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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】人工心臓弁
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/24 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
A61F2/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503746
(86)(22)【出願日】2022-07-07
(85)【翻訳文提出日】2024-03-18
(86)【国際出願番号】 US2022036391
(87)【国際公開番号】W WO2023003696
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】63/224,534
(32)【優先日】2021-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500218127
【氏名又は名称】エドワーズ ライフサイエンシーズ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Edwards Lifesciences Corporation
【住所又は居所原語表記】One Edwards Way, Irvine, CALIFORNIA 92614, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ブキン
(72)【発明者】
【氏名】ニコライ・グロヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】エレナ・シャーマン
(72)【発明者】
【氏名】アナトリー・ドヴォルスキー
(72)【発明者】
【氏名】エラン・グロス
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA27
4C097BB01
4C097CC01
4C097DD09
4C097DD10
4C097DD15
4C097EE08
4C097SB02
4C097SB03
(57)【要約】
人工弁は、環状フレームと、環状フレーム内に取り付けられた弁構造と、を含む。弁構造は、環状フレームに結合された複数の交連を画定する複数の弁尖を含む。各弁尖は、フレームに取り付けられていない側縁によって、交連から下流方向にオフセットされた弁尖自由縁を含む。側縁間に配置された弁尖の材料部分は、接合のために弁尖自由縁の半径方向の到達部を延長する材料のたるみに寄与する。人工弁は、送達デバイスに解放可能に結合されて、送達装置を形成することができる。人工弁は、送達装置によって選択された移植部位に送達され、送達デバイスのハンドルによって移植部位で解放され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工弁であって、
環状フレームと、
前記環状フレーム内に取り付けられた弁構造と、を備え、前記弁構造が、前記環状フレームに結合された複数の交連を画定する複数の弁尖を含み、各弁尖が、前記環状フレームに取り付けられていない側縁によって前記交連から下流方向にオフセットされた弁尖自由縁を含み、前記側縁が、接合のために前記弁尖自由縁の半径方向の到達部を延長する前記弁尖自由縁の両端で、それぞれ材料のたるみに寄与する、人工弁。
【請求項2】
各弁尖が、
前記弁尖の側部上の第一の一次タブおよび第二の一次タブであって、前記環状フレームに取り付けられていない前記側縁によって前記弁尖自由縁からオフセットされ、各一次タブが隣接する弁尖の隣接する一次タブと対にされて、前記交連のうちの一つを形成する、第一の一次タブおよび第二の一次タブを備える、請求項1に記載の人工弁。
【請求項3】
各弁尖が、前記弁尖自由縁の前記両端にそれぞれ接続された第一の二次タブおよび第二の二次タブをさらに備え、前記第一の二次タブおよび前記第二の二次タブが折り目の周りに折り畳まれて、前記第一のおよび二次タブを前記第一の一次タブおよび前記第二の一次タブと協働関係で位置付ける、請求項2に記載の人工弁。
【請求項4】
前記環状フレームに取り付けられていない前記側縁の高さが、0.5mm~5mmの範囲である、請求項1~3のいずれか一項に記載の人工弁。
【請求項5】
封止部材として前記環状フレームの周りに配置された少なくとも一つのスカートをさらに備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の人工弁。
【請求項6】
前記環状フレームが、セルの複数の列を画定するように配設された複数の湾曲したストラットを備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の人工弁。
【請求項7】
前記環状フレームが、前記湾曲したストラットの少なくとも一部分に結合され、前記湾曲したストラットの前記少なくとも一部分を偏向させて前記環状フレームを半径方向に拡張または半径方向に圧縮するように動作可能な少なくとも一つのアクチュエータ部分をさらに備える、請求項6に記載の人工弁。
【請求項8】
前記弁尖が、開状態と閉状態との間で移動して、前記人工弁を通る血液の流れを調節するように構成され、前記環状フレームに取り付けられていない前記弁尖の前記側縁が、前記弁尖が前記閉状態にある時に、前記環状フレームから半径方向に内向きに離間している、請求項1~7のいずれか一項に記載の人工弁。
【請求項9】
前記環状フレームが、前記環状フレームの流入端に複数の片持ちストラットを含み、前記複数の片持ちストラットが、前記環状フレームの長手方向軸に平行な第一の位置から、前記長手方向軸に対して半径方向に外向きに角度付けられた第二の位置に拡張するように付勢され、前記人工弁が、前記複数の片持ちストラットに取り付けられた外側スカートをさらに備え、前記複数の片持ちストラットが、前記人工弁が移植部位に展開され、前記複数の片持ちストラットが前記第二の位置に移動する時に、前記外側スカートを周囲の組織に対して押圧するように構成される、請求項1~8のいずれか一項に記載の人工弁。
【請求項10】
各弁尖が、前記弁尖自由縁と反対の関係にある弁尖取り付け縁を備え、前記弁尖取り付け縁が前記フレームに接続されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の人工弁。
【請求項11】
前記弁尖取り付け縁が、切断されたV字形状を形成する、請求項10に記載の人工弁。
【請求項12】
各弁尖が、前記弁尖自由縁と反対の関係にある弁尖取り付け縁を備え、各弁尖が、前記弁尖取り付け縁と前記第一の一次タブおよび前記第二の一次タブとの間に軸方向に延在する第一および第二の対向する側縁を備える、請求項2または3に記載の人工弁。
【請求項13】
送達装置であって、
ハンドルを備える送達デバイスと、
前記送達デバイスに解放可能に結合された人工弁であって、環状フレームと、前記環状フレーム内に取り付けられた弁構造と、を備え、前記弁構造が、前記環状フレームに結合された複数の交連を画定する複数の弁尖を備え、各弁尖が、前記環状フレームに取り付けられていない側縁によって前記交連から下流方向にオフセットされた自由縁を備える、人工弁と、を備える、送達装置。
【請求項14】
前記環状フレームが、前記環状フレームを半径方向に拡張または圧縮するように動作可能な少なくとも一つのアクチュエータ部分を備える、請求項13に記載の送達装置。
【請求項15】
前記送達デバイスが、前記ハンドルから遠位に延在する細長いシャフトと、前記細長いシャフトを通って遠位に延在する少なくとも一つのアクチュエータアセンブリと、をさらに備え、前記少なくとも一つのアクチュエータアセンブリが、前記少なくとも一つのアクチュエータ部分と解放可能に係合する、請求項13または14に記載の送達装置。
【請求項16】
各弁尖が、前記環状フレームに取り付けられていない前記側縁の間に延在し、選択された高さだけ前記下流方向に前記複数の交連に対して突出する上部材料部分を備え、前記上部材料部分が、接合のために前記自由縁の半径方向の到達部を延長する材料のたるみに寄与する、請求項13~15のいずれか一項に記載の送達装置。
【請求項17】
各弁尖が、前記弁尖の対向側部からそれぞれ突出する第一の一次タブおよび第二の一次タブと、前記弁尖の前記自由縁の両端にそれぞれ接続された第一の二次タブおよび第二の二次タブと、を備え、前記複数の弁尖の前記第一の一次タブおよび前記第二の一次タブならびに前記第一の二次タブおよび前記第二の二次タブが前記複数の交連を形成する、請求項16に記載の送達装置。
【請求項18】
各弁尖の前記第一の二次タブおよび前記第二の二次タブが、前記弁尖の前記自由縁と整列した折り目の周りに折り畳まれる、請求項17に記載の送達装置。
【請求項19】
前記選択された高さが0.5mm~5mmの範囲内である、請求項16~18のいずれか一項に記載の送達装置。
【請求項20】
前記環状フレームが、流入端、流出端、および前記流入端から前記流出端まで延在し、軸方向を画定する長手方向軸を有し、前記複数の交連が、前記流出端から前記軸方向にオフセットされ、各弁尖の前記上部材料部分が、前記複数の交連と前記流出端との間の前記環状フレームの一部分内に位置付けられる、請求項16~19のいずれか一項に記載の送達装置。
【請求項21】
方法であって、
送達デバイスの遠位端を患者の血管系に挿入するステップであって、人工弁が、前記送達デバイスの前記遠位端に解放可能に結合され、前記人工弁が、環状フレームと、前記環状フレーム内に取り付けられた弁構造と、を備え、前記弁構造が、前記環状フレームに結合された複数の交連を画定する複数の弁尖を含み、各弁尖が、前記環状フレームに取り付けられていない側縁によって、前記交連から下流方向にオフセットされた自由縁を含む、挿入するステップと、
前記送達デバイスの前記遠位端で前記人工弁を選択された移植部位に前進させるステップと、
前記送達デバイスのハンドルを作動させて、前記送達デバイスの前記遠位端から前記人工弁を解放するステップと、
前記送達デバイスを、前記人工弁が前記選択された移植部位に移植された状態で、前記患者から引き抜くステップと、を含む、方法。
【請求項22】
前記送達デバイスの前記遠位端を前記患者の前記血管系に挿入する前に、前記人工弁を半径方向に圧縮するステップと、
前記送達デバイスの前記ハンドルを作動させて、前記選択された移植部位で前記人工弁の半径方向の拡張を引き起こすステップと、をさらに含む、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年7月22日出願の米国仮特許出願第63/224,534号の利益を主張するものであり、これは、参照により、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
分野
本開示は、人工弁の弁構造およびフレーム、ならびに人工弁を移植するための送達装置および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
