(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】ヒトフィブロネクチンIII型タンパク質スキャフォールド
(51)【国際特許分類】
C12N 15/12 20060101AFI20240719BHJP
C40B 40/10 20060101ALI20240719BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20240719BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20240719BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20240719BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240719BHJP
C07K 14/78 20060101ALI20240719BHJP
A61K 38/39 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
C12N15/12
C40B40/10 ZNA
C12N1/15
C12N1/21
C12N1/19
C12N5/10
C07K14/78
A61K38/39
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503371
(86)(22)【出願日】2022-07-19
(85)【翻訳文提出日】2024-02-15
(86)【国際出願番号】 US2022037586
(87)【国際公開番号】W WO2023003874
(87)【国際公開日】2023-01-26
(32)【優先日】2021-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522149186
【氏名又は名称】アロ・バイオセラピューティクス・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】ロナルド・ヴィー・スワンソン
(72)【発明者】
【氏名】ジャンナ・ドルジーナ
(72)【発明者】
【氏名】ヤオ・シン
(72)【発明者】
【氏名】カリン・オニール
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA87X
4B065AA93Y
4B065AB01
4B065CA60
4C084AA02
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA20
4C084BA23
4C084DA40
4H045AA10
4H045BA21
4H045CA40
4H045EA60
(57)【要約】
代替結合表面設計を有するフィブロネクチンIII型(FN3)ドメインに基づくタンパク質スキャフォールドおよびスキャフォールドライブラリー、タンパク質スキャフォールドをコードする単離核酸、ベクター、宿主細胞、それらを作製する方法、ならびに疾患および障害の処置ならびに診断のための治療分子としての使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多様化Cベータ鎖、CDループ、Dベータ鎖、Fベータ鎖、FGループおよびGベータ鎖を含む多様化C-CD-D-F-FG-G代替表面を有する複数のフィブロネクチンIII型モジュール(FN3)ドメイン(ポリペプチド)を含むライブラリーであって、ポリペプチドは、下記:
MLSPPSNLRVTDVTSTSVTLSWKPPAPITGYXVXYXEXXXXGEWKXVXVPGSETSYTVTGLKPGTEYXFXVXAVNGAXXGXPSQXVXVTT(配列番号44)
のアミノ酸配列または配列番号44のアミノ酸配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一のアミノ酸配列を含み、Xはそれぞれ独立して、任意のアミノ酸である、ライブラリー。
【請求項2】
Xはそれぞれ独立して、メチオニンまたはシステインを除く任意のアミノ酸である、請求項1に記載のライブラリー。
【請求項3】
ポリペプチドは、多様化C-CD-D-F-FG-G代替表面を有するFN3ドメインライブラリーを形成するようにCベータ鎖、CDループ、Dベータ鎖、Fベータ鎖、FGループ、またはGベータ鎖のうちの1つもしくはそれ以上、またはそのそれぞれにおいて配列番号24と比較した場合に少なくとも1つの突然変異アミノ酸残基を含む、請求項1または2に記載のライブラリー。
【請求項4】
複数のポリペプチドは、配列番号24の32、34、36、38、39、40、41、46、48、68、70、72、78、79、81、85、および/または87位に相当する位置に1つまたはそれ以上の突然変異(例えば、置換、挿入、または欠失)を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載のライブラリー。
【請求項5】
多様化Cベータ鎖は、TGYXVXYXE(配列番号45)のアミノ酸配列を有し、Xはそれぞれ独立して、メチオニンまたはシステインを除く任意のアミノ酸である、請求項1~4のいずれか1項に記載のライブラリー。
【請求項6】
多様化CDループは、XXXXGE(配列番号46)のアミノ酸配列を有し、Xはそれぞれ独立して、メチオニンまたはシステインを除く任意のアミノ酸である、請求項1~5のいずれか1項に記載のライブラリー。
【請求項7】
多様化Dベータ鎖は、WKXVXVP(配列番号47)のアミノ酸配列を有し、Xはそれぞれ独立して、メチオニンまたはシステインを除く任意のアミノ酸である、請求項1~6のいずれか1項に記載のライブラリー。
【請求項8】
多様化Fベータ鎖は、TEYXFXVXAV(配列番号48)のアミノ酸配列を有し、Xはそれぞれ独立して、メチオニンまたはシステインを除く任意のアミノ酸である、請求項1~7のいずれか1項に記載のライブラリー。
【請求項9】
多様化FGループは、NGAXXG(配列番号49)のアミノ酸配列を有し、Xはそれぞれ独立して、メチオニンまたはシステインを除く任意のアミノ酸である、請求項1~8のいずれか1項に記載のライブラリー。
【請求項10】
多様化Gベータ鎖は、アミノ酸配列XPSQXVXVTT(配列番号50)を有し、Xはそれぞれ独立して、メチオニンまたはシステインを除く任意のアミノ酸である、請求項1~9のいずれか1項に記載のライブラリー。
【請求項11】
配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、および43からなる群から選択される配列と少なくとも、もしくは約、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるか、またはそれと同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載のライブラリー。
【請求項12】
多様化Cベータ鎖は、TGYXVXYXE(配列番号45)のアミノ酸配列を有し、Xはそれぞれ独立して、メチオニンまたはシステインを除く任意のアミノ酸であり;
多様化CDループは、XXXXGE(配列番号46)のアミノ酸配列を有し、Xはそれぞれ独立して、メチオニンまたはシステインを除く任意のアミノ酸であり;
多様化Dベータ鎖は、WKXVXVP(配列番号47)のアミノ酸配列を有し、Xはそれぞれ独立して、メチオニンまたはシステインを除く任意のアミノ酸であり;
多様化Fベータ鎖は、TEYXFXVXAV(配列番号48)のアミノ酸配列を有し、Xはそれぞれ独立して、メチオニンまたはシステインを除く任意のアミノ酸であり;
多様化FGループは、NGAXXG(配列番号49)のアミノ酸配列を有し、Xはそれぞれ独立して、メチオニンまたはシステインを除く任意のアミノ酸であり;
多様化Gベータ鎖は、アミノ酸配列XPSQXVXVTT(配列番号50)を有し、Xはそれぞれ独立して、メチオニンまたはシステインを除く任意のアミノ酸である、
請求項1~11のいずれか1項に記載のライブラリー。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載のライブラリーを生産する方法であって、複数のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを発現することを含む方法。
【請求項14】
Cベータ鎖、CDループ、Fベータ鎖、FGループおよびGベータ鎖の多様化された1つもしくはそれ以上、またはそれぞれを含む多様化C-CD-F-FG-G代替表面を有するIII型(FN3)ドメインのフィブロネクチンモジュールのライブラリーを作製する方法であって、
a.配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43または44のアミノ酸配列と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を有する参照FN3ドメインポリペプチドを供給することと;
b.多様化C-CD-F-FG-G代替表面を有するFN3ドメインライブラリーを形成するようにCベータ鎖、CDループ領域、Fベータ鎖領域、FGループ領域、またはGベータ鎖領域において少なくとも1つの残基を突然変異させることによって、参照FN3ドメインポリペプチドに多様性を導入すること
とを含み、ここで:
多様化Cベータ鎖は、TGYXVXYXE(配列番号45)のアミノ酸配列を有し、Xはそれぞれ独立して、メチオニンまたはシステインを除く任意のアミノ酸であり;
多様化CDループは、XXXXGE(配列番号46)のアミノ酸配列を有し、Xはそれぞれ独立して、メチオニンまたはシステインを除く任意のアミノ酸であり;
多様化Dベータ鎖は、WKXVXVP(配列番号47)のアミノ酸配列を有し、Xはそれぞれ独立して、メチオニンまたはシステインを除く任意のアミノ酸であり;
多様化Fベータ鎖は、TEYXFXVXAV(配列番号48)のアミノ酸配列を有し、Xはそれぞれ独立して、メチオニンまたはシステインを除く任意のアミノ酸であり;
多様化FGループは、NGAXXG(配列番号49)のアミノ酸配列を有し、Xはそれぞれ独立して、メチオニンまたはシステインを除く任意のアミノ酸であり;
多様化Gベータ鎖は、アミノ酸配列XPSQXVXVTT(配列番号50)を有し、Xはそれぞれ独立して、メチオニンまたはシステインを除く任意のアミノ酸である、
方法。
【請求項15】
請求項13または14に記載の方法によって生産されたライブラリー。
【請求項16】
標的分子に結合するか、または特異的に結合する多様化C-CD-D-F-FG-G代替表面を有するフィブロネクチンIII型モジュール(FN3)ドメインを含むポリペプチドを得る方法であって、請求項1~12のいずれか1項に記載のライブラリーを標的分子と接触させることと、標的分子に結合するか、または特異的に結合するポリペプチドを単離することとを含む方法。
【請求項17】
配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、および43からなる群から選択される配列と少なくとも、もしくは約、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるか、またはそれと同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチド。
【請求項18】
下記:
MLSPPSNLRVTDVTSTSVTLSWKPPAPITGYXVXYXEXXXXGEWKXVXVPGSETSYTVTGLKPGTEYXFXVXAVNGAXXGXPSQXVXVTT(配列番号44)
のアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、Xはそれぞれ独立して、任意のアミノ酸であるポリペプチド。
【請求項19】
Xはそれぞれ独立して、メチオニンまたはシステインを除く任意のアミノ酸である、請求項18に記載のポリペプチド。
【請求項20】
下記:
LSPPSNLRVTDVTSTSVTLSWKPPAPITGYXVXYXEXXXXGEWKXVXVPGSETSYTVTGLKPGTEYXFXVXAVNGAXXGXPSQXVXVTT(配列番号74)
のアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、Xはそれぞれ独立して、任意のアミノ酸であるポリペプチド。
【請求項21】
Xはそれぞれ独立して、メチオニンまたはシステインを除く任意のアミノ酸である、請求項20に記載のポリペプチド。
【請求項22】
請求項17~21のいずれか1項に記載のポリペプチドを含む医薬組成物。
【請求項23】
請求項22に記載のポリペプチドをコードする核酸分子。
【請求項24】
請求項1~12のいずれか1項に記載のポリペプチドのライブラリーをコードする複数の核酸分子。
【請求項25】
請求項24に記載の核酸分子を含む宿主細胞。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2021年7月19日に出願された米国仮出願第63/203,343号の優先権を主張し、その全体を参照によって本明細書に組み入れる。
【0002】
