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特表2024-527858高解像度中央ビデオフィードのサブビューへの拡張現実の追加
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】高解像度中央ビデオフィードのサブビューへの拡張現実の追加
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/60 20230101AFI20240719BHJP
   H04N 23/69 20230101ALI20240719BHJP
   G06T 19/00 20110101ALI20240719BHJP
   H04N 5/272 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
H04N23/60 500
H04N23/69
G06T19/00 600
H04N5/272
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503815
(86)(22)【出願日】2022-05-17
(85)【翻訳文提出日】2024-03-13
(86)【国際出願番号】 US2022029672
(87)【国際公開番号】W WO2023003620
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】17/381,877
(32)【優先日】2021-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524026252
【氏名又は名称】インフィニット・アスリート・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】INFINITE ATHELETE,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュワルツ・エリック
(72)【発明者】
【氏名】ネイキン・マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン・クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】シン・スティーブ
(72)【発明者】
【氏名】チャルネッキ・パーヴェル
(72)【発明者】
【氏名】エバーソール・チャールズ・ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ゲルハルト・アン
【テーマコード(参考)】
5B050
5C023
5C122
【Fターム(参考)】
5B050AA08
5B050BA06
5B050BA09
5B050BA11
5B050BA12
5B050BA13
5B050BA18
5B050BA20
5B050CA00
5B050DA04
5B050EA19
5B050EA26
5B050FA02
5B050FA05
5B050FA12
5B050FA13
5C023AA16
5C023BA11
5C023CA01
5C122DA02
5C122EA65
5C122FE01
5C122GC01
5C122HA13
5C122HA35
5C122HB01
5C122HB05
(57)【要約】
【解決手段】高解像度中央ビデオフィードのサブビューへ拡張現実を追加するための技術が開示されている。様々な実施形態において、中央ビデオフィードが、第1反復基準で第1カメラから受信され、タイムスタンプ付き位置情報が、第2反復基準で追跡システムから受信される。中央ビデオフィードは、中央ビデオフィードによって網羅される空間領域に対して較正される。受信されたタイムスタンプ付き位置情報と、中央ビデオフィードの少なくとも1つのフレームに関連する決定済みの複数のタイルとを用いて、中央ビデオフィードの第1サブビューを規定する。第1サブビューと、中央ビデオフィードの少なくとも1つのフレーム上での拡張現実要素の配置を規定するホモグラフィとが、第1サブビューおよびホモグラフィを用いて第1サブビューを表示するよう構成されているデバイスへの出力として提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
通信インターフェースであって、
第1カメラから中央ビデオフィードの伝送を第1反復基準で受信し、
追跡システムからそれぞれのタイムスタンプ付き位置情報を第2反復基準で受信するよう構成されている、通信インターフェースと、
前記通信インターフェースに接続されているプロセッサであって、
前記中央ビデオフィードの少なくとも1つのフレームを第1解像度の複数のタイルに分割し、前記中央ビデオフィードの前記少なくとも1つのフレーム上での拡張現実要素の配置を規定するホモグラフィを決定することによって、前記中央ビデオフィードによって網羅される空間領域に対して前記中央ビデオフィードを較正し、
前記受信されたタイムスタンプ付き位置情報と、前記中央ビデオフィードの少なくとも1つのフレームに関連する前記複数のタイルとを用いて、前記中央ビデオフィードの第1サブビューを規定し、前記第1サブビューは、
前記中央ビデオフィードの少なくとも1つのフレームに関連する前記複数のタイルの一部を含み、
前記空間領域内の前記複数の被写体の内の第1被写体に関連付けられ、
前記第1サブビューおよび前記ホモグラフィを用いて前記第1サブビューを表示するよう構成されているデバイスへ前記第1サブビューおよび前記決定されたホモグラフィを出力するよう構成されている、プロセッサと、
を備える、システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、前記空間領域内の前記複数の被写体の内の前記第1被写体は、少なくとも1つのプレイヤーまたは関心対象物を含む、システム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムであって、前記空間領域内の前記複数の被写体の内の前記第1被写体は、複数の被写体を含む、システム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムであって、前記複数のタイルの前記一部は、前記第1被写体に少なくとも部分的に基づいて選択される、システム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステムであって、前記中央ビデオフィードは、前記空間領域のフルビューを含み、前記空間領域は、試合空間を含む、システム。
【請求項6】
請求項1に記載のシステムであって、前記中央ビデオフィードの前記第1サブビューは、前記空間領域の一部の分離ショットを含む、システム。
