(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】シリコーン発泡体組成物
(51)【国際特許分類】
C08J 9/04 20060101AFI20240719BHJP
C08G 59/20 20060101ALI20240719BHJP
C08G 59/68 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
C08J9/04 101
C08J9/04 CFH
C08G59/20
C08G59/68
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024502136
(86)(22)【出願日】2022-07-18
(85)【翻訳文提出日】2024-01-15
(86)【国際出願番号】 US2022037411
(87)【国際公開番号】W WO2023003787
(87)【国際公開日】2023-01-26
(32)【優先日】2021-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】ライ、スーチー
(72)【発明者】
【氏名】ヘニング、ジョディ ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ、ヤンフー
(72)【発明者】
【氏名】パタンカール、クシティシュ エイ.
(72)【発明者】
【氏名】ゾンネンシャイン、マーク エフ.
【テーマコード(参考)】
4F074
4J036
【Fターム(参考)】
4F074AA92E
4F074AD13
4F074AG20
4F074AH01
4F074BA53
4F074BB10
4F074BB23
4F074BC05
4F074CA21
4F074CB51
4F074CC06Y
4F074CC22Y
4F074DA02
4F074DA24
4F074DA32
4J036AK17
4J036FA09
4J036FA10
4J036FA12
4J036FB12
4J036FB16
4J036GA06
4J036GA19
4J036JA07
(57)【要約】
発泡シリコーンエラストマーを形成するためのシリコーン発泡体組成物が、それから形成されるそれぞれの発泡シリコーンエラストマーと一緒に、かつそのような組成物及び発泡シリコーンエラストマーを作製する方法に対して本明細書に記載される。(a)1分子当たり平均少なくとも2つのエポキシド基を有する1つ以上のオルガノポリシロキサンポリマーと、(b)ルイス酸触媒と、(c)1種以上の界面活性剤と、任意選択的に(d)物理発泡剤と、を含む、シリコーンゴム発泡体組成物。発泡シリコーンエラストマーは、成分(a)、(b)、及び(c)を機械的に発泡させること、又は物理発泡剤(d)を導入し、物理発泡によって発泡を引き起こすことのいずれかによって調製される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーンゴム発泡体組成物であって、
(a)1分子当たり平均少なくとも2つのエポキシド基を有する1つ以上のオルガノポリシロキサンポリマーと、
(b)ルイス酸触媒と、
(c)1種以上の界面活性剤と、任意選択的に
(d)物理発泡剤と、を含む、シリコーンゴム発泡体組成物。
【請求項2】
成分(a)の各エポキシド基が、アルファ-エポキシド基又は脂環式エポキシド基であり、各々の場合において、オルガノポリシロキサンポリマーのケイ素にアルキレン鎖又は任意選択のエーテル連結を含む置換アルキレン鎖によって連結している、請求項1に記載のシリコーンゴム発泡体組成物。
【請求項3】
成分(a)前記1分子当たり平均少なくとも2つのエポキシド基を有する1つ以上のオルガノポリシロキサンポリマーが、以下のうちの少なくとも1つから選択されてよく、
MD
aD
CEP
bM
MD
aD
EP
bM
M
CEPD
cM
CEP
M
EPD
cM
EP
D
EP
bD
cT
2
D
CEP
bD
cT
2
式中、M単位が、≡SiO
1/2であり、シロキシ基に連結した別の原子と共有される酸素原子に加えて、ケイ素原子に結合した3つの基が存在し、D型シロキシ基が、s=SiO
2/2であり、前記シロキシ基に連結した他の原子と共有される2つの酸素原子に加えて、前記ケイ素原子に結合した2つの基が存在し、T型シロキシ基が、-SiO
3/2であり、1つの基が3つの酸素原子に加えて前記ケイ素原子に結合しており、
接尾辞CEPが、前記それぞれのM又はD単位がそれに連結した脂環式エポキシドを有することを示し、
接尾辞EPが、前記それぞれのM又はD単位がそれに連結したアルファ-エポキシドを有することを示し、
下付き文字aが、10~約300の値を有し、
下付き文字bが、1~30の値を有し、
下付き文字cが、5~500の値を有する、請求項1又は2に記載のシリコーンゴム発泡体組成物。
【請求項4】
成分(b)前記ルイス酸触媒が、1つ以上のアリールボラン若しくはハロゲン化ホウ素、又はそれらの混合物を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のシリコーンゴム発泡体組成物。
【請求項5】
成分(b)前記ルイス酸触媒が、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラン、ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(4-(トリフルオロメチル)フェニル)ボラン、ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,4,6-トリフルオロフェニル)ボラン、又はそれらの混合物から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載のシリコーンゴム発泡体組成物。
【請求項6】
成分(c)が、シリコーンフッ素化界面活性剤又は有機フッ素化界面活性剤である、請求項1~5のいずれか一項に記載のシリコーンゴム発泡体組成物。
【請求項7】
成分(d)前記物理発泡剤が、アルカン、塩素化炭化水素、ヒドロフルオロカーボン(HFC)、クロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、エーテル、ケトン、及びエステルである、請求項1~6のいずれか一項に記載のシリコーンゴム発泡体組成物。
【請求項8】
1分子当たり2つ以上の水素結合ケイ素(Si-H)基を含む1つ以上の化合物、1つ以上の硬化阻害剤、又はそれらの混合物を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のシリコーンゴム発泡体組成物。
【請求項9】
前記硬化阻害剤が、1つ以上のアリールアミン及び/又はアルキルアミンである、請求項8に記載のシリコーンゴム発泡体組成物。
【請求項10】
トリアリールアミンアニリン、4-メチルアニリン、4-フルオロアニリン、2-クロロ-4-フルオロアニリン、ジフェニルアミン、ジフェニルメチルアミン、トリフェニルアミン、1-ナフチルアミン、2-ナフチルアミン、1-アミノアントラセン、2-アミノアントラセン、9-アミノアントラセン、β-アミノスチレン、1,3,5-ヘキサトリエン-1-アミン、N,N-ジメチル-1,3,5-ヘキサトリエン-1-アミン、3-アミノ-2-プロペナール、4-アミノ-3-ブテン-2-オン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプタルアミン、トリオクチルアミン及びトリノニルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、トリメチルアミン、トリヘプタルアミン、並びに/又はそれらの混合物から選択される1つ以上の硬化阻害剤を含む、請求項8又は9に記載のシリコーンゴム発泡体組成物。
【請求項11】
発泡体安定剤、接着促進剤、染料及び顔料を含む着色剤、抗酸化剤、熱安定剤、難燃剤、フロー制御添加物、並びに/又は強化及び/若しくは非強化充填剤から選択される1つ以上の追加の添加物を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のシリコーンゴム発泡体組成物。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物の発泡及び硬化生成物である、シリコーンゴム発泡体。
【請求項13】
i)1g/cm
3未満の密度を有する、請求項12に記載のシリコーンゴム発泡体。
【請求項14】
シリコーンゴム発泡体を作製する方法であって、-
(a)1分子当たり平均少なくとも2つのエポキシド基を有する1つ以上のオルガノポリシロキサンポリマーと、
(b)ルイス酸触媒と、
(c)1種以上の界面活性剤と、を含むシリコーンゴム発泡体組成物を混合することと、
上記組成物を機械的に発泡させること、又は
(d)物理発泡剤を導入し、前記物理発泡剤(d)によって発泡を引き起こすことのいずれか
(各々の場合の間に前記組成物は硬化する)と、を含む、方法。
【請求項15】
空間充填用途、自動車用途のための、物品を少なくとも部分的に被覆若しくは封入するための、断熱のための、かつ/又は防火ブロックとしての、請求項12又は13に記載のシリコーンゴム発泡体の、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発泡シリコーンエラストマーを形成するためのシリコーン発泡体組成物、それから形成されるそれぞれの発泡シリコーンエラストマー、並びにそのような組成物及び発泡シリコーンエラストマーを作製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発泡シリコーンエラストマーは、様々な有益な物理的特性、特に熱安定性、低燃性、及び電気抵抗のために、ジョイントシーラント、絶縁体、及び機械的衝撃吸収材などの広範囲の用途に使用されている。
【0003】
