(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】電子部品のポッティングにおけるシリコーン組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 83/07 20060101AFI20240719BHJP
C08K 5/5419 20060101ALI20240719BHJP
C08K 5/057 20060101ALI20240719BHJP
C08G 77/08 20060101ALI20240719BHJP
H01L 23/29 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
C08L83/07
C08K5/5419
C08K5/057
C08G77/08
H01L23/30 R
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503550
(86)(22)【出願日】2022-07-19
(85)【翻訳文提出日】2024-03-19
(86)【国際出願番号】 US2022037594
(87)【国際公開番号】W WO2023003878
(87)【国際公開日】2023-01-26
(32)【優先日】2021-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508229301
【氏名又は名称】モメンティブ パフォーマンス マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Momentive Performance Materials Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】ルッペンタール,アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】グロスマン,マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ミストリー,ウメシュ
(72)【発明者】
【氏名】ウィルケン,カレン
【テーマコード(参考)】
4J002
4J246
4M109
【Fターム(参考)】
4J002CP141
4J002DA118
4J002DD048
4J002EC079
4J002EX036
4J002EZ007
4J002EZ008
4J002FD146
4J002FD157
4J002FD158
4J002FD209
4J002FD349
4J002GF00
4J002GH00
4J002GJ02
4J002GN00
4J002GQ01
4J002GT00
4J002HA02
4J246AA11
4J246BB021
4J246BB02X
4J246BB142
4J246BB14X
4J246CA01U
4J246CA01X
4J246CA24X
4J246CA34E
4J246CA34U
4J246CA34X
4J246FA221
4J246FC161
4J246FC231
4J246FD03
4J246GC18
4J246GC26
4J246HA28
4J246HA32
4M109AA01
4M109CA04
4M109EA10
4M109EB04
4M109EC15
4M109GA02
(57)【要約】
硬化特性を示し、また高エネルギー条件への暴露によって硬化可能(すなわち光活性化可能)であり、そして任意選択的に非光活性化可能条件(例えば、縮合硬化および/または高温)への暴露によって硬化可能な組成物が提供される。本組成物は電子用途においてポッティング化合物として使用するのに適しており、また電子部品の内部および周囲の空間を充填するための材料として使用可能である。この組成物はまた、種々の基材に対してすぐれた接着性を示す。またこの組成物を硬化し、種々の用途において使用するための方法も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器のポッティングに使用するためのポッティング化合物であって、このポッティング化合物は硬化性シリコーン組成物を含み、この組成物は:
(A)ケイ素原子に結合された少なくとも1つのアルケニル基を有する少なくとも1つのポリオルガノシロキサン、
(B)少なくとも1つのSiH基を有する少なくとも1つのオルガノハイドロジェンシロキサン、
(C1)少なくとも1つの光活性化可能なヒドロシリル化触媒、
(C2)少なくとも1つの非光活性化可能なヒドロシリル化触媒、および
(D)任意選択的な添加剤を含む、ポッティング化合物。
【請求項2】
電子部品は自動車用途または電力用途である、請求項1のポッティング化合物。
【請求項3】
湿気、塵埃、および/または環境危険物質に対して電子機器を保護するためのものである、請求項1または2のポッティング化合物。
【請求項4】
少なくとも1つのアルケニル基を有する少なくとも1つのポリオルガノシロキサンA)は、式(Ia)を有するポリオルガノシロキサンの群から選択され:
[M
aD
bT
cQ
dR
9
e]
m (Ia)
ここで、式(Ia)中の添字は以下のように定義され:
a=0~10
b=0~2000
c=0~50
d=0~1
e=0~300
m=1~1000
ここでa、b、c、dおよびmは成分(A)の粘度が20℃において15000mPa.s未満(DIN53019によって剪断速度D=10s
-1で測定され、5000mPa.s未満の粘度についてはDIN53015によって測定される)であるようにされ、
そして
MはR
3SiO
1/2およびM
*から選択され、
DはR
2SiO
2/2およびD
*から選択され、
TはRSiO
3/2およびT
*から選択され、また
Q=SiO
4/2であり、
R
9は炭素原子を介して2つのケイ素原子に結合した2価の有機基から選択され、そして
ここでそれぞれのRは同一または異なっていてよく、任意選択的に置換された30までの炭素原子のアルキル基、任意選択的に置換された30までの炭素原子のアリール基、およびポリ(C2~4)-アルキレンオキシ部分を含む炭素部分を介してケイ素原子に結合され1000までの(C2~C4)アルキレンオキシ基を含む有機基から選択され、R基は脂肪族不飽和を含まず、そして
ここでM
*=R
1
pR
3-pSiO
1/2、D
*=R
1
qR
2-qSiO
2/2、T
*=R
1SiO
3/2、
式中
p=1~3
q=1~2
Rは先に定義した通りであり、そして
R
1はアルケニル基から選択される、請求項1から3のいずれかのポッティング化合物。
【請求項5】
成分(A)は式(Ia1)を有し、
【化36】
式中R
1およびRは上記で定義した通りであり、そしてxは≧0である、請求項1から4のいずれかのポッティング化合物。
【請求項6】
成分(B)は(B1)SiH-含有直鎖ポリオルガノシロキサン、および(B2)SiH-含有分岐鎖ポリオルガノシロキサンの群から選択される、請求項1から5のいずれかのポッティング化合物。
【請求項7】
成分(B)は(B1)各末端にSiH基を有する直鎖ポリジオルガノシロキサン、および(B2)少なくとも1つのM
H単位を含むSiH-含有分岐鎖ポリオルガノシロキサンの群から選択される、請求項1から6のいずれかのポッティング化合物。
【請求項8】
SiH-含有分岐鎖ポリオルガノシロキサン(B2)は、Q単位:
【化37】
およびT単位:
【化38】
式中Rは上記で定義した通りであり、および少なくとも1つのシロキシ単位M
H:
【化39】
式中Rはアルキルである
からなる群より選択される少なくとも1つのシロキシ単位を含むポリオルガノシロキサンから選択される、請求項1から7のいずれかのポッティング化合物。
【請求項9】
SiH-含有分岐鎖ポリオルガノシロキサン(B2)は、少なくとも1つのシロキシ単位Q:
【化40】
および少なくとも1つのシロキシ単位M
H:
【化41】
式中Rは上記で定義した通りである
からなるポリオルガノシロキサンから選択される、請求項1から8のいずれかのポッティング化合物。
【請求項10】
SiH-含有ポリオルガノシロキサン樹脂(B2)は、Q単位およびM
H単位からなる式
{[Q][M
H]
0.01~10}
m
のポリオルガノハイドロジェンシロキサンから選択され、式中QおよびM
Hは上記で定義した通りであり、そしてmは約1から約20である、請求項1から9のいずれかのポッティング化合物。
【請求項11】
各末端にSiH基を有する直鎖ポリジオルガノシロキサン(B1)、およびQ単位およびM
H単位からなる式
{[Q][M
H]
0.01~10}
m
のSiH-含有分岐鎖ポリオルガノシロキサン(B2)を含み、式中Q、M
Hおよびmは上記で定義した通りである、請求項1から10のいずれかのポッティング化合物。
【請求項12】
有機-金属ヒドロシリル化触媒(C1)または(C2)は、白金、パラジウム、ロジウム、ニッケル、イリジウム、ルテニウム、および鉄錯体並びにこれらの組み合わせから選択される遷移金属錯体触媒からなる群より選択される、請求項1から11のいずれかのポッティング化合物。
【請求項13】
(C1)はh
5-(任意選択的に置換された)シクロペンタジエニル白金(IV)錯体、β-ジケトナトトリメチル白金(IV)錯体、ビス(β-ジケトナト)白金(II)錯体、ビス(ホスフィン)白金(II)錯体、シクロオクタジエン白金(II)錯体、およびこれらの混合物からなる群より選択される光活性化可能な白金触媒である、請求項1から12のいずれかのポッティング化合物。
【請求項14】
非光活性化可能なヒドロシリル化触媒(C2)は、塩化白金酸などの白金化合物、白金/ビニルシロキサン錯体などの白金錯体、またはそれらの混合物からなる群より選択される白金触媒である請求項1から13のいずれかのポッティング化合物。
【請求項15】
ヒドロシリル化反応阻害剤からなる群より選択される添加剤(D)をさらに含む、請求項1から14のいずれかのポッティング化合物。
【請求項16】
添加剤(D)として光学的光沢剤またはUVトレーサー(蛍光増白剤)からなる群より選択される少なくとも1つをさらに含む、請求項1から15のいずれかのポッティング化合物。
【請求項17】
-ケイ素原子に結合した少なくとも1つのアルケニル基を有する100重量部の少なくとも1つのポリオルガノシロキサン(A)、
-少なくとも1つのSiH基を有する0.1から30重量部の少なくとも1つのオルガノハイドロジェンシロキサン(B)、
-(A)および(B)の合計重量に基づいて0.1から3.5重量パーセントの少なくとも1つの光活性化可能なヒドロシリル化触媒(C1)、
-成分(A)および(B)の合計重量に基づいて1から1000ppm少なくとも1つの非光活性化可能なヒドロシリル化触媒(C2)、および
-0.1から10部の任意選択的な添加剤(D)を含む、請求項1から16のいずれかのポッティング化合物。
【請求項18】
-ケイ素原子に結合した少なくとも1つのアルケニル基を有する100重量部の少なくとも1つのポリオルガノシロキサン(A)、
-各末端にSiH基を有する0.1から25重量部の少なくとも1つの直鎖ポリオルガノシロキサン(B1)、
-上記で定義した通りの少なくとも1つのシロキシ単位Qおよび少なくとも1つのシロキシ単位M
Hを有する0.1から5重量部の少なくとも1つのポリオルガノハイドロジェンシロキサン(B2)、
-(A)および(B)の合計重量に基づいて1から1000ppmの少なくとも1つの光活性化可能なヒドロシリル化触媒(C1)、
-成分(A)および(B)の合計重量に基づいて0.1から3.1重量パーセントの少なくとも1つの非光活性化可能なヒドロシリル化触媒(C2)、および
-0.1から10部の(D)任意選択的な添加剤を含む、請求項1から17のいずれかのポッティング化合物。
【請求項19】
前記シリコーン組成物は20℃においてDIN53015によって測定して1000mPa.s未満の粘度を有する、請求項17または18のポッティング化合物。
【請求項20】
(A)はケイ素原子に結合した1つのアルケニル基を両末端に有する少なくとも1つの直鎖ポリオルガノシロキサンから選択され、
(B)は各末端にSiH基を有する直鎖ポリジオルガノシロキサン(B1)、および上記で定義した通りのQ単位およびM
H単位からなるSiH-含有ポリオルガノシロキサン樹脂(B2)から選択され、
(C1)は少なくとも1つの光活性化可能なヒドロシリル化触媒であり、
(C2)は少なくとも1つの非光活性化可能なヒドロシリル化触媒である、請求項1から19のいずれかのポッティング化合物。
【請求項21】
少なくとも1つの接着向上剤(E)をさらに含む、請求項1から20のいずれかのポッティング化合物。
【請求項22】
接着向上剤はチタン酸塩化合物から選択される、請求項21のポッティング化合物。
【請求項23】
接着向上剤(E)はチタン酸テトラ-n-ブチルである、請求項22のポッティング化合物。
【請求項24】
前記シリコーン組成物は20℃においてDIN53015によって測定して1000mPa.s未満の粘度を有する、請求項23のポッティング化合物。
【請求項25】
請求項1から24のいずれかに規定された硬化性シリコーン組成物を直接的なUV光照射が容易にアクセス可能でない領域を有する電子部品のチャンバー/キャビティにおいて硬化したシリコーン組成物へと硬化するためのプロセスであって:
a)前記硬化性シリコーン組成物をチャンバー/キャビティを充填する仕方でチャンバー/キャビティ内に適用し、
b)UV光が直接にアクセス可能な領域において組成物を実質的に硬化するのに十分なUV照射でチャンバー/キャビティを照射し、そして
c)UV光がアクセス可能でない領域において組成物を硬化するのに十分な時間にわたってチャンバー/キャビティ上の組成物を≧20℃の温度に暴露することを含む、プロセス。
【請求項26】
請求項1から24のいずれかに規定された硬化性シリコーン組成物をコネクタポッティングの製造のための硬化したシリコーン組成物へと硬化するためのプロセスであって:
a)前記硬化性シリコーン組成物をピンコネクタを含むチャンバー/キャビティ/ポケットに適用し、
b)前記シリコーン組成物をUV光に暴露し、そして
c)次いでUV光がアクセス可能でない領域において20から80℃の温度範囲で硬化を行うことを含む、プロセス。
【請求項27】
請求項25または26による硬化性シリコーン組成物をUV放射線硬化工程によって、続いて≧20℃およぴ≦80℃の範囲内の温度における硬化工程によって硬化して得られた硬化組成物。
【請求項28】
I.請求項21から23のいずれかに規定された硬化性組成物を形成するよう混合し、
II.前記硬化性組成物のポッティング/吐出を電子部品のチャンバー/キャビティに適用または適用し;そして
III.ポッティングチャンバー/キャビティにある前記硬化性組成物をUV放射線源に暴露し、その後前記硬化性組成物を20から80℃の範囲内の温度で非光活性化可能に硬化することによって、前記硬化性組成物を前記チャンバー/キャビティに対して硬化することを含む工程によって調製された物品。
【請求項29】
基材は回路基板またはピンコネクタである、請求項28の物品。
【請求項30】
請求項1から29のいずれかに規定された硬化性シリコーン組成物の2成分系キットの形態における使用。
【請求項31】
(a)(A)ケイ素原子に結合した少なくとも1つのアルケニル基を有する少なくとも1つのポリオルガノシロキサン、(C1)少なくとも1つの光活性化可能なヒドロシリル化触媒、および(C2)少なくとも1つの非光活性化可能なヒドロシリル化触媒を含む第1部分、および
(b)(B)少なくとも1つのSiH基を有する少なくとも1つのオルガノハイドロジェンシロキサン、および(D1)R(H)SiO
2/2およびR
5(R)SiO
2/2からなる群より選択される少なくとも1つの単位を含み(B)とは異なるポリオルガノシロキサンを含む第2部分を含み
式中Rは任意選択的に置換された30までの炭素原子のアルキル基、任意選択的に置換された30までの炭素原子のアリール基、およびポリ(C2~4)-アルキレンオキシ部分を含む炭素部分を介してケイ素原子に結合され1000までの(C2~C4)アルキレンオキシ基を含む有機基から選択され、R基は脂肪族不飽和を含まず、R
5は14までの炭素原子の不飽和脂肪族基からなる基、14までの炭素原子のエポキシ基含有脂肪族基、シアヌレート含有基、およびイソシアヌレート含有基から選択され、そして
少なくとも1つの式(3)の単位をさらに含み:
-O
2/2(R)Si-R
4-SiR
d(OR
3)
3-d (3)
ここで