本開示は、フィブロネクチンIII型(FN3)ドメイン分子ならびに当該分子を作製する方法および使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
モノクローナル抗体は、標的分子に対する高い親和性および特異性が望ましい場合に、最も広く使用される種類の治療用タンパク質である。しかしながら、一般にタンパク質スキャフォールドと称される所望の標的分子を結合するよう操作することができる比較的明確な三次元構造を有する非抗体タンパク質は、それらの小さなサイズ、ジスルフィド結合の欠如、高い安定性、および原核生物宿主において発現される能力に起因して、伝統的な抗体を上回る利点を有する場合がある。これらのスキャフォールドは通常、特異的または無作為な配列変異に適している1つまたはそれ以上の領域を含有し、そのような配列無作為化は多くの場合、所望の産物が選択されるタンパク質のライブラリーを生産するために実行される。新規精製方法が容易に適用される;スキャフォールドは、薬物/毒素に容易にコンジュゲートされ、効率的に組織に浸透し、多特異的結合剤へとフォーマットされる(非特許文献1;非特許文献2)。
【0004】
そのようなタンパク質スキャフォールドの1つは、7つのベータ鎖によって結合された6つのループを有する特徴的な三次構造を有する、多数のタンパク質において同定されているフィブロネクチンIII型(FN3)ドメインである。3つのループ、特にFG、BC、およびDEループは、抗体の相補性決定領域(CDR)と構造的に類似している。これらのループは、重要な生物物理学的特性を保持しながら、多くの異なる標的に対する特異的結合剤を首尾よく選択するFN3ドメインスキャフォールドのライブラリーを生成するよう無作為化されてきた(非特許文献3;非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6;非特許文献7;非特許文献8;非特許文献9)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】BinzおよびPluckthun、Curr Opin Biotechnol、16、459~469頁、2005
【非特許文献2】Skerra、J Mal Recognit、13、167~187頁、2000
【非特許文献3】Getmanovら、Chem Biol、13、549~556頁、2006
【非特許文献4】Hackelら、J Mol Biol、381、1238~1252頁、2008
【非特許文献5】Karatanら、Chem Biol、11、835~844頁、2004
【非特許文献6】Koideら、J Mol Biol、284、1141~1151頁、1998
【非特許文献7】Koideら、Proc Natl Acad Sci US A、104、6632~6637頁、2007
【非特許文献8】Parkerら、Protein Eng Des Sel、18、435~444頁、2005
【非特許文献9】Xuら、Chemistry & Biology、9、933~942頁、2002
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
標的分子に結合することによって、オリゴヌクレオチドベースの治療薬のような治療薬の送達を容易にすることができるか、または直接的な治療効果を有するターゲティング部分として使用することができる代替結合ドメインが必要とされる。本開示は、そのような改善されたタンパク質を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一部の実施形態では、複数のフィブロネクチンIII型モジュール(FN3)ドメイン(ポリペプチド)を含むライブラリーが提供され、ライブラリーは、多様化Cベータ鎖、CDループ、Dベータ鎖、Fベータ鎖、FGループおよびGベータ鎖を含む多様化C-CD-D-F-FG-G代替表面を有し、ここで、ポリペプチドは、配列番号44のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、または95%同一のアミノ酸配列を含み;ここで、複数のポリペプチドは、多様化C-CD-D-F-FG-G代替表面を有するFN3ドメインライブラリーを形成するようにCベータ鎖、CDループ、Dベータ鎖、Fベータ鎖、FGループ、およびGベータ鎖のうちの1つもしくはそれ以上、またはそのそれぞれにおいて配列番号24と比較した場合に少なくとも1つの突然変異アミノ酸残基を含む。
【0008】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるライブラリーを生産する方法が提供される。
【0009】
一部の実施形態では、ヒトフィブロネクチンIII型(FN3)ドメインのライブラリーを作製する方法が提供され、ここで、ライブラリーは、Cベータ鎖、CDループ、Dベータ鎖、Fベータ鎖、FGループ、およびGベータ鎖のうちの多様化された1つもしくはそれ以上、またはそのそれぞれを含む多様化C-CD-D-F-FG-G代替表面を含み、当該方法は、配列番号44のアミノ酸配列と少なくとも80、85、または90%同一のアミノ酸配列を有する参照FN3ドメインポリペプチドを供給することと;多様化C-CD-D-F-FG-G代替表面を有するヒトFN3ドメインライブラリーを形成するように下記ドメイン:Cベータ鎖、CDループ、Fベータ鎖、FGループ、およびGベータ鎖残基のいずれか1つの少なくとも1つの残基を突然変異させることによって、参照FN3ドメインポリペプチドに多様性を導入することとを含む。
【0010】
一部の実施形態では、本明細書に記載される方法によって生産されたライブラリーが提供される。
【0011】
一部の実施形態では、標的分子に特異的に結合する多様化C-CD-D-F-FG-G代替表面を有するヒトフィブロネクチンIII型モジュール(FN3)ドメインを含むタンパク質スキャフォールドを得る方法が提供され、当該方法は、ライブラリーを標的分子と接触させるか、またはパニングすることと、既定の親和性を有する標的分子に特異的に結合するタンパク質スキャフォールドを単離することとを含む。
【0012】
一部の実施形態では、標的分子に結合するか、または特異的に結合する多様化C-CD-D-F-FG-G代替表面を有するフィブロネクチンIII型モジュール(FN3)ドメインを含むポリペプチドを得る方法が提供され、当該方法は、本明細書に開示されるライブラリーを標的分子と接触させるか、またはパニングする(スクリーニングする)ことと、標的分子に結合するか、または特異的に結合するポリペプチドを単離することとを含む。
【発明を実施するための形態】
【0013】
「フィブロネクチンIII型(FN3)ドメイン」(FN3ドメイン)という用語は本明細書で使用される場合、フィブロネクチン、テネイシン、細胞内細胞骨格タンパク質、サイトカイン受容体および原核生物酵素を含むタンパク質において高頻度で出現するドメインを指す(BorkおよびDoolittle、Proc Nat Acad Sci USA 89:8990~8994頁、1992;Meinkeら、J Bacteriol 175:1910~1918頁、1993;Watanabeら、J Biol Chem 265:15659~15665頁、1990)。例示的なFN3ドメインは、ヒトテネイシンC中に存在する15個の異なるFN3ドメイン、ヒトフィブロネクチン(FN)中に存在する15個の異なるFN3ドメイン、および例えば米国特許第8,278,419号に記載されるような非天然合成FN3ドメインである。個々のFN3ドメインは、ドメイン番号およびタンパク質名、例えば、テネイシンの第3のFN3ドメイン(TN3)、またはフィブロネクチンの第10のFN3ドメイン(FN10)で言及される。
【0014】
「代替表面」という用語は本明細書で使用する場合、1つまたはそれ以上のベータ鎖、および1つまたはそれ以上のループを含むFN3ドメインの側面上の表面を指す。一部の実施形態では、代替表面は、Cベータ鎖、CDループ、Dベータ鎖、Fベータ鎖、FGループ、およびGベータ鎖におけるアミノ酸によって形成されるC-CD-D-F-FG-G表面である。一部の実施形態では、代替表面は、多様化Cベータ鎖、CDループ、Dベータ鎖、Fベータ鎖、FGループおよびGベータ鎖を含む。
【0015】
「生体サンプル」という用語は、血液、組織、骨髄、痰などを指す。
【0016】
「診断試薬」という用語は、物質が単一物質として、または診断キット中の他の物質と組み合わせて分配されていようとされていないとに関わらず、生体サンプルを分析するために使用される任意の物質を指す。
【0017】
「置換すること」もしくは「置換された」または「突然変異させること」または「突然変異された」という用語は本明細書で使用される場合、ポリペプチドもしくはポリヌクレオチド配列中の1つもしくはそれ以上のアミノ酸もしくはヌクレオチドを変更、欠失、または挿入して、当該配列のバリアントを生成することを指す。
【0018】
「無作為化すること」もしくは「無作為化された」または「多様化された」もしくは「多様化すること」という用語は本明細書で使用される場合、ポリヌクレオチドもしくはポリペプチド配列中で少なくとも1つの置換、挿入または欠失を行うことを指す。
【0019】
「バリアント」という用語は本明細書で使用される場合、1つまたはそれ以上の改変、例えば、置換、挿入もしくは欠失によって参照ポリペプチドもしくは参照ポリヌクレオチドと異なるポリペプチドまたはポリヌクレオチドを指す。
【0020】
「特異的に結合する」または「特異的結合」という用語は本明細書中で使用される場合、約1×10-6Mもしくはそれ未満、例えば約1×10-7Mもしくはそれ未満、約1×10-8Mもしくはそれ未満、約1×10-9M以下もしくはそれ未満、約1×10-10Mもしくはそれ未満、約1×10-11Mもしくはそれ未満、約1×10-12Mもしくはそれ未満、または約1×10-13Mもしくはそれ未満の解離定数(KD)で所定の抗原に結合する本明細書に記載されるFN3ドメインの能力を指す。通常、FN3ドメインは、例えばProteon Instrument(BioRad社)を使用した表面プラズモン共鳴によって測定される場合、非特異的抗原(例えば、BSAまたはカゼイン)に関するKDよりも少なくとも10倍小さいKDを有する所定の抗原(即ち、ヒトPSMA)に結合する。しかしながら、ヒトPSMAに特異的に結合する単離FN3ドメインは、他の関連抗原に対して、例えば、マカカ・ファシキュラリス(Macaca Fascicularis)(カニクイザル、cyno)またはパン・トログロディテス(Pan troglodytes)(チンパンジー)のような他の種(相同体)由来の同じ所定の抗原に対して交差反応性を有する可能性がある。
【0021】
「標的分子」という用語は本明細書で使用される場合、FN3ドメインによって認識される抗原またはエピトープを有するタンパク質、ペプチド、炭水化物、脂質などを指す。標的分子は、天然に存在してもよく、または天然に存在しなくてもよい。
【0022】
「エピトープ」という用語は本明細書で使用される場合、FN3ドメインが特異的に結合する抗原の一部を意味する。エピトープは通常、アミノ酸または多糖側鎖のような部分の化学的に活性な(極性、無極性または疎水性のような)表面集団からなり、特定の三次元構造特性、ならびに特定の電荷特性を有する可能性がある。エピトープは、コンフォメーション空間単位を形成する連続的および/または不連続的なアミノ酸で構成される。不連続的なエピトープに関して、抗原の直鎖状配列の異なる部分由来のアミノ酸は、タンパク質分子のフォールディングを介して三次元空間で極めて近接するようになる。
【0023】
「ライブラリー」という用語は、バリアントの一群を指す。ライブラリーは、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドのバリアントで構成される。
【0024】
「安定性」という用語は本明細書で使用される場合、分子の、その正常な機能的活性の少なくとも1つを保持するように生理学的条件下でフォールディングされた状態、例えば所定の抗原への結合を維持する能力を指す。
【0025】
「Tencon」は本明細書で使用される場合、米国特許出願公開第2010/0216708号に記載される配列を有する合成フィブロネクチンIII型(FN3)ドメインを指す。
【0026】
「テネイシンC」という用語は本明細書で使用される場合、GenBank Acc.No.NP_002151に示される配列を有するヒトテネイシンCを指す。テネイシンCは15個のタンデムFN3ドメインを有する。
【0027】
「がん細胞」または「腫瘍細胞」は本明細書で使用される場合、必ずしも新たな遺伝物質の取り込みを伴わない自発的なまたは誘発された表現型変化を有する、in vivo、ex vivo、および組織培養のいずれかでのがん性、前がん性または形質転換細胞を指す。形質転換は、形質転換性ウイルスによる感染および新たなゲノム核酸の組み入れ、または外因性核酸の取り込みから起こる場合があるが、形質転換はまた、自発的にまたは発癌性物質への曝露後に起こる可能性があり、それにより内因性遺伝子を突然変異させる。形質転換/がんは、例えば、in vitro、in vivo、およびex vivoでのヌードマウスのような適切な動物宿主における形態学的変化、細胞の不死化、異常な増殖制御、病巣形成、増殖、悪性腫瘍、腫瘍特異的マーカーレベル、浸潤性、腫瘍成長または抑制などによって例示される(Freshney、Culture of Animal Cells:A Manual of Basic Technique(第3版.1994))。
