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▶ ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニーの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】布地処理
(51)【国際特許分類】
   D06M 15/15 20060101AFI20240719BHJP
   C11D 7/26 20060101ALI20240719BHJP
   C11D 7/22 20060101ALI20240719BHJP
   D06M 15/03 20060101ALI20240719BHJP
   D06M 13/188 20060101ALI20240719BHJP
   D06M 15/53 20060101ALI20240719BHJP
   D06M 15/333 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
D06M15/15
C11D7/26
C11D7/22
D06M15/03
D06M13/188
D06M15/53
D06M15/333
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024502514
(86)(22)【出願日】2022-06-01
(85)【翻訳文提出日】2024-01-16
(86)【国際出願番号】 US2022031675
(87)【国際公開番号】W WO2023003632
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】21186294.1
(32)【優先日】2021-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】ラント、ニール・ジョゼフ
(72)【発明者】
【氏名】ニョロゲ、サミュエル・キマニ
(72)【発明者】
【氏名】ワーニック、トッド・マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ポーター、ジュリー・マリー
【テーマコード(参考)】
4H003
4L033
【Fターム(参考)】
4H003AC08
4H003BA12
4H003DA01
4H003EB04
4H003EB05
4H003EB07
4H003EB08
4H003EB16
4H003EB28
4H003EB36
4H003ED02
4H003FA16
4H003FA21
4H003FA26
4L033AA07
4L033AB04
4L033AC15
4L033BA16
4L033CA02
4L033CA08
4L033CA28
4L033CA48
(57)【要約】
水分ウィッキング合成布地上に細菌芽胞を付着させる方法であって、布地を水性液と接触させる工程を含み、水性液が、水性液の少なくとも1×10CFU/l、好ましくは水性液の約1×10~約1×10CFU/lの細菌芽胞を含み、布地コンディショニング剤を実質的に含まない、方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水分ウィッキング合成布地上に細菌芽胞を付着させる方法であって、前記布地を水性液と接触させる工程を含み、前記水性液が、前記水性液の少なくとも1×10CFU/l、好ましくは前記水性液の約1×10~約1×10CFU/lの細菌芽胞を含み、布地コンディショニング剤を実質的に含まない、方法。
【請求項2】
前記布地が、前記布地の少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも95重量%、及びより好ましくは少なくとも98重量%の合成繊維を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記布地が編まれており、好ましくは前記布地の少なくとも70重量%のポリエステル、より好ましくは前記布地の少なくとも95重量%のポリエステルを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記布地が、試験方法1に基づいて3cm超のウィッキング距離を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記布地が、経編みされており、
(a)30~140デニールのポリエステル糸を含む皮膚接触を意図した内面であって、前記糸が1~3デニールの繊維を含む、内面と、
(b)前記内面に対向する外面であって、30~140デニールのポリエステル糸を含み、前記糸が0.2~0.9デニールの繊維を含む、外面と、を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記外面が、50~90デニールのポリエステル糸及び1~2.5デニールの繊維を含み、前記内面が、50~90デニールのポリエステル糸及び0.3~0.8デニールの繊維を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記布地を前記水性液と接触させる前に、前記布地に細菌芽胞を予め負荷する更なる工程を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記細菌芽胞が、バチルス芽胞を含み、好ましくは、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)、バチルス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バチルス・プミルス(Bacillus pumilus)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)、バチルス・チューリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)、バチルス・ミコイデス(Bacillus mycoides)、バチルス・テキレンシス(Bacillus tequilensis)、バチルス・バリスモルティス(Bacillus vallismortis)、バチルス・モジャベンシス(Bacillus mojavensis)、及びそれらの混合物からなる群から選択され、より好ましくは、バチルス・サブチリス、バチルス・アミロリクエファシエンス、バチルス・リケニフォルミス、バチルス・メガテリウム、バチルス・プミルス、及びそれらの混合物からなる群から選択されるバチルスを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記水性液が、噴霧の形態で前記布地に適用される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記方法が、洗濯機又は手洗いプロセスにおいて、好ましくは洗濯機又は手洗いのすすぎサイクルにおいて行われる、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の方法における使用に好適な組成物であって、前記組成物の1×10CFU/g~1×10CFU/gの細菌芽胞を含み、20℃で測定した場合に約1~約6のpHを有し、布地コンディショニング剤を実質的に含まず、漂白剤を実質的に含まない、組成物。
【請求項12】
(a)有機酸と、
(b)ポリマーと、を含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
(a)前記組成物の約1重量%~約20重量%の有機酸と、
(b)前記組成物の約1重量%~約25重量%の第1のポリマーであって、汚れ放出ポリマー(SRP)である、第1のポリマーと、
(c)任意に、前記組成物の約1重量%~約25重量%の第2のポリマーであって、前記第2のポリマーが、グラフトコポリマー、アルコキシル化ポリアルキレンイミンポリマー、又はこれらの混合物であり、
前記グラフトコポリマーが存在する場合、前記グラフトコポリマーは、
i)グラフトベースとしての水溶性ポリアルキレンオキシドと、
ii)ビニルエステル成分の重合によって形成される1つ以上の側鎖と、を含む、第2のポリマーと、を含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
水分ウィッキング合成布地上に芽胞を付着させるための、請求項11~13のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項15】
布地1グラム当たり少なくとも1×10CFUの細菌芽胞を含む、水分ウィッキング合成布地。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、悪臭低減及び悪臭防止を提供するために布地を処理する方法に関する。本発明はまた、持続的な悪臭除去及び悪臭防止を提供する組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
運動着としての使用が意図される衣類は、運動中以外での使用にも、より一般的になっている。かかる衣類は、多くの場合、水及び汗がより容易に蒸発することができるように、これらが身体から引き離される、着用中のウィッキング特性で評価されている。合成材料から作製されたこれらの衣類は、使用中に悪臭を発生する傾向がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
使用中にウィッキング特性を有する布地の悪臭を抑制するのに役立つ組成物及びプロセスが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様によれば、水分ウィッキング合成布地上に細菌芽胞を付着させる方法が提供される。この方法は、布地を水性液と接触させる工程を含む。水性液は、少なくとも1×10CFU/リットル、好ましくは約1×10CFU/リットル~約1×10CFU/リットル、より好ましくは約1×10CFU/リットル~約1×10CFU/リットルの細菌芽胞を含む。水性液は、布地コンディショニング剤を実質的に含まない。布地コンディショニング剤は、水分ウィッキング合成布地仕上げを妨害して水分ウィッキング性能を変化させ得るワックス状残留物を付着させる場合がある。
【0005】
本発明の第2の態様によれば、細菌芽胞を含み、布地コンディショニング剤を実質的に含まない組成物が提供される。布地コンディショニング剤を実質的に含まない組成物は、水分ウィッキング特性を変化させることなく、水分ウィッキング合成布地に良好なケアを提供する。好ましくは、組成物は漂白剤も実質的に含まない。漂白剤を実質的に含まない組成物は、水分ウィッキング特性を変化させることなく、水分ウィッキング合成布地に良好なケアを提供する。好ましくは、組成物は、組成物の5重量%未満、より好ましくは2重量%未満の界面活性剤を含む。好ましくは、組成物は、組成物の2重量%未満、好ましくは1重量%未満のアニオン性界面活性剤を含む。好ましくは、組成物は、組成物の2重量%未満、好ましくは1重量%未満のカチオン性界面活性剤を含む。低レベルの界面活性剤、特にアニオン性界面活性剤及びカチオン性界面活性剤を含むか、又は実質的に界面活性剤を含まない組成物は、水分ウィッキング特性を変化させることなく、水分ウィッキング合成布地に良好なケアを提供する。
