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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】クライミングウォール
(51)【国際特許分類】
   A63B 27/00 20060101AFI20240719BHJP
   A63B 69/00 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
A63B27/00
A63B69/00 517
A63B69/00 515C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503650
(86)(22)【出願日】2022-01-27
(85)【翻訳文提出日】2024-01-17
(86)【国際出願番号】 EP2022051892
(87)【国際公開番号】W WO2023006255
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】21187640.4
(32)【優先日】2021-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524023767
【氏名又は名称】マーシン・ペリー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100119426
【弁理士】
【氏名又は名称】小見山 泰明
(72)【発明者】
【氏名】マーシン・ペリー
(57)【要約】
発明はレクリエーション及びスポーツの練習を目的とした人工クライミングウォール(1)に関する。クライミングウォール(1)は空間的区画(7)を画定している仕切(7)の配置を備えた支持構造(5)を有する1つのクライミングウォールモジュール(2)を備える。区画(7)内には、前壁(8A)と後壁(8B)並びに側壁(8C)が見分けられるクライミングホールド(10)の本体(8)が存在する。クライミングホールド(10)の本体(8)の前壁(8A)は支持構造(5)と共にクライミングウォール(1)のユーザの運動に適合させたクライミングウォールモジュール(2)の前表面を形成する。少なくとも1つのクライミングウォールモジュール(2)の背後に、それから距離を隔てて、少なくとも1つのクライミングホールド収納モジュール(3)が存在する。クライミングホールド収納モジュール(3)はクライミングホールド(10)の本体(8)を受け入れるように適合された空間的区画(7)を画定している仕切(6)の配置を備えた支持構造(5)を有する。クライミングウォールモジュール(2)とクライミングホールド収納モジュール(3)の間の空間には、クライミングウォールモジュール(2)及び/又はクライミングホールド収納モジュール(3)に納められたクライミングホールド(10)の多壁本体(8)を操作するように適合された少なくとも1つのロボットが存在する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クライミングホールドの複数の本体がその中に納められた空間的区画を画定している仕切の配置を備えた支持構造を有する少なくとも1つのクライミングウォールモジュールを備えるクライミングウォールであって、前記クライミングホールドの前記本体は前壁と後壁並びに側壁が見分けられ、前記クライミングホールドの前記本体の前記前壁は前記支持構造と共に、前記クライミングウォールのユーザの運動に適合させた前記クライミングウォールモジュールの前表面を形成する、クライミングウォールにおいて、
少なくとも1つのクライミングウォールモジュール(2)の背後に、それから距離を隔てて、少なくとも1つのクライミングホールド収納モジュール(3)が存在し、前記クライミングホールド収納モジュール(3)は、前記クライミングホールド(10)の前記本体(8)を受け入れるように適合された空間的区画(7)を画定している仕切(6)の配置を備えた支持構造(5)を有し、前記クライミングウォールモジュール(2)と前記クライミングホールド収納モジュール(3)の間の空間には、前記クライミングウォールモジュール(2)及び/又は前記クライミングホールド収納モジュール(3)に納められた前記クライミングホールド(10)の前記多壁本体(8)を操作するように適合された少なくとも1つのロボットが存在する、ということを特徴とするクライミングウォール。
【請求項2】
請求項1に記載のウォールにおいて、
前記クライミングホールド収納モジュール(3)の前記空間的区画(7)の形状が前記クライミングウォールモジュール(2)の前記区画(7)の形状に対応している、ということを特徴とするウォール。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のウォールにおいて、
