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特表2024-527807真空遮断器、及び、複数の真空遮断器を備えたアセンブリ、並びに、複数の真空遮断器の電圧配分方法
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  • 特表-真空遮断器、及び、複数の真空遮断器を備えたアセンブリ、並びに、複数の真空遮断器の電圧配分方法 図1
  • 特表-真空遮断器、及び、複数の真空遮断器を備えたアセンブリ、並びに、複数の真空遮断器の電圧配分方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】真空遮断器、及び、複数の真空遮断器を備えたアセンブリ、並びに、複数の真空遮断器の電圧配分方法
(51)【国際特許分類】
   H01H 33/662 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
H01H33/662 E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503349
(86)(22)【出願日】2022-06-27
(85)【翻訳文提出日】2024-03-08
(86)【国際出願番号】 EP2022067490
(87)【国際公開番号】W WO2023001492
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】102021207960.1
(32)【優先日】2021-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521001582
【氏名又は名称】シーメンス エナジー グローバル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SIEMENS ENERGY GLOBAL GMBH & CO. KG
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】弁理士法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】ゲッベルス,トビアス アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】コッセ,シルヴィオ
(72)【発明者】
【氏名】ニコリッチ,パウル グレゴール
【テーマコード(参考)】
5G026
【Fターム(参考)】
5G026EB03
(57)【要約】
本発明は電圧、特に高電圧を開閉するための真空遮断器(1)に関する。この真空遮断器(1)は少なくとも1つの外被(2)を備え、少なくとも1つの固定接点(3)を備え、及び、少なくとも1つの可動接点(4)を備えており、少なくとも1つの制御要素(8)を含み、この制御要素が少なくとも1つの真空遮断器(1)上に直接に配置されている。本発明はさらに、電気的に直列接続された上述の複数の真空遮断器(1)を備えたアセンブリを含み、さらに、複数の制御要素(8)を用いて、特にこれらの真空遮断器(1)上に直接に配置された複数のコンデンサ及び/又は複数の抵抗器を用いて行われる複数の真空遮断器(1)の電圧配分方法を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧を開閉するための真空遮断器(1)であって、少なくとも1つの外被(2)を備え、少なくとも1つの固定接点(3)を備え、及び、少なくとも1つの可動接点(4)を備えた真空遮断器において、
少なくとも1つの制御要素(8)が含まれており、
前記制御要素(8)が少なくとも1つの真空遮断器(1)上に直接に配置されている、
ことを特徴とする真空遮断器(1)。
【請求項2】
前記真空遮断器(1)が、特に少なくとも1つの主シールド(5)と少なくとも2つのセラミックセグメント(6)とを有する1つの外被(2)を含み、
前記少なくとも1つの主シールド(5)が、前記少なくとも2つのセラミックセグメント(6)の間に配置されており、
前記複数の制御要素(8)が、前記真空遮断器(1)の前記外被(2)上に直接に配置され、
特に、前記外被(2)の少なくとも1つのセラミックセグメント(6)上に直接に配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の真空遮断器(1)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの制御要素(8)が、少なくとも1つのコンデンサ及び/又は少なくとも1つの抵抗器を含み、及び/又は、
