(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】冷却機能付きケーブル、電流伝送機器及び電気自動車
(51)【国際特許分類】
B60K 11/06 20060101AFI20240719BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20240719BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20240719BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20240719BHJP
H01M 10/633 20140101ALI20240719BHJP
H01M 10/6572 20140101ALI20240719BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
B60K11/06
B60L50/60
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/633
H01M10/6572
H02J7/00 301A
H02J7/00 P
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503751
(86)(22)【出願日】2022-07-18
(85)【翻訳文提出日】2024-01-19
(86)【国際出願番号】 CN2022106259
(87)【国際公開番号】W WO2023001104
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】202110821578.3
(32)【優先日】2021-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202121653535.0
(32)【優先日】2021-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522388383
【氏名又は名称】長春捷翼汽車科技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Changchun JETTY Automotive Technology Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】No. 957, Shunda Road, High-tech Development Zone, Chaoyang District Changchun City, Jilin Province, 130000, China
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】王 超
【テーマコード(参考)】
3D038
5G503
5H031
5H125
【Fターム(参考)】
3D038AA09
3D038AB01
3D038AC22
5G503FA01
5G503FA06
5H031HH06
5H031KK03
5H125AA01
5H125AC12
5H125CD05
5H125EE15
5H125FF23
(57)【要約】
本願は、冷却機能付きケーブル、電流伝送機器及び電気自動車を提供し、電流伝送分野に属し、冷却機能付きケーブルは、半導体冷却モジュール、導体及び制御モジュールを含み、半導体冷却モジュールの冷却端は、前記導体の少なくとも1つの側面に設けられ、前記導体の放熱を吸収し、半導体冷却モジュールは、前記半導体冷却モジュールに供給される電気信号を制御するための前記制御モジュールに電気的に接続される。本願による冷却機能付きケーブルは、構造が簡単であり、サイズの適用範囲が広く、性能信頼性が高く、騒音なし、冷媒汚染なしという利点を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体冷却モジュール(101)と、導体(102)と、制御モジュール(103)とを含み、
前記半導体冷却モジュール(101)の冷却端は、前記導体(102)の少なくとも1つの側面に設けられており、前記導体(102)の放熱を吸収し、
前記半導体冷却モジュール(101)は、前記半導体冷却モジュール(101)に供給される電気信号を制御するための前記制御モジュール(103)に電気的に接続されていることを特徴とする冷却機能付きケーブル。
【請求項2】
前記半導体冷却モジュール(101)は、複数備えられ、複数の前記半導体冷却モジュール(101)は、並列に接続されて前記制御モジュール(103)に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の冷却機能付きケーブル。
【請求項3】
前記半導体冷却モジュール(101)は、複数備えられ、複数の前記半導体冷却モジュール(101)は、直列に接続されて前記制御モジュール(103)に接続されることを特徴とする請求項1に記載の冷却機能付きケーブル。
【請求項4】
複数の前記半導体冷却モジュール(101)は、所定距離間隔で前記導体(102)の少なくとも1つの側面に設けられていることを特徴とする請求項2又は3に記載の冷却機能付きケーブル。
【請求項5】
前記導体(102)の面積に対する、前記半導体冷却モジュール(101)における冷却端の総面積の占める割合の範囲は、3%~95%であることを特徴とする請求項1に記載の冷却機能付きケーブル。
【請求項6】
前記制御モジュール(103)と前記導体(102)との間に電気的に接続され、前記導体(102)から取得された電気エネルギーを整流処理するための整流モジュール(104)をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の冷却機能付きケーブル。
【請求項7】
前記導体(102)に設けられ、前記導体(102)の温度値を検出するための少なくとも1つの温度検出器(105)をさらに含み、
前記制御モジュール(103)は、前記温度検出器(105)に電気的に接続され、前記温度検出器(105)によって検出された温度値に基づいて、前記半導体冷却モジュール(101)に供給される電気信号を調整することを特徴とする請求項1に記載の冷却機能付きケーブル。
【請求項8】
前記温度検出器(105)が複数である場合、
前記温度検出器(105)によって検出された温度値に基づいて、前記半導体冷却モジュール(101)に供給される電気信号を調整することは、
前記温度検出器(105)によって検出された温度値に基づいて、前記導体(102)の温度分布を算出することと、
前記導体(102)の温度分布に基づいて、前記導体(102)に設けられた各前記半導体冷却モジュール(101)への給電信号を決定することと、
各前記半導体冷却モジュール(101)への給電信号に応じて、各前記半導体冷却モジュール(101)に給電することと、を含むことを特徴とする請求項7に記載の冷却機能付きケーブル。
【請求項9】
前記制御モジュール(103)は、さらに前記導体(102)と繋げられる充電モジュール(200)に電気的に接続され、充放電電流値及び充電時間長を取得し、前記充放電電流値、前記充電時間長及び前記温度検出器(105)によって検出された温度値に基づいて、前記半導体冷却モジュール(101)に供給される電気信号を調整することを特徴とする請求項7に記載の冷却機能付きケーブル。
【請求項10】
