(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】ナノサテライトシステムデータ処理用統合プラットフォーム
(51)【国際特許分類】
H04L 67/56 20220101AFI20240719BHJP
G16Y 30/00 20200101ALI20240719BHJP
【FI】
H04L67/56
G16Y30/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503772
(86)(22)【出願日】2022-04-28
(85)【翻訳文提出日】2024-03-13
(86)【国際出願番号】 BG2022000005
(87)【国際公開番号】W WO2023000044
(87)【国際公開日】2023-01-26
(32)【優先日】2021-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BG
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522244067
【氏名又は名称】エンデュロサット ジョイント ストック カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ENDUROSAT JOINT STOCK COMPANY
【住所又は居所原語表記】Manastirski Livadi,1A’Flora’Street,’Obsidian’Business Building BG-1404 Sofia BULGARIA
(74)【代理人】
【識別番号】100103872
【氏名又は名称】粕川 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100149456
【氏名又は名称】清水 喜幹
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【氏名又は名称】狩生 咲
(74)【代理人】
【識別番号】100205648
【氏名又は名称】森田 真一
(72)【発明者】
【氏名】ライチェフ,レイチョ ルスラノフ
(72)【発明者】
【氏名】トシェフ,リュボミール アンゲロフ
(57)【要約】
統合ナノサテライトデータ処理プラットフォームは、ナノサテライトを備え、オンボードコンピュータと双方向に接続されたセンサモジュールを含む。オンボードコンピュータは、通信アンテナと双方向に接続された通信モジュールと双方向に接続されている。通信アンテナは、地上ステーションの通信機器ユニットと双方向に接続された地上アンテナと接続されている。地上ステーションは、データベースと双方向に接続された制御サーバと双方向に接続されている。データベースは、マーケットポータルサーバ、開発者ポータルサーバ、及びアプリケーションサーバと双方向に接続されている。制御サーバ、マーケットポータルサーバ、開発者ポータルサーバ、及びアプリケーションサーバは、クライアントステーションと双方向に接続されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上のナノサテライト(1)を備え、各々が、オンボードコンピュータ(1.2)と双方向に接続された少なくとも1つのセンサモジュール(1.1)を含み、
前記オンボードコンピュータは、順に、少なくとも1つの通信アンテナ(1.4)と双方向に接続された少なくとも1つの通信モジュール(1.3)と双方向に接続され、
各々の前記通信アンテナ(1.4)は、1以上の地上ステーション(2)の少なくとも1つの通信機器ユニット(2.2)と双方向に接続された少なくとも1つの地上アンテナ(2.1)と接続され、
各々の前記地上ステーション(2)は、データベース(4)と双方向に接続された制御サーバ(3)と双方向に接続され、
前記データベース(4)は、順に、マーケットポータルサーバ(5)、開発者ポータルサーバ(6)、及びアプリケーションサーバ(7)と双方向に接続され、
前記制御サーバ(3)、前記マーケットポータルサーバ(5)、前記開発者ポータルサーバ(6)、及び前記アプリケーションサーバ(7)は、ペイロードオペレータのクライアントステーション(8.1)、マーケットポータルユーザのクライアントステーション(8.2)、アプリケーション開発者のクライアントステーション(8.3)、及び地上アプリケーションユーザのクライアントステーション(8.4)と双方向に接続されている、
ことを特徴とする、
統合ナノサテライトデータ処理プラットフォーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノサテライトシステムからのデータを処理するための統合プラットフォームに関するもので、航空宇宙および衛星産業への応用が期待され、特に、第三者が宇宙システムから有用なデータを消費するアプリケーションを開発、購入、販売できるようにする。
【背景技術】
【0002】
宇宙探査と関連インフラは、現代世界にとってますます重要になってきている。宇宙分野は驚異的なスピードで進化しており、今後数年で多くの産業に大きな変化をもたらすであろう。世界的には、今後10年間で7000機以上のナノサテライトが新たに打ち上げられると予想されている。
【0003】