前記少なくとも1つの制御要素(8)が、少なくとも1つのコンデンサ及び/又は少なくとも1つの抵抗器である、及び/又は、
全ての制御要素が、複数のコンデンサ及び/又は複数の抵抗器で構成されている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の真空遮断器(1)。
【請求項4】
少なくとも2つの制御要素(8)、特に3つ以上の制御要素(8)を含み、
前記制御要素(8)が前記少なくとも1つの真空遮断器(1)の円周上に円形に配置されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の真空遮断器(1)。
【請求項5】
特にリング状及び/又は円形に形成された少なくとも1つのシールドリング(7)を含み、
前記少なくとも1つのシールドリング(7)が、前記真空遮断器(1)の前記外被(2)上に特に直接に配置されており、及び/又は、前記真空遮断器(1)の円周を囲んでいる、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の真空遮断器(1)。
【請求項6】
複数のシールドリング(7)を含み、
前記複数のシールドリング(7)のそれぞれが、前記真空遮断器(1)の長軸方向において互いに離間して、各セラミックセグメント(6)の周囲に配置されていることを特徴とする請求項5に記載の真空遮断器(1)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの制御要素(8)が、前記少なくとも1つの固定接点(3)と前記少なくとも1つの可動接点(4)との間で、
特に、少なくとも1つの固定接点(3)と1つのシールドリング(7)の間に、及び/又は、
少なくとも1つの固定接点(3)と主シールド(5)の間に、及び/又は、
1つのシールドリング(7)と主シールド(5)の間に、及び/又は、
2つのシールドリング(7)の間に、及び/又は、
少なくとも1つの可動接点(4)と1つのシールドリング(7)の間に、及び/又は、
少なくとも1つの可動接点(4)と主シールド(5)の間に、
電気的に及び/又は空間的に配置されている、
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の真空遮断器(1)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの制御要素(8)及び/又は前記複数の制御要素(8)の総静電容量が、10~4000pFの範囲内、特に500~4000pFの範囲内であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の真空遮断器(1)。
【請求項9】
前記真空遮断器(1)が、高電圧範囲、特に52kV以上の範囲の電圧を開閉するように形成されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の真空遮断器(1)。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の真空遮断器を複数備えるアセンブリ(11)であって、
少なくとも2つ、特に2つよりも多い真空遮断器(1)が電気的に直列に接続されていることを特徴とするアセンブリ。
【請求項11】
前記複数の真空遮断器(1)が内部に配置され、絶縁ガス(10)として、特にクリーンエアが充填されている1つの金属タンクハウジング及び/又は絶縁ハウジング(9)を含むことを特徴とする請求項10に記載のアセンブリ(11)。
【請求項12】
複数の真空遮断器(1)、特に請求項1から9のいずれか1項に記載の複数の真空遮断器(1)の電圧配分方法、及び/又は、請求項10又は11に記載の複数の真空遮断器のアセンブリ(11)の電圧配分方法であって、
電圧配分が複数の制御要素(8)を用いて、特に前記複数の真空遮断器(1)上に直接に配置された複数のコンデンサ及び/又は複数の抵抗器を用いて行われることを特徴とする電圧配分方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの外被を備え、少なくとも1つの固定接点を備え、及び、少なくとも1つの可動接点を備える、電圧を開閉するための真空遮断器に関する。さらに、本発明は、上述の真空遮断器を複数備えるアセンブリ、及び、複数の真空遮断器の電圧配分方法を含む。
【0002】