式(3)におけるRは同一または異なっていてよく、任意選択的に置換された30までの炭素原子のアルキル基、任意選択的に置換された30までの炭素原子のアリール基、およびポリ(C2~4)-アルキレンオキシ部分を含む炭素部分を介してケイ素原子に結合され1000までの(C2~C4)アルキレンオキシ基を含む有機基から選択され、R基は脂肪族不飽和を含まず、
R
3はH(水素)および1から6の炭素原子を有するアルキルラジカルから選択され、同一または異なっていてよく、
R
4は任意選択的に置換された15までの炭素原子の2官能性ヒドロカルビルラジカルであり、O、NおよびS原子から選択される1つまたはより多くのヘテロ原子を含んでいてよく、Si-C結合を介してケイ素原子に結合されており、そして
dは0から2である組成物。
【請求項32】
ポリオルガノシロキサン(A)は少なくとも1つのアルケニル基を有する少なくとも1つの直鎖ポリオルガノシロキサンから選択され;そしてオルガノハイドロジェンシロキサン(B)は各末端にSiH基を有する少なくとも1つの直鎖ポリジオルガノシロキサン(B1)、およびQ単位およびM
H単位からなる少なくとも1つのSiH-含有ポリオルガノシロキサン樹脂(B2)から選択され、ここでQはSiO
4/2およびM
HはHR
2SiO
1/2であり、ここでM
H単位のRは同一または異なっていてよく、そして任意選択的に置換された30までの炭素原子のアルキル基、任意選択的に置換された30までの炭素原子のアリール基、およびポリ(C2~4)-アルキレンオキシ部分を含む炭素部分を介してケイ素原子に結合され1000までの(C2~C4)アルキレンオキシ基を含む有機基から選択され、R基は脂肪族不飽和を含まない、請求項31の組成物。
【請求項33】
-ケイ素原子に結合した少なくとも1つのアルケニル基を有する100重量部の少なくとも1つのポリオルガノシロキサン(A)、
-各末端にSiH基を有する0.1から25重量部の少なくとも1つの直鎖ポリオルガノシロキサン(B1)、
-上記で定義した通りの少なくとも1つのシロキシ単位Qおよび少なくとも1つのシロキシ単位M
Hを有する0.1から5重量部の少なくとも1つのポリオルガノハイドロジェンシロキサン(B2)、
-(A)および(B)の合計重量に基づいて1から1000ppmの少なくとも1つの光活性化可能なヒドロシリル化触媒(C1)、
-成分(A)および(B)の合計重量に基づいて0.1から3.1重量パーセントの少なくとも1つの非光活性化可能なヒドロシリル化触媒(C2)、
-部分(a)および部分(b)の合計重量に基づいて0.1から10重量パーセントの成分(D1)、および
-0.001から10重量部の添加剤を含む、請求項32の組成物。
【請求項34】
(D1)は式(3a)の化合物から選択され:
【化42】
R
11はRまたはR
5;そしてR
4は任意選択的に置換された15までの炭素原子の2官能性ヒドロカルビルラジカルであってO、NおよびS原子から選択される1つまたはより多くのヘテロ原子を含んでいてよく、Si-C結合を介してケイ素原子に結合されており、
s1=0~6
t1=0~6
s1+t1=2~6
但し化合物中には少なくとも1つの基-OSi(R)H)-または-(OSi(R)(R
11)-がある、請求項31から33のいずれかの組成物。
【請求項35】
式(3a)の化合物は式:
【化43】
を有している、請求項34の組成物。
【請求項36】
式(3a)の化合物は式:
【化44】
を有している、請求項34の組成物。
【請求項37】
ポリオルガノシロキサン(A)は式(Ia1)のものであり:
【化45】
式中Rのそれぞれは飽和有機基から独立して選択され、R
1のそれぞれはアルケニル基から独立して選択され、そしてxは≧0である、請求項31から36のいずれかの組成物。
【請求項38】
組成物は部分(a)および(b)を結合させると、5000mPa.sを超える粘度については20℃においてDIN53019に従って剪断速度D=10s
-1で測定されて、そして5000mPa.s未満の粘度については20℃においてDIN53015に従って測定されて、約50mPa.sから約10Pa.sの粘度を有する、請求項31から37のいずれかの組成物。
【請求項39】
組成物は部分(a)および(b)を結合させると、20℃においてDIN53015に従って測定して100mPa.sから約1000mPa.sの粘度を有する、請求項31から37のいずれかの組成物。
【請求項40】
組成物は部分(a)および(b)を結合させると、20℃においてDIN53015に従って測定して200mPa.sから約800mPa.sの粘度を有する、請求項31から37のいずれかの組成物。
【請求項41】
組成物は部分(a)および(b)を結合させると、20℃においてDIN53015に従って測定して300mPa.sから約500mPa.sの粘度を有する、請求項31から37のいずれかの組成物。
【請求項42】
シリコーン組成物は20℃においてDIN53015に従って測定して1000mPa.s未満の粘度を有する、請求項31から37のいずれかの組成物。
【請求項43】
請求項31から42のいずれかに規定された硬化性シリコーン組成物を直接的なUV光照射が容易にアクセス可能でない領域を有する電子部品のチャンバー/キャビティにおいて硬化するためのプロセスであって:
(i)部分(a)および部分(b)を結合して硬化性シリコーン組成物を形成し;
(ii)硬化性シリコーン組成物をチャンバー/キャビティを充填する仕方でチャンバー/キャビティ内に適用し;
(iii)UV光が直接にアクセス可能な領域において組成物を実質的に硬化するのに十分なUV照射でチャンバー/キャビティを照射し;そして
(iv)UV光がアクセス可能でない領域において組成物を硬化するのに十分な時間にわたってチャンバー/キャビティ上の組成物を≧20℃の温度に暴露することを含む、プロセス。
【請求項44】
請求項31から42のいずれかに規定された硬化性シリコーン組成物をコネクタポッティングの製造または電子部品のカプセル化のための硬化したシリコーン組成物へと硬化するためのプロセスであって:
(i)部分(a)および部分(b)を結合して硬化性シリコーン組成物を形成し;
(ii)上記の硬化性シリコーン組成物をピンコネクタを含むチャンバー/キャビティ/ポケットに適用し;
(iii)上記の硬化性シリコーン組成物をUV光に暴露し;そして
(iv)UV光がアクセス可能でない領域において20から80℃の温度範囲で硬化を行うことを含む、プロセス。
【請求項45】
物品であって:
(i)部分(a)および部分(b)を混合して、請求項31から42のいずれかに規定された硬化性組成物を形成し;
(ii)前記硬化性組成物のポッティング/吐出を電子部品のチャンバー/キャビテ内に適用し;そして
(iii)ポッティングチャンバー/キャビティにある前記硬化性組成物をUV放射線源に暴露しその後前記硬化性組成物を20から80℃の範囲内の温度で非光活性化可能に硬化することにより、前記硬化性組成物をチャンバー/キャビティに硬化することによって調製される、物品。
【請求項46】
基材は回路基板またはコネクタプラグである、請求項45の物品。
【請求項47】
(A)ケイ素原子に結合された少なくとも1つのアルケニル基を有する少なくとも1つのポリオルガノシロキサン、
(B)少なくとも1つのSiH基を有する少なくとも1つのオルガノハイドロジェンシロキサン、
(C1)少なくとも1つの光活性化可能なヒドロシリル化触媒、
(C2)少なくとも1つの非光活性化可能なヒドロシリル化触媒、および
(D1)R(H)SiO
2/2およびR
5(R)SiO
2/2からなる群より選択される少なくとも1つの単位を含むポリオルガノシロキサンを含み、
ここでRは任意選択的に置換された30までの炭素原子のアルキル基、任意選択的に置換された30までの炭素原子のアリール基、およびポリ(C2~4)-アルキレンオキシ部分を含む炭素部分を介してケイ素原子に結合され1000までの(C2~C4)アルキレンオキシ基を含む有機基から選択され、R基は脂肪族不飽和を含まず、R
5は14までの炭素原子の不飽和脂肪族基からなる基、14までの炭素原子のエポキシ基含有脂肪族基、シアヌレート含有基、およびイソシアヌレート含有基から選択され、そして
少なくとも1つの式(3)の単位をさらに含み:
-O
2/2(R)Si-R
4-SiR
d(OR
3)
3-d (3)
ここで
式(3)におけるRは同一または異なっていてよく、任意選択的に置換された30までの炭素原子のアルキル基、任意選択的に置換された30までの炭素原子のアリール基、およびポリ(C2~4)-アルキレンオキシ部分を含む炭素部分を介してケイ素原子に結合され1000までの(C2~C4)アルキレンオキシ基を含む有機基から選択され、R基は脂肪族不飽和を含まず、
R
3はH(水素)および1から6の炭素原子を有するアルキルラジカルから選択され、同一または異なっていてよく、
R
4は任意選択的に置換された15までの炭素原子の2官能性ヒドロカルビルラジカルであり、O、NおよびS原子から選択される1つまたはより多くのヘテロ原子を含んでいてよく、Si-C結合を介してケイ素原子に結合されており、そして
dは0から2である組成物。
【請求項48】
接着向上剤(E)をさらに含む、請求項47または請求項31から42のいずれか1の組成物。
【請求項49】
ガラスである第1の基材とアルミニウムまたはPBTのいずれかである第2の基材の間に配置された場合に少なくとも0.1MPaの剪断接着強さを有する、請求項48の組成物。
【請求項50】
オーバーラップ剪断(OLS)試験において金属またはプラスチック基材上で硬化した状態において60~100%の範囲内の凝集破壊を有する、請求項48または49の組成物。
【請求項51】
オーバーラップ剪断(OLS)試験においてアルミニウムまたはPBT基材上で硬化した状態において60~100%の範囲内の凝集破壊を有する、請求項50の組成物。
【請求項52】
請求項1から24、または31から42、または47から48のいずれかの硬化性組成物の、電子部品のポッティングにおけるポッティング化合物としての使用。
【請求項53】
電子部品は自動車用途または電力用途である、請求項52の使用。
【請求項54】
電子部品は自動車用途または電力用途である、請求項52の使用。
【請求項55】
湿気、塵埃、および/または環境危険物質に対する保護のための、請求項52の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケイ素原子に結合した不飽和炭化水素基を有するポリシロキサンおよびケイ素原子に結合した水素を有するポリシロキサンを含み、電子部品のポッティング/カプセル化における付加硬化系に属し、特に自動車および電力の用途において湿気、塵埃および環境危険物質に対して保護を行うための、光硬化性および非光硬化性の両方のシリコーン組成物に関する。
【0002】
本発明はまた、硬化性シリコーン組成物の光活性化可能および/または非光活性化可能な硬化のための、新規なシリコーン組成物およびプロセスにも関する。
【0003】
こうした架橋性シリコーン組成物の適用分野は、エレクトロニクス分野において使用される原材料の分野にある。電子部品のコーティングのための同様の用途は、そうした部品を「ポッティング」として知られる技術によってカプセル化することである。ポッティング材料は典型的には、コネクタや電子デバイスをシールするために使用され、自動車に要求されるシステムの緊密さおよび電気絶縁が確保される。これにより、湿気、水分、塵埃および環境物質または腐食性の剤に基づく電子デバイスの汚染が回避される。
【背景技術】
【0004】
ポッティング材料は、流動性のある液体としてコネクタの凹部に適用される必要があり、UV照射プロセスを介して迅速に硬化されて、ポッティング適用後の迅速な取り扱いが確実にされる。主要な硬化プロセスは、付加的な温度プロセスなしにUV活性化のみで可能でなければならないが、しかし陰影領域(チャンバー内にある場所/光や照射が届かないキャビティ)については、第2の硬化機構が必要である。この材料は、既にUV活性化された後に、温度安定性(80℃まで)でなければならない。
【0005】
一般にこの用途に使用される製品はシリコーンゲルであり、繊細な部品を保護するための機能を有し、また壊れやすい電子部品に対する制動、衝撃、振動および熱応力からの保護と、誘電特性を有さねばならない。これらの用途において、シリコーン組成物の温度抵抗性、UV放射線に対する安定性、低温における可撓性および絶縁性能(高い絶縁耐力)に鑑みると、シリコーン組成物は最も好ましい選択肢となっている。
【0006】
2通りの仕方で架橋可能なシリコーン組成物は、UV放射線の下での光架橋に固有の柔軟性と実行速度が、大気湿度と室温または加熱下における加水分解/縮合による架橋によって補完されることにより、自分自身で相当程度に架橋を行うものであり、このことは放射線に暴露されないゾーン(陰影ゾーン)における光架橋の非効率性を克服することを可能にする。かくして、UVに対する少しの暴露は、2通りの仕方で架橋可能な上記の組成物から調製された保護コーティングを硬化し、非粘着性とすることを可能にする。
【0007】
幾つかの商業的に入手可能なポッティング用シリコーンには、米国特許第4,271,425号のような1成分系組成物が含まれており、これは湿気によって硬化し、硬化の完了までには数時間から数日を要する。より高い温度が用いられるならば、米国特許第4,087,585号におけるような2成分系組成物により、より迅速な硬化が行われ得る。しかしながら、白金触媒を必要とする2成分系は、基材表面の有機スズ化合物、硫黄、アミン、ウレタン、および不飽和炭化水素系可塑剤によって阻害される。
【0008】
2通りの仕方で架橋可能な系の殆どは、UV硬化および湿気の下での硬化に基づいており、用途にとって望ましくない副生物をもたらす。2通りの仕方で架橋可能な系の幾つかはアクリレート系の製品を含んでいてラジカル重合を必要とし、用途にとって最適な選択肢ではない。
【0009】
国際公開WO2019088066は、硬化の間に安定な半硬化生成物を提供することができるヒドロシリル化可能な組成物;およびこのヒドロシリル化可能な組成物を使用して得られる半硬化生成物および硬化生成物を記載しており、そして感圧接着剤の用途について1成分系組成物の使用にも言及しているが、本発明によればシリコーン組成物は適用を可能にするために十分な可使時間を有さなければならないことから、これはポッティングの用途には適切でない。
【発明の概要】
【0010】
以下では幾つかの実施態様の基本的な理解をもたらすために、本開示の概要について提示する。この概要は主要なまたは重要な構成要素を特定することを意図するものではなく、また実施形態や特許請求の範囲に対する何らかの限定を規定するものでもない。さらにまたこの概要は、この開示の他の部分において詳細に記述されてよい幾つかの実施態様の単純化された概要を提示するものであってよい。
【0011】
従って、PCB(プリント基板)アセンブリ並びに光硬化性の硬化が行き届かない領域を有するピンを備えたスイッチおよび電子コネクタのような電子部品のポッティングについて、副生物の形成なしにラジカル重合を回避しつつ、硬化に際してエラストマーまたは軟質ゲルのコンシステンシーを生成する、第1部分および第2部分として提供されるシリコーン組成物を使用することが望まれる。このシリコーン組成物は、光硬化が届かない領域を有する電子部品内への正確な充填を可能にするよう、十分に流動性でなければならない。さらにまたこの組成物は、光硬化が容易に届かないキャビティ/チャンバー/モールドの硬化領域において、さらなる硬化機構によって硬化が可能であることが望ましい。さらにまた、熱可塑性樹脂のような低エネルギーの基材上で使用される場合には、組成物は基材全体にわたり適切な接着性を示さねばならない。
【0012】
これらの技術的課題は、現在の技術水準によっては適切に対処および/または解決されていない。
【0013】
本発明の1つの実施態様によれば、硬化性シリコーン組成物を含むポッティング組成物が提供され、この組成物は:
(A)ケイ素原子に結合された少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つのアルケニル基を有する少なくとも1つのポリオルガノシロキサン、
(B)少なくとも1つのSiH基を有する少なくとも1つのオルガノハイドロジェンシロキサン、
(C1)少なくとも1つの光活性化可能なヒドロシリル化触媒、
(C2)少なくとも1つの非光活性化可能なヒドロシリル化触媒、および
(D)任意選択的な添加剤を含み、