ナノサテライトは、地球観測、通信、情報伝達、研究、教育等に利用されつつある。専門家によれば、IoT(モノのインターネット)ネットワークの実現には、実際に更新できない旧式のシステムを搭載した大型衛星よりも、ナノサテライトの方が適しており、効果的だという。IoTとは、家庭用機械からコンピュータ、さらには物まで、まだ未開発のデジタルポテンシャルを持つあらゆる種類のデバイスのネットワークである。ネットワークに接続することで、これらの機器は人間の手を煩わせることなく相互に情報を交換することができる。そのためには、ほとんどあらゆる場所にモバイルネットワークが存在する必要があり、このサービスは衛星や衛星プラットフォームによって提供されるのが最適である。
【0004】
衛星によって生成されたペイロードデータは、それを直接利用するか商業化することによって、衛星オペレータ又は衛星ペイロードオペレータに直接付加価値をもたらす。衛星が生成したデータを衛星オペレータ又はペイロードオペレータが提供し、第三者が購入できるプラットフォームが存在する。購入したデータを利用して、関係者はこのデータを利用するアルゴリズムやアプリケーションを開発する。アルゴリズムやアプリケーションが開発される分野の例としては、気象学、早期火災検知、農作物栽培等がある。これらのアルゴリズムやアプリケーションは、開発者のインフラ上に展開され、商業化されることも多い。
【0005】
データの生成、それを商品化する能力、そのデータを使ったアプリケーションの開発を統合したプラットフォームは知られていない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、ナノサテライトシステムからのデータを処理するための統合プラットフォームを構築することであり、このプラットフォームは、宇宙から有用なデータを生成し、地球上に送信し、保存する能力を提供し、プラットフォーム上及び/又はさまざまなナノサテライト上でアプリケーションを開発し、展開する能力を提供する。
【0007】
この問題は、ナノサテライトシステムからのデータを処理するための統合プラットフォームを作成することによって解決される。このプラットフォームは、1つ以上のナノサテライトで構成され、各ナノサテライトは、オンボードコンピュータと双方向に接続された少なくとも1つのセンサモジュールを含み、オンボードコンピュータは、少なくとも1つの通信アンテナと双方向に接続された少なくとも1つの通信モジュールと双方向に接続されている。各々の通信アンテナは、1つ以上の地上ステーションの少なくとも1つの通信機器ユニットと双方向に接続された少なくとも1つの地上アンテナと接続されている。各々の地上ステーションは、データベースと双方向に接続された制御サーバと双方向に接続されており、データベースは、順に、マーケットポータルサーバ、開発者ポータルサーバ、アプリケーションサーバと双方向に接続されている。制御サーバ、マーケットポータルサーバ、開発者ポータルサーバ、及びアプリケーションサーバは、ペイロードオペレータのクライアントステーション、マーケットポータルユーザのクライアントステーション、アプリケーション開発者のクライアントステーションおよび地上アプリケーションユーザのクライアントステーションと双方向に接続されている。
【0008】
ナノサテライトシステムからのデータを処理するための統合プラットフォームの利点は、宇宙からのペイロードデータの生成、その送信、及びナノサテライトペイロードオペレータ及びサードパーティの両方が使用するための地球上での保存を保証することである。また、プラットフォームは、データを使用してアルゴリズムやアプリケーションを構築する能力を提供し、アプリケーションをプラットフォーム及びナノサテライトの両方に展開できるという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明によるナノサテライトシステムからのデータを処理するための統合プラットフォームの原理概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1に示すナノサテライトシステムからのデータを処理するための統合プラットフォームの実施形態は、1以上のナノサテライト1を備え、各ナノサテライト1は、オンボードコンピュータ1.2と双方向に接続された少なくとも1つのセンサモジュール1.1を備え、センサモジュール1.1は、少なくとも1つの通信アンテナ1.4と双方向に接続された少なくとも1つの通信モジュール1.3と双方向に接続されている。プラットフォームは、さらに、それぞれが少なくとも1つの地上アンテナ2.1と通信機器ユニット2.2とを含む1以上の地上ステーション2を備える。
【0011】
各通信アンテナ1.4は、少なくとも1つの地上アンテナ2.1と接続されている。各地上ステーション2は制御サーバ3と双方向に接続されており、制御サーバ3は、制御、コマンド送信、衛星データ受信を担当する。制御サーバ3は、データベース4と双方向に接続されており、データベース4は、マーケットポータルサーバ5、開発者ポータルサーバ6、アプリケーションサーバ7と双方向に接続されている。制御サーバ3、マーケットポータルサーバ5、開発者ポータルサーバ6、アプリケーションサーバ7は、ペイロードオペレータのクライアントステーション8.1、マーケットポータルユーザのクライアントステーション8.2、アプリケーション開発者のクライアントステーション8.3、地上アプリケーションユーザのクライアントステーション8.4と双方向に接続されている。
【0012】
確立されたナノサテライトデータ処理用統合プラットフォームの構成要素には、次のような特徴がある。
【0013】
