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特表2024-527845圧縮空気システムの少なくとも1つの設計構成を提供するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】圧縮空気システムの少なくとも1つの設計構成を提供するための方法
(51)【国際特許分類】
   F04B 49/06 20060101AFI20240719BHJP
   G06F 30/10 20200101ALI20240719BHJP
   G06F 30/20 20200101ALI20240719BHJP
   G06F 111/04 20200101ALN20240719BHJP
   G06F 111/20 20200101ALN20240719BHJP
   G06F 111/02 20200101ALN20240719BHJP
【FI】
F04B49/06 331Z
G06F30/10 200
G06F30/20
G06F111:04
G06F111:20
G06F111:02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503716
(86)(22)【出願日】2022-07-20
(85)【翻訳文提出日】2024-01-19
(86)【国際出願番号】 EP2022070386
(87)【国際公開番号】W WO2023001903
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】102021118771.0
(32)【優先日】2021-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506087130
【氏名又は名称】カエザー・コンプレソーレン・エスエー
【氏名又は名称原語表記】KAESER COMPRESSOREN SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Kaeser-Str. 26, 96450 Coburg, Federal Republic of Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】バーグナー、フロリアン
【テーマコード(参考)】
3H145
5B146
【Fターム(参考)】
3H145AA02
3H145AA06
3H145AA16
3H145AA26
3H145BA02
3H145BA33
3H145DA35
3H145EA04
5B146AA15
5B146BA01
5B146DC04
5B146DC05
5B146DE16
5B146DJ11
5B146DJ14
5B146DL01
5B146DL10
(57)【要約】
本発明は、並列に接続された少なくとも2つのコンプレッサ(11、12)を備える圧縮空気システム(1)の少なくとも1つの設計構成を提供するための方法に関し、ここにおいて、方法は、以下のステップを備える。コンピュータが、構成要素データ(Dk)を受信し、ここにおいて、構成要素データ(Dk)は、異なるタイプの複数のコンプレッサ(V1、V2、...、Vn)を含むコンプレッサリスト(Lv)を備える。コンピュータは、分岐データ構造(B)を生成する。コンピュータは、コンプレッサリストからのコンプレッサ(V1、V2、...、Vn)のうちの2つが並列に接続されている圧縮空気システム構成(Konf1、Konf2)を示す圧縮空気システム構成データ(DKonf1、DKonf2)を生成する。コンピュータは、圧縮空気システム構成(Konf1、Konf2)と、圧縮空気システム構成(Konf1、Konf2)のコンプレッサの少なくとも1つの技術的パラメータ(Kt)とに基づいて、圧縮空気システム構成(Konf1、Konf2)の少なくとも1つについて、少なくとも1つの品質値を算出し、ここにおいて、少なくとも1つの品質値は、好ましくはユーザによって指定された品質基準に対する圧縮空気システム構成(Konf1、Konf2)の品質を示す。コンピュータは、少なくとも1つの割り当てられた品質値を各場合において有する、少なくとも1つの圧縮空気システム構成(Konf1、Konf2)を提供する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列に接続された少なくとも2つのコンプレッサ(11、12)を備える圧縮空気システム(1)の少なくとも1つの設計構成を提供するための方法であって、ここにおいて、前記方法は、
- コンピュータによって、構成要素データ(Dk)を受信するステップ、ここにおいて、前記構成要素データ(Dk)は、圧縮空気システムの構成要素と、各構成要素の少なくとも1つの技術的パラメータ(Kt)と、を示し、
ここにおいて、前記構成要素データ(Dk)は、異なるタイプの複数の機能的に同一の構成要素と、前記それぞれの構成要素に割り当てられた少なくとも1つの技術的パラメータ(Kt)と、を有する少なくとも1つの構成要素リスト(Lk)を備え、ここにおいて、構成要素リスト(Lk)は、異なるタイプの複数のコンプレッサ(V1、V2、...、Vn)を含むコンプレッサリスト(Lv)である、と、
- 前記コンピュータによって、分岐データ構造(B)を生成するステップ、この分岐データ構造(B)は、ノードデータ構造を備え、これは、少なくとも2つのノードレベル(Bt、Bh、B0、B1、B2、B3)のうちの1つにそれぞれ割り当てられ、ここにおいて、下位ノードレベル(Bt)における各子ノードデータ構造が、上位ノードレベル(Bh)における親ノードデータ構造に割り当てられ、ここにおいて、前記分岐データ構造(B)を生成するステップは、少なくとも、
○ メモリにおいて、前記コンプレッサリスト(Lv)中のコンプレッサの構成要素データ(Dk)に基づいて、第1のコンプレッサ親ノードデータ構造(BEv1)を生成するステップ、
○ 前記メモリにおいて、前記コンプレッサリスト(Lv)のコンプレッサの構成要素データ(Dk)に基づいて、第1のコンプレッサ子ノードデータ構造(BKv1)を生成するステップ、ここにおいて、前記第1のコンプレッサ子ノードデータ構造(BKv1)は、前記第1のコンプレッサ親ノードデータ構造(BEv1)に割り当てられる、
○ 前記メモリにおいて、前記コンプレッサリスト(Lv)のコンプレッサの構成要素データ(Dk)に基づいて、第2のコンプレッサ子ノードデータ構造(BKv2)を生成するステップ、ここにおいて、前記第2のコンプレッサ子ノードデータ構造(BKv2)の前記コンプレッサのタイプは、前記第1のコンプレッサ子ノードデータ構造(BKv1)の前記コンプレッサのタイプとは異なり、ここにおいて、前記第2のコンプレッサ子ノードデータ構造(BKv2)は、前記第1のコンプレッサ親ノードデータ構造(BEv1)に割り当てられる、又は
○ 前記メモリにおいて、前記コンプレッサリスト(Lv)のコンプレッサの構成要素データ(Dk)に基づいて、第2のコンプレッサ親ノードデータ構造(BEv2)を生成すること、ここにおいて、前記第2のコンプレッサ親ノードデータ構造(BEv2)の前記コンプレッサのタイプは、前記第1のコンプレッサ親ノードデータ構造(BEv1)の前記コンプレッサのタイプとは異なる、と、前記メモリにおいて、前記コンプレッサリスト(Lv)のコンプレッサの構成要素データに基づいて、第2のコンプレッサ子ノードデータ構造(BKv2)を生成すること、ここにおいて、前記第2のコンプレッサ子ノードデータ構造(BKv2)は、前記第2のコンプレッサ親ノードデータ構造(BEv2)に割り当てられる、と、を行うステップ、
を備える、と、
- コンピュータによって、前記第1のコンプレッサ親ノードデータ構造(BEv1)の前記コンプレッサと、前記第1のコンプレッサ子ノードデータ構造(BKv1)の前記コンプレッサとが並列に接続された第1の圧縮空気システム構成(Konf1)を示す第1の圧縮空気システム構成データ(DKonf1)を生成するステップと、
- コンピュータによって、前記第1のコンプレッサ親ノードデータ構造(BEv1)の前記コンプレッサ又は前記第2のコンプレッサ親ノードデータ構造(BEv2)の前記コンプレッサと、前記第2のコンプレッサ子ノードデータ構造(BKv2)の前記コンプレッサとが並列に接続された第2の圧縮空気システム構成(Konf2)を示す第2の圧縮空気システム構成データ(DKonf2)を生成するステップと、
- 前記圧縮空気システム構成(Konf1、Konf2)の前記圧縮空気システム構成データ(Dkonf1、Dkonf2)と、前記圧縮空気システム構成(Konf1、Konf2)の前記コンプレッサの少なくとも1つの技術的パラメータ(Kt)とに基づいて、前記圧縮空気システム構成(Konf1、Konf2)の少なくとも1つについて、前記コンピュータによって、少なくとも1つの品質値(GKonfmin、GBranchmin、GsimCosts)を算出するステップ、ここにおいて、前記少なくとも1つの品質値(GKonfmin、GBranchmin、GsimCosts)は、好ましくはユーザによって指定された品質基準に対する前記圧縮空気システム構成(Konf1、Konf2)の品質を示す、と、
- 前記コンピュータによって、少なくとも1つの割り当てられた品質値(GKonfmin、GBranchmin、GsimCosts)をそれぞれ有する、少なくとも1つの圧縮空気システム構成(Konf1、Konf2)を提供するステップと、
を備える、方法。
【請求項2】
前記方法が、
- 前記コンピュータによって、制約データ(Dn)を受信するステップ、ここにおいて、前記制約データ(Dn)は、圧縮空気システム構成についての、好ましくはユーザによる、少なくとも1つの所定の制約を示す、と、
- 前記コンピュータによって、前記制約データ(Dn)と、前記第1の圧縮空気システム構成データ(DKonf1)とに基づいて、前記第1の圧縮空気システム構成(Konf1)が、前記所定の制約を満たすかどうか、及び/又は、前記制約データ(Dn)と、前記第2の圧縮空気システム構成データ(DKonf2)とに基づいて、前記第2の圧縮空気システム構成(Konf2)が、前記所定の制約を満たすかどうか、を決定するステップと、
を更に備え、
ここにおいて、特に、前記少なくとも1つの品質値(GKonfmin、GBranchmin、GsimCosts)は、前記それぞれの圧縮空気システム構成(Konf1、Konf2)が前記所定の制約を満たす場合に算出される
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの所定の制約が、圧縮空気システムについて、
- コンプレッサの最大数、及び/又は
- 異なるコンプレッサタイプの最大数、及び/又は
- 可変速コンプレッサが含まれ得るか、若しくは含まれていなければならないかに関する仕様
を備えることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの所定の制約が、圧縮空気システムについて、
- 前記圧縮空気システムの最大フットプリント、及び/又は
- 前記圧縮空気システムの所要最小圧力、及び/又は
- 前記圧縮空気システムの所要最大圧力
を備えることを特徴とする、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
圧縮空気システムについての前記少なくとも1つの所定の制約が、特に、圧縮空気システムの新たな計画、修正又は拡張のための、最大投資予算を備えることを特徴とする、請求項2~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
構成要素、特に、コンプレッサ(V1、V2、...、Vn)の前記少なくとも1つの技術的パラメータ(Kt)が、
- エネルギー消費、及び/又は
- 電力消費の圧力依存特性曲線、及び/又は
- 特に最大圧力での送出体積流量、及び/又は
- とりわけ圧縮空気体積当たりのCO排出量
を備えることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記それぞれの構成要素の少なくとも1つの経済的パラメータ(Kw)が、前記少なくとも1つの技術的パラメータ(Kt)に加えて、各構成要素に割り当てられ、ここにおいて、前記経済的パラメータ(Kw)は、特に、前記構成要素の投資コスト及び/又はメンテナンスコストを示し、ここにおいて、前記少なくとも1つの品質値(GKonfmin、GBranchmin、GsimCosts)は、特に、前記それぞれの圧縮空気システム構成(Konf1、Konf2)の少なくとも1つのコンプレッサの前記少なくとも1つの経済的パラメータ(Kw)及び少なくとも1つの技術的パラメータ(Kt)に基づいて算出されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記コンプレッサリスト(Lv)が、既存の圧縮空気システム(1)の少なくとも1つのコンプレッサと、前記既存の圧縮空気システム(1)において設置されていない少なくとも1つのコンプレッサと、を備えることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記分岐データ構造(B)を生成することが、メモリにおいて、既存の圧縮空気システムの少なくとも1つのコンプレッサの構成要素データ(Dk)に基づいて、最上位ノードレベル(B0)においてコンプレッサ親ノードデータ構造(BEv0)を生成することを更に備え、ここにおいて、前記最上位ノードレベル(B0)の前記コンプレッサ親ノードデータ構造(BEv0)は、特に、既存の圧縮空気システム(1)のコンプレッサの構成要素データ(Dk)に基づいており、好ましくは、圧縮空気システムの初期構成を示すことを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
コンプレッサ親ノードデータ構造(BEv1、BEv2)及び/又はコンプレッサ子ノードデータ構造(BKv1、BKv2)の前記生成が、追加として、圧縮空気準備のための構成要素(KA1、KA2、...、KAm)、特に、圧縮空気準備のための構成要素のグループの構成要素データ(Dk)に基づいており、ここにおいて、特に、構成要素リスト(Lk)は、圧縮空気準備のための構成要素のリスト、好ましくは構成要素グループのリストであることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
圧縮空気システム構成(Konf1、Konf2)についての制約が、圧縮空気準備のための少なくとも1つの構成要素(KA1、KA2、...、Kam)の、特に、圧縮空気準備のための構成要素のグループの圧力損失を補償するための所要最小差圧を指定することを特徴とする、請求項2~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
分岐データ構造(B)の前記生成が、メモリにおいて、前記コンプレッサリスト(Lv)のコンプレッサの構成要素データ(Dk)に基づいて、ノードレベル(Bt、B1、B2、B3)において少なくとも1つの更なるコンプレッサ子ノードデータ構造(BKv3、...、BKvn)を生成することを備え、ここにおいて、好ましくは、生成されるべき前記コンプレッサ子ノードデータ構造(BKv3、...、BKvn)のコンプレッサのタイプは、同じコンプレッサ親ノードデータ構造(BEv0、BEv1、...、BEvn)に割り当てられた、このノードレベル(Bt、B1、B2、B3)の既に生成されたコンプレッサノードデータ構造の前記コンプレッサのタイプとは異なることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記コンプレッサリスト(Lv)の前記コンプレッサ(V1、V2、...、Vn)が、ソート基準に従って順序付けられ、ここにおいて、コンプレッサ親ノードデータ構造(BEv1、...、BEvn)に割り当てられるコンプレッサ子ノードデータ構造(BKv1、...、BKvn)を生成するために、前記コンプレッサ親ノードデータ構造(BEv1、...、BEvn)の前記コンプレッサと同じ又は下位のリスト位置において、前記コンプレッサリスト(Lv)中でソートされたコンプレッサの前記構成要素データ(Dk)が使用されることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記品質基準が、コスト基準であり、ここにおいて、前記少なくとも1つの品質値(GKonfmin、GBranchmin、GsimCosts)は、圧縮空気システム構成(Konf1、Konf2)のエネルギーコスト及び/又は投資コスト及び/又はメンテナンスコストを示すことを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
- コンピュータによって、割り当てられた品質値(GKonfmin、GBranchmin、GsimCosts)に基づいて、2つの圧縮空気システム構成(Konf1、Konf2)を比較することと、
- その割り当てられた品質値(GKonfmin、GBranchmin、GsimCosts)が前記品質基準をより良く満たすほうの圧縮空気システム構成(Konf1、Konf2)の前記圧縮空気システム構成データ(Dkonf1、Dkonf2)を、現在の最良圧縮空気システム構成(Konfbest)として記憶し、好ましくは、前記現在の最良圧縮空気システム構成(Konfbest)に割り当てられた前記品質値(GKonfmin、GBranchmin、GsimCosts)を、現在の最良品質値(Gbest)として記憶することと、