電子部品、より特定的には自動車および電力用途の電子部品において湿気、塵埃および環境危険物質に対する保護のためにポッティングおよびカプセル化に用いられる。
【0014】
1つの実施形態において、組成物は第1部分および第2部分として提供され、第1部分は少なくとも1つのアルケニル基を有する少なくとも1つのオルガノポリシロキサン、光活性化可能な触媒、および非光活性化可能な触媒を含み、そして第2部分は少なくとも1つのオルガノハイドロジェンシロキサンを含む。1つの実施態様において、この組成物は、組成物を(所望の位置、例えばキャビティ、モールド、チャンバー、その他に適用した後に)UV照射に暴露することにより、そうした照射が届く領域において組成物を硬化し、そして続いてUV照射が届かない領域において組成物を硬化するのに十分な温度に暴露することによって硬化される。
【0015】
1つの実施態様において、硬化された組成物を含む物品が提供される。
【0016】
1つの実施態様において、電子機器のポッティングに使用されるポッティング化合物が提供され、このポッティング化合物は硬化性シリコーン組成物を含み、この組成物は:
(A)ケイ素原子に結合された少なくとも1つのアルケニル基を有する少なくとも1つのポリオルガノシロキサン、
(B)少なくとも1つのSiH基を有する少なくとも1つのオルガノハイドロジェンシロキサン、
(C1)少なくとも1つの光活性化可能なヒドロシリル化触媒、
(C2)少なくとも1つの非光活性化可能なヒドロシリル化触媒、および
(D)任意選択的な添加剤を含む。
【0017】
1つの実施形態において、電子部品は自動車用途または電力用途である。1つの実施形態において、湿気、塵埃、および/または環境危険物質に対して電子機器が保護される。
【0018】
上述の実施形態のいずれかによる1つの実施形態において、少なくとも1つのアルケニル基を有する少なくとも1つのポリオルガノシロキサンA)は、式(Ia)を有するポリオルガノシロキサンの群から選択される:
[MaDbTcQdR9
e]m (Ia)
ここで、式(Ia)中の添字は以下のように定義される:
a=0~10
b=0~2000
c=0~50
d=0~1
e=0~300
m=1~1000
ここでa、b、c、dおよびmは成分(A)の粘度が20℃において15000mPa.s未満(DIN53019によって剪断速度D=10s-1で測定され、5000mPa.s未満の粘度についてはDIN53015によって測定される)であるようにされ、
そして
MはR3SiO1/2およびM*から選択され、
DはR2SiO2/2およびD*から選択され、
TはRSiO3/2およびT*から選択され、また
Q=SiO4/2であり、
R9は炭素原子を介して2つのケイ素原子に結合した2価の有機基から選択され、そして
ここでそれぞれのRは同一または異なっていてよく、任意選択的に置換された30までの炭素原子のアルキル基、任意選択的に置換された30までの炭素原子のアリール基、およびポリ(C2~4)-アルキレンオキシ部分を含む炭素部分を介してケイ素原子に結合され1000までの(C2~C4)アルキレンオキシ基を含む有機基から選択され、R基は脂肪族不飽和を含まず、そして
ここでM*=R1
pR3-pSiO1/2、D*=R1
qR2-qSiO2/2、T*=R1SiO3/2、
式中
p=1~3
q=1~2
Rは先に定義した通りであり、そして
R1はアルケニル基から選択される。
【0019】
上述の実施形態のいずれかによる1つの実施形態において、成分(A)は式(Ia1)を有し、
【化1】
式中R
1およびRは上記で定義した通りであり、そしてxは≧0である。
【0020】
上述の実施形態のいずれかによる1つの実施形態において、成分(B)は(B1)SiH-含有直鎖ポリオルガノシロキサン、および(B2)SiH-含有分岐鎖ポリオルガノシロキサンの群から選択される。
【0021】
上述の実施形態のいずれかによる1つの実施形態において、成分(B)は(B1)各末端にSiH基を有する直鎖ポリジオルガノシロキサン、および(B2)少なくとも1つのMH単位を含むSiH-含有分岐鎖ポリオルガノシロキサンの群から選択される。
【0022】
上述の実施形態のいずれかによる1つの実施形態において、SiH-含有分岐鎖ポリオルガノシロキサン(B2)は、Q単位:
【化2】
およびT単位:
【化3】
式中Rは上記で定義した通りであり、および少なくとも1つのシロキシ単位M
H:
【化4】
式中Rはアルキルである
からなる群より選択される少なくとも1つのシロキシ単位を含むポリオルガノシロキサンから選択される。
【0023】
上述の実施形態のいずれかによる1つの実施形態において、SiH-含有分岐鎖ポリオルガノシロキサン(B2)は、少なくとも1つのシロキシ単位Q:
【化5】
および少なくとも1つのシロキシ単位M
H:
【化6】
式中Rは上記で定義した通りである
からなるポリオルガノシロキサンから選択される。
【0024】
上述の実施形態のいずれかによる1つの実施形態において、SiH-含有ポリオルガノシロキサン樹脂(B2)は、Q単位およびMH単位からなる式
{[Q][MH]0.01~10}m
のポリオルガノハイドロジェンシロキサンから選択され、式中QおよびMHは上記で定義した通りであり、そしてmは約1から約20である。
【0025】
上述の実施形態のいずれかによる1つの実施形態において、ポッティング化合物は各末端にSiH基を有する直鎖ポリジオルガノシロキサン(B1)、およびQ単位およびMH単位からなる式
{[Q][MH]0.01~10}m
のSiH-含有分岐鎖ポリオルガノシロキサン(B2)を含み、式中Q、MHおよびmは上記で定義した通りである。
【0026】
上述の実施形態のいずれかによる1つの実施形態において、有機-金属ヒドロシリル化触媒(C1)または(C2)は、白金、パラジウム、ロジウム、ニッケル、イリジウム、ルテニウム、および鉄錯体並びにこれらの組み合わせから選択される遷移金属錯体触媒からなる群より選択される。
【0027】
上述の実施形態のいずれかによる1つの実施形態において、(C1)はh5-(任意選択的に置換された)シクロペンタジエニル白金(IV)錯体、β-ジケトナトトリメチル白金(IV)錯体、ビス(β-ジケトナト)白金(II)錯体、ビス(ホスフィン)白金(II)錯体、シクロオクタジエン白金(II)錯体、およびこれらの混合物からなる群より選択される光活性化可能な白金触媒である。
【0028】
上述の実施形態のいずれかによる1つの実施形態において、非光活性化可能なヒドロシリル化触媒(C2)は、塩化白金酸などの白金化合物、白金/ビニルシロキサン錯体などの白金錯体、またはそれらの混合物からなる群より選択される白金触媒である。
【0029】
上述の実施形態のいずれかによる1つの実施形態において、ポッティング化合物はヒドロシリル化反応阻害剤からなる群より選択される添加剤(D)を含む。
【0030】
上述の実施形態のいずれかによる1つの実施形態において、ポッティング化合物は添加剤(D)として光学的光沢剤またはUVトレーサー(蛍光増白剤)からなる群より選択される少なくとも1つを含む。
【0031】
上述の実施形態のいずれかによる1つの実施形態において、ポッティング化合物は:
-ケイ素原子に結合した少なくとも1つのアルケニル基を有する100重量部の少なくとも1つのポリオルガノシロキサン(A)、
-少なくとも1つのSiH基を有する0.1から30重量部の少なくとも1つのオルガノハイドロジェンシロキサン(B)、
-(A)および(B)の合計重量に基づいて0.1から3.5重量パーセントの少なくとも1つの光活性化可能なヒドロシリル化触媒(C1)、
-成分(A)および(B)の合計重量に基づいて1から1000ppmの少なくとも1つの非光活性化可能なヒドロシリル化触媒(C2)、および
-0.1から10部の任意選択的な添加剤(D)を含む。
【0032】
上述の実施形態のいずれかによる1つの実施形態において、ポッティング化合物は:
-ケイ素原子に結合した少なくとも1つのアルケニル基を有する100重量部の少なくとも1つのポリオルガノシロキサン(A)、
-各末端にSiH基を有する0.1から25重量部の少なくとも1つの直鎖ポリオルガノシロキサン(B1)、
-上記で定義した通りの少なくとも1つのシロキシ単位Qおよび少なくとも1つのシロキシ単位MHを有する0.1から5重量部の少なくとも1つのポリオルガノハイドロジェンシロキサン(B2)、
-(A)および(B)の合計重量に基づいて1から1000ppmの少なくとも1つの光活性化可能なヒドロシリル化触媒(C1)、
-成分(A)および(B)の合計重量に基づいて0.1から3.1重量パーセントの少なくとも1つの非光活性化可能なヒドロシリル化触媒C2)、および
-0.1から10部の(D)任意選択的な添加剤を含む。
【0033】
上述の実施形態のいずれかによる1つの実施形態において、上述のシリコーン組成物は20℃においてDIN53015によって測定して1000mPa.s未満の粘度を有する。
【0034】
上述の実施形態のいずれかによる1つの実施形態において:
(A)はケイ素原子に結合した1つのアルケニル基を両末端に有する少なくとも1つの直鎖ポリオルガノシロキサンから選択され、
(B)は各末端にSiH基を有する直鎖ポリジオルガノシロキサン(B1)、および上記で定義した通りのQ単位およびMH単位からなるSiH-含有ポリオルガノシロキサン樹脂(B2)から選択され、
(C1)は少なくとも1つの光活性化可能なヒドロシリル化触媒であり、
(C2)は少なくとも1つの非光活性化可能なヒドロシリル化触媒である。
【0035】
上述の実施形態のいずれかによる1つの実施形態において、ポッティング化合物は少なくとも1つの接着向上剤(E)を含む。
【0036】
上述の実施形態のいずれかによる1つの実施形態において、接着向上剤はチタン酸塩化合物から選択される。
【0037】
上述の実施形態のいずれかによる1つの実施形態において、接着向上剤(E)はチタン酸テトラ-n-ブチルである。
【0038】
上述の実施形態のいずれかによる1つの実施形態において、上述のシリコーン組成物は20℃においてDIN53015によって測定して1000mPa.s未満の粘度を有する。
【0039】
別の実施態様によれば、上述の実施形態のいずれかにおいて規定された硬化性シリコーン組成物を直接的なUV光照射が容易にアクセス可能でない領域を有する電子部品のチャンバー/キャビティにおいて硬化したシリコーン組成物へと硬化するためのプロセスが提供され、このプロセスは:
a)上記の硬化性シリコーン組成物をチャンバー/キャビティを充填する仕方でチャンバー/キャビティ内に適用し、
b)UV光が直接にアクセス可能な領域において組成物を実質的に硬化するのに十分なUV照射でチャンバー/キャビティを照射し、そして
c)UV光がアクセス可能でない領域において組成物を硬化するのに十分な時間にわたってチャンバー/キャビティ上の組成物を≧20℃の温度に暴露することを含んでいる。
【0040】
さらに別の実施形態においては、上述の実施形態のいずれかにおいて規定された硬化性シリコーン組成物をコネクタポッティングの製造のための硬化したシリコーン組成物へと硬化するためのプロセスが提供され、このプロセスは:
a)上記の硬化性シリコーン組成物をピンコネクタを含むチャンバー/キャビティ/ポケットに適用し、
b)上記のシリコーン組成物をUV光に暴露し、そして
c)次いでUV光がアクセス可能でない領域において20から80℃の温度範囲で硬化を行うことを含む。
【0041】
さらなる実施態様においては、上記のいずれかの実施形態による硬化性シリコーン組成物をUV放射線硬化工程によって硬化し、続いて≧20℃およぴ≦80℃の範囲内の温度における硬化工程を行って得られた硬化組成物が提供される。
【0042】
さらに別の実施態様によれば:
I.上記の実施形態のいずれかに規定された硬化性組成物を形成するよう混合し、
II.上記の硬化性組成物のポッティング/吐出を電子部品のチャンバー/キャビティに適用し;そして
III.ポッティングチャンバー/キャビティにある上記の硬化性組成物をUV放射線源に暴露し、その後上記の硬化性組成物を20から80℃の範囲内の温度で非光活性化可能に硬化することによって、上記の硬化性組成物を上記のチャンバー/キャビティに対して硬化することを含む工程によって調製された物品が提供される。
【0043】
1つの実施形態において、基材は回路基板またはピンコネクタである。
【0044】
なおさらなる実施態様によれば、上記の実施形態のいずれかに規定された硬化性シリコーン組成物の2成分系キットの形態における使用が提供される。
【0045】
別の実施態様においては:
(a)(A)ケイ素原子に結合した少なくとも1つのアルケニル基を有する少なくとも1つのポリオルガノシロキサン、(C1)少なくとも1つの光活性化可能なヒドロシリル化触媒、および(C2)少なくとも1つの非光活性化可能なヒドロシリル化触媒を含む第1部分、および
(b)(B)少なくとも1つのSiH基を有する少なくとも1つのオルガノハイドロジェンシロキサン、および(D1)R(H)SiO2/2およびR5(R)SiO2/2からなる群より選択される少なくとも1つの単位を含み(B)とは異なるポリオルガノシロキサンを含む第2部分を含み
式中Rは任意選択的に置換された30までの炭素原子のアルキル基、任意選択的に置換された30までの炭素原子のアリール基、およびポリ(C2~4)-アルキレンオキシ部分を含む炭素部分を介してケイ素原子に結合され1000までの(C2~C4)アルキレンオキシ基を含む有機基から選択され、R基は脂肪族不飽和を含まず、R5は14までの炭素原子の不飽和脂肪族基からなる基、14までの炭素原子のエポキシ基含有脂肪族基、シアヌレート含有基、およびイソシアヌレート含有基から選択され、そして
少なくとも1つの式(3)の単位をさらに含み:
-O2/2(R)Si-R4-SiRd(OR3)3-d (3)
ここで
式(3)におけるRは同一または異なっていてよく、任意選択的に置換された30までの炭素原子のアルキル基、任意選択的に置換された30までの炭素原子のアリール基、およびポリ(C2~4)-アルキレンオキシ部分を含む炭素部分を介してケイ素原子に結合され1000までの(C2~C4)アルキレンオキシ基を含む有機基から選択され、R基は脂肪族不飽和を含まず、
R3はH(水素)および1から6の炭素原子を有するアルキルラジカルから選択され、同一または異なっていてよく、
R4は任意選択的に置換された15までの炭素原子の2官能性ヒドロカルビルラジカルであり、O、NおよびS原子から選択される1つまたはより多くのヘテロ原子を含んでいてよく、Si-C結合を介してケイ素原子に結合されており、そして
dは0から2である組成物が提供される。
【0046】
1つの実施形態において、ポリオルガノシロキサン(A)は少なくとも1つのアルケニル基を有する少なくとも1つの直鎖ポリオルガノシロキサンから選択され;そしてオルガノハイドロジェンシロキサン(B)は各末端にSiH基を有する少なくとも1つの直鎖ポリジオルガノシロキサン(B1)、およびQ単位およびMH単位からなる少なくとも1つのSiH-含有ポリオルガノシロキサン樹脂(B2)から選択され、ここでQはSiO4/2およびMHはHR2SiO1/2であり、ここでMH単位のRは同一または異なっていてよく、そして任意選択的に置換された30までの炭素原子のアルキル基、任意選択的に置換された30までの炭素原子のアリール基、およびポリ(C2~4)-アルキレンオキシ部分を含む炭素部分を介してケイ素原子に結合され1000までの(C2~C4)アルキレンオキシ基を含む有機基から選択され、R基は脂肪族不飽和を含まない。
【0047】
上述の実施形態のいずれかによる1つの実施形態において、組成物は:
-ケイ素原子に結合した少なくとも1つのアルケニル基を有する100重量部の少なくとも1つのポリオルガノシロキサン(A)、
-各末端にSiH基を有する0.1から25重量部の少なくとも1つの直鎖ポリオルガノシロキサン(B1)、
-上記で定義した通りの少なくとも1つのシロキシ単位Qおよび少なくとも1つのシロキシ単位MHを有する0.1から5重量部の少なくとも1つのポリオルガノハイドロジェンシロキサン(B2)、
-(A)および(B)の合計重量に基づいて1から1000ppmの少なくとも1つの光活性化可能なヒドロシリル化触媒(C1)、
-成分(A)および(B)の合計重量に基づいて0.1から3.1重量パーセントの少なくとも1つの非光活性化可能なヒドロシリル化触媒(C2)、
-部分(a)および部分(b)の合計重量に基づいて0.1から10重量パーセントの成分(D1)、および
