(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】接触蒸留におけるトリファンクションのプロセス
(51)【国際特許分類】
C07C 41/06 20060101AFI20240719BHJP
C07C 43/04 20060101ALI20240719BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20240719BHJP
【FI】
C07C41/06
C07C43/04 E
C07B61/00 300
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503720
(86)(22)【出願日】2022-07-19
(85)【翻訳文提出日】2024-03-05
(86)【国際出願番号】 US2022037620
(87)【国際公開番号】W WO2023003898
(87)【国際公開日】2023-01-26
(32)【優先日】2021-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519094400
【氏名又は名称】ラマス・テクノロジー・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Lummus Technology LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】バリアス,ロゼット
(72)【発明者】
【氏名】チェン,リアン
【テーマコード(参考)】
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AC43
4H006AD11
4H006BA72
4H006BC10
4H006BC11
4H006BC31
4H006BD10
4H006BD33
4H006BD52
4H006GN21
4H006GP01
4H039CA61
4H039CF10
(57)【要約】
アルキルエーテルを製造するための方法であって、当該方法は、エーテル化触媒を含む固定床反応器に炭化水素フィードストックおよび第1アルコールフィードストックを供給することを含む。炭化水素フィードストックおよび第1アルコールフィードストックは、第1固定床反応器に含まれ、エーテル化触媒の存在下、イソオレフィンをアルコールと反応させて、第1生成物ストリームを生成する。第1生成物ストリームは、水素フィードストックおよび第2アルコールフィードストックと一緒に接触蒸留反応システムに供給され、接触蒸留反応システムは、トリファンクションの触媒を含むものであり、それにより、同時に、α-オレフィンの少なくとも一部を異性化し、ジオレフィンの少なくとも一部を水素化し、イソオレフィンの少なくとも一部およびアルコールをエーテル化して、ボトム生成物とオーバーヘッド生成物とを生成する。ボトム生成物は、1以上のエーテルを含む。オーバーヘッド生成物は、n-アルカン、イソアルカン、未反応のα-オレフィン、未反応の内部オレフィン、未反応のイソオレフィンおよび未反応のアルコールを含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルキルエーテルを製造するための方法であって、当該方法は、以下の工程:
エーテル化触媒を含む固定床反応器に炭化水素フィードストックおよび第1アルコールフィードストックを供給する工程であって、前記炭化水素フィードストックが、n-アルカン、イソアルカン、α-オレフィン、内部オレフィン、イソオレフィンおよびジオレフィンを含む、工程;
前記炭化水素フィードストックと前記第1アルコールフィードストックを接触させる工程であって、前記エーテル化触媒の存在下でイソオレフィンがアルコールと反応して、第1生成物ストリームを生成し、前記第1生成物ストリームが、n-アルカン、イソアルカン、α-オレフィン、内部オレフィン、未反応のイソオレフィン、ジオレフィンおよび未反応のアルコールと、1以上のエーテルとを含む、工程:
トリファンクションの触媒を含む接触蒸留反応システムに前記第1生成物ストリームと、水素フィードストックと、第2アルコールフィードストックとを供給する工程であって、異性化と、水素化と、エーテル化とを同時に進行させて、
前記異性化において、前記α-オレフィンの少なくとも一部を異性化して、追加の内部オレフィンを形成し、
前記水素化において、前記ジオレフィンの少なくとも一部を水素化して、追加の内部オレフィンとアルカンを形成し、
前記エーテル化において、前記イソオレフィンの少なくとも一部およびアルコールをエーテル化して、1以上のエーテルを形成し、
前記1以上のエーテルを含むボトム生成物を生成し、
n-アルカンと、イソアルカンと、未反応のα-オレフィンと、未反応の内部オレフィンと、未反応のイソオレフィンと、過剰の水素と、未反応のアルコールとを含むオーバーヘッド生成物を生成する、工程
を含む、方法。
【請求項2】
前記オーバーヘッドストリームを分離する工程をさらに含み、飽和アルカンのストリーム、残留オレフィンのストリームおよび残留アルコールのストリームの1以上を生成する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記固定床反応器および前記接触蒸留反応システムの1以上に前記残留オレフィンのストリームをリサイクルする工程をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記固定床反応器および前記接触蒸留反応システムの1以上に前記残留アルコールのストリームをリサイクルする工程をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
大気圧から140bargの圧力および5℃から約500℃の温度において、前記接触蒸留反応システムを運転することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記炭化水素フィードストックは、最大で5重量%のn-ブテンおよび10~50重量%のイソブテンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記炭化水素フィードストックは、1.2重量%以下のブタジエンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記炭化水素フィードストックは、最大で1重量%の1,2-ペンタジエンまたはイソプレンと、10~50重量%のイソアミレンとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1アルコールフィードストックは、メタノール、エタノールまたはそれらの混合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
アルキルエーテルを製造するためのシステムであって、当該システムは、固定床反応器と、接触蒸留反応システムとを含み、
