(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】半導体冷却装置付きコネクタ及び自動車
(51)【国際特許分類】
H01L 23/36 20060101AFI20240719BHJP
H05K 7/00 20060101ALI20240719BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20240719BHJP
B60L 15/00 20060101ALI20240719BHJP
H01R 13/533 20060101ALN20240719BHJP
【FI】
H01L23/36 D
H05K7/00 P
H05K7/20 C
B60L15/00 H
H01R13/533 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024502529
(86)(22)【出願日】2022-07-15
(85)【翻訳文提出日】2024-01-16
(86)【国際出願番号】 CN2022105980
(87)【国際公開番号】W WO2023001071
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】202110821575.X
(32)【優先日】2021-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522388383
【氏名又は名称】長春捷翼汽車科技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Changchun JETTY Automotive Technology Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】No. 957, Shunda Road, High-tech Development Zone, Chaoyang District Changchun City, Jilin Province, 130000, China
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】王 超
【テーマコード(参考)】
4E352
5E087
5E322
5F136
5H125
【Fターム(参考)】
4E352BB15
4E352DD10
4E352DR40
4E352EE13
5E087EE07
5E087FF13
5E087MM05
5E087QQ03
5E087QQ04
5E087RR49
5E322AA03
5E322AB10
5E322EA10
5E322FA04
5F136BA04
5F136BC01
5F136BC06
5F136DA50
5H125AA01
5H125EE15
5H125FF23
(57)【要約】
本発明は、半導体冷却装置付きコネクタ及び自動車を提供する。該コネクタは、導線22と、一端が導線22に接続され、他端が外部電気的構造に接続されるように構成された端子23と、半導体冷却装置30と、を備え、半導体冷却装置30は、端子の熱を吸収する冷却部31と、放熱部32とを有する。本発明によれば、導線と端子との接続箇所での発熱量が大きく、接続箇所が焼き切れてしまうことが多いという課題を緩和できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導線と、
一端が前記導線に接続され、他端が外部電気的構造に接続されるように構成された端子と、
半導体冷却装置と、を備え、
前記半導体冷却装置は、前記端子の熱を吸収する冷却部と、放熱部とを有する、
半導体冷却装置付きコネクタ。
【請求項2】
前記半導体冷却装置は、前記導線と電気的に接続されている、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
保護構造装置を備え、
前記端子は、前記保護構造装置の内部に設けられている、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項4】
一端が前記半導体冷却装置に電気的に接続され、他端が前記導線に電気的に接続されている整流装置を備える、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記整流装置に接続され、前記整流装置を介して前記半導体冷却装置に流れる電流を調整制御するための制御装置を備える、
請求項4に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記制御装置に接続されている温度センサを備え、