【0028】
「成長を阻害する」(例えば、腫瘍細胞のような細胞に言及する)は、当業者に周知の適切な対照条件において成長させた同じ細胞の成長と比較した場合に、治療薬または治療薬もしくは薬物の組合せと接触された場合のin vitroまたはin vivoでの細胞成長の測定可能な減少を指す。in vitroまたはin vivoでの細胞の成長の阻害は、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、99%、または100%であってもよい。細胞成長の阻害は、さまざまなメカニズムによって、例えばアポトーシス、壊死によって、または細胞増殖の阻害、もしくは細胞の溶解によって起こる可能性がある。
【0029】
「ベクター」という用語は、生物系内で複製されることが可能な、またはそのような系間で移動することができるポリヌクレオチドを意味する。ベクターポリヌクレオチドは通常、生物系におけるこれらのポリヌクレオチドの複製もしくは維持を促進するよう機能する複製起点、ポリアデニル化シグナルまたは選択マーカーのようなエレメントを含有する。そのような生物系の例として、細胞、ウイルス、動物、植物、およびベクターを複製することが可能な生物学的成分を利用して再構成された生物系が挙げられる。ベクターを含むポリヌクレオチドは、DNAもしくはRNA分子またはこれらのハイブリッドであってもよい。
【0030】
「発現ベクター」という用語は、発現ベクター中に存在するポリヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドの翻訳を指示するために、生物系においてまたは再構成された生物学的系において利用されるベクターを意味する。
【0031】
「ポリヌクレオチド」という用語は、糖-リン酸骨格または他の同等の共有結合化学によって共有結合されたヌクレオチドの鎖を含む分子を意味する。二本鎖および一本鎖のDNAならびにRNAは、ポリヌクレオチドの典型的な例である。
【0032】
「ポリペプチド」または「タンパク質」という用語は、ポリペプチドを形成するためにペプチド結合によって連結された少なくとも2つのアミノ酸残基を含む分子を意味する。約50個未満のアミノ酸の小さなポリペプチドは、「ペプチド」と称される。
【0033】
「と組み合わせて」という用語は本明細書で使用される場合、2つまたはそれ以上の治療薬を混合物中で一緒に対象に、投与し、単一薬剤として同時に、または任意の順序で単一薬剤として順次、投与することができることを意味する。
【0034】
「異種」という用語は、記載されるポリペプチドが、異なる細胞型または異なる種に由来しており、天然では存在しないことを意味する。
【0035】
本実施形態は、標的分子に特異的に結合するFN3ドメインを提供し、したがって、治療用途および診断用途において広く使用することができる。FN3ポリペプチドは、1つまたはそれ以上のベータ鎖および1つまたはそれ以上のループを含むドメインを有し、それらは無作為化されてタンパク質スキャフォールドを生成し、高親和性を有する標的分子を特異的に結合するタンパク質スキャフォールドを選択することができる。公開されたFN3ベースのドメインライブラリーは、抗体可変鎖におけるCDRに構造的に類似した領域である上部または下部のループを多様化し、曲線状の結合表面を提供することによって生成された。対照的に、高親和性結合分子は、参照配列に基づいて本明細書に提供されるように代替表面を無作為化することによって生成される凹面相互作用表面を示す、本明細書に提供されるFN3ドメインライブラリーから選択することができる。これは、例えば、高親和性結合タンパク質スキャフォールドが選択されるエピトープおよび標的の数を増加させるために行うことができる。一部の実施形態では、タンパク質ドメインをコードするポリヌクレオチドまたはその相補核酸、ベクター、宿主細胞、ならびにそれらを作製する方法および使用する方法が提供される。本実施形態はまた、本明細書で提供されるようなFN3ドメインのライブラリー作製する方法、および前述で作製されたライブラリーを提供する。
【0036】
フィブロネクチンIII型ドメイン
フィブロネクチンIII型(FN3)ドメイン(またはモジュール)は、フィブロネクチンにおいて最初に同定され、現在では細胞表面受容体、細胞外マトリックスタンパク質、酵素、筋肉タンパク質を含むさまざまな動物タンパク質ファミリー中に存在することが知られているプロトタイプ繰り返しドメインである。構造的に、FN3ドメインは、ジスルフィド結合の欠如を除いて、免疫グロブリン様ドメインのトポロジーと非常に類似したトポロジーを有する。当該技術分野において公知であるように、天然に存在するFN3ドメインは、AB、BC、CD、DE、EF、およびFGループと称される、6つのループによって連結されたA、B、C、D、E、F、およびGと称される7つのベータ鎖を有するベータサンドイッチ構造を有する(BorkおよびDoolittle、Proc Natl Acad Sci USA 89、8990~8992頁、1992;米国特許第6,673,901号)。3つのループ、BC、DE、FGループは、FN3ドメインの上部に存在し、3つの、AB、CD、およびEFループは、ドメインの下部に存在する。FN3ドメインのコンフォメーションが高度に保存されるのに対して、アミノ酸レベルでの異なるドメイン間の類似性は非常に低い。FN3ドメインは、天然に存在してもよく、または天然に存在しなくてもよい。例示的な天然に存在しないFN3ドメインは、ある特定のタンパク質中に存在する選択されたFN3ドメインのアライメントに基づいて設計され、天然に存在しないFN3ドメインを生成するように各位置にて最も保存された(高頻度の)アミノ酸を取り込んでいるコンセンサスFN3ドメインである。例えば、天然に存在しないFN3ドメインは、ヒトテネイシンC由来の15個のFN3ドメインのコンセンサス配列に基づいて、またはヒトフィブロネクチン由来の15個のFN3ドメインのコンセンサス配列に基づいて設計される。これらの天然に存在しないFN3ドメインは、FN3ドメインの典型的なトポロジーを保持し、野生型FN3ドメインと比較した場合、安定性の改善のような改善された特性を示すことができる。例示的な天然に存在しないFN3ドメインは、米国特許出願公開第2010/0216708号および米国特許出願公開第2010/0255056号に記載されるTenconおよびFibconドメインである。しかしながら、結合性分子の改善は依然として必要とされる。
【0037】
各ループおよび各ベータ鎖を規定するアミノ酸残基は、本明細書に記載されるFN3スキャフォールドについて表1に示されている。各ドメイン/領域について以下に示される残基は、2つの配列をアラインすることによって別の配列について決定することができ、一方は配列番号44の参照配列であり、他方はクエリー配列である。例えばBlastp(NBCI社から入手可能)を使用してアラインして、デフォルト設定を使用して2つの配列をアラインすることができる。
【0038】
【0039】
ライブラリーまたは別の配列を作成するためのFN3ドメインにおける可変性は、下記領域:Cベータ鎖、CDループ、Dベータ鎖、Fベータ鎖、FGループおよびGベータ鎖のうちの1つまたはそれ以上で行うことができ、それらは、「C-CD-D-F-FG-G代替表面」と称される。
【0040】
この代替表面は、特定位置におけるコンセンサス配列および突然変異残基に基づいて多様化されて、細胞表面タンパク質または受容体または他の標的分子のような標的部分を結合するために使用することができるポリペプチドのライブラリーを生成することができる。一部の実施形態では、ライブラリーは、配列番号44:
【化1】
【0041】
のコンセンサス配列に基づく複数のタンパク質を含み、ここで、Xはそれぞれ独立して、任意のアミノ酸である。一部の実施形態では、Xはそれぞれ独立して、メチオニンまたはシステインを除く任意のアミノ酸である。
【0042】
一部の実施形態では、配列番号44の先頭のメチオニンは除去することができる。したがって、一部の実施形態では、ライブラリーは、配列番号74:
LSPPSNLRVTDVTSTSVTLSWKPPAPITGYXVXYXEXXXXGEWKXVXVPGSETSYTVTGLKPGTEYXFXVXAVNGAXXGXPSQXVXVTT(配列番号74)
のコンセンサス配列に基づく複数のタンパク質を含み、ここで、Xはそれぞれ独立して、任意のアミノ酸である。一部の実施形態では、Xはそれぞれ独立して、メチオニンまたはシステインを除く任意のアミノ酸である。
【0043】
FN3ドメインにおける本明細書に記載することができる代替表面は、各FN3ドメインにおける非連続的な一続きのアミノ酸によってコードされる。例えば、C-CD-D-F-FG-G表面は、配列番号44のアミノ酸残基29~37、38~43、44~50、65~74、75~80、および81~90によって形成され、例えば表2に示される通りである。一部の実施形態では、C-CD-D-F-FG-G表面は、配列番号44のアミノ酸残基29~37、38~43、44~50、65~74、75~80、および81~90を含む。
【0044】
一部の実施形態では、ポリペプチドが本明細書に提供され、ポリペプチドは配列番号44のアミノ酸配列を含み、ここで、配列番号44におけるXはそれぞれ独立して、任意のアミノ酸である。一部の実施形態では、配列番号44のXはそれぞれ独立して、メチオニンまたはシステインを除く任意のアミノ酸である。
【0045】
一部の実施形態では、ポリペプチドが本明細書に提供され、ポリペプチドは配列番号74のアミノ酸配列を含み、ここで配列番号74におけるXはそれぞれ独立して、任意のアミノ酸である。一部の実施形態では、配列番号74のXはそれぞれ独立して、メチオニンまたはシステインを除く任意のアミノ酸である。
【0046】
代替表面の無作為化に基づくタンパク質スキャフォールド
一部の実施形態では、代替表面を含むFN3ドメインを含む単離タンパク質スキャフォールドが提供され、ここで、代替表面は、代替表面を形成するC-CD-D-F-FG-G代替表面の領域において少なくとも1つのアミノ酸置換を有する。
【0047】
一部の実施形態では、ライブラリーは、配列番号44のアミノ酸配列と少なくとも、もしくは約、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%であるタンパク質または複数のタンパク質を含む。
【0048】
一部の実施形態では、FN3ドメインは、配列番号24のアミノ酸配列と少なくとも、もしくは約、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0049】
一部の実施形態では、FN3ドメインは、配列番号24のアミノ酸配列を含む。
MLSPPSNLRVTDVTSTSVTLSWKPPAPITGYIVEYREKDGSGEWKEVTVPGSETSYTVTGLKPGTEYEFRVRAVNGAGEGPPSQSVTVTT(配列番号24)
【0050】
一部の実施形態では、FN3ドメインは、配列番号24の32、34、36、38、39、40、41、46、48、68、70、72、78、79、81、85、および/または87位に1つまたはそれ以上の置換を有するアミノ酸配列を含む。これらの位置は、新たなFN3ポリペプチドまたはポリペプチドのライブラリーを作成するよう突然変異させることができる、以下の表2に示されるようなドメインに相当する。
【0051】
一部の実施形態では、タンパク質スキャフォールドまたはライブラリーは、Cベータ鎖、CDループ、Dベータ鎖、Fベータ鎖、FGループ、およびGベータ鎖によって形成されるC-CD-D-F-FG-G代替表面を含む。一部の実施形態では、タンパク質スキャフォールドまたはライブラリーは、Cベータ鎖、CDループ、Dベータ鎖、Fベータ鎖、FGループ、およびGベータ鎖を含むC-CD-D-F-FG-G代替表面を含む。一部の実施形態では、タンパク質スキャフォールドまたはライブラリーは、多様化Cベータ鎖、CDループ、Dベータ鎖、Fベータ鎖、FGループ、および/またはベータ鎖を含むC-CD-D-F-FG-G代替表面を含む。
【0052】
一部の実施形態では、C-CD-D-F-FG-G代替表面を形成するCベータ鎖、CDループ、Dベータ鎖、Fベータ鎖、FGループ、またはGベータ鎖は、表2におよび配列番号45~48に示されるようなある特定のアミノ酸配列を含む。
【0053】
【0054】
ここで、Xはそれぞれ独立して、任意のアミノ酸である。一部の実施形態では、Xはそれぞれ独立して、メチオニンまたはシステインを除く任意のアミノ酸である。
【0055】
一部の実施形態では、FN3ドメインは、1、2、または3つの残基にて置換を有するアミノ酸配列TGYXVXYXE(配列番号45)を有するCベータ鎖を含み、ここで、Xはそれぞれ独立して、メチオニンまたはシステインを除く任意のアミノ酸である。
【0056】
一部の実施形態では、FN3ドメインは、1、2、3、または4つの残基にて置換を有するXXXXGE(配列番号46)のアミノ酸配列を有するCDループを含み、ここで、Xはそれぞれ独立して、メチオニンまたはシステインを除く任意のアミノ酸である。