複数の真空遮断器、又は、複数の真空遮断器のアセンブリを備えた真空遮断器は、例えば、互いに対して移動可能な複数の開閉接点が少なくとも1つの真空遮断チャンバ内に配置された電力開閉器である。高電圧技術では、このような真空遮断器が高電圧範囲、特に52kV以上の電圧の開閉のために、及び/又は、数十キロアンペアまでの範囲の大電流の開閉に使用される。特に開閉のためのアセンブリに含まれる真空遮断器は保守が少なくてすみ、長寿命であり、特にバネ作動式駆動装置を介して容易かつ確実に駆動される。高電圧に対する要求に対しては、例えば、複数の真空遮断器を備えたアセンブリが使用され、その複数の開閉路は、例えば特許文献1から知られるように、電気的に直列に接続されている。この代わりに、例えば、特に1つの真空遮断器内に複数の開閉路を有する真空遮断器が複数個使用される。
【0003】
複数の真空遮断器の場合、これらの真空遮断器の開閉路が開かれているとき、個々の真空遮断器の過負荷を回避するために、複数の真空遮断器に対してこれらの真空遮断器に適した電圧配分(Absteuerung)が望まれる。特に1つの真空遮断器内に複数の開閉路を有する真空遮断器が複数個ある場合、その真空遮断器の複数の開閉路が開かれているとき、過負荷を回避するために、これらの開閉路に適した電圧配分が望まれる。例えば、同一に形成され、次々に直列に接続されている複数の真空遮断器又は複数の開閉路の場合、過負荷を回避するために、これら真空遮断器又は開閉路に対するできるだけ均一な電圧配分が望まれる。1つの開閉路を有する1つの真空遮断器を使用する場合、例えば、その真空遮断器上で、又は、開閉路上で、同様に、できるだけ均一な電圧配分が望まれる。
【0004】
複数の真空遮断器又は複数の開閉路に対して所望の電圧配分を達成するために、例えば、制御抵抗器のような受動的な複数の電気部品が1つの真空遮断器に並列に接続される。しかしながら、これらの部品は、1つの真空遮断器を有する1つの真空遮断器に対して、又は、複数の真空遮断器を有するアセンブリに対して必要とされる設置スペースを増大させる。特に、真空遮断器を取り囲む絶縁ガスとして、洗浄し除湿された圧縮空気、すなわち、クリーンエアを備えた真空遮断器の場合、1つの真空遮断器と1つの受動的電気部品との間、及び、1つの受動的電気部品と、1つ又は複数の真空遮断器から成るアセンブリの特に金属製の遮断器ハウジングとの間に、かなり大きい絶縁距離が必要である。これは、圧縮空気の絶縁強度が六フッ化硫黄などの他の絶縁ガスと比較して小さいからである。複数の真空遮断器と、複数の受動部品を有する回路との間に十分な絶縁を達成するために、例えば、複数の真空遮断器から成るアセンブリと、接続された複数の受動部品を、複数の別のハウジング内に配置することは可能である。しかしながら、これらの構成は、設置スペースが大きく、且つ、高コストとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第102013208419A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、1つの真空遮断器における、及び/又は、複数の真空遮断器を含むアセンブリにおける電圧配分を、省スペースで可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、本発明により、請求項1の特徴を有する電圧開閉のための真空遮断器、上述の真空遮断器を複数含む請求項10に記載のアセンブリ、及び/又は、請求項12に記載の、複数の真空遮断器、特に上述の複数の真空遮断器の電圧配分方法によって解決される。電圧を開閉するための本発明による真空遮断器、及び/又は、上述の真空遮断器を複数含む本発明によるアセンブリの有利な実施形態は、従属請求項に記載されている。主請求項の主題は従属請求項の特徴と組み合わせることができ、複数の従属請求項の特徴は互いに組み合わせることができる。
【0008】
電圧を開閉するための本発明による真空遮断器は、少なくとも1つの外被と、少なくとも1つの固定接点と、少なくとも1つの可動接点とを含む。本発明によれば、少なくとも1つの制御要素が含まれており、これが、少なくとも1つの真空遮断器上に直接に設置されている。
【0009】
この1つの真空遮断器と直接に接触しているか、又は、この1つの真空遮断器からわずか数ミリメートルの間隔を有する複数の制御要素は、以下では、少なくとも1つの真空遮断器上に直接に配置されているものと見なされる。特に、これらの制御要素は、この真空遮断器のハウジングとは別の共通のハウジング内には設置されていない。複数の制御要素を少なくとも1つの真空遮断器上に直接に設置することにより、特に、例えばクリーンエアが充填され電気フラッシュオーバのリスクが低減された少なくとも1つの共通のハウジング内での、複数の制御要素及び少なくとも1つの真空遮断器の、コンパクトで、省スペースで、低コストのアセンブリが可能となる。コンパクトな構造は、材料節約、特に小さいハウジングサイズを可能にし、コストを低減し、コンパクトなアセンブリにおけるクリーンエアのような代替の開閉ガスの使用を可能にし、真空遮断器の簡単で環境に優しい使用を可能にする。