前記温度センサは、前記端子に接触して接続されており、及び/又は、前記冷却部に接触して接続されている、
請求項5に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記半導体冷却装置は、複数備えられており、
複数の前記半導体冷却装置は、前記整流装置に電気的に接続されている、
請求項4に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記半導体冷却装置は、前記保護構造装置の側壁に嵌設され、
前記冷却部は、前記保護構造装置の側壁の内部に位置し、
前記放熱部は、少なくとも一部の表面が前記保護構造装置の外部に露出する、
請求項3に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記冷却部は、前記端子に接触して接続されている、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項10】
前記端子の熱は、輻射によって前記冷却部に伝熱される、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項11】
前記冷却部には収容凹溝が設けられており、
前記端子の少なくとも一部が前記収容凹溝の内部に嵌設されている、
請求項9に記載のコネクタ。
【請求項12】
前記端子に接触して接続されている伝熱部を備え、
前記冷却部は、前記伝熱部に接触して接続されており、
前記伝熱部の材質は、熱伝導性シリコーングリース、熱伝導性マイカシート、熱伝導性セラミックシート及び熱伝導性シリコーンシートのうちの1種又は複数種の組み合わせである、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項13】
前記伝熱部は、前記端子を囲んでいる、
請求項12に記載のコネクタ。
【請求項14】
前記端子の両側に配置されている少なくとも2つの前記半導体冷却装置を備える、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項15】
前記冷却部には、前記端子が挿通される収容孔が設けられている、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項16】
前記半導体冷却装置は、複数の前記放熱部を備え、複数の前記放熱部は、前記冷却部を囲んで配置されている、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項17】
前記冷却部には、複数の前記収容孔が設けられており、
前記コネクタは、複数の前記端子を備え、
前記端子は、前記収容孔に一対一に対応して挿通されている、
請求項15に記載のコネクタ。
【請求項18】
前記冷却部及び前記放熱部は、いずれも筒状であり、
前記端子は、前記冷却部の内部に挿通されており、
前記放熱部は、前記冷却部の外部に嵌着されている、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項19】
前記冷却部及び前記放熱部は、いずれも円筒状である、
請求項18に記載のコネクタ。
【請求項20】
前記端子は、端子部と、前記導線に接続されるための接続部とを有し、
前記冷却部は、前記接続部に接続されている、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項21】
前記冷却部と前記接続部との接触面積は、前記接続部の表面積の少なくとも3%を占める、
請求項20に記載のコネクタ。
【請求項22】
前記半導体冷却装置は、アルミナ基板と、防水保護層と、半導体P/N層と、電源インターフェースと、を有し、
前記アルミナ基板、防水保護層、半導体P/N層は順次設けられており、
前記電源インターフェースは、半導体P/N層に電気的に接続されている、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項23】
前記半導体冷却装置の冷却速度は、0.05K/s-5K/sである、
請求項22に記載のコネクタ。
【請求項24】
前記放熱部に接続されている放熱装置を備える、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項25】
請求項1乃至24のいずれか1項に記載の半導体冷却装置付きコネクタを備える自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、出願番号がCN202110821575.Xであり、出願日が2021年07月20日であり、発明の名称が「半導体冷却装置付きコネクタ及び自動車」である中国特許出願の優先権を主張する。
【0002】
