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特表2024-527806真空遮断器、及び、複数の真空遮断器を備えたアセンブリ、並びに、複数の真空遮断器の電圧配分方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】真空遮断器、及び、複数の真空遮断器を備えたアセンブリ、並びに、複数の真空遮断器の電圧配分方法
(51)【国際特許分類】
   H01H 33/662 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
H01H33/662 E
H01H33/662 R
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503348
(86)(22)【出願日】2022-06-28
(85)【翻訳文提出日】2024-03-08
(86)【国際出願番号】 EP2022067726
(87)【国際公開番号】W WO2023001505
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】102021207962.8
(32)【優先日】2021-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521001582
【氏名又は名称】シーメンス エナジー グローバル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SIEMENS ENERGY GLOBAL GMBH & CO. KG
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】弁理士法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】ベンカート,カトリン
(72)【発明者】
【氏名】ゲッベルス,トビアス アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ニコリッチ,パウル グレゴール
【テーマコード(参考)】
5G026
【Fターム(参考)】
5G026EA04
5G026EB03
5G026RA05
5G026RB05
(57)【要約】
本発明は電圧、特に高電圧を開閉するための真空遮断器(1)に関する。この真空遮断器(1)は少なくとも1つの外被(2)を備え、少なくとも1つの固定接点(3)を備え、及び、少なくとも1つの可動接点(4)を備えており、複数の制御要素(8、9、10)、特に、長さ及び/又は幅が異なる複数の制御要素を含み、これらの制御要素が少なくとも1つの真空遮断器(1)上に配置されている。本発明はさらに、電気的に直列接続された上述の複数の真空遮断器(1)を備えたアセンブリに関し、このアセンブリは、特に、少なくとも2つの真空遮断器(1)上に配置された複数の制御要素(8、9、10)を有し、及び/又は、1つの真空遮断器(1)の制御要素(8、9、10)がもう1つの真空遮断器(1)の制御要素と、特にすべての真空遮断器(1)の制御要素(8、9、10)と直列に接続されている。本発明はさらに、複数の真空遮断器(1)の電圧配分方法に関し、電圧配分は複数の制御要素(8、9、10)によって、特に、前記複数の真空遮断器(1)上に配置された複数のコンデンサ及び/又は複数の抵抗器によって、特に、前記複数の真空遮断器(1)を、及び/又は、直列に接続された複数の異なる真空遮断器(1)の複数の制御要素(8、9、10)を備えた1つのハウジング(14)内で、行われる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧を開閉するための真空遮断器(1)であって、少なくとも1つの外被(2)と、少なくとも1つの固定接点(3)と、少なくとも1つの可動接点(4)と、を備えた真空遮断器において、
複数の制御要素(8、9、10)が含まれており、前記複数の制御要素(8、9、10)が少なくとも1つの真空遮断器(1)上に配置されている、
ことを特徴とする真空遮断器(1)。
【請求項2】
異なる長さ、及び/又は、異なる幅の前記複数の制御要素(8、9、10)が含まれていることを特徴とする請求項1に記載の真空遮断器(1)。
【請求項3】
前記複数の制御要素(8、9、10)が、少なくとも1つのコンデンサ及び/又は少なくとも1つの抵抗器を含む、及び/又は、
少なくとも1つの制御要素(8、9、10)が、コンデンサ及び/又は抵抗器である、及び/又は、
前記複数の制御要素(8、9、10)の全てが、複数のコンデンサ及び/又は複数の抵抗器で構成されており、
特に、異なる幅及び/又は長さを有する複数のコンデンサで、及び/又は、異なる幅及び/又は長さを有する複数の抵抗器で、特に、異なる静電容量値を有する複数のコンデンサで、及び/又は、異なるオーム抵抗値を有する複数の抵抗器で構成されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の真空遮断器(1)。
【請求項4】
前記真空遮断器(1)が、少なくとも1つの主シールド(5)と少なくとも2つのセラミックセグメント(6)とを有する1つの外被(2)を含み、
前記少なくとも1つの主シールド(5)は前記少なくとも2つのセラミックセグメント(6)の間に配置されており、及び/又は、
前記複数の制御要素(8、9、10)が、前記真空遮断器(1)の外被(2)上に、特に、前記外被(2)の複数のセラミックセグメント(6)上に、特に直近の周囲部に及び/又は前記複数のセラミックセグメント(6)と直接に材料結合的に接するように、配置されている、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の真空遮断器(1)。
【請求項5】
請求項4に記載の真空遮断器(1)であって、前記複数のセラミックセグメント(6)が、
特に、前記真空遮断器(1)の内部から前記真空遮断器(1)の外側領域に突き出ている複数の蒸気シールド(7)によって複数のセラミックセグメント要素(11)に分割されており、及び/又は、
少なくとも1つの前記制御要素(9、10)の長さが1つのセラミックセグメント要素(11)よりも長い、及び/又は、
実質的に2つ又は2以上のセラミックセグメント要素(11)の長さを有する、
ことを特徴とする真空遮断器(1)。
【請求項6】
少なくとも2つの制御要素(8、9、10)、特に3つ以上の制御要素(8、9、10)を含み、
前記3つ以上の制御要素(8、9、10)が、少なくとも1つの真空遮断器(1)の円周上に円形に、特に少なくとも1つのセラミックセグメント要素(11)の円周上に円形に配置されている、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の真空遮断器(1)。
