切り替え要素、
・ オートロック機能のある又はない、1回動作され得る切り替え要素、
・ 1つのユーザ制御特徴によって起動される1つの切り替え要素機構又は複数の切り替え要素機構でのa)~e)のいずれかの組み合わせ。
【0120】
ここで、複数の切り替え要素の例を、図22A~47Dを参照して説明する。図22A図40の提示は、2D面においてであるが、それらの実現は、実際には3Dにおいてであることが観察される。すなわち、これらの図面に示す構成要素は、実際には、1つ以上のチューブの湾曲した壁の一部であるように、1つ以上のそのようなチューブから作られる。それゆえ、「上方向」又は「下方向」での要素の動きは、実際の物理的実現では接線方向においてである。これらの図面での水平方向の動きは、1つ又は複数のチューブの長手方向(又は軸方向)においてである。
【0121】
図22Aでは、参照符号602、604は、「固定世界」部分、すなわち、器具300の固定部分を指す。器具300は、長手方向に延在する長手方向要素606、例えば操縦ワイヤを含む。長手方向要素606は、幅が狭い部分634と、幅が狭い部分634の方に向かう面632を有する延長部630とを含む。延長部630は、固定世界部分602とは反対側に位置する。
【0122】
長手方向起動要素608が、幅が狭い部分620の一端の方へ向かう面624を有する延長部626を有する。もう一方の端には、幅が狭い部分620は、さらなる延長部628を備える。幅が狭い部分620とさらなる延長部628との間には面622がある。面622及び624は双方共、器具の長手方向に対して角度が付けられて、作動要素608の長手方向の動きをロッキング要素の接線方向の動きに変えるために使用され得る傾斜を形成するようにする。角度は90度から外れてもよいが、いくつかの実施形態では、90度である(例えば図29A図29B図30)。
【0123】
非起動状態では、幅が狭い部分620は、延長部630と固定世界部分604との間に位置する。起動要素608が右方向に引かれたり又は押されたりするとき、面624、632は延長部630を固定世界部分602の方へ向かって及び延長部626を固定世界部分604の方へ向かって押し、これは、上-下方向における動きを制限する。その結果、長手方向要素606はクランプされ、及びその長手方向の動きが禁止される。
【0124】
起動要素608を左方向に引いたり又は押したりする場合、延長部628の面622が延長部630を固定世界部分602の方へ向かって押し且つ延長部628を固定世界部分604の方へ向かって押して、長手方向要素606が、固定世界部分602にクランプされて、長手方向にこれ以上又は一定の摩擦量が加わった状態でしか動くことができないようにするため、同じクランプ力が発生されるであろう。
【0125】
このクランプは、クランプに使用した方向とは反対方向に起動要素608を動かすことによって、解放され得る。
【0126】
この例では、起動要素608に加えられる長手方向の力は、長手方向要素606へ移される。そのため、この力の結果としての長手方向要素606の長手方向の動きは、切り替え要素機構を起動している最中に長手方向要素606を適所に保持する器具内の特徴又は機構によって禁止される必要がある。長手方向の力は、手動で発生されるか又は好適なロボット器具によって発生されるかのいずれかで、器具300の近位端から加えられ得る。
【0127】
図22Bは、図22Aの例の代替例を示す。ここで、長手方向要素606は、回転軸636の周りで回転自在なレバーとして実現される。レバー606はクランプとして機能する。回転軸の代わりに、例えばレバー606を器具300の下部の部分に溶接することによって作られる取付箇所636が使用され得る。そのような場合、幅が狭い部分634は、好ましくは、可撓性であるため、延長部630が、固定世界部分602の方へ向かって及びそこから離れるように動き得るようにする。
【0128】
長手方向要素610が、レバー606と固定世界部分602との間に位置する。長手方向要素610は操縦ワイヤ16(i)とし得る。
【0129】
右又は左方向のそれぞれに起動要素608を押したり又は引いたりすることによって、延長部630は、面624又は622のそれぞれによって固定世界部分602の方へ向かって動かされ、その結果、長手方向要素610を固定世界部分602にクランプして、長手方向要素610が長手方向にこれ以上動くことができないようにする。ここでも、図22Bに示すように、クランプは、起動要素608を、その幅が狭い部分620が延長部630と固定世界部分604との間の位置になるように動かすことによって、解放され得る。
【0130】
図22Bの実施形態では、クランプ起動中に起動要素608によって加えられる長手方向の力は、レバー606へ移され、長手方向要素610へは直接移されない。
【0131】
長手方向の力を吸収するために、レバー606の代わりに、器具300の長手方向に対して垂直な方向、すなわち接線方向に摺動する摺動要素が使用され得る。そのような摺動要素は、固定世界部分602に長手方向要素610がクランプされ得るように、長手方向要素610の方へ向かって可動であるように構成される。その後、長手方向要素610から離れるように摺動要素を動かすことによって、長手方向要素610を解放する。複数の例が、図23~35を参照して説明する。これらの実施形態では、切り替え要素が、摺動要素又はレバーとして実現され得る。
【0132】
図23は、摺動要素612(4)が2つの他の要素612(3)と612(5)との間に配置される実施形態を示す。これらの後者の要素612(3)、612(5)は、固定世界に対して固定されて、摺動要素612(4)が器具300の長手方向に動くことができないようにする。1つ以上の要素612(1)、612(2)が、摺動要素612(4)に対面する要素612(3)の長手方向側とは反対側の要素612(3)の長手方向側に存在し得る。1つ以上の要素612(6)、612(7)が、摺動要素612(4)に対面する要素612(5)の長手方向側とは反対側の要素612(5)の長手方向側に存在し得る。
【0133】
長手方向要素610は、ここでも、器具300の長手方向に延在している。また、起動要素608は、ここでも、例えば、器具300の近位端の方へ向かって器具300の長手方向に延在しており、その近位端から動作される。例では、全ての要素612(1)~612(7)が、長手方向要素610と起動要素608との間のスペーサとして動作するように構成される。
【0134】
摺動要素612(4)は、起動要素608に対向する延長部609を備える。右又は左方向のそれぞれに起動要素608を押したり又は引いたりすることによって、延長部609及びそれにより摺動要素612(4)は、面624又は622のそれぞれにより、固定世界部分602の方へ向かって動かされ、その結果、長手方向要素610を固定世界部分602にクランプして、長手方向要素610が長手方向にこれ以上又は一定の摩擦量が加わった状態でしか動くことができないようにする。ここでも、図23に示すように、クランプは、起動要素608を、その幅が狭い部分620が延長部609と固定世界部分604との間の位置になるように動かすことによって、解放され得る。
【0135】
図24は、図23の実施形態の代替例を示す。ここでは、要素612(3)と612(5)との間に摺動要素612(8)があり、これは、案内要素614が置かれる開口部が設けられている。案内要素614は、例えば、案内要素614を器具300の下部の又は被さっている部分-チューブのような-に(レーザ)溶接することによって、取付点616で、器具300の固定世界に取り付けられる。摺動要素612(8)は、案内要素614によって案内されるときに、固定世界部分602の方へ向かって及びそこから離れるように、摺動するように構成される。すなわち、右又は左方向のそれぞれに起動要素608を押したり又は引いたりすることによって、摺動要素612(8)は、面624又は622のそれぞれにより、固定世界部分602の方へ向かって動かされ、その結果、固定世界部分602に長手方向要素610をクランプして、長手方向要素610が長手方向にこれ以上又は一定の摩擦量が加わった状態でしか動くことができないようにする。ここでも、図24に示すように、クランプは、起動要素608を、その幅が狭い部分620が摺動要素612(8)と固定世界部分604との間の位置になるように動かすことによって、解放され得る。
【0136】
上述の全ての切り替え要素は、要素606/610の側面に対する垂直力を発生させ、それゆえ、要素606/610を適所に保持する摩擦力を発生させる。この摩擦力は、面622、624の形状に、及びどの程度強く起動要素608が押される又は引かれるかに、直接左右される。最大摩擦力をより制御したくて、且つどの程度強く及びどの程度まで起動要素608を変位させるかに依存しない場合、図25におけるような機構を使用できる。ここで、固定世界の機能を果たす2つの要素612(3)、612(5)間に摺動要素612(9)が設けられる。摺動要素612(9)は、スプリングのようにふるまう弾性部分を備える。要素608の起動によって発生され得る最大垂直力は、ここで、このスプリング要素の形状及び材料特性並びにその圧縮量にのみ依存する。ここで、垂直力を比例的に調整するために起動要素608の変位も使用し得る。摺動要素612(9)は、スプリングのようにふるまう限り、任意の形状を有し得る。
【0137】
上述の機構の全ては、要素606/610の(長手方向の)動きを摩擦力によってクランプするか又はそれにブレーキをかける。その摩擦力を獲得するために、高い垂直力、それゆえ比較的高い起動力が必要とされるかもしれない。その要素を適所にしっかりと保持するクランプを獲得するために、図26におけるような「近い形の」又は有鍵接続を使用し得る。図26の例では、長手方向要素610は、三角形又は鋸歯の形を有し得る歯611を備える。また、摺動要素612(10)は歯613を備える。ひとたび摺動要素612(10)が長手方向要素610の方へ向かって押されたら、摺動要素612(10)の歯613は長手方向要素610の歯611に係合し、長手方向要素610のいずれの長手方向の動きも防止する。図22A~25による上述の機構では、長手方向要素610は任意のランダムな位置にクランプされ得るが、歯の使用によって、限定数の離散位置での切り替え長手方向要素610をもたらす。しかしながら、歯のサイズ又は隣接する歯間のピーク間距離が小さい場合、これは、十分な切り替え位置精度をもたらす。
【0138】
図26には、三角形を有する歯611、613が示されている。しかしながら、他の歯の形が使用されてもよい。図27A~27Hは、異なる取り得る鋸歯状縁を示すが、他のものも想定され得る。
【0139】
図27Aは、長手方向要素610及び作動要素618の双方にあるブロック状の鋸歯状縁615、631を示し、これは、低起動力と組み合わせて高い長手方向固定能力を有する。トレードオフは、位置決めの自由度が低いこと、すなわち、長手方向要素610が、2つの連続的なブロック間の距離と等しい長さの個別のステップにおいてのみクランプされ得ることとし得る。618は、ここでは、作動要素608と長手方向要素610との間の中間要素も指すことに留意されたい。
【0140】
図27B図27C及び図27Dは、図27Aと同じものを示すが、ここでは、セルフセンタリング特性を備える。すなわち、図27Bでは、長手方向要素610の鋸歯状縁617は、半円形の延長部及び半円形の窪みの繰り返し形状を有する。また、作動要素618の鋸歯状縁633は、半円形の延長部及び半円形の窪みの繰り返し形状を有する。図27Cの長手方向要素610における鋸歯状縁619は、湾曲した底部を備える窪みを含む。作動要素618の鋸歯状縁635は、湾曲した前端面を備え且つ長手方向要素610にある窪み619の外形に適合する1つ以上の延長部を含む。図27Dでは、長手方向要素610の鋸歯状縁621は、三角形状の底を備える窪みを含む一方で、作動要素618の鋸歯状縁637は、三角形状の前面を備える延長部を含み、これは、鋸歯状縁621の外形に適合する。図27B~27Dの例では、長手方向要素610の鋸歯状縁は、起動時に起動要素618の鋸歯状縁と並べられる必要はない。
【0141】
図27Eは、図27Dと同じ窪みが設けられているが、ここでは、三角形状の前面を有する延長部も備える長手方向要素610の鋸歯状縁623を示す。作動要素618は、同一形状の鋸歯状縁639を有する。それゆえ、この例はまた、セルフセンタリングであるが、長手方向要素610に力によって長手方向に負荷が加えられると(例えば操縦ワイヤであるため)、負荷に対して垂直には反発力が発生しない。図22A~26におけるような切り替え要素では、これは、長手方向の摩擦力につながる。図27B及び図27Fにおけるような鋸歯状縁が、図25に示すような機構に応用されると、ラチェットクランプを得るために、鋸歯状縁の形状とスプリング力とのバランスを取り得る。この機構は、長手方向要素610を、一定の最大の長手方向の力にクランプするが、その力を越えて、切り替えブロックが押し開かれると、長手方向要素610は、次の鋸歯状縁へ場所を移す。
【0142】
図27Fは、三角形を備える鋸歯状縁611、613の幾何学的形状を示す。図27Gに示すような長手方向要素610の鋸歯状縁625は、鋸歯形状を有する。また、作動要素618の鋸歯状縁641は、鋸歯形状を有する。鋸歯形状は、一方の長手方向においては高負荷に耐えることができるが、他方の長手方向では、より低いラチェット負荷にのみ耐えることができる。
【0143】
図27Hは、ブロック状の窪みが設けられた、長手方向要素610内の鋸歯状縁627を示す。作動要素618の鋸歯状縁643は、ブロック状の窪み627の長手方向寸法よりも小さい長手方向寸法のブロック状の延長部を有する。それゆえ、ブロック状の延長部643がブロック状の窪み627内で動かされるとき、長手方向要素610の長手方向の動きは依然として可能であるが、ブロック状の窪み627の長手方向寸法からブロック状の延長部643の長手方向寸法を引いたものに限定される。
【0144】
図28A図28Bに示す実施形態は、他の鋸歯状縁の形645及び629をそれぞれ有する摺動要素612(10)及び長手方向要素610のそれぞれは別として、図26に示すものと同一である。すなわち、鋸歯状縁629、645は、スナップフィット接続として構成される。図28Bは、これらの鋸歯状縁629、645の拡大図を示す。鋸歯状縁629、645は、ひとたびそれらが互いに係合したら、それらがそれ以上係合解除されることができないスナップフィット接続を形成するような形状にされる。このタイプの切り替え要素及び鋸歯状縁は、器具300のいくつかの特性又は寸法が一度に設定される必要がない場合に、例えば処置の開始時に、操縦ハンドルのゼロ位置を設定するか又はある性能特徴を較正するために、使用され得る。多数のタイプの自己保持又は自動ロッキングの幾何学的形状が想定され得る。
【0145】
図22A~28Bは、長手方向の動きを切り替え機構の接線方向(おそらくは、行ったり来たり)の起動に変える作動要素608/618によって起動される切り替え機構を示す。明らかに、切り替え機構の起動のために、さらに多くの解決法がある。
【0146】
図29Aは、例えば、浮動レバー630を示し、このレバーは、作動要素608の延長部626と628との間に画成された空間内に位置する一方の側部と、摺動要素612(11)内に位置するもう一方の側部とを有する。摺動要素612(11)は歯613を備え、及び長手方向要素610は、対応する歯611を備える。作動要素608が右へ動かされる場合、レバー630は、面624によって、長手方向に対して垂直な方向に及び長手方向要素610の方へ向かってより幅広の寸法へと強制的に回転させられる。したがって、摺動要素612(11)は、長手方向要素610の方へ向かって動き、及び歯613は歯611に係合して、長手方向要素610が、少なくともその長手方向の動きにおいてクランプされるようにする。図29Bは、この機構の別の実施形態を示すが、ここでは、長手方向要素610は、レバー630によって、それらの間に摺動要素がない状態で、直接クランプされる。