-0.001から10重量部の添加剤を含む。
【0048】
上述の実施形態のいずれかによる1つの実施形態において、(D1)は式(3a)の化合物から選択され:
【化7】
R
11はRまたはR
5;そしてR
4は任意選択的に置換された15までの炭素原子の2官能性ヒドロカルビルラジカルであってO、NおよびS原子から選択される1つまたはより多くのヘテロ原子を含んでいてよく、Si-C結合を介してケイ素原子に結合されており、
s1=0~6
t1=0~6
s1+t1=2~6
但し化合物中には少なくとも1つの基-OSi(R)H)-または-(OSi(R)(R
11)-がある。
【0049】
上述の実施形態のいずれかによる1つの実施形態において、式(3a)の化合物は式:
【化8】
を有している。
【0050】
上述の実施形態のいずれかによる1つの実施形態において、式(3a)の化合物は式:
【化9】
を有している。
【0051】
上述の実施形態のいずれかによる1つの実施形態において、ポリオルガノシロキサン(A)は式(Ia1)のものであり:
【化10】
式中Rのそれぞれは飽和有機基から独立して選択され、R
1のそれぞれはアルケニル基から独立して選択され、そしてxは≧0である。
【0052】
上述の実施形態のいずれかによる1つの実施形態において、組成物は部分(a)および(b)を結合させると、5000mPa.sを超える粘度については20℃においてDIN53019に従って剪断速度D=10s-1で測定されて、そして5000mPa.s未満の粘度については20℃においてDIN53015に従って測定されて、約50mPa.sから約10Pa.sの粘度を有する。
【0053】
上述の実施形態のいずれかによる1つの実施形態において、組成物は部分(a)および(b)を結合させると、20℃においてDIN53015に従って測定して100mPa.sから約1000mPa.sの粘度を有する。
【0054】
上述の実施形態のいずれかによる1つの実施形態において、組成物は部分(a)および(b)を結合させると、20℃においてDIN53015に従って測定して200mPa.sから約800mPa.sの粘度を有する。
【0055】
上述の実施形態のいずれかによる1つの実施形態において、組成物は部分(a)および(b)を結合させると、20℃においてDIN53015に従って測定して300mPa.sから約500mPa.sの粘度を有する。
【0056】
上述の実施形態のいずれかによる1つの実施形態において、シリコーン組成物は20℃においてDIN53015に従って測定して1000mPa.s未満の粘度を有する。
【0057】
1つの実施態様においては、上述の実施形態のいずれかにおいて規定された硬化性シリコーン組成物を直接的なUV光照射が容易にアクセス可能でない領域を有する電子部品のチャンバー/キャビティにおいて硬化するためのプロセスが提供され、このプロセスは:
(i)部分(a)および部分(b)を結合して硬化性シリコーン組成物を形成し;
(ii)硬化性シリコーン組成物をチャンバー/キャビティを充填する仕方でチャンバー/キャビティ内に適用し;
(iii)UV光が直接にアクセス可能な領域において組成物を実質的に硬化するのに十分なUV照射でチャンバー/キャビティを照射し;そして
(iv)UV光がアクセス可能でない領域において組成物を硬化するのに十分な時間にわたってチャンバー/キャビティ上の組成物を≧20℃の温度に暴露することを含んでいる。
【0058】
別の実施態様においては、上述の実施形態のいずれかにおいて規定された硬化性シリコーン組成物をコネクタポッティングの製造または電子部品のカプセル化のための硬化したシリコーン組成物へと硬化するためのプロセスが提供され、このプロセスは:
(i)部分(a)および部分(b)を結合して硬化性シリコーン組成物を形成し;
(ii)上記の硬化性シリコーン組成物をピンコネクタを含むチャンバー/キャビティ/ポケットに適用し;
(iii)上記の硬化性シリコーン組成物をUV光に暴露し;そして
(iv)UV光がアクセス可能でない領域において20から80℃の温度範囲で硬化を行うことを含む。
【0059】
さらなる実施態様によれば:
(i)部分(a)および部分(b)を混合して、上述の実施形態のいずれかにおいて規定された硬化性組成物を形成し、
(ii)上記の硬化性組成物のポッティング/吐出を電子部品のチャンバー/キャビテ内に適用し;そして
(iii)ポッティングチャンバー/キャビティにある上記の硬化性組成物をUV放射線源に暴露しその後上記の硬化性組成物を20から80℃の範囲内の温度で非光活性化可能に硬化することにより、上記の硬化性組成物をチャンバー/キャビティに硬化することによって調製される物品が提供される。
【0060】
1つの実施形態において、基材は回路基板またはコネクタプラグである。
【0061】
さらに別の実施態様においては:
(A)ケイ素原子に結合された少なくとも1つのアルケニル基を有する少なくとも1つのポリオルガノシロキサン、
(B)少なくとも1つのSiH基を有する少なくとも1つのオルガノハイドロジェンシロキサン、
(C1)少なくとも1つの光活性化可能なヒドロシリル化触媒、
(C2)少なくとも1つの非光活性化可能なヒドロシリル化触媒、および
(D1)R(H)SiO2/2およびR5(R)SiO2/2からなる群より選択される少なくとも1つの単位を含むポリオルガノシロキサンを含み、
ここでRは任意選択的に置換された30までの炭素原子のアルキル基、任意選択的に置換された30までの炭素原子のアリール基、およびポリ(C2~4)-アルキレンオキシ部分を含む炭素部分を介してケイ素原子に結合され1000までの(C2~C4)アルキレンオキシ基を含む有機基から選択され、R基は脂肪族不飽和を含まず、R5は14までの炭素原子の不飽和脂肪族基からなる基、14までの炭素原子のエポキシ基含有脂肪族基、シアヌレート含有基、およびイソシアヌレート含有基から選択され、そして
少なくとも1つの式(3)の単位をさらに含み:
-O2/2(R)Si-R4-SiRd(OR3)3-d (3)
ここで
式(3)におけるRは同一または異なっていてよく、任意選択的に置換された30までの炭素原子のアルキル基、任意選択的に置換された30までの炭素原子のアリール基、およびポリ(C2~4)-アルキレンオキシ部分を含む炭素部分を介してケイ素原子に結合され1000までの(C2~C4)アルキレンオキシ基を含む有機基から選択され、R基は脂肪族不飽和を含まず、
R3はH(水素)および1から6の炭素原子を有するアルキルラジカルから選択され、同一または異なっていてよく、
R4は任意選択的に置換された15までの炭素原子の2官能性ヒドロカルビルラジカルであり、O、NおよびS原子から選択される1つまたはより多くのヘテロ原子を含んでいてよく、Si-C結合を介してケイ素原子に結合されており、そして
dは0から2である組成物が提供される。
【0062】
1つの実施形態において、組成物は接着向上剤(E)を含む。
【0063】
上述の実施形態のいずれかによる1つの実施形態において、組成物はガラスである第1の基材とアルミニウムまたはPBTのいずれかである第2の基材の間に配置された場合に少なくとも0.1MPaの剪断接着強さを有する。
【0064】
上述の実施形態のいずれかによる1つの実施形態において、組成物は、オーバーラップ剪断(OLS)試験において金属またはプラスチック基材上で硬化した状態において60~100%の範囲内の凝集破壊を有する。
【0065】
上述の実施形態のいずれかによる1つの実施形態において、組成物は、オーバーラップ剪断(OLS)試験においてアルミニウムまたはPBT基材上で硬化した状態において60~100%の範囲内の凝集破壊を有する。
【0066】
さらなる実施態様においては、上記の実施形態のいずれかの硬化性シリコーン組成物の電子部品のポッティングにおけるポッティング化合物としての使用が提供される。1つの実施形態において、電子部品は自動車用途または電力用途である。
【0067】
1つの実施形態において、電子部品は自動車用途または電力用途である。
【0068】
1つの実施形態において、使用は湿気、塵埃、および/または環境危険物質に対する保護のためである。
【0069】
これらの、および他の実施態様および実施形態は、以下の詳細な説明に関連してさらに理解される。
【発明を実施するための形態】
【0070】
以下では例示的な実施形態を参照する。他の実施形態も用いられてよく、また構造的および機能的な変更が加えられてよいことが理解されよう。さらにまた、種々の実施形態の特徴は組み合わせても変更してもよい。よって、以下の説明は例示のみとしてだけ提示されており、説明されている実施形態に対して加えられてよい種々の変更および修正をいかなる仕方でも制限してはならない。この開示においては、数多くの具体的な詳細事項が、開示された主題に対する完全な理解をもたらす。本開示の実施態様は、本願その他に記載されたすべての側面を必ずしも含まない他の実施形態で実施されてよいことが理解されねばならない。
【0071】
本願で使用するところでは、「例」および「例示」という用語は、実例または説明を意味している。「例」および「例示」という用語は、必須のまたは好ましい実施態様または実施形態を示すものではない。「または」という用語は、文脈が異なる示唆をしていない限り、排他的ではなく包括的であることを意図したものである。例えば、「AはBまたはCを用いる」という言い回しは、任意の包括的な置き換え(例えば、AはBを用いる;AはCを用いる;またはAはBおよびCの両者を用いる)を含んでいる。別の事項として、「ひとつの」および「ある」という冠詞は一般に、文脈が異なる示唆をしていない限り、「1つまたはより多く」、「少なくとも1つ」といった言い回しを意味し、または互換的に使用されてよいことが意図されている。用語「接着向上剤」は2つの表面の間、典型的にはシリコーン組成物の表面と基材の表面との間の接着性を増大させる物質を意味している。
【0072】
ある範囲内または範囲の部分集合内に示されている数値は組み合わせて、新たな特定されていない範囲を形成することができる。
【0073】
硬化特性を示し、また高エネルギー条件への暴露によって硬化可能(すなわち光活性化可能)であり、また非光活性化可能条件(例えば、縮合硬化および/または高温)への暴露によって硬化可能な組成物が提供される。本組成物は電子用途においてポッティング化合物として使用するのに適しており、また電子部品の内部および周囲の空間を充填するための材料として使用可能である。またこの組成物を硬化し、種々の用途において使用するための方法も提供される。
【0074】
特に明記しない限り、本願で言及される5000mPa.sを超える粘度はDIN53019に従って決定され、そして一般に、それらはD=10s-1の剪断速度で20℃において測定される。5000mPa.s未満の粘度については、粘度はヘプラー法およびDIN53015に従って落球粘度計を使用して測定される。
【0075】
本組成物は:
(A)少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つの、ケイ素原子に結合したアルケニル基を有する少なくとも1つのポリオルガノシロキサン、
(B)少なくとも1つのSiH基を有する少なくとも1つのオルガノハイドロジェンシロキサン、
(C1)少なくとも1つの光活性化可能なヒドロシリル化触媒、
(C2)少なくとも1つの非光活性化可能なヒドロシリル化触媒、および
(D)任意選択的に添加剤を含んでいる。
【0076】
成分(A)
本発明に従って使用される硬化性シリコーン組成物は、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つの、ケイ素原子に結合したアルケニル基を有する少なくとも1つのポリジオルガノシロキサン(A)を含んでいる。本発明の文脈においてアルケニル基は、特に、炭素-炭素2重結合を含む任意選択的に置換されたヒドロカルビルであり、これはヒドロシリル化反応において反応性である。これはどのような種類のアクリレート基(炭素-炭素2重結合に隣接してカルボニル基を有する:
【化11】
)をも含まない。
【0077】
アルケニル基は例えば、C2-C20アルケニル、C6-C30シクロアルケニル、C8-C30アルケニルアリール、シクロアルケニルアルキル、ビニル、アリル、メタリル、3-ブテニル、5-ヘキセニル、7-オクテニル、エチリデン-ノルボルニル、スチリル、ビニルフェニルエチル、ノルボルネニル-エチル、リモネニルといった直鎖、分岐鎖、または環状のアルケニル基から選択され、これらは任意選択的に1つまたはより多くのOまたはF原子を含んでいてよい。好ましいアルケニル基はビニル、アリル、メタリル、3-ブテニル、5-ヘキセニルであり、より好ましい基はビニル基である。好ましい成分(A)は一般式(Ia)によって記述することができ、
[MaDbTcQdR9
e]m (Ia)
ここで式(Ia)における添字はシロキシ単位M、D、TおよびQのモル比を表すが、これらはポリシロキサン中にブロックでまたはランダムに分散していることができる。ポリシロキサン内部においてシロキサン単位M、D、およびTのそれぞれは同一または異なっていてよく、そして
a=0~10
b=0~2000
c=0~50
d=0~1
e=0~300
m=1~1000であり、
ここでa、b、c、dおよびmは、成分(A)の20℃における粘度が15000mPa.s未満、好ましくは10000mPa.s未満、より好ましくは5000mPa.s未満、そしてさらにより好ましくは1000mPa.s未満(5000mPa.sを超える粘度はD=10s-1の剪断速度でDIN53019に従って測定され、5000mPa.s未満の粘度についてはヘプラー法およびDIN53015に従って落球粘度計を使用して測定される)となるようにされる。
【0078】
成分(A)の粘度は、単一の成分(A)または成分(A)の混合物の粘度を指している。後者の混合物の場合は20℃において15000mPa.sを超える粘度を有していてよい個別の成分(A1)、例えばQおよび/またはT単位を含む樹脂成分(A1)の存在が含まれる。
【0079】
式(Ia)において:
M=R3SiO1/2、またはM*
D=R2SiO2/2、またはD*
T=RSiO3/2、またはT*
Q=SiO4/2であり、
2価のR9は上記シロキシ単位の間の架橋基であり、
ここでそれぞれのRは同一または異なっていてよく、任意選択的に置換された30までの炭素原子のアルキル基、任意選択的に置換された30までの炭素原子のアリール基、およびポリ(C2~4)-アルキレンオキシ部分を含む炭素部分を介してケイ素原子に結合され1000までの(C2~C4)アルキレンオキシ基を含む有機基から選択され、R基は脂肪族不飽和を含まず、そして
ここでM*=R1
pR3-pSiO1/2、D*=R1
qR2-qSiO2/2、T*=R1SiO3/2であり、
ここで
p=1~3、好ましくは1、
q=1~2、そして
R1は好ましくは、1つまたはより多くのOまたはF原子によって任意選択的に置換されたC=C基含有基(アルケニル基)、例えば:ノルマル-アルケニル、イソアルケニル、ターシャリアルケニル、または環状アルケニル、C6-C30シクロアルケニル、C8-C30アルケニルアリール、シクロアルケニルアルキル、ビニル、アリル、メタリル、3-ブテニル、5-ヘキセニル、7-オクテニル、エチリデン-ノルボルニル、スチリル、ビニルフェニルエチル、ノルボルネニル-エチル、リモネニルを含む、不飽和基から選択される。
【0080】
R9は炭素部分を介して2つのケイ素原子に結合した2価の有機基から選択され、好ましくは以下に規定する通りである。
【0081】
1つの実施形態において、Rは好ましくはノルマル-、イソ-、またはターシャリアルキル、アルコキシアルキル、C5~C30環状アルキル、またはC6~C30アリール、アルキルアリールから選択され、これらの基は追加的にO-、N-、S-またはF-原子の1つまたはより多く、または500までのアルキレンオキシ単位のポリ(C2~C4)-アルキレンエーテルで置換されることができる。R基は脂肪族不飽和を含まない。
【0082】