【請求項7】
前記複数の制御要素(8、9、10)が、少なくとも1つの真空遮断器(1)の円周上に円形に、それぞれの制御要素(8、9、10)が異なるセラミックセグメント要素(11)上にくるように配置され、
この場合、個々の制御要素(8)は、正確に1つのセラミックセグメント要素(11)上に配置されていること、及び/又は、個々の制御要素(9)は2つのセラミックセグメント要素(11)上に配置されていること、及び/又は、個々の制御要素(10)は2つより多いセラミックセグメント要素(11)上に配置されている、
ことを特徴とする請求項6に記載の真空遮断器(1)。
【請求項8】
前記制御要素(8、9、10)が、
少なくとも1つの固定接点(3)と少なくとも1つの可動接点(4)との間で、特に、少なくとも1つの固定接点(3)と1つ蒸気シールド(7)の間に、及び/又は、少なくとも1つの固定接点(3)と主シールド(5)の間に、及び/又は、1つの蒸気シールド(7)と主シールド(5)の間に、及び/又は、2つの蒸気シールド(7)の間に、及び/又は、少なくとも1つの可動接点(4)と1つの蒸気シールド(7)の間に、及び/又は、少なくとも1つの可動接点(4)と主シールド(5)の間に、
電気的及び/又は空間的に配置されている、
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の真空遮断器(1)。
【請求項9】
前記制御要素(8、9、10)の総静電容量が、10~4000pFの範囲、特に500~4000pFの範囲内であることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の真空遮断器(1)。
【請求項10】
前記真空遮断器(1)が、高電圧、特に52kV以上の範囲の電圧を開閉するように形成されていることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の真空遮断器(1)。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載の真空遮断器を複数含むアセンブリ(11)であって、
少なくとも2つ、特に2つより多い真空遮断器(1)が電気的に直列に接続されており、特に、少なくとも2つの真空遮断器(1)上に配置された制御要素(8、9、10)を有すること、及び/又は、1つの真空遮断器(1)の制御要素(8、9、10)がもう1つの真空遮断器(1)の制御要素と、特に全ての真空遮断器(1)の制御要素(8、9、10)と、直列に接続されている、
ことを特徴とする複数の真空遮断器のアセンブリ。
【請求項12】
前記複数の真空遮断器(1)が内部に配置され、特に、絶縁ガス(15)としてクリーンエアが充填されている1つの金属タンクハウジング及び/又は絶縁ハウジング(14)が含まれていることを特徴とする請求項11に記載のアセンブリ(11)。
【請求項13】
複数の真空遮断器(1)の、特に請求項1から10のいずれか1項に記載の複数の真空遮断器(1)の電圧配分方法、及び/又は、請求項11又は12に記載の複数の真空遮断器のアセンブリ(16)の電圧配分方法であって、
電圧配分が複数の制御要素(8、9、10)によって、特に、前記複数の真空遮断器(1)上に配置された複数のコンデンサ及び/又は複数の抵抗器によって、特に、前記複数の真空遮断器(1)を、及び/又は、直列に接続された複数の異なる真空遮断器(1)の複数の制御要素(8、9、10)を備えた1つのハウジング(14)内で行われる、
ことを特徴とする電圧配分方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの外被を備え、少なくとも1つの固定接点を備え、及び、少なくとも1つの可動接点を備える、電圧を開閉するための真空遮断器に関する。さらに、本発明は、上述の真空遮断器を複数備えるアセンブリ、及び、複数の真空遮断器の電圧配分方法を含む。
【0002】
複数の真空遮断器、又は、複数の真空遮断器のアセンブリを備えた真空遮断器は、例えば、互いに対して移動可能な複数の開閉接点が少なくとも1つの真空遮断チャンバ内に配置された電力開閉器である。高電圧技術では、このような真空遮断器が高電圧範囲、特に52kV以上の電圧の開閉のために、及び/又は、数十キロアンペアまでの範囲の大電流の開閉に使用される。特に開閉のためのアセンブリに含まれる真空遮断器は保守が少なくてすみ、長寿命であり、特にバネ作動式駆動装置を介して容易かつ確実に駆動される。高電圧に対する要求に対しては、例えば、複数の真空遮断器を備えたアセンブリが使用され、その複数の開閉路は、例えば特許文献1から知られるように、電気的に直列に接続されている。この代わりに、例えば、特に1つの真空遮断器内に複数の開閉路を有する真空遮断器が複数個使用される。
【0003】
複数の真空遮断器の場合、これらの真空遮断器の開閉路が開かれているとき、個々の真空遮断器の過負荷を回避するために、複数の真空遮断器に対してこれらの真空遮断器に適した電圧配分(Absteuerung)が望まれる。特に1つの真空遮断器内に複数の開閉路を有する真空遮断器が複数個ある場合、その真空遮断器の複数の開閉路が開かれているとき、過負荷を回避するために、これらの開閉路に適した電圧配分が望まれる。例えば、同一に形成され、次々に直列に接続されている複数の真空遮断器又は複数の開閉路の場合、過負荷を回避するために、これら真空遮断器又は開閉路に対するできるだけ均一な電圧配分が望まれる。
【0004】
複数の真空遮断器又は複数の開閉路に対して所望の電圧配分を達成するために、例えば、制御抵抗器のような受動的な複数の電気部品が1つの真空遮断器に並列に接続される。しかしながら、これらの部品は、1つの真空遮断器を有する1つの真空遮断器に対して、又は、複数の真空遮断器を有するアセンブリに対して必要とされる設置スペースを増大させる。特に、真空遮断器を取り囲む絶縁ガスとして、洗浄し除湿された圧縮空気、すなわち、クリーンエアを備えた真空遮断器の場合、1つの真空遮断器と1つの受動的電気部品との間、及び、1つの受動的電気部品と、1つ又は複数の真空遮断器から成るアセンブリの特に金属製の遮断器ハウジングとの間に、かなり大きい絶縁距離が必要である。これは、圧縮空気の絶縁強度が六フッ化硫黄などの他の絶縁ガスと比較して小さいからである。複数の真空遮断器と、複数の受動部品を有する回路との間に十分な絶縁を達成するために、例えば、複数の真空遮断器から成るアセンブリと、接続された複数の受動部品を、複数の別のハウジング内に配置することは可能である。しかしながら、これらの構成は、設置スペースが大きく、且つ、高コストとなる。