【0010】
この真空遮断器は、少なくとも1つの主シールドと少なくとも2つのセラミックセグメントとを有する1つの外被を含むことができ、この少なくとも1つの主シールドは少なくとも2つのセラミックセグメントの間に配置することができる。この少なくとも1つの制御要素は、真空遮断器の外被上に直接に、外被の少なくとも1つのセラミックセグメント上に特に直接に配置することができる。少なくとも1つの制御要素を真空遮断器の外被上に直接に、外被の少なくとも1つのセラミックセグメント上に特に直接に配置することにより、省スペース構造が可能となり、上述の利点を有するとともに、セラミックセグメントの電気絶縁特性により、電気絶縁耐力が高められる。
【0011】
少なくとも1つの制御要素は少なくとも1つのコンデンサ及び/又は少なくとも1つの抵抗器を含むことができる、及び/又は、少なくとも1つの制御要素は少なくとも1つのコンデンサ及び/又は少なくとも1つの抵抗器とすることができる、及び/又は、全ての制御要素は複数のコンデンサ及び/又は複数の抵抗器で構成することができる。複数のコンデンサ及び抵抗器は、複数の真空遮断器上での電圧配分に適しており、あるいは、例えば、開状態の開閉接点、主シールド及び/又は複数のセラミックセグメントのような真空遮断器の複数の構成要素にわたる電圧降下を制御するのに、又は、この電圧降下に的確に影響を及ぼすのに適している。特に、複数のコンデンサ又は複数の抵抗器、又は、複数のコンデンサと複数の抵抗器の組合せは、複数の真空遮断器に沿って、所定の所望の電圧配分、又は、所定の所望の電位降下を発生させるのに適している。この場合、これらのコンデンサ及び抵抗器は、安価で、コンパクトで、かつ、容易に製造し、取り付けることができる。
【0012】
少なくとも2つの制御要素、特に3つ以上の制御要素を含むことが可能であり、これらの制御要素は少なくとも1つの真空遮断器の円周上に円形に又は同心状に、この真空遮断器を取り巻いて配置されている。このようなアセンブリにより、1つの真空遮断器の周囲の均一な電界分布及び電圧配分、必要な静電容量及び/又はオーム抵抗の省スペース的な分割が、必要なスペースが少なくてすむ、複数の個別ユニットにおいて可能となる。
【0013】
1つのシールドリング、特にリング状及び/又は円形のシールドリングを含むことが可能であり、このシールドリングは真空遮断器の外被上に特に直接に配置することができる、及び/又は、真空遮断器の円周を包囲することができる。複数のこのようなシールドリングは、真空遮断器の外向きの電界の良好なシールド、及び、真空遮断器周辺の電界及び/又は磁界の分布の均一化を可能にする。これらのシールドリングは、真空遮断器内のシールド又は蒸気シールドと電気的に及び/又は機械的に接続することができる。
【0014】
複数のシールドリングを含むことが可能であり、これらのシールドリングはそれぞれ、真空遮断器の長軸方向において互いに離間して、各セラミックセグメントの周囲に配置されている。複数のシールドリングにより、上述の利点を容易に、かつ、その真空遮断器全体の周りで達成することができる。
【0015】
少なくとも1つの制御要素は、少なくとも1つの固定接点と少なくとも1つの可動接点との間で、特に、少なくとも1つの固定接点と1つのシールドリングの間に、及び/又は、少なくとも1つの固定接点と1つの主シールドの間に、及び/又は、1つのシールドリングと1つの主シールドの間に、及び/又は、2つのシールドリングの間に、及び/又は、少なくとも1つの可動接点と1つのシールドリングの間に、及び/又は、少なくとも1つの可動接点と1つの主シールドの間に、電気的に及び/又は空間的に配置することができる。これらの制御要素の電気的接触は、両接点、複数のシールドリング、及び/又は、主シールドを介して行うことができる。複数の制御要素を真空遮断器の円周上で、複数の接点、複数のシールドリング及び/又は主シールドの間に、このように直接に配置することにより、省スペースでコンパクトなアセンブリ、簡単な電気的接触、真空遮断器の円周の周りでの均等な配置による均一な電界分布、及び、複数の接点、複数のシールドリング及び/又は主シールドの間の、静電容量及び/又はオーム抵抗の特に均一で離散的な分割が可能となる。
【0016】