前記固定床反応器は、エーテル化触媒を含み、前記固定床反応器は、炭化水素フィードストックと第1アルコールフィードストックとを受けて、前記炭化水素フィードストックと前記第1アルコールフィードストックを接触させて、第1生成物ストリームを生成するように構成されていて、
前記炭化水素フィードストックは、n-アルカン、イソアルカン、α-オレフィン、内部オレフィン、イソオレフィンおよびジオレフィンを含み、
前記第1生成物ストリームは、n-アルカン、イソアルカン、α-オレフィン、内部オレフィン、未反応のイソオレフィン、ジオレフィンおよび未反応のアルコールと、1以上のエーテルを含み、
前記接触蒸留反応システムは、トリファンクションの触媒を含むシングルベッドを含み、前記接触蒸留反応システムは、第1生成物ストリームのインレットと、水素フィードストックのインレットと、第2アルコールフィードストックのインレットと、ボトム生成物のアウトレットと、オーバーヘッド生成物のアウトレットとをさらに含み、
前記第1生成物ストリームのインレットは、前記トリファンクションの触媒を含むシングルベッドの下方に配置されており、
前記水素フィードストックのインレットは、前記トリファンクションの触媒を含むシングルベッドのトップに近づけて配置されており、
前記第2アルコールフィードストックのインレットは、前記トリファンクションの触媒を含むシングルベッドのボトムに近づけて配置されており、
前記ボトム生成物のアウトレットは、前記1以上のエーテルを含むボトム生成物を生成するように構成されており、
前記オーバーヘッド生成物のアウトレットは、オーバーヘッド生成物を出すように構成されており、前記オーバーヘッド生成物は、n-アルカン、イソアルカン、未反応のα-オレフィン、未反応の内部オレフィン、未反応のイソオレフィンおよび未反応のアルコールを含み、
前記接触蒸留反応システムは、異性化と、水素化と、エーテル化とが同時に進行するように構成されていて、
前記異性化は、前記α-オレフィンの少なくとも一部を異性化して、追加の内部オレフィンを形成し、
前記水素化は、前記ジオレフィンの少なくとも一部を水素化して、追加の内部オレフィンを形成し、
前記エーテル化は、前記イソオレフィンの少なくとも一部およびアルコールをエーテル化して、1以上のエーテルを形成する、
システム。
【請求項11】
分離システムをさらに含み、前記分離システムは、前記オーバーヘッド生成物を分離するように構成されていて、飽和アルカンのストリーム、残留オレフィンのストリームおよび残留アルコールのストリームの1以上を生成する、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
上流の分離システムをさらに含み、前記上流の分離システムは、混合C4ストリームを生成するように構成されていて、前記混合C4ストリームは、前記炭化水素フィードストックとして、最大で2.5重量%のブタジエンと10~50重量%のイソブテンとを含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
上流の分離システムをさらに含み、前記上流の分離システムは、混合C5炭化水素フィードストックを生成するように構成されていて、前記混合C5炭化水素フィードストックは、前記炭化水素フィードストックとして、最大で1重量%のペンタジエンと10~50重量%のイソアミレンとを含む、請求項10に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(開示の分野)
本明細書中に開示される実施形態は、三級アルキルエーテルを製造するための接触蒸留(又は触媒蒸留)のプロセス(又は工程又は方法)に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
一級アルコールとイソオレフィンの反応によって、三級アルキルエーテルを製造することは、当該分野において、よく知られている。反応物(又はリアクタント)の反応と、この反応物(又はリアクタント)に由来する生成物(又はプロダクト)の蒸留とを同時に行う蒸留カラム反応器(又は蒸留塔反応器又はディスティレーション・カラム・リアクタ)の使用は、この通常は平衡が制限される反応において、特に有益であることが見出されている。蒸留カラム反応器を用いるプロセスおよびそのバリエーションの説明は、共通して、米国特許第4,218,011号;同第4,232,177号;同第4,305,254号;同第4,504,687号;同第4,978,807号;同第5,118,873号;同第5,120,403号;同第5,248,836号;同第5,248,837号;および同第5,313,005号に開示されている。接触蒸留(又は触媒蒸留)は、イソオレフィンのエーテル化に広範に適用(又は応用)されている。イソオレフィンのエーテル化は、上記で列挙した特許のいくつかにおいても記載されている。
【0003】
米国特許第5,431,888号は、多目的の蒸留カラム反応器(又は蒸留塔反応器)(又はマルチ・パーパス・ディスティレーション・カラム・リアクタ)を開示している。この米国特許では、イソオレフィンを含む軽質ナフサを水素化(又はハイドロゲネーション)するための水素化触媒(又はハイドロゲネーション触媒)がエーテル化触媒(又はエーテリフィケーション触媒)の下方に配置(又はスタック)されている。なお、イソオレフィンを含む軽質ナフサは、ジオレフィンおよびメルカプタンを除去するための流動接触分解装置(又は流動接触クラッキング装置又は流動接触クラッキングユニット)に由来するものである。
【0004】
通常、エーテル化のプロセス(又は工程又は方法)に供給されるオレフィンは、混合C4ストリーム(又は混合C4流)である。混合C4ストリームは、直鎖ブタン(又はn-ブタン又はノルマル・ブタン)およびイソブタン、直鎖ブテン(又はn-ブテン又はノルマル・ブテン)およびイソブテン、およびブタジエンをいくらか含むものである。イソブテン(iC4
=)は、一級アルコールと優先的に反応して、1以上のエーテル(例えば、メチル tert-ブチル エーテル(MTBE)またはエチル tert-ブチル エーテル(ETBE))を生成(又は形成)する。
C5を用いるプロセス(又は工程又は方法)において、tert-アミル エチル エーテル(TAEE)および/またはtert-アミル メチル エーテル(TAME)を製造(又は生成又は形成)することができる。
未反応のC4およびC5は、冷酸アルキル化(又はコールド・アシッド・アルキレーション)のプロセス(又は工程又は方法)へのフィードストック(又は供給原料)として頻繁に使用されている。このプロセスでは、直鎖オレフィン(又はn-オレフィン又はノルマル・オレフィン)(例えば、ブテン)をイソアルカン(例えば、イソブタン)と反応させて、アルキレート(例えば、イソオクタン)を生成(又は形成)する。
【0005】
従って、接触蒸留カラム(又は接触蒸留塔又は触媒蒸留塔又はキャタリティック・ディスティレーション・カラム)を用いるC
4のエーテル化のためのプロセス(又は工程又は方法)は、第1(又はプライマリ)の固定床反応器(又は固定ベッド反応器又はフィクスド・ベッド・リアクタ)を2つ含むことが多い。
図1に示す通り、C