技術分野
本発明は、電気デバイスの技術分野に関し、特に、半導体冷却装置付きコネクタ及び自動車に関する。
【背景技術】
【0003】
自動車の起動時の起動電流は比較的大きく、150A-250Aにも及ぶことがあり、導線及びコネクタの通電容量に対する要求比較的高い。電気自動車の動作及び充電電流も比較的大きく、導線及びコネクタの通電容量に対する要求も比較的高い。通常、導線は所定の定格電流を有し、発熱量が比較的安定であり、定格電流が要求を満たす導線を用いることにより、電流の搬送を実現できる。
【0004】
しかし、導線と端子との接続箇所は、接触抵抗が高く、端子と導線との間に大きな電圧降下が発生し得るため、導線と端子との接続箇所では、一般に発熱量が大きく、接続箇所が焼き切れてしまうことが多く、重大な安全事故を招くおそれがある。
【0005】
このため、電気デバイスの技術分野では、導線と端子との接続箇所での発熱量が大きく、接続箇所が焼き切れてしまうことが多いという課題を緩和できるコネクタが急務となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、導線と端子との接続箇所での発熱量が大きく、接続箇所が焼き切れてしまうことが多いという課題を緩和できる半導体冷却装置付きコネクタ及び自動車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記目的は、以下の技術案によって実現され得る。
【0008】
本発明は、半導体冷却装置付きコネクタを提供する。該コネクタは、導線と、一端が前記導線に接続され、他端が外部電気的構造に接続されるように構成された端子と、半導体冷却装置と、を備え、前記半導体冷却装置は、前記端子の熱を吸収する冷却部と、放熱部とを有する。
【0009】
本発明は、上記の半導体冷却装置付きコネクタを備える自動車を提供する。
【0010】
本発明の特徴及び利点は以下の通りである。
【0011】
外部電気的構造は、端子を介して当該半導体冷却装置付きコネクタに接続されると共に、導線と電気的に接続されることで、電気エネルギーの搬送は実現される。外部電気的構造と端子との間には、通常、大きな接触抵抗が存在し、接続過程で発熱し続ける。該コネクタにおいて、半導体冷却装置は、導線に電気的に接続されていることにより、導線からの電気エネルギーの取得が可能となる。そして、半導体冷却装置が運転開始し、熱が冷却部から放熱部に伝達され、放熱部における熱が外部に放出され、冷却部の温度が徐々に低下する。よって、冷却部が端子の熱を吸収し、端子及び外部電気的構造を安全で安定した温度に保持し、安定した温度制御を実現し、接続箇所の焼き切れなどの安全事故を低減することができる。該コネクタを用いることにより、電気自動車の充電電流が大きくなる際の接続箇所の温度が高すぎる問題を解決でき、電気自動車の充電ハーネスの大電流による急速充電を実現することに寄与できる。
【0012】
当該コネクタにおいて、冷媒が使用されず、運動機構も設けられず、半導体冷却装置を用いて端子を降温させる。これにより、余分な振動及び騒音の発生を回避し、安全で安定した状態を保持し、使用寿命を長くすることができる。該コネクタにおいて、導線における電流の分流によって半導体冷却装置に電気エネルギーを供給することが可能であり、別途の給電装置を必要とせず、蓄電ボックスの配置や交換を行う必要がなく、利便性及び耐久性に優れ、持続動作を実現しやすく、メンテナンス工数を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
以下の図面は、本発明を模式的に説明及び解釈することを意図するものに過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
【
図1】本発明に係る半導体冷却装置付きコネクタの一実施形態の構成模式図である。
【
図2】本発明に係る半導体冷却装置付きコネクタの別の実施形態の構成模式図である。
【
図3】本発明に係る半導体冷却装置付きコネクタの断面図である。
【
図4】本発明に係る半導体冷却装置付きコネクタの断面図である。
【
図5】本発明に係る半導体冷却装置付きコネクタのさらに別の実施形態の構成模式図である。
【
図6】本発明に係る半導体冷却装置付きコネクタのさらに別の実施形態の構成模式図である。
【
図7】本発明に係る半導体冷却装置付きコネクタのさらに別の実施形態の構成模式図である。
【
図8】本発明に係る半導体冷却装置付きコネクタのさらに別の実施形態の構成模式図である。
【
図9】本発明に係る半導体冷却装置付きコネクタにおける端子と導線の模式図である。
【
図10】本発明に係る半導体冷却装置付きコネクタにおける端子と導線の模式図である。
【