【0006】
本発明の第3の態様によれば、長期間にわたって布地からの持続的な悪臭の除去及び/又は防止を提供するための本発明の組成物の使用が提供される。
【0007】
本発明の最後の態様によれば、布地1グラム当たり少なくとも1×10CFUの細菌芽胞、好ましくは布地1グラム当たり1×10~1×10CFUの細菌芽胞を含む水分ウィッキング合成布地が提供される。
【0008】
本発明の第1の態様に関連して記載される本発明の方法の要素は、必要な変更を加えて、本発明の他の態様にも適用される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、水分ウィッキング合成布地上に細菌芽胞を付着させる方法を包含する。この方法は、布地を、少なくとも1×10CFU/リットル、好ましくは約1×10CFU/リットル~約1×10CFU/リットル、より好ましくは約1×10CFU/リットル~約1×10CFU/リットルの細菌芽胞、好ましくはバチルス芽胞を含む水性液と接触させる工程を含む。水性液は、布地コンディショニング剤を実質的に含まない。
【0010】
本発明はまた、水分ウィッキング合成布地上に細菌芽胞を付着させるのに好適な組成物を包含する。本発明の方法及び組成物は、布地上に芽胞を付着させ、それによって持続した期間中の悪臭の除去及び防止を提供する。理論に束縛されるものではないが、汗からの水分及び熱は、芽胞の発芽を助けることができると考えられる。汗に含まれる物質は、細菌の栄養素としても作用し得る。
【0011】
本発明はまた、本発明の方法及び組成物を使用して、水分ウィッキング合成布地上に細菌芽胞を付着させ、それによって布地からの持続的な悪臭除去及び悪臭防止を提供することを包含する。「持続的な悪臭除去」とは、布地が処理された後、悪臭除去及び/又は防止が少なくとも24時間、好ましくは、少なくとも48時間行われることを意味する。理論に束縛されるものではないが、細菌芽胞は、使用者からの熱及び汗からの水分で発芽し、それによって布地の着用中に悪臭の除去及び防止をもたらすと考えられている。
【0012】
本明細書で使用するとき、特許請求の範囲で使用される場合の「a」及び「an」という冠詞は、特許請求又は記載されているもののうちの1つ以上を意味すると理解される。本明細書で使用するとき、「含む(include)」、「含む(includes)」、及び「含んでいる(including)」という用語とは、非限定的であることを意味する。本開示の組成物は、本開示の構成要素を含み得る、それらから本質的になり得る、又はそれらからなり得る。
【0013】
本明細書で使用される百分率、比率、及び割合は全て、別段の指定がない限り、組成物の重量%である。全ての平均値は、別段の明示的な指示がない限り、組成物の「重量により」計算される。別段の指定がない限り、全ての比率は重量/重量レベルとして計算される。
【0014】
別段の指定がない限り、全ての測定は、25℃で実施される。
【0015】
別途注記がない限り、全ての成分又は組成物の濃度は、その成分又は組成物の活性部分に関するものであり、このような成分又は組成物の市販の供給源に存在し得る不純物、例えば、残留溶媒又は副生成物は除外される。
【0016】
「実質的に含まない水性液」とは、水性液が100ppm未満の特定の化合物を含むことを意味する。
【0017】
「実質的に含まない組成物」とは、組成物が1%未満、好ましくは0.5%未満、特に0の特定の化合物を含むことを意味する。
【0018】
水分ウィッキング合成布地を処理する方法
本開示は、布地上に細菌芽胞を堆積させるために水分ウィッキング合成布地を処理する方法に関し、好ましくは細菌芽胞は、バチルス芽胞を含む。
【0019】
本開示の方法は、布地を水性処理液と接触させることを含んでもよい。水性液は、水性液の少なくとも1×10CFU/l、好ましくは水性液の約1×10~約1×10CFU/lの細菌芽胞、好ましくはバチルス芽胞を含む。
【0020】
布地を処理する方法は、任意の好適な容器中で、その全体又は部分的に行うことができ、例えば、自動洗濯機中で行うことができる。かかる機械は、トップローディング式機械装置又はフロントローディング式機械装置であってよい。全プロセスを洗濯機中で行うことができる。本発明の方法は、手洗い用途にも好適である。
【0021】
処理工程は、自動洗濯機の洗浄又はすすぎサイクルの一環であってよい。水性処理液は、水性すすぎ液であってよい。本開示による組成物は、洗浄又はすすぎサイクル中に自動洗濯機の引き出し又はドラムに添加されてよい。
【0022】
本開示の方法の処理工程は、布地を水性洗浄液と接触させることを含んでよい。布地を水性洗浄液と接触させる工程は、布地を水性すすぎ液と接触させる前に生じてよい。かかる工程は、単一処理サイクル中に生じてよい。水性洗浄液は、水に溶解する、又は希釈される粒状又は液体洗濯洗剤組成物など洗浄組成物を含んでよい。洗剤組成物は、アニオン性界面活性剤を含んでよい。水性洗浄液は、約50ppm~約5000ppm、又は約100ppm~約1000ppmのアニオン性界面活性剤を含んでよい。
【0023】
本発明の方法は、洗浄及びすすぎサイクルを含む洗濯プロセスを含むことができ、細菌芽胞は、洗浄組成物及び/又は添加組成物から布地に送達することができる。細菌芽胞は、洗浄サイクル、すすぎサイクル又は乾燥サイクル、好ましくはすすぎサイクルに送達してもよい。
【0024】
あるいは、水性液は、噴霧の形態で製品から布地に送達することができる。
【0025】
布地
本発明の方法によって処理される布地は、少なくともいくつかの合成繊維、すなわち、天然起源ではない繊維(例えば、綿、亜麻、ジュート、麻、ラミー、絹、羊毛、モヘア、カシミヤ)、又はセルロース系原料から再生された繊維(例えば、ビスコース/リヨセル/レーヨン及び関連する再生セルロース、酢酸塩、三酢酸塩)を含む。好適な合成繊維の例としては、ポリエステル、アクリル、エラスタン(スパンデックス、Lycra)、ポリアミド(ナイロン)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタンが挙げられる。織物の繊維組成は、典型的には製造業者によって宣言されるが、ASTM D629-15:Standard Test Methods for Quantitative Analysis of Textiles,ASTM International,West Conshohocken,PA; 2015などの当業者によく知られている試験方法を使用して実験的に決定することもできる。
【0026】
本明細書において、「合成布地」とは、布地の70重量%超の合成繊維、好ましくは布地の80重量%超、好ましくは95重量%超、好ましくは98重量%超、好ましくは約100重量%の合成繊維を含む布地を意味する。
【0027】
好ましくは、布地は、布地の70重量%超のポリエステル、好ましくは布地の少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも90重量%、更により好ましくは少なくとも95重量%、及び更により好ましくは少なくとも98重量%のポリエステルを含む。織物の非合成繊維含量は、上に列挙した天然繊維又は再生繊維を含んでもよい。布地は、任意にエラスタンを含んでもよい。
【0028】
本明細書において、「水分ウィッキング布地」とは、試験方法1に規定されるように、15分間で水を用いて測定した場合に、少なくとも3cm、より好ましくは少なくとも5cmのウィッキング距離を有する布地を意味する。
【0029】
本発明の水分ウィッキング合成布地は、好ましくは以下の特性を有する。
(i)少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%、最も好ましくは100%の合成繊維を含む。合成繊維は、好ましくは、ポリエステル、ポリアミド(ナイロン)、エラスタン(スパンデックス又はLycraとしても知られるポリエステル-ポリウレタンコポリマー)、アクリル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル(PVC)のうちの1つ以上を含む。
(ii)試験方法1を用いて測定した場合に、少なくとも3cm、より好ましくは少なくとも5cmのウィッキング距離を示す。
【0030】
布地は、着用者の皮膚と接触するように意図された内面と、内面の反対側の外面と、を有する。布地は、好ましくは糸から作られ、より好ましくは布地はポリエステル糸を含む。好ましくは、糸は約30~140デニール、より好ましくは約50~90デニールの線密度を有する。
【0031】
経編みは、糸が布地の長さに沿ってジグザグになる編成方法のファミリーである。すなわち、単一の横列又はコースではなく、隣接する縦列又はウェールに沿って編む。
【0032】
合成布地は、悪臭(「permastink」として知られる)の形成及び保持と長い間関連付けられてきたが、本発明の方法及び組成物は、合成布地上で非常に良好な悪臭除去及び/又は悪臭防止を提供する。
【0033】
合成材料から作製された布地は、疎水性であるために水分を容易に吸収しない。結果として、処理されていない合成布地が中程度の発汗の条件下で着用される場合、布地が水分を吸収しないので、水分が皮膚上に蓄積する傾向がある。したがって、合成繊維で作られた未処理の衣類を着用すると、水が玉になって衣類の内面に捕捉される傾向があり、その結果、衣類が非常に不快になる。
【0034】
未処理の合成織物のウィッキング特性を改善するために、様々な方法が使用されてきた。1つの一般的な方法は、合成繊維から作製された疎水性布地に親水加工を適用して、それを水分ウィッキング布地にすることである。水分移動を改善する第2の方法は、様々な布地構築技術を使用して、一方の表面上でより疎水性であり、他方の表面上でより親水性である布地を作製し、疎水性側から親水性側への水分移動をもたらすことである。
【0035】
第1の方法では、上述したように、親水化加工が合成繊維布地に永続的に適用される。例えば、米国特許第6,855,772号及び第6,544,594号を参照されたい。これらの布地は水分を迅速に移動させて広げ、水分の表面積を増加させて蒸発を促進する。下にある繊維は疎水性であるので、綿又は羊毛繊維とは異なり、繊維自体は水分を吸収しない。これらの布地は繊維自体に水分を吸収しないので、水分は主に繊維と糸との間の毛管に存在する。これは横方向のウィッキングを向上させ、水分の表面積をより大きくし、したがって乾燥をより速くすることができる。しかしながら、水分は依然として布地の厚さ全体に存在する。これは、内面(皮膚に接触している)が濡れたままであり得、かつ粘着性のままであり得ることを意味する。更に、天然繊維布地と比較した場合、合成繊維布地は、ピリング、静電気付着、臭気保持、及び「不自然な」感触などの他の望ましくない特性を有することが一般に知られている。この種の親水処理は、主に合成布地用に設計されている。
