(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】活性剤を含む非水溶性繊維物品
(51)【国際特許分類】
D01F 1/10 20060101AFI20240719BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240719BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20240719BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20240719BHJP
D04H 1/42 20120101ALI20240719BHJP
D06M 13/144 20060101ALI20240719BHJP
D06M 13/188 20060101ALI20240719BHJP
D06M 13/463 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
D01F1/10
A61Q19/00
A61K8/02
A61K8/81
D04H1/42
D06M13/144
D06M13/188
D06M13/463
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503342
(86)(22)【出願日】2022-08-02
(85)【翻訳文提出日】2024-01-18
(86)【国際出願番号】 US2022039140
(87)【国際公開番号】W WO2023014694
(87)【国際公開日】2023-02-09
(32)【優先日】2021-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マーク ウィリアム ハマースキー
(72)【発明者】
【氏名】ポール マーティン リピク
(72)【発明者】
【氏名】クラウス ユルゲン フォルマー
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ マイケル ゲインズ
(72)【発明者】
【氏名】ラジェシ カント ミシュラ
【テーマコード(参考)】
4C083
4L033
4L035
4L047
【Fターム(参考)】
4C083AB212
4C083AB312
4C083AC072
4C083AC302
4C083AC642
4C083AC692
4C083AD071
4C083AD072
4C083AD242
4C083AD532
4C083BB47
4C083CC02
4C083CC19
4C083DD12
4C083EE11
4C083EE12
4C083EE17
4L033AB01
4L033AB03
4L033AB04
4L033BA11
4L033BA17
4L033BA86
4L035JJ14
4L035JJ15
4L035JJ19
4L035KK05
4L047AA29
4L047CB01
4L047CB10
4L047CC03
4L047CC16
(57)【要約】
活性剤含有繊維要素及び/又は物品、より具体的には、1つ以上の活性剤、例えば1つ以上の脂肪族両親媒性物質及び1つ以上のカチオン性界面活性剤と、1つ以上の補助成分、例えば構造化剤とを含む、非水溶性繊維要素及び/又は非水溶性物品、例えば剃毛準備物品などの消費可能な単回使用非水溶性物品、そのような活性剤及び補助成分を含有する繊維要素、そのような物品及び繊維要素を製造するための方法、並びにそのような物品を使用する方法が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非水溶性繊維要素であって、
a.1つ以上の活性剤、
b.1つ以上の補助成分、及び
c.繊維要素水和制御系、を含む、非水溶性繊維要素。
【請求項2】
前記1つ以上の活性剤のうちの少なくとも1つが、剃毛準備活性剤を含む、請求項1に記載の非水溶性繊維要素。
【請求項3】
前記1つ以上の補助成分のうちの少なくとも1つが、構造化剤を含む、請求項1に記載の非水溶性繊維要素。
【請求項4】
前記1つ以上の補助成分のうちの少なくとも1つが、約10,000~約4,000,000g/molの重量平均分子量を呈する、請求項1に記載の非水溶性繊維要素。
【請求項5】
前記1つ以上の補助成分のうちの少なくとも1つが、前記非水溶性繊維要素中に存在する前記1つ以上の活性剤中に分散されている、請求項1に記載の非水溶性繊維要素。
【請求項6】
前記非水溶性繊維要素が、香料、着色剤、防腐剤、乳白剤、日焼け止め剤、天然油、ビタミン、皮膚調整剤、皮膚鎮静剤、感覚剤、粉末、抗酸化剤、酒さ、皮膚有益剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の任意選択的な活性剤を更に含む、請求項1に記載の非水溶性繊維要素。
【請求項7】
前記繊維要素水和制御系が、C
8~C
22四級アンモニウム化合物を含む、請求項1に記載の非水溶性繊維要素。
【請求項8】
前記繊維要素水和制御系が界面活性剤を含む、請求項1に記載の非水溶性繊維要素。
【請求項9】
前記非水溶性繊維要素が、ラメラ構造試験方法に従って測定したときにラメラ構造応答を呈する、請求項1に記載の非水溶性繊維要素。
【請求項10】
前記非水溶性繊維要素が、前記ラメラ構造試験方法に従って測定したときに、湿潤状態でラメラ構造応答を呈するが、乾燥状態でラメラ構造応答を呈しない、請求項1に記載の非水溶性繊維要素。
【請求項11】
請求項1に記載の複数の非水溶性繊維要素を含む、非水溶性物品。
【請求項12】
前記非水溶性物品が、外部繊維要素水和制御系を更に含む、請求項11に記載の非水溶性物品。
【請求項13】
前記非水溶性物品が、前記ラメラ構造試験方法に従って測定したときにラメラ構造応答を呈する、請求項11に記載の非水溶性物品。
【請求項14】
前記非水溶性物品が、前記ラメラ構造試験方法に従って測定したときに、湿潤状態でラメラ構造応答を呈するが、乾燥状態でラメラ構造応答を呈しない、請求項11に記載の非水溶性物品。
【請求項15】
複数の非水溶性繊維要素を製造するための方法であって、前記方法が、
a.1つ以上の活性剤、1つ以上の補助成分、及び繊維要素水和制御系を含む繊維要素形成組成物を提供する工程、並びに
b.前記繊維要素形成組成物から複数の非水溶性繊維要素を製造する工程、を含む、方法。
【請求項16】
非水溶性物品を製造するための方法であって、前記方法が、
a.外部繊維要素水和制御系を、1つ以上の活性剤及び1つ以上の補助成分を含む複数の非水溶性繊維要素と混合して、前記複数の非水溶性繊維要素と前記外部繊維要素水和制御系との混合物を形成する工程、並びに
b.前記複数の非水溶性繊維要素と前記外部繊維要素水和制御系との前記混合物を収集装置で収集して、前記複数の非水溶性繊維要素及び前記外部繊維要素水和制御系を含む非水溶性物品を形成する工程、を含む、方法。
【請求項17】
前記複数の非水溶性繊維要素が、前記1つ以上の活性剤及び前記1つ以上の補助成分を含む繊維要素形成組成物から製造される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記複数の非水溶性繊維要素が、前記繊維要素形成組成物から紡糸される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記非水溶性物品が、ラメラ構造試験方法に従って測定したときにラメラ構造応答を呈する、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記非水溶性物品が、前記ラメラ構造試験方法に従って測定したときに、湿潤状態でラメラ構造応答を呈するが、乾燥状態でラメラ構造応答を呈しない、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性剤含有繊維要素及び/又は物品に関し、より詳細には、1つ以上の活性剤、例えば、脂肪族アルコール、脂肪酸、脂肪族そのような四級アンモニウム化合物などの1つ以上の脂肪族両親媒性活性剤、及び1つ以上のカチオン性界面活性剤、並びに1つ以上の補助成分、例えば、ポリマー構造化剤などの構造化剤を含む、非水溶性繊維要素及び/又は非水溶性物品、例えば剃毛準備物品(shave prep article)などの消費可能な単回使用の非水溶性物品、活性剤及び補助成分を含有する繊維要素、そのような物品及び繊維要素を製造するための方法、並びにそのような物品を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
活性剤、例えば脂肪族両親媒性物質及びカチオン性界面活性剤、並びに任意選択的に補助成分、例えば構造化剤を含む非水溶性物品は、米国特許第10,975,339号に記載されているように既知である。しかしながら、そのような既知の非水溶性物品及びそのような既知の非水溶性物品を形成するそれらの非水溶性繊維要素は、剃毛準備用途にとっては水和が過剰になるので、そのような非水溶性繊維要素及び/又は非水溶性物品が過度に膨潤する原因となり、例えば、ばらばらになるまで完全に膨潤し、かつ/又は完全に水和し、繊維要素がその繊維要素の物理的構造、完全性、及び強度を失う点まで軟化し、かつ及び/又は繊維要素の弾性率が低下する。既知の非水溶性繊維要素が上記のように膨潤すると、非水溶性繊維要素及び/又はそのような非水溶性繊維要素を含む非水溶性物品は、非水溶性繊維要素及び/又は非水溶性物品にせん断が加えられたときに、皮膚などの表面上に広がる。そのような既知の非水溶性繊維要素及び/又は非水溶性物品のそのような特性及び/又は特徴は、ヘアコンディショニング用途にとって望ましい場合があるが、そのような特性及び/又は特徴は、剃毛準備用途にとっては、皮膚への適用後に剃毛準備組成物、例えばクリームを洗い流す際の欠点、及び/又は使用後にかみそりから剃毛準備組成物を洗い流す際の欠点を引き起こすため、望ましくない。
【0003】
図1及び
図2に示されるように、そのような既知の非水溶性物品(
図1及び
図2の比較例)及びそのような非水溶性物品を作製する非水溶性繊維要素に関する1つの問題は、そのような既知の非水溶性物品及び/又は非水溶性繊維要素が過度に水和することにより、上述の負の性質に起因して、剃毛準備用途などの特定の用途に使用するのに好適でなくなることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、脂肪族両親媒性物質及びカチオン性界面活性剤などの1つ以上の活性剤と、任意選択的に構造化剤などの補助成分とを含む非水溶性物品及び/又は非水溶性繊維要素であって、使用中に過度に膨潤しない及び/若しくはばらばらにならない水和特性を呈し、かつ/又は既知の非水溶性物品及び/若しくは非水溶性繊維要素に存在する上述の他の欠点を呈する、非水溶性物品及び/又は非水溶性繊維要素、そのような物品及び繊維要素を製造するための方法、並びにそのような物品を使用する方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、非水溶性物品、例えば、消費可能な単回使用の非水溶性活性剤含有剃毛準備物品などの、消費可能な単回使用の非水溶性活性剤含有物品、非水溶性物品において使用される非水溶性繊維要素、それを製造するための方法、及びそれを使用するための方法を提供することによって、上述の必要性を満たす。
【0006】
上記で特定された問題に対する1つの解決策は、活性剤含有繊維要素及び/又はそのような繊維要素を含む物品を提供することであり、より具体的には、物品の繊維要素が、1つ以上の活性剤、例えば1つ以上の剃毛準備活性剤及び/又は1つ以上の脂肪族両親媒性活性剤及び1つ以上のカチオン性界面活性剤と、1つ以上の補助成分、例えば、ポリマー構造化剤などの構造化剤とを含み、1つ以上の活性剤及び1つ以上の補助成分が、非水溶性繊維要素及び非水溶性物品が
図1及び
図2(
図1及び
図2の実施例1及び3)に示されるような過剰な水和の欠点を回避するように、非水溶性物品を形成する複数の非水溶性繊維要素中に存在する、非水溶性物品、例えば、剃毛準備物品などの消費可能な単回使用の非水溶性物品、並びにそのような物品を使用する方法に対するものである。更に、非水溶性物品は、本明細書に記載されるラメラ構造試験方法によって測定したときにラメラ構造を形成する(ラメラ構造応答を呈する)ことができる。
【0007】
本発明の一実施例では、
a.1つ以上の活性剤、
b.1つ以上の補助成分、及び
c.繊維要素水和制御系、を含む非水溶性繊維要素が提供される。
【0008】
本発明の別の実施例では、1つ以上の活性剤、1つ以上の補助成分、及び繊維要素水和制御系を含む複数の非水溶性繊維要素を含む非水溶性物品が提供される。
【0009】
本発明のいっそう別の実施例では、1つ以上の活性剤、1つ以上の補助成分、及び繊維要素水和制御系を含む複数の非水溶性繊維要素と、複数の粒子とを含む非水溶性物品が提供される。
【0010】
本発明の更に別の実施例では、1つ以上の活性剤、及び1つ以上の補助成分、並びに任意選択的に繊維要素水和制御系を含む複数の非水溶性繊維要素を含む非水溶性物品であって、非水溶性物品が外部繊維要素水和制御系を更に含む、非水溶性物品が、提供される。
【0011】
本発明のなお別の実施例では、1つ以上の活性剤、1つ以上の補助成分、及び繊維要素水和制御系を含む複数の非水溶性繊維要素を含む非水溶性物品であって、非水溶性物品がラメラ構造試験方法に従って測定したときにラメラ構造応答を呈する、非水溶性物品が、提供される。
【0012】
本発明のなお別の実施例では、1つ以上の活性剤、及び1つ以上の補助成分、並びに任意選択的に繊維要素水和制御系を含む複数の非水溶性繊維要素を含む非水溶性物品であって、非水溶性物品がラメラ構造試験方法に従って測定したときにラメラ構造応答を呈する、非水溶性物品が、提供される。
【0013】
本発明のなお更に別の実施例では、1つ以上の活性剤、1つ以上の補助成分、及び繊維要素水和制御系を含む複数の非水溶性繊維要素を含む非水溶性物品であって、非水溶性物品が、ラメラ構造試験方法に従って測定したときに、湿潤状態でラメラ構造応答を呈するが、乾燥状態でラメラ構造応答を呈しない、非水溶性物品が、提供される。
【0014】
本発明のなお更に別の実施例では、1つ以上の活性剤、及び1つ以上の補助成分、並びに任意選択的に繊維要素水和制御系を含む複数の非水溶性繊維要素を含む非水溶性物品であって、非水溶性物品が、ラメラ構造試験方法に従って測定したときに、湿潤状態でラメラ構造応答を呈するが、乾燥状態でラメラ構造応答を呈しない、非水溶性物品が、提供される。
【0015】
本発明のなおいっそう別の実施例では、本発明の複数の非水溶性繊維要素を含む非水溶性物品であって、複数の繊維要素が1つ以上の活性剤及び1つ以上の補助成分を含み、非水溶性物品が複数の粒子を更に含み、複数の粒子が外部繊維要素水和制御系を含む、非水溶性物品。
【0016】
本発明の更に別の実施例では、複数の繊維要素、例えば複数の非水溶性繊維要素を含む物品、例えば非水溶性物品であって、物品からクリームを作り出すための剃毛準備用途などにおいて、水と接触するなどの意図される使用条件に曝露されたときに、ヘアコンディショニング物品などの既知の物品、例えば既知の非水溶性物品よりも膨潤が少ない、物品、例えば非水溶性物品が、提供される。
【0017】
本発明の更に別の実施例では、剃毛準備用途などにおいて水と接触させるなどの意図される使用条件に曝露されたときに、物品からクリームを作り出す、複数の繊維要素、例えば複数の非水溶性繊維要素を含む物品、例えば非水溶性物品であって、物品、例えば非水溶性物品、及び/又は繊維要素、例えば非水溶性繊維要素が、水と接触させた後、及び任意選択的に、例えば手でこすることによってせん断された後、例えば30秒後、及び/又は1分後、及び/又は5分後、及び/又は10分後、及び/又は20分後、及び/又は30分後に、水と接触させるなどの意図される使用条件に曝露される前の元の状態の100%未満、及び/又は80%未満、及び/又は60%未満、及び/又は50%未満、及び/又は40%未満、及び/又は30%未満、及び/又は20%未満、及び/又は10%未満、及び/又は約0%まで、及び/又は約5%まで膨潤する、物品、例えば非水溶性物品が、提供される。
【0018】
本発明の更に別の実施例では、繊維要素形成組成物を製造するための方法であって、
a.1つ以上の活性剤を溶融させて溶融物を形成する工程、
b.1つ以上の補助成分を溶融物に添加する工程、及び
c.繊維要素形成組成物が形成されるように、1つ以上の活性剤を溶融する前に、それ同時に、又はその後に、繊維要素水和制御系を1つ以上の活性剤に添加する工程、を含む、方法が、提供される。
【0019】
本発明のなおいっそう別の実施例では、複数の繊維要素を製造するための方法であって、方法が、
a.本発明による繊維要素形成組成物を提供する工程、及び
b.繊維要素形成組成物から複数の繊維要素を製造する工程、を含む、方法が、提供される。
【0020】
本発明の更にいっそう別の実施例では、本発明の物品を製造するための方法であって、以下の、
a.1つ以上の活性剤を、活性薬剤を融解するのに十分な温度に供する工程、
b.1つ以上の補助成分、例えば構造化剤を、溶融した活性剤に添加して、繊維要素形成組成物を形成する工程、
c.例えば、繊維要素形成組成物を紡糸することによって、繊維要素形成組成物から複数の繊維要素を製造する工程、
d.1つ以上の補助成分を添加する前若しくは後に、溶融した活性剤に1つ以上の繊維要素水和制御系を添加する工程、及び/又は繊維要素形成組成物から形成された複数の繊維要素に1つ以上の外部繊維要素水和制御系を添加する工程、
e.1つ以上の外部繊維要素水和制御系を有する又は有する複数の繊維要素を収集装置で収集して、本発明による複数の繊維要素を含む繊維構造体及び/又は物品を形成する工程、を含む、方法が、提供される。
【0021】
本発明のなお更にいっそう別の実施例では、本発明の物品を使用する方法であって、
a.本発明による物品を提供する工程、
b.水などの液体を物品に添加して湿潤物品を形成する工程、
c.例えば使用者の手でこすることによって、湿潤物品をクリームに変換する工程、
d.クリームを使用者の皮膚及び/又は毛髪に塗布する工程、並びに
e.剃毛動作中にかみそり及び/又はかみそり刃を用いてクリームの少なくとも一部を除去する工程、を含む、方法が、提供される。
【0022】
本発明は、剃毛準備用途において有用な新規な繊維要素、繊維構造体、及び物品、並びにこれらを製造するための方法及びこれらを使用する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】比較例の繊維要素及び本発明の実施例である実施例1及び3の繊維要素の水和を示す画像である。
【
図2】比較例の物品及び本発明の実施例である実施例3の物品から作り出されたクリームの画像である。
【
図3】本開示による、繊維要素(この場合はフィラメント)の実施例の概略図である。
【
図4】本開示による複数のフィラメントを含む繊維構造体の実施例の概略図である。
【
図5】本開示による繊維構造体の実施例の断面図の走査型電子顕微鏡写真である。
【
図6】本開示による繊維構造体の別の実施例の断面図の概略図である。
【
図7】本開示による繊維構造体の別の実施例の断面図の概略図である。
【
図8】本開示による繊維構造体の別の実施例の断面図の走査型電子顕微鏡写真である。
【
図9】本開示による繊維構造体の実施例を製造するためのプロセスの実施例の概略図である。
【
図10】
図9のプロセスにおいて使用されるダイの実施例の、拡大図を含む概略図である。
【
図11】本開示による繊維構造体の実施例を製造するための別のプロセスの実施例の概略図である。
【
図12】本開示による繊維構造体の別の実施例を製造するためのプロセスの別の実施例の概略図である。
【
図13】本開示による繊維構造体の別の実施例を製造するためのプロセスの別の実施例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本明細書で使用するとき、「物品」、例えば「非水溶性物品」は、本発明の1つ以上の繊維構造体、例えば1つ以上の非水溶性繊維構造体、例えば1つ以上の一体型繊維構造体、例えば1つ以上の一体型非水溶性繊維構造体及び/又は複数の非水溶性繊維要素を含む、消費者使用単位、消費者単位用量単位、消費者使用販売可能単位、単回用量単位、又は他の使用形態を指す。
【0025】
一実施例では、本発明の物品、例えば繊維構造体は、本明細書に記載の坪量試験方法に従って測定したとき、1g/m2超、及び/又は10g/m2超、及び/又は20g/m2超、及び/又は30g/m2超、及び/又は40g/m2超、及び/又は約1g/m2~約3000g/m2、及び/又は約10g/m2~約5000g/m2、及び/又は約3000g/m2まで、及び/又は約2000g/m2まで、及び/又は約20g/m2~約2000g/m2、及び/又は約30g/m2~約1000g/m2、及び/又は約30g/m2~約500g/m2、及び/又は約30g/m2~約300g/m2、及び/又は約40g/m2~約100g/m2、及び/又は約40g/m2~約80g/m2の坪量で複数の繊維要素を含む。一実施例では、物品、例えば繊維構造体は、2つ以上の層を含み、繊維要素及び/又はフィルムは、本明細書に記載の坪量試験方法に従って測定したときに約1g/m2~約500g/m2の坪量で、層のうちの少なくとも1つに存在する。
【0026】
本明細書で使用するとき、「繊維構造体」及び/又は「非水溶性繊維構造体」とは、複数の繊維要素、例えば複数の非水溶性繊維要素と、任意選択的に1つ以上の粒子とを含む構造体を意味する。一実施例では、本発明による繊維構造体とは、非水溶性繊維要素の会合体、一実施例では相互に絡み合った非水溶性繊維要素、及び任意選択的に、剃毛準備機能などの機能を実行することができる一体型構造などの構造をともに形成する粒子の結合を意味する。粒子は、1)例えば共形成プロセスを介して共形成状態で、2)非水溶性繊維要素の層又はプライの間に積層状態で、及び/又は3)本発明の繊維構造体及び/又は本発明の物品内でこれらの2つの組み合わせで、非水溶性繊維要素とブレンドされてもよい。
【0027】
本発明の繊維構造体は、均質であってもよいか、又は層状であってもよい。層状である場合、繊維構造体は、少なくとも2つ、及び/又は少なくとも3つ、及び/又は少なくとも4つ、及び/又は少なくとも5つ、例えば、1つ以上の繊維要素層、1つ以上の粒子層、及び/又は1つ以上の繊維要素/粒子混合層を含み得る。層は、繊維構造体内又は繊維構造体内の繊維要素層間に粒子層を含んでもよい。
【0028】
一実施例では、本発明の1つ以上の繊維構造体は、例えば、熱接合又は接着又は圧着などの結合によって1つ以上の他の繊維構造体と結合されて、多プライ繊維構造体を形成してもよい。
【0029】
一実施例では、本発明による繊維構造体若しくは繊維構造体プライ、例えば単一プライ繊維構造体、又は本発明による1つ以上の繊維構造体プライを含む多プライ繊維構造体は、本明細書に記載の坪量試験方法に従って測定したとき、5000g/m2未満の坪量を呈し得る。一実施例では、本発明による単一プライ又は多プライ繊維構造体は、坪量試験方法に従って測定したとき、10g/m2超~約5000g/m2、及び/又は10g/m2超~約3000g/m2、及び/又は10g/m2超~約2000g/m2、及び/又は10g/m2超~約1000g/m2、及び/又は20g/m2超~約800g/m2、及び/又は30g/m2超~約600g/m2、及び/又は50g/m2超~約500g/m2、及び/又は300g/m2超~約3000g/m2、及び/又は500g/m2超~約2000g/m2の坪量を呈し得る。
【0030】
一実施例では、本発明の繊維構造体は、「一体型繊維構造体」である。
【0031】
本明細書で使用するとき、「一体型繊維構造体」は、1つ以上の粒子と、相互に絡み合って又は別の方法で互いに結合して繊維構造体を形成する複数の2つ以上及び/又は3つ以上の繊維要素と、を含む配置である。本発明の一体型繊維構造体は、多プライ繊維構造体内の1つ以上のプライであり得る。一実施例では、本発明の一体型繊維構造体は、3つ以上の異なる繊維要素を含み得る。別の実施例では、本発明の一体型繊維構造体は、2つの異なる繊維要素、例えば共形成された繊維構造体を含んでもよく、上部に異なる繊維要素が堆積されて、3つ以上の異なる繊維要素を含む繊維構造体を形成する。
【0032】
本明細書で使用するとき、「繊維要素」は、その平均直径を大きく上回る長さを有する、すなわち、長さ対平均直径の比が少なくとも約10である、細長い粒子を意味する。繊維要素は、フィラメント又は繊維であり得る。一実施例では、繊維要素は、複数の繊維要素を含む糸ではなく、単一の繊維要素である。
【0033】
本発明の繊維要素は、好適な紡糸プロセス操作、例えば、メルトブロー、スパンボンディング、エレクトロスピニング、及び/又は回転紡糸を介して、フィラメント形成組成物とも称される繊維要素形成組成物から紡糸され得る。
【0034】
本発明の繊維要素は、1成分(コア/シース2成分のような2つの異なる部分ではなく単一の一体型固体片)及び/又は多成分であり得る。例えば、繊維要素は、2成分繊維及び/又はフィラメントを含んでもよい。2成分繊維及び/又はフィラメントは、サイドバイサイド(side-by-side)型、芯鞘型、海島型などの任意の形態にあり得る。
【0035】
図3に示す一実施例では、本発明の繊維要素形成組成物から製造された本発明の繊維要素10、例えばフィラメントは、1つ以上の活性剤12が、繊維要素及び/又は粒子中の活性剤と同じであっても異なっていてもよい1つ以上の活性剤を含むコーティング組成物など(存在する場合)のように繊維要素の表面上に存在するのではなく、繊維要素10中に存在し得るようなものである。繊維要素形成組成物中に存在する繊維要素形成材料の総濃度及び活性剤の総濃度は、本発明の繊維要素がそれから製造される限り、任意の好適な量であってもよい。
【0036】
一実施例では、1つ以上の活性剤は、繊維要素中に存在してもよく、1つ以上の追加の活性剤、例えば任意選択的な活性剤は、コーティング又は部分コーティングとして繊維要素の表面上に存在してもよい。別の実施例では、本発明の繊維要素は、元々製造時に繊維要素中に存在し、繊維要素の意図される使用条件に曝される前及び/又は曝されたときに、繊維要素の表面にブルームする1つ以上の活性剤を含み得る。
【0037】
本明細書で使用するとき、「フィラメント」は、5.08cm(2インチ)以上、及び/又は7.62cm(3インチ)以上、及び/又は10.16cm(4インチ)以上、及び/又は15.24cm(6インチ)以上の長さを呈する上記のような細長い粒子を意味する。
【0038】
フィラメントは、典型的には、本質的に連続的であるか又は実質的に連続的であるとみなされる。フィラメントは、繊維よりも相対的に長い。
【0039】
本明細書で使用するとき、「繊維」は、5.08cm(2インチ)未満、及び/又は3.81cm(1.5インチ)未満、及び/又は2.54cm(1インチ)未満の長さを呈する上記のような細長い粒子を意味する。
【0040】