真空遮断器の個々の構成要素に亘る特有の電圧配分は、このような構成を用いては不可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第102013208419A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、1つの真空遮断器における、及び/又は、複数の真空遮断器を含むアセンブリにおける電圧配分を、省スペースで可能にすること、及び/又は、複数の真空遮断器の電圧配分方法を、特に、1つ又は複数の真空遮断器の個々の構成要素に亘る特有の所定の電圧配分により、省スペースで提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、本発明により、請求項1の特徴を有する電圧開閉のための真空遮断器、上述の真空遮断器を複数含む請求項11に記載のアセンブリ、及び/又は、複数の真空遮断器、特に上述の複数の真空遮断器間で電圧配分するための請求項13に記載の方法によって解決される。電圧を開閉するための本発明による真空遮断器、及び/又は、上述の真空遮断器を複数含む本発明によるアセンブリの有利な実施形態は、従属請求項に記載されている。主請求項の主題は従属請求項の特徴と組み合わせることができ、複数の従属請求項の特徴は互いに組み合わせることができる。
【0008】
電圧を開閉するための本発明による真空遮断器は、少なくとも1つの外被と、少なくとも1つの固定接点と、少なくとも1つの可動接点とを含む。さらに、この真空遮断器は、少なくとも1つの真空遮断器上に設置されている複数の制御要素を含む。特に、これらの制御要素はこの真空遮断器と共に1つの共通のハウジング内に設置可能であり、その真空遮断器とは別のハウジング内には設置されていない。
【0009】
これらの制御要素により、電気接点が開放された状態、すなわち、真空遮断器の両接点が離れている状態において、その真空遮断器上の定義された所定の電圧配分が可能となる。その真空遮断器上の特に均一な電圧配分が可能であり、これにより、過電圧による損傷を回避でき、真空遮断器の長期安定で信頼できる機能を確保することができる。複数の制御要素を少なくとも1つの真空遮断器上に設置することにより、特に、例えばクリーンエアが充填され電気フラッシュオーバのリスクが低減された少なくとも1つの共通のハウジング内での、複数の制御要素及び少なくとも1つの真空遮断器の、コンパクトで、省スペースで、低コストのアセンブリが可能となる。コンパクトな構造は、材料節約、特に小さいハウジングサイズを可能にし、コストを低減し、コンパクトなアセンブリにおけるクリーンエアのような代替の開閉ガスの使用を可能にし、真空遮断器の簡単で環境に優しい使用を可能にする。
【0010】
この真空遮断器は、異なる長さ及び/又は異なる幅の複数の制御要素を含むことができる。第1の長さは例えば10~100mmの範囲であり、第2の長さは例えば20~200mmの範囲であり、及び/又は、第3の長さは例えば30~300mmの範囲である。これらの制御要素の幅は、例えば10~80mmの範囲である。したがって、静電容量及び/又はオーム抵抗などの値が異なる複数の制御要素から成る複数の回路接続が可能であり、これにより、真空遮断器の複数の領域に亘って、予め規定された所望の電圧配分が可能になる。
【0011】
これらの制御要素は少なくとも1つのコンデンサ及び/又は少なくとも1つの抵抗器を含むことができ、及び/又は、少なくとも1つの制御要素は1つのコンデンサ及び/又は1つの抵抗器とすることができ、及び/又は、全ての制御要素を複数のコンデンサ及び/又は複数の抵抗器で構成することができる。特に、これらの制御要素は、異なる幅及び/又は長さを有する複数のコンデンサで、及び/又は、異なる幅及び/又は長さを有する複数の抵抗器で、特に、異なる静電容量値を有する複数のコンデンサで、及び/又は、異なるオーム抵抗値を有する複数の抵抗器で構成することができる。これらの異なる値は、例えば、異なる材料、特に異なるドープ材料を使用することによって生成することもできる。上述の利点はこのことに結びつけられる、又は、このことから容易に可能となる。これらの制御要素は、例えばセラミック・ポリマー複合材料で作られている、及び/又は、特に鋳造樹脂マトリックスの中にセラミック・ポリマー複合材料を含むことができる。特に鋳造樹脂マトリックス中のセラミック・ポリマー複合材料は、コンパクトで低コストのコンデンサ及び/又は抵抗器を様々な形状で製造するのに良好に適している。
【0012】
この真空遮断器は、少なくとも1つの主シールドと、少なくとも2つのセラミックセグメントと、を有する1つの外被を含むことができ、この少なくとも1つの主シールドは少なくとも2つのセラミックセグメントの間に配置することができ、及び/又は、複数の制御要素は真空遮断器の外被上に、特に外被の複数のセラミックセグメント上に、特に直近の周囲部に及び/又はセラミックセグメントと直接に材料結合的に接するように、配置することができる。このようにして、上述の利点を備えた省スペース構造、及び、これらセラミックセグメントの電気絶縁特性により高められた絶縁耐力が可能となる。
【0013】
これらのセラミックセグメントは、特に、真空遮断器の特に内部から真空遮断器の外側領域に突出する複数の蒸気シールドによって、複数のセラミックセグメント要素に分割されている。少なくとも1つの制御要素は1つのセラミックセグメント要素よりも長い、及び/又は、実質的に2つ又はそれ以上のセラミックセグメント要素の長さを有する。これにより、例えば銅及び/又は鋼製の複数の蒸気シールドを介しての複数の制御要素の相互接続により、複数の異なる値、例えば複数の静電容量及び/又は複数のオーム抵抗、を有する複数の制御要素を実現することができる。電気接点が開かれた状態、すなわち、両接点が離れている状態の真空遮断器上の電圧配分(Absteuerung)、ないし、電圧分担(Spannungsverteilung)のための回路が、複数の制御要素の複数の異なる値により、及び、複数の蒸気シールドを介して、任意にすなわち規定されたように相互接続可能に、簡単に且つ低コストで可能となる。個々のセラミックセグメント及び/又はセラミックセグメント要素にかかる過電圧を防止することができ、それによって真空遮断器の耐用年数が増加し、特にセラミックセグメントにかかる過電圧による故障さらには破壊が生じることなく、長期的に安定な機能が可能になる。
【0014】
少なくとも2つの制御要素、特に3つ以上の制御要素を備えることができ、これらの制御要素は、少なくとも1つの真空遮断器の円周上に円形に、特に少なくとも1つのセラミックセグメント要素の円周上に円形に配置されている。複数のセラミックセグメント及び/又は複数のセラミックセグメント要素上の複数の制御要素の円形又はリング状の配置により、これら制御要素のコンパクトで省スペースなアセンブリ、及び、特に複数の蒸気シールドを介してのこれら制御要素の簡単で低コストの相互接続が可能となり、これは上述した利点を有する。