図11】本発明に係る半導体冷却装置付きコネクタにおける端子と導線の模式図である。
【
図12】本発明に係る半導体冷却装置付きコネクタにおける端子と導線の模式図である。
【
図13】本発明に係る半導体冷却装置付きコネクタにおける端子と導線の模式図である。
【
図14】本発明に係る半導体冷却装置付きコネクタにおける端子と導線の模式図である。
【
図15】本発明に係る半導体冷却装置付きコネクタにおける端子と導線の模式図である。
【
図16】本発明に係る半導体冷却装置付きコネクタにおける端子と導線の模式図である。
【
図17】本発明に係る半導体冷却装置付きコネクタにおける端子と導線の模式図である。
【
図18】本発明に係る半導体冷却装置付きコネクタのさらに別の実施形態の構成模式図である。
【
図19】本発明に係る半導体冷却装置付きコネクタのさらに別の実施形態の構成模式図である。
【
図20】本発明に係る半導体冷却装置付きコネクタのさらに別の実施形態の構成模式図である。
【
図21】本発明に係る半導体冷却装置付きコネクタにおける半導体冷却装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の技術的特徴、目的及び効果をより明確に理解するために、図面参照しながら本発明の具体的な実施形態を説明する。本発明の説明において、特記がない限り、「複数」は2つ以上を意味する。
【0015】
実施例1
本発明は、半導体冷却装置付きコネクタを提供する。
図1に示すように、該コネクタは、導線22と、端子23と、半導体冷却装置30とを備え、導線22が端子23に接続されており、端子23が外部電気的構造に接続されるように構成されている。半導体冷却装置30は、端子23の熱を吸収する冷却部31と、放熱部32とを有し、導線22と電気的に接続されている。
【0016】
詳細には、半導体冷却装置30は、原理的には、熱伝達するためのツールである。1つのN型半導体材料と1つのP型半導体材料とが接合された熱電対に電流が流れると、両端の間に熱移動が発生し、一端から他端へ熱が移動し、これにより、温度差が発生して冷熱端が形成される。本明細書に記載の半導体冷却装置30は、冷却端に加えて、冷却端に対向して設けられる放熱端をさらに有する。半導体冷却装置30は、従来技術における既存の半導体冷却装置を用いてもよく、導体のサイズに応じてカスタマイズされてもよい。
【0017】
外部電気的構造は、端子23を介して当該コネクタに接続され、導線22と電気的に接続されることで、電気エネルギーの搬送が実現される。外部電気的構造と端子23との間には、通常、大きな接触抵抗が存在し、接続過程で発熱し続ける。該コネクタにおいて、半導体冷却装置30は、導線22に電気的に接続されることにより、導線22からの電気エネルギーの取得が可能となる。そして、半導体冷却装置30が運転開始し、熱が冷却部31から放熱部32に伝達され、放熱部32における熱が外部に放出され、冷却部31の温度が徐々に低下する。よって、冷却部31が端子32の熱を吸収し、端子23及び外部電気的構造を安全で安定した温度に保持し、安定した温度制御を実現し、接続箇所の焼き切れなどの安全事故を低減できる。該コネクタを用いることにより、電気自動車の充電電流が大きくなる際の接続箇所の温度が高すぎる問題を解決でき、電気自動車の充電ハーネスの大電流による急速充電を実現することに寄与できる。
【0018】
当該コネクタにおいて、冷媒が使用されず、運動機構も設けられず、半導体冷却装置30を用いて端子23を降温させる。これにより、余分な振動及び騒音の発生を回避し、安全で安定した状態を保持し、使用寿命を長くすることができる。該コネクタにおいて、導線22における電流の分流によって半導体冷却装置30に電気エネルギーを供給することが可能であり、別途の給電装置を必要とせず、蓄電ボックスの配置や交換を行う必要がなく、利便性及び耐久性に優れ、持続動作を実現しやすく、メンテナンス工数を削減できる。
【0019】
一実施形態では、当該コネクタは、保護構造装置10をさらに備える。
図2に示すように、端子23が保護構造装置10の内部に設けられている。いくつかの大電流の環境において、端子23に対して絶縁保護する必要があるため、保護構造装置10を端子23の外周に設けることにより、端子23の外部環境に対する絶縁を実現できる。また、端子23の数が多い場合、外部電気的構造に接続するとき、端子23を1つずつ対応して挿入接続する必要があるため、操作が複雑となり、時間がかかる。複数の端子23を間隔を置いて保護構造装置10の内部に配置し、保護構造装置10と外部電気的構造とを対応して挿入することにより、内部の端子23ごとに対応して挿入することを実現し、操作が簡単となり、かつ端子を挿入し間違える状況が発生しにくく、回路の正確性と安全性を保証することができる。保護構造装置10は、シースであってもよい。