【0057】
一部の実施形態では、FN3ドメインは、1、または2つの残基にて置換を有するアミノ酸配列WKXVXVP(配列番号47)を有するDベータ鎖を含み、ここで、Xはそれぞれ独立して、メチオニンまたはシステインを除く任意のアミノ酸である。
【0058】
一部の実施形態では、FN3ドメインは、1、2、または3つの残基にて置換を有するアミノ酸配列TEYXFXVXAV(配列番号48)を有するFベータ鎖を含み、ここで、Xはそれぞれ独立して、メチオニンまたはシステインを除く任意のアミノ酸である。
【0059】
一部の実施形態では、FN3ドメインは、1、または2つの残基にて置換を有するアミノ酸配列NGAXXG(配列番号49)を有するFGループを含み、ここで、Xはそれぞれ独立して、メチオニンまたはシステインを除く任意のアミノ酸である。
【0060】
一部の実施形態では、FN3ドメインは、1、2、または3つの残基にて置換を有するアミノ酸配列XPSQXVXVTT(配列番号50)を有するFベータ鎖を含み、ここで、Xはそれぞれ独立して、メチオニンまたはシステインを除く任意のアミノ酸である。
【0061】
一部の実施形態では、ライブラリーは、TGYXVXYXE(配列番号45)、XXXXGE(配列番号46)、WKXVXVP(配列番号47)、TEYXFXVXAV(配列番号48)、NGAXXG(配列番号49)、およびXPSQXVXVTT(配列番号50)の配列を含む複数のポリペプチドを含み、ここで、Xはそれぞれ独立して、メチオニンまたはシステインを除く任意のアミノ酸である。
【0062】
一部の実施形態では、ライブラリーは、配列番号1の配列と少なくとも、もしくは約、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるか、もしくはそれと同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドまたは複数のポリペプチドを含む。
【0063】
一部の実施形態では、ライブラリーは、配列番号2の配列と少なくとも、もしくは約、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるか、もしくはそれと同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドまたは複数のポリペプチドを含む。
【0064】
一部の実施形態では、ライブラリーは、配列番号3の配列と少なくとも、もしくは約、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるか、もしくはそれと同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドまたは複数のポリペプチドを含む。
【0065】
一部の実施形態では、ライブラリーは、配列番号4の配列と少なくとも、もしくは約、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるか、もしくはそれと同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドまたは複数のポリペプチドを含む。
【0066】
一部の実施形態では、ライブラリーは、配列番号5の配列と少なくとも、もしくは約、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるか、もしくはそれと同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドまたは複数のポリペプチドを含む。
【0067】
一部の実施形態では、ライブラリーは、配列番号6の配列と少なくとも、もしくは約、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるか、もしくはそれと同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドまたは複数のポリペプチドを含む。
【0068】
一部の実施形態では、ライブラリーは、配列番号7の配列と少なくとも、もしくは約、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるか、もしくはそれと同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドまたは複数のポリペプチドを含む。
【0069】
一部の実施形態では、ライブラリーは、配列番号8の配列と少なくとも、もしくは約、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるか、もしくはそれと同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドまたは複数のポリペプチドを含む。
【0070】
一部の実施形態では、ライブラリーは、配列番号9の配列と少なくとも、もしくは約、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるか、もしくはそれと同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドまたは複数のポリペプチドを含む。
【0071】
一部の実施形態では、ライブラリーは、配列番号10の配列と少なくとも、もしくは約、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるか、もしくはそれと同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドまたは複数のポリペプチドを含む。
【0072】
一部の実施形態では、ライブラリーは、配列番号11の配列と少なくとも、もしくは約、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるか、もしくはそれと同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドまたは複数のポリペプチドを含む。
【0073】
一部の実施形態では、ライブラリーは、配列番号12の配列と少なくとも、もしくは約、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるか、もしくはそれと同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドまたは複数のポリペプチドを含む。
【0074】
一部の実施形態では、ライブラリーは、配列番号13の配列と少なくとも、もしくは約、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるか、もしくはそれと同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドまたは複数のポリペプチドを含む。
【0075】
一部の実施形態では、ライブラリーは、配列番号14の配列と少なくとも、もしくは約、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるか、もしくはそれと同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドまたは複数のポリペプチドを含む。
【0076】
一部の実施形態では、ライブラリーは、配列番号15の配列と少なくとも、もしくは約、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるか、もしくはそれと同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドまたは複数のポリペプチドを含む。
【0077】
一部の実施形態では、ライブラリーは、配列番号16の配列と少なくとも、もしくは約、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるか、もしくはそれと同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドまたは複数のポリペプチドを含む。
【0078】
一部の実施形態では、ライブラリーは、配列番号17の配列と少なくとも、もしくは約、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるか、もしくはそれと同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドまたは複数のポリペプチドを含む。
【0079】
一部の実施形態では、ライブラリーは、配列番号18の配列と少なくとも、もしくは約、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるか、もしくはそれと同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドまたは複数のポリペプチドを含む。
【0080】
一部の実施形態では、ライブラリーは、配列番号19の配列と少なくとも、もしくは約、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるか、もしくはそれと同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドまたは複数のポリペプチドを含む。
【0081】
一部の実施形態では、ライブラリーは、配列番号20の配列と少なくとも、もしくは約、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるか、もしくはそれと同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドまたは複数のポリペプチドを含む。
【0082】
一部の実施形態では、ライブラリーは、配列番号21の配列と少なくとも、もしくは約、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるか、もしくはそれと同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドまたは複数のポリペプチドを含む。
【0083】
一部の実施形態では、ライブラリーは、配列番号22の配列と少なくとも、もしくは約、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるか、もしくはそれと同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドまたは複数のポリペプチドを含む。
【0084】
一部の実施形態では、ライブラリーは、配列番号23の配列と少なくとも、もしくは約、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるか、もしくはそれと同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドまたは複数のポリペプチドを含む。
【0085】
一部の実施形態では、ライブラリーは、配列番号24の配列と少なくとも、もしくは約、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるか、もしくはそれと同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドまたは複数のポリペプチドを含む。
【0086】
一部の実施形態では、ライブラリーは、配列番号25の配列と少なくとも、もしくは約、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるか、もしくはそれと同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドまたは複数のポリペプチドを含む。
【0087】
一部の実施形態では、ライブラリーは、配列番号26の配列と少なくとも、もしくは約、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるか、もしくはそれと同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドまたは複数のポリペプチドを含む。
【0088】
一部の実施形態では、ライブラリーは、配列番号27の配列と少なくとも、もしくは約、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるか、もしくはそれと同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドまたは複数のポリペプチドを含む。
【0089】
一部の実施形態では、ライブラリーは、配列番号28の配列と少なくとも、もしくは約、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるか、もしくはそれと同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドまたは複数のポリペプチドを含む。
【0090】