前記制御モジュール(103)が、前記充放電電流値、前記充電時間長及び前記温度検出器(105)によって検出された温度値に基づいて、前記半導体冷却モジュール(101)に供給される電気信号を調整することは、
前記充放電電流値及び前記充電時間長に基づいて、導体の発熱量を算出することと、
前記導体の発熱量及び前記導体(102)の材料情報に基づいて、前記導体(102)の理論温度上昇値を算出することと、
前記温度検出器(105)によって検出された温度値及び前記導体(102)の理論温度上昇値に基づいて、前記導体(102)の実温度上昇値を算出することと、
前記導体(102)の実温度上昇値に基づいて、前記半導体冷却モジュール(101)に供給される電気信号を調整することと、を含むことを特徴とする請求項9に記載の冷却機能付きケーブル。
【請求項11】
前記導体(102)の実温度上昇値に基づいて、前記半導体冷却モジュール(101)に供給される電気信号を調整することは、
前記導体(102)の実温度上昇値と前記導体(102)の予め設定された温度上昇値との差分値を算出することと、
前記差分値をPID制御ロジックに入力し、前記半導体冷却モジュール(101)の電気制御信号を得ることと、
前記半導体冷却モジュール(101)の電気制御信号に基づいて、前記半導体冷却モジュール(101)に供給される電気信号を調整することと、を含み、
前記PID制御ロジックにおける制御パラメータは、PID制御指標に基づいて予め調整されることを特徴とする請求項10に記載の冷却機能付きケーブル。
【請求項12】
前記制御モジュール(103)は、さらに環境パラメータ検出モジュール及び前記導体(102)と繋げられる充電モジュール(200)に電気的に接続され、前記環境パラメータ検出モジュールから環境パラメータ情報を取得し、前記充電モジュール(200)から充放電電流値及び充電時間長を取得し、前記環境パラメータ情報、前記充放電電流値及び前記充電時間長に基づいて、前記半導体冷却モジュール(101)に供給される電気信号を調整することを特徴とする請求項7に記載の冷却機能付きケーブル。
【請求項13】
前記半導体冷却モジュール(101)の前記制御モジュール(103)に接続される導線は、低圧ハーネス(106)に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の冷却機能付きケーブル。
【請求項14】
前記半導体冷却モジュール(101)は、アルミナ基板(1011)と、防水保護層(1012)と、半導体P/N層(1013)と、電源インタフェース(1014)とを含み、
前記アルミナ基板(1011)、防水保護層(1012)、半導体P/N層(1013)は、順に設けられており、
前記電源インタフェース(1014)は、半導体P/N層(1013)に電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の冷却機能付きケーブル。
【請求項15】
前記半導体冷却モジュール(101)の冷却速度は、0.05K/s~5K/sであることを特徴とする請求項14に記載の冷却機能付きケーブル。
【請求項16】
前記導体(102)と前記半導体冷却モジュール(101)との間、又は前記半導体冷却モジュール(101)の外側面に設けられており絶縁保護層(107)をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の冷却機能付きケーブル。
【請求項17】
前記絶縁保護層(107)の材質は、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ナイロン、ポリプロピレン、シリコーンゴム、架橋ポリオレフィン、合成ゴム、ポリウレタンエラストマー、ポリエチレンのうちの1種又は複数種の組み合わせであることを特徴とする請求項16に記載の冷却機能付きケーブル。
【請求項18】
前記導体(102)の横断面は、円形、楕円形、長方形、多角形、E形、F形、H形、K形、L形、T形、U形、V形、W形、X形、Y形、Z形、アーチ形、又は、波形の構造を呈することを特徴とする請求項1に記載の冷却機能付きケーブル。
【請求項19】
前記導体(102)の材質は、金属、導電性セラミックス、炭素含有導体、固体電解質、混合導体、導電性高分子材料のうちの1種又は複数種の組み合わせであることを特徴とする請求項1に記載の冷却機能付きケーブル。
【請求項20】
前記導体(102)の材質は、銅、銅合金、アルミニウム、又はアルミニウム合金であることを特徴とする請求項19に記載の冷却機能付きケーブル。
【請求項21】
前記半導体冷却モジュール(101)の外側に設けられている放熱装置をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の冷却機能付きケーブル。
【請求項22】
請求項1~21のいずれか一項に記載の冷却機能付きケーブル(100)と、充電モジュール(200)と、バッテリモジュール(300)とを含み、
前記冷却機能付きケーブル(100)の両端は、前記充電モジュール(200)によって取得した電気エネルギーを前記バッテリモジュール(300)に伝導するように、前記充電モジュール(200)及び前記バッテリモジュール(300)にそれぞれ接続されていることを特徴とする電流伝送機器。
【請求項23】
前記制御モジュール(103)は、前記制御モジュール(103)に電気エネルギーを供給するための充電モジュール(200)に接続されることを特徴とする請求項22に記載の電流伝送機器。
【請求項24】
請求項22又は23に記載の電流伝送機器を含むことを特徴とする電気自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2021年7月20日に提出され、出願番号が202110821578.3であり、発明の名称が「冷却機能付きケーブル、電流伝送機器及び電気自動車」である中国特許出願の優先権を主張し、当該特許出願の全ての内容は全てここに組み込まれる。本願は、2021年7月20日に提出され、出願番号が202121653535.0であり、発明の名称が「冷却機能付きケーブル、電流伝送機器及び電気自動車」である中国特許出願の優先権をさらに主張し、当該特許出願の全ての内容は全てここに組み込まれる。
【0002】
本願は、電流伝送分野に関し、特に、冷却機能付きケーブル、電流伝送機器及び電気自動車に関する。
【背景技術】
【0003】
世界的なエネルギー危機及び日増しに深刻になる気候温暖化の影響に伴い、新エネルギー自動車産業は、例えば電気自動車産業のように積極的に発展している産業になっているが、現在の電気自動車の充電時間が長く、電気自動車の普及を制限するネックになっている。現在、電気自動車を急速に充電する電流、は150A~400Aに達し、大電流に起因して充電ケーブルの高発熱量を発生し、電気自動車の充電電流を制限する主な要因でもある。
【0004】
この問題点を解決するために、第1に、ケーブルの断面積を大きくしてケーブルの発熱を低減させることが至急に必要とされるが、ケーブルのコストが大幅に増加する。第2に、冷却技術を用いてケーブルを降温冷却させる。
【0005】
現段階では、大電流充電ケーブルの冷却には、液冷及び空冷技術が多く用いられている。液冷技術は、冷却効果が良いが、冷却ライン、ウォータポンプ及び放熱装置等を別途に追加する必要があり、システム構造が複雑であり、安全及び安定性に対する要求が極めて高く、コストアップにもつながるという問題がある。空冷技術は、取付サイズとスペースに制限され、冷却効率が低く、余分な騒音が発生し、車両全体のNVH(騒音(Noise)、振動(Vibration)、ハーシュネス(Harshness))に影響を与えるという問題がある。