【0147】
図30は、図29Aに示されているものの変形例を示す。長手方向要素610と作動要素608との間のスペーサ612(3)内に、回転点の周りで回転自在に配置されるレバー632が設けられる。レバー632は2つのアームを有する。一方のアームは、作動要素608によって、例えば面624及び/又は622によって動作される。他方のアームは、摺動要素612(14)に接続され、それは、作動要素608によって作動されると、長手方向要素610の方へ向かって動く。摺動要素612(14)は、歯613を備えて鋸歯状であり、そのため、長手方向要素610の歯611に係合して、長手方向要素のいずれの長手方向の動きも阻止されるようにする。
【0148】
図31は、作動要素608が歯636を備え、及び要素612(15)が長手方向要素610と作動要素608との間に設けられるさらなる変形例を示す。要素612(15)はまた、歯634を備えて鋸歯状であり、これは、ひとたび作動要素608が長手方向の動きを行うと、要素612(15)を強制的に回転させる。歯634はまた、摺動要素612(16)の歯に係合して、摺動要素612(16)が長手方向要素610の方へ向かって動かされるようにする。ここでも、摺動要素612(16)の歯613は長手方向要素610の歯611に係合して、長手方向にそれ以上動くことができないようにする。
【0149】
図22A~31は、1つの平面すなわちチューブの1つの壁に完全に作られ得る、多かれ少なかれ2Dの機構を示す。これらの機構の要素のうちのいくつかは、下部の又は被さっている層又はチューブ壁に取り付けられる必要があるが、機構の全ての部分は、1つのチューブ壁からの材料除去によって製造される。より設計自由度を得るために、又は複数の部分により多くの空間を作り出すために、又は切り替え要素機構の強度若しくは正確さを最適にするために、多層機構を使用することもでき、ここでは、例えば機構のいくつかの部分は第1の層/チューブに製造され、及びいくつかの部分は第2の層/チューブに製造される。これらの層/チューブが重なり合って配置され、及び中間層接続部が、例えばレーザ溶接によって、必要な箇所に作られるとき、多かれ少なかれ3Dの機構を作り出すことができる。いくつかの3Dの例を以下説明する。
【0150】
図32Aに示す配置構成は、図29Aに示すものとかなり似ている。違いは、摺動要素612(11)が摺動要素612(17)によって置換されており、これが、摺動要素612(17)の上に位置するレバー638によって動作され得ることである。レバー638は、軸638aを備える摺動要素612(17)に取り付けられ、レバー638が軸638aの周りで回転できるようにする。さらに、レバー638は、軸638bを備える作動要素608に取り付けられ、レバー638が軸638bの周りで回転できるようにする。レバー638は、作動要素608を長手方向に押す/引くことによって、摺動要素612(17)を長手方向要素610の方向に押すことができ、及び摺動要素612(17)の鋸歯状縁613が長手方向要素610の鋸歯状縁611に係合し、及び長手方向要素610が長手方向にそれ以上動くことができないようにするように、構成される。レバー638は、作動要素608及び摺動要素612(17)の双方に取り付けられるため、作動要素608を一方向に動かすことによって、摺動要素612(17)を長手方向要素610の方へ向かって押すが、作動要素608をその反対方向に動かすことによって、摺動要素612(17)を長手方向要素610から離れるように能動的に引くことに留意されたい。
【0151】
図32Bは、左側に、1つのチューブに作られている、図32Aに示される全構成要素、並びに右側に、そのチューブの下又は上の別の層に位置するレバー638及び回転軸638a、638bを示す。回転軸638a、638bを備えるレバー638は、左側に作られている構成要素からのチューブよりも小さい又は大きい直径を有する別のチューブから作られ得る。回転軸638a、638bは、そのチューブに(レーザ)溶接され得る。図32A図32Bの機構は、例えば図29A、29Bに示すような同等の機構よりもコンパクトに且つそれよりも強くされ得る。
【0152】
図33の配置構成は、そのレバー機構は別にして、図32A図32Bのものと同一とし得る。2つのアームを備えるレバー640を有する。一方のアームは、回転軸640aを備える摺動要素612(17)に取り付けられて、回転軸640aの周りで回転し得るようにする。さらに、レバー640は、軸640bを備える作動要素608に取り付けられて、レバー638が軸640bの周りで回転し得るようにする。他方のアームはまた、軸640bを備える作動要素608に取り付けられて、レバー638が軸640bの周りで回転し得るようにする。最後に、他方のアームは、回転軸640cを備える固定世界604に取り付けられて、他方のアームが回転軸640cの周りで回転し得るようにする。
【0153】
その非作動状態では、作動要素608は長手方向に自由に動くことができ、且つ摺動要素612(17)及び長手方向要素610は係合されていない。さらに、そのため、レバー640の両アームは、図示の通り、長手方向に対して角度<90度の向きにされる。作動要素608を長手方向に動かすことによって(ここでは、右方向に)、両アームは、長手方向に対して90度に近い向きの方へ向かって動かされて、両アームが摺動要素612(17)を長手方向要素610の方へ向かって押すようにする。鋸歯状縁613は鋸歯状縁611に係合し、及び長手方向要素610はいずれの長手方向の動きも阻止される。図33のレバー機構によって加えられ得る力は、図32A図32Bのものよりも高い。さらに、作動要素608は、図32A図32Bにおけるように、摺動要素612(17)の同じ動きを引き起こすために、あまり長手方向に変位する必要がない。
【0154】
レバー640は、作動要素608及び摺動要素612(17)の双方に取り付けられるため、作動要素608を一方向に動かすことによって、摺動要素612(17)を長手方向要素610の方へ向かって押すが、作動要素608をその反対方向に動かすことによって、摺動要素612(17)を長手方向要素610から離れるように能動的に引くことに留意されたい。
【0155】
回転軸640a、640b、640cを備える2つのアームは、ここで、他方の構成要素が作られるチューブとは異なる2つの層/チューブに位置することに留意されたい。回転軸640bは、溶接される2つの部分で作られ、且つ2つの異なるチューブで作られ得る。
【0156】
多層/多チューブ機構(図32A図32Bでは2つ、及び図33では3つ)のこの戦略は、単一の層/チューブ機構よりも作製するのが非常に高価になるわけではないことが観察される。全ての部分は、依然として、層/チューブから材料除去することによって作られる。必要とされる唯一の追加的な組み立て作業は、好ましくはレーザ溶接を用いて、取り付けを行うことである。これは、チューブ層を互いに取り付けるために同じプロセスが既に使用されており、いくつかの追加的な溶接を行うにすぎないため、大幅なコスト又は複雑さを追加しない。取付プロセスは自動化されてもよく、及びいくつかの取付点を加えることは、極めて単純である。
【0157】
図22A~33は、オン/オフ又はクランプ及びクランプ解除機構の機能を果たす単一の層/チューブ機構及び複数の層/チューブ機構を説明している。しかし、ここで説明するように、2つ以上の機能を有する又は切り替え機能を有する機構も想定され得る。
【0158】
図34Aは、2つの平行な長手方向要素610a、610bを備え、双方共が器具300内の操縦ワイヤ16(1)、16(2)とし得る、切り替え配置構成の例を示す。図34Aに示す構成要素は、チューブ3とし得るチューブ内に位置し得る。チューブ3はチューブ4によって囲まれている。図34Bは、図34AにおいてXXXIV-XXXIVで示すようなチューブ3、4の断面図を示す。図34Bは、チューブ3の内側からの図である。可動要素612(18)が長手方向要素610a、610b間に設けられる。長手方向要素610aは、可動要素612(18)の鋸歯状縁613に対面する鋸歯状縁611を備え、及び長手方向要素610bは、可動要素612(18)の鋸歯状縁681に対面する鋸歯状縁683を備える。可動要素612(18)は、図面の右側部分に示すように、チューブ4中へ延在するピン687に取り付けられる。このピン687は、チューブ3に円形要素及びチューブ4に円形要素を切って、その後、それらを互いに(レーザ)溶接することによって作られ得ることに留意されたい。最後に、固定世界部分602及び604はそれぞれ、長手方向要素610a及び610bのそれぞれに隣接して、鋸歯状縁611及び683をそれぞれ備える側面とは反対側の側面に位置する。
【0159】
チューブ4は、接線方向においてチューブ3の周りに回転自在に配置される。チューブ3の周りでチューブ4を回転させることによって、可動要素612(18)を接線方向に動かす。そのため、チューブ4が、鋸歯状縁613を鋸歯状縁611に係合させて、長手方向要素610aの長手方向の動きが阻止されるようにするか、又は鋸歯状縁681を鋸歯状縁683と係合させて、長手方向要素610bの長手方向の動きが阻止されるようにするかのいずれかのための、制御要素として使用され得る。可動要素612(18)の接線方向の寸法は、両長手方向要素が長手方向において自由に動くことができるように、長手方向要素610aと610bとの間の位置に動かされ得るように選択され得る。
【0160】
図34A図34Bの配置構成では、チューブ4は、チューブ4のリング状の又は任意の他の形状の部分によって置換され得る。さらに、その代わりに、可動要素612(18)の接線方向の動きを制御するための制御要素が、チューブ3内のチューブの好適な形状にされた部分とし得る。1つのピン687の代わりに、いくつかのピンが用いられ得る。
【0161】
図35は、図34A図34Bの代替例を示す。この図では、別のチューブ内の制御要素へのピン接続の代わりに、ピン693が位置するスロット691を有することは別として、可動要素612(18)と等しい可動要素612(19)が設けられる。ピン693は、下部の又は被さっているチューブ内の作動要素(図示せず)に取り付けられ、その作動要素は、長手方向に動かされ得るが、接線方向に動くように使用可能である。スロット691は、作動要素によってピン693を長手方向に動かすことによって、可動要素612(19)が、鋸歯状縁611が鋸歯状縁613に係合して、長手方向要素610aの長手方向の動きが阻止されるようにする位置と、鋸歯状縁681が鋸歯状縁683に係合して、長手方向要素610bの長手方向の動きが阻止されるようにする位置との間で動かされ得るような、形状にされる。
【0162】
図36は、操縦ワイヤが、第1の操縦ワイヤに取り付けられている第1の状態から、第2の操縦ワイヤに取り付けられている状態へ切り替えられ得る配置構成を示す。図15Bの例の実現例とし得る。図は、器具300の近位端にある好適な制御機構によって長手方向の動きが制御される操縦ワイヤ16(i)を示す。その遠位端において、操縦ワイヤ16(i)は、両長手方向側面に鋸歯状縁650a及び650bを備える。操縦ワイヤ16(i)は、例えば、隣接した位置にある固定世界部分602、604によって、接線方向の動きが防止される。
【0163】
第1の操縦ワイヤ16(i+1)は、操縦ワイヤ16(i)に対して接線方向にシフトされ、且つ鋸歯状縁650aに対向する1つの長手方向側面に鋸歯状縁652a、及び固定世界部分656の鋸歯状縁に対向するもう一方の長手方向側面に鋸歯状縁652bを有する。第2の操縦ワイヤ16(i+2)は、操縦ワイヤ16(i)に対して、反対方向において接線方向にシフトされ、且つ鋸歯状縁650bに対向する1つの長手方向側面に鋸歯状縁654a、及び固定世界部分658の鋸歯状縁に対向するもう一方の(反対側の)長手方向側面に鋸歯状縁654bを有する。第1の操縦ワイヤ16(i+1)は、例えば器具300の遠位端において、第1の撓み可能な器具部分の撓みを操縦するように構成され得る。第2の操縦ワイヤ16(i+2)は、例えば同様に器具300の遠位端における、第2のもう一方の撓み可能な器具部分の撓みを操縦するように構成され得る。
【0164】
操縦ワイヤ16(i+1)及び16(i+2)の双方を同時に同じ接線方向に動かすように構成される切り替え要素が設けられる。ここで、その切り替え要素は、第1の切り替え要素660、第2の切り替え要素662及び第3の切り替え要素664を含む。第2の切り替え要素662は、両操縦ワイヤ16(i+1)、16(i+2)間に位置する一方で、操縦ワイヤ16(i+1)及び16(i+2)はそれぞれ、第2の切り替え要素662と第1/第3の切り替え要素660及び664との間にそれぞれ位置する。
【0165】
切り替え要素660、662、664が第1の接線方向(図面の上方)へ動かされると、2つのことが成し遂げられる。第1の操縦ワイヤ16(i+1)が、鋸歯状縁652bを介して固定世界部分656と係合される。これにより、第1の操縦ワイヤ16(i+1)のこれ以上の長手方向の動きが防止され、したがって、第1の撓み可能な器具部分の湾曲を動かなくする。同時に、第2の操縦ワイヤ16(i+2)の鋸歯状縁654aが操縦ワイヤ16(i)の鋸歯状縁650bに係合して、第2の操縦ワイヤ16(i+2)が操縦ワイヤ16(i)に結合されるようにする。そのため、操縦ワイヤ16(i)のいずれの長手方向の動きも、第2の操縦ワイヤ16(i+2)の長手方向の動きへ移され、そのため、これにより、第2の撓み可能な器具部分の撓みを制御する。
【0166】
切り替え要素660、662、664が反対の接線方向(図面の下方)へ動かされると、逆の結果が達成される。第1の操縦ワイヤ16(i+1)の鋸歯状縁652bは、固定世界部分656から係合解除される一方で、その鋸歯状縁652aが、操縦ワイヤ16(i)の鋸歯状縁650aに係合し、且つ第1の操縦ワイヤ16(i+1)を操縦ワイヤ16(i)に結合する。同時に、第2の操縦ワイヤ16(i+2)の鋸歯状縁654aは、操縦ワイヤ16(i)の鋸歯状縁650bと係合解除する一方で、鋸歯状縁654bが、ここで、鋸歯状の固定世界部分658と係合する。そのため、操縦ワイヤ16(i)の長手方向の動きは、ここで、第1の操縦ワイヤ16(i+1)の長手方向の動きへ移され、そのため、これにより、第1の撓み可能な器具部分の撓みを制御する。ここで、第2の撓み可能な器具部分の湾曲が動かなくされる。それゆえ、この切り替え機構は複数の機能を有する、すなわち、一方の撓み可能な器具部分の湾曲を動かなくし、及び同時に、他方の撓み可能な器具部分の操縦部に係合する。
【0167】
例22A~36は、オン/オフ、切り替え、ブレーキ(摩擦若しくはラチェット)又は動き制限機能を有し得る全ての取り得る機構のうちのいくつかのみを説明している。例はまた、単に、接線方向に起動され且つ様々な要素の長手方向の動きに影響を及ぼす機構を示す。しかし、長手方向に起動され且つ要素の接線方向の動きに影響を及ぼす機構を想定できる。また、それらの間の方向が可能である。これらの機構、それらの起動方法及び上述の特性の組み合わせのさらに多くの例が、想定され得る。これらの機構によって行い得る多くの他の可能性のうちの1つが、次に説明される。図22A~36の例は、摺動要素の直線の動き又は固定に影響を与える機構を説明しているが、図37A~41を参照して説明するように、同様の機構が、回転要素の回転の動き又は固定に影響を与える。
【0168】
図19Aの例の実現例として見られ得る図37Aは、ヒンジ308の3つの隣接するヒンジ部分700(1)、700(2)、700(3)を縦断面図で及びチューブ720の内側から見て、そのチューブの外壁を見るように、示す。ヒンジ308は、例えば、チップセクションに位置する、器具300の撓み可能な部分の一部とし得る。ヒンジ部分700(1)及びヒンジ部分700(2)は、回転部分702(1)の周りで、角度αにわたって互いに対して回転され得る。ヒンジ部分700(2)及びヒンジ部分700(3)は、回転部分702(2)の周りで、αと等しいとし得る予め決められた角度にわたって互いに対して回転され得る。部分700(1)、700(2)、700(3)、702(1)、702(2)は、ある例では、第1のチューブに切られる。図37A図37Bに示す実施形態は、一方向に、すなわち、図面の紙面においてのみ撓む。しかしながら、同じ原理が、全ての方向に撓ませられ得るヒンジに当てはまる。