ヒトの心臓は、様々な弁膜症に罹患する可能性がある。これらの弁膜症は、心臓の深刻な機能不全を引き起こし得るものであり、最終的には、自己弁を修復すること、または自己弁を人工弁へと置換することが必要となり得る。修復デバイス(例えば、ステント)および人工弁として、多数のものが知られており、それらデバイスおよび弁をヒト内へと移植するための方法としても、多数のものが知られている。経皮的および低侵襲的な外科的アプローチが、外科手術によって容易にはアクセス可能ではない、または外科手術を伴わないアクセスが望ましい身体の内部の場所に人工医療機器を送達するために、様々な手技において使用される。一つの具体的な例では、人工弁を、送達デバイスの遠位端上に圧着状態で装着し得、人工弁が心臓内の移植部位に到達するまで、患者の血管系を通して(例えば、大腿動脈および大動脈を通して)前進させ得る。その後、人工弁は、例えば、人工弁が装着されているバルーンを膨張させ、人工弁に拡張力を加える機械的アクチュエータを作動させることによって、又は人工弁がその機能的サイズに自己拡張することができるように、人工弁を送達デバイスのシースから展開することによって、その機能的サイズに拡張される。
【0004】
人工弁は、心臓の拡張期および収縮期の間、閉状態と開状態との間を循環する、複数の弁尖を含み得る。弁尖は、望ましくは、収縮期中に開いている時に弁を横切る圧力勾配を最小化し、拡張期中に互いに適切に接合すべきである。しかしながら、広範囲の弁直径(例えば、20mm~30mm)にわたり単一の弁尖設計でこの動作原理を達成することは困難である。所与の弁直径について、弁尖のサイズを増大させて弁尖が拡張期中に適切な接合を達成できるように確実にすることは、弁尖が弁開口部に沿ってひだやしわを形成するため、収縮期中に高い圧力勾配をもたらし得る。一方で、収縮期中の圧力勾配を最小化するために弁尖のサイズを減少させることは、拡張期中の接合不全をもたらし得る。
【発明の概要】
【0005】
概要
代表的な実施例では、人工弁は、環状フレームと、環状フレーム内に位置付けられ、環状フレーム上の複数の位置で環状フレームに取り付けられる複数の弁尖と、を備える。弁尖の各々は、弁尖取り付け縁を有する可撓性シートと、弁尖取り付け縁と弁尖自由縁との間に軸方向に延在する第一の側部および第二の側部の反対側にある、弁尖取り付け縁に対して対向する関係にある弁尖自由縁と、弁尖自由縁に接続された選択された高さの上部材料部分と、を備え、第一の一次タブおよび第二の一次タブは、対向する第一の側部および第二の側部からそれぞれ突出し、第一の一次タブおよび第二の一次タブは、上部材料部分によって弁尖自由縁からオフセットされ、第一の二次タブおよび第二の二次タブは、弁尖自由縁の両端にそれぞれ接続され、第一の二次タブおよび第二の二次タブは、折り目の周りで、かつ上部材料部分の上に折り畳まれ、上部材料部分は、接合のために弁尖自由縁の半径方向の到達部を延長する弁尖自由縁の両端で、それぞれ材料のたるみに寄与する。
【0006】
別の代表的な例では、人工弁は、流入端、流出端、軸方向を画定する長手方向軸、および環状フレームの周囲に沿って位置付けられた複数の交連ノードを有する環状フレームと、環状フレーム内に取り付けられた弁構造と、を備える。弁構造は、複数の弁尖と、複数の弁尖を複数の交連ノードで環状フレームに取り付ける複数の交連と、を備える。各弁尖は、流入端を含めて環状フレームの一部分内に位置付けられ、環状フレームに取り付けられた、弁尖取り付け縁と、流出端を含めて環状フレームの一部分内に位置付けられた、弁尖自由縁と、弁尖自由縁に接続された選択された高さの上部材料部分と、を備え、上部材料部分は、選択された高さによって複数の交連から弁尖自由縁を軸方向にオフセットし、上部材料部分は、接合のために弁尖自由縁の半径方向の到達部を延長する材料のたるみに寄与する。
【0007】
別の代表的な例では、送達装置は、ハンドルを備える送達デバイスと、送達デバイスに解放可能に結合された人工弁と、を備える。人工弁は、環状フレームと、環状フレーム内に取り付けられた弁構造と、を備える。弁構造は、環状フレームに結合された複数の交連を画定する複数の弁尖を含む。各弁尖は、フレームに取り付けられていない側縁によって、交連から下流方向にオフセットされる自由縁を含む。
【0008】
別の代表的な実施例では、方法は、上述の送達装置の遠位端を患者の血管系に挿入するステップと、遠位端で人工弁を選択された移植部位に前進させるステップと、ハンドルを作動させて送達デバイスから人工弁を解放するステップと、送達デバイスを、人工弁が選択された移植部位に移植された状態で、患者から引き抜くステップと、を含む。
【0009】
別の代表的な実施例では、人工弁は、環状フレームと、環状フレーム内に取り付けられた弁構造と、を備える。弁構造は、環状フレームに結合された複数の交連を画定する複数の弁尖を含む。各弁尖は、フレームに取り付けられていない側縁によって、交連から下流方向にオフセットされた弁尖自由縁を備え、側縁は、接合のために弁尖自由縁の半径方向の到達部を延長する弁尖自由縁の両端で、それぞれ材料のたるみに寄与する。
【0010】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は、本発明についての例示的なものであり、特許請求の範囲の本発明の性質を理解するための概要またはフレームワークを提供することが意図される。添付図面は、本発明のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、その一部を構成する。
【0011】
図面の簡単な説明
以下は、添付図面における図の説明である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、一実施例による、弁尖を含む部分的に組み立てられた弁構造の斜視図である。
図2図2は、弁尖の上部タブが折り畳まれた、図1の弁構造の斜視図である。
図3図3は、図1図2の弁構造のうちの弁尖の一つの平坦図である。
図4図4は、補強ストリップが弁尖の弁尖縁に沿って位置付けられている、図3の弁尖の平坦図である。
図5A図5Aは、弁尖の上部タブが弁尖の下部タブに対して折り畳まれている、図3の弁尖の平坦図である。
図5B図5Bは、上部タブの一部分が折り畳まれてL字形状を形成する、図5Aに示す弁尖の斜視図である。
図6図6は、拡張期中の図5Aに示す弁尖の変形の概略図である。
図7A図7Aは、図1図6に示すタイプの弁尖を組み込む人工弁の一例の斜視図である。
図7B図7Bは、封止部材として外側スカートを有する、図7Aの人工弁の斜視図である。
図8A図8Aは、人工弁のためのフレームの斜視図である。
図8B図8Bは、図8Aに示すフレームの正面部分である。
図9A図9Aは、角度付き片持ちストラットを含むフレームの斜視図である。
図9B図9Bは、フレームの外側表面上に封止部材として取り付けられたフレアスカートを有する、図9Aのフレームの斜視図である。
図10A図10Aは、弁構造の交連を形成するプロセスの概略図である。
図10B図10Bは、弁構造の交連を形成するプロセスの概略図である。
図10C図10Cは、弁構造の交連を形成するプロセスの概略図である。
図11図11は、人工弁の弁構造のための代替的な弁尖の平坦図である。
図12図12は、人工弁に取り付けられた送達デバイスを含む送達装置の概略図である。
図13A図13Aは、別の実施例による、弁尖の平坦図である。
図13B図13Bは、弁尖の上部タブが折り畳まれた、図13Aの弁尖の平坦図である。
図14図14は、閉状態にある図13Aの弁尖を有する人工弁のビデオ録画からの図である。
図15図15は、閉状態にある図3の弁尖形状を有する弁尖を有する人工弁のビデオ録画からの図である。
図16A図16Aは、開状態にある図13Aの弁尖および弁直径26mmを有する人工弁のビデオ録画からの図である。
図16B図16Bは、開状態にある図13Aの弁尖および弁直径29mmを有する人工弁のビデオ録画からの図である。
図17A図17Aは、開状態にある図3の弁尖形状を有する弁尖および弁直径26mmを有する人工弁のビデオ録画からの図である。
図17B図17Bは、開状態にある図3の弁尖形状を有する弁尖および弁直径29mmを有する人工弁のビデオ録画からの図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
詳細な説明
本明細書の目的のために、開示された実施例の完全な理解を提供するために、特定の具体的な詳細が本明細書に明記される。一部の事例では、当業者によって認識されるように、開示された実施例は、これらの具体的な詳細のうちの一つ以上なしで実施されてもよく、または本明細書に具体的に開示されていない他の方法、構造、および材料で実施されてもよい。一部の実例では、開示された実施例の新規および非自明の態様を不明瞭にすることを避けるために、人工弁および送達装置に関連する周知の構造および/またはプロセスは省略されている。
【0014】
開示された実施例は、好ましい実施および実施例を介して説明される。本明細書に記述され、図面に示されるすべての実施および実施例は、提案された組み合わせが、互換性のないまたは相互に排他的な要素を含む場合など、文脈によって明確に別段の指示がない限り、任意の数の組み合わせを形成するために、いかなる制限もなしに組み合わせることができる。本明細書に記載される任意のプロセスにおける作用の連続順序は、一つの作用が入力として別の作用の結果を要求する場合など、文脈が別段明確に指示しない限り、再配列されてもよい。
【0015】
簡潔さのため、かつ説明の連続性のために、同じまたは類似の参照文字は、異なる図の同じまたは類似の要素に使用されることがあり、一つの図の中の要素の説明は、要素が同じまたは類似の参照文字を有する他の図に現れるとき、持ち越されるとみなされる。一部の事例では、「に対応する」という用語は、異なる図の要素間の対応を記述するために使用され得る。使用例において、第一の図の中の要素が第二の図の中の別の要素に対応するものとして記述される場合、第一の図の中の要素は、別段の記載がない限り、第二の図の中の他の要素の特徴を有するとみなされ、その逆も同様である。
【0016】
「含む(comprise)」という語、ならびに「含む(comprises)」および「含む(comprising)」などのその派生語は、オープンで、包括的な意味で、すなわち「含むがこれに限定されない(including, but not limited to)」と解釈されるべきである。単数形「a」、「an」、「少なくとも一つ」、および「the」は、文脈上別段の指示がない限り、複数の参照を含む。「および/または」という用語は、要素の列記のうちの最後の二つの要素間で使用される場合、列記された要素のうちの任意の一つ以上を意味する。「または」という用語は、文脈が別段明確に指示しない限り、その最も広い意味で、すなわち、「および/または」の意味として、一般的に用いられる。
【0017】
修飾語句を有しない「結合される」という用語は、一般的に、物理的に結合または連結されることを意味し、具体的な反対する言葉のない限り、結合された要素間の中間要素の存在を除外しない。要素と共に使用される場合の「複数(plurality)」または「複数の(plural)」という用語は、要素のうちの二つ以上を意味する。方向および他の相対的参照(例えば、内側と外側、上側と下側、上方と下方、左と右、および近位と遠位)は、本明細書の図面および原理の議論を促進するために使用され得るが、限定的であることを意図しない。
【0018】