【請求項7】
請求項1に記載のシステムであって、前記第1サブビューは、前記第1被写体を描写する複数のビデオフレームを含む、システム。
【請求項8】
請求項1に記載のシステムであって、前記第1サブビューは、前記第1被写体を中心とする複数のビデオフレームを含む、システム。
【請求項9】
請求項1に記載のシステムであって、前記第1サブビューは、ズーム可能であり、ズームのレベルは、前記第1被写体の周囲のパディングに少なくとも部分的に基づく、システム。
【請求項10】
請求項1に記載のシステムであって、前記中央ビデオフィードの少なくとも1つのフレームを第1解像度の複数のタイルに分割することは、所望の解像度に少なくとも部分的に基づいて、前記少なくとも1つのフレームを所定の数のタイルに分割することを含む、システム。
【請求項11】
請求項1に記載のシステムであって、前記拡張現実要素は、スクリメージラインを含む、システム。
【請求項12】
請求項1に記載のシステムであって、前記拡張現実要素は、前記中央ビデオフィードに対応する試合に関連する統計値を含む、システム。
【請求項13】
請求項1に記載のシステムであって、前記拡張現実要素は、ユーザに対してカスタマイズされた広告コンテンツを含む、システム。
【請求項14】
請求項1に記載のシステムであって、前記プロセッサは、
ブランクシーンをキャプチャし、
前記シーンに追加する拡張現実要素を決定するよう構成されている、システム。
【請求項15】
請求項1に記載のシステムであって、前記デバイスは、ブランクシーン、前記拡張現実要素、および、前記第1被写体を合成することによって画像を再構築することなどにより、前記第1サブビューおよび前記ホモグラフィを用いて前記第1サブビューを表示するよう構成されている、システム。
【請求項16】
請求項1に記載のシステムであって、前記第1カメラは、固定されている、システム。
【請求項17】
請求項1に記載のシステムであって、前記第1カメラは、少なくとも12Kの解像度で前記中央ビデオフィードをキャプチャする、システム。
【請求項18】
請求項1に記載のシステムであって、前記デバイスは、プレイパネル、前記第1サブビューを含むビデオパネル、および、プレイヤーパネルを備えたグラフィカルユーザインターフェースを表示することなどにより、前記第1サブビューおよび前記ホモグラフィを用いて前記第1サブビューを表示するよう構成されている、システム。
【請求項19】
方法であって、
第1カメラから中央ビデオフィードの伝送を第1反復基準で受信し、
追跡システムからそれぞれのタイムスタンプ付き位置情報を第2反復基準で受信し、
前記中央ビデオフィードの少なくとも1つのフレームを第1解像度の複数のタイルに分割し、
前記中央ビデオフィードの前記少なくとも1つのフレーム上での拡張現実要素の配置を規定するホモグラフィを決定することによって、前記中央ビデオフィードによって網羅される空間領域に対して前記中央ビデオフィードを較正し、
前記受信されたタイムスタンプ付き位置情報と、前記中央ビデオフィードの少なくとも1つのフレームに関連する前記複数のタイルとを用いて、前記中央ビデオフィードの第1サブビューを規定し、前記第1サブビューは、
前記中央ビデオフィードの少なくとも1つのフレームに関連する前記複数のタイルの一部を含み、
前記空間領域内の前記複数の被写体の内の第1被写体に関連付けられており、
前記第1サブビューおよび前記ホモグラフィを用いて前記第1サブビューを表示するよう構成されているデバイスへ出力される前記第1サブビューおよび前記決定されたホモグラフィを提供すること、
を備える、方法。
【請求項20】
コンピュータプログラム製品であって、持続性のコンピュータ読み取り可能な媒体内に具現化され、
第1カメラから中央ビデオフィードの伝送を第1反復基準で受信するためのコンピュータ命令と、
追跡システムからそれぞれのタイムスタンプ付き位置情報を第2反復基準で受信するためのコンピュータ命令と、
前記中央ビデオフィードの少なくとも1つのフレームを第1解像度の複数のタイルに分割し、前記中央ビデオフィードの前記少なくとも1つのフレーム上での拡張現実要素の配置を規定するホモグラフィを決定することによって、前記中央ビデオフィードによって網羅される空間領域に対して前記中央ビデオフィードを較正するためのコンピュータ命令と、
前記受信されたタイムスタンプ付き位置情報と、前記中央ビデオフィードの少なくとも1つのフレームに関連する前記複数のタイルとを用いて、前記中央ビデオフィードの第1サブビューを規定するためのコンピュータ命令と、前記第1サブビューは、
前記中央ビデオフィードの少なくとも1つのフレームに関連する前記複数のタイルの一部を含み、
前記空間領域内の前記複数の被写体の内の第1被写体に関連付けられており、
前記第1サブビューおよび前記ホモグラフィを用いて前記第1サブビューを表示するよう構成されているデバイスへ出力される前記第1サブビューおよび前記決定されたホモグラフィを提供するためのコンピュータ命令と、
を備える、コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
従来のカメラ追跡システムは、典型的には、関心対象物に焦点を合わせられたカメラの手動操作、または、それぞれのカメラによってキャプチャされた被写体の解析によって、対象物を追跡する。第1の典型的な方法では、対象物が、カメラオペレータによって手動で追跡され、オペレータは、対象物が常にビューのフレーム内にあるようにする第2の典型的な方法では、一連の画像が、カメラによってキャプチャされ、これらの画像は、対象物に関連する色または対象物のシルエットを識別するなど、追跡される対象物の光学特性を決定するために解析される。これらの光学特性は、さらなる画像内で認識され、対象物が一連の画像の進行を通して追跡されることを可能にする。
【0002】
第1の方法例では、多くのリソース(装置およびカメラオペレータなど)が、異なるタイプの対象物を効果的に追跡するために必要とされる。第2の方法例では、従来のシステムは、対象物がカメラの視線の外へ急に飛び出した場合、または、関心対象物と光学的に類似する複数の物体がカメラの視線内に存在する場合、対象物を見失いやすい。方法例は両方とも、典型的には、個々の視聴者の興味に合わせられておらず、一般視聴者のための放送メディアでより一般的に見られる。したがって、対象物の追跡および表示システムの改善が求められている。
【図面の簡単な説明】
【0003】
以下の詳細な説明と添付の図面において、本発明の様々な実施形態を開示する。
【0004】
図1】高解像度中央ビデオフィードのサブビューへ拡張現実を追加するのための処理の一実施形態を示すフローチャート。