【0169】
ヒンジ部分700(1)内又は外に位置し且つそれに取り付けられるロッキング要素704が設けられる。ロッキング要素704は、鋸歯状側面706によって、ヒンジ部分700(2)にわたって延在する。さらに、摺動要素708として実現された切り替え要素が設けられる。摺動要素708は、ヒンジ部分700(2)内又は外に位置し、且つ器具の接線方向に可動である。摺動要素708は、ロッキング要素704の鋸歯状縁706に対面する鋸歯状側面710を有する。摺動要素708には孔が設けられており、そこに案内要素712が位置し、その案内要素712は、取付点714において、例えば、レーザ溶接によって下部の又は被さっているヒンジ部分700(2)に取り付けられている。案内要素712は、摺動要素708が、ロッキング要素704の方へ向かって及びそこから離れるように接線方向にのみ可動であることができるようにする。摺動要素708の摺動は、例えば、先の図面のいずれかにおける図示の例のいずれかを使用することによって、任意の好適な方法で制御され得る。全ての要素704、708、714は、第1のチューブの下部の又はそれに被さっている第2のチューブに配置される。
【0170】
図37Aのヒンジ部分700(1)、700(2)のロック/ロック解除は、以下の通り行われる。ひとたびヒンジ部分700(1)、700(2)が所望のある角度αで互いに対して回転されると、摺動要素708は、ロッキング要素704の方へ向かってシフトされ、鋸歯状縁706及び710が互いに係合するようにする。ロッキング要素704はヒンジ部分700(1)に取り付けられているため、摺動要素708はヒンジ部分700(1)に対して長手方向に動かなくされ、そのため、ヒンジ部分700(1)と700(2)との間の角度αが動かなくされる。
【0171】
ヒンジ部分700(2)と700(3)との間の回転の角度に同様のロッキング機構が使用され得ることに留意されたい。さらに、同じ原理が、多くの隣接するヒンジ部分700(n)、700(n+1)、n=1、…、N間の回転の角度を動かなくするために使用され得る。いくつかのそのような回転ロッキング機構が、いくつかの摺動要素によって同時に、例えば、全ての摺動要素を同時に作動させ得る単一の作動要素を使用することによって、制御され得る。
【0172】
図37Bは代替的な実施形態を示す。図37Bは、再度、それぞれの回転部分702(1)、702(2)の周りで互いに対して回転し得る3つの隣接するヒンジ部分700(1)、700(2)、700(3)を示す。ここでも、図は、第1のチューブ720の内側から見る縦断面である。チューブ720の内側に第1のロッキング要素716が設けられており、これは、全てのヒンジ部分700(1)、700(2)、700(3)を通って延び、且つ箇所724においてヒンジ部分700(1)のチューブ720の壁に取り付けられ得る。チューブ720内に第2のロッキング要素718(又はさらにはそれよりも多くの)が設けられ得、これも、全てのヒンジ部分700(1)、700(2)、700(3)を通って延び、且つ箇所726においてヒンジ部分700(1)のチューブ720の壁に取り付けられ得る。第1及び第2のロッキング要素716及び718は、双方とも、ヒンジ部分700(1)、700(2)、700(3)を有する第1のチューブ内に位置する第2のチューブに好適なパターンを切ることからもたらされ得る。ここで、切り替え要素が、第2のチューブ内に設けられた内側コア722によって実現される。内側コア722は、例えば器具300の近位端に位置する図示しない好適な作動要素によって、半径方向に拡張可能である。例えば、内側コア722は、互いに対する回転部分によって拡張され得るスプリングによって実現され得る。
【0173】
隣接するヒンジ部分700(1)、700(2)、700(3)のうちの1つ以上が互いに対して回転する場合、ロッキング要素716、718は、ヒンジ部分700(2)及び700(3)に対して長手方向に動く。そのため、内側コア722を拡張させる場合、ロッキング要素716、718は第1のチューブ720の壁に押し付けられ、ヒンジ308をその湾曲で動かなくする。
【0174】
ヒンジ308は3つ以上のヒンジ部分を備え得る。さらに、ひとたびヒンジ部分が所望の回転位置になったら、チューブ壁720に半径方向にロッキング要素716、718を押しつけるために、他の機構が使用されてもよい。
【0175】
器具内にヒンジ結合部分を閉じ込めるために使用され得る別の切り替え要素機構は、回転部分の回転を阻止する機構である。従来技術は、(例えば「リーダー追従(follow-the-leader)」技術において)ヒンジ結合要素の回転の阻止は、ヒンジ結合要素を互いの方へ向かって押したり又は引いたりすることによって成し遂げられ得ることを明らかにしている。そのため、ヒンジ接触面に発生した垂直力は、これらの接触面間に摩擦力を生じ、それが回転を防止する。ここで、別の機構が提案され、ここでは、ひとたび作動されたら互いに係合する対向する面に鋸歯状縁が設けられているため、いずれのさらなる回転も阻止する。
【0176】
図38Aは、ヒンジ308を示し、ここでは、隣接する第1及び第2のヒンジ部分700(1)、700(2)が角度αにわたって互いに対して回転し得る。図は、壁を有する第1のチューブ720を通る、内側を示す縦断面図である。第1のヒンジ部分700(1)は、第2のヒンジ部分700(2)に凹状部分738内で回転するように構成された凸状部分732を備える。凸状部分732は、外側凸状前縁を有するT字形状の延長部として実現され得、及び凹状部分738は、T字形状の延長部732がT字形状の開口部738内で回転できるようにするように構成された、T字形状の延長部732を収容するT字形状の開口部として実現され得る。凸状部分732及び凹状部分738はクランプとして機能する。凸状部分732は、凹状部分738の鋸歯状外表面736に対面する鋸歯状外表面734を備える。鋸歯状外表面734及び鋸歯状外表面736は、ロッキング要素として機能する。1つ以上の作動要素728、730が、第1及び第2の隣接するヒンジ部分700(1)、700(2)の双方を通って延び、且つそれらのうちの一方に取り付けられる。同様の構成が、図39図40図45A~45Dを参照して説明される。
【0177】
図38Aに示すように、作動要素728、730が、第1及び第2のヒンジ部分700(1)、700(2)を長手方向に互いから離れるように押すために使用され得る。その状態では、鋸歯状縁734、736は係合せず、及びヒンジ部分700(1)、700(2)は、互いに対して自由に回転できる。しかしながら、図38Bに示すように、ひとたび第1及び第2のヒンジ部分700(1)、700(2)が互いに対して所望の回転角度αになったら、1つ以上の作動要素728、730が引かれて、鋸歯状縁734、736を引いて相互係合するようにする。そのため、第1及び第2のヒンジ部分700(1)、700(2)は、さらなる相互回転が阻止される。
【0178】
図38A図38Bは、図21の例の実現例として見られる。
【0179】
図39は、図38A図38Bの変形例を示す。ここでも、内側から見るような、ヒンジ308を通る縦断面図が示されている。ここで、第1のヒンジ部分700(1)は、第1及び第2の凸状部分744(1)及び744(2)を備える。第1の凸状部分744(1)は、鋸歯状外側凸状縁746(1)を有する。第2の凸状部分744(2)は、鋸歯状外側凸状縁746(2)を有する。第2のヒンジ部分700(2)は、鋸歯状外側凸状縁746(1)に対面する第1の鋸歯状凹状縁748(1)を備える凹状部分747と、鋸歯状外側凸状縁746(2)に対面する第2の鋸歯状凹状縁748(2)とを有する。凸状部分744(1)、744(2)及び凹状部分747は、クランプとして機能する。鋸歯状外側凸状縁746(1)、746(2)及び鋸歯状外側凹状縁748(1)、748(2)は、ロッキング要素として機能する。
【0180】
第1及び第2のヒンジ部分700(1)及び700(2)は、互いに弾性的に取り付けられる。図示の例では、それは、第2のヒンジ部分700(2)に固定して取り付けられ且つ第1のヒンジ部分700(1)に弾性的に取り付けられる、長手方向に延在するブリッジ740によって実現される。そのために、ブリッジ740は、壁720から切られ且つ接線方向に延在する可撓性条片742に取り付けられ得る。条片742は、両長手方向側面にスロットを有し、これは、条片742とブリッジ740との間の取付点が、長手方向に弾性的に動くことを可能にする。ブリッジ740は、第1の凸状部分744(1)と第2の凸状部分744(2)との間に延在して、第1及び第2の凹状縁748(1)、748(2)内で予め決められた最大角度αにわたって回転できるようにする。
【0181】
図39に示す配置構成は、ヒンジ部分700(1)、700(2)を互いから離れるように又は互いの方へ向かって引いたり又は押したりするように構成される作動機構を備える。これは、図38A図38Bに示す728、730のような1つ以上の(図示せず)作動要素によって実現され得る。好ましくは、そのような作動要素が作動されていないとき、条片742は、弛緩状態にあり、ここでは、鋸歯状縁746(1)は鋸歯状縁748(1)に係合しておらず、且つ鋸歯状縁746(2)は鋸歯状縁748(2)に係合していない。それゆえ、そのため、第1及び第2の凸状部分744(1)、744(2)は、第2のヒンジ部分700(2)に対して自由に回転できる。しかしながら、ひとたび第1のヒンジ部分700(1)及び第2のヒンジ部分700(2)が所望の角度αで相互に回転されると、作動機構は、矢印750で示されるように、第1及び第2のヒンジ部分を互いの方へ向かって押したり又は引いたりするように作動され得、鋸歯状縁746(1)が鋸歯状縁748(1)に係合し、且つ鋸歯状縁746(2)が鋸歯状縁748(2)に係合するようにして、第1及び第2のヒンジ部分700(1)及び700(2)の相互に回転された向きを動かなくする。係合状態では、条片742は、第1及び第2のヒンジ部分700(1)、700(2)を係合解除しようとするスプリング力を起こす。
【0182】
作動機構が1つ以上の作動要素728、730によって実現される場合、作動は、長手方向の引き力によって実現され得る。作動を停止させるために、弾性条片742が、回転角度を動かなくすることが終わるように第1及び第2のヒンジ部分700(1)、700(2)が再び係合解除されるように対処するため、引き力を停止させる必要がある。利点は、そのような実現例では、そのような係合解除のために、作動要素728、730に押力を加える必要がないこととし得、そのような押力は、作動要素728、730に座屈の問題を引き起こし得る。部材742のスプリング力は、器具のチップを操縦するときに、操縦ワイヤへの引き力の結果として圧縮しないように設計され得る。
【0183】
図40は、図39に示すような代替的なヒンジ配置構成を示す。ここでも、ヒンジ308を通る縦断面図が示されている。この例では、第1のヒンジ部分700(1)は凹状縁を備える。第2のヒンジ部分700(2)は、凹状部分757内で回転するように構成された凸状部分759を備える。凸状部分759は、その外側縁に鋸歯状縁758を備える。さらに、切り替え要素752が、第1のヒンジ部分700(1)において壁720から切られる。切り替え要素752は、壁720から切られ且つ接線方向に延在する1つ以上の可撓性条片754(1)、754(2)に取り付けられて、切り替え要素752が、弾性的に行ったり来たり長手方向に動かされ得るようにする(750を参照)。この行ったり来たりの動きは、図38A図38Bに示す作動要素728のような作動機構によって制御され得、これは、次に切り替え要素752に取り付けられる。切り替え要素752は、鋸歯状縁758に係合するように構成されるロッキングチップ756を有する。ロッキングチップ756及び鋸歯状縁758は、ロッキング要素として機能する。係合状態では、凹状縁757及び凸状縁759は、互いに対してこれ以上回転できず、及び第1のヒンジ部分700(1)と第2のヒンジ部分700(2)との間の現在の回転角度αは、動かなくされる。
【0184】
図示の実施形態では、第1及び第2のヒンジ部分700(1)、700(2)は、第1のヒンジ部分700(1)に、第2のヒンジ部分700(2)に設けられたT字形状のスロット738内に延在するT字形状の要素732を設けることによって、長手方向に互いにあまり遠くに離れるように動くのを防止され、そのT字形状の要素732及びT字形状のスロット738は、第1及び第2のヒンジ部分700(1)、700(2)の相互回転が可能になるように、設計される。当然ながら、かなりの長手方向の相対的な動きを防止するが、第1及び第2のヒンジ部分700(1)、700(2)の相対的な回転の動きは可能にする他の形状の機構が応用され得る。
【0185】
例37A~40は、1つのヒンジ部分の、隣接するヒンジ部分に対する回転を阻止するために使用し得るいくつかの取り得る機構のみを説明している。そのようなヒンジ部分は、器具300内、例えば操縦可能なチップ又は器具本体セクション内のどこにでも位置し得る。ヒンジ部分間の間隙を固定するか又はヒンジ部分の回転を実際に阻止するかのいずれかの2つの基本的な原理に関して、もっと多くの機構が想定され得る。次の図は、例えばレーザ切断による、互いに囲むチューブ内に要素を切ることによって、全体的に実現されるいくつかの取り得る実施形態を示す。
【0186】
図41A~41Cは、3つのチューブの実施形態に関する。図41Aは、3つのチューブ2、3及び4のチップセクション13を示す(図1及び図2参照)。図示の例では、チップセクション13は、固体部分と、固体部分の近位側に撓み可能な部分とを有する。固体部分では、外側チューブ4は剛体端部17を含み、及び撓み可能な部分では、外側チューブ4は、チューブ4にスロットのパターンを切ることから生じるヒンジによって実現される可撓部18を含む。しかし、図示のヒンジパターンは、取り得る実現例の一例である。
【0187】
図41Bは、その剛体端部10を備える中間チューブ3である。図41Cは、図41Bの実施形態の一部分を、規模を拡大して示す。この実施形態では、中間チューブ3は、チップセクション13におけるその可撓部の図26の例の実現例を示す。図は、隣接するスペーサ612(1)~612(3)、612(5)、…、及び摺動要素612(10)のいくつかの追加の実現例の詳細を示す。すなわち、摺動要素612(10)は、第1の条片666(1)の第1の端に取り付けられ、その第1の条片は、第2の端において弾性的にスペーサ612(3)まで延在し、且つそれに取り付けられる。さらに、摺動要素612(10)は、第2の条片666(2)の第1の端に取り付けられ、その第2の条片は、第2の端において弾性的にスペーサ612(5)まで延在し、且つそれに取り付けられる。このようにして、摺動要素612(10)は、スペーサ612(3)と612(5)との間に弾性的に懸架される。懸架は、摺動要素612(10)がスペーサ612(3)、612(5)に対して長手方向に動くことができない又はほとんど動くことができないが、これらのスペーサ612(3)及び612(5)に対して接線方向には弾性的に動くことができることである。操縦要素610の方へ向かって接線方向に動くとき、第1及び第2の条片610(1)及び666(2)は、反スプリング力を起こす。
【0188】
図26を参照して説明するような作動要素608が作動されて、その面622及び624によって、強制的に摺動要素612(10)を接線方向に動かし得る。作動状態では、摺動要素612(10)の鋸歯状縁613は、操縦ワイヤ610の鋸歯状縁611に係合して、操縦ワイヤ610のいずれのさらなる長手方向の動きも阻止するようにするため、可撓部18の撓み状態を動かなくする。
【0189】