前記クライミングホールド(10)の前記本体(8)の前記後壁(8B)に、当該クライミングホールド(10)を操作するための少なくとも1つのサービスホールド部(15)が存在する、ということを特徴とするウォール。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載のウォールにおいて、
前記クライミングウォールモジュールと前記クライミングホールド収納モジュールの間の前記空間に、少なくとも1つの把持及び操作アーム(14A、14B)を有する多軸デカルト座標ロボット(11)が存在する、ということを特徴とするウォール。
【請求項5】
請求項4に記載のウォールにおいて、
前記デカルト座標ロボット(11)が伸縮式把持及び操作アーム(14A、14B)を有する、ということを特徴とするウォール。
【請求項6】
請求項4又は5に記載のウォールにおいて、
前記把持及び操作アーム(14A、14B)が垂直軸(O1)及び/又は水平軸(O2)方向に回転可能に取り付けられている、ということを特徴とするウォール。
【請求項7】
請求項4乃至6の何れか一項に記載のウォールにおいて、
前記把持及び操作アーム(14A、14B)が少なくとも1つの関節を有する、ということを特徴とするウォール。
【請求項8】
請求項4乃至7の何れか一項に記載のウォールにおいて、
前記把持及び操作アーム(14A、14B)が電磁石を有する、ということを特徴とするウォール。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか一項に記載のウォールにおいて、
前記各区画(7)の少なくとも1つの壁に、前記ホールドの前記本体の少なくとも1つの側壁に設置された少なくとも1つの可動突起(17)を受け入れるように適合された少なくとも1つの陥凹(16)が存在する、ということを特徴とするウォール。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか一項に記載のウォールにおいて、
前記クライミングウォールモジュール(2)の前記前表面が前記クライミングホールドの前記本体のための動作拘束部を有する、ということを特徴とするウォール。
【請求項11】
請求項10に記載のウォールにおいて、
前記クライミングウォールモジュール(2)の前記区画(7)は、当該ウォールモジュール(2)の前記前表面側の開口部が前記ウォールモジュールの後ろ表面の開口部に比べて小さいクリアランスを有するように構成されていて、その結果、前記区画(7)内に受け入れられた前記クライミングホールドの前記本体がロックされ、前記クライミングウォールの前側から取り外せないようになっている、ということを特徴とするウォール。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れか一項に記載のウォールにおいて、
前記クライミングホールド(10)の前記本体(8)の前記後壁(8B)がロックフランジを有する、ということを特徴とするウォール。
【請求項13】
請求項1乃至12の何れか一項に記載のウォールにおいて、
前記クライミングウォールのユーザを登攀中及び降下中に固定するための安全点が前記クライミングウォールモジュールの前記支持構造(5)に取り付けられている、ということを特徴とするウォール。
【請求項14】
請求項1乃至13の何れか一項に記載のウォールにおいて、
前記クライミングホールド収納モジュール(3)が前記クライミングウォールモジュール(2)に平行に配置されている、ということを特徴とするウォール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の目的は、レクリエーション及びスポーツの練習を目的とした人工クライミングウォールとして有用であることが見出されるクライミングウォールである。
【背景技術】
【0002】
従来技術において、ドイツ特許第202005009100U1号からは、開放区画と閉鎖区画を備えた支持フレームを有する空間的なクライミング構造が知られている。支持フレームは、直方体の形状を形成する垂直方向のブラケットと水平方向のブラケットとで作られている。支持構造の交差したブラケットが区画を形成しており、その区画にプレートの形態をした充填物を取り付けて、支持構造を横切る分岐と十字路のある迷路に似た通路の配置を形成できるようにしている。したがって、この類の充填物は支持構造の選択された区画を閉じる。支持構造に取り付けられた連続する充填物は機能的な性質を有し、それらはクライミングホールド、ラダー、ステップ、又はスライドの様な追加の要素を備えている。クライミングホールドを取り付けられた充填物は支持構造内にクライミング区分を作成することを可能にしており、クライミングホールドはクライミング構造の他の部分に設置されることもできる。支持構造を互いに組み合わせて、様々な外側形状を有するより大きなユニットを形成することができる。
【0003】