心臓の自己弁(例えば、大動脈弁、僧帽弁、三尖弁、および肺動脈弁)のいずれか内に移植され得る人工弁が本明細書に記載される。人工弁の弁構造のための弁尖が本明細書に記載されている。特定の実施例では、弁尖は、弁尖を環状フレームに取り付ける交連を形成するために使用される弁尖自由縁およびタブを含む。弁尖は、交連がタブに形成された時に弁尖自由縁が環状フレームに取り付けられないように、弁尖自由縁をタブからオフセットする上部材料部分を有する。心臓の拡張期および収縮期の間、弁尖は、弁尖自由縁が互いに分離される開状態と、弁尖自由縁が接合する閉状態と、の間で循環する。弁尖は、開状態では、上部材料部分が、交連に対して概して垂直に突出するように構成され得る。拡張期中、上部材料部分は、それらが半径方向に内向きに延在し、弁尖自由縁が互いに向かってさらに延在し、その間のギャップが最小限または全くない状態で接合することを可能にする材料のたるみに寄与することによって弁尖の接合に関与するように、張力をかけることができる。弁尖形状は、適切な接合および弁にわたる圧力勾配の最小化により、より広範な弁サイズを可能とすることができる。
【0019】
ここで図面を参照すると、図1は、部分的に組み立てられた状態の例示的な弁構造100(弁尖アセンブリとも呼ばれる)を示す。弁構造100は、人工弁(例えば、以下で論じる図7Aの弁300)の環状フレーム内に取り付けられてもよい。一つの例示的実施では、弁構造100は、使用時にフレームに結合され、フレームを通る血液の流れを調節するために開閉する複数の弁尖102を含む。弁尖102は、拡張期中に半径方向に移動して互いに接合する弁尖自由縁114を有する。弁構造100は、三尖配置で折り畳まれるように配置され得る、三つの弁尖102を有するものとして示されている。しかしながら、他の実施では、弁構造100は、三つよりも多いまたは少ない数の弁尖(例えば、一つ以上の弁尖)を有してもよい。弁尖102は、可撓性材料で作製される。特定の例では、弁尖102は、その全体または一部が心膜組織(例えば、ウシ心膜組織)、生体適合性合成材料、または、例えば、その関連する開示が参照により本明細書に援用される米国特許第6,730,118号明細書に記載されているような当技術分野において知られている様々な他の適切な天然材料もしくは合成材料から作製することができる。
【0020】
図1に示す部分的に組み立てられた状態では、弁尖102は、縫合糸104によってそれらの隣接する側部の一部分で一緒に部分的に固定されてもよい。104に示されるように、隣接する側部の縫合は、弁尖をフレーム内に位置付ける前または後に発生し得る。各弁尖102は、弁尖の対向側部に一次タブ106a、106b(以下に説明するように、折り畳む前の下部タブである)と、弁尖自由縁114が位置する弁尖の流出端に二次タブ108a、108b(折り畳む前の上部タブである)と、を含む。図2に示すように、二次タブ108a、108bは折り畳まれ、一次タブ106a、106bに隣接して位置付けられ得る。この位置では、二次タブ108a、108bおよびそれぞれの一次タブ106a、106bは協働して、弁尖102の隣接した側部に交連を形成することができる。これらの交連は、交連によって弁尖をフレームに固定するように、フレーム内に取り付けられ得る。弁尖102は、弁尖自由縁114を一次タブ106a、106bからオフセットする上部材料部分を有する。さらに説明するように、二次タブ108a、108bは、二次タブ108a、108bを一次タブ106a、106bに隣接して位置付けるために、上部材料部分に重なり得る部分を有する。上部材料部分に重なる二次タブ108a、108bの部分は、交連の形成に関与せず、フレームに取り付けられない。
【0021】
図3を参照すると、一つの例示的実施では、弁尖102は、弁尖本体を形成する可撓性シート110を含む。可撓性シート110は、前述または当技術分野で知られている例示的な弁尖材料のいずれかを含み得る。非限定的な実施例では、可撓性シート110の厚さは、0.1mm~1mmの範囲であり得る。可撓性シート110は、弁尖取り付け縁112(図の下縁)と、弁尖取り付け縁112(弁尖の入口縁または弁尖縁とも呼ばれる)と反対の関係にある弁尖自由縁114(図の上縁)と、を含む。弁尖102が弁構造の一部として環状フレーム内に取り付けられる場合、弁尖取り付け縁112は、フレームの流入端部分内に位置付けられ得、弁尖自由縁114は、フレームの流出端部分内に位置付けられ得る。「流入」および「流出」という用語は、フレームを通る流れの正常な方向に関連する。
【0022】
弁尖取り付け縁112は、示されるように、切断されたV字形状または先細り形状を有してもよい。一実施例では、弁尖取り付け縁112は、切断されたV字形状または先細り形状を形成するように配置される線形縁112a、112b、112cを含み得る。他の実施例では、弁尖取り付け縁112は、一つ以上の湾曲した縁、または線形縁と湾曲した縁との組み合わせから構成される、切断されたV字形状または先細り形状を有してもよい。弁尖自由縁114は、示されるような線形縁、またはほぼ線形縁であってもよい。ほぼ線形縁は、異なる傾斜角を有する二つ以上の線形縁によって、またはわずかな曲率を有する湾曲した縁によって形成されてもよい。他の実施では、弁尖取り付け縁112は、スカラップ形状を有してもよい。
【0023】
図示した実施例の可撓性シート110は、弁尖取り付け縁112と弁尖自由縁114のそれぞれの端部の間に軸方向に延在する対向側部116a、116bを含む。弁尖102の軸方向は、長手方向軸124によって示されており、これは、弁尖取り付け縁112および弁尖自由縁114に対して横断方向である軸であってもよい。長手方向軸124は、その周りで弁尖102が対称である軸であってもよい。側部116aは、軸方向に離間し、長手方向軸124に対して概して平行である側縁118a、120aを含む。
【0024】
側部116bは、軸方向に離間し、長手方向軸124に対して概して平行である側縁118b、120bを含む。側縁120a、120b(弁尖の副交連縁とも呼ばれる)は、弁尖取り付け縁112の両端に接続される。弁構造の組立中、側縁120a、120bは、(図1の104に示すような)隣接する弁尖の側縁120b、120aに縫合されてもよく、またはフレームに取り付けられてもよい。しかしながら、特定の実施例では、側縁118a、118bは、隣接する弁尖の側縁118a、118bに縫合されず、フレームに取り付けられない。代わりに、側縁118a、118bは、交連を形成するタブから弁尖自由縁114をオフセットする、弁尖の上部材料部分148の一部を形成することができる。
【0025】
弁尖102は、弁尖取り付け縁112に沿ってフレーム(例えば、フレームのストラット)に取り付けられてもよい。この取り付け領域内の弁尖材料を裂け目から保護するために、補強材料が領域内に提供されてもよい。例示の目的で、図4は、弁尖取り付け縁112に隣接する可撓性シート110の一部分に取り付けられた補強ストリップ115を示す。補強ストリップ115は、生体適合性である引裂抵抗性材料から作製されることが好ましい。一実施例では、引裂抵抗性材料はポリエチレンテレフタレート(PET)であってもよいが、様々な他の合成材料または天然材料が使用されてもよい。
【0026】
一般に、縁にバルクを過剰に追加することなく、弁尖取り付け縁112で可撓性シート110を強化することが望ましい。一例として、補強ストリップ115の厚さは、6mil(0.15mm)未満、好ましくは4mil(0.1mm)未満、より好ましくは2mil(0.05mm)未満であってもよい。一実施例では、図3に示すように、可撓性シート110は、縫合によって補強ストリップを可撓性シート110に取り付けることを容易にするために、弁尖取り付け縁112に隣接して予め形成された穴113を有し得るが、補強ストリップを可撓性シート110に取り付ける任意の他の適切な方法を使用してもよい。
【0027】
弁尖102は、可撓性シート110の対向側部116a、116bから突出する、対向する一次タブ106a、106b(図の下部タブ)を有する。一次タブ106a、106bは、前述したように、弁構造の交連の形成に関与する。一次タブ106aは、側縁118a、120aの間に延在する。一次タブ106bは、側縁118b、120bの間に延在する。一次タブ106a、106bは、第一の縁130a、130b(図の上縁)および第二の縁132a、132b(図の底縁)を有する。第一の縁130a、130bの各々は、側縁118a、118bの間に延在する可撓性シート110の上部材料部分148によって、弁尖自由縁114から軸方向にオフセット(すなわち、弁尖の軸方向にオフセット)される。上部材料部分148は、一次タブからの弁尖自由縁114のオフセット距離を決定する高さh>0を有する。一部の事例では、高さhは、可撓性シート110の厚さよりも大きくてもよい。
【0028】
弁尖102は、弁尖自由縁114の両端に二次タブ108a、108b(図の上部タブ)を有する。二次タブ108aは、L字形状を形成するように直交して配置された第一のタブ部分138aおよび第二のタブ部分140aを有する。同様に、二次タブ108bは、L字形状を形成するように直交して配置された第一のタブ部分138bおよび第二のタブ部分140bを有する。第一のタブ部分138aは、弁尖自由縁114の一方の端から側縁118aの上端部まで延在する。第一のタブ部分138bは、弁尖自由縁114の別の端から側縁118bの上端部まで延在する。第二のタブ部分140a、140bは、第一のタブ部分138a、138bの長さ(または高さ)分だけ、軸方向に弁尖自由縁114からオフセットされる。
【0029】
二次タブ108aは、一次タブ106a(図の左側)と同じ弁尖102の側部上に位置し、一次タブ106aと協働する対を形成し、これは、タブ108a、106aが協働して、隣接する弁尖の一次タブおよび二次タブの隣接する対と交連を形成することを意味する。二次タブ108bは、一次タブ106b(図の右側)と同じ弁尖102の側部上に位置し、一次タブ106bと協働する対を形成し、これは、タブ108b、106bが協働して、隣接する弁尖の一次タブおよび二次タブの隣接する対と交連を形成することを意味する。
【0030】
二次タブ108a、108bの第二のタブ部分140a、140bは、第一の縁142a、142b(図の底縁)および第二の縁144a、144b(図の上縁)を有する。第一の縁142a、142bの各々は、オフセット距離d>0(すなわち、第一のタブ部分138a、138bの長さまたは高さ)だけ、弁尖自由縁114から軸方向にオフセット(すなわち、弁尖の軸方向にオフセット)される。オフセット距離dは、上部材料部分148の高さhと同一または実質的に同一であり得る。
【0031】
弁構造を形成する時、二次タブ108a、108bは水平の折り目146の周りに折り畳まれて、第二のタブ部分140aを一次タブ106aに対して、またはそれに隣接して、および第二のタブ部分140bを一次タブ106bに対して、またはそれに隣接して、配置してもよい。一実施例では、折り目146は、図3に示すように、弁尖自由縁114と一致する、または整合している。一部の事例では、第二のタブ部分140a、140bは、第二のタブ部分140a、140bの第一の縁142a、142bを一次タブ106a、106bの第一の縁130a、130bとそれぞれ一致させることによって、一次タブ106a、106bに対して折り畳まれてもよい。
【0032】
図5Aおよび図5Bに示す通り、第二のタブ部分140a、140bが一次タブ106a、106bに対して、またはそれに隣接して配置される時、第一のタブ部分138aは、可撓性シートの上部材料部分148の角部分148a(図3に示す)に対して折り畳まれる。同様に、第一のタブ部分138bは、可撓性シートの上部材料部分148の角部分148b(図3に示す)に対して折り畳まれる。このように、第一のタブ部分138a、138bおよび上部材料部分148は、一次タブ106a、106bに対して突出する。
【0033】