【0020】
一実施形態において、該コネクタは、整流装置51を備える。整流装置51は、その一端が接続線54を介して半導体冷却装置30に電気的に接続されており、他端が接続線54を介して導線22に電気的に接続されている。整流装置51は、接続線54を介して接続部21に電気的に接続されていることで、導線22に電気的に接続されてもよい。導線22の電流が分流することで、半導体冷却装置30に給電する。整流装置51によって、電流、電圧を半導体冷却装置30の動作電流及び電圧に適合するように調整され、半導体冷却装置30の動作の安定性を保証する。
【0021】
さらに、当該コネクタの制御ユニット50は、整流装置51に接続され、整流装置51を介して半導体冷却装置30に流れる電流を調整制御するための制御装置52を有する。半導体冷却装置30の電流が制御装置52によって調節されることで、半導体冷却装置30の冷却部31の温度が調節され、接続部21の温度が調節される。具体的には、整流装置51は、一端が導線22に電気的に接続されており、他端が制御装置52及び半導体冷却装置30のそれぞれに電気的に接続されていることにより、制御装置52及び半導体冷却装置30に電力を供給する。
【0022】
図3に示すように、該コネクタは、制御装置52に接続されている温度センサ53を備え、温度センサ53は、端子23に接触して接続されており、及び/又は、冷却部31に接触して接続されている。該コネクタの温度が温度センサ53によって検出されて、温度信号が制御装置52に伝達される。そして、制御装置52は、検出した温度に基づいて、半導体冷却装置30の給電電流を調整するように整流装置51を制御することにより、半導体冷却装置30の冷却部31の温度を調整し、接続部21の安定動作温度を確保する。例えば、温度が上昇したことを検出した場合、制御装置52は、給電電流が大きくなるように整流装置51を制御して、半導体冷却装置30による外部への放熱効率を速くする。一方、温度が低下したことを検出した場合、制御装置52は、給電電流が小さくなるように整流装置51を制御して、半導体冷却装置30による外部への放熱効率を遅くする。温度センサ53、制御装置52は、整流装置51と協働して半導体冷却装置30の電流を調節することで、該コネクタの恒温を実現し、導線22における電流変化による該コネクタの温度変化を回避することができる。温度センサ53が接続部21に接触して接続されており、接続部21の温度を検出するようにすることは好ましい。
【0023】
制御装置52は、機械式制御装置を採用することができ、機械式制御装置は、少なくとも2枚の温度膨張係数が異なる合金片を有する。合金片は、温度が変化した後に湾曲変形して、接点を開閉動作させることで、機械式制御装置の通電及び遮電を実現する。制御装置52は、電子式制御装置を採用することができ、電子式制御装置は、温度センサ53の電気信号を受信して、チップによる分析をすることで、半導体冷却装置30の通電と遮電を制御する。
【0024】
整流装置51は、抵抗とダイオード及び他の電子素子の組み合わせにより、導線22における不安定な大電流を、制御装置52と温度センサ53が使用可能な安定した小電流に整合し、継続的かつ安定した給電を実現することができる。
【0025】
温度センサ53は、接触式温度センサであってもよく、具体的には、バイメタル温度計、圧力式温度計、抵抗温度計、サーミスタ又は熱電対であってもよい。温度センサ53は、接続部21又は冷却部31のリアルタイム温度を電気信号に変換し、制御装置52に伝達することができる。
【0026】
一実施形態では、半導体冷却装置30は複数備えられており、個々の半導体冷却装置30の温度を正確に制御できるようにするために、複数の半導体冷却装置30は、整流装置51が電気的に並列に接続されることで、個々の半導体冷却装置30の給電電流を個別に制御できる。
【0027】
さらに、複数の半導体冷却装置30の型番や電力が完全に一致している場合には、複数の半導体冷却装置30は、整流装置51を電気的に直列に接続して、半導体冷却装置30毎の給電電流を一致させる。
【0028】
さらに、半導体冷却装置30は、保護構造装置10の側壁に嵌設され、冷却部31は、保護構造装置10の側壁の内部に位置し、放熱部32は、少なくとも一部の表面が保護構造装置10の外部に露出する。これにより、半導体冷却装置30の冷却部31が端子23から熱を吸収し、放熱部32を介して外部に熱を放出することに寄与できる。
【0029】
一実施形態では、端子23の熱は、輻射によって冷却部31に伝熱される。別の実施形態では、冷却部31は、端子23に接続されて端子の熱を吸収する。
【0030】
