IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トルンプフ レーザー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧 ▶ トルンプフ フォトニクス インコーポレイテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】入射レーザビームのビーム成形装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/09 20060101AFI20240719BHJP
   B23K 26/067 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
G02B27/09
B23K26/067
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501994
(86)(22)【出願日】2022-07-06
(85)【翻訳文提出日】2024-01-12
(86)【国際出願番号】 EP2022068787
(87)【国際公開番号】W WO2023285250
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】102021118034.1
(32)【優先日】2021-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504035571
【氏名又は名称】トルンプフ レーザー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】TRUMPF Laser GmbH
【住所又は居所原語表記】Aichhalder Strasse 39, D-78713 Schramberg, Germany
(71)【出願人】
【識別番号】507318727
【氏名又は名称】トルンプフ フォトニクス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】TRUMPF Photonics Inc.
【住所又は居所原語表記】2601 U.S. Rte. 130 S, Cranbury, New Jersey 08512 , USA
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ラタイ
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス イアムラー
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー キリ
(72)【発明者】
【氏名】シュテフェン リート
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ ヴィーシェンドアフ
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168DA60
4E168EA02
4E168EA04
4E168EA06
4E168EA07
4E168EA14
(57)【要約】
本発明は入射レーザビーム(1)のビーム成形装置(100)に関し、その装置は、プリズム(2)、偏光回転子(3)、及び薄膜偏光子(4)を備え、プリズム(2)は、入射レーザビーム(1)を第1のハーフビーム(12)と第2のハーフビーム(14)とに分割するように配置されており、少なくとも第1のハーフビーム(12)はプリズム(2)に入力結合され、第1のハーフビーム(12)は、第1の入射面(20)においてプリズム(2)内に入射し、プリズム(2)は、第1の入射面(20)が入射レーザビーム(1)に対してブリュースター角(B)にて配置されるように、形成されており、プリズム(2)は、プリズム(2)に入力結合された第1のハーフビーム(12)が、プリズム(2)の出射面(24)においてプリズム(2)から出力されるように、形成されており、第1のハーフビーム(12)は、ブリュースター角にてプリズム(2)から出力され、薄膜偏光子(4)は、プリズム(2)から出力される第1のハーフビーム(12)によって通過されるように、配置されており、偏光回転子(3)は、第2のハーフビーム(14)によって通過され、且つ、第2のハーフビーム(14)の偏光が回転するように、配置されており、第2のハーフビーム(14)は、薄膜偏光子(4)によって反射されるようにガイドされ、薄膜偏光子(4)は、第1のハーフビーム(12)と第2のハーフビーム(14)とを重畳する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザビーム(1)のビーム成形装置(100)であって、
プリズム(2)、偏光回転子(3)、及び薄膜偏光子(4)を備え、
前記プリズム(2)は、入射レーザビーム(1)を第1のハーフビーム(12)と第2のハーフビーム(14)とに分割するように配置されており、少なくとも前記第1のハーフビーム(12)は前記プリズム(2)に入力結合され、
前記第1のハーフビーム(12)は、第1の入射面(20)において前記プリズム(2)内に入射し、前記プリズム(2)は、前記第1の入射面(20)が前記入射レーザビーム(1)に対してブリュースター角(B)にて配置されるように、形成されており、
前記プリズム(2)は、前記プリズム(2)に入力結合された前記第1のハーフビーム(12)が前記プリズム(2)の出射面(24)において前記プリズム(2)から出力されるように、形成されており、前記第1のハーフビーム(12)は、ブリュースター角にて前記プリズム(2)から出力され、前記薄膜偏光子(4)は、前記プリズム(2)から出力される前記第1のハーフビーム(12)によって通過されるように配置されており、
前記偏光回転子(3)は、前記第2のハーフビーム(14)によって通過され、且つ、前記第2のハーフビーム(14)の偏光が回転するように配置されており、
前記第2のハーフビーム(14)は、前記薄膜偏光子(4)によって反射されるようにガイドされ、前記薄膜偏光子(4)は、前記第1のハーフビーム(12)と前記第2のハーフビーム(14)とを重畳する、装置(100)。
【請求項2】
第1の出射面(24)は、前記プリズム(2)に入力結合され前記第1の出射面(24)に入射する前記第1のハーフビーム(12)に対してブリュースター角(B’)にあり、
前記薄膜偏光子(4)は、前記プリズム(2)から出力される前記第1のハーフビーム(12)がブリュースター角(B)にて前記薄膜偏光子(4)を通過するように配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の装置(100)。
【請求項3】
前記入射レーザビーム(1)は、p偏光されて供給されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置(100)。
【請求項4】
前記偏光回転子(3)は前記プリズム(2)に取り付けられていること、及び/又は、前記偏光回転子(3)はλ/2板であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項5】