適切な1価の炭化水素ラジカルの例には、CH3-、CH3CH2-、(CH3)2CH-、C8H17-およびC10H21-のようなアルキルラジカル、並びにシクロヘキシルエチルのような脂環式ラジカル、フェニル、トリル、キシリルのようなアリールラジカル、ベンジルおよび2-フェニルエチルのようなアラルキルラジカルが含まれる。好ましい1価の炭化水素ラジカルは式CnF2n+1CH2CH2-を有し、式中nは1から10の値を有し、例えばCF3CH2CH2-、C4F9CH2CH2-、C6F13CH2CH2-、C2F5-O(CF2-CF2-O)1~10CF2-、F[CF(CF3)-CF2-O]1~5-(CF2)0~2-、C3F7-OCF(CF3)-およびC3F7-OCF(CF3)-CF2-OCF(CF3)-の如きである。Rについての例示的な基には、限定するものではないが、メチル、フェニル、および3,3,3-トリフルオロプロピルが含まれる。
【0083】
1つの実施形態において、アルケニルシロキサンを調製するために使用されるアルファジエンおよびオメガジエンがより容易に入手可能であることから、アルケニルラジカル(R1)は好ましくは末端のケイ素原子に結合しており、より高級なアルケニルラジカルのオレフィン機能は末端のアルケニル基にある。
【0084】
R1について好ましい基は、ビニル、5-ヘキセニル、シクロヘキセニル、リモニル、スチリル、ビニルフェニルエチルである。
【0085】
R9基は2つのケイ素原子の間で架橋要素を形成する。R9は例えば14までの炭素原子の2価の脂肪族または芳香族、ノルマル-、イソ-、ターシャリ-またはシクロアルキレン、アリーレンまたはアルキレンアリール基を含んでいる。
【0086】
実施形態において、R9基の含有量は全シロキシ単位の30モル%を超えず、好ましくは20モル%を超えない。好ましくはR9は存在しない。
【0087】
適切な2価の炭化水素基R9の好ましい例には、任意のアルキレン残基、好ましくは-CH2-、-CH2CH2-、-CH2(CH3)CH-、-(CH2)4-、-CH2CH(CH3)CH2-、-(CH2)6-、-(CH2)8-および-(CH2)18-の如き;シクロヘキシレンのようなシクロアルキレンラジカル;フェニレン、キシレンのようなアリーレンラジカル、およびベンジレン、すなわち-CH2CH2-C6H4-CH2CH2-、-C6H4CH2-のような炭化水素ラジカルの組み合わせが含まれる。好ましい基はアルファエチレン、オメガエチレン、アルファヘキシレン、オメガヘキシレン、または1,4-フェニレンである。
【0088】
さらなる例には2価のハロ炭化水素ラジカルR9、例えば、任意の2価の炭化水素基R9であって1つまたはより多くの水素原子がハロゲン、例えばフッ素、塩素または臭素によって置換されているものが含まれる。好ましい2価のハロ炭化水素残基は式-CH2CH2(CF2)1~10CH2CH2-を有し、これは例えば-CH2CH2CF2CF2CH2CH2-またはその他の適切な2価の炭化水素エーテルラジカルおよびハロ炭化水素エーテルラジカルの例であり、-CH2CH2OCH2CH2-、-C6H4-O-C6H4-、-CH2CH2CF2OCF2CH2CH2-、および-CH2CH2OCH2CH2CH2-が含まれる。
【0089】
実施形態において、(M*+T*+D*)は少なくとも2であり、また2より大きいことができる。
【0090】
本発明によるシリコーン組成物の別の実施形態によれば、成分A)は好ましくは式(Ia1)の少なくとも1つのポリジオルガノシロキサンであり、
【化12】
ここで各々のRは上記で定義した通りであり、またR
1は独立して好ましくは上記した通りのアルケニル基から選択され、そしてxは≧0である。
【0091】
本発明の1つの実施形態において、上記の構造式(Ia1)に関して導入され、変数「b」に対応する変数であるxは10から2000、好ましくは20から1500、より好ましくは25から1000、そしてさらにより好ましくは30から500である。これらの範囲は、両方の端点をそれぞれ含むことを意図している。変数xは式(Ia1)のポリジオルガノシロキサンの数平均分子量Mnから計算された平均値であり、ポリスチレン標準を使用したゲル濾過クロマトグラフィにより、または1H NMRを使用して決定される。
【0092】
アルケニル末端ポリジオルガノシロキサン(A)のさらに好ましい構造には以下が含まれる:
ViMe2SiO(Me2SiO)10~2000SiMe2Vi (1a)、
ViPhMeSiO(Me2SiO)10~2000SiMePhVi (1b)、
ViMe2SiO(Me2SiO)10~600SiMe2Vi (1c)、
ViMe2SiO(Me2SiO)10~200SiMe2Vi (1d)、
式中Viはビニル基、Meはメチル基、そしてPhはフェニル基である。特に好ましいのは式(1a)のポリジオルガノシロキサンであり、より具体的に好ましいのは式(1c)の構造であり、最も具体的に好ましいのは式(1d)の構造である。
【0093】
好ましくは成分(A)のアルケニル含有量は、分子(A)のグラム当たりにSi-ビニルが0.05から0.85mmol、より好ましくは分子(A)のグラム当たりにSi-ビニルが0.1から0.75mmol、そしてより好ましくは分子(A)のグラム当たりにSi-ビニルが0.15から0.6mmolの範囲にある(分子(A)の全体のグラム当たりに当該ミリモルのアルケニルがSiに結合している)。
【0094】
本願において成分(A)のアルケニル含有量は1H NMRによって求めることができる-A.L.Smith(編):シリコーンの分析化学、J.Wiley & Sons 1991 Vol.112 pp.356以降のJ.D.Winefordner編の化学分析を参照。
【0095】
さらにまた、以下の式の樹脂状または分岐鎖ポリオルガノシロキサンを成分(A)として使用することも可能である:
{[Q][R10O1/2]n[M]0.01~10[T]0~50、好ましくは0[D]0~1000、好ましくは0}m (Ia2)
ここで
Q、T、M、Dは上記で定義した通りであり、
n=0から3、好ましくはn=0、
mは上記で定義した通りであり、
R10は水素、メチル、エチル、ノルマル-プロピル、イソ-プロピル、ノルマル-、イソ-およびターシャリ-ブチルのようなC1~C25アルキル、アシルのようなアルカノイル、アリール、ブタノンオキシムのような-N=CHR、プロペニルのようなアルケニルであり、但しM*、D*およびT*から選択された少なくとも1つの基が存在する。成分(A)として適用される最も好ましい樹脂状ポリオルガノシロキサンはQ単位およびM*単位からなる式
{[Q][M*]0.01~10[T]0~50、好ましくは0[D]0~1000、好ましくは0}m (Ia2)
のものであり、ここで
Q、T、M、Dは上記で定義した通りであり、
n=0から3、好ましくはn=0、
mは上記で定義した通りである。
【0096】
成分(A)として適用される最も好ましい樹脂状ポリオルガノシロキサンはQ単位およびM*単位からなる式、例えば
{[Q][M*]0.01~10、好ましくは1~10}m (Ia3)
のものであり、ここでQ、M*、およびmは上記で定義した通りであり、そしてmは好ましくは1から20である。
【0097】
化合物(Ia3)の1つの実施形態は、式[(Me2R1SiO0.5)kSiO4/2]1~1000によって記述可能なモノマー化合物からポリマー化合物の例によって提示され、式中の添字kは0.3から4である。こうした樹脂状分子はケイ素原子に関して10モル%までの相当の濃度のSiOH-および/または(C1-C6)-アルコキシ-Si基を含有することができる。
【0098】
特に好ましい樹脂状ポリオルガノシロキサン(A)は、例えば
Q(M*)4、
M2D10~30T*
10~30またはM2D*
10~30T10~30、および
[M*
1~4M0~3Q]1~40を含み、ここでM*+Mは4である。
【0099】
好ましい実施形態において、本発明により使用される硬化性シリコーン組成物はアルケニル置換基を有する分岐鎖(または樹脂状)ポリシロキサンを含まない。
【0100】
かくして好ましいのは、ケイ素原子に結合した少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つのアルケニル基を有する直鎖ポリシロキサンである。
【0101】
コネクタにおけるピンのポッティングを行う幾つかの場合には、成分(A)はより好ましくは20℃において15から900mPa.s、好ましくは20から600mPa.s、さらにより好ましくは50から500mPa.sの粘度を有する(DIN53015に従って測定)。
【0102】
成分(A)は、1つのSi-アルケニル-含有ポリシロキサンである単一の成分として、またはその少なくとも2つの混合物として使用することができる。
【0103】
1つの実施形態において、硬化性シリコーン組成物は、シリコーン組成物の合計重量に基づいて少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも65重量%の成分(A)を含んでいる。1つの実施形態において、硬化性シリコーン組成物はシリコーン組成物の合計重量に基づいて、成分成分(A)を少なくとも50重量%から約85重量%;約55重量%から約80重量%;約60重量%から約75重量%;または約65重量%から約70重量%の量で含んでいる。
【0104】
成分(B)
硬化性シリコーン組成物は、少なくとも1つのSiH基を有する少なくとも1つのオルガノハイドロジェンシロキサン(成分(B))を含んでいる。
【0105】
1つの実施形態において、成分(B)は一般式(IIa)の1つまたはより多くのポリオルガノハイドロジェンシロキサンから選択される:
[M1
a1D1
b1T1
c1Q1
d1R9
e1]m1 (IIa)
式中:
M1=R3SiO1/2、および/またはM**
D1=R2SiO2/2、および/またはD**
T1=RSiO3/2、および/またはT**
Q1=SiO4/2であり、
ここでM**=HR2SiO1/2、D**=HRSiO2/2、T**=HSiO3/2、
R9は上記で定義した通りであり、そして
式(IIa)におけるRは(Ia)に関して上記で定義した群から独立して選択され、
a1は0.01~10、好ましくはa1は2~5、より好ましくはa1は2;
b1は0~1000、好ましくはb1は0~500;
c1は0~50、好ましくはc1は0;
d1は0~5、好ましくはd1は0;
e1は0~3、好ましくはe1は0;
m1は1~1000、好ましくはm1は1~500、より好ましくはm1は1であり、
但しM**、D**、またはT**から選択した少なくとも1つの基が存在する。
【0106】
好ましくは、成分(B)は、ヒドロカルビル基のみ、より好ましくはアルキル基およびアリール基、さらにより好ましくはメチル基またはフェニル基のみ、そして最も好ましくはメチル基のみを有機残基Rとして有するポリハイドロジェンシロキサンから選択される。
【0107】
ポリオルガノハイドロジェンシロキサン(B)のSiH-含有量は、好ましくは少なくとも0.1mmol/g、より好ましくは少なくとも0.2mmol/g、そして最も好ましくは17mmol/g、より最も好ましくは15mmol/g、さらにより好ましくは0.1から15mmol/g、そして最も好ましくは0.2から13mmol/gである。1つより多くの成分(B)が使用される場合には、これらのSiH-含有量は使用されるそれぞれの特定の成分(B)に適用される。
【0108】
分子内に存在するM1、D1、T1、およびQ1単位についての範囲は、液体および固体樹脂を表すほぼすべての値をカバーすることができる。任意選択的にはこれらのシロキサンは、合成に由来する痕跡量のC1~C6アルコキシ基またはSi-ヒドロキシ基を付加的に含むことができる。
【0109】
成分(B)は、1つのSiH-含有ポリシロキサンの単一成分として、またはそれらの少なくとも2つの混合物として使用することができる。
【0110】
本発明による1つの実施形態において、使用される硬化性シリコーン組成物は、(B1)SiH-含有直鎖ポリオルガノシロキサンおよび(B2)SiH-含有分岐鎖ポリオルガノシロキサンの群から選択される成分(B)を含んでいる。
【0111】
本発明の別の実施形態において、成分(B)は(B1)式(IIb)の直鎖ポリオルガノハイドロジェンシロキサンから選択され、
【化13】
式中Rは上記で定義した通りであり、そしてR
3はRおよびHから選択され、またp≧0およびq≧0である。
【0112】
式(IIb)において、好ましくは(B1)は末端シロキシ単位に1つのSiH基を有し、q=0である。
【0113】
成分(B1)は好ましくは20℃において2から2000mPa.s、好ましくは1から1000mPa.s、さらにより好ましくは2から100mPa.sの粘度を有する(DIN53015に従って測定)。
【0114】
本発明による別の実施形態において、使用される成分(B)は(B1)各末端にSiH基を有する直鎖ポリジオルガノシロキサン、および(B2)少なくとも1つのM**単位を含有するSiH-含有分岐鎖ポリオルガノシロキサンの群から選択される。M**、T**、およびD**単位はまた本願において、それぞれMH、TH、およびDHという表記によって参照されてよい。
【0115】
1つの実施形態において、SiH-含有分岐鎖ポリオルガノシロキサン(B2)は、Q単位またはこの場合にはQ
1単位:
【化14】
およびT単位:
【化15】
ここでRは上記で定義した通りであり、好ましくは30までの炭素原子のアルキル基、より好ましくはメチル基(好ましくはポリオルガノシロキサン樹脂(B2)は少なくとも1つのQ
1単位を含む)、および
少なくとも1つのシロキシ単位M
**:
【化16】
ここで好ましくはRはアルキル基、より好ましくはメチル基
からなる群より選択される少なくとも1つのシロキシ単位を含むポリオルガノシロキサンから選択される。
【0116】
好ましくは、SiH-含有ポリオルガノシロキサン(B2)は、少なくとも1つのシロキシ単位Q
1:
【化17】
および少なくとも1つのシロキシ単位M
**:
【化18】
ここでRは上記で定義した通りであり、好ましくは30までの炭素原子のアルキル基、より好ましくはメチル基
からなるポリオルガノシロキサンから選択される。
【0117】
さらにまた、以下の式の樹脂状のポリオルガノハイドロジェンシロキサンを成分(B2)として使用することも可能であり:
{[Q1][R10O1/2]n1[M1]0.01~10[T1]0~50、好ましくは0[D1]0~1000、好ましくは0}m1 (IIc)
ここで
Q1、T1、M1、およびD1は上記で定義した通りであり、
n1=0から3、好ましくはn1=0、
m1は上記で定義した通りであり、
R10は水素、メチル、エチル、ノルマル-プロピル、イソ-プロピル、ノルマル-、イソ-およびターシャリ-ブチルのようなC1~C25アルキル、アシルのようなアルカノイル、アリール、ブタノンオキシムのような-N=CHR、プロペニルのようなアルケニルであり、
但しM**、D**およびT**から選択された少なくとも1つの基が存在する。
【0118】
樹脂状のポリハイドロジェンシロキサンについて可能な例は、Q1(M**)4、M1
2D1
10~30T**
10~30、M1
2D**
10~30T1
10~30、および[M**
1~4Q1]1~40である。
【0119】
成分(B2)として適用される最も好ましい樹脂状ポリオルガノハイドロジェンシロキサンはQ1単位およびM**単位からなる式、例えば
{[Q1][M**]0.01~10、好ましくは1~10}m1 (IId)
のものであり、ここでQ1、M**およびm1は上記で定義した通りであり、そしてm1は好ましくは1から20、より好ましくはm1=1である。
【0120】
化合物(IIc)の1つの好ましい実施形態の例は式[(Me2HSiO0.5)kSiO4/2]1~1000によって記述可能なモノマー化合物からポリマー化合物によって提供され、式中の添字kは0.3から4である。こうした樹脂状分子はケイ素原子に関して10モル%までの相当の濃度のSiOH-および/または(C1~C6)-アルコキシ-Si基を含有することができる。
【0121】
特に好ましい樹脂状ポリオルガノハイドロジェンシロキサン(B)は、例えばQ1(M**)4および[M**
1~4Q1]1~40を含み、ここでQ1およびM**は上記で定義した通りである。
【0122】
1つの実施形態において、成分(B)は式(IIb)の少なくとも1つのSiH-含有ポリシロキサンおよび式(IId)の少なくとも1つのSiH-含有ポリシロキサンの混合物として使用することができる。好ましくはSiH-含有ポリシロキサンはアリールまたはアルキル、好ましくはアルキル、より好ましくはメチルである基Rを有する。
【0123】