室温加硫(room temperature vulcanization、RTV)シリコーン発泡体は、混合後、硬化プロセス中に得られた混合物を発泡させる同時ガス発生を伴って硬化するように設計された二部組成物としてほとんど排他的に提供される。通常、生成されるガスは水素であり、ケイ素結合水素(silicon bonded hydrogen、Si-H)基を有する化合物とヒドロキシル官能性成分との間の触媒脱水素縮合反応の生成物である。当初、生じた反応は、スズ触媒で触媒された、平均2つ以上の-OH基を有するシリコーンポリマーと、平均2つ以上のケイ素結合水素(Si-H)基を有するシリコーンポリマーとの間であった。これによって、Si-O-Si結合の形成がもたらされ、水素ガス(すなわち、化学発泡化剤)が放出されて発泡が生じた。しかしながら、好ましい触媒のいくつかは望ましくない毒性効果を有すると考えられていたため、このプロセスは一般的ではなくなった。
【0004】
したがって、ますます現在のRTVシリコーン発泡体組成物の大部分は、今や、組成物のヒドロシリル化硬化プロセス及び/又はSi-H基を含有する化合物と-OH基を含有する化合物との間の脱水素縮合反応プロセスの両方を触媒する高価な白金族金属ベースの触媒、主に白金ベースの触媒を利用して調製され、結果として組成物を発泡させる手段として使用される水素ガスを再び発生させる。
【0005】
この白金族硬化プロセスは良好に機能するが、欠点が残る。白金族触媒は高価であり、そのような触媒によって硬化された材料は、経時的に変色及びコロイド状白金粒子の形成を被る可能性がある。そのような触媒は、窒素及び硫黄含有複素環などの不純物の存在下で被毒され得るので、更なる問題を有し得る。
【0006】
更に、発泡プロセスにおける可燃性水素ガスへの継続的な依存は、例えば、スパーク及び/又は高熱が存在する環境における爆発下限(lower explosion limit、LEL)と爆発上限(upper explosion limit、UEL)との間の濃度での水素ガスの存在が潜在的に危険であるため、ユーザにとって潜在的な安全上の懸念を引き起こす。
【0007】
シリコーン発泡体を発生させるための代替経路を特定する努力がなされてきた。例えば、John.B Grandeらは、Polymer53(2012)p.3135-3142において、Si-H末端ポリジメチルシロキサンを、オルガノボラン触媒であるトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(B(C6F5)3)を使用して触媒されるテトラエチルオルトシリケートなどのアルコキシシラン架橋剤と反応させることによるPierse-Rubinsztajn反応によるシリコーン発泡体の発生を報告した。アルカンガスを発生させ、水素の代わりに発泡剤として利用した。より最近では、国際公開第2020/028299号は、水素を発生させる化学発泡剤の代替としての物理発泡剤の使用に実質的に依存するプロセスを記載している。しかしながら、国際公開第2020/028299号は、組成物を硬化させるための高価で潜在的に問題のある白金触媒に依然として依存している。
【0008】
前述のことを考慮して、発泡シリコーンエラストマーを形成するための改良された組成物を提供する機会が残されている。改良された発泡シリコーンエラストマー、及びそのような組成物及び発泡体を形成する改良方法を提供する機会も残されている。
【発明の概要】
【0009】
(a)1分子当たり平均少なくとも2つのエポキシド基を有する1つ以上のオルガノポリシロキサンポリマーと、
(b)ルイス酸触媒と、
(c)1種以上の界面活性剤と、任意選択的に
(d)物理発泡剤と、を含む、シリコーンゴム発泡体組成物が提供される。
【0010】
また、
(a)1分子当たり平均少なくとも2つのエポキシド基を有する1つ以上のオルガノポリシロキサンポリマーと、
(b)ルイス酸触媒と、
(c)1種以上の界面活性剤と、を含む、シリコーンゴム発泡体組成物を混合することと、
上記組成物を機械的に発泡させること、又は
(d)物理発泡剤を導入し、当該物理発泡剤(d)によって発泡を引き起こすことのいずれか
(各々の場合の間に組成物は硬化する)と、を含む、シリコーンゴム発泡体を作製する方法も提供される。
【0011】
また、上記組成物の発泡及び硬化生成物であるシリコーンゴム発泡体も提供される。
【0012】
上記の組成物に界面活性剤を添加すると、はるかに良好なセル構造を有するそのような組成物を使用して調製された発泡体が得られることが見出された。更に、上記で考察されるように、本発明の組成物は、高価な白金ベース触媒の使用及びヒドロシリル化硬化プロセスに依存せず、そのような触媒の使用に伴う必然的な高コストを回避するだけでなく、経時的なコロイド状白金粒子の変色及び形成も回避する。更に、使用される触媒は、白金触媒とは異なり、窒素及び硫黄含有複素環などの不純物の存在下で被毒されないようである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書で使用される組成物は、以下の成分を含有する:
成分(a):1分子当たり平均少なくとも2つのエポキシド基を有する1つ以上のオルガノポリシロキサン
オルガノポリシロキサンは、複数のシロキサン連結を含有し、ポリシロキサンを構成するシロキシ(SiO)基を特徴とし得る。シロキシ基は、M型、D型、T型、又はQ型である。M型シロキシ基は、≡SiO1/2として記載されてもよく、シロキシ基に連結した別の原子と共有される酸素原子に加えて、ケイ素原子に結合した3つの基が存在する。D型シロキシ基は、=SiO2/2として記載されてもよく、シロキシ基に連結した他の原子と共有される2つの酸素原子に加えて、ケイ素原子に結合した2つの基が存在する。T型シロキシ基は、-SiO3/2として記載されてもよく、1つの基が、シロキシ基に連結した他の原子と共有される3つの酸素原子に加えて、ケイ素原子に結合する。Q型シロキシ基は、SiO4/2として記載されてもよく、ケイ素原子が、シロキシ基に連結した他の原子と共有される4つの酸素原子に結合する。1分子当たり平均少なくとも2つのエポキシド基を有するオルガノポリシロキサンポリマー(a)に結合した、当該エポキシド基以外の基は、エポキシド基を除く脂肪族ヒドロカルビル基、芳香族ヒドロカルビル基、又はオルガニル基(つまり、官能基の種類にかかわらず、炭素原子に1つの自由原子価を有する任意の有機置換基)から独立して選択され得る。飽和脂肪族ヒドロカルビルは、メチル、エチル、プロピル、ペンチル、オクチル、ウンデシル、及びオクタデシルなどの典型的には1~20個の炭素原子を含有するアルキル基一価飽和炭化水素基、並びにシクロヘキシルなどのシクロアルキル基によって例示されるが、それらに限定されない。不飽和脂肪族ヒドロカルビルは、ビニル、アリル、ブテニル、ペンテニル、イソプロペニル、5-ヘキセニル、シクロヘキセニル、及びヘキセニルなどの2~10個の炭素原子を有するアルケニル基、並びにアルキニル基によって例示される。芳香族炭化水素基としては、フェニル、トリル、キシリル、ベンジル、スチリル、及び2-フェニルエチルが例示されるが、それらに限定されない。オルガニル基としては、クロロメチル、及び3-クロロプロピルなどのハロゲン化アルキル基、アミノ基、アミド基、イミノ基、イミド基などの窒素含有基、ポリオキシアルキレン基、カルボニル基、アルコキシ基、及びヒドロキシル基などの酸素含有基が例示されるが、それらに限定されない。
【0014】
オルガノポリシロキサンポリマー(a)の分子構造は、典型的には、直鎖状であるが、分子内の(前述の)T基の存在のために、いくつかの分枝が存在し得る。
【0015】
成分(a)は、特に明記されていない限り、粘度範囲に適切なスピンドルを使用し、ASTM D1084-16方法Bのカップ/スピンドル法に依存して25℃で40mPa.s~500,000mPa.s、あるいは25℃で200mPa.s~150,000mPa.s、あるいは25℃で200mPa.s~125,000mPa.s、あるいは25℃で200mPa.s~100,000mPa.s、あるいは25℃で測定された200mPa.s~80,000mPa.sの任意の好適な粘度を有し得る。
【0016】
1分子当たり平均少なくとも2つのエポキシド基を有する1つ以上のオルガノポリシロキサンポリマー(a)は、例えば、アルケニル基及び/又はアルキニル基を含有するポリジメチルシロキサン、アルキルメチルポリシロキサン、アルキルアリールポリシロキサン、又はそれらのコポリマーから選択されてもよく、任意の好適な末端基を有してもよく、例えば、それらは、トリアルキル末端、アルケニルジアルキル末端であり得るか、又は任意の他の好適な末端基の組み合わせで終結し得るが、ただし、各オルガノポリシロキサンポリマー(a)が1分子当たり平均少なくとも2つのエポキシド基を含有することを条件とする。
【0017】
1分子当たり平均少なくとも2つのエポキシド基を有する1つ以上のオルガノポリシロキサン(a)は、1つ以上のエポキシド基を含み得るが、ただし、1分子当たり平均少なくとも2つのエポキシド基が存在することを条件とする。
【0018】
エポキシド基は、何らかの方法で既に結合している2つの炭素原子に結合した酸素原子からなる3員環を有する環状エーテルである。3員環構造(オキシラン環)であるアルファ-エポキシド基、又はオキシラン環が含有される分子中に1つ以上の脂肪族環を含む脂環式エポキシドなどの任意の好適なエポキシド基が利用され得る。
【0019】
存在する場合、アルファ-エポキシド基は、アルキレン鎖又は任意選択のエーテル連結を含む置換アルキレン鎖によって、オルガノポリシロキサンのケイ素原子に連結している。以後、これを本明細書では「アルファ-エポキシド鎖」と呼ぶ。
【0020】
あるいは、エポキシド基は、オキシラン環が含有される分子中に1つ以上の脂肪族環を含む脂環式エポキシドであり得る。存在する場合、脂環式エポキシド基は、アルキレン鎖又は任意選択のエーテル連結を含む置換アルキレン鎖によって、オルガノポリシロキサンのケイ素原子に連結している。以後、これを本明細書では「脂環式エポキシド鎖」と呼ぶ。
【0021】
したがって、上記のD表記を使用して、本開示の目的のために、「DEP」単位は、ケイ素に結合したアルファ-エポキシド鎖を有するD単位であり、アルファ-エポキシド鎖は、好ましくは、末端アルファ-エポキシド基を有する。アルキレン鎖を有するDEP単位の例が以下に示され、
【0022】
【化1】
エーテル連結を含む置換アルキレン鎖を有するD
EP単位の例が以下に示され、
【0023】
【化2】
結果として、M
EPは、2つのメチル基及び上記から選択される類似のアルファ-エポキシド鎖を含有するM基であることになる。
【0024】