組み立てられた状態では(すなわち、弁尖がフレーム内に取り付けられた弁構造の一部である時)、弁尖の上部材料部分148は、開状態では(例えば、収縮期中に)、交連から比較的垂直に延在する。上部材料部分148の側縁118a、118b、および二次タブ108a、108bの第一のタブ部分138a、138bは、フレームに取り付けられておらず、これは、弁尖自由縁114が半径方向に移動して、他の弁尖の弁尖自由縁と接合する時に、上部材料部分148および第一のタブ部分138a、138bが弁尖自由縁114と偏向できることを意味する。
【0034】
上部材料部分148は、接合中に弁尖自由縁114の半径方向の到達部を延長する、弁尖自由縁114に隣接した材料のたるみを提供する。図6は、拡張期中に生じる上部材料部分148の変形を図示する。保持されていない上部材料部分148は、拡張期中に弁尖に加えられる張力(Fとして示される)に応答して半径方向に内向きに(すなわち、弁の中央に向かって)移動することができ、したがって、接合のための追加の材料(小突起(gain)G1として識別される)を提供する。
【0035】
上部材料部分148によって提供される材料のたるみの量は、上部材料部分148の高さh(図3および図5Aに示す)、すなわち、上部材料部分148が一次タブ106a、106bに対して(または弁尖が弁構造の一部としてフレーム内に取り付けられる時に一次タブ106a、106bで形成される交連に対して)突出する量に依存する。
【0036】
弁尖102の設計では、上部材料部分148の高さhは、完全な弁尖の接合を達成するために材料のたるみを提供するように選択され得る。一実施例では、20mm~30mmの範囲の弁直径、および三つの弁尖を使用する場合の高さhは、0.5mm~5mmの範囲であり得る。特定の実施例では、0.5mm~2mmの範囲の高さhは、26mm~29mmの範囲の弁直径に対して有効であることが見出された。
【0037】
上部材料部分148は、接合のために弁尖の到達部を延長するように作用することができるため、弁尖の高さ全体を短縮し弁尖の幅を狭めて、所望の接合および圧力勾配性能を満たすより小さな弁サイズを可能にすることができる。さらに、弁尖を短縮することにより、弁尖の自由縁114が人工弁のフレームの流出端の上流に離間することを可能にする(例えば、図7A図7Bのフレーム200を参照されたい)が、これは、冠状動脈口を遮断するリスクを最小化し、その後の弁内弁処置中に冠状動脈口へのアクセスを保つのに役立ち得る。
【0038】
図7Aは、環状フレーム200内および環状フレーム200に取り付けられた弁尖102を有する弁構造100を含む、例示的な人工弁300を示す。弁構造100は、弁尖102をフレーム200に結合する交連302を有する完全に組み立てられた状態で示されている。弁尖102はまた、それらの弁尖取り付け縁112(図の下縁、また「弁尖縁」とも呼ばれる)に沿ってフレーム200に結合される。弁尖取り付け縁112の成形、および弁尖取り付け縁112がフレーム200に取り付けられる方法に起因して、弁構造100の下縁は、概してスカラップ形状の取り付け線に沿ってフレーム200に結合される。
【0039】
人工弁300は、フレーム200の周りに取り付けられた一つ以上のスカートを含み得る。例えば、図7Bに示すように、人工弁300は、フレーム200の外表面の周りに取り付けられた外側スカート303を含み得る。外側スカート303は、自己弁輪の組織に対して封止し、人工弁を通り過ぎる弁周囲漏出を低減するのを助けることによって、人工弁300の封止部材として機能する。一部の事例では、内側スカートは、フレーム200の内表面の周りに取り付けられてもよい。内側スカートは、弁周囲漏出を阻止または低減するために、弁尖をフレームに対して固定するために、かつ/または、圧着中におよび人工弁の作業サイクル中にフレームとの接触によって引き起こされる損傷から弁尖を守るために、封止部材として機能することができる。内側スカートおよび外側スカートは、布を含む様々な合成材料(例えば、PET布)または自然組織(例えば、心膜組織)のいずれかを含む、様々な好適な生体適合性材料のいずれかから形成され得る。人工弁におけるスカートまたは封止部材の使用に関するさらなる詳細は、例えば、米国特許出願第62/854,702号に見出すことができ、その関連する開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0040】
図8Aおよび図8Bは、環状フレーム200の一つの例示的実施を示す。しかしながら、弁構造100およびフレーム200は、様々な人工弁設計において互いに独立して使用され得ることが理解されるべきである。フレーム200は、流入端202(図の底端部)および流出端204(図の上端部)を有する。フレーム200の軸方向は、流入端202から流出端204まで延在する長手方向軸205によって示される。フレーム200は、流入端202と流出端204との間に延在する複数のフレームセクション208を含む。軸方向に延在する主フレームポスト212は、隣接するフレームセクション208とフレームの周囲の周りの相互接続フレームセクション208との間に配置されて、フレームの環状形状を形成する。図示した実施では、フレーム200は、三つのフレームセクション208を有し、各フレームセクション208は、二つの主フレームポスト212の間に延在する。他の実施では、フレーム200は、三つより少ないまたはより多いフレームセクション208を有してもよい。弁構造の各弁尖は、フレームセクション208のうちの一つにわたって延在し得る。
【0041】
各フレームセクション208は、軸方向に延在する補助フレームポスト214によって相互接続された二つのフレームサブセクション208a、208bを有する。各フレームセクション208は、それぞれの補助フレームポスト214の周りに反射対称性を有してもよい。各フレームサブセクション208a、208bは、主フレームポスト212と補助フレームポスト214との間に延在し、一つの側部で隣接する主フレームポスト212に接続され、反対側の側部で隣接する補助フレームポスト214に接続される。フレームサブセクション208a、208bの各々は、フレームを半径方向に拡張するために使用され得るアクチュエータ部分228を有してもよい。
【0042】
図8Bにより明確に示すように、各フレームサブセクション208a、208bは、ストラット220a、220b、220c、220d(まとめてストラット220)およびストラット224a、224b、224c、224d(まとめてストラット224)を含む。図示したストラット220、224の数は限定することを意図していない。ストラット220a、220b、220c、220dは離間しており、それぞれのフレームサブセクション208a、208bの半分に軸方向に整列し、一つの垂直なセル列226を形成する。ストラット224a、224b、224c、224dは離間しており、それぞれのフレームサブセクション208a、208bの他方の半分に軸方向に整列し、別の垂直なセル列226を形成する。ストラット220、224は、フレームの軸方向に互いに離間したストラットの対、例えば、ストラット対220aおよび224a、ストラット対220bおよび224b、ストラット対220cおよび224c、ならびにストラット対220dおよび224dに配置される。ストラット220、224は湾曲し、湾曲した縁を有するセル226を形成することが望ましい(ただし必ずしもその必要はない)。上部ストラット220a、224a、220b、224bによって形成される湾曲した形状は、下部ストラット220c、224c、220d、224dによって形成される湾曲した形状に対して反転される。湾曲した形状は、フレームサブセクション208a、208bに可撓性を与える。
【0043】
各フレームサブセクション208a、208bでは、ストラット220の第一の端部は隣接する主フレームポスト212に接続され、ストラット224の第一の端部は隣接する補助フレームポスト214に接続される。ストラット220、224の第二の端部は、フレームサブセクション内に配置されたアクチュエータ部分228に接続され得る。
【0044】
一実施例では、各アクチュエータ部分228は、ギャップGによって長手方向に整列および分離される、上部支持アーム232および下部支持アーム236を含む。調整可能なリンクは、支持アーム232、236の間に形成されて、ギャップGのサイズが調整可能であることを可能にする。調整可能なリンクは、上部支持アーム232の内側の穴と、下部支持アーム236の上端にあるねじ山付きナット234と、上部支持アーム232の穴を通って、ギャップGを通って、下部支持アーム236の上端にあるねじ山付きナット234内へと延在するねじ山付きロッド(またはねじ)240と、を含み得る。ねじ山付きロッド240のヘッド244は、上部支持アーム232の上端からアクセス可能であり、ねじ山付きロッド240を回転させ、支持アーム232、236間の相対運動を引き起こし、それによってギャップGのサイズを調整し、以下でさらに説明するように、フレームの半径方向の拡張と圧縮を生成するように動作することができる。
【0045】
上部ストラット220a、224a、220b、224bの第二の端部は、上部支持アーム232に接続され、下部ストラット220c、224c、220d、224dの第二の端部は、下部支持アーム236に接続される。結果として、ねじ山付きロッド240が回転しギャップGのサイズが調整されるにつれて、ストラット220、224は偏向することができる。図示の実施例に示すように、ナット234は、ロッド240の外ねじ山と係合する内ねじ山を有する、下部支持アーム236の一体型の上部分であり得る。代替的な実施例では、ナット234は、下部支持アーム236の上部分内に収容される別個の構成要素であり得る。各ねじ山付きロッド240のヘッド244は、送達装置のそれぞれのアクチュエータに解放可能に結合されて、以下にさらに説明する通り、ねじ山付きロッド240の回転を生成することができる。
【0046】
アクチュエータ部分228は、フレーム200を半径方向に拡張し、患者の体内で所望の作動直径にロックするために使用され得る。一実施例では、下部支持アーム236は、例えば、ねじ山付きロッド240のヘッド244と係合する人工弁送達装置の外部ドライバを介して、ねじ山付きロッド240が回転する間、安定して保持され得る。ねじ山付きロッド240は、上部支持アーム232を下部支持アーム236に向かって移動させるために第一の方向に回転されてもよく、それによってギャップGのサイズを減少させてもよく、これはフレーム200を半径方向に拡張させる効果を有し得る。別の方法として、下部支持アーム236は、ねじ山付きロッド240が第二の方向に回転して、上部支持アーム232を下部支持アーム236から離れるように移動させ、それによってギャップGのサイズを増加させ、これがフレーム200を半径方向に圧縮する効果を有し得る間、安定に保持され得る。一部の事例では、ナット248などのストッパーが、ねじ山付きロッド240上に取り付けられて、ねじ山付きロッド240の移動を制限し、一方で、ねじ山付きロッド240を回転させてフレーム200を半径方向に圧縮してもよい。例えば、ナット248は、フレーム200の過度な捲縮を防止するために、上部支持アーム232の下端に当接し、ねじ山付きロッド240のさらなる動きを停止するように配設されてもよい。
【0047】
代替的な実施では、各アクチュエータ部分228の上部支持アーム232および下部支持アーム236が、ねじ込まれてもよく、ねじ山付きロッド240は、支持アーム232、236とねじ込み係合するためにねじ山端部分を備えてもよい。ねじ山端部分は、ねじ山付きロッドの回転が、回転方向に応じて、支持アームを互いに向かって、または互いから離れるように移動させるように、反対にねじ込まれてもよい。