を特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つの品質値(GKonfmin、GBranchmin、GsimCosts)を算出することが、最小構成コスト値(GKonfmin)を算出することを備え、これは、好ましくは、推定に基づいて、前記圧縮空気システム構成(Konf1、Konf2)の前記コストの下限値を示し、
ここにおいて、前記最小構成コスト値(GKonfmin)は、好ましくは、前記圧縮空気システム構成(Konf1、Konf2)の前記構成要素のうちの少なくとも1つの、エネルギーコスト及び/又は投資コストに基づいており、
ここにおいて、前記エネルギーコストは、好ましくは、前記圧縮空気システム構成(Konf1、Konf2)に含まれるコンプレッサの最高エネルギー効率を有する前記コンプレッサの前記エネルギー消費に基づいて算出され、
ここにおいて、前記投資コストは、好ましくは、前記圧縮空気システム構成(Konf1、Konf2)に含まれる前記コンプレッサの前記投資コストの合計として算出される
ことを特徴とする、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
圧縮空気システム構成(Konf1、Konf2)の前記少なくとも1つの品質値(GKonfmin、GBranchmin、GsimCosts)を算出することが、最小分岐コスト値(GBranchmin)の算出を備え、これは、好ましくは、推定に基づいて、前記圧縮空気システム構成(Konf1、Konf2)の前記コンプレッサを含む、特に、ノードデータ構造によって前記分岐データ構造において表されていない、それらの更なる圧縮空気システム構成の前記コストの下限値を指定し、
ここにおいて、前記最小分岐コスト値(GBranchmin)は、好ましくは、前記コンプレッサリスト(Lv)のコンプレッサのエネルギーコスト、及び/又は、前記圧縮空気システム構成(Konf1、Konf2)の前記構成要素のうちの少なくとも1つの、投資コストに基づいており、
ここにおいて、前記エネルギーコストは、好ましくは、前記コンプレッサリスト(Lv)に含まれる全てのコンプレッサのうち、前記最高エネルギー効率を有する前記コンプレッサの前記エネルギー消費に基づいて算出され、
ここにおいて、前記投資コストは、好ましくは、前記圧縮空気システム構成(Konf1、Konf2)に含まれる前記コンプレッサの前記投資コストの前記合計として算出される
ことを特徴とする、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
圧縮空気システム構成(Konf1、Konf2)に割り当てられた品質値(GKonfmin、GBranchmin、GsimCosts)に基づいて、好ましくは、前記最小分岐コスト値(GBranchmin)に基づいて、特に、前記品質値(GKonfmin、GBranchmin、GsimCosts)、好ましくは、前記最小分岐コスト値(GBranchmin)が、現在の最良圧縮空気システム構成(Konfbest)に割り当てられた、記憶された現在の最良品質値(Gbest)よりも悪い前記品質基準を満たす場合、コンプレッサ親ノードデータ構造(BEv0、...、BEvn)の更なるコンプレッサ子ノードデータ構造(BKv2、...、BKvn)の前記生成が除外されるか、又はコンプレッサ親ノードデータ構造(BEv0、...、BEvn)の既に生成されたコンプレッサ子ノードデータ構造(BKv2、...、BKvn)が削除されることを特徴とする、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
品質値(GKonfmin、GBranchmin、GsimCosts)の前記算出が、コンピュータシミュレーションを行うことと、前記コンピュータシミュレーションの結果に基づいて、シミュレートされたコスト値(GsimCosts)を算出することと、を備え、ここにおいて、前記シミュレートされたコスト値(GsimCosts)は、一定の動作時間にわたる前記圧縮空気システム構成(Konf1、Konf2)のコストを示し、ここにおいて、前記コンピュータシミュレーションは、特に、前記圧縮空気システム構成(Konf1、Konf2)の動的挙動を表す前記圧縮空気システム構成(Konf1、Konf2)のシミュレーションモデルに基づいており、
ここにおいて、前記シミュレーションモデルは、好ましくは、
- 境界条件として、好ましくは、ユーザによって指定された、所定の時間可変圧縮空気消費プロファイル若しくは背圧プロファイルを考慮する、及び/又は
- 前記圧縮空気システム構成(Konf1、Konf2)の少なくとも1つのコンプレッサの動的動作挙動をマッピングする、及び/又は
- 前記圧縮空気システムの中央制御システム、特に、統合制御システムの制御挙動をマッピングする
ことを特徴とする、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
コンピュータシミュレーションを実行するように意図された圧縮空気システム構成を指定するシミュレーション待ちリストに少なくとも1つの圧縮空気システム構成(Konf1、Konf2)を記憶することを特徴とする、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
異なる圧縮空気システム構成(Konf1、Konf2)のためのコンピュータシミュレーションが、特に、異なるプロセッサによって又はプロセッサの異なるグループによって、並行して、好ましくは、少なくとも部分的に同時に行われることを特徴とする、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
前記分岐データ構造(B)を生成するための少なくとも1つのステップと、圧縮空気システム構成(Konf1、Konf2)のためのコンピュータシミュレーションとが、少なくとも部分的に同時に行われることを特徴とする、請求項19~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記シミュレーション待ちリスト中の圧縮空気システム構成(Konf1、Konf2)の数が所定の最大数に達した場合、特に、前記シミュレーション待ちリスト中の前記圧縮空気システム構成(Konf1、Konf2)の前記数が、前記最大数を下回る値に達するまで、前記分岐データ構造を生成するためのステップを休止することを特徴とする、特に、請求項20に記載の、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
少なくとも1つの圧縮空気システム構成(Konf1、Konf2、Konfbest)を提供することが、好ましくは最適な圧縮空気システム構成(Konfbest)の出力であり、ここにおいて、特に、その割り当てられた品質値(GKonfmin、GsimCosts)、好ましくは、その割り当てられたシミュレートされたコスト値(GsimCosts)が、前記コンプレッサリスト(Lv)に基づいて生成され得る他の全ての圧縮空気システム構成の前記品質値(GKonfmin、GsimCosts)よりも前記品質基準をより良く満たすことを特徴とする、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
少なくとも1つのコンピューティングデバイス上で実行されると、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法のステップの少なくともいくつか、好ましくは全てを実施する命令を有するコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項26】
請求項25に記載のコンピュータ可読記憶媒体と、前記命令を実行するための少なくとも1つのコンピューティングユニットと、を備えるサーバ。
【請求項27】
- 構成要素データ(Dk)を、サーバ、好ましくは請求項26に記載のサーバに送信すること、ここにおいて、前記構成要素データ(Dk)は、圧縮空気システムの構成要素と、各構成要素の少なくとも1つの技術的パラメータ(Kt)と、を示し、ここにおいて、前記構成要素データ(Dk)は、異なるタイプの複数の機能的に同一の構成要素と、前記それぞれの構成要素に割り当てられた少なくとも1つの技術的パラメータ(Kt)と、を有する少なくとも1つの構成要素リスト(Lk)を備え、ここにおいて、構成要素リスト(Lk)は、異なるタイプの複数のコンプレッサ(V1、V2、...、Vn)を含むコンプレッサリスト(Lv)である、
を目的として設計された端末デバイスであって、
ここにおいて、前記端末デバイスは、特に、
- 圧縮空気システムについての少なくとも1つの制約、好ましくは、請求項3~5のいずれか一項に記載の制約を示す制約データを、サーバ、好ましくは請求項26に記載のサーバに送信すること、及び/又は
- 特に、圧縮空気システムのための所望の圧縮空気消費プロファイルを、サーバ、好ましくは請求項26に記載のサーバに送信すること、及び/又は
- 特に、少なくとも1つの圧縮空気システム構成を、好ましくは、割り当てられた品質値と共に示すこと
を目的として更に構成される、端末デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、並列に接続された少なくとも2つのコンプレッサを備える圧縮空気システムの少なくとも1つの設計構成を提供するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
圧縮空気システムは、多くの場合、多数の異なる構成要素、即ち、圧縮空気の生成、準備、貯蔵及び分配のための構成要素で構成される。加えて、現代の圧縮空気システムは、多くの場合、構成要素の上位制御を特徴とする。圧縮空気生成のための構成要素、即ち、1つ以上のコンプレッサは、多くの場合、互いに並列に接続されており、圧縮空気システム内の圧縮空気経路をそれぞれ画定する。圧縮空気の準備、貯蔵及び分配のための構成要素は、多くの場合、互いに直列に接続されている。コンプレッサからそれぞれ生じるいくつかの並列の圧縮空気経路は、特に、圧縮空気準備及び/又は圧縮空気貯蔵のために、例えば、いくつか又は全ての圧縮空気経路がそれに開口し、圧縮空気がそこから1つ以上の消費体(consumers)に分配される、共通の圧縮空気タンクを設けることによって組み合わされ得る。
【0003】
圧縮空気システムを設計するとき、構成要素及びそれらの相互接続は、(実際の)圧縮空気システムのために選択される。圧縮空気構成要素の製造業者は、多くの場合、圧縮空気構成要素についての多数の異なるシリーズ及びモデルを有する製品ポートフォリオを提供する。コンプレッサは、時として、それらの投資コスト及び運転コストの点で、サイズ、送出圧力、送出体積(delivery volume)等のそれらの技術的パラメータの点で、並びに設定され得る動作状態及びパラメータの数の点で、著しく異なることがある。圧縮空気システムのオペレータはまた、コンプレッサ以外の構成要素についての広範囲の異なる製品を頻繁に提供される。従って、圧縮空気システムの設計には、多数の異なるオプションがあり、ここで、圧縮空気システムを形成するための構成要素の組み合わせ及び組立ては、構成要素の正確な知識及び豊富な経験を必要とする複雑なタスクである。
【0004】
典型的に、圧縮空気システムは、大部分が手動で設計されており、即ち、(完全に)自動化されていない。圧縮空気システムを設計するとき、オペレータ又はサプライヤ(ユーザ)は、圧縮空気システムの可能な構成を頭の中で設計し、これは、選択された構成要素及びそれらの相互接続によって決定される。この目的のために、ユーザは、所定の要件と自身の経験とに基づいて、製品ポートフォリオから構成要素を選択し、それらを使用して圧縮空気システムの構成(圧縮空気システム構成)のコンピュータモデルを作成する。次いで、シミュレーションモデルに基づいて、コンピュータシミュレーションが、この圧縮空気システム構成について行われる。シミュレーションの結果に基づいて、この構成は、ユーザによって評価される。この構成は、圧縮空気システムの経済的要件、即ち、コスト要件、及び技術的要件を満たすことに基づいて評価される。上述のプロシージャを繰り返すことによる反復プロセスにおいて、ユーザは、要件を最も良く満たす構成を徐々に見出すように試みる。このプロセスでは、ユーザがこの構成のための最適解を見出すことは保証されない。見出された圧縮空気構成の品質は、ユーザの利用可能な時間と経験とに大きく依存する。シミュレーションの基礎となる構成モデルの作成には時間がかかる。このプロシージャはまた、異なる構成のシミュレーションが時間的に次々に実施されるように、順次的である。正確なシミュレーションの結果を生成するための特に精巧なシミュレーションモデルは、コンピュータリソースの点で高価である。圧縮空気システムを設計するための、そのような周知の手動プロシージャの1つを図2に示す。
【0005】
EP 2 902 930 A2からは、部分的に自動化された方法において、既存の圧縮空気システムに構成要素を追加するための推奨を行うためのシステム及び方法が知られている。しかしながら、この解は、ユーザとの、即ち、インターフェース(グラフィカルユーザインターフェース(GUI))を介した対話を必要とする。ユーザは、GUI自体を介して、圧縮空気システムのための仮想モデルを作成し得る。代替として、ユーザは、既存の圧縮空気システムの構成要素上に配置されたバーコードをスキャンし得、この場合、既存の圧縮空気システムの仮想モデルが、このユーザアクティビティに基づいて自動的に作成される。しかしながら、いずれの場合も、モデルがシミュレートされるためには、モデルを生成する際に人間の関与が必要とされる。この方法は、既存の構成要素のバーコードをスキャンすることによって、構成モデルを作成する際のユーザの負担をいくらか軽減する。しかしながら、適切な解を見出すことは、依然としてユーザの頭脳アクティビティ(mental activity)に依存し、この点に関しては前述した欠点がある。
【0006】
刊行物Atlas Copco: Compressed air manual, 8th edition, Wilrijk, Atlas Copco Airpower NV, 2015, ISBN 978-9-08153-580-9の第3.1章には、圧縮空気の生産用の圧縮ステーションを設計するときに考慮すべきオペレータの様々な要件が記載されている。圧縮ステーションの設計のために、プロシージャが図3.2に例示されており、これは、行われるべきステップとして、考慮される圧縮ステーションのデータ収集、評価、運転分析(operational analysis)、算出及びシミュレーションを示す。圧縮空気需要を決定するための運転分析が、生産される圧縮空気の最適量を決定するための基礎として説明されている。この運転分析は、例えば、少なくとも1週間にわたる、運転データの測定を含むべきであり、好ましくは、同様の既存の圧縮空気ステーションの分析によって補足されるべきである。この測定データは、その後、コンプレッサ動作における異なる施策(measures)及び変化をシミュレートすること、及び圧縮ステーションの全体的な効率に対する影響を分析することを可能にする。記載されたプロシージャは、自動化されておらず、人間の関与を必要とする。異なる圧縮ステーション(即ち、それぞれが特定の相互接続におけるコンプレッサの特定の組み合わせを有する)が、運転分析に基づいて手動で作成され、次いで、次々にシミュレートされる。最も費用効果の高い圧縮ステーションを見出すことも、人間の選択に基づく。
【0007】
圧縮空気システムの制御に関して、刊行物Atlas Copco: Compressed air manual, 8th edition, Wilrijk: Atlas Copco Airpower NV, 2015, ISBN 978-9-08153-580-9は、第2.5.6章及び第2.5.7章において、圧縮ステーションのための上位制御システム又は中央制御システムを記載している。2~3個のコンプレッサを有する圧縮ステーションのための従来のシーケンススイッチに加えて、2~7個のコンプレッサを有する圧縮ステーション全体のための、それ自体の圧力センサを有する更に開発されたシーケンススイッチが、上位制御システムとして記載されている。中央制御システムは、接続されたコンプレッサを可能な限り経済的に制御しながら、圧力を狭い圧力帯域内に維持するというタスクを有する。運転効率のためには、圧縮ステーションが異なるサイズのコンプレッサで構成される場合、中央制御システムが、常に最も効率的なコンプレッサ又はコンプレッサの組み合わせを選択することが重要である。これらの上位及び集中制御システムは、動作中の既存の圧縮ステーションにおける個々のコンプレッサ(圧縮機)の起動及び停止に影響を及ぼす。従って、個々のコンプレッサは、それらが他の既存のコンプレッサに対してオン又は再びオフに切り替えられるという点で(to the extent that)、制御システムによって動作のために選択される。圧縮空気システムの設計、即ち、圧縮空気システム内に実際に存在するコンプレッサ及びそれらの相互接続は、変化しない。
【0008】
WO 2010/072803 A1には、異なる技術仕様のいくつかの相互接続されたコンプレッサを有する圧縮空気ステーション及び他の圧縮空気技術デバイスを制御又は調整するための方法が記載されている。この方法は、利用可能な圧縮空気量に影響を与えるために、制御サイクルにおいてスイッチング戦略を開始し、他方では、圧縮空気の引き出し量に対して、利用可能な圧縮空気量を、圧縮空気ステーションの将来の動作条件に合わせて適応的に調整する。スイッチング戦略は、一連のスイッチング動作、即ち、操作変数の離散的又は連続的な変化であると理解され、これは、圧縮空気ステーションの1つ以上の構成要素の動作における変化を生じさせる。スイッチング戦略を開始するために、様々なスイッチング戦略が、圧縮空気ステーションのモデルに基づいて、事前シミュレーションプロシージャにおいてテストされる。定義された品質基準に基づいて、相対的に最も有利なスイッチング戦略が選択され、圧縮空気ステーションのシステム制御に転送される。この制御プロシージャは、既存の圧縮空気システムの動作を決定し、様々な仮想動作状態を考慮する。圧縮空気システムに実際に存在する構成要素及びそれらの相互接続は、変更されないままである。