典型的には、繊維は、本質的に不連続とみなされる。繊維の非限定的な例としては、本発明のフィラメント又はフィラメントトウを紡糸し、その後フィラメント又はフィラメントトウを5.08cm(2インチ)未満の断片に切断して繊維を製造することにより製造された短繊維が挙げられる。
【0041】
一実施例では、フィラメントがより短い長さ(5.08cm未満の長さなど)に切断された場合などに、本発明のフィラメントから1つ以上の繊維を形成することができる。それゆえ、一実施例では、本発明はまた、1つ以上のフィラメント形成材料と1つ以上の活性剤とを含む繊維などの、本発明のフィラメントから製造された繊維も含む。したがって、本明細書における本発明のフィラメントへの言及は、特に指定しない限り、そのようなフィラメントから製造された繊維も含む。繊維は、典型的には、本質的に連続的であるとみなされるフィラメントに対して、本質的に不連続であるとみなされる。
【0042】
本明細書で使用するとき、「繊維要素形成組成物」及び/又は「フィラメント形成組成物」とは、(繊維要素の場合)紡糸、例えばメルトブローイング及び/又はスパンボンディングなどによって本発明の繊維要素を製造するのに好適である非水性組成物を意味する。繊維要素形成組成物は、複数の繊維要素に紡糸することなどによって繊維要素及び/又は複数の繊維要素を製造するのに好適な1つ以上の活性剤を含む。1つ以上の活性剤に加えて、繊維要素形成組成物は、1つ以上のフィラメント形成材料などの1つ以上の補助成分、例えば1つ以上の構造化剤を含んでもよく、そうした補助成分は、繊維要素形成組成物を繊維要素に紡糸するのにより好適なものにする特性を呈する。一実施例では、補助成分は、1つ以上のポリマー構造化剤及び/又は無機構造化剤などの1つ以上の構造化剤を含む。一実施例では、1つ以上の補助成分は、繊維要素形成組成物及びそれから形成される得られた繊維要素中に、繊維要素形成組成物及びそれから形成される得られた繊維要素の50重量%未満、及び/又は約45重量%未満、及び/又は約40重量%未満、及び/又は約35重量%未満、及び/又は約30重量%未満、及び/又は約25重量%未満、及び/又は0重量%超まで、及び/又は約5重量%超まで、及び/又は約10重量%超まで、及び/又は約15重量%超まで、及び/又は約1重量%から50重量%未満までで存在する。一実施例では、1つ以上の活性剤は、繊維要素形成組成物及びそれから形成される得られた繊維要素中に、繊維要素形成組成物及びそれから形成された繊維要素の約20重量%超、及び/又は約30重量%超、及び/又は約40重量%超、及び/又は約50重量%超、及び/又は約60重量%超、及び/又は約70重量%超から、約99重量%まで、及び/又は約95重量%まで、及び/又は約90重量%まで、及び/又は約85重量%まで、及び/又は約80重量%までで存在する。
【0043】
一実施例では、フィラメント形成組成物は、溶融活性剤が均質になるまで、1つ以上の活性剤を加熱及び任意選択的に撹拌することによって製造され得る。次いで、この場合には繊維要素形成組成物である均質な溶融活性剤は、複数の繊維要素に紡糸され得る。代替的に、繊維要素形成材料などの1つ以上の補助成分、例えば、ポリマー構造化剤及び/又は無機構造化剤などの構造化剤は、撹拌及び/又はかき混ぜなしに、均質な溶融活性剤に添加され、1つ以上の活性剤、例えば1つ以上の溶融活性剤中に溶解、例えば均質に溶解され及び/又は分散、例えば均質に分散されて、繊維要素形成組成物を形成することができ、それは次いで、複数の繊維要素に紡糸され得る。
【0044】
本明細書で使用するとき、「活性剤」は、物品が物品の意図される使用条件に曝されたときなどに、本発明の物品の外部環境中に意図された効果を作り出す材料を意味する。一実施例では、活性剤は、剃毛準備目的で使用者が物品を使用する間に、柔らかい表面(すなわち、毛髪、皮膚)などの表面を処理する材料を含む。
【0045】
「処理する」は、表面の処理に関して本明細書で使用するとき、活性剤が、表面又は環境に利益をもたらすことを意味する。処理としては、表面又は環境の外観、清浄度、におい、純度、及び/又は感触、及び/又は柔軟性、及び/又は平滑度の調節及び/又は速やかな改善が挙げられる。一実施例では、ケラチン性組織(例えば、皮膚及び/又は毛髪)表面の処理に関する処理とは、ケラチン性組織の美容上の外観及び/又は感触の調節及び/又は速やかな改善を意味する。例えば、「皮膚又は毛髪(ケラチン性組織)の状態の調節」としては、皮膚又は毛髪の萎縮を低減するための、皮膚又は毛髪の肥厚化(例えば、皮膚の表皮及び/又は真皮及び/又は皮下[例えば、皮下脂肪又は筋肉]層の構築、並びに適用可能である場合、爪及び毛幹の角質層の構築)、真皮-表皮の境界(乳頭間隆起としても既知)の回旋の増加、線維症、たるみ、皮膚又は毛髪の変形からの回復の喪失などの、皮膚又は毛髪の弾性の喪失(機能的皮膚エラスチンの喪失、損傷、及び/又は不活性化)の防止;目の下のくま、染み(例えば、酒さなどによる、例えば、不均一な赤味)(以下、「赤斑」と称される)、血色の悪さ(青白い色)、毛細血管拡張症又はクモ状血管によって引き起こされる変色、及び白髪などの、皮膚又は毛髪の色のメラニン性変化又は非メラニン性変化の防止が挙げられる。
【0046】
本明細書で使用するとき、「剃毛準備活性剤」とは、特に剃毛準備経験中のケラチン性組織(例えば、毛髪又は皮膚)の状態の処理に有用であり得る活性剤を意味する。
【0047】
本明細書で使用するとき、「補助成分」及び/又は「繊維要素形成材料」及び/又は「フィラメント形成材料」とは、繊維要素形成組成物内で、繊維要素形成組成物の紡糸などによる繊維要素の製造を助ける特性を呈する、構造化剤、例えばポリマー構造化剤及び/又は無機構造化剤などの材料を意味する。また、無機構造化剤は、充填剤、粘度調整剤として、及び/又は繊維要素を構築するように、作用することができる。一実施例では、補助成分は構造化剤である。本明細書で使用するとき、「構造化剤」とは、脂肪族アルコール、脂肪族四級アンモニウム化合物、脂肪酸などの脂肪族両親媒性物質などの溶融活性剤の繊維要素紡糸を改善する材料、例えばポリマー構造化剤などのポリマーを意味する。構造化剤は、溶融活性剤のせん断及び伸長粘度を増加させて繊維要素形成を可能にする。一実施例では、構造化剤は、約10,000~約4,000,000g/mol、及び/又は約15,000~約3,000,000g/mol、及び/又は約20,000~約2,500,000g/mol、及び/又は約30,000~未満2,000,000g/mol、及び/又は約40,000~約1,700,000g/molの重量平均分子量を呈する。重量平均分子量は、各ポリマー原材料の平均分子量を加算し、物品中に存在するポリマーの総重量の重さによるそれらのそれぞれの相対的重量パーセントを乗算することによって計算される。一実施例では、構造化剤は、繊維要素紡糸のための粘度上昇を可能にするために油性混合物に可溶性である。加えて、構造化剤はまた、除去を促進し、蓄積を防止するために、水に可溶性であってもよい。好適な構造化剤としては、ポリビニルピロリドン、ポリジメチルアクリルアミド、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。これらのポリマーは、油(脂肪族アルコール、脂肪酸、脂肪族四級アンモニウム化合物)溶性、水溶性、水混和性、かつ高分子量で製造可能である。例えば、使用に好適なポリマーは、約1,000,000~約1,700,000g/molの分子量を有するAshland Inc.からのポリビニルピロリドンPVP K90、及び約40,000~約80,000g/molの分子量を有するAshland Inc.からのポリビニルピロリドンPVP K30であり、これらは、繊維要素が紡糸され、形成され、ベルトなどの収集装置上に収集されることを可能にする。更なる好適なポリマーとしては、Ashland Inc.製のGanex(登録商標)又はPVP/VA(重量平均分子量約50,000g/mol)などのポリビニルピロリドンのコポリマーが挙げられ、これらもまた、好適な構造化剤として機能するが、それらのより低い分子量により、有効であるためにはより高い濃度を必要とする。加えて、ポリジメチルアクリルアミドのコポリマーもまた、好適な構造化剤として機能する。ヒドロキシプロピルセルロースもまた、好適な構造化剤として機能することができる。
【0048】
本発明に好適な構造化剤の非限定的な例としては、ポリマー構造化剤、無機構造化剤、及びこれらの混合物が挙げられる。一実施例では、構造化剤は、ポリラクタム、例えば、ポリビニルピロリドン及びビニルピロリドンのコポリマー、ポリジメチルアクリルアミド、ジメチルアクリルアミドのコポリマー、並びにこれらの混合物からなる群から選択されるポリマー構造化剤を含む。一実施例では、構造化剤は、ポリビニルピロリドンを含む。別の実施例では、構造化剤は、ポリジメチルアクリルアミドを含む。更に別の実施例では、構造体は、ポリビニルピロリドン及びポリジメチルアクリルアミドを含む。一実施例では、構造化剤は、粘土、シリカ、及びこれらの混合物からなる群から選択される無機構造化剤を含む。
【0049】
一実施例では、補助成分、例えば構造化剤は、カチオン性ポリマーなどの1つ以上の置換ポリマーを含む。
【0050】
本明細書で使用するとき、「ビニルピロリドンコポリマー」(及びこれを参照して使用する場合の「コポリマー」)は、以下の構造のポリマー構造化剤を指し、
【0051】
【化1】
式中、nは、ポリマー構造化剤が、本明細書に記載される特性を有するような重合度を有するような整数である。明確にするため、「コポリマー」という用語の使用は、ビニルピロリドンモノマーが、酢酸ビニル、アルキル化ビニルピロリドン、ビニルカプロラクタム、アクリル酸、メタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジメタクリルアミド、アルキルアミノメタクリレート、及びアルキルアミノメタクリルアミドモノマーなどの他の非限定的なモノマーと共重合され得ることを伝えるように意図されている。
【0052】
本明細書で使用するとき、「繊維要素水和制御系」とは、繊維要素水和制御材料及び活性剤の両方として機能し得る材料又は材料の組み合わせを意味し、当該材料は、繊維要素及び/又は非水溶性物品などの物品、例えば繊維要素を含む剃毛準備非水溶性物品の使用中に、そのような繊維要素が蛇口からの過剰な水などの水と接触したときに、繊維要素のうちの1つ以上、例えば本発明の複数の非水溶性繊維要素などの非水溶性繊維要素のうちの1つ以上の水和を防止及び/又は阻害及び/又は遅延及び/又は低減する。
図1の比較例に示されるように、繊維要素水和制御系を欠く繊維要素は、繊維要素の望ましくないレベルの水和を呈し、その結果、繊維要素及び/又は繊維要素を含む物品が過度に膨潤して、繊維要素が完全に膨潤し、かつ/又はばらばらになることによってそれらの一体性を失うことを含む、負の性能を引き起こす。この負の性能により、繊維要素は、せん断時に容易に広がりすぎ、かつ/又は、例えば使用者の皮膚及び/又は使用者のかみそりからのすすぎに関する欠点を呈する。一実施例では、繊維要素水和制御系は、繊維要素及び/又は繊維要素が製造される繊維要素形成組成物中に存在する1つ以上の水和制御材料を含む。一実施例では、繊維要素水和制御系は、水和させることから生じる繊維要素及び/又は複数の繊維要素及び/又は繊維要素を含む物品をもたらす。
【0053】
本明細書で使用するとき、「外部繊維要素水和制御系」とは、外部繊維要素水和制御材料及び活性剤の両方として機能し得る材料又は材料の組み合わせを意味し、当該材料は、繊維要素及び/又は非水溶性物品などの物品、例えば繊維要素を含む剃毛準備非水溶性物品の使用中に、そのような繊維要素が蛇口からの過剰な水などの水と接触したときに、繊維要素のうちの1つ以上、例えば本発明の複数の非水溶性繊維要素などの非水溶性繊維要素のうちの1つ以上の水和を防止及び/又は阻害及び/又は遅延及び/又は低減する。一実施例では、外部繊維要素水和制御系は、繊維要素及び/又は繊維要素が製造される繊維要素形成組成物の外部に存在する1つ以上の水和制御材料を含む。一実施例では、外部繊維要素水和制御系は、例えばコーティングとして、繊維要素の外面上に存在してもよい。別の実施例では、外部繊維要素水和制御系は、繊維要素とは別個で分離していてもよく、及び/又は、本発明の物品において、別個の繊維要素と別個の外部繊維要素水和制御系との混合物として存在してもよい。一実施例では、外部繊維要素水和制御系は、塩生成系を含む。別の実施例では、外部繊維要素水和制御系は、発泡系を含む。
【0054】
本明細書で使用するとき、例えば繊維要素水和制御系及び/又は外部繊維要素水和制御系としての「塩生成系」とは、例えば剃毛準備目的で本発明の繊維要素及び/又は物品を使用している間に水などの液体に曝露されると塩を生成する材料及び/又は材料の組み合わせを意味する。
【0055】
本明細書で使用するとき、「発泡系」とは、発泡、例えば、CO2などのガスを発生させる材料又は材料の組み合わせを意味する。一実施例では、発泡系は、発泡性酸又は発泡性酸粒子及び発泡性塩又は発泡性塩粒子を含む。一実施例では、発泡系は、発泡性酸又は発泡性酸粒子及び発泡性塩又は発泡性塩粒子を含む凝集体を含む。一実施例では、特定の発泡性酸、例えば発泡性酸粒子、及び/又は発泡性塩、例えば発泡性塩粒子、並びにそれらの割合の選択は、少なくとも部分的に、ガスの量、例えばCO2放出の要件に依存する。一実施例では、発泡性酸、例えばクエン酸などの発泡性酸粒子は、発泡系の重量基準で約10重量%から約60重量%の量で添加されてもよく、発泡性塩、例えばアルカリ金属塩、例えば重炭酸ナトリウムなどの発泡性塩粒子はまた、発泡性成分の重量基準で約10重量%から60重量%の量で添加されてもよい。
【0056】
本明細書で使用される「発泡性酸」又は「発泡性酸粒子」は、発泡性塩又は発泡性塩粒子と組み合わせたときに発泡、例えばCO2などのガスを生成する酸及び/又は酸粒子を意味する。本発明の発泡組成物に使用するのに好適な発泡性酸及び/又は発泡性酸粒子の非限定的な例としては、酒石酸、クエン酸、フマル酸、アジピン酸、リンゴ酸、シュウ酸、スルファミン酸、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。一実施例では、発泡性酸及び/又は発泡性酸粒子は、クエン酸、又はクエン酸と酒石酸との混合物を含む。発泡性酸及び/又は発泡性酸粒子は無水物であってもよい。
【0057】
本明細書で使用される「発泡性塩」又は「発泡性塩粒子」は、発泡性酸及び/又は発泡性酸粒子と組み合わせたときに発泡、例えばCO2などのガスを生成する塩及び/又は塩粒子を意味する。好適な発泡性塩及び/又は発泡性塩粒子の非限定的な例としては、アルカリ金属塩及び/又は炭酸塩及び/又は重炭酸塩、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸アンモニウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カルシウム、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。発泡性塩及び/又は発泡性塩粒子は、無水物であってもよい。
【0058】
本明細書で使用するとき、「粒子」、例えば、「発泡性酸粒子」及び/又は「発泡性塩粒子」及び/又は「凝集体」及び/又は「活性剤含有粒子」及び/又は「任意選択的な活性剤含有粒子」とは、粉末、顆粒、カプセル化物、マイクロカプセル、マトリックス粒子、小球及び/又は凝集体を意味する。粒子の形状は、球、棒、皿、管、四角形、矩形、円盤、星、繊維の形態にあり得るか、又は規則的な若しくは不規則なランダム形態を有し得る。本発明の粒子、少なくとも44μmの少なくともそれらの粒子は、本明細書に記載のメジアン粒径試験方法によって測定することができる。44μm未満の粒子については、異なる試験方法、例えば、光散乱法を使用して、44μm未満の粒径、例えば、典型的には約15μm~約44μm及び/又は約25μmのサイズの範囲の香料マイクロカプセルを判定することができる。一実施例では、粒子は、本明細書に記載の中央粒径試験法に従って測定されるとき、2000μm以下の中央粒径を呈する。別の実施例では、粒子は、本明細書に記載の中央粒径試験法に従って測定されるとき、約1μm~約2000μm、及び/又は約1μm~約1600μm、及び/又は約1μm~約800μm、及び/又は約5μm~約500μm、及び/又は約10μm~約300μm、及び/又は約10μm~約100μm、及び/又は約10μm~約50μm、及び/又は約10μm~約30μmの中央粒径を呈する。
【0059】
一実施例では、本発明の粒子は、導電率プローブを使用して測定して、10μS/g/水40mL未満、及び/又は8μS/g/水40mL未満、及び/又は6μS/g/水40mL未満、及び/又は4μS/g/水40mL未満、及び/又は2μS/g/水40mL未満の粒子イオン含有量を呈し得る。10μS/g/水40mL未満の粒子イオン含有量を呈する粒子の非限定的な例は、アミノシリコーン、及び/又はポリビニルアルコール及び/又はデンプンなどのヒドロキシルポリマーを担体として有する香料などのマトリックス粒子である。本発明の物品に含めるのに好適なマトリックス粒子の非限定的な例は、参照により組み込まれる米国特許出願公開第2020/0093711(A1)号に記載されている。
【0060】
一態様では、粒子は、再循環繊維構造材料を含んでもよく、具体的には、当該繊維材料は、繊維を微粉化固体に粉砕し、当該微粉化固体を凝集体、顆粒、又は他の粒子形態に再び組み込むことによって再循環される。別の態様では、粒子は、再循環繊維構造材料を含んでもよく、具体的には、当該繊維性材料は、流体ペースト、懸濁液、又は溶液に組み込まれ、次いで、加工されて、凝集体、顆粒、又は他の粒子形態を形成する。別の態様では、再生繊維材料を含む当該流体ペースト、懸濁液、又は溶液は、新たな繊維物品を作製するプロセスにおいて繊維層に直接適用されてもよい。
【0061】
一実施例では、本発明の粒子、例えば、発泡性酸粒子及び/又は被覆粒子、例えば被覆発泡性塩粒子であってもよい発泡性塩粒子は、本明細書に記載のメジアン粒径試験方法に従って測定したとき、500μm未満、及び/又は450μm未満、及び/又は400μm未満、及び/又は350μm未満から、約100μmまで、及び/又は約150μmまで、及び/又は約200μmまでのD50を呈し、本明細書に記載のメジアン粒径試験方法に従って測定したとき、1000μm超のD50を呈する粒子と比較して、安定した泡をより良好にもたらす。
【0062】
一実施例では、離散粒子及び/又は凝集体(例えば界面活性剤によって互いに結合した離散粒子)であってもよい粒子は、本明細書に記載のメジアン粒径試験方法に従って測定したとき、約100μm~約5000μm、及び/又は約100μm~約2000μm、及び/又は約250μm~約1200μm、及び/又は約250μm~約850μmのD50粒径を呈し得る。
【0063】
一実施例では、離散粒子及び/又は凝集体(例えば界面活性剤によって互いに結合した離散粒子)であってもよい粒子は、本明細書に記載のメジアン粒径試験方法に従って測定したとき、250μmのD10を呈し得る。
【0064】
別の実施例では、離散粒子及び/又は凝集体(例えば界面活性剤によって互いに結合した離散粒子)であってもよい粒子は、本明細書に記載のメジアン粒径試験方法に従って測定したとき、1200μm、及び/又は850μmのD90を呈し得る。
【0065】
一実施例では、離散粒子及び/又は凝集体(例えば界面活性剤によって互いに結合した離散粒子)であってもよい粒子は、本明細書に記載のメジアン粒径試験方法に従って測定したとき、44μm超、及び/又は90μm超、及び/又は150μm超、及び/又は212μm超、及び/又は300μm超のD10を呈し得る。
【0066】
一実施例では、離散粒子及び/又は凝集体(例えば界面活性剤によって互いに結合した離散粒子)であってもよい粒子は、本明細書に記載のメジアン粒径試験方法に従って測定したとき、1400μm未満、及び/又は1180μm未満、及び/又は850μm未満、及び/又は600μm未満、及び/又は425μm未満のD90を呈し得る。
【0067】
一実施例では、離散粒子及び/又は凝集体(例えば界面活性剤によって互いに結合した離散粒子)であってもよい粒子は、存在する場合にD50が、存在する場合にD10よりも大きく、存在する場合にD90が、存在する場合にD10及びD50よりも大きい限りにおいて、上記で特定されたD10、D50、及び/又はD90の任意の組み合わせを呈し得る。
【0068】
一実施例では、離散粒子及び/又は凝集体(例えば界面活性剤によって互いに結合した離散粒子)であってもよい粒子は、D90がD10よりも大きい限りにおいて、上記で特定されたD10及びD90の任意の組み合わせを呈し得る。
【0069】
一実施例では、離散粒子及び/又は凝集体(例えば界面活性剤によって互いに結合した離散粒子)であってもよい粒子、本明細書に記載のメジアン粒径試験方法に従って測定したとき、212μm超のD10及び1180μm未満のD90を呈し得る。
【0070】
一実施例では、離散粒子及び/又は凝集体(例えば界面活性剤によって互いに結合した離散粒子)であってもよい粒子は、本明細書に記載のメジアン粒径試験方法に従って測定したとき、90μm超のD10及び425μm未満のD90を呈し得る。
【0071】
本明細書で使用するとき、「活性剤含有粒子」及び/又は「任意選択的な活性剤含有粒子」とは、1つ以上の活性剤及び/又は任意選択的な活性剤を含む粒子を意味する。一実施例では、活性剤含有粒子は、粒子の形態の活性剤である(換言すれば、粒子は、100%活性剤を含む)。活性剤含有粒子は、本明細書に記載の中央粒径試験法に従って測定されるとき、2000μm以下の中央粒径を呈し得る。別の実施例では、活性剤含有粒子は、本明細書に記載の中央粒径試験法に従って測定されるとき、約1μm~約2000μm、及び/又は約1μm~約800μm、及び/又は約5μm~約500μm、及び/又は約10μm~約300μm、及び/又は約10μm~約100μm、及び/又は約10μm~約50μm、及び/又は約10μm~約30μmの中央粒径を呈する。一実施例では、活性剤のうちの1つ以上は、本明細書に記載の中央粒径試験法に従って測定されるとき、20μm以下の中央粒径を呈する粒子の形態である。
【0072】
本発明の一実施例では、物品、例えば繊維構造体は、複数の粒子、例えば活性剤含有粒子及び/又は任意選択的な活性剤含有粒子と、複数の繊維要素とを、1:100以上、及び/又は1:50以上、及び/又は1:10以上、及び/又は1:3以上、及び/又は1:2以上、及び/又は1:1以上、及び/又は2:1以上、及び/又は3:1以上、及び/又は4:1以上、及び/又は5:1以上、及び/又は7:1以上、及び/又は8:1以上、及び/又は10:1以上、及び/又は約10:1~約1:100、及び/又は約8:1~約1:50、及び/又は約7:1~約1:10、及び/又は約7:1~約1:3、及び/又は約6:1~1:2、及び/又は約5:1~約1:1、及び/又は約4:1~約1:1、及び/又は約3:1~約1.5:1の、粒子、例えば活性剤含有粒子及び/又は任意選択的な活性剤含有粒子と繊維要素との重量比で含む。
【0073】
本発明の別の実施例では、物品、例えば繊維構造体は、複数の粒子、例えば活性剤含有粒子及び/又は任意選択的な活性剤含有粒子と、複数の繊維要素とを、約10:1~約1:1、及び/又は約8:1~約1.5:1、及び/又は約7:1~約2:1、及び/又は約6:1~約2.5:1の、粒子、例えば活性剤含有粒子及び/又は任意選択的な活性剤含有粒子と繊維要素との重量比で含む。
【0074】
本発明のいっそう別の実施例では、物品、例えば繊維構造体は、複数の粒子、例えば活性剤含有粒子及び/又は任意選択的な活性剤含有粒子と、複数の繊維要素とを、約1:1~約1:100、及び/又は約1:15~約1:80、及び/又は約1:2~約1:60、及び/又は約1:3~約1:50、及び/又は約1:3~約1:40の、粒子、例えば活性剤含有粒子及び/又は任意選択的な活性剤含有粒子と繊維要素との重量比で含む。
【0075】
別の実施例では、本発明の物品、例えば繊維構造体は、複数の粒子、例えば活性剤含有粒子及び/又は任意選択的な活性剤含有粒子を、本明細書に記載の坪量試験方法に従って測定したとき、1g/m2超、及び/又は10g/m2超、及び/又は20g/m2超、及び/又は30g/m2超、及び/又は40g/m2超、及び/又は約1g/m2~約5000g/m2、及び/又は約3500g/m2まで、及び/又は約2000g/m2まで、及び/又は約1g/m2~約2000g/m2、及び/又は約10g/m2~約1000g/m2、及び/又は約10g/m2~約500g/m2、及び/又は約20g/m2~約400g/m2、及び/又は約30g/m2~約300g/m2、及び/又は約40g/m2~約200g/m2の坪量で含む。
【0076】
別の実施例では、本発明の物品、例えば繊維構造体、例えば非水溶性物品などは、1つ以上の補助成分、例えば1つ以上のポリマー構造化剤及び/又は無機構造化剤などの1つ以上の構造化剤を含む複数の繊維要素を含み、1つ以上の補助成分は、繊維要素形成組成物及びそれから形成される得られた繊維要素中に、繊維要素形成組成物及びそれから形成される得られた繊維要素の0重量%超~100重量%、及び/又は10重量%超~95重量%未満、及び/又は重量での濃度で存在し、物品は、複数の粒子、例えば活性剤含有粒子及び/又は任意選択的な活性剤含有粒子を、繊維要素形成組成物及びそれから形成される得られた繊維要素の重量に基づいて更に含む。
【0077】
本明細書で使用するとき、「混合」及び/又は「混合する」は、粒子が繊維要素、例えば、フィラメントと混合される状態又は形態を意味する。繊維要素と粒子との混合物は、複合構造体の全体にわたって、又は複合構造体の平面若しくは領域内に存在し得る。一実施例では、混合された繊維要素及び粒子は、複合構造体の少なくとも表面を形成し得る。一実施例では、粒子は、複合構造体並びに/又は複合構造体の平面及び/若しくは領域内に、均質に分散されてもよい。一実施例では、粒子は、複合構造体内に均一に分布されてもよく、これにより、複合構造体内の粒子の複合構造体内の他の領域へのサグ及び/又は自由移動及び/又は移動を回避及び/又は防止し、したがって、複合構造体内の粒子のより高い濃度のゾーン、及び粒子のより低い濃度のゾーン又はゼロ濃度のゾーンをもたらす。一実施例では、複合構造体のμCT断面は、粒子が複合構造体内で均質に分布しているかどうかを示すことができる。
【0078】
本明細書で使用するとき、「意図される使用条件」は、本発明の物品が、その設計された目的のうちの1つ以上のために使用される際に曝される温度条件、物理的条件、化学的条件、及び/又は機械的条件を意味する。例えば、本発明の物品が剃毛準備製品として使用されるように設計されている場合、意図される使用条件は、剃毛準備中及び/又は剃毛中に存在する温度、化学的条件、物理的(例えば、せん断、摩擦、顔などの皮膚への適用を含む)条件、及び/又は機械的条件を含み、非水溶性物品は、本明細書に記載されるラメラ構造試験方法によって測定したとき、ラメラ構造を形成し得る(ラメラ構造応答を呈する)。