図2-
図5に示すように、冷却部31が端子23に接触して接続されることにより、端子23における熱が冷却部31に迅速に伝達され、熱を速やかに外部に放出させ、端子23に発生した熱を十分に除去し、温度を低下させ、迅速な降温を実現することができる。
【0031】
さらに、冷却部31に収容凹溝311が設けられており、端子23の少なくとも一部が収容凹溝311の内部に嵌設されている。収容凹溝311は、端子23の外輪郭の形状に沿った形状に形成されている。端子23が収容凹溝311の内壁に接触し、冷却部31と端子23とを密着させることで、接触面積を増大させ、端子23の熱が冷却部31に伝達されることに有利である。好ましくは、
図4に示すように、収容凹溝311は半円柱状である。
【0032】
図6、
図7及び
図18に示すように、該コネクタは、端子23に接触して接続されている伝熱部41を備え、冷却部31は、伝熱部41に接触して接続されており、接続部21における熱が伝熱部41を介して冷却部31に伝達される。伝熱部41によって、端子23、伝熱部41と冷却部31との密着を保持することに有利である。これにより、端子23に発生した熱を冷却部31に迅速に伝達し、温度を低下させ、放熱性能を向上させ、迅速な降温の目的を実現し、端子23の温度を一定に保証することができる。伝熱部41は、熱を伝導しかつ電気を伝導しない材料を採用してもよい。なお、伝熱部41は、端子23と冷却部31との間に熱を伝導しかつ電気を伝導しない材料を充填する方式で成形されてもよい。伝熱部41の材質は、熱伝導性シリコーングリース、熱伝導性マイカシート、熱伝導性セラミックシート及び熱伝導性シリコーンシートのうちの1種又は複数種の組み合わせであってもよい。
【0033】
さらに、伝熱部41は、端子23を囲んでおり、冷却部31は、伝熱部41を介して端子23に接触する。伝熱部41は、端子23の異なる位置で発生した熱を吸収しやすくするように、筒状に配置されてもよい。いくつかの場合では、コネクタは複数の端子23を備え、これらに対し、複数の伝熱部41はそれぞれ設けられてもよい。伝熱部41は端子23と一対一に対応して端子23の外部に嵌着されており、複数の伝熱部41はいずれも1つの半導体冷却装置30の冷却部31に接触して接続されている。1つの伝熱部41は複数の端子23を囲むようにしてもよく、これにより、複数の端子23の熱は該伝熱部41を介して冷却部31に伝達される。
【0034】
本発明の一実施形態において、該コネクタは、少なくとも2つの半導体冷却装置30を備え、少なくとも2つの半導体冷却装置30は、端子23の両側に配置されており、端子23の両側から熱を吸収し、降温効率を向上させる。
図5及び
図7に示すように、2つの半導体冷却装置30は、端子23の対向する両側に配置されてもよい。
【0035】
図8に示すように、該コネクタは、複数の端子23を備え、各端子23の接続部21にはそれぞれ導線22が接続されている。該コネクタは、複数の半導体冷却装置30を備え、複数の半導体冷却装置30は、第1の冷却装置301及び第2の冷却装置302を有し、第1の冷却装置301、複数の接続部21、第2の冷却装置302は順次配置されている。一実施形態では、複数の端子23は、左右方向に沿って順次配置されており、第1の冷却装置301は、左端に配置され、第2の冷却装置302は、右端に配置され、さらに、端子23の上側及び下側にそれぞれ半導体冷却装置30が設けられている。
【0036】
一実施形態において、冷却部31に収容孔312が設けられており、端子23が収容孔312に挿通されている。収容孔312によって端子23が収容されることで、冷却部31と端子23との接触接続を実現し、端子23と導線22との空間配置方式を改善し、接触面積を増大させ、端子23から冷却部31への熱伝達に有利である。特に、該コネクタが複数の端子23と導線22とを備える場合、小さいスペースに配置しやすく、各端子23の放熱を確保できる。
【0037】
さらに、半導体冷却装置30は複数の放熱部32を備え、複数の放熱部32が冷却部31を囲んで配置されており、これにより、熱の外部への放出に有利である。
図19に示すように、冷却部31に複数の収容孔312が設けられており、当該コネクタは複数の端子23を備え、端子23が収容孔312に一対一に対応して挿通されている。好ましくは、冷却部31は全体として方形に形成されており、放熱部32は冷却部31の4つの側面に配置されている。
【0038】
一実施形態において、冷却部31には複数の収容孔312が設けられており、コネクタは複数の端子23を備え、収容孔312に端子23が一対一に対応して挿通されている。