【0005】
図2A】本開示の様々な実施形態において取得されるサブビューの一例を示す図。
【0006】
図2B】本開示の様々な実施形態において取得される第1ズームレベルのサブビューの一例を示す図。
【0007】
図2C】本開示の様々な実施形態において取得される第2ズームレベルのサブビューの一例を示す図。
【0008】
図2D】本開示の様々な実施形態において取得される第3ズームレベルのサブビューの一例を示す図。
【0009】
図3】拡張現実を含むサブビューを合成するための処理の一実施形態を示すフローチャート。
【0010】
図4A】本開示の様々な実施形態に従って、合成画像を構築するための構成要素の一例を示す図。
【0011】
図4B】本開示の様々な実施形態に従って、構成要素を組み合わせることによって取得される合成画像の一例を示す図。
【0012】
図5】高解像度中央ビデオフィードのサブビューへ拡張現実を追加するのためのシステムの一実施形態を示すブロック図。
【0013】
図6】本開示の一実施形態に従って、高解像度中央ビデオフィードのサブビューに拡張現実を追加するためのグラフィカルユーザインターフェースの一例を示す図。
【0014】
図7】本開示の一実施形態に従って、追跡の構成要素を備えた競技フィールドを含む環境の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、処理、装置、システム、物質の組成、コンピュータ読み取り可能な格納媒体上に具現化されたコンピュータプログラム製品、および/または、プロセッサ(プロセッサに接続されているメモリに格納および/またはそのメモリによって提供される命令を実行するよう構成されたプロセッサ)を含め、様々な形態で実施されうる。本明細書では、これらの実施例または本発明が取りうる任意の他の形態が、技術と呼ばれうる。一般に、開示されている処理の工程の順序は、本発明の範囲内で変更されてもよい。特に言及しない限り、タスクを実行するよう構成されるものとして記載されたプロセッサまたはメモリなどの構成要素は、或る時間にタスクを実行するよう一時的に構成された一般的な構成要素として、または、タスクを実行するよう製造された特定の構成要素として実装されてよい。本明細書で用いられているように、「プロセッサ」という用語は、コンピュータプログラム命令などのデータを処理するよう構成されている1または複数のデバイス、回路、および/または、処理コアを指す。
【0016】
以下では、本発明の原理を示す図面を参照しつつ、本発明の1または複数の実施形態の詳細な説明を行う。本発明は、かかる実施形態に関連して説明されているが、どの実施形態にも限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ限定されるものであり、本発明は、多くの代替物、変形物、および、等価物を含む。以下の説明では、本発明の完全な理解を提供するために、多くの具体的な詳細事項が記載されている。これらの詳細事項は、例示を目的としたものであり、本発明は、これらの具体的な詳細事項の一部または全てがなくとも特許請求の範囲に従って実施可能である。簡単のために、本発明に関連する技術分野で周知の技術事項については、本発明が必要以上にわかりにくくならないように、詳細には説明していない。
【0017】
高解像度中央ビデオフィードのサブビューへ拡張現実を追加するための技術が開示されている。様々な実施形態において、高解像度中央ビデオフィードが、試合空間のフルビューを有する高解像度カメラによってキャプチャされる。高解像度中央ビデオフィードは、1または複数のサブビューに分割されうる。様々な実施形態において、サブビューは、試合空間の一部の分離ショットであり、1または複数の関心対象物(ボール、プレイヤー、または、プレイヤーのグループ、など)に焦点を合わせることができる。競技場またはアメリカンフットボールの試合の例を用いると、高解像度中央ビデオフィードは、少なくとも競技フィールド全体をキャプチャする。様々な実施形態において、高解像度中央ビデオフィードは、フィールド上に出ていない時にプレイヤーまたはその他の関心対象物が存在しうる関心フィールドの側方に沿ったエリア(ベンチまたはその他のエリアなど)もキャプチャする。分離ショットは、ボール、特定のプレイヤー、プレイヤーのグループ、および/または、その他の関心対象物を追いかけうる。フットボールの試合の観客(時に、開示されているシステムのユーザとも呼ぶ)の視聴体験を強化するために、拡張現実を分離ショットに追加することができる。拡張現実は、スクリメージライン、試合中に起こっていることに関連する統計値(ボールの速度、シュート率、など)、広告コンテンツ、などをより明確に示すことができる。テレビ放送のスポーツイベントに追加される従来の拡張現実構成要素と異なり、開示されている技術に従って分離ショットに追加される拡張現実構成要素は、分離ショットのコンテンツおよび/またはユーザの関心に合わせて調整可能である。拡張現実は、中央サーバによって追加された後にクライアントデバイスへ分散され、もしくは、中央サーバによって送信されたメタデータを用いてクライアントデバイスによってローカルに追加されうる。
【0018】
本明細書の例は、主に、競技場またはアメリカンフットボールの試合を用いているが、エリアのビデオのキャプチャから恩恵を受け、そのエリアのサブビューに拡張現実を提供する技術は、様々なスポーツ(および非スポーツ)イベントに適用できるので、これは、単に例であり、限定を意図するものではない。
【0019】
開示されている技術は、ショットを迅速かつ容易に変更し、関心対象物にイベントが起こる(例えば、ボールが捕らえられる)までショットを規定し、次いで、関心対象物(例えば、ボールを持ったプレイヤー)を追いかけること、など様々な状況に応用されるが、これらに限定されない。これは、スポーツイベントのビデオをキャプチャする従来の方法の少なくとも一部を補完しまたは置き換わることによって、スポーツイベントをキャプチャする効率を改善する。
【0020】
図1は、高解像度中央ビデオフィードのサブビューへ拡張現実を追加するのための処理の一実施形態を示すフローチャートである。この処理は、(図5に示すシステムなど)で実行されてよい。様々な実施形態において、処理は、分離ショットエンジン514と拡張現実エンジン512との連携によって実行される。
【0021】
処理は、第1カメラからの中央ビデオフィードの伝送を第1反復基準で受信することによって開始する(工程100)。中央ビデオフィードとは、試合空間のフルビューをキャプチャするビデオの一連の1または複数のフレームのことである。換言すると、中央ビデオフィードは、競技フィールド全体を網羅し、シーン全体をキャプチャする。様々な実施形態において、中央ビデオフィードは、フィールド上に出ていない時にプレイヤーまたはその他の関心対象物が存在しうる試合空間に隣接しまたは関連するエリア(ベンチまたはその他のエリアなど)もキャプチャする。