前記偏光回転子(3)は、前記第2のハーフビーム(14)の偏光を90°回転させるように、好ましくはs偏光に回転させるように形成されていることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項6】
前記プリズム(2)は、前記ハーフビーム(14)の少なくとも1つが前記プリズム(2)内において全反射されるように形成されていることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項7】
前記第2のハーフビーム(14)を、前記偏光回転子(3)を通過した後に前記薄膜偏光子(4)上に反射する、少なくとも1つのミラー(5)が設けられていることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項8】
前記少なくとも1つのミラー(5)と前記プリズム(2)とが共通のベースプレートに予め取り付けられていることを特徴とする、請求項7に記載の装置(100)。
【請求項9】
前記プリズム(2)は、前記第2のハーフビーム(14)が第2の入射面(22)において前記プリズム(2)に入力結合されるように配置及び形成されており、
前記第2の入射面(22)は、前記入射レーザビーム(1)に対してブリュースター角(B)にて配置されていることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項10】
前記プリズム(2)は、前記第2のハーフビーム(14)が第2の出射面(26)において前記プリズム(2)から出力されるように形成されており、
前記第2の出射面(26)は、前記第2のハーフビーム(14)がブリュースター角にて前記第2の出射面(26)に当たるように配置されていることを特徴とする、請求項9に記載の装置(100)。
【請求項11】
前記偏光回転子(3)は、前記プリズム(2)から出力される前記第2のハーフビーム(14)が前記偏光回転子(3)を通過するように配置されていることを特徴とする、請求項10に記載の装置(100)。
【請求項12】
前記第2のハーフビーム(14)は、前記プリズム(2)に入射しないことを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項13】
薄膜偏光子(4)は、前記プリズム(2)の第1の出射面(24)において、適切な光学コーティングによって実施されていることを特徴とする、請求項12に記載の装置(100)。
【請求項14】
前記プリズム(2)はダブプリズムであることを特徴とする、請求項12に記載の装置(100)。
【請求項15】
装置(100)を用いてレーザビーム(1)を成形する方法であって、前記装置(100)は、プリズム(2)、偏光回転子(3)、及び薄膜偏光子(4)を備えている、方法において、
入射レーザビーム(10)を、前記プリズム(2)に当てることによって、第1のハーフビーム(12)と第2のハーフビーム(14)とに分割し、
前記第1のハーフビーム(12)を、ブリュースター角にて前記プリズム(2)の第1の入射面(20)に当て、前記プリズム(2)内に入射して、前記プリズム(2)を通過させて、前記ブリュースター角にて前記プリズム(2)から出射させ、前記第1のハーフビーム(12)を、前記プリズム(2)を通過した後、前記入射レーザビーム(10)に対して平行にオフセットさせ、
前記第1のハーフビーム(12)に、前記プリズム(2)から出射した後、前記薄膜偏光子(4)を通過させ、
前記第2のハーフビーム(14)の偏光を、前記偏光回転子(3)によって回転し、
前記第2のハーフビーム(14)を、屈折及び/又は反射によって、前記薄膜偏光子(4)の方向に偏向し、
前記第2のハーフビーム(14)を、前記薄膜偏光子(4)によって反射し、
前記第1のハーフビーム(12)と前記第2のハーフビーム(14)とを、ビーム方向における、前記薄膜偏光子(4)の下流側において、一致して重畳させる、ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリズム、偏光回転子、及び薄膜偏光子を備えた、レーザビームのビーム成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ使用においては、レーザビームの生成と、レーザビームの実際の使用とを空間的に分離することが望ましい場合が多い。安全上の理由から、又は、レーザが使用される領域において、例えば材料加工中の際に、レーザ光源の寿命に影響を与える可能性がある環境条件が支配的であるため、空間的な結合が望まれる場合がある。更に、単一のレーザ光源を複数の加工ステーションに供給することも可能である。
【0003】
このようなレーザビームの分離し及びガイドは、光ファイバを使用して可能であり、その際、レーザビームをフレキシブルな光ファイバに入力結合し、光ファイバを、例えばスペースを節約して、実際の使用場所までケーブルダクト内に敷設することができる。安全上の理由から、そこで発生するレーザ出力を自由噴流において空中をガイドできないため、この敷設法は、特に、ダイレクトダイオードレーザ、又はダイオードレーザのワイドストライプエミッタのような高出力レーザに適用される。しかしながら、これらのタイプのレーザは、その発生原理上、非常に非対称なビーム断面を有する。特に、第1のビーム断面軸に沿った幅が、他のビーム断面軸に沿った幅よりも著しく広いことが多い。このように広がったレーザビームを光ファイバに入力結合するためには、調整光学系を使用してレーザビームを光ファイバに入力結合できるように、レーザビームのビーム断面を可能な限り損失なく圧縮する必要がある。特定の用途においては、実質的に回転対称であるビーム断面の提供も必要である。
【0004】
特許文献1には、レーザ強度の増加のため、及びビーム成形のための装置が示されている。この文献においては、レーザビームは2つの部分ビームに分割され、その際、第1のビームは偏光回転子を通過し、次いで、ビームスプリッタにおいて第2の部分ビームと1つのビームに重畳され、それによって、出射するレーザビームのビーム断面が小さくなる。特許文献2もまた、そのようなビーム成形装置を開示しており、その装置においては、偏光ビームスプリッタキューブによってビームの重畳が行われる。
【0005】
これらの装置の欠点の1つは、その機械的安定性にあり、この機械的安定性は特に高レーザ出力において安全な動作のための前提条件である。ビームスプリッタキューブ内にプリズムを固定する接着剤は、高レーザ出力下においては溶ける可能性がある。更に、ビーム経路にあるコーティング面は、システムの効率を低下させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2008/156598A2号パンフレット
【特許文献2】独国特許出願公開第10113019A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の課題は、従来技術に基づき、ビーム成形のための改良された装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、請求項1の特徴を有する入射レーザビームのビーム成形装置によって解決される。有利な更なる形態は、従属請求項、添付の図面、及び本明細書に明示される。