一部の実施形態では、ライブラリーは、配列番号29の配列と少なくとも、もしくは約、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるか、もしくはそれと同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドまたは複数のポリペプチドを含む。
【0091】
一部の実施形態では、ライブラリーは、配列番号30の配列と少なくとも、もしくは約、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるか、もしくはそれと同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドまたは複数のポリペプチドを含む。
【0092】
一部の実施形態では、ライブラリーは、配列番号31の配列と少なくとも、もしくは約、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるか、もしくはそれと同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドまたは複数のポリペプチドを含む。
【0093】
一部の実施形態では、ライブラリーは、配列番号32の配列と少なくとも、もしくは約、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるか、もしくはそれと同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドまたは複数のポリペプチドを含む。
【0094】
一部の実施形態では、ライブラリーは、配列番号33の配列と少なくとも、もしくは約、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるか、もしくはそれと同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドまたは複数のポリペプチドを含む。
【0095】
一部の実施形態では、ライブラリーは、配列番号34の配列と少なくとも、もしくは約、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるか、もしくはそれと同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドまたは複数のポリペプチドを含む。
【0096】
一部の実施形態では、ライブラリーは、配列番号35の配列と少なくとも、もしくは約、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるか、もしくはそれと同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドまたは複数のポリペプチドを含む。
【0097】
一部の実施形態では、ライブラリーは、配列番号36の配列と少なくとも、もしくは約、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるか、もしくはそれと同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドまたは複数のポリペプチドを含む。
【0098】
一部の実施形態では、ライブラリーは、配列番号37の配列と少なくとも、もしくは約、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるか、もしくはそれと同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドまたは複数のポリペプチドを含む。
【0099】
一部の実施形態では、ライブラリーは、配列番号38の配列と少なくとも、もしくは約、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるか、もしくはそれと同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドまたは複数のポリペプチドを含む。
【0100】
一部の実施形態では、ライブラリーは、配列番号39の配列と少なくとも、もしくは約、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるか、もしくはそれと同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドまたは複数のポリペプチドを含む。
【0101】
一部の実施形態では、ライブラリーは、配列番号40の配列と少なくとも、もしくは約、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるか、もしくはそれと同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドまたは複数のポリペプチドを含む。
【0102】
一部の実施形態では、ライブラリーは、配列番号41の配列と少なくとも、もしくは約、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるか、もしくはそれと同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドまたは複数のポリペプチドを含む。
【0103】
一部の実施形態では、ライブラリーは、配列番号42の配列と少なくとも、もしくは約、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるか、もしくはそれと同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドまたは複数のポリペプチドを含む。
【0104】
一部の実施形態では、ライブラリーは、配列番号43の配列と少なくとも、もしくは約、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるか、もしくはそれと同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドまたは複数のポリペプチドを含む。
【0105】
一部の実施形態では、ポリペプチドが本明細書に提供される。一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、および43からなる群から選択される配列と少なくとも、もしくは約、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるか、またはそれと同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ポリペプチドを含む医薬組成物が提供される。
【0106】
一部の実施形態では、本明細書に提供されるコンセンサスまたは参照配列に基づく得られたFN3ドメインは、例えば、安定性の改善、免疫原性の低減、結合親和性、オンレート、オフレート、半減期、溶解度、または任意の他の適切な特性の増強を目的として、本明細書に提供されるもののような代替表面の外側またはその内部に存在する残基にてさらに改変することができる。この目標を達成する方法の1つにおいて、スキャフォールドタンパク質は、親配列および操作された配列の三次元モデルを使用して、親配列およびさまざまな概念操作された産物の分析のプロセスによって場合により製造することができる。三次元モデルは一般に入手可能であり、当業者によく知られている。選択された候補配列の可能性の高い三次元立体構造を図示および表示し、また考え得る免疫原性を測定することができるコンピュータプログラムが利用可能である(例えば、カリフォルニア州モンロビアのXencor,Inc.のImmunofilterプログラム)。これらの表示の検査により、候補配列の機能における残基、例えば、スキャフォールドタンパク質の安定性または候補スキャフォールドタンパク質がその標的分子を結合する能力に影響を及ぼす残基の見込みある役割の分析が可能となる。このようにして、残基を親配列および参照配列から選択して、組み合わせることができ、その結果、スキャフォールド安定性の改善のような所望の特性が達成される。あるいは、または上記の手順に加えて、当該技術分野で公知であるように、他の適切な操作方法を使用することができる。
【0107】
FN3ドメインの望ましい物理的特性として、高い熱安定性ならびに熱的フォールディングおよびアンフォールディングの可逆性が挙げられる。非常に類似した熱安定性配列との比較に基づく合理的設計、ジスルフィド架橋を安定化する設計、アルファヘリックス傾向を高めるための突然変異、塩架橋の操作、タンパク質の表面電荷の変更、指向性進化、およびコンセンサス配列の構成を含むいくつかの方法が、タンパク質および酵素の見かけの熱安定性を高めるのに適用されてきた(LehmannおよびWyss、Curr Opin Biotechnol、12、371~375頁、2001)。高い熱安定性は、発現されるタンパク質の収量を高め、溶解度または活性を改善し、免疫原性を減少させ、製造におけるコールドチェーンの必要性を最小限に抑える可能性がある。
【0108】
FN3ドメインの任意の特性を改善するよう置換することができる残基は、置換を行うことと、スキャフォールドの所望の特性についてアッセイすることとによって決定することができる。
【0109】
安定性の損失の観点から、即ち、タンパク質を「変性すること」または「変性」は、タンパク質の機能的特性を付与する三次元コンフォメーションの一部または全てが、活性および/または溶解度の付随する損失とともに損失されたプロセスを意味する。変性中に破壊される力として、分子内結合、例えば、静電力、疎水性力、ファンデルワールス力、水素結合、およびジスルフィドが挙げられる。タンパク質変性は、機械力(例えば、圧縮力またはせん断力)、熱的ストレス、浸透圧ストレス、pHの変化、電場もしくは磁場、電離放射線、紫外線照射および脱水のようなタンパク質またはタンパク質を含む溶液に引加された力によって、ならびに化学的変性剤によって引き起こされる。
【0110】
タンパク質の安定性およびタンパク質の不安定性の測定は、タンパク質の完全性の同じか、または異なる側面とみなすことができる。タンパク質は、熱によって、紫外線または電離放射線、液体溶液中の場合には周囲モル浸透圧濃度およびpHの変化、小さな孔径の濾過によって課せられる機械的せん断力、紫外線照射、ガンマ線照射によるような電離放射線、化学的もしくは熱脱水、またはタンパク質構造崩壊を引き起こす可能性がある任意の他の作用もしくは力によって引き起こされる変性に対して感受性が高いか、または「不安定」である。分子の安定性は、標準的な方法を使用して決定することができる。例えば、分子の安定性は、標準的な方法を使用して、分子の1/2がアンフォールディングされるようになる摂氏温度(℃)の温度である熱融解(「TM」)温度を測定することによって決定することができる。通常、TMが高いほど、分子はより安定である。熱に加えて、化学的環境もまた、タンパク質の、特定の三次元構造を維持する能力を変化させる。
【0111】
一部の実施形態では、FN3ドメインは、TMの増加によって測定された操作前の同じドメインと比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、もしくは95%またはそれ以上増加された安定性を示す。
【0112】
同様に、化学的変性はさまざまな方法によって測定することができる。化学的変性剤として、グアニジン塩酸塩、グアニジンチオシアン酸塩、尿素、アセトン、有機溶媒(DMF、ベンゼン、アセトニトリル)、塩(硫酸アンモニウム、臭化リチウム、塩化リチウム、臭化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム);還元剤(例えば、ジチオスレイトール、ベータ-メルカプトエタノール、ジニトロチオベンゼン、および水素化ホウ素ナトリウムのような水素化物)、非イオン性およびイオン性界面活性剤、酸(例えば、塩酸(HCl)、酢酸(CH3COOH)、ハロゲン化酢酸)、疎水性分子(例えば、リン脂質)、および標的変性剤が挙げられる。変性の程度の定量化は、標的分子を結合する能力のような機能的特性の損失に、または凝集への傾向、以前は溶媒が到達しにくい残基の露出、もしくはジスルフィド結合の崩壊もしくは形成のような物理化学的特性に依存する可能性がある。
【0113】
一部の実施形態では、ポリペプチドは、グアニジン塩酸塩を化学的変性剤として使用することによって測定された操作前の同じスキャフォールドと比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、もしくは95%またはそれ以上増加された安定性を示す。安定性の増加は、周知の方法を使用してグアニジン塩酸塩の濃度の増加に伴う処置時のトリプトファン蛍光の減少の関数として測定することができる。
【0114】