【0006】
したがって、電流伝送分野では、ケーブルを迅速に降温させ、充電電流を向上させ、ケーブルの断面積を減少させることができる冷却機能付きケーブルが至急に必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願は、従来の技術における液冷技術による導体の冷却に存在する構造が複雑であり、コストが高いという問題を解決し、空冷技術による導体の冷却に存在する冷却効率が低く、騒音が大きいという問題を解決するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記技術的課題を解決するために、本願の第1の態様は、半導体冷却モジュール101と、導体102と、制御モジュール103とを含み、前記半導体冷却モジュール101の冷却端は、前記導体102の少なくとも1つの側面に設けられ、前記導体102の放熱を吸収し、前記半導体冷却モジュール101は、前記半導体冷却モジュール101に供給される電気信号を制御するための前記制御モジュール103に電気的に接続される冷却機能付きケーブルを提供する。
【0009】
本願の第2の態様は、前述のいずれかの実施例に記載の冷却機能付きケーブル100と、充電モジュール200と、バッテリモジュール300とを含み、前記冷却機能付きケーブル100の両端は、前記充電モジュール200の取得した電気エネルギーを前記バッテリモジュール300に伝導するように、前記充電モジュール200及び前記バッテリモジュール300にそれぞれ接続されている電流伝送機器を提供する。
【0010】
本願のさらなる実施例において、制御モジュール103は、前記制御モジュール103に電気エネルギーを供給するための充電モジュール200に接続される。
【0011】
本願の第3の態様は、前述のいずれかの実施例に記載の電流伝送機器を含む電気自動車を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本願による冷却機能付きケーブル、電流伝送機器及び電気自動車は、半導体冷却モジュールからなる冷却層構造を導体の側面に設け、半導体冷却モジュールが制御モジュールによって給電されることにより、導体に高圧大電流が流れる時に、生成された熱量を半導体冷却モジュールによって吸収して、導体の温度上昇を低下させる目的を達成でき、導体のサイズが一定である時に、より大きい電流を運搬して温度上昇の要求を満たすことができる。本願による冷却機能付きケーブルは、半導体冷却モジュール、制御モジュールだけで導体の降温を実現できるため、構造が簡単であるという利点を有する。本願による冷却機能付きケーブルは、半導体冷却モジュールを導体の側面に設けるだけでよいため、サイズの適用範囲が広いという利点を有する。本願による冷却機能付きケーブルは、半導体冷却モジュールが導体を降温させるように、制御モジュールによって半導体冷却モジュールの電気信号の供給を制御するため、性能信頼性が高く、騒音なし、冷媒汚染なしという利点を有する。
【0013】
本願の上記及び他の目的、特徴及び利点をより明確でわかりやすくするために、以下、好ましい実施例を挙げて、添付図面参照しながら以下の通りに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
以下、本願の実施例又は従来の技術における技術案をより明確に説明するために、実施例又は従来の技術の記述に必要な図面を簡単に紹介し、明らかなように、以下の記述における図面は、本願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとっては、創造的な労力を払うことなく、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【0015】
【
図1】
図1は、本願の実施例に係る冷却機能付きケーブルの構造図を示す。
【
図2A】
図2Aは、本願の実施例に係る冷却機能付きケーブルの一断面図を示す。
【
図2B】
図2Bは、本願の実施例に係る冷却機能付きケーブルの一断面図を示す。
【
図3】
図3は、本願の実施例に係る冷却機能付きケーブルの他の断面図を示す。
【
図4】
図4は、本願の実施例に係る冷却機能付きケーブルの第1の回路図を示す。
【
図5】
図5は、本願の実施例に係る冷却機能付きケーブルの第2の回路図を示す。
【
図6】
図6は、本願の実施例に係る冷却機能付きケーブルの部分拡大図を示す。
【
図7】
図7は、本願の実施例に係る半導体冷却モジュールの電気信号に対する制御モジュールの調整プロセスを示す第1のフローチャートである。
【
図8】
図8は、本願の実施例に係る半導体冷却モジュールの電気信号に対する制御モジュールの調整プロセスを示す第2のフローチャートである。
【
図9】
図9は、本願の実施例に係る半導体冷却モジュールの電気信号に対する制御モジュールの調整プロセスを示す第3のフローチャートである。
【
図10】
図10は、本願の実施例に係る電流伝送機器の断面図を示す。
【
図11】
図11は、本願の実施例に係る半導体冷却モジュールの構造図を示す。
【
図12】
図12は、本願の実施例に係るコンピュータ機器の構造図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本願の実施例における図面を参照しながら、本願の実施例における技術案を明確且つ完全に記述し、記述される実施例は、本願の一部の実施例に過ぎず、全部の実施例ではないことが明らかである。本願における実施例に基づき、当業者が創造的な労力を払うことなく得られた他の全ての実施例は、いずれも本願の保護範囲に属する。
本明細書は、実施例又はフローチャートに記載される方法の操作ステップを提供したが、通常的又は非創造的な労力に基づいて、より多い又はより少ない操作ステップが含まれてもよい。実施例で列挙されたステップの順序は、多くのステップ実行順序の一形態に過ぎず、唯一の実行順序を表すものではない。実際のシステム又は装置製品が実行されるとき、実施例又は図面に示された方法の順序に従って実行されたり、並行に実行されたりしてもよい。
【0017】
本願の概略的な実施例及びその説明は、本願を説明するためのものであるが、本願を限定するものではない。また、図面及び実施形態で使用された同一又は類似の符号の素子/構成要素は、同一又は類似の部分を表すためのものである。
【0018】
従来の技術において、大電流導体の冷却は、主に液冷及び空冷技術を用いて実現される。ここで、液冷技術は、冷却ライン、ウォータポンプ及び放熱装置等を別途に追加する必要があり、システム構造が複雑であり、安全及び安定性に対する要求が極めて高く、コストアップにもつながるという問題がある。空冷技術は、取付サイズとスペースに制限され、冷却効率が低く、余分な騒音が発生し、車両全体のNVHに影響を与えるという問題がある。
【0019】
上記技術的課題を解決するために、本願の一実施例において、構造が簡単であり、サイズの適用範囲が広く、性能信頼性が高く、騒音なし、冷媒汚染なし、という利点を有する新型冷却機能付きケーブルを提供する。
【0020】
具体的には、
図1及び