【0079】
本明細書で使用するとき、「重量比」は、乾燥基準での2つの材料間の比を意味する。例えば、繊維要素及び/又は複数の繊維要素内の活性剤と補助成分(構造化剤など)との重量比は、繊維要素内の乾燥重量基準での活性剤の重量(g又は%)と、繊維要素内の乾燥重量基準での補助成分の重量(g又は%、活性剤の重量と同じ単位)との比である。別の実施例では、繊維構造体中の粒子対繊維要素の重量比とは、繊維構造体中の乾燥重量基準での粒子の重量(g又は%)の、繊維構造体中の乾燥重量基準での繊維要素の重量(g又は%(粒子の重量と同じ単位))に対する比である。
【0080】
本明細書で使用するとき、物品及び/又は材料に関する「非水溶性」とは、過剰な水に溶解せず、かつ/又は水に混和しない、本発明の繊維要素及び/又は物品及び/又は材料を意味する。換言すれば、非水溶性繊維要素及び/又は物品は、過剰な水でのかき混ぜに供された場合には膨潤することができるが、水和制御系の存在下では顕著ではなく、元の状態のままであり、粉々になったとしても断片は水中で元の状態のままであり、溶解しない。一実施例では、ラメラ構造試験方法に従って決定されたラメラ構造を呈する(ラメラ構造応答を呈する)繊維要素及び/又は物品及び/又はフィルム及び/又は材料は、本発明の目的上非水溶性であると考えられる。
【0081】
一実施例では、本発明の繊維要素及び/又は物品は、非水溶性である。本明細書で定義する非水溶性とは、繊維要素及び/又は物品が、例えば剃毛準備経験中に水に曝露されたときに、完全に溶解又は崩壊しないことを意味する。一実施例では、本発明の繊維要素及び/又は物品が剃毛準備で使用するために設計される場合、水溶性補助成分が存在する場合、水溶性補助成分が非水溶性補助成分の代わりに使用される。
【0082】
本明細書で使用するとき、「周囲条件」とは、23℃±1.0℃及び相対湿度50%±2%を意味する。
【0083】
本明細書で使用するとき、「重量平均分子量」は、業界標準法、ゲル浸透クロマトグラフィを使用して決定される、重量平均分子量を意味する。
【0084】
繊維要素に関して本明細書で使用するとき、「直径」は、本明細書に記載の直径試験法に従って測定される。一実施例では、本発明の繊維要素は、本明細書に記載の直径試験法に従って測定されるとき、100μm未満、及び/又は75μm未満、及び/又は50μm未満、及び/又は25μm未満、及び/又は20μm未満、及び/又は15μm未満、及び/又は10μm未満、及び/又は6μm未満、及び/又は1μm超、及び/又は3μm超の直径を呈する。
【0085】
本明細書で使用するとき、「誘発条件」は、一実施例では、刺激として機能し、かつ物品の物理的構造の喪失若しくは変化などの本発明の物品又は物品の一部分の変化、並びに/又はそこからの活性剤の放出を開始させるか又は引き起こす、作用又は事象としてのあらゆるものを意味する。別の実施例では、誘発条件は、環境中に存在してもよく、例えば剃毛準備のための物品の湿潤及び/又は摩擦/せん断中の水、熱、せん断などであり、非水溶性物品は、本明細書に記載されるラメラ構造試験方法によって測定したときにラメラ構造を形成してもよく(ラメラ構造応答を呈してもよく)、これは、例えばかみそりによる剃毛前に皮膚、例えば顔に適用することができる。
【0086】
物品
本発明の物品は、複数の繊維要素、例えば、複数の活性剤含有繊維要素など複数のフィラメントと、任意選択的に、1つ以上の粒子、例えば1つ以上の活性剤含有粒子及び/又は任意選択的な活性剤含有粒、例えば、水溶性活性剤含有粒子及び/又は非水溶性粒子、例えばゼオライト、多孔質ゼオライト、香料充填ゼオライト、活性剤充填ゼオライト、シリカ、香料充填シリカ、活性剤充填ゼオライト、香料マイクロカプセル、粘土、及びこれらの混合物とを含んでもよい。
【0087】
物品は、ロール(ロール成形又は圧延製品)、例えば、圧延形態から個々の物品を分配するためのミシン目によって隣接するシートに接続された複数の物品の形態にあってもよく、物品は、コアを中心に、又はコアを有さずにそれ自体の上に回旋状に巻かれて、圧延物品を形成する。一実施例では、ミシン目によって隣接する物品から分離された複数の物品を含むマルチ物品シート製品が提供される。代替的に、物品は、別々の個々のシートの形態、又は非圧延形態から個々の物品を分配するためのミシン目によって隣接するシートに接続された複数の物品の非圧延形態にあってもよい。いっそう別の実施例では、本発明の物品は、使用の準備が整った独立型のエンティティであり、これらのエンティティの集合及び/又は多数のこれらのエンティティは、製品輸送アセンブリ、例えば、保護用製品輸送アセンブリにおいて、及び/又は容器若しくは1つ以上の個別の物品を分配するためのディスペンサにおいて、消費者に分配されてもよい。
【0088】
1つ以上の繊維要素を含む物品に関して、本発明の繊維要素及び/又は繊維構造体は、固体形態にある。しかしながら、本発明の繊維要素の作製に使用されるフィラメント形成組成物は、液体の形態にあってもよい。
【0089】
一実施例では、繊維構造体は、組成の点から本発明による繊維要素と同一であるか又は実質的に同一である複数の繊維要素を含む。別の実施例では、繊維構造体は、本発明による2つ以上の異なる繊維要素を含み得る。繊維要素の違いの非限定的な例は、直径、長さ、テクスチャ、形状、剛性、弾性の違いなどの物理的な違い;架橋レベル、溶解度、融点、Tg、活性剤、フィラメント形成材料、色、活性剤の濃度、坪量、フィラメント形成材料の濃度、繊維要素上の任意コーティングの存在、生分解性であるか否か、疎水性であるか否か、接触角などの化学的な違い;意図される使用条件に繊維要素が曝されたときに、繊維要素がその物理的構造を失うかどうかの違い;意図される使用条件に繊維要素が曝されたときに、繊維要素の形態が変化するかどうかの違い、及び意図される使用条件に繊維要素が曝されたときに、繊維要素がその活性剤のうちの1つ以上を放出する速度の違いであり得る。一実施例では、繊維構造体内の2つ以上の繊維要素及び/又は粒子は、異なる活性剤を含んでもよい。これは、異なる活性剤、例えばアニオン性界面活性剤及びカチオン性界面活性剤が、互いに不適合であり得る場合にあり得る。
【0090】
別の実施例では、繊維構造体は、異なる領域、例えば、坪量、密度、及び/又は厚さの異なる領域を呈し得る。いっそう別の実施例では、繊維構造体は、その表面のうちの1つ以上に質感を含み得る。繊維構造体の表面は、非ランダムな反復パターンなどのパターンを含んでもよい。繊維構造体は、エンボスパターンでエンボス加工されてもよい。別の実施例では、繊維構造体は、開口を含んでもよい。開口は、非ランダムな反復パターンで配置されてもよい。
【0091】
一実施例では、繊維構造体は、繊維構造体の他の部分とは異なる、繊維要素の分離した領域を含み得る。
【0092】
本発明の繊維構造体は、そのまま使用されてもよいか、又は1種以上の活性剤でコーティングされてもよい。
【0093】
一実施例では、繊維構造体は、0.01mm超、及び/又は0.05mm超、及び/又は0.1mm超、及び/又は約50mmまで、及び/又は約20mmまで、及び/又は約10mmまで、及び/又は約5mmまで、及び/又は約2mmまで、及び/又は約0.5mmまで、及び/又は約0.3mmまでの厚さを呈し得る。
【0094】
本発明に好適な他の繊維構造体の非限定的な例は、米国特許出願公開第2013/0171421(A1)号及び米国特許第9,139,802号に開示されており、参照することによって組み込まれる。
【0095】
本発明の物品は、以下の特性のうちの1つ以上を呈し得る。
【0096】
一実施例では、本発明の物品及び/又は繊維要素は、本明細書に記載のラメラ構造試験方法によって決定されるように、湿潤時にラメラ構造を呈し得る(ラメラ構造応答を呈し得る)。
【0097】
一実施例では、本発明の物品及び/又は繊維要素は、本明細書に記載のラメラ構造試験方法によって決定されるように、湿潤時にラメラ構造を呈し得る(ラメラ構造応答を呈し得る)が、ラメラ構造試験方法によって決定されるように、コンディショニングされただけの乾燥状態でラメラ構造を呈さない(ラメラ構造応答を呈さない)。
【0098】
一実施例では、物品は、1つ以上の繊維要素、例えば複数のフィラメントを含む繊維構造体を含む不織布である。物品は、2つ以上の不織布、多プライ不織布及び/又は多プライ繊維構造体を含んでもよい。
【0099】
一実施例では、物品、例えば繊維構造体は、1つ以上の開口を含んでもよい。
【0100】
一実施例では、物品、例えば繊維構造体は、1つ以上の表面上に印刷されたグラフィックを含んでもよい。グラフィックは、インクから形成されてもよく、相互に絡み合ったフィラメント及び/又は表面の空隙領域を横断していてもよい。一実施例では、グラフィックはインクから形成され、インクの少なくとも一部は、相互に絡み合った繊維要素、例えばフィラメント、及び繊維構造体の表面の空隙領域に100マイクロメートル以下の深さまで浸透する。
【0101】
一実施例では、物品は、引張試験法に従って測定されるとき、約5%以上の幾何平均ピーク伸長を呈する。
【0102】
一実施例では、物品は、引張試験法に従って測定されるとき、約5000g/cm以下の幾何平均弾性率を呈する。
【0103】
一実施例では、物品は、引張試験法に従って、約100g/インチ以上の幾何平均引張強度を呈する。
【0104】
一実施例では、物品は、含水率試験法に従って測定されるとき、約0%~約20%及び/又は約0%~約5%の含水量を呈する。一実施例では、物品は、含水率試験法に従って測定されるとき、約2%~約15%、及び/又は約2%~約10%、及び/又は約5%~約10%の含水量を呈する。
【0105】
一実施例では、本発明の繊維要素及び/又は繊維構造体及び/又は物品は、「石鹸を含まない」。一実施例では、本発明の繊維要素及び/又は繊維構造体及び/又は物品は、約5%未満、又は約3%未満、又は約2%未満の1つ以上の発泡性界面活性剤又は石鹸を含む。一実施例では、繊維要素及び/又は繊維構造体及び/又は物品は、発泡性界面活性剤又は石鹸を含まないか、又は実質的に含まない。発泡性界面活性剤は、水と合わせられ、かつ機械的にかき混ぜられたときにフォーム又は泡を発生させる界面活性剤と定義される。発泡性界面活性剤としては、アニオン性及び両性発泡性界面活性剤、並びにこれらの混合物が挙げられる。アニオン性発泡性界面活性剤としては、サルコシネート、スルフェート、スルホネート、イセチオネート、タウレート、ホスフェート、ラクチレート、グルタメート、8~24個の炭素を有する脂肪酸のアルカリ金属塩(すなわち、石鹸)、及びこれらの混合物が挙げられる。「石鹸を含まない」とは、繊維要素及び/又は繊維構造体及び/又は物品が、5重量%未満、及び/又は約3重量%未満、又は約2重量%未満、及び/又は1重量%未満、及び/又は約0重量%若しくは0重量%の脂肪酸の塩を含有することを意味する。
【0106】
繊維要素及び/又は繊維構造体及び/又は物品は、5重量%未満、及び/又は1重量%未満、及び/又は約0重量%未満の石鹸(すなわち、脂肪族C4~C30酸の塩)又は本明細書で先に定義したような発泡性界面活性剤を含んでもよく、例えば実質的に含まなくてもよい。
【0107】
表題によって示されるように、石鹸は脂肪酸の塩である。脂肪酸は、カルボン酸、すなわち、長い炭化水素尾部(以下に示す)に結合したCOOH酸断片(以下の構造において丸で囲まれている)を有する分子である。炭化水素部分は、ステアリン酸の場合のように炭素-炭素単結合のみを含む飽和であってもよく、又はオレイン酸の場合のように不飽和であってもよい。不飽和脂肪酸は、炭素-炭素二重結合を、鎖中の1つの場所(一不飽和)又は複数の部位(多価不飽和)のいずれかに有する。いずれの場合も、炭化水素鎖は非極性である。一実施例では、脂肪酸は、飽和脂肪酸であるステアリン酸である。一実施例では、脂肪酸は、一価不飽和脂肪酸であるオレイン酸である。
【0108】
図4に示されるように、本発明の物品20の一実施例、例えば、本発明による多プライ繊維構造体は、(物品20の繊維構造体を形成する本発明の繊維要素10、この場合フィラメントの物品20のz方向に)2つ以上の異なる繊維構造体プライ22、24を含んでもよい。プライ22内の繊維要素10は、プライ24内の繊維要素10と同一であってもよく、又は異なっていてもよい。各プライ22、24は、同一の、又は実質的に同一の、又は異なる複数の繊維要素10を含んでもよい。例えば、物品20及び/又は物品20の1つ以上の繊維構造体プライ22、24内の他の繊維要素よりも速い速度で活性剤を放出し得る繊維要素は、物品20の外面として位置付けられ得る。プライ22及び24は、例えば、2つのプライ間のそれらの接触面における機械的絡み合いによって、及び/又は熱若しくは接着剤結合及び/又はロッジング(rodding)及び/又はエンボス加工及び/又は圧着によって、互いに結合されてもよい。一実施例では、複数の繊維要素は、繊維構造体の追加の層が追加の繊維要素によって形成されるように、既存の繊維構造体上に直接、紡糸などによって直接堆積されてもよい。
【0109】
図5に示されるように、物品20、例えば本発明による繊維構造体の別の実施例は、本発明の複数の繊維要素10、例えばフィラメントを含む第1の繊維構造体プライ22と、本発明の複数の繊維要素10、例えばフィラメントを含む第2の繊維構造体プライ24と、第1の繊維構造体プライ22と第2の繊維構造体プライ24との間に位置付けられた複数の粒子26又は粒子層とを含む。
【0110】
図6に示されるように、物品20、例えば本発明の繊維構造体(多層繊維構造体)の別の実施例は、本発明の複数の繊維要素10、例えばフィラメントを含む第1の繊維構造体層30を含み、第1の繊維構造体層30は、不規則パターン又は非ランダムな繰り返しパターンにあり得る1つ以上のポケット28(凹部、無充填ドーム、又は偏向ゾーンとも称される)を含む。ポケット28のうちの1つ以上は、1つ以上の粒子26を含んでもよい。本実施例の物品20は、粒子26がポケット28に封入されるように、第1の繊維構造体層30と結合された第2の繊維構造体層32を更に含む。類似の物品は、複数の繊維要素を含む繊維構造体の第1のプライのポケット内に複数の粒子を堆積させ、次いで、粒子が第1のプライのポケットに封入されるように、複数の繊維要素を含む繊維構造体の第2のプライを結合させることによって形成され得る。一実施例では、ポケットが繊維構造体から分離されて、別個のポケットを生成してもよい。
【0111】
図7に示されるように、物品20、例えば、本発明の多プライ繊維構造体の別の実施例は、上記の
図5による繊維構造体の第1のプライ22と、第1のプライ22に結合された繊維構造体の第2のプライ24とを含み、第2のプライ24は、複数の繊維要素、例えばフィラメント10と、物品20全体にわたってx軸、y軸、及びz軸に、この場合はランダムに分散された複数の粒子26とを含む。
【0112】
図8に示されるように、物品20、例えば、本発明の繊維構造体の別の実施例は、複数の繊維要素10、例えば、活性剤含有フィラメントなどフィラメント10と、複数の粒子26が物品20の繊維構造体全体にわたってx軸、y軸、及びz軸に、この場合はランダムに分散されるように複数の繊維要素10と共形成されている複数の粒子26、例えば活性剤含有粒子とを含む。
【0113】
一実施例では、繊維構造体は、繊維構造体の他の部分とは異なる、繊維要素の分離した領域を含み得る。
【0114】
本発明の繊維構造体は、そのまま使用されてもよいか、又は1種以上の活性剤でコーティングされてもよい。
【0115】
繊維要素
本発明の繊維要素は、非水溶性である。一実施例では、繊維要素は、繊維要素及び/又は繊維要素を含む繊維構造体が意図される使用条件に曝されたときなどに繊維要素から放出可能である1つ以上の活性剤を含む。1つ以上の活性剤に加えて、繊維要素は、1つ以上の活性剤を含んでもよい。1つ以上の活性剤は、意図される使用条件に曝されたときに、繊維要素から放出可能であり得る。
【0116】
一実施例では、繊維要素及び/又は物品中に存在する1つ以上の活性剤の総濃度は、乾燥繊維要素及び/又は乾燥繊維構造体及び/又は乾燥物品に基づいて、70重量%以上、及び/又は75重量%以上、及び/又は80重量%以上、及び/又は85重量%超、及び/又は90重量%超、及び/又は95重量%超、及び/又は96重量%超、及び/又は97重量%超、及び/又は98重量%超、及び/又は99重量%超、及び/又は約100重量%までである。一実施例では、1つ以上の補助成分、例えば1つ以上の構造化剤などの1つ以上のフィラメント形成材料は、乾燥繊維要素及び/又は乾燥繊維構造体及び/又は乾燥物品に基づいて、30重量%以下、及び/又は25重量%以下、及び/又は20重量%以下、及び/又は15重量%未満、及び/又は10重量%未満、及び/又は5重量%未満、及び/又は4重量%未満、及び/又は3重量%未満、及び/又は2重量%未満、及び/又は1重量%未満、及び/又は約0重量%までの総濃度で、繊維要素及び/又は物品中に存在し得る。
【0117】
一実施例では、繊維要素は、本明細書に記載の直径試験法に従って測定したとき、100μm未満、及び/又は75μm未満、及び/又は50μm未満、及び/又は25μm未満、及び/又は10μm未満、及び/又は5μm未満、及び/又は1μm未満の直径を呈する。別の実施例では、本発明の繊維要素は、本明細書に記載の直径試験法に従って測定されるとき、1μm超の直径を呈する。本発明の繊維要素の直径は、繊維要素中に存在する1つ以上の活性剤の放出速度、並びに/又は繊維要素の物理的構造の損失及び/若しくは変化の速度を制御するために使用され得る。
【0118】
繊維要素は、2つ以上の異なる活性剤を含んでもよい。一実施例では、繊維要素は、2つ以上の異なる活性剤を含み、その2つ以上の異なる活性剤は、互いに相溶性である。別の実施例では、繊維要素は、2つ以上の異なる活性剤を含み、その2つ以上の異なる活性剤は、互いに非相溶性である。
【0119】
一実施例では、繊維要素は、繊維要素中の活性剤と、繊維要素上をコーティングする活性剤などの、繊維要素の外面上の活性剤と、を含み得る。繊維要素の外面上の活性剤は、繊維要素内に存在する活性剤と同じであってもよく、又はこれと異なっていてもよい。異なる場合、活性剤は互いに相溶性又は非相溶性であってもよい。
【0120】
別の実施例では、本発明の繊維構造体又は物品は、物品のプライの表面のうちの1つに位置する外部繊維要素又はフィラメント上にコーティングを含んでもよい。このコーティングは、プライの表面に塗布されてもよく、コーティングを有する表面は、物品全体の外側表面であってもよいか、又は物品の内部の表面であってもよい。コーティングの配置は、送達されることが望ましい有益剤又は活性剤に依存する。例えば、物品の外側表面プライへのコーティングは、消費者が見ることができる表面上にあるため、消費者にとってより容易に視認可能であろう。物品の内側表面プライへのコーティングは、消費者の直視から隠され得るため、視認性が低くなり得る。物品の内側表面及び/又は外側表面へのコーティングの配置は、物品製造プロセスの一環として達成されるであろう。内側表面プライへのコーティングは、物品の外側表面へのコーティングと異なっていてもよく、又は同一であってもよい。一実施例では、物品は、物品の外側表面及び/又は内側表面にコーティングを有し得る。別の実施例では、物品は、物品を構成するプライの外側表面及び/又は内側表面にコーティングを有し得る。いっそう別の実施例では、物品は、物品を構成するプライの外側表面及び/又は内側表面にコーティング、又はコーティングを含むアミノシリコーンを含むシリコーン活性剤を有し得る。
【0121】
一実施例では、1つ以上の活性剤は、繊維要素全体に均一に分布していてもよく、又は実質的に均一に分布していてもよい。別の実施例では、1つ以上の活性剤は、繊維要素内に分離した領域として分布していてもよい。更に別の実施例では、少なくとも1つの活性剤は、繊維要素全体に均一に又は実質的に均一に分布し、少なくとも1つの他の活性剤は、繊維要素内に1つ以上の分離した領域として分布する。更にいっそう別の実施例では、少なくとも1つの活性剤は、繊維要素内に1つ以上の分離した領域として分布し、少なくとも1つの他の活性剤は、繊維要素内に第1の分離した領域とは異なる1つ以上の分離した領域として分布する。
【0122】
活性剤
本発明の繊維要素及び/又は物品における使用に好適な活性剤の非限定的な例としては、脂肪族アルコール、脂肪酸、脂肪族四級アンモニウム化合物、及びこれらの混合物などの脂肪族両親媒性活性剤、四級アンモニウム化合物などのカチオン性界面活性剤などの界面活性剤、並びに剃毛準備活性剤が挙げられる。
【0123】
一実施例では、本発明の繊維要素及び/又は繊維要素形成組成物及び/又は物品は、1つ以上の脂肪族両親媒性活性剤、例えば、1つ以上の脂肪酸及び/又は1つ以上の脂肪族四級アンモニウム化合物及び/又は1つ以上の脂肪族アルコールと、1つ以上の四級アンモニウム化合物活性剤とを含む。
【0124】
一実施例では、本発明の繊維要素及び/又は繊維要素形成組成物及び/又は物品は、1つ以上の脂肪族アルコールと、1つ以上の四級アンモニウム化合物とを、1:1超、及び/又は1.5:1超、及び/又は1.75:1超、及び/又は1.9:1超の重量比で含む。
【0125】
一実施例では、本発明の繊維要素及び/又は繊維要素形成組成物及び/又は物品は、1つ以上の脂肪酸及び1つ以上の四級アンモニウム化合物を含む。一実施例では、本発明の物品は、1つ以上の脂肪酸と、1つ以上の四級アンモニウム化合物とを、1:1超、及び/又は1.5:1超、及び/又は1.75:1超、及び/又は1.9:1超の重量比で含む。
【0126】
一実施例では、非水溶性繊維要素及び/又は非水溶性物品及び/又は繊維要素形成組成物は、脂肪酸、脂肪酸誘導体、スルホン酸誘導体、四級アンモニウム化合物、三級アミン及びこれらの塩、非イオン性界面活性剤、脂肪族アルコール、並びにこれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の活性剤を含む。
【0127】
一実施例では、非水溶性繊維要素及び/又は非水溶性物品及び/又は繊維要素形成組成物は、ミリスチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、セテアリン酸(cetearic acid)、ドデカン酸、リノール酸、オレイン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、及びこれらの混合物からなる群から選択される脂肪酸を含む1つ以上の活性剤を含む。
【0128】
一実施例では、非水溶性繊維要素及び/又は非水溶性物品及び/又は繊維要素形成組成物は、ジ(タローイルオキシエチル)ヒドロキシエチルメチルアンモニウムメチルスルフェート、ジメチルビス(ステアロイルオキシエチル)アンモニウムクロリド、ジメチルビス(タロウィルオキシエチル)アンモニウムクロリド、ジメチルビス(タロウィルオキシイソプロピル)アンモニウムメチルスルファート、ベヘントリモニウムメトスルフェート、ベヘントリモニウムクロリド、ベヘンアミドプロピルジメチルアミン、及びこれらの混合物からなる群から選択される四級アンモニウム化合物を含む1つ以上の活性剤を含む。
【0129】
一実施例では、非水溶性繊維要素及び/又は非水溶性物品及び/又は繊維要素形成組成物は、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、イソステアリルアルコール、アラキジルアルコール、及びこれらの混合物からなる群から選択される脂肪族アルコールを含む1つ以上の活性剤を含む。
【0130】
本発明の非水溶性繊維要素は、乾燥繊維要素の60重量%超、及び/又は70重量%超、及び/又は75重量%超、及び/又は80重量%超、及び/又は85重量%超、及び/又は90重量%超、及び/又は95重量%超、及び/又は97重量%超から約100重量%まで、及び/又は約99重量%までの1つ以上の活性剤を含んでもよい。
【0131】
本発明の繊維要素及び/又は繊維要素形成組成物及び/又は物品において有用な他の活性剤の非限定的な例は、米国特許第4,103,047号(Zakiら、1978年7月25日発行)、同第4,237,155号(Kardouche、1980年12月2日発行)、同第3,686,025号(Morton、1972年8月22日発行)、同第3,849,435号(Dieryら、1974年11月19日発行)、及び米国特許第4,073,996号(Bedenk、1978年2月14日発行)に記載されており、当該特許は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0132】
四級アンモニウム化合物活性剤
一実施例では、本発明の繊維要素及び/又は繊維要素形成組成物及び/又は物品は、四級アンモニウム化合物を含む。四級アンモニウム化合物の非限定的な例としては、アルキル化四級アンモニウム化合物、環状又は環式四級アンモニウム化合物、芳香族四級アンモニウム化合物、ジ四級アンモニウム化合物、アルコキシル化四級アンモニウム化合物、アミドアミン四級アンモニウム化合物、エステル四級アンモニウム化合物、及びこれらの混合物が挙げられる。米国特許公開第2005/0192207号の57~66を参照されたい。
【0133】
好適な四級アンモニウム化合物の非限定的な例としては、カチオン活性剤、並びにジアルキルジメチルアンモニウムクロリド、メチルスルフェート及びエチルスルフェートなどのそれらの塩が挙げられ、アルキル基は、同じであっても異なっていてもよく、約12~約22個の炭素原子を含有する。そのようなカチオン活性剤の非限定的な例としては、ジタローアルキルジメチルアンモニウムメチルスルフェート(ditallowalkyldimethylammonium methylsulfate、DTDMAMS)、ジステアリルジメチルアンモニウムメチルスルフェート、ジパルミチルジメチルアンモニウムメチルスルフェート、及びジベヘニルジメチルアンモニウムメチルスルフェートが挙げられる。一実施例では、四級アンモニウム化合物はジステアリルジモニウムクロリドを含み得る。
【0134】
好適な活性剤の別の例は、式IA、IB、II、III、IV、及びこれらの混合物から選択されるエステル四級アンモニウム化合物(ester quaternary ammonium compound、EQA)である。
【0135】
式IAは、
【0136】
【化2】
を含み、式中、各Yは、-O-(O)C-又は-C(O)-O-であり、pは、1~3であり、各vは、1~4の整数、及びこれらの混合物であり、各R
1置換基は、短鎖C
1~C
6及び/又はC
1~C
3アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピルなど、ベンジル、及びこれらの混合物であり、各R
2は、長鎖、飽和、及び/又は不飽和(約3~約60ヨウ素価)、C
8~C
30ヒドロカルビル、又は置換ヒドロカルビル置換基、及びこれらの混合物であり、対イオンX
-は、任意の柔軟剤適合性アニオン、例えば、メチルスルフェート、エチルスルフェート、塩化物、臭化物、ホルメート、スルフェート、ラクテート、ニトレート、ベンゾエートなど、例えば、メチルスルフェートであってもよい。