別の実施形態において、成分(B)は式(IIb)の少なくとも1つのSiH-含有ポリシロキサンおよび式(IId)の少なくとも1つのSiH-含有ポリシロキサンの混合物として使用することができ、ここでq=0であり、またSiH-含有ポリシロキサンの両末端においてR3の1つだけが水素である。好ましくはSiH-含有ポリシロキサンは基Rを有し、そして残りのR3基はアリールまたはアルキル、好ましくはアルキル、より好ましくはメチルである。
【0124】
触媒成分(C1)および(C2)
シリコーン組成物のヒドロシリル化反応のための触媒成分(C1)または(C2)は、成分(B)のケイ素に結合した水素原子と成分(A)のケイ素に結合したアルケニル置換基との反応を触媒する化合物である。これらは一般に例えば米国特許第3,159,601号;米国特許第3,159,662号;米国特許第3,419,593号;米国特許第3,715,334号;米国特許第3,775,452号および米国特許第3,814,730に教示されたような金属、またはNi、Ir、Rh、Ru、Os、PdおよびPt化合物の群から選択される有機金属化合物を含み、より好ましくは白金族の金属に基づいている。
【0125】
触媒はシリカゲルや粉末木炭のような、金属または金属の化合物または錯体を担持する担体上に存在することができる。
【0126】
本発明のポリオルガノシロキサン組成物における典型的な白金含有触媒成分は、錯体を形成することのできる何らかの形態の白金(0)、(II)または(IV)化合物である。
【0127】
本発明の組成物において使用される白金含有触媒成分の量は、本発明の組成物のすべての他の成分の存在下に、所望の温度において所要時間内に(A)と(B)の間でヒドロシリル化反応を促進するのに十分な量である限りは、狭く限定されるものではない。こうした触媒成分の正確な必要量は、具体的な触媒に依存している。
【0128】
光活性化可能な触媒(C1)
光活性化可能であることのできる触媒は好ましくは、有機金属化合物、すなわち炭素含有リガンドを含む金属化合物またはその塩から選択される。好ましい実施形態において、光活性化可能な触媒(C1)は、シグマ結合およびパイ結合を含む、金属炭素結合を有する。好ましくは光活性化可能な触媒(C1)は、少なくとも1つの金属炭素シグマ結合を有する有機金属錯化合物であり、さらにより好ましくは好ましくは1つまたはより多くのシグマ結合したアルキル基および/またはアリール基、好ましくはアルキル基を有する白金錯化合物である。シグマ結合したリガンドには具体的には、シグマ結合した有機基、好ましくはシグマ結合したC1~C6アルキル、より好ましくはシグマ結合したメチル基、シグマ結合したフェニル基のようなアリール基、トリスオルガノシリルアルキル基のようなSiおよびOで置換されたシグマ結合アルキル基またはアリール基、トリアルキルシリル基のようなシグマ結合シリル基が含まれる。最も好ましい光活性化可能な触媒にはシグマ結合したリガンド、好ましくはシグマ結合アルキルリガンドを有するη5-(任意選択的に置換された)-シクロペンタジエニル白金錯化合物が含まれる。
【0129】
光活性化可能なさらなる触媒には、(η-ジオレフィン)-(シグマ-アリール)-白金錯体(例えば米国特許第4,530,879号参照)が含まれる。
【0130】
光活性化可能な触媒の例には、米国特許第4,530,879号、EP122008号、EP146307号(米国特許第4,510,094号およびそこで引用された従来技術文献に相当)、または米国特許公開第2003/0199603号に開示されたようなη-ジオレフィン-σ-アリール-白金錯体、および例えば米国特許第4,640,939号に開示されたようにアゾジカルボン酸エステルまたはジケトネートを使用して反応性を制御することのできる白金化合物が含まれる。
【0131】
使用することのできる光活性化可能な白金化合物にはさらに、ジケトン、例えばベンゾイルアセトンまたはアセチレンジカルボン酸エステルから選択されるリガンドを有する群から選択される白金化合物、および光分解性の有機樹脂に埋設された白金触媒がある。他のPt触媒は例示として米国特許第3,715,334号または米国特許第3,419,593号、EP1672031A1およびLewis、Colborn、Grade、Bryant、SumpterおよびScottのOrganometallics1995年14、2202-2213に記載されており、これらはすべて参照によって本願に取り入れられる。
【0132】
光活性化可能な触媒はまた、Pt(0)-オレフィン錯体を使用し、これに対して適切な光活性化可能なリガンドを添加することにより、形成されるシリコーン組成物内部に現場で形成されることができる。
【0133】
本願において使用可能な光活性化可能な触媒は、しかしながら、上述した例に限定されるものではない。
【0134】
本発明の1つの実施形態において、光活性化可能なまたは照射活性化可能な触媒(C1)は、有機金属白金化合物から、好ましくは任意選択的に置換されたシクロペンタジエニル白金化合物から、好ましくは(η5-シクロペンタジエニル)トリメチル白金および(η5-シクロペンタジエニル)トリフェニル白金錯体から選択され、最も好ましくは成分(C1)は(メチルシクロペンタジエニル)トリメチル白金(IV)である。
【0135】
光活性化可能な触媒(C1)はそのまま、または担体上に担持されて使用可能である。
【0136】
触媒(C1)は全シリコーン組成物の合計重量に基づいて0.1から3.5重量パーセントの濃度において使用される。
【0137】
最も好ましい触媒(C1)は(η5-シクロペンタジエニル)トリメチル白金および(η5-シクロペンタジエニル)トリフェニル白金錯体から選択され、最も好ましい成分(C1)は(メチルシクロペンタジエニル)トリメチル白金(IV)である。
【0138】
光活性化された硬化は、200から500nmの範囲内の波長の光(UV光)で行われる。本発明によるプロセスにおいては、光活性化のためのUV放射線源は例えば、フラッシュランプとして作動可能なキセノンランプ、未ドープの水銀ランプまたは鉄またはガリウムでドープされた水銀ランプ、ブラックライトランプおよびエキシマランプ、並びにLEDのUVランプといった、UVランプの群から選択される。365nmの波長での合計の暴露量は好ましくは、100mJ/cm2から10J/cm2の範囲内にある。本発明の硬化性シリコーン組成物を硬化するために使用される波長は、その波長が合理的な所要時間内で組成物を硬化することができる限り、狭く限定されるものではない。本発明によれば、シリコーン組成物は0.01から300秒の期間にわたり光活性化されて硬化可能である。
【0139】
非光活性化可能な触媒(C2)
非光活性化可能な触媒(C2)は、光活性化可能な触媒(C1)とは異なる。非光活性化可能触媒(C2)は一般にシグマ結合またはパイ結合を含まず、またジケトン、例えばベンゾイルアセトンまたはアセチレンジカルボン酸エステルの群から選択されるリガンドを含まない。非光活性化可能触媒(C2)は本発明によるシリコーン組成物を例えばポッティング組成物を受容したコネクタを収容しているモールドの陰影領域において硬化するために使用される。こうした陰影領域は放射線またはUV光が届かない領域である。こうした陰影領域においては一般に、非光活性化可能触媒(C2)を用いた硬化のみが可能である。
【0140】
白金触媒は触媒(C2)について好ましい。白金触媒の例には、白金微粉末、白金黒、白金担持シリカ微粉末、白金担持活性炭、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、白金のオレフィン錯体、および白金のアルケニルシロキサン錯体が含まれる。白金のアルケニルシロキサン錯体は特に好ましい。アルケニルシロキサンの例には、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7-テトラメチル-1,3,5,7-テトラビニルシクロテトラシロキサン、アルケニルシロキサンのメチル基の幾つかがエチル基またはフェニル基で置換されたアルケニルシロキサン、およびアルケニルシロキサンのビニル基の幾つかがアリル基またはヘキセニル基で置換されたアルケニルシロキサンが含まれる。白金-アルケニルシロキサン錯体の安定性は良好であるから、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンが特に好ましい。白金-アルケニルシロキサン錯体の安定性は改善可能であり、これらの錯体は好ましくはオルガノシロキサンオリゴマーを含み、例えば1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,3-ジアリル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,3-ジビニル-1,3-ジメチル-1,3-ジフェニルジシロキサン、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラフェニルジシロキサン、および1,3,5,7-テトラメチル-1,3,5,7-テトラビニルシクロテトラシロキサンのように、アルケニルシロキサンおよびジメチルシロキサンオリゴマーを含む。アルケニルシロキサンの添加は特に好ましい。
【0141】
成分(C2)における触媒は、放射線または光硬化に対する暴露なしに活性を示す。しかしながら、それは好ましくはまた、比較的低い温度において活性を示す。より詳しくは、これらの触媒は20℃から200℃の範囲内において組成物中で活性を示してヒドロシリル化反応を促進し、好ましくは(C2)は20℃から80℃の範囲内において使用される。成分(C2)の量は触媒の種類と組成物の種類に依存しているが、触媒中の金属原子の量は、組成物の質量に対して通常0.01から50ppmの範囲にあり、そして好ましくは0.1から30ppmの範囲にある。
【0142】
最も好ましい触媒(C2)は、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンとの白金錯体、1,3-ジアリル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンとの白金錯体、1,3-ジビニル-1,3-ジメチル-1,3-ジフェニルジシロキサンとの白金錯体、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラフェニルジシロキサンとの白金錯体、および1,3,5,7-テトラメチル-1,3,5,7-テトラビニルシクロテトラシロキサンとの白金錯体から選択され、さらにより好ましくは触媒(C2)は1,3,5,7-テトラメチル-1,3,5,7-テトラビニルシクロテトラシロキサンとの白金錯体である。
【0143】
非光活性化可能な硬化は、20から80℃の温度範囲を0.5から2時間の期間で使用して、光活性化可能な硬化またはUV光がアクセス可能でない領域においてシリコーン組成物の硬化を可能にすることによって行われる。.
【0144】
別の実施形態においては、使用されるシリコーン組成物は以下で説明する補助添加剤(D)を含んでいる。
【0145】
成分(D)
任意選択的に、本発明による硬化性シリコーン組成物は、1つまたはより多くの補助的成分(成分(D))を含んでいる。本発明の1つの実施形態において、使用される硬化性シリコーン組成物は、硬化性シリコーン組成物の合計重量に基づいて3重量%未満の(D)、好ましくは1重量%未満の(D)、より好ましくは0から0.1重量%の(D)を含んでいる。
【0146】
1つの実施形態において、成分(D)は好ましくは
(D1):少なくとも1つのアルコキシシリル基を含む少なくとも1つのオルガノシロキサン、
(D2):少なくとも1つのアルコキシシリル基を含む少なくとも1つのオルガノシラン、
(D3):少なくとも2つの芳香族部分およびヒドロシリル化において反応性の少なくとも1つの基を有する少なくとも1つの芳香族有機化合物
の少なくとも1つから選択される。
【0147】
成分(D1)は好ましくは、R(H)SiO2/2およびR5(R)SiO2/2からなる群より選択される少なくとも1つの単位を含むポリオルガノシロキサンであり、
ここでRは上記で定義した通りであり、同一または異なっていてよく、R5は14までの炭素原子の不飽和脂肪族基からなる基、14までの炭素原子のエポキシ基含有脂肪族基、シアヌレート含有基、およびイソシアヌレート含有基から選択され、そして
少なくとも1つの式(3)の単位をさらに含み:
-O2/2(R)Si-R4-SiRd(OR3)3-d (3)
ここで
Rは上記で定義した通りであり、また同一または異なっていてよく、
R3はH(水素)および1から6の炭素原子を有するアルキルラジカルから選択され、同一または異なっていてよく、
R4は任意選択的に置換された15までの炭素原子の2官能性ヒドロカルビルラジカルであり、O、NおよびS原子から選択される1つまたはより多くのヘテロ原子を含んでいてよく、Si-C結合を介してケイ素原子に結合されており、そして
dは0から2である。
【0148】
成分(D1)の例には式(3a~3d)の化合物が含まれる:
【化19】
R
11はRまたはR
5、ここでR、R
3、R
4およびR
5は上記で定義した通りであり、そして同一または異なっていてよく、
s1=0~6、好ましくは1、
t1=0~6、好ましくは1または2、
s1+t1=2~6、好ましくは2または3であり、
但し少なくとも1つの基-(OSi(R)H)-または-(OSi(R)(R
11)-が化合物中に存在する。1つの実施形態において、成分(D1)は次式の化合物:
【化20】
ここでR、R
3、R
4およびR
11は上記で定義した通り、およびその環位置異性体、および次式の化合物:
【化21】
から選択される。
【0149】
1つの実施形態において、成分(D1)は次式の化合物から選択され:
【化22】
ここで:
R、R
3、R
4、R
5は上記で定義した通りであり、
s=0~10、好ましくはs=0~5、
t=0~50、好ましくはt=2~30、
u=1~10、好ましくはu=1、
s+t+u≦70であり、
但し少なくとも1つの基-(OSi(R)H)-または-(OSi(R)(R
5)-が化合物中に存在する。これらの化合物はある程度の含有量のQまたはT分岐基を含んでいてよく、D単位が置換される。
【0150】
R
5は例えば以下から選択される:
【化23】
成分(D2)は好ましくは式(4)の化合物から選択される:
X-(CR
6
2)
e-Y-(CH
2)
eSiR
d(OR
3)
3-d (4)
ここで
Xはハロゲン、擬ハロゲン、14までの炭素原子の不飽和脂肪族基、14までの炭素原子のエポキシ基含有脂肪族基、シアヌレート含有基、およびイソシアヌレート含有基からなる群より選択され、
Yは単結合、-COO-、-O-、-S-、-CONH-、-HN-CO-NH-から選択されるヘテロ原子基からなる群より選択され、
R
6は水素および上記で定義した通りのRから選択され、
eは0、1、2、3、4、5、6、7、また8であり、同一または異なっていてよく、
Rは上記で定義した通りであり、同一または異なっていてよく、
R
3は上記で定義した通りであり、同一または異なっていてよく、
dは0、1、または2である。
【0151】
成分(D2)の好ましい例に以下が含まれる:
【化24】
上側の構造は(3e)であり、下側の構造は(3f)である
【化25】
【化26】
ここでRおよびdは上記で定義した通りである。
【0152】
成分(D2)はフィラー(E)についての現場での表面処理剤として作用しうる。成分(D2)のシランの混合物を使用することが好ましい。
【0153】
成分(D3)は好ましくは式(3i)の化合物から選択される:
【化27】
ここで
rは0または1、
R
7は同一または異なる基であってよく、水素原子、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルケニルカルボニルオキシ基、アリール基、および
式-E
f-Si(OR)
3-dR
dの基、ここでRは同一または異なっており、dは上記で定義した通りである、
式-O-Si(R)
2R
1の基、ここでRおよびR
1は上記で定義した通りである、
式-E
f-Si(R)
2Hの基、ここでRは上記で定義した通りである、からなる群より選択され、
ここでEは8までの炭素原子と-O-、-NH-、C=O、および-C(=O)O-から選択される0から3のヘテロ原子基を備えた2価の有機基であり、
fは0または1、
そしてZは以下の基から選択され:
【化28】
ここでR
8は水素原子、ハロゲン原子、または置換もしくは未置換のアルキル基、アリール基、アルケニル基およびアルキニル基からなる群より選択され、そして