【発明の概要】
【0009】
この先行技術に基づき、本発明は、圧縮空気システムの設計に要する時間を短縮し、好ましくは、オプションで、ユーザの仕様を考慮することによって、最適な圧縮空気システム構成を提供する、圧縮空気システムの設計構成を提供するための方法を作成することを目的とする。特に、この方法は、圧縮空気システムの設計において必要なユーザの関与を最小限にすることを意図している。
【0010】
この目的は、請求項1に記載の方法、請求項25に記載のコンピュータ可読記憶媒体、請求項26に記載のサーバ、及び請求項27に記載の端末によって解決される。
【0011】
この目的は、特に、並列に接続された少なくとも2つのコンプレッサを備える圧縮空気システムの少なくとも1つの設計構成を提供するための方法、特に、コンピュータ支援方法によって解決され、ここで、この方法は、
- コンピュータによって、構成要素データを受信するステップ、ここで、構成要素データは、圧縮空気システムの構成要素と、各構成要素の少なくとも1つの技術的パラメータと、を示し、ここで、構成要素データは、異なるタイプの複数の機能的に同一の構成要素と、それぞれの構成要素に割り当てられた少なくとも1つの技術的パラメータと、を有する少なくとも1つの構成要素リストを備え、ここで、構成要素リストは、異なるタイプの複数のコンプレッサを含むコンプレッサリストである、と、
- コンピュータによって、分岐データ構造を生成するステップ、この分岐データ構造は、ノードデータ構造を備え、これは、少なくとも2つのノードレベルのうちの1つにそれぞれ割り当てられ、ここで、下位ノードレベルにおける各子ノードデータ構造が、上位ノードレベルにおける親ノードデータ構造に割り当てられ、ここで、分岐データ構造を生成するステップは、少なくとも、
○ メモリにおいて、コンプレッサリスト中のコンプレッサの構成要素データに基づいて、第1のコンプレッサ親ノードデータ構造を生成するステップ、
○ メモリにおいて、コンプレッサリストのコンプレッサの構成要素データに基づいて、第1のコンプレッサ子ノードデータ構造を生成するステップ、ここで、第1のコンプレッサ子ノードデータ構造は、第1のコンプレッサ親ノードデータ構造に割り当てられる、
○ メモリにおいて、コンプレッサリストのコンプレッサの構成要素データに基づいて、第2のコンプレッサ子ノードデータ構造を生成するステップ、ここで、第2のコンプレッサ子ノードデータ構造のコンプレッサのタイプは、第1のコンプレッサ子ノードデータ構造のコンプレッサのタイプとは異なり、ここで、第2のコンプレッサ子ノードデータ構造は、第1のコンプレッサ親ノードデータ構造に割り当てられる、又は
○ メモリにおいて、コンプレッサリストのコンプレッサの構成要素データに基づいて、第2のコンプレッサ親ノードデータ構造を生成すること、ここで、第2のコンプレッサ親ノードデータ構造のコンプレッサのタイプは、第1のコンプレッサ親ノードデータ構造のコンプレッサのタイプとは異なる、と、メモリにおいて、コンプレッサリストのコンプレッサの構成要素データに基づいて、第2のコンプレッサ子ノードデータ構造を生成すること、ここで、第2のコンプレッサ子ノードデータ構造は、第2のコンプレッサ親ノードデータ構造に割り当てられる、と、を行うステップ、
を備える、と、
- コンピュータによって、第1のコンプレッサ親ノードデータ構造のコンプレッサと、第1のコンプレッサ子ノードデータ構造のコンプレッサとが並列に接続された第1の圧縮空気システム構成を示す第1の圧縮空気システム構成データを生成するステップと、
- コンピュータによって、第1のコンプレッサ親ノードデータ構造のコンプレッサ又は第2のコンプレッサ親ノードデータ構造のコンプレッサと、第2のコンプレッサ子ノードデータ構造のコンプレッサとが並列に接続された第2の圧縮空気システム構成を示す第2の圧縮空気システム構成データを生成するステップと、
- 圧縮空気システム構成の圧縮空気システム構成データと、それぞれの圧縮空気システム構成のコンプレッサの少なくとも1つの技術的パラメータとに基づいて、圧縮空気システム構成の少なくとも1つについて、コンピュータによって、少なくとも1つの品質値を算出するステップ、ここで、少なくとも1つの品質値は、好ましくはユーザによって指定された品質基準に対する圧縮空気システム構成の品質を示す、と、
- コンピュータによって、少なくとも1つの割り当てられた品質値をそれぞれ有する(with)、少なくとも1つの圧縮空気システム構成を提供するステップと、
を備える。
【0012】
本発明は、圧縮空気システムの利用可能な構成要素のセットの多数の考えられる組み合わせの可能性(conceivable combinatorial possibilities)、好ましくは、全ての組み合わせの可能性が、異なる圧縮空気システム構成としての分岐データ構造を用いて、コンピュータによって、(完全に)自動化された方法でマッピングされ得、コンピュータを使用して、特に、系統的に、品質基準に関して評価され得るというアイデアに基づく。分岐データ構造によって表される複数の圧縮空気システム構成について、品質値が、様々な圧縮空気構成を評価するために、各場合において、コンピュータによって算出され得る。評価された圧縮空気システム構成に基づいて、圧縮空気システムの設計のための1つ以上の適切な、好ましくは、(唯一の)最適な構成(複数可)が提供され得る。
【0013】
本発明による方法の分岐データ構造は、特に、アルゴリズムによる所謂分岐限定プロシージャ(branch-and-bound procedure)を用いて生成される。分岐データ構造は、階層構造を表す木(tree)の実装として理解され得、これは、特に、再帰的ループによって生成され得る分岐データ構造としての木は、基本的に、コンピュータサイエンスから知られている。根ノードから開始し、木のデータ構造は、相互接続されたノードのいくつかのレベル(ノードレベル)にわたって更に分岐し、更に終点ノードへと分岐する。相対的に下位のノードレベルにおける少なくとも1つのノード(子ノード)は、相対的に上位のノードレベルにおけるノード(親ノード)に接続されている。上位ノードレベルにおけるノードに、下位ノードレベルにおいて、終点ノードに至るまで接続されている、ノードのセットを枝と呼ぶ。木構造は、離散的な数の組み合わせの可能性(組み合わせ)を表すために使用され得る。木のノードは、(最適)解が見出され得る解空間を定義する。最適解を見出すために、ノードによってマッピングされた組み合わせは走査され得る(幅優先探索又は深さ優先探索)。最適に及ばない組み合わせは、適切な上下限(bounds)によって初期段階において除外され得る。木のサイズ(ノードの数)、従って、走査されるべき組み合わせは、このように効率的に制限される。
【0014】
本発明に従って生成された分岐データ構造において、各ノードデータ構造は、特に、各場合において、特定のコンプレッサと、オプションで、圧縮空気システムの更なる構成要素と、を含む圧縮空気システム構成を表す。特に、コンプレッサ親ノードデータ構造及び割り当てられたコンプレッサ子ノードデータ構造は、圧縮空気システム構成の並列接続されたコンプレッサをそれぞれ表す。特に、互いに並列に接続された圧縮空気システム構成の(全ての)コンプレッサは、最上位ノードレベルから開始して下位ノードレベルにおけるノードまで、互いに割り当てられた(接続された)コンプレッサノードデータ構造の(木の深さ方向における)ノード経路に沿って、分岐データ構造において表される。この点に関して、特定のコンプレッサノードデータ構造(コンプレッサ親ノードデータ構造又はコンプレッサ子ノードデータ構造)に(一意に)割り当てられた圧縮空気システム構成は、特に、この特定のコンプレッサノードデータ構造から(ノード階層において上方に向かって)開始して、分岐データ構造の(ペアごとの)割り当て(子ノード-親ノードペア)に従って、各場合において、次の上位ノードレベルから最上位ノードレベルまでに(即ち、ノード経路に沿って)存在する、それらのコンプレッサノードデータ構造の(全ての)コンプレッサを含み、即ち、メモリ内に生成されている。特に、最下位ノードレベルにおける終点ノードによって表される圧縮空気システム構成は、最上位ノードレベルにおけるノードまでの(一意の)ノード経路に沿った全てのコンプレッサを含む。同じコンプレッサノードデータ構造が、上位ノードレベルに対してはコンプレッサ子ノードデータ構造と呼ばれ、下位ノードレベルに対してはコンプレッサ親ノードデータ構造と呼ばれ得る。2つの異なるコンプレッサノードデータ構造(2つの異なるノード経路を有する)は、2つの異なる圧縮空気システム構成を表す。
【0015】
本発明に従って生成される分岐データ構造は、特に、終了基準が満たされるまで、特に、コンプレッサノードデータ構造の繰り返される生成、好ましくは、再帰的に繰り返される生成によって生成(構築)される。終了基準は、特に、コンプレッサノードデータ構造によって表される圧縮空気システム構成の品質値を考慮する。新しいコンプレッサノードデータ構造は、特に、終了基準により、更なるコンプレッサノードデータ構造が生成され得なくなるまで、再帰的ループにおいて生成される。新しいコンプレッサノードデータ構造は、特に、終了基準が満たされるまで、コンプレッサ親ノードデータ構造のノードレベルに対して下位ノードレベルのコンプレッサ子ノードデータ構造として、又は既に生成されたコンプレッサ親ノードデータ構造の同じノードレベル上の更なるコンプレッサ親ノードデータ構造として生成され得る。更なるコンプレッサノードデータ構造の生成は、制約に依存し得る。特に、分岐データ構造において生成されるノードレベルの最大数は、好ましくは、制約として、(並列接続された)コンプレッサの最大数によって制限され得る。分岐データ構造は、少なくとも2つ、好ましくは最大3つ、更に好ましくは最大5つ、更に好ましくは最大10個、好ましくは最大20個のノードレベルを備える。従って、設計されるべき圧縮空気システム構成は、2つ、好ましくは最大3つ、更に好ましくは最大5つ、更に好ましくは最大10個、更に好ましくは最大20個のコンプレッサを備え得、これらは、特に、互いに並列に接続されている。
【0016】
圧縮空気システム構成は、特に、圧縮空気システムの構成要素のセット及びそれらの相互接続を指定する。圧縮空気システム構成は、圧縮空気システムの構成要素の可能な(仮想)配置として理解され得、これは、圧縮空気システムの(最適な)設計のために考慮される。圧縮空気システムの設計は、特に、圧縮空気システムの新たな計画、修正、及び/又は拡張を含む。特に、新たな設計の場合には、圧縮空気システムの(実際の)初期構成は利用可能ではない。既存の圧縮空気システムの構成要素の除去又は交換は、修正として理解され得、構成要素の追加は、圧縮空気システムの拡張として理解され得る。
【0017】
構成要素という名称は、特に、圧縮空気生成のための構成要素(コンプレッサ)、圧縮空気準備のための構成要素(乾燥機、フィルタ、油分離器)、圧縮空気貯蔵のための構成要素(圧縮空気タンク)、及び圧縮空気分配のための構成要素を表す。圧縮空気システム内で同じ機能を行う構成要素は、機能的に同一の構成要素と呼ばれる。例えば、全てのコンプレッサは、たとえタイプが異なっていても、圧縮空気の圧縮(生成)という同じ機能を有する。構成要素のタイプは、好ましくは、製品ポートフォリオにおいてこの構成要素の(一意の)タイプ識別子(モデル番号)によって示される。従って、コンプレッサタイプは、コンプレッサの特定のモデル又はモデルの変形であり得る。本発明のコンテキスト内では、送風機(blowers)もまた、コンプレッサとして理解され得る。
【0018】
構成要素データは、特に、少なくとも1つの技術的パラメータ、好ましくは、エネルギー消費、並びに、好ましくは、少なくとも1つの(一意の)機能識別子及び1つの(一意の)タイプ識別子、特に、製品ポートフォリオにおける構成要素の(一意の)識別のためのもの等の、構成要素に関する情報を含む。構成要素データは、投資コスト(価格)等の、構成要素の経済的パラメータを追加として含み得る。構成要素データは、特に、製品データベースから生じる。構成要素データは、特に、1つ以上の構成要素リスト(複数可)を備える。構成要素リストは、圧縮空気システムでの使用のために考慮され得る製品ポートフォリオからのいくつかの、好ましくは全ての機能的に同一の構成要素を含む。構成要素リストは、製品カタログから機能的に同一の構成要素を指定するデータ構造として理解され得、各構成要素には、その構成要素の技術的特性に関する情報、そして好ましくは、そのコストに関する情報が割り当てられている。構成要素リストは、特定の構成要素に関する構成要素データをそれぞれ含んでいるデータ構造の連結リストとして理解され得る。構成要素データは、コンピュータによって順次受信され得る。特に、構成要素リストの一部(サブリスト)、特に、コンプレッサリストの一部が、順次受信され得る。受信された構成要素データは、異なる送信デバイスによって送られたものであり得る。
【0019】
1つ以上の構成要素リスト(複数可)のうちの1つは、コンプレッサリストである。(少なくとも)1つのコンプレッサリストに加えて、構成要素データは、例えば、乾燥機リスト、フィルタリスト、及び/又は圧縮空気タンクリストを含み得る。構成要素データは、複数のコンプレッサリストを備え得、各コンプレッサリストは、特に、一連の(類似の)コンプレッサの異なるモデルを含む。コンプレッサについての構成要素データは、特定のタイプのコンプレッサが可変速コンプレッサであるかどうかに関する情報を示し得る。コンプレッサリストは、例えば、5個より多い、好ましくは10個より多い、更に好ましくは20個より多い、更に好ましくは30個より多い、更に好ましくは50個より多い、更に好ましくは100個より多い、更に好ましくは最大200個の異なるコンプレッサについての、複数のエントリ(リスト位置)を有し得る。コンプレッサリストの長さと(利用可能なコンプレッサの数)、そして特に、圧縮空気システム構成(制約)において許容されるコンプレッサの最大数は、分岐データ構造が到達し得る最大サイズを著しく決定する。
【0020】
品質値は、特に、圧縮空気システム構成の推定された又は算出されたコスト、好ましくは、エネルギーコスト及び/又は投資コスト及び/又はメンテナンスコストを示し得る。品質値は、圧縮空気システムのエネルギー消費を示し得る。品質値は、特に、所定の、特に、受信された、エネルギー価格及び/又はCO排出価格に基づき得る。品質値の算出は、圧縮空気システム構成の、1つ、いくつか又は全ての構成要素、特にコンプレッサの少なくとも1つの技術的パラメータに基づき得る。品質値の算出は、(追加として)圧縮空気システム構成の、1つ、いくつか又は全ての構成要素、特にコンプレッサの少なくとも1つの経済的パラメータに基づき得る。品質値の算出のために、分岐データ構造は、深さ方向及び/又は幅方向に走査されて、コンプレッサノードデータ構造に対応する圧縮空気システム構成についての割り当てられた品質値を算出し得る。好ましくは、品質値が、コンプレッサノードデータ構造の形態で既に生成された圧縮空気システム構成について算出されるとともに(同時に)、分岐データ構造が(更に)構築され、即ち、更なるコンプレッサノードデータ構造が生成される。
【0021】
特に、少なくとも第1の品質値が、第1の圧縮空気システム構成データと、第1の圧縮空気システム構成のコンプレッサの少なくとも1つの技術的パラメータとに基づいて算出され、ここで、第1の品質値は、好ましくはユーザによって指定された品質基準に対する第1の圧縮空気システム構成の品質を示す。特に、少なくとも第2の品質値が、第2の圧縮空気システム構成データと、第2の圧縮空気システム構成のコンプレッサの少なくとも1つの技術的パラメータとに基づいて算出され、ここで、第2の品質値は、品質基準に対する第2の圧縮空気システム構成の品質を示す。
【0022】
圧縮空気構成を提供することは、圧縮空気システム構成を、特にコンピュータ可読メモリに記憶すること、特に(無線)データ接続を介して送信すること、又は、特に表示デバイス(スクリーン)を介して可視化することによって表示することであり得る。
【0023】
本発明による(コンピュータ支援)方法は、設計のために考慮され得る圧縮空気システムの可能な構成が、(完全に)自動的且つ迅速に、特に系統的に生成及び評価され得るという利点を有する。特に、可能な構成の作成におけるユーザの参加、特に、ユーザの頭脳的な参加は必要ない。これにより、圧縮空気システムの設計に要する時間が大幅に短縮される。更に、最適な設計構成が見出されることが保証され得る。
【0024】
一実施形態では、方法は、コンピュータによって、制約データを受信するステップ、ここで、制約データは、圧縮空気システム構成についての、好ましくはユーザによる、少なくとも1つの所定の制約を示す、と、コンピュータによって、制約データと、第1の圧縮空気システム構成データとに基づいて、第1の圧縮空気システム構成が、所定の制約を満たすかどうか、及び/又は、制約データと、第2の圧縮空気システム構成データとに基づいて、第2の圧縮空気システム構成が、所定の制約を満たすかどうか、を決定するステップと、を更に備える。特に、少なくとも1つの品質値は、それぞれの圧縮空気システム構成が所定の制約を満たす場合に算出される。特に、少なくとも1つの第1の品質値は、第1の圧縮空気システム構成が所定の制約を満たす場合に算出される。特に、少なくとも第2の品質値は、第2の圧縮空気システム構成が所定の制約を満たす場合に算出される。制約をチェックすることによって、所定の制約を満たすそれらの圧縮空気システム構成のみが、設計のために考慮されることが確実にされ得る。特に、計画、修正、又は拡張されるべき新たな圧縮空気システムについての技術仕様を満たさない構成は、従って、初期段階において設計構成として除外され得る。特に、品質値の算出は、制約が満たされる場合に(のみ)行われる。これにより、特に、シミュレーションの実行により、品質値の算出にコストがかかる場合に、時間及び計算リソースを節約し得る。