代って欧州特許第2420304A1号は、垂直方向の仕切と水平方向の仕切の配置を備えた支持構造を有するモジュール式クライミングウォールを開示している。仕切は、クライミングホールドの本体が脱着可能に取り付けられる区画のセットを画定している。区画は、接続された仕切によって形成される任意の内側形状を有することができ、クライミングホールドの本体の外側形状は区画の内側形状に適合されていなくてはならない。具体的には、それらは立方体の区画であり、取り付けられるクライミングホールドの本体に立方体の形状を持たせているということである。クライミングホールドそのものの本体の外側形状は区画の形状に対応していて、本体は適切なクライミングホールド部を取り付けられている。適切なクライミングホールド部を備えた本体は、クライミングウォールの区画内に取り付けられるモジュールを形成している。区画への脱着可能な取り付けは、クライミングウォールの前部分の、仕切の交点に設置されたボルト又はロック要素によって実現される。具体的には、ロック要素は、仕切の交点に取り付けられた十字の形態を有するものとすることができる。したがって、ロック要素はニュートラル位置では仕切の平面内に全体が収まる。一方、位置変更後はアームが4つの区画をクライミングホールドと共にロックする。クライミングウォールの区画はモジュール式クライミングホールドを充填される。クライミングルートの配置は単純であり、クライミングウォール内の区画同士の間でクライミングホールドの本体の位置を任意に変えることができ、又は区画内のクライミングホールドの本体の位置を変更することによって変えることができるので、様々な難易度のクライミングルートを形成できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】ドイツ特許第202005009100U1号
【特許文献2】欧州特許第2420304A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明の目的は、クライミングルートを配置するために、クライミングホールドの入れ換えを改善し且つ捗らせることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の対象は、クライミングホールドの複数の本体がその中に納められた空間的区画を画定している仕切の配置を備えた支持構造を有する少なくとも1つのクライミングウォールモジュールを備えるクライミングウォールであって、クライミングホールドの本体は前壁と後壁並びに側壁が見分けられ、クライミングホールドの本体の前壁は支持構造と共に、クライミングウォールのユーザの運動に適合させたクライミングウォールモジュールの前表面を形成する、クライミングウォールである。発明の本質は、少なくとも1つのクライミングウォールモジュールの背後に、それから距離を隔てて、少なくとも1つのクライミングホールド収納モジュールが存在し、クライミングホールド収納モジュールは、クライミングホールドの本体を受け入れるように適合された空間的区画を画定している仕切の配置を備えた支持構造を有し、クライミングウォールモジュールとクライミングホールド収納モジュールの間の空間には、クライミングウォールモジュール及び/又はクライミングホールド収納モジュールに納められたクライミングホールドの多壁本体を操作するように適合された少なくとも1つのロボットが存在する、ということにある。
【発明の効果】
【0007】
クライミングホールド収納モジュールの空間的区画の形状がクライミングウォールモジュールの区画の形状に対応しているならば好適である。
【0008】
クライミングホールドの本体の後壁に、クライミングホールドを操作するための少なくとも1つのサービスホールド部が存在するならば有意義である。
【0009】
クライミングウォールモジュールとクライミングホールド収納モジュールの間の空間には、少なくとも1つの把持及び操作アームを有する多軸デカルト座標ロボットが存在するならば合理的である。
【0010】
デカルト座標ロボットが伸縮式把持及び操作アームを有するならば好ましい。
【0011】
把持及び操作アームが垂直軸及び/又は水平軸方向に回転可能に取り付けられているならば特に好適である
【0012】
把持及び操作アームが少なくとも1つの関節を有するならば有意義である。
【0013】
把持及び操作アームが電磁石を有するならば等しく有意義である。
【0014】
各区画の少なくとも1つの壁に、クライミングホールドの本体の少なくとも1つの側壁に設置された少なくとも1つの可動突起を受け入れるように適合された少なくとも1つの陥凹が存在するならば等しく好適である。
【0015】
クライミングウォールモジュールの前表面がクライミングホールドの本体のための動作拘束部を有するならば好ましい。
【0016】
クライミングウォールモジュールの区画は、ウォールモジュールの前表面側の開口部がクライミングウォールモジュールの後ろ表面の開口部に比べて小さいクリアランスを有するように構成されていて、その結果、区画内に受け入れられたクライミングホールドの本体がロックされ、クライミングウォールの前側から取り外せないようになっているならば同じく望ましい。