少なくとも1つの制御要素及び/又は複数の制御要素の総静電容量は10~4000pFの範囲、特に500~4000pFの範囲とすることができる。これらの値は、真空遮断器の長軸に沿った及び/又は円周に沿った、的確で規定された電圧配分ないし電圧分割を可能にし、特に52kV以上の範囲の高電圧における電圧配分のための総合値を含んでいる。この真空遮断器は、高電圧範囲、特に52kV以上の範囲で電圧を開閉するように設計することができる。
【0017】
上述の真空遮断器を複数含む本発明によるアセンブリは、少なくとも2つ、特に、2つよりも多い真空遮断器を含み、これらは電気的に直列に接続することができる。高電圧レベル、特に52kV以上の範囲の高電圧の開閉は、このようにして、低コストで、製造が容易な複数の真空遮断器を使用して行うことができる。それぞれが複数の真空遮断器の円周及び/又は長軸に沿って設置されている複数の制御要素を用いた上述したような電圧配分により、複数の真空遮断器上の電圧配分、及び、次々に直列に接続されている個々の真空遮断器の的確な電圧配分が可能となる。これにより、特に、省スペースでコンパクトな構造又はアセンブリにおける上述した利点を達成することができる。
【0018】
本発明によるアセンブリは、1つの金属タンクハウジング及び/又は絶縁ハウジングを含むことができ、その中に真空遮断器又は真空遮断器を配置することができ、特に、絶縁ガスとしてクリーンエアが充填された金属タンクハウジング及び/又は絶縁ハウジングを有する。複数の制御要素を円周及び/又は長軸に沿って真空遮断器上に直接に配置するコンパクトなアセンブリにより、材料費及びコスト支出が少ない、コンパクトな金属タンクハウジング及び/又は絶縁ハウジングが可能になり、電気フラッシュオーバのリスクが低減され、絶縁ガス量が低減され、及び/又は、コンパクトで、例えば低コストで入手可能な標準ハウジング内でクリーンエアのような気候に優しい又は気候にニュートラルな絶縁ガスを使用することが可能になる。
【0019】
複数の真空遮断器、特に上述の複数の真空遮断器の、及び/又は、複数の真空遮断器を含む上述のアセンブリの、電圧配分を行うための本発明による方法は、電圧配分が、複数の真空遮断器上に直接配置された複数の制御要素によって、特に複数のコンデンサ及び/又は複数の抵抗器によって行われることを含む。
【0020】
複数の真空遮断器、特に上述の複数の真空遮断器の、及び/又は、上述の複数の真空遮断器を備えるアセンブリの本発明による請求項12に記載の電圧配分方法の利点、及び、複数の真空遮断器を備える本発明による請求項10に記載のアセンブリの利点は、電圧開閉用の本発明による請求項1に記載の真空遮断器の利点と同様であり、その逆も然りである。
【0021】
以下で、本発明の複数の実施例を模式的に示し、さらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】電圧開閉のための本発明による真空遮断器1を側面から斜めに見た模式図で、真空遮断器の外被2上に直接に複数の制御要素8が配置されている。
図2図1の真空遮断器が2つ直列に接続されている本発明によるアセンブリ11を示し、このアセンブリ11は1つのハウジング9内に含まれており、このハウジングには絶縁ガスとして例えばクリーンエアが充填されている。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は電圧、特に52kV以上の範囲の高電圧を開閉のための本発明による真空遮断器1を側面から斜めに見た模式図である。この真空遮断器1は1つの外被2を有し、この外被は、とりわけ、中央部の1つの主シールド5と、その左右にそれぞれ隣接するセラミックセグメント6とを備える。この主シールド5及びこれらのセラミックセグメント6は、中空円筒形又は筒状に形成されており、真空遮断器1の両端部でそれぞれ流体密に封止されている。真空遮断器1の内部は排気されており、すなわち、真空である。接点3及び4が真空遮断器1の両端部から真空遮断器1の外被2内に突き出し、例えば、固定接点3は円筒の一方の側面から、すなわち、ベース面から、可動接点4は円筒すなわち真空遮断器の他方の側面から、すなわち、カバー面から、突き出ている。
【0024】
主シールド5は、例えば金属、特にステンレス鋼で作られ、例えば、内部に複数の蒸気シールドを備えているが、これらは簡略化のために図示されていない。複数の中空円筒状のセラミックセグメント6は例えば、焼結セラミックから製造され、特に表面処理されている。接点3及び4は、例えば銅製で、特にボルト状であり、真空遮断器1の内部に、例えばスリット付きの皿状の端部を有する。固定接点3は、真空遮断器1の一端で蓋状の閉鎖部と流体密に接続されており、この閉鎖部は、例えば金属、特に銅及び/又は鋼で作られている。可動接点4は真空遮断器1の他端で蓋状の閉鎖部と流体密に接続され、例えばベローズを介して移動可能に支承されているが、これは図1では簡略化のために図示されていない。ここで、この閉鎖部は、例えば金属、特に銅又は鋼で製造されている。