作動要素608の非作動状態では、第1及び第2の条片666(1)、666(2)は摺動要素612(10)を中立接線位置に保ち、ここでは、鋸歯状縁611及び613が係合解除されるため、可撓部18は、操縦ワイヤ610によって撓ませられ得る。
【0190】
図41B及び図41Cに示すように、図示の実施形態は、接線方向において互いに対して等距離の所に位置する4本の操縦ワイヤ610を含む。そのような各操縦ワイヤ610は、異なる長手方向の箇所に位置する1つ以上の摺動要素によってさらなる長手方向の動きがロックされ得る。同じ操縦ワイヤ610をロックするように作動され得る全摺動要素は、単一の作動要素608によって作動される。その単一の作動要素608は、器具300の遠位端から近位端まで延在する長手方向条片の形を有する。作動要素608は、遠位端において自由に動くことができ、且つ作動状態と非作動状態との間で長手方向に動くように、近位端から、手動又はロボット的にのいずれかで、動作され得る。この実施形態では、長手方向条片の形の4つのそのような作動要素608がある。それらは、接線方向において、同様に等距離の所に位置する。
【0191】
図示の通り、可撓部を最初に撓ませる前に、スペーサ612(1)、612(2)、摺動要素612(10)、スペーサ612(6)は、1つ以上の破壊要素670によって、依然として、隣接する作動要素608に取り付けられている。これらの破壊要素は、切断プロセス後に、チューブ3の全ての異なる要素をまとめて、チューブ3が別々のピースへとばらばらにならないようにする。
【0192】
破壊要素670は、以下の方法で設計されるべきである。破壊する前に、各破壊要素670は、チューブ3に切られる1つ以上の対向する要素に取り付けられる。これらの対向する要素は、破壊要素670内の応力が周囲の材料及び/又は構造よりも高くなるような、幾何学的形状を有する。それゆえ、撓み又は十分に高い力が、破壊要素670を備える構造に加えられる場合、破壊要素670の応力は、チューブ材料の降伏応力超に上昇し、破壊要素670の永久的な撓みを引き起こす。さらに撓み又は高い力を加えることによって、最終的な引張り応力に達する応力を生じて、破壊要素670の破壊を引き起こす。破壊要素を壊すための別の機構が、破壊要素670に低い又は高いサイクル疲労を加えることによって、達成される。破壊要素670の応力は、疲労限度超に上昇され、疲労破壊を引き起こす。全ての場合において、周囲構造/材料の応力は、少なくともチューブ材料の降伏応力を下回るように留まる。
【0193】
ここで、破壊要素670は、器具300が完成し且つチップセクション13を最初に撓ませた後、破壊するように設計される。
【0194】
さらに、スペーサ612(2)及び612(3)は、可撓性ブリッジによって互いに取り付けられて、スペーサ612(3)を、作動要素608から明確に定められた距離で明確に定められた接線位置に保つ。同じ方法で、スペーサ612(5)及び612(6)は、可撓性ブリッジ668によって互いに取り付けられて、スペーサ612(5)を、作動要素608から明確に定められた距離で明確に定められた接線位置に保つ。このようにして、面622及び624は、触れることができず、それゆえ、スペーサ612(3)、612(5)を接線方向に動かさない。
【0195】
図41A~41Cに示すようなロッキング機構は、器具300のどこにでも応用され得ることが観察される。
【0196】
図42A~42Cは、操縦ワイヤが予荷重され得るさらなる実施形態を示す。1本の操縦ワイヤ16(1)に対する機構が示されている。しかしながら、2本以上、例えば、4本の操縦ワイヤが用いられてもよい。図42Aは外側チューブ4を示し、図42Bは中間チューブ3を示し、及び図42Cは内側チューブ2を示す。器具300を完成させた後、チューブ2はチューブ3に挿入され、且つチューブ3はチューブ4に挿入される。図42A~42Bは全て、器具300の近位端の例を示すが、図示の技術は、器具のどこでもよいとし得る。器具300の剛体部分は、参照符号304で示され、及び可撓性部分は参照符号302で示される。可撓性部分302は、例えば、器具300のチップセクションにおいて、可撓性部分302を曲げることによって、撓み可能な部分の操縦を制御するように構成される。その趣旨で、可撓性部分302にある外側チューブ4の部分は、任意の好適なヒンジパターンを有し得る。しかし、図42Aに示すものは一例である。剛体部分304は、可撓性部分302よりも可撓性が低い可撓性部分と置き換えられ得ることに留意されたい。
【0197】
剛体部分304では、外側チューブ4はスリーブ805を有し、そのスリーブは、外側チューブ4から作られるが、2つの周方向スロット801、803によって外側チューブ4の残りの部分から分離されて、スリーブ805が接線方向に回転できるようにする。2つの作動要素802及び804はそれぞれ、接線方向スロット806及び808内にそれぞれ位置する。作動要素802、804は、円形形状を有してもよく、且つ以下説明するように、例えば(レーザ)溶接によって、中間チューブ2の要素に取り付けられる。
【0198】
スリーブ805の近位側に、外側チューブ4は剛体リング807を含み、及び遠位側に、外側チューブ4は剛体スリーブ809を含む。
【0199】
図42Bは、中間チューブ3の例を示す。器具300の可撓性部分302に好適な可撓性構造を有する。器具300の剛体部分304では、中間チューブ3は、2つの部分、すなわち、近位端にある剛体リング815、及び剛体リング815から遠位側に位置するスリーブ813に分けられ、これらは互いに長手方向に可動である。1つ以上の取付点810(1)、810(2)、…のそれぞれにおいて、外側チューブ4の剛体リング807は、例えば(レーザ)溶接によって、中間チューブ3の剛体リング815に取り付けられる。
【0200】
スリーブ813及び剛体リング815は、予め決められた程度まで互いに対して長手方向に可動であるように構成される。ここで、これは、1つ以上のT字形状の延長部836を有するスリーブ813によって実現され、それぞれ、剛体リング815のそれぞれのT字形状のスロット838に位置する。
【0201】
スリーブ813は、スリーブ813のスロット818内で長手方向に摺動できるように構成されたスライダ816を備える。スライダ816は、例えば、(レーザ)溶接によって、外側チューブ4内の作動要素802に取り付けられる。スリーブ813は、例えば、(レーザ)溶接によって、外側チューブ4内の作動要素804に取り付けられる。それぞれのスロット内に配置される1つ以上の案内要素822(1)、822(2)、…が、スリーブ813に設けられる。以下説明するように、これらの1つ以上の案内要素822(1)、…は全て、内側チューブ2に取り付けられる。それらは、それらがそれらそれぞれのスロット内で予め決められた長手方向距離に沿って摺動でき且つそれらのスロット内でのいずれの接線方向の動きも可能にしないような、形状にされる。
【0202】
その遠位側において、スリーブ813は、操縦ワイヤ16(1)の近位端を収容する1つ以上の長手方向スロット824を備える。長手方向スロット824は、操縦ワイヤ16(1)の鋸歯状部分830に対面する鋸歯状部分832を備える。長手方向スロット824はまた、長手方向作動要素826を収容する。長手方向作動要素826は、長手方向スロット824の近位端部分835内に位置する近位端部分834を有する。近位端部分834及び近位端部分835は、近位端部分834、それゆえ作動要素826全体が、一定の予め決められた程度のみスリーブ813に対して長手方向に動くことができるように、構成される。さらに、ある程度の製造上の公差は別として、近位端部分834は、この例では、スリーブ813に対して接線方向に動くことができないように設計される。作動要素826の遠位端は、鋸歯状部分830とは反対側の操縦ワイヤ16(1)の長手方向側面に対面する1つの長手方向側面を有する。さらに、作動要素826の遠位端は、操縦ワイヤ16(1)に対向するその長手方向側面に、スリーブ813の1つ以上の面に対面する1つ以上の面を備え、作動要素826がスリーブ813に対して長手方向に器具300の近位端の方へ動かされるとき、その遠位端が、強制的に接線方向に操縦ワイヤ16(1)の方へ向かって動くようにして、鋸歯状縁830及び832が係合し、且つ操縦ワイヤ16(1)がスリーブ813に対するいずれの長手方向の動きも阻止されるようにする。
【0203】
図42Cは、内側チューブ2のさらなる詳細を示す。器具300の可撓性部分302に好適な可撓性構造を有する。器具300の剛体部分304では、内側チューブ2が3つの部分850、852、854に分けられる。参照符号854は、近位端における剛体リングを指す。スリーブ852が、剛体リング854から遠位側に位置し、及びさらなるスリーブ850が、スリーブ852から遠位側に位置する。スリーブ852は、予め決められた距離に沿って剛体リング854とスリーブ850との間で長手方向に可動であるように構成される。図示の例では、それは、剛体リング854にあるT字形状の開口部849内に位置する1つ以上のT字形状の延長部846を備えるスリーブ852、及びスリーブ852のT字形状の開口部847内に位置する1つ以上のT字形状の延長部848を備える剛体リング854によって、実現される。さらに、スリーブ852は、スリーブ850のT字形状の開口部845内に位置する1つ以上のT字形状の延長部844を備え、及びスリーブ850は、スリーブ852のT字形状の開口部843内に位置する1つ以上のT字形状の延長部842を備える。
【0204】
中間チューブ3のスライダ816は、外側チューブ4の作動要素802だけでなく、内側チューブ2のスリーブ852にも取り付けられる。中間チューブ3の全案内要素822(1)、…、822(4)は、内側チューブ2のスリーブ850に取り付けられる。中間チューブ3の剛体リング815は、取付箇所820(1)、820(2)、…に示すように、外側チューブ4の剛体リング807だけでなく、内側チューブ2の剛体リング854にも取り付けられる。最後に、作動要素826の各近位端部分834は、内側チューブ2のスリーブ852、例えばT字形状の延長部844に取り付けられる。これは、近位端部分834の取付箇所840で示される。取り付けは、(レーザ)溶接によって行われてもよい。
【0205】
図42A~42Cに示す器具300の実施形態は、以下の通り動作する。予荷重された1本以上の操縦ワイヤ16(1)を提供することによって、外側チューブ4のスリーブ805の、外側チューブ4の残りの部分に対する回転を開始する。この回転に起因して、作動要素802、804は、スロット806及び808によって規定されるそれぞれの経路に強制的に従う。これらのスロット806、808は、回転の第1の部分では、スロット806の形状に起因して作動要素802のみが長手方向に器具300の近位端の方へ向かって動く一方で、作動要素804はスロット808によって固定長手方向位置に保たれるように、設計される。作動要素802は、同様に内側チューブ2のスリーブ852に取り付けられる中間チューブ3のスライダ816に取り付けられるため、スリーブ852が、長手方向に器具300の近位端の方へ向かって摺動する。スリーブ852は、作動要素826の近位端部分834に取り付けられるため、同様に、作動要素826が長手方向に器具300の近位端の方へ向かって強制的に動く。
【0206】
これにより、作動要素826の遠位端にある面が、強制的に、スリーブ813の相手方面(counter face)を「上へ」動かして、作動要素826の遠位端が接線方向に動かされるようにし、それにより、操縦ワイヤ16(1)の近位端を接線方向に押して、その鋸歯状縁830がスリーブ813の鋸歯状縁832と係合するようにする。ここで、操縦ワイヤ16(1)の近位端はスリーブ813にロックされる。スリーブ813は、案内要素822(1)、…、822(4)によって接線方向にロックされることに留意されたい。そのため、外側チューブ4のスリーブ805をさらに回転させることによって、予荷重ステップが作動される。すなわち、そのため、スロット806、808の形状に起因して、作動要素802及び804は、同時に、長手方向に器具300の近位端の方へ向かって動かされ、且つそれらは、両スリーブ813及び852を、取り付けられた1本又は複数本の操縦ワイヤ16(1)を用いて同じ方向に、すなわち、器具300の近位端の方へ向かって引く。これにより、1つ又は複数の操縦要素16(1)を予荷重する。この予荷重状態は、作動要素802及び804がスロットの窪み状部分内にあるようにして、そこから、外部介入なしでは戻ることができないようにスロット806及び808を設計することによって、安定状態とし得る。
【0207】
予荷重された1本又は複数本の操縦ワイヤ16(1)は、器具300に、近位端における操縦ワイヤの動きに対するそのチップセクションのより良好な反応をもたらすことに留意されたい。さらに、図示の配置構成は、単に外側チューブ4内のスリーブ805を元の所へ回転させることによって、予荷重状態を取り消すために好適である。
【0208】
図43A~43Cは、互いに囲む4つのチューブに好適なパターンを切ることによって実現されるスイッチ900の例を示す。しかしながら、本発明は、この数に限定されない。スイッチ要素は、器具300内の任意の所望の箇所に位置し得る。図43Aは、スリーブ908によって囲まれた外側チューブ906を示す。図43Bは、スリーブ908が除去されているときの外側チューブ906を示す。図43Cは中間チューブ904を示す。図43Cには内側チューブ(又はコア)902も示されているが、現在の例の関連の詳細がないため、別々には描かれていない。図示のスイッチは、スイッチが中立位置を必要とするかどうか次第で、3つ又は2つの位置のいずれかを有し得る。
【0209】
外側チューブ906は複数の作動要素を有し、そのうちの2つが、参照符号934、962で示されている。作動要素934及び962のそれぞれは、スロット940及び968のそれぞれ内で長手方向に可動である。これらの作動要素934、962間にフレーム948が設けられ、これは、外側チューブ906の2つの対向する部分942、944間で、スイッチ900の接線方向に可動である。フレーム948は、長方形スロット954を有し、そこにスライダ956が設けられ、そのスロット954内で長手方向に摺動し得、且つフレーム948の接線方向の動きと一緒に接線方向に動かされ得る。作動要素934は、フレーム948に対面する1つ以上の面936及び938を有する。作動要素962は、フレーム948に対面する1つ以上の面964及び966を有する。フレーム948は、作動要素934に対面する1つ以上の面950及び952を有する。フレーム948は、作動要素962に対面する1つ以上の面958及び960を有する。面958及び960の形状は、フレーム948の2つ又は3つ又はそれを上回る個別の接線位置を生み出すように設計され得る。スリーブ908は、作動要素934の1つ以上の取付点970(1)、972(1)に取り付けられる1つ以上の取付点976(1)、978(1)、及び作動要素962の1つ以上の取付点970(2)、972(2)に取り付けられる1つ以上の取付点976(2)、978(2)を有する。スリーブ908は、両矢印974で示すように、長手方向に両方向に動かされ得る。それゆえ、作動要素934及び962がスリーブ908によって長手方向に動かされ得る。スリーブ908は、例えば、同じチューブから切られ且つ器具300の近位端まで延びる1本以上の制御ワイヤに取り付けられ得、スリーブ908の長手方向の動きが近位端から制御され得るようにする。
【0210】
図43Cは、中間チューブ904のより詳細を示す。中間チューブ904は、いくつかの操縦ワイヤを有し、そのうちの2つ16(1)、16(2)が示されている。実現例は、操縦ワイヤ16(1)に関して説明されるが、他の操縦ワイヤにも等しく応用可能である。操縦ワイヤ16(1)が、スロット932内で長手方向に動かされ得る。その遠位端では、操縦ワイヤ16(1)は、その長さの一部分に沿って鋸歯状縁910を備える。
【0211】