【0017】
クライミングホールドの本体の後壁がロックフランジを有するならば等しく有意義である。
【0018】
クライミングウォールのユーザを登攀中及び降下中に固定するための安全点がクライミングウォールモジュールの支持構造に取り付けられているならば合理的である。
【0019】
クライミングホールド収納モジュールがクライミングウォールモジュールに平行に配置されているならば有意義である。
【0020】
発明の主な利点は、クライミングウォールそのものに間近に近接して様々なタイプのクライミングホールドのための収納室を提供していることであり、これはクライミングホールドのための収納モジュールによって実現されている。これには、クライミングウォールモジュール並びにクライミングホールド収納モジュールの区画内に着座させるクライミングホールドの本体の設計が簡素になる、ということが付随する。クライミングホールドの本体は、クライミングウォールモジュール又はクライミングホールド収納モジュールの区画の中へスライドさせて入れる。クライミングウォールモジュールは、クライミングウォールのユーザのウォール上の運動に適合させた前表面を有する。クライミングホールド収納モジュールをクライミングウォールモジュールから離して設置することによって、クライミングウォールモジュールとクライミングホールド収納モジュールの間に、ホールドの入れ換えを実現させる空間が提供される。この空間に設置されクライミングホールドの本体を操作するように適合されたロボットによってクライミングルートの入れ換えと配置が実現される。クライミングホールドの本体の入れ換えは、クライミングホールドの本体をクライミングウォールモジュールからクライミングホールド収納モジュールへ動かすことによって非常に迅速に進行する。更にまた、ロボットが使用された場合、作業員の参加無しにクライミングホールドを入れ換えることが実施可能になる。ロボットの使用は、更なる利点の達成を可能にする。ロボットを遠隔的に制御すること、又は専用のソフトウェア内でクライミングルートを配置し、ロボットによる自律的な遂行のための命令のセットを伝送することが実施可能である。更にまた、ロボットはその活動を、登攀者がクライミングウォールを登っている間に遂行することができ、又はクライミングウォールが使用されていない時間中、例えば夜間に遂行することができる。したがって、ロボットがクライミングホールド収納モジュールから任意に選択されたホールドをクライミングウォールモジュールに自動的に納めるので、クライミングルートは自動的に配置されることができる。
【0021】
クライミングウォールの支持構造内の区画に対応した空間的区画を形成することによって更なる利点が達成される。これに因って、作業空間では、設計が単純で3次元空間内で作業して全方向への運動の遂行を可能にするデカルト座標ロボットを使用することが実施可能となる。伸縮式設計のアームをロボットに設けることで、アームを伸長した状態で作業空間からクライミングホールドに簡単に到達でき、また限られた空間内でアームを短縮した状態でこれらのクライミングホールドを操作できる。操作の容易さは、把持及び操作アームを水平軸及び垂直軸方向に回転可能に取り付けることによって更に影響を与えられる。クライミングホールドの本体の後ろ表面にサービスホールド部を設けることで、今度は、正しく適合されたロボットによるクライミングホールドのこの本体の容易把持も可能になる。これは、クライミングホールドの保持の確実性を高め、クライミングホールドが意図せず解放されるリスクを低減する。ロボットアームに電磁石を設けることで、クライミングホールドの本体を提供する様々な種類の金属要素と簡単に協働できるようになる。
【0022】
各区画の少なくとも1つの壁に、ホールドの本体の少なくとも1つの側壁に設置された少なくとも1つの可動突起を受け入れるように適合された少なくとも1つの陥凹が存在するならば、更に他の利点が達成される。これは、区画内にクライミングホールドの本体を簡単にロックすることを可能にする。クライミングホールドの本体をクライミングウォールのモジュール又はホールド収納のモジュールの区画内に取り付ける工程は、更に、クライミングウォールモジュールの前表面において、具体的にはクライミングウォールモジュールの前表面がクライミングホールドの本体のための動作拘束部を有しているときに、又は、支持壁モジュールの区画がウォールモジュールの前表面側にウォールモジュールの後ろ表面側より小さいクリアランスを有しているときに実現される。更にまた、クライミングホールドの本体の後壁にロックフランジを設けることも、クライミングホールドがクライミングウォールのユーザによって取り外されることから防護する。
【0023】