【0022】
図7を参照すると、中央ビデオフィードは、例えば、第1カメラ740から受信される。いくつかの実施形態において、カメラ740は、固定カメラである(例えば、カメラは、少なくとも1つの軸での動きに制限される)。例えば、いくつかの実施形態において、カメラ740は、カメラが、可変傾斜、パン、および/または、ズームを有することができるが、別の位置に物理的へ移動されることができないように、固定されている。いくつかの実施形態において、カメラ750は、カメラがどの軸においても動くことができずおよび/またはズームできないように固定されている。いくつかの実施形態において、カメラは固定されておらず、フィールド登録データが、分離カメラ効果を適用する目的で向きを取得するために利用されうる。
【0023】
カメラは、特に、横向きで競技フィールドの第1端部(例えば、ハーフコートライン、50ヤードライン)に、または、縦向きでフィールドの第2端部(例えば、エンドゾーン、ゴール)に配置されるなど、様々な位置および向きに配置されうる。本明細書でさらに記載するように、カメラは、サブビューに分割された時にサブビューがユーザのデバイス(スマートフォンなど)上に表示されるのに十分な解像度を有するような高解像度画像(高解像度中央ビデオフィード)をキャプチャするよう構成されていてよい。カメラ740は、本開示の1または複数のデバイスおよびシステムと通信するために、ネットワークと通信する。
【0024】
いくつかの実施形態において、中央ビデオフィードは、複数の中央ビデオフィードまたはその他のビデオフィードを含みおよび/またはそれらに含まれ、各ビデオフィードは、競技フィールドの少なくとも一部のビデオを生成するように配置および方向付けられた1または複数のカメラによって生成される。いくつかの実施形態において、中央ビデオフィードおよび/または別のビデオフィードは、少なくとも部分的には、複数のカメラによって生成されたビデオデータを組み合わせることによって生成されてよい(コンポジットビデオもしくは別の方法で結合または合成されるビデオなど)。いくつかの実施形態において、複数のカメラが、環境の周囲に提供されてよく、各カメラは、競技フィールド全体を網羅する。いくつかの中央ビデオフィードが、異なる角度および視点のプレーシーンを可能にするように生成されてよい。中央ビデオフィードは、シーンの合成を較正/調整するために、各データストリームからのタイムスタンプを含んでよい。
【0025】
処理は、追跡システムからそれぞれのタイムスタンプ付き位置情報を第2反復基準で受信する(工程102)。様々な実施形態において、タイムスタンプ付き位置情報は、プレイヤーまたはその他の関心対象物に対応する。例えば、プレイヤーは、空間内の点でありえ、その点の周囲のパディングの量が、本明細書でさらに記載するようにプレイヤーの周囲のズームのレベルを規定する。
【0026】
任意の追跡システムが用いられてよく、この例について記載されているシステムは、単に例であり、限定を意図するものではない。様々な実施形態において、追跡システムは、空間領域で試合に参加している対応する被写体(例えば、プレイヤー)によって身につけられ、または、その他の関心対象物(例えば、ボール)に関連付けられている追跡デバイスを備える。各追跡デバイスからそれぞれのタイムスタンプ付き位置情報が受信される。例えば、各追跡デバイスは、空間領域における対応する被写体のタイムスタンプ付き位置を記述する位置情報を送信する。
【0027】
追跡システムおよびタイムスタンプ付き位置情報の送信の一例が、図7に関してさらに記載されている。図7を参照すると、追跡システムの一例において、アンカーデバイスのアレイ(例えば、アンカーデバイス720-1、アンカーデバイス720-2、・・・、アンカーデバイス720-Q)が、試合のそれぞれの被写体または関心対象物に関連付けられている1または複数の追跡デバイスからテレメトリデータを受信する。被写体または関心対象物(四角および円で表されている)は、それらの体に取り付けられまたは別の方法でそれらの動き/挙動を監視する1または複数の追跡デバイスを有してよい。
【0028】
処理は、中央ビデオフィードによって網羅される空間領域に対して中央ビデオフィードを較正する(工程104)。処理は、中央ビデオフィードの少なくとも1つのフレームを第1解像度の複数のタイルに分割し、中央ビデオフィードの少なくとも1つのフレーム上での拡張現実要素の配置を規定するホモグラフィを決定することなどによって、較正を実行する。
【0029】
中央ビデオフィードは、中央ビデオフィードによって網羅される少なくとも2つの次元で表された空間領域に対して較正される。いくつかの実施形態において、空間領域は、アンカーデバイス720のアレイによってキャプチャされた領域である。空間領域は、ライブスポーツイベントの競技フィールドでありうる。いくつかの実施形態において、中央ビデオフィードの較正は、位置情報(例えば、テレメトリデータ)によって用いられる座標系に対して中央ビデオフィードの同等部分を決定することを含む。競技スポーツの標準的な競技フィールドは、規則に沿った、すなわち、均一な長さおよび太さ/幅の境界線(例えば、アウトオブバウンズライン、ハーフコートライン、ヤードライン、など)を含むので、これらの長さおよび太さを、ビデオフィード内の座標位置を決定するために利用できる。例えば、競技フィールド上のラインが均一の太さ(例えば、6センチメートルの太さ)を有することが既知であり、中央ビデオフィード内のラインの太さが第1太さから第2太さへ線形的に減少すると判定された場合、ラインに対する被写体の正確な位置を、中央ビデオフィード内で決定できる。
【0030】
様々な実施形態において、処理は、中央ビデオフィードの少なくとも1つのフレームを第1解像度の複数のタイルに分割する。図5を少し参照すると、中央ビデオフィードは、視界全体をキャプチャし、9個のタイルに分割されている(図においてラベルを付された分離ショット)。タイルの各々は、視界全体のサブビューをキャプチャする。タイルの数は、単なる例であり、限定を意図するものではない。他の例は、所望の解像度に応じて、高解像度カメラフィードの8Kフレームを16個(またはより一般的にはn個)のセグメントに分割することを含む。様々な実施形態において、タイルは、サーバに格納され、クライアントがタイルまたは被写体/関心対象物を要求し、対応するタイルがクライアントに供給される。中央ビデオフィードの少なくとも1つのフレームを第1解像度の複数のタイルに分割する一例については、図5に関してさらに記載されている。