【0025】
この真空遮断器は、外部に導かれた固定接点3及び可動接点4のボルトを介して電気的に接続可能である。可動接点4は、閉路する際には、固定接点3に向かって移動することにより、すなわち、接点3及び4の皿状の両接点端部の間のギャップを閉じることにより、電気的なスイッチングを可能とし、遮断する際には、固定接点3から離れる動作により、すなわち、接点3及び4の皿状の両接点端部の間にギャップを生じさせることにより、電気的なスイッチングを可能とする。接点3及び4の両接点端部間のギャップ、及び、両接点端部自体は真空遮断器1の排気された内部に配置されているので、特に高電圧を遮断するためには、数ミリメートルから数センチメートルまでの範囲のギャップで十分である。この真空遮断器1は、例えば、長さが特に30~100cmの範囲であり、円周が特に10~100cmの範囲である。
【0026】
本発明によれば、複数の制御要素8が真空遮断器1の外被2上に直接に配置されている。これらの制御要素8は、例えばコンデンサ及び/又は抵抗器である。コンデンサは特にセラミックコンデンサであり、個々のコンデンサの静電容量の値は例えば、10~4000pFの範囲である。したがって、このアセンブリの総静電容量は例えば10~4000pFの範囲である。抵抗器は、特にオーム抵抗器であり、個々の抵抗器の値は例えば数オームから数百オームまで、又は、数千オームまで、又は、数万オームまで、又は、数十万オームまでの範囲である。したがって、総抵抗値は、数オームから数百オームまで、数千オームまで、数万オームまで、又は、数十万オームまで、の範囲となる。
【0027】
制御要素8の形状は、例えば、円筒形、長方形、及び/又は、楕円形である。真空遮断器1の外被2の円周に沿った制御要素8のアセンブリは、例えば円周の断面に沿って円形に実施される。ここで、これらの制御要素は、特に互いに規則的に及び/又は等間隔に、特に互いに並列に相互接続され、及び/又は、真空遮断器1の長軸に沿って電気的に直列に相互接続される。隣接し互いに直列に接続された複数の制御要素8の電気的接触は、例えば、それぞれ真空遮断器1の円周の断面に沿って円形又はリング状に配置又は形成されている複数のシールドリング7を介して実施され、これら複数のシールドリング7は真空遮断器1の長軸に沿って互いに離間している。
【0028】
図1に示すように、これらの制御要素8は、例えば、真空遮断器1の外被2の円周に沿って、真空遮断器1の円周の円形断面上に電気的に及び空間的に間隔を置いて配置されており、真空遮断器1の長軸に沿って、固定接点3と可動接点4の間に、特に固定接点3と1つの蒸気シールド7の間に、隣接した2つの蒸気シールド7の間に、1つの蒸気シールド7と主シールド5の間に、主シールド5と1つの蒸気シールド7の間に、隣接した2つの蒸気シールド7の間に、1つの蒸気シールド7と可動接点4の間に、特に対称的に配置されている。この場合、複数の蒸気シールド7及び1つの主シールド5は、複数の制御要素8相互の良好な導電接触、及び、例えば、真空遮断器1の両端部の蓋状の閉鎖部を介しての、特に可動接点4ではベローズを介しての、接点5と6との良好な導電接触を行うのに役立つ。
【0029】
これらのシールドリング7は、例えば金属、特に銅及び/又は鋼で作られており、真空遮断器1内に突き出ている特に複数の蒸気シールドによりセラミックセグメント6を分割することができる。複数のセラミックセグメント6、主シールド5、複数のシールドリング7、複数の蓋状の閉鎖部のような真空遮断器1の構成要素の、及び/又は、制御要素8との接続は、例えば、ろう付け及び/又は導電性接着接合によって行われる。真空遮断器1上の、又は、真空遮断器1の外被2上の、制御要素8の直接の設置は、外被2との材料結合的な機械的接触を含むか、及び/又は、数ミリメートルの範囲の小さな間隔を有し、この場合、外被との直接接触は、例えば、複数の蒸気シールド7、主シールド5、及び/又は、蓋状の閉鎖部を介して行われる。
【0030】
これらの制御要素8は複数のシールドリング7間で、例えば、真空遮断器1の長軸に沿って長軸に平行に、特に、直線状に又は曲線状に、又は、それぞれ互いにオフセットされて配置されている。真空遮断器1の円周上の制御要素8のこの配置は、例えば、規則的な又は不規則なパターンを作り出す。真空遮断器1又はその外被2の円周上の制御要素8の直接の配置は、断面が最小で省スペースなアセンブリである。