【0048】
ストラット220、224は、人工弁の弁尖およびスカート(複数可)の取り付け点を提供する。一例として、最下部ストラット220d、224dのうちの選択されたものは、弁尖取り付け縁ならびにスカート(複数可)の流入縁の取り付け点として機能し得る。図7Aに示すように、縁セクション112a、112c(図3)に接続された最下部ストラット220d、224dは、概してスカラップ形状の取り付け線を形成する。弁尖は、このスカラップ線を追跡して、弁構造の下縁にスカラップ形状を形成することができる。残りのストラット、すなわち、最下部支柱以外のストラットは、スカート(複数可)などの弁の他の部分の取り付け点として選択的に機能し得る。
【0049】
一実施例では、フレーム200は、弁尖およびスカート(複数可)の取り付け点を提供する追加のストラットを含み得る。一例として、図8Bに示すように、片持ちストラット215は、主フレームポスト212および補助フレームポスト214の下端に取り付けられてもよく、それぞれのフレームポストの端部からフレーム200の流入端202まで(図では下向きに)延在してもよい。各片持ちストラット215は、弁尖、外側スカート303(図7B)および/または内側スカートの、隣接する縁セクション112b(図3)を接続するための、縫合糸または他の取り付け材料を受けるための、穴もしくは目217または他の特徴を有し得る。
【0050】
図8Aおよび図8Bに示す実施例では、片持ちストラット215は、フレームポスト212、214から垂直に(すなわち、軸方向に)延在する。図9Aは、片持ち支柱215’がフレームポスト212、214に取り付けられ、形状設定された付勢状態で軸方向に対して半径方向に外向きに角度付けられている代替的なフレーム実施200’を示す。スカートがフレーム200’の外表面の周りに取り付けられる時、角度付き片持ちストラット215’は、図9Bの303’に図示するように、スカートを半径方向に外向きに押し、フレアスカートを作り出すことができる。封止部材としてのフレアスカートは、自己弁の形状により良く適合し得る。
【0051】
角度付き片持ちストラット215’は、人工弁が送達装置から解放される時に、片持ちストラットを半径方向に外向きに自然に付勢するニチノールなどの可撓性および/または形状記憶材料を含み得る。人工弁が半径方向に圧縮された送達状態にある時、片持ちストラット215’は、フレーム200’全体がその流入端からその流出端まで一定の直径を有する円筒形状をとることができるように、半径方向に内側に圧縮され得る。角度付き片持ちストラット215’の自由端部は、スカート303’の流入縁を支柱215’に接続するための、縫合糸または他の取り付け材料を受けるための、穴もしくは目または他の特徴を有し得る。角度付き片持ちストラット215’を有する代替的なフレーム実施200’は、フレーム200について示されるのと同じ方法で図7Aおよび図7Bに示す人工弁300に使用され得る。
【0052】
図8Aおよび図8Bに戻ると、主フレームポスト212は、弁尖をフレーム200に結合するために交連が形成される部位である交連ノードを有する。一実施例では、交連ノードは、主フレームポスト212内に形成された開口部216によって提供される。開口部216は、交連(図7Aおよび図7Bの302)を形成する弁尖タブを受けるようにサイズ設定される。以下、開口部216は、交連ウィンドウと呼ばれる。交連ウィンドウ216は、フレーム200の周囲の周りに離間する(またはフレーム200の周りに角度付きで離間する)。間隔は均等であっても均等でなくてもよい。
【0053】
一実施例では、交連ウィンドウ216は、オフセット距離d図8Aに示す)だけフレーム200の流出端204から軸方向にオフセットされる。一例として、オフセット距離dは、2mm~6mmの範囲内であってもよい。一般に、オフセット距離dは、自由な上部材料部分を有する弁尖が、交連ウィンドウ216を介してフレーム200に取り付けられる時、自由な上部材料部分がフレーム200の流出端204から突出しないように選択されるべきである。したがって、オフセット距離dは、弁尖の開状態における上部材料部分の高さよりも大きいように選択され得る。
【0054】
フレーム200内の様々な支柱、ポスト、および支持アームは、ステンレス鋼、コバルトアルミニウム合金、またはニッケルチタン合金(例えば、ニチノール)などの様々な適切な材料のいずれかで作製されてもよい。特定の実施例では、フレーム200は、フレームのすべての構成要素を形成するために、材料の管状片から切断(例えば、レーザー切断)または他の方法で形成され得るが、ねじ山付きロッド240は例外とし、これらは別個に形成され、完全に形成されたフレームに組み立てられ得る。他の実施例では、フレーム200は、個々の構成要素を形成し、次いで、個々のフレーム構成要素を互いに溶接することによって、または旋回コネクタ(例えば、リベット)でフレーム構成要素を互いに接続して、支柱間の接合部にヒンジを形成することによってなど、個々の構成要素を一緒に機械的に組み立ておよび接続することによって構築されてもよい。ヒンジで接続された個々の形成された構成要素から人工弁フレームを構築する例は、米国特許出願公開第2018/0153689号および第2018/0344456号、ならびに米国特許出願第16/105,353号および第62/748,284号に記載されており、その関連する開示は本明細書に組み込まれる。
【0055】
図10Aを参照すると、特定の実施例では、弁尖アセンブリまたは弁構造は、可撓性コネクタ304を、弁尖102aの一次タブ106aおよび弁尖102bの一次タブ106bで一対の弁尖102a、102bに接続することによって形成され得る。可撓性コネクタ304は、縫合糸を用いて一次タブ106a、106bに接続することができる。可撓性コネクタ304は、例えば、一片の布(例えば、PET布)を含み得る。くさび要素308(図10Bおよび10C)は、可撓性コネクタ304の一方の側に接続され得る。くさび要素308は、例えば、編組み縫合糸(例えば、ETHIBOND縫合糸)などの比較的重いゲージの縫合糸、または布片を含み得る。この段階で、補強ストリップ115は、(図4および図7Aに示すように)各弁尖102a、102bの弁尖取り付け縁112に接続され得る。
【0056】
第三の弁尖102(図10Aには図示せず、望ましくは、それぞれの補強ストリップ115をすでに有する)は、第二のコネクタ304を弁尖102aの一次タブ106bおよび第三の弁尖の一次タブに接続し、第三のコネクタ304を弁尖102bの一次タブ106aおよび第三の弁尖の他方の一次タブに接続することによって、弁尖102a、102bに同様に結合されてもよく、それによって、それぞれのコネクタ304により互いに結合された、三つの弁尖の弁尖アセンブリ(図2に示すアセンブリと同様)を形成する。弁尖アセンブリは、追加のコネクタ304により互いに結合された追加の弁尖を含み得ることが理解されるべきである。
【0057】
図1および図2に示すように、隣接する弁尖の隣接する副交連縁120a、120b(図3)は、縫合糸104で互いに接続することができる。縫合糸は、例えば、一対の隣接する副交連縁120a、120bを通って延在する、インアンドアウトステッチまたはホイップステッチを形成することができる。
【0058】
次に、各弁尖102の二次タブ108a、108bを、対応する一次タブ106a、106bに対して下向きに折り畳むことができる。例えば、図10Aを参照すると、弁尖102aの二次タブ108aは、弁尖のコネクタ304と同じ側の、弁尖102aの一次タブ106aに対して、下向きに折り畳まれ得る。このようにして、二次タブ108aの第二のタブ部分140aは、コネクタ304の一部分と部分的に重なり得る(すなわち、コネクタ304の一部分は、一次タブ106aと第二のタブ部分140aとの間に位置する)。同様に、弁尖102bの二次タブ108bは、弁尖102bの一次タブ106bに対して下向きに折り畳まれ得る。
【0059】
二次タブ108a、108bを折り畳んだ後、第二のタブ部分140a、140bの各々を、垂直な折り畳み軸に沿って縦方向に折り畳んで、内側部分150および外側部分152を有するL字形状を形成することができる(図5B)。内側部分150は、弁尖の内表面に接触することができ、外側部分152は、コネクタ304と接触することができる。外側部分152は、縫合糸310(図10Cに示す)などによってコネクタ304に縫合され得る。
【0060】
ここで図10Bを参照すると、コネクタ304によって形成される交連タブアセンブリ、弁尖102aのタブ106a、108a、および弁尖102bのタブ106b、108bは、以下のようにフレームの交連ウィンドウ216に結合され得る。図10Bに示すように、コネクタ304、および一次タブ106a、106bは、一対のストラット216a、216bによって画定される交連ウィンドウ216を通して(フレームの内側からフレームの外側へ)挿入することができ、一方で二次タブ108a、108bは依然としてフレームの内側に留まる。次いで、二次タブ140aの外側部分152およびコネクタ304の一部分がウィンドウ216の一方の側のフレームに当接し、二次タブ140bの外側部分152およびコネクタ304の一部分がウィンドウ216の他方の側のフレームに当接するように、交連タブアセンブリはくさび要素308で内向きに(矢印154の方向に)押される。
【0061】
図10Cに示すように、交連タブアセンブリの押圧はまた、一次タブ106aおよびコネクタ304の一部分を、二次タブ108aの外側部分152の反対側にあるフレームの外側で支柱216aの周りで折り畳ませ、一次タブ106bおよびコネクタ304の一部分を、二次タブ108bの外側部分152の反対側にあるフレームの外側で支柱216bの周りに折り畳ませる。一対の縫合線312は、一次タブ106a、106bをフレームに対して保持するように形成され得る。各縫合線312は、コネクタ304、一次タブ、くさび要素308、およびコネクタ304の別の部分を通って延在する。
【0062】
各一次タブ106a、106bは、一次縫合線314で対応する二次タブ108a、108bに固定することができる。各縫合線314は、コネクタ304の一つの層、一次タブ106a、106b、コネクタ304の別の層、コネクタ304の別の層、および二次タブ108a、108bの外側部分152を通って延在する。一次縫合線314を形成するために使用される縫合糸材料(または別個の縫合糸)の端部分を使用して、タブ106a、108aの隣接する外縁およびタブ106b、108bの隣接する外縁にホイップステッチ316を形成することができる。ステッチの第一のセット316は、タブ106a、108a、およびタブ106a、108aの間のコネクタ304の二つの層を通って延在してもよく、ステッチの第二のセットは、タブ106b、108b、およびタブ106b、108bの間のコネクタ304の二つの層を通って延在してもよい。
【0063】
弁サイクル中、弁尖102a、102bは、折り畳まれた内側部分150の内縁156で主に関節接続することができる。しかしながら、人工弁が送達状態へと半径方向に圧縮されると、弁尖に作用する比較的高い力が、弁尖を長手方向軸158の周りで離れて延ばし、より小さい捲縮直径を可能にし得る。
【0064】