本明細書に記載されるFN3ドメインは、単量体、二量体、もしくは多量体として、例えば、標的分子結合の結合価およびしたがってアビディティを高める手段として、または2つもしくはそれ以上の異なる標的分子を同時に結合する二重もしくは多重特異的スキャフォールドを生成するために生成される。二量体および多量体は、単一特異的、二重または多重特異的タンパク質スキャフォールドを連結することによって、例えば、アミノ酸リンカー、例えばポリグリシン、グリシンおよびセリン、またはアラニンおよびプロリンを含有するリンカーを含むことによって生成される。ポリペプチドを新規の連結融合ポリペプチドに結合するための天然に存在するペプチドリンカーならびに人工ペプチドリンカーの使用は、文献において周知されている(Hallewellら、J Biol Chem 264、5260~5268頁、1989;Alfthanら、Protein Eng.8,725~731頁、995;Robinson & Sauer,Biochemistry 35、109~116頁、1996;米国特許第5,856,456号)。
【0115】
FN3ドメインは、二重特異的分子として使用され、ここで、ドメインにおける第1の代替表面は、第1の標的分子に対して特異性を有し、同じドメインにおける第2の代替表面は、第2の標的分子に対して特異性を有する。
【0116】
FN3ドメインは、例えば共有結合的相互作用を介して他のサブユニットを取り込む可能性がある。抗体定常領域の全てまたは一部をFN3ドメインに結合させて、抗体様特性、特にFe領域に関連する特性、例えば補体活性、半減期などを付与する可能性がある。例えば、Clq結合、補体依存性細胞傷害(CDC)、Fe受容体結合、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)、食作用、細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体;BCR)のダウンレギュレーションなどのFeエフェクター機能は、これらの活性に関与するFeにおける残基を改変することによって提供および/または制御することができる(概説に関して;Strohl、Curr Opin Biotechnol.20、685~691頁、2009を参照)。
【0117】
所望の特性のために毒素コンジュゲート、アルブミンまたはアルブミン結合剤、PEG5000もしくはPEG20,000のようなポリエチレングリコール(PEG)分子、異なる鎖長の脂肪酸および脂肪酸エステル、例えばラウリン酸エステル、ミリスチン酸エステル、ステアリン酸エステル、アラキジン酸エステル、ベヘン酸エステル、オレイン酸エステル、アラキドン酸エステル、オクタン二酸、テトラデカン二酸、オクタデカン二酸、ドコサン二酸など、ポリリジン、オクタン、炭水化物(デキストラン、セルロース、オリゴ糖類または多糖類)のようなさらなる部分を、FN3ドメインに組み入れられるか、またはそれらとコンジュゲートされる。これらの部分は、タンパク質コード配列との直接的な融合体であってもよく、標準的なクローニングおよび発現技法によって生成される。あるいは、周知の化学的カップリング方法を使用して、本明細書に記載されるFN3ドメインを組換え的に生産するための部分を結合させてもよい。一部の実施形態では、FN3は、アンチセンス分子、siRNA、PMOなどのような核酸分子とコンジュゲートされる。
【0118】
さらなる部分を組み入れたFN3ドメインは、いくつかの周知のアッセイによって機能性について比較される。例えば、Fcドメインおよび/またはFcドメインバリアントの組み入れに起因した変更されたFN3ドメイン特性は、FcyRI、FcyRII、FcyRIIIもしくはFcRn受容体のような可溶性形態の受容体を使用して、または例えばADCCもしくはCDCを測定する周知の細胞ベースのアッセイを使用して、またはin vivoモデルにおけるタンパク質スキャフォールドの薬物動態特性を評価して、Fc受容体結合アッセイにおいてアッセイされる。
【0119】
FN3ドメインタンパク質の生成および生産
一部の実施形態では、代替表面を含むFN3ドメインのライブラリーを作製する方法が提供され、ここで代替表面は、本明細書に提供されるような参照FN3ドメインと比較した場合に、代替表面が少なくとも1つのアミノ酸置換を有する。一部の実施形態では、上記方法は、参照FN3ドメインをコードするポリヌクレオチドを供給することと;代替表面を無作為化することによって、参照FN3ドメインのポリヌクレオチド配列のライブラリーを生成することと;ライブラリーをin vitroで翻訳することまたはライブラリーを宿主において発現させることとを含む。
【0120】
一部の実施形態では、Cベータ鎖、CDループ、Dベータ鎖、Fベータ鎖、FGループ、またはGベータ鎖によって形成される多様化C-CD-D-F-FG-G代替表面を有するFN3ポリペプチドのライブラリーを作製する方法が提供され、当該方法は、配列番号44のアミノ酸配列と少なくとも、または約、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一のアミノ酸配列を有する参照FN3ドメインポリペプチドを供給することと;Cベータ鎖、CDループ、Dベータ鎖、Fベータ鎖、FGループ、またはGベータ鎖における少なくとも1つの残基を突然変異させることによって、コンセンサスFN3ドメインポリペプチドに多様性を導入して、多様化C-CD-D-F-FG-G代替表面を有するFN3ドメインライブラリーを形成することとを含む。
【0121】
一部の実施形態では、多様化Cベータ鎖、CDループ、Dベータ鎖、Fベータ鎖、FGループ、またはGベータ鎖を含む多様化C-CD-D-F-FG-G代替表面を有するFN3ポリペプチドのライブラリーを作製する方法が提供され、当該方法は、配列番号44のアミノ酸配列と少なくとも、または約、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一のアミノ酸配列を有する参照FN3ドメインポリペプチドを供給することと;Cベータ鎖、CDループ、Dベータ鎖、Fベータ鎖、FGループ、またはGベータ鎖における少なくとも1つの残基を突然変異させることによってコンセンサスFN3ドメインポリペプチドに多様性を導入して、多様化C-CD-D-F-FG-G代替表面を有するFN3ドメインライブラリーを形成することとを含む。
【0122】
本明細書中に記載されるライブラリーを作製する方法において、配列番号44のCベータ鎖、CDループ、Dベータ鎖、Fベータ鎖、FGループ、またはGベータ鎖のいずれか1つにおける1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、または17個の残基を突然変異または改変することができる。一部の実施形態では、突然変異は、置換、挿入または欠失である。
【0123】
一部の実施形態では、本明細書に提供される方法によって生産されたライブラリーが提供される。スキャフォールドタンパク質、FN3ドメイン(ポリペプチドまたはモジュール)の生成は、例えば、核酸レベルで達成される。1つまたはそれ以上の特定残基にて置換コドンを有するFN3ドメインのライブラリーは、例えば、標準的なPCRクローニング法、または米国特許第6,521,427号および米国特許第6,670,127号に記載される方法に従う化学的遺伝子合成を使用して合成することができる。コドンは、周知の方法、例えば、設計された多様性に合致する縮重オリゴヌクレオチドを使用して、またはKunkel突然変異誘発(Kunkelら、Methods Enzymol.154、367~382頁、1987)を使用して無作為化することができる。
【0124】
ライブラリーは、アミノ酸の無作為または規定セットを使用して、選択されたコドンにて無作為化することができる。例えば、無作為置換を有するライブラリーにおけるバリアントは、20個の天然に存在するアミノ酸全てをコードするNNKコドンを使用して生成することができる。他の多様化スキームにおいて、DVKコドンを使用して、アミノ酸Ala、Trp、Tyr、Lys、Thr、Asn、Lys、Ser、Arg、Asp、Glu、Gly、およびCysをコードすることができる。あるいは、NNSコドンを使用して、20個のアミノ酸残基全てを生じることができ、同時に終止コドンの頻度を低減させる。コドンの指定は、周知のIUBコードに従う。一部の実施形態では、多様化は、突然変異された残基にて選択肢としてメチオニンおよび/またはシステインを含まずに行われる。
【0125】
任意の他のタンパク質としてのFN3ドメインは、さまざまな物理的および/または化学的不安定さを起こしやすく、下流のプロセシングに悪影響をもたらす。例えば、物理的および化学的不安定さは、凝集、分解、産物収量の低減、効力の損失、免疫原性の可能性の増加、分子の不均一性、および活性の損失につながる場合がある。したがって、考え得る不安定さ誘導残基および認識配列の存在は、ライブラリーの設計中に最小限に抑えられる。例えば、表面に露出されたメチオニンおよびトリプトファンは、保管条件で酸化され、場合によってはタンパク質スキャフォールドの効力の損失を引き起こす。アスパラギンの存在は、周知のN-グリコシル化認識部位(NXS/T)に寄与することに加え、グリシンが続く場合には脱アミド化され、場合によっては不均一性が生じる(Robinson、Proc Natl Acad Sci US A、99、5283~5288頁、2002)。したがって、これらのアミノ酸の一部または全ては、選択した位置を無作為化するために使用される混合物から省略されるか、または省略されない。さらに、システインおよびプロリンは、ジスルフィド架橋の形成およびベータシートの崩壊を最小限に抑えるよう省略される。
【0126】
多様化されるべき位置にて偏ったアミノ酸分布を有するFN3ドメインのライブラリーは、例えばSlonomics(登録商標)技術(http:_//www_sloning_com)を使用して合成することができる。この技術は、何千もの遺伝子合成プロセスに十分な汎用構成要素として機能するあらかじめ作製された二本鎖トリプレットのライブラリーを使用する。トリプレットライブラリーは、任意の所望のDNA分子を構築するために必要な全ての考え得る配列の組合せを表す。
【0127】
ある特定の位置にて選択されたヌクレオチド「縮重」を有するオリゴヌクレオチドの合成は、当該技術分野において周知されており、例えば、TRIMアプローチ(Knappekら、J Mal Biol 296、57~86頁、1999;Garrard & Renner、Gene 128、103~109頁、1993)である。ある特定のコドンセットを有するヌクレオチドのそのようなセットは、市販のヌクレオチドまたはヌクレオシド試薬および装置を使用して合成することができる。
【0128】
標準的なクローニングおよび発現技法を使用して、ライブラリーをベクターにクローニングするか、もしくはライブラリーの二本鎖cDNAカセットを合成するか、またはin vitroでライブラリーを発現するか、もしくは翻訳する。例えば、シスディスプレイを使用して、スキャフォールドタンパク質をコードするDNA断片を、RepAをコードするDNA断片にライゲーションして、in vitroでの翻訳後に形成されるタンパク質-DNA複合体のプールを生成することができ、ここで、タンパク質はそれぞれ、それをコードするDNAと安定に結合されている(米国特許第7,842,476号;Odegripら、Proc Natl Acad Sci USA 101、2806~2810頁、2004)。他の方法、例えば、リボソームディスプレイ(HanesおよびPluckthun、Proc Natl Acad Sci USA、94、4937~4942頁、1997)、mRNAディスプレイ(RobertsおよびSzostak、Proc Natl Acad Sci USA、94、12297~12302頁、1997)、または他の無細胞系(米国特許第5,643,768号)を使用することができる。タンパク質スキャフォールドのライブラリーは、例えば任意の適切なバクテリオファージの表面に表示された融合タンパク質として発現される。バクテリオファージの表面に融合ポリペプチドを表示する方法は周知されている(米国特許出願公開第2011/0118144号;国際出願公開2009/085462号;米国特許第6,969,108号;米国特許第6,172,197号;米国特許第5,223,409号;米国特許第6,582,915号;米国特許第6,472,147号)。
【0129】
スクリーニング
標的分子への特異的結合について、操作されたタンパク質FN3ドメインまたはFN3ドメインバリアントのライブラリーをスクリーニングすることは、例えば、実施例およびOdegripら、Proc Natl Acad Sci US 101、2806~2810頁、2004に記載されているようにシスディスプレイを使用してライブラリーを生産することと、当該技術分野において公知の任意の方法によって標的分子への特異的結合についてライブラリーをアッセイすることとによって達成することができる。使用することができる例示的な周知の方法は、ELISA、サンドイッチイムノアッセイ、ならびに競合的および非競合的アッセイである(例えば、Ausubelら著、1994、Current Protocols in Molecular Biology、1巻、John Wiley & Sons,Inc.、ニューヨークを参照)。FN3ドメインは、広範囲の親和性(KD)を有するヒトまたは他の哺乳動物タンパク質を結合することができる。通常、FN3ドメインは、当業者によって実施されるように表面プラズモン共鳴またはKinexa法によって決定される場合に約10-7M、10-8M、10-9M、10-10M、10-11M、10-12M、10-13M、10-14M、もしくは10-15Mに等しいか、またはそれ未満のKDを有する標的タンパク質に結合することができる。抗原に対するFN3ドメインの親和性は、任意の適切な方法を使用して実験的に決定することができる。(例えば、Berzofskyら、「Antibody-Antigen Interactions」、In Fundamental Immunology、Paul,W.E.著、Raven Press:ニューヨーク、NY(1984);Kuby、Janis Immunology、W.H.Freeman and Company:ニューヨーク、NY(1992);および本明細書に記載される方法を参照)。特定のFN3ドメイン-抗原相互作用の測定された親和性は、種々の条件(例えば、浸透圧濃度、pH)下で測定された場合に変化する可能性がある。したがって、親和性および他の抗原結合パラメータ(例えば、KD、Kon、Koff)の測定は好ましくは、タンパク質スキャフォールドおよび抗原の標準化溶液、ならびに本明細書に記載される緩衝液のような標準化緩衝液を用いて行われる。他のスクリーニング方法もまた、米国特許第7,842,476号および米国特許第8,679,781号に記載されており、それらはそれぞれ、その全体が参照によって本明細書に組み入れる。