【0036】
第2の方法では、布地の一方の側から他方の側に水分を移動させる布地を作製するために、様々な種類の布地構築技術も使用されてきた。1つのそのような布地構造は、米国特許公開第2003/0181118号に記載されており、これは概して、一方の糸がより親水性であり、他方がより疎水性である2つの異なる種類の糸から作製された布地を記載している。これらの糸は、疎水性糸が主に布地の一方の側にあり、親水性糸が主に布地の他方の側にあるように織られるか、又は編まれる。親水性糸の一部分は疎水性側に浸透し、液体を親水性側に導くように作用する。結果として、水は疎水性側から親水性側に移動するが、いくらかの水は両側に残り、親水性チャネルに存在する。同様の種類の布地構造は、米国特許第3,250,095号及び米国特許第6、806,214号にも記載されている。米国特許公開第2006/0148356号及び国際公開第2006/042375号も参照されたい。
【0037】
2種類以上の糸を一緒に織るか、又は編む別の方法は、米国特許第6,381,994号に示されている。この場合、2本の糸は合成繊維糸であり、一方の糸はより大きな空隙サイズを作製する処理を受けている。これらの糸は、処理された繊維が主として布地の一方の側にあり、未処理の繊維が主として布地の他方の側にあるように布地に織られるか、又は編まれる。布地を横切る水分輸送は、糸の種類間の空隙サイズの差によって駆動される。
【0038】
布地構築技術の別の例は、米国特許第6,432,504号に記載されているように、最終布地が2つの異なる親水性布地の層から作製される布地構造からなる。1つの層(衣類の内側又は「皮膚」側)はより粗い繊維から作製され、第2の層はより細かい繊維から作製される。両方の層が水分を吸収してウィッキングするが、より細い繊維か作製された外側層は、より小さい繊維サイズ、したがってより強い毛管ウィッキング力のために、より大きい水分吸収性を有する。吸収性におけるこの差は、より吸収性の低い(より粗い繊維)層からより吸収性の高い(より細かい繊維)層への水分移動を駆動する。この種の構造は、一般に「デニール勾配」と呼ばれる。
【0039】
より複雑な布地構造は、米国特許公開第2003/0182922(A1)号に記載されている。この特許出願は、水分移動を促進する2つの布地を記載している。布地構造は、疎水性繊維の外側シースによって囲まれた親水性繊維の内側コアを有する複合糸の使用に依存する。記載された第1の布地は、複合糸のみから作製される。第2の布地は、互いに結合された布地成分の2つの層から構成される。内側布地成分は疎水性繊維のみから作製される。外側布地成分は、上述の複合糸から作製される。これらの2つの布地成分は、疎水性繊維のみから作製された布地成分が布地の内面上にあり、複合糸(親水性)から作製された布地成分が布地の外面上にあるように、布地を形成するために一緒に接合される。この2層布地を通る水分移動は、内側(疎水性)層と外側(親水性)層との間の親水性の差によって駆動されるが、一般に、外側から内側に横断する親水性糸又は繊維束の形態のある程度のウィッキングチャネルを必要とする。
【0040】
本発明の芽胞含有布地は、吸尽、パディング、転写、噴霧、印刷、コーティング、及び泡塗布などの湿式プロセスを含む任意の仕上げプロセスを使用して製造することができる。使用され得る他のプロセスとしては、マイクロカプセル化、プラズマ適用、ゾルゲル技術及び積層技術が挙げられる。
【0041】
吸尽法は、懸濁された芽胞を含有する液に布地を浸漬することを含む。布地及び/又は液相の撹拌は、布地上への芽胞の沈着をもたらし、これは続いて乾燥される。
【0042】
パディング法は、布地を浴中の芽胞含有液に短時間(典型的には30秒未満)内で通過させることと、圧搾することと、を含む。液を通して布地をパディングした後、パダーのローラーを通して圧搾する前に、液を以下のように分配する:繊維内、毛管領域内-繊維間、糸間の空間、布地表面上。
【0043】
転写方法は、特別なフーラードを含み、布地自体は浴に浸漬されない。むしろ、芽胞を含有する液は、回転ローラーによって取り込まれ、布地の片側に移される。そのような仕上げシステムは、「Lick/Kiss Roll Applicators」として知られ得る。
【0044】
噴霧方法は、芽胞ベースの液体の布地上への従来のノズルによる噴霧と、それに続く乾燥工程、又はスピニングディスク(Farmer Norton)及びローター(Weko)法などの間接噴霧アプリケーターを含み得る。
【0045】
印刷方法は、ブロック印刷、スクリーン印刷、デジタル印刷、直接印刷、吐出印刷及び熱転写印刷を含んでもよい。
【0046】
コーティング方法は、例えば、ドクターブレードを使用して制御されたコーティングのレベルを有する3ローラー直接コーティングシステム(計量ローラー、塗布ローラー及びバックアップローラーを有する)を使用して、高粘度の芽胞ベースの液を布地上に直接添加することを含む。あるいは、2つのローラーを含み、熱及び圧力を使用して芽胞含有基質をコーティングされた剥離紙から布地上に転写する直接転写コーティングシステムを使用してもよい。
【0047】
芽胞含有液の泡を生成するための1つ以上の界面活性剤の使用を含む、多くの泡塗布ベースのシステムが好適である。好適な泡塗布ベースの方法の例としては、オープンフォーム法(水平パッドフォーム、ナイフロールオーバーフォーム、Autofoamシステム)、オフセットオープンフォーム法(Kusters Janusコンタクトローラーシステム及びMonforts真空ドラムシステム)、クローズドフォーム法(FFT Foam Finishing Technology-Gaston County Dyeing Machine、CFS Chemical Foam System-Gaston System、Stork回転スクリーンフォーム塗布装置及びStork CFT Coating and Finishing Technology)である。
【0048】
当業者は、布地の特定の特性及び加工の所望の耐久性に応じて好適な方法を選択することができるであろう。本発明者らは、洗濯堅牢度(「洗濯適性」)に関して比較的低い耐久性を有する芽胞ベースの仕上げ剤が、芽胞が適用媒体中にあまりにもしっかりと包埋されることを回避し、したがって布地の使用中の発芽及び成長に必要な栄養素にアクセスすることを防止するために好ましい場合があることを見出した。例えば、本発明の一実施形態は、芽胞の水性懸濁液による布地の噴霧、デジタル印刷、パディング又は吸尽処理と、それに続く乾燥工程と、を含む。これにより、芽胞は軽く吸着され、十分な栄養素及び水分に曝露されると急速に発芽する。しかしながら、芽胞及び任意の結果として生じる栄養細菌は、その後の洗浄工程において除去される可能性が高く、再適用工程を必要とする。一実施形態では、再適用工程は、洗濯プロセス中、例えば、洗浄、すすぎ、又は乾燥工程中に行われる。別の実施形態では、再適用プロセスは、洗濯プロセスの完了と次の洗濯プロセスの開始との間のある段階で、例えば、衣類が着用される前に、又は物品が次の洗浄サイクルの前に保管のために洗濯かごに入れられるときに、噴霧を使用して行われる。
【0049】
組成物
本開示は、布地を処理するための組成物に関する。本明細書で使用する場合、「布地処理組成物」という語句は、衣類など布地、又は他の織物を処理するために設計された組成物を含む。
【0050】
かかる組成物としては、洗濯洗浄組成物及び洗剤、布地消臭組成物、予洗い用洗剤(laundry prewash)、洗濯前処理剤、洗濯添加剤、噴霧製品、洗濯すすぎ添加剤、洗浄添加剤、すすぎ後布地処理剤、単位用量配合物、遅延送達配合物、多孔性基材若しくは不織布シート上又は中に含有される洗剤、及び本明細書の教示を考慮すると当業者に明白であり得るその他の好適な形態が挙げられてよいが、これらに限定されない。かかる組成物を、洗濯前処理剤、洗濯後処理剤として使用してもよく、又は洗濯プロセスの洗浄及び/又はすすぎサイクル中に添加してもよい。
【0051】
本発明の組成物は、布地コンディショニング活性物質を実質的に含まない。布地コンディショニング活性物質としては、四級アンモニウムエステル化合物、シリコーン、非エステル四級アンモニウム化合物、アミン、脂肪酸エステル、スクロースエステル、シリコーン、分散性ポリオレフィン、多糖類、脂肪酸、柔軟オイル若しくはコンディショニングオイル、ポリマーラテックス又はこれらの組み合わせが挙げられる。組成物は、好ましくは、漂白剤を含まない。
【0052】
組成物は、任意の好適な形態であり得る。製品は、液体組成物、顆粒状組成物、単区画パウチ、多区画パウチ、シート、トローチ又はビーズ、繊維状物品、錠剤、バー、フレーク、又はこれらの混合物の形態であってよい。製品は、液体、固体、又はこれらの組み合わせから選択することができる。
【0053】
組成物は、液体形態であってもよい。組成物は、当該組成物の約30重量%から約90重量%、又は約50重量%~約80重量%の水を含んでよい。組成物のpHは、20℃で測定した場合に、約1~約6である。組成物が液体形態である場合、pHはニートで測定され、組成物が固体形態である場合、pHは1%w/v水溶液中で測定される。
【0054】
組成物は、洗浄又は添加組成物であってもよく、錠剤、パウチ、シート、又は繊維状物品などの、単位化用量物品の形態であってもよい。このようなパウチは、典型的には、組成物を少なくとも部分的に封入する水溶性フィルム、例えば、ポリビニルアルコール水溶性フィルムを含む。好適なフィルムは、MonoSol,LLC(Indiana,USA)から入手可能である。組成物は、単区画パウチ又は多区画パウチに封入することができる。多区画パウチは、少なくとも2つ、少なくとも3つ、又は少なくとも4つの区画を有してもよい。多区画パウチは、並べて及び/又は重ねて配置された区画を含んでもよい。パウチ又はその区画に含有される組成物は、液体、固体(粉末など)又はそれらの組み合わせであってもよい。パウチ組成物は、例えば洗剤組成物の約20重量%未満、又は約15重量%未満、又は約12重量%未満、又は約10重量%未満、又は約8重量%未満の水といった比較的低量の水を有してもよい。
【0055】
組成物は、錠剤又はビーズの形態であり得る。錠剤は、担体としてポリエチレングリコールを含んでよい。ポリエチレングリコールは、約2000~約20,000ダルトン、好ましくは約5000~約15,000ダルトン、更により好ましくは約6000~約12,000ダルトンの重量平均分子量を有してよい。
【0056】
組成物は、担体として作用し得る、及び/又は安定性を促進し得る非水性溶媒を含んでよい。非水性溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、1,3-プロパンジオール、1,2-プロパンジオール、エチレングリコール、グリセリン、グリコールエーテル、炭化水素、又はこれらの混合物などの有機溶媒を挙げることができる。