図5に示すように、冷却機能付きケーブルは、半導体冷却モジュール101、導体102及び制御モジュール103を含み、前記半導体冷却モジュール101の冷却端は、前記導体102の少なくとも1つの側面に設けられ、前記導体102の放熱を吸収する。
前記半導体冷却モジュール101は、前記半導体冷却モジュール101に供給される電気信号を制御するための前記制御モジュール103に電気的に接続される。
【0021】
詳細には、原理的には、半導体冷却モジュール101は、熱伝達具である。1つのN型半導体材料と1つのP型半導体材料とが連結された熱電対に電流が流れる時に、両端の間に熱量移行が発生し、熱量が一端から他端に移行することで、温度差が発生してホットコールド端が形成される。本願に記載される半導体冷却モジュール101は、冷却端に加えて、冷却端に対向して設けられているホット端をさらに含み、半導体冷却モジュール101には、従来の技術に既存の半導体冷却モジュールが用いられてもよく、導体のサイズに応じてカスタマイズされてもよく、半導体冷却モジュール101は、導体102を完全に覆ってもよく、導体102の一部を覆ってもよい。
【0022】
半導体冷却モジュール101の放熱又は吸熱の大きさは、電流の大きさによって決められるため、本願に記載される半導体冷却モジュール101は、前記制御モジュール103によって、前記半導体冷却モジュール101に供給される電気信号(電流信号及び電圧信号を含む)を制御できることで、前記導体102の温度上昇を制御する効果が得られ、冷却機能付きケーブルを安定した温度で作動させることができる。
【0023】
制御モジュール103によって半導体冷却モジュール101に給電し(例えば、低圧12V直流電)、制御モジュール103は、半導体冷却モジュール101との間の接続線の導通を制御することにより、半導体冷却モジュール101のアクセス制御を実現することができ、具体的な実施の際に、作業者によって実際の需要に応じて半導体冷却モジュール101の制御ロジックを設置してもよく、例えば、異なる時間区間に異なる半導体冷却モジュール101をアクセスさせるか、又は、導体102の異なる電気信号に応じて異なる半導体冷却モジュール101をアクセスさせてもよく、本願では、半導体冷却モジュールに供給される電気信号に対する制御モジュール103の制御ロジックについて限定せず、電気信号の制御を実現可能なロジックであれば、いずれも本願の保護範囲に属する。
本願の給電及び制御方式により、冷却機能付きケーブルの構造を簡略化し、冷却効率を向上させ、エネルギーの無駄を回避させることができる。
【0024】
制御モジュール103は、中央処理ユニット(Central Processing Unit、CPU)であるか、又は、他のプログラマブルな一般用途や特殊用途のマイクロプロセッサ(Microprocessor)、デジタル信号プロセッサ(Digital Signal Processor、DSP)、プログラマブルな制御モジュール、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit、ASIC)又は他の類似素子又は上記素子の組み合わせであってもよく、本願では、制御モジュール103のタイプ、型番等を具体的に限定しない。
【0025】
いくつかの実施形態において、半導体冷却モジュール101が導体102に完全に密着できるようにするために、半導体冷却モジュール101は複数備えられてもよく、複数の半導体冷却モジュール101のサイズは同じであっても異なってもよく、具体的には、導体のサイズに応じて調整される。
【0026】
いくつかの実施形態において、半導体冷却モジュール101の外形サイズは、最大サイズを60mm×60mm以上、厚さを4.1mm以下とすることができ、最大冷却パワーは270Wとすることができ、単層の最大温度差は60°C以上とすることができる。
【0027】
さらに、各半導体冷却モジュール101の温度を正確に制御できるようにするために、複数の半導体冷却モジュール101は、並列に接続されて制御モジュール103に電気的に接続されることにより、各半導体冷却モジュール101への給電信号を独立に制御することができる。
【0028】
さらに、複数の半導体冷却モジュール101の型番、パワーが完全に一致する場合、複数の半導体冷却モジュール101は、直列に接続されて制御モジュール103に電気的に接続されることにより、各半導体冷却モジュール101への給電信号が一致するようにする。
【0029】
複数の半導体冷却モジュール101は、一定の距離間隔(
図1に示すように、例えば10cmであり、具体的な間隔距離は半導体冷却モジュール101の温度上昇状況に応じて定められてもよい)ごとに、導体102の側面に設けられてもよく、導体102の側面に隣接して(即ち、隙間なしに)設けられてもよく、具体的にどのような方式で設けるかは、導体102の作動状態での温度上昇状況に応じて決められてもよい。
【0030】
冷却効果を確保するために、導体102の面積に対する、半導体冷却モジュール101における冷却端の総面積の占める割合の範囲は、3%~95%である。
【0031】
発明者は、導体102の面積に対する、半導体冷却モジュール101における冷却端の総面積の占める割合の範囲の導体102の温度上昇への影響を検証するために、同じ断面積、同じ材質、同じ長さの13本のケーブルを選択し、同じ電流を流し、異なる半導体冷却モジュール101における冷却端が導体102を覆う面積割合を用い、各ケーブルの温度上昇値を読み取り、表1に記録した。
【0032】
実験方法として、密閉された環境で、導体102の面積に対する、異なる半導体冷却モジュール101における冷却端の総面積の占める割合を覆うケーブルに、同じ電流を導通させ、通電前の温度及び通電後の温度が安定した時の温度を記録し、差を減算して絶対値を取る。本実施例において、温度上昇が50K未満であるものを合格値とした。
【0033】
表1は、導体102の面積に対する、異なる半導体冷却モジュール101における冷却端の総面積の占める割合のケーブルの温度上昇への影響を示す。
【0034】
【0035】
上記表1から分かるように、導体102の面積に対する、半導体冷却モジュール101における冷却端の総面積の占める割合が3%未満である場合、ケーブルの温度上昇値が合格値より大きい。覆う面積の割合が大きいほど、温度上昇値が小さくなるが、ケーブルの使用中、必然的に両端のジョイント及び中間の曲がり領域が半導体冷却モジュール101に覆われないため、発明者は、導体102の面積に対する、半導体冷却モジュール101における冷却端の総面積の占める割合を、3%~95%に設定した。
【0036】
図2Aに示すように、半導体冷却モジュール101は、熱伝導性接着剤によって導体102に固定して設けられ、具体的な実施の際に、さらに、例えばネジ固定のように他の方式を用いて、半導体冷却モジュール101を導体102に固定して設けてもよく、本願ではこれを限定しない。振動レベルの要求が高い作業状況に対しては、固定フレームを別途に追加する方式で半導体冷却モジュール101を固定することにより、振動減衰能力を向上させることができる。
【0037】
放熱効率を向上させるために、導体102の両側にいずれも半導体冷却モジュール101が設けられている。さらなる実施例において、導体の使用状況に応じて、降温の需要が大きい場合、多層の半導体冷却モジュール101が重ね合せられる方式で多段冷却を実現し、さらに降温能力を向上させることもできる。
図3に示すように、導体102の両側に2層の半導体冷却モジュール101を設けることもできる。
【0038】