【0009】
したがって、プリズム、偏光回転子、及び薄膜偏光子を備える、レーザビームのビーム成形装置が提案される。その際、プリズムは、入射レーザビームを第1のハーフビームと第2のハーフビームとに分割するように配置されており、少なくとも第1のハーフビームはプリズムに入力結合される。更に、第1のハーフビームは、第1の入射面においてプリズム内に入射し、プリズムは、第1の入射面が入射レーザビームに対してブリュースター角にて配置されるように、形成されており、その際、プリズムは、そのプリズムに入力結合された第1のハーフビームがプリズムの出射面においてプリズムから出力されるように、形成されており、第1のハーフビームは、ブリュースター角にてプリズムから出力され、薄膜偏光子は、プリズムから出力される第1のハーフビームによって通過されるように配置されており、その際、偏光回転子は、第2のハーフビームによって通過され、且つ、第2のハーフビームの偏光が回転するように配置されており、また、第2のハーフビームは、薄膜偏光子によって反射されるようにガイドされ、薄膜偏光子は、第1のハーフビームと第2のハーフビームとを重畳する。
【0010】
ビーム成形とは、本明細書において、特にレーザビームのビーム断面を変えることを意味すると解される。その際、ビーム断面は、レーザビームがその伝搬方向に垂直に占める面である。特に、ビーム成形とは、本明細書において、ビーム断面を小さくすること、特に半分にすること、或いは、ビーム断面の縦横比を適合させることを意味すると解される。ビーム断面において、一方の軸の方が他方の軸よりも長い場合、ビーム断面の縮小は、例えば長軸の長さを短くすることによって達成することができる。
【0011】
入射レーザビームは、例えばダイオードレーザのワイドストライプエミッタから発生することができる。このようなエミッタは、通常、一方の軸(低速軸)におけるビーム品質が、他方の軸(高速軸)におけるビーム品質よりも著しく劣る。特に、両軸においてコリメートされたワイドストライプエミッタのビーム品質が悪いということは、低速軸に沿ったビーム断面が高速軸に沿ったビーム断面よりも著しく大きいことを意味する。
【0012】
入射レーザビームは、複数のバーのビームを、波長多重化によって1つのビーム束に結合するダイレクトダイオードレーザからも得ることができる。その際、各バーは複数のエミッタから構成されている。また、バー上の個々のエミッタの幾何学的形状とバーの配置とが、ダイレクトダイオードレーザのビーム断面を決定する。そのビーム断面は、特に、1つの軸に沿って、他の軸に沿うより大幅に長くあり得る。
【0013】
レーザの形態に依存せずに、入射レーザビームは好ましくはp偏光して提供される。これは、入射レーザビームがその生成によって既にp偏光しているか、又は入射レーザビームが適切な手段によってp偏光状態に変換されることによって得られる。
【0014】
使用されるプリズムは、入射レーザビームに対して透明であり、幾何学的形状を有する3次元光学部品である。プリズムは、好ましくは、石英ガラス又はホウケイ酸ガラスなどのガラス製である。しかしながら、石英又はサファイアなどの様々な光学結晶から製造することもできる。プリズムの材料は、プリズムを取り囲む媒質と大きく異なる、波長依存の屈折率を有する。周囲の媒質は、例えば空気又は真空であってもよい。それによって、特に、光が周囲の媒質からプリズムに移行するときの、また、光がプリズムから周囲の媒質に移行するときの、反射と透過が決定される。特に、ブリュースター角は、プリズムの屈折率(n)と周囲の媒質の屈折率(n)によって次のように規定される:B=arctan(n/n)。更に、プリズム内部において屈折したビームの角度B’=arcsin(n・sin(B)/n)と、プリズム内部の境界面において全反射が起こる最小角度B’’>arcsin(n/n)とは、スネルの屈折法則から導くことができる。
【0015】
プリズムは、それぞれ角度をなして互いに配置された様々な平面を有する。プリズムの側面が互いに配置される角度は、式:90°-Bを用いてブリュースター角から導くことができる。従って、プリズムベースに平行なビームは、ブリュースターにて第1の入射面に入射し、同様にブリュースター角にて出射面から出射する。
【0016】
その際、入射レーザビームはプリズムの1つのエッジに向けられ、その結果、プリズムのエッジがビーム断面を第1のハーフビームと第2のハーフビームとに分割し、例えば入射レーザビームを2等分する。
【0017】
少なくとも第1のハーフビームがプリズムに入射する。両方のハーフビームがプリズムに入射する場合、第1のハーフビームは、その更なるビーム経路において薄膜偏光子を通過する。
【0018】
プリズムの第1の入射面は、第1のハーフビームがプリズムに入射する、プリズムの面である。
【0019】
入射平面は、第1の入射面の垂線が入射レーザビームと共に占める平面として規定される。
【0020】
レーザビームの偏光は、レーザビームの光の電界の方向によって与えられる。従って、光の電界が入射平面内にある場合、対応してp偏光が存在する。光の電界が入射平面に垂直な場合、s偏光が存在する。
【0021】
プリズムの第1の入射面は、第1のハーフビームがプリズムの入射面にブリュースター角にて当たり、その後、プリズムに実質的にロスなく入射するように方向合わせされている。
【0022】
ブリュースター角は、プリズム面への光の入射角度として規定され、その角度にて、s偏光された光は周囲の媒質からの移行中にプリズムによって反射されるが、p偏光された光はプリズムを透過することができる。
【0023】
ブリュースター角は、更に、常にビームのそれぞれの半分が当たる面、又はハーフビームが出てくる面の表面法線(垂線)に関係する。ブリュースター角は、プリズムから周囲の媒質への移行についても同様に規定できる。
【0024】
例えば、p偏光した光がプリズム面にブリュースター角にて入射した場合、完全にプリズムの中に屈折する。特に、この場合、周囲の媒質とプリズムとの間の光の移行は、レーザ出力の損失を伴わないことを意味し得る。
【0025】
それに反して、s偏光された光がプリズム面にブリュースター角にて入射した場合、その一部はプリズムを透過し、一部は反射する。そのため、s偏光した光は、レーザ出力が損失した場合のみプリズムに入力結合される。
【0026】
例えば、偏光されていない光がプリズム面にブリュースター角にて入射した場合、s偏光された光のみが反射されるため、反射ビームは直線s偏光される。それに反して、透過ビームはp偏光される。したがって、偏光に応じて光を分割することが可能である。
【0027】
特に、入射レーザビームは、好ましくは、すでにp偏光されており、その結果、プリズムに損失なく入射できる。
【0028】
第1のハーフビームはプリズムを通過する。その際、プリズム内において少なくとも1回の反射が起こる。特に、第1のハーフビームがプリズム内において全反射し、最終的にプリズムの第1の出射面に到達するようにプリズムを設計することができる。