【0137】
式IAの置換基R1及びR2は、任意選択的に、アルコキシル又はヒドロキシル基などの様々な基で置換され得ることが理解されるであろう。一実施例では、式IA化合物は、ジエステル四級アンモニウム塩(DEQA)である。DEQAの少なくとも約25%は、ジエステル形態であり、0%~約40%、及び/又は約30%未満、及び/又は約20%未満が、EQAモノエステル(例えば、1つの-Y-R2基のみ)であってもよい。
【0138】
式IBは、
[(R1)4-p-N+-((CH2CHR3)v-Y-R2)p]X-
を含み、式中、各Yは、-O-(O)C-又は-C(O)-O-であり、pは、1~3であり、各vは、1~4の整数、及びこれらの混合物であり、各R1置換基は、短鎖C1~C6及び/又はC1~C3アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピルなど、ベンジル、及びこれらの混合物であり、各R2は、長鎖、飽和、及び/又は不飽和(約3~約60ヨウ素価)、C8~C30ヒドロカルビル、又は置換ヒドロカルビル置換基、及びこれらの混合物であり、各R3置換基は、ベンジルを含む短鎖C1~C6、及び/又はC1~C3アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、及び/又はC1~C2、例えば、メチル、エチル、及びこれらの混合物であり、対イオンX-は、任意の柔軟剤適合性アニオン、例えば、メチルスルフェート、エチルスルフェート、塩化物、臭化物、ホルメート、スルフェート、ラクテート、ニトレート、ベンゾエートなど、例えば、メチルスルフェートであってもよい。
【0139】
式IBの置換基R1及びR2は、任意選択的に、アルコキシル又はヒドロキシル基などの様々な基で置換され得ることが理解されるであろう。一実施例では、式IB化合物は、ジエステル四級アンモニウム塩(DEQA)である。DEQAの少なくとも約25%は、ジエステル形態であり、0%~約40%、及び/又は約30%未満、及び/又は約20%未満が、EQAモノエステル(例えば、1つの-Y-R2基のみ)であってもよい。
【0140】
本明細書で使用するとき、ジエステルが指定されている場合、それは、通常存在するモノエステルを含む。存在するモノエステルの濃度は、EQAの製造において制御され得る。
【0141】
以下は、EQA式IA又はIB(式中、全ての長鎖アルキル置換基が直鎖である)の非限定的な例である。
【0142】
飽和
【0143】
【化3】
式中、-C(O)R
2は、飽和タローから誘導される。
【0144】
不飽和
【0145】
【化4】
式中、-C(O)R
2は、本明細書に記載の特性を有する部分水素添加タロー又は変性タローから誘導される。
【0146】
式IA及びIB化合物に加えて、本発明の組成物及び物品は、式IIのEQA化合物を含み、
【0147】
【化5】
式中、任意の分子に関して、各Qは、-O-C(O)-又は-C(O)-O-であり、各R
1は、C
1~C
4アルキル又はヒドロキシアルキルであり、R
2及びvは、式IA及びIBに関して上で定義され、例えば、R
1は、メチル基であり、vは、1であり、Qは、-O-C(O)-であり、各R
2は、C
14~C
18であり、X
-は、メチルスルフェートである。
【0148】
直鎖又は分枝状アルキル又はアルケニル鎖であるR2は、約8~約30個の炭素原子、及び/又は約14~約18個の炭素原子、及び/又は約14~約18個の炭素原子を有する直鎖を有する。
【0149】
タローは、長鎖アルキル及びアルケニル材料の便利かつ安価な供給源である。
【0150】
本明細書での使用に好適な式II EQA化合物の具体例は、1,2-ビス(タローイルオキシ)-3-トリメチルアンモニオプロパンメチルスルフェート(DTTMAPMS)である。
【0151】
本発明の好適な式II EQA化合物の他の例は、例えば、ココイル、ラウリル、オレイル、ステアリル、パルミチルなどで上記化合物中の「タローイル」を置き換えること、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t-ブチル、若しくはこれらのラジカルのヒドロキシ置換類似体で上記化合物中の「メチル」を置き換えること、並びに/又は塩化物、エチルスルフェート、臭化物、ホルメート、スルフェート、ラクテート、ニトレートなど、例えば、メチルスルフェートで上記化合物中の「メチルスルフェート」を置き換えることによって得られる。
【0152】
式IA及びIB及び式II化合物に加えて、本発明の物品は、式IIIのEQA化合物を含み得、
【0153】
【化6】
式中、R
4は、短鎖C
1~C
4アルコールであり、pは、2であり、R
1、R
2、v、Y、及びX
-は、式IA及びIBに関してすでに定義されたとおりである。
【0154】
活性剤として使用するのに好適な式IIIの化合物の具体例は、N-メチル-N,N-ジ-(2-(C14~C18-アシルオキシ)エチル)、N-2-ヒドロキシエチルアンモニウムメチルスルフェートである。そのような化合物の一例は、N-メチル、N,N-ジ-(2-オレイルオキシエチル)N-2-ヒドロキシエチルアンモニウムメチルスルフェートである。
【0155】
本発明の活性剤はまた、式IVの化合物を含んでもよい。
【0156】
【化7】
式中、R
1、R
2、p、v、及びX
-が、式IA及びIBにおいてすでに定義されている、化合物、並びに
【0157】
【化8】
及びこれらの混合物を含み得、式中、少なくとも1つのY’’基が、以下である。
【0158】
【0159】
この化合物の一実施例は、メチルビス(オレイルアミドエチル)2-ヒドロキシエチルアンモニウムメチルスルフェートである。
【0160】
一実施例では、本発明の活性剤は、四級アンモニウム化合物である。
【0161】
本明細書の四級アンモニウム化合物は、容易に入手可能な出発原料を使用して、標準的なエステル化及び四級化反応によって調製され得る。調製のための一般的な方法は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,137,180号に開示されている。
【0162】
三級アミン及びその塩
本発明の繊維要素及び/又は物品において有用な別の活性剤は、以下の式を有する三級アミン及び/又はエステルアミンのカルボン酸塩であり、
【0163】
【化10】
式中、R
5は、約8~約30個の炭素原子を含有する長鎖脂肪族基であり、R
6及びR
4は、互いに同一であるか又は異なっており、約1~約30個の炭素原子を含有する脂肪族基、式R
8OHのヒドロキシアルキル基(式中、R
8は、約2~約30個の炭素原子のアルキレン基である)、並びに式R
9O(C
nH
2nO)
m(式中、R
9、炭素原子数約1~約30のアルキル及びアルケニル及び水素であり、nは、2又は3であり、mは、約1~約30である)からなる群から選択され、R
4、R
5、R
6、R
8、及びR
9鎖は、エステル介在基であり得、R
7は、炭素原子数約8~約30の非置換アルキル、アルケニル、アリール、アルカリル、及びアラルキル、並びに炭素原子数約1~約30の置換アルキル、アルケニル、アリール、アルカリル、及びアラルキルからなる群から選択され、置換基は、ハロゲン、カルボキシル、及びヒドロキシルからなる群から選択され、当該組成物は、約35℃~約100℃の熱軟化点を有する。一実施例では、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、及び/又はR
9鎖のうちのいずれかは、不飽和を含有することができる。
【0164】
一実施例では、R5は、約12~約30個の炭素原子を含有する脂肪族鎖であり、R6は、約1~約30個の炭素原子の脂肪族鎖であり、R4は、約1~約30個の炭素原子の脂肪族鎖である。一実施例では、静電制御性能のための好適な三級アミンは、不飽和を含有するもの、例えば、オレイルジメチルアミン及び/又は軟質タロージメチルアミンである。
【0165】
三級アミン塩を形成するためのアミンとカルボン酸との間の反応の出発原料として好適な三級アミンの例は、ラウリルジメチルアミン、ミリスチルジメチル-アミン、ステアリルジメチルアミン、タロージメチルアミン、ココナッツジメチルアミン、ジラウリルメチルアミン、ジステアリルメチルアミン、ジタローメチルアミン、オレイルジメチルアミン、ジオレイルメチルアミン、ラウリルジ(3-ヒドロキシプロピル)アミン、ステアリルジ(2-ヒドロキシエチル)アミン、トリラウリンアミン、ラウリルエチルメチルアミン、及び以下である。
【0166】
【0167】
好適な脂肪酸の非限定的な例は、R7が、約8~約30個の炭素原子及び/又は約11~約17個の炭素原子の長鎖、非置換アルキル又はアルケニル基であるものである。
【0168】
出発原料としての特定のカルボン酸の例は、ギ酸、酢酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、シュウ酸、アジピン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、安息香酸、4-ヒドロキシ安息香酸、3-クロロ安息香酸、4-ニトロ安息香酸、4-エチル安息香酸、4-(2-クロロエチル)安息香酸、フェニル酢酸、(4-クロロフェニル)酢酸、(4-ヒドロキシフェニル)酢酸、及びフタル酸である。
【0169】
好適なカルボン酸の非限定的な例は、ステアリン酸、オレイン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、及びこれらの混合物である。
【0170】
アミン塩は、当該技術分野において周知であり、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,237,155号(Kardouche、1980年12月2日発行)に開示されている単純な付加反応によって形成され得る。過剰な濃度の遊離アミンは、臭気問題をもたらす場合があり、一般に、遊離アミンは、アミン塩よりも乏しい柔軟化性能を提供する。
【0171】
本明細書で使用するためのアミン塩の非限定的な例は、アミン部分がC8~C30アルキル若しくはアルケニルジメチルアミン、及び/又はジ-C8~C30アルキル若しくはアルケニルメチルアミンであり、酸部分がC8~C30アルキル及び/又はアルケニルモノカルボン酸であるものである。それぞれ、アミン塩を形成するために使用されるアミン及び酸は、多くの場合、単鎖長ではなく混合鎖長であるが、これは、これらの材料が通常、天然脂肪及び油から誘導されるか、又は合成加工され、これが鎖長の混合物を生成するためである。また、柔軟化組成物の物理的特性又は性能特性を修正するために、異なる鎖長の混合物を利用することが望ましい場合が多い。
【0172】
本発明で使用するためのアミン塩の具体例は、オレイルジメチルアミンステアレート、ステアリルジメチルアミンステアレート、ステアリルジメチルアミンミリステート、ステアリルジメチルアミンオレアート、ステアリルジメチルアミンパルミテート、ジステアリルメチルアミンパルミテート、ジステアリルメチルアミンラウレート、及びこれらの混合物である。一実施例では、アミン塩の混合物は、1:10~10:1及び/又は約1:1の比のオレイルジメチルアミンステアレート及びジステアリルメチルアミンミリステートである。
【0173】
スルホン酸脂肪酸アミン塩
他の脂肪酸アミン酸が本発明で使用され得る。これらの塩は、前述したものと同様であるが、カルボン酸をスルホン酸誘導体で置き換える。アミン塩は、当該技術分野において周知であり、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,861,502号(Caswell、1989年8月29日発行)に開示されている単純な付加反応によって形成され得る。そのようなスルホン酸誘導体としては、メチルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、クメンスルホン酸、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0174】
非イオン活性剤
本発明の繊維要素及び/又は物品に使用するのに好適な非イオン活性剤の非限定的な例は、約2~約9、より典型的には約3~約7のHLBを有する。一般に、選択される材料は、比較的結晶性であり、より高い溶融(例えば、25℃超)であるべきである。
【0175】
物品中の任意選択的な非イオン活性剤の濃度は、典型的には約0.1%~約50%、及び/又は約5%~約30%である。
【0176】
好適な非イオン活性剤の非限定的な例は、多価アルコールの脂肪酸部分エステル、又はその無水物であり、アルコール又は無水物は、約2~約18個及び/又は約2~約8個の炭素原子を含有し、各脂肪酸部分は、約8~約30個及び/又は約12~約20個の炭素原子を含有する。典型的には、そのような非イオン活性剤は、1分子当たり約1~約3個及び/又は約2個の脂肪酸基を含有する。
【0177】
エステルの多価アルコール部分は、エチレングリコール、グリセロール、ポリ(例えば、ジ-、トリ-、テトラ、ペンタ-、及び/若しくはヘキサ-)グリセロール、キシリトール、スクロース、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、又はソルビトールであってもよい。
【0178】
エステルの脂肪酸部分は、通常、約8~約30個及び/又は約12~約22個の炭素原子を有する脂肪酸から誘導される。当該脂肪酸の典型例は、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、及びベヘン酸である。
【0179】
本発明で使用するのに好適な非イオン活性剤の非限定的な例は、C10~C26アシルソルビタンエステル及びポリグリセロールモノステアレートである。ソルビタンエステルは、ソルビトールのエステル化脱水生成物である。ソルビタンエステルは、C10~C26アシルソルビタンモノエステル、及び/又はC10~C26アシルソルビタンジエステル、及び/又は当該エステルにおいて1つ以上のエステル化されていないヒドロキシル基が約1~約6オキシエチレン単位を含有する当該エステルのエトキシレート、及びこれらの混合物からなる群から選択されるメンバーを含んでもよい。本発明の目的のために、不飽和を含有するソルビタンエステル(例えば、モノオレイン酸ソルビタン)が利用され得る。
【0180】
典型的にはグルコースの触媒水素添加によって調製されるソルビトールは、周知の方法で脱水されて、1,4-及び1,5-ソルビトール無水物と少量のイソソルビドとの混合物を形成することができる。(参照により本明細書に組み込まれる米国特許第2,322,821号(Brown、1943年6月29日発行)を参照されたい。)
【0181】
ソルビトールの無水物の上記の種類の錯体混合物は、本明細書において「ソルビタン」と総称される。この「ソルビタン」混合物はまた、いくらかの遊離の非環化ソルビトールも含有することが認識されるであろう。
【0182】
一実施例では、本明細書で用いられる種類のソルビタン系活性剤は、例えば、脂肪酸ハロゲン化物、脂肪酸エステル、及び/又は脂肪酸との反応によって、標準的な方法で「ソルビタン」混合物を脂肪族アシル基でエステル化することによって調製され得る。脂肪族アシル基でエステル化することによって調製され得る。エステル化反応は、利用可能なヒドロキシル基のうちのいずれかで生じ得、様々なモノ-、ジ-などのエステルが調製され得る。実際に、モノ-、ジ-、トリ-などのエステルの混合物は、ほぼ常にそのような反応から生じ、反応物質の化学量論比は、所望の反応生成物を選ぶように単純に調節され得る。
【0183】
ソルビタンエステル材料の商業的製造のために、エーテル化及びエステル化は、概して、ソルビトールを脂肪酸と直接反応させることによって、同じ処理工程で達成される。ソルビタンエステル調製のそのような方法は、MacDonald,「Emulsifiers:Processing and Quality Control」,Journal of the American Oil Chemists’Society,Vol.45,October 1968により詳細に記載されている。ソルビタンエステルの例の詳細は、式を含め、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,128,484号に見出され得る。
【0184】
本明細書におけるソルビタンエステルのある特定の誘導体、特に、その「低級」エトキシレート(すなわち、非エステル化-OH基のうちの1つ以上が、1~約20個のオキシエチレン部分を含有するモノ-、ジ-、及びトリ-エステル(Tweens(登録商標))も本発明の物品において有用である。したがって、「ソルビタンエステル」という用語は、そのような誘導体を含むことが意図される。
【0185】
本発明の目的のために、一実施例では、エステル混合物中に顕著な量のジ-及びトリ-ソルビタンエステルが存在する。別の実施例では、エステル混合物は、約20~50%モノ-エステル、約25~50%ジ-エステル、並びに約10~35%のトリ-エステル及びテトラ-エステルを有してもよい。ソルビタンモノ-エステル(例えば、モノステアレート)として市販されている材料は、典型的には、顕著な量のジ-及びトリ-エステルを含有する。市販のソルビタンモノステアレートの典型的な分析は、それが約27%のモノ-、約32%のジ-、並びに約30%のトリ-及びテトラ-エステルを含むことを示す。10:1~1:10の間で変動するステアレート/パルミテート重量比を有するソルビタンステアレート及びソルビタンパルミテート、並びに1,5-ソルビタンエステルの混合物もまた有用である。加えて、1,4-及び1,5-ソルビタンエステルの両方が本明細書において有用である。
【0186】
本明細書における活性剤として使用するための他の有用なアルキルソルビタンエステルとしては、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノミリステート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノベヘネート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンジラウレート、ソルビタンジミリステート、ソルビタンジパルミテート、ソルビタンジステアレート、ソルビタンジベヘネート、ソルビタンジオレエート、及びこれらの混合物、並びに混合タローアルキルソルビタンモノ-及びジ-エステルが挙げられる。そのような混合物は、単純なエステル化反応において、上記のヒドロキシ置換ソルビタン、特に1,4-及び1,5-ソルビタンを、対応する酸、エステル、又は酸塩化物と反応させることによって容易に調製される。当然ながら、この方法で調製された市販材料は、微量の非環化ソルビトール、脂肪酸、ポリマー、イソソルビド構造などを通常含有する混合物を含むことが認識されるべきである。本発明では、そのような不純物を実用的である限り低い濃度で存在するように維持することが望ましい。
【0187】
本明細書で用いられるソルビタンエステルは、最大約15重量%のC20~C26、及びより高級の脂肪酸のエステル、並びに微量のC8、及びより低級の脂肪族エステルを含有し得る。
【0188】
グリセロール及びポリグリセロールエステル、特にグリセロール、ジグリセロール、トリグリセロール、並びにポリグリセロールモノ-及び/又はジ-エステル、一実施例では、モノ-(例えば、商標名Radiasurf 7248を有するポリグリセロールモノステアレート)。グリセロールエステルは、通常の抽出、精製、及び/若しくはエステル交換プロセスによって、又はソルビタンエステルについて上述した種類のエステル化プロセスによって、天然に生じるトリグリセリドから調製され得る。グリセリンの部分エステルはまた、「グリセロールエステル」という用語に含まれる使用可能な誘導体を形成するためにエトキシル化されてもよい。
【0189】
有用なグリセロール及びポリグリセロールエステルとしては、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、イソステアリン酸、ミリスチン酸、及び/又はベヘン酸とのモノ-エステル、並びにステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、イソステアリン酸、ベヘン酸、及び/又はミリスチン酸のジ-エステルが挙げられる。典型的なモノ-エステルは、いくつかのジ-及びトリ-エステルなどを含有することが理解される。
【0190】
「グリセロールエステル」はまた、ポリグリセロール、例えば、オクタグリセロールエステルを介したジグリセロールも含む。ポリグリセロールポリオールは、グリセリン又はエピクロロヒドリンを一緒に縮合して、グリセロール部分をエーテル結合を介して連結することによって形成される。ポリグリセロールポリオールのモノ-エステル及び/又はジエステルが使用されてもよく、脂肪族アシル基は、典型的には、ソルビタン及びグリセロールエステルについて上述したものである。
【0191】
脂肪族系活性剤
本発明の繊維要素及び/又は物品は、1つ以上の脂肪族系活性剤、例えば、1つ以上の高融点脂肪族化合物を含んでもよい。高融点肪族化合物は、繊維要素及び/又は物品及び/又は繊維要素形成組成物の約10重量%~約85重量%、及び/又は20重量%~70重量%、及び/又は約50重量%~約70重量%、及び/又は約10重量%~約20重量%の濃度で繊維要素、物品及び/又は繊維要素形成組成物中に含まれてもよい。一実施例では、脂肪族系活性剤は、脂肪族両親媒性物質、脂肪族アルコール、脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪族エステル、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0192】
一実施例では、脂肪族系活性剤は、25℃以上、及び/又は40℃以上、及び/又は45℃以上、及び/又は50℃以上、及び/又は約90℃まで、及び/又は約80℃まで、及び/又は約70℃まで、及び/又は約65℃までの融点を有し、高融点脂肪族系活性剤とみなされる。脂肪族系活性剤は、単一の化合物として、又は少なくとも2つの脂肪族系活性剤のブレンド若しくは混合物として使用されてもよい。そのようなブレンド又は混合物として使用される場合、上記の融点は、ブレンド又は混合物の融点を意味する。
【0193】
本明細書において有用な脂肪族系活性剤は、脂肪族アルコール、脂肪酸、脂肪族アルコール誘導体、脂肪酸誘導体、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。本明細書に開示されている脂肪族系活性剤が、場合によっては2つ以上の分類に属し得る(例えば、いくつかの脂肪族アルコール誘導体は、脂肪酸誘導体としても分類され得る)ということが当業者には理解される。しかしながら、所与の分類は、その特定の化合物を限定することを意図するものではなく、分類及び命名法の便宜上そのようになされている。更に、二重結合の数及び位置、並びに分枝の長さ及び位置に応じて、特定の必要な炭素原子を有する特定の脂肪族系活性剤が、上記未満の融点を有することがあることが当業者によって理解される。低融点(25℃未満及び/又は20℃未満の融点)のそのような脂肪族系活性剤は、この項に含まれることを意図していない。高融点脂肪族系活性剤の非限定的な例は、International Cosmetic Ingredient Dictionary,Fifth Edition,1993、及びCTFA Cosmetic Ingredient Handbook,Second Edition,1992に見出される。
【0194】
a.脂肪酸
脂肪族系活性剤は、脂肪酸活性剤を含んでもよい。典型的には、脂肪酸は、組成物の加工性を向上させるために存在し、特に高粘度を有する結果として、加工が困難である任意の材料又は複数の材料と混合される。脂肪酸は、改善された粘度及び/又は加工性を提供することができる。
【0195】
好適な脂肪酸の非限定的な例は、約8~約30個の炭素原子及び/又は約11~約18個の炭素原子の長鎖、非置換アアルケニル基を含有するものである。特定のカルボン酸の例は、オレイン酸、リノール酸、及びこれらの混合物である。不飽和脂肪酸が望ましいが、不飽和脂肪酸は、ステアリン酸、パルミチン酸、及び/又はラウリン酸のような飽和脂肪酸と組み合わせても使用され得る。好適なカルボン酸の非限定的な例は、オレイン酸、リノール酸、タロー脂肪酸、及びこれらの混合物である。
【0196】
一実施例では、上記の式II、III、及び/又はIVの生分解性四級アンモニウム化合物を形成するために使用される四級化反応混合物に添加されて、反応混合物の粘度を約1500cps未満、及び/又は約1000cps未満、及び/又は約800cps未満に低下させる。添加した脂肪酸の溶媒濃度は、約5%~約30%、及び/又は約10%~約25%、及び/又は約10%~約20%であってもよい。不飽和脂肪酸は、四級化のレベルの増加とともに増加する粘度を低下させる必要がある場合に、四級化反応の開始前に添加され得、かつ/又は四級化反応中に添加されてもよい。一実施例では、添加は、少なくとも約60%の生成物が四級化されたときに生じる。これにより、四級化剤が脂肪酸と反応するときに生じ得る副反応を最小限に抑えながら、加工のための低粘度を可能にする。四級化反応は周知であり、例えば、式IA及び/又はIB化合物に関して、米国特許第3,915,867号(Kangら、1975年10月28日発行)、同第4,830,771号(Rubackら、1989年5月16日発行)、及び同第5,296,622号(Uphuesら、1994年3月22日発行)(当該特許は全て、参照により本明細書に組み込まれる)に記載のプロセスが挙げられる。得られる四級化生分解性活性剤は、不飽和脂肪酸を除去することなく使用することができ、実際には、混合物がより流体であり、より容易に取り扱われるため、より有用である。
【0197】
本明細書における使用に好適な活性剤の種類の別の例は、米国特許第4,661,269号(Toan Trinh、Errol H.Wahl、Donald M.Swartley、及びRonald L.Hemingway、1987年4月28日発行)に詳細に記載されており、当該特許は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0198】
b.脂肪族アルコール
脂肪族系活性剤として有用な好適な脂肪族アルコールの非限定的な例は、約14~約30個の炭素原子及び/又は約16~約22個の炭素原子を有する脂肪族アルコールである。これらの脂肪族アルコールは飽和しており、直鎖又は分岐鎖アルコールであってもよい。
【0199】