同様に、DCEPは、脂環式エポキシド鎖がケイ素に結合しているDシロキシ単位であり、脂環式エポキシド鎖は、好ましくは、末端脂環式エポキシド基を有する。例えば、DHEPは、Dシロキシ単位であるDCEPであり、メチル基のうちの1つは、エチル-シクロヘキセンオキシドで置き換えられる。
【0025】
【0026】
この場合、脂環式エポキシド鎖は、シクロヘキセンオキシド基を含む。結果として、MHEP基は、次のようになる。
【0027】
【0028】
1分子当たり平均少なくとも2つのエポキシド基を有するオルガノポリシロキサン(a)は、1つ以上のアルファ-エポキシド鎖及び1つ以上の脂環式エポキシド鎖の両方を含んでもよいが、好ましくは、アルファ-エポキシド鎖又は脂環式エポキシド鎖のいずれかを含む。本明細書に記載されるようなアルファ-エポキシド鎖及び脂環式エポキシド鎖の両方において、アルキレン鎖又はエーテル連結を含む置換アルキレン鎖は、最大15個の炭素、あるいは11個の炭素、あるいは最大10個の炭素、あるいは最大6個の炭素原子を含み、あるいはエチレン、プロピレン、ブチレン、若しくはヘキシレン、又はプロピレン、ブチレン、若しくはヘキシレンの場合にエーテル連結を含む同等の置換アルキレン鎖である。
【0029】
M、D、T、及びQの表記を続けて使用すると、1分子当たり平均少なくとも2つのエポキシド基を有する1つ以上のオルガノポリシロキサンは、以下のうちの少なくとも1つを含むことができ、-
MDaDCEP
bM又はMDaDEP
bM
式中、下付き文字aは、典型的には、10~約300、あるいは20~約250、あるいは30~250、あるいは40~200の値である。下付き文字bは、1分子当たりのDCEPシロキシ単位の平均数であり、典型的には、1~100であるが、ただし、1分子当たり平均2つ以上のエポキシド基が存在することを条件とし、あるいは2~90、あるいは2~80、あるいは2~75、あるいは4~75、あるいは5~70の値であり、
MCEPDcMCEP又はMEPDcMEP
式中、下付き文字cは、1分子当たりのDシロキシ単位の平均数であり、典型的には、5~500、あるいは5~400、あるいは10~400、あるいは10~300、あるいは20~300の値を有し、かつ/又は
DEP
bDcT2又はDCEP
bDcT2
式中、下付き文字b及びcは、1分子当たりの対応するシロキシ単位の平均モル数に対応し、上で定義された通りである。
【0030】
典型的には、1分子当たり平均少なくとも2つのエポキシド基を有する1つ以上のオルガノポリシロキサンの濃度は、組成物の20~97重量%(重量%)、あるいは組成物の50~90重量%、あるいは組成物の70~90重量%である。
【0031】
1分子当たり平均少なくとも2つのエポキシド基を有する1つ以上のオルガノポリシロキサンは、市販されて入手することができるか、又は入手可能な場合、2つ以上のSi-H基を有するオルガノポリシロキサンを、エポキシド基と、アルキニル基若しくはアルケニル基、あるいはアルケニル基、あるいは2~6個の炭素を有するアルケニル基、あるいはビニルから選択される不飽和基とを含む好適な有機化合物と反応させることによって調製され得る。上記2つの出発材料は、ヒドロシリル化触媒及び必要に応じて好適な溶媒の存在下で一緒に混合され、好適な期間又は完了まで加熱還流され得る。
【0032】
成分(b):ルイス酸触媒
ルイス酸触媒(b)は、望ましくは、アルミニウムアルキル、アルミニウムアリール、アリールボラン、トリアリールボランを含むアリールボラン(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランなどの置換アリール及びトリアリールボランを含む)、ハロゲン化ホウ素、ハロゲン化アルミニウム、ガリウムアルキル、ガリウムアリール、ハロゲン化ガリウム、シリリウムカチオン、及びホスホニウムカチオンからなる群から選択される。好適なアルミニウムアルキルの例としては、トリメチルアルミニウム及びトリエチルアルミニウムが挙げられる。好適なアルミニウムアリールの例としては、トリフェニルアルミニウム及びトリス(ペンタフルオロフェニル)アルミニウムが挙げられる。トリアリールボランの例としては、以下の式を有するものが挙げられ、
【0033】
【化5】
式中、上記構造(1)中の各Rは、独立して、各々の出現においてH、F、Cl、及びCF
3から選択され、市販の例は、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(B(C
6F
5)
3)である。好適なハロゲン化ホウ素の例としては、(CH
3CH
2)
2BCl及び三フッ化ホウ素が挙げられる。好適なハロゲン化アルミニウムの例としては、三塩化アルミニウムが挙げられる。好適なガリウムアルキルの例としては、トリメチルガリウムが挙げられる。好適なガリウムアリールの例としては、テトラフェニルガリウムが挙げられる。好適なハロゲン化ガリウムの例としては、トリクロロガリウムが挙げられる。好適なシリリウムカチオンの例としては、(CH
3CH
2)
3Si
+X
-及びPh
3Si
+X
-が挙げられる。好適なホスホニウムカチオンの例としては、F-P(C
6F
5)
3
+X
-が挙げられる。好ましくは、ルイス酸触媒(b)は、アリールボラン、トリアリールボランを含むアリールボラン(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランなどの置換アリール及びトリアリールボランを含む)、及び/又はハロゲン化ホウ素から選択される。特に、ルイス酸触媒(b)は、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(B(C
6F
5)
3)、トリス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラン、ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(4-(トリフルオロメチル)フェニル)ボラン、ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,4,6-トリフルオロフェニル)ボラン、又はそれらの混合物から選択される。
【0034】
ルイス酸触媒(b)は、典型的には、組成物中の他の成分(ingredient)/成分(component)の重量に対して、10重量百万分率(ppm)以上、50ppm以上、150ppm以上、200ppm以上、250ppm以上、300ppm以上、350ppm以上、400ppm以上、450ppm以上、500ppm以上、550ppm以上、600ppm以上、700ppm以上、750ppm以上、1000ppm以上、1500ppm以上、2000ppm以上、4000ppm以上、5000ppm以上、更に7500ppm以上、同時に典型的には、10,000以下、7500ppm以下、5000ppm以下、1500pm以下、1000ppm以下、又は750ppm以下である濃度で組成物中に存在する。
【0035】
必要量の触媒は、トルエン及び/又はテトラヒドロフラン(tetrahydrofuran、THF)などの好適な有機溶媒に溶解させることによって調製することができ、次いで、当該溶液中の組成物に送達される。選択された溶媒は、硬化プロセス中又はその後に組成物から蒸発する。
【0036】
成分(c):1種以上の界面活性剤
任意の好適な界面活性剤(c)は、本明細書の組成物に利用され得る。
【0037】
1種以上の界面活性剤(c)は、1つ以上のアニオン性、非イオン性、両性、及び/又はカチオン性界面活性剤、並びにそれらの混合物を含み得る。
【0038】
好適な界面活性剤(「発泡化助剤」)と呼ばれることもある)としては、シリコーンポリエーテル、エチレンオキシドポリマー、プロピレンオキシドポリマー、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのコポリマー、及びそれらの組み合わせが挙げられる。所望であれば、組成物は、過フッ素化ポリエーテルなどの有機又はケイ素含有であり得るフッ素化界面活性剤、すなわち、次式:
【0039】
【化6】
の繰り返し単位、及びかかる単位の混合物を有するものであり得る。
【0040】
あるいは、フッ素化界面活性剤は、ケイ素含有フッ素化界面活性剤、例えば、それに対して結合したフッ素を有する有機ラジカルを含有するオルガノポリシロキサン、例えば、次式:
【0041】
【化7】
の繰り返し単位を有するシロキサンなどであり得る。
【0042】
本明細書の組成物へのフッ素化界面活性剤の添加は、硬化発泡体密度を減少させるために利用され得る。概して、組成物中のフッ素化界面活性剤の量を増加させると、発泡体の密度が減少する。これは、ネットワークが形成されて硬化する間に、界面活性剤が気泡を安定させる低速硬化システムに特に当てはまる。
【0043】
アニオン性界面活性剤としては、アルカリ金属アルキルサルフェート、例えば、ナトリウムラウリルサルフェート、脂肪アルコールエーテルサルフェート(fatty alcohol ether sulfate、FAES)、アルキルフェノールエーテルサルフェート(alkyl phenol ether sulfate、APES)、カルボン酸、リン酸、及びスルホン酸、並びにそれらの塩誘導体、アルキルカルボキシレート、アシルラクチレート;アルキルエーテルカルボキシレート;n-アシルサルコシネート;n-アシルグルタメート;脂肪酸-ポリペプチド縮合物;アルカリ金属スルホリシネート;脂肪酸のスルホン化グリセロールエステル、例えばヤシ油酸のスルホン化モノグリセリド;一価スルホン化アルコールエステルの塩、例えばナトリウムオレイルイセチオネート;アミノスルホン酸のアミド、例えばオレイルメチルタウリドのナトリウム塩;脂肪酸ニトリルのスルホン化生成物、例えばパルミトニトリルスルホネート;スルホン化芳香族炭化水素、例えばナトリウムアルファ-ナフタレンモノスルホネート;ナフタレンスルホン酸のホルムアルデヒドとの縮合生成物;オクタヒドロアントラセンスルホン酸ナトリウム;8個以上の炭素原子のアルキル基を有するエーテルサルフェート;8個以上の炭素原子の1つ以上のアルキル基を有するアルキルアリールスルホネート。ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート、ジオクチルスルホスクシネート、ナトリウムポリオキシエチレンラウリルエーテルサルフェート、ジフェニルスルホネート誘導体、例えば、ナトリウムドデシルジフェニルオキシドジスルホネート、並びにtert-オクチルフェノキシエトキシポリ(39)エトキシエチルサルフェートのナトリウム塩が挙げられる。
