(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】判定された鎮静状態に基づいて患者とコミュニケーションをとるためのシステム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/01 20060101AFI20240719BHJP
A61G 12/00 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
G06F3/01 510
A61G12/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024502519
(86)(22)【出願日】2022-07-21
(85)【翻訳文提出日】2024-01-16
(86)【国際出願番号】 IL2022050789
(87)【国際公開番号】W WO2023002488
(87)【国際公開日】2023-01-26
(32)【優先日】2021-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(32)【優先日】2022-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517316786
【氏名又は名称】アイフリー アシスティング コミュニケ-ション リミテッド
【氏名又は名称原語表記】EyeFree Assisting Communication Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レトルキン,オール
(72)【発明者】
【氏名】コルンベルグ,イタイ
【テーマコード(参考)】
4C341
5E555
【Fターム(参考)】
4C341JJ01
4C341LL10
4C341MM20
4C341MS22
5E555AA46
5E555AA61
5E555AA71
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5E555CB70
5E555CC01
5E555EA04
5E555FA00
(57)【要約】
本開示は、患者とのやりとりを最適化し、任意選択で、患者の鎮静状態を改善するために、非応答状態から完全応答ものに及ぶ複数の鎮静/認知状態と判断され得る、集中治療ユニット(ICU)患者などの患者の鎮静/認知状態を監視し、判定された状態に好適な選択されたやりとりを提供するための解決策を提供する。患者の鎮静状態の判定は、眼追跡センサ、EEGセンサ、又は任意の適用可能なユーザインターフェースなどの1つ以上の感知デバイス又は入力ユーティリティによって行うことができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者とやりとりするためのシステムであって、
単方向モード、応答モード、及びオープンコミュニケーションモードを含む少なくとも3つのコミュニケーションモードで動作するように構成されたコミュニケーションモジュール、
前記患者の鎮静状態を示す入力データを受信するように構成された入力モジュールを備える処理回路、を備え、前記処理回路が、
i.前記入力データに基づいて、前記患者の前記鎮静状態を判定すること、
ii.前記判定された鎮静状態に応答して、選択されたコミュニケーションモードで動作するように前記コミュニケーションモジュールをトリガすること、を行うように構成されている、システム。
【請求項2】
前記コミュニケーションモジュールは、前記患者の可聴コミュニケーション、ビデオベースのコミュニケーション、眼ベースのコミュニケーション、タッチスクリーンベースのコミュニケーション、触覚コミュニケーション、EEGベースのコミュニケーション、EOGベースのコミュニケーション、自動リップリーディングコミュニケーション、頭部ジェスチャベースのコミュニケーション、又はそれらの任意の組み合わせを実施及び/又は可能にするように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記入力データに基づいて前記患者の前記鎮静状態を前記判定することが、前記患者の前記鎮静状態を少なくとも3つの鎮静レベルに分類することを含み、各レベルが、1つ以上のレベル固有のコミュニケーションモードをトリガする、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記分類することが、前記患者の前記鎮静状態をスコアリングすることを含み、前記スコアが、前記鎮静レベルを定義する、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記スコアリングが、リッチモンド興奮・鎮静スケール(RASS)スコアである、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記処理回路が、
-前記患者の非応答鎮静状態を判定すると、前記単方向モードをトリガすること、
-前記患者の低レベル応答鎮静状態を判定すると、前記応答モード及び/又は前記単方向モードをトリガすること、
-前記患者の高レベル応答鎮静状態を判定すると、前記オープンコミュニケーションモード及び/又は前記応答モード及び/又は前記単方向モードをトリガすること、を行うように構成されている、請求項1~5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記コミュニケーションモードの前記選択が、前記患者の前記鎮静状態を改善することを目的としている、請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記患者の前記鎮静状態が、前記患者のせん妄状態である、請求項1~7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記入力データが、前記コミュニケーションモジュールとの前記患者の記録されたコミュニケーションを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記入力データが、前記患者の眼の記録された画像を示す眼画像データを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記患者の眼の画像を記録し、かつそれに基づいて眼の画像データを生成するように構成されたカメラユニットを備え、前記入力データが、前記画像データを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記入力データが、前記患者の記録されたEEG信号を示すEEGデータを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記患者のEEG信号を記録し、かつそれに基づいてEEGデータを生成するように構成されたEEGユニットを備え、前記入力データが、前記EEGデータを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
患者とやりとりするための方法であって、
前記患者の鎮静状態を示す入力データを受信及び処理することと、
前記入力データに基づいて、前記患者の前記鎮静状態を判定することと、
前記患者の前記判定された鎮静状態に応答して、単方向モード、応答モード、及びオープンコミュニケーションモードを含む3つのコミュニケーションモードのうちの少なくとも1つから選択されたコミュニケーションモードで選択されたコミュニケーションを出力することと、を含む、方法。
【請求項15】
前記選択されたコミュニケーションが、可聴コミュニケーション、ビデオベースのコミュニケーション、眼ベースのコミュニケーション、タッチスクリーンベースのコミュニケーション、触覚コミュニケーション、EEGベースのコミュニケーション、EOGベースのコミュニケーション、自動リップリーディングコミュニケーション、頭部ジェスチャベースのコミュニケーション、又はそれらの任意の組み合わせのうちのいずれか1つである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記入力データに基づいて前記患者の前記鎮静状態を前記判定することが、前記患者の前記鎮静状態を少なくとも3つの鎮静レベルに分類することを含み、各レベルが、1つ以上のレベル固有のコミュニケーションモードをトリガする、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