【0130】
核酸分子およびベクター
本開示は、単離ポリヌクレオチドとして、または発現ベクターの一部として、またはin vitro転写/翻訳に使用される直鎖状DNA配列、原核生物、真核生物または繊維状ファージ発現、その組成物または指向性突然変異原の分泌および/またはディスプレイに適合するベクターを含む直鎖状DNA配列の一部として、FN3をコードする核酸を提供する。ある特定の例示的なポリヌクレオチドは本明細書に開示されるが、所与の発現系における遺伝コードまたはコドン選択の縮重を考慮して、本明細書に開示されるタンパク質スキャフォールドおよびタンパク質スキャフォールドのライブラリーをコードする他のポリヌクレオチドもまた、範囲内である。
【0131】
本明細書に開示されるポリヌクレオチドは、自動ポリヌクレオチド合成機での固相ポリヌクレオチド合成のような化学合成によって生産され、完全な一本鎖または二本鎖分子へと構築される。あるいは、本明細書に開示されるポリヌクレオチドは、PCR、続く日常的なクローニングのような他の技法によって生産される。所与の公知の配列のポリヌクレオチドを生産または獲得する技法は、当該技術分野において周知されている。
【0132】
本明細書に開示されるポリヌクレオチドは、プロモーターまたはエンハンサー配列、イントロン、ポリアデニル化シグナル、RepA結合を促進するシス配列のような少なくとも1つの非コード配列を含んでもよい。また、ポリヌクレオチド配列は、例えば、タンパク質の精製もしくは検出を容易にするためのヒスチジンタグもしくはHAタグのようなマーカーまたはタグ配列、シグナル配列、RepAのような融合タンパク質パートナー、FeまたはpIXもしくはpIIIのようなバクテリオファージコートタンパク質をコードするさらなるアミノ酸をコードするさらなる配列を含んでもよい。例示的なポリヌクレオチドは、Tacプロモーターに関する配列、FN3ドメインライブラリーおよびrepAをコードする配列、シスエレメント、および細菌の複製起点(ori)を含む。別の例示的なポリヌクレオチドは、pelBまたはompAシグナル配列、pIIIまたはpIXバクテリオファージコートタンパク質、FN3ドメイン、およびpolyA部位を含む。
【0133】
別の実施形態は、本明細書に開示される少なくとも1つのポリヌクレオチドを含むベクターである。そのようなベクターは、プラスミドベクター、ウイルスベクター、バキュロウイルス発現用のベクター、トランスポゾンベースのベクターまたは任意の手段による所与の生物もしくは遺伝的背景へのポリヌクレオチドの導入に適した任意の他のベクターであってもよい。そのようなベクターは、そのようなベクターによってコードされるポリペプチドの発現を制御することができるか、調節することができるか、引き起こすことができるか、または可能にすることができる核酸配列エレメントを含む発現ベクターであってもよい。そのようなエレメントは、転写エンハンサー結合部位、RNAポリメラーゼ開始部位、リボソーム結合部位、および所与の発現系におけるコードされたポリペプチドの発現を促進する他の部位を含んでもよい。そのような発現系は、当該技術分野において周知の細胞ベース系、または無細胞系であってもよい。
【0134】
宿主細胞選択または宿主細胞操作
本明細書に開示されるFN3ドメインは、当該技術分野において周知であるように、場合により細胞株、混合細胞株、不死化細胞または不死化細胞のクローン集団によって生産される。例えば、Ausubelら著、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons,Inc.、NY、NY(1987~2001);Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor、NY(1989);HarlowおよびLane、Antibodies,A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor、NY(1989);Colliganら著、Current Protocols in Immunology、John Wiley & Sons,Inc.、NY(1994~2001);Colliganら、Current Protocols in Protein Science、John Wiley & Sons、NY、NY,(1997~2001年)を参照のこと。
【0135】
発現用に選択される宿主細胞は、哺乳動物起源であってもよく、またはCOS-1、COS-7、HEK293、BHK21、CHO、BSC-1、Hep G2、653、SP2/0、293、HeLa、骨髄腫、リンパ腫、酵母、昆虫もしくは植物細胞、もしくはそれらの任意の誘導体、不死化もしくは形質転換細胞から選択される。あるいは、宿主細胞は、ポリペプチドをグリコシル化することが不可能な種または生物、例えば、BL21、BL2l(DE3)、BL21-GOLD(DE3)、XLl-Blue、JM109、HMSl 74、HMSl 74(DE3)、および天然のもしくは操作された大腸菌属種(E.coli spp.)、クレブシエラ属種(Klebsiella spp.)、またはシュードモナス属種(Pseudomonas spp.)株のいずれかから選択される。
【0136】
FN3ドメインの使用
本明細書に記載され、また上述の方法のいずれかによって生成されたFN3ドメイン(モジュール)ベースの分子の組成物は、細胞、組織、器官、液体、もしくは一般的に宿主におけるヒト疾患もしくは特定病状の症状を診断するか、モニタリングするか、調節するか、処置するか、軽減するか、それらの発生を防止するために役立つか、またはそれらを低減するために使用される。特定目的のために操作されたFN3ドメインは、免疫介在性または免疫不全疾患、代謝性疾患、心血管障害または疾患;悪性疾患;神経障害または疾患;細菌、ウイルスもしくは寄生虫感染のような感染;または腫れ、疼痛、および組織壊死もしくは線維症を含む他の公知のもしくは特定の関連状態を処置するために使用される。
【0137】
そのような方法は、症状、効果もしくはメカニズムにおけるそのような調節、処置、軽減、防止、または低減を必要とする細胞、組織、器官、動物または患者に標的分子を特異的に結合する少なくとも1つのFN3ドメインを含む有効量の組成物または医薬組成物を投与することを含むことができる。有効量は、公知の方法を使用して実施および決定されるように、本明細書に記載されるか、または関連技術において公知であるように、単回(例えば、ボーラス)、複数回または連続投与につき約0.001~500mg/kgの量を含むことができるか、または単回、複数回、または連続投与につき0.01~5000μg/mlの血清濃度、またはその中の任意の有効範囲もしくは値を達成することができる。
【0138】
FN3ポリペプチドは、治療薬の送達を容易にするために別の治療薬に連結することができる。したがって、FN3ポリペプチドは、CD71のような、FN3ポリペプチドが結合する標的を発現する細胞に治療薬を送達するために使用することができる。
【0139】
FN3ドメインベースのタンパク質を含む医薬組成物
改変されたか、または改変されていない単量体、二量体、または多量体であるか、単一、二重または多重特異的である標的分子を特異的に結合するFN3ドメインは、捕捉、固定化、分割、または沈降のための当該技術分野において周知の分離手順を使用して単離し、商業的利用可能性に必要な程度にまで精製することができる。また、それらは、核酸分子または他の治療薬とコンジュゲートされる。一部の実施形態では、核酸分子は、siRNAまたはアンチセンス分子である。
【0140】
治療用途で、標的分子を特異的に結合するFN3ドメインは、薬学的に許容される担体中に有効成分として有効量のFN3ドメインを含有する医薬組成物として製造される。「担体」という用語は、活性化合物がともに投与される希釈剤、補助剤、賦形剤、またはビヒクルを指す。そのようなビヒクルは、水および落花生油、大豆油、鉱油、ゴマ油などのような石油、動物性、植物性または合成起源の油を含む油のような液体であってもよい。例えば、0.4%生理食塩水および0.3%グリシンを使用することができる。これらの溶液は滅菌性であり、一般に粒子状物質は含んでいない。それらは、従来の周知の滅菌技法(例えば、濾過)によって滅菌される。組成物は、pH調節剤および緩衝剤、安定化剤、増粘剤、潤滑剤および着色剤などのような生理学的条件に近づけるのに必要に応じて、薬学的に許容される補助物質を含有してもよい。そのような医薬製剤中の薬剤の濃度は、広範囲にわたって、即ち約0.5%未満から、通常は約1重量%にてまたは少なくとも約1重量%にて、15または20重量%程度まで変化することができ、選択された特定の投与様式に従って、主に所要の用量、液体容量、粘度などに基づいて選択される。他のヒトタンパク質、例えば、ヒト血清アルブミンを含む適切なビヒクルおよび製剤は、例えばRemington:The Science and Practice of Pharmacy、第21版、Troy,D.B.著、Lipincott Williams and Wilkins、フィラデルフィア、PA 2006、Part 5、Pharmaceutical Manufacturing 691~1092頁に例えば記載されている。特に958~989頁を参照のこと。
【0141】
標的分子を特異的に結合するFN3ドメインの治療的使用のための投与様式は、非経口投与、例えば皮内、筋内、腹膜内、静脈内または皮下、肺;経粘膜(経口、鼻腔内、膣内、直腸)のような;錠剤、カプセル、溶液、粉末、ゲル、粒子中で製剤を使用して;およびシリンジ、埋め込み型デバイス、浸透圧ポンプ、カートリッジ、マイクロポンプ;または当該技術分野で周知されるような当業者によって認識されている他の手段に含有されて、宿主に薬剤を送達する任意の適切な経路であってもよい。部位特異的投与は、例えば、関節内、気管支内、腹腔内、嚢内、軟骨内、腔内、髄腔内(intracelial)、小脳内、脳室内、結腸内、子宮頸部内、胃内、肝内、心臓内、骨内、骨盤内、心膜内、腹膜内、胸膜内、前立腺内、肺内、直腸内、腎内、網膜内、脊髄内、滑膜内、胸腔内、子宮内、血管内、膀胱内、病巣内、膣、直腸、口腔、舌下、鼻腔内、または経皮送達によって達成される。
【0142】
実施形態の列挙
本明細書に記載される実施形態はまた、下記を含むが、これらに限定されない:
【0143】
実施形態を一般的な用語で説明してきたが、ある特定の実施形態は、特許請求の範囲を限定するものと解釈されるべきではない以下の実施例においてさらに開示される。
【0144】
1.多様化Cベータ鎖、CDループ、Dベータ鎖、Fベータ鎖、FGループおよびGベータ鎖を含む多様化C-CD-D-F-FG-G代替表面を有する複数のフィブロネクチンIII型モジュール(FN3)ドメイン(ポリペプチド)を含むライブラリーであって、ポリペプチドは、下記:
MLSPPSNLRVTDVTSTSVTLSWKPPAPITGYXVXYXEXXXXGEWKXVXVPGSETSYTVTGLKPGTEYXFXVXAVNGAXXGXPSQXVXVTT(配列番号44)
のアミノ酸配列または配列番号44のアミノ酸配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一のアミノ酸配列を含み、Xはそれぞれ独立して、任意のアミノ酸であるライブラリー。
【0145】
2.Xはそれぞれ独立して、メチオニンまたはシステインを除く任意のアミノ酸である、実施形態1のライブラリー。
【0146】
3.ポリペプチドは、多様化C-CD-D-F-FG-G代替表面を有するFN3ドメインライブラリーを形成するようにCベータ鎖、CDループ、Dベータ鎖、Fベータ鎖、FGループ、またはGベータ鎖のうちの1つもしくはそれ以上、またはそのそれぞれにおいて配列番号24と比較した場合に少なくとも1つの突然変異アミノ酸残基を含む、実施形態1または2のライブラリー。
【0147】
4.複数のポリペプチドは、配列番号24の32、34、36、38、39、40、41、46、48、68、70、72、78、79、81、85、および/または87位に相当する位置に1つまたはそれ以上の突然変異(例えば、置換、挿入、または欠失)を有する、実施形態1~3のいずれか1つのライブラリー。