【0025】
一実施形態では、圧縮空気システムについての少なくとも1つの所定の制約は、コンプレッサの最大数、及び/又は、異なるコンプレッサタイプの最大数、及び/又は、可変速コンプレッサが含まれ得るか、若しくは含まれていなければならないかに関する仕様を備える。「し得る(may)」及び「しなければならない(must)」という用語は、各場合において、ユーザ、特に、圧縮空気システムのオペレータの仕様として理解され得る。可変速コンプレッサは、制御システムに対して増大した要求を課し、そのため、一部のユーザは、それらの圧縮空気システムの設計について、そのようなコンプレッサタイプを除外することを望み得る。他方では、可変速コンプレッサは、例えば、特に、需要志向の圧縮空気の生成を確実にするために、他のユーザによって明示的に望まれ得る。
【0026】
一実施形態では、圧縮空気システムについての少なくとも1つの所定の制約は、圧縮空気システムの最大フットプリント、及び/又は、圧縮空気システムの所要最小圧力、及び/又は、圧縮空気システムの所要最大圧力を備える。特に、所要最小圧力は、圧縮空気システムの設計のための主な基準である。
【0027】
一実施形態では、圧縮空気システムについての少なくとも1つの所定の制約が、特に、圧縮空気システムの新たな計画、修正又は拡張のための、最大投資予算を備える。最大投資予算は、特に、全ての設置された構成要素、特にコンプレッサを有する圧縮空気システム全体を指す。これにより、技術仕様を満たし得るとしても、高価すぎる圧縮空気システム構成を除外することが可能になる。
【0028】
一実施形態では、構成要素、特に、コンプレッサの少なくとも1つの技術的パラメータは、エネルギー消費、及び/又は、電力消費の圧力依存特性曲線、及び/又は、特に最大圧力での送出体積流量、及び/又は、特に圧縮空気体積当たりのCO排出量を備える。特に、品質値は、(生成された)圧縮空気体積(送出体積)当たりの(コンプレッサの)CO排出量に基づいて算出され得る。CO排出量は、(コンプレッサの)構成要素のエネルギー消費と、好ましくは、(ユーザから)所定の、又は(発電プラントオペレータから)受信された、提供された(電気)エネルギー単位(例えば、kWh)当たりの排出されたCO排出量を示す(現在の)値と、によって決定され得る。この点に関して、特に、コンプレッサの所要駆動電力の生成中に排出されるCOに関する追加のインジケーションが、技術的パラメータとしてのCO放出量のインジケーションのために必要とされ得る。特に、圧縮空気体積(例えば、m)当たりのCOフットプリントは、特定のコンプレッサによる圧縮空気体積の生成中にどれだけのCOが排出されるかを示す別の技術的パラメータであり得る。
【0029】
一実施形態では、それぞれの構成要素の少なくとも1つの経済的パラメータが、少なくとも1つの技術的パラメータに加えて、各構成要素に割り当てられ、ここで、経済的パラメータは、特に、構成要素の投資コスト及び/又はメンテナンスコストを示し、ここで、少なくとも1つの品質値は、特に、それぞれの圧縮空気システム構成の少なくとも1つのコンプレッサの少なくとも1つの経済的パラメータ及び少なくとも1つの技術的パラメータに基づいて算出される。好ましくは、品質値は、それぞれの圧縮空気システム構成の、いくつかの(全ての)コンプレッサの少なくとも1つの経済的パラメータに基づいて、及び/又は、いくつかの(全ての)コンプレッサの少なくとも1つの技術的パラメータに基づいて、算出される。特に、第1の品質値は、第1の圧縮空気システム構成のコンプレッサの少なくとも1つの技術的パラメータ及び少なくとも1つの経済的パラメータに基づいて算出され、並びに/又は、特に、第2の品質値は、第2の圧縮空気システム構成のコンプレッサの少なくとも1つの技術的パラメータ及び少なくとも1つの経済的パラメータに基づいて算出される。
【0030】
一実施形態では、コンプレッサリストは、既存の圧縮空気システムの少なくとも1つのコンプレッサと、既存の圧縮空気システムにおいて設置されていない少なくとも1つのコンプレッサと、を含む。(実際の)既存の圧縮空気システムの1つ以上のコンプレッサをコンプレッサリストに追加することによって、又は、それらを製品ポートフォリオに基づいて作成されたコンプレッサリストに含めることによって、(実際に)既に設置されているコンプレッサもまた、分岐データ構造においてマッピングされ得る。このようにして、圧縮空気システムの既存のコンプレッサは、探索される設計構成のための解空間の一部になる。特に、1つ以上の既存のコンプレッサを含まない圧縮空気システム構成が、品質値に基づいて、既存の圧縮空気システム構成よりも良好に評価されることが可能である。このようにして、方法は、既存の圧縮空気システムの修正、即ち、設置されたコンプレッサの除去又は交換を実施し得る。例えば、所要圧縮空気送出量(the required compressed air delivery rate)が低減し得、コンプレッサを除去することが経済的な場合がある。既存の圧縮空気システムの設置以降、より強力な及び/又はより効率的なコンプレッサが、その間に製品ポートフォリオにおいて利用可能になっている可能性があり、これは、品質基準に関して既存の圧縮空気システム構成の品質を改善し、従って、既存のコンプレッサの代わりに設置されるべきである。
【0031】
一実施形態では、分岐データ構造を生成することは、メモリにおいて、既存の圧縮空気システムの少なくとも1つのコンプレッサの構成要素データに基づいて、最上位ノードレベルにおいてコンプレッサ親ノードデータ構造を生成することを更に備える。特に、最上位ノードレベルは、正確に1つの親ノードデータ構造に割り当てられ、これは、特に、分岐データ構造(木)の起点ノード(根)に対応する。このようにして、既存の圧縮空気システム構成は、分岐データ構造における出力構成として、即ち、出力構成のコンプレッサ(の一部又は全て)を含む最上位ノードレベル(根ノード)におけるコンプレッサ親ノードデータ構造によって、マッピングされ得る。この場合、初期構成の少なくとも1つのコンプレッサは、考慮される各圧縮空気構成に含まれることになる。これにより、コンプレッサを追加することによる拡張の形での圧縮空気システムの設計が、容易に実施され得る。
【0032】
既存の圧縮空気システムが、(根ノードによって)分岐データ構造における初期構成としてマッピングされる、この実施形態の変形例では、コンプレッサリストは、割り当てられた技術的及び/又は経済的パラメータが負の符号を有する、既存の圧縮空気システムのコンプレッサを含み得る。代替(又は追加)として、コンプレッサには、既存の圧縮空気システムの(実際の)コンプレッサとして識別するための対応する識別子(マーカ)が割り当てられ得る。負の符号又はそのような識別子を有することによって、この(実際の)既存のコンプレッサのためのコンプレッサノードデータ構造の追加は、このコンプレッサの除去を表し得る。例えば、負のエネルギー消費は、構成の総エネルギー消費を低減することになり、又は負の投資コストは、除去されるべきコンプレッサについての販売収益を表すことになる。このようにして、圧縮空気構成において2回、即ち、パラメータの正の符号を有する1回と、負の符号を有する1回とが存在するコンプレッサは、品質値を算出するときに無視され得る。
【0033】
一実施形態では、コンプレッサ親ノードデータ構造及び/又はコンプレッサ子ノードデータ構造の生成は、追加として、圧縮空気準備のための構成要素、特に、圧縮空気準備のための構成要素のグループの構成要素データに基づく。特に、構成要素リストは、圧縮空気準備のための構成要素のリスト、好ましくは、構成要素のグループのリストである。圧縮空気準備のための構成要素は、好ましくは、コンプレッサに直列に接続されている。圧縮空気準備のための構成要素のグループは、特に、コンプレッサの圧縮空気出口と、圧縮空気貯蔵器との間の圧縮空気経路に沿って配置されるように意図されており、例えば、乾燥機、フィルタ、油分離器、又は他の構成要素を備える。複数の圧縮空気準備構成要素のグループは、(単一の)代替構成要素としてグループ化(モデル化)され得る。圧縮空気準備構成要素を示す追加の構成要素データをコンプレッサノードデータ構造に関連付けることによって、コンプレッサノードデータ構造のコンプレッサによって画定される圧縮空気経路内のこれらの圧縮空気準備構成要素の直列接続は、分岐データ構造においてマッピングされ得る。
【0034】
一実施形態では、好ましくは、前述の実施形態の代替として、圧縮空気システム構成についての制約が、圧縮空気準備のための少なくとも1つの構成要素の、特に、圧縮空気準備のための構成要素のグループの圧力損失を補償するための所要最小差圧を指定する。所要最小差圧は、特に、圧縮空気仕様の所要最小圧力に加えて指定され得る。圧縮空気準備によって生じる圧力損失は、適切な圧縮空気システム構成を見出すときに、適切な制約を介して考慮され得る。この場合、解として、その生成された最小圧力が処理構成要素の圧力損失、例えば、0.3バールを補償するのに十分に高く、且つ、依然として、消費体によって必要とされる最小圧力を提供する、それらの圧縮空気システム構成のみが考慮され得る。
【0035】
一実施形態では、分岐データ構造を生成することは、メモリにおいて、コンプレッサリストのコンプレッサの構成要素データに基づいて、ノードレベルにおいて少なくとも1つの更なるコンプレッサノードデータ構造を生成することを備え、ここで、好ましくは、生成されるべきコンプレッサノードデータ構造のコンプレッサのタイプは、同じコンプレッサ親ノードデータ構造に割り当てられた、このノードレベルの既に生成されたコンプレッサノードデータ構造のコンプレッサのタイプとは異なる。このようにして、分岐データ構造(木)は、幅が増大され得る。1つ以上の(下位)ノードレベル(複数可)から、コンプレッサ親ノードデータ構造に対するコンプレッサ子ノードデータ構造が、特に、終了基準が満たされるまで、好ましくは、再帰的ループで追加される。既に示されているコンプレッサ親ノードデータ構造の(上位)ノードレベルにおいて、更なるコンプレッサ親ノードデータ構造が、特に、終了基準が満たされるまで、好ましくは、再帰的ループで追加される。これは、最上位ノードレベル(根ノード)において単一のコンプレッサ親ノードデータ構造がない場合に、特に当てはまる。特に、コンプレッサリストのコンプレッサの選択又は全てのコンプレッサについて、新しいコンプレッサノードデータ構造が生成され得なくなるまで、更なるコンプレッサノードデータ構造が生成され得る。特に、品質値に基づいて、好ましくは、最小分岐コスト値に基づいてチェックされる、ある特定の基準に基づいて、ある特定のコンプレッサ子ノードデータ構造又はコンプレッサ親ノードデータ構造の生成が阻止され得る。原理上、コンプレッサ以外の構成要素に基づく構成要素子ノードデータ構造もまた、分岐データ構造に追加されて、圧縮空気システム内のそれらの相互接続を表し得る。
【0036】
一実施形態では、コンプレッサリストの同じコンプレッサ(即ち、同じタイプのもの)の構成要素データに基づくコンプレッサ親ノードデータ構造が、ノードレベルにおいて複数回生成され、ここで、複数のコンプレッサ親ノードデータ構造の各々について、構成要素子ノードデータ構造が生成され、複数のコンプレッサ親ノードデータ構造のうちの1つに割り当てられ、ここで、構成要素子ノードデータ構造の構成要素のタイプは互いに異なる。このようにして、同じコンプレッサのための異なる圧縮空気システム構成が、圧縮空気準備構成要素の異なる変形例等の、異なる構成要素と直列にマッピングされる、分岐データ構造(木)が生成され得る。例えば、特定のコンプレッサは、このようにして、分岐データ構造(木)において、各場合において、異なる圧縮空気乾燥機を有する2つの異なる直列回路においてマッピングされ得る。
【0037】
一実施形態では、コンプレッサリストのコンプレッサは、ソート基準に従って順序付けられ、ここで、コンプレッサ親ノードデータ構造に割り当てられるコンプレッサ子ノードデータ構造を生成するために、コンプレッサ親ノードデータ構造のコンプレッサと同じ又は下位のリスト位置において、コンプレッサリスト中でソートされたコンプレッサの構成要素データが使用される。これは、考慮される圧縮空気構成間の順列、即ち、同じコンプレッサタイプが互いに並列に接続されるが、互いに対して並列圧縮空気経路の異なる配置での、等価な圧縮空気構成を回避するのに役立つ。分岐データ構造内の2つの並列に接続されたコンプレッサの圧縮空気経路の交換は、同一の圧縮空気構成を表し、従って、1回より多く考慮される必要はない。分岐データ構造の不必要な拡大が回避され得、計算時間が節約され得る。
【0038】
一実施形態では、品質基準は、コスト基準であり、ここで、少なくとも1つの品質値は、圧縮空気システム構成のエネルギーコスト及び/又は投資コスト及び/又はメンテナンスコストを示す。エネルギーコスト及びメンテナンスコストは、好ましくは、ユーザによって指定される、一定の動作時間に関連し得る。投資コストは、構成要素の価格に加えて、圧縮空気システム構成についての設置コストを含み得る。特に、最も有利な圧縮空気システム構成、好ましくは、最も有利な(最適な)圧縮空気システム構成は、コスト基準に基づいて開発され得る。
【0039】
一実施形態では、方法は、コンピュータによって、割り当てられた品質値に基づいて、2つの圧縮空気システム構成を比較することと、その割り当てられた品質値が品質基準をより良好に満たす圧縮空気システム構成の圧縮空気システム構成データを、現在の最良圧縮空気システム構成として記憶し、好ましくは、現在の最良圧縮空気システム構成に割り当てられた品質値を、現在の最良品質値として記憶することと、を更に備える。現在の最良品質値は、特に、現在の最良コスト、好ましくは、最低コストを示す。現在の最良圧縮空気システム構成は、特に、分岐データ構造が適切な圧縮空気システム構成について探索される間、連続的に変化し得る。現在の最良圧縮空気システム構成の変数が、特に、最初に見出された圧縮空気システム構成又は初期構成で、初期化される。特に、見出された現在最良の圧縮空気システム構成は、品質基準に関して更により良好である可能性があると考えられる他の圧縮空気システム構成と比較されるために、一時的に記憶される。好ましくは、最後に、即ち、プロセスの終了時に記憶された圧縮空気システム構成が、圧縮空気システムの設計のための最適解である。
【0040】
一実施形態では、少なくとも1つの品質値を算出することは、好ましくは、推定に基づいて、圧縮空気システム構成のコストの下限値を示す最小構成コスト値を算出することを備える。最小構成コスト値としての下限値は、好ましくは、ヒューリスティック法に基づいて、圧縮空気システム構成の(比較的正確に)算出されたコストよりも低くなることが確実であるコストの(保守的な(conservative))推定値として理解され得る。最小構成コスト値は、好ましくは、圧縮空気システム構成の構成要素のうちの少なくとも1つ、好ましくは、全ての構成要素のエネルギーコスト及び/又は投資コストに基づく。
【0041】
エネルギーコストは、構成要素(コンプレッサ)の技術的パラメータとして、特に、受信された構成要素データの一部として予め定義され得る。エネルギーコストは、好ましくは、圧縮空気システム構成に含まれるコンプレッサの最高エネルギー効率を有するコンプレッサのエネルギー消費に基づいて算出される。投資コストは、構成要素(コンプレッサ)の経済的パラメータとして、特に、受信された構成要素データの一部として予め決定され得る。好ましくは、投資コストは、圧縮空気システム構成に含まれるコンプレッサの投資コストの合計として算出される。特に、最小構成コスト値は、圧縮空気システム構成のコストの保守的な推定値を与える。特に、圧縮空気システム構成のいかなる(複雑な)シミュレーションも、最小構成コスト値を算出するために行われない。最小構成コスト値の算出は、より正確であるが、コンピュータ能力の点で高価な算出の実行(performance)は、既に保守的なコスト推定値-即ち、いずれの場合にも、実際のコストよりも低い推定コスト値-が、現在最良の既知の圧縮空気構成の品質値(即ち、現在最も安価な既知のコスト値)よりも悪い(高い)場合には、省かれ得るというアイデアに基づく。特に、最小構成コスト値が品質基準に関して現在の最良品質値よりも悪い場合には、コスト集約的なコンピュータシミュレーションの実行が省かれ得る。
【0042】