前記分類することが、前記患者の前記鎮静状態をスコアリングすることを含み、前記スコアが、前記鎮静レベルを定義する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記スコアリングが、リッチモンド興奮・鎮静スケール(RASS)スコアである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記出力することが、
-前記患者の非応答鎮静状態を判定すると、前記単方向モードを選択すること、
-前記患者の低レベル応答鎮静状態を判定すると、前記応答モード及び/又は前記単方向モードを選択すること、
-前記患者の高レベル応答鎮静状態を判定すると、前記オープンコミュニケーションモード及び/又は前記応答モード及び/又は前記単方向モードを選択すること、を含む、請求項15~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記コミュニケーションモードの前記選択が、前記患者の前記鎮静状態を改善することを目的としている、請求項15~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記患者の前記鎮静状態が、前記患者のせん妄状態である、請求項15~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記入力データが、前記コミュニケーションモジュールとの前記患者の記録されたコミュニケーションを含む、請求項15~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記画像データが、前記患者の眼の記録された画像を示す眼画像データを含む、請求項15~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記入力データが、前記患者の記録されたEEG信号を示すEEGデータを含む、請求項15~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
患者の鎮静状態を監視するためのシステムであって、前記システムが、
前記患者の眼の画像を記録し、かつそれに基づいて眼の画像データを生成するように構成されたカメラユニット、
所望のコミュニケーションプロトコルを出力するように動作可能なコミュニケーションモジュール、
前記患者のEEG信号を示すEEGデータを受信するように構成された入力モジュールを備える処理回路、を備え、前記処理回路が、前記カメラとデータ通信しており、
iv.前記眼の画像データ及びEEGデータを受信及び処理すること、
v.前記眼の画像データ及びEEGデータのうちの少なくとも1つに基づいて、前記患者の前記鎮静状態を判定すること、
vi.前記判定された鎮静状態に応答して、選択されたコミュニケーションプロトコルを出力するように前記コミュニケーションモジュールをトリガすること、を行うように動作可能である、システム。
【請求項26】
前記患者のEEG信号を記録し、かつそれに基づいて前記EEGデータを生成するように構成されたEEGユニットを備える、実施形態25に記載のシステム。
【請求項27】
患者の鎮静状態を監視するための方法であって、
(i)前記患者の眼の記録された画像を示す眼の画像データ、及び(ii)前記患者のEEG信号を示すEEGデータを受信及び処理することと、
前記眼の画像データ及びEEGデータのうちの少なくとも1つに基づいて、前記ユーザの前記鎮静状態を判定することと、
前記判定された鎮静状態に応答して、選択されたコミュニケーションプロトコルを出力することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、患者の認知状態を監視し、その患者とコミュニケーションをとるための自動化システムの分野のものである。
【背景技術】
【0002】
現在開示されている主題の背景として関連すると考えられる参考文献を以下に列挙する。
-WO2021/024257
-WO2016/142933
-WO2019/111257
【0003】
本明細書における上記の参考文献の承認は、これらが本開示の主題の特許性にいかなる形でも関連することを意味するものとして推論されるべきではない。
【0004】
一般的な説明
本開示の第1の部分は、非応答状態から完全応答するものに及ぶ複数の鎮静/認知状態と判断され得る患者とやりとりするためのシステム及び方法を提供する。鎮静状態及び認知状態という用語は交換可能であり、両方とも患者の意識状態及び周囲とコミュニケーションするための患者の能力を指す。システム及び方法は、患者の鎮静状態に従って、患者に提供されるコミュニケーションのタイプを適合させる解決策を提供する。これは、コミュニケーションが効果的であり、患者がコミュニケーションを受けて処理し、時にはそれに応答することができる合理的な可能性があることを確実にするために行われる。そのような適合したコミュニケーションは、患者の鎮静状態を改善する可能性がはるかに高い。
【0005】
したがって、本開示の態様は、患者とやりとりするためのシステムを提供する。システムが、少なくとも3つのコミュニケーションモードで動作するように構成されたコミュニケーションモジュールを備え、少なくとも3つのコミュニケーションモードが、(i)コミュニケーションモジュールが、患者の応答を必要としないコミュニケーションを患者に出力する単方向モードを含む。このコミュニケーションは、患者が応答する能力を有さない鎮静状態にあるときに、(ii)コミュニケーションモジュールが、患者の応答を必要とする出力するコミュニケーションを出力する応答モードに関連する。これは、患者への質問又は患者からの要求を含んでもよい。このコミュニケーションは、患者がコミュニケーションに応答する能力を有するが、コミュニケーションを開始する能力を欠くときに、(iii)コミュニケーションモジュールが、患者がシステムとのコミュニケーションを積極的に開始することを可能にするオープンコミュニケーションモードに関連する。このコミュニケーションは、様々な形態であってもよく、例えば、患者は、音楽を再生すること、臨床医、介護者、家族とコミュニケーションをとること、ビデオを見ることなどをシステムから要求してもよい。
【0006】
システムが、患者の鎮静状態を示す入力データを受信するように構成された入力モジュールを備える処理回路を更に備える。処理回路が、(1)入力データに基づいて患者の鎮静状態を判定することと、(2)判定された鎮静状態に応答して、選択されたコミュニケーションモードで動作するようにコミュニケーションモジュールをトリガし、それに基づいて選択されたコミュニケーションスキームを出力することと、を行うように構成されている。
【0007】
以下は、システムの様々な実施形態である。具体的にそうではないと述べられない限り、明確にするために、別個の実施形態の文脈で記載される現在開示されている主題の特定の特徴はまた、組み合わせられて単一の実施形態で提供されてもよいことが理解される。
【0008】
システムのいくつかの実施形態では、コミュニケーションモジュールは、患者が、(i)可聴コミュニケーション、すなわち、可聴コミュニケーションプロトコルを聞こえるように患者に出力し、また、音声コマンドを受信することが可能であること、(ii)ビデオベースのコミュニケーション、すなわち、スクリーン上で患者にビデオを出力すること、(iii)眼ベースのコミュニケーション、すなわち、患者の眼を記録するカメラ、及びシステムが、システムとのコミュニケーションを可能にする区別されたジェスチャに患者の眼の動きを分類すること、(iv)タッチスクリーンベースのコミュニケーション、すなわち、患者がタッチスクリーンを介してコミュニケーションをとることができること、(v)触覚コミュニケーション、(vi)EEGベースのコミュニケーション、すなわち、患者のEEG信号、例えば、患者の頭部に結合されたEEGユニットによって受信された信号の検出に基づくコミュニケーション、(vii)EOGベースのコミュニケーション、すなわち、患者のEOG信号の検出に基づくコミュニケーション、(viii)自動リップリーディングコミュニケーション、すなわち、患者の唇の画像を記録するカメラ、及び処理回路が、これらの唇の画像から、患者によって発音された単語を判定し、それを患者のコミュニケーションとして記録するように構成されていること、(ix)頭部ジェスチャベースのコミュニケーション、すなわち、患者の頭部の画像を記録するカメラ、及び処理回路が、これらの頭部の画像から、患者によって実施される特定のコミュニケーションに分類される頭部ジェスチャを判定するように構成されていること、(x)又はそれらの任意の組み合わせを実施及び/又は可能にするように構成されている。これらのコミュニケーションは、判定された鎮静状態に応答して、患者への出力されたコミュニケーションの一部として可能にされる。