好適な脂肪族アルコールとしては、(約56℃の融点を有する)セチルアルコール、(約58~59℃の融点を有する)ステアリルアルコール、(約71℃の融点を有する)ベヘニルアルコール、及びこれらの混合物が挙げられる。これらの脂肪族アルコールは、上記の融点を有することが既知であるが、これらは多くの場合、供給されるときにより低い融点を有し、それはそのような供給される製品が多くの場合、主アルキル鎖がセチル、ステアリル、又はベヘニル基であるアルキル鎖長分布を有する脂肪族アルコールの混合物であるためである。一般的には、混合物中、セチルアルコールのステアリルアルコールに対する重量比は、好ましくは約1:9~9:1、及び/又は約1:4~約4:1、及び/又は約1:2.3~約1.5:1であってもよい。
【0200】
界面活性活性剤
本発明の活性剤は、1つ以上の界面活性剤、例えば1つ以上の非イオン性界面活性剤及び/又は1つ以上のカチオン性界面活性剤を更に含んでもよい。界面活性剤は、活性剤並びに繊維要素水和制御系の両方としての機能を提供し得る。
【0201】
a.非イオン性界面活性剤
繊維要素及び/又は物品に含まれる非イオン性界面活性剤の総濃度は、組成物の約1重量%~約30重量%、代替的に約5重量%~約15重量%、及び代替的に約5重量%~約10重量%であり得る。非イオン性界面活性剤の非限定的な例としては、アルキルグルカミド、例えばラウロイル/ミリストイルメチルグルカミドが挙げられる。アルキルグルカミドは、約8~18個の炭素の疎水性尾部と、グルカミドの非イオン性頭部基とを含有する。アルキルグルカミドに関しては、アミド基及びヒドロキシル基の存在は、繊維要素形成組成物への界面活性剤の溶解性を可能にするような方法で疎水性炭素尾部を均衡させるのに十分な極性、及び/又は水への曝露時に物品の組成物の迅速な分散をもたらすのに十分な極性を提供する。他の好適な非イオン性界面活性剤としては、反転型(reverse)アルキルグルカミド、コカミドプロピルベタインなどのベタイン、アルキルグルコシド、トリエタノールアミン(triethanolamine、TEA)などの三級アミノ化合物、アルカノールアミド、例えば、コカミドDEA,コカミドMEA,コカミドMIPA、イソステアラミドDEA、イソステアラミドMEA、イソステアラミドMIPA、ラノリンアミドDEA、ラウラミドDEA、ラウラミドMEA、ラウラミドMIPA、リノレアミドDEA、リノレアミドMEA、リノレアミドMIPA、ミリスタミドDEA、ミリスタミドMEA、ミリスタミドMIPA、オレアミドDEA、オレアミドMEA、オレアミドMIPA、パームアミドDEA、パームアミドMEA、パームアミドMIPA、パルミタミドDEA、パルミタミドMEA、パーム核脂肪酸アミドDEA、パーム核脂肪酸アミドMEA、パーム核脂肪酸アミドMIPA、ピーナツアミドMEA、ピーナツアミドMIPA、ソイアミドDEA、ステアラミドDEA、ステアラミドMEA、ステアラミドMIPA、トールアミドDEA、タロウアミドDEA、タロウアミドMEA、ウンデシレナミドDEA、ウンデシレナミドMEAなど、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0202】
b.カチオン性界面活性剤
存在する場合、カチオン性界面活性剤は、繊維要素及び/又は繊維要素形成組成物及び/又は物品の約1重量%~約60重量%、代替的に約10重量%~約50重量%、代替的に約20重量%~約40重量%の濃度で存在してもよい。
【0203】
本明細書で有用なカチオン性界面活性剤は、1つのカチオン性界面活性剤であるか、又は2つ以上のカチオン性界面活性剤の混合物であり得る。カチオン性界面活性剤は、モノ-長鎖アルキル四級化アンモニウム塩;モノ-長鎖アルキル四級化アンモニウム塩とジ-長鎖アルキル四級化アンモニウム塩との組み合わせ;モノ長鎖アルキルアミン;モノ-長鎖アルキルアミンとジ-長鎖アルキル四級化アンモニウム塩との組み合わせ;及びモノ-長鎖アルキルアミンとモノ-長鎖アルキル四級化アンモニウム塩との組み合わせ、三級アミン、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択され得るが、これらに限定されない。
【0204】
一実施例では、本発明の非水溶性繊維要素及び/又は非水溶性物品は、約830個、及び/又は約8~24個、及び/又は約8~22個、及び/又は約8~20個、及び/又は約10~18個、及び/又は約12~18個、及び/又は約14~18個の炭素原子を含む、カチオン性界面活性剤であってもよい1つ以上の~四級アンモニウム化合物を含む。
【0205】
i.モノ-長鎖アルキルアミン
本明細書で有用なモノ-長鎖アルキルアミンの非限定的な例は、約8~30個、及び/又は約8~22個、及び/又は約8~20個、及び/又は約10~20個、及び/又は約10~18個、及び/又は約12~18個、及び/又は約14~18個、及び/又は約16~18個の炭素原子、代替的に16~24個の炭素原子、代替的に18~22個のアルキル基の1つの長いアルキル鎖を有するものである。本明細書で有用なモノ長鎖アルキルアミンとしてはまた、モノ長鎖アルキルアミドアミンが挙げられる。一級、二級、及び三級脂肪族アミンが有用である。
【0206】
約12~約22個の炭素を有するアルキル基を有する三級アミドアミンが、本発明の繊維要素及び/又は物品で使用するのに好適である。例示的な三級アミドアミンとしては、ステアラミドプロピルジメチルアミン、ステアラミドプロピルジエチルアミン、ステアラミドエチルジエチルアミン、ステアラミドエチルジメチルアミン、パルミタミドプロピルジメチルアミン、パルミタミドプロピルジエチルアミン、パルミタミドエチルジエチルアミン、パルミタミドエチルジメチルアミン、ベヘナミドプロピルジメチルアミン、ベヘナミドプロピルジエチルアミン、ベヘナミドエチルジエチルアミン、ベヘナミドエチルジメチルアミン、アラキダミドプロピルジメチルアミン、アラキダミドプロピルジエチルアミン、アラキダミドエチルジエチルアミン、アラキダミドエチルジメチルアミン、ジエチルアミノエチルステアラミドが挙げられる。本発明で有用なアミンは、米国特許第4,275,055号(Nachtigalら)に開示されている。
【0207】
これらのアミンは、λ-グルタミン酸、乳酸、塩酸、リンゴ酸、コハク酸、酢酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、λ-グルタミン酸塩酸塩、マレイン酸、及びこれらの混合物、代替的にλ-グルタミン酸、乳酸、クエン酸などの酸と、約1:0.3~約1:2、代替的に約1:0.4~約1:1のアミン対酸のモル比で組み合わせて使用され得る。
【0208】
ii.モノ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩
本明細書で有用なモノ-長鎖アルキル四級化アンモニウム塩の非限定的な例は、12~30個の炭素原子、代替的に16~24個の炭素原子、代替的にC18~22アルキル基を有する1つの長いアルキル鎖を有するものである。窒素に結合している残りの基は、1~約4個の炭素原子のアルキル基、又は最大約4個の炭素原子を有する、アルコキシ基、ポリオキシアルキレン基、アルキルアミド基、ヒドロキシアルキル基、アリール基、若しくはアルキルアリール基から独立して選択される。
【0209】
本明細書で有用なモノ-長鎖アルキル四級化アンモニウム塩は、以下の式(V)を有するものであり、
【0210】
【化12】
(式中、R
75、R
76、R
77、及びR
78のうちの1つは、12~30個の炭素原子のアルキル基、又は最大約30個の炭素原子を有する芳香族基、アルコキシ基、ポリオキシアルキレン基、アルキルアミド基、ヒドロキシアルキル基、アリール基、若しくはアルキルアリール基から選択され、R
75、R
76、R
77、及びR
78の残りは、独立して、1~約4個の炭素原子のアルキル基、又は最大約4個の炭素原子を有するアルコキシ基、ポリオキシアルキレン基、アルキルアミド基、ヒドロキシアルキル基、アリール基、若しくはアルキルアリール基から選択され、X
-は、塩形成アニオン、例えば、ハロゲン(例えば、クロリド、ブロミド)、アセテート、シトレート、ラクテート、グリコレート、ホスフェート、ニトレート、スルホネート、スルフェート、アルキルスルフェート、及びアルキルスルホネート基から選択されるものである)を有するものである。アルキル基は、炭素原子及び水素原子に加えて、エーテル及び/又はエステル結合、並びにアミノ基などの他の基を含有し得る。より長鎖のアルキル基、例えば、炭素数が約12個以上のものは、飽和又は不飽和であってもよい。R
75、R
76、R
77、及びR
78のうちの1つは、12~30個の炭素原子、代替的に16~24個の炭素原子、代替的に18~22個の炭素原子、代替的に22個の炭素原子のアルキル基から選択され得、R
75、R
76、R
77、及びR
78の残りは、独立して、CH
3、C
2H
5、C
2H
4OH、及びこれらの混合物から選択され得、Xは、Cl、Br、CH
3OSO
3、C
2H
5OSO
3、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0211】
そのようなモノ-長鎖アルキル四級化アンモニウム塩カチオン性界面活性剤の非限定的な例としては、ベヘニルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩、セチルトリメチルアンモニウム塩、及び水素添加タローアルキルトリメチルアンモニウム塩が挙げられる。
【0212】
iii.ジ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩
使用される場合、ジ-長鎖アルキル四級化アンモニウム塩は、レオロジー効果及びコンディショニング効果の安定性という観点から、1:1~1:5、代替的に1:1.2~1:5、代替的に1:1.5~1:4の重量比で、モノ-長鎖アルキル四級化アンモニウム塩及び/又はモノ-長鎖アルキルアミン塩と組み合わされ得る。
【0213】
本明細書で有用なジ-長鎖アルキル四級化アンモニウム塩の非限定的な例は、12~30個の炭素原子、代替的に16~24個の炭素原子、代替的に18~22個の炭素原子の2つの長いアルキル鎖を有するものである。本明細書で有用なそのようなジ-長鎖アルキル四級化アンモニウム塩は、式(VI):
【0214】
【化13】
[式中、R
71、R
72、R
73、及びR
74のうちの2つは、12~30個の炭素原子、代替的に16~24個の炭素原子、代替的に18~22個の炭素原子の脂肪族基、又は最大約30個の炭素原子を有する芳香族基、アルコキシ基、ポリオキシアルキレン基、アルキルアミド基、ヒドロキシアルキル基、アリール基、若しくはアルキルアリール基から選択され、R
71、R
72、R
73、及びR
74の残りは、独立して、1~約8個の炭素原子、代替的に1~3個の炭素原子の脂肪族基、又は最大約8個の炭素原子を有する芳香族基、アルコキシ基、ポリオキシアルキレン基、アルキルアミド基、ヒドロキシアルキル基、アリール基、若しくはアルキルアリール基から選択され、X
-は、ハライド(例えば、クロリド及びブロミド)、C1~C4アルキルスルフェート(例えば、メトスルフェート及びエトスルフェート)、並びにこれらの混合物からなる群から選択される塩形成アニオンである]を有し得る。脂肪族基は、炭素原子及び水素原子に加えて、エーテル連結基、及びアミノ基などの他の基を含有し得る。より長鎖の脂肪族基、例えば、炭素数が約16個以上のものは、飽和であっても不飽和であってもよい。R
71、R
72、R
73、及びR
74のうちの2つは、12~30個の炭素原子、代替的に16~24個の炭素原子、代替的に18~22個の炭素原子のアルキル基から選択されてもよく、R
71、R
72、R
73、及びR
74の残りは、独立して、CH
3、C
2H
5、C
2H
4OH、CH
2C
6H
5、及びこれらの混合物から選択される。
【0215】
好適なジ-長鎖アルキルカチオン性界面活性剤としては、例えば、ジアルキル(14-18)ジメチルアンモニウムクロリド、ジタローアルキルジメチルアンモニウムクロリド、ジヒドロ添加タローアルキルジメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、及びジセチルジメチルアンモニウムクロリドが挙げられる。
【0216】
補助成分
1つ以上の活性剤に加えて、本発明の繊維要素及び/又は繊維要素形成組成物及び/又は物品は、1つ以上の補助成分、例えば、1つ以上のポリマー構造化剤などの1つ以上の構造化剤を更に含んでもよい。一実施例では、補助成分は、天然に存在しないポリマーに由来し、言い換えれば、補助成分は、例えばデンプン又はセルロースに由来しない。
【0217】
好適な補助成分、例えば構造化剤の非限定的な例は、ポリマー構造化剤、無機構造化剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される。一実施例では、補助成分、例えば構造化剤は、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドンのコポリマー、ポリジメチルアクリルアミド、ジメチルアクリルアミドのコポリマー、並びにこれらの混合物からなる群から選択されるポリマー構造化剤を含む。一実施例では、構造化剤は、ポリビニルピロリドンを含む。一実施例では、構造化剤は、ポリジメチルアクリルアミドを含む。一実施例では、構造化剤は、粘土、シリカ、及びこれらの混合物からなる群から選択される無機構造化剤を含む。
【0218】
1つ以上の補助成分、例えば1つ以上の構造化剤は、存在する場合、フィラメント形成組成物及び/又は繊維要素及び/又は繊維構造体及び/又は物品内の1つ以上の活性剤中に、例えば均質に分散されてもよい。
【0219】
存在する場合、1つ以上の補助成分は、フィラメント形成組成物及び/又は繊維要素及び/又は繊維構造体及び/又は物品中に、乾燥フィラメント形成組成物及び/又は乾燥繊維要素及び/又は乾燥繊維構造体及び/又は乾燥物品に基づいて、20重量%未満以下、及び/又は15重量%未満、及び/又は10重量%未満、及び/又は5重量%未満、及び/又は4重量%未満、及び/又は3重量%未満、及び/又は2重量%未満、及び/又は1重量%未満、及び/又は約0重量%の総濃度で存在してもよい。
【0220】
好適な構造化剤の非限定的な例としては、ポリアクリル酸及びそのコポリマー、ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrrolidone、PVP)及びそのコポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン/トリメチルアミノエチルメタクリレート(PVP/trimethyl amino ethyl methacrylate、TMAEMA)、ポリビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート(PVP/dimethyl aminoethyl methacrylate、DMAEMA)及びポリビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリレート(PVP/dimethyl aminopropylmethyacrylate、DMAPMA)などのそれらのカチオン性コポリマー、ポリアクリルアミド及びそのコポリマー、ポリ(2-エチルオキサゾリン)などのポリオキサゾリン及びそのコポリマー、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンイミン、ポリメタクリル酸、他の水溶性アクリルポリマー、例えば、N-イソプロピルアクリルアミド、N-N-ジメチルアクリルアミド、ポリビニルオキサゾリドン、ポリカプロラクタム、ポリスチレンサルフォネート、ポリビニルホルムアミド、ポリビニルアミン、アルキル化ビニルピロリドン、ビニルカプロラクタム、ビニルバレロラクタム、ビニルイミダゾール、アクリル酸、メタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジメタクリルアミド、アルキルアミノメタクリレート、及びアルキルアミノメタクリルアミドモノマー、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択されるポリマー構造化剤が挙げられる。明確にするため、「コポリマー」という用語の使用には、ビニルピロリドンモノマーが、酢酸ビニル、アルキル化ビニルピロリドン、ビニルカプロラクタム、ビニルバレロラクタム、ビニルイミダゾール、アクリル酸、メタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジメタクリルアミド、アルキルアミノメタクリレート及びアルキルアミノメタクリルアミドモノマーなどの他の非限定的なモノマーと共重合され得ることを伝えるように意図されている。
【0221】
一実施例では、構造化剤は、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドンのコポリマー、ポリジメチルアクリルアミド、ジメチルアクリルアミドのコポリマー、並びにこれらの混合物からなる群から選択されるポリマー構造化剤を含む。一実施例では、構造化剤は、ポリビニルピロリドンを含む。別の実施例では、構造化剤は、ポリジメチルアクリルアミドを含む。
【0222】
一実施例では、1つ以上の補助成分のうちの少なくとも1つ、例えばポリマー構造化剤などの構造化剤は、約10,000~約3,000,000g/mol、及び/又は約20,000~約2,500,000g/mol、及び/又は約30,000~2,000,000g/mol未満、及び/又は約40,000~約1,700,000g/molの重量平均分子量を呈する。
【0223】
繊維要素水和制御系
活性剤及び補助成分に加えて、本発明の繊維要素及び/又は繊維要素形成組成物及び/又は物品は、繊維要素水和制御系を含む。そのような繊維要素水和制御系は、繊維要素及び/又は繊維要素形成組成物中に、並びに最終的にはそれらから製造される物品中に存在してもよく、及び/又は繊維要素中にも繊維要素形成組成物中にも存在しない外部繊維要素水和制御系であってもよい。
【0224】
繊維要素及び/又は繊維要素形成組成物、並びに最終的にそれらから製造される物品に使用するのに好適な繊維要素水和制御系の非限定例としては、四級アンモニウム化合物、例えば、カチオン性界面活性剤としても機能し得るC8~C22四級アンモニウム化合物、界面活性剤、例えば非イオン性界面活性剤、塩及び塩生成系、例えば発泡系、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0225】
a.四級アンモニウム化合物
一実施例では、繊維要素水和制御系は、1つ以上の四級アンモニウム化合物を含む。一実施例では、繊維要素水和制御系は、1つ以上のC8~C22四級アンモニウム化合物、及び/又は1つ以上のC8~C20四級アンモニウム化合物、及び/又は1つ以上のC10~C18四級アンモニウム化合物、及び/又は1つ以上のC12~C18四級アンモニウム化合物、及び/又は1つ以上のC14~C18四級アンモニウム化合物、及び/又は1つ以上のC16~C18四級アンモニウム化合物を含む。
【0226】
一実施例では、繊維要素水和制御系は、ベヘントリモニウムメトスルフェート、ベヘントリモニウムクロリド、ベヘナミドプロピルジメチルアミン、及びこれらの混合物からなる群から選択される四級アンモニウム化合物を含む。
【0227】
b.界面活性剤
一実施例では、繊維要素水和制御系は界面活性剤を含む。一実施例では、繊維要素水和制御系は、非イオン性界面活性剤を含む。
【0228】
繊維要素水和制御系として使用するのに好適な非イオン性界面活性剤の非限定例としては、反転型(reverse)アルキルグルカミド、ベタイン、アルキルグルコシド、三級アミノ化合物、アルカノールアミド、及びこれらの混合物からなる群から選択される非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0229】
一実施例では、繊維要素水和制御系はアルカノールアミドを含む。繊維要素水和制御系として使用するのに好適なアルカノールアミドの非限定的な例としては、コカミドDEA、コカミドMEA、コカミドMIPA、イソステアラミドDEA、イソステアラミドMEA、イソステアラミドMIPA、ラノリンアミドDEA、ラウラミドDEA、ラウラミドMEA、ラウラミドMIPA、リノレアミドDEA、リノレアミドMEA、リノレアミドMIPA、ミリスタミドDEA、ミリスタミドMEA、ミリスタミドMIPA、オレアミドDEA、オレアミドMEA、オレアミドMIPA、パームアミドDEA、パームアミドMEA、パームアミドMIPA、パルミタミドDEA、パルミタミドMEA、パーム核脂肪酸アミドDEA、パーム核脂肪酸アミドMEA、パーム核脂肪酸アミドMIPA、ピーナツアミドMEA、ピーナツアミドMIPA、ソイアミドDEA、ステアラミドDEA、ステアラミドMEA、ステアラミドMIPA、トールアミドDEA、タロウアミドDEA、タロウアミドMEA、ウンデシレナミドDEA、ウンデシレナミドMEA、PEG-6コカミド、及びこれらの混合物からなる群から選択されるアルカノールアミドが挙げられる。
【0230】
一実施例では、繊維要素水和制御系はトリエタノールアミンを含む。
【0231】
c.塩又は塩生成系
一実施例では、繊維要素水和制御系は、塩を含み、塩は、繊維要素及び/若しくは繊維要素形成組成物中、並びに最終的にはこれらから形成される物品中に存在してもよく、及び/又は外部繊維要素水和制御系であってもよい。
【0232】
一実施例では、繊維要素水和制御系、塩生成系を含む。塩生成系は、発泡系であってもよい。
【0233】
一実施例では、繊維要素水和制御系は、発泡系を含む。発泡系は、発泡性酸などの酸、例えば発泡性酸粒子、発泡性塩などの塩、例えば発泡性塩粒子、及びこれらの組み合わせを含んでもよい。一実施例では、発泡系は、1つ以上の粒子(粒子形態)、例えば、発泡性酸粒子及び/又は発泡性塩粒子を含む。一実施例では、発泡系は、酸、例えば発泡性酸、例えば発泡性酸粒子、及び塩、例えば発泡性塩、例えば発泡性塩粒子を、界面活性剤などの結合剤とともに又は結合剤なしで含む凝集体を含む。
【0234】
一実施例では、外部繊維要素水和制御系は、発泡系を含む。発泡系は、1つ以上の発泡性酸、例えば発泡性酸粒子、及び1つ以上の発泡性塩、例えば発泡性塩粒子を含んでもよい。一実施例では、発泡性酸及び発泡性塩のいずれか又は両方は、無水形態にあってよい。
【0235】
粒子形態にあってもよい好適な発泡性塩の例としては、アルカリ及びアルカリ土類金属塩などの塩が挙げられる。好適なアルカリ金属塩の非限定的な例としては、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸アンモニウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸カルシウム、又はこれらの混合物が挙げられる。一実施例では、発泡性塩粒子は、約50μm~約200μm及び/又は約50μm~約150μm及び/又は約50μm~約100μmの粒径範囲を呈し得る。
【0236】
粒子形態にあってもよい好適な発泡性酸の例としては、酒石酸、クエン酸、フマル酸、コハク酸、アジピン酸、リンゴ酸、シュウ酸、又はスルファミン酸(単独で又は組み合わせて)が挙げられるが、これらに限定されない。高分子有機塩も使用することができ、非限定的な例としては、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリル酸コ-マレイン酸)、ポリ(マレイン酸)などが挙げられる。使用することができる無機酸の非限定的な例としては、尿素塩酸塩、硫酸水素ナトリウム、リン酸などが挙げられる。一実施例では、発泡性酸は、クエン酸及び/又は酒石酸である。
【0237】
特定の態様では、発泡性酸は、コーティングを含む。コーティングは、発泡性酸による発泡性塩の早期活性化防止に役立ち得る。好適なコーティングとしては、マルトデキストリン、シトレート、又は二酸化ケイ素などの固化防止剤が挙げられる。一実施例では、発泡性酸は、マルトデキストリンでコーティングされたクエン酸(商標名Citric Acid DCで入手可能)、シトレートでコーティングされたクエン酸(商標名CITROCOAT(登録商標)Nで入手可能)、又は二酸化ケイ素でコーティングされたクエン酸(商標名Citric Acid S40で入手可能)を含む。
【0238】
一実施例では、発泡性酸は、発泡系の約10重量%~約60重量%の量で添加されてよく、発泡性塩は、発泡系の約10重量%~60重量%の量で添加されてもよい。
【0239】
一実施例では、発泡性酸及び/又は発泡性塩は、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥粒子基準及び/又は乾燥繊維構造体及び/又は乾燥物品基準で、約0.1重量%~約50重量%及び/又は約1重量%~約40重量%及び/又は約5重量%~約30重量%を構成してもよい。
【0240】
任意選択的な活性剤
上述の活性剤に加えて、本発明の繊維要素及び/又は繊維要素形成組成物及び/又は物品は、1つ以上の任意選択的な活性剤を更に含んでもよく、これは粒子、例えば活性剤含有粒子の形態にあってもよい。任意選択的な活性剤は、繊維要素及び/若しくは繊維要素形成組成物中に、並びに/又は繊維要素の外部に存在してもよく、例えば、本発明の物品を形成する前に活性剤含有粒子として繊維要素と混合されてもよく、及び/又は本発明の物品を形成する前若しくは後に繊維要素の表面に適用されてもよく、及び/又は本発明の物品の形成中に繊維要素の2つ以上の層の間に層として添加されてもよく、及び/又は本発明の多繊維構造体/多プライ物品を形成するときに2つ以上の繊維構造体の間に添加されてもよい。
【0241】
任意選択的な活性剤の非限定的な例は、香料、着色剤、例えば染料及び/又は顔料(pignment)、防腐剤、乳白剤、例えば二酸化チタン、雲母、有機及び/又は無機日焼け止め剤を含む日焼け止め剤、例えば酸化亜鉛、二酸化チタン、雲母、天然油、ビタミン、例えばパンテノール、ビタミンE、ビタミンB、ビタミンC、皮膚調整剤、例えばワセリン、鉱油、シリコーン、皮膚鎮静剤(skin soothing agent)、例えば酸化亜鉛、ワセリン、感覚剤、例えば冷却剤、例えばメントール及び乳酸メントール、及び/又は温化剤など、例えばカプサイシン及びカルバクロール、粉末、例えばヘナ粉末、ウコン粉末、抗酸化剤、酒さ、例えばサリチル酸、緑雲母、アゼライン酸、皮膚有益剤、例えばレチノール、ヒアルロン酸、保湿剤、ペプチド、ピリチオン、例えばジンクピリチオン、ストロビルリン、例えばアゾキシストロビン、ピロクトンオラミンなどのピロクトン誘導体及び/又は塩、並びにこれらの混合物からなる群から選択される。
【0242】
一実施例では、1つ以上の任意選択的な活性剤は、カプセル化された温化剤などの温化剤、及び/又は、例えば水と接触したときに発熱反応を引き起こす(熱を放出する)、ゼオライト、塩、及び他の反応性成分などの活性剤を含んでもよい。
【0243】
一実施例では、1つ以上の任意選択的な活性剤は、カプセル化された冷却剤などの冷却剤、及び/又は、例えば水と接触したときに吸熱反応を引き起こす(熱を吸収し、したがってその周囲を冷却する)活性剤を含んでもよい。
【0244】