4のフィード(又は供給物)(または他のライト・カット・ナフサ・フィード)2は、フレッシュ(又は新鮮)またはリサイクル(又は再生又は循環)のアルコール4および水素6と一緒に配合されて(又は合わされて)、配合フィード(又は合わされたフィード(又は供給物又は供給))10を生成(又は形成)する。配合フィード10は、第1の固定床反応器(又は固定ベッド反応器又はフィクスド・ベッド・リアクタ)12に供給される。第1の固定床反応器12は、1以上の触媒の1以上の床(又はベッド)を含んで成る。これらは、イソブテンのエーテル化と、1-ブテンの位置の異性化(又は位置的異性化又は位置異性化又はポジショナル・アイソメリゼーション)によって、2-ブテンを生成(又は形成)することと、ブタジエンの水素化(又はハイドロゲネーション)によって、n-ブテンおよびn-ブタンをさらに生成(又は形成)させることとを一緒に行うことができ、第1の中間生成物(又は中間プロダクト又はインターミディエイト・プロダクト)を生成(又は形成)することができる。第1の中間生成物は、1以上のC
4と、1以上のエーテルと、未反応のアルコールとを含んで成る。
【0006】
第1の中間生成物(又は中間プロダクト又はインターミディエイト・プロダクト)をリサイクル(又は再生又は循環)8と、第2の固定床反応器(又は固定ベッド反応器又はフィクスド・ベッド・リアクタ)16へのフィード・ライン(又は供給物ライン又は供給ライン)14とに分ける。第2の固定床反応器16は、第2の触媒を含んで成る。第2の触媒は、シングル・ファンクション(又は単一機能又は単一性能)の触媒であり、イソブテンおよびアルコールのエーテル化のための触媒である。第2の中間生成物のストリーム(又は流れ)(又は第2の中間生成物流)18は、1以上のエーテルと、未反応のC4と、未反応のアルコールとを含んでよい。
【0007】
次いで、第2の中間生成物のストリーム(又は流れ)(又は第2の中間生成物流)18を接触蒸留反応システム(又は触媒蒸留反応システム)22に供給する。接触蒸留反応システム22は、シングル・ファンクション(又は単一機能又は単一性能)のエーテル化触媒(又はエーテリフィケーション触媒)を含んで成る。このエーテル化触媒は、第2の固定床反応器16に含まれる第2の触媒と同一であっても、異なっていてもよい。また、接触蒸留反応システム22に含まれるエーテル化触媒は、第1の固定床反応器12からの触媒と、第2の固定床反応器16からの触媒との組み合わせ(又はコンビネーション)であってもよい。第2の中間生成物のストリーム18に残存するC4をエーテル化(又はエーテリフィケーション)することが望ましい場合、フィード・ライン(又は供給物ライン又は供給ライン)20を介して、接触蒸留反応システム22に追加のアルコールを供給してよい。
【0008】
接触蒸留反応システム22では、イソブテンとアルコールとが反応して、さらなるエーテルを生成(又は形成)し、未反応のC4および未反応のアルコールから1以上のエーテルを分離する(又はセパレーション)。生成物ストリーム(又は生成物流)26を介して、1以上のエーテルが回収(又はリカバー)されてよい。オーバーヘッドのストリーム(又はオーバーヘッド流)24を介して、未反応のC4と、過剰の水素と、より軽質な他の炭化水素と、未反応のアルコールとを回収してよい。このようなプロセス(又は工程又は方法)は、多重触媒床(又はマルチ触媒ベッド又はマルチプル触媒ベッド)を採用する。多重触媒床は、接触蒸留反応システムにおいて複数の種類(又はタイプ)の触媒を伴うものである。多重触媒床は、フィードストック(又は供給原料)および所望の変換(又は転化又はコンバージョン)に基づいて準備されるものである。
【0009】
また、上記で言及したプロセス(又は工程又は方法)は、概して、ジエンを水素化(又はハイドロゲネーション)することができ、C5オレフィンを異性化(又はアイソメリゼーション)およびエーテル化(又はエーテリフィケーション)することができ、それにより、TAMEおよび/またはTAEEを生成(又は製造)することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このプロセス(又は工程又は方法)では、相対的(又は比較的)に高い圧力(例えば、15bargを超える圧力)で操作することが必要な第1の固定床反応器(又は固定ベッド反応器又はフィクスド・ベッド・リアクタ)12が必要である。その目的は、配合フィード(又は合わされたフィード(又は供給物又は供給))10を液相で維持するためである。
このプロセス(又は工程又は方法)では、貴金属の多機能(又はマルチ・ファンクション)の触媒が必要であり、それにより、所望の程度の効率(又は能率又は能力又はエフィシエンシー)で運転(又は操作又はオペレーション)しなければならない。
さらに、このプロセス(又は工程又は方法)では、第2(first)の固定床反応器(又は固定ベッド反応器又はフィクスド・ベッド・リアクタ)16へのフィード(又は供給物又は供給)が約2重量%未満のジオレフィンを含むことが必要である。その目的は、エーテル化触媒の汚染(又はポイゾニング)を回避するためである。
従って、第1の固定床反応器(又は固定ベッド反応器又はフィクスド・ベッド・リアクタ)へのフィード(又は供給物又は供給)において、ジオレフィンは、相対的(又は比較的)に少ないものでなければならない。あるいは、第1の固定床反応器(又は固定ベッド反応器又はフィクスド・ベッド・リアクタ)における水素化反応(又はハイドロゲネーション反応又はハイドロゲネーション・リアクション)は、かなり完全でなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(特許請求の範囲に記載の実施形態の要旨)
本発明者らは、第2の固定床反応器(又は固定ベッド反応器又はフィクスド・ベッド・リアクタ)において使用することができる様々なエーテル化触媒(又はエーテリフィケーション触媒)において、ジエンの反応性(又はリアクティビティ)が低いことを見出した。従って、イソオレフィンをエーテルに変換(又は転化又はコンバージョン)するためのプロセス(又は工程又は方法)は、大きく簡略化(又はシンプル化又はシンプリフィケーション)することができる。
【0012】
1つの態様において、本明細書中に開示される実施形態は、アルキルエーテルを製造(又は生成又は形成)するためのプロセス(又は工程又は方法)に関する。
当該プロセスは、エーテル化触媒(又はエーテリフィケーション触媒)を含む固定床反応器(又は固定ベッド反応器又はフィクスド・ベッド・リアクタ)に炭化水素フィードストック(又は炭化水素供給原料)と、第1アルコールフィードストック(又は第1アルコール供給原料)とを供給(又はフィード)する工程(又はステップ)を含む。炭化水素フィードストック(又は炭化水素供給原料)は、n-アルカン、イソアルカン、α-オレフィン(又はアルファ・オレフィン)、内部オレフィン(又はインターナル・オレフィン)、イソオレフィンおよびジオレフィンを含んで成る。