gは少なくとも2である正の数であり、
ここでR
7およびR
8から選ばれる少なくとも1つの基はヒドロシリル化において反応性である。
【0154】
好ましい化合物(D3)には以下が含まれる:
【化29】
【化30】
【化31】
【化32】
【化33】
ここでZ、r、R
7、R
3、Rおよびdはそれぞれ上記で定義した通りである。
【0155】
幾つかの実施形態において、成分(D1)、(D2)、および(D3)は、組成物の合計重量に基づいて、約0.1重量パーセントから約10重量パーセント;約0.5重量パーセントから約7重量パーセント;または約1重量パーセントから約5重量パーセントの量で存在することができる。1つの実施形態において、組成物は少なくとも1つの成分(D1)を組成物の合計重量に基づいて約0.1重量パーセントから約10重量パーセント;約0.5重量パーセントから約7重量パーセント;または約1重量パーセントから約5重量パーセントの量で含む。
【0156】
他の補助的成分(成分(D))にはフィラーが含まれる。適切なフィラーの例には、例えばTiO2、ナノTiO2、光沢剤(Tinopal OBのような)およびナノシリカから選択されるものが含まれる。
【0157】
二酸化ケイ素ナノ粒子はシリカナノ粒子またはナノシリカとしても知られており、安定性、低い毒性、およびある範囲の分子およびポリマーで官能化されうる性質を有している。
【0158】
ナノシリカ粒子は構造に応じてP型とS型に分けられる。P型粒子は数多くのナノ孔によって特徴付けられ、それが有する孔の割合は0.61ml/gでありS型と比較して高い紫外線反射性を示す;後者はまた比較的小さな表面積を有する。フィラーがナノシリカであり本発明によるシリコーン組成物中に含まれる場合、硬化したシリコーン組成物はUV硬化に良好な透明性を有する。
【0159】
1つの実施形態において、硬化性シリコーン組成物は強化フィラー、特にシリカを含まない。
【0160】
非強化性フィラー:
フィラーまたは増量剤(BET表面積<50m2/g)として作用する材料の例は、非強化性フィラーとして知られている。それらには例えば、石英粉末、珪藻土、クリストバライト粉末、雲母、酸化アルミニウム、および水酸化アルミニウムが含まれる。BET表面積が0.2~50m2/g未満の二酸化チタンや酸化鉄、酸化亜鉛、チョーク、カーボンブラックなども熱安定剤として使用可能である。これらのフィラーは種々の商品名で入手可能であり、例を挙げればSicron(登録商標)、Min-U-Sil(登録商標)、Dicalite(登録商標)、Crystallite(登録商標)がある。不活性フィラーまたは増量剤として知られているBET表面積が50m2/g未満の材料は、シリコーンゴムに使用する場合、下流での処理中のさらなる処理に問題が生じないようにするために、例えばふるいやノズルの通過、またはそれから製造される製品の機械的特性に悪影響がないように、100μmを超える粒子(<0.005重量%)を含まないことが有利である。
【0161】
本発明による1つの実施形態において、使用されるシリコーン組成物は化合物(D)として、ベンゾオキサゾール化合物および/またはビスベンゾオキサゾール化合物および/またはチオフェンジイルベンゾオキサゾール化合物および/またはチオフェンジイルビスベンゾオキサゾール化合物のようなUVトレーサー化合物を含んでいる。好ましくはUVトレーサー化合物は2,5-チオフェンジイルビス(5-tert-ブチル-1,3-ベンゾオキサゾール)であり、これはまたMPI化学社からMPI Bright 100 UVトレーサーとしても入手でき、UV光の下で電子部品用のモールドにおける空隙または不均一被覆または不均一硬化についてのマーカーとして使用される。UVトレーサー化合物は、UV電磁放射線に暴露された場合に蛍光を発する。
【0162】
ヒドロシリル化阻害剤化合物
ヒドロシリル化反応の速度は知られているように、幾つもの付加的な化合物によって影響されうるものであり、いわゆる阻害剤が化合物(D)として使用される。これは光活性化後の架橋速度、すなわちシリコーンゴム組成物または混合物が光活性化後に弾性的な成形体へと硬化または加硫される温度および時間にさらに影響を及ぼすことを可能にする。白金を用いた本発明の光活性化可能なヒドロシリル化にとって適切な阻害剤は、ビニルシロキサン、1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサンまたはテトラビニルテトラメチルテトラシクロシロキサンのような阻害剤である。エチニルシクロヘキサノール、3-メチルブチノールまたはジメチルマレエートのような他の公知の阻害剤もまた使用可能である。これらの阻害剤は、光活性化後の硬化反応を所望の仕方で遅延させるように使用される。基本的に、触媒(C2)のリガンドの選択によって既に十分に長い処理時間が達成されていないのであれば、白金金属の群の族について知られている任意の阻害剤を使用することができる。例示的な実施形態は、触媒をビニルシロキサン系の阻害剤と共に、さらにより好ましくはテトラビニルテトラメチルテトラシクロシロキサンと共に使用することである。成分(D)として使用可能な阻害剤補助剤の合計量は、成分(A)および(B)の100重量部に基づいて、好ましくは0から15重量部である。
【0163】
不透明化フィラー
不透明化フィラーの中にはまた特に、非透明な、特に無機の顔料またはカーボンブラックがある。
【0164】
これらの不透明化フィラーの使用は、顔料の使用が必要であったり、または熱的もしくは電気的な伝導性のような物理的機能が必要とされる場合にのみ好ましい。
【0165】
不透明で非透明性のフィラーは、プロセスにおける活性化および成形工程の通常の順序を変更することを必要とする。通常、フィラーの使用がなくまたは透明フィラーが使用されている場合には、照射を通じた光活性化は最後の成形プロセスの後に行われる。光活性化可能な触媒の光活性化を阻止することになる不透明な非透明フィラーが使用される場合には、光活性化工程は、不透明な非透明フィラーが取り入れられ混合物が成形されるよりも前に行われる。
【0166】
成分(E):接着向上剤:
別の実施形態においてシリコーン組成物は接着向上剤(E)を含み、ここで接着向上剤はチタン酸塩化合物、より好ましくはチタン酸テトラ-n-ブチルのような金属系化合物であって、シリコーン組成物が金属表面、好ましくはアルミニウム、および限定するものではないがPBT(ポリブチレンテレフタレート)、PPS(ポリフェニレンスルフィド)、ポリブチレンスクシネート、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体)、PC(ポリカーボネート)、PPO(ポリプロピレンオキシド)、PP(ポリプロピレン)、HDPE(高密度ポリエチレン)、およびその他、より好ましくはPBTのようなプラスチック基材に対してより良好に接着することを可能にする。
【0167】
さらなる実施形態において、シリコーン組成物は100重量部の(A)に対して接着向上剤(E)を0.001重量部から0.1重量部、好ましくは100重量部の(A)に対して0.005から0.075重量部、より好ましくは100重量部の(A)に対して0.01から0.06重量部、さらにより好ましくは100重量部の(A)に対して0.015から0.05重量部の量で含んでいる。
【0168】
1つの実施形態において組成物は、(A)成分、(C1)光活性化可能な触媒、および(C2)非光活性化可能な触媒を含む第1部分(a);および(B)成分を含む第2部分(b)を含む組成物として提供される。第2部分(b)は任意選択的に、1つまたはより多くのアルケニル官能性ポリオルガノシロキサン(A)、接着向上剤、阻害剤その他といった、1つまたはより多くの付加的成分を含んでいてよい。
【0169】
使用されるシリコーン組成物における異なる成分の間の比率
本発明による1つの実施形態において、電子部品のポッティング用途のためのシリコーン組成物は:
-ケイ素原子に結合した少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つのアルケニル基を有する100重量部の少なくとも1つのポリオルガノシロキサン(A)、
-少なくとも1つのSiH基を有する0.1から30重量部の少なくとも1つのオルガノハイドロジェンシロキサン(B)、
-(A)および(B)の合計重量に基づいて0.1から3.5重量パーセントの少なくとも1つの光活性化可能なヒドロシリル化触媒(C1)、
-成分(A)および(B)の合計重量に基づいて1から1000ppmの少なくとも1つの非光活性化可能なヒドロシリル化触媒(C2)、および
-0から10部の任意選択的な添加剤(D)を含んでいる。
【0170】
1つの実施形態において組成物は、接着向上剤から選択される添加剤(E)を100重量部の成分(A)に関して0.1から10重量部の量で含んでいる。1つの実施形態において、接着向上剤はチタン酸塩化合物から選択される。
【0171】
本発明による別の実施形態において、ポッティング用途のシリコーン組成物は:
-それぞれの末端にケイ素原子に結合した1つのアルケニル基を有する100重量部の少なくとも1つの直鎖ポリオルガノシロキサン(A)、
-(B1)直鎖SiH-含有ポリオルガノシロキサンおよび(B2)分岐鎖SiH-含有ポリオルガノシロキサンの群から選択される0.01から30重量部の成分(B)、
-(A)および(B)の合計重量に基づいて0.1から3.5重量パーセントの少なくとも1つの光活性化可能なヒドロシリル化触媒(C1)、
-成分(A)および(B)の合計重量に基づいて1から1000ppmの少なくとも1つの非光活性化可能なヒドロシリル化触媒(C2)、および
-0から10部の任意選択的な添加剤(D)を含んでいる。
【0172】
1つの実施形態において、この組成物は接着向上剤を100重量部の成分(A)に対して0.1から10重量部の量で含んでいる。1つの実施形態において、接着向上剤はチタン酸塩化合物から選択される。
【0173】
本発明による1つの実施形態において、ポッティング用途のシリコーン組成物は:
-それぞれの末端にケイ素原子に結合した1つのアルケニル基、好ましくは少なくとも2つのアルケニル基を有する100重量部の少なくとも1つの直鎖ポリオルガノシロキサン(A)、
-(B1)それぞれの末端に1つのSiH基を有する直鎖SiH-含有ポリオルガノシロキサンおよび(B2)少なくとも1つのMH単位および少なくとも1つのQ単位からなる分岐鎖SiH-含有ポリオルガノシロキサンの群から選択される0.01から30重量部の成分(B)、
-(A)および(B)の合計重量に基づいて0.1から3.5重量パーセントの少なくとも1つの光活性化可能なヒドロシリル化触媒(C1)、
-成分(A)および(B)の合計重量に基づいて1から1000ppmの少なくとも1つの非光活性化可能なヒドロシリル化触媒(C2)、および
-0から10部の任意選択的な添加剤(D)を含んでいる。
【0174】
1つの実施形態において、この組成物は接着向上剤から選択される添加剤(E)を100重量部の成分(A)に対して0.1から10重量部の量で含んでいる。1つの実施形態において、接着向上剤はチタン酸塩化合物から選択される。
【0175】
本発明による1つの実施形態において、ポッティング用途のシリコーン組成物は:
-それぞれの末端にケイ素原子に結合した1つのアルケニル基、好ましくは少なくとも2つのアルケニル基を有する100重量部の少なくとも1つの直鎖ポリオルガノシロキサン(A)、
-(B1)それぞれの末端に1つのSiH基を有する直鎖SiH-含有ポリオルガノシロキサンおよび(B2)少なくとも1つのMH単位および少なくとも1つのQ単位からなる分岐鎖SiH-含有ポリオルガノシロキサンの群から選択される0.01から30重量部の成分(B)、
-(A)および(B)の合計重量に基づいて0.1から3.5重量パーセントの少なくとも1つの光活性化可能なヒドロシリル化触媒(C1)、
-成分(A)および(B)の合計重量に基づいて1から1000ppmの少なくとも1つの非光活性化可能なヒドロシリル化触媒(C2)、
-0から10部の任意選択的な添加剤(D)、および
-チタン酸塩化合物から選択される0から10部の接着向上剤(E)を含んでいる。
【0176】
1つの実施形態において、上記のシリコーン組成物は10000mPa.s未満、好ましくは8000mPa.s未満、より好ましくは5000mPa.s未満の粘度を20℃およびD=10s-1において、DIN53019に従って有する。
【0177】
別の実施形態において、上記のシリコーン組成物は1000mPa.s未満、好ましくは800mPa.s未満、より好ましくは500mPa.s未満の粘度を20℃においてDIN53015に従って有する。
【0178】
本発明による別の実施形態において、硬化性シリコーン組成物は:
-次式のそれぞれの末端においてケイ素原子に結合した1つのアルケニル基を有する100重量部の少なくとも1つの直鎖ポリジオルガノシロキサン(A)
【化34】
式中Rのそれぞれは飽和有機基から独立して選択され、好ましくはメチルであり、R
1のそれぞれはアルケニル基から独立して選択され、好ましくはビニル基であり、そしてxは≧0であり、
-0.01から30重量部の成分(B)であって以下の群から選択される
(B1)次式のそれぞれの末端に1つのSiH基を有する直鎖SiH-含有ポリジオルガノシロキサン、
【化35】
式中Rは飽和有機基から独立して選択され、1つのR
3はHであり残りのR
3基は飽和有機基から独立して選択されるR基であり、p≧0およびq=0である、
(B2)M
H単位およびQ単位からなる分岐鎖SiH-含有ポリオルガノシロキサン
-(A)および(B)の合計重量に基づいて0.1から3.5重量パーセントの少なくとも1つの光活性化可能なヒドロシリル化触媒(C1)(アルキル-シクロペンタジエニル)Pt(アルキル)
3、好ましくはアルキル基はメチルである、
-ヘキサクロリド白金酸および白金のアルケニルシロキサン錯体の群から選択される、成分(A)および(B)の合計重量に基づいて1から1000ppmの少なくとも1つの非光活性化可能なヒドロシリル化触媒(C2)、
-任意選択的に0.1から10部の(D1)から(D3)、好ましくは式(3c)の(D1)、
-チタン酸塩化合物に基づく0.1から10部の接着向上剤(E)、
-ベンゾオキサゾール化合物および/またはビスベンゾオキサゾール化合物および/またはチオフェンジイルベンゾオキサゾール化合物および/またはチオフェンジイルビスベンゾオキサゾール化合物の群から選択される任意選択手なUVトレーサー化合物としての0から10部の化合物(D)を含んでいる。
【0179】
別の実施形態において、上記のシリコーン組成物は、20℃においてDIN53015に従って測定された1000mPa.s未満、好ましくは800mPa.s未満、より好ましくは500mPa.s未満の粘度を有する。このシリコーン組成物は、電子部品のチャンバー/キャビティ/モールドの表面に対する接着性を示す。
【0180】
さらに別の実施形態において、ポッティング用途は硬化性シリコーン組成物の流動性と、プロセスの次の工程(電子部品の上下を反転させる等)の前の迅速な硬化を必要とするため、硬化性シリコーン組成物は2成分系のキットとして提供される(部Aと部Bは1対1の重量比で混合)。この種の硬化性シリコーン組成物については、優れた機械的性質が得られる。
【0181】
本組成物は、電気部品および電子部品を環境的なストレスおよび他のストレスから保護するのに適した、ポッティング材料およびカプセル化材料として用いることができる。本発明の硬化性シリコーン組成物は例えば、電子デバイスのチャンバー/キャビティ/モールドにおける集積回路上のポッティング用材料として、湿気、塵埃および環境危険物質に対する保護のため自動車および電力用途において電子部品をポッティングおよびカプセル化するポッティング化合物として使用される。
【0182】
ポッティングは、機械的または電子的なアセンブリの全体を液状物質で充填するプロセスであり、液状物質はその後、水分、UV光、および/または熱エネルギーで硬化される。典型的には、ポッティング材料はプラスチック製のハウジング(チャンバー)、ポケット(キャビティ)、またはケース(モールド)内へと吐出され、そこには電子ユニットが配置されている。ポッティングの適用において、シリコーン組成物は部品の上側および周囲に流動し、またはチャンバー/キャビティ/モールドを充填して、内部にある部品を保護する。例としては、耐久性の高い電気コードやコネクタ、プラスチックケース内の電子機器、回路基板、コンクリートの修理などが挙げられる。