一実施例では、任意選択的な活性剤は、ビタミン、例えば、ビタミンB-3などのビタミンB、例えば、ナイアシンアミド、及び/又はビタミンEを含む。
【0245】
一実施例では、任意選択的な活性剤は、ナイアシンアミドを含む。
【0246】
一実施例では、任意選択的な活性剤は、パンテノールを含む。
【0247】
一実施例では、任意選択的な活性剤は、油、例えば天然油、及び/又はバター、例えばシアバター及びカカオバターを含み、これらは、純粋な形態及び/又はカプセル化形態及び/又は粒子形態及び/又はマトリックス粒子形態にあってもよい。
【0248】
油は、天然油、例えば植物系油であってもよい。
【0249】
一実施例では、油は、合成油、例えば炭化水素油及び/又はトリグリセリド油であってもよい。一実施例では、油は、中鎖トリグリセリド(medium chain triglyceride、MCT)油であってもよい。
【0250】
本発明で使用するための油、例えば天然油の非限定的な例は、ハッカ油、スペアミント油、アルガン油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、パーム核油、オリーブオイル、ダイズ油、アマ油、扁桃油、アボカド油、グレープシード油、ナタネ油、ヒマワリ油、ベニバナ油、テトラヒドロクルクミン油、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0251】
一実施例では、任意選択的な活性剤は、ビタミン、例えばナイアシンアミドなどのビタミンB、及び天然油、例えばホホバ油を含む。
【0252】
一実施例では、任意選択的な活性剤は、ナイアシンアミド及び天然油、例えばホホバ油を含む。
【0253】
一実施例では、任意選択的な活性剤は、皮膚有益剤、例えば、レチノール、ヒアルロン酸、保湿剤、ペプチド、及びこれらの混合物を含む。
【0254】
一実施例では、任意選択的な活性剤は、保湿剤、例えばアロエを含む。
【0255】
任意選択的な活性剤の非限定的な例としては、保湿、バリア改善、抗真菌、抗菌及び抗酸化、かゆみ止め、並びに冷却及び/又は加温効果を提供する任意選択的な活性剤が挙げられる。そのような任意選択的な活性剤の非限定的な例としては、ビタミンE及びF、アロエ、ハッカなどの天然抽出物/油、例えば、ハッカ油、スペアミント油、アルガン油、ホホバ油、ヤシ油、パーム核油、ダイズ油、及び他の植物性油、例えば、種子由来の油(アマ油、扁桃油など)及び果実由来の油(アボカド油)、サリチル酸、ナイアシンアミド、カフェイン、パンテノール、グリコール、グリコール酸、乳酸、PCA、PEG、エリトリトール、グリセリン、トリクロサン、乳酸、ヒアルロネート、アラントイン及び他の尿素、ベタイン、ソルビトール、グルタミン酸、キシリトール、メントール、メチルラクテート、イソシクロモン(iso cyclomone)、ベンジルアルコール、以下の構造を含む化合物が挙げられるが、これらに限定されない:
【0256】
【化14】
Rは、H、アルキル、アミノアルキル、アルコキシ;H
2、O、-OR
1、-N(R
1)
2、OPO(OR
1)
x、-PO(OR
1)
x、-P(OR
1)
x(式中、x=1-2);NR
1、O、-OPO(OR
1)
x、-PO(OR
1)
x、-P(OR
1)
x(式中、x=1-2);
H
2、Oから選択され;n=0の場合、Xは、H、アリール、ナフチルから独立して選択され;n≧1の場合、Xは、脂肪族CH
2又は芳香族CHであり、Zは、脂肪族CH
2、芳香族CH、又はヘテロ原子;低級アルコキシ、低級アルキルチオ、アリール、置換アリール又は縮合アリールから選択され、立体化学は
*印の位置で可変である。
【0257】
一実施例では、任意選択的な活性剤は、1つ以上の感覚剤を含む。感覚剤は、例えば、加熱又は冷却などの熱変化の感覚をもたらす材料であってもよい。感覚剤は、皮膚感覚及び快適さの利益を提供する。感覚剤の非限定的な例としては、p-メタン-3,8-ジオール;イソプレゴール;メントキシプロパン-1,2-ジオール;クルクミン;メンチルラクテート;ジンジェロール;イシリン;メントール;ティーツリー油;サリチル酸メチル;樟脳;ペパーミント油;N-エチル-p-メンタン-3-カルボキサミド;N-[4-(シアノメチル)フェニル]-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-カルボキサミド;エチル3-(p-メンタン-3-カルボキサミド)アセテート;2-イソプロピル-N,2,3-トリメチルブチルアミド;メントングリセロールケタール;カプサイシン、カルバクロール、メントール、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0258】
いくつかの任意選択的な活性剤は、異なるクラスの任意選択的な活性剤とみなすことができ、例えば、ハッカ油は、油、例えば天然油、並びに感覚剤とみなすことができる。
【0259】
一実施例では、繊維要素及び//又は物品は、1つ以上の任意選択的な活性剤、及び1つ以上の繊維要素水和制御系、例えば、発泡系などの外部繊維要素水和制御系を含んでもよい。
【0260】
印刷
本発明の物品は、その表面の1つ以上に印刷されたグラフィックを更に含んでもよい。グラフィックは、繊維構造体に直接印刷されてもよい。より具体的には、繊維構造体は、第1の表面及び第1の表面の反対側の第2の表面を含んでもよく、1つ以上のグラフィックは、繊維構造体の第1の表面及び/又は第2の表面上に直接印刷されてもよい。いくつかの実施形態では、グラフィックは、第1の表面及び/又は第2の表面上に位置付けられたインクを含む。インクは、繊維要素、例えばフィラメントなどの相互に絡み合った繊維要素、及び空隙領域に浸透し、インクが塗布された表面の下の繊維構造体内に、例えば100マイクロメートル以下まで浸透し得ることも理解されるべきである。したがって、インクは、第1の表面及び/又は第2の表面の下の様々な深さで、繊維構造体上及び/又は繊維構造体内に存在してもよい。いくつかの実施形態では、グラフィックは、繊維構造体が様々な湿潤及び/又は乾燥インク接着性等級を有するように適用されてもよい。加えて、グラフィックは、繊維構造体が所望の特定の物理的特性、例えば、所望の範囲の幾何平均弾性率、幾何平均伸び、及び/又は幾何平均引張強度などを呈し得るように適用されてもよい。
【0261】
粒子
繊維要素に加えて、本発明の物品は、粒子を更に含んでもよい。粒子は、水溶性又は非水溶性であってもよい。一実施例では、ある粒子群は水溶性であってもよく、別の粒子群は非水溶性であってもよい。別の実施例では、粒子は、1つ以上の活性剤及び/又は油などの1つ以上の任意選択的な活性剤を含んでもよい(言い換えれば、粒子は、活性剤含有粒子及び/又は任意選択的な活性剤含有粒子を含んでもよい)。別の実施例では、粒子は、1つ以上の繊維要素水和制御系、例えば、発泡系などの外部繊維要素水和制御系を含んでもよい。更に別の実施例では、粒子は、1つ以上の活性剤及び/又は任意選択的な活性剤から本質的になってもよく、及び/又はそれらからからなってもよい(換言すれば、粒子は、乾燥粒子基準で100重量%又は約100重量%の1つ以上の活性剤及び/又は任意選択的な活性剤を含み得る)。更に別の実施例では、粒子は、1つ以上の繊維要素水和制御系、例えば外部繊維要素水和制御系から本質的になってもよく、及び/又はそれらからなってもよい(換言すれば、粒子は、乾燥粒子基準で100重量%又は約100重量%の1つ以上の繊維要素水和制御系、例えば外部繊維要素水和制御系を含んでもよい)。
【0262】
一実施例では、粒子は、異なる材料の凝集体、例えば、1つ以上の発泡性塩粒子、例えば重炭酸ナトリウム、1つ以上の発泡性酸粒子、例えばクエン酸などの異なるサブ粒子を含み、粒子は、界面活性剤などの結合剤でコーティングされていてもよい。
【0263】
一実施例では、本発明の繊維構造体及び/又は物品は、複数の粒子と複数の繊維要素、例えばフィラメントとを、約3:1~約20:1、及び/又は約5:1~約15:1、及び/又は約5:1~約12:1、及び/又は約7:1~約12:1の粒子と繊維要素との重量比で含む。
【0264】
a.マトリックス粒子
本発明の物品は、1つ以上のマトリックス粒子を含んでよい。「マトリックス粒子」は、複数の細孔を含む多孔質構造の形態の1つ以上のマトリックス材料と、少なくとも1つの細孔内に存在する1つ以上の他の材料、例えば1つ以上の活性剤及び/又は1つ以上の任意選択的な活性剤とを含む。マトリックス粒子は、中空マトリックス粒子であってもよい。別の実施例では、マトリックス粒子は、非中空であってもよく、例えば、少なくとも1つの他の材料が細孔の少なくとも1つの中に存在する複数の細孔を含む(1つ以上のマトリックス材料によって形成された)連続多孔質構造であってもよい。マトリックス粒子及びその中で使用される材料、並びにそのようなマトリックス粒子を製造するためのプロセスの例は、米国特許出願公開第2020/0093711(A1)号に記載されている。
【0265】
一実施例では、本発明のマトリックス粒子は、水溶性である。別の実施例では、本発明のマトリックス粒子は、非水溶性である。一実施例では、複数のマトリックス粒子は、水溶性マトリックス粒子及び非水溶性マトリックス粒子を含んでもよい。
【0266】
一実施例では、1つ以上のマトリックス材料は、細孔内に存在する1つ以上の他の材料との適合性に基づいて、マトリックス微粒子用に選択される。
【0267】
一実施例では、マトリックス粒子が水溶性マトリックス粒子である場合、例えば、1つ以上の他の材料、例えば香料及び/又はシリコーンを含む場合、マトリックス粒子が極性溶媒、例えば水と接触すると、及び/又はマトリックス粒子の一部若しくは全体、及び/又はマトリックス材料の1つ以上、例えば全てが溶解すると、1つ以上の他の材料がマトリックス粒子から放出される。
【0268】
一実施例では、マトリックス粒子が非水溶性マトリックス粒子である場合、例えば、1つ以上の他の材料、例えば香料及び/又はシリコーンを含む場合、1つ以上の他の材料は、マトリックス粒子が極性溶媒と接触するとマトリックス粒子から放出される。極性溶媒はマトリックス粒子を膨潤させ、拡散を促進し、例えば、非水溶性マトリックス粒子からの1つ以上の他の材料の拡散を増加させる。1つ以上の他の材料の拡散は、完全でなくても速くなくてもよい。マトリックス粒子から拡散するこの能力は、特に他の材料がシリコーンを含む場合に、マトリックス粒子の1つ以上のマトリックス材料が、架橋剤で架橋されないという事実によって支援される。
【0269】
マトリックス粒子が水溶性であろうと非水溶性であろうと、1つ以上の他の材料の漏出(この場合、拡散)は、細孔中に存在する他の材料の粘度の影響を受ける。例えば、シリコーン剤は香料剤よりも高い粘度を呈するので、シリコーンは、特にマトリックス粒子が乾燥状態にある場合、香料よりも遅く及び/又は完全ではなくマトリックス粒子から漏出/拡散する。この事実を考慮して、一実施例では、他の材料として1つ以上のシリコーンを含み、例えば香料を含まない又は実質的に含まないマトリックス粒子は、非架橋マトリックス材料を含む。また、別の実施例では、他の材料として1つ以上の香料を含み、例えばシリコーンを含まない又は実質的に含まないマトリックス粒子は、架橋マトリックス材料を含む。
【0270】
マトリックス粒子のこの設計は、マトリックス粒子にいくらかの破損がある場合でさえ、より強固な粒子をもたらすことができる。マトリックス粒子が破損している場合、マトリックス粒子のその破損した部分のみが、香料などのその他の材料をその細孔から放出し、破損したマトリックス粒子の残りの部分は、放出を誘発する条件に曝露されるまで及び/又は再び破損するまで、それらの細孔内にそれらの他の材料を保持する。マトリックス粒子は破損するが、マトリックス粒子の一部が他の材料をそれらの細孔内に保持するこの能力は、コア/シェルカプセル化物などのカプセル化粒子よりも有利であり、コア/シェルカプセル化物の破損は、コア/シェルカプセル化物内に元々カプセル化されていた他の材料の完全な損失をもたらす。
【0271】
一実施例では、マトリックス粒子は、マトリックス粒子の総重量に対して、約10~70重量%の細孔内に存在する1つ以上の他の材料、約21~72重量%の1つ以上のマトリックス材料、約3~12重量%の架橋剤、及び約1~6重量%の触媒を含んでもよい(100%を超えないこと)。
【0272】
架橋剤は、存在する場合、マトリックス粒子に所望の耐久性を付与するのに有効な程度まで、マトリックス材料、例えばデンプンなどの多糖類を架橋するのに(触媒の存在下で)有効な量で存在することができる。その量は、例えば、マトリックス粒子の総重量の、例えば少なくとも約1重量%、及び/又は少なくとも約2重量%、及び/又は少なくとも約3重量%、及び/又は少なくとも約3.80重量%、及び/又は少なくとも約5重量%、及び/又は約15重量%まで、及び/又は約12重量%まで、及び/又は約10重量%まで、及び/又は約8重量%までであり得る。
【0273】
好適な架橋剤の非限定的な例は、ジメチルジヒドロキシ尿素、ジメチロールジヒドロキシエチレン(dimethyloldihhyrodyethylene)尿素、ジメチロール尿素、ジヒドロキシエチレン尿素、ジメチロールエチレン尿素、ジメチルジヒドロキシエチレン尿素、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、グルタル酸、シトラコン酸、イタコン酸、酒石酸モノコハク酸、マイレン酸、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(マイレン酸)、ポリ(メチルビニルエーテル-コ-マレエート)コポリマー、アクリル酸のコポリマー及びマレイン酸のコポリマー、並びにこれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0274】
架橋剤に加えて、マトリックス材料は、マトリックス粒子に所望の耐久性を付与するのに有効な程度まで、マトリックス材料、例えばデンプンなどの多糖類の架橋を触媒するのに有効な量の触媒を更に含んでもよい。その量は、例えば、マトリックス粒子の総重量の、例えば少なくとも約0.1重量%、及び/又は少なくとも約0.5重量%、及び/又は少なくとも約1重量%、及び/又は少なくとも約2重量%、及び/又は約7重量%まで、及び/又は約6重量%まで、及び/又は約5重量%まで、及び/又は約2.5重量%までであり得る。
【0275】
触媒は、存在する場合、還元剤及び/又は電子供与体であってもよく、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化アルミニウム、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウム、次亜リン酸ナトリウム、及びこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
【0276】
流動助剤、例えばシリカ流動助剤を、マトリックス粒子中に含ませてもよい。シリカ流動助剤としては、沈降シリカ、ヒュームドシリカ、疎水性シリカ、及びこれらの混合物を挙げることができる。しかしながら、流動助剤、例えばシリカ流動助剤を添加することは、マトリックス粒子の凝集を防止及び/又は阻害する場合がある。したがって、一実施例では、本発明のマトリックス粒子は、流動助剤、例えばシリカ流動助剤を含まなくてもよい、及び/又は実質的に含まなくてもよい。別の実施例では、マトリックス粒子は、マトリックス粒子の総重量に対して、1重量%未満、及び/又は0.5重量%未満、及び/又は0.1重量%未満、及び/又は0.05重量%未満の流動助剤、例えばシリカ流動助剤を含んでもよい。
【0277】
一実施例では、マトリックス粒子は、複数の細孔を含む多孔質構造の形態の1つ以上のマトリックス材料を含み、1つ以上の他の材料が、細孔の少なくとも1つの中に存在しており、及び/又は1つ以上のマトリックス材料全体に分散しており、任意選択的に、マトリックス粒子が水に接触すると、及び/又はマトリックス粒子の一部若しくは全体、及び/又はマトリックス材料の1つ以上、例えば全てが溶解すると、1つ以上の他の材料の少なくとも1つがマトリックス粒子から放出される。
【0278】
一実施例では、本発明のマトリックス粒子は、1つ以上のマトリックス材料、例えば非架橋ポリビニルアルコールと、1つ以上の細孔内に存在する1つ以上の他の材料、例えばシリコーン、例えばアミノシリコーン、例えば末端アミノシリコーンとを含む。一実施例では、そのようなマトリックス粒子は、同じ又は異なる、例えば同じ他のマトリックス粒子と凝集して、複数のマトリックス粒子を含む凝集粒子を形成することができる。
【0279】
一実施例では、本発明のマトリックス粒子は、1つ以上のマトリックス材料、例えば非架橋ポリビニルアルコールと、1つ以上の他の材料、例えば香料とを含む。一実施例では、そのようなマトリックス粒子は、同じ又は異なる、例えば同じ他のマトリックス粒子と凝集して、複数のマトリックス粒子を含む凝集粒子を形成することができる。
【0280】
一実施例では、1つ以上のマトリックス材料のうちの少なくとも1つは、水溶性マトリックス材料である。一実施例では、1つ以上のマトリックス材料のうちの少なくとも1つは、ポリビニルアルコール、多糖類、ガム、ゼラチン、デキストリン、ポリエチレングリコール、アラビアガム、カラマツ、ペクチン、トラガカント、イナゴマメ、グアー、アルギネート、カラギーナン、セルロースガム、カラヤ、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0281】
一実施例では、マトリックス粒子は、本明細書に記載のメジアン粒径試験方法に従って測定したとき、500μm未満、及び/又は400μm未満、及び/又は300μm未満、及び/又は200μm未満、及び/又は100μm未満、及び/又は約20μmまで、及び/又は約30μmまで、及び/又は約20μm~約500μm、及び/又は約20μm~約400μm、及び/又は約20μm~約300μm、及び/又は約20μm~約200μm、及び/又は約20μm~約100μm、及び/又は約20~約90μm、及び/又は約30μm~約80μmの寸法を呈する。
【0282】
ai.マトリックス材料
本発明のマトリックス粒子は、マトリックス粒子の総重量の約10重量%~約90重量%、及び/又は約30重量%~約85重量%、及び/又は約40重量%~約85重量%、及び/又は約45重量%~約80重量%、及び/又は約50重量%~約75重量%の1つ以上のマトリックス材料を含んでもよい。
【0283】
好適なマトリックス材料の非限定的な例としては、水溶性ポリマー、ポリビニルアルコール、多糖類、架橋剤、触媒、ポリエチレングリコール(polyethylene glycol、PEG)、デンプン、ガム、ゼラチン、デキストリン、並びに加水分解ガム及び加水分解ゼラチン、ポリアクリル酸及びそのコポリマー、ポリビニルピロリドン及びそのコポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン/トリメチルアミノエチルメタクリレート(PVP/TMAEMA)、ポリビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート(PVP/DMAEMA)及びポリビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリレート(PVP/DMAPMA)などのそのカチオン性コポリマー、ポリアクリルアミド及びそのコポリマー、ポリ(2-エチルオキサゾリン)などのポリオキサゾリン及びそのコポリマー、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンイミン、ポリメタクリル酸、N-イソプロピルアクリルアミド、n-n-ジメチルアクリルアミド、他の水溶性アクリル系ポリマー、ポリビニルオキサゾリドン、ポリカプロラクタム、ポリスチレンサルフォネート、ポリビニルホルムアミド、ポリビニルアミン、及びこれらの混合物からなる群から選択されるマトリックス材料が挙げられる。好適なデンプンの非限定的な例としては、アラビアガム、カラマツ、ペクチン、トラガカント、イナゴマメ、グアー、アルギン酸ナトリウム及びアルギン酸プロピレングリコールなどのアルギネート、カラギーナン、カルボキシメチルセルロースなどのセルロースガム、並びにカラヤが挙げられる。好適なマトリックス材料のいくつかは融点を有し、したがって溶融することができるが、本発明の場合、一実施例では、好適なマトリックス材料は、極性溶媒、例えば水に可溶性であり、その結果、乾燥プロセス、例えば噴霧乾燥プロセス中に、極性溶媒、例えば水を除去すると、複数の細孔を含む多孔質構造を形成するマトリックス材料が得られる。マトリックス材料によって形成されるそのような多孔質構造は、溶融マトリックス材料を冷却する際には形成されない。換言すれば、溶融したマトリックス材料の冷却は、非多孔質構造を形成する。
【0284】
一実施例では、1つ以上のマトリックス材料のうちの少なくとも1つは、ポリビニルアルコール、多糖類、ガム、ゼラチン、デキストリン、ポリエチレングリコール、アラビアガム、カラマツ、ペクチン、トラガカント、イナゴマメ、グアー、アルギネート、カラギーナン、セルロースガム、カラヤ、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0285】
一実施例では、1つ以上のマトリックス材料のうちの少なくとも1つは、ポリビニルアルコール、例えば水溶性ポリビニルアルコールを含む。
【0286】
一実施例では、1つ以上のマトリックス材料のうちの少なくとも1つは、多糖類、例えばデンプンを含む。
【0287】
一実施例では、1つ以上のマトリックス材料のうちの少なくとも1つは、溶解形態のポリエチレングリコール、例えばポリエチレングリコールの水溶液を含む。溶融され、続いて冷却された形態のポリエチレングリコールは、本発明の範囲内ではない。
【0288】
別の実施例では、マトリックス材料は、デキストリン、例えば、制御された量のカルボキシル基を含有する酸化デンプンに由来するカルボキシル化デキストリンを含んでもよい。これらのカルボキシル化デキストリンは、トウモロコシ、コムギ、ワキシートウモロコシ、及びワキシーソルガムデンプンなどの酸化された穀物デンプンから調製され得る。タピオカ及びジャガイモデンプンなどの酸化地下デンプンから誘導されるカルボキシル化デキストリンも使用することができる。これらのカルボキシル化デキストリンの全ては、香料のような揮発性油と相溶性であり得る。
【0289】
マトリックス材料は、ポリエチレングリコール(PEG)を含み得る。PEGは、約4000~約10,000g/mol、及び/又は約6000~約9,000g/mol、及び/又は約7000~約8000g/molの分子量を有し得る。一実施例では、PEGは、約4000~約8000g/molの分子量を有し得る。PEGは、室温(約23℃)で固体であり得、融点は約60℃である。一実施例では、マトリックス粒子は、PEG8000を含み得る。
【0290】
マトリックス材料は、多糖類を含んでもよく、多糖類は、マトリックス粒子に所望の構造特性及び放出特性を提供するのに有効な量で、例えば、マトリックス粒子の総重量の少なくとも約5重量%、及び/又は少なくとも約10重量%、及び/又は少なくとも約21重量%、及び/又は少なくとも約25重量%から、約80重量%まで、及び/又は約72重量%まで、及び/又は約60重量%まで、及び/又は約50重量%までのレベルで存在し得る。多糖類は、修飾トウモロコシデンプンなどのオクテニルコハク酸無水物修飾デンプン、アラビアゴム、キサンタンガム、ジェランガム、ペクチンガム、コンニャクガム及びカルボキシアルキルセルロース、並びにこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0291】
aii.他の材料、例えば疎水性材料/疎水性活性剤
本発明のマトリックス粒子は、マトリックス粒子の総重量の約10重量%~約90重量%、及び/又は約15重量%~約70重量%、及び/又は約20重量%~約50重量%、及び/又は約30重量%~約45重量%の1つ以上の他の材料を含んでもよい。
【0292】
他の材料は、非極性材料であってもよい。他の材料は、香料、精油、油、ビタミン油、植物油、シリコーン、シアバター、ココアバター、ワセリン、ティーツリー油、中鎖(C6~C12)トリグリセリド、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。一実施例では、他の材料は香料であってもよい。別の実施例では、他の材料は、香料を、末端アミノシリコーン及び/又はポリジメチルシリコーンなどのシリコーン、及び/又はオリゴマー植物油と組み合わせて含んでもよい。別の実施例では、他の材料は、2つ以上及び/又は3つ以上の異なる香料を含むことができる。
【0293】
一実施例では、1つ以上の他の材料のうちの少なくとも1つは、香料、精油、油、ビタミン油植物油、シリコーン、シアバター、ココアバター、ワセリン、グレープシード油、ヒマワリ油、オリーブオイル、アルガン油、ビタミンE、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0294】
一実施例では、他の材料は、シリカ、二酸化チタン、及び/又はヘキサメタリン酸ナトリウム(一般にGlass H(登録商標)と称される)、及びこれらの混合物などの非水溶性疎水性活性剤粒子を含んでもよい。
【0295】
他の材料が香料を含む場合、香料は、約2~約12、及び/又は約2.5~約8、及び/又は約2.5~約6のlogP(オクタノール-水分配係数の対数)を有する香料材料を含む香料組成物を含んでもよい。一実施例では、香料は、約280℃未満、及び/又は約50℃~約280℃未満、及び/又は約50℃~約265℃未満、及び/又は約80℃~約250℃未満の沸点を呈してもよい。一実施例では、香料は、約100 10億分率(parts per billion、ppb)未満、及び/又は約0.00001ppb~約100ppb未満、及び/又は約0.00001ppb~約50ppb未満、及び/又は約0.00001ppb~約20ppb未満のODT(臭気検出閾値(odor detection threshold))を呈し得る。
【0296】
アルデヒド、ケトン、エステル、及びこれらの混合物を含むがこれらに限定されない、香料及び/又は香料成分として有用な多種多様な天然及び合成化学成分を、1つ以上の他の材料として、例えば、本発明のマトリックス粒子中の香料として使用してもよい。1つ以上の疎水性活性剤として使用することができる精油の非限定的な例としては、オレンジ油、レモン油、タイム、レモングラス、シトラス、アニス、クローブ、アニスの実、バラ抽出物、ラベンダー、シトロネラ、ユーカリノキ、ハッカ、カンファー、ビャクダン、シナモンリーフ、シダー、パイン油、ムスク、パチョリ、バルサミックエッセンス、及びこれらの混合物から得られるものが挙げられる。抗菌特性を呈する精油もまた、1つ以上の他の材料として使用され得る。
【0297】