第1の固定床反応器(又は固定ベッド反応器又はフィクスド・ベッド・リアクタ)において、炭化水素フィードストック(又は炭化水素供給原料)および第1アルコールフィードストック(又は第1アルコール供給原料)を接触させて、エーテル化触媒(又はエーテリフィケーション触媒)の存在下において、イソオレフィンをアルコールと反応させて、第1生成物ストリーム(又は第1生成物流)を生成(又は形成)させる。第1生成物ストリーム(又は第1生成物流)は、n-アルカン、イソアルカン、α-オレフィン(又はアルファ・オレフィン)、内部オレフィン(又はインターナル・オレフィン)、未反応のイソオレフィン、ジオレフィンおよび未反応のアルコールと、1以上のエーテルとを含んで成る。
トリファンクション(又は三機能性)の触媒を含む接触蒸留反応システム(又は触媒蒸留反応システム)に水素フィードストック(又は水素供給原料)および第2アルコールフィードストック(又は第2アルコール供給原料)とともに第1生成物ストリーム(又は第1生成物流)を供給(又はフィード)する。それにより、以下の異性化(又はアイソメリゼーション)、水素化(又はハイドロゲネーション)およびエーテル化(又はエーテリフィケーション)を同時に行う。
異性化(又はアイソメリゼーション)によって、α-オレフィン(又はアルファ・オレフィン)の少なくとも一部を異性化して、追加の内部オレフィン(又はインターナル・オレフィン)を生成(又は形成)する。
水素化(又はハイドロゲネーション)によって、ジオレフィンの少なくとも一部を水素化して、追加の内部オレフィン(又はインターナル・オレフィン)を生成(又は形成)する。
エーテル化(又はエーテリフィケーション)によって、イソオレフィンの少なくとも一部およびアルコールをエーテル化して、1以上のエーテルを生成(又は形成)する。
上記の異性化(又はアイソメリゼーション)、水素化(又はハイドロゲネーション)およびエーテル化(又はエーテリフィケーション)を同時に行うことによって、ボトム生成物(又は底部生成物又はボトム・プロダクト)と、オーバーヘッド生成物(又は頭上部生成物又はオーバーヘッド・プロダクト)とを生成(又は形成)する。
ボトム生成物は、1以上のエーテルを含んで成る。
オーバーヘッド生成物は、n-アルカン、イソアルカン、未反応のα-オレフィン(又はアルファ・オレフィン)、未反応の内部オレフィン(又はインターナル・オレフィン)、未反応のイソオレフィンおよび未反応のアルコールを含んで成る。
【0013】
別の態様において、本明細書中に開示の実施形態は、アルキルエーテルを製造するためのシステム(又は系)に関する。
当該システムは、固定床反応器(又は固定ベッド反応器又はフィクスド・ベッド・リアクタ)を含む。固定床反応器は、エーテル化触媒(又はエーテリフィケーション触媒)を含んで成る。
当該システムにおいて、固定床反応器は、炭化水素フィードストック(又は炭化水素供給原料)と、第1アルコールフィードストック(又は第1アルコール供給原料)とを受けるように構成されている。炭化水素フィードストック(又は炭化水素供給原料)は、n-アルカン、イソアルカン、α-オレフィン(又はアルファ・オレフィン)、内部オレフィン(又はインターナル・オレフィン)、イソオレフィンおよびジオレフィンを含んで成る。
また、当該システムでは、炭化水素フィードストック(又は炭化水素供給原料)と第1アルコールフィードストック(又は第1アルコール供給原料)を接触させて、第1生成物ストリーム(又は第1生成物流)を生成(又は形成)させる。第1生成物ストリームは、n-アルカン、イソアルカン、α-オレフィン(又はアルファ・オレフィン)、内部オレフィン(又はインターナル・オレフィン)、未反応のイソオレフィン、ジオレフィンおよび未反応のアルコールと、1以上のエーテルとを含んで成る。
当該システムは、接触蒸留反応システム(又は触媒蒸留反応システム)をさらに含んで成る。接触蒸留反応システムは、トリファンクション(又は三機能性)の触媒を含むシングルベッド(又は単一ベッド又は単一床)を含んで成る。
この接触蒸留反応システムは、第1生成物ストリーム(又は第1生成物流)のインレット(又は入口)と、水素フィードストック(又は水素供給原料)のインレット(又は入口)と、第2アルコールフィードストック(又は第2アルコール供給原料)のインレット(又は入口)と、ボトム生成物(又は底部生成物又はボトム・プロダクト)のアウトレット(又は出口)と、オーバーヘッド生成物(又は頭上部生成物又はオーバーヘッド・プロダクト)のアウトレット(又は出口)とをさらに含んで成る。
第1生成物ストリーム(又は第1生成物流)のインレット(又は入口)は、トリファンクション(又は三機能性)の触媒を含むシングルベッド(又は単一ベッド又は単一床)の下方(又は下側)に配置されている(又は位置付けられている又は位置している)。
水素フィードストック(又は水素供給原料)のインレット(又は入口)は、トリファンクション(又は三機能性)の触媒を含むシングルベッド(又は単一ベッド又は単一床)のトップ(又は頂部)に近づけて(又は直前又は直後に)配置されている(又は位置付けられている又は位置している)。
第2アルコールフィードストック(又は第2アルコール供給原料)のインレット(又は入口)は、トリファンクション(又は三機能性)の触媒を含むシングルベッド(又は単一ベッド又は単一床)のボトム(又は底部)に近づけて(又は直前又は直後に)配置されている(又は位置付けられている又は位置している)。
ボトム生成物(又は底部生成物又はボトム・プロダクト)のアウトレット(又は出口)は、ボトム生成物(又は底部生成物又はボトム・プロダクト)を出すように構成されている。ボトム生成物は、1以上のエーテルを含んで成る。
オーバーヘッド生成物(又は頭上部生成物又はオーバーヘッド・プロダクト)のアウトレット(又は出口)は、オーバーヘッド生成物(又は頭上部生成物又はオーバーヘッド・プロダクト)を出すように構成されている。
オーバーヘッド生成物は、n-アルカン、イソアルカン、未反応のα-オレフィン(又はアルファ・オレフィン)、未反応の内部オレフィン(又はインターナル・オレフィン)、未反応のイソオレフィンおよび未反応のアルコールを含んで成る。
接触蒸留反応システム(又は接触蒸留反応系又は触媒蒸留反応系又はキャタリティック・ディスティレーション・リアクション・システム)は、以下の異性化(又はアイソメリゼーション)と、水素化(又はハイドロゲネーション)と、エーテル化(又はエーテリフィケーション)とを同時に行うように構成されている。
異性化(又はアイソメリゼーション)では、α-オレフィン(又はアルファ・オレフィン)の少なくとも一部を異性化して、追加の内部オレフィン(又はインターナル・オレフィン)を生成(又は形成)する。
水素化(又はハイドロゲネーション)では、ジオレフィンの少なくとも一部を水素化して、追加の内部オレフィン(又はインターナル・オレフィン)を生成(又は形成)する。
エーテル化(又はエーテリフィケーション)では、イソオレフィンの少なくとも一部およびアルコールをエーテル化して、1以上のエーテルを生成(又は形成)する。
【0014】