【0183】
カプセル化には、ワイヤ、受動部品などの対象物の周囲にフレームまたはダムを構築し、フレームと対象物の間の空間を液状材料で満たし、その後材料を水分、UV光、および/または熱エネルギーで硬化することが含まれる。
【0184】
本発明による1つの実施形態においては、直接的なUV光照射が容易にアクセス可能でない領域を有するチャンバー/キャビティ/モールド内で硬化性シリコーン組成物を硬化して硬化シリコーン組成物とするためのプロセスは、以下の工程を含んでいる:
a)硬化性シリコーン組成物を光がアクセス可能な領域および直接的なUV光が容易にアクセス可能でない領域の両方をカバーする仕方でチャンバー/キャビティ/モールドに適用し、
b)UV光が直接にアクセス可能な領域において組成物を実質的に硬化するのに十分なUV照射で基材を照射し、そして
c)UV光がアクセス可能でない領域において組成物を硬化するのに十分な時間にわたって基材上の組成物を≧20℃の温度に暴露する。
【0185】
UV光がアクセス可能でない領域は、本願ではまた陰影領域と名付けられている。硬化製品は、本発明による硬化性シリコーン組成物を照射に、好ましくはUV光に暴露してヒドロシリル化反応を行い、また平行して非光活性化可能なヒドロシリル化反応を行うことによって得られる。
【0186】
本発明による1つの実施形態においては、硬化性シリコーン組成物をコネクタポッティングの製造のための硬化したシリコーン組成物へと硬化するためのプロセスであり、このプロセスは以下の工程を含む:
硬化性シリコーン組成物をコネクタを含むチャンバー/キャビティ/モールドに適用し;
硬化性シリコーン組成物をUV光に暴露し;そして
次いでUV光がアクセス可能でない領域において20から80℃の温度範囲で硬化を行う。
【0187】
本発明による1つの実施形態においては、硬化性シリコーン組成物をコネクタポッティングの製造のための硬化したシリコーン組成物へと硬化するためのプロセスであり、このプロセスは以下の工程を含む:
硬化性シリコーン組成物をコネクタを含むチャンバー/キャビティ/モールドに適用し;
硬化性シリコーン組成物を5分間未満、好ましくは1分間未満UV光に暴露し;そして
次いでUV光がアクセス可能でない領域において20から80℃の温度範囲で硬化を行う。
【0188】
別の実施形態においては、本発明は:
上述した硬化性組成物を形成するように混合を行い、
硬化性組成物のポッティング/吐出をチャンバー/キャビティ/モールドに対して適用し;そして
ポッティングを含有するチャンバー/キャビティ/モールド内でシリコーン組成物をUV放射線源に暴露しその後非光活性化可能硬化に暴露することにより、硬化性組成物をチャンバー/キャビティ/モールドに対して硬化することを含む工程によって調製された物品に関する。
【0189】
本発明によるプロセスの好ましい実施形態において、シリコーン組成物は0.01から300秒の期間にわたる光活性化により硬化可能である。光活性化は、200から450nmの範囲内の波長の光(UV光)で行われる。本発明によるプロセスにおいては光活性化のためのUV放射線源は、例えば、フラッシュランプとして作動可能なキセノンランプ、未ドープの水銀ランプまたは鉄またはガリウムでドープされた水銀ランプ、ブラックライトランプおよびエキシマランプ、並びにLEDのUVランプといった、UVランプの群から選択される。365nmの波長での合計の暴露量は好ましくは、100mJ/cm2から10J/cm2の範囲内にある。本発明の硬化性シリコーン組成物を硬化するために使用される波長は、その波長が合理的な所要時間内で組成物を硬化することができる限り、狭く限定されるものではない。光活性化による硬化に続いては、0.5から2時間の期間にわたり20から80℃の温度範囲内での非光活性化硬化が行われ、UV光がアクセス可能でない領域においてシリコーン組成物の硬化が可能になる。
【0190】
2成分の付加硬化系の使用(部Aと部Bのキット)は、組成物をモールドに吐出するのに少し時間を要するが、より迅速な硬化が可能であり、ポッティング用途に便利である。
【0191】
1つの実施形態において、本発明は20から80℃の温度範囲において硬化を加速することを含むプロセスにより、硬化性組成物を硬化するプロセスを提供する。
【0192】
1つの実施形態において、本発明はまた、本発明の硬化性シリコーン組成物をUV強度0.5J/cm2から20MJ/cm2で硬化し、続いて20から80℃の温度範囲において硬化するプロセスにより調製される、硬化した組成物を提供する。
【0193】
1つの実施形態において、硬化した組成物はDIN51579によって1/4コーンで試験して20から80の針入範囲において10/mmの硬度を有し、また別の実施形態においてはASTM D2240-2015によりショア00硬度範囲は0から70である。
【0194】
本発明の組成物が保護を行うために用いられうる電子部品は特に限定されない。電子部品としては例えば、任意の型式のPCB(プリント回路板)アセンブリ、並びにスイッチやピンを備えた電子コネクタが挙げられてよい。典型的には、電子アセンブリは電流または電圧によって駆動される受動部品または能動部品からなる。
【0195】
本発明によるポッティング材料は、エンジンおよび/またはトランスミッション制御ユニット、電子パワーステアリングユニット、電源または変圧器およびシャーシおよび安全関連電子制御ユニット(例えばABS、ESP、その他)の回路基板アセンブリの全体または場合によっては特定の領域のみを保護するために使用される。
【0196】
他の用途は電子コネクタに関連している。コネクタは通常、プラスチックハウジング(PBT、PPS、ABSなどのエンジニアリングプラスチック)と金属製のコネクタピンで構成される。コネクタポッティングの用途は、自動車、通信、軍事、航空宇宙、家電に至るまで、多くの用途で普及している。
【0197】
パワーエレクトロニクスおよびパワーモジュール用途。特にIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)モジュールのポッティングおよびカプセル化。IGBTモジュールは、モーターの可変速ドライブや無停電電源装置などの電力変換器のスイッチング素子として使用するために開発されている。IGBTは、パワーMOSFET()の高速スイッチング性能とバイポーラトランジスタの高電圧/大電流処理能力を組み合わせた半導体デバイスである。このIGBT用途における本発明によるシリコーン材料の主な機能は、モジュール内のワイヤおよび高電圧領域を電気的に絶縁して、アーク放電や短絡を防止することである。
【0198】
典型的には、コネクタピンはコネクタのプラスチックハウジング内またはプラスチックハウジング貫通して取り付けられる。ピンがプラスチックハウジングを突き抜け、金属コネクタピンとプラスチックハウジングの間には製造公差により小さな隙間があるため、ポッティング材料として提案したシリコーン組成物は水の浸入を防ぐバリアとして機能する。
【0199】
ポッティング材料はコネクタ内に吐出され、隙間に流入されてキャビティを充填する。充填および流動後、材料はUV光の照射により硬化される。コネクタピンの下側にはUV光に暴露されない可能性のある、いわゆる「陰影領域」があり、UVを使用しない第2の硬化機構が必要とされる。
【0200】
加えて、硬化材料としての本発明によるシリコーン組成物は、以下の1つまたはより多くをもたらす:(a)広い温度範囲にわたる長期安定性、(b)過酷な条件下でさえも維持される可撓性、接着性、および/またはシール性、(c)応力を緩和する永続的な可撓性および低い硬化収縮、(d)低い応力および非クラッキング性、(e)振動、衝撃およびショックに対する耐久性、(f)優れた耐久性、(g)優れた耐熱衝撃性、(h)湿気に対する優れた保護、(i)温度変化による最小限の膨張と収縮、(j)高感度回路での使用に適した優れた電気絶縁特性、(k)低揮発性の溶液、(l)アセンブリプロセスに材料を適合可能なカスタマイズ可能な硬化速度、および/または(m)半流動性から流動性液体までの広い粘度範囲。
【0201】
上記に説明したところは、本明細書の例を含んでいる。もちろん、本明細書の記載を行う目的について、成分または方法論のすべての認識可能な組み合わせを記載することは不可能であるが、当業者は、本明細書の多くのさらなる組み合わせおよび置き換えが可能であることを認識してよい。したがって本明細書は、添付の特許請求の範囲の思想および範囲内に包含される、すべてのそうした変更、修正および変種を包囲することを意図している。さらにまた、詳細な説明または特許請求の範囲において「包含する」という用語が使用される限りにおいて、そうした用語は「含む」と同様の仕方で包括的であることを意図しているが、これは「含む」が特許請求の範囲において転換語として用いられた場合に解釈されるのと同様である。
【0202】
以上の説明は、シリコーン組成物、かかる組成物を硬化するためのプロセス、および種々の用途におけるかかる組成物の使用についての、種々の非限定的な実施形態を明らかにしている。当業者および本発明を作成および使用する者には、変更が想起されてよい。開示された実施形態は単に例示的な目的のためのものであり、特許請求の範囲に記載された発明または主題の範囲を限定することを意図したものではない。
【0203】
実施例
実施例1および実施例2
部Aおよび部B(実施例1および実施例2について以下の表1に表示している)を、対応するそれぞれの実施例について1:1の重量比で混合することによってシリコーン組成物を得た。これらの2つのシリコーン組成物(実施例1および実施例2)は、UVトレーサーMPI Bright 100が欠如している(実施例2)または存在している(実施例1)ことによって異なっている。
【0204】
UVトレーサーは、漏れ検出またはシール欠陥検出のために使用されている。UVトレーサーは部Aと部Bをブレンドした後に添加される。
【0205】
23℃における作業寿命は、対応する実施例の最終的なシリコーンゴム組成物(A+B)の初期粘度が倍になるまでの時間に対応している。
【0206】
実施例のシリコーン組成物の混合物は次いで、グリーン強度4.5のUV照射量を備えたメタルハライドランプでまず照射される。
【0207】
【0208】
実施例のそれぞれ(実施例1および実施例2)のシリコーン組成物は以下のように2つの方法で硬化した:
-100mW/cm2(UV硬化4.5J/cm2)のUV放射線で45秒間
-陰影領域について23℃で非光硬化性硬化
(UV硬化はまた365nmのUV LEDを用いてグリーン強度24を9秒間のUV照射量で、4.5J/cm2に相当する500mW/cm2のUV放射線で行うことができる。)
【0209】
【0210】
本発明による硬化したシリコーン組成物についてのラップ剪断は実施例1および実施例2について異なる基材の組み合わせで測定した。
基材の組み合わせ:ガラス/他の基材
2つの基材の間のボンドライン厚さ:100μm
2段階硬化条件:UV放射線100mW/cm2で45秒間プラス23℃で16時間(非光活性化可能な硬化)
【0211】
【0212】
ラップ剪断(DIN Norm EN1465)を使用して剪断強さの下での接着特性強度を測定した(https://leitfaden.klebstoffe.com/en/6-5-1-leap-shear-test/を参照)。
本発明により使用された基材の組み合わせである、ガラス/本発明により使用されるシリコーン組成物/PBT- GF30FR Ultradur B4300 G6 HRは、ラップ剪断について最も高い値および凝集破壊の最も高いパーセンテージを有し、接着剤がこの基材の組み合わせについて非常に適していることが示された。
【0213】
85℃/85%相対湿度(r.h.)においてエージング試験を行って、実施例1および実施例2のシリコーン組成物のラップ剪断接着性に対する影響を見た。
この試験については、以下の条件を使用した:
使用した基材の組み合わせ:ガラス/PBT(BASF社のGF30 Ultradur B4315 G6 HR)
ボンドライン厚:100μm
硬化条件:UV放射線100mW/cm2を45秒および平行して23℃における非光活性化可能な付加硬化
【0214】
【0215】
実施例1または2のシリコーン接着剤は85℃/85%相対湿度(r.h.)でのエージング後に剪断接着強さにおける40%の変動を示すが、これはポッティング用途に適している。
【0216】
本発明の実施例1について2つの異なるUV源を用いて硬度の増大を測定した。
【0217】
【0218】
【表5B】
上記の組成物はポッティング用途に適しているが、その理由は以下のところにある。
-粘度が低いことから(20℃でDIN53015により約220mPa.s)注入および小さなキャビティの充填が容易である。
-硬化後に外部媒体に対する緊密性を確保する。
【0219】
実施例3および実施例4
実施例3または4のシリコーン組成物の混合物(その組成は以下の表5に表示する)を最初にグリーン強度4.5のUV照射量を備えたメタルハライドランプで以下のように硬化した:
UV放射線100mW/cm
2(UV硬化4.5J/cm
2)を45秒間
代替的には、365nmのUV LEDを用いてグリーン強度24のUV照射量で9秒間および500mW/cm
2のUV放射線が使用される。
【表5】
インストロン社の装置で、重なり剪断(OLS)試験および破壊モードを用いて、試験基材の大きさとして25mm×10cm、接着領域として25mm×25mm×1mm、そしてクロスヘッドのプル速度として10mm/分を用いて、硬化した試料について凝集破壊を測定した。100%の凝集破壊というのは、シリコーン接着剤が基材に対して非常に良好な接着性を有するため、それ自体で破壊されたことを意味している。
【0220】
表5に示されているように、実施例3はチタン酸テトラ-nブチル(E)を含んでおらず、UVによる照射の後には、アルミニウム5754またはガラス繊維30%強化PBTであるUltradur B4300 G6 HRのような2つの異なる基材についての凝集破壊の割合には大きな違いがある。これらの実験は、チタン酸テトラ-nブチルが存在すると、アルミニウムやPBTのような基材上への組成物の接着性が驚くほど増大することを示している。実施例4の接着破壊の割合が100%であることは、基材(アルミニウムまたはPBT)と実施例4のシリコーン組成物との間の驚くほど強い接着性を示している。本発明の組成物はUVによる完全な硬化および付加的な陰影での硬化をもたらし、アルミニウムやPBTのような低エネルギーの基材上における接着性を驚くほど増大させる。このような接着性の増大はおそらく、金属(チタン酸塩)化合物と紫外線活性化硬化触媒の協同作用により促進されていますが、そのようなことはこれまで知られていませんでした。実施例3および4で観察された硬化は、同じ硬度値、すなわちショア00硬度40を有する同じ品質であった。
【0221】
実施例5:実施例1の本発明の2成分系シリコーン組成物のコネクタアセンブリにおける使用:
自動車の電気コネクタは、自動車の電気系統で使用するように特別に設計されている。自動車という機械はこれまでに大きな変革を受けており、今日の最新の装置は広範囲に配線され、マイクロプロセッサによって制御されている。これにより、高品質で信頼性の高い配線および電気コネクタに対する需要が高まっている。
【0222】
典型的には、コネクタピンはコネクタのプラスチックハウジング内またはプラスチックハウジングを介して取り付けられる。ピンはプラスチックハウジングを貫通し、金属コネクタピンとプラスチックハウジングの間には製造公差により小さなギャップがあるため、本発明のシリコーン材料は水の浸入を防ぐバリアとして機能する。
【0223】
実施例1の本発明の2成分系シリコーン組成物としてのポッティング材料(部Aと部Bは1:1の重量比で混合された)をコネクタ内部に吐出し、ギャップ内に流動させてキャビティを充填した。充填および流動の後に、実施例1の本発明のシリコーン組成物は表1に示されているようにUV光に暴露することで硬化された。コネクタピンの下側にはUV光に暴露されなかった領域である「いわゆる陰影領域」があるため、UVを用いない第2の硬化機構が必要とされる。室温での硬化のために非光活性化可能触媒が作用し、そして1時間後に、硬化したシリコーン組成物はショア00で40という最終硬度に非常に近い硬度を有していた。コネクタは次いで、さらに処理される。
【国際調査報告】