本実施例による冷却機能付きケーブル100に高圧大電流が流れる時に生成された熱量は、導体102を外包した半導体冷却モジュール101に吸収されることで、導体の温度上昇を低下させる目的を達成し、導体102のサイズが一定である時に、より大きい電流を運搬して温度上昇の要求を満たすことができる。
【0039】
本願のさらなる実施例において、
図4に示すように、冷却機能付きケーブルは、制御モジュール103と導体102との間に電気的に接続され、導体102から取得された電気エネルギーを整流処理し、導体102における電流を制御モジュール103の給電電流に変換するための整流モジュール104をさらに含む。導体102が伝送する電流及び電圧は、いずれも制御モジュール103及び半導体冷却モジュール101の給電要求を必ずしも満たすものではないため、導体102から電気エネルギーを取得できるようにするために、さらに、導体102から引き出された電流を、整流モジュールによって、制御モジュール103及び半導体冷却モジュール101が使用可能な電流及び電圧に変換する必要がある。
【0040】
本実施例は、電源の設置を省略するとともに、導体102によって制御モジュールに給電することができ、回路を簡略化し、制御モジュール103と半導体冷却モジュール101に給電する多くの線路を減少させることができるとともに、外部電源からの電源供給のなしによる半導体冷却モジュール101が作動できない状況の発生も回避させることができる。
【0041】
本願のさらなる実施例において、冷却機能付きケーブルは、導体に設けられ、導体の温度値を検出するための少なくとも1つの温度検出器をさらに含み、制御モジュールは、温度検出器に電気的に接続され、温度検出器によって検出された温度値に基づいて、半導体冷却モジュール101に供給される電気信号を調整する。
【0042】
本願のさらなる実施例において、
図1、
図5及び
図6に示すように、冷却機能付きケーブルは、導体102に分布して設けられ、導体102の温度値を検出するための複数の温度検出器105をさらに含む。具体的な実施の際に、温度検出器105が多く配置され、且つ分布が均一であるほど、検出された温度は実際の状況に適合する。
制御モジュール103は、温度検出器105に電気的に接続され、温度検出器105によって検出された温度値に基づいて、半導体冷却モジュール101に供給される電気信号を調整する。
【0043】
いくつかの実施形態において、制御モジュール103が温度検出器105によって検出された温度値に基づいて、半導体冷却モジュール101に供給される電気信号を調整するプロセスは、温度検出器105によって検出された温度値と前記導体102の予め設定された温度上昇値との差分値を算出するステップと、前記差分値をPID制御ロジックに入力し、前記半導体冷却モジュール101の電気制御信号を得るステップと、前記半導体冷却モジュール101の電気制御信号に基づいて、前記半導体冷却モジュール101に供給される電気信号を調整するステップと、を含み、ここで、前記PID制御ロジックにおける制御パラメータは、PID制御指標に基づいて予め調整される。
【0044】
具体的な実施の際に、予め設定された温度上昇値は、導体の応用シナリオ及び導体が耐えられる最大温度上昇値に基づいて定められてもよく、本願ではその具体的な値を限定しない。
【0045】
本実施例による冷却機能付きケーブルは、温度制御機能が追加された後、温度をリアルタイムに検出して吸熱量を制御し、閉ループ制御を実現することができる。異なる条件での導体の通電容量に基づいて、導体に対して異なる温度上昇制御を行うことができる。
【0046】
一具体的な実施形態において、
図7に示すように、温度検出器105が複数である場合、制御モジュール103が、温度検出器105によって検出された温度値に基づいて、半導体冷却モジュール101に供給される電気信号を調整することは、以下のステップを含む。
ステップ701:温度検出器105によって検出された温度値に基づいて、導体102の温度分布を算出する。
具体的な実施の際に、Bスプライン補間法で導体102の温度分布を確立してもよく、具体的な実施の際に、さらに、他のモデリング方法で導体102の温度分布を確立してもよく、本願では温度分布の確立プロセスを具体的に限定しない。
【0047】
ステップ702:導体102の温度分布に基づいて、導体102における各半導体冷却モジュール101への給電信号を決定する。
本ステップにおいて、導体102における温度が高い部位であるほど、その位置に対応する半導体冷却モジュール101への給電信号が大きくなる。
具体的な実施の際に、制御モジュール103は、予め設定された温度調整ロジック(表2に示す)に基づいて、導体102における各半導体冷却モジュール101への給電信号を決定することができる。
【0048】
表2は、温度検出器によって検出された導体の温度範囲と制御モジュールの給電電流との対応関係を示す。
【0049】
【0050】
ステップ703:各半導体冷却モジュール101への給電信号に応じて、各半導体冷却モジュール101に給電する。
【0051】
本願の一実施例において、上記ステップ702として、前記導体102の温度分布に基づいて、前記導体102における各前記半導体冷却モジュール101の給電電流を決定することは、以下のステップを含む。
ステップ7021:前記導体102の温度分布及び前記導体102の予め設定された温度上昇値に基づいて、差分値分布を算出する。
ステップ7022:前記差分値分布に基づいて、前記半導体冷却モジュール101に供給される電気信号を調整する。
具体的な実施の際に、ステップ7022は、前記差分値分布をPID制御ロジックに入力し、前記半導体冷却モジュール101の電気信号の制御信号を得るステップと、前記半導体冷却モジュール101の電気制御信号に基づいて、前記半導体冷却モジュール101に供給される電気信号を調整するステップと、を含み、ここで、前記PID制御ロジックにおける制御パラメータは、PID制御指標に基づいて予め調整される。
【0052】
本願のさらなる実施例において、半導体冷却モジュール101の電気信号をより正確に調整するために、制御モジュール103は、さらに導体102と繋げられる充電モジュール200に電気的に接続され、充放電電流値及び充電時間長を取得し、充放電電流値、充電時間長及び温度検出器によって検出された温度値に基づいて、半導体冷却モジュール101に供給される電気信号を調整する。
【0053】
具体的には、
図8に示すように、制御モジュール103が、充放電電流値、充電時間長及び温度検出器によって検出された温度値に基づいて、前記半導体冷却モジュールに供給される電気信号を調整することは、以下のステップを含む。
ステップ801:充放電電流値及び充電時間長に基づいて、導体の発熱量を算出する。
本ステップにおいて、Q=I
2×R×tにより導体の発熱量を算出することができ、ここで、Qは導体の発熱量、Iは充放電電流値、tは充電時間長、Rは導体の抵抗である。
【0054】
ステップ802:導体の発熱量及び導体の材料情報に基づいて、導体の理論温度上昇値を算出する。
導体の発熱量は、充放電発熱量である。本ステップは、下記式により導体の理論温度上昇値を算出することができ、下記式は、導体温度上昇実験によるテストデータのフィッティングにより得られる。
【数1】
【0055】
ここで、Twは理論温度上昇値、Qは導体の発熱量、tは充電時間長、Aは有効放熱面積、KTは導体表面総合放熱係数、A及びKTは導体の材料情報である。