【0015】
これらの制御要素は少なくとも1つの真空遮断器の円周上に円形に、それぞれの制御要素が異なるセラミックセグメント要素上にくるように配置することができ、この場合、個々の制御要素は正確に1つのセラミックセグメント要素上に配置することができるか、及び/又は、個々の制御要素は2つのセラミックセグメント要素上に配置することができるか、及び/又は、個々の制御要素は2つより多いセラミックセグメント要素上に配置することができる。これにより、異なる値、特に異なる静電容量値及び/又はオーム抵抗値を有する複数の制御要素を含む複数の回路が可能となり、ここで、長さと幅が等しい制御要素は例えば等しい値を有し、2つ又は2つより多いセラミックセグメント要素を越える延伸によって、例えば静電容量はより小さな値を、例えば抵抗はより大きな値を有することが可能であり、等しい長さの複数の制御要素を特に同一の蒸気シールドを介しての電気的接続によって並列接続することが可能であり、さらに、異なった、前後して存在している複数の蒸気シールドを介して直列接続することが可能である。直列に接続された複数の制御要素と、延伸され複数のセラミックセグメント要素を越えて突出している又は配置された複数のセラミックセグメント要素との並列接続は容易に可能である。こうして、異なる制御要素値を有する複数の制御要素の任意の複数の回路が、簡単に、低コストで、及び、省スペースで可能となる。これにより、複数の真空遮断器に亘る所望の、予め規定された電圧配分ないし電圧分担を実現することができ、これは上述の利点を有する。
【0016】
これらの制御要素は、少なくとも1つの固定接点と少なくとも1つの可動接点との間で、特に、少なくとも1つの固定接点と1つの蒸気シールドの間に、及び/又は、少なくとも1つの固定接点と1つの主シールドの間に、及び/又は、1つの蒸気シールドと1つの主シールドの間に、及び/又は、2つの蒸気シールドの間に、及び/又は、少なくとも1つの可動接点と1つの蒸気シールドの間に、及び/又は、少なくとも1つの可動接点と1つの主シールドの間に、電気的に及び/又は空間的に配置することができる。
【0017】
複数の制御要素を真空遮断器の円周上で、複数の接点、複数の蒸気シールド及び/又は主シールドの間に、このように配置することにより、省スペースでコンパクトなアセンブリ、簡単な電気的接触、例えば、真空遮断器の円周の周りでの均等な配置による均一な電界分布、及び/又は、任意の所定の回路接続、及び、特に、複数の接点、複数の蒸気シールド及び/又は主シールドの間の、静電容量及び/又はオーム抵抗の例えば均一で離散的な分割が可能となる。これにより、複数の真空遮断器の長軸に沿った及び/又は円周に沿った、静電容量及び/又はオーム抵抗の離散的な分割が可能であり、さらに、複数の真空遮断器の長軸に沿った及び/又は円周に沿った、的確で規定された電圧配分ないし電圧分担が可能であり、これにより上述の利点が得られる。
【0018】
これらの制御要素の総静電容量は10~4000pFの範囲、特に500~4000pFの範囲とすることができる。これらの値は、真空遮断器の長軸に沿った及び/又は円周に沿った、的確で規定された電圧配分ないし電圧分担を可能にし、特に52kV以上の範囲の高電圧における電圧配分のための総合値を含んでいる。この真空遮断器は、高電圧範囲、特に52kV以上の範囲で電圧を開閉するように設計することができる。
【0019】
上記の真空遮断器を複数備えた本発明によるアセンブリでは、少なくとも2つ、特に2つよりも多い真空遮断器を電気的に直列に接続することができ、このアセンブリは、特に、少なくとも2つの真空遮断器上に配置することができる複数の制御要素を有しており、及び/又は、1つの真空遮断器の複数の制御要素がもう1つの真空遮断器の複数の制御要素と、特に全ての真空遮断器の複数の制御要素と、直列に接続されている。
【0020】
より高電圧レベル、特に52kV以上の範囲の高電圧の開閉は、このようにして、低コストの、市販されている複数の真空遮断器を用いて行うことができる。各々が真空遮断器の円周及び/又は長軸に沿った複数の制御要素を用いた上述したような電圧配分により、複数の真空遮断器に亘る電圧配分、及び、個々の真空遮断器又は直列に次々に接続された真空遮断器要素の的確な電圧配分が可能となる。これにより、特に、低コストで、簡単で、省スペースで、コンパクトな構造又はアセンブリにおける上述の利点を達成することができる。
【0021】
複数の真空遮断器を内部に配置することができ、特に絶縁ガスとしてクリーンエアが充填されている、1つの金属タンクハウジング及び/又は絶縁ハウジングを含むことができる。
【0022】
真空遮断器の円周及び/又は長軸に沿った複数の制御要素のコンパクトな配置は、材料及びコスト支出の少ない、コンパクトな金属タンクハウジング及び/又は絶縁体ハウジングを可能にし、電気フラッシュオーバのリスクを低減し、絶縁ガス量を低減し、及び/又は、例えばクリーンエアのような、気候に優しい又は気候に対してニュートラルな絶縁ガスをコンパクトで、例えば低コストで入手可能な標準ハウジング内で使用することを可能にする。
【0023】
複数の真空遮断器、特に上述した複数の真空遮断器の、及び/又は、複数の真空遮断器を備えたアセンブリの、本発明による電圧配分方法においては、電圧配分は、複数の制御要素によって、特に、これら真空遮断器上に配置された複数のコンデンサ及び/又は複数の抵抗器によって、特に1つのハウジング内で行われ、このハウジングには複数の真空遮断器及び/又は直列に接続された複数の異なる真空遮断器の複数の制御要素が含まれている。
【0024】
複数の真空遮断器、特に上述の複数の真空遮断器の、及び/又は、上述の複数の真空遮断器を備えるアセンブリの、本発明による請求項13に記載の電圧配分方法の利点、及び、複数の真空遮断器を備える本発明による請求項11に記載のアセンブリの利点は、電圧開閉用の本発明による請求項1に記載の真空遮断器の利点と同様であり、その逆も然りである。
【0025】
以下で、本発明の複数の実施例を模式的に示し、さらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】電圧開閉のための本発明による真空遮断器1を側面から斜めに見た模式図で、真空遮断器の外被2上に長さの異なる制御要素8、9が配置されている。
図2図1の真空遮断器1と同様の本発明による真空遮断器1の模式図で、例えば3つの異なる長さを有する制御要素8、9、10を含み、これらの制御要素は、接点3、4の間で複数の蒸気シールド7と主シールド5を介して電気的に接触し、かつ、相互接続されている。
図3図2の真空遮断器1が2つ直列に接続された、発明によるアセンブリ16を示し、真空遮断器1つにつきそれぞれ接点3、4の間で複数の蒸気シールド7と主シールド5を介して相互接続された制御要素8、9、10の相互接続図が模式的に示されている。