【0029】
その際、出射する第1のハーフビームが入射レーザビームに対して平行オフセットするように、プリズムの第1の出射面をプリズム内に配置することができる。
【0030】
平行オフセットとは、プリズムに入射するレーザビームに対して、出射するレーザビームが、ある距離だけずれることを意味すると解される。その際、入射レーザビーム及び出射レーザビームの伝搬方向は同一である。特に、レーザビームの平行オフセットは、レーザビームの偏光及びエネルギー含有量にほとんど影響を与えない。
【0031】
出力される第1のハーフビームは、次いで、薄膜偏光子を経由してガイドされる。
【0032】
いわゆる薄膜偏光子(Thin Film Polarisator:TFP)は、光の偏光をp偏光とs偏光とに分割するために、ブリュースター角を利用する光学部品である。薄膜偏光子は、例えば、レーザビームのビーム経路中に配置される平面平行板として構成することができる。光がブリュースター角にてその平行平板上に入射する場合、光は、上記の原理によってそのp偏光成分とs偏光成分とに分割される。
【0033】
特に、薄膜偏光子には光学コーティングを施すことができる。それによって、ある厳密な角度だけではなく、ある角度範囲においてブリュースター条件を満たすことが可能となる。このようなコーティングは、プリズムの個別の表面又はすべての表面に施すこともできる。このような光学コーティングを施したプリズム面は、薄膜偏光子の特性も有することができ、そのため、このように準備されたプリズム面は、薄膜偏光子としても解することができる。
【0034】
特に、薄膜偏光子は、p偏光成分とs偏光成分とを重畳するために使用することができる。このために、p偏光された光はTFPを透過することができ、一方、s偏光された光はTFPの反対側において反射される。その際、p偏光された光が透過する際にTFPにおいて生じる平行オフセットを補正する必要がある場合があることに留意すべきである。
【0035】
出射する第1のハーフビームの光はp偏光されているため、薄膜偏光子を損失なく通過することができる。
【0036】
第2のハーフビームは、分割後に偏光回転子を通過する。
【0037】
偏光回転子は、光が偏光回転子を通過する際に、光の偏光をある角度だけ回転させることができる光学部品である。このような偏光回転子は、通常、適切な厚さと方向付けとを有する複屈折結晶を含む。しかしながら、この特性を有する他の光学材料を使用することもできる。
【0038】
また、以下において、偏光回転子に入射した光は、出射の際にその伝搬方向を保持していると想定する。光の伝搬方向が変わる場合は、ミラーとレンズの適切な組み合わせを使用して、入射光に対して出力光を平行に方向合わせすることができる。
【0039】
例えば、第2のハーフビームの偏光を45°回転させて、それによって、第2のハーフビームを部分的にp偏光、及び部分的にs偏光にすることができる。
【0040】
第2のハーフビームは、偏光回転子を通過した後、薄膜偏光子によって反射され、それによって第1のハーフビームに重畳される。
【0041】
これは、例えば、第2のハーフビームが部分的にs偏光を有し、任意の角度にて薄膜偏光子に当たり、それによって、s偏光された光とp偏光された光との両方が薄膜偏光子において部分的に反射され、薄膜偏光子を部分的に透過することを意味する。特に、第2のハーフビームは、ブリュースター角にて薄膜偏光子において反射され、それによって、s偏光された光のみが反射され、p偏光された光が透過するようにすることもできる。
【0042】
また、第2のハーフビームは、その反射ビームが、引き続いて、p偏光された第1のハーフビームの透過ビームと平行になるような角度にて、薄膜偏光子に入射する。
【0043】
特に、第1のハーフビームと第2のハーフビームとが重畳されるように、第2のハーフビームが薄膜偏光子によって反射され得る。
【0044】
このようにして、第1のハーフビームと第2のハーフビームとが重畳され、それによって、ビーム断面が減少する。
【0045】
言い換えると、入射したレーザビームを2つのハーフビームに分割し、2つのハーフビームを重畳し、それによって、ビーム断面が相応して減少する。
【0046】
第1の出射面は、プリズムに入力結合され第1の出射面に当たる第1のハーフビームに対してブリュースター角であってもよい。その際、薄膜偏光子は、プリズムから出力される第1のハーフビームがブリュースター角にて薄膜偏光子を通過するように配置されている。
【0047】
これは、プリズム及び薄膜偏光子を介しての透過が特に高いという利点を有する。
【0048】
好ましくは、偏光回転子はプリズムに取り付けられていること、及び/又は、偏光回転子はλ/2板であることが可能である。このようにして、コンパクトな構成を実現することができる。
【0049】
これは、光学部品の構成スペースを最小化できるという利点を有する。更に、それによって、出力される光ビームは入射光ビームと同一の方向を有し、その結果、追加の光学部品を節約することができる。
【0050】
偏光回転子のプリズムへの取り付けは、例えば、偏光回転子をプリズムにねじ止め又は貼着することを意味し得る。しかしながら、偏光回転子をプリズムの溝に挿入することも可能である。その際、偏光回転子は、挿入されるプリズム面よりも突出し得る。
【0051】
それは、構成スペースを節約できるというメリットを有する。更に、それは、様々な光学部品の機械的により安定した接続を可能にする。
【0052】
好ましくは、偏光回転子は、第2のハーフビームの偏光を90°回転させるように、好ましくはs偏光に回転させるように形成されている。
【0053】
これによって、第2のハーフビームがブリュースター角にて薄膜偏光子に当たった場合、第2のハーフビームが薄膜偏光子において完全に反射されることを達成し得る。
【0054】
好ましくは、プリズムは、ハーフビームの少なくとも1つがプリズム内において全反射されるように形成され得る。これは、ハーフビームの全反射によって生じる方向の変化によって、第1のハーフビームが有利な角度にてプリズムの出射面に当たることを意味し得る。
【0055】
また、これは、全反射によって引き起こされる方向の変化によって、第2のハーフビームが好ましい角度にてプリズムのプリズムベースに当たることを意味し得る。その際、プリズムベースは、第2のハーフビームが全反射される、プリズムの側面である。
【0056】
プリズムベースは入射レーザビームと平行である必要はなく、入射レーザビームに対して角度を成すことができる。これは、特に、角度を成したワイドなプリズムベースによって、プリズム内においてビーム伝搬時間が長くなることを意味し得る。これは、特に、角度を成したプリズムベースにおいては、全反射が起こる前にビームがプリズムから出射しないように、プリズムの長さを選択せねばならないことを意味すると解される。
【0057】
これは、プリズム内の第1及び第2のハーフビームの方向を、出力損失なしに変更できるという利点がある。
【0058】