一実施形態では、圧縮空気システム構成の少なくとも1つの品質値の算出は、最小分岐コスト値の算出を備え、これは、好ましくは、推定に基づいて、圧縮空気システム構成のコンプレッサを含む、特に、分岐データ構造においてノードデータ構造によって(まだ)表されていない、それらの更なる圧縮空気システム構成のコストの下限値を指定する。(現在考慮されている)圧縮空気システム構成のコンプレッサを含むそれらの更なる圧縮空気システム構成は、特に、そのコンプレッサノードデータ構造が、(現在考慮されている)圧縮空気システム構成に対応するそのコンプレッサノードデータ構造のノードレベルに対して下位ノードレベルにおいて位置する、分岐データ構造におけるノードデータ構造によって(まだ)表されていないそれら(全ての)更なる圧縮空気システム構成(即ち、これまで考慮されていないが、原理上可能な圧縮空気システム構成)である。最小分岐コスト値としての下限値は、好ましくは、ヒューリスティック法に基づいて、分岐データ構造の分岐の全ての圧縮空気システム構成の(比較的正確な)算出されたコストよりも低くなることが確実であるコストの(保守的な)推定値として理解され得る。最小分岐コスト値は、好ましくは、コンプレッサリストのコンプレッサのエネルギーコスト、及び/又は、圧縮空気システム構成の構成要素のうちの少なくとも1つ、好ましくは、全ての構成要素の投資コストに基づく。エネルギーコストは、好ましくは、(考慮される圧縮空気システム構成だけでなく)コンプレッサリストに含まれる全てのコンプレッサのうち、最高エネルギー効率を有するコンプレッサのエネルギー消費に基づいて算出される。投資コストは、好ましくは、圧縮空気システム構成に含まれるコンプレッサの投資コストの合計として算出される。特に、最小分岐コスト値は、現在考慮されている圧縮空気システム構成のノードにおいて開始する分岐データ構造(木)の分岐に属するそれらの圧縮空気システム構成のコストの保守的な推定値を与える。特に、最小分岐コスト値は、潜在的に依然として生成され得る親ノードに直接的又は間接的に割り当てられる全ての圧縮空気システム構成のコストに対する下限値を与える。特に、圧縮空気システム構成のいかなる(時間のかかる)シミュレーションも、最小構成コスト値を算出するために行われない。最小分岐コスト値の算出は、データ構造の更なる分岐は、既に保守的なコスト推定値-即ち、いずれの場合にも、実際のコストよりも低い推定コスト値-が、現在最良の既知の圧縮空気構成の品質値(即ち、現在最も安価な既知のコスト値)よりも悪い(高い)場合には、省かれ得るというアイデアに基づく。これは、圧縮空気システムに実際に追加される構成要素を表す追加のノードデータ構造を追加することが、対応する圧縮空気システム構成のコストを増大させることになるからである。親ノードデータ構造に割り当てられた最小分岐コスト値が、品質基準に関して現在の最良品質値よりも悪い場合、更なる子ノードデータ構造の生成は、初期段階において阻止され得る。
【0043】
一実施形態では、圧縮空気システム構成に割り当てられた品質値に基づいて、好ましくは、最小分岐コスト値に基づいて、特に、品質値、好ましくは、最小分岐コスト値が、現在の最良圧縮空気システム構成に割り当てられた、記憶された現在の最良品質値よりも悪い品質基準を満たす場合、コンプレッサ親ノードデータ構造の更なるコンプレッサ子ノードデータ構造の生成が除外されるか、又は既に生成された、コンプレッサ親ノードデータ構造のコンプレッサ子ノードデータ構造が削除される。このプロシージャは、特に、分岐限定プロシージャの所謂限定(bounding)に対応する。更なるコンプレッサ子ノードデータ構造は、最小分岐コスト値が現在の最良品質値よりも高い場合、生成されないか、又は削除される。現在の最良品質値は、シミュレーションによって算出されたシミュレートされたコスト値であり得る。限定の結果として、分岐データ構造(木)の不必要な拡大又は分岐が回避され得る。従って、テストされるべき圧縮空気構成の数は制限される。これは、不必要に考慮される圧縮空気構成についての計算容量(computing capacity)を節約する。従って、このプロシージャは、より良好な(最適)解を見出すことを除外することなく、加速される。
【0044】
一実施形態では、品質値を算出することは、コンピュータシミュレーションを行うことと、コンピュータシミュレーションの結果に基づいて、シミュレートされたコスト値を算出することと、を備え、ここで、シミュレートされたコスト値は、一定の(所定の)動作期間にわたる圧縮空気システム構成のコストを示す。特に、一定の動作期間は、ユーザによって設定される(シミュレーション対象期間(simulation horizon))。例えば、動作期間は、7日間のシミュレートされた期間を備え、好ましくは、1年間の期間に外挿され得る。コンピュータシミュレーションは、特に、圧縮空気システム構成の動的挙動をマッピングする、圧縮空気システム構成のシミュレーションモデルに基づいており、ここで、シミュレーションモデルは、好ましくは、境界条件として、好ましくは、ユーザによって指定された、時間可変圧縮空気消費プロファイル(コンプレッサで構成される構成の場合)若しくは逆圧プロファイル(送風機で構成される構成の場合)を考慮する、及び/又は、圧縮空気システム構成の少なくとも1つのコンプレッサの動的動作挙動をマッピングする、及び/又は、圧縮空気システムの中央制御システム、特に、統合制御システムの制御挙動をマッピングする。シミュレーションモデルは、特に、いくつかの(時間依存の)微分方程式、好ましくは、偏微分方程式のセットに基づいており、これらは、特に、数値積分法によって(反復的に)解かれ、特に、経時的に(所定の時間ステップ幅によって)段階的に積分される。圧縮空気消費プロファイルは、特に、経時的に消費体に対して利用可能にされる圧縮空気の量(経時的な量プロファイル)を示す。圧縮空気消費プロファイルは、典型的に、コンプレッサに対して指定される。逆圧プロファイルは、典型的に、送風機に対して指定され、これは、本発明の意味では、コンプレッサとしても理解され得る。統合制御システムは、WO 2010/072808 A2及びWO 2010/072803 A1に記載されている制御方法を意味すると理解され、その記載は、参照により本願に組み込まれている。コンピュータシミュレーションは、圧縮空気システムの動作中に発生するであろう圧縮空気システム構成のコストの非常に正確な算出を可能にする。特に、シミュレートされたコスト値は、圧縮空気システム構成のエネルギーコスト及び/又はメンテナンスコストを示す。コンピュータシミュレーションは、特に、分岐データ構造の生成、及び(遙かに)より単純な算出によって決定される、最小構成コスト値又は最小分岐コスト値の算出と比較して、計算容量及び計算時間の点で比較的高価である。
【0045】
一実施形態では、方法は、コンピュータシミュレーションを行うように意図された圧縮空気システム構成を指定するシミュレーション待ちリストに少なくとも1つの圧縮空気システム構成を格納することを備える。特に、その最小構成コスト値が現在の最良品質値よりも小さい圧縮空気システム構成は、シミュレーション待ちリストに一時的に格納される。シミュレーション待ちリスト中の限られた数の圧縮空気システム構成に対してのみ計算集約的なコンピュータシミュレーションを行うことによって、計算リソースは、最も有望な圧縮空気システム構成に対してのみ使用される。その結果、適切な、好ましくは最適な設計構成が、複雑で正確なシミュレーションモデルの場合でさえも、比較的短い時間で見出され得る。
【0046】
一実施形態では、異なる圧縮空気システム構成のためのコンピュータシミュレーションは、特に、異なるプロセッサによって又はプロセッサの異なるグループによって、並行して、好ましくは、少なくとも部分的に同時に行われる。好ましくは、シミュレーションのために、シミュレーション待ちリスト中に保持された圧縮空気システム構成は、異なるプロセッサによって、互いに独立してシミュレートされる。分岐データ構造(木)の生成は、並列化できないか、又は困難を伴ってのみ並列化され得る一方で、分岐データ構造によって見出される圧縮空気システム構成は、互いに独立してシミュレートされ得る。コンピュータシミュレーションは、一般に、分岐データ構造の構築に比べて、計算容量に対して著しく高い要求を課す。コンピュータシミュレーションを並列化することによって、プロセスは、適切な発見された圧縮空気システム構成に対してコンピュータシミュレーションを順次行うことと比較して、著しく加速され得る。
【0047】
一実施形態では、分岐データ構造を生成するための少なくとも1つのステップと、圧縮空気システム構成のためのコンピュータシミュレーションとが、少なくとも部分的に同時に行われる。特に、分岐データ構造を生成するためのアルゴリズムと、このアルゴリズムによって見出された圧縮空気システム構成のためのコンピュータシミュレーションとが、並行して実行される。
【0048】
一実施形態では、方法は、シミュレーション待ちリスト中の圧縮空気システム構成の数が所定の最大数に達した場合、特に、シミュレーション待ちリスト中の圧縮空気システム構成の数が、最大数を下回る値に達するまで、分岐データ構造を生成するためのステップを休止することを備える。これは、コンピュータシミュレーションが、不必要に多くの(相対的に劣った)圧縮空気システム構成について行われることを阻止し得る。シミュレーション待ちリストの長さを制限することによって、新しい現在の最良圧縮空気システム構成を潜在的に示す、コンピュータシミュレーションによってシミュレートされるコスト値が、分岐データ構造を生成するときに考慮され得る。特に、シミュレートされたコスト値を、考慮される圧縮空気システム構成についての最小分岐コスト値と比較することによって、第2のデータ構造の分岐が、オプションで、早期に切り捨てられ得、それによって、適時にシミュレーション待ちリストに1つ以上のより悪い圧縮空気システム構成が含まれることを阻止する。従って、この方法は、計算リソースを節約し、且つ加速される。
【0049】
一実施形態では、少なくとも1つの圧縮空気システム構成を提供することは、好ましくは最適な圧縮空気システム構成の出力することであり、ここで、特に、その割り当てられた品質値、好ましくは、その割り当てられたシミュレートされたコスト値は、コンプレッサリストに基づいて生成され得る他の全ての圧縮空気システム構成の品質値よりも品質基準をより良好に満たす。この点に関して、本発明による方法は、最適化問題を解決する。
【0050】
前述の目的は、特に、少なくとも1つのコンピューティングユニット上で実行されると、本発明による方法の少なくともいくつかの、好ましくは全てのステップを実施する命令を有するコンピュータ可読記憶媒体によって更に解決される。本発明によるコンピュータ可読記憶媒体は、本発明による方法に関連して既に説明されたものと同様の利点を有する。特に、記憶媒体は、ユーザ、例えば、圧縮空気システムのプロバイダの現場作業員のノートブックコンピュータ又は圧縮空気システムのプロバイダのサーバの一部であり得る。
【0051】
前述の目的は、特に、本発明によるコンピュータ可読記憶媒体と、命令を実行するための少なくとも1つのコンピューティングユニットと、を備えるサーバによって更に解決される。
【0052】
前述の目的は、特に、構成要素データを、サーバ、好ましくは請求項26に記載のサーバに送るように適合された端末デバイスによって更に解決され、ここで、構成要素データは、圧縮空気システムの構成要素と、各構成要素の少なくとも1つの技術的パラメータと、を示し、ここで、構成要素データは、異なるタイプの複数の機能的に同一の構成要素と、それぞれの構成要素に割り当てられた少なくとも1つの技術的パラメータと、を有する少なくとも1つの構成要素リストを備え、ここで、構成要素リストは、異なるタイプのいくつかのコンプレッサを含むコンプレッサリストであり、ここで、端末デバイスは、特に、圧縮空気システムについての少なくとも1つの制約、好ましくは、本発明の前述の実施形態による制約を示す制約データを、サーバ、好ましくは、本発明によるサーバに送ること、及び/又は、特に、圧縮空気システムのための所望の圧縮空気消費プロファイルを、サーバ、好ましくは、本発明によるサーバに送ること、及び/又は、特に、少なくとも1つの圧縮空気システム構成を、好ましくは、割り当てられた品質値と共に(with)表示すること、を行うように更に適合される。
【0053】
本発明の例示的な実施形態は、図面を参照して以下により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1図1は、圧縮空気システムの概略図を示す。
図2図2は、圧縮空気システムを設計するための先行技術の方法を示す。
図3図3は、本発明による方法のシーケンスの一般的な概略図を示す。
図4図4は、本発明の方法による圧縮空気システム構成のための解空間の概略図を示す。
図5図5は、本発明の方法の一実施形態による、分岐データ構造、構成要素データ、及び圧縮空気システム構成データの概略図を示す。
図6図6は、最適な圧縮空気システム構成を見出すための本発明による方法のシーケンスの概略図を示す。
図7図7は、本発明の一部としての例示的な分岐データ構造(木)の概略図を示す。
図8図8は、本発明の一部としての分岐データ構造を生成するための例示的なシーケンスの概略図を示す。
図9a図9aは、本発明の一部としての例示的な分岐データ構造(木)の詳細な概略図の第1の部分を示す。
図9b図9bは、図9aによる例示的な分岐データ構造の図の第2の部分を示す。
図10図10は、本発明の一部としての分岐データ構造の生成の概略フローチャートを示す。
図11図11は、圧縮空気システムのシミュレーションモデルの概略図を示す。
図12図12は、本発明による方法の一部としてのシミュレーションの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0055】
本発明の以下の説明において、同じ参照符号は、同じ及び同様に作用する要素及び方法ステップに対して使用される。
【0056】
圧縮空気システム(圧縮空気ステーション)は、多数の異なる構成要素によって構築され、これらは、規定の方法において、配置され、相互接続され、即ち(or)、互いに接続されている。これらの構成要素は、圧縮空気生成、圧縮空気準備、圧縮空気貯蔵及び圧縮空気分配のためのものである。ある特定の構成要素は、それら自体の制御システムを有する。多くの場合、圧縮空気システムは、プラント全体のための上位制御システムを有する。
【0057】
図1は、2つの並列の圧縮空気経路2及び3を有する圧縮空気システム1の概略図を示す。2つの並列の圧縮空気経路2、3は、コンプレッサ11、乾燥機21及びフィルタ31、並びに、コンプレッサ12、乾燥機22及びフィルタ32を有する。乾燥機21、22及びフィルタ31、32は、コンプレッサ11、12の下流にそれぞれ位置する。両方の圧縮空気経路2、3が、圧縮空気を貯蔵する働きをする共通の圧縮空気タンク40に開口している。圧縮空気タンク40から、圧縮空気は、圧縮空気ネットワークを介して1つ以上の消費体50に分配される。圧縮空気システム1のコンプレッサ11、12は、中央制御システム60によって調整される。
【0058】
圧縮空気システム構成は、圧縮空気システムの構成要素のセットと、それらの相互接続(互いに対する構成要素の配置及び接続)と、を指定する。以下で「構成」が言及されるとき、又は図が「構成」に言及するときは常に、圧縮空気システム構成、即ち、圧縮空気システムの構成を常に意味する。この点に関して、図1は、実際の既存の圧縮空気システム1を設計するときに選択された特定の実際の圧縮空気システム構成を示す。
【0059】
圧縮空気システムは、ユーザのニーズに応じて設計されなければならない。圧縮空気ステーションの設計、即ち、圧縮空気システムの新たな計画、修正(構成要素の除去又は交換)又は拡張のために、典型的に、多数の異なる構成要素が考慮され、これらは、1つ又は様々な製造業者がその製品ポートフォリオにおいて提供する。設計は、ある特定の品質基準、例えば、経済的な観点からは、ライフサイクルコスト又は所謂「投資利益率(return on investment)」、また、技術的な観点からは、ユーザによって指定又は想定される圧縮空気消費プロファイルを満たさなければならない。設計の目的は、品質基準を満たす圧縮空気構成(設計構成)を見出すことである。
【0060】
品質基準において典型的に考慮される重要な影響因子は、エネルギーコスト、メンテナンスコスト及び投資コストであり、ここで、エネルギーコスト及びメンテナンスコストは、投資コストが構成自体を分析することによってのみ決定され得、一方、エネルギーコスト及びメンテナンスコストを決定するためには、特定の構成における構成要素の動的挙動が常に決定されなければならないという点で、投資コストとは異なる。次いで、具体的な構成における構成要素の動的挙動に基づいて、エネルギーコスト及びメンテナンスコストが推測され得る。
【0061】
図2は、先行技術の圧縮空気ステーション構成を手動で決定するための方法を示す。図2による方法は、シミュレーションに関して部分的にコンピュータ支援されるが、基本的には手動である。ユーザ又はオペレータが、構成を考え出す。このために、彼は、カタログ等における、構成要素の製品ポートフォリオを利用し、存在し得るあらゆる制約を考慮する。考え出された構成に基づいて、ユーザは、シミュレーションソフトウェアを用いてシミュレーションモデルを手動で作成する。次いで、シミュレーションモデルに基づいて、シミュレーションが実施される。シミュレーション自体の実行は、自動的に行われる。一旦シミュレーションが行われると、構成は、シミュレーションの結果に基づいて評価される。特に、評価のために必要な値は、シミュレーションの結果から決定される。構成が設計のための可能な解として興味深い場合、ユーザは、この構成に注目する。次いで、ユーザは、既に記憶された構成の中に十分に良好な解があるかどうかをチェックする。そうでない場合、ユーザは、十分に良好な解となり得る別の構成についてのアイデアを自身がまだ持っているかどうかをチェックする。ユーザがそのようなアイデアをまだ持っている場合、方法は、次の反復に進み、ここで、具体的な構成が考え出される。ユーザがアイデアを持っていない場合、方法は終了する。記憶された構成の中に十分に良好な解が既に存在する場合、ユーザは、方法を終了し、圧縮空気システムを設計するために、この構成を使用し得る。
【0062】