【0009】
システムのいくつかの実施形態では、入力データに基づいて患者の鎮静状態を判定することが、患者の鎮静状態を少なくとも3つの鎮静レベルに分類することを含み、各レベルが、1つ以上のレベル固有のコミュニケーションモードをトリガする。
【0010】
システムのいくつかの実施形態では、当該分類することが、患者の鎮静状態をスコアリングすることを含み、スコアが、鎮静レベルを定義する。少なくとも3つのスコア範囲があり、各範囲が異なるレベルを定義する。2つのレベルが重複するスコアを有することができることに留意されたい。
【0011】
システムのいくつかの実施形態では、スコアリングが、リッチモンド興奮・鎮静スケール(RASS)スコアである。例えば、-2以下及び+3以上のスコアは、単方向モードをトリガし、-1~+2の間及びこれを含むスコアは、応答モードをトリガし、第2の範囲スコアと重複する0~+1の間及びこれを含むスコアは、オープンコミュニケーションモードをトリガする。オープンコミュニケーションモードは、単独で、又は特定のコミュニケーションプロトコルプロファイルにおける応答モードと組み合わせて動作することができる。
【0012】
システムのいくつかの実施形態では、処理回路は、
-患者の非応答鎮静状態を判定すると、単方向モードをトリガすること、
-患者の低レベル応答鎮静状態を判定すると、応答モード及び/又は単方向モードをトリガすること、
-患者の高レベル応答鎮静状態を判定すると、オープンコミュニケーションモード及び/又は応答モード及び/又は単方向モードをトリガすることのうちの少なくとも1つ又は任意の組み合わせを適用するように構成されている。
【0013】
システムのいくつかの実施形態では、コミュニケーションモードの選択が、患者の鎮静状態を改善することを目的としている。
【0014】
システムのいくつかの実施形態では、患者の鎮静状態が、患者のせん妄状態を示すか、又は実際のせん妄状態である。
【0015】
システムのいくつかの実施形態では、当該入力データが、コミュニケーションモジュールとの患者の記録されたコミュニケーションを含む。
【0016】
システムのいくつかの実施形態では、当該入力データが、患者の眼の記録された画像を示す眼画像データを含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、システムが、患者の眼の画像を記録し、かつそれに基づいて眼画像データを生成するように構成されたカメラユニットを備え、当該入力データが、当該画像データを含む。
【0018】
システムのいくつかの実施形態では、当該入力データが、患者の記録されたEEG信号を示すEEGデータを含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、システムが、患者のEEG信号を記録し、かつそれに基づいてEEGデータを生成するように構成されたEEGユニットを備え、当該入力データが、当該EEGデータを含む。
【0020】
本開示の更に別の態様は、患者とやりとりするための方法を提供する。方法が、
患者の鎮静状態を示す入力データと、
入力データに基づいて、患者の鎮静状態を判定することと、
患者の判定された鎮静状態に応答して、単方向モード、応答モード、及びオープンコミュニケーションモードを含む3つのコミュニケーションモードのうちの少なくとも1つから選択されたコミュニケーションモードで選択されたコミュニケーションを出力することと、を含む。これらの3つのモードは、システム態様に関して上記で定義されており、これらの定義もここに適用される。
【0021】
本方法のいくつかの実施形態では、当該選択されたコミュニケーションは、可聴コミュニケーション、ビデオベースのコミュニケーション、眼ベースのコミュニケーション、タッチスクリーンベースのコミュニケーション、触覚コミュニケーション、EEGベースのコミュニケーション、EOGベースのコミュニケーション、自動リップリーディングコミュニケーション、頭部ジェスチャベースのコミュニケーション、又はそれらの任意の組み合わせのうちのいずれか1つである。
【0022】
方法のいくつかの実施形態では、入力データに基づいて患者の鎮静状態を判定することが、患者の鎮静状態を少なくとも3つの鎮静レベルに分類することを含み、各レベルが、1つ以上のレベル固有のコミュニケーションモードをトリガする。
【0023】
方法のいくつかの実施形態では、当該分類することが、患者の鎮静状態をスコアリングすることを含み、スコアが、鎮静レベルを定義する。スコアには少なくとも3つの範囲があり、各範囲が異なるレベルを定義する。2つのレベルが重複するスコアを有することができることに留意されたい。
【0024】
方法のいくつかの実施形態では、スコアリングが、リッチモンド興奮・鎮静スケール(RASS)スコアである。例えば、-2以下及び+3以上のスコアは、単方向モードをトリガし、-1~+2の間及びこれを含むスコアは、応答モードをトリガし、第2の範囲スコアと重複する0~+1の間及びこれを含むスコアは、オープンコミュニケーションモードをトリガする。オープンコミュニケーションモードは、単独で、又は特定のコミュニケーションプロトコルプロファイルにおける応答モードと組み合わせて動作することができる。
【0025】
方法のいくつかの実施形態では、当該出力することが、
-患者の非応答鎮静状態を判定すると、単方向モードを選択すること、
-患者の低レベル応答鎮静状態を判定すると、応答モード及び/又は単方向モードを選択すること、
-患者の高レベル応答鎮静状態を判定すると、オープンコミュニケーションモード及び/又は応答モード及び/又は単方向モードを選択することのうちの少なくとも1つ又は任意の組み合わせを含む。
【0026】
方法のいくつかの実施形態では、コミュニケーションモードの選択が、患者の鎮静状態を改善することを目的としている。
【0027】
方法のいくつかの実施形態では、患者の鎮静状態が、患者のせん妄状態を示すか、又は実際のせん妄状態である。
【0028】
方法のいくつかの実施形態では、当該入力データが、コミュニケーションモジュールとの患者の記録されたコミュニケーションを含む。
【0029】
方法のいくつかの実施形態では、当該入力データが、患者の眼の記録された画像を示す眼画像データを含む。
【0030】
方法のいくつかの実施形態では、当該入力データが、患者の記録されたEEG信号を示すEEGデータを含む。
【0031】
本開示の別の部分は、患者の眼の活動を継続的に監視し、それに基づいて眼画像の日付を生成することによって、患者の鎮静/認知状態を監視するためのシステムを提供する。モニタは、患者の意識を高め、せん妄のリスク又は状態を低減するために、アンケート、可聴出力及び/又は視覚出力などの選択された出力を患者に提供するように更に構成されている。
【0032】
任意選択で、システムは、患者の記録された眼の活動と時間相関する患者の記録されたEEG信号を示すEEGデータを受信するように構成されており、患者の鎮静状態は、EEGデータ、眼画像データ、又はそれらの組み合わせのいずれかに基づいて判定される。患者の異なる鎮静状態は、2つのデータセットの異なる重み因子プロファイルを適用することによって判定することができる。
【0033】
患者の鎮静状態の判定時に、処理回路、すなわち、システムのプロセッサ/コントローラは、患者への係合コミュニケーションの選択された出力をトリガするようにコミュニケーションモジュールを動作させるように構成されている。出力は、対話型、すなわち、患者からの応答を必要とするもの、又はそれからの必要な応答なしに患者の感覚のうちの1つによってのみ受けられる必要がある受動的なものであってもよい。出力されるコミュニケーションは、患者の認知活動を刺激し、それによって患者の認知状態を改善することを目的としている。