【0044】
市販の本明細書で有用なアニオン性界面活性剤としては、POLYSTEP(商標)A4、A7、A11、A15、A15-30K、A16、A16-22、A18、A13、A17、B1、B3、B5、B11、B12、B19、B20、B22、B23、B24、B25、B27、B29、C-OP3S、ALPHA-STEP(商標)ML40、MC48、STEPANOL(商標)MG(全て、STEPAN CO.、Chicago,ILによって製造される)、HOECHST CELANESEによって製造されるHOSTAPUR(商標)SAS、W.R.GRACE&CO.、Lexington,MAによって製造されるHAMPOSYL(商標)C30及びL30が挙げられるが、それらに限定されない。
【0045】
非イオン性界面活性剤としては、ポリエトキシレート、例えば、エトキシル化アルキルポリエチレングリコールエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンソルビタンエステル、ポリオキシアルキレンエステル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、エトキシル化アミド、エトキシル化アルコール、エトキシル化エステル、ポリソルベートエステル、ポリオキシプロピレン化合物、例えば、プロポキシル化アルコール、エトキシル化/プロポキシル化ブロックポリマー及びプロポキシル化エステル、アルカノールアミド、アミンオキシド、多価アルコールの脂肪酸エステル、例えば、エチレングリコールエステル、ジエチレングリコールエステル、プロピレングリコールエステル、グリセリルエステル、ポリグリセリル脂肪酸エステル、ソルビタンエステル、スクロースエステル、並びにグルコースエステルが挙げられる。市販の非イオン性界面活性剤としては、例えば、The Dow Chemical Company(Midland,Michigan)によって製造されるTERGITOL(商標)TMN-6、TERGITOL(商標)15S40、TERGITOL(商標)15S9、TERGITOL(商標)15S12、TERGITOL(商標)15S15、及びTERGITOL(商標)15S20、並びにTRITON(商標)X405、Croda(UK)によって製造されるBRIJ(商標)30及びBRIJ(商標)35、STEPAN COMPANY(Chicago,IL)によって製造されるMAKON(商標)10、並びにAkzo Nobel Surfactants(Chicago,IL)によって製造されるETHOMID(商標)O/17が挙げられる。
【0046】
両性界面活性剤としては、グリシネート、ベタイン、スルタイン、及びアルキルアミノプロピオネートが挙げられる。これらには、ココアンフォグリシネート、ココアンフォカルボキシグリシネート、ココアミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン、ココアミドプロピルヒドロキシスルタイン、ラウリルスルタイン及びココアンフォジプロピオネートが含まれる。
【0047】
市販の本明細書に有用な両性界面活性剤としては、例えば、SHEREX CHEMICAL CO.、Dublin,OHによって製造されるREWOTERIC(商標)AM TEG、AM DLM-35、AM B14 LS、AM CAS、及びAM LPが挙げられる。
【0048】
カチオン性界面活性剤としては、脂肪族脂肪アミン及びその誘導体、例えば、ドデシルアミンアセテート、オクタデシルアミンアセテート、及びタロー脂肪酸のアミンのアセテート;
脂肪鎖を有する芳香族アミンの同族体、例えばドデシルアナリン;脂肪族ジアミンから誘導された脂肪アミド、例えば、ウンデシルイミダゾリン、二置換アミンから誘導された脂肪アミド、例えばオレイルアミノジエチルアミン;エチレンジアミンの誘導体;
四級アンモニウム化合物、例えば、タロートリメチルアンモニウムクロリド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジドデシルジメチルアンモニウムクロリド、及びジヘキサデシルジメチルアンモニウムクロリド、アミノアルコールのアミド誘導体、例えばベータ-ヒドロキシエチルステアリルアミド;長鎖脂肪酸のアミン塩;二置換ジアミンの脂肪アミドから誘導された四級アンモニウム塩基、例えば、オレイルベンジルアミノエチレンジエチルアミン塩化水素塩、ベンゾイミダゾリンの四級アンモニウム塩基、例えばメチルヘプタデシルベンゾイミダゾール臭化水素塩;ピリジニウム及びその誘導体の塩基性化合物、例えばセチルピリジニウムクロリド;スルホニウム化合物、例えばオクタデシルスルホニウムメチルサルフェート;ベタインの四級アンモニウム化合物、例えばジエチルアミノ酢酸及びオクタデシルクロロメチルエーテルのベタイン化合物;エチレンジアミンのウレタン、例えばステアリン酸とジエチレントリアミンとの縮合生成物;ポリエチレンジアミン及びポリプロパノールポリエタノールアミンである。
【0049】
市販の本明細書で有用なカチオン性界面活性剤としては、例えば、全てAkzo Nobel Surfactants(Chicago,IL)によって製作されるARQUAD(商標)T27W、ARQUAD(商標)16-29、ARQUAD(商標)C-33、ARQUAD(商標)T50、ETHOQUAD(商標)T/13 ACETATEが挙げられる。
【0050】
1種以上の界面活性剤(c)は、通常、組成物の0.1重量%~15重量%、あるいは0.1%~11重量%のレベルで本明細書の組成物中に存在する。
【0051】
本明細書の組成物から調製される発泡体は、機械的手段によって発生するか、あるいは物理的に発泡されるか、あるいは機械的及び物理的手段の両方によって発泡される。物理発泡が伴われる場合、本明細書の組成物は、1つ以上の物理発泡剤(d)を更に含む。
【0052】
成分(d):物理発泡剤
本明細書の発泡体が物理的に発泡される場合、1つ以上の物理発泡剤(d)が、発泡体の形成をもたらすガスの主な供給源として提供される。物理発泡剤(d)は、大気圧、及び10℃以上(≦)、あるいは≧20℃、あるいは≧30℃、あるいは≧40℃、あるいは≧50℃、あるいは≧60℃、あるいは≧70℃、あるいは≧80℃、あるいは≧90℃、あるいは≧100℃の温度への曝露中に、液体から気体状態への相変化を受ける。沸点温度は、概して、特定の種類の物理発泡剤(d)に応じる。
【0053】
有用な物理発泡剤(d)としては、液体形態での、炭化水素、例えば、ペンタン、ヘキサン、ハロゲン化、より具体的には塩素化、及び/若しくはフッ素化炭化水素、例えば、ジクロロメタン、(メチレンクロリド)、トリクロロメタン(クロロホルム)、トリクロロエタン、クロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン(hydrochlorofluorocarbon、HCFC)、エーテル、ケトン、及びエステル、例えば、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、若しくは酢酸エチル、又はガスとしての空気、窒素、若しくは二酸化炭素が挙げられる。ある特定の実施形態では、物理発泡剤(d)は、プロパン、ブタン、イソブタン、イソブテン、イソペンタン、ジメチルエーテル、又はそれらの混合物からなる群から選択される化合物を含む。多くの実施形態では、発泡剤は、不活性である化合物を含む。これら及び他の好適な物理発泡剤は、米国特許第5283003(A)号、米国特許第6476080(B2)号、米国特許第6599946(B2)号、欧州特許第3135304(A1)号、及び国際公開第2018/095760(A1)号に記載されており、これらは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0054】
様々な実施形態では、物理発泡剤(d)は、ヒドロフルオロカーボン(hydrofluorocarbon、HFC)を含む。「ヒドロフルオロカーボン」及び「HFC」は互換性のある用語であり、水素、炭素、及びフッ素を含有する有機化合物を指している。その化合物は、フッ素以外のハロゲンを実質的に含まない。
【0055】
好適なHFCの例としては、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(HFC-365mfc)、1-フルオロブタン、ノナフルオロシクロペンタン、ペルフルオロ-2-メチルブタン、1-フルオロヘキサン、ペルフルオロ-2,3-ジメチルブタン、ペルフルオロ-1,2-ジメチルシクロブタン、ペルフルオロヘキサン、ペルフルオロイソヘキサン、ペルフルオロシクロヘキサン、ペルフルオロヘプタン、ペルフルオロエチルシクロヘキサン、ペルフルオロ-1,3-ジメチルシクロヘキサン、及びペルフルオロオクタンなどの脂肪族化合物、並びにフルオロベンゼン、1,2-ジフルオロベンゼンなど芳香族化合物;1,4-ジフルオロベンゼン、1,3-ジフルオロベンゼン;1,3,5-トリフルオロベンゼン;1,2,4,5-テトラフルオロベンゼン、1,2,3,5-テトラフルオロベンゼン、1,2,3,4-テトラフルオロベンゼン、ペンタフルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、及び1-フルオロ-3-(トリフルオロメチル)ベンゼンが挙げられる。ある特定の実施形態では、HFC-365mfc及びHFC-245faは、それらの増加した利用可能性及び使いやすさのために好ましい場合があり、HFC-365mfcは、ある特定の用途で有用であり得るHFC-245faよりも高い沸点を有する。例えば、HFC-365mfcなどの30℃より高い沸点を有するHFCは、発泡体処理中に液化を必要としないため、望ましい場合がある。特定の実施形態では、存在する場合、物理発泡剤は、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa)を含むか、又はそれからなり得る。
【0056】