図19に示すように、端子23は冷却部31の内部に挿通されており、放熱部32は冷却部31の外部に嵌着されている。これにより、冷却部31と端子23との十分な接触に有利であり、端子23における熱が冷却部31を介して放熱部32へ効率良く伝達されるようにすることができ、コンパクト性を向上させ、複数の端子23及び半導体冷却装置30の配置を容易にすることができる。
【0039】
一実施形態において、冷却部31と放熱部32はいずれも筒状である。
図20に示すように、端子23は冷却部31の内部に挿通されており、放熱部32は冷却部31の外部に嵌着されている。筒状の冷却部31と放熱部32は、いずれも加工が容易であり、しかも接触面積が大きくなり、端子23の熱の放熱部への伝達をより容易にすることができる。さらに、冷却部31及び放熱部32は、いずれも円筒状である。
【0040】
一実施形態において、端子23は、端子部231と接続部21とを有し、端子部231は、外部電気的構造に接続されるように構成されており、接続部21は、導線22に接続されるように構成されている。接続部21の形状は1種に限定されず、例えば、
図9に示すように、接続部21の初期形状はU字状であり、U字状溝を有し、導線22が該U字状溝に設けられている。
図10に示すように、U字状溝の側壁が内側に折り曲げられることで、導線22を押圧して、端子23と導線22とを接続することを実現することができる。
図11-
図14に示すように、接続部21は筒体であってもよく、導線22が該筒体の孔の内部に設けられている。
図15-
図17に示すように、接続部21は板状であってもよく、導線22が接続部21の一側に配置されている。導線22と接続部21との間は、溶接又は圧着によって固着されてもよい。端子部231と接続部21とは一体構造であってもよいし、別体構造であってもよく、両者は溶接によって固定されてもよい。好ましくは、接続部21を端子23と冷却部31との接続箇所とし、これにより、冷却部31が端子23の熱を吸収することに有利である。
【0041】
さらに、冷却部31と接続部21との接触面積は、吸熱の効率を確保するように、接続部21の表面積の少なくとも3%を占める。
【0042】
発明者は、接続部21の表面積に占める冷却部31と接続部21との接触面積の割合の範囲による端子23の温度上昇に対する影響を検証するために、11組の同じ断面積、同じ材質、同じ長さの導線22、及び同じ端子23を選択し、同じ電流を流し、接続部21の表面積に占める冷却部31と接続部21との接触面積の割合の異なるコネクタを採用し、それぞれ対応する温度上昇値を読み取って、表1に記録した。
【0043】
実験方法として、密閉された環境において、接続部21の表面積に占める冷却部31と接続部21との接触面積の割合の異なるコネクタに対して、同じ電流を通電し、通電前の温度と通電後に温度が安定したときの温度を記録し、それらの差の絶対値をとった。本実施例では、温度上昇が50K未満を合格値とした。
【0044】
表1:異なる接続部21の表面積に占める冷却部31と接続部21との接触面積の割合によるコネクタの温度上昇に対する影響
【表1】
【0045】
表1から分かるように、接続部21の表面積に占める冷却部31と接続部21との接触面積の割合が3%未満である場合、コネクタの温度上昇値は合格値未満であった。接続面積の割合が大きいほど温度上昇値が小さくなるため、発明者は、接続部21の表面積に占める冷却部31と接続部21との接触面積の割合を少なくとも3%に設定した。
【0046】
導線22は、内部の導体221と、導体221を包む絶縁層222とを有し、導体221の終端が端子23に接続されている。半導体冷却装置30は保護構造装置10に固定され、冷却部31が内向き、放熱部32が外向きとなっており、冷却部31の表面が保護構造装置10の表面または保護構造装置10外部に設けられている。外部電気的構造は、端子23に適合するハーネスケーブル又は端子であってもよい。
【0047】
本発明の一実施形態において、
図21に示すように、半導体冷却装置30は、アルミナ基板1011と、防水保護層1012と、半導体P/N層1013と、電源インターフェース1014とを有する。
【0048】
アルミナ基板1011、防水保護層1012、半導体P/N層1013が順次設けられている。電源インターフェース1014は、半導体P/N層1013に電気的に接続されている。
【0049】
アルミナ基板1011は、半導体冷却装置30の放熱端である放熱部32を構成する。半導体P/N層1013は、半導体冷却装置30の冷却端である冷却部31を構成する。
【0050】