図4図3と同様の真空遮断器1が2つ直列に接続された、本発明によるアセンブリ16を示し、このアセンブリは絶縁ガス15として例えばクリーンエアが充填された1つのハウジング14によって囲まれている。
図5】複数の蒸気シールド電位17及び18を有する複数の蒸気シールド7によって複数のセラミックセグメント要素11に分割されている真空遮断器1の1つのセラミックセグメント6に、制御要素8、9として相互接続された複数の異なるコンデンサを介して印加された電位Ugesの電圧配分の模式図。
図6】第1の蒸気シールド電位17、第2の蒸気シールド電位18、及び、チャンバ電位19に対する、時間tの関数として基準化された電位曲線Uを示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、電圧、特に52kV以上の範囲の高電圧を開閉するための本発明による真空遮断器1を側面から斜めに見た模式図である。この真空遮断器1は1つの外被2を有し、この外被は、とりわけ、中央部の1つの主シールド5と、その左右にそれぞれ隣接するセラミックセグメント6とを備える。この主シールド5及びこれらのセラミックセグメント6は、中空円筒形又は筒状に形成されており、真空遮断器1の両端部でそれぞれ流体密に封止されている。真空遮断器1の内部は排気されており、すなわち、真空である。接点3及び4が真空遮断器1の両端部から真空遮断器1の外被2内部に突き出し、例えば、固定接点3は円筒の一方の側面から、すなわち、ベース面から、可動接点4は円筒すなわち真空遮断器の他方の側面から、すなわち、上面から、突き出ている。
【0028】
主シールド5は、例えば金属、特に銅及び/又は鋼で作られ、例えば、内部に複数の蒸着シールドを備えているが、これらは簡略化のために図示されていない。複数の中空円筒状のセラミックセグメント6は例えば、焼結セラミックから製造され、特に表面処理されている。これらのセラミックセグメント6は、例えば、蒸気シールド7を介して互いに接続された複数のセラミックセグメント要素11を含む。この場合、この接続は、例えば、真空遮断器1の製造中に、摂氏数百度の炉内でろう付け工程の間に行われる。蒸気シールド7は、例えば、金属、特に、銅及び/又は鋼で作られ、リング状に形成されている。真空遮断器1の内部において、これらの蒸気シールド7は、例えば、複数の蒸着シールドを備えているが、これらは簡略化のために図示されていない。これらの蒸気シールド7は、例えば平らなリングの形状で、真空遮断器1から外側に向かって突き出るか、又は、セラミックセグメント要素11の円周を越えて外側に向かって突き出ている。これらの蒸気シールド7は、それぞれのセラミックセグメント6を複数のセラミックセグメント要素11に分割している。
【0029】
接点3及び4は、例えば、銅及び/又は鋼で作られ、特にボルト状であり、真空遮断器1の内部に、例えばスリット付きの皿状の端部が形成されている。固定接点3は、真空遮断器1の一端で蓋状の閉鎖部と流体密に接続されており、この閉鎖部は、例えば金属、特に、銅及び/又は鋼で作られている。可動接点4は、真空遮断器1の他端で蓋状の閉鎖部と流体密に接続され、例えばベローズを介して移動可能に支承されているが、これは図1では簡略化のために図示されていない。ここで、この閉鎖部は、例えば、金属、特に、銅又は鋼で製造されている。
【0030】
この真空遮断器は、固定接点3及び可動接点4の外部に導かれたボルトを介して電気的に接続可能である。可動接点4は、閉路する際には、固定接点3に向かって移動することにより、すなわち、接点3及び4の皿状の両接点端部の間のギャップを閉じることにより、電気的なスイッチングを可能とし、遮断する際には、固定接点3から離れる動作により、すなわち、接点3及び4の皿状の両接点端部の間にギャップを生じさせることにより、電気的なスイッチングを可能とする。接点3及び4の両接点端部間のギャップ、及び、両接点端部自体は真空遮断器1の排気された内部に配置されているので、特に高電圧を遮断するためには、数ミリメートルから数センチメートルまでの範囲のギャップで十分である。この真空遮断器1は、例えば、長さが特に30~100cmの範囲であり、円周が特に10~100cmの範囲である。
【0031】
本発明によれば、複数の制御要素8、9、10が、図1及び図2に示すように、真空遮断器1の円周の周りに、真空遮断器1の外被2上に配置されている。これらの制御要素8、9、10は、例えばコンデンサ及び/又は抵抗器である。コンデンサは、特にセラミックコンデンサであり、個々のコンデンサの静電容量の値は例えば10~4000pFの範囲である。したがって、このアセンブリの総静電容量は例えば10~4000pFの範囲である。抵抗器は、特にオーム抵抗器であり、個々の抵抗器の値は、例えば数オームから数百オームまで、又は、数千オームまで、又は、数万オームまで、又は、数十万オームまでの範囲である。したがって、総抵抗値は、数オームから数百オームまで、数千オームまで、数万オームまで、又は、数十万オームまで、の範囲となる。
【0032】
制御要素8、9、10の形状は、例えば、円筒形、長方形、及び/又は、楕円形である。例えば省スペース配置を可能にする他の形状、例えば、凸面及び/又は凹面を有する形状も可能である。真空遮断器1の外被2の円周に沿った制御要素8、9、10のアセンブリは、例えば円周の断面に沿って円形に実施される。これらの制御要素8、9、10は、例えば静電容量及び/又はオーム抵抗の値が異なる複数の制御要素8、9、10を実現するために、例えば、異なる長さ及び/又は幅を有するように形成されている。長さlは、例えば10~100mmの範囲、20~200mmの範囲、及び/又は、30~300mmの範囲である。幅は、例えば10~80mmの範囲である。図1では、セラミックセグメント要素11の長さと等しい長さを有する複数の制御要素8が、真空遮断器1の長軸に平行に配置されており、これらは以下では短い制御要素8と呼ばれる。1つのセラミックセグメント要素11の複数の制御要素8は、特に、互いに並列に相互接続されており、真空遮断器1の長軸に沿って次々に設置されている複数の蒸気シールド7を介して互いに電気的に接続されている、すなわち、相互接続されている。複数の短い制御要素8は、例えば、それぞれのセラミックセグメント要素11の円周に沿って、及び/又は、真空遮断器1の円形断面に沿って、互いに規則的に及び/又は等間隔に配置され、並列に相互接続されている。真空遮断器1の長軸に沿って電気的に直列に相互接続された複数の制御要素8は、以下の複数の実施例においてより詳細に説明するように、複数の異なるセラミックセグメント要素11及び/又は複数のセラミックセグメント6及び/又は複数の真空遮断器1上に配置されている。
【0033】