クライミングウォールモジュールの支持構造は巨大な荷重を伝達するように適合され、したがって、支持構造には登攀者の登攀中及び降下中の所要の静的及び動的荷重を伝達するための安全点を取り付けることができる。更に別の利点が、クライミングウォールのモジュール又はクライミングホールド収納のモジュールの支持構造の関節式接続によって達成され得る。これは、スラブ又はオーバーハングの構造はもとよりベンド又はエッジの構造も可能にする。ロボットもまたその様なやり方で配置されたクライミングウォールモジュールと協働することができ、つまりロボットはアームに別の関節式接続を有することができ、クライミングウォールモジュールの傾斜に従ったアームの傾けを可能にする。
【0024】
発明の対象は実施形態及び図面に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】クライミングウォールモジュールを備えたクライミングウォールとクライミングホールド収納モジュールをそれらの間の作業空間と共に斜視図で示す。
図2】クライミングウォールモジュール及びホールド収納モジュールの支持構造を斜視図で示す。
図3】見本のクライミングホールドを斜視図で示す。
図4】クライミングウォールモジュールの断片をクライミングホールドと共に斜視図で示す。
図5】別の実施形態での、クライミングウォールモジュールの断片をクライミングホールドと共に斜視図で示す。
図6】クライミングウォールモジュールの支持構造の断片を斜視図で示す。
図7】クライミングホールドを後壁の斜視図で示す。
図8】クライミングウォールモジュールをクライミングルートの配置された状態で斜視図で示す。
図9】クライミングウォールモジュールを後ろの作業表面の斜視図で示す。
図10】クライミングホールド収納モジュールを後壁の斜視図で示す。
図11】作業空間でのデカルト座標ロボットを斜視図で示しており、ロボットの運動の方向を示す。
図12】作業空間でのデカルト座標ロボットを斜視図で示しており、ロボットの運動の方向を示す。
図13】作業空間でのデカルト座標ロボットを斜視図で示しており、ロボットの運動の方向を示す。
図14】作業空間でのデカルト座標ロボットを斜視図で示しており、ロボットの運動の方向を示す。
図15】作業空間でのデカルト座標ロボットを斜視図で示しており、ロボットの運動の方向を示す。
図16】組み合わされた、2つの異なる構成のクライミングウォールモジュールを斜視図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
クライミングウォール1(図1)は、1つのクライミングウォールモジュール2と、1つのクライミングホールド収納モジュール3と、を備えている。クライミングウォールモジュール2の背後に、それから距離を隔ててクライミングホールド収納モジュール3が存在する。結果として、クライミングウォールモジュール2とクライミングホールド収納モジュール3の間には空間が存在し、この空間は実施形態の以降の部分では作業空間4とも記述される。クライミングウォールモジュール2とホールド収納モジュール3の間の空間は、主にクライミングウォールモジュール2の後ろ表面とクライミングホールド収納モジュール3の前表面とによって境界されている。他の実施形態では、クライミングウォール1は、1つより多いクライミングウォールモジュール2及び/又は1つより多いクライミングホールド収納モジュール3を備えることもできる。
【0027】
クライミングウォールモジュール2(図2)とクライミングホールド収納モジュール3はどちらも、直方体の形状をした空間的区画7を画定している垂直方向及び水平方向の仕切6の配置を備えた支持構造5を有する。空間的区画7(図4)には、直方体の形状を有するクライミングホールド10の本体8(図3)が脱着可能に取り付けられる。これらの本体8では、前壁8Aと後壁8B並びに側壁8Cが見分けられる。クライミングホールド10の本体8は、前壁8Aに適切なクライミングホールド部9を有する。クライミングホールド10の本体8は適切なクライミングホールド部9と共にクライミングホールド10を形成している。適切なクライミングホールド部9は、支持構造5の縁によって画定される平面を越えて突出する普通の直方体から始まり、何れかの種類の規則的な3次元幾何学図形又は自然の凸状又は凹状の岩石面を模した不規則な形態で終わり、人工クライミングウォールで通常遭遇されるクライミングホールド及びフットレストの機能に役立つ、何れの形態を有していてもよい。凹状形態をした適切なクライミングホールド部9は、クライミングホールド10の本体8の内部に入り込んだ凹みである。クライミングウォール1内には、更に、平坦な前壁8Aを有するニュートラルなクライミングホールド10が存在する。クライミングウォールモジュール2の区画7に取り付けられたとき、ニュートラルなクライミングホールド10は構造要素及び他のクライミングホールド10と共に実質的に均一な表面を形成する。クライミングホールド10は、クライミングホールド10の各本体8を90°回転させて適切なクライミングホールド部9の位置を変更することが可能なので、区画7内に任意に取り付けられることができる。