【0057】
細菌芽胞
細菌芽胞は表面上に存在し得るが、本発明の方法は、消費者に顕著な利益、特に悪臭除去及び防止の利益を提供することができる量で細菌芽胞を布地表面に意図的に添加することを含む。好ましくは、本発明の方法は、表面の少なくとも1×10CFU/g、好ましくは表面の少なくとも1×10CFU/g、好ましくは表面の少なくとも1×10CFU/g、好ましくは表面の少なくとも1×10CFU/g、好ましくは表面の1×1012CFU/g未満の意図的な添加を必要とする。「細菌芽胞の意図的な添加」とは、本明細書では、布地上に存在し得る微生物に加えて、芽胞が添加されることを意味する。
【0058】
本発明の方法及び組成物において使用される微生物芽胞は、洗浄又はすすぎサイクルに加えるか、又は布地上に直接噴霧することができる。芽胞は、洗濯機で見られる温度での熱によって不活性化されない。芽胞は、布地持続性であり、洗濯プロセス中及び洗濯プロセス後、特に布地の使用(例えば、着用)中及び使用後に悪臭制御を提供する。
【0059】
本発明の方法及び組成物の微生物芽胞は、布地上で発芽することができる。芽胞は、熱、例えば、布地の使用中に発生する熱によって、又は洗濯機において提供される熱によって活性化することができる。芽胞は、布地が保管及び/又は使用されるときに発芽することができる。悪臭前駆体は、発芽を促進する栄養素としての芽胞によって産生される微生物によって使用することができる。
【0060】
布地は、湿式洗濯プロセスで処理することができ、あるいは、例えば噴霧することによって洗浄した後に湿式で処理することができる。洗浄プロセスは、布地上の微生物及び代謝産物の量を低減するが、洗濯機及び洗浄水からの更なる細菌が布地に移動し得る。
【0061】
本明細書で使用するための細菌芽胞は、i)洗濯プロセスで見られる温度を生き延びることができ、ii)布地持続性であり、iii)臭気を制御する能力を有し、iv)好ましくは、洗濯洗剤の浄化作用を支持する能力を有する。芽胞は、処理中に発芽して細胞を形成する能力を有し、栄養素として悪臭前駆体を使用して布地上で発芽して細胞を形成し続ける。芽胞は、液体又は固体形態で供給することができる。好ましくは、芽胞は、固体の形態である。
【0062】
いくつかのグラム陽性細菌は、2段階の生活環を有する。その生活環中、栄養不足状態に応答するなどの特定の条件下で成長している細菌は、芽胞又は内生芽胞形成につながる精巧な発生プログラムを実行され得る。細菌芽胞は、興味深い形態的及び機械的特性を有する、生化学的に複雑な構造として組み立てられた、約60個の異なるタンパク質からなるコートによって保護される。そのタンパク質コートは、強剛性を提供する静的構造と見なされ、溶菌酵素などの外因性の大きな毒性分子を除外するためのふるいとして主に作用する。芽胞は、極端な環境条件に対して非常に耐性があるため、種の長期生存において重要な役割を果たす。芽胞はまた、長年にわたって、代謝的に休眠状態であり続けることができる。栄養細胞から細菌芽胞を得るための方法は、当該分野で周知である。いくつかの例では、栄養細菌細胞は液体培地で増殖させられる。後期対数増殖期又は初期定常期から、細菌は芽胞形成を開始し得る。細菌が芽胞形成を終了すると、例えば遠心分離を使用することにより、それらの芽胞を培地から得ることができる。任意の残りの栄養細胞を殺傷又は除去するために、様々な方法が使用され得る。様々な方法を使用して、細胞破片及び/又は他の材料又は物質から、芽胞を精製することができる。細菌芽胞は、例えば、様々な技術、相造影顕微鏡法、自動走査顕微鏡法、高解像度原子力顕微鏡法、又は耐熱性法を使用して、栄養細胞から分化され得る。細菌芽胞は、一般に、代謝的に不活性又は休止している、環境に耐性を有する構造であるため、市販の微生物製品で使用されるように容易に選択される。丈夫さ及び極端に長い寿命にも関わらず、芽胞は、栄養細菌へと戻ることで生活環を完了させるプロセスの初期段階である発芽によって休眠状態を中断するための好ましい状態を知らせる、発芽として知られている特定の小分子の存在に迅速に応答することができる。例えば、市販の微生物生成物は、芽胞が環境内に存在する胚に遭遇する環境内に分散されて、栄養細胞内で発芽し、意図された機能を実施するように設計され得る。様々な異なる細菌が芽胞を形成し得る。これらの群のいずれかからの細菌は、本明細書に開示される組成物、方法、及びキットに使用され得る。例えば、以下の属:アセトネマ、アルカリバチルス、アンモニフィラス、アムピバチルス、アナエロバクター、アナエロスポラ、アネウリバチルス、アノキシバチルス、バチルス、ブレビバチルス、カルダナエロバクタ-、カロラマター、カミニセラ、セラシバチルス、クロストリジウム、クロストリジイサリバクター、コーネラ、デンドロスポロバクター、デスルホトマクルム、デスルホスポロムサ、デスルホスポロシヌス、デスルホビルグラ、デスルフニスポラ、デスルフリスポラ、フィリファクター、フィロバチルス、ゲルリア、ゲオバチルス、ゲオスポロバクター、グラシリバチルス、ハロナトローナム、ヘリオバクテリウム、ヘリオフィラム、ラセエラ、レンチバチルス、ライシニバチルス、マヘラ、メタバクテリウム、モーレラ、ナトロニエラ、オセアノバチルス、オレニア、オルニチンバチルス、オキサロファーガス、オキソバクター、パエニバチルス、パラリオバチルス、ペロスポラ、ペロトマクルム、ピスシバチルス、プラニフィラム、ポンチバチルス、プロピオニスポラ、サリニバチルス、サルスギニバチルス、セイノネラ、シマズエラ、スポラセチゲニウム、スポロアナエロバクタ-、スポロバクター、スポロバクテリウム、スポロハロバクター、スポロラクトバチルス、スポロムサ、スポロサルチア、スポロタレア、スポロトマキュラム、シントロフォモナス、シントロフォスポラ、テヌイバチルス、テピディバクター、テリバチルス、タラソバチルス、サーモアセトゲ二ウム、サーモアクチノマイセス、サーモアルカリバチルス、サーモアナエロバクター、サーモアナエロモナス、サーモバチルス、サーモフラビミクロビウム、サーモベナブラム、チュベリバチルス、バルジバチルス、及び/又はブルカノバチルスのうちのいくつかの細菌は、芽胞を形成し得る。
【0063】
好ましくは、芽胞を形成し得る細菌は、バシラセエ科、例えば、アエリバチルス、アリイバチルス、アルカリバチルス、アルカリコッカス、アルカリハロバチルス、アルカリラクチバチルス、アロバチルス、アルテリバチルス、アルテリバクター、アムピバチルス、アナエロバチルス、アノキシバチルス、アクイバチルス、アクイサリバチルス、アウレイバチルス、バチルス、カルダルカリバチルス、カルジバチルス、カルディテリコラ、カリディフォンティスバチルス、カメリイバチルス、セラシバチルス、コンポスティバチルス、サイトバチルス、デゼルティバチルス、ドミバチルス、エクトバチルス、エバンセラ、ファルシバチルス、フェルディナンドコヒナ、フェルメンティバチルス、フィクチバチルス、フィロバチルス、ゲオバチルス、ゲオミクロビウム、ゴットフリーディア、グラシリバチルス、ハルアルカリバチルス、ハロバチルス、ハロラクチバチルス、ヘインドリクキシア、ヒドロゲニバチルス、レデルベルジア、レンチバチルス、リッチフィエルディア、ロッティデバチルス、マルガリーチア、マリノコッカス、メルギリバチルス、メソバチルス、メタバチルス、ミクロアエロバクター、ナトリバチルス、ナトロノバチルス、ネオバチルス、ニアリア、オセアノバチルス、オルニチニバチルス、パラゲオバチルス、パラリオバチルス、パラルカリバチルス、パウシサリバチルス、ペラギラブドス、ペリバチルス、ピスシバチルス、ポリゴニバチルス、ポンチバチルス、プラドシア、プリエスチア、シュードグラシリバチルス、プエリバチルス、ラディオバチルス、ロベルトムラヤ、ロゼルロモレア、サッカロコッカス、サリバクテリウム、サリミクロビウム、サリニバチルス、サリパルディバチルス、サリラブダス、サリセディミニバクテリウム、サリテリバチルス、サルシューギニバチルス、セディミニバチルス、シミノビチア、シニバチルス、シノバカ、ストレプトハロバチルス、サクリフィエラ、スウィオニバチルス、テニューイバチルス、テピディバチルス、テルリバチルス、テルリラクチバチルス、テクスココニバチルス、タラソバチルス、タラソラブドス、サーモロンギバチルス、バルジバチルス、バルディバシル、ブルカニバチルス、ヴァイツマニア属の種由来である。様々な例では、細菌は、バチルス バチルス・アキディコラ、バチルス・アエオリウス、バチルス・アエリウス、バチルス・アエロフィルウス、バチルス・アルブス、バチルス・アルティチュジニス、バチルス・アルベアユエンシス、バチルス・アミロリクエファシエンセクス、バチルス・アンスラシス、バチルス・アクイフラビ、バチルス・アトロファエウス、バチルス・アウストラリマリス、バチルス・バディウス、バチルス・ベンゾエボランス、バチルス・カブリアレシイ、バチルス・カナベラリウス、バチルス・カッパリディス、バチルス・カルボニフィルス、バチルス・セレウス、バチルス・チャガンゲンシス、バチルス・コアフイレンシス、バチルス・サイトトキシクス、バチルス・デシシフロンディス、バチルス・エクトイニフォルマンス、バチルス・エンクレンシス、バチルス・フェングクゥエンシス、バチルス・フンゴルム、バチルス・グリチニフェルメンタンス、バチルス・ゴビエンシス、バチルス・ハロトレランス、バチルス・ハイネシイ、バチルス・ホルティ、バチルス・イナクォソルム、バチルス・インファンチス、バチルス・インフェルナス、バチルス・イサベリアエ、バチルス・ケクェアエ、バチルス・リケニフォルミス、バチルス・ルティ、バチルス・マヌセンシス、バチルス・マリニセディメントーラム、バチルス・メソフィルス、バチルス・メタノリカス、バチルス・モビリス、バチルス・モジャベンシス、バチルス・ミコイデス、バチルス・ナカムライ、バチルス・ヌジオピクス、バチルス・ニトラチレデゥセンス、バチルス・オレイボランス、バチルス・パシフィクス、バチルス・パキスタネンシス、バチルス・パラリケニフォルミス、バチルス・パラミコイデス、バチルス・パランスラシス、バチルス・ペルバグス、バチルス・ピスチコラ、バチルス・プロテオリティクス、バチルス・シュードミコイデス、バチルス・プミルス、バチルス・サフェンシス、バチルス・サラセティス、バチルス・サリナス、バチルス・サリトレランス、バチルス・セオハエアネンシス、バチルス・シバジイ、バチルス・シアメンシス、バチルス・スミティ、バチルス・ソリマングロビ、バチルス・ソングクレンシス、バチルス・ソノレンシス、バチルス・スピジゼニイ、バチルス・スポンギアエ、バチルス・ステアルコリス、バチルス・ストラトスフェリクス、バチルス・サブチリス、バチルス・スウェヅェイ、バチルス・タエアネンシス、バチルス・タマリシス、バチルス・テキレンシス、バチルス・サーモクロアカエ、バチルス・サーモトレランス、バチルス・チューリンギエンシス、バチルス・チアンシェニイ、バチルス・トヨネンシス、バチルス・トロピカス、バチルス・バリスモルティス、バチルス・ベレズエンシス、バチルス・ヴィエドマンニイ、バチルス・ヴダリアンキエンシス、バチルス・キアメネンシス、バチルス・キアプエンシス、バチルス・ザングゾウエンシス、又はそれらの組み合わせの株であり得る。