【0034】
したがって、本開示の態様として、患者の鎮静レベルを監視するためのシステムを提供する。システムが、(1)患者の眼の画像を記録し、かつそれに基づいて眼画像データを生成するように構成されたカメラユニットと、(2)所望のコミュニケーションプロトコルを出力するように動作可能なコミュニケーションモジュールと、(3)処理回路と、を含む。処理回路が、患者のEEG信号を示すEEGデータを受信するように構成された入力モジュールを備え、カメラとデータ通信している。処理回路が、(i)当該眼画像データ及びEEGデータを受信及び処理することと、(ii)眼画像データ及びEEGデータのうちの少なくとも1つに基づいて、ユーザの鎮静又は認知状態を判定することと、(iii)判定された鎮静状態に応答して、選択されたコミュニケーションプロトコルを出力するようにコミュニケーションモジュールをトリガすることと、を行うように構成されている。コミュニケーションプロトコルは、アンケート、音楽の再生、家族又は友人の録音された音声の出力などとすることができる。
【0035】
本開示の更に別の態様は、患者の鎮静レベルを監視するためのシステムを提供する。システムが、(1)患者の眼の画像を記録し、かつそれに基づいて眼の画像データを生成するように構成されたカメラユニットと、(2)所望のコミュニケーションプロトコルを出力するように動作可能なコミュニケーションモジュールと、(3)処理回路と、を備える。処理回路が、カメラとデータ通信しており、(i)当該眼の画像データを受信及び処理することと、(ii)眼の画像データに基づいてユーザの鎮静又は認知状態を判定することと、(iii)判定された鎮静状態に応答して、選択されたコミュニケーションプロトコルを出力するようにコミュニケーションモジュールをトリガすることと、を行うように動作可能である。コミュニケーションプロトコルが、アンケート、音楽の再生、家族又は友人の音声の出力などとすることができる。
【0036】
以下は、上記の態様のいずれかについての任意選択の実施形態である。具体的にそうではないと述べられない限り、明確にするために、別個の実施形態の文脈で記載される現在開示されている主題の特定の特徴はまた、組み合わせられて単一の実施形態で提供されてもよいことが理解される。
【0037】
いくつかの実施形態では、システムが、患者のEEG信号を記録し、かつそれに基づいて当該EEGデータを生成するように構成されたEEGユニットを更に備える。
【0038】
本開示の任意の態様に関する記載された実施形態の任意の組み合わせが適用可能であることに留意されたい。言い換えれば、本開示の任意の態様は、記載された実施形態の任意の組み合わせによって定義することができる。
【0039】
システムのいくつかの実施形態では、処理回路が、リッチモンド興奮・鎮静スケール(RASS)スコアなどの患者の鎮静スコアを計算し、スコアを2つ以上のスコア範囲に分類するように構成されており、各範囲が、異なるコミュニケーションプロトコルをトリガする。
【0040】
システムのいくつかの実施形態では、少なくとも1つのスコア範囲において、鎮静状態及び/又はコミュニケーションプロトコルの判定が、EEGデータにのみ基づいてトリガされる。したがって、患者が鎮静されており、カメラユニットによって監視することができる眼の活動がないことを示すスコアでは、患者の鎮静状態は、EEGデータにのみ基づいて判定される。
【0041】
システムのいくつかの実施形態では、少なくとも1つのスコア範囲において、鎮静状態及び/又はコミュニケーションプロトコルの判定が、眼の画像データ及びEEGデータの組み合わせに基づいてトリガされる。すなわち、患者が何らかのレベルで警告を受けており、カメラユニットによって監視することができる眼の活動があることを示すスコアでは、2つのデータセットの特定のレベルの組み合わせに基づいて、患者の鎮静状態の判定が判定される。患者の眼及び脳の記録された活動に応じて、鎮静を判定するための各データの影響は、処理ユニットによって判定される。典型的には、患者がある程度応答し、眼の活動があるときに、眼の画像データは、鎮静状態の判定にとってより重要である。
【0042】
システムのいくつかの実施形態では、処理回路は、患者の記録された眼の活動を定義されたジェスチャに継続的に分類することによって、ユーザの鎮静状態を判定するように構成されている。眼ジェスチャの時間的プロファイルは、患者の鎮静状態を定義する。
【0043】
システムのいくつかの実施形態では、処理回路が、患者の情報量又は想定された鎮静状態に基づいて、EEGデータ及び眼の画像データに異なるかつ変動する重み係数を適用するように構成されている。すなわち、特定の期間の間、処理回路が、最新の判定された鎮静状態に基づいて、及び/又は特定の期間にEEGセンサ又は画像センサによって受信された変化する情報の量に基づいて、EEGセンサ又は画像センサによって取得されたデータセットに重み係数を適用するように構成されている。
【0044】
システムのいくつかの実施形態では、処理回路が、最近判定された鎮静状態に基づいて、EEGデータ及び眼の画像データに重み係数を適用し、鎮静状態の変化が識別されるときに、重み係数を更新するように構成されている。したがって、患者が眼の活動が無視できる鎮静状態にあるときに、EEGデータ上の重み係数ははるかに有意であり、使用者による有意な眼の活動がある鎮静状態では、眼の画像データの重み係数が大幅に増加する。
【0045】
システムのいくつかの実施形態では、処理回路が、眼の画像データ及びEEGデータに時間分析を適用して、眼の動き、脳活動、及び鎮静レベルの間の相関を判定するように構成されている。これは、機械学習アルゴリズムを適用し、眼の動き及び脳活動の異なるシナリオで鎮静スコアレベルを入力することによってシステムを訓練することによって実施することができる。
【0046】
システムのいくつかの実施形態では、処理回路が、コミュニケーションプロトコルの出力に続いて眼の画像データ及び/又はEEGデータの選択された時間窓を分析して、当該コミュニケーションプロトコルに対する患者の応答を識別し、当該応答に基づいて患者の更新された鎮静状態を判定するように構成されている。
【0047】
システムのいくつかの実施形態では、処理回路が、患者の鎮静状態を示す鎮静状態データを搬送する信号をリモートユニットに送信するように更に構成されている。これは、処理回路の送信ユニットを介して実施することができる。
【0048】
システムのいくつかの実施形態では、処理回路は、当該眼の画像データにおける特定の眼のジェスチャを識別するように更に構成されている。眼のジェスチャは、コミュニケーションプロトコルをトリガするか、又は選択されたコミュニケーションプロトコルに影響を与えるかのいずれかである。すなわち、識別された眼のジェスチャは、システムにおけるコマンドの実行のために使用され、及び/又は関連するコミュニケーションプロトコルを適合させるために患者の鎮静状態を分析するために使用されることができる。
【0049】
本明細書全体を通して、眼のジェスチャは、多くの可能な眼のジェスチャから識別された眼のジェスチャとして解釈されるべきである。例えば、眼のジェスチャは、特定の方向(上、下、右、又は左)への虹彩の動き、点滅、安定した視線方向、虹彩の丸い動き、特定の眼のジェスチャのシーケンスなどとすることができる。
【0050】
システムのいくつかの実施形態では、処理回路は、眼のジェスチャをアンケートに対する患者の応答に分類するように構成されている。例えば、アンケートは、集中治療室(CAM-ICU)のための混乱評価法とすることができ、患者に聴覚的に出力され、患者は、質問に対する患者の特定の応答を示す特定の眼のジェスチャでアンケート内の各質問に応答する。
【0051】
システムのいくつかの実施形態では、処理回路は、眼のジェスチャを、可聴出力を再生するためのコマンドとして分類するように構成されている。音声出力は、特定の音楽、並びに友人及び家族の挨拶などの親戚の音声録音から選択される。
【0052】