他の態様および利点は、以下の詳細な説明および添付の特許請求の範囲の記載から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、プロセス(又は工程又は方法)のフロー図であり、エーテル化(又はエーテリフィケーション)のための従来技術のプロセス(又は工程又は方法)を示す。
【
図2】
図2は、プロセス(又は工程又は方法)のフロー図であり、本明細書中に開示される1以上の実施形態に従うエーテル化(又はエーテリフィケーション)のプロセス(又は工程又は方法)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(詳細な説明)
本開示の実施形態は、概して、イソオレフィンをエーテル化するためのシステム(又は系)およびプロセス(又は工程又は方法)に関する。
【0017】
本明細書中に開示される実施形態において使用する通り、「接触蒸留反応システム(又は触媒蒸留反応システム又はキャタリティック・ディスティレーション・リアクション・システム)」などの用語は、化合物を反応させて、なおかつ、それと同時に、分留(又はフラクション蒸留又はフラクション・ディスティレーション)を用いて、反応物(又はリアクタント)と生成物(又はプロダクト)を分離(又はセパレーション)するためのシステム(又は系)を意味する。
いくつかの実施形態において、接触蒸留反応システムは、従来の接触蒸留カラム反応器(又は接触蒸留塔反応器又は触媒蒸留塔反応器又はキャタリティック・ディスティレーション・カラム・リアクタ)を含んでよい。従来の接触蒸留カラム反応器では、沸点の条件(又はボイリング・ポイント・コンディション)において、反応および蒸留が同時に進行する。
他の実施形態において、接触蒸留反応システムは、蒸留カラム(又は蒸留塔又はディスティレーション・カラム)を含んでよく、蒸留カラムは、少なくとも1つの副反応器(又はサイド・リアクタ)と組み合わされる。ここで、この副反応器は、液相反応器(又はリキッド・フェーズ・リアクタ)または沸点反応器(又はボイリング・ポイント・リアクタ)として運転(又は操作又はオペレーション)されてよい。分離(又はセパレーション)の前の従来の液相反応において、上記に記載の接触蒸留反応システムの両方が好ましくてよいが、接触蒸留カラム反応器(又は接触蒸留塔反応器又は触媒蒸留塔反応器又はキャタリティック・ディスティレーション・カラム・リアクタ)は、個数(又は部分数又はピース数又はピース・カウント)の減少、資本コスト(又はキャピタル・コスト)の減少、触媒1ポンドあたりの触媒効率(又はキャタリスト・プロダクティビティ)の増加、効率の良い熱の除去(反応熱は、混合物の気化熱に吸収されてよい)および平衡をシフトさせる可能性(又はポテンシャル)において利点(又はアドバンテージ)を有してよい。
【0018】
反応器(単数または複数)への炭化水素フィード(又は炭化水素供給物又は炭化水素供給)は、精製されたイソオレフィンのストリーム(又は流れ)(又は精製イソオレフィン流)を含んでよい(例えば、イソブチレン、イソアミレンまたはそれらの混合物を含むフィード・ストリーム(又は供給物ストリーム(又は供給物流)又は供給ストリーム(又は供給流)))。
他の実施形態において、炭化水素フィード(又は炭化水素供給物又は炭化水素供給)は、C4-C5、C4またはC5の軽質ナフサのカットを含んでよい。混合物として存在する場合、3級オレフィン(例えば、イソブチレンおよびイソアミレン)は、直鎖のオレフィン異性体(又はノルマル・オレフィン・アイソマー)と比較して、より反応性(又はリアクティブ)であり、アルコールと優先的に反応して、エーテルを生成(又は形成)する。C4~C5の軽質ナフサのカット(又はライト・ナフサ・カット)におけるイソアルカンは、イソブタン、イソペンタンまたはそれらの混合物を含んでよく、反応器(又はリアクタ)の内部において、希釈剤として作用してよい。
炭化水素フィードストック(又は炭化水素供給原料)は、最大で1重量%の1,2-ペンタジエンまたはイソプレンと、10~50重量%のイソアミレンとを含んでよい。
【0019】
いくつかの実施形態において、C4を含む炭化水素のストリーム(又は流れ)(又はC4含有炭化水素流)、例えば、C4ナフサのカット、C4-C5ナフサのカット、またはC4-C6ナフサのカットは、反応器(又はリアクタ)に供給されてよく、1-ブテンから2-ブテンに異性化(又はアイソメリゼーション)されてよい。従って、ブタジエンの水素化(又はハイドロゲネーション)が可能になり、それにより、追加の2-ブテンを生成(又は形成)してよい。固定床反応器において、ならびに、接触蒸留反応システムにおいて、異性化(又はアイソメリゼーション)を行ってよい。
例えば、いくつかの実施形態において、多機能(又はマルチ・ファンクション)の触媒を含む床(又はベッド)を少なくとも1つ含む反応システム(又は反応系)に1-ブテン、2-ブテン、ブタジエン、イソブチレン、n-ブタンおよびイソブタンを含んで成るフィード(又は供給物又は供給)を供給してよい。1-ブテンから2-ブテンへの異性化(又はアイソメリゼーション)と、ブタジエンから2-ブテン、n-ブタンおよび他の水素化生成物(又は水素化プロダクト又はハイドロゲネーション・プロダクト)への水素化(又はハイドロゲネーション)とを同時に行うことができる。
【0020】
得られる生成物(又は製品又はプロダクト)は、残渣(又は残留)の1-ブテン、2-ブテン、イソブテンおよび任意のブタン類を含むものであり、1-ブテンが希薄(又はリーン)であるものであってよい。
例えば、採用した反応条件の厳しさ(又はシビアリティ)に依存して、生成物(又は製品又はプロダクト)に含まれる1-ブテンの総量は、1重量%未満であってよい。
他の実施形態において、1-ブテンの総量は、0.5重量%未満であってよい。
他の実施形態において、1-ブテンの総量は、0.1重量%未満であってよい。
さらに他の実施形態において、1-ブテンの総量は、500ppm未満であってよい。
【0021】
このような生成物(又は製品又はプロダクト)は、イソブチレンおよび1以上のアルコールのエーテル化(又はエーテリフィケーション)に適切であってよい。それにより、1以上のC4エーテル(例えば、MTBEおよび/またはETBE)を生成(又は形成)することができる。
また、上記のこのようなプロセス(又は工程又は方法)は、同様に、混合C5ストリーム(又は混合C5流)からC5エーテル(例えば、TAMEおよび/またはTAEE)への反応(又はリアクション)および変換(又は転化又はコンバージョン)に適していてもよい。
【0022】
C4および/またはC5のイソオレフィンは、本開示の実施形態に従って処理されてよい。それにより、イソオレフィンをエーテル化(又はエーテリフィケーション)することができる。
本開示の実施形態に従う反応器(又はリアクタ)および蒸留カラム反応器(又は蒸留塔反応器又はディスティレーション・カラム・リアクタ)で使用する触媒は、選択的に、ブタジエンを水素化(又はハイドロゲネーション)し、オレフィンを異性化(又はアイソメリゼーション)し、イソオレフィンをエーテル化(又はエーテリフィケーション)するための機能性(又は官能性又はファンクショナリティ)を有してよい。
【0023】