【0064】
一部の例では、芽胞を形成する細菌株は、バチルス株であってよく、例としては、バチルス種株SD-6991、バチルス種株SD-6992、バチルス種株NRRL B-50606、バチルス種株NRRL B-50887、バチルス・プミルス株NRRL B-50016、バチルス・アミロリクエファシエンス株NRRL B-50017、バチルス・アミロリクエファシエンス株PTA-7792(以前はバチルス・アトロファエウスと分類されていたもの)、バチルス・アミロリクエファシエンス株PTA-7543(以前はバチルス・アトロファエウスと分類されていたもの)、バチルス・アミロリクエファシエンス株NRRL B-50018、バチルス・アミロリクエファシエンス株PTA-7541、バチルス・アミロリクエファシエンス株PTA-7544、バチルス・アミロリクエファシエンス株PTA-7545、バチルス・アミロリクエファシエンス株PTA-7546、バチルス・サブチリス株PTA-7547、バチルス・アミロリクエファシエンス株PTA-7549、バチルス・アミロリクエファシエンス株PTA-7793、バチルス・アミロリクエファシエンス株PTA-7790、バチルス・アミロリクエファシエンス株PTA-7791、バチルス・サブチリス株NRRL B-50136(DA-33R、ATCC受入番号55406としても知られているもの)、バチルス・アミロリクエファシエンス株NRRL B-50141、バチルス・アミロリクエファシエンス株NRRL B-50399、バチルス・リケニフォルミス株NRRL B-50014、バチルス・リケニフォルミス株NRRL B-50015、バチルス・アミロリクエファシエンス株NRRL B-50607、バチルス・サブチリス株NRRL B-50147(300Rとしても知られているもの)、バチルス・アミロリクエファシエンス株NRRL B-50150、バチルス・アミロリクエファシエンス株NRRL B-50154、バチルス・メガテリウム PTA-3142、バチルス・アミロリクエファシエンス株ATCC受入番号55405(300としても知られているもの)、バチルス・アミロリクエファシエンス株ATCC受入番号55407(PMXとしても知られているもの)、バチルス・プミルス NRRL B-50398(ATCC 700385、PMX-1、及びNRRL B-50255としても知られているもの)、バチルス・セレウス ATCC受入番号700386、バチルス・チューリンギエンシス ATCC受入番号700387(上記の全ての株は、Novozymes,Inc.,USAから入手可能である)、バチルス・アミロリクエファシエンス FZB24(例えば、Novozymesから入手可能な分離株である、NRRL B-50304及びNRRL B-50349 TAEGRO(登録商標))、バチルス・サブチリス(例えば、Bayer CropScience社から入手可能なRHAPSODY(登録商標)、SERENADE(登録商標)MAX、及びSERENADE(登録商標)ASOにおけるNRRL B-21661分離株)、バチルス・プミルス(例えば、Bayer CropScience社から入手可能なNRRL B-50349分離株)、バチルス・アミロリクエファシエンス TrigoCor(「TrigoCor 1448」としても知られているもの、例えば、Cornell University,USAから入手可能なEmbrapa Trigo受入番号144/88.4Lev、Cornell受入番号Pma007BR-97、及びATCC受入番号202152の分離株)、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0065】
いくつかの例では、芽胞を形成する細菌株は、バチルス・アミロリクエファシエンス株であり得る。例えば、株は、バチルス・アミロリクエファシエンス株PTA-7543(以前は、バチルス・アトロファエウスと分類されたもの)、及び/又はバチルス・アミロリクエファシエンス株NRRL B-50154、バチルス・アミロリクエファシエンス株PTA-7543(以前はバチルス・アトロファエウスと分類されたもの)、バチルス・アミロリクエファシエンス株NRRL B-50154、又は他のバチルス・アミロリクエファシエンス微生物からのものであり得る。
【0066】
いくつかの例では、芽胞を形成する細菌株は、ブレビバチルス種であってよく、例えば、ブレビバチルスブレビス(Brevibacillus brevis)、ブレビバチルス・フォーモサス(Brevibacillus formosus)、ブレビバチルス・ラテロスポラス(Brevibacillus laterosporus)、若しくはブレビバチルス・パラブレービス(Brevibacillus parabrevis)、又はそれらの組み合わせであり得る。
【0067】
いくつかの例では、芽胞を形成する細菌株は、パエニバチルス(Paenibacillus)種であってよく、例えばパエニバチルス・アルベイ(Paenibacillus alvei)、パエバチルス・アミロリティカス(Paenibacillus amylolyticus)、パエバチルス・アゾトフィクサンス(Paenibacillus azotofixans)、パエニバチルス・クッキイ(Paenibacillus cookii)、パエニバチルス・マセランス(Paenibacillus macerans)、パエニバチルス・ポリミクサ(Paenibacillus polymyxa)、若しくはパエニバチルス・バリダス(Paenibacillus validus)、又はそれらの組み合わせであり得る。
【0068】
細菌芽胞は、約0.5~50、又は2~50ミクロン、又は10~45ミクロン、又は0.5~6ミクロン、好適には約1~5ミクロンの平均粒径を有し得る。バチルス芽胞は、水性担体中のブレンドで市販されており、この水性担体には不溶である。他の市販のバチルス芽胞ブレンドとしては、以下のものに限定されるわけではないが、Novozymes Biologicals,Inc.から入手可能な、Freshen Free(商標)CAN(10X)、Genesis Biosciences,Inc.から入手可能なEvogen(登録商標)Renew Plus(10X)、及びGenesis Biosciences,Inc.から全て入手可能なEvogen(登録商標)GT(10X、20X、及び110X)が挙げられる。前述のリストでは、括弧内の表記(10X、20X、及び110X)は、バチルス芽胞の相対濃度を示す。
【0069】
本明細書に開示される組成物、方法、及び製品で使用される細菌芽胞は、熱活性化されていても、熱活性化されていなくてもよい。いくつかの例では、細菌芽胞は熱活性化されている。いくつかの例では、細菌芽胞は熱不活性化されていない。好ましくは、本明細書で使用される芽胞は、熱活性化される。熱活性化は、室温(15~25℃)から25~120℃、好ましくは40C~100℃の最適温度まで細菌芽胞を加熱し、最適温度を2時間以下、好ましくは70~80℃で30分間保持することを含み得る。
【0070】
本明細書に開示される方法、組成物、及び生成物について、細菌芽胞の集団が一般に使用される。いくつかの例では、細菌芽胞の集団は、細菌の単一株からの細菌芽胞を含み得る。好ましくは、細菌芽胞の集団は、2、3、4、5、又はそれ以上の細菌株の細菌芽胞を含み得る。一般に、細菌芽胞の集団は、大多数の芽胞と、少数の栄養細胞とを含有する。いくつかの例では、細菌芽胞の集団は、栄養細胞を含まない。いくつかの例では、細菌芽胞の集団は、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、又は50%未満の栄養細胞を含有してもよく、細菌芽胞のパーセンテージは、((栄養細胞数/(集団中の芽胞数+集団中の栄養細胞数))×100)として計算される。一般に、開示された方法、組成物、生成物中で使用される細菌芽胞の集団は、安定しており(すなわち、発芽中ではない)、集団中の少なくともいくつかの個々の芽胞は、発芽できる状態にある。
【0071】
本開示で使用される細菌芽胞の集団は、異なる濃度で細菌芽胞を含み得る。様々な例では、細菌芽胞の集団は、少なくとも1×10、5×10、1×10、5×10、1×10、5×10、1×10、5×10、1×10、5×10、1×10、5×10、1×10、5×10、1×10、5×10、1×1010、5×1010、1×1011、5×1011、1×1012、5×1012、1×1013、5×1013、1×1014、又は5×1014個/mL、個/グラム、又は個/cmの芽胞を含み得るが、それらに限定されない。
【0072】
好ましい組成物は、20℃で測定して約1~約6のpHを有する水性組成物であり、好ましくは組成物は、組成物の1~20重量%の有機酸を含み、好ましくは有機酸は、酢酸、クエン酸、乳酸及びそれらの混合物からなる群から選択される。好ましくは、組成物は、ポリマーを含む。好ましくは、組成物は汚れ放出ポリマーを含む。
【0073】
好ましくは、組成物は、
(a)好ましくは酢酸、クエン酸、乳酸及びそれらの混合物からなる群から選択される有機酸と、
(b)組成物の約1重量%~約25重量%の第1のポリマーであって、汚れ放出ポリマー(SRP)である、第1のポリマーと、
(c)任意に、組成物の約1重量%~約25重量%の第2のポリマーであって、好ましくは第2のポリマーが、グラフトコポリマー、アルコキシル化ポリアルキレンイミンポリマー、又はこれらの混合物であり、
グラフトコポリマーが存在する場合、グラフトコポリマーは、
i)グラフトベースとしての水溶性ポリアルキレンオキシドと、
ii)ビニルエステル成分の重合によって形成される1つ以上の側鎖と、を含む、第2のポリマーと、を含む。
【0074】
組成物は、汚れ放出ポリマー(テレフタレート由来の汚れ放出ポリマーなど)である第1のポリマー(a)と、PEG/酢酸ビニルグラフトコポリマー、アルコキシル化ポリアルキレンイミンポリマー、又はこれらの混合物から選択される第2のポリマー(b)と、を含んでもよい。ポリマー(a)及び(b)は、ポリマー系を形成してよい。ポリマー系は、追加のポリマー、好ましくは布地に効果をもたらすポリマーを含んでよい。以下の実施例によって示すように、ポリマー(a)及び(b)を組み合わせて含む布地処理組成物は、ポリマー(a)又はポリマー(b)のみを含む組成物と比較して、優れたウィッキング効果を布地にもたらす。
【0075】
好適な洗浄成分としては、界面活性剤のうちの少なくとも1つが挙げられるが、好ましくは、組成物は、酵素、酵素安定化系、洗剤ビルダー、キレート剤、錯化剤、粘土汚れ除去/再付着防止剤、ポリマー汚れ放出剤、ポリマー分散剤、ポリマーグリース洗浄剤、移染防止剤、起泡増進剤、消泡剤、抑泡剤、防食剤、汚れ懸濁剤、染料、色相染料、曇り防止剤、蛍光増白剤、香料、飽和又は不飽和脂肪酸、カルシウムカチオン、マグネシウムカチオン、視覚信号成分、構造化剤、増粘剤、固結防止剤、デンプン、砂、ゲル化剤、又はこれらの任意の組み合わせを実質的に含まない。