【0031】
様々な実施形態において、カメラ較正情報は、中央ビデオフィードの少なくとも1つのフレーム上での拡張現実要素の配置を規定するホモグラフィを決定するために利用されうる。図5を少し参照すると、ARエンジン512が、ホモグラフィを決定し、分離ショットエンジン514が、決定されたホモグラフィを用いて、クライアントデバイス550へ情報を出力する。クライアントは、ホモグラフィデータまたはメタデータを用いて、画像内に組み込まれた拡張現実要素を含む画像をレンダリングする。中央ビデオフィードのフレーム上に拡張現実要素を配置するためにホモグラフィを利用する処理の一例については、図3に関してさらに記載されている。
【0032】
処理は、受信されたタイムスタンプ付き位置情報と、中央ビデオフィードの少なくとも1つのフレームに関連する複数のタイルとを用いて、中央ビデオフィードの第1サブビューを規定する(工程106)。様々な実施形態において、第1サブビューは、中央ビデオフィードの少なくとも1つのフレームに関連する複数のタイルの一部を含む。第1サブビューは、1または複数の被写体の第1セットに関連付けられている。例えば、第1サブビューは、空間領域内の複数の被写体の内の第1被写体に関連付けられていてよい(第1被写体を含んでよい/表示してよい)。第1サブビューは、中央ビデオフィードを構成する複数のフレームの各々について、被写体の第1セットに関連付けられている対応するサブフレームを含む。非限定的な例において、サブビューは、単一のプレイヤーまたは複数のプレイヤーの周囲のフレームを規定し、関心対象物(ボールなど)を追うことができ、プレイヤーが競技フィールド内にいない(例えば、プレイヤーがベンチにいる)時でも常に1または複数のプレイヤーを追うことができ、もしくは、その他の被写体/関心対象物(競技役員など)を追うことができる。メタデータを用いることで、プレイヤーまたは関心対象物を追うことができる。メタデータは、カメラがプレイヤーまたは関心対象物を追う視覚効果を作り出す分離ショットを継続的に生成するために用いられる。
【0033】
例えば、いくつかの実施形態において、処理は、受信された位置情報を含むタイムスタンプデータと、各タイムスタンプに関連付けられている位置情報(例えば、被写体AのXYZ座標)とに基づいて、被写体Aの対応する位置情報に関連付けられている各シーケンシャルフレームの一部または部分を決定するために、対応するカメラ/ビデオ較正データに少なくとも部分的に基づく数学的変換を、ビデオデータの複数のシーケンシャルフレームの各々に適用する。シーケンシャルフレームの決定された一部/部分は、被写体Aに関連付けられた中央ビデオフィードのサブビューを提供するために用いられる。
【0034】
サブビューは、様々な実施形態において、中央ビデオフィードとは異なる解像度である。異なる解像度であるにもかかわらず、視聴体験が楽しいままであるように、品質の差は、必ずしも、平均的な観客が気付くものではない。例えば、中央ビデオフィードは、2Kと12Kとの間など第1解像度(例えば、カメラ140のネイティブ解像度)で提供される。この時点まで、いくつかの実施形態において、中央ビデオフィードは、複数のフル2次元フレームを含む(例えば、第1時点に関連する第1フレーム、第2時点に関連する第2フレーム、・・・、第n時点に関連する第nフレーム)。複数のフル2次元フレームの内のそれぞれのフル2次元フレームは、第1次元サイズおよび第2次元サイズを有する(例えば、水平ピクセルの数および垂直ピクセルの数など、水平サイズおよび垂直サイズ)。第1サブビューは、複数のフル2次元フレームの内のそれぞれのフル2次元フレームに対して、対応するサブフレームを含む。各対応するサブフレームは、対応するフルフレームの一部である(例えば、図5のサブビュー/分離ショット1およびサブビュー/分離ショット2は、図5の中央ビデオフィードフルフレーム(フィールドビュー全体)の即時サブフレームを示す)。
【0035】
本明細書に記載されているように、中央ビデオフィードの第1サブビューは、第1解像度(タイルの解像度)よりも小さい第2解像度に規定されうる。例えば、第1解像度は、中央ビデオフィードから分割されたビデオの第2解像度のピクセル解像度の少なくとも4倍、6倍、または、8倍である。
【0036】
サブビューは、様々なズームレベルを有しうる。ズームは、図2A図2Dに関してさらに記載されているように、プレイヤーの周囲にパディングを設定することによって、プレイヤーまたは関心対象物の周囲で規定されうる。
【0037】
いくつかの実施形態において、各サブフレームは、第3次元サイズおよび第4次元サイズを有する。さらに、第3次元サイズは、第1次元サイズの固定割合であってよく、第4次元サイズは、第2次元サイズの固定割合であってよい。例えば、第1次元サイズの固定割合および同じ割合の第2次元サイズの固定割合(例えば、10%、20%、30%、・・・、90%)である。同様に、第1次元サイズの固定割合は、第1割合であってよく、第2次元サイズの固定割合は、第1割合とは異なる第2割合であってよい(例えば、中央ビデオフィードは、横向きでキャプチャされ、各サブビューは、縦向きに分割される)。非限定的な例において、(i)第1次元サイズは7680ピクセルであり、第3次元サイズは3840ピクセルであり、第2次元サイズは4320ピクセルであり、第4次元サイズは2160ピクセルであり、または、(ii)第1次元サイズは8192ピクセルであり、第3次元サイズは3840ピクセルであり、第2次元サイズは4320ピクセルであり、第4次元サイズは2160ピクセルである。いくつかの実施形態において、複数のフル2次元フレームの内のそれぞれのフル2次元フレームは、少なくとも10メガピクセルから40メガピクセルを含む。いくつかの実施形態において、サブビュー(例えば、第1サブビュー)は、複数のフル2次元フレームの内のそれぞれのフル2次元フレームに対して、5メガピクセル未満から15メガピクセルを含む対応するサブフレームを含む。
【0038】
中央ビデオフィード内の第1サブビューの中心の座標は、重複によって第2反復基準で行われる受信の反復から決定される第1被写体の位置の変化に従って、人的介入なしに、経時的に変化する。いくつかの実施形態において、第1サブビューの中心は、被写体に身につけられまたは別の方法で被写体に関連付けられた追跡デバイスによって生成された位置座標(例えば、XYZ)に関連付けられる。いくつかの実施形態において、被写体は、複数の追跡デバイスを身につけてよく、第1サブビューは、複数のデバイスからのデータを追跡することに基づいて生成された座標のセットに基づいて中心を決められる。例えば、被写体によって身につけられた複数の追跡デバイスからのデバイスデータは、例えば、タイムスタンプデータに基づいて、相関されてよく、幾何学的またはその他の中心の座標セットが、それぞれの追跡デバイスによって生成された座標に基づいて計算されてよい。