好ましくは、第2のハーフビームを、偏光回転子を通過した後に薄膜偏光子上に反射する、少なくとも1つのミラーが設けられている。
【0059】
その際、薄膜偏光子によって反射された第2のハーフビームが、薄膜偏光子を透過した第1のハーフビームと重畳するように、少なくとも1つのミラーを用いて、第2のハーフビームのビーム経路を薄膜偏光子上に反射することができる。
【0060】
好ましくは、ミラーとプリズムとが、共通のベースプレートに予め取り付けられている。それによって、光学装置全体の機械的安定性が向上する。
【0061】
プリズムは、好ましくは、第2のハーフビームが第2の入射面においてプリズムに入力結合されるように配置及び形成されており、その際、第2の入射面は、入射レーザビームに対してブリュースター角にて配置されている。
【0062】
それによって、第2のハーフビームもプリズムに完全に入力結合される。更に、第1及び第2のハーフビームはプリズム内において異なる光路に方向変換され、その結果、プリズムの形状によって更なるビーム成形が実施可能になる。
【0063】
それによって、光学的な調整の労力を軽減し、2つの部分ビームの機械的安定性及び方向付けを向上させることができる。
【0064】
プリズムは、更に、第2のハーフビームが第2の出射面においてプリズムから出力されるように形成することもでき、その際、第2の出射面は、第2のハーフビームがブリュースター角にて第2の出射面に当たるように配置されている。
【0065】
第2の出射面は、その際、第2のハーフビームが出力されるプリズムの側面である。それによって、p偏光された第2のハーフビームはプリズムから完全に出力され得る。
【0066】
プリズムの第2の出射面は、この場合、角度Xにてプリズムベースに取り付けることができる。この角度Xは、入射レーザビームに対するプリズムベースの角度、並びに全反射の角度によって変化する。それによって、重畳されたビームのエネルギーは失われない。
【0067】
好ましくは、偏光回転子は、プリズムから出力された第2のハーフビームが偏光回転子を通過するように配置されている。特に、その際、偏光子は、第2の出射面の直ぐ下流側に配置することができる。それによって、薄膜偏光子における反射効率を制御することができる。
【0068】
しかしながら、第2のハーフビームは、プリズムに入射する必要はなく、プリズムを逸れてガイドすることもできる。それによって、第2のハーフビームのビーム経路及びビーム特性の最適化をより容易に行うために、第2のハーフビームのビーム経路に追加の光学部品を導入することが可能になる。
【0069】
好ましくは、薄膜偏光子は、プリズムの第1の出射面に、適切な光学コーティングによって実施され得る。
【0070】
それによって、追加の光学部品が不要となる。更に、そのため、構造の機械的安定性を向上させることができる。適切な広帯域コーティングによって、所定の角度範囲において、各角度が、第1及び第2のハーフビームにブリュースター角の効果を持たせることが可能となる。
【0071】
プリズムはダブプリズムであり得る。ダブプリズムとは、台形のベース面を有するプリズムのことであると解される。特に、第1のハーフビームがブリュースター角においてプリズムに入射し、プリズムベースにおいて全反射し、次いで、ブリュースター角にて第1の出射面に当たるように、台形の面を配置することができる。
【0072】
それによって、単純な幾何学的な形状となり、その形状は、第1のハーフビーム及び第2のハーフビームを異なるビーム経路に移動させ、別々に処理するのに十分である。
【0073】
上記課題は、請求項15の特徴を有する、レーザビームのビーム成形方法によって更に解決される。有利な更なる形態は、本明細書及び図から明らかになる。
【0074】
したがって、装置を用いたレーザビームのビーム成形方法が提案され、その際、装置は、プリズム、偏光回転子、及び薄膜偏光子を備えている。その際、入射レーザビームを、プリズムに当てることによって、第1のハーフビームと第2のハーフビームとに分割し、また、第1のハーフビームを、ブリュースター角にてプリズムの第1の入射面に当て、次いで、プリズム内に入射して、プリズムを通過させ、ブリュースター角にて第1の出射面に当て、プリズムから出射させ、その際、第1のハーフビームを、プリズムを通過した後、入射レーザビームに対して平行にオフセットさせる。更に、第1のハーフビームに、プリズムから出射した後に、薄膜偏光子を通過させ、第2のハーフビームの偏光を、偏光回転子によって回転し、その際、第2のハーフビームを、屈折及び/又は反射によって、薄膜偏光子の方向に偏向し、更に、第2のハーフビームを薄膜偏光子によって反射させ、第1のハーフビームと第2のハーフビームとを、ビーム方向における、薄膜偏光子の下流側において、一致して重畳させる。
【0075】
本発明の好ましい更なる実施形態は、以下の図の説明においてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0076】
図1A】第1の実施形態によるビーム成形装置及びこの装置を通るビーム経路の概略図である。
図1B】第1の実施形態のプリズムの概略図である。
図1C】第1の実施形態のプリズムを通る第1のハーフビームのビーム経路の概略図である。
図1D】第1の実施形態のプリズムを通る第2のハーフビームのビーム経路の概略図である。
図1E】プリズムベースの長さに依存する入射角と出射角の概略図である。
図2A】更なるビーム成形装置と、その装置を通るビーム経路の概略図である。
図2B】更なる実施形態のプリズムを通る第1のハーフビームのビーム経路の概略図である。
図2C】更なる実施形態のプリズムを通る第2のハーフビームのビーム経路の概略図である。
図2D】更なる実施形態のプリズムの形状の概略図である。
図3A】更に別のビーム成形装置と、その装置を通るビーム経路の概略図である。
図3B】プリズム角度を表すための、更に別の実施形態によるビーム経路の概略図である。
図3C】プリズム角度を表すための、更に別の実施形態によるビーム経路の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0077】
以下において、図を参照して好ましい実施例を説明する。その際、異なる図において同一、類似又は同様に作用する要素には同一の参照符号を付しており、また冗長性を避けるために、これらの要素の繰り返しの説明は部分的に省略する。
【0078】
図1A、1B、1C、1Dを含む図1は、概略的に示されたレーザビーム1のビーム成形装置100の一実施形態を示す概略図である。レーザ光源は本実施形態においては示されていないが、レーザビーム1は、その発生には依存しないと考えられる。
【0079】
レーザビーム1は、例えば、ダイレクトダイオードレーザ又はワイドストライプエミッタによって供給することができ、非回転対称のプロファイルを有する。特に、その光源の特性によって、レーザビーム1は、実質的に矩形のビーム断面10を有し、このビーム断面10は、その高さhよりも大きな幅bを有する。
【0080】
レーザビーム1のこのビーム断面10は、図1Aに概略的に示されており、この場合、ビーム断面10の幅の広がりbは、紙平面内にあり、高さの広がりhは、対応して紙平面に対して垂直である。