その長さが2つのセラミックセグメント要素11の長さと等しい制御要素9が、真空遮断器1の長軸に平行に配置されており、以下では中くらいの長さの制御要素9と呼ぶ。これらの制御要素9は、同じ2つのセラミックセグメント要素11の複数の制御要素8、9と互いに並列に相互接続され、この場合、直列接続された2つの制御要素8はそれぞれ制御要素9に並列に接続され、この相互接続又は電気接続は、真空遮断器1の長軸に沿って次々に設置された3つの蒸気シールド7を介して行われ、この場合、制御要素9の位置では、中央の蒸気シールド7は凹部又は窪みを有し、制御要素9と電気的には接続されていない。短い制御要素8及び中くらいの長さの制御要素9は、制御要素9との並列相互接続のために、例えば、それぞれ1つのセラミックセグメント要素11及び/又は2つのセラミックセグメント要素11の円周に沿って、又は、真空遮断器1の円形断面に沿って、互いに規則的に及び/又は等間隔に配置されている。真空遮断器1の長軸に沿って電気的に直列に相互接続された制御要素8、9は、複数の異なるセラミックセグメント要素11上に配置され、又は、制御要素9に対しては複数の異なるセラミックセグメント要素対の上に、及び/又は、複数のセラミックセグメント6上に、及び/又は、複数の真空遮断器1上に配置されるが、これも以下の複数の実施例においてより詳細に説明する。
【0034】
図2に例示するように、3つの異なる長さを有する制御要素8、9、10も使用可能であり、又は、より多くの長さの差異を有する制御要素8、9、10も使用可能であるが、これらは簡略化のために図示されていない。図2には、更に、3つのセラミックセグメント要素11の長さと等しい長さを有する制御要素10が示されており、これらは以下では長い制御要素10と呼ぶ。アセンブリ及び相互接続は、短い制御要素8及び中くらいの長さの制御要素9と同様に、真空遮断器1の長軸に平行に配置されて相互接続され、真空遮断器の長軸方向に直列接続され、真空遮断器の断面に沿って並列接続されている。その配置及び長さについては、例えば螺旋線及び/又は対角線に沿った配置のような別の可能性があり、ならびに、静電容量及び/又はオーム抵抗の異なる値を実現するために異なる幅を有する複数の制御要素8、9、10の使用が可能であるが、これは簡略化のために図示されていない。
【0035】
図1及び図2に示すように、これらの制御要素8、9、10は、例えば、真空遮断器1の外被2の円周に沿って、真空遮断器1の円周の円形断面上に電気的に及び空間的に間隔を置いて配置されており、真空遮断器1の長軸に沿って、固定接点3と可動接点4の間で、特に固定接点3と1つの蒸気シールド7の間に、隣接した2つの蒸気シールド7の間に、1つの蒸気シールド7と主シールド5の間に、主シールド5と1つの蒸気シールド7の間に、隣接した2つの蒸気シールド7の間に、1つの蒸気シールド7と可動接点4の間に、特に対称的に配置されている。この場合、複数の蒸気シールド7及び1つの主シールド5は、複数の制御要素8、9、10相互の良好な導電接触、及び、例えば、真空遮断器1の両端部の蓋状の閉鎖部を介しての、特に可動接点4ではベローズを介しての、接点5と6との良好な導電接触を行うのに役立つ。複数の蒸気シールド7の上に突き出ている、あるいは、1つの蒸気シールド7又は複数の蒸気シールド7によって接続されている複数のセラミックセグメント要素11にかぶさっている又は覆っている制御要素9、10の位置では、その蒸気シールド7又はそれぞれの蒸気シールド7に例えば凹部及び/又は窪みが配置されており、これにより、それぞれの蒸気シールド7と、それぞれの突き出ている制御要素9、10との電気的接触を防ぐことができる。
【0036】
これらの蒸気シールド7は、例えば金属、特に銅及び/又は鋼製であり、真空遮断器1内に突き出ている特に複数の蒸着シールドによりセラミックセグメント6を分割することができる。複数のセラミックセグメント6、主シールド5、複数の蒸気シールド7、複数の蓋状の閉鎖部のような真空遮断器1の構成要素の、及び/又は、制御要素8、9、10との接続は、例えば、ろう付け及び/又は導電性接着接合によって行われる。真空遮断器1上の、又は、真空遮断器1の外被2上の制御要素8、9、10のアセンブリは、外被2との材料結合的な機械的接触を含むか、及び/又は、数ミリメートルの範囲の小さな間隔を有し、この場合、制御要素8、9、10の外被との直接接触は、例えば、複数の蒸気シールド7、主シールド5、及び/又は、蓋状の閉鎖部を介して行うことができる。
【0037】
複数の異なる蒸気シールド7間で接続されている制御要素8、9、10は、例えば、真空遮断器1の長軸に沿って長軸に平行に、特に、直線状に又は曲線状に、又は、それぞれ互いにオフセットされて配置されている。真空遮断器1の円周上の制御要素8、9、10のこの配置は、例えば、規則的な又は不規則なパターンを作り出す。真空遮断器1の円周上の又はその外被2の円周上の制御要素8、9、10のアセンブリは、断面が最小で省スペースである。
【0038】
図3は、複数の真空遮断器1の本発明によるアセンブリ16に従う、本発明の図1及び/又は図2による真空遮断器1の2つの直列配置を示し、制御要素8、9、10の接続回路が模式的に示されている。制御要素8、9、10の接続回路、すなわち電気的接触及び回路は、それぞれ真空遮断器1ごとに接点3と4の間で複数の蒸気シールド7と1つの主シールド5とを介して行われる。この場合、複数の真空遮断器1に亘る所望の所定の電圧分担ないし電圧配分に応じて、様々な回路が可能である。特に、複数の真空遮断器1に亘る均一な電圧配分のために、対称的な回路を使用することができる。あるいは、複数のセラミックセグメント6を介して様々な回路を使用することができるが、これは簡略化のために図示しない。図3には例として、合計4つのセラミックセグメント6を有する2つの真空遮断器1の直列回路が示されており、これら4つのセラミックセグメントは各々が2つの蒸気シールド7によって3つのセラミックセグメント要素11に分割されている。
【0039】
図3に模式的に示された実施例では、2つの真空遮断器1が、各々、同一の制御要素8、9、10、すなわち、制御回路を備えており、真空遮断器1ごとに主シールド5で鏡面対称な2つの部分回路が使用されており、この主シールドを介して2つのセラミックセグメント6が接続されている。ここでは、セラミックセグメント6ごとに3つの短い制御要素8が3組直列に接続されており、直列に接続された3つの制御要素8は、それぞれ他の2組の3つの制御要素8と並列に接続されており、それぞれの全ての制御要素8は接点3又は4と主シールド5との間の蒸気シールド7を介して電気的に接続されている。これに、1つの長い制御要素10が並列に接続されている。さらに、直列に接続された1つの中くらいの長さの制御要素9と1つの短い制御要素8が、1つの長い制御要素10と並列に接続されている。この短い制御要素8はそれぞれ、直列に接続された3つの制御要素8のうちの1つと並列に接続されている。この回路は図3に例として示されており、所望の電圧配分に応じて異なるように構成することもできる。図3では制御要素8、9、10として、コンデンサの形の静電容量のみが使用されている。これに加えて又はこれに代えて、オーム抵抗器も使用することができる。