切り替え要素が、操縦ワイヤ16(1)の鋸歯状部分910に隣接するスイッチ要素920の形で設けられる。スイッチ要素920は、操縦ワイヤ16(1)の鋸歯状縁910に係合し得る1つの長手方向側面に鋸歯状縁924を備える。その反対側の長手方向側面に、スイッチ920は鋸歯状縁926を備える。これらの鋸歯状縁926は、中間チューブ904の固定部分930にある対向する鋸歯状縁927に配置される。スイッチ要素920は、長手方向スロット929内に配置され、これは、スイッチ要素920を長手方向だけでなく、接線方向でも一定程度可動にすることを可能にする。1つ以上の取付点982において、スイッチ要素920は、外側チューブ906内のスライダ956に取り付けられて、スライダ956が、スイッチ要素920用の案内要素として動作するようにする。その遠位端では、スイッチ要素920は要素914に接続されて、スイッチ要素920が、要素914に対して、接線方向には動くが、長手方向には動くことができないようにする。要素914は、遠位方向に延びる操縦ワイヤ自体とし得、中間チューブ904内若しくは外のチューブ内の操縦ワイヤに取り付けられ得るか、又は中間チューブ904内及び/又は外のチューブの固定部分に取り付けられ得る。後者の場合、要素914は、器具300の撓み可能な部分の遠位端において取り付けられる。
【0212】
図43A~43Cの配置構成は、以下の方法で動作する。スリーブ908を1つの長手方向に、例えば、図示のように近位方向に動かすことによって、作動要素934及び962の双方を第1の長手方向位置まで動かし、その際、面964、966、958及び964は、フレーム948をスライダ956と一緒に第1の接線方向に強制的に動かすようにした。スイッチ要素920はスライダ956に取り付けられているため、スイッチ要素920は、ここで、その鋸歯状縁926が固定部分930の鋸歯状縁927に係合してスイッチ920の任意のさらなる長手方向の動きが阻止される位置へ、動かされる。それゆえ、同様に要素914がその長手方向位置においてロックされる。それゆえ、この要素914に取り付けられる任意の撓み可能な部分は、その現在の撓ませられた向きにロックされる。
【0213】
ここで、スリーブ908を反対の長手方向に、例えば、遠位方向に動かすことによって、作動要素934及び962の双方を、第2の長手方向位置まで動かし、ここで、面936、938、950、952が、フレーム948をスライダ956と一緒に、第1の接線方向とは反対の第2の接線方向内で、鋸歯状縁924が鋸歯状縁910に係合するまで、強制的に動かす。そのため、スイッチ要素920が、操縦ワイヤ16(1)を長手方向に動かすことによって、長手方向に動かされ得る。そのため、操縦ワイヤ16(1)内のいずれの長手方向の力も要素914へ伝えられ、それにより、器具300の撓み可能な部分を撓ませることを可能にする。
【0214】
図44A~44Dは、外側チューブ4の撓み可能な部分18の隣接するヒンジセグメント18(p)、p=1、2、…、P間の回転角度が動かなくされ得る実施形態を示す。図44Aは、互いに挿入される3つのチューブ、すなわち、内側チューブ2、中間チューブ3及び外側チューブ4のチップセクション13を示す。より多くのチューブが提供され得、及び同じ機構が、器具300の任意の曲げ可能セクションに応用され得る。外側チューブ4は、より精密な図で示され、中間チューブ3の一部分も見える。
【0215】
ヒンジセグメント18(p)の1つ以上のT字形状の部分1006が、隣接するヒンジ部分18(p+1)及び/又は18(p-1)のそれぞれのT字形状のスロット1008に収容される。図示の実施形態では、接線方向に約180度シフトされた2つの隣接するヒンジセグメント18(p)、18(p+1)間に2つのそのようなT字形状の部分1006がある。隣接するヒンジセグメント18(p+1)、18(p+2)間にも、2つのそのようなT字形状の部分1006が用いられるが、図示の通り、90度シフトされており、部分18を全ての方向において撓み可能にする。さらに、1組のT字形状の部分1006及びT字形状のスロット1008に対して90度シフトされて、隣接するヒンジセグメントにあるスロット1012中に延在するヒンジセグメントの1組のピン1010が用いられ得、隣接するヒンジセグメントの接線方向の相互回転を防止するように構成される。スロット1012は、スロット1016中へ延在する2つのピン1013間に規定され得る。隣接するヒンジセグメント18(p)及び18(p+1)は接線方向スロット1018によって分離され、この接線方向スロットは、これらの隣接するヒンジセグメント18(p)、18(p+1)が、ヒンジが撓むように、予め決められた角度で回転点1010の周りで互いに対して回転し得るように構成される。
【0216】
図44Bは、中間チューブ3のある実施形態の詳細を示す。図44Dに、図44Bに長方形XLV-XLVで示すような、重要な詳細部の拡大図が示されている。中間チューブ3は4本の操縦ワイヤを有し、そのうちの2つ16(1)、16(2)が示されている。図示の撓み可能なチップセクションでは、一連のスペーサ1002(q)、q=1、2、…、Qによって、隣接する操縦ワイヤ16(1)、16(2)は分離される。図示の例では、スペーサ1002(q)の数は、ヒンジセグメント18(p)の数の半分であることに留意されたい。各スペーサ1002(q)は、ヒンジセグメントに取り付けられて、その取付点1020(q)がヒンジセグメント18(p)の取付点1004(p)に取り付けられる場合、隣接するスペーサ1002(q+1)の取付点1020(q+1)が、ヒンジセグメント18(p+2)の取付点1004(p+2)に取り付けられるようにする。切り替え要素が、隣接するスペーサ1002(q)内のスペーサ1002(q+1)から延在する可撓性レバー1026(q)として実現されて、隣接するスペーサ1002(q)、1002(q+1)が、長手方向に互いに対して動き得るようにする。
【0217】
各スペーサ1002(q)はスロット1038(q)を有し、そこに、スライダ1034(q)が位置して、スライダ1034(q)がスロット1038(q)内で長手方向に動くことができるようにする。スライダ1034(q)は、スプリング要素1032(q)によって、スペーサ1002(q)の本体に弾性的に取り付けられ得、且つ取付点1036(q)において内側チューブ2に取り付けられる。スライダ1034(q)は、レバー1028(q)の面1040(q)に触れる面1042(q)を有する。レバー1028(q)は、可撓性アーム1030(q)によって、スペーサ1002(q)の本体に弾性的に取り付けられる。レバー1028(q)は、角度がつけられた面1040(q)及び1042(q)が互いに対して動く場合、スライダ1034(q)によって接線方向に弾性的に動かされ得る。面1040(q)に対向する長手方向側面において、レバー1028(q)は、第2の長手方向側面において鋸歯状縁1023(q)を備える可撓性レバー1026(q)の端部分1024(q)の第1の長手方向側面に触れる。これらの鋸歯状縁1023(q)は、スペーサ1002(q)にある鋸歯状縁1022(q)に対向して配置される。その鋸歯状縁1022(q)を備えるスペーサ1002(q)は、ロッキング要素として機能する。
【0218】
図44Cは、内側チューブ2の例を示す。その可撓性部分6では、内側チューブ2は、取付点1044(q)を有するヒンジ構造を備える。取付点1044(q)は、スライダ1034(q)の取付点1036(q)に取り付けられる。内側チューブ2は、少なくとも器具300の可撓性部分18において可撓性であり且つその長手方向において剛体である限り、異なる実現例を有し得る。
【0219】
図44A~44Dに示す配置構成は、以下の通り動作する。図示の状態では、鋸歯状縁1023(q)は、鋸歯状縁1022(q)に係合していないため、隣接するスペーサ1002(q)、1002(q+1)は、長手方向に互いに対して動き得るが、同時に、チップセクション13が操縦ワイヤ16(i)によって任意の所望の角度で任意の方向に撓ませられることを可能にする。ひとたび所望の撓み角度が獲得されたら(これは0度とし得る)、内側チューブ2は、近位端の方へ向かって引かれて、全スライダ1034(q)をそれぞれのスペーサ1002(q)の本体に対して長手方向に動かす。これにより、面1042(q)を面1040(q)に対して動かして、レバー1028(q)がレバー部分1024(q)の方へ向かって接線方向に押しやられるようにし、且つ鋸歯状縁1023(q)が鋸歯状縁1022(q)に係合して、隣接するスペーサ1002(q)、1002(q+1)間のいずれのさらなる相互の長手方向の動きも阻止するようにし、それゆえ、チップセクション13の撓み状態を動かなくする。それゆえ、ここでは、内側チューブ2、及び内側チューブ2に取り付けられるスライダ1034(q)は、作動要素として動作する。
【0220】
内側チューブ2を器具300の遠位端の方へ向かって動かすことによって、全スライダ1034(q)は、図44Dに示す位置に戻され、ここでは、レバー1028(q)にこれ以上全く接線力を加えず、及び鋸歯状縁1023(q)はもはや鋸歯状縁1022(q)に係合しない。そのため、隣接するヒンジセグメント18(p)はもはやロックされない。
【0221】
図45A~45Cは、どのようにヒンジが撓み又は非撓み状態で動かなくされ得るかの実現例を示す。図45Aは、2つのチューブ1102、1103を示す。チューブ1102は、チューブ1103中に挿入される。図示の配置構成は、チップセクションの一部分とし得るが、器具300のどこででも実現され得る。配置構成は、好適な操縦ワイヤ(図45A~45Cには図示せず)によって操縦可能とし得る。チューブ1102及び1103は、それらの端で、例えば、それらの端縁で、又はヒンジと端縁との間のどこかで、互いに取り付けられる。取り付けは、例えば、(レーザ)溶接、糊付けなどによって1箇所以上1101で行われる。所望の場合には、3つ以上のチューブが使用され得る。
【0222】
図38A図38Bに示す例のように、隣接するヒンジセグメント1104(1)、1104(2)、1104(3)、…は、隣接するヒンジセグメント1104(1)、1104(2)、1104(3)、…のT字形状のスロット1106に収容される1つのヒンジセグメント1104(1)、1104(2)、1104(3)、…にある1つ以上のT字形状の延長部1110を介して一緒にかぎ針編みされる。T字形状の延長部1110及びT字形状のスロット1106は一緒にクランプを形成する。好ましくは2つのそのような組のT字形状の延長部1110及びT字形状のスロット1106は、接線方向に180度回転された2箇所で応用される。T字形状の延長部1110及びT字形状のスロット1106は、隣接するヒンジセグメント1104(1)、1104(2)、1104(3)、…が、互いに対して長手方向に動くことができないか又はほとんど動くことができないが、T字形状のスロット1106内でT字形状の延長部1110を動かすことによって互いに対して回転し得るように、構成される。2組のT字形状の延長部1110とT字形状のスロット1106との間にスロット1112が設けられる。これらのスロット1112の形状は、2つの隣接するヒンジセグメント1104(1)、1104(2)、1104(3)、…間の撓みの最大角度を決定する。その上側には、T字形状の延長部1110は、T字形状のスロット1106の鋸歯状部分1108に対面する鋸歯状部分1107を有する。鋸歯状部分1107及び鋸歯状部分1108は一緒に、ロッキング要素を形成する。
【0223】
2組のT字形状の延長部1110及びT字形状のスロット1106に対して接線方向に90度シフトされた箇所では、2つの隣接するヒンジセグメント1104(1)、1104(2)、1104(3)、…の反対側に、2つの隣接するヒンジセグメント1104(1)、1104(2)、1104(3)、…の接線方向の回転を防止するように構成されたピン1118/スロット1116の組が応用され得る。
【0224】
図45Cに示すように、チューブ1102は、例えば、互いに隣接するいくつかのヒンジセグメントによって実現される可撓性構造を有して、チューブ1102が、いずれの方向にも、少なくともチューブ1103のヒンジ構造が位置する長手方向領域において撓み得るようにする。同時に、チューブ1102は、チューブ1102に加えられる長手方向の引き力が1つ以上の取付部1101(図45A参照)を介してチューブ1103への圧縮力へ変わるように、設計されるべきである。そのような取付は、レーザ溶接、糊付けなどによって行われ得る。ここで、チューブ1102は、2つの対向する長手方向スロット1124によって規定されるブリッジ1125によって中断されるスロット1122によって互いに分離される隣接するヒンジセグメント1120(r)、r=1、2、…、Rを有するヒンジ構造によって実現される。好ましくは、接線方向に180度シフトされた箇所に位置する2つの隣接するヒンジセグメント1120(r)間には2つのそのようなブリッジ1125がある。
【0225】
チューブ1102及び1103は、長手方向の引き力がチューブ1102に加えられない限り、鋸歯状縁1107及び1108が係合せず、且つT字形状の延長部1110が摩擦なくT字形状のスロット1106内を動くことができるように、構成される。しかしながら、引き力が、取付済の端から離れるように長手方向にチューブ1102に加えられる場合、チューブ1103内のヒンジセグメント1104(1)、1104(2)、1104(3)、…に圧縮力が起こり、鋸歯状縁1107を鋸歯状縁1108に係合させ、それゆえ、隣接する全ヒンジセグメント1104(1)、1104(2)、1104(3)、…間の現在の撓み状態を動かなくする。この引き力を緩和することによって、動かなくする状態は解除され得る。
【0226】
図45A~45Dの実施形態では、チューブ1102は作動要素として使用される。しかしながら、チューブ1102の代わりに、例えば、チューブから切られることによって作られる1つ以上の作動ワイヤが使用され得る。より多くのそのような組の作動ワイヤが、同じチューブから切られ得、これは、器具300の近位端から器具300の他の可撓性部分まで延在し及びそのような他の可撓性部分の撓み状態をロック-ロック解除するように構成され得る。
【0227】
図46A~46Eは、1つの位置で操縦ワイヤ又は他の要素を互いにロックするためのロッキングシステムを示す。これは、単一のチューブから切られるが、内側支持チューブと外側支持チューブとの間に配置されることが多い。
【0228】
図46Aは、非結合状態にある2つの操縦ワイヤ部分16(1,a)及び16(1,b)を示す。2つの操縦ワイヤ部分16(1,a)及び16(1,b)はそれぞれ、操縦ワイヤ部分16(1,a)及び16(1,b)と同じ方法で互いに結合され得る操縦ワイヤ部分16(2,a)/16(3,a)及び16(2,b)/16(3,b)のそれぞれで構成され得る隣接する操縦ワイヤ間に位置し得る。
【0229】
操縦ワイヤ部分16(1,a)は、そのチップ部分にスロット1208、及び、おそらくは、スロット1208から切り替え要素1212まで長手方向に延在する切れ目1210を有する切り替え要素1212を備える。操縦ワイヤ16(1,b)は、チップ部分1206を備える延長部1214を備える。スライダ1204(1)及び1204(2)は、図46Aに示す状態で設けられて、双方が切り替え要素1212及び延長部1214の双方に触れて、切り替え要素1212及び延長部1214が器具300の接線方向に動くことができないようにする。スライダ1204(1)及び1204(2)はそれぞれ、長手方向にスロット1216及び1218内でそれぞれ動き得る。スライダ1204(1)、1204(2)は好適な作動要素に取り付けられる。そのような作動要素は、図46A~46Eに示すように同じチューブから切られるか、又はそのチューブ内若しくは外に配置される作動ワイヤによって実現され得る。さらなる代替例として、作動チューブ又はスリーブが、図46A~46Eに示すチューブ内若しくは外に配置されて設けられ、これは、スライダ1204(1)、1204(2)に取り付けられ、且つそれらが長手方向に動くように構成される。