【0076】
界面活性剤系:組成物は、所望の洗浄特性を与えるのに十分な量の界面活性剤系を含み得る。界面活性剤系は、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、双性イオン界面活性剤、両性界面活性剤、両性電解質界面活性剤、及びこれらの混合物から選択される洗浄性界面活性剤を含んでもよい。当業者であれば、洗浄性界面活性剤は、汚れた材料に洗浄、染み除去、又は洗濯効果をもたらす、任意の界面活性剤又は界面活性剤混合物を包含することを理解するであろう。好ましくは、組成物は、アニオン性界面活性剤を実質的に含まない。好ましくは、組成物は、カチオン性界面活性剤を実質的に含まない。
【0077】
酵素。好ましくは、当該組成物は1つ以上の酵素を含む。好ましい酵素は、洗浄性能及び/又は布地ケア効果をもたらす。好適な酵素の例としては、ヘミセルラーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、マンナナーゼ、ガラクタナーゼ、ペクテートリアーゼ、ケラチナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、β-グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ、及びアミラーゼ、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。典型的な組み合わせは、例えば、プロテアーゼ及びリパーゼをアミラーゼと共に含んでよい酵素カクテルである。
【0078】
酵素安定化系。組成物は、組成物の約0.001重量%~約10重量%の酵素安定化系を任意に含み得る。酵素安定化系は、洗浄性酵素と適合性のある任意の安定化系であってよい。プロテアーゼを含む水性洗剤組成物の場合は、ボレート、4-ホルミルフェニルボロン酸、フェニルボロン酸、及びこれらの誘導体を含む、ホウ素化合物などの可逆的プロテアーゼ阻害剤、又はカルシウムホルメート、ナトリウムホルメート及び1,2-プロパンジオールなどの化合物を添加して、安定性を更に改善してもよい。
【0079】
ビルダー。組成物は、ビルダー又はビルダー系を任意に含み得る。ビルダー入り洗浄組成物は、典型的には、組成物の総重量に基づいて、少なくとも約1%のビルダーを含む。液体洗浄組成物は、当該組成物の総重量の最大約10%、及び一部の例では、最大約8%のビルダーを含み得る。顆粒洗浄組成物は、当該組成物の重量基準で、最大約30%、及びいくつかの例では、最大約5%のビルダーを含み得る。
【0080】
アルミノシリケート(例えば、ゼオライトA、ゼオライトP、及びゼオライトMAPなどのゼオライトビルダー)及びシリケートから選択されるビルダーは、洗浄水の鉱物質硬度、特にカルシウム及び/若しくはマグネシウムの制御、又は表面からの微粒子汚れの除去を補助する。好適なビルダーは、ポリリン酸塩(例えばトリ-ポリリン酸ナトリウム)、特にそのナトリウム塩などのリン酸塩;炭酸塩、重炭酸塩、セスキ炭酸塩、及び炭酸ナトリウム又はセスキ炭酸塩以外の炭酸塩鉱物;有機モノ-、ジ-、トリ-、及びテトラカルボキシレート、特に、酸、ナトリウム、カリウム、又はアルカノールアンモニウム塩形態の水溶性非界面活性剤カルボキシレート、並びに脂肪族及び芳香族の種類を含むオリゴマー又は水溶性低分子量ポリマーカルボキシレート、並びにフィチン酸からなる群から選択され得る。これらは、例えば、pH緩衝化の目的のためのボレートによって、又は硫酸塩、特に硫酸ナトリウム、及び安定な界面活性剤及び/又はビルダー含有洗浄組成物の工学に重要となり得る任意の他の充填剤又はキャリアによって補完されてもよい。追加の好適なビルダーは、クエン酸、乳酸、脂肪酸、ポリカルボキシレートビルダー、例えば、アクリル酸のコポリマー、アクリル酸及びマレイン酸のコポリマー、並びにアクリル酸及び/又はマレイン酸、並びに様々な種類の追加の官能基を有する他の好適なエチレン系モノマーのコポリマーから選択され得る。また、本明細書のビルダーとしての使用に好適なものは、鎖構造を有し、以下の一般的な無水物形態x(MO)・ySiO2・zM’Oによって表される組成を有する、合成された結晶性イオン交換材料又はその水和物であり、式中、Mは、Na及び/又はKであり、M’は、Ca及び/又はMgであり、y/xは、0.5~2.0であり、z/xは、0.005~1.0である。
【0081】
あるいは、組成物はビルダーを実質的に含まなくてもよい。
【0082】
キレート剤。組成物はまた、1つ以上の金属イオンのキレート剤を含み得る。好適な分子としては、銅、鉄、及び/又はマンガンキレート剤並びにこれらの混合物が挙げられる。このようなキレート剤は、ホスホネート、アミノカルボキシレート、アミノホスホネート、スクシネート、多官能的に置換された芳香族キレート剤、2-ピリジノール-Nーオキシド化合物、ヒドロキサム酸、カルボキシメチルイヌリン、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。キレート剤は、酸の形態、又は、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、及びその置換アンモニウム塩、並びにこれらの混合物を含む、塩の形態で存在することができる。
【0083】
移染防止剤。当該組成物は、1つ以上の移染防止剤を更に含んでいてもよい。好適な移染防止剤としては、例えば、ポリビニルピロリドンポリマー、ポリアミンN-オキシドポリマー、N-ビニルピロリドンとN-ビニルイミダゾールとのコポリマー、ポリビニルオキサゾリドン、ポリビニルイミダゾール、マンガンフタロシアニン、ペルオキシダーゼ、ポリビニルピロリドンポリマー、エチレンジアミン四酢酸(EDTA);ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸(DTPMP);ヒドロキシエタンジホスホン酸(HEDP);エチレンジアミンN,N’-二コハク酸(EDDS);メチルグリシン二酢酸(MGDA);ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA);プロピレンジアミン四酢酸(PDT A);2-ヒドロキシピリジン-N-オキシド(HPNO);又はメチルグリシン二酢酸(MGDA);グルタミン酸N,N-二酢酸(N,N-ジカルボキシメチルグルタミン酸四ナトリウム塩(GLDA);ニトリロ三酢酸(NTA);4,5-ジヒドロキシ-m-ベンゼンジスルホン酸;クエン酸及びその任意の塩;N-ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、トリエチレンテトラアミン六酢酸(TTHA)、N-ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HEIDA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、エチレンジアミン四プロピオン酸(EDTP)、及びこれらの誘導体、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0084】
好ましくは、組成物は、漂白化合物を実質的に含まない。
【0085】
増白剤。光学増白剤又は他の増白剤若しくは白化剤は、組成物の約0.01重量%~約1.2重量%の濃度で組み込むことができる。
【0086】
本明細書で使用され得る市販の光学増白剤は、スチルベン、ピラゾリン、クマリン、ベンゾオキサゾール、カルボン酸、メチンシアニン、ジベンゾチフェン(dibenzothiophene)-5,5-ジオキシド、アゾール、5及び6員複素環、並びに他の様々な剤の誘導体が挙げられるが必ずしもこれらに限定されないサブグループに分類することができる。
【0087】
いくつかの例では、蛍光増白剤は、4,4’-ビス{[4-アニリノ-6-モルホリノ-s-トリアジン-2-イル]-アミノ}-2,2’-スチルベンジスルホン酸二ナトリウム(増白剤15、商標名Tinopal AMS-GXとしてCiba Geigy Corporationにより市販)、4,4’-ビス{[4-アニリノ-6-(N-2-ビス-ヒドロキシエチル)-s-トリアジン-2-イル]-アミノ}-2,2’-スチルベンジスルホン酸二ナトリウム(商標名Tinopal UNPA-GXとしてCiba-Geigy Corporationにより市販)、4,4’-ビス{[4-アニリノ-6-(N-2-ヒドロキシエチル-N-メチルアミノ)-s-トリアジン-2-イル]-アミノ}-2,2’-スチルベンジスルホン酸二ナトリウム(商標名Tinopal 5BM-GXとしてCiba-Geigy Corporationにより市販)からなる群から選択される。より好ましくは、蛍光増白剤は、4,4’-ビス{[4-アニリノ-6-モルホリノ-s-トリアジン-2-イル]-アミノ}-2,2’-スチルベンジスルホン酸二ナトリウムである。
【0088】
増白剤は、粒子の形で又は好適な溶剤、例えば非イオン性界面活性剤、モノエタノールアミン、プロパンジオールとのプレミックスとして添加されてもよい。
【0089】
布地色相剤。組成物は、布地色相剤(色合い剤、青味剤、又は白化剤と称される場合もある)を含み得る。典型的には、色相剤は、布地に青色又は青紫色の色合いをもたらす。色相剤は、単独又は組み合わせのいずれかで使用され、特定の色相の色合いを作り出し、かつ/又は異なる種類の布地に色合いを付けることができる。これは、例えば赤と緑-青の染料とを混合して青又は紫の色合いを生じさせることによりもたらされ得る。色相剤は、アクリジン、アントラキノン(多環式キノンを含む)、アジン、前金属化した(premetallized)アゾを含むアゾ(例えば、モノアゾ、ジアゾ、トリスアゾ、テトラキスアゾ、ポリアゾ)、ベンゾジフラン及びベンゾジフラノン、カロテノイド、クマリン、シアニン、ジアザヘミシアニン、ジフェニルメタン、ホルマザン、ヘミシアニン、インジゴイド、メタン、ナフタルイミド、ナフトキノン、ニトロ及びニトロソ、オキサジン、フタロシアニン、ピラゾール、スチルベン、スチリル、トリアリールメタン、トリフェニルメタン、キサンテン、並びにこれらの混合物を含むが、これらに限定されない任意の既知の染料の化学分類から選択され得る。
【0090】
封入物。組成物は、カプセル化剤を含み得る。カプセル化剤は、コアと、内面及び外面を有するシェルと、を含んでもよく、シェルによりコアをカプセル化する。
【0091】