システムのいくつかの実施形態では、処理回路は、当該眼画像及びEEGデータを分析し、患者の臨床状態を示すシグネチャ、すなわち、眼活動、脳活動、又はそれらの組み合わせの特定の時間パターンを識別するように構成されている。
【0053】
システムのいくつかの実施形態では、処理回路は、当該眼画像データ及び/又はEEGデータの時間的プロファイルを、複数の臨床状態を示す複数のシグネチャに対応する所定の時間的プロファイルと相関させ、最良の一致又は一致の特定の閾値などの特定の条件を満たす相関を識別するように構成されている。所定の時間的プロファイルは、所定のデータベース内に記憶され、処理回路は、当該所定のデータベースとデータ通信している。いくつかの実施形態では、システムは、当該所定のデータベースを更に含む。
【0054】
システムのいくつかの実施形態では、処理回路は、データベースを更新するか、又はそのメモリに記憶して、それを識別すると患者のパーソナライズされたシグネチャを生成するように構成されている。パーソナライズされたシグネチャの識別は、システムに入力される臨床指標から、又は患者の臨床状態で特定の時間パターンを識別するユーザによって入力される手動指標によるものであり得る。
【0055】
システムのいくつかの実施形態では、臨床状態が、疼痛、渇き、空腹、せん妄のうちの少なくとも1つから選択される。
【0056】
本開示の更に別の態様は、患者の鎮静状態を監視するための方法を提供する。方法が、
(i)患者の眼の記録された画像を示す眼の画像データ、及び(ii)患者のEEG信号を示すEEGデータを受信及び処理することと、
眼の画像データ及びEEGデータのうちの少なくとも1つに基づいて、ユーザの鎮静状態を判定することと、
判定された鎮静状態に応答して、選択されたコミュニケーションプロトコルを出力することと、を含む。
【0057】
いくつかの実施形態では、方法が、患者の鎮静スコアを計算することと、スコアを2つ以上のスコア範囲に分類することと、を含み、各範囲が、コミュニケーションプロトコルの異なる出力をトリガする。
【0058】
方法のいくつかの実施形態では、少なくとも1つのスコア範囲において、鎮静状態及び/又はコミュニケーションプロトコルの判定が、EEGデータにのみ基づいてトリガされる。
【0059】
方法のいくつかの実施形態では、少なくとも1つのスコア範囲において、鎮静状態及び/又はコミュニケーションプロトコルの判定が、眼の画像データ及びEEGデータの組み合わせに基づいてトリガされる。
【0060】
いくつかの実施形態では、方法が、患者の記録された眼の活動を定義されたジェスチャに継続的に分類することによって、ユーザの鎮静状態を判定することを含む。眼のジェスチャの時間的プロファイルは、患者の鎮静状態を定義する。
【0061】
いくつかの実施形態では、方法が、眼の画像データ及びEEGデータに時間分析を適用することと、眼の動き、脳活動、及び鎮静状態の間の相関を判定することと、を更に含む。
【0062】
いくつかの実施形態では、方法が、患者の情報量又は想定された鎮静状態に基づいて、EEGデータ及び眼の画像データに異なるかつ変動する重み係数を適用することを含む。すなわち、特定の期間の間、方法が、最新の判定された鎮静状態に基づいて、及び/又は特定の期間にEEGセンサ又は画像センサによって受信された変化する情報の量に基づいて、EEGセンサ又は画像センサによって取得されたデータセットに重み係数を適用することを含む。
【0063】
いくつかの実施形態では、方法が、最近判定された鎮静状態に基づいて、EEGデータ及び眼の画像データに重み係数を適用し、鎮静状態の変化が識別されるときに、重み係数を更新することを含む。したがって、患者が眼の活動が無視できる鎮静状態にあるときに、EEGデータ上の重み係数ははるかに有意であり、使用者による有意な眼の活動がある鎮静状態では、眼の画像データの重み係数が大幅に増加する。
【0064】
いくつかの実施形態では、方法が、コミュニケーションプロトコルの出力に続いて眼の画像データ及び/又はEEGデータの選択された時間窓を分析して、当該コミュニケーションプロトコルに対する患者の応答を識別することと、当該応答に基づいて患者の更新された鎮静状態を判定することと、を含む。
【0065】
いくつかの実施形態では、方法が、患者の鎮静状態を示す鎮静状態データを搬送する信号をリモートユニットに送信することを含む。
【0066】
いくつかの実施形態では、方法が、当該眼の画像データにおける眼のジェスチャを識別することと、当該眼のジェスチャに基づいてコミュニケーションプロトコルをトリガすることか、又は選択されたコミュニケーションプロトコルに影響を与えることのいずれかを更に含む。すなわち、識別された眼のジェスチャは、システムにおけるコマンドの実行のために使用され、及び/又は関連するコミュニケーションプロトコルを適合させるために患者の鎮静状態を分析するために使用されることができる。
【0067】
方法のいくつかの実施形態では、当該眼のジェスチャが、アンケートに対する患者の応答のために使用される。
【0068】
方法のいくつかの実施形態では、当該眼のジェスチャが、可聴出力を再生するために使用され、当該可聴出力が、特定の音楽及び親戚の音声録音から選択される。
【0069】
いくつかの実施形態では、方法が、当該眼の画像及びEEGデータを分析することと、患者の臨床状態を示すシグネチャを識別することと、を含む。
【0070】
いくつかの実施形態では、方法が、当該眼の画像データ及び/又はEEGデータの時間的プロファイルを、データベースに記憶されている複数のシグネチャに対応する所定の時間的プロファイルと相関させることと、特定の条件を満たす相関を識別することと、を含む。
【0071】
方法のいくつかの実施形態では、臨床状態が、疼痛、渇き、空腹、せん妄のうちの少なくとも1つから選択される。
【0072】
いくつかの実施形態では、方法が、患者のパーソナライズされたシグネチャを生成することと、当該データベースを更新することか、又は当該パーソナライズされたシグネチャをメモリに記憶することを含む。
【0073】
実施形態
以下は、本開示の態様による、任意選択の実施形態及びそれらの組み合わせである。
1.患者とやりとりするためのシステムであって、
単方向モード、応答モード、及びオープンコミュニケーションモードを含む少なくとも3つのコミュニケーションモードで動作するように構成されたコミュニケーションモジュール、
患者の鎮静状態を示す入力データを受信するように構成された入力モジュールを備える処理回路、を備え、処理回路が、
i.入力データに基づいて、患者の鎮静状態を判定すること、
ii.判定された鎮静状態に応答して、選択されたコミュニケーションモードで動作するようにコミュニケーションモジュールをトリガすること、を行うように構成されている、システム。
【0074】
2.コミュニケーションモジュールが、患者の可聴コミュニケーション、ビデオベースのコミュニケーション、眼ベースのコミュニケーション、タッチスクリーンベースのコミュニケーション、触覚コミュニケーション、EEGベースのコミュニケーション、EOGベースのコミュニケーション、自動リップリーディングコミュニケーション、頭部ジェスチャベースのコミュニケーション、又はそれらの任意の組み合わせを実施及び/又は可能にするように構成されている、実施形態1に記載のシステム。
【0075】
3.入力データに基づいて患者の鎮静状態を判定することが、患者の鎮静状態を少なくとも3つの鎮静レベルに分類することを含み、各レベルが、1つ以上のレベル固有のコミュニケーションモードをトリガする、実施形態1又は2に記載のシステム。
【0076】
4.当該分類することが、患者の鎮静状態をスコアリングすることを含み、スコアが、鎮静レベルを定義する、実施形態3に記載のシステム。
【0077】
5.スコアリングが、リッチモンド興奮・鎮静スケール(RASS)スコアである、実施形態4に記載のシステム。
【0078】
6.処理回路が、
-患者の非応答鎮静状態を判定すると、単方向モードをトリガすること、
-患者の低レベル応答鎮静状態を判定すると、応答モード及び/又は単方向モードをトリガすること、
-患者の高レベル応答鎮静状態を判定すると、オープンコミュニケーションモード及び/又は応答モード及び/又は単方向モードをトリガすること、を行うように構成されている、実施形態1~5のいずれか1つに記載のシステム。
【0079】