【0040】
図4は、図3と同様に直列に接続された2つの真空遮断器1の本発明によるアセンブリ16を示しており、これらの真空遮断器1は1つのハウジング14によって囲まれているか、又は、1つのハウジング14内に配置されている。このハウジング14は、例えば、気密封止された金属タンクハウジング及び/又は気密封止された絶縁体ハウジングである。金属タンクハウジングは、例えば、スチール又はアルミニウム製で、デッドタンクの方式により特に接地電位に印加されている。絶縁体ハウジングは、例えば、セラミック、シリコーン、及び/又は、複合材料からなり、漏れ電流経路を延ばすために特にリブ付きの外面を有する。ハウジング14は、絶縁ガス15として例えば気候にニュートラルなクリーンエアで充填されている。これに代えて又はこれに加えて、例えばSF6及び/又はCO2のような絶縁ガス15を使用することもできる。
【0041】
これらの真空遮断器1は、図4に示すように、両方の固定接点3を介して互いに接続され、特に直接に接続されている。代案として、これらの真空遮断器1は両方の可動接点4を介して、特に電気的及び機械的に互いに接続することも可能であり、又は、1つの可動接点4と1つの固定接点3を介して接続することもできる。電気的開閉時に可動接点4を駆動するために、駆動装置、例えば、モータ駆動装置及び/又はバネ駆動装置が設けられているが、これらは簡略化のために図示されていない。
【0042】
図5は、図1及び図2に類似した真空遮断器1のセラミックセグメント6の制御要素8、9、10としてのコンデンサの電圧配分及び配置又は相互接続の概略図を例示している。このセラミックセグメント6は、ここでは、2つの蒸気シールド7によって3つのセラミックセグメント要素11に分割されている。図1及び図2の回路とは異なり、図5では簡略化のために、3つの短い制御要素8が直列に接続されており、1つの中くらいの長さの制御要素9が、直列に接続された3つの制御要素8のうちの2つと並列に接続され、1つの短い制御要素8が、直列に接続された3つの制御要素8のうちの3番目の制御要素8と並列に接続されている。これに加えて、これとは逆の順序で、1つの短い制御要素8が、直列に接続された3つの制御要素8のうちの1番目の制御要素8と並列に接続され、1つの中くらいの長さの制御要素9が、直列に接続された3つの制御要素8のうちの他の2つと並列に接続され、ここで、この中くらいの長さの制御要素9は1つの短い制御要素8と直列に接続されており、この1つの短い制御要素8は、直列接続された3つの制御要素8のうちの1番目の短い制御要素8と並列に接続されている。
【0043】
2つの蒸気シールド7によって3つのセラミックセグメント要素11に分割されたセラミックセグメント6に電位、すなわち、全電圧Ugesが印加され、あるいは、除去される。これは以下ではチャンバ電位と呼ばれる。このチャンバ電位は制御要素8、9による相互接続によって、蒸気シールド8、第1の蒸気シールド電位17及び第2の蒸気シールド電位18を生成する。
【0044】
図6には、図5により相互接続されたセラミックセグメント6について、チャンバ電位19、第1の蒸気シールド電位17、及び、第2の蒸気シールド電位18のそれぞれの規格化された電位曲線Uが時間tの関数として示されている。チャンバ電位19は電位19が飽和状態になる前に最も強い上昇を示し、蒸気シールド電位17は最小の上昇を示している。蒸気シールド電位18の電位曲線はその中間にある。蒸気シールド電位曲線17及び18は共にチャンバ電位19の下にあり、それによって、蒸気シールド7での過度の電圧上昇を防止することができる。過度の電圧上昇は真空遮断器の長寿命特性を低下させ、破損や開閉時の故障の原因となる。図1から図5に示す相互接続により、真空遮断器1、及び/又は、複数の真空遮断器を有するアセンブリ16の、故障のない、信頼性の高い、長期安定した機能が可能になり、これにより、コスト、特に保守コスト及び復旧コスト、ならびに、時間が節約される。
【0045】
上述の複数の実施例は互いに組み合わせることができ、及び/又は、従来技術と組み合わせることができる。したがって、例えば2つよりも多い真空遮断器1を、特に直列に及び/又は並列に相互接続することができる。制御要素8、9、10は、異なる形状、特に、円筒形、ベース面と上面が楕円形の筒形、長方形、正方形、及び/又は、凸形及び/又は凹形の表面を有する形状を有することができる。制御要素8の固定は、例えば真空遮断器1上で、特に銅部品のような金属部品へのろう付けによって、ねじ止めによって、接着接合によって、クランプによって、及び/又は、溶接によって行われる。制御要素8、9、10は外被2上に、特にセラミックセグメント6上に、例えば直接の摩擦接合で設置されており、絶縁性塗料及び/又は表面処理によってセラミックセグメント6から特に電気的に絶縁されている。及び/又は、制御要素8、9、10は、外被2上に、特にセラミックセグメント6上に、例えば直接に、セラミックセグメント6から僅かな間隔を置いて、特に、複数の蒸気シールド7、主シールド5、及び/又は、接点3、4の間で、例えば、ねじ止めされ、クランプされ、ろう付けされ、接着され、及び/又は、溶接されて、設置されている。僅かな間隔は、例えば、数ミリメートルから1センチメートルまでの範囲である。
【0046】
複数の制御要素8、9、10は、1つの真空遮断器1又は複数の真空遮断器1の例えば外被2上に、個別の部品として、特に互いに離間して配置されている。この場合、アセンブリは真空遮断器1の例えば円形断面に沿って例えばリング状に行われ、真空遮断器1の長軸に沿って複数の異なるリングが設置されている。複数の異なるリングにおける隣接する複数の制御要素8、9、10は、例えば直線上に、又は、互いにオフセットして配置されている。あるいは、これらの制御要素8、9、10は、例えば螺旋線上に、すなわち、スパイラルに配置することができる。別の複数のアセンブリ、及び/又は、複数のアセンブリの組合せも可能である。
【0047】