利用される物理発泡剤(d)の量は、所望の結果に応じて変化し得る。例えば、物理発泡剤の量は、最終的な発泡体密度及び発泡体上昇プロファイルを調整するために変えることができる。
【0057】
ある特定の実施形態では、組成物は、中空粒子を含んでもよく、これは、発泡体、例えば、加熱時に当該炭化水素が蒸発し、それによって発泡化剤として機能して、ポリマービーズを残すように、低沸点を有する炭化水素を含有する低密度(例えば、25kg/m3)の予備膨張ポリマー球の多孔性及び/又は全体の空隙率に寄与するのに有用であり得る。そのような中空ビーズは市販されており、例えば、Nouryon Chemicalsから供給されるExpancel(商標)920 DET 40 d25である。
【0058】
本発明の場合には通常不要であると考えられるが、任意選択的に、1分子当たり2つ以上の水素結合ケイ素(hydrogen bonded silicon、Si-H)基を含む1つ以上の化合物を利用することも可能である。
【0059】
上記組成物中に存在し得る1分子当たり2つ以上のSi-H基を含む化合物は、好ましくは、ポリマー、例えば、ポリシラン、ポリシロキサン、又はそれらの組み合わせであるが、好ましくは、ポリシロキサンであり、これは環状、直鎖状、又は分枝状、あるいは直鎖状又は分枝状であり得る。1分子当たり2つ以上のSi-H基を含む各化合物がポリシロキサンである場合、Si-H結合は、M型又はD型シロキサン単位のケイ素原子上にある。ポリシロキサンは、直鎖状であってもよく、M型及びD型単位のみを含んでもよい。あるいは、ポリシロキサンは、分枝状であってもよく、T(SiO3/2)型及び/又はQ(SiO4/2)型単位を含有し得る。
【0060】
1分子当たり2つ以上のSi-H基を含む好適な化合物の例としては、ペンタメチルジシロキサン、ビス(トリメチルシロキシ)メチル-シラン、テトラメチルジシロキサン、テトラメチシクロテトラシロキサン、DH含有ポリ(ジメチルシロキサン)、例えば、Dow Silicones Corporation製の25℃で30mPa.sの粘度を有するDOWSIL(商標)MH1107流体、並びに水素化物末端ポリ(ジメチルシロキサン)、例えば、商品名:DMS-HM15、DMS-H03、DMS-H25、DMS-H31、及びDMS-H41でGelestから入手可能なものなどが挙げられる。
【0061】
存在する場合、1分子当たり2つ以上のSi-H基を含む化合物の濃度は、典型的には、0.2:1以上、あるいは0.2:1~5:1、あるいは0.5:1~5:1、あるいは0.5:1~4.5:1、あるいは0.5:1~4.0:1、あるいは0.5:1~3.5:1、あるいは0.5:1~3.0:1、あるいは0.5:1~2.5:1、あるいは0.7:1~2.0:1、あるいは1.0:1~2.0:1であるSi-H基対エポキシド基のモル比を提供するのに十分である。
【0062】
エポキシド又は1分子当たり2つ以上のSi-H基を含む化合物のいずれか(又は両方)は、存在する場合、反応において架橋剤として機能する。1分子当たり2つ以上のSi-H基を含む化合物が存在する場合、硬化プロセス中にいくつかのSi-O-C連結が形成する。しかしながら、1分子当たり2つ以上のSi-H基を含む化合物は、存在する場合、化学発泡剤として使用される水素を発生させるために使用されない。
【0063】
疑義を避けるために、架橋剤は、1分子当たり少なくとも2つの反応性基を有し、これらの反応性基を介して2つの異なる分子と反応して、分子を一緒に架橋することが理解されるべきである。架橋剤中の反応性基間の直鎖の長さを増加させることは、得られた架橋物の可撓性を増加させる傾向がある。対照的に、架橋剤中の反応性基間の直鎖の長さを短くすることは、得られた架橋物の可撓性を低減させる傾向がある。一般に、より高い可撓性の架橋物を得るためには、直鎖状架橋剤が所望され、反応性部位間の長さは、所望の可撓性を得るように選択される。より低い可撓性の架橋物を得るためには、架橋分子間の可撓性を低減させるのにより短い直鎖状架橋剤又は更には分枝状架橋剤が所望される。
【0064】
典型的には、存在する場合、組成物中の1分子当たり2つ以上のSi-H基を含む各化合物の濃度は、上記モル比を満たすために組成物の80重量%の高さであり得るが、存在する場合、典型的には、0.5重量%~40重量%、あるいは組成物の重量に基づいて0.5重量%~20重量%、あるいは組成物の重量に基づいて0.5重量%~15重量%、あるいは組成物の重量に基づいて0.5重量%~10重量%の量で存在する。
【0065】
硬化阻害剤
組成物はまた、ルイス酸触媒(b)と複合体化して、所望の温度範囲にわたって本組成物中のその触媒活性を阻害することができるが、組成物を急速に(10分以内、好ましくは5分以内、より好ましくは2分以内)硬化させることができるように、その範囲を超える所望の温度でルイス酸から解離する、好適な硬化阻害剤、例えば、好適なアミン化合物を含み得る。硬化阻害剤がルイス酸触媒(b)と複合体を形成し、硬化を阻害するように設計される温度範囲は、発泡体製品の意図された用途に応じる。存在する場合、硬化阻害剤は、それに応じて選択される。
【0066】
任意の好適なアミンが、存在する場合、硬化阻害剤として利用され得る。例えば、硬化阻害剤としては、アリールアミン、例えば、トリアリールアミン、アニリン、4-メチルアニリン、4-フルオロアニリン、2-クロロ-4-フルオロアニリン、ジフェニルアミン、ジ(n-ブチル)アニリン、ジフェニルメチルアミン、トリフェニルアミン、1-ナフチルアミン、2-ナフチルアミン、1-アミノアントラセン、2-アミノアントラセン、9-アミノアントラセン、β-アミノスチレン、1,3,5-ヘキサトリエン-1-アミン、N,N-ジメチル-1,3,5-ヘキサトリエン-1-アミン、3-アミノ-2-プロペナール、及び4-アミノ-3-ブテン-2-オンが挙げられ得るが、それらに限定されない。硬化阻害剤は、追加的又は代替的に、例えば、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプタルアミン(triheptalamine)、トリオクチルアミン、及びトリノニルアミン、並びに/又はそれらの混合物などの1つ以上のアルキルアミンを含み得る。
【0067】
存在する場合、使用される阻害剤の選択は、意図される硬化温度に応じることがあり、典型的には、例えば、100℃未満の低温度硬化組成物のためにアリールアミンを使用することが好ましいが、一方で、アリールアミン及び/又はアルキルアミンのいずれかは、より高い温度、例えば、約150℃を超える温度での硬化が意図される場合、組成物に使用され得る。
【0068】
成分(a)がアルファ-エポキシド基と脂環式エポキシ基との組み合わせを有する場合、アミンは、より反応性の脂環式エポキシド基に好適なものであることが望ましい。好ましくは、成分(a)は、アルファ-エポキシド基又は脂環式エポキシド基のいずれかを有し、両方を有さない。
【0069】
本発明の組成物中の硬化阻害剤(アミン)の濃度は、室温で全てのルイス酸触媒(b)と複合体化し、阻害することができるように、ルイス酸触媒(b)の濃度に対して少なくともモル当量(すなわち、1:1のモル比)である。硬化阻害剤(アミン)の濃度は、ルイス酸触媒(b)のモル濃度を超える、すなわち、最大約3:1のモル比の場合があり、例えば、ルイス酸触媒(b):硬化阻害剤のモル比は、1:1~1:3であり得る。
【0070】
ルイス酸触媒(b)が上記の溶液で組成物中に導入される場合、例えば、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン及び/又はトリス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボランがルイス酸触媒(b)として使用されるとき、硬化阻害剤が必要とされるならば、ルイス酸触媒(b)/硬化阻害剤複合体が他の成分と混合される前に当該溶液中で形成されることを可能にするために、ルイス酸触媒(b)との所望のモル比で触媒溶液中に導入され得る。そのような阻害剤の使用は、特にアリールボラン及び/若しくはハロゲン化ホウ素、又はそれらの混合物などの触媒に関して、触媒/阻害剤の組み合わせを使用して、本明細書の組成物の硬化の硬化速度を調整できることであると思われる。
【0071】
追加の添加物
本明細書に記載されるシリコーンゴム発泡体組成物は、任意選択的に、追加の成分(ingredient)又は成分(component)(以後、「追加の添加物」と呼ぶ)を更に含み得る。追加の添加物の例としては、化学発泡剤、安定剤、例えば、発泡体安定剤(成分(c)の界面活性剤以外、及び熱安定剤、接着促進剤、染料及び顔料を含む着色剤、抗酸化剤、難燃剤、フロー制御添加物、並びに/又は強化及び/若しくは非強化(増量と呼ばれることもある)充填剤が挙げられるが、それらに限定されない。
【0072】
1つ以上の追加の添加物は、組成物の好適な重量%で存在し得る。存在する場合、添加物は、組成物の総重量%が100重量%であるという理解に基づいて、最大約10重量%又は更に15重量%の量で存在し得る。当業者は、例えば、添加物の種類及び所望の結果に応じて、追加の添加物の好適な量を容易に決定し得る。ある特定の追加の添加物は、以下により詳述される。
【0073】
好適な化学発泡剤を追加の添加物として利用して、上記プロセスに従って発泡体を発生させるのを助けることができるが、これは好ましくない。1つの好ましい実施形態では、上記に開示される組成物は、化学発泡剤若しくは化学発泡剤を発生させるための化合物を含まず、かつ/又は発生した発泡体は、発泡体を発生させるために化学発泡剤に依存しない。
【0074】
上記に開示される組成物は、発泡体安定剤(成分(c)以外)、例えば、シリコーン樹脂を含み得る。シリコーン樹脂(又は、樹脂状オルガノポリシロキサン)は、分枝状又は三次元オルガノポリシロキサンネットワークの分子構造を有する。25℃において、樹脂状オルガノポリシロキサンは、液状又は固体形態にあってもよく、任意選択的に担体中に分散されていてもよく、これは、そこで樹脂を可溶化及び/又は分散させ得る。
【0075】
特定の実施形態では、樹脂状オルガノポリシロキサンは、T単位のみを含むオルガノポリシロキサン、T単位を他のシロキシ単位(例えば、M、D、及び/又はQシロキシ単位)と組み合わせて含むオルガノポリシロキサン、又はQ単位を他のシロキシ単位(すなわち、M、D、及び/又はTシロキシ単位)と組み合わせて含むオルガノポリシロキサンによって例示され得る。典型的には、樹脂は、T単位及び/又はQ単位を含む。具体例は、アルケニル化シルセスキオキサン又はMQ樹脂、例えば、ビニル末端シルセスキオキサン又はMQ樹脂である。