図2に従って実施される方法は、いくつかの構成の作成、シミュレーション及び評価を提供する。このコンテキストでは、人間により構成を考え出すこと及びシミュレーションモデルの手動作成は、適切な構成を見出すことにとっての制限となる。図2の方法に従って構成を考え出すことは、創造的なプロセスである。創造的なプロセスにおいて、ユーザは、自身が習得したヒューリスティックス(heuristics)、即ち、経験的知識に依拠するので、このプロセスの持続期間及び結果は、ユーザの経験に大きく依存する。経験豊富なユーザは、より少ない時間で、より良好な構成を決定する傾向がある。しかしながら、経験豊富なユーザでさえも、最良の可能な構成を見出せるという保証はない。
【0063】
加えて、考案された構成は、シミュレーションが実施される前に、シミュレーションソフトウェアに対して利用可能にされなければならない。これは、構成の品質が、シミュレーションが実施された後にのみ確実に評価され得るからである。シミュレーションのための構成モデルを作成することは、時間がかかる。構成の入力に対して3分しか見積もっていない場合、1時間当たり20個を超える構成をテストすることはできない。限られた時間では、限られた数の構成しかチェックすることができない。最良の可能な構成を見出すのに十分な時間がない可能性がある。
【0064】
算出例を使用して、可能な構成の数は、圧縮空気システムにおける構成要素の数とともに、また、製品ポートフォリオにおいて利用可能な構成要素の数ととともに、急激に、即ち、指数関数的に増大することが説明される。簡単にするために、圧縮空気システムのコンプレッサのみが、以下で考慮される。例えば、製品ポートフォリオは、様々なタイプのコンプレッサを含む。圧縮空気システムに最大8個のコンプレッサを設置できると仮定し、順列を無視すると、以下の数の可能な組み合わせ
【0065】
【数1】
【0066】
が得られ、即ち、圧縮空気システムにおいて並列に接続された8個のコンプレッサを有する可能な潜在的な構成である。図2に示される先行技術の方法では、問題は、多数の可能性により、解空間全体が、最良構成について系統的に探索され得ないことである。加えて、先行技術の方法は、最適な構成が実際に見出されることを確実にするものではない。
【0067】
この問題から出発して、本発明は、圧縮空気システムの設計が最適化問題であり、その解が、利用可能な構成要素及び所与の条件下での圧縮空気システムの最適な構成であるという認識に基づいている。図3は、圧縮空気システムの構成のための最適解を見出すための本発明のコンピュータ支援方法のフローの一般的な概略図を示す。図3に例示される最適化問題は、所定の品質基準に基づく所定の制約を考慮して、所与の圧縮空気消費曲線のために、既存の圧縮空気システムの所与の初期構成に基づいて、及び製品ポートフォリオにおいて利用可能な圧縮空気システムの構成要素、特に、コンプレッサV1、V2、...Vn(図2図7図8図9a、図9b参照)で(with)、適切な圧縮空気システム構成、特に、最適な圧縮空気システム構成を識別及び提供することで構成される。圧縮空気システムの少なくとも1つの設計構成を提供するための本発明による方法は、図3に概説される問題を解決する。
【0068】
図3による方法では、初期構成が考慮される。例えば、圧縮空気ステーションの1つ以上の構成要素が、その耐用年数の終わりに達し、従って、交換される必要があるので、既存の圧縮空気ステーションを修正及び/又は拡張することが可能である。また、古い構成要素を、より新しいより効率的な構成要素と交換することによって、圧縮空気ステーションの効率を向上させることも可能である。また、圧縮空気消費量は、既存の圧縮空気ステーションがもはや確実にそれをカバーできない程度まで、予見可能に増大することも考えられる。このような場合には、圧縮空気ステーションを設計するとき、出力構成が考慮されなければならない。出力構成を修正又は拡張することによって、(最適な)構成と見なされ得る新しい構成が作成される。出力構成が考慮されるべきである場合、出力構成に関して新しい構成において保持される構成要素に関しては、いかなる投資コストも発生しないことに留意されたい。初期構成に関して新しい構成において除去又は交換される構成要素については、これらの構成要素が、中古の構成要素として販売され、利益を生成し得るので、基本的に負の投資コストが存在する。再計画の場合には、初期構成は、空の構成、即ち、構成要素のない構成に対応することになる。
【0069】
図4は、可能な圧縮空気構成の解空間が、方法によってどのように制限され得るかを例示する。全解空間は、利用可能な構成要素の全ての組み合わせの可能性によって、特に、コンプレッサリストLv(図5参照)に含まれるコンプレッサによって、定義される。解空間は、不適切な構成を除外することによって制限され得、これは、より少ない構成が、解として考慮される必要があることを意味する。
【0070】
ある特定の構成は、それらがユーザによって指定されたある特定の制約(図3及び図6参照)、例えば、
・ コンプレッサの最大数、
・ コンプレッサの異なるタイプの最大数、
・ 可変速コンプレッサが含まれ得るか、若しくは含まれていなければならないかの仕様、
・ 圧縮空気システムの最大フットプリント、
・ 圧縮空気システムの所要最小圧力、及び/又は
・ 圧縮空気システムの所要最大圧力、
・ 最大投資予算
を満たさないので、除外され得る。
【0071】
解空間はまた、所謂分岐限定プロシージャの上下限によっても制限され得、これは、分岐データ構造B(図5図7図9a、図9b参照)を構築するために、本発明による方法のために使用される。下限値によって、例えば、最小分岐コスト値GBranchmin(図8図9a、図9b、図10参照)によって、品質基準に関して現在の最良構成Konfbest(図6図10参照)よりも確実に悪い構成が、初期段階において除外され得る。
【0072】
制約を満たし且つ分岐データ構造Bにおいて分岐限定プロシージャによってマッピングされるこのような構成は、品質基準に関して可能な限り正確に品質値を算出するために、基本的にシミュレーションのために考慮される。シミュレーションは、エネルギーコスト、メンテナンスコスト、投資コスト及び所与の圧縮空気消費プロファイルを考慮し得る。圧縮空気システムからの熱回収等の他の影響因子も考慮され得る。
【0073】
シミュレートされた構成から、1つ以上の構成が、決定された品質値GsimCostsに基づいて、最良解として、結果として得られる(図8図9a、図9b、図10図12参照)。考慮される全ての構成のうち、最良の全体的な品質値GsimCostsを有する構成が、最適化問題に対する最適解であり、これに従って、圧縮空気システムが設計されるべきである。
【0074】
本発明の一部としての分岐データ構造Bの生成が、図5を参照して説明される。例示的なデータ構造Bは、図7図8図9a及び図9bにも示されている。図10は、分岐データ構造Bの生成のためのフローチャートを含む。本発明による方法は、製品ポートフォリオからの利用可能な構成要素を、機能的に同一の構成要素の構成要素リストLkとして考えるというアイデアに基づいており、そのリスト要素は、圧縮空気システム構成を形成するために、全組み合わせ方法において、互いに組み合わされ得る。構成要素リストLkは、技術的及び経済的な特性、特に、それぞれの構成要素の技術的パラメータKt及び経済的パラメータKwを含む。原理上、構成要素リストLkの構成要素は、構成の生成のために、所望に応じた頻度で、利用可能であると考えられ得る。従って、構成要素リストLkからの構成要素は、構成において数回組み込まれ得る。全ての可能性を系統的に試すこともまた、最適解を考慮することになるが、多数の可能性により、実際には実現不可能である。従って、本発明による方法は、原理上考慮され得る構成(数N)Konf1、Konf2、...、KonfNを通じて系統的に実行可能である(be able to systematically run through)ために、分岐データ構造Bを使用する。このような分岐データ構造Bは、原理上、木として知られており、これは、アルゴリズムによって作成される。本発明によれば、分岐限定プロシージャが、分岐データ構造Bを生成するために使用される。
【0075】
圧縮空気システムの設計のためにサプライヤの製品ポートフォリオにおいて利用可能な構成要素は、構成要素データDkの形態で利用可能であり、機能的に同一の構成要素が、構成要素リストLkにおいて共にグループ化されている。n個の異なるコンプレッサV1、V2~Vnは、ソート基準に従って、コンプレッサリストLvに含まれている。圧縮空気準備のためのm個の異なる構成要素KA1、KA2~KAmと、圧縮空気貯蔵のためのp個の異なる構成要素KS1、KS2~KSpとが、それぞれ構成要素リストLkに含まれている。構成要素データDkに基づいて、分岐データ構造Bが本発明に従って生成され、これは、構成要素の可能な組み合わせを示す。
【0076】
図5は、本発明による方法の構成要素としての分岐データ構造Bの実施形態を例示する。例として、3つのノードレベルB0、B1、B2には、複数のノードデータ構造が割り当てられ、ここで、最上位ノードレベルB0には、単一のコンプレッサノードデータ構造BEv0のみが割り当てられ、第1のノードレベルB1には、コンプレッサ親ノードデータ構造BEv1、BEv2、~BEvnが割り当てられ、第2のノードレベルB2には、コンプレッサ子ノードデータ構造BKv1、BKv2、...、Bkvnが割り当てられる。相対的に下位のノードレベルBtにおける各コンプレッサ子ノードデータ構造は、相対的に上位のノードレベルBhにおける親ノードデータ構造に割り当てられる。ノードレベルB1に関して、B0は、上位ノードレベルBhを表す。ノードレベルB2に関して、B1は、上位ノードレベルBhを表す。分岐は、上位ノードレベルBhから下位ノードレベルBtへと生じ得、その結果、コンプレッサノードデータ構造の数は、下位ノードレベルBtにおいてより多くなり得る。この例では、コンプレッサ親ノードデータ構造BEv0は、圧縮空気システムの空の出力構成に対応し、この点において、いかなるコンプレッサも含まないノードデータ構造である。出力構成が存在する場合、それは、コンプレッサ親ノードデータ構造BEv0によって表され得る。分岐データ構造Bは、終了基準が満たされるまでコンプレッサノードデータ構造を生成する、再帰的ループによって構築される。
【0077】
コンプレッサ親ノードデータ構造BEv1、BEv2~BEvnの各々は、構成要素リストLkのうちの1つであるコンプレッサリストLvに含まれるコンプレッサV1、V2~Vnのうちの1つを表す。コンプレッサV1、V2~Vnは、互いに異なる一意のコンプレッサタイプをそれぞれ有する。少なくとも1つの技術的パラメータKt及び1つの経済的パラメータKwが、各コンプレッサV1、V2~Vnに割り当てられ、コンプレッサリストLvは、各コンプレッサV1、V2~Vnに関する更なる情報を含み得る。分岐データ構造Bでは、各コンプレッサノードデータ構造は、特定の圧縮空気システム構成を表す。それぞれの圧縮空気システム構成は、それぞれのノードデータ構造から、次の上位ノードレベルを経て、全ての上位ノードレベルを介して、最上位ノードレベルB0まで上方に向かって、ノード経路(図7参照)に沿って位置するノードデータ構造のコンプレッサを備える。
【0078】
図5では、例示的な第1の圧縮空気システム構成Konf1は、タイプV1のコンプレッサをそれぞれ表す、コンプレッサ親ノードデータ構造BEv1と、割り当てられたコンプレッサ子ノードデータ構造BKv1と、を備える。例示的な第2の圧縮空気システム構成Konf2は、それぞれ、タイプV1のコンプレッサとタイプV2のコンプレッサとをそれぞれ表す、コンプレッサ親ノードデータ構造BEv1と、割り当てられたコンプレッサ子ノードデータ構造BKv2と、を備える。図5中の代替の例示的な第2の圧縮空気システム構成Konf2は、タイプV2のコンプレッサをそれぞれ表す、コンプレッサ親ノードデータ構造BEv2と、割り当てられたコンプレッサ子ノードデータ構造BKv2と、で構成される。従って、図5は、本発明による第1の圧縮空気システム構成Konf1の生成、並びに、第2の圧縮空気システム構成Konf2の生成についての両方の代替を例示する。分岐データ構造Bに示されている圧縮空気システム構成1~Nのうち、特定の圧縮空気システム構成をKonf1、Konf2、...、KonfNと指定することは任意である。
【0079】
図5に示される圧縮空気システム構成Konf1、Konf2では、コンプレッサV1、V1及びV1、V2は、それぞれ並列に接続される。各コンプレッサに直列に接続された圧縮空気準備のための構成要素KA1は、2つの並列の圧縮空気経路が結合された圧縮空気貯蔵のための構成要素KS1と同様に、各場合において同じである。圧縮空気システム構成データDkonf1、Dkonf2は、構成要素と、それらの接続とを明確に示す。示されている圧縮空気システム構成データDkonf2は、コンプレッサV1及びV2を備えた圧縮空気システム構成Konf2「V1、V2」(図5の左側)を指す。代替の圧縮空気システム構成Konf2「V2、V2」(図5の右側)の圧縮空気システム構成データは、同様に、並列に接続されたタイプV2の2つのコンプレッサを備える。
【0080】
分岐木構造Bを用いることで、解空間全体が、原理上、コンピュータ支援により、系統的且つ自動的に探索され得る。制約を満たす基本的に適切な全ての構成、例えば、所与の品質基準を良好に満たす最良構成、及び品質基準を最良に満たす(唯一の)最適な構成は、分岐木構造Bに含まれており、見出され得る。
【0081】
本発明は、完全に自動化された方法で、最良圧縮空気システム構成を見出し、割り当てられた品質値を算出する方法を提供する。図2に示される先行技術と比較して、方法は、特に、新しい構成の決定と、品質の評価のための構成の作成と、構成が適切な解であるかどうかの検証と、最適な構成が存在する場合には、それが見出されたという認識との自動化を行う。特に、この方法の結果は、ユーザの経験に依存しない。加えて、コンピュータ実装方法は、比較的高速に行われる。分岐限定プロシージャのアイデアに従って分岐データ構造Bを作成することによって、探索されるべき解空間が制限され、即ち、分岐木構造は適切な方法で「枝刈り(pruned)」され、その結果、プロシージャは、限られた計算容量であっても、所望の設計構成を迅速にもたらす。
【0082】
図6は、最適な圧縮空気システム構成を見出すための本発明による方法の基本的なプロシージャを示す。図3に関して既に説明されたように、利用可能な構成要素の構成要素データDk、特に、コンプレッサリストLv、所定の制約及び所定の品質基準に基づく初期構成から開始して、適切な構成(例えば、Konf1、Konf2)が、分岐データ構造B(例えば、図5参照)を生成するためのアルゴリズムを用いて決定され、これらは、シミュレーションのために考慮され、シミュレーション待ちリストに格納される。分岐データ構造Bにより考慮されるシミュレーションは、最小構成コスト値GKonfminと、現在の最良構成Konfbestの品質値Gbestとの比較に基づいて、GKonfminがGbestよりも良好に品質基準を満たす場合に、シミュレーション待ちリストに含まれる。圧縮空気システムのシミュレーションモデルに基づくコンピュータシミュレーション(図12参照)が、所与の圧縮空気プロファイルを考慮して、シミュレートされた構成の品質値として、シミュレートされたコスト値GsimCostsを決定する。GsimCostsに基づいて、シミュレートされた構成は、現在の最良構成Konfbestの品質値Gbestと比較され得る。その品質値GsimCostsが品質基準を最良に満たす、プロセスの終了時に記憶された現在の最良構成Konfbestは、圧縮空気システムを設計するための最適な構成である。
【0083】
本発明の1つのアイデアは、分岐データ構造Bを構築するためのアルゴリズムと、木構造Bに基づいて識別された構成のためのコンピュータシミュレーションとが、時間的に並列に実行されることである。基本的に適切な構成が識別されるたびに、それは、シミュレートされるべき構成のシミュレーション待ちリストに記憶される。シミュレーション待ちリスト中の構成は、好ましくは、異なるコンピュータ上で並行して、次々にシミュレートされ、シミュレートされたコスト値GsimCostsは、この構成の品質値として算出される。長さ1のシミュレーション待ちリストは、シミュレーションに適した全ての構成が順次にシミュレートされることをもたらす。シミュレーション待ちリストの最大長は、データ構造の最も効率的な可能な制約に対して既に生成された構成についてシミュレーションによって決定されるシミュレートされたコスト値GsimCostsを使用することなく、いくつの構成がデータ構造Bによって生成され得るかを制御するために使用され得る。シミュレートされた構成が、割り当てられた品質値Gbestを有する(with)現在の最良構成Konfbestとして記憶される場合、シミュレーションの結果が、分岐データ構造Bの生成において使用されることになる。これは、データ構造Bを生成するためのアルゴリズムが、最小分岐コスト値GBranchminをGbestと比較することによって、現在の最良構成Konfbestよりも更により良好な構成が、データ構造Bに更なるコンプレッサ子ノードデータ構造を追加することによって、そもそも生成され得るかどうかを考慮するからである。そうでない場合、対応するコンプレッサノードデータ構造は、全く生成されない。
【0084】
図7は、3つのノードレベルB1、B2、B3上の、即ち、並列に接続された3つのコンプレッサについての、分岐データ構造Bの実施形態の概略図を示す。この例は、圧縮空気システムの新たな計画に関するものであり、ここで、3つの並列接続されたコンプレッサV1、V2、V3についての可能な構成が考慮され、圧縮空気システムの他の構成要素は考慮されない。ノードレベルB0における分岐データ構造Bの根ノードは、初期構成が考慮されない場合、空である。解空間、即ち、全ての可能な構成のセット(図4参照)は、再帰的ループにおいて、コンプレッサノードデータ構造を生成することによって作成される。各コンプレッサノードデータ構造は、コンプレッサV1、V2、V3のうちの1つの構成要素データDkに基づき、コンプレッサノードデータ構造から根ノードまでのノード経路に沿ったコンプレッサで構成される圧縮空気システム構成Konf1~Konf16を表す。木の深さ、即ち、ノードレベルB1、B2及びB3の数は、制約として圧縮空気システムにおいて許容されるコンプレッサの数によって制限され得る。本場合では、使用されるべきコンプレッサの最大数は、3として指定される。