弁尖アセンブリの残りの交連タブアセンブリは、上述と同じ方法で、フレーム200のそれぞれの交連ウィンドウ216に結合され得る。交連タブアセンブリを形成し、それらをフレームに結合するための方法のさらなる詳細は、米国特許第9,393,110号に開示されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。図10A図10Cは、弁尖アセンブリの交連をフレームに結合するための一つの例示的な技術を示すことに、留意すべきである。米国特許第9,393,110号、米国特許出願公開第2018/0325665号、または2020年3月31日に出願された米国特許出願第63/003,085号に開示されるもののいずれかなど、弁尖アセンブリの交連をフレーム200に結合するために、他の技術、方法、および機構を使用することができ、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
【0065】
図7Aは、弁尖102の弁尖取り付け縁112をフレーム200のフレームセクション208に取り付ける実施例を示す。弁尖取り付け縁112の傾斜部分(図3の112a、112cとして示される)は、最下部ストラット220dに取り付けられる。弁尖取り付け縁112の水平部分(図3に112bとして示す)は、隣接するフレームサブセクションの最下部ストラット220dの間に延在し、任意選択的に、隣接する片持ちストラット215の真ん中に取り付けられ得る。弁尖取り付け縁112および補強ストリップ115は、縫合糸333によりストラット220dに取り付けられ得る。縫合糸335を使用して、弁尖取り付け縁112および補強ストリップ115を隣接するストラット215に取り付けることができる。
【0066】
交連302が形成され、弁尖取り付け縁112がフレームに固定された後、図7Bに示すように、スカート303は、フレーム200の外表面の周りに取り付けられ得る。一実施例では、スカート303の流入縁(図の下縁)は、縫合糸306によって示されるように、フレーム200ならびにフレームの片持ちストラット215にすでに固定された弁尖取り付け縁に取り付けられ得る。スカート303の流出縁(図の上縁)は、縫合糸337により選択されたストラットに取り付けられ得る。人工弁が内側スカートを含む実施では、内側スカートの流入縁は、内側スカートが弁尖とフレームの内表面との間にあるように、弁尖取り付け縁をフレームに固定する前に、弁尖取り付け縁に固定され得る。内側スカートおよび弁尖が定位置に固定された後、外側スカートは、上述のようにフレームの周りに取り付けられ得る。
【0067】
弁構造が人工弁のフレームに取り付けられ得る様式を含む、経カテーテル人工心臓弁に関するさらなる詳細は、例えば、米国特許第6,730,118号、同第7,393,360号、同第7,510,575号、同第7,993,394号、および同第8,252,202号、米国特許出願公開第2018/0325665号、ならびに2019年5月30日に出願された米国仮特許出願第62/854,702号に見られ得、これらのすべてが、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0068】
図11は、本明細書に開示される人工弁のいずれかに組み込まれ得る代替的な弁尖102’を示す。例えば、一つの実施では、人工弁300は、三つの弁尖102’を含み得る。弁尖102’は、弁尖102’が二次タブ108a、108bを含まないことを除き、弁尖102と類似している。したがって、この実施例では、弁尖102’は、上部材料部分148と重なるタブ部分を有さないが、それにもかかわらず、自由縁114は、側縁118a、118bおよび上部材料部分148によって(一次タブ106a、106bによって形成される)交連から下流方向にオフセットされる。側縁118a、118bはフレームに取り付けられておらず、したがって、弁閉鎖中に張力をかけられ得るたるみ部分を上部材料部分148が提供することを可能にし、弁尖の自由縁が一緒により近くに移動し弁尖の接合を促進することを可能にする。
【0069】
図12は、人工心臓弁300を移植部位に送達するために使用され得る例示的な送達デバイス400を示す。送達デバイス400は、一般に、ハンドル404と、ハンドル404から遠位に延在する細長いシャフト406と、細長いシャフト406を通って遠位に延在する一つ以上の作動アセンブリ408と、を含む。アクチュエータアセンブリ408は、作動時に人工弁300を半径方向に拡張および/または半径方向に折り畳み、かつ人工弁との解放可能な接続を形成するように構成される。シャフト406の遠位端部分416は、患者の血管系を通って移動する間、人工弁300を半径方向に圧縮された状態で収容するようにサイズ設定され得る。このようにして、遠位端部分416は、人工弁の送達のための送達シースまたはカプセルとして機能する。
【0070】
アクチュエータアセンブリ408は、人工弁300に解放可能に結合され得る。一実施例では、アクチュエータアセンブリ408は、人工弁のアクチュエータに結合され得る。アクチュエータアセンブリ408は、アクチュエータの一部またはすべてに結合されてもよい。例えば、図8Aおよび図8Bに示す人工弁のフレームは、六つのアクチュエータ部分(図8Bの228)を有する。この場合、送達デバイス400は、人工弁のアクチュエータ部分228と係合するために、最大六つのアクチュエータアセンブリ408を含み得る。各アクチュエータアセンブリ408は、支持管として構成された第一の作動部材と、ドライバとして構成された第二の作動部と、を含み得る。ドライバは、支持管を通って延在し得、図8Bに示すアクチュエータ部分228のねじ山付きロッド240のヘッド244と係合する遠位端部分を有し得る。支持管は、フレーム200の隣接するセクションに当接することができる遠位端部分を有する。ドライバおよび支持管は協働して、ねじ山付きロッド240との解放可能な接続を形成することができる。
【0071】
ハンドル404は、人工弁300を拡張および/または展開するために、送達デバイス400の異なる構成要素を制御するための一つ以上の制御機構(例えば、ノブまたは他の作動機構)を含み得る。例えば、ハンドル404は、第一、第二、および第三のノブ410、412、および414を含み得る。
【0072】
一実施例では、第一のノブ410は、人工弁が患者の体内の所望の移植場所における、またはそれに隣接する場所に前進させられると、送達シース416から人工弁を展開するために、遠位方向および/または近位方向における人工弁300に対するシャフト406の軸方向移動を生成するように構成された回転可能なノブであり得る。例えば、第一の方向(例えば、時計回り)への第一のノブ410の回転は、人工弁300に対してシース416を近位に後退させることができ、第一のノブ410の第二の方向(例えば、反時計回り)への回転は、シース416を遠位に前進させることができる。他の実施例では、第一のノブ410は、ノブを引くかつ/または押すなど、ノブ410を軸方向に摺動または移動させることによって作動されてもよい。他の実施例では、第一のノブ410の作動(ノブ410の回転または摺動移動)は、送達シース416に対するアクチュエータアセンブリ408(したがって、人工弁300)の軸方向移動を生成して、シース416から遠位に人工弁を前進させることができる。
【0073】
第二のノブ412は、人工弁300の半径方向の拡張および/または収縮を生成するように構成された回転可能なノブであってもよい。例えば、ドライバの近位端部分は、第二のノブ412の回転がドライバを支持管に対して回転させ、人工弁のねじ山付きロッド240の対応する回転を生成することができるように、第二のノブ412に動作可能に結合され得る。第一の方向(例えば、時計回り)への第二のノブ412の回転は、人工弁300を半径方向に拡張することができ、第二の方向(例えば、反時計回り)への第二のノブ412の回転は、人工弁300を半径方向に折り畳むことができる。他の実施例では、例えば、人工弁のアクチュエータ部分228が往復式アクチュエータである場合、第二のノブ412は、ノブを引くかつ/または押すなど、第二のノブ412を軸方向に摺動または移動させることによって作動され得る。
【0074】
第三のノブ414は、送達デバイス400から人工弁300を解放するように構成された回転可能なノブであり得る。例えば、支持管の近位端部分は、第三のノブ414の回転がドライバに対する支持管の軸方向移動を生成するように、第三のノブ414に動作可能に結合され得る。第三のノブの第一の方向(例えば、時計回り)への回転は、支持管をドライバに対して近位方向に、かつ人工弁から離れるように移動させることができる。支持管の遠位端部分が、ねじ山付きロッド240と係合するドライバの遠位端部分を越えて近位に後退すると、ドライバの遠位端部分は、ねじ山付きロッド240から自動的に係合解除されるように構成され得る。他の実施例では、第三のノブ414は、ノブを引くかつ/または押すなど、第三のノブ414を軸方向に摺動または移動させることによって作動されてもよい。送達デバイス400に関するさらなる詳細は、2020年9月30日に出願された米国特許出願第63/085,947号に開示されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。例えば、2020年12月3日に出願されたPCT出願第PCT/US2020/063104号、および2020年3月16日に出願された米国特許出願第62/990,299号に開示されているものなど、他の送達デバイスを使用して本明細書に開示される人工弁を送達および移植することができ、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
【0075】
人工弁300を送達する方法は概して、例えば、人工弁のフレームと一体化されたアクチュエータ部分228を動作させて、フレームを半径方向に圧縮された構成に配置することによって、人工弁300を半径方向に圧縮された状態に配置するステップを含む。これは、人工弁を送達デバイスのアクチュエータアセンブリ408に解放可能に結合し、第二のノブ412を作動させることによって達成され得る。半径方向に圧縮された人工弁は、送達デバイスのシース416内に任意選択的に配置することができる。送達デバイスおよび人工弁は、患者の血管系を通してガイドワイヤの上を、選択された移植部位(例えば、自己大動脈弁輪)まで前進させられ得る。例えば、人工弁を自己大動脈弁内に埋め込む場合、送達デバイスおよび人工弁は、大腿動脈内にかつ大腿動脈を通して、かつ大動脈を通して自己大動脈弁へと挿入され得る。移植部位では、シース416内に最初に含まれる場合、人工弁300は、第一のノブ410を作動させることによってシース416から展開され得る。次いで、人工弁300は、第二のノブ412を作動させることによって、所望のサイズに半径方向に拡張され得る。人工装置が所望の直径になると、送達デバイスのアクチュエータアセンブリは、第三のノブ414を作動させることによって人工弁から結合解除され、送達デバイスを患者の体内から取り外すことを可能にする。
【0076】
人工弁300が移植されると、弁の弁尖は、拡張期および収縮期の間に閉状態と開状態との間を循環し得る。弁尖102が弁の弁尖として使用される時、弁尖の折り畳まれた材料部分は弁の閉鎖に関与し、弁尖が完全に接合する能力に寄与する。以下の実施例A~Fは、図3のように折り畳まれる材料部分を有する弁尖と代替的な弁尖設計とを比較する。
【0077】