【0076】
例えば、樹脂は、次式の複数の基から形成されてもよく、
R5
f’’SiO(4-f’’)/2
式中、各R5は、1~20個の炭素原子の置換又は非置換の一価炭化水素基であり、例えば、アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ヘキシル、オクチル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、及びオクタデシル、又は6~20個の炭素を有する芳香族基、例えば、ベンジル、並びにフェニルエチル基及びアルケニル基、例えば、ビニル、プロペニル、n-ブテニル、t-ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、オクテニルなどであり、各f’’は、0~3である。樹脂がT樹脂である場合、ほとんどの基は、f’’を1として有し、樹脂がMQ樹脂である場合、前に考察されるように、f’’が0(Q基)又は3(M基)である基を主に含む。
【0077】
追加の添加物はまた、所望であれば添加され得る顔料及び/又は着色剤を含み得る。顔料及び/又は着色剤は、有色、白色、黒色、金属効果、並びに発光性、例えば、蛍光性及びリン光性であり得る。
【0078】
好適な白色顔料及び/又は着色剤としては、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉛、硫化亜鉛、リトポン、酸化ジルコニウム、及び酸化アンチモンが挙げられる。
【0079】
好適な非白色無機顔料及び/又は着色剤としては、針鉄鉱、鱗鉄鉱、赤鉄鉱、マグヘマイト、及びマグネタイト黒酸化鉄、黄酸化鉄、褐色酸化鉄、及び赤酸化鉄などの酸化鉄顔料と、青鉄顔料と、酸化クロム顔料と、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、カドミウム辰砂などのカドミウム顔料と、バナジン酸ビスマス、バナジン酸モリブデン酸ビスマスなどのビスマス顔料と、チタン酸コバルトグリーンなどの混合金属酸化物顔料と、クロムイエロー、モリブデン酸レッド、及びモリブデン酸オレンジなどの、クロメート顔料及びモリブデート顔料と、ウルトラマリン顔料と、酸化コバルト顔料と、チタン酸ニッケルアンチモンと、鉛クロムと、カーボンブラックと、ランプブラック、並びに金属効果顔料、例えば、アルミニウム、銅、酸化銅、青銅、ステンレス鋼、ニッケル、亜鉛、及び黄銅と、が挙げられるが、それらに限定されない。
【0080】
好適な有機非白色顔料及び/又は着色剤としては、フタロシアニン顔料、例えばフタロシアニンブルー及びフタロシアニングリーンと、モノアリーリドイエロー、ジアリーリドイエロー、ベンズイミダゾロンイエロー、複素環式イエロー、DANオレンジ、キナクリドン顔料、例えばキナクリドンマゼンタ及びキナクリドンバイオレットと、金属化アゾレッド及び非金属化アゾレッド及びその他のアゾ顔料を含む有機レッド、モノアゾ顔料、ジアゾ顔料、アゾ顔料レーキ、β-ナフトール顔料、ナフトールAS顔料、ベンズイミダゾロン顔料、ジアゾ縮合顔料、イソインドリノン、及びイソインドリン顔料、多環式顔料、ペリレン及びペリノン顔料、チオインディゴ顔料、アントラピリミドン顔料、フラバントロン顔料、アンサントロン顔料、ジオキサジン顔料、トリアリールカルボニウム顔料、キノフタロン顔料、及びジケトピロロピロール顔料と、が挙げられる。
【0081】
典型的には、顔料及び/又は着色剤は、微粒子であるとき、10nm~50μmの範囲、好ましくは40nm~2μmの範囲の平均粒径を有する。顔料及び/又は着色剤は、存在する場合、組成物の2重量%、あるいは3重量%、あるいは5重量%~組成物の20重量%、あるいは10重量%の範囲で存在する。
【0082】
追加の添加物は、例えば、金属化合物、例えば、赤酸化鉄、黄酸化鉄、水酸化第二鉄、酸化セリウム、水酸化セリウム、酸化ランタン、銅フタロシアニン、水酸化アルミニウム、ヒュームド二酸化チタン、ナフテン酸鉄、ナフテン酸セリウム、セリウムジメチルポリシラノレート、及び銅、亜鉛、アルミニウム、鉄、セリウム、ジルコニウム、チタンなどから選択される金属のアセチルアセトン塩を含み得る熱安定剤を含む。組成物中に存在する熱安定剤の量は、全組成物の0.01~1.0重量%の範囲であり得る。
【0083】
追加の添加物はまた、難燃剤を含み得る。難燃剤の例としては、アルミニウム三水和物、水酸化マグネシウム、塩素化パラフィン、ヘキサブロモシクロドデカン、トリフェニルホスフェート、ジメチルメチルホスホネート、トリス(2,3-ジブロモプロピル)ホスフェート(臭素化トリス)、及びそれらの混合物又は誘導体が挙げられる。
【0084】
追加の添加物は、強化及び/又は非強化(増量と呼ばれることもある)充填剤を含み得る。微細化補強性充填剤の例としては、籾殻灰などの表面積の大きいヒュームドシリカ及び沈降性シリカ、並びにある程度の炭酸カルシウムが挙げられる。微細化非補強性充填剤の例としては、破砕石英、珪藻土、硫酸バリウム、酸化鉄、二酸化チタン及びカーボンブラック、タルク、及び珪灰石が挙げられる。単独で又は上記の充填剤に加えて使用されることがある他の充填剤としては、カーボンナノチューブ、例えば、マルチウォールカーボンナノチューブアルミナイト、硫酸カルシウム(硬石膏)、石膏、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、粘土、例えば、カオリン、三水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム(水滑石)、グラファイト、炭酸銅、例えば、マラカイト、炭酸ニッケル、例えば、ザラカイト(zarachite)、炭酸バリウム、例えば、毒重石、及び/又は炭酸ストロンチウム、例えば、ストロンチアン石が挙げられる。更なる代替の充填剤としては、酸化アルミニウム、かんらん石族、ざくろ石族、アルミノシリケート、環状シリケート、鎖状シリケート、及び層状シリケートからなる群からのシリケートが挙げられ得る。
【0085】
充填剤は、存在する場合、任意選択的に、処理剤で表面処理され得る。処理剤及び処理方法は、当該技術分野において理解されている。充填剤の表面処理は、典型的には、例えば、脂肪酸若しくはステアレートなどの脂肪酸エステルを用いて、又はオルガノシラン、オルガノシロキサン、若しくはオルガノシラザン、例えば、ヘキサアルキルジシラザン、例えば、ヘキサメチルジシラザン(hexamethyldisilazane、HMDZ)若しくは短鎖シロキサンジオールを用いて行われる。概して、表面処理は充填剤を疎水性にし、したがって、組成物中の他の成分との均質混合物の取り扱い及び入手を容易にする。R7
eSi(OR6)4-e[式中、R7は、6~20個の炭素原子の置換又は非置換一価炭化水素基、例えば、アルキル基、例えば、ヘキシル、オクチル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、及びオクタデシル、並びにアラルキル基、例えば、ベンジル及びフェニルエチルであり、R6は、1~6個の炭素原子のアルキル基であり、下付き文字「e」は、1、2、又は3と等しい]などのシランも、充填剤の処理剤として利用され得る。
【0086】
ある特定の実施形態では、組成物は、中空粒子を含んでもよく、これは、発泡体、例えば、加熱時に当該炭化水素が蒸発し、それによって発泡化剤として機能して、ポリマービーズを残すように、低沸点を有する炭化水素を含有する低密度(例えば、25kg/m3)の予備膨張ポリマー球の多孔性及び/又は全体の空隙率に寄与するのに有用であり得る。そのような中空ビーズは市販されており、例えば、Nouryon Chemicalsから供給されるExpancel(商標)920 DET 40 d25である。
【0087】
疑義を避けるために、本開示における組成物の重量%(重量%)への全ての他の言及において、合計で100重量%になるように計算される組成物の残りに添加される触媒/阻害剤を除いて、全ての組成物の総重量%は全ての場合において100%であることが理解されるべきである。
【0088】
前に考察されるように、
(a)1分子当たり平均少なくとも2つのエポキシド基を有する1つ以上のオルガノポリシロキサンポリマーと、
(b)ルイス酸触媒と、
(c)1種以上の界面活性剤と、
上記組成物を機械的に発泡させること、又は
(d)物理発泡剤を導入し、当該物理発泡剤(d)によって発泡を引き起こすことのいずれか(各々の場合の間に組成物は硬化する)と、を含む、シリコーンゴム発泡体を作製する方法が提供される。
【0089】
前に明記されるように、上記組成物は、任意選択的に、物理発泡剤、硬化阻害剤、又は物理発泡剤及び硬化阻害剤の両方、並びに発泡体が使用される用途に応じて利用される多数の追加の添加物を含み得る。物理発泡剤及び硬化阻害剤の両方が存在する場合、物理発泡剤が気体になる温度は、硬化/阻害剤複合体が分解して硬化を開始させる温度点よりも低くいか、ほぼ同じであるか、又は高いことがある。一実施形態では、温度はほぼ同じであり得る(例えば、互いに15℃以内)。
【0090】
機械的発泡又は物理発泡剤(d)によって引き起こされる発泡は、硬化前及び/又は硬化中に起こる。
【0091】
一実施形態では、プロセスは、
触媒を好適な溶媒若しくは溶媒の組み合わせ中で混合することによってルイス酸触媒(b)溶液を調製するか、又は任意選択の硬化阻害剤、例えば、前述の1つ以上のアミンが組成物中に存在する場合、触媒及び阻害剤を好適なモル比で上記のような好適な溶媒若しくは溶媒の組み合わせ中で混合して、ルイス酸触媒(b)/硬化阻害剤複合体溶液を形成することによってルイス酸触媒(b)/硬化阻害剤複合体溶液を調製するステップと、次いで
本発明の組成物を提供するステップと、当該触媒溶液又はルイス酸触媒(b)/硬化阻害剤複合体溶液を成分(a)、(c)、(d)と混合して、シリコーンゴム発泡体組成物を形成するステップと、を含み得る。
【0092】