【0028】
第2の実施形態(図5)では、空間的区画7Aは正六角形の形状を有しており、そこへクライミングホールド10Aが割り当てられる。クライミングホールド10Aの本体は、その両ベースに六角形を有する空間的ブロックであり、六角形はそれぞれ前壁及び後壁を構成している。この本体内では、側壁も見分けられる。六角形の空間的区画7Aは、仕切6Aの適切な配置によって形成されている。空間的区画7A及びクライミングホールドのその様な形状は、クライミングホールド10Aを60°回転させて適切な位置にセットアップすることができるので、適切なクライミングホールドをセットアップすることについてより多くの実現可能性を提供する。
【0029】
他の実施形態では、空間的区画は、支持構造内の仕切の配置によって画定される任意の形状を有することができる。具体的には、ベースに三角形、五角形、又は八角形の様な図形を有する正多角形の形状を有することができる。
【0030】
クライミングウォールモジュール2では、クライミングウォールのユーザの運動に適合させた前表面も後ろの作業表面と同じく見分けられる。クライミングウォールモジュール2の前表面は、このモジュールの支持構造5とクライミングホールド10の本体8の前壁8Aとによって形成される。クライミングルートを形成する適切なクライミングホールド部9は前表面に設置されている(図8)。クライミングウォールモジュール2の区画7のマトリクス内に任意の構成で配置された様々なタイプのクライミングホールド10によってクライミングルートが形成される。クライミングホールド10の本体8の後壁8Bは、クライミングウォールモジュール2の後ろ作業表面に設置されている(図9)。したがって、クライミングホールド10の本体8の後壁8Bは、作業空間4の側からアクセス可能である。クライミングホールド収納モジュール3でも同じく、クライミングホールド10の本体8は、クライミングホールド10の本体8の後壁8Bが作業空間4の側からアクセス可能となるやり方で配置されている。例えば、クライミングホールド10は、ホールド収納モジュール3の区画7内にグループ分けされ順序付けられたやり方で配置されている(図10)。
【0031】
更にまた、登攀者の登攀中及び降下中の所要の静的及び動的荷重を伝達するための安全点(図面には示されていない)が、クライミングウォールモジュール2の支持構造5の前表面に取り付けられている。他方で、既に述べられている様に、クライミングウォールモジュール2の背後には、それから距離を隔てて、クライミングホールド収納モジュール3が設置されている。
【0032】
クライミングウォール1の最も単純な設計では、クライミングウォールモジュール2とクライミングホールド収納モジュール3の間の、いわゆる作業空間4を意味する空間は、もっぱらロボット特にデカルト座標ロボット11の運動に適合されている。したがって、モジュール間の作業空間4内を動く何れかのロボットは、クライミングウォールモジュール2とクライミングホールド収納モジュール3の間でクライミングホールド10を任意に入れ換えることができる。更にまた、ロボットは、クライミングホールド10の角度位置のみを変更することもでき、ゆえにクライミングルートに沿って個々の適切なクライミングホールド部9の配置を修正することができる。
【0033】
したがって、クライミングウォールモジュール2及びクライミングホールド収納モジュール3内に納められたクライミングホールド10の多壁本体8を操作するように適合された何れのロボットが作業空間4に設置されていてもよい。図面に示されている実施形態では、デカルト座標ロボット11が、クライミングウォールモジュール2とクライミングホールド収納モジュール3の間の作業空間4の中央に設置されている(図11図15)。この目的を果たすために、作業空間4には2つの垂直方向案内レール12が着座し、それに水平方向案内レール13が滑動可能に取り付けられている。デカルト座標ロボット11も水平方向案内レール13に滑動可能に着座している。デカルト座標ロボット11は、水平方向案内レール13上を動く本体を有し、それへ2つの把持及び操作アーム14A、14Bの接手ベースが回転可能に接続されている。更にまた、把持及び操作アーム14A、14Bは、それ自体が接手ベースへ回転可能に接続されている。したがって、デカルト座標ロボット11は、垂直方向には、Y方向に、ひいてはクライミングウォール1の高さに沿って動くことができ、水平方向には、X方向に、ひいてはクライミングウォール1の幅に沿って動くことができ、また2つの把持及び操作アーム14Aの接手ベースの回転式接続を介して、垂直軸O1周りの回転運動を遂行し、クライミングウォールモジュール2とクライミングホールド収納モジュール3の間でクライミングホールド10を入れ換えることができる。更にまた、把持及び操作アーム14A、14Bが継手ベースへ水平軸O2周りの回転運動を介して回転可能に接続されていることは、クライミングホールド10の位置の角度設定を実施可能にすると解釈できる。