【0081】
図示の実施形態においては、ビーム成形装置100は、プリズム2、偏光回転子3、薄膜偏光子4、及びミラー5を含む。
【0082】
レーザビーム1は、本実施形態においては、プリズム2の境界面に関してp偏光されて供給される。このp偏光は、ビーム成形装置100に入射する前に、例えば、複屈折結晶又はλ/4板を用いたレーザビームの加工のような、適切な光学手段によって得ることができる。
【0083】
図示の実施形態においては、中心面200に関して実質的に鏡面対称であり、原理的にダブプリズムのように形成されたプリズム2が使用される。このプリズムは図1Bに詳細に示される。しかしながら、側面が通常45°の角度にて配置される従来のダブプリズムに対して、提案されたプリズム2の側面は、入射レーザビーム1及び出射光線に関して、それぞれブリュースター角に相当する角度にて配置される。図示の実施例においては、それは、55.42°の角度に相当する。プリズムの屈折率は波長に依存し、そのため、ブリュースター角も、異なる波長によって異なる。
【0084】
プリズム2は、入射面20がプリズムベース28と角度Bを形成し、出射面24がプリズムベース28と角度B’を形成するように、幾何学的に設計されている。入射面20の角度Bは、プリズムベース28に平行な入射レーザビーム1のブリュースター角に相当する。出射面24における屈折ビームの角度B’は、プリズム2から出射するレーザビームの角度B’に対応する。通常、ガラスの屈折率は1.45(空気中では1)であり、そのためBとB’とは異なる。プリズムベース28を延長することによって、プリズム内の伝播距離、それによって出射面24における出射位置を変えることができる。この場合、しかしながら、図1Eに示すように、出射角は同一のままである。
【0085】
入射レーザビーム1はp偏光であり、それは紙面内の二重矢印によって示されている。入射レーザビーム1が、プリズム2のエッジ220に当たって第1のハーフビーム12と第2のハーフビーム14とに分割されるように、入射レーザビーム1はプリズム2に関して方向合わせされている。それによって、両方のハーフビームは、それぞれ、入射レーザビーム1のビーム断面10の半分のみを含む。本実施例においては、入射レーザビーム1は正確に半分に分割される。
【0086】
第1のハーフビーム12は、ブリュースター角Bにて第1のプリズム面20に当たる。第1のハーフビーム12はp偏光であるため、それは、エネルギー損失及び反射損失なしにプリズム2に入力結合される。第1のハーフビーム12はプリズム2を通過し、プリズム2の適切に選択された幾何学形状によって、プリズムベース28において全反射される。それによって、エネルギー損失及び反射損失なしに、プリズム2内における第1のハーフビーム12の伝搬方向が変化する。
【0087】
その後、第1のハーフビーム12は、角度B’において第1の出射面24に当たる。その際、ブリュースター角Bは、周囲の媒質からプリズム2内への移行に適用されるのに対し、屈折ビームの結果としての角度B’は、逆の移行に適用されることに留意すべきである。
【0088】
出射面24には光学コーティングが施され、それによって、この出射面24は薄膜偏光子4として機能する。p偏光された第1のハーフビーム12は、薄膜偏光子4がこの偏光に対して100%透過可能であるため、妨げられることなく薄膜偏光子4を通過することができる。プリズム2から出射する第1のハーフビーム12は、その際、入射する第1のハーフビーム12に対して平行オフセットPを有する。
【0089】
本実施例においては、第2のハーフビーム14はプリズム2の傍らを通過するようにガイドされ、プリズム2に連結された偏光回転子3を通過する。偏光回転子3は、本実施例においてはλ/2板の形態において設けられ、そのλ/2板は、第2のハーフビーム14の偏光を90°回転させる。そのため、第2のハーフビーム14は、偏光回転子3を通過した後、s偏光となり、それは黒い点によって示される。
【0090】
s偏光された第2のハーフビーム14はミラー5に入射する。ミラー5の位置と角度は、第2のハーフビーム14が、プリズム2の出射面24に光学コーティングによって実施された薄膜偏光子4に、ブリュースター角Bにて当たるように、設定される。薄膜偏光子4は、この偏光に対して、ほぼ100パーセントの反射率、例えば90パーセントを超える反射率を有し、その結果、s偏光された第2のハーフビーム14は、プリズム2の出射面24に配置された薄膜偏光子4によって完全に反射される。
【0091】
更に、ミラー5の位置と角度は、薄膜偏光子4に反射された第2のハーフビーム14が透過された第1のハーフビーム12と重畳するように設定され、それによって、両ハーフビーム12、14が一致し、それによって、結果として得られるビーム16を形成する。
【0092】
結果として得られるビーム16は、入射レーザビーム1のビーム断面10に関して、実質的に半分の幅b’のみのビーム断面18を有する。
【0093】
更に、結果として得られるレーザビーム16は、第1のハーフビーム12からのp偏光部分と第2のハーフビーム14からのs偏光部分とを含む。
【0094】
図2A図2B図2C及び図2Dを含む図2は、ビーム成形装置100の更なる一実施形態を示す。
【0095】
入射したp偏光レーザビーム1は、プリズム2のエッジ220に当たり、そこにおいて第1のハーフビーム12と第2のハーフビーム14とに分割される。
【0096】
この場合、第1のハーフビーム12と第2のハーフビーム14とが、共にブリュースター角Bにて、それぞれプリズム2の第1の入射面20と第2の入射面22とに当たるように、プリズム2は幾何学的に形成されており、且つ、レーザビーム1はプリズム2に関して方向合わせされている。更に、入射レーザビーム1は、第1のハーフビーム12と第2のハーフビーム14とが実質的に同じビーム断面を有するように方向合わせされている。
【0097】
入射レーザビーム1は、プリズム2の境界面に関してp偏光しているため、第1の入射面20及び第2の入射面22を介してプリズム2に損失なく入力結合することができる。
【0098】
第1のハーフビーム12は、プリズム内において第1の出射面24の方向に屈折し、そこにおいて角度B’にて第1の出射面24に当たり、プリズム2から出射する。角度B’は、プリズム2内を走る第1のハーフビーム12に、第1の出射面24において適用される。
【0099】
これは、特に、本実施形態において、第1の入射面20と第1の出射面24とが互いに平行に配置され得ることを意味するものと解されたい。プリズム2から出射する第1のハーフビーム12は、その後、入射する第1のハーフビーム12に対して平行オフセットを有する。
【0100】
次いで、出射する第1のハーフビーム12は、薄膜偏光子4を通過し、その際、第1のハーフビーム12のp偏光によって、薄膜偏光子4の100%の透過が生じる。薄膜偏光子4の厚さによって、薄膜偏光子4から出射されるビーム16のわずかな平行オフセットが生じ得る。その平行オフセットは、プリズムの形態においてすでに考慮されていることが好ましい。
【0101】