【0230】
図46B図46Aの側面図を示す。
【0231】
図46Cは、両スライダ1204(1)、1204(2)がそれらのスロット1216、1218内で動かされて、両スライダがもはや、切り替え要素1212のスロット1208によって、チップ部分に触れないようにする状態を示す。そのため、延長部1214のチップ部分1206は、切り替え要素1212のスロット1208に挿入され、それにより、図46Cに示すように、接線方向に広がり得る。
【0232】
図46Dに示すように、延長部1214のチップ部分1206、及び切り替え要素1212のスロット1208が設けられたチップ部分は、相互にシフトされて、チップ部分1206が切り替え要素1212のスロット1208内に全体的に収容され、及びそれらがスナップフィット接続を形成するようにする。その後、図46Eに示すように、スライダ1204(1)、1204(2)は、それら双方が切り替え要素1212及び延長部1214の双方に触れる位置に戻るようにシフトされて、スロット1208が接線方向に広がることができないようにし、及び操縦ワイヤ16(1,a)の切り替え要素1212が操縦ワイヤ部分16(1,b)をしっかりとクランプして、それらのうちの一方が長手方向に動く場合、他方も長手方向に同じ程度動くようにする。
【0233】
図47A図47Bは、図46A~46Cの例の代替例を示す。図47Aは、一連の切り替え要素1302(s)、s=1、2、…、Sのうちの2つの隣接する切り替え要素を示す。この例では、それらは同一形状である。切り替え要素1302(s)は、2つの切り替え要素部分1304(s)、1306(s)を有する。それらは、一方の長手方向側の取付点で互いに取り付けられる。この取付点の反対側に、すなわち、もう一方の長手方向側に、切り替え要素1302(s)はスロット1322(s)を有して、2つのスロット部分1304(s)、1306(s)を分ける。図示の実施形態では、スロット1322(s)の相互の辺で、両スロット部分1304(s)、1306(s)は、互いに対面する鋸歯状の長手方向の縁を有する。2つのスロット部分1304(s)、1306(s)は、取付点の周りで互いに蝶番で動くように構成される。余分なスロット1318(s)及び1320(s)が、蝶番での動きを容易にするために、2つの切り替え要素部分1304(s)及び1306(s)内に存在してもよい。それゆえ、スロット1322(s)は、より幅広にも及びより小さくもできる。切り替え要素1302(s+1)は、切り替え要素1302(s)の方へ向かって方向付けられ且つおそらくは鋸歯状端部分を備える長手方向延長部1316(s+1)を有する。
【0234】
切り替え要素部分1304(s)及び1306(s)のそれぞれは、スロット1312(1)及び1314(s)のそれぞれを備え得る。ピン1308(s)及び1310(s)はそれぞれ、スロット1312(s)及び1314(s)内にそれぞれ設けられる。これらのピン1308(s)及び1310(s)は、切り替え要素1302(s)が作られるチューブ内又は外のチューブ内にある1つ以上の作動要素(図示せず)に取り付けられる。スロット1312(s)及び1314(s)は、ピン1308(s)及び1310(s)がこれらの1つ以上の作動要素によって長手方向に動かされるとき、切り替え要素部分1304(s)及び1306(s)が強制的に互いに蝶番で動いて、スロット1308(s)を開いたり又は閉じたりするような形状にされる。開放状態では、長手方向延長部1316(s+1)は、スロット1322(s)に挿入され得る。ひとたびスロット1322(s)内になったら、切り替え要素部分1304(s)及び1306(s)は互いの方へ向かって動かされ得、切り替え要素部分1304(s)、1306(s)の鋸歯状縁が長手方向延長部1316(s+1)の鋸歯状端部分に、それゆえ切り替え要素長手方向延長部1316(s+1)に係合するようにする。
【0235】
鋸歯状縁は、図27A~27Hを参照して先に説明したような任意の形を有し得る。さらに、図示の切り替え要素1302(s)はまた、操縦ワイヤ又は任意の他の長手方向要素の端部分をクランプするために使用され得る。1つ以上の作動要素は、器具の近位端の方へ向かって延びる長手方向条片として実現され得る。
【0236】
図47Bは、切り替え要素1330(s)が定寸法のスロット1332(s)を備えるさらなる代替例を示す。別の要素の鋸歯状の長手方向延長部1334(s)が、スロット1332(s)に挿入され得る。切り替え要素1330(s)は、スロット2340(s)内でピン1338(s)を長手方向に動かすことによって、接線方向に動かされ得る弾性の切り替え要素1336(s)を有する。ピン1338(s)は、切り替え要素1330(s)が作られるチューブ内又は外のチューブ内で作動要素(図示せず)に取り付けられる。ひとたび長手方向延長部1334(s)が開口部1332(s)に挿入されたら、切り替え要素1336(s)は、その鋸歯状部分をクランプし且つその長手方向の動きを阻止するように作動要素によりピン1338(s)を長手方向に動かすことによって、長手方向延長部1334(s)の方へ向かって動かされる。
【0237】
ここでも、鋸歯状縁は、図27A~27Hを参照して先に説明したような任意の形を有し得る。さらに、図示の切り替え要素1330(s)はまた、操縦ワイヤ又は任意の他の長手方向要素の端部分をクランプするために使用され得る。1つ以上の作動要素は、器具の近位端の方へ向かって延びる長手方向条片として実現され得る。
【0238】
図48の実施形態は、図22A図22B及び図26のような他の図面の特徴を含む。同じ参照符号は、それらの図面と同じ又は同様の要素を指す。図示の実施形態では、全ての要素は、図面の左側にチューブの円形の断面で示すような、チューブ壁の部分である。
【0239】
実施形態は2つの長手方向要素:長手方向作動要素606及び長手方向作動要素608を有し、それら双方共、長手方向に摺動自在である。長手方向作動要素608は、固定世界部分604によって案内される。
【0240】
長手方向作動要素608は2つの面622及び624を備え、それらの間で、長手方向作動要素608に、長手方向作動要素608の外部の方へ向かって広がる窪み状部分を提供するようにする。長手方向作動要素606は2つの面603及び632を備え、それらの間で、長手方向作動要素606に、長手方向作動要素606の外部の方へ向かって先細になる延長部分を提供するようにする。長手方向作動要素606の延長部分は、長手方向作動要素608の窪み状部分内に位置し、且つ長さが、長手方向作動要素608のその窪み状部分の長さよりも短い。それゆえ、長手方向作動要素606の延長部分は、長手方向作動要素608の窪み状部分内で長手方向に動くことができる。
【0241】
さらに、実施形態は、複数のスペーサ要素612(1)、612(2)、612(3)、612(5)、612(6)、及び612(7)、並びにここではスペーサ要素612(3)と612(5)との間に位置する摺動要素612(8)を有する。全スペーサ要素612(1)、612(2)、612(3)、612(5)、612(6)、及び612(7)はそれぞれ、長手方向作動要素606と弾性的に接触する弾性延長部607(1)、607(2)、607(3)、607(5)、607(6)、及び607(7)のそれぞれを備える。摺動要素612(8)は、案内要素614によって案内されるように、接線方向において摺動自在であり、案内要素は、ここでも、-例えば溶接によって-取付点616において、下部の又は被さっているチューブに取り付けられる。
【0242】
摺動要素612(8)は、操縦ワイヤとし得る長手方向要素610の方へ向かって及びそこから離れるように摺動自在である。長手方向要素610に対面するその側面において、摺動要素612(8)は、鋸歯状部分613を備え、その鋸歯状部分は、ここでは歯を有して示されるが、任意の他の鋸歯状の形、例えば図27A~27Hに示す形のうちの1つも応用され得る。摺動要素612(8)に対面するその側面において、長手方向要素610は鋸歯状部分611を備え、その鋸歯状部分は、ここでは歯を有して示されるが、任意の他の鋸歯状の形、例えば図27A~27Hに示す形のうちの1つも応用され得る。鋸歯状縁の代わりに、部分611及び613は粗面又は非滑面を有してもよく、それらは、互いに接触するときに、ある程度の摩擦を示す。
【0243】
図48の実施形態では、長手方向要素610及び固定世界部分604は、互いに対して固定接線位置を有する。それゆえ、長手方向作動要素608が、ある瞬間に、長手方向作動要素606に対して長手方向に動かされる場合、長手方向作動要素606は、面603が面622に沿って摺動するか又は面632が面624に沿って摺動するかのいずれかであるため、強制的に摺動要素612(8)の方へ向かって接線方向に動くようにされる。これにより、その鋸歯状部分613が長手方向要素610の鋸歯状部分611に係合し、それゆえ、長手方向要素610をロックするまで、摺動要素612(8)を長手方向要素610の方へ向かって接線方向に強制的に動かす。
【0244】
図48の実施形態の主な利益は、ある経路長に沿って生み出され得る、より高い量のロックである。2つの長手方向作動要素606及び608は、それらの中立(曲げ)軸を互いにかなり近くに有するため、互いに対するこれらの要素の変位は、曲がりくねった経路に限定される。それゆえ、面624は面632のかなり近くに、及び面603は面622のかなり近くに保たれ得る。これは、ロックを生み出すための長手方向作動要素の少なくとも一方の小さい作動の動きをもたらす。換言すると、この実施形態は、限定されたヒステリシスのみを有する。
【0245】
この実施形態はまた、両長手方向作動要素606、608が同じ長手方向に動かされる場合、器具のチップを操縦するために使用され得、且つそれらの動きが反対である場合、器具がロックされ得る。当然ながら、そのため、長手方向作動要素の一方が、器具の遠位端(チップ)に接続される必要がある。ある例では、そのため、長手方向要素610は、長手方向作動要素606及び608によって置換される。長手方向作動要素608は、例えば、そのような例では、スペーサ612(1)、612(2)、612(3)、612(5)、…に隣接した位置にあり、且つ長手方向要素610の鋸歯状側面611のような鋸歯状側面を備える。そのため、これらのスペーサの対向側面は、チューブの一部分に接触して、それらが弾性的に接線方向に動き得るようにする。摺動要素612(8)は同じ状態のままである。
【0246】
図49A図49Bは、2つの長手方向作動要素606及び608を使用する考えの応用を示す。図49Aは、全体的に可撓性であり、それゆえ、湾曲した管に挿入されている最中に湾曲形状を取り得るチューブのセクション4900を示す。可撓性セクション4900全体が動かなくされ得るか、又はその湾曲した(若しくは湾曲していない)状態にロックされ得る。図示の要素は、ここでも、チューブの壁から切られ、且つ図面は、全ての要素を扁平な図で示す。図は、チューブの接線方向の360度全体を網羅する。
【0247】
長手方向作動要素606及び608は、ここでも、図48におけるように面603、622、624、632を備える。これらの4つの面の参照符号は図49Aでは一回だけ示されるが、そのような4つぞろいの面603、622、624、632は、図49Aから分かるように、可撓性セクション4900の全長に沿って、規則的な間隔で存在する。図示の実施形態では、面624及び632は、双方共、軸方向に対して90度の角度に向けられる。そのため、それらは、互いに沿って摺動できない。ひとたび長手方向作動要素606、608がそれらのロック解除位置になったら(図49A図49Bに示すような)、遠位端(すなわち、左方向)への長手方向作動要素608の動きは、面632が面624に阻止されるようにし、長手方向作動要素606、608が、明確に定められた長手方向関係となるようにする。
【0248】
可撓性セクション4900は、複数の隣接する可撓性セクション部分4902(1)、4902(2)、4902(t)、……4902(T)を有する。ここでは、16個のそのような可撓性セクション部分4902(t)が示されている。しかしながら、概念はまた、任意の他の数の2つ以上の可撓性セクション部分4902(t)でも働く。隣接する可撓性セクション部分4902(t)、4902(t+1)は、この実施形態では、互いから180度の接線方向距離に位置する2つの小さい長手方向ブリッジ4904(t)、4905(t)によって、互いに取り付けられる。小さいブリッジ4905(t)の一方の側を図49Aの上部に示し、及び小さいブリッジ4905(t)の他方の側を、図49Aの下方側に示すことに留意されたい。実際には、これらの側は、図49Aに示さない、一定の、予め設計された接線方向距離にある。2つのブリッジ4904(t)、4905(t)間で、隣接する可撓性セクション部分4902(t)、4902(t+1)は、それらの中央部においてブリッジ4904(t)、4905(t)の近くよりも広くなり得るスロット4906(t)、4907(t)によって、分離される。
【0249】
可撓性セクション部分4902(t+1)は、同様に2つの小さいブリッジ4904(t+1)及び4905(t+1)によって、可撓性セクション部分4902(t+2)に取り付けられる。これらの小さいブリッジ4904(t+1)及び4905(t+1)はそれぞれ、小さいブリッジ4904(t)及び4905(t)それぞれの箇所に対して、接線方向にシフトされた90度の箇所に存在する。この交互の接線方向の箇所は、当業者が理解するように、全ての方向においてチューブ状の可撓性セクション4900を可撓性にすることを可能にする。或いは、小さいブリッジ4904(t+1)及び4905(t+1)はそれぞれ、小さいブリッジ4904(t)及び4905(t)のそれぞれの箇所に対して接線方向にゼロ度シフトされた箇所に存在してもよいことが観察される。そのため、可撓性セクション4900は、1つの平面においてのみ曲げられ得る。さらなる代替的な配置構成が可能である。
【0250】
特定の可撓性セクションを示すが、当業者には、チューブに切られる多くの他のスロットパターンによって、チューブが可撓性に作られ得ることが明白である。多種多様の例が、従来技術から公知であり、且つその代わりに応用されてもよい。異なるスロットパターンの組み合わせも応用されてもよい。
【0251】
長手方向作動要素606は、ここでは、可撓性セクション部分4902(t)に対面する鋸歯状側面4909を備え、その鋸歯状側面4909は、上述したような任意の形を有し得る。或いは、この側面4909は粗面を有してもよい。可撓性セクション部分4902(t)のうちのいくつかは、t=t1の一定の値では、長手方向作動要素606の鋸歯状側面4909に対面するそれらの長手方向側面に鋸歯状部分4911(t)を備える。他の可撓性セクション部分4902(t)は、そのような鋸歯状部分4911(t)を備えていないが、t=t2の値(ここで、t≠t2である)では、長手方向作動要素606の鋸歯状側面4909に対面するそれらの長手方向側面にスプリング様の部分4913(t)を備える。ここで、鋸歯状部分4911(t1)がスプリング様部分4913(t2)と交互になる実施形態が示されている。しかしながら、特定の要件次第で、他の配置構成が設計されてもよい。
【0252】
重要なことは、規則的な間隔で、長手方向作動要素606は、可撓性セクション4900の予め決められたロック可能な長さ部分に沿っていくつかの可撓性セクション部分4902(t1)を係合でき、それゆえロックできること、及びロック解除状態において、スプリング様部分4913(t2)は長手方向作動要素606の鋸歯状側面4909を鋸歯状部分4911(t1)から離れるように押すことである。
【0253】