本実施例では、アルミナ基板1011を半導体冷却装置30の表面とすることにより、熱伝導率を向上させることができ、熱伝導速度をより速くすることができ、冷却時間をより短くすることができる。また、耐えられる強度が大きく、かつフレキシブルに接続することができ、導体に対しより良く貼り付けることができ、導体の折り曲げ箇所での表面応力を効果的に吸収し、実装及び使用中に割れにくい。半導体冷却装置30のコア部は、特殊な半導体材料からなるP-N接合を採用しており、1つのN型半導体材料と1つのP型半導体材料とが接合された熱電対に電流が流れると、両端の間に熱移動が発生し、一端から他端へ熱が移動し、これにより、温度差が発生して冷熱端が形成される。即ち、直流電流を制御することで冷却制御を実現することができる。
【0051】
本発明の一実施形態において、半導体冷却装置30の冷却速度は、0.05K/s-5K/sである。
【0052】
発明者は、半導体冷却装置30の冷却速度による当該コネクタの温度上昇に対する影響を検証するために、10本の同じ断面積、同じ材質、同じ長さの導線22、及び同じ端子23を選択し、同じ電流を流し、冷却速度の異なる半導体冷却装置30を用いてコネクタを冷却し、それぞれ対応する温度上昇値を読み取って、表2に記録した。
表2:異なる冷却速度の半導体冷却装置30によるコネクタの温度上昇に対する影響
【表2】
【0053】
実験方法として、密閉された環境において、半導体冷却装置30の冷却速度の異なるコネクタに対し同じ電流を流し、通電前の温度と通電後に温度が安定したときの温度を記録し、それらの差の絶対値をとった。本実施例では、温度上昇が50K未満を合格値とした。
【0054】
表2から分かるように、半導体冷却装置30の冷却速度が0.05K/s未満の場合、コネクタの温度上昇値は合格値未満であった。半導体冷却装置30の冷却速度が大きいほど、温度上昇値が小さい。しかし、半導体冷却装置30の冷却速度が5K/sより大きい場合、コネクタ自体の発熱量及び半導体冷却装置30自体のパワーの影響により、温度上昇値の低下が顕著ではないが、半導体冷却装置30のパワーが増大していくため、経済性に劣る。そこで、発明者は、半導体冷却装置30の冷却速度を0.05K/s-5K/sに設定した。
【0055】
本発明の一実施形態において、該コネクタは、放熱部32に接続されている放熱装置42を備える。これにより、放熱効果を向上させることができ、半導体冷却装置30の放熱部32の熱の外部への放出や急速な降温の確保に有利である。具体的には、放熱装置42は、ファン、熱交換器又は液冷装置であってもよい。
図3及び
図4に示すように、放熱装置42は、放熱フィン421であってもよく、放熱フィン421は、金属で製造されることが好ましい。
【0056】
該コネクタは、下記の(1)―(5)の利点を有する。(1)冷却時間が短く、接続部21の温度が高くなると、短時間で接続部21を降温することができる。(2)該コネクタの温度を比較的安定的に制御し、過負荷による接続箇所の焼き切れを防止し、安全事故を減少させることができる。(3)接続箇所の温度を低下させることにより、ケーブルに対する線径拡大の設計を必要とせず、ケーブルの設計時に、定格電流での発熱曲線における線径を使用することができ、設計時に接続部の抵抗を小さくするためにケーブルの線径を大きくすることを考慮する必要がなく、ケーブル径を小さくし、ケーブルのコストを低減させることができる。(4)該コネクタを用いることにより、電気自動車の充電電流が大きくなる際の接続箇所の温度が高すぎる問題を解決でき、電気自動車の充電ハーネスの大電流による急速充電を実現することに寄与できる。(5)半導体冷却装置30の放熱部32には加熱を必要とする他の部材を接続することができ、エネルギーの利用率を向上させることができる。
【0057】
実施例2
本発明は、上記の半導体冷却装置付きコネクタを備える自動車を提供する。該自動車におけるコネクタは、上記の構造、機能及び有益な効果を有し、ここでは説明を省略する。
【0058】
以上は、本発明の例示的な実施形態に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。当業者であれば、本発明の構想及び原則から逸脱することなく行われる同等の変更及び修正は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【符号の説明】
【0059】
10 保護構造装置
21 接続部
22 導線
23 端子
30 半導体冷却装置
31 冷却部
32 放熱部
41 伝熱部
42 放熱装置
50 制御ユニット
51 整流装置
52 制御装置
53 温度センサ
54 接続線
221 導体
222 絶縁層
231 端子部
301 第1の冷却装置
302 第2の冷却装置
311 収容凹溝
312 収容孔
421 放熱フィン
1011 アルミナ基板
1012 防水保護層
1013 半導体P/N層
1014 電源インターフェース
【国際調査報告】