導体の発熱量及び導体の材料情報に基づいて、導体の理論温度上昇値を算出することは、従来の技術を参照することができ、ここではこれ以上限定しない。
【0056】
ステップ803:温度検出器によって検出された温度値及び導体の理論温度上昇値に基づいて、導体の実温度上昇値を算出する。
本ステップの実行プロセスは、まず、前記温度検出器によって検出された温度値に基づいて、温度上昇補正係数を決定するステップを含み、具体的に、温度検出器によって検出された温度が温度上昇算出標準温度値より大きい場合、温度補正係数は1より大きく、且つ温度検出器によって検出された温度が高いほど、係数も大きくなる。温度検出器によって検出された温度が温度上昇算出標準温度値より小さい場合、温度補正係数は1未満であり、且つ温度検出器によって検出された温度が低いほど、係数は小さくなる。下記式により前記導体の実温度上昇値を算出する。
【数2】
【0057】
ここで、Twは理論温度上昇値、Kwは温度補正係数、Tは実温度上昇値である。
【0058】
ステップ804:前記導体の実温度上昇値に基づいて、前記半導体冷却モジュールに供給される電気信号を調整する。
本実施例は、充放電情報と温度検出器による温度値、及び事前に予測して得られた実温度上昇値に基づいて、且つ実温度上昇値に基づいて、半導体冷却モジュール101の電気信号を調整することにより、導体の温度ができるだけ速やかに作動温度内に到達する可能にし、温度制御の効率及び精度を向上できる。
【0059】
本願のさらなる実施例において、
図9に示すように、半導体冷却モジュール101の電流調整が自動調節能力を有するようにするために、上記ステップ804として、導体102の実温度上昇値に基づいて、前記半導体冷却モジュール101に供給される電気信号を調整することは、以下のステップを含む。
ステップ901:前記導体102の実温度上昇値と前記導体102の予め設定された温度上昇値との差分値を算出する。
ステップ902:差分値をPID制御ロジックに入力し、半導体冷却モジュール101の電気制御信号を得る。
本ステップの実施の際に、導体102の実温度上昇値と予め設定された温度上昇値との間にバラツキが存在する場合のみ、半導体冷却モジュール101の電気制御信号が生成され、導体102の実温度上昇値と予め設定された温度上昇値が等しい場合、導体102の温度を予め設定された温度上昇値内に制限することで導体102の安全を確保でき、このとき、半導体冷却モジュール101の電気制御信号は生成しない。
ここで、PID制御ロジックにおける制御パラメータは、PID制御指標に基づいて予め調整される。PID制御ロジックは、比例制御、積分制御及び微分制御の3つの部分を含む。PID制御指標は、立ち上がり時間、オーバーシュート量、調節時間、定常誤差を含む。PID制御ロジックにおける制御パラメータの調整は、従来の技術を参照することができ、ここではこれ以上詳細に説明しない。
【0060】
ステップ903:半導体冷却モジュール101の電気制御信号に基づいて、半導体冷却モジュール101に供給される電気信号を調整する。
本願のさらなる実施例において、導体の温度制御精度を向上させ、その算出値が実際の状況により適合するようにするために、制御モジュール103は、さらに環境パラメータ検出モジュール及び前記導体と繋げられる充電モジュール200に電気的に接続され、環境パラメータ検出モジュールから環境パラメータ情報を取得し、充電モジュールから充放電電流値及び充電時間長を取得し、環境パラメータ情報、前記充放電電流値及び充電時間長に基づいて、前記半導体冷却モジュールに供給される電気信号を調整する。
詳細には、環境パラメータ情報は、環境湿度、環境温度、環境圧力などを含むが、これらに限定されない。
【0061】
環境パラメータ情報、前記充放電電流値及び充電時間長に基づいて、前記半導体冷却モジュールに供給される電気信号を調整することは、以下のステップを含む。
(1)充放電電流値及び充電時間長に基づいて、導体の発熱量を算出する。
(2)導体の発熱量及び導体の材質情報に基づいて、導体102の理論温度上昇値を算出する。
(3)環境パラメータ情報及び導体102の理論温度上昇値に基づいて、導体102の実温度上昇値を算出する。
本ステップにおいて、本ステップの実行プロセスは、まず、環境パラメータ情報に基づいて、温度上昇補正係数を決定するステップを含み、具体的に、各環境パラメータ情報に対して、いずれも1つの補正係数を算出し(各補正係数の算出プロセスは、前述した実施例に記載される温度補正係数を参照し、ここではこれ以上詳細に説明しない)、環境パラメータ情報に対応する全ての補正係数を重み付け加算(下記式1に示す)又は乗算(下記式2に示す)して最終補正係数が得られ、最終補正係数に前記導体102の理論温度上昇値を乗算して、前記導体102の実温度上昇値を算出する。
K=a1×Kw1+・・・+an×Kwn(式1)
K=a1×Kw1×・・・×Kwn(式2)
ここで、Kは最終補正係数であり、は係数であり、a1・・・anは既知量であり、環境パラメータの重要度に応じて定められ、aは既知量であり、iはi番目の環境パラメータを表し、Kw1・・・Kwnは環境パラメータ値である。
(4)前記導体102の実温度上昇値に基づいて、前記半導体冷却モジュール101に供給される電気信号を調整する。
【0062】
本願のさらなる実施例において、
図1、
図6及び
図10に示すように、半導体冷却モジュール101における制御モジュール103に接続される導線は、低圧ハーネス106に設けられている。
本実施例は、半導体冷却モジュール101における制御モジュール103に接続される導線を低圧ハーネス106に設けることにより、線路が明確になるように確保し、半導体冷却モジュールの調整及び差し替えを容易にすることができるとともに、高低圧電源システムの安全な隔離を実現することもできる。
【0063】
本願のさらなる実施例において、
図11に示すように、半導体冷却モジュール101は、アルミナ基板1011と、防水保護層1012と、半導体P/N層1013と、電源インタフェース1014とを含む。
アルミナ基板1011、防水保護層1012、半導体P/N層1013は順次に設けられている。電源インタフェース1014は、半導体P/N層1013に電気的に接続される。
アルミナ基板1011は、半導体冷却モジュール101のホット端、すなわち放熱端を構成する。半導体P/N層1013は、半導体冷却モジュール101の冷却端、すなわち吸熱端を構成する。
【0064】
本実施例は、アルミナ基板1011を半導体冷却モジュールの表面とすることにより、熱伝導率を向上させて、熱伝導速度をより速くし、冷却時間をより短くすることができ、耐えられる強度を大きく、フレキシブル接続が可能であり、導体により良く密着されて、導体の折り曲げ箇所の表面応力を効果的に吸収でき、取付及び使用中に潰れにくい。半導体冷却モジュールのコア部に、特種な半導体材料からなるP-N接合が用いられ、1つのN型半導体材料と1つのP型半導体材料とが連結された熱電対に電流が流れる時に、両端の間に熱量移行が発生し、熱量は一端から他端に移行されることで、温度差が発生してホットコールド端を形成し、即ち、直流電流を制御することにより冷却制御を実現することができる。
前記半導体冷却モジュール101の冷却速度は、0.05K/s~5K/sである。
【0065】
発明者は、半導体冷却モジュール101の冷却速度の導体102の温度上昇への影響を検証するために、同じ断面積、同じ材質、同じ長さの10本のケーブルを選択し、同じ電流を流し、異なる冷却速度の半導体冷却モジュール101を用いてケーブルを冷却し、各ケーブルの温度上昇値を読み取り、表3に記録した。