あるいは、硬化阻害剤(例えば、アミン)が存在する場合、組成物の他の成分の存在下でルイス酸触媒(b)/硬化阻害剤複合体を調製することが可能であるが、ただし、ルイス酸が、複合体形成の前に反応を触媒しないことを条件とする。存在する場合、硬化阻害剤は、典型的には低温度、例えば、室温での組成物の貯蔵安定性を高め、硬化阻害剤及び触媒(b)の選択を利用して、触媒(b)/硬化阻害剤複合体の分解後に組成物が硬化するおおよその高温度を調整することができる。この温度は、発泡体が使用される用途に基づいて予め決定されてもよく、例えば、50℃、又は60℃、又は80℃以上であり得る。
【0093】
組成物の調製中、組成物の成分を任意の好適な順序で好適な容器に導入し、好適なミキサを使用して予め決定された時間の間混合して、組成物を均質化することができる。そのようなミキサは、スピードミキサなどであり得る。続いて、機械的発泡の場合、調製された組成物は、機械的発泡を引き起こすためにシリコーン組成物に空気を吹き込むために利用することができる好適な種類の撹拌システムに導入される。任意の好適な種類の機械的混合装置、例えば、動的かつ高剪断混合及び熱発生の能力、並びに空気を撹拌し、組成物に組み込み、それによって発泡を引き起こす能力をもって利用することができる携帯型ローターステータを利用して、空気を取り込み、発泡体を作製することができる。硬化阻害剤が存在し、ルイス酸触媒(b)と複合体を形成している場合、加熱する能力は、試料を急速に加熱して、硬化反応を開始し得ることで、混合物が気泡を保持するのに十分な粘度になるため、重要である。物理的に発泡された発泡体の場合、組成物は、任意の好適な順序で一緒に混合されてもよいが、ルイス酸触媒(b)及び物理発泡剤(d)は、典型的には、最後の2つの成分として組成物中に導入される。物理発泡剤(d)が、通常液体形態で添加されると、混合が継続され、温度は、液体物理発泡剤(d)が気体に変わり、組成物の硬化中に発泡を引き起こす温度まで上昇される。
【0094】
本明細書に記載されるシリコーンゴム発泡体組成物は、連続セル及び/又は独立セルシリコーンゴム発泡体を生成する。発泡体密度は、任意の好適な方法によって、例えば、アルキメデスの原理を介して、天秤及び密度キットを使用して、かつそれに関連する標準的な指示に従って測定され得る。好適な天秤は、密度キットを備えたMettler-Toledo XS205DU天秤である。発泡体は、0.01グラム毎立方センチメートルg/cm3~5g/cm3、あるいは0.05g/cm3~2.5g/cm3、あるいは0.1g/cm3~2.0g/cm3、あるいは0.1g/cm3~1.5g/cm3の密度を有し得る。
【0095】
密度が高すぎる場合、ある特定の用途に対して、発泡体が重すぎる又は硬すぎたりする場合がある。密度が低すぎる場合、特定の用途に対して、所望の構造的完全性を欠く場合がある。
【0096】
平均孔径は、ATSM方法D3576-15に従うなどの任意の好適な方法を介して、任意選択的に以下の修正を加えて決定され得る:
(1)スクリーン上に画像を投影するのではなく、光学顕微鏡又は電子顕微鏡を使用して発泡体を撮像し、
(2)30mmの線を描くのではなく、15個を超えるセルに及ぶ既知の長さの線を描く。
【0097】
本明細書に記載されるシリコーン発泡体組成物は、一般に、サイズ及び/又は形状が均一である孔を有する。典型的には、発泡体は、0.001mm~5mm、あるいは0.001mm~2.5mm、あるいは0.001mm~1mm、あるいは0.001mm~0.5mm、あるいは0.001mm~0.25mm、あるいは0.001mm~0.1mm、あるいは0.001mm~0.05mmの平均孔径を有する。
【0098】
本明細書に記載される組成物、発泡体、及び方法は、様々な最終用途に有用であり、任意の特定の用途に限定されない。好適な用途の例としては、空間充填用途、自動車用途(例えば、制御モジュール用)などが挙げられる。発泡体は、電池及び他の電子部品などの物品を少なくとも部分的に被覆又は封入するために使用することができる。発泡体は断熱にも使用することもできる。発泡体は、化学発泡剤、例えば、水素ガスの形成が懸念される環境で形成され得る。更に、発泡体は、室温又はその周辺で発泡させることができ、これは、温度に敏感な用途に有用である。
【実施例】
【0099】
1分子当たり平均少なくとも2つのエポキシド基を有する4つのオルガノポリシロキサンポリマーを実験室で調製した。
【0100】
エポキシシクロヘキシルエチル末端ポリジメチルシロキサン、MCEPD40MCEPの合成
500mLの三つ口乾燥フラスコに、100g(0.06464mol)のMHD40MH、2ppmのPt(Karstedt触媒)、及び80mLのトルエンを添加した。次いで、混合物を80℃に加熱した。20mLのトルエン中の12g(0.097mol)の1,2-エポキシ-4-ビニルシクロヘキサンを80℃で25分以内に滴下し、次いで反応混合物を6時間加熱還流した(約110℃で)。
【0101】
NMRに対するサンプリングは、反応の完了を示し、次いで溶媒及び過剰の1,2-エポキシ-4-ビニルシクロヘキサンを、ロータリーエバポレータを使用して除去して、103gの生成物MCEPD40MCEPを95%の収率で得た。
【0102】
(エポキシシクロヘキシルエチル)メチルシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー、MD60DCEP
7.6Mの合成
500mLの3口乾燥フラスコに、110.7g(0.163molのSiH)のMD60.5DH
7.6M、2ppmのPt(Karstedt触媒)、及び80gのトルエンを添加した。次いで、混合物を80℃に加熱した。30gのトルエン中の30.4g(0.245mol)の1,2-エポキシ-4-ビニルシクロヘキサンを80℃で30分以内に滴下し、次いで反応混合物を6時間加熱還流した(約110℃で)。NMRに対するサンプリングは、反応の完了を示し、次いで溶媒及び過剰の1,2-エポキシ-4-ビニルシクロヘキサンを、ロータリーエバポレータを使用して除去して、127gの生成物MD60.5DCEP
7.5Mを90%の収率で得た。
【0103】
エポキシシクロヘキシルエチル末端ポリジメチルシロキサン、MCEPD376MCEPの合成
1000mLの三つ口乾燥フラスコに、300g(0.02143molのSiH)のMHD376MH、2ppmのPt(Karstedt触媒)、及び200mLのトルエンを添加した。次いで、混合物を80℃に加熱した。10mLのトルエン中の4g(0.03214mol)の1,2-エポキシ-4-ビニル-シクロヘキサンを80℃で20分以内に滴下し、次いで反応混合物を6時間加熱還流した(約110℃で)。
【0104】
NMRに対するサンプリングは、反応の完了を示し、次いで溶媒及び過剰の1,2-エポキシ-4-ビニルシクロヘキサンを、ロータリーエバポレータを使用して除去して、277gの生成物MCEPD40MCEPを91%の収率で得た。
【0105】
(エポキシシクロヘキシルエチル)メチルシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー、MD233DCEP
8.5Mの合成
1000mLの3口乾燥フラスコに、200g(0.095molのSiH)のMD233DH
8.5M、2ppmのPt(Karstedt触媒)、及び150mLのトルエンを添加した。次いで、混合物を80℃に加熱した。10mLのトルエン中の14.2g(0.114mol)の1,2-エポキシ-4-ビニル-シクロヘキサンを80℃で20分以内に滴下し、次いで反応混合物を6時間加熱還流した(約110℃で)。
【0106】
NMRに対するサンプリングは、反応の完了を示し、次いで溶媒及び過剰の1,2-エポキシ-4-ビニルシクロヘキサンを、ロータリーエバポレータを使用して除去して、198gの生成物MD233DCEP
8.5Mを92%の収率で得た。
【0107】
次いで、生成した1分子当たり平均少なくとも2つのエポキシ基を有する4つのオルガノポリシロキサンポリマーを各々、以下の表1aに示すようなシリコーンゴム発泡体組成物に取り込んだ(表1bで扱われている触媒/硬化阻害剤複合体溶液(実施例1~5)を除く重量%。全ての粘度を、特に明記されていない限り、粘度範囲に最も適切なスピンドルを使用して、ASTM D1084-16方法Βのカップ/スピンドル方法に基づいて25℃で測定する。
【0108】
【0109】
全ての実施例では(実施例1~5)、ジ(n-ブチル)アニリンである(PhNH(n-C4H9)2)を硬化阻害剤として使用した。ルイス酸触媒(b)/硬化阻害剤複合体溶液を、トルエンに指定量の選択された触媒及び硬化阻害剤ジ(n-ブチル)アニリン(PhNH(n-C4H9)2)(しばしばDBAと呼ばれる)を溶解することによって調製した。結果として、残りの組成物中に導入された溶液は、組成物中に混合されると加熱されるまで触媒活性を阻害するルイス酸触媒(b)/阻害剤複合体溶液であった。
【0110】
【0111】
本実施例で使用した界面活性剤は、Dow Silicones Corporation(Midland Michigan)によってDOWSIL(商標)3-9727 Profoamerとして販売される市販の界面活性剤であった。
【0112】
DOWSIL(商標)MH1107流体は、Dow Silicones Corporationから市販されている、25℃で約30mPa.sの粘度を有するトリメチル末端ポリメチル水素シロキサンである。
【0113】
表1に示される組成物を混合し、実施例1及び実施例2について機械的に発泡(起泡)させた。
【0114】
機械的に起泡させた発泡体の調製(実施例1~2)
ルイス酸触媒(b)/硬化阻害剤複合体溶液、界面活性剤(c)、任意選択のSiH官能化シリコーン(存在する場合)、及び成分(a)をスピード混合カップに順次添加し、続いてこれを3000rpmで30秒間スピード混合した。携帯型ローターステータの動的及び高剪断混合を使用して、空気を液体配合物中に撹拌し、熱を発生させた。急速プランジングを使用して空気を取り込み、試料を素早く加熱して、混合物が気泡を保持するのに十分な粘性になるまで硬化反応を開始させた。機械的発泡、すなわち急速プランジングをおよそ2~3分の間行った後、プランジングプロセスが停止したほぼ直後に組成物を硬化させた。硬化時の組成物の最終温度は、約50℃であった。
【0115】
物理的に発泡させた発泡体の調製(実施例3~5)