7.コミュニケーションモードの選択が、患者の鎮静状態を改善することを目的としている、実施形態1~6のいずれか1つに記載のシステム。
【0080】
8.患者の鎮静状態が、患者のせん妄状態である、実施形態1~7のいずれか1つに記載のシステム。
【0081】
9.当該入力データが、コミュニケーションモジュールとの患者の記録されたコミュニケーションを含む、実施形態1~8のいずれか1つに記載のシステム。
【0082】
10.当該入力データが、患者の眼の記録された画像を示す眼画像データを含む、実施形態1~9のいずれか1つに記載のシステム。
【0083】
11.患者の眼の画像を記録し、かつそれに基づいて眼の画像データを生成するように構成されたカメラユニットを備え、当該入力データが、当該画像データを含む、実施形態1~10のいずれか1つに記載のシステム。
【0084】
12.当該入力データが、患者の記録されたEEG信号を示すEEGデータを含む、実施形態1~11のいずれか1つに記載のシステム。
【0085】
13.患者のEEG信号を記録し、かつそれに基づいてEEGデータを生成するように構成されたEEGユニットを備え、当該入力データが、当該EEGデータを含む、実施形態1~12のいずれか1つに記載のシステム。
【0086】
14.患者とやりとりするための方法であって、
患者の鎮静状態を示す入力データを受信及び処理することと、
入力データに基づいて、患者の鎮静状態を判定することと、
患者の判定された鎮静状態に応答して、単方向モード、応答モード、及びオープンコミュニケーションモードを含む3つのコミュニケーションモードのうちの少なくとも1つから選択されたコミュニケーションモードで選択されたコミュニケーションを出力することと、を含む、方法。
【0087】
15.当該選択されたコミュニケーションが、可聴コミュニケーション、ビデオベースのコミュニケーション、眼ベースのコミュニケーション、タッチスクリーンベースのコミュニケーション、触覚コミュニケーション、EEGベースのコミュニケーション、EOGベースのコミュニケーション、自動リップリーディングコミュニケーション、頭部ジェスチャベースのコミュニケーション、又はそれらの任意の組み合わせのうちのいずれか1つである、実施形態14に記載の方法。
【0088】
16.入力データに基づいて患者の鎮静状態を判定することが、患者の鎮静状態を少なくとも3つの鎮静レベルに分類することを含み、各レベルが、1つ以上のレベル固有のコミュニケーションモードをトリガする、実施形態14又は15に記載の方法。
【0089】
17.当該分類することが、患者の鎮静状態をスコアリングすることを含み、スコアが、鎮静レベルを定義する、実施形態16に記載の方法。
【0090】
18.スコアリングが、リッチモンド興奮・鎮静スケール(RASS)スコアである、実施形態17に記載の方法。
【0091】
19.当該出力することが、
-患者の非応答鎮静状態を判定すると、単方向モードを選択すること、
-患者の低レベル応答鎮静状態を判定すると、応答モード及び/又は単方向モードを選択すること、
-患者の高レベル応答鎮静状態を判定すると、オープンコミュニケーションモード及び/又は応答モード及び/又は単方向モードを選択すること、を含む、実施形態15~18のいずれか1つに記載の方法。
【0092】
20.コミュニケーションモードの選択が、患者の鎮静状態を改善することを目的としている、実施形態15~19のいずれか1つに記載の方法。
【0093】
21.患者の鎮静状態が、患者のせん妄状態である、実施形態15~20のいずれか1つに記載の方法。
【0094】
22.当該入力データが、コミュニケーションモジュールとの患者の記録されたコミュニケーションを含む、実施形態15~21のいずれか1つに記載の方法。
【0095】
23.当該入力データが、患者の眼の記録された画像を示す眼画像データを含む、実施形態15~22のいずれか1つに記載の方法。
【0096】
24.当該入力データが、患者の記録されたEEG信号を示すEEGデータを含む、実施形態15~23のいずれか1つに記載の方法。
【0097】
25.患者の鎮静状態を監視するためのシステムであって、システムが、
患者の眼の画像を記録し、かつそれに基づいて眼の画像データを生成するように構成されたカメラユニット、
所望のコミュニケーションプロトコルを出力するように動作可能なコミュニケーションモジュール、
患者のEEG信号を示すEEGデータを受信するように構成された入力モジュールを備える処理回路、を備え、処理回路が、カメラとデータ通信しており、
i.当該眼の画像データ及びEEGデータを受信及び処理すること、
ii.眼の画像データ及びEEGデータのうちの少なくとも1つに基づいて、患者の鎮静状態を判定すること、
iii.判定された鎮静状態に応答して、選択されたコミュニケーションプロトコルを出力するようにコミュニケーションモジュールをトリガすること、を行うように動作可能である、システム。
【0098】
26.患者のEEG信号を記録し、かつそれに基づいて当該EEGデータを生成するように構成されたEEGユニットを備える、実施形態25に記載のシステム。
【0099】
27.処理回路が、患者の鎮静スコアを計算し、スコアを2つ以上のスコア範囲に分類するように構成されており、各範囲が、異なるコミュニケーションプロトコルをトリガする、実施形態25又は26に記載のシステム。
【0100】
28.少なくとも1つのスコア範囲において、鎮静状態及び/又はコミュニケーションプロトコルの判定が、EEGデータにのみ基づいてトリガされる、実施形態27に記載のシステム。
【0101】
29.少なくとも1つのスコア範囲において、鎮静状態及び/又はコミュニケーションプロトコルの判定が、眼の画像データ及びEEGデータの組み合わせに基づいてトリガされる、実施形態27又は28に記載のシステム。
【0102】
30.処理回路が、眼の画像データ及びEEGデータに時間分析を適用して、眼の動き、脳活動、及び鎮静状態の間の相関を判定するように構成されている、実施形態25~29のいずれか1つに記載のシステム。
【0103】
31.処理回路が、コミュニケーションプロトコルの出力に続いて眼の画像データ及び/又はEEGデータの選択された時間窓を分析して、当該コミュニケーションプロトコルに対する患者の応答を識別し、当該応答に基づいて患者の更新された鎮静状態を判定するように構成されている、実施形態25~30のいずれか1つに記載のシステム。
【0104】
32.処理回路が、患者の鎮静状態を示す鎮静状態データを搬送する信号をリモートユニットに送信するように更に構成されている、実施形態25~31のいずれか1つに記載のシステム。
【0105】
33.処理回路が、当該眼の画像データにおける眼のジェスチャを識別するように更に構成されており、当該眼のジェスチャが、コミュニケーションプロトコルをトリガするか、又は選択されたコミュニケーションプロトコルに影響を与える、実施形態25~32のいずれか1つに記載のシステム。
【0106】
34.当該眼のジェスチャが、アンケートに対する患者の応答のために使用される、実施形態33に記載のシステム。
【0107】
35.当該眼のジェスチャが、可聴出力を再生するために使用され、当該可聴出力が、特定の音楽及び親戚の音声録音から選択される、実施形態33又は34に記載のシステム。
【0108】
36.処理回路が、当該眼の画像及びEEGデータを分析し、患者の臨床状態を示すシグネチャを識別するように構成されている、実施形態25~35のいずれか1つに記載のシステム。
【0109】
37.処理回路が、当該眼の画像データ及び/又はEEGデータの時間的プロファイルを、データベースに記憶されている複数のシグネチャに対応する所定の時間的プロファイルと相関させ、特定の条件を満たす相関を識別するように構成されている、実施形態36に記載のシステム。
【0110】
38.臨床状態が、疼痛、渇き、空腹、せん妄のうちの少なくとも1つから選択される、実施形態36又は37に記載のシステム。
【0111】
39.処理回路が、患者のパーソナライズされたシグネチャを識別すると、それを生成し、データベースを更新するか、又は患者の当該パーソナライズされたシグネチャをそのメモリに記憶するように構成されている、実施形態36~38のいずれか1つに記載のシステム。
【0112】