実施例A(比較):人工弁は、図13Aに示すように、代替の弁尖500を有する三つの弁尖を使用して構築された。弁尖500は、上部タブ502、下部タブ504、弁尖自由縁506、およびその周りで上部タブ502が折り畳まれる折り目508を有する。折り目508は、下部タブ504の上縁と整列または実質的に整列し、弁尖自由縁506と比較してより高いレベルにある(折り目508は、下流方向に自由縁506から軸方向にオフセットされている)。図13Bは、折り目508の周りに折り畳まれた上部タブ502を示す。人工弁の構築は、図13Aに示す設計を有する弁尖が図3に示す設計を有する弁尖の代わりに使用されることを除き、概して、人工弁300について記載した通りであった。この実施例では、下部タブ504の位置で形成される交連は、折り目508と同じレベルにある。弁尖500は、下部タブ504の位置で形成された交連に対して突出する折り畳まれた材料部分を有しない。
【0078】
実施例B:人工弁は、図3に示す弁尖設計を有する三つの弁尖102を使用して構築された。人工弁の構築は、概して、人工弁300について記載した通りであった。弁内の弁尖の上部材料部分は、開状態で3mmの高さを有した。
【0079】
実施例C(比較):弁尖500を使用する人工弁を、29mmの弁直径で比較実施例Aのように構築した。図14は、弁尖が開状態と閉状態との間で移行した時に作成されたビデオ録画でのフレームの図を示す。図14に示すビデオフレームでは、弁尖500は閉状態にある。示されるように、弁尖は、閉状態では互いとの完全な接合を確立できず、それらの間に小さな中央開口部601を残し、これは、逆流をもたらし得る。
【0080】
実施例D:人工弁は、29mmの弁直径で、実施例Bに記載されるように、折り畳まれた材料部分を有する弁尖102を使用して構築された。図15は、弁尖が開状態と閉状態との間で移行した時に作成されたビデオ録画でのフレームの図を示す。図15に示すビデオフレームでは、弁尖は閉状態にある。図15に示すように、弁尖102は、互いとの完全な適切な接合を確立する。交連の下流にある弁尖102の上部材料部分は、半径方向に内向きに引かれ、弁尖が互いに向かってさらに延在し、互いと完全に接合することを可能にする材料のたるみに寄与する。示されるように、追加のたるみ材料は、弁尖に、接合の中心に小さな円周方向の折り目を形成させる。
【0081】
実施例E(比較):弁尖500を使用する人工弁は、26mmおよび29mmの弁直径で比較実施例Aに記載されるように構築された。図16Aは、26mmの弁直径に対する開状態の弁尖500を示す。図16Bは、29mmの弁直径に対する開状態の弁尖500を示す。示されるように、弁尖500は、開状態で著しいしわおよび折り目を形成し得、これは、特に26mmのより小さい弁直径について、弁にわたり流れの干渉および圧力勾配の増加を引き起こし得る。
【0082】
実施例F:折り畳まれた材料部分を有する弁尖102を使用する人工弁を、26mmおよび29mmの弁直径で実施例Bに記載されるように構築した。図17Aは、26mmの弁直径に対する開状態にある上部材料部分を有する弁尖102を示す。図17Aは、29mmの弁直径に対する開状態にある上部材料部分を有する弁尖102を示す。図16Aおよび図16Bならびに比較実施例Eの弁開口部と比べて、図17Aおよび図17Bの弁開口部は、より少ない折り目およびひだを有するより大きな開口部を有する。
【0083】
本明細書のシステム、デバイス、装置などはいずれも、患者との使用に安全であることを確実にするために滅菌することができ(例えば、熱、放射線、および/または化学物質などを用いて)、本明細書の方法はいずれも、方法の工程のうちの一つとして関連するシステム、デバイス、装置などの滅菌を含むことができる。滅菌で使用するための放射線の例としては、ガンマ放射線および紫外線が挙げられるが、これらに限定されない。滅菌で使用するための化学物質の例としては、エチレンオキシドおよび過酸化水素が挙げられるが、これらに限定されない。
【0084】
本明細書に記載される原理に基づく追加の実施例を以下に列挙する。
【0085】
実施例1: 環状フレームと、環状フレーム内に位置付けられ、環状フレーム上の複数の位置で環状フレームに取り付けられた複数の弁尖と、を備える、人工弁。弁尖の各々は、弁尖取り付け縁を有する可撓性シートと、弁尖取り付け縁と弁尖自由縁との間に軸方向に延在する第一の側部および第二の側部の反対側にある、弁尖取り付け縁に対して反対の関係にある弁尖自由縁と、弁尖自由縁に接続された選択された高さの上部材料部分と、を備え、第一の一次タブおよび第二の一次タブは、反対側の第一の側部および第二の側部からそれぞれ突出し、第一の一次タブおよび第二の一次タブは、上部材料部分によって弁尖自由縁からオフセットされ、第一の二次タブおよび第二の二次タブは、弁尖自由縁の両端にそれぞれ接続され、第一の二次タブおよび第二の二次タブは、折り目の周りで、かつ上部材料部分の上に折り畳まれ、上部材料部分は、接合のために弁尖自由縁の半径方向の到達部を延長する材料のたるみに寄与する。
【0086】
実施例2: 選択された高さが、可撓性シートの厚さよりも大きい、本明細書の任意の実施例、特に実施例1に記載の人工弁。
【0087】
実施例3: 選択された高さが0.5mm~5mmの範囲内である、本明細書の任意の実施例、特に実施例1または2に記載の人工弁。
【0088】
実施例4: 選択された高さが0.5mm~2mmの範囲内である、本明細書の任意の実施例、特に実施例1または2に記載の人工弁。
【0089】
実施例5: 折り目が弁尖自由縁と整列する、本明細書の任意の実施例、特に実施例1~4のいずれか1つに記載の人工弁。
【0090】
実施例6: 第一の二次タブおよび第二の二次タブの各々が、第一のタブ部分および第二のタブ部分を有し、第一の二次タブおよび第二の二次タブが折り目の周りに折り畳まれて、第一のタブ部分を第一の一次タブおよび第二の一次タブとそれぞれ結合し、第二のタブ部分が可撓性シートの上部材料部分とそれぞれ重なる、本明細書の任意の実施例、特に実施例1~5のいずれか1つに記載の人工弁。
【0091】
実施例7: 第一の二次タブおよび第二の二次タブの各々の第二のタブ部分が、それぞれの第一のタブ部分の高さだけ弁尖自由縁からオフセットされる、本明細書の任意の実施例、特に実施例1~6のいずれか1つに記載の人工弁。
【0092】
実施例8: 第一の二次タブおよび第二の二次タブの各々の第一のタブ部分、および第一の二次タブおよび第二の二次タブの各々の第二のタブ部分が、L字形状を形成するように直交して配置される、本明細書の任意の実施例、特に実施例6または7に記載の人工弁。
【0093】
実施例9: 第一の二次タブおよび第二の二次タブの第一のタブ部分がそれぞれ、弁尖自由縁の両端に接続される、本明細書の任意の実施例、特に実施例6~8のいずれか1つに記載の人工弁。
【0094】
実施例10: 可撓性シートの対向する第一の側部および第二の側部のそれぞれが、軸方向に離間した第一の側縁および第二の側縁を含み、可撓性シートの対向する第一の側部および第二の側部から突出する第一の一次タブおよび第二の一次タブが、それぞれの第一の側縁と第二の側縁との間に延在する、本明細書の任意の実施例、特に実施例1~9のいずれか1つに記載の人工弁。
【0095】
実施例11: 対向する第一の側部および第二の側部の第一の側縁の各々が、第一の二次タブおよび第二の二次タブのうちの一つに接続され、対向する第一の側部および第二の側部の第二の側縁が、それぞれ、弁尖取り付け縁の両端に接続される、本明細書の任意の実施例、特に実施例10に記載の人工弁。
【0096】
実施例12: 隣接する弁尖の第二の側縁が一緒に取り付けられる、本明細書の任意の実施例、特に実施例11に記載の人工弁。
【0097】
実施例13: 弁尖取り付け縁が、切断されたV字形状を形成する、本明細書の任意の実施例、特に実施例1~12のいずれか1つに記載の人工弁。
【0098】
実施例14: 封止部材として環状フレームの周りに配置された少なくとも一つのスカートをさらに備える、本明細書の任意の実施例、特に実施例1~13のいずれか1つに記載の人工弁。
【0099】
実施例15: 環状フレームが、セルの複数の列を画定するように配設された複数の湾曲したストラットを備える、本明細書の任意の実施例、特に実施例1~14のいずれか1つに記載の人工弁。
【0100】
実施例16: 湾曲したストラットの少なくとも一部分に結合され、湾曲したストラットの少なくとも一部分を偏向させて環状フレームを半径方向に拡張または半径方向に圧縮するように動作可能な少なくとも一つのアクチュエータ部分をさらに備える、本明細書の任意の実施例、特に実施例15に記載の人工弁。
【0101】
実施例17: 複数の湾曲したストラットが、三つのフレームセクションに分割され、環状フレームが、三つのフレームセクションを相互接続する三つのフレームポストを備える、本明細書の任意の実施例、特に実施例15または16に記載の人工弁。
【0102】
実施例18: 二つの隣接する弁尖の第一の一次タブを受けるために、少なくとも一つの開口部が三つのフレームポストの各々の上に形成される、本明細書の任意の実施例、特に実施例17に記載の人工弁。
【0103】
実施例19: 流入端と、流出端と、軸方向を画定する長手方向軸と、環状フレームの周囲に沿って位置付けられた複数の交連ノードを有する環状フレームと、環状フレーム内に取り付けられた弁構造であって、複数の弁尖、および複数の交連ノードで複数の弁尖を環状フレームに取り付ける複数の交連を含む弁構造と、を備える、人工弁。各弁尖は、流入端を含み、環状フレームに取り付けられた環状フレームの一部分内に位置付けられた弁尖取り付け縁と、流出端を含み、環状フレームの一部分内に位置付けられた弁尖自由縁と、弁尖自由縁に接続された選択された高さの上部材料部分と、を備え、上部材料部分は、選択された高さによって複数の交連から弁尖自由縁を軸方向にオフセットし、上部材料部分は、接合のために弁尖自由縁の半径方向の到達部を延長する材料のたるみに寄与する。
【0104】
実施例20: 各弁尖が、弁尖の対向側部からそれぞれ突出する第一の一次タブおよび第二の一次タブと、弁尖自由縁の両端にそれぞれ接続された第一の二次タブおよび第二の二次タブと、を備え、第一の二次タブおよび第二の二次タブの各々が、第一の一次タブおよび第二の一次タブと協働する対をそれぞれ形成する、本明細書の任意の実施例、特に実施例19に記載の人工弁。
【0105】
実施例21: 複数の弁尖の第一の一次タブおよび第二の一次タブならびに第一の二次タブおよび第二の二次タブが、複数の交連ノードで複数の交連を形成する、本明細書の任意の実施例、特に実施例20に記載の人工弁。
【0106】
実施例22: 各弁尖の第一の二次タブおよび第二の二次タブが、弁尖の折り目の周りで第一の一次タブおよび第二の一次タブとそれぞれ協働位置へと折り畳まれる、本明細書の任意の実施例、特に実施例20または21に記載の人工弁。
【0107】
実施例23: 各弁尖の折り目が、弁尖の弁尖自由縁と整列している、本明細書の任意の実施例、特に実施例22に記載の人工弁。
【0108】
実施例24: 各弁尖が、厚さを有する可撓性シートを備え、選択された高さが厚さよりも大きい、本明細書の任意の実施例、特に実施例19~23のいずれか1つに記載の人工弁。
【0109】
実施例25: 選択された高さが0.5mm~5mmの範囲内である、本明細書の任意の実施例、特に実施例19~23のいずれか1つに記載の人工弁。
【0110】
実施例26: 環状フレームが、複数の弁尖に対応する複数のフレームセクションを備え、フレームセクションの各々が、複数の相互接続されたストラットを備える、本明細書の任意の実施例、特に実施例19~25のいずれか1つに記載の人工弁。
【0111】
実施例27: 複数の弁尖の弁尖取り付け縁が、環状フレームの流入端に隣接する複数の相互接続されたストラットの一部分に取り付けられる、本明細書の任意の実施例、特に実施例26に記載の人工弁。