実施例3、4、及び5について、組成物を混合し、物理発泡剤1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa)を使用して物理的に発泡させた。
【0116】
実施例3~5について、界面活性剤(c)及び成分(a)をスピード混合カップに添加し、続いてこれを3000rpmで30秒間スピード混合した。ルイス酸触媒(b)/硬化阻害剤複合体溶液及びわずかに過剰の液体物理発泡剤(d)液体を添加した後、混合物を室温で1~2分間手で混合し、次いで硬化させた。この場合、発泡剤の沸点は、約15℃である。それを、導入時まで約-4℃の冷凍庫内で液体として保管したため、組成物の残りに添加したとき、発泡剤の実際の温度は、室温未満であった。したがって、追加の加熱は、不要であった。
【0117】
【0118】
全ての粘度を、特に明記されていない限り、粘度範囲に最も適切なスピンドルを使用して、ASTM D1084-16方法Βのカップ/スピンドル方法に基づいて25℃で測定する。
【0119】
Pt触媒による物理的に発泡させた発泡体の調製(比較例1)
表2の組成物は、二部組成物(A部及びB部)であり、これらを、最初に個別に調製し、保管中は別々に保った。界面活性剤及び発泡剤を除くA部の成分を、最初にスピードミキサ中で3000rpmで20秒間混合した。続いて、界面活性剤及び発泡剤をA部に添加した。同様に、B部の成分を最初にスピードミキサ中で3000rpmで20秒間混合した。次いで、B部をA部に1:1の重量比で添加し、配合物をスパチュラで30秒間十分に混合した。成分を混合又は一緒に注いだ同じ容器中で発泡を起こさせた。
【0120】
「硬化」事象を、舌圧子が発泡体上に押し下げられ、材料が舌圧子に付着していないことが観察されたスナップ時間によって特性評価した。発泡体を24時間放置した後、更に特性評価した。
【0121】
本明細書に記載され、実施例に示される組成物は、水素のような可燃性の物理発泡剤を使用する必要なく発泡体を提供する。これは、可燃性水素ガスの発生によって化学的に発泡された以前に依存していたシリコーン発泡体よりも、シリコーン発泡体を発生させるはるかに安全な方法を提供する。現状のPt触媒によって物理的に発泡させた発泡体(比較例1)と比較した場合、本発明の発泡体の密度はわずかにより高く、より大量の物理発泡剤を使用する場合には更に低減させることができる。
【0122】
測定情報
各発泡体について以下の表に示す硬化時間及び発泡体密度値を、以下の試験方法を使用して決定した。
【0123】
硬化時間測定
組成物の硬化時間(実施例1~3及び5)を、応力制御回転レオメーター(AR-G2、TA Instruments)上で、25mmの平行板形状を使用して、振動レオロジー試験によって測定した。試料を25℃(実施例3及び5)又は50℃(実施例1~2)で加熱しながら、試料の線形粘弾性レジームに応じたある特定の振動応力を1rad/秒の角振動数で適用した。振動応力を、変位が良好な信号対雑音(signal-to-noise、S/N)比に対して低すぎる場合に1000Paに増加するようにプログラムした。硬化時間を、剪断保管弾性率と損失弾性率の交差点によって定義した。
【0124】
密度測定
アルキメデスの原理に基づく密度測定キットを備えた天秤(Mettler-Toledo XS205DU)を使用して、発泡体密度を測定した。空気中の試料の重量(m0)を最初に測定し、その後、試料を除去せずに天秤の風袋を量った。次いで、水中の試料の重量(-m1)(ρ0=1g/cc)を測定した。
【0125】
【0126】
発泡体形態の詳細と一緒に上記の結果が、発生させた各発泡体について記録され、以下の表3に示される。
【0127】
【0128】
結果は、主鎖中にいかなる有機物も含有しないシリコーン発泡体が、ルイス酸触媒反応を使用して調製され得ることを実証した。具体的には、実施例5に実証されるように、1分子当たり平均少なくとも2つのエポキシド基を有する1つ以上のオルガノポリシロキサンポリマーの混合物も、シリコーン発泡体の調製に使用することができる。
【0129】
本明細書に記載され、実施例に示される組成物は、水素のような可燃性の物理発泡剤を使用する必要なく発泡体を提供する。これは、可燃性水素ガスの発生によって化学的に発泡された以前に依存していたシリコーン発泡体よりも、シリコーン発泡体を発生させるはるかに安全な方法を提供する。現状の比較例1と比較すると、実施例1~5の発泡体の密度は、わずかにより高く、より大量の物理発泡剤液体が使用される場合には更に低減され得る。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーンゴム発泡体組成物であって、
(a)1分子当たり平均少なくとも2つのエポキシド基を有する1つ以上のオルガノポリシロキサンポリマーと、
(b)ルイス酸触媒と、
(c)1種以上の界面活性剤と、任意選択的に
(d)物理発泡剤と、を含む、シリコーンゴム発泡体組成物。
【請求項2】
成分(a)の各エポキシド基が、アルファ-エポキシド基又は脂環式エポキシド基であり、各々の場合において、オルガノポリシロキサンポリマーのケイ素にアルキレン鎖又は任意選択のエーテル連結を含む置換アルキレン鎖によって連結している、請求項1に記載のシリコーンゴム発泡体組成物。
【請求項3】
成分(a)前記1分子当たり平均少なくとも2つのエポキシド基を有する1つ以上のオルガノポリシロキサンポリマーが、以下のうちの少なくとも1つから選択され、
MD
aD
CEP
bM
MD
aD
EP
bM
M
CEPD
cM
CEP
M
EPD
cM
EP
D
EP
bD
cT
2
D
CEP
bD
cT
2
式中、M単位が、≡SiO
1/2であり、シロキシ基に連結した別の原子と共有される酸素原子に加えて、ケイ素原子に結合した3つの基が存在し、D型シロキシ基が、s=SiO
2/2であり、前記シロキシ基に連結した他の原子と共有される2つの酸素原子に加えて、前記ケイ素原子に結合した2つの基が存在し、T型シロキシ基が、-SiO
3/2であり、1つの基が3つの酸素原子に加えて前記ケイ素原子に結合しており、
接尾辞CEPが、前記それぞれのM又はD単位がそれに連結した脂環式エポキシドを有することを示し、
接尾辞EPが、前記それぞれのM又はD単位がそれに連結したアルファ-エポキシドを有することを示し、
下付き文字aが、10~約300の値を有し、
下付き文字bが、1~30の値を有し、
下付き文字cが、5~500の値を有する、請求項1又は2に記載のシリコーンゴム発泡体組成物。
【請求項4】
成分(b)前記ルイス酸触媒が、1つ以上のアリールボラン若しくはハロゲン化ホウ素、又はそれらの混合物を含む、請求項1又は2に記載のシリコーンゴム発泡体組成物。
【請求項5】
成分(b)前記ルイス酸触媒が、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラン、ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(4-(トリフルオロメチル)フェニル)ボラン、ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,4,6-トリフルオロフェニル)ボラン、又はそれらの混合物から選択される、請求項1又は2に記載のシリコーンゴム発泡体組成物。
【請求項6】
成分(c)が、シリコーンフッ素化界面活性剤又は有機フッ素化界面活性剤である、請求項1又は2に記載のシリコーンゴム発泡体組成物。
【請求項7】
成分(d)前記物理発泡剤が、アルカン、塩素化炭化水素、ヒドロフルオロカーボン(HFC)、クロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、エーテル、ケトン、及びエステルである、請求項1又は2に記載のシリコーンゴム発泡体組成物。
【請求項8】
1分子当たり2つ以上の水素結合ケイ素(Si-H)基を含む1つ以上の化合物、1つ以上の硬化阻害剤、又はそれらの混合物を含む、請求項1に記載のシリコーンゴム発泡体組成物。
【請求項9】
前記硬化阻害剤が、1つ以上のアリールアミン及び/又はアルキルアミンである、請求項8に記載のシリコーンゴム発泡体組成物。
【請求項10】
トリアリールアミンアニリン、4-メチルアニリン、4-フルオロアニリン、2-クロロ-4-フルオロアニリン、ジフェニルアミン、ジフェニルメチルアミン、トリフェニルアミン、1-ナフチルアミン、2-ナフチルアミン、1-アミノアントラセン、2-アミノアントラセン、9-アミノアントラセン、β-アミノスチレン、1,3,5-ヘキサトリエン-1-アミン、N,N-ジメチル-1,3,5-ヘキサトリエン-1-アミン、3-アミノ-2-プロペナール、4-アミノ-3-ブテン-2-オン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプタルアミン、トリオクチルアミン及びトリノニルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、トリメチルアミン、トリヘプタルアミン、並びに/又はそれらの混合物から選択される1つ以上の硬化阻害剤を含む、請求項8又は9に記載のシリコーンゴム発泡体組成物。
【請求項11】
発泡体安定剤、接着促進剤、染料及び顔料を含む着色剤、抗酸化剤、熱安定剤、難燃剤、フロー制御添加物、並びに/又は強化及び/若しくは非強化充填剤から選択される1つ以上の追加の添加物を含む、請求項1又は2に記載のシリコーンゴム発泡体組成物。
【請求項12】
請求項1に記載の組成物の発泡及び硬化生成物である、シリコーンゴム発泡体。
【請求項13】
i)1g/cm
3未満の密度を有する、請求項12に記載のシリコーンゴム発泡体。
【請求項14】
シリコーンゴム発泡体を作製する方法であって、-
(a)1分子当たり平均少なくとも2つのエポキシド基を有する1つ以上のオルガノポリシロキサンポリマーと、
(b)ルイス酸触媒と、
(c)1種以上の界面活性剤と、
上記組成物を機械的に発泡させること、又は
(d)物理発泡剤を導入し、前記物理発泡剤(d)によって発泡を引き起こすことのいずれか
(各々の場合の間に前記組成物は硬化する)と、を含む、方法。
【請求項15】
空間充填用途、自動車用途のための、物品を少なくとも部分的に被覆若しくは封入するための、断熱のための、かつ/又は防火ブロックとしての、請求項12又は13に記載のシリコーンゴム発泡体の、使用。
【国際調査報告】