40.処理回路が、患者の情報量又は想定された鎮静状態に基づいて、EEGデータ及び眼の画像データに異なるかつ変動する重み係数を適用するように構成されている、実施形態25~39のいずれか1つに記載のシステム。
【0113】
41.処理回路が、最近判定された鎮静状態に基づいて、EEGデータ及び眼の画像データに重み係数を適用し、鎮静状態の変化が識別されると、重み係数を更新するように構成されている、実施形態25~40のいずれか1つに記載のシステム。
【0114】
42.処理回路が、患者の記録された眼の活動を定義されたジェスチャに連続的に分類することによってユーザの鎮静状態を判定するように構成されており、眼のジェスチャの時間的プロファイルが、患者の鎮静状態を定義する、実施形態25~41のいずれか1つに記載のシステム。
【0115】
43.患者の鎮静状態を監視するためのシステムであって、システムが、
患者の眼の画像を記録し、かつそれに基づいて眼の画像データを生成するように構成されたカメラユニットと、
患者のEEG信号を記録し、かつそれに基づいてEEGデータを生成するように構成されたEEGユニットと、
コミュニケーションモジュールと、
カメラ及びEEGユニットとデータ通信している処理回路と、を備え、処理回路が、
i.当該眼の画像データ及びEEGデータを受信及び処理すること、
ii.眼の画像データ及びEEGデータのうちの少なくとも1つに基づいて、ユーザの鎮静状態を判定すること、
iii.判定された鎮静状態に応答して、選択されたコミュニケーションプロトコルを出力するようにコミュニケーションモジュールをトリガすること、を行うように動作可能である、システム。
【0116】
44.患者の鎮静状態を監視するためのシステムであって、システムが、
患者の眼の画像を記録し、かつそれに基づいて眼の画像データを生成するように構成されたカメラユニット、
所望のコミュニケーションプロトコルを出力するように動作可能なコミュニケーションモジュール、
カメラとデータ通信している処理回路、を備え、処理回路が、
i.当該眼の画像データを受信及び処理すること、
ii.眼の画像データに基づいて、ユーザの鎮静状態を判定すること、
iii.判定された鎮静状態に応答して、選択されたコミュニケーションプロトコルを出力するようにコミュニケーションモジュールをトリガすること、を行うように動作可能である、システム。
【0117】
45.患者の鎮静状態を監視するための方法であって、
(i)患者の眼の記録された画像を示す眼の画像データ、及び(ii)患者のEEG信号を示すEEGデータを受信及び処理することと、
眼の画像データ及びEEGデータのうちの少なくとも1つに基づいて、ユーザの鎮静状態を判定することと、
判定された鎮静状態に応答して、選択されたコミュニケーションプロトコルを出力することと、を含む、方法。
【0118】
46.患者の鎮静スコアを計算することと、スコアを2つ以上のスコア範囲に分類することと、を含み、各範囲が、コミュニケーションプロトコルの異なる出力をトリガする、実施形態45に記載の方法。
【0119】
47.少なくとも1つのスコア範囲において、鎮静状態及び/又はコミュニケーションプロトコルの判定が、EEGデータにのみ基づいてトリガされる、実施形態46に記載の方法。
【0120】
48.少なくとも1つのスコア範囲において、鎮静状態及び/又はコミュニケーションプロトコルの判定が、眼の画像データ及びEEGデータの組み合わせに基づいてトリガされる、実施形態47に記載の方法。
【0121】
49.眼の画像データ及びEEGデータに時間分析を適用することと、眼の動き、脳活動、及び鎮静状態の間の相関を判定することと、を含む、実施形態45~48のいずれか1つに記載の方法。
【0122】
50.コミュニケーションプロトコルの出力に続いて眼の画像データ及び/又はEEGデータの選択された時間窓を分析して、当該コミュニケーションプロトコルに対する患者の応答を識別し、当該応答に基づいて患者の更新された鎮静状態を判定することを含む、実施形態45~49のいずれか1つに記載の方法。
【0123】
51.患者の鎮静状態を示す鎮静状態データを搬送する信号をリモートユニットに送信することを含む、実施形態45~50のいずれか1つに記載の方法。
【0124】
52.当該眼の画像データにおける眼のジェスチャを識別することと、当該眼のジェスチャに基づいてコミュニケーションプロトコルをトリガすることか、又は選択されたコミュニケーションプロトコルに影響を与えることのいずれかを更に含む、実施形態45~51のいずれか1つに記載の方法。
【0125】
53.当該眼のジェスチャが、アンケートに対する患者の応答のために使用される、実施形態52に記載の方法。
【0126】
54.当該眼のジェスチャが、可聴出力を再生するために使用され、当該可聴出力が、特定の音楽及び親戚の音声録音から選択される、実施形態52又は53に記載の方法。
【0127】
55.当該眼の画像及びEEGデータを分析することと、患者の臨床状態を示すシグネチャを識別することと、を含む、実施形態45~54のいずれか1つに記載の方法。
【0128】
56.当該眼の画像データ及び/又はEEGデータの時間的プロファイルを、データベースに記憶されている複数のシグネチャに対応する所定の時間的プロファイルと相関させることと、特定の条件を満たす相関を識別することと、を含む、実施形態55に記載の方法。
【0129】
57.臨床状態が、疼痛、渇き、空腹、せん妄のうちの少なくとも1つから選択される、実施形態55又は56に記載の方法。
【0130】
58.患者のパーソナライズされたシグネチャを生成することと、当該データベースを更新することか、又は当該パーソナライズされたシグネチャをメモリに記憶することを含む、実施形態55~57のいずれか1つに記載の方法。
【0131】
59.当該判定することが、患者の情報量又は想定された鎮静状態に基づいて、EEGデータ及び眼の画像データに異なるかつ変動する重み係数を適用することを含む、実施形態45~58のいずれか1つに記載の方法。
【0132】
60.当該判定することが、最近判定された鎮静状態に基づいて、EEGデータ及び眼の画像データに重み係数を適用し、鎮静状態の変化が識別されると、重み係数を更新することを含む、実施形態45~59のいずれか1つに記載の方法。
【0133】
61.当該判定することが、患者の記録された眼の活動を定義されたジェスチャに連続的に分類することによってユーザの鎮静状態を判定することを含み、眼のジェスチャの時間的プロファイルが、患者の鎮静状態を定義する、実施形態45~60のいずれか1つに記載の方法。
【0134】
本明細書に開示される主題をよりよく理解し、かつそれが実際にどのように実施され得るかを例示するために、実施形態は、非限定的な例としてのみ、添付の図面を参照してここで説明される。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【
図1A】本開示の態様による、システムの異なる非限定的な実施形態のブロック図である。
【
図1B】本開示の態様による、システムの異なる非限定的な実施形態のブロック図である。
【
図1C】本開示の態様による、システムの異なる非限定的な実施形態のブロック図である。
【
図1D】本開示の態様による、システムの異なる非限定的な実施形態のブロック図である。
【
図2A】本開示の別の態様による、システムの異なる非限定的な実施形態のブロック図である。
【
図2B】本開示の別の態様による、システムの異なる非限定的な実施形態のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0136】
以下の図は、本開示の発明の実施形態及び実現を例示するために提供される。
【0137】
図1A~
図1Dを参照すると、これらは、患者の鎮静レベルを監視し、かつ監視された鎮静レベルに基づいて選択された係合プロトコルで患者を係合させるためのシステムの異なる実施形態の非限定的な例である。「鎮静レベル」という用語は、「認知レベル」、「鎮静状態」、又は「認知状態」という用語と交換可能であり、それらはすべて、リッチモンド攪拌鎮静スケール(RASS)スコアなどの特定の鎮静/認知スケールを指すが、これらに限定されないことに留意されたい。RASSスコアは、患者が声又は身体的刺激に応答しない「昏睡」と、患者が完全に認識しており、公然と闘争的又は暴力的である「好戦的な」との間のスケール上の患者状態が何であるかを示す。