【0112】
実施例28: 各ストラットが湾曲している、本明細書の任意の実施例、特に実施例26または27に記載の人工弁。
【0113】
実施例29: 複数の相互接続されたストラットの第一の部分が、第一の湾曲した形状を形成し、複数の相互接続されたストラットの第二の部分が、第一の湾曲した形状に対して反転された第二の湾曲した形状を形成する、本明細書の任意の実施例、特に実施例28に記載の人工弁。
【0114】
実施例30: 複数のフレームセクションが、複数の主フレームポストによって相互接続され、複数の交連ノードが、主フレームポスト上に形成される、本明細書の任意の実施例、特に実施例26~29のいずれか1つに記載の人工弁。
【0115】
実施例31: 各フレームセクションが、補助フレームポストによって相互接続された第一のフレームサブセクションおよび第二のフレームサブセクションを備え、第一のフレームサブセクションおよび第二のフレームサブセクションの各々が、複数の相互接続されたストラットの一部分を備える、本明細書の任意の実施例、特に実施例30に記載の人工弁。
【0116】
実施例32: 複数の片持ちストラットをさらに備え、複数の片持ちストラットの各々が補助フレームポストおよび主フレームポストのうちの一つに取り付けられる、本明細書の任意の実施例、特に実施例31に記載の人工弁。
【0117】
実施例33: 複数の弁尖の弁尖取り付け縁が、複数の片持ちストラットに取り付けられる、本明細書の任意の実施例、特に実施例31または32に記載の人工弁。
【0118】
実施例34: 片持ちストラットが、軸方向位置に平行な第一の位置から、軸方向に対して半径方向に外向きに角度付けられた第二の位置に拡張するように付勢され、人工弁が、片持ちストラットに取り付けられた外側スカートをさらに備える、本明細書の任意の実施例、特に実施例32または33に記載の人工弁。
【0119】
実施例35: 複数の交連ノードが、環状フレームの流出端に対して軸方向にオフセットされる、本明細書の任意の実施例、特に実施例19~34のいずれか1つに記載の人工弁。
【0120】
実施例36: 複数の交連ノードが、2mm~6mmの範囲のオフセット距離だけ軸方向にオフセットされる、本明細書の任意の実施例、特に実施例35の人工弁。
【0121】
実施例37: 第一の折り畳まれた材料部分および第二の折り畳まれた材料部分が、交連ノードと流出端との間の環状フレームの一部分内に位置付けられる、本明細書の任意の実施例、特に実施例35または36に記載の人工弁。
【0122】
実施例38: 各フレームセクションが、フレームセクション内の複数の相互接続されたストラットに結合された少なくとも一つのアクチュエータ部分を備え、少なくとも一つのアクチュエータ部分が、複数の相互接続されたストラットを偏向させることによって環状フレームを半径方向に拡張または圧縮するように動作可能である、本明細書の任意の実施例、特に実施例26~37のいずれか1つに記載の人工弁。
【0123】
実施例39: 少なくとも一つのアクチュエータ部分が、軸方向に離間した一対の支持アームと、一対の支持アームと係合し、一対の支持アーム間のギャップを調整するために回転可能なねじ山付きロッドと、を備える、本明細書の任意の実施例、特に実施例38に記載の人工弁。
【0124】
実施例40: 封止部材として環状フレームの周りに配置された少なくとも一つのスカートをさらに備える、本明細書の任意の実施例、特に実施例19~39のいずれか1つに記載の人工弁。
【0125】
実施例41: 送達装置であって、ハンドルを備える送達デバイスと、送達デバイスに解放可能に結合された人工弁と、を備え、人工弁が、環状フレームと、環状フレーム内に取り付けられた弁構造と、を備え、弁構造が、環状フレームに結合された複数の交連を画定する複数の弁尖を含み、各弁尖が、フレームに取り付けられていない側縁によって交連から下流方向にオフセットされる自由縁を含む、送達装置。
【0126】
実施例42: 環状フレームが、環状フレームを半径方向に拡張または圧縮するように動作可能な少なくとも一つのアクチュエータ部分を備える、本明細書の任意の実施例、特に実施例41に記載の送達装置。
【0127】
実施例43: 送達デバイスが、ハンドルから遠位に延在する細長いシャフトと、細長いシャフトを通って遠位に延在する少なくとも一つのアクチュエータアセンブリと、をさらに備え、少なくとも一つのアクチュエータアセンブリが、少なくとも一つのアクチュエータ部分と解放可能に係合する、本明細書の任意の実施例、特に実施例42に記載の送達装置。
【0128】
実施例44: 各弁尖が、フレームに取り付けられていない側縁の間に延び、選択された高さだけ下流方向に複数の交連に対して突出する上部材料部分を備え、上部材料部分が、接合のために自由縁の半径方向の到達部を延長する材料のたるみに寄与する、本明細書の任意の実施例、特に実施例41~43のいずれか1つに記載の送達装置。
【0129】
実施例45: 各弁尖が、弁尖の対向側部からそれぞれ突出する第一の一次タブおよび第二の一次タブと、弁尖の自由縁の両端にそれぞれ接続された第一の二次タブおよび第二の二次タブと、を備え、複数の弁尖の第一の一次タブおよび第二の一次タブならびに第一の二次タブおよび第二の二次タブが複数の交連を形成する、本明細書の任意の実施例、特に実施例44に記載の送達装置。
【0130】
実施例46: 各弁尖の第一の二次タブおよび第二の二次タブが、弁尖の自由縁と整列した折り目の周りに折り畳まれる、本明細書の任意の実施例、特に実施例45に記載の送達装置。
【0131】
実施例47: 選択された高さが0.5mm~5mmの範囲内である、本明細書の任意の実施例、特に実施例44~46のいずれか1つに記載の送達装置。
【0132】
実施例48: 環状フレームが、流入端と、流出端と、流入端から流出端まで延在し、軸方向を画定する長手方向軸と、を有し、複数の交連が、流出端から軸方向にオフセットされ、各弁尖の上部材料部分が、複数の交連と流出端との間の環状フレームの一部分内に位置付けられる、本明細書の任意の実施例、特に実施例44~47のいずれか1つに記載の送達装置。
【0133】
実施例49: 実施例41~48のいずれか1つに記載の送達装置の遠位端を患者の血管系に挿入するステップと、遠位端で人工弁を選択された移植部位に前進させるステップと、ハンドルを作動させて送達デバイスから人工弁を解放するステップと、送達デバイスを、人工弁が選択された移植部位に移植された状態で、患者から引き抜くステップと、を含む、方法。
【0134】
実施例50: 送達装置の遠位端を患者の血管系に挿入する前に、人工弁を半径方向に圧縮するステップをさらに含む、本明細書の任意の実施例、特に実施例49に記載の方法。
【0135】
実施例51: ハンドルを作動させて、選択された移植部位で人工弁の半径方向の拡張を引き起こすステップをさらに含む、本明細書の任意の実施例、特に実施例49または50に記載の方法。
【0136】
実施例52: 環状フレームと、環状フレーム内に取り付けられた弁構造と、を備え、弁構造が、環状フレームに結合された複数の交連を画定する複数の弁尖を含み、各弁尖が、フレームに取り付けられていない側縁によって交連から下流方向にオフセットされた弁尖自由縁を含み、側縁が、接合のために弁尖自由縁の半径方向の到達部を延長する弁尖自由縁の両端で、それぞれ材料のたるみに寄与する、人工弁。
【0137】
実施例53: 各弁尖が、弁尖の側部上の第一の一次タブおよび第二の一次タブを備え、第一の一次タブおよび第二の一次タブが、フレームに取り付けられていない側縁によって弁尖自由縁からオフセットされ、各一次タブが、隣接する弁尖の隣接する一次タブと対にされて、交連のうちの一つを形成する、本明細書の任意の実施例、特に実施例52に記載の人工弁。
【0138】
実施例54: 各弁尖が、弁尖自由縁の両端にそれぞれ接続された第一の二次タブおよび第二の二次タブをさらに備え、第一の二次タブおよび第二の二次タブが折り目の周りに折り畳まれて、第一のおよび二次タブを第一の一次タブおよび第二の一次タブと協働関係で位置付ける、本明細書の任意の実施例、特に実施例53に記載の人工弁。
【0139】
実施例55: フレームに取り付けられていない側縁の高さが0.5mm~5mmの範囲である、本明細書の任意の実施例、特に実施例52~54のいずれか1つに記載の人工弁。
【0140】
実施例56: 封止部材として環状フレームの周りに配置された少なくとも一つのスカートをさらに備える、本明細書の任意の実施例、特に実施例52~55のいずれか1つに記載の人工弁。
【0141】
実施例57: 環状フレームが、セルの複数の列を画定するように配設された複数の湾曲したストラットを備える、本明細書の任意の実施例、特に実施例52~56のいずれか1つに記載の人工弁。
【0142】
実施例58: 環状フレームが、湾曲したストラットの少なくとも一部分に結合され、湾曲したストラットの少なくとも一部分を偏向させて環状フレームを半径方向に拡張または半径方向に圧縮するように動作可能な少なくとも一つのアクチュエータ部分をさらに備える、本明細書の任意の実施例、特に実施例57に記載の人工弁。
【0143】
実施例59: 弁尖が、開状態と閉状態との間で移動して、人工弁を通る血液の流れを調節するように構成され、フレームに取り付けられていない弁尖の側縁が、弁尖が閉状態にある時にフレームから半径方向に内向きに離間している、本明細書の任意の実施例、特に実施例52~58のいずれか1つに記載の人工弁。
【0144】
実施例60: フレームが、フレームの流入端に複数の片持ちストラットを含み、複数の片持ちストラットが、フレームの長手方向軸に平行な第一の位置から、長手方向軸に対して半径方向に外向きに角度付けられた第二の位置に拡張するように付勢され、人工弁が、複数の片持ちストラットに取り付けられた外側スカートをさらに備え、複数の片持ちストラットが、人工弁が移植部位に展開され、複数の片持ちストラットが第二の位置に移動する時に、外側スカートを周囲の組織に対して押圧するように構成される、本明細書の任意の実施例、特に実施例52~59のいずれか1つに記載の人工弁。
【0145】
実施例61: 各弁尖が、弁尖自由縁と反対の関係にある弁尖取り付け縁を備え、弁尖取り付け縁がフレームに接続されている、本明細書の任意の実施例、特に実施例53または54に記載の人工弁。
【0146】
実施例62: 弁尖取り付け縁が、切断されたV字形状を形成する、本明細書の任意の実施例、特に実施例61に記載の人工弁。
【0147】
実施例63: 各弁尖が、弁尖取り付け縁と第一の一次タブおよび第二の一次タブとの間に軸方向に延在する第一および第二の対向する側縁を備える、本明細書の任意の実施例、特に実施例61または62に記載の人工弁。
【0148】
実施例64: 人工弁が滅菌される、本明細書の任意の実施例、特に実施例52~60のいずれか1つに記載の人工弁。
【0149】
開示される発明の原理が適用され得る多くの可能な実施例を考慮すると、例示される実施例が、本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明の範囲を限定するものとみなされるべきではないことは、認識されるべきである。むしろ、本発明の範囲は、以下の請求項によって定義される。したがって、本発明者らは、その本発明者らの発明として、これらの請求項の範囲および趣旨に含まれるすべてを、特許請求する。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図11
図12
図13A
図13B
図14
図15
図16A
図16B
図17A
図17B
【国際調査報告】