【0031】
図2では、本発明による複数の真空遮断器1のアセンブリ11に従って、本発明の図1による真空遮断器1が2つ直列に配置されている。複数の真空遮断器1が1つのハウジング9内に配置されている、又は、このハウジング9によって空間的に囲まれている。このハウジング9は、例えば、気密封止された金属タンク及び/又は気密封止された絶縁体ハウジングである。金属タンクハウジングは、例えば、鋼及び/又はアルミニウム製で、特にデッドタンクの方式により接地電位に印加されている。絶縁体ハウジングは、例えば、セラミック、シリコーン、及び/又は、複合材料からなり、特に、漏れ電流経路を延ばすためのリブ付きの外面を有する。ハウジング9は、絶縁ガス10として例えば、気候にニュートラルなクリーンエアで充填されている。これに代えて、SF6及び/又はCO2のような絶縁ガス10を使用することもできる。
【0032】
これらの真空遮断器1は、図2に示すように、両方の固定接点3を介して互いに接続され、特に直接接続されている。代案として、これらの真空遮断器1は両方の可動接点4を介して、特に電気的及び機械的に互いに接続することも可能であり、又は、1つの可動接点4と1つの固定接点3を介して接続することもできる。電気的開閉時に可動接点4を駆動するために、1つ又は複数の駆動装置、例えば、モータ駆動装置及び/又はバネ式駆動装置が設けられているが、これらは簡略化のために図面には示されていない。例えば、1つの可動接点4ごとに1つの駆動装置が設けられるか、又は、複数の可動接点4を機械的に駆動するために特に1つのギアを有する1つの共通の駆動装置が含まれている。
【0033】
上述の複数の実施例は互いに組み合わせることができ、及び/又は、従来技術と組み合わせることができる。したがって、例えば、2つよりも多い真空遮断器1を、特に直列に及び/又は並列に相互接続することができる。制御要素8は、異なる形状、特に、円筒形、ベース面と上面が楕円形の筒形、長方形、正方形、及び/又は、凸形及び/又は凹形の表面を有する形状を有することができる。制御要素8の固定は、例えば真空遮断器1上で、特に銅部品のような金属部品へのろう付けによって、ねじ止めによって、接着接合によって、クランプによって、及び/又は、溶接によって行われる。複数の制御要素8は外被2に、特にセラミックセグメント6に、特に絶縁性塗料及び/又は表面処理によってセラミックセグメント6から電気的に絶縁された状態で、例えば直接に摩擦接合的に設置されており、及び/又は、特にバネ結合により固定されている。及び/又は、これらの制御要素8は外被2に、特にセラミックセグメント6に、例えば直接に、セラミックセグメント6から僅かな間隔を置いて、特に、複数の蒸気シールド7、主シールド5、及び/又は、接点3、4の間で、例えば、ねじ止めされ、クランプされ、ろう付けされ、接着されており、及び/又は、特にバネ結合により固定されている。僅かな間隔は、例えば、数ミリメートルから1センチメートルまでの範囲である。
【0034】
複数の制御要素8が、例えば、1つの真空遮断器1又は複数の真空遮断器1の外被2上に、個別の部品として、特に互いに離間して配置されている。この場合、アセンブリは、例えば、真空遮断器1の例えば円形断面に沿ってリング状に行われ、真空遮断器1の長軸に沿って複数の異なるリングが設置されている。複数の異なるリングにおける隣接する複数の制御要素8は、例えば直線上に、又は、互いにオフセットされて配置されている。あるいは、これらの制御要素8は、例えば、螺旋線上に、すなわち、スパイラルに配置することができる。別の複数のアセンブリ、及び/又は、複数のアセンブリの組合せも可能である。
【0035】
本発明による上述の真空遮断器1、及び、複数の真空遮断器1が次々に特に直列に相互接続された本発明によるアセンブリを用いて、複数の制御要素8を介して、複数の真空遮断器1に亘る電圧配分が可能である。例えば異なる長さのセラミックセグメント6のような真空遮断器1及び/又は真空遮断器1の要素に、制御要素8及びその相互接続の選択を介して、電圧を一様に又は異なるように所定の方法で割り当てることができる。1つの真空遮断器1又は複数の真空遮断器1上での複数の制御要素8のこのアセンブリにより、コンパクトで省スペースな構造が可能となり、そのことにより、低コストで、空間的に最小限に抑えられたハウジング9が可能となり、特に、小さい、又は、最小化された、及び/又は、標準寸法を備えたハウジングと共に、クリーンエアのような絶縁ガスの使用が可能となる。
【符号の説明】
【0036】
1 真空遮断器
2 外被
3 固定接点
4 可動接点
5 主シールド
6 セラミックセグメント
7 シールドリング
8 制御要素