【0085】
典型的に、圧縮空気システムにおけるコンプレッサの配置シーケンス(arrangement sequence)は、全てのコンプレッサが並列に配置されている限り、問題ではない。この事実は、木に既に存在する構成とシーケンスのみが異なる構成をもたらすノードを木に挿入しないことによって、分岐データ構造Bにおいて考慮される(上記に示された木では、構成「V1、V2、V2」が存在するが、構成「V2、V1、V2」は存在せず、これは、これらの2つの構成が、シーケンスが無視される場合に等価であるからである)。等価な構成を回避することによって、分岐データ構造B(木)、従って、解空間は、小さく保たれる。
【0086】
解空間の表現のための木の構築は、再帰的アルゴリズムを用いて最も簡単に説明され得、ここでは、また、木の構築のために反復的に進行するアルゴリズムも考えられる。再帰的アルゴリズムの説明のために、構成要素の製品ポートフォリオは、何らかの基準に従って、例えば、昇順の投資コスト、昇順の供給体積(supply volume)、アルファベット順で昇順のタイプ指定、等によって、ソートされると仮定する。従って、構成要素は、各構成要素がリスト位置を有する、順序付けられた構成要素リストLkと考えられ得る。アルゴリズムは、ノードレベルB0の根から開始し、コンパクタリストからの各要素について、次の下位ノードレベルB1における根の下に子ノードを追加する。次いで、アルゴリズムは、各子ノードに進み、各子ノードにおける子ノードとして新しい要素を追加する。ここで、新しい要素を子ノードとして追加するための規則は、ソートされたリストからの要素のうち、ソートされたリスト中で同じ位置又は後続の位置に位置するもののみが、子ノードとして追加され得るということである。子ノードを追加するために、制約もまた考慮される。子ノードの条件付き追加の例は、以下の通りである:
- 子ノードの追加が最大許容投資コストを超えない場合にのみ、子ノードが追加される、
- 子ノードの追加が許容されるコンプレッサの最大数を超えない場合にのみ、子ノードが追加される、
- 子ノードの追加がコンプレッサタイプの最大許容数を超えない場合にのみ、子ノードが追加される。
【0087】
子ノードの再帰的追加のためのプロセスは、分岐データ構造Bにおける任意の点において、追加され得る子ノードがなくなるまで継続される。根からの又は根へのそれぞれのノード経路によってコーディングされた分岐データ構造Bのノードは、ここで、解空間に及ぶ構成を形成する。
【0088】
図7に例として示される分岐データ構造Bは、16個の構成Konf1~Konf16の以下のリストを表し、その各々において、2つ又は3つのコンプレッサが互いに並列に接続されている:「V1、V1」(Konf1)、「V1、V2」(Konf2)、「V1、V3」(Konf3)、「V1、V1、V1」(Konf4)、「V1、V1、V2」(Konf5)、「V1、V1、V3」(Konf6)、「V1、V2、V2」(Konf7)、「V1、V2、V3」(Konf8)、「V1、V3、V3」(Konf9)、「V2、V2」(Konf10)、「V2、V3」(Konf11)、「V3、V3」(Konf12)、「V2、V2、V2」(Konf13)、「V2、V2、V3」(Konf14)、「V2、V3、V3」(Konf15)、「V3、V3、V3」(Konf16)。B1レベルにおけるコンプレッサノードデータ構造は、それらが、単一のコンプレッサのみをそれぞれ有するので、有効な圧縮空気構成を表していない。
【0089】
詳細には、図7に示されるデータ構造B(木)の構築は、例えば、以下のように進む:第1のステップでは、所与の順序でコンプレッサV1、V2、V3を含むコンプレッサリストLvを有する構成要素データDkが、コンピュータによって受信される。次いで、タイプV1のコンプレッサを示す第1のコンプレッサデータノード構造が、ノードレベルB1における根ノードから開始して、データ構造Bに追加される。このコンプレッサ親データノード構造の下のノードレベルB2において、構成Konf1に対応する、コンプレッサV1の別のコンプレッサ子ノードデータ構造が生成される。この下のノードレベルB3では、Konf4、Konf5、及びKonf6の構成に対応する、それぞれ、コンテンツV1、V2、及びV3を有する別の3つのコンプレッサ子ノードデータ構造が生成される。より下位のノードレベルにおけるより多くのコンプレッサ子ノードデータノード構造は、これが、構成において許容される最大で3つのコンプレッサの制約に違反することになるので、追加されない。ノードレベルB2において、次に、タイプV2のコンプレッサのコンプレッサノードデータ構造が生成され、これは、構成Konf2に対応する。これに基づいて、ノードレベルB3において、それぞれ、構成Konf7及びKonf8に対応する、更なるコンプレッサ子ノードデータ構造が、コンプレッサV2及びV3について生成されるが、コンプレッサV1については、コンプレッサ子ノードデータ構造は生成されず、これは、そのような構成が、構成Konf5と等価であり、コンプレッサの組み合わせ「V1、V1、V2」の順列にすぎないからである。同じ理由で、それぞれ、構成Konf3及びKonf9に対応する、コンプレッサV3についてのコンプレッサ子ノードデータ構造が、次に、ノードレベルB2及びB3において生成されるが、それ以外のコンプレッサノードデータ構造は生成されない。構成Konf10、Konf11、Konf12、Konf13、Konf14、Konf15、及びKonf16に対応する残りのコンプレッサノードデータ構造は、類似の方法で生成される。
【0090】
原理上、木、従って、探索されるべき解空間を、可能な限り小さく保つことが有用である。ユーザは、ある特定の解を除外するために、制約(図3及び図6参照)を指定し得る。例えば、ヒューリスティックスに基づいて、これら要件に適した構成が、ある特定のコンプレッサタイプを有するべきであることが、既に知られている場合がある。例えば、制約は、少なくとも1つの可変速駆動コンプレッサが構成に含まれなければならないこと、又は、逆に、構成が可変速駆動コンプレッサを有してはならないことを指定し得る。解空間の更なる制限が、解の一部を予め定義することによって、特に、データ構造の根ノードを空のままにしないことによってではあるが、各構成を含むべきコンプレッサのセットに根ノードを割り当てることによって、可能である。この場合、ノードレベルB0における根ノードに対応するコンプレッサ親データ構造下の全てのノードは、この既に予め定義されたコンプレッサの組み合わせを拡張する。
【0091】
原理上、本発明による方法の実施のために、方法の第1のステップにおいて、解空間の表現のための完全な分岐データ構造B(木)が最初に作成され、次いで、最良構成が解空間において探索されることが考えられる。方法の好ましい実施形態は、シミュレーションを行うこと及び構成を評価することに並行して、解空間を構築及び探索することを提供する。これは、ノードデータ構造の生成を適時に阻止すること、即ち、まだ作成されていない、木の分岐を阻止することによって、解空間が限定される(bounded)ことを可能にする。また、ノードデータ構造を後で削除すること、即ち、既に作成されているが、その構成が好ましくはまだシミュレートされていない、木の分岐を切断することも可能である。このプロシージャは、図8に例示されている。方法は、これまでに見出された最良構成、即ち、現在のところ、Konfbestが、品質値Gbestを指定することを考慮し、これは、データ構造Bの分岐における潜在的な構成の品質値が、より適切な、即ち、更により良好な解となるために、少なくとも到達しなければならない値である。現在の最良構成Konfbestよりも良好な構成が分岐に存在することが除外され得る場合、更により良好な解が見出されないというリスクを冒すことなく、分岐が切断され得る。分岐の切断は、図8において、ハサミによって象徴的に表される。分岐を切断することによって、解空間は、大幅に低減され得る。これは、方法を大幅にスピードアップし、非常に大きい解空間の場合に、そもそも(at all)それを実用的な方法で実施することを可能にする。
【0092】
データ構造Bの制限の基準として、保守的な推定値が使用され、これは、データ構造(木)のこの分岐から、構成がどの程度良好になり得るかを指定する。このために、最小分岐コスト値GBranchminが、品質値として算出される。この分岐において潜在的に見出される全ての構成が、現在の最良構成をアンダーカットする(undercut)ことができない場合(GBranchmin>Gbest)、更なる分岐は阻止される。
【0093】
構成の品質を推定するための第1のアプローチによれば、エネルギーコストは、最小分岐コスト値GBranchminとして使用される。分岐における可能な限り低い(lowest possible)エネルギーコストの推定のために、所与の圧縮空気消費プロファイルをカバーするための全ての圧縮空気は、この分岐において潜在的に生じ得る最も効率的なコンプレッサのエネルギー効率で、即ち、コンプレッサリスト中の全てのコンプレッサのうちの最も高いエネルギー効率を有するコンプレッサによって、生成されると仮定される。
【0094】
第2のアプローチによれば、エネルギーコストと投資コストとの合計が、最小分岐コスト値GBranchminとして形成され得、ここで、コストの点から最適な「損益分岐ノード(break-even node)」が識別され得る。この「損益分岐ノード」からは、より効率的な1つ又は複数のコンプレッサの追加は、もはや投資コストが利益を増大させるのと同じ程度まで、エネルギーコストを低減させることはできなくなる。このノードにおいて、分岐は切断される。
【0095】
第1のアプローチの更に発展した実施形態によれば、まず、分岐における最も効率的なコンプレッサを用いて、考慮中の全期間にわたって生産される圧縮空気の量をカバーする試みがなされる。残りのバランス(balance)については、分岐における2番目に最も効率的なコンプレッサが用いられる。まだ余りがある場合、分岐における3番目に最も効率的なコンプレッサがこれに対して用いられ、以下同様である。
【0096】
特に、構成についてコンピュータシミュレーションを行うか否かを決定するために使用される、前述の最小構成コスト値GKonfminは、最小分岐コスト値GBranchminと同様のコストの保守的な推定値に基づいて算出される。
【0097】
データ構造の限定(bounding)は、図8を参照して以下でより詳細に説明される。限定のために、コスト推定値GBranchminが、分岐点から生じることになる分岐全体についての、各コンプレッサノードデータ構造について、即ち、各ノードについて、算出される。コスト推定値GBranchminは、その分岐点から、即ち、その分岐において含まれ得る最良圧縮空気システム構成の最小期待コスト(minimum expected cost)を示す。
【0098】
最適解が制約によって拒絶されないことを保証するために、コスト推定値GBranchminは、保守的でなければならず、即ち、GBranchminは、いずれの場合も、GsimCostsとしてシミュレーションによって決定され得るコストを下回らなければならない。投資コストとエネルギーコストとの合計が、品質値GBranchminとして使用される場合、各場合において、GBranchminのために、可能な限り低い投資コストの推定と、可能な限り低いエネルギーコストの推定と、を行うことは理にかなっている。この場合、これらの2つの推定値の合計は、確実に、コストの可能な限り低い値の保守的な推定値となる。
【0099】
分岐における可能な限り低い投資コストの推定のために、分岐の全てのノードの投資コストが、分岐が開始するノードの投資コストに等しいと仮定される。従って、投資コストは、追加の子ノードのためには増大しないと仮定される。これは誤った仮定であるが、いずれにしても、この推定は保守的である。それは、確実に最適解を廃棄しない。
【0100】
分岐における可能な限り低いエネルギーコストの推定のために、圧縮空気消費量は、コンプレッサリストLvに含まれ、従って、分岐のノードに潜在的に含まれる、最も効率的なコンプレッサによって排他的にカバーされると仮定される。
【0101】
GBranchminが、現在の最良構成KonfbestのシミュレートされたコストGsimCostsに対応する現在の最良品質値Gbestを上回る場合、データ構造は、最適解を破棄することなく限定され得る。
【0102】
データ構造を分岐及び限定するためのプロシージャは、図8に例示される以下の詳細での例を使用して、以下に説明される:
- 2つのタイプのコンプレッサV1及びV2のみが利用可能である、即ち、
○ タイプV1、
・ 投資コスト:22,000ユーロ、
・ 送出体積流量:5.5m/min、
・ 比出力:6.7kWmin/m
○ 及びタイプV2、
・ 投資コスト:40,000ユーロ、
・ 送出体積流量:10m/min、
・ 比出力:6.5kWmin/m
・ 圧縮空気システムは、少なくとも1つのV1タイプのコンプレッサを有する。
・ 圧縮空気システムの寿命にわたる所要空気体積は、21,000,000mである。
・ 電気価格は、0.15ユーロ/kWhである。
・ 圧縮空気システムにおけるコンプレッサの数に制限はない。
・ 分岐データ構造Bは、まず深さ方向に構築され、その後にのみ、幅方向に構築される。
【0103】
少なくとも1つのコンプレッサを有する圧縮空気システムの初期構成(*)から開始して、ステップ1において、タイプV1の1つの追加のコンプレッサのみを含む圧縮空気システムが作成される。この場合、少なくとも1つのコンプレッサが、根ノードに既に含まれている(*)。この構成については、最小構成コスト値GKonfminが、圧縮空気システム自体に対して生成され(373,350ユーロ)、最小コスト推定値GBranchminが、分岐全体に対して生成される(363,250ユーロ)。分岐のためのコスト推定値GBranchminが、構成自体のためのものGKonfminよりも低いという事実は、この構成より下のノードレベルにおける圧縮空気システムが、より効率的なコンプレッサタイプV2を使用し得る一方で、この構成自体は、非効率的なコンプレッサタイプV1のみを有するという事実によるものである。
【0104】
シミュレーションがまだ行われていないので、ステップ2において、この構成がシミュレートされ、387,300ユーロのシミュレートされたコストGsimCostsが、この構成に対して決定される。これらは、現在の最良品質値Gbestとして記憶され、これは、構成の現在の最良(最低)コストを示す。
【0105】
ステップ3において、新しい分岐が、V1タイプのコンプレッサを追加することによって作成され、構成のためのコストGKonfminと、分岐のためのコストGBranchminとが決定される。構成の最小コストGKonfminが、現在の最良コストGbestより高いので、この構成に対してシミュレーションは行われない。従って、シミュレーションのための計算量(computational effort)が節約される。
【0106】
作成されたばかりの分岐の最小コストGBranchminは、Gbestを下回るので、ステップ4において、新しい分岐が、別のV1タイプのコンプレッサを追加することによって作成され、構成のコストGKonfminと、分岐のコストGBranchminとが決定される。構成の最小コストGKonfminが、Gbestより高いので、この構成に対してシミュレーションは行われない。従って、先と同様に、シミュレーションのための計算量が節約される。
【0107】
分岐の最小コストGBranchminもまた、Gbestを上回るので、生成されたばかりの分岐は、ステップ5において切り捨てられ、従って、それ以上は追跡されない。
【0108】
ステップ6において、新しい分岐が、タイプV1の2つのコンプレッサを既に含む構成に対して、タイプV2のコンプレッサを追加することによって作成され、構成の最小コストGKonfminと、新しく作成された分岐の最小コストGBranchminとが決定される。構成の高すぎる最小コストGKonfminにより、ここでもシミュレーションは行われない。
【0109】
新たに作成された分岐の最小コストGBranchminもまた、Gbestより高いので、新たに作成された分岐は、ステップ7において切り捨てられる。
【0110】
ステップ8において、新しい分岐が、コンプレッサV1を既に含む構成にタイプV2のコンプレッサを追加することによって作成され、構成自体についての最小コストGKonfminと、新しく作成された分岐についてのコストGBranchminとが決定される。高すぎる最小構成コスト値GKonfminにより、ここではシミュレーションは行われない。
【0111】
新たに作成された分岐の最小コストGBranchminもまた、Gbestより高いので、新たに作成された分岐は、ステップ9において切り捨てられる。
【0112】
更なる構成及び分岐は、これらが品質基準に関して現在の最良構成Konfbestを確実に表すことができないので、作成されない。このようにして、方法は終了し、最良解、即ち、初期構成のコンプレッサに加えて、1つの追加のV1タイプのコンプレッサのみで構成される圧縮空気システムが、見出される。
【0113】