図49Bは、近位セクション4901並びに可撓性セクション4900を示す。図示の例では、可撓性セクション4900は、近位セクション4901で終端するが、それは、厳密に必要なわけではない。1つ以上の他のセクションが間にあってもよい。ここで、近位端4901は、ほとんど固体材料4915のチューブの一部分である。両長手方向作動要素606、608は、近位セクション4901にあるスロット4917内に端部分を有する。長手方向作動要素606の鋸歯状側面4909は、近位セクション4901にあるこのスロット4917中へ延在する。この鋸歯状側面4909に対向して、近位セクション4901は、さらなる鋸歯状部分4911(T+1)、及びチューブのロック解除状態において鋸歯状側面4909を鋸歯状部分4911(T+1)から離れるように押すように構成されたさらなるスプリング様部分4913(T+2)を有する。このロック解除状態では、両長手方向作動要素606及び608はスロット4917内で長手方向に動き得る。
【0254】
使用中、例えば、湾曲した(又は操縦される)管に挿入されることに起因して、可撓性セクション4900が曲げられると、長手方向作動要素606、608も湾曲した管に従って湾曲される。しかしながら、異なる箇所において、それらは、湾曲したチューブ上の同じ接線方向箇所に位置しないことに起因して、互いに対して長手方向にシフトされ得る。同じことが、長手方向作動要素606の鋸歯状側面4909及び可撓性セクション部分4902(t)の鋸歯状部分4911(t)に当てはまる。可撓性セクション4900が湾曲されるとき、例えば、可撓性セクション4900の直線の非湾曲状態におけるよりも、2つの隣接する鋸歯状部分4911(t)間の鋸歯状側面4909の「歯」が少ない又は多いとし得る。さらに、鋸歯状縁4911(t)の隣接する「歯」間の相互距離は、長手方向作動要素606の湾曲に起因して、わずかに変化し得る。これらの「歯」と鋸歯状部分4911(t)の「歯」との不整合を防止するために、可撓性セクション部分4902(t)の長手方向側面は、数個のそのような「歯」のみを備え得、これらの長手方向側面の全長を網羅しない。
【0255】
湾曲した管に可撓性セクション4900を挿入している最中、スプリング様部分4913(t)は、鋸歯状部分4911(t)を鋸歯状側面4909から離れるように押すため、2つの長手方向作動要素606、608は、双方共、一定程度、互いから独立して長手方向に動き得る。ひとたび可撓性セクション4900が管内の所望の箇所になったら、得られた湾曲状態に可撓性セクション4900をロック(又は動かなく)して、別の長手方向器具がそのルーメンを通って標的箇所まで簡単にシフトされ得るようにしたいかもしれない。そのようなロッキングは、今や、長手方向作動要素606、608間の相対的な長手方向の動きによって、簡単に行われ得る。図48を参照して説明するように、例えば長手方向作動要素608が長手方向要素606に対して右方向に動かされるとき、ひとたび面603が面622に接触し且つそれによって案内されると、長手方向作動要素606はスプリング様部分4913(t)のばね作用に抗して接線方向に押されて、鋸歯状側面4909を鋸歯状部分4911(t)に係合させる。規則的な間隔でのこの係合は、長手方向作動要素606をその湾曲状態にロックするため、可撓性セクション4900全体をその湾曲状態に保つ。
【0256】
可撓性セクション4900のこのロック状態では、鋸歯状側面4909はまた、近位セクション4901内の鋸歯状部分4911(T+1)に係合されたことに留意されたい。これは、厳密に必須な特徴ではないが、応用される場合、可撓性セクション4900が、そのロック状態において近位セクション4901に対して曲げ可能であることが防止される。
【0257】
近位セクション4901内の長手方向作動要素608の近位端は、任意の好適な手段によって、長手方向に動かされ得る。これは、例えば、図49A図49Bに示すチューブを囲むチューブ内の制御機構に取り付けられ得る。そのような制御機構は、例えば、手動で又は好適なロボット装置によって動作され得る。
【0258】
図49A図49Bは1組の長手方向作動要素606、608を示すが、好ましくは相互に等しい接線方向距離に位置する2組以上のそのような長手方向作動要素も応用されてもよい。
【0259】
図50A~50Fは、図48図49A図49Bに示す実施形態のさらなる発展形態を示し、これは、いわゆる「リーダー追従」(FTL)器具において使用され得る。従来技術では、そのようなFTL器具は、内側コア及び外側コア、例えば、外側コアとしての機能を果たす第2のチューブ(アセンブリ)内に位置する、内側コアとしての機能を果たす第1のチューブ(アセンブリ)によって実現される。本明細書の目的で、そのような従来技術の器具は、当業者に公知であると思われる。ここでは、例えば、レーザ切断によって、チューブに好適なスロットパターンを提供することによって製造された、単一のチューブ内に実現される全主要要素を有する実施形態が提示される。全ての要素は単一のチューブ内に位置するが、従来技術の用語「内側コア」及び「外側コア」は、従来技術からの対応する語を使用するために使用される。「内側コア」のいくつかの要素は、下付き文字「ic」を備えて示される一方で、「外側コア」のいくつかの要素は、下付き文字「oc」を備えて示される。図50A~50Fは、ここでも扁平な形のチューブ要素を示す。実際には、それらは、チューブの360度の周囲全体を網羅する。
【0260】
図50Aは、単に、FTLチューブ5000の概観を示す。全ての詳細は、他の図50B~50Fの1つ以上に示され、これらは、複数の部分を拡大規模で示す。図50Aは、完全なFTLチューブ5000の例を示す。実際には、FTLチューブ5000内及び/又は外に1つ以上の他のチューブがあってもよい。要素のサイズは、縮尺通りではないかもしれず、例えば、縮尺は、垂直方向及び水平方向に異なっていてもよい。
【0261】
図示の実施形態では、FTLチューブ5000は、8個の平行なセクション:「内側コア」に関する4個の内側コアセクション5002(u)、u=1、2、3、4、及び「外側コア」に関する4個の外側コアセクション5004(4)を含む。他の実施形態では、uは、4以外の別の最大値を有してもよい。近位端セクションが参照符号5001で示され、及び可撓性の残りのセクションが参照符号5003で示される。
【0262】
図50Bにより良く示すように、外側コアセクション5004(u)の近位端は、いくつかの箇所5008で、FTLチューブ5000内又は外の1つ以上の構成要素に取り付けられて、外側コアセクション5004(u)がFTLチューブ5000の「固定世界」部分を形成するようにする。そのような取り付けは、レーザ溶接及び別のチューブ内の好適な開口部に曲げられる小さいピンなどの任意の好適な手段によって行われ得る。どの内側コアセクション5002(u)も長手方向スロット5005(u)を備え、及びどの外側コアセクション5004(u)も長手方向スロット5007(u)を備える。
【0263】
各長手方向スロット5005(u)内に、内側コアセクション5002(u)は、3個の平行な長手方向作動要素606ic(u)、608ic(u)、及び5006ic(u)を含む。図示の例では、長手方向作動要素5006ic(u)は、長手方向作動要素606ic(u)と608ic(u)との間に位置する。
【0264】
図50D-近位端セクション5001の一部分の拡大図を示す-により良く示すように、長手方向作動要素606ic(u)及び608ic(u)は、図49A図49Bの実施形態における長手方向作動要素606、608と同一形状にされる。規則的な間隔で、それらは、面603ic(u)、622ic(u)、624ic(u)、632ic(u)を備え、且つ長手方向作動要素606ic(u)は、長手方向作動要素608ic(u)から見て外方を向く鋸歯状長手方向側面4909ic(u)を備える。長手方向作動要素606ic(u)に対面するその長手方向側面に、長手方向作動要素5006ic(u)は、鋸歯状部分5028ic(u)、並びにスプリング様部分5026ic(u)を備える。スプリング様部分5026ic(u)は、それらが鋸歯状側面5030ic(u)を押して、チューブのロック解除状態において鋸歯状部分5028ic(u)が鋸歯状側面5030ic(u)に係合するのを防止するように、設計される。
【0265】
チューブの近位端内で、長手方向作動要素606ic(u)から見て外方を向くその長手方向側面において、長手方向作動要素5006ic(u)は、内側コアセクション5002(u)の近位端の鋸歯状長手方向側面5022(u)に対向して位置する鋸歯状部分5024ic(u)を備える。
【0266】
長手方向作動要素606ic(u)から見て外方を向くその長手方向側面に、長手方向作動要素608ic(u)は、角度がつけられた面5034(u)を備える。この角度がつけられた面5034(u)に対向して、内側コアセクション5002(u)の近位端は、角度がつけられた面5032(u)を備える。それゆえ、長手方向作動要素608ic(u)が内側コアセクション5002(u)のこの近位端に対して長手方向に動かされて、角度がつけられた面5032(u)、5034(u)が互いに摺動する場合、長手方向作動要素606ic(u)の方向に長手方向作動要素608ic(u)に接線力が起こる。
【0267】
各長手方向スロット5007(u)内に、外側コアセクション5004(u)は、2つの平行な長手方向作動要素606oc(u)、608oc(u)を含み、これらは、この実施形態では、長手方向作動要素606ic(u)、608ic(u)と同一形状である。外側コアセクション5004(u)の近位端は、鋸歯状側面4909oc(u)に対面する長手方向側面を有し、これは、鋸歯状部分5038oc(u)及びスプリング様部分5036oc(u)を備える。スプリング様部分5036oc(u)は、長手方向作動要素606oc(u)を押しやり、チューブのロック解除状態において鋸歯状部分5038oc(u)が長手方向作動要素606oc(u)の鋸歯状側面4909oc(u)と係合しないようにした。
【0268】
可撓性セクション5003内では、どの長手方向作動要素5006ic(u)も、任意の好適な形を有し得るスペーサ5010、5012によって、隣接する長手方向作動要素608oc(u)から分離される。ここで、それらは四角形要素として示され、そのいくつかの隣接する四角形要素は、小さい可撓性ブリッジ5012によって互いに取り付けられる。
【0269】
さらに、可撓性セクション5003内では、どの長手方向作動要素606oc(u)も、スペーサ5014、5016によって、隣接する長手方向作動要素608ic(u+1)から分離される。スペーサ5014は、鋸歯状側面4909oc(u)に対面する鋸歯状部分を備え、スペーサ5016はスプリング様であり、チューブのロック解除状態において、それらは、長手方向作動要素606oc(u)を接線方向に押しやって、鋸歯状スペーサ5014が鋸歯状側面4909oc(u)をロックするのを防止するようにする。
【0270】
図50Cは、チューブの遠位端におけるチップセクションを示す一方で、図50Eは、図50Cの一部分を拡大規模でを示す。図面は、この実施形態では、チップセクションがリング状の遠位端5018によって実現されていることを示す。図示の通り、内側コアセクション5002(u)の3個の平行な長手方向作動要素606ic(u)、608ic(u)及び5006ic(u)は、チューブの遠位端内で自由に浮動し、そのため、外側コアセクション5004(u)の長手方向作動要素608oc(u)も自由に浮動する。この実施形態では、唯一自由に浮動しない長手方向作動要素は、長手方向作動要素606oc(u)であり、これは横断部分5020oc(u)を備え、これは、横断スロット5040oc(u)内に配置されて、横断スロット5040oc(u)内でのシフトを可能にする。
【0271】
図50Fはまた、チューブの遠位端を示すが、図50Fの図では、外側コアセクション5004(u)は、内側コアセクション5002(u)の3個の平行な長手方向作動要素606ic(u)、608ic(u)及び5006ic(u)に対してチューブの遠位方向に動かされている。それゆえ、図50E及び図50Fは、ここでさらに説明するように、チューブがFTL方法で使用されている最中のチューブの2つの異なる状態を示す。
【0272】
開始位置では、チューブは直線とし得、及び全ての要素の位置は、図50A~50Eに示すような位置とし得る。使用中、チューブは、湾曲した管に挿入されて、チューブの可撓性セクション5003が管の湾曲形状を取るようにし得る。チップを挿入している最中、ここでは、リング5018は、これらの長手方向作動要素606oc(u)が横断部分5020oc(u)によってチップに接続されていることに起因して、長手方向作動要素606oc(u)によって操縦され得る。ここでは、全ての方向においてチップの曲げを制御するために、チューブの接線方向において等距離の所に分布する4個のそのような長手方向作動要素606oc(u)がある。それゆえ、この実施形態では、長手方向作動要素606oc(u)はまた、操縦ワイヤの機能を果たす。チップの曲げは、チップに配置されたカメラによって支援されてもよい。
【0273】
そのような管への挿入の第1のステップの最中、他の長手方向作動要素606ic(u)、608ic(u)、5006ic(u)及び608oc(u)の長手方向位置は、当業者によって理解されるように、可撓性セクション5003の曲げに起因して、変化し得る。図50A~50Fから分かるように、チューブは、これらの長手方向作動要素606ic(u)、608ic(u)、5006ic(u)及び608oc(u)が、チューブのロック解除状態において自由に動くために、長手方向にある程度の空間を有するように、設計される。また、可撓性セクション5003の曲げに起因して、内側コアセクションの長手方向作動要素606ic(u)、608ic(u)、及び5006ic(u)は、これらの図面に示すものとは異なる相互の相対的な長手方向位置を有し得る。
【0274】
ひとたび管に一定の深さまで挿入されたら、湾曲したチューブを、その現在の状態で動かなくするように決定し得る。それは、長手方向作動要素606ic(u)、608ic(u)、及び5006ic(u)を動作させることによって行われる。すなわち、長手方向作動要素606ic(u)、608ic(u)は、長手方向に互いに対してシフトされて、面603ic(u)、622ic(u)の組が互いに沿って摺動して、長手方向作動要素606ic(u)を、スプリング様要素5026ic(u)のスプリング力に抗して、接線方向に長手方向作動要素5006ic(u)の方へ向かって動かすようにする。これにより、鋸歯状側面4909ic(u)を鋸歯状部分5028ic(u)に係合させ、それにより、長手方向作動要素606ic(u)をその現在の湾曲状態にロックする。接線方向に等距離の所に分布した、内側コアセクション5002(u)の4個のそのような、ここではロックされている、長手方向作動要素606ic(u)があるため、可撓性セクション5003の全体が、ここでは湾曲状態にロックされる。
【0275】
図示の実施形態では、同様に、鋸歯状部分5024ic(u)が鋸歯状側面5022(u)にロックして、それらが内側コアセクション5002(u)の近位端に対して長手方向に動くのを防止することに留意されたい。
【0276】
しかしながら、外側コアセクション5004(u)の全ての要素は-ここでは、全スペーサ5014、5016と一緒に-依然として、長手方向作動要素606ic(u)、608ic(u)及び5006ic(u)に沿って遠位方向に動かされることができる。そのため、第2のステップとして、外側コアセクション5004(u)は、一定の距離に沿って遠位方向に前進させられる一方で、長手方向作動要素606ic(u)、608ic(u)及び5006ic(u)はそれらの位置を保ち、且つこれらの長手方向作動要素606ic(u)、608ic(u)及び5006ic(u)の軸方向位置において、可撓性セクション5003をそれらの湾曲状態に保つ。この前進の最中、チップは、長手方向作動要素606oc(u)によって制御され、且つ例えば、チップに配置されたカメラによって支援されるため、再度操縦され得る。
【0277】