接触蒸留MTBE反応の典型的な条件として、以下の条件が挙げられる。
触媒床(又は触媒ベッド)の温度:約60℃を超える温度
オーバーヘッド(又は頭上部)の圧力:約5.5bargを超える圧力
等価液空間速度(又はエクイバレント・リキッド・アワリー・スペース・ベロシティ(equivalent liquid hourly space velocity)):約1.0~2.0hr-1
カラム(又は塔)の温度は、任意の所定の圧力で存在する液体混合物(又はリキッド混合物又はリキッド・ミクスチャ)の沸点によって決定する。
カラム(又は塔)のより下方の部分の温度は、カラム(又は塔)のその部分における材料の構成(又はコンスティチューション)を反映するものであり、オーバーヘッド(又は頭上部)の温度よりも高くなる。すなわち、一定の圧力において、温度の変化は、カラム(又は塔)の組成(又はコンポジション)の変化を表している。
温度を変更させるために、カラム(又は塔)の圧力を変更してよい。
従って、反応ゾーン(又は反応域又は反応領域)の温度制御(又は温度コントロール)は、熱の付与(又は付加)(さらに沸騰させるだけ)による圧力によって制御(又はコントロール)する(反応は、発熱性である)。
圧力を増加させることによって、温度を増加させる(逆もまた然りである)。
蒸留カラム反応器(又は蒸留塔反応器又はディスティレーション・カラム・リアクタ)を使用したとしても、イソオレフィンの一部は、変換されないままであってよく、オーバーヘッド(又は頭上部)とともに、カラム(又は塔)を出てよい。
【0024】
エーテル生成物(又はエーテル・プロダクト)は、最も沸点が高い材料であり、ボトム(又は底部)として、上流(又はアップストリーム)の反応器に由来する流出物(又は流出液)に存在する二量体(又はダイマー)を伴って、蒸留カラム反応器から除去される。
オーバーヘッド(又は頭上部)は、未反応の軽質アルコール(例えば、上流(又はアップストリーム)の反応器で使用したメタノールまたはエタノール)および/または反応物(蒸留カラム反応器内の反応物)や、軽質イナート(又はライト・イナート)(例えば、直鎖(又はノルマル)のブテンおよびブタンまたはペンテンおよびペンタン)に随伴するイソオレフィンを含んでよい。
【0025】
例示的な実施形態として、メチル tert-ブチル エーテル(MTBE)を製造(又は生成)するためのプロセス(又は工程又は方法)は、
図2で説明され、
図2に示されている。
当該プロセスは、オレフィンの異性化(又はアイソメリゼーション)と、ブタジエンの水素化(又はハイドロゲネーション)と、イソオレフィンのエーテル化(又はエーテリフィケーション)とを含む。
【0026】
混合C4ストリーム(又は混合C4流)100は、アルコールストリーム(又はアルコール流)102と一緒にしてよく、固定床反応器(又は固定ベッド反応器又はフィクスド・ベッド・リアクタ)104に入れられて、MTBEを生成(又は形成)することができる。
ここで、混合C4ストリーム(又は混合C4流)100は、アルカン、イソアルカン、1-ブテン、2-ブテン、ブタジエンおよびイソブテンを含んで成る(例えば、最大で1.2重量%のブタジエンと、10~50重量%のイソブテンとを含んで成る)。
アルコールストリーム(又はアルコール流)102は、メタノールを含んで成る。
固定床反応器(又は固定ベッド反応器又はフィクスド・ベッド・リアクタ)104は、エーテル化触媒(又はエーテリフィケーション触媒)を含んで成る。エーテル化触媒は、イソブテンとアルコールとを反応させることができる。
1以上の実施形態において、混合C4ストリーム(又は混合C4流)100は、最大で5重量%のn-ブテンと、10~50重量%のイソブテンとを含んでよい。
【0027】
エーテル化(又はエーテリフィケーション)のための触媒は、公知のエーテル化触媒(又はエーテリフィケーション触媒)のいずれであってもよい(例えば、DuPont Chemical Companyから供給されているAmberlyst 15などの酸性のカチオン交換樹脂)。
本開示では、適切な接触構造(又は触媒構造)を使用してよい。それにより、固定床反応器内に含まれる床(又はベッド)にカチオン交換樹脂の粒子を配置することができる。
さらに、温度および圧力は、具体的な反応を行うために当該分野で知られている温度および圧力と同様であってよい。
【0028】
固定床反応器104からの流出物(又は流出液)106は、アルカン、1-ブテン、2-ブテン、ブタジエンおよびイソブテンと、第1の固定床反応器で生成(又は形成)されたMTBEとを含んでよい。
流出物(又は流出液)106は、接触蒸留カラム反応システム(又は触媒蒸留カラム反応システム又は接触蒸留塔反応系)112に供給されてよい。このとき、第2のアルコールストリーム(又はアルコール流)108および水素フィードのストリーム(又は水素フィード流又は水素供給物流又は水素供給流)110と一緒になってよい。
接触蒸留カラム反応システム112は、トリファンクション(又は三機能性)の触媒を含むシングルベッド(又は単一ベッド又は単一床)を有してよい。トリファンクション(又は三機能性)の触媒は、ブタジエンの水素化(又はハイドロゲネーション)と、1-ブテンから2-ブテンへの異性化(又はアイソメリゼーション)と、イソブテンおよびアルコールのエーテル化(又はエーテリフィケーション)とを同時に行うことができ、追加のMTBEを生成(又は形成)することができる。
触媒は、エーテル化触媒(又はエーテリフィケーション触媒)と同様であってよい。ただし、当該分野で知られている水素化触媒(又はハイドロゲネーション触媒)および塩基性の金属酸化物の異性化触媒(又はアイソメリゼーション触媒)を含む。
例えば、トリファンクション(又は三機能性)の触媒システム(又は触媒系)は、多機能性(又はマルチ・ファンクショナリティ)を備えるパラジウム(異性化)触媒および貴金属(水素化)触媒がドープされたイオン交換樹脂であってよい。
いくつかの実施形態において、接触蒸留反応システムは、トリファンクション(又は三機能性)の触媒を含む1以上の床(又はベッド)を備えてよい。
【0029】
接触蒸留反応システム112において、エーテル化反応のために、反応蒸留ゾーン(又は反応蒸留域又は反応蒸留領域)において、イソブテンはメタノールと優先的に反応して、追加のメチル tert-ブチル エーテルを生成(又は形成)する。メチル tert-ブチル エーテルは、C4またはメタノールよりも沸点が高いことから、蒸留されて、下方のストリッピング・セクションに送られる。ここで、C4およびメタノールは、沸騰させて、反応蒸留ゾーン(又は反応蒸留域又は反応蒸留領域)に戻されて、さらなる反応に供される。
【0030】
接触蒸留カラム反応システム(又は接触蒸留塔反応システム又は触媒蒸留塔反応システム又はキャタリティック・ディスティレーション・リアクション・システム)112から、フロー・ライン(又は流路)116を介して、MTBEをボトム(又は底部)として引き抜く。
オーバーヘッド(又は頭上部)は、大半の未反応のC4と、過剰の水素と、より軽質な他の炭化水素とを含む。
オーバーヘッド(又は頭上部)は、フロー・ライン(又は流路)114を介して、取り出される。