第2のハーフビーム14はプリズム2内においてプリズムベース28の方向に屈折し、そのプリズムベース28において、プリズム2内における第2のハーフビーム14の伝搬方向が全反射によって変化する。本実施形態においては、プリズムベース28は入射レーザビーム1と平行に延びている。プリズムベース28における全反射の後に、第2のハーフビーム14は角度B’にて第2の出射面26に当たり、それによって、ブリュースター角においてプリズム2から出射する。
【0102】
次いで、出射された第2のハーフビーム14は、λ/2板3を通過し、そこにおいて第2のハーフビーム14は偏光回転され、それによって、第2のハーフビーム14は、λ/2板の後に、s偏光を示す。
【0103】
本実施例においては、プリズム2の幾何学形状は、s偏光された第2のハーフビーム14がブリュースター角Bにて薄膜偏光子に当たり、そこで100%反射されるように、選択される。
【0104】
特に、プリズム2の幾何学形状と薄膜偏光子4の配置とは、2つの部分ビーム12、14が一致し、それに応じて、結果として得られるビーム16を形成するように、選択される。
【0105】
結果として得られるビーム16は、入射レーザビーム1のビーム断面10に関して、実質的に半分の幅b’のみのビーム断面18を有する。
【0106】
更に、結果として得られるレーザビーム16は、第1のハーフビーム12からのp偏光部分と、第2のハーフビーム14からのs偏光部分とを含む。
【0107】
図3A図3B及び図3Cを含む図3は、ビーム成形装置100の更に別の一実施形態を示す。
【0108】
図2と同様に、入射したp偏光レーザビーム1は、プリズム2に当たると、第1のハーフビーム12と第2のハーフビーム14とに分解される。その際、第1のハーフビーム12のビーム経路は図2と同一である。
【0109】
しかしながら、第2のハーフビーム14のビーム経路は、図2に示したものとは異なる。第2のハーフビーム14は、プリズム2に入射した後、プリズムベース28の方向に屈折する。しかしながら、プリズム角度Pが上記の例よりも大きいため、プリズムベース28は入射レーザビーム1に対して平行ではない。
【0110】
しかしながら、プリズムベース28における反射角Tが図2の実施形態よりも小さく、それによって、全反射の条件は満たされているため、本実施例においても、第2のハーフビーム14はプリズムベース28において全反射を起こす。しかしながら、ブリュースター条件下においては第2のハーフビーム14もプリズム2から出射すべく、第2の出射面26がプリズムベース28と成すプリズム角度Xは、図2の実施形態に比べて大きい。
【0111】
第2のハーフビーム14は、ブリュースター角Bにてプリズム2を離れ、第1のミラー5に当たり、この第1のミラー5は、第2のハーフビーム14を偏光回転子3の方向に反射する。偏光回転子3において、第2のハーフビーム14の偏光方向がs偏光に変更される。偏光回転子3の後、第2のハーフビーム14は、更なるミラー5によって薄膜偏光子4の方向に反射される。第1のハーフビーム12は薄膜偏光子4を透過し、第2のハーフビーム14はs偏光に起因して薄膜偏光子によって全反射される。
【0112】
それによって、上記実施形態と同様に、2つのハーフビーム12、14は、好ましくは一致して重畳され、それによって、結果として得られるビーム16のビームプロファイル18は、入射レーザビーム1のビームプロファイル10よりも小さい。
【0113】
図3Bは、本実施形態にとって重要な様々な角度関係を示している。明快さの理由から、第2のハーフビーム14の下側のビーム境界のみが示される。
【0114】
その際、図示の出発点は入射レーザビーム1であり、これはシステム内の角度が決められる水平線を指定する。本実施形態においては、第1の入射面20と第2の入射面22は、入射レーザビーム1に対して90°-Bの角度に配置されている。
【0115】
第2のハーフビーム14は、表面法線に対してブリュースター角にて第2の入射面22に当たり、表面法線に対して角度B’の下に屈折する。プリズム2内においては、第2のハーフビーム14は水平線に対してB-B’の角度にて延び、最終的にプリズムベース28において角度Tの下に全反射する。
【0116】
角度Tは、プリズムの開き角90°-B、プリズム角度P、及び第2のハーフビーム14部の水平線に対する角度から、360°=[90°-B]+[P]+[T]+[180°-(B-B’)]の関係を用いて得られ、その結果、T=90°+2B-B’-Pとなる。
【0117】
上記の式においては、システムの関連する角度を角括弧内にまとめた。特に、Tは全反射角より小さい必要があり、それによって、第2のハーフビーム14はプリズムベース28において全反射する。しかしながら、全反射角よりも平坦な入射角も全反射に導き、それによって、プリズム2と周囲の媒質との屈折率から生じる全反射角は、上限として見なすことができることに留意すべきである。
【0118】
図3Cは、プリズム2の更なる角度関係を示しており、明快さの理由から、第2のハーフビーム14の上側のビーム境界のみが示されている。第2のハーフビーム14は、角度B’にて第2の出射面26に当たる必要があるため、プリズム角度Xは次の関係から生じる:180°=[T]+[X]+[90°-B’]。反射角Tは上記のようにプリズム角度Pに依存するため、プリズム角度Xについては全体として次の関係が成り立つ:X=P-2B。
【0119】
上記の角度関係が維持される場合、第2のハーフビーム14はブリュースター角Bにて第2のプリズム面22に当たり、またブリュースター角Bにて第2の出射面26から出射する。更に、プリズム2の幾何学的な外形寸法も角度関係から生じる。
【0120】
第1のハーフビーム12も図3Cに示されている。しかしながら、明快さの理由からその下側のビーム境界のみが示されている。第1のハーフビーム12は、第2のプリズム面22と90°-2B+B’の角度をなす。第1のハーフビーム12は、角度B’の下に第1の出射面24に当たる必要があるため、プリズム角度Yは180°=[90°-2B+B’]+[Y]+[B-B’]の関係から生じ、したがってY=90°+Bとなる。
【0121】
偏向ミラーを追加することによって、薄膜偏光子の角度は、好ましくはプリズムの形態に依存しない。特に、薄膜偏光子は、s偏光を有する反射ビームがp偏光を有するビームに重畳するように配置することができる。
【0122】
薄膜偏光子の偏光特性は、特に、異なる入射角に対して最適化することができる薄膜スタックによって決定される。そのため、薄膜偏光子の形態に依存して、p偏光ビームはブリュースター角以外の角度において薄膜偏光子に入射することも可能である。
【0123】
角度の関係は、図2に示された形状形態に直に適用することもできる。
【0124】
適用可能な限りにおいて、本発明の範囲から逸脱することなく、実施例に示した個々の特徴を、全て組み合わせること、及び/又は取り替えることができる。
【符号の説明】
【0125】
1 入射レーザビーム
10 入射レーザビームのビーム断面
12 第1のハーフビーム
14 第2のハーフビーム
16 結果として得られるビーム