【0034】
デカルト座標ロボット11の把持及び操作アーム14A、14Bは、伸縮式設計を有し、電磁石を設けられた四角いハンドで終わっている。把持及び操作アーム14A、14Bの伸縮式設計は、それらの長さの非常に容易な伸長又は短縮を可能にする。したがって、把持及び操作アーム14A、14BはZ方向に動き、把持及び操作アーム14A、14Bを伸長位置にした状態で作業空間4からクライミングホールド10に到達することができ、また把持及び操作アーム14A、14Bを短縮位置にした状態でクライミングホールド10を操作することができる。これらの行為は全て、クライミングウォールモジュール2とホールド収納モジュール3の間の空間で遂行されることができる。
【0035】
ロボット、特にデカルト座標ロボットが例えば4つ又は6つの様なより多い把持及び操作アームを有することになる他の実施形態も実施可能である。より多いアームは、クライミングウォールモジュール2とホールド収納モジュール3の間でのクライミングホールド10の入れ換えをスピードアップさせるだろう。
【0036】
クライミングホールド10の本体8は後壁8Bに、サービスホールド部15を形成する四角い凹みを有しており、それへ把持及び操作アーム14A、14Bのハンドが形状的に適合されている。更にまた、クライミングホールド10の本体8の後壁8Bの区域には鉄板が存在し、把持及び操作アーム14A、14Bの電磁石をアクティブにすると、クライミングホールド10を把持及び操作アーム14A、14Bへ接続させたまま維持することができる。したがって、サービスホールド部15は、デカルト座標ロボット11が、クライミングホールド10の、把持、回転はもとよりクライミングウォールモジュール2又はホールド収納モジュール3の区画7に対する取り出し及び着座の様な、任意の操作を行えるようにしている。
【0037】
クライミングウォールモジュール2及びクライミングホールド収納モジュール3の区画へのクライミングホールド10の取り付けはというと、様々な手段を用いて実施することができる。或る実施形態では、クライミングウォールモジュール2及びクライミングホールド収納モジュール3の支持構造5の仕切6に陥凹16が存在する。単一の区画7には、仕切6によって形成される各壁に陥凹16が設けられており、ゆえに各区画に4つの陥凹16が割り当てられている。代って、クライミングホールド10の本体8は1つの側壁に1つの可動突起17を有する。陥凹16は、クライミングホールド10の本体8がクライミングウォールモジュール2又はクライミングホールド収納モジュール3の区画7内に納められた後に突起17を受け入れるように適合されている。突起17は、仕切6の陥凹16に進入する。突起17は、クライミングホールド10の本体8の後壁に近く設置されていて、クライミングホールド10の本体8の内部に設置されたばねによって展開される。突起17はその下部分に、把持及び操作アーム14A、14Bの電磁石によって係合される鉄要素を有する。電磁石の作用によってばね力が打ち負かされ、その結果、突起17がクライミングホールド10の本体8の内部に隠れるので、クライミングホールド10を適切な区画7へ挿入する又は適切な区画7から取り外すことが実施可能になる。したがって、突起は、その基本位置では、クライミングホールド10の本体8の縁を越えて突出し、クライミングウォールモジュール2又はクライミングホールド収納モジュールに納められると陥凹16に進入する。これにより、結果的に、区画7内のクライミングホールド10の本体8の首尾よい固定がもたらされ、クライミングホールド10の本体8は運動の各方向にロックされることになる。区画7の各壁に存在する陥凹16は、クライミングホールドの本体8を任意の位置にロックすることを可能にする。
【0038】
クライミングホールド収納モジュール3の支持構造5の空間的区画7の形状は、クライミングウォールモジュール2の支持構造5の区画7の形状に対応している。これにより、クライミングウォールモジュール2とクライミングホールド収納モジュール3とで同じ支持構造5を使用することができる。これにより、更に、クライミングホールド10を配置すること、特にデカルト座標ロボットを使用して配置することが容易になる。
【0039】
他の実施形態では、クライミングウォールモジュールとクライミングホールド収納モジュールは異なる形状の区画を有する。具体的には、クライミングホールド収納モジュールは相対的に大きい区画を有し、単一の区画に4つのクライミングホールドを配置させることができるようにしているが、その分用心を要する。一方、クライミングウォールモジュールは、クライミングホールドの本体1つを受け入れるように適合された区画を有する。
【0040】