各ナノサテライト1に搭載されたセンサモジュール1.1は、いわゆるペイロードを表し、宇宙からの情報を収集するためのカメラ、磁力計等のさまざまなセンサデバイスを含んでいる。オンボードコンピュータ1.2との双方向接続により、センサモジュール1.1は、収集したデータを記録したり、制御コマンドを受信したりすることができる。
【0014】
オンボードコンピュータ1.2は、ナノサテライト1のソフトウェアの主要部分が実行されるモジュールである。オンボードコンピュータ1.2は、マイクロコントローラ、コネクタ、外部メモリカードスロット、その他必要な構成要素で構成されている。通信モジュール1.3を通じて、オンボードコンピュータ1.2は、センサモジュール1.1から地球にダウンロードするデータを送信したり、地球からセンサモジュール1.1に送信するコマンドを受信したりする。
【0015】
通信モジュール1.3は、地球とナノサテライト1との間のデータ転送に使用される。通信モジュール1.3は、20Kbits/secの低レートをサポートするUHFトランシーバを含んでもよく、地球へのポインティングを必要としない。また、通信モジュール1.3は、5Mbits/secの高レートをサポートするSバンドトランスミッタを含んでもよく、衛星から地球へより大きなデータやテレメトリを送信するために使用される。通信モジュール1.3は、Xバンドトランスミッタ、Kaバンドトランスミッタ、W/Vバンドトランスミッタ等の追加の高速RF通信デバイスを組み込んでもよい。これらは、無線スペクトルのさまざまな帯域で、衛星から地球への150Mbits/sから数Gbits/sの高速データレートをサポートする。これらは、写真やビデオ等の大量の情報を衛星から地球へ高速送信するために使用される。
【0016】
通信アンテナ1.4は、メカニカルフレーム、マイコン制御基板及びコネクタ、展開する機構を備えた金属アンテナから構成されるUHFアンテナとすることができる。また、通信アンテナ1.4は、Sバンドアンテナ、Xバンドアンテナ、及び/又は他の周波数用のアンテナであってもよく、これらは別々の金属パッチとコネクタとを備えた回路基板を備える。通信アンテナ1.4は、通信モジュール1.3が地球にダウンリンクするために収集したデータを受信したり、受信した制御コマンドをナノサテライト1へ送信したりする。
【0017】
一方、地上アンテナ2.1は、無線信号を受信・送信するための機械的な無線アンテナである。地上アンテナ2.1は、アンテナ及びポインティング機構から構成され、それぞれの地上ステーション2によって調整・制御され、ナノサテライト1との無線通信を確立する。地上アンテナ2.1は、ナノサテライト1からのデータを受信し、通信機器ユニット2.2を介してナノサテライト1制御のためのコマンドを送信する。
【0018】
制御サーバ3は、地上ステーション2に送信するためのコマンドをミッションオペレータから受信し、衛星オペレータの個人のクライアントステーション8.1を介してデータベース4からミッションオペレータに衛星情報を表示することができるコンピュータサーバ又はサーバクラスタである。制御サーバ3は、受信した衛星データ及び受信したコマンドをデータベース4に記録する。また、ミッションオペレータやペイロードオペレータは、そのセンサモジュール1.1(ペイロード)からのデータを、有償でマーケットポータルサーバ5上に公開することも可能である。ペイロードオペレータのクライアントステーション8.1からは、購入した衛星配備アプリケーションを制御することも可能である。
【0019】
データベース4は、衛星データ、衛星コマンド、アプリケーション、及びメタ情報を格納するためのコンピュータサーバまたはサーバクラスタである。メタ情報とは、ナノサテライト1そのものを記述するデータであり、時間経過に伴う挙動、位置等の情報である。データベース4は、衛星データを受信し、コマンドを制御サーバ3へ送信する。データベース4は、アプリケーションを受信し、衛星データをマーケットポータルサーバ5へ送信する。データベース4は、アプリケーションを受信し、メタ情報を開発者ポータルサーバ6へ送信する。データベース4は、衛星データ及びメタ情報を送信し、アプリケーションサーバ7から新たなメタ情報を受信する。
【0020】
マーケットポータルサーバ5は、アプリケーション及び/又は衛星データを検索、発見、購入する機能をユーザに提供するコンピュータサーバ又はサーバクラスタである。マーケットポータルユーザは、マーケットポータルユーザのクライアントステーション8.2を介した双方向接続でマーケットポータルサーバ5に接続する。ユーザがペイロードオペレータの場合は、ナノサテライト1に配備するアプリケーションを購入することができる。地上アプリケーションユーザであれば、関連する地上アプリケーションを購入し、アプリケーションサーバ7を介してそれらにアクセスすることができる。
【0021】
開発者ポータルサーバ6は、アプリケーション開発ユーザにアプリケーション開発ツールへのアクセスや新しいアプリケーションの公開を提供するコンピュータサーバ又はサーバクラスタである。開発者ポータルサーバ6は、アプリケーション開発者のクライアントステーション8.3を通してアクセスされる。
【0022】
アプリケーション展開サーバ7は、コンピュータサーバ又はサーバクラスタである。アプリケーション展開サーバ7は、作成されたアプリケーションを展開するためのインフラを提供する。アプリケーション展開サーバ7から、ユーザは、地上アプリケーションユーザのクライアントステーション8.4を介して、データベース4から展開されたアプリケーションにアクセスしたり、取得したりすることができる。
【国際調査報告】