1つ以上の他の材料は、ビタミン油を含んでもよい。ビタミン油の非限定的な例としては、脂溶性ビタミン活性材料、プロビタミン、及び純粋な又は実質的に純粋なビタミン(天然及び合成の両方)、又はそれらの化学的誘導体、そのような物質を含む粗抽出物、ビタミンA、ビタミンD、及びビタミンE活性材料、並びにビタミンK、カロテンなど、又はそのようなビタミン材料の混合物が挙げられる。
【0298】
他の材料とともに使用することができる植物油の非限定的な例としては、パーム、トウモロコシ、キャノーラ、ヒマワリ、ベニバナ、ナタネ、ヒマシ、オリーブ、ダイズ、ヤシなどから誘導される、不飽和形態及び水素化形態の両方の油、並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0299】
一実施例では、希釈剤を他の材料と混合することができる。oと混合するのに好適な希釈剤は、他の材料、例えば香油若しくは他の油又はシリコーンに混和性を有していてもよく、他の材料、例えば芳香油の揮発性を低下させるように作用してもよい。希釈剤の非限定的な例としては、イソプロピルミリステート、イソ-E-スパー、トリエチルシトレート、植物油、硬化油、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0300】
一実施例では、他の材料は、少なくとも0.02μm~約200μm、及び/又は少なくとも0.1μm~約100μm、及び/又は約0.25μm~約100μm、及び/又は約0.5μm~約75μm、及び/又は約1μm~約50μm、及び/又は約1μm~約30μm、及び/又は約2μm~約15μm、及び/又は約5μm~約10μmの粒径及び/又は液滴直径を呈する。一実施例では、疎水性活性剤の液滴直径は、5μm超、及び/又は10μm超、及び/又は15μm超、及び/又は20μm超、及び/又は25μm超、及び/又は100μm未満、及び/又は75μm未満、及び/又は50μm未満、及び/又は40μm未満である。他の材料の液滴直径は、当該技術分野で知る任意の好適な方法によって測定することができる。例えば、他の材料の液滴直径は、例えば、他の材料がエマルション中に液滴として存在する場合、マトリックス粒子を作製する前に測定されてもよく、及び/又は他の材料の液滴直径は、マトリックス粒子のマトリックス材料を水中に溶解し、他の材料の液滴を水中に残すことによって測定されてもよい。
【0301】
繊維要素形成組成物を製造するための方法
本発明の繊維要素形成組成物は、繊維要素形成組成物が本発明の繊維要素及び物品を製造するのに好適である限り、任意の好適なプロセスによって製造されてもよい。
【0302】
一実施例では、1つ以上の活性剤、例えば1つ以上の活性剤を金属ビーカーに添加し(遊離水の非存在下で)、活性剤を溶解するのに十分な温度、例えば80℃に加熱する。活性剤を溶解し、それらが均質な流体を形成するまで任意選択的にかき混ぜる。
【0303】
活性剤を溶解した後、1つ以上の補助成分、例えば1つ以上の構造化剤を、活性剤の均質な流体に添加してもよい。添加した場合、補助成分を、補助成分が活性剤の均質流体中に分散される(例えば均質に分散される)まで、かつ/又は活性剤の均質流体内に均質に溶解されるまで、活性剤の均質流体中へと撹拌する。これは全て、活性剤の均質流体を、少なくとも融点が最も低い活性剤の融点、例えば約70℃~約110℃、及び/又は約80℃~約110℃の温度に維持しながら行う。
【0304】
繊維要素形成組成物は、次いで、本発明の繊維要素及び/又は繊維構造体及び/又は物品を製造するために使用され得る。
【0305】
繊維要素を製造するための方法
本発明の繊維要素は、任意の好適なプロセスによって製造されてもよい。繊維要素を製造するための好適なプロセスの非限定的な例は以下に記載される。
【0306】
図9及び
図10に示されるように、本発明の繊維要素10は、以下のように製造され得る。繊維要素10は、小規模装置34によって形成され得、その概略図を
図9及び
図10に示す。バッチ操作に好適な加圧タンク39は、本発明による、好適な繊維要素形成組成物で充填される。Parker Hannifin Corporation(Sanford,N.C.,USA)のZenithポンプ部門により製造され、1回転当たり5.0立方センチメートル(cm
3/回転)の容量を有するZenith(登録商標)PEP II型などのポンプ40が、パイプ41を介してのフィラメント形成組成物の紡糸用ダイ42への輸送を容易にするために使用され得る。加圧タンク39から紡糸ダイ42への繊維要素形成組成物の流量は、ポンプ40の1分当たりの回転数(revolutions per minute、rpm)を調節することによって制御され得る。パイプ41は、加圧タンク39、ポンプ40、及び紡糸ダイ42を接続させるために使用される。
【0307】
図9及び
図10に示される紡糸ダイ42は、約1.524ミリメートル(約0.060インチ)のピッチPで互いに離間された円形押し出しノズル(繊維要素形成穴44)のいくつかの列を有する。ノズルは、約0.305ミリメートル(約0.012インチ)の個々の内径、及び約0.813ミリメートル(約0.032インチ)の個々の外径を有する。各個々のノズルは、細径化空気を各個々の溶解した毛管46に供給するために、環状かつ末広のフレア状オリフィス(同心の細長化流体用穴48)によって囲まれている。ノズルを通して押し出される繊維要素形成組成物は、オリフィスを通して加湿されて供給され得るほぼ円筒形の加熱された空気の流れによって囲まれて細径化される。
【0308】
一実施例では、
図9及び
図10に示されるように、本発明による繊維要素10を製造するための方法は、
a.1つ以上の活性剤と、1つ以上の構造化剤などの1つ以上の補助成分と、任意選択的に繊維要素水和制御系とを含む繊維要素形成組成物を提供する工程であって、例えば、繊維要素形成組成物が約70℃~約110℃の温度を有する溶融物である、工程、並びに
b.繊維要素形成組成物を、紡糸ダイ42などを介して、1つ以上の活性剤及び1つ以上の補助成分、並びに任意選択的に繊維要素水和制御系を含む、フィラメントなどの1つ以上の繊維要素10に紡糸する工程、を含む。
【0309】
図10に示されるように、紡糸ダイ42は、同心の細径化流体用穴48に囲まれた溶融毛細管46を含む複数の繊維要素形成穴44を含んでもよく、流体(空気など)がこの細径化流体用穴48を通過して、繊維要素形成組成物が繊維要素形成穴44を出るときに、繊維要素形成組成物を繊維要素、例えばフィラメント10に細径化するのを促進する。
【0310】
細径化空気は、供給源からの圧縮空気を電気抵抗ヒータ、例えば、Chromalox,Division of Emerson Electric(Pittsburgh,Pa.,USA)によって製造されたヒータによって加熱することによって提供され得る。電気的に加熱され、サーモスタットで制御された送出パイプ中の条件において、加熱された空気を飽和又はほとんど飽和させるために、適切な量の蒸気を添加した。凝縮水は、電気的に加熱されサーモスタット制御される分離器中で除去される。
【0311】
例えば、約70℃~約110℃の温度で高温の紡糸ダイを出る、紡糸ダイからの初期繊維要素は、次いで、1つ以上の冷気流によって急冷及び冷却される。冷気流は、例えば、約5℃~約25℃の温度を有し、冷却ノズルを通して供給され、紡糸されている初期繊維要素の全体的な向きに対して約90°の角度で放出される。次に、冷却された初期繊維要素は、ベルト、例えば可動有孔ベルト又はパターン付き収集ベルトなどの収集装置で収集されて、複数の繊維要素を含む繊維構造体及び/又は物品を形成する。繊維要素は、収集装置で収集されるとき、50℃未満、及び/又は45℃未満、及び/又は典型的には約40℃の温度であってもよい。一実施例では、本発明の複数の粒子、例えば、任意選択的な活性剤含有粒子、及び/又は外部繊維要素水和制御系は、粒子と繊維要素との混合物が収集されて繊維構造体及び/又は物品を形成するように、収集装置での収集の前に、紡糸繊維要素に注入及び/又は混合されてもよい。繊維要素、及び任意選択的に、繊維要素と混合された任意の粒子が濃縮される収集装置(形成ゾーン)の直下に真空源を追加することを使用して、繊維要素の収集を補助してもよい。
【0312】
繊維要素形成組成物は、メルトブローイング、スパンボンディング、電界紡糸、及び/又は回転紡糸などの任意の好適な紡糸プロセスによって、1つ以上の繊維要素に紡糸される。一実施例では、繊維要素形成組成物は、メルトブローイングによって複数の繊維要素に紡糸される。例えば、繊維要素形成組成物は、タンクからメルトブロー紡糸口金にポンプ移送され得る。紡糸口金内の繊維要素形成穴のうちの1つ以上を出ると、繊維要素形成組成物は、1つ以上の繊維要素を形成するために空気によって細径化される。次に、繊維要素は、収集装置で収集される前に急冷及び冷却されてもよい。
【0313】
物品を製造するための方法
一実施例では、本発明の物品は、以下の、
a.1つ以上の活性剤を、70℃超~約110℃、及び/又は約75℃~約110℃、及び/又は約75℃~約100℃、及び/又は約80℃~約95℃などの、活性剤を融解させるのに十分な温度に供する工程(水の非存在下)、
b.1つ以上の補助成分、例えば構造化剤を、溶融した活性剤に添加して、繊維要素形成組成物を形成する工程、
c.1つ以上の補助成分を添加する前又は後に、1つ以上の繊維要素水和制御系を溶融した活性剤に添加する工程、
d.例えば繊維要素形成組成物を紡糸することによって、繊維要素形成組成物から1つ以上の繊維要素を製造する工程、
e.収集装置で複数の繊維要素を収集して、本発明による複数の繊維要素を含む繊維構造体及び/又は物品を形成する工程、によって製造されてもよい。
【0314】
本発明の別の実施例では、本発明の物品を製造するための方法は、以下の、
a.1つ以上の活性剤を、活性薬剤を融解するのに十分な温度に供する工程、
b.1つ以上の補助成分、例えば構造化剤を、溶融した活性剤に添加して、繊維要素形成組成物を形成する工程、
c.例えば繊維要素形成組成物を紡糸することによって、繊維要素形成組成物から複数の繊維要素を製造する工程、
d.1つ以上の補助成分を添加する前若しくは後に、溶融した活性剤に1つ以上の繊維要素水和制御系を添加する工程、及び/又は繊維要素形成組成物から形成された複数の繊維要素に1つ以上の外部繊維要素水和制御系を添加する工程、
e.1つ以上の外部繊維要素水和制御系を有する又は有する複数の繊維要素を収集装置上で収集して、本発明による複数の繊維要素を含む繊維構造体及び/又は物品を形成する工程、を含む。
【0315】
一実施例では、本発明の物品は、任意の好適なプロセスによって製造されてもよい。本発明の物品を製造するための好適なプロセスの非限定的な例を以下に記載する。
【0316】
本発明の繊維構造体22及び/又は物品、例えば、繊維構造体層又はプライは、
図9及び
図10に記載されるように、紡糸ダイ42から繊維要素形成組成物を紡糸してフィラメントなどの複数の繊維要素10を形成し、次いで、ベルト52、例えば、形成された繊維構造体22及び/又は物品の少なくとも1つの表面に三次元テクスチャなどのテクスチャを付与するパターン付き収集ベルトなどの収集装置で収集されることによって製造されてもよい。
【0317】
図11に示されるように、本発明の繊維構造体22及び/又は物品、例えば、繊維構造体層又はプライは、
図9及び
図10に示されるように、紡糸ダイ42からの繊維要素形成組成物を紡糸して、フィラメントなど複数の繊維要素10を形成し、次いで任意選択的に、粒子供給源50、例えばシフター又はエアレイド成形ヘッドによって供給される1つ以上の粒子26を結合させることによって製造されてもよい。粒子26は、複数の繊維要素10、例えばフィラメント10内に分散されてもよい。粒子26と繊維要素10との混合物は、ベルト52、例えば、形成された繊維構造体22及び/又は物品の少なくとも1つの表面に三次元テクスチャなどのテクスチャを付与するパターン付き収集ベルトなどの収集装置で収集されてもよい。
【0318】
図12は、
図6による物品20を製造するための方法の一実施例を示す。本方法は、ポケット28が第1の繊維構造体層30の表面に形成されるように、複数の繊維要素10、例えばフィラメントの第1の繊維構造体層30を形成する工程を含む。粒子供給源50からポケット28内に1つ以上の粒子26を堆積させる。次いで、紡糸ダイ42から製造された複数の繊維要素10、例えばフィラメントを含む第2の繊維構造体層32が、粒子26がポケット28に封入されるように、第1の繊維構造体層30の表面上に形成される。
【0319】
図13は、
図5と同様であるが、多プライ繊維構造体ではなく多層繊維構造体である物品20を製造するための方法の更に別の実施例を示す。本方法は、複数の繊維要素10、例えばフィラメントの第1の繊維構造体層30を形成する工程を含む。1つ以上の粒子26は、粒子供給源50から第1の繊維構造体層30の表面に堆積される。紡糸ダイ42から製造された複数の繊維要素10、例えばフィラメントを含む第2の繊維構造体層32は、粒子26が第1の繊維構造体層30と第2の繊維構造体層32との間に位置付けられるように、粒子26の上に形成される。
【0320】
一実施例では、多プライ物品において、1つ以上の繊維構造体プライは、既存の繊維構造体のプライの上に直接形成及び/又は堆積されて、多プライ繊維構造体を形成し得る。2つ以上の既存の繊維構造体プライは、例えば、熱結合、接着、エンボス加工、穿孔、ロッジング、回転ナイフによる穿孔、ダイカット、ダイパンチング、ニードルパンチング、ローレット加工、空圧成形、液圧成形、レーザー切断、タフティング、及び/又は他の機械的結合プロセスによって、本発明の多プライ物品を形成するための、1つ以上の他の既存の繊維構造体プライを用いて結合されてもよい。
【0321】
印刷
上述したように、繊維構造体及び/又は物品は、その上に印刷されたグラフィックを更に含んでもよい。印刷は、一般に、繊維構造体及び/又は物品の形成後に行われる。1つ以上のグラフィックは、任意の好適な印刷プロセス、例えば、接触印刷、及び/又はインクジェット印刷を含む非接触印刷によって、繊維構造体及び/又は物品上に印刷されてもよい。
【0322】
すでに述べたように、1つ以上のグラフィックが、本発明のウェブ及び/又は繊維構造体及び/又は物品の表面上に印刷されてもよい。印刷は、グラフィックが表面上に再現される工業プロセスとして特徴付けることができる。ウェブ及び/又は繊維構造体及び/又は物品は、印刷ステーション及び/又は印刷ヘッドに対して移動してもよい。代替的に及び/又は加えて、印刷中に印刷ステーションがウェブ及び/又は繊維構造体及び/又は物品に対して移動するように構成することもできる。例えば、印刷ステーションは、グラフィックを印刷しながら、ウェブ及び/又は繊維構造体及び/又は物品に対して横方向に前後に移動してもよい。
【0323】
様々な種類の印刷プロセスを使用して、繊維構造体及び/又は物品上にグラフィックを作成してもよい。例えば、フレキソ印刷を使用してもよい。具体的には、フレキソ印刷では、上にわずかに隆起した画像を備えた、ゴム又はプラスチックから製造された印刷プレートが利用され得る。画像をシートに転写するシリンダ上で、インク付きプレートが回転される。フレキソ印刷は、高速乾燥インクを使用する比較的高速の印刷プロセスであってもよい。他の例としては、グラビア印刷が挙げられる。より具体的には、グラビア印刷は、金属プレートの表面上にエッチングされた画像を利用する。エッチングされたエリアはインクを充填され、プレートは、画像をシートに転写するシリンダ上で回転される。好適な印刷装置の例は、米国特許出願公開第2012/0222576(A1)号に開示されている。
【0324】
一実施例では、印刷プロセスで使用される印刷ステーションは、インクジェットプリンタの形態のプリンタを含むことができる。インクジェット印刷は、インクの液滴を小開口部から媒体上の指定位置に直接噴出してグラフィックを形成する、ノンインパクトドットマトリックス印刷技術である。インクジェット技術の2つの例として、熱気泡又はバブルジェット及び圧電式が挙げられる。熱気泡では熱を用いてインクを塗布し、圧電式では結晶及び電荷を用いてインクを塗布する。いくつかの構成において、印刷ステーションは、プリンタの上流に配置され得るコロナ処理機を含んでもよい。コロナ処理機は、印刷されるウェブ材料の表面の表面エネルギーを増加させるように構成され得る。いくつかの構成において、印刷ステーションは、インク硬化装置も含み得る。いくつかの構成において、インク硬化装置は、1つ以上の紫外線(ultraviolet、UV)ランプを含み得る紫外線(UV)光源の形態にあってよく、この紫外線(UV)光源は、プリンタの下流に配置されて、グラフィックを形成するためにプリンタからウェブ材料上に堆積されたインクの硬化を促進することができる。いくつかの構成において、インク硬化装置はまた、1つ以上の赤外線(infrared、IR)ランプを含み得る赤外線(IR)乾燥機光源も含んでよく、この赤外線(IR)乾燥機光源は、プリンタの下流に配置されて、グラフィックを形成するためにプリンタからウェブ材料上に堆積された水性インク又は溶剤系インクの乾燥を促進することができる。いくつかの構成において、インク硬化装置は、1つ以上のEビーム電極を含み得る電子ビーム(electron beam、EB又はEビーム)発生器を含んでよく、この発生器は、プリンタの下流に配置されて、グラフィックを形成するためにプリンタからウェブ材料上に堆積されたインクの硬化を促進することができる。
【0325】
上述した様々なタイプの印刷プロセスに加えて、溶剤系インク、水性インク、及びUV硬化インクなどの様々なタイプのインク又はインク系を様々なタイプのシートに塗布して、開示されたパターンを作成することができることを理解されたい。いくつかの実施形態では、DuPont(商標)から入手可能なArtistri(登録商標)Inksなどのインクが利用され得るが、これには、500 Series Acid Dye Ink、5000 Series Pigment Ink、700 Series Acid Dye Ink、700 Series Disperse Dye Ink、700 Series Reactive Dye Ink、700 Series Pigment Ink、2500 Series Acid Dye Ink、2500 Series Disperse Dye Ink、2500 Series Reactive Dye Ink、2500 Series Pigment Dye Ink、3500 Series Disperse Dye Ink、3500 Series Pigment Dye Ink、及びSolar Brite(商標)Inkが含まれる。米国特許第8,137,721号に開示されるようなインクも用いられ得る。利用され得る水性インクは、以下のコード番号、EH034677(イエロー)、EH057960(マゼンタ)、EH028676(シアン)、EH092391(ブラック)、EH034676(オレンジ)、及びEH064447(グリーン)として、ノースカロライナ州モーガントン(Morganton)のEnvironmental Inks and Coatings Corporationから入手可能である。いくつかの実施形態では水性インクが利用され得るが、その水性インクは、マサチューセッツ州ダンバーズ(Danvers)所在のInkcupsから入手可能な、ブラックプロ、レッドプロ、ブループロ、及びイエロープロなどの色で入手可能なCandymark Seriesインクなど、食品等級の成分から構成され、摂取可能な食物又は薬物製品の上に直接的に印刷されるように配合されたものである。また、イリノイ州ウッドデール(Wood Dale)所在のVideojet Technologies社から入手可能な食品等級のインクを含めて、他の広範な汎用及び専用のインクが使用され得る。
【0326】
インク系間の主な違いは、インクを乾燥又は硬化させるために使用される方法である。例えば、溶剤系インク及び水性インクは蒸発により乾燥するのに対して、UV硬化インクは化学反応によって硬化する。インクには、様々な機能を担う、溶媒、着色剤、樹脂、添加剤、及び(紫外線インクの場合のみ)UV硬化化合物などの構成成分が含まれていてもよい。いくつかの実施形態では、多段印刷システムが用いられ得る。
【0327】
インクの摩擦落ち抵抗を向上させるために、本明細書で使用されるインク組成物はワックスを含有してもよい。そのようなワックスは、ポリエチレンワックスエマルションを含み得る。インク組成物にワックスを添加することにより、繊維性シートへのインクの塗布後にインクフィルムの物理的破壊を阻止するバリアを形成することによって摩擦抵抗を向上させることができる。全インク組成物の固体重量%を基準として、ワックスの付加範囲は、約0.5固体重量%~10固体重量%であり得る。ポリエチレンワックスエマルションの例は、S.C.Johnson & Sons,Inc.(Racine,WI)によって供給されるJONWAX 26である。
【0328】
パッケージ
本発明の物品は、パッケージに封入され、個々に包装され、かつ/又はマルチ物品包装されてもよい。一実施例では、パッケージは、約1.0gH2O/日/m2未満、及び/又は約0.5gH2O/日/m2未満、及び/又は約0.3gH2O/日/m2未満、及び/又は約0.1gH2O/日/m2未満の水蒸気透過率を有する防湿バリアを呈する。
【0329】
一実施例では、パッケージは、使用中に個々の物品を分配する容器又はディスペンサを含む。
【0330】
使用方法
本発明はまた、本発明の物品を使用して、皮膚及び/又は毛髪、例えば体毛、例えば顔の毛及び/又は脚若しくは他の私的な身体部分の毛を処理して、例えば剃毛準備状態及び/又は皮膚及び/又は毛髪の利益を提供する方法を提供する。一実施例では、皮膚及び/又は毛髪を処理する方法は、例えば、使用者が繊維要素及び/又は繊維構造体及び/又は物品を手又は手の代用物で保持しながら、本発明による複数の繊維要素及び/又は繊維構造体及び/又は物品を水などの流体と接触させる工程を含む。湿潤したら、使用者は、湿潤した繊維要素及び/又は繊維構造体及び/又は物品を手でこすり、クリームを形成する。次いで、使用者は、処理される使用者の皮膚及び/又は毛髪にクリームを塗布する。次いで、ユーザは、かみそり/かみそり刃などを用いて皮膚及び/又は毛髪を剃り、毛髪を除去することができる。
【0331】
一実施例では、本発明の複数の繊維要素及び/又は繊維構造体及び/又は物品は、水、例えば、15℃超、及び/又は20℃超、及び/又は25℃超、及び/又は30℃超、及び/又は35℃超、及び/又は40℃超、及び/又は65℃未満、及び/又は60℃未満、及び/又は55℃未満、及び/又は50℃未満の温度の水と接触され、繊維要素及び/又は繊維構造体及び/又は物品の湿潤は、繊維要素及び/又は繊維構造体及び/又は物品を水和させることを含む。使用者は、水を繊維要素及び/又は繊維構造体及び/又は物品に接触させて水和させた後、湿潤した繊維要素及び/又は繊維構造体及び/又は物品をこする前に、短時間、例えば数秒間待ってもよい。湿潤した繊維要素及び/又は繊維構造体及び/又は物品の水和時間は、繊維要素形成組成物によって、及び繊維構造体及び/又は物品内の繊維要素の構造によって変化し得るが、一般的に2~20秒の範囲である。一実施例では、水和時間は、約2~約20秒、及び/又は約5~約15秒、及び/又は約5~約10秒である。一実施例では、約40秒超、及び/又は30秒超、及び/又は20秒超の水和時間は、望ましくない消費者体験をもたらす場合がある。一実施例では、約1秒及び/又は約2秒よりも短い水和時間は、望ましくない消費者体験をもたらす場合がある。
【0332】
一実施例では、本発明の物品は、物品が固体形状からクリームなどの流動可能な状態に変化し、次いで皮膚及び/又は毛髪に適用され、例えば剃毛によって除去され、次いで水、例えば過剰な水で排水溝に流した後、最終的に消失するように設計されているので、単回使用に好適であり、言い換えれば、物品は、消費可能な単回使用物品である。
【0333】
一実施例では、本発明の繊維要素及び/又は繊維要素形成組成物及び/又は繊維構造体及び/又は物品は、非水溶性繊維要素及び/又は非水溶性繊維構造体及び/又は非水溶性物品から得られるクリームを、例えば水などの液体ですすぐことによって皮膚及び/又は毛髪及び/又はかみそり刃などのかみそりからより容易に除去することを促進する、1つ以上の繊維要素水和制御系及び/又は外部水和制御系を含む。理論に束縛されるものではないが、繊維要素水和制御系及び/又は外部繊維要素水和制御系は、本発明の繊維要素水和制御系及び/又は外部繊維要素水和制御系を含まない非水溶性繊維要素及び/又は非水溶性繊維構造体及び/又は非水溶性物品に付随する欠点を回避するクリームの形成を可能にするのに十分なだけ、非水溶性繊維要素及び/又は非水溶性繊維構造体及び/又は非水溶性物品の水和(したがって膨潤)を防止及び/又は阻害及び/又は軽減及び/又は低減及び/又は遅延させると考えられる。繊維要素水和制御系及び/又は外部繊維要素水和制御系を有さずにそのような非水溶性繊維要素及び/又は非水溶性繊維構造体及び/又は非水溶性物品を含む非水溶性繊維要素及び/又は非水溶性繊維構造体及び/又は非水溶性物品は、過度に水和してしまう結果、少なくとも剃毛準備用途にはあまりに望ましくない膨潤をもたらし、これは、使用者が使用者の皮膚及び/又は毛髪及び/又はかみそり、例えばかみそり刃のすすぎを試みるときに、非水溶性繊維要素が分解して広がり、望ましくないすすぎ落ちの欠点を引き起こす剃毛準備クリームを作り出す。
【0334】
一実施例では、本発明の繊維要素及び/又は繊維構造体及び/又は物品は、乾燥しており、例えば、指触乾燥性であり、これは、使用中に消失し、かつ/又は完全に消費される。本明細書で使用するとき、「指触乾燥性」とは、水又は他の液体と接触する前に濡れている又は湿っていると感じないように、物品が、液体、例えば水を実質的に含まないことを意味する。換言すれば、本発明の指触乾燥性物品は、水などの液体を含有しない。1つの非限定的な例では、指触乾燥性物品は、本明細書に記載の含水率試験法に従って測定されるとき、約20%未満、及び/又は約15%未満、及び/又は約10%未満、及び/又は約5%未満、及び/又は約3%未満、及び/又は約1%未満、及び/又は約0%の含水量を有する。
【0335】
理論に束縛されるものではないが、本発明者らは、驚くべきことに、本発明の物品が、1)消失及び/又は完全な消費と、2)指触乾燥性と、3)処理された表面上に目に見える残留物を残さないことと、の組み合わせをもたらす消費可能な単回使用物品を消費者に提供することを見出した。本発明者らはまた、本発明の物品が、効率的な電子商取引に適した構成で輸送可能であるように設計されてもよいことを発見した。
【0336】
非限定的な実施例
以下の表1に示される本発明の繊維要素形成組成物から製造される物品の非限定的な例は、以下、
a.1つ以上の活性剤を金属ビーカーに添加ことと、
b.活性剤の均質な流体が形成されるまで、必要に応じて撹拌/かき混ぜを行いながら、金属ビーカーを例えば80℃に加熱することと、
c.金属ビーカーを80℃に維持することと、