オーバーヘッド(又は頭上部)のC4のストリーム(又は流れ)は、約100wppm未満のブタジエンを含んでよい。場合によっては、約20wppmのみである。
さらに、オーバーヘッド(又は頭上部)は、100wppm未満のMTBEを含んでよい。
オーバーヘッド生成物(又は頭上部生成物又はオーバーヘッド・プロダクト)は、任意の数の下流(又はダウンストリーム)のプロセス(又は工程又は方法)に供給されてよい。例えば、以下のプロセス(又は工程又は方法)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
リサイクル(又は再生又は循環)させるための未反応のメタノール/アルコールを回収(又はリカバー)するために水で洗浄する工程(又はステップ)、
アルカン/パラフィンからオレフィンを分離するための分離システム(又は分離系)(又はセパレーション・システム)、
上流(又はアップストリーム)のプロセス(又は工程又は方法)にオレフィンをリサイクル(又は再生又は循環)する工程(又はステップ)、
アルカン/パラフィンをガソリンの調合(又は配合又はブレンド又はブレンディング)、アルキル化ユニット(又はアルキレーション・ユニット)、または他の炭化水素のプロセス(又は工程又は方法)に送る工程(又はステップ)。
【0031】
水素化反応(又はハイドロゲネーション反応又はハイドロゲネーション・リアクション)に関して、まず、エーテル化反応(又はエーテリフィケーション反応又はエーテリフィケーション・リアクション)と同様に、接触蒸留(又は触媒蒸留又はキャタリティック・ディスティレーション)が有益である。なぜなら、反応が蒸留(又はディスティレーション)と同時に進行するからである。最初の反応生成物(又はリアクション・プロダクト)と、他のストリーム(又は流れ)の成分(又はコンポーネント)とが、可能な限り迅速に反応ゾーン(又は反応域又は反応領域)から除去される。これは、同様の副反応を減らすのと同じように迅速である。次に、すべての成分(又はコンポーネント)が沸騰していることから、このシステム(又は系)の圧力において、混合物の沸点で反応の温度を制御(又はコントロール)する。反応の熱(又は反応熱)によって単純にさらに沸騰させる。ただし、所定の圧力において、温度は基本的には増加しない。
結果として、システム(又は系)の圧力を調節することによって、反応の速度(又はレート)および生成物(又はプロダクト)の分布(又はディストリビューション)の幅広い制御(又はコントロール)を達成することができる。
また、スループット(滞留時間(又はレジンデンス・タイム)=液空間速度-1)を調節(又はアジャスト)することによって、生成物(又はプロダクト)の分布(又はディストリビューション)がさらに制御(又はコントロール)され、オリゴマー化(又はオリゴメリゼーション)などの副反応がある程度まで制御(又はコントロール)される。この反応が接触蒸留(又は触媒蒸留又はキャタリティック・ディスティレーション)から利益を得ることができるというさらなる利点は、洗浄効果(又はウォッシング・エフェクト)であり、このような効果によって、内部還流(又は内部逆流又はインターナル・リフラックス)によって、触媒がもたらされる。それにより、ポリマーの形成(又は構築又はビルドアップ)およびコーキングが減少する。
0.4~5L/Dの範囲にわたる内部還流(又は内部逆流又はインターナル・リフラックス)(触媒床の直下の液体(又はリキッド)の重量/蒸留物(又は蒸留液又はディスティレート)の重量)によって、優れた結果が得られる。
【0032】
水素化(又はハイドロゲネーション)に関して、過剰の水素、より軽質な他の炭化水素、未反応のC4オレフィン(ブタジエンを含む)およびメタノールのゼオトロープ(約4%)を沸騰させて上方の反応蒸留ゾーン(又は反応蒸留域又は反応蒸留領域又はリアクション・ディスティレーション・ゾーン)に入れる。反応蒸留ゾーンにおいて、ブタジエンは、水素と反応する。それにより、ブタジエンの含量(又は含有量又はコンテント)が約20~100wppmまで低下する。
このような様式(又は方法又はマナー)において、ブタジエンを水素化(又はハイドロゲネーション)して、n-ブテンおよびn-ブタンを生成(又は形成)させる。
【0033】
水素ストリーム(又は水素流)を他の反応物(又はリアクタント)とともに反応蒸留カラム(又は反応蒸留塔)に約0.1psia~70psiaの水素分圧で、または流出物(又は流出液)106よりも高い反応器の高さで反応器内に供給してよい。
このように定義(又は規定)された水素分圧において、高度に不飽和の化合物(ジエン)を水素化(又はハイドロゲネーション)するために必要な水素の量を超えない水素を使用する。なぜなら、過剰の水素は、通常、排気(又はベンチレーション)されるからである。
【0034】
異性化(又はアイソメリゼーション)は、様々なα-オレフィン(又はアルファ・オレフィン)(例えば、1-ブテン)を内部オレフィン(又はインターナル・オレフィン)(例えば、2-ブテン)に変換(又は転化又はコンバージョン)する。
ブテンについて記載しているが、1-ペンテンから2-ペンテンへの変換(又は転化又はコンバージョン)なども考えられる。
【0035】
本明細書中に開示される反応条件を5℃~約500℃の範囲内の温度、例えば、250℃~約450℃の範囲内の温度で実施することができる。
また、反応を大気圧~約140bargの範囲内の圧力、例えば、大気圧~100barg、または大気圧~50bargで制御(又はコントロール)してよい。
また、反応を約3.5bargまたは6bargから約35bargで制御(又はコントロール)してよい。
また、必要に応じて、不活性の雰囲気下(イナート・アトモスフェア)で加圧(又はプレッシャライゼーション)を行ってよい。
温度および圧力は、エーテル化(又はエーテリフィケーション)、異性化(又はアイソメリゼーション)および水素化(又はハイドロゲネーション)を同時に行うのに適切であってよい。
【0036】
トリファンクション(又は三機能性)の触媒は、接触蒸留反応システム(又は接触蒸留反応系又は触媒蒸留反応系又はキャタリスト・ディスティレーション・リアクション・システム)におけるシングルベッド(又は単一ベッド又は単一床)に配置されてよい(又は位置付けられてよい又は位置している)。あるいは、多重床(又は多重ベッド又はマルチ・ベッド又はマルチプル・ベッド)に配置されてよい(又は位置付けられてよい又は位置している)。
マルチファンクション(又は多機能性)の触媒をシングルファンクション(又は単機能性)の触媒と組(又は対又はペア)にする従来技術のプロセス(又は工程又は方法)と比較して、あるいは、複数のシングルファンクション(又は単機能性)の触媒を使用する従来技術のプロセス(又は工程又は方法)と比較して、トリファンクション(又は三機能性)の触媒のシングルベッド(又は単一ベッド又は単一床)では、運転(又は操作又はオペレーション)がかなりシンプルである。