18 結果として得られるビームのビーム断面
2 プリズム
20 第1の入射面
22 第2の入射面
24 第1の出射面
26 第2の出射面
28 プリズムベース
3 偏光回転子
4 薄膜偏光子
5 ミラー
X、P、Y プリズム角度
T 反射角
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
【手続補正書】
【提出日】2024-01-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザビーム(1)のビーム成形装置(100)であって、
プリズム(2)、偏光回転子(3)、及び薄膜偏光子(4)を備え、
前記プリズム(2)は、入射レーザビーム(1)を第1のハーフビーム(12)と第2のハーフビーム(14)とに分割するように配置されており、少なくとも前記第1のハーフビーム(12)は前記プリズム(2)に入力結合され、
前記第1のハーフビーム(12)は、第1の入射面(20)において前記プリズム(2)内に入射し、前記プリズム(2)は、前記第1の入射面(20)が前記入射レーザビーム(1)に対してブリュースター角(B)にて配置されるように、形成されており、
前記プリズム(2)は、前記プリズム(2)に入力結合された前記第1のハーフビーム(12)が前記プリズム(2)の出射面(24)において前記プリズム(2)から出力されるように、形成されており、前記第1のハーフビーム(12)は、ブリュースター角にて前記プリズム(2)から出力され、前記薄膜偏光子(4)は、前記プリズム(2)から出力される前記第1のハーフビーム(12)によって通過されるように配置されており、
前記偏光回転子(3)は、前記第2のハーフビーム(14)によって通過され、且つ、前記第2のハーフビーム(14)の偏光が回転するように配置されており、
前記第2のハーフビーム(14)は、前記薄膜偏光子(4)によって反射されるようにガイドされ、前記薄膜偏光子(4)は、前記第1のハーフビーム(12)と前記第2のハーフビーム(14)とを重畳する、装置(100)。
【請求項2】
第1の出射面(24)は、前記プリズム(2)に入力結合され前記第1の出射面(24)に入射する前記第1のハーフビーム(12)に対してブリュースター角(B’)にあり、
前記薄膜偏光子(4)は、前記プリズム(2)から出力される前記第1のハーフビーム(12)がブリュースター角(B)にて前記薄膜偏光子(4)を通過するように配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の装置(100)。
【請求項3】
前記入射レーザビーム(1)は、p偏光されて供給されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置(100)。
【請求項4】
前記偏光回転子(3)は前記プリズム(2)に取り付けられていること、及び/又は、前記偏光回転子(3)はλ/2板であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置(100)。
【請求項5】
前記偏光回転子(3)は、前記第2のハーフビーム(14)の偏光を90°回転させるように、好ましくはs偏光に回転させるように形成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置(100)。
【請求項6】
前記プリズム(2)は、前記ハーフビーム(14)の少なくとも1つが前記プリズム(2)内において全反射されるように形成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置(100)。
【請求項7】
前記第2のハーフビーム(14)を、前記偏光回転子(3)を通過した後に前記薄膜偏光子(4)上に反射する、少なくとも1つのミラー(5)が設けられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置(100)。
【請求項8】
前記少なくとも1つのミラー(5)と前記プリズム(2)とが共通のベースプレートに予め取り付けられていることを特徴とする、請求項7に記載の装置(100)。
【請求項9】
前記プリズム(2)は、前記第2のハーフビーム(14)が第2の入射面(22)において前記プリズム(2)に入力結合されるように配置及び形成されており、
前記第2の入射面(22)は、前記入射レーザビーム(1)に対してブリュースター角(B)にて配置されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置(100)。
【請求項10】
前記プリズム(2)は、前記第2のハーフビーム(14)が第2の出射面(26)において前記プリズム(2)から出力されるように形成されており、
前記第2の出射面(26)は、前記第2のハーフビーム(14)がブリュースター角にて前記第2の出射面(26)に当たるように配置されていることを特徴とする、請求項9に記載の装置(100)。
【請求項11】
前記偏光回転子(3)は、前記プリズム(2)から出力される前記第2のハーフビーム(14)が前記偏光回転子(3)を通過するように配置されていることを特徴とする、請求項10に記載の装置(100)。
【請求項12】
前記第2のハーフビーム(14)は、前記プリズム(2)に入射しないことを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置(100)。
【請求項13】
薄膜偏光子(4)は、前記プリズム(2)の第1の出射面(24)において、適切な光学コーティングによって実施されていることを特徴とする、請求項12に記載の装置(100)。
【請求項14】
前記プリズム(2)はダブプリズムであることを特徴とする、請求項12に記載の装置(100)。
【請求項15】
装置(100)を用いてレーザビーム(1)を成形する方法であって、前記装置(100)は、プリズム(2)、偏光回転子(3)、及び薄膜偏光子(4)を備えている、方法において、
入射レーザビーム(10)を、前記プリズム(2)に当てることによって、第1のハーフビーム(12)と第2のハーフビーム(14)とに分割し、
前記第1のハーフビーム(12)を、ブリュースター角にて前記プリズム(2)の第1の入射面(20)に当て、前記プリズム(2)内に入射して、前記プリズム(2)を通過させて、前記ブリュースター角にて前記プリズム(2)から出射させ、前記第1のハーフビーム(12)を、前記プリズム(2)を通過した後、前記入射レーザビーム(10)に対して平行にオフセットさせ、
前記第1のハーフビーム(12)に、前記プリズム(2)から出射した後、前記薄膜偏光子(4)を通過させ、
前記第2のハーフビーム(14)の偏光を、前記偏光回転子(3)によって回転し、
前記第2のハーフビーム(14)を、屈折及び/又は反射によって、前記薄膜偏光子(4)の方向に偏向し、
前記第2のハーフビーム(14)を、前記薄膜偏光子(4)によって反射し、
前記第1のハーフビーム(12)と前記第2のハーフビーム(14)とを、ビーム方向における、前記薄膜偏光子(4)の下流側において、一致して重畳させる、ことを特徴とする方法。
【国際調査報告】