d.1つ以上の補助成分(構造化剤など)を、活性剤の均質な流体に、補助成分が活性剤の均質な流体中に均質に分散及び/又は均質に溶解するまで、必要に応じて撹拌/かき混ぜを行いながら添加し、収集装置で収集されると非水溶性繊維構造体及び/又は非水溶性物品を形成する非水溶性繊維要素を(例えば紡糸によって)製造する準備が整っている繊維要素形成組成物を得ることと、
e.任意選択的に、活性剤の添加と同時に、及び/又は活性剤の均質な流体への補助成分の添加の前及び/又は添加と同時及び/又は添加の後に、1つ以上の繊維要素水和制御系を活性剤の均質な流体に添加することと、
f.任意選択的に、非水溶性繊維要素を収集装置で収集する前、及び/又は非水溶性繊維要素から非水溶性繊維構造体及び/又は非水溶性物品を形成した後に、1つ以上の外部繊維要素水和制御系を非水溶性繊維要素に添加することと、
g.任意選択的に、油、ビタミン、香料、及び他の任意選択的な活性剤などの任意選択的な活性剤をプロセスのどこかで添加することと、のように製造される。
【0337】
【0338】
【0339】
比較例
比較例は、米国特許第10,975,339号の実施例7に従って製造される。
図1及び
図2に示されるように、繊維要素形成組成物から製造された非水溶性物品は、剃毛準備用途に使用される場合、非水溶性繊維要素の望ましくない水和を呈し、望ましくない膨潤及び関連する欠点をもたらす。
【0340】
この比較例の非水溶性繊維要素及び非水溶性物品は、米国特許第10,975,339号に記載されているように製造される。
【0341】
この比較例に従って製造された繊維構造体の3つのプライを積層され、次いで、100のDOEを有するロッドツーロッド(rod-to-rod)ロッジング固体状態形成プロセスによって組み合わせかつ互いに結合させて、多プライ繊維構造体を形成する。
【0342】
次に、多プライ繊維構造体を3.9cm×3.9cmの角丸正方形にダイカットして、物品当たり1.24g±0.04gの平均重量及び物品当たり2.99mmの平均キャリパーを有する物品を形成する。
【0343】
発明の実施例
【0344】
(実施例1)
図1及び
図2に示されるように、実施例1の繊維要素形成組成物から製造された非水溶性物品は、非水溶性繊維要素の許容可能な水和を呈し、非水溶性繊維要素の膨潤をほとんど又は全くもたらさず、したがって、比較例の非水溶性繊維要素及び非水溶性物品に関連する欠点を回避する。
【0345】
実施例1の非水溶性繊維要素及び非水溶性物品は、上記及び下記に記載されるように製造される。
【0346】
この比較例に従って製造された繊維構造体の3つのプライを積層され、次いで、125のDOEを有するロッドツーロッドロッジング固体状態形成プロセスによって組み合わせかつ互いに結合させて、多プライ繊維構造体を形成する。
【0347】
次に、多プライ繊維構造体を3.9cm×3.9cmの角丸正方形にダイカットして、物品当たり1.29g±0.04gの平均重量及び物品当たり3.22mmの平均キャリパーを有する物品を形成する。
【0348】
(実施例2)
実施例2の繊維要素形成組成物から製造された非水溶性物品は、非水溶性繊維要素の許容可能な水和(実施例1と同様又はそれよりも良好)を呈し、非水溶性繊維要素の膨潤をほとんど又は全くもたらさず、したがって、比較例の非水溶性繊維要素及び非水溶性物品に関連する欠点を回避する。
【0349】
実施例2の非水溶性繊維要素及び非水溶性物品は、上記及び下記に記載されるように製造される。
【0350】
この比較例に従って製造された繊維構造体の3つのプライを積層され、次いで、150のDOEを有するロッドツーロッドロッジング固体状態形成プロセスによって組み合わせかつ互いに結合させて、多プライ繊維構造体を形成する。
【0351】
次に、多プライ繊維構造体を3.9cm×3.9cmの角丸正方形にダイカットして、物品当たり1.19g±0.04gの平均重量及び物品当たり3.19mmの平均キャリパーを有する物品を形成する。
【0352】
(実施例3)
図1及び
図2に示されるように、実施例3の繊維要素形成組成物から製造された非水溶性物品は、非水溶性繊維要素の許容可能な水和(実施例1と同様又はそれよりも良好)を呈し、非水溶性繊維要素の膨潤をほとんど又は全くもたらさず、したがって、比較例の非水溶性繊維要素及び非水溶性物品に関連する欠点を回避する。
【0353】
実施例3の非水溶性繊維要素及び非水溶性物品は、上記及び下記に記載されるように製造される。
【0354】
この比較例に従って製造された繊維構造体の3つのプライを積層され、次いで、175のDOEを有するロッドツーロッドロッジング固体状態形成プロセスによって組み合わせかつ互いに結合させて、多プライ繊維構造体を形成する。
【0355】
次に、多プライ繊維構造体を3.9cm×3.9cmの角丸正方形にダイカットして、物品当たり1.22g±0.04gの平均重量及び物品当たり3.48mmの平均キャリパーを有する物品を形成する。
【0356】
(実施例4)
実施例4の繊維要素形成組成物から製造された非水溶性物品は、非水溶性繊維要素の許容可能な水和(実施例1と同様又はそれよりも良好)を呈し、非水溶性繊維要素の膨潤をほとんど又は全くもたらさず、したがって、比較例の非水溶性繊維要素及び非水溶性物品に関連する欠点を回避する。
【0357】
実施例4の非水溶性繊維要素及び非水溶性物品は、上記及び下記に記載されるように製造される。
【0358】
この比較例に従って製造された繊維構造体の3つのプライを積層され、次いで、約100~175のDOEを有するロッドツーロッドロッジング固体状態形成プロセスによって組み合わせかつ互いに結合させて、多プライ繊維構造体を形成する。
【0359】
次に、多プライ繊維構造体を3.9cm×3.9cmの角丸正方形にダイカットして、物品当たり約1.00g~約1.50gの平均重量及び物品当たり約2.50mm~約4.00mmの平均キャリパーを有する物品を形成する。
【0360】
(実施例5)
実施例5の繊維要素形成組成物から製造された非水溶性物品は、非水溶性繊維要素の許容可能な水和(実施例1と同様又はそれよりも良好)を呈し、非水溶性繊維要素の膨潤をほとんど又は全くもたらさず、したがって、比較例の非水溶性繊維要素及び非水溶性物品に関連する欠点を回避する。
【0361】
実施例5の非水溶性繊維要素及び非水溶性物品は、上記及び下記に記載されるように製造される。
【0362】
この比較例に従って製造された繊維構造体の3つのプライを積層され、次いで、約100~175のDOEを有するロッドツーロッドロッジング固体状態形成プロセスによって組み合わせかつ互いに結合させて、多プライ繊維構造体を形成する。
【0363】
次に、多プライ繊維構造体を3.9cm×3.9cmの角丸正方形にダイカットして、物品当たり約1.00g~約1.50gの平均重量及び物品当たり約2.50mm~約4.00mmの平均キャリパーを有する物品を形成する。
【0364】
試験方法
特に指示されない限り、定義の項に記載されたものを含む本明細書に記載の全ての試験及び次の試験法は、23℃±1.0℃の温度、及び50%±2%の相対湿度に調節された部屋で、試験に先立つ最低2時間にわたって調整された試料に対して行われる。試験した試料は、「使用可能ユニット」である。本明細書で使用するとき、「使用可能ユニット」は、繊維構造体及び/又は物品を意味する。全ての試験は、同一環境条件下及びこのように調整した室内で実施する。しわ、破れ、穴などの欠陥を有する試料は試験しない。本明細書に記載のとおりに調整された試料は、試験目的に関し、乾燥試料(例えば「乾燥フィラメント」)であるとみなされる。全ての機器は、製造業者の仕様書に従って較正される。
【0365】
坪量試験方法
物品の坪量を、物品の長さ及び幅の平面に直交して見たときの物品の投影面積で物品質量を割ることによって計算する。物品坪量を、0.01g/cm2単位で報告する。
【0366】
引張試験法:伸長、引張強度、TEA、及び弾性率
伸長、引張強度、TEA、及び接線弾性率は、測定される力がセルの限界の10%~90%以内にあるロードセルを使用して、コンピュータインターフェースを備えた伸張引張試験機(好適な機器は、Thwing-Albert Instrument Co.(West Berlin,NJ)からのEJA Vantage)で一定速度で測定する。可動式(上部)空気圧つかみ具及び固定式(下部)空気圧つかみ具の双方に、高さ25.4mm及び試験標本の幅よりも広い平滑ステンレス鋼張りの把持部を装着する。約60psiの空気圧をつかみ具に供給する。
【0367】
繊維構造体又は物品シートの8つの使用可能ユニットを、各々4つの試料の2つの積層体に分ける。各積層体における試料は、機械方向(machine direction、MD)及び横断方向(cross direction、CD)に確実に配向する。積層体のうちの一方はMDの試験用、もう一方はCDの試験用である。1インチの精密カッター(Thwing Albert JDC-1-10又は同類物)を使用して、1つの積層体から4つのMDストリップ、及び他の積層体から4つのCDストリップ(幅1.00インチ±0.01インチ×長さ3.0~4.0インチ)を切断する。1つの使用可能なユニットの厚さの各ストリップは、試験の単一標本として扱われる。
【0368】
引張試験機をプログラムして、クロスヘッドを2.00インチ/分(5.08cm/分)の速度に上げ、標本が破断するまで、20Hzの獲得率で力及び伸張データを収集しながら伸張試験を実施する。破断感度は80%に設定する。すなわち、測定された力が最大ピーク力の20%まで低下すると試験を終了し、その後、クロスヘッドは最初の位置に戻る。
【0369】
ゲージ長を1.00インチに設定する。クロスヘッド及びロードセルをゼロ点調整する。単一標本の少なくとも1.0inを上部把持部内に挿入し、それを上部つかみ具及び下部つかみ具内で垂直整列し、上部把持部を閉じる。単一標本を下部把持部内に挿入し、閉じる。単一標本は、いかなるたるみをも除くのに十分であるが、ただしロードセル上の力が5.0g未満となる引張力下になければならない。引張試験機を始動させ、データ収集を開始する。4つのCD及び4つのMD単一標本全てに対して、同様に試験を繰り返す。ソフトウェアをプログラムし、築かれた力(g)と伸張(インチ)曲線との対比から下記を算出する。
【0370】
引張強度は、最大ピーク力(g)を試料幅(in)で除算して求められ、1g/in単位でg/inとして報告する。
【0371】
調整された標点距離は、3.0gの力が元の標点距離(in)に加わった時点で測定される伸張(in)として計算される。
【0372】
伸長は、最大ピーク力における伸張(in)を調整されたゲージ長(in)で除算して100を掛けて計算され、0.1%単位で%として報告する。
【0373】
全エネルギー(TEA)は、ゼロ伸張から最大ピーク力における伸張までを積算した力曲線の下側の面積(g*in)を、調整されたゲージ長(in)と標本幅(in)の積で除したものとして計算し、1g*in/in2単位で報告する。
【0374】
力(g)対歪み曲線として、力(g)対伸張曲線(in)を再プロットする。本明細書における歪みとは、伸張(in)を調整されたゲージ長(in)で除算したものとして定義される。
【0375】
構成された力(g)対歪み曲線から以下を計算するようにソフトウェアをプログラムする。
【0376】
接線弾性率は、力(g)対歪み曲線上の2つのデータ点間に引かれた線形直線の傾きとして計算され、その場合、用いるデータ点の一方は28gの力の後に記録された第1のデータ点であり、用いるデータ点のもう一方は48gの力の後に記録された第1のデータ点である。この傾きは、次に標本幅(2.54cm)で除され、1g/cm単位で報告される。
【0377】
引張強度(g/in)、伸長(%)、全エネルギー(g*in/in2)、及び接線弾性率(g/cm)を、4つのCD単一標本及び4つのMD単一標本に対して計算する。CD及びMD標本において、各パラメータの平均を別々に計算する。
【0378】
計算:
幾何平均引張強度=[MD引張強度(g/in)×CD引張強度(g/in)]の平方根
幾何平均ピーク伸長=[MD伸長(%)×CD伸長(%)]の平方根
幾何平均TEA=[MD TEA(g*in/in2)×CD TEA(g/in2)]の平方根
幾何平均弾性率=[MD弾性率(g/cm)×CD弾性率(g/cm)]の平方根
総乾燥引張強度(TDT)=MD引張強度(g/in)+CD引張強度(g/in)
総TEA=MD TEA(g*in/in2)+CD TEA(g*in/in2)
総弾性率=MD弾性率(g/cm)+CD弾性率(g/cm)
引張比=MD引張強度(g/in)/CD引張強度(g/in)
【0379】
含水率試験方法
物品中に存在する含水量(水分含量)を、以下の含水率試験法を使用して測定する。物品試料又はその一部分を、試験前に少なくとも24時間、23±1.0℃の温度及び50%±2%の相対湿度で調整された部屋に配置する。上述の温度及び湿度の条件下で、少なくとも小数第4位まで測定できる天秤を用いて、試料の重量を、10分の間に前の(測定した)重量からの変化が0.5%未満になるまで、5分ごとに記録する。最終重量を、「平衡重量」として記録する。10分以内に、試料を乾燥のために、70℃±2℃、相対湿度4%±2%で、24時間、強制空気炉中のホイル上又はアルミニウムホイルの内側に配置する。24時間の乾燥後、試料を取り除き、15秒以内にその重量を測定する。この重量は、試料の「乾燥重量」と呼ばれる。試料の含水量(水分含量)を以下の等式に従って計算する。
【0380】
【数1】
%含水量を3つの複製試料について測定し、平均して、0.1%単位で報告する。
【0381】
中央粒径試験法
平均粒径を決定するためには、この試験法を使用しなければならない。
【0382】
1989年5月26日に承認されたASTM D 502-89、「Standard Test Method for Particle Size of Soaps and Other Detergents」を分析に用いられる篩のサイズについての更なる規格とともに用いて、シード材料の中央粒径を決定するために中央粒径試験を実施する。第7項の「Procedure using machine-sieving method」に従って、米国標準(ASTM E11)篩♯8(2360um)、♯12(1700um)、♯16(1180um)、♯20(850um)、♯30(600um)、♯40(425um)、♯50(300um)、♯70(212um)、♯100(150um)を含む、入れ子状の清浄な乾燥した篩が必要である。規定された機械篩い法が、上記の入れ子状の篩とともに使用される。シード材料を試料として用いる。好適な篩振盪機は、W.S.Tyler Company(Mentor,Ohio,U.S.A.)から入手することができる。
【0383】
各篩のマイクロメートルサイズの開口部を対数横軸に対してプロットし、累積質量パーセント(Q
3)を線形縦軸に対してプロットする片対数プロット上に、データをプロットする。上記データ表現の例は、ISO 9276-1:1998、「Representation of results of particle size analysis-Part 1:Graphical Representation」の
図A.4に記載されている。本開示の目的のために、シード材料の中央粒径(D
50)を、累積質量パーセントが50パーセントに等しい点における横座標値として定義し、以下の等式を使用する50%値の真上(a50)及び真下(b50)のデータ点間の直線補間によって計算する。
D
50=10^[Log(D
a50)-(Log(D
a50)-Log(D
b50))
*(Q
a50-50%)/(Q
a50-Q
b50)]
(式中、Q
a50及びQ
b50は、それぞれ50パーセンタイル値の真上及び真下のデータの累積質量パーセンタイル値であり、D
a50及びD
b50は、これらデータに対応するマイクロメートルの篩サイズ値である)。
【0384】
50パーセンタイル値が最も細かい篩サイズ(150um)よりも小さいか又は最も粗い篩サイズ(2360um)よりも大きい場合、中央値が2つの測定された篩サイズ間に入るまで、1.5以下の等比級数に従って入れ子に追加の篩を加える必要がある。
【0385】
シード材料の分布スパンとは、中央値の前後のシードサイズ分布の全幅の尺度である。これは、以下に従って計算される:
スパン=(D84/D50+D50/D16)/2
式中、D50は中央粒径であり、D84及びD16は、それぞれ、累積質量パーセントの保持されたプロット上の16パーセンタイル値及び84パーセンタイル値における粒径である。
【0386】
D16値が、最も細かい篩サイズ(150um)よりも小さい場合、スパンは以下に従って計算する。
スパン=(D84/D50)。
【0387】
D84値が、最も粗い篩サイズ(2360um)よりも大きい場合、スパンは以下に従って計算する。
スパン=(D50/D16)。
【0388】
D16値が最も細かい篩サイズ(150um)よりも小さく、かつD84値が最も粗い篩サイズ(2360um)よりも大きい場合、分布スパンは最大値5.7とする。
【0389】
直径試験法
走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)又は光学顕微鏡、及び画像分析ソフトウェアを使用して、離散繊維要素又は繊維構造体内の繊維要素の直径を決定する。繊維要素を測定のために適切に拡大するように、200~10,000倍の倍率を選択する。SEMを使用する場合には、電子ビーム中での繊維要素の帯電及び振動を避けるために、試料に金又はパラジウム化合物をスパッタリングする。SEM又は光学顕微鏡を用いて得られた画像(モニタースクリーン上)から繊維要素の直径を決定するために手作業を用いる。マウス及びカーソルツールを使用して、ランダムに選択された繊維要素の縁部を探し、その後、その幅にわたって(すなわち、その点における繊維要素の方向に対して垂直に)繊維要素の他方の縁部まで測定する。目盛り付きの較正された画像分析ツールにより、μm単位で実際の読取値を取得するための目盛りが提供される。繊維構造体内の繊維要素については、SEM又は光学顕微鏡を使用して、繊維構造体の試料全体からいくつかの繊維要素を無作為に選択する。繊維構造体の少なくとも2つの部分を切り取り、この方法で試験する。統計分析のために、そのような測定を全部で少なくとも100回実施し、次いで、全てのデータを記録する。記録したデータを用いて、繊維要素の直径の平均値(平均)、繊維要素の直径の標準偏差、及び繊維要素の直径の中央値を計算する。
【0390】
別の有用な統計は、特定の上限よりも小さい繊維要素集団の量の算出である。この統計値を決定するために、繊維要素の直径の結果のうち上限よりも小さいものの個数をカウントするようにソフトウェアをプログラムし、そのカウント(データの合計数で除し、100%を掛ける)を、上限よりも小さいパーセント(例えば直径が1マイクロメートル未満のパーセント又はサブミクロン%)として、パーセントで記録する。本発明者らは、個々の円形繊維要素に関し測定された直径(μm)をdiとして表す。
【0391】
繊維要素が非円形断面を有する場合、繊維要素の直径の測定値は、水力直径として決定され、水力直径と等しいものと設定される。水力直径とは繊維要素の断面積を4倍して、繊維要素の断面の周囲長さ(中空の繊維要素の場合は外周囲長さ)で除したものである。数-平均直径、代替的に平均直径は、以下のとおりに計算する。
【0392】
【0393】
ラメラ構造試験方法
ラメラ構造試験方法は、小角X線散乱(small-angle x-ray scattering、SAXS)を使用して、ラメラ構造が、調整された乾燥状態の物品、又は調整された乾燥状態にすでにあった後に湿潤した物品のいずれかに存在するかを決定する。繊維材料物品を、試験前に最低12時間、温度23℃±2.0℃及び相対湿度40%±10%で調整する。本明細書に記載のとおり調整された物品は、本発明の目的上、調整された乾燥状態にあるとみなされる。全ての機器は、製造業者の仕様書に従って較正する。
【0394】
乾燥試料調製
調整された乾燥状態で直接分析される試料を調製するために、直径約1.0cmのディスクの標本を物品の中心から分離し、4~5mmの孔径を有する従来のSAXS固体試料ホルダに装填する。複数の標本ディスクは、複数の物品から抽出され、必要に応じて積層されて、十分な散乱断面を確保し得る。装填された試料ホルダを、データ収集のために適切な機器内に直ちに配置する。
【0395】
湿潤試料調製
3つの試料を、乾燥した調整された状態から湿潤させて分析する。標本を乾燥した調整された物品から抽出し、水で水和して、各々異なる標本対水質量比を有する3つの別々の調製物を得る。調製される3つの異なる標本対水質量比は、1:5、1:9、及び1:20である。各質量比に関して、直径1cmの1つ以上の標本(必要に応じて)を、乾燥した調整された状態の1つ以上の物品の幾何学的中心から抽出し、意図される標本対水質量比を達成するために、23℃±2.0℃の濾過脱イオン(deionized、DI)水で水和する。3つの標本/水混合物の各々(各々異なる質量比に対応する)を、目に見えて均質になるまで、スパチュラを使用して室温において手によって、穏やかに低せん断下で撹拌する。次いで、各標本/水混合物を、直径2.0mm及び壁厚0.01mmの別個の石英毛細管に直ちに装填する。毛細管を、調製物からの水の蒸発を防止するために、エポキシ樹脂などのシーラントで直ちに密封する。シーラントを、試料分析の前に、少なくとも2時間及び23℃±2.0℃の温度で乾燥するまで乾燥させる。各調製された湿潤試料を適切なSAXS機器に導入し、データを収集する。
【0396】
試験及び分析
試料を、0.3°~3.0°2θの角度範囲にわたり、二次元(2-dimension、2D)透過モードで、SAXSを使用して試験し、X線散乱パターンにおける任意の強度バンドの存在及び間隔を観察する。試験を、SAXS機器(NanoSTAR,Bruker AXS Inc.(Madison,Wisconsin,U.S.A.)又は同等物など)を使用して実施する。調えられた乾燥試料を周囲気圧下で分析する。密封された液体試料を、真空下で機器において分析する。全ての試料を、23℃±2.0℃の温度で分析する。機器のX線管を、存在するあらゆる散乱帯が明確に検出されることを確実にするために十分な電力で操作する。ビーム直径は550±50μmである。1つの好適な操作条件のセットは、以下の選択を含む。NanoSTAR機器;1.54ÅでKα線を使用したマイクロフォーカスCu X線管;45kV及び0.650mAの出力;Vantec2K 二次元領域検出器;1200秒の収集時間;及び112.050cmの試料と検出器との間の距離。未加工の2-D SAXS散乱パターンを、散乱ベクトル(q)の関数としての強度(I)を決定するために方位角的に積分し、これを、この方法全体を通して、逆数オングストローム(Å-1)の単位で表す。qの値を、以下の等式に従ってSAXS機器によって計算し、
【0397】
【数3】
式中、
2θは、散乱角であり、
λは、使用される波長である。
【0398】
分析される各積分SAXSについて、I対qのプロット上の各強度ピークに対応するÅ-1におけるqの値を、最小から最大まで識別及び記録する。(当業者は、原点付近のqの鋭いピークがビーム停止の散乱に対応し、この方法では無視されることを認識している。)第1の強度ピークに対応するqの値(qの最低値)は、q*と称される。
【0399】
乾燥した調整された状態で直接分析される標本(繊維材料物品から得られる)に対応する試料について、強度ピークが2q*±0.002Å-1で存在する場合、物品が構成される繊維材料は、ラメラ構造を呈すると判定され、特徴的なd-間隔パラメータは、2π/q*として定義される。強度ピークが2q*±0.002Å-1で存在しない場合、物品が構成される繊維材料は、ラメラ構造を呈しないと判定される。
【0400】
乾燥した調整された状態から湿潤して分析された試料について、強度ピークが2q*±0.002Å-1で存在する場合、試料は、ラメラ構造を呈すると判定され、特徴的なd-間隔パラメータは、2π/q*として定義される。強度ピークが2q*±0.002Å-1で存在しない場合、試料は、ラメラ構造を呈しないと判定される。ラメラ構造が、調製された3つの標本/水比のうちの少なくともいずれか1つに存在すると判断された場合、物品が構成される材料は、湿潤時にラメラ構造を呈すると判定される。調製された3つの標本/水比のうちのいずれにおいても、強度ピークが2q*±0.002Å-1で存在しない場合、物品が構成される材料は、湿潤時にラメラ構造を呈しないと判定される。
【0401】
繊維要素組成試験方法
繊維要素組成測定用に繊維要素を調製するために、繊維要素の外面上に存在する任意の除去可能であるコーティング組成物及び/又は材料を除去することによって、繊維要素を調整する。それを実行する方法の例としては、繊維要素を変化させずに外部のコーティングを除去する好適な溶媒で、繊維要素を3回洗浄することである。その後、繊維要素の水分が10%未満となるまで、繊維要素を、温度23℃±1.0℃で空気乾燥させる。次に、調整した繊維要素の化学分析が、フィラメント形成材料及び活性剤に関する繊維要素の組成構成、並びに繊維要素中に存在するフィラメント形成材料及び活性剤のレベルを決定するよう実施される。
【0402】
繊維要素形成材料及び活性剤に関する組成構成はまた、TOF-SIM又はSEMを使用して、断面分析を完了することによって決定されてもよい。繊維要素の組成構成を決定するための更に別の方法は、マーカーとして蛍光染料を使用する。更に、常として、繊維要素の製造者は自分達の繊維要素の組成を知っていなくてはならない。
【0403】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示されない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0404】
相互参照される又は関連するあらゆる特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本明細書に引用される全ての文書は、除外又は限定することが明言されない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いずれの文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求されるいずれの発明に対する先行技術であるとみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのようないずれの発明も教示、示唆又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語のいずれの意味又は定義も、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0405】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にある全てのそのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。
【国際調査報告】