本発明による上述の真空遮断器1、及び、複数の真空遮断器1が次々に特に直列に相互接続された本発明によるアセンブリ16を用いて、複数の制御要素8を介して、複数の真空遮断器1に亘る電圧配分が可能である。これらの電圧は、制御要素8、9、10の選択、及び、それら制御要素の回路接続により、複数の真空遮断器1又はそれらの複数の構成要素、例えば、異なる長さのセラミックセグメント6及び/又はセラミックセグメント要素11に、均一に又は不均一に、予め定められたように、分割することができる。1つの真空遮断器1又は複数の真空遮断器1上での制御要素8、9、10のこのアセンブリにより、コンパクトで省スペースな構造が可能となり、そのことにより、低コストで、空間的に最小限に抑えられたハウジング14が可能となり、特に、小さい、又は、最小化された、及び/又は、標準寸法を備えたハウジングにおいて、クリーンエアのような絶縁ガスの使用が可能となる。複数の制御要素8、9、10及びそれらの相互接続のおかげで、真空遮断器1又は複数の真空遮断器1に亘るこの電圧配分により、接点開放時の、すなわち、接点3と4が互いに離れている場合の、1つの真空遮断器1の、及び/又は、複数の真空遮断器1を含むアセンブリ16の過電圧及び損傷又は故障さえ防止することができる。特に、サイズ、特に長さ及び/又は幅が異なる複数のコンデンサ及び/又は複数の抵抗器を使用すると、複数の異なる回路によって、任意の、所望の電圧配分が可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 真空遮断器
2 外被
3 固定接点
4 可動接点
5 主シールド
6 セラミックセグメント
7 蒸気シールド
8 短い制御要素
9 中くらいの長さの制御要素
10 長い制御要素
11 セラミックセグメント要素
12 制御要素の回路図
13 ベローズ
14 ハウジング
15 絶縁ガス
16 複数の真空遮断器を備えるアセンブリ
17 第1の蒸気シールド電位
18 第2の蒸気シールド電位
19 チャンバ電位
t 時間
U 電位

図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-03-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧を開閉するための真空遮断器(1)であって、少なくとも1つの外被(2)と、少なくとも1つの固定接点(3)と、少なくとも1つの可動接点(4)と、を備えた真空遮断器において、
複数の制御要素(8、9、10)が含まれており、前記複数の制御要素(8、9、10)が少なくとも1つの真空遮断器(1)上に配置されている、
ことを特徴とする真空遮断器(1)。
【請求項2】
異なる長さ、及び/又は、異なる幅の前記複数の制御要素(8、9、10)が含まれていることを特徴とする請求項1に記載の真空遮断器(1)。
【請求項3】
前記複数の制御要素(8、9、10)が、少なくとも1つのコンデンサ及び/又は少なくとも1つの抵抗器を含む、及び/又は、
少なくとも1つの制御要素(8、9、10)が、コンデンサ及び/又は抵抗器である、及び/又は、
前記複数の制御要素(8、9、10)の全てが、複数のコンデンサ及び/又は複数の抵抗器で構成されている、
ことを特徴とする請求項に記載の真空遮断器(1)。
【請求項4】
前記真空遮断器(1)が、少なくとも1つの主シールド(5)と少なくとも2つのセラミックセグメント(6)とを有する1つの外被(2)を含み、
前記少なくとも1つの主シールド(5)は前記少なくとも2つのセラミックセグメント(6)の間に配置されており、及び/又は、
前記複数の制御要素(8、9、10)が、前記真空遮断器(1)の外被(2)上に、配置されている、
ことを特徴とする請求項に記載の真空遮断器(1)。
【請求項5】
請求項4に記載の真空遮断器(1)であって、前記複数のセラミックセグメント(6)が、
前記真空遮断器(1)の内部から前記真空遮断器(1)の外側領域に突き出ている複数の蒸気シールド(7)によって複数のセラミックセグメント要素(11)に分割されており、及び/又は、
少なくとも1つの前記制御要素(9、10)の長さが1つのセラミックセグメント要素(11)よりも長い、及び/又は、
実質的に2つ又は2以上のセラミックセグメント要素(11)の長さを有する、
ことを特徴とする真空遮断器(1)。
【請求項6】
少なくとも2つの制御要素(8、9、10)含み、
前記3つ以上の制御要素(8、9、10)が、少なくとも1つの真空遮断器(1)の円周上に円形に配置されている、
ことを特徴とする請求項に記載の真空遮断器(1)。
【請求項7】
前記複数の制御要素(8、9、10)が、少なくとも1つの真空遮断器(1)の円周上に円形に、それぞれの制御要素(8、9、10)が異なるセラミックセグメント要素(11)上にくるように配置され、
この場合、個々の制御要素(8)は、正確に1つのセラミックセグメント要素(11)上に配置されていること、及び/又は、個々の制御要素(9)は2つのセラミックセグメント要素(11)上に配置されていること、及び/又は、個々の制御要素(10)は2つより多いセラミックセグメント要素(11)上に配置されている、
ことを特徴とする請求項6に記載の真空遮断器(1)。
【請求項8】
前記制御要素(8、9、10)が、
少なくとも1つの固定接点(3)と少なくとも1つの可動接点(4)との間に、及び/又は、少なくとも1つの固定接点(3)と主シールド(5)の間に、及び/又は、1つの蒸気シールド(7)と主シールド(5)の間に、及び/又は、2つの蒸気シールド(7)の間に、及び/又は、少なくとも1つの可動接点(4)と1つの蒸気シールド(7)の間に、及び/又は、少なくとも1つの可動接点(4)と主シールド(5)の間に、
電気的及び/又は空間的に配置されている、
ことを特徴とする請求項に記載の真空遮断器(1)。
【請求項9】
前記制御要素(8、9、10)の総静電容量が、10~4000pFの範囲内であることを特徴とする請求項に記載の真空遮断器(1)。
【請求項10】
前記真空遮断器(1)が、高電圧を開閉するように形成されていることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の真空遮断器(1)。
【請求項11】
請求項に記載の真空遮断器を複数含むアセンブリ(11)であって、
少なくとも2つ真空遮断器(1)が電気的に直列に接続されており、少なくとも2つの真空遮断器(1)上に配置された制御要素(8、9、10)を有すること、及び/又は、1つの真空遮断器(1)の制御要素(8、9、10)がもう1つの真空遮断器(1)の制御要素と、直列に接続されている、
ことを特徴とする複数の真空遮断器のアセンブリ。
【請求項12】
前記複数の真空遮断器(1)が内部に配置されている1つの金属タンクハウジング及び/又は絶縁ハウジング(14)が含まれていることを特徴とする請求項11に記載のアセンブリ(11)。
【請求項13】
複数の真空遮断器(1)の、請求項1に記載の複数の真空遮断器(1)の電圧配分方法、又は、請求項11に記載の複数の真空遮断器のアセンブリ(16)の電圧配分方法であって、
電圧配分が複数の制御要素(8、9、10)によって行われるか、又は、直列に接続された複数の異なる真空遮断器(1)の複数の制御要素(8、9、10)を備えた1つのハウジング(14)内で行われる、
ことを特徴とする電圧配分方法。
【国際調査報告】