その後、第3のステップとして、長手方向作動要素608oc(u)は、長手方向作動要素606oc(u)に対して長手方向にシフトされて、面603oc(u)、622oc(u)の組が互いに沿って摺動して、長手方向作動要素606oc(u)を、スプリング様スペーサ5016のスプリング力に抗して、接線方向にスペーサ5014の方へ向かって動かす。これにより、鋸歯状側面4909oc(u)をスペーサ5014の鋸歯状部分に係合させ、それにより、長手方向作動要素606oc(u)をその現在の湾曲状態にロックする。接線方向に等距離の所に分布した、外側セクション5004(u)の4個のそのような、ここではロックされている、長手方向作動要素606oc(u)があるため、可撓性セクション5003全体も、ここで、外側コアセクション5004(u)の要素によって、湾曲状態にロックされる。
【0278】
その後、第4のステップにおいて、長手方向作動要素606ic(u)、608ic(u)は、再度、長手方向に互いに対してシフトされて、面603ic(u)、622ic(u)の組が互いに沿って摺動するが、ここでは、鋸歯状側面4909ic(u)がもはや鋸歯状部分5028ic(u)にロックしないロック解除状態に戻る方向に摺動する。
【0279】
第5のステップでは、長手方向作動要素606ic(u)、608ic(u)及び5006ic(u)は全て、遠位方向に、所望の新しい軸方向位置まで前進させられるが、他の全ての要素は適所に留まる。
【0280】
ステップ1から5まで、何度でも、望む限り及び可能な限り、繰り返される。
【0281】
長手方向作動要素606ic(u)、608ic(u)と長手方向作動要素606oc(u)、608oc(u)との間で相互に相対的なシフトを行うために、長手方向作動要素608oc(u)及び608ic(u)は全て、手動又はロボット制御用に構成され得るチューブ外の構成要素に取り付けられることに留意されたい。
【0282】
本発明の異なる態様を以下の通り要約し得る。
【0283】
第1の態様は、遠位端にチップセクション(302)、近位端に操縦セクション(306)、及びチップセクション(302)と操縦セクション(306)との間に本体セクション(304)を有する侵襲的な器具であって、侵襲的な器具は、1つ以上の可動要素、1つ以上の固定要素、1つ以上の機械的なスイッチ、及び以下の機能:
a. 侵襲的な器具の可撓性部分の撓み若しくは非撓み状態を動かなくするか、又は侵襲的な器具の可撓性部分の撓みを限定するかのいずれかのために、ロッキング要素(416(m);516、704;716;718;734/736;746/748;756/758;1002;1107/1108)として動作するように、1つ以上の可動要素をロックすること、
b. 操縦セクション(306)からチップセクション(302)まで延在し且つ1本以上の操縦ワイヤ(16(i))の長手方向の動きによってチップセクション(302)の少なくとも第1の部分を撓ませるように構成された操縦ワイヤ(16(i))として実現される1つ以上の可動要素を切り替え、それにより、1本以上の操縦ワイヤ(16(i))が、固定要素に固定されるか、別の可動要素に結合されるか、それらの動きが限定されるか、摩擦下でのみ動くことができるようにされるか、操縦セクション(302)内の異なる操縦ユニットのうちの1つに結合されるか、操縦セクション(302)内の操縦ユニットから外されるか、又は自由に浮動する状態に解放されるかのいずれかであること、又は
c. 2つの隣接する可動要素(1214(s);1316(s))を結合して、それらが一緒に動くことができるようにすること
のうちの少なくとも1つを果たし得るように、1つ以上の機械的なスイッチを近位端から動作させるように構成された1つ以上の作動要素(608;826;934、962;2)を含み、
1つ以上の可動要素(416(m);516、704;716;718;734/736;746/748;756/758;1002;1107/1108;16(i);1214(s);1316(s))、1つ以上の機械的なスイッチ及び1つ以上の作動要素(608;826;934、962;2)は、互いに挿入される1つ以上のチューブの部分である、侵襲的な器具に関する。
【0284】
特徴(a)が応用される場合、本体セクション(304)は可撓性とし得、及び1つ以上のロッキング要素は、本体セクション(304)の曲げ若しくは非曲げ部分を動かなくするか、又は本体セクション(304)の曲げを制限するように構成され得る。
【0285】
器具は、少なくとも第1のヒンジセグメント(18(p);700(1))及び別の第2のヒンジセグメント(18(p);700(2))を含む少なくとも1つのヒンジ(18;308;408(1);408(2);508(1);508(2))を含み得、第1のヒンジセグメント(18(p);700(1))及び第2のヒンジセグメント(18(p);700(2))は、互いに対して撓み可能であり、且つ以下の特徴:
d. 第1のヒンジセグメント(18(p);700(1))を第2のヒンジセグメント(18(p);700(2))にロックするように構成された1つ以上のロッキング要素(704;1002);
e. 第1のヒンジセグメント(700(1))及び第2のヒンジセグメント(700(2))を通って延び且つ第1のヒンジセグメント(700(1))及び第2のヒンジセグメント(700(2))の一方に取り付けられる1本以上の制御ワイヤ(416(1)、416(2);516(1)、516(2);716、718)として実現される1つ以上のロッキング要素であって、1つ以上の切り替え要素が、1本以上の制御ワイヤ(416(1)、416(2);516(1)、516(2);716、718)をクランプするように構成されている、1つ以上のロッキング要素;又は
f. 第1のヒンジセグメント(700(1))及び第2のヒンジセグメント(700(2))の一方にある凸状部分(732;744;759;1110)、並びに第1のヒンジセグメント及び第2のヒンジセグメントの他方にある凹状部分として実現される切り替え要素であって、ロッキング要素が、凸状部分の鋸歯状凸状部分縁(734;746;758;1107)、及び鋸歯状凸状部分縁(734;746;758;1107)に対面する凹状部分の鋸歯状凹状部分縁(736;748;756;1108)として実現され、切り替え要素は、鋸歯状凸状部分縁(734;746;758;1107)及び鋸歯状凹状部分縁(736;748;756;1108)を互いの方へ向かって動かして、鋸歯状凸状部分縁(734;746;758;1107)が鋸歯状凹状部分縁(736;748;756;1108)に係合するように構成されている、切り替え要素
のうちの1つによって、撓み状態にロック可能である。
【0286】
特徴(d)が応用される場合、1つ以上のロッキング要素は、鋸歯状ロッキング部分縁(706;762;1022)を備えるロッキング部分(704;1002)を含み得、及び1つ以上のスイッチ要素(708;764;1026)は、鋸歯状スイッチ要素部分(710;768;1023)を有し得、1つ以上の作動要素は、鋸歯状ロッキング部分縁(706;762;1022)及び鋸歯状切り替え要素部分(710;768;1023)を互いの方へ向かって動かして、鋸歯状ロッキング部分縁(706;762;1022)が鋸歯状切り替え要素部分(710;768;1023)に係合するように構成されている。
【0287】
第1のヒンジセグメント(18(p);700(1))及び第2のヒンジセグメント(18(p);700(2))は、第1のチューブからの部分とし得、1つ以上のロッキング要素は、第1のチューブ内又は外に配置された第2のチューブからの部分とし得る。
【0288】
ロッキング部分(704;1002)は第1のヒンジセグメント取り付けられ得、且つ1つ以上の切り替え要素(708;1026)は、第2のヒンジセグメントに対するそれらの長手方向の動きが固定されるが、ロッキング部分(704;1002)の方へ向かって及びそこから離れるように可動であるように構成され得る。
【0289】
1つ以上の切り替え要素(708)は、第1のチューブに取り付けられた案内要素(712)を収容する孔が設けられ得る。
【0290】
ロッキング部分は、少なくとも1本の操縦ワイヤ(16(1)/16(2))に隣接して配置された第1のスペーサ(1002(q))とし得、及び少なくとも1つの切り替え要素は、第1のスペーサ(1002(q))に隣接して位置する第2のスペーサ(1002(q+1))から延在する可撓性レバー(1026(q))とし得る。
【0291】
1つ以上の作動要素(608;2/1034)は、1つ以上の作動要素(608;2/1034)が長手方向に動かされるときに、鋸歯状ロッキング部分縁(706;1022)及び鋸歯状切り替え要素部分(710;1023)を互いの方へ向かって動かすように構成された少なくとも1つの面を備え得る。
【0292】
特徴(f)が応用される場合、以下の特徴:
g. 2つの隣接するヒンジセグメント(700(1)、700(2))に取り付けられた可撓性ブリッジ(740)、及び
h. 1つ以上の切り替え要素は、第1のヒンジセグメント(700(1))及び第2のヒンジセグメント(700(2))が作られ、クランプ部分(752)が長手方向に固定して配置される同じチューブの切り替え要素部分(752)によって実現されること
のうちの少なくとも1つが応用され得る。
【0293】
特徴(b)が応用される場合、1つ以上の切り替え要素(312)は、操縦ユニットから第1の組の操縦ワイヤを外し且つ第2の組の操縦ワイヤを操縦ユニットに結合するように構成され得、第1及び第2の組の操縦ワイヤは、器具の異なる可撓性セクションの撓みを制御するように構成される。
【0294】
特徴(b)が応用される場合、異なる操縦ユニットの組は、異なる増幅因子の操縦ユニット、1つ以上の手動で動作可能な操縦ユニット、及び1つ以上のロボット操縦ユニットを含み得る。
【0295】
特徴(b)が応用される場合、1つ以上の切り替え要素は、1つ以上の作動要素(608;934、962、974)によって、器具の接線方向に可動であるように構成された摺動要素(612;920)によって実現され得る。
【0296】
摺動要素は、案内要素(614)を備える孔を有する摺動要素(612(8);612(10))、接線方向に弾性的である摺動要素(612(9))、レバー(630;632;638;640)で動作可能な摺動要素(612(11);612(14);612(17))、及び1つ以上の作動要素(608)のうちの1つに接続されるレバー(638;640)で動作可能な摺動要素(612(17)のうちの1つとして実現され得る。
【0297】
特徴(b)が応用される場合、1つ以上の切り替え要素は、1つ以上の作動要素(608)によって、2本の隣接する操縦ワイヤ(610a、610b)間で器具の接線方向に可動であるように構成された摺動要素(612(18);612(19))、2つの対向する長手方向側面に鋸歯状の長手方向の縁(613、681)を備える摺動要素(612(10))であって、鋸歯状の長手方向の縁(613、681)のそれぞれが2本の操縦ワイヤのうちの一方の鋸歯状の長手方向の縁(611、683)に対面している摺動要素(612(10))、摺動要素(612(18);612(19))を、摺動要素(612(18);612(19))の第1の鋸歯状縁(613)が2本の操縦ワイヤのうちの一方(610a)の鋸歯状の長手方向の縁(611)に係合する第1の状態と、摺動要素(612(18);612(19))の第2の鋸歯状縁(681)が2本の操縦ワイヤの他方(610b)の鋸歯状の長手方向の縁(683)に係合する第2の状態との間で接線方向に動かすように構成される少なくとも1つの作動要素によって、実現され得る。
【0298】
1つ以上の作動要素は、作動チューブ、又は摺動要素(612(18))が作られるチューブ内若しくは外に配置されたチューブの作動部分を含み得、作動チューブ又はチューブの作動部分は、摺動要素(612(18))に取り付けられる。
【0299】
摺動要素(612(19))は、スロット(691)、スロット(691)内に設けられるピン(693)を含み得、ピン(693)は1つ以上の作動要素に取り付けられており、スロット(691)は、ピン(693)が1つ以上の作動要素によって長手方向に動かされるとき、摺動要素(612(19))が接線方向に動かされるような形状にされる。
【0300】
特徴(f)が応用される場合、ブロック状の、セルフセンタリング状の、又はスナップ嵌めの鋸歯状縁が応用され得る。
【0301】
特徴(b)が応用される場合、1つ以上の切り替え要素(826)は、少なくとも1本以上の操縦ワイヤを、1本以上の操縦ワイヤに予荷重引張力をもたらすように構成された予荷重構造に結合するように構成され得る。
【0302】
侵襲的な器具は、予荷重構造が第1のステップ及び第2のステップで動作され得るように構成され得、第1のステップでは、少なくとも1本以上の操縦ワイヤは、1つ以上の切り替え要素(826)によってスリーブ(813)に結合され、及び第2のステップでは、1本以上の操縦ワイヤ(16(1))は、スリーブ(813)を長手方向に動かすことによって予荷重される。
【0303】
侵襲的な器具は、トロカール、外科用ツールを案内するために組み込む外科用器具、又はゼロ若しくは1つ以上の外科用器具を案内するように構成された内視鏡のいずれかとし得る。
【0304】
ここで、いくつかの最終的な意見を述べる。
【0305】
材料除去手段は、材料を融解して蒸発させるレーザビーム、又は水ジェット切断ビームとし得、及びこのビームの幅は、0.01~2.00mm、この出願では、より一般には、0.015~0.04mmとし得る。
【0306】
チューブの壁厚は、それらの応用次第である。医学的応用に関し、壁厚は、0.03~2.0mm、好ましくは0.03~1.0mm、一層好ましくは0.05~0.5mm、及び最も好ましくは0.08~0.4mmの範囲にあるとし得る。チューブの直径は、それらの応用次第である。医学的応用では、直径は、0.5~20mm、好ましくは0.5~10mm、一層好ましくは0.5~6mmの範囲内にあるとし得る。隣接するチューブ間の半径方向の遊びは、0.01~0.3mmの範囲内にあるとし得る。
【0307】
1つのチューブにある操縦ワイヤは、長手方向に、及び隣接するチューブにある他の要素に取り付けられ得、それらが一緒に、長手方向の動きを器具の近位端にある操縦ワイヤから、器具の遠位端にある器具の曲げ可能部分へ伝達するように動作可能となるようにして、曲げ可能部分が曲がるようにする。これは、本出願人の国際公開第2017/213491号パンフレット(例えばPCT出願の図12図13a及び図13b参照)に詳細に説明されている。
【0308】
当業者には、本発明の範囲は、上記で説明した例に限定されず、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲から逸脱せずに、そのいくつかの補正及び修正が可能であることが明らかになる。本発明は、図面及び説明において詳細に図示及び説明されたが、そのような図示及び説明は、実例又は例示にすぎず、限定ではないとみなされる。本発明は、開示した実施形態に限定されず、開示した実施形態の任意の組み合わせを含み、これは利点になり得る。
【0309】
開示した実施形態の変形例は、図面、説明及び添付の特許請求の範囲の研究から特許請求する発明の実施において、当業者によって理解及び達成され得る。説明及び特許請求の範囲では、語「含む(comprising)」は他の要素を除外せず、不定冠詞「a」又は「an」は複数を除外しない。実際には、「少なくとも1つ」を意味するとみなされる。相互に異なる従属請求項にいくつかの特徴が列挙されるという事実だけでは、これらの特徴の組み合わせが都合よく使用されることができないということは示さない。特許請求の範囲のいずれの参照符号も、本発明の範囲を限定するとみなされるべきではない。上述の実施形態及び態様の特徴は、それらの組み合わせが技術的に明白に矛盾しない限り、組み合わせることができる。
図1
図2
図3A
図3B
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【国際調査報告】