【0039】
いくつかの実施形態において、中央ビデオフィードの第1サブビューは、中央ビデオフィードとは独立的に、リモートデバイス(例えば、図5のクライアントデバイス550)へ通信される。それに応じて、通信は、リモートデバイスに中央ビデオフィードの第1サブビューを表示させる。非限定的な例において、リモートデバイスは、ハンドヘルドデバイス(スマートフォン、タブレット、ゲーム機など)、固定コンピュータシステム(パーソナルホームコンピュータなど)、などである。さらに、通信は、無線で(例えば、ネットワーク経由で)行われうる。
【0040】
様々な実施形態において、被写体の一部の内の少なくとも第1被写体が選択される。少なくとも第1被写体の選択は、例えば、コンピュータシステムのオペレータ(例えば、ビデオ制作専門家、プロデューサー、ディレクター、など)、それぞれのリモートデバイスのエンドユーザ(例えば、それぞれのユーザデバイス550を介して)によって、または、自動的に、コンピュータシステムで実行されうる。例えば、第1被写体は、ボールまたはその他の被写体(例えば、1対1の試合で、または、相補的なポジション(敵同士のオフェンシブラインマンおよびディフェンシブラインマンなど)に関連していることなどによって、被写体が関連している以前に選択された被写体)への近接(閾値距離内にあること)に少なくとも部分的に基づいて、自動的に選択される。さらに、サブビューは、より広いサブビュー群(例えば、利用可能なサブビューのリスト、利用可能なサブビューのプレビュー、など)から選択されてよい。より広いサブビュー群は、試合に参加している各プレイヤーのサブビューを含む(例えば、アメリカンフットボールの試合については、22個のサブビュー)。このエンドユーザ選択は、各ユーザが望むように1または複数の被写体を選択することを可能にする。例えば、エンドユーザが、複数のチームにわたる好きな被写体のリストを有する場合、エンドユーザは、単一のリモートデバイスおよび/またはディスプレイ上でこれらの好きな被写体の各々のサブビューを閲覧してよい。
【0041】
いくつかの実施形態において、第1被写体のアイデンティティが、リモートデバイスで受信される。例えば、第1サブビューは、第1被写体のアイデンティティに関連する情報を含む(例えば、第1被写体の名前)。それぞれの被写体のこのアイデンティティは、エンドユーザが、2以上のサブビューを閲覧している時に、異なるサブビューをすぐに識別することを可能にする。いくつかの実施形態において、追跡デバイスは、空間領域において競技スポーツで用いられているボールに取り付けられている(例えば、ボールの中に埋め込まれている)。したがって、第1被写体のアイデンティティは、各追跡デバイスからのタイムスタンプ付き位置情報のそれぞれの伝送を用いて、複数の被写体の内のどの被写体が現在ボールに最も近いのかを判定することに基づいて、人的介入なしに、決定される。
【0042】
処理は、第1サブビューおよびホモグラフィを用いて第1サブビューを表示するよう構成されているデバイスへ第1サブビューおよび決定されたホモグラフィを出力する(工程108)。様々な実施形態において、クライアントデバイスは、ブランクシーン(無人のフィールド)、プレイヤー情報(例えば、追跡情報)および、AR構成要素情報(決定されたホモグラフィ)を用いて、フィールド上のプレイヤーの組み合わせをAR構成要素と共に示す合成画像を生成する。AR構成要素を含む第1サブビューを表示するための処理の一例については、図3および図4に関してさらに記載されている。
【0043】
様々な実施形態において、図1の処理の1または複数の工程は、複数の被写体が参加しているライブ試合中に実行される。しかしながら、本開示は、それに限定されない。例えば、通信は、ライブ試合後に実行されてもよい(例えば、ライブ試合のハイライトまたはライブ試合のリプレイの視聴、など)。
【0044】
図2Aは、本開示の様々な実施形態において取得されるサブビューの一例を示す。背景としては、フィールド全体が、図2Aに破線で示されている。サブビュー(分離ショットとしてラベル付けされている)が、フィールド上のプレイヤーの一部の周囲のボックスによって指定されている。この例において、関心対象物は、分離ショットの中心に円によって表されているプレイヤーである。
【0045】
図2Bは、本開示の様々な実施形態において取得される第1ズームレベルのサブビューの一例を示す。ズームは、図2Aにおいてラベル付けされた関心対象物に中心になされている。関心対象物は、(座標x、y、または、x、y、zによって規定された)点であり、サブビューは、様々な実施形態において、その点を中心とする。ズームのレベルは、関心対象物を取り囲むパディングの量(ここではx’’)によって規定される。
【0046】
図2Cは、本開示の様々な実施形態において取得される第2ズームレベルのサブビューの一例を示す。図2Bと比較すると、この図のサブビューは、プレイヤーがより小さく見え/あまり詳細に見えないように、さらにズームアウトされている。ここで、関心対象物の周囲のパディングは、図2Bにおけるパディングとは異なる値(x)であり、これにより、ズームレベルが異なって見えている。
【0047】
図2Dは、本開示の様々な実施形態において取得される第3ズームレベルのサブビューの一例を示す。図2Cと比較すると、この図のサブビューは、プレイヤーがより小さく見え/あまり詳細に見えないように、さらにズームアウトされている。ここで、関心対象物の周囲のパディングは、図2Cにおけるパディングとは異なる値(x’)であり、これにより、ズームレベルが異なって見えている。
【0048】
図3は、拡張現実を含むサブビューを合成するための処理の一実施形態を示すフローチャートである。処理は、図5のシステムによって実行されうる。図3の処理は、図4Aおよび図4Bを用いて説明される。
【0049】
図4Aは、本開示の様々な実施形態に従って、合成画像を構築するための構成要素の一例を示す。構成要素は、ブランクシーン400、プレイヤー420、および、拡張現実構成要素430を含む。ブランクシーン400は、フィールド上に全くプレイヤーのいない競技フィールドを示す。例えば、プレイヤー420は、フィールド上のプレイヤーのシーンをキャプチャしたフレームからブランクシーン400を差し引きまたは別の方法で取り除くことによって決定されうる(本明細書でさらに記載する追跡データも用いてよい)。AR構成要素430は、ビデオのフレームを増強する任意の構成要素を含む。この例において、AR構成要素は、スクリメージライン432である。スクリメージラインは、ユーザがよりはっきりと見るのに役立つように、強調色など視覚的に区別されるように表示されうる。