この例は、潜在的に無限に大きい解空間が、この方法によって、どのように管理可能なレベルまで低減されるかを明確に示す。合計で、5つの構成のみが生成され、更には1つのシミュレーションのみが行われた。
【0114】
本発明による方法は、図9aと図9bとの間で分割されている分岐データ構造Bの構築の更なる例を参照して、以下に説明される。
【0115】
制約として、製品ポートフォリオから以下の4つのコンプレッサV1、V2、V3、V4が選択され、その各々には、圧縮空気容量及び電気消費量が技術的パラメータKtとして割り当てられ、投資量が経済的パラメータKwとして割り当てられる:
【0116】
【表1】
【0117】
ソートシーケンスが、コンプレッサのために選択される。本場合では、コンプレッサは、圧縮空気容量の降順にソートされ、その結果、最も高い圧縮空気容量を有するコンプレッサが常に最初に選択され、次いで、次に低い圧縮空気容量を有するコンプレッサが選択され、以下同様である。
【0118】
更なるステップでは、制約が定義され、即ち、
- 寿命にわたる圧縮空気ステーション上の空気体積は100万mとする、
- 電気価格は0.15ユーロ/kWhであると仮定する、
- コンプレッサの最大数は3とする、
- 使用されるコンプレッサタイプの最大数は2とする、
- ピーク時の所要空気体積は19m/minとする、
- 最大投資予算は36,000ユーロである。
【0119】
図9a、図9bに従う分岐データ構造Bの生成のために、第4のノードレベルB4までの深さ優先探索が、分岐限定プロシージャのために使用される。ここでは、ノードを作成するためのステップが、例として与えられる。データ構造Bを作成するための更なるステップは、図9a、図9b中の情報から導出され得る。
【0120】
図9a、図9bでは、コンプレッサタイプV1、V2、V3又はV4に加えて、更なる情報が、コンプレッサノードデータ構造(簡略化されて「ノード」とも呼ばれる)における第1のセクションで与えられている。第2のセクションでは、コンプレッサの数と、異なるコンプレッサタイプの数と、投資量と、圧縮空気容量と、が示されている。第3のセクションでは、存在する場合、ノードに対応する構成についての最小構成コスト値GKonfminと、このノードに属する分岐についての最小分岐コスト値GBranchminとがある。第3のセクションでは、存在する場合、パラメータvalidOptionが与えられ、各々が制約を満たす有効な解、即ち、適切な構成であるかどうかを示している。加えて、シミュレートされたコストGsimCostsが与えられ、これは、構成のシミュレーションから得られる。
【0121】
第1のステップでは、第1のコンプレッサV1が選択される。これは、13.7m/minの圧縮空気容量しかもたらさず、これは、19mの所要容量より小さいので、この選択は、まだ有効な構成を表すものではない。更なるステップでは、構成の最小コストGKonfminは、35,975ユーロであると推定され、分岐全体の最小コストGBranchminもまた、35,957ユーロであると推定される。この場合、シミュレーションは行われない。
【0122】
更なるステップでは、第1のコンプレッサV1が、第2のノードレベルB2において、構成「V1」に追加される。40,000ユーロを伴うこのノードの構成については、36,000の予め定義された最大許容投資量が既に超過されているので、この構成及びそれより下の全ての構成は破棄される(図9a及び図9bでは、それぞれの破棄された構成の下にバツ印「X」で示されている)。従って、このノードに属する分岐が切断される。更なるステップでは、第2のコンプレッサV2が、第2のノードレベルB2において、構成「V1」に追加される。これは、制約を満たす有効な解である(validOption=yes)と決定される。次いで、構成がシミュレートされ、55,000ユーロのシミュレートされたコストGsimCostsが、それについて決定され、これは、これまでの最良コストGbestとして記憶される。
【0123】
この例によれば、深さ探索は、ここでは差し当たり延期され、第2のレベルB2における他のノードが先に決定される。これを行うために、第1のノードレベルB1の第1のノード「V1」の下の他のノードが、順次走査される。同じプロシージャが、第1のノードレベルB1の更なるノードのために繰り返される(図9bの続きを参照)。このプロシージャは、第2のノードレベルB2に追加された有効なノードのシミュレーションの結果GsimCostsを、第3及び第4のノードレベルB3、B4にまだノードが追加されるべきかどうかを決定するために、既に使用され得るという利点を有する。
【0124】
本場合では、第3のノードレベルB3において、構成「V1、V3、V3」、「V1、V3、V4」、「V2、V2、V2」、「V2、V2、V3」、「V2、V2、V4」、「V2、V3、V3」、及び「V2、V3、V4」は、予め定義された最大投資量又は異なるコンプレッサタイプの最大数が超過されているので、破棄される。この場合、それぞれの割り当てられた分岐もまた切断され、これは、投資量又は使用されるコンプレッサタイプの数が超過されており、これらの値は、コンプレッサを追加することによって、少なくとも同じままであるか、又は増大さえもするからである。
【0125】
対照的に、第3のノードレベルB3において、構成「V1、V4、V4」、「V2、V4、V4」、「V3、V3、V3」、「V3、V4、V4」、「V4、V4、V4」については、供給される圧縮空気体積が依然として不十分であると決定される。構成「V1、V4、V4」の場合には、シミュレーションによって、51,975のシミュレートされたコストGsimCostsが、第2のノードレベルB2において決定された、50,000ユーロの最良コストGbestを既に上回っていることが決定される。従って、別のコンプレッサを追加することは、総コストを増大させ得るのみであるので、分岐はここで切断される。他の場合では、50,000の現在の最良コストGbestは、まだ超過されておらず、追加のノードが追加される。
【0126】
しかしながら、本場合では、制約は、4つのコンプレッサを使用していることによって、コンプレッサの最大数が既に超過されていることを示す。代替として、第4のノードレベルB4におけるノードの作成を省くことも可能であり、これは、この場合、コンプレッサの最大許容数がいずれの場合も超過されるからである。加えて、この例では、構成「V3、V3、V3」、「V3、V4、V4」については、投資量が超過され、一方、構成「V3、V4、V4」、「V4、V4、V4」については、供給される圧縮空気体積が依然として十分ではないという結果になる。
【0127】
全体として、この例では、分岐データ構造Bの完全な構築の後、2つのコンプレッサで構成される構成「V2、V2」が最良解、即ち、最良構成Konfbestであるという結果になり、これは、同時に、制約を満たし、コストを最小化する。
【0128】
図10は、分岐データ構造Bの木構造を構築するためのフローチャートを示す。第1のステップでは、初期構成が、基礎として用いられるか、又は新たな計画が開始される。後続の所謂「分岐ステップ」では、構成要素、この場合は、コンプレッサが挿入される。更なるステップでは、現在考慮されている構成Konfについての最小構成コスト値GKonfmin及び最小分岐コスト値GBranchminが、現在考慮されている構成Konfのノードに属する分岐について決定される。現在考慮されている構成Konfは、分岐データ構造Bの現在考慮されているノードに対応する。
【0129】
決定ステップでは、現在選択されている構成Konfについての最小構成コスト値GKonfminが、現在の最良構成Konfbestについての現在の最良コストGbestを下回るかどうかがチェックされる。現在の最良構成Konfbestは、制約を満たし、品質基準に関して最良品質値を有するものである。そうである場合、更なる決定ステップが、現在選択されている構成Konfが制約に違反しているかどうかをチェックする。そうでない場合、更なるステップでは、シミュレーションが現在選択されている構成Konfについて行われる。シミュレーションは、構成のシミュレートされたコストGsimCostsを決定し、必要であれば、圧力曲線又は体積流量の特性等の他の重要な数値も決定する。
【0130】
シミュレーション後、更なる決定ステップが、シミュレートされたコストGsimCostsが現在の最良構成KonfbestのコストGbestよりも良好であるかどうかをテストする。そうである場合、現在の構成Konfが現在の最良構成Konfbestであることが保存され、最良コストGbestがシミュレートされたコストGsimCostsに設定される。そうでない場合、最良構成Konfbest及び最良品質値又は最良コストGbestについて以前に決定された値が残る。
【0131】
続いて、更なる構成を生成され得るかどうかがチェックされる。この目的のために、制約を満たし且つデータ構造Bの限定によって以前に既に除外されていないそれらの構成が考慮される。更なる構成が生成されることができない場合、方法は終了し、最良(最適な)構成は、記憶された現在の最良構成Konfbestに等しい。そうでない場合、方法は、ノードが圧縮空気システム構成のための更なる構成要素に基づいて挿入される、上記の分岐ステップにジャンプして戻る。更なる構成は、特に、分岐データ構造Bにおける深さ検索又は幅検索の後に見出され得、ここで、この方法はまた、幅検索と深さ検索との間で切り替えられ得る。
【0132】
上記の決定ステップにおいて、現在考慮中の構成Konfについての最小構成コスト値GKonfminが現在の最良構成Konfbestの現在の最良コストGbestのものを下回ると決定された場合、更なる決定ステップが、分岐についての最小分岐コスト値GBranchminが現在の最良構成KonfbestについてのコストGbestを上回るかどうかをチェックする。そうである場合、データ構造Bは限定され、即ち、分岐は枝刈りされる。そうでない場合、更なる構成が生成され得るかどうかがチェックされる。そうである場合、方法は、上記の分岐ステップにジャンプして戻る。そうでない場合、方法は終了する。
【0133】
上記のステップにおいて、考慮される構成Konfが制約のうちの少なくとも1つに違反し、従って、有効な構成を表さないと決定された場合、更なる決定ステップが、より下位のノードレベルに位置する、それから分岐する構成が依然として制約を満たし得るかどうかをテストする。これは、例えば、現在考慮されている構成Konfの技術的又は経済的特性が制約を満たさず、この特性が、コンプレッサの数の増大とともに悪化し得るのみである場合には当てはまらない。下位ノードレベルにおける構成が制約を満たすことができない場合、分岐は枝刈りされる。そうでない場合、これ以上の構成が生成され得るかどうかを調べるためにチェックが行われる。そうである場合、方法は、上記の分岐ステップにジャンプする。そうでない場合、方法は終了する。
【0134】
また、分岐トリミングステップの後、より多くの構成が作成され得るかどうかを調べるためにチェックが行われる。そうである場合、方法は、上記の分岐ステップにループして戻る。そうでない場合、方法は終了する。
【0135】
図11は、コンプレッサV1、V2、及びV3が並列に接続され(即ち、「V1、V2、V3」構成)、且つ統合制御システム60′のモデルによって集中制御される構成に対応する、圧縮空気システム1の自動的に生成されたシミュレーションモデルを概略的に示す。圧縮空気準備の構成要素は、代替の構成要素KA2によってモデル化され、ここで、圧縮空気準備にわたる圧力降下による差圧は、0.3バールである。この差圧は、制約の形態で最小差圧として指定され得る。ここで、圧縮空気貯蔵器は、10mの容積を有する。消費体50′は、圧縮空気消費プロファイルを介してモデル化される。
【0136】
品質基準に関して良好に適合された構成については、シミュレーションの結果に基づいてこれらの構成をより良好に評価することができるように、コンピュータシミュレーションが実施される。シミュレーションとは、原則として、圧縮空気ステーションの構成要素の経時的な挙動、即ち、動的な動作挙動が、コンピュータモデルを介してマッピングされることを意味するものとする。本発明による方法の好ましい変形例では、微分方程式のセットがこの目的のために使用される。その更に発展した変形例では、微分方程式のセットは、構成要素の構造変化挙動(structure-variant behavior)、即ち、離散的に区別可能な動作状態における異なる挙動が考慮されるように実装される。
【0137】
図12は、圧縮空気システム構成について、シミュレートされたコストGsimCostsの品質値を可能な限り正確に算出するために実施されるコンピュータシミュレーションを例示する。このようなシミュレーションモデルは、シミュレートされた圧縮空気システム構成のコンプレッサの動的な動作挙動を考慮する。シミュレーションモデルは、特に、いくつかの時間依存の微分方程式、好ましくは、偏微分方程式のセットに基づいており、これらは、特に、数値積分法によって解かれる。シミュレーションモデルは、各構成の個々の構成要素のためのモデルに基づいて自動的に生成され得る(構成要素ベースのアプローチ)。代替として、圧縮空気システムのための汎用シミュレーションモデルが使用され得、これは、パラメータ化(モノリシックアプローチ)によって特定の構成に適合され得、ここで、構成に存在しない構成要素は、適切なパラメータ選択によって「排除」され得る。
【0138】
十分に正確なシミュレーションの結果のために、構成要素において、特に、コンプレッサにおいて、実行中の制御アルゴリズム、及び中央統合制御システムの制御アルゴリズムもまた、考慮され、これらは、この目的のためにモデル化され、シミュレーションモデルによって表される。好ましくは、制御アルゴリズムは、それらのパラメータ化に関して、それぞれの構成及び満たされるべき制約に適合される。例えば、ある特定のタイプの統合制御の場合、圧縮空気システムの必要最小圧力及び許容最大圧力についての制約に適合することが可能であるように、パラメータ「需要圧力」及び「圧力クリアランスリミット(pressure clearance limit)」を設定しなければならない。統合制御システムを備えていない圧縮空気システムの場合、コンプレッサにおける圧力調整器のパラメータは、好ましくは、圧縮空気システムの必要最小圧力及び許容最大圧力についての制約に適合することが可能であり、且つコンプレッサの現実的なスイッチング挙動が結果として得られるように設定される。シミュレーションモデルにおいて不正確に設定された圧力調整器は、コンプレッサの頻繁すぎるスイッチングをもたらし、従って、正確に設定された圧力調整器を有する実際の圧縮空気システムにおけるコンプレッサと比較して、考慮される圧縮空気システム構成のエネルギー効率の非現実的に悪い結果をもたらす。
【0139】
分岐データ構造Bの生成は、通常、複雑なコンピュータシミュレーションよりもはるかに高速であるので、シミュレーション待ちリスト(図6参照)の長さを、例えば、最大10又は100個の構成に制限することが有用であり得る。シミュレーション待ちリストが満杯である場合、データ構造Bを生成するためのアルゴリズムは、シミュレーション待ちリストが構成を再び収容し得るまで、一時停止し得る。これは、実際には(もはや)シミュレーションされる必要がないにもかかわらず、不必要に多数の構成がシミュレーション待ちリストに蓄積されないことを保証し、なぜなら、その間に、より良好な現在の最良構成が発見され、その構成が属する分岐が、データ構造Bを制限することによって実際には阻止されている可能性があるからである。行われるべき構成の個々のシミュレーションが互いに独立して実施され得るので、コンピュータシミュレーションの実行は、十分に並列化され得る。これは、方法全体をスピードアップし得る。
【0140】
ここで、単独で及び任意の組み合わせで考慮される、上述した本発明の全態様、特に、図面に示される詳細は、本発明に属するものとして請求項に記載されていることに留意されたい。これらの修正は、当業者によく知られている。
【0141】
[参照符号のリスト]
1 圧縮空気システム
2、3 圧縮空気経路
11、12、13 圧縮空気システムのコンプレッサ
21、22 乾燥機
32、32 フィルタ
40 圧縮空気タンク
50 消費体
50′ モデル化された消費体
60 プラント制御
60′ 統合制御システムのモデル
V1、V2、...、Vn コンプレッサリストのコンプレッサ1~n
KA1、KA2、...、KAm 圧縮空気準備のための構成要素1~m
KS1、KS2、...、KSp 圧縮空気貯蔵のための構成要素1~p
Konf 圧縮空気システム構成
Konf、Konf2、...、KonfN 圧縮空気システム構成1~N
Konfbest 現在の最良圧縮空気システム構成
Dk 構成要素データ
Dn 制約データ
Dkonf1、Dkonf2 圧縮空気システム構成データ
Lk 構成要素リスト
Lv コンプレッサリスト
Kt 技術的パラメータ
Kw 経済的パラメータ
B 分岐データ構造
B0 最上位ノードレベル
B1 上位ノードレベル
B2 下位ノードレベル
BEv0 コンプレッサ親ノードデータ構造
Bev1、BEv2、...、BEvn コンプレッサ親ノードデータ構造
BKv1、BKv2、...、BKvn コンプレッサ子ノードデータ構造
GKonfmin 品質値、即ち、最小構成コスト値
GBranchmin 品質値、即ち、最小分岐コスト値
GsimCosts 品質値、即ち、シミュレートされたコスト値
Gbest 現在の最良品質値
GKonfbest 現在の最良構成コスト値
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9a
図9b
図10
図11
図12
【国際調査報告】