別の実施形態では、クライミングウォール1A、1B(図16)は、4つのクライミングウォールモジュール2を有し、これらのクライミングウォールモジュール2の支持構造5が互いへ関節式に接続されている。これにより、クライミングウォール1A、1Bの個々のモジュールの位置を互いに対して変更することが可能になる。クライミングウォール1Aでは、2つのクライミングウォールモジュール2が残りのクライミングウォールモジュール2に対して鋭角に配置され、ベンドを有するクライミングルートを形成しており、ウォール1Bではオーバーハングのクライミングルートが形成されている。
【0041】
デカルト座標ロボットは、クライミングウォール1A、1Bとも協働することができる。この目的を果たすために、ロボットのアームには追加のヒンジが設けられていて、クライミングウォール1A、1Bの傾斜に対応したハンドの傾けを可能にしている。
【0042】
更なる実施形態では、クライミングウォールモジュールの支持構造の区画の前表面は、クライミングホールドの本体のための動作拘束部を有し、クライミングホールドがクライミングウォールのユーザに向かって滑り出てしまうのを防止している。その様な動作拘束部の或る特定の形態は、クライミングモジュールの区画に、ウォールモジュールの後ろ表面と比較してウォールモジュールの前表面側により小さいクリアランスを設けることである。その結果、クライミングホールドの本体はロックされ、クライミングウォールの前側から取り外せなくなる。更にまた、クライミングホールド本体の後壁も、仕切に重なり合い同じくクライミングホールドを滑り出ないように固定するロックフランジを有する。
【0043】
上述の様に、クライミングルートは、クライミングウォールモジュール2の区画7のマトリクス内に任意の構成で配置された各種クライミングホールド10によって形成される。クライミングウォール1、1A、1B上のクライミングルートの配置は、クライミングウォールモジュール2の選択された区画7内に、適切なクライミングホールド部9を備えるクライミングホールド10の選択された本体8を着座させる工程を伴う。全ての区画7がニュートラルなクライミングホールド10を充填されているとき、ひいてはクライミングウォール1が平坦な前表面を有するとき、クライミングウォール1はニュートラル状態にあるものと想定することができる。クライミングホールド10は、作業空間4内を動いているロボットによって置換されることができる。クライミングウォール1、1A、1B上にクライミングルートを配置するデカルト座標ロボット11によって遂行されなくてはならない行為をより詳細に示してみよう。デカルト座標ロボット11は、2次元作業空間4内の既定の座標を用いてクライミングウォールモジュール2の選択された区画7と自身を連続的に整列させ、続いて、把持及び操作アーム14Aがクライミングホールド10の本体8を把持すると、その結果、そのロック解除がもたらされる。それに続く工程では、デカルト座標ロボット11は、クライミングホールド収納モジュール3の選択された区画7と自身を整列させ、第2の把持及び操作アーム14Bを用いてホールド収納モジュール3の区画7からクライミングホールド10の本体8を把持する。この工程の次に、把持及び操作アーム14A、14Bの回転運動と、これらのアームの位置の変更が続く。クライミングホールド10の本体8は、把持及び操作アーム14Aを用いてホールド収納モジュール3の区画7に収納される。この工程の後、デカルト座標ロボットは、クライミングウォールモジュール2の先ほどの区画7へ戻り、把持及び操作アーム14Bを用いて、クライミングホールド収納モジュール3から取り出したクライミングホールド10の本体8をその中に収納する。
【0044】
デカルト座標ロボット11は、遠隔制御され、インターネットへ接続されることもできる。結果として、クライミングルートの配置は、クライミングウォール1内に設置された制御パネルからデカルト座標ロボット11を制御することによって、又は他のタイプのアプリケーション及びインターネットアプリケーション、特にモバイルアプリケーションによって、実現することができる。これにより、データベースに提供されている設計又はユーザ自身の設計に従ってクライミングルートを配置できるようになるので、デカルト座標ロボットの機能性も増す。
【符号の説明】
【0045】
1、1A、1B クライミングウォール
2 クライミングウォールモジュール
3 クライミングホールド収納モジュール
4 作業空間
5 支持構造
6、6A 仕切
7、7A 空間的区画
8 本体
8A 前壁
8B 後壁
8C 側壁
9 クライミングホールド部
10、10A クライミングホールド
11 デカルト座標ロボット
12 垂直方向案内レール
13 水平方向案内レール
14A、14B 把持及び操作アーム
15 サービスホールド部
16 陥凹
17 可動突起
1 垂直軸
2 水平軸
X ロボットの動く方向、ウォールの幅に沿った方向
Y ロボットの動く方向、ウォールの高さに沿った方向
Z 把持及び操作アームの動く方向
図1
図2
図3
図4
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【国際調査報告】