特定の態様では、カプセル化剤はコアとシェルとを含み、コアは、香料、増白剤、染料、防虫剤、シリコーン、ワックス、着香剤、ビタミン、布地柔軟化剤、スキンケア剤、例えば、パラフィン、酵素、抗菌剤、漂白剤、感覚剤、又はこれらの混合物から選択される材料を含み、シェルは、ポリエチレン、ポリアミド、任意に他のコ-モノマーを含有するポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリイソプレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリオレフィン、多糖類、例えば、アルギネート及び/若しくはキトサン、ゼラチン、シェラック、エポキシ樹脂、ビニルポリマー、水不溶性無機材料、シリコーン、アミノ樹脂、又はこれらの混合物から選択される材料を含む。シェルがアミノプラストを含むいくつかの態様では、アミノプラストは、ポリ尿素、ポリウレタン及び/又はポリ尿素ウレタンを含む。ポリ尿素は、ポリオキシメチレン尿素及び/又はメラミンホルムアルデヒドを含み得る。
【0092】
他の成分。組成物は、ケイ酸塩を更に含んでいてもよい。好適なケイ酸塩としては、例えば、ケイ酸ナトリウム、二ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、結晶質フィロケイ酸塩、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。いくつかの実施形態では、ケイ酸塩は、組成物の総重量に基づいて、約1重量%~約20重量%の濃度で存在し得る。
【0093】
組成物は、起泡増進剤、泡抑制剤、防食剤、汚れ懸濁剤、汚れ再付着防止剤、染料、殺菌剤、曇り防止剤、蛍光増白剤、又は香料などの従来の洗剤成分を更に含んでいてもよい。
【0094】
組成物は、任意に、飽和又は不飽和脂肪酸、好ましくは飽和又は不飽和C12~C24脂肪酸;付着助剤、例えば、多糖、セルロースポリマー、ポリジアリルジメチルアンモニウムハライド(DADMAC)、及びランダム又はブロック構成のDADMACとビニルピロリドン、アクリルアミド、イミダゾール、イミダゾリニウムハライド、及びこれらの混合物とのコポリマー、カチオン性グアーガム、カチオン性セルロース、カチオン性デンプン、カチオン性ポリアシルアミド、又はこれらの組み合わせを更に含み得る。存在する場合、脂肪酸及び/又は付着助剤は、それぞれ、組成物の総重量に基づいて0.1重量%~10重量%で存在し得る。
【0095】
組成物は、任意に、シリコーン又は脂肪酸系泡抑制剤;色相染料、カルシウム及びマグネシウムカチオン、視覚的シグナル伝達成分、消泡剤(組成物の総重量に基づいて0.001重量%~約4.0重量%)、並びに/又はジグリセリド及びトリグリセリド、エチレングリコールジステアレート、微結晶セルロース、マイクロファイバーセルロース、バイオポリマー、キサンタンガム、ジェランガム、及びこれらの混合物からなる群から選択される構造化剤/増粘剤(組成物の総重量に基づいて0.01重量%~5重量%)を含んでいてもよい。
【0096】
添加組成物
本開示の添加組成物は、追加の補助成分を含み得る。かかる補助剤は、標的布地に更なる処理効果をもたらしてよく、かつ/又はそれらは、安定化助剤若しくは加工助剤として組成物に作用してよい。好適な補助剤としては、キレート剤、香料、構造化剤、塩素捕捉剤、悪臭低減材料、有機溶媒、又はこれらの混合物が挙げられてよい。
【0097】
試験方法1
以下の試験方法を使用して、織物の垂直ウィッキング性能を決定することができる。表1に列挙された9枚の織物のセットは、本方法を説明するために使用される。織物1~8は、BTC Activewear,Wednesbury,United Kingdomから購入した。織物9は、Nike(UK)Ltd.,Sunderland,United Kingdomによって製造された。
【0098】
【表1】
製造業者によって宣言された通り
【0099】
ウィッキング方法プロトコル(試験方法1)
布地スワッチを、レーザーカッター(HPC Laser LS6090,Laserscript)を使用して18cm×2.5cmの細片に切断した。各布地について、4つのスワッチを縦ウェール(ループが上)方向に長い寸法で切断し、4つの他のスワッチを横コース(ループが横)方向に長い寸法で切断した。ストリップをメッシュバッグ中で15gのECE-2(バッチECE2.181-377,WFK Testgewebe Gmbh)で2回洗浄し(60℃ Short Cotton洗浄、持続時間1時間25分、Miele W3922、硬度<2 USグレイン/ガロンの軟水を使用)、次いで同じサイクルで2回すすいだ。ストリップを電気乾燥機(最短のアイロンプログラム、ハンドアイロン、Miele Novotronic T430)で乾燥させ、次いで、アイロンとストリップとの間に綿布地を使用してアイロンをかけた。試料を21.1℃(70°F)及び相対湿度50%で少なくとも24時間保管することによって、布地ストリップを平衡化した。各ストリップの底から0.5cm及び10.5cmのところにマークを引いた。
【0100】
ウィッキング距離を測定するために、2Lの蒸留水及び0.50mLの染料(Liquitint Pink AMC,Miliken)を2Lプラスチックボトルに添加した。混合物を均質になるまで撹拌した。溶液を、調整可能なステージの上に置いた平坦なプラスチックトレイに注いだ。布地ストリップを線に固定し、次に布地が0.5cmのマークまで沈むようにステージを上げた。染色された水が0.5cmのマークに達するとすぐにタイマーをスタートさせた。
【0101】
溶液が10cmの布地を移動する時間を記録するか、又は距離を15分後に記録したが、どちらが先に起こってもよい。各布地について、4つの垂直ストリップ及び4つの水平ストリップについて試験を行った。ウィッキング距離は、15分の時間間隔で水が移動した平均距離として報告した。15分間隔の終了前に10cmに達した場合、距離を>10cmとして記録し、時間を記録した。
【0102】
織物1~9の結果を以下の表2に示す。
【0103】
【表2】
【0104】
実施例1
表1に記載した9枚の布地のセットをこの試験に使用した。布地を5×5cmのスワッチに切断し、メッシュバッグ中で15gのECE-2洗剤(バッチECE2.181-377,wfk Testgewebe GmbH)で2回洗浄し(60℃ Cotton Shortサイクル、1時間25分、軟水、Miele W3922)、次いで同じ器具及び条件を使用して洗剤を使用せずに更に2サイクル洗浄した。次に、Phoenixオートクレーブ(Rodwell Autoclave Company)を使用して試験前にスワッチを滅菌した。
【0105】
スワッチを、滅菌ピンセットを使用して個々の滅菌ペトリ皿に入れ、200μLの5.24×10cfu/mLバチルス芽胞ブレンド(Evozyme(登録商標)P500 BS7,Genesis Biosciences Ltd)を各スワッチの内側(皮膚接触表面)にピペットで移した。ペトリ皿を35℃のオーブン内で72時間乾燥させた。50%トリプシン大豆ブロス(製品コード:22092,Sigma Aldrich)溶液7mLを、50mL遠心分離管(製品コード:E1450-0400,Star Lab)に注いだ。スワッチを個々の遠心管に入れ、35℃及び400rpmで24時間振盪した。
【0106】
塩化トリフェニルテトラゾリウム(TTC)は、細菌によって代謝されると赤色ホルマザン色素に還元される透明な化合物である。TTCは、異なる種類の布地上のバチルス芽胞の成長及び発芽を検出するための方法として使用した。布地の影響を評価するために、遠心分離チューブを10秒間ボルテックスし、1.4mLの各チューブをエッペンドルフチューブ(製品コード:E0030123328,Eppendorf)に移した。100μLのTTC溶液(製品コード:102332880,Sigma Aldrich)を各エッペンドルフチューブに添加し、37℃及び400rpmで20分間インキュベートした。次いで、チューブを4000rpmで3分間遠心分離し、続いて上清をデカントした。1.4mLの上清をピペットで取り出し、得られたペレットを10mLの50%エタノール溶液に再懸濁した。最後に得られた赤色ホルマザン溶液の吸光度を、分光光度計(Libra S22,Biochrom Ltd)によって、10mm経路長キュベット(Kartell SpA、製品コード1938、1.5mL容量)を使用して480nmで測定した。
【0107】
試験は、陰性対照(布地を含まないトリプシン大豆ブロス)を含めて、各布地について三連で行った。表3は、高いウィッキング特性を有する高合成織物が、赤色ホルマザンの最も高い産生を示すことを示し、これは、最も高いレベルのバチルス芽胞の発芽及び成長を示す。高い合成含量(100%)及び高いウィッキング特性の両方を有する布地9及び2は、より低い合成含量又はより低いウィッキング特性のいずれかを有する他の全ての布地よりも有意に高い赤色ホルマザン生成を示す。
【0108】
【表3】
【0109】
実施例2~3
以下の表中の組成物は、織物の処理のために設計されたすすぎ添加剤を例示する。
【0110】
実施例2
【0111】
【表4】
【0112】
実施例3.酸すすぎ(界面活性剤なし)
【0113】
【表5】
バチルス芽胞:Evozyme(登録商標)P500 BS7,Genesis Biosciences,Cardiff
【0114】
実施例4
芽胞を負荷した布地の調製
100mLの脱イオン水中の4×10CFUのバチルス芽胞(Evozyme(登録商標)P500 BS7,Genesis Biosciences,Cardiff)のストック懸濁液を生成した。これを、汗を吸収する運動用シャツ(Nike Dri-Fit Park 20 Football Jersey,Size 2XL,Green)の各側に、1LのHozelock Spraymist半透明トリガ噴霧器を用いて、衣類の外側及び内側の(皮膚接触)表面の両方に20mL/mのレベルを用いて噴霧した。次いで、物品をライン乾燥させ、その外面及び内面の両方に1平方メートル当たり8×10個の芽胞を有する仕上げ衣類を得た。
【0115】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示されない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0116】
相互参照される又は関連するあらゆる特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張するあらゆる特許出願又は特許を含む、本明細書に引用される全ての文献は、除外又は限定することが明言されない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いずれの文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求されるいずれの発明に対する先行技術であるとも見なされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献又は複数の参考文献と組み合わせたときに、そのようないずれの発明も教示、示唆、又は開示するとは見なされない。更に、本文献における用語のいずれの意味又は定義も、参照により組み込まれた文献内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文献においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0117】