【0066】
実験方法として、密閉された環境で、異なる冷却速度の半導体冷却モジュール101を用いたケーブルに、同じ電流を導通させ、通電前の温度及び通電後の温度が安定した時の温度を記録し、差を減算して絶対値を取る。本実施例において、温度上昇が50K未満であるものを合格値とした。
【0067】
表3は、異なる冷却速度の半導体冷却モジュール101のケーブルの温度上昇への影響を示す。
【0068】
【0069】
上記表3から分かるように、半導体冷却モジュール101の冷却速度が0.05K/sより小さい場合、ケーブルの温度上昇値が合格値より大きく、半導体冷却モジュール101の冷却速度が大きいほど、温度上昇値が小さくなる。しかし、半導体冷却モジュール101の冷却速度が5K/sより大きい場合、ケーブル自体の発熱量及び半導体冷却モジュール101自体のパワーの影響を受け、温度上昇値の低下は顕著ではないが、かえって半導体冷却モジュール101のパワーが増大し、経済性に適合しない。したがって、発明者は、半導体冷却モジュール101の冷却速度を0.05K/s~5K/sに設定した。
【0070】
本願のさらなる実施例において、導体の安全を確保するために、導体102の周囲に絶縁保護層107が設けられ、
図2A及び
図2Bに示すように、絶縁保護層107は、前記導体102と前記半導体冷却モジュール101との間、又は、前記半導体冷却モジュール101の外側面に設けられている。
【0071】
本願のさらなる実施例において、絶縁保護層107の材質は、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ナイロン、ポリプロピレン、シリコーンゴム、架橋ポリオレフィン、合成ゴム、ポリウレタンエラストマー、架橋ポリエチレン、ポリエチレンのうちの1種又は複数種の組み合わせである。
さらに、火災による導体の焼失を回避するために、絶縁保護層の外に耐火層がさらに設けられている。
【0072】
本願のさらなる実施例において、前記導体102の横断面は、円形、楕円形、長方形、多角形、E形、F形、H形、K形、L形、T形、U形、V形、W形、X形、Y形、Z形、アーチ形、或いは、波形の構造を呈し、ここで、アーチ形は、半アーチ形、鋭角アーチ形、鈍角アーチ形などを含む。導体102の断面形状は、設計者が実際の配置環境に応じて導体102の異なる形状の断面を選択するように、様々な形状に設計され、ケーブルの体積を減少させ、ケーブルの組み立て環境を最適化し、ケーブルの安全性を向上させる。
【0073】
本願のさらなる実施例において、本願に記載される導体102の材質は、金属、導電性セラミックス、炭素含有導体、固体電解質、混合導体、導電性高分子材料のうちの1種又は複数種の組み合わせであってもよい。
具体的な実施の際に、本願に記載される導体102の材質は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金のうちのいずれか1つであり、電気自動車のケーブルは、電圧が高く、電流が大きいため、いずれも大線径の導線を用いて電流の伝導を行う必要があり、銅材質の導体材料は、導電性能がよく、延展性がよく、ケーブル導体材料として好ましい。しかし、銅の価格が日増しに上昇することに伴い、銅材を導線として使用する材料コストがもっともっと高くなっている。そのため、人々は金属銅の代替品を探してコストを低減させ始める。地殻における金属アルミニウムの含有量は約7.73%であり、精錬技術が最適化された後、価格が相対的に低く、且つ銅に対してアルミニウムの重量が軽く、導電率が銅の次ぎに大きく、電気接続分野において、アルミニウムは一部の銅を代替することができる。したがって、自動車の電気接続分野において、アルミニウムで銅を代替することが発展動向である。
【0074】
本願のさらなる実施例において、放熱効果をさらに向上させるために、冷却機能付きケーブルは、前記半導体冷却モジュール101の外側に設けられている放熱装置をさらに含み、具体的な実施の際に、放熱装置は、半導体冷却モジュール101の外側面に近接するか、又は、半導体冷却モジュール101の外側面に密着してもよく、具体的には、放熱装置のタイプに応じて定められる。
【0075】
本願に記載される放熱装置は、ファン、熱交換器、液冷装置、放熱フィンを含むが、これらに限定されず、放熱フィンは、金属で製造されることが好ましい。ここで、ファン、熱交換器、液冷装置などの大型機器は、半導体冷却モジュール101に近接する位置に設けられ、放熱フィンは、半導体冷却モジュール101に密着して設けられている。本願のさらなる実施例において、
図5に示すように、前述のいずれかの実施例に記載の冷却機能付きケーブル100と、充電モジュール200と、バッテリモジュール300とを含む電流伝送機器をさらに提供する。
【0076】
冷却機能付きケーブル100の両端は、充電モジュール200の取得した電気エネルギーをバッテリモジュール300に伝導するように、充電モジュール200及び前記バッテリモジュール300にそれぞれ接続されている。
【0077】
いくつかの実施形態において、本願に記載される充電モジュール200は急速充電ドックであり、バッテリモジュール300はBMS(Battery management system)バッテリ管理モジュールである。
【0078】
本願のさらなる実施例において、制御モジュール103は、充電モジュール200にも接続され、充電モジュール200によって前記制御モジュール103に電気エネルギーを供給する。
【0079】
本願のさらなる実施例において、前述のいずれかの実施例に記載の電流伝送機器を含む電気自動車をさらに提供する。
【0080】
本願のさらなる実施例において、制御モジュールによって実行される方法は、コンピュータ機器において実行されてもよく、当該コンピュータ機器は、例えば中央制御機器であり、
図12に示すように、1つ又は複数のプロセッサ1304、例えば1つ又は複数の中央処理ユニット(CPU)を含んでもよく、各処理ユニットは、1つ又は複数のハードウェアスレッドを実現してもよい。コンピュータ機器1302は、さらに、コード、設定、データなどのような任意の種類の情報を記憶するための任意のメモリ1306を含んでもよい。非限定的に、例えば、メモリ1306は、任意のタイプのRAM、任意のタイプのROM、フラッシュメモリ機器、ハードディスク、光ディスクなどのうちのいずれか1つ又は複数の組み合わせを含んでもよい。より一般的に、任意のメモリは、いずれも任意の技術を用いて情報を記憶することができる。さらに、任意のメモリは、情報を揮発的又は非揮発的に保持することができる。さらに、任意のメモリは、コンピュータ機器1302の固定又は取り外し可能な部材を示すことができる。1つの場合において、プロセッサ1304が任意のメモリ又はメモリの組み合わせに記憶された関連付けられた指令を実行する時、コンピュータ機器1302は、関連付けられた指令の任意の操作を実行することができる。コンピュータ機器1302は、ハードディスク駆動機構、光ディスク駆動機構などの任意のメモリとインタワーキングするための1つ又は複数の駆動機構1308をさらに含む。
【0081】