【0050】
図4Bは、本開示の様々な実施形態に従って、構成要素を組み合わせることによって取得される合成画像の一例を示す。この合成画像は、ブランクシーン400、プレイヤー420、および、AR構成要素430を組み合わせることによって取得される。
【0051】
図3に戻ると、処理は、ブランクシーンをキャプチャすること(工程300)によって開始する。ブランクシーン400は、任意のプレイヤーがフィールドに入る前に、カメラ(カメラ740など)によってキャプチャされうる。ブランクシーンは、他のフレーム(試合のプレイの様々な状態を示すビデオのフレームなど)のためのベースラインまたは基準フレームでありうる。
【0052】
処理は、シーンに追加する拡張現実構成要素を決定する(工程302)。拡張現実構成要素は、所定の設定またはユーザの関心に基づいて決定されうる。例えば、スクリメージラインは、すべてのユーザのユーザ体験を強化するため、このAR構成要素は、すべてのフレームに対して決定されうる。構成要素は、追跡データに基づいて、つい最近のプレイが終わった後にボールが置かれた位置を決定し、任意のペナルティヤードを考慮に入れることによって、プレイヤー420の位置に基づいて決定されうる。ユーザは、その他の情報(特定のプレイヤーの統計値など)に関心を持ちうる。統計値は、決定され、例えば、ディスプレイの角などに、AR構成要素としてシーンに追加されうる。図5を少し参照すると、ARエンジン512は、様々な実施形態において、AR構成要素を決定するよう構成されている。
【0053】
処理は、ブランクシーン、決定された拡張現実構成要素、および、プレイヤーを合成することによって、画像を再構築する(工程304)。処理は、プレイヤー420をブランクシーン400上に、そして、任意のAR構成要素430を上部に組み合わせる(例えば、重ね合わせる)ことによって、合成画像を作成する。
【0054】
図5を少し参照すると、クライアントデバイス550が、様々な実施形態において、合成画像を作成するよう構成されている。あるいは、サーバ510が、合成画像を作成し、合成画像および/または関連データをクライアントデバイス550へ送信するよう構成されている。
【0055】
図5は、高解像度中央ビデオフィードのサブビューへ拡張現実を追加するのためのシステムの一実施形態を示すブロック図である。システムは、サーバ510およびクライアントデバイス550を含む。クライアントデバイス550は、スマートフォン、コンピュータ、もしくは、1または複数のビデオフレームがレンダリングされるその他のデバイスでありうる。
【0056】
サーバ510は、ARエンジン512および分離ショットエンジン514を備える。ユーザ選択ストア516が、ユーザ選択および/またはプロファイルを格納するよう構成されており、図に示すようにサーバ上にローカルに提供されてもよいし、リモートに提供されてもよい。ARエンジン512は、ビデオデータのフレーム上に表示される1または複数のAR構成要素を決定するよう構成されている。AR構成要素は、視聴者のユーザ選択または既知の選択に基づきうる。例えば、スクリメージラインは、プレイの現在の状況を可視化するためにレンダリングされると有益であり、AR構成要素として決定され、ビデオのフレームに追加されうる。その他のAR構成要素は、ユーザ(特定のプレイヤーまたはプレイヤーグループのファンであるユーザなど)の関心に応じて、よりユーザ固有でありうる。分離ショットエンジン514は、関心のあるプレイヤー/対象物を中心とするサブビューを決定するために、処理(図1の処理など)を実行するよう構成されている。
【0057】
図6は、本開示の一実施形態に従って、高解像度中央ビデオフィードのサブビューに拡張現実を追加するためのグラフィカルユーザインターフェースの一例を示す図である。グラフィカルユーザインターフェースは、プレイパネル610、ビデオパネル650、および、プレイヤーパネル680を備える。
【0058】
プレイパネル610は、ビデオパネル650に現在表示されているスポールイベントに関連する様々なプレイを表示する。スポーツイベントは、ライブでまたはイベントの終了後に視聴されうる。プレイパネル内で対応するプレイを選択することによって、特定のプレイを視聴できる。この例において、ユーザは、プレイID195によって識別される特定のプレイを視聴している。プレイの開始時刻、および、(もしあれば)どのプレイヤーがボールを保持しているのかなどプレイの状況、などの関連情報が表示される。いくつかの実施形態において、プレイ開始時刻および/またはプレイ状況の情報は、例えば、人工知能、機械学習、および/または、関連技術を用いてビデオコンテンツを処理することによって、自動的に決定される。いくつかの実施形態において、プレイ開始時刻および/またはプレイ状況の情報は、完全にまたは部分的に、人間の作業者による入力として入力されてもよい。
【0059】
ビデオパネル650は、スポーツイベントのビデオを表示する。ビデオは、開示されている技術を用いて生成されたサブビューでありうる。サブビューは、プレイヤーおよびAR構成要素を含む合成画像でありうる。ビデオは、ビデオの右下のアイコンを選択することによって、スクリーン全体に表示されるように最大化可能である。また、ビデオパネルの上部に沿って様々なオプションが表示されている。この例において、ユーザは、ビデオ画像のアングルを選択できる。ここで、ビデオは、フィールドの左上にある8Kカメラからのものである。異なる解像度を有しおよび/またはフィールド周囲の別の場所におけるその他のビデオフィードが利用可能であってよい。別のオプションは、ビデオに適用するフィルタのタイプである。この例において、デフォルトは、ブロードキャストシェーディングである。その他のフィルタは、白黒またはその他のカラースキームを含む。フィルタリングは、クライアントデバイスでローカルに実行されうる。ARドロップダウンメニューにより、ユーザは、ビデオパネル650上にレンダリングされる1または複数のAR構成要素を選択できる。
【0060】
この図には示されていないが、スクリメージラインなどのAR構成要素が、ビデオパネルに表示されうる。AR構成要素は、ユーザに合わせてカスタマイズされうる。例えば、スクリメージラインの色は、ユーザの好みに従いうる。テレビ放送で表示される従来のスクリメージラインとは異なり、本開示の技術に従って決定されたスクリメージラインは、(タイルを構成し、バーチャルカメラであると考えられる)ビューポートが移動されるので、より正確である。
【0061】