本発明の特定の実施形態を例示及び記載してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にある全てのこのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0117
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0117】
本発明の特定の実施形態を例示及び記載してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にある全てのこのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。
[1]水分ウィッキング合成布地上に細菌芽胞を付着させる方法であって、前記布地を水性液と接触させる工程を含み、前記水性液が、前記水性液の少なくとも1×10 CFU/l、好ましくは前記水性液の約1×10 ~約1×10 CFU/lの細菌芽胞を含み、布地コンディショニング剤を実質的に含まない、方法。
[2]前記布地が、前記布地の少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも95重量%、及びより好ましくは少なくとも98重量%の合成繊維を含む、[1]に記載の方法。
[3]前記布地が編まれており、好ましくは前記布地の少なくとも70重量%のポリエステル、より好ましくは前記布地の少なくとも95重量%のポリエステルを含む、[1]又は[2]に記載の方法。
[4]前記布地が、試験方法1に基づいて3cm超のウィッキング距離を有する、[1]~[3]のいずれかに記載の方法。
[5]前記布地が、経編みされており、
(a)30~140デニールのポリエステル糸を含む皮膚接触を意図した内面であって、前記糸が1~3デニールの繊維を含む、内面と、
(b)前記内面に対向する外面であって、30~140デニールのポリエステル糸を含み、前記糸が0.2~0.9デニールの繊維を含む、外面と、を含む、[1]~[4]のいずれかに記載の方法。
[6]前記外面が、50~90デニールのポリエステル糸及び1~2.5デニールの繊維を含み、前記内面が、50~90デニールのポリエステル糸及び0.3~0.8デニールの繊維を含む、[5]に記載の方法。
[7]前記布地を前記水性液と接触させる前に、前記布地に細菌芽胞を予め負荷する更なる工程を含む、[1]~[6]のいずれかに記載の方法。
[8]前記細菌芽胞が、バチルス芽胞を含み、好ましくは、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)、バチルス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バチルス・プミルス(Bacillus pumilus)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)、バチルス・チューリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)、バチルス・ミコイデス(Bacillus mycoides)、バチルス・テキレンシス(Bacillus tequilensis)、バチルス・バリスモルティス(Bacillus vallismortis)、バチルス・モジャベンシス(Bacillus mojavensis)、及びそれらの混合物からなる群から選択され、より好ましくは、バチルス・サブチリス、バチルス・アミロリクエファシエンス、バチルス・リケニフォルミス、バチルス・メガテリウム、バチルス・プミルス、及びそれらの混合物からなる群から選択されるバチルスを含む、[1]~[7]のいずれかに記載の方法。
[9]前記水性液が、噴霧の形態で前記布地に適用される、[1]~[8]のいずれかに記載の方法。
[10]前記方法が、洗濯機又は手洗いプロセスにおいて、好ましくは洗濯機又は手洗いのすすぎサイクルにおいて行われる、[1]~[8]のいずれに記載の方法。
[11][1]~[10]のいずれかに記載の方法における使用に好適な組成物であって、前記組成物の1×10 CFU/g~1×10 CFU/gの細菌芽胞を含み、20℃で測定した場合に約1~約6のpHを有し、布地コンディショニング剤を実質的に含まず、漂白剤を実質的に含まない、組成物。
[12](a)有機酸と、(b)ポリマーと、を含む、[11]に記載の組成物。
[13](a)前記組成物の約1重量%~約20重量%の有機酸と、(b)前記組成物の約1重量%~約25重量%の第1のポリマーであって、汚れ放出ポリマー(SRP)である、第1のポリマーと、(c)任意に、前記組成物の約1重量%~約25重量%の第2のポリマーであって、前記第2のポリマーが、グラフトコポリマー、アルコキシル化ポリアルキレンイミンポリマー、又はこれらの混合物であり、前記グラフトコポリマーが存在する場合、前記グラフトコポリマーは、i)グラフトベースとしての水溶性ポリアルキレンオキシドと、ii)ビニルエステル成分の重合によって形成される1つ以上の側鎖と、を含む、第2のポリマーと、を含む、[12]に記載の組成物。
[14]水分ウィッキング合成布地上に芽胞を付着させるための、[11]~[13]のいずれかに記載の組成物の使用。
[15]布地1グラム当たり少なくとも1×10 CFUの細菌芽胞を含む、水分ウィッキング合成布地。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水分ウィッキング合成布地上に細菌芽胞を付着させる方法であって、前記布地を水性液と接触させる工程を含み、前記水性液が、前記水性液の少なくとも1×10CFU/l、好ましくは前記水性液の約1×10~約1×10CFU/lの細菌芽胞を含み、布地コンディショニング剤を実質的に含まない、方法。
【請求項2】
前記布地が、前記布地の少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも95重量%、及びより好ましくは少なくとも98重量%の合成繊維を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記布地が編まれており、好ましくは前記布地の少なくとも70重量%のポリエステル、より好ましくは前記布地の少なくとも95重量%のポリエステルを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記布地が、試験方法1に基づいて3cm超のウィッキング距離を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記布地が、経編みされており、
(a)30~140デニールのポリエステル糸を含む皮膚接触を意図した内面であって、前記糸が1~3デニールの繊維を含む、内面と、
(b)前記内面に対向する外面であって、30~140デニールのポリエステル糸を含み、前記糸が0.2~0.9デニールの繊維を含む、外面と、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記外面が、50~90デニールのポリエステル糸及び1~2.5デニールの繊維を含み、前記内面が、50~90デニールのポリエステル糸及び0.3~0.8デニールの繊維を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記布地を前記水性液と接触させる前に、前記布地に細菌芽胞を予め負荷する更なる工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記細菌芽胞が、バチルス芽胞を含み、好ましくは、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)、バチルス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バチルス・プミルス(Bacillus pumilus)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)、バチルス・チューリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)、バチルス・ミコイデス(Bacillus mycoides)、バチルス・テキレンシス(Bacillus tequilensis)、バチルス・バリスモルティス(Bacillus vallismortis)、バチルス・モジャベンシス(Bacillus mojavensis)、及びそれらの混合物からなる群から選択され、より好ましくは、バチルス・サブチリス、バチルス・アミロリクエファシエンス、バチルス・リケニフォルミス、バチルス・メガテリウム、バチルス・プミルス、及びそれらの混合物からなる群から選択されるバチルスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記水性液が、噴霧の形態で前記布地に適用される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記方法が、洗濯機又は手洗いプロセスにおいて、好ましくは洗濯機又は手洗いのすすぎサイクルにおいて行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の方法における使用に好適な組成物であって、前記組成物の1×10CFU/g~1×10CFU/gの細菌芽胞を含み、20℃で測定した場合に約1~約6のpHを有し、布地コンディショニング剤を実質的に含まず、漂白剤を実質的に含まない、組成物。
【請求項12】
(a)有機酸と、
(b)ポリマーと、を含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
(a)前記組成物の約1重量%~約20重量%の有機酸と、
(b)前記組成物の約1重量%~約25重量%の第1のポリマーであって、汚れ放出ポリマー(SRP)である、第1のポリマーと、
(c)任意に、前記組成物の約1重量%~約25重量%の第2のポリマーであって、前記第2のポリマーが、グラフトコポリマー、アルコキシル化ポリアルキレンイミンポリマー、又はこれらの混合物であり、
前記グラフトコポリマーが存在する場合、前記グラフトコポリマーは、
i)グラフトベースとしての水溶性ポリアルキレンオキシドと、
ii)ビニルエステル成分の重合によって形成される1つ以上の側鎖と、を含む、第2のポリマーと、を含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
水分ウィッキング合成布地上に芽胞を付着させるための、請求項11に記載の組成物の使用。
【請求項15】
布地1グラム当たり少なくとも1×10CFUの細菌芽胞を含む、水分ウィッキング合成布地。
【国際調査報告】