【0138】
図1Aは、患者の眼を継続的に画像化して記録し、患者の記録された眼画像を示す眼画像データEIDを生成するように構成されているカメラユニット102を含むシステム100を例示する。患者の眼の活動を監視することにより、患者の鎮静状態を推測することができる。これは、患者の記録された眼の活動を定義されたジェスチャに継続的に分類することによって実施される。眼のジェスチャの時間的プロファイルは、患者の鎮静状態を定義する。
【0139】
システムは、監視システム100によって患者の判定された鎮静状態に応答して、選択されたコミュニケーションプロトコルCPを患者に出力するように構成されているコミュニケーションモジュール104を更に含む。コミュニケーションモジュール104は、複数の所定のコミュニケーションプロトコルCPを含み、特定のプロトコルは、最良の一致基準に基づいて判定された鎮静状態に応答して選択される。すなわち、特定の鎮静状態ごとに、特定のコミュニケーションプロトコルがある。コミュニケーションプロトコルは、患者に合わせて調整することができ、すなわち、パーソナライズされたコンテンツがコミュニケーションプロトコルCPで患者に出力される。コミュニケーションプロトコルは、様々なタイプのコミュニケーションを含むことができ、そのうちのいくつかは、対話型コミュニケーション、すなわち、患者の応答を必要とするコミュニケーションであり、コミュニケーションプロトコルCPのうちのいくつかは、患者の応答を必要としないコミュニケーションモジュールの単なる出力によって構成される。
【0140】
処理回路106は、カメラユニット102から眼画像データEIDを受信し、それを処理して、患者によって行われた眼のジェスチャの時間的プロファイルを判定するように構成されている。眼のジェスチャの時間的プロファイルにおけるシグネチャの識別に基づいて、患者の鎮静レベルが判定される。鎮静レベルが判定されると、処理回路は、患者の判定された鎮静レベルに基づいて、選択されたコミュニケーションプロトコルCPを患者に出力するようにコミュニケーションモジュール104を動作させるように構成されている。コミュニケーションプロトコルCPが出力されると、カメラユニット102は、続けて患者の眼の活動を記録し、眼画像データを生成する。この新しい眼画像データEIDは、処理回路106によって処理されて、コミュニケーションプロトコルCPの出力に続く時間ウィンドウで患者によって行われた眼のジェスチャの時間的プロファイルを分析することによって、患者の更新された鎮静状態を判定し、コミュニケーションプロトコルCPが患者の鎮静状態に影響を与えているかどうかを識別する。時間の経過とともにコミュニケーションプロトコルに対する患者の応答を分析することによって、処理回路は、患者の鎮静スケールにおける最良の進歩を達成するために、最良のコミュニケーションプロトコルを患者によりよく一致させる方法を学習することができる。
【0141】
図1Bは、システムの別の例であり、これは、処理回路106に入力モジュール108を含むことによって、
図1Aのものとは異なる。入力モジュール108は、カメラユニット102によって生成された眼画像データEIDを受信し、更に、患者の眼活動がシステム100によって監視されていることを示す患者のEEG信号を示すEEGデータEEGDを受信するように構成されている。この例では、EEGデータEEGDは、システム100の外部にあり、その一部ではないEEGユニットによって生成される。処理回路106は、EEGデータEEGD及び眼画像データEIDに基づいて、患者の鎮静状態を判定するように構成されている。すなわち、処理回路は、患者の情報量又は想定される鎮静状態に基づいて、各データセット(EEGデータEEGD及び眼画像データEID)に異なる重み係数を割り当てるように構成されている。患者が低鎮静スコアであり、患者の眼が応答しない場合、処理回路は、EEGデータに大きな重み係数を割り当て、患者の鎮静スコアが上昇するときに、眼画像データEIDの重み係数が相対的に上昇する。したがって、EEGデータEEGDは、患者の眼活動、すなわち、特定の鎮静スコア未満を分析することによって鎮静状態を判定することができないときに、非常に重要である。処理回路は、パーソナライズされた重み係数を生成するように、各患者の重み係数を継続的に更新するように構成されていることに留意されたい。言い換えれば、各新しい患者の監視の開始時にデフォルトの重み係数があるが、処理回路は、各患者に合わせて調整されるように重み係数を更新するように構成されている。処理回路は、機械学習アルゴリズムを適用して、新しい重み係数を計算及び更新してもよい。
【0142】
ここで、
図1Cを参照すると、これは、本開示の監視システムの別の例である。この例は、監視される患者のEEG信号を示すEEGデータEEGDを生成するEEGユニット110を含むことによって、
図1Bの例とは異なる。EEGユニット110は、患者の脳波活動を継続的に記録し、かつそれに基づいてEEGデータEEGDを生成するように構成されており、これは、患者の鎮静レベルの判定を支援するために処理回路106の入力モジュール108に送信される。
【0143】
図1Dは、本開示の監視システムの別の例である。この例のシステムは、患者の特定の病状とそれぞれ相関するEEGのパターンの複数の所定のシグネチャ及び眼画像データを記憶するデータベース112を含むことによって、
図1Cのシステムとは異なる。所定のシグネチャは、様々な患者から収集されたか、又は合成的に生成されたものであり、それらの各々には、処理回路106が収集した眼画像データ及びEEGデータに相関又は一致アルゴリズムを適用して、データベース内で一致するシグネチャMSを見つけ、それに基づいて患者の病状を判定することができるように、病状が割り当てられる。処理回路106は、監視された患者から収集される新しいシグネチャNSをデータベース112に記録することができる。データベース112が処理回路106に物理的に接続されてもよく、又はリモートクラウドサーバ上に位置し、標準ネットワークプロトコルを介して処理回路106と通信してもよいことに留意されたい。
【0144】
ここで、
図2A~
図2Bを参照すると、これらは、本開示の態様による患者とやりとりするためのシステムの非限定的な例の異なる実施形態のブロック図である。
図2Aは、コミュニケーションモジュール252及び処理回路254を備えるシステム250を示す。コミュニケーションモジュールは、(i)患者の応答を期待することなく患者に出力されるコミュニケーションである単方向モード、(ii)患者に出力され、かつ患者の応答を必要とするコミュニケーションである応答モードであって、そのため、コミュニケーションモジュールは、(例えば、タッチスクリーン、眼の動きの読み取り、音声コミュニケーションの処理などを通して)患者からコミュニケーション応答を受信するように設計されている、応答モード、及び患者によって開始され、コミュニケーションモジュールによって記録され、音楽の再生、介護者の呼び出し、家族とのコミュニケーションなどの動作をトリガすることができるコミュニケーションであるオープンコミュニケーションモードから選択された、1つ以上のタイプのコミュニケーションモードで選択されたコミュニケーションプロトコルCPを出力するように構成されている。
【0145】
処理回路252は、患者の鎮静状態を示す入力データIDを受信し、それを処理して対象の鎮静状態を判定するように構成されている。当該判定に基づいて、処理回路は、実行データEDをコミュニケーションモジュール252に送信して、選択されたコミュニケーションタイプの選択されたコミュニケーションプロトコルCPをトリガする。実行データEDを受信することに応答して、コミュニケーションプロトコルは、必要なコミュニケーションプロトコルCPを患者に出力する。
【0146】
図2Bは、システムが、患者の感知されたデータ(眼の動きの記録、EEG信号、EOG信号、頭部ジェスチャの記録、マイクなどとすることができる)を記録し、患者の鎮静状態を示す感知された入力データSIDを生成し、かつそれを処理回路254に送信して、データを処理し、患者の鎮静状態を判定する感知ユニット256を更に備えることを示すことによって、
図2Aとは異なる。
【国際調査報告】