例えば、触媒床(又は触媒ベッド)の順番/高さは、水素化(又はハイドロゲネーション)、異性化(又はアイソメリゼーション)およびエーテル化(又はエーテリフィケーション)に関して、全体的な床(又はベッド)の機能(又は性能又はファンクション)としては、重要でない。
【0037】
トリファンクション(又は三機能性)の触媒のシングルベッド(又は単一ベッド又は単一床)に関する実施形態は、設計(又はデザイン)および形状(又はコンフィギュレーション)をよりシンプルにすることができるという点で、従来技術のプロセス(又は工程又は方法)に対して、有利であってよい。
さらに、触媒担持(又は触媒ローディング)の操作(又はオペレーション)は、よりシンプルであってよい。なぜなら、より少ない数の床(又はベッド)およびより少ない種類(又はタイプ)の触媒を配置することができるからである。
しかし、いくつかの実施形態において、トリファンクション(又は三機能性)の触媒を含む主たる床(又はメイン・ベッド)の上方または下方により小さな第2の触媒床(又は触媒ベッド)を含ませることが望ましくてよい。
第2の触媒は、シングル・ファンクション(又は単機能性)のエーテル化触媒(又はエーテリフィケーション触媒)であっても、シングル・ファンクション(又は単機能性)の水素化触媒(又はハイドロゲネーション触媒)であってよい。
フィードストック(又は供給原料)の組成(又はコンポジション)、水素および/またはアルコールのフィードストック(又は供給原料)の利用可能性(又はアベイラビリティ)、およびオレフィンからエーテルへの所望の変換(又は転化又はコンバージョン)に基づいて、触媒の種類(又はタイプ)、トリファンクション(又は三機能性)の触媒の上方または下方の配置、および第2の触媒の量を決定することができる。
【0038】
当該プロセスの利点(又はアドバンテージ)の1つは、軽質ナフサのカット(又は軽質ナフサ・カット又はライト・ナフサ・カット)に由来するC4が予備処理(又はプレトリートメント)することなく使用できることである。
このC4のストリーム(又は流れ)は、最大で約50重量%のイソブテンを含んでよく、500ppmのブタジエンから2.5重量%またはそれ以上のブタジエンを伴ってよい。
このストリーム(又は流れ)の残り(又は残留又は残渣又はリマインダ)は、本質的にブタンおよび直鎖(又はノルマル)のブテンである。
このようなプロセス(又は工程又は方法)において、当該プロセスでのイソブテンの全体の平均の変換(又は転化又はコンバージョン)(又はアベレージ・オーバーオール・イソブテン・コンバージョン)は、90重量%を超えるものであってよい。
さらに、生成物ストリーム(又は生成物流)におけるMTBEの純度(又はピュアリティ)は、90重量%以上、例えば、92重量%以上、または94重量%以上であってよい。これは、市販される等級(又はグレード)のMTBEの製品(又はプロダクト)を含むものである。
【0039】
まず、メタノールを用いてイソブテンをエーテル化(又はエーテリフィケーション)して、MTBEを生成(又は形成)するために、混合C4を含むプロセス(又は工程又は方法)として上記で説明したが、当該プロセスは、C5とメタノール、C4とエタノール、C5とエタノール、より高級の炭化水素、より高級の1級アルコール、およびそれらの組み合わせ(又はコンビネーション)にまで拡張することもできる。
【0040】
例えば、同様のプロセス(又は工程又は方法)のステップ(又は工程)を使用してよい。それにより、イソブテンおよびエタノールを変換(又は転化又はコンバージョン)してETBEを生成(又は形成又は製造)することができる。あるいは、イソアミレンおよびメタノールを変換(又は転化又はコンバージョン)して、TAMEを生成(又は形成又は製造)することができる。あるいは、イソアミレンおよびエタノールを変換(又は転化又はコンバージョン)して、TAEEを生成(又は形成又は製造)することができる。あるいは、それらの組み合わせ(又はコンビネーション)であってもよい。
同様のプロセス(又は工程又は方法)の工程(又はステップ)を使用してよい。それにより、C4とC5の混合物およびメタノールとエタノールの混合物を変換(又は転化又はコンバージョン)して、MTBE、ETBE、TAMEおよび/またはTAEEの2以上を含む混合物を生成(又は形成又は製造)することができる。
【0041】
有利には、本明細書中に開示の1以上の実施形態に従うプロセス(又は工程又は方法)およびシステム(又は系)は、従来技術のプロセス(又は工程又は方法)と比較した場合、単位部分数(又は単位個数又は単位ピース数又はユニット・ピース・カウント)が減少してよい。
また、この減少した部分数(又は個数又はピース数又はピース・カウント)は、CAPEXおよびOPEXのコストを削減するようになってもよい。
さらに、当該システムにおいて、全体のH2分圧がより低いものであってよい。なぜなら、上流(又はアップストリーム)の任意の水素化反応器(又はハイドロゲネーション反応器又はハイドロゲネーション・リアクタ)にH2を供給(又はフィード)する必要がないからである。
【0042】
他に定義(又は規定)しない限り、本開示で用いる技術的な用語および科学的な用語は、すべて、このようなシステム、装置、方法、プロセスおよび組成物が属する当該分野の当業者によって普通に理解される意味と同じ意味を有する。
【0043】
文脈上、他に明確に記載していない限り、単数の形態(「a」、「an」および「the」)は、複数を指す場合も含む。
【0044】
本開示および添付の特許請求の範囲で使用する通り、用語「含む(又は含んで成る又は包含する(comprise))」、「有する(has)」および「含む(又は含んで成る又は包含する(include))」ならびにその文法上の全ての変化(又はバリエーション)は、それぞれ、オープン(open)で非限定的な意味を有すること(つまり、追加の構成要素または工程(又はステップ)を排除しないこと)が意図されている。
【0045】
「必要に応じて(optionally)」とは、その後に続いて記載される事象(又はイベント)または状況が発生してよく、あるいは発生しなくてもよいことを意味する。このような記載は、事象(又はイベント)または状況が発生する場合と、事象(又はイベント)または状況が発生しない場合とを含む。
【0046】
用語「ほぼ(approximately)」または「約(about)」を使用する場合、これらの用語は、値が最大で±10%、最大で5%、最大で2%、最大で1%、最大で0.5%、最大で0.1%、または最大で0.01%で変動してもよいことを意味してよい。
【0047】
範囲は、ほぼ1つの特定の値から、別のほぼ特定の値として記載されてよい(包括的)。このような範囲が記載されている場合、別の実施形態は、1つの特定の値から他の特定の値までであり、範囲内の特定の全ての値およびその組み合わせ(又はコンビネーション)を伴うことが理解できる。
【0048】
本開示は、制限された数の実施形態を含むが、このような開示の利益を享有する当業者は、他の実施形態が考え出されてもよいことを理解し、このような実施形態が本開示の範囲から逸脱しないものであることを理解する。従って、添付の特許請求の範囲によってのみ範囲は制限されるべきである。
【国際調査報告】