【0148】
5.多様化Cベータ鎖は、TGYXVXYXE(配列番号45)のアミノ酸配列を有し、Xはそれぞれ独立して、メチオニンまたはシステインを除く任意のアミノ酸である、実施形態1~4のいずれか1つのライブラリー。
【0149】
6.多様化CDループは、XXXXGE(配列番号46)のアミノ酸配列を有し、Xはそれぞれ独立して、メチオニンまたはシステインを除く任意のアミノ酸である、実施形態1~5のいずれか1つのライブラリー。
【0150】
7.多様化Dベータ鎖は、WKXVXVP(配列番号47)のアミノ酸配列を有し、Xはそれぞれ独立して、メチオニンまたはシステインを除く任意のアミノ酸である、実施形態1~6のいずれか1つのライブラリー。
【0151】
8.多様化Fベータ鎖は、TEYXFXVXAV(配列番号48)のアミノ酸配列を有し、Xはそれぞれ独立して、メチオニンまたはシステインを除く任意のアミノ酸である、実施形態1~7のいずれか1つのライブラリー。
【0152】
9.多様化FGループは、NGAXXG(配列番号49)のアミノ酸配列を有し、Xはそれぞれ独立して、メチオニンまたはシステインを除く任意のアミノ酸である、実施形態1~8のいずれか1つのライブラリー。
【0153】
10.多様化Gベータ鎖は、アミノ酸配列XPSQXVXVTT(配列番号50)を有し、Xはそれぞれ独立して、メチオニンまたはシステインを除く任意のアミノ酸である、実施形態1~9のいずれか1つのライブラリー。
【0154】
11.配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、および43からなる群から選択される配列と少なくとも、もしくは約、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるか、またはそれと同一であるアミノ酸配列を含む、実施形態1~10のいずれか1つのライブラリー。
【0155】
12.多様化Cベータ鎖は、TGYXVXYXE(配列番号45)のアミノ酸配列を有し、Xはそれぞれ独立して、メチオニンまたはシステインを除く任意のアミノ酸であり;
多様化CDループは、XXXXGE(配列番号46)のアミノ酸配列を有し、Xはそれぞれ独立して、メチオニンまたはシステインを除く任意のアミノ酸であり;
多様化Dベータ鎖は、WKXVXVP(配列番号47)のアミノ酸配列を有し、Xはそれぞれ独立して、メチオニンまたはシステインを除く任意のアミノ酸であり;
多様化Fベータ鎖は、TEYXFXVXAV(配列番号48)のアミノ酸配列を有し、Xはそれぞれ独立して、メチオニンまたはシステインを除く任意のアミノ酸であり;
多様化FGループは、NGAXXG(配列番号49)のアミノ酸配列を有し、Xはそれぞれ独立して、メチオニンまたはシステインを除く任意のアミノ酸であり;
多様化Gベータ鎖は、アミノ酸配列XPSQXVXVTT(配列番号50)を有し、Xはそれぞれ独立して、メチオニンまたはシステインを除く任意のアミノ酸である、
実施形態1~11のいずれか1つのライブラリー。
【0156】
13.実施形態1~12のいずれか1つのライブラリーを生産する方法であって、複数のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを発現することを含む方法。
【0157】
14.Cベータ鎖、CDループ、Fベータ鎖、FGループおよびGベータ鎖の多様化された1つもしくはそれ以上、またはそれぞれを含む多様化C-CD-F-FG-G代替表面を有するIII型(FN3)ドメインのフィブロネクチンモジュールのライブラリーを作製する方法であって、
a.配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43または44のアミノ酸配列と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を有する参照FN3ドメインポリペプチドを供給することと;
b.多様化C-CD-F-FG-G代替表面を有するFN3ドメインライブラリーを形成するようにCベータ鎖、CDループ領域、Fベータ鎖領域、FGループ領域、またはGベータ鎖領域において少なくとも1つの残基を突然変異させることによって、参照FN3ドメインポリペプチドに多様性を導入すること
とを含み、ここで:
多様化Cベータ鎖は、TGYXVXYXE(配列番号45)のアミノ酸配列を有し、Xはそれぞれ独立して、メチオニンまたはシステインを除く任意のアミノ酸であり;
多様化CDループは、XXXXGE(配列番号46)のアミノ酸配列を有し、Xはそれぞれ独立して、メチオニンまたはシステインを除く任意のアミノ酸であり;
多様化Dベータ鎖は、WKXVXVP(配列番号47)のアミノ酸配列を有し、Xはそれぞれ独立して、メチオニンまたはシステインを除く任意のアミノ酸であり;
多様化Fベータ鎖は、TEYXFXVXAV(配列番号48)のアミノ酸配列を有し、Xはそれぞれ独立して、メチオニンまたはシステインを除く任意のアミノ酸であり;
多様化FGループは、NGAXXG(配列番号49)のアミノ酸配列を有し、Xはそれぞれ独立して、メチオニンまたはシステインを除く任意のアミノ酸であり;
多様化Gベータ鎖は、アミノ酸配列XPSQXVXVTT(配列番号50)を有し、Xはそれぞれ独立して、メチオニンまたはシステインを除く任意のアミノ酸である
方法。
【0158】
15.実施形態13または14の方法によって生産されたライブラリー。
【0159】
16.標的分子に結合するか、または特異的に結合する多様化C-CD-D-F-FG-G代替表面を有するフィブロネクチンIII型モジュール(FN3)ドメインを含むポリペプチドを得る方法であって、実施形態1~12のいずれか1つのライブラリーを標的分子と接触させることと、標的分子に結合するか、または特異的に結合するポリペプチドを単離することとを含む方法。
【0160】
17.配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、および43からなる群から選択される配列と少なくとも、もしくは約、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるか、またはそれと同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチド。
【0161】
18.下記:
MLSPPSNLRVTDVTSTSVTLSWKPPAPITGYXVXYXEXXXXGEWKXVXVPGSETSYTVTGLKPGTEYXFXVXAVNGAXXGXPSQXVXVTT(配列番号44)
のアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、Xはそれぞれ独立して、任意のアミノ酸であるポリペプチド。
【0162】
19.Xはそれぞれ独立して、メチオニンまたはシステインを除く任意のアミノ酸である、実施形態18のポリペプチド。
【0163】
20.下記:
LSPPSNLRVTDVTSTSVTLSWKPPAPITGYXVXYXEXXXXGEWKXVXVPGSETSYTVTGLKPGTEYXFXVXAVNGAXXGXPSQXVXVTT(配列番号74)
のアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、Xはそれぞれ独立して、任意のアミノ酸であるポリペプチド。
【0164】
21.Xはそれぞれ独立して、メチオニンまたはシステインを除く任意のアミノ酸である、実施形態20のポリペプチド。
【0165】
22.実施形態17~21のポリペプチドを含む医薬組成物。
【0166】
23.実施形態22のポリペプチドをコードする核酸分子。
【0167】
24.実施形態1~12のいずれか1つのポリペプチドのライブラリーをコードする複数の核酸分子。
【0168】
25.実施形態24の核酸分子を含む宿主細胞。
【実施例1】
【0169】
Fn3ドメインヒトコンセンサス配列(HumCon)の設計
フィブロネクチンIII型ドメインのProsite配列データベースアライメント(http://prosite.expasy.org/PDOC50853)を、コンセンサス配列の生成のための出発点として使用した。このアライメントは、非ヒト由来の配列全てを除去するように編集され、生じたアライメントは、806個のヒト配列を含有していた。94個の位置それぞれにある顕著な残基を使用して、候補コンセンサス配列を決定した。2つの位置(47および89)にて、2つの残基が同等に顕著であった。これらは、47位にあるNおよびTならびに89位にあるSおよびVであった。あらゆる他の位置では、単一残基が主要であった。47位および89位での両義性のため、4つのコンセンサス配列が生成された(表3)。
【0170】
【0171】
ループ設計:
ループ領域は、長さおよび配列の両方において非常に可変的である可能性がある。806個の配列がコンセンサスを形成するようにアラインされ、ほとんどの配列は94個の位置それぞれに残基を含有する一方で、位置によっては、通常はループで発生する欠失のために、より少ない配列を含有していた。したがって、ループによっては短縮されて、より安定な配列を生じた。推定上のBCおよびCDループは、長さの可変性の領域として同定された。これらのループを短縮することができるという仮説を検証するために、配列番号2を骨格配列として使用して、これらの領域における一連の欠失を設計した。結果は、以下で表4に列挙される配列番号5~13である。
【0172】
【0173】
遺伝子合成、発現および特性化
表3および表4の13個の配列に関する遺伝子を、C末端Hisタグを用いて設計し、T5プロモーターの制御下で発現ベクターにクローニングした。培養物のmg/Lとしての発現収量を振盪フラスコ中で評価し、融解温度を示差走査熱量測定によって評価した(表5)。SDS PAGEアッセイを確立し、MW標準物質を使用して単量体の均質性を確認した。いくつかのクローンは、SDS PAGEおよびサイズ排除クロマトグラフィによって実証することができる鎖スワッピングに起因すると仮定された二量体形成と一致する挙動を示した。
【0174】
【0175】
さらなる最適化(N末端、プロリン、pI)
配列番号2を、生物物理学的特性の改善のために操作するリード候補として選択した。一連の突然変異は、1)鎖スワッピングを最低限に抑えることを目標として、他のFN3ドメイン構造に対するホモロジーモデリングに基づいてベータシート構造を有すると予想されるセグメントからプロリンを除去するように;または2)予測pI値を高め、製造および配合特性の簡素化を可能にするように設計された。これらのバリアントに関する配列を表6に列挙する。タンパク質それぞれを大腸菌(E.coli)で発現させ、C末端Hisタグを介して精製し、親クローン(配列番号2)と比較して、溶解度(可溶性タンパク質の発現/L(大腸菌))、安定性(示差走査熱量測定によるTm)および単量体の均質性(SDS-PAGE)について評価した(表7)。
【0176】
【0177】
【0178】
ライブラリー設計-アラニンスキャニング
ライブラリー設計戦略の実行可能性を検証するために、19個の突然変異タンパク質を設計し、ここで、バリアントタンパク質はそれぞれ、設計された結合界面の一部であると意図された固有の位置にて1つのアラニン残基をコードした。アラニンスキャニング突然変異配列を表8に列挙する。タンパク質それぞれを大腸菌において発現させ、C末端Hisタグを介して精製し、確実に生物物理学的特性が親クローン(配列番号24)の生物物理学的特性と一致するように特徴付けた。タンパク質バリアントを、溶解度(可溶性タンパク質の発現/L)、安定性(示差走査熱量測定によるTm)、および単量体の均質性(SDS-PAGE)について評価した(表9)。
【0179】
【0180】
【0181】
CD71への特異的結合をスクリーニングすることによるライブラリーバリデーション
HumConバリアントのライブラリーは、標準的な分子生物学の方法を使用して構築され、ここで、アラニン突然変異実験によって確認された位置のうち17個を、18個の考え得るアミノ酸(メチオニンおよびシステインを除く全てのアミノ酸)に突然変異させた。このライブラリーをCISディスプレイベクターにクローニングし、本明細書に記載される方法を使用してCD71に対する結合についてパニングした。特異的結合剤をELISAによって決定した。CD71標的に首尾よく結合されたライブラリーの成員を表10に列挙する。
【0182】
【0183】
本明細書に提供される本実施例および実施形態は、本明細書に提供されるFN3ドメインを生成し、目的の標的タンパク質に結合することができる分子を生産するためにライブラリーを使用することができることを実証している。これらの結果は予測することできず、したがって、分子のライブラリー、分子のライブラリーを含む組成物、および分子のライブラリーを使用する方法は、予測することができなかった様式で本明細書に提供される。本実施形態は、先述の説明および実施例において特に記載されたもの以外に実施することができることは明らかである。本実施形態の多数の変更および変動は、上記の教示に鑑みて可能であり、したがって、併記の特許請求の範囲内である。
【配列表】
【国際調査報告】