コンピュータ機器1302は、さらに、各種の入力を(入力機器1312を介して)受け付け、且つ各種の出力を(出力機器1314を介して)提供するための入力/出力モジュール1310(I/O)を含んでもよい。1つの具体的な出力機構は、提示機器1316と、関連付けられたグラフィカルユーザインタフェース1318(GUI)とを含んでもよい。他の実施例において、さらに、入力/出力モジュール1310(I/O)、入力機器1312及び出力機器1314を含まず、ただネットワークにおける1台のコンピュータ機器としてもよい。コンピュータ機器1302は、さらに、1つ又は複数の通信リンク1322を介して他の機器とデータのやり取りをするための1つ又は複数のネットワークインタフェース1320を含んでもよい。1つ又は複数の通信バス1324は、上述した部材を結合させる。
【0082】
通信リンク1322は、例えば、ローカルエリアネットワーク、広域ネットワーク(例えば、インターネット)、ポイントツーポイント接続など又はそれらの任意の組み合わせによって任意の方式で実現されてもよい。通信リンク1322は、任意のプロトコル又はプロトコルの組み合わせに準拠したハードワイヤードリンク、無線リンク、ルータ、ゲートウェイ機能、ネームサーバなどの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0083】
図7~
図9の方法に対応して、本願の実施例は、コンピュータプログラムが記憶されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、当該コンピュータプログラムがプロセッサによって実行される時、上記方法のステップが実行されるコンピュータ読み取り可能な記憶媒体をさらに提供する。
【0084】
本願の実施例は、コンピュータ読み取り可能な指令をさらに提供し、ここで、プロセッサが前記指令を実行する時、そのうちのプログラムは、プロセッサに
図7~
図9に示されるような方法を実行させる。
【0085】
理解すべきこととして、本願の各種の実施例において、上記の各プロセスの番号の大きさは、実行順序の前後を意味するものではなく、各プロセスの実行順序は、その機能及び内的ロジックによって決定されるべきであり、本願の実施例の実施プロセスに対する何らの限定となるべきではない。
【0086】
さらに理解すべきこととして、本願の実施例において、用語「及び/又は」は、関連オブジェクトの関連関係を説明するためのものに過ぎず、3つの関係が存在し得ることを表す。例えば、A及び/又はBである場合、「Aが単独で存在する」、「AとBが同時に存在する」、「Bが単独で存在する」という3つの場合を表すことができる。また、本願における「/」という文字は、一般的に前後の関連オブジェクトが「又は」の関係であることを表す。
【0087】
当業者であれば認識できるように、本願に開示された実施例と合わせて説明された各例示のユニット及びアルゴリズムステップは、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア又は両者の組み合わせで実現でき、ハードウェアとソフトウェアの互換可能性を明確に説明するために、上記説明においてすでに機能ごとに各例示の構成及びステップを一般的に説明した。これらの機能が果たしてハードウェアの形態で実行されるのか、それともソフトウェアの形態で実行されるのかは、技術的手段の特定の応用及び設計の規制条件によるものである。当業者は、各特定の応用に対して異なる方法を用いて、説明された機能を実現してもよいが、このような実現は、本願の範囲を逸脱したものと見なされるべきではない。
【0088】
当業者であれば明確に理解できるように、説明の便宜及び簡潔化のために、上記で説明されたシステム、装置及びユニットの具体的な作動プロセスについては、前述した方法の実施例における対応するプロセスを参照でき、ここではこれ以上繰り返して説明しない。
本願によるいくつかの実施例において、理解すべきこととして、開示されたシステム、装置及び方法は、他の方式で実現されてもよい。例えば、以上に説明された装置の実施例は概略的なものに過ぎず、例えば、前記ユニットの区分はロジック的な機能の区分に過ぎず、実際の実現の際に他の区分方式があってもよく、例えば、複数のユニット又はコンポーネントが組み合わせられてもよく、又は、他のシステムに統合されてもよく、又は、いくつかの特徴を省略するか実行されなくてもよい。また、掲示又は検討された相互間の結合又は直接結合又は通信接続は、いくつかのインタフェース、装置又はユニットを介した間接結合又は通信接続であってもよく、電気的、機械的又は他の形態の接続であってもよい。
【0089】
分離部材として説明された前記ユニットは、物理的に分離されたものであっても、そうではなくてもよく、ユニットとして掲示された部材は、物理的ユニットであっても、そうではなくてもよく、即ち、一箇所に位置してもよく、又は、複数のネットワークユニットに分布されてもよい。実際の需要に応じてそのうちの一部又は全部のユニットを選択して、本願の実施例の技術案の目的を実現してもよい。
【0090】
また、本願の各実施例における各機能ユニットは、1つの処理ユニットに統合されてもよく、各ユニットが単独で物理的に存在してもよく、2つ以上のユニットが1つのユニットに統合されてもよい。上記の統合されたユニットは、ハードウェアの形態で実現されてもよく、ソフトウェア機能ユニットの形態で実現されてもよい。
【0091】
上記の統合されたユニットは、ソフトウェア機能ユニットの形態で実現され、且つ独立した製品として販売又は使用される場合、1つのコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶されてもよい。このような理解に基づいて、本願の技術案の本質的又は従来の技術に寄与する部分、又は当該技術案の全部又は一部は、ソフトウェア製品の形態で具現化されてもよく、当該コンピュータソフトウェア製品は、1つの記憶媒体に記憶され、1台のコンピュータ機器(パーソナルコンピュータ、サーバ又はネットワーク機器などであってもよい)に本願の各実施例に記載される方法の全部又は一部のステップを実行させるための若干の指令を含む。前述の記憶媒体は、USBディスク、リムーバブルハードディスク、リードオンリーメモリ(ROM、Read-Only Memory)、ランダムアクセスメモリ(RAM、Random Access Memory)、磁気ディスク又は光ディスクなどの、プログラムコードを記憶できる各種の媒体を含む。
【0092】
本願において、具体的な実施例を用いて本願の原理及び実施形態を説明したが、以上の実施例に対する説明は、本願の方法及びその思想の理解を容易にするためのものに過ぎず、また、当業者にとって、本願の思想に基づき、具体的な実施形態及び応用の範囲にいずれも変更箇所があるだろう。以上により、本明細書の内容は本願を限定するものと理解されるべきではない。
【符号の説明】
【0093】
100 冷却機能付きケーブル
101 半導体冷却モジュール
102 導体
103 制御モジュール
104 整流モジュール
105 温度検出器
106 低圧ハーネス
107 絶縁保護層
200 充電モジュール
300 バッテリモジュール
1011 アルミナ基板
1012 防水保護層
1013 半導体P/N層
1014 電源インタフェース
1302 コンピュータ機器
1304 プロセッサ
1306 メモリ
1308 駆動機構
1310 入力/出力モジュール
1312 入力機器
1314 出力機器
1316 提示機器
1318 グラフィカルユーザインタフェース
1320 ネットワークインタフェース
1322 通信リンク
1324 通信バス
【国際調査報告】