9 ハウジング
10 絶縁ガス
11 複数の真空遮断器を有するアセンブリ

図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2024-03-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧を開閉するための真空遮断器(1)であって、少なくとも1つの外被(2)を備え、少なくとも1つの固定接点(3)を備え、及び、少なくとも1つの可動接点(4)を備えた真空遮断器において、
少なくとも1つの制御要素(8)が含まれており、
前記制御要素(8)が少なくとも1つの真空遮断器(1)上に直接に配置されている、
ことを特徴とする真空遮断器(1)。
【請求項2】
前記真空遮断器(1)が、少なくとも1つの主シールド(5)と少なくとも2つのセラミックセグメント(6)とを有する1つの外被(2)を含み、
前記少なくとも1つの主シールド(5)が、前記少なくとも2つのセラミックセグメント(6)の間に配置されており、
前記複数の制御要素(8)が、前記真空遮断器(1)の前記外被(2)上に直接に配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の真空遮断器(1)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの制御要素(8)が、少なくとも1つのコンデンサ及び/又は少なくとも1つの抵抗器を含み、及び/又は、
前記少なくとも1つの制御要素(8)が、少なくとも1つのコンデンサ及び/又は少なくとも1つの抵抗器である、及び/又は、
全ての制御要素が、複数のコンデンサ及び/又は複数の抵抗器で構成されている、ことを特徴とする請求項に記載の真空遮断器(1)。
【請求項4】
少なくとも2つの制御要素(8)を含み、
前記制御要素(8)が前記少なくとも1つの真空遮断器(1)の円周上に円形に配置されていることを特徴とする請求項に記載の真空遮断器(1)。
【請求項5】
リング状及び/又は円形に形成された少なくとも1つのシールドリング(7)を含み、
前記少なくとも1つのシールドリング(7)が、前記真空遮断器(1)の前記外被(2)上に特に直接に配置されており、及び/又は、前記真空遮断器(1)の円周を囲んでいる、
ことを特徴とする請求項に記載の真空遮断器(1)。
【請求項6】
複数のシールドリング(7)を含み、
前記複数のシールドリング(7)のそれぞれが、前記真空遮断器(1)の長軸方向において互いに離間して、各セラミックセグメント(6)の周囲に配置されていることを特徴とする請求項5に記載の真空遮断器(1)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの制御要素(8)が、前記少なくとも1つの固定接点(3)と前記少なくとも1つの可動接点(4)との間に、及び/又は、
少なくとも1つの固定接点(3)と主シールド(5)の間に、及び/又は、
1つのシールドリング(7)と主シールド(5)の間に、及び/又は、
2つのシールドリング(7)の間に、及び/又は、
少なくとも1つの可動接点(4)と1つのシールドリング(7)の間に、及び/又は、
少なくとも1つの可動接点(4)と主シールド(5)の間に、
電気的に及び/又は空間的に配置されている、
ことを特徴とする請求項に記載の真空遮断器(1)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの制御要素(8)及び/又は前記複数の制御要素(8)の総静電容量が、10~4000pFの範囲内であることを特徴とする請求項に記載の真空遮断器(1)。
【請求項9】
前記真空遮断器(1)が、高電圧範囲の電圧を開閉するように形成されていることを特徴とする請求項に記載の真空遮断器(1)。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の真空遮断器を複数備えるアセンブリ(11)であって、
少なくとも2つの真空遮断器(1)が電気的に直列に接続されていることを特徴とするアセンブリ。
【請求項11】
前記複数の真空遮断器(1)が内部に配置され、絶縁ガス(10)として、特にクリーンエアが充填されている1つの金属タンクハウジング及び/又は絶縁ハウジング(9)を含むことを特徴とする請求項10に記載のアセンブリ(11)。
【請求項12】
請求項1から9のいずれか1項に記載の複数の真空遮断器(1)の電圧配分方法、又は、請求項10に記載の複数の真空遮断器のアセンブリ(11)の電圧配分方法であって、
電圧配分が複数の制御要素(8)を用いて行われることを特徴とする電圧配分方法。
【国際調査報告】