メニューの位置および数は、単なる例であり、限定を意図するものではない。例えば、メニューは、代わりに、ビデオパネルの両側または下部に表示されてもよい。
【0062】
プレイヤーパネル680は、チーム名簿の少なくとも一部を示している。ここで、プレイヤー15(KCのクオーターバック)は、ユーザがこのプレイヤーに関心を持っているので強調されている。ビデオパネル650は、プレイヤー15を中心としたサブビューを表示している。ユーザは、1または複数の他のプレイヤーを選択することで、他のプレイヤーに関連するサブビューを見ることができる。ユーザは、「すべてクリア」を選択することで、カスタマイズ/パーソナライズをリセットできる。
【0063】
図7は、本開示の一実施形態に従って、追跡の構成要素を備えた競技フィールドを含む環境の一例を示す。そのシステムは、工程100で用いられる中央ビデオフィードをキャプチャし、工程102で用いられるタイムスタンプ付き位置情報を収集できるシステムの一例である。
【0064】
環境700は、試合(例えば、フットボールの試合)が行われる競技フィールド702を含む。環境700は、競技フィールド702と、競技フィールドを直接取り囲むエリア(例えば、試合に参加していない被写体(被写体730-1など)を含むエリア)とを含む領域704を含む。環境700は、試合のそれぞれの被写体に関連付けられている1または複数の追跡デバイスからテレメトリデータを受信するアンカーデバイス720のアレイ(例えば、アンカーデバイス720-1、アンカーデバイス720-2、・・・、アンカーデバイス720-Q)を含む。図7に示すように、いくつかの実施形態において、アンカーデバイスのアレイは、テレメトリパーシングシステムと通信する。さらに、いくつかの実施形態において、1または複数のカメラ740が、バーチャル再生を形成する際に用いられるスポーツイベントの画像および/またはビデオをキャプチャする。
【0065】
カメラ740は、高解像度(市場で入手できる12Kまたはその他の解像度など)でビデオをキャプチャできる高解像度カメラである。様々な実施形態において、カメラは、中央ビデオフィードをサブビューに分割してサブビューにおけるひずみを最小化するのに適している直線ひずみがあまりないものなど、様々なレンズを有してよい。様々な実施形態において、カメラは、比較的高いカメラアングルでフィールドの画像をキャプチャする。
【0066】
本明細書に記載されているように、中央ビデオフィードは、サブビューに分割されることができ、ここで、パディングが、サブビューのズームのレベルを規定する。中央ビデオが高解像度であるため、サブビューは、粗すぎることのない様々なレベルのズームでユーザデバイスに表示されることができる。図7において、四角いマーカは、試合の第1チームの被写体を表し、円形のマーカは、試合の第2チームの被写体を表している。
【0067】
タイムスタンプ付き位置情報のそれぞれの伝送(例えば、テレメトリデータ230)が、複数の追跡デバイスの中の各追跡デバイス300から受信される。タイムスタンプ付き位置情報の伝送を受信する際の反復の基準は、それぞれの追跡デバイス300のping値(例えば、図3の即時ping値310)でありうる。いくつかの実施形態において、複数の追跡デバイスの内の各追跡デバイスからのタイムスタンプ付き位置情報の伝送は、500MHzより大きい帯域幅または0.20以上の比帯域幅で行われる。非限定的な例において、複数の追跡デバイスの内の各追跡デバイスからのタイムスタンプ付き位置情報の伝送は、3.4GHzから10.6GHzの範囲であり、複数の追跡デバイスの内の各追跡デバイス300は、1Hz~60Hzの間の信号リフレッシュレートを有し、および/または、反復基準は、1Hz~60Hzの間である。複数の追跡デバイスの内の各追跡デバイス300は、受信側によって受信され、それぞれの追跡デバイスを識別する固有信号を送信する。各追跡デバイスは、バイオメトリックデータが収集される場合、それぞれの追跡デバイスに関連付けられているそれぞれの被写体に固有のバイオメトリックデータ(例えば、バイオメトリックテレメトリ236)を送信できる。
【0068】
各追跡デバイス300は、空間領域での競技に参加している複数の被写体の内の対応する被写体によって身につけられる。さらに、各追跡デバイス300は、空間領域における対応する被写体のタイムスタンプ付き位置を記述する位置情報(例えば、テレメトリデータ230)を送信する。いくつかの実施形態において、複数の被写体の内の各被写体によって身につけられている追跡デバイス300が少なくとも2つ存在する。対応する被写体に関連付けられている各追加の追跡デバイス300は、被写体の実際の位置を予測する際のエラーの量を低減させる。
【0069】
いくつかの実施形態において、複数の被写体は、第1チーム(例えば、ホームチーム)および第2チーム(例えば、アウェイチーム)を含む。いくつかの実施形態において、第1チームおよび/または第2チームは、チームのリーグに含まれる(例えば、フットボールリーグ、バスケットボール協会、など)。第1チームは、第1複数のプレイヤー(例えば、第1名簿のプレイヤー)を含み、第2チームは、第2複数のプレイヤー(例えば、第2名簿のプレイヤー)を含む。本開示の様々な実施形態を通して、第1チームおよび第2チームは、フットボールの試合またはバスケットボールの試合など、競技試合(例えば、ライブスポーツイベント)に参加している。したがって、空間領域は、フットボールフィールドまたはバスケットボールコートなど、競技試合の競技フィールドである。いくつかの実施形態において、本開示の被写体は、試合に関連するプレイヤー、コーチ、レフェリー、または、それらの組み合わせである。
【0070】
いくつかの実施形態において、第1または第2複数のプレイヤーの内のそれぞれのプレイヤーに対する独立的な複数のタイムスタンプ付き位置の内の各タイムスタンプ付き位置は、空間領域に対するそれぞれのプレイヤーのxyz座標を含む。例えば、いくつかの実施形態において、空間領域は、空間領域の中心部分(例えば、ハーフコート、50ヤードライン、など)が軸の原点になり、空間領域の境界領域(例えば、アウトオブバウンズライン)が軸の最大座標または最小座標になるように、マッピングされている。いくつかの実施形態において、xyz座標は、±5センチメートル、±7.5センチメートル、±10センチメートル、±、の精度を有する。
【0071】
上述の実施形態は、理解しやすいようにいくぶん詳しく説明されているが、本発明は、提供された詳細事項に限定されるものではない。本発明を実施する多くの代替方法が存在する。開示された実施形態は、例示であり、限定